提督「今日の献立は……」赤城「何ですか?」 (137)

提督「赤城さん、そろそろ食事の時間ですね」

赤城「あ、その通りですね。今晩の献立はなんでしょう」

提督「今夜はビーフシチューですよ」

赤城「本当ですか! うふ、流石に気分が高揚しちゃいます!」

提督「ハハ、加賀さんのマネですか。じゃあさっさとこの仕事にひと段落つけちゃいましょうか」

赤城「はい! 私も気合入れます!」

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【食堂】

赤城「モグモグ……んんー! 口の中でお肉がほろほろ崩れて、そこから肉汁がジワっと……堪りません!」

提督「……」ニコニコ

赤城「煮込み方も凝ってますね、下味の赤ワインに酸味の強いやつを使っているので野菜の甘みとよくあいます!」

提督「この前の遠征で、天龍たちの部隊が手に入れることができたみたいです」ニコニコ

赤城「なるほど。あとで天龍さんたちに感謝しないと、ですね!」

提督「ええ、まったくです。……おかわりは如何ですか?」

赤城「もちろん! こんな美味しいビーフシチューをおかわりしないなんて、ビーフシチューに失礼です!」

提督「そうですか。そう言ってもらえると……」






提督「私も作った甲斐があったというものです」(割烹着姿)

赤城「あー美味しかったー! 提督は本当に料理がお上手ですね♪」

提督「もともと私も料理人志望でしたので」(軍服に着替え)

赤城「ではどうして軍人に? 提督の腕なら食堂を開いてもやっていけたでしょうに」

提督「単純な話です。私の生まれたこの港を守りたかったから。それだけのことですよ」

赤城「……ご立派ですね」

提督「いえいえ、私にできることは皆さんの帰れる場所を守ることと……」

提督「こうして、艦娘のみんなが帰った時に、少しでも美味しい料理を用意して待っていることくらいですから」

赤城「そのおかげで、私も出撃から帰るのがいつも楽しみです」ニコッ

提督「そういわれると、料理にも気合が入りますね。はい、デザートのアイスです。間宮さんのには負けるかもしれませんが、自信作ですよ?」

赤城「わぁ! ありがとうございます!」

【提督執務室】

提督「ふぅ……喜んでもらえて何よりでした」

蒼龍「それでいいと本当に思ってるんですか!」バンッ

飛龍「そうです! 提督は奥手すぎます!」ババンッ

提督「そ、蒼龍さんに、飛龍さん!? どうして執務室に……」

飛龍「提督に物申したかったからですよ!」

蒼龍「せっかく赤城さんと二人きりで食堂を出たのに、提督ったら何してるんですか!」

提督「そ、そのまま私室まで送りましたが……」

蒼龍「どーしてそこでデートの誘いの一つもできないんですかこのヘタレ提督!」

提督「へ、ヘタレ!? いや、別に私は彼女をどうこうしようと……」

飛龍「赤城さんが食事してる目の前で、あんな風にニコニコしながらジーっと見ててよく言いますよ」

提督「み、見てたんですか!?」

蒼龍「そりゃ見ますよ。今鎮守府で一番熱い二人なんですから」

提督「なんですかそのゴシップ感丸出しのワードは!」

蒼龍「とにかく! こっちはいつ二人がくっ付くのか、見ててヤキモキしてしょうがないんです!」

提督「そんなこと私に言われても困りますよ……」

飛龍「どうせ向こうも提督のことは憎からず思ってるんですから早く告っちゃってくださいよ!」

提督「んー……あー……いや、それはないと思いますよ」

二航戦「なんで!?」

提督「以前はね、私も今よりもう少しアグレッシブで、彼女を色々誘ったこともあったのですが……」

【ある日の執務室】

提督「赤城さん、今度一緒にごはんでもいかがですか?」

赤城「提督とお食事……? いいですよ。私も行きたい店ありましたので」

提督「本当ですか? なら車出しますので一緒に行きましょう!」

【バイキング会場】

赤城「んー! このから揚げ、揚げたてだとやっぱり違いますね!」パクパクモグモグ

提督「」ボーゼン

赤城「この目玉焼き、目の前で焼いてくれるだけあってアツアツです! 提督もお一ついかかです?」

提督「」ボーゼン

赤城「……もしかしてもうお腹いっぱいですか? ならこちらの麻婆豆腐頂きますね」ヒョイパク

提督(あ、間接キス……い、いかんいかん! 何ふしだらなことを考えているんだ私は!)

【回想終了】

提督「バイキングに一緒に行ったものの、あまりの健啖ぶりに話をする暇もありませんでした」

飛龍「あー……それは」

蒼龍「で、でも一緒に行ってはくれたんですよね!?」

提督「その他にもですね……」

【またある日の執務室】

赤城「提督、今度の休日ご一緒できませんか?」

提督「え、あ、赤城さんが、私とですか!?」

赤城「はいっ。……ご都合よろしくなかったでしょうか?」

提督「いえいえそんなことは! こちらこそよろしく……じゃない、お安いご用ですよ!」

赤城「ありがとうございます♪ 楽しみにしてますね」

提督「こ、こちらこそ!」

提督(よし! はからずもデートになったぞ! 今のうちに近くの店を調べておいてリードしよう!)

【当日】

赤城「今日は本当にありがとうございます提督。せっかくの休日に車を出して頂いて……」

提督「は、ハハ……気にしないでください。鎮守府の管理は私の仕事ですし」

赤城「発艦の練習に使う的が壊れてまして……本当は一人で行けたら良かったんですが、何分遠いところだったので」

提督「車を出すことくらいなんてことないですよ」

提督(だが行って帰ってくるだけでこんなに時間がかかるとは……これはもう今夜は食事に誘うのは無理だな)

赤城「あっ! 提督、向こうに美味しそうなジェラートが売ってますよ!」

提督「……そうですね、じゃあついでですし寄っていきますか(今日はこれで精一杯か、な)」

【回想終了】

提督「と、まぁこんな有り様でして」

蒼龍「そういえば最近練習用の的が新しくなってたと思ったら……」

飛龍「赤城さんが買ってきてくれてたんだ……」

提督「今までは一日かけて徒歩で通ってたらしいですよ。頭がさがるばかりです」

飛龍「てことは、提督に甘えてきてる、ってことになりませんか……ね?」

提督「うーん、距離感は縮まってきているとは思いますが」

提督「どうも花より団子……そして食い気より戦い、というような気がしますね。惚れた身で言うのもなんですが」

蒼龍「キャー! 惚れた身だって! 提督の正直者ー!」キャッキャ

飛龍「聞いてるコッチが照れちゃいますよ!」キャッキャ

提督「君たちは一体何しに来たんですか……」

蒼龍「でも提督はそれでいいんですか?」

飛龍「そうですよ。そんなこと言ってますが、告白したらきっと赤城さんも悪いようにはしないとおもいますよ?」

提督「いいんです。気づいたんですが、今の赤城さんは皆のために戦うことを選んでいます」

提督「今そこに私が告白なんてしたら、彼女の心を揺らしてしまうかもしれない」

提督「それが戦いで彼女に良くない影響を与えてしまうかもしれません」

提督「それは私の本意ではありません。皆のために戦っている彼女の姿が、私は一番好きですから」

二航戦「提督……」








蒼龍「戦っている姿が一番好きだって……! ああ、メロメロじゃないですか提督!」キャッキャウフフ

飛龍「もぅ! めっ! めっ、ですよ提督!」ヤイノヤイノ


提督「君たちもう寝なさい」

赤城さんが可愛いSSが足りない……加賀さんは多いのに何故……
ていうかめざまし赤城さんのボイス可愛すぎだろふざけんなよおおおおおおおおおお!!

そんな思いが自分にこんなSSを書かせるに至りました
でも足りない……SS内に糖度が足りないよぉ……!

最終的には新妻の赤城さんの姿が書けるようになるまで頑張りたいです
続きは出来次第またここで投下したいと思います

感想ありがとうございます
自分で調べた限り赤城さんがヒロインのSSが見つからなかったんですよね

もし知っている人がいればこっそり教えて下さい

投下します


【修練場】

赤城「すぅ…………ふっ!」シュパッ    バシッ

赤城「これで全部命中。よし、今日も上々ね」

加賀「いつもながら見事な腕前ですね、赤城さん」

赤城「加賀さん。もう出撃から帰ってきていたんですね」

加賀「今日は楽な出撃でした。この子もそれなりに頑張っていましたし」

瑞鶴「ちょっと! それなりって何よそれなりって!」プンスカ


翔鶴「まぁまあ落ち着いて瑞鶴、それは加賀さんなりの褒め言葉だから……」

加賀「相手を追撃することに必死になるあまり、自分の足元を疎かにしている時点で貴方はまだまだよ」

瑞鶴「なによぉ! 向こうの魚雷はちゃんと避けたんだから、別にいいじゃない!」

赤城「慢心しては駄目よ瑞鶴。万が一貴方が大破でもしたら貴方のお姉さんも、私も加賀さんも、なにより艦隊の帰りを待ってる提督が悲しむわ」

瑞鶴「そ、それは……! うう、そんな言い方ズルいよ、赤城さん」


翔鶴「分かったらちゃんと次回に繋げましょうね、瑞鶴。でも、それにしても……フフッ」

赤城「? どうしたんですか翔鶴。急に笑い出したりして」

翔鶴「いえその……その順番で最後に提督の名前が出てくる辺り、さすがだなぁって」ニヤニヤ

瑞鶴「あ、それ私も思った!」ニヤニヤ

赤城「ですから私と提督はそういう間柄では……」


翔鶴「それが逆に驚きなんですよ」

瑞鶴「付き合ってないって聞いた時はびっくりしたもん!」

加賀「同じ一航戦の私としても疑問ですね。いつも一緒にいるというのに何故……?」

赤城「私達は艦娘です。私達の使命は深海凄艦を一掃してこの海の平和を取り戻すこと。決して色恋にうつつを抜かすことではないはずです」

赤城「それは……きっと提督もそう思っているはずですから」


瑞鶴「えー、そうかなぁ? 赤城さんが「酔っちゃいましたぁ。提督介抱してぇ///」とか言って提督さんに抱きついたりしたら、コロッと狼になりそうな気がするけど」ニシシ

翔鶴「こ、コラ翔鶴! 不用意にそんな事言ったりしたら……!」オロオロ









加賀「……五航戦」ゴゴゴゴゴゴ


瑞鶴「ヒィ!?」

加賀「言うに事欠いて赤城さん……ついでに提督を愚弄するような発言。頭にきました。ちょっとコッチに来なさい」ガシッ

瑞鶴「ひ、ひゃああああああああたすけてしょうかくねぇえええええええええ!!!」ズルズル


翔鶴「ごめんなさい瑞鶴。ああなった加賀さんは私では止められないわ……」ナムナム

赤城「私は別に気にしてないんですけど……」

翔鶴「それでも姉として妹の失言をお詫びします。申し訳ありませんでした。……でも赤城さんは提督のこと、本当にそれでいいんですか?」

赤城「……提督は私なんかには勿体無いくらい素晴らしいお方です」

翔鶴「そんなっ」

赤城「戦いしか能が無い私よりも、きっともっと相応しい人が来てくれますよ」

翔鶴「……赤城さん、私はそういうことを聞いているんじゃないんです」

赤城「翔鶴?」


翔鶴「私は、赤城さん自身が提督のことをどう思っているか知りたいんです! 一番大切なのはそこなんです!」

赤城「それは……」

翔鶴「だってそうじゃないとおかしいじゃないですか! 折角思いの通じあった……」

加賀「そこまでにしておきなさい、翔鶴」スッ

翔鶴「か、加賀さん!? も、もうご指導は終わったんですか?!」

加賀「ご心配なく。軽くなでてあげただけです。それよりも翔鶴、それ以上はおせっかいが過ぎるというものよ」

翔鶴「で、ですが……!」

加賀「いいから、貴方の部屋で瑞鶴が待ってるから、ここにある間宮券でも渡してあげなさい。いいわね」ジッ

翔鶴「加賀さん……わかりました。それでは私はここで失礼します」ペコリ


加賀「行ったかしら。まったく、あの子も悪い子ではないのだけど……」

赤城「あの、さっき翔鶴は何を言いかけていたのかしら?」

加賀「気にしないで赤城さん。それより今夜の晩御飯は何かしら?」

赤城「! よくぞ聞いてくれました! 聞いて驚いてください! 今夜は提督特製のビーフシチューなんですよ!」

加賀「ビーフシチュー……流石に気分が高揚します。味の方はどうでしたか」

赤城「いつも通りすっごく美味しくて! お肉の加減もすごく柔らかくしあがってるんです! それに煮こまれてる野菜も、ちゃんと下味の段階からちゃんと調理がしてあってシチューなのに素材の味を殺すこと無く煮込まれてんですよ! 私ったら今日は出撃なかったのに、つい提督が進めるままに大盛りで五回お替わりしちゃいました。あ、それにですね……」ペラペラ

加賀「そう、それは楽しみね(多分そのおかわり分は提督が特別に取っておいた物だと思うのだけど)」

赤城「期待していいですよ! 本当にほっぺたが落ちそうになりましたから!
 ……あれ? 何かを忘れているような?」


加賀「気のせいでしょう。それより赤城さん、例の作戦までいよいよ3日後ね」

赤城「! そうでしたね。些事に気を取られている場合じゃありませんでした」

加賀「鎮守府全体を挙げた大規模反攻作戦……提督も他の子達もそれに向けて頑張っています。赤城さんが先ほどしていたのも、それに向けての修練だったのでしょう?」

赤城「ええ、そのとおりです。あの作戦が成功すれば、ここ一帯の制海権が一変します。またこの港町に活気が戻ります。そうすれば……」

加賀「……そうすれば?」

赤城「いえ、なんでもありません。最近できた、私だけの秘密です♪」ウフフ

加賀「ふふっ……そう、なら今度気が向いた時にでも聞かせてもらうわ」

赤城「ええ、そうね。この作戦が成功した時に教えますよ。絶対に」

>>34
×赤城「いつも通りすっごく美味しくて! お肉の加減もすごく柔らかくしあがってるんです! それに煮こまれてる野菜も、ちゃんと下味の段階からちゃんと調理がしてあってシチューなのに素材の味を殺すこと無く煮込まれてんですよ! 私ったら今日は出撃なかったのに、つい提督が進めるままに大盛りで五回お替わりしちゃいました。あ、それにですね……」ペラペラ

○赤城「いつも通りすっごく美味しくて! お肉の加減もすごく柔らかくしあがってるんです! それに煮こまれてる野菜も、ちゃんと下味の段階からちゃんと調理がしてあってシチューなのに素材の味を殺すこと無く煮込まれているんですよ! 私ったら今日は出撃なかったのに、つい提督が進めるままに大盛りで五回お替わりしちゃいました。あ、それにですね……」ペラペラ


【作戦前日・赤城の自室】

赤城「……大禍なくここまでこれた。いよいよ明日が作戦決行の日ね」

赤城「この作戦で制海権を確保できれば、少なくともここ近海は平和になる……」

赤城「そうすれば、提督が好きだった海が返ってくる。いつも美味しい料理を作ってくれるあの人に、恩を返すことができるわ」

赤城「慢心はしない、絶対に……誰一人も欠けることなく、勝利を掲げましょう!」

赤城「……ふぅ、意気込みとしてはこんなところかしら。あとは明日に備えて寝るだけ」

赤城(でも、なぜかしら……? 頭の中で何か嫌な予感が渦巻いている……)

赤城(……明日提督に打診してみましょう…………zzz)スゥスゥ


【翌日未明・執務室】

提督「ふぅ……昨日はなかなか寝付けなかったが、今日は眠気なんかみせる暇はないな。さて、最後に編成の確認を……」

コンコン

提督「(ノック? 総員起こしにはまだ早いが)……どうぞ」

赤城「失礼します」ガチャ

提督「赤城さん。一体どうしたんですか、こんな時間に。今日の総員起こしの当番は大淀ですよ」

赤城「提督、出撃前に一つだけお伝えしたいことが……」

提督「わ、私にですか!?」ドキ


赤城「ええ、どうしようか迷いましたが、考えているとどうしても寝付けなくて……」

提督「そ、それはもしや……(な、なんということだ。彼女のほうから告白? いや、まさかそんなことが……)」

赤城「もしかしたら、提督のほうもお気づきなのかもしれませんね」

提督「っ! わ、わかっていましたか……(間違いない、やはり彼女も私の気持ちに……!)」

赤城「やはり提督も察していたんですね。でしたらお話は早いです」

提督「あぁ、覚悟はできています。どうぞお話しなさい」ドキドキ

赤城「ありがとうございます。実は……」

提督「うむ……」バクバク


赤城「……連合艦隊出撃時の鎮守府への奇襲の対策についてお話ししたいと思い、提督のもとへお尋ねしました!」

提督「……へ?」

赤城「……なにかおかしなことがありましたか?」

提督「い、いやいやいやいや! そんなことはありませんよ! 敵の奇襲作戦についてですね!」

提督(ぐううううう……とんだ破廉恥な男だ、私は……)


【懸念説明後】

赤城「……以上の点から、鎮守府にもいくらかの戦力を残すことを提案したいと思います」

提督「なるほど、鎮守府近海は確かに水深が深いところもあり、奇襲することも容易な海域でしたね。失念していました……申し訳ないです」

赤城「いえ、出撃している私たちがこの海について一番詳しいのは当然ですよ」

提督「それでも、皆さんが帰ってくる鎮守府を守るのが私の役割ですからね。奇襲のことは確かに勘案すべき事態でした」

提督「そうですね……では戦艦と雷巡、それと空母をある程度残した精鋭艦隊を考えておきましょう」

赤城「あの、提督。空母に関してなんですが……一航戦と二航戦はどちらも今作戦で編成に入ってますよね?」

提督「そうなんですよね……どちらも作戦の要になる存在ですので、鎮守府防衛には軽空母を回そうと思います」

赤城「その任、五航戦の子たちを起用するのはどうでしょうか?」


提督「翔鶴瑞鶴姉妹ですか。確かに彼女たちも、ようやく実戦に慣れてきたとは思いますが……敵の規模が把握しきれない以上、錬度の面でまだ不安が残りますね」

赤城「はい。確かに彼女たちの錬度はまだ未熟です。ですが、それでも今の彼女たちならうまくやってくれるはずです」

提督「ふむ……その根拠は?」

赤城「加賀さんが……あの子たちのことを褒めていたんです。動けるようになっていたって」

提督「それは意外ですね。いつもはあんなにいがみ合っているのに」

赤城「加賀さんは彼女たちに危険な目にあってほしくないだけなんですよ」フフッ

赤城「たまに怒るときもフォローはしっかりしています。大事にとっておいた間宮券を、瑞鶴を叱った後にあげたりしてますし」


提督「厳しさは愛情の裏返し、というわけですか」

赤城「その加賀さんが彼女たちを認める発言をした……なら、私も彼女たちを信じよう。そう思ったうえでの提案です」

提督「なるほど、確かに空母たちのことは同じ空母である赤城さんや加賀さんのほうがよく知っていますね」

提督「わかりました。編成の際に一考する材料とさせていただきます」

赤城「本来編成は提督の仕事なのに、さしでがましいような真似をして申し訳ありません」

提督「いえ、気にしないでください。赤城さんの戦略眼はいつも頼りにしていますので」


赤城「そんな……ありがとうございます♪ それでは私は以上で失礼いたしますね」ニコ

提督「はい、それでは……ああ、そうだ」

赤城「どうしましたか提督?」

提督「明日の作戦が終わったら、今度は私の作った肉じゃがをご馳走します。だから、絶対に無事で帰ってきてくださいね」

赤城「て、提督の肉じゃが……! ほんとうですか!? わかりました! 一航戦赤城、必ず艦隊全員を無事に帰還させます!!」ビシッ

提督「ふふ、私も腕によりをかけてつくりますよ」

今回はここまでです
後、二三回くらいの投下で一旦の終わりまで行けそうです

書いてて気づきましたがこの二人は付き合いでもしない限り、イチャイチャなんざ逆立ちしても無理ですね
甘いのをご希望の方は二人が結ばれた後にご期待ください

それではまた次回の投下をお待ちください


乙と感想ありがとうございます

今回の投下では独自設定に基づく描写が少し出ます
艦これの世界観を損なうものではない、と判断した上での描写です
予めご了承ください

……と、その前に修正を一つ

>>31
×翔鶴「こ、コラ翔鶴! 不用意にそんな事言ったりしたら……!」オロオロ

○翔鶴「こ、コラ瑞鶴! 不用意にそんな事言ったりしたら……!」オロオロ

では投下します


【作戦中・鎮守府食堂】

提督「今頃、赤城さんたちは敵の哨戒部隊と交戦している頃ですね」グツグツ

鳳翔「そうだと思います。でも提督、艦隊の指揮は大丈夫なんですか? いくら彼女たちが一人で戦術判断ができると言っても、進撃判断は提督しかできませんよ」トントンサクサク

提督「左耳にハンディカムをつけていますので、交戦終了後の帰投判断は料理をしながらでもできます。もし有事になったら、その時はこの場は鳳翔さんに任せたいと思いますが……」シオパッパ

鳳翔「そういうことでしたら心配いりませんね。なら遠慮なく赤城さんのために美味しい肉じゃがを作ってあげてください♪」ハイドウゾ

提督「……やっぱりバレてますかね?」アリガトウゴザイマス

鳳翔「それはもう♪ 本人以外、鎮守府のみんなは全員知っていると思いますよ」フフフ

提督「うーん……由々しき事態だ」




ドゴォオオオオオン!!



提督「っ!? この音は……爆撃音!」


鳳翔「港の方から聞こえました!」

ガチャ!

大淀「提督! 敵の奇襲です! 鎮守府近海に突如敵の大部隊が出現しました! 現在敵は観測機を攻撃して、鎮守府に向けて直進をしている模様!」

提督「やはり来ましたか……ですが寧ろ好都合です。今朝、艤装待機を伝えた6名に出撃命令を! 次いで援護部隊に艤装の着用を命じます!」

大淀「了解です! 直ちに出撃させます!」


【出撃ドック】

瑞鶴「ほ、本当にやって来た! しかもあんな大部隊!」

翔鶴「提督の判断は正しかったのですね」

木曾「艤装待機はこのためだったか!」

山城「本隊が出払ってる時に攻めてくるなんて……!」

北上「でも、コッチも準備していおいてよかったねー」

大淀『待機中の部隊に命じます。ドック開放後直ちに出撃し、鎮守府に侵攻する深海棲艦を迎撃してください』


扶桑「こちら扶桑、了解しました。第三艦隊、出撃いたします」

山城「さぁ皆! 抜錨ですよ!」

翔鶴「……瑞鶴、やれるわね?」

瑞鶴「当然! 鎮守府に近づかれる前に、アウトレンジで全部叩き落としてみせるわ!」

扶桑「提督の事前の言いつけ通り、今回は五航戦を基軸にした輪形陣で迎え撃ちます。各員対空戦の準備を!」

全員「了解!」


【数刻後・執務室】

提督「……こんな近くで艦娘たちが戦っているというのに、私は見守ることしかできないとは。歯がゆいですね」

大淀「そんなこと言わないでください。彼女たちは提督を含め、この街にいる人たちを守りたくて、命を懸けて戦っているんですから」

鳳翔「その通りです。それに、みんな提督の食事を楽しみにしているんですから、そちらを疎かにしちゃ駄目ですよ?」

提督「ハハハ、そういわれたらどうしようもないですね。ただ、肉じゃがの方はもう殆ど、完成しかけているので、もう煮込むだけなんです」

鳳翔「あら、じゃあ後はみんなの無事を祈るだけですね♪」

提督「大丈夫です。この鎮守府の艦娘は必ず勝って帰ってきますよ。私の仕事は彼女たちが帰ってくる場所、この鎮守府を守ることです」

大淀「それが終わったら……もうそろそろ良いんじゃないですか?」


提督「……何のことですかね」

大淀「もう! 朴念仁のフリするのはやめて下さい! 自分でもう惚れてる自覚があるのは知ってるんですよ!」

提督「なっ……! その話はどこから!?」

大淀「艦娘たちの噂話の速さを舐めたら駄目ですよ? みんな年頃の女の子なんですから」フフッ

提督「二航戦ですね……まったく。まだ深海棲艦の脅威は残っているんです。私一人が色恋にうつつをぬかす状況ではないんですよ」

鳳翔、大淀「もー! 分からず屋!」


提督「なんと言おうと、今の私は彼女に告白する気は……」

ブ、ブウウウウウウン

提督「……この音は、まさか!?」

大淀「っ! 電探班より入電! 敵、艦載機がこちらに向かっています! そんな、まさか特攻戦術!?」

鳳翔「そんなバカな……! 深海棲艦がそんな戦法を取るなんて聞いたことないわ!?」

大淀「突撃の進路に執務室が含まれています! 提督、早くお逃げください!」

提督「……どうやら、少し遅すぎたようです」



ブウウウウウウウン!!!

大淀「もうこんな近くに!」

鳳翔「提督! 逃げて! 早く逃げてぇ!」







ドンッ!


鳳翔(えっ……?)

大淀(私たち、押されて……)

大淀(……そして、次の瞬間。私たちの目の前をまばゆい光と轟音が包み込んで……)

鳳翔(……静寂と暗闇が次に訪れました)




【それより数分前・鎮守府近海】

戦艦棲姫「無念、ダワ……! デモ、タダデハ沈ンデアゲナインダカラ……!」轟沈

瑞鶴「や、やった……倒した! 見てた翔鶴姉! 私たち敵の主力部隊を倒したよ!」小破

翔鶴「ええ! こちらも無傷とは行かなかったけど、なんとか倒せた……!」中破

扶桑「皆さん、本当にお疲れ様です。……鎮守府でみんなが待ってるわ。帰りましょう♪」小破

北上「帰ったら入渠でゆっくりしたいなぁ」中破

木曾「いや……待て! あそこを見ろ!」小破

ブゥウウウウン!!

山城「敵の艦載機! まだ生き残りがいたの!?」中破


扶桑「くっ……ここからだともう届かないわ! 五航戦の二人はやれますか!?」

翔鶴「ご、ごめんなさい! 甲板の被弾が激しくて、発艦できません!」



瑞鶴「私がやるわ!」

翔鶴「瑞鶴っ、貴方、怪我は大丈夫なの?!」

北上「そ、そうだよ! さっきの戦いのダメージも残ってるのに」

瑞鶴「ギリギリ発艦できそう! それに一航戦も二航戦も、みんな頑張ってるのに、私だけ弱音なんか吐いてられない!」

瑞鶴「艦載機のみんな! お願い、私にあと少しだけ力を貸して!!」シュパッ



ババババババッ!


瑞鶴「や、やった! 当たった!」


木曾「よしっ! これで敵も全滅……」




ブ、ブウウウウウウン!!!!



扶桑「そんな、被弾してなお動きを止めないなんて!」

翔鶴「まっすぐ鎮守府の方に進んでいるわ!」

瑞鶴「も、もう一回当てれば……」スカッ



瑞鶴「……こんな時に弾切れ?! 嘘でしょ!?」

山城「ま、間に合わないわ!」



瑞鶴「や、やだ………………やめてえええええええええ!!!」


【直後・反攻作戦海域】

赤城「最後です……第一攻撃隊の皆さん、お願いします!」ヒュパッ!



ババババババババッ!!



空母棲姫「……マタ、沈ム……? デモ、コレデイイ、私ハ、コレデ……」轟沈



蒼龍「や、やったぁ! 倒せた! 倒せたよぉ!」

赤城「これで……全部ね」


加賀「お疲れ様です赤城さん」

赤城「加賀さんも、二航戦の二人も、部隊の皆さんもお疲れ様です。これでこの海域も制圧することが出来ました」ペコリ

比叡「それでは私は、鎮守府に連絡をとります! ふっふふー♪ 提督も鼻高々ですね!」


蒼龍「あーあ、MVPは赤城さんにとられちゃったかぁ……でも、これで提督に褒めてもらえますね! せっかくですし、撫で撫でしてもらいましょう!」

赤城「……わ、私はそのような私的な理由で戦ったわけではありませんので」

飛龍「頑張ったのは事実じゃないですか! 頭を撫でてもらうくらいおねだりしても全然いいと思いますよ」

赤城「く、駆逐艦の子たちはそうかもしれませんけど。私は正規空母です!」

蒼龍「ふぅーん? へぇー……? 赤城さんは別に頭撫でてもらわなくていいんだ? じゃあ私が代わりに撫でてもらっちゃおっかなー」


飛龍「あっ! 蒼龍だけズルい! 私だって撫でてもらうんだから!」

加賀「……そうね、なら私も同伴に預かろうかしら」

赤城「加賀さんまでそんな……! も、もう! MVPをもらったのは私ですよ!」

蒼龍「ぷっ……アハハハハ! やっぱり撫でてもらいたいんじゃないですか赤城さん!」ニコニコ

加賀「嘘をつくのはよくないわね」フフ

飛龍「我慢は体に悪いですよ。あ・か・ぎ・さん♪」ニコー

赤城「うう、うまく丸め込まれたような気がします……」




「そんなバカな!」「信じられないです!」ザワザワ


加賀「……通信班が騒がしいわね。何かあったのかしら」

比叡「その報告は本当なの!? 冗談ではすまされない内容ですよ!!」

吹雪『冗談でこんなこと報告しません! それに……冗談ならどれだけいいか……』ザザザ…

赤城「どうしたんですか? なにか物々しい感じのようですが……」

比叡「あ、赤城さん……! いえ、これはその……」


加賀「報告する内容があるなら、簡潔にはっきりと言ってちょうだい」ジッ

比叡「ひ、ひええええ……ほ、報告します! 連合艦隊出撃後、鎮守府近海に深海棲艦の侵攻を確認! 直ちに扶桑、山城、北上、木曾、瑞鶴、翔鶴からなる迎撃部隊を発艦させ、敵主力部隊を壊滅させました!」

飛龍「わ! 赤城さんと提督の予想通りになった! でも五航戦の子たち、まだ入って日が浅いのに凄いなぁ」

加賀「二人とも優秀な子たちですから。特に褒めるべきことでもないわね」

蒼龍「もー、加賀さんも素直じゃないなぁ」



比叡「……その後、敵艦載機一機の残存を確認され、瑞鶴の攻撃により動力部を破壊することに成功。しかし……」

赤城「……しかし?」

比叡「し、しかしながら敵艦載機は特別攻撃を強行、敵艦載機は鎮守府の提督執務室に直撃を確認され……室内にいた大淀、鳳翔は大破……! そ、そして……」





比叡「提督は爆発に巻き込まれ、現在意識不明の重体……とのことです!!」



蒼龍「う、嘘でしょ……!!」

飛龍「意識不明だなんて……そんな!」



赤城「…………」











赤城「……え?」





今回の投下はここまでです

個人的に今日の投下が書いてて一番筆が乗りました(にっこり)
尻切れトンボ的な終わり方をしてしまいましたが致し方ありませんね(愉悦)

とはいえまぁバッドエンドは>>1の望むところではありません
今回の投下は来るべきデレの前準備といったところです

それでは次回の投下をお待ちください

投下します


【鎮守府廊下】

蒼龍「普段使わない医務室が、まさかこんな時に使われるなんて……」

飛龍「とにかく提督の所に行かないと!」

加賀「たしか医務室は廊下の一番奥だったわね。急ぎましょう」

赤城「…………」

ガチャ

瑞鶴「あっ……」

翔鶴「み、皆さん……」


加賀「五航戦。貴方たちも来ていたの。話したいこともあるけど、ひとまずそこを通してくれるかしら?」

翔鶴「は、はい。どうぞ」スッ

瑞鶴「…………ごめんなさい」グスッ

蒼龍「ず、瑞鶴?」

瑞鶴「赤城さん……ごめんなさい! 私があの艦載機を落とせてたら、今頃提督は……!」

赤城「瑞鶴さん……貴方は何も悪くないわ。自分にできることをしただけじゃない」


瑞鶴「違う……違うよ! 私が未熟だったからあいつを止められなかったの! ……加賀さんが言った通りだった。私、全然強くなかった。そのせいで提督が……むぎゅっ!?」

加賀「自分を不必要に責めるのはやめなさい、瑞鶴。……誰も救われないわ」ナデナデ

飛龍「か、加賀さんが……」

蒼龍「瑞鶴を抱きしめて頭を撫でてる……!?」

加賀「貴方はよくやったわ。私の自慢の後輩よ。だからもう、それ以上自分を傷つけるのはやめなさい」ナデナデ

瑞鶴「……ッ! ふぐっ……か、加賀さん……加賀さん……!」ギュッ

加賀「赤城さん。この子たちは私が預かります。貴方は提督をお願いします」

蒼龍「私たちもここで待ってるから」

飛龍「赤城さん、あとは一人でお願いしますね」

赤城「加賀さん、二航戦の二人とも……ありがとうございます」ペコ


【医務室】

赤城「一航戦、赤城。入室します」ガチャ

大淀「赤城さん……任務直後のところすみません」

赤城「大淀さんも、大破されたのに大丈夫なのですか?」

大淀「私と鳳翔さんは艦娘なので、高速修復材で何とかなりました。でも、生身の人間の提督は……」

赤城「……提督の意識はまだ戻られないんですか?」

大淀「はい。街のお医者様に見てもらいましたが、病院の空きが出来次第すぐに搬送されるらしいです」


赤城「深海棲艦の影響で病院も満杯ですから、それは仕方ないですね……」

大淀「……申し訳ありませんでした。赤城さん」

赤城「……今日はいろんな人に謝られる日ですね。でも、大淀さんは何も悪くないじゃないですか」

大淀「本来なら艦娘の私が、身を呈してでも提督をお守りするべきだったんです。なのに、私は逆に提督に助けられる無様を晒して……!」


赤城「……大淀さん」

大淀「は、はい……」



ナデ

大淀「っ!」


赤城「提督は出撃から帰ってくるみんなの大破した姿をみて、いつも悲しそうな顔をしていました。あの人はそういう人なんです。きっと大淀さんたちを庇ったときも、そこになんの打算もなくて……勝手に体が動いたんだと思います。だから、大淀さんは悪くないです」

大淀「…………ありがとうございます」グスッ

赤城「それで、提督はどちらにいるの?」

大淀「一番奥の左側のベッドです。あの……私、少しだけ部屋を外しますね。先の件で大本営に報告しなければならなくなったので……」

赤城「わかりました。それが終わったら、今日はゆっくり休んでください」

大淀「……了解です。それでは、私はこれで」ペコ


スッ

赤城「……提督」

提督「…………」


赤城「大怪我したって話……聞いたときは素直に信じられないぐらいショックでしたけど、改めてその姿を見ると、やっぱりショックですね」

提督「…………」


赤城「提督はいつも早起きで、寝顔をいつか見てみたい、なんて思ってましたけど……まさかこんな形で見ることになるなんて思いませんでした」

提督「…………」


赤城「……っ、わ、私もういきますね! 絶対、意識戻るって信じてます! そうしたらまたお話ししましょう! 美味しいもの食べに行きましょう! ……で、では赤城、これで失礼します!」

タッタッタ……



提督「…………」


【食堂】

蒼龍「あ、あの……鳳翔さん。お怪我は大丈夫なの?」

鳳翔「蒼龍ちゃん、ありがとう。修復材のおかげで全然平気。こういう時は艦娘の我が身がありがたく思うわ」

蒼龍「それで、今日のメニューは?」

鳳翔「今日のメニューは……提督が作った肉じゃがです」

飛龍「そ、それってもしかして……!」

鳳翔「鎮守府のみんなの為に提督が丹精込めて作った物なの。だから、お願い。味わって食べて」

蒼龍「で、でも……」

飛龍「今日、あんなことがあったばかりで……」


赤城「そんなこと言わずに食べましょう。二人とも」

飛龍「あ、赤城さん!?」

蒼龍「も、もう戻られてたんですか! て、提督はどうでした?」

赤城「あまり良くはないわ。でも、こうしてる間に深海棲艦の脅威は残ってる。なら艦娘として私たちはしっかり補給をしないと。提督がいない時に、空腹で倒れたらあの人にも申し訳ないでしょ?」

飛龍「それは、そうですけど……」

蒼龍「そんな簡単には、割り切れないです!」

赤城「そうね。貴方たちにも同じことをしろ、なんて言えません。でもせめてご飯は食べなさい。それは艦娘としての任務よ。……あ、鳳翔さん、肉じゃが大盛りでお願いします」

鳳翔「は、はい! ただいま!」



蒼龍「はぁ……強いなぁ赤城さん」

飛龍「提督が倒れて一番ショックなの赤城さんだと思ったけど、そうでもないのかな?」


赤城「いただきます」モグッ

赤城(っ! スゴイ! 箸でつまむ時は形が崩れないのに、口に含んだ途端にホクホクのイモからおツユがでてくる……!)

赤城「お、美味しいです、ていと……!?」

赤城(や、やだ……何言っているのかしら、私。だって提督は今……)



赤城(そうか……提督、居ないんだ)

赤城(考えてみたら、私が食事するとき、いつも提督は私の前で一緒に……)

赤城「…………」ジワッ

赤城(っ! ダメよ赤城! 提督が倒れてしまったなら、その場所を守るのが私の役目じゃない!)ゴシゴシ!

赤城(泣いちゃダメ。あの人が帰ってくるのを、鎮守府のあの部屋で笑顔で迎えてあげないと!)


加賀「……………………」ジッ


【一ヶ月後・執務室】

吹雪「失礼します」ガチャ

赤城「あら、吹雪さん。報告かしら?」

吹雪「はい! こちらが遠征の報告書と、その結果を纏めたものになります!」スッ

赤城「いつも丁寧な報告にしてくれてありがとうね、吹雪さん。本当なら提督代行の私がする仕事なのに……」

吹雪「そんなっ! ただでさえ赤城さんは出撃と提督の執務を兼任してるんですよ! 少しでも赤城さんの負担を軽くしなきゃって……それで……」

赤城「ありがとう、吹雪さん。おかげですごく楽になっているわ」ナデナデ

吹雪「……あの、せめて出撃任務だけでも無くすことは出来ないんですか?」


赤城「それは出来ないわ。執務とは別に、空母機動部隊の穴を開けないこと。それが大本営が出した、後任の提督を受けずに、私が提督代行を続ける条件なんだから」フルフル

吹雪「で、でも! このままじゃ赤城さんが倒れちゃいます!」

赤城「私は大丈夫よ♪ 執務だって手隙の子達が手伝ってくれているし」

吹雪「それとは別に、提督のいる病院にも毎日通ってるのだって知ってるんですよ! みんな心配してます! 赤城さん、いつ寝てるんだろうって……!」

赤城「あ、あら……それもバレてましたか」モジモジ


赤城「でもね、それだって私のワガママなのよ。あの人が起きた時に、一番最初に見る顔が私だったらいいな、って。そんなちっぽけなワガママ……」

吹雪「で、でも……」

赤城「さ、そろそろ次の仕事をしないと。吹雪さんも、そろそろ食事の時間でしょ?」

吹雪「……失礼します」ペコッ!


【執務室前廊下】

吹雪「はぁ……」

白雪「吹雪ちゃん、どうだった?」

吹雪「ダメだったよ……。提督のことを出されたらそれ以上何も言えなくなっちゃった」

白雪「加賀さんが毎日説得してもダメだったって言うもんね。私たちが言っても今更なのかも……」

吹雪「でも、このまま本当に赤城さんが倒れちゃうよ!」

白雪「うーん、どうしたらいいんだろう……」


加賀「…………」


【また一ヶ月後・任務海域】

瑞鶴「加賀さん! そっちに敵艦載機、二時の方向!」

加賀「了解……!」シュパッ

ズガガガガガッ!

駆逐イ級「…………!」

ゴオオオオオオオ

加賀「っ、赤城さん! そちらに水雷が行きました! 回避を!」



赤城「……………………」ウツラウツラ

加賀「赤城さん……!?」


ドゴォオオオオオン!

赤城「きゃあああああ!!」大破


瑞鶴「くっ……! このぉ!」ヒュパッ!

ズガッ!

S勝利!

瑞鶴「よし……こっちは大丈夫!」


加賀「赤城さん、大丈夫ですか!」ザザッ

赤城「加賀、さん……ごめんなさい、油断、しちゃいました。でも、大丈夫です。航行できます……!」

加賀「言わないことじゃありません! 当たりどころが悪かったら轟沈もあり得ましたよ!」

赤城「…………ごめんなさい」


加賀「……赤城さん。ここ最近、いつちゃんと寝ましたか?」

赤城「ちゃ、ちゃんと休憩は取っています!」

加賀「質問に答えてください。いつ寝ましたか?」ジッ

赤城「……………………」

加賀「私たちが倒れたら提督が悲しむ。貴方がいった言葉です。その言葉を、貴方が守らないでどうするんですか!」

瑞鶴「そうだよ! 今の赤城さんを提督さんがみたらきっと悲しむよ!」

赤城「……ごめんなさい。それでも……それでも、私は守りたいんです。あの人が育った海を、あの人の居る鎮守府を」

加賀「赤城さん……!」

赤城「……申し訳ありません、撤退しましょう。今回は私の失態です。全艦回頭をお願いします」


【鎮守府】

白雪「赤城さんが、任務中に大破して入渠中!?」

吹雪「やっぱり無茶してたんだよ! もう私見てられない!」ダッ

蒼龍「ちょ、ちょっと吹雪ちゃん! どこに行くの!?」

吹雪「大本営に伝えるんです! 後任の提督の着任を申請したいって!」ジワッ

飛龍「……私たちもそうしてあげたいけど、今の時点での提督代行が赤城さんだから、彼女の署名がないと。艦娘の私たちの独断でそれは出来ないわ」フルフル

吹雪「でも、このままじゃ赤城さん、本当に死んじゃいますよぉ……!」グスグス


白雪「……あの、提督はまだ意識が戻らないんですか?!」

翔鶴「お医者さんが言うには、もう戻ってもおかしくない、後は提督自身の心の戦いだ、って……」

吹雪「そんなの待ってたら、今度こそ赤城さんが沈んちゃいます!」


ガチャ

加賀「…………」

飛龍「加賀さん?」

加賀「みんなに、辛い話があるわ」


【数十分後・執務室】

赤城「ふう、高速修復剤のお陰で直ぐに執務に戻れるのはありがたいわね…………っ」クラッ

赤城「も、もう少しよ……提督が帰ってくる日まで、この鎮守府を……この海を守らなくちゃ……」


ガチャ


加賀「……失礼します」

赤城「加賀さん、一体どうされました?」








加賀「提督が……亡くなりました」


赤城「え?」



加賀「…………」

赤城「……うそ、ですよね?」





加賀「…………」

赤城「も、もう! 加賀さんったら! いくらなんでも言っていい冗談とダメな冗談がありますよ!」アハハ






加賀「…………」

赤城「だ、だって! 昨日まで提督はちゃんとベッドで眠ってたんです! それが昨日の今日でそんなこと……!」





加賀「…………」


赤城「…………」






赤城「ほ、本当なんですか……?」


加賀「…………鎮守府の正門に、タクシーを用意してあります。私は諸連絡を済ませてから直ぐに向かいます」

赤城「……っ!」ダッ



【病院・103号室】

ガチャ!

赤城「はぁ……はぁ……」





吹雪「提督……目を開けてください! お願いです!」ポロポロ

蒼龍「提督! 提督ぅ……!」

飛龍「これじゃ赤城さんがあんまりです……!」グスグス


赤城「てい、とく……」


蒼龍「あ、赤城さん……」グスッ

飛龍「……私達、一旦失礼しますね」スッ





赤城「提督……」

提督「…………」


赤城「酷い、ですよ……私、提督が帰ってくるって信じてて……だから提督の代わりに……」

赤城「辛かったけど、提督がこの鎮守府に戻ってくるときに、何の苦労もなく帰ってこれるように……!」


提督「…………」


赤城「みんな心配してくれて、でも頑張れば提督に褒められるって、そう思ったから頑張ったのに……」ジワッ

赤城「全部……台無しじゃないですか!」ボロボロ


提督「…………」


赤城「……提督。私、まだ貴方に何も伝えられていないんですよ」

赤城「前の作戦で私、MVP取ったんです。本当は真っ先に貴方に伝えたかったです。頭を……なでて欲しかったです」

赤城「肉じゃがが美味しかったことも……また今度一緒にお店に行きたいってことも……言えてないんです」

赤城「ほ、本当は……」










赤城「本当は、貴方のこと……好きだってことも……!」



赤城「え、えへへ。驚きましたか? 私、提督のこと、大好きなんですよ?」

赤城「貴方のはにかんだ笑顔が、仕事をしている時の横顔が、料理を作っている時の背中が……大好きなんです」

赤城「貴方の作るご飯が……一番好きなんです……!」ボロボロ


赤城「だから、お願いです! 起きてください! 提督……提督!」ポロ…ポロ…


提督「…………」





提督「あか、ぎ……さん……?」


赤城「…………」


赤城「提督……?」




提督「どうし、たんですか、赤城さん……なんで、泣いているんです?」




赤城「提督……提督……! 提督……!!」ガバッ

提督「う、うわっ! 赤城さん! ど、どうしたんですかいきなり!?」



赤城「提督だ……! 本物の、提督です!」ギュウ…ッ!


提督「あ、あの赤城さん。恥ずかしいので、少し離してもらうことは
   『いやです!』 
   あ、はい……」



赤城「ふふふ……大好きです、提督」ギュゥゥゥ!!

提督「え、ええ!?」

赤城「提督は……私の事、お嫌いですか……?」ジワッ



提督「い、いえ! そんなことはないですよ!?」

赤城「じゃ、じゃあ……好きですか?」

提督「そ、それは……!」



赤城「…………」ウルウル


提督「…………」

提督「…………」フゥ




提督「……大好き、です」

赤城「……!」パァッ



赤城「嬉しいです! 提督!」ギュウッ

提督「う、うわわ! 赤城さん! 苦しいです! ぐるじい……!」バタバタ


【病室外廊下】

蒼龍「ひゃあああ……すごい情熱的!」ヒャアアアア

飛龍「やっぱり告白はこうじゃなくっちゃね!! ねっ!」キャーキャー

吹雪「お二人とも素敵な告白でした……!」ハワワワワ



加賀「どうやらうまく行ったみたいね」

吹雪「加賀さん! それはもう、大成功でしたよ!」

蒼龍「でもよく思いつきましたね、赤城さんに本音を言わせて提督を目覚めさせるなんてアイデア!」


加賀「提督はいつ目覚めてもおかしくない状態でした。なら愛する人の言葉が、一番の精神的ショック療法になるのでは、と」

飛龍「それにしてもギリギリなアイデアですよ! 提督が目覚めたら良かったようなものの……」

加賀「その意味で、皆さんにとっては辛い提案でした。どちらにしろ、二人には謝らないといけないけども……」

吹雪「その時は、私もついていきます!」

蒼龍「もちろん!」

飛龍「私だって!」

加賀「皆さん、ありがとうございます……ですが、実を言うと私は最初から信じていたんです」

飛龍「何をですか?」



加賀「提督のことを好きな赤城さんと……赤城さんのことが好きな提督のことを、です」



タタタタッ

青葉「ども! 恐縮です! 青葉です! 提督が目覚めたという知らせを聞いて飛んできました! 早速一枚と一言をば!」カチャ…

蒼龍「わわわ! ま、待って! 今はまだ入っちゃダメだって!」ガシッ

青葉「な、なんでですか!」ジタバタ

加賀「提督に一言貰いたいなら、それは駄目だけど……それよりももっと大きなスクープならあるわよ、青葉」

青葉「ほえ? なんですか、それって」

飛龍「へっへへー。明日の一面の見出しはもう決まりだよ!」




吹雪「『提督さんと赤城さん、祝・ケッコン!』 ですね!」


と、言うわけでここまで今日の投下はここまでです!
ちょっとだけ長くなってしまいましたが、なんとかひとまずの区切りまで終わらせることが出来た感じです


そんなわけで、次からは正妻空母・赤城さんと提督の鎮守府生活をお送りしたいと思います
>>1の拙文でどれだけ糖分を添加できるか不安ですが、次回の投下をご期待ください

それでは今夜はこのあたりで


《加賀「何をおいても、まずは謝りに行きましょう」》

赤城「それじゃあ、あの時の言葉は私を提督に告白させるための嘘だったってことですか!?」

加賀「本当に申し訳ありません。赤城さんにも提督にとっても、一歩間違えたら取り返しのつかないことになりかねませんでした……」

吹雪,蒼龍,飛龍「「「申し訳ありませんでした!」」」

赤城「あ、頭を上げてください皆さん! 私は全然怒ってないですから!」

提督「私はその時のことを見ていないので、怒ることもできません。何より感謝こそすれど、加賀さんたちを怒る理由なんて私にはありませんよ」

赤城「提督もこう言ってますし、気にしないで下さい。加賀さん」

加賀「……ありがとうございます」

赤城「それに……私は信じてますから」


加賀「……?」

赤城「私と提督のことを信じてくれる加賀さんのこと、信じてますから」ニコ



加賀「赤城さん……!」ジワッ

提督(加賀さんが涙声!?)

加賀「……提督」

提督「は、はい! なんでしょう!」




加賀「赤城さんを泣かせたら……分かってますね?」ニコッ

提督(加賀さんが笑顔!!?)ゾワッ


《赤城「提督を起こしにいきます!」》

赤城「提督! 起きてください! 慢心すると遅刻です!!」ユサユサ

提督「zzz……」ムニャムニャ

赤城「提督! 提督ー!!」ユサユサッ



提督「ぅうーん、あ……赤城さん……」ギュ

赤城(ひゃっ! わ、私の手を提督が握って……!?)

提督「zzz……」

赤城(提督の手……大っきくて暖かい……)

提督「赤城さん……」スヤ

赤城(寝顔も可愛いなぁ……)


?30分後?

提督「zzz……」

赤城「ふふふ、提督ー」ツンツン

提督「う、ん……ムニャ」ムニムニ

赤城(…………)

赤城(お、面白い……!)


提督「あ、赤城さん……zzz」

赤城「はい♪ 赤城はここにいますよ??」ギュッ


?2時間後?

加賀「……で、提督の寝顔を見ていたら起こすのも忘れ、二人揃って遅刻したと?」

赤城「ご、ごめんなさい!」ドゲザー

提督「申し訳ありません!」ドゲザー

加賀「はぁ……先が思いやられるわね。そもそも……」


赤城「ま、待ってください! 提督は悪くないんです! 提督の寝顔に見惚れて起こせなかった私が悪いんです!」

提督「そんな、赤城さんは悪くないです! 赤城さんの手が柔らかくて暖かくて、起きる気になれなかった私が悪いんです!」

赤城「そんなことありません! 提督の手の方が暖かかったです!」

提督「謙遜はやめてください! 赤城さんの方が暖かいし、握ってて安心できました!」

赤城「そ、そんな提督、そういう言い方されると少し恥ずかしいです……」

提督「あ、ご、ごめんなさい!」




加賀「…………」イラッ


~数十分後~

ガチャ

加賀「…………」

瑞鶴「加賀さん、お疲れ様です」

加賀「瑞鶴、壁を」

瑞鶴「はい」板を構える



加賀「破ぁーーー!!」ドゴッ



翔鶴「あ、厚さ30センチのコンクリート板を素手で……!?」

吹雪「神戸生まれってすごい、改めてそう思いました」


《鳳翔「料理の修行、ですか?」》

赤城「はい、提督もまだ退院したばかりで本調子じゃないので、おかゆのような消化にいいご飯を作ってあげたいと思いまして」

鳳翔「あ、あの赤城さんが、誰かのために料理を作る日が来るなんて……」クラクラ

赤城「そ、そんな言い方ないじゃないですか!」プンプン

鳳翔「ふふ、冗談ですよ。誰かのために料理を作るって、とても素敵なことなんですから。じゃあまずはお米を用意しましょうね」


赤城「あ、それはもうこちらに!」米俵どーん

鳳翔「赤城さん基準の量じゃダメですよ!?」


~暫くして~

赤城「完成です!」

鳳翔「まさか作りながらつまみ食いをすることで丁度いい量にするとは……」

赤城「さっそく提督のところにお運びしてきます!」

鳳翔「きっと喜んでもらえますよ♪」


【執務室】

提督「こ、このおかゆを私にですか!?」

赤城「はい♪ 冷めないうちにお召し上がり下さい」


提督「あ、赤城さんが私のために料理を作ってくれるなんて……」クラクラ

赤城「もう! 提督酷いですっ!」プンスカ

提督「あはは、冗談です。とても嬉しいですよ。では、さっそく頂きますね」


赤城「はい……どうぞ!」

提督「……赤城さん? スプーンを渡してもらわないと食べられないのですが?」



赤城「……あ、アーン」

提督「っ、そ、それは……!」

赤城「は、早く食べてください。私も少し恥ずかしいんですから!」


提督「あ、は、はい! アーン……あちゃ、あつつつつ!」

赤城「あぁ、ごめんなさい! 冷ますのを忘れてました!」

~また暫くして~

赤城「ふぅふぅ……はい、アーン」←慣れた

提督「あ、アーン」←まだ慣れない

赤城「ふふふ、顔赤くした提督も可愛いです♪」

提督「あ、赤城さん!」

赤城「うふふ♪」


提督「あ、赤城さんは一口どうですか?」

赤城「えっ、わ、私ですか!?」


提督「お腹空いてませんか?」

赤城「私は作りながら少しつまんだので……」グ~


提督「……無理はよくないですよ?」

赤城「そ、それでは一口だけ」


提督「はい、それじゃスプーンを貸してもらって……アーン」

赤城「ふぇっ!? 私もですか?!」

提督「私も赤城さんに食べさせてあげたいんですよ」


赤城「じゃ、じゃあ……アーン♪」


【廊下】

吹雪「…………」

瑞鶴「あら、吹雪。なんで執務室の前で突っ立ってるのよ。報告は終わったの?」

吹雪「…………終わるのを待ってるんです」

瑞鶴「……なにを?」



吹雪「赤城さんと提督の、食事と称したイチャコラが、ですよ」

瑞鶴「あっ……」

吹雪「瑞鶴さん、終わったら一緒に喫茶でも如何ですか?」

瑞鶴「……一杯奢るわ」


今回はここまでです
後何回かはこんな感じでオチのない話が続きます、お許し下さい!


ではでは、お読み下さりありがとうございました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年07月13日 (月) 01:53:58   ID: Pgd0VYN0

良かった

2 :  SS好きの774さん   2015年07月13日 (月) 05:37:06   ID: lHOCYi7J

サッカリン吐きそう

だが、それが良い

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