池袋晶葉「天才」 (18)






私はアイドルに憧れた。






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小さいころからパーツを買いに私はちょくちょく秋葉に行っていた。

秋葉は通いなれた土地、いわば私にとっての庭だった。

だから色んな文化があの街にあることも知っていた。

ある人は私のように機械の材料を求めて。

またある人はアニメのグッズを求めて。

そしてある人はアイドルを求めて。

私にとってアイドルは少し身近な存在だったのかもしれない。



ある日、私がまた秋葉の街に行くとアイドルがイベントをやっていた。

聴いた話だとランクの高くない駆け出しのアイドルだったみたいだ。

しかし、一人のアイドルが私の目にとまった。

天海春香。

彼女は特別容姿が派手なわけではない。

特別歌が上手いわけじゃない。

特別ダンスが上手いわけじゃない

だけど私は天海春香から目を離せなかった。

彼女は天才だと思った。



のちに彼女がトップアイドルになったのを聞いたとき、私は不思議と驚かなかった。

私は確信していた。彼女ならトップアイドルぐらい簡単に取るだろうと。

それほどまでに彼女をはじめてみたときの衝撃は大きかった。

私は夢を見るようになった。もし彼女のようになることが出来たなら。

それからほどなくして、私は「アイドルにならないか。」と声をかけられた。

くだらない。いつもの私だったらそういってたはずだろう。

自分は裏方の人間だ。表に出ることはない。

そう思っていた。

だが私はアイドルになった。天海春香に、天才に憧れて。



アイドルになった私は事務所でまた天才だと思う人に出会った。

安部菜々。そう、ウサミンである。

ウサミンは私より小さい。

それでもどこにそんなパワーがあるのかと思うぐらい頑張っていた。

ウサミンは私の憧れになった。

ウサミンも多分トップアイドルになれるだろう。

私はそう信じている。


自分が天才であることは自覚していた。

ただしこの場合の天才はロボに関する天才だ。

天才というより造詣が深いといったほうが正しいだろう。

別に天から授かった才能じゃない。

どちらかといえば両親から授かった才能だ。

天才、言われて嫌な気分ではない。

ただ私が言われている天才はアイドルに関してではない。



アイドルの天才とは私は人を笑顔にする才能と人をとりこにする才能のことだと思う。

天海春香、安部菜々。

両者はファンのことをよく考えているのだろう。

二人は紛れもなく天才だ。

私はまだ二人のような才能は持っていない。

私は天才ではない。

まだ、天才ではない。


「ということでこの短冊を書いたんだ。」

「なるほどな、急に晶葉がそんなこと書き出すからびっくりしたよ。」

「私はロボに関しては天才だからな。」

「そうですか。まあマッサージロボは凄く助かってるよ。」

「助手も仕事が大変そうだからな。少しぐらい労わっても罰は当たるまい。」

「はは、ありがとう。しかし意外だな。お前菜々のことそんなに尊敬していたのか。」

「まあ、普段は恥ずかしくて表に出せないが。」

「菜々に言ってやろう。」



「やめてくれ。それに今ウサミンは忙しそうじゃないか。」

「確かに今日は七月七日なので菜々の日です。ってみんなに言ってたもんな。」

「ウサミンはおてんばのところと自爆芸がなければもっと素直に尊敬できるのだが。」

「そこが菜々の魅力でもあるんだろ。」

「確かにな。そういえばPは短冊に何を書いたんだ?」

「みんながトップアイドルになれますようにって。」

「月並みだな。」

「だけどこれが一番シンプルでいいだろう?」

「そうかもしれないな。」



「それはそうとしてどうやってアイドルの天才になるんだ?」

「くくく…。良くぞ聞いてくれた。私はとある天才の言葉を借りることにした。」

「なんだ?」

「アイドルの天才は1%の容姿と99%の努力からなる!」

「容姿?確かに晶葉はかわいいもんな。」

「う、急に褒めるな。恥ずかしいだろ。っていうか違う。注目するのはそこじゃない。」

「99%の努力か?」



「そうだ。聞いた話だと天海春香もウサミンも昔からアイドルに憧れていたらしい。」

「そうだな。」

「さらに二人はなりたいというだけじゃなく自主練などの努力もしていたみたいだ。」

「そうなのか?」

「そうだ。だから私はその二人を超える努力をする。」

「晶葉は努力家だもんな。この前のアイチャレでもピアノ頑張っていたもな。」


「私は特別な人間ではない。 しいて言えば普通の人よりちょっと努力しただけだ。とカーネギーも言っていた。」

「誰だそれ?」

「鋼鉄王だよ。頼子に教えてもらった。」

「あー、やる気全一が明日の全一って言ってたもんな。」

「それこそ誰だ?」

「ウメハラ。紗南がよく言ってただろ。」

「確かに聞いたことがあるようなないような。」


「願い、叶うといいな。」

「叶うんじゃない、叶えるんだ。」

「そうだな。頑張れよ。」

「もちろん助手の助けも借りるがな。」

「俺に出来ることなら何でも言ってくれ。」

「たくさんこき使わせてもらうよ。」

「少しは手加減してくれよ。」

「考えとく。」







『本当の天才になりたい…!』







以上短いけど終わりです。

七夕イベントをうけ、いてもたってもいられず書きました。

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