ワクワクさんが泣いた日 (11)


ゴロリ「ワクワクさーん! 何でそんな悲しい顔してるのー?」



オイルで汚れた手を止め、ワクワクさんは振り向いた。


ワクワク「ん? そうかな? そんな悲しそうな顔してるかな?」


ニッコリと微笑んで見せる。

ものづくりの楽しさを伝える仕事をしてきたものとして、笑顔だけは絶やしてはならない……。



ゴロリにだって、気づかれちゃ……ならない……。



ゴロリ「してるよ! 目が笑ってないもの!」



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あちゃー……。

ばれちゃってたかー……。


ワクワクさんは冗談っぽく舌を出した。




ワクワク「やっぱり鋭いね、ゴロリは!」


ゴロリ「おだてたって何にも出ませんよーだ!」


ワクワク「そうか! でも僕の手からは紙コプターが飛び出るぞぉ! そおれぇ!!」



ワクワクさんが手を開くと、紙で作ったヘリコプター「紙コプター」が出てきた。

そのままくるくると回転しながら落ちてゆく。




ゴロリ「うわぁ! すぅごーい!!」



ゴロリは歓声を上げた。






***




兵器の開発に携わって、もう何年にもなる。


通達が来た時にはまさかと思った。



こりゃ何かのドッキリだと、そう思っていた。






ワクワク「君は大人しか喜ばすことができない、駄作中の駄作だね。……失敗作だよ」





今、ワクワクさんの前にたたずんでいるもの。




……それは人の形をしたロボットだった。



今、日本が戦っている相手国に送り込まれ、たくさん人を殺すために生まれたロボット。


破壊されるまで殺戮の限りを尽くす兵器。




名前はつけてない。



……つけたくもない。

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