凛「あんたが私のサーヴァント?」八幡「…らしいな」 (144)

俺ガイル×fateクロスSSです。
八幡がどーやってあの世界で英霊になったのかは謎ですけど、聖杯戦争しらないと話作るのめんどくさいんで末端の英霊みたいな設定にしときました!

凛(なんか全く英霊って感じがしないんだけど…。)

凛「…外れ引いたかなぁ」ボソッ

八幡「…おい、聞こえてんぞ。お前は中学の時の席替えン時の隣になった女子か。恨むならこんな三流サーヴァント呼び出した自分を恨め」

凛「じ、自分が外れサーヴァントな事は否定しないのね。」

八幡「当たり前だ、俺を呼び出した時点でもう負け確定すらある。」

凛(な、なにこの負けることに関して絶対な自信を持ったサーヴァント。…ステータスは?)

筋力E
敏捷E
耐久EX
魔力E
幸運E
宝具??

凛「うわぁ、全部見事にEばっかね。 こりゃホントに外れサーヴァァ……耐久EX!?」

八幡「なにしろ生前はぼっちだったからな、リア充共と関わらないように身を護っていたらそうなった。後、多分主にウチの部長の毒舌を耐え続けたのもデカイ」

凛「な、なにそれ。あんたどこの英霊なのよ…」

八幡「日本。だが俺に知名度補正とか期待すんな。なぜなら…」

八幡「ーーぼっちだったからな」

凛「頭痛くなってきた」

八幡(あぁ、あの頭を抑える動作、雪の下に似てるな…)

凛「まぁいいわ…、私もう疲れたから寝るから、ここの片付けよろしく」

八幡「結局この世界でも雑用やらされんのか…」


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以前書いていたものを時間空いてしまったのと、考えずに書いてしまったので、続きが書きづらくなったので書き直したものです。






凛「さて、今日から気合入れていかなきゃ。サーヴァントが如何にアレとはいえ、結局はマスターの腕次第よ!」

八幡「…ん。おせぇぞ。こちとらサーヴァントだからつって、したくもねぇ早起きしてんだ。お前ももう少し早く起きてこい」

凛「うわぁこれあんたが作ったの?」

八幡「まぁな、生前は専業主婦目指してくらいだからな。後高校入ってる時に色々教え込まれたし。
まぁ、とりあえず早く食えよお前。学校に遅刻すんぞ」

凛「お前お前って…、あっ」

八幡「…気づいたか」

凛「ごめん、名前言い忘れてた。
私の名前は遠坂、遠坂 凛よ」

八幡「俺は八幡、比企谷 八幡だ」

凛「ヒキガエル 八幡?」

八幡「ナチュラルに人のトラウマえぐってくんな。比企谷だ」

凛「ヒキタニ?」

八幡「比企谷つってんだろ…だいたい喋ってんのに、どうやってそんな間違いするんですかね……」


凛「あんたが私のサーヴァント?」八幡「…らしいな」
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八幡「ーーおい、遠坂」

凛「えぇ、気づいたわ。結界が貼られてる。もう既に始まってるってことね。ていうかあんた、そういうのは感知できるの?あんだけ自分を下げてたのに」

八幡「スキル見てねぇのか?ぼっち故の保有スキル色々あんぞ」

凛「異常な耐久力にしか目がいってなかったわ」

八幡「まぁ、結界の起点探しは放課後だな」

凛「えぇ」


八幡「……どんな感じだ?」

凛「うーん、私には完全に阻止するのは無理かな。妨害は一応してみるけど」

ランサー「なんだ、消しちまうのかよ。もったいねぇ」

八幡「お?」

凛「サーヴァント!? まずっ、アーチャー!着地よろしく!」ピョン

八幡「は?おい、ちょっ、俺もやしっ子ォ!」

ズシャアアアア

凛「…フゥ」

八幡「あー心臓に悪ィ…」

凛「なんでアンタの方がビビってんのよ… 。ッ!追ってきたわよ!」

ランサー「おいおい、逃げんなよ。
英霊同士やりあおうぜ」

八幡「…」

凛「…」

ランサー「えーっと…、どっちが英霊だ?そっちの嬢ちゃんか?」

八幡「そうだぞ。俺がマスターだ」

凛「マスターを躊躇なく売るなぁ!!」

ランサー「なんとなくいけすかん奴だな。アーチャーか?」

八幡「お前、アーチャーのクラスに恨みでもあんの?」

凛「そういうあんたはランサーのサーヴァント」

ランサー「如何にも」

ランサー「そら、弓を出せよ。そんくらいは待ってやる」

八幡「生憎だが俺が飛ばすのは弓じゃない」

ランサー「ふん、余裕のつもりか?」

八幡「余裕かどうか、試してみるか?」

八幡「……」フォン…

ランサー「む…?」

凛「……?宝具を、発動した?」

八幡『…随分とダサい青タイツだな、お前』

ランサー「あ?いきなりなんだテメェ」 ビキ

八幡(ちっ、効果無しか。まぁ闘いに着てくるくらいだもんな。やっぱ真名がわかんねぇことには俺の宝具はゴミ同然だな)

ランサー「なんのつもりかは知らんが、俺が共に戦場を駆け抜けたこの鎧をコケにするとはな…」

ランサー「生きて返すと思うな!
その心臓、貰い受けるーーー!!」 ドバアアア

凛「ッ!あの魔力量!アーチャー!相手は宝具を使ってくるつもりよ!行ったん距離をーーー」

ランサー「もう、遅ェ!」

ランサー「刺し穿つ!死棘の槍!!」

八幡「ーーーッ!」

ドシャアアアアア

凛「アーチャー!」

ランサー「はっ、雑魚が。口程にもねぇ。……さて、次は嬢ちゃんだ。悪ぃが、これも運命と思って受け入れな」

凛「あ、アーチャー…」

八幡「ーー呼んだか?遠坂」

ランサー「ーーなっ!?」 バッ

八幡「あーいってー…」

ランサー「ふ、ふざけんなテメェ!因果逆転の槍の直撃を受けて何故たっていられる!」

八幡「確かに平塚先生の拳骨より遥かに痛かったぜ」

ランサー「拳骨ごときと一緒にするんじゃねぇ!!」

八幡「拳骨もなかなかに馬鹿にはできねぇよ…。それに今のでお前の真名はバレバレだ。なぁ、ケルトの大英雄。クーフーリン」

ランサー「はっ、こんな序盤でばれちまったか。まぁこいつが有名すぎるからな、しょーがねーわな。まぁ、だからなんだっつー話だが」

八幡「いいや、これでやっと俺も本当に宝具を使うことができる」

ランサー「ーーなに?」

ジャリッ

ランサー「誰だ!!」 バッ

士郎「っ!やべっ!!」ダッ

凛「目撃者!?」

八幡「そいつは災難だな」

凛「なに呑気のしてんのよ、アーチャー!追うわよ!!」

八幡「あのな、遠坂」

凛「?なによ」

八幡「あいつの敏捷ステ見えたか?」

凛「えぇ…確かAだったけど」

八幡「俺の敏捷は?」

凛「E………………」

八幡「間に合うと思うか?」

凛「…」

八幡「…」

凛(百パー無理ね…)

凛「いやいや!そんなこと関係ないわ、追うわよ!!」


凛「遅かった、か…」

凛「ゴメンね、看取るぐらいはしてあげるから……」

凛「ッ!?」ビクッ

凛「なんで、なんであんたが!?
嘘、やだ、勘弁してよ。明日からあの娘にどうやって顔合わせればいいのよ」

凛「…いや、まだ手はある」チャ

八幡(なんだ?なにしてんだ?全くついてけねぇ)





八幡「なぁ、遠坂」

凛「なに?アーチャー」

八幡「いや、治したのはいいんだけどよ、ランサーのマスターがあいつが生きてるってことを知ったら、またあいつ殺しにくんじゃねぇの?」

凛「まっず!アーチャー、急いで私を衛宮君の家まで連れてって!!」

八幡「もうやだ肉体労働」

凛「英霊のくせに闘う事でゴタゴタ抜かすな!」

八幡「おかしい、英霊とは社畜の別名だったか?」

凛「なんか言った…?」 ギロ

八幡「いえ」

凛「…よし、行くわよ!!」






セイバー「ぐぅっ!?呪槍…、いや今のは因果逆転か」

ランサー「ちっ、躱したなセイバー我が必殺の槍を」

ランサー(刺し穿つ死棘の槍、故障したか…?全然必殺じゃねぇんだけど)

ランサー「さて…」ジャリ

セイバー「逃げるのか、ランサー」

ランサー「勘違いすんな、こいつを外したら雇い主に帰ってこいと言われてんだ。ほんじゃーな」

凛「逃がさないわよ、ランサー!」 ドン!

ランサー「またテメェらかよ! ……あ?相棒はどうした」

八幡「ここだ」 ヌッ

ランサー セイバー「「!?」」

セイバー「な、なんという気配遮断!アサシンのそれを軽く越えている!!」

八幡「ぼっちだったからな」

八幡「さっきは俺の宝具を見ずにどっか行っちまったろ」

ランサー「……」

八幡「まぁ、逃げんのはいいけど、せめて俺の宝具を受けてからにしたらどうだ?それとも怖ぇのか?」

ランサー「ホゥ…、そこまで言うなら見せてみろ。貴様の宝具」

八幡「……」ニヤリ

八幡『クーフーリン。お前は知らなかったとはいえ、息子を殺した最低の父親だ』

ランサー「テメェ……どうやら本気で殺され……がはっ!?」 ドサッ

士郎「ランサーが急に血を吐いた!?」

凛「この人でなし!」

八幡「否定はしない。が、お前はどっちの味方なんだよ…」

ランサー「てめぇ、一体なにを…」グググ…

八幡「だから言ったろーが。俺がとばすのは弓じゃねえって、俺が飛ばすのは悪口だ」

八幡「この宝具は、トラウマを事あるごとに掘り返された俺が、逆に人のトラウマを掘り起こし、そのトラウマの大小に応じて相手にダメージを与える。俺が二つもつ内の一つの宝具」

八幡「黒史呼び起こす孤高」

凛「反英霊確定の、英霊の風上にも置けないゴミみたいな宝具ね」

八幡「まぁな、真名解ってないと何の役にもたたねぇ宝具だしな」

ランサー(ちっ、この傷で三騎士の二人を同時に相手すんのはマジぃな)

ランサー「……クソが」ダッ

凛「逃げたわよ、チャンス!追いなさい、アーチャー!!」

八幡「いや、だからほら、敏捷」

凛「……」

八幡「……」

凛「…衛宮君、聖杯戦争について話しましょうか」

士郎「え?あっ、おう。頼む遠坂」







士郎「なるほど…コレが令呪でそこの女の子が俺のサーヴァントってわけか」

凛「そ、だいたい理解できたみたいね。それじゃ行くわよ」

士郎「行くって、どこにさ?」

凛「…似非神父のいる所よ」




言峰「…理解したか?聖杯戦争の本質を」

士郎「あぁ、絶対に俺は悪い奴に聖杯を渡さない」

言峰「そうか、喜べ衛宮 士郎。君の願いはようやく叶う」




凛「こっからは私達は敵同士よ」

士郎「なんでさ?俺、遠坂好きだけど」

凛「んなっ……!?///」

イリヤ「ーーこんばんは」

凛 士郎「!?」 バッ

イリヤ「はじめまして。私はイリヤスフィールフォンアインツベルン」

凛「アインツベルン!?」

凛(それに、あの隣の…。バーサーカーだと思うけど、なんて威圧感。相当の英雄だわ……)

八幡(あぁ、あのサーヴァントの威圧感。俺の卒業式に平塚先生が「卒業おめでと比企谷」って言ったから、冗談で先生もご卒業はお早めに。って言った時の威圧感に似てんな)

イリヤ「やっちゃえ、バーサーカー…」

バーサーカー「■■■■■■ーーーーーーーーー!!」

セイバー「士郎、凛!下がって!」

士郎「セイバー!俺は…」

凛「あぁもう!下がるつったら下がるのよ!あんな化け物の近くにいたら私達まで巻き込まれて、逆にセイバーが闘いにくくなんのよ。私達はあっちのマスターよ」

士郎「……くっ、セイバー任せた」

凛「任せたわセイバー」

八幡「任せたぜセイバー」

凛「あんたはあっちぃ!」ゲシッ

八幡「あだっ」

凛「さっさとさっきの宝具でセイバーを援護してきなさい!」

八幡「ちょっと待て遠坂。言って無かったが、あの宝具には発動条件以外にも弱点がある」

凛「なにそれ、どーせ真名が解んないと使えないとかそんなんでしょ。あのくらいの巨体なら英霊の中でも限られてくるわよ。そこらへんと思われる英霊の名前と逸話を言ってけばいつかは当たるじゃない」

八幡「だからそのいつかが駄目なんだっつーの。俺の宝具は発動した状態で、発動対象にむけて全く関係ないとされるトラウマを言うと、俺自身の全てのトラウマが呼び起こされるんだ。そうなったら…俺は……」

凛「どーなんのよ?」

八幡「ショックすぎてそのまま消えるまである」

凛「」

凛「…で、でもランサーの時は青タイツ云々で外してなかった?」

八幡「だから言ったろ。本人と全く関係ないとされるトラウマを言った場合に限りだって。アレの場合はトラウマではないが、一応本人には関係あんだからセーフ判定なんだよ」

凛「…………あぁもう解ったわよ!あんたもこっちに援護しにきてさっさとマスターの方を片付けるわよ!」

ガイン ガイン ガキィン !

セイバー(くっ、バーサーカー。凶化されてて尚この技量か!)

バーサーカー「■■■■■■ーーー!」 ゴシャアア

セイバー「くぅっ……!!」ズザアアア


イリヤ「…どうやらあっちは思ったよりも早く片が付きそうね。こっちもとっとと終わらそうかしら?」

凛(くっ、アインツベルンのホムンクルスは戦闘用じゃないんじゃなかったの!?)

士郎「遠坂、一人で攻めようとするな。俺もいる、二人でも左右から仕掛けるぞ」

八幡「そうだ、遠坂。自分の宝石使え。俺を盾にすんな」

ギン ギィン ガィイイン!

セイバー(……打ち合ってるうちに観えてきた。長引かせればこっちが不利)

セイバー「決めるっ!」ゴヒュウ!

セイバー「爆ぜよ、風王結界!」

セイバー「風王ーーーー鉄槌!!」ドシュアアア

セイバー(入った……!)

イリヤ「あーあー無駄なことしてるサーヴァントがいるな」

イリヤ「私のバーサーカーに、そんなもの効くわけないでしょ」

ペーストミスったかも

セイバー「馬鹿な…!風王鉄槌の直撃を受けて、まるで無傷だと……!?」

イリヤ「当たり前じゃない。私のバーサーカーには最高峰の攻撃しか効かないわ。そう、例えばその剣の本物の真名解放くらいじゃないとね」

セイバー「な、この英霊は一体…」

イリヤ「知りたいなら教えてあげるわよ。私のサーヴァントはギリシャ最強の大英雄、ヘラクレス」

凛「ヘラクレス、ですって…?まさか、それが逸話通りなら!」

イリヤ「そう、私のヘラクレスは12の命を持っていて、一度殺された攻撃は二度と効かない」

イリヤ「戦力差が解ったかしら?」

凛「……」

セイバー「……」

士郎「……」

八幡「そうか、真名は、ヘラクレスか」

イリヤ「……ッ!?」ゾクッ

八幡「それさえ解れば充分だ」

イリヤ(なに、なんなの?あのサーヴァント!)

イリヤ「……」

イリヤ「…バーサーカー、引くわよ」

凛「…自分から闘いを挑んでおいて逃げるわけ?」

イリヤ「えぇ、ちょっとそこのサーヴァントに興味が湧いたもの。それに…」

イリヤ「このまま続けてたらどうなるか、解らない凛じゃないでしょ?」

凛「……」

イリヤ「それじゃあね、お兄ちゃん」

イリヤ「次会う時は」

イリヤ「殺すかもね♪」

八幡「……ふぅ、去ってったか。命びろいしたな」

凛「…えぇ」

セイバー「……」

士郎「これが、聖杯戦争……」






凛「それじゃあ衛宮君、私達はここで。
明日学校で結界について調べましょ」

士郎「あぁ、それはいいんだが、本当に送って行かなくていいのか?またサーヴァントが襲ってくるかもしれない」

凛「あー大丈夫大丈夫。丈夫い奴がこっちにいるから」

八幡「おい、俺を身代わりにする気はち満々だな」

八幡「八幡だけに」

士郎「それじゃまた明日」

セイバー「お気をつけて」

凛「えぇ、ほらアーチャー帰るわよ」

八幡「はい」

八幡「……しっかし、意外だな」テクテク

凛「ん?なにが?」テクテク

八幡「いや、お前は同盟とか組まずに独りで聖杯戦争を勝ち抜く!みたいな感じだと思ってたんだが」

凛「私としてもそれが一番いいんだけどね。あんな規格外を見せつけられちゃ、一人で勝つのは難しいじゃない?それに衛宮君なら裏切られる心配ないだろうし、セイバーもいるし、これ以上の同盟相手はいないわよ」

八幡「そうか」

凛「そういえばあんた自信満々にバーサーカー倒せるみたいな雰囲気出してたけど、もしかして独りで倒せるわけ?」

八幡「いや、無理だろうな。あいつのトラウマがあいつにとってどれほどのものか知らんし、それで12も削り切れる自信もねぇ」

凛「あれ、でも宝具は二つあるんじゃないの?」

八幡「あることにはあるが、攻撃用宝具じゃねぇし、その宝具は俺令呪のバックアップ無しじゃ使えねぇんだよ」

凛「な、なにその宝具」

八幡「まぁだから3回しか使えない限定宝具ってことだ」

凛「それだけの制限があるからには相当な宝具なのでしょうね」

八幡「……あぁ。誰にも破られる筈はない」

凛「…」ポカーン

八幡「?どうした」

凛「い、いや、あんたのことだからまた自虐でもするのかと思ったんだけど」

八幡「これは、俺が生前唯一と思える誇りだ。この宝具そのものが俺の、俺達の全てなんだよ」

凛「ふぅん、それだけ言うなら期待してるわよ」

八幡「まぁ、それでも過度な期待はすんなよ」

凛「はいはい」

八幡「明日からは何すんだ?」

凛「そうね、とりあえず私は学校の結界の起点探しかしら。貴方は単独行動して街の方でサーヴァントかマスターの陣地と思われる場所探してきてくれる?」

八幡「学校に俺も行かなくていいのか?」

凛「いいわよ、別に。どうせ衛宮くんなんてセイバー霊体化できないから連れてきてないぞ?とか言い出すんでしょうし、衛宮君と同じで、危なくなったら令呪で呼ぶわ」

八幡「わかった、けど油断はすんなよ。学校にもマスターがいるかもしれない」

凛「えぇ、解ってるわ。心配ありがと」





士郎「よっ、遠坂」

凛「やっぱりセイバーは連れてきてないみたいね」

士郎「そりゃそうだ。霊体化できないんだから。あんな金髪の娘、学校に連れてきたら大騒ぎになっちまう。危ない時は令呪を使えばいいんだろ?」

凛(思ってた通りの答えね…)

士郎「それで、今日の夜はどうするんだ?」

凛「今日は夜じゃなくて、昼間っから働いてもらうわよ」

士郎「?」






凛「……凄いわね、衛宮君。物体感知にしたらなかなかじゃない」

士郎「遠坂にそう言ってもらえると、嬉しいよ。それで?この起点を破壊しきったら結界は発動しなくなるのか?」

凛「いえ、それは難しいでしょうね。良くて少し遅らせるくらいかしら」

士郎「その前にこの結界の術者を見つけ出して始末しなくちゃいけないってことか」

凛「そういうこと。さ、今日はここらへんにして一旦帰りましょ。アーチャーの報告も聞きたいし。セイバーもいるし、衛宮君の家でいいかしら?」

士郎「あぁ、構わない」






士郎「ただいまー」

セイバー「もう一回です!もう一回ですアーチャー!」

アーチャー「そのセリフ何回目だよ…」

セイバー「次は別です!」


凛「あら?何してるの?」

八幡「お前が今日は先帰ってろっつーから、少し暇だったんでセイバーと将棋指してんだが…」

八幡「これがセイバー思ったより弱くてなぁ…」ポリポリ

セイバー「でも凛!アーチャーは生前このゲームを嗜んでいたそうですよ?不公平ではありませんか!」

凛「はいはい、不公平不公平」ガチャガチャ

セイバー「ちょっ、凛!なんで片付けをしているのですか!」

凛「なんでって…、今から集めてきた情報を提示してもらうんだから、こんなんあったら邪魔でしょ?」

セイバー「で、でしたらもう一回だけ…!」

凛「却下」ガチャガチャ

セイバー「あぁぁ…」





凛「それで?あの結界をはったサーヴァントのマスターと思われる人物は見つかったかしら?」

八幡「駄目元で探してたけど、やっぱ無理だな。そう簡単に見つかるんだったら苦労しねぇわ」

凛「そう…」

八幡「お前らは?結界の除去はできたのか?」

凛「無理ね。遅らせるのはいけるけど、完璧な除去となると…」

八幡「地道にサーヴァントかマスターを探すしかないってわけか」

凛「そうなるわね、今日から数日間夜の街を探索するわよ」

八幡「あぁ、わかった」





八幡「ーーっていいつつ、もう三日が経つわけか。初日のバタバタ感と比べて、何処の陣営も静かだな」

凛「来たる後半戦に向けて力を蓄えているんでしょう。そろそろ見つけないとあの結界も発動するわね…」

八幡「……?」ピク

凛「アーチャー?」

八幡「おい、遠坂。柳洞寺の方はここ数日で探索したか?」

凛「いえ、してないわね。こっちに来るのは今日が初めてな筈よ」

八幡「そうか、なら衛宮達を呼んでこい」

凛「どしたの?」

八幡「恐らく、だが…」

八幡「サーヴァントがいる」







セイバー「では、行きましょう」

八幡「あぁ」

ダッ

士郎「しかし、大丈夫なのか?遠坂。策も無しに真正面から入って」タッタッタ

凛「えぇ。もし仮に罠をかけられてたとしても、あいつを盾にすればほぼ防げるわ」タッタッタ

八幡「ちょっと?なに自然に俺を犠牲にする前提で作戦を立ててんだ?」タッタッタ

八幡「ーーー!」ピク

アサシン「…ふっ!」ヒュッ!

セイバー「はぁっ!」ギィイン!

アサシン「ーーホゥ、今日は実に客人が多い日だな」

セイバー(剣使いか…)

セイバー「士郎、凛、アーチャー。ここは任せて、アサシンのマスターを討ちに行ってください」

凛「わかったわ、行くわよ衛宮君、アーチャー」タッ

アサシン「ーーさて、邪魔者もいなくなったことだ。存分に始めようかセイバー」

セイバー「…どういうことだ」

アサシン「どういうこととは?」

セイバー「何故、士郎達を上に行かせた。自分のマスターが殺されてもいいのか?」

アサシン「フッ」

セイバー「何がおかしい」チャキ

アサシン「いやなに、私のマスターなど、私が心配する必要などあるまい」

セイバー「ーーー?」

アサシン「私を呼び出したのは、厳密には魔術師ではない」

セイバー「………ッ!?まさか!ルールを破ったのか!」

アサシン 「まぁそういう事だ。お喋りはここまでにして…」

アサシン「始めようか」チャキ

アサシン「アサシンのサーヴァント。佐々木小次郎、参る!」ダッ






凛「セイバーが引き止めてくれているうちに、あのサーヴァントのマスターを探すわよ!働け!」

八幡「お前、俺一応英霊だぞ…」

キャスター「あら?誰を探すつもりなのかしら?」

凛「キャスターのサーヴァント!?なんで同じ場所に二体のサーヴァントが!」

八幡「まさか、こいつらも同盟を組んでるっつーことか?」

キャスター「同盟?まさか。馬鹿を言わないでちょうだい。私の手駒にすぎないアサシンが私と同等関係だと?」

凛「手駒?まさかアンタ、アサシンを召喚したの!?」

キャスター「ご名答。でも、それを知ってどうするのかしら?」

キャスター「どうせ死ぬのに」ブォオオオオン

ギャイン!ガィン!ギャイン!ズザァ…

セイバー(このアサシン、できる…。私との力の差を巧みな闘い方でゼロにしてくる)

アサシン「やはり楽しいものだなセイバー。死力を尽くせるというのは」

アサシン「そろそろその剣も本当の姿を現したらどうだ?」

セイバー「……」

アサシン「聞き入れぬか…」スッ

セイバー「…!わざわざ地の利を捨ててどういうつもりだ?」

アサシン「なに、無名とは言え剣に捧げたこの生涯。相手が本気で相対せぬというのならその信念」

アサシン「力づくでこじ開けようか」チャキ

アサシン「秘剣……」

セイバー(ッ!?マズい!!)

アサシン「燕返し!!」

キャスター「ほらほらほら!」ドドドドドド

八幡「ッ……」ガガガガガガ

八幡(やべぇ、真名全くわかんねぇ…)

凛「この!」シュッ

キャスター「ふん」バシィイ

キャスター「お返しよ」ボウッ

凛「ッ!まずーーー」

ドシュウウウウ!

キャスター(…やったかしら?)

八幡「ふぃー間一髪」

キャスター(くっ、あのサーヴァント、思ったよりも厄介ね。攻撃力はないにしろ、こっちの攻撃をほぼ無効にしてくる)

キャスター(狙うならマスターの方ね)

八幡「遠坂、衛宮、今のであいつは恐らくお前らに矛先を向けてくるはずだ。俺がこの場は引き受けるから逃げろ」

凛「解ったわ、衛宮君行くわよ」

士郎「いや、俺もここでアーチャーと敵を止める!遠坂は先に行ってくれ!」

凛「なにいってーー」

キャスター「ふっ」キュオン

凛「士郎!前!!」

士郎「ッ!しまっーー」

八幡「ぐっ」ドオオオオ…

士郎「あ、アーチャー!」

八幡「はやく、行け…」

士郎「でも……ッ!」

凛「あぁ、もうあんたがいると足手まといなのよ!行くわよ!」ガッ




アサシン「……間一髪かわされてしまったか」

セイバー「くっ…」

セイバー(危ないところだった。後少し避けるのが遅かったら、恐らく死んでいた)

凛「セイバー!」タッタッタ

アサシン「おや」

セイバー「凛!?アーチャーは?」

凛「キャスターを止めてるわ!分が悪いわ!今の内に脱出するわよ!」

セイバー「くっ、わかりました…」

タッタッタ

セイバー「…なぜ、今凛達に攻撃を加えなかったのです」

アサシン「そんな隙を見せたら、貴様はあっという間に私の首をとるだろう?」

アサシン「それにな、奥の手を隠している者に、マスターだけを殺して勝ったとしても何の喜びも感じん。次はその真の姿、見てみたいものだ」

セイバー「…アサシン、比例を詫びよう。私は貴方に対して侮りがあったようだ。代わりと言ってはなんだが、この聖杯戦争がどんな結末をつげたとしても、私は貴方と決着をつける」

アサシン「あぁ、楽しみにしている。…行くがいい」







八幡「わりかし今日は間一髪だったな」

凛「あら、生きてたの?」

八幡「おい、何で死んだ前提なんだ。むしろアレか。消えて欲しかったか?再契約のために」

凛「……」

八幡「おいそこで黙んな。ガチっぽいだろうが」

士郎「……アーチャー、すまなかった。俺のせいで余計な手間をかけさせてしまって」

八幡「あー気にすんな別に」

凛「いえ、気にするわよ。士郎、なぜ貴方は最初逃げ出さなかったの?」

士郎「俺は嫌なんだ。俺の目の前で誰かが死んでしまうのが」

凛「ちょっ、士郎。このクズは曲がりなりにも英霊よ?貴方が助けるまでもない存在だわ」

八幡「おい、けなすのか褒めんのかどっちかにしろ」

士郎「英霊かどうかなんて、俺には関係ない。ただ目の前で死にそうな人がいたら助ける。それだけなんだ。それが自分の力が到底及ばないものでも」

凛「……」

セイバー「……」

八幡「……」

凛「……説教はまた後日ね。とりあえず今日はいいわ。お風呂借りるわよ。夜も遅いし、今日は泊まってっていいかしら?」

士郎「あぁ、そうしてくれ。俺は明日の朝に入る」

凛「オッケーいきましょ、セイバー」

セイバー「い、一緒に入るのですか?」

凛「駄目かしら?」

セイバー「駄目ということはないですが…」

凛「それじゃ行きましょ」

士郎「さて、俺はいつもの鍛練でも…」

八幡「衛宮」

士郎「ん、呼んだか?アーチャー」

八幡「…少し、話がある。何でも独りでできると思っていた、とある馬鹿の話だ……」

これな

凛「あんたが私のサーヴァント?」八幡「…らしいな」
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凛「ーーーくん、ーーーみやくん、ーーー衛宮くん!」

士郎「あ、あぁ、どうした遠坂?」

凛「どうしたもこうしたもないわよ。昼ごはん食べに屋上に来たのに、お弁当開いて一口も食べずにボーッとしてるんだもん」

士郎「す、すまん」

凛「……昨日、なんかアーチャーと話したの?」

士郎「あ、あぁ、ちょっと、な…」

士郎「まぁ、それより今後の方針について考えよう」

凛「……ま、いいけど」

士郎「学校に貼られてる結界、本当にどうするんだ?もう仕掛けられてから4日も経っているんじゃないのか」

凛「えぇ…、発動するとしたらーーー」

ギュオオオオオオオオン!!

凛 士郎「!!」バッ!

士郎「この感じ、まさか!」ダッ

凛「あ、衛宮くん!待ちなさい!」ダッ






凛「コレはーーーー」

士郎「くそッ!遅かったか!」

凛「まずいわね、このままいけば倒れている人達全て死ぬわよ」

士郎「結界の術者を早く見つけるしかないってことか」

慎二「えぇ?誰を見つけるってぇ?衛宮ァ」

ライダー「……」

士郎「慎二!?」バッ

士郎「…まさか、コレはお前がやったのか」

慎二「ふひひっ、だったらどうすんのさ衛宮」

士郎「今すぐこの結界を止めろ」


慎二「あのさぁ、今の自分の立場を解ってるわけぇ?サーヴァントもいない状態でどうやって、僕に止めさせようってのさ」

慎二「やれぇ!ライダー!!」

ライダー「……」ヒュッ

士郎「ーー立場を解ってないのはお前の方だ」ギュオン

慎二「し、しまった!令呪か!?」

士郎「セイバー!!」

セイバー「ーーーはぁッ!」ギィン!

ライダー「くっ…」ズザァ

慎二「く、くそっ!」

士郎「慎二!」ダッ

慎二「く、来るな!!来るなよォ!!」ダッ

士郎「逃がすか!」バキィ

慎二「ぐぶっ…!」

士郎「さぁ、早くこの結界を止めろ!さもないとお前の首をこのままへし折るぞ」グググ

慎二「ぐ、クソぉ!ライダー!結界を止めろォ!」

ライダー「……」

シュウウウウウ…

セイバー「とまった、か…?」

ライダー「ーーふっ」ヒュッ

セイバー「!しまっーーー」

凛「士郎後ろ!」

士郎「ッ!?」バッ

ライダー「…無事ですか、マスター」

慎二「…ゲホッゲホッ!」

慎二「くそぉ、ライダー!お前の宝具でこいつらを殺せぇ!!」

ライダー「いえ、ここは退くだけにしましょう」ドスッ

凛「自分の首を自ら刺した!?」

ライダー「さぁ、行きますよ」バサァアアア

セイバー「まずい!士郎、凛!私の後ろに!!」

キュアアアアアアアア!



セイバー「…ふぅ、どうやら脱出の為だけに宝具を使ったようです」

士郎「それより、遠坂!この人たちはどうなるんだ!まだ助かるのか!?」

凛「えぇ、後は協会に連絡してやってもらいましょ」





凛「……何これ?」

八幡「なにって…、パンさんのぬいぐるみだが」

凛「見れば解るわよ、そんなの。なんでこんなものが家にあるのか聞いてんの」

八幡「お前等が学校に言っている間、家でゴロゴロしようと思ったけど、ちょっとパンさん欲しくなりたくなったからゲーセン行ってた」

凛「あ、アホかーーー!なんかいないと思ったら!」

八幡「いやお前いつもついてこいっつーくせに今日はついてこいって言わなかったじゃねえか。言わなきゃわかんねぇよ」

凛「そ、それにしてもどこに真っ昼間からゲーセンに入り浸る、バカな英霊がいるってのよ!」

八幡「ここにいんだろ」

凛「私達はあんたが遊んでる間、闘ってたのよ!」

八幡「いや、だからお前がついてこいって言わなかっただろ。てか令呪使えよ」

凛「衛宮君が使ったから私は使わなくても良かったのよ!」

八幡「え、じゃあなんで俺が怒られんの?」

凛「うるさい!」

八幡「やだこの子、理不尽」

凛「うるさい、黙れ!今日も夜の探索に行くわよ!さっさと準備しなさい!」

八幡「へいへい」






セイバー「……士郎」ピク

士郎「あぁ、見られてるな、何処からか」

八幡「誘ってんのか?」

凛「関係ないわ、こっちは二騎であっちは一騎のサーヴァントよ。どんな罠があっても突破できるわ」

八幡(同じようなこと言ってて、この前危ない目にあったんですがね…)

凛「なにか?」ギロ

八幡「いーや?」







セイバー「恐らくこの辺のはずですが…」

セイバー「!」ピク

ライダー「はぁあっ!」

セイバー「ふっ!」ギィイン

ライダー「ちっ…」ダッ

セイバー「逃がさん!」ダッ

士郎「遠坂!ライダーがいるってことは慎二も近くにいるはずだ!俺たちは慎二の所に行こう!」

凛「えぇ!」

八幡「……」ポツーン

八幡「あ、これ乗り遅れたヤツ?」








ギィン ガィイン ガシャア!!

セイバー「……」

ライダー(くっ、流石セイバーのサーヴァント。少々こちらの分が悪いですね)

八幡「……ふぃー追いついた」

八幡(一応宝具発動させとくか)

ライダー「ーーーこの一撃で形成を逆転させてもらいます!!」バサアァアアア

セイバー「宝具!」チャキ

ライダー「昼間の威力と同じとは思わないことです!」

八幡(しっかしあのサーヴァント…)

セイバー(まずい!アレは私も真名解放を持って討つしかない!!)

ライダー「騎英の!」

八幡(色々と…)

セイバー「約束されたーー」シュアアアア…

八幡『でけぇなぁ…』

ライダー「がはぁ!?」ブシャアア

八幡「へ?」

セイバー(隙がーーーー!)チャキ

セイバー「勝利の剣ッ!!」ブンッ!

ライダー「ぐあぁあああああああ!」シュウウウウウ…

セイバー「ーーーありがとうございます、アーチャー。貴方のおかげで約束された勝利の剣の出力を抑えることができた」

セイバー(これなら、自滅覚悟であと一発は打てる…)

八幡「え、あ、おう。気にすんな」

八幡(デカいことがあのサーヴァントのトラウマだったのか…?)

八幡「……」チラ

セイバー「アーチャー?どうしたのですか?」

八幡(無いよりはデカい方がいいと思うんだがなぁ)

セイバー「あ、なんか私の直感がアーチャーを殺せと告げています」

八幡「おちちゅけ、気のちぇいだ。遠坂達ひろってさっさと帰るぞ」

今日バーサーカー戦まで行きたかったけど無理かなぁ…







凛「初めてサーヴァントが脱落してから数日経つけど、どこも動きはないわね」

八幡「あぁ、そうだな。今日はどうすんだ?また夜になったら街探索すんのか?」

凛「他にすることないもの。…ってアレ、衛宮くんは?」

セイバー「士郎なら、先ほど散歩してくると言って出かけましたよ」

凛「あいつ、最近大丈夫かしら?よくボーッとしてること多いし」

八幡「……まぁ、そういう時もあんだろ」





士郎「……フゥ」

士郎(俺は、一体どうしたいんだろうな…)

イリヤ「どうしたの?ため息なんかついて」ヒョコ

士郎「いや、ちょっとな……」

イリヤ「ふーん?」

士郎「あぁ…」

士郎「……って、イリヤ!?」バッ

イリヤ「こんにちは、お兄ちゃん」ニコッ

士郎(な、なんでここに!?まずいセイバーを連れてきていない!)

イリヤ「そんなに焦らなくても大丈夫よ。今は別に闘いに来たわけじゃないもの」

士郎「え?」

イリヤ「少し、話さない?」

士郎「…話すって、聖杯戦争のことか?」

イリヤ「ちーがーうー!士郎の事。士郎がどうやって生きてきたのか知りたいの」

士郎「俺の事なんか知っても何の得にもならんぞ?」

イリヤ「いいの別に。話してよ」

士郎「…まぁ、じゃあ……」







イリヤ「…ふーん、士郎は切嗣に救われて今の士郎があるんだ」

士郎「そうだな。切嗣に近づいて、正義の味方になることが俺の夢なんだ」

イリヤ「そっか…」

士郎「…イリヤは」

イリヤ「え?」

士郎「イリヤは、どうなんだ?俺の事は話したぞ。次はイリヤの番だ」

イリヤ「私のこと、か…」

イリヤ「ね、士郎。じゃあ今から家に来る気はないかしら?」

士郎「イリヤの家にか?」

イリヤ「そう。…やっぱ敵同士だから、ダメ、かな…?」

士郎「いやイイよ、行くよ。イリヤは闘いに来たわけじゃないって言った。俺はその言葉を信じたい」

イリヤ「ほんと!?じゃあ行こっ!」






士郎「ここか。本当に城みたいな所だな」

イリヤ「ふふーんそうでしょ。さ、入って入って。お話しよ」






士郎「…そんなことがあったのか…」

イリヤ「うん、だから切嗣は私の事を裏切ったんだと思ってた。でも士郎の話聞くと、何も切嗣は変わってないんだなぁって思った」

士郎「あ、あぁ。切嗣が時々いなくなってたのは多分、イリヤを迎えに行ってたんだ」

イリヤ「そっかぁ…」

イリヤ「…私はじゃあ、どうすればいいんだろうね……」




イリヤ「ねぇ士郎」

士郎「ん?」

イリヤ「ここで、暮らさない?一緒に。聖杯戦争なんか放り出して」

士郎「イリヤ……?」

イリヤ「どうかな」

士郎「………ごめん。それはできない。俺は、聖杯を悪用する奴に渡したくないし、遠坂とこの聖杯戦争を勝ち抜くって約束してるんだ」

イリヤ「…………」

士郎「ごめん」

イリヤ「…そっかぁ。士郎も、そうやって、私の事を捨てるんだぁ」

士郎「!?」ゾクッ

士郎(雰囲気が変わった!?マズい!)ダッ

イリヤ「…逃がさないよ、士郎」







士郎「ハァハァ」ダッダッダ

セイバー「士郎!?」

士郎「セイバー!なんでここに?」

凛「それはこっちの台詞よ!やけに遅いと思ったらこんなとこで何してんのよ!」

士郎「う、すまん…」

八幡「遠坂、そんなこと言ってる場合じゃねぇ。とっとと逃げんぞ」

イリヤ「逃がさないって言ったじゃない」

士郎「!!」バッ

イリヤ「行くよ、バーサーカー」

バーサーカー「■■■■■■■■■ーーーー!!」

セイバー「士郎、凛!私達の後ろに!」

八幡「…やるしかねぇか」

イリヤ「二人がかりだろうがバーサーカーを止められるわけないじゃない。狂いなさい、バーサーカー」

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■ーーー!」

セイバー「なっ…!」

凛「あのバーサーカー、まだ狂化してなかったって言うの!?」

凛「衛宮くん、早く離れるわよ!」

士郎「……」

バーサーカー「■■■■■■■■ーー!」ガィイン

セイバー(くっ、強すぎる…!このままではやられてしまう)ギィイン

セイバー(使うしかないのか…?)チャキ

セイバー(いや、ダメだ。約束された勝利の剣を使ったところでこの英霊の全ての命を削りきれるとは思えない)

バーサーカー「■■■■■■■■■ー!」ゴシャア

セイバー「ぐぁっ…」ズザァ…


士郎(セイバーが押されている。このまま行けば、誰の目から見てもセイバーの敗北は明らかだ)

士郎(セイバーが消えてしまう…?)

士郎(駄目だ、そんなことは駄目だ。俺のせいで、俺の前で誰かが死ぬなんて、そんなことは許されない)

士郎(思いだせ。夢で見た、あの剣を。そして創りだせ、あの剣をーーーーーー!)ダッ

凛「衛宮くん!?」

士郎「…投影、開始」

バーサーカー「■■■■■■■■■ーー!!」ブン!!

八幡「ぐっ…!」ズシャアア

セイバー「うぁっ…」ズシャアア

イリヤ「トドメよ、バーサーカー」

バーサーカー「■■■■■■■■■ーーー!」グアッ

セイバー(ッ!まずい!)

士郎「うぉおおおおおおお!!」ザシュ

バーサーカー「■■■■■■■■ー!」

八幡「!?」

セイバー(あの剣は…!)

イリヤ「な…!?バーサーカーの腕を斬った!?いや、それよりーー」

凛(な、なんなの!?あの魔術!等価交換が全く存在していない!それに宝具を創りだすなんて、聞いたことがない!)

士郎「あぁあああああああああ!」ギィイン

バーサーカー「■■■■■■■■■ーーー!」ガィイン

イリヤ「う、嘘でしょ…?バーサーカーと打ち合うなんて」

凛(魔術師の芸当じゃない…!でも、アレだけの第魔術、そう長くは……)

士郎「くっ…!」フラッ

バーサーカー「■■■■■■■■■ーーー!」

セイバー「士郎!」ガシッ

セイバー「私ならこの剣の真名解放をすることができます!一緒に剣を握ってください!!」

士郎「あぁ、わかった!!」

セイバー「勝利すべき黄金の剣ッ!!」

ギュアアアアアア!!

バーサーカー「■■■■■■■■■ーーー!」

セイバー(どうだ…?)

イリヤ「嘘でしょ!バーサーカーが一撃で4回も殺された!?」

士郎「ぐっ……!?」ドサ

セイバー「士郎!」

凛(魔術の反動…!)

イリヤ「バーサーカー!士郎から先にしとめなさい!」

バーサーカー「■■■■■■■■■ーーー!」グォオオオ

セイバー(マズい、護りきれなーーー)

八幡『ーーーヘラクレス』

バーサーカー「■■■■■■■……?」ピタッ

イリヤ(バーサーカーの動きが止まった…?)

八幡『…お前は、大英雄と呼ばれながら、結局は妻から送られてきた下着によって死んだ、恥辱まみれの死に様だ』

バーサーカー「■■■■■■■■■!?」ブシャアアア

イリヤ「な、なんでバーサーカーに精神攻撃が効くの!?」

八幡(当然だ。理性を失おうが、この宝具は相手の心、本能に訴えかける宝具。動いているものはなんであれ本能がある。効かない道理はない)

八幡(だが……)

イリヤ「あ、あはは。バーサーカーを合計で八回も殺すなんて驚いたけど、もうそっちには打つ手がないんじゃないかしら?」

イリヤ「バーサーカーは、一度受けた攻撃じゃ、絶対に死なない」

セイバー(…………)

八幡(さて、どうするか…)

セイバー「…アーチャー、耳を」

八幡「あ?」

セイバー「……」ゴニョゴニョ

八幡「!?……お前」

セイバー「しょうがないです。ここから皆が生還するにはこれしかない。お願い、できますか?」

八幡「……」

セイバー「貴方にしか頼めないことです」

八幡「……わかった。攻撃はなんとか食い止めておくから、せめて衛宮になんか言っとけよ…」

セイバー「はい。ありがとうございます」ニコ

八幡「……」ダッ

イリヤ「相談は終わりかしら?滅ぼしなさい、バーサーカー!」

バーサーカー「■■■■■■■■■ーーー!!」ドォ!

八幡「ぐっ、おっ……!」

セイバー「……」ザッザッザ

士郎「…セイバー?どうしてこっちに来るんだ?早くアーチャーの援護をしないと……!」グググ…

凛「無茶よ、体ガタガタじゃない!大人しく寝てなさい!」

セイバー「…士郎、伝えたいことがあります」

士郎「え…?」

セイバー「短い間でしたが、私は、貴方のような真っ直ぐなマスターに会うことができて、とても幸せでした」

士郎「おい、セイバー…?何言ってんだよ」

セイバー「貴方は、その真っ直ぐさを見失わないでください」

士郎「セイバーー!」グググ…

セイバー「そして願わくば、貴方は独りにならないでください。独りぼっちで成し遂げたモノには、何も残りません……」

士郎「だから、なんで……ッ!なんでそんなお別れみたいなこと言うんだよォ!」

セイバー「凛、士郎を任せました」

凛「…えぇ、解ったわ」

セイバー「さようなら、士郎。本当に、私は幸せでした」ダッ

士郎「セイバァアアアアアア!!」

八幡「…くっそ……ッ」ハァハァ

イリヤ「驚いたわ。まさか、バーサーカーの攻撃をここまで耐え切るなんて」

イリヤ「でも、もう終わりね。トドメよ、バーサー……」

セイバー「アーチャー!そこから離れてください!!」

八幡「…待ち、くたびれたぜ……」トッ

セイバー「約束されたーーー」シュアアアアア…

イリヤ「まずッーーー」

セイバー「勝利の剣ーーーッ!!」

ドギュアアアアアアアア!!

バーサーカー「……見事だ、騎士王と孤高者よ。どうか、この娘をたの…む…」シュウウウウウ…

セイバー(さようなら、士郎ーーー)シュウウウウウ…

イリヤ「バーサーカー、負けちゃったの…?」ガクッ

士郎「セイ、バー……」ガクッ

凛「ちょっ、衛宮くん!?イリヤ!?」







??「ふん、彼女を失ったか」

桜「あの、やっぱり助けに入った方が良かったんじゃ…」

??「前にも言っただろう?桜。私は今の異常な聖杯によって召喚されたイレギュラーサーヴァントだ。サーヴァント戦になり、魔力を感知されたら直ぐに消されてしまう」

桜「はい…、そうでしたね……」

??「…すまんな」ニガワライ

桜「あ、いえ!別にそんなことは」

??「…さて、帰ろう。これ以上ここにいるとあのアーチャーに見つかりかねん」

桜「はい、解りました。行きましょう」

桜「フェイカーさん」

ーーーーーー体は剣でできている

……なんだ?

血潮は鉄で 心は硝子。

……誰かの、記憶…?

幾たびの戦場を越えて不敗。

……いや、違う。

ただの一度も敗走はなく、

……記憶っていうよりは、

ただの一度も理解されない。

……コレは、

彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う。

……心の中。

故に、生涯に意味はなく。

……生きてきた証の全て。そいつの世界だ。

その体は、きっと剣で出来ていた。

士郎「…ここは……?」

士郎(空には巨大な歯車。そして地面には墓標の様な剣の数々)

フェイカー「気づいているのだろう?察しの通り、此処は私の世界だ」

士郎「…アンタは、誰なんだ……?」

フェイカー「ふん、その質問に答えることはできん」

フェイカー「逆に私の質問に答えてもらおうか」

士郎「……?」

フェイカー「衛宮 士郎。貴様はまだ聖杯戦争を続けるつもりでいるのか?」

士郎「……あぁ」

フェイカー「それは何故だ?貴様はサーヴァントを失った。そして貴様は魔術師としては半人前以下だ。そんな貴様がこれ以上参加して何の意味がある?」

士郎「俺は、聖杯を悪用する奴に渡したくないんだ。だから俺のできる限りで遠坂をサポートしたい」

フェイカー「サポートなどと言って、またすることはお得意の自己犠牲か?」

士郎「……違う」

フェイカー「何?」

士郎「俺は、【助ける】だけなんじゃない。【助け合い】たいんだ」

フェイカー「…それは何故だ?」

士郎「俺の知り合いにさ、アーチャーって変な奴がいるんだけど、そいつが言ってたんだ。「確かに独りでも救えるモノはある。皆がいるから全部救えるっての幻想だ。……だがな、独りで成し遂げた後は、周りの人々は救えない」ってさ」

フェイカー「……」

士郎「最初は考えた。その言葉の意味が解らなくて。でも、この前の事で解った」

士郎「セイバーは、確かに俺たちを救ってくれた。でも俺たちの、皆で帰還するっていう思いは、救ってくれはかった」

士郎「こんなこと、我儘だって解ってる。あの時他に選択肢が無かった事も」

士郎「でも俺は、また皆で集まりたいと思った。助けられるだけは嫌だと思った」

士郎「でも同時に、俺がしようとしていることは、そういうことなんだって解った」

士郎「あんな思いは二度としたくないし、救おうとしてる周りの人たちにもさせたくない」

士郎「だから俺は、【助け合い】たいと思った」

フェイカー「そうか……」

士郎(そう呟いた、赤い外套を着た男の顔は、少し哀しそうだったが確かに笑っていたと思う)

フェイカー「貴様の答えは解った。だが助け合うにも、貴様自身の力が無ければまた助けられるだけだ」

士郎「それは…」

フェイカー「なので稽古をつけてやろう。かかってこい」

士郎「え?」

フェイカー「見様見真似で投影しろ。脳の回路を常にフル回転させろ。魔術回路が焼き切れる一歩手前まで魔術行使をしろ」

フェイカー「それら全てを意識したところで、貴様にできることなど一つだけだ」ジャキ

士郎「…投影、開始」フォオオン

士郎(奴の手に握られているのと同じ。白黒の中華剣を投影する)

フェイカー「行くぞ。ーーーーついてこれるか」

士郎「…当たり前だ!!」ダッ

ガィイイン!!





桜「ーーーい、ーーーぱい、ーーー先輩?」

士郎「ん、んぁ?」

桜「おはようございます」ニコ

士郎「あ、あぁ。お早う桜」

士郎(ここは道場か。戦いが終わった後に遠坂が家まで運んでくれたのか…)

士郎「しっかし、桜よく俺がここにいるって解ったな」

桜「え?いや、あの、フェイカーさんが…じゃなくて。土蔵も先に行ったんですが、いなかったので此処かな、と…」

士郎「そうか手間かけさせちゃったな、ごめん。ご飯作ろう」

桜「はいっ」






士郎「よっ、遠坂。今日の昼ちょっといいか?話があるんだ」

凛「え、えぇ、いいわよ」





凛「ーーそれで、話って?」モグモグ

士郎「遠坂はいらないっていうかもしれないどさ、俺は」

凛「聖杯戦争を続けるって言うんでしょ?」

士郎「え?」

凛「解ってるわよ、そんなこと。目を見れば」

士郎「そっか。じゃあ俺はまだ遠坂と一緒に戦っていいのか?」

凛「どうせ言っても聞かないんでしょ。好きにすれば」

士郎「…ありがとな、遠坂」

凛「いいわよ、別に」

凛「それより、今後の方針よ。残るはキャスター、アサシン、ランサー、粗大ゴミの4騎よ」

八幡「ちょっと?クラス名違くないですか」

凛「問題はランサー単騎より、キャスターアサシンコンビね。しかも柳洞寺にこもっているから、正面突破ではサーヴァント数が少ないこっちが分が悪いし、真名も解ってないまんまだわ」

士郎「じゃあ、今はランサーか?」

凛「そういいたいところだけど、ランサーとキャスター達が潰し合うのを待った方がいいわね。残った方を私たちが潰すわよ」

士郎「そうか。…そういやイリヤはどうしてるんだ?」

凛「あぁ、あの娘ならウチで預かってるわよ。昨日から「士郎の家に泊まるー!」って煩いから今日そっちに持ってくわ」

士郎「物じゃないんだぞ…」







イリヤ「わーい!士郎の家だー!」

士郎「こらこら、あんまはしゃぐなイリヤ」

凛「さて、夜になったことだし、何処か身を隠す場所を考えましょうか」

キャスター「あら、その必要はないわよ?」

八幡「!?」バッ

凛「キャスター!?なんでここに!」

キャスター「あはは。セイバーのいない貴方達なんて私一人で足りるわよ」

ランサー「ーーって、同じ事を考えてる奴がいるとは考えなかったか?」

キャスター「なっ、ランサー!?」

ランサー「よぉ」

士郎「…遠坂、どうするんだ。二人相手は今の俺たちの戦力じゃ…」

凛「いや、逆にチャンスよ。いくら私たちを狙ってきたとはいえ他陣営のキャスターを放っておくとは思えない。その隙にーー」

言峰「いいや、凛。誰も逃がさん」

凛「き、綺礼!?ま、まさかあんたがランサーのマスター!?」

言峰「その通りだとも」

ランサー「…俺のマスターは表にでて来ないのが信条だと思っていたんだがな」

言峰「もう聖杯戦争も大詰めなのでな。これ以上姿を隠す必要がないと思っただけだ」

凛「ふん、あんたさっき誰も逃がさないとか言ってたけど、ランサーだけでここにいる二騎を倒すつもりかしら?」

言峰「いいや、倒すのは彼ではない。なぁ…」

言峰「ギルガメッシュよ」

ギル「ふはっ。王の財宝!!」ドドドドドドド

ランサー「!?」

キャスター「キャアアアアアア!」シュウウウウウ…

八幡「ぐあっ…!」ガガガガガガ

言峰「…紹介しよう。彼が私の本当のサーヴァント。ギルガメッシュだ」

八幡(ギルガメッシュ…。古代ウルクの王か…!)

ギル「ほぅ…?そこの雑種、我が宝物をまともに受けて立っていられるとはな」

八幡「はっ…」

八幡『ギルガメッシュ』

ギル「ぬ?」

八幡『お前は唯一の友の忠告を聞かず、フンババ退治をし、それを原因とし、その親友を死なせてしまった』

凛(バーサーカーすら4度殺したアーチャーの宝具。これを受けて立っていられる英霊なんてーーー)

ギル「ふはははははは。はーはっはっはっはっは!」

八幡「なっ……!?」

凛「効いていない…?」

ギル「確かにその宝具なら狂戦士相手にでも通用するだろう。だがな、侮るなよ。我を誰だと思っている?」

ギル「自らの過ちごときで狼狽えていて、世界の全てなど背負えぬわ!!」

士郎「なんって、英霊だ…」

八幡(本格的にマズいな。光の神子と英雄王を同時に相手にすんのか…)

ギル「さて、もう終わりか?ならば死ね」スッ

ランサー「……テメェがな」ヒュッ!

ギル「なにっ!?」ギィイン!

八幡「!?どうなってんだ…」

言峰「ランサー貴様、聖杯を前にして裏切るのか…?」

ランサー「どの口が言ってんだテメェ。道理でおかしな令呪を使うと思ったぜ。最初から俺は諜報役だったってわけだ」

ランサー「それにな聖杯なんぞに興味はねぇよ。俺が望むのはただ一つ。強敵との戦いだけだ」

ランサー「ここまでバカにされて黙ってられるかよ、来いよ英雄王」

ギル「はっ。抜かすなよ猛犬風情が」

凛「なにが起こってるかわかんないけど、逃げるなら今の内よ!衛宮くん!イリヤ!」

士郎「あ、あぁ!」

言峰「おっと、器を置いて行ってもらおうか」ヒュ

イリヤ「きゃあ!」

士郎「イリヤ!!」

凛「ダメよ!衛宮くん!今は逃げることに専念しなさい!!イリヤを助けたいなら後よ!」

士郎「くっ、そぉっ…!!」ダッ







凛「…ふぅ、私の家なら衛宮君の家よりは安全でしょ」

八幡「あぁ、だが急がねぇとマズイな。あいつら器とか言ってたが、聖杯を起動させるつもりだ。遠坂、この町で一番の霊脈地はどこだ」

凛「柳洞寺ね。でも、場所が解ったところで…」

八幡「あぁ、あいつをどうするか、だな」

士郎「ーーー俺がやる」

凛「ちょ、ちょっと衛宮くん!?確かに貴方の前の宝具投影は別次元だと思ったけど、今度の相手はその宝具全ての原典を持つ者よ?少なくとも魔術師が対抗できる相手じゃないわ!」


士郎「遠坂、信じてもらえないかもしれないけど、俺は夢をみたんだ。ある男の心情世界の夢を。なんでかわかんないけど、その世界は、俺にも再現できるって思うんだ」

凛「心情世界…、固有結界……?」

士郎「確かに他の魔術師なら相手にすらならないだろう。だけど、俺だったらその限りじゃない。頼む遠坂」

凛「……はぁ。いいわ、信じてあげる。どっちみち他に策なんてないもの」

凛「私の部屋に来て。魔術刻印を移植するわ」





士郎「…凄い、今なら投影の10や20は軽くできそうだ」

八幡「……じゃあ行くか」

八幡「最終決戦だ」







フェイカー「…さて、そろそろか」

桜「フェイカーさん、行っちゃうんですか…?」

フェイカー「桜……」

桜「イヤです。サーヴァント戦になったら消されちゃうんですよね?行かないでくださいよ!」

フェイカー「桜、君はもっと周りの人を頼る事を覚えた方がいい。無論、それは私ではない」

フェイカー「あの小僧は、一歩前に進んだ。君はそのままか?」

フェイカー「君を救うのは私じゃないんだ。今を生きている奴を頼ってくれ」

桜「フェイカーさん……」

フェイカー「じゃあ、行ってくるよ桜」ニコ

桜「!?せんっーーー?」

八幡「この上にあいつらがいんのか」ダッダッダ

凛「えぇ、間違いないわ」

士郎「!あれはーー」

アサシン「おや」ゼェゼェ

凛(もう、消滅寸前だわ)

士郎「アサシン、すまん。俺が未熟なせいでお前のセイバーとの再戦を叶えてやれなかった…」

アサシン「いいや、私もこのざまだ。人のことに文句は言えんよ…」

アサシン「だが欲を言うなら、もう一度、戦いたかっ、た……」シュウウウウ…

士郎「……遠坂、先を急ごう」

凛「えぇ…」





ギル「ふはははははは!よく来たな雑種共。そのまま逃げ続けるままだと思っていたぞ」

凛「それじゃあアーチャー、士郎。ここは任せたわよ」

士郎「あぁ、イリヤを頼む」

ギル「…さて、此度の聖杯戦争の最後の戦いは貴様らか。些か役者不足のような気もするがしょうがあるまい」

士郎「アーチャー、任せたぞ」

八幡「あぁ、俺の後ろに」

ギル「王の財宝!」ドドドドドドドド

八幡「ぐっ…!!」

ギル「ふはははは!どこまで耐えられるか試してみるがいい!」

士郎「……」フゥ

士郎「ーーーーーー体は剣で出来ている」

……あいつの詠唱はあいつの生き様そのもの

士郎「血潮は鉄で 心は硝子」

……だが俺はまだあいつのように歩みきっていない

士郎「幾たびの戦場を越えて不敗」

……だからこれは誓い

士郎「ただ一度の敗走もなく、ただ一度の後悔もなし」

……その通りに歩むという、誓い

士郎「担い手はここに独り。されど剣の丘で勝利を分かつ」

……できるかどうかなんて関係ない

士郎「全てを救おうと、藻掻いた道化の体は…」

……絶対に歩みきる

士郎「確かに剣でできていた!!」

シュアアアアアーーー

ギル「ぬ?」

八幡「きたか…」

士郎(雲一つない、ビー玉のように透き通る空。それとは対照的に、地面に刺さる墓標の様な剣の数々)

ギル「固有結界、か…」

士郎「そうだ、これが俺の世界だ英雄王」

ギル「それで?こんなみすぼらしい偽物だらけの世界で何をしようと?」

士郎「確かに、この世界にある物は全て偽物だ。…だがな、偽物が何かを救えない。なんて道理はない」

士郎「英雄王、お前が本物で世界の全てを背負ったというのなら、俺は目に映るもの、全てのモノを救う」

士郎「…アーチャー」

八幡「はっ…」

士郎「行くぞ英雄王ーー」

八幡「ーー本物の貯蔵は充分か」

ギル「はっ!思い上がるなよ、雑種共!!」

書きだめつきた。今日中に終わるかな

ギル「王の財宝!」ドドドドドドド

士郎「うおおおおおお!!」ドドドドドドド

ギル「そらそらそらぁ!追いつけるか!」

士郎「追いつけねぇわけねぇだろ!」

ガギィイイイイン……

ギル「ほぉ、なかなかやるではないか。贋作だらけの雑種のくせにな」

士郎「はっ、この程度かよ。英雄王」

ギル「我は挑発には死を持って返すぞ?」パチン

士郎「!!」

士郎(さっきとは段違いの量!相殺しきれるか…!?)

ギル「ふははははははははは!」
ドドドドドドドド

士郎「くっ……!」ドドドドドドドド

士郎(!一本とりこぼしーーー)

ギル(仕留めた…!)

八幡「ふっ」ドゴォ

ギル「!」

士郎「アーチャー!」

八幡「おーいってぇー…」

八幡「取りこぼした分は、俺が防いでやるから、お前は攻撃だけに集中しろ」

士郎「……!あぁ、解った」

ギル「ふ、ふはは……あははははははは!」

八幡「……?」

ギル「まさか本当に、我の宝物の数々の直撃をそれだけ受けて、立っていられる英霊がいるとはな!!」

ギル「…興が乗った」ズズズ…

ギル「見せてやろう、覇者の剣を」

士郎「ッ!アーチャー!!」

八幡「なんだ、どうした?」

士郎「あれはマズい!俺でも解析ができないんだ!!」

八幡「そうか。あいつの本当のとっておきってわけか」

八幡「ならこっちも最後の宝具を使うしかねぇだろ。遠坂!」






凛(来たっ。アーチャーからの通信…!)

凛「令呪をもって命ずる!」

言峰「ぬ…?」

言峰「サーヴァントを呼ぶつもりか。させん!」ヒュオ

凛「させるわよ!」ボゴォ

言峰(宝石による目くらまし…!)

凛「アーチャー!最後の宝具を使用しなさい!!」





八幡「……さんきゅー遠坂」

ギル「ではな。天地乖離す開闢の星!!」

ギュアアアアアアアアアアア!

八幡「……」スッ

八幡「本物だろうが王だろうが、俺たちが創りあげた本物が…」

八幡「てめぇごときの三流宝具に!」

八幡「劣るわけ!ねぇだろうが!!」

八幡「三狐願う届かない葡萄!!」

キュオオオオオオオオオオ!!

士郎(……その宝具は、光だった。何よりも壊れやすく、何よりも儚いはずなのに、何よりもあたたかい、そんな光)

ゴシャアアアアアアアア!

ギル「ば、バカな!エアを防ぎ切ったというのか!?」

八幡「衛宮ァ!」

士郎「あぁ!」ダッ

ギル「ぬおっ!?」

士郎「おあぁああああああ!」ブン!

ギル「ぐっ、おのれぇ!」ギィイン!ガィイイン!

士郎「あぁあああああああ!!」

ギル(間に合わなーーー)

ドスッ

ギル「ぐぶっ…」

士郎「……」ハァハァ

シュアアアアアアアアアーーー

士郎「く、そっ…」

士郎(魔力切れ……!)

ギル「ここまで来たのに最後で魔力切れか。つまらん末路よ」ハァハァ

ギル「せいぜい誇れ。この英雄王に本気を出させたことを」スッ

士郎(くっ、まずい…!)

八幡(間に合わねぇ!)ダッ

フェイカー「……死にたくなければ右に避けろ。衛宮 士郎」ヒュッ

士郎(!この声は…!)

ギル「がっ…!?」ドス

ギル「お、おの、れぇえええ」シュウウウウウウ…

八幡「……勝った、のか…」

士郎「あ、あぁ」

八幡「しかし、最後に弓が飛んできたのは誰の仕業なんだ?」

士郎「…わからない、今はとにかく遠坂の所に急ごう」





言峰「なかなか粘るな、凛よ」

凛「当たり前、でしょうが…ッ!」ハァハァ

言峰「だがここまでだ。死ね」ヒュ

凛(く、そぉ…!)

ドス

言峰「がはっ…!?」

凛「え……?」

フェイカー「ふん。手を貸すのはどうやらここまでのようだ。精々生きてみせろ。衛宮 士郎」シュウウウウウウ…

凛「チャンス…!」

言峰「ぬっ……!」

凛「“l・・t”――――!」ドス

言峰「が、はっ…」バタッ

凛「なんとか勝てたわね…。それにしても今の弓矢を一体誰が…」

士郎「遠坂ーーー!無事かーーー!?」

凛「…まぁ、いっか」

凛「えぇ無事よ!そっちも勝ったみたいね!」

士郎「まぁなんとかな。…イリヤは無事なのか?」

凛「えぇ、気を失ってるみたいだけど無事みたいよ」

士郎「そうか、よかった」

八幡「んじゃ、互いの安否がとれたところで…」

凛「えぇ。最後の大仕事よ」

八幡「聖杯を浄化する」

凛「…破壊じゃなくて、浄化なの?」

八幡「あぁ、三狐願う届かない葡萄は、対象とした物の攻撃を完全に防ぎ、浄化する」

八幡「それは今の聖杯でも例外じゃねぇはずだ」

八幡「…重ねがけで使え。最後の令呪だ」

凛「えぇ。……アーチャー、私貴方みたいな捻くれ者と、この聖杯戦争を戦い抜けてよかったわ」

八幡「褒めんのか貶すのかどっちかにしろよ。…まぁ後半部分は共感してやるよ」

凛「…素直じゃないわね」クス

八幡「うっせ」

凛「令呪をもって命ずる!宝具をもって聖杯を浄化しなさい!」

八幡「あぁ」ギュアアアアアアア

凛「重ねて令呪をもって命ずる!聖杯を、浄化しなさぁあい!」

八幡「うぉおおおおおおお!」ギュアアアアアアア!

八幡(ーーあぁホントだよ。お前みたいなマスターと出会えて良かった。おかげで思い出しちまった、あいつらとの思い出を…)

八幡(できることなら、もう一度だけ、一日でもいいから、あいつらに会いてぇなぁ…)

シュアアアアアアアアア…








イリヤ「しろー!お醤油とって!」

士郎「ん」スッ

イリヤ「ありがとー!」

桜「じゃあ先輩、行ってきますね」

士郎「おう、俺は後少ししたら行くよ」

桜「はい、また夜来ますねっ」ニコ

士郎「……ッ」ドキ

イリヤ「あーー!士郎桜にデレデレしてるー!」

士郎「ば、馬鹿いうなイリヤ!」

イリヤ「だって今顔赤かったもん」

士郎「気のせいだ!」

士郎(でも桜は、最近相談事をよくしてくれるようになった。後、前より強くなったみたいな感じがして、それでいて、前よりも綺麗になってると思う…)

士郎「はっ!いかんいかん!桜は同級生の妹!それだけだ!」

イリヤ「私は?」

士郎「本当の妹!それだけだ!」

イリヤ「ちぇっ」

士郎「じゃあ行ってくるイリヤ。今日はバイトないから帰るのは早いと思う」

イリヤ「ほんと!?やった!」

士郎「じゃあ行ってきまーす」

イリヤ「行ってらっしゃーい」ブンブン







士郎「お…?」

凛「よっす」

士郎「待ってたのか?」

凛「ま、そういうこと。感謝しなさいよ、学校一の美人生徒と登校できて」

士郎「自分で言うのか…」

凛「いいでしょ、別に」

士郎「まぁな、そっちの方が遠坂っぽい」クス

凛「…どーゆう意味?」

士郎「ま、まぁそれは置いといてさ」

凛「……」ムス

士郎「あの聖杯は、一体誰が使ったんだ?」

凛「え?」

士郎「ずっと気になってたんだ。アーチャーの宝具で聖杯を浄化したんだったら、あの聖杯は元の願望器に戻ったはずだろ?じゃあ、あれは誰が使ったんだ?」

凛「確かに…、一体誰が……」







いろは「ーーーい、ーーーぱい、ーーーせんぱーい」

八幡「……ん、あぁ」ゴシゴシ

八幡「……どこだここ」

いろは「どこだじゃないですよー。今日は生徒会のお手伝いしてくれるって約束でここにきてくれたんじゃないですかー」プンプン

八幡「……いろは?」

いろは「へ?」

八幡「あ」

八幡(やべ、この時代ではまだなのか)

いろは「ちょ、ちょっと先輩?いきなり何を名前で呼んでるんですか。いきなり積極的になるとかずるすぎてあざとすぎます。そういうのは私の特権なんで、また名前で呼びたいのなら今週末デー……」


八幡「わり、一色。用事思い出した。今日は帰るわ」ダッ

いろは「え、ちょっ!せんぱい!?」

いろは「……」

いろは「…いろはでいいのに」

八幡「……」ダッダッダ

八幡(いろはがいるって事は、高校だ。ていうことは会えるんだ、またあいつらに)

八幡「……」ハァハァ

八幡「……」ガラッ

結衣「…ん?あっ。やっはろー!ヒッキー!」

雪乃「こんにちは比企谷くん。生徒会の手伝いはもういいのかしら?」

八幡「……」ポロポロ

結衣「え、ちょっヒッキー!?」

雪乃「ど、どうしたの?体調が悪いなら今日は帰ってもいいわよ?」

八幡「……いや、悪ィ。なんでもねーよ」

八幡「……ただいま」

結衣 雪乃「……」ポカン

結衣 雪乃「……」クスッ

結衣 雪乃「おかえり」

ーーーfinーーー

やっと終わりました!前スレからの人も今スレからの人もお付き合いいただきありがとうございました!後、前スレとの違いは平塚先生の拳骨の威力だったり、柳洞寺に行く経緯が変わってたりそれだけです!

アゾット剣文字化けしとるやんけ。そしてなんだかんだ一人もサーヴァントを倒してない八幡

カタカナで打つべきだったなぁ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年10月18日 (日) 17:26:12   ID: L8lwB6cI

いやちょっと流石にキモイわ
最近俺ガイルの主人公持ち上げてる奴多すぎて吐き気してくる

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