恭介「戦線名はリトルバスターズだ!」 (1000)

リトルバスターズ!とAngel Beats!のクロスです

自己解釈、キャラ崩壊などに注意

たまに安価

ゆっくりやっていく予定です

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1436363023

恭介「お前は鈴を巻き添えにしたいのか…!」

恭介(世界が、終わる。真人が去り、謙吾が去り、後は俺と理樹と鈴だけだ)

恭介「早くいけえぇぇ!」

恭介(本当はいつまでも二人の傍にいたい。それでも二人を強く送り出す為に、俺は振り絞るように叫んだ)

恭介「もう迷うな!とっとといけぇーーー!!!」

恭介(それから後のことはよく覚えていない)

恭介(確かなことは俺はやり遂げたということ、そして世界は終わってしまったということだ)

恭介(意識が消えるその間際、俺は『みんな』の幻影を見たようなそんな気がした…)

恭介(目覚めた。目の前に広がるのは満点の星空、どうやら仰向けに倒れているようだ)

恭介(いや、まて………ここはどこだ?何故俺は生きている?まさかあの場所で意識を取り戻したのか?)

恭介「…いや違うな」

恭介(怪我がまるで無い、見た事も無い制服を着ている。そしてなにより場所が違う、ここはどこかの学校のようであの事故現場じゃない)

恭介「どうなってんだ…?」

恭介(あの世界は確かに崩壊したはずだ…、死んだはずの俺が何故こんな見知らぬ学校にいる…?)

??「ようこそ、『死んでたまるか戦線へ』。唐突だけど入隊してくれないかしら?」

恭介(唐突に俺の背後から声が聞こえる、どこかで聞いたことのある声だ)

恭介(振り返るとそこにはスコープ付きのライフルを構える女生徒ー制服を着ていたからそう判断したーがいた)

恭介「…まさか…、朱鷺戸沙耶か!?」

女生徒「ときど…?なに、なんて言ったの?」

恭介(そこで女生徒がスコープから俺へと目線を向ける。………違う。声や雰囲気は似ているが容姿が全く違う)

恭介(そもそも朱鷺戸沙耶はもう存在する筈が無いんだ)

恭介「…いや人違いみたいだ、知り合いの声によく似ていたもんだからな、気にしないでくれ」

女生徒「ふーん、あっそ」

恭介(心底どうでもいいという感じで目線をスコープに戻す。だがなんだあれは?まさか本物のライフルなのか…?)

女生徒「で、どう?入隊してくれるの?くれないの?」

恭介「いや待て、悪いがなんのことだかさっぱりだ…。そもそもここはどこなんだ!?俺は確かに…」

女生徒「死んだはず、って言いたいの?」

恭介「なっ!?」

女生徒「その通りなんでしょうね、だってここは死んだ後の世界なんだから。ここにいるってことはあなた死んだのよ」

恭介「死後の世界だと…?」

恭介(そんなものが本当にあり得るのか…?)

恭介(いや…、俺達も死の間際にあの世界にいた、なら死後の世界があっても不思議じゃない…)

恭介「…じゃあお前も一度既に死んだ人間ってことか?」

女生徒「あら、案外落ち着いてるわね。まあそうよ、私も含め他の戦線のメンバーもみんな一度死んでる。死んだ後にこの世界に来たのよ」

恭介「さっきも言ってたような気がするが、その戦線ってのはなんだ?そのライフルを構えてるのと関係あるのか…?」

女生徒「言葉通りよ、戦うのよ」

恭介「なにと?」

女生徒「あれよ」

恭介(そいつは照準の先を指さした。そこには違う制服を着た別の女生徒がいる)

女生徒「あれが『死んでたまるか戦線』の天敵、天使よ。ってか『死んでたまるか戦線』ってなんか響きが悪いのよね、あなた新しい戦線名考えといて」

恭介(確かにチームの名前は重要だが、それより今は目の前の疑問を解決していくのが先決だ)

恭介「…あれが天使なのか?羽も生えてないし俺のイメージとは随分違うんだが」

女生徒「確かに見た目は普通の人間と変わらないわ、でもあいつは人間じゃない」

恭介「なにか特殊な能力でもあるのか?」

女生徒「ええ。その恐ろしい能力を行使して私達を無理矢理授業や、部活や、テストに追い立てるのよ」

恭介「………ん?」

女生徒「退屈な授業、疲れるだけの部活、馬鹿を試すだけのテス」

恭介「…いや話の腰を折るようで悪いがちょっと待ってくれ」

女生徒「なによ、またなにか質問?」

恭介「ここは死後の世界だと言ったな?そもそもなぜ、死後の世界が学校なんだ?」

恭介(辺りを見渡す。目の前には馬鹿でかい階段、その先には馬鹿でかいグラウンド、背後には馬鹿でかい校舎)

恭介「しかもとんでもない規模の学校みたいだな」

女生徒「なぜかはわからないわ、神様にでも聞かないとね」

恭介「神様?いるのか?」

女生徒「いなきゃおかしいわよ、こんな世界があるくらいなんだから。そしてあそこにいるのが神様の使い、天使ってわけよ」

恭介「神様に、天使…」

女生徒「さっき言ったように、天使は授業やら部活やらテストを私達に強いてくる。そしてそれに従い続けてると消えるのよ」

恭介「…消える?この世界からか?」

女生徒「そう。だから天使と戦わなければ、この過酷な現実に抗うことは出来ないの」

恭介(過酷な現実…、その言葉が否応しにあの事故を思い出させる…理樹…鈴…)

女生徒「で、どう?『死んでたまるか戦線』に入隊してくれる気はある?身の安全は保証するし戦う理由があるんなら歓迎するわよ」

恭介「…もう一つだけ聞いておきたい。ここが死後の世界という根拠は?」

女生徒「それなら簡単よ、死なないのよこの世界では」

恭介「どんな目にあってもか?」

女生徒「どんな致命傷を受けても体がバラバラになっても死なないわよ。少し時間が経てば生き返るし体ももとに戻るわ」

恭介「都合の良い世界だな」

女生徒「疑ってるんなら一度死んでみる?証明するには一番わかりやすい方法なんだけど」

恭介「いや充分だ、お前が嘘をついているようには見えないしな。色々助かった」

女生徒「そう、じゃあ」

恭介「ああ、少し天使とやらと話をしてくる」

女生徒「はあ!?」

恭介(ライフルを投げ出して、俺に迫りよってくる、すごい剣幕だ)

女生徒「今の話の流れでどうしたらそんな思考に至るの!?わけわかんないわっ!頭おかしいんじゃないの!?」

恭介「お前の話を聞いた限りここは死後の世界なのは確かだが、なぜ学校なのか?なぜこんな世界が存在するのかまでは知らないんだろう?」

女生徒「…っ、まあそうだけど」

恭介「なら聞けばいい。あの天使とやらが本当に神の使いなら、それくらいは答えてくれるんじゃないか?」

女生徒「あのねぇ、それくらいとっくに試してるわ。天使はこの世界の仕組みに関しては一切口を割ったりしない」

恭介「やってみなければわからないさ、それともそういう事を聞くと消されるのか?」

女生徒「…いやそこまではしないはずよ。基本的に規律を乱すか、私達から攻撃を仕掛けない限り天使は手を出してこないわ」

恭介「そうか、そいつは良かった。じゃあ行ってくる」

恭介(そして俺は立ち上がり天使の方へと足を向ける)

女生徒「ちょっと!どこからそんな自信が湧いてくるのか知らないけど、とりあえず待ちな」

男子生徒「おーいゆりっぺ、新人の勧誘の手はずはどうだ?ちょろいとか言ってたけどさ」

恭介(新しい声、その台詞を聞いた瞬間露骨に不機嫌な顔になる。話の邪魔をされたからだろうな)

男子生徒「あ、やば」

恭介(今のうちに行くか、俺は目の前の大階段を降り始める)

女生徒「うわあぁああぁぁ、勧誘に失敗したああぁぁぁ!」

男子生徒「え?俺のせい?」

女生徒「他に誰がいるんだああぁぁーー!こらぁぁぁーー!」

恭介(背中から賑やかな声が聞こえてくるがひとまず無視し、歩みを進める)

恭介(死後の世界…。あいつの言葉を疑うつもりは無いが、まずは自分で動き、自分で判断しなければ始まらない)

恭介(それが俺、『棗 恭介』のやり方ってやつだからな。例えここが死後の世界だろうと変わらない)

恭介(天使との接触…、ああ、当然緊張する、少しだけ震えてもいる。だがこれは武者震いってやつだ)

恭介(緊張をワクワクに変えて、何より楽しむことを忘れない)

恭介(そうして今まで俺は生きてきた、そしてこれからもそうあり続けるだけだ)

恭介(天使の視界に入り、幾度となく繰り返した言葉を宣言する)

恭介(目的は『天使との接触及びこの世界の秘密を聞き出す』こと、だ)

恭介(さあ、始めよう)

恭介「ミッションスタートだ!」

天使「…?」

恭介「よう、こんばんは」

天使「…こんばんは」

恭介「突然だが聞きたいとことがある?お前は…、天使なのか?」

天使「天使?」

恭介「お前と戦ってるっていうやつらからそう聞いたんだが、確か『死んでたまるか戦線』とか言ってたな」

天使「…クラス・スリーエスのこと?」

恭介「クラス・スリーエス?」

天使「…あの人たちはころころ名前が変わるから」

恭介「なんかそんな感じはしたな。まあとにかく、お前が天使だっていうならちょっと聞きたいことがあるんだが」

天使「私は天使なんかじゃないわ」

恭介「………ありゃ…、そうなの?」

天使?「私はこの学校の生徒会長よ」

恭介「………」

恭介(おいおい、話が違うぞ。騙されたのか?嘘を言っているようには見えなかったんだが…)

恭介「その…、そいつは悪かったな。変な事を聞いちまった」

生徒会長「あなたは新しく来た人?」

恭介「ん…、どういう意味だ?」

生徒会長「ここは死後の世界だから」

恭介「!…、なるほど死後の世界ってのは嘘じゃなかったってわけか」

生徒会長「質問があるなら答えるわよ、あたしにわかる範囲で良ければ」

恭介「そいつはありがたい、なら率直に聞くぜ。まず一つ目、なぜこんな世界が存在する?神様とやらが作ったのか?」

生徒会長「わからないわ」

恭介「いきなりかよ…」

生徒会長「神様には会ったことがないもの、でも何のために存在してるかならわかるわ」

恭介「!…教えてくれ!」

生徒会長「ここに来る人たちは、まともな青春を送れず、辛い人生だった人たちばかり」

恭介「青春時代をまともに…?」

生徒会長「そうよ、ここはそういう人達が学園生活という青春を謳歌し直せる場所なの」

恭介「学園生活という青春…、だから学校を模した世界というわけか?」

生徒会長「ええ、そうだと思うわ」

恭介「そうか…、じゃあそれに繋げて二つ目の質問だ、いいか?」

生徒会長「ええ」

恭介「そうして学園生活を受け続けると消えると言われたんだが、本当か?」

生徒会長「本当よ」

恭介「消えたあとはどうなる?」 

生徒会長「次の人生が始まるわ」

恭介「それは…、いわゆる成仏ってやつか?思い残すこと、未練が消えたものはこの世界から消え生まれ変わり、新たな人生が始まるってことでいいのか?」

生徒会長「…そうよ、あなたすごいわね」

恭介「まあちょっと似たような世界を経験してるもんでな」

生徒会長「経験?」

恭介「まあな、つまりお前はここに来たやつらの未練を消すために、授業やらを受けさせようとし、あいつらはそれに反抗してるってことなんだな」

生徒会長「ええ、あの人達は一筋縄じゃいかないから…。生まれ変わるのを拒んでるみたいなの」

恭介「なるほどな…、疑問に思ってた点が大体解決したぜ」

生徒会長「じゃあ、学生寮に案内するわ。そこにはあなたの友達もいるから」

恭介「友達…!?いや俺はこの世界に友達なんかいないはずだぜ?」

生徒会長「寮にあなたの部屋が用意されてるはずよ、そこにいるルームメイトがあなたの友達よ」

恭介「…つまり、用意された友達ってとこか?そいつは魂の無い人間とかなんじゃないのか?」

生徒会長「…本当にすごいわ、頭がいいのね」

恭介「どうだろうな、まあそれだけわかれば充分だ。…悪いが俺はお前にはついていけない」

生徒会長「…どうして?学生時代の悔いを晴らしたくないの?」

恭介(俺のその言葉に、ずっと変わらなかった表情に初めて陰りが生まれる)

恭介「俺に言わせてみればその青春は…、偽物だ。そんな青春を生きたところで俺は成仏なんか出来るはずもない」

生徒会長「…あなたは心残りが無いの?」

恭介(…俺は俺の青春が辛いものだったなんて思えない)

恭介(あの時の謙吾と同じ気持ちだ…。あいつらみたいな最高の仲間に恵まれて、本当に幸せだった)

恭介(その俺がこうしてこの世界に招かれた理由。そう、わかっている。俺の心残り…、それは…)

恭介「…あるさ、無理矢理納得したつもりだったんだが、だからこそ俺はこの世界に招かれたんだろうしな」

生徒会長「…なら、その心残りを消す方法を探しましょう?あたしも手伝うわ」

恭介(そういうと生徒会長は少しだけ微笑んでくれた…、だが…)

恭介「ありがたいんだが、そいつは無理な話だ…。俺の心残りは偽りの青春で晴らせるものじゃないからな」

恭介(そして俺は踵を返し、背を向ける)

生徒会長「あなたも…、クラス・スリーエスに行くの?」

恭介「そうだな、今のところ俺の目的を果たす為にはあいつらをあてにするしかなさそうだ。勧誘も受けたしな」

生徒会長「…そう、なら仕方ないわね…。…どうしても私に手伝えることは無い?」

恭介(声のトーンが明らかに下がっている、もしかして落ち込んでいるのか?その声に釣られて思わず振り返ってしまった)

生徒会長「…なにか、ある?」

恭介(期待している!これは手伝えるとこが無いか期待している目だ…!)

恭介「あ、いや…」

恭介(どうする…?色々と質問に答えてもらっておいてこのまま立ち去るのは忍びない…)

恭介(っていうよりなんか罪悪感がやばい、なにか頼みたいことはあるか…?)

選択安価

1 ここが死後の世界であることを証明してくれ
2 俺を「お兄ちゃん」と呼んでみてくれ

↓2

恭介(俺の未練は確かに『あれ』のはずだ…。だが他にもなにかあったかもしれない…、それを頼めばいいんじゃないか?)

恭介(なんかあったはずだ、考えろ、考えろ、考えろ…)

鈴『きょーすけ』

恭介(!?)

鈴『馬鹿兄貴』『うっさい馬鹿』『しねばーか』

恭介「………」

恭介(そうだ…、あるじゃねえか!これも俺の未練の1つのはずだ…!)

恭介「じゃあ恥を忍んで頼もう…」

生徒会長「ええ、あたしに出来ることなら」

恭介(こんなに優しく微笑んでくれるなんて掛け値無しにいいやつだ!気に入ったぜ、生徒会長!)

恭介「…じゃあ、俺をお兄ちゃんと呼んでみてくれないか…?」

生徒会長「………え?」

生徒会長「…それがあなたの役に立つの?」

恭介「ああ、詳しくは言えないがこれも俺の未練の1つなんだ…。この未練が消えない限り俺は成仏なんて永遠に出来ないだろう…」

恭介(…っていかん!調子に乗って弱みに付け込んでしまった…!今の俺って最低じゃないのか…!?)

生徒会長「………」

恭介(まずい!引かれている、引かれているぞ…!今ならまだ間に合う撤回を…!)

生徒会長「お……ちゃ…」

恭介「………ん?」

生徒会長「お…お兄ちゃん…」

恭介(その時俺の中の何かが壊れる音がした…)

恭介「は、はっきりと!」

生徒会長「お兄ちゃん」

恭介「声が小さい!」

生徒会長「お兄ちゃん!」

恭介「もっと慕う感じで!」

生徒会長「お兄ちゃん…///」

恭介「夜怖くてひとりでトイレに行けなくて、起こしに来た感じで!」

生徒会長「お…お兄ちゃん、ついてきて…」

恭介「お風呂でばったり遭遇!」

生徒会長「お、お兄ちゃんのエッチ…!」

恭介「一緒の布団に誘う感じで!」

生徒会長「…お兄ちゃん、一緒に寝て…」

恭介「任せろおおぉぉぉ!!!」

恭介(そして本能のまま華麗なルパンダイブを披露する俺…!)

生徒会長「…!?」

グサッ

恭介「…え?」

生徒会長「…あ」

恭介(そいつは最後に一瞬『やってしまった!』という風な顔をしていた)

恭介(胸を貫いた刃の感触を感じながら俺はそのまま意識を失った…)

恭介の称号が
『あらゆる日常をミッションにするリーダー』
から
『シスコン』
に変わりました

一旦終わり
こんな感じでゆっくり進めて行きます
主人公が恭介なのでこれからもドンドン暴走する予定です
質問、感想等があればよろしくお願いします

感想ありがとうございます
励みになります
時間があるので少しだけ再開

恭介(眩しい…朝か…)

恭介「はっ…ここは…?」

恭介(消毒液の匂いに、見覚えの無い天井。俺が寝かされているのは白いベッド、外からは部活中のような掛け声)

恭介「保健室か…」

恭介(とにかく記憶をなぞろう、あの時思わず本能のままに暴走し完全に心臓を貫かれたはずだ…)

恭介(だが生きてる、胸に走る激痛も覚えているが傷なんて全く残っていない、いやそんなことよりもだ…)

恭介「うわあぁああぁぁ!やっちまったぁ!何をしてるんだ棗恭介!なぜ俺はあんなことぉぉーーー!」

恭介(はっきり覚えてる、俺がルパンダイブなんかしちまったから生徒会長は怯えて迎撃してしまったんだろう…)

恭介「ああ…、全面的に俺が悪い…。鈴がいようものなら半殺しにされるとこだぜ…。後で謝らないとな…」

??「おい」

恭介「とりあえず服はどこだ…っと。げ、血まみれじゃねえか!こりゃ上着しか羽織れねえな」

??「おい!」

恭介「さて、これからどうするか。とりあえずあいつらを探すとこから始め…」

??「おいぃ!!」

恭介「ん?ああすまん、気づかなかったぜ。俺になんかようか?」

??「貴様…!ふざけているのか?」

恭介(そこにはあの時見た男子生徒と同じ服を着た男、手にはゲームにしか出てこないような凶器を持っている)

恭介「悪い悪い、ちょっと考え事をしてたもんだからな。それよりすげーなその武器、確か『ハルバード』とか言うんだろ?」

男子生徒「そんなことは今はどうでも良い、貴様がゆりっぺに手を出した男か…?」

恭介「ゆりっぺ?誰のことだ?」

男子生徒「とぼけるなぁ!!」

恭介(男はそう吠えるとハルバードを俺に向かって一閃してくる)

恭介「おっと!」

恭介(俺はそのまま背後に向かって大きく飛び、ベッドの上に着地する)

恭介「おいおい、穏やかじゃねえな。カルシウムが足りてないんじゃないか?太刀筋に出てるぜ?」

男子生徒「ふん、そこそこ動けるようだな…。だが死ねぇ!!」

恭介(このままだとマジで殺られるな…。仕方ねえ、やるしかないか…!)

恭介「とりあえず落ち着けよっ!」

恭介(まずベッドの上の枕を思いっきり投げつける!)

男子生徒「小賢しいっ!」

恭介(一瞬で切断される枕、だがそれも計算のうちさ)

恭介「ならこいつはどうだい?」

男子生徒「なに!?…むぐ」

恭介(枕を斬った一瞬の隙をついて、今度は体全体を覆うように布団を投げた。これなら容易には斬ることも出来まい?)

男子生徒「無駄無駄無駄ぁーーー!!」

恭介(あっという間に布団をバラバラにされる…、大した奴だなおい?)

男子生徒「くそ!どこだ!どこ行った!?」

恭介「後ろだよ」

男子生徒「なに!?」

恭介「ふんっ!!」チーン

男子生徒「がぁっ!!あ…あ…あ…」

バタン!

恭介「金的は流石に大人げなかったかな。まあ悪く思うなよ?こっちは丸腰だったしどうせ治る世界だからな」

恭介(さて…とりあえずあいつらを探すか)

恭介(気を取り直して、俺は保健室を後にした)

恭介「どこにいるんだろうなー、そういや生徒会長がクラス・スリーエスとか言ってたっけか?」

恭介(クラス・スリーエス…、あいつらもこの学校の生徒ならもしかして3ーSとかじゃねえのか?)

恭介(とりあえず、大人を。教師を探そう)

恭介「お、あった…」

恭介(暫く歩き続けると『校長室』と書かれたプレートのある部屋が見つかる)

恭介「クラスやら生徒のことが聞けるなら校長でも誰でも…」

恭介「ぶはっ!」

恭介(ドアを開けようとした瞬間なにかに弾き飛ばされ、窓ガラスをぶち破り、俺の体は宙を舞ったような気がした…)

恭介「ん…」

恭介(三度、目覚める。今度はソファの上のようだ。)

恭介(いくつもの声が聞こえてくる。ぼんやり数えただけでも5人以上で喋っているようだ)

男A「じゃあこれでどうだ…死ぬのはお前だ戦線」

恭介(やさぐれた声だな)

女生徒「あたしが殺されるみたいじゃない」

恭介(この声は最初に出会った女生徒か…。本当に朱鷺戸の声に似ている)

男A「いや、もちろん相手は天使だ」

女生徒「じゃ、こっち見なさいよ…、死ぬのはお前だ戦線」

男A「ぬ…確かに俺が殺されそうだ」

男B「な、これかっこよくね?走馬燈戦線」

女生徒「それ死ぬ寸前じゃない」

恭介(飄々とした声をした男の案も速攻却下された、こいつはあの時声をかけてきたやつか)

男C「じゃ、これでどうだ…決死隊戦線」

女生徒「死ぬのを覚悟してるじゃない…」

恭介(体格の良い男が続く、真人や謙吾に近いな)

女A「絶体絶命戦線」

女生徒「…絶体絶命じゃない」

恭介(もう一人女がいるようだ、随分とハスキーな声だな)

男D「じゃ、無敵艦隊!すごく強そうじゃない!?」

恭介(子供のように高らかな声、なんとなく理樹を思い出す)

女生徒「今度は戦線じゃなくなってるっ!」

男A「じゃあ…玉砕戦線」

女生徒「殴るわよ…」

男B「グレイシー一族」

女生徒「大喜利か!!」

ばきっ!

男B「っつああああー!!」

恭介(飄々とした声の男が顔面にハイキックをきめられる)

女生徒「んもうっ、最後は戦線なのよっ!あたしたちはこの戦場の第一線にいるのよ?これは譲れないわっ!」

恭介(女生徒はそのまま仁王立ちし、力説する。そのやりとりがあまりに可笑しくて子供っぽくて、思わず俺は…)

恭介「ふっふっふ、あーはっはっは!!」

恭介(大笑いしてしまった!)

男D「あ、気がついたんだ?」

女生徒「みたいね、ってかなに大笑いしてくれちゃってんのよ!」

恭介「いや悪いな、馬鹿にしたわけじゃないんだ。むしろ非常に俺好みなノリだったんもんでついな」

男B「へえ、いきなり俺たちのノリに付いてこれんのか?ゆりっぺ、こいつはひょっとしたら大物かもしれないぜ?」

恭介(ああ、こいつがゆりっぺか。さっきの男が怒ってたのは、昨日俺がこいつと話してたのに嫉妬したとかか?可愛いやつめ)

ゆりっぺ「まあいいわ、そうだこいつにも考えさせてあったのよ!」

恭介(そう言うと俺に歩み寄ってきて、息が触れる距離まで顔を近づけてくる)

ゆりっぺ「時間はたっぷりあったわ、聞かせて頂きましょうか?」

恭介「ほう?なにをだ?」

恭介(あえて惚けたフリをしてみる)

ゆりっぺ「死んでたまる戦線に代わる新しい名前よ」

恭介「フ、そういう事ならうってつけのがあるぜ」

ゆりっぺ「あら自信満々ね、昨日もそうだったけどあなたもしかして自信家なの?」

恭介「さあな?だがそうだな、俺の戦線名を発表する前に俺が昨日生徒会長、いやお前たちは天使と呼んでいるんだっけか?」

恭介(あいつは自分が天使であることを否定していたが、こいつらはそう思ってる。ならとりあえずは合わせておくか…)

恭介「あいつから聞き出した事を先に発表しようか」

全員「「「ええっ!?」」」

男B「おいおい、お前昨日天使に刺されちまってたじゃねえか!?」

恭介「ん?見てたのか?」

男B「そりゃまあ、話までは聞こえなかったけどお前が天使に飛びかかろうとしてたことぐらいは…」

ゆりっぺ「あっさり心臓ぶっ刺されてたわね」

恭介「ぐはっ!!」

男A「おいおい口だけの男かあ?」

男E「丸腰で天使と戦うのは流石に無謀ですよ、その勇気だけは買いますが」

女B「あさはかなり」

恭介(チンピラっぽい男と眼鏡の男にツッコミを入れられる、更には隅っこのほうにいる女に冷めた言葉をかけられる…)

恭介「…違う、違うんだ。詳しくは言えないがあれは全面的に俺が悪いんだ…」

ゆりっぺ「まあ何でもいいわよ、それで天使から何を聞き出したっていうの?」

恭介「昨日もお前と話しただろう?この世界が存在する理由、そしてなぜ学校という形を模しているかだ」

ゆりっぺ「………!!」

男C「なんと!本当に聞き出したのか!?」

男A「はっ!騙されんなゆりっぺ!どうせ適当なこと抜かすだけだ!」

ゆりっぺ「いえ、いいわ。話してちょうだい」

恭介(ゆりっぺは驚く周りを制すると俺に発言を促す)

恭介「ああ」

恭介(俺は昨日生徒会長から聞いたことの全てを伝えた)

恭介(ここに集まるのは、生前学園生活という青春を謳歌出来ずに未練を持つものたちということ、その未練を晴らす為に学校を模していること)

恭介「そして、あいつは生前の未練を持つものたちの為に授業やらを強要する。そうすることで未練を晴らし、生まれ変わらせるのが目的なんだ」

男B「ただ悪意とかで消そうとしてるってわけじゃないんだな、天使なりに俺たちを想っての行動ってことか」

男A「じゃあなんで俺たちを攻撃してくんだよ!俺たちを想っての行動ならおかしくねえか?」

ゆりっぺ「いいえ、おかしくないわ」

男A「ゆりっぺ…」

恭介(その問いにゆりっぺが口を挟む)

ゆりっぺ「天使はこの世界の秩序を守るもの。そして私たちは消えないように学校の規律を乱している、だからそれを正す為に攻撃してくるのよ」

男D「そっかぁ。天使は規律を乱したりしない限りは危害を加えてこないもんね。とすると天使の行動パターンって案外わかりやすいのかな?」

男F「The simple truth!!」

恭介(童顔なやつの言葉に、なんかダンサーっぽいやつが続く。なんだあいつは…目立ち過ぎだろ)

恭介「それともう一つ、多分なんだが変に規律を乱すことをしなくても消えたりすることは無いんじゃないか?」

ゆりっぺ「へえ?ちなみにその根拠は?」

恭介「俺の未練は、偽りの青春を過ごしたところで晴れるものじゃないって天使に言ったんだ」

ゆりっぺ「それで?」

恭介「すると天使は俺を追ってこようとしなかった。もし未練が別のものでも、偽りの青春を続けることで成仏出来るなら、無理にでも俺にそれを強要しようとするはずだ、違うか?」

ゆりっぺ「それはあくまであなたの推理ね、確証があるとはいえないわ」

恭介「ま、その通りだ。天使がくれた情報が真実であるという前提の推理だしな。信じるか信じないかはお前達次第というわけさ」

ゆりっぺ「確証を得られ無い限り、規律を乱すことをやめるわけにもいかないし、天使にも従えないわ」

男B「消える確率だって0じゃないしなあ」

男C「模範通りに行動し続け、消えたやつも実際にいる。それで未練が晴れたとも考えられるが…」

男E「彼に与えた情報が全て嘘だという可能性もあります」

ゆりっぺ「そういうこと、けどかなり役立つ情報だったわよ!」

男D「うん、すごいよ!どうやって聞き出したの!?」

恭介「別になにも?普通に聞いただけだぜ?」

男B「マジかよ…、俺たちには教えてくれなかったのに」

男A「うさん臭いぜ」

恭介「俺はこの世界に来たばかりだ、分からないことを教えて下さい。と尋ねたからな。だからかもしれないぜ?」

男E「彼は天使にとって庇護する対象だったから素直に質問に答えた。私たちは既に天使に敵であると認識されているから、ということでしょうか?」

ゆりっぺ「そう考えるのが妥当ね」

恭介(いや、俺はそうは思わない。昨日の態度からして、あいつはこいつらに敵意を向けているようには見えなかった)

恭介(俺の推測だが、こいつらの方が天使を敵と思い込むあまり、天使の言葉に耳を貸さなかった。もしくは曲解して捉えていたんじゃないだろうか?)

恭介(まあ今は伏せておこう。俺の目的を果たす為には、こいつらとともに行動することが近道になるはずだ)

ゆりっぺ「さて、えーっと?そういや名前聞いてなかったわね」

恭介「俺か?棗 恭介だ」

ゆりっぺ「棗くんね、りょーかい。それじゃ改めて聞こうかしら」

恭介(ゆりっぺが咳払いをし、少しだけ真面目な顔になる)

ゆりっぺ「棗くん、あなた入隊する気はある?この戦線で戦っていこうっていう理由はあるかしら?」

一旦中断
続きは夜に投下予定です

22時くらいから再開の予定です

他のリトバスメンバーですが、出します
出さないとリトバスがリトバスじゃない気がするので(イミフ)
ただ出番はもう少し先になります

エンディングはバットエンドにするつもりは無いとだけ言っておきます

再開します

恭介「ああ、答えは両方ともイエスだ。けど俺の理由を話す前に、お前たちの戦う理由を聞いてもいいか?」

恭介(そうずっと気になっていたことだ、こいつらが天使に抗う理由。生まれ変わることを拒み、戦う理由、そいつをはっきりさせておきたい)

ゆりっぺ「簡単よ、理不尽な人生を強いた神への復讐よ」

恭介「復讐…だと?」

恭介(ゆりっぺは確かにそう言い切った)

ゆりっぺ「あたしたちがかつて生きていた世界では、人の死は無差別に無作為に訪れるものだから、抗いようもなかった」

ゆりっぺ「ここに来た人たちはみんな、神の理不尽な仕打ちによって、未練を抱えたまま命を落としたのよ」

恭介(淡々とした口調で続ける。まるで何度も説明したか、反芻した言葉かのように…)

ゆりっぺ「あなただってそうでしょ?さっき未練がどうだとか言ってたんだし」

恭介「…ああ、その通りだ。だがその先に何がある?神を見つけ出して何を望むんだ?」

ゆりっぺ「さあ?何かしらね」

恭介(一度言葉を切って、少しだけ目を伏せ小さく笑う)

ゆりっぺ「でも抗わなければなにも始まらない。この世界では天使にさえ抵抗すれば消えることは無い、抗えるのよ」

恭介(強い意思を秘めた瞳を真っ直ぐに俺に向け、そして更に続ける)

ゆりっぺ「棗くん、あなたは天使と戦う理由があると言ったわね」

ゆりっぺ「それはあなたも理不尽な人生を強いた神と、戦いたいという気持ちがあるからなんじゃないの?」

恭介(理不尽…。確かにそうだ。ずっとずっと傍にいたかった大切な仲間達、いつまでも続いて欲しかった幸せな時間)

恭介(だがそれは突如として終わりを告げた。修学旅行に向かっていたバスの転落事故。誰にも予測出来ない、そんな理不尽な事故によって…)

恭介(それでも理樹と鈴だけは生き残った…。二人が過酷な現実に負けてしまわないよう、強くなれるようにあの世界を創り見守り続けた)

恭介(そして、理樹は…、その気持ちに応えてくれた。鈴も充分強くなった。過酷な現実にも決して負けない強さを手に入れてくれた)

恭介(もう俺に出来ることは何も無い、俺は全てをやり終えたんだ…。そのはずだった…。だが俺はこうしてここにいる)

恭介(そうだ、俺の未練は『理樹と鈴を守り続けること』に他ならない)

恭介(それは無理なことだと、どうしようもないことだと割り切ろうとした。でもな…カッコ悪い話だが)

恭介(俺は…諦めが悪いみたいだぜ!理樹、鈴!)

恭介(死後の世界だろうとなんでもいい!もしまだ俺に二人の為に出来ることがあるかもしれないなら!ほんのわずかな可能性でもありえるなら!)

恭介(俺はあいつらの為に…神だろうと敵に回す!それだけだ!)

恭介(俺はゆりっぺの隣に立ち、この部屋に集う全員に目を向ける、そして
俺の想いを告げる)

恭介「その通りだ、例え相手が神だろうが俺には引けない理由がある。何よりも大切な理由がな」

恭介(視線が集まる、そしてゆりっぺが声をかけてくる)

ゆりっぺ「その気持ちがあれば充分よ、棗くん!これからは仲間、でいいわよね?」

恭介「ああ、よろしく頼む!」

恭介(だが、そこで俺は敢えて言葉を切る)

恭介「…ああでも、その前に1つだけはっきりさせとくぜ。俺は神に復讐したいから戦うわけじゃないからな?」

ゆりっぺ「は、はあ!?あなた今は神が相手だろうが引けない理由があるって言ったじゃない!?」

恭介(ゆりっぺの声に釣られみんなも軽く動揺している。だがこれだけは、はっきりさせておかなければならない)

恭介「ああ、神だろうと戦う覚悟はある。だが俺は別に、神様も、理不尽な現実も憎んでるわけじゃないからな」

恭介(理不尽な事故も不幸も、誰にだって起こりえる)

恭介(突き詰めればたまたまそれが俺たちだったってだけ、誰も悪くなんかない)

恭介「もちろん、納得してるわけじゃない。この世界にいるくらいだからな」

恭介「それでもきっと人を強くするのは、成長させるのは、憎しみや恨みみたいな気持ちじゃない」

恭介「誰かを想う気持ち、誰かを助けたいと願う気持ち、そういう気持ちだと俺に教えてくれたやつらがいる」

恭介(あの閉じた世界で理樹と鈴は成長した。優しさという名の強さが二人を支え二人を大人にしたんだ)

恭介(なのに復讐の為なんかに戦ったら、あいつらを裏切ることになっちまう。そんなのはゴメンだ、なにより俺らしくない)

恭介「だから俺は復讐を理由には戦わない、どうせ神様とケンカするならもっと楽しい理由の方が良いじゃないか!」

恭介(全員の視線が更に強く俺に集中する)

恭介(ああ知ってるさ、こいつは何を言い出すんだ!?って類の視線だろ?そいつは)

ゆりっぺ「…じゃあ聞かせて貰おうじゃない、あなたが神と戦う理由を」

恭介「一つはもちろん、俺の未練を晴らすため、いや俺の望みを叶えるためと言い換えていいな、そして二つ目は…」

恭介(今日一番の大きな声で、俺は宣言する!)

恭介「この世界の秘密を、暴くためだ!!」

恭介(呆気に取られた顔をしてみんなが俺を見つめている。いいぜ、そういう反応を待ってたんだ)

男B「…いやいやいや、お前。世界の秘密を暴くってそれになんの意味があるんだよ!」

恭介「意味ならあるさ。世界の秘密を暴くことは、神様とやらを引きずり出すことにも繋がるだろ?」

男B「まあ、確かにそうだな…」

恭介「それとここからが重要なんだが…、ワクワクするだろ?」

全員「「「は…?」」」

恭介(いよいよ、わけがわからないという視線を向けられる。ここが勝負だ、畳み掛けるぜ)

恭介「ここは死後の世界だ!死んだりすることもない、常識や人智の通用しない不可解な世界!」

恭介「どれだけ不可解かは、俺よりもお前たちの方がよく知ってるだろう?」

恭介「どういう仕組みで成り立ってるのか?そもそも本当に神が創った世界なのか?興味あるだろう?」

男B「ま、まあ確かに…」

恭介「なら暴いてやろうじゃないか!その先にはきっと誰も想像し得ない何かが待っているはず!」

恭介「未知との遭遇、例えようもないロマンが詰まってるんだ!」

恭介「どうだ!?すっげー面白そうだろ!?」

恭介(ここにいる奴らはみんな辛い青春時代を生きていたんだろ?だから尚更だ。辛いだけの人生なんて意味ねえもんな)

恭介(とにかく何をやるにも『楽しく』だ。悲しみも憎しみも楽しさや面白さで溶かしちまえばいい!これだけは譲らないぜ)

ゆりっぺ「あ、あなたっていう人は…。じゃあなに!?自分が楽しむために神と戦うっていうの!?」

恭介「もちろん、俺の望みを叶えることが前提にあるさ。そのついでに楽しむ。何かに取り組むなら楽しむことを忘れちゃ意味がないがならな!」

恭介(人仕切り話し終えると水を打ったように静かになる、最初にその空気を破ったのは笑い声だった)

女A「くっくっく、あははははははは!!」

男A「おい…、岩沢?」

誤字修正版

ゆりっぺ「あ、あなたっていう人は…。じゃあなに!?自分が楽しむために神と戦うっていうの!?」

恭介「もちろん、俺の望みを叶えることが前提にあるさ。そのついでに楽しむ。何かに取り組むなら楽しむことを忘れちゃ意味がないからな!」

恭介(人仕切り話し終えると水を打ったように静かになる、最初にその空気を破ったのは笑い声だった)

女A「くっくっく、あははははははは!!」

男A「おい…、岩沢?」

女A「いや参ったね。入る前からそんな大胆な宣言するやつなんて、あたしの知る限りじゃ初めてだよ」

男D「ぼ、僕だって初めてだよ!創設メンバーだけどさ」

男B「当然俺も初めてだな、いやすげーわお前。マジで大物かもな?」

女A「あんたの戦う理由とやら、あたしは気に入ったよ。棗…だっけ?」

男F「It's so cool!!」

ゆりっぺ「待ちなさい!」

恭介(騒がしくなり始めた空気が一気に沈静する、大したカリスマだ。やはりゆりっぺが戦線のリーダーか)

ゆりっぺ「それで世界の秘密を暴いたとして、あなたはどうするつもりなの?それであなたの望みが叶うっていうの?」

恭介「それは暴いた先に何が待っているかによるな。そして、まずは動かなければ始まらないんだ。そうだろ?」

恭介(さっきのゆりっぺの言葉を真似て返す、最後はニカっと笑ってな)

ゆり「………。昨日からさっきまでは結構デキるやつかと思ってたけど…、確信したわ」

恭介(すると、凄い勢いで俺の顔に指を突きつけてきた)

ゆりっぺ「あなた馬鹿ね!?それもちょっとやそっとじゃない!神がかり的な馬鹿なのね!?」

恭介「否定はしないさ」

ゆりっぺ「はあ、ちょっとはまともかと思ってたのにまた馬鹿が増えるってわけね…」

恭介「ということは?」

ゆりっぺ「入るんでしょ?理由は気に入らないけど、熱意は伝わったわ。それに優秀なのは確かだもの。人手不足だしね」

恭介(俺の人間性は難ありとしたが妥協したってとこか?)

恭介(まあ今はそれでいいさ。だが覚悟しとけよ?俺は一人で楽しむつもりなんかない、お前らみんな巻き込んでやるからな)

恭介(そしてゆりっぺが手を差し出してくる、その瞬間背後でドアの開く音)

男G「はやまるなぁ!ゆりっぺ!」

男G「ぶほっ!」

がしゃーーーん!!

男B「あほだ…」

男A「自分の仕掛けた罠にハマってやがる…」

女B「あさはかなり」

恭介「俺もさっきこう吹っ飛んだんだな…」

恭介(ドアの向こうでぶらーんと天井から垂れ下がる巨大ハンマーを見て、ようやく理解する)

ゆりっぺ「ここに無事に入るには合言葉が必要なのよ。対天使用の作戦本部ってわけ?」

恭介「そうか、合言葉は?」

恭介(そして俺は手を差し出し握手を交わした)

ゆりっぺ「合言葉は、カミモホトケモテンシモナシ」

恭介「…カミモホトケモテンシモナシか」

ゆりっぺ「あたしはゆり。この戦線のリーダー」

恭介「やっぱりお前がリーダーだったのか」

ゆり「まあね、彼女は遊佐さん。あなたたちとあたしを繋ぐ通信使よ」

遊佐「よろしくどうぞ」

恭介(唯一一言も話さなかったやつだな)

男B「よ!これでようやく仲間っつーわけだな!」

ゆり「彼は日向くん。見た目通りちゃらんぽらんだけど、やるときはたまにやるわ」

日向「ああ!ってフォローおかしいぜ!!」

恭介(俺の言葉に最初に食いついてくれたやつだ、好青年って感じの印象だな)

ゆり「彼は松下くん。柔道五段だから、敬意を持ってみんなは松下五段と呼ぶわ」

日向「くっそー、無視かよっ」

松下「よろしくな」

恭介(本当に真人や謙吾並みの大男だ。この体で柔道五段なら、さぞ強いんだろう)

ゆり「彼は大山くん。特徴が無いのが特徴よ」

大山「えへへ、ようこそ、戦線へ」

恭介(どこが特徴が無いんだ?童顔だし良いリアクションしてたし、充分個性的に見えるんだが…)

恭介(ぬっとそこでダンサーのような男が割って入ってくる)

男F「Come on! Let's dance!!」

恭介「おっ!やっぱダンサーなのかい?野郎どもが生み出した絆スキップならぬ、絆ステップを見せてやるぜ!」

ゆり「この人はみんなTKと呼んでるわ。本名は誰も知らない、謎の男よ」

恭介(そんな奴までいるのか、幅広いな…)

ゆり「眼鏡をいちいち持ち上げて知的に話すのは高松くん。本当は馬鹿よ」

高松「よろしく」

恭介「ああ、よろしくな」

恭介(今の紹介で怒らず平然としている。こいつは中々大した奴かもしれないな)

ゆり「さっき飛んで言ったのは野田くん」

恭介(あの武器持ったやつか)

ゆり「で、影で『あさはかなり』って言い続けてるのは椎名さん」

ゆり「作戦実行メンバーではあたしを除いて唯一の女性で、しかも戦線では最強」

恭介(そいつはすごいな、見た目の印象も相まって来ヶ谷に似てる気がするぜ)

椎名「ふっ…」

ゆり「そっちに座ってるのは岩沢さん。陽動部隊のリーダー」

岩沢「よろしく、棗」

恭介「おう、さっきは爽快に笑ってくれてありがとな」

岩沢「笑おうと思って笑ったんじゃない、お前に笑わされたんだ」

ゆり「彼女の活躍はすぐ耳にすることになると思うわ」

恭介「耳…?」

ゆり「ここにいないだけで、戦線のメンバーはまだ何十人と校内に潜伏してるわ。後は…、藤巻くんね」

藤巻「藤巻だ、クソ坊主」

恭介(木刀を持ったやさぐれた男が、クソ坊主呼ばわりしてくる)

恭介「俺としては、フレンドリーに恭介と呼んでほしいとこなんだがな」

藤巻「へっ!俺が認めるだけの活躍したら考えてやるよ」

恭介「そいつは期待に応えないとな」

松下「ところで、仲間に加わったんだ。制服を渡さなくていいのか?」

恭介「そういや、どうして俺の制服はお前たちと違うんだ?」

ゆり「あなたが違うんじゃないわ。あたしたちが違うのよ。それは模範生の格好」

恭介(ゆりっぺが机の向こう側に回り、引き出しから何かを取りだす)

ゆり「これが、あたしたち『死んでたまるか戦線』の格好ってわけ。はい、どうぞ、棗くん」

恭介(そう言うと折り畳まれた制服が差し出される)

ゆり「早速着替えてくれるかしら?サイズが合えばいいんだけど」

恭介(指示に従って、みんなに背中を向けて着替える。背中を向けたのは一応女性陣に対する配慮のつもりだ)

恭介(にしても真新しい制服を着るのはなんかワクワクするよな)

恭介「着替え終わったぜ、サイズは問題なさそうだ」

大山「うあー、似合うなー!羨ましいよ!さすが棗くん!」

日向「ああ、悪くないな」

ゆり「っていうかそうよ。すっかり忘れてたわ」

恭介「ん?なにがだ?」

ゆり「名前よ、名前。『死んでたまるか戦線』の新しい名前。うってつけのがあるんでしょ?」

恭介「ああ、そうだったな」

恭介(一歩前に出ると再度みんなの注目を集める)

恭介「それじゃ戦線名を発表するぜ?」

恭介(そう、ここからが本当の始まり。死後の世界という新しい場所での俺たちの戦いの始まりだ)

恭介(気合を入れて高らかに俺は宣言した)

恭介「戦線名は『リトルバスターズ』だ!」

今日分の投下終わり
長いプロローグ終了です
恭介節に四苦八苦した回、だーまえは偉大

夜に再開します
今日投下する予定の部分には安価あり
何気ない選択肢に、重要なフラグが紛れてる…
かもです

20時くらいから投下開始します

日向「ここが大階段」

恭介「でっけーな」

日向「見下ろせるのが運動場、今は体育の時間か。NPCの連中が走ってるな」

恭介(一夜経って、俺は日向に校内を案内してもらっていた)

恭介(俺の発表した『リトルバスターズ戦線』は、特に男子に格好良いだの、新しいだの好評であっさり受け入れられた)

恭介(ま、当然だがな!ゆりと椎名には不評っぽかったが…)

恭介(俺はその場ですぐに活動開始なのかと思ったが、ゆりの指示で)

ゆり『もう時間も微妙だし、新生リトルバスターズ戦線としての活動は明日からにするわ。解散!』

恭介(ってな具合にその場で一旦お開きになった)

恭介(そんな時、俺のルームメイトに名乗りを上げてくれたのが日向だった)

日向『先輩として、この世界での暮らし方ってやつを教えてやりたいからな!』

恭介(との事だった。もちろん、俺から頼みたいくらいだ。色んなやつと仲良くなっておきたい、単純に頼もしいってのもあるしな)

恭介(そして、今に至る)

恭介(学生寮や大食堂は昨日のうちに案内してもらったから、今は校内をグルリと回っているところだ)

日向「まあ、これで大体は見て回ったかな」

恭介(日向が一度足を止める)

恭介「そうなのか?まだ見てないところもありそうなんだが」

日向「俺たち戦線のメンバーにとって、重要な場所ってのは意外と少ないからな」

恭介「購買とかはあるのか?」

日向「ああ、あるぜ。でもゆりっぺ的にはあんまよろしくないかもな」

恭介「どういう意味だ?」

日向「普通にお金払って物を買うなんて模範的じゃない、消えたらどうするの?だそうだ」

恭介(徹底してるな…、っていうか滅茶苦茶言ってる自覚はあるのか?ゆりっぺ…)

恭介「でも物を買うにしろそのための金が無いんだよな」

日向「貰えるとこがあるんだよ、どうしてもっていうなら後で案内してやるぜ」

恭介「ああ、サンキューな。日向」

恭介(やっぱり日向は頼もしい。頼ることの出来る仲間がいるのは嬉しいことだな)

恭介「にしても、普段はどういうふうに過ごしてるんだ?授業にも出てないんだろ、暇じゃないのか?」

日向「結構自由だぜ。突発的にゆりっぺからのオペレーションを実行するために、呼び出されることもあるけどな」

日向「あと幹部は毎日夕方17時に、本部に集合するのが義務付けられてる。それ以外は日々の訓練を怠らなきゃいいんだ」

恭介(そこで俺は、「日々の訓練」との言葉に違和感を覚えた)

恭介「この世界じゃ俺たちは死んでるから歳もとらないんだろ?なのにちゃんと訓練したぶんが反映されるのか?」

日向「んー、そうだなあ。俺の経験則では、自分にとってプラスになることは都合良く生きていた時のようになる」

日向「勉強すれば賢くなるし、筋トレすれば体力がつく。逆に断食とかしても死なないし、筋肉が落ちたりもしない」

恭介「マイナスの経験は反映されないのか。よく出来た世界だな」

日向「まあ、当然腹減って死にそうな苦しみは味わうがな」

恭介「味わったことがあるのか…?」

日向「ゆりっぺはオペレーションに失敗したらたまに罰ゲームを持ち出すんだよ、そん時にな…」

恭介(鬼だな、ゆりっぺ…)

日向「次は恭介の行きたいとこに行けよ。俺もついてくから」

恭介「そうか?じゃあゆりっぺのとこに行ってもいいか?ちょっと聞きたいことがあってな」

日向「オーケー。んじゃ校長室だな」

恭介(二人で並んで移動し、校長室の前に立つ)

恭・日「カミモホトケモテンシモナシ」

恭介(中に入るとゆりっぺが一人で椅子に座っていた)

ゆり「あら、棗くん。丁度いいところに来たわね。これを渡すのを忘れていたわ」

恭介(鈍く光る金属の塊が渡される、聞かなくてもわかる。こいつは本物の銃だ)

ゆり「さっき試し打ちしたけど、問題なく撃てるわよ」

恭介「悪いが、俺は銃の扱いには自信無いぜ?」

ゆり「誰だって最初はそうよ。暇があったら体力作りと銃の練習に励みなさい。幹部ならそうあるべきよ」

恭介「ああ、わかった…。ん?ちょっと待て幹部?俺幹部扱いなのか?」

ゆり「そりゃそうよ。初日に天使からこの世界の情報を聞き出したのよ。実績は充分。実行班としてオペレーションにも参加してもらうから、そのつもりでいなさい」

日向「おいおい、すげーな恭介!スピード出世じゃねえか!」

恭介(日向が嬉しそうに俺の肩を抱いてくる。俺の事でここまで喜んでくれるなんていい奴だな、本当に)

ゆり「とりあえず早速今日、棗くんには慣れてもらうために、いつもやってる簡単な作戦に参加してもらうわ」

恭介「ほう?その作戦とは?」

ゆり「また後でみんなが揃ってる場所で説明するわよ。集合時間は一七○○、場所はここよ、忘れないようにね」

恭介(ついに初めての作戦参加か。幹部として、参加出来るのはラッキーだな)

恭介(銃は…、正直あんま使いたくないんだが。朱鷺戸のループに付き合ってる時に暇だったから練習してたし、まあ大丈夫だろ)

ゆり「それで、二人してどうかしたのかしら?」

恭介「ああ、質問があるんだ」

恭介(まずはこの世界についての情報をもっと詳しく把握しておきたいとこだな)

恭介「この学校の外はどうなってるんだ?」

ゆり「なるほど。早速世界の秘密を暴くために行動開始ってわけね」

恭介「こういう事は、まずお前たちから聞いておいた方が確実だと思ってな」

ゆり「賢明ね。質問に答えると、正門も校門も無し。森に囲まれていて、さらに深く進むと壁で高く閉ざされている」

恭介「出られないってことか?」

ゆり「そうね。壁に対してハンマーを使っても傷つけるのが精一杯。杭も刺せないから足場を作って登ることも不可能」

恭介「食料とかはどこから調達されるんだ?」

日向「調達なんかされないぜ。陽が登ると同時に食堂の厨房に現れるんだ」

恭介「見たのか…?」

ゆり「ええ。そりゃあなたが今考えてるこの世界からの脱出方法はすべて試してるって話よ。何十年ここで暮らしてると思ってんの?」

恭介「そんなにいるのか?」

日向「創設メンバーはみんな数十年単位だぜ、椎名とかだと百年はいるかもしないな」

恭介「そんなにいて精神が病んだやつとかはいないのか?」

ゆり「この世界では誰も病まないわ、肉体面でも精神面でもね」

恭介「本当に都合の良い世界だな」

ゆり「まったくね、そういうところは腹立つくらいよく出来てるのよ」

恭介「じゃあ季節も移ろうのか?」

ゆり「正解、ちゃんと移ろうわ。今は春で夏には雨、冬には雪も降る」

日向「多分だけど、生きていた時そのままの世界を再現しないと意味がないんだろうな」

恭介「なるほどな。2度目の青春のための世界なのに、季節に変化が無かったら面白みが無いもんな」

ゆり「ちなみに学校行事だってちゃんとあるのよ。卒業式だってある。それで消える生徒もよく見たわ」

恭介「卒業式に出なければ?」

日向「同じ学年のまま、新しいクラスメイトと一緒に、また自分の名前が書かれた名簿が貼られるんだ」

恭介「早い話が留年ってわけか」

ゆり「この世界にね」

恭介(…まとめると、この世界は学校とその周辺以外は、完全に閉じた世界だってことだな)

恭介(俺たちが創った世界とはそこが決定的に違う。その代わり病むことも死ぬことも無い)

恭介(この世界で生きるものたちの身の安全は、完全に保証されているということになる)

恭介(まさに箱庭だな。仮に神以外がこの世界を創ったのなら、どんな意図が隠されているんだか…)

ゆり「他に質問は?」

恭介(次は天使…、生徒会長についてだな。あいつは自分が天使じゃないとは言っていたがそれにしては気になるところがある。それは…)

恭介「天使の持つ能力についてだ。俺は腕から生えた刃でぶっ刺されたが…」

ゆり「それはハンドソニックね。跳弾も出来るし、近接戦闘ではまさに剣と化す」

恭介「なぜ天使はそんな力が使えるんだ?」

日向「そりゃ神にでも与えられた能力なんじゃね?俺たちと戦うため、異分子を排除するために」

ゆり「ええ、私たちが天使は神の使いだと考えてる根拠がそれよ。あまりに常軌を逸した力ですもの」

ゆり「加えて無感情、無愛想、自意識があるのかも謎。生徒会長という特殊な役割。ただのNPCとして片付けるには個性的すぎるわ」

恭介(無感情…、という点には異を唱えたくなるとこだが今は抑えておく)

恭介(幸か不幸か。あんなむちゃくちゃな頼み事をしたおかげで、天使にも確かに感情があることを俺は既に知っているからな)

ゆり「能力の続きね、次はディストーション。わかりやすく言うとバリアみたいなものよ」

日向「こいつを発動されると、銃弾の軌道がねじ曲げられる。ねじ曲った結果当たることもあるんだが…」

ゆり「これまでの経験上、ディストーション発動中は、天使は歩むことなくじっとしてる。きっと周りに銃弾をねじ曲げる空間が固定されてるんでしょうね」

恭介「つまりディストーション中は普通の銃は通用しないってことか」

ゆり「それと天使はとてつもない身体能力を持ってるわ。まともな近接戦では勝てると思わないことね」

恭介「銃も効かなくて、近接戦も分が悪い…か。手こずってるわけだ」

ゆり「それでも、それなりに対抗出来てるけどね」

恭介(天使…生徒会長。ただものじゃない存在なのは確かだ。こいつらが神の使い、天使だと思うのも無理は無い)

恭介(…だが、)

生徒会長『…そう、なら仕方ないわね…。…どうしても私に手伝えることは無い?』

生徒会長『…なにか、ある?』

恭介(あの時あいつは俺に手を差し伸べてくれていた…。ただ敵対し続けなければならないほど、危険な奴とは思えない)

恭介(なんとかして、あいつと交流を図りたいところだな)

ゆり「他に質問は?」

恭介(さてどうするか…。とりあえずもう聞きたい事は無いが、共に戦う仲間だ。親しくなっておきたい)

恭介(なにか聞きたいことはあるか…?)

人いるのかな…?

選択安価

1 ゆりの趣味について聞く
2 あえて自分の悩みでも相談してみる

↓2

恭介「ゆりっぺの趣味は?」

ゆり「趣味?そんなことに耽っている暇があると思って?」

恭介「でも、今は暇そうじゃないか」

ゆり「あたしが暇?」

恭介「ああ」

ゆり「…新入りだから今のは聞かなかったことにするわ」

恭介(不機嫌な顔になる、どうやらこの質問はタブーらしい)

恭介(どうする…?)

試しに早いもの順に変更してみます

選択安価

1 で、趣味は?
2 自分の趣味について話す

↓1

恭介「例えば俺の趣味は読書なんだぜ」

ゆり「読書!?なんかすっごい意外なんだけど。悪ガキ引き連れて馬鹿みたいに遊び回ってるイメージだったわ!」

日向「おいおいゆりっぺ、その言い方は流石に…」

恭介「否定はしない」

日向「しないのかよっ!?」

恭介「ま、読書といっても漫画全般だけどな」

ゆり「なーんだ。ってか漫画も読書に含めていいものなの?」

恭介「同じ本なんだ、なんの問題もないだろ」

日向「ってか恭介、読書が好きなら後で図書館に案内してやるよ」

恭介「気持ちは嬉しいが漫画が無ければな…」

日向「ちゃんとあるし借りることも出来るぜ、生前の青春時代にあったもんは大体揃ってるんだよ」

恭介「マジか!?そいつは知らなかったぜ!」

ゆり「はいはい、盛り上がるのはいいけど外でやってね」

恭介「ああ、悪い。じゃあなゆりっぺ。色々参考になったぜ」

恭介(野暮用を済ませた後に図書館に向かい、自分用の図書カードを発行した)

恭介(いざ借りようというタイミングで、遊佐に作戦会議の時間だと告げられ断念する破目になったが…)

恭介(今度また図書館によってみるか)

恭介(時刻にして一七○○、俺は日向とともに作戦本部に集合した)

恭介(全員が集まったのを確認すると、ゆりっぺは自分の机に向かいおもむろに帽子を被る)

恭介(それを合図に、カーテンが閉められ、部屋の明かりが落とされる。スクリーンが引き下ろされ、青白い光が部屋を包み込んだ)

ゆり「すでにみんなにも伝えたと思うけど、今日から棗くんにも幹部として作戦に参加してもらうわ。棗くん、いいわね」

恭介「ああ、もちろんだ!」

ゆり「よろしい。作戦名は、『オペレーショントルネード』よ」

松下「ううむ、でかいのが来たな、こいつは…!」

恭介「トルネード…」

恭介(まさか竜巻でも引き起こそうってのか…!)

ゆり「生徒から食券を巻き上げる」

恭介「その巻き上げかよ!」

恭介(思わずズッコケるところだったぜ…)

大山「なんて素早いツッコミだ!僕なんて…まだまだだっ!」

恭介(涙目になりよよよとすすり泣く大山。マジお前どこが個性無いんだよ…)

恭介「生徒から食券巻き上げるなんてただのイジメじゃねえか!」

野田「貴様、ゆりっぺに逆らう気か…?」

恭介(野田が俺のその言葉に、ハルバードを首筋に突きつけてくる)

松下「落ち着け、恭介。我らリトルバスターズ戦線は、一般生徒を脅かす真似は決してしない」

恭介(すっかりリトルバスターズの名前が定着してるのは嬉しいが、ひとまず後回しだ)

恭介「当たり前だ!そんなことしたら失望するぜ。でも、巻き上げるって言ったじゃねえか?」

ゆり「ええ、文字通り巻き上げるわ」

恭介「どうやって?」

ゆり「あなたは天使の侵攻を阻止するバリケード班。作戦ポイントである大食堂を取り囲むように、それぞれ指定の位置で武装待機」

恭介(スクリーンに上空から見た大食堂の図面と、周辺の地図が表示される)

ゆり「天使が現れたら発砲、それが増援要請の合図にもなるわ。どこかで銃声が聞こえたら、棗くんも増援に駆けつけるように。いいわね」

恭介「つまり、習うより慣れろの精神ってわけだな?」

ゆり「その通りよ。順応性を高めてあるがままを受け入れなさい。みんなそうしてきたんだから」

恭介(周りのみんなを見回す。なるほど、みんな自信の備わった良い顔をしている。いいぜ、やってやろうじゃねえか)

ゆり「棗くんは大食堂に続く橋の西側ね。わからなければ東側の日向くんに聞いてちょうだい」

ゆり「岩沢さん、今日も期待してるわ」

岩沢「ああ」

ゆり「作戦スタートは一九○○よ。さあ総員、配置につきなさい!」

恭介(指示通り俺は日向と一緒に、自分の待機場所へとやって来た)

日向「恭介は、ここな」

恭介「日向が東側だったか」

日向「ああ、大食堂に近い側の橋さ。やばくなったら、すぐに駆けつけてやるから安心しな」

恭介「ああ、信じてるぜ!」

日向「よし、流石は恭介。いい表情してんな!じゃ、また後でな」

恭介(東側に向かう日向を見送る。そろそろ時間のはずだ…)

ゆり『オペレーション…スタート!』

恭介(急に食堂から爆音が響く。何事だ!?)

恭介(…歌だ。歌が聞こえてくる。こいつは生演奏…?あの大食堂でライブが始まったのか!?)

ゆり『そっちに座ってるのは岩沢さん、陽動部隊のリーダー』

ゆり『彼女の活躍はすぐ耳にすることになると思うわ』

ゆり『岩沢さん、今日も期待してるわ』

岩沢『ああ』

恭介(歌っているのは岩沢と他のメンバーか。なるほどこんな大胆な作戦、生徒会長である天使が放っておくはずがない。それにしても…)

find a way ここから
found out 見つける
rockを奏でろ
遠くを見据えろ

恭介(良い歌だな…。そういや野球じゃなくて、バンドをやろうなんて提案したこともあったっけか)

恭介(きっとどこかの教室で練習してるんだろうし、そのうち会いに行ってみるか)

恭介「!?」

恭介(気配を感じる、橋の向こうから歩いてくる。暗すぎてわからないが、体型的にはあいつに似ている…)

恭介(月明かりに照らされ、その姿が鮮明になる。間違いない)

生徒会長「………」

恭介(少しずつこっちに向かって近づいてくる。なら、出迎えてやらなきゃな)

恭介「よう」

生徒会長「あなたは…」

恭介「えらく久しぶりな気がするな。まあ見ての通り戦線に仲間入りしたぜ」

生徒会長「…そう。ごめんなさい」

恭介「ん?なんでお前が謝るんだ…?」

生徒会長「…あなたのこと刺しちゃったから」

恭介(…あ、やっべえ!すっかり忘れてた!)

恭介「いやいやいや、あれは全面的に俺が悪い!お前のあれは言わば正当防衛だ!謝るのはむしろ俺だ!ほんとにすまなかった!」

恭介(とりあえず思いっきり頭を下げる。これで足りないなら土下座でもなんでもしよう)

生徒会長「そう、良かった。怒ってないのね」

恭介「怒ってるわけがない、悪いのは俺なんだ」

生徒会長「いいえ、あたしも悪かったわ」

恭介「………」

生徒会長「………」

恭介「フッ。じゃあお互い悪かったってことで水に流してくれるか?」

生徒会長「あなたがそれでいいのなら」

恭介「サンキューな」

生徒会長「じゃあ、その先に行かせてくれる?」

恭介「そいつは無理な相談だ。持ち場を守るのが俺に与えられたミッションなんでな。それにあの歌ももっと聞いておきたい」

生徒会長「それは、困るわ」

恭介(少しだけ首をかしげてそう言う)

恭介「だろうな。俺はここから先へ行かせたくない。お前はここから先へ行きたい」

恭介(ゆりっぺから受け取った銃をクルクル回して構える)

恭介「じゃあバトルで決着をつけるしかないよな?」

生徒会長「…バトル?」

恭介「そうだ。ルールは簡単。一対一で相手を倒すか、まいったと言わせたほうの勝ち」

恭介「負けた方は、相手の言うことを潔く聞くってのでどうだ?」

生徒会長「あなたじゃあたしには勝てないわ」

恭介「やってみなければわからないさ」

恭介「これでもバトルランキング最強の男、『マスク・ザ・斎藤』を名乗ってたこともあるくらいだぜ!うまうー」

生徒会長「…なにがうまいの?」

恭介「なに気合いをいれるおまじないみたいなもんだ、気にしないでくれ。うまうー」

生徒会長「…そう。あたしが勝ったらそこをどいてくれるのね?」

恭介「ああ、どいてやるとも。なんなら授業を受けてやってもいいぜ」

生徒会長「わかったわ、それでいきましょう。うまうー」

恭介「ぶっ!?」

恭介(あまりの衝撃に思わずむせてしまう。…なんだ?聞き間違いじゃなかったら今こいつ…)

恭介「なあ今の…?」

生徒会長「気合いをいれるおまじないだって言うから。使っちゃだめだったかしら?」

恭介「いや、使ってくれ!もうバンバン使ってくれ!」

生徒会長「いつも使ってたら、おまじないの意味が無いわ」

恭介(やっぱりこいつは天使なんかじゃない、人間だ。いや、もう天使だろうが何でもいい!)

恭介(こんな面白いやつ放っておいてたまるか。俺の覚悟は決まったぜ)

恭介「そういや、俺としたことが自己紹介もまだだったな」

生徒会長「自己紹介?」

恭介「ああ、俺は恭介。棗 恭介だ。お前は?」

生徒会長「…かなで。立華かなで」

恭介「よっし、立華!俺が勝ったらお前をリトルバスターズの新メンバーにする!」

立華「…リトル、バスターズ?」

恭介「戦線の新しい名前だよ。どうだ、かっちょいいだろ?」

立華「…その名前はかっちょいいの?」

恭介「…ぐっ!やっぱり女性にはネーミングの時点じゃウケが悪いか…!」

立華「?」

恭介「まあいい、かっちょいいんだ!しかも楽しいことが沢山待ってるぜ?そこにお前も引き込んでやる!」

立華「あたしは生徒会長だから、あなたたちの仲間にはなれないわ」

恭介「うっ!それを言われると痛いな…」

恭介(俺たちとは立場的に大きな壁があるからな…)

恭介「よし!ならこうしよう、お前が生徒会長を辞める時が来たら俺たちの仲間になる!そいつでどうだ?」

恭介(何も今焦りすぎる必要は無い。時間が必要な時だってあるさ)

立華「あなたはそれでいいの?あまり釣り合ってないように思えるけど」

恭介「構わないさ、じゃあこの約束でいいな?」

立華「…」コク

恭介(立華が小さく頷いた、了承ということだろう)

恭介「よし、じゃあこのコインが地面に落ちたら開始の合図だ。準備はいいな?」

恭介(俺は先ほど用意した100円玉を、立華によく見えるように示す)

立華「ええ」

恭介「よしじゃあ、いくぜぇ!」キン

恭介(コインを思い切り上空に弾く。相手は天使と呼ばれる存在、身体能力では負けてるだろう。能力の差もある)

恭介(それでもな、俺は負けない!)

恭介(決意を再度固めた瞬間、コインが地面に落下した)

恭介「バトル、スタートだ!!」

今日はここまで
ご意見、ご感想お願いします

図書館が開放されました

安価なんですがもう早い者順でいいんでしょうか?
SS書くの初めてなんでこのあたりの勝手がよくわかららない

22時くらいから投下します

それと安価ですが
色々考えた結果、時間指定方式でいきます

というのも次回くらいに本筋の展開が結構変わる選択肢仕込むつもりなので
早い者順はどうかなあ、と思ったためです
選択肢によって待ち時間は随時考えるつもりですが
長いやつは察して下さいm(_ _)m

立華「ガードスキル…ハンドソニック」

恭介(合図の直後、立華はハンドソニックを展開し、物凄いスピードで間合いを詰めてくる)

恭介「そうはいかないぜ!」

恭介(俺は予め用意し、隠し持っていた『それ』を立華に向かって投げる)

恭介(だがぶつけるためじゃない、そんなことしてもあっさり躱されるのは目に見えてるからな)

恭介「当たれっ!!」

パァン!

恭介(狙い通り、立華の手前で撃ち落とすことに成功した)

立華「!?………石灰?」

恭介(ご名答だぜ立華。今のは購買で仕入れたゴム風船・大に、くすねた石灰をパンパンに詰めたものだ)

恭介(ようは擬似的な煙幕だな。いくら桁外れの身体能力を持っていても、相手が見えなければどうしようもないだろう?)

立華「煙幕の外に出れば…。きゃっ!」

パーン!パンパーン!

恭介(当然、お前は煙幕の範囲外に出ようとする。悠長に煙幕が晴れるのを待つのは命取りだからな)

恭介(が、その足元にはゴム風船・小を大量にバラまかせてもらった。踏めば破裂するぜ)

恭介「さあ隙だらけだぜ!」

恭介(立華が怯んでいる隙に、武器を持ち替え今度はこっちから距離を詰める)

恭介(俺は右手に持ったおもちゃのナイフを立華に見せつけるようにして走った。左手は立華から見えないように構えて)

立華「距離を離していれば、まだ勝ち目があったかもしれないのに」

恭介(そう言うと立華もこちらに迫る)

恭介「そいつはどうかな!」

恭介(悪いが立華、俺はそれを待ってたんだぜ!)

恭介「せいっ!」

シュッ

恭介(ギリギリの間合いで、おもちゃのナイフを投げつけた)

立華「!?」

恭介(立華からすれば本物のナイフだと思っていたはずだ。当然躱すか弾くかしなければならない)

立華「っ!………え?」

恭介(立華は弾くのを選んだ。だがおもちゃのナイフは呆気なく切断され、息を呑むのが聞こえた)

恭介(これが本物じゃなくおもちゃであることの利点だ。想定外の結果は少なからず動揺を生む)

恭介(そして…この距離でそれは致命的な隙となる!)

恭介「これでどうだ!」

恭介(この時のためにとっておいた左手、その手に装備したのは黒板消しだ)

恭介(交錯する瞬間、黒板消しの粉を払い立華に叩きこんだ)

立華「っつ、…目が」

恭介(大した時間は稼げないだろうが、目潰しにより動きを封じることに成功する)

恭介「終わりだぁ!」

恭介(最後の武器は布ガムテープ。こいつでグルグル巻きに縛り、一気に立華を拘束した…!)

恭介「…ふう」

恭介「ガムテープで縛られた立華の出来上がりだぜ。ってやばい、なんか響きがエロいな…」

立華「………?」

恭介(立華はきょとんとしている。なぜ自分が縛られているのかが、まだわかっていないかのような表情だ)

恭介「おい大丈夫か?一応そんな痛くならないように、目潰しの加減は調節したつもりなんだが…」

立華「………棗くん。あなたやっぱりすごいわ。てっきり銃やナイフを使うのかと思ったのに」

恭介「使ったさ、ああいう使い方だけどな。でも俺はどっちかっていうと、くだらない武器で戦う方が慣れてるんだ」

恭介(煙幕での先制攻撃、ゴム爆弾・小で一度怯ませ、おもちゃのナイフで動揺を誘い、黒板消しで目潰しをする)

恭介(どれも、最後のガムテープでの攻撃を通すための布石だったってわけだ)

恭介(しかも何度もループしたおかげで、バトルランキングで使うようなスキルはとっくに熟練度MAXだったのが大きかったぜ)

恭介「さあどうだ、降参するか?」

立華「降参しないわ」

恭介「強がり言うなよ。もう戦えないだろ?」

立華「戦えるわ」

ブチっ!!

恭介(立華が力を入れると、拘束はあっさり破られてしまった)

恭介「なっ!?マジかよ…。布ガムテープまるまる1個使い切ったってのに」

立華「ガードスキル…オーバードライブ…よ。これくらいなら自力で破れるわ」

恭介「ちっ!」

立華「続けましょう、棗くん」

恭介(そう言うと立華は再度ハンドソニックを構え、俺は即座に間合いを離す)

恭介(オーケー、楽しませてくれるじゃないか…!)

恭介(なら、次の手は…!)

椎名「伏せろ!棗!!」

恭介(!?突然の声に反応し、俺は反射的に体を伏せた)

立華「!」

恭介(そこには立華に斬りかかり、蹴り飛ばす椎名がいた)

日向「悪い!遅くなったな恭介!」

恭介(更には日向の声、俺を庇うように前に立ち立華を狙い発砲する)

恭介(命中したのだろう、立華が立ち尽くし腹を手で押さえた。白いはずの制服に黒い色が広がっていく)

恭介「日向!お前なぜ!?」

日向「銃を撃ったら増援要請の合図って言われたろ?だからだよ!」

恭介(そうだ…。確かにゆりっぺがそう言っていた。立華とのバトルに夢中ですっかり忘れていたが…)

恭介(絶えず銃を連射する日向、立華はそれをハンドソニックで尽く弾いている)

日向「ちっ!やっぱ効かねーか!少し下がるぞ恭介!」

恭介(俺の肩を抱いて、日向が立華から距離を取らせる)

恭介(その間、椎名が単独で立華と近距離で交戦している。すげえ動きだ…、ゆりっぺが戦線最強だというだけある)

野田「うおぉぉぉ!」

恭介(更に野田が現れハルバードを立華に投げつける。が、あっさりそれも弾かれた)

野田「くそっ!」

日向「てめーら、おせーぞ!」

藤巻「一番よえーとこ襲われたじゃねぇか!」

高松「まだハンドソニックだけですよ!」

TK「It's show time!!」

恭介(次々と戦線メンバーが加勢に現れる…)

日向「よし!加重攻撃いくぜ!」

立華「ガードスキル…ディストーション」

恭介(立華がなにか呟いた直後。全ての銃弾の軌道が、彼女の居場所だけを避けてその向こうへと消えていく)

野田「ディストーション…!ちっ、遅かったか!」

日向「弾を途切れさせるな!俺たちの目的は足止めだ!これ以上の侵攻は許すなよ!」

藤巻「言われなくてもわかってるぜ!」

恭介(一斉射撃が勢いを増す。それでも一発も弾は当たらず立華はそこでじっとしている。その時…)

大山「狙い撃つ!狙い撃つよぉぉぉ!!」

恭介(大山が叫びながら、スナイパーライフルで援護射撃を開始していた。マジどこが個性無いんだよお前…)

立華「………!」

恭介「な、当たったのか!?」

恭介(立華が肩の辺りを出血し始めていた…)

日向「ディストーションは完全なバリアじゃねえからな!僅かに掠めるぐらいの隙間があるんだ!」

藤巻「にしても残弾がやべえぜ!」

野田「これだから銃はっ!」

高松「まだですか、作戦実行班は!?」

恭介(なんだ…?なにしてんだよ…?相手は立華一人なんだぞ、それをこうも大勢で…)

松下「みんな爆風に備えろぉ!」

恭介(今度は松下が何かを構えている。あれはバズーカか!?おいおい、いくらなんでもそんなのくらったら…!)

椎名「ふっ!」

恭介(松下がバズーカを撃つのと同時に、椎名が死角に回りナイフを投げつけるのが見えた)

ドゴォーン!!

ゆり『………』

ゆり『ふ…宴もたけなわだな…。回せ』

遊佐『回してください』

恭介「くっそ!どうなった!?立華は!?」

立華「ここよ」

恭介(爆煙の中、白い紙がヒラヒラと舞い落ちている。それはまるで雪のようで、どこか幻想的だ)

恭介(そして俺の目の前に立華がいた。ところどころが血に染まっていて痛々しい)

恭介「無事か、立華!怪我はないか!」

立華「平気よ。いつものことだから」

恭介「いつも…?お前たちはいつもこんな戦いをしてるのか…?」

立華「必要なことなのよ。あの人たちにとっては」

恭介(こんな殺し合いのようなことがか…?例え死なない世界でもなにもここまで…)

立華「勝負はまた今度にしましょう。これ、あげるわ」

恭介(立華が白い紙を差し出してくる。そこには『麻婆豆腐』と書かれている。食券のようだ)

恭介「これは…?」

立華「食べてみて。うまいわ」

恭介(そう言うと立華は微笑む。やっぱり無感情のはずがない。こんなに綺麗に笑うことが出来るのに…)

立華「もう戻ったほうがいいわ。煙も晴れるし、あたしと話してるのがバレたらまずいわよ」

恭介「…ああ。そうする」

恭介(立華は戦線の敵だ…。今のままじゃ決して仲間になんかなれない…)

恭介(だが、それでも…)

恭介「立華、必ずお前を仲間にしてやるからな!こんなことより、馬鹿みたいに楽しいことを教えてやるからな!」

恭介(そう立華に言い残して、俺は大食堂に向かって走った)

恭介(どうしようもなく無力な自分が、本気で頭にきた)

恭介(だが、早くみんなのもとに戻らないとならない。入り口には戦線のみんなが集まっていた)

日向「あ、恭介!どこ行ってたんだよ!?心配したぜ!」

恭介「悪い、爆風にふっ飛ばされたみたいだ」

松下「なに!?それはすまんことをしたな…。大丈夫か、恭介?」

高松「怪我はないようですが」

恭介「ああ、全然平気だ。心配かけてすまなかったな」

大山「良かったあ、作戦は成功だよ。中に入ろう」

恭介(みんなに連れられて食堂の中に入る。最後に後ろを振り返ると、立華がまだ立ち尽くしているのが見えた)

恭介(さっきまであんなに近くにいたのに、その距離は果てしなく遠く感じる)

恭介(今はまだ無理だろうといつかは必ず…!)

恭介(待ってろよ立華…。お前は俺を本気にさせたんだからな…!)

~Kanade Side~

かなで(棗くんが戦線のみんなと一緒に、食堂に入るのが見える)

かなで(気のせいじゃなければ、最後にこっちを振り返った、と思う)

かなで「…棗、恭介」

かなで(不思議な人だと思った)

かなで(会った時は驚いたけど、戦線に入ってからも変わらずあたしに話しかけてくれた人は初めてだ)

恭介『よっし、立華!俺が勝ったらお前をリトルバスターズの新メンバーにする!』

恭介『楽しいことが沢山待ってるぜ?そこにお前も引き込んでやる!』

恭介『立華!必ずお前を仲間にしてやるからな!こんなことより、馬鹿みたいに楽しいことを教えてやるからな!』

かなで(実際、彼とのバトルは楽しかった。一方的にやられただけのような気もするけど)

かなで(でも面白い戦い方だった。あたしを傷つけようともしなかった)

かなで(子どもの遊びみたいで、ちょっとワクワクした)

かなで「…それはあたしじゃなくて、戦線の人たちに教えてあげて」

かなで(あたしには出来ないこと。戦線の人たちの心残りを晴らすこと。それがあの人なら出来るかもしれない)

かなで「楽しいことを教えてあげて」

かなで(目を閉じる。もう何年ここにいるんだろう?あたしの心残りはなんだったんだろう?)

かなで(もう、昔すぎて思い出せない)

かなで(目を開けると、そこには辺り一面食券が散乱していた)

かなで「…はぁ。掃除しないと」

今日は以上です

最初は煙幕をコショウ爆弾にするつもりでしたが、恭介らしくない。バイオレンスすぎるということで没。
代替案として石灰で煙幕としました(石灰で煙幕になるのかは正直危ういかもしれません)

とても励みになるので、ご意見ご感想お願いしますm(_ _)m

リトバスメンバー同じく当然音無も出します
いつ出るかは…お楽しみです

今日は22時くらいから再開します
ようやくEpisode:1が終わる予定
告知通り最後に安価
選択肢を見れば一目瞭然ですが
今後の展開が結構変わるものになるかもしれません

恭介(注文を済ませ、麻婆豆腐を受け取ると、食堂の一角に陣取っている戦線のメンバーと合流した)

恭介「あんな派手な作戦やらかした後に、飯なんか食ってていいのかよ?」

ゆり「普通にご飯食べるだけよ、なんの問題も無いじゃない」

日向「規律を乱してるか、乱してないかが天使が手を出す判断基準みたいだからなあ」

恭介「そういうもんか」

日向「って恭介!?お前それ麻婆豆腐じゃねえか?そんなの拾ったのか!?」

恭介「ん?ああそうだが」

恭介(当然、立華に貰ったことは伏せておく。あいつがおすすめするんだ。そりゃあもう激ウマに違いない)

松下「うーむ早速、麻婆豆腐に手を出すとはな」

椎名「あさはかなり」

TK「Crazy boy!!」

恭介(なのに、次々とみんなから驚嘆やら哀れみの声がかけられる)

恭介「なんだよ、なんかまずかったのか?」

ゆり「ここの食堂はどれもトップクラスの味を誇ってるわ」

恭介「じゃあ問題ないだろ?」

ゆり「一部色物というか、別方向にがんばりすぎちゃってるメニューがあるのよ。その代表がそれ」

恭介(ゆりが俺の麻婆豆腐を指差してそう説明する)

日向「悪いな、恭介。俺がちゃんと教えとくべきだったぜ」

大山「麻婆豆腐は、完食するのも至難の業って言われてるくらい激辛なんだよ。大丈夫?」

恭介「ふっ、激辛?そういうことなら面白い。この麻婆豆腐、見事完食してやろうじゃないか!」

高松「自ら失敗フラグを建てに行きましたね」

藤巻「やっぱこいつ馬鹿だ」

恭介(なんとでも言うがいいさ…。お残しは食堂のおばちゃんにも立華にも悪い)

恭介「いざ!」

恭介(俺はレンゲ一杯に麻婆豆腐をすくうと一気に口に入れた)

ぱく

恭介「………っぶはぁーーーーーっ!!」

大山「うわあ!!恭介くんが火を吹いた!!」

日向「おい、恭介!しっかりしろ!ほれ水だ、水を飲め!」

恭介(日向から水を受け取ると一気に流し込んだ…ヤバイ。マジで洒落になんねぇ!食物兵器だろこれ!!)

岩沢「火を吹けるなんて、棗は器用なんだな」

高松「生前は火吹き男だったんでしょうか?」

松下「火吹き男が、どんな未練でこの世界に来たんだ?」

藤巻「そりゃあれだろ?恋人とチューする時に思わず火を吹いて、恋人を殺しちまったとか!」

大山「ええっ!?そんなのあんまりだよ!?そんな生前なんて…、悲しすぎるよぉ恭介くん!!」

恭介(外野からやいやいと俺をいじる声が聞こえる)

恭介「てめえら勝手に人の生前捏造してんじゃねえ!俺はいつからそんなキャラになったんだ!」

ゆり「え?もとからじゃないの?いじられキャラ」

恭介「俺はもともといじられキャラなんかじゃないやい!もっとクールなリーダーキャラだったんだ!」

野田「貴様、その発言はゆりっぺに対する侮辱発言だ。取り消してもらおうか」

日向「いや野田、なんでそうなるんだよ。まあクールってのは無理ありそうだけど、戦線に馴染めないよりはマシだろ?なっ!」

ゆり「そうよ。この戦線には"バカ"が大勢いるけど、あなた以上の"バカ"はいないわ」

ゆり「まさに『キング・オブ・バカ』!あたしが保証してあげるわ。自信持ちなさい!」

ー恭介の称号が「キング・オブ・バカ」になりましたー

恭介(ゆりっぺが惜しみなくバカを強調して、俺に満面の笑顔を向ける)

恭介「そんな称号いるかあぁぁーーーっ!!」

ー恭介の称号が「シスコン」に戻りましたー

女生徒A「なかなか面白そうな新入りだな、あいつ」

岩沢「ああ、そうだろ」

女生徒B「しおりんと仲良くなれそうな人だね」

女生徒C「おのれぇ…。ここに来てまさかのライバル登場とはぁ…!」

女生徒B「いやいやいや、なんでライバル意識燃やしてるの?」

恭介(くそっ…。このままじゃ俺の威厳に関わるぜ)

恭介(こういう時、さり気なくフォローしてくれるのが理樹だったんだが…)

恭介(ああ理樹、失ってなおお前の存在の大切さに気づくぜ…!)

恭介「あ、でもこれ一口目に慣れたら普通にうまいな」

恭介(舌が痛いが咀嚼を続けていると、香辛料がほど良く効いた深い味が口の中に広がった)

日向「嘘だろ…?猛者でも白ご飯と一緒に頼んで、丼にして食うんだぜ?」

恭介「いやマジだって。ほれちょっとだけ食ってみろよ」

日向「えぇ…。じゃあ、ちょっとだけ」

ぱく

日向「…ひいぃぃーーーっ!辛いっ、つーか、痛い!」

恭介(だがしばらくすると)

日向「…お?この後からくる風味、鼻から抜ける香辛料の香り、なるほど確かにうまいな」

恭介「だろ?」

恭介(慣れると案外ぱくぱくいけるな。いや、やっぱ嘘。うまいが舌が痛え…)

日向「案外、隠れ良メニューなのかもな」

大山「いきなり麻婆豆腐を頼むなんて、恭介くんは度胸あるなあ。僕にはできないよ」

恭介「いや、知らなかっただけだからな」

日向「いーや、度胸あるのはその通りだと思うぜ。さっきだって逃げもせずに戦いきったろ?」

恭介「ああ、まあな」

日向「恭介的にはどうだったんだ?初めてのオペレーションは?」

恭介(その質問に俺の表情が歪むのが自覚できた)

恭介(そうだ。今一番大切な疑問。この場で聞いておかなくちゃいけない)

恭介「なあ、ゆりっぺ。本当にあそこまでする必要があるのか?」

ゆり「…どういう意味かしら?」

恭介(俺の表情で察したのか、一度箸を置いてくれた)

恭介「確かに相手は天使なのかもしれない。それでも、見た目はただの少女だ。そいつに対してあんな一方的に攻撃するのは…」

ゆり「初めてのオペレーションなら、当然の疑問ね」

恭介(ゆりっぺは指を顔の前で組むと、そこに顎を乗せて語り始めた)

ゆり「かつてあった話なのだけど…」

ゆり「まだ戦線メンバーは10名程度、銃器の類も人数分揃っていない。とてもまともに、天使とは戦えなかったそんな時代」

ゆり「あたしは愚かにも、天使の情報を引き出すために、一人のメンバーを天使の教室に潜入させた」

ゆり「なんの情報も得られないまま三日後、そのメンバーは本部に現れなかった」

ゆり「みんなで探した、けど見つからなかった。だから天使に問い詰めた、あたしたちの仲間はどうなったのかと…」

天使『無事、この世界から去っていけたようで、なによりだわ』

ゆり「誰もが息を呑んだわ…!」ギリッ

恭介(淡々と話していたゆりっぺの表情に、怒りが浮かんだ)

ゆり「彼はあたしたちと同じ、神に抗う信念の持ち主だった…。なのにあたしの判断ミスで、彼は天使に消されたのよ…!」

恭介(立華に…、天使に対する怒り。そして自分に対する怒り。そんな感情がごちゃまぜになっているように見える)

恭介「だがそいつが消えたのは、未練が無くなり成仏したからだとも考えられないか?」

恭介(生前の悔いが消え、また新たな人生を送る。それは間違いなく一つの救済のはずだ)

ゆり「あなたがその情報を話した時、私もそうだったのかもしれないとは考えたわ」

ゆり「でも前にも言ったけど確証は無い。なによりあたしは、彼の未練がそう簡単に消えるとは思えない」

恭介(いつものゆりっぺの表情に戻る、だが…)

ゆり「だから天使からの情報なんて、到底信じる気にはなれないわ」

恭介(最後は吐き捨てるように言葉を放ち、そこで一度話を切った)

恭介(その瞳には神への強い反抗心、そして天使への拒絶が現れている)

恭介(俺が立華から聞いたことを話した時、ゆりっぺはそれを有力な情報と言った)

恭介(でもそれはきっと、戦線の『リーダー』として冷静に受け入れただけ)

恭介(神を憎み、天使を拒絶するゆりっぺ『個人』としては、決して受け入れられない情報でしかなかったんだ…)

ゆり『あ、あなたっていう人は…。じゃあなに!?自分が楽しむために神と戦うっていうの!?』

ゆり『入るんでしょ?理由は気に入らないけど、熱意は伝わったわ。それに優秀なのは確かだもの。人手不足だしね』

恭介(今ならわかる…)

恭介(そんな情報を仕入れ、神を憎むことなく戦うことを選んだあの時の俺を、ゆりっぺは確かに嫌悪していた)

恭介(俺としたことが、ただ馬鹿だと、人格に難があるんだと、そう受け取られたのかと今の今まで思っていたが…)

恭介(だが、ならなぜ俺を戦線の仲間として迎え入れたんだ…?それも幹部として)

恭介(あの時言っていた通り、優秀だとか、人手不足とか。そんな理由なんだろうか)

日向「炎の三年間もすごかったよなー」

ゆり「ああ、あったわねえ」

恭介(日向が突如、別の話題を切り出してきた)

日向「新しく生活指導についた先生が、校長室を俺たちの本部にしてるのが許せなかったらしくてさ」

日向「それで、出てきたのがこれまた天使だったんだよ」

ゆり「そうそう。あたしたちは瀬戸際作戦を取り、校長室前の廊下に陣取って三年間ドンパチ続けたものよ」

恭介(もう完全に、いつも通りのゆりっぺに戻っている)

恭介(日向のことだ。さっきの話の流れを聞いていて、ゆりっぺのフォローをしたんだろう)

恭介「すげーな、三年間もか」

恭介(俺もひとまず、いつも通りの俺として話に加わることにした)

日向「まあな。で、三年後、生徒指導の先生が代わり、その事を問題視されなくなったから天使の猛攻撃も収まった」

ゆり「天使は秩序を守るものだからね」

ゆり「現状あたしたちは、一般生徒に手を出さないことで最低限のモラルを守ってる」

ゆり「だから先生たちからはスルーされてる、けど」

日向「また、俺たちを問題視する先生が現れたら、秩序を守るために、先生の手先として襲ってくるんだろうなあ」

恭介(かつて三年間もひたすら戦線を襲い続けたという立華、それは本当にあいつが望んだことだったんだろうか…)

ゆり「天使というのはそれだけ脅威な存在なのよ。だからまあ、あれくらいの攻撃は正当防衛」

ゆり「すぐに、とは言わないけど幹部として戦い続けるなら、いつかは慣れなきゃいけないことよ」

ゆり「いいわね、棗くん」

恭介(最後にゆりっぺは、俺にそう念を押した)

恭介(俺はただ、『わかった』とだけ返しておいた)

恭介(立華に貰った麻婆豆腐の味は、それ以降全く分からなかった…)

日向「んじゃあ電気消すな。おやすみ」

恭介「ああ、おやすみ。日向」

恭介(自室に戻り、ほどなく就寝時間になった)

恭介(だがベッドに寝転んだものの、眠気はまったく襲ってこない)

恭介(さすがに俺も、頭がぐちゃぐちゃになりかけてるな…)

恭介(秩序を、規律を守るために戦線と戦う立華)

恭介(神に抗うため、自分たちが消えないために天使と戦う、ゆり率いるリトルバスターズ戦線)

恭介(どちらにも戦う理由がある。立華だって本当は、善意で俺たちを成仏させたがってるだけなのかもしれない)

恭介(そして、あんな殺し合いのような戦いが、この死後の世界でもう何十年も続いている)

恭介(俺はどうすればいい…?自分の望みを叶えるために、世界の秘密を暴くことだけを優先するのか…?)

恭介(そんなことを理樹と鈴は望むんだろうか…?なにより俺自身はどう考えている…?)

恭介「…いや、答えはとっくに出ているんだ」

恭介(世界の秘密を暴き、この場所から理樹と鈴のために、何かできることが無いか探すこと)

恭介(この戦いを終わらせ、立華をリトルバスターズ戦線の仲間にし、ともに楽しい時間を共有すること)

恭介(戦線メンバーの神への憎しみを消し去ること)

恭介(そのどれもが、俺が望んでいることに他ならない)

恭介(出来るんだろうか…?その全てが俺一人に…)

恭介(あの世界でただ一つのことをやり遂げるのに必死だった俺が、この三つのことを同時に…)

恭介(…一人の力には限界がある、だから俺は、俺たちは手を繋いだんだ…)

恭介(今度は、成し遂げられるのか…、俺、ひと…り…に)

恭介(そのまま俺は、眠りへと落ちていった…)

Episode:1 「反抗のはじまり」 END

日向「恭介ー?どした、なんか今日は元気無いな」

恭介(一夜明けて、俺と日向は大食堂で朝食を食べていた)

恭介「ちょっと寝不足でな。昨日の作戦のことを思い出すと、なかなか眠れなかったんだ」

日向「ああ、無理もないぜ。アクション映画のようなことを地でやってるからな」

日向「寝不足なら無理せず休んだ方がいいぜ?疲れはたまらないはずの世界だが、こういうのは気分の問題だからな」

恭介「ああ悪いな、日向。今日は少し一人で行動してもいいか?」

日向「良いって良いって。17時の定例会議だけは忘れるなよ。最初のうちは、遊佐が迎えにきてくれるとは思うが」

恭介(日向の気づかいが身に染みる、少し頭をリフレッシュしよう。こういう時は、散歩でもしてみるか)

恭介(日向と別れると、俺は運動場を見渡せる大階段の前にまで来た)

恭介(丁度今は誰もいない時間帯のようだ…)

恭介(………………)

恭介(なんだあれは?)

恭介(誰もいない運動場に一人だけ、人影が見える)

恭介(しかも…それは、見覚えがあるやつのものだ)

恭介「まさか…!まさか…!?」

恭介(俺はその人影に向かって走り出した!)

選択安価

恭介が見た人影が誰だったのかを選んでください

真人・謙吾・小鞠・葉留佳・クド・唯湖・美魚

23:20:00:00より
↓1

というわけで筋肉復活です

いきなり全員集合より、死後の世界で少しずつリトルバスターズが復活していく展開がやりたかったので
いっそ皆さんに登場順を決めてもらおうとこの安価を用意しました

メンバーは少しずつ参戦していきます

今日はここまで

リトバスメンバーの登場順でエンディングが変わることはありません
ただ当然、出番や絡み活躍は増えます

女子メンバーじゃなくて真人が選ばれるのが、すごいリトバスらしくて嬉しいです

大筋の話の流れ、エンディング自体は既に固まっているので
多分そんなに時間はかからない…はず…

エンディングはバッドは用意しません
一応バッドも構想自体は纏まってるので、見たい意見が多いようなら改めて考えます
あとはエンディングの分岐ですが一応用意してます
そんな大幅には変わりませんが、原作はギャルゲなので、ね?

一人きりでの反抗を始めようとしていた恭介にとって、真人はすごく頼もしい味方になるでしょう

書き終わりました
加筆、修正を終えまた夜に再開します

すみません、構想してた時より遥かに長くなってしまいました

只今より前編、夜22時くらいから後編を投下することにします
後編の最後に安価あり

恭介(その姿を、見間違えるはずが無い)

恭介(鈴と二人で始めたリトルバスターズ、その最初の仲間になってくれた)

恭介(あの世界で、最期まで自分を貫き俺たちの日常を守ってくれた)

恭介(そんな愛すべき馬鹿の名前を、俺は全力で叫んだ)

恭介「真人ぉーーー!!」

真人「…今の声!」

恭介(その大きな体をこちらに向ける、間違いない。そこにいたのは)

真人「恭介!?」

恭介「やっぱり真人だったか!ははっ!嬉しいぜ!まさかまたお前に会えるなんてな!」

恭介(勢い良く真人の肩を抱く。いや勢いが良すぎた、二人して頭をぶつけちまった)

真人「いてっ!馬鹿なにすんだよ!」

恭介「つれないこと言うんじゃねえよ、お前だって本当は俺に会えて嬉しいだろ?」

真人「いや、まあ…嬉しいよ?嬉しいけどさ。何がなんだかさっぱりで素直に喜べねえんだよ」

恭介「まあ、無理もない。俺も最初は戸惑ったもんさ。にしても」

真人「ん?なんだよ?」

恭介(今真人が着ているのは最初に俺が着ていたのと同じもの。NPC、所謂模範生の制服だ)

恭介「お前、制服似っ合わねえな!はははははっ!」

恭介(見慣れた真人の姿とあまりにかけ離れていて、そのギャップが凄い。きっちりネクタイまで締めてやがる)

恭介「あはは、こんなの笑うしかねえだろっ!ひぃ、腹痛ぇ!」

真人「…なんだよその爆笑っぷり」

恭介(お、来るか?)

真人「筋肉しか取り柄のねえ馬鹿には制服なんか必要ねえ、むしろ全裸の方がお似合いですってかっっ!」

恭介「オーケー。さすがは真人だ、今日も絶好調だな」

真人「ありがとよ」

鈴『こいつばかだ!』

恭介(と、鈴の突っ込みが聞こえたような気がした)

恭介「さて、とりあえず場所を変えるか。色々説明しなくちゃいけないからな」

真人「へっ!説明するのはいいが、ちゃんと俺にもわかるように話せよ!」

恭介(今度は真人の方から肩を抱いてくる、また頭がぶつかった)

恭介「いてっ!お前今のはわざとだろ!」

真人「さっきのお返しだよ!ほら、どこへだか知らねえがとっとと行くぞ!早くしねえと日が暮れちまうぜ!」

恭介「今は朝だぞ、真人」

真人「さっき目覚めたばっかで知らなかったんだよ!ごめんなさいでしたぁーーーっ!!」

恭介(ああ、やっぱお前は最高の馬鹿だぜ。さっきまでの気分が吹き飛んじまった)

恭介「よしっ!行くか!」

恭介(まず始めに、購買で真人のジーパンとティーシャツを買った)

恭介(真人が『動きやすい服とかどっかないか?』と言うからだ。やっぱりきっちりした制服は、真人も違和感があるらしい)

恭介(ってか俺としても真人のそんな見た目、いつまで経っても慣れる気がしない)

真人「ふぅー、やっぱ動きやすい格好は良いぜ。あんま窮屈だと筋肉にも良くないからな」

真人「それにしてもここの購買何でもあるな。服とか試着室とか、あっちにはおもちゃコーナーまであったぜ」

恭介「日向が言うには、生前の青春にあったものは大体揃ってるんだと。図書館には漫画も置いてるらしいしな」

真人「へえ、よく出来た世界だな。ところで日向って誰だ?」

恭介「この世界での俺のルームメイトだよ」

恭介(その後、真人を屋上にまで連れてきて、一通りのことを話した)

恭介(この世界について俺の知っていること、俺がやろうとしてることも含めて全てだ)

恭介(屋上を選んだのは、他の誰にも聞かれないためだ)

恭介(今は授業中で、ここに入るための入り口も一つだからな)

真人「死後の世界…なぁ」

恭介「理解出来たか、真人?」

真人「はっ、筋肉なめんじゃねえよ」

真人「ようは予定通り、理樹と鈴をあの世界から追い出して。そのまま俺たちは、バスの事故で死んじまったってことだろ?」

恭介「上出来だ」

真人「にしてもまた変なことおっ始めやがって。なんで死後の世界でまで、リトルバスターズ創ってんだよ」

恭介「そもそもは俺が始めたんじゃない。戦線名に困ってたからアイデアを提供しただけだ」

真人「慣れ親しんだものもいいが、俺なら筋肉旋風(センセーション)戦線って名前にしてるところだぜ!」

恭介「言いにくいから没な」

真人「うおおぉぉぉーーー!!至極真っ当な理由で没にされたあ!?」

恭介(頭を抱えて叫びだす、ほんとに飽きないやつだぜ)

恭介「なあ真人、少し真面目な話をするぞ」

恭介(腰掛けていたベンチから立ち上がり、真人に向き直る)

真人「…なんだよ、急に改まって」 

恭介「さっきも話したが。ここはどうやら生前に未練を持つやつしか、来ることが出来ない世界らしいんだ」

真人「………」

恭介(つまり真人にもなんらかの未練があって、この世界に来たってことになる)

恭介「真人、お前の未練はなんだ?」

恭介(真人が目を閉じてゆっくりと息を吸った。だがまたすぐに目を開けると、今度は勢い良く立ち上がった)

真人「…あーあ。俺的には潔く去ったつもりだったんだがなあ」

恭介(そして、腕を組んで俺と向かい合う)

真人「そいつはな恭介…、きっとお前と同じ理由だろうぜ」

恭介(ああ、知ってたさ。お前に未練があるとしたら、それ以外に考えられない)

恭介「ここは俺たちの創った世界じゃない。それに俺のやろうとしてることは、簡単に成し遂げられることじゃない」

恭介「それでも、俺に付いてきてくれるか?」

真人「今更水臭いこと言うんじゃねえよ。それに多分だが、ちょっと待ってたらあいつも来るだろうぜ」

恭介(ああ、そうかもな。もちろんあいつも来てくれたら心強い)

恭介「なら早速行動開始といくか、まずは…」

真人「まずは?」

恭介「この世界のリトルバスターズに会いに行くぞ」

ゆり「棗くんの幼なじみ、ねえ」

真人「おう、井ノ原真人だ!」

恭介(定例会議の時間。呼びにきてくれた遊佐に簡単な説明をし、真人も本部に連れて行く許可を貰えるように頼んだ)

恭介(俺が生前の幼なじみを連れてきたのには、みんなも驚いてるようだ)

日向「生きてた頃の知り合いが来るってこともあるんだな」

藤巻「つっても棗が来たのってほんのちょっと前だぜ?そんなこと有り得るのか?」

恭介(藤巻がそう発言する)

恭介「いや、そいつは無理もない。俺と真人は同じ事故、修学旅行に向かう途中、バスの転落事故で死んだからな」

恭介(その言葉にメンバー達が動揺する。が、いつかは話しておく必要のあることだ)

恭介(今後、あいつらも来るかもしれないことを考えたら、早い内に話しておいた方がいい)

松下「そうか。なんと言えばいいかわからんが気の毒だったな…」

真人「別に事故自体は仕方ねえよ。運転手だって事故りたくて、事故ったわけじゃねえだろうしな」

真人「でもまあ、もしかしたら他のやつらも、ここに来るかもしれねえな」

ゆり「そのバスの事故には、他にもあなた達の友達とかが乗っていたの?」

恭介「ああ、他のリトルバスターズメンバー達がな」

大山「あれ?恭介くんの提案した戦線の名前と同じ?」

高松「そういえばあの時は格好いいだのなんだので、あっさり決まってしまいましたが」

高松「そもそもリトルバスターズというのは、何かのチーム名なんですか?」

恭介(高松が眼鏡を持ち上げながら質問する)

恭介「リトルバスターズの原点は、悪を退治する正義の味方さ」

日向「せ、正義の味方ぁ!?」

恭介(日向が素っ頓狂な声をあげる、他のみんなも概ね同じ反応だ)

恭介「ああ、よく街中を闊歩して悪を成敗したもんだ。蜂の巣駆除で、新聞に載ったこともあるくらいだ」

野田「ふん、ただの子どものお遊びか」

恭介「確かにそうだ。野球チームを作ったり、本物の花火を打ち上げたりした。肝試しをしたり、人形劇の稽古もした」

恭介「辛い想いをしてる仲間を助けるために、それぞれが必死に自分の出来ることを果たした時もあった」

恭介(俺は、みんなと過ごした時間を思い出しながら語り続ける)

恭介「そうして色んな時間を共に過ごすことで、俺たちは絆を深めていった」

恭介「俺にとってリトルバスターズとは、『強い絆によって結ばれた最高の仲間』を意味する言葉に他ならない」

恭介(別に今のお前たち戦線が、そういう仲間じゃないって言ってるわけじゃないぜ?けど、決定的に『楽しむ』ことが欠けている)

恭介(戦うためのメンバーなんだから当然なのかもしれないけどな。が、俺からしたら、そんな事知ったこっちゃない)

恭介(どんな事でも全力で『楽しむ』べきだ。馬鹿になってもいいじゃねえか、その方がずっと気持ちいいじゃねえか)

恭介「だから俺は戦線名も『リトルバスターズ』にした。ただ共に戦う同士ってだけじゃあ味気ない」

恭介「お前たちともそんな関係を築けるようになれればいいなって、そんな願いを込めたんだ」

ゆり「………」

日向「…恭介」

大山「きょ、恭介くん…」

恭介(これは今の戦線に対する俺の反抗の第一歩だ。いや、宣言でもある)

恭介(もっと単純なこと、些細なことで、共に泣き、共に笑い、共に歓喜すべきなんだ)

恭介(お前らともそんな時間を過ごすことが出来る仲間になる。俺の、決意表明だ)

恭介(そして)

岩沢「フッ。棗、お前はあれか?あたしたちを口説いてるのか?」

恭介(またも笑って、岩沢から俺に声をかけてくれた)

恭介「好きに解釈してくれ。ただ少なくとも俺は本気だ、本気でお前たちと仲良くなりたい」

恭介「本当の意味で『仲間』になりたいんだ」

日向「恭介、お前相当恥ずかしいやつになってんぜ?」

恭介(日向は少し照れながら、そう応えてくれた)

恭介(とりあえずすぐに反応してくれたのは、岩沢と日向だけか。そして真人が言葉を続ける)

真人「まあ、聞いての通りだぜ、てめえら。何があったかは知らねえが、こいつは完全に火が付いちまってる」

真人「こうなった恭介は止まらねえぞ?覚悟しとくんだな」

恭介「真人、それじゃあまるで喧嘩売ってるみたいだろうが」

真人「ありゃ、確かにそうだな。どうしてそうなった?」

日向「いや、それを俺たちに聞かれてもな…」

真人「まあというわけでさ、俺も仲間に入れてくれよ!」

真人「俺の筋肉はリトルバスターズの中にねえと収まり悪いんだよ!」

高松「…ほう、筋肉ですか?」

恭介(高松が小声で確かにそう呟くのが聞こえた)

ゆり「…良いわ、構わないわよ。人間は貴重な戦力だもの」

ゆり「もとより見つけ次第積極的に保護することにしてるし、自ら入隊を志願するものを拒む理由は無いわ」

恭介(ずっと黙ってたゆりが、真人に向かってそう告げる)

ゆり「ただ、一つ聞かせて。井ノ原くん、あなたに神と戦う理由はある?」

恭介(俺の時と同じ質問だ。ゆりっぺが神に抗うものの覚悟を見極める、きっと何度も繰り返してきたであろう質問)

恭介(さあ、真人。お前はどう答える?)

真人「何と引き換えにしても、守りてえやつらがいる…。それだけなんだが、それじゃ不満かい?」

ゆり「ふっ。良いわ、充分な理由よ!」

日向「やべえ…、格好いい…」

藤巻「本当にあの馬鹿の棗の幼なじみかよ…?」

恭介(おい、そもそもは同じ理由なのに真人のがずっと好評価なんじゃねえのかこれ…?)

ゆり「よし、じゃあ制服をあげるわ。松下くんの制服のサイズならピッタリそうね」

真人「おお、俺にもくれんのか!嬉しいぜ!これぞ仲間ってやつだよな」

真人「あ、でも上着だけでいいぜ。動きやすさ重視で、下はこのままのが良いんだ」

ゆり「そう?まあ上着だけでも一応制服になるからいいか。はいこれ」

恭介(ゆりっぺが真人に上着を差し出す、それを見ながら一つ提案した)

恭介「それとなゆりっぺ。俺としては、真人を幹部に推薦したいんだが」

ゆり「幹部?気持ちはわからないでも無いけど。幹部になるなら、それなりに実績か能力が無いと駄目ね」

恭介(ほう、実力主義ってやつか。うちの筋肉担当をなめるなよ?)

恭介「だそうだ、真人」

真人「…なんだよ、つまり図体だけはデカイがその筋肉はハリボテですよね、そんなやつは隅っこで丸まって大人しくしてるのがお似合いですね、ってかっっ!」

大山「うわあ、物凄い言いがかりのつけかただ!」

日向「金が取れるレベルだな」

野田「貴様…、ゆりっぺに対してなんて口の聞き方だ。死にたいのか!?」

恭介(そして当然のごとく、野田がその言葉に怒り、真人に武器を突き付ける)

恭介(一途なのは良いが、やっぱカルシウム不足なんじゃないのかお前?)

真人「やる気か?面白え。その制服の下、相当な筋肉を隠し持ってると見たぜ」

真人「てめえ、できるな?」

野田「ほう…、わかるのか?」

恭介「ゆりっぺ、見ての通り真人といえば筋肉。即ち、力」

恭介「作戦において特に利用価値の高い能力だ。それが他の幹部のやつにも負けてないことを証明出来たら、幹部入りってのはどうだ?」

ゆり「良いわよ、力が売りっていうなら…そうね」

恭介(ゆりっぺが顎に手を当て、少しだけ思案する)

ゆり「じゃあ野田くんと松下くんと、腕相撲で勝負しなさい!」

ゆり「最低でもそこそこいい勝負しないと、幹部入りは認めないわよ」

恭介(なるほど、確かに力を判断するのにはうってつけだ)

恭介(やはり戦線のリーダーだけあって、ゆりっぺも相当有能らしい)

真人「乗ったぜ。よお、野田と松下ってのはどいつだ?」

野田「貴様の目の前にいる俺が…、野田だ!」

松下「俺が、松下だ」

恭介(吠えるように言う野田と、一歩前に出てくる松下)

真人「ん、この二人だけか?そこにいる眼鏡のやつとも戦いてえんだが」

高松「なっ」

ゆり「え、高松くん?駄目よ。いくらなんでも、高松くんじゃ勝負にならないでしょ」

恭介(確かに体の線が違いすぎる、なぜ真人は高松を指名したんだ?)

真人「はっ!他のやつの目は誤魔化せても俺の目は誤魔化せねえぜ。てめえもかなりの筋肉のはずだ!そうだろ!?」

高松「…バレてしまっては仕方ありませんね」バッ

恭介(高松が服を脱ぎ捨てる、すると上半身ムキムキボディの高松が現れた…)

「「「ええーーっ!?」」」

恭介(真人と高松以外、各々驚きの声をあげる。俺も驚いたぜ…)

TK「The fact of surprise…!」

高松「まさか私の筋肉を見破るとは、やはりあなたもかなりの筋肉!」

井ノ原「おうよ、俺はかなりの筋肉。そして筋肉に国境は無いんだ、違うか?」

高松「いえ、まさにその通り!」

藤巻「おい。だんだん意味わからなくなってるのに、なぜか会話が成立してるぜ…?」

真人「よっしゃ勝負だ!最初は誰だ!?」

野田「俺からだ!」

恭介(ハルバードを置いて、腕をポキポキ鳴らしながら真人を睨みつける野田)

真人「てめえからか。そんじゃまあ、おっ始めますか!」バッ

恭介「真人が…脱いだ!」

恭介(しかもさっき貰ったばかりの上着と、買ってやったティーシャツ投げ捨てやがった…!)

ゆり「…ええっと。高松くんの時にも思ったんだけど、少しはあたし達の目を気にしてくれない?」

岩沢「面白そうだが、正直絵面が…」

遊佐「かなり、むさ苦しいです。すでに熱気がやばいです」

椎名「あさはかなり」

恭介(女性陣からの非難の声が上がる)

野田「負けてられるかーっ!!」バッ

大山「野田君も脱いだ!」

日向「対抗意識燃やしすぎだろ!?」

恭介(野田、お前今ゆりっぺに物凄い目で見られてるが大丈夫か?)

野田「新入りになぞ負けられん!」

真人「俺の強さを味わうがいいぜ!」

恭介(部屋の中央に、腕相撲用に机が置かれる。審判はゆりっぺがするとのことだ)

恭介(机の前に立ち、構える。そして、お互いを睨みつける二人)

恭介(ゆりっぺが二人が握り合ってる手に、自分の手を重ねる)

ゆり「それじゃ準備はいいわね?レディー、ファイっ!!」

野田「うおおあああ!」

真人「おらああああ!」

恭介(そして真人の幹部入りを賭けた腕相撲勝負が始まった…!)

一旦、終わり
続きは夜22時くらいから

大山「さあ始まりました。世紀の一戦、野田vs井ノ原!」

大山「実況は私、大山、解説には棗さんをお呼びしています。棗さん今日はよろしくお願いします」

恭介「はい、お願いします」

大山「棗さん。対戦前、野田選手は井ノ原選手を意識しているかのような発言をしていましたがどうでしょう?」

恭介「当然、しているでしょうね。何せ純粋な力比べですから、言い訳が効きません」

恭介「力に自信を持つものなら、絶対に負けたくないでしょう」

大山「んーなるほど!おっと野田選手押されていますね!少しずつ井ノ原選手に押され始めています!」

恭介「大山さん、野田選手の顔に注目してみてください」

大山「ああっと野田選手!かなり苦しそうな表情をしています!大丈夫なんでしょうか!?」

恭介「やはり体格差のハンデが大きいですね」

大山「じわりじわりと押されています!このまま決められてしまうのか!」

野田「ぐ、ぬぬ…!!」

真人「おりゃあ!!」

大山「ここで試合終了!物凄い強さを見せつけました井ノ原選手!」

恭介「終始、優位に試合を運びましたね。自分の持てる力を上手に発揮した結果でしょう」

大山「なるほど!」

真人「さあ、次はどいつだ!?」

高松「私が行きましょう!」

真人「よお、手加減抜きでいかせてもらうぜ?」

高松「その言葉、そっくりそのままお返ししますよ」

ゆり「はーい、見合って見合って!レディー、ファイっ!!」

真人「うおおおお!」

高松「ぬうううう!」

大山「さあ次の試合が始まりました。対戦カードは、高松vs井ノ原!」

大山「実況は引き続き私、大山、解説は棗さんでお送りします。棗さんお願いします」

恭介「はい、お願いします」

大山「棗さん。高松さんがまさかの細マッチョであることが、試合前に判明しましたが」

恭介「着痩せするタイプなんでしょうね。さして珍しいことでもないでしょう」

大山「んーなるほど!おっと高松選手押されていますね!少しずつ井ノ原選手に押され始めています!」

恭介「大山さん、高松選手の顔に注目してみてください」

大山「ああっと高松選手!眼鏡が曇っています!大丈夫なんでしょうか!?」

恭介「あれは汗ですね、それとこの熱気ですね。それが眼鏡を曇らせてしまったんでしょう」

恭介「やはり眼鏡のハンデが大きいですね」

大山「眼鏡キャラは眼鏡が本体ですからね!じわりじわりと押されています!このまま決められてしまうのか!」

高松「眼鏡が…、眼鏡さえ曇らなければ…!」

真人「おりゃあ!!」

大山「ここで試合終了!更に物凄い強さを見せつけました井ノ原選手!」

恭介「終始、優位に試合を運びましたね。眼鏡をかけていなかった結果でしょう」

大山「なるほど!」

真人「さあ、最後だ!こいよ松下!」

松下「戦線のメンツを守るためにも負けられん!」バッ

恭介(松下が服を投げ捨て、上半身裸になる)

ゆり「最早脱ぐのが当たり前みたいな振る舞いだったわね…。もう、いいけど」コホン

ゆり「ファイナルバトォ!レディー、ファイっ!!」

松下「おおおおおお!」

真人「ああああああ!」

大山「さあ始まりました。最後の戦い松下vs井ノ原!」

大山「実況は最後まで、大山、解説には棗さんでお届けします。棗さん、お願いします」

恭介「はい、お願いします」

大山「棗さん。ここまでの井ノ原選手のコンディションはどうでしょう?」

恭介「最高のコンディションでしょうね。筋肉ゼロパーセントセーブといったところでしょう」

大山「んーなるほど!おっと両者拮抗しています!最初に組んだ位置から全く動いていません!」

恭介「大山さん、松下選手の顔に注目してみてください」

大山「ああっと松下選手!目を見開いています!これはレアだあ!」

恭介「絶対に負けられないという覚悟の現れでしょうね」

恭介「加えてこの戦い、先の二試合と違い体格に大きな差がありませんからね」

大山「互角、互角だあ!まさに力比べの極限!果たしてどちらが勝るのでしょうか!?」

松下「ぐうぅぅっ!!」

真人「ぬおぉぉっ!!」

ピシッピシッ

大山「おっと妙な音がしますね、なんの音でしょう」

恭介「っておい、やばいぞ!二人ともやめろ!!」

ピシッ、ドンガラガッシャーン!!

真人「のわぁ!?」

松下「うおぉ!?」

恭介(先の二試合の負担、そして今の激戦に机のほうが耐えられず、真っ二つに割れてしまった…!)

恭介「二人とも大丈夫か!?」

真人「平気さ、松下。てめえはどうだ?」

松下「俺は柔道をやってるからな、受け身を取るのには慣れている」

恭介(二人ともまったくの無傷のようだ、ピンピンしている)

ゆり「うっわー、すごい戦いだったわね」

日向「まさか机が割れるなんてな…」

藤巻「すげえ、すごすぎるぜ!思わず、感動してるぜ…!」

岩沢「ああ、本当にすごい戦いだった。なんだか今なら良い歌が書けそうな気がする」

岩沢「悪い、ゆり。ちょっと出てくる!」

ゆり「え、ちょっ!岩沢さん!?」

恭介(岩沢はそう言うとダッシュで本部を出ていった。今の試合で創作意欲が刺激されたんだろうか?)

恭介(やはりあいつも馬鹿か、それに近いものがある気がする)

真人「松下、俺と力でここまでやり合えるやつなんて謙吾以来だ。大した筋肉だぜ」

松下「力に関しては、戦線最強のつもりでいたんだが世界は広いな。良い筋肉をありがとう、井ノ原」

恭介(お互いに健闘を讃えると、二人はガッチリと握手を交わした)

恭介「今ここに、新しい友情が生まれた…!」

大山「良いなあ、男の友情って感じだね。ああいうの憧れるなあ」

恭介「ふっ。なに言ってんだよ大山」

恭介(俺は大山に右手を差し出す)

大山「えっ、恭介くん?」

恭介「ナイス実況だったぜ、大山!」

大山「え、いやあ、僕はただ必死だっただけで…」

恭介「なんでもいいさ。お前とだから俺もあんな解説が出来たんだ。俺とお前の友情の賜物だ」

大山「うん、ありがとう恭介くん!」

恭介(俺と大山もガッチリと握手を交わした)

真人「おら、お前らもそろそろ立てよ」

恭介(真人はそう言いながら、野田と高松に手を差し伸べる)

野田「なんのつもりだ、俺は負けたんだ…!哀れみは敗者に対する、侮辱だ…!」

高松「その通りです…。私達はまた筋肉を鍛え直すことしか、出来ることはありません…」

真人「何言ってんだよ、てめえらだって良い筋肉だったじゃねえか」

真人「そこまで鍛えるのに、一体どれほどの筋肉痛を乗り越えたかって話だぜ」

高松「それは…」

野田「だが…!」

真人「てめえらとなら筋肉の素晴らしさが伝えられる!さあ!筋肉旋風(センセーション)だ!!」

高松「…筋肉!!」

野田「…旋風(センセーション)!!」


それでは、SS閲覧中のみなさんもご一緒に

真人「いくぜ!筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

高松「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

野田「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

松下「ずるいぞ、お前たちだけで!俺も仲間に入れてくれ!」

恭介「フッ、俺を忘れるなよ!」

恭介(遠い昔、筋肉に包まれた世界のことを思い出す…。些細なことなんかもうどうでも良い!)

恭介「とりあえず筋肉だ!」

真人「もちろんだ!さあもっと筋肉の輪を広げようぜ!」

松下「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

恭介「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

日向「おいおい、大山!なんかすげえことになってるぜ…?あれ、大山?」

大山「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

日向「お、大山まで!?」

ゆり「ちょっと日向くん!?馬鹿どもが筋肉が昂じて大馬鹿になってるわよ!なんとかしなさい!」

日向「いや、そんなこと言われたってさ…」

藤巻「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

TK「Kinnikuいぇい、いぇーい!Kinnikuいぇい、いぇーい!」

日向「ああ、藤巻とTKまで!?」

ゆり「日向くん!!」

日向「くそぉ!こうなったら…!」クルッ

日向「筋肉いぇい、いぇーい!筋肉いぇい、いぇーい!」

ズコッ

恭介(日向の裏切りに、ゆりっぺは盛大にズッコケた)

ゆり「…ええ、そうでしょうね!ぶっちゃけ読めてたわよ、お約束すぎて!」プルプル

椎名「あさはかなり」

遊佐「…ゆりっぺさん」

ゆり「…ああもう」スゥ

ゆり「しずまれっ!!このボケぇぇぇーーーーーーーっ!!!」

男共「「「………」」」

ゆり「正座」

男共「「「はい」」」

ゆり「あんたたちほっんと馬鹿ね、馬鹿丸出しね」

ゆり「なにが筋肉よ、脳みそ筋肉なんじゃないの?頭大丈夫?」

真人「いや、だってよぉ…、筋肉なんだぜ?」

ゆり「ああっ!?なんだって!?」

真人「ごめんなさい」

椎名「紛うこと無き、棗の幼なじみだな。井ノ原は」

遊佐「また馬鹿が幹部入りですね、戦線はお先真っ暗です」

恭介(ゆりっぺの説教はいつまで経っても終わらず、夜が更けていくのであった…)

日向「あ、恭介ウィンナーいるか?」

恭介「貰おう、代わりに俺のカップゼリーをやるぜ」

真人「よし、じゃあ俺は味噌汁のワカメやるぜ!ウィンナーくれよ、日向」

日向「やだよ!全然対等な交換じゃねえからな、それ!」

真人「ちっ。ケチ臭えな、日向は」

日向「えぇーーっ…。なんで俺が悪いみたいになってんだよ…」

恭介(真人がリトルバスターズ戦線に加入して、数日が経った)

野田「真人、俺の牛乳飲むか?筋肉にいいぞ!」

真人「いや、そいつは受け取れねえ。なぜならお前の筋肉に必要だからだ、そうだろ?」

野田「ああ…、そうだな。お前はそういうやつだったな…!」

高松「なら、私達で牛乳早飲み対決でもしませんか!」

松下「そいつはいいな、やるからには負けんぞ!」

真人「おうよ、受けて立つぜ!」

野田「じゃあいくぞ!よぉーい、ドン!」

恭介(四人が一斉に腰に手を当て、牛乳を飲み始める。そして、四人同時にむせて涙目になっていた)

恭介(あの日以来、すっかり絆の深まったこの四人は、ゆりっぺから『筋肉バカルテット』などと呼ばれている)

恭介(しかも本人達はそれを気に入ってるんだから、面白いぜ)

大山「でも、なんか僕たち仲良くなったよね。こうしてみんなで一緒に、朝食を食べるようになったんだもん」

恭介(そう、仲良くなったのはあの四人だけじゃない)

恭介(筋肉旋風(センセーション)以来、俺たち男同士の仲も深まった)

恭介(基本、自由に過ごしている戦線メンバーにとって、朝食の時間を合わせるのは面倒な話だ)

恭介(だが、こうして毎日、男全員でわいわい言いながら朝食を食べている)

恭介「真人の筋肉旋風(センセーション)のおかげだな」

TK「Kinniku Saves the World!!」

日向「確かに打ち解けたのは真人のおかげだが、そもそものきっかけは恭介だろ」

恭介「俺か?俺はなにもしていないさ」

日向「お前の『本当の意味で仲間になりたい』って言葉が、みんなの胸に届いてたんだと思うぜ?」

大山「そうだよ、もちろん戦線のみんなはもとから仲良かったけど。友達って感じじゃなかったしね」

恭介(日向と大山がそう俺に言ってくれた。やばい、感動した…!)

藤巻「へっ!俺はまだ棗のこと認めたわけじゃねえからな」

日向「お前も素直じゃないよな、藤巻」

藤巻「うっせえ!」

恭介(…そうだ。俺が求めてたのはこういう光景だ)

恭介(俺はせいぜい切り込みをいれただけ、そして真人が壁をぶち破ってくれた)

恭介(やっぱすげえよお前は…。自慢の親友だぜ)

恭介「ただ、一つ問題があるとすれば。最近、女性陣の視線が冷たいんだよな…」

日向「あーそれな。岩沢はいつも通りだし、椎名も対して気にしてないっぽいけど」

日向「ゆりっぺと遊佐は、なんかもう目がやばいよな」

大山「幹部以外のメンバーの人にも結構噂になってるよ。『最近、筋肉の人ってあなたですか?』って聞かれちゃったし」

野田「ぐっ…!友情とゆりっぺ…。俺はどちらか選ばないといけないのかっ!?」

野田「ぬおおおおお!!」

真人「お、どうしたいきなり腕立てなんか始めて?」

高松「なるほど、今度は腕立てで勝負ですか!」

松下「筋トレ勝負なら負けられんぞぉ!」

恭介(今度は四人並んで物凄い速さで腕立てを始めた、NPCが怯えてるぜ…)

恭介(さて、今日はこれからどうするか…)

選択安価

どこに行きますか?下記から一つ選んでください

1 本部
2 音楽の聞こえる教室
3 校舎をぶらつく
4 図書館←new!

23:05:00:00から
↓1 

恭介(そういえばあれ以来、図書館に行ってなかったっけな…)

恭介「よし、図書館に行ってみるか」

恭介「やっぱ広いな、どんだけの蔵書量なんだよ…」

恭介(これだけ本があるなら、どんな本だって見つかるだろう)

恭介(さて、どうするか?)

選択安価

なにをしますか?

1 「学園革命スクレボ」を探す
2 しばらく探索してみる

23:20:00:00
↓1

恭介「やっぱあれを探すっきゃないよな!」

恭介(そもそも、俺は漫画を借りる為に図書カードを作ったんだ)

恭介(なら記念すべき一冊目は、当然俺のバイブル。『学園革命スクレボ』だ!)

恭介(生前の青春にあるものが揃ってるなら、きっと見つかるはずだぜ!)

恭介(俺はワクワクしながら、漫画のエリアを探す)

恭介「くそ、見つからねえな。どこにあるんだ?」

恭介(只でさえ広い図書館だが、漫画のスペースもめちゃくちゃ広い)

恭介(それでも俺は諦めず、スクレボを探す)

恭介「…ん?」

恭介(ゆりの声が聞こえた気がする、あいつも図書館に来てんのか?)

恭介(とりあえず、声くらいは掛けておくべきだろう)

恭介(俺は声のする方に足を向けた)

恭介(……………!!)

恭介(そこで俺は、信じられないものを見た)

??「あーもうっ!こんなことしてる場合じゃないのに!」

??「もしやと思ったけど、本当にあるなんて。ってかこれも一つのトラップなんじゃ…!」

恭介(だが、確かに。この世界にいてもおかしくないやつが、そこにいた…)

今日はここまで

はい、あの人が参戦です
図書館の隣にNewを置いたのは、流石にヒント出しすぎたかもと反省
でもいいですよね、きっと楽しくなりますし

今日も22時くらいから投下
最後に安価の予定です

この辺りから自由行動パートが増え始め、選択肢を選ぶ機会も増えていきます

恭介「…朱鷺戸、なのか?」

??「ん、誰よ?今忙し…、………は?」

恭介(間違いない、朱鷺戸沙耶だ。元はスクレボに出てくる、俺が愛してやまないキャラクター)

恭介(だがある時、死後彷徨っていた少女の魂が俺たちの世界に紛れ込んだ)

恭介(彼女は、いつしか朱鷺戸沙耶として生きるようになっていた)

恭介(そして俺が、俺たちの世界から追い出した少女だ…)

沙耶「あ、あなたもしかして…時風?」

恭介「…ああ、そういうことになるな」

恭介(俺はなんて声を掛ければいい…?許してくれ?会えて良かった?)

恭介(そんな言葉のはずがない。だが、なにか声をかけなければ…)

恭介「朱鷺戸、その…」

沙耶「…ふふ」

沙耶「…ふふふ」

沙耶「…うふふふふ」

沙耶「あーはっはっはっ!」

恭介(突然、朱鷺戸が笑いだした。まずい、精神が壊れてしまっているんだろうか?)

恭介(だが、そんな俺の疑問は、次の朱鷺戸の発言で間違いだとわかった)

沙耶「今度はなにを始めてくれちゃったのよ、時風?」

恭介(…なるほど、そういうことか)

沙耶「そうよね、あなたなら次の舞台を用意することくらい、出来るんでしょうね」

沙耶「だってこの世界のゲームマスターだものね。あたしとしたことが、まんまと騙されたわ」

恭介(銃を構えながらそう続ける。朱鷺戸は勘違いしている…!)

恭介「待て!そう思うのも無理はないが、一度俺の話を聞いてくれ!」

沙耶「うるさい!絶対許さない!!あたしが、あたしがどんな気持ちで…!」

沙耶「どんな気持ちでっ…、理樹くんと…お別れしたと思ってるのよぉ!!」

恭介「………………」

恭介(…涙を一杯に溜めながら、朱鷺戸は俺に怒りをぶつけてくる)

恭介(言葉を返す権利すら俺にはない…。こんなにも理樹を想うこいつを、俺は…)

沙耶「このサイテー男!!くたばりやがれーーーっ!!」

パァン

恭介(なら、甘んじて受けよう)

恭介(死ねないこの世界じゃなんの意味もないが、せめてそれくらいはな)

恭介(銃弾がスローモーションで近づいてくるように見える…。俺は、静かに目を閉じた)

沙耶「………え?」

恭介「…っぐ」

恭介(朱鷺戸の撃った銃弾は俺の左肩を貫いた。おそらく狙ったのは心臓だったんだろう)

恭介(だがきっと、涙を堪えながら撃ったせいで狙いが反れたんだ)

恭介(馬鹿野郎、せっかくのチャンスになにしてるんだよ)

恭介(焼けるような痛みに少しだけ、視界が歪みそうになる。それでも気力で意識を保った)

沙耶「…嘘、当たった…?もっと近い距離でも、最後の一回しか当たったことなかったのに、こんなにあっさり…」

恭介(朱鷺戸は信じられない、という表情で俺を見ている)

沙耶「…ちょ、ちょっと!なんで当たってるのよ!?あなたなら、今のだって当たるはずないでしょ!?」

恭介「…この世界のゲームマスターは、俺じゃない」

恭介(俺はただ、朱鷺戸の疑問にだけ答えた)

沙耶「は?なにを…」

沙耶「…どういうことか説明してもらうわよ」

恭介(途中で考えをまとめ直したんだろう、顔つきがスパイのそれに変わっている)

恭介「ああ、お前がそれを望むなら」

沙耶「ええ、洗いざらい吐いてもらうわ。でもその前に」

恭介(銃を収めながら続ける)

沙耶「あなたの傷を手当するほうが先よ。ここが学校なら、保健室くらいあるんでしょ?」

恭介(保健室まで来ると、朱鷺戸が俺の傷の手当をしてくれた)

沙耶「銃弾が綺麗に抜けたのが幸いしたわね、それなら後遺症も残らないわ」

恭介「この世界では後遺症なんてものはない。どんな怪我や疲労も、一晩寝れば回復する」

沙耶「…そう、そういう世界なのね。でも謝っておくわ」

沙耶「ごめんなさい。絶対に当たるわけないって思ってたから、正直勢いで撃っちゃったっていうか…」

恭介(朱鷺戸がそう言って、頭を下げた)

恭介「謝る必要は無い。それより話さないとな、俺の知る全てを」

朱鷺戸「ええ、聞かせてちょうだい」

恭介(俺はあの世界の顛末と、この世界について知っていることを話した)

朱鷺戸「死後の世界…」

恭介「俺の言葉など、信じられないかもしれないが…」

朱鷺戸「信じるわよ、あなたの言うことなんだから」

恭介(話している途中で、強引に遮られた。嘘をついてるようには見えない)

恭介「…なぜだ?なぜ俺を信じられる?」

恭介「俺は何度も、ループ中にお前に立ちはだかった、お前を俺たちの世界から追い出した男だぞ?」

沙耶「あなたは何度もループに付き合ってくれた。あたしを、力づくで追い出すこともしなかった」

恭介(朱鷺戸はきっぱりとそう言い切り、更に続ける)

沙耶「本当はすぐにあたしを消すことも出来たはずなのに、それをしなかった」

沙耶「自分でも数え切れないほどループしたのに、あたしの目的はあなたの目的と反していたのに」

沙耶「それでも…、あたしの気が済むまで、あたしの遊びに付き合ってくれた」

沙耶「あなたがそういう優しい人だってことを、あたしは知ってる」

沙耶「あとは…あれよ。強大な敵とか、宿命のライバルに絶対的な信頼感が湧いたりするのってわりとありがちなことでしょ?」

恭介(照れ隠しのつもりだろうか?そっぽを向いてフフンと笑った)

恭介(朱鷺戸は俺を憎んでいなかった…、恨むこともしていなかった…)

恭介「それでも、俺がお前を追い出したことに変わりはない」

沙耶「そうね。あと駄目押しはあれかな」

沙耶「すごく幸せな夢を見た。タイムマシンで子どもの頃に戻って、お父さんがいて、幼い理樹くんと一緒に遊ぶ夢」

恭介(目を閉じ、その夢を回想しながら語る朱鷺戸)

沙耶「あれ、あなたが見せてくれたんでしょ?」

恭介「………ああ」

恭介(俺にとっては、せめてもの罪滅ぼしのつもりだった)

恭介(朱鷺戸の命もまた、俺たちのように突然奪われてしまったことを、俺は知ることが出来た)

恭介(彼女がどれほど、一度も過ごせなかった青春を惜しみ、理樹を本気で愛していたことも知っていた)

恭介(それでも俺は、理樹と鈴のために、朱鷺戸の夢そのものを切り捨てた)

恭介(明確に憎むことの出来る相手が目の前にいるのに、朱鷺戸はそれをしないことを選んだんだ…)

恭介「………強いな、朱鷺戸は」

沙耶「あたし一人で強くなったんじゃないわ。あの世界のあらゆるものから、あたしは強さを貰ったのよ」

沙耶「…ま、まあ一番は当然!理樹くんなんだけどね!」

恭介「ふっ…惚気るなよ」

沙耶「い、いいじゃない!?別に!」

沙耶「考えてみたら、惚気ることの出来る相手なんてあたしは他に誰にも…」

恭介(朱鷺戸がなぜか途中で話を止める)

恭介「どうした?」

沙耶「い、いやぁ…。今になって気づいたからその、すっごく聞きづらいこと聞くんだけど…」

沙耶「…見てたの?あたしと理樹くんの…あれ」

恭介(………やばい)

沙耶「どうなの!見てたの!?その気になれば見れたはずよ!正直に答えなさいよ!!」

恭介「…み」

沙耶「…み?」

恭介「見てました、…はい」

沙耶「…ひ」

沙耶「ひやあぁぁああぁ!!あなたやっぱサイテーっ!なんなの!?そういう趣味なの!?」

沙耶「あたし処女だったのよ!?理樹くん以外誰にも見せるつもりなかったのに、人のエクスタシー覗き見してたっていうの!?」

恭介「いや違う!!誓ってエクスタシーまでは見ていない!!それくらい空気は読める男だ!!」

沙耶「エクスタシーまでは!?じゃあどこまで見てたってのよ!?」

恭介「…キスとか混浴ぐらいは」

沙耶「うがあーーーーーっ!!」

沙耶「このっ、消えろっ!!エロ少年ーーーっ!!」

ドガガガガっ!!

恭介「ぎゃあああああ!」

恭介(おそらく100連発ぐらいのキックを食らったあと、俺の意識は一度途切れた)

沙耶「でも未練がないと、この世界に来られないのよね?」

沙耶「つくづくあたしも諦め悪いわよね、自分で自分に呆れるわ」

恭介「それを言うなら俺だってそうだ。いや、この世界にいるのはみんなそういうやつらだ」

真人「まさか、他のやつらより先にこいつが来るとは思わなかったけどな」

真人「ん?でも先に消えたのはこいつだから、ある意味正しいのか?」

恭介「お前はたまに鋭いな。おそらくだが、この世界に来るのにはズレがあるんだろ」

恭介「でないと俺と真人は、同時にこの世界に来てるはずだ」

恭介(意識を取り戻したあと、とりあえず真人と合流し、これからの事を話すことにした)

恭介(ってか痛え…。左肩より蹴りのほうのダメージのがでかいぜ…)

沙耶「これからってか、そもそもあなた達はこの世界でなにをしてるの?ずーっとここで過ごすわけでもないんでしょ?」

真人「はっ!決まってんだろ!俺たちはだなぁ………なあ、恭介?そもそも俺たちは何すりゃ良いんだっけ?」

ズコッ

恭介(ま、これが、いつもの真人だよな)

沙耶「あなた時風の…じゃない。恭介くんの仲間でしょ?そんなんで大丈夫なの?」

真人「なんだよ…、その頭に入ってる脳みそまで筋肉なんですね、まさに筋肉馬鹿ですね、おめでとうございますってかっっ!」

沙耶「いや、別にそこまでは言ってないけど…」

真人「まあ俺は馬鹿だからよ。この場所から理樹と鈴の為に出来ることを探す、ってことくらいしか頭に入ってないんだよ」

沙耶「だから、そのために何をすればいいかって話でしょ?」

真人「それは恭介に任す、俺はただこの筋肉を奮うだけだぜ」

沙耶「なるほどね」

恭介「心配するな、沙耶。こう見えて真人は頼りになる男だ」

恭介「何度お前が理樹を屋上から落とそうと、必ずキャッチしてみせてただろ?」

沙耶「うっ、その話持ち出さないでよ…」

真人「あ、そうだてめえ!思い出したぜ!よくも俺の理樹っちを毎度毎度!」

真人「お前のせいで、『理樹キャッチ世界選手権』なんてもんがあったら間違いなく、世界一位になれる程度には熟練度上がったぜ!」

沙耶「あ、あれはああしないといけなかったっていうか…」

沙耶「ってか恭介くんだって、どうせなら地下からリプレイさせてくれれば良かったのに…」

恭介「何言ってるんだ、それじゃただの作業ゲーだろ?理樹との出会いから始めることに意味があったんじゃないか」

沙耶「…おっしゃるとおりです」

真人「まあいい。反省してるっぽいから許してやるが、俺の筋肉に感謝しとけよ」

沙耶「ええ、感謝してるわ。あなたの筋肉には」

真人「俺はぁぁ!?俺にも感謝してくれよっ!?」

恭介「お前が筋肉に、っつったんだろ真人」

沙耶「もちろん、感謝してるわよ。真人くんには」

真人「さすがだぜ、筋肉の相談があるならいつでも言えよ!力になってやるからよ!」

恭介「単純だな、真人は」

恭介(ま、そこが良いとこなんだけどな)

恭介「ともかく、ざっくり言うなら俺たちの目的はこの世界の秘密を暴くことだ」

恭介「この世界にはまだまだ謎が多い。絶対に死なないことから、死後の世界なのは確実だろうが」

恭介「どうやって創られたのか?神でもいるのか?はたまた別の誰かなのか?肝心な部分がまだわかっていない」

沙耶「世界の根幹に触れる部分を明らかにすれば、何が出来るようになるかわかるってことね」

沙耶「もしかしたら生き返ることだって…」

恭介「………」

真人「………」

沙耶「…ごめんなさい、今のは忘れて」

恭介「いや、気持ちはわかるさ。俺だってそういう可能性も考えたからな」

真人「まあ、今から悩んでも仕方ねえよ!とりあえず前向きにやっていこうぜ!」

恭介「ああ、そうだな」

恭介(こういう時、真人がいてくれるのは本当に頼もしい。不安や迷いが一瞬で晴れてくれる)

沙耶「そういうことならあたしも力を貸すわ。恭介くんはもう気づいてると思うけど」

沙耶「あたしが『朱鷺戸沙耶』として死んだことが影響したのか、スパイとしての能力はそのまんまみたいだから」

恭介「そいつは頼もしいぜ」

恭介(あのループから判断した感じだと、沙耶の実力は戦線メンバーと比較しても、トップクラスなのは間違いない)

沙耶「あと、色々武器とか道具もあるわよ」

沙耶「この『コルトコンバットコマンダー』に、それと寮のクローゼットにスパイとしての道具が色々揃ってたの」

恭介(沙耶は愛用している銃を、俺たちに見せながら説明する)

真人「いや待てよ、なんで寮のクローゼットにスパイセットなんか揃ってるんだよ!?」

恭介「おそらくだが、生前の青春にあったものだからだろうな」

恭介「それらの武器や道具は、沙耶にとって馴染み深いものだったんじゃないのか?それが関係しているのかもしれない」

沙耶「なるほどね、そういう縛りか。M134が無いのも納得ね。あれは一度しか使わなかったし」

恭介(いくらなんでもそいつはやばすぎる、あんなのバランスブレイカーだ。死んでも立華には向けられない)

恭介「ともかく。ゆりっぺに紹介して我らリトルバスターズ戦線に加入してもらうのが、沙耶の第一歩になる」

沙耶「ふふん、任せなさいよ。恭介くんとしては、戦線と敵対しちゃってる立華さんって人と和解して仲間にしたいんでしょ?」

沙耶「そっちの方も合わせて、私はあなたの指示通りに動くわ。これからよろしくね」

恭介(そう言いながら、沙耶は右手を差し出す)

恭介「ああ、もちろんだぜ!よろしく頼むな沙耶!」

恭介(二人で固い握手を交わした、やばいな。軽く涙腺にくる、すごく感動している…!)

沙耶「ふふ。あなたとは色んな理由でずっと敵みたいな感じだったから、なんかこういうの熱いわよね!」

恭介「ああ、俺も今同じ気持ちだぜ!」

真人「おいおい、二人だけで盛り上がってんじゃねえよ!俺も混ぜろよ!」

恭介(真人が俺たちの手の上から、更にその両手を重ねてきた)

恭介「よしっ!お前ら覚悟はいいな?気合い入れていくぞぉ!」

三人「おおーーーっ!!」

恭介(こうして、沙耶が俺の仲間に加わった。しがらみから解放され、和解し、手を取り合うことが出来た)

恭介(そうだ、沙耶とも仲間になれたんだ。立華だってそうなれるはずだ)

恭介(さあ、次は戦線の仲間になるための試練が待ってるぜ沙耶!)

ゆり「で、案の定。また棗くんの知り合いが来ちゃったと」

ゆり「ってか、棗くんなにがあったの?体ボロボロなんだけど…?」

恭介「大丈夫だ、問題ない。それより沙耶、自己紹介だ」

沙耶「ええ、名前は朱鷺戸沙耶。ちなみに、最っ初から幹部入り志望よ」

藤巻「おいおい、女でいきなり幹部なんて無理に決まってんだろ」

日向「突っかかるなよ、藤巻」

ゆり「自信家は嫌いじゃないわよ。なにより実力さえ備わってるいるなら、即幹部にするのがあたしの方針だから」

沙耶「ええ、どんな能力で試験してもいいくらいよ」

沙耶「なにせ、あたしは…」

恭介(沙耶が一度言葉を切る。そこからめいいっぱい溜めて繋げた)

沙耶「『スパイ』、だから」

ゆり「………は?」

日向「は?」

大山「え?」

野田「は?」

藤巻「あ?」

松下「む?」

高松「はい?」

TK「What !」

椎名「ん?」

岩沢「???」

遊佐「………」

戦線組「「「はぁーーーっ!?」」」

恭介(予想通りのリアクションが本部に響いた)

恭介「おい真人、やりやがったぜ。すごいドヤ顔だったぞ!」

真人「ああ、自らハードル上げていきやがった…!」

ゆり「いやスパイってなによ!スパイごっこかなにか!?」

沙耶「ごっこじゃないわ。諜報員、本物のスパイよ」

日向「ああー。そうか、そもそもこいつも恭介の友達なんだよなぁ」

高松「はい、まともな思考回路の人間のはずありません。ずばり言うなら…」

遊佐「また馬鹿ですか」

松下「間違いないな」

藤巻「だな」

TK「History Repeats itself !!」

沙耶「ふふん、信じられないのも無理ないわ。でも、事実よ。言わば、あなたたちがやってきたことのプロよ」

ゆり「いや、そもそもなんで、棗くんの友人にスパイがいるのよ!ありえないでしょ!」

沙耶「ありえないとこないわ、だって『恭介』くんなのよ?」

戦線組「「「………」」」

恭介(その言葉だけで、騒がしくなっていた空気が一瞬で沈静した)

ゆり「………ごめん、みんな。なんか納得しちゃったあたしがいるわ」

大山「あはは、僕もだよ」

野田「確かに恭介なら、スパイの友人の一人や二人いてもおかしくない気がする…!」

岩沢「物凄い説得力があったな」

真人「恭介よぉ、大分お前のキャラってやつが戦線にも浸透したな」

恭介「嬉しく思うべきだな」

ゆり「あー、とにかく!スパイだって言うならその実力見せてもらうわよ!」

沙耶「ええ、かまわないわ。それとさっきから気になってたんだけど…」

沙耶「そこのカーテンのとこ、ゴキブリがいるわよ?」

ゆり「えっ!うそっ!?」

恭介(そこでゆりっぺが思い切り椅子を引いて立ち上がったのがまずかった)

恭介(物音に反応してゴキブリが飛び始めてしまった)

ゆり「うわあああっ!飛んだっ!飛んだっ!」

野田「おのれ!ゆりっぺを脅かす黒い悪魔め…!切り裂いてやるっ!」

野田「うおおおおっ!!」

恭介(野田がハルバードを振り回しながら、空飛ぶGに襲いかかった!)

日向「馬鹿っ!?部屋ん中でそんな武器振り回すんじゃねえよ!?」

椎名「あさはかなり」

大山「僕たちが切り裂かれちゃうよっ!」

野田「気にするな!どうせ死なんっ!」

日向「気にするわっ!!」

恭介(最早、本部は飛び回るGと暴走する野田のせいで戦場と化した。が…)

沙耶「シャラップ!!」

恭介(沙耶の言葉が、みんなの動きをその場で止める)

恭介(無理もない、沙耶の声はゆりっぺにそっくりなんだ)

恭介(命令されたらつい反応しちまうもんさ。みんなは多分、今ので声のこと気付いんただろうがな)

沙耶「動くんじゃないわよ」

恭介(そして)

パァン

恭介(飛び回っていたゴキブリを、いともたやすく撃ち落とした)

沙耶「ふう、ざっとこんなもんね」

恭介(髪をかきあげ、そう言い残す沙耶の姿に)

日向「す、すっげえーーーっ!!」

松下「今のを狙い撃ったのか!?」

藤巻「マジかよ…?」

大山「僕、銃を抜いたのすら見えなかったよ!」

恭介(戦線メンバーは魅せられていた)

椎名「驚いた…。凄腕だな」

恭介(椎名ですらそう呟くのが聞こえた)

沙耶「言ったでしょ、プロのスパイだって」

ゆり「…ええ、驚いたわ。さすがプロを名乗るだけあるわね」

真人「いやぁ、マジですげえんだなあいつ。こりゃ幹部入り確実だな、恭介」

恭介(真人が俺の肩を叩きながら、笑いかけてくる。だが…)

恭介「…おかしい」

真人「は?なにがだよ」

恭介「…上手くいきすぎている、確かに沙耶は凄腕のスパイだ…」

恭介「高速で飛び回るGを狙い撃つなんていう芸当もこなしてみせた…」

恭介「…だがこのまま終わるはずがない。あいつが俺の知る朱鷺戸沙耶なら、絶対にこのまま終わらない!」

真人「いや、なに言ってんだ?お前」

ゆり「実力は今ので見せてもらったわ。文句無しで合格よ」

沙耶「やったぁ!バンザーイ!」

恭介(満面の笑顔で、バンザイしながら喜ぶ沙耶)

日向「クールなのか、愉快なのかよくわからんやつだな」

大山「まあまあ恭介くんの友達だし」

恭介「お前らいくらなんでも、俺の友達ってだけで色々納得しすぎだ!」

恭介「宇宙人連れてきても、俺が友達って言えば信じるんだろ!?」

岩沢「えっ、いないのか?宇宙人の友達?」

恭介「いねぇよ!宇宙飛行士志望の友達ならいるが」

日向「いやそれも大概だぞ…」

ゆり「ただし、一つだけ聞いておくことがあるわ」

沙耶「オッケー!なんでも答えてあげようじゃない!」

ゆり「リトルバスターズ戦線は、理不尽な運命を強いた神に抗うための戦線」

ゆり「朱鷺戸 沙耶さん。あなたの神と戦う理由はなにかしら?」

沙耶「………え?」

恭介(…なるほど、これか)

沙耶「え、あーいや、えーっと。その質問って、どうしても答えないと駄目…なのかしら…?」

ゆり「さっき言ったじゃない?なんでも答えるって。どんな理由でもいいわ、正直に話して」

ゆり「言いづらかったら、短かったり、抽象的でもいいわ」

ゆり「これは、戦線で戦うための覚悟を問うものなのよ」

沙耶「うーっ…///」

恭介(沙耶が顔を、真っ赤にしている…!)

恭介「いいぞ、ゆりっぺ!そこだ、もっと追い詰めろ!畳み掛けろ!」

ゆ・沙「「あなた一体どっちの味方なのよ!?」」

真人「またろくでもない事考えてんだろ、恭介?」

恭介「そう見えるか?」

真人「見える」

恭介「じゃあついでに沙耶も見とけ、職人芸が見られるぞ」

沙耶「………よ」

ゆり「なに?声が小さくて聞こえないわよ?」

沙耶「理樹くんのことが諦められないからよっ!!」

沙耶「そーよ!完全無敵のスパイであるあたしも理樹くんの前ではただの恋する乙女なのよ!大好きなのよ!愛してるのよ!ベタ惚れなのよ!」

沙耶「諦めようとして自分から理樹くんの前から去ったっていうのに!こうして未練タラタラで死後の世界まで来ちゃったのよ!」

沙耶「なんて間抜け!滑稽でしょ?滑稽じゃない?笑いたければ笑うがいいわ!あーはっはっはっ!て笑いなさいよ!」

沙耶「あーはっはっはっ!」

真人「…すげえ、自虐芸だ。俺の言いがかり以上かもしれねえぜ…」

野田「真人、それ芸の自覚あったんだな…」

恭介「今日のはいつもより勢いがあったな。まさに愛のなせる技だ」

岩沢「棗が言うと、愛って言葉がすごく胡散臭く聞こえるのが不思議だな」

恭介「なぜだ!?」

沙耶「うぅ…なによぉ、頭でわかってても、心が割りきれないんだから仕方ないじゃない…」ブツブツ

恭介(沙耶がペタンと足をついて座り込んでいる、そんな沙耶を)

ゆり「笑うわけないじゃない、朱鷺戸さん」

沙耶「…え?」

恭介(ゆりっぺはまるで、泣いている子どもをあやすように優しく抱きしめた)

ゆり「とっても素晴らしい理由だと思うわ、だって死んでも諦められない人がいるんでしょ?」

ゆり「それは、あなたがそれだけ『理樹くん』って人のことを好きだからでしょ?違う?」

沙耶「…そうだけど」

ゆり「だったら、やっぱり素晴らしい理由よ。私は異性の誰かを、好きになったことがないからわからないけど」

ゆり「誰かを愛するからこそ戦おうっていう理由は、とても格好いいと思うの」

ゆり「みんなもそう思うでしょ!?思うなら拍手!!」

パチパチパチパチパチパチパチっ!!

恭介(本部は、部屋の中央にいるゆりっぺと沙耶を包むように、暖かな拍手に包まれた)

ゆり「これからは仲間よ、ともに戦いましょう。朱鷺戸…いえ、沙耶ちゃん」

沙耶「ええ…。ええっ!あたし頑張るわ、ゆりっ!」

遊佐「今のやりとりでお二人に友情が芽生えたようですね」

恭介「フッ…。雨降って地固まる、か」

ゆ・沙「「あんたが言うなっ!!」」

バキッ

恭介「げふっ!」

日向「おー、息ピッタリのハイキックだー」

真人「一瞬で仲が深まっちまいやがったぜ」

椎名「ふっ。戦線最強の座は渡さん」

野田「ところでゆりっぺ!もし、異性の誰かを好きになることがあるなら…。その時は、俺が…!」

ゆり「却下」

野田「うわあああああっ!!」

松下「頑張れ!野田!」

高松「私たち筋肉バカルテットは、いつもあなたの味方です!」

真人「とりあえず、マッスルエクササイザーでも飲めよ!な!」

恭介(こうして今日も夜が更けていった)

真人「なあ、恭介よぉ?お前沙耶のやつと、すごいいい感じの仲直りしてたよな?」

恭介「そうだぞ、真人。すごいいい感じの仲直りをした」

恭介「あの握手を期に、俺と沙耶の間には切っても切れない友情が芽生えたんだ…!」

真人「その沙耶のやつなんだが…」

真人「あれ以来俺たちに目もくれず、ゆりっぺ追いかけてねーか?」

恭介「ぐはぁ!」

真人「おいおい、そんなにダメージ受けるほどのことかよ!?」

恭介「そりゃ一途に理樹のためにループを繰り返すようなやつだ。ずっと見守ってたから愛着もわく」

恭介「俺的にはもう一人の妹のように思ってたやつなんだ…!」

真人「そして、そのもう一人の妹のように思ってたやつは、一瞬でお前以上にゆりっぺに懐いちまったと」

恭介「ぐふぅ!」

真人「お前、シスコンだもんなあ」

恭介「うるせえやい!ちゃんと深い部分では繋がってるんだ!問題ねえよ!」

真人「おお、まるで子どもが駄々をこねる時のようなキレ方に、『そうか、そいつは悪かった』と謝ってしまいそうだぜ」

真人「でもまあ仕方ないんじゃねえか?声も似てるし、お互い他人のような気がしないとか言ってたし」

恭介「このまま終わらんぞ…!俺は…!」

真人「ダメだこりゃ」

選択安価

自由行動 行きたい場所を選んでください

1 本部
2 音楽の聞こえる教室
3 校舎をぶらつく
4 図書館(一時的に選択不可)

23:40:00:00より
↓1

すみません、選べるのは一つです

ギャルゲに慣れてる人、勘の良い人は気づいていると思いますが、この場所はヒロインフラグのある娘たちのいる場所です

だから当然一点集中もできます

恭介(適当にブラブラ歩いてると、微かに騒がしい教室を見つけた。どうやらあそこらしい)

恭介(中では岩沢と3人の女生徒とが一心不乱に自分のパートを演奏している。すげえ熱の入りようだ)

女生徒A「おっと…ごめん、すぐ張り直す」

恭介(演奏が途切れる、なにかのトラブルみたいだな)

岩沢「ふぅ…じゃ、休憩」

女生徒B「はいですー」

女生徒C「あたし飲み物買ってきまーす!」

恭介(女生徒の一人が勢い良くドアを開け、俺の存在に気づかないまま、廊下を駆けていった)

恭介(騒がしいとこがなんとなく三枝の雰囲気とダブるな)

岩沢「ちょっと風に当たってくるよ」

恭介(他の二人にそう声をかけると、廊下へと出てくる。そこで俺と目があった)

岩沢「ん、よう棗、来てたのか。見学かい?」

恭介「ああ、そんなとこだ」

岩沢「来てたんなら廊下じゃなくて、教室に入れば良かったんじゃないか?」

恭介「いや流石に悪いだろ。練習の邪魔になる」

岩沢「お前が入ってきても、演奏が終わるまでは気付きやしないよ」

恭介「そいつはすごい集中力だな。あんな良い歌が歌えるわけだ」

岩沢「ん、なんだ?お前ファンにでもなったのか?」

恭介(岩沢がニヤっと笑う)

恭介「その通りだ。作戦があったから外からしか聞いてないが、すげえ良い歌だったぜ!」

恭介「日向から聞いたがGirls Dead Monsters(ガールズデッドモンスターズ)っていうバンドなんだろ?」

恭介「あんな歌聞かされて、ファンにならないわけがないな」

岩沢「へえ、そこまで言ってくれるのは嬉しいね。ちょっと移動しないか?すぐそこにバルコニーがある」

恭介(岩沢に誘われてバルコニーに移動する。風通しが良くて景色も良い場所だ)

岩沢「で、棗。なにがそんなに良かったのか聞かせてくれないか?参考にしたい」

恭介「構わないが、俺は音楽に関してはド素人だ。大したことは言えないと思うぜ?」

岩沢「いいよ、なんでも。むしろド素人のファンの感想だからこそ聞きたい」

恭介(岩沢が興味深そうに俺の顔をのぞき込んでくる。なら、今思ってることをそのまま言葉にしてみるか)

恭介「そうだな。お前の歌には『魂』がこもってると俺は感じた」

岩沢「『魂』?」

恭介(岩沢がキョトンとする)

恭介「ああ。こいつは俺の持論なんだがな。魂のこもってるものってのは、例え知識がなくても、理屈とかを飛び越えて心に響いたりするものなんだ」

恭介「人の姿とか、風景とか、芸術とか、なんでもな」

岩沢「あたしの歌には、それがあったのか?」

恭介「ああ。特に印象に残ってるフレーズがあれだな」

いつまでこんなところに居る?
そう言う奴もいた気がする
うるさいことだけ言うのなら
漆黒の羽にさらわれて消えてくれ

恭介「ってとこだ。ああ、こいつは本当に音楽が、歌うことが好きなんだってのがすげえ伝わってきたよ」

恭介「少なくとも俺はそう感じたぜ!」

岩沢「………フッ。そうか」

恭介(ひとしきり説明し終えると、岩沢は満足そうに小さく笑った)

岩沢「そうだな。あたしは自他共に認める音楽キチだからな」

岩沢「ちゃんと…伝わるやつには伝わるんだな」

恭介(そう言うと、岩沢はバルコニーの外の景色に目をやる。爽やかな風が通り抜け岩沢の髪を揺らした)

岩沢「………なあ、棗?おまえ」

女生徒C「おろ?お客さんですか?」

恭介(岩沢の言葉を遮るように、ペットボトルを抱えた女生徒が顔を覗かせた)

女生徒C「って出たーー!!妖怪火吹き男ーー!!」

恭介「誰が、火吹き男だ!」

恭介(随分懐かしいネタを持ち出された、確か最初のオペレーションの日、麻婆豆腐食った時のネタだ)

女生徒C「じゃあ、リザードン!?」

恭介「良いチョイスだな」

女生徒C「あっ、わかります?かっちょいいっすよねー!リザードン!」

恭介「俺は最初ゼニガメ選んだけどな」

女生徒C「おのれ、人類の敵めぇーーー!!」

岩沢「関根、落ち着け。ってか挨拶くらいしろ、棗はこれでも幹部だぞ」

関根「あたしは関根しおりです、担当はベースです」

恭介(さっきまでのテンションの高さはどこへやら。一転、落ち着いた挨拶をされた)

恭介「俺は棗 恭介だ、よろしくな」

岩沢「おい、ひさ子、入江。お前らも挨拶しとけよ」

恭介(岩沢がそう部室に向けて手招きすると、まず髪の長い小柄なやつが現れた)

入江「入江みゆきです、担当はドラムです」

恭介「棗 恭介だ、好きなポケモンはカメックス」

入江「…カメックス?」

関根「話すなみゆきちーー!!こいつは人類の敵だーー!!」

恭介(関根が必死になって入江を抱きしめていた、てめえカメックス派敵に回しやがったな)

女生徒A「おいおい、やけに騒がしいな、なんだよ」

恭介「カメックスだ、よろしく」

女生徒A「あん?舐めてんのか?」

関根「ひぃやあぁあーー!!ギャラドスの怒り買っちまった、このカメはーーーっ!!」

女生徒A「誰がギャラドスだ、ああぁん!?」

入江「しおりんも買っちゃったーー!!」

岩沢「おいおい、喧嘩はよせよ。あたしらがすげー仲悪いみたいじゃないか」

入江「そうですよー!ガールズデッドモンスターズはみーんな仲良しです!!」

関根「そうだーそうだー!!あたしたちポケットモンスターズは仲良しだー!!」

女生徒A「しつこい!」

ゴン!

関根「あうっ!」

恭介(今までのやりとりを見ただけでもわかるさ。すげー仲良いんだなこいつらは)

恭介「ま、冗談はおいといて。棗 恭介だ、お前らのファンになったから挨拶にきた」

ひさ子「ふーーーん、ファンねえ。あたしはひさ子だよ。担当はリードギター、よろしく」

関根「とか言って、本当はミーハーな岩沢先輩目的では?げへへ」

恭介(笑い方がゲスい)

恭介「ま、そもそもの興味を持ったきっかけは確かに、岩沢の歌声だな」

関根「やめといたほうがいいですよー」

関根「岩沢先輩は音楽にしか興味持たない音楽キチですから、ぐふふ」

恭介(本当にゲスい笑い方が似合うやつだな、おい)

岩沢「関根、てめーなー!合ってるから反論できねーじゃねーか!」

恭介「合ってんのかよ!ってさっき言ってたよな」

ひさ子「こらこらーっ、無駄話してないで始めるぞー」

岩沢「よし、再開しよう」

関根「はーい!」

恭介(ひさ子を、先頭に教室へと戻っていった)

岩沢「おい、棗!やるよ」

恭介(投げられたものを受け取る、飲みかけのペットボトルだ)

岩沢「また、こいよ」

恭介(直後、ドアが閉められ一人きりになる)

恭介(これをどうしろと?)

選択安価

1 すぐさま関節キスに挑む
2 喉が乾くまで持ち歩く

00:05:00:00
↓1

恭介(助かるぜ、ありがたく貰っておこう)

恭介(そういやあいつ、途中でなにか言いかけてたな)

恭介(………なぜだかはわからない。だが、なんとなく嫌な予感がするような気がした)

今日はここまで

ゆりと沙耶の親友化は構想当初から考えてたネタです
声が同じというのもありますが、性格が似ている
ゆりは本質的なとこで母性が強いタイプ
沙耶は大人っぽい中に幼さが残っているタイプとこのSSでは解釈しているので

それと自由行動についてもう少し詳しく説明

基本的にはこのSSは
リトバスメンバー復活→自由行動→オペレーション
のルーチンで進む予定です
もしかしたら変わるかもしれませんが

自由行動中はヒロインのフラグ回収、物語的な重要なヒントの回収、戦線メンバーとの交流をメインとします

最後に1つ、仕事が忙しくなりそうなので流石に今の投下量は維持できません
しばらく少しずつの投下になると思いますが、沢山の人に感想頂けて嬉しいので完結目指して頑張ります

次回からは
ギルド降下作戦 真人・沙耶参戦バージョンでお送りします

遅くまでお付き合い頂きありがとうございました

報告
天候の都合で明日がお休みになったのでどの程度かはわかりませんが、夜頃に投下します

たくさんの感想、励ましありがとうございます

すいません、わかりづらいので付け加えると明日の夜です

最高に面白い(∵)

応援するぜ(∵)

今夜21時頃再開します

ぶっちゃけくちゃくちゃ長いです
一気見したほうがいいかもしれません

ゆり「はーい、というわけで今日も楽しい定例会議のお時間よ」

恭介(そんな呑気なゆりっぺの言葉で今日の定例会議が始まる)

恭介(実際、気楽なもんだ。大体は)

高松『今日も皆さん、元気に訓練に励みました』

ゆり『よろしい、解散!』

恭介(だけで終わる。日向曰く)

日向『何か問題が起こるか、ゆりっぺがオペレーションを思いつくかしない限りはこんなもんさ』

恭介(とのことだ。だが、今日は少し様子が違った)

日向「なあ、ゆりっぺ一つ聞いていいか?」

ゆり「なにかしら、日向くん?」

日向「なんで部屋が少し整理されて、ゆりっぺの机が新しい大きなものに変わって、更にゆりっぺの隣に沙耶が座ってるんだ…?」

恭介(日向が実に的確な状況説明をしてくれた。俺も含めておそらく全員、同じ疑問を抱いていただろう)

ゆり「なんだ、そんなこと?本日付けで沙耶ちゃんが、リトルバスターズ戦線の副リーダーに就任したからよ♪」

大山「あっそっかー。なるほ…えええええええっ!!副リーダー!?」

TK「I’ll be damned!!」

恭介「な、なんだって…!」

恭介(ちょっと待て、沙耶。お前、俺の指示通りに動くって言ってたのはどうなった…)

沙耶「ふふん、よろしくね」

恭介(髪かき上げながら沙耶がそう言う。にしてもまた、すごいドヤ顔だな)

藤巻「どういうことだよ?ゆりっぺ」

松下「何も聞いてないぞ」

ゆり「当然よ、今初めて言ったんだがら」

ゆり「いい?そもそもあたし達は素人から始まってるのよ。それに対して、沙耶ちゃんはプロのスパイ」

ゆり「沙耶ちゃんを副リーダーに置いてアドバイスしてもらうことで、戦線は今以上に強力な組織になるわ!」

椎名「話の筋は通っているな」

野田「だが!今まで戦線に副リーダーなんてものは存在しなかったぞ、ゆりっぺ」

岩沢「少し唐突な新制度導入だな」

日向「しかも俺たちになんの相談も無しだぜ?」

藤巻「そこんところどうなんだよ?ゆりっぺ、説明してくれよ」

恭介(他のメンバーからも次々と声が上がる)

ゆり「そうね、ずばり一言で説明するなら…」

ゆり「リーダー権限!!」

日向「ただのワガママじゃねえか!!」

ゆり「この戦線はあたしがトップ、つまりあたしがルールよ。文句は言わせないわ」

恭介(こうなってしまうと、どんな反論も通らないだろうな。みんなもそれをわかってるのか、反論もそこまでだった)

真人「やれやれ、とんでもない独裁戦線だぜ…」

野田「だが、真人よ…!それがいいんじゃないか…!」

真人「えー、お前そういう趣味だったのかよ…?」

松下「そりゃあ、ゆりっぺに惚れてるくらいだからな」

高松「例えあなたがどんな趣味嗜好性癖の持ち主でも、私たち『筋肉バカルテット』はいつもあなたの味方です!」

ゆり「はいはい、静かに。もしもの時は、ちゃんと沙耶ちゃんの指示に従うこと。いいわね!?」

恭介「沙耶が…!沙耶が俺たちから離れていく…」

大山「ねえ、恭介くんが血を吐きながら倒れ伏して、死にそうになってるけど放っておいていいの?」

真人「ほっとけ、いつもの馬鹿だ」

恭介(これでも色々考えてるんだぜ、真人?副リーダーなんて立場についてしまえば、自由はある程度制限される)

恭介(そうなれば、俺が指示したくても沙耶に伝わらない。もしくは、沙耶が動けない状況が生まれるおそれがある)

恭介(さすがにまだ、俺が立華との和解を考えていることを、ゆりっぺが気づいたとは考えづらいが…)

恭介(俺たちの目的から考えたら沙耶が副リーダーになるのは、あまりよくないかもしれない)

ゆり「はい、というわけで高松くん今日の報告よろしく」

高松「はい。武器庫からの報告によると、そろそろ弾幕が尽きかけています。補充が必要かと」

恭介「おお…、高松がまともな報告してるの初めて聞いたぜ!」

野田「恭介…!それは高松に対する侮辱発言だ!取り消してもらおうか?」

日向「野田、お前最近、キャラ変わりすぎじゃね…?」

ゆり「というわけで、今夜はギルド降下作戦よ」

沙耶「降下作戦?パラシュートつけてスカイダイビングでもするの?」

ゆり「ほとんど正解だけど、ちょっと違うわ沙耶ちゃん♪」

ゆり「降下作戦といっても降下するのは地下なの」

ゆり「あたし達の仲間が武器作ってるとこよ、そこをギルドって呼んでるの」

真人「全然違うじゃねえか!?」

ゆり「ああっ!?なんだって!?」

真人「おお、物凄い逆ギレに思わずこっちが土下座して謝るところだぜ」

野田「な、真人。いいだろ…!」

真人「いや、わかんねえよ…」

藤巻「最早、ドMの境地だぜ…」

TK「But i like it!!」

恭介「ま、ようは天使にバレないように、地下に身を潜めてるってことか」

ゆり「たまにはまともなことを言うわね、棗くん」

ゆり「当然、ここを抑えられたら武器支援がなくなり、あたし達に勝ち目は無くなるわ」

ゆり「だから対天使用のトラップを何重にも仕掛けて、防衛できるようにしてるの」

沙耶「地下…!トラップ…!」

恭介(やばい、沙耶が目をキラキラさせている。奇しくも、俺が用意した地下迷宮と似たような舞台だ)

恭介(加えてスクレボ大好きのあいつが、そんな場所興奮しないわけがない)

ゆり「今日の作戦はここにいる実行班でいくわよ」

岩沢「じゃ、あたしは戻るよ」

ゆり「ええ、お疲れ様。岩沢さん」

恭介(岩沢が部屋の外へ向かう。あいつはあくまで陽動部隊だしな)

恭介「練習頑張れよ、そのうちまた見学させてもらうな」

岩沢「ああ、お前も気をつけてな」

恭介(そう言って小さく笑うと、岩沢は出ていった。あいつらのことだから、また練習するんだろうな)

日向「なあ、恭介?お前最近、岩沢と仲良くね?」

恭介「ああ、ガルデモのファンになった事を話したからな」

高松「なんですって!?」

恭介(なぜか、高松が食いついてきた)

日向「ど、どうした高松いきなり…?」

高松「恭介くんも、ガルデモのファンになったんですか!?」

恭介「ああ。その反応はお前もファンなんだな?高松」

高松「当然です!ガルデモの曲は全てCDにしてまとめているくらいです!」

恭介「マジかよ!?めちゃくちゃ羨ましいぜ高松!!」

高松「良かったらあなたの分のCDも作りますよ?」

恭介(高松の眼鏡がキラーンと光った)

恭介「高松…、今日からお前を親友と呼ばせてくれないか?」

高松「もちろんです、恭介くん!ガルデモの魅力について語り明かしましょう!」

恭介「フッ…。俺は熱く語りすぎちまうからな。朝まで寝かさねえぜ…!」

恭介(こんな身近なとこに同士がいたとはな…!いやっほぉー!)

ゆり「おーいそこー。朝まで語り合うのも結構だけど、別の日にしてね」

沙耶「でもお泊り会って楽しそうじゃない?あたしちょっと憧れてたのよね!」

ゆり「よーし、やりましょう!すぐやりましょ!今からやるわよ!沙耶ちゃん!」

日向「おいおい待てぇ!ギルド降下作戦はどうなったんだ!?」

ゆり「…ちっ!」

日向「ええーっ……。なんで俺『空気読めよ』みたいな目で見られなきゃいけないんだよ…」

椎名「あさはかなり」

恭介(…ま、いいか。せっかく、沙耶もゆりっぺも楽しそうにしてるんだからな)

恭介(副リーダーの件はまた、別の時に考え直すとしよう)

恭介(深夜、NPC達が寝静まった頃。俺たちは体育館の裏口に集合していた。…が)

ゆり「遅いわね…、沙耶ちゃん」

恭介(沙耶一人だけが、集合時間になっても現れていない。すでに5分も過ぎている)

真人「あいつもあれでスパイなんだし、大丈夫だろ。ちょっとトイレにでも行ってるんじゃねえか?」

椎名「…ならいいんだが。最悪女子寮から抜け出す際に、天使と遭遇したというのも考えられる」

藤巻「プロがそんなヘマすんのかよ?」

ゆり「馬鹿ね。あの娘あれで結構ドジなのよ、危なっかしくて見てられない程度には」

恭介(ゆりっぺがそう答える。たしかにあいつはかなりドジだ)

恭介(それさえなければ、まさに完全無敵といっても良いかもしれない)

恭介(ゆりっぺが沙耶を甲斐甲斐しく世話焼いてんのも、あいつ自身が世話焼きというのもあるんだろうが)

恭介(沙耶のそういうドジなとことか子どもっぽいところが、放っておけないからなんだろうな)

ゆり「こうなるならさっさと、あの娘のルームメイトのNPC追い出して、あたしが引っ越しとくべきだったわ!明日にでも実行すべきね…!」

日向「さらっと酷いこと言ってんじゃねえよ…」

高松「それより誰も、スパイなのにドジでいいのか、とツッコまないのが…」

松下「恭介の友達、以下省略」

恭介(ともかく、さすがにそろそろ心配だ。ゆりっぺもかなり動揺しているのがわかる)

恭介(あの日語った、仲間が突然消えるってのは、あいつにとってトラウマのようなものなんだろう)

恭介(それがもし沙耶に起こってしまえば…)

沙耶「ごめーんっ!あたしとしたことが遅くなっちゃったわ!」

恭介(ふぅ…。とりあえず無駄な心配だったな)

ゆり「沙耶ちゃん!遅いじゃない!心配した…」

恭介(ゆりがポカンとしている…、無理もないそこには)

沙耶「いやー、ちょっと仕度に手間取っちゃったわ」

恭介(身の丈もあろうかという、巨大なリュックを背負った沙耶がそこにいた…)

ゆり「あー、えーっと…沙耶ちゃん?無事だったのはなによりなんだけど、そのリュックはなに…?」

恭介(すごく聞きづらそうなゆりっぺ。が、正直俺はすでに察しが付いている…)

沙耶「なにってスパイとしての必需品よ!本当はもうちょっと、数を絞ろうかと思ったんだけど」

沙耶「地下に降りたり、対天使用『トラップ』があるんならこれくらいは準備しないとね!」

ゆり「………」

恭介「………」

真人「………」

日向「………」

大山「………」

野田「………」

藤巻「………」

高松「………」

TK「Jesus…」

椎名「あさはかなり」

沙耶「…えっ?なにこの空気?みんなどうしたの?」

ゆりっぺ「沙耶ちゃん?たしかに地下に降りるし、『対天使用』トラップがあるわ…」

恭介(ゆりっぺが沙耶の両肩に、ぽんと手を起きながら説明する)

沙耶「でしょ!?地下に降りるし対天使用『トラップ』があるなら…」

ゆり「『対、天使、用』トラップよ」

ゆり「あたし達が天使のために用意したトラップを、あたし達が降下する時にONにしてるわけないでしょ?」

沙耶「あ」

恭介(ゆりっぺがとてもわかりやすく区切りながら説明したのもあって、ようやく沙耶も理解したようだ)

恭介「これは…、くるな!」

日向「お前すげえ良い笑顔してんな…、恭介」

沙耶「…ふふ、ふふふ、ふふふふふ、あーはっはっは!」

沙耶「そうよ!今の今まで勘違いしてたわよ!」

沙耶「ぶっちゃけ地下とかトラップとか聞いた時点で、スパイとしての血が騒ぐあまりそう思い込んでたわよ!」

沙耶「興奮のあまりワクワクしながら道具をリュックに詰めこんで、おまけに遅刻までしちゃったわよ!」

沙耶「どこの馬鹿よ!遠足前の子どもかっての!ほんと馬鹿ね!馬鹿丸出しね!笑えるわ!笑えるでしょ!?あーはっはっは!って笑いなさいよ!」

沙耶「あーはっはっは!!」

ゆり「はいはい。わかったからちょっと落ち着きなさいよ、もう」

沙耶「…うぅ、あたしはスパイなのに…」ブツブツ

ゆり「もう笑ったり、怒ったり、泣いたり忙しいわね。ほらハンカチ使いなさい」

大山「なんか友達通り越して、お母さんと子どもみたいな二人だね」

高松「どっちかというとしっかりもののお姉さんと、手のかかる妹みたいな構図かと」

藤巻「あー、っぽいわ、ぽいぽい。まさにそれだわ」

真人「恭介よぉ、あいつ完全にゆりっぺの妹キャラになっちまったぜ?」

恭介「だからなんだ?俺と沙耶は深い絆で結ばれている。二人が仲良くなるのはいいことじゃないか?」

大山「恭介くん。すごい大人な意見なのはいいけど、口から血を吐きながら言われても説得力ないよ…」

日向「そうだぜー、ってかさっきも口から血吐いてたろ?なんだよ、そういうキャラ付けか?」

恭介「そのつもりだ!」

日向「こえーよ!!どんなキャラ付けだよ!?個性の塊みたいなやつが、更にキャラ足そうとしてんじゃねえよ!!」

藤巻「グダグダだぜ、まるでピクニックかよ…」

真人「まあまあ、別に沙耶が無事だったんだから良いじゃねえか」

真人「あって困るようなもんでもないんだしよ」

沙耶「困るわよ!ぶっちゃけめちゃくちゃ重いのよ!このリュック!」

真人「なら俺が背負ってやるよ。こういう時のための筋肉だぜ。ほれ、貸せよ」

沙耶「…あっ」

恭介(真人が自然に沙耶からリュックを預かると、肩ベルトを調節してリュックを背負った)

真人「なんだよ、別に対して重くねえな。筋トレに丁度いいくらいだぜ!」

沙耶「…あ、ありがと。真人くん」

真人「なーに良いってことよ」

恭介「さすがはうちの筋肉担当だぜ」

野田「待て真人!筋トレとあっては捨て置けん!なにより、お前一人に重いものを背負わせるものか!」

松下「そうだぞ!この場は俺に背負わせてくれ!」

真人「えーやだよ!俺の筋トレ道具だぜ?」

高松「ならここは間をとって私が!」

ゆり「あーもう、いい加減行くわよ!そこのバカルテットは、じゃんけんでもなんでも適当に決めなさい!」

恭介(そんなこんなでようやく、秘密の入り口から地下へと進入し、先へと進み始めた)

恭介(あいこ20連発くらい叩き出したじゃんけんの結果、リュックは松下が背負うことになった)

恭介「へえ、雰囲気出てるな。まさに地下ダンジョンって感じだ」

真人「なあ恭介。昔ドンキーコングやってた時に、こんな廃坑みたいなステージあったくねえか?」

大山「あ、僕それ知ってる!ディディーと一緒にトロッコ乗るやつでしょ!」

恭介「ああ、あれは神ゲーだったぜ!BGMが良い味出してたな」

ゆり「はあ、緊張感の欠片も無いわね。男子ってどうしてこうなのかしら?」

恭介「青春のボーイズトークってやつだぜ!大目に見てくれよ」

野田「心配するなゆりっぺ、その分俺がゆりっぺのことをしっかり守って…」

カチッ

野田「ん?」

沙耶「!トラップよ!伏せて!」

恭介(とっさに沙耶が野田を庇った)

ぶぅん!べしっ!

沙耶「きょげっ!ぐえっ!」

恭介(そして、そのままハンマーに吹っ飛ばされ壁にめり込んでいた)

藤巻「!?トラップが解除されて…」

ゆり「沙耶ちゃああああああん!!」

ドカッ!

藤巻「げほっ!!」

ゆり「沙耶ちゃん!大丈夫?怪我はない!?」

沙耶「大丈夫よ、あれくらいなんてこと無いわ。エクスタシーにも程遠いわね」

恭介(まともに食らったわりに、沙耶はピンピンしていた)

ゆり「そ、そう?女子としてあるまじき悲鳴してたほうは大丈夫?」

真人「とりあえず自分がふっ飛ばした藤巻の心配もしてやれよ…」

松下「脇腹に突き飛ばしを食らった後、顔面から壁に激突してたな」

大山「藤巻くーん、傷は深いよー、大丈夫ー?」

日向「それ大丈夫じゃなくね…?」

恭介「心配するな、ゆりっぺ。沙耶ならこの程度のトラップは、ダメージにもならねえさ」

ゆり「どうしてそう言い切れるのよ!」

恭介「理由はもちろん…、ドMだからだ!むしろご褒美だろ、な?」

ゆり「は?沙耶ちゃんをあなた達みたいな変態と一緒にするんじゃ…」

沙耶「ごめんゆり、あたしドMなのはマジなの…」

ゆり「なーんだ、そうだったの♪今度部屋でしっぽりむふふといきたいところね!」

日向「どっちが変態だよっ!」

高松「もはや、沙耶さんの貞操の危機ですね…」

野田「沙耶、すまん!助かった!」

沙耶「いいのよ別に。あ、でも野田くんもドMみたいだから、トラップ奪って悪いことしたかしら?」

野田「いや、俺はさすがにそこまでのMでは…」

松下「Mなのは認めるんだな」

高松「例え野田くんがMでも、以下省略」

藤巻「いつつ、酷い目にあったぜ…!」

恭介「お、復活したか。藤巻」

藤巻「んじゃ気を取り直して…、トラップが解除されてねえ!?」

恭介「どういうことだ!?」

ゆり「総員臨戦態勢へ移行!!」

真人「しれっとやり直しやがった…!」

野田「気にするな真人、俺は気にしない…!」

真人「お前それでいいのかよ…」

日向「ともかく対天使用トラップが全て稼働中みたいだな、今のは軽い挨拶だぜ」

大山「まさかトラップの解除し忘れ?」

ゆり「いえ、ギルドの独断でトラップが再起動されたのよ」

真人「なんでだよ!いじめか!筋肉いじめて楽しいのか!?」

ゆり「答えは一つしかないわ、天使が現れたのよ」

松下「この中にか!?」

TK「Just wild heaven…」

椎名「不覚…」

恭介「なるほどな、もしギルドが天使に見つかり陥落すれば、武器や銃弾の補充・補填が利かなくなる」

沙耶「そのリスクを考えたら、例えあたしたちがいようとトラップを起動するのは正しいわね」

沙耶「なにせあたしたちは、絶対死なないんだし」

ゆり「その通りよ、みんな先に進みましょう!」

藤巻「トラップが解除されてないんだぜ!?」

ゆり「それでもよ。天使が現れたのならギルドの救援に向かうべきよ」

恭介「正論だな、この状況だと行くしかない」

恭介「それに沙耶のスパイセットがあるんだ、きっとなんとかなるさ」

沙耶「そーよ!こんなこともあろうかとばっちり準備してきたってわけよ!結果オーライね!」

日向「よし、じゃあみんな行こう!ゆりっぺに続くぞ!」

恭介(さっきまでの空気を切り替え、ゆりっぺを先頭に慎重に進軍を開始する)

恭介(いくら死なない世界とはいえ、俺達は生身だ。一瞬の油断が命取りになりかねない)

恭介「日向、トラップにはどんなものがあるんだ?」

日向「いろんなのがあるぜ、楽しみにしてな」

恭介(その時)

沙耶「来る!トラップよ!」

椎名「背後だ!走れ!」

恭介(先行していた二人が振り返り、全員に注意を促す)

恭介(後ろを確認すると、巨大な鉄球が落ちてきて道を塞ぐのが見えた)

恭介「まさか…!」

大山「そうだ!ここはひたすら走り抜けなくちゃ、トラップにはまる通路だったぁーーー!!」

ゆり「逃げろぉぉーーー!!」

TK「Crazy for you!!」

恭介(全速力で通路を駆け抜ける!だが、前方はどうやら行き止まりだ。どこへ逃げる…!?)

沙耶「右よ!みんな脇道に入って!」

恭介(すでに脇道に入った沙耶が、身を乗り出しながら場所を示してくれている)

恭介(その甲斐あってほぼ全員が脇道にたどり着く、だが…)

松下「まずいぞ!高松が間に合わない!?」

恭介(最後尾を歩いていた高松が逃げ遅れていた…!あのままじゃ、脇道にたどり着く前に潰されてしまう)

恭介(そう思った刹那)

真人「高松うぅぅぅぅーーー!!」

恭介「真人!?」

恭介(真人が風のように飛び出していた、まさか鉄球を受け止める気か…!?)

野田「真人に続けぇーーー!!」

松下「今行くぞぉーーー!!」

恭介(真人に続いて、野田と松下も鉄球に向かって飛び出した!)

ゆり「なにをする気!?」

恭介「鉄球を食い止める気だ!」

日向「んなの無茶だぜ!?」

三人「うおおおおぉぉぉぉ!!!」

ズサアァァァァァッ!!

沙耶「駄目よ!勢いを殺しきれない!」

椎名「潰されるぞ!」

高松「みなさん…!うおおおおぉぉぉぉ!!!」

恭介(鉄球から追われていた高松が反転し、三人の加勢に入る)

真人「いっくぜぇ!!筋・肉フル、パワーだあぁぁぁ!!」

四人「おおおおおおおっ!!!!!」

ズ、サアァァァ………、ピトッ

ゆり「あ…」

恭介「や、やりやがった…!ギリギリで踏みとどまったぞ!」

沙耶「やったあ!!」

TK「Wonderful!!」

椎名「見事だ」

恭介(鉄球を押し戻しながら、四人が戻ってくる)

日向「お前ら!大丈夫か!?」

真人「平気さ。あれくらい俺達の筋肉にかかれば、へでもねえぜ!」

松下「筋肉を舐めてもらっては困る!」

野田「俺達の筋肉の勝利だ…!」

大山「すごいよ!さすが筋肉バカルテット!」

高松「みなさん、すみません。助けてくれてありがとうございます!」

真人「いいってことよ!俺達は筋肉で結ばれた仲間じゃねえか!」

野田「ふん、礼を言う必要すらない」

松下「高松が無事でなによりだ」

パン!

恭介(手を上げ、ハイタッチをする四人)

恭介「やばい、感動した…!」

日向「今のは、文句なしでカッコよすぎだな」

藤巻「くっ…!俺ああいうのに弱えんだよ…!」

大山「なんで藤巻くんが男泣きしてるのさ!」

恭介「にしても真人、お前なんか更に筋肉ついたんじゃないか?」

真人「おっ!さすがは恭介だな。実は学校の外にある橋の下で、ずっと四人で筋トレしてたんだよ」

真人「川も流れててな、筋トレにはうってつけの場所だぜ!」

恭介「へえ、そんな場所があるのか」

恭介(ちょっと興味あるな、今度行ってみるか)

ゆり「四人とも!」

恭介(談笑ムードになりかけたところに、ゆりが割って入る)

ゆり「高松くんが無事だったのはなによりだったけど、下手したら四人も同時にリタイアしていたのよ!」

ゆり「ちゃんとそこまで考えて行動したの?」

真人「考えてたさ。俺一人じゃ無理だが、松下と野田、高松の四人で押せばきっと止められるってな」

ゆり「なっ」

真人「そして、そのとおりになった。それじゃダメか、ゆりっぺ」

恭介(ゆりっぺを真っ直ぐに見つめながら、真人はそう言い返してみせた)

椎名「仲間を信じていたからこそ…か」

ゆり「でも…!」

恭介「ゆりっぺ」

恭介(ゆりっぺの言葉を遮りながら、俺は助け舟を出す)

恭介「確かに、軽率な行動に思えるかもしれない」

恭介「だが、止められると確信した上での行動だったなら、軽率でも無謀でもない」

恭介「むしろ、勇気ある行動だ。違うか?」

ゆり「…っ!」

沙耶「そうよ、ゆり。結果としてみんな無事だったんだから良かったじゃない」

恭介(続けて沙耶がゆりをなだめてくれた)

ゆり「…そうね。無粋なことを言ったわ、ごめんなさい」

ゆり「でも、あまり無茶なことはしないように!いいわね?」

真人「ああ!悪かったな、ゆりっぺ」

野田「すまなかった!ゆりっぺ!」

松下「以後、気をつける!」

高松「失敗を取り返せるよう頑張ります!」

恭介「よしっ、みんな先に行こうぜ!このまま誰も欠けずにな」

沙耶「ええ、行きましょう!」

恭介(脇道を先に進むと、梯子があった)

恭介(そこから更に地下へと降りていくと、途端に風景が変わった)

真人「なんだ?急に綺麗な通路だな、SFチックというか」

日向「誰かの趣味なんだろ、ギルドにはマッドなサイエンティストがいるってこった」

恭介「………」

沙耶「………」

大山「あれ、どうしたの二人とも?」

恭介「なあ、沙耶。俺この手の通路に見覚えがあるんだが…」

沙耶「奇遇ね、恭介くん。あたしもデジャヴを感じてるわ…」

藤巻「くっ!」

野田「ぬおおおおっ!」

ゆり「開く?」

恭介(野田と藤巻が入れ替わり、先を閉ざすレバーのようなものを回そうとしている)

野田「すまん!!ゆりっぺ…!!」

藤巻「こりゃ力技じゃ無理だぜ」

バタン!

恭介(音は後方、振り返ると通路の入り口が封鎖されていた)

大山「しまった!忘れてたよっ!ここは閉じ込められるトラップだったぁ!」

日向「そんな大事なこと忘れるなよ!まんまと閉じ込められたじゃねえか!」

大山「みんなだって忘れてたくせにぃ!」

椎名「あさはかなり」 

ゆり「ここからやばいのが来るわよ…」

椎名「ふっ!」

恭介(椎名がなにかを前方に放り投げると、ぽんと噴煙が上がった)

恭介(その煙により、横一線に走る赤いレーザーの光が浮かび上がる)

真人「おいおい、まさかありゃあ…」

沙耶「レーザー兵器ね…。最っ高の切れ味で体を真っ二つにしてくれるわ、エクスタシーを感じるほどに!」

恭介「経験者の言葉は違うな」

日向「経験したことあるのかよ!?ってかそんなエクスタシーごめんだぁ!」

恭介(うぃぃんと音を立て、それが迫ってくる!)

椎名「みんな飛べ!」

恭介(椎名の指示通り、全員ジャンプしてレーザーを回避する)

恭介(第一射は地を這うようなレーザーか。だが、これで終わりのわけがない)

恭介(むしろ、このまま続けば…!)

沙耶「松下くん!あたしにリュック投げて、早く!」

松下「お、おおっ!」

恭介(松下に指示を飛ばし、リュックを受け取る沙耶。ということは…)

恭介「あるんだな!?手伝おう!」

沙耶「ありがとう!」

野田「来るぞ…!第二射だ!」

大山「今度はどうするの!?」

椎名「床に伏せろ!」

恭介(俺は沙耶に覆い被さるようにして、頭を下げる)

恭介(その間も沙耶はリュックから『あれ』を取り出そうとしている!)

真人「やべえ!今のは掠ったぜ…!」

藤巻「第三射来るぞ!」

ゆり「今度はなに!?」

椎名「エックスだ!」

TK「Fu○k!!」

真人「あんなん無理だろぉ!?」

沙耶「恭介くん!」

恭介「よしっ!」

恭介(沙耶が無事リュックから『それ』を取り出し、俺にもそれを渡した)

恭介(間に合うか…!)

沙耶「みんなどいて!道を開けて!」

恭介(沙耶がそう指示を飛ばしながら、レーザーの前に立ちはだかる)

恭介(少し遅れて、俺も沙耶の隣に立った)

沙耶「来るわ!いいわね!」

恭介「ああ!任せろ!」

恭介(不気味な音を立てて、レーザーが迫りくる。そして沙耶と俺は同時に『それ』を構えた!)

バチィ!

恭介(大きな音を立てレーザーが消失する、と同時に閉じていたドアが開くのが見えた)

沙耶「…ふう、ギリギリだったわね」

恭介「…ああ」

ゆり「なに!?なにをしたの?ってかその持ってる物はなに?」

沙耶「簡単に言うなら、対レーザー用の特殊な鏡みたいなものね」

沙耶「跳ね返すんじゃなくて打ち消せるのがポイント高いわ」

恭介(沙耶が盾のような鏡を見せながら説明する)

沙耶「これを想定して、大きなリュックにして正解だったみたいね」

恭介「地下のレーザートラップは、スクレボにも出てきたネタだからな」

恭介「ギルドのメンバーには、スクレボファンがいると見たぜ」

真人「…ふぅー。助かったぜ、エックスはさすがにどうしようも無かったな」

松下「ああ、今ので真人と俺はやられていただろうな。ありがとう、沙耶、恭介」

沙耶「これくらいどうってことないわよ!」

沙耶「まさか漫画と同じ方法で、突破することになるとは思わなかったけど…」

大山「漫画?」

沙耶「何でもない!何でもないわよ!あーはっはっは!」

ゆり「ありがとう、沙耶ちゃん!よくわからないけど助かったわ。ついでに棗くんも」

恭介「俺はついでかよ…」

ゆり「よし、先に進むわよー!」

恭介(そのままゆりっぺは沙耶や椎名と並んで、先に進んでいった)

日向「なあ恭介、前から思ってんだけどさ」

日向「なんかゆりっぺ、恭介に対して風当たり強くないか?」

大山「うん、なにかあったの?」

恭介「…さあな」

真人「筋肉が足りないからじゃねえか?ドンマイ」

藤巻「んなわけねーだろ!」

恭介(真人がフォローを入れてくれたおかげで、その場はまた和やかな空気に戻った)

恭介(だが、やはりゆりっぺは俺のことを…)

恭介(いや、考えるのは後でいい。今はとにかく先に進もう)

恭介(更に先に進み続ける。ここまでは誰も犠牲が出ていない)

恭介(このままギルドまでつけるといいんだが…)

恭介(大きな部屋を用心深く進んでいく)

椎名「むっ!」

恭介(椎名が立ち止まる、何かに気づいたようだ)

ゆり「トラップが発動してるわっ!」

沙耶「上よ!」

恭介(見上げると、天井が揺れていた…、少しずつ落ちてきている!)

大山「しまった!忘れてたよ!ここは天井が落ちてくるトラップだった!」

日向「だから、そんな大事なこと忘れるなよ!」

大山「日向くんだってぇ!」

ゆり「ボサボサしない!出口まで走って!」

藤巻「無理だ、遠すぎる!間に合わねえ!」

大山「うわあああっ!」

恭介(押し潰される…!誰もがそう確信した。が、天井は落ちてこない)

全員「「「TK!!」」」

恭介(そこには、天井を一人で支えようとするTKの姿があった)

TK「Hurry up!!今ならまだ間に合う!Oh,飛んでいって抱きしめてやれぇ~!」

真人「冗談じゃねえ!てめえ一人置いていけるか!」

恭介(そう言うとすぐに真人も天井を支え始める。当然だよな、お前ならそうするよな真人!)

恭介「なら俺も!」

恭介(俺も援護に入る、が、三人がかりでも止まらない。このままじゃ…!)

高松「私たちも!」

松下「当然だ!」

野田「うおおおおぉぉぉぉ!!!」

恭介(更に高松、松下、野田が加勢に入る…!なんとか耐えられるまで負担が軽減された。だが…!)

ゆり「なにしてるのよ!犠牲は一人で充分なのよっ!」

恭介「はっ!そんな事は知らねえな!」

ゆり「なっ」

恭介「俺たちは馬鹿だからな!絶対に一人も見捨てたりしない!」

恭介(そうだ、言わばこれは試練なんだろう。真人と沙耶が戦線に加入し、みんなかなり仲良くなった)

恭介(ゆりっぺすら、沙耶のおかげで明るくなり始めている)

恭介(だから、ここで誰かを見捨てる。犠牲にするなんてのは絶対にしちゃいけない!)

恭介「みんなで一緒にゴールすることに意味があるんだ!」

真人「おうよ!当然だぜ!」

馬鹿三人「おおっ!!」

TK「………Unbelievable!」

恭介(TKがそう呟くのが確かに聞こえた)

ゆり「…!だ、だからってそのままじゃ全員動けないのよ!支え続けたって意味無いじゃない!」

沙耶「いえ、意味ならあるわ」

ゆり「沙耶ちゃん!?」

椎名「なにか策があるのか?」

沙耶「今ざっと計算してみたんだけど、手持ちの爆弾を全て使えば天井を破壊できるわ」

日向「爆弾!?そんなの使ったらみんな生き埋めになるんじゃ!?」

沙耶「そうならないように細かく砕くわよ!」

沙耶「せいぜい粉塵に注意しなさい!」

藤巻「よくわからねえが、なんとかなるんだな!?」

大山「じゃあ僕達も!」

日向「ああ、馬鹿たちの加勢してやらないとな!」

恭介(藤巻、大山、日向までもが天井を支えてくれる)

恭介(助かるぜ、このぶんなら沙耶が爆弾を設置するまで耐えられそうだ!)

ゆり「ああっもう!うちの馬鹿どもは!」

沙耶「ごめん、ゆり。あたしも誰も見捨てたくない!」

沙耶「ここでみんなを見捨てたら、ただの冷酷非道なスパイキャラに戻っちゃう!」

沙耶「あたしが手に入れたものを失くすことになるの!それだけは絶対に出来ないのよ!」

沙耶「お願い!手伝ってゆり!椎名さんも!」

椎名「無論だ!私に異論はない!」

ゆり「………っ」

沙耶「ゆりっ!!」

ゆり「…全員助かるんじゃ仕方ないわね!何をすればいいの沙耶ちゃん!?」

沙耶「!ゆり、ありがとう!」

松下「すまん!出来る限り早くしてくれぇ!」

大山「腕が攣りそうだよぉ!」

藤巻「へこたれんな!大山!」

沙耶「松下くんのリュックから、爆弾を取り出す!そしてあたしの指示した位置に設置して欲しいの!」

ゆり「わかったわ!それを手伝えばいいのね!?」

椎名「了解した!」

恭介(三人が作業に移る。だが、あちこちから既に悲鳴が上がり始めている…!)

大山「うぅっ!こんなことならもっと筋トレしとくんだったよ!」

真人「おっ!大山ぁ!筋肉の相談ならいつでも乗るぜ!」

野田「俺たちが一緒に鍛えてやる…!」

藤巻「やめとけえ、やめとけえ!マッチョな大山なんて大山じゃねえよ!」

高松「ははっ!まったくです!」

大山「そんな!?酷いよ、僕だって個性的になりたいよー!」

恭介「何言ってんだ!お前は既に個性の塊だろう!」

大山「…恭介くん!」

松下「TK!Are you ok!?」

TK「Oh, I'm OK!!」

恭介(それでもお互いがお互いを励まし合いながら、なんとか耐え続けている)

恭介「沙耶!まだかっ!」

沙耶「…よし、設置完了!みんな!爆破するわよ!」

沙耶「粉微塵に砕くから、目を閉じて!煙を吸い込まないよう気をつけて!」

男共「「「おおっ!!」」」

沙耶「3、2、1、爆破!!」

ドゴォン!!

恭介(瞬間、部屋のあちこちで爆音が響く)

恭介(押し潰されそうな重圧から解放されるが、同時に物凄い粉塵が襲ってきた)

恭介(沙耶の指示通り、目を閉じ、呼吸を控え、目と肺を守るよう心掛けた)

恭介「…ふぅ。みんな!無事か!?」

日向「…なんとかな」

藤巻「やれやれ、すごい煙だったぜ」

大山「僕、ちょっと吸っちゃったかも…」

沙耶「少量ならとりあえずは問題無いはずよ、どうせ寝て起きたら治ってる世界だし」

真人「にしてもよお、凄えハードな作戦だな。お前らいつもこんなことやってたのかよ?」

野田「さすがにここまでハードなのは稀だ。最悪、見捨てることだってあったしな」

松下「死後の世界ならではの策だがな。でも、今日はここまで全員無事だ!」

高松「ええ!素晴らしい勢いです…!」

TK「We are the best!!yeah,yeah,yeah!!」

椎名「ふっ」

ゆり「………………」

沙耶「ゆり?どうしたの、もしかして煙吸っちゃった!?」

ゆり「…いえ、大丈夫よ。みんな、時間を食ったわ!先を急ぐわよ!」

「「「おおーーっ!!」」」

恭介(みんなで手を上げ、気合を入れ直す。そして、ゆりっぺの後に続いた)

恭介(いける…!こいつはいけるぜ…!)

恭介(このまま誰も欠けずに乗り切れば、きっと戦線は今までとは違う組織になる)

恭介(そんな確かな確信が俺には生まれていた…!)

恭介(が、次の試練はすぐさま襲ってきた)

沙耶「トラップよ!」

椎名「みんな走れ!」

恭介(二人がそう叫んで走り出す、すると…)

大山「うわあ!しまった忘れてたよ!ここは床が抜け落ちるトラップだった!」

恭介(大山がそう説明する、確かに次々と床が抜け落ちている…!)

日向「なんでいつもトラップ起動してから思い出すんだよぉ!」

大山「そんなこと言ったってー!!」

恭介(全員、全速力で駆け抜ける。沙耶と椎名の立っている場所が見えた)

恭介(あそこまでたどり着けば…!)

恭介「!?」

恭介(そう思った瞬間、俺の走っていた床も抜けた)

恭介(体が宙に投げ出される…。ここまで来て、俺が…)

恭介(駄目だ、落ちる。そう覚悟した)

パシッ

恭介「!?」

恭介(誰かが俺の右手を掴んでくれた、独特の浮遊感が消える)

恭介(誰だ?誰が助けてくれたんだ?視線を向ける、そこには)

ゆり「うぅぅぅぅーーっ…!!」

恭介「………ゆりっぺ…」

恭介(顔を真っ赤にして、野田の足に掴まるゆりっぺがいた)

恭介(更に上を見上げる。野田はTKの足、TKは高松の足、高松は真人の足に掴まっている)

恭介(そして、真人が崖際を掴み必死に耐えていた…!)

恭介「…ゆりっぺ、お前」

ゆり「…なさいよ」

恭介「え?」

ゆり「早く足掴みなさいよ!片手じゃ限界なのよ!」

ゆり「それとも落ちるの!?あなたが『みんなで一緒にゴールすることに意味がある』って言ったんでしょ!!」

ゆり「ここまで来たんだから、自分の言葉くらいしっかり守りなさいよ!!」

恭介「…ああ、ああ!!」

恭介(ゆりっぺのその言葉に、思わず俺は…)

選択安価

1 ゆりっぺを意識した
2 感動した

22:50:00:00
↓1

恭介(今まで戦線のリーダーとして、必死にやってきたであろう、ゆりっぺ)

恭介(だからこそ、時として誰かを見捨てる判断が問われることもあったはず)

恭介(さっきまで度々納得いかない表情をしていたのも、それが理由のはずだ)

恭介(それでもゆりっぺにも確かな変化が生まれていた…)

恭介(誰かを切り捨てる覚悟より、誰も見捨てない覚悟こそが、みんなの結束を生む)

恭介(それを認めてくれたんだ…!)

恭介(そんなゆりっぺを見て、俺は思わず感動していた…!)

ゆり「早くしてぇぇーーー!!」

恭介「あ、ああ!」

恭介(まず、ゆりっぺの足を掴む)

ゆり「きゃあっ!」

恭介「大丈夫か!」

ゆり「大丈夫だから早く登ってぇ!」

日向「みんながんばれーっ!」

恭介(上から日向の声が聞こえる)

恭介(姿の見えなかったやつらは、全員たどり着いていたようだ)

沙耶「椎名さん、この柱でロープを固定するわ!真人くんの体はお願い!」

椎名「任せろ!」

松下「真人!頑張れよぉ!」

大山「筋肉、筋肉だよー!」

真人「おうよっ!筋肉、筋肉ぅー!!」

恭介(上の方でもみんなが頑張っているのが聞こえる、俺も負けていられない!)

恭介(懸垂の要領で、ゆりっぺの肩を掴んだ)

ゆり「なにしてんのよ、そんなんじゃ落ちるわよ…」

恭介「ああ…」

恭介(顔が胸に埋まるくらい、しっかりと抱きしめる、そして)

恭介(とにかく必死に、そのまま真人の体まで駆け登った)

恭介(すると松下と藤巻の手が伸びてきて、俺の体を引き上げてくれた)

松下「よく戻ってきた!恭介!」

藤巻「ったく、世話が焼けるぜ!」

恭介「…ああ、みんなのおかげだ、サンキューな」

恭介(その後、しばらく待っていると残りのメンバーも無事登ってきた)

真人「ふう、さすがにちょいと疲れたぜ。今日の筋肉は大忙しだな」

ゆり「ええ、よく頑張ってくれたわ。井ノ原くんも沙耶ちゃんも大活躍ね」

真人「なんだよ、そんな褒めんなよ!褒めても筋肉しか出ねえぞ!」

沙耶「ま、これくらいは当然よ!なにせあたしはスパイなんだから」

恭介(確かに、二人ともここまで大活躍だ)

恭介(俺も鼻が高いぜ、自慢げになるのも無理はない)

恭介(あれ、そういや俺は…、今日なにか目立つ活躍したっけ?)

恭介(レーザー消したりはしたが、あれはそもそも沙耶の道具のおかげだしな…)

恭介(そんなことを考えてると、肩に手を置かれた。振り返ると)

藤巻「頑張れよ、棗」

恭介(藤巻がすげえニヤニヤしながら俺を見ていた…)

恭介「うわああああああっ!!」

大山「うわあ!恭介くんがいきなり叫び出した!」

真人「いつもの馬鹿だ、ほっとけ」

恭介(軽く、自信喪失しかけながらとりあえず先へと急いだ)

恭介(新しい部屋へとたどり着く、だが出口のような場所は見つからない)

沙耶「行き止まり?」

ゆり「違う、くるわ!トラップ!」

がしゃん!

恭介(入り口が封鎖される、壁にパカパカと穴が開き、水が勢い良く噴出する)

大山「そうだ!忘れてたよ!ここは閉じ込められた後、水攻めされるトラップだった!」

日向「お前、もうわざとやってないだろうな…?」

藤巻「お、おい…、マジかよ…」

恭介(藤巻の顔が青ざめている、まさか)

藤巻「お、俺さ…かなづちなんだよ…」

真人「マジかよ!?じゃあ俺が一緒に…」

沙耶「無茶よ!人を抱えて泳ぐのは、普通に泳ぐより4倍の疲労が貯まると言われてるわ!」

椎名「素人には無理だ、私たちもさすがに男を抱えて泳ぐのは…」

藤巻「そ、そんな…助けてくれよ!…ここまで全員でやってきたじゃねえか…!」

恭介(藤巻が怯えている、そして俺は藤巻の肩に手を置いた)

恭介「藤巻、俺に任せろ。絶対に助けてやる!」

藤巻「な、棗…!」

ゆり「棗くん、大丈夫なの!?ちゃんと勝算があるんでしょうね?」

恭介「当然だ!就職活動中、ライフセイバーのおじさんと友達になったことがあってな」

恭介「この手の技術は一通りマスターしている!」

日向「就活中になにマスターしてんだよ!?」

沙耶「とにかく恭介くんに任せるしかないわね…!はい、これっ」

恭介(沙耶からなにか手渡される)

恭介「これは?」

沙耶「口に加えたら少しの間だけど、酸素を吸えるわ」

沙耶「二つしかないから、恭介くんと藤巻くんで使って」

恭介「よし、藤巻」

藤巻「あ、ああ。咥えるだけで良いんだよな!?」

恭介(そうこうしている間に、水位がどんどん高くなり始めている)

恭介(出口が見つからない限りどのみち全員アウトだ)

恭介(その時)

椎名「ぷはっ」

恭介(椎名が水面から顔を出した)

椎名「出口を見つけた、ついてこい!」

沙耶「よし!みんな、必要最低限の荷物だけ持って!リュックは捨てるわ!」

ゆり「全員、椎名さんに続いて!」

日向「恭介!先いってるぜ!」

大山「藤巻くんも、ちゃんとついてきてね!」

真人「心配すんなよ、恭介ならやれる!こいつはそういう男だぜ」

恭介「ふっ。そこまで言われたら期待に応えないとな」

恭介「藤巻、行くぞ!酸素をゆっくり吸い続けることだけを意識するんだ!」

恭介「あとは、俺がなんとかする!」

藤巻「すまねえ恭介!頼む…!」

恭介(藤巻を連れて、潜水)

恭介(みんなに続き、壁に開いた横穴をくぐる)

恭介(あまりの長さに気が遠くなる、それでも藤巻をしっかりと掴んで、泳ぎ続けた)

恭介(そして、ついにみんなが浮上し始める…!それに続いた)

恭介「…はぁ!…ぜぇ…ぜぇ…」

恭介(かなり体力を奪われたが、なんとかたどり着いた)

真人「恭介!」

日向「藤巻!」

恭介(即座に真人と日向が手を貸してくれた…、助かるぜ)

藤巻「お、俺生きてるよな!?死んでねえよなっ!!」

日向「死なねえ世界でなんの冗談だよ、それ」

ゆり「全員、無事ね!一人も欠けてないわね!?」

大山「もう少し長かったら溺れてたよ…」

松下「でも、また全員生き残ったな!」

TK「It's miracle!!」

野田「ふん、さすがは恭介としかいえないな。それでこそ俺の宿命のライバルだ…!」

恭介「え?俺いつ、野田の宿命のライバルになってたんだよ…」

沙耶「そーよ!恭介くんの宿命のライバルはあたしよ!」

恭介「お前と俺は和解しただろ!」

ゆり「っち!」

恭介(やべぇ…。さっきまで心配そうな視線を向けてくれてたゆりっぺが一瞬で、氷の視線に変わりやがった…)

藤巻「恭介、すまねえっ!ずっとお前のこと、ゆりっぺに贔屓され続けてただけのやつかと思ってた…」

藤巻「今までずっと冷たい態度とってたのに、迷わずお前は俺を助けてくれた!」

藤巻「本当にすまねえ!感謝してるっ!」

恭介(少しだけ涙目になりながら、藤巻が俺にそう言ってくれた)

恭介(だから、俺はただ手を差し出してこう言った)

恭介「当然だ、仲間だろ?俺たち」

藤巻「恭介!!」

恭介(そして、藤巻と固い握手を交わした)

ゆり「やれやれ、また馬鹿どもの友情が深まっちゃったわね」

高松「まさに青春の一ページです!」

椎名「ほどほどにな、あまり青春を謳歌すると消えるやもしれん」

ゆり「そうよ、それだけは忘れないようにね!」

沙耶「にしても、ここ、鍾乳洞?随分広い場所ね」

ゆり「ええ。奥から光が漏れてるでしょ?ここまでくればあと一息よ」

日向「ああ。休憩でも取りたいとこだが、もうギルドまで突っ切っちまおうぜ!」

恭介「もうどんなトラップでもかかってこいってんだ!」

恭介(もはや破竹の勢いだった、俺たちは完全に一つになっている)

恭介(どんなトラップだろうとみんなでなら乗り越えられる、そう思った)

恭介(だからかもしれない…、目の前に広がる光景を到底受け入れられなかったのは…)

恭介「ば、馬鹿な…」

椎名「!?敵襲!!」

ゆり「っ!総員戦闘態勢!!」

藤巻「おいおい、なんだありゃあ!?」

日向「見たことも無い敵だぜ…、ってか本当に敵なのか!?」

ゆり「なに…なんなの…あれ?」

恭介(みんなが見たことも無い敵の出現に、驚きを隠せないでいる…、だが沙耶だけは)

沙耶「嘘…、なんで…、あいつらがここに…!」

恭介(銃を構えながら、俺と同じ反応をしていた…)

恭介(無理もない、目の前に現れたあいつらは…)

恭介「『闇の執行部』…!!」

恭介(俺がかつて、手足のように操っていたNPCそのものだった…!)

今日はここまで

時間が空いたので少し長くなりました
次もこれくらい書けるといいなあ…

いつも感想、励ましありがとうございますm(_ _)m
今日も勝手ですが、ご意見、ご感想お願いします!

ご感想ありがとうございます

もちろんある程度は意識して熱い展開にしてるんですが
一人一人のキャラのパワーが凄いので、勝手にどんどん熱くなってる部分も多々あります

例えば今回崖際で耐えた組もなんとなくこいつらかな、とイメージで配置したら
本来は離脱してた野田、高松、TKになったりしてましたからね
このSS書いてるとキャラが勝手に動いたりするのを凄く感じます

それと三連休はおそらく一度も投下出来ないかもしれません
気長にお待ちいただけると嬉しいです

さささについて話題が出ていたので一つ補足します
理樹・鈴・佳奈多・さささは死後の世界には来られません
死んでいる、未練や後悔があるという縛りがこの世界のルールなので

お待たせして申し訳ありません
明日の夜、再開します
予定としてはEpisode:2終了まで行きますので最後には例の安価があります

それと、詳しい理由は言えませんが古式さんはこのSSには登場しません
皆さんの疑問にはなるべく詳しく答えたいのですが、あまり話すぎるとネタバレしてしまいそうなので

古式さんファンの方はごめんなさい

21時くらいから再開します
またもそこそこ長いかも

TK「Welcome to Underground!!」

恭介(突如現れた闇の執行部、奴らは考える暇すら与えず俺達を襲撃してきた)

恭介(そして奴らとの戦闘が始まってから、既にかなり経過しようとしている)

恭介(ふとTKが決め台詞を放ちながら、二丁拳銃で執行部二体を同時に撃破しているのが見えた)

恭介(TKだけじゃない。沙耶と椎名の、戦線最強争いの二人)

恭介(ハルバードを奮う野田、長ドスで戦う藤巻)

恭介(惜しみなく柔道の技を披露する松下、自慢の筋肉で殴り飛ばしている真人)

恭介(特に奮戦してるのはこいつらだ、だが…)

椎名「くっ!キリがないぞ!」

松下「次から次へと地面から生えてくる!」

恭介(そう。これだけ奮戦してるメンバーがいるのに、一向に戦闘が終わらない理由はそれだ)

日向「くそっ!洒落にならないぜ、こりゃあ」

大山「しかもこいつら結構強くない!?」

高松「そこそこの体術を使えるようですね、銃を装備してないのが唯一の救いと言うべきかと」

藤巻「そもそもなんなんだよこいつら!?妙な切れ味だしよ」

野田「人間じゃないのは確かなようだが!」

椎名「天使の用意した新たな敵か!?」

ゆり「そう考えるのが一番自然ね、けど…!」

恭介(ゆりっぺはすでに自身の勘でそうじゃないと感じてるようだ、俺も同感だぜ)

恭介「いや、おそらく違うな」

真人「だろうな!こいつらも『生前の青春ルール』で現れたんじゃねえのか!?」

恭介(真人がそう続く、やっぱお前は時たま鋭いな)

藤巻「あ?『生前の青春ルール』!?なんだよそりゃ、初耳だぜ」

日向「あ、それあれだろ!?この世界には生前の青春にあったものが、大体揃ってるじゃん!」

松下「じゃあこの敵も、誰かの青春にあったものの再現だというのか!?」

ゆり「冗談でしょ!?誰よ!こんなデンジャラスな青春送ってたのは!」

沙耶「…ごめんあたし。理樹くんと駆け抜けたあたしの青春なの」

恭介(沙耶が申し訳なさそうに呟いた)

ゆり「なーんだ沙耶ちゃんだったの♪とっても素敵な青春だったのね!」

真人「態度360度変えやがったぁ!?」

大山「180度じゃないの!?」

日向「一回転してどうする!」

真人「…なんだよ、算数すらわからなくなる程筋トレに励んだ青春だったんですね!」

真人「まさに筋肉塗れの青春ですねってかっっ!!」

日向「そこまで言ってねー!!」

高松「実に素晴らしい青春だと思います!!」

野田「同感だ…!」

松下「まったくだ!」

大山「便乗してきた!?」

日向「黙れ!このバカルテットぉ!!」

恭介(ボケとツッコミを混じえながらも戦闘は続く。だが…)

恭介(この違和感は一体なんだ?)

恭介(なにか重要なことを見落としているような、忘れているような…)

恭介(とにかくなにかが引っかかっている…!)

執行部A「ーーーーー」

恭介(そんなことに気をとられていたせいか、背後で突然湧いた執行部に気付くのが遅れた)

恭介「ちっ…!」

恭介(咄嗟に距離を離しながら、構えていたナイフ二本で防御しようとする)

執行部「!?」

ズバッ!

恭介(目の前にいた執行部が突如斬り裂かれた、そこにいたのは)

藤巻「へっ、ぼさっとしてんなよ。恭介」

恭介「藤巻か!サンキューな、助かったぜ!」

藤巻「勘違いすんじゃねえよ、さっきの借りを返したまでだ。これで俺とお前は対等だ」

藤巻「対等じゃねえと…本当の意味での仲間っていえないような気がするからな!」

恭介「ふっ。細かいこと気にしすぎだぜ藤巻」

藤巻「うるせぇ!とにかくこれで貸し借り無しだからな!」

ゆり「うわキモ、男のツンデレとかどこに需要があるのよ…」

大山「そりゃあ一部の腐った人とかじゃないの?」

日向「お前たまに毒舌だよな、大山…」

沙耶「ええっ!じゃあ二人はそういう関係なの!?」

恭・藤「「ちげーよ!!」」

どーーーんっ!

ゆり「なに!?」

椎名「遠くからだな、これは…」

日向「天使が別ルートの、トラップにかかった音じゃねえか?」

高松「どうしますか?このままじゃ最悪、私達が足止めを食ってる間に…」

野田「天使がギルドに到達してしまう…!」

ゆり「…っ」

沙耶「ゆり!先行してギルドに向かって!」

恭介(なにかに躊躇うゆりっぺに沙耶が指示を飛ばした)

ゆりっぺ「沙耶ちゃん!?」

沙耶「ギルドのメンバーもゆりを待ってるはずよ!ゆりだってわかってるんでしょ?」

ゆり「でも、みんなを…!」

沙耶「こいつらがあたしの青春の再現なら、無限湧きはしないはずよ!」

沙耶「馬鹿みたいに湧きはするけど、よね!恭介くん!」

恭介「ああ、無限の執行部をけしかけたりはしなかったはずだ!」

椎名「よく分からないが、なら急いだ方がいい!」

椎名「だが、単身向かうのは危険だ!誰か一人くらいは、ゆりの護衛に回すべきだ!」

野田「そういうことなら…!俺が」

沙耶「恭介くん!ゆりをお願い!」

恭介(沙耶はどういうわけか俺を選んだ)

恭介「俺か!?」

野田「なっ!!」

沙耶「いざって時は、恭介くんが一番頼りになるわ!ゆりを守ってあげて!」

真人「おおっ!恭介なら心配ねえ!」

日向「安心して任せられるぜ!」

藤巻「気をつけて行けよ!恭介、ゆりっぺ!」

野田「ちょっと待てぇーーーっ!!なぜ恭介だ!?俺でもいいだろうっ!!」

恭介(案の定、野田が不満の叫びを上げる)

沙耶「今、野田くんをこの場から割くわけにはいかないのよ!」

椎名「お前は貴重な戦力だ!それくらい自覚しろ!」

野田「お、おお…」

恭介(予想外の言葉に少し面食らっているようだ。だが、確かに野田や主要な戦力組を割くのは得策じゃない)

ゆり「野田くん、あたしからもお願い。みんなを守ってあげて!」

野田「!!…ゆりっぺから頼まれたなら仕方ない!失せろ雑魚ども!」

野田「この俺が相手だぁぁぁっ!!」

恭介(野田がハルバードをぶん回しながら、一際敵が密集していたところに突っ込んでいった)

恭介(反撃する隙すら与えず、ズバズバと執行部達を切り裂いていく)

恭介「ひゅうっ、すげえ無双っぷりだぜ!」

日向「野田の扱いに慣れたな、ゆりっぺ」

ゆり「状況的にこれがベストだと判断したまでよ。行くわよ、棗くん!」

恭介(みんなが俺を信じてくれるなら、やることは一つだ)

恭介(今この場は、俺もみんなを信じて先に進む!)

恭介「ああ!みんな、がんばってくれ!」

椎名「ふっ。誰にものを言っている?」

沙耶「掃討が完了しだい、あたしたちも追いかけるわ!」

日向「すぐに駆けつけてやるからよ、期待してな!」

恭介「信じてるぜ!」

日向「ははっ!その台詞、トルネードの時にも聞いたな」

日向「大丈夫だ、お前の信頼は絶対に裏切らねえよ!よし、行け!」

恭介(みんなからの応援を受け、ゆりっぺと一緒に通路を走る)

恭介「ゆりっぺ!ギルドまであとどのくらいだ!?」

ゆり「もうすぐよ!この道を真っ直ぐ行けば…!」

カチッ

ゆり「えっ」

恭介(トラップの音がする、すると前方にさっきまで無かったはずの装置が出現していた…!)

恭介「ゆりっぺーーー!!」

ゆり「きゃっ!」

恭介(飛んできた矢の雨から庇うため、ゆりっぺを抱えて横っ飛びに飛んだ)

恭介(そして…落ちた)

恭介(着地しようとはずの地面が急に消えたからだ)

恭介(なにがなんだがわからないまま、ただゆりっぺを守ろうと強く抱きしめた)

ゆり「…て、…きて」

恭介(声が聞こえる…)

ゆり「…起きて!棗くん!」

恭介(ゆりっぺ…か)

恭介「っぐ…」

ゆり「!棗くん!?」

恭介(痛む体を起こす、ゆりっぺが不安そうに俺の顔を覗き込んでいた)

恭介「大丈夫か?ゆりっぺ、怪我してないか?」

ゆり「それはこっちの台詞よ!あなたこそ、あたしを庇って怪我したのに!」

恭介「大した事ない、少し強く体を打っちまったくらいだ。どうってことないさ」

恭介(正直、体中がひどく痛む。だが打撲か骨にひびが入った程度だろう)

恭介(どうせ明日には治る世界だ、動くぶんにも支障はない。が…)

ビリっ

恭介(ゆりっぺが自分の制服の袖の部分を破り始めていた)

恭介「なっ!お前なにをっ!?」

ゆり「いいからじっとして」

恭介(そういうと破った部分を俺の頭に巻き始めた)

ゆり「さっきの矢が掠ったんでしょうね、血が出てるわよ。気づいてなかった?」

恭介「あ、ああ…」

ゆり「まったく無茶するわね。…はい、とりあえずの止血は終わりよ」

ゆり「最悪、失血死とかも考えられるから一応ね」

恭介「すまないな、ゆりっぺ」

ゆり「あたしのせいで怪我したんだから、これくらいは当然よ」

ゆり「それにしても厄介なトラップにハマったわね」

恭介(ゆりっぺが辺りを見渡す)

恭介「ここは…、落とし穴の中か」

ゆり「ええ。しかも見ての通り、壁は指を掛けることが出来ない金属」

ゆり「この広さと高さだと自力で這い上がるのは不可能ね…」

恭介「ピットフォールトラップってやつだな」

恭介(昔みんなで、昆虫採集のために紙コップを地面に埋めたことを思い出す)

恭介(言わば今の俺たちは、あの捕まえた虫と同じ状況に陥ってるってわけだ)

恭介「みんなの助けが来るのを待つしかないな」

ゆり「そうね…、みんなを信じて先に進んだっていうのに、情けないリーダーだわ…」

恭介「こういう時もあるさ、なにもかも上手くいくわけじゃない」

ゆり「そうね、現実はいつだってそういうものよね」

恭介(励ますために言ったつもりだが、むしろ追い込んでしまったみたいだ…)

恭介(まずいな、目に見えて気落ちしている…)

恭介「だからこそ仲間がいるんじゃないか、こういう時に助け合えるように」

恭介「そしてあいつらをまとめてるリーダーはお前だ、もっと自信を持ってもいいんじゃないか?」

恭介(今、俺が思いつく精一杯の言葉でゆりっぺを励まし続ける)

恭介(だが、次返ってきた言葉は少し予想外なものだった)

ゆり「別になりたくてリーダーになったわけじゃないわ、始めに刃向かったからそうなったのよ」

恭介「刃向かった?…天使にか?」

ゆり「…ええ。天使にも、神にも、この世界そのものにも」

ゆり「あたしは一人でも、絶対に抗い続けるつもりだったから」

恭介(この世界で最初に反抗を始めたというゆりっぺ、何が彼女をそこまで突き動かしているのか)

恭介(思い当たるのは一つしかない)

恭介「ゆりっぺの生前に、それだけ神を憎むなにかがあったんだな?」

ゆり「…そうよ、気になるなら話してあげるけど。面白い話でも無いわよ」

恭介「…聞かせてくれ、ゆりっぺが構わないなら」

恭介(前から感じていたことだ。おそらくこの戦線で、一番神への憎しみが強いのはゆりっぺだろう)

恭介(それがどんな過去に起因するものなのか、聞いておかなければ)

恭介(この先、ゆりっぺの神への憎しみを取り除いてやることは出来ない)

ゆり「物好きね、まあいいけど」

恭介(そう言うとゆりっぺは少しだけ距離をおいて、俺の隣に座る)

恭介(膝を抱えながら小さくなって、俺に生前の出来事を語り始めた)

ゆり「…あたしには兄妹がいたの」

ゆり「あたしを含めて四人兄妹よ。あたしが長女で、下に妹が二人と弟が一人」

ゆり「両親の仕事が上手くいってたのもあって、すごく裕福な家庭だった」

ゆり「自然に囲まれた、まるで別荘のような家で暮らしていた」

恭介(虚空を見つめながら、ただ淡々と言葉を紡ぐ)

恭介(この話し方には覚えがある。以前戦線メンバーの一人が、消えたことを話した時と同じ)

恭介(冷静さを保つために、あえて他人事のように話しているんだろう)

ゆり「…夏休みだったわ。両親が留守の午後、見知らぬ男たちが家の中に居た」

ゆり「真夏なのに暑そうな目出し帽を被って、一目で悪いことをしにきたってわかったわ」

ゆり「あたしは長女として、絶対にこの子を守らなくちゃって思った」

ゆり「でも、かないっこないじゃない。ねぇ?」

恭介(そう訊いてから、自虐的に笑う)

恭介(…俺はただ、聞き続けることにした)

ゆり「連中は、もちろん金目のもの目当てよ」

ゆり「でも、彼らは見つけ出せなかったの」

ゆり「無闇に窓ガラスやテレビを壊したりして、苛立ちを見せ始めた」

ゆり「そして連中は、あたしたち兄妹にとって、最悪のアイデアを思いついたのよ」

ゆり「お姉ちゃん、あんたは長女だ。家の大事なものの在処くらい、教えられているだろう」

ゆり「地震が来たら、それを持って逃げなさい」

ゆり「強盗さんが来たら、それを渡してお帰り願いなさい、そう聞かされた覚えがあるだろうって」

ゆり「そんなもの、あたしは聞かされていなかった…」

ゆり「でも…さあ、それを探して持っておいでって、続けた」

ゆり「時間は10分、10分に一つずつ」

ゆり「もし僕らが気に入らなかったら、この子たちとは一人ずつお別れになってしまうよ…」

ゆり「そう言われた」

恭介(酷い話だ…、俺たちの事故よりある意味ずっと酷い)

恭介(そんな気の狂うような選択を、突如として突きつけられたのか。ゆりっぺは…)

ゆり「あたしは必死に家の中を探し回った」

ゆり「頭が痛かった、吐き気がした、倒れそうだった」

ゆり「あの子たちの命がかかってるんだ、絶対に探し出さなきゃならないんだ…」

ゆり「けど、あいつらが気にいる価値のあるものなんてわからない…」

ゆり「あたしは二階の廊下に飾ってあった、うちで一番大きい壺を持っていこうとした」

ゆり「すごく重くて、これならきっとすごい価値があるに違いない、そう考えた」

ゆり「でも、重すぎたのよ…」

恭介(話し続けてそこで初めて、悲痛な声が混ざった)

ゆり「もうすぐ10分が経つ、だから急いで階段を降りようとしたの。けど…」

ゆり「足を踏み外して、一階まで転げ落ちて、その壺は割れたわ…」

ゆり「そして…」

恭介「もういい」

ゆり「………」

恭介「充分だ」

恭介(結末はすでに想像がついた。これ以上は、ゆりっぺを苦しませるだけだろう)

恭介(だから、そこで話を終わらせようと遮った。だが…)

ゆり「…警察が駆けつけた時、生きていたのは…、あたし一人だった」

恭介「………」

恭介(ゆりっぺはなお、自分にとって最も悲惨な結末を口にした。そして…)

ゆり「だから、あたしは抗うのよ。理不尽な現実にも、そんな運命を強いた『神』にも」

ゆり「悪いことなんてなにもしてないのに、あの日までは立派なお姉ちゃんでいられた自信もあったのに」

ゆり「守りたい全てをたった30分で奪われた…!」

ゆり「そんな理不尽なんて許せないじゃない…、神様だって絶対に許せないじゃない!」

恭介「ゆりっぺ…」

恭介(振り絞るように、叫ぶように自分の抱えている気持ちを爆発させた)

恭介(そんな過去、理不尽すぎる。神を許せない気持ちだってわかる)

恭介(もし俺に同じことが起きていたら…)

恭介(鈴を、理樹を、真人を、謙吾を人質にとられ、なす術なく殺されたら…)

ゆり「って、こんな話してもあなたにはわからないわよね」

ゆり「あなたは…、神を憎んでいないんだものね」

恭介(いや違う、そういうわけじゃないんだ。ゆりっぺ)

恭介「違う。俺だってもし理不尽を強いたやつが本当にいるんなら、絶対に許せないだろう」

ゆり「言ったじゃない…!神に復讐したいわけじゃないってあの時に!」

恭介(あの時とは当然、俺の戦う理由を宣言した時のことだろう。なら一つ忘れてるぜ?)

恭介「同時に言ったはずだ、納得してるわけでもない、だからこの世界にいるんだってな」

ゆり「…なにが言いたいの?」

恭介(泣いているのかと思った、だが違った)

恭介(あの時と同じ目を、神への憎しみが宿る瞳を、真っ直ぐに俺に向けて問いかけている)

恭介「俺はただ、悪意よりも善意を信じたい」

恭介「憎しみよりも、優しさを理由に戦いたい」

恭介「その大切さを教えてくれた奴らがいる、そうして強くなった奴を知っている」

恭介「だから俺は仲間から教わったことだけは、絶対に捨てない」

恭介「例え自分が割りきれないことでも、それがあいつらからもらった強さなんだからな」

恭介「ただ、それだけなんだ」

ゆり「………」

恭介「………」

恭介(お互いに沈黙が続く)

恭介(俺とゆりっぺはなにも変わらない)

恭介(お互い理不尽な悲劇に巻き込まれ、それに納得がいかず、神を憎む理由がある)

恭介(ただ、一つ違うのは。俺の憎しみを抑えてくれる想いが、この胸には宿っていること)

恭介(俺が俺で在り続けることを、支えてくれる想いがあること)

恭介(大切な仲間たちの存在が、今の俺を形成し、そして守ってくれている)

恭介(ゆりっぺには、きっとそれを伝えなければならないんだ)

恭介(たとえ分かってもらなくても、何度でも…!)

恭介(俺が新たに言葉を紡ごうとした時、先にゆりっぺが口を開いた)

ゆり「…前から思ってたけど、あなたって本当に仲間想いね」

ゆり「さすがはリトルバスターズのリーダー、かしら?」

恭介「…俺がリーダーだったって話したことあったか?」

ゆり「聞かなくてもわかるわよ、あたしだってリーダーなんだし」

ゆり「…あたしもあなたみたいなリーダーになれたら、良かったんだけどね」

ゆり「あたしはいつも、自分の事だけしか考えてこなかったから」

恭介「そいつは違うな、ゆりっぺ」

恭介(俺はまだゆりっぺとの付き合いが浅い)

恭介(でも、それだけはハッキリと間違っているのがわかる)

恭介「お前が本当に自分の事しか考えてなかったなら、誰もついて来ていない」

恭介「戦線をここまで大きな組織にもできなかったはずだ。違うか?」

ゆり「さあ、どうかしらね」

恭介「どうかしら、じゃない。そうなんだよ、お前にも確かにリーダーとしての強さがある」

恭介「この死後の世界という閉じた場所で、みんなをまとめて戦い続けてきた。それが証拠だ」

恭介「お前は仲間を思いやる大切さを知っている、同じリーダーとして保証する」

恭介「お前は、立派なリーダーだ!」

ゆり「………っ///」

恭介(俺が話し終えると、ゆりっぺはなぜか少しだけ顔を赤くしていた)

ゆり「…あーもうっ!あなたって人は」

ゆり「なんでそんな恥ずかしいこと、ペラペラ口にできるのかしら?」

ゆり「冗談じゃなくて、本気で言ってるのが伝わってくるのがなおタチ悪いわね!」

恭介「俺はいつも本気だ」

ゆり「もういいっ!もういいわよ、まったく…」

恭介(そっぽを向かれてしまった、俺の言葉は伝わらなかったんだろうか…)

ゆり「…でも」

恭介「ん?」

ゆり「少しだけ、参考になったわ。…ありがと」

恭介「…ゆりっぺ」

恭介「その台詞、もう一回聞きたいんだがダメか?」

ゆり「ぶっ!」

恭介(ゆりっぺが盛大に吹いたのが聞こえた、これは…レアだ!)

ゆり「は、はあ!?なんのこと?あたし今なーんにも言ってないけど!?」

恭介「ここまで来て誤魔化すのはずるいぜ?ゆりっぺ」

ゆり「あたしはなんにも言ってないし、あなたもなんにも聞いてない。以上、はい終わり!」

恭介(珍しくテンパっている、しかも焦り方が沙耶に似ている)

恭介(こんな面白い状況放っておけないな!)

恭介「フッ、その程度の言い訳で俺が諦めるとでも…!」

ゆり「あー!そういえば、あなたさっきここを閉じた場所って言ってたわよね!」

ゆり「実は、別に完全に閉じた世界ってわけじゃないのよ!」

恭介「なに?どういうこ…はっ!」

ゆり「ふっ」ニヤリ

恭介(しまった、やらかした…!興味深い内容のせいで思わず釣られてしまった)

恭介(一度逃がしてしまった以上、平静さを取り戻され、のらりくらりと乗り切られてしまうだろう…)

恭介「くっ、俺としたことが…!」

ゆり「まあ残念だったわね、棗くん。以後、精進しなさい」

恭介(いつの間にか完全になにかの勝負になっていた…、悔しいが今回は俺の負けだ)

恭介「その代わり、さっきの話ちゃんと聞かせて貰うぞ」

ゆり「ええ、良いわよ。ここが完全に閉じた世界じゃないってことね」

ゆり「ぶっちゃけ大したことじゃないわよ、ただたまに変化があるの」

恭介「変化?どういう変化があるんだ?」

ゆり「例えば図書館の蔵書量ね。あれ、規則性はわからないけど少しずつ増えてるのよ」

恭介「それってかなり重要なことなんじゃないのか?」

ゆり「あたしも昔はそう思ったわ、でもダメ。張り込んでみたけど朝になるといきなり増えるのよ」

恭介「食材と同じか、どこか別の世界に繋っている証拠かと思ったんだが…」

ゆり「あとは学食のメニューね、あれもたまに増えるわ。最近増えたのはカップゼリーね」

恭介「カップゼリー?」

恭介(鈴が好きでよく食べていたものだ、俺にとっても馴染み深い)

恭介(そういや種類も、俺達の世界にあったカップゼリーと同じものだったな)

ゆり「あれは前回のトルネードで回収するまでは無かったから、一番新しいメニューってことになるわね」

ゆり「でもまあ、だからなに?っていう些細な変化だけど」

恭介「まあ、そうだな。でも、変化があるって分かっただけでも充分だろ」

恭介「さすがにここから何かわかることなんて…」

恭介(なんだ…?まただ。なにか違和感を感じる)

恭介(さっきも感じた違和感だ、なにかを見落としているような、忘れているような)

恭介(妙な感覚だ、とにかくなにかが引っかかっている…)

恭介(さっきから…?いや気づいたのがたまたまさっきだっただけで)

恭介(もしかしたら、俺はずっと前からこの妙な感覚に気づかずにいたんじゃ…)

ゆり「棗くん?どうしたの、急に黙ったりして。なにか気づくようなことでもあった?」

恭介「…いや、なんでも…」

日向「おーい!ゆりっぺー、恭介ー!無事かーっ!」

ゆり「日向くんの声!」

恭介「助けが来たみたいだな」

恭介(上を見上げると日向の顔や、ロープの準備をしている椎名が見えた)

恭介(今は考えるのを後にしよう、今はな…)

ゆり「みんな無事でなによりね、それとありがとう。助かったわ」

恭介(程なくして、みんなのおかげで落とし穴から脱出できた)

恭介(執行部と戦ってたわりに、誰も怪我とかはしてないみたいだ。大したやつらだぜ)

真人「恭介、お前頭大丈夫かよ?血が滲んでるぜ」

恭介「どうってことない。もう全然よゆーだ、ただのかすり傷だ」

大山「いや、少なくともよゆーの怪我には見えないけど…」

ゆり「あたしを庇って怪我したのよ。体中強く打ったみたいだから、手を貸してあげて」

真人「任しとけ。こういう時こそ、筋肉にプロテインってやつだぜ」

恭介(真人がそう言いながら肩を貸してくれる)

高松「真人くん。おそらくは鬼に金棒と言いたかったのでしょうが、それでも使い時が少し違います」

沙耶「…よくわかったわね。あたしなんのことだかでツッコめなかったんだけど」

大山「ううっ、世界一のツッコみマスターにはまだまだだ…!」

日向「お前はどこ目指してんだよ大山…」

野田「恭介…!しっかりゆりっぺを守ってくれたようだな、礼を言うぞ!」

恭介(野田が軽く頭を下げて、俺に向かってそう言った)

恭介「どうせなら、トラップからも脱出できたら言うことなかったんだがな」

日向「それはずりーぜ!いくらなんでもカッコつけすぎだ、俺たちにも見せ場残しといてくれないとな」

TK「Exactly!!」

ゆり「みんな。無様にトラップにハマってたあたしが言うのもなんだけど、時間が無いわ!」

ゆり「今度こそ、ギルドに向かうわよ!」

松下「多分、まだ天使もギルドについてはいないだろうな」

椎名「だが、すぐ近くまで来ていると思うべきだ」

ゆり「そういうこと、急ぐわよ!みんな!」

全員「「「おおっ!」」」

恭介(みんな揃って、広い道をひたすらに駆ける。そしてようやくたどり着いた)

恭介(俺達の眼下には頑丈そうな鉄の扉がある、それを開けると暗闇の底に光が見えた)

恭介(そして長い長い梯子が待ち受けていた)

恭介(暫く降りていくと、ようやくその全貌が広がる)

恭介「これが…ギルドか…」

恭介(まるで巨大な鉄工所のようだ、武器を作っているというだけある)

恭介(こんなものが地下にあるなんてな)

恭介(梯子を降りきると、総勢15名くらいの作業着を着た若者たちが待ち受けていた)

ギルメンA「あの罠の中、全員で辿り着くなんてな。さすがだぜ、ゆりっぺ」

ゆり「そんなことより天使は?」

ギルメンB「さっきまで止まっていたが、また動きだしたようだ」

どーーーーーんっ!

ギルメンC「またかかった!」

ギルメンD「近いぞ、すぐそこまで来てる!」

ギルメンA「…ゆりっぺ」

恭介(全員がゆりっぺに注目する、リーダーの判断を待っているんだろう)

恭介(どうするゆりっぺ…!)

ゆり「ここは爆破するわ」

恭介(あっけなくそう告げた)

ギルメンC「そんな、正気か、ゆりっぺ!」

ギルメンD「そうだぜ、武器が作れなくなってもいいのかよ!?」

ゆり「…大切なのは場所じゃない、あなたたちよ」

ゆり「あなたたちの記憶さえあれば、ここじゃなくても武器は作れる。そうでしょ?」

ギルメンD「それは…」

恭介「どういうことだ、ゆりっぺ?」

ゆり「この世界では、土くれからだって形だけのものは作り出せるの」

ゆり「原理まではわからないけど、構成する最低限の素材と、組み合わせ方さえ知っていればね」

沙耶「だから、記憶ってわけね?」

ゆり「そうよ、天使がこれ以上侵攻できないようにここを爆破する」

ゆり「そして、みんなはオールドギルドに避難して!一番大切なのはあなたたちなんだから!」

ギルメンB「…ゆりっぺ」

??「同感だな、あそこには何もないが土くれだけなら山ほどある。地上にも戻れる出口があるしな」

ギルメンB「チャーさんっ!」

恭介(奥から髭を生やした工場長のような男が現れた)

チャー「俺たちにとって大事なのは、記憶と、職人としてのプライドだ」

チャー「それさえあれば俺たちはどこでも武器は作れる、たとえここより苦労が増えようとだ」

チャー「違うか?お前たち!」

恭介(振り返り、ギルメン達にそう問う)

ギルメン達「「「はいっ!!」」」

恭介(ゆりっぺの気持ちと、チャーと呼ばれる男の熱意が伝わったのか、一気に活気づいた)

チャー「爆薬を仕掛ける!チームワークを見せろ!」

ゆり「実行班もよ!チャーや他のみんなの指示に従って手伝いなさい!」

全員「「「おおっ!!」」」

どーーーーーん!!

椎名「近いな、すぐ上か…」

藤巻「こういう時のための男手だぜ!」

松下「早速、行動開始だ!」

チャー「ああ、もうトラップは無い!急いでくれ!」

恭介(みんなで手分けして作業に当たる。だが、ふとゆりっぺがいないことに気づいた)

恭介(あいつならこういう時、全員に指示を飛ばすだろうから、一際目立つはずだ…)

恭介「まさか…あいつ…!」

恭介(嫌な予感を感じながら、長い梯子を駆け上がり、出口から這い上がった)

恭介(そこには…)

カシィン!カシィン!カシィン!

ゆり「くっ!」

立華「………」

恭介(ナイフとハンドソニックで交戦する二人がいた…!)

恭介(だがゆりっぺが押されている、ざくりざくりと体が切り裂かれている)

ゆり「このぉーー!!」

ブゥン

恭介(たまらず大振りになる。駄目だ、それを見逃す立華じゃない…!)

立華「ガードスキル…ディレイ」

ゆり「!?」

ドガッ!

ゆり「がはっ…!!」

恭介(立華が残像を生みながら回避し、逆に大振りの攻撃をゆりっぺにぶつけた)

恭介(壁に叩きつけられ、力なく崩れ落ちるゆりっぺが見える…)

恭介「ゆりっぺーーー!!」

恭介(一目散にゆりっぺのもとに駆け寄る、さっきの痛みがまだ残っていたが無視した)

ゆり「うっ…、棗くん…!なんで来たのよ…?」

恭介「お前がいないのに気づいたからな。無茶しすぎだ、一人で」

ゆり「少し、時間を稼ぐつもりだっただけよ…。そんな、あっさり勝てるとは思ってないわ…、いつっ!」

恭介(顔を歪ませて右肩を抑える、ナイフを持っていた方の腕だ。この怪我じゃもう戦えないだろう)

ゆり「逃げなさい…、あなただって手負いなのよ。勝ち目は無いわ、ここはあたしがなんとか…!」

恭介(それでもみんなのために、時間を稼ごうと必死に立ち上がろうとする)

恭介(だから、俺は)

恭介「あとは任せろ」

恭介(そう言ってゆりっぺを座らせ、立華の向き直った)

ゆり「な、なに言ってるのよ!あなたのほうがあたしよりよっぽど酷い怪我を…」

恭介「あのなぁ、お前まだ俺のことわかってないだろ?」

ゆり「えっ?」

恭介「男ってのは、手負いの時のほうが強くなるもんなんだよ」

恭介(そう言いながら俺は二本のナイフを取り出す)

恭介(さっき執行部と戦ってた時に使ったもの。おもちゃじゃない、本物のナイフだ)

恭介(それを両手に持って立華の前に立った)

恭介「よう、立華。こんな時間にお散歩か?」

立華「違うわ。ギルドを破壊しにきたの」

恭介「そいつはご苦労様だ、どうしても破壊するのか?」

立華「こんな危険な場所、放置しておくわけにはいかない」

恭介(まあだろうな。わかっていたことだが、ギルドの存在は明らかにこの世界の秩序を乱している)

恭介(立華がそれを見逃すわけない)

恭介「そっか。なら前の時と同じだな」

立華「前?」

恭介「俺はここから先に行かせたくない、お前はここから先に行きたい」

恭介「なら、バトルでケリつけようぜ」

恭介(ナイフをクルクル回しながら立華に向けた、本当は向けたくないナイフを)

恭介(だが、ただの殺し合いなんてのはそれこそ死んでもゴメンだぜ)

立華「ルールは前と同じ?」

恭介「ああ、今回はこんな武器しか用意が無いけどな。でも、俺のやり方は前となにも変わらない」

恭介「今回も、楽しく遊ぼうぜ!立華」

恭介(そこで俺は立華にウインクした)

恭介(気づいてくれ…立華。今はまだ、お前とは敵対しておかなければならない)

恭介(そしてゆりっぺの見てる前だ、下らない武器を使った戦い方もできない)

恭介(前みたいに、俺が立華に危害を加える気がないのを察してくれさえすれば、とりあえずの時間は稼げる)

恭介(それでも、それを受けてくれるかさえ立華次第だ)

恭介(頼む、立華…!)

立華「わかったわ、遊びましょう。棗くん」

恭介(そう言うと立華は無表情のままウインクした、それだけじゃない)

恭介(俺の向けたナイフにハンドソニックを合わせてきた)

恭介(…ははっ、オーケー!お前、わかってるじゃないか、立華)

カキン

恭介(ナイフで軽くハンドソニックを弾く、それが開始の合図となった)

恭介(同時に後方に飛び、距離を離す。広い通路の真ん中で、お互いに武器を構え向かい合う)

恭介「前の賭け、あれ継続中だからな!俺が勝ったらその時は覚悟してもらうぜ?」

立華「あたしが勝ったら、約束通り授業を受けてもらうわ」

恭介「オーケー!何時間でも一緒に受けてやるよ」

立華「あたしと一緒にね」

恭介「むしろご褒美だ、男に二言は無い!それじゃ第二ラウンドといくぜ!」

恭介「バトル…スタート!!」

恭介(そして同時に距離を詰め、お互いの武器が交わった)

~Yuri Side~

ゆり(信じられないものを見ている…)

ゆり(棗くんとあの天使が互角に戦っている…!)

ゆり(身体能力には大きな差があるはずだ、加えて棗くんは全身を強打していたはず)

ゆり(にも関わらず、天使に一歩も遅れをとっていない)

ゆり(猫騙しをしたり、よそ見をしたり、あらゆる方法で天使を翻弄している)

天使「ふっ」

恭介「おっと!」

ゆり(天使の横薙ぎの攻撃を、大袈裟に地面に伏せるように躱す)

ゆり(そこから反動をつけ一気に起き上がると、バク転やらバク宙をしながら後方に着地する)

ゆり(あんなのただのカッコつけだ、意味なんてあるはずが無い)

ゆり(あるはずが無いのに、天使は棗くんのその動きに、動揺しているように見える)

ゆり(当然かもしれない、相手があたしでもペースを乱されるはずだ)

ゆり(それくらい棗くんの動きはめちゃくちゃだ、なのになぜか様になっている)

恭介「どうした?そんなにカルピスが飲みたいのかい?太刀筋に出てるぜ」

ゆり(わけがわからない…、意味不明すぎる)

ゆり(なのに決して踏み込みすぎず、冷静に時間稼ぎを遂行している)

ゆり(並の精神力で出来ることじゃない…、本当に何者なの、棗くんは?)

天使「これはどう?」

ゆり(今度は天使が距離を詰めながら、まるでコマのように回転する)

ゆり(両手に装備したハンドソニックのせいで、それは物凄い手数と早さで襲ってくる)

恭介「ちっ!」

ゆり(さすがの棗くんもたまらず一度、距離を離した)

ゆり(どうするの棗くん…。あの技を破らない限り、接近戦は不利すぎる…!)

恭介「フッ」ニヤリ

ゆり(なのにまるで問題が無いかのように、余裕の笑みを浮かべている)

恭介「アタックチャーンス!!」

ゆり(今度は棗くんから距離を詰めた、そして同じように回転する)

ゆり(まさか…!)

天使「!?」

恭介「そらそらそらっ!」

ゆり(さっきやられた技をそのままやり返した、そして…)

天使「くっ!」

ゆり(今度はたまらず天使のほうが距離を離した。天使が明らかに驚いている…!)

ゆり(…認めるしかない、彼は強い。身体能力は、戦線メンバーの中でも飛び抜けているわけじゃないはずだ)

ゆり(武器だって特別なものじゃないし、特別な鍛錬を積んでいるようにも見えない)

ゆり(なのになにかが、棗くんの力を底上げして、天使の力に届いている…!)

ゆり(一体なにが…)

恭介「ふふっ、はははっ、あっはははは!!」

ゆり(急に棗くんが笑いだした、なんなの…?)

天使「どうしたの?なんで笑ってるの?」

恭介「ふっ、そんなの決まってるだろ。理由は当然、燃えるからだ!!」

恭介「最高にワクワクするぜ!な、お前もそう思うだろ?立華」

恭介「俺とバトルしてて楽しくないか!?」

ゆり(…まただ。あたしが棗くんをどうしても受け入れられない理由)

ゆり(みんなを惹きつけるカリスマがある。行動力に溢れ、頭がキレる時があるのもわかる)

ゆり(仲間想いで、天使と単独で戦えるほど強いのもわかる)

ゆり(…でもそれだけはわからない!認められない!)

ゆり(ワクワクする?楽しい?そんなものが一体なにになるっていうの!?)

ゆり(自分の士気を上げるため?みんなの士気を上げるため?)

ゆり(仮にそうだったとしても、そんなもの天使相手にはなんの意味も無い)

ゆり(天使と楽しさを共有しようとしてなにになるの?)

ゆり(あいつは神の使いなのに、そんなものが天使の心を動かすとでも…!?)

ゆり(そう思っていた、なのにあたしは信じられないものを見た…)

天使「そうね、あなたとのバトルは楽しいわ」ニコッ

ゆり(………なに今の?あたしは今なにを見たの?)

ゆり(もし見間違えじゃなければ、今確かに…)

ゆり「…天使が…笑った…?」

~Kyosuke Side~

チャー「二人とも、ギルドを爆破するぞ!こっちだ急げ!」

恭介(古い空気口のような穴の中から、チャーが呼ぶのが聞こえた)

恭介(準備完了ってわけか)

恭介「聞いてのとおりだ、立華。俺たちはこれからギルドを爆破する」

恭介「そうなりゃ、とりあえずお前と戦う理由が無くなるな」

立華「…そうね」

恭介「それとももう少しやり合うか?」

立華「あたしは生徒会長だから、自分からは戦ったりしないわ」

恭介「面倒な立場だな、早く辞めたらどうだ?」

立華「あなたがリトルバスターズを選んだように、あたしも生徒会長であることに意味があるから」

恭介「…そうか。じゃあ続きはまた今度な、いい加減ナイフがボロボロだ」

恭介(刃こぼれしまくってるナイフを立華に見せる、強度の問題だろう)

恭介(何度も立華のハンドソニックと斬りあったナイフは、もう限界間近だ)

立華「ええ、また今度。次こそは勝つわ」

恭介「ふっ。そう簡単にはいかねえよ」

恭介(今はこういう関係だが、これはこれで悪くない気がする)

恭介(決して仲違いしているわけじゃない、バトルによってわかり合う宿命のライバル)

恭介(沙耶が俺をそう扱うのに拘ってた理由がわかる)

恭介(なんていうか、特別な関係に思えるものなんだな。これは燃えるぜ)

恭介「ゆりっぺ、立てるか?」

恭介(離れた場所にいたゆりっぺに、俺は手を差し伸べる)

ゆり「…え、ええ」

恭介「元気無いな、怪我のせいか?なんならお姫様抱っこでもしてやろうか?」

ゆり「い、いいわよ、別に!なに言ってるのよこんな時に!」

恭介「よし、それだけ元気なら大丈夫そうだ」

恭介(ゆりっぺは自力で立ち上がると、先に空気口へと向かっていった)

恭介「立華、お前はどうする?ここにいたら危ないんじゃないのか?」

立華「大丈夫よ。ちゃんと爆破を見届けたら自分で帰るから」

恭介「そうか、じゃあまたな」

立華「ええ、また」

恭介(それだけ交わすと立華に背を向ける)

恭介(俺もチャーが呼んでいた空気口に、体を押し込めた)

チャー「いいんだな?」

恭介(ゆりっぺへの最終確認。その手に握っているのは、爆破のためのリモートスイッチだろうか)

ゆり「やって」

恭介(チャーは天を仰いで息を吸い込んだ、そして)

チャー「爆破!!」

恭介(レバーを押し込んだ、徐々に雪崩のような轟音が迫ってくる)

チャー「進め、オールドギルドへ!みんなは先に向かっている!」

恭介(俺とゆりっぺ、そしてチャーは闇雲に前へ前へと進んだ)

恭介(あいつは、立華は無事だろうか。あいつのことだから心配はいらないだろうが)

恭介(結局、あいつを騙して俺たちは新たな場所でまた武器を作ろうとしている)

恭介(あいつと戦うため…、いや違う、それだけじゃない)

恭介(今はまだ戦線が戦線で在るために必要なものだ)

恭介(今回のように、トラップや執行部と戦うことだってある)

恭介(そのために必要なんだ。けどいつか、そんな必要が無くなったら立華とも…)

恭介(同じ場所で笑い合えるといいな、そう思いながら俺は走った)

恭介(そしてようやくたどり着いた場所)

恭介(さっきまで見てきたギルドとは、全く違う。古めかしい石の壁に囲まれた空間だ)

真人「恭介!」

野田「ゆりっぺ…!大丈夫か!その怪我は!?」

恭介(俺たちの姿を見て、みんなが駆け寄ってきた)

ゆり「天使相手に時間稼いでたらちょっとドジっちゃっただけよ、殆どは棗くんが一人で戦ってくれたわ」

沙耶「二人して無茶しすぎよ!特に恭介くんはもとから怪我してたのに!」

恭介「この程度、どうってことねえよ。ピンピンしてるくらいだぜ」

椎名「よくもまあ天使相手に単独で戦えたものだ…」

日向「まったくビビったぜ。作業終えてみたら二人していないんだからな」

大山「恭介くんって本当になんでも出来るんだね」

野田「ふん、戦闘でもそれだけ出来るなら、今度俺と手合わせしてもらおうか?恭介…!」

恭介(野田がいつものようにハルバードを突きつけてくる)

恭介「わるいがお断りだ。なんで仲間同士で、マジでやり合わなきゃいけないんだよ」

恭介「やるならもっと別のバトルで勝負しようぜ」

野田「む…、確かにその通りだ。だがどんな勝負でも俺が、勝つ!」

高松「ここで納得するのが野田くんの良いところですね」

松下「単純だからな、良い意味で」

チャー「それにしてもひでーねぐれだな」

チャー「本当に何もありゃしない。…はははっ、笑えらあ!」

ゆり「壁をつついたら、どれだけでも土くれは落ちてくるわよ」

チャー「違いねえ!」

ゆり「またひとつよろしくね」

チャー「ああ」

恭介(チャーとゆりっぺが固く握手を交わした。それはきっと、二度目のことなんだろう)

チャー「よし、とっとと始めるぞ、お前ら!」

ギルメン達「「「おーっす!」」」

恭介(ギルメン達が駆け、壁に張り付く。そして土を掻き出し始めた)

ゆり「みんなも手伝ってあげて。今欲しいのは弾薬だから、特に弾薬班をね」

ゆり「細かい人選は班長に一任するから、手の空いてる人は土木班を手伝うように」

恭介(ゆりっぺも即座にテキパキと指示を飛ばす、それに従いみんなも一斉に駆けていった)

恭介(やっぱお前もすげえな。みんなが慕う立派なリーダーだ)

恭介(俺もみんなを手伝うか…。立華と戦っている間は忘れていたが、無理をしたせいで体中に激痛が走っている)

恭介(それでも、手伝えることがあるならやるべきだな)

ゆり「待って、棗くん」

恭介(みんなのところに向かおうとした時、ゆりっぺが声をかけてきた)

ゆり「まず一つ、助けてくれてありがとう。あなたには二回も助けられたわね」

恭介「気にするなよ、俺だってゆりっぺに助けてもらったろ?」

ゆり「ええ、あなたならそう言うとは思ったわ。でもまあ一応ね」

ゆり「本題はむしろここから」

恭介(ゆりっぺが一度、言葉を切る。そして真剣な顔つきになる)

ゆり「…天使とどういう関係なの?随分と親しそうに見えたけど?」

恭介(きたか、まあ当然だろうな)

恭介(でもまあ、どういう関係と聞かれたからには素直に答えておくか)

恭介「あいつは俺の…」

ゆり「俺の?」

恭介「『宿命のライバル』だ!」

ゆり「………は?」

恭介「『宿命のライバルだ』!」

ゆり「一回聞けばわかるわよ!別に二回言えって意味のは?じゃないわよ!」

ゆり「え、ってかなに?宿命のライバル!?いつの間にそんな関係になってたのよ!!」

恭介(あまりに予想外な返事だったのか、またもゆりっぺがテンパっている)

恭介(こういう反応をいつも見せてくれたら、もっと可愛げがあるのにな)

恭介「トルネードの時に天使と一対一で戦ってな、あの時に再戦の約束をしてたんだ」

恭介「そして、今日のバトルで確信した。俺とあいつは宿命のライバル…!だとな」

ゆり「…は?…えー。そりゃまあ天使は敵だから、そういう捉え方も間違いじゃないけど…」

恭介(まだ微妙に納得のいかない表情だ。でも、わりと本気でそう思ってるんだけどな)

ゆり「あ、じゃあ天使を名前で呼んでたのはなんでよ!立華って!天使も棗くんって呼んでたし!」

恭介「初めてバトルした時に、お互いに自己紹介したからな。そりゃ名前で呼ぶだろ」

ゆり「お見合いか!!なんで戦う前に自己紹介なんかしてるのよ!」

恭介「決闘の前にお互いに名乗りを上げるのは普通だろ?」

ゆり「………もう、大体察しはつくけど。そう思う理由は?」

恭介「理由はもちろん…、燃えるからだ!」

恭介(俺は満面の笑みでそう言ってやった)

ゆり「だーっ!!言うと思ったわよ!絶対そう言うと思ったっての!」

恭介「大分俺のことをわかってくれたな、ゆりっぺ」

ゆり「ええ、わかったわよ…」

ゆり「やっぱりあなたって馬鹿ね!間違いなく戦線一番の馬鹿よ!」

ゆり「いい歳して、思考回路がその辺の悪ガキと同じなんじゃないの!?」

恭介「いつまでも童心を忘れないようにしているだけさ」

ゆり「そんなすごい爽やかな笑顔で言わないでくれる?思わず殴りたくなるから♪」

恭介「手厳しいな、ゆりっぺは」

ゆり「まったくとんだ問題児ね。ここまで手のかかるのは、戦線立ち上げてから初めてよ」

恭介(ゆりっぺがそう言いながら、ため息をついた。もう少しからかってみるか)

恭介「初めてか!やったぜ、いやっほぅー!」

ゆり「ああっ!?」

恭介「…すまん、今のはさすがに冗談だ」

恭介(やばい、今マジで殺意に近いものを感じた気がしたぜ…)

ゆり「もう。そんなに元気なら、みんなを手伝ってきなさい!」

ゆり「あなたの作業は、免除してあげようかと思ってたけど大丈夫そうだし」

ゆり「あたしだって、これからチャーと今後のこと話したりしないといけないんだから」

恭介「ああ、了解だぜ。オーバー」

ゆり「なにがオーバーよ、アホ」

恭介(みんなに視線を向ける。それぞれが協力しながら、賑やかに作業をしている)

恭介(今まで距離を感じてたゆりっぺとも、少しは親しくなれた気がする)

恭介(色々と大変な作戦だったが、無事やり遂げられて良かったな)

恭介(きっとこれからは戦線も、もっと良い方向へと変化していくに違いない)

恭介(そのためにも、とりあえずは今出来ることを一歩ずつ確実に…)

グラッ

恭介「!?」

恭介(…やばい、視界が歪む。さすがに無茶しすぎたか…?)

藤巻「おー恭介。どうした、サボりか?」

恭介「藤巻か、いやなんでもない」

藤巻「…本当にそうか?なんか顔色悪いぜ、無理してんじゃねえだろうな?」

恭介「大丈夫さ…こ、れ、くら…」

ドサッ

藤巻「恭介!?」

恭介(意識が遠のく…、やばいな。あんまみんなに、心配かけたくないんだが)

恭介(俺も、まだまだだな…)

藤巻「おーい!みんな、誰か来てくれよ!恭介が倒れちまった!」

藤巻「手貸してくれ!!」

恭介(藤巻の声が聞こえる…、みんなが駆け寄ってくる足音が聞こえる)

恭介(俺の意識はそこで途切れた…)

Episode:2 変化の風 END

恭介「にしても本当に疲労がまるで残ってないぜ、便利な世界だな」

真人「筋肉痛も次の日には収まっちまうからな。便利なのはいいが少し寂しい気もするぜ」

恭介(翌日、そんな話をしながら、真人とブラブラと歩く)

恭介「お前は今日もあいつらと筋トレか?」

真人「まあな、今日は大山のやつも一緒なんだぜ」

恭介「マジかよ…、大丈夫なんだろうな?」

真人「無理な筋トレはさせねえよ。俺を誰だと思ってんだ?筋肉の第一人者だぜ」

恭介「筋肉のみに限ったらまごうこと無き第一人者だな」

真人「ありがとよ」

真人「そうだ、ゆりっぺと沙耶が心配してたぜ。特にゆりっぺは自分のせいだと思いこんでんじゃねえか?」

恭介「そう思うか?」

真人「ああ、あいつってなんでも一人で背負い込んじまうタイプに見えるからな」

恭介「同感だ。素直じゃないのが玉にキズだが、それも含めてゆりっぺだしな」

恭介「そのうち、なんか用事見つけて会いに行くことにするか」

真人「いちいち用事が無いと会いに行けねえのかよ、面倒くせえな」

恭介「そういうな、リーダーとして色々気を張ってるんだろ」

真人「俺には難しい話だぜ、じゃ俺はそろそろ行くぜ」

真人「遅れたやつは、一週間腕立て禁止の罰ゲームなんだよ」

恭介「それが罰なのか…、まあいい。サンキューな真人、また後で」

真人「おう、またな」

恭介(そういうと真人は橋に向かって走っていった。あいつの走り方はなんか目立つよな、昔から)

恭介(さて、俺はこれからどうするか…)

恭介(ん…?今、寮の方で声が聞こえたような…)

恭介(気になるな、行ってみるか)

選択安価

恭介が聞いた声は誰のものか、一人選んで下さい

謙吾・小毬・葉留佳・クド・唯湖・美魚・音無

23:10:00:00
↓1

とういわけで、ロマンティック大統領復活です
熱い謙吾推しに思わず笑ってしまいました

謙吾復活により、少し物語が動き始める…かもしれません
今日はここまでです
遅くまでお疲れ様でした

都合により夜に投下出来ないので今から再開します
今日のぶんはなるべくこのスレ内で収めるつもりですが、溢れたら次スレを立てます

~Kengo Side~

謙吾「生徒会長だと言ったな、お前はなにを企んでいる?」

生徒会長「なにも企んでいないわ」

謙吾「じゃあさっきの言葉はなんだ?お前は寮に行けば、友達がいると言ったはずだ」

謙吾「確かに、俺の名前が書かれた部屋があった」

謙吾「だがそこにいたのは、見たことも無い赤の他人だったんだぞ!」

謙吾(自分でも語気が荒いのがわかる。俺らしくもない、こんな少女に対して)

謙吾(部屋には自然に向かい入れてくれた誰かがいた。名前までは覚えていない、どうでもいい)

謙吾(見慣れない部屋に見慣れない男)

謙吾(なのにそこには俺が愛用していた、竹刀や剣道着、そしてリトルバスターズジャンパーがあった)

謙吾(間違えるはずもない、俺のものだった)

謙吾(その事実がなお、俺を動揺させた)

謙吾(まるでここがお前の居場所だと、そう誰かに言われているようで…)

謙吾(だから今は仕方ない、こんなわけのわからない夢に付き合ってはいられない)

謙吾(俺の居場所は一つしかないんだ!)

生徒会長「あなたの生前の友達ならここにはいないわ」

謙吾「どういう意味だ」

謙吾(なんだ?この少女はなにを言っている?)

生徒会長「ここは死後の世界なの」

生徒会長「だからさっきのは、代わりの新しい友達っていう意味だったの」

謙吾「死後の世界だと、そんなことが信じられるか!」

謙吾「お前は俺を欺こうとした。よりにもよって、俺の一番大切なものを偽ろうとした!」

謙吾(俺にとって一番大切なもの…、言うまでもない。あいつらだ…!)

謙吾(あいつらがいなかったら、俺はずっと抜け殻のように生きていただけだったはずだ)

謙吾(あいつらがいたから、俺は自分の人生を幸せだったと思うことができた)

謙吾(誰もあいつらの代わりになんてなれない。だから、代わりの友達だなんて発言だけは絶対に許せない)

謙吾「そんなお前の言葉を俺は信じられない!」

生徒会長「怯えているの?」

謙吾「な、なに!」

謙吾(これだけ威圧しているのに、まるで怯まない)

謙吾(不気味ささえ覚える、なんなんだこいつは…)

生徒会長「無理も無いわ、最初はみんなそうだから」

生徒会長「でもしばらくしたらわかるわ、ここが死後の世界だって」

謙吾「死後の世界…」

生徒会長「覚えてない?あなたが死んだ時のこと」

謙吾(…覚えている、忘れるわけがない)

謙吾(みんなで修学旅行に向かおうとしていた、楽しいことが待っているはずだった)

謙吾(なのに急に車内が揺れ、悲鳴に包まれ、世界が反転した)

謙吾(俺はただ目の前にいた、鈴を守ろうと必死だった)

謙吾(すぐ隣で、真人が理樹を守ろうとしているのも見えた)

謙吾(そして、俺は死んだ…)

謙吾(どういう死に方だったのかは分からない。だが、それだけは絶対に変えられない事実だと知っていた)

謙吾(じゃあまさか本当に…)

謙吾「で、デタラメだ!死後の世界なんてあるはず無い!」

生徒会長「………」

謙吾(生徒会長だと名乗る少女は、無表情のまま俺を見つめ続けている)

謙吾(やめてくれ、ただの冗談だと言ってくれ)

謙吾(もしそれが本当なら…)

謙吾(ここが本当に死後の世界だというのなら…)

謙吾(俺はこれからどうすればいい、あいつらもいない。こんな場所でたった一人で…)

謙吾(誰でもいい。夢だって言ってくれ!)

謙吾(もし夢じゃないのなら…、誰か俺を…)

??「待ってたぜ、謙吾」

謙吾「!!」

謙吾(声が聞こえた。今、一番俺が聞きたかった声が、背後から)

謙吾(ゆっくりと振り返る)

謙吾(そうであってくれ、と願いながら…。もし違ったら、耐えられない)

謙吾(だからゆっくりと…)

恭介「お前が来るのを、ずっとな」

謙吾「………恭介」

謙吾(まるであの日のように、俺を連れ出してくれたあの時のように)

謙吾(変わらない笑顔でいつだって、俺を楽しい場所に連れて行ってくれた)

謙吾(俺の親友が、そこにいた…!)

~Kyosuke Side~

謙吾「………恭介」

恭介「なんだよ、情けないツラして。まるであの日に戻ったみたいだぜ」

謙吾「ば、馬鹿野郎!そんなわ…け…」

恭介(やれやれ、お前は本当に変わらないな)

恭介(泣き虫で、意地っ張りで、あまのじゃくで)

恭介(一番の甘ちゃんだった)

恭介(けどもう少しだけ我慢しろよな?)

恭介「悪いな、立華。謙吾は俺の生前の友達なんだ」

恭介「だから、こいつは俺が連れて行く」

立華「そう、わかったわ」

恭介「ほんと物分りいいよな、お前」

立華「そのほうが良いとあたしも思うから。それに」

恭介「それに?」

立華「あたし、空気は読めるわ」

恭介(そう言って立華は、去っていった。気を使ってくれたっぽいな)

恭介(今度会った時礼を言っとくか。さて)

謙吾「…恭介」

恭介「泣いてもいいぜ、あの時は許さなかったからな」

謙吾「恭介!!」

恭介(謙吾が涙を流しながら、俺に向かって飛び込んできた)

恭介「ったく、さすがに泣きすぎだぜ?謙吾」

謙吾「うるさい…!これは…感動の涙だ…。もうおしまいだと、本気で思っていた…」

謙吾「もう二度と…お前にも会えないと…そう思って…俺は!」

恭介「俺もそう思ってたさ。でも本当に俺たちの絆は、切っても切れないみたいだな」

恭介「真人もお前が来るのを信じてたぜ」

謙吾「真人もいるのか…!」

恭介「ああ、ついでに沙耶もいる。他のメンバーも来るのを待ってるところだ」

恭介「だから泣くのは今だけな、ここでの戦いは前以上に大変だぞ?」

謙吾「………ふっ」

恭介(涙を拭う、そしていつもの毅然とした姿で俺を見つめる)

謙吾「俺を誰だと思ってる?お前たちの為ならいくらでも戦い、勝利してみせるさ」

恭介(さっきまでの涙はどこへやら、頼もしいじゃないか謙吾)

恭介「にしても…、ふっふふ」

謙吾「なんだ、なにがおかしい?恭介」

恭介「いや真人といいお前といい、なんでそんな制服似合わないんだろうな!」

恭介「ふっはははは!そういや、お前は確かホモに間違われるとかで着てなかったんだっけか?」

謙吾「…恭介、貴様ぁ!触れてはならんことを!しかもこの感動の場面で!」

恭介(謙吾がどこからともなく竹刀を取り出した)

恭介「待て、謙吾!お前今どっから竹刀出した!?」

謙吾「細かいことを気にするな、お前には、喝を入れてやる!」

恭介(やばい、わりと本気で怒ってるなこれ…)

恭介「落ち着け謙吾!冗談だ、軽いジョークだ!ほら、場を和ませるための、な!」

謙吾「問答無用だ、覚悟しろ!」

謙吾「まーーーんっ!!」

恭介「ぎゃああああ!!」

恭介(謙吾の怒りのまーんは、めちゃくちゃ痛かった)

謙吾「というわけで、みんなの熱い応援のおかげで無事俺も復活だ」

謙吾「これからはバリバリ活躍するつもりだ、期待していてくれ。はっはっはっ!」

真人「てめえはどこ向いて喋ってんだよ…」

恭介(謙吾が青空に向かって高笑いを上げている…。せっかく招集かけた真人と沙耶も呆れてるぜ)

沙耶「謙吾くんって一番まともなイメージだったのに…」

恭介「こいつの場合は、頭のネジ一本飛んでるタイプの馬鹿だからな」

恭介「俺や真人とも少しベクトルが違う」

恭介「そして俺たちの馬鹿を御しきれるツッコミ神が、理樹だったってわけだ」

沙耶「やっぱり!あなたたちが、ボケまくりの馬鹿ばっかやってたせいだったのね!」

沙耶「理樹くんもあたしの前で、たまにボケまくってたのは!」

謙吾「なに?ボケまくりの理樹だと」

真人「マジかよ?そんなの見たことねえぜ!」

恭介(そういや二人は知らなかったな)

恭介(普段はツッコミに回ってる反動なのか、あの状態の理樹は相当な馬鹿だったぜ)

沙耶「そりゃ一緒になってボケまくってたら、収集つかなくなるからでしょうね…」

謙吾「なんてことだ…!俺たちは理樹一人に、ツッコミを任せきってしまっていたというのか…」

真人「確かにな。なんか理樹のツッコミじゃねえと、俺の筋肉にはフィットしねえんだよな…」

恭介「ただツッコむだけじゃなくて、それとなくフォローを入れてくれるのが理樹だったからな…」

馬鹿三人「「「はあ…」」」

沙耶「あたしが言うのもなんだけど、理樹くんって愛されすぎよね…」

謙吾「まあいい。おかげで未練が増えた。いつか俺たち四人で馬鹿になるためにも、これから頑張ろう!」

沙耶「そんな目的!?いや違うでしょ!!」

真人「おうよ!理樹ともう一度、筋肉さんこーむらがえった!で遊ぶためにも」

沙耶「なによ、その意味不明な遊び!?ってか理樹くんやったことあるの!!」

恭介「理樹をロリロリハンターズに引き込むためにもな!」

沙耶「理樹くんを悪の道に引き込むなーっ!!」

ドカッ

恭介「げふっ!」

恭介(キレのあるハイキックが飛んできた、ってかなぜ俺だけ…)

沙耶「はあはあ…、ちょっと待って。このメンツのツッコミハードすぎない…?」

謙吾「ふむ。勢いに任せすぎな気もするがなかなか良いツッコミだ。やるな、沙耶」

真人「理樹っちがいない今、ツッコミ役は沙耶しかいねえ。ちゃんとオレたちの馬鹿をツッコんでくれよな!」

沙耶「勘弁してよ~。ああ、ヘルプミー理樹くーん」

恭介(沙耶が額を抑えながら、泣き言を言っている)

恭介「そう考えたら、理樹と沙耶っていいコンビだったよな」

恭介「理樹がボケに回れるなんてレアだし、お前ら結構相性良いんじゃないか?」

沙耶「えっ!ほんと!?」

恭介(満面の笑みでそう聞いてくる、が)

恭介「でも理樹はやらん。あいつは鈴のものだ」

沙耶「そ、そんなあああっ!うわあああああああん!」

謙吾「おい、号泣してるぞ!?」

真人「メンタル弱すぎんだろ!?」

沙耶「あたしはトラップだろうと拷問だろうと大概はエクスタシーだけど、理樹くんに関しては弱いのよ!!」

恭介(表情をコロコロ変えながら、今度はマジギレしている)

恭介「すまん…、まさかそこまでダメージ食らうとは思わなかった」

謙吾「だが、考えてみれば仮に俺たちが生き返れたとしても、待っているのは修羅場じゃないか…?」

真人「鈴や沙耶は当然として、他の女子たちも理樹に惚れてるもんな…」

恭介「それを言うなら、三枝や能美はループ始める前から、理樹のことが好きだったからな」

恭介「来ヶ谷に至っては、自力で理樹とひっついた世界の6月20日をループさせる執念をみせたくらいだ」

沙耶「ふん、ループならあたしだって負けてないわよ!」

恭介(髪を掻き上げながらいつものドヤ顔の沙耶)

真人「オレ達はとんでもないやつを育てちまったのかもな…」

謙吾「理樹、おそろしい子!」

恭介「まあなんせ理樹だ。取り合いにはなれど、修羅場ってほど激しいものにはならないだろ」

恭介「最悪、ハーレムでも作ればいいさ」

沙耶「恭介くんが言うと、冗談に聞こえないんだけど…」

恭介「無論マジだ」

謙吾「アホだな…」

恭介「ともかく、謙吾も加わったことだ。これからはより一層頑張っていこうぜ」

沙耶「ってことは謙吾くんも、戦線に加入するとこからスタートってわけね」

真人「なんかもう、恒例行事になりつつあるな」

謙吾「ふむ、戦線とやらに加入するにはどうすればいいんだ?」

恭介「幹部になるには、自分の優れた能力を示す必要があるな」

恭介「ただ入隊するだけなら、自分の戦う理由を話すだけでいいんだが」

恭介「ま、謙吾なら余裕で幹部になれるだろ」

恭介(ゆりっぺが、謙吾のような人材を放っておくわけないしな)

真人「ちなみにオレ達は、全員幹部に合格したからな」

真人「もしお前が落ちたら、カツの一番端っこの小さいやつ分けてやるよ」

恭介(真人が自慢気に、謙吾を挑発している)

謙吾「そんな情けないことになってたまるかーーー!!」

恭介(そんな真人に、謙吾が気合充分とばかりに吠える)

恭介(これならなんの問題も無さそうだな)

沙耶「ってかその格好で行くの、謙吾くん。柔道着にジャンパーって制服どうしたのよ?」

謙吾「部屋から回収してきたんだ。これは俺の魂とも言うべき衣装だからな」

真人「また都合良くそんなもんまで。本当に便利な世界だな」

恭介「………………」

恭介(まただ、なにかに違和感を感じる)

沙耶「あたしのスパイセットとかと同じね。また生前の青春ルールかしら」

恭介「………………」

恭介(勘違いじゃない、今この場にあるなにかが…)

謙吾「なんだそれは?」

沙耶「この世界には、生前の青春にあったものが大体揃ってるっぽいのよ」

沙耶「謙吾くんのそれも、青春時代に馴染み深かったものなんでしょ?」

謙吾「確かにそうだ。これなくして俺の青春は語れ…」

恭介「待て」

謙吾「ん?どうした恭介?」

恭介「『生前の青春』だと…」

沙耶「恭介くん?」

真人「どうしたんだよ、急に?」

恭介「………そうか、そういうことか…。今まで引っかかっていたのは…!」

沙耶「…なにかわかったの?」

恭介(俺の反応を伺いながら沙耶がそう聞いてくる)

恭介「ああ、考えてもみろ。沙耶、お前は生前スパイだったか?」

恭介「謙吾。お前も生きていた時に、リトルバスターズジャンパーなんて作ったか?」

沙耶「え、どういう………あっ!?」

謙吾「…いや俺は生きていた時は、剣道に専念していたな」

謙吾「だから失った時間を取り戻したくて、あの世界では野球に参加し、このジャンパーも作ったりした」

謙吾「お前が言いたいことがわかったぞ恭介」

謙吾「つまりこのジャンパーは、生前の青春というルールとは矛盾しているんだな?」

沙耶「…あたしだってそうよ」

沙耶「あたしは一度死んでからあの世界に迷い込んで、そして朱鷺戸沙耶になったんだもの…」

沙耶「スパイセットだって、闇の執行部だって、生前っていうルールが正しいなら存在するはずが無いんだわ」

恭介(二人とも気付いてくれたな)

恭介(リトルバスターズジャンパーも、スパイセットも、闇の執行部も)

恭介(この生前の青春ルールとは矛盾している)

真人「…えーっと、つまりどういうことだ?」

恭介「『生前の青春にあるものは大体存在する』っていうルールは、そもそも間違っている、ということだ」

恭介(真人にも伝わるように、再度わかりやすく結論を説明する)

沙耶「誰かが恭介くんに嘘のルールを教えたってことね?」

真人「それって確か、日向なんじゃ…?」

恭介「いや、それは違うだろうな。日向は自分の経験則に従って、この世界のルールを推理していた」

恭介「つまり、たまたま間違った解釈を、そうだと思い込んでいたと考えるほうが自然だ」

謙吾「だとすれば、その日向というやつが勘違いしていたって結論になるな」

沙耶「…そうね。なにかわかるような気がしたんだけど…」

恭介(そうだ、それだけじゃここで話が終わる)

恭介(だが、俺が今までこのルールの矛盾に気付かなかった)

恭介(このルールを疑ってすらいなかったという事実が、更なるヒントになる)

恭介「いや、むしろ重要なのは、ここからだ…」

恭介「そもそも俺は、この世界の秘密を暴くことを目的としていた」

恭介「この世界のあらゆることを疑い、自分なりに推理・推測を重ね、世界の秘密に迫ろうとしていた」

恭介「実際、最初に立華から教えてもらった情報をもとに」

恭介『それともう一つ、多分なんだが変に規律を乱すことをしなくても消えたりすることは無いんじゃないか?』

ゆり『へえ?ちなみにその根拠は?』

恭介『俺の未練は、偽りの青春を過ごしたところで晴れるものじゃないって天使に言ったんだ」

ゆり『それで?』

恭介『すると天使は俺を追ってこようとしなかった』

恭介『もし未練が別のものでも、偽りの青春を続けることで成仏出来るなら、無理にでも俺にそれを強要しようとするはずだ、違うか? 』

ゆり『それはあくまであなたの推理ね、確証があるとはいえないわ』

恭介「こんな風な推理をみんなの前で話したことがある。いわば俺なりのこの世界の仕組みの推測だ」

恭介「だが、それ以降は」

恭介『マイナスの経験は反映されないのか。よく出来た世界だな』

恭介『本当に都合の良い世界だな』

恭介《まさに箱庭だな。仮に神以外がこの世界を創ったのなら、どんな意図が隠されているんだか…》

恭介『マジか!?そいつは知らなかったぜ!』

恭介『まあ、そうだな。でも、変化があるって分かっただけでも充分だろ』

恭介『さすがにここから何かわかることなんて…』

恭介「日向やゆりっぺに色んな情報を教えられたのに、殆ど全てをろくに疑いもせずに受け入れている」

恭介「推理によって世界の秘密に迫ろうとしたことは、一度もない」

恭介「それどころか、決定的な矛盾が2つも現れるまで、生前の青春ルールの間違いにも気づいていなかった」

恭介「自分で言うのもなんだが、さすがに不自然だ。思考を途中で止めすぎている…」

恭介「いや、もしかしたら本当に俺がボケちまってただけってのも考えられるが…」

謙吾「いや、それは無いだろう」

恭介(謙吾が力強くキッパリと否定する)

謙吾「俺の知る恭介という男は、とても頭の回転の早いやつだ」

謙吾「勘も鋭いし、あらゆることを想定して事を起こす」

謙吾「ボケたお前など、恭介とは言えないくらいだ」

恭介(更に真人が続く)

真人「悪知恵だけは、昔っからよく働くからな」

真人「お前からそれが無くなったら、俺から筋肉とるようなもんだぜ」

沙耶「つまり、ただの馬鹿しか残らないってわけね」

恭介「褒められてんだか、貶されんだか、わからねえがありがとよ!」

恭介(まったく好き勝手言ってくれるな、お前たちは)

恭介「けどまあ、おかげで少し自信が持てたぜ」

恭介「今までの自分を疑うのは、さすがに俺も、めちゃくちゃ言ってるように感じたからな」

沙耶「つまりは、最初にこの世界に来た時、少なくとも立華さんから情報を聞いた時くらいまでは」

沙耶「恭介くんの思考力はいつも通り働いていた」

沙耶「そしてある時から、思考力が低下し、世界の秘密に迫ろうとしていなかった」

沙耶「生前の青春ルールの矛盾にも、気づけずにいたってことになるのかしらね」

沙耶「あたし自身、こんな単純な矛盾に気づいていなかったっていうのが少し癪だけど…」

恭介(沙耶が一度、ここまでの流れをまとめてくれる)

恭介(簡潔でわかりやすいな、助かるぜ)

謙吾「となると、注目すべきはいつ恭介の思考力が低下していたのかってことになるが…」

真人「それより、なんで恭介がボケちまってたのかってのが大事なんじゃねえのか?」

恭介(二人が問題とすべき点を提唱する)

恭介「もちろん、どっちも大事だ。だが、おおよその見当はすでについている」

真人「マジかよ…」

恭介「ああ、今まで引っかかっていたのが全て繋がった感じだ」

恭介(むしろ今となっては、なぜ気づいていなかったのが不思議でならないくらいだ)

沙耶「本来の思考力を取り戻したってことなのかしら?」

恭介「さすがに、そこまではわからないけどな」

恭介「ともかく一つ目。俺の思考力がいつ低下したのかっていう点だ」

恭介「これは確信がある。タイミング的には一つしかない」

沙耶「いつなの?」

恭介「俺が戦線のみんなの前で、『世界の秘密を暴くと宣言した時』のはずだ」

恭介「俺がみんなの前で、さっきの推理を披露したのがその少し前」

恭介「つまり、この時点ではまだ思考力が正常だったと判断していいだろう」

恭介「そしてその翌日、日向やゆりっぺからこの世界の情報を聞いたにも関わらず、ただあるがまま受け入れていた」

恭介「この時には、思考力が低下していたと判断するべきだ」

真人「ちょっと待て、頭がこんがらがってわけわかめなんだが…」

恭介(真人が苦悶の表情を浮かべている、確かに少しわかりづらいか)

恭介「かなり大雑把に言うなら」

恭介「俺が戦線に入った一日目はボケていなかったが、二日目にはボケていたということだ」

真人「おお、なるほど!それならわかるぜ!」

真人「なんだよ、最初っからそう言ってくれりゃ良かったのによ!」

謙吾「馬鹿、なぜそう判断したかという根拠を説明していたんだろうが」

真人「なんだとてめえ!触りまくって馬鹿移すぞ!」

沙耶「二人とも喧嘩は後にして!今大事なとこなんだから!」

沙耶「もし恭介くんの推理通り、世界の秘密を暴くと宣言した時」

沙耶「もしくはそこから翌日までの間に思考力が低下したのだとしたら…」

恭介(沙耶はすでに察してがついているな。信じがたいが、俺もこれしか考えられない)

恭介「ああ、考えられる原因は一つ。何者かが俺の精神に干渉し、思考力を下げたんだ」

恭介「世界の秘密を暴かれるのを防ぐためにな」

謙吾「精神に干渉するだと…!?」

謙吾「そんなことが出来るやつがいるのか…?」

恭介「一人だけいるさ。そしてそいつなら、世界の秘密を暴かれたくないという動機にも説明がつく」

真人「誰なんだよ、そりゃあ…!」

恭介「それは…」

沙耶「この世界のゲームマスター。言わば創造主、ゆりの言い方を借りるなら『神』ね…」

恭介「…そうだ」

真人「じゃあこの世界を作った神様が、本当にいるってことなのかよ!?」

沙耶「本当に『神』かどうかはさだかじゃないけどね」

沙耶「でもこの世界の創造主ぐらいしか、出来ないはずなのよ」

沙耶「恭介くんに気づかれることなく、一方的に精神に干渉し、思考力を低下させるなんて芸当はね…」

謙吾「明らかに常軌を逸しているが、創造主にはそれが可能なのか…?」

恭介(謙吾が少し疑っている。無理も無い、俺と沙耶の推理はそれくらい常識から外れている。だが)

恭介「出来るさ。少なくともあの世界にいた時の俺にも出来る」

恭介「やろうと思えば幻覚すら見せられるんだ、思考力を下げるくらいわけないはずだ」

謙吾「………」

恭介「すまないな…、謙吾。嫌なことを思い出させた」

謙吾「いや、今はいい。それより話の続きだ」

謙吾「ここまでの恭介の推理が正しいとすれば」

謙吾「この世界の創造主は、俺たちの精神に一方的に干渉出来る能力を持っている、ということだな?」

恭介「そして当然、俺たちを監視していると考えるべきだ」

恭介「俺にわざわざ、こんな小細工を仕掛けんだからな」

沙耶「ちょっと待って!じゃああたしたちのこの会話も…!」

真人「全部つつ抜けってことか!?」

謙吾「まずいんじゃないか?それは…!」

恭介「いや、とりあえずは問題無いはずだ」

真人「なんでだよ…?」

恭介「本気でこの世界の秘密を暴かせたくないなら、思考力を低下させるなんてのは回りくどい」

恭介「さっさと俺を消せばいいだけだ。だがそれをしていない」

恭介「単純に俺を消せない理由があるのか、俺を試していたと見るべきだろうな」

恭介「とりあえず、これが現時点での俺の推理の全てだ」

真人「………」

謙吾「………」

沙耶「………」

恭介(さすがに三人ともショックが大きいみたいだな)

沙耶「ねえ、恭介くん。このことをゆりや他のみんなには…?」

恭介「話さないほうがいい」

恭介「俺の思考力が何者かに下げられていた、そしてそんなことが出来るのはこの世界の創造主しかいない」

恭介「なんて、あまりに突拍子もない推理に思えるはずだ」

恭介「そもそも前提としている、俺の思考力が下がっていた、なんて証拠もどこにもないんだ」

恭介「お前たちはそれを不自然に思ってくれても、他のみんなもそうだとは限らない」

謙吾「俺たちからしてみれば、筋の通っている推理だったがな」

謙吾「だが、確かに明確な証拠や根拠が無ければ、周りを納得させることは出来ないだろうな」

真人「ぶっちゃけパニックになりかねないぜ」

真人「神様だかなんだかに精神をいじられるかもしれない、しかも監視までされてるかもしれないなんてな」

真人「落ち着いて筋トレも出来やしねえよ」

沙耶「恭介くんの推理を疑うわけじゃないけど、まだそうだと決まったわけじゃないわ」

沙耶「だから真人くんには、むしろ今まで通りに振る舞っていて欲しいんだけど…」

真人「任せときな。なにも考えずに馬鹿やり続けるってのは俺の得意分野だ」

謙吾「苦労するな、お前も」

恭介「それが出来るのが真人の強さだからな」

恭介(あの世界でも真人はそうやって日常を守り続けてくれた。今は真人を頼りにさせてもらおう)

恭介「ともかく、この事は俺たちだけの間で留めておこう」

恭介「ゆりっぺや他の戦線メンバーたちにも秘密だ」

恭介「俺の推理が正しかったという根拠が見つかった時に、打ち明けるようにした方がいい」

沙耶「隠し事なんて、あんまり気分が良くないけど…。でもそれが賢明ね」

謙吾「だが、恭介の今の推理が正しいと証明する為にはどうすればいいんだ?」

恭介「俺の思考力が低下していたと証明出来るなにかがあればいいんだが、難しいだろうな」

恭介「だから、しばらくは今までの情報を整理して、色々考えてみることにするさ」

恭介「今まで気付かなかったことも、今ならなにか気づけるかもしれない」

真人「頭を使う作業だな…、悪いが手伝えそうにないぜ」

謙吾「俺たちは体を動かすことしか能が無いからな」

恭介「いや、それでいいんだ。適材適所、役割分担ってやつだ」

恭介「俺だって何もかもが一人で出来るわけじゃないんだからな」

沙耶「そうね、でももし考えに詰まった時は相談して。出来る限り力になるから」

恭介「ああ。頼りにしてるぜ、お前ら!」

恭介(そこで一応の話がまとまった、その時)

??「ニャーン」

恭介「なんだ!?」

恭介(急な声に驚いて振り返ると、そこには一匹の白猫がいた)

真人「猫じゃねえか、この世界にもいるんだな」

沙耶「この学校に住み着いている猫なのかしら」

謙吾「妙だな。猫の気配なんて感じていなかったんだが…」

恭介(謙吾がそう呟いている。俺もだ、こんな近くに寄ってきていたのに気付かなかった…)

ダッ

沙耶「あ、行っちゃった」

真人「なんか鈴のやつを思い出すな」

恭介(なぜだろう、俺にはその猫が…)

恭介(俺たちを、笑いに来たように感じた…)

今日は以上です
推理回のため、内容が少し複雑

解説すると

生前の青春ルールの矛盾に気づいたことがきっかけで、恭介が自分の思考力が低下していたことに気づく

タイミングや原因、考えられる動機から、この世界の創造主が恭介の精神に干渉し思考力を下げていたと推理する

創造主にはこの世界の住人の精神に干渉する力がある、そしてこの世界の住人を監視していると推測する

ということを伝えたかったのですが正直苦戦しました
うまく纏まっていたでしょうか

次回は、謙吾の就活回なのでここまでわかりにくい内容にはなりません

今日は投下出来ないので、明日の夜次スレを建てて再開します

次スレ立てました
こちらは埋めます

恭介「戦線名はリトルバスターズだ!」ゆり「その2よ!」
恭介「戦線名はリトルバスターズだ!」ゆり「その2よ!」 - SSまとめ速報
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