女&後輩「付き合って下さい」男「いいぞ」幼馴染「」(868)

男「右のカーブを投げて、ショートに流れる」

女「守れるのかな」

男「二塁手が走者を無視して取りに行って、一塁に突き刺す」

女「ピッチャー振りかぶって…あ、打った、ショートだ。当たったね」

男「よしよし、これで21球中20球だ」

女「はじめたころはどれくらいだったの?」

男「ルールをしっかり理解するまでは半分がやっとだったな」

女「それでも半分あたってたんだ、やるじゃん。」

女「ん?あれ、友君じゃない?」

男「ああ、本当だ」

女「なんであんなに走ってるのかしら。まだhrまで十分時間あるのに」

男「また化石ケータイの時間がズレてるんだろう」
男「右にかばんをかかえてるから、右の上履きはかかとを踏みながらくる」

女「ふんふん」

男「教室に来たら時計を二回見てから、あわてて携帯を取り出すな」

友「(ガラッ)おおおお、おくれまっ」
友「…ゼェゼェハァ…?…?………うええ!またず、ずれてる!?」

女「あははっ、正解だね。おはよー、友くん」
友「はあはあ、お、お、おはよう。せ、せ、せせせ、正解って…ま、ま、またやってたの…か」

友「や、野球部の、朝練で…"余計な気配り"」

男「右の上履きが泣いてるぞ」

友「は、はは、は。せ、正解!」

コツン

女(ふふ。何回みてもいいもんだねこういうの)

女「あれ、いま正門からはいっていたの、幼馴染さんじゃない?」

男「遅い」

女「ん?」

男「いや…」

友「お、お、おおお、おさな、幼馴染さん、まえは、い、一番に、教室に、きてたのにね」

女「あれ、そうなんだ。少し前の私ならようやく家をでたくらいだよ」

男「あいつは保健委員だ、保健室に日誌を取るために立ち寄る。階段を上るときは右側をあるく」
男「教室に右足から入り、女と、友に、『おはよー』と間延びした挨拶をする」

ガラッ

友「あ、あ、あれ」

女「左足から…」

男(俺には『よっ』とさきほどの友としたように拳を打ちつけてくる)

幼馴染「女さん、友君、おはよう」

女「おはよー」

友「お、おおお、およよははよよ」

男(…のではなく、低く短く『はよ』とだけ)

幼馴染「はよ、男」

男「おはよう」

――昼食時――

クラスメイト1「ねえねえ幼馴染さんー」

クラスメイト2「一緒にご飯たべよー!」

幼馴染「うん、いいよ」

クラスメイト1「わ、すごい。幼馴染さんのお弁当、きれい!」

クラスメイト2「うんうん。もしかして自分で作ってるの?」

幼馴染「うん。自分が好きなものは、自分で作りたいからさ!」

クラスメイト1「いいなー。私もお料理ならおっかなー」

女「うら若き乙女が色とりどりの弁当袋を片手に昼食時に集う風景、なんだか心が温まるね」

男「そうだな。で、なんでお前は俺達と一緒にいるんだ」

女「まま、硬いこと言わない。」

友「ぶ、ぶえええ!?は、は、はしを、入れ忘れた…」

男「両親が家にいない日は寝坊、ケータイ遅延、自作弁当はし忘れがお前の常だな」

友「ううう、う、うん。」

男「これを使え」

友「え、え、わ、わりばし、ありがとう、お、男君」

男「いっそ袋ごと買って置いておけと言っただろうに。ほら、どうせ飲み物も忘れたんだろう」

友「お、お、お茶まで、あり、ありがとう」

男「モーニングコールまでする義理はないぞ。次はちゃんと起きろよ」

女「ふふ、まるで母親だな、男は」

男「母親、か。小さいころの夢は確かにそうだったな。今は物理的な問題であきらめている」

友「ゴフッ、ブフォア」

男「ゆっくり食べろ」

女「ふふ。」

女「男はあまりはしが進んでいないね」

男「そうでもないが、考え事をしていた」

女「ふうん。ああ、幼馴染さんのことかい?」

男「ああ」

男「どうも最近あいつの行動パターンが読めなくなっている。昔からありとあらゆる手で分析を続けてきたのに、だ」

女「ありとあらゆる?」

男「尾行からテープレコーダーによる言動解析まで、思いつくことすべてだ。」

男「さすがに物陰からの撮影は本人に却下されたが」

友「そ、そ、それって、と、ととうさつっていうんじゃあ」

女「あはは。録音も大概だけどね」

男「そしてさらに理解できないのがあの髪だ」

友「そ、そういえば、かかかかみを、のばして、わた、わたわ、わたしって、言うようになったね」

女「ふうん」

男「あいつの行動が読めなくなった事に関係しているはずなんだが」

女「私は今年になってから彼女と同じクラスになったけど、去年もうわさには聞いてたね」

友「うわ、うわ、さ?」

女「2組にやたら腕っ節が強くてかっこいい人がいるってね。まさか、女の子だったなんて思わなかったけど」

男「格好いいという表現をされる女性というのは珍しいからな」

女「そんな彼女だからだろうね。すごい注目を集めてるよ」

友「そ、そそうだねね、幼馴染さん、す、すごくきれい、だし…」

女「おや、友君は彼女に夢中なのかい?」

友「!?ゴブオッ、ボフォアッ」

女「あっはっは。ごめんごめん」

男(んーむ)

クラスメイト1「その時のセリフがちょーかっこよかったのよね」

クラスメイト2「あ、わかるー。なにがあっても一生守り抜く、みたいな?ストレートで飾ってないのがいいよね!」

幼馴染「おー、すごいね。ちょっと言ってもらいたいかも」

クラスメイト2「でしょでしょ!」

男(んーむ)

――午後・保健室――

幼馴染「あ゛あ゛あつかれたぁぁぁ」

ボフッ

幼馴染「いっつもあんな会話してるのかよ、女子高生っていうのは」

幼馴染「まるで別次元の生き物じゃねーかよー。うう゛ー」

幼馴染「あーあ…私なにやってんだろ」

幼馴染「やめるかなあ、髪のばすの」

後輩「や、やめないでください!」

幼馴染「どっひゃあっ!?」

幼馴染「いいいつからそこにいたの後輩ちゃん!?」

後輩「えとえとセンパイを待ってたから、最初から、その」

幼馴染「あ、ああそう。はは、へんなトコ見せちゃったね」

後輩「センパイは前の短い髪型も素敵でしたけど、今のも似合ってます。だからもったいないです」

幼馴染「ありがと。すごく嬉しいよ」

幼馴染「そうやって前の私のこと言ってくれる人って少ないからさ」

後輩「それは皆、センパイのこと誤解してるからです!確かにセンパイは、ケンカも強くて男勝りですけど」

後輩「本当は任侠映画が好きで、えーとデザートのプリンより、もういっぱいおかわり派で…ってあわわ」

幼馴染「ぷっ」

幼馴染「あっはっは!えいっ!」

後輩「きゃっ、せ、センパイっ」

幼馴染「可愛いね後輩ちゃんは!見るだけで癒されるというか。んー、妹に欲しいくらい」

後輩「そんな私なんて…暗いし、ソバカスだらけだし、ぜんぜんだめです」

幼馴染「そんなことないけどな。私が野郎だったらホれちゃうのに」

後輩「むええ…そんな…///」

幼馴染「ま、冗談は抜きにしても、髪はこのままにしとくよ」

後輩「本当ですかっ!?」

幼馴染「後輩ちゃんが気に入ってくれたなら十分よ。皆に似合うって言われるのも悪い気しないし」

幼馴染「…まあ"一部"そうじゃないのもいるけどね」ギリリリッ

後輩「せせせせんぱい、口から血!血でてます!」

幼馴染「あ、ああごめんごめーん。ついつい」

後輩「…」

後輩「あ、あのやっぱり、センパイが髪を伸ばしてるのって」

幼馴染「ん?」

後輩「あの時、あんなことを言われたから…」

幼馴染「ああ」

幼馴染「あったね、そんなことも」

続けて

――1年前――

後輩「す、好きです!付き合って下さい!」

幼馴染(ちょ!?こ、こ、この声ってまさか…)

幼馴染(告白!?告白現場に出くわしちゃったのかよおおお!?)

?「いいぞ」

幼馴染(おおお、相手は即答か。やるじゃん)

幼馴染(ん、ちょっとまてよ今の声…)

幼馴染()

後輩「ええ!?い、いいんですか?」

男「だめなのか?ならやめておくが」


後輩「いえ、その、だめじゃないですけど、その」

幼馴染(…)

幼馴染(可愛い子じゃないか)

幼馴染(わからんもんだね、あんな偏屈が)

幼馴染(とりあえず、これ以上はぷらいばしーにかかわる!撤退!)

ガササッ

後輩「う、嬉しいです。男センパイのこと、私、まえから」

男「それはいいんだがひとつ聞いていいかい」

後輩「はい?」

男「ここに来る前か。なんで泣いていたんだ」

後輩「え」

男「頬と目の周りが少し赤い。それに目がとても幸せだとはいっていないぞ」

男「おれはそういう目をしたやつをずっと観察してきたから解る」

後輩「え…え…」

男「告白というは元来性別を問わず、恐怖するものだ」

男「けどお前のは失敗の不安からくるものというより、別の何かにおびえているように見える」

後輩「う…うう…」

男「勘違いでなければいいが、もしかしたらお前はなんらかの」

後輩「う…うああああぁぁぁぁっ」

男「ま、待て。」

男「んーむ、分析を間違えたか」

――放課後――

男「ん?幼馴染今日はやけに急ぐな」

幼馴染「あ、ああ。たまには早く帰ろうと思って」

男「確かにお前は家に師範が居ない時と水戸黄門が再放送する日は早く帰るが、今日は一段と早いな。新しいパターンだ」

男「俺も早々に支度するか」

幼馴染「はぁ?何いってんだよお前」

男「ん、何かおかしかったか」

幼馴染「お前は一緒に帰るやつがいるだろうが」

男「ああ、いるな。お前だ」

幼馴染「そうじゃなくてさっきの…ハッ」

男「さっきの?」

幼馴染「な、なんでもねーよ。とにかくオレは一人で帰る」

男「おい、待て」

幼馴染「なんでついてきてんだよ」

男「互いが帰宅までの最短距離を正確にたどった場合、こうなるのは自然なことだ」

幼馴染「はぁ…そういうことを言ってるんじゃなくて」

男「何やら今日のお前はすこぶる妙だな」

幼馴染「どの口がいってんだよ」

男「いつにもまして口調が荒い。何か神経にさわる事でも」

幼馴染「おい」

男「ん?」

幼馴染「よってけよ」

男「しかし、勝手にあがると師範が」

幼馴染「お前の分析通り親父はいないし、明日の夜まで帰ってこねえから」

幼馴染「今日はかえさねえよ」

男「…」

――幼馴染宅――

幼馴染「はぁはぁ、どうした、もうギブアップかよ」

男「はぁはぁ、おまえも、心拍数と脈拍が、かなり上昇しているぞ」

幼馴染「ご、5時間もしてんのに何度も立ちやがって、タフさだけなら親父並だな」

男「光栄なことだが、こうなったのも、げ、原因はだいたいお前にある」

幼馴染「いいからさっさと落ちろよ。お、オレの技がぬるいみてえじゃねえか」

男「お前の技は、はぁはぁ、年齢にしてはどれも一級だ。7歳の頃から累計9287回かけられた俺が言うんだから間違いない」

幼馴染「ああそうかよ、じゃあ今日中に祝10000回の赤飯炊けるようにしてやるよ!」

男(…右襟狙い、半身をそらし回避)

バッ

男(左は払うしかないか)

バシッ

男(右襟、左腰、左、左、右、左!)

サッ スカッ ササッ サササッ

幼馴染(ほんっとにこいつはちょこまかと…!)

男(足裁きが変わった。左足、右足、左足のリズムはフェイクへの布石。左足が二度下がってから、いっきに右斜めからえぐるように)

ザアッ

男(来る!)

幼馴染「はあああ!」

ズドオオン!

男「ぐっ…」

幼馴染「はぁはぁ、ど、どうだ」

バタッ

男「はぁはぁ、は、把握までのスピードに時間が足りない…まだまだ、野球部の朝練観察は、欠かせないな」

幼馴染「はぁはぁ、バカ!れ、練習するとこが、はぁはぁ、ちがうだろ…」

幼馴染「技かけないと、勝負は勝ったことに、ならないんだぞ…」

男「それも、そうだな…いずれ、技をかける練習も、しよう…」

幼馴染「はぁはぁ…」

幼馴染(『いずれ』、か)

男「…そろそろ帰るとする。今日は、お前の音声を採らせてもらうのは、やめにしておこう」

幼馴染「風呂はいってけよ」

男「いや、いい」

幼馴染「よくない!汗を流すまでが修練だろうが!」

男「わ、わかった、そうだったな」

幼馴染「はぁはぁ…」

幼馴染「…はぁ」

柔道か?


――翌日――

幼馴染「…」

男「珍しいこともあるものだな」

男「お前の特技の快眠が出来ない日もあるものか。昨日の組み手の疲れか?」

幼馴染「うっせえ」

男「日焼けでわからないがくまも出来ている。目も充血しているな。この目薬をさしておけ」

幼馴染「…うっせえ」

男「立ち入った事を聞かせて欲しいんだが何かあったのか。ここまで新しいパターンも久しい」

幼馴染(目輝かせてんじゃねえよタコ、今すぐここでアスファルトに沈めたろか)

後輩「お、お、おはようございます!」

幼馴染「ひっく!?」

男「ああ、後輩か。おはよう」

幼馴染(あばばばばばばばばば)

後輩「昨日は本当にごめんなさい。急にかえっちゃって…」

幼馴染(ばばば…ん?先にこの子が帰ったのか)

男「問題ない。俺のスケジュールは1日2時間までのエマージェンシー(緊急事態)は想定してある」

男「昨日は許容範囲を超えたがお前のせいじゃない」

幼馴染(…このバカは…)

幼馴染「よ、よお、誰だよこの子」

男「ああ、彼女は後輩という」

後輩「は、はじめまして」

幼馴染「ど、どうもご丁寧に」

男「俺も昨日が初対面だが、彼女からの告白をうけて俺が承諾したところ、泣き出してしまってな」

幼馴染(淡々と説明しやがって…ん?)

幼馴染「おまえ…女を泣かせるようなことをしたのかよ」

男「いや、まて、確かに分析を誤ったのかもしれないが…」

幼馴染「見損なったぞ!視界に入るだけで癪にさわるまでも女を泣かせるこた無いと思って…!」

後輩「あ、ち、違うんです!私が、その嬉しくて、泣いちゃったんです!」

幼馴染「へ、あ、じゃあうれし泣き?」

後輩「はい!だから、その、離してあげてください。あ、足が浮いてます!」

幼馴染「あ、あはは。ごーめんごーめん。オレはてっきりこいつが失礼なことしたんじゃないかと」

男「ごほっ…まあ、なんらかの原因が俺にあるのも確かだ。そこは謝ろう」

後輩「いえ、いいんです。あの、途中まで一緒にいってもいいですか?」

男「俺は構わんが」

幼馴染「なんでオレのほうみるんだよ」

男「いや、だっt」

幼馴染「いいから彼女をおくってこい!このボンクラ!」

男「ボンクラという罵声もはじめて使ったな。昨日の時代劇か」

男「まあいい。いくとしようか、後輩」

後輩「え、でも…はい」

幼馴染「おたっしゃでー」

幼馴染(…ふーん、こうしてみると、お似合いなんじゃないの?)

――昼食時――

男「ん、後輩の教室で一緒に?」

後輩「は、はい、ダメ、ですか?」

男「いいぞ」

後輩「い、いいんですか?」

男「ああ。すぐに行こう」

後輩「は、はい」

男「そういうわけだ幼馴染。悪いが他の友人と食べていてくれ」

幼馴染「は、はあ?なにいつも一緒に食べてるみたいなこといってんだよ!」

男「事実一緒じゃないか」

幼馴染「うっせーとっとといってこい!」

男「うむ。行こう」

後輩「はいっ…あっ!///」

幼馴染(ちょおおおそんな強引に手ぇひっぱるんじゃねえ制服伸びる!もっと優しく引けよ!)

幼馴染(大体他の友人つったって皆オレが目あわせると…)

チラッ

クラスメイト1「!?ガタタッ」

チラチラッ

クラスメイト2「はっう」バターン

クラスメイト1「きゃー!1ちゃーん!」

幼馴染(どうしろってんだよ)

幼馴染(あーあ、中坊のころはもっと男も女も友達いたのによ、高校はいってからなんでこんなんに…)

幼馴染(あいつはあいつで変わらず浮いてると思やあっさり彼女ができちまうし)

幼馴染(…)

幼馴染(あれ、もしかして私いま、ぼっち?)

ぼっち → 友人もいない → 生涯孤独 → 老後にたよれるのは年金のみ → よい仕事はよい成績から

幼馴染(やべえええオレ超頭わりいよ!勉強、勉強しなきゃ!)

クラスメイト3「なあ、幼馴染さんなんかやばくね。メシくいながら教科書取り出してる」

クラスメイト4「バカ、ああやって死角から近寄る敵に備えてんだよ。教科書の角で熊すら倒せるんだぜ。目を合わせないよう気をつけろよ」

クラスメイト5「しっかしあの空間が歪むオーラの隣で、なんで男は平気なんだろうね」

クラスメイト4「特殊な訓練を受けてるらしいからな。死人が出る前に購買いこうぜ」

クラスメイト5「おう」

幼馴染「ぐぬぬぬ、いんすうぶんかいはあああ」

――1年3組教室――

男「ここか」

後輩「はい、あの私の席は…」

男「すうう…」

男「あー!だめだ!やはり知らない人が沢山いる場所というものは緊張するものだ!」

後輩「!?」

1年3組a「なんだなんだ?」

男「二人で静かなところで食べよう。いくぞ後輩」

後輩「え、は、はいっ…きゃっ///」

シーン…

1年3組a「え、演劇の練習?」

1年3組b「あの棒読みはありえなくね?」

dqn女a「…」

dqn女b「…」

支援ありがとう

>>42 柔道です

――屋上――

男「ふぅ、ここならいいか」

後輩「はぁ、はぁ、お、男センパイ…」

男「ああ、すまない。あわてたものだから後輩が一緒だったのを忘れていた」

男「歩幅をあわせるべきだったな。大丈夫か?」

後輩「そ、それは大丈夫なんですけど、あの、て、手を…///」

男「ん、ああ。これもうっかりしていた」

後輩「あの、どうしてこんな。」

男「うーん、まあ、とりあえず食べよう。また分析が間違っていたら泣かせてしまうかもしれない」

後輩「え?」

男「いや。おっと、風が強いな。日陰で食べるか」

後輩「はい」

男「いただきます」

後輩「いただきます」

後輩「わ、男センパイの弁当、すごいきれいですね」

男「ああ、これか。日々研究し、自作している」

後輩「え、男センパイが作ったのですね」

男「昔目指していた夢のためにな。今は頓挫したが、別に身につけてこまる技術でもないし、こうして続けている」

後輩「夢…コックさんですか」

男「いや、そんな大層なものでは…いや、より大層な、そして尊大なものなのかもしれない」

後輩「何なんです?」

男「母親だ」

後輩「母親…」

男「ほう、珍しいな。俺の夢を聞くと皆笑うものだが」

後輩「いえ。お母さんを尊敬してるんですね」

男「もちろんだ。俺の両親は尊敬に値するのは確かだが、理由は別にある」

男「今思えば俺の自己満足だった面もある。幼い時分、パズルの1ピースが完全に紛失してしまってな」

後輩「はい…」

男「俺はそれを厚紙で作り、そっくりになるように塗り上げ、完璧に再現した」

男「しかしいざはめるとやはり違和感があった。他のピースは同じ時間に生まれ、同じ風をうけ、同じほこりがついている」

男「俺が作ったものは即席に過ぎない、つまりは赤の他人だ」

後輩「…」

男「無機物のパズルでさえ強烈な違和感を生じる存在、これが命ある人間の家族だとどうなるか」

男「俺はある家庭に生じた隙間に、母親として収まれるよう、努力したつもりだったんだ」

男「しかしそれに気づいた俺は今、どうすればいいのかわからないまま、昔していたことを続けている」

後輩「…」

男「済まない。こういうのは一般的には面白い話ではないは。少なくとも食事中の会話ではない」

後輩「いえ、そんな。聞いたのは私ですし。」

男「そうだな。聞かれたから答えるという義務をはたしたわけだ」

男「次はお前の番だ」

後輩「え」

男「どうして俺に告白をしたんだ」

後輩「そ…れは…」

男「今日昼食に誘うときでもそうだ。目がおびえていたぞ」

後輩「……」

男「ここには誰もいない。遠慮はいらない」

後輩「……」

男「…答えたくなければいいんだ。少し卑怯だったな。悪かった」

男「これで涙を拭け」

後輩「は…い…」

男「よし、この話はもう終わりだ。見ろ。実にいい天気だ。雲ひとつない」

男「一般的には、こういう晴れた空の日の景色には、笑顔が似合うものだ」

男「うつむくな。上を見て笑え。わっはっはっは」

後輩「…」

男「わっはっは」

後輩「…クスッ」

後輩「はいっ、男センパイ」

――2年2組――

男「ではここで」

後輩「はいっ、ありがとうございました」

男「んっ?どうした幼馴染。お前、はしじゃなくて二本の鉛筆だぞその手にもってるのは」

幼馴染「お、おふぁえりー。いやあ、なんかね、このごはんのね、しろいとこがね、解答欄に見えてきちゃって」

幼馴染「老後のためにね、いんすうぶんかいを、食べておこうと思って」

男「また理論が飛躍するクセが出たな。とりあえず落ち着いてくわえてる消しゴムをぺっしろ」

幼馴染「んー」

後輩「クスクス」

dqn女a「よ、後輩ちゃん」

後輩「(ビクッ)…あ…あ。」

dqn女b「ちょっと一緒にきてよ、いいよね?」

後輩「あ、は、はい…」

男「…」

幼馴染「う゛ーう゛ー」

男(マナーモードか。新しいパターンだ)

しえん





――旧校舎裏――

後輩「きゃあっ」

dqn女a「オラァッ!このブス!」

dqn女b「正直に答えたほうがいいよー?二度とお嫁になんかいけないツラになっから」

dqn女b「もっともー、今のままでも一生無理だけど、アハッ」

後輩「ひぐっ…」

dqn女a「昼どこいってたか知らないけど、チクってないでしょうねウチらのこと」

後輩「…」

dqn女a「どうなんだよ!(ガンッ)」

後輩「ひっ!しゃ、しゃべってまぜん!しゃべってばべん!」

dqn女b「もっと感謝してほしいなー。クラスでも一番地味でブスなあんたに、彼氏作るってー最高なイベント演出してあげたのに」

後輩「…」

dqn女a「それも相手はなんと!」

dqn女b「学校一変わり者、頭ぶっとんでるって大評判の男さーん!」

dqn女a「ギャハハハ!」

dqn女b「サイコー!マジお似合いだわあんたら!」

後輩「…う…ぐすっ…」

dqn女b「いーかいメス豚ちゃん。いいことおしえたげる」

後輩「うっぐ、い、いた…」

dqn女b「今度こんな舐めたマネしたら、マジ殺すから」

dqn女b「次はウチらがちゃんと言うとおりにやるのよ?」

後輩「うう…」

dqn女a「返事どしたコラァ!」

後輩「はい、し、します…」

後輩「なんでも、なんでも…します…」

――放課後――

幼馴染「だからなんでついてくるんだよ」

男「互いが帰宅までの最短距離を」

幼馴染「後輩ちゃんはどうしたのかって聞いてるんだよ!何おっぽってきてんだよ」

男「教室を訪ねたんだが先に帰っていたようでな」

幼馴染「あ、あ、そう」

男「師範はもう帰ってきているのか」

幼馴染「ああ。今日もいつも通りの時間からだ」

男「解っている。食事を済ませたらすぐに向かう」

――幼馴染宅――

幼馴染「正面に、礼!」

男「…」

幼馴染「お互いに、礼!」

幼馴染「よろしくおねがいします!」

男「よろしくおねがいします!」

師範「よろしくおねがいします。悪いな男君、昨日は家をあけてしまって」

男「いえ」

師範「そろそろウチのやつだけが相手ってのも飽きてきただろう」

師範「こいつときたら門下生が君だけなのをいいことに、暇をみつけては投げ飛ばしてるからな」

幼馴染「しょうがねえだろ。いねえもんはいねえんだから」

師範「はっは、いっちょまえの口をきくじゃないか。新人が入ったとしても、お前の相手が出来るのは男君くらいだろうがな」

師範「しかしま、これも時代の流れなのかね。ちらほらと居なくなってしまって」

幼馴染「駅前に総合ナントカって道場が出来てからだ。あそこは金だのパフォーマンスだの使いまくって人集めてっからな」

幼馴染「なんにせよやり方が気に喰わねえぜ、あいつら大和魂をわかってねえ」

師範「はは、大和魂ときたか」

幼馴染「オレは真面目にだなあ!」

師範「解った解った。ま、俺はお前と男君がこの道場の精神を受け継いでくれれば、それで満足よ」

師範「武術はケンカするためにあるんじゃない。余計な争いと悲しみを生まないためにあるんだ」

師範「まあ男君に関しては心配してないんだがね」

男「はい」

幼馴染「おい、それはどういう意味だよ」

師範「そのまんまの意味よ。よーし、では二人の動きをみたら、俺が各自相手をするからな」

師範「乱取りはじめ!」

幼馴染「ちっ、おい男!今日も手加減しねえからな!」

男「されたらデータ採取に支障が出る」

師範「ふふ」

ズダーン

幼馴染「一本!それまで!」

師範「ひーこら疲れた。男君は足捌きにまた一段と磨きがかかってるな」

男「はぁはぁ、あ、ありがとうございます」

師範「しかし技に関してはここ数年まったく進歩が無いぞ。こんどウチのやつときっちり基本からやりなおしたほうがいい」

男「わ、解りました」

師範「聞いてたな。お前はほんとに負けず嫌いだからな、練習なんだから。投げさせてやれよ」

幼馴染「はあ?オレが投げさせてねえんじゃなくてそいつが…」

師範「返事はどうした」

幼馴染「…オス」

師範「よしよし。さて、今日はこんくらいにしとくか」

男「では失礼します」

師範「おーうお疲れさん。おいお前、男君の家にあがりこんで長居するんじゃねーぞ」

幼馴染「しねーよこの酔っ払い!」

師範「はっはっは、冗談だ、冗談」

幼馴染「ったく…」

男「晩酌も適量になったな。あれなら百薬の長でいてくれるだろう」

幼馴染「ああ、お前の教えてくれたつまみ作るようになったらがっつり減ったからな」

幼馴染「あんときは不思議だったもんだ、つまみつけたら酒がすすむかと思ったぜ」

男「酒だけを飲むと切り上げ時を見失うからな。独り酒ならなおさらだ」

男「お前が作ったつまみの量が、師範にとっての良い目安になるのさ」

幼馴染「そういうもんかね」

男「ああ」

幼馴染「…」

幼馴染「お前さ」

男「む?」

幼馴染「後輩ちゃんのこと、ちゃんと考えてあげてんの?」

幼馴染「よくわかんないけど、告白してもらってokしたんだろ?」

男「そうだが、しかし具体的にどうしたらいいんだ」

幼馴染「具体的にって、そんなのオレもわかんねーよ!」

幼馴染「オレが言いたいのは、真剣に彼女の気持ちうけとめる気があんのかってこと!」

男「もちろんあるぞ」

幼馴染「そうか、なら…」

男「珍しいケースだからな。データの収集にももってこいだ」

幼馴染「…」

幼馴染「おいコラ。まさかお前、てめえの好奇心のためにやってんじゃねえだろうな」

男「そうだ。」

幼馴染「聞き捨てならねえな、彼女は玩具じゃねえんだぞ」

男「無論だ。だがどうやら彼女は特殊なようだ」

男「だからとりあえず今は様子を見ることにしている」

気障だな

だがそれが良い

幼馴染「特殊?特殊ってなんだよ」

男「お前には関係の無い事象だ」

幼馴染「関係無くはねえだろうが!ふざけてんじゃ…」

男「何故だ?」

幼馴染「あ?」

男「関係無くない理由はなんだ。後輩は少し前までは赤の他人だったんだぞ」

幼馴染「で、でもお前と付き合ってるじゃねえかよ」

男「因果関係を線で結んで見ろ。俺とお前は幼馴染としてつながっている。俺と後輩は付き合う、つまり男女の仲だ。まったく別のベクトルだ」

男「ここで俺がお前に対して発生する義務はせいぜい報告することだけだと思うが」

幼馴染「だだだ男女の仲って…で、でもこの前みたいに泣かせちまうようなことがあったら」

男「だからそれについてもシミュレーションをするつもりだ」

幼馴染「はあ?練習台ってわけかよ!」

男「そうだ」

幼馴染「な、な、お前、後輩のこと舐めてんのか!?」

男「じゃあ他にどうしろというのだ。今更俺には無理だと別れればいいのか」

幼馴染「そ、それは…」

男「どうしたんだ、歯切れが悪いな。俺としてはお前の率直な意見は実に助かるんだぞ」

男「いつものように言い切ってくれればいい。考えるのは俺であって、お前ではない。気楽に言え」

幼馴染「…」

男「やはり昨日から変なようだな。ぜひ話を」

幼馴染「このっ、バカが!ボンクラ!おたんこなずび!」

幼馴染「関係無いって相手に、意見求めてんじゃねえよ!」

男「いや、しかし…」

幼馴染「勝手にすりゃいいだろうが!お前なんざ、そのへんの田んぼに落ち込んで泥田坊モドキにでもなっちまえ!」

幼馴染「あばよ!」

男「あ、走って帰るなら足元に気をつけろよ。原則は右側通行だぞ!」

男「と言う間にいってしまった。さすがは100m12秒65だ」

男「求めるもなにも、勝手にしゃべりだしたのはお前だろう」

男「生理現象がおきるにはまだ一週早いはずだが。なぜあんなにカリカリしているのか。不可解だ」

タッタッタッタ

幼馴染(はぁっ…はぁっ…)

幼馴染(バカッ、バカッ、大バカ野郎!)

ガラッ

師範「いよっ、帰ったかいお姫様。どうだい一緒に」

幼馴染「うっせぇ!未成年に酒すすめてんじゃねえこののんだくれ!」

ドスドスドス

師範「おーおー、こわやこわや」

…スドスドスド

幼馴染「オレもうねっからな。見にこねえから、寝るときは布団ちゃんとかぶれよ!」

ドスドスドス

師範「…」

師範「ははっ。威勢のいいことで」

師範「あんなふうに娘が怒鳴るのが嬉しいたあ、変な話だ」

師範「気の強いところは若い頃のお前にそっくりだなあ」

師範「ヒック、なあそうだろ、お前」

――翌日、学校――

幼馴染「…」

男「…」

男「今日はまた、昨日に輪をかけてひどいな」

幼馴染「…」

男「目薬さすか?」

幼馴染「…」

男(んーむ。まいったな。最近新しいパターンだらけで、分析が追いつかない)

後輩「お、おはようございます」

男「おはよう、後輩」

幼馴染「…おはよ、後輩ちゃん(ニゴォッ)」

後輩「ひっ!?お、おはようございます」

幼馴染「おい、男。ちゃんとおくってこい」

男「ああ。いくぞ、後輩」

後輩「はい…」

幼馴染(あー、結局一睡も出来なかった)

幼馴染(こんなのはじめてだぜ…ったくイライラする)

クラスメイト3「お、おいあれやべーぞ。幼馴染さんの目つきが、まるで抜き身の備前長船の如く!」

クラスメイト4「ばか、見るな!首が飛ぶだけじゃすまねえぞ!」

幼馴染(あー、帰りてえ)

――午後、体育館倉庫――

後輩「わ、私を抱いてください!男センパイ!」

男「いいぞ」

後輩「…やっぱり即答なんですね」

男「願ってもいない事だからな。早速はじめよう」

後輩「え、やっぱりまだ、こ、心の準っ!?」

男(ここの窓は一つだけ。あそこか。背を向けていればいいだろう)

男「安心しろ。すぐ済む」

後輩「わ、わわ…///」

フラフラ

幼馴染「うええ、朝ボケながら、こ、コがした卵焼き」

幼馴染「無理して喰うんじゃなかったぜ。マズいなんてもんじゃ…」

幼馴染(…料理のせいだけじゃねえ、か)

幼馴染(独りで食う飯は、あんなに不味かったんだな)

幼馴染(親父の酒も、そうだったのかよ…)

フラフラ

幼馴染(ん?なんだあいつら、あんなとこで何してんだ)

dqn女a「ちょ、これ完全に入ってるくね?」

dqn女b「だよね、ヤってる。マジでヤってるよ。腹いてえ!」

dqn女a「だー、でもよく見えねえ。くっそ、あのメス豚、撮るほうのこと考えろっての!」

dqn女b「これじゃ掲示板にはっても誰だかわかんねーじゃん。まあ、一回ヤったらあとはズブズブだし、次だな次!」

dqn女a「ちょ、終わったんじゃね。早っ!」

dqn女b「ギャハハ!早漏!マジそーろー!」

幼馴染「お、おい。おめーら…」

dqn女a「あ?なんかよう…ヒッ!?」

dqn女b「ぎ、ぎ…」

dqn女a&b「ぎゃああ!こ、殺されるううぅぅぅ!」

幼馴染「ちょっ!殺されるって、そりゃねーぜ」

幼馴染「どれどれよっこいしょっと。いったい何をみてたん…」

幼馴染「」

幼馴染「な、な、なあっ…!?」

幼馴染(男と、後輩ちゃん?こんなとこで、な、なにを)

幼馴染(後輩ちゃん、上着を、な、直して…まさ、まさか…)

幼馴染(あああ、やばっ!)

ガラガラ

男「本当に大丈夫なんだろうな」

後輩「はい。」

男「おせっかいかもしれないが、お前は自分の意思を言葉にするべきだ」

男「さもないと取り返しの付かない事になるぞ」

後輩「…」

後輩「お、男センパイ…」

男「ああ」

後輩「あ…あ…」

後輩「ありがとうございました。私、これで…っ!」

ダッ

男「…」

幼馴染「おい」

男「ああ、幼馴染か」

幼馴染「お前、また後輩ちゃんを泣かせたのかよ」

男「…」

幼馴染「なんとか言えよ!まさか、む、むりやり…!」

男「…」

幼馴染「な、なんだよ」

男「幼馴染」

幼馴染「あ?」

男「今日は…今日は一人で帰ってくれ」

幼馴染「な」

幼馴染「なんだよそれ、そうかよ。オレにはとことん無関係ってわけか」

男「…」

幼馴染「へっ、言われなくても土台お前と一緒に帰るなんざ、やってらんねえ!」

幼馴染「今日だけとはいわねえ、これからは一生!金輪際お前とは口もきかねえよ!」

ダッ

男「…」

男(そも母親なら、無関係という言葉は出てこないか)

男(俺が真っ先に矛盾していたというわけだ。後輩を利用した、盛大な詭弁だな)

男(うふふ)

男(落とし前を、付けるか)

――放課後――

幼馴染「へんだ、勝手にやってろ。いつもいつもオレの声採ったり話させるくせに、いざお前の事ははなさねえのかよ」

幼馴染「金さんもびっくりな寛大な心で接してきたけどよ、げ、限界だぜ」

幼馴染「帰るからな!一人で!これからは!ぜってー帰る!」

幼馴染「…くそ、くそ!」

クラスメイト1(お、幼馴染さん、校門でウロウロしてどうしたんだろう)

クラスメイト2(さ、さあ。そういえば今日は男君一緒じゃないのね)

幼馴染「くそっ…ハッ?」

ザワザワ…

幼馴染(や、やべ。これじゃオレ変な人みたいじゃねえか。変人はあいつ一人で十分だろが!)

幼馴染(ど、どこかで時間をつぶして…じゃない、そう散歩!散歩しよオレ!)

ダダッ

――旧校舎――

幼馴染「ふー」

幼馴染(ここはいいね。静かで落ち着く。おーおー、鳥までないてら)

幼馴染(どれ、童心に戻って裏手の散策でも…っと、先客か)

dqn女a「ホラホラー、感想いってみなさいよ感想!」

dqn女b「気持ちよかったのかってきいてんのよ!」

幼馴染(なっ、あいつら昼間の…)

dqn女b「おら、なんとかいえよー、変人ご用達の肉ベンキ!」

dqn女a「いわねーなら貫通マ○コ写メって皆にくばっからな!」

後輩「う、うう…」

幼馴染(後輩ちゃん!)

幼馴染「お前らあ!何してんだよ!」

dqn女a「ひっ?だ、誰だよ!」

dqn女b「ああっ、アンタ昼間の抜き身女!」

幼馴染「っせぇ、誰が抜き身女だ!」

幼馴染「後輩ちゃん、大丈夫!?」

後輩「うう、お、幼馴染さん…」

幼馴染「可哀想に。可愛い顔が泥だらけじゃないか…おいてめえら、自分が何してるか解ってんのかよ!」

dqn女b「ち、ちげーし!何勘違いしてるかしらないけどアタシら親友なんだから」

dqn女a「そ、そーそー。大好きな後輩ちゃんがめでたくカレシとえっち出来たからーそのお祝い?」

幼馴染「はあ!?本気でいってんのかよ!」

dqn女a「うそだと思うなら、その子に聞いてみなよ!」

dqn女b「そうそう、本人の意思そんちょーってやつ?」

幼馴染「後輩ちゃん、いいんだよ。本当の事を言いな」

後輩「…」

幼馴染「な、なんで。なんで黙ってるんだよ、なあ」

dqn女a「ほーら、いってやんなよ。ウチらは、何と何のカンケーだっけ?」

dqn女b「おっきい声でね。いつもみたいにボソボソじゃ、そこのオネーサンに聞こえないから」

後輩「わ、わたしは…貴方たちの…」

dqn女a「うんうん」

後輩「し、しんゆ…う…」

幼馴染「…」

dqn女a「ギャハハ!ほらね、ほらね!」

dqn女b「親友どうしのじゃれあいなの!わかったら帰れよオ・バ・サ・ン」

幼馴染「後輩ちゃん…」

後輩「う、ぐすっ…」

幼馴染「泣かないでいいよ。全部解ってるから」

幼馴染「こんなちっちゃい体で良く頑張ったね、強いよ、後輩ちゃんは」

後輩「う、うう」

幼馴染「…対して雑魚だなてめーらは」

dqn女a「ギャハハ…は?」

幼馴染「てめえの弱さを、誰かをいじめることでしか誤魔化せねえ。つまんねえ奴等だ」

dqn女b「ふはっ、説教かよ!親友だっつってんだろ!」

幼馴染「親友ってのは無防備な相手を足蹴にしたりしねえよ!こんなことはガキでも解る事じゃねえか!」

幼馴染「お前らはな、いじめなんて悲しい事しねえと、自分がそこにいるってわかんねえんだよ」

dqn女a「ぐ、ぐ…」

dqn女b「ぐぎ…」

幼馴染「大笑いだぜ。人間ってのはな!」

幼馴染「自分の意志で!自分自身を作れるんだよ!」

後輩「!」

幼馴染「オレは馬鹿だけどよ、これをどっかのタコに教えて貰ってからは、馬鹿なりに生きてこれたぜ」

幼馴染「からっぽの自分を、人を傷つけるなんてサイテーな事で埋めてんじゃねえよ!てめえのケツくらい、てめえで拭け!」

dqn女a「んだよぉ…大きなお世話だ!」

dqn女b「ウチらがダチをどうこうしようと、勝手だろうがよ!」

幼馴染「…」

後輩「…たし…」

幼馴染「…後輩ちゃん」

後輩「わたしっ!」

男『お前は自分の意思を言葉にするべきだ』

幼馴染「オレの背中かしてやるよ!言ってやんな!」

後輩「わたしっ!あなたたちの、親友じゃない!玩具じゃない!いじっ、いじめないで!」

男&幼馴染『良く言った!』

幼馴染「へ?」

dqn女a「な、なに!?上から?」

dqn女b「おいあれ!」

後輩「!?」

幼馴染「お、お…」

幼馴染「男!?」

男「一部始終聞かせてもらったぞ」

男「後輩、いい啖呵だった。幼馴染のそれがかすむくらいにな」

後輩「男…センパイ」

幼馴染「…おまえ…」

幼馴染「な、なんでそんなとこで逆さにぶらさがってんだよ!」

男「うむ。隠れられる場所がなかったから木にのぼったんだが足を滑らせてな」

男「若干頭に血は上るが支障はないようなのでこのまま見守ることにした」

幼馴染「じゃあ、最初っからいたのかよ!」

男「ああそうだ。ところで降りるのを手伝ってもらえないだろうか」

幼馴染「こ、この…」

幼馴染「おおたわけものがーっ!」

男さんダサい!これがダサカッコイイってやつなのか!

ドガァッ!!ドサササッ!

男「き、協力に感謝する」

幼馴染「するってえとなにか、お前は最初っから後輩ちゃんがボコられるの見てたってわけかよ!」

男「うむ。正確に言うと最後の授業が終わったときから一時間ほどだが」

幼馴染「馬鹿の最終形態だなお前は。なんで助けてやんなかったんだよ!」

男「自分の意思も口に出来ないやつを助けろというのか」

幼馴染「なに?」

男「ただ助けるだけなら簡単なことだ。だが後輩を最も強く救うのは、彼女自身なんだぞ」

男「何のいわれもなくいじめられ、何のいわれもなく助けられて、それがためになるのかどうか、俺には疑問だ」

幼馴染「…」

男「後輩を救えるのは後輩だけだ。俺達がやることは、その手助けに過ぎん」

男「だが確かに…より良い選択肢もあっただろうな」

男「母親どころではないな。これくらいしか思いつかなかった。許してくれ」

後輩「おとこ…せんぱ…(ボロボロ)」

dqn女a「な…なによ、ウザッ!ドラマの見すぎ!」

dqn女b「いじめてたからそれがなにってわけよ!証拠なんかないでしょ!」

幼馴染「てめえら、往生際が悪いぞ!」

dqn女a「こっわー、やたら突っかかってくるし!どうせアタシらの魅力に嫉妬してるんでしょ?」

dqn女b「かわいそうよねー。そんな女っ気ゼロのボサボサ頭で男言葉つかってたら、アソコにくもの巣はっちゃうわー」

幼馴染「こ、こいつら…」

男「安い挑発に乗るな。お前らしくもない」

幼馴染「ああそうですか!誰かさんのおかげですこぶる機嫌がわりいんだよ!」

男「それは誰かさんに感謝しないとな。おい、お前たちは1年3組のdqn女aとdqn女bであってるんだな」

dqn女a「あってるけどー親にチクったって無駄だよ!」

dqn女b「そうそう、ウチらの親、ptaのおえらいさんと仲いいからーキャハハ!」

男「そうか。ならかえって好都合だ」

男「後輩、失礼するぞ」

後輩「え、きゃっ!?」

幼馴染「な、おおおま、こんなときになにを!」

俺「俺たちの言葉は信じなくても、お前たち自身の言葉だったらどうかな」

dqn女a「え?」

カチッ

dqn女b『おら、なんとかいえよー、変人ご用達の肉ベンキ!』

dqn女a『いわねーなら貫通マ○コ写メって皆にくばっからな!』

後輩『う、うう…』

カチッ

幼馴染「いつも使ってる、テープレコーダー…」

dqn女a「なんだよ、なんだよそれ!」

男「先ほど後輩の内ポケットに忍ばせておいたのだが、思いのほかよくとれているな。」

男「さすが我が相棒だ」

dqn女b「さ、サイテー!変態!」

男「人の情事を盗み見る連中に言われたくないな」

男「先ほどもいったように俺は押し売りが嫌いだ。だから三つの選択肢を提案しよう」

dqn女b「え?」

男「一つ。このテープをお前たちの親に送りつけることを代償に、今後も後輩のいじめを続ける」

男「一つ。おなじようにして、別の誰かをいじめる」

男「一つ。今後一切誰もいじめることなく後輩にかかわることもなく、このテープを俺の懐に収めさせる」

男「そしてすべてに共通することは、今すぐここから消えることだ」

dqn女a「な、なにそれ、そんなんで脅してるつもり…」

男「そうかそうか。では喜んで贈らせてもらうと」

dqn女b「わかったわよ!約束するわよ!」

dqn女a「なんだよ!あんただって役得じゃねーかよ!そこのブスとセックスできたんだから!」

男「もう一度だけ…言おう。消えろ」

dqn女b「ひっ」

dqn女a「い、いこーぜ!」

タッタッタッタ

男「三下の台詞が似たり寄ったりになる理由も解るな。思考が極めて単純かつ貧弱だ」

男「なんだどうしたんだ幼馴染。そんなに間抜けた顔も新しいパターンだぞ」

幼馴染「いや、お前にしてはなんか…珍しいなってか」

後輩「…」

男「ああ、そうかもな。お前の乱入以外はあまりに上手くいきすぎて、自分でも驚いている」

男「これでも後輩の上着にレコーダーをしのばせるのは勇気がいった」

男「はじめてだからな。幼馴染以外の人間にこれを使うのは」

幼馴染「ばっ、普通はな、オレに使うのだって遠慮するもんなんだぜ!」

男「そういうものか」

幼馴染「そういうもんだっ」

後輩「……」

男「さて、まだ終わっていない問題があるな」

幼馴染「?」

男「俺の手前味噌のために、後輩にはいろいろ辛い思いをさせた。その落とし前を付ける必要がある」

男「その一つはここで済ませよう」

ゴソゴソ

後輩「…!?///」

幼馴染「男、お前…」

男「まあ後輩の裸を確認したことと俺の脱衣劇では基準が違うが、似たような環境だ。手打ちにしてくれ」

男「後輩にあるのと同じようなアザだ」

男「俺もお前と同じだったんだ。だからこそ確信を得たがな」

後輩「…」

男「情けない話だが、人には偉そうなことを言っておいて、俺は誰にも話さなかった」

男「見てのとおり俺は偏屈だからな。いじめる人間の心情も理解できる」

幼馴染「違う」

男「もっとも幼馴染には最終的にバレてしまったが。そして結果的には幼馴染の腕っぷしに守られる形に」

幼馴染「違う!」

幼馴染「最初の狙いは、オレだったじゃねえか。それをお前はわざわざ、ひったくったんだ」

男「どうかな。俺の分析が正しければ、やつらを説き伏せる事が出来たはずだ」

男「いずれにせよ身からでた錆だ」

幼馴染「そうやってよ、皆を置き去りにして、危ない橋を自分ひとりで渡ろうとするの、やめろよ」

幼馴染「関係あんだよ。オレとお前は家が隣なだけじゃねえんだよ。一緒に渡らせろよ!」

男「…」

男「そうだな、無関係と言った事も、問題の一つだ。悪かったな」

幼馴染「わかりゃいいんだよ。二度と言うんじゃねーぞ」

男「うむ」

後輩「…」

男「最後に、後輩は無理矢理俺に告白させられたわけだが、俺はそれを勘ぐりながら利用した」

男「これに関しては後日改めて償うことにしよう」

後輩「そんな、償うだなんて…」

幼馴染「いーんだよ。後輩ちゃんみたいな可愛い子泣かせたんだから、当然のことだ」

幼馴染「どうせ止めたって、頑固だからききゃしねーし」

男「お前に言われるとは思わなかったな」

幼馴染「はぁ?オレが頑固だっていうのかよ!」

男「お前が頑固じゃなかったら世界のダイヤモンドは綺麗なコンニャクにはや変わりだ」

幼馴染「てめえ、後日といわずここで償え!もっかい木に吊るしてやる!」

男「やめてくれ、まだ頭痛が残っている」

幼馴染「まてこらっ、にげんじゃねえ!」

後輩「…クスクス」

――帰宅路――

幼馴染「で」

幼馴染「なんでオレも交えて帰り道あるいてんだよ」

男「互いが帰」

幼馴染「壊れたレコードかお前は」

後輩「あ、あの、えと」

幼馴染「ほら、後輩ちゃんもいってやってよ。脳みそが杓子定規のコイツに」

支援

後輩「わたし、幼馴染さんが一緒のほうが、た、楽しいです」

幼馴染「へ」

男「良かったな。目を見る限り、気を使っているわけではないようだぞ」

幼馴染「おんめぇはオレこそ誰のために気を使ってやってるとおもって…」

男「後輩、ひざのすりきずは痛むか?」

後輩「いえ、幼馴染さんが治療してくれたので…」

男「そうか。なら良い」

幼馴染「…」

後輩「あ、わたしこっちなので…」

男「おおそうか。じゃあまた明日な」

ドカッ

男「教科書の入ったカバンというのは結構な凶器でな…振り回す人物によっては鋭利な刃物よりも…」

幼馴染「何回も言わせんな。ちゃんと送っていけ」

男「しかし」

幼馴染「落とし前つけりゃハイおしまいなのかお前は。後輩ちゃんをこんな遅く一人で帰らせるのかよ」

男「む、一理あるな」

男「後輩、ついていってもいいか」

後輩「は、はい、もちろんです。あ、幼馴染さん!」

幼馴染「ん?」

後輩「今日はありがとうございました」

幼馴染「いーってこと。気をつけてね」

男「ではいくか。幼馴染、もうそこそこ暗いから足元には」

幼馴染「とっとと行けっての!」

幼馴染(ったく)

幼馴染(可愛い子だってのに、分析しか能がねーのかよ)

幼馴染(…可愛い、か)

ガラッ

師範「おう遅かったじゃねえか」

幼馴染「ああ…」

師範「どうした。元気ねえな。」

幼馴染「親父…女って、どういうもんなんだろうな」

師範「そりゃおまえ、母さんみてえなのを言うんだよ」

幼馴染「お袋か…お袋ね」

師範「若いころはそりゃー綺麗だったもんだぞ。そこへ来て普段は気がつええのに、二人っきりのときゃ」

幼馴染「はいはいご馳走様ご馳走様」

バタンッ ボフッ

幼馴染(後輩ちゃん、近くでみたらホント可愛いかったなあ)

幼馴染(髪なんかサラサラで…お袋のも、長くて綺麗だったなあ)

幼馴染(オレときたらあんな馬鹿女共にからかわれる始末)

幼馴染(全部丸くおさまって、めでたしってなったのによ)

幼馴染(なんでかなあ…こんなみじめな気持ち)

幼馴染(最近…ずっと………だ……)

――翌朝――

幼馴染「告白を取り下げてもらった?」

男「ああ」

男「もともと彼女の意思とは別のものだったんだ。当然のことだ」

幼馴染「そうかよ。後輩ちゃんは何て?」

男「快諾してくれたぞ。というのもおかしいがな」

幼馴染「はぁ…お前ってやつは…」

男「なんだ」

幼馴染「いや、ところで何だよその帽子は」

男「直、解る。後輩を見つけたら話す」

幼馴染「あ、そう」

幼馴染「…」

後輩「…」

男「…」

幼馴染「…ブファッ!」

幼馴染「だあーっはっはっは!こ、こりゃ傑作だぜ!男、そ、その」

幼馴染「つるっつるの頭!」

男「そんなに面白いか?まあ、つまらなかったらそれはそれで困るが」

幼馴染「つ、償いって、このことだったのかよ!はぁーっ、はぁーっ、息できねえーっ」

後輩「…ッ(プルプル)」

幼馴染「おいちょっと、ブハッ!後輩ちゃんにはむしろ罰ゲームみたいになってんじゃねーかよ!」

幼馴染「こんな道の真ん中で、ヒーッ、は、花も恥らう年頃の乙女わらわかそうとしてんじゃねーよ!」

男「…お前その言葉、恐ろしいほどに説得力がないぞ」

幼馴染「か、かくせ!とりあえず!こ、後輩ちゃんがやばい!」

後輩「だ、だいじょうぶっ…でっ…(プルプルプル)」

男「なんだか釈然としないが、まあいいか(スポッ)」

幼馴染「ふいー、なるほどな。丸坊主ってのはたしかに、ぴったりだな」

男「お前が気に入ってもしょうがないんだがな」

男「後輩、これで今回のことは水に流してもらえるだろうか」

後輩「…すーはー…はい…!」

男「ああ。やっと笑ったな」

後輩「え?」

男「快晴に似合う笑顔だ。絵になるな」

後輩「あ、ありがとうございます///」

幼馴染「…ふふっ」

男「ん、なんだ幼馴染」

男「もう一度見たいのか?」

幼馴染「ブハッ!ちげーよ、しまっとけ!」

男「そうか」

男「…一緒に渡るからには」

幼馴染「ん?」

男「一緒に渡るからには、それに相応しい男にならねばならないからな」

幼馴染「は、どういう意味だよ」

男「言葉のとおりだが。まあ男らしく、を形から入るということだろうか」

幼馴染「プッ。その答えがハゲることかよ」

男「ああ」

幼馴染「単純で解りやすいじゃん」

幼馴染「…あーっ、まったくお前はよ。人が何日も考えてたことあっさり吹っ飛ばしてくれてよ」

男「そういえば結局話を聞いてなかったな。何を考えていたんだ」

幼馴染「教えてやんねーよ。それに、もう決めた」

男「ん?何をだ。結局何一つ解らんぞ」

幼馴染「んふふー、なーいしょ。あー笑った笑った。ほらほら、二人ともいそごーぜ」

タタタタ…

男「はあ。陽気にあてられたか」

後輩「…当てられたのは陽気じゃなくて…」

男「ん?」

後輩「なんでもないですっ」

男「んーむ?」

幼馴染(上等だよ、男)

幼馴染(らしいとか、らしくないとか)

幼馴染(後輩ちゃんがどうとか、お袋がどうとか関係ねえ)

幼馴染(お前が相応しい男ってやつになるんなら)

幼馴染(オレは相応しい女ってのに、なってやるよ!)



  バン    はよ
バン(∩`・д・) バン  はよ
  / ミつ/ ̄ ̄ ̄/   
 ̄ ̄\/___/


――現在・保健室――

後輩「つまり、あの時決めたことっていうのが…」

幼馴染「まあ、こういうことかな。とうとう背中の半分まで伸びちゃったよ」

後輩「じゃあ、もしかして決め手になったのは、男センパイの?」

幼馴染「そ、坊主頭!…ぷはっ!あれも傑作だったね」

後輩「クスクス、はい」

幼馴染「あれで背中押された気がしてね。だから変われたってのもあるかな」

幼馴染「でも結局あいつの反応は大はずれ。知らないうちに友と女って友人まで作っちゃって」

幼馴染「私もなんだかんだで、皆と話できるようになったのが嬉しくて」

幼馴染「距離があいちゃったんだよね」

後輩「…」

後輩「センパイはやっぱり男センパイのこと、好きなんですね」

幼馴染「あは。後輩ちゃんには今更すぎるだろうね」

幼馴染「…好きだよ。そりゃもう、ずっと昔からね」

後輩「…(カァァ)」

幼馴染「ちょ、ちょっと、なんで後輩ちゃんが顔赤くしてんの!」

後輩「せ、センパイも…顔真っ赤です」

幼馴染「く、口に出してこんなこと言ったの生まれて初めてだからな」

幼馴染「今までこういうこと話す相手もいなかったし」

後輩「なるほどです」

幼馴染「まあでも、なんとなくそういうの言い出せなかったんだよね。男には」

後輩「どうしてですか?」

幼馴染「あろうことかあいつ、私のお袋の変わりになろうとしたからさ」

後輩「それ、男センパイがいってました」

後輩「じゃあ、お母さんが亡くなった家庭っていうのはセンパイの…」

幼馴染「うん。私が10歳のころに、事故でね」

後輩「…」

幼馴染「この世のすべてを呪ったね。神さまなんかもとより、人間全部が敵に見えたよ」

幼馴染「親父も酒に溺れてさ、道場はほとんど廃屋同然になっちまった」

幼馴染「そんとき私を遠くから黙って眺めてたのが、男だったのさ」

後輩「…」

幼馴染「私の表情と目の動きを観察して」

幼馴染「お腹すいたら何かもってきてくれて、怒りがこみあげてきたら殴られてくれて」

幼馴染「泣きそうになったら、どっかにいってくれた」

幼馴染「学校でろくに友達もつくらずに、うちに通い詰めてね」

後輩「…」

幼馴染「おかげで私と親父は今の生活に落ち着けたけど」

幼馴染「あいつはあの通り、偏屈な変人になっちゃった」

幼馴染「だから嬉しかったよ。あいつに後輩ちゃんや、今の友人が出来たときは」

幼馴染「私はというと、ずっとあいつの娘から、一人の女になれる機会をうかがってたって訳」

後輩「…グス」

幼馴染「ごめんよ。しんみりさせちゃったね」

幼馴染「まあ、あんなやつだから、後輩ちゃんと付き合うってなったときはハラハラしたもんだよ」

幼馴染「本当に酷い事言われてないだろうね?」

後輩「はい、大丈夫です」

後輩「前はその…苦手な人でしたけど、今はもうだいぶ慣れましたから」

幼馴染「ああ、それなら安心したっていうか」

幼馴染「いくらあいつでも無神経すぎるって事あるからね、それこそさっきの話だけど」

後輩「?」

幼馴染「相応しい男になるとか意味深な事言うから、決意したってのに」

幼馴染「伸びた髪見せたらこう言ったんだよ」

――同時刻・屋上――

女「それで、『何処が変わったんだ』、の一言?」

男「そうだ」

女「ふふ、君らしいというか、凄いことを言ってのけたね」

女「だとしたら原因は明確じゃない」

男「そうだな」

女「そこまで解っててなんでそこまで悩むのかな」

男「…」

女「もしかして、君はまだ彼女の母親役でいることを捨て切っていないんじゃない?」

女「それこそなんらかの理由で、捨て切れないのかもしれないし」

男「類は友を呼ぶとはよくいったものだ」

男「そんな事を聞くために、こんなところまでわざわざ来たのか」

女「私は放送委員長をしてて、将来は記者になりたいと思っているんだ」

女「そんな人間が旧校舎で大捕物を繰り広げる人物を見つけたら、興味を持つなというほうが無理な話だよ」

男「記事にしたくて俺に近づいたのか」

女「それは違うよ。君の言葉を借りれば、分析のし甲斐があるということかな」

女「あとは信じられないかもしれないけど、単純に君に好意を抱いたんだ」

女「あれ、どこにいくの?」

男「昼休みは終わりだ、教室に戻る」

タッタッタッ

女「思うに、君と幼馴染さんは距離が近すぎたんじゃないかな」

女「それこそ、毎日一緒にいる家族のような存在だったわけでしょ?」

タッタッタッ

女「ここ数週間で解ったけど、君の分析術は相手が想定の範囲からはずれると途端に正解率が下がってる」

タッタッタッ

女「君が彼女について以前の分析力を取り戻すには、いろいろ手順があるとおもうけど」

女「そのうちの一つに、女の子のことを深く理解するために、てっとり早い方法があるんだ」

後輩「きっと、きっと男センパイだって、すぐに気づいてくれます!」

後輩「センパイが、すごく素敵な女の子なんだって事も…」

幼馴染「こ、後輩ちゃん。そこまではっきり言われるとむずがゆいよ」

幼馴染「でもありがと。ちょっとヤケっぱちになってたから、元気でたよ」

後輩「良かった。あ、じゃあ、私ここで」

幼馴染「うん、またね」

後輩「私、ずっと応援してますから」

幼馴染「ありがと」

幼馴染(素敵な女の子、かあ。お手本にいろいろ教えてもらった後輩ちゃんに言われると嬉しいもんだね)

幼馴染(うじうじ考えるのは性に合わないし、とりあえず今日は、一緒に帰れるかどうか聞いてみるか)

幼馴染(う、でも久しぶりだしなあ…や、やばい。今から緊張して…)

ガラッ

女「私と付き合おう?男」

クラスメイト1「え?」

クラスメイト2「え?」

友「え?」

男「いいぞ」

幼馴染「」

幼馴染「は?」

タイミングwww

幼馴染ェ……

今日はここまでか

期待

しえん



期待

――放課後――

キーンコーンカーンコーン

男「おい、幼馴…」

ガタタッ

クラスメイト1「あ、幼馴染さん、今日保健室の当番だっけ?」

クラスメイト2「何か手伝うことある?」

幼馴染「大丈夫、後輩ちゃんも一緒だし。ありがとね」

クラスメイト1「ううん、がんばってね!」

タッタッタッ

クラスメイト3「なあ、髪のばした頃から幼馴染さん日増しにやばくなってねーか」

クラスメイト4「だな。一気に女らしくなったっつうか、反則だぜありゃ」

クラスメイト5「あー、幼馴染さんのかほりがここまで…」

男「…」

友「お、お、おお、おさな、おさななな…さ…」

女「男、一緒に帰ろう」

男「構わんが少し寄り道をするぞ」

女「君が行くとこなら、どこにでもついていくよ」

男「そうか」

男「友、先に失礼するぞ」

友「う、うううう、うん。き、気をつけてね」

タッタッタッ

クラスメイト3「…あいつらも異色のコンビだよな。」

クラスメイト4「校内一の変わり者ですら彼女が出来たというのに俺らときたら…」

クラスメイト5「幼馴染すわーん」

幼馴染「(どよぉーーん)」

後輩「センパイ…」

幼馴染「あのさ、後輩ちゃん…」

後輩「は、はい!」

幼馴染「出産祝いってさあ、何がいいかなあ。米三俵じゃあ、足りないかなあ…ああでもそのまえにご祝儀か…」

後輩(なんかすっごい飛躍してる!?)

後輩「私も話を聞いたときはびっくりしましたけど、男センパイのことですから、まだ本気って解ったわけじゃないですよ!」

幼馴染「まあそうなんだけどさ…今告白されて受けるってことはさ…」

幼馴染「前いってくれたさ、相応しい男ってのはさ、結局いいダチってことになりそうでさ…」

幼馴染「ちょっと期待してた身としてはさ、とどめさされた気がしてさ…」

後輩「それは…だから…」

幼馴染「いや、いいのよ?私はあいつの交友関係が広がるのは、嬉しいから」

幼馴染「うんほんとに。すっごい。すーっごい嬉しいから(メキメキグニョー)」

後輩(ピンセットが粘土みたいに…)

後輩「せ、センパイ。今日はもうけが人来ないみたですし、一緒に帰りませんか?」

後輩「どこか寄りましょう。私、美味しいアイス屋さん知ってるんです」

幼馴染「そうね…そうしよっか」

パカッ ドサドサドサドサドサッ

幼馴染「…」

後輩「…」

後輩「なんか、日ごと増えてますね…」

幼馴染「うん。読まずに捨てるのも失礼だから持って帰るけど」

幼馴染「今日だけはなんか、ガソリンかけてパーッともやしちゃいたいなあ」

後輩(ひいい)

後輩「でもでも、これはセンパイが魅力的な確かな証拠ですよ」

後輩「あれだけ分析が得意な男センパイなら、たとえ彼女ができたって、気づかないはずないです!」

幼馴染「そうねえ、そうかなあ」

後輩「はい!ちょっと時間かかっちゃってますけど、きっと大丈夫です!」

幼馴染「どうだかなあ、だといいなあ…」

イケメン「こんにちは、お嬢さん。ちょっといいかな?」

幼馴染「…」

後輩(あれ?この人は確か…)

クラスメイト1「あ、幼馴染さんこれから帰るところ…って」

クラスメイト2「い、イケメンさん!スポーツ万能、成績優秀な3年4組のイケメンさんよ!」

クラスメイト1「ええ、困った人がいたら助けてあげる、強くて優しいって巷でも大評判のイケメンさんだわ!」

イケメン「ろ、露骨な説明ありがとう、君達」

イケメン「でも僕としては当然のことをしてると思ってるんだ。世の中助け合いが何より大事だろう?」

イケメン「何も特別、優しいとかそういうわけじゃないんだよ」

クラスメイト2「謙虚なところもステキ…はうーん」

クラスメイト1「はうーん」

イケメン「で、お嬢さん。声をかけさせてもらったのはほかでも…」

イケメン「って、ま、待ちたまえ!君!」

幼馴染「…ふえ?」

イケメン「そう君だ。お嬢さん、いや、麗しの姫君」

後輩(ひ、姫君)

幼馴染「なに?セールスならお断りなんだけど。新聞もとらないよ」

イケメン「君のような人にそんな失礼なことはしないさ。」

イケメン「単刀直入に言おう。僕は君の洗練された美しさに惚れてしまったんだ」

イケメン「どうか君の彼氏になるという名誉に与らせてはもらえないだろうか」

幼馴染「いいよ」

後輩「…せ、センパイっ!?」

イケメン「おお!ありがとう!」

幼馴染「で、誰なの、あなた」

イケメン「それはこれからじっくり紹介させてもらうよ。時間をかけてね」

幼馴染「教えてもらえないと決闘は出来ないよ」

イケメン「え?」

幼馴染「よくわかないけど、単刀直入ってドスで語りあうことなんじゃないの?」

後輩(うっわー…)

イケメン「し、失礼。言葉を選ぶべきだったようだ」

イケメン「君の事が好きになってしまったんだ。付き合って欲しい」

幼馴染「ああ、そう、私の事が好き…」

幼馴染「はぁ!?なななな、何…何いってるんですか!」

イケメン「何度でも言えるさ。君が好きだ」

幼馴染「なん…それならなおさら知ってる人じゃないとだめでしょ!」

イケメン「突然で申し訳ないとは思う。でも僕は真剣なんだ」

幼馴染「ま、まったくよもう。実際にそう言われるのははじめてだから、し、心臓飛び出るかとおもったわ」

後輩「…(ジー)」

幼馴染「あ、あはは。そのー、今日は友達もいるし、また日を改めてということで…」

イケメン「今、返事が欲しいんだ。さもないと僕は今日眠れないことになる」

幼馴染「そっか。うーん…」

幼馴染「…」

イケメン「お嬢さん?」

幼馴染「ひゃ?ああ、そうね」

幼馴染「ごめん、私今そういうこと興味ないっていうか」

幼馴染「いや無いわけじゃないんだけど、ちょっと、出産祝い何にするかのほうが気になっちゃうっていうか」

イケメン「出産祝い?身内がおめでたなのかな」

後輩(ああ…センパイ、飛躍したまんまになってる…)

幼馴染「とにかくそういうことだから、ホントごめんね。恥かかすようで悪いけどさ」

イケメン「いやあいいんだ。なにぶん突然の事だし、急にうまくいくとは思わないよ」

幼馴染「そういってもらえると助かるよ」

イケメン「ではどうだろう、せめて一緒に帰らせてもらってもいいかな?」

幼馴染「ああ、ごめんね。これから後輩ちゃんと約束があるんだ」

イケメン「そうか、残念だけど、今日のところは引き下がるよ」

イケメン「どうもありがとう、時間をとらせてしまった」

幼馴染「うん。気をつけて」

後輩「さ、さようなら」

幼馴染「はー、びっくりした。雷でも落ちたみたいだったよ」


後輩「…」

幼馴染「あーえと、ごめんね。なんかさ、気まずいっていうか」

後輩「いえ。行きましょう、センパイ」

幼馴染「うん」

後輩(…結果としてはセンパイ)

後輩(あの人と話をしたから、元気になったのかな)

クラスメイト1「ああ…風のような出来事だったわね」

クラスメイト2「そうね。でも幼馴染さんなら納得かな…」

クラスメイト1「私達もかえろっか」

パカッ ニューッ

クラスメイト1「…」

男「む、失礼。でるところを間違えたようだ」

クラスメイト1「ギャーッ!お、お、男君、なんてとこに入ってるのよ!」

男「いや、これには深い訳がだな」

女「ふふ、つくづく手段を選ばない人だね。君って」

女「下駄箱くりぬいて潜伏とか、007でもやらないんじゃない?私と一緒に反対側に居ればよかったのに」

男「あいつは気配を読めるからな。へたなことはできない」

男「(ズルズル)すまないな。君のところは次からは塞いでおこう」

クラスメイト1「あ…あ…うん…」

女「まだ続けるんだよね?」

男「ちょっとまて、今肩を元に戻す(ボキバキ)ふう。当然だ」

女「じゃあ、こういうのは役に立つかな。さっき演劇部から借りてきたんだ」

男「ほう、ハンチングとコートか」

女「君はもともと眼鏡だから、付け髭ももってきたよ」

男「気が利くな。行こう」

タタタタ

クラスメイト1「…」

クラスメイト2「…か、かえろっか」

クラスメイト1「う、うん。」

アイス屋「アリアトヤシター」

幼馴染「わっ!ほんとだすっごく美味しいよこれ!」

後輩「本当ですか?良かった、気に入ってもらえて」

幼馴染「うんうん。いい仕事してるよ」

後輩(抹茶三段重ねって初めて見た…)

幼馴染「さっきの人の事だけどさ」

後輩「ん…イケメンさんのことですか?」

幼馴染「うん。」

幼馴染「噂もちろっと聞いてたけど、良い男だったよね。助さんや平八には負けるけどさ。」

後輩「はい…」

幼馴染「恋文じゃ実感わかなかったけど、ああいうのってやっぱりドキドキするもんなんだね」

幼馴染「はたかりゃ見りゃ私もまんざらじゃないんだろうけど…まったく、うまくいかないなあ」

後輩「…」

後輩(前のセンパイだったら、有無を言わずに断ってた気がする)

後輩(私が思ってるよりずっと、男センパイのことショックだったのかもしれない)

幼馴染「後輩ちゃんはどう?」

後輩「えっ」

幼馴染「いや、なんか人気高いらしいじゃん。あの人」

幼馴染「後輩ちゃんから見たら、どんな感じなのかなって思ってさ」

後輩「確かにかっこいいし、ステキな人ですけど…」

後輩「私、他に、その…」

幼馴染「ん?お?」

幼馴染「おやおや、もしかして後輩ちゃん好きな人がいるのかな?」

後輩「…(カーッ)」

幼馴染「誰?誰なの?同じクラスの人?」

後輩「え、ひ、秘密ですっ!」

幼馴染「ほっほーう。私には白状させておいて、君だけ言い逃れ出来るとおもったら…」

幼馴染「大間違いだぞっ、このこのっ!」

後輩「きゃっ、せ、センパイ。く、くすぐったいですっ」

ガサッ

男「…」

女「イケメンさんの件は突然だったね」

男「ああ」

女「男としても気になるポイントなんじゃないかな?」

男「あいつに関わることならば等しく全て気になるぞ。蹴った小石の種類だろうと重要なサンプルだからな」

女「ふふ」

男「なんだ」

女「仮にも付き合ってる彼女の前で、別の女の子の事をそういえるのは、君くらいだろうなあって思って」

男「…どうだろうな。」

男「ん、移動するようだ。次の死角はポイントa-127あたりだろう」

女「りょーかいっ」

後輩「ここまでで大丈夫です。あとはすぐそこですから」

幼馴染「そっか。ありがとね、すっごく美味しかったよアイス」

後輩「えへへ、気に入ってもらえて、私も嬉しかったです」

幼馴染「またいこうね、それじゃ!」

後輩「はい、センパイ!」

後輩「…」

後輩(なんか、嬉しいはずなのに、嬉しくなくて、それが嬉しいような、悲しいような…)

後輩(はぁ…)

コート男「次はd-224だ」

コート女「了解」

後輩(誰だろう、あの人たち。さっきのアイス屋さんの時もいたけど)

後輩(探偵さん?そんなわけないか。あんなベタベタな格好じゃ、すぐ見つかっちゃうもんね)

後輩(仮装大会の帰りなのかな)

後輩(…)

後輩(探偵さん、か)

後輩(男センパイの気持ちとか、調査してもらえるのかな)

後輩(でも、こういうことは自分で直接したほうが…ああでも、でも…)

後輩(そうだ!女センパイになら、私でも聞けるかも)

後輩(告白の理由を聞いたって、別に変じゃないよね?)

後輩(私の時みたいなのじゃなくても、あ、遊びって可能性もあるし!)

後輩(ちょっと怖いけど、センパイのためなら…)

後輩(がんばれ、私!)

幼馴染「ただいまー」

師範「おーう、おかえり」

ガラガラピシャッ

男「…午後17時43分、帰宅確認」

女「アイス屋の後、とくに目立つイベントは無かったかね」

男「後輩とよく話すようになってから変わったのは、雰囲気だけではないな」

男「帰宅ルートや、私生活の大半にまでおよんでいる。やはり彼女の存在が大きな影響を与えている」



女「それは良いことなの?悪いことなの?」

男「妙なことを聞くな」

女「そうかな。君の尾行目的は以前から彼女の行動パターンを分析するためにあるんでしょう?」

男「ああ」

女「日々変化するとはいえ、急激に変わるとなると、さすがの君も困るんじゃないかなと単純に思っただけだけど」

女「髪を伸ばして、急に女の子のような振る舞いをしだすようにさ」

男「想定はしていた」

女「でも現状、彼女に対する分析が外れてきてるんでしょう?」

男「うむ」

女「もしかして、彼女の変化した立ち位置の、認識に問題があるんじゃないかな」

男「うむ」

女「ふふっ。君って、確かな返事ができなくなると急に口数少なくなるよね」

女「そういうとこも好きだな、私」

男「…」

女「ねえ、今度の休日デートしない?」

男「急だな」

女「ダメ?」

男「かまわないが土曜は用事がある。日曜ならいいぞ」

女「約束だからねっ、じゃ、私帰るから」

男「ああ」

女「男」

男「なんだ」

女「デートで女の子の事、全部教えてあげるから」

女「予習しておいてね。ばいばいっ」

タタタタ

男「予習といわれても何をしろというのだ」

男「女の子の事を予習…」

男「幼馴染に聞くのはそもそも論外であるし」

男「後輩か?いや」

男「頼れるとしたらあいつだけか」

――友宅――

友「や、や、やった、よ、ようやく、全ルート、コンプリート…」

ガギャギャギャギャッ

友「け、携帯、携帯どこ…は、はい」

友「な、なんだ。お、お、男君か。ど、どうしたの」

男『あいかわらずお前の携帯は凄まじい音量だな。自分の声が跳ね返って聞こえるぞ』

友「ご、ご、ごめんね。ふ、ふ、ふるいから」

男『いや、それが良いんだ。それより相談したいことがある』

友「そ、相談?い、い、い、いいけど、珍しいね」

友「き、君が、ぼぼぼくに相談、する必要があるこ、こ、ことなんて、な、無いと思ってたけど」

男『そうでもない。実際困っているんだ』

男『今度の日曜日に、女とデートすることになった』

友「え、な、なんだって?」

友「しゅ、しゅしゅしゅ、しゅうまつに、お、女さんと、でででデート!?」

男『ああ』

友「そ、そ、そう。急な、話だね。あの、こ、告白もじゅ、じゅうぶん、急だったけど…」

男『そこで、女性とのデートに詳しいお前に、参考までに話を聞きたいんだ』

友「ぶぇ?」

男『よく話してくれるじゃないか。血のつながった妹や気の強い委員長相手でも果敢に挑戦する精神。俺は高く評価しているぞ』

友「たしかに、そ、そうだけど…でも」

友「ぼ、ぼくがくわしいのは、げ、ゲームの、女の子の、ことだから…」

友「あ、あ、あらかじめ、決められたパターンだし、何回も、何回もミスできるから」

友「げ、現実では、さささ、さんこうにならないと、おもうよ」

男『ミスに関してはともかくパターンにさしたる変わりは無いだろう』

男『デートの面白さを詰め込んだゲームなのだとしたら、逆に適用できるはずだ』

男『今からやるのではいささか遅すぎるからな。要点だけ聞きたい』

友「…そ、そうか、わ、わかったよ」

友「じゃ、じゃあ、か、簡単なパターンだけ、い、いい、いくつか…」

友『……』

男「うむ、うむ。なるほど」

男「ああ、そうだな。長らく話して悪かった」

男「今度何か礼をしよう。ああ。ではな」

男「ふう。やはり俺の目に狂いは無かったな」

男「恩に着るぞ、友よ」

男(ん?もうこんな時間か。)

男(…)

男(現状を振り返ると気が進まないが、顔は出さねばなるまい)

男(多めにテーピングしておこう)

――幼馴染宅――

幼馴染「はぁぁっ!」

バーンッ!

男「ぐっ!」

師範「一本!」

師範「どうしたんだ男君。まるで無防備に見えるが、体調が悪いのか?」

男「いえ…そういうわけでは」

師範「足捌きを見ると手加減しているようにも見えないが、やたら投げられてばかりじゃないか」

男「め、面目ない」

幼馴染「師範、相手してよ。これじゃ練習になんない」

師範「ん?ああ。では男君、審判を頼めるかい。」

男「はい」

男「では…はじめっ!」

幼馴染「はぁぁぁぁっ!」

師範「トオオオリャァァァァァァァ!」

男「…」

男(右襟…左…いや真ん中か?)

男(いかんな。幼馴染の動き、もはや完全に読めないというレベルではない)

男(これは既に)

男(未知の、存在だ)

男(…なんだこれは)

男(これが、恐怖なのか?)

男(だとしたらずいぶん物騒なものとしてこしらえたものだな)

男(こんなもの、どうしろと言うのだ)

師範「はぁっ」

幼馴染「ぐぅっ!」

ドォッ!

男「…」

師範「はぁはぁ…男君、どうした」

男「む…一本!」

師範「ふうっ。理由は解らんが、二人とも本調子じゃないな」

幼馴染「な、何いってんのよ。私はバリバリ絶好調よ!」

師範「(ゾワワッ)お前の口調も妙なことになったもんだ。もうすこしゆっくり慣らして欲しかったよ」

幼馴染「動きじゃなくて、口調に文句があるっていうの!?」

師範「いや、はあ…やはり調子が悪いようだな。呼吸が乱れすぎだ」

師範「今日はこれまでにして、黙想するとしよう」

男「オス」

幼馴染「はぁはぁ……解ったよ…」

師範「返事はそうじゃあないだろう」

幼馴染「…オス」

師範「では禅を組み」

師範「黙想っ」

幼馴染「…」

男「…」

チッチッチッチッ…

幼馴染「ねえ、お父さん」

師範「ぞわっ、な、なんだ」

幼馴染「なんかその反応いちいち腹立つんだけど」

師範「しょうがないだろが、こっちまで口の利き方変わっちまうよ」

幼馴染「そりゃ私だってずっと違和感感じてるよ!で、でも…」

幼馴染「いつまでも親父だなんて、呼んでられないだろ」

師範「そりゃそうかもしれんが…いやまあ、お前が納得ずくならそれでいいんだが」

幼馴染「やっぱり、大々的に門弟募集しようよ」

師範「ん?」

幼馴染「このままじゃまずいよ。二人しかいないなんて道場、立ち行かなくなっちゃうだろ」

師範「んん?ひいふみい、三人いるじゃねえか。おまえひょっとして自分いれてないんじゃ…」

幼馴染「門弟の数だよ!」

師範「俺は別に不足してると思わないがな」

幼馴染「またそうやって…私はずっと心配してんだよ」

幼馴染「ここの看板も、何代も続いてきたものじゃないか」

師範「武術ってのはな、心技体ってのがあるが、どの世の中でも一番大事なのは心なんだよ」

幼馴染「それは解ってるけど」

師範「いや解っちゃいないな。門をくぐるときに、そいつが無粋な理由持ちだったら気前でわかるもんだ」

師範「そんなやつに教える技なんかな、この世にゃないんだよ、そうだろう」

師範「安易に募集かけずとも、本当に必要とする奴がいるなら自然と集まるさ」

幼馴染「…」

師範「まあそれは建前だな。お前が一番わかってることだろう」

師範「俺は酒に負けたような弱い男だ。皆の期待を裏切っちまってこのザマだ」

師範「師の心がよわけりゃ、付き従うやつらまでもろくなる」

幼馴染「でも、私達にはちゃんと教えられてるじゃないか!」

師範「お前は気づいてないな。お前に柔道教えてるのはよ、俺じゃねえよ」

師範「俺を深酒から立ち直らせて」

師範「誰よりも長く、お前に技を教えてくれてる人がいるじゃないか」

師範「師範なんてのは単なる箔だ、はがしゃ薄っぺらい。彼にはもっと分厚い別の何かがある」

師範「気づこうとしないだけで、お前もそれ、解ってるんじゃないのかい?」

幼馴染「…」

師範「まっ!心配すんなって。俺の十八番は力仕事だ。」

師範「道場たたむことになっても、貯金とあわせりゃ昼間の土方でお前を養うには、ことたりる」

幼馴染「だけど…でも…」

師範「お前は俺と母さんの自慢の娘だ。だがな、俺にも譲れねえもんってのはあるんだよ」

師範「わかってくれないか。無理強いはしたくはないがな」

幼馴染「…」

幼馴染「わかったよ…」

師範「お、そうか」

幼馴染「親父が腰抜けだってのが解ったってんだよ!お袋にゃもったいねえ!」

幼馴染「そんなナリじゃ、よっぽどあいつに悪いと思わねえのかよ!あいつの心は汲まねえってのかよ!」

師範「…」

幼馴染「心が大事って、いったじゃないか…」

幼馴染「そういったじゃねえか!」

ダダッ

師範「あ、おい。」

師範「やれやれ。ここ一番で、余計に母さんに似せてきやがる」

男「…お先にご無礼しました」

師範「お、あがったか」

師範「どうだい、飯も一緒に」

男「いえ、このまま帰ります」

師範「そうか」

男「師範」

師範「ん?」

男「師範の心は、一般で言う師としては円熟に達しています」

男「並大抵の人間では得がたい物です」

男「そんな師範ですら深酒に浸らせた、奥様があまりに大きすぎただけなのです」

師範「ぶっ」

師範「はっはっは!まいったなこりゃ」

師範「君ときたらまるで、知ったようにはっきり、包み隠さずいうねえ」

男「一般的に身内褒めほど醜悪なものは無いので、濁らせる必要もないかな、と」

師範「そりゃいいや」

師範「本来なら何がわかると怒鳴りちらしてやりたいが」

師範「口が裂けても無理な話だな」

師範「そうやって癪な事すっきり言える人間は、やっぱりそういないよ」

男「そも酒に溺れた事は、師範の心の弱い部分から来ただけではないでしょう」

男「そうした心意気だからこそ、師の精神はより多くに継がれるべきだと思っています」

男「だから幼馴染の意見には俺も賛成です」

師範「ん」

男「それ以上は俺には何も言えません。師範の矜持にまで立ち入る権利は俺には無い」

男「でも幼馴染は違います。彼女の師は、師範だけです。他に変われる者などいません」

男「幼馴染にとっては、師範は箔がはがれようとも父親なのです。ただ一人の…家族なのですから」

師範「…む」

男「聞くことなしに聞いてしまいましたが、幼馴染が怒ったのは、彼女の大事な存在を侮辱されたからでしょう」

師範「…」

男「…口が過ぎましたが、幼馴染の友人として、少し思うところあったので」

師範「いや…そうだな」

師範「俺も弱気になってるもんだ。年はとりたくない」

男「…」

男「では俺はこれで」

師範「帰る前に、あいつに会ってってやってくれないかい」

男「いえ…申し訳ありませんが」

師範「そうか。まあ、気をつけて」

男「はい」

師範「…」

師範「お父さん、か」

なぜか友は女だと思ってた。読み返したら「友君」って呼ばれてたな。

>>233
それはそれで可愛いかもしれないです
男を想定して書いています

――教室――

幼馴染「おあよー」

クラスメイト1「おはよー」

幼馴染「おはよ、女さん、友君」

女「おはよう、幼馴染さん」

友「おおおお、おは、はよはよはっよ」

ガタッ

幼馴染「はよ」

男「おはよう」

幼馴染「…」

男「…」

幼馴染(やっぱ言い出せないよ…昨日帰り無視しちゃったし)

男「…」

幼馴染(考えたことも無かったけど、なんでこういっつも席隣になるんだろ…)

男「…」

友「お、おおお」

友「男、くん!きのっ、ぼくの、きのうの、はな、はなじだけど…」

男「ん?ああ。補足でもあるのか」

友「うん。こ、こ、ここじゃ、はな、はなしにくい、から…」

男「そうだな。わかった。廊下に出よう」

幼馴染「…」

幼馴染「(ちらっ)」

女「~♪」

幼馴染(あっちはあっちで、窓から朝日を眺める乙女、か)

幼馴染(まぶしいなあ)

幼馴染(ってやばっ、目があった)

女「にこっ」

幼馴染(ひっ、ひゃああこっちきた…)

幼馴染(あばばば)

ガタ

女「あらためておはよ。幼馴染さん」

幼馴染「おはよ(男の席…)」

女「突っ伏してる幼馴染さんって珍しいね、寝不足なのかな」

幼馴染「ええーそんな、ソナコトナイヨ。ゲンキゲンキー」

女「ふふっ。幼馴染さんって面白い人」

幼馴染(うっわ笑った顔めっちゃ可愛い)

幼馴染(並んで寝るとこんな風になるのかな…)

女「学年あがってから同じクラスになったけど、あまり幼馴染さんとはお話したことないなーと思って」

幼馴染「ああね、うん、そうね」

女「ねえ」

幼馴染「んー?」

女「幼馴染さんにとって、男ってどういう存在なのかな?」

幼馴染「ふぁい!?」

女「私、男の事好きだよ。彼が感じられる場所なら、どこでも幸せ」

女「聞けば、生家が隣同士なんだってね。"幼馴染"ってことになるけど、それだけなのかなって」

幼馴染「なんでそんな事…」

女「ふふ。やっぱり気になるよ」

女「彼女にしてもらったから」

幼馴染「…」

女「男は幼馴染さんにとって、たんなるお隣さんなのか、友人なのか…異性なのか、家族みたいなものなのか」

女「気になっちゃうよ」

幼馴染「…」

幼馴染「私にとってあいつは、あいつにとって私が何なのかと、同じだよ」

幼馴染「でもってそれはさ、たいしたモンじゃないって」

女「そっか」

女「じゃあかえって心配かな」

幼馴染「へ?」

女「ふふ。男の机、陽が溜ってあったかい…このまま、寝ちゃいそ」

幼馴染「…」

幼馴染(男と気があうくらいだから、へんな人くらいにしか思わなかったけど)

幼馴染(不思議な子だな)

男「で、要点というのはどういったものだ」

友「い、いや、べつ、べつにな、ないん、だ、だけど」

友「な、なんか、つらそ、なんかいづらそうだった、から…」

男「ほう。気を利かせてくれたのか?」

友「よ、"余計な気配り"、だったか、な」

男「…いや」

男「まだ時間もあることだ、せっかくだからなんでもいい、続きを聞かせてくれ」

友「ほ、ほいきた」

友「相手が、ひ、人妻の、ときだけど」

男「ほう。背徳的な観点だな」

――放課後――


女「男、男」

男「ん」

女「今日は一緒に帰れない。屋上に呼び出されたんだ」

男「そうか」

女「相手が気にならない?」

男「気になるなら自分で見に行く」

女「私のこと信じてくれてるの?」

男「俺はどんな人間であれ、当初は信用し、長所を素直に尊敬すべきだと思っている」

男「付き合う上での態度によって、それを削るか、保つかの違いだ」

男「そういう意味では、今は信用しているが、信じられなくなる可能性はある」

女「ふふ。信じてくれてるならそう言えばいいのに」

女「じゃ、いってくるね」

男「ああ」

友「は、あああ、ああ…」

男「お前がため息とは珍しいな」

友「いや、な、なんか、君が、君と、女さん…み、みてるとふくざ、複雑で…」

男「何がだ」

友「い、いや、な、な、なんでも、ない…」

男「そうか」

男「俺はもう帰るが、友はどうする」

友「ぼ、ぼ、ぼくは、と、図書委員の、し、しししごとがあるか、ら」

男「そうか。ではまた明日な」

友「う、うん」

男(…もしかして俺は)

男(無意識のうちに一人になるのを避けているのか)

男(一人になると、気が付けば…)

友「ぼ、ぼ、ぼくは、と、図書委員の、し、しししごとがあるか、ら」

男「そうか。ではまた明日な」

友「う、うん」

男(…もしかして俺は)

男(無意識のうちに一人になるのを避けているのか)

男(一人になると、気が付けば…)



イケメン「今日は一人なんだね、幼馴染さん」

幼馴染「あ、う、うん。こんにちはイケメンさん」

イケメン「僕のことは呼び捨ててくれてもかまわないよ」

幼馴染「あらそう?じゃあ遠慮なく」

幼馴染「それだったら、私も呼び捨てでいいよ。タメだしね」

イケメン「それは光栄だね。ところで、今日はご一緒してもいいかな?」

イケメン「昨日の非礼を詫びたいしね」

幼馴染「気にしてないからいいよ」

幼馴染「まあ、断る理由もないし一緒に帰ろうか、イケメン」

イケメン「良かった。また断られたらどうしようかと」

幼馴染「あはは。じゃいこっか」

イケメン「ああ」

パカッ ニュー

男(こういうことをしているからな)

男(昨日分析しても効果がないということが証明されたと言うのに)

男(習慣というのは恐ろしいものだ)

男(しかし今日は後輩は一緒じゃないんだな)

男(当番の日が食い違ったか)

――屋上――

女「やあ、待たせたね」

後輩「あ、ごめんなさい、急に呼び出して」

女「いいよ。私も君には興味があったから」

後輩「え?」

後輩「…男センパイに聞いたんですか?」

女「彼に聞いたのもあるけどね」

女「話っていうのも、男の事だよね?」

後輩「はい」

後輩「その、私気になってて…」

女「何を?」

後輩「な、なんで女さんは」

後輩「男センパイと、つ、付き合ってるのかなって」

後輩「それで、私、直接きくのが、いいかなと思って…」

女「それを聞いて、君はどうするの?」

後輩「え」

女「私の理由をきくということは、君にとって深く関係しているからでしょう?」

後輩「そうですけど…」

女「君が私に問うなら、私もその質問の理由を聞く権利はあるよね」

女「もっともだいたいこういうのって、相場は決まってるけど」

後輩「…」

女「たとえば、男に想いを寄せる友人の代理で、男に恋人がいるかいないかを聞くパターンと似てるよね」

女「もしくは、君自身が…」

後輩「…」

女「ふふ。ごめんごめん。そんなににらまないでよ」

女「あんまり神妙な顔してるから、からかいたくなっただけなんだ」

女「そういう意味では、男と似てるかな」

後輩「え」

女「そう、最初はそれだけだったんだよ」

女「クラスでも浮いている、妙な人」

女「だけど信念に基づいた、確かな行動力がある」

女「そんな彼を、私は笑わせたいと思ったんだ」

後輩「…」

女「実際、彼の笑顔は見たことが無いんだ」

女「いや、一度だけ遠目であるけどね」

女「以前、旧校舎の裏で、木に逆さでぶら下がって。あれは友人を誇る笑顔だった」

後輩「それってまさか、あの時の」

後輩「じゃあ私の事、男センパイから聞くまでもなく知ってたんですね」

女「ごめんね。盗み見るつもりはなかったんだ」

女「でも目が離せなかったよ」

女「あんな笑顔を、私もさせたいなって、思わせる人なんだ」

女「そして気がついたら、彼に夢中だった」

後輩「じゃあ女さんは、ちゃんと…」

女「私は真剣だよ。男は誰にも渡したくない」

女「君にとっては望ましい答えじゃなかったかもしれないけどね」

後輩「…いえ。これで決心が付きました」

後輩「女センパイが真剣なら、こっちだって同じように真剣なんです」

女「その健気さは、私には無いなあ。ちょっぴりうらやましい」

女「そしてさっきの事は否定しないんだ?」

後輩「…」

女「ふふ」

女「そんな君に情報を提供しようかな。告白は成功したけど、厳密には私達は恋人じゃない」

女「協力関係というべきか、とにかく今の私は男にとってサンプルの一つに過ぎないんだよ」

後輩「サンプル?」

女「そう、女の気持ちを知る上でのね」

女「だから今度の日曜日、デートをするんだ」

後輩「!」

女「ふふ。これで答えられることは、全部だよ」

後輩「あ…は、はい。」

後輩「ありがとうございました」

女「礼を言われるようなことじゃないよ」

女「私と君は、敵同士なんだから」

後輩「敵…」

女「さっきも言ったけど、男は誰にも渡さないよ」

女「たとえ相手が君だとしても、幼馴染さんだとしてもね」

後輩「!」

女「ふふ。バァイ」

後輩「…」

後輩(これは、きょ、強敵…かも)



良ssのため支援

――商店街――

男(ずいぶん道がそれたな)

男(後輩の影響で柔軟になったか。以前はこうもたやすくルートが変わることは無かった)

イケメン「ここが僕のおすすめのお店さ」

幼馴染「ふーん、意外にこじんまりとしてるのね」

イケメン「オシャレは人の数だけセンスがあるから、こうしたお店が多種あるんだよ」

イケメン「それにしても、女の子に人気のお店が知りたいってのも、面白いお願いだね」

幼馴染「あはは。イケメンはそういうの詳しそうだなって思って」

イケメン「なるほど。そういうことならまかせてくれ!いくつか中で見てみるかい?」

幼馴染「え、そ、そうね。でもとりあえず、どこにどんなのがあるかを見たいかな」

イケメン「オーケー、じゃあ商店街でも特に光るお店を紹介しよう」

男(あのイケメンという男、話術、動作、心理を利用して相手の動作を制限する能力が高いな)

男(興味深いサンプルだ)

テクテクテク

男(駅前か)

男(ここは幼馴染にとってあまり馴染みのない場所だ)

男(必然的に俺にとってもそうだが)

男(珍しいのも解るが徒歩でも蛇行はよくないぞ)

男(鞄は左右に均等にかけないと姿勢が崩れると何回も言っただろう)

男(上を見上げるときに口を開けるクセはまだ直ってないのか)

幼馴染「ほへー…」

イケメン「あまり君はこういうところに来ないようだね。珍しいかい」

幼馴染「うん。私のとこ山のほうの静かな団地だから」

イケメン「なるほど。機会があったら寄らせてもらってもいいかな?」

幼馴染「あ、あはは。考えとくよ」

幼馴染「…ん?なんだか向こうが騒がしいね」

イケメン「本当だ。まさか…またか」

幼馴染「また?あ、ちょっと」

ダダッ

チンピラa「おいおい姉ちゃんよお」

チンピラb「ちょい付き合えや」

姉ちゃん「ひ、ひいい」

幼馴染「あー、なんかこう、いかにもって人達ね」

一般人a「おい、まただよ…」

一般人b「最近多いよなホントに。嫌な世の中だねえ」

幼馴染「ちょっと、どこいくんだよ。あんたたち、助けてやろうとは思わないの?」

一般人a「なにいってんだい。面倒ごとはごめんだよ」

一般人b「そうそう。ああいうのは警察の仕事なんだから」

幼馴染「なん…」

幼馴染(だめだこりゃ)

幼馴染(しょうがない)

幼馴染(お父さんに釘刺されてたけど、こういう時は良いよね?)

幼馴染「あんたた…」

イケメン「まちたまえ君達!」

幼馴染「ってあら?」

幼馴染(イ、イケメン)

イケメン「嫌がってるじゃないか。すぐに離してあげるんだ」

チンピラa「ああ?ンだおめえ」

チンピラb「嫌がってたとしてもてめえには関係ねえだろうが。すっこんでろカマ野郎」

イケメン「お前たちこそ本当に男なのか?」

チンピラa「あんだとぉ?」

イケメン「嫌がる女性に迫るのが男のやることかと聞いているんだ」

チンピラa「うっせぇこのやっ!(ブンッ)…うおっ!?」

ガッシャーン

イケメン「争う気は無いんだ、もうやめよう」

チンピラb「こ、このやろ」

チンピラa「ざえんじゃねえ!」

イケメン「やむなし!」

幼馴染「…」

幼馴染(ほええ、やるじゃない。イケメンって、強いんだ)

男(打撃、投げ、関節技…全方向から徹底的に相手を制圧する格闘技術)

男(間違いない。あれは…)

チンピラa「く、くっそ…」

チンピラb「次あったら、納豆たたきつけてやっからな!」

イケメン「何度でも来い。総合格闘現実充実館がイケメン、逃げも隠れもしない!」

幼馴染(総合格闘…現実充実館!)

男(納豆たたきつけるというのは新しい捨て台詞のパターンだな。メモっとこう)

一般人a「いやあ、お兄さんかっこよかったよ」

一般人b「ほんとほんと。スカっとしたね」

イケメン「当然のことをしたまでですよ、あ、幼馴染」

幼馴染「お疲れ」

イケメン「はは。見苦しいところをみせてしまったね」

幼馴染「いや、たいしたもんだよ!」

幼馴染「イケメンって駅前の総合のとこの門弟だったんだ」

イケメン「前はあまり言わないようにしてたんだけどね」

イケメン「このあたりは物騒だから、こういうことが続いてて」

イケメン「看板が抑止力になればいいと思ったんだ」

幼馴染「なるほどね。いやあ私さ、あそこの事誤解してたよ」

幼馴染「テレビとかいろいろ宣伝しまくってるだろう?」

幼馴染「金ばらまいて人取り込んでるだけだって思ってたんだ」

イケメン「はは。それも事実だからなんともいえないけど」

イケメン「ご時勢には従えど、武道に携わる者の誇りは持ち合わせているつもりだよ」

幼馴染「うんうん、それでこそ日本男児だよ!」

イケメン「え?」

幼馴染「ま、とりあえず次紹介してよ!」

イケメン「ああ、そうしよう」

タッタッタ

男(…)

一般人c「ひったくりよー!」

イケメン「なんだと、とああーっ」

チンピラc「ぐえぁっ、く、くそっ、納豆食べてこなかったばっかりに…」



一般人d「食い逃げだー!」

イケメン「まて!待ちたまえ!」

チンピラd「うう…追加で納豆注文しとくんだった」



一般人e「女がからまれてるぞー!」

イケメン「やめないか!」

チンピラe「ちきしょう、次会ったらてめえの納豆ひきわりにしてやる!」



一般人f「オカマが絡まれてるぞー!」

イケメン「やめないか!」

チンピラf「ウホッ」



幼馴染「ど、どんだけ頻繁におきてんのよ…イケメン大丈夫?」

イケメン「ああ、もう慣れたよ。日常茶飯事だしね」

男(巷のチンピラの間では納豆が流行なのか…意外に健康に気を使っているんだな)

幼馴染「あっと、もうこんな時間だ。ごめん、私帰るね」

イケメン「ああ、家まで送ろう」

幼馴染「いいよ、結構な距離になっちゃうしね」

幼馴染「今日はありがと、楽しかったよ」

イケメン「そういってもらえると嬉しいよ、こちらこそありがとう」

幼馴染「はは。じゃーね」

タタタタ

男(18時21分、商店街をあとにする)

男(幼馴染にしては初のずいぶん遅い帰宅だ)

男(一般年齢の女子高生を考えるにまだ早いほうではあるが…)

幼馴染「ふんふーん♪」

男(走りながら鼻歌、か新しいパターンだ)

男(危ない…回りながら跳ねるな。新しいパターンだ)

男(歩きながら伸びをするときは両腕を突き出していたが、片腕か。新しいパターンだ)

幼馴染「たっだいまー」

師範「おう、遅かったじゃねえか」

ガラガラピシャッ

男(18時…いや)

男(…もう、良いか)

師範「ずいぶんご機嫌じゃないか」

幼馴染「ん。そうかな」

師範「ああ」

幼馴染「ま、ちょっとあってね。」

幼馴染「それにしても遅いね、男」

師範「男君は休むらしい」

幼馴染「え…」

師範「ああ、さっき電話があってよ」

幼馴染「…」

師範「ま、いいや。久々に二人稽古といくか」

師範「昔みてえに」

幼馴染「うん」



幼馴染「お先」

師範「おう」

師範「ほーん、pta会長が市会議員に出馬、か。ほんほん」

幼馴染「…」

幼馴染「…何も、聞かないんだね」

師範「ん、おお」

師範「男君のことか」

師範「はは。昨日お灸をすえられた身としては何も口出しできないからな」

幼馴染「あはは、そうなんだ」

幼馴染「ねえ…ちょっといい?」

師範「ん、おいおい」

ギュッ

幼馴染「へへ」

師範「やれやれ、なんだいいい年して」

幼馴染「まーまー」

師範「たまに甘えてくるとこも母さんに似たな」

幼馴染「お父さんそればっかじゃん」

師範「本当のことだ」

幼馴染「あはは」

幼馴染「…今週の土曜だね」

師範「ああ、そうだな」

幼馴染「長生き、してよね」

師範「…おうよ」

――翌日・放課後――

イケメン「やあ幼馴染」

幼馴染「やあ」

後輩「!?」

幼馴染「あ、イケメン、私の友達の後輩ちゃん」

幼馴染「初日に紹介しそこねちゃった。ごめんね」

イケメン「いやいいんだ。僕もそんな余裕はなかったしね」

イケメン「はじめまして、後輩君」

後輩「あ、は、はじめまして…」

イケメン「今日も帰りをご一緒していいかな?」

幼馴染「ん、そうね。私も聞きたいことまだあるし」

後輩「今日も…?」

幼馴染「ああ、うん。昨日駅前のほう案内してもらったんだ」

幼馴染「今日もお願いしたいんだけど、後輩ちゃん送ってからのほうが良いね」

イケメン「おおそうか。僕はそれでもぜんぜん構わないよ」

後輩「え、あ…わたし…」

幼馴染「ん?」

後輩「わたし、ちょっと用事があって…」

幼馴染「あれ、でも保健委員の仕事はもう終わったじゃない」

後輩「その、先生に呼ばれてて」

幼馴染「そうだったの?ご、ごめんよ引き止めちゃった」

後輩「いいんです!あの、それじゃ失礼します」

幼馴染「う、うん」

タタタ

幼馴染「うーん、走ってく後姿も可愛いなあ」

幼馴染「そう思わない?イケメン」

イケメン「ああ、そうだね。でも僕は君の率直な美しさのほうが好きかな」

幼馴染「あはは、冗談きついよ」

幼馴染「ほら、今日も頼んだよ」

イケメン「え、あいや冗談じゃないんだが…」

イケメン「ふう、まいったな」

キーンコーンカーンコーン

女「あの二人、昨日も一緒だったんだってね」

男「ああ」

女「そして珍しいね。今日は行かないの?」

男「ああ」

女「鼻眼鏡も用意してたんだけど。残念だなあ」

男「ああ」

女「昨日ね、後輩ちゃんとここでお話したんだ」

男「ああ」

女「何を話したか気になる?」

男「ああ」

女「内緒だけどね」

男「ああ」

女「ふふ」

女「楽しみだなあ。今度の日曜日」

男「…」

女「ん、帰るの?」

男「やることがある。女、先に帰っていてくれ」

女「解った」

男(背後から突然に、抱きついてくる)

ギュッ

男「…」

男(そして、また明日ね、と)

女「また明日ね、男」

タタタ

男(女の行動は女子の中でも比較的予測が難しい部類だったが…)

男(今朝の野球部の朝練に関しても、ほぼ完璧だった)

男(幼馴染に対する予測が鈍る一方、他方の精度があがるとは)

男(皮肉だな)

幼馴染「へー、こんなお店もあるんだ」

イケメン「ああ、これはカフェとブティックを足した新しい感覚の…」



チンピラz「ちくしょう、今度てめえの納豆に卵ぶっこんでやるからな!」

イケメン「現実充実館がイケメン、いつでも相手になるぞ」

幼馴染「やんややんや」



イケメン「で、ここはこうで…」

幼馴染「ふむふむ(メモメモ)」

イケメン「メモとってるのかい?几帳面なんだね」

幼馴染「あ、私ってさホラ、忘れやすいから!」

イケメン「そういうことならもう少しペースを落とすかな」

幼馴染「サンキュー、助かるよ」



………

支援ありがとう
励みになります

リア充館……(´д`)

どうでもいいが納豆はおろし生姜を入れるのが好きだな。

もやもや…
男は何がしたいのか

ntrだけはやめろ
絶対にだ

まぁ、こんな男なら涙目エンドでもありな気がする
自業自得としか言えない

後生ですからntrだけは

――学校週末最終日・放課後――

男「…」

女「男、男」

男「…」

女「男」

男「ん、ああ、なんだ女か。どうしたんだ」

女「なんだか今日もぼーっとしてる事、多いね」

女「最近家に帰らずにどこに行ってるの?」

男「野暮用だ」

女「ただでさえ悪い目つきが余計に悪くなってるじゃない」

女「もしかして寝てないの?」

男「ああ」

女「ふふ。君でもそういうことあるんだね。悩みならなんでも聞くよ」

男「…」

女「遠慮しなくていいから」

男「日曜日のデート」

女「うん」

男「あれの下見だとコースの考察だ」

女「うんうん」

女「で、本当は?」

男「大筋事実だ」

女「ふふ。なら信じるよ」

女「ほら、もう教室に残ってるのは私と君だけだよ」

女「今日はどうするの?」

男「…帰る」

女「一緒にいい?」

男「ああ」

女「ふふ」



幼馴染「やあ、イケメン」

イケメン「おお、幼馴染。もしかして待っててくれたのかい?」

幼馴染「うん」

イケメン「ああ、それはなんという喜び…」

幼馴染「はは。がっかりさせたくはないけど、イケメンじゃないよ」

幼馴染「最近、後輩ちゃんと一緒に帰ってないなって思ってね」

イケメン「なるほど。なら今日は遠慮するかな。非常に残念だが」

幼馴染「んー、まあもうすぐ地図も完成するし、今日も行こう」

イケメン「おお。でははりきって行くとしようか」

幼馴染「はは。心強いね」

イケメン「本日のお勧めスポットは…」

幼馴染「うんうん…」

後輩(…)

後輩(センパイ、今日もイケメンさんと…)

後輩(もうあさっては、男センパイのデートなのに)

後輩(うう…私、どうしたら…)

ポン

後輩「?」

友「や、ややや、やあ」

後輩「え…貴方はたしか」

友「と、とととつぜん、ごめ、ごめんね」

友「こ、後輩ちゃんって、き、君のことで、いいのかな」

後輩「はい」

後輩「友センパイ、ですよね?」

友「あ、ああ。そうだ。よ、よくし、しって、よくしってる、ね」

友「君の、こ、ことは、おと、男君と、おさ、幼馴染さんから、き、き、ききき、聞いてる、よ」

友「す、す、すこし、いいかな」

後輩「え…はい」

友「こ、ここは、ひ、人が多いから、と、図書館に、いこう」

後輩「はい」

友「…ご、ごめん、よ。ぼ、ぼくは、話すのが、ゆ、ゆゆ、ゆっくりだから…」

後輩「い、いえ!全然気になりません」

友「そ、そうか…お、おさななじみさんが、い、いってたとおりだね」

友「だ、だ、だからこそ、き、ききき、きみには、はな、はなしておきたいんだ」

友「つ、ついた。きょ、きょうはぼくだけの、当番だから」

友「だ、だれもいない。ちょ、ちょ、ちょうどいい」

後輩「お邪魔します」

友「と、とりあえず、てみ、手短に言うと…」

友「おと、男くんが、あさ、あさって、デートす、するんだ」

後輩(あ、友センパイも知ってるんだ…)

友「そ、それで、男くんに、そ、そうだんされて…」

友「あ、えと、そう。お、女の子のこととか、で、デートの、あ、アドバイスとか…」

友「くわ、くわしいわけじゃな、ないけど、なにか参考にとおも、おもって」

友「話を、して、したんだけど」

後輩「はい…」

友「男くんは、ど、ど、どうしても、女さんのことを」

友「こ、こここ、心から、好きで、あ、あんなことを、してるとはおも、おもえないんだ」

友「こ、告白を、う、う、うけたのだって、理由が、ある、あるはずで」

後輩「友センパイ…」

友「お、男く、んは、ひどく…無理をしている気が、する」

友「お、お、おさ、おさななじみさんだって、そ、そうだ」

友「さ、さいきんは、イケメンくんと、と、といっしょに、か、かえってるけ、けど」

友「なにか、ちが、違うんだ。じゅぎょ、じゅぎょうちゅうのふとした、ときとか…」

友「す、すごく、つらそうなんだ」

友「ぼ、ぼくも、そん、そんなふたりを、みてると、つら、つらい…」

後輩「…」

友「で、でも、ぼぼぼくより、こ、後輩ちゃんの、ほ、ほうが」

友「あ、あのひとに、ちか、近いから…おさ、おさななじみさんに」

友「それを、それ、それをつた、伝えてもらっ…」

後輩「クスクス」

友「ど、どうしたの」

後輩「友センパイって、授業中も幼馴染さんのこと、見てるんですか?」

友「ぶぇ!?ち、ちが、ちがうよ、たまっ、たまたま目が…」

後輩「ほんとですか?」

友「う、うう、い、いや、ま、まいった、な」

友「わ、わか、わかっちゃうのか、な。そ、そうだ。ぼ、ぼくは、おさ、おさななじ、みさんの、こと…」

後輩「…」

友「でも、でも、ぼ、ぼくは、お、おさななじみさんと、お、おなじように」

友「おと、おとこ、男くんや、女さんのこ、ことも、だだだ、大事なんだ」

友「だ、だから…だから…」

後輩「友センパイ…」

後輩「ありがとうございます、友センパイ」

友「んん?」

後輩「実は最近、あまりにいろいろとたたみかけられて、ちょっぴり落ち込んでたんです」

後輩「でも、おかげですっごく元気でました」

後輩「私、あきらめません!」

友「な、な、なんだかよく、わか、わからないけど」

友「お、おね、おねが…」

ガシッ

友「んひっ?」

後輩「友センパイ、お願いがありますっ」



女「ありがと、ここでいいよ」

男「そうか」

女「家、あがってく?」

男「ん?そのフラグはデートのあとじゃないのか」

女「え?」

男「いや…なんでもない。遠慮しておこう」

女「そう」

女「じゃあ、明後日ね」

男「ああ」

バタン

男「…」

ダッ

女(…)

女(男って、あんなに本気で走る事、あるんだ)

女(尾行はもう、しないと言っていたよね)

女(…何でもいいけど、無理はしないで)

女(君の事心配してるの、私だけじゃないんだから)

――商店街出口――

幼馴染「ふーっ、これで全部まわったのかな」

イケメン「ははっ、全部なんてとんでもない。これは序の口も序の口さ」

イケメン「ただ内容に関しては見所をギュっと詰め込んであるから、ステキな買い物ができるよ」

幼馴染「それは良いねえ。そっかー。ステキな買い物かあ…」

イケメン「で、いつから回るんだい?」

幼馴染「え?」

イケメン「せっかくだから、今日からいってみようか。まだ少し時間もあるだろう?」

幼馴染「え、いやこれは、あの」

幼馴染「あ、私ちょっと、人に酔っちゃった。しずかなとこにいきたいなーなんて」

イケメン「おお!本当かい?かまわないよ、ぜひいこう」

幼馴染「じゃあ、私の近所、紹介するね」

イケメン「え?」



イケメン「な、なるほど。確かに静かな所だね」

幼馴染「でしょ」

幼馴染「でも確かに静かだけどさ、本当はいろんな音が聞こえるんだよ」

幼馴染「食器を並べる音、窓をあけるおと、赤ちゃんの泣き声、夫婦喧嘩…」

幼馴染「そういうの聞くの、私好きなんだ」

イケメン「へえ…」

幼馴染「でも最近は…」

イケメン「ん?」

幼馴染「ううん。なんでも」

イケメン「ふふ、そうかい」

イケメン(お、なんかいい雰囲気。)

イケメン(チャンス)

イケメン「幼馴染」

幼馴染「ん?なあに?」

イケメン「僕は君に、あらためて伝えたいことが…」

鼻小僧「ぶーんっ!」

ドカッ!

イケメン「おっ!?」

幼馴染「わわっ?」

鼻小僧「あっ、うぐっ…」

イケメン「な、ななな、なあー!?」

イケメン「僕のズボンに、鼻水が!」

幼馴染「ちょっ、大丈夫!?僕!」

鼻小僧「びっ」

鼻小僧「びええええええっ!」

幼馴染「ああー、よーしよしよし、いいこいいこー。ほら、なきやんでー」

鼻小僧「びええええっ!!!!ええええっ!!!」

イケメン「お、おい。よせよ幼馴染」

幼馴染「え、で、でも」

イケメン「君の制服までそいつの鼻水で汚れてしまうじゃないか。ああクソッ、お気に入りだったのに…」

イケメン「どうしてくれんだ!クッソ!」

幼馴染「…」

鼻小僧「びえええええええっ!!」

幼馴染「よーしよし…あ、いけないこの子すりむいてる。結構血がヤバイじゃん」

幼馴染「ちょっとまっててね」

ビィィッ

イケメン「!」

幼馴染「このハンカチ、おろしたてだから、綺麗なはず」

幼馴染「よーしこんなもんか」

鼻小僧「びええ…うぐっ…」

幼馴染「お、泣き止んだねー。えらいぞ」

鼻小僧「ちーん…」

幼馴染「ん?なあに?」

鼻小僧「ちーん、してくえないの?」

幼馴染「ちーん?ああ、そっかそっか」

幼馴染「はい、これにしちゃっていいよ。やぶれちゃってるしね」

イケメン「なっ、おい…!」

鼻小僧「ふえ…ちーん!」

幼馴染「おーよしよし、わは、こりゃすごいね」

鼻小僧「ふえふぇ…」

イケメン「…」

幼馴染「えらいね泣き止んで、男の子だ。もう大丈夫だからね」

幼馴染「怪我、ちゃんとうちで治してもらうんだよ」

鼻小僧「…うん!」

鼻小僧「あいがとう!おねちゃん!」

幼馴染「ばいばい!」

イケメン「…」

イケメン「あ、その…」

幼馴染「…イケメン。あんたはさ、強くて沢山困ってる人助けてたけど」

幼馴染「なんだろね。肝心なとこで、歪んじゃってるよ。すごい顔であの子睨んでた」

幼馴染「人が一杯いるところで活躍してもさ、誰も見てないとこで反対にまわっちゃったら意味ないんだよ」

イケメン「…や、さっきのは…」

幼馴染「私さ、うれしかったんだ。同じ武道に関わる人間が、かっこいい生き方しててさ」

幼馴染「新しい仲間が出来たみたいで、本当に嬉しかった」

幼馴染「でも、そんなんじゃ一番大事な心、見失っちまうよ」

幼馴染「一時が万事、だよ。これ受け売りだけどさ」

イケメン「あ、あ、ま、待ってくれ!」

幼馴染「いろいろ案内してくれて、ありがと」

幼馴染「これ、案内してくれたお礼だよ。さっきこっそり買っておいたんだ」

幼馴染「さよなら!」

イケメン「わっと…ちょ、ちょっと!」

イケメン「お、幼馴染…」

イケメン「これは…手ぬぐいか」

イケメン「フ…フフ…」

――幼馴染宅――

師範「おう、どうしたんだ。浮かない顔してよ」

幼馴染「んー、いや…」

幼馴染「なんか、いろいろがっかりしちゃってさ」

師範「元気でたかとおもや呆けて、いそがしいなお前も」

幼馴染「浮き沈み激しいのはそれこそお父さん譲りじゃない」

師範「それは言わないお約束だろうが」

幼馴染「今日は…男は?」

師範「こねえそうだ。とうとう今週は来なかったな」

師範「具合でも悪いのかね。お前、みてきてやったらどうだ」

幼馴染「気が向いたらね」

幼馴染(…)

幼馴染(…なーにやってんだろ、私)

ホー ホー

男(…何をしているんだ、俺は)

男(これが本当の"余計な気配り"、か)

巡査「お、おいそこの君!何をしているんだそんなところで」

男「む、失礼。こうして星を眺めるのが好きなので」

巡査「星って…なんで星をながめるのにアンテナやらマイクやらカメラがそんなにいるんだ!」

男「ああ、これは小さい頃から苦楽を共にした戦友です。言わば体の一部のような」

巡査「いいからはやく木から降りて帰り給え!親御さんが心配するだろう!」

男「はい、お勤めご苦労さまです」

巡査「まったく…最近の若いモンは…」

男(取り越し苦労か。まあ、そのほうが良いんだ)

男(明日は大事な日だ。帰って体を清め、しっかり休んでおくか)

男「ん?」

チンピラa「へへ、すいやせん」

男(あれは…)

男(この前の!)



幼馴染「これで、よし、と」

師範「照る照る坊主なんて作る年かい?」

幼馴染「こういうのも心だよ、お父さん」

師範「はは、ちがいないちがいない」

幼馴染「みてよ。星が綺麗」

幼馴染「きっと晴れるよ、ね」

師範「ああ、そうだとも」

幼馴染「じゃあ、おやすみ!お父さん!」

師範「おうよ」



――某ホテル内――

グビッ

イケメン「…っあー」

イケメン「くそ、くそっ!」

dqn女a「ね、ねえー、どうしたのー?今日機嫌わるい感じじゃなーい?」

イケメン「あの、あの女…俺が目をつけてやったっていうのに」

イケメン「さんざん引きずりまわしたあげく、つまらねえ難癖つけて、どっかいきやがった!」

dqn女a「またなの?っていうかー、はじめてじゃない?向こうから離れたのって」

dqn女a「どうせブッサイクだったんでしょ。イケちゃんにはー、アタシがいるじゃん?」

イケメン「うるせえ!」

dqn女a「きゃあっ!?」

イケメン「学年あがるまではノーマークだったのがうかつだった…」

イケメン「あんな上玉いたんなら、最初っからお前らなんかとつるまなかったぜ!」

dqn女a「う…うう…」

イケメン「あの…あの幼馴染ってやつだけは、ぜってーに許さねえ」

dqn女a「え…お、幼馴染って、あの噂の?」

イケメン「ああ」

dqn女a「あ、あの女…私もだいっきらい!前ひどいことされたんだよ」

イケメン「お前はともかく、こっちはプライドズッタズタにされたんだぞ」

イケメン「このままじゃ済まさねえ…ぜってーに!」

dqn女a「ひっ…あ、そ、そういえば、bの情報だけど」

イケメン「ああ、あいつがなんだって」

dqn女a「な、なんかー、幼馴染って、柔道家の娘らしいよ」

イケメン「柔道?もしかして団地にあるあれか」

dqn女a「そうそう、あのちっぽけなトコ」

イケメン「ああ、そうか…そうかよ」

イケメン「あは…あははっ。あっはっははははっ!」

dqn女a「あ、はは…」

イケメン「サイコー!サイッコーだよお前!」

イケメン「こっち来いよ。朝までヤろうぜ!」

dqn女a「え、やだ、マジイケちゃんケダモノー」

dqn女a「あ゛あ゛んっ…」

イケメン(…ふふ…待ってろよ幼馴染。直に俺の下で、ヒーヒーよがらせてやるよ)

次の日、男と女のデート中に道場を盾に幼なじみをレイプしようとするイケメン
その後、友と後輩がなんやかんやして男にそれを知らせて男がイケメンをフルボッコ
女が身を引いて男と幼なじみがくっ付いて、余った友と後輩がいい感じになって
終了

余りものをくっつけるのはクソ






子供「やーいやーい、かかしんぼー」

子供「おやっこひとりのかかしんぼー」

幼馴染「ぐずっ…」

幼馴染「うるせー!オレはかかしなんかじゃねー!」

子供「うっわこええ、おとこみてえじゃねえか」

子供「とうちゃんしかいねーから、おとこみてーなおんなになるぞ!」

子供「"ひげ"もはえてくるんじゃねーの」

幼馴染「うぐっ…うっせえ…」

幼馴染「かーちゃんは、いるもん…いなくなったりじねえよ!」

子供「じゃあ"しょーこ"をみせてみろよー!」

子供「そうだよ、しょーこ!しょーこ!」

子供「しょ・う・こ!しょ・う・こ!」

幼馴染「ううっ…」

『こらぁっ!』

子供「ひっ!?」

『またうちの子いじめてんのかい、あんたらはっ!』

『そこに並びなっ!左右まんべんなくはったおしてやるよ!』

子供「え、ええ!?」

子供「あ、あれって…」

男「それがいやならとっととおうちにかえって、歯みがいてきな!」

男「きったなくって目もあてらんないよ」

子供「お、男?」

子供「おまえ…なんでそんなとこで"さかしま"にブラさがってんだよ!」

男「男?なにいってんだい、わたしは幼馴染の母親だよ、はーはーおーや!」

子供「うっそだー!かあちゃんなら、オッパイでっかいじゃねーかよ!」

子供「そうだそうだ!」

男「む、やはりそうきたか」

男「ちゃわんを入れたら、あまりにかっこう悪かったからおいてきたが…それが命とりになったか」

男「ばれてはしかたない。おい、降りるのをてつだってくれ。あしがはさまってぬけないんだ」

子供「しらねーよ、自分でおりなよ!」

男「しょうがないな…よっこら…」

ドザァッ!

男「んーむ…はやく背がたかくなりたいものだ」

幼馴染「…」

幼馴染「なにしにきたんだよ」

男「さぁ、なにをしにきたんだろうな」

幼馴染「はぁ?」

男「こういう"ぱたーん"はあまり無いからわからん」

男「だがひとつだけ言いにきたのはたしかだ」

男「おい」

子供「な、なんだよ」

子供「そいつかばうってのかよー男!」

子供「家がおとなりさんだもんな、しょうらいのおよめさんなんだろ?」

子供「ひゅーひゅー」

男「それはないとだけいっておく」

男「ところで、おまえたちには母親はいるのか?」

子供「いるよ。あったまえじゃん」

男「どこにだ」

子供「どこって、家だよ!」

子供「家にかえれば、ちゃんといるもん」

男「そうか。じゃあおしえてやろう」

男「幼馴染の母親は、ここにいる!」

幼馴染「!」

子供「お、幼馴染のおっぱいがどうかしたのかよ!」

男「おっぱいではない。そのむこうにある、ふかいところだ」

男「これを、"こころ"という」

男「こいつはいつだって母親のことをかんがえ、おもいだしている」

男「家にかえらなくても、いつだって幼馴染の"こころ"には母親がいるのだ」

子供「で、でも、目にみえないじゃん!それって、いるっていわないじゃんか!」

男「なぜだ?おまえたちはさっき、ここから見ることのできない母親を、いるといったぞ」

男「ここから家にいる母親がみえるのか?」

子供「え、それは…」

男「たしかに、家にかえっても幼馴染の母親は、見ることはできない」

男「だからなおさら、幼馴染のこころには、いつだって母親が"いる"のだ」

幼馴染「…」

男「そして、さきほどこいつをおとこのようなおんなになるといったが」

男「それはおおきなまちがいだ」

男「こいつは、自分のこころにいる母親をてほんに、自分の力で、これを"いし"と言うが」

男「そいつで、自分のなりたいものになる!」

男「いまにさいこうの女になるぞ、おれにはわかる」

子供「な、なんだよ…エッラソーに!」

子供「こんどからは、お前をいじめてやっからな!」

男「いいだろう」

男「『ひょくなじんりゅう』の二番弟子として、相手になってやるぞ」

子供「へーんだ、ばーか!ばーか!」

男「行ったか…」

男「どいつもこいつもわんぱくなものだ」

幼馴染「…ひぐっ…すんっ…」

男「…幼馴染」

幼馴染「んだよお…みるなよぉ」

男「なぜだ?お前のなき顔など、もうなんども見たぞ」

幼馴染「おっ、おまえには…みせたくないんだよお」

男「なにを見せられてもかまわないぞ」

ギュッ

幼馴染「うあぅ…」

男「まだまだ、かんぜんではないが…」

男「おれがおまえの母親に、なってやる」

男「いちにんまえの女になって、お嫁にいって、しあわせになるおまえをみとどけてやる」

男「だから、もう泣くな」

幼馴染「あ…う…ううっ…」

幼馴染「ああああっ……っ!」

『よしよし、良い子良い子』

『わたしのかわいい、幼馴染』

幼馴染「…」

幼馴染「…」

幼馴染(なんて夢みてるんだよ…こんな日に…)

幼馴染(こんな日だから見たのか)

幼馴染(なんだってあんなに、はっきり覚えてるんだよ)

幼馴染(もう何年前の話だと思ってるんだよ…)

幼馴染(ああ)

幼馴染(あんときからもう私…)

幼馴染(男の事…)

幼馴染(…)

幼馴染(シャンと、しなきゃ)

幼馴染(お母さんに、笑われちゃう)

カララッ

幼馴染「お父さん?」

幼馴染「先に仕事いったのかな…ん」


  俺は帰りに寄るよ。
  たまにはふたりにさせてくれ

               師範』

幼馴染「ふふ。今日は綺麗な字じゃん」

幼馴染「いっつもどつかれてたもんね。お母さんに」

――某寺――

幼馴染「…」

幼馴染「はあ。まーた負けちゃったね」

幼馴染「ここにあんたより早くきた覚えがないよ、私」

男「…」

男「8年か。早いものだな」

幼馴染「そうね」

幼馴染「私の花も一緒に挿させてよ」

男「もちろんだ」

幼馴染「…」

男「…」

幼馴染「…ここにくると、なんだかしんみりしちゃうね」

男「魂が先祖に触れ安らぐのだろう」

幼馴染「ふふっ」

男「なんだ」

幼馴染「男ってそういう非科学的な事、結構好きだよね」

幼馴染「なんか似合わないっていうか」

男「自覚している」

幼馴染「あはは。」

幼馴染「…」

幼馴染「…なんでさ、男は私の母親になろうって、思ってくれたの?」

男「…」

男「同情からだ」

幼馴染「ふーん」

男「…」

男「少し歩こう」

幼馴染「うん」



男「発端は、解らん」

幼馴染「うん」

男「だから質問には答えられないが」

男「泣きじゃくるお前をあやすのは楽しかったぞ」

幼馴染「なっ、なによそれ」

幼馴染「それだけしかないっていうの!」

男「覚えている限りはな」

幼馴染「なによそれ、もうっ…」

男「あとはやはり、お前だったからだろうな」

幼馴染「…え?」

男「人は自分に無いものを求めるものだ」

男「俺には真似できないその直情的な生き様を、より近くで見届けたかったのだろう」

男「そういう意味では、文字通り自己満足というわけだ」

幼馴染「ふーん、よくわかんないけど」

幼馴染「私はあんたのそのカッチコチな頭にはなりたいと思わないな」

男「お褒めに与り光栄だ」

幼馴染「褒めてないって」

男「おっと…そういえばこの坂は」

幼馴染「ん?」

男「もうすこしだな」

男「3、2、1…」

鼻小僧「ぁぁぁぁぁあああ」

男「0」

鼻小僧「ぶーん!」

ドンッ!

鼻小僧「ふえええー」

幼馴染「あ!この子昨日の」

鼻小僧「あ、おねーやん!」

男「ん?お前も知っているのか。意外だな」

鼻小僧「おにーやんもおあよ!」

男「よ。ほら、けいきよくやれ」

鼻小僧「あいっ」

鼻小僧「ちーーんっ!」

男「うむっ」

男「ほう、今日は少ないな。すこしずつ自分でかめるようになっているようだ」

鼻小僧「うん、おきてからと、ねるまえに、かんでるよ!」

男「上出来だ」

幼馴染「…」

男「さあ、先生がまっているだろうからはやく戻るがいい」

男「俺以外の男には、あまりぶつかるなよ」

鼻小僧「あいっ!」

鼻小僧「ばいばい、おにちゃん!おねちゃん!」

男「ああ」

幼馴染「ばいばーいっ」

男「…」

男「あの子も父子家庭の子だ。近所の児童保育施設でもたまに見かける」

幼馴染「そうなんだ…」

男「話をきくところによると、あの子はよく母親に鼻をかんでもらったらしい」

男「それがあの子にとって母親を感じる最高の一瞬なのだろう」

男「なんどもぶつかっては、ちーんしてもらうのをまっているそうだ」

幼馴染「…」

男「本当の母親というものはそういうものだ」

男「わずかな動作に想像もつかない愛情が注がれているから、子も満たされる」

男「そしてそれは、何年たっても忘れないものとなり、子を内面から育む」

幼馴染「…」

幼馴染「男。ズボンのとこ、さっきの子の鼻水が」

男「構わん。どうせかわけば落ちる」

幼馴染「そっか」

幼馴染「ふふっ…」

男「なんだ、急ににやけだして」

幼馴染「なーんでもないなんでもない」

幼馴染「すーはー…」

幼馴染「あ、あああんたさっ!女さんとは、ちゃんとやってるんだろうね」

男「ん、ああ。突然だな」

幼馴染「ふっふーん、かたっくるしいあんたのことだから、こういうのに困ると思ってね」

男「?」

幼馴染「じゃーんじゃじゃーん。駅前デート丸秘スポットよ!」

男「は」

幼馴染「監修はなんと学校一人気のイケメン君。どう、すごいでしょ」

男「…お前…」

男「まさかそれを作るために…」

幼馴染「ん、何?」

男「いや…」

男「…ちょうど明日がデートの約束の日だ。ありがたく使わせてもらおう」

幼馴染「おー。そうかそうかそれはめでた」

幼馴染「明日っ!?」

男「ああ」

幼馴染「な、なーんだ。タイミングバッチリだったじゃんか」

幼馴染「感謝しなさいよね。け、結構大変だったんだから」

男「ああ、有難う」

幼馴染「なっ…」

男「どうした」

幼馴染「なんでもっ…。ただ久しぶりに…あんたの顔真っ直ぐ見た気がしたから。」

男「そうだな。俺もお前のその仏頂面、久しいぞ」

幼馴染「誰が仏頂面よ」

男「幼馴染」

幼馴染「な、なによ急に真剣な顔」

幼馴染「ちょ、ちょっと、近いってば」

男「一つだけ忠告しておこう」

男「イケメンには関わるな」

幼馴染「へ?」

男「…」

幼馴染「あ、う…」

幼馴染「それって、母親として言ってくれてる訳?」

男「…それとこれとは問題が別だ」

幼馴染「またそうやって誤魔化すの?」

男「…」

幼馴染「あ、そう…」

幼馴染「女さんと付き合っておいて、私にも気回すなんて、余裕じゃない」

男「…」

幼馴染「おっ…おっきなお世話よ。人の心配より、自分の心配しなさいよ!」

幼馴染「私、もう行くから!」

男「ああ」

タタタ

幼馴染「男っ」

男「ん」

幼馴染「女さんを泣かせたら、私があんたを泣かせてやるから!」

タタタタ…

男「むしろ女が泣くところは見てみたい気もするがな」

男「それにしてもやれやれ…」

男「なんだこれは。こんなもののために?」

男「…ふ…ふ。」

イケメンに死を

面白い 楽しみにしてます

ガララッ!

師範「かえったぞー」

師範「おーい。いないのかい」

師範「まだ参ってるわけじゃないだろうな。ひょっとすると男君のとこにでもいってんの…」

師範「!?」

幼馴染「あ、"おやひ"、おかーりぃ」

師範「な、お前、まさか呑んでるのか?」

幼馴染「あは、あはは。ひょっとくらいいーかなっておもってよぉ」

幼馴染「一献はらに、おとしてみたのよ。らから、そんなのんえねよ」

師範「一献って…おいおい、こんなの舐めたのとそう変わらん量じゃないかい」

幼馴染「んーふふふふ」

師範「だってのにすっかり出来上がって。ほれ、大丈夫か」

幼馴染「"おやひ"ものむんらろ?ついだげうよ?」

師範「まてまて、お前はもう呑むんじゃな…あーあ」

幼馴染「っぷはーっ!ん゛っ!」

師範「お、おいおい…」

幼馴染「あんらよー、オレのさかうきがうけられねえってのかよ!」

幼馴染「はよう!はようしっ!」

師範「わーかった、わかったからひっぱるな」

幼馴染「んっ。わかりゃいいんら、わかりゃ…」

バターッ

師範「おい、お前!」

幼馴染「んへへ…きょうは…ぶれーこー…だえ……」

幼馴染「のんれ、のんれ…のみまくっえ…」

幼馴染「……おふくろに…しかってもら………」

幼馴染「………すぅ…」

師範「ふうっ…」

師範「まだまだ子供だなこの寝顔は」

師範「これは今日は稽古どこじゃないな。のんびり過ごすとしよう」

師範「のんびりと…な。」

幼馴染「…へ…へへへ…」



女(なんだかこの週はあっというまに過ぎていった気がする)

女(ふふ。明日が楽しみだな)



後輩(明日…)

後輩(気合、いれなきゃ!)



友(ああああああああ、あし、あし、あししし…)

友(ど、ど、どどどうして、こ、こ、こうなった…ドウシテ?ナナナンデ?)



男「…」

男「…」

男「よし。決めたぞ」

男「やはり女はどちらかというとこのボーイッシュお兄ちゃんっ子のほうが近い」

男「ツインテ高飛車も悪くはないが、参考にする攻略ルートは前者を選ぼう」

男「あとは選択肢を誤らなければ完璧だ」

男「恩に着るぞ友よ」

男(ん…あいつのメモ帳か)

男(…)

男(後輩の時から進歩がないな、俺も)

男「…うふふ」

読んでくれてる人ありがとう
明けまで休みなのでなんとか完結させたいです

ガンバレ





>>352





――日曜日、朝――

クラスメイト1「おっはよー!2ちゃん!」

クラスメイト2「やっほーいえーい!」

クラスメイト1「いえー!」

クラスメイト2「さ、今日はとりあえず新しくできた店いって」

クラスメイト1「」

クラスメイト2「およ、どしたー1ちゃん。はにわみたいな顔して」

クラスメイト1「あれってさ…私の見間違いじゃなければさ…」

クラスメイト2「ん?なになに…?」

クラスメイト2「」

ザワザワ

男「……」

女「男」

男「…ん…む……」

女「男、起きて」

男「んん…?女、か…」

女「おはよ。よく眠れた?」

男「眠れはしたが、やはり人間は垂直に寝るようには出来ていないな」

男「木にひっかけたつもりだったが、違ったか」

女「時計台だよ。目覚ましはついてなかったみたいだね」

女「このままミノムシな君を眺めているのも楽しそうだけど」

女「もうすぐ人が沢山通る時間帯になっちゃうよ」

男「む、すまない」

男「どうも遅れず起きられる自信がなくてな…よっこら」

男「ところで…何か言いたいことがあるんじゃないか」

女「眼鏡ずれてるよ」

男「…それだけか?」

女「寝起きの顔もいいね」

男「…他には?」

女「大好きだよ」

男「…」

男(おかしいな。待ったー?という質問がくるはずだが)

男(ん、いやこの場合待たせたのは俺なのか。逆だ)

男「待った?」

女「…」

女「ん?まあ、起きるのを待ってはいたけど」

男「そうか、悪かったな。では行こう」

女「うん」

クラスメイト2「…」

クラスメイト2「でさ、買い物したら例のアイス屋さんいこ?」

クラスメイト1「いいね!あそこおいしいもんねーっ。いこいこ!」

――幼馴染宅――

幼馴染「うっ…あー…」

師範「おう、起きたか」

幼馴染「あ、あ、できるだけ小さい声でお願い」

幼馴染「…うわー。すっごい世界が回ってる」

師範「水飲んでおいたほうがいいぞ」

幼馴染「うん…あっあー記憶がないや」

幼馴染「ごめんね、ちょっとのつもりだったんだけど」

幼馴染「結構のんじゃったみたいね」

師範「はっは、これに一杯と半分よ(コンッ)」

幼馴染「へ?これ、おちょこじゃない」

師範「おまえ、成人になっても酒はやめたほうがいいな。匂いだけでもぶっとぶんじゃないか」

幼馴染「そ、そうかも。う、うー」

幼馴染「ちょっと、風にあたろかな…いや、寝てたほうがいいか」

トントン

師範「ん?客か。はいはい、どちら様ですか」

師範「おや、君達は…」

幼馴染「んくっ…んくっ…ぷはっ…」

幼馴染「ああ、お水ってこんなにおいしかったん」

師範「おーい!幼馴染!お友達だぞ!」

幼馴染「ひゃわあああっ」

幼馴染「お父さん、ひどいよっ…」

師範「ああ、悪い悪い。ほら、またせたらわるいぞ」

幼馴染「え、誰が来てるの…?」

後輩「お、おはようございますセンパイ!」

友「お、おおおお、おお、おは、おは…」

幼馴染「んえ?」



師範「んじゃ、きをつけていってこいよ!」

幼馴染「う、うん、夕飯までにはもど…」

幼馴染「って、ちょっとちょっと後輩ちゃん!」

後輩「どうしましたか、センパイ!」

幼馴染「いやあのとりあえず、ちょっと声ちっちゃくしてくれると嬉しいかなーなんて」

幼馴染「どういうことなの?友君まで一緒だし」

友「ぼ、ぼ、ぼぼくは、お、おまおま、おまけで…」

後輩「さっき説明したじゃないですか」

後輩「今日は男センパイがデートの日なんです!」

幼馴染「あつつ…うん、それは聞いたけど」

幼馴染「こ、後輩ちゃん、もしかして怒ってる?」

後輩「え?どうしてですか?」

幼馴染「最近あんまり一緒に帰らなかったからさ」

後輩「そんなことはもうどうでもいいんです!」

後輩「急ぎましょう、二人の様子を伺うんです!」

後輩「友センパイは男センパイの事よく知ってるみたいですし、本音が確かめられるかもしれません」

後輩「それにもし、女センパイが変な事しそうだったら力ずくでっ…!」

幼馴染「な、なんか気合入っちゃってるのね…」

幼馴染「友君、これって一体?」

友「は、は、ははは、ははっ、な、なんで、かな、なんで、だろ…は…」

師範(知らんうちに沢山友達できてたもんだな。良い事だ、良い事だ)

――駅前・商店街――

男(まずは…外観を褒める、だったか)

男「女」

女「ん?」

男「良い服装だ」

女「ありがと、昨日寝る前に選んだんだ」

男「やっぱり女の子はスカートに限る」

女「うん。これはスパッツだけどね」

男「可愛いリボンを」

女「つけてないけど」

男「髪型もいつもと違ってるわけでも」

女「ないけどね」

男「…」

女「ふふ。褒めようとしてくれてるのかな」

男(想定していたルートと違ったようだ)

男(ほかに似ていた攻略ルートは何があったか)

女「今日は男がエスコートしてくれるのかな」

男「…いや。行き先はお前に任せる」

女「あれ、それでいいの?」

男「俺はこの付近に詳しくは無い」

男「それに女性について教えると言ったのはお前だぞ」

女「そうだったね。じゃあ私が気に入ってる場所をいくつか回ろうか」

男「ああ」

女「腕、組んでもいいかな?」

男「ああ」

女「ふふっ」



女「どう、似合う?」

男「ああ」

女「お望みだったみたいだし、このスカート買って行こうかな」

男「いいんじゃないのか」

女「あ、男ちょっといい?」

男「ん」

女「このうしろのボタン、とめるの大変なんだ」

男「そうか。店員を呼んでこよう」

女「二つだけだし、男にお願いしたいな」

男「…」

男(これはきっと重要な選択肢だな)

女「私は気にしないから大丈夫だよ」

男「そうか。ならば多分…解った」

女「多分?」

男「なんでもない」

パサッ

男「どこだ?」

女「その腰のところ。あ、もうちょっと下」

男「こいつか…これでよし」

女「ありがと男」

女「上も替えるけど、見ていく?」

男(…これも選択肢か?)

男(まてよ、これは似たような場面があったぞ)

男(たしか答えは是だ)

男「ああ」

女「…ふふっ」

男「なんだ」

女「ううん。よく考えたら上はこのままだったよ。出よう」

男(フェイクか。…これは難儀だな)



ガココーン

女「やった!」

女「男、ストライクだよ、ストライク」

男「ああ」

女「はい、タッチ」

パンッ

男「…」

男「ふんっ」

ブオォォンッ

女「…」

女「男って、運動神経良いのか悪いのかわかんないね」

女「勢いあまってボール持ったまま転ぶ人は知ってるけど、そのまま逆立ちする人は初めて見たよ」

男「分析が足りないだけだ。指を離すタイミングが解らん」

女「それって果たして、分析関係あるのかな?」

男「無いかもしれんし、あるかもしれん」

女「ふふ」



女「…」

男「…」

男(恋愛映画か)

男(女性として一般的な物という意味で選んだと思ったが、どうやら本気でお気に入りのようだ)

男(女にしては珍しいな。どこぞの誰かは斜め上をいくというのに)

『ひっくしゅ!』

男「…ん?」

女「どうしたの」

男「なんでもない」

男(いや、まさかな)



女「ふうっ」

女「行楽日和だね。本当にいろんな人が行き交うよ」

男「休日の街中はここまで賑わうものなのだな」

女「男の家は静かな団地だもんね」

女「紅茶にミルクいれる?」

男(さすがにこれは成否には関係ない質疑だろう)

男「ああ」

ガササッ

後輩「…じいいいー…」

幼馴染「ご、ごめんねさっきは。なんか急に鼻がムズかゆくなっちゃって」

後輩「いえ…それよりもなんか、男センパイの様子がおかしくないですか?」

幼馴染(むしろあいつがマトモだった事のほうが珍しいけど)

友「…」

友「あ、あの、あの目はいつか…み、見た…そ、そうだ…」

友「あさ、朝練で、"余計な気配り"を、してると、ときの顔、だ…」

後輩「"余計な気配り"?」

友「そ、そう…簡単に、い、言えば、男君のと、特技の、あ、あ、相手の様子を、ぶ、分析して」

友「こ、行動をよよよ、読んで、正しい、せ、選択をする…」

後輩「つまり、相手の事を研究してるってことですか?」

友「ちょ、ちょっと、違うかな…」

友「おと、男くん、は、じぶ、じぶんの、どど、洞察力を、き、鍛えているんだ…」

後輩「洞察力を…鍛える?」

幼馴染「…」

幼馴染(まだやってたんだ、あのヘンテコな訓練)

幼馴染(こんなときまで練習してるってわけ?)

幼馴染(見上げたバカね、ほんっと)

カチャッ

女「いくつか聞きたいことがあるんだ、いい?」

男「いいぞ」

女「友君のことなんだけど」

男「あいつがどうかしたのか」

女「深い意味はないんだけど、君が友人というものを持つのは珍しいと思ったんだ」

女「だからその過程が気になってさ」

男「…まあ確かに、友人と呼べる存在は少なかったが」

男「友の場合で言えば、確かな理由がある」

女「ふうん?」

男「以前隣町に足を運んだとき、途中のバスであいつに出くわした」

男「もっともその当時は同じクラスの人間という認識すら薄かったがな」

男「満席のバスの中、三度入っては出て行く年配者全てに、あいつは席を譲って、座りなおしていた」

女「へえ」

男「そして化石ケータイのことは知っているだろう」

女「うん。お下がりの、古いものだったよね」

男「あれだけ古いものがいまだに使えるということは、大事に扱っているということだ」

男「するべき気配りが出来、物を大事に扱う人間ならは、友人としても同様に接してくれるだろう」

男「そう考えたのだ」

女「なるほどね」

女「そういうのって、いいよね」

男「そういうものか」

女「うん。」

女「あと三つあるけど、いいかな」

男「ああ」

女「私の告白をうけてくれたのは、なぜ?」

男「お前の提案をそのまま呑んだだけだ」

女「そう」

女「今の君にとって幼馴染さんはどういう存在なのかな?」

男「幼馴染は、俺の"ただの幼馴染"だ」

女「じゃあもう完全に」

女「彼女の母親という立場には、こだわらなくなったんだね?」

男「…」

女「母親役であることを捨て切れたんだね」

男「…」

女「ふふ」

女「美味しいお茶だったね。いこっか、男」

女「私の約束をはたすよ」

女「その迷いも、消してあげるから」

男「…」

ガタッ

後輩「あ、移動するみたい」

後輩「何を話してたのかな…」

友「あ、ああ、な、ななな、なんか、おと、男君…と、と、途中から、は、はなさなく、なってたね…」

後輩「はい…」

幼馴染「…」



女「この前はここまでだったけど」

女「遠慮しないでね。今日、両親はいないんだ」

女「帰りも遅くなるから」

男「…」

女「無口な君も可愛いね」

女「どうぞ?」

男「…ああ」

バタン

後輩「ここってもしかして」

友「お、おおお、おんなさんの、自宅、だね」

後輩「私てっきり外で会って、外で別れるんだって…」

後輩「こうなったら!」

幼馴染「…後輩ちゃん、もういいよ」

後輩「せ、センパイ」

幼馴染「あいつさ、こうやって誰かの家に遊びにいくことなんて、今までただの一度もなかったんだ」

幼馴染「それが、後輩ちゃんや友君と話すようになってから、すこしずつ変わって…」

幼馴染「ここまで出来るようになったんだ」

友「…」

幼馴染「私にばっかりかまって、偏屈になっちゃったあいつがさ。だからもういいんだ」

幼馴染「私、あいつの重荷にだけはなりたくないんだよ」

後輩「センパイ…」

幼馴染「ま、そういうわけで!これから三人でどこかでかけよ!」

幼馴染「いやー、それにしてもすごいもんだね、ウコ○の力って。すっかり頭痛消えちゃったよ」

幼馴染「別件でちょっと頭痛いけどね。ほんっと、唐変木っていうか…」

後輩「センパイはっ!」

後輩「センパイは…それでいいんですか?諦められるんですか?」

幼馴染「…」

後輩「諦めるのなら、私だってもういいんです…あんな、あんな人…!」

幼馴染「…後輩ちゃん…」

後輩「お、おせっかいで、ごめんなさい…でも私、あの人と一緒にいるときのセンパイが」

後輩「い、いちばん…ステキだって…だから…だからっ…」

幼馴染「…」

ギュッ

後輩「ううぅ…」

幼馴染「ありがと。正直、諦められるかどうかはわかんないかな」

幼馴染「でも今は、それだけ思ってくれる人がいるってだけで、十分だよ」

友「…」

幼馴染「友君も、ありがとね」

友「い、いや、いえ…」

幼馴染「さ、なきやんで?後輩ちゃん」

幼馴染「とりあえず今日のところは撤収!またあのアイス、食べにいこ」

後輩「う…うう…は、はい…」

友「…」

ドンッ

友「お、おわっ?」

チンピラa「おーうにいちゃん、危ないよー。ヨソミしてると」

チンピラb「そうそう。何にぶつかるかわかんないぜ。オレらみたいな歩く爆弾だったりするしよ」

後輩「!」

友「わ、わ、わわわ、わわ…」

幼馴染「あんたたちは…」

チンピラc「おっほー、こりゃまたいい女つれてんじゃん」

チンピラd「にいちゃんにはもったいないなこりゃ。うちらが変わりにタンノーしてやるよ」

幼馴染「…」

幼馴染「いこ。二人とも」

後輩「は、は…い」

友「あ、あわ、あわわ…」

チンピラe「おいおい、シカトしてんじゃねえぞコラァ!」

幼馴染「ごめんね。これからこの子たちとデートなんだ。だからナンパはお断り」

チンピラf「んなこたこっちは知らねえよ!」

チンピラg「ちょっとオレたちとくるだけでいいんだよ。時間はとらせねっから」

幼馴染「今さ、私これまでなかったほど機嫌が悪いんだ」

幼馴染「お願いだから、帰って」

チンピラh「ひっ!?」

チンピラi(な、なんて目だ…睨まれただけでスパっといきそうじゃねえか)

チンピラj「あ、ああそうかい。じゃわかったよ。こっちの子だけならいいだろ?」

後輩「え…?」

チンピラk「いかにも純情そうな子じゃねえか。今から楽しみだぜ」

後輩「やっ、は、はなしてくださいっ!」

チンピラl「遠慮するなって。へへ。あちらのお二人さんにはひきとってもらって…」

ブワッ

チンピラl「へっ…?」

ズダーンッ!

チンピラl「」チーン

チンピラm「お、おい今こいつ、宙に浮いて…!?」

幼馴染「警告はしたから」

幼馴染「正当防衛なんて言うつもりはないけど、こんなときに来た運の悪さ、呪うんだね」

チンピラn「て、てめえっ!このアマああ!」

チンピラo「あめんじゃねえっ!」

――女宅・女の部屋――

女「はい、お茶どうぞ」

男「ああ」

女「ふふ。どうかな、感想は」

男「いや…そうだな」

女「私は毎日入ってるから解らないけど、男には新鮮なんじゃないかな」

男「ああ」

女「参考にしてってね」

男「ああ」

男「…む、化粧台か」

女「うん。高校入ってからお母さんが買ってくれたんだ」

女「年相応の加減を覚えなさいだって」

女「結構大変なんだよ。しすぎてもダメだし、しないと身だしなみに気が使えないって思われるし」

男「そうか」

女「身だしなみ一つでも、男の子と女の子ではそういう違いがあるよね」

女「でも、こんなことは要するに世間一般が作りあげたものでしょう?」

女「ここに至る原因、一番根本的なものは別だよね」

男「ああ」

女「君ならそれをよく知れば、およそのことは理解できると思う」

シュルッ…

女「そしてそれは同時に、君と幼馴染さんの関係を決定付けてくれる」

パサッ

男「…」

女「だから好きなだけ分析してね」

女「私の…女の子の体のこと」



幼馴染「はああっ!」

チンピラp「ぐがっ!」

チンピラq「やろっ、んなああああっ!」

幼馴染「せいっ!」

チンピラq「ぶわっ!」

チンピラr「お、おい!回り込め!後ろ寄れ!」



ギシッ

男「…おい」

女「どうしたの?男、君の目の前に貴重なサンプルがあるんだよ」

女「気の済むまで、実験していいんだよ」

男「…」

女「母親役は終わって、彼女はいまはただの"幼馴染"」

女「気を使う必要はない。そうでしょう?」

男「…」



ドカッ

幼馴染「くっ…」

チンピラs「ハハッ!やった…ぜ?」

ズダーンッ!!

チンピラs「ぐえぁっ…」

幼馴染「ぺっ…」

チンピラt「クソがっ、なろおおおお!」



男「…」

女「君がだまるときは、肯定と同じと思っていいんだね?」

男「…」

女「ふふ」

女「愛してるよ、男…」

男「……」



チンピラu「ぎゃっ」

幼馴染「…」

幼馴染「次は誰?」

チンピラx「ひっ…」

チンピラy「お、鬼だ…鬼だーっ!」

チンピラz「な、納豆!納豆様おたすけえええええっー!」

幼馴染「ふうっ…なあんだ。割と賢いやつもいるじゃん」

後輩「せ、センパイ、大丈夫ですか!?」

幼馴染「ん、だいじょーぶだいじょーぶ。軽く貰っちゃったけど、あんな腰抜けパンチじゃ…」

後輩「よ、よがっ…た!わ、わだじっ!」

後輩「うああっ」

幼馴染「あはは、後輩ちゃんったら泣き虫なの治ってないね。よしよし大丈夫だよ。友君平気?」

友「あ、あああ、は、はわわ…はわい…」

幼馴染「おっけ!じゃ、いこっか。三人でデート!」



男「…」

女「…」

女「ふふ、やっぱりできないんだ」

男「…」

女「君はヘタレって訳じゃないはずだけど」

男「…」

男「あの日、あいつは伸びた髪をひけらかし、口調を改めて」

男「笑顔で誇らしそうにこう言った。『似合う?』と」

男「俺はその瞬間、黒いものが心にわきあがるのを感じた」

男「『何処が変わったんだ』…とっさにそう言っていた」

女「…」

男「それが恐怖だということが解ったのは最近のことだ」

男「俺はあいつの母親を目指すことでアイデンティティを保っていた」

男「そしてそれは、欠けたパズルを直した時崩壊した。そのはずだった」

女「…」

男「しかし、変わっていくあいつを見て…」

男「俺は再び母親面をしようとした」

男「あいつという存在があやふやになってからずいぶん経ち」

男「突然"娘"でもない、"ただの幼馴染"でもないのだと気づかされ」

男「そしてそれは、まったく未知の存在になっていた」

女「…」

男「違うな。未知の存在だと決め付けたんだ」

男「さんざん娘として見守ってきたあいつが、実際は俺の何であるのか、認めるのが恐ろしかった」

男「結局俺は、不可能と解った夢を認めきれず、自分のアイデンティティにしがみついていたんだ」

男「だから俺は、友を友人にし」

男「お前を恋人とし」

男「幼馴染と距離をおくことで、あくまで母親役として、再びあいつを見守るためのシステムを作った」

女「…ふふ。あっはは!」

男「笑えるだろうな」

女「いや、そうだね。あんまり私が考えていた通りだったから」

女「君って案外、単純なのかもしれないね」

男「…」

女「でもこれで原因がはっきりしたね。彼女の行動が読めない理由」

女「あとは君が、幼馴染さんに対する感情を認めるだけでいいんだ」

男「…」

女「ふふ。」

男「…今日はもう帰るとする。つまらない話を聞かせたな」

女「ううん、嬉しかったよ」

女「君の新しい一面が見えたから」

男「そうか」

男「…いずれお前の肌を見た責は取ろう」

女「ふふ。期待しないで待ってるよ」

バタン

女「…」

女「また明日ね、ぶきっちょさん」

――夕時、帰路――

幼馴染「んー、相変わらずいい仕事してるね」

後輩「ぐすっ…はいっ!」

友「お、お、おおお、おい、おいし…」

幼馴染「二人とも今日はありがとね。いろいろ心配かけちゃったみたい」

後輩「いえ…」

友「…」

幼馴染「あ、後輩ちゃん。家まで送るよ」

後輩「お、お願いします」

友「…」

友「あっ!?」

幼馴染「ん?」

後輩「えっ…」

後輩「お、男センパイ…」

男「…」

幼馴染「…」

ザッザッ…

ザッ

ザッザッ…

幼馴染「…」

後輩(お、男センパイ…どうして、何も?)

友(…お、男、くん…)

ザッザッ

男「…」

男(あの三人が一緒にいることは、けして不自然ではないが)

男(後輩、あの目の腫れはまた泣いたな)

男(友の服には砂利がわずかに付着していた)

男(そして…幼馴染の頬にできたわずかな擦り傷)

男(…何があった?)



――翌日――

幼馴染「おはよう、お父さん!」

師範「おう。ん?おまえ、昨日は気付かなかったけど、そのキズどしたんだ」

幼馴染「ああこれ?ちょっと昨日ぶつけちゃってさ」

師範「ったく危ないやつだな。顔は女の命だぞ、大事に扱え」

幼馴染「えへへ、ごめんごめん」

幼馴染「今日は遅くなるの?」

師範「それがな、今日は急に休みが入ってな」

幼馴染「あ、そうなんだ。じゃあたまにはゆっくりしときなよ」

幼馴染「ここんとこ働き詰めだったし」

師範「ああ、そうしとくよ」

幼馴染「今日こそ骨がありそうな人、沢山連れてくるからね」

師範「ああ、門弟の話か。何人でももかまわないさ、好きなだけ連れて来い」

幼馴染「ありがと。じゃ、いってきます!」

師範「おう」

幼馴染(諦めるのは無理でも、誤魔化すくらいはできそうだし)

幼馴染(とにかく今は、道場の事一番で行こう)

幼馴染(もーんていっ、もーんていっ!)

幼馴染(…)

幼馴染(すっかり一人で正門くぐるのが、当たり前になっちゃたな)

クラスメイト1「おはよー、幼馴染さん!」

クラスメイト2「おはよー」

幼馴染「おっはよ!」

幼馴染「あれ…」

イケメン「やっ」

幼馴染「お、おはよ。ごめんね先週末は」

イケメン「いや、いいんだ。それより僕の気持ちを、改めて伝えたくてね」

幼馴染「ああ、ごめんね。前も言ったけど、今私そういうことに興味…」

イケメン「そんなことはないさ。すぐに興味津々になるよ、これを見てくれればね」

幼馴染「え…?」



友「お、お、おおおおお!ちちっちちちちち、遅刻だああああっ!」

友「おっ、おぼっ、おおおおっち…!」

友「ちこっ…あ…あれ?」

後輩「…(トボトボ)」

友「や、やややっ、やあ」

後輩「あ…友センパイ。おはようございます」

後輩「昨日はありがとうございました。私のわがままに付き合ってもらって」

友「い…いや、いいんだ…」

友「って!そ、そそそ、それは、そうと、ちこっ、ちここっ!こくっ!」

後輩「遅刻?」

友「そ、そう。い、いいい、今、じか、時間が…!」

後輩「まだ歩いても十分間に合うくらいですよ?ほら」

友「へ?」

パカッ

友「……ま、ままま、また…」

後輩「友センパイの携帯、ずいぶん時間が進んでますね…」

友「あは、あはは…よ、よくあるんだ…はぁ…またか…」

後輩「くすっ」

後輩「はぁ。センパイ、どうするんでしょう」

友「そ、そうだ、そうだね…」

後輩「このままじゃ私、けじめがつけられないです」

友「…」

友「…ん…んん?あ、あ、あれは、おさ、幼馴染さんじゃ」

後輩「あ、本当だ…誰かとお話してるみたい」

イケメン「…じゃあ、僕と付き合ってくれるんだね、幼馴染」

幼馴染「ああ」

後輩「え…」

イケメン「おお、本当かい!最高だ、最高に幸せだよ!」

幼馴染「…」

イケメン「じゃあ、早速この前の埋め合わせに行こうか、これからね」

イケメン「静かな所で、たっぷり楽しもう」

イケメン「まさか断れないよね、もう君は僕の彼女なんだから」

幼馴染「ああ」

イケメン「素直な子は好きだよ。幼馴染」

イケメン「さあ、おいで」

幼馴染「…」

後輩「センパイ…どっ、どうして?」

友「…こ、こここ、後輩ちゃん、す、すぐに男君を、呼んできて!」

後輩「え?あっ、友センパイ!」

後輩「っ…!」

ダッ

友「ま、ままま、待って!」

イケメン「ん、誰だ君は」

友「ぼ、ぼくは、おさ、幼馴染さんの、くら、クラスメイトだ」

イケメン「ふーん。そのクラスメイト君が何の用だい?」

友「お、おおさなななな、なじみさんを、ど、どこに連れてくんだ!」

イケメン「そんなことは君には関係ないだろう。なあ、関係あるかい?幼馴染」

幼馴染「…」

友「お、おさな…」

幼馴染「友、もうオレに構うんじゃねえ。後輩ちゃんにもいっといてくれ」

幼馴染「どっかの頭の硬いバカにもな」

友「!?」

友「そ、そんっ、どっ、どどっどし…どっ…」

幼馴染「…ただただ、うんざりしたのさ」

幼馴染「だから、もういいんだ。はやく消えな」

友「そんな…う、うう…」

イケメン「僕は彼女に愛の告白をしてね。たったいま受けてもらったところなんだ」

イケメン「だから何処に一緒にいくにしても自然な事」

イケメン「これで納得してもらえたかな?」

友「う…う、う…」

イケメン「解ったのなら、早く学校にいきたまえ。先生に叱られてしまうよ?ハハッ!」

友「ううっ…」

友「嘘だっ!」

友「そんなの、嘘だ、僕にはわかるっ!お、幼馴染さんの、目を見れば!」

幼馴染「…」

友「ぼ、僕の友達は、教えてくれた。ひ、瞳がにご、にごっているときは、す、すごく」

友「その人が、怖かったり、悲しんでいたり、する時だって」

幼馴染「…」

友「幼馴染さんは、とくに綺麗な目をしていたから、解る!う、うんざりだなんて、大嘘だ!」

友「き、君はい、いいい、今でも、男君の事を…!」

イケメン「おいおい。聞き分けの無い人は嫌いだね」

ゾロゾロ

チンピラa「へへ…」

チンピラb「くく…」

友「な、き、君達は…」

イケメン「もう一度いってあげようか」

ガッ

友「あうっ!」

イケメン「彼女はもうね」

ドカッ

友「げぼっ!」

イケメン「僕のものなんだよ」

バキッ

友「あぐっ…」

幼馴染「おいっ、オレはついていくっていってんだぞ」

幼馴染「余計な時間くってんじゃねえよ」

イケメン「ん、ああ。そうだったね」

イケメン「君は友達思いなんだね。ますます惚れ直したよ」

幼馴染「…」

イケメン「ではごきげんよう、友君」

イケメン「学園生活を堪能してくれたまえ、グッバイ」

友「う、うう…」

友「お、幼馴染…さんっ…!」

――教室――

男「…」

女「…」

女(君のその無表情にも)

女(すべてに、意味があったんだね)

男「…」

幼馴染『じゃーんじゃじゃーん。駅前デート丸秘スポットよ!』

男(こんなもの、使えるわけがないだろう)

男(お前にここまでさせておいて)

男(…ん?)

男(なんだ、最後のページは白紙だとおもったが、くっついていたのか)

パリパリ


  道場の門弟探し、お父さんのお許しが出たよ!

  私とあんたで選んだ人なら、見てくれるってさ

  チャンスがあったら一緒に探そうね!


  ps.あんたには前科があるんだからね

  女さんのこと幸せにしてあげるんだゾ!


男(…)

ペロ

男(…塩味、か)

後輩「男センパイッ!」

女「おや」

男「んっ?後輩か。なんだそんなにあわて…」

ドンッ

男「っと…」

男「…泣いているのか?」

後輩「う、うう…センパイが、友センパイが!」

男「…」

男「幼馴染と友が、どうした?」

タッタッタ

男「友っ!」

後輩「友センパイ!」

友「お、男くん…」

女「ひどくやられたね。血を止めないと」

後輩「わたし救急セット持ってます!」

男「友…お前」

友「お、幼馴染さんがっ!おさなっ…大変なん…ゴフッ!」

男「後輩から聞いた、把握している」

友「そそそうか。あ、あはは、ちょっとかかかっこうを、つけすぎちゃった」

友「みっともない所を、みせ、みせちゃって…」

男「馬鹿者!今のお前より見栄えの良い男など、そうそう居るものか」

友「あ、ああ。あはは、君にそういって、も、もらえると、嬉しいな」

友「で、でも、僕じゃ、ダメだ。やっぱり、き、君じゃないと…」

友「…だか…だから…」

男「何も言うな。解っている」

友「あ、よ、よかっ…」

男「友、お前に謝らなければいけない」

男「俺はお前の人の良さを、自分の都合のために利用していたんだ」

男「許してくれ」

友「あ、あはは、わ、わかっていた、よ…」

友「もともと、へ、変な組み合わせだったよ、ね。僕たち」

友「で、でも君は、ぼ、僕にとってと、友達だよ…僕も、君の友達で、いたい」

男「有難う」

友「…へへ(スッ)」

男「…ふふ」

コツン

後輩「…ぐすっ」

男「女、お前にも謝らねばならないことと、頼みがある」

女「ふふ。謝る事なんて、昨日のうちに解ってるから」

女「頼みごとだけ聞いておくよ」

男「そうか。ならばそうしよう」



男「では友の事は任せたぞ、女、後輩」

女「うん」

男「行って来る」

ダッ

後輩「男センパイ…」

女「…」

友「だ、大丈夫だ…」

友「い、今の、おお男君なら…」

女「ふふ、そうだね。ちょっとシャクだけど」

後輩「…ぐすっ」

女「さ、私達もいこう。友君立てる?」

友「あ、ああ。なななな、なんと、なんとか…」

女「ん、よし」

女「そうそう。二人とも尾行の才能はないみたいだし、もうやらないほうがいいよ」

女「昨日みたいなことは、ね」

友「え゛っ」

後輩「!?」

女「ふふっ」

wktk

どうしてこんな良い所で切ったし 楽しみで寝れないじゃないか!

――某建設現場――

ガラガラガラ…

イケメン「ついたよ。少し殺風景で申し訳ないけどね」

幼馴染「…」

イケメン「おい」

チンピラa「ういーっす」

キンピラ「うむ」

幼馴染「なっ、なにしやがる!」

イケメン「君は少々乱暴だからね。多少不本意ながら、手を縛らせてもらうよ」

イケメン「すぐにそんなものは必要なくなるけどね」

ドサッ

幼馴染「っつ…」

幼馴染「野郎っ」

イケメン「ふふ、いいのかな?そんな目で僕を見て」

イケメン「君のお父さんも苦労してるみたいだからね。きっと困っちゃうだろうね」

幼馴染「…」

イケメン「僕の親に君の写真を見せるだけで」

イケメン「あんなちっぽけな道場、どうとでもなっちゃうからね」

イケメン「くっく、あは、あははははっ!」

イケメン「おい!お前らも笑え!」

チンピラb「あ、ぎゃは、ぎゃははははっ」

チンピラc「ひゃっひゃっひゃっひゃ!」

幼馴染「てめえ…」

イケメン「っくく、ああそうそう!幼馴染、この建物、なんだと思う?」

イケメン「これはね、我が現実充実館の分館になるのさ」

イケメン「団地のほうにも進出してね、ここを足がかりに全地域に進出するのさ」

イケメン「ここに僕たちがきたら、どの道、君の所はおしまいってわけ!」

チンピラd「ぎゃはーははは!」

幼馴染「ぐっ」

イケメン「そっ、そこでさっ。傑作なのがさ!」

イケメン「この工事現場で、君の親父さんが働いてるってことなんだよ!」

幼馴染「!」

イケメン「いや、僕もね。それを知ったときには笑っちゃったよ」

イケメン「自分の道場をつぶすために、あの人せっせと手伝っちゃってたんだよね!」

イケメン「もうおっか、おっか、…ククク、クッソうける!」

イケメン「だぁーっはっはっは!なぁ、そうだろ?ぶははは!」

チンピラe「ブイーッヒッヒッヒ!」

チンピラf「もひっ、もっひひ!」

幼馴染「…うっ…うそだっ!そんな…」

イケメン「あっ、ああーいいね、最高だいい顔してるよ幼馴染」

イケメン「君のその顔が見たかったんだ」

イケメン「これからもっと素敵な顔にしてあげるよ。でもまずは俺をコケにしたおとしまえからだ」

幼馴染「う、く…」

イケメン「おい、好きなやつからやっていいぞ」

チンピラa「ひゃっは、あざーっす」

チンピラb「おい、どうするよ」

チンピラc「無難にジャンケンじゃね?」

チンピラd「おーっし、じゃいくぞ」

チンピラe「じゃーんけん…」

チンピラf「ボンッ!」

チンピラg「へ?おいおい、お前の一人勝ちじゃねえかよ」

チンピラh「ズルはなしだぜズルは」

キンピラ「思考が単純なお前らが悪い」

キンピラ「何を出すか顔を見ただけで解るぞ」

チンピラi「おいおい、いってくれるじゃねえか」

チンピラj「パーにしときゃ良かったか…」

幼馴染「…」

幼馴染「…へ?」

キンピラ「パーにしても同じことだがな」

幼馴染「(パクパク)」

チンピラj「おいまて…お前…」

チンピラj「誰だてめえ!」

キンピラ「む?」

イケメン「…?」

幼馴染「お、おおお…」

幼馴染「男!?」

チンピラa「て、てめええ!いつのまに!」

キンピラ「やっと気付いてくれたか。少し寂しかったぞ」

ワシャワシャッ

男「せっかく名前もわかりやすくしてやったというのにな」

チンピラb「な、ななな!」

イケメン「…」

男「はじめまして、きんぴらごぼう改め、男と言う」

ザザザッ

男「ほう、腐っても心得はあるか。見事な円陣だ」

イケメン「…なるほどね、君があの噂の変人君か」

男「いかにも」

イケメン「頭がぶっとびすぎてこんなところで迷子にでもなっちゃったのかい?出口まで案内しようか」

男「お前たちこそノロノロと何をしていたんだ。待ちくたびれていたぞ」

イケメン「僕たちがここに来るのを知っていたのか」

男「ここに来ることだけではない」

男「お前が現実充実館の創立者にしてpta会長の息子であることも」

男「関係者がチンピラ共に根回しして、イケメンを中心とした盛大なパフォーマンスにより人気をあつめていたことも」

男「それにより現実充実館の宣伝のみならず、父親の市議会員出馬に対して貢献していたことも」

男「エトセトラ把握済みだ」

イケメン「…」

男「立ち入り禁止と書いてなくとも、工事現場など誰も入りはしない」

男「現実館の分館、突然の施工休業、人気のいない場所」

男「お前達が来る事は小学生でも解る話だ」

幼馴染「ってことは、あの商店街で見たのは…」

男「そうだ。全て茶番だ」

男「仮にチンピラが寝返ったとしても、不良の戯言など世間は信用しない」

男「うまくできている。関心するぞ(サッ)」

イケメン「…?」

男「だが映像というものは嘘をつかん」

男「充実館の関係者がチンピラaに報酬を渡す場面がこのなかに収めてある」

男「ダビングはしていない。幼馴染を解放し、去れ。全て不問にしてやる」

イケメン「おいおい、そんなの信用しろっていうのか?ただでさえ変人な君を?」

男「一般的な良心はあるつもりだ」

イケメン「く、くっく…」

イケメン「あーっはっはっは!」

イケメン「そいつを押さえろ」

チンピラa「おらっ」

ドザッ

男「ぐっ…」

幼馴染「男っ!」

男「…お、お前たちもまだ間に合うぞ。おとなしく引き下がれ」

イケメン「一般的な良心?笑わせてくれるな君は」

イケメン「おい、胸ポケットさぐってみろ」

チンピラb「…ん、お?」

チンピラb「こんなのもってやがりました」

幼馴染「!」

イケメン「フン、やっぱりテープレコーダーもってんじゃねえか」

イケメン「それで一連の流れを収めていたってわけだ」

男「…」

イケメン「両方ぶっこわせ」

チンピラd「おらぁ!」

ガシャン!

男「…」

幼馴染「あっ…」

チンピラe「へへっ」

イケメン「なんかさ、誤解してないか?男クン」

イケメン「信用なんてのはね、金と力があるほうに集まるよう、世の中は出来てるんだよ」

イケメン「だから君が何をしてもひっくりかえせないわけ」

男「つまり、認めるんだな」

イケメン「ははっ、皆馬鹿だよねえ!ちょっと絡まれて困ってる人助けるの見せたら」

イケメン「男も女も途端に転がり込んできて、腰を振ってくれるんだもの」

イケメン「笑いが止まらなかったよ」

男「…」

イケメン「さて!どうするのかな?男クン」

イケメン「晴れて万策つきたわけだけどさ」

男「友を殴った回数を言え」

イケメン「へ?」

男「さきほどお前たちにつっかかった奴のことだ」

イケメン「ああ。あいつか」

イケメン「10発じゃないかな。ここにいるやつらに1回ずつ殴らせたから」

イケメン「まあ、3発もやらないうちに崩れちゃったけどね、ぶはははは!」

男「ならば3倍だ」

イケメン「は?」

男「その3倍を勘定するとしよう」

>>525 一行抜けてました、以下のように修正します

チンピラb「…ん、お?」

チンピラb「こんなのもってやがりました」

幼馴染「!」

イケメン「フン、やっぱりテープレコーダーもってんじゃねえか」

イケメン「それで一連の流れを収めていたってわけだ」

男「…」

男「…やはりdqn女aとも関係があったか」

イケメン「両方ぶっこわせ」

しえーん



ドカッ!バキッ!

幼馴染「っ…」

ゴスッ!ゴッ!

幼馴染「おい…!」

ドッカ!ドカッ!

幼馴染「もう、もう…」

幼馴染「もうやめろ!やめねえか!」

男「ぐふっ…」

チンピラc「イケメンさん、こいつめっちゃくちゃ弱いっすよ」

イケメン「おいおい、威勢のよかったわりにその程度かい?」

男「…に…」

イケメン「なんだって?」

男「…お…幼馴染に近づいたのは、何故だ」

イケメン「え、きまってんじゃん」

イケメン「ブッサイクだと思ってたら案外いい女だったからさあ、誘ってあげたんだよ」

イケメン「まあ今自業自得でこんなんなってるけどさ。あっは!」

幼馴染「…」

男「そうか…」

男「うふふ」

幼馴染(…男、あの笑い方…)

幼馴染(キレてやがる…)

イケメン「はっはーん、君も彼女がおめあてで近づいたってわけなのかな?」

イケメン「だとしたら残念だね、シナリオ通りに進まなくてさ」

男「おまえこそ…残念だったな」

男「その…女は、思い通りにできなかったようだ」

イケメン「…あ?」

男「わざわざ…ペッ、仲間に絡ませて乱闘の写真をとり」

男「それで脅すなどという手を使わねば、ろくに取り合ってももらえないとはな」

イケメン「てめえ…」

男「まっとうに生きていれば、あいつをがっかりさせることも無かっただろうに」

男「馬鹿ここに極まるというやつだ」

イケメン「上等だ」

イケメン「格の違いってやつを…しっかり解らせてやるよ!」

男「いいだろう、しっかり打ってこい」

男「これで最後だ」

イケメン「らあああっ!」

ゴキャアッ

男「がっ…」

幼馴染「男ぉっ!」

イケメン「ふ、ふふ…これでお前もすこしは良い面になれるぜ」

イケメン「鼻はおれちまっただろうけどな」

幼馴染「あ、あああっ…」

イケメン「おい。両手折ってその辺に捨てとけ」

チンピラa「うぃす…」

男「…」

男「…ふ…うふふ…」

チンピラa「!?」

イケメン「てめ…」

男「なるほど、確かに格闘をやっているだけはある。いい突きだ」

男「だがこんな程度、幼馴染のデコピンと比べれば猫のちょっかいと同じだ」

イケメン「そうかい…そうかい!なら、何度でもくれてやるよ!」

ブォンッ

イケメン「!?」

チンピラa「なっ」

スタッ

男「勘違いしているのはお前達のほうだ」

男「信用というものは自らを試練にさらし、初めて勝ち取るものだ」

男「お前達が稼いでいたものは偶像崇拝、つまりテレビのアイドルがしていた事と同じだ」

イケメン「くっ…」

男「友は不甲斐ない俺のために身を挺してくれた。その根性は信用という言葉だけでははかり知れん」

男「だからその侘びとして、奴の3倍殴られてやると言ったのだ」

男「今の人中への突きでちょうど30発。毎度ありがとうございましたというわけだ」

幼馴染「お前…な、なんともないなのかよ」

男「誰かさんにさんざん殴られたのでな。すっかり慣れた」

イケメン「…」

男「ああでも、確かに俺に良心があるというのは嘘かもな」

男「お前達の上をいく下衆だからな。あれを見ろ」

チンピラb「?」

イケメン「な、な…!?」

幼馴染「あれは…」

男「防犯カメラに少々手を加えたものだ。すこし型は古いがな」

男「本来は幼馴染の私生活を分析するために購入したものだが…」

男「本人の却下でお蔵入りとなっていた」

幼馴染「あ、あれ本気で考えていたのかよ!」

男「当然だ。お前に関することなら全て本気だ」

幼馴染「なっ…」

男「あのカメラの映像は、電波として送受信しそのままビデオに流すことができる」

男「もちろん音もないと寂しいからな」

男「隣についている集音マイクつきの携帯から、とっておきのスピーカーに同時に送っているぞ」

男「そしてそれは今、さる場所で大公開されているころだ」

イケメン「な…な…」

――学校、3年教室――

イケメン『なんだとおおお!?』

クラスメイト1「まさか、イケメンさんがそんなこと…」

クラスメイト2「そ、そんな…」

クラスメイト3「ちょwwww防犯カメラで幼馴染さんの私生活盗撮とかwwww」

クラスメイト4「男てめえ何考えてんだ!もっとやれ!んで俺にもかませろ!」

――学校、2年教室――

イケメン『お、おいおい。どうせまたハッタリだろ?俺は信じねえぞ!』

男『ハッタリと信じないなら別にかまわんぞ。やっほー、見てるー?(棒)』

dqn女a「あ…ああ…」

dqn女b「ちょっと、ヤバイよこれ!」

――学校、教員室――

イケメン『どこだ!どこで流してるんだよ!』

男『お前も普段世話になっている場所だ。もっとも今日はサボっているがな』

教員a「し、信じられん、あの優等生が…」

教員b「と、とにかく放送室だ!一斉放送だけでもやめさせるんだ!」

教員c「それが、生徒がおしかけててなかなか中に…!」

教員b「なん、なんだと…!」

――学校、放送室――

女「ふふ、男君って怒らせると結構怖いんだね」

後輩「そ、そうですね」

友「は、はは…」

女「それにしても、男君の目は確かだったわけだ」

女「物を大切にする事って、こういう結果にもつながるんだね」

後輩「はい。友センパイの化石ケータイさん、大活躍です!」

友「ぼ、僕の場合は、すご、すごく特殊だと思うよ」

化石ケータイ『う…う…』

イケメン『うがああああ!!』

男「最後の良心が、あのカメラのスイッチを押すのをためらわせたが」

男「例の映像テープと俺の相棒を踏み潰したのが決め手になったな」

幼馴染「男…」

チンピラa「ま、マジかよ…」

チンピラb「いままでの全部…」

イケメン「ぬ…ぐ…」

男「さて、おとなしく引き取ってくれるとこちらとしてはありがたいが」

男「そうはいくまいな」

イケメン「あたりまえだ…おい、こいつを生きて帰すな!」

イケメン「殺せ!ブっ殺せ!」

チンピラa「や…や…やろおぉぉぉ!」

チンピラb「らあああ!」

男「むっ!」

男(手勢は11、一度に攻撃をしかけられる人数はこのスペースならばせいぜい3名が限界)

シュッ!

男(パターンで考える必要もない)

スルスルッ!

男(蚊が止まって三度の食事も済ませられるぞ)

男「6時からの突き、3時からの蹴り、11時からの体当て!」

チンピラd「でぁっ!」

チンピラb「にゃろおおお!」

チンピラf「いやあああ!」

miss! miss! miss!

イケメン「な…こいつ…」

幼馴染(全部紙一重で避けてるよあのバカ…変な技身につけやがって)

チンピラd「ぜぇーっ…はぁーっ…」

チンピラa「ひぃ…ひぃ…」

男「疲れたか?悪いな。技をかければ気絶させてやることも出来るが」

男「あいにく俺は仕掛ける事にかけてはてんでダメでな。避けるしか能がない」

男「二つに一つになってしまうな。倒れるまで俺と踊るか、引き下がるか」

チンピラb「はっ…はぇっ…」

男「安心しろ。お前達はどうせ操られていた側だ」

男「三下、雑魚、その他大勢だ。映像に写っても誰の記憶にも残らん」

チンピラa「う…うぅ…」

男「可愛い納豆が待っているぞ」

チンピラg「!」

チンピラe「な…なっ…」

チンピラ「納豆さまあああああっ…!」

イケメン「あ、お、おまえらっ!」

男「納豆というのは体だけでなく心も清めるのだな」

幼馴染(そうかなあ?)

納豆さまじゃねえよwww

イケメンざまぁw

イケメン「…く…くく…」

男「さあ、どうするイケメン」

幼馴染「お、男!そいつはマジで強いんだ、油断すんじゃねえ!」

男「…」

幼馴染(男…?)

イケメン「なんでだ…てめえみたいなただの変人野郎にまでコケにされてよ…」

イケメン「どこだ、どこで間違えた?こんなトーシロ同然の相手によおお!」

男「…っ!」

ブオン!シュオッ!

イケメン「くっ、このやらっ…!」

男「…」

ブンッ!ビュッ!

イケメン「は、はあっ…はあっ…」

幼馴染(すご…)

男「…」

男「間違えた、か」

男「俺も同じく、信念を自ら捻じ曲げていた」

男「以前なら、間違いなくお前の最初の一撃で沈んでいたな」

幼馴染「…」

男「今なら相手にとって不足はなかろう」

男「『比翼馴染流柔術』二番弟子として、お前の勝負何度でも受けてやろう」

イケメン「はぁっ…はっ…」

男「だが、幼馴染に危害を加えるとなれば話は別だ」

男「次にもしこいつに何かするような事あれば」

男「母親としてではなく…こいつを好いている男の一人として、絶対に許さん!」

幼馴染「…っ!?」

男「ありとあらゆる手を尽くし、たとえ師範の精神に逆らい出奔する事になろうと」

イケメン「…ひっ!」

男「貴様に地獄のような苦しみを味あわせ、煩悶のうちに冥土に送ってやる」

イケメン「あ…ああっ…!」

男「一度しか言わん」

男「消え失せろ」

イケメン「あわっ、ひ…」

イケメン「ああひいいいいっ…!」

男「…」

男「あいつは納豆ブームには乗ってないようだな」

幼馴染「…」

幼馴染「…お…」

幼馴染「男…」

男「ん、ああ」

男「すまなかったな。お前に暴れられると都合が悪かったのだ」

男「軽く結んだつもりだったが…よしほどけた。痛むか?」

幼馴染「あ、いや…だ、大丈夫…」

男「そうか」

幼馴染「男、お前…」

男「ふふ…しゃべり方が戻っているな」

幼馴染「ふぇ?こ、これははずみで…」

男「良い。どんな話し方でも、どんな髪型をしていようと、お前はお前だ」

幼馴染「…ああ」

男「長髪…似合うぞ。綺麗だ」

幼馴染「!!」

男「もちろんあの時も同じ事を思っていたぞ」

幼馴染「…ばっ、バカっ///」

男「褒めたのに罵られるとは思わなかったが」

男「まあそうだな。俺は、バカだっ…たっ…」

幼馴染「ちょ、男っ!」

ボフッ

男「ああ、さすがに血がやたら出たな」

男「まあたんなる貧血だ。案ずるな」

幼馴染「ほんとに無茶しやがって、ほんっとお前は…お前は…!」

男「泣くな…お前の泣き顔は散々見たが」

男「今は笑った顔のほうがずっと見たいぞ」

幼馴染「うるせえっ…しょ、しょうがねえだろ…出るもんは!」

幼馴染「う、ううっ…」

男「…」

男「許せ、お前をあれだけ守るといい続けておいて」

男「いざというときに、自分の存在価値を優先したがゆえに盲目になっていた」

男「今後このような事には巻き込まれぬよう、全力で配慮する」

幼馴染「…ぐすっ…」

男「やっぱり泣いた顔も悪くないな」

幼馴染「っ…///」

幼馴染「そ、そうだ…友は大丈夫だったのかよ」

男「ああ、女と後輩が治療してくれたはずだ。大事にはいたらんだろう」

幼馴染「ああ、そっか、良かった…」

幼馴染「…」

幼馴染「悪い、避けてたのは、オレも同じなんだ」

幼馴染「男が何考えてるかわかんなくなっちゃってさ…」

男「ああ、お前も同じだったというわけか」

男「なんとも滑稽な話だな」

幼馴染「はは、そうだな…」

幼馴染「ああーだからあんなによわっちくなってたのかよ」

男「ご名答だ」

幼馴染「なるほどね。避けられなけれりゃ本当にまんま唐変木だな」

男「返す言葉も無い」

幼馴染「ふふ」

幼馴染「今は戻ったのかよ?」

男「ああ」

男「お前の行動のみならず、全ての事に広く洞察をめぐらせることが可能だ」

男「今もリアルタイムでお前の行動を分析しているぞ」

幼馴染「じゃあ次オレが何やるかわかるってんだな?」

男「当然だ。お前は俺に肩を貸して立たせてそのま」

チュッ

男「…」

幼馴染「はずれだ、ばーか!」

男「…ま、まて、今なにを…」

幼馴染「し、しらねえ///」

幼馴染「ほらいくぞ、立てよ!」

男「いや…まて…こ、腰が抜けて…」

幼馴染「お前それでも日本男児かよ!ほとんどオレにぶらさがってんじゃねえか」

男「いや、い、今きづいたが、左足、折れて…」

幼馴染「はぁ!?今の今まで知らなかったってのかよ、どんだけ鈍感なんだよ!」

男「いや…痛みが出た…お前が…」

幼馴染「…バカ…マヌケ…!」

「……」

「…」



全校放送でイチャつく男さんマジぱねぇ

幼馴染「どうしてもいくのかよ。お前、足が…」

男「ああ、女達には、かなり無茶なことを頼んだ」

男「教員に追及されているはずだ。俺が弁解し責任を取る」

幼馴染「オレも謝るよ」

男「いや、お前は…」

幼馴染「また無関係?」

男「フ…そうだな。一緒に謝ってくれ」

幼馴染「…おう」

幼馴染(くっそ、さりげない笑顔とか…いちいち…///)

男「ん?」

後輩「センパーイ!」

幼馴染「あ…後輩ちゃん」

後輩「センパイっ!」

幼馴染「あはは、ただいま、後輩ちゃん」

後輩「良かった。私ほんどに゛っ゛…!(ダバーッ)」

幼馴染「ひっ!?ど、どうどう。大丈夫、大丈夫よ」

女「ふふ、お疲れ様。男」

男「ああ…友は?」

女「保健室だよ。あとで病院にって」

男「そうか…お前達、教師に何か言われなかったのか」

女「ああ、うん。まあ、それよりもっと大変な事になっちゃうかもね」

男「?」

『幼馴染さーん』

『おーい男ー!』

幼馴染「え?」

クラスメイト1「幼馴染さーん!よかった、無事で!」

クラスメイト2「きゃ、お、男君けっこう大変そうだね、大丈夫?」

幼馴染「あ、あんた達…」

クラスメイト3「おい、男!一体あれはどういうことだ!」

クラスメイト4「そうだそうだ!お前の事だから、こっそりしかけたカメラが一台はあるはずだ!」

クラスメイト5「そうじゃないだろうが!お前も幼馴染さんの事ねらってたってのかよ!(ブンブン)」

男「…」

男「女…もしかするともしかするんだが…」

男「最後の最後まで…」

女「だってどこで切るっていう指示は無かったし」

女「不可抗力だよね?」

幼馴染「さ、最後まで…ってことは…」

クラスメイト1「でも幼馴染さんって結構可愛いところあるんだね///」

クラスメイト2「うんうん。男君のほっぺに、ちゅって!きゃー///」

幼馴染「い゛っ、いやあああああああああああっ!!!(ドコォッ!)」

男「ぐぼあっ!」

クラスメイト3「2万…いや3万までなら出す!」

クラスメイト4「出し惜しみは無しだぞ、男!なんとか言え!」

男「ま、まて…お前達…たった今受けたのは致命傷だ…そ、それ以上ゆすると落ち、落ちる…」

後輩「えへへ。なんかあの二人が真ん中って、嬉しいです」

女「ふふ、そうね」

女「あら、なんだか追加がきたみたいよ」

後輩「え?」

生徒『わあああーーっ!』

幼馴染「ひっ!?」

男「…っ!?」

生徒a「センパイ、前からかっこいいと思ってたけど、可愛いところもあるんですね!」

生徒b「ギャップが大事なんですね!うちらも見習います!」

幼馴染「や、やああああっやめてええええっ!!(ドスッガスッ)」

男「やめろおまえたガフッ、それ以上トリガーを引くんじゃウボッ」

生徒c「男センパイの生き様、感激しました!」

生徒d「僕も今日から、気になるあの子を盗撮します!」

男「うむ…ゴフッ、ちゃんと…同意は取れよ…」

後輩「男センパイ、そこは違うと思います…」

女「ふふ」

生徒e「あっ、そうだ!あとあと、」

生徒達『俺達、柔道やりたいです!』

幼馴染「へ?」

男「…」チーン

生徒e「前からセンパイの家が柔道やってるって知ってたんですけど、ちょっと怖くて…」

生徒a「でもあのまっすぐな心意気、男センパイの動き、すごいかっこよかったです」

生徒c「スポーツあまりやったことない俺でも習いにいけますか?」

生徒d「僕もあの子がさらわれたときのために…!」

生徒b「私も…!」

幼馴染「も…」

幼馴染「もっちろんよ!一人残らずうちにきな!」

幼馴染「皆まとめて、ビシバシ鍛えてやるよ!」

生徒達『やったーっ』

ワーワー

男「…」

女「あらあら。いいとこもってかれちゃった感じかな?」

男「…構わん」

男「俺は月を眺めるすっぽんで居たいからな」

女「ふふ。おバカさんね」

女「それなら月にキスされたら潰れちゃうはずでしょ」

男「…む…。」

女「ふふ」

後輩「くすくす」

幼馴染「はいはい、ここに名前と学年書きな!」

幼馴染「練習は夜だからね、親にも許可とるんだよ!帰りは誘い合って、なるべく一緒に…!」

余り物くっつけるのだけはやめろよ

――数ヶ月後、学校屋上――

女「けじめ?」

後輩「はい」

女「そうか。だから君はあんなに幼馴染さんを応援してたのか」

後輩「はい…変ですよね、私」

女「ふふ。そうだね。男君に影響されちゃってるんじゃないかな」

後輩「くす、本当にそうなんです」

後輩「ただ、あの時センパイがいってくれた言葉の通り…」

後輩「私は自分の意志で、自分の言葉で、もう一度伝えたいんです」

女「…」

女「私も便乗していいかな」

後輩「え?」

後輩「でも、女センパイは…」

女「ふふ、私もね」

女「内心ではあの二人をくっつけたほうが、良い記事になる」

女「そういう気持ちだったんだ」

女「本気だったらあんな回りくどいことしないしね」

後輩「たしかに女センパイだったらもっと…」

後輩「…え?じゃあ今はもしかして」

女「ふふ」

女「君と並ぶ資格、あるかな?」

後輩「…は…」

後輩「はいっ!もちろんです!」

失礼sage忘れてました

――教室――

クラスメイト1「おはよー」

クラスメイト2「おはよ!ねえ、今日だね!」

クラスメイト1「そうね、まだ松葉杖なんだろうな…」

クラスメイト2「おやー?そんなに心配なの?1ちゃん!」

クラスメイト1「ち、ちがうよ!私はクラスメイトとして…」

クラスメイト3「なあ」

クラスメイト4「なんだ」

クラスメイト3「まだ幼馴染さんもきていないわけだ」

クラスメイト5「うむ」

クラスメイト3「そして男の退院日」

クラスメイト3「つまりこれは…」

クラスメイト345「二人そろっての朝帰り!」

幼馴染「誤解を招く言い方してんじゃねえ!」

スパパーン!

クラスメイト345「ぶべらっ(ありがとうございますっ!)」

クラスメイト2「あ、幼馴染さん!」

幼馴染「おはよ!」

クラスメイト1「それに…男君!」

男「やあ」

クラスメイト1「…」

クラスメイト2「…なんで逆立ちしてるの?」

男「こうすれば松葉杖を使わず、幼馴染の手も煩わせないからな」

幼馴染「煩わせないからな…じゃない!その分周囲の視線が痛いわ!」

男「んーむ、確かにカバンを股にかけるのはすこし妙か?」

男「背負うタイプにすべきだったな」

幼馴染「そういう事を言ってるんじゃなくてだなあ…!」

クラスメイト2(なんかこの二人あんまり…)

クラスメイト1(うん、変わってないね…)

幼馴染「ほら、荷物ここにかけるぜ」

男「うむ、悪いな」

幼馴染「姿勢戻せよ。足かかえてやるから」

男「大丈夫だ。一人で…」

幼馴染「は?」

男「…解った」

幼馴染「ぶつけたらまた戻らないといけないんだぞ」

幼馴染「ほら、座れよ(ガコッ)」

男「うむ」

幼馴染「松葉杖はオレのとこにかけとくからな。そこだと足のばせねえだろ」

男「ああ」

幼馴染「痛み止めは持ってきてるのかよ」

男「うむ…ここに」

幼馴染「どこか行きたくなったら言えよ。つれてくから」

男「ああ」

幼馴染「あっと、机に教科書いれてやるよ」

幼馴染「やれやれ、離せっていわれても目離せられねえだろっての…」

男「…幼馴染」

幼馴染「ん?何だよ?」

男「頬に当たるから解るぞ。健康的な髪質だな。いい香りもする」

幼馴染「ばっ…」

幼馴染「巻きつけて首しめてやろうか!?///」

男「い、いや、遠慮しておこう」

幼馴染「ったくもう!///」

クラスメイト2(…そうでもなかったかな///)

クラスメイト1(…うん///)

友「や、やあ」

男「おお、男」

友「あ、あと、どれ、どれくらいなのかな」

男「あと三週間程度だそうだ。もっと早いかもしれん」

友「そ、そっか。よ、よかっ、よかった」

男「あとでまた例のルート分析の話、聞かせてくれ。なかなか面白い話だ」

友「あ、ああ。よ、よろこんで、いつでも」

>>583
話の途中でいらん口出しするな。

男「恩に着るぞ、友」

友「ふ、ふふ、ふ」

コツン

幼馴染「…ふん」

男「ん?ああ、そういえばお前ともずいぶんやってないな」

男「そら」

幼馴染「ばっ、バカ!そんなんじゃねえよ!」

男「何を照れる事があるのだ。拳を打ち付けるだけだぞ」

男「唇のそれとは意味合いがちg(ボギャッ)

幼馴染「いっぺん脳みそにギプスはめてもらってこい!!////」

男「い、今の衝撃はおそらく…時速30kmの軽トラックと…」

友「は、はは」

ガラッ

後輩「あ…居たっ」

後輩「おはようございます!センパイ、男センパイ、友センパイ!」

女「おはよー」

幼馴染「おはよ、後輩ちゃん、女さん!」

友「お、おは、おははあおは…」

男「ん、おはよう後輩。女も一緒か」

幼馴染「んー、やっぱり後輩ちゃんは癒されるね!ん!ん!」

後輩「やぁん、せ、センパイっ」

後輩「男センパイも元気そうで良かったです!」

女「君のことだから一日でくっつくと思ったけど」

男「お前は俺を何か他の生物と間違えていないか」

後輩「あの…センパイ」

幼馴染「ん?」

後輩「今日は、その…けじめをつけにきたんです」

幼馴染「けじめ?」

後輩「はい。前の私みたいに周りに流されるんじゃなくて、自分の意志を大事にする」

後輩「センパイみたいな人になりたいから、そのけじめです!」

幼馴染「なんだかわかんないけど、オレは応援するよ!」

後輩「ありがとうございます。ちょっとびっくりするかもですけど」

後輩「今の男センパイなら、もう大丈夫ですから、心配しないでくださいね」

女「ああ、私もついでにね。幼馴染さん」

幼馴染「え、女さんも?ま、まあ解ったよ」

後輩「はい!じゃあ…」

男「…ん?」

男「どうしたんだ二人とも」

幼馴染「?」

友「?」

後輩「男センパイ」

女「男」

男「うむ」

女&後輩「私と…」

女&後輩「付き合って下さい」

男「いいぞ」

幼馴染「」

クラスメイト1「…えっ」

クラスメイト2「え?」

クラスメイト345「「「え?」」」

友「は、はは…」

一同『えええええええええええっ!?』

後輩「そうですよね…男センパイにはセンパイがいるから…え?」

女「やった。いいんだ」

男「ああ。構わないぞ」

後輩「え、男センパ…ちょっと…」

幼馴染「」

クラスメイト2「ちょ、幼馴染さんが真っ白に…」

後輩「な、なんでですか!?男センパイはセンパイのことがっ!」

男「ああ、好いているぞ。こいつの為なら死ねる」

幼馴染「…っ!(ボンッ)」

クラスメイト2「あ、こんどは真っ赤に」

男「しかし俺は女という生き物がまだまだよく解らんからな」

男「幼馴染のためにも男女の付き合いについて分析が必要だ」

後輩「…(ポカーン)」

後輩「な、なんでですか!?男センパイはセンパイのことがっ!」

男「ああ、好いているぞ。こいつの為なら死ねる」
女「ふふっ。そうだったね。君はそういう人だったよ」

後輩「お、男センパイの…」

後輩「馬鹿ーっ!!」

男「!?」

後輩「今まで皆さんが何のためにてんやわんやしたとおもってるんですか!」

後輩「これじゃあふりだしにもどってるじゃないですか!」

男「いや、だが俺の問題は解決して…」
幼馴染「…っ!(ボンッ)」

クラスメイト2「あ、こんどは真っ赤に」

男「しかし俺は女という生き物がまだまだよく解らんからな」

男「幼馴染のためにも男女の付き合いについて分析が必要だ」

後輩「…(ポカーン)」

後輩「男センパイ一人の問題じゃないんです!」

幼馴染「」プルッ

女「男、私は二号でも全然問題ないからね。赤ちゃんが出来ても認知しなくていいから」

後輩「お、おおお女センパイな、な、何いって…!」

幼馴染「」プルプルッ

クラスメイト1「…それなら、私も立候補しようかなあ」

クラスメイト2「あ、ちょ、だ、だれか1ちゃんを止めて!」

なんか変な事になった…
>>607 からやりなおします

女「ふふっ。そうだったね。君はそういう人だったよ」

後輩「お、男センパイの…」

後輩「馬鹿ーっ!!」

男「!?」

後輩「今まで皆さんが何のためにてんやわんやしたとおもってるんですか!」

後輩「これじゃあふりだしにもどってるじゃないですか!」

男「いや、だが俺の問題は解決して…」

後輩「男センパイ一人の問題じゃないんです!」

幼馴染「」プルッ

女「男、私は二号でも全然問題ないからね。赤ちゃんが出来ても認知しなくていいから」

後輩「お、おおお女センパイな、な、何いって…!」

幼馴染「」プルプルッ

クラスメイト1「…それなら、私も立候補しようかなあ」

クラスメイト2「あ、ちょ、だ、だれか1ちゃんを止めて!」

クラスメイト3「幼馴染さんをたぶらかしておきながら…!」

クラスメイト4「他の女に手を出すというのか!男!」

クラスメイト5「許さん!出せ!秘蔵映像を!それも一つや二つではない、全部だ!」

幼馴染「」ピキッ

男「…いや、まて、それは違っ…」

男「と、友。こういう場合はどこに救済の選択肢があるんだ?」

友「は、はは…は。り、リセットしか…ないかな」

男「りせっと?なんだそr」

ガッ

男「!?」

男「お、幼馴染…」

幼馴染「…お~と~こぉ~…」

男「…ああ。こんなときに何だが」

男「やはり怒った顔も可愛いな、お前は」

幼馴染「…っ!!///」

幼馴染「このっ…」



『大バカやろおおおおおぉぉ!!!』



―終―



おつ



以上で本筋はおしまいです
数々の支援のおかげで、なんとかこの休みのうちに終わらせられました
本当にありがとうございます!

回収しわすれのフラグもいくつかあるのですが、あまり影響もないのでこのまま修正もせずにおきます
逆に疑問点があったらなんでも受け付けます。書き方の見直しにもなるので

>>352さんがほとんど言い当ててくれてたり、ntrヤメテーの声に何度も返事したかったんですが、ぐっと我慢しました
どんな反応でも嬉しいです。これは書き手の人ならきっと解るはず…!

幼馴染は報われるべきという持論の元もうすこしだけ小さなものを書きますが、そちらも生暖かい目で見守ってください
改めて、ありがとうございました



?

乙!

file1:テープレコーダ


幼馴染「…」

幼馴染「い、勢いあまって、貰ってきたけど…」

幼馴染「やっぱやめときゃよかったか…でも…」

――数日前、学校――

男「うむ、よく録れている」

幼馴染「ん?男何それ」

男「ああ、完治したら、いの一番にこいつを買おうと思っていたのだ」

男「相棒二号だ。前のと比較して録音時間10倍、音も鮮明だ」

幼馴染(ガクッ)

幼馴染「おまえな…もっと他になかったのかよ!」

男「まあそういうな。先代は結構頑張ってくれたじゃないか」

幼馴染「それはそうだけど」

男「安心しろ。昔のように音声をよこせとは言わん。何かあったときの備えだ」

男「お前を知る方法は他にもあろうしな」

幼馴染「…」

幼馴染「別にいいぜ、オレは」

男「え?」

男「いや、いいんだぞ?無理はしなくて。強いるようなことはしたくない」キラキラ

幼馴染(…ならそんな目輝かせながら言ってんじゃねえよっ!)

幼馴染「おっ、お前が欲しいってんならよ。その、まだ礼だってしっかりした訳じゃねえし…」

男「そうか」

男「久しぶりに無防備な声も聞きたいし、お願いしよう」

幼馴染「…なんだよ無防備な声って」

男「あくびとか、寝息のことだ」

男「特に寝息は普段からは想像も付かないほど可愛いものだ」

幼馴染「…っ!?」

幼馴染「そ、そんなもんいれた覚えはねえぞ!」

男「事実入っていたんだが…」

幼馴染「だとしても!今回からはほんっとうに普通にしてる時のしかいれねえからな!」

男「十分だ。お前の声を常に聞いていたいだけだからな」

男「何でもいいぞ」

幼馴染「ななななな何言って…!///」

クラスメイト1(あれ素なんだなあ)

クラスメイト2(そうね)



幼馴染「はぁ…」

幼馴染「後輩ちゃんと女の事も、オレたちがはっきりしねえのも」

幼馴染「結局オレがちゃんと返事できてねえからなんだよな…」

幼馴染「大体っ…あいつも答えにくい時にやけにはっきり言うから悪いんだ!」

幼馴染「二人っきりのときなら、オレだって…」

幼馴染「…そうじゃねえよな…はあ…ぁ…」

幼馴染「まあとにかく、これであいつが喜んでくれるなら」

幼馴染「ひとまずは良っか…録音開始、と(カチッ)」

幼馴染「てすてす。えと…男。ありがたく思えよな。今度ヤキソバパン奢れよ!」



幼馴染「でよ、その後輩ちゃんってのがよ、結構肝すわってんだ」

師範「ほーお、そいつはいいな」

幼馴染「ああ、ちょうど男みてえなもんでよ」

幼馴染「あ、いや男は肝すわってるっていうよりも鈍いんだけどよ!」

師範「?何あせってんだ」

幼馴染「な、なんでもない!」



カリカリ

幼馴染「こっちの式を代入して…ん?ここにxがある…?」

幼馴染「…う、うう???」

幼馴染「う゛ー、う゛ー、男、ここ明日教えてくれよぉ…」



カポーン

幼馴染「なんで防水機能ついてんだよ」

幼馴染「おい男。カメラも入ってんじゃないだろな」

幼馴染「ったく…」

幼馴染「…」

幼馴染(な、なんかあいつと一緒に…)

幼馴染(入ってるような…///)

幼馴染「あ、あああ上がるからな先にっ!」ザバァッ

ツルッ

幼馴染「あらっ?」

ステーンッ!

幼馴染「…っつつ…」

幼馴染「……どこの音…とろうとしてんだ、バカ!」



ブオーッ

幼馴染「んっ…これくらいでいいか」

幼馴染「ふう、すっきりした」

幼馴染「にへへ、髪をとかすのもなれたもんだ」

幼馴染「男も今度オレの髪すいてみるか?結構楽しいぜこれ♪」

幼馴染「…」

幼馴染(はぁぁぁぁっ、な、何いってんだオレ――!!?)

幼馴染「まっ、待った今の…」

幼馴染(ど、どうやって巻き戻すんだ?これ?これか?)

幼馴染(あ、だ、だめだ。全部きえたらオレの苦労が…)

幼馴染「あ、あのな男。いいい、今の、冗談だから…///」

幼馴染「いや冗談っても、お前に髪触られるのがいやってわけじゃないからな?」

幼馴染「むしろお前の為に伸ばしたんだかあばばとにかく今のナシなっ!///」

幼馴染「えーっ、うーっ、きょ、今日はもう寝るからっ」

幼馴染「おやすみっ!」カチッ

幼馴染「…」

幼馴染「…あぁ…これ渡すの?明日」

パチッ

ボフッ

幼馴染「…」

幼馴染(男…)

幼馴染(今何してんだろ?もう寝たのかな…)

幼馴染(声聞きたいな…)

幼馴染(…)

幼馴染(そっか。これ、同じなんだ…)

幼馴染(…)

『消え失せろ』

『似合うぞ。綺麗だ』

幼馴染(…)キュウン

幼馴染(…)

ヌルッ…

幼馴染(んっ…)

幼馴染(うそだろ…ちょっと思い出しただけなのに…)

幼馴染(あんなバカにオレ…こんなに…)

ツプッ…

クチュッ…チュッ…

幼馴染(あ…も、ダメ…)

幼馴染「おと…こぉ…」

ス…ススス……バサバサバサッ!

…カチッ

幼馴染「…んっ…やぁ…」

幼馴染「…んんっ」

ヌプッ…チュクチュクッ

幼馴染「…とこっ…男…オレっ…」

幼馴染「…ごめ…よ…ごめん…ねっ…」

クッチュクッチュ

幼馴染「素直になぇ…なくて…ごめんなさっ…」

幼馴染「返事、できなくっ…あんっ!……す、好きっ…すきなのっ!」

幼馴染「おとこが、好き!だっ…だいすきっ…!」

ニュプニュプ…クリュッ

幼馴染「ひゃぅんっ!…んんっ!」

幼馴染「…ほんとは……カメラだって、いいんだ…よ…」

幼馴染「普段のわたっ…おっ、おふろも…んっ!…といれも…おとこがみたいんだったら…」

ヌプチュクッ…クッチュクッチュ…ジュプッジュプッ

幼馴染「ぜんぶ、ぜんぶいいの……」

幼馴染「ぜんぶみせたげるっ…」

幼馴染「だ、だかっ…ら…!」

ジュプジュプジュプ!

幼馴染「げんこつじゃ、や…ちゃんと口でっ…」

幼馴染「きっ…キスしてっ…ちゅうしてよぉ…!」

クリクリジュプジュプッヌプッ!

幼馴染「えっちなことも…していいからあ…!」

幼馴染「ちゅって…ちゅってしてぇ…」

クリュッ

幼馴染「…きゃうっ!」

『好いているぞ』

幼馴染「…!!///」

幼馴染「おとっ…こっ…おとこっ…!」

プシッ…!

幼馴染「あ…!ゃっ…!」ビクビクッ

幼馴染「ふぁ…ふああっ…ぁ…」

…ニュルッ

幼馴染「う…んんっ!…ぅ…」

幼馴染「オレの…いくじなし……」

幼馴染「うぅ…う……」

幼馴染「……おと…こ……すぅ……すぅ…」



幼馴染「寝坊した―――っ!!!」

ドタドタドタ

幼馴染「ああもう、なんだって親父起こしてってくれなかったんだよ!」

幼馴染「ああいや起こしにこられたらちょっと困ったけど…」

幼馴染「か、カバン!体操着!」

幼馴染「昼は学食で…」

幼馴染「あ、そうだ。あいつの相棒」

幼馴染「よし、いってくらあお袋!」チーン

ガララッ

男「おはよう」

幼馴染「どわあああ!!」

幼馴染「び、びっくりするだろうが…すぐ真正面にたってんじゃねーよ!」

男「いや…以前起こしにあがったらやたら叱られたからな」

男「こうして待っていたんだが流石に心配になっていたところだ」

幼馴染「あ、ああ…これからもそうしてくれよ…(せ、セーフ///)」

男「しかし珍しいな寝坊とは。お前の健康状態からして考えられないことだった」

男「何かあったのか」

幼馴染「な、なんもねーよ。ほらこれっ」

男「ん、悪いな」

幼馴染「ああそうだ。そいつの礼にヤキソバパンおごってくれよ。オレ飯ねーんだ」

男「心得た」

一気に読めた乙!

お、後日談か

オ○ニー始める前にカチッて聞こえたような……

>>648

これが男だったら大惨事

男さんは無表情のまま聞きそうでこわい。

男の反応wktk

――学校、3年教室――

幼馴染「何してんだよ」

男「何って、お前の声を聞いてるんだが」

幼馴染「帰ってから聞け帰ってから!」

男「それ以上ひっぱると本気でもげるんだが(俺の耳が)」

幼馴染「目の前にいんだろうがよ本人がっ!」

男「そうなんだが、なにぶん久しぶりなのでな」

男「懐かしさもあって辛抱できないのだ」

幼馴染(なんかこいつ変人っていうより変態な気がしてきた今更か)

幼馴染「そもそも、オレの声ききたいんなら電話してこりゃいいじゃねえかよ!」

男「電話はお前の手をふさぐし時間もとる」

男「対話ならそれこそ顔を見たいしな」

男「自然なお前の声が聞きたいだけだ」

幼馴染「ちっ、勝手にしろよ」

男「うむ」



キーンコーンカーンコーン

クラスメイト1「幼馴染さん、一緒に食べよ!」

幼馴染「あ、わり。今日弁当わすれてよ」

幼馴染「たからねえとダメなんだ」

クラスメイト2(た、たかり!?)

クラスメイト1「お、幼馴染ちゃん、わたしたちのでもいいんだよ(ガクブル)」

幼馴染「なんか勘違いしてんなお前ら…」

幼馴染「まあそういうわけだからよ、悪いな!」

幼馴染(男どこにいんだよ。いつのまに教室から消えやがった)

タタタ

幼馴染「あ、いた」

幼馴染「おい、男!」

男「む。幼馴染」

幼馴染「ったく、探したぜ。どこいってたんだよ」

男「ヤキソバパンをご所望だっただろう」

男「購買においてこいつを買う事は命の削り合いのようなものなのだ」

幼馴染「そっ、そんな人気なのかよ」

男「うむ。だが安心しろ、このとおり確保した」

男「こっそり授業中に抜け出してフライングしたからな」

男「先生はともかくお前の目を盗むのには苦労したが」

幼馴染「普通に買え普通に…まあ頼んだの私だけど」

幼馴染「あれ、どこいくんだよ。教室こっちだぜ」

男「せっかくだから今日は屋上で食う」

幼馴染「ったく、寂しい奴だな」

男「テープの中のお前と一緒だ。寂しくなどない」

幼馴染「な゛っ…」

幼馴染「お…おいっ!」

男「ん?」

支援

――学校、屋上――

男「何をそんなにふくれっ面をしているんだ」

幼馴染「してねえよこのゲソ!」

男「ゲソという罵声も初めて使ったな」

幼馴染(あああもう…なんで自分の声に妬かなきゃいけねえんだよ)

幼馴染(そうでなくても妙なこと言っちまったってのに…)

幼馴染(男が聞いたら、即刻消去させねえと)

男(何かものすごい形相で睨まれているが…いつものことか)

男(それにしても…)

男「お前、風呂で転んだのか」

幼馴染「っ…んだよわりーのかよ!」

男「どこか打たなかっただろうな」

幼馴染「大丈夫だよっ。しりもちついただけだし」

男「ならいいんだ」

男「…こうするのも、ずいぶん久しぶりな気がするな」

幼馴染「ああ、そうだろうよ」

幼馴染「っとに、昔はよくもまあ毎日録音したもんだぜオレも」

男「そうじゃない」

男「3年になる前は、食事時もこんな感じだったということだ」

幼馴染「あー…そういうことかよ」

幼馴染「オレもお前も気がつきゃずいぶん浮いてたよな」

男「うむ」

男「もっとも俺とお前では浮く理由は違っていたがな」

幼馴染「変人と蛮人ってとこだろ。対してかわらねえよ」

男「ほう。お前にしてはうまいことを言う」

幼馴染「へへーん、だろ?」

幼馴染「んっ、うまいなこれ」

男「それだけでは栄養がかたよる。俺の弁当からも適当に食え」

幼馴染「いいよ。どうせ一食だぜ」

男「そうはいかん。お前の身になることだ」

男「正しく成長してもらわねば困る」

幼馴染「正しく成長…ねえ」

幼馴染「…」フニフニ

男「ん、服にこぼしたのか?」

幼馴染「ちげーよ」

幼馴染(自信あるわけじゃないけど…オレ、スタイルそんなに悪くないよな?)

幼馴染(ちょっと筋肉ついちゃってるけど)

幼馴染(胸だってそれなりにあるし…前は邪魔くさいだけだと思ったけどよ)

男(あんなに眺めて、メロンパンにでも見立てているのか)

男(やはり腹が空いているのだな)

男「さあ食べろ。遠慮はするな」

幼馴染「ん」

幼馴染(…相変わらずうめーでやんの)

男「今度久しぶりに弁当を交換するか」

男「お互いどれだけ腕を上げたか勝負といこう」

幼馴染「ああ…いいぜ」

幼馴染「キンピラとひじきの煮物まみれの弁当くれてやるよ」

男「まて。好物を多種いれるのは卑怯だ」

幼馴染「しらねーよ。お前もいれりゃいいじゃん」

男「お前は何が好物なのかいまだにつかめん」

幼馴染「食えねーもんもねえしな」

男「いいことだ」

男「…フフッ」

幼馴染「…?」

幼馴染「あ…てめ」

幼馴染「まさか今!」

男「そうだな。今度お前の髪をすきに訪ねさせてもらうか」

幼馴染「っ!////」

幼馴染「ちゃんと説明そえただろうが!冗談なんだっつうの!」

男「もげるもげる解った解った」

男「しかし純粋に嬉しいぞ。俺のためというのはつまり成長を見せてくれたのか?」

幼馴染「――~~~っのっ…!////」

幼馴染「バカッ!鈍助ッ!」ポカポカッ

男「音は可愛いんだが実際は折れる一歩手前だ」

幼馴染「うぬぼれてんじゃねえよ!誰がてめえなんかのっ…!」

男「まて、悪かった。伊達巻もやるから許せ」

幼馴染「ふんっ!」

男「ふう…」

幼馴染「…もぐ…」

幼馴染(はああもおおおぉぉオレってばまたあぁぁ…)

男(やれやれ、じゃじゃ馬なのも変わらんな)

『えーっ、うーっ、きょ、今日はもう寝るからっ』

『おやすみっ!』

男(名残惜しいがこれで終いか…立派な仕事初めだ相棒二号よ)

男「幼馴染、おおいに参考になったぞ。感謝する」

幼馴染「ふん…しらねえ」

『…とこっ…』

男(…ん?)

幼馴染「次はパンじゃすまねーぞ」

『おと…こぉ…』チュクッ…チュクッ…

男「…」

幼馴染「あんだ?どうしたんだよ」

『素直になぇ…なくて…ごめんなさっ……』クッチュクッチュ

男「…」ダラダラ

幼馴染「急にかたまってんじゃねえよ。そんな痛かったのかよ」

『返事、できなくっ…あんっ!……す、好きっ…すきなのっ!』クチュクチュ

幼馴染「おい!なんとか言えよこのタコ!」

『おとこが、好き!だっ…だいすきっ…!』

男(くぁwせdrftgyふじこlp;!?)

幼馴染「なんだお前、ひどい脂汗かいてんじゃねえかよ」

男「い、いや、これは…」

『…ほんとは……カメラだって、いいんだ…よ…』

幼馴染「もしかして具合悪いのか?じっとしてろ、吹いてやるよ」

男「か、かまわん、ど、どうせかわ…」

『ぜんぶみせたげるっ…』

幼馴染「かわくとかそういう問題じゃねえだろうが!ほら顔こっち向けろよ」

男「っ!!…ま、まて…」

『げんこつじゃ、や…ちゃんと口でっ』

幼馴染「やれやれ、お前もたいがい世話が焼けるヤツだぜ」

『キスしてっ…ちゅうしてよぉ…!』

男「―――っ!!」

幼馴染「おいおい、顔まで赤いじゃねえか。熱でもあんのか?」ピトッ

男「!?」

『えっちなことも…していいからあ…!』

幼馴染「具合悪いんなら保健室いくかよ…オレの管轄だぜ…」

『ちゅって…ちゅってしてぇ…!』

男「…………………………」

男「すわっ!」

幼馴染「きゃっ!?なんだよ急にたちあがっ」

ガンガンガンガン!ドカドカドカドカ!

幼馴染「お、おい男…」

男「…なんだ?」シュウゥゥゥゥゥ…

幼馴染「か、壁に恨みでもあんのか?」

幼馴染「マジで大丈夫なのかよ。普段もヘンだが今日はよっぽどだぜ」

男「ああ、どうやら妙な怪異にとりつかれていたようだ」

男「安心しろ。たった今はらってやった」

幼馴染「そ、そうかよ…マンガみてえなタンコブできてるけど平気なのか?」

男「うむ。慣れている」

男「それより戻ろう、幼馴染。時間が近い」

幼馴染「ああ…」

テクテク…

幼馴染「…」

男「…」

幼馴染(なんだよ…黙っちまいやがって)

幼馴染(や、やっぱ言い過ぎたかなあ)

男(2、3、 5、 7、 11、 13、 17、 19、 23、 29、 31、 37、 41…)

幼馴染(怒ると怖いんだよな…まさかさっきのも怒りのサインなのかよ)

男(43、 47、 53、59、61、67、71、73、79、83、89、97…)

幼馴染(う、ううっ…!)

幼馴染「おおお男っ!」

男「―!?…なっ、なんだっ」

幼馴染「こここここ今度、か、髪すいてくれよっ」

幼馴染「じ、自分でやると結構、つ、疲れるってのも、あ、あるからさ…」

幼馴染「その…だから…///」

男「…あ、ああ。願っても無い…」

男「喜んでそうさせてもらおう」

幼馴染「ほ、ほんとかよ?」

男「う、うむ」

幼馴染「あ…約束だからな。忘れんなよっ」

男「…うむ」

幼馴染「ほらいそごーぜっ」

タタッ

男(…)

男(…やつの交際経験の有無からして)

男(幼馴染の艶声を聞いたことがあるのは俺と、相棒、貴様だけだと仮定しても)

男(貴様は、先に聞いたことになる)

男(…)

男(うふふ)ギロリ

――後日――

幼馴染「あれ、もういいのかよ録音」

男「ああ。もうやめにする」

幼馴染「なんだよ。パンおごるのいやになったのか?」

男「そんなところだ」

幼馴染「ちぇっ、案外ケチだなお前も」

男「なんとでも言え」

幼馴染「…?何怒ってんだよ」

男「怒ってなどいない」

幼馴染「んー?なんか余裕なさそうな顔してんな。珍しいじゃん」

男「そんなことはない」

男(顔を近づけるな)

幼馴染「んふふー、なんかよくわかんねえけど、今はオレのほうが大人って感じじゃね」

幼馴染「これって優越感ってヤツ?」

男「…」

男「…いずれ詫びよう、幼馴染」

幼馴染「ん?何?」

男「何でもない。急ぐぞ」

ダッ

幼馴染「あ、ちょっと」

幼馴染「何だよ、変なヤツ!」

幼馴染「…真面目なツラしてんじゃねえよ。こっちも余裕なくなるだろ!」

タッタッタ


file1:テープレコーダ  ...exit

男さん……

男もやはり男だったか.......

テープレコーダに嫉妬する男w

次をはよ
はよ

モチベうpの為に男と幼馴染描いてもらいました
ttp://www51.tok2.com/home/ferret/cgi-bin/stored/otoosa_image.jpg

友よありがとう


>>687
これは良いものだ

file2:制御エラー


「ん…あむ…」

「んくっ…なんだよ、浮かねえ顔して」

「いったじゃねえか。オレの管轄だって」

「誰もきやしねえよ…」

「…ちゅるっ…れろっ…」

「キスもまだな乙女にこんなことさせて…」

「責任、とれよ…」

「んっ…んっ…あ、おっき…」

「こんな…脈うって…」

「いいぜ…いっぱい出せよ」

「あむっ…んっ…んっ…!!」

「んん――っ!」



――学校―――

男「おっはよぅ!」ガラッ

クラスメイト1「」

クラスメイト2「」

クラスメイト3「4よ。どうやら俺は出演するssを間違えたようだ」

クラスメイト4「俺もだ」

男「ん?どうしたんだ皆。鳩豆(鳩に豆鉄砲)な顔して」

クラスメイト3「誰だよお前は!」

男「誰って、左に書いてあるじゃないか。タヂカラじゃないぞプフッ」

クラスメイト3(ジョーク!?こいつ今ジョーク言ったのか!?)

クラスメイト4(自分で受けちゃってる上に寒い!)

クラスメイト5(俺の男がこんな爽やかなはずがないっ!)

男「はっはっは、おかしな人たちだなあ」

クラスメイト1(棒な笑い方は確かに男君だけど…)

クラスメイト2(わー夏入りたてなのに雪まで降ってきた。お天道様落ち着いて)

クラスメイト5「き、今日は幼馴染さんは一緒じゃないのかよ!」

ピクッ

男「いや実は携帯の時間が進んでて。あわてて一人で学校まできてしまったんだ」

クラスメイト1(なんかなさそうでありそうな言い訳きた)

クラスメイト3(お前目覚まし10個はかけてあるだろ絶対)

友「でゅっぷしゅ!…(ズズ)…さ、さむいせいかな…?」

友「なぜか、ゆゆ、雪までふってるし…」

友「あああ、こんなことしてられない…また遅刻…!」

ガラッ

幼馴染「…うぃーす」

クラスメイト1「おはよー幼馴染さん(機嫌が悪いときの挨拶だ)」

クラスメイト2「おはよー」

幼馴染「ん…なんだよ。やっぱ先に来てたのかよ」

男「やあ、幼馴染!」

幼馴染「(ぞぞぞぞぞぞぞっ)――っうっっわあああ!」

クラスメイト3(すげえ…あの幼馴染さんを挨拶だけで5mもひるませやがった)

幼馴染「ななな、なん…誰だよお前!」

男「ははっ、やだな。君の幼馴染の男だよ。タヂカラじゃ」

幼馴染「とうとう脳みそが豆腐になっちまったのかよ!それかヘンなもん拾い食いしたんじゃ…」

男「俺は俺だよ。あ、ちょっと用事を思い出したので!しゅたっ」

タタタ

クラスメイト3「しゅたっとか自分で言うやつ初めて見たわ」

クラスメイト4「これはもうダメかもわからんね」

幼馴染「な、なんだってんだ…?」

女「…」



男「~♪」

生徒a「ひぃぃっ!あの男センパイが鼻歌を歌ってる!」

生徒b「きっと魔界の扉を開く呪詛なんだ!この世はお終いだ!」

男「んっんー今日も良い日になるといいな」

ガシッ

男「ん?」

女「…男、ちょっと来て」

男「ん、何か用か…って、どこに?」

男「工作室に何かあるのかな?」

女「男…」

女「私、今日危険日なんだ」

男「ん?何が危険だって?」

女「…子作りしない?」ススス…

男「…子作り?」

男「はっはっは!何をいってるんだ、子供はコウノトリが運んでくるんだろう?」

女(やっぱり)

女「ごめんね男」

男「え?」

ゴッ!



おいおい、なにごとだよ……

男「なるほど…そんな事に」

女「退行って実際に見たのは初めてだったよ」

女「変にマセてるから解りにくかったけど」

女「ふふ、でも君にもあんなに純粋な頃があったんだ」

男「今は濁りきってるみたいな風に聞こえるんだが」

男「それにしても殴る物は選んで欲しかったぞ」

女「木づちだとショックが足りないかなあと思って」

男「鋼鉄製は普通なら死ぬぞ」

女「生きてるじゃない」

男「…まあそうだが」

女「幼馴染さんは普段通りだったし、彼女と何かあったわけじゃなさそうね」

女「とするとまた君自身かな」

男「うむ」

女「幼馴染さんを異性と意識してはみたものの、切り替えがおいつかなくて」

女「彼女からの刺激が強すぎて飛んじゃった、ってとこ?」

女「うっかり着替えを見ちゃったとか…変な夢でも見たとか」

男「…まったく、お前はいい記者になるな」

女「ふふ、ありがと」

男「さるきっかけで強烈にあいつに異性を感じてしまってな」

男「完全に封じ込めたつもりだったが、夢までは制御できなかった」

女「…」

男「もう我が子のように大事に扱うつもりはないが」

男「正直、正常にコントロールできるか不安になってきている」

男「衝動であいつを傷つけたくは無い」

女「…だから幼馴染さんと接触するの避けてたんだ」

女「無意識のうちに」

男「そのようだな」

女「…ふふ。ちょっと安心した」


女「幼馴染さんはああ見えてシャイなんだから、男の子が頑張らなきゃね」

男「そうだな」

女「ふふ」

女「じゃ、私戻るから」

男「ああ」

男「心配をかけたな」

女「んーん」

女「万が一失敗しちゃったら、いつでも私に本気になってくれていいからね?」

男「遠慮する。ただの幼馴染としてでもあいつを見守るまでだ」

女「ふふ。だと思った」

タッ

女「きゃっ」

幼馴染「わっ」

幼馴染「あーびっくりした。女さん大丈夫?」

女「うん平気。それより、彼ならここにいるよ」

幼馴染「へ?いやべっ、別に男を探してるわけじゃ…」

女「男君だなんて言ってないのに」

幼馴染「いっ!?」

女「ふふっ」

タタタ…

幼馴染「うう…あの人だきゃー敵にしたくねえな」

幼馴染「おいっ、男!」

男「ん、お前か」

幼馴染「一体何があっ…あれ、戻ってる?」

男「何か問題でもあったか」

幼馴染「いやねーけど…ってなんだよお前、また壁に喧嘩売ったのかよ」

男「今度はハンマーに売られてな」

幼馴染「ったくしょうがねえな、ちょっと来い!」

男「ああ」

抜けてた…>>705の次にこれが入ります

男「何がだ」

女「だって君ときたら、私の裸見ても体の反応すら示してなかったんだもん」

女「役に立たないのかと思っちゃった」

男「…」

女「心配してあげるのは良いけど、結局は本人に聞かないと解らないと思うよ?」

女「恋愛は踏み込まないと解らないから、皆苦労するの」

男「…」

――保健室――

男(…)

男(因果な場所に来てしまった)

幼馴染「これでよし、っと」

幼馴染「柔道で怪我すると思ってこういうこと覚えたのによ」

幼馴染「まるで関係ないとこばっかりで貰いやがって」

男「悪いな」

幼馴染「わかりゃいいんだよ…あんま心配かけんなよ」

男「うむ。解っている」

幼馴染「ところで、さっきさ」

男「む?」

幼馴染「…いや、やっぱ何でもねーよ」

男「そうか」

幼馴染「なんだよ、ジロジロ見やがって」

男(踏み込んで初めて解る…か)

男(そう考えると俺のしてきた事は実に卑劣だ)

幼馴染「…?…んだよっ」

男(…せめて面と向かってこいつの口から言わせるまでは)

男(あのテープレコーダこそ夢だったと思おう)

男「幼馴染」

幼馴染「ん?」

男「行こう。hrが始まる」スッ

幼馴染「…ああ」

グイッ

幼馴染「へへ。昔っからお前手引きたがったよな。よくこうやって立たせられたぜ」

男「うむ。成長したものだな、重みでわかっ」ゴキッ

幼馴染「一言多いんだよてめーわ」

男「さきほどよりはるかに重い傷が増えたんだが」

幼馴染「知るかっ!自分で治療しとけ!」ガラッ

男「…フフ」

男(どうやらけじめが必要なのは俺のほうだったようだ)

男(少しだけ時間をくれ、幼馴染)

男「おっと、眼鏡を忘れたか」

男「…」

男(俺よ、もしまた今朝と同じ夢をみせようものなら)

男(今度は幼馴染を抱き寄せてやるぞ)

男(目が覚めるまで、身動きがとれんようにな)



file2:制御エラー  ...exit

乙乙

file3:髪の記憶


サッ…サシュッ…

幼馴染「…よし」

幼馴染「んー、枝毛とかも無いな」

幼馴染「へへ、どんなもんよっ」

幼馴染「…」

幼馴染「男…どう?似合う?」

『似合うぞ。綺麗だ』

幼馴染「…っ////」

幼馴染(鏡相手に何やってんだオレ…アホか///)

幼馴染「にしてもなんか」

幼馴染「あの日からやけに櫛の通りが良いな」

幼馴染「…男に褒められたのがそんなに嬉しかったのかよ」

幼馴染「なんか腹立つな…おまえらは皆オレの髪なんだぜ」

幼馴染「そこんとこわきまえろよ」

幼馴染「…ん…」スッ スッ

幼馴染「髪とくと落ち着くな…まったく飽きねえ」

幼馴染「すげえ安らぐっていうか…不思議なもんだぜ」

幼馴染「皆こうなのかね」

幼馴染「…」

幼馴染(明日か)

幼馴染(あいつのことだから親父が帰ってこない日だってのも知ってるんだろうけど)

幼馴染(深い意味は…ないよな。あんな甲斐性無しにそんな裏腹…)

幼馴染(…)

カタッ

幼馴染(…ないよな?男)

幼馴染(どの写真も不機嫌そうにうつりやがって)

幼馴染(オレとうつってるときぐらい笑えっての)

幼馴染(この…バカ)

支援

――翌朝、学校――

男「ごめんなさい」

後輩「…」

女「…」

男「お前達の真意を汲まずに軽率な返事をした」

男「心から詫びよう」

後輩「…それだけですか?」

男「む」

後輩「一番大事なのはそこじゃないです!」

男「ああ、そうだな」

男「俺には…既に他に想い人がいる」

男「だから、ごめんなさい」

後輩「うーっ。やっと聞けましたその言葉」

女「そうだね」

男「うむ、ずいぶんかかってしまったな」

後輩「ほんとですよ!きちんとフラれるために苦労するとか、前代未聞です!」

男「す、すまん」

女「なんか君、どんどん頭があがらない人増えてない?」

男「かもしれん…」

女「ふふ」

後輩「それで、どうなんですか?」

男「どうって…何がだ?」

後輩「センパイのことですっ」

男「ああ…うむ」

男「今日、はっきりと伝えようと思う」

男「思えば今までは一方的だったからな」

男「今度はきっちり返事を聞くことにする」

後輩「ほっ…良かった」

後輩「これでやっと、私もけじめつけられました」

後輩「ありがとです!男センパイ」

男「いや、礼を言うのはこちらのほうだ」

男「気を揉ませたな」

後輩「いえ…センパイには沢山優しくしてあげてくださいね」

後輩「私だったら、自分の事好きって言ってくれた人が、直後に他の人と付き合い始めたら眩暈がします!」

男「ああ…うむ…」

後輩「もぅ…」

男「…」

後輩「まだなにかあるんですか?」

男「え」

後輩「終わったのならはやくセンパイのとこ戻ってあげてください!」

男「あい解った」

男「ではなっ」

>>722 翌朝になってた…翌日昼、です

ヒュンッ

後輩「…」

後輩「はぁぁ…」ペタリ

女「ふふ。お疲れ様」

後輩「女センパイも何か言ってあげれば良かったんです」

女「私が言いたいことは全部言ってもらったし…」

女「なんか後輩ちゃんたくましくなった気がして、つい嬉しくって」

後輩「あの人これくらいストレートに言わないとダメだから…」

後輩「はぁ…すっごい自分の事棚にあげてますよね…」

女「あの告白も私達の勝手だしね」

女「でもいいんじゃない?結果として彼の薬にはなったみたいだし」

後輩「だといいんですけど…」

女「ふふ」

女「ふっきれた?」

後輩「…えへへ…本当はまだちょっとだけ」

後輩「女センパイは?」

女「んー区切りはついたし、あとはこの子まかせかな」

後輩「それ…ミサンガ?」

女「うん。男くんがくれたの」

女「私の裸を見たお詫びに、何でも欲しいもの一つって言ってたから」

後輩「は、はだ…!?////」

女「残念ながらとくに何もなかったけどね」

後輩「そ、そうですか…///」

女「これ手編みなの」

後輩「男センパイ編み物もできるんですね…」

女「簡単なものだけっていってたけどね」

女「彼の名残がするっと私の手からはなれたら、それでおしまい」

女「ちょっと子供っぽいかな?」

後輩「そんなことないです」

後輩「私はただ、根拠もなく時間任せにしてるだけですし…」

女「どっちも同じよ」

女「どのみち、忘れられはしないんだから」

後輩「…女センパイ」

女「ふふ、よしよし」

女「お昼一緒に食べよっか」

後輩「…ぐすっ」

後輩「はいです!」



幼馴染「おかえり」

男「うむ」

幼馴染「どこいってたんだよ」

男「ちょっとけじめをつけにな」

幼馴染「?」

幼馴染「まあいいけどよ」

男「幼馴染」

幼馴染「んー?」

男「一緒に食べていいか?」

幼馴染「はぁ?いつも一緒じゃねえかよ頼みもしねえのに」

男「それもそうだ」

幼馴染「ふんっ」

男&幼馴染「「いただきます」」

幼馴染「と言いつつ伊達巻いただきっ」

男「行儀の悪いことをするな」

幼馴染「かたいこと言うなよ。オレのやるから」

男「買収のつもりか?」

幼馴染「お察しの通りでお代官様~」

男「やれやれ」

クラスメイト1(…幼馴染さんお昼たべないのかなーって思ってたけど)

クラスメイト2(待ってたんだね)

クラスメイト1(そだね。ふふっ)





良ssあげ

――幼馴染宅――

男「…」

男「まあ解ってはいたんだが」

幼馴染「こんな時分にうち来たら、やるこた一つだろ?」

男「時も場合も関係ない気がするが」

幼馴染「男なら細かいこと気にするなって」

幼馴染「ほら、突っ立ってないでかかってこいよ」

男「お前こそ。威勢の良いのは口だけか?」

幼馴染「言ったな…?」

幼馴染「はっ!」

ガシッ

幼馴染「あれ。今日はちょこまかにげねえのかよ」

男「…ああ。もう距離をあけて分析するのはやめだ」

幼馴染「…へぇ」

幼馴染「上等だ。存分に振り回してやるよ!」

ジリ…

幼馴染(…隙が無えな相変わらず)

男(動きを完璧に読んだとしてもスピードでは勝てない)

男(ならば先手をうつまで)

スッ

幼馴染(…右に傾いだな…貰った!)

幼馴染「えっ」

トンッ

幼馴染「…」

男「…流石受身もうまいな」

幼馴染「…フェイントだったのかよ」

男「お前は重心のうつる瞬間を狙うクセがあるからな」

男「残った軸足をつけば俺でも転ばせるくらいはできる」

幼馴染「なるほど…へへっ…」

男「なんだ」

幼馴染「ああ、なんか嬉しくってさ。8年ぶりじゃん?」

幼馴染「なんか今までオレに技かけなかったのは、遠慮してんじゃねえかなって思っててよ」

男「…」

男「門弟も気が付けば減っていって…」

男「気が付けば背丈の合う相手はお前以外居なかったからな」

男「未熟な技ほど危険なものは無い」

幼馴染「他のやつ相手にこっそり練習してたってわけかよ」

男「うむ」

幼馴染「オレはそんなやわじゃねえぞ」

男「そんなことは百も承知している」

男「ただ体が拒んでな」

幼馴染「全力でぶつかれないってのも、寂しいもんなんだぜ」

男「そうだな…悪かった」

幼馴染「ずいぶん待たせやがって」

幼馴染「容赦しねえからな」

男「いつものことだろう」スッ

幼馴染「へへっ」

グイッ

幼馴染「やあぁっ!」

男「はああっ!」



幼馴染「お先」

男「ん。では俺も頂こう」

幼馴染「客なんだから先はいりゃいいのに」

男「お前から一番を奪うくらいなら井戸水を浴びる」

幼馴染「ああそうかよ」

男「…」

幼馴染「なんだよ」

男「結った時も良いが、やはりおろしたほうが絵になるな」

幼馴染「…っ!///」

幼馴染「くっだらねえ事言ってないでさっさと入れっ!」

男「うむ」

幼馴染「親父に聞かれたらまた冷やかされるだろうが…ったく」

幼馴染「…」

幼馴染「あ」

幼馴染(親父いないんだった―――っ!)

幼馴染(取っ組み合いに夢中になってて忘れてたよ完全に!)

幼馴染(ハッ…まあ落ち着けって。相手は男だぜ)

幼馴染(なんの裏もねえって、朝結論出たじゃねえか)

幼馴染(…でもいざ現状意識するとなんか…)

幼馴染(今まで何回もあったはずなのに…)

幼馴染(…)

幼馴染(…ぁ……///)

幼馴染(ななな何かんがえてんだっ!オレのアホっ…)

幼馴染(…)

幼馴染(…下着、これじゃちょっと子供っぽいか…?)

幼馴染(新しいのに替えとくか…)

スルスル…

幼馴染(あーあ…なんか一人相撲とってんな、オレ)

幼馴染(お袋、天国からみてんのかな)

幼馴染(笑ってるんだろうな…)

幼馴染「はぁ」

男「なんだため息なんかついて」

男「どうした急にタンスの上になど飛び乗って。ネコかお前は」

幼馴染「おおまおま、早すぎだろうがよ風呂でんのがっ!」

男「あらかた脱いだところでタオルが無い事に気付いてな」

幼馴染「そそそこの下から二段目だよ!」

男「有難う」

男「ではな」

幼馴染「…はぁ…はぁ…」

幼馴染(あ、あ、あぶねーっ!最悪なタイミングできやがって…)

幼馴染(あいつマジでいくつか仕掛けてんじゃねえだろうな)

幼馴染(とりあえずさっさと部屋戻っとこう…)



――幼馴染の部屋――

ブォー

幼馴染(…)

カタッ

幼馴染(わりと最近は笑うようになったけど…)

幼馴染(前はこんな魚の死んだような目しやがって)

幼馴染(お前がそんな目しててどうすんだっての!)

幼馴染(…同情の目なのかよ)

幼馴染(やっぱりよ…)

幼馴染(…)

幼馴染(はんっ)

幼馴染(やめやめ。どんな理由でも関係ねーじゃねえか)

幼馴染(あいつはオレを守ってくれてんだ。それでいいじゃねえか)

幼馴染(にしても…)

幼馴染(ど、どういうつもりなんだホント)

幼馴染("一般的"に考えたらこんな時間に、女の家になんて…)

幼馴染(…よく考えたら男って、結構強引なとこあるし)

幼馴染(やっぱり…いやでも…)

『幼馴染?』

幼馴染(おいまてって…)

『気配はするが…妙だな』

幼馴染(ちょ、いきなりそんな…)

『幼馴染、入るぞ?』

幼馴染(!?)

入る → 中でたっぷり → おめでた → 10回ループ → 大家族

幼馴染「こ、子供は多くても三人くらいでいいわこのサルっ!」

幼馴染「ハッ」

『…何かまた飛躍しているようだが』

『調子が悪いなら日を改めるか』

幼馴染「あー大丈夫大丈夫ですよすこぶる絶好調!はやく入れよ畜生ーっ!///」

男「何か知らんがヤケになるな。失礼する」ガチャッ

幼馴染「…ようこそおいでましたっ(プイッ)」

男「歓迎されているようなそうでもないような」

幼馴染「してなきゃ入れるか!」

男「それもそうだ」

男「お前の部屋にはいるのもずいぶん久しぶりだな」

幼馴染「ここなんもねーし、面白くもねえだろ」

男「そんなことはないぞ。ここでお前が一人過ごし、夜眠りにつき、朝起きる」

男「そう考えるだけでも胸が高鳴る」

幼馴染「…は///」

男「うむ、よく整理されているし…」

幼馴染(…ああそうだこういうこと平気で言うんだよコイツは)

幼馴染「まったく年がら年中幸せそうでうらやましいこった」

男「おかげさまでな」

幼馴染「じゃあお願いしてもいいかよ」

男「勿論だ」

幼馴染「ほら。これ使え」

男「んむ」

男「ほう、柘植の櫛か」

幼馴染「お袋のやつなんだからな。大事に扱えよ」

男「…ああ」

幼馴染「…」

幼馴染「んだよ、ぼーっとして」

男「ああ、悪い」

サラ…

幼馴染「…」

男「なるほどこれは楽しいな」

幼馴染「そうかよ。オレも確かにあきねえけど…」

男「俺の手でお前の髪が色を増していく。見ていて爽快だ。それに…」

幼馴染「それに?」

男「綺麗だ」

幼馴染「…ありがとよ…」

男「うむ」

幼馴染「…」

幼馴染(…すげえ)

幼馴染(自分でやるときより、ずっと落ち着く)

男「しかし良い櫛だ。油を微かに含んでいるのだな」

幼馴染(不思議だ…なんだこれ)

男「押し並べて逆らいもしない、お前と同じで真っ直ぐだ」

幼馴染(この感じ、懐かしい?)

男「…が、…」

幼馴染(ああ、そうか)

男「………」

幼馴染(後ろでとかしてくれる、この優しい手つき…)



『こーら、暴れるな』

『っとに、私に似なくていいところまで引き継いじまって』

『普段は別にいいけど、ダンナになってくれる男の前じゃね、おしとやかにするんだよ』

『んー、好きな人のこと。』

『好きってのは…そうだね、一緒にいて楽しいって子いないのかい?』

『お前にはまだはやいかね』

『男君なんかどうだい。私はお前にぴったりだと思うけど』

『あれ、あの子嫌いなのかよ?ま、ちょっとおマセさんだからね』

『でもね、いつもお前のことを心配してくれてるんだよ』

『ずっと気にかけてくれって、よく頼んどいたからね』

『ふふ。いつかわかるようになるよ』

『ほら終わった。可愛くなったよ』

『もう、甘えんぼだねいつまでたっても』

『ふふ。私も大好きだよ』

『お前は私の宝物さ、幼馴染…』



幼馴染「…」

男「む、何かいったか」

幼馴染「お前さ…」

男「ん」

幼馴染「お袋の事、覚えてるかよ」

男「…無論だ」

男「交わした言葉はほとんど失念したが、その存在は脳裏に焼きついている」

男「美しく、凛とした御方だった」

男「改めて思えば、なんとも無謀な挑戦をしていたものだ」

幼馴染「へへ…」

幼馴染「そっか」

男「うむ…」

幼馴染「…っぅ…」

男「お前…泣いているのか」

ギュッ…

男「っと…」

幼馴染「…」

幼馴染「鼻小僧の事…思い出した…」

男「そうか」

男「これがお前にとっての…」

幼馴染「…」

サッ…サシュッ…

幼馴染「…」

幼馴染(お袋の言う通りになっちまったな…)

男「…ん、何だ」

幼馴染(お見通しってわけだ…)

男「望みがあれば何でも聞くぞ」

幼馴染(かなわねーな、やっぱ)

幼馴染「男」

男「ああ」

幼馴染「好き」

男「ああ…ん゛?」

幼馴染「…ずっと、ずっと前から、好きだった」

幼馴染「言い出せなかったけど…毎晩暇さえありゃお前の事考えてたくらいだ」

男「お、幼馴染…」

幼馴染「わりぃ、ちゃんと返事できなくってよ。でもこれがオレの気持ち…」

幼馴染「はは、こんな泣きっツラですることでもねえけど」

男「…」

幼馴染「ムードがねえのはお互い様だな…わっ!?」

ギュウッ

幼馴染「お、おとこ…」

男「…」

男「今日、女と後輩に話してきた」

男「告白の件…俺にはすでに恋い慕う女がいるから、ごめんなさいと」

幼馴染「…」

男「決心をつけたと言っておいて、覚悟が足りなかった」

男「お前に背を向けたまま気持ちを伝えるばかりで、振り返る勇気が無かった」

男「あげくお前にこうして先手を打たれる始末だ」

スッ…

男「好きだ、幼馴染」

幼馴染「…っ」

男「幾夜もお前の事が愛しくて狂いそうになるほど」

男「お前以外の事が目に入らぬほど、好きだ」

幼馴染「…たし…も…」

幼馴染「男が好きっ…大好き…」

男「幼馴染…」

男「キスしても…良いか?」

幼馴染「…(コクッ)」

幼馴染(…あっ…)

チッチッチッチッ…

幼馴染「…んっ…」

男「…」

幼馴染「…男とキス、しちゃった…///」

男「ああ」

幼馴染「へへ…うれし…」ポロポロ

男「…」

ペロッ

幼馴染「ひゃぁっ!」

幼馴染「なななにすんだよいきなり!」

男「なるほど、確かに味が薄い」

男「手帳のは塩辛かったが、やはり涙は感情をもつのだな」

幼馴染「な!なんだよっこんな時まで、一人だけ余裕ぶりやがって!」

幼馴染「ほんっとに甲斐性が無いっていうか無頓着っていうか!」

男「ふふ、そっちのほうがいい」

幼馴染「ふえ?」

男「お前は威勢の良い方が似合う」

幼馴染「は…お前わざと…」

男「何のことだ」

幼馴染「こ、このっ…ゃうっ!」

男「言っておくが余裕など、お前を見る目を切り替えた日からずっと無い」

男「今もその愛くるしい一挙一動で心臓が爆ぜそうだぞ」

幼馴染「え…あ…///」

ちゅっ

幼馴染「ふぁっ…」

男「幼馴染」

男「お前が欲しい」

男「男女の事でなく、女体の事でなく…"お前"の全てを知りたい」

幼馴染「……うん…」

幼馴染「いいよ。男に…全部あげる」

幼馴染「好きなだけ…分析して」

続きはまだか?



幼馴染「はむ…むあ…ちゅっ…」

男「ん…」

幼馴染「はっ…んむっ…うゅんっ」

幼馴染「はぁっ…ぁっ…」ポーッ

男「…」

プチプチ…

幼馴染「あっ…」

プルンッ

幼馴染「…///」

男「…」フニフニ

幼馴染「…んんっ」

フニョフニョ

幼馴染「れろっ…ちゅっ…ふやっ!おとこっ…だめっ、ヘンな声でるっ!」

幼馴染「ちかっ…ぬけて、いすから落ちちゃうからっ」

幼馴染「もうちょっとやさしくっ…ひんっ」

男「…」モミモミ

幼馴染「ん…くっ…」

男「…」クリクリ

幼馴染「あっ」ピクンッ

幼馴染「…おとこ…」

幼馴染「…なにかかんがえごと…してるの…?」

男「…」

男「お前が愛しい、可愛い、離したくない」

幼馴染「っ…////」

男「好きだ。狂おしいほどに愛しい、愛らしい、俺だけの幼馴染」

幼馴染「あっ…やぁっ」ビクビクッ

男「ふふ、いい顔だな」

幼馴染「ばかぁ、いきなりなにいってっ…」

男「お前が聞くからだ」

幼馴染「だっ…て…しずかだから、わたしのっカラダ…がっかりなのかなってんん―っ!」

男「…んっ…はむっ…」

幼馴染「ひゃむっ…はあぁっ…」

ツツツ…

幼馴染「あ…」

ヌルッ

幼馴染「くぅんっ!///」

男(う…なんと扇情的な感触だ…)

男(ん?)

男「お前、下は穿いていないのか」

幼馴染「え?……あっ!」

幼馴染(部屋に戻ったときに、つけるの忘れてた…)

男「…」

幼馴染「あ、ち、ちがうからな?…これは期待してたとかじゃ…」

クチュクチュ

幼馴染「あっ!?だめ、そんないじっちゃ…っ」

男「とろとろだな」ピタピタ

幼馴染「んやぁっ…///」

男「なぜ着けてないんだ」

幼馴染「それ…わぁ…」

男「うん?」

幼馴染「…し、しらないっ…///」

男「言えないか?」

ツプッ…

幼馴染「あっ…」

男「凄いな、中に引き込まれる…」

ニュププ…

幼馴染「ふあああぁ…」ゾクゾク

男「教えてくれないのか?」

幼馴染「やぁ…いじわる…」

男「…」ヌッチュヌッチュ

幼馴染「あふあっ!し、したぎっ!」

男「うん」ヌププ

幼馴染「お、おとこがみて…も、はずかしくないのに、かえようかなっ…って…」

男「…見せてくれるつもりだったのか」

幼馴染「ちっ…ちがぁっ……!」

男「…幼馴染…」ヌブブッ

幼馴染「あ、あああっ!」

幼馴染「そんな奥まで…おとこのゆびっ…」

幼馴染「はいっ…ちゃってるよぉ…」トローン

男「…」ザワワッ

幼馴染「んむっ…ちゅっ…ちゅっ」キュンッ

男(…下が反応を返すのか)

男(男と同じだな)

チュポンッ

幼馴染「あぅっ…」

男「幼馴染、ベッドまで運ぶぞ」

幼馴染「う、うん…」

ガタ…

幼馴染(おひめさまだっこ…///)ギュッ

男「…」

ギッ…ギシッ

幼馴染(あ、優しい…)

チュッ

幼馴染「んっ」

男「全部脱がすぞ」

幼馴染「うん…」

スルスル…

シュルルッ

幼馴染「…///」

男「…眼福だな」

幼馴染「うぅ…はずかし…」

男「がっかりしろと言われても無理な話だ」

カチャカチャ

男「これが証拠だ」

ブルンッ ペチッ

幼馴染「ひあっ!?///」

幼馴染(お、おおおとこの、お、おちんち…ん…///)

男「こんな物あまり見せたくは無いが…」

幼馴染(うわぁ…なんかすごい…)

幼馴染(こんなになっちゃうんだ…)オズ…

男「…幼馴染?」

ソッ…

男「っ!」

幼馴染(熱い…それにかたい…鉄の棒みたい)スリスリ

幼馴染(さきっぽ、なんかヌルヌルしてる…)ヌリヌリ

男「くっ」ビクッ

幼馴染「あっ…い、いたかった?」

男「…いやそうじゃない…」ブルッ

幼馴染「きもち…いいの?」サスサス

男「ああ…」

幼馴染「あっ…」キュウン

幼馴染「なんかうれしいな…男がわたしので…あっ!」

男「…」ヌブプッ

幼馴染「はぁあ…」

男(幼馴染の身体が五感全てを通して…)

男(寸分の隙もなく俺の生殖本能を煽り、半身をたぎらせる)

男(…だめだな。もう思考をめぐらす余裕もない)

幼馴染「んっ…あむむっ」チュッ

男「んっ…幼馴染…」

幼馴染「あうんっ…んちゅっ…」

幼馴染(おとこのおちんちん握ったまま…)

幼馴染(おまたいたずらされて…キスされちゃってる)

幼馴染(こんなの…すごくえっちだよぉ…)

男「はぁっ…っく、幼馴染、もう手を…はなせっ…」ニュプニュプ

幼馴染「やだぁっ…おとこのそのかお、もっとみたい…ぁっ!」コスコスッ

男「っ…い、言う事を聞くんだ。乱暴な真似はしたくない…」チュッ

幼馴染「れるっ…んちゅっ…な、なによぉ…んっ!」

幼馴染「わたしのは、さんざんすきにしておいてっ…」シュッシュッ

男「こ、これは…お前があまりにいじらしいから、悪いんだ…っ」ジュプッ

幼馴染「ばっ!…ばかぁっ…そんなこと今いわれたらっ…」キュウッ

幼馴染「ふやぁっ…あたまとんじゃっ…あっ…っくぅ!」

ビクビクッ

男「っ!」キュウウウッ

幼馴染「んっ…ゅ!……ぁ…ふぇ……」

男「くっ…!!」カクカクッ

ビュルッ!ドピュルルルルッ!ドピュピュッ!

幼馴染「あっ…やっ!?」

幼馴染「…ふやんっ…あ…熱いっ…」パタタッ

ビュッ!ビュルルッ!…ビュルッ…ビュッ…

男「うっ…はぁっ…」

幼馴染「あぁ…んあ…」

ピルッ……ピュッ…

男「…はぁっ……うっ…」

幼馴染「んっ……」ネパー

幼馴染(一瞬ふくらんだとおもったら…いっぱい…)

幼馴染(これがセーシなんだ…)

幼馴染(おとこの、あかちゃんの…)

ニチュニチュ…

幼馴染(おとこのにおい…)

男「す、すまない幼馴染…盛大に…」

幼馴染「…ん…」ペロ…

男「!」

幼馴染「ん…れろっ…」

幼馴染「へへ…あんまりおいしくないかも、これ」

男「…」ビキビキ…

幼馴染「…うわあ、おへそのとこ、たまっちゃってる…」

幼馴染「おっぱいにもこんなに…やだ…」ヌルヌル

ガシッ

幼馴染「っ!?ふあむっ」チュッチュッ

幼馴染「ぷあっ……」

男「幼馴染」

男「…もう…我慢ならん」

男「お前を犯したい…いいか?」

幼馴染「あ……ぅ…ん」

幼馴染「…優しく…ね?」

支援

おいここでやめるのかよおおおおおお



幼馴染「…それ…」

男「避妊具だ。少し不恰好だがな」

幼馴染「そんなのもってきたってことは…」

幼馴染「やっぱり最初っから、わたしのこと襲うつもりだったんだ…?///」

男「いや…本当はここまでするつもりは…」

幼馴染「…ふーん。じゃあどこまでの予定だったの?」

男「う…いや…」

幼馴染「ふふっ」

幼馴染「男に分析してもらうはずだったのに…」

幼馴染「むしろ男の見たこと無い顔、沢山みせてもらってる気がする」

男「…まったくもって不覚だ」

幼馴染「あははっ。あっ…」グイッ

幼馴染「す、すごい元気な子だね…脈うってる」

男「ああ。お前のせいでな」

チュッ

幼馴染「はふっ…」

男「いくぞ」

幼馴染「うんっ…」

ヌッ…

幼馴染「あっ…くっ…」

男(これは…想像より遥かにきついな)

男「痛むか…我慢出来なくなったら言え」

幼馴染「だいじょ…ぶ…」

幼馴染「言ったで…しょ…わたし、やわじゃないって…」

男「…」

幼馴染「…ひといきにおねがいっ…」

男「…解った」

ズッ…

幼馴染「くうっ…」

ップッ

幼馴染「ひっ…うっ…」

男「つっ…」

幼馴染「っはぁっ…ぁっ…」ポロポロ

男「お、幼馴染…」

幼馴染「…は…ぅっ…」

幼馴染「…い…いよ…おとこの、したいようにっ…」

男「しかし…」

幼馴染「…かっ、かくご…してくれたんでしょ?」

幼馴染「だったらっ…さいごまで…、ちゃんとしてっ」

男「…ああ、そうだな」

ギッ…ギシッ…

幼馴染「くんっ…くぅんっ…」

男「っく……」

ヌッ…ヌプッ…

幼馴染「…くぅん…んんっ…!」

男「はぁっ…」

ギュッ

幼馴染「あ…ぅ…」

幼馴染「えへっ…おとこの手…ぁんっ!おっき…」

男「…っ…」ガバッ

幼馴染「はむぅっ…んっ…」チュッチュ

ヌヂュッ ジュプッ

幼馴染「ひあっ…ああ…」

男「幼馴染…いくぞっ…」

幼馴染「……うんっ…っひ…いっぱいきもちよく…なってっ…!」

ジュプチュプジュッチュッパンパンパンパン

幼馴染「んっ…ぁぁっ!」

男「…幼馴染っ…」

幼馴染「おとこっ…っとこ…!」

パァンッ

男「ぐっ…!」

ドクンッドクッドクドクッ

幼馴染「ふっ……やっ……」

幼馴染(あ…中で、はねまわってる…)

ドクンッ…ドクッ…

幼馴染(…あついよぉ…)

男「くっ…かはっ…」

ドクッ……クッ…

幼馴染「ふぅ…うっ…」

男「はぁはぁっ…」チュッ

幼馴染「んっ…おとこ…」

幼馴染「好き…大好きっ…」

男「俺もだ…お前が好きだ、幼馴染」

チュッ

レルッ…チュルッ…チュパッ…

チュッ…チュ…

ギュッ…



チュンチュン

男(…ん…)

男「はっ!」ガバッ

幼馴染「きゃっ!」

男「…」

幼馴染「…おはよ、男」

男「まさか…俺は落ちていたのか」

幼馴染「うん。ぐっすり」

男「…不覚だ…最低だ俺は…」ブツブツ

幼馴染「タフなお前が落ちるくらいだからな」

幼馴染「ぜ、全力で…してくれたんだろ///」

幼馴染「う、嬉しかったぜ…///」

男「…うっ…」

ソッ…

幼馴染「まだ夢みてーだ…オレ、やっと男と…」

男「幼馴染…」

幼馴染「ありがと…」ギュッ

男「…」

幼馴染「へへ、腕もこうやって組んでみたかったんだ」

男「…」

幼馴染「…また考え事かよ?」

男「いや…」

男「つくづくお前は卑怯だと思ってな」

幼馴染「へ?」

男「しぐさがいちいち魅力的すぎる」

男「考えてみれば最初の涙目上目遣いからして、もう半分理性は飛んでいたぞ」

幼馴染「はっ…///」

幼馴染「し、知るかよっ、こっちだって余裕なんか無かったんだぜ!」

男「だいたい昔からお前は肝心な時に無防備で、妙なところでうかつだからな」

男「早い段階で他に目をつけられなくて良かった」

幼馴染「む、無防備って…だれがうかつだってんだよ!」

男「下着」ボソッ

幼馴染「う゛っ///」

男「致命傷はお前の雰囲気だ。なんだあれは」

幼馴染「な、何がだよ」

男「急にしおらしくなったと思えば蕩けた目でしおって…」

男「じっくり分析するつもりがすべて水の泡だ」

幼馴染「しょっ、しょうがねえだろっ!勝手になるんだよっ」

幼馴染「お袋に、ダンナの前じゃおとなしくしろって…刷り込まれたせいで…」

男「例の記憶か…」

男「ん、ダンナ?」

幼馴染「え?…あっ…///」

男「…」

幼馴染「ちがっ…そう言われてたから…あっでも」

幼馴染「…も…貰ってくれるんだろ?」

男「…」

男「ご免被る」

幼馴染「なっ!なんでだよっ…ひゃっ!」

男「貰うなどとんでもない…俺の生涯をお前に捧げるのだ」

男「そのために生まれてきたと思っているからな」

幼馴染「…っ…/////」

男「…それにしてもお前はキスが好きだな」

幼馴染「いっ!?いいいいきなりなんだよっ!///」

男「口付けをするたびに身体が好反応を返したぞ」

幼馴染「んなこと真顔で言うなよっ!///」

幼馴染「おおお前だって、オレのこと弄びながらギンギンにおったててたじゃねえか!」

男「どこをだ?」

幼馴染「へっ?」

男「部位を言わんと解らんな」

幼馴染「それは…だから…お…おち…///」

男「ふふ。冗談だ、本気にするな」

幼馴染「てっ…めえっ…///」

男「怒った顔も可愛いぞ、幼馴染」

幼馴染「い、いい加減に…」

幼馴染「しろっ!このバカッ!」

チュッ



file3:髪の記憶  ...exit



file0:幼馴染

パシャッ パシャパシャッ

記者a「前回の舞台、新人賞獲得おめでとうございます!ご感想を一言」

作家「ありがとうございます。これもひとえに、皆さんの応援のおかげです」

記者a「決め手となったことは何だと思われますか?」

作家「そうですね…すべては、僕が子供の頃からの経験に基づくと思います」

作家「舞台の規模を重要視せず、たとえお客様が一人でも全力を尽くす」

作家「その精神が今、活きたのだと思っています」

記者b「子供の頃からの…?」

作家「そうです。友人から身近な物品まで、すべて等しく大切に扱う心です」

作家「それを教えてくれたのが、まさに僕の親友である人で――」

ガギャギャギャギャッ!

記者ab「!?」

作家「っと、失礼…(ピッ)はは、うっかりしていました」

記者a「は、はぁ…コホン」

記者a「新作の脚本は作家氏が得意とする恋愛人情劇とのことですが」

作家「ええ」

記者a「インスピレーションはどんな所から湧いたのでしょうか?」

作家「ずっと以前から書きたいものがあったのです」

作家「今回は機会として最善と思い、筆を執りました」

記者b「内容をさしつかえない程度、お聞きしたいのですが…」

作家「かまいませんよ」

作家「これはある杓子定規な男と、天真爛漫な少女のお話で…」



事務「女記者さん!」

女記者「あら事務さん。今日も元気一杯ね」

事務「はい!あ、見ましたよ例の記事」

事務「とっても素敵でした。父子家庭のイメージ、もっと暗いものだと思ってましたから」

女記者「暗闇なんて誰もが抱えてるものよ。一部の人は、そこだけ見られがちなの」

女記者「私は視点を変えただけ」

事務「そうですよね…わたしだって、周りに同情の目しかなかったら、疲れちゃいます」

女記者「それが彼らのためになるかは別だけどね」

事務「そっかぁ…あっ、そういえば聞きましたか?作家さんの件」

女記者「ええ。私が担当させてもらうことになったわ」

事務「ほんとですか!?」

女記者「無理矢理お願いした形だけど」

事務「へぇー、珍しいんですね」

女記者「どうしても私がやらなきゃいけないの。昔の彼を称えて、ね」

事務「え?」

女記者「なんでもないわ」

事務「んー?あれ…女記者さんそんなの着けてましたっけ」

女記者「ああ、これ?いつもは長袖に隠してるからね」

事務「ミサンガ…ですよね。何か願掛けを?」

女記者「ええ、ちょっとね」

女記者「あ、もう行かないと。ごめんなさい」

事務「いえ、がんばってくださいね!」

女記者(…願掛け、か)

女記者(ふふ。君ってほんと、厄介な人)



子供「うえぇ…」

いじめっこa「ほらーいう事きけよぉ!」

いじめっこb「さっさと泥ダンゴたべろよ!」

子供「うっ…くっ…」

いじめっこb「ほらー、せっかく作ってやったんだから」

いじめっこa「そうそう、はーいのこさずたべるんでちゅよー」

子供「うぐっ、や、やだあっ…」

いじめっこb「はぁ?」

子供「た、たべだぐないっ!いじめないでよぉっ!」

いじめっこa「何いってんのこいつ…」

いじめっこb「なまいきー!このっ!このっ!」

子供「うう…」

女教師「こらぁー!」

いじめっこa「げっ、センセーだ」

女教師「あなたたちまたいじめてるの!?」

いじめっこb「ち、ちがうよ、俺たち遊んでただけだよ、なー?」

いじめっこa「なー俺たちトモダチだもんなー」

子供「うぅ…」

女教師「今この子言ったでしょ、いじめないでって」

女教師「相手がはっきり嫌って言ったことは、やっちゃダメ」

女教師「じゃないとカッコいい男の子になれないぞっ」

いじめっこa「なっ、なんだよー…」

いじめっこb「ちぇっ、いこーぜ!」

タタタ…

女教師「もうっ…」

子供「ぜ、ぜんぜぇ…」

女教師「ん、えらいぞ子供君。自分で言えたね、自分の気持ち」

女教師「先生はあなたの味方だから、いつでも見守ってるからね」

子供「う…う゛ぅっ」

女教師「よしよし」

ギュッ

女教師(まだ全然ダメダメだけど…)

女教師(今度は私が、貴方達みたいに)



サッ…サシュッ…

ササッ…サッ

妹「ん~ん~♪」

『ほらほら、じっとしてな』

サラッ…

シュッ…

妹「ん…」

サッ

『よーし、可愛くなったよ』

姉「ママ、"わたち"もー」ギュッ

『うん、まっててくれてありがとねお姉ちゃん』

『妹ちゃん、ちょっとのいててね』

妹「やー」ギュッ

『ちょ、ちょっと…』

『ああもう!二人とも甘えんぼなんだから。っとに誰に似ちゃったんだか』

ガチャッ

『あ…』

姉&妹「「ぱぱだっ!」」

タタタタタッ

男「いま帰ったぞ…ん?」

姉&妹「「おかえいなさいっ!」」

ドンッ

男「っと…うむ。良い体当てだ」

妹「ねーぱぱ、"わたい"のなでなできれいー?」

男「うむ。母に磨いてもらったか」

妹「うんっ!」

姉「わたちまだ…」シュン

男「そのままでも十分可愛らしいぞ」

姉「ほんとっ?」パァッ

男「勿論だ」

姉「えへへぇ」ギュー

男「ふふ」

『おかえり、男』

男「む…」

男「ああ、ただいま。幼馴染」

幼馴染「あーあー、ゆるみっぱなしな面しやがって」

幼馴染「まるっきり親バカって顔に書いてあるぜ」

男「お前に言われたくは無いな」

幼馴染「オレはま、艦隊空母ってヤツだし?」

男「それを言うなら良妻賢母だ…母しか合ってないぞ」

幼馴染「そこあってりゃ大体同じだろ」

男「まったく違う」

男「やれやれ…身体だけは存分に育っても、頭の中は変わらんな」

幼馴染「なっ…どういう意味だよっ///」

男「まんまの意味だ」

幼馴染「…ふんっ!」

男「ふふ…二人とも少し失礼するぞ」

妹「あいっ」

姉「はーい」

男「幼馴染」

幼馴染「なんだよっ…ふぁっ」

ギュッ

男「俺の夢とした理想の母…それが今のお前だ」

男「感謝している」

幼馴染「と、突然何いってんだよ…」

幼馴染「大体オレを母親にしたのはお、お前じゃねえかっ…///」

男「ああ、それもそうだな」

幼馴染「ったく…」

幼馴染「…お、女の子も可愛いけど…次は男の子が…欲しいな…」

男「任せておけ。今夜中に仕込んでやる」

幼馴染「…あっ///」

妹「…ぱぱとまま、また"いたいた"してる」

姉「わたちもぱぱと"ちっち"するー!」

男「悪いな、たとえお前達とてこれは譲れん」

幼馴染「え…きゃっ!」

男「俺はこいつのものだからな」

幼馴染「ちょ、ちょっと、降ろしてよっ!///」

男「ははは。待たせて悪かったな。夕食としよう」

姉&妹「「あーい」」

幼馴染「もぉっ、恥ずかしいじゃんかっ」

男「幼馴染」

幼馴染「何だよっ!」

男「次俺が何を言うか解るか?」

幼馴染「はぁ?そ、そんなのわかるわけ…」

幼馴染「う……あ、愛して…る?///」

男「ふふ。正解だ」

幼馴染「…///」

男「愛しているぞ、幼馴染」

幼馴染「ふんっ…///」

幼馴染「…ふふっ」

幼馴染「私もだよ…あ・な・た」

チュッ



file0:幼馴染  ...endless

乙 俺もこんな幼なじみがほしい!

これにてこのお話は完結です
沢山の支援、本当にありがとう

乙。面白い話だった。

乙。面白かった。

でも俺は本当にエロシーンが嫌いなんだなと実感した。

おつ
当たり前っちゃ当たり前だけど
でも最初はゴム無しでやるほうがええのう

乙!

>>855
完結まとめ書き忘れたなーって思ったらすでにあった…ありがとう

>>856
>>857
最初は自分のためのエロ目的だったけど、
なんか二人を書いてるうちにそういう目的だけにするのがためらわれてしまった
だからどっちつかずになっちゃってごめんなさい
登場人物に振り回される悪い手本になってもた



>>859
おつおつ
良かったと思うよ

一気に読めたわラスト洒落てるな
乙乙!

一気に読んだけど面白かった!!
乙ッス!!

そういやこれって男が寝不足になってたのなんで?
幼馴染の尾行やめたんだろ?女家に送った後もどっか走っていってるし

>>864
イケメンの事をいろいろ調べるために駆けずり回っている設定です

>>865 thx理解したわ ついでに名作age

┏━━━━━┓
┃て
┃す
┃と
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┃て      ┃
┃す      ┃
┃と      ┃
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