モバP「儚い線香花火と永遠の君。」 (42)

モバP「元カノのプロデューサーになった。」

モバP「元カノのプロデューサーになった。」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1427127218/)

の過去話です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1436598440



「「かんぱーい!」」

「いやー、今週もお疲れ様でした。」

「こうして最近ちひろさんと週末に二人で飲むのが習慣になりましたね。」

「たまには違う人でも呼びますか?例えば菜々さんとか。」

「ちひろさんや。菜々はぴちぴちの17歳ですよ。」

「そうでしたね。そういえばPさんは菜々さんと付き合ってたんですよね?」

「そうですよ。」

「菜々さんと付き合った経緯とか詳しく教えてもらいたいです。」

「いいですよ。」

「やけに素直ですね。もっと渋るかと思ってました。」

「たまには俺も吐き出したいんですよ。お酒の席ですしアイドルはいないし、いいかなって。」


そう言いながら俺はビールをあおった。炭酸でのどが熱くなる。

そういえばあの夏もこんな経験したな。


菜々は俺のクラスメートだった。

当時は安部さんって呼んでいたな。

あの感覚は一目ぼれってヤツだったのかな。

とにかく体中に電流が走る感じ。熱を帯びる感じ。

小さい体でパワフルで、なんだか守ってあげたくなるような感じ。小動物系ってヤツなのかな?

とりあえず安部さんに近づきたくて色々したな。

今のスカウトのためのコミュ力はここに由来してるのかもな。

そんな感じのTHE男子高校生みたいな高校時代だったな。

今思うとすごく青春してたな。懐かしくて涙が出そうだ。



安部さんはクラスの文化祭の実行委員をやっていた。

俺もそれに入った。安部さんと仲良くなるという目的で。

下心がたくさんあったな。

その結果夏休み二人で作業することが多かった。

安部さんは器用だから小道具の飾りつけ。俺は大道具を担当した。

頼りになる男ってところを見せてたつもりだったけど成功してたのかな?

楽しかったな。やってる当時は気がつかなかったけど全力で生きているって感じだったな。



文化祭の準備で俺は毎日学校に行っていた。

大体のヤツは部活にはいっているので安部さんと俺の二人きりの日が何日もあった。

文句の一つや二つあったかもしれないが俺には都合がよかった。

その日も学校に向かうため自転車に乗っていた。


「熱い…。」


太陽は容赦なく照りつける。

セミの声に押しつぶされそうになる。

しかしそんなことは気にならない。


「おはよう。今日も頑張りましょう。」


安部さんが笑顔で挨拶してくれる。それだけで俺はいくらでも頑張れる。

なんて高校生を拗らせすぎたかな?



汗だくになりながら作業していると途中で安部さんが差し入れをしてくれたな。


「Pくん。はいこれ。一緒に休憩しましょう。」

「お、ありがとう。わかった。今行く。」


平静を装いながら安部さんからサイダーを受け取る。

心臓が張り裂けそうだった。

安部さんと一緒に外の景色が見えるところに座って休憩したんだ。



「凄い大きな入道雲ですね。Pくんは夏は好きですか?」

「熱いし湿気は多いしセミはうるさいし嫌なところはたくさんあるけど。それでも俺は夏が好きだな。」

「そうなんだ。私も夏が好きなんですよね。こう、夏って前に進める気がします。」

「なにそれ?」

「大胆になれる気がします。上手く説明できないけど大好きです。」

「なんだよそれ。」


大胆になれる感じか。俺も夏だから大胆になれば安部さんに告白できるのかな。

なんてね。俺は安部さんにもらったサイダーを開ける。

プシュッ 気持ちのいい音がする。

ゴクリと一口飲む。炭酸が渇いたのどを潤す。

セミが鳴いている。入道雲は浮かんでいる。そんな中でサイダーを飲む。


「ああ、夏だな。」

「何当たり前のことを言ってるんですか?」

「改めて夏を感じた。」

「そうですか?」


安部さんと俺は顔を見合わせて少しだけ笑った。




夏休みも後半に入り文化祭も近くなる。

今までは二人きりだったけど本腰を入れてクラス単位で動き出す。

作業は断然楽になったが面白くない。安部さんと二人きりになれないからだ。

なんとなく目で安部さんを追う。あ、目が合った。

軽く会釈をする。あ、返ってきた。

これだけでもう幸せだった。

別に恋に生きているわけじゃない。気持ちが浮かれているのは夏のせいだろう。

なんて俺には似合わないセリフをはいてみる。

奥歯に何か挟まったようなむず痒さ。

蚊にでも刺されたんだろう。夏だしね。




「夏休みもそろそろ終わりか。」


声に出してみることで事実を再確認する。

終わらない夏なんてない。誰かがそんなこといってたっけ。


「夏休みが終わったらすぐ文化祭ですよ。楽しみですね!」

「うわ、びっくりした。」

「うわってなんですか!」

「いや、急に来たからびっくりして。」


誰もいないと思って独り言を言ってたため恥ずかしい気持ちになる。


「夏休みの間ずっと準備しかしてなかったですもんね。」

「それも結構楽しかったよ。」

「私もです。でも少しぐらい夏っぽいことしたかったですね。」

「夏っぽいことねー。そうだ!」


こんないいチャンスが巡ってくるなんて思ってもいなかった。

頭をフル回転して搾り出した答え。

あと少し勇気があれば十分。よし、誘うぞ。


「今度の夏祭り一緒に行かない?」



好きなこと夏祭りに行く。

これ以上の幸福があるだろうか、いやない。

いろいろなことを考えすぎて頭がごちゃごちゃになっている。

今日は夏祭り当日。8月31日。

夏休みも最終日。最後の思い出作りとしては完璧だ。

待ち合わせには何分前についていればいいのだろうか?

10分?30分?1時間?

とりあえず落ち着かないから会場に早めに着いて少しぶらぶらしとこう。

セミの声は相変わらず俺を押しつぶそうとしているよにやかましい。

こいつらともそろそろお別れだな。

まあ9月にはいっても空気読まずに鳴いているセミはいるけど。

太陽は傾いていて少し涼しい。




結局ついたのは30分前だった。

まだ安部さんはいないな。少し回るか。

セミの声、祭囃子、いろんな人の声。

やかましい、でも嫌いじゃない。

あ、あそこでビンゴのカードを配ってる。

もらっておこう。

なんてことをしているうちに10分前だ。

そろそろ集合場所に戻ろう。



俺が集合場所に戻ったとき、ほぼ同時に。


「すみません。待ちました?」

「いや待ってないよ。俺もちょうど来たところ。」


いや、こんなセリフ言ってみたかったんだよな。

声のしたほうに振り返ると。

安部さんは浴衣姿だった。


「着付けに少し時間かかってしまって。」


やばい。なんにも聞こえない。

セミの声も、祭囃子も、誰の声も。

ただ聞こえるのは安部さんの声と自分の心臓の音だけだった。


「じゃあ、回ろうか。」

「はい!楽しみです。」


ばれていないか?安部さんの前では精一杯冷静に。


「どこから回る?」

「適当に回りましょう。」


そういって二人で歩く。

少し落ち着いてきたな。それにしても太陽は完全に沈み夕方から夜へ。

人の量も多くなってきた。少し心配だな。

そう思った矢先、案の定安部さんが人ごみに飲まれてしまう。



「あ、あ…。」

「大丈夫?」


なんとかまた合流できた。

安部さんの身長は小さいから簡単にさらわれちゃうのか。

よし、ここは。少しきざだけど別れるよりはいいだろう。


「安部さん、別れないように手をつなごう。」

「あ、はい。」


少し躊躇したけどつないでくれた。

安部さんの手は小さく、やわらかい。また心臓の音しか聞こえなくなった。

しかも次はダイレクトに鼓動が安部さんにつたわる。これはばれたな。



「えへへ、男の人と手をつなぐなんて初めてですから緊張します。」

「俺もだよ。」


ぶっきらぼうに言い放つ。これが俺の限界。

安部さんと手をつないでいるとそこには二人しかいないように感じた。

世界中に二人きり、そんなことはないのだけど。

安部さんと俺は周りの人にどう見られているのだろうか?

友達?兄弟?恋人?親子…はないか。

恋人だったら嬉しいな。


そこから手をつないだまま屋台を回った。

リンゴ飴をほお張る安部さんは可愛かった。

右手にリンゴ飴、左手には安部さんの手。

この手を離したら安部さんがどこか消えてしまいそうで少し不安になった。


「そろそろビンゴ大会が始まるな。」

「そんなのあるんですか?」

「ほら、これビンゴカード。」

「あれ?いつ配ってました?」


しまった。自分で墓穴掘ってしまった。


「やっぱり結構待ってたんですね。すみません。」

「違うんだよ。俺が早く来すぎただけだよ。それよりやろうか。」


「…。まあ当たらないよりはいいかな。」

「それですね。何も当たらないよりは。」


俺らが当たったのは線香花火20本。なんともささやかな当たりである。


「まあいいや。花火終わった後に二人でやろう。」

「そうですね。花火はいつくらいから上がりますか。」

「そうだね。もう少しで始まるはずだけど。」


言い終わると同時くらい。なんとも空気の読める花火である。


「綺麗。」


隣の安部さんが呟く。確かに綺麗だ。

だけど花火に照らされる安部さんの横顔は幼いようで、大人びていて。

俺はそっちに注目してしまいそうだ。



「綺麗でしたね。」

「最後もなかなか派手だったな。」


花火が終わってから少し歩く。

線香花火が出来るような場所へ向かっている。

さっきまでの人ごみは嘘のように消えた。今度こそ二人きりの世界である。


「俺結構線香花火がすきなんだよね。」

「どうしてですか?」

「なんていうか、ちりゆくものこそ美しい?桜とかでも言うじゃん。儚いから綺麗なんだって。」

「私も…、嫌いじゃないんですけど。儚いって少し悲しい気がして。」

「夏の終わりに線香花火とかこれ以上にない儚さだな。」

「夏休みが終わっちゃったらまたいつもの生活に戻るんですよね。少しさびしいです。」

「よし、そろそろ始めようか。」

「はい…。」



パチパチパチ。少し火がついて、だんだん激しくなり、ポトリと火の玉が落ちる。

元々20本しかなかったからそろそろなくなりそうだ。


「いつもの生活に戻るけどさ。それもそれで楽しいよ。」

「そうですよね。」

「明日から文化祭までは休んでられないしね。」


沈黙。こんなにも近いのに、凄く遠い。


「私は、永遠って言葉が好きなんです。」


不意に、安部さんが口を開く。


「永遠?」

「はい。永遠。ずっと変わらなければいいなって思うものがたくさんあります。」

「そっか。」

「はい。」

また沈黙。

次は俺が言う番だ。線香花火もそろそろ底をつく。

夏だから大胆に。失敗したら夏のせい。

夏は結構好きな季節だな。


「変わるからいいものもあるんじゃない?例えば俺らの関係とか。」

「え?」

「ずっと言おうと思ってた。今がそのタイミングかわからないけどさ。今言わなかったら後悔する気がして。」

「え?え?」


安部さんが追いついていない。しかしいいだろう。」


「ずっと安部さんが好きでした。付き合ってください。」

「え?え?え…。はい。私もP君が好きです。付き合ってください。」



「え?」


追いついていないのは俺のほうだった。


「よろしくお願いします。」

「こちらこそ。」


顔を上げると安部さんと目が合う。また俺は安部さんと顔を見合わせて少し笑った。

今このときがずっと続けば、それこそ永遠に続けばいいのに。

しかし、線香花火は時が動いていることを知らせるようにポトリと落ちた。




「ここまでが俺が菜々と付き合うまでですね。高一の夏です。」

「いやー、甘酸っぱい。甘酸っぱいですね。」

「今思うと色々恥ずかしいこともしてましたね。高校生ですし、夏でしたし。」

「菜々さん昔は私って言ってたんですか。」

「そうですね。ナナとは言ってませんでした。」

「それでそれでこのあとはどうなるんですか?」

「次に話すなら一年後ですかね。高二の夏です。」




安部さんと付き合ってそろそろ1年。

安部さんじゃなくて菜々って呼んでくださいって言われたから今は菜々って呼んでいる。

女の子を名前呼びするのはなかなか慣れないもんだ。

最近菜々の様子がおかしい。

何か悩んでいるみたいだけど理由を聞いてもはぐらかされる。

また夏祭りに行こうと今度は菜々から誘ってきた。

また同じ夏休み最後の花火大会に。


また俺は30分前に集合場所に着いた。

やっぱりせっかちな性格なのか。

前とは違うはずなのに同じようなセミの声、祭囃子、人の声。

変わっているのか、変わっていないのか。

とりあえずまたブラブラしながらビンゴカードをもらいに行く。

まるで去年の自分をなぞるように。

もう一回やり直しているように。


15分間に集合場所にもどる。

すると少し遠くに菜々の姿を発見する。またあの浴衣だ。

菜々もこちらを見つけたみたいだ。

小走りして寄ってくる。

カランコロンカランコロン。

下駄を小気味いい音が鳴る、が響かない。


「すみません。待ちました?今度こそ先に来ようと思ってたんですけど…。」

「はは、ぜんぜん待ってないよ。少し俺が早く来すぎただけ。」



一見何も変わらない菜々の姿。

案外、菜々自体が永遠なのかもしれないな。

なんてくだらない考えが頭をよぎる。


「なににけてるんですか?」

「いや、少し考え事。じゃあ行こうか。」


去年よりスムーズに、自然に菜々の手をとる。

ここは違う。

ここは違う。ここは同じ。ここも同じ。ここは違う。

去年との共通点、相違点を探す。

一番違うもの。菜々の目。なにかを覚悟した目。

なにかがこれから変わるのだろう。俺はそんな気がしてならなかった。


そのあとは適当に屋台を回る。

ラムネを飲んだ。のどが熱くなった。少し泣きかけた。

なんでだろう。去年のことなのに懐かしい。去年のことなのに、鮮明に思い出せるのに。

菜々は明るかった。でも一年過ごしてきてわかる。

文化祭二日目、熱を出していたときと同じ。無理をしている明るさだった。

一方俺は努めて去年と同じように振舞っていた。

去年より冷静な気もしたけど頭の中はすでにぐちゃぐちゃ。どうすればいいのかわからなくなっている。

何も起こらない。何も起こらないんだ。このあとも永遠に菜々と二人で過ごしていくんだ。

そう自分に言い聞かせる。そうでないとおかしくなりそうだった。



運命というものはある。

今まで俺は運命なんて信じなかったけど今日から信じてみることにした。


「また当たったね。」

「また線香花火ですね。」

「またやるか。」

「そうですね。またあそこでやりましょう。」


空気の読めるビンゴカードに空気の読める花火。

偶然なのか運命なのかはそれこそ、神のみぞ知るってやつかな。


菜々と手をつないでいる。

だけど菜々と俺の間にはとても長い距離があるきがする。

思い込みだと信じたい。


「今年も綺麗でしたね。」

「花火は何回見ても綺麗だって感じるよ。」


カランコロンカランコロン。誰もいなくなった道では下駄の音がよく響く。


「よし、今年もはじめるか。」

「そうですね。」


パチパチパチ、線香花火はやっぱり儚い。

夏の終わりにこれは少しくるものがあるな。



「綺麗ですね。」

「そうだな。」


簡単な会話のあと沈黙。

俺から話をふるべきなのか。それとも菜々の言葉を待つべきなのか。


「あの。」

「はい?」


少し力みすぎて変な声が出たな。


「ちょっと聞いてくれますか?」

「なに?」


「私には夢があります。」

「そうなの?」

「はい。私はアイドルになりたいんです。小さいころからの夢でした。」

「いい夢じゃん。」

「それでですね、アイドルは恋愛禁止なんです。」


菜々の声が泣き声になっていく。すべての音に濁点がついているような。

しかし、ここまできたら大体わかる。菜々が言いたいこと。

それは俺が聞きたくないこと。

だけどここで聞かないという選択肢はない様に思えた。


「だから…、だから…。非常にわがままなのはわかっています。私と…私と…。」

なかなか吐き出せないみたいだ。

仕方ない。ここは俺から言うしかない。だけどやっぱり言いたくない。

二つの感情が入り混じる。

ここで別れたくないと言ったらどうなるのだろう?アイドルを目指さないでくれと言ったらどうなるのだろう?

だけど、本当に菜々のことが好きだから。後押ししてやる。

これは俺のプライド。男としてのプライド。

惚れた女の幸せを祈るもんだろ?

かっこつけだっていい。本心を偽ってもいい。

それが菜々のためになるんだったら。


「菜々。俺たち別れよう。」

「はい…ありがとうございます…。」



菜々は涙で顔がぐちゃぐちゃだ。せっかくの可愛い顔が台無しだぞ。


「こっちはこれでラストかな?そっちはどう?」

「菜々もこれで終わりです。」


最後の線香花火。二人でゆっくり火をつける。

パチパチパチ、小さくてだんだん大きくなって、そうしてポトリと落ちる。

その事実だけが変わらない。

菜々との付き合いは永遠だ、なんて少し思っていた。

だけど変わらないものなんてない。



「それじゃ、帰ろうか。」

「はい…。」


菜々も落ち着いてきたし、帰ることにした。

隣を歩く菜々の手をとろうとして、ひっこめる。

そうだ。もう俺たちは付き合ってないんだ。

俺は菜々と手をつなげなかった。瞬間、菜々が遠くに行ってしまった気がした。

どこかへいってしまうのだろう。不安は確信に変わった。


「菜々がアイドルになるのを応援する。」


気まずい沈黙を自分で打破する。


「ありがとうございます。」

「菜々の一番のファンは俺だよ。」

「ありがとうございます。」


きわめて明るく、明るく振舞う。

決して涙なんて見せない。

それが俺の最後の意地。

隣に菜々がいるはずなのに、遠い、遠い。


「それじゃまた、学校で。」

「また学校で会いましょう。」


そういって菜々と別れる。

夜道を一人帰る。のどが渇いて自販機で飲み物を買う。

もちろん、ソーダ。

そのときのソーダは少ししょっぱかった。



「これでよかったんだよな。」


菜々の前では見せなかった涙を流して独り言を言う。

次は誰も返事などしてくれなかった。

こうして俺の高二の夏が終わった。

永遠に続くと思っていた日々は線香花火のように儚く消えていった。


「こうして別れましたね。」

「うう、二人とも辛かったでしょうね。」

「菜々はわかりませんけど俺は凄く辛かったですよ。今まで未練たらたらで生きてきたぐらいには。」

「再会できてよかったですね。」

「はい!でもアイドルに恋愛は禁止です。いつかその日が来るまで待ってますよ。」

「私は応援してます。」

「ありがとうございます。そろそろお開きにしますか。」

「そうですね。」


ちひろさんと別れて帰る夜道。

そろそろ夏になるだろうか。虫の声が聞こえる。

ふいに携帯を取り出す。


「もしもし?こちらナナです。どうしましたPさん?」

「いや、夜にごめんな。ちょっと声が聞きたくなって。」

「ふふ、変なPさん。」

「変ってなんだよ。あのさ。」

「どうしました。」

「今年の夏さ。花火大会にでも行かない?」

「…はい。行きましょう、P君。」


永遠はなくとも、案外運命はあるかもしれない。

以上で終わりです。

菜々さんのクラスメートになりたかったです。

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