部長「こっくりさん」(83)

放課後、教室

生徒「こっくりさんこっくりさん、今日はありがとうございました」

生徒友「こっくりさんこっくりさん、お帰り下さい」

ツ…

ススス…

生徒「あれ…?」

生徒友「ちょっと、これって…」


ピタ

『いいえ』

翌日放課後、オカルト研究部

部長(三年、女)「ふぅん。結局それからこっくりさんは帰ってくれないと」

生徒「はい…」

副部長(二年、男)「それでなんで君らオカルト研究部に来たのか聞きたいかも」

生徒「それは…」

生徒友「こういうのならオカ研の人が詳しいと思いまして」

部長「あはは、まあ確かにね」

生徒「私たち、大丈夫ですよね?呪われませんよね?」

部長「どうだろう。こっくりさんって性質の悪い霊だったりするから」

生徒「そんな!」

生徒友「何か、呪われないための対策とかないんですか?」

副部長「…それはこっくりさんをする前に探すべきだったんじゃないか?」

生徒「……」

生徒友「……」

部長「まあまあ。身近で変なことあったらまた言いに来てくれる?」

部長「一応対処は考えておくわ」

生徒友「ありがとうございます」ペコ

生徒「失礼します」ガラ

部長「……」

副部長「……」

部長「……」

副部長「部長、あれ多分ただの冷やかしですよ」

部長「そう?」

副部長「呪いなんてハナから信じなさそうなやつらですもん」

部長「ああ、キミはあの二人と同級生なんだよね。上履きの色同じだったから」

副部長「はい。今まで話したことはありませんが」

部長「そうなんだ――でもまぁ、例え冷やかしだとしても」

副部長「?」

部長「こっくりさんをやってしまったなら、またここに来るだろうね」

副部長「…こっくりさんってそんなヤバイんですか?」

部長「ヤバいってもんじゃないわ」

ガラッ

女子「こんにちはー」

部員「掃除で遅れましたー」

部員2「オレも同じくー」

副部長「みんなこれで集まったかも」

部長「ちょうどいいから、今日はこっくりさんについて語りましょう」

女子「はーい」

部員「松の木のアレ?」

部員2「それはマツボックリだ」

もしかして人面瘡の人?

?( ・ω・)っ④"

部長「じゃあまず、こっくりさんやったことある人ー」

副部長「いいえ」

女子「ないですね」

部員「そういえばない」

部員2「ないっすね」

副部長「皆ないんだ」

部長「なんでオカルト研究部入ったのか不思議なレベル」

副部長「先輩は?」

部長「ない」

女子「あんたもやってないんか!」

部長「てへぺろりん」

副部長「……」

部員「あれやり方がめんどくさいからやりたくない」

部員2「紙と十円玉と…なんか呼び寄せるおまじないとかね」

部員「興味はあるんだけど」

部長「ふんふん。一度は興味を持つわよね」

女子「ですね。面白そうだし…」

部長「じゃ、まずはこっくりさんの始まりから言っていきましょうか」

部長「テーブル・ターニングを和風にしたものがこっくりさんなんだって」

部員「タートルズ?」

部員2「忍者亀じゃねぇよ」

副部長「それって皆で机に手を乗せると、勝手に手が動くってやつですよね」

女子「なにそれこわい」

部長「そう。それが日本に入り、江戸時代に大流行したと言われるけど定かじゃないわね」

女子「江戸にもあったんですか?」

部長「今のとだいぶ違っていたみたいよ。棒をつかったりして」

女子「へぇ」

副部長「こっくりさんの先祖…みたいなものですか」

部長「うん。まあ何かが動いて答えを示すのは変わらないみたいね」

部員2「昔から人気なんですね」

部長「何度かアニメやらドラマやらになったからね。認知度は高いでしょ」

>>6
お久しぶりです

まったりやっていきます

集団ヒステリー引き起こすんじゃなかったっけ?

人面瘡の人か
期待

部長「その認知度のせいで一時期、大変なことになったんだけどね…」

部員「大変というと?」

部長「そのこっくりさんの“お告げ”を真に受けすぎたりした人がいるのよ」

部長「その結果、自殺者や精神が病む人が増えた。禁止する学校もあったとか」

副部長「……それって、集団ヒステリーというものですか?」

部長「そうね」

女子「あれ?待ってください。じゃあ、集団ヒステリーってことは」

部員「“こっくりさん”というものは」

部員2「存在」

女子「しない?」

部長「察しがいいね。そう、“こっくりさん”はいない」

女子「ええええー!オチがそれですか!?」

部員「つまらん」ブー

部長「だってあんなん、自分の無意識で動かしてるにすぎないじゃーん」

部員2「そうらしいですね」

副部長「無意識というと?」

部長「うん。その昔ある教師がね、生徒と実験したのよ」

部長「まず初めの質問はクラスの人気者、ケンタ君(仮)の好きな人は誰ですか?というもの」

副部長「なにそのケンタ君(仮)の公開処刑」

部長「ある意味ひどい実験よね……」

女子「それから?」

部長「グループごとにこっくりさんを呼び、その質問をしたの」

部長「結果はみんな『あいちゃん(仮)』だった」

部員2「あいちゃん(仮)は犠牲になったのだ……」

部長「でもそれはクラス公認のことだったんだって」

副部長「ケンタ君(仮)があいちゃん(仮)を好きだと?」

部長「そういうこと。だから教師は懲りずに第二の実験をした」

女子「いたずらに公開処刑しただけか先生……」

部長「次の質問は――『今思いついた一文字を教えてください』」

部員「人妻?」

部員2「お前耳おかしいんじゃね?」

副部長「どうだったんですか?」

部長「グループごとにてんでバラバラな答えが出たの」

部長「さっきまで一致していたのに、今度は全くバラけた答えになった」

女子「?」

副部長「まあつまり、その十円玉に触れている人の思考がそのまんま出たってことかも」

女子「??」

副部長「ケンタ君とあいちゃんたち(仮)は周知の事実。みんな知っていることだ」

副部長「けど、思いついた一文字なんてよほどの偶然がなければ一致しない…ですよね?」

部長「さすが副部長。二年があなたしかいないからだけど」

副部長「褒められてないような気がするかも…」

女子「気のせいです気のせい」

部長「だから“こっくりさん”は“その人の思考を表に出したもの”」

部員2「ふむふむ」

部長「そういう風に教師は考えたわけよ」

部員「十円玉が動かないと言うことがあるみたいですが、それは?」

部長「二人の考えが一致しなかった、それだけだと思うわ」

部員「部長、夢無いなー……」

部長「ごめんごめん。でも、今の話は忘れないで」

部長「『こっくりさんは自分の無意識』って」

女子「はーい」

部員2「でもなんでいきなりこっくりさんの話を?」

部長「ん?ああ、これから関わる羽目になりそうだからね」

副部長「……」

キーンコーンカーン

部員「あ、チャイムなりましたね」

部長「じゃあお開きね。また明日」

帰宅途中

副部長「先輩、少し話が」

部長「うん、私もあるの。歩きながら話しましょうか」

副部長「はい」



女子「……」

女子友「ご、ごめんね。先生との、は、話が長引いちゃって…」

女子「……」ボンヤリ

女子友「どうしたの?」

女子「大丈夫大丈夫!帰ろ!」

女子友「? う、うん…」

副部長「……」

部長「レディを誘っといて黙りなんて失礼ね」

副部長「…そんなに危険なんですか?」

部長「なにが?」

副部長「しらばっくれないでください。あの二人が持ち込んできたことですよ」

部長「こっくりさんね。うん、だからあんな話をしたのよ」

副部長「こっくりさんはいないと?」

部長「そう。じゃなかったらパニック…それこそ集団ヒステリーが起きる」

副部長「そんな危険なものを、部員たちにやらせるんですか」

部長「…最悪の場合ね。なんとか私が処理するけど」

副部長「先輩、これだけははっきりさせてください。こっくりさんは――」

部長「存在する」

副部長「……」

部長「そもそも、こっくりさんの正体は低級霊よ。それは分かる?」

副部長「はい。曲がりなりにもオカ研ですし」

部長「よろしい」

来たね来たねこの展開♪

( ^ω^)っ④"

部長「あのね…低級霊がわんさか集まってたの。あの二人に」

副部長「はい?」

部長「もう一度接触したとき、今度は何割か私たちに移ると思うわ」

副部長「ええっ!?」

部長「繰り返すけど、だからあんな話をしたのよ」

部長「低級霊は心の隙間に侵入して惑わす」

部長「自分の無意識に気を付けていれば、恐らく大丈夫だろうけど…」

副部長「けど?」

部長「みんな、思春期だからねぇ。心が弱くなるときもあるはず」

部長「低級霊が可愛い部員たちに憑く可能性もあるっちゃあるのよ」

副部長「ど、どうするんですか?」

部員「…まずは様子見かな。自力でなんとかできるならいいんだけど」

副部長「俺につく可能性も?」

部員「もちのロン」

副部長「うわああああああ」

部長「そんなものいないと信じ込めばいいのよ」

副部長「今すごい真剣な顔で『存在する』とか言ったじゃないですかー!」

部長「てへらん♪」

副部長「はぁ…部長はどうなんですか?」

部長「私?」

副部長「いくら霊が見えるとはいえ、憑かれないなんてことはないでしょう?」

部長「そーだね。私は…ほら、家が家だからめったには憑かれないかな」

副部長「確かに、俺も好んで憑きたくはないですね…」

部長「でしょ?」

続く
説明ながいな

こっくりさんを細かく理解してもらう為だ、仕方あるまい

( ・ω・)っ④"

手が動く→テーブルが動く

部員たちにやらせる→部員たちに関わらせる


分かりにくかったので補完お願いします

部長の家

部長「ただいま」

部長母「おかえり。ご飯できてるわよ」

部長「うん。…お父さんは?」

部長母「用事あるとかで遅いと思う」

部長「そっか…うん、よかった」ボソ

部長母「ん?なんかお父さんに用事あった?」

部長「なんでもなーい、着替えてくる」

パタン

部長「……は、ぁ…頭が重い…雑念すごいわ…」

部長「あーもー、やんなっちゃう」

部長「昔から幽霊とか見えちゃう体質だし、こうなるのは分かってたけど…」

部長「お父さんに見つかったら丸一日お祓いされるだろうなぁ…」

部長「今危ないんだからそうしている暇なんてないのに…」

部長「つまるところ……憑かれたっぽいわ、チクショウ」

部長「ククク…笑えるな低級霊、余に憑きまとうとは」

部長(……つまらん)

部長(しかしまぁ…これは…これ以上憑かれたら動けなくなりそうね…)

部長「………」

部長(あの子たち、あれでこっくりさんやめていればいいんだけど)

部長(取り返しのつかなくなるまえに……)

翌日放課後、オカルト研究部

女子「こんにちは」ガラ

副部長「やあ」

女子「あれ、部長は?」

副部長「奨学金説明会で遅れるって。ほら、あの人今年受験だし」

女子「あー。もう六月ですしね、そろそろ三年生も忙しいでしょう」

副部長「そう考えると三年生になりたくないとか思っちゃうかも」

女子「あはは。…ところで先輩」

副部長「なんだい?」

女子「ぶ、部長とは、どういう―――」


部員「よっばれってとっびでってあっくびちゃーん!」バァン


副部長「」ビクッ

女子「」ビクッ

部員2「すいません、バカが」

副部長「ごめん、もう一度」

女子「いや、なんでもないです。気にしないでください」

副部長「? うん」

部員「部長まだ来てないんだ」

女子「遅れるんだって」

部員2「ちょっと宿題しよう」ゴソゴソ

副部長(……)

副部長(これ……ありのまま言った方がいいのかな)

副部長(こいつらが集団ヒステリーを起こすなんて思えないし)

副部長(よし、先輩には悪いけど言おう)

副部長「なあ―――」

ガラッ

部長「あっちょんぷりけーえェェェェェェ!!」ドテッ

バッサァァァァ

女子「ぎゃあ!?」

部員「ペロッ、これは……塩!」

部員2「やみくもに舐めてんじゃねーよ」

副部長「荒塩…?どうしてこんなものが」

部長「お弁当のゆで卵についてたやつが溢れた」テヘペロ

女子「ゆで卵に荒塩!?いやそれは個人の好みだからいいですけど!」

副部長「俺はマヨネーズ派」

部員「アジシオ派です」

女子「なんでこんなに大量の塩を使うんですか!?もはやゆで卵がトッピングになるレベルですよ!」

部長「入れすぎた☆」

部員2「入れすぎたで済まされない量ですが」

部員「だいたい一袋分?」

女子「相変わらず部長の考えが分からないなあ…」

副部長「分かったら神」

部員「悪質天然ドジっ子ですね」

部長「うわぁみんなひどいよ!」

部長「荒塩なめんな!いい?スゴいんだよ、荒塩!」

副部長「はあ」

部長「硝石と荒塩とコショウを粉末にしたものに罪人の手首を漬けて15日間そして乾燥後に指の間にろうそくを立てれば泥棒の味方栄光の手が出来るんだから!」

女子「材料集めが困難すぎてなんとも…」

部員2「栄光の手?」

部員「ろうそくがついてる間は透明になるとか、家人が目を覚まさないとか。そういうのだったはず」

女子「荒塩あんまり関係ない気が」

副部長「とにかく掃除しないと」

部長「おっと、その前にお客さんが来たから対応しないとね」

部長「お客さん?」

ガラリ

生徒「……」

部長「いらっしゃい。――その顔は何かあったのね」

生徒「…生徒友が階段から落ちて捻挫しました」

部長「それは…お大事に。それで?」

生徒「やっぱりこれはこっくりさんの呪いなんです!私たちは呪われたんです!」

女子「え?」

部員「ほ?」

部員2「……」

部長「詳しくは後でね」

部長「で?それを呪いだと思ったのはどうして?」

生徒「……こっくりさんが帰ってくれないから」

部長「思い込みだったらどうする?」

生徒「思い込み?」

部長「あなたたちは『呪われた』と思い込んでいるみたいだけど、実際にはただの偶然かもしれないわよ」

生徒「偶然なんかじゃありません!じゃあ偶然って言える根拠は――」

部長「ないわ。でも同時に、呪いといえる根拠もない」

生徒「…っ」

ああ眠気が
また明日

( ^ω^)っ④"

部長「プラシーボ効果みたいなものよ。“怪我をする”と思うから怪我をする」

副部長(プラシーボってなんだっけ)

部長「心配なようだからお守りを貸してあげる。強いわよ、それ」

生徒「こんなので…」

部長「“呪われる”と同じぐらい“効く”と思いなさい。いいわね?」

生徒「…は、はい…」

部長「あとはそうね…身体をしっかり清めて、塩を近くにおきなさい」ボソ

生徒「塩?」

部長「呪われたくないなら、ね」

生徒「……はい。失礼しました」ガララピシャ

女子「なんですか、あの人。こっくりさん?」

部長「あれが信じこみすぎた結果よ。ヒステリー起こしかけてるでしょ」

副部長「ヒドス」

部員「ラドス」

部員2「誰だよ」

女子「へぇ…あそこまで取り乱すものですか」

部長「面白半分でやっていればああなるわ。楽しいばっかり追いかけていればひどい目にあう」

女子「大丈夫なんですかね」

部長「大丈夫よ、あのお守りさえあれば」

女子「あ、そんなことより塩片付けなくちゃ!」チリトリチリトリ

部長(よし…塩撒いたおかげでみんなには取りついてないな)

部長(所詮低級霊。こんなに塩があれば入れないわよ)フフン

部長(…私はすごい倦怠感があるけど)

部長(憑かれやすいのも考えものねぇ…あのお守り手放したから、尚更か)

部長(早めに解決しなきゃ)

部長(彼女たちのために、部員のために、私自身のために)

部員2「ぶちょー、袋お願いします」

部長「へいへい」

副部長(……先輩)

(`・ω・´)つ④

生徒友の家

生徒「どう?具合」

生徒友「足がちょっと痛んだけど、今はもう問題はないよ」

生徒「そっか。…コレ」スッ

生徒友「なにこれ。お守り?」

生徒「オカ研の人が貸すって。これがあればなんとかなるって」

生徒友「本当かなぁ」

生徒「分かんない」

生徒友「……」

生徒「……」

生徒「ねえ」

生徒友「うん」

生徒「もっかい、こっくりさんに帰って貰えるように説得しない?」

生徒友「うん…うちも考えてた」

生徒「今やる?」

生徒友「そうしよう」

生徒「あの時の紙、残してたんだ」ガサガサ

生徒友「じゃあ、十円玉に触れて……」

生徒・生徒友「こっくりさんこっくりさん――」

「こっくりさん、お帰り下さい」

『いいえ』

「帰っていただくためには何をすればいいですか?」

『したがえ』

「従う…?指示にですか?」

『はい』

「その指示を教えてください。きっとやりますから」

『――

翌朝、学校

女子「あ、部長!おはようございます」フリフリ

部長「おはよう。元気だね」

女子「先輩は逆に顔色悪いですよ?」

部長「ん、そお?あはは寝不足かな」

女子「…なにかあったんですか」

部長「なんにもないよ。これといってね」

女子「まあ、それならいいんですが」

部長「ありがとね」

女子「いえ。じゃあまた放課後に」

部長「うん」

部長(あっぶねーあっぶねー)

部長(あの子、結構鋭いから気を付けなきゃ)

部長(というか、正直――)キョロキョロ

部長(低級霊溜まってきていない?大丈夫なのこの学校)

部長(こっくりさん終わったらこっちもなんとかしなくちゃ駄目かなぁ)

部長(お兄ちゃん得意なんだよなー、お祓いなら)

部長(でも旅してるし…連絡つかないし…使えない)ハァ

放課後、オカルト研究部

副部長「…なんなんですかね、これ」

部長「…いじめじゃないかしら?」

副部長「部室の前に人形が五つ落ちていて、全てに釘が刺さっている」

副部長「状況説明するとこんなもんですか」

部長「そうね。あとは、有り合わせのもので慌てて作った感がすごいわ」

副部長「なんだってこんなことを…」

部長「またサイエンス部の嫌がらせかしら。…にしてはオカチックね」

副部長「あの人たちはせいぜい酢酸カーミンを部室にぶちまける程度ですしね」

部長「しばらくくさかったわね、あれ」

副部長「はい」

部長「とりあえず拾いましょう。あの子達には見せない方がいいから」

副部長「…なんでですか?」

部長「気分悪いでしょ。それと、これも思い込みの一種なのよ」

副部長「はぁ」

部長「藁人形はね、釘を刺した――つまり、明確に呪ったと思わせて効果を発揮するの」

副部長「明確に?」

部長「そ。呪いたい相手に見せないと意味がないのよ」

副部長「そうなんですか?」

部長「自分は呪われた、と思わせるためにね。あとは勝手に病んでくれるわ」

副部長「じゃあ、これも?」

部長「うん。あなたも私も、みんな、これを見なければ意味無し」

副部長「見ちゃったあああああ!」

部長「だからね……気にしないのよ……」

部長「保険として皆にはあえて見せないけど。ショック与えちゃいそうだし」

副部長「ショックがきました」

部長「そう良かったわね」

副部長「ひでぇ」

部長(しかし…ずいぶん必要に迫られて作ったようね)

副部長「先輩は俺が病んでもいいんですかー」

部長「良くないわよ。でもあなた精神極太じゃない」

副部長「冷たいなぁ…その通りではありますが」

部長「それにしてもいい釘使ってるわね」スポスポ

副部長「そこか」

部長「でも残念ながらオカ研に釘は不要なのよね…サッカーボールに突き刺して置きましょっか」

副部長「サッカー部を敵にまわすのはやめてください」

何やら大事になりそうな予感…

(;・ω・)っ④"

部長「さぁってと……っと」フラ

副部長「先輩!」ダキッ

部長「あ、あはは――寝不足かにゃーん」

副部長「…なにかおかしいですよ先輩。隠し事してるんじゃないですか?」

部長「隠し事、ねぇ。キミにはすでに私が霊を見えることは教えたはずだけど」

副部長「違います。こっくりさんのことでです」

部長「……」

副部長「先輩は言った以上にヤバイんじゃないですが、現状は」

部長「…だから賢い後輩は嫌いなのよ。素直に騙された方がいいのに」

副部長「最低ですね」

部長「最低でしょ。知っているわ」

副部長「……」

部長「…ねえ」ギュ

副部長「先輩っ!しっかりしてください」

部長「オカルトはね、知識さえあれば充分に対抗できるものなのよ」

副部長「…はい」

部長「まあちょっと今回は…無理しすぎたかな?」

副部長「あなた、何を……」

グサッ

副部長「ひとつの人形に、全ての釘を……!?」

部長「これ、いたずらとしたかったけど…教えちゃうわ」

部長「あ、さっき言ったことも本当なのよ。病ませるっていうの」

副部長「他には?」

部長「これ、大まかながらに人形それぞれに私たちの特徴があるの」

部長「私は長髪、キミはつり目って具合にね」

部長「……髪とか爪を入手されなくて本当に良かった」

副部長「何を言いたいんですか!?先輩、先輩!」

部長「案外こんなんでも呪いがかかるのね…驚いたわ」

副部長「呪い!?じゃあ、先輩は」

部長「気を付けなさい。私たちを呪いにかけようとする誰かがいるか…ら」

副部長「そんなやつが…」

部長「意図は不明だけども……下手すると死ぬわよ」

副部長「!」

女子「こん……えっ、何この状況」

副部長「女子、手伝ってくれ!部長を保健室までつれてく!」

女子「は、はい!」

部長「早く……解決しないと…だめ、だかんね…」ズルッ

副部長「先輩!」

女子「どうしたんですか先輩!先輩!」

保健室

保健「…倒れた原因は疲労、としか言えないけれど」

副部長「……」

女子「……」

保健「非科学的だけど、確かに彼女は何か見えないものに襲われた、といっていいのかな」

女子「それが、先輩のいっていたモノだとしたら…」

副部長「ああ…」

副部長(結局、先輩が倒れた理由と人形についてしか言えなかった)

副部長(ここまで呪いを背負ってきた部長に悪い気がして)

保健「これが今きになるんだけどね」ペロン

女子「なに制服をまくりあげてるんですか!?」

副部長「それはngです!」

保健「落ち着けや。ほら、腹の部分」

女子「……!」

副部長「腹に…痣が」

保健「見たこともない痣よ。殴られるにしても、こうまでクッキリとしない」


女子「丸い痣が五つ…」

副部長「五つの釘を先輩に見立てた人形に刺した位置と同じ、かも」

保健「しかも」ヨイセ

保健「背中にも、全く同じ位置に痣が」

女子「釘が貫通してるからこうなった…?」

保健「親を呼んだからもうじきくるだろうけど、どう説明したものかね」

女子「確かに…」

保健「こんなんじゃ、いじめを疑われるでしょうし」

副部長「これさえ見せれば大丈夫でしょう…」ス

女子「う、釘刺し人形…」

保健「ますますいじめを」

副部長「いえ。事情聞かせれば分かると思いますし、多分彼女見ても何が起きたか分かるかもです」

保健「どういう意味?」

副部長「実は、先輩の家は――」

教室

生徒「倒れたらしいよ、あの人。さっき聞いた」

生徒友「え…」

生徒「でもさ…」

『いいえ』

生徒「こっくりさん、全然帰ってくれないね…」

生徒友「そうだね…まだ、なにかやらないといけないんだね」

生徒「やらなきゃ。そうしないと、こっちが危ないから」

生徒友「うん、うちちが危ないもんね」

生徒・生徒友「こっくりさんこっくりさん――」

続く


  v また次回か…
./ ̄|♪   

[∥ |    (・ω・` )
.\_| _旦④と  |
__l_」__∥∥⊂⊂__ノ_



帰り道

女子(結局あのまま部活は解散)

女子(部長、大丈夫なのかな。意識なかったけど)

女子(あと、先輩はやっぱり部長のことが…)

女子「」モンモン

女子友「あ、あれ?女子ちゃん」

女子「おー。これから帰り?」

女子友「うん、と、図書室がそろそろ閉館だから」

女子「じゃあいっしょに帰ろう」

女子友「うん!」

女子「そういえばオカルトのほう、明るかったっけ」

女子友「ううん。じ、女子ちゃんのほうが詳しいかもしれないよ」

女子「そうかぁ」

女子友「も、もしよかったら、なんか調べるけど…」

女子「あーうー、そうだね、ちょっと頼みたい」

女子友「いいよ。なに?」

女子「のろ…」

女子(いや待てよ。このままじゃこの子まで巻き込みそう)

女子友「のろ?」

女子「の――ノロウイルスについて調べてほしいなーって、あははは」

女子友「お、オカルトなの?」

女子「あーうん、オカルトオカルト」

女子友「? まあ、調べておくよ」

女子「サンクス」

女子友「じゃあ私、こっちだから」

女子「バイバイ」

女子友「バイバイ」フリフリ

女子「……」

女子(…迂闊に巻き込むところだった……)ホゥ

男「女子?」

女子「ヒィ!?」ビビクゥ

男「…や、そんな驚くなよ」

女子「あ…友達が少ない男。久しぶり」

男「なんだよその説明」

女子「あ、あんたこそなんなのよ。別に気になってる訳じゃないけど!」

男「キャラおかしいぞ。なんか女子の様子が変だったから声かけただけだが」

女子「変?そうかなぁ」

男「その様子だと副部長にまだ想いを――ぐふぁ!!」ボグッ

女子「言うな」

男「ごめんなさい」

女子「だいたい男も女子友にアタック――いで」ベシ

男「言うな」

女子「ごめんなさい」

男「それ以外にもなんか悩みあるのか?」

女子「へ?」

男「思い悩んでるって感じだが」

女子「…別に。なんにもない」

男「幼なじみ舐めんな。分かるんだよ、長年付き合ってると」

女子「なんでもないってば」

男「じゃあそういうことにしておこう」

女子「…なにそれ」

男「頑固だからなお前。関係こじれる前に身を引いた方が得策だ」

女子「賢明なこって」

男「それじゃ」

女子「あ。待って、男」

男「あん?」

女子「もしお互いにだめだったらさ……恋人として付き合わない?」

男「はっ、馬鹿言うな。失敗するつもりなのかお前?」

女子「それは…でも…」

男「やることやってから考えてやるよ。縁起じゃないこと考えんな」ワシャワシャ

女子「うん…」

男「またな」

女子「うん、また」

学校付近

??「ここか。うん、ひどい」

??「低級霊がいっぱいコレクション状態じゃないか、この学校」

??「こいつぁ部長ちゃん一人じゃ対処できないだろ」

??「早めに相談してくれたら早めに終わらせてたのに」

??「まあ、彼女のせいではないな。うん」

??「さて、まずは部長ちゃん優先かな」

??「それにしても久々の再開が昏睡状態はキツいなー」

??「…ただでさえ霊を引き付ける身に呪いを一気に受けたからだろうけど」

??「せっかく作ってあげたお守りも無くしちゃったみたいだし」

??「起きたら色々聞かないとなぁ」

??「それにしても」

??「これ以上、人間関係とか愛情とか、面倒くさいものが絡まなければいいんだが」

??「低級霊の野郎はそういうの好きだからな―――」

続く

誰だ?( ゚д゚)?

なんか会話してるみたいだけど複数人居るのかな?

  v とりあえず次回か
./ ̄|♪   

[∥ |    (゚ω゚ )
.\_| _旦④と  |
__l_」__∥∥⊂⊂__ノ_



生徒「あれ、ねぇ」

生徒友「どうしたの?」

生徒「いまここでブツブツ独り言いってる人いなかった?」

生徒友「見てなかった。やだ、不審者かもしれない」

生徒「ね」

生徒友「早く帰ろ。それから、“準備”やらないと」

生徒「うん」


  v まだか…
./ ̄|♪   

[∥ |    (・ω・` )
.\_| _旦④と  |
__l_」__∥∥⊂⊂__ノ_



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