幼馴染「男、さようなら!」(79)


男「なあ母さん、幼馴染が事故に遭ったって……?」

母「………うん」

男「うそ…だろ」


―翌日・教室―

先生「……皆さんに悲しいお知らせがあります…既に知っている人もいると思いますが……」

先生「昨日…幼馴染さんが事故で亡くなりました……」

ザワッ


先生「先生は…これから幼馴染さんの家に行ってきます……1時間目は自習をしてください」スッ

ザワザワザワザワ


男「幼馴染…………」



?「おい男!幼馴染さんの話マジかよ!?」

男「……ああ」

?「幼馴染さん……可愛かったよな」

男「……………」

?「男!お前知ってたか!」
?「幼馴染の席どうなるんだろなー」

男「………」

?「ーーー…?」

?「ーーー……!」



男「(幼馴染……さよならも言えなかったな…)」

男「(……クソッ!)」

?「なあなあ男~」

?「幼馴染さんって~」


?「オイお前ら、男の気持ちも考えろよ」

?「あ………悪いな」

?「ゴメンよ男」

男「……ああ、うん」



男「(頭痛い……帰りてえ)」

男「(保健室……行くか…)」

男「(……幼馴染ぃ)」


?「あれ男、どっか行くのか?」

男「ああ…保健室行ってくる」

?「大丈夫か」

?「ショックなんだろうな」

?「目、少し赤かったな……」


―保健室―


男「しつれいしま…先生いねえや」

男「はぁ……横になろう」


スッ…


男「はーあ……」

ドスッ

?「イッテェ!!?」

男「あ?」

?「何だよお前!人が寝てるってのに!」

男「あ…ごめん」

?「……何だよお前?泣いてるのか」



男「は?泣いてなんか……」

?「いやいや、どう見ても泣いてるだろ?目赤いし、跡もあるぞ?」

男「…………」

?「何だよ?なんか有ったのか」

男「いや……何でもない」

?「泣いてるのに何でもない訳無いだろ」

男「何でも……ない」

?「……チッ」



?「お前、名前何だよ?」

男「えっ?……男」

a「男か。俺はaって言うんだ」

男「あ、ああ」

a「あのな男。お前が泣いてる理由は知らねえけど、泣くのは我慢するなよ」

男「我慢?」

a「泣きたい時は泣きまくるんだよ!周りの目なんか気にするな」

男「……いや、泣くって………」

a「良いからさ!大声出して泣きまくるんだよ!」



男「お前……変な奴だな」

a「ああ?変な奴はお前だろ?」

男「いや……どうだろ」

a「………それで、何が有ったんだよ」

男「………死んだ」

a「…?」

男「幼馴染が死んだんだ」

a「………そうか」

男「悪いな…」



a「………軽い気持ちで聞いた…スマン」

男「……いや、良いんだ……事実は受け止めないと」

a「そのさ、大変だと思うけど…頑張れよ」

男「ああ…」

a「…男?」

男「ん?」

a「今初めて有った俺が言うの何だけどさ、自殺とかするなよ」

男「………わかった」


ガラガラ

保健医「あら、どうしたの?」

a「俺サボりでーす」

男「……」

保険医「a君、いつまでもサボれる訳じゃ無いのよ?」

a「だって今日6時間しか寝てねーもん。眠たいんですけど」

保険医「6時間も寝たら十分でしょ!!……ところで、そちらの子は?」

男「あ…頭が痛くて、早退したいです」

保険医「あらあら、家の人は?」

男「(幼馴染の家に行ってるだろうな……)今はいません」



保険医「………わかったわ。それじゃあこの紙にクラスと名前を書いて」

男「……はい」

a「………」

保険医「……」


男「どうぞ」

保険医「はい、それじゃあ身体に気をつけてね」

男「……ありがとう…ございました」

……………


保険医「a君?あの子どうしたの?」

a「幼馴染が死んだって言ってました」

保険医「……昨日事故に遭った幼馴染ちゃんの事?」

a「たぶん……」


―通学路・帰宅―


なんでアイツなんだよ

なんでアイツが死んだんだよ

幼馴染……

なんで…


急すぎだろ馬鹿

幼馴染の馬鹿


わけわからねえよ

もう一度会いたいよ

……幼馴染!


………………………………………幼馴染ぃ……


―男宅―

男「(母さんは幼馴染の家か……)」

男「(親父は仕事だよな)」

男「(はぁ………なんだってんだよ、いきなり…)」

男「いきなりだぞ?いきなり……幼馴染が死んだなんて」

?「びっくりだよね~」


……!?

男「お、幼馴染!?」

幼馴染「男!早退なんて不良だよ!?」



男「幼馴染なのか?」

幼馴染「うん!私だよ?」

男「だってお前は死んだって聞いて……先生だって今朝……」

幼馴染「あーそれは正解。昨日事故に遭っちゃった」

男「そんな……じゃあなんで…」

幼馴染「んーっと………幽霊?」

男「幽霊って……」

幼馴染「だって気付いたらこうなってたんだもん!私だってわけわかんないよー」



男「夢じゃ……無いよな?」

幼馴染「うん!夢じゃ無いよ」

男「………ふん!」バキッ

幼馴染「え!?なんで自分の顔殴ったの!?」

男「痛い……夢じゃ無いな!!」

幼馴染「だから最初から言ってるでしょ」

男「だって……信じられないだろお前!幽霊って」

幼馴染「むぅ~馬鹿にするの?」

男「いやいや、だって……」



男「………そうだ!」バンッ

幼馴染「なに!?」ビクッ

男「お前……事故に遭ったって聞いたけど、どうしたんだよ!?」

幼馴染「どうしたって…………そのぉ…」

男「お前殺した奴!絶対捕まえてやるからさ!言ってくれよ」

幼馴染「えーっと……それはしなくていい」

男「はあ!?なんでだよ!?お前殺されたんだぞ!?」
幼馴染「違う!」

男「!?」ビクッ



幼馴染「私が死んだのは事故だよ男」

男「ど、どういうことだよ」

幼馴染「だって……」

男「だって?」

幼馴染「あー恥ずかしくて言えない!なんかカッコつけすぎだもん私……」

男「良いから言えよ!」

幼馴染「………小学生ぐらいの男の子庇って…バイクにドンだからさ…」

男「……え?」

幼馴染「だからさ!子供を庇って死んだの!」



幼馴染「それに、バイクにぶつかったのは軽くだったし……その…打ち所が悪かった、みたいな?」

男「バ、バイクの運転手は!?そいつは事故の時どうしたんだよ!」

幼馴染「ちゃんと一番に119番してくれたよ?それに、新婚さんらしいから…慰謝料とか払ってほしくないの」

男「………そうか」

幼馴染「…うん」

男「…お前……優しいもんな」

幼馴染「…ごめんね男」

男「いや…なんかお前らしくて逆に安心したかも」



幼馴染「死んじゃってるから安心も何も無いけどね」

男「………あ、うん……そんなんだよな…」

幼馴染「でもさ。死んじゃっても男と話せて嬉しいかな?」

男「…………」

幼馴染「男に復讐とかしてもらいたくなかったし」

男「…………」

幼馴染「それでね、男?」

男「…なんだよ」

幼馴染「お願い…聞いてくれるかな?」

男「ああ!何でも良いぞ」




幼馴染「あのね」

男「ああ」

幼馴染「私の部屋を片付けて欲しいの」

男「……………?」

幼馴染「男にしか出来ないんだ。お願いします!」

男「……良いのか?」

幼馴染「うん!」


―幼馴染宅―

男「お邪魔します…」

?「あら、男君」

男「おばさん…この度は…」
幼馴染母「良いのよ、仕方ないことだから…それで、どうかしたの?」

男「お、幼馴染の部屋に入りたいんですけど」

幼馴染母「………いいわよ、入って」

男「失礼します…」



―幼馴染部屋―

幼馴染母「それじゃあ、私は下にいるから……」

男「ありがとうございます」


幼馴染「………」

男「おばさん…ずいぶんとやつれてたな」

幼馴染「お母さんとの最後の会話……ちょっとだけ揉めてたからかな」

男「揉めてた?」

幼馴染「なんてこと無いよ、ただお母さんが私のアイスを食べたってだけだから」

男「それでも、娘との最後の会話が揉めたのはショックなんだろうな」

幼馴染「………お母さんとも話したいな…」

男「……」



幼馴染「さあ!さっさと片付けちゃうよ男!」

男「…ああ(幼馴染、強いな)」

幼馴染「それじゃあ、まずは机の引き出しからお願いします!」

男「りょーかい」

ガラッ

男「………………」

幼馴染「どうしたの男?」

男「………お前が俺に頼んだ理由が何となくわかったぜ」

幼馴染「……///」

男「家族にこれは見せられねえもんな」



男「で、この大量のオリジナル本(仮)はどうすれば良いんだ?」

幼馴染「燃やして捨てる」

男「了解」

幼馴染「次はね、本棚の裏だよ」

男「…わかった」

ゴソゴソ

男「…これで全部か?」

幼馴染「7、8、9。うん、そこのはそれで全部」

男「言っておくが、これをブックオフに持っていく勇気は無いぞ」

幼馴染「わかってるよ、bl本だもんね///」

男「……(いいかお前ら、女の子って言うのはこれが常識だぜ)」



男「…後はどこだ?」

幼馴染「クロゼットと壁の間」

ゴソゴソ

男「……この紙袋の中から出す前に聞いておく、見ていいか」

幼馴染「一般男性の閲覧は……やめた方がいいかな?」

男「………わかった」


幼馴染「あー!でも!最後に見ておきたいかも!」

男「…………はぁ?」

幼馴染「だってだってだって!わざわざ始発に乗って買いに行ったんだよ!東京まで!」

男「正確な場所を言いなさい幼馴染」

幼馴染「うぐ……秋葉原まで…//」

男「(bl本同人誌確定……)」


幼馴染「♪~♪~♪~」

男「……読み終わったか?」

幼馴染「もう少し~」

男「(楽しそうに同人誌読んでるアイツ見てると…実感ねえな…)」

幼馴染「hshs」

男「おーい…まだかー」

幼馴染「まだだよまだだよー」ジュルジュル

男「(………ぶっちゃけ、こんな姿の幼馴染見たく無かった)」

幼馴染「~oh……」

男「……………まだか?」



男「……やっと読み終わったか」ゲッソリ

幼馴染「うん!」ツヤツヤ

男「……はぁ」

ガチャ


幼馴染母「あら男君?もう用は終わったの?」

男「あ、はい…えっと、貸してた物を取りに来てただけなので…」

幼馴染母「そう………迷惑をかけるわね…」

男「そんなことありません。それでは……失礼します」

幼馴染母「……またね」

男「?…そうですね、お葬式でもう一度……」



男「おい、良いのか」小声

幼馴染「……何が?」

男「おばさんになんか一言さ」小声

幼馴染「……うん」

男「わかった………おばさん!」

幼馴染母「なにかしら男君?」

男「幼馴染との最後の会話…アイスでの喧嘩らしいですけど、あいつは貴女の娘として17年間生きて、たくさんの愛情を注いでもらったんです。だから…」

幼馴染「ちょっと!?」

男「最後が喧嘩だったとしても、あいつは…幼馴染は貴女の娘で幸せだったと思います!!」

幼馴染母「…うん…ありがとう男君…ありがとう……ありがとう…」


―外・幼馴染宅の前―

男「迷惑…だったか?」

幼馴染「ううん…ありがとう」

男「その…さ、お前はどう思ってるか知らないけどさ……置いて行かれた方は出来ることなら死んだ人と話したいものなんだよ」

幼馴染「男も?」

男「あ、当たり前だろ!?」

幼馴染「ふーん…そういうものなのかな?
私としては今の状況はなんかクリア後のおまけステージって感じだから…」

男「…なんか達観してるな、ドジ踏んでたお前じゃないみたいだ」

幼馴染「そりゃあ死んじゃってるんだし、人生観変わるよ」

男「なるほど…」



幼馴染「……ねえ男?」

男「なんだ?」

幼馴染「もう少しだけ付き合ってもらっていい?」

男「良いけど?」

幼馴染「事故のバイクの人に、言いたい事があるの」

男「…………………………………………………わかった」

幼馴染「ごめんね、辛かったらやめても良いんだよ」

男「お前の願いを断れる訳無いだろ」

幼馴染「ありがと!」

男「それじゃ、その人のところに行くぞ」

幼馴染「うん!」


男「バイクの人、新婚なんだっけ?」

幼馴染「うん」

男「……なあ幼馴染」

幼馴染「うん?」

男「…………やっぱり……良いや」

幼馴染「ふーん。変な男」

男「気にするな気にするな!」

幼馴染「(なんか、無理してる?)」



男「それよりさあ」

幼馴染「なーに?」

男「本当にこの道であってるのか?」

幼馴染「あってるよー」

男「お前、自分が昔しょっちゅう迷子だったの覚えてるか?」

幼馴染「むむ……で、でもそれは昔の話でしょ!!」

男「………去年の遊園地」

幼馴染「へ?ああ、男の家族と私の家族で一緒に行ったやつだね」

男「おい、マジで覚えてないのか?」

幼馴染「………??」



男「まあ良いよ。今回はお前を信じよう」

幼馴染「そうそう!そういう素直な気持ちが大切だよ男」

男「そうか?」

幼馴染「そうだよ」

男「………それで、次は右か真っ直ぐかどっちだ?」

幼馴染「真っ直ぐだよ」

男「了解っ」

幼馴染「…ねぇ男」

男「なんだ?」

幼馴染「お腹すいた」

男「…………はあ!?」


―コンビニ―

男「なんで幽霊になって腹が減るんだよ」

幼馴染「うーん…わかんない」

男「そう言うと思った。で、何が欲しい?」

幼馴染「うんとねー…アレととアレとアレとソレ」

男「ふざけるな一個に絞れ」

幼馴染「えーー」

男「えーー。じゃないだろうが、金払うのは俺なんだぞ」

幼馴染「…えーっと……それじゃあシュークリーム」

男「はいよ」



幼馴染「~~~」ムシャムシャ

男「美味いか?」

幼馴染「うんっ!」モグモグ

男「……美味いか?」

幼馴染「うんっ!」モグモグ

男「一口くれ」

幼馴染「いや」モグモグ

男「………」

幼馴染「………」モグモグ

男「………」

幼馴染「…はい」

男「お、おお」



男「美味いな」モグモグ

幼馴染「でしょー?」

男「まあ、金を払ったのは俺だがな」

幼馴染「気にしない気にしなーい」

男「少しは気にしろ」

幼馴染「はーい!」

男「それじゃ、その相手の家に行くか」

幼馴染「そうだねー」


男「ここがその人の家か?」

幼馴染「うん」

男「それじゃ、インターホン押すぞ」

幼馴染「うん…」


…ピンポーン


男「(そういえば、なんて説明したら良いんだろ?)」


女性の声「はーい、どちら様ですか」

男「お、男と言います!旦那さんに会いに来ました」

女性の声「……少々お待ち下さい」

幼馴染「………」



青年「はい、何のご用でしょうか?」

男「(上下共に黒服…喪服か?)…あの俺、幼馴染の友達です」

青年「あ…ああ、そうか…申し訳ない…私の、、、不注意で彼女は………」

男「いえいえ、アイツは後悔なんかしてません!」

青年「たとえ、そうだとしても……彼女を殺したのは私だ。それは絶対に償わなければ…ならない!」

幼馴染「そんなことしてほしくない!」

男「!!」

幼馴染「確かに、人を死なせてしまったなら償いは必要です。でも、私は貴方から幸せを奪いたくない…!」

青年「正直…妻とも離婚を考えているんだよ………このままじゃあ、彼女を巻き込んでしまう」

男「…ふざけるな!」



青年「ふざけてなんかないさ!だって……人を殺したんだぞ!!!」

男「あんたは…あんたは幼馴染の事をどれだけ知ってる!?」

青年「えっ…?」

男「アイツは!!ガキの頃から悪戯好きで…寝てる俺の顔に平気で落書きをするような奴だ!」

男「アイツは!!!雨の中傘もせずに走り回って…次の日に案の定、風邪を引くような奴だ!」

男「中学に入って大人しくなったと思ったら……部活の先輩と喧嘩で勝つような奴だ!」

男「修学旅行の時はたまたま見つけた万引き犯を捕まえて警察署から賞状を貰うような奴だ!!」

男「アイツの事なら何だって知ってる…その俺が保証するんだ!!」

男「アイツはあんたが不幸になるような事は望んでいない!!!」



青年「それじゃあ…僕はどうしたら良いのさ!?彼女を殺した罪はどうしたら良いのさ!!!」

幼馴染「あれは…」

男「それは罪じゃない!!過ち!間違いだ」

幼馴染「…男、、、、」

青年「過ち…?間違い…?」

男「そうだ!!」

青年「でも……俺の乗ったバイクに……人を跳ねた感触が……………残ってるんだよおおおお!!!!!」

男「…っ!?」





幼馴染「痛く…無かったよ」



男「幼馴染!?」

幼馴染「男、代弁よろしく。…私はあの時、少しの恐怖もありませんでした。ただ、ビックリしただけ。それに…怪我も少なかったのに打ち所が悪かっただけなんです。私の運が悪かったから貴方を苦しませる。貴方は精一杯頑張ってました!!だって、すぐに救急車を呼んでくれた!倒れた私に駆け付けてくれた。私の事を気遣ってくれた…だから!私は貴方に不幸になってほしく無い」


男「………青年さん。アイツはきっと――――」



青年「う……ううう……私は……そんな…うう…うう…」

幼馴染「……もう!!許すって言ってんじゃん!!!!なんで泣くのよ!!」

男「…おい」

男「…コホン。青年さん?」

青年「は、はい…」

男「ひとつお願いがあります」

青年「な、なんで…しょうか」

男「命日じゃなくても良い。暇な時で良いので、アイツのお墓に行ってあげて下さい。それだけで…十分です」

青年「は、はい…もちろんです……必ず…10年後も20年後も…必ず行きます」

男「それから、せっかく結婚したんですから。その幸せを手放さないで下さい。アイツも、アイツの家族も貴方を不幸にしようなんて思っていませんから」

幼馴染「そうですよ!!絶対に離婚なんか許しませんよ!!」


―――――――


男「それでは…失礼します」

青年「はい……」


男「………」スタスタ

幼馴染「…男、ちょっと目赤いよ?」

男「…………知ってる」

幼馴染「………ん。わかった」

男「……ちょっとカッコつけ過ぎたかな」

幼馴染「…カッコつけ過ぎでも、さっきの男、すっごくかっこよかったよ!!」

男「………ありがと」

幼馴染「あれ?普段だったらここで『バーカ…//』ってなるのに」

男「ふん!……素直になっただけだよ」



男「これで、お前は消えるのか?」

幼馴染「………うん。たぶん」

男「たぶん?自分でもわからないのか?」

幼馴染「だって……初めて経験することだし……」

男「まあ。ふつうそうだよな」

幼馴染「もう、夕方だね」

男「そうだな……」

幼馴染「お葬式、明日だっけ?」

男「どうだろうな」

幼馴染「なんか、自分の法事を気にするって変な感じ…」

男「(朝、学校でこいつがいないことを実感して泣いてたのが嘘みたいだな)」

幼馴染「はーぁ、もっといろいろしたかったな~」


男「おいおい、まだ心残りがあるのか?」

幼馴染「そりゃあるよ~花の女子高生だよ~」

男「腐ってるけどな」ボソ

幼馴染「うっ……………」

男「まあでも、気になる人には言えたんだし、よかったんじゃないか?」

幼馴染「そうだね。青年さんは幸せになれそうだし」

男「そうだな」

幼馴染「離婚の原因なんてさ、最悪だと思わない?」

男「そうだな」

幼馴染「同人誌も消去できたし、問題ないよね~」

男「そうだな」

幼馴染「男?」

男「そうだな」

幼馴染「オートーコー!!」

男「ん!!どうした!?」


幼馴染「どうしたじゃないよ!ボーとしてさ!!」

男「いや…………ごめん」

幼馴染「まったく……………そんなんじゃ最後の心残りが消化できないじゃん!!」

男「まだ、なにかあるのか?」

幼馴染「うん。とっても大事なことだよ」

男「だいじなこと?」

幼馴染「そう」

男「なんだそれは?」

幼馴染「想い出の場所に行きたいの」

男「ああ、あそこか」

幼馴染「うん、最後にはちょうどいいでしょ?」

男「ああ、そうだな」


-とある神社-


男「懐かしいな………」

幼馴染「そーでしょ?」

男「よく花火とかここでやったよな」

幼馴染「そうそう!線香花火で勝負したりとかね」

男「冬には雪合戦もしたな」

幼馴染「かまくら作ったけど小さくて入れなかったりね」

男「そうだな…………………」

幼馴染「…男?」

男「もう……できないんだよな…」

幼馴染「あっ…………ごめん男、私すごい無責任だった…」

男「いや、良いんだ。割り切るさ…」

幼馴染「…………」



男「はぁ…やっぱりきついな」

幼馴染「え?」

男「そりゃあさ、別れの挨拶も出来ずに死なれるのもきついけどさ
こうやって、普通に話してても二度と会えないってのもきついよ」

幼馴染「でも!私は男と今日一日話せて良かったよ!!」

男「そんなの俺だってそうだよ!でもさ、別れが決まってるってのはさ…」

幼馴染「……ねぇ男?」

男「なんだ」

幼馴染「一つ、聞いて良い?」

男「なんだ?」

幼馴染「男は…私のこと……好き?」


男「……あぁ、好きだ。大好きだ」

幼馴染「ふーーん…でも、私はべつにそうじゃないかなー」

男「え?」

幼馴染「そりゃあ、男は私の幼なじみだけどさ、とくに好きってわけじゃなかったよー」

男「…」

幼馴染「あれ?どうしたの男?もしかしてショックだった…?」

男「…目に涙溜めて、そんなこと言うなよ……馬鹿…」


幼馴染「な、泣いてないし!これは汗だし!!」

男「目が真っ赤なんだよ…馬鹿…」

幼馴染「っ………………」

男「なあ、幼馴染?」

幼馴染「な…に?」

男「心配しなくてもさ、俺もちゃんと幸せ掴むぜ」

幼馴染「………うん」

男「でもさ、俺もお前に心残りがあるんだ」

幼馴染「…私も、まだある」

男「…なんだ?」

幼馴染「たぶんだけど、男と一緒だと思う」

男「そうか……だったらなんか恥ずかしいな」

幼馴染「いまさらでしょ!」

男「お、涙も引いたか?」

幼馴染「アレは汗です~」



男「それじゃあ……さ…」

幼馴染「…うん」

男「大好きだよ、幼馴染」

幼馴染「…私もだよ、男」


----------------


男「想像よりやわらかかった…」

幼馴染「一言目の感想がソレ!?」

男「うるせえな!キスするの初めてだったんだよ!」

幼馴染「…ふーん」

男「なんだよ!!なんだよその目は!」

幼馴染「小学校のこと覚えてないんだ~」

男「は?」


幼馴染「1年のときかな?たしか夏休みに海に行ったときにさ…」

男「ああああ!!!おまっ!!あれは事故だろ!?!?」

幼馴染「強引に私のファーストキスを奪っておいて……」

男「砂に足取られてこけた拍子に、だろ!?なんだよ強引にって!!」

幼馴染「ふふふ、やっぱり男はそういう表情の方が似合うよ」

男「なんだよそれ…シリアスは向かないってのか?」

幼馴染「慌てた顔の方が見てて楽しいって話」

男「ひでえヤツだな」

幼馴染「そのひでえヤツが好きなんでしょ?」

男「ああ……そうだよ」



幼馴染「あ~~なんかスッキリした~」スゥ…

男「…おい!お前、透けて…」

幼馴染「ん?ああ、やっぱりもう終わりか」スゥ…

男「(もう後ろの風景が見える…)なあ幼馴染!」

幼馴染「なに?」

男「俺、お前がいなくても大丈夫だからな!勉強とかめっちゃ頑張って、絶対に幸せになるからな!!」

幼馴染「うん。応援してるね」

男「だから………その……」

幼馴染「それじゃあね…」


幼馴染「男、さようなら!」



ああ、さようなら幼馴染。
たぶん、世界でたった一人だけの俺の好きな人。

生まれたときから一緒で…お前との15年間、絶対に忘れないから…
絶対に…


以上でおわりです。
長い間お付き合いありがとうございました。

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