モバP「だりやすかれんの星に願いを」 (21)



―――泰葉のハウス


李衣菜「――久しぶりだね、お泊り!」

泰葉「ふふ、うん。久々に賑やかな夜になりそう」

李衣菜「オフが重なってよかったねっ」

泰葉「ええ♪」

加蓮「やっぱり泰葉の部屋落ち着く~」ゴロゴロ

李衣菜「いや、加蓮はくつろぎすぎでしょ……ん? なに書いてるの?」

加蓮「短冊だよ。もうすぐ七夕だしね」

李衣菜「あぁ、そういえば。見せて見せてー」

加蓮「んー」ピラッ


『はっぴーばーすでーりーな!』


李衣菜「願い事じゃないし!? あ、え、えっと……ありがと、う?」

加蓮「うん♪」

泰葉「ふふふ♪」

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加蓮「改めて、誕生日おめでと李衣菜!」

李衣菜「急でびっくりしたよ……。あ、でももしかして……お泊りしようってなったのって?」

泰葉「ええ、目的は李衣菜のお祝いをするため。……ふふ、おめでとう」

李衣菜「え、えへへ……ありがと、二人とも」テレ

加蓮「というわけでっ」

李衣菜「わっ。な、なになに?」

加蓮「李衣菜にプレゼントしたいものがあります!」

李衣菜「おおー!」

泰葉(ふふ、加蓮張り切ってる……♪)

加蓮「李衣菜にあげたいもの、それは……!」

李衣菜「わくわく」

加蓮「泰葉と二人で頑張って作りました!」

李衣菜「二人が? しかも手作り!」

泰葉「ふふっ、そうなの」

加蓮「李衣菜のためだけに!」

李衣菜「わくわく!」

加蓮「それは……!」

李衣菜「それは!?」


加蓮「なんと!」

李衣菜「分かったから早く」ペシ

加蓮「あぅっ」

泰葉「あはは……」

加蓮「こ、こほん。じゃ、じゃあ泰葉、お願い」

泰葉「ええ。……ちょっと待っててね」トテトテ

李衣菜「ん……冷蔵庫?」

加蓮「ふふふ……!」


泰葉「……じゃんっ。スモモのタルトですっ」

http://i.imgur.com/3m82rdW.jpg

李衣菜「わぁ――!!」



―――


李衣菜「もぐもぐもぐもぐもぐもぐ」


加蓮「李衣菜、がっつきすぎ」クスクス

李衣菜「もぐもぐ……おいひぃんだもんもぐもぐ」

泰葉「よかった、口に合ったみたいで……はぁ、ドキドキしちゃった」

李衣菜「え、どうして? こんなに美味しいのに」

加蓮「だって、私たちほとんど料理できないから……正直自信なかったもん」

泰葉「何度も味見したけれど……それでも、ね」

加蓮「李衣菜が喜んでくれなきゃ、意味ないし……」

李衣菜「二人とも……。もう、心配しすぎ! 二人が作ってくれたんだから、美味しいに決まってるって」

李衣菜「間違いなく世界で一番美味しいタルトだよ!」

加蓮「李衣菜……!」

泰葉「ふふ……ありがとう。そう言ってくれて嬉しい……♪」

加蓮「……りーなすきー!」ムギュー

李衣菜「っひゃあ!? ちょ、加蓮危なっ、こぼれるこぼれるぅ!」

加蓮「んー、ありがとりーなぁ♪」スリスリ

李衣菜「お礼を言うのはこっちだよ、ってあははははは加蓮ばか、くすぐったぁぁぁあああ!」

泰葉「くすっ、あはは……♪」

加蓮「♪♪♪」

李衣菜「はひぃ……笑い死ぬかと思った……」

泰葉「ふふ、お疲れさま」

李衣菜「泰葉も止めてよね、ったくもー……」

泰葉「私もスリスリしてもよかったんだけど……♪」

李衣菜「勘弁してよ!」

加蓮「李衣菜、李衣菜っ」

李衣菜「はいはい、今度はなんでしょーか加蓮さん……」

加蓮「ね、どうしてスモモのタルトにしたか、分かる?」

李衣菜「へ……?」

泰葉「あ、この反応は……気づいてないみたい?」

加蓮「だね。……ヒント! 李衣菜の名前っ」

李衣菜「私の名前? ……余計に分かんなくなったんだけど」

加蓮「んー、ダメかぁ。まぁ李衣菜だもんね」

泰葉「うん、李衣菜だもの」

李衣菜「は、激しくばかにされている……。も、もうっ、答え教えてよっ」

泰葉「ふふ、正解は……李衣菜の『李』の字。スモモって意味なの」

加蓮「スモモはたくさん実を付けるから、繁栄の象徴なんだって。だから、李衣菜のこれからを願って、スモモのタルトにしたの!」

泰葉「……Pさんが調べてくれたのだけど……」

加蓮「し、しーっ! しーっ!」

李衣菜「あ、あはは……。そっか、そういう意味があったんだ。なら二人も食べないとね」

泰葉「え、全部食べてもいいのに……」

李衣菜「ううん、一緒に食べたほうがきっと美味しいし、なにより――」


李衣菜「私のこれからじゃなくて、『私たち』のこれからのために。ねっ?」




加蓮「……李衣菜がまたカッコつけてる……」ヒソヒソ

泰葉「まぁいつものことだから……」ヒソヒソ

李衣菜「あれぇ!?」

李衣菜「きらいだ二人ともっ」プンスカ

加蓮「ご、ごめんごめん……嫌っちゃやだよ、李衣菜」ナデナデ

泰葉「ね、機嫌直して……?」ナデナデ

李衣菜「……なんで頭撫でられながら謝られなきゃいけないんだろ」

泰葉「李衣菜かわいい」

加蓮「かわいい」

李衣菜「…………」プイ

泰葉(まんざらでもないんだ)

加蓮(まんざらでもないんだね)

李衣菜「……はい、残りは二人が食べて。本当に美味しかったよ、ありがとう!」

加蓮「あ……許してくれるの?」

李衣菜「なに言ってんの。私が二人を許さないわけないじゃん?」

泰葉「ふふ……李衣菜のそういうところ大好き♪」

加蓮「私も大好き!」

李衣菜「はいはい――」


李衣菜(私も、大好きだよ)



それから――


李衣菜「んじゃ、短冊いろいろ書いてみよう!」

「「おーっ」」


―――


加蓮「ん? なにこそこそ書いてるの?」


ぴらっ


『加蓮が風邪を引きませんように』

『加蓮がポテトを食べ過ぎませんように』


加蓮「なにこれー!?」


―――


『Pさんとデートしたい』


李衣菜「直球!? どっちが書いたのこれ!」


―――



―――


李衣菜「よし、できたっ」

泰葉「見せて……あっ」

加蓮「これは……。李衣菜、お星さまにだってできないこともあるんだよ?」


『ギターが上達しますように』


李衣菜「そんなに無茶なお願いかなぁ!?」


―――


泰葉「…………怒らないから言って。書いたのは李衣菜かしら? それとも加蓮?」ゴゴゴ…

李衣菜「かっ、加蓮です!」

加蓮「りりりり李衣菜です!」


『泰葉のハイライト芸に磨きがかかりますように』


―――



―――


李衣菜「やっぱり、これだよね」

加蓮「うん。私たちの目標……」

泰葉「でも、これは私たち自身で叶えないとね」

李衣菜「じゃ、笹にかけないでしまっとこっか」

泰葉「うんっ」

加蓮「賛成!」


『――トップアイドル!』


―――



―――次の日の朝


李衣菜「――あ、もしもしPさんですか? 朝早くにすみません、李衣菜です」


李衣菜「おはようございます。あの、今日のミーティングなんですけど……その、一時間くらい遅れても大丈夫ですかね?」


李衣菜「えっと、今泰葉の家に……。はい、泊まったんです、久しぶりに。へへへ」


李衣菜「誕生日のお祝いをしてくれて……手作りのタルトまでごちそうになったんですよ」


李衣菜「それから、ちょっと三人で夜更かししちゃって……ごめんなさい」


李衣菜「はい……はい。あ、午前中はミーティングだけ? 良かったぁ」


李衣菜「……すみません、お願いします。はい」

李衣菜「……え? ……えへへ、もちろん。とっても楽しかったですよ」


李衣菜「ええ、まだ二人は夢の中です。……写メいります? ふふ、了解ですっ」


李衣菜「なるべく早く支度して行きますから……はい、ありがとうございます。それじゃ――」


李衣菜「え、なんですか?」


『――誕生日、おめでとう』


李衣菜「……はいっ♪♪」



―――


李衣菜「――よしっ、朝ご飯できた。あとは……」


李衣菜「ほらほら起きてー、朝だよ! ご飯作ったから!」

泰葉「……ぅ~……」モゾモゾ…

加蓮「あとさんじかん~……」ムニャムニャ…

李衣菜「はいはい、ばか言ってないで起きる起きる――♪」



おわり

というお話だったのさ
スモモは今が旬だよみんな食べよう! ってことでひとつ


もうすぐだりやすかれん書き始めてまる二年
時間が経つのは早いなぁと感じる今日この頃

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年07月06日 (月) 20:25:24   ID: 0naVa91o

だりやすかれん、大好きです。

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