神通「ランダウンプレー」 (475)

※キャラ崩壊、ヤンデレもの

野球はまったく関係ありません

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1435587312



夕立「ふんふーん────♪」

提督「あれ、夕立。今日は早いな」

夕立「あ、提督さん!おはようございまーす」

提督「ん、おはよう」

提督「で、なんでこんなに早起きなんだ?」

夕立「今日は新しい子が来るからっぽい!」

提督「…………なんで知ってるの?」

夕立「昨日の電話、丸聞こえだったよ?」

提督「あー………………」

夕立「軽巡っぽい?」

提督「そこまで聞こえてたか」



夕立「ね、ね!この鎮守府初めての軽巡だね!」

提督「でもお前の火力を超えるような軽巡はそんなにいないぞ」

夕立「……夕立、強い?提督さんの役に立ってる?」

提督「心配しないでも十分にな」

夕立「そっか」

夕立「────じゃあ、安心したっぽい」


夕立「提督さん、活躍したらまた褒めてくれる?」

提督「はは、それはお前の活躍次第だな」

提督「まあそんな難しいこと要求してこないし、もちろん」

夕立「うん♪」




提督「じゃあ俺はそろそろ迎えに行ってくるよ」

夕立「あたしはお留守番っぽい……?」

提督「ごめんなー、まだ夕立しか起きてないから」

提督「てかなんなら二度寝しててもいいし」

夕立「ううん、ちゃんと起きて待ってるっぽい」

提督「そうか、まあなんでもいいけど。不知火か暁が起きたら伝えてくれる?」

夕立「うん!行ってらっしゃーい」











夕立「…………………………」

夕立「『いい子』だと、いいなぁ」

夕立「………………」

夕立「……おっるすーばんー♪」



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『……というわけだ』

「ほとんど押しつけじゃねーか」

「……軽巡とかいないし良かったけども」

『じゃあ損はないな』

『いやー、でもどうも弱気だからさ、扱いがね……』

「そういう子なんだろ。まあ上手くやってみるよ」

『おう、強いのかわからんが』

「可愛いからなんでもいい」

『ったく、しょうもねえ奴だなお前は』

「うるさい」



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夕立「──────って、いうことっぽい!」

暁「ふーん、新しい艦娘が……」

不知火「何かあったのですか?」

夕立「あ、ぬいぬいちゃんおはよー!」

不知火「っ……、その呼び方はやめてください」


不知火「あと抱きつくのも」



暁「今日は新しい艦娘が来るらしいんだけど、不知火知ってた?」

不知火「…………いえ、初耳です」

夕立「不知火ちゃんにも知らせないって、けっこう重要っぽい?」

夕立「……夕立ったらとんでもないこと聞いちゃったっぽい!?」

暁「盗み聞きしたほうが悪いわよね」



不知火「どんな艦娘かしら」

夕立「軽巡の子だって言ってたよ!」

不知火「……少なくとも不知火たちよりは強い、と」

夕立「でもね、夕立より火力がある軽巡はそんなにいないって」

夕立「また褒められちゃうかなー♪」

不知火「さあ、どうかしらね」

暁「…………ますます、手が付けられなくなっちゃうかもね」

投下終了

今回こそ出てこないものの、スレタイの通りメインは神通さんなヤンデレです
繋がりは皆無ですがキャラは前作と被ってます

毎日投下というのは少し厳しいかもしれません。ご了承いただけると幸いです

それでは失礼します。


前作→不知火「延性破壊」
不知火「延性破壊」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429796580/)



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提督「というわけで、今日から着任の神通。詳しい紹介とかしたかったんだけど…………」

提督「なー夕立?」

夕立「ぜんぶ話しちゃったー……」

提督「憶測なのにほとんど当たるってのもすごいよね」

神通「あ、あの……、提督?」

提督「あ、ごめんな。なんかもう話すことなさそうだしみんな戻っていいぞ」

提督「神通と不知火だけ少し相談があるから残って」

不知火「……?了解です」

提督「…………どうした、夕立?」

夕立「──────っ!」

夕立「な、なんでもないっぽい!」



提督「……ま、いいや」

提督「改めてよろしく────」

神通「あ、えっと……、あの……はい…………」

提督「………………」

神通「………………」


提督「…………とまあこういう状況なんですよ」

不知火「なぜ不知火に問うのですか?」

提督「率直に言うと一時期だけ秘書官をこの子に譲ってほしい」

不知火「譲るとでも?」



提督「……思ってないです」

不知火「では最初から聞かないことが賢明かと」

提督「いや、でも一日も早く慣れてほしいわけで」

神通「あ、あの、私には気を遣っていただかなくても結構ですから……」

提督「そう言われると余計気に掛けるよね」



不知火「…………冗談ですよ」


不知火「司令の考えは手に取るようにわかります。一時的に、ですからね?」

提督「聞き分けが良くて助かる、慣れてくれるまでの間な」

提督「────と、いうことだ」

神通「……私に務まるのでしょうか?」

提督「余裕余裕」

不知火「難しいことはありません。夜伽するだけです」

神通「よ、よt、よと…………!?」

提督「変なこと吹き込むなよ……」



提督「あー、今の嘘だから安心して。不知火も、素直な性格だからって遊ばない」

不知火「……真に受けるのね」

神通「びっくりしました……」

提督「でもほんと難しいことなんてないからな。適当に秘書っぽいことしてるだけでなんとかなるから」

不知火「あとはよと

提督「だから!真に受けちゃうんだって」

神通「……………………ふふっ」

神通「楽しそうな鎮守府で良かったです」


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「…………………………………………そっか」

「素敵なパーティー、ね」

投下終了

夕立が病んでいるのではなく、夕立も病んでいるだけです。何も問題はありませんね。ご安心ください

それでは失礼します



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神通「あ、あの…………!」

神通「いいのでしょうか?私のためにこんなパーティーなんて開いていただいて……」

提督「それは俺じゃなくて夕立に聞くべきかなぁ」

夕立「──────────!」



夕立「提督さん、夕立のこと呼んだっぽい?」

提督「なんだお前耳いいな」

提督「神通が、パーティー開いてくれちゃっていいのかって」

夕立「当たり前っぽい。だって着任祝いでしょ?」

夕立「盛大にやらないとね!」

不知火「盛大、といえるほどの艦娘がいませんけどね」

暁「夕立が急に消えるから心配しちゃったわよ」

提督「心配するほど広い部屋じゃないけどな」


提督「まあ、今は楽しんで損はないでしょ」

神通「で、でも…………」

暁「もう、主役が楽しまないでどうするのよ!」

神通「は、はいっ!」

不知火「…………ふふっ」



提督「夕立もよくここまで考えてくれたな」

夕立「そう?」

提督「ああ、頼もしいぞ」

夕立「ん……えへへっ♪」

夕立「夕立、提督さんに撫でてもらうの大好きっぽい!」

提督「そうか、それはよかった」

暁「………………」



暁「……っ、もうこんな時間になってるし」

不知火「あら、早いものね」

夕立「!」

夕立「時間的にここで終わりっぽい」

提督「なるほど、時間まで決めてたのな」


神通「今日は私のためにこんな立派に祝っていただいてありがとうございました」

神通「気弱でのろまで取り柄もないような不束者ですがよろしくお願いします」

暁「そ、そんなに頭下げなくても……」

不知火「謙遜するタイプなのね」

提督「『気弱』以外は間違ってるし」

夕立「……でも、そのうち染まるっぽい」

提督「染まる?」

夕立「あ…………、こ、この鎮守府の雰囲気に!ね!」











夕立「じゃ、第二段いくよー!」

神通「!?」

提督「まだあるの……」



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神通「あ、あの……なんでしょうか?」

提督「大したことはない。明日から秘書をやってもらうだろ?」

提督「だから今のうちに思う存分休んでもらおうかと」

神通「……難しいことじゃなくて安心しました」

神通「でも私は平気です。もう十分に休みましたし、楽しませていただきましたから」

提督「そうか、第二段でだいぶ疲れてるものだと思ってた」

神通「あ、あれは…………」

神通「で、でもあれも、私のためだと考えたら疲れは飛んでいきました」

提督「羨ましい体質だな」



神通「あ、あの……」

神通「もう夜なんですけど、その…………」

提督「ん、もしかして眠かったかな?呼び出しちゃって悪かった」

神通「あ、えっと、そうではなくて……いえ、それもありますけど……」

提督「…………この前の不知火の発言なら本当に冗談だぞ?」

神通「…………良かったです」



提督「本当に信じちゃってたのか」

神通「すみません、こんな性格で……」

提督「俺はその性格もいいと思うけどな」

神通「でもこの性格のせいで扱いにくいとか言われることが多くて」

提督「そうなのか。今のとこそんな感じしないけど」

神通「………………そんなこと言ってくれるの、提督が初めてです」

提督「そりゃまた……」

神通「でも嬉しい……♪」

投下終了

染まるにはちょっと早いので、もう少しほのぼのが続きます。

それでは今日はこのあたりで



夕立「────じーんつうさんっ」

神通「な……、何かご用でしょうか?」

夕立「ううん」

夕立「神通さんが今日から秘書っぽいから応援しに来たの」

夕立「ただそれだけっぽい」

神通「そうですか……。ふふっ」


神通「ご心配ありがとうございます。大丈夫ですよ」

夕立「そっか」

夕立「でもあんまり頑張らないでね」



神通「そ、そうは言っても秘書の役目を頑張らないわけには……!」

夕立「あんまり頑張りすぎると、提督さんが心配するっぽい」

夕立「提督さんは優しいから」

神通「……確かに、それも思わしくありません。秘書が悩みの種となっては困ります……」

夕立「っぽい!」

神通「夕立ちゃんに言われたことを肝に銘じて、精一杯頑張りますね」

夕立「だーかーらー!あんまり頑張っちゃダメっぽい!」








夕立「──────あんまり頑張られると、夕立も本気で怒っちゃうよ?」








神通「…………そこまで考えてくれているのね」

夕立「当たり前っぽい!だって仲間でしょ?」

神通「夕立ちゃん…………」

神通「ではほどほどに、怒られない程度にします」

夕立「それでいいっぽい!」

神通「はい……♪」


神通「ではそろそろ時間なので、私はこれで失礼いたしますね」

夕立「うん!またね!」







夕立「…………………………聞き分けが良くて助かるっぽい」

夕立「仲間はあんまり、傷つけたくないから」

夕立「くれぐれも『頑張らない』ようにね」

夕立「…………………………………………」



──────

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神通「今日からよろしくお願いいたします」

提督「そんな他人行儀にならなくていいさ。もうここの仲間なんだし」

神通「すみません、慣れるまで少し時間が……」

提督「あー、そっか。秘書やるのも慣れるためだしな」


提督「じゃあとりあえず初仕事といきますかー」

神通「頑張らない程度に頑張りますね」

提督「……なんだそりゃ」

神通「夕立ちゃんに言われたんです」

神通「提督が心配するから頑張りすぎないように、って」

提督「夕立がそんなことを……。まあ丁度いいかもしれない」



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サヨナラ負けによるネガティブ思考で捗る書き溜めとは……
神通さんに死ぬほど愛され、胃が痛くなるようなヤンデレパート突入はもう少々お待ちください

それでは失礼します



提督「そろそろ休憩しようか」

神通「もうそんな時間ですか?」

提督「とっくに」

神通「そんな……」

神通「……っ、気づけなくてすみません」

提督「あーいや、謝ることでもない。少しくらい時間が前後したって問題ないし」

提督「それに、初めてのことで頭が回らないのも無理はないさ」

神通「…………そう言っていただけると安心します」



神通「何かお持ちしますね。提督は何をお飲みになりますか?」

提督「そんな、悪いよ。秘書は休憩の時くらい休んでくれ」

神通「いえ、提督こそ休憩くらいはお休みになってください」

提督「…………………………」

神通「…………………………」


提督「どうやら似た者同士のようで」

神通「そうみたいですね。ふふっ」

提督「喉乾いてる?」

神通「私は特にそんなことは……」

神通「提督こそお疲れなのでは?」

提督「いや、今はべつに」

神通「そう、ですか…………」

提督「…………………………」

神通「…………………………」



提督「このままでいいか」

提督「お互いよく知らないだろうし、雑談でもしよう」

神通「それも素敵な休憩時間ですね」



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提督「へぇ、意外と武闘派なのな」

神通「そ、そんなこと……」

神通「他のみんなより目立つようなことって、あまり得意ではないので」

提督「いや、二水戦の旗艦って思いっきり目立ってると思うけど」

神通「……そ、それより提督も、かなり苦労されているのですね」

提督「俺か?いやー、神通ほどじゃないよ」

神通「わ、私だって提督ほどでは…………」

提督「ははは、さっきからこんなんばっかりな気がする」



提督「じゃ、そろそろ再開しよう。疲れは大丈夫か?」

神通「はい。おかげさまで」

神通「提督と雑談、とっても楽しかったです」

提督「こちらこそ」

神通「……もしよければ、また相手になってもらっていいですか?」

提督「ん、こんなんでいいならいつでも」

神通「よかった……」



神通「秘書のお仕事、精一杯頑張りますね」

提督「あれ、頑張らないんじゃなかったっけ?」

神通「やっぱりできそうもありません」

神通「提督のために、一生懸命頑張りますっ」

提督「ありがとう。でも無理はしちゃいけないぞ。頑張るのと休まないのは違うしな」

神通「もちろんです。提督とお話しする時間がなくなっちゃいます」

提督「…………まあ休んでくれるならなんでもいいや」

神通「はい…………♪」

投下終了

嵐の前の静けさはこのあたりにして、そろそろ歪ませたいですね(神通さんに止まるとは言ってない)
次の投下ですが、諸事情あって数日空くかもしれません。申し訳ないです……


それでは失礼します

PCを修理に出していたら一週間空いてしまいました

少なくとも明日には再開できると思うので、もう少しだけお待ちいただけると幸いです



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夕立「あ、神通さん。お手伝い終わったの?」

神通「はい、今日の執務はこれで」

夕立「けっこう早いっぽい」

神通「そ、そうでしょうか?」

夕立「だって夕立なんて夜まで残らないと終わらないし」

神通「あはは…………」



神通「それと夕立ちゃん、ごめんなさい」

神通「やっぱり私、手を抜くようなことなんてできそうもないです」

神通「せっかく秘書にしてもらってるのに、そんなことは気が引けてしまって……」

神通「だから少しでも、提督のお役に立てたらいいなって」

神通「もちろんちゃんと休むこともします。提督との約束ですから」

神通「だから夕立ちゃんとの約束は……」



夕立「…………ふーん」



夕立「どうして、提督さんの役に立ちたいの?」

神通「え?」

夕立「提督さんが好きだから?」

神通「え、えっと、そういう感情では……」

夕立「濁さないで答えて」

夕立「ねえ、提督さんのことが好きだから役に立ちたいの?」

神通「……その………………」


夕立「────どっち?」

神通「────っ!?」


神通「……………………今はよくわかりません。まだ会話すら多くはないので……」

夕立「……そっか。じゃあまだいいや」






神通「夕立ちゃん、どこへ?」

夕立「提督さんのとこ。ちょっと遊んでもらうっぽい♪」

神通「提督はたぶんお疲れなので、あまり疲れるようなことは……」

夕立「そんなの、あたしが一番わかってるっぽい」


夕立「神通さん、おやすみなさーい!」

神通「え、ええ。おやすみなさい」


神通「……………………」


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夕立「提督さーん!」

提督「ん、夕立か。そういや今日はここに来なかったな」

夕立「けっこう我慢したんだよ?」

提督「ごめんなー……。でもおかげさまで早く終わったから」

夕立「…………誰の『おかげさま』?」

提督「そりゃ、気を遣って遊びに来るのを我慢してくれた夕立と、何より神通だな」

夕立「……やっぱり神通さん、手際がいいっぽい?」

提督「もう助かりまくってるよ」

夕立「あたしじゃ遠く及ばないよね」

提督「は、ははは……。まあでもあれは、不知火といい勝負するレベルだと思うぞ。仮に夕立じゃなくても越すのは難しい」

夕立「…………そっか」






夕立「じゃあもし、この鎮守府に夕立と提督さんだけなら」

夕立「秘書が夕立しかいなかったら」

夕立「──────そしたら、夕立が一番っぽい?」






提督「………………急にどうした」

夕立「ううん、思いついただけー」

夕立「……も、もちろんあたししかいない状況を作ろうなんて思ってないよ?」

提督「本気だったらどうしようかと……」

夕立「まさか!ここのみんなは大切な仲間だから」

夕立「でも夕立、提督さんを困らせる人は許さない」

夕立「そしたらやっつける!だからあたしに相談してほしいっぽい」

提督「はは、そいつは頼もしい」

夕立「絶対だよ?」




夕立「それより提督さん、いつものいつものー」

提督「あぁ、目的はそれだったっけ。夕立は無茶なことはしてこないから助かるよ」

夕立「当たり前っぽい!だって提督さんが困るでしょ?」

夕立「だから、こうやって撫でてもらうだけでいいっぽい♪」

夕立が病みっぽいのはわりとよくあることなのでセーフのはず
でも神通さんメインは揺らぎません


今後も2、3日ほど空いてしまうようなことがあるかもしれませんが、それでもいいという方はお付き合いいただけると嬉しいです

それでは失礼します



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不知火「艦隊が帰投しました」

提督「ん、ご苦労さん。ちょっと大変だっただろ?」

不知火「まあ、手強いといえばそうでしたが……」

夕立「あのね、あたしがみんな沈めちゃったの!もちろんMVPっぽい♪」

提督「おー、戦艦もか。そりゃすごいな」

夕立「うんっ!」

暁「………………」

神通「夕立ちゃん、砲撃も雷撃もすごい破壊力で……」

提督「もはや駆逐艦じゃないとは聞いてたけど、改二でこんなに化けるとはなぁ」

暁「……わ、私だって、軽巡沈めたしっ」

提督「お、暁も格上をやったのか」

暁「…………うん」



提督「あ、そうだ。こっちの損傷は?」

不知火「軒並みはほぼ無傷ですが、暁が────」

暁「誰も大した怪我してないわ!平気よ」

暁「さ、みんな少しくらいダメージは食らったでしょ?早く入渠してきなさい」

神通「あ、暁ちゃん……?」

暁「はーやーくー!」

夕立「……ちょっとだけ艤装壊れちゃったし、直してきまーす」

不知火「……不知火も至近弾ですが少し」

神通「あ、あの………………」


神通「し、失礼しますっ!」

提督「お、おう…………?」




提督「暁は被弾とかしてないのか?」

暁「と、当然よっ!この通りピンピンして…………っ!?」

提督「やっぱり。なんか様子がおかしいと思ったら……。程度は?」

暁「……小破。これくらいへっちゃらだし」

提督「そういう問題じゃない。怪我はいち早く報告して治すことって言ってるだろ」

提督「それとも何か理由があるのか?」

暁「…………だって今日は秘書官だもん。代理でも秘書は秘書だし」

暁「司令官の傍にいる義務があるわよね」

提督「なにも入渠をほったらかしてまでとは言ってないぞ」

暁「と、とにかく!今日は神通さんの代理でこの暁が秘書だから!それだけだし」

提督「……わかった、今回はまあいいとしよう。次からは秘書でも入渠を優先させること」

暁「……はーい」



暁「…………ねえ、司令官」

暁「どうして私はこんなに弱いの?」

提督「弱い?そうは思わないけど……」

暁「だって、夕立とか戦艦を沈めるのよ?なのに私は軽巡で精一杯」

暁「ねえどうして?」

提督「いいか暁?夕立は改二になって、火力がもう駆逐艦のそれじゃないんだ」

暁「……じゃあ不知火はどうしてなの?夕立が調子悪いときはあの子が武勲挙げるわよね」

提督「練度だ、練度。不知火は最古参だし経験も豊富だから、もう上限が近いレベル」


提督「とにかく焦ることじゃない。お前もそのうち到達できるよ」

暁「…………それじゃ取られちゃうのよ」

提督「……………………」






















提督「あ、わかった!最近夕立がMVP独占してて悔しいんだろ?」

暁「え!?あ、ち、違うしっ!獲ろうと思えばMVPくらい……」

提督「可愛い奴だなー」

暁「か、かわ……っ!?って!頭を撫でるのやめてって言ってるでしょ!」




投下終了

失礼します



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



神通「こちら旗艦神通、状況を報告いたします」

神通「敵戦艦を含む水上打撃部隊と交戦、数は五」

神通「敵は殲滅したものの、砲撃で夕立が被弾し致命傷を負いました」

提督『そうか……。ごめんな、無理をさせてしまって』

提督『周囲を警戒しながら今すぐ撤退だ。夕立は曳航か何かできそう?』

夕立「ゆ……夕立、まだ航行できるっぽい!大丈夫だよ」

神通「…………機関部に被弾していて速力は大幅に低下しています。非常に危険です」

提督『……神通、頼んだ』

神通「はいっ」



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神通「夕立ちゃん、もうすぐですから」

夕立「うぅ…………頑張るっぽいぃ……」

神通「他のみなさんの損傷は?」

不知火「至近弾を一発。ですが、戦闘や航行に支障が出るには至りません」

暁「ちょっと艤装壊れちゃったけど、小破くらいかしら」

神通「つまり無傷は私だけ……。なんか申し訳ないです……」

暁「そんな、練度が上がってきてる証拠じゃない!」

不知火「……不知火は少し、油断をしていたかもしれません」



夕立「──────────?」

神通「夕立ちゃん?どうかしましたか?」

夕立「提督さんがくれたこれに、なんか反応があるっぽい」

不知火「それは今朝の開発で出てきたらしい電探ですか?」

暁「つ、つまり敵が近くにいるってこと?」

神通「…………不知火ちゃん、暁ちゃん、曳航の引継ぎをお願いします」

夕立「ぽい!?」

暁「せ、戦闘なら私も!」

神通「いけません、無傷は私だけですから。それにもう近海なので、恐らく軽巡クラス以上は現れません」


神通「追い払うだけです、必ずあとからついていきます。先に帰って入渠していてくださいっ!」

暁「ちょ、神通さんってば!」

不知火「……暁、今は夕立が危険です。神通さんはきっと大丈夫ですから」

暁「…………もうっ」



◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



提督「──────神通!」

神通「あ…………て、提督……」

神通「すみません、単独で行動してしまいました。どんな処罰でも受ける覚悟です」

提督「全くだ」

神通「……………………」


提督「……よく戻ってきてくれたな」

神通「えっ?」

提督「一人で向かってったと聞いて心配で死ぬとこだったぞ?」

提督「まあでも、ボロボロだけど帰ってきてくれて安心したよ。ドックは空いてるからゆっくり直してきなさい」

神通「…………あ、あの」

提督「ああ、それと────」



提督「大戦果おめでとう。さすが神通だ」

神通「……………………はいっ!」



提督「しかし、まさか重巡級が出てくるとはなぁ」

提督「それを含めて一人で片付けるともなると、褒美も軽く済ましちゃいけない気がする……」

神通「提督が毎日のように演習で旗艦にしてくれるので、どんどん上がってる練度のおかげですよ?」

提督「でももうこんな無茶するなよ?戦艦だの空母だのが出てきたらきっと戻ってきてないし」

神通「肝に銘じます……」

提督「…………そいつらまで一人で全滅させられるとさらに褒め方に困るし」

神通「…………じゃあ少し、無理をしてもやってみたいですね」

提督「やめてください俺の精神が持たないです」

神通「冗談ですよ。もう提督にご心配をおかけするような危険なことはしません、約束いたします」

神通「……沈んだらもう、会えませんから」

提督「……そうだな」



神通「…………あ、いえ!その、えっと……そういう意味では……」

提督「え?」

神通「あ……………………」











提督「なんか勘違いしてないかな?」

神通「~~~~~~っ!!に、入渠してきますっ!」

提督「お、おう?ごゆっくりー……?」

大変長らくお待たせいたしました
ようやく目処が立ってきたので、あと2,3回ほどしたら徐々にヤンデレが入っていきます。

刺し殺す系の流血展開はないですが、修羅場程度ならあるかもしれない、ソフト寄りなヤンデレの予定です


それでは失礼します

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提督「あー…………眠い」

神通「お疲れですか?」

提督「ん……いや、大丈夫だ」

神通「提督、最近は無理なさってますから……」

提督「ははは……。それに付き合わせちゃって申し訳ない……」

神通「いいんです、秘書官なので。提督のお仕事が一秒でも早く終わるようにお手伝いいたします」

提督「かと言って無理させるわけにも……。最後まで付き合うような義務もないし」

神通「別に、義務だなんて思っていませんよ」

神通「ただお役に立ちたい一心でお手伝いするって、それではダメでしょうか?」

提督「…………あー、ごめん、変なこと言っちゃった。手伝ってくれるのは非常にありがたいし嬉しいよ」

神通「よかった……♪」

神通「ラストスパートです、コーヒーでもお持ちいたしますね」

提督「眠気覚ましか、ありがとな」



神通「お待たせいたしました。どうぞ」

提督「いい香りだ、ありがとう」

神通「──────────♪」

提督「……どうかした?」

神通「あら、お気付きになりませんか?」

神通「提督、やっとお飲み物の提案を受け入れてくれましたね」

提督「あれ、そんなに断り続けてたっけ?」

神通「もうずっと『悪いから』って断られていたんですよ?」

提督「あー…………、嫌とかじゃなかったんだ、本当に」

神通「わかっています。やっと私に頼っていただいて嬉しいですっ」

神通「それより、冷めないうちにお飲みになってくださいね」

提督「ん、それもそうか」



提督「────────────────」

神通「ど…………、どうでしょうか?」

提督「今まで断ってたのを全力で後悔してる。よければ、これからもお願いできるかな?」

神通「……………………!」

神通「喜んでお引き受けいたします!」

神通「ではまず、断られてしまった分をお持ちいたしますね」

提督「待って」

神通「待ちません!」

神通「提督は!ここに!座って!」

神通「────待っていてくださいねっ?」

提督「…………………………はい」

神通「ふふっ♪」






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「てーとくっ」

提督「!?」





















神通「あ、ごめんなさい……。びっくりさせてしまいましたか?」

提督「…………むしろ今びっくりした。神通もこんなイタズラしてくるんだなーと」

神通「『も』ということは、他にも後ろから目隠しするような艦娘が?」

提督「ほら、だいたい想像はつくだろ?夕立とかさ」

神通「あぁ……」

提督「不知火もたまに仕掛けてくるけどね」



提督「いろんなイタズラ受けてきたつもりだけど、でも後ろから目隠しとかされたことはないな」

神通「オーソドックスでそこそこに困らせることができるといったら、これに辿り着きました」

提督「困らせようとしなくてよろしい」

神通「それでは面白みに欠けます」

提督「……なるほど、神通が意外にやんちゃだとわかった」

神通「……提督相手にだけ、ですよ?」

提督「なんだろう、あんまり嬉しくない……」



提督「それよりなんでここに居るってわかったんだ?」

神通「私が言うのもなんですが、秘書の任に就いてからもうけっこう長いんですよ?少し、提督の考えもわかるようになってきました」

提督「そういえばそうか。そろそろ不知火に怒られそう」

神通「…………私としては、時間と提督の許す限りご一緒したいです」

提督「………………………………」



提督「ところで神通も何か用があるんじゃないか?わざわざ探しに来るって」

神通「…………あっ、そうでした」

神通「提督、私さっきの演習で練度がまた上がったんです!」

提督「それは素晴らしい、でもいつもとテンションが違うよな?」

神通「私……私ついに練度の数値が59になったんです!」

提督「…………つまり」

神通「もうひと踏ん張りで、もっと提督のお役に立てるんですよ!」

提督「…………おおおおお!!よく頑張ってくれた!」

神通「はいっ!」



神通「でもまだあと1だけ残っています。早く到達できるよう、さらに精進いたしますね」

提督「ああ、でも焦らなくていい。急がば回れって言うし」

神通「わかっています。到達できたら、一番最初に提督に報告したいです」

提督「まあ一応上官ってことになってるからなぁ、そうしてくれると助かる」

神通「っ、そうじゃなくて」

神通「──────────そうじゃなくて、純粋に、単純に、真っ先に提督へ報告に行きたいんです」

提督「…………嬉しいな、楽しみにしてるよ」

神通「頑張りますね!」




提督(自分からこんな近づいてくる子だったっけな……)

オムニバスで書くとどういうわけか微糖になってしまう不思議

そろそろ突入しそうなヤンデレは本当にソフトなのでご安心ください。提督には危険が及ばない程度にソフトです
歪んじゃっただけで元をたどれば愛ですからね


それでは失礼します



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神通「提督、午前の演習がすべて終了いたしました」

提督「おう、お疲れさん。結果は?」

神通「殲滅には至りませんが、戦術的勝利と言ったところでしょうか?でも全てに勝利はしています」

提督「……毎回思うんだけど凄いよな、駆逐3と軽巡1だけでだいたいの相手に勝つんだもん」

神通「昼間はもちろん敵いません。でもそこさえ耐え抜けば、私たちの十八番である夜戦です」

提督「さらっと言うけどとんでもない話だ……」

神通「私がみんなを訓練してますから。そう簡単に被弾しませんっ」

提督「夕立とかこの前悲鳴あげてたし」

神通「やっぱり……。不知火ちゃんとかだとしっかりついてくるんですけど……」

提督「不知火しかついていけないって相当だな……」


神通「それより提督、もうすぐですよ?」

提督「ん?ああ、練度の話か。神通なら近々到達するだろ」

神通「はい、今日も全てでMVPを獲ってきました」

提督「やばそう」



提督「よし、じゃあ俺も負けないようにちゃんと仕事しないとなー」

神通「ふふっ、一緒に頑張りましょうね」

提督「あれ、俺ペンどこやったっけ」

神通「さ、さすがにそこまでは…………」

提督「んー、まあいっか、これで」





提督「──────いつっ!?いたっ、えっ……」

神通「提督?」

提督「……数年ぶりにシャーペンの先を思いっきり押すとかいうとても初歩的なミスをした」






神通「だ、大丈夫ですか!?」

提督「あ、うん。そんな慌てるようなことでもないさ。…………あら」

神通「見せてください!」

提督「いや、そんな大袈裟なことじゃ」

神通「あ、血が…………」

提督「は、ははは……。随分と強く押しちゃったようで」

神通「絆創膏、絆創膏……」

提督「そこまで酷くないよ、針で軽く刺したみたいなもんだし」





神通「少し、これで押さえていてください────────────────っ」

提督「────────────────!?」











神通「…………んん……んっ……ふっ…………」

神通「い、いま持って来ますね!」

提督「な、なんかごめんね」


提督(どうしよう、ものすごく指を吸われた……)

神通(わ、私ったらいったい何を……!)



──────
───
──────


神通「……い、いま手当ていたしますね」

提督「ん、うん。あ、ありがとう……」

神通「……………………」

提督「……………………」



神通「あ、あの!」

神通「さっきはその、申し訳ありませんでした。ついあがってしまって……」

提督「こ、こっちこそ心配かけて悪かった。あれに関しては驚いただけだし気にしなくていいよ」

神通「嫌いになったりしてませんか?」

提督「もちろん」

神通「引いたりは?」

提督「してない」

神通「…………よかった」




提督「でもまさかこんなミスをするとは思わなかった」

神通「重ね重ね申し訳ありません……」

提督「それはこっちの台詞。口の中が変な感じしてたりしない?」

神通「いえ、特にそのようなことは」

提督「そうか。でも気持ち悪いだろうし、うがいでもしてきなさいな」

神通「…………では、少しだけ」



──────
───
──────



神通(提督にはああ言って時間をもらいましたが……)

神通「ここまで来ても変な感じはしない……」

神通「少し火照ってるみたい。顔だけ洗って戻りますか」

神通「うがいはしなくていいですね」

神通「…………というより、あまりしたくない。どうして……?」

神通「…………………………」
















神通「まだ少し味が残ってる……♪」



















投下終了
お待たせしてしまいましたが、ついに病み始めちゃいました。仕方ないね


失礼します



────────────────────



神通「提督、先ほどの書類が出来上がり…………」

夕立「提督さーん!」

提督「お、夕立か。遠征お疲れさん」

夕立「うん!あのね、遊んでほしいっぽい!」

神通「……………………っ、」

提督「そうかー、でもごめんな。今は仕事中だし、神通を待たせちゃってるから」

夕立「…………そっか……」



提督「ごめんなー」

夕立「ううん、平気。遊んでもらうのは今じゃなくてもいいから」

夕立「ね、いつなら遊んでくれる?」

提督「んー、疲れてないとき」

夕立「でも提督さん、いつもお疲れモードっぽい」

提督「いや、そんなことはないぞ。年に何回か休みがあるし」

夕立「じゃあその時!約束だよ?」

提督「わかったわかった、覚えてればね」

夕立「大丈夫、提督さんが忘れてても、あたしが絶対に覚えてるから」


夕立「────────ね?」



神通「夕立ちゃん、提督はいま執務の最中ですから」

夕立「…………そうよね、提督さん困らせちゃいけないし」

夕立「………………それに、神通さんなんだか不機嫌そうな顔してるっぽいし」

神通「えっ……!?そ、そんなことは……」

夕立「ま、いいや」



夕立「お仕事頑張ってね!」

提督「あー、夕立が手伝ってくれれば早く終わるかもしれないのになー」

夕立「早く終わったら、遊んでくれるっぽい?」

提督「少し休めば疲れは取れるさ」


神通「……………………」

夕立「────────」







夕立「ごめんね、今日はちょっと用事があるっぽい」

夕立「────それに、今はお邪魔っぽいし」

神通「…………、」


夕立「だから、また今度手伝いに来るっぽい!」

提督「用があるなら仕方ないな、呼び止めて悪かった」

夕立「ううん、気にしないでいいっぽい!」






提督「さすがにあからさますぎて釣れないか」

神通「……、…………、………………」

提督「ん、どうした?やけに顔を気にしてるけど」

神通「!?……な、なんでもありません。少し痒かったので」

提督「そうか、ならいいけど」

提督「じゃ、さっさと終わらせるか」

神通「…………はい」











夕立「あらら、別に変な顔はしてなかったのに」

夕立「カマかけ、成功しちゃったっぽい?」

投下終了

昨日は投下できずすみませんでした。WoWsが楽しいのがいけないんだ……WoWsのせいなんだ……


WoWsしてきます


浴衣で花火デートしたい

>>109
おまけ(本編とは無関係です)


暁「司令官、早く早く!」

提督「花火は高く上がるしそんな急がなくても見えるけど」

暁「そういう問題じゃないのー!」


神通「提督、向こうのほうがきっとよく見えますよ?私と二人で行きませんか?」

夕立「提督さん、夕立向こうに行きたいっぽいー!」

提督「痛い痛い!それぞれの方向に腕引っ張るな、ちぎれる」

不知火「…………もうここでいいんじゃないかしら」

提督「地味に後ろに引っ張るな」

不知火「…………むー」


提督「それにしてもみんな浴衣が似合うなぁ」

夕立「…………夕立が一番っぽい」(赤)

神通「…………提督は、落ち着いた色がお好みでしたよね」(青)

暁「…………司令官が可愛いって言ってくれたしっ」(黒)

不知火「…………不知火も頑張りました」(桃)

提督(ダメだ、みんな可愛い……)


夕立「提督さん、花火見よ?」

神通「誰を選ぶんですか?」

暁「そんなの簡単でしょ、ねぇ司令官?」

不知火「誰も選ばないとか、みんなでとか、そういうのは要りませんから」

提督「」




────────────────────

────────────────────



提督「効率のいい二人が同時に手伝ってくれると百人力である」

不知火「大袈裟ですよ。口より手を動かしてください」

提督「はい…………」

神通「…………」



提督「にしても、二人ともほんと手際がいいよね」

不知火「当たり前です。どれだけ司令の秘書をやっていたと思うんですか?」

不知火「……まあ、いまは少し譲っていますが」

神通「………………」

提督「任せっきりで申し訳ない」

不知火「いいんですよ、嫌いじゃないですし」

不知火「それより神通さん、そろそろ慣れてきたのでは?」

提督「たぶん。でももう少しかな」

不知火「……そう、ですか……」

神通「……………………」




提督「────神通?」

神通「…………………………」

提督「神通?手際いいのは助かるんだけど、異様にペースが上がってるぞ?」

神通「………………………………!?」


神通「す、すみません!あの……、何か言われたでしょうか?」

提督「大丈夫かよ」

提督「やけにペースあがってる気がするんだけど気のせいかな?」

神通「あ…………。ご、ご心配をおかけして申し訳ありません。集中するとつい……」



不知火「神通さん」

神通「は、はい?」

不知火「少しはここにも慣れてきましたか?」

神通「…………はい、おかげさまで」

不知火「あらそう、良かった」

神通「でもすみません、まだまだ知らないこともたくさんありますし、この位置はもう少しだけ譲れません」

不知火「仕方のないことです。頑張ってください」

神通「…………はい」



提督「あ、不知火そろそろ」

不知火「あら、もう時間でしたか。早いものね」

提督「手間をかけさせて悪いな、人員が少ないもので」

不知火「いえ。遠征がないと資材も増えませんから。これも大事な任務です」

提督「そう思ってもらえるとありがたい。今日はありがとう」

不知火「こちらこそ。久しぶりで楽しかったです」


不知火「──────それでは、遠征行ってきます」

提督「うん、気をつけてな」

神通「……………………………………」


───

──────

─────────






神通「提督」

提督「ん、どうした?」

神通「申し訳ありませんが、私が秘書の時は他の子に手伝いを頼まないでいただけますか」

神通「それとも私一人ではまだ効率が悪いですか?私では不足なのですか?」

提督「いや、そういうわけじゃ」

神通「提督」

提督「どうした、ちょっと怖いぞ」



神通「……………………すみません、少し疲れてるみたいです」

提督「そんなとこだろう、今日はもう休んでな」

神通「そういうわけにもいきません。私、秘書官ですから」

提督「それなら他の誰かに頼むから

神通「ダメです!」

提督「っ!?」




神通「………………ごめんなさい、少し頭を冷やしてからすぐに戻ってきますね」

提督「わ、わかった……。ダメなら無理すんなよ?」











神通(落ち着いて、まずは顔を洗うことから。水で冷やせばきっと……!)

神通(…………………………ダメ)

神通(思考に全く変化がない。ちゃんと冷やしたのに……)

神通(どうして、提督?)

 

 ──────────ダメなら無理すんなよ?



神通「………………ふふっ、そういうわけにも行かないんですよ、提督」


神通「そんなことしたら、取られちゃいますから」







投下終了。癒し枠なぬいぬい

本編は>>111からとなります。>>110は素敵なネタがあったので衝動書きしてしまったおまけです。
ヤンデレに囲まれる浴衣花火デートってものすごく胃が痛くなりそうですね……


それでは失礼します


なんかリクしたみたいになって申し訳ない
この病む過程たまらんね

>>120
書きたくて書いただけなのでどうかお気になさらず
素敵なネタをありがとうございました



夕立「神通さん、お手伝いお疲れさま」

神通「夕立ちゃんでしたか。ありがとうございますっ」

夕立「…………最近ほんとに楽しそうね」

神通「え?」

夕立「なにかいいことでもあったっぽい?」

神通「いいこと……。思い当たるような節はありません……」

夕立「ふーん、あたしはわかるよ」

夕立「神通さん、秘書官っていう名目で提督さんにつきっきりだもんね」



神通「………………」

夕立「……反論しないんだ」

夕立「いいなぁ秘書。あたしもやりたいっぽい」

夕立「そうだ。ね、譲ってくれる?」

神通「できません」

夕立「………………どうして?」

神通「さあ、どうしてでしょう。よくわかりません」

夕立「……………………素直になっちゃえば楽っぽいのに」

夕立「そういえば提督さん、最近もまだお疲れっぽい?」

神通「ええ、見る限りでは」

夕立「…………よく見てるんだ」



夕立「あのね、お願いがあるの」

神通「なんでしょうか?」

夕立「あんまり、提督さんに近づかないでほしいっぽい」

神通「…………一応聞きます。なぜですか?」

夕立「だって疲れてるんでしょ?一人でゆっくりする時間も大事っぽい」

神通「どうして、夕立ちゃんからそのお願いを?」

夕立「さあ、どうしてだろ」

夕立「──────────よくわからないっぽい」

神通「っ!」

夕立「じゃ、そういうことだから」



神通「待って!」

夕立「……なにかあるっぽい?」

神通「物理的に無理です。秘書なので」

夕立「じゃあ秘書から下がればいいっぽい。そしたらあたしが代わりに入るし!」

神通「代わりは不知火ちゃんだと思いますよ?手際的に」

夕立「…………何が言いたいの?」

神通「そのまんま、ですけど」

夕立「それは喧嘩を売ってるってことでいいっぽい?」

神通「そう捉えるならどうぞ?私は『そのまんま』としか言っていません」

夕立「…………お願い、あんまり同士討ちはしたくないの」

神通「ええ、それは私も同じ気持ちです」

夕立「じゃあ話は早いっぽい」



夕立「神通さんが、あんまり提督さんに近づかなければいい。ただそれだけの話だよ」

神通「意味が理解できません。なぜそこに行き着くのですか?」

夕立「だからそれはよくわからないって言ったでしょ?」

神通「それでは私もわかりません。そのお願いは聞き入れられませんね」

夕立「……はぁ、じゃあ教えてあげるっぽい」

夕立「────────夕立も、神通さんと同じだから」

神通「………………、つまり?」

夕立「もう、わかってるでしょ?そろそろ素直になればいいっぽい」

神通「私は隠し事などしていないつもりです」

夕立「嘘ばっかり。提督さんに毎日嘘ついて過ごしてるもん」

神通「…………………………」



夕立「あ、いけない!提督さんに呼ばれてたんだった」

神通「……提督に?なぜ?」

夕立「それを聞きに行くっぽい」

夕立「────もしかして、ケッコンとか?」

神通「っ!?」

夕立「あはは、冗談だよ。まだ最高練度じゃないっぽいし」

夕立「『まだ』ね」


神通「……………………」

夕立「だから、まだ大丈夫だって。でも夕立も提督さん大好きだから楽しみっぽい!」

夕立「じゃあ今度こそそういうことだから」











神通「………………………………」

神通「…………どうして?」

神通「どうして私は、近づいてはいけないの?」

神通「私と同じ?それは何が同じなの?」

神通「……………………はは、あはははは!」





















神通「どうして」




投下終了です

失礼します。

 

 あの言葉の意味を、ずっと考えていた。いや、でも、きっとそのままの意味なのだろう。彼女は大胆にも、秘書であるこの私に『提督に近づくな』と言ってきたのだ。わかりきっていたのに真正面から鈍器で思い切り殴られたような、そんな感覚。予想しきっていたのに宣戦布告され、それと同時に奇襲攻撃で大打撃を受けたような、そんな状況。

 考えれば考えるほどわからなくて、自らが疲弊して蝕まれて、それを肌で感じるごとにどんどん寒くなっていく。暑くて少し汗が出ているほどなのに寒い。冷えて固まったのだろうか?

 
 人肌が恋しい。提督が恋しい。今すぐに会いたい。

 提督の細めの腕で抱き締められたら、私は安心するでしょう。

 提督の静かな声で話しかけられれば、安心のあまり眠くなってしまいます。

 優しく撫でられれば、私はすぐにでも眠りに落ちるでしょう。

 そのまま私は夢を見ます。

 夢での私はまた、提督の腕の中。

 安心しきった表情で完全に体を預けて。

 その私を、提督は静かに撫でてくれて。
 
 やはり眠くなった私に気づくと、布団の中でも撫でてくれて。

 これは夢じゃない。現実に起こっていること。だって、こんなにも感覚がしっかりしている夢なんてないですから。

 そう思うと、いつの間にか私の頭がクリアになって、

 優しい手が乗っているという感覚だけが残ります。

 目を閉じるほどにみるみるクリアになって。

 すぐ目の前には提督がいて、そして何か言葉をかけてくれる。

 それを聞く度に、私はまた眠りに、夢に落ちていくのです。

 

 ────夢?



 いや、これは現実。夢と思っていること自体が夢。絶対にそう。それしか考えられない。それしか考えたくない。

 でも……………………。




 思い切って閉じていた目を開くと、そこには提督ではなく、ただただ暗く映し出された私室の天井があるだけ。重くて今にも落ちてきそう。やはり夢は夢でしかなかったのです。
 でも、どうして私はこんなに暗くて、面白みもなくて、無機質で、何よりも提督のいない部屋に閉じ籠っているのでしょうか?
 眠るときに提督のお傍に居ることができるのは秘書の特権……。
 不知火ちゃんにはそう教えられたのに、私は私室に籠ったまま。よく考えれば閉じ籠っている理由などありません。なぜここに居るのでしょう?今すぐ提督のお傍に行けば、きっと寝ているか、そうでなくとも受け入れてくれるはず。

 でも体が動かない。どういうわけだか動かない。
 頭では動こうとしても、体が付いて行きたがらず、いつまでも駄々をこねているみたい。

 体は提督を覚えている筈で、忘れることなんてないのに。
 

 提督の匂い。

 触れた感じ。

 声。

 手の大きさも、顔も。

 そして、

 提督の味も。



 五感で鮮明に呼び出すことができる。いま想像すれば、すぐにでも目の前に提督が現れそう。

 脳は提督のもとへ向かっているし、身体も提督を求めているのに……。どうして動かないの?




 ……ああ、そうだ、あの言葉。やけに挑発的な赤い眼が突き刺さる。
 きっとあの言葉に縛られているのだ。そうに違いない。でも大丈夫、今すぐ解き放ってあげますね。


 神通、あなたは提督に会える。あなたは彼の唯一の秘書官なのです。
 あなたがいないと彼は困ってしまいます。生きていけないのかもしれません。
 疲れているから近づかないというのは、それはそれはおかしな理屈。疲れているのなら癒して差し上げるべきでしょう?
 あなたにはそれができます。権利があるし、義務でもある。執務室は閉まっています。

 でもあなたには、神通には、

 私にはそれを開放する術がある。

 だって、他の誰の代わりでもなく、提督が自ら選んだ唯一の秘書官ですから。



 瞬間、体が浮き、空を飛んでいるような錯覚。少しくらい飛んでいたかも。脳の思うままに歩を進めて行って、気づくと執務室の目の前だった。鍵がかかっている。

 私にはこれを開ける術があった。左手に握った術を使用してカチャリと音がしたとき、口元は緩んでいたと思う。提督はすでに眠りに就いているのだろう。好都合だ。




神通「提督、やはりお疲れだったのですね。私としたことが気づけなくて……。私がお傍で癒して差し上げましょう」


神通「…………いま参ります♪」














──────────────────────────────────────────────────

夕立「あ、中から鍵閉められちゃった!面白くないっぽいー!」

夕立「……………………でも効果覿面だし」

夕立「染まっちゃってるなぁ♪」

──────────────────────────────────────────────────














神通「あ、提督。おはようございます」

提督「ん……んん、おはよう」

提督「────────あれ?」

神通「どうかいたしましたか?」

提督「いや、その…………夜にはいたっけ?」

神通「いましたよ。提督はお休みでしたね」

提督「うん………………えっ」

提督「つまり、俺が寝てる間にいつの間にか潜り込んだと」

神通「そうなります」



提督「いや、そんな堂々と答えられても……」

神通「提督の秘書だからです。不知火ちゃんは良くて私はいけないんですか?」

神通「────それとも、私が隣に寝てると何か問題があるのですか?」

提督「…………ありません」

神通「あら、いいんですよ?不知火ちゃんはまずいですけど、私は軽巡ですから」

神通「ふふふっ…………」

朱に交われば赤くなるとかなんとか言いますしね、染まっちゃったものはもう仕方ないですよね

失礼します



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 


 窓の外はまだ日が落ち切らず、夕日が差し込んで明るい時間。
 
 業務が予想以上に早く終わってしまう日は、こうして部屋で一人、のんびりしているくらいしかすることがない。理由は単純であり、それでいて複雑。
 人によっては業務以外で艦娘と関わりを持つことを良しとしない提督がいるのだ。
 私の提督がそうとは思えないのだが、万が一ということも想定して、嫌われたりしないように保身に走っている。

 なぜ?

 何か不都合がある?

 嫌われたくない?

 なぜ?


 建前では秘書官だから。秘書が嫌われてはいろいろと支障が出てしまう。

 しかしこれはあくまで"建前"

 いつか見た、目だけ笑っていない夕立ちゃんの表情が脳裏を掠めた。あの時いったいなんて言われたのだろう……。「思い出せない」というより、「思い出してはいけない」と、頭で警鐘が鳴り響いている気がした。




夕立「暁ちゃんは、まだちょっと弱いっぽい」

暁「そんなことないわよ!私だってちゃんと……」

 
 ドア越しの廊下では聞き慣れた二人の声が通り過ぎていく。


暁「そもそも夕立は欲張りなのよ。最近ずーっと夕立に取られっぱなしだし」

夕立「そ、そんなこと……。だって仕方ないっぽい。強すぎて自分でも制御できないんだもん……」

暁「そのうち狂っちゃうんじゃない?」

夕立「それは心配ないっぽい!」

夕立「────それに関してはもう、かなり狂ってるから」


 強い、弱いの類は戦闘の話だろうか?それくらいしか思い当たる節がないのだが、あるいは…………
 
 さすがに考えすぎ。頭を強めに振って、浮かんできた考えを自らで否定した。それにしても随分と自信家だ。


夕立「でもあたしも、最近は満足できてないっぽい」

暁「そうなの?」

夕立「うん。だって最近は」

夕立「……最近は神通さんに取られっぱなしだから」


 ──────獲られっぱなし?MVPの話?いや、最近は演習でしか獲っていないはず。

       それもこれも、もっと強くなって提督のお役に立つため


暁「あー、たしかに。それはあるわよね」

夕立「でしょ?秘書官ってズルいっぽい!不知火ちゃんも寂しそうだし」


 ──────そろそろ慣れてきたというのはある。「辞めろ」とも言われていないので秘書を継続しているに過ぎないのだ。でも自分から辞めたいなんて言い出すつもりは微塵もない。

       それもこれも、提督のお傍に居たいがため


夕立「でもね!提督さん、夕立が行くとちゃんと相手してくれて、それだけでも安心っぽい!」


 提督が夕立ちゃんの遊び相手に?ちょっと、何を言っているのかよくわからない。提督がいつもお疲れになっていることは、この私がよく知っている。だいいちこの私がほとんどお傍に居るのに、彼女がやってきたような記憶は全くない。

 疲れているのに遊ぶだろうか?きっと単なる妄想だ、または幻覚が見えてしまっているのかもしれない。
 可哀想な子


暁「私もこの前、代理で秘書官をやったときに久しぶりに独り占めできたの!」


 提督が気を遣って、一日の休暇をくれたとき。そのときの代理として彼女が抜擢されていたのは覚えている。提督のサポートをしっかりとお願いしたし、その日だけ『傍に居て手伝うこと』を許したのだ。

 でも、誰が独り占めなんて許したの?私はそんな許可をしていないし、今後する予定もない。

 やっぱり幻覚が見えているのだ。
 本当に可哀想な子たち




 夕立の提督さん
 
 独り占めはしない

 砲弾が飛びそう

 誰から砲弾が飛ぶのでしょう?私から?ふふっ…………………………

 それは素敵、間違ってないです。もちろん、本当にそのようなことをしている場合、ですが。

 私はみんなとも仲良くしたい。なるべくなら、傷つけたくない。

 でも、もし。もしも提督に過度に干渉するようなことがあったら、私は傷つけてしまうでしょう。

 提督が傷つく前に。提督が傷つけられる前に。提督への想いが、私より強くなってしまう前に。優しい提督が、彼女たちの期待に応えようとしてしまう前に。












 提督が取られてしまう前に。
















 ああ、夕立ちゃんの言葉をやっと思い出しました。提督のことが好きか、という質問の答えがやっと出たんですよ。

 返答は『NO』です。そんな段階はもうとっくに過ぎ去っています。もし夕立ちゃんが提督にそのような感情を抱いているなら、その時点で私が一歩も二歩もリードしていますね。

 私は提督を愛しています、死んでしまうほどに。提督になら何をされてもいい。傷つけられてもいい。

 でも私は提督を傷つけたりしません。もし仮にそのような者がいるなら、絶対に許さない。

 提督を愛している。だから守る。それだけの話。何もおかしいことはありませんね?そう、これが普通なんです。夕立ちゃんや、他のみんなが『弱すぎる』だけの話。自分にはそれだけの能力が備わっていないし、おまけに自信もないと言っているようなものですよ?

 私は違います。悔しかったら少しは『強く』なってみてはどうですか?まあ私には永遠に敵わないんですけどね。ふふっ…………♪



 なんとなく窓の外を見たら、そこにはすでに光の失われた真っ暗な世界が広がっている。

 でもここからが本番なのだ。夜は私の十八番。
 
 闇夜に紛れ、誰にも気づかれず接近し、有効射程に入ったらこっちのもの。
 
 あとは自ら光を発して気づかれようとも、それを目印に反撃を受けようとも、乱戦で敵味方のうち誰の砲弾なのかわからなくとも

 何もかもみんな、みーんな



 私だけのモノになっているのだから。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




提督「あれ、神通?もう眠いのか?」

神通「はい……。あの、大丈夫でしょうか?」

提督「まあ俺はいつでも寝れるけど。いま布団敷くから」

神通「あ、いえ!今日からは私にやらせてもらえませんか?」

神通「────私、提督の秘書官なので」

提督「秘書にそこまでやってもらうこともないけど……」

神通「では秘書とか関係なく、やりたいからやらせてください」

提督「…………そこまで言われて拒否はしない」


神通「電気、ひとつだけ点けていてもいいですか?」

提督「いいよ、俺は暗くても明るくても寝れるし」

神通「ありがとうございます。おやすみなさい、提督」

提督「おやすみ、神通……」

神通「…………………………」

────────────────────
────────────────────






神通「…………提督?」

神通「提督、もうお休みになりましたか?」

神通「…………なってます……、よね」

神通「電気があると顔が良く見えますね、こっちのほうが私は好きですよ?」

神通「ふふっ♪今は私だけの寝顔、私だけのもの」

神通「この手も、頬も、口もぜんぶ」






















神通「 私 だ け の 提 督 ♪」




投下終了。日が空いてしまってすみませんでした

失礼します



提督「あー、暑い。クーラーつけたい」

神通「まだ今日はマシです。それに、クーラーに慣れてしまっては危ないですよ」

提督「そうなんだけどさ……。この暑さで死ぬよりはマシじゃないか?」

神通「もう、大丈夫ですよ。いま冷たいお飲み物をご用意いたしますね」

提督「ああ、少しは涼しくなるだろうな。ありがとう」



神通「──────♪」

神通「……これで……っと」

神通「…………そろそろ帰ってくるでしょうか」


神通「書類を、提督に手渡しに来るでしょうか」




神通「……………………────」







神通「お待たせしました、冷たい水です」

提督「なるほど、夏といえばまあこれだよな。ありがたく頂こう」

神通「………………」

提督「っ、冷たいこれが効くねー」

神通「お仕事、できそうですか?」

提督「おかげさまで。頭もすっきりした」

神通「……この暑さですから、無理はなさらないでくださいね」




──
───


提督「…………あー、神通、ごめん」

神通「調子が悪いのですか?」

提督「……なんでわかるの」

神通「さっきから辛そうな表情をされています」

提督「うん、まあ……。辛いというか、たぶん軽い熱中症だな。少し横になってもいいかな?」

神通「ええ、もちろん。後で氷をお持ちしますね」

提督「遠征組の対応も頼む……。あー、フラフラする……」



神通「…………すべて、私にお任せください」



────────────────────
───────────────
────────────────────


暁「司令官、遠征の報告書を持ってきたわ」

神通「あら暁ちゃん、お疲れさまです。私が提督にお渡しするので、こちらへ」

暁「ふーん……。司令官は?いつもこの部屋にいるでしょ?」

神通「軽い熱中症のようで、向こうの部屋でお休みになっています」

暁「それは……。大丈夫なの?」

神通「ええ、もちろん。私が保証します。少しすればすぐにでも」

暁「…………この水は?」

神通「提督が暑いと仰ったので、私がお持ちしました」

暁「……………………なるほど、だいたい掴めたわ」

暁「ま、無理に起こすのも良くないわよね。書類はここに置いておくから」

神通「ええ、そうしていただけると幸いです」


暁「──────それ、あんまり使っちゃダメだからね?」

神通「──────もちろん、ちゃんとわかっていますよ」











暁「それじゃ私は戻るから」

神通「暑い中お疲れさまです」



神通「…………物分かりがいいと助かりますね」







提督「ん……、今のは暁か?」

神通「あ、提督」

神通「まだ起き上がってはダメです。視界が定まらないはずですよ?」

提督「うん…………、そう、まったくその通り」

神通「私は平気ですから、まだお休みになっていてください」

提督「悪いな、なるべくすぐ復帰するから……」

神通「いいえ、あと2時間と30分はお休みになって?」

提督「その時間はどこから?」

神通「…………、そうすると次の演習があります」

提督「あー、そういうことか。もっと別の理由でもあるのかと」


提督「じゃあお言葉に甘えて。頼める?」

神通「はいっ!」


















神通「私がしっかり看病いたします」

神通「だって、いま提督に触れられるのは」






神通「……紛れもなく、この私だけなんですから」


投下終了です

失礼します



神通「提督!」

提督「おっと、演習の報告かな?」

神通「…………そうですね、それを優先いたします」

神通「戦術的勝利が3、勝利が2です。MVPは──────」

提督「また独占か」

神通「はいっ♪」


提督「それで、練度は?」

神通「上がりました」

提督「…………と、いうことは」

神通「…………工廠に行ってきますね!」



──────
────
──


神通「これが私の改二……」

神通「ふふっ……、ふふふふふふふっ…………」

神通「これでもっと提督のお役に立てます」

神通「もっともっと強くなって、もっともっともっと提督のお傍で」

神通「誰よりも確実にお守りいたしますからね」


神通「あら?火力とかが改造前より下がって……?」

神通「あ、そうでした。直後は近代化改修をしないといけませんでした。でもここには余ってるようなのは……」

神通「………………──────……」





神通「妖精さん?少しだけ、簡単なお願いがあります」






──
────
──────



神通「提督、今度こそ!」

提督「おお!随分と神々しくなるのね。てか神通だよな?」

神通「そうですよ。もっとちゃんと見てください」

神通「それより、能力値の上昇を確認していただけますか?」

提督「ん、ああそうだった。まあ軽巡だからなー、えっと────」



提督「……………………えっ、なにこれは……」

神通「これでまたお役に立てますっ!」

提督「……軽巡だよな?」

神通「そうですよ」

提督「艦種そのままだよな?」

神通「見ての通りです」

提督「火力」

神通「70です」

提督「雷装」

神通「98です」




提督「…………軽巡、だよな?」

神通「もう、何度言わせるおつもりですか」



提督「いや、悪い。あまりにも衝撃的過ぎた」

神通「無理もないです。私もそうでしたから」

提督「あれ、でもなんで改造したてなのに能力値は上限に?」

神通「…………早く提督のお役に立ちたい気持ちが抑えられなかった、とだけ」

提督「…………この鎮守府の誰も改修に回したりしてないよな?」

神通「もちろん。この鎮守府に所属している誰も、改修になんか回していません」

提督「そうか、それならいいんだ。変なこと聞いてごめん」

神通「いえ。では私は、少し部屋に戻っていますね」

提督「ああ、また後で──────────」











神通「誰も、消えてなんかいません。夕立ちゃんも、暁ちゃんも、不知火ちゃんもみんないます」

神通「そもそも指揮下の証であるロックは提督以外に外せませんし」

神通「ここのみんなは本当に好きだし仲良くしたいし……。だから」



神通「…………建造って、すごく便利だなぁ、って♪」





























提督「おっかしいな」

提督「いつこんなに資源使ったっけ……?」




投下終了

失礼します



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────────────────────

提督『演習?うちと?規模が違いすぎるだろ』

提督『いや、そういう問題じゃなくて……。物量で圧倒されちゃどうしようもない』

提督『大丈夫だよ、お前も随分と練度高いし』

提督『水雷戦隊なら育てるとこたくさんあるし』

提督『バケツの消費とか知らんがな、こっちは原因不明の資源喪失で危ないんだよ……』

提督『…………いや、こっちの資源消費持ってくれるって言っても』

提督『…………はぁ、わかった。少し考えさせてくれ、あとで連絡するから』



神通「どちら様でしたか?」

提督「兵学校時代の同期。ここより規模の大きい鎮守府で指揮してる」

神通「その方が、何か?」

提督「どうやら演習でみんなから経験値をご馳走してもらいたいらしい」

神通「…………勝てると思っているのでしょうか」

提督「なんでも物量で殴るとか笑い飛ばしてたがな」

神通「六隻くらいどうとでもなるのに」

提督「普通はならないからな?」



神通「………………あの、もしかして、ですけど」

神通「その人、私をここに配属した方ですか?」

提督「…………勘がいいな。気分を悪くしたならすまない」

神通「いえ、むしろ感謝しています。ここが私の居場所だったみたいなので」

提督「それなら良かった」



神通「それで、その演習は受けたのですか?」

提督「一応は保留してある。何しろ今日の午後とか言ってるし」

神通「…………引き受けましょう」

神通「私も、今の姿を試してみたいですし」

提督「んー、でも……」

神通「条件が悪いほうがいいデータは取れるはずです。訓練にもなります」

提督「…………わかった、そこまで言うなら受けておくよ。時間は……、たしかヒトロクマルマルだったっけな」

神通「わかりました。みんなにも伝えておきますね」

────────────

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──────

───

───

──────

─────────

────────────



同期「勘弁してくれよなー、戦術的敗北とか」

提督「あの子たちに夜戦させたらだいたい勝ってくるからやりやすい」

同期「それにしても、やっぱり夕立改二は強いな」

提督「お前は強さしか見ないのか」

同期「強さこそ至高だろ」

同期「ところで一人見慣れないのがいたが……、軽巡だっけな?」

提督「見慣れないって……。あれお前が引き渡してきた神通だぞ」

同期「へぇ……………………えっ」

同期「いや、あれ俺の知ってる神通じゃない」

提督「なんだ、改二は知らないのか」

同期「初耳」


同期「あんなに強くなるなら育てりゃよかったかなぁ……」

提督「ドロップなり建造なりすりゃいいだろうに」

同期「一から育てるのって、その過程が面倒じゃん?」

同期「あー、なんなら譲ってくれないかなー」

提督「正気かお前は……。自分が渡してきたのに」

同期「改二を知らなかったんだよ。戦艦二人くらいとトレード成立できない?」

提督「どんだけ軽巡が不足してるんだか……」

提督「トレードは無理だ。戦艦を運用するような資材もない。そして神通はエースだし」



同期「戦艦は強いぞー」

提督「俺は神通がいいの。敗軍の将は帰った帰った」

同期「お、じゃあ勝てばいいんだな?」

提督「そうとも言ってない」

同期「よーし、次俺が勝ったら譲ってくれよなー」

提督「譲らないからな?」

同期「まあまあ、考えておいて損はない。それじゃ今日はありがとう」

提督「考えたって変わらん」






提督「…………………………はぁ……」

提督「何を言い出すかと思ったら」

提督「どうやって突っぱねようかなぁ……」






夕立「提督さんっ!報告っぽい!」

提督「あれ、旗艦の神通じゃなくて夕立か」

夕立「うん。神通さん少し被弾して、演習用ペイント弾の変な色が付いちゃったっぽいから」

提督「あー、それで夕立に……。わかった、でも結果は知ってるよ」

夕立「それはわかってるっぽい!」

提督「……それなのに、わざわざ報告に?」

夕立「だってどんな時にも報告は義務でしょ?」

夕立「それに、久しぶりに遊んでほしいっぽい」

提督「そういう魂胆か。いつものでいいんだよな?」

夕立「もちろん!」



夕立「──────────♪」

提督「お前は撫でられるの好きだよな。本当に犬みたい」

夕立「うぅ、犬じゃないっぽい!」

夕立「…………あ、でも提督さんの犬ならありかなぁ……♪」

提督「俺が誤解されそうだからやめて……」


夕立「────提督さん、何か心配事?」

提督「!?…………なぜ?」

夕立「手の動きでわかるっぽい」

夕立「何か困ってるの?」

提督「いや……、はは、大したことじゃないさ」

夕立「でも困ってるっぽい?」

提督「大丈夫。本当になんでもないから」

夕立「……………………嘘」

提督「えっ」

夕立「……ううん、何でもないならいいの」




夕立(…………あとで確認してみよ)



まさかのsagaと酉忘れ……すみません

>>10で前作との繋がりは皆無とか言いましたが、キャラを引き継いだ関係で立ち位置的なものは同じになってしまってると思います。重ね重ね申し訳ないです
ただ、見ていなくても意味不明にはならないように尽力します


それではこのあたりで



夕立「────ねえ、これいけると思わない?」

暁「んー、たしかに……。でもなんか悪いような気も……」

夕立「こうでもしないと、こっちに引きずり込めないっぽい」

夕立「それに、意外と強そうだから抜け駆けっぽいことされても……」

神通「二人とも、執務室の前で固まっては邪魔になってしまいますよ?」

夕立「!?」

神通「ごめんなさい、そんなに驚かせてしまいましたか」

神通「…………ところで二人とも、面白そうな画面を見ていますね」

暁「あ、あ、えっと、その、これは…………」

夕立「暁、撤退するよ!」

暁「え!?」

夕立「速力じゃ負けないっぽい!」

神通「あら、火力では負けませんよ?」

暁「ち、鎮守府内で砲撃は……!」

神通「──────そうですね、『提督が困って』しまいますよね」

夕立「…………っ」

暁「…………」

神通「物分かりのいい子たちで良かったです」



神通「このモニターは?」

暁「…………ごめんなさい」

神通「謝られてもわかりませんよ」

神通「喋らないなら中を見れば手っ取り早いでしょうか?」

夕立「──────夕立が!」

夕立「……執務室に設置したっぽい」

神通「…………へぇ、面白い理由ですね。何をするつもりだったのですか?」


夕立「提督さんの声を聞いたり、提督さんの姿を見たり、提督さんの行動を観察したり、提督さんの発する独り言っぽいのもぜんぶ聞いてみたり、次の作戦を知って有利になるように真っ先に考えたり、提督さんの電話での会話も全部聞き取ってみたり」

夕立「────夜は、提督さんが変なのに絡まれたりしないか見てたりするっぽい。あ、でも今のは録画だよ」

神通「…………やっぱり、面白いことを言いますね」


神通「その権利はすべて秘書である私に依存します。提督の横顔を眺めながら起きて、提督のお手伝いをしながら傍に居て、提督がお疲れの時は癒して差し上げます。提督が寝不足の時は無理にでも睡眠を取っていただきますし、そして夜は提督の横で朝まで眺める権利が私にはあります」

神通「────提督が変なのに狙われたら、守る義務も私にあります。どうやら今がその時みたいですけど」

夕立「っ……………………」



暁「ま…………待ってよ」

暁「今はそれどころじゃないの」

神通「このイタズラ好きの子犬ちゃんを厳しくしつけるより重要なことですか?」

夕立「い、犬じゃないっぽい!」

暁「下手をするともう提督に会えなくなるわよ?」

神通「…………………………いつ誰にそんな権利を与えた覚えもありません」

暁「と、とりあえずこれを見ることよね」


──────
─────
────
───
──




神通「これは……、あの演習相手の指揮官ですか?」

夕立「そう。まだよく覚えてるはずだよ」

暁「それで、どうするのよ。向こうは今度は勝ちに来るわ。引き受けるの?」

神通「…………ふふっ……ふふふふふふふふふっ」

神通「ええ、もちろん。面倒な相手は薙ぎ払うが吉ですから。なんなら息の根でも止めて差し上げましょう」

夕立「で、でも相手は戦艦っぽいかもしれないよ?空母とか出てきたら大変っぽい!」

神通「関係ありません。所詮は演習だと慢心して出てきますよ、きっと」

暁「……どうするつもりなの?」

神通「そんなの簡単です。つまり────────」











夕立「………………」

暁「………………、……」

神通「ふふっ、どうですか?とっても素敵なパーティーになりそうですよね」

夕立「!…………お、面白そうっぽい!」

暁「そ……そうね!そう、とっても簡単なことじゃない」

神通「賛同していただけて助かります。むしろこちらから演習を挑むように進言してきますね」

夕立「う、うん!楽しみっぽい……」

神通「ええ、絶対に素敵なパーティーにいたしましょうね?ふふふっ…………」
























夕立「……………………暁ちゃん」

暁「……………………ゆ、夕立」

夕立「神通さん危険っぽい!絶対敵に回したくないよ……」

暁「な、なんとか策を考えるのよ。演習終わってもさっきのことは覚えてそうだし」

夕立「まだまだ提督さんと遊びたいっぽい、まだ沈みたくないよ……」

暁「おお、お、落ち着いてよ。まだその、し、沈められるなんて決まったわけじゃないで、しょ…………」


イベントがE7まであると聞いて震えつつ、どうしてか楽しみで仕方がない
イベント期間に入ってもなるべく更新はします

それではこのあたりで



男「ぐへ、38度か。そりゃ暑いわけだ……。扇風機で生き延びられるのかな」

座敷童(……あ"~~~~~~~……。これ楽しいんじゃな)

男「んー、やっぱりなんか忘れてて静かな気がする」

座敷童(お!)

男「毎日ここに居たはずなんだけど……」

座敷童(そうじゃ、それは儂以外に考えられぬ!!)

男「あ、そうだ」

座敷童(!!!)

男「今日はまだ童さんに会ってn」

座敷童「そう、儂じゃ!いないと寂しいかろ!?」

男「………………」

座敷童「………………」


男「…………お、おはよう童さん。朝から元気ですね」

座敷童「…………コホン。失礼したの」ドロンッ

男「えっ」

ぎゃああああミスですすみません忘れてくださいそれではまた!!!


2作品同時ってしんどくないのかな

>>191
どっちも書きたくて書いてるので、しんどいということはないですね。ヤンデレなのか甘々なのかっていう違いがあるだけです
それよりもスレ違いすぎる誤爆のほうが確実に堪えてます……


ということで気を取り直して投下。誤爆はどうにかこうにか忘れてください



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神通「提督、少しお時間よろしいですか?」

提督「神通か、どうした?」

神通「いえ、大したことでは……。演習のことで相談があります」

神通「この前……そう、私をご親切にこの鎮守府へ飛ばしてくれた人と演習をしましたね」

提督「…………ああ、うん」

神通「そして私たちは、辛くも勝利しました」

提督「さすがとしか言えんな」

神通「意外と手強かったんですよ?その分経験も積めましたけどね」

神通「そこで提案があります。もう一度、演習を組んでもらえないでしょうか?」

提督「………………」

神通「提督?」

提督「……ああ、ごめん。それはどうして?」

神通「経験がたくさん積めるからです」



提督「で、でも、次も勝てるなんていう保証はない」

神通「負けるつもりもありません」

提督「戦艦や空母が出てきたらわからないだろ」

神通「──────夕立ちゃんと同じこと言ってますね、提督」

提督「ゆ…………、夕立がどうしたって?」

神通「…………いいえ、なんでもありません」



神通「安心してください、『演習』なので被害を受けてもドック入りすることなんてありませんし」

提督「いや、でも、その……万が一負けたら経験値も不味いだろう?」

神通「そんなことないですよ。強い相手と戦えるのならそれだけでも素敵なことです」

提督「で、でもさ…………、負けたら資材が惜しいじゃん」

神通「勝ったって消費は変わりません」

提督「……………………」


神通「提督、何か隠し事をしていませんか?私に関する大事なこと」

神通「ふふっ、言わなくて結構です。でも、私は何があっても提督の元から離れるような気は一切ありませんからね?無理にでも引き離そうとする人物が存在するのなら」

神通「────────その時はその時、『仕方のないこと』ですよね」

提督「────────!?」



神通「あ、それとなるべく練度の高い、手強い相手でお願いしていただけますか?向こうは実力主義だと聞くので、きっと戦艦や空母が勢ぞろいしているはずです」

提督「それだと本当に負けるぞ、あいつの主力はだいたい練度100を超えてきている」

神通「知っています。短い間でしたけど、そんな雰囲気がありました。ちゃんとみんなを愛することができているのかわかりかねますが」

提督「まあ戦略ケッコンだって本人が言ってたし」

神通「そうだとしても、ケッコンという響きはやはり嬉しいものなんですよ?」

提督「うん、まあ……。艦娘と言っても年頃の女の子だしなぁ」



提督「でも本当に、あそこと演習だけはやめよう、な?今回はその……諸事情あって負けるわけにはいかないんだよ」

神通「………………………………つまりそれは、私と一緒にいたい、という解釈で構いませんね?」

提督「………………待って、まさかあの会話

神通「そうなればっ!」


神通「勝てば相手は引っ込むはずです。主力を叩けばさすがに戦意を削ぐ形に持ち込めるかと思います」

神通「安心してください、大丈夫ですよ?何があっても負けません、絶対に」

提督「…………せめてもう少し希望のある編成をお願いしないか?」

神通「それじゃ全く意味がないんです、ノーダメージ。カスダメやミス。そんなところ」

神通「私たちが叩きだしたいのはクリティカルヒット、夜戦で叩きます。提督は何も心配しなくて大丈夫です」

投下終了

完全に言い忘れましたが、雑談などはしていただいても構いませんのでお気になさらず

それでは失礼します



こちら側は軽1の駆逐4のみ?

>>198
そうなりますね。ここの鎮守府ではこれ以上増やす予定はありません

投下します



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神通「…………想定より派手に被害が出てしまいましたね……」

夕立「ごめんなさいっぽい……」

暁「し、仕方ないわよ……。だって向こう、戦艦4に重巡、それと空母だもん」

不知火「そのうち大和型が二人ですから。一撃でも砲弾を食らえば吹き飛んでしまうわね」

神通「そうですね……。残念ながら、演習には昼で完敗です」

神通「でもみんな、まだ動けますよね?」

夕立「…………もちろん♪」

暁「当たり前じゃないっ」

不知火「痛くも痒くもありません」

神通「ふふっ♪ただ少し、変な迷彩柄が塗装されてしまいましたけど──────────」



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大和「こちらの被害は……、雷撃で高雄と飛鷹が轟沈判定ですか」

高雄「すみません、隙を突かれてしまって……」

長門「なに、戦艦がみんな健在だ。夜戦もできるさ」

陸奥「でも、向こうもあんまり大したことないわね。噂だと全弾回避する勢いだとか聞いたけど」

武蔵「しかし、たしかに回避が小刻みで面倒ではあったな」

飛鷹「結局私なんて開幕だけやってあとは中破判定だし……。もうっ!」

長門「気にするな、あそこで暁を中破させたのは意外に大きかった」

大和「最後、なんだか魚雷の数が多かったような……」

武蔵「そもそも装備が多めなのか、または多連装なのかだろう。どちらにせよ当たってしまった事実は変わらないさ」

陸奥「ていうか、向こうは夜戦仕掛けてくるかしら?もう半分くらい大破してるんじゃない?」

長門「だとしてもやってくるはずだ。まあ、どうせこちらの勝ちだがな。ふふっ」

陸奥「じゃあ、向こうの旗艦の軽巡は私たちの仲間ねっ♪」

武蔵「ああ、あいつは手強かった。攻撃も強力だ」

高雄「水雷戦隊も、もっと強化されるんですね」

飛鷹「………………」



大和「ん…………、向こうもやる気みたいですね」

長門「なるほど、完膚なきまで叩いてくれということだな」

陸奥「思い出づくりにはちょうどいいんじゃない?」

長門「はは、そういうことか」

武蔵「いいじゃないか、大和型の恐ろしさを見せつけてやろう」

大和「はいっ!それでは……」

大和「戦艦大和、突撃します!」



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神通「みんな、準備はいい?」

暁「主砲も魚雷も準備完了!」

不知火「……少し気が引けます。でも、神通さんと司令のためです」

不知火「司令のご命令なのですね?」

神通「…………ええ、もちろん」

不知火「…………了解しました」

神通「夕立ちゃんも大丈夫ね?」

夕立「ぽい!」

神通「ではやりましょうか」

夕立「最高に素敵な、パーティーしましょ♪」






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────────────────────

大和「んー……、暗くてよく見えませんね……」

武蔵「当たり前だ、夜戦は夜にするものさ」

長門「やはり例の大型探照灯を持ってくるべきだったか……」

陸奥「いらないわよ。私たち大きいし、変に目立つだけ」

大和「それにしてもどこに────」


神通「………………探照灯照射、突撃します!」

大和「!?ど、どこから……っ!?」

神通「残念ですが、もう遅いです♪」

大和「────────…………ぇ……ぁ…………」

武蔵「大和!なぜそんな大袈裟に……え、演習弾ではないだと!?」




夕立「あら、あなたの相手はこっちっぽい」

武蔵「き、貴様ら……。卑怯だぞ!」

夕立「──────卑怯なのは、どっちの提督さん?」

武蔵「…………貴様、判定大破食らって行動不能なはずだ」

夕立「うん、そうだよ。でもただの『判定』でしょ?変な色付いただけっぽい」

武蔵「なっ!?」


夕立「安心して、沈めないから♪」


武蔵「っ──────────…………く、そっ……」




長門「…………、聞いてないぞ」

暁「戦場って、想定外の連続よね」

長門「ここはあくまで演習場だ!戦場とは少しちが……」

暁「あ、気づかなかったの?」

暁「じゃあ教えてあげる。ここ、もう演習用のルールとかない通常海域だから♪」


長門「なに──────…………っ!?……」

陸奥「な、長門!?」



陸奥「…………ふぅん、お姉さんを怒らせちゃったみたいね。戦艦は怖いぞー?」

不知火「夜の駆逐艦も怖いです」

陸奥「もうルールは適用されないのね?」

不知火「はい、通常海域ですから」

不知火「ただ攻撃順はそのままですよ」

陸奥「へぇ、じゃあ私の番ってことか」

陸奥「演習用のペイント弾、顔とかに向けて撃ってもいいのね?」

不知火「やりたければどうぞ」

陸奥「…………言っとくけど容赦なんてしないわよ?視界がなくなっても知らないから。全砲門」

不知火「…………」

陸奥「開け!」

不知火「!」

陸奥「えっ!?」














不知火「着弾点の宣言と宣言通りの砲撃、素晴らしい練度ですね」

不知火「実戦的な演習へのご協力、感謝します♪」

陸奥「──────……………………」












────────────────────────────────────















神通「お見事ですっ」

夕立「探照灯のおかげっぽい!」

暁「あーすっきりした!戦艦って夜はそうでもないのね」

不知火「夜だけ立場が逆転しますからね」

夕立「実弾ってすごい威力っぽい!」

神通「私たちももし実弾を食らっていたらとっくに大破していますね」

暁「でもいろんな色付いちゃった……。ちゃんと落とせるかしら」

不知火「演習ではいつものことかと。不知火なんか顔に撃たれかけました」

夕立「でもこれ、どうやって誤魔化すの?だいぶ素敵なパーティーにしちゃったっぽいし」

神通「ええ、もちろん考えてあります。提督にご迷惑をおかけするわけにはいきません」




投下終了
普通に戦うとは言ってない


少し独自設定というか解釈が入りますが、演習で実弾を使うのは危険すぎるので、『基本的には』ペイント弾という解釈をしています
色のついた箇所などでダメージ判定を受け、その数や箇所で損害を判定。場合によっては撃沈判定で行動不能に
ざっくり言えば色が付くだけなので実際にはどの部位も動かせますが、『演習場において』はそれを使わないルールという設定です

相手の編成は特にこれと言って意味はありません。先日ゲームのほうで当たった演習相手の編成をそのまま拝借しました
どうしても盛り込めなかった部分をこんな形で説明してしまってすみません


失礼します



大和「…………あの……」

不知火「なんですか」

大和「どこへ連れて行く気ですか?沈めるの?」

不知火「まさか。そんなことしたら大問題です」

長門「今の時点ですでに大問題だが」

神通「まだ何も起こっていません。通常海域での演習中に敵艦隊と遭遇、運悪く片方の鎮守府の艦隊だけが壊滅的被害を被った」

神通「それだけの話ですよ?」

長門「なっ!?お前ら……」

武蔵「……隠蔽する、というのか」

夕立「まあたぶん、そうなるっぽい」


陸奥「この被害で隠し通せると思ってるの?」

暁「だからそれを今からなかったことにするんでしょ?」

長門「…………どうすると」

神通「悪いことではありません。今はついてきてください。航行も厳しいようなら曳航も致しますよ?」

武蔵「戦艦を甘く見てもらっては困る。私は大和型だ」

夕立「ふーん。そっちのお二人さんは?」

長門「ビッグセブンをなんだと思っている」

暁「航行なら大丈夫そうね」


大和(どうしてだろう、この人たちから悪意みたいなものは全く感じない……)



神通「着きましたよ。どうぞ」

武蔵「…………入渠ドックでどうしろと?」

不知火「入渠ドックはどのような場所ですか?」

武蔵「修理をするところだな。遅かれ早かれ治る」

暁「うん、じゃあそのまんまじゃないの?」

陸奥「ここで修理をして、そのあとは?」

夕立「普通に帰ってもらっていいっぽい」

長門「は?」

暁「いや、そこで驚かれても……」


長門「そもそもここはどこの鎮守府だ?」

神通「私たちのですよ。小さなところですけど」



神通「ご心配なく。バケツも四人分は確保してありますし、修理資材もそれなりには確保しているつもりです」

武蔵「ふっ、この大和型、鋼材なんて四桁は頂くぞ」

夕立「それくらいなら大丈夫っぽい。けっこう頑張って集めたっぽい!」

陸奥「計画通り、ってわけ?」

神通「計画的に集めたのは否定しません。最初からそのつもりで演習も組んでいただきました」

長門「……そちらの提督の指示か。お前を引き渡したくないからとここまですることは────」

神通「まさか、提督を疑っているのですか?」

長門「!?い、いや、その…………」

神通「このことは提督は一切ご存じではありません。無関係です。ただ、私がそっちに行くだの行かないだのが絡んでいるのは確かですね」

大和「やっぱり引き渡したくなかったんじゃ……」

神通「ええ、もちろん提督もそう仰っていましたよ」

陸奥「そうなると命令以外に考えられないと思うんだけど」

神通「あら、どうしてですか?」

神通「──────私が提督から離れたくないだけなんですよ♪」



暁「それより早く入渠してよね。司令官に気づかれると色々アウトなんだから」

夕立「ねえ、早くしないと海の底で治すことになるよ?大破してるし一発で十分っぽい」

大和「…………わかりました」

長門「大和!」

大和「私は旗艦ですから、みなさん揃って帰投させる義務があります。いまは従いましょう」

陸奥「…………そうね、話は修理してからね」

武蔵「長門、わかってやれ」

長門「…………了解。修復材も使っていいんだな?」

神通「ご理解感謝いたします。むしろ使っていただいたほうが好都合です」


───

──────

─────────

────────────



長門「酷い目に遭ったものだ、全く……」

神通「重ね重ね申し訳ありませんでした。でも少し、インパクトが必要だったんです」

武蔵「それはつまり、どういうことだ?」

不知火「後ほどわかりますよ、きっと」

陸奥「そういえば高雄たち、どうしてるかしら」

長門「首を長くして待っているだろうな……。早く帰ろう」

武蔵「しっかりと報告もしないといけないな」

神通「………………」


大和「……それでは帰りましょうか」












夕立「ねえ、行かなくてもいいっぽい?」

神通「いえ、もちろん向かいます」

暁「早くしないと司令官が誤解されちゃうわよ」

神通「もちろん。それを防ぐために、ですっ」

神通「あとは私たちがやるので、不知火ちゃんはここに残っていただけますか?もし提督がいらしたら、少し遅くなる旨を伝えていただけるとありがたいです」

不知火「なるほどです、了解しました」




投下終了。連敗脱出で捗る書き溜め

失礼します



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────────────────────
────────────────────

高雄「おかえりなさい。遅かったですね」

大和「少し事情が……」

飛鷹「もう、心配したのよ」

長門「すまない、少しドック入りしていてな」

武蔵「ああ、奴らは危険すぎる。近づいたのが私たちだけで良かったとさえ思う」

飛鷹「…………何かあったの?」

陸奥「簡単に言うと、実弾でフルボッコにされたの」

高雄「!?」

長門「そしてどういうわけだか、ご親切に修理を受けた。向こうの鎮守府でな」

飛鷹「何よそれ……」



高雄「……私、あの人たちの所へ行ってきます」

武蔵「行ってどうするのだ?それに向こうは実弾を持っているぞ」

高雄「でも…………っ!」

武蔵「高雄、気持ちはわかるが、私たちは無事だ。報告して、提督に処理を任せようじゃないか」

陸奥「あの軽巡、やたら強いのは確かだしね。あの子も仲間になるんだし」


神通「あら、そんなことしてもらっては大破までしていただいた意味がないですよ?」

陸奥「!?」

長門「お、お前ら……!」



飛鷹「……どういうことか説明しなさいよ。されても理解できないけど」

神通「もちろん致します。とっても簡単なことです」

神通「私があの方から……、今の提督から離れたくなかっただけ。それだけですよ」

高雄「それとこれとがどういう関係があるというのですか!?」

神通「…………あなたたちの左手、でしょうか。その一際目立って光ってるものです」

陸奥「この指輪?提督から頂いたものだけど」

暁「それが重要なの」

武蔵「…………すまないが話が読めんぞ」



神通「つまり、あなたたちはそちらの提督のお嫁さん、ですよね?」

長門「……ま、まあその、一応は、だな」

夕立「貰ったとき嬉しかったっぽい?」

高雄「それはもちろん…………♪」

夕立「夕立も早く欲しいっぽい!」

神通「とにかく、愛されている証というのは嬉しいものですよね」

飛鷹「…………さあ、愛されてるんだか」

神通「…………やっぱり」


神通「指輪を貰ってからも、特に変化はなかったということでいいですか?」

武蔵「まあ、かなり事務的ではあったな。提督はそういう人だ」

暁「それに満足してるわけ?」

武蔵「それは…………」


大和「で、でもみんな、指輪を貰った以上少なからず提督をお慕いしていますっ!」

夕立「…………!」

神通「ふふっ、本音を言っていただいて良かったです」

暁「ふぅ、なんとか読み通りってことね」

陸奥「どういうこと?」

飛鷹「………………」



神通「これから報告へ行くんですよね?」

武蔵「もちろんだ。貴様ら、特に神通は危険すぎる」

神通「今回の演習の目的は?」

長門「お前がこちらの仲間に加わるかどうかという賭けだ」

神通「ええ、その通り。そして私たちは演習には負けました。完敗です」

神通「なので、私を引き抜こうというわけですね」

高雄「ほ、本当に来るの?」

神通「仮に行ったとして、私を危険人物認定したことをお忘れなく」

武蔵「……何が言いたい」

神通「──────正直、私を提督から引き離そうとした人物は嫌いです。つまりそちらの提督が」

神通「そして私は、どうやら危険人物だそうです。自分でも何をするかわかりません。提督の元へ戻ろうとする程度に止まればいいですけど」

大和「……まさか…………!」

神通「時には嘘をつくことも必要なことがあるんですよ?」



長門「…………これも隠蔽しろというのか」

神通「強要はしません。ただ正直に話した場合、きっと私が引き抜かれて、そちらの提督は謎の失踪を遂げますね。そして私は、愛する提督の元へ戻ります……♪」

陸奥「謎のって……、原因はわかりきってるじゃない!」

神通「────言わなければ何も起こりません」


飛鷹「……わかった。提督が居なくなったら悲しいもの」

大和「そうですね……。いくら事務的ではあっても、やっぱりお嫁さんって響きは……♪」

武蔵「………………」

長門「………………」

陸奥「………………」

高雄「………………」



夕立「満場一致っぽい」



───

──────

─────────

────────────


神通「基本的な思考回路が同じみたいで助かりました」

暁「あ、負ける口実として演習弾でも撃ち込んでおく?色が付くだけだし」

武蔵「いや、高雄と飛鷹はもうカラフルだしな。戦術的敗北とでも言っておくさ」

神通「最後に、こんな形で回避したことをお詫びします。痛い思いをさせてしまって申し訳ありません」

神通「──────存分に『愛して』あげてくださいねっ?」

大和「……………………はいっ♪」

神通さんに存分に愛されたいだけの人生だった

それでは今日はこのあたりで


なんというかこうありふれた一軒家でありふれた生活をしたい

>>233
握手

そんな感じのものは次か次くらいに甘々の激甘で立てたいと考えてます。これまたたぶん同じ面子ですけど、余裕と気力があれば他の艦娘も


今日の投下はありません、申し訳ないです……
明日は休日なので確実に投下できると思います



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神通「提督、大変長らくお待たせしてしまいました。報告です」

提督「ああ…………、お帰り……」

神通「………………提督?私たちを信じてくれていましたか?」

提督「そりゃもちろん……。でも相手が悪いし、気が気でなかったのも事実だな」

提督「……それで、結果は?」

神通「それはもちろん──────」


暁「司令官、電話だって!」

提督「お?誰からだろう」

神通「……………………暁ちゃん?」

暁「あ…………」

提督「まあまあ、ごめんな神通。途切れさせちゃって」

神通「そこじゃなくて……。はぁ、今回はいいですけどっ」



提督「で、誰から?」

暁「わからないの。取ってからずっと『俺は幸せだー』って言ってばっかりで……」

提督「変質者かよ……。とりあえず出てみるか」

暁「き、気を付けてね?」

提督「大丈夫大丈夫、遊びで鎮守府にかけてくる能天気な奴もいないだろうし」




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提督「もしもし……」

同期『俺は幸せ者だなぁー!』

提督「……お前か。なんだ急に、演習の結果はまだ聞いてないが」

同期『ああ、あれはもういい。俺は現状に満足している』

提督「見事に180度変えてきたな」

同期『これ以上を求めると殺されそうだ。いや、それも幸せかもしれないなぁ』

提督「なるほど、暑さで狂ったか」

同期『ちょっとタイム』


同期『…………違う、女なんかじゃない。この前の……』

同期『……いや、まさか。知り合いだ、本当に。…………っ、ははは、幸せだなぁ!』


提督「…………?」


ブツッ




提督「………………なんだったんだ」


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提督「ただいま……って暁は?」

神通「あ、おかえりなさい。さっき戻りましたよ。電話、どちらでしたか?」

提督「ああ、この前の演習相手の指揮官だ。どうやら暑さでやられたっぽい」

神通「…………どんな様子でしたか?」

提督「え?聞いた通り幸せだーって連呼して切られた」

神通「それだけ?」

提督「んー……あ、なんか艦娘の声も聞こえた。冷静だったけど怒られてるようにも聞こえたな。それがどうかした?」

神通「……じゃあきっと、事実を話したうえで愛したんですね」

神通「読みが少し外れました。私が思ってる以上に強かったみたいです……♪」

提督「よくわからないけど……。とりあえず結果は?」

神通「提督が心配されているような事態は避けた、とだけ」

提督「つまり勝ったのか!」

神通「そう捉えていただけるなら、そうかもしれません」



提督「いや、もう神通が残ってくれるってならそれでいい」

神通「提督…………。もちろんですっ」

神通「ここを離れませんからね?」

提督「ああ」

神通「絶対に、何があっても」

提督「ちゃんと所属してる艦娘の転属なんて、俺かその張本人が希望しないとなかなかあり得ないことだぞ」

提督「まあとにかく良かった。今日は疲れただろうしもうのんびりしてなさいな」

神通「はい。お気遣いありがとうございます」

提督「いいのいいの、仕事ないし」

提督「じゃあ他の子にも伝えてくるから、少し外すよ」

神通「…………はい」











神通「………………離れませんから」

神通「提督の許を、一生離れませんよ」

神通「何があっても、絶対に……♪」









投下終了

明日からのイベントでどうやらまた飛行場ちゃんに会えるみたいでとても震えてます。きっと武者震いですね、決して怖くなんてない

失礼します



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暁「それにしても、神通さん良かったわね」

神通「どんな手でも使うつもりでしたから。一応は、なるべく平和的な方法を採用しましたけど」

夕立「あ、あれで平和っぽい……?」

神通「もう一段階レベルを引き上げると、恐らく誰かが沈んでます」

暁「」

夕立「」

神通「それより今日は二人の訓練ですよね。着きましたよ」

神通「まずは射撃訓練。私は後方から援護しますので、二人は前に出て砲撃してみてください」

夕立「はーいっ」

暁「任せてよ!」

夕立「…………ね、神通さん忘れてるっぽい」

暁「あんな作戦考えてた後だし、頭が回らないのは当然じゃないかしら?とにかく沈まなくて済みそうね」

夕立「安心したっぽい……」

神通「──────────」




暁「準備できたわ!」

神通「ではまず、設置した目標に砲撃しながら反対側へ回って。私はこちら側から。戦場だと思って速力を活かしてくださいね?」

夕立「挟み撃ちっぽい?珍しいっぽい!」

神通「そうですね。でも、できなくはないです。夜戦なら特に」

暁「それもそうね……。了解っ!夕立はそっちから回って」

夕立「ぽい!」

神通「──────────ふふふっ、良い動きです♪」



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──────

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提督「あー、書類仕事めんどくせー……」

不知火「…………司令」

提督「んー?」

不知火「どうして不知火は、今日の訓練に組み込まなかったのですか?」

提督「うん、まあ……。みんな行っちゃうと秘書がいなくて余計に面倒じゃん?」

不知火「今までずっとそのはずだったのですが」

提督「そ、それは……、ですね……」

不知火「司令」

不知火「納得できるように、簡潔に説明してもらえますか?」

提督「…………わかった。てか気づいてないのか」

不知火「何に?」

提督「あ、本当に気づいてないのね」






提督「不知火さ、もう練度が上限なんだよ。これ以上は上がらないから外した」

不知火「……………………!」




投下終了

早速ですがE1甲クリアしました。いきなりわるさめちゃんとは手厳しい

失礼します



不知火「練度が、上限……」

提督「そうそう。つまり最強の状態」

不知火「いえ、まだです」

不知火「まだ、まだまだ上げる方法はあります」

提督「………………」

不知火「そうですよね。隠したって無駄です。不知火はずっと秘書でしたので、それ関係の書類は見つけたことくらいあります」

提督「いや……。あれは強制じゃない。それに今のままでも十分に」

不知火「司令」

不知火「不知火では不満ですか?」



提督「そ、そういうわけじゃなくて……」

不知火「…………神通さんたちが少し異常なのは知っています。それで司令が、混乱を避けたいことももちろん」

提督「ははは……。嬉しいっちゃ嬉しいしこの上ないんだけどね」

不知火「誰かを選ぶと、誰かが傷つくかもしれない。それを避けているんですよね?だから、敢えて誰も選ばないつもりですらいる」

提督「……………………不知火には敵わんなぁ」

不知火「ふふっ、読み通りね」

不知火「不知火は待っていますよ。いつまでも、何番目でも」

提督「ありがとう。でもやっぱり、選ばないのが有力候補だな」

不知火「…………本当にそれで済む話ならいいんですけど」

提督「えっ……」

不知火「もしかすると、司令が傷ついてしまう可能性も。物理的にです」

提督「俺だけでいいならまだそっちのがいいさ」

不知火「わかりませんよ?あの人たちは他人も司令も傷つけかねないです」

不知火「──────最終的には、自らも」

提督「…………そこまでなってる?」

不知火「そこまでなってます」

提督「…………………………」









不知火「あら、ごめんなさい。余計に頭を痛くさせてしまいましたか」

提督「胃のほうが痛い……」






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─────────

──────

───



神通「みんな、目標地点に移動しましたね?非常にいい動きで感心です。砲撃、開始してくださいっ」

神通「──────くれぐれも、目標だけを見るように」

夕立「ぽい!」

暁「……?あ、当たり前よっ」

神通「あらあら、いつの間にか砲撃もだいぶ当てるようになっていますね。でも少し、火力が足りないみたい」

神通「…………私が援護射撃しないと」




暁「けっこう頑丈にできてるみたいね、この的」

夕立「夕立の火力でもちょっと足りないっぽいー!もう……」

暁「でも壊せなくはないわ!もう少し頑張ればきっといけるしっ」

神通「砲雷撃戦…………」

暁「え…………?」

夕立「援護射撃っぽい!挟み撃ちだね!」

暁「あ……、そ、そうよね!うん……」


神通「────────開始します!」



暁「……………………!!」

夕立「────────……え」

暁「夕立!?」

神通「あら、ごめんなさい」






神通「少し手元が狂って流れちゃいました♪」




暁「…………神通さん、これは酷いと思う」

神通「私の提督を奪って独り占めしようとするのがいけないんですよ?」

神通「大丈夫です。一応炸薬は抜いてますから、酷くて中破あたりかと思います」

暁「そういう問題じゃ……!」

神通「それより、さっき撃った魚雷も少し角度を間違えちゃったんですよね。私としたことがとんでもない失態」

神通「どこ行っちゃったのかしら……♪」

暁「────────!?…………っ」

神通「あはは、そんなところに行っちゃったんですね。酸素魚雷は射程が長いですから」

神通「ごめんなさいね?でも、それも炸薬は水に変えてますから、悪くて機関部の故障……中破くらいですよ」

暁「………………許さない。沈める」

神通「代用弾で?」

暁「これだって炸薬を抜いただけ。撃ち続ければできないことはないわ」

神通「そうですね……。そうなればもちろん応戦させていただきます」


神通「もう実弾しか残ってないけど」

暁「…………っ」




神通「あはは!いいですよその表情。絶望してる感じがとてもいいと思います」

神通「それで、どちらを選びますか?」

神通「────提督の部屋の監視をやめるのと、もう提督に会えなくなること」

神通「お好きなほうで構いません。ただ、この実弾はあまり使いたくないですね」

暁「……………………」

神通「時間がそんなにないの。夕立ちゃんを早くドック入りさせてあげないと」

暁「!…………っ、」



暁「────わかった、カメラは外す。早く夕立をドックへ……!」

神通「…………良い判断です、とっても」

神通「夕立ちゃんは私が運びます。暁ちゃんも気を付けて、早くドックへ!傷は早めに治すのが最善ですから」

暁「え?う、うんっ」




暁(神通さんって、ほんとよくわからない……)

夜戦でダイソンをワンパンする神通さんってほんとよくわからない(錯乱)


それにしても今回はマジキチですね……
確実に照月ちゃんをお迎えするべく、E7は大人しく丙提督になることを決意しました。その丙ですら難易度おかしいですけど

失礼します



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神通「なんとか間に合いました……。夕立ちゃんはお願いできますか?私は少し、提督へ報告に行くので」

神通「もちろん、私が訓練で二人に怪我をさせてしまったことも含めて」

暁「……うん、わかった」

神通「一応計算はしたつもりですけど、二人とも傷もそこまで深くはないですね。すぐ治りそうで安心しました」

暁「…………ねえ」

暁「どうして、攻撃してから本気で心配するの?この前の演習でもそうだったし」

暁「心配するくらいなら最初から別の方法もあるのに」

神通「それは……、私が提督も、ここのみんなも大好きだからですよ。ベクトルがだいぶ違いますけど」

暁「じゃあこの前の演習は?他所の艦娘なんて、私は司令官のためになら沈めてるかもしれないわ」

神通「────沈めた場合、提督にご迷惑をおかけしてしまいます」

暁「えっ?」



神通「『大破した』とか、『資材を使って修理した』くらいならやむを得ないこととして、事故として処理されるでしょう。もちろん責任の大部分は私に」

神通「でも、『沈めた』ともなると違います。それはもう取り返しが付きません。そうなってしまうと、責任の大部分は提督に依存してしまい、下手をするともう会えないかもしれない」

神通「だからそのギリギリのラインで勝負している、それだけ。そうすればなるべく迷惑をかけず、効率的に邪魔を排除して」



神通「────────提督を引き寄せられる♪」

暁「…………………………」




神通「それではそろそろ報告に行ってきます」

神通「くれぐれも例のものあとでは外しておくように。いいですね?」

暁「…………わかってるわよ」



暁「わかってるけど…………」

暁「少しくらい、反撃してみてもいいと思わない?夕立」

暁「夕立ってば、もう起きてるんでしょ?」

暁「…………ほら、死んだふりしてないの。目が動いたし」

夕立「…………夕立ったら演技が少し苦手っぽーい」

暁「もう、司令官が心配するじゃない」

夕立「そうだけど……。少しは反撃になるかもしれないよ?」

暁「…………………………」




───

──────

─────────

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提督「男として素直にうれしい状況だけど、これは喜んでいいのかわからないぞ……」

不知火「いいんじゃないですか?落ち込むことではありません」

提督「頭を抱え胃の痛みに耐えることではある」

]
神通「提督、いらっしゃいますか?」

提督「ん、ああ。報告か」

神通「そうですね。失礼いたしますっ」

神通「さっき終わりました。二人ともとてもいい動きをしていました」

提督「神通の指導ともなるとやばいって不知火が言ってた。そりゃ練度も面白いように上がるわな」

不知火「し、司令それは……!」

神通「あはは、でも不知火ちゃんは一番よくついてきていますよ?私より練度が高い子を指導するっていうのも違和感がありますけど……」

提督「それはいつも思ってたけど、駆逐艦娘が軽巡に指南するってのもおかいしかなぁって」



神通「……それと、一つだけ謝らなければいけません。いま少し入渠ドックを使用しています」

提督「ドック?それまたなぜ?」

神通「私としたことが誤射をしてしまって……。中破させてしまいました。二人には本当に申し訳ないです……」

提督「えっ、待ってそれ大丈夫なのか!?」

不知火「射撃訓練では炸薬を抜いた代用弾ですから、当たったとしても痛い程度で済みます。まあだいぶ痛いですけど」

神通「……恐らく1時間もしないうちに上がると思います。二人とも無事です」

提督「気を付けろよな……。でも大事に至らなくて良かった、すぐに様子見に────」

暁「司令官、大変なの!」

提督「おう?暁?」

提督「どうした、てかお前誤射のは治ったのか?」

暁「治ったからすっ飛んで来たんじゃない!私より夕立が……!」

提督「夕立が?………………ま、まさか!?」

神通「…………………………え……?」






◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


暁「夕立、声かけても起きなくて…………」

提督「夕立!ゆうだちー!」

不知火「目立った外傷はなさそうですが……」

提督「内側からってのもあり得る、てかそっちのほうがまずい」

神通「あ……ぁ………………っ……」

提督「不知火、神通頼んだ。過呼吸気味」

不知火「了解です」

神通「っ、ま、待ってください!」

神通「私は大丈夫、です!そもそも私が砲弾を当てさえしなければこんなことには……」

神通「だから残る義務があります、お願いです……っ」

提督「………………」




提督「脈は…………、あるな、いける」

提督「とりあえず医務室まで運ぶ」

暁「司令官、大丈夫?」

提督「艦娘とて艤装さえしてなけりゃ普通の女の子だし、抱き上げて運ぶよ」

夕立「………………」

不知火「何かお手伝いすることは?」

提督「そうだな、寝かせられるところでも確保しておいてくれるとありがたい」

夕立「………………!」

提督「あ、呼吸も確認しないと。場合によっては人工呼吸だし……」

神通「じ、人工呼吸……?提督が、夕立ちゃんに……」

夕立「………………っ!」

提督「…………待って」



提督「ゆーうーだーちー?」

夕立「あはは!くすぐったい、くすぐったいっぽいー!あはは!」

提督「なんかおかしいと思ったら普通に意識あるじゃねーか」



不知火「なんとも素晴らしい演技だこと」

神通「よ、よかった…………」


暁「……さっきと比べて随分上達したのね」

不知火「はい?」

暁「あ、ううん。なんでもない」



提督「洒落にならないからそういう演技はやめてくれ、心臓に悪い……」

夕立「ごめんなさーい……。ちょっとだけ驚かせたかったの」

提督「この状況でその演技されると驚くとかじゃ済まないからな?」

提督「でもなんで人工呼吸って単語で息を止めた?」

夕立「それは…………えへっ♪『そういうこと』っぽい!」

夕立「提督さん、夕立を寝かせてどうするつもりだったの?」

提督「どうってそりゃ手当てなり看病なりできることを」

夕立「ふーん……。それだけっぽい?」

提督「それだけだが」

夕立「…………せっかく夕立のものになると思ったのに」

夕立「────でも夕立、ちゃんと『反撃』できたっぽい!」

神通「………………面白いですね、本当に」



神通「提督、今回は私のミスです。すみません」

提督「お、おう……。今回は良かったけど、ほんと気を付けろよ?」

神通「はい、肝に銘じます」

神通「それと、もう夕立ちゃんの意識は戻った……というか最初からあるみたいですけど」

神通「いつまで抱きかかえてるんですか?」

提督「………………あっ」

提督「ご、ごめんな夕立、すぐ降ろすから」

夕立「……ダメ。このままがいいっぽい。まだフラフラするかもしれないっぽい」

神通「夕立ちゃん?意識は最初からありましたよね?」

夕立「『ミスった』本人が、自分を擁護するんだ」

神通「っ…………」



夕立「提督さん!」

提督「…………ああ、ごめん。どうした?」

夕立「やっぱりちょっとだけ目眩がするっぽい……。ほんとだよ?」

夕立「ね、少し休んでもいい……、かな?」

提督「もちろん。医務室まででいいよな」

夕立「ううん、提督さんの布団!そっちのほうがふかふかっぽい!」

提督「いや、そんなことないと思うけど……」

夕立「…………ダメっぽい?」

提督「…………わかった、しっかり休めよ?」

夕立「うん!あ、でも提督さんの腕の中でもいいかなぁ♪」

提督「それは俺に支障が出る」













暁「随分と大胆ね、撃たれ所が悪すぎたんじゃないかしら」

神通「私と提督の布団私と提督の布団私と提督の布団私と提督の布団私と提督の布団私と提督の布団……」

神通「あぁ、あのまま沈めとけばよかった」


不知火「………………はぁ」




◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇






暁「どうしたの司令官、私を呼び出したりして」

提督「……最近夕立とか神通とかそのあたりが、どうもおかしいのは知ってるな?」

暁「っ…………、うん」

提督「正直言ってどうしてこうなったのか皆目見当も付かないんだ。少し前までは普通に甘えてくる程度だったのに」

暁「………………」

提督「それで、夕立と仲がいい暁なら何か知ってるんじゃないかって思って」

提督「……頼む、知ってたら話してほしい」

暁「……話しても解決方法はひとつで変わらないと思うわ。もう不知火あたりは気づいてるんじゃないかしら」

提督「それっぽいことは聞いてる」

提督「でもやっぱり、あの方法は気が引けるというか申し訳ないというか……」

暁「……司令官らしい。そこがいいんだけど」


暁「わかった、私が知ってることは話すわ。でも、大したことじゃないからね?──────」




投下終了

少し日が空いてしまいましたので約二日分を投下しました。やっと照月ちゃんをお迎えできたのでこれからは安定すると思います。もちろん丙提督です
掘りは気力が残っていないにつき断念ムード


物騒な展開が続いてますが、そのうちほのぼの?もするのでご安心ください

それでは失礼します

 

 まだ神通さんが着任していない頃の話。最初は本当に小さなことだった。

 司令官のお仕事は執務が多くて、一人じゃとても手が足りないから不知火を秘書に指名してこなしている。それでも手が足りない日がけっこう多いけど……。
 そんな日は私、暁の出番。さすがに三人でやるとだいぶ早く終わるし、早く終われば司令官もみんな休めるし、いいことだらけってわけ。

 
 でも一つ、気に食わないというか悔しいというか、そんなことも早く終わると起きてしまう。



夕立「あ、暁ちゃん!お疲れっぽい!」

暁「うん、夕立はまた部屋にいたの?」

夕立「そうだよー」

暁「まあよく飽きないわね」

夕立「うんっ!だって楽しいっぽい」

暁「そんな面白いもの置いてないと思ってるけど……」


 
 夕立は正直、書類仕事が得意じゃない。手伝うといえば司令官に甘えっぱなしだし、真面目にやっても効率はあんまり良くないってこと。だからよっぽど書類が多くて、猫の手でも借りたいくらいの時以外は、手伝いを免除されている。

 それはべつに羨ましくなんかない。逆に手伝いを頼まれる日のほうが嬉しかった。
 理由?言わないもん、恥ずかしいし……。



暁「夕立はどこに行くの?」

夕立「いつもの!」

暁「……司令官に遊んでもらいに?」

夕立「ぽい!」



 なにが気に食わないかって、夕立が遊んでもらうためだけに司令官の部屋に行くところ。見てるんじゃないかって思うほどドンピシャのタイミングで、仕事が終わるとすぐに向かっていく。
 何回か現場を見たことがあるけど、お疲れモードの司令官に犬みたいに飛びついていくの。さすがに舐めたりはしないけどね。

 夕立が来ると司令官はそちらへ向き直って、軽く苦笑いをしながらも受け止めるのが日常で、きっと疲れてるのにそれでも拒んだりなんかしない。夕立はそれを知ってるのかしら?たぶん知らないんだろうけど




 その光景がフラッシュバックしだして、嬉しそうに笑みを浮かべる目の前の夕立と交互に重なっている。

 夕立はこれから一分も経たないうちに司令官に会って、飛びついて、受け止められて、いつもみたいに要望通りに遊んでもらうんだ。毎回手伝ってる私だってされたことないのに。

 
 そうだ、司令官は私が同じことしても受け止めてくれるのかな?遊んでくれるかな?ちょっと驚かせちゃったりするかもしれないけど、そんなのは一瞬のことだし関係ないよね

 いつ仕掛けようかしら。できれば近いうちがいいな、今日とか。

 あ、でも今日は司令官も疲れてるだろうし明日にでも……。明日の朝早くに行って、起きてたら試してみよっと♪でも、まだ寝てたら……

 そうね、寝てたらそれはそれで、司令官の寝顔が見れるしね。起きた瞬間に驚いてる暇もなく飛びついてやるもん

 あとはそれから……………………



夕立「暁ちゃん?大丈夫っぽい?」

暁「……ふぇっ!?え、あ、ど、どうかした!?」

夕立「なんか、すごく楽しそうな顔してるっぽい」

暁「…………そう、だったの。ありがと、教えてくれて」

夕立「今日楽しいことでもあったっぽい?」

暁「ううん、別にいつも通り。ちょっと考え事してただけ」

夕立「ふーん」


 
 空返事。もう心は司令官のほうに向かっているんだ。きっとそのうち、体もついていくんだと思う。止めなきゃ。

 視界がぼやけてきて、頭がひとつしか考えられなくなってる。目の前ではどこか嬉しそうな夕立。

 止めなきゃ。










 何かしら言葉が耳に入ってきて、ゆらゆらと手が振られて、足取りも軽く執務室へと向かっていく目の前の彼女。

 止めなきゃ。

 いま止めないと、取られちゃう。

 右足を一歩前へ。落ち着いて……。

 軽く息を吸って、言葉を発しようとする。

 口を開いたけどダメ。これじゃ弱すぎる。

 もう一回吸って、今度はもっと強く。

 音を発した振動。

 成功したみたい。口から何かしら言葉が出た。

 一呼吸置いてから、遠ざかる夕立が再び向き直る。

 不思議そうな声。うまく聞き取れない。

 視界は真下で、ほとんど見えていないのと同じ。それに加えて、帽子のつばが目の前を余計に見えにくくしている。

 耳に入り込もうとする言葉を手で払って、今度は自分が何かしら言葉をぶつけた。

 止まる声。沈黙。

 聞き返す声。遮る。

 もう一度だけ繰り返し、ぶつける。

 もっと強く、はっきりと、

 もっともっと、強い振動で。

 止まる声、沈黙。沈黙。

 漏れ出るような声と、白いタイルの床。よく見ると綺麗だと思う。

 その白い床を見ながら離脱。どうしてか、ここは危険だと感じた。

 走る。これはこれでまた別の振動。

 後ろからも追いかけて走る音、声。

 廊下で響き渡る音。向こうもだいぶ本気みたい。

 少しペースアップしてみると、反響してさらに大きくなった。

 一瞬だけ付いてきて速くなり、

 そして止まった音が遠ざかっていく。諦めたみたい。

 置いて行く声、足音。

 私は咄嗟に部屋へ駈け込んで、頭から布団を被っる。

 もう視界も真っ暗だし、音も何も聞こえない。脳裏には明日の計画だけが焼き付いていた。
























 夕立「…………どうして」

 夕立「どうして、近づいちゃいけないの?」









───

──────

─────────

────────────









暁「これが私の知ってることかしら」

提督「……ほとんど原因は暁じゃないかこれ」

暁「そんなことないし!」

提督「それでその計画とやらは実行された記憶がないわけだが」

暁「…………寝坊しちゃっただけだもん」

提督「はは、暁らしいな」

暁「う、うるさいっ!」

提督「ところでなんて言ったんだ?」

暁「それがね、あんまり覚えてなくて……。何か言ったのは間違いないんだけど……」

暁「あ、でもね、ひとつだけ覚えてることもあるの」

暁「あれはたしか……、司令官を取られたくなくて発した言葉だと思う」

提督「………………取られるって?」

暁「だから、司令官を!恥ずかしいんだから何回も言わせないでよね」

提督「…………暁、おまえ……」

暁「あら、今気づいたの?」



暁「司令官と二人だけって、久しぶりよね♪」



提督「……………………用件は終わった、戻っていい」

暁「戻らないもん」

提督「っ…………、戻るんだ」

暁「どうして?」

提督「用件が終わったから」

暁「そう。じゃあ私がまだ用件があるといったら?」

提督「早急に終わらせて戻ってくれればいい」

暁「残念、早急に終わらないものでしたー」

暁「────────♪あ、あったあった!」

暁「ねえ司令官、これ誰に渡すの?」

提督「………………いや、誰にも」

暁「私でしょ?そうよね」

暁「それ以外にないし。私の指にぴったりだと思わない、これ?」

提督「…………暁、それは仕舞ってくれ」

暁「私が上限にいくまで待っててくれてるのね。わかった、早く上がるように頑張るわ!」









暁「──────ね?司令官♪」




投下終了です

失礼します



夕立「──────♪」

夕立「てーとくさんっ」

夕立「……てーとくさーん?」

夕立「お留守っぽい?」

夕立「………………ん、開いてる。失礼しまーす」

夕立「………………いない……っぽい」

夕立「せっかく活躍したから褒めてもらおうと思ったのに……」

夕立「────あれ?この書類は見たことないっぽい」






夕立「…………………………照れ屋さんだなぁ♪」






夕立「こういうのがあるっていうのは提督さんにも聞いてたけど、提督さんは誰ともしないつもりだって言ってたっぽい」

夕立「でもそれは、一人だけって選べないから」

夕立「でもでも、みんなとしちゃうのは気が引けるって言ってたっぽい」

夕立「…………ここが夕立だけだったら、夕立とだけしてくれたのかな?」

夕立「そしたら夕立とだけ遊んで、夕立だけを秘書にして、夕立だけを見て」

夕立「夕立とだけ、ケッコンしてくれるのかな?」




夕立「あはは、何考えてるんだろ」

夕立「────────でもこれが普通なんだよね、きっと」

夕立「だって」


夕立「こんなに提督さんが大好きなんだから、仕方ないっぽい♪」



夕立「最初からあたしだけいれば丸く収まったのに」

夕立「最初からあたし以外の子もいたから、あとから消せなくなっちゃってるっぽい」

夕立「消しちゃうとどんなに誤魔化しても、提督さんが悲しそうな顔しそうだし……。そういう顔はあんまりしてほしくないっぽい」

夕立「これだけ我慢してるんだし、夕立はいい子っぽい!」

夕立「だってもっと普通の人って、たぶん抑えられなくて消しちゃうっぽいし」

夕立「でも夕立は我慢してるっぽい。ここのみんなも提督さんほどじゃないけど好きだし」

夕立「提督さんの悲しい顔は見たくないっぽい……」

夕立「いい子にしてればいいことあるよって、提督さんに言われたもん」

夕立「ね、夕立いい子にしてるよ?これからもずっとだよ?」

夕立「だからそろそろいいことあるよね」









夕立「そうだよね、提督さん」












夕立「……それにしても遅いっぽい」

夕立「あとでまた出直して、いっぱい褒めてもらおっと」

夕立「だからこの書類と指輪、誰にも渡しちゃダメだからね?いつか夕立が絶対に貰うっぽい」

夕立「えへへっ♪」



不知火「…………出たほうが良かったかしら」

不知火「司令も神通さんも出張でいない、というのを伝えていなかったのが落ち度だったわけですけど」

不知火「でも、反射的に隠れて正解だったかもしれないわね」

不知火「…………………………」

不知火「ケッコンカッコカリ……。いや、でも……そう、ね」


不知火「司令のことは誰よりもわかっているつもりです。艦娘のことを考えてくれて」

不知火「艦娘の願いは、断れない人」



不知火「丸く収まる方法は──────」

投下終了

失礼します






神通「──────それで、私に?」

不知火「はい」






神通「私もその『異常な』ほうだというのに」

不知火「そんなことは承知の上ですが」

神通「…………いいでしょう、お願いとは?」

不知火「司令は最近、心身ともにお疲れの様子です」

不知火「あまり司令に近づかないでいただけますか?」

神通「──────っ!自分の言ったことがどんな結果を招くか知らないみたいですね」

不知火「予想はしていますけど」

神通「そうですか、いい覚悟です。不知火ちゃんとはいえ今の言葉を聞き入れることはできません」

不知火「この言葉、前にも誰かに言われましたよね」

神通「!?」




神通「どうして、そんなことを…………」

不知火「いまは気にすることではありません」

不知火「お願いしたいことはもっと別で、本当にありますから。聞いていただけますか?」

神通「…………聞き入れるだけの価値があれば」

不知火「それは大丈夫です。保証します」

不知火「これはあくまで不知火の予想なのですが──────」



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神通「…………確証は?」

不知火「あくまで予想です。さっき言った言葉、あれなんですよね」

神通「……………………夕立ちゃんは、絶対にわかってて言いました」


神通「絶対に逆効果になるとわかっているはずなのに、それでもです。むしろそれを望んでいるかのように」

神通「そして私は見事に…………」

神通「あはっ、でももう仕方ないですよね。これが普通なんですから」

不知火「……失礼ですが普通ではありません。異常な愛し方です」

神通「あら、どうしてですか?少なくともここでは私みたいな子のほうが多いはずです」


神通「つまり、不知火ちゃんが異常」

不知火「っ…………。言い分はわかりました、聞いてもらえますか?」

神通「ハイリスク・ハイリターンってものですけど」


神通「────上手くいかなかったら?」

不知火「────上手くいきます」

神通「……………………」



神通「わかりました。不知火ちゃんなら信じられそうです」

不知火「感謝します」

神通「でも秘書って固定するものなのでは?」

不知火「そんなことないですよ。一日交代、もしくは半日交代なんて場合もあります」

不知火「それにここは多くないので、ローテーションしてもそんなに長く感じないかと」

神通「…………5分離れたら『長い』になります」

不知火「慣れてください。これからそれが普通になるんですから」

不知火「では不知火はこれで」


神通「………………大好きなんですね、提督が」

不知火「………………そんな軽いと思われてるなら心外ね」

神通「あら?不知火ちゃんも大概だこと」

不知火「一緒にしないでもらえますか。不知火は『正常』です」

神通「はいはい」

不知火「では、今度こそ本当に」



神通「…………………………」











神通「本当に、いたって正常ですね」









不知火ちゃんはいたって

正常であります。

常に提督を気に掛けるだけの可愛い子です、大丈夫です



それでは失礼します



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提督「ローテ制になったんだって?」

不知火「ええ、まあ。少しは和らぐかと」

提督「…………ああ、ありがとう。ごめんな」

不知火「いえいえ、お気遣いなく」


提督「神通が一番大変だったんじゃないのか?」

不知火「説得したのは神通さんだけです。他の二人は……むしろ夕立なんて喜んでましたよ」

提督「夕立だけは一人で秘書を任せたのなんて少ないからなぁ、はは」

不知火「…………そう、ですね」



不知火「それと、この作戦に関してはひとつだけお願いが」

不知火「なるべく普通に接していただけますか?」

提督「普通……、というと?」

不知火「異常だとか、そういうのは考えないでという意味です」

提督「あぁ……」

提督「……意図はわからないけど了解した」

不知火「ありがとうございます」



不知火「それにしても相変わらずやりがいのありそうな仕事量」

提督「最近は徐々に減ってきてるけどな。どうしてか知らないけど」

不知火「それはそれで不気味ね」

提督「まあ素直に喜んでおこう。たぶん出撃が減ったからだよ」

不知火「みんなレベルも上がってきて、上限とういのが見えてきましたし」

提督「そうそう、不知火が上限とか言ってたら他もそんなに長くなさそうだった」



不知火「………………あと少しで整う」



提督「え、何が?」

不知火「あ、いえ。みんな同じレベルに整うってその……、見栄えがいいですよね」

提督「揃うじゃなくて整うか。まあ整う……かな、それもあるな、うん」


不知火「…………………………」



提督「ん、もう昼だ。食べに行く?」

不知火「……不知火の料理っていうのは受け付けませんか?」

提督「えっ」

不知火「いえ、嫌ならいいんです。行きましょう」

提督「そうじゃなくて、そんなこと言ってきたの初めてだから……」

提督「ぜひお願いしたいな」

不知火「ふふっ……。少々お待ちを」



───

──────

─────────

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提督「へぇ、カレーか。海軍らしい」

不知火「一番自信のあるものだったのでつい……」

提督「それにしてはやけに早かった気が」

不知火「すでに仕込んでありました」

提督「うわまじか、断らなくてよかった……」

不知火「断られてたら……そうね、夜にでも出していたかと」

提督「夜も断ってたら?」

不知火「……明日の朝にでも」

提督「朝からカレーか」

不知火「…………ではお昼に」

提督「そのあたりになってくると、そろそろあれだよ……。やばいと思うんだ」

不知火「あっ………………」



提督「不知火の落ち度だな」

不知火「すみません。あろうことか頭が回ってなくて……」

提督「いや、責めるつもりはない。可愛いなーって」

不知火「…………むー」

提督「褒めたつもりなんだけど不機嫌になっちゃう?」

不知火「なってないです」

提督「むー」

不知火「……真似しないでください」



不知火「それでその……、味のほうは……?」

提督「大丈夫、腐ってないから」

不知火「~~~~っ!そうじゃないですっ!!」

提督「ははは、ごめんごめん。とっても美味しいよ」

不知火「…………そう。よかった」

不知火「一番自信のある料理が不評だとさすがに落ち込みますから。それに…………」

提督「…………それに?」


不知火「………………なんでもありません。おかわりもたくさんありますよ」

提督「お、そうか。ぜひ頂こう」

不知火「そんな欲張らなくても大丈夫です」







不知火「これからいつでも、いくらでも作ってあげますからね」




投下終了

短いですが、今日から人数分だけほのぼのします。幕間か何かだと思っていただければ幸いです

それでは失礼します



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夕立「提督さーん!」

提督「おー、今日は夕立か」

夕立「うんっ!気合入れてきたっぽい!」

提督「わかるよ、言動で十分にわかる」

夕立「えへへっ♪以心伝心、っぽい」



夕立「提督さん、お仕事はどれ?」

提督「今日はこれかなー」

夕立「……なんか、前よりけっこう少ないっぽい」

提督「んー……たぶんだけど、みんなレベルが上がってきて出撃しなくなったからかな」

夕立「たしかに。そういう紙が見当たらないっぽーい」

夕立「…………あ!あった」


提督「え?あぁ、それはあれだ、この前近くに軽巡が現れたって時の」

提督「夕立が一人で飛び出してってみんな沈めてきたやつ」

夕立「覚えてるよ。夕立、すごく頑張ったっぽい!褒めて褒めてー」

提督「あのあとにだいぶ褒めたはずだけど……」

夕立「んー、そうかも」


夕立「でも思い出したから褒めて褒めてー」

提督「きりがないぞ……。まあいっか」

夕立「──────♪」



───

──────

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夕立「ねぇ、昨日は不知火ちゃんが秘書だったでしょ?」

提督「そうだけど」

夕立「どんなことしたっぽい?」

提督「どんなこと……。そうだな、カレーをご馳走になった」

夕立「手作りの?」

提督「そう、手作りの」

夕立「……夕立、お料理はちょっと苦手っぽい」

提督「無理しなくていいよ」

夕立「うー……、でも夕立も何かしてあげたいっぽいー!」

提督「その気持ちだけでも十分に嬉しい」

夕立「それじゃダメなの!」

夕立「ちょっとだけ、それじゃ足りないの」

提督「……………………」




夕立「あたしにできることない……かな?」

提督「そうだなぁ……」

夕立「………………」

提督「………………」

夕立(ジロジロ見られてるっぽい……。えっと、これはその、そういう……!?)

提督「…………うん、決まった」

夕立「!?……え、えっと、夕立その、そういうのは……あ、嫌とかじゃなくて、その……」

夕立「うぅ、もう提督さんに任せるっぽい!」

提督「そうか、じゃあ仕事を手伝ってね」

夕立「………………」



夕立「それなら夜戦のほうがまだ自信あるっぽいー!」

提督「なーに言ってんだ、得意どころかおかしいくらいじゃねーか」

夕立「て、提督さん!?もしかして夕立が寝てる間とかに……!?」

提督「夕立は手伝ってくれてる時の寝落ち率が異常だよな」

夕立「起きてる時のほうが良かったっぽいー!…………今でも」

提督「そうだな、じゃあ今ちょうど起きてるし手伝ってもらおうか」

提督「はい、これね。まあそんな多くはないし」

夕立「やーだぁ!書類仕事は苦手っぽいっ!」


夕立「でも…………」






夕立「これも夜戦も、できないと務まらないっぽい」




夕立ちゃんはちょっと盛んなお年頃

それにしてもほのぼのっていいですね。見てても書いてても幸せにしかなりません


それでは今日はこのあたりで



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暁「…………あ、やっと起きた」

暁「人のこと言えないじゃない。お寝坊さんなんだからっ」

暁「……私もだけど、司令官と同じ癖ならいいかも」



暁(神通さんには殺されかけたあげく『外せ』って言われたけど)

暁(やっぱりこれがないとどうも安心できなくて……)

暁(いつか取られちゃうんじゃないかって)

暁(独り占めされちゃうんじゃないかって思うと、居ても立ってもいられないもん)

暁(少し前までは夕立の専用みたいなものだったけど、今はこの暁の専用なんだから)

暁「えへへ、そろそろ来るかな」

提督「うわーごめん……。完全に寝坊した……」

暁「遅いっ!人のこと言ってられないじゃない」

提督「はい…………」

暁「…………まあ、今回は見逃してあげないこともないけどね」

暁「司令官、毎日お疲れさま」

暁「きっと思ってる以上に疲れてるんじゃないのかしら?たまには寝坊したって仕方ないわ」

提督「暁……、ありがとう」

暁「当然よ!レディの余裕ってやつ」




提督「それで、朝から掃除してくれてるのか」

暁「うん。最近掃除してないでしょ?」

提督「あー……。たしかに軽くする程度」

暁「うそ?毎日軽くでもしてたらこんなに汚くないわよ」

提督「じゃあたぶん暁の掃除が上手いんだ」

暁「!?………………そう、なのかな、うん……」

提督「俺も手伝うよ、まだやってないところは?」

暁「え、あ……、大丈夫。もう子供じゃないし、一人で掃除くらいできるもんっ」

提督「ほんとかよ……」

暁「ほんとだってば!司令官はそこの椅子にでも座って、仕事ぶりを見ててよね」



暁「本棚の上だってこうして……、椅子を重ねて…………」

暁「ほら、台を作れば届くでしょ?」

提督「大丈夫かそれ、すぐ崩れそうなんだが……」

暁「私の計算によると、崩れるなんてあり得ない!……みたいな」

提督「それ暁には似合わない」

暁「ちょっと!どういう意味なの!?」

暁「と……とにかく大丈夫だし。見ててよ」

提督「そもそも上ってる間に崩れ去りそう」

暁「だ、大丈夫だもん」



──────
────
──────


提督「………………それで」

暁「……………………」

提督「ダメでしたね」

暁「ちょっと踏み場所を間違えただけ」

提督「ほら、あんまり動くと消毒が染みるぞ」

暁「……わかってるわよ」



提督「はい終わり。擦り傷だけでよかった」

提督「棚の上はやっておくから、暁は机の上でも頼む」

暁「………………っ」

提督「っと、袖を引っ張られると伸びるから」


暁「…………ありがと。お礼はちゃんと言えるし」

提督「ふふっ、気を付けろよ?」

暁「ふあっ……う、うん……。えへへ♪」






暁「やっと撫でてもらえた」




撫でると怒るのに、撫でられないとポンコツ化する暁……。いいと思います
ヤンデレ暁増えろ流行れ


失礼します



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神通「……だいぶ早く終わるんですね」

提督「んー、ほんと最近は少なくなってきた」

神通「…………そ、そろそろお夕食ですよ」

神通「今晩は私が作って差し上げますね」

提督「え、いいの?」

神通「むしろ作りたいなーって……」

提督「じゃあお言葉に甘えてお願いしようかな」

神通「はいっ!一番の自信作をご馳走いたします」



──────
────
──────



神通「久しぶりの秘書でお役に立てるなんて」

神通「しかもお夕食まで作ってあげられるなんて……」

神通「なんだか夫婦みたい」

神通「────────♪」


神通「…………あ、そういえば味の好みを聞いてない……」

神通「……辛口、くらいでいいでしょうか?あとで聞いておかないと」

神通「とにかく具を……」

神通「人参、ジャガイモ……。あとは何を……っ!?」



神通「あぁ、私としたことが指を切るなんて……。早く洗わないと」



神通「っ!やっぱり切っちゃうと沁みる……。しかも止まってないです……」

神通「まだ具も切ってないし、隠し味も──────」

神通「……………………」


神通「…………隠し味?」


神通「………………」



神通「…………」




神通「……」








──────
────
──────











神通「提督、お待たせしました」

提督「お、カレー」

神通「はい、あの……、何か?」

提督「いや気にしなくていい。この前不知火も『一番自信がある』ってカレーを作ってくれたもので」

神通「あぁ……すみません。そこまで知らなくて……」

提督「無理もない。それにカレーは好きだし。艦娘ってのはだいたいカレーが得意って聞いたことがある」

神通「よかった、『食べて』くれるんですね」

提督「もちろん。せっかくの手料理だしな」

提督「てか神通は食べないのか?」

神通「私は、提督が『私のを』食べてるところを見てから頂きます」

提督「………………そ、そうか。じゃあ頂こうかな」

神通「ふふ、ごゆっくりどうぞ?」




神通「…………お味は?」

提督「美味い。ものすごく好み」

神通「本当ですか!?やった!……………………あ」

神通「と、取り乱しました……」

提督「ははは、そこまで喜んでくれるとは。喜ぶのは俺のほうなのに」

神通「提督の好みがわからなくて、勘で作ったのでつい……」

提督「あー、これくらいの辛さがちょうどいいかな。ど真ん中に来た感じ」



神通「今回は少し隠し味も入れたんですけど、なんだかわかります?」

提督「隠し味……?さっぱりわからない、隠してあるからわかるはずもない」

神通「あはは……。まあそうですよね」

提督「教えてはくれないのね……。てかその指の絆創膏、さっきまではあったっけ?」

神通「あっ、これは、その…………」

神通「そう、具を切り分けてる時に少し指まで切っちゃったんです。大したことはないですよ、ご心配なく」

提督「神通でもそんなミスをするのか」

神通「たまに、です」

提督「大したことなさそうで良かったけど」



神通「それより冷めてしまいますよ?」

提督「そうだった。いただきます」

神通「………………♪」



神通(提督が食べてる)

神通(提督が、私のを食べてる)

神通(提督が……)

神通(────────提督が、私を食べてる♪)

神通(ふふ……、ふふふふふふっ、ふふふ…………)

神通(あは♪もっと食べて?もっともっと……)



提督「嬉しいことでもあった?」

神通「『私の』はそんなに美味しいですか?」

提督「そりゃもちろん」

神通「それが嬉しいんです。提督が美味しそうに食べてくれて」

神通「おかわりならまだありますよ?」

提督「お!じゃあお願いできるかな?」

神通「喜んで!」


神通「でも少しだけ待っていてくださいね」











神通「また『特製の隠し味』を入れてきますから」









まあ料理に必要なら仕方ないですよね。偶然ですからね

これで幸せなほのぼのも終了、次回からはもっと幸せになります。
そろそろ大詰めなのでも、お付き合いいただける方はぜひ、もう少しだけよろしくお願いいたします。


それでは今日はこのあたりで



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



提督「連絡が付かない、ですか?」

憲兵「同期だと聞いた。貴方なら何か知っていると思ってお尋ねしている」

提督「はぁ……。いや、知りませんね」

憲兵「……最後に電話をかけたのが貴方の鎮守府だった」

提督「え?ああ、恐らく演習の関係でしたけど」

提督「ぜひ演習をやってくれないかって……。それが何か?」

憲兵「その他は?記録によればあと1回は電話している筈だ」

提督「そんな記録取ってるんですか」

憲兵「秩序を守るために。それ以外には使っていない」

提督「そこまでやってるなら通話くらい盗み聞いてそうなもんですけどね」

憲兵「そこはプライベートだ。いくら本部でも、憲兵隊でもそこまでしない。というか聞きたくもないな」

神通「夕立ちゃん…………」

憲兵「夕立?あの駆逐艦がどうかしたか?」

神通「あ、いえ……。独り言です」

憲兵「ふん」



提督「でも本当に何も知らないですからね。これ以上聞いても何も手掛かりはないと思いますけど」

憲兵「そんなことは想定内だ、こんな話をしにここまで来たわけではない。つまり」

憲兵「──────提督殿、貴方に忠告を入れにやって来た」

提督「忠告?なんかやらかしたっけな……」

憲兵「まだ何もやらかしていないし、恐らく『やらかす』のは貴方ではない」

憲兵「……貴方の艦娘だ」

提督「はい?」

憲兵「そこのやたら練度の高い軽巡洋艦にも可能性がある」

神通「……………………」



提督「……失礼ですが名前で呼んでいただきたい。知らないなら教えましょう、この子には『神通』という名前がある」

憲兵「いや、失敬。名前は知っているが、貴方がそちら側の思考ということを知らなかった」

憲兵「────そういう思考の指揮官ほど、『被害』の割合は多くなっているがな」

提督「被害?特に害を与える様子は確認できませんが」

神通「提督…………」

提督「気にするな、俺はこういうのがいけ好かない」

神通「…………ありがとうございます」

憲兵「…………話を戻すが忠告。ケッコンカッコカリのシステムは知っているな?あの最高練度になるとある程度まで上限を開放できるやつだ」

提督「もちろん」

憲兵「最高練度に到達しているのは何人いる?」

提督「現状では駆逐艦娘の不知火だけですが」

憲兵「ではそれに近いのは?」

提督「他は軒並み……。そうですね、あと3か4あれば到達します」

憲兵「ほう……。少数精鋭か」



憲兵「……単刀直入に聞くが、本命は誰だ?」

提督「は?」

神通「…………!」

憲兵「その中で誰とケッコンするつもりか、と聞いている」

提督「待ってください、これは何の質問ですか?戦力の調査?」

憲兵「そうじゃない。そんな、指揮官の身に直接的な危険が及ばないレベルの問題ではない」

憲兵「これはあくまで、被害縮小のための調査だ」

提督「だから何なんですか被害って……。漠然としすぎて答えられません」

提督「神通、今までの説明でなにかわかるか?」

神通「っ…………、いえ……。まったく、見当も付きません」

憲兵「……………………その軽……神通は信用のできる奴か?」

提督「当たり前ですよ、艦娘をなんだと思っている」

憲兵「では他言無用で頼む。それを条件に、特別に話そう。これはまだ本部から許可が出ていない故、間違いの無いように」

神通「………………」






憲兵「最近、一部の鎮守府で問題が発生している。指揮官と、その下につく一部の艦娘が消えるという事案だ」

憲兵「消えているのはもれなく親しい艦娘、または」

憲兵「……ケッコンカッコカリをしている艦娘」

憲兵「他の艦娘に聞いても口を揃えて『知らない』と答える。妙だとは思わないか?もっと別の台詞があっても良さそうなのに、全員が全員『知らない』という」

憲兵「調査を進めても見つからないんだ、まったく手がかりすらない」

憲兵「消えた艦娘も同じく。恐らく消えた指揮官と一緒だろうが……。まず生きているという保証すらない。もしかすると逃げたのかもしれない」

憲兵「────そしてこの確率は、複数とケッコンしているほど高くなるということだ」

憲兵「提督殿、もし貴方がここの複数の艦娘とケッコン、または全員とケッコンするおつもりならば、十分に気を付けていただきたい。止める気ではない」

憲兵「…………同じような忠告を同期の指揮官にもしたわけだが、彼はそれを承知の上で、戦力を重視して複数とケッコンをした。そして……」

憲兵「……………………そして、ケッコンした艦娘と一緒に消えた。調査中だがあの鎮守府の他の艦娘は皆『知らない』と答えている」

憲兵「貴方にはぜひ、最適の判断を希望したい」






提督「……あいつの判断は最適ではなかった、と」

憲兵「今後の調査次第ではな。見つからなかったりするとそうなる」

神通「…………最適だったと思います」

憲兵「なぜ言い切れる?」

神通「戦力の増強を図ったなら大成功です。だいぶ手強かったですから」

神通「何かあったとすれば、それは鎮守府内での話ですね」

憲兵「……何を知っている」

神通「私は、何があったかなんて知りませんよ。直接何かをしたような覚えもありません」

憲兵「っ、貴様!間接的に何をした!?」

神通「なーんにも」

憲兵「嘘を言え!意味ありげな発言ばかりして、心当たりがあるんだろう!」

神通「…………ああ、そういえば最後に一つだけ言いました」

神通「────『愛してあげてくださいね』って」

憲兵「つまりそれは……、どういう意味だ?何を愛せと?」

神通「さあ、その時の話題だったものですから」

憲兵「…………それだけか?反応は?」

神通「さあ……。でも後ろ向きな反応ではなかったと思います」

憲兵「……関係はなさそうか」

神通「ええ、そうだといいですね」

憲兵「っ……!時間を取らせたな、失礼する」




◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



提督「…………神通、どう思う」

神通「何がでしょうか?」

提督「ジュウコンと失踪の関係」

神通「……特にないかと思います、偶然かと。珍しいことではありませんから」

提督「うん、そうか……。そうだよな、うん」

神通「…………提督、ジュウコンをされるんですか?」

提督「いや……。今まで通り、誰とも」

神通「私たちを疑っているのですか?」

提督「まさか。信頼してるし、信用してる。でもな……」

提督「聞いたことがあるんだよ。指輪を嵌めた艦娘の一部は、性格が豹変することがあるって」

神通「どういう風に?」

提督「知らない。でも、その可能性ならなくはないだろ?」

提督「豹変すると、何を仕出かすか予想が付かないから……。誰か選んで、それで崩れるのが怖い」

神通「っ………………」

提督「俺はまだまだみんなと過ごしたいな」

神通「それはここのみんなそうですよ」

神通「だから沈まないように頑張りますし、提督をお守りします」

神通「────そして真っ先に、必ず提督の所へ行くんです。これだけは絶対に変わりません」

提督「…………そうか、ありがとう」

神通「いえいえっ」

提督「…………………………」

投下終了

失礼します



不知火「司令」

提督「ん」

不知火「このまえ神通さんと何やら外で話し込んでいましたが、なんのお話だったのですか?」

提督「神通と外で?…………あ、あれか」

提督「あれ神通とじゃなくて、なんか事情聴取に来た憲兵さんと。神通はその日の秘書だったから居合わせただけだよ」

不知火「なんのお話で?」

提督「んー……ごめん、まだ許可が出てないことを話してくれちゃったから迂闊には話せないんだ」

不知火「そうですか……」

不知火「二人だけの秘密、ね」

提督「まさか。そのうち嫌でも噂として広がるだろ」



不知火「随分と仲がいいんですね」

提督「長いこと秘書やってもらってたし、一緒に居ることも多かったからな」

不知火「………………不知火のほうがもっと長く居るのに」

提督「もちろん。だから不知火は一番頼りにしてるよ」

不知火「本当に?」

提督「本当に」

不知火「────その言葉を聞きたかったの」



不知火「司令っ」

提督「おいおい、夕立じゃないんだから」

不知火「不知火が飛び込むのは不満ですか?」

提督「そうとは言ってないけど……」

不知火「なら不都合はありません。書類も片付きました」

提督「最近ほんと減ってるよね。なんか調子狂う」

不知火「これからはそれが『普通』になるんです」

提督「え?」




不知火「ずっと我慢して待っていました」

不知火「神通さんが着任して、司令に『秘書を譲ってあげてくれ』って言われたときからずっとです」

不知火「部屋に閉じ籠って、出撃を待って」

不知火「出撃したらMVPを獲って報告に行くんだって意気込んでいました」

不知火「……でもそれは夕立や神通さんに持っていかれて、不知火はここへ来ることが少なくなりましたね。来るための理由というか、口実というか」

不知火「遊びに来るだけでも良かった。けれど不知火は夕立みたいに妙な遊びはすぐ思いつきませんから」

不知火「それに、時々は復帰したりもしました。だからなんとか凌いでこれたの」

不知火「────でも、やっぱりダメだった。部屋に閉じ籠らなきゃいけない状況だけで、こんなに辛いなんて」

不知火「……………………ずっとずっと我慢してたんです。今日くらい甘えたって罰は当たりませんよね、司令?」



提督「…………なんかごめんな……」

不知火「いえ、司令は悪くありません。誰も悪くありませんよ。強いて言えば置かれた状況が悪かっただけ」

不知火「でも今日はいい状況です。他に誰もいませんし」

提督「誰かいると甘えられない?」

不知火「……イメージというものがありますよね」

提督「あー、不知火ってクールなイメージあるしね。俺はもう綺麗さっぱり崩れ去ってるけど」

不知火「むー」

提督「怒るな怒るな」

不知火「まあ、いいです。司令の前ならまったくその通りでしょうから」



提督「こんなに甘えん坊な不知火ならはぐれたりしてもすぐにわかりそう」

不知火「はぐれることがありません」

提督「そういうことをしないし、そういう場所に行かないからね」

不知火「でも行ってみたい気もするわね」

提督「そういうとこ興味あるのか」

不知火「…………司令とならはぐれません」

提督「やけに自信あるな」

不知火「ずっと手を繋いでます」

提督「ほう。拒否したら?」

不知火「拒否するんですか?」

提督「しないけど」

不知火「…………その時は袖でも裾でも引っ張ってます」

提督「……なんだろう、拒否したほうが幸せな気もしてきた」

不知火「なぜですか!?」



提督「まあまあまあ……」

提督「それより最近はどうなの?」

不知火「どう、というと」

提督「その、我慢とかしてないかなって」

不知火「……ふふっ、当たり前です。数日に一度はここに居られますし」

提督「そっか。じゃあ大丈夫なんだな、良かった」

不知火「……………………ええ」











不知火「不知火は大丈夫です」









癒しのぬいぬい。不知火ちゃんは大丈夫です

失礼します

──────

───

──────



不知火「あら、おかえりなさい。お疲れさまです」

神通「ありがとうございますっ」

不知火「また三人だけで演習ですか?」

神通「いいえ。今日は正面の海域を延々と」

不知火「出撃ですか?報告は?」

神通「もちろんしましたよ」

不知火「そうですか……。また書類を作らないといけないわね」

神通「…………あ、すみません!すっかり忘れていて……」

不知火「お構いなく。時々はないとおかいし類の書類です」

不知火「それに、たまには出撃しないと違和感がありますし、上手い具合に理由と雰囲気も作れますから」

神通「それもそう……ですね」




神通「不知火ちゃん、今日は秘書ですか?」

不知火「今日は……、暁だったかと。でも書類をいろいろと処理しているのは不知火ですので」

神通「私も何かお役に立てればいいんですけど……」

不知火「十分ですよ。今は練度を上げることにだけ集中していてくれればそれが最善です」

神通「……最高練度の余裕ですか?」

不知火「厳密に言うとまだまだ上がりますが……。まあそんなところね」

神通「羨ましいです、早く私も……!」

不知火「ところであとどれくらいで整いそうですか?」

神通「演習で計算すると……恐らく20戦もすれば」

神通「もうすぐ、です」

不知火「…………待ちきれませんね」

神通「…………ええ、本当に」



神通「あの、行先とかはもう?」

不知火「ええ、だいたいは。なるべく自然な形にしようかと」

不知火「────司令を欺くのは、これが最初で最後ですからね」

神通「だいぶ大掛かりになりそうですね」

不知火「ハイリスク・ハイリターンです。リターンが遥かに大きいですけどね」

神通「大きすぎてもう今から幸せです……♪」

不知火「ふふっ、さすがに気が早すぎます」

神通「でも、あと数日で、少なくとも一週間もあれば実現するんですよ?」

不知火「まだ肝心な詰めが終わっていませんよ」

不知火「それでその大詰めなのですが……」

不知火「神通さん、お願いできますか?」

神通「え、わ、私……ですか?」

不知火「この鎮守府では一番────────」

夕立「あ!お二人さん発見っぽいー!」



不知火「………………夕立、取り込み中」

夕立「あっ、ごめんなさーい……」

不知火「……まあいいです。だいたい終わりましたし。何か用ですか?」

夕立「うん!夕立ね、あとちょっとで整うよ!」

不知火「神通さんから聞きました」

夕立「えっとそれから…………、どこに行くとか決めてるっぽい?」

神通「私が聞きました。決めているみたいですよ」

夕立「あ、えっと……うーんと……」

不知火「話題って無理に探さなくてもいいと思いますけど」







神通「──────本当に、もう少しですね」

不知火「──────ええ」

夕立「──────ぽいっ」










神通「色々ありましたけど……」

不知火「色々起こしたのはだいたい神通さんと夕立なんじゃ」

神通「え、えっと……」

夕立「あははははは……」


不知火「────今後ともよろしく、です」

神通「こちらこそっ」

夕立「えへへ、改まって言われるとなんだか照れくさいっぽい」

投下終了です

日が短くなってきたと思えばもう9月なんですね
だいぶ長く続いちゃってますけど、見てくれてる方はありがとうございます


それでは今日はこのあたりで



提督「──────それで、だ」

提督「みんな最高練度到達おめでとう。あと、ありがとう」

夕立「どうして提督さんがお礼っぽい?」

提督「よくここまで頑張ってくれた、ってこと」

暁「そんな、終わったみたいな言い方しないでよね」

神通「そうです。まだ戦いは続いています」

提督「その通りなんだけど……。最近は敵も少なくなったよなぁ」

不知火「敵は、比較的大規模な鎮守府を狙って襲撃してくるといいます。出現海域もだいたいそんなものかと」

暁「図体だけ大きいけど規模は大きくないしね、ここって」

提督(やっぱりあそこは機能的に潰れたのかな……)

暁「司令官?大丈夫?」

提督「ん、ああ。ちょっと考え事してただけ」



夕立「それで、これからどうするの?もう出撃しても練度は上がらないっぽい」

提督「べつに、練度を上げるためだけにやってるわけじゃない」

夕立「────────」

暁「────────」

神通「────────」

不知火「……………………」

提督(誰も言及しない、か。不知火が上手くやってくれたんだな)


提督「これからのことだけど、正直なとこ何も考えてないんだ。今まで通りのスタイルでのんびりやっていこうと思ってる」

暁「のんびりって?」

提督「敵が出たら出撃してもらうし、出ないときはもう本当にのんびりと」

不知火「それは艦娘とか軍属としてどうなのかと思いますが……」

提督「なーに、今までだってそうしてきたんだ。前線勤務じゃないってことは、意外とそのへんも曖昧なんだろうよ」

夕立「まだまだ提督さんと過ごせるっぽい?」

提督「少なくとも俺はそのつもりだけど」


神通「提督はここに拘りますか?」

提督「というと?」

神通「鎮守府の異動とかじゃなくて、場所的にここでのんびりしたいのかな、って……」

提督「お?帰省でもしとくか?ははは」

神通「────いいですね、それ」


夕立「提督さんとひとつ屋根の下っぽい!」

暁「夢が膨らむって素晴らしいことね」

不知火「どちらかといえばもう妄想です」



提督「まあ楽しいお話もこのあたりにして、用件は終わったから解散。自由気ままに」

夕立「えー、もっとお話ししてたいっぽいー」

暁「自由気ままに、なんだしそれもありなんじゃないの?」

夕立「あ、そっか!」

提督「おい」

暁「あ、私もいい?」

提督「もっとやりたいこととかないの……」

暁「ない」

夕立「ないっぽい」

提督「そ、そうか…………」



───

──────

─────────

────────────



提督「ふぅ、あの二人と話すと終わりが見えないな。特に夕立だけど」

不知火「あら、司令も満更でもなく楽しんでるように見えましたけど」

提督「…………否定しない」

提督「それより、ありがとな」

不知火「はい?」

提督「みんなあの書類に関して何も言わなくなったから。不知火がそう仕向けてくれたんだろ?」

不知火「…………あぁ、そうです。ある意味ではそうですね」

提督「やっぱり。このまま普通になってくれればいいけど」

不知火「……………………」

提督「とにかく感謝してるよ。ほんと頼りになる」

不知火「………………ええ、お安い御用です」

不知火(ちょっと心が痛みますね……)



───

──────

─────────

────────────


神通「不知火ちゃん、少しだけいいですか?」

不知火「神通さんですか、何か?」

神通「行先はもう完全に?」

不知火「いえ、まだ計画というか希望というか」

神通「そうですか……。さっきの話、とっても楽しそうでしたよね」

不知火「そうね。とっても夢があって……」

神通「それですっ」

不知火「え?」




神通「夢を『夢』のままでいさせないようにしませんか?」

不知火「……………………!」



投下終了です

『夢』は随分ほのぼのして砂糖にまみれそうなので、少なくともこのスレではやりません(このスレ以外でやらないとは言ってない)


失礼します

次スレでやるって?

>>382

な、なんのことかなぁ…?

というのは置いといて、次かどうかは未定ですがそのうちにやるつもりです。
>>1はもともと微糖とか言って甘々にするのが大好きですからね



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 

神通「夕立ちゃん、いろいろありましたけど……」

夕立「もう、大丈夫っぽいってば!『仲間』でしょ?」

神通「…………はいっ」

暁「ちゃんとね?」

夕立「でもどうすればいいのか……」

不知火「簡単です。司令にそのままぶつければいいだけですよ」

夕立「そのままっぽい?」

不知火「ええ、そのまま」

神通「何も考えないで、そのまんま」

暁「ただ素直に、そのまんま」

夕立「……………………うんっ♪」




不知火「大丈夫です。一発目で上手くいくなんて思っていませんから」

夕立「期待されてないっぽい!?」

神通「そうじゃなくて、提督がその……、あれですし……」

暁「ほら、夕立も明言されちゃったんでしょ?」

夕立「…………うん。でも頑張るっぽい!」

夕立「先制打って、なるべく早いほうが楽っぽいでしょ?」

不知火「は?」

夕立「テレビで言ってたっぽい!」

神通「なんの番組でしょうか……?」

夕立「ふふーん♪秘密っぽい」



夕立「じゃあ行ってくるね」

暁「いつも通りだからね?」

夕立「わかってるよ」

夕立「あ、それと神通さん」

神通「はい?」

夕立「────モニター、いいでしょ?」

神通「────ええ、とっても素敵です」

夕立「わかってもらえたらいいっぽい!それじゃあね!」

不知火「………………」



暁「どうしたの不知火?」

不知火「いえ、夕立の『仲間』もかなり増えたなぁと。でも正確に言うと」

不知火「────『暁の仲間』が正しいかしら」

暁「……やっぱり見てたんだ」

不知火「本当に偶然ですけどね」

暁「ねえ、あの時の私はなんて言ってたの?本当に覚えてないの」

不知火「神通さん」

神通「え?」

不知火「夕立に、なんて言われたんでしたっけ」

神通「…………『あんまり、提督に近づかないでほしい』って」

暁「……………………!!!」



不知火「夕立は、あれがあってから完全におかしくなってます」

暁「そ、そういう意味で言ったんじゃ……」

不知火「『仲間』は順調に増えてるみたいですけどね」

神通「…………何も言えません」

暁「し、不知火だって同じじゃない!」

不知火「不知火はあくまで正常ですよ」

不知火「『この鎮守府では』」

神通「あらあら、ふふふっ♪」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

投下終了

次から少し地の文が入る予定なのでご注意ください

失礼します



 夕立、頑張ったっぽい

 夕立、けっこう頑張ったっぽい

 夕立、すごく頑張ったっぽい

 夕立、一人で敵をぜんぶやっつけたっぽい!

 提督さん、褒めて褒めてー!

 夕立、提督さんに撫でられるの大好き!

 提督さんは、夕立を撫でるの好き?ほんとに?

 じゃあ提督さんは、夕立のこと好き?ほんとに?

 やったね!提督さん大好き!

 え?軽々しくないっぽい、本当だもん!

 そんなに連呼してないっぽい!提督さんのいじわる!

 提督さんなんてもう知らないっぽい!

 …………………………。

 嘘だよ?ごめんね、驚いたっぽい……?

 うー……ノーダメージっぽいー!

 でも


 提督さん。本当に大好きだから




────────────────────────────────────────






夕立「ね、提督さんは、この戦争が終わったらどうするっぽい?」

提督「それ完全にフラグな気がするんだが……」

提督「そうだなぁ。そういえば考えたこともないかもしれない。戦況が予断を許さないからな」

夕立「でも最近は敵も大人しいっぽい」

提督「この近辺だけだろ?一時的なものさ。そうでなくともまだ終わることはないと思う」

夕立「でもでも、たまには夢とか、もしもの話とか」

夕立「『将来の話』とか楽しいっぽい!」

提督「はは、将来か、久しぶりに聞く単語だ」

夕立「提督さんはそういうこと考えないの?」

提督「特には」

夕立「忙しいから?」

提督「それもあるけど」

夕立「最近は書類も少ないから、余裕もあるっぽいよ?」

提督「そう。つまり別の理由が大きいな」

夕立「どんなの?」

提督「……………………。いや、気にしないでくれるとありがたい」

夕立「そっか。わかったっぽい」



提督「さてと、今日も早いとこ片付けてのんびりしようか」

夕立「もう終わったっぽい!」

提督「えっ」

夕立「ほら」

提督「…………夕立、お前こんなに仕事早かったっけ?」

夕立「少なすぎるだけっぽい」

提督「そんな少なかったか?」

夕立「6枚だけだったよ」

提督「まじか、夕立にしてはものすごく頑張ってるじゃん」

夕立「こ、これくらいできるっぽい!」

提督「…………まあいいや、じゃあ今日はもう終わりね」



夕立「提督さんとお話しするー!」

提督「またさっきの続きか?いいけどさ」

夕立「……あのね、不安なの」

夕立「あたしたちってその、兵器でしょ?」

提督「…………っ、俺はそうは思ってないからな?」

夕立「じゃあ人間だとして、この戦いが終わったらどうなるっぽい?」

夕立「解体?撃沈処分?それとも記憶が消えちゃうのかな?」

夕立「提督さんのことも忘れちゃって、もう提督さんにも会えないかもしれないんだよ」

提督「そ、それは…………」

夕立「……ごめんなさい、変な空気にしちゃったぽい」

提督「いや、俺は艦娘じゃないからわからないけど、そういうのを考えるのは普通なのかも」




夕立「夕立、提督さんと一緒にいたいっぽい」

夕立「ずっとずっと、いつまでも」

夕立「どこまでも付いて行くから。どこまでもだよ?」

夕立「解体されて消えちゃっても」

「撃沈処分で沈んじゃっても」

「なにかの実験とかでいなくなっても」

 ずーっと提督さんの傍にいるっぽい。

 提督さんが忘れちゃっても、夕立はずっと覚えてて見てるっぽい。

 でもその前に忘れないように、

 ずっと覚えてるように、

 心にも、体にも、

 『夕立』を刻み込んであげる。

 安心してね?



 記憶が消されちゃっても、すぐ夕立に会いに来て撫でてほしいっぽい。

 最初は戸惑うかもしれないっぽいけど、きっと思い出すから。

 また好きになるよ。

 時々面倒くさそうにするけどちゃんと撫でてくれることも、

 本当に頑張ったあとはわかっててくれて、髪の毛をわしゃわしゃするのも、

 ぜんぶぜんぶ好きになるよ?

 そういう運命っぽい。

 だから──────────…………



提督「いなくならないから安心しろ」

夕立「提督さんは、あたしたちがどうなるか知ってるの?」

提督「いや、知らないけど……。こういうのは終わってから考えることだ、きっと大本営ですら見当も付いてないんだろ」

夕立「終わったら考えるっぽい?」

提督「終わったらな」

夕立「…………終わるよ、『そのうちに』」

夕立「もし、もしもだよ」

夕立「艦娘のことは指揮官に任せる、とか言われたらどうするっぽい?」

提督「そのときは希望を優先させて最善を尽くすかな」

夕立「なんでも?」

提督「俺にできる範囲のことならね」

夕立「────大丈夫っぽい。提督さんにしかできないこと、提督さんじゃなきゃダメなことしか頼まないっぽい」

提督「例えば?」

夕立「うーん…………それはちょっと機密事項っぽい」

夕立「でもね、きっとみんなが幸せになるよ」

提督「そうか。じゃあ喜んで引き受けるな、きっと」

夕立「ちゃんと待ってて欲しいっぽい」

提督「何を?」

夕立「そんなに待たないかもしれないけどっ」

夕立「ふふーん♪」












 …………──────────遅くなっても、ずっと待ってるっぽい──────────…………









入れ忘れました
>>390からの投下は『ランダウンプレー 夕立』編となります

それでは今日はこのあたりで



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



夕立『ただいまっぽい!』

暁『ふぅ、疲れた』

提督『お疲れー、どうだった?』

夕立『んー、いつも通りっていうか……。大したことなかったっぽい』

提督『そうか、相変わらず随分と平和な海域だな』

夕立『今日ね、夕立が一番活躍したっぽい!褒めて褒めてー』

提督『はいはい、よく頑張ったねー』

夕立『雑っぽい!?』

暁『………………』


 ────き、今日はMVPじゃなかったし仕方ないわよね

────────────────────
────────────────────



暁『報告よ、司令官』

提督『おう……、って、夕立は?』

暁『少し被弾したみたいだから入渠中。旗艦は私だから問題ないでしょ?』

提督『もちろん。夕立が飛んでこないってことは、MVPは暁だな?』

暁『ま、まあね。敵が弱かっただけよ』

提督『謙遜?』

暁『一人前のレディなら自慢なんてしないわ』

提督『なるほど』

暁『……で、でももう少し褒めてもいいのよ?』

提督『そこは要求するのか』

提督『んー、どうしよう……。なんかある?』

暁『そ、そうね』







 ────でも、MVPでも結局言えない



暁『あ、そうだ!ランチとかどう?』

提督『そんなんでいいのか?』

暁『司令官の奢りで』

提督『えー』





 ────こんなの、そんなに望んでもないのに



暁『なによ、ご褒美なんだしそれくらいはいいでしょ?』

提督『冗談だよ、冗談。じゃあそうだな……、30分後に』

暁『わかった、楽しみにしてるからね』





 ────また今日もダメなのかな?



提督『よし、じゃあそういうことで。被害は夕立の被弾だけ?』

暁『うん』

提督『なるほど。それなら特にこれといった報告はなくていいよ』

暁『…………わかった』

暁『あ、ランチだけどお子様ランチは認めないからね?』

提督『ほう、出てくると美味しそうに食べるくせに』

暁『お、美味しいんだもん!仕方ないでしょ』






 ────それとも

今暁編?



暁『とにかく司令官と同じのでいいんだからっ』

提督『わかったわかった』

暁『絶対よ?』

暁『じゃあ準備してくるから』

提督『ああ、お疲れ』

暁『失礼しました。……また来るけど』









 ────もう、ずっとダメなのかな











◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇






提督「『頭をなでなでしないでよ』って最近言わなくなったよな」

暁「撫でられてもないのに言わないわよ」

提督「あ、それもそうか」

提督「撫でると暁が機嫌悪くなるから」

暁「……べ、べつにそんなことないし」

提督「でも撫でるなって」

暁「あ、あれは…………」






 もう言い訳なんてしても無駄なことはわかっている。きっと本気にされずに、軽く笑って流されるだろう。

 それでも、色んな手段を試してみたつもりだ。

 帽子を脱いで過ごしてみたこともあった。ちょっとわざとらしく差し出してみたこともあった。躍起になってたくさん活躍したり、秘書に名乗り出て随分と遅くまでお手伝いしたり。褒めてもらえばいつかは撫でてもらえると思って、必死になっていた。

 でも意識してやったことはぜんぶ不発。司令官は、撫でると私が怒ると思っているみたい。

 べつに撫でるから怒るわけでもないし、そもそも怒っているわけではない。ただ……、

 人前で撫でられるのが恥ずかしいだけ。たったそれだけのプライド。いっそ捨てちゃえば楽なのかも。

 夕立はいいな、といつも思う。人前でも恥ずかしがらないからだ。だから司令官も日常的に、なんの抵抗もなく撫でていられるのだろう。

 でも私は違う。人前で撫でられることを恥ずかしがって、まるで怒っているような言動を取ってしまう。司令官にも気を遣わせちゃってるし、周りから見たって怒っているようにしか見えないんだと思う。

 それが原因で、二人だけの時ですら司令官の手が頭に乗ることはなくなっていった。希望も言えず、強がって、気を遣わせて……。なんだかバカみたい。私が目指してた『一人前のレディ』ってこういうことなのかな?

 そうだとしたら…………

 もう、一人前のレディなんてプライドは要らない。

 もう、ずっと子供のままでいい。

 まだ間に合うなら、今からでもやり直したい。

 それで素直になって、司令官にもっと知ってもらうんだ。そうすれば楽になるはず。とにかく今ほど悩むことはない。

 夕立はこういう悩みなんてないんだ、きっと。活躍できなかった日も、出撃しなかった日だってお構いなしに飛びついていける。私がやっても驚かれて終わり。そういうふうに自分で作っちゃったんだから自業自得だ。

 少なからず夕立を羨ましいと思っていた。いつか司令官ごと持っていかれちゃうんじゃないかって、そう思ってた。

 だからあんな言葉が出てきたのだろう。誰がどう見ても私が原因、私が発端。でも少しくらい大目に見てくれてもいいと思う。

 結果的に、みんなで幸せになる発端なんだから。







暁「ねえ司令官?話変わるけど、最近書類が少なくて楽でしょ?」

提督「え?ああ、うん。なんでだろうな」

暁「敵がいなくなっちゃったしね」

提督「もともと多くないから……。前線はもっと多いのかもしれない」

暁「同期さんの鎮守府とか?」

提督「あー、あいつのとこもそうかも」

暁「…………そういうところって、戦闘に集中するために執務は後方の鎮守府に流したりするみたいよ」

提督「ありそうな話だ」

暁「────そこが壊滅したりすると、一気に減るんだって」

提督「……………………まさか」

暁「まさか、だといいけど」

提督「…………………………」

>>404
また入れ忘れてしまいました……
>>399からは『ランダウンプレー 暁』編です

次からは特に気をつけますね


それでは失礼します






『ランダウンプレー 不知火』






不知火「丸く収まる方法は──────」


 ふと、机に目を配る。無造作に置かれた書類は、依然としてそこに居座っていた。

 全体的に青っぽい色をした封筒に書かれた言葉は『書類一式』と認められる。言うまでもなく、ケッコンカッコカリのことだった。それは99という練度の上限を突破するものであり、能力値を向上・上限突破させることでもある。

 だが、一番はやはり指揮官──司令──と艦娘の間に、強い絆をもたらすことだろう。机の引き出しに、あまり目に付かぬよう銀色の指輪が入った箱が仕舞われていることを、不知火は知っている。

 これが元凶、原因、事の発端、悩みの種。

 これが証、絆、幸福の象徴、幸せの素。

 これを嵌めた人物、特に艦娘のほうは、より一層に想いが強くなると聞く。時にそれは異常な度合いを見せ、歪んだ愛情へと変わり、艦娘もろとも豹変することがあるとも聞いた。司令は恐らく、この効果を恐れているのだ。



不知火「これを…………。これを嵌めれば、もしかすると不知火が不知火ではなくなるかもしれない」

不知火「でも今の不知火だって、本当の不知火ではないんですけど」

不知火「────ふふふ、原型なんてあるから型にとらわれすぎるのよ。原型がすでにないならば、もうそれは関係のないことです」


 引き出しを開けた。封筒よりは青っぽい箱が、半開きのような状態で丁寧に置かれている。書類のカモフラージュ付きという待遇だった。

 もし司令が本当に誰ともケッコンする気がないのなら、きっとこんな厄介なものは突き返しているだろう。間違ってもこんな丁寧に扱わないはずだ。心の底から使う気がないのなら、という前提だが。

 つまりまだ、どうすべきか迷っているのだ。誰も選ばないべきなのか、誰かを選んでしまうべきなのか、いっそ全員を選んでしまうのか……。もちろんジュウコンをするとなれば別の指輪が必要になる。しかも基本は指揮官の自腹。これを理由に躊躇するのも珍しいことではない。

 手に取って箱を開けた。その中の輪っかも丁寧につまみ出し、光にかざした。銀色に光り輝いている。まだ、誰かが嵌めたような感じは見られない。



不知火「もしジュウコンしたとして、一番豹変する可能性が高いのは誰かしら」

不知火「……考えるまでもない、か。あの三人はもはや豹変の余地がありません」


 右手で摘まんで左手へ。

 薬指。冷たい。指先に触れて、思わず引っ込める。

 でもそれも一瞬のことで、すぐにまた続きを始めていた。

 ちょうどいいサイズ。もしかすると不知火へのものなのだろうか?なら、なおさら問題はないはず。

 そしてその輪が止まったとき、今まで抑え込んでいたものが一気に溢れだした。

 長らく秘書を外され、放置気味にされていた孤独。

 いつの間にか弾むようになった、神通さんと司令の声。

 遊んでもらうと言って楽しそうにする夕立。

 誘われて断るものの、結局は仕方なさそうに、どこか嬉しそうについていく暁の姿。

 そうだ、ずっと我慢していた。自分のことなのに全く気が付かなかった。

 まったく、誰がこんなものを作ったんだか。いい迷惑だ、本当に。

 でも────────


不知火「丸く収まる方法は、一つしかありませんね」





 でも、悪いわけじゃない。



────────────────────
────────────────────
────────────────────





不知火「司令、司令!」

提督「んー……あー、不知火か。どうした朝早くから慌てて」

不知火「書類がこれだけです」

提督「これだけって?…………えっ」

不知火「ほかに見当たりません」

提督「……来るとこまで来ちゃったなおい」

不知火「不知火はまだ中身を見ていませんから、司令がご自分で」


不知火「────きっと、いつになく大事な書類ですよ」

提督「………………いつになく、か」

投下終了

明日でイベント終了ですね
浴衣神通さんとのケッコンを目指して残り7万のレベリングに励もうと思います


それではこのあたりで

────────────────────
────────────────────
────────────────────
────────────────────




神通「…………提督」

提督「まさかこんな後方でのんびりしてる間に戦争が終わるなど……」

神通「兆候はありました」

提督「この近辺だけだと思ってたよ……」

神通「……それで、どうされるのですか?」

提督「………………」


 『艦娘の今後について』

 『艦娘は基本、軍に返還、または解体処分とする』

 『異常に力の強い艦娘が一般社会に出ることを考えての処置であるからして、ご理解いただきたくお願いしたい』


提督「………………」


 『だがケッコンカッコカリを施している艦娘については、指揮官とその艦娘が望む場合に限り』

 『返還、解体をせず、提督の自己責任において一般社会への進出を許す』


神通「………………」


 『なおこの場合、当該艦娘のことは指揮官にすべて委ねるものとする。最高練度の艦娘を所持し、尚且つこれを希望する者は三日後までに書類一式と指輪を購入のこと』

 『以上。貴艦隊の健闘を称える』


提督「…………なぁ」

神通「はい」

提督「終戦云々よりも『艦娘の今後について』が長いってどうよ」

神通「そ、それは……。わかりかねます」



すみません、入れ忘れです……
気を取り直して







『ランダウンプレー 神通』






────────────────────
────────────────────
────────────────────
────────────────────




神通「…………提督」

提督「まさかこんな後方でのんびりしてる間に戦争が終わるなど……」

神通「兆候はありました」

提督「この近辺だけだと思ってたよ……」

神通「……それで、どうされるのですか?」

提督「………………」


 『艦娘の今後について』

 『艦娘は基本、軍に返還、または解体処分とする』

 『異常に力の強い艦娘が一般社会に出ることを考えての処置であるからして、ご理解いただきたくお願いしたい』


提督「………………」


 『だがケッコンカッコカリを施している艦娘については、指揮官とその艦娘が望む場合に限り』

 『返還、解体をせず、提督の自己責任において一般社会への進出を許す』


神通「………………」


 『なおこの場合、当該艦娘のことは指揮官にすべて委ねるものとする。最高練度の艦娘を所持し、尚且つこれを希望する者は三日後までに書類一式と指輪を購入のこと』

 『以上。貴艦隊の健闘を称える』


提督「…………なぁ」

神通「はい」

提督「終戦云々よりも『艦娘の今後について』が長いってどうよ」

神通「そ、それは……。わかりかねます」



提督「どうしたらいいと思う?」

神通「……私は提督に一任します。でも本部に返還するのだけは少し……」

神通「────解体されるなら、提督の手で」

提督「そんな大袈裟な」

神通「本気ですよ。欲を言えば……」

提督「…………言えば?」

神通「…………いえ。提督にご迷惑をおかけしてしまうかもしれないので」

提督「言うだけなら関係ないはず」

神通「考えていただけること自体が迷惑かもしれませんよ?」

提督「それも聞いてみないとわからないだろ?」



神通「そこまで言われると……」


 彼女は左手を頭上にかざした。ゆっくりとした動作だった。全体的に白い第二種軍装に身を包んだ男は、ただ椅子に座ってその様子を眺めている。


神通「我儘を言ってしまいますけど、私は提督と居たいですね」

提督「つまりケッコンか」

神通「カッコカリですよ?」

提督「うん、まあそうだけど」


 彼女がかざした左手を名残惜しそうに降ろすのを見届けてから、男は両手を組む。それからふぅ、と一つ息を吐き、額を組んだ手に乗せるような形で下を向いた。

 じっと机を見つめる。そこには何もなく、見えるであろうものといえば自然な木の色をした机だろうか。しかし彼は、べつに机を見たいわけではない。見たいものはその下にある引き出しだった。もちろん机に阻まれて直接は見えないのだが。


神通「すみません、我儘ですよね……」

提督「いや……。なるべくなら艦娘の希望は優先させたいんだ。ひとつの意見として覚えておくよ」

神通「『一つ』ではないかもしれませんよ?」

提督「……その時はその時」

神通「ジュウコンは視野にないのですか?」


 沈黙。秒針が五回ほどがなり立てる。

 それからまた溜め息を吐いて、彼は手元の引き出しに指をかけた。木製で、開くと乾いた音がするものだ。金属製で鍵付きのものがすぐ近くにあったが、そちらはあまり使っていない。


提督「これが例のやつ。見ての通り、いまは一人分」

神通「……………………」

提督「とにかく事実確認で本部に連絡してみないと」

神通「あ、それは無理ですよ」

提督「えっ」

神通「混雑してるみたいで、朝からずっと繋がりません」

提督「あー…………」

神通「でもこうして書類も届いたことですし、本当なのでは?」

提督「……なんかこう、やけに落ち着いてるな」

神通「薄々ですが予想はしていましたから。なんだかそんな予感がしたんです」

提督「…………ほう」


 窓の外は相変わらず穏やかな海。どうやらつい先ほど『平和な海』になったらしい。

 軍服姿の彼には昨日との違いがわからなかった。艤装を身に付け砲火を交え、海を駆け巡った彼女でさえ、その違いは歴然としていない様子だ。実際に大した変わりもない。そこは元々、そういう海だった。

 彼女はバツが悪そうにその海を見る。それを確認して、彼もゆっくりそちらを向いた。




神通「綺麗ですね」

提督「え?」

神通「海が」

提督「正直昨日との違いがわからないな。昨日も綺麗だったよ」

神通「いつも綺麗です、ここの海は」

提督「やっぱりここから見るのと海に出るのでは違う?」

神通「ええ、まったく違います」


 実際に出るとそこは戦場だ、というような返答を待っていたに違いない。彼はその時に返す言葉を模索していた。地上にいるからわからない感覚、などという月並みな感想だが、返さないよりはましだ、という考え。彼女はふっと笑って口を開いた。


神通「ここから見る海は、とっても綺麗です」

提督「だろうな」

神通「はい。でも……、海に出ると、海はもっと素敵です。本当にとっても綺麗で、見ているだけで吸い込まれそうになります」


 予想外だ。予期していない。

 態度がそのまま顔に出たのか、彼女はそれを見て、してやったりというようにまた笑っていた。


神通「びっくりしましたか?私、そんなに戦闘は嫌いじゃないんですよ」

提督「よくMVP獲ってくるもんな」

神通「ふふっ、それもありますけど……」

提督「他にもあるのか」

神通「提督」


 振り向き、白い軍服を両眼でしっかりと捉える。笑っているわけでもなく、怒っているわけでもない。かと言って真顔とは少し違う、絶妙な表情だ。強いて言うならば、獲物を捕らえた目。真っ直ぐな目だった。



神通「提督をお守りするために頑張りました」

提督「ありがとう、おかげで助かったよ」

神通「何からですか?」

提督「何から守ってくれたかによる」

神通「全てです」


 満面の笑みに切り替わる。


神通「この戦いにおける敵はもちろんのこと、私たちが戦果を挙げれば提督の地位や名誉も維持できます」

神通「でも一番はやっぱり、他人からですね。提督を取られないように」


 この類の台詞も、彼はもう慣れていた。ここまで日常的に聞かされると自然なことだろう。その自然なことが、すでに不自然だということすら忘れている。いや、忘れさせられてしまったというべきかもしれない。


神通「でも、結局は分け与えることに妥協しそうです。悔しいですけど、そうしないと」

提督「分け与える……?」

神通「…………あ、もちろん物理的になんてことはしませんよ?」

提督「良かった……」

神通「私はそんなこと致しません。もしそういうことを企てる子がいるのなら──────」


 海風が窓を叩く音。

 波の音。

 針の音。

 早い呼吸、溜め息。

 彼女は机に駆け寄り両手をつく。

 至近距離。早い呼吸。

 彼女がまた笑う。

 彼は驚き、顔を背けた。しかし失礼だと思ったのかすぐに向き直っている。


神通「その時は私が提督ごと引き取りますから。私がお守りいたします。これからもずっと、そうしていたいものですね」


 二つの深呼吸。視線が交差。


提督「ははは、それなら安心だな」


 実に幸せそうな二人の笑顔が、そこにあった。

投下終了

野球関係ないとか言いましたが、次あたりがっつり野球ネタ入りそうです。すみません

失礼します

神通さんの中破絵は怯むどころかなぜか撤退する気配がないですからね……
それにしてもお美しい

投下します






『ランダウンプレー 提督』






『同点延長十回の表、ワンナウトランナー三塁』

『両チーム共に得点はなく0対0、いまだこの均衡は破られていません』

『今日の過去4打席はいずれも外野フライ。ここでも打てれば、それは値千金となります』

『右のバッターボックスはトップに戻り────』




 暇だ。あれば面倒なのに、書類がないと拍子抜けする。絶妙なバランスが必要だと思う。と言って、そのためだけに出撃させるというのも面倒だった。なにより彼女たちに申し訳ない。

 着任時に持ち込んだラジオを久しぶりにつけると、感心なことに健在で、電波もぴったりというおまけ付き。少々雑音は混じるものの気にならなかった。




『ここ最近の調子は上向きであり、今日の外野フライもいいところまでは飛ばしていますが、マウンド上は守護神────』

『150km中盤の速球を武器に力でねじ伏せてきます、そう上手くは打たせてもらえないでしょう』

『内野は前進守備、外野も前。守る側とすれば一点も許さない場面です』

『ピッチャー、セットに入って足が上がる。第一球を……投げ降ろした!』




 暇だ。戦争が終わったというのにそんな気がしない。もう一度、例の書類に目を通した。




『真ん中外寄りボール。キャッチャーの構えよりやや内側に入ってきました』

『まずは様子見、ということでしょうか』

『目でランナーを牽制し、肩を大きく上下させてから、キャッチャーがマウンドへボールを返します』




 本当によくできている。

 この字は神通で間違いないだろう。実物を見てコピーしたかのように精巧にできている。もちろん、見たことなどない。彼女も見たことはないだろう。ずっと見ることがないのかもしれない。

 だが艦娘の文字については毎日見ているのだ。それくらいの区別は、とうの昔につくようになっていた。神通は、ここでは一番美しい字を繰り出す。

 つまりこれは夢。神通の、そしてここの艦娘の、戦後に関する夢だ。実に可愛らしい。



『どうしても一点が欲しいところ』

『この状況では先制したほうがゲームを制すると言っても過言ではありません』

『スクイズも考えられますが、守備も警戒していることでしょう』


 
 色々な意味で、俺は自分を幸せ者だと思っている。誰かも同じようなことを言っていたっけ。あれはたしか…………、

 そう、兵学校時代の同期だ。あのあと電話をした以来、連絡は取っていない。どうしているのだろう?

 あの憲兵の話によれば失踪したというが、まさか逃げ出すなんてことは、あいつに限ってはないはずだ。あの男は前線での指揮を誇りに思っていたし、そもそも戦いそのものが好きだった。逃げたとしても、本人の意思というのはまずない。




『ロジンバッグを手に取って二、三回軽く放り上げてから、叩き付けるようにして地面に戻します

『白い粉が舞い落ちる』

『二度ほどサインに首を振って、いまセットに入りました』

『少しランナーのリードが大きいような気もしますが足が上がって、第二球』





 周囲の異変は察知していた。神通を筆頭に、彼女たちが歪んだ方向に変わっていくのも、俺はしっかりと見ていたつもりである。

 それでも彼女たちを本当に怖いとは思わなかった。どうしても嫌いになれなかったのだ。それは彼女たちの容姿ということも、性格ということもある。見ているだけで癒されてしまう、ということもあるだろう。

 なにより、歪んでいるとはいえ彼女たちは好いてくれた。正直これが一番大きい。男として、これほど嬉しいこともない。




『ランナースタート、スクイズだ!』

『ああっと、しかし小フライになった!内角高めの厳しいボール、キャッチャーへの低いフライです』

『……さあランナー飛び出している!キャッチャーが追っていく、ショートがカバーに入るっ』




 少しだけ実況の声が大きくなったラジオに耳を傾けてみる。どうやら三本間にランナーが挟まれてしまったらしい。事の発端は注意して聞いていなかったが、一つ言えるのは、こうなってしまうと生き延びる可能性がかなり低いということ。もとはといえば先制打を打てないから、こういう無茶をすることに繋がるわけだが……。

 事の発端といえば、この状況の発端は誰なのだろう?

 聞いた感じでは暁だろうか?でも最初は夕立なのかもしれない。神通は着任が遅かったため、悪くても火付け役くらいだろう。不知火は…………、

 いや、彼女は正常だ。何も歪んじゃいない。現にこの状況を打破するべく協力してくれているではないか。




『キャッチャーからショート、ショートからピッチャーへとボールが渡ります』

『ランナー必死に逃げていますが距離が詰まってくる、これは時間の問題でしょう』




 不知火は普通。一番信頼している艦娘であり、一番付き合いも長い。そう簡単に崩れるものではないはずだ。

 でももしかすると、この思い込みこそ幻想や理想。こういうものは決まって、予想を外れていることが多い。



『そして今ピッチャーからサードへとボールが送られてタッチアウト』

『結局この回、またとないチャンスを作りましたがスクイズ失敗でダブルプレーに終わりました』

『これは首脳陣も痛いことでしょう。スクイズの失敗は流れを変えてしまいます』




 監督というものは、選手を信頼はしても信用してはいけないと聞いたことがある。選手は失敗するものと思って送り出せ、ということだ。常に最悪のケースを想定していれば、それ以上のことは起きやしない。

 最悪のケース、か…………

 もし仮に、不知火も向こう側だとすれば、それは俺にとって紛れもなく最悪のケースだ。その場合はどうするべきか……、




『チャンスでのランナーも、挟まれてしまえば哀れなものですね』

『まさに袋の鼠といいますか、もはや相手のミスを待つくらいしか為す術などありません。それまでは必死に逃げ回るのみ』




 思わずふっと息が漏れた。

 袋の鼠。

 まさしくその通り、どこにも逃げ場はないだろう。逃げ場はないのに、それでも逃げなくてはいけない。全員が敵だ。ミスを待っても、こういうときに限ってミスが起こらない。

 無意識に何もない天井を見上げてみた。



『ランナー天を仰ぐ。疲れ切った表情です。バッターはその場に蹲り、恨めしそうにフライが上がったあたりを見ています』

『よく逃げた、といえばそうですが、最後はアウトになってしまいました。スリーアウト、チェンジです』




 逃げても逃げなくても、最後は相手のミス頼み。それが起こらなければ、疲れだけが残り、結局はアウトになってしまう。

 こういうときは──────




『こういうときはもう、心では大方諦めてタッチされてしまうのが、一番幸せかもしれませんね』




 また、ふっと息が漏れる。

 もう十分に逃げてきた。単調とはいえ躱してきたつもりだ。

 良し悪しは別として、そろそろ幸せな方法を選択してもいいのではないだろうか。

 そろそろタッチされても、もう『仕方ないこと』で処理される頃ではないだろうか。


 俺は徐に立ち上がり、数歩先にある机の引き出しの、青っぽい封筒と箱に手を伸ばしていた。

投下終了です

思いっきり野球しました
次からは地の文なしでさらっとラストスパートいきます。ハッピーエンドしか浮かんでこないのでご安心ください


それでは失礼します



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──────

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憲兵「貴方は……」

提督「お久しぶりです」

憲兵「わざわざ本部に出向いてくるとは何事だ?」

提督「いや……。指輪と書類の追加を」

憲兵「……ジュウコンされるのか」

提督「ええ、気が変わりました。艦娘は可愛いですね」

憲兵「もっともたる理由だな」

提督「それ以外に何か必要ですか?」

憲兵「いや………、結構」



憲兵「この前の忠告を検討したうえでのことなのだな?」

提督「もちろん」

憲兵「それを押し退けても、するだけの価値があると」

提督「その通りです」

憲兵「……では無暗に咎めることはしない。これからの更なる武運を」

提督「ありがとうございます。失礼ですが、前に来られた時と比べてだいぶ穏やかなんですね」

憲兵「尋問でもないのでな。がっつり憲兵モードがいいか?」

提督「いえ、こっちのほうがありがたいです」

憲兵「ふっ……。書類関連は向こうだ」

提督「これはこれはご親切にどうも」



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提督「一応こっそり抜け出てきたけど、やっぱりな。何も終わったような雰囲気なんてない」

提督「でも有利にはなってるみたいだな。これはそう遠くないかもしれないか」

提督「それならますます誤魔化しが利くけど」

提督「……………………これでいいんだよ」

提督「…………………………」

提督「さて、帰ろう。みんなも探してるかもしれないし、何より寒くなってきたし」



──────
───
──────



提督「ただいまー」

神通「あ、提督!もう、探したんですよ?」

提督「ごめんごめん」

神通「…………本部ですか?」

提督「…………うん」

神通「っ…………」

提督「指輪、みんなのも買って来た」

神通「え?」

提督「ほら、もう終わったんだろ?」

神通「えっ?…………え?」

提督「いつの間に『え』しか言えなくなったんだ」

神通「い、いえ……そういうわけでは……」

提督「『もう終わったんだろ?』」

神通「…………はい、終わりました」

提督「うん、それでいい」



提督「どうする?ここで渡しちゃう?」

神通「提督、こういうのはムードですよ?」

提督「そう言うと思った。じゃあ明日あたり」

神通「も、もうっ!そういうのは言わないものです!」

提督「おっとごめん、じゃあ明後日な」

神通「…………提督、遊んでますよね」

提督「…………すみません」

神通「私だって怒りますよ?」

提督「勘弁してください……」

神通「ふふっ♪」



神通「冗談です、怒ってませんよ。提督が思ったときに渡していただければ、私はそれでいいですっ」

神通「でも遅くなっても、私は待ってますから」

提督「なるべく遅くはならないようにしようと思ってる」

神通「あら、それは嬉しいです。心待ちにしていますね!」

神通「では、私はそろそろ」

提督「何か用事でもあったかな?ごめんよ」

神通「あ、いえ!ここを離れるための準備ですから」

提督「あー、そういうことか」

神通「…………提督、本当によろしいのですか?」

提督「え?」

神通「気づいてますよね、あの書類」

提督「…………俺も準備でもするかね」

神通「提督?」






提督「──────これが答えだよ」

神通「──────はいっ♪」




投下終了

みんなで病んでしまえばきっと幸せになれるはずですよね

失礼します



不知火「夕立、少し聞きたいことが」

夕立「ぽい?なになに?」

不知火「夕立ですよね、あの言葉」

夕立「言葉……………………、ああ、うん。それがどうかしたっぽい?」

不知火「予想はしていますがあくまで予想なんです。気になります」

夕立「何が言いたいのかわからないっぽい」

不知火「つまり……、そうですね、なぜあの言葉をわざわざみんなに言って回るのかって思いましたので」

夕立「────そんなの、よくわからないよ」

不知火「わからないのに言っているのですか?」

夕立「うん」

不知火「………………」




不知火「夕立は、司令とケッコンがしたかったのですね?」

夕立「もう、恥ずかしいっぽい……♪」

不知火「いまさら恥ずかしがるんですか……」

夕立「でもね、提督さんは『誰ともケッコンしないよ』って」

不知火「だから、仲間を増やせばそうも言ってられないと」

夕立「仲間?みんな『仲間』っぽい!」

不知火「ふふっ、そうね。司令も含めて」

夕立「提督さんも!?」

不知火「そうですよ。司令だけ『仲間外れ』はよくないです」

夕立「…………どうやって?」

不知火「大したことではありません。寝ている間に少しだけ、司令の指にイタズラしただけですし」

夕立「──────不知火ちゃんも、そうやったっぽい?」

不知火「…………さあ、なんのことだか」



───

──────

─────────

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暁「あ、これどうしよう……」

神通「何がですか?」

暁「このカメラとかモニターとか」

神通「ああ……。でももう必要ないと思いますよ」

暁「そう?」

神通「そうです。だってこれからは」

暁「待って!そこ私が言う!」

神通「………………ふふっ、美味しいところだけ持って行かれちゃいますか」

暁「いいの!司令官もいま見てないし、恥ずかしくなんてないからねっ」

神通「それもそう……………………っ?」

暁「どうしたの?」

神通「あ、いえっ!」



暁「変なの。まあいいけど。ねえ、もう一回言ってもらえるかしら?」

神通「ええ、いいですよ」

神通「だってこれからは────」


暁「ずっと司令官を傍で見てられるからね!!!えっへん!」



提督「あーかーつーきー?まだ俺の耳は遠くなってないぞ」

暁「し、司令官!?いつの間に……!じ、神通さん!なんで教えてくれなかったのよ!ぷんすか!」

提督「怒るな怒るな、アイコンタクトで頼んだんだよ」

暁「うぅ…………!」

神通「連係プレイって凄まじいですね」

提督「どの口が言うか」

神通「私だから、よくわかってるってことです」

提督「妙に説得力あってなんか悔しい……」

いつの間にか寝てて変な時間になってしまいましたが投下終了です

失礼します



夕立「うー、不知火ちゃん一番最初はずるいっぽい!」

提督「最初のほうから頑張ってくれてるし」

夕立「でも~…………」

暁「もう、一番もなにもほんの数秒の差でしょ?」

提督「暁は大人だな」

暁「と、当然よっ!」

不知火「いいのですか?記念すべき最初の指輪が不知火で……」

提督「この鎮守府での記念すべき最初の一人も不知火だよ」

不知火「そ、そうですが……。そうね、少し……、いえ」

不知火「──────最高に嬉しいわね。感謝します」



暁「司令官」

提督「ん、どうした?」

暁「…………ありがと」

提督「……遅くなったな、ごめん」

暁「ううん、貰えないかもって思ってたからいいのっ」

提督「まあ正直かなり悩んだけど、どういうわけかある日突然思い直したというか」

暁「どうして?」

提督「さあなぁ……。朝起きたらこう、なんというか……」

夕立「それねー、不知火ちゃんがー」

不知火「…………夕立、なんですか?不知火に落ち度でも?」

夕立「…………今回は落ち度よりも手柄っぽい!」

不知火「よろしい」

提督「……?」



暁「そういえば神通さんは?もう渡したの?」

提督「いや、今日はまだ見てないな」

夕立「神通さんならまだ準備してるっぽい。一番張り切ってたもんね」

不知火「そうかしら。不知火は夕立が一番張り切ってるように見えましたが」

暁「そう言う不知火だと思うけど」

提督「…………まあみんな張り切ってくれたってことで」

夕立「提督さんは、準備終わったっぽい?」

提督「そんなに持ち物多くないし」

不知火「……多いはずですよ。少なくとも一つはあります」

提督「そりゃ一つくらいはあるよ」

不知火「じゃあ最低二つはあります。…………ほら」

提督「おっと」

夕立「あー!不知火ちゃんデレデレっぽいー!」

暁「指輪ってそんなに効果あるの!?」



不知火「司令。不知火を持って行ってください」

提督「いやいや、普通に歩けるでしょうに」

不知火「でも持って行ってください」

提督「えぇ…………」

夕立「あたしもあたしもー!」

暁「あ、夕立!待ちなさいよ!」



提督「てかみんな離れてくれ、動きにくいから……」

不知火「ほら、司令がお困りですよ。離れてください」

夕立「夕立も提督さんに持ってってもらうのー!」

暁「というか貴女が発端でしょ」

不知火「…………さあね」

提督(あー、幸せだなぁ……)

投下終了です

恐らく次が最後の予定です。さらっと終わります

それではこのあたりで



神通「すみません!お待たせしてしまいました……」

提督「お、来たか。……あれ、口紅塗った?」

神通「一応、少しだけ。ほんの少しです。よく気づきましたね」

提督「毎日見てるわけだし」

神通「あの、似合ってますか?」

提督「ああ、もちろん」

神通「嬉しい……♪」



暁「それより、そろそろ渡してあげたら?」

神通「!!!」

提督「そうだな、それが主目的だし」

神通「…………提督?」

提督「ん」

神通「ムード」

提督「……………………左手」

神通「……………………はいっ」



暁「こ、これじゃ本当の結婚式みたいじゃない!」

不知火「ケッコン式ですから」

夕立「うー、あたしもあれがよかったっぽいー……」



───
──




憲兵「そういえばこの前言い忘れたことがあったな」

憲兵「仕方ない、電話してやろう。こんなの仕事ではないがまあいい」

憲兵「────────…………」

憲兵「繋がらない……?話し中か?」

憲兵「…………まさかな」




──
───



神通「なんだか夫婦みたいですね」

提督「カッコカリとはいえそうなるんじゃないのかな」

神通「ではその……誓いの……、その…………」

提督「いや、ここ普通に外だからな?」

神通「外だとできませんか?私はべつに────」

提督「…………雰囲気的に無理だろ?」

神通「…………だいぶ怒ってるみたいですね、ふふっ」

夕立「神通さんだけ盛りだくさんすぎっぽい!!」

不知火「全員にすれば問題ないのでは?指輪みたいに」

暁「それはなんか悔しいっていうか」

神通「あらあら、みんな仲良く嫉妬ですか?ふふふっ……」

暁「し、嫉妬じゃないもん!」

神通「提督、仕方ないので今は我慢いたします」

提督「ありがとう、おかげで命拾いしたよ」

神通「────今は、ですから。近いうちに……♪」

神通「そろそろ行きますよ」



不知火「ここも見納めですか……。少し寂しいわね」

暁「なんだかんだで楽しかったしね」

提督「来ようと思えばいつでも来れるだろ、たぶん」

夕立「あたしは寂しくないっぽい!提督さんと一緒だもーん」

暁「……夕立はなんかもう、本当に普通のバカップルみたいね」

不知火「ケッコンという目標を達成したからでは?」

暁「そういうものなのかな……」

提督「そろそろ行くよー」

暁「あ、はーい!行くわよ不知火」



───
──




憲兵「っ!提督殿、居るか!」

憲兵「留守……、か」

憲兵(留守というかもはや生活感を感じない)

憲兵(もぬけの殻、とはこのことだな)

憲兵(……………………)

憲兵「はは、いい度胸じゃないか。逃げたしたのか?ここの深海棲艦はどうするつもり────」

憲兵「…………そうだ。あの鎮守府が崩壊してというもの出てこないから、もう異動か退役を勧めに来たんだ」

憲兵「結局のとこ同じじゃないか」

憲兵「………………いいな、平和な海だ。そう、本部前の海と同じ」

憲兵「もうどこの海も大方は穏やかなんだ。何も間違っちゃいない」

憲兵「…………………………」

憲兵「煙草でも吸って帰ろう。もう戻ってこないだろうな」

憲兵「────こんな平和なら、艦隊なんて居るほうが敵が寄って来る。本末転倒じゃないか、馬鹿馬鹿しい……」




──
───



神通「提督」


 小声で呼び止める声に振り返った。

 距離2メートル。

 お互いに手を伸ばせば届きそうな。


提督「どうした?疲れたか?」

神通「いえ、そんなことはありません」


 寄せる波、白い砂、太陽が照り付ける。

 絵に描いたような砂浜だ。きっといい絵になるだろう。前を歩く三人はこちらに気づかず、はしゃぎながら前進を続けている。


神通「提督」


 彼女が二歩前へ出る。

 思わず完全に振り返る。

 白い砂が低い位置で弾け飛んだ。

 そして、重い衝撃。銃で撃たれたみたいな衝撃だった。撃たれたことなんてないけれど、たぶんこんな感じ。

 細い折れそうな腕が力強く首裏へ。その力で、彼女は自らを引き寄せた。


提督「神通」

神通「はい」

提督「どうした?」

神通「なんでもありません。ただ、こうしたくなっただけです」


 目の前の小さな肩がぴくりと揺れる。笑ったようだ。なにも面白いことを言ったつもりはない。

 横から風が吹き、彼女の髪が流れてきた。同時に、彼女の顔も首筋へ流れてきた。

 温い息遣いが首筋に吹きかかり、冷たい風が強調される。少し寒い。

 続いて生暖かい感触。

 首筋を吸いあげられる感触。

 そして、ぬるっとした感触。

 少しだけざらざらしているのも独特。

 それが、首筋を這い回る。

 俺は黙っていた。なすがままにされていた。何を聞いたって「そうしたかった」と言われるだけのような気がしたからだ。

 やがてその感触が離れ、再び冷たい風。

 やけに長く感じた時間だが、前の三人が進んだ距離を見る限りでは1分も経っていないだろう。

 耳のあたりにキスをされた。少しくすぐったい。



提督「神通、どうしたんだ?」

神通「マーキングしただけですよ」

提督「マーキング?」

神通「自分のものには目印をしておかないと取られちゃいます」

提督「名前でも書いたのかよ」 


 その質問には答えず、また笑って、口を耳元へ運んでいる。

 ここばかりは息がかかるととんでもなくくすぐったい。誰でも知っていることだ。一生に一度は、息を吹きかけてくる奴と出会うはず。

 それを気遣ってなのか、そこは通り越して耳の裏側へ。

 とりあえず息はかからない。こういう人と巡り逢えたことを幸せに思う。

 
神通「私が怖いですか?」

提督「まったく」

神通「正直、怖いと思ったことは?」

提督「心の底からはない」

神通「どうして?」

提督「さあ、どうしてかな。よくわからない」

神通「ふふっ。最初はそれでいいんです」


 これこそなんのことだかさっぱりだ。よくわからない。

 一つ言えるのは、彼女がずっと背伸びをしていて辛そうだという事実だけ。俺は少し腰を落とし、彼女よりも低い位置についた。

 また一層に腕の力が強くなる。


神通「お気遣い感謝します。少しだけ届かなかったので……」

提督「何をするのに?」

神通「私は今とっても幸せです。提督は幸せですか?」


 不幸なはずがない。これ以上を求めたら罰が当たりそうなくらいに幸せだ。

 でも、この言葉はなぜか喉元で掻き消されて、腹の中へと戻っていく。

 二人とも、何も言わなかった。

 耳元では息遣いだけが静かに音を発している。もう波の音すら聞こえない。




神通「私は提督のもの。提督も、『私のもの』になっていただけますよね?」

提督「俺は……」

神通「あの子たちなら大丈夫です。指輪を貰って、それで安心してしまうみたいですから」

提督「つまり?」

神通「まだまだ『弱い』ということ」


 腕の力が弱まって、続けざまに顔が目の前へ。
 
 綺麗だ。瞳の中に海と空が半分ずつ映っている。


神通「提督は、幸せですか?」

提督「ああ、最高にね」

神通「よかった」

提督「そろそろ追い付こう。あんまり離されると心配されるし」

神通「はいっ」


 その綺麗な顔が微笑んだ。女神さまも、きっとこんなふうに微笑むのだろう。もしかすると女神さまなのかもしれない。












神通「もう逃がしませんよ、絶対に」









────完────



全投下終了です

ここまで随分と長くなってしまいましたが、お付き合いいただいた方はありがとうございました。
書きたいヤンデレは書いたので、今日やっとケッコンできた浴衣な神通さんを愛でながら、またほのぼの日常砂糖系を書くだけの作業に戻ります。



またどこかで見かけていただけたら、そのときはよろしくお願いいたします

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年09月13日 (日) 16:30:36   ID: W5CfkyyJ

前回も今回も面白かったです。気が向いたら新しいの書いてください。

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