【俺ガイル】戸塚彩加の苦難? (148)

戸塚(えーっと、ボールにガットにテーピングっと)
戸塚(せっかくの日曜日だし、テニス部の買い出しが終わったら服でも見てこっかなー)
戸塚(……ん? なんか落ちてる、あ、これ財布だ)
戸塚(わぁ、すごい高そうな財布、デパート行く前に交番に寄らなきゃ、だね)

結衣ママ「はぁ……どこに落としちゃったのかしら……」
結衣ママ「せっかく久しぶりにショッピングしようと思ったのに……もう……」

戸塚(あれ? もしかして、この財布の持ち主かな?)
戸塚「あの、すみません」

結衣ママ「……あら? どなたかしら? ごめんねー今ちょっと取り込み中なのよー」

戸塚「もしかして、この財布を探してました?」

結衣ママ「あら!?」
結衣ママ「もしかして、私の財布を拾ってくれたのー!?」

戸塚「はい、あそこの交差点の角に落ちてましたよ」
戸塚「中身とか大丈夫そうですか?」

結衣ママ「うん、何も取られてないみたい」
結衣ママ「よかったわーほんとどうしようかと思ってたのよー」
結衣ママ「あ、そうだ、是非お礼をさせてもらえるかしら?」

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戸塚「そんな、すぐそこで拾っただけですし」

結衣ママ「いいのいいのー私の気が済まないから、ね?」

戸塚「え、でも」

結衣ママ「じゃあ私のお気に入りのカフェがすぐ近くにあるから、そこでお茶でもいかがかしら?」
結衣ママ「ね、お願い?」

戸塚(うーん、特に急いでるわけでもないし、まぁいいかな?)
戸塚「……それじゃあ、お言葉に甘えまして」

結衣ママ「うんうん、じゃ行きましょっかー」
結衣ママ「ふふ、こんな若くて可愛い娘とお茶なんて、なんだか楽しみ」

戸塚「あはは……」
戸塚(また可愛いって言われちゃったよ……)
戸塚(それにしても、喋り方といい、雰囲気といい、どこかで見たことあるような……?)

 ――――――
 ――――
 ――

結衣ママ「私はロイヤルミルクティーにしようかな」

戸塚「じゃあボクはアイスティーで」

結衣ママ(ボク? これが噂のボクっ娘っていうものなのかしら?)

戸塚「それにしても、すごい素敵なお店ですね」

結衣ママ「でしょう? よくお友達とここでお話してるのよー」

戸塚「お洒落で可愛いし、お姉さんにピッタリな感じがします」

結衣ママ「あら、お姉さんなんてー、もうお上手ねー」
結衣ママ「店員さん、この今日のオススメのケーキ、お一つ追加でいただけますか?」
結衣ママ「ふふ、嬉しかったからサービスしちゃうね」

戸塚「えっ、そんな悪いですよ」

結衣ママ「うふふ」

結衣ママ「ところで君、お名前は?」

戸塚「あ、ボクは戸塚彩加って言います」

結衣ママ「戸塚彩加ちゃんね、いい名前」
結衣ママ「戸塚ちゃん、彩加ちゃん、さーちゃん、うーんなんか違うわね……」
結衣ママ「あ、彩ちゃんって呼んでもいい?」

戸塚「はい、そうやって呼んでくれる人他にもいますよ」
戸塚(あれ? 彩ちゃん? 他にそうやって呼んでくれる人って……?)
戸塚(あ、わかった! このお姉さん由比ヶ浜さんと似てるんだ)

結衣ママ「ところで、彩ちゃんはいくつ? 高校生くらい?」

戸塚「あ、はい、総武高校の二年生です」

結衣ママ「あら? 私の娘も総武高校の二年生なのよー」

戸塚「え? 娘?」

結衣ママ「あ、バレちゃった? ごめんねー実はお姉さんじゃなくておばさんなのよー」

戸塚「わ、全然そんな感じに見えませんでした、その、すごく若々しくてキレイだから」
戸塚「その、このままお姉さんって呼んでても大丈夫ですか?」

結衣ママ「店員さん! 一番高いケーキお一つ追加で! 今すぐ持ってきてちょうだい!」

戸塚「わわわ」

戸塚「……あの、それで娘さんのお名前ってもしかして……」
戸塚「結衣、さんだったりしますか?」

結衣ママ「え? どうして知ってるの? もしかしてお友達?」

戸塚「はい、お友達ですし、それにクラスメイトです」

結衣ママ「あらー! こんなことってあるものなのねー、なんだか運命感じちゃったー」

戸塚「そうですねー実はお姉さんのこと、どこかで見たことあるなーって、思ってました」

結衣ママ「そっかー、結衣とこれからもいいお友達でいてあげてちょうだいねー」

戸塚「はい、こちらこそお願いします」
戸塚(ふふ、由比ヶ浜さんにこの事言ったら、びっくりするかな?)

結衣ママ「ところで彩ちゃんはこの後どうするの?」

戸塚「えっと、テニス用品の買い物をして、その後は服でも見ようかなって思ってました」

結衣ママ「なるほど……お洋服が見たいのね、ふむふむ……」
結衣ママ「彩ちゃん、ちょっとそこでぐるっと一回転してもらえるかしら?」

戸塚「え、ちょっと恥ずかしいですけど……こうですか?」

結衣ママ「うん、そうね、ボーイッシュな素材は捨てがたいけど、きっとガーリーな方が似合いそうね……」
結衣ママ「となるとこの辺りのショップだとあのお店かしら? いや、もう少し赤文字系よりのあそこのお店の方が……」

戸塚「……あの?」

結衣ママ「わかったわ! 彩ちゃん! 私に任せて起きなさい!」

戸塚「え?」

結衣ママ「テニスのことはよくわからないけど、お洋服のことなら任せてちょうだい!」

戸塚「え? え?」

結衣ママ「店員さん、お会計をお願いできるかしら?」

戸塚「え? え? え?」
戸塚(ど、どうしよう、なんだかイヤな予感がするよ……)




 戸塚彩加の苦難?



  ・戸塚×結衣ママ
  ・時系列的にはアニメ2期の4話くらい
   (八幡と葉山が折本達とデートしてるところの辺りをイメージ)
  ・まったりほのぼのやっていきたい
  ・エロ成分は期待しないでください
   (無いとは言っていない)
  ・日の最初の投稿だけageさせていただきます
  ・来週中には完結予定


本日分は以上

レスありがとうございます、ちょっとでも楽しんでもらえるよう頑張って仕上げます

 ――――――
 ――――
 ――

結衣ママ「さーて、始めるわよ……!」

戸塚「……あの」

結衣ママ「うん?」

戸塚「……あの、どうして美容院に? それにその手に持ってる道具って……」

結衣ママ「うふふ、実は私、若い頃スタイリストをやってたのよー」
結衣ママ「ちなみにここの店長さんは私の弟子みたいなものよ、だから快く協力してくれたわー」

戸塚「いや、そういう意味じゃなくて、その、ボクをどうするつもりですか……?」

結衣ママ「決まってるじゃない、"磨く"のよ」

戸塚「え?」

結衣ママ「つまり、今の彩ちゃんはダイヤの原石ってことよ」
結衣ママ「それにしてもノーメイクでこれって……ほんと信じられないわ……」
結衣ママ「というわけでちょっと静かにしててね?」

戸塚「え!? あの!? 絶対勘違いしてますよね!? ボクおと――」

結衣ママ「はーい、ファンデが口に入っちゃうから喋っちゃだめよー?」

戸塚「んーっ! んーーーっ!? んんん――」

結衣ママ「――最後の仕上げに、よし、これで完成ねっ!」
結衣ママ「ってこれは想像以上ね……アイドルレベル、いえ、これってもう天使の域なんじゃ……」

戸塚「うぅ……」

結衣ママ「ほらほら、そんな顔してないで、ちょっと鏡見てごらんなさい」

戸塚「……誰? これ?」
戸塚(目の周りが黒っぽいし、まつ毛はいつもより太くて長い気がする……)
戸塚(ほっぺたも赤くなってるし、それに唇がキラキラしてて……)
戸塚「これじゃほんとに女の子だよぉ……」

結衣ママ「そうよー彩ちゃんは、今本当の女の子になったのよ!」
結衣ママ「ふふ、すぐ慣れるわよ、それにしても今のキレイになった彩ちゃんを結衣が見たら、なんて言うのかしらね?」

戸塚「ほんとなんて言われちゃうんですかね……」

結衣ママ「ほらほら、自信持って? 彩ちゃんの可愛い顔が台無しよ?」
結衣ママ「さて下準備も済んだことだし、待ちに待ったお洋服を見に行きましょうか!」
結衣ママ「こんなに楽しいのほんと久しぶりだわー!」

戸塚「え!? こんな顔で外歩けないですよー!? やっ、ちょっと、引っ張らないでっ、ヤダ、やだぁ――」

 ――――――
 ――――
 ――

結衣ママ「うーん、ちょっとこのスカート短すぎるかしら? でも若いんだしこれくらい大丈夫よねー」
結衣ママ「あら、このパンプス可愛いわ、色も素敵だしこれにしましょう」
結衣ママ「あとコレと、コレと、コレと――」

戸塚(勢いに負けて、結局服屋さんに連れて来られちゃった……)
戸塚(このままだときっと女装させられちゃうよぉ……早く誤解を解かないと……)
戸塚(うぅっ、さっきから周りの目線が痛い……みんなジロジロ見てくるし、絶対変だと思われてるよね……?)
戸塚(こんなの学校の誰かに見られたら、ボク恥ずかしくて死んじゃうよぉ……)

結衣ママ「彩ちゃーん待たせちゃってごめんねー、これ試着してみよっかー」

戸塚「あ、あの、話を聞いてください!」
戸塚(そうだ、今ならまだ間に合う、早く言わなきゃ!)

結衣ママ「あらーどうしたの? こういうの好みじゃなかった? 絶対似合うと思うんだけどー?」

戸塚「違うんです、あの、ボクほんとは――」



戸部「いろはすぅー? ここのお店ちょっと高くね? 高くね? 戸部っち今月ピンチなんだけどぉー?」

いろは「えー先週戸部先輩が『今度なんか奢ってあげるから買い出し付き合って』って言ったんじゃないですかー」

戸部「そりゃないっしょー普通奢るって言ったらアイスとかジュースっしょー? いろはすさんジョークきっついわーマジ出島ー」




戸塚「――うわぁぁぁっ!?」
戸塚(なんでこんなとこに戸部君が!? と、とりあえず隠れなきゃ!)

結衣ママ「あらー? そんなに急がなくても試着室は逃げないわよー?」

戸塚(とりあえず試着室に隠れてみたものの――)



いろは「うわーこれめっちゃカワイイですー! あーでもでも葉山先輩はもうちょっと大人っぽい方がいいのかな?」

戸部「うーわー、これ桁一個多くね? パネェっ、絶対多いよね? ねぇねぇいろはすー?」

いろは「ちょっと、戸部先輩今真剣に考えてるんで邪魔しないでください!」



戸塚(うぅ……どうしよう……)



いろは「ちょっとこれ試着してきますー戸部先輩は適当に時間潰しててくださいねー、あ、お会計の時になったら呼びますんで」

戸部「いろはすぅ……せめてそっちの安いのにしてくんなーい……」

いろは「はーい善処しますー、えっと、ここの試着室は靴が無いから、使っていいのかな?」

戸塚(え? 靴? あ、しまった、慌てて履いたままだ――)

 ――シャッ

いろは「キャッ!?」

戸塚「わぁっ!?」

戸部「!?」

短くて申し訳ないのですが、本日分は以上

いろは「わわっ!? ごっ、ごめんなさい!」

 ――シャッ



戸塚(……戸部君とおもいっきり目が合っちゃった)
戸塚(絶対バレちゃった、よね)
戸塚(はぁ……もう学校行けない、どうしよう……)



いろは「あービックリした……」

戸部「」

いろは「でもよかったー着替え中じゃなくて……、って戸部先輩何固まってるんですか?」

戸部「……」

いろは「無視ですかー? ねーねー戸部先輩ー?」

戸部「…………っしょ」

いろは「……は?」

戸部「――メチャクチャ可愛かったっしょぉぉぉおおお!?」

いろは「うわっ!? ちょ、ちょっと戸部先輩イキナリ大声出さないでください!?」

戸部「ヤバくね!? あの子ほんとパネェっ!? マジパネェっしょ!?」
戸部「こうなったら待ちぶせしてアドレスゲットするしかないっしょ!」

いろは「た、確かにすごい可愛かったですけど……ていうか戸部先輩! そういうの海老名先輩に失礼ですよ!」

戸部「それはソレ! これはコレ!」

いろは「うわぁ……この人最低……」

戸部「今の内に髪型直してくるっしょ!」

いろは「あーもう帰ってこなくていいですよ……」



戸塚(――バレてない!?)

戸塚(ど、どうしよう? 戸部君はどこか行ったみたいだし、逃げるなら今がチャンスなんだろうけど……)
戸塚(でも、外にはまだ一色さんが……)
戸塚(それに急にいなくなったら由比ヶ浜さんのママさんに心配かけちゃうし……)
戸塚「あーもう……どうすればいいかわかんないよぉ……」

 ――シャッ

結衣ママ「お困りみたいねー」

戸塚「うわぁぁぁっ!?」
戸塚「あの、急に開けられると困ります!」

結衣ママ「あらー? でも着方がわからないなら手伝ってあげるわよー」

戸塚「え!? いや、違うんです、わわっ」

結衣ママ「はいはいー遠慮しないのー」
結衣ママ「はーい先にスカート履いちゃいましょうか」
結衣ママ「というわけで先に下を脱いじゃいましょうねー」

戸塚「だ、ダメです、やだ、ちょっと脱がさないで……」

結衣ママ「うふ、女同士なんだしそんなに恥ずかしがらなくってもいいじゃない」
結衣ママ「でもその反応、すっごくいいわよ、私が男だったら襲っちゃってるかもー」
結衣ママ「こんな感じで、ね?」

戸塚「んっ、やあっ、くすぐったい、です……っ」

結衣ママ「スキ有り」

戸塚(!?)

結衣ママ「わぁー彩ちゃんの脚すっごい細くてキレイ、ホント若いっていいわねぇ」

戸塚「み、見ないで、ください……っ」

結衣ママ「冗談よー食べたりしないから、コッチ向いてー」
結衣ママ「そうだ、ところで彩ちゃんはどんな下着をつけてるのかなー?」
結衣ママ「って、あら?」

結衣ママ「……ボクサーパンツ?」

戸塚「わぁぁぁっ!?」

結衣ママ「……彩ちゃん、これってどういうことかしら?」

戸塚「うぅっ、これは、その……」

結衣ママ「……許せない」

戸塚「あの、そんなつもりじゃ、なかったんです……」

結衣ママ「許せないわ――」

戸塚(怒らせちゃった、よね……?)
戸塚(騙すつもりはなかったけど、結果的に嘘ついちゃったみたいなものだし)
戸塚(でもでもでも! これでやっと誤解も解けるよ!)
戸塚(だから今は素直に謝ろ――)



結衣ママ「女の子が下着を手抜きしちゃダメでしょー!」



戸塚「えぇぇぇぇ……」

結衣ママ「いい、彩ちゃん」
結衣ママ「見えないところからキレイにする、これが可愛くなるための一番の近道なのよ」

戸塚「そ、そうなんですか」

結衣ママ「こういう下着って楽かもしれないけど、お出かけの時くらいは、ね?」
結衣ママ「それに男の子を意識している女の子って、すっごくモテるんだから」

戸塚「はぁ……」

結衣ママ「とりあえずさっさと着替えちゃいましょっかー」
結衣ママ「というわけで、次は上の方を……うふふ」

戸塚「ひ、一人でできますから」

結衣ママ「あら、そう? 残念……」
結衣ママ「じゃ、外で待ってるから早く着替えてねー」
結衣ママ「それともムリヤリが好きだったり、する?」

戸塚「しません!」

 ――シャッ

戸塚(はぁ、着るしか、ないんだよね……)

本日分は以上です、戸部君はいい人だけどうちの戸塚はあげません

 ――――――
 ――――
 ――

結衣ママ「あらあらあらーすっごく可愛い! 彩ちゃんとっても似合ってるわよー!」

戸塚「うぅ……」
戸塚(お股がスースーして、落ち着かないよぉ……)
戸塚(女の子ってよくこんな格好で外とか出られるなぁ)

結衣ママ「お会計も済んでるし、タグも外してもらったし、じゃあ出ましょうか」

戸塚「え? この格好のままなんですか!?」

結衣ママ「当然じゃないー可愛くなった彩ちゃんを私が見てたいってのはもちろんだけど」
結衣ママ「そういう格好にも慣れてもらわなきゃね」

戸塚「あ、あの、さすがにそれは――」



戸部「あっれぇー? どこっしょー? さっきの子どこに行ったのー? ないわー、マジないわー」



戸塚「さ、先に外に行ってます!」
戸塚(戸部君に見つかる前に逃げないと!)

戸塚(はぁ、ここまで来れば大丈夫かな?)
戸塚(ちょっと、お店の窓から見えないように、しゃがんでおこう)
戸塚(はぁ、なんだか周りの視線が更に強くなったような……)
戸塚(あのオジサンなんて、すごくニヤニヤしてて、ちょっと怖い、かも)

結衣ママ「彩ちゃーんどこー? ってあら、そんなところで何やってるの?」

戸塚「ちょ、ちょっと疲れちゃって、座って待ってようかなーなんて……」

結衣ママ「って彩ちゃん!? 見えてる見えてる!」

戸塚「え?」

結衣ママ「スカート! ほら、そんな座り方したらダメでしょ!」

戸塚「わわっ!?」
戸塚(しまった、ついいつもの感じで……)
戸塚(さっきから周りの人達にジロジロ見られてたのってそういうことだったんだ……)
戸塚(うーん、でも男の子用のパンツなんか見て、何が楽しいんだろ?)

結衣ママ「もう……彩ちゃんには女の子としての意識が足りないようね」
結衣ママ「ボクサーパンツなんて履いてるのが、いい証拠よ」
結衣ママ「と、いうわけで次、行きましょうか」

戸塚(次って、まだ行くの!? そ、それにこの流れって……!?)

 ――――――
 ――――
 ――

結衣ママ「彩ちゃんに似合いそうなすっごい可愛いの見つけちゃったーほらほらフリル付きよー」

戸塚(やっぱり)
戸塚(ランジェリーショップ、ですよね……)

結衣ママ「ところで、彩ちゃん今つけてるブラのカップって?」

戸塚「ぶ、ブラ!? そ、そんなのつけてません!」

結衣ママ「え……? ま、まさかノーブラなの!?」

戸塚「必要無いですから!」

結衣ママ「ひ、必要無いって……確かに彩ちゃんは胸がある方じゃないけど、その、擦れたりしないの?」

戸塚「え? 擦れ?」

結衣ママ「だから、ちく――」

戸塚「――はっ!?」
戸塚「だ、ダメです! その先は言っちゃだめです! 大丈夫、大丈夫なんです!」

結衣ママ「えっ? うーんでもさすがに高校生にもなって付けないってのはちょっと変な気が……」

戸塚(あ、これって実は男の子、ってことを説明するチャンスなんじゃ?)
戸塚(ほんとはこんな格好する前に言いたかったけど、そろそろ取り返しの付かないことになりそうだし……)
戸塚(よし! がんばって聞いてもらおう!)

戸塚「あ、あの、聞いてください!」

結衣ママ「あら? 急に改まってどうしたの?」

戸塚「その、実は」
戸塚「実は、ボクは……」
戸塚(うぅ……こんな格好して『実は男の子なんです』って言うの、すごい恥ずかしいよぉ……)
戸塚(でも、言わなきゃ……!)

結衣ママ「実は?」

戸塚「実は、男の子な――」



三浦「あーもうっ! ヒキオにパンツ見られたとか、ほんとサイアクだし!」

海老名「まーまー落ち着きなよ、てか優美子声大きいからー」



戸塚「みっ……!?」
戸塚(三浦さんに海老名さん!? どうして今日に限ってクラスのみんなと出会っちゃうの!?)
戸塚(と、とりあえず隠れないと! あっ、試着室!)

 ――シャッ

結衣ママ「あ……彩ちゃん……」

戸塚(はぁ、またこのパターンだよぉ……)
戸塚(あ、そうだ! 今度は誰も入ってこないように靴は外に置いとかないと……)
戸塚(三浦さんと、海老名さん、早くどこかに行ってくれないかな……)



三浦「だってさー! あの時のヒキオの顔見たでしょ!?」
三浦「『うわ、コイツがピンクとか意外、キャラ間違ってね? 意外に乙女なんですねーぷぷぷ』」
三浦「とか、絶対思ってる顔だったし! あぁームカツク!」

海老名「あはは、でもそれが理由で新しい下着買いに来るとかさー」
海老名「なになにー? ヒキタニ君の事意識しちゃってるってことなのー?」

三浦「は、はぁっ!? あーしがヒキオを!? ありえないし! あんなんのどこに惹かれる要素があるっつーの!」

海老名「ふーん、でもパンツ見られて動揺しちゃうくらいの存在ではあるってことねー」

三浦「ちょ、ちょっ、意味わかんないし!」
三浦「あーもうコレでいいや! レジ行ってくる!」

海老名「あははー私外で待ってるねー」



戸塚(よかった、遠くに行ったみたい、今回は気付かれずにやり過ごせそう)

 ――シャッ

戸塚「えっ?」

本日分は以上です、結衣ママの名前が欲しいです……誰か知りませんかね

結衣ママ「彩ちゃん――」

戸塚「わっ!?」
戸塚(え!? だ、抱きしめられてる!? なんで……!?)

結衣ママ「ごめんなさい」

戸塚「あ、あの、これって、どういうことです、か?」

結衣ママ「私、彩ちゃんの気持ちも考えないで、あんなこと」

戸塚「あんなこと、って……?」

結衣ママ「彩ちゃんが、自分の胸の事、そんなに気にしてたなんて」
結衣ママ「でも、"男の子並"なんてそんな事言わないで」
結衣ママ「彩ちゃんの魅力に、胸の大きさなんて関係ないから、ね?」

戸塚(あ、しまった……勘違いさせちゃったみたい……)

結衣ママ「あと、私ね」
結衣ママ「結衣が高校に入ってから、あんまり二人でお出かけとかできなくって、寂しかったの」
結衣ママ「だから知らない間に彩ちゃんに甘えちゃって、はしゃいじゃって」
結衣ママ「色々連れ回したりして、ほんと、迷惑よね……」

戸塚(そんな、迷惑だなんて)
戸塚(ちょっと思い込みの強いところがあるみたいだけど、ボクのために色々考えてくれたこと、なんだよね)
戸塚(それに由比ヶ浜さんとお出かけできなくて、寂しいって……)
戸塚(だったら――)

戸塚「あの、謝らないでください」
戸塚「この服だってこの下着だって、ボクのために選んでくれたんですよね?」
戸塚「その気持ちだけでも、とっても嬉しいです」
戸塚「だから、そんな顔しないでください」

戸塚(――今は男の子ってこと、黙っておこうかな?)

結衣ママ「彩ちゃん……!」

戸塚「わ! ちょ、ちょっと、苦しい、で、す……」

結衣ママ「なんて優しい子なのー」
結衣ママ「内面も外面もこんなに素敵なんて、ほんと彩ちゃんは天使さんみたいねー」

戸塚(む、胸のせいで、息が……く、苦しい……)

結衣ママ「私、彩ちゃんの為にベストを尽くすわ!」
結衣ママ「ちょっとそのブラ貸して!」

戸塚「え?」

結衣ママ「上、脱がすわね?」

戸塚「え? え!? ちょ、ちょっとマズイですって! わぁっ!?」

結衣ママ「いい? バストアップのコツを教えてあげる」
結衣ママ「こうやって胸の外側に手を添えて――」

戸塚「やあっ!? ちょっ、くすぐったい、ですから」

結衣ママ「寄せてー上げる!」

戸塚「んーー!?」

結衣ママ「更にー寄せてー上げる!」

戸塚「ちょ、っと、やだぁーーーーっ!?」

戸塚「はぁ、はぁ」
戸塚(うぅ……いっぱい触られて、見られて、恥ずかしいよぉ……)

結衣ママ(思った以上に平坦ね)
結衣ママ(彩ちゃんはまだ成長中なのかもしれないわ、だったらコツだけでも教えておいてあげなきゃ)
結衣ママ(まさに一肌脱ぐ、ってやつね)
結衣ママ「よい、しょ、っと――」

戸塚「――わぁぁぁっ!? ちょっとどうして脱いでるんですかぁぁぁっ!?」」

結衣ママ「彩ちゃん、ちょっと両手貸してねー」
結衣ママ「えい」

戸塚「うぁ!?」
戸塚(む、胸!? 直!? 柔らか――)

結衣ママ「コツだけ、教えておくからね?」
結衣ママ「こうやってー寄せてー」

戸塚「」

結衣ママ「上げてー」

戸塚「」

結衣ママ「寄せて……って彩ちゃん聞いてる?」
結衣ママ「彩ちゃんー!」

戸塚「――え!?、あ、ハイっ!」

結衣ママ「キャ! ちょ、彩ちゃん、そこ摘んじゃ、ダメだってばぁ!」

戸塚「」

 ――――――
 ――――
 ――

結衣ママ「お疲れ様、いい買い物ができてよかったー」

戸塚「そ、そうですね……」
戸塚(どうしよう、さっきの試着室の件のせいで、まともに顔が見れないよ……)

結衣ママ「あ、私お手洗いに行ってくるから、ちょっと待っててもらっていいかな?」

戸塚「は、はい、ごゆっくり……」

結衣ママ「はーい」

戸塚(なんとか下は一人で履いたから、バレはしなかったけど)
戸塚(結局全身女の子装備になっちゃったし、これじゃ完全に変態さんだよぉ……)
戸塚(うぅ……もう帰っちゃおうかな……)
戸塚(由比ヶ浜さんのママさんには悪いけど、さすがにこれ以上は色々と危険――)



戸部「あー! 見つけたっしょぉぉぉ!」



戸塚(もうほんとヤダ)

戸部「ねーねー君どこの高校ー? えー俺? おーれーはー総武高校の戸部っち!」

戸塚「は、はぁ」
戸塚(聞いてないよ、戸部君……)

戸部「うーわー、君ほんっとめっちゃかわいくなーい? 買い物中? 一人? これからどっか行くのー? 甘いもの食べたくない?」

戸塚「えっと、その」
戸塚(質問多いよ、戸部君……)

戸部「あーもうこれアドレス交換するしかないっしょー! LINEやってる? LINEアドくらいならいいっしょー? ねーねー?」

戸塚「えぇぇ」
戸塚(なんでそうなるの、戸部君……)

戸部「ねーねー? ねーねー?」

戸塚「あ、あはは……」

戸塚(……う、人目が集まってきた、注目されるのヤダなぁ)
戸塚(それに戸部君が強引すぎて、ちょっとコワイ……)

戸部「わかったっしょ! 海浜? 海浜高校の子っしょ!」
戸部「いやーどーりで見たコト無いワケだわぁー! こんな可愛い子がオナ高だったら絶対見逃さねーべ?」
戸部「とりまーアドレス教えて欲しいんだけどー?」

戸塚(うぅ、戸部君ちょっとしつこい……)

戸部「ねー無視ー? さすがの戸部っちも無視はちょっと悲しいんだわぁー!」

戸塚(わわっ!?)
戸塚(えっ、これって、その、壁ドン? と、戸部君ちょっと近すぎ――)



八幡「おーい戸部、何やってんだよお前……」



戸塚(は、はちまん!?)

本日分は以上です、レスくれた方ありがとうございました

八幡「俺が戸塚を見間違えるわけないだろ」

戸塚「八幡…………」キュン

レスありがとうございます、元気出ました
本日分投下させていただきます

戸部「あっれぇーヒキタニ君? なにやってんのー?」

八幡「いや、ただの通りすがり」

戸部「ふーん、まーなんでもいいけどー今忙しいからまた今度っしょ」

八幡「俺もそうしたいのはやまやまなんだがな」
八幡「"戸塚の事"となると話は別、ってわけだ」

戸部「へ? なんで戸塚? どゆこと?」

戸塚(き、気付いてる!?)
戸塚(こんな姿をしてるのにすぐ気付いてくれた、やっぱりはちまんはすごいや……!)
戸塚(でも、絶対変態さんだと思ってるよね……もう相手してくれなくなっちゃったらヤダなぁ……)

八幡「まぁ、なんだ、こんな目をしていてなんだが、ハチマンアイは伊達じゃないってことだ」

戸部「ハチマン? 何それ? 愛って戸塚への? よくわかんないけどつまりヒキタニ君はウホッ! ってことでOK?」

八幡「名前覚えてないのかよ……まぁそれはいいとして、Eyeだよ、愛じゃねーよ、いや待てよ、愛もあるよな? すまんやっぱ愛だ」

戸塚(あ、愛!?)

戸部「ヒキタニ君何言ってるかわかんないっしょ、やっぱりウホッ! っしょ」

八幡「あぁ面倒クセ……もう戸部はいいや……」

八幡「えっと、いいか?」

戸塚「は、はい……!」

八幡「その、マジでビックリした、まさかとは思ったけど」
八幡「でも俺、すぐわかったぞ」

戸塚(どうしよう、嬉しいけど、戸部君もいるし、ここでバレちゃうのは複雑な気分だよ……)

八幡「確かに雰囲気は違うけど、戸塚のことはその、割とよく見てたからかな?」

戸塚「あ、あの、その――」



八幡「――で、君は戸塚の妹さん? お姉さん?」



戸塚「え?」

八幡「え?」

八幡「へ? 戸塚の親類じゃないの? じゃあ従兄弟?」

戸塚(はちまんのバカ!)
戸塚(……あれ? なんでボク怒ってるんだろ? バレなかったし喜ぶところだよね?)

八幡「いや、この髪とか耳とか口とか、絶対戸塚の遺伝子が組み込まれているとしか思えんのだが」

戸塚「あ、あの、そんなに見られると恥ずかしい、です……」

八幡(かわいい)

戸部(かわいいっしょ)

八幡「そ、それにこの目、うん、やっぱりこれは俺のよく知ってる戸塚の目……だよな」

戸塚(ま、マズイ! こ、このままじゃはちまんに気づかれちゃう!)

八幡「まさか、まさかだよな……? いやでもこの感覚は、まさか、そんなバカなこと――」



戸塚「い、妹なんですっ!」
戸塚「彩加お兄ちゃんの妹ですっ!!!」



戸部「マジ!?」

八幡「ほう……!」

八幡「そうだよな、これで親類じゃなかったら詐欺だよな」
八幡「容姿が似ているのはもちろんだけど、歳も結構近いんじゃ?」

戸塚「ふ、双子なんです! 実は! だから歳も同じです!」

八幡「あー納得……って、あれ? お兄さんと同じ歳ってなんで知ってたの?」

戸塚「そ、それはそのー、彩加お兄ちゃんがよくはちまんさんのことをお話してくれたので」
戸塚「その、ちょっと不器用だけど、ほんとは優しくて、時々格好いいって……」

八幡「結婚しよう」

戸塚「え? け、結婚!?」

八幡「……はっ、嬉しすぎてついいつもの癖が!? す、すまない妹さん」

戸部「ねーねー俺っちはー? 戸部っちのことはーなんて言ってたのー?」

戸塚「え、いや、その、戸部さんのことは、その」
戸塚「ご、ごめんなさい……」

戸部「……」

八幡「ドンマイ戸部」

八幡「あとさ、高校は総武じゃないよな? 海浜?」

戸塚「え、えっと……専門学校、そう、専門学校に行ってるので!」

八幡「もう目指してるものがあるってことか、すごいな」

戸部「おぉーかっこいいー! 何系ー? 何になりたいのー?」

戸塚「あの、その……そうだ! スタイリストさんを目指してまして!」

戸部「スタイリストとかめちゃクールっしょ! オートクチュールっしょ!」
戸部「で、妹さんの名前は?」

戸塚「あ……!」
戸塚「えっと……その……」
戸塚(ぜ、全然考えてなかったよ……!)

戸部「お名前なんて言うのー?」

八幡「……?」

戸塚「名前は、戸塚――」
戸塚(ど、どうしよう!? 戸塚彩加、だから……!)
戸塚(彩加、彩ちゃん、さい、か、あや、か……あっ!) 

戸塚「――戸塚アヤカ、って言います」
戸塚(く、苦しいよね……)

戸部「名前までかわいいっしょー!」
戸部「改めてだけどー、俺っちはーお兄さんと同じクラスの戸部翔、よろしくねーアヤカちゃん!」

八幡「なるほど」
八幡「同じくクラスメイトの比企谷八幡、いつもお兄ちゃんには世話になってるから、その、えと、まぁなんだ宜しく」

戸塚「あ、こちらこそよろしくお願いします」
戸塚(なんとかバレずに済んだけど)
戸塚(何か大切なものを失った気がするのは、気のせいだよね)
戸塚(気のせい、だよね……あはは……)

本日分は以上です、風呂敷をそろそろ畳んでいきます

レスありがとうございます
ケッコンの精? 霊? が出現してますが、なんか夏っぽいですね
あと乙乙さんは同一人物……? だとしたらいつもありがとうございます

とりあえず本日分を投下させていただきます

戸部「んじゃ自己紹介も終わったことだし」
戸部「アヤカちゃん! 今から俺っちとカラオケで親睦会っしょ!」

戸塚「え、その……今からはちょっと……」

八幡「おい待て、何ナチュラルに俺を除外してるんだよ」
八幡「おっと、じゃなくて戸部よ、とりあえずな、今日は早いとこ退散したほうがいいと思うぞ」

戸部「……あのさぁ」
戸部「あんまりこういうこと言いたくないんだけどさー? ヒキタニ君さーさっきから空気読めてなくなくなーい?」
戸部「海老名さんの時もそうだったけどさー何? 俺っちになんか恨みでもあるわけぇ?」

八幡「いや、そうじゃなくて」

戸部「じゃあ何?」
戸部「ハッキリ言ってくんね?」

八幡「お、おい、落ち着け、近い、近いって」

戸塚(え……ちょ、ちょっとなんでこんな雰囲気になっちゃってるの……?)
戸塚(と、とりあえず止めなきゃ!)
戸塚「二人ともちょっと落ち着いて――わわっ!?」

戸部(!?)

八幡(!?)

戸塚「いったぁ……」
戸塚(ヒールのついた靴がこんなに動きにくいなんて……痛い……)

八幡「お、おい、派手に転んだけど、大丈夫か?」

戸塚(……はちまん顔が真っ赤?)

戸部「ヤバイっしょー! これマジでヤバイっしょー! うひょぉぉぉ!」

戸塚(……戸部君は何でテンションMAXなの?)
戸塚(あれ? さっきから何をチラチラ、って!?)
戸塚(ス、スカートの中が!?)

戸塚「わぁっ!?」
戸塚「……うぅ」
戸塚「…………み、見たよね?」

八幡「ミテナイゾ」

戸部「ミテナイッショ」

戸塚(うぅ……女の子の下着履いてるの見られちゃったよ……)
戸塚(でも、二人を落ち着かせる事ができてよかったぁ)

八幡「と、とりあえず、立てるか? ほら、手」

戸塚「う、うんありがとう、はちまん、さん」
戸塚(はちまんは優しいな)

戸部「ズルいっしょーそれは俺の役目っしょー!」

八幡「あぁもういちいち騒がしい」
八幡「で、さっき言いかけたことなんだけど」
八幡「戸部、とりあえず周り見てみろ」

戸部「んー? あ、人がたくさんいるっしょ!」

八幡「他に思うとこねーのかよ……」
八幡「いいか、俺がお前らを見つけた時の構図な、どう見てもか弱い女の子に言い寄る輩そのものだから」
八幡「現にさっきお前ら見つけた時、警備員呼んでる人いたぞ」
八幡「だからだ、早いとこ帰った方がいい」

戸部「いやいやいや! ヒキタニ君じょーだんキツイっしょー!」
戸部「いやー面白いわーそりゃないわー! どう見ても青春を楽しむ美男美女カップルっしょ――」



結衣ママ「警備員さーん! あそこです! あそこのチャラそうな男の子が私の友達を!」



戸部「――うそぉぉぉぉぉ!?」

八幡「な? だから言ったじゃねーか」



結衣ママ「はっ!? その隣にいる目つきの悪い子も仲間です! 多分!」



八幡「――はぁぁぁぁぁ!?」

戸部「ヤバイっしょ!? とりあえずヒキタニ君逃げるっしょ!!!」

八幡「お、おい!? 腕引っ張るな!? 違う、俺は無実なんだぁぁぁ――」

戸塚(……行っちゃった)
戸塚(二人共無事に逃げきれるといいな)

結衣ママ「彩ちゃん大丈夫!? 乱暴されてない!?」

戸塚「あ、あはは、大丈夫です、その、ちょっと声をかけられてただけだから」
戸塚(戸部君、はちまん、なんかごめんね……)

結衣ママ「よかった……本当に……助けに来るのが遅くってごめんなさい……」

戸塚「いえ、ほんとに大丈夫ですから!」
戸塚「あ、それより、服汚しちゃって、ボクもごめんなさい……せっかく買ってくれたものなのに……」

結衣ママ「何言ってるのよ、服なんていつでも買ってあげるから」
結衣ママ「彩ちゃんが無事で本当によかった」
結衣ママ「ひとまず、どこか座れるとこに行きましょうか?」

戸塚「そうですね……ちょっと人目も気になりますし――痛っ」

結衣ママ「彩ちゃん!?」

戸塚「あ、さっき転んだ時にちょっと捻っちゃったみたいで」
戸塚「でも、大丈夫です、大したことないですから、少し休めばすぐ歩けると思います」

結衣ママ「何言ってるのよ、もっと自分の体を大事にしなさい」
結衣ママ「彩ちゃん、はい」

戸塚「え?」

結衣ママ「ほら、おんぶ、すぐそこに私の車停めてあるから」

戸塚「え!? い、いや、本当に大丈夫ですから!」

結衣ママ「いいから早くー!」

戸塚「は、はい……!」

結衣ママ「よいしょ、わ、彩ちゃんすごく軽い、ちゃんと食べてる?」

戸塚「はい、これでも結構食べる方なんですけどね……」
戸塚(す、すごく柔らかいし、それに、いい匂いがする……)
戸塚(わ、何を考えてるのボクは!?)
戸塚(うぅ……女の人におんぶされてる、っていうのはすごく恥ずかしいけど――)

結衣ママ「ほんと? しっかり食べないと大きくなれないわよー、色々とねーうふふー」

戸塚「あはは……」
戸塚(――でも、なんだか落ち着くな……)

結衣ママ「はい到着、助手席どうぞー」

戸塚「あの、すみません、車まで出してもらって」

結衣ママ「もう、そんなの気にしないでいいから、あ、シートベルトはちゃんと締めてね」
結衣ママ「じゃあ出発ー」

戸塚「……あれ? 駅ってこっちじゃないですよ?」

結衣ママ「足の治療もまだだし、服も汚れたままだし、こんな状態の彩ちゃんを帰せるわけないじゃない」

戸塚「え? あの、じゃあどこに?」

結衣ママ「んー?」
結衣ママ「お家がすぐそこだからー」

戸塚「お家? 誰のですか?」

結衣ママ「私の」



戸塚「……え?」

結衣ママ「ん?」

本日分は以上

 ――――――
 ――――
 ――

結衣ママ「ほら、彩ちゃん何やってるの? 上がって上がって」

戸塚「いや、ほんとに大丈夫ですから!」
戸塚「そ、それにお家の人にも迷惑ですし……」

結衣ママ「旦那さんは実家の方に行ってるから、心配ご無用よー」
結衣ママ「結衣は雪乃ちゃんって子と遊びに行くって言ってたわね、会えなくって残念だった?」

戸塚「あーえっと、そう、ですね……」
戸塚(よかった……由比ヶ浜さんいないんだ……)
戸塚(あれ? ってことは二人っきり、ってこと?)
戸塚(……いやいやいや! 何を動揺してるのボクは!?)

結衣ママ「じゃあ先に洗濯しちゃいたいし、まずはシャワー浴びちゃって」
結衣ママ「私はその間、着替えと湿布用意しとくわね」

戸塚「え、そこまでしてもらわなくても……!」

結衣ママ「いいからいいから――」

結衣ママ「――じゃあ、脱いだ服はそこのカゴに入れておいてね、後で全部まとめて洗濯しておくから」
結衣ママ「あ、そうだ換えの下着どうする? 新しいの出してあげようか?」
結衣ママ「私のだとサイズ合わなさそうだから、結衣のがいいかしらねー」

戸塚(由比ヶ浜さんの下着をボクが……?)
戸塚「……はっ!? いいです! それだけは! ほんとに!!!」

結衣ママ「あらそう? ならバスタオルとパジャマだけ出しておくわねー」
結衣ママ「あ、お風呂にあるものは自由に使っていいからね、じゃあごゆっくりー」

戸塚「はい、ありがとうございます……」
戸塚(……はぁ、まさか由比ヶ浜さんのお家でシャワーを浴びるなんて想像もしなかったよ)
戸塚(あ、洗濯物がちょっと入ってる、汚れた部分がついちゃわないように、気をつけないと……って!)
戸塚(女の人用の下着……)
戸塚(こ、これって、どっちのだろ……?)
戸塚(……)
戸塚(…………はっ!?)
戸塚(あぁもう! 何を考えてるのボクは!)
戸塚(もたもたしてたら、由比ヶ浜さんが帰ってくるかもだし、早くシャワー済ませちゃお……)

戸塚(……)

戸塚(はぁ、暖かいお湯って気持ちいい)

戸塚(……)

戸塚(首から上は洗わないほうがいいかな? 髪の毛乾かすのに時間かかっちゃいそうだし)

戸塚(……)

戸塚(このバスチェアに、由比ヶ浜さんもママさんも、座ってるんだよね)

戸塚(……)

戸塚(はっ!? だからダメだってそんな事考えちゃ!)

戸塚(……)

戸塚(ボディソープ、お借りします)

戸塚(……)

戸塚(今、由比ヶ浜さんとママさんとボクは、同じ匂いがするのかな……じゃなくて!)

戸塚(……)

戸塚(うぅ、早く出よう)

 ――――――
 ――――
 ――

戸塚(あれ、最初に着てた服と下着まで洗濯されちゃってる)
戸塚(ということはまた女の子の下着をつけるしかないってことだよね……)
戸塚(しかもこのシルクのワンピースタイプのパジャマ、結構体のラインがでちゃう、丈も短いし)
戸塚(早く服、乾いて欲しいなぁ……)

結衣ママ「彩ちゃーん? お風呂あがったー?」

戸塚「あ、はい、ありがとうございましたー」

結衣ママ「じゃあ湿布貼るからリビングにいらっしゃーい」

戸塚「わかりましたーすぐ行きまーす」
戸塚(もう痛みもあんまり感じないんだけど……)
戸塚(でも用意してもらってるみたいだし、ここはご好意に甘えておこうかな?)

 ――――――
 ――――
 ――

結衣ママ「わ、彩ちゃんすごいセクシー」
結衣ママ「そんなエッチな格好してると、おじさんがセクハラしちゃうぞー? がおー」

戸塚「ひゃぁっ!? お、お尻触らないでください! それにこのパジャマ用意したの誰だと思ってるんですか!」

結衣ママ「うふふ、だってーせっかくだしー可愛いの着せたいなーって」

戸塚「もう、Tシャツとハーフパンツとかで良かったのに……」

結衣ママ「えーすごい似合ってるのにー」
結衣ママ「あ、そうだ彩ちゃんを愛でる前に、湿布貼らなきゃ」
結衣ママ「そこのソファに座ってくれる?」

戸塚「あ、はい、お願いします」

結衣ママ「痛いのってどっちの足?」

戸塚「えっと右足首のところがちょっとだけ痛かったです」

結衣ママ「この辺?」

戸塚「もう少し上の方、ですかね」

結衣ママ「ここ?」

戸塚「えっと、もうちょっとだけ上、で」

結衣ママ「……ここかしら!」

戸塚「んっ!? そ、そこは太ももです! もうセクハラはやめてください!」

結衣ママ「あ、つい……うふふ」

戸塚「『つい』じゃないですよ……いい加減にしてくれないと怒りますよ……」

結衣ママ「ヤダー彩ちゃんに嫌われたら死んじゃうー!」
結衣ママ「真面目にするから、怒らないでー!」

戸塚「はぁ……」
戸塚(嫌じゃないんだけど、その、色々と困っちゃうなぁ……ボク男の子だし……)

ひとまずここまで、夜投下できたら投下します

結衣ママ「これでよし、と」

戸塚「ありがとうございます」

結衣ママ「というわけで彩ちゃんを愛でる続きを――」

戸塚「怒りますよ?」

結衣ママ「……冗談です」

戸塚「もう、油断も隙もないんですから」
戸塚「……あ、それより携帯鳴ってませんか?」

結衣ママ「ほんとだ、誰かしら……あら、店長さんからだわ、ちょっと取ってもいい?」

戸塚「もちろんです、どうぞ」

結衣ママ「もしもしー? 今日は急にお邪魔しちゃってごめんなさいねー、どうかしたー?」
結衣ママ「うん、うん、え? お仕事の話? えぇ、大丈夫だけど……あ、ちょっと待ってね」
結衣ママ「彩ちゃん、少し席を外すわね?」
結衣ママ「ごめんなさいだけど、ちょっとソファで寛いでてねー」

戸塚「あ、はい、わかりました」

戸塚「ん……」

戸塚(店長さん、って美容院にいた人かな?)
戸塚(……それにしても、今日はほんとにとんでもない一日だったなぁ)
戸塚(お化粧に、お着替えに、女の子のフリに、妹のフリかぁ)
戸塚(色々あって、ちょっと疲れちゃったな……)

戸塚「ふぁ……」

戸塚(ふかふかのソファ、気持ちいいな)
戸塚(それにこのパジャマ、さらさらして気持ちいい)
戸塚(なんだか、久しぶりに、落ち着けた気がするよ……)

戸塚「……」

戸塚(戸部君と……はちまんに……)
戸塚(明日学校で会ったら……なんて、言われるんだろう……?)
戸塚(上手く……誤魔化せる、かなぁ……?)

戸塚(あ……このソファ……)

戸塚(なんだかいい匂い……?)

戸塚(ママさんと同じ……)



戸塚(………………)



戸塚(…………)



戸塚(……)

 ――――――
 ――――
 ――

結衣ママ「彩ちゃんお待たせ……って」

戸塚「……」

結衣ママ(寝ちゃってる)
結衣ママ(……彩ちゃんの寝顔、可愛い)
結衣ママ(風邪引くといけないし、毛布かけてあげなきゃ)

戸塚「……ん」

結衣ママ(あ、起こしちゃった……?)

戸塚「……」

結衣ママ(ふふ、こんなにぐっすり寝ちゃって、色々連れ回しちゃって疲れさせちゃったかな?)
結衣ママ(彩ちゃん、今日はありがとう)

結衣ママ「ん」

結衣ママ(うふふ、ほっぺにチューしちゃったぁー)
結衣ママ(って、何やってるのよ私は……なんだかドキドキしてきちゃったし……)

結衣ママ(……頭、撫でても大丈夫かな?)

結衣ママ(わ、髪の毛サラサラ、触ってるコッチが気持ちいいくらいね)



結衣ママ(……それにしても、ほんとに可愛い子ね)

結衣ママ(彼氏、とかいるのかしら?)

結衣ママ(まぁいなかったとしても、こんなに可愛かったら周りがほっとかないわよね)

結衣ママ(今日もちょっと目を離した隙にナンパされてたみたいだし、それも二人も)



結衣ママ(なんだか押しに弱そうだし、ちょっと心配)

結衣ママ(こういう純情そうな子ほど、体目当てみたいな下心丸出しの男に、引っかかっちゃったりするものなのよね……)

結衣ママ(そんなのに取られちゃうのヤダなぁ……)

結衣ママ(それだったら、私が……)





結衣ママ(……あれ?)

結衣ママ(私が? 何?)

結衣ママ(彩ちゃんが可愛いから? 手元に大事にして置いておきたいの?)

結衣ママ(おかしいわね……『さっさと彼氏の一つや二つ作りなさい』って実の娘の結衣に言ってるくらいなのに?)

結衣ママ(それに、私、なんで?)



戸塚「ん……」



結衣ママ(なんで、さっきからずっと、ドキドキしたままなの?)

結衣ママ(……私って、女の子もイケるタイプだったのかしら?)

結衣ママ(でも可愛い子とかキレイな子なんて、スタイリストをしてた頃に飽きるほど見てきたはずよね)

結衣ママ(ということは……)

結衣ママ(彩ちゃん、だから……?)



結衣ママ(……)

結衣ママ(…………だったら)

本日分は以上です
少し遅れましたが、嬉しいレスありがとうございました

あと、次の投下から完結迄>>1は無言になります

そうですね、後数回の投下といったところです

レスありがとうございます、期待に応えれるか……応えたい……
無言モード入ります、ここからの更新はsage&不定期更新です

結衣ママ(彩ちゃんの、唇……)

結衣ママ(頭を撫でても大丈夫だったし、起きないわよね……?)

結衣ママ(う、うん、ちょっとだけ……確かめるだけ、だから……)

結衣ママ(一回だけ……)



結衣ママ「ん……」



戸塚(……)

戸塚(…………)

戸塚(………………ん、あれ? もしかして、寝ちゃって、た?)

戸塚(なんだか、唇が、気持ちいい……って!?)



戸塚(――キスされてる!?)



戸塚(え? え? え? な、なんで!?)

結衣ママ「……はぁっ、ん」

結衣ママ(ヤバイ)

結衣ママ(何これ、絶対おかしいわ)

結衣ママ(私こんな年端もいかない子に、何を……)



戸塚(ど、どうしよう……とりあえず寝てるフリ寝てるフリ……)



結衣ママ「ん、ちゅ、んっ……」

結衣ママ(ダメ、これ以上続けたら、とんでもないことになっちゃう……)

結衣ママ(やめなきゃ)

結衣ママ(……あ)

結衣ママ(……下着がヤバイことになってる)

結衣ママ(……ってことは私、やっぱり両刀だったってことなの……なんか、複雑ね……)



戸塚(お、終わった、のかな……?)

結衣ママ「はぁ」
結衣ママ(なんだかすごい罪悪感……)
結衣ママ(このまま彩ちゃんの寝顔を見てると、また暴走しちゃいそうだし、今日は帰ってもらおうかしら……)
結衣ママ(はぁ、名残惜しいわ……)

戸塚(……終わったみたい)
戸塚(さっきからドキドキが止まらなくて、胸がすごい苦しい……)
戸塚(そ、それに、その、下半身も、すごいことに……うぅ……)

結衣ママ(あぁ、やっぱりもうちょっとだけ……って!)
結衣ママ(だからダメだって! 彩ちゃんに起きてもらうの!)

結衣ママ「はぁ……よしっ!」
結衣ママ「彩ちゃーん起きてー朝ですよー? えいっ!」



 ――グイッ



戸塚(え? 毛布が引っ張られて……って!)
戸塚(今、引っ張られたら! や、ヤバイ!!!)
戸塚「わ、わぁぁぁっ!? ちょ、ちょっとヤメ――」

結衣ママ「わっ!? ビックリした……って、あれ?」

戸塚「わぁっ! 見ちゃ、見ちゃダメ、です……!」
戸塚(ヤバイ! パジャマで隠さないと……って、これ丈が短いうえにキツくて、か、隠せない!?)

結衣ママ「……」
結衣ママ「…………」
結衣ママ「………………え」

結衣ママ「ええええええええええ!?」

戸塚「うわああああああああああ!?」

結衣ママ「さ、彩ちゃん……"ソレ"って……」

戸塚「う、あ……」

結衣ママ「彩ちゃん、貴方、男の子だったの……?」

戸塚「ごめん、なさい……」



結衣ママ「嘘でしょ……」
結衣ママ(ワケが、ワカラナイわ)
結衣ママ(こんなに可愛い子が、男の子? だから私は、こんなに彩ちゃんに対してドキドキしてたってこと!?)
結衣ママ(となると女の私が惹かれてしまうのも仕方ないってことね、歳は離れてるけど、男と女なわけだし、うん、あれ? でも買い物中にナンパしてたあの二人は何? 彩ちゃんの事を女の子として見てたのよね? 外見だけだったらそうとしか思えないし、それは間違いないわよね、え? でもそうなると……)



戸塚「あ、あの……?」



結衣ママ(だけど彩ちゃんは男の子なわけだから、私が本能的に彩ちゃんに男たる何かを感じ取っていたことを考えると、つまりあの二人はホモということになるわけで、え、でもこんな可愛い子がまさか男の子なんて想像もできるはずないじゃない、え、え、ちょっと待ってそういえば私ついさっき彩ちゃんの唇にキスしたわよね、これってつまり浮気? 嘘? 知らない間に不倫してたとか冗談じゃないわよ、ごめんなさい貴方、結衣、私ダメな女ね、いやいやそうじゃなくて彩ちゃんはもう男とか女とかそんな次元を飛び越えた存在なのよきっと、そう間違いないわこれだけは、うん彩ちゃんは可愛い、それだけで十分じゃない、だからセーフよね? うんきっとセーフ、うん、そうよ私は可愛い彩ちゃんにイタズラしただけ、そうよそうに決まってるじゃない、うふふ、あー彩ちゃんは可愛いわー、ほんと苛めたくなっちゃうくらいーうふふーそうよー彩ちゃんは私のものなのよー苛めたく鳴っちゃうくらい可愛い子、それだけいいじゃないーあーでも不倫はだめよねー、でもでも彩ちゃんは大好きーうふふーうーんじゃあもうこれしかないわね)



結衣ママ「――彩ちゃーん!」

戸塚「わぁっ!?」

戸塚「え!? ちょっと、あの、なんで押し倒すんですか!?」

結衣ママ「うふふー彩ちゃん、私の事騙してたんだー」

戸塚「あの、それはごめんなさい、でも何度も言おうとしたんですけど、タイミングが」

結衣ママ「試着室で私の胸とお尻、触ったわよね?」

戸塚「えっ?」

結衣ママ「おんぶしながら、私の背中にソレ押し付けてたわよね?」

戸塚「ええっ!?」

結衣ママ「それにさっき唇にキス――」

戸塚「な、なんか色々間違ってます! あの、ちょっと落ち着いてください!」

結衣ママ「ふーん、言い訳するんだー」
結衣ママ「そんな彩ちゃんにはオシオキしてあげないとー」

戸塚「え!?」

結衣ママ「ねぇ、彩ちゃんって誰かとお付き合いしたことある?」

戸塚「い、いや、無いですけど……」

結衣ママ「じゃあー、彩ちゃんのー"初めて"貰っちゃうねー」

戸塚「……え?」

結衣ママ「うふふー」

戸塚「え? 冗談、ですよね? え? 嘘……?」

結衣ママ「うふふー」

戸塚「え? ヤダ、お、落ち着いて、あ、あのそんなことしたら、由比ヶ浜さんや旦那さんが……!」

結衣ママ「大丈夫よーうふふー」

戸塚「全然大丈夫じゃないです! だってそんなことしたら不倫、じゃないですか!?」
戸塚「ボク、由比ヶ浜さんに顔合わせれなくなっちゃいます!」

結衣ママ「確かにー彩ちゃんと男と女の関係になっちゃったらそうかもだけどー」
結衣ママ「私はー彩ちゃんの事女の子として扱うからー大丈夫なのーうふふー」

戸塚「女、の、子……?」
戸塚「あの……」

結衣ママ「んー?」

戸塚「ものすごく嫌な予感がするんですが」
戸塚「その、"初めて"って……?」

結衣ママ「あらー? そんなの決まってるじゃないー?」
結衣ママ「彩ちゃんの"処女"」
結衣ママ「頂きまーす」

戸塚「……」
戸塚「…………」
戸塚「………………処女!?」

結衣ママ「うふふー最初は痛いかもだけどーきっとすぐ良くなってくるわよーだって彩ちゃんだものー」

戸塚「え、嘘、ヤダ、あの、ごめんなさい、ほんと、それだけは、無理」





 結衣ママ「可愛い、ほんと女の子みたい」





戸塚「やだ、やだやだヤダヤダ、ヤメテヤメテヤメテヤメテ――」


 
 ――
 ――――
 ――――――

 ――――――
 ――――
 ――



 翌日 総武高校 放課後
 エピローグ



 ――
 ――――
 ――――――

八幡「――戸塚、なんか今日は気分悪そうだったな? 大丈夫か?」

戸塚「あ、は、はちまん、ありがとうね、うん、平気だよ……多分……」
戸塚(実はお尻が、なんてとてもじゃないけど言えないよ……)

八幡「お、おう、その、無理、するなよ……」



戸部「お兄様ー! 戸塚お兄様ー!」



戸塚「え? お兄様? ボクの事?」

八幡「ちっ、戸部かよ……」

戸部「いやー戸塚クーン、水クサいっしょー、あんなカワイイ妹さんいるのに教えてくれないとかーないわーマジないわー」

戸塚「え? 妹? あ、そっか! えと、なんかこの休みに会ったみたいだね?」

戸部「そーそー! それでーとりあえずーこれ、オレっちのアドレスメモっといたからー」
戸部「これアヤカちゃんに渡しといてくんね? 頼むわーお兄様ー」

戸塚「あーうん、そ、そうだねー今度会ったら渡しとくねー、あはは……」

戸部「ん? 一緒の家に住んでないの?」

戸塚「え、あ、えーと、それは……」
戸塚「そ、それにしても! 戸部君が弟って、想像するとなんだか賑やかだね!」

戸部「でしょー! 戸塚お兄様、お背中ならいつでも流すっしょー!」

戸塚「あはは……じゃあその時はお願いしようかな……」

八幡「ギギギ」

戸部「じゃ、オレっち部活行ってくるっしょ!」

戸塚「うん、がんばってねー」

八幡「(入院するくらい)がんばれよー」
八幡「……はぁ、騒がしいヤツ」

戸塚「あはは、でもそこが戸部君のいいとこだよね」

八幡「まぁ、そうかもな」

戸塚「……ところでさ、はちまん」

八幡「ん?」

戸塚「その、はちまんも遊びたい、って思ってるのかな?」

八幡「え? 遊びたい?」

戸塚「うん、その、ボクの妹、と」

八幡「あー」
八幡「えっと、彩加ちゃん、だっけ」
八幡「うーん、俺は友達同士で遊ぶとか、同年代の女の子とデートとか、そういうのに縁が無かったからよくわからないんだが」
八幡「……そのなんだ、今は、戸塚が遊んでくれるんなら、それだけでも十分かな」
八幡「それに彩加ちゃんは、なんか色々忙しそうだったし、邪魔しちゃ悪いかなって」

戸塚「――はちまん!」
戸塚「遊ぼう! 今から遊ぼ!」

八幡「え? マジ? いいの?」

戸塚「もちろんだよ!」
戸塚「それと、ね」

八幡「どした?」

戸塚「アヤカも、はちまんの事、気に入ってたみたいだから、邪魔だなんて、きっと思ってない、よ?」

八幡「……そ、そうか」

戸塚「……う、うん」

八幡「……」

戸塚「と、とりあえず出ようか?」

八幡「お、おう」

戸塚「――わ、っと」

八幡「お、おいなんかフラついてるけど大丈夫か?」

戸塚「う、うん、ちょっと貧血気味なだけだから……あはは……」
戸塚(貧血の理由は、とてもじゃないけど言えないよ……)

戸塚「でもでも! はちまんとは遊びたいから、帰れなんて言わないでね?」
戸塚「あ、ちょっとだけ腕、貸してもらっていい、かな?」

八幡「も、もちろんだぞ、一本と言わず二本でも三本でも借りてってくれ……な、なんなら返却不要でもいいぞ……!」

戸塚「あはは、二本はわかるけど、三本あったらビックリだよ」

八幡「あるんだな、それが――」
八幡「すまんなんでもない、忘れてくれ」

戸塚「なぞなぞかな?」

八幡「忘れてくれ」

八幡「でも、体調が万全でないことを考えると、ゆっくりできそうな所の方がいいよな……」
八幡「そうだ、なら俺んちなんてどうだ?」

戸塚「え? はちまんのお家……?」

八幡「なんてなー冗談だ、うん、冗談だから、というわけで順当にサイゼとかに――」

戸塚「いいよ! はちまんのお家、行ってみたい!」

八幡「へ?」

戸塚「男の子のお友達の家とか、行ってみたかったんだ」
戸塚「じゃ、行こっか?」

八幡「え、マジで、いいの?」

戸塚「ボクの方こそ急にお邪魔しちゃうけど、いいの?」

八幡「愚問だな、大歓迎だ」

戸塚「よかった、ありがとうはちまん!」
戸塚(やっぱりはちまんは優しいな)
戸塚(昨日だって、戸部君からボクを守ろうとしてくれたし)
戸塚(今だって、こんなに気を使ってくれて)
戸塚(あれなんだかお尻がムズムズする……?)

八幡「じゃ、行くか」



結衣「ちょっと待ったー! ヒッキーなんで帰ろうとしてんのー!?」

戸塚(こ、この声は!?)
戸塚(うぅ、今は由比ヶ浜さんに合わせる顔がないよ……)

八幡「……」
八幡「じゃ、行くか」

結衣「無視!? ヒドイ! 部活! ゆきのん! 待ってる!」

八幡「なんでカタコトなんだよ……じゃなくて、悪いけど今日だけは無理だ」
八幡「俺は今から戸塚と遊ぶ、それを邪魔する奴は例え誰であろうと許さん、OK?」

結衣「えぇぇぇ……何それ、ヒッキー本気過ぎてキモイ……」
結衣「まぁ、でも彩ちゃんも一緒みたいだし、うー今日は仕方ないか……」

戸塚「う、うん、なんかごめんね、由比ヶ浜さん……」

結衣「ううん、彩ちゃんはいいのいいのー悪いのは全部ヒッキーだから!」

八幡「……」

結衣「ところで彩ちゃん? なんでさっきからヒッキーの腕に掴まってるの?」

戸塚「え、あの、そのこれは……その……」
戸塚(由比ヶ浜さんのママさんのせいだよ、なんてとてもじゃないけど言えないよ……)
戸塚(なんだか由比ヶ浜さんの声を聞いてたら、昨日のトラウマが色々と……)
戸塚(うぅ……ボクは、男の子だよ? 女の子じゃないんだよ……)

結衣「なんだか遠目から見るとカップルにしか見えないよー」

戸塚「うぅ……」

結衣「あーでも隣がヒッキーだからそれはないか」

八幡「……」

結衣「あはは、でもそうやって照れてる感じとかさ――」





 結衣「可愛い、ほんと女の子みたい」





結衣「――だね」

戸塚「」
戸塚「」
戸塚「」

八幡「ったく、俺と戸塚の貴重な時間を浪費させるんじゃない」
八幡「行こうぜ、戸塚……ってあれ?」
八幡「おーい? 戸塚ー? もしもーし?」

戸塚「こ」

八幡「こ?」

戸塚「こわ」

八幡「こわ?」



戸塚「怖いぃぃぃ! 由比ヶ浜さんヤダぁぁぁぁぁ!!!」



八幡「おい、ど、どこ行くんだ戸塚!? ちょ、ちょっと待って!」

結衣「え? え!? 彩ちゃんどうしたの!?」

八幡「おいぃぃぃ! ふざけんなよぉぉぉ由比ヶ浜ぁぁぁ! お前俺の戸塚に何したんだよぉぉぉ!?」

結衣「は!? 俺のって!? 何もしてない! 私何もしてないって!」

八幡「というか俺と戸塚の初めてのお家デートぶっ壊してくれやがってよぉぉぉ!?」

結衣「で、デート!? お家!? ど、どういうことソレ!? キモイ、ヒッキーちょーキモイ!」

八幡「あぁぁ待ってくれぇぇぇ戸塚ぁぁぁ!!!」



 ――――――
 ――――
 ――





 ~ 戸塚彩加(アヤカ)の苦悩? おしまい ~

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
何より途中でレスをくれた方には本当に感謝しています。
またどこかのssで会えましたら生暖かい目で見守ってやってください。

それでは完結ということで失礼します。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年07月30日 (木) 08:42:25   ID: TVOUIhyE

大好物なジャンルでした

2 :  SS好きの774さん   2015年08月01日 (土) 09:08:18   ID: 2CDQaCfF

由比ヶ浜マのSSもっと増えてほしいものですね。

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