恒一「対策戦隊!」赤沢「ザワレンジャー!」(22)

1998年、二月――

赤沢「ふぁああ……寒っ……日曜日だってのに、珍しく早く起きちゃったわね」カチッ

テレビ<ガンガンギギーン

赤沢「あら、メガ何とかじゃない……新しいシリーズか。
たしかコレ、夕方にやってなかったかしら?」

―30分後―

テレビ<アシターノーレジェンドー

赤沢「……これはッ……!」フルフル
―――
――


ガンガンギギーンはギンガマンだろ

ごめんやっぱなんでもない
支援

西暦1998年、
夜見山北中学三年三組の生徒を狙う災厄、人呼んで<現象>……

ザワレンジャーとは三組の生徒を守る特命を帯びて戦う若者たちの事である!!

――――
――


赤沢「――という訳。わかってもらえたかしら」

恒一「馬鹿者たち?」

赤沢「わかもの!!」

桜木「……」

風見「(あながち間違ってもないような……)」

―1988年4月―

×1988 → ○1998

ごめん

赤沢「にわかには信じがたい話でしょうけど、過去にも何度もそういう出来事があって……」

恒一「それで僕にも協力を?」

赤沢「是非とも、あなたにも対策戦隊に入ってほしいのよ」

風見「赤沢さん、僕とゆかりは別に入ったわけでは……」

赤沢「何を言ってるの風見ブルー、あなたも桜木ピンクも、立派なザワレンジャーの一員なのよ」

桜木「えっ」

恒一「……よ、よくわかんないけど、赤沢さんはやっぱりレッドポジションなのかな」

赤沢「ええ、当然よ。そしてあなたが入ればザワレンジャー四人目の戦士ね」

風見「だから、赤沢さん、僕らは別に……」

桜木「あの……今はとりあえず、対策の説明を」

赤沢「そうね。
じゃあ、榊原君……まだ色々混乱しているでしょうけど、これから言うことだけはちゃんと聞いてね――」

―――
――


恒一「――ブラックホールに消えた奴がいるぅ♪
――ってラッキー、エレベーターが」ズザァー

鳴「…!」

恒一「あ、すみません……って、その制服――君、夜見山北の生徒?」

鳴「……」コクリ

恒一「……地下二階に何か用が?」

鳴「――そう」

恒一「だけど、確かそこって」

鳴「届け物があるの。可哀相なわたしの半身が、そこで待っているから」ガラッ

恒一「待って、君……名前は?」

鳴「……見崎……鳴」スタスタ

ガララ
恒一「ミサキ……メイ?

――見崎 鳴――それじゃあ、あの子が、赤沢さんの言っていた?」

――――
1998年5月

怜子「いよいよ明日から初登校ね、恒一君」

恒一「はい」

怜子「前も言ったけど、クラスの決まり事は守ること……」

恒一「対策戦隊の言いつけも、ですか?」

怜子「えっ何それ」

恒一「えっ」

次の日、
夜見山北中学、三年三組にて

恒一「はじめまして……榊原恒一と言います。
先月父の仕事の関係で、しばらくはこちらにいる祖母の……」ツラツラ

久保寺「――というわけで、三組の新しい仲間として、今日から榊原君とも仲良くやっていくように。
お互いに助け合い、来年三月にはクラス全員無事に卒業出来るよう……」

――

赤沢「お疲れ様、榊原君。早速だけど対策戦隊としての活動を」

恒一「赤沢さん……怜子さんから聞いたんだけど、対策戦隊って名前でなく対策係だったんじゃ」

赤沢「そう、今年から対策戦隊よ! <現象>と戦う正義のヒーロー!
――素敵でしょう?」ムフー

恒一「えぇぇ……?」

恒一「赤沢さんがヒーロー好きなのはもう良いにしても……<現象>を抑えるための対策が、こういう方法って……

戦隊の活動にしちゃ地味だね」チラッ

鳴「……」プイッ

赤沢「私だって、こんなじれったい事なんて……
それに榊原君、言っておくけど――」

恒一「分かってるよ<いないものの相手はしない>、だよね。それで、放課後だったかな?」

赤沢「よろしい。場所は図書室よ、時間にはくれぐれも注意してね」

恒一「はぁい」

――放課後、図書室

恒一「……場所はここで合っているはずだけど、赤沢さんはおろか、誰もいないなぁ」

???『来たわね榊原君』ガガピー

恒一「あ、赤沢さん? 一体どこから……」

赤沢『地理歴史の書架、上から三段目、右から五番目の本を深く押し込みなさい』

恒一「はぁ……?」

恒一「えっと……これかな?」ズッ

ゴゴゴ……
恒一「――!! 図書室に隠し階段が現れたッ?!」

赤沢『そのまま真っ直ぐ降りなさい。みんな、待っているわよ』

千曳「榊原恒一君だね。ようこそ、<対策司令室>へ!
――私は千曳。千曳司令と呼びたまえ」

恒一「……はぁ」

赤沢「千曳司令、まだ桜木さんが来ていませんが、ひとまず彼に例のものを……」

千曳「うむ、榊原君、君にこれを託そう……」スッ

恒一「これは……」

千曳「そいつは対策ブレス! 君たちを対策戦隊ザワレンジャーへと変身させるアイテムである!」

赤沢「これで貴方も今日から、ザワレンジャーよ、榊原グリーン」
恒一「(僕、緑なんだ……)」

勅使河原「なあ赤沢、病み上がりの転校生に対策係が務まるのかよ?
これだったら、やっぱり望月にやらせた方が……」

赤沢「私の目に狂いはないわ。それに対策係でなくて、対策戦隊! 間違えないでよ」

恒一「……えぇと君は確か同じクラスの……」

勅使河原「おうよ」

恒一「検非違使河原……だっけ」

勅使河原「て・し・が・わ・ら!」

風見「馬鹿馬鹿しいよ、全く……。勅使河原、君もよく赤沢さんの茶番に付き合えるもんだ」

赤沢「何ですって――」

勅使河原「まあまあ。形はどうあれ、クラスメートを<現象>から守る仕事、カッコいい話じゃないか?」

風見「だが、僕はともかく、ゆかりにまでこんな事をさせるのは……」

恒一「そういえば、その桜木さんは?」

赤沢「……おかしいわよね。真面目なあの子が、あろうことか勅使河原より遅刻だなんて」

勅使河原「……おい、せっかくフォローしたってのに……」

ビーッビーッ

恒一・赤沢・勅使河原・風見「!」

千曳「これは<現象>反応……! 対策戦隊ザワレンジャー、至急出動だ!」

赤沢「!」

桜木「はぁ……はぁ……!」タタタッ

―――
久保寺『桜木さん、今病院の方から電話があって――』

桜木『……お母さんが?!』

久保寺『進路相談はまた別の機会にしましょう、今は早く』

桜木『は、はいっ……!』
――

桜木「お母さん……無事なんだよね、お母さ――」

???「君のママは死ぬ」

桜木「?!」

???「だが、悲しむ必要はない。君もじきに死ぬのだから――」

桜木「あ、あ、嫌ぁ……!」

――


タタタッ
赤沢「<現象>の反応があった場所はここか……」

勅使河原「で、一体ここで何が起きて」

風見「!!!!」


桜木「」ザクッ
ドサリ……

恒一「!!!!」

風見「ゆ、ゆかり――――ッ!」
???「一足遅かったようだな、対策戦隊よ……」

赤沢「あ、あなたは!」


傘怪人「俺は<現象>の眷属が一人……<傘怪人>!

――桜木ゆかりは5月最初の<現象>への贄となったのだ!!」

赤沢「そんな……<対策>はきっちり取ったはずなのに!」

恒一「あ……あれが<現象>なのか……!」

風見「貴様ッ……よくも……よくもゆかりを!」

赤沢「か、風見君……」

傘怪人「ほう、小僧、この娘はお前のガールフレンドだったか。
丁度良い、二人目には貴様を送ってやっても構わないんだぞ?」

風見「黙れ! ゆかりの敵は僕が討つッ!」ジャキッ

風見「レッツ、対策!」カッ!
―――

風見「対策戦隊ザワレンジャー、風見ブルー!」バァーン


傘怪人「ほう……タイマンで傘対決とは大した度胸だな……だが、私の傘裁きは伊達じゃないぞ?」スチャッ

風見「ほざけ……お前は使い物にならなくなる位に壊すッッッ!!」ジャキッ

恒一「……クールっぽかった風見君があんなに……!」

カキン、カキィン!

風見「くっ」

傘怪人「甘い、甘すぎるぞ小僧! 俺が何年<ダイの大冒険>を読み込んだと思っている!」

風見「……!」

――

恒一「このままでは風見君が危ないよ!」

赤沢「ええ、対策戦隊のメンバーとして、仲間のピンチは見逃せないわ。
ここは私たちも――」

勅使河原「野暮な手出しはすんじゃねーよ」

赤沢「勅使河原っ」

恒一「でも、あの<現象>は……」

勅使河原「あいつとは腐れ縁なんだ、あいつの事は俺が一番知っている。

あいつなら――」

――
傘怪人「とどめだ、少年……」スッ……

風見「……!」

恒一「あの構えはアバンストラッ……」

勅使河原「いや、風見なら――」

傘怪人「くらえっ……」

風見「今だっ!」ダッ

傘怪人「一気に距離を――?!」
グサッ!

傘怪人「グアアアッ!」


勅使河原「奴が<ダイ大>読者なら、風見は<るろ剣>フリークだからな…!」

\ズドオオオン!/

風見「はぁ……はぁ……ゆかりっ……やったよ……!」

千曳『対策完了、だね。後は警察に任せて、君たちは引き上げたまえ』ガガー

赤沢「千曳司令……了解しました」

赤沢「<現象>を起こさぬよう、対策は取っていた。なのに、それは始まってしまった……!」

勅使河原「ああ。こうなっちまった以上はやるしかねぇな」

風見「……もう、ゆかりのような犠牲者を出すわけには行かない!」

恒一「(こうして僕たち、対策戦隊ザワレンジャーの
長く辛い戦いが始まったのであった。

この後、桜木さんの遺志を継いで望月ピンクが加入したり、

千曳司令が巨大ロボ『タイサクオー』を開発したり、

どこかで見たような<現象>の女幹部<ミカミ>が幾度となく立ちはだかったり、

謎の追加戦士、<黒騎士メイブラック>が現れたりするのだが

それはまた別の日の話……)」


<おわり>

結局桜木死んでるじゃないか……。

戦隊モノなら名字+色じゃなくて戦隊名+色だろ。ザワレッドみたいな。戦隊名ダサいけど。

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