モバP「三好紗南とゲームをする話」 (57)

P「……」ピコピコ

P「……くっ」ピコピコ

P「……堅いなこいつ」ピコピコ

P「……」ピコピコ

P「……これで、いけるか?」ピコピコ

P「……」ピコピコ

P「……よしっ」パンパカパーン

P「ふう……ちょっと休憩するか」


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ピンポーン

P「ん……誰か来たか?」

ピンポーン

P「はいはい今出ますよっと」

ガチャ

紗南「やっほーPさん!遊びに来たよーっ!」

P「ああ紗南か。いらっしゃい」

紗南「ふー。Pさんの部屋クーラー効いててすずしーっ」

P「暑い中ご苦労さん。先に連絡してくれれば車で迎えに行ったのに」

紗南「いやいやそれはさすがに悪いよ。休みの日だし、朝からゲーム三昧してたんでしょ?」

P「その通りだ」

紗南「やっぱりかー。今日のゲームは何?」

P「あー、今プレイしてるのはこないだ発売されたばかりの――」

P(この少女の名前は三好紗南)

P(新人プロデューサーだった俺が、初めて担当することになったアイドルだ)

P(紗南を受け持つことになった当時の俺は、恥ずかしながら自分と一回り以上違う少女相手にどうコミュニケーションをとればいいのかわからなかった)

P(今時の女の子が好きなものとか全然知らなかったし)

P(しかし幸いなことに――俺と紗南には、共通の趣味があることがすぐにわかった)

紗南「さあ、Pさん!今日は何で勝負する!?」

P(ゲームである)

P「そうだな……とりあえず鉄拳しよう鉄拳。先週のリベンジだ」

紗南「やけに自信満々だね?こないだあんなにコテンパンにされたのに」

P「俺だってこの日に備えて一週間練習したんだ、先週の俺とは違うぞ」

紗南「ふふふ、返り討ちにしてあげるよ!あたしの平八が火を噴くぜっ!」

P「噴かない噴かない」

P(互いに重度のゲーマーだとわかってから、俺たちはすぐに打ち解けた)

P(ゲームの感想の言い合いや貸し借りはしょっちゅうだし、今では休日のたびに俺の家を訪れては、一日中ゲームをして帰っていくほどだ)

P(ゲーム様様だよ本当)

紗南「んっ……本当に先週より強い……!」

P「くくく、言っただろ練習したって!このまま勝負を決めてやる!」

紗南「あたしだってこのままじゃ終わらないよっ!」

P(……アイドルが男の家に入り浸るという状況は、冷静に考えるといささか問題なのかもしれない)

P(しか紗南はまだまだ色恋沙汰よりゲームといった感じだし、俺だって14歳の女の子相手に何かしようとも思わない)

P(何よりこのコミュニケーションには紗南と、ついでに俺のモチベーションを高める効果もある。やましいところなど一切ないのだ)

P(そんなわけなので、俺も紗南もこのことは別に周囲には隠していない)

P(まあ会社からすればあまり歓迎すべきことではないだろうが……今のところ、特にお咎めを受けたことはない)

P(もっともちひろさんにはしっかり釘を刺されたけれど――そんなものがなくたって)

紗南「へへっ、あたしの勝ちだね!……どうかした?」

P「いや、何も。リベンジだもう一戦やるぞ!」

紗南「望むところ!」

P(この年の離れた友人との楽しい時間を、わざわざ失うような真似をするわけがない)

数時間後

紗南「はー遊んだ遊んだ。もう夕方かあ」

P「今日もまたがっつり遊んだなあ。高橋名人に謝らないと」

紗南「あはは、その分お仕事しっかり頑張るから」

P「仕事ももちろんだけど勉強の方もな」

紗南「うぐ」

P「アイドル活動で成績落としたら親御さんに申し訳が立たん」

紗南「はあ……アイドルとゲームと勉強、三束のワラジはつらいなあ」

P「でもやめる気はないんだろう?」

紗南「もちろんっ!……あ、そうだ」

P「ん?」

紗南「思い出してよかった。こないだ借りたゲーム、クリアしたから返すね!」

P「おお……クリアできたのか、これを」

紗南「聞いてた以上に歯ごたえあったよ……途中何度かくじけかけたもん」

紗南「でも、一度始めたゲームを中途半端に投げ出すのは嫌だったからねっ!」

P「俺は当時は投げて大人になってからクリアしたんだよなあ。紗南のゲームへの情熱は凄いよまったく」

紗南「レビュー見てからずっとプレイしたかったゲームなんだ。もうどこにも売ってないから、Pさんが持ってるって聞いたときは驚いたよ」

P「俺もまさかガキの頃に買ったゲームが今になってアイドルプロデュースに役立つとは思わなかったよ……」

紗南「あはは、Pさんの部屋はあたしにとって宝の山だね!」

P「こんなんでよかったらいつでも貸してやるよ。今日も何か借りてくか?」

紗南「ああうん、それなんだけどさ。今日はいつものレトロゲーじゃなくて」

P「レトロゲーじゃなくて?」

紗南「実は最近、自分用のパソコンを買ったんだよね」

P「ほう。紗南のことだからゲーム目的か?」

紗南「ご名答!パソコンがあれば情報収集もしやすいし、何より専用のゲームも遊べるし!」

P「紗南らしいなあ」

紗南「それでね、あたしまだパソコンのゲームは全然知らないから、Pさんにおすすめ教えてもらいたいなって」

P「んー……PCゲーでおすすめなあ。希望ジャンルは何かあるか?」

紗南「一番は歴史SLG?こないだの公演でちょっとやりたくなってきたんだ」

P「ああ……美羽が信長役だったあれな」

P(あれで歴史に興味を持つのは……いや、よそう。どんな理由でも興味を持つのはいいことだ)

紗南「Pさん?」

P「なんでもない。ちょっと待ってな、いくつかソフト見繕ってくるから」

P「お待たせ。悪いな、最近プレイしてなかったからなかなか見つからなくて」

紗南「ううん、大丈夫だよ」

P「で、とりあえず俺のおすすめはこれだな。戦国時代ものと、三國志もの。それと文明発展もの」

紗南「おー、どれも聞いたことあるやつだ」

P「最初に手を出すならやっぱりメジャーなのがいいと思ってな。どれもちょっと前のやつだから、遊んでみて気に入ったら新作を買うといい」

紗南「はーい!ちなみにPさんが一番好きなのは?」

P「この中なら戦国時代のやつだな」

紗南「じゃあ最初はそれにするね!帰ったら早速遊ぼっと!」

P「学校の宿題とかはないのか?」

紗南「ぐっ……!しゅ、宿題終わったらやります」

P「よろしい」

紗南「ううう……新しいゲームがあるのに勉強しないといけない時ほどつらいものはないよ」

P「わかるわかる。俺もよく、親に勉強終わるまではゲームおあずけって言われてたよ」

紗南「もちろんPさんはそれ守ってたんだよね?」

P「……………………まあ、一応、概ねは」

紗南「……Pさん?」

P「あー、とにかく我慢して先に宿題済ませるんだぞ」

紗南「うわっごまかした!Pさん今絶対ごまかしたよね!?」

P「ははは何のことやら」

数十分後、帰り道

紗南「ごめんね、送ってもらっちゃって」

P「いいさいいさ。アイドルを夕方まで拘束して一人で帰すとかそっちの方が怒られる」

P「……主にちひろさんに」

紗南「Pさんホントちひろさんのこと苦手だね。ちひろさん、いつも優しくていい人だよ?」

P「そりゃアイドルに対してはな……。苦手というか本能的な恐怖を感じるんだよあの人には」

紗南「ラスボス的な?」

P「ストーリー終わった後の裏ボス的な……さ、寮に着いたぞ」

紗南「ありがとPさん!あー、楽しいお休みだった!」

P「俺も楽しかったよ。これで明日からまた頑張れる」

紗南「あたしもしっかりエネルギーをチャージできたし、この勢いでお仕事も頑張るね!」

P「ああ、頑張れ。それじゃあまた明日な」

紗南「うん、また明日!」

数時間後、紗南の部屋

紗南「終わったーっ!」

紗南「はー、疲れたあ。頭を使うのはゲームと一緒なのになんでこんなに疲れるんだろ」

紗南「もっとこう、クイズゲーみたいにスコアとか表示してくれたらやりがいあるんだけどなあ」

紗南「……さて、気を取り直してPさんに貸してもらったゲームやろっと」

紗南「えーと、Pさんは戦国ものが一番好きって言ってたっけ……これこれ」パカッ

紗南「……あれ?」

紗南「……このゲーム、どう見ても戦国ものじゃないよね。ディスクにいるの、武将じゃなくて可愛い女の子だし」

紗南「タイトルもパッケージに書いてあるのと違う……」

紗南「これで遊んだとき、パソコンに入ってたディスクと入れ替えてそのままにしちゃったのかな」

紗南「もー、そういうことしてるといつの間にかソフトが行方不明になるんだよPさん。私もよくやるけど」

紗南「明日会ったときに言わないと……」

紗南「……………………」

紗南「……可愛い女の子のキャラ……これ、タイトル的にもどう見てもギャルゲー……だよね」

紗南「……Pさん、ギャルゲーもやるんだ。どういう女の子が好みなんだろ」

紗南「……ちょっとくらい、ちょっとくらいならプレイてみてもいいよね、うん」

紗南「主人公の名前は……『サナ』でいっか」

『フフーン!サナさん、ボクは今日もカワイイでしょう?』

紗南「何人かヒロインいるみたいだけど……とりあえずこの子攻略してみよ」

『フフーン!もっと誉めてくれてもいいんですよ!』

紗南「なんか大したこともしてないのにどんどん好感度が上がってく……」

『フフーン!ボクと付き合えるなんて、サナさんは本当に幸せものですね!』

紗南「あっという間に彼氏彼女になっちゃった」

『ふふ、カワイイボクに見惚れちゃいましたか?』

紗南「……可愛いなあ幸代ちゃん(キャラ名)」

『……サナさんはボクのことだけ見てればいいんですよ』

紗南「なんだか雲行きが怪しくなってきた気がする……」

『こんな……こんなボクなんかに……サナさんの彼女でいる資格なんてないんです……』

紗南「そんなことないよ!私は幸代ちゃんのこと大好きだよ!」

『サナさん……ボク、幸せです……』

紗南「ふふふ……あたしもだよ幸代ちゃん……」

紗南「やっぱりハッピーエンドっていいなあ」

紗南「幸代ちゃんがヘリから飛び降りたときはどうなることかと思ったけど」

紗南「……うわっ!?もうこんな時間!?」

紗南「あちゃあ……いつの間にか熱中しちゃってた。もう寝ないとまずいよね、明日も学校あるし」

紗南「……でもキリが悪いから幸代ちゃんルートのエンディングまで見てから終わりにしよっと」

『サナさんのおかげで、ボクはこうして成長することができました』

紗南「展開からしてそろそろ終わりだろうし……」

『サナさん……愛してます』

紗南「えへへ……ゲームの女の子相手とはいえ、こういうこと言われると照れちゃうねやっぱり」

『だから……ボクの全部、もらってください』ヌギッ

紗南「え?」

『で、電気は消してください……恥ずかしいですから……』

紗南「」

『サナさんの……大きくなってます……』

紗南「」

『い、痛いですけど……大丈夫ですから……動いてくださいっ……』

紗南「」

『だ、ダメですっ!そんなされたら、ボクもう、変になっちゃいますからぁっ!』

紗南「」

『ああああああぁっ!』

紗南「」

紗南「…………」

紗南「…………」

紗南「…………」

紗南「……ギャルゲーじゃなかった」

紗南(その日、結局あたしは一睡も出来なかった)

紗南(Pさんにゲームを借りてから一週間)

紗南(あの後、ネットで検索してあたしがプレイしたアレが18歳未満はプレイしてはいけないゲーム――いわゆるエロゲーだとわかった)

紗南(結局その日は睡眠不足とその他諸々で勉強もお仕事もボロボロで、Pさんには何かあったのかと心配されたけれど、本当のことは言えていない)

紗南「……というか言えるわけないじゃん!Pさんから借りたエロゲーやって悶々としちゃったとか!」

紗南「Pさんも自分が間違えてエロゲー貸したってわかってないみたいだし……」

紗南(それに――)

『なんだオマエ……怪しい奴はこの爪でひっかくぞ!』

紗南「まだ、このゲームクリアできてないしね……」

『あ、あんまりジロジロ見るなよ……ウチのカラダなんて、見てもつまらないだろ……』

(あれから一週間、あたしは毎日このゲームをプレイしている)

『んっ……あたしのお山が、好き放題されちゃってる……』

(別にこういう内容に興味があるわけじゃない)

『わ、我が友よ……其方の猛りし魔剣を、今、我が鎮めようぞ……』

(単に、ゲーマーとして一度始めたゲームを途中で投げ出したくないだけだ)

『はじめてなので、やさしくしてくれないと、むーりぃー……』

(だから、こういう行為のシーンを見ても変な気分になんてなったりしない)

『きぐるみ脱いだ素のウチ、愛してほしいけんね……』

(変な気分になんて、なったりしない)

『ふふふ……私のおっぱいで、いっぱい気持ちよくさせてあげますね!え、面白くない!?』

(変な気分に、なんて……)

『寒さに弱いカラ……サナにあたためて、欲しいナ?』

(変な……気分に……)

事務所

ちひろ「最近、紗南ちゃんの様子がおかしくないですか?」

P「……やっぱりちひろさんもそう思います?」

ちひろ「はい。なんだか心ここにあらずって感じで」

P「先週の月曜日からなんですよ。何度か何かあったのか聞いたんですが、なんでもないの一点張りで」

ちひろ「そうですか……」

P「ちひろさんは何か聞いてません?」

ちひろ「いえ、私は何も……Pさんこそ、心当たりとかないんですか?」

P「ないですねえ。前日はいつも通りだったのに、月曜日事務所で会ったときにはもう様子がおかしくて」

ちひろ「ふむふむ……え?月曜日の前日ってことはPさんも紗南ちゃんもお休みですよね?」

P「はい」

ちひろ「休日に二人で会ってたんですか?」

P「はい。あ、二人で会ったと言ってもゲームしてただけですよ。いつもみたいに」

ちひろ「……Pさんの家で、ですか」

P「……言っておきますが、やましいところはありませんよ。単に一日中ゲームをしていただけです」

ちひろ「未成年を自宅に連れ込むこと自体誉められたことじゃありませんけどね」

P「あ、今週の日曜は珍しく紗南が遊びに来なかったんですよね。それまで毎週のように来てたのに」

ちひろ「本当にどうかと思いますよそういうの」

P「……いやその件は無関係ですって。帰りの車の中ではいつも通りの紗南でしたし」

ちひろ「ふーん」

P「そんな犯罪者予備軍を見るような目で見ないでくださいよ……」

ちひろ「まあ、私もPさんが安易に紗南ちゃんに手を出すとは思ってませんけど」

ちひろ「気をつけてくださいよ?紗南ちゃんだってもう14歳なんですから」

P「……まだ14歳ですよ」

ちひろ「もう14歳、です」

紗南の部屋

紗南「……攻略対象は、この子で最後」

『あたしガチのゲーマーなんだ!ね、このゲームで対戦しない?』

紗南「他のヒロインの攻略中から思ってたけど……なんかこの子、ちょっとあたしに似てるかも……」

紗南「Pさん、この子も攻略……したのかな……」

紗南「…………」

紗南「……主人公の名前、『P』にしよ」

『えへへ、よろしくねPさんっ!』

紗南「……よろしく」

『Pさん、帰りに一緒にゲーセン行こうよ!』

紗南「あたしもPさんと一緒にゲーセン行ったっけ……また、行きたいな」

『一緒にいると、あたしのゲージがどんどん上がってく感じっ!』

紗南「うん……Pさんと一緒だと、いつもよりずっと楽しくて、幸せな気持ちになれるんだよね」

『Pさんに、ずっとあたしのタッグパートナーでいてほしいな』

紗南「Pさんは……あたしとずっと一緒にいてくれるのかな」

『ね、Pさん……あたしの親密度、もうMAXだよ?』

紗南「……好きだよ、Pさん」

『あたしと、協力プレイしてくれる?』ヌギッ

紗南「あ……」

『あたしのコントローラー、Pさんに全部任せるねっ』

紗南「と、とうとうあたしと……じゃなかった。佐奈ちゃん(キャラ名)としちゃうんだ……」

『好きなボタン、押していーよ』

紗南「な、なんだろ……他のヒロインとしたときと、違う。なんか、だめ……」

紗南「まるで本当に、あたしがPさんにされてるみたいな……んっ」

『見て、Pさんのせいで、ココこんなになってるんだよ……。防水処理されてないのに……』

紗南「……ぁ……こんなの、だめなのに……」

紗南「あたしも……変に……っ」

ガチャッ


P「おーい、紗南いるかー?」


紗南「」

P「突然押しかけて悪いな。最近紗南がなんだか調子悪そうだったから心配になって」

P「物音はするのに何度もチャイム鳴らしても出ないから、寮母さんに事情話して合鍵借りたんだ」

P「あ、これちひろさんからおみやげな。それにしてもこんなに部屋暗くして、お前なに……を……」

紗南「や、ちがっ、Pさん、あの、これ、これはねっ!」

『Pさん……Pさんのアナログスティック、あたしに挿し込んでぇっ!』

紗南「」

P「」

『あ、あたまがフリーズしちゃいそう……。Pさんの、すごいよぉ……っ』

P「……紗南」

紗南「……はい」

P「……お互い言いたいことはたくさんあるだろうが、とりあえずそれ一度止めようか」

紗南「……はい」

十分後

P・紗南「「本当にごめんなさい」」ドゲザ

紗南「いやPさんは悪くないよ……あたしが出来心でプレイしちゃったのが悪かったんだし」

紗南「それに、その……そういうゲームだってわかったのに、プレイし続けたのはあたしだし」

P「いや、そもそもの原因は俺がよく確認せずにゲームを渡したせいだから、全面的に俺が悪いんだ」

P「俺がきっかけを与えなければ紗南がこんなゲームに手を出すことはなかったんだ。紗南は悪くない」

紗南「そんな……」

P「最近様子がおかしかったのも、このゲームが原因なんだろう?」

紗南「……それは、まあ、うん」

紗南「学校とお仕事以外の時間は、寝る間も惜しんでこのゲームばっかりやってたから……」

P「そ、そこまでか」

紗南「ヒロインは9人中8人までエンディング見て、最後の1人を進めてるところだったんだ」

紗南「Pさんが来るのがもうちょっと遅かったら、もしかしたら全クリ出来てたかもね?」

P「……紗南には悪いが、知ってしまったからにはこれ以上ゲームを続けさせるわけにはいかないぞ」

P「どうしても最後までやりたかったら、18歳になってからにするんだ。しかるべき年齢になってからプレイする分には俺は止めない」

紗南「うん……わかったよ」

P「よろしい」

P「……しかしあれだな。この手のゲームって、女の子がプレイしても楽しめるものなのか?」

紗南「え?」

P「いや、だって成人男性をメインターゲットにしたゲームだぞこれ。当然そういうシーンもあるし」

紗南「んー……。あたし恋愛ゲームはそんなにやったことないけど、これのシナリオはよくできてたと思うよ?」

紗南「主人公にも感情移入できたし、ヒロインの女の子たちも魅力的だし……。そのせいで最後のあのシーンで面食らったけどね」

紗南「……というかPさん、これ微妙にセクハラじゃない?」

P「あ、いや、すまん」

紗南(もっとも、そもそもの動機は別にあるんだけど……あ、そうだ)

紗南「Pさん、あたしからも一つ質問があるんだけどいい?」

P「質問?なんだ?」

紗南「Pさんはこのゲームのヒロインの中で、誰が一番タイプなの?」

P「また答えづらい質問を……うーん、これプレイしたのもずいぶん前だからなあ」

紗南「…………」

P「……ゲーマーの子かな」

紗南「!」

P「趣味が同じってのもあるんだけどな。その子のシナリオが、プレイしてて一番楽しかった覚えがある」

P「もちろんヒロイン自体もすごく可愛かったし……今覚えば、ちょっと紗南に似てる気もするな」

紗南「!!」

P「……すまん。最後の完全にセクハラだなこれ。忘れてくれ……」

紗南「う、ううん!大丈夫、全然気にしないよっ!」

P「そ、そうか?」

P「はあ……なんにせよ、紗南の様子がおかしい原因がわかってよかったよ」

P「元凶の俺が言えることでもないけど、アイドルなんだから徹ゲーとかはほどほどにするんだぞ?」

紗南「うん、そこは本当に反省してます……」

P「ならいいんだ。幸い今回は大きなミスとかには繋がらなかったし、今後は気をつけていこうな」

紗南「はい……」

P「じゃあ、俺はそろそろお暇するよ。……しっかしちひろさんにどう報告するかなこれ」

P「アイドルに18禁のゲーム貸したなんて知られたら冗談抜きで殺されるからな……なんとかそこだけは伏せて説明しないと……」ブツブツ

紗南「Pさん」

P「ん?」

紗南「帰る前に、一つだけ、お願いがあるんだけど……いいかな?」

P「ああ、今回のお詫びもあるし大抵のことなら聞いてやるけど……どうした?」

紗南「少しでいいから、目を瞑ったままあたしの話を聞いてほしいんだけど、いい?」

P「?これでいいのか?」

紗南「うん。あたしがいいよって言うまで、そのままでいてね」シュル…

紗南「Pさんには前に言ったと思うんだけど、あたしってゲーマーだからさ」

紗南「一度やり始めたゲームを、途中で投げ出すのってすごく嫌なんだ」バサッ

P「ああ、確かにそんなこと言ってたな」

P(……? 何の音だ?)

紗南「だから今回も、できれば全クリしてからPさんに返したいんだよね」

P「おい、だからそれは」

紗南「わかってる。年齢制限はちゃんと守るよ」パサッ

P「…………」

紗南「でも、それじゃあたしも我慢できないから……Pさん、もう開けていいよ」

P「おう……え?」

P「紗南……おま、なんで、服を」


紗南「ゲームの続き……Pさんが、あたしに教えてくれる?」







おしまい

お付き合いありがとうございました
あたまわるいエロゲー部分が書いてて一番楽しかったです

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