リヴァイ×ペトラ「狂った小鳥」 (63)


【進撃の巨人】リヴァイとペトラのお話です

またかよスレ

出会いからの話と本編の裏を、捏造妄想して台無しにしたお話です

注意

『激エロを目指した』

故に

グロい病んでる狂っとる

エロゲ注意
不愉快注意


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1436838497


夜空という天井の下を歩く

もうしばらく経ったが、今でも時々慣れずに月を追いかけて歩く時間は悪くないとその度に思った


なにも起こりはしないはずだった



知ってる匂い


血の匂いがした


それは、戦場のそれではなく


あの頃、良く掠めた欲に塗れた生臭さと一緒に

悲鳴が聞こえたのは気のせいじゃなく

下卑た笑い声も空耳ではなく


辿った先に行き着いた光景が届かせたモノだった


見なくても知らぬふりでもいいものを

気配に気づいて走り去った連中は後回しでいい

ああ、天井のない空の下でも、こんなことは平然と


それにしても

奴らも、ここに倒れている女も、訓練兵のはずだ

こんなことが横行してやがるのか?

俺には、経験のないことだが


倒れている少女は、身体のあちらこちらを朱で染められて

かすり傷ならまだいい、目を背けたくなる露にされたままの太腿に伝った鮮血と穢れた痕


意識があるのかないのか、判断はつかなかった

近づいてしゃがみ込んで声をかけた


「おい、意識はあるか?」

肩を揺すり、そのまま問いかけてみるとピクリと動き、

顔を覆っていた腕を降ろすと少しだけ瞼を持ち上げた


身体に触れたのは不味かったのだろう

輪姦された直後にまた違う男が目の前に、それだけで彼女が半狂乱になる理由には充分だった

「やっ、嫌!嫌ああああ!!やだ、触らないで、嫌いや、やめて、もう、やめて、やめてええええ!!」

「落ち着け、俺はお前に何もしない」

「え、、、や、、はぁ、はぁ、うっ、、うぇ」

なんだ、吐くのか?

背中を撫でてやろうかとかざした手を、寸での所で止めた

「はぁっ、はぁっ、、、」

出るものもなくなったのか、今度は涙だった

声を上げて、泥だらけの顔で、

それでも美しい少女だからこそこんな目に

全く、いい気はしなかった

反吐の出る状況

こんなこと、地下では珍しくもなかっただろうに

俺の感性か?品性か?何が変わったのだろうか

「少しは、落ち着いたか?」

ひとしきり鳴いて泣き止むかという所で声をかけた

「はい」

掠れた声で、視点の合わない目で

ゆっくりと、こちらを見た


初めて、目が合ったのはその時で

幼さと、穢れを知ってしまった虚ろな瞳はそれでも


「その格好じゃあ、戻れねえな」

引き裂かれた服と汚れた身体

「俺が何もしねえと、信じられるならついてこい」

「はい」

「立てるか?」

「はい、、、うっ」

「痛むか?」

「はい、、、いえ、いたく、ありません」

きっと体の痛みより心のほうが重症なんだろう

今は、そのまま麻痺していてもいいのかもしれない

動けもせずそこにいたって、それは増す一方なのだから


幸い、俺の兵舎は離れにあったので難なく連れ込む事はできた

本当の意味で連れ込む為のこの場所なんだろうがな


「シャワーを、浴びたほうがいい。気替えは、、俺のもので悪いが、ここに置いておく」

「あの、、、」

「なんだ」

「いえ、、あ、ありがとう、ございます」

「俺は部屋にいる。ゆっくり、洗い流せばいいからな」

俺にしては生温いセリフをよくもまあ吐けてるもんだと思った

水音と共にまた嗚咽する声が聞こえたが

無理もない、実際に洗い流せるもんではないのだから、な


紅茶を淹れるための湯を沸かして待った

ところで、アイツは俺のことを知っているだろうか

別に好き好んでじゃないが、一般人にも知れ渡ってるくらいだ

訓練兵には知られていても、いやそういう反応をされたが

彼女はそれどころではないのだろうと思うと、その権力で襲った奴らを追放する位は訳ない事


それで安心させてやれるだろうか

ただの気休めにしか、ならんだろうが


ドアの開く音


まだ覚束無い足取りで、きっと俺にはわからないところが痛むのだろうと思うとどう気遣ってやればいいのかわからなかった


「ありがとうございました。その、助けて、頂いて」

「助けられてはいないから礼はいい。そこに座れ」

「はい」

「お前、、、名前は」

「ペトラ・ラル」

「ペトラ、か。俺は、」

紅茶を勧めながら、どう名乗るかは迷ったが


ペトラ「知ってます。、、リヴァイ兵士長」

リヴァイ「そうか。お前は訓練兵、だよな」

ペトラ「はい」

リヴァイ「今は、そういう肩書は気にしなくていい。が、、お前を襲った奴らの名前は聞いておいてもいいか?」

ペトラ「え、、それはどうして、」

リヴァイ「どんな理由があったにせよ、こんなことを許していいとは思わん。アイツらがたとえ有能な兵士になれるとしてもだ」

ペトラ「理由は、たいしたことではなかったんです。誘われて、断ったらああなっただけで」

リヴァイ「それなら尚更だ。お前はなにも悪くない」

ペトラ「彼らは、どうなりますか?」

リヴァイ「お前の目の前からは去ってもらう。気休めぐらいにしかならんと思うが」

ペトラ「、、、」


彼女、、ペトラはカップを手にしたまま俯いて、なにか考えているようだった

虚ろな瞳の中に迷いが読み取れた


リヴァイ「とりあえず紅茶、飲め。少しはマシになるだろう」

ペトラ「はい、ありがとうございます」

カップに口を付け、少しずつ紅茶を啜る姿はまだ幼い少女のようで、彼女の迷いの中身が見えた気がした

簡単なことだ。ペトラのほうがここを離れるということ。故郷や親元があればそう考えるほうが自然だろう。ここにいれば結局酷い記憶からは逃れられないのではないか?


リヴァイ「ペトラ、お前はどうしたい?」

彼女に別の意志があるなら、それを尊重すべきだと思った


ペトラ「私は」

飲み干したカップを置いて彼女は言った


ペトラ「強くなりたいです」


意外な答えだった。だが彼女の瞳には迷いではなく光が戻っていた

ペトラ「今日だって、私が強ければこんな事にはなってなかった。彼らに負けたりはしなかった。だから、、、悔しいんです」

複数の男相手に、どちらかといえば華奢な女がそんな風に思うとは予想外だったが。彼女もそれなりの理由があってここにいるのなら。強くなりたいと望んでここにいるのなら

リヴァイ「そうか。俺は余計な事はしない方が、いいか?」

紅茶を注ぎ足してやりながら問いかけた

ペトラ「そういう聞き方をされると、困ります。が、見なかった事には、して欲しいです。その、、、全部、です」


最後に少し言い澱んだのは。その言葉の奥の事を読み取るのは、彼女の表情を見ればわかることだった

リヴァイ「わかった。俺は何も見ていない」

ペトラ「はい」

リヴァイ「だから、何もしない。それでいいか?」

ペトラ「はい」

リヴァイ「お前とは偶然会っただけだ。だから、お前の事は何も、名前くらいしか知らない。だから、お前もそれだけでいい。わかったか?」

ペトラ「はい、、、わかりました」

だから恩を感じることもないし礼も必要ない、という意味での問だが正しく伝わったのだろう。少し言葉に詰まり、申し訳なさそうな顔をしていたから、きっと


そんな僅かな感情の機微を見逃さずに

そうしていたのは彼女の現状を気遣っての事ではなく

強くなりたい

そう言った彼女を俺は、気に入った、のだろう


全くどうしてなんだろうな?

これは、墓まで持ってくものなんだろうという予感と、それに抗いたいという、これは欲なのだろうか


ともかく話は済んだ。少しでも早く休ませてやるべきだ

リヴァイ「ベッドは使っていい。今は身体を休ませろ」

ペトラ「はい、すみませんがお借りします。ちょっと、、疲れました」

実際にはちょっとどころではないだろうが、遠慮はせず素直に従ってくれたことに安心した


横になりシーツに包まるのを見届けて、照明を落とし、俺はもともとやる予定だった仕事に手を付けた

面倒だったが、これのおかげであの時あの場所を通ったんだと思うと、まぁさっさと片付けるかという気にはなった

明け方に彼女が目覚めたら送ってやればいい、と


だがそう簡単に、優しく事は済まない


明け方の、少し手前

ペトラはうなされて目を覚ました

リヴァイ「大丈夫か?」

返事が出来ないほど息は荒く、泣き出しそうな顔をして

大丈夫なわけがないだろうに、じゃあどうしたらいいんだ?自分の無力さに呆れ返った

水を注いで渡した。あれだけ泣いたり吐いたりしていたら、恐らく一番必要なのはそれだろう

案の定、すぐに飲み干した

リヴァイ「まだ飲むか?」

ペトラ「いえ、すみません、、、もう、大丈夫ですから」

リヴァイ「無理するな」

そう言って、俺はペトラを抱き締めた

触れてはいけない、そう思っていながらこれは

そんなやましいものじゃないんだ

そうでなくあって欲しいのに、それは赦されないから


躊躇いながら頭を撫でてやった

もう触れても拒まれることはなかった

彼女が身を預けてくれるのを感じ、安心した

これが彼女にとって少しでも必要なものであったなら

リヴァイ「今無理させてたのは俺だな、すまない」

ペトラ「いえ、今はもう本当に、、、あの、あったかいです」

リヴァイ「ん?」

ペトラ「あの時は、なにも、感じなくて。人のからだは、あたたかい。んですね、、、落ち着きます」

リヴァイ「こんな体温でよけりゃ、いくらでもわけてやる」

ペトラ「じゃあ、もう少しこのままでいさせてください」

リヴァイ「ああ」

より強く、ぎこちなく互いに、抱きしめあった

不自然な距離のなかでの自然な行為

きっと、心はバラバラだった

同じ、だったのは分け合ったその温度だけで

当たり前だ、同じ想いなわけなどないのだから


だから、離れる前に触れ合った唇も、互いに行く宛のない想いと重ねただけだったのだろう


まだ薄暗い中、途中まで彼女を見送った


リヴァイ「困った事があれば、声をかけろ。ただの知り合いとして、な」

ペトラ「困った事があれば、ですか?」

リヴァイ「そうでなくても、構わん」

ペトラ「優しいですね。それが知れただけで私は、充分ですから」


あれからも、彼女の姿を遠くから見かけることはあったし、その逆もあっただろう

だが

互いに声をかけることはなかった

彼女からの言葉は

服を返すついでに添えられた手紙だけだった

不在の時に返しに来たのも偶然ではないとわかる


あなたのように、強く、優しくありたいです

そんなことが書かれていたぐらいの、普通の内容だった



思い出すことも少なくなるくらいの日々は過ぎたある日


彼女は訓練兵で

こんな日が来ることも予想していなかったわけでもないはずだったが


ペトラ「リヴァイ兵長!」

リヴァイ「ペトラ!?お前、、、」

ペトラ「この日まで、声はかけないって決めてたんです。調査兵団に、入るまでは」

リヴァイ「でかくなったな」

ペトラ「えっ!?どこがですか?」

随分と元気そうな素振りで現れたものだから

驚きはした。そして本当に言いたい言葉とは違うことを呟いたら、何か勘違いして顔を赤らめてやがる

リヴァイ「身長が、だ。馬鹿め」

ペトラ「なんだ、、兵長は、変わりませんね」

リヴァイ「ほっとけ」

ペトラ「へへ」


彼女の笑顔

初めて見た。それもそのはずだ

あれからの月日を考えれば、目線が近いのも当然で

それでも、雑に頭を撫でてやった


もともとは元気で明るい奴なんだろう

周りの仲間ともすぐに打ち解けて

強くなりたい、その言葉どおり随分と鍛錬してきたことも伺えて

あの日のことしか知らないが、その成長ぶりにはひとまず安心した


それでも新兵だ、それだけが理由じゃないが


怪我したり、ましてや死んだりしやしないか

気がつけば彼女の姿を探して、目で追っていて

最初のうちは流石に壁外ではビビってやがったが、それでも生き残り、訓練も気を抜かずに必死で

そうだ

時に彼女は痛々しいほど必死で張り詰めていて

笑顔を見せ、いつも強気に振る舞っていて、それなのに脆くて壊れそうな


そんな風に見せるのはきっと、あの夜の記憶のせいで。余計な詮索など必要ないのだと、思っていた


土と草の匂い


その日は突然雨が降りだして、壁外ではあの日以来のことで、気分は最悪だった

だから、嫌な予感しかしなかった

幸い、単独行動だった俺は彼女を探すことに専念できた

そろそろ撤退命令が出る頃だろう

方角も合ってるはずだ

もう少しだけ早ければ


アイツはもう少し冷静な奴じゃなかったか

そりゃあ誰にでも当てはまる事だが

少なくともガスの使いすぎで巨人に立ち向かいながら地面に落ちる奴はちょっと普通じゃねえ

普通なら、その逆のことをしてるだろうからな

リヴァイ「ペトラ!避けろ!!」

この雨の中で聞こえる距離だろうか、うまく掴めないが


目の前にいる人食い

既に、仲間を口の中に突っ込んて

間に合う?だろうか

意識は持ったのか、立ち上がったペトラは避けも逃げもせず

立ち向かった

なんて命知らずだ馬鹿野郎

残りの刃を全部使って、足の肉を削ぎ倒した

巨人はうつ伏せに倒れた

ここまでくれば急所は簡単に狙える、、、だが装備が万全ならだ

ペトラ「…やる……ころして……殺してやる!殺してやる!!うぁあああああ」


剣だけで急所を削ぎ落とすのは無理だペトラ

あんなふうになっている彼女を、もう見たくはなかった。のだか、

ペトラ「殺す!殺す!!」

リヴァイ「浅い!どけペトラ!」

急所を狙うことだけに必死になっていた彼女には、そいつの腕が自分を狙っていることも気づかず

俺がその腕を飛ばした

やっと俺に気づいたペトラを抱えてとどめを刺すのは流石に骨が折れたが


ペトラ「う、う、」

リヴァイ「はぁ」

ペトラ「あ、、、わたし、また、、、あなたに助けられて」

リヴァイ「ああ、だがあの時とは違う」

ペトラ「はい、、、」

リヴァイ「お前は、死にたいのか?」

ペトラ「だって、、救えなくて、大切な友達も、仲間も、、、わたしは、なんのために、、強くなったの?自分を守るためじゃない、それなのに。また」

リヴァイ「ペトラ、落ち着け」

ペトラ「どうせなら、わたしがみがわりになっ」

リヴァイ「落ち着けと言っているだろう!!」

思わず、頭を引っ掴んで怒鳴ってしまった


あの日と、同じ目をしていた

確かにお前は強くなれたのに、その呪縛からは逃れられないとでもいうように

きっと植え付けられた自己犠牲は

この日と同じようだった俺とは違うもので


リヴァイ「俺の声が聞こえてるか?ペトラ」

ペトラ「、、、はい、、」

リヴァイ「悪いのは、お前じゃない」

ペトラ「、、う」


ペトラはずっと泣いていた。その涙はまた余計に零れ落ち溢れた


リヴァイ「俺も、今のお前と同じような事があって、結局はその繰り返しだがお前のことだけは、、」

ペトラ「、、、兵長?」


雨じゃない

伝ったものが熱くて

あの日と同じ匂いで気づいた


ペトラ「どうして、あなたも泣くんですか?」

触れられた、誤魔化せないだろう

リヴァイ「、、、雨だ」

それでもそう言った


きっとその涙が、彼女を少し冷静にさせて

それなら構わないと思った


ペトラ「ごめんなさい、心配をかけました」

リヴァイ「、、、ああ」

ペトラ「それに、兵長。あなたも、悪くないですから」


欲しかった言葉は

欲しくなった相手は

重ね合った唇は

彼女のほうからだったと思う、だが


我を忘れて貪ったのは俺の方だった


我慢がきかなかった

このままなにもかも奪ってしまいたかった

最低だ、傷を蒸し返すような行為

考えただけでも申し訳なかった

卑しい、卑しい鼓動がして煩い

彼女は、こんな俺に失望するだろうか


ペトラ「んん、へいちょ、、う」

リヴァイ「嫌、か?」

ペトラ「いいえ、、」

リヴァイ「じゃあもう少し許してくれ」

ペトラ「あむ、ん、、、あっ、」

キスをしながら、身体に触れた

腰を抱き寄せ、柔らかい胸に、その突起にも

彼女は望んでいないのに、こんなこと


でも


最初に唇を重ねたのは

彼女だった

そうだ、あの夜も


ペトラ「ん、、、っ」

少しだけ冷静になって唇を放した

顔は見られたくなくて抱き寄せた

きっと、欲しがってるただの男の顔をしているから

漏れる吐息が煩い

これじゃあ隠した意味がないだろう

でもそれは、俺だけじゃなくて


ペトラ「、、、リヴァイ兵長」

ペトラ「わたし、キスはほんとうにあなたがはじめてでした」

リヴァイ「、、、そうか」

ペトラ「あの夜は、なにも見てないって、、、話したこと、覚えてますか?」

リヴァイ「ああ、、、ぜんぶ、覚えてるぞ」

ペトラ「だから、、はじめて、ちゃんと、抱かれるのも、あなたが、いいって、、、ずっと、思ってました、、」

リヴァイ「ペトラ」

ペトラ「絶対に、叶わないと思って、いたんです、、でも、、、もし、、、あの日のことを知っていても、、わたしを汚いって、おも、」

リヴァイ「思ったことないぞ、一度も」

ペトラ「兵長、、」

リヴァイ「初めて見た時からお前は、綺麗だったから」

ペトラ「うぅ、、、ぐすっ」

リヴァイ「だから。抱きたい、俺も、、、絶対に、告げないつもりだった」

ペトラ「どうして、、、」

リヴァイ「ああ、何で、なんだろうな、、、だが」

その時には、もう少しだけ冷静に戻れていたと思う

リヴァイ「無事に、一緒に戻ってからだ」


報告は後にさせてくれ、気分が悪い。休む

そう告げたら何も言わずそうさせてくれた


あの日と同じ雨

どうせ同情でもされたのだろう


罪悪感、背徳感、嫌悪感

きっと、彼女も感じている燻った想い


だが、死が当たり前の環境では間違った衝動ではないと言い訳をした

思ったとおりの表情で訪ねてきた彼女に、そんなことを話すべきかと一瞬躊躇って

結局なにも言えずにくちづけあった



...戻ったら

ペトラは自室に戻って着替えてから訪ねてくる

俺は報告もなにも全て断って部屋に戻って待つ


そう示し合わせて


ベッドの上で絡み合って、その続きをした


あの日から今までと、今日のことから今までの

長い月日もほんの数秒でさえこうすることができなかった時を取り戻すかのように何度もキスをした


欲と傷を重ねて混ぜ合うような行為だろうか

何度も自分に言い訳ばかりして、その程度の気持ちなら、すべきじゃない、まだ告げていない言葉


ペトラの気持ちは

あの夜をなかったことにする為の相手が俺なのか

そこで補正された思いを引きずってるだけなのか

なんの自信も持てなかった


ペトラ「兵長、不安そうな顔、してます」

リヴァイ「お前もだ」

ペトラ「へへ、不安なわけないですよ、兵長に抱いてもらえるなんて、本当に」

リヴァイ「じゃあ、どうして震えているんだ?」

ペトラ「、、、それは、あなたもです」

言われるまで、気付かなかった

リヴァイ「勢いだけで抱けるほど、無神経じゃない。さっきは、衝動が勝ってしまいそうだったが」

ペトラ「はい、あのままされちゃうのかと思いました。それでも、私は夢が叶うので良かったですけど」

リヴァイ「馬鹿言え、あんな汚えところでお前の初めてを奪うような奴が相手で良かったのか?」

ペトラ「それでも、あなたとなら構わなかったですよ」


少し自嘲の混ざった言葉だ


お前は、そんな風に生きて欲しくない


ずっと見てきたお前は


時々は心から笑っていて


本気で怒ったり、嘆いたり、悲しんで、泣いて、叫んで、でもなにより笑顔がいちばん似合う、そういう女だから

俺は

そうか、この言葉が正しいのかはわからないが


リヴァイ「ペトラ、一度しか言わねえからよく聞け」

ペトラ「はい」

リヴァイ「愛してる」

ペトラ「私も、あなたを愛してます。でも」

リヴァイ「ん?」

ペトラ「一度だけ、ですか?」

リヴァイ「自分の言葉には、責任を持つ、だからお前が受け入れてくれるなら」

ペトラ「わかりました。あなたも、怖がりなんですね」

リヴァイ「ふふ。お前には、敵わないな。ずっと、言い訳をしていたんだ。そうしなきゃなんの折り合いもつけられなくて、自分を保てない。実際の俺はそんなもんだ」

ペトラ「そうですか、、なら、今は、それは全て捨ててくれますか?」

リヴァイ「それならお前も、無理はしないと約束してくれ。自分から止められる自信がない」

ペトラ「はい。どんな私でも受け入れて、欲しいですから、だから、、、本当は少し怖いです。でも、」

リヴァイ「?」

ペトラ「めちゃくちゃに、して欲しいです。私が泣き叫んでも暴れても、押さえつけて、あなたのものにして欲しいです」

リヴァイ「泣かせたくはない、が、、、お前が望むなら。ただ、約束は守れよ」


その言葉に少し強引になりたいと興奮を覚えなかったわけではない

だがくだらん枷は捨てた、言い訳もしない


愛してる女を抱くのになんの理由も必要ない


一度身体を起こし、抱き寄せてゆっくりと服を脱がしながら我慢できずキスと愛撫を

雨のせいもあり、夕暮れ前にしては薄暗い部屋


シャツをはだけさせ、下着を外しながら柔らかい乳房を手で包みこむ

ペトラ「はあっ、、、んん」

リヴァイ「感じる、か?」

ペトラ「ん、う、はい、、ふくの、うえからじゃなくて、ほんとに、触られちゃって、、んん、あっ」

リヴァイ「もっと、全部触るぞ?」

ペトラ「んん、はい、あ、、、」

滑らかな足と太腿を

よく鍛えられて、傷の絶えない肌でも、女の身体は柔らかいんだと思いながら、スカートを捲りあげながら撫でた

ペトラ「あ、やっ、ん、、、やぁ」

確かに両手で身体を弄りながら時折舌を這わせると

ビクビクと動かれるので、少しだけ強引に、手を這わせるとまた余計に暴れられる


確かめようと、下着の上からそっと触れた

ペトラ「ひゃっ、はう」

リヴァイ「凄く濡れてるぞ、いつからだ?」

ペトラ「うう、もう、、ずっと、、、キス、しただけでからだが、あつくて、シャワー浴びても、とれなくて」

リヴァイ「可愛いな。俺もだ、触ってみるか?」

ペトラ「んん、ん、、ここ?」

リヴァイ「ん、、あんま擦るな」

ペトラ「ずるいです、私ばっかり脱がされて、触られて、、」

リヴァイ「んっ、、はあ、うっ」

ぎこちない手つきて撫でられて、そこは余計に痛いほど硬くなって声も我慢できなかった

ペトラはもう片方の手で俺のシャツのボタンを一つずつ外しながら、はだけた肌を舌でちろちろと舐めた

リヴァイ「くっ、、はぁっ、はぁっ、お前、どこでそんな事覚えやがった、、」

ペトラ「今ですよ、さっき兵長も私のからだ、舐めました」

リヴァイ「ったく、、そこはあんま触るな、出ちまう」

ペトラ「ん、兵長も、可愛いです」

リヴァイ「俺にそんな事言う奴がいるとはな」

ぐいっ

リヴァイ「脱がすぞ、全部」



中途半端に脱がしていた服を剥ぎ取り

そっとベッドに押し倒してキスをした、唇に、耳に、首筋に、甘い香りがした

ペトラ「んぅ、あ、やっ、ああ、あっ」

どこにくちづけても身体を震わせ、淫らな表情で訴える嬌声で、自分が与えたものを快楽と感じてくれていることに俺は満たされていた

乳房に顔を埋め、突起を舐め上げ唇で啄み舌で優しく転がした

ペトラ「ひゃ、ああっ、あ、うう、そんな風に、されたら、あっあっ、ん、いやっ、だめ」

リヴァイ「嫌か?」

ペトラ「う、、きもち、、、いい、のっ、、とん、じゃう、、」

リヴァイ「ん、ならいい」

ペトラ「あん、ああっ、、う、それ、だめ、、わたし、へんになっちゃう、よぉ」

恥ずかしそうに身を捩らせながらも、素直に快楽に身を委ねる。確かにちょっと押さえつけていないとならないほど、拒んだり欲しがったりと忙しかった


スカートを外して、下着を降ろすと、溢れた愛液が糸を引いた

ペトラ「やだ、、恥ずかしいです。こんなに」

リヴァイ「俺は嬉しいけどな」

自分もさっさと服を脱いだ

ここまで来ると、彼女も複雑そうな表情で、不安な顔をされると俺も不安になる


誰かを、想うということはこういう事なのだろうか

ペトラ「大丈夫、ですから」

そう、読み取られるのも、きっと、

泣き叫んでも暴れても、押さえつけて

俺は出来るだろうか


リヴァイ「心配するな、もう少し、ゆっくりするから」

ペトラ「はい、んんっ」

キスをしながら、片方の手で濡れて溢れたそこに触れる

いつかは乱暴に扱われたのだろうと思うと胸が痛かった

だから出来る限り優しくそっと、触れ、指でなぞった

ペトラ「ひゃん、ああっ、う、、、やっ、、、」

突然、爪が食い込むほど腕を掴まれた

涙目になっている

リヴァイ「やっぱり、辛いか?」

ペトラ「あぅ、ちょっとだけ、怖いけど、、そうやって、触ってもらえるの、、凄く、、、感じちゃいます、、だから。やめないで」

リヴァイ「泣きながら、言われるとな」

一筋零れ落ちた涙を舐めて拭った

ペトラ「無理して、ないですから。だから」

リヴァイ「ん、、わかった。やめない、からな。だから辛かったら腕、掴んでおけ、どんなに強くしても俺は平気だから」

ペトラ「はい、、」

もう一度そこに埋めた指でそっとまさぐった

ぴちゃぴちゃと音を立てて、突起を弄るとビクビクと身体を震わせ、少しずつ、這わせた指を中へと撫で、ゆっくりと奥へ進ませてゆく

ペトラ「やっ、やだ、、、なかに、、んんっ」

凄く熱くて溶けそうだった、すぐにでも、ここに腰を下ろしたいところだったが、まだ、もっとペトラの身体を知りたいと思った

リヴァイ「ここ、舐めてもいいか?」

ペトラ「えっ、、え、、、恥ずかしい、です」

リヴァイ「でも。してもいいか?」

ペトラ「うう、はい」

指を押し込んだまま、その広がった割れ目と突起を舌先で舐めた

指先も、そのまま動かした

ペトラ「んっ、ひゃあ、あ、あっ。あっ、あん、やだすごい、よぉ、うっ、はぁん」

中がピクピクと動いて、感じてるのがわかったからやめなかった

ペトラ「やっ、あっあっ、ああーっ、だめ、なんかくる、きちゃう、へん、だよ、、ん、あっあっ、やぁあああーー」

叫びに近い嬌声をあげ、ビクン、と一度身体を震わせると、ペトラの中はビクビクと痙攣していた

ペトラ「はぁっ、はぁっ、や、や、、いまの、、、わたし、いっちゃった、、、?」

リヴァイ「そうだな、良かったか?」

ペトラ「ひゃ、、しんじゃいそう、です、、んっ」

頭を撫でてやる。ちゃんと快感と達することができている自分に驚いてるようだった


リヴァイ「凄く、可愛いな、、、他の奴には、絶対に見せるなよ?」

ペトラ「へんなこと、言わないでください、こんなこと、、ほかのひとと、、、ひゃっ」

リヴァイ「まだピクピクしてるな」

ペトラ「あう、いまそこ触ったら、ほんとにダメ、ですぅ」

一度達したせいか、少し疲れさせただろうか

ペトラ「あの、だから、その、」

リヴァイ「なんだ?」

ペトラ「わたしも、へいちょうの、なめても、いい、ですか?」

リヴァイ「お前、どこでそんな事を、」

ペトラ「さっき、そうされたので」

リヴァイ「、、、ん、噛むなよ?」

ペトラ「はい。んん、、、あむ」

ペロペロ

ちゅぱっ

リヴァイ「うっ、く、、」

いい加減、ずっと我慢しすぎたせいでとっくに限界だった
一度出しても何度か出来る自信はあったが、初めてでそれは可哀想に思った、けれど

ペトラ「んんっ、あむっ」

ちゅるっ

ぬる

ペトラ「や、動いちゃうんですね。手で、握ってたほうがいいですか?」

熱心にそうしてくれているペトラが愛おしくて


リヴァイ「あんまりされると、ほんとに出ちまうぞ?お前の口のなかで」

ペトラ「え、ダメ、なんですか?わたしの、きもちくない、ですか?」

リヴァイ「馬鹿、気持ちいいから出ちまうって言ってんだ」

ペトラ「それなら、わたし、うれしいです、あむ」

リヴァイ「うっ、、ああ、はぁっ。くっ」

ご丁寧に咥えては筋を舐め上げて、手で握るだけかと思えばしごきながら器用に口に含め直して吸い付いてくる

じゅるじゅる

ペロ

ちゅぱっちゅぱっ

リヴァイ「んっ、、、ペトラ、駄目だ、、いくぞ」

ぴゅる

ペトラ「んぐっ、ん、、ん」ごくごく

リヴァイ「はぁっ、はあっ、」

ペトラ「んー、」

ちゅる

ペトラ「ふぅ、、、きもちかったですか?」

リヴァイ「じゃなきゃ、出してねえ、、、お前、全部飲んだのか?」

ペトラ「はい、うれしいです、へいちょう、、」

リヴァイ「はぁっ、、、ったく綺麗にしてやる」

キスをして舌で口内を弄り唾液と混ざった自分のものを啜った

リヴァイ「う。味が、、」

ペトラ「でも、わたしのも。へんなかんじ、、」

リヴァイ「そうだな、、続き、するぞ。ちょっと遠回りしたが」

ペトラ「はい」


キスをしながら抱き合い絡み合ってるだけで、思ったよりすぐに取り戻せた、早く、彼女のなかに、最初の衝動がまだ残っていたのか少し呆れたが


リヴァイ「ペトラ、、、挿れるぞ?大丈夫か?」

ペトラ「うっ、うう、大丈夫、です」

俺ははじめからこの質問ばかりしてるな、彼女の答えもわかっていながら、本当は、そうじゃないだろう?

ずぷっ

ペトラ「ひっ、うあ、駄目!!嫌ああああ!!」

ほら、無理してるのはわかってる

その瞬間にフラッシュバックして思い知るのがトラウマだと、その時まで気づける奴はいない

リヴァイ「言っただろう?約束は守れと」

ペトラ「うっく。ぐすっ、でも!続けて下さい!」


両腕を片手できつく抑えもう片方の手で足を開かせた


ペトラ「やっ、やだ、やめて、、、」


それでも、押さえつけて、俺のものに


するのは簡単だろうが


一度抜き、手を放した

抱き締めてキスをしながら体制を変える


ペトラ「えっ、、、」

リヴァイ「俺をちゃんと見ろ、ペトラ」


彼女が俺を見下す体制にし、しっかりと視線を合わせた


見えない何かに怯えた彼女よりも

俺を見ている彼女のことを俺は、、、


ペトラ「あぅ、、、あの、、どうしたらいいか」

リヴァイ「目を逸らすな、俺を見てろ」

ペトラ「うぅ、はい」

リヴァイ「お前の、したいようにしてみろ。ちゃんと見ていてやるから」

ペトラ「え、その、、、」

リヴァイ「お前のタイミングで、ゆっくりでいいから」

そこに硬くなったモノを充てがってみたら、やっとその意味を理解したのか、今度は恥ずかしそうな顔で涙目になっていた

ペトラ「うぅ、あの、あの、んっ、、、あっ」

擦りつけあうと、そこはぴちゃぴちゃといやらしい音をたてた

リヴァイ「ん、ほら、自分の手で慣らしてみろ」

ペトラ「はい。ん、、、あっ、んん」


自分で触って感じながらなら

或いは俺を支配するつもりでなら

その時とは別のものが見えるなら


ペトラ「んっ、はうぅ、、だめ、恥ずかしい、からもっと、、そばに、、抱き締めて」

リヴァイ「ん、わかった」

腕を引かれ、お互い向かい合って抱きしめあえる体制に起こされた

キスをして、強く抱き締めあって、落ち着くように髪を、身体を撫でる

ペトラ「ん、、しょ」

腰を浮かせて、不器用にその位置を確かめながら探るようにするペトラ

ペトラ「こういうの、考えたことなくて」

リヴァイ「ああ、考えなくていい。したいようにしてみろ、大丈夫だから」

ペトラ「身体、支えてて、下さい、、」

リヴァイ「ちゃんと支えてやるから、安心しろ」


ずっ

ずぷずぷ

ペトラ「ひゃ、ああっ、あ、、いっいた、、うぅ」

リヴァイ「ん、、、っ、ペトラ、痛いか?」

ペトラ「おくまで、、あたって、、、でも、、すごく、きもちいいの、うれしい、、、へいちょうの、わたしの、なかに、、、」

リヴァイ「ああ、俺も、嬉しい」

涙目だったが、幸せそうな笑顔

キスをして、彼女はもう怯えてはいなかった

ペトラ「んっ、、ふぁ、、はぁ、はぁっ、ああっ」

ぎこちなく、腰を動かす彼女だったが次第に慣れてきたのかそれは激しくなっていき、支えててやるので精一杯だった

ペトラ「やっ、、あたし、、へいちょ、の、うえで、、こんな、、や、いく、、いっちゃうよぉ」

リヴァイ「はぁっ、支えてて、やるから、大丈夫、、だぞ」

ペトラ「ふぁ、、やん、やっ、あ、すごい、や、や、あっあっああーっ、、、」


ビクビク

リヴァイ「うっ、、、く、はあっ、はあっ、」

彼女が達すると同時に俺もだらしなく出してしまった


体液が、溢れて、混じって


ペトラ「はぁ、はぁ、、、あう、、、あったかい、なかに、、、」

繋がったまま、俺の身体にもたれかかるペトラ


その体温も、ぬくもりも、、、

そうか、あの日から俺は、こうやって同じ温度を共有できる関係を望んでいたから、初めから諦めていたんだ


どうしようもない。なんて恋心だろうか


リヴァイ「はぁ、、、幸せ、だ、、」


この行為にそんな感情があることを、俺は知らなかった


ペトラ「わたしも、すごく、しあわせです」

そのままベッドに倒れ込んで絡み合って


少しだけ、これからのことを考えて、抱き合って眠った

まだ続きます。大体出来てるのでなる早でこの恥スレ(二重の意味で)を終わらせたい  みを


翌朝、目を覚ますと雨音は聞こえなくなっていて


隣に、腕の中に感じた温もりを抱き締め直す

背中にまわされた彼女の腕が縋るように動いたのが、起きているからなのか、眠りの中での反射なのかは判断がつかなくて

髪を撫でてやりもう一度目を閉じた


少しだけ考えたこと


縮まった距離のこと

はじめて抱いた感情のこと


まだ俺にはわからなかった


ペトラの言葉を思い出す


『はじめて抱かれるのはあなたがいいってずっと』


そして自分がずっと求めていたものと

お互いに押し殺して死ぬまで生きるはずだったもの

あの偶然は必然だったと信じこみたい、そう思わせたものはきっと理性を覆すほど彼女が俺のなにかを棄てさせてくれたから

知らなかったものを教えてくれたから


起きていたのか目を覚ましたのか、

もぞもぞと起き出したペトラは、目が合うなりそっとキスをくれて微笑んだ


そうだあの時も今もいつも、俺はこうして彼女から与えられてばかりだったように思う

俺が返せるものと、これからは与えてやりたいと思うこと、なにが正しいだろうか

彼女を守るために俺にはなにができるのだろう


どうして欲しいか、なんて聞くことも野暮だと思った

余計なものを付け加えてしまったら

その関係には名前などいらないと、もっと強いものだと信じたかった


キスを返し、彼女の身体に触れ互いに絡ませあって

まだ起き出すには早い時間だった

二度目は俺からの繋がりを受け入れてくれた

すんなりとはいかなかったが


必死で掴んで涙目で求めてくれること、その行為にも言葉は必要なくて

溺れゆくものの深みは、きっとお互いに感じていながら抜け出そうとも考えてはいなかったと



あの日から


それからはもう何度でも、どんなやりかたでも

俺達は隠れて、狂ったように何度も何度も抱き合った

覚えてより深みに溺れるほどに、後ろめたさのようななにかは捨て去り、彼女は俺を変えた


何度目でもその衝動は変わらなくて

強くなる一方だった

戦場から戻った時がとくに激しかった、互いにぶつけあうものが、愛情なのか、本能なのか、ただの欲なのか、ぬくもりか、快楽か

わからないまま、その繰り返しで、わからないほど、依存しきっていた


少なくとも、俺の方は


そんな関係を続けていながらも、日々は過ぎてゆく


誰にも気づかせまいという思いは互いに意識していたから

彼女の振る舞いも俺の接し方も、表向きは相反していたように思う

俺は立場上、彼女を特別扱いすることは出来なかったし、彼女も俺には無駄に接しないようにはしていた

流れで直属の部下となってからも、それは変わらなかった


ただ、ふたりのときにだけ見せる顔は以前よりずっと変わっていたと、思う


リヴァイ「ペトラ、今日はきつく言ってすまなかった」

ペトラ「いいんです。今はこうやって甘えさせてくれるのわかってるから、だから謝ったりしなくていいんですよ?」

ソファに座り、隣に座る彼女は俺にもたれ掛かって身体を預けていた

リヴァイ「今のは特別扱いしたわけじゃない。多分そのときは余計な気持ちが混ざってたと思う」

ペトラ「、、、?やきもち、ですか?」

リヴァイ「嫉妬、か。そういうものかもしれない。お前といるようになってから、知らない感情ばかりを憶えるようになったな」

ペトラ「本当なら、嬉しいです」

リヴァイ「そうなのか?男の嫉妬なんて見苦しいものなんじゃないのか?」

ペトラ「兵長なら、いいんです。特別ですよ?」

リヴァイ「それなら正直に言うぞ、あまり他の男と仲良さげにはし過ぎるな」

ペトラ「ふふ、やっぱりそれで怒ってたんですね、、、でも、こんなことするのはあなただけですから、ね」

リヴァイ「当たり前だ、、ん」


そう言って、また彼女からのキス

いつも俺からする前に、彼女は悪戯好きな小悪魔のようにその小さな舌と柔らかな唇で、俺の唇を舐めたり喰んだりする


ありふれた言葉、慣れたその行為も

かつての時間を取り戻すかのように、彼女の性欲は日増しに奔放になっていくように感じた



その誘惑だけが俺を満たし


満たされる対象は俺じゃなきゃ許せなかった





あるいは、魔女のように


その日の夜営でのこと

俺の都合だけに限った話ではなく、ペトラはいつも傍に置くようにした

本当はひとりでも構わないことのほうが多いが、そういうわけにもいかない

それならば、と、結局は俺の意志か

傍にいなくて後悔する、それだけはもう御免だ

だから交代の見張り番も一緒だった


夜に巨人は活動することはない、故に特に何が起こるというはずもなかったが、何が起こるかもわからない、とはいえやはり退屈なものだった

ふたりきりとはいえ、任務中は互いに喋ることは少くて、配置についてからも無言で過ごしていた

ペトラは退屈凌ぎにか何度も装備の確認をしていた

俺はそんな彼女を横目に、夜空を眺めているだけだった


壁の外の夜は静かで

どこまで行ってもそんな世界が広がっているのか?


そんなことを考えていた、が

ふと、いつかの情景が脳裏を過ぎる


天井のない夜空の下で


彼女にとっては、あまり好きな時間ではないのだろうか、まだ、、、


だとしたら


俯き座っていたペトラの隣に座り、手を握った


触れ合うだけでも、慣れたはずの衝動が邪魔をする

彼女は少し驚いた顔をしたが、強く握り返すその手は冷たくて

黙って、ただ手を取り合っていた

ペトラ「まだ、、、長い夜は不安になります」

黙って、ちゃんと聞いていると手を握り返して

ペトラ「星空がこんなに綺麗なのに。あの時だけは、もう全て捨てて明日なんかいらないと怯えていて、、、でもあなたに会えて、それから違う意味で朝が来なければって思いました。不思議な夜でした」

ペトラ「それから、また逢える日までずっと。不安な時はあなたのことを想ってました。独りでもそうやって、支えられてました。それに、今も」


ひとり言のように紡がれる言葉と少しの沈黙


ペトラ「だから、あなたのことが好きです」


そう言った彼女の笑顔は儚げで

どうして今そんな話をしたのかは、少しだけ考えていた通りで、そして改めて告げられた言葉は、


俺は、受け止められていただろうか、彼女の想いを

それは俺も同じで、ただ大切なものを、特別なものを、そう認めることをきっと怖れて認めたくなかっただけで

俺が返してやれるもの、与えてやれるものは手を握るくらいのことで

今までひたすらに重ねてきた行為とそれはまた、違うものなのだろうと


リヴァイ「ペトラ、俺もお前が好きだ。俺は、そんなお前に何をしてやれるんだ?」

ペトラ「こうして、手を繋いでくれました。誰の手でもいいわけはありませんよ、、、あ」

喋りかけのところで人の気配

どうやらもう交代の時間だったらしい

繋いでた手が解ける


小声で問う

リヴァイ「後で、部屋に来るか?」

ペトラ「、、はい」

どうせ壁外で眠るつもりなどなかったから、部屋も必要なかったが、彼女と過ごせる場所は欲しかった

好きだと認め合う事など今更のようでいて、実際はそれでなにもわかってなどいなかったのだと思う

ずっと想っていたこと、その時間も気持ちも同じで、それならば。その先には何があるというのだろうか


例えば普通の女性らしい幸せを、と望んでいるのなら。俺がそんなに器用な奴ならどんなに楽だっただろうか


どうしてこんなところにいるのだろう


いなきゃ、会うこともできなかったが


纏まらない考えを巡らせているうちに、部屋をノックする音が聞こえた


ペトラ「失礼します、、」

特に何もない部屋で、元は誰かのものであったのだろう机と寝床があるくらいだった

それで充分だった。部屋に入るなり俺の傍に寄り添うようにする彼女もいつも通りで、それを抱きしめ返すことも


リヴァイ「ペトラ、さっきの話の続きだが俺はお前に、」

喋り終える前に唇を塞がれた

そのままベッドに雪崩込むように押し倒されてからの彼女はいつもよりも積極的で、

ペトラ「あなたに、こうしていいのは私だけですか?」

リヴァイ「ああ」

ペトラ「手を繋いでくれるのも?」

リヴァイ「お前にしかする訳がないだろう」

ペトラ「私が許すのも、触れていいのも、あなただけですから。だからもう、たくさんもらってるんですよ?」

リヴァイ「俺は、自分の欲しいものしか、、、」

ペトラ「私が欲しいなら、縛り付けててください」

リヴァイ「なら、、お前もそうしろ」

聞こえないように、密やかにしながらも響く水音と吐息と。声を漏らさないようにとしているペトラの姿に愛おしさが増した


必要な約束と想いは初めからそこにあって



事を終えて眠りに蹲る彼女に、小声でそっと告げた言葉



聞こえたのかどうかはわからない、どちらでもよかった

その日が来れば叶うのだから


それからも心酔しきった日々に甘えていたのだろう

彼女が笑顔を見せてくれるのも、不機嫌になるのも、俺が与えるもので変わることに満たされていて


より親密になったかと振り返れば変わらなかった

それはいつか告げた愛という言葉で正しく結ばれていたからなのかもしれない

あれからも変わらなくいられた日々


だが戦況が変わった


その日は、あまり時間がなかった

この後の仕事は外せない


それでもペトラを自室に招いて

ただ、どうしても抱きたくて、いつものように

唇を重ねて、ベッドに押し倒して、服を脱ぐのももどかしいくらいだった


ペトラ「んっ、、、兵長、ひとつだけ、お願いがあります」

リヴァイ「どうした?」

ペトラ「愛してる。って、言って欲しいです」

リヴァイ「ああ、、、愛してる」


初めて抱いた夜、一度しか言わないと言って告げた言葉。正しく結ばれたと願う言葉

あの夜より、気持ちはもっと沼のように深くなっていて

ただ、無駄に口にして使いたくないとも思っていた、軽くなってしまいそうだったから


早く抱きたくて、その場ではすぐに答えたが

ペトラ「抱いてる最中も、ずっと、言って欲しいです」

リヴァイ「ひとつだけ、と言わなかったか?」


いや、その前に

明らかに彼女の様子はおかしかった

あのときの目

時折見せないわけではなかったが、陰りのある表情


外にいる時は微塵も見せなかったのに

リヴァイ「いや、すまない。それより、何があった?」

ペトラ「、、、」

リヴァイ「すぐ気付いてやれなくて、気を悪くしたか?」

ペトラ「今日、、、一緒に看取った兵士のことですが、、、」

リヴァイ「、、、?」


まさか

待て、言うなふざけるな、もしそうだったら

馬鹿な悪い予感だ、頼むから


ペトラ「彼は、あの時私を襲った男のひとりでした」


理解することを拒否するより先に、ぶつけようもない怒りで、ガコン!と、勢いよく振り落とした拳がベッドの底を破壊する音が部屋に響いた

バキリミシリとまだ音を立てている


俺が誰よりも憎くて、この手で殺してやればいいと思っていた相手だ、なぜそうしなかったかと言えばそれはペトラの気持ちを尊重したからで、

俺はなにも知らないと…嘘だ、知っていて、知っていながらなにもしなかった、彼女がもう怯えてないと信じて近くにはいないと勝手に思い込んで


ペトラ「ごめんなさい、言わなければあなたは知らないで済んだことなのに」

リヴァイ「、、、っ」

ペトラ「私は彼をもう憎んではいませんでした、はじめから、、、だって、私が弱かったからいけなくて、

でも、私のほうが強いから今生き延びれた、だからもうそれで、終わったと思って!!でも!!!」


リヴァイ「、、、ペトラ」

ペトラ「駄目なの!!!終わったと思った途端に、、いえ、終わったのは彼だけで私の中ではずっと!!

まだ!!!怖くて、、、ずるい、どうして、私が、私が死ぬまで今度は逆に呪い続けられるなんて、、、やだ、嫌嫌嫌嫌どうして!!やだ、もう」


リヴァイ「ペトラ!」


抱き寄せて力一杯抱き締めた



ペトラ「お願いです、私を、、、離さないで、愛して下さい、ずっと」

リヴァイ「ああ、離すわけがないだろうペトラ、俺は、、、俺がどれだけお前を愛しているか、言葉で足りるならいくらでも言ってやる」

ペトラ「うっ、、、私が、死ぬまでの間だけで、いいですからぁ、」

リヴァイ「ああ、先は長いな、何度でも、、、だから、いい加減、俺だけを見ろ」

互いに、開いた唇で噛みつき合って、唾液を分け合って、脱ぎかけの服を剥ぎ捨てて


もう、あの時の衝動よりもずっと酷かった

きつく跡が付くほど肌を噛み


泣き叫ぶペトラに何度も、愛してると吠えて

逸らす目を何度力づくでこちらに向けて

壊すほどに腰を打ち付けて

その酷い音と、彼女の叫びと、俺の呪いと、壊れかけたベッドの軋む音


居場所がなくて狂うならずっとこの籠の中で


リヴァイ「ペトラ、、、愛してる」

ペトラ「う、はぁっ、あっ、ああああ!!あっ、壊して、もっと、もっと壊してええ、嫌、いや、」

リヴァイ「はぁっ、はあっ、、くっ、愛してるから、ペトラ、俺だけを見てろ」

ペトラ「うぅーっ、やあぁぁあ、ダメなの、もっと、もっと、あっ、あっああっ、また、いっちゃう、ぅ、ああっ、ああー」

リヴァイ「うっ、、う、駄目だ、まだやめさせねえぞ、まだ足りねえ」

ペトラ「やんっ、やっ、やっ、はぁっあぅ、う、り、リヴァイ、、」

リヴァイ「ん?」

ペトラ「あいしてるよ、リヴァイ、、、」

リヴァイ「ああ、俺もっ、、、お前を、ペトラを、愛して、、るっ、、、う、いく」

ペトラ「んっんっ、あ、すごい、、わたしも、あっああっ、!!」

リヴァイ「ぐ、、、はあっ、はあっ、」


ベッドに転がり

吐息だけが響く天井

しばらく動けないほどだった


時間は、、まぁいい、少しぐらい遅れても

ふと横を見ると

また光の戻らない目で同じようにしているペトラがいた


リヴァイ「名前で、、、呼ばれたのは、初めてな気がする」

独り言のように、掠れた声で問いかけた

ペトラ「リヴァイ、、、へへ」

リヴァイ「俺だけを、見れるか」

ペトラ「はい」

リヴァイ「まだ。わかってねえって顔だ」

ペトラ「違うの、、、私は、」

リヴァイ「ん?」

ペトラ「とんでもなく狡くて酷い方法で、ずっとあなたを縛り続けて、」

リヴァイ「それでも構わないだろう?俺も同じだ」

ペトラ「同じ?」

リヴァイ「ああ、俺を満たせるのがお前しかいないから、ずっとお前を縛り続けてやる」

ペトラ「それが、あなたの愛の、かたち?」

リヴァイ「そうだな、狂うほどお前を愛しているから、そうなんだろう、な、、、はは」

ペトラ「嬉しい、、、私が、狂わせたんだね」


手を取り合いながら交わしあった囁きは


到底理解されない形だとしても構わなかった


リヴァイ「愛してる、ペトラ」

手の甲に口付けて

先にベッドから降り支度をした、

いい加減時間を気にしなきゃならなかった


ペトラ「私も、戻ります。部屋に戻るので、先に出ます」

置きっぱなしにしていたワンピースだけを羽織り、去り際にこちらを向いた彼女の目には光が戻っていて…戻っているような、気がして


なくすとしても、そばにおきたい


くだらない


ベッドを買い換えなきゃな

ふと見つけたシーツにこびり付いた鮮血


狂わされても俺は

きっと彼女に飼い殺される


それで構わないと、思っていた

行間


エルヴィン「遅いぞリヴァイ」

リヴァイ「ああ、すまん。ガキは起きたのか?」

エルヴィン「いや、まだだ」

リヴァイ「なら、問題ないだろう」

エルヴィン「、、、飼い猫にでも噛まれたか?」

リヴァイ「あ?」

何を行ってやがる?

首筋をトントンと指で指すジェスチャーをされた

そうか、噛まれたかもな

あちこちが鈍く痛む


リヴァイ「いや、猫というより、小鳥だな」


実際見えないからよくわからんが気休めに襟を直す


エルヴィン「小鳥?」

リヴァイ「ああ、俺もな。揃って鳥籠の中で狂ったように喚いて、やっと居場所と相手を見つけたのに突きあって互いに羽根を失くして、一生空が飛べなくなった小鳥」

エルヴィン「ふむ、お前にしては面白い表現だ」

リヴァイ「お前にしては、は余計だ」

エルヴィン「ふっ。その小鳥は籠の中に居たいのか?出たがっているのか?」

リヴァイ「どうだかな。どちらにしろ、鍵はもう見つからんだろう」

エルヴィン「鍵、、、か」

チャラ

リヴァイ「なんだそれは」

エルヴィン「あの少年が持っていたものだ」

リヴァイ「チッ、、、俺には、関係ねえ、」

しまった、私事を喋りすぎたな


リヴァイ「いや。何でもない」

エルヴィン「嘘を手向けるようには、ならんようにな」

リヴァイ「なんの話だ」

エルヴィン「見えてないなら、聞いてやるべきだ」

リヴァイ「だから、なんの、、、いや、いい」


閉ざしているほうが楽だと




理由など、ほんとうは


……………ほしかったから


再開

最終章


辿り着く宛などはじめからなかったというのに



ベッドを新調する前に、拠点を一時変えることになった

戻るかどうかもわからないから、放置した

彼女を連れて行くべきかは迷ったが、私事抜きでも必要だと決めたのも俺ひとりの意見ではなかったからそうした


傍に置けないことを赦せない

気が付く、時まで


はじめに関係を持ってからもう二年になるのだろうか

それからの彼女は


俺の前で見せる顔も

外で見せる顔はとくに、随分と変わったと思う


変わった、のは

強がりや気丈さが、前ほどの危うさがなくて、優しくもなり、強くもなり、責任を負うことも

無理せずこなせるようになっているのは


俺との時間が変えたという自惚れ

実際に、変えられたのは


俺の方だ


初めて会った日からのこと

彼女の中で揺るがないものに



だから

縋ったんだろうな


部屋は、適当に使え

だだっ広いこの古城でこの人数は釣り合わない

移動が楽な部屋を選ぶのが普通の奴だ


俺は、鍵付きの部屋を選んだ

どうせたいした荷物もなく


寝床があれば充分だったから


リヴァイ「ペトラ、この前はすまなかった」

ペトラ「何がです?」

リヴァイ「痛かった、だろう?」

ペトラ「どうだったかな、、、夢中で覚えてません」

リヴァイ「俺にか?それとも行為にか?」

後ろから抱き寄せて、ベッドに座らせる

ペトラ「もう、、、んっ」

胸を解しながらキスをして、服を、

もう手慣れた流れだった

ペトラ「あ、、んっ、はぁ」

リヴァイ「ん?緊張しているか?」

ペトラ「いつもと違う場所ですし、その。何かあったら」

リヴァイ「俺といて不安なのか?」

ペトラ「そんなことは、、」

リヴァイ「なら、ふたりのときだけの顔をいい加減見せろ」

ペトラ「んっ」


少しだけ

なにかあったらと思わないわけでもない

死ぬ可能性があるなら

なおさら抱いていたかった


緊張を解いてやるように

今夜は優しく抱いた

ほんとうは、そっと触れるほうが彼女が悦ぶことも知っている


何度目でも変わらず狂っていられるのが愛なんだと


その時だけは信じていて

そのぬくもりに溺れていた


リヴァイ「全く、くだらん傷を作りやがって」

ペトラ「支障はないですよ?」

リヴァイ「お前に甘噛みしてもいいのは、俺だけだ」

ペトラ「んんっ、、、自分で、しても駄目なんですか?」

リヴァイ「お前がしていいのも、俺だけだ」

ペトラ「ふふ、今日は甘えるんですね」

リヴァイ「前より、一緒にいられる時間が長いからな」


ペトラの部屋は別、ということにはなっているが結局は毎晩俺の部屋に閉じ込めて抱いている


そうでもしないとやってられなかった

それが。俺が後悔しない為の


きっと、突然失ったら



狂うのが愛なら結末は呪い




立ち上がれる術もなく生きられなくなるよう


お前が奪ってくれればいいから


変わらないでいてください


なんて面倒な事になったんだろうか

俺の側にいる限りはと、そんな慢心するほどの余裕もなくなった


置いていくなら、いくらでも理由はつけられる

告げるなら今なのに


ペトラ「初めてですね、壁外に行く前日に一緒にいるのって」

リヴァイ「ああ」


今までは流石に前日は休ませるようにしていたが今回だけは、どうしても側にいて、欲しくて


ペトラ「憂鬱そうな顔、してます」

リヴァイ「そりゃあ、遊びに行く訳じゃないからな」

ペトラ「兵長でも、怖いことはあるんですか?」

リヴァイ「ああ、それはお前を、、」

しまった、咄嗟に口にしてしまった

ペトラ「私が、死ぬこと?」

リヴァイ「、、、。ペトラ、今からでも遅くはない、からお前は」


まただ

また、唇を塞がれて


ペトラ「私が、初めて会った日に話したこと、覚えてますか?」


リヴァイ「ああ、よく覚えている。あの言葉で俺はお前の事を、、、」



強くなりたい


その思いは彼女の夢でずっと、、、

俺に出逢うより前から抱いていたもの

キスをしながらも、あの頃の気持ちは俺も忘れていなくて、思い出していた、あの夜のこと


時々遠くから見かけた姿

兵団に入って初めて話しかけて来た日のこと

ずっと見ていた

雨の中でキスをしたこと

始めて抱いた夜

それからの日々のこと

なんども何度も抱き合った

壁の外でも

ひとり呟いた言葉も

泣き顔も

その瞳の奥の色も


どうして、こんなことが走馬灯のように過ぎるのだろうか


リヴァイ「好きになった、お前の気持ちを一番大切に、したい」

ペトラ「変わらないで」

リヴァイ「?」

ペトラ「変わらないで、いてください。何があっても」


変わらない、それが何を指すのかは不明瞭だったが、そのまま、求められるがままにベッドの上で縺れあった


最後だったら?最後までどうなるかなんて不確かだ

絶対に失うことなどあり得ると思いきれないのだったら


取り換えのきかない脆いもの。なんて、我儘なんだろうか


なんの慈悲もない暗闇が待っている結末


最初からこうなることを俺は



わかっていたんだろう?


だから、俺は


罰だ、と思った

最後の夜に彼女が残した爪痕と感覚は残っていて


闇の中に辛うじてなにかが見えるだけなのに


半身を失ったような感覚


それでも

それなのに



俺は立ち上がっていて


まだ生きていて

戦う力があって

やるべきことと


話すべき言葉を吐き捨てている。自分に



あのとき



目を瞑り全ての感情は殺した

偶然でもないそれは必然だと嘘を吐いた花束を手向けて



この身体を失うまでなにもかも隠し捨て去り理性という言い訳を吐き続け

耳を塞いで天罰を受け続ける


それが償いと証だ


久しぶりに自室に戻って

壊れかけたベッドと彼女が痕を残したシーツを見て

放置したことを後悔した?


いや

静寂の中で襲われた

それでも消えないこの卑しい鼓動が


やっと、気づいた


俺はまだ守られていたのに


ふたりで作り上げたその籠の中で

彼女が鍵を奪い去ってしまった

俺は傷を追ったままもう飛べない



振り返ったら燃え尽きた羽根と嘘と一緒に散らかした花束しかなくて


嗤う悪魔が天罰を告げる

嗤いながら


戻れない


散らばった花を拾い華のように美しく笑う彼女がいて


爪痕は奥深くまで残っていて


「消えないように何度でも痛みで寄り添っていて」


幻でも愛し続けるから


明日を失うことよりも恐れるものがそこにあって


狂った小鳥は幻想を陵辱し続ける


ひとりきりの守られない部屋でずっと

耳を塞いでも聞こえてくるから


俺はいつまでも数え続けるのだろう


後日譚


あれから過ぎていった日々の残酷さなど、もう取るに足らない事で


ある夜のこと


ジャン(兵長と二人で見張りとか気まずい。ミカサとならなぁ、ってそれはそれで、なぁ。何か話しかけてみようかな


ジャン「あの、兵長って好きな人とかいるんですか?」

リヴァイ「あ?」

ジャン(うわあぁぁあ、何言ってんだよ俺!!

ジャン「やー。その、恋人とか?俺まだそういうのよくわかんなくてですね、で、どういうものなのかなーと」

リヴァイ「いるぞ、好きな奴なら」

ジャン「え!な、マジっすか!!」

リヴァイ「ああ」

ジャン「へえ、なんか意外というかなんというか全然わかんなかったですよ!あの、いつから好きだったとか、聞いてもいいですか?」

リヴァイ「好きになったのは、随分昔からだな」

ジャン「そんなに長く!?ってことは?今は会ったりしてるんですか?」

リヴァイ「いや、少し前に死んだ。壁外でな」

ジャン「えっ、、、そ、そのすみません自分なにも知らなくて」

リヴァイ「そりゃあそうだろうな。知ってる奴はいないだろうし誰にも喋ってない。変な話だと思うかもしれないだろうが、ずっと隠れて会ってたしそれが当たり前の関係でそれくらい、近くにいた」

ジャン「そんな、どうして俺にそんな話を?」

リヴァイ「聞かれたから答えただけだ。今はもう、困らんからな」

ジャン「う、すみません。でも。それだけ好きで、大切な人だったんですね」

リヴァイ「謝ることはない。それに構わんが、俺にとっては過去形じゃねえな、今でも好きだし大切だ、ありきたりな言葉で表すならな」

ジャン「その、辛かったですよね。それなのに」

リヴァイ「ああ、アイツが死んだら生きられる自信がないくらいだったのにな。今こんなに動けてる自分が不気味なくらいだ。失っても生きてやがる自分に嫌気がさすこともある」

ジャン「そう、なんですか、、、そんな姿、微塵も見せないから気づけなくて、その、俺がそんな立場だったらって考えたらとても耐えられないだろうから、改めて兵長は凄い人なんだって思いました」

リヴァイ「そう、思わせられてるならいいがな。誰も知らないことなのに様子が急におかしくなってたら、まわりも困るだろ」

ジャン「ええ、まあ」

リヴァイ「それにアイツが望んでたことは俺が変わらずにいることだ、そうじゃなきゃ、」

ジャン「?」


そうだ、そうじゃなかったらアイツが俺に求めていた事は、

俺は、全てを失ってもいいくらいに

命など奪い去って欲しかったのに

彼女になら、それが出来ただろう?

できたのにしなかった、か

ペトラは、俺が思ってるよりずっと

リヴァイ「、、、許してくれないような、いい女だ」

ジャン「そうですか。ずっと兵長のこと、見守ってくれてるんですね」

リヴァイ「ああ。そう思わなきゃやってらんねえな、、、悪いが少しの間ここは任せる」

ジャン「は、はい!」


言いながら立ち上がって、少し歩いて、誰もいない場所まで


泣く。ことなんかできなかった

失くしてから、今。まで



全部嘘だった

それでも構わないと嘘をついていた彼女と

それでも戦うしかないと嘘をついている俺は



変わらずにいるべきなのは






ずっと狂い続けること






どちらが正しいかということなんてどうでもいい



だから俺は


この体で償いを捧げよう






END

終わりです。あとがきは後だ。


みを

あとがきです

最初に決めていたこと

原作の裏側のお話として本編には絡ませない
とにかく激えろいものを書いてみる
登場人物はふたりのみ

激エロに持ってく為にと原作の流れとキャラ崩壊しないようにを意識したら、可愛くイチャラブではなく
トラウマと闇を抱えて傷のなめ合いをするような病み依存ラブになりました
少し救いのある場面を入れようとしたらさらに残酷になった

一応原作の流れを踏まえてなのでHappy Endにはなりません
その後の話みたいのは前にも書いたし

というわけでモヤっとしたENDになりました

エルヴィンに出てもらったのは時系列整理のため

話し相手がジャンだったのは、ハンジさんとかだと前にもやったし
何も知らずに話を振ってくれそうだからでした


モノローグが多くて自分でも何書いてんだからわからなくなりました
ちょっと想像補完してもらえたらという場面も作れたので、完全に自分の世界観だけど
読み手さんを少しは意識できたのだろうか


というわけで、途中レスが全く付かず誰も読んでねえwwwと思いつつ
読んで下さった方へありがとうございましたとごめんなさいでした!

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom