【オリジナル】ぼくのなつやすみSS ~おばけ森の秘密~ (138)


こんにちは。だいぶ前に変態だらけの東京喰種SSを書いた者です。

今回はぼくなつ風SSです。

夏が近いというのに続編が出る気配が無くて寂しいので書いてみました。

オリジナルSSは初めて書きますので読みにくいところもあるかと思いますがよろしくお願いします。

あと、登場キャラはぼくなつに倣い、主人公以外名前を付けました。

こういうSSでは一般的ではないかもしれませんが、こうしないと私が書いてて混乱しそうなのでご容赦ください。

ゲームっぽく分岐を作る予定なので、よければ選択してください。

なお、変態は出ません。

更新はゆっくりになると思います。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1435488623


~登場人物①~


ボク
小学校4年生。都会の小学校に通っているが父親の海外転勤が決まり、両親が異動先の家を探す夏休みの間、森南町(もりなみまち)の伯父夫婦の家に預けられることになった。
一度決めたら意見は曲げないタイプ。

アマネ(美田弥-よしだあまね)
森南小学校4年生。伯父夫婦の長女。スキあらばボクの上に立とうとするライバル。ボクより足が速く、ボクより背が高い。ブドウはそこまで好きじゃない。
ずるずる引きずるような服が嫌いなので、今は日本舞踊を習う気はない。

いっくん(美田一‐よしだおさむ)
森南小学校2年生。伯父夫婦の長男。姉と異なり穏やかで勉強家。様々な事に興味を持つタイプで母に日本舞踊を習っている。実は姉同様、運動神経は良い。
性格が合うボクの方が兄弟だったらいいのになぁと思っている。

うきす(佐野将太‐さのしょうた)
森南小学校3年生。伯父夫婦と仲が良い佐野桃園の長男。自分の家の仕事に誇りを持っているが、背が小さく力も弱いため仕事の手伝いが十分にできないのが悩み。
あだ名は“めだか”という意味で、アマネがつけた。

エリー(佐野英里子‐さのえりこ)
森南小学校2年生。佐野桃園の長女。兄が大好きで遊びに行くときはいつも兄と一緒。自分のことをエリーと呼ぶから、みんなもなんとなくエリーと呼ぶ。
僕の伯母に日本舞踊を習っている。

オッチャン(大野優‐おおのゆう)
森南小学5年生。一緒に遊ぶ子供たちの中では一番年上だが、物腰はそれ以上に年配者。趣味も渋く将棋が好き。夕方は和服で散歩している。駐在さん家の一人息子。
僕の伯母に日本舞踊を習っている。

おじちゃん(美田和則‐よしだかずのり)
ボクの父の兄。森南町でブドウを栽培する農家。夏休みの間ボクを預かることになった。優しいが少々寡黙で職人肌。佐野孝とは小学校、中学校の同級生。ブドウの収穫が終わり自分の仕事がヒマになると、ちょくちょく佐野桃園の手伝いに出かける。

おばちゃん(美田雅代‐よしだまさよ)
休んでいられない性分で、収穫作業が忙しい時期以外は、アルバイトを見つけどこかで働いている。日本舞踊の先生で、休日は都会からも生徒が来る。おしゃべりで明るい女性。
娘が女の子らしくないことと、息子が男の子らしくないことが悩み。

佐野おじさん(佐野孝‐さのたかし)
佐野桃園で桃を作っている農家。おじちゃんの同級生だったが高校は都会に行き、一度はサラリーマンをしていたが結婚を機に地元に戻ってきた。桃農家としての腕は確かだが、まだ日が浅いので周りにはちょっと心配されている。

佐野おばさん(佐野千穂‐さのちほ)
佐野孝の妻。市役所で働いているため平日は畑作業を手伝わない。都会でOLをしていた頃から田舎暮らしに憧れていたので夫が地元に帰るのは大賛成だった。
料理が非常にうまく、おばちゃんの料理の先生らしい。


~登場人物②~


こどもねえちゃん(黒川典子‐くろかわのりこ)
伯父夫婦と仲が良く、時々夕ご飯をごちそうになりにくる20台前半の女性。おじの家で飼っている犬のハツと遊ぶのが好きで、よく犬小屋にいる。
見た目や言動が幼いところがある。

ミキおねえちゃん(黒川美樹-くろかわみき)
こどもねえちゃんの妹。都会の中学校1年生。夏休みの間、姉のところに遊びに来ている。物静かで口数も少なく、他の子供たちと遊ぶことはほとんどない。自然のものを見るのが好き。メガネをかけている。

スギじい(杉浦源‐すぎうらげん)
森南町にある寺の住職。口うるさいが嫌われるほどじゃない。昔のことを良く知っていて子供たちに教えてくれる。

猟師さん(菊島隆治‐きくしまりゅうじ)
おじちゃんと佐野おじさんの知り合いの猟師さん。狩猟期間はイノシシやクマを獲っているらしい。ただし職業猟師ではなく、普段は別の仕事をしている。怖いイメージがあるが子供には意外とフレンドリー。

駐在さん(大野大輔‐おおのだいすけ)
去年転勤で森南町に来た駐在さん。妻と息子がいる。オッチャンのお父さん。任期は2年なので、今年いっぱいで転勤する。

ウテナさん(台佐和子‐うてなさわこ)
最近、田舎で何かやってみたいという理由から南森町に引っ越してきた40歳くらいのおばさん。自宅でなにやらゴソゴソやっている。夫は東京で働いているようだ。
早朝よく散歩している。

生徒さんたち
僕の伯母に日本舞踊を習いに来る生徒さんたち。年齢は30~50くらい。色々な人が来るからボクは誰が誰だか分からなくなっていた。

ちーちゃん
ボクと同じくらいの年の女の子。アマネたちのグループではないようで、ボク以外の人と遊ぶことはないようだ。オッチャン以上に和服でふらふらするのが好きなようで、ボクは和服以外の服を着たちーちゃんを見たことがない。

二代目ハツ
叔父の家で飼われている犬。

おとうさん
僕の父親。外資系の会社に勤める。今年の9月1日付で5年間のイギリス転勤が決まり、現在妻とともに前倒しでイギリスに行き、家を探しながら仕事をしている。その間一人息子のボクを兄の家に預けることにした。

ナレーション
回想を語る大人になったボク。
脳内で好きな声優さんで声を当ててください。


※分岐によっては出てこない人もいます


・・・もう20年も前のことになる。

小学4年生だった私は、父の車に乗って中部地方にある伯父の家に向かっていた。

都会に住んでいたためか車窓の移り変わる緑の景色にただただ目を奪われていた記憶がある。

夏休みが終わると私は、父の仕事の都合でイギリスに行くことが決まっており、両親がイギリスでの住宅を探す夏の間、父の生家である父の兄の家に預けられることになっていたのだ。

だから、私は少しの不安と、たくさんの期待を持って、日本で過ごす最後の夏を謳歌しようとしていたのかもしれない。

車のラジオから流れるその年の流行歌が言うように、私は夏という新しい季節に少し切なさを覚えていた。

緑を抜けると、車は眼下に広がる盆地の中の町を眺めながら、再び山沿いの道を進んでいった。

そしてしばらくすると、速度を落とし、大きな家の門をくぐった。


その夏は、私にとって一生忘れられない夏になった。


―――1995年8月1日――


お父さん「着いたよ、ボク」

ボク「うん、おっきい家だね」

お父さん「父さんが子供の頃はもう少し小さかったかな」

ガラガラ
おじちゃん「お、来たか」

お父さん「兄さん、久しぶり」

おじちゃん「ああ。その子がボク君か?」

お父さん「うん、さ、自己紹介しなさい」

ボク「あ、えっと、お父さんの子供のボクです。今日からお世話になります!」

おじちゃん「うん。私は君のお父さんの兄だ。1か月、よろしくな」

ボク「よろしくお願いします!」

お父さん「義姉さんは?」

おじちゃん「子供たちといっしょに買い物だよ。タイミング悪かったな」

お父さん「そっか。じゃあ先に母さんに挨拶しとくかな」

おじちゃん「ああ」


・・チーン

お父さん「・・・」


お父さん「さ、ボクも」

ボク「うん」

・・チーン


ボク「お父さん、あの写真の人ってお婆ちゃんだよね?」

お父さん「そうだよ。うちにも写真あるだろ」

ボク「うん、でもうちの写真はもっと若かったから」

お父さん「そうだっけか」

ガラガラガラ
「だだいまー!」

おじちゃん「お、帰ってきたみたいだぞ」


おばちゃん「ただいまー、あ、いらっしゃったのね!」

お父さん「ご無沙汰してます」

おばちゃん「いえいえこちらこそ!弥(あまね)ー!一(おさむ)ー!叔父さんとボク君来たわよー!」

どたどたどた!


アマネ「あ、叔父さんこんにちは!」

お父さん「弥ちゃんひさしぶり。こんにちは。今日からうちのボクがお邪魔するからよろしくね」

ボク「よろしくお願いします」

アマネ「うん。ボクって何年生?」

ボク「4年生!」

アマネ「・・・何月生まれ?」

ボク「3月だよ」

アマネ「じゃあ私のがお姉ちゃんだね」

ボク「え?何年生?」

アマネ「4年生。だけど2月生まれだもん私」

ボク「えー一緒じゃん」

アマネ「一か月私のがお姉ちゃんじゃん!」

ボク「えー?!学年は一緒だよ!」

おばちゃん「こらこら、弥、ケンカしないの」

アマネ「はーい」


おばちゃん「一は?」

アマネ「ゆっくり着替えてた」

おばちゃん「まったくあの子は」


いっくん「こんにちはー」

お父さん「こんにちは一君。今日からボクのことよろしくね」

いっくん「うん。よろしくおねがいしまーす」ぺこり

ボク「よろしくおねがいします!」


お父さん「・・・じゃあ申し訳ないけど、俺は帰るから」

おばちゃん「夕ご飯くらい食べていけばいいのに」

お父さん「すみません、もう今日の夜の飛行機で行かなければいけないので」

おじちゃん「大変だな、がんばれよ」

お父さん「うん、兄さんも。じゃあボクのことよろしくお願いします」


お父さん「ちゃんと宿題するんだぞ」

ボク「はーい」


おじちゃん「ごはん美味かったか?」

ボク「うん!僕、うどん好き!」

おじちゃん「それはよかった」

いっくん「お母さん、料理上手になったよね」

おばちゃん「コラ!」

ボク「?」

いっくん「昔はうどんはシンがあったりドロドロだったり・・」

おばちゃん「もう!昔のことはいいの!おいしく作れるようになったでしょ?!感謝しろし!!」

ボク「ふふふっ」



ボク「ねえアマネ、おばちゃんて料理下手だったの?」

アマネ「・・・まあ昔は酷かったかな・・」

ボク「でも今日のご飯はおいしかったよ?」

アマネ「近くに住んでる友達のお母さんに習ってから上手くなったの」

ボク「へぇ・・」



アマネ「あ!待って、あんたは私のことお姉ちゃんて呼ばなきゃダメじゃん!」

ボク「えー年いっしょじゃん。9さいでしょ?」

アマネ「そうだけど・・・じゃあ私の誕生日からあんたの誕生日までの間は私のが年上なんだからお姉ちゃんて呼ぶんだよ」

ボク「えー」


いっくん「ねえ、ボク君はどこで寝るの?」

ボク「え?よく分からない」

いっくん「寝る前に遊ぼうよ!」

ボク「何して?」

いっくん「うーん・・」

ボク「スーファミとかないの?」

いっくん「無いよー」

ボク「え?ファミコンは?」

いっくん「無い無い」

ボク「えー?!」


ミーンミンミンミンミン・・・

ボク「くー・・くー・・」

いっくん「ボクくん、朝だよー」

ボク「うーん・・・あ、おはよう」

いっくん「おはよー。もう朝ごはんだよー」

ボク「うん」


もぐもぐ
アマネ「ねえお父さん、今日はどこか出かけるの?」

おじちゃん「佐野さんとこ行く」

アマネ「またお手伝い行くの?」

おじちゃん「うん。お前も行くか?」

アマネ「うーん・・どうしよっかなぁ」

ボク「おじちゃん、どこ行くの?」

おじちゃん「ああ、おじちゃんの友達が桃農家やっててね。もう収穫も終わりに近いんだけど手伝いに行こうかと思って」

ボク「へー・・ボクも行っても大丈夫?」


おじちゃん「ああ、そうだな。弥、一。一緒に来てボク君を案内してやりなさい」

アマネ「えー・・桃もう結構食べ飽きてるんだけど・・」

おじちゃん「コラ、食べに行くんじゃないだろ」

アマネ「ま、いっか。うきすで遊ぼう・・へっへっへ」

ボク「?」

おじちゃん「一も行くだろ?」

いっくん「僕、お母さんと踊りやりたいなぁ・・」

おばちゃん「あ、今日はダメよ。共選の仕分けのアルバイトあるから」

おじちゃん「だとさ」

いっくん「えー・・・じゃあ僕も行く」

おじちゃん「決定だな。じゃあ9時半になったらみんな軽トラ乗りな」


佐野おじさん「あ、カズ。今日も来てくれたのか」

おじちゃん「一人で作業すんのはえらいだろ?」

佐野おじさん「大丈夫だって。おまんの仕事もあろうに」

おじちゃん「うちはもう終わりだからな。あ、そうそう、昨日から家に親戚の子来てて紹介しようかと思って」

佐野おじさん「ん?」

ボク「あ、おじちゃんの弟の子供です!こんにちは!」

佐野おじさん「んー・・ああ!よろしく!アイツ帰ってきてるんか?」

おじちゃん「いーや、9月からイギリスだと。で今家さがしで忙しいからこの子預かってる」

佐野おじさん「あーアイツ優秀だったもんなぁ」


ボク「えっと、おじさんは桃作ってるの?」

佐野おじさん「そうだよ。ほれ、食べてみな」
ぷちっ

ボク「いいの?!いただきます!」
むきむき・・・がぷっ

ボク「甘いっ!!」

佐野おじさん「そりゃよかった!こっちいる間は好きな時に遊びにきな。でも自分で勝手に桃をもいじゃダメだよ」

ボク「はい」

佐野おじさん「じゃあうちの子たちと遊んでな・・・えっと・・どこ行ったかな?」

ボク「子供、いるの?」

佐野おじさん「いるよーまあ園のどっかに居るだろうから」

ボク「うん、探してみるね!」

おじちゃん「じゃあボク、おじちゃんたちは仕事してるから先帰ってもいいからな」

ボク「うん、わかった」


アマネ「はははっ!また私の勝ちー!」

うきす「くっそー!!アマネはとびっこはやすぎだよ!!」

アマネ「私はまだまだ本気出してないよ?」

うきす「くそー!」

エリー「エリーはお兄ちゃんじゅうぶんはやいとおもうよ」


ボク「なにしてんの?」

うきす「あの木からここまでどっちが早いか勝負だよ。あれ?お前誰?」

ボク「あ、アマネのいとこだよ。名前はボク」

うきす「そっか。オレは佐野将太!こっちはオレの妹」

エリー「私、エリー」

ボク「あ、よろしくね」

エリー「うん」

アマネ「将太のことは“うきす”って呼べばいいから」

ボク「うきす?」

うきす「・・・メダカって意味だよ」

アマネ「だって、うきすってメダカみたくちっちゃくてすばしっこいでしょ?」

ボク「ふーん」


うきす「なあ、ボク」

ボク「なに?」

うきす「あの木まで競争しようぜ」

ボク「いいよ!」

うきす「じゃあエリコ、ヨーイドン言って」

エリー「うん。よーい・・・どんっ!!」

ダダダダダダダダダダッ!!

うきす・ボク「タッチ!!」

うきす「引き分けか!」
ボク「そうだね!」

うきす「はぁはぁ・・なあボク、二人で特訓してアマネを超えようぜ」

ボク(・・ということは僕、アマネより遅いのか・・)
ボク「いいよ!」


・・タッタッタッタ
エリー「おにーちゃーん!!」

うきす「ん?」

エリー「どうだった?!」

うきす・ボク「引き分け!!」


エリー「あれ?アマネちゃん、今日はいっくんはいっしょじゃないの?」

アマネ「そういえばどこ行ったんだろアイツ」


いっくん「・・・」

ボク「・・いっくん?」

いっくん「どうしたのー?」

ボク「なにしてんの?」

いっくん「うん、あの桃もう収穫時期すぎてるなーって思って・・・とって食べちゃおうかなーって」

ボク「一応佐野おじさんに言ったら?」

いっくん「うーん・・でも一回ここから離れるとどの桃だか分からなくなりそうで」

ボク「僕見てるから聞いて来れば?」

いっくん「あ、そうする」


アマネ「・・・ボク、何してんの?」

ボク「桃を見張ってる」

アマネ「??」


おばちゃん「へー!じゃあ昼間は桃食べたんだ?おいしかったでしょ、佐野さんの桃」

ボク「うん!すごい柔らかくて甘かった!」

おばちゃん「ふっふっふ・・、でもね柔らかい桃が美味しいと言ってるうちはまだまだね」

ボク「どういう事?」

おばちゃん「ここの人間はね、柔らかい桃なんて食べないの。アレは出荷用。家で食べるのはリンゴみたくかたくて甘い桃だよ」

ボク「へーそうなんだ!」

おばちゃん「時期すぎてるからね。来年でも来たら食べさせてあげるよ」

ボク「うん!ありがとう」

いっくん「ちなみに僕は柔らかい桃のが好きだよ」

アマネ「私も柔らかいのが好き」

おばちゃん「ええー?!!」

おじちゃん「・・おまえ、もうちょっと静かに食えし」


ドンガラガッチャン!!

ボク「?!」

いっくん「あ、きたのかな?」
アマネ「うん、たぶん」

ボク「え?え?何?」

おじちゃん「呼んでくるよ」

おばちゃん「そうねー今日は賑やかになるわねー」


こどもねえちゃん「こんにちわー!・・あれ?子供増えてる?」

おばちゃん「この子ね、ダンナの弟さんの子供なの。夏の間家にいるよ」

こどもねえちゃん「へー!うちのミキちゃんといっしょだね。私は今は下の市で働いてる黒川典子っていうの。よろしく、ボク君!」

ボク「よろしくお願いします・・・えっと・・さっきの音はなに?」

こどもねえちゃん「うわっ聞こえちゃってた?マズイマズイ!」

おじちゃん「なんも壊してないよな」

こどもねえちゃん「壊してませんよ!ハツさんの水入れひっくり返しちゃったんです!」

ボク「ぷっ」
アマネ「くくっ」
いっくん「・・」にっこり


こどもねえちゃん「じゃあごちそうさまでしたー!」

ボク「アマネ、あの人って働いてるって言ってたけど・・その・・」

アマネ「うん・・言いたいことは分かる」

いっくん「中学生に見えるよねー」


ボク「あ、そういえばハツっていっつも寝てる犬だよね?」

おじちゃん「そうだよ」

ボク「えっと・・噛まない?」

アマネ「ふふん、弱虫」

ボク「なんだとぉ」

おばちゃん「コラ弥!大丈夫大丈夫!ハツちゃんはもうお爺ちゃんだからね。さわってきても大丈夫だよ」

ボク「じゃあ触ってくるね!」


がらがら


こどもねえちゃん「ハツさーん、最近どうですか?」
ぐりぐり
二代目ハツ「・・・・」

こどもねえちゃん「なるほどなるほど、眠いですか」
なでなで
二代目ハツ「・・・・」

ボク「・・・・」


こどもねえちゃん「はっ!!見たな!?」

ボク「おねえちゃんは・・犬としゃべれるの?」

こどもねえちゃん「喋れるとも!ほらキミも触ってごらん。ハツさんは何しても怒らないから」

ボク「えー・・・」
なでなで
二代目ハツ「・・・・おーーーん」

ボク「うわっ!」

こどもねえちゃん「あはは、今のあくび」

ボク「そ・・そうなんだ」


ボク「おねえちゃんて・・なんだか子供みたいだけど大人なんだよね」

こどもねえちゃん「失礼な!あ・・いやここは喜ぶべきなのかな??」

ボク「?」

こどもねえちゃん「まあとにかく立派な社会人だよ。あ、そうだ、今度さーうちの妹連れてくるから、キミ遊び相手になってあげてね」

ボク「何年生なの?」

こどもねえちゃん「中1」

ボク(けっこうお姉さんだな・・)

こどもねえちゃん「じゃあハツさんとも触れ合ったし、私はこれで帰るね」

ボク「うん、お休みなさい」

こどもねえちゃん「あ、そういえば、おじさんに言われてるかもしれないけど、川とか、人が入ってない森とかで遊んじゃダメよ」

ボク「え?そうなの??」

こどもねえちゃん「あー聞いてなかったかぁ・・えっとね、このあたりの川とか森には怖ーいお化けが住んでるのよ」

ボク「えーうっそだー!」

こどもねえちゃん「ホントだよ。ウソだと思ったらおじさんに聞いてみな。それじゃ私はこれで帰るよ。オヤスミー」

ボク「・・・」

初回はここまでにします
次回多分、一回目の分岐となります
ぼくなつは1と4しかやったことないのですが頑張ります

つづきです


ボク「おじちゃんおはよう」

おじちゃん「ああ、おはよう」

ボク「ねえ、聞きたいことあるんだけど」

おじちゃん「ん?なんだ?」

ボク「昨日来た子供みたいなお姉ちゃんが言ってたんだけど、このあたりって川とか森にお化けがいるから入っちゃダメってホント?」

おじちゃん「・・ああ。そうだ言うの忘れてたな。そうだよ。ダメだ。森とか川のとことかに立ち入り禁止の看板があったら絶対に入っちゃダメだからな」

ボク「・・・ふーん」




アマネ「ねえ、ボク!」

ボク「どうしたの?」

アマネ「遊び行こうよ」

ボク「いいよ。いっくんは?」

アマネ「アイツは今日は踊り習うって」

ボク「踊り?」

アマネ「日本舞踊。お母さんが先生やってるの」

ボク「へー」

アマネ「だから今日はボクと2人」

ボク「いいよ。どこ行くの?」

アマネ「ふふん!じゃあ私が案内してあげる」

ボク「うん」


アマネ「ここ入ってく」

ボク「あれ?・・・えっと森って入っちゃいけないんじゃなかったっけ?」

アマネ「え?・・・ああ。アレね。ここは大丈夫よ。歩いてけばわかるから着いて来なさい」

ボク「むう・・なんでアマネが年上みたいな感じなんだよー」

アマネ「私のが1か月年上だもーん」

ボク「今は一緒!」

アマネ「ふーん」


ざっざっざ・・・
ボク「あ!見て!キノコ生えてる!」

アマネ「え?だから何?」

ボク「え?珍しくない?」

アマネ「キノコなんてそこらじゅう生えてるでしょ?」

ボク「えーうちの近くでは見たことないよ」

アマネ「へー・・・そうなんだ」

ボク「・・アレ?分かれ道だ」

アマネ「この道を左に進んでずっと歩くと山一周してうちのブドウ畑の上に出るんだ」

ボク「そうなんだ」

アマネ「で、右が例の道」

ボク「例の道?」


アマネ「あれ?聞いたんじゃないの?立ち入り禁止の森の事」

ボク「ああ、この先がそうなんだ」

アマネ「そうそう。だから右に行こうか」
ざっざっ

ボク「ええ?行っちゃダメなんじゃないの?」

アマネ「えーボクもお父さんとかが言う、お化け出るってハナシ信じてるの?」

ボク「そ・・そういう訳じゃないよ」

アマネ「とりあえずさ、立ち入り禁止の立て看板のとこまで行こうよ。そこまでは道ちゃんとあるし」

ボク「う・・うん」

ざっざっざ・・


アマネ「ほら見て」

ボク「うわ・・えっと『危険!この先立ち入り禁止!』だって」

アマネ「鉄の柵の隙間から向こう覗けるよ」

ボク「え・・・」

アマネ「なあに怖いの?男のくせにだらしなーい!」

ボク「み・・見るよ!脅かしたりしないでよ!」

アマネ「ハイハイ」

がさ・・がさ・・


ボク「草が茂ってて・・よく分からないよ・・でもなんか道っぽいね」

アマネ「もっと先にさぁ、鳥居見えない?」

ボク「鳥居?・・・・あ・・ある」

アマネ「でしょ?」

ボク「・・うん」



アマネ「で、どう思う?」

ボク「何が?」

アマネ「だから、この柵の向こうには何があると思う?」

ボク「え?・・・鳥居だから神社とか?」

アマネ「うん。そう。だっておかしいじゃない。道があって鳥居があるのになんでわざわざ柵で閉じてあるのか」

ボク「・・・」

アマネ「これはさ、なにか重大な秘密があるんだと思うのよ」

ボク「秘密?」

アマネ「私の予想では、この先には何かしらの宝があると思うの」

ボク「ええ?!」


アマネ「だってわざわざ道を封鎖するなんておかしいでしょ?例えば・・・そうだなぁ誰かが神社の中にこっそりなにかを隠してるとか、もしかしたらマツタケの生える場所があるとかかもしれない」

ボク「そんなことあるかなぁ・・」

アマネ「だって気になるじゃん!」

ボク「うん、まあ確かに気になるね」

アマネ「この鉄の柵の隙間にさ、足かければ登れると思わない?」

ボク「ええ?!入るつもり?!!」

アマネ「入ってみない?」

ボク「せ・・せめてもっと大人数で行こうよ!いっくんとかうきす君とか誘って!」

アマネ「アイツらダメよ。弟はそういう事やる奴じゃないし、うきすはお父さんの言う事破るやつじゃないから」

ボク「うーん・・・あれ?うきす君のおじさんもこの森の事知ってるの?」

アマネ「ここ、このあたりじゃすごい有名だよ。大人はみんな、お化けが出るって言うけど、なんかみんなで何かを隠してる感じしない?」

ボク「どうなんだろう・・・ん?」


がさ・・・がさ・・・がさ

ボク・アマネ「!」


がさがさっ!

アマネ「きゃあああっ!!」がしっっ!
ボク「うわっ!!」

オッチャン「・・・あれ?美田さんところのアマネちゃん・・と誰?」

アマネ「な・・なんだオッチャンかぁ・・・はぁー・・」

オッチャン「驚かせて申し訳なかったです」

アマネ「コイツは私のいとこ。夏休みで遊びにきてるの!いま森の道を案内してたの!」

オッチャン「ああ、そうだったんですね。僕は大野優って言います。森南小学校5年生です。よろしくお願いします」

ボク「あ・・・えっと・・ボクです。よろしく」



オッチャン「・・・なるほど。僕もこの先に何があるのか気になってはいます。父に聞いてもあまり知らないみたいだし、小学校のクラスメイトやその親御さんもお化けが出るとしか教えてくれませんから」

ボク「えっと・・オッチャンさんはこの先に行ったことあるの?」

オッチャン「もちろんないです。気にはなっていますが、一応警察官の息子としてルールを破るわけにはいかないので」

ボク「?」

アマネ「オッチャンは駐在さんの子供なの」

ボク「そうなんだ」


アマネ「そういえば、今日は稽古じゃないの?弟、行ったよ」

オッチャン「僕は午後から行きます。なのでそろそろ帰ります。それじゃあ」

がさ・・がさ・・がさ・・


ボク「と・・とりあえず今日はやめようよ」

アマネ「そ・・そうね。帰って計画を練ろう」

ボク「えっと・・」

アマネ「ん?」

ボク「・・痛いからそろそろ離して」

アマネ「うわっゴメン!!」さっ


ボク「こっちの道はブドウ畑につながってるんでしょ?行きたいな」

アマネ「うん」


ボク「結構歩くね」

アマネ「そう?」

ボク「うん。都会じゃこんなに歩かないもん」

アマネ「軟弱だなぁ」

ボク「む・・でも!うちは海沿いだから夏は海行くし!」

アマネ「くっ・・確かにうちには海は無いけど時々プール行くもん!」

ボク・アマネ「むー!!」


アマネ「あ、ほらここ畑」

ボク「でもなんか袋だらけでブドウが無いね」

アマネ「ふっふっふ・・何も知らないんだね。この袋にはブドウが入ってるの!」

ボク「ええ?!そうなの?」

アマネ「そうだよ!なんで袋かけるかわかる?!」

ボク「え・・うーん・・・あ、雨に濡れないように!」

アマネ「それだけじゃないよ。虫とか・・・えーっと病気とかにならないようにするの!!」

ボク「むー・・(なんか偉そう)」

アマネ「あ、ちなみにコレ勝手にとって食べたらメチャクチャ怒られるからね」

ボク「・・・勝手にとって食べたことあるんだね」

アマネ「・・・」


ボク「もう夕方かー」

アマネ「私、先に帰ってる。先おふろ入りたいし」

ボク「うん、僕はもうちょっと散歩してる。今日一日ありがと」

アマネ「夕ご飯遅れないようにね」


ボク「さーてどこ行こうかなぁ・・・ん?」

がさがさがさ・・
少女「・・・」


ボク(あの人・・森に入っていったな)

ボク「・・・」

がさがさがさ・・・


ボク(あ・・追いついちゃった・・あれ?)

少女「・・・」ざっざっざ・・

ボク(・・右に曲がった)

ざっざっざ・・


少女「・・・」

ボク「・・・あの」

少女「!」

ボク「あ、驚かせてごめんなさい。えっと・・僕はボクって言います。お姉ちゃん誰?何してるの?」

少女「・・・ミキっていいます」

ボク「え?」

ミキおねえちゃん「名前」

ボク「あ、うん」

ミキおねえちゃん「鳥を・・見に来たの」

ボク「鳥?」

ミキおねえちゃん「・・・」


ピーピー・・リーリー

・・ポピィー・・・リーリー


ミキおねえちゃん「キレイな声」


ボク「・・・今の鳥の声なの?」

ミキおねえちゃん「オオルリという鳥」

ボク「そうなんだ」

ミキおねえちゃん「私、いつも都会にいるから・・・ここは自然が残っていてすごくたくさんの生き物がいる」

ボク「うん。僕も夏休みだから遊びに来てるの。いつもは都会にいるよ」

ミキおねえちゃん「・・・じゃあ一緒だね」

ボク「うん」

ミキおねえちゃん「・・・日が落ちてきたから帰らないと」

ボク「うん」

ミキおねえちゃん「内緒ね」

ボク「え?」

ミキおねえちゃん「あそこにオオルリの巣があること」

ボク「・・うん」

ミキおねえちゃん「じゃあ・・・また会えるといいね。バイバイ」

ボク「バイバイ」


ボク「ごちそうさまでした」


いっくん「ねえボク君」

ボク「どうしたの?」

いっくん「僕のお母さんね、踊りの先生なんだけど」

ボク「うん、知ってる」

いっくん「良かったらボク君も習わない?」

ボク「え?踊り?僕に出来るのかな?」

いっくん「大丈夫だよ。佐野さんの家のエリーとか駐在さんのところの子も来てるよ」

ボク「あ、えっと・・オッチャン!」

いっくん「あれ?知ってるの?」

ボク「うん、今日アマネと遊んでるとき会ったよ」

いっくん「そうなんだー」

アマネ「何の話してるの?」

いっくん「あ、お姉ちゃん」

ボク「いっくんに踊りに誘われた」

アマネ「えー」


アマネ「日本舞踊ってなんかズルズル引きずってじゃまだし、着物きてやるから暑いよ。それに男っぽくないし」

いっくん「もーお姉ちゃんは絶対反対するからこっそりボク君と話してたのにー」

ボク「アマネはやってないんでしょ?」

アマネ「やってないよあんなの」

ボク「ふーん」

アマネ「それよりも明日は、今日行ったところの秘密を解明しようよ!」

いっくん「え?秘密ってなに?」

アマネ「秘密は秘密!あんたは知らなくていい!」

いっくん「えー」

アマネ「ね、そうしようよ」

ボク「うーん・・どうしようかなぁ」

>>44


1.日本舞踊を見に行ってみる

2.明日も森に行く

1

こんばんは
少しだけ更新します


ボク「ごちそうさまー」

おばちゃん「お粗末さまー」

ボク「おばちゃん、今日踊り見に行ってもいい?」

おばちゃん「あら、いいけどどうしたの、急に」

いっくん「僕がさそったんだよー」

おばちゃん「まあそうなの。じゃあボク君にあうお稽古着探さなきゃね」

ボク「お稽古着?」

おばちゃん「着物を着るからね」

ボク「そうなんだ。僕着たことないや」

おばちゃん「じゃあお稽古10時半からだから、10時くらいにおばちゃんに声かけてね。それまでに探しておくわ」

ボク「ありがとう」


アマネ「・・・ごちそうさま。私、遊び行くから」

おばちゃん「行ってらっしゃい。今日も暑そうだから気を付けたね」

アマネ「・・・うん」
がたん   タッタッタ・・


ボク(アマネ、なんか機嫌悪いなぁ・・)


おばちゃん「うん・・これでいいかしら」

ボク「・・けっこう暑いね」

おばちゃん「お稽古部屋はクーラー入ってるから大丈夫よ」

ボク「よかった」

おばちゃん「じゃあ一、ボク君は初めてだから色々教えてあげてね」

いっくん「はーい」


・・・

生徒さん「あらあら今日は可愛い子が増えたんですねー」

おばちゃん「親戚の子なのよー」

生徒さん「ふふふ、よろしくね」

ボク「よろしくお願いします」


おばちゃん「扇子の持ち方はこう・・使わない方の手は親指をこうして・・・」

ボク「ふむふむ・・・」


おばちゃん「じゃあもうお昼だから今日はここまでにしましょうか」

生徒さんたち「お疲れ様でしたー」

おばちゃん「それじゃあお道具片付けるから一手伝って」

いっくん「はーい」

・・・


生徒さん「ねえボク君ってアマネちゃんのイトコなんだよね?」

ボク「うん、アマネの事知ってるの?」

生徒さん「昔はアマネちゃんも踊りに来てたんだけどねー」

ボク「え?」

生徒さん「もう3年くらい来ないから。もしよかったらまた来るように誘ってあげてよ」

ボク「うーん・・」


おばちゃん「ボクくーん!着替えるからおいでー!」

ボク「はーい!」


・・・


アマネ「ただいまーご飯はー?」

おばちゃん「できてるよ」

・・


アマネ「ひやむぎかー・・あ、ボクのところにピンクがある!いただき!」

ボク「あ、ボクんだぞ!」

おばちゃん「こーらケンカしないの!」

いっくん「・・もー、お姉ちゃんボクのミドリあげるから」

アマネ「い・・いらないわよ!」

おばちゃん「どっちが年上だか分かんないわねぇ」

アマネ「もう・・アンタのせいで怒られた」

いっくん「僕のせいじゃないよー」

アマネ「もう・・」もぐもぐ

アマネ「ごちそうさま!ボク、遊び行こう!!午後は踊らないでしょ?」

ボク「え?いいけど、ちょっと待ってよ」

アマネ「早く!」


ボク「どこ行くの?」

アマネ「決まってるじゃん!」

ボク「あの森?」

アマネ「そう!」

ボク「は・・入るのはまた今度にしようよ」

アマネ「入るんじゃないの!午前中すごいことに気付いたの!」

ボク「??」


がさっ
がさっ
がさっ


アマネ「覗いて見て」

ボク「?・・・・あれ?なんか草が少し減ってる?」

アマネ「でしょ?!誰か入ったんだと思うの!」

ボク「えー・・でも柵はそのままだよ?」

アマネ「そうだけど・・でも誰か入らなきゃあんな風に草倒れないよ」

ボク「うーん・・・動物とかってことは無い?」

アマネ「・・・そういえばこの辺りってクマとかイノシシがいるってお父さん言ってた」

ボク「・・・」
アマネ「・・・」


てくてく・・
アマネ「・・とりあえず他にあそこに入る仲間が必要だとおもうの」

ボク「でも、いっくんもうきす君もダメなんでしょ?」

アマネ「そうなるとあとはオッチャンかなぁ・・」

ボク「でもオッチャンはルールを破ることしたくないって言ってなかった?」

アマネ「うーん・・・でも一応、それとなく聞いてみよう」

ボク「・・・」

アマネ「じゃあオッチャンのとこ行くか」

ボク「オッチャンの家って警察のとこ?」

アマネ「そうだけど、たぶんアイツはお寺にいるから」

ボク「え?なんで?」

アマネ「住職のスギじいと将棋やってると思うから」

ボク「へー」



『○×寺』

アマネ「あれ?門が閉じてる」

ボク「居ないの?」

アマネ「・・たぶん」


アマネ「あーどうしよっかなー」

ボク「もう家帰る?」

アマネ「まだ夕方前だよ。もう少し遊ぼうよ」

ボク「でももうあんまり遠く行けないよ・・ん?」


キュイイイイイイインンンン・・・
ガリガリガリガリ・・・


ボク「ねえ・・この家変な音しない?」

アマネ「ああ、ここウテナちゃんの家だよ」

ボク「友達?」

アマネ「良く知らないおばちゃん」

ボク「??」

アマネ「ウテナちゃーん!」

ガリガリガ・・・・・・

ガチャ

ウテナさん「んー?誰?」


アマネ「ウテナちゃん」

ウテナさん「おお、アマネちゃん。どしたの?ボーイフレンド連れて」

アマネ「はぁ?!」
ボク「はぁ?!」

ウテナ「くっくっく」

アマネ「コイツは私のイトコ!夏休みで遊びに来てんの!」
ボク「そうですよ!」

ウテナ「ほうほう。そーですか。私はウテナって言うんだよ。君は?」

ボク「あ、ボクです」

ウテナ「ボク君か。よろしくね」

ボク「あの・・さっき何してたんですか?すごい音してたけど・・」

ウテナ「うーん・・まだナイショかな。とりあえず二人とも麦茶でも飲んでく?」

アマネ「おじゃましまーす」
ボク「お、おじゃまします」

ウテナ「はいはい、いらっしゃいませ」

ここまでにします

ナレダンカン再生余裕
ところどころ状況説明ナレーション入れるとよりそれっぽくなるよ

つづきです

>>56
あ、そうですね。ありがとうございます。
内容に反映していきます


ウテナさん「ふーん。ボク君は9月から外国行くんだ?」

ボク「うん」

アマネ「ねね!そんな事よりウテナちゃんは町の北にある森の事知らない?」

ウテナさん「北にある森?」

アマネ「鉄の柵で道が通れなくなってるの」

ウテナさん「うーん・・私最近来たばっかりだしよく知らないなぁ・・でも気になるからそのうち散歩で行ってみるよ」

アマネ「何か分かったら教えてね!」

ウテナさん「うんうん」


ボク「ねえ、ウテナさんって一人で住んでるの?」

ウテナさん「そうだよー。おばちゃんの家族はみんな東京にいるから今は一人暮らしなの。ヒマだからボク君も遊びに来てねー」

ボク「うん」


ウテナさん「さて、そろそろ遅いからもう帰った方がいいんじゃない?」

ボク「はーい」
アマネ「はーい」

ウテナ「じゃあ気を付けて帰ってねー」


ガチャ  バタン

・・・

ガリガリガリガリ・・・


ボク「アマネ・・あの音何なの?」

アマネ「知らないよ」

ボク「・・・」

アマネ「はーっ、お腹すいた。さっさと帰ろう」

ボク「うん」

アマネ「・・ねえ」

ボク「ん?」

アマネ「明日も踊り行くの?」

ボク「うん、行こうかな」

アマネ「・・ふーん」


・・・

ボク「おはよう、おばちゃん、おじちゃん」

おばちゃん「おはよう」
おじちゃん「うん」

いっくん「もうご飯だよ」

アマネ「ボク、起きるの遅いなぁ」

ボク「えー」

アマネ「お父さんは6時前に起きて仕事してるよ」

ボク「えっ?そうなの?!」

おじちゃん「ん・・まあそうだけど、ボク君が無理して起きることないぞ」

ボク「・・」

おばちゃん「さ、朝ご飯食べましょ」

いっくん「いただきまーす」

ボク「ねえ、おばちゃん」

おばちゃん「どうしたの?お漬物嫌いだった?」

ボク「そんなことないけど・・朝もご飯食べないんだね」

おばちゃん「ああ、確かに言われてみればこの辺はあんまりお米食べないかなぁ。どちらかというと小麦が多いかもね。うどんとか」

ボク「ふーん」

おばちゃん「あ、そういえば今日も踊り来る?」

ボク「うん」

おばちゃん「じゃあ昨日と同じ時間ね」

ボク「はーい」


おばちゃん「お疲れ様ー。じゃあボク君と一は先ご飯食べててね用意してあるから」

ボク「はーい」
いっくん「はーい」

・・・


いっくん「ボク君って踊り上手いね」

ボク「え?!全然できてないと思うんだけど・・」

いっくん「うん。でも僕が初めてやった時よりは上手だと思う」

ボク「そうかなぁ・・・そういえばアマネは先ご飯食べちゃったのかな?」

いっくん「うん、たぶん。もう1時過ぎだし」

ボク「そっかぁ」


ボク・いっくん「ごちそうさま」


いっくん「僕、宿題やる約束してるから、友達の家行ってくるね」

ボク「うん」


ボク(・・・アマネは森のとこにいるかな)


がさ・・がさ・・がさ・・

ボク「いないなぁ・・」

ボク(・・覗いてみよう)


ボク「うーん・・あんまり昨日と変わってないかな?」


ポピィー・・・ピィー・・

ボク「あ・・なんだっけこの鳥」

ミキ「オオルリ」

ボク「うっわあああああ!」

ミキ「・・ご・・ごめん」

ボク「ミキおねえちゃん」

ミキ「お・・おどろかせてゴメンね・・オオルリ、見に来たの?」

ボク「えっと・・うん」


ミキ「あ、見て」

ボク「え?・・・ちょうちょ?」

ミキ「アサギマダラ」

ボク「めずらしいチョウなの?」

ミキ「アサギマダラはね、旅をするチョウなの。夏が終わると居なくなっちゃうのよ」

ボク「そうなんだ」

ミキ「この辺りにはアザミがいっぱい生えてるでしょう」

ボク「アザミ?このギザギザした花?」

ミキ「うん。アサギマダラはアザミが好きなの」

ボク「・・ミキおねえちゃんって鳥だけじゃなくてチョウチョとか花も詳しいんだね」

ミキ「そっ・・そうかな?」


ミキ「さっき、この柵の隙間から向こう見てたよね」

ボク「あ・・うん」

ミキ「あのね・・・誰にも言わないんだったらこの先にあるきれいなお花見せてあげる」

ボク「・・・え?この先に行けるの?!」

ミキ「ナイショだよ?」

がさがさ・・

がちっ
ミキ「・・・こっち」

ボク(・・草むらに柵開ける取っ手が隠してあったんだ)


ざっ ざっ ざっ・・・

ボク「お、おねえちゃん。この神社って?」

ミキ「私もよく知らないの」

ボク「そうなんだ」


ボク「あ、川のとこに紫の花がある」

ミキ「うん。キキョウ。キレイでしょ?昔はいっぱいあったんだけど今は少なくなっちゃったの」

ボク「え?なんで?」

ミキ「人間が自然を壊したからだよ」

ボク「・・・」



ミキ「あ、この先は行っちゃダメだよ」

ボク「え?なんで?」

ミキ「行ってみれば分かるよ」

ボク「?」

ざっざっざ

ボク「あ」

ボク(・・・鍵のかかった鉄のドアで道がふさがれてる)

ミキ「・・行けないから」

ボク「うん」


ミキ「・・・静かに、見て」

ボク「え?・・・あのオレンジの鳥?」

ミキ「うん」


チッチッチ・・・ジョロロロロロロロ


ボク「・・・」

ミキ「・・・」


ボク「今の鳥はなんていうの?」

ミキ「コマドリ。すごくキレイな声でしょ」

ボク「うん」

ミキ「ここはね、人があまり入らないから珍しい生き物がいっぱいいるの」

ボク「・・・」


ミキ「じゃあ私はこれで帰るね・・・またここで君に会えるといいな」

ボク「え・・あ・・うん」

ミキ「?」

ボク「あの・・ミキおねえちゃんはなんでこの森の入り方知ってるの?」

ミキ「えっと・・・ヒミツ」

ボク「え?」

ミキ「ここの入り方も、私のこともヒミツ。お願い。約束して」

ボク「・・・うん」

ミキ「ありがとう。それじゃ私は帰るね。バイバイ、ボク君」

ボク「・・・バイバイ」


・・・

ボク「・・・」

ボク(そういえばこの道進んでいったらブドウ畑の上に出るんだったよね)

ざっざっざっ・・・


アマネ「あ」

ボク「あ」


アマネ「何してんの?」

ボク「あ・・あーえっと・・・森のとこ行ったんだけどやっぱり柵の向こう行けないからブドウ畑抜けて帰ろうかなーって」

アマネ「あ、そうなんだ」

ボク「う・・うん」

アマネ「私も先行ったんだけど、やっぱり仲間集めて柵乗り越えないと行けないと思うんだよね。お父さんが収穫の時使ってる梯子をこっそり持ってけば楽かなって思うんだけど・・」

ボク「い・・いいね。でも今日はやめようよ」

アマネ「うん、もう遅いからね」

ボク「アマネももう帰るでしょ?」

アマネ「あ、ちょっと着いてきてよ」

ボク「?」


ボク「結構登るんだね」

アマネ「この道はもう少しで舗装されるんだよ」

ボク「そうなんだ」

アマネ「こっち、見てあの木」

ボク「うわ、でっかい木!」

アマネ「すごい長生きしてる木なんだって」

ボク「シメナワがついてる」

アマネ「うん。ゴシンボクなんだって」

ボク「へー」

アマネ「でね、こっちの崖から街が見えるんだよ」

ボク「・・・うわ・・・すごい」

アマネ「ここ、盆地の端っこの一番上だから、盆地の中の街が一望できるの」

ボク「・・・」


アマネ「もう少し見てよう」

ボク「え?」

アマネ「日が沈むと街の明かりがキレイだから」

ボク「うん」


・・・

ボク「あ、空に星が見えるね。東京じゃこんなに星見えないなぁ」

アマネ「ふふん!ここは空気がキレイだからね」

ボク「・・」
アマネ「・・」


アマネ「あーあ・・なんとかうきすとかオッチャン説得してあの柵の先に進む方法考えなきゃなぁ・・・」

ボク「・・・・うん・・そうだね」




眼下に広がる街の明かりが、星のようにキラキラと瞬いていた。

アマネは僕に、自分の町の自慢の景色を見せてくれたのかもしれない。

だけど僕は、そんなアマネの顔を見ることができなかった。

ここまでにします

乙乙
ナレーションの一人称って私じゃなかったっけ?

>>75そうでしたうっかりしてました
脳内変換願います

続きは明日になりそうです

つづきです


ボク「おじちゃん?」

おじちゃん「お・・・早いな」

ボク「うん、早起きしたよ。お仕事手伝ってもいい?」

おじちゃん「うん、助かる。じゃあ軽トラ乗んな」

ボク「はーい」

・・・

おじちゃん「こっちの品種はもうそろそろ収穫だ。明後日あたり雨降りそうだから今日と明日で収穫しようと思ってたんだ」

ボク「そうなんだ」

おじちゃん「収穫は・・・難しいんだけどやってみるか?」

ボク「う・・うん!」

おじちゃん「よし、じゃあ教えるからこっち来な」

ボク「はい」

おじちゃん「まず、この袋をな・・・」


ボク「・・・出来た!」

おじちゃん「いや・・なかなか上手だな。失敗は最初の一個だけだったな」

ボク「ご・・ごめんなさい」

おじちゃん「いや、大丈夫だよ。俺だって失敗することもある。それに前、弥に手伝ってもらった時は半分くらいダメにしたしな・・一は結構上手いんだが・・」

ボク(アマネ意外と不器用なんだな)

おじちゃん「それに失敗した最初の一個は、食べていいぞ」

ボク「ホント?!」

おじちゃん「ああ、売り物にはならないけど味は一緒だからな。食べてみな」

ボク「いただきます!」

ボク「甘いっ!!」

おじちゃん「はっはっは」


おじちゃん「じゃあ朝飯食べに帰るか」

ボク「うん」

おじちゃん「ボク君上手だから、よかったら朝ご飯の後も手伝ってくれないか?」

ボク「うん、いいよ!」


いっくん「おはよー」

ボク「おはよ!」

いっくん「あれ?ボク君もう起きてたの?」

ボク「うん。おじちゃんのブドウの収穫を手伝ってた」

いっくん「へー」

おじちゃん「一、弥。今日はお前たちも手伝ってくれ」

いっくん「はーい」
アマネ「うん」

・・・


いっくん「ボク君上手だね」

ボク「そう?」

おじちゃん「二人がいると楽だな」

アマネ「どーせ私は収穫下手ですよ」

おじちゃん「あ、いやそういう意味じゃない」

アマネ「いいよ。私はカゴ運ぶから」


おじちゃん「いや、おかげで午前中に終わったよ。明日はあっちの畑やるんだけど、明日も手伝ってくれるか?」

いっくん「うん」
アマネ「うん」
ボク「はい」


ボク「ご、ごちそうさま!ボク遊びに行ってきます!!」
タッタッタ・・

アマネ「あ、ちょっと・・」


・・・


ボク「はぁ・・はぁ・・」

ボク(アマネと話づらい・・)

ボク「誰も来てないよな・・」

がさがさ・・


ボク「とりあえず鉄柵から覗いて見えないとこまで行こう・・」

ピィ  チッチッチッチ・・

ポピィー・・ピィー


ボク「・・この神社は何なんだろ?」


ボク「結構新しい神社だよなぁ・・なんか看板に書いてある」

ボク「えっと・・この村は、ナントカのナントカ・・ダメだ漢字難しくて読めない・・」


ちーちゃん「ねえ」

ボク「うわああああ!!」

ちーちゃん「君、この辺の子?」

ボク「へっ・・あの・・いや・・」

ちーちゃん「ここ入っちゃダメなんだよ?」

ボク「えっ・・・えっと・・君も入ってるじゃん」

ちーちゃん「だって私の昔の家がこの先にあるから」

ボク「え?」

ちーちゃん「私、知代。君は?」

ボク「ボク」

ちーちゃん「ふーん。君の事ボクちゃんって呼ぶね。私のことはちーちゃんって呼んで。みんなそう呼ぶから」

ボク「う・・うん」


ボク「ねえちーちゃん」

ちーちゃん「なに?」

ボク「ちーちゃんはなんでここにいるの?」

ちーちゃん「この先にね、私の秘密の遊び場があるの」

ボク「え?でもこの先って通せんぼされてない?」

ちーちゃん「入り方知ってるよ」

ボク「ホント?!」

ちーちゃん「うん、来る?」

ボク「行く!」

・・・


ちーちゃん「この南京錠ね、番号式だから****で開くよ」

ボク「え?」
かちゃかちゃ・・・がちゃん

ボク「開いた!なんで知ってるの?」

ちーちゃん「ここの番号知ってる人が開けるとこ見たの」

ボク「ふーん」


ざっざっざ・・

ちーちゃん「ほら見て」

ボク「・・・・家がたくさんあるね」

ちーちゃん「うん。ここは昔村があったの」

ボク「もう人は住んでないの?」

ちーちゃん「うん」

ボク「あっちの原っぱは何?」

ちーちゃん「昔は全部田んぼだったの」

ボク「・・・」

ちーちゃん「家の中にはね、いろんなものがあって面白いよ」

ボク「勝手に入って大丈夫?」

ちーちゃん「だってもう誰も居ないもん」

ボク「うん・・そっかなぁ」


ガチャッ

ボク「!」

ちーちゃん「しずかにっ・・さっき言った、ここに出入りしてる人が来たんだと思う。この家の押し入れの中に隠れよ。見つかったら怒られるよ」

ボク「う、うん」


がさっ

がさっ


ボク(・・・なにしてるんだろう)


がさっ・・・


ガチャッ


・・・・

ボク「・・・出て行ったかな?」

ちーちゃん「うん、たぶんね」

ボク「・・・僕ももう帰ろうかな」

ちーちゃん「そう?私まだここで遊んでるから、バイバイね」

ボク「う、うん」

ちーちゃん「またね」

ここまでにします

つづきです


いっくん「おはよー」

ボク「おはよう」

おじちゃん「おはよう。じゃあ行こうか」

ボク「アマネは?」

いっくん「まだ寝てるよー」

おじちゃん「なら弥はいいよ。三人で行こう」

ボク「はい」
いっくん「はーい」

・・・


ボク「ねえいっくん、アマネって昔は踊りやってたの?」

いっくん「うん。でも僕が始めてしばらくしたら来なくなっちゃたよ」

ボク「そうなんだ」

いっくん「僕はおもしろいって思うから、お姉ちゃんもまたやればいいのにって言うと不機嫌になるから言わないけど」

ボク「ふーん」


おじちゃん「じゃあ朝ご飯食べに帰るかー」

ボク・いっくん「はーい」

・・・


ボク「アマネおはよう」

アマネ「おはよ」

ボク「アマネ寝坊しただろー!」

アマネ「ふんっ!別に寝坊したわけじゃないけどね。ボクたちが出かけるとき、起きてたし」

ボク「え?じゃあなんで来なかったの?」

アマネ「だって収穫下手な私が行っても足手まといだしー」

ボク「そんな事無いと思うけど?」

アマネ「・・ま、別にいいでしょ。それより今日この後、うきすたちも手伝いに来るから、あの森に一緒に入るように誘おうよ!」

ボク「えー・・まあとりあえず頑張ってみる」


おばちゃん「朝ご飯出来たよー!」


おばちゃん「じゃあ私は出荷用の箱準備しとくから行ってらっしゃい」

みんな「いってきまーす」



うきす「おはよ!」
エリー「おはよー」
佐野おじさん「おはよう」


おじちゃん「すまねぇな」

佐野おじさん「いや、うちも手伝ってもらってるし」


・・・


うきす「ボク」

ボク「なに?」

うきす「終わったら特訓しようぜ」

ボク「走る特訓?」

うきす「そうそう!」

ボク「うーん・・」

うきす「いっくんもいるし」


ボク「え?いっくんも走る特訓するの?」

うきす「いや、アイツ2年生だけどすごい早いから」

ボク「そうなの?!」

うきす「うん、2年生では一番早いらしいし、もしかしたらアマネより早いかも」

ボク「ええー?!」

うきす「とにかく、早く終わらせて特訓だ!」

ボク「じゃあ、うきすくんも収穫手伝ってよー」

うきす「・・・オレ、はしご乗っても届かないから」

ボク「あ・・うん、ゴメン」



おじちゃん「みんなお疲れ。おかげで11時前に終わっちゃったな」

佐野おじさん「いやー・・ボク君上手なのは驚いたな」

おじちゃん「だろ?」


・・・

うきす「よし、じゃあ昼間で遊ぼうぜ!」

エリー「じゃあエリーもいっしょに遊ぶね」

アマネ「何するの?」

うきす「とっびこだ、とびっこ!」

アマネ「ふっ・・うきすは私には勝てない」

うきす「特訓すればいつか勝てる!いっくんもいっしょにやろうぜ!」

いっくん「え?僕も?」

うきす「いっくん学年で一番早いんだろ?」

いっくん「うーん・・」

アマネ「・・・私はめんどくさいから走んない。ここで見てる」


・・・

ボク「はあっ・・はあっ・・」

うきす「はあっ・・やっぱいっくんはえーな」

いっくん「・・・」

ボク「アマネより早いんじゃないの?」

いっくん「おねえちゃんのが早いよ」


アマネ「ねえ、特訓なんて終わりにしてさ、ちょっとみんなに話したいことあるんだけど」

うきす・エリー「?」
いっくん「なーに?」

ボク「・・・」

アマネ「みんなさぁ、“おばけ森”に何があるか気にならない?」

うきす「え?おばけ森ってあの鉄の柵の先だろ?」

アマネ「そうそう」

エリー「あの先は行っちゃダメだっておとうさんが言ってたよ・・・お化け出るから」

アマネ「お化けなんていないよ。たぶんだけどさ、きっとあの先には大人しか知らないヒミツが隠されてると思うのよ」

うきす「柵の隙間から鳥居見えるよな・・気にはなるけど・・」

いっくん「でも鉄柵超えていくのムリだとおもうよ」

アマネ「・・・収穫に使うはしご(脚立)使えばこえられると思わない?」

いっくん「・・・ばれたら怒られると思う」

アマネ「納屋に今使ってない梯子あるの知ってるでしょ」

いっくん「・・・知ってるけど」

うきす「オレ、一応父ちゃんに聞いてからにしようかな」

アマネ「バカ!そんなの反対されるにきまってるでしょ!それにおじさんからうちのお父さんに森に入るって事ばれちゃうから言うな!」

うきす「うーん・・」

エリー「おにいちゃん・・私お化け怖いよ」


アマネ「ボクはどう思う?あの中、入ってみたいでしょ?」

ボク「えっと・・・(ミキおねえちゃんとの約束があるしなんて言えばいいんだろう)」

アマネ「?」

ボク「・・・ど・・どっちでもいいかな」

アマネ「なんだー・・はっきりしないなぁ」

いっくん「・・じゃあさ、一回だけ入ってみようよ」

ボク「ええ?いっくん入りたいの?!」

いっくん「うーん・・おねえちゃんこうなると一人でも行っちゃうと思うから、それよりはみんなで入ったほうが安全かなって」

アマネ「よし!じゃあ今日の午後、お父さんが仕事出かけて、お母さんが踊り始まったら納屋からはしご出すよ!」

いっくん「うん、でも入るのはとりあえずこの一回だけにしようよ」

アマネ「なんで?!」

いっくん「何回も入ったらそのうちばれると思うし、それに明日からしばらく雨だから、どっちにしろ入れないよ」

アマネ「えー・・じゃあ今日のうちに徹底的に調べよう!」

いっくん「うん。でも夕方、お父さんが帰る前には帰らないと、納屋からはしご出したのばれちゃうよ」

アマネ「それもそうだね」


アマネ「という訳で、2時に家の前集合!」

うきす「おう」
エリー「エリーも行かなきゃダメ?」

アマネ「大丈夫だよ。お化けなんていないから。それに5人も居れば怖くないでしょ」

エリー「うん・・・おにいちゃんずっと手繋いでてね」

うきす「うん。迷子にならなければ大丈夫だよ」

ボク「・・・」

アマネ「ボクも、分かった?」

ボク「・・うん」


ザッザッザッザ・・・

アマネ「よし、はしごかけよう」

いっくん「あ、ちょうど届くね」

どさっ

うきす「帰りどうすんだ?」

アマネ「最後の人が持ち上げて、向こう側に置いておけばいいでしょ」

どさっ

うきす「ああ、そっか」

エリー「お兄ちゃん、飛び降りるの怖いよー」

うきす「じゃあオレがおんぶしててやるよ」

エリー「うん」

どさっ

アマネ「ボクが最後だから、はしご持ち上げてから飛び降りてよ」

ボク「・・・うん」

アマネ「何キョロキョロしてんの?」

ボク「あ・・いや、だれも来てないか確認」

アマネ「そっか」


どさっ


アマネ「よし、進もう!」

いっくん「・・やっぱり道になってるね。昔は道だったのかな?」

アマネ「私、毎日見てたんだけど、時々草が倒れてることあるんだよ。たぶん誰か入ってると思うんだよね」

うきす「だ・・誰かって?」
エリー「・・・お化け?」ぶるぶる

アマネ「お化けだったら足無いから草は倒れないでしょ」

エリー「そうかも」

うきす「じゃあ生きた人間が入ってるって事か」

アマネ「うん」


いっくん「あ、これ、そとから見えてた鳥居だね」

アマネ「やっぱり神社有った」

うきす「でも神社のわりの小さくねーか?」

いっくん「神社っていうかホコラだよね」

アマネ「なんか書いてあるよ」


アマネ「このナントカは、ナントカをナントカで・・・ダメだ読めない漢字がいっぱいある。石に彫ってるから字も読みづらいし・・」

いっくん「あ、でも最後に1975年って彫ってあるね」

アマネ「20年前だね」

うきす「オレたち生まれるまえだな・・父ちゃんに聞いたら分かるかな・・あ、20年前は父ちゃんここに居ないや」

アマネ「バカ!その前に大人に聞いたら入ったことばれるだろ!」

うきす「そ・・そうだった」

アマネ「何か隠されてるものとかないかな?」

ボク「中開けるのは良くないと思うよ」

アマネ「うーん・・さすがにそうだね。もっと大きい神社かと思ったけど」

いっくん「とりあえず先に進んでみる?」

アマネ「そうだね」


うきす「あれ?広場に出た。川が流れてるぞ」
エリー「お・・おにいちゃん、お化けいない?」

うきす「大丈夫だよ」

いっくん「あれ?これなんだ?」

アマネ「どれ?」

いっくん「川になんか魚とるワナみたいのがある」

アマネ「ホントだ・・・コレ、誰かが罠張ってるってこと?」

いっくん「だと思うけど・・」

ボク(おかしいな?ミキおねえちゃんはそんなことしないと思うけど・・・もしかしてちーちゃんかな?)

アマネ「とりあえず触るのよそう。私たちが入ったのばれちゃうし」

いっくん「それがいいね」

アマネ「もうちょっと先行ってみようか」

ボク「・・・」


アマネ「え?!」

うきす「どうした?!」

エリー「お化け?!」

アマネ「違うよ!また柵がある!」

いっくん「ホントだ・・鍵かかってるね」

アマネ「番号あわせるカギだ。適当にやって開かないかなぁ・・」
ガチャガチャ・・・

アマネ「うーん・・ダメだなぁ」

いっくん「でも確かに誰か入ってるね、ここ」

アマネ「でしょ?!この先に何があるか気になるなぁ」

うきす「・・・隙間から覗いても道が続いてるのしか見えねーよ」

ボク「・・・(そう言えばちーちゃんは、この先に入るのは秘密って言ってなかったな・・)」

アマネ「あー・・・まさかさらに中に柵があるなんて!」

ボク(でも、これ以上ここに居たら運悪くミキおねえちゃんが来るかもしれない・・)

ボク「残念だけど、今日はもう帰ろうよ」

アマネ「えー!」

いっくん「そーだね。誰か入ってるってのは分かったけど、特に何もなかったし」

アマネ「うーん・・」

うきす「もう、けっこう時間経ってるしな」
エリー「・・・早くお家帰りたい・・」


ボク(・・・誰が入ってるんだろう・・ミキおねえちゃんは入ってないって言ってた気がするし・・・そうだ・・!)

・・かちゃり

ボク「・・・じゃあ帰ろうか」

アマネ「しょうがないなぁ・・」

ざっざっざ・・


ボク「ね、エリー」

エリー「なぁに?」

ボク「あのさぁ・・いっくんってエリーと同級生なんだよね?」

エリー「そうだよ」

ボク「・・いっくんてもしかしてすごく頭いい?それにいつもあんなに落ち着いてるの?」

エリー「うん・・・いっくんはクラスで一番頭もいいし、足も速いから人気者だよ。でもいっつもぼーっとしてあんまり驚いたりしないの」

ボク「ふーん・・そうなんだ」

・・・

アマネ「じゃあ、今度は最初にボクが行って、人来ないか見張ってて」

ボク「うん、いいよ」


ガシャン

ぎし ぎし・・

ボク「よいしょ・・・・あっ!」

ミキおねえちゃん「・・・・え?」

ボク「・・・」

ミキおねえちゃん「・・・」


アマネ「どうしたの?誰かいるの?」

ミキおねえちゃん「・・・!」
タッタッタッタ・・・

ボク「あ・・・」


アマネ「どうしたの?!」

ボク(・・・・おねえちゃんに見つかった・・・)

ボク「・・・なんでもない」

どさっ

アマネ「?」


・・・

アマネ「とりあえず今日は終わり!明日は雨みたいだし、家で集まって宿題やりながら今後どうするか考えようよ」

いっくん「いいよー」

うきす「じゃあ朝ご飯食べたら行っていいか?」

いっくん「あ、午前中は踊りだと思うから午後がいい」

うきす「じゃあ昼ごはん食べたら行くな」

エリー「エリーも行くね!いっくん分からないとこ教えて!」

いっくん「いいよー」

ボク「・・・」

アマネ「ボク、さっきからどうしたの?」

ボク「いや・・別に何でもない」

アマネ「・・そう?」


ポツッ・・・

ポツッ・・・

うきす「あ、もう降り出した!オレたち帰るね。じゃあまた明日!」
エリー「バイバーイ!」


ここまでにします

つづきです


ザアアアアアアア・・・


おじちゃん「いやー・・収穫、早くに終わってよかった」

おばちゃん「ほんとねー」

ボク「・・・」

おばちゃん「どうしたの?ボク君」

ボク「あ・・いや・・えっと、何でもないです」

おばちゃん「?」


プップー


おじちゃん「ん?のりちゃんか?」

おばちゃん「こんな時間に来るのはあの子だけでしょ」

おじちゃん「じゃあ、門開けてくる」


アマネ「あ、あの人来たの?」

いっくん「そうみたいだよ」


こどもねえちゃん「こんにちはー」

いっくん「こんばんはー」

こどもねえちゃん「あ、そうか。こんばんはかぁ」

アマネ「こんばんは」
ボク「こんばんは」

こどもねえちゃん「今日は妹連れてきたんだよーおいで」

ミキ「・・・こんばんは。姉がお世話になってます・・・あ」

ボク「・・・あっ」

アマネ・いっくん「?」


***


ミキ「・・・私、ワンちゃんと遊んでます」
ガラガラ


こどもねえちゃん「あの子人見知りする子だから、ごめんねー」

アマネ「のりこちゃん、あの人、のりこちゃんよりも大人っぽいね」
いっくん「くすくす」

こどもねえちゃん「なんですとー?!」

おばちゃん「こーら!失礼なこと言わないの!」


こどもねえちゃん「ボクくんだっけ。キミもハツさんと仲良くなった?」

ボク「え・・えっと、はい」

こどもねえちゃん「うんうん、それは良かった」

ボク「えっと・・僕、さっきの人にごあいさつしてきます」

こどもねえちゃん「美樹と?あの子あんまり喋らない子だから、反応無くても気にしないでいいからねー」

ボク「あ、ハイ」

ガラガラ・・・


ミキ「・・・」
なでなで
二代目ハツ「・・・」

ボク「・・・おねえちゃん」

ミキ「・・・」

ボク「その・・ごめんなさい」

ミキ「・・謝るってことは、やっぱり約束破って友達にあの場所教えたの?」

ボク「ち、違うよ!」

ミキ「・・」

ボク「実は・・・」


ミキ「・・・本当?」

ボク「本当です!」

ミキ「・・信じられない」

ボク「・・・」


こどもねえちゃん「これっ!」

ミキ「ねえさんっ!?」

こどもねえちゃん「さっきから聞いてたけどさ、たぶんこの子ホントの事言ってると思うよ」

ミキ「・・・そんなの、分かんないじゃない」

こどもねえちゃん「ねえ、ボクくん。キミさ、南京錠の番号当てちゃったでしょ?」

ボク「え?」
ミキ「えっ?!」

ミキ「ボク君・・あの先に入ったの?」

ボク「あ・・えっと・・はい」

こどもねえちゃん「やっぱり君かー・・・いや、あの先に誰か入った形跡あったからね。でも何人も入った感じなかったし、今日はたまたまみんなが着いて来ちゃったってとこだよね?」

ボク「・・そうです」

こどもねえちゃん「ホラ、鉄柵のとこの入り方も知ってるのにわざわざ脚立使ってるのはおかしいって言ったでしょ?」

ミキ「・・・」


こどもねえちゃん「という訳で、ボクくんは美樹との約束を破ろうと思って破ったわけじゃないって事。だから美樹ちゃん、許してあげなね?」

ミキ「・・・わかった。でも、あそこの植物や昆虫や鳥たちを傷つけるようなことはしないで」

ボク「はい」

こどもねえちゃん「はい、仲直りの握手!」

ミキ「・・・うん」
ぎゅっ
ボク「!」
ぎゅっ

こどもねえちゃん「それにしても、美樹が言ってた友達ってのが、キミだったとは驚いたなぁ」

ミキ「えっと・・・おじさんのお子さんたちにご挨拶してきます」
タッタッタ・・


こどもねえちゃん「・・・ねえボクくん」

ボク「はい?」

こどもねえちゃん「美樹ちゃんが入ってるとこは安全だから別に入ってもいいけどさ、南京錠の先はまだはっきりしてないから入っちゃわれると困るんだよね」

ボク「え?どういうこと?」

こどもねえちゃん「あー・・・えっとお化けが出るからさぁ」

ボク「嘘だー!」

こどもねえちゃん「とにかくさ、南京錠は別のにするよ。悪いけど」

ボク「・・・」

こどもねえちゃん「弥ちゃんとかお友達には、私があの先に入ってること内緒だよ。色々と面倒だから」

ボク「??」


ザアアアアアアアアアア・・・・

アマネ「おーい、ネボスケ」

ボク「・・・ん」

アマネ「もう朝だぞ」

ボク「・・・あ・・ゴメン、今起きる」

アマネ「もうご飯出来てるぞ」

ボク「うん」


・・・


ボク「いただきます」


おじちゃん「今日出荷だから、俺たち一日家開けるぞ」
おばちゃん「この天気だから、外遊び行かないでしょ?今日はちゃんと宿題やりなさいねー」

アマネ「げ」
ボク「はい」

いっくん「今日は踊りは?」

おばちゃん「ゴメンね。今日はお休み」

いっくん「はーい」


アマネ「そういや午後からうきすたち来るんだよね」

いっくん「うん」

アマネ「じゃあ午前中はゴロゴロしてようかな・・」

いっくん「そう?僕は特にやることないし、しゅくだいやるよ」

いっくん「~♪」
かりかりかり・・

アマネ「しゃあないから私も宿題やるか・・・ボクもやるでしょ?」

ボク「うん」


アマネ「・・・うーん・・・」

ボク「・・・」
ちらっ

ボク(アマネって算数苦手なんだなぁ)

いっくん「・・・うーん・・僕大体終わったから二階で本読んでるねー」
タッタッタッタ・・

ボク「・・・」
かりかりかり

アマネ「・・・」

ボク「・・・いっくんって頭いいんだね。もう終わったのかな」

アマネ「・・アイツはコツコツやるタイプだから、夏休み始まってから友達とかと少しずつやってたみたいだから」

ボク「いっくんマジメだなぁ」

アマネ「・・・」


アマネ「あーあ!もうやめっ!」

ボク「終わったの?」

アマネ「終わってないよ」

ボク「あーサボる気だな!」

アマネ「そーじゃないよ!だってどうせ午後うきす達来て、またやるんでしょ?だから午前はお終い!」

ボク「うーん・・まあ確かにそうだね」

アマネ「ねえボク、ちょっと宿題見せてよ」

ボク「えー」

アマネ「写すんじゃないよ。学校ちがうんだから写せないし」

ボク「あ、確かにそうだ」

アマネ「他の学校どんな宿題出てんのか見たいの」

ボク「じゃあアマネも見せてよ」

アマネ「えー」

ボク「交換!」

アマネ「しょうがないなぁ」

・・・


ボク「あれ・・?」
アマネ「・・・これって」

ボク「この算数のドリル同じやつだね」

アマネ「うん」

ボク「・・・」
アマネ「・・・」


アマネ「・・・協力しない?」

ボク「・・・じゃあボク後ろからやる」

アマネ「私は前からやる」

ボク「あ・・・でもアマネ算数苦手だろー」

アマネ「げっ・・なんでそれ知ってる」

ボク「さっきすごい苦戦してたじゃん」

アマネ「・・見てたな」


アマネ「なによー!バカで悪かったなー!」

ボク「そこまでは言ってないよ」

アマネ「お前は読書感想文は終わったのかよー」

ボク「うえ・・僕読書感想文、苦手」

アマネ「ふふん!私はもう終わってるよ!」

ボク「アマネって国語得意なの?」

アマネ「まあね!」

ボク「ふーん・・でも読書感想文は写せないからなぁ・・」

アマネ「・・・でもさ」

ボク「?」

アマネ「一は国語も算数も得意なんだよね」

ボク「へー・・やっぱりいっくんて頭いいんだなー」

アマネ「・・・」

ボク「ねーそろそろお昼だけどご飯どうするの?」

アマネ「あ、冷蔵庫に入ってると思う」


・・・

うきす・エリー「こんにちはー」

ぱたぱたぱた
いっくん「こんにちはーあがってー」

エリー「おじゃまします!」

うきす「いっくん、おじさんたちは?」

いっくん「今日は一日お仕事だってー」

うきす「ふーん」


・・・


うきす「あー疲れた!オレもうやめる!」

エリー「私もやめる!いっくんいろいろ教えてくれてありがと!」

いっくん「うん」


アマネ「ねえみんな、おばけ森のことだけど」

うきす「ん?」

アマネ「やっぱりさ、もう一回入ってみるべきだと思うんだけど」

エリー「・・・エリー怖い」

アマネ「大丈夫だよ!お化けなんていなかったでしょ」

うきす「でもさ!確かに奥の行き止まりの先に何があるか気になるよな!」

アマネ「でしょ?!次入る時は、はしごかけてあそこも入ろうよ!」


いっくん「でもさ、おねえちゃん。鍵かけて入れないようにしてるってことは何か危険があるんじゃないのかな?崖になってるとか」

アマネ「気を付けて進んで、崖になってたら引き返せばいいでしょ」

いっくん「うーん・・・」


ボク(そう言えばあの先は村のあとだから別に危険じゃないのに・・・なんでこどもねえちゃんは入っちゃダメって言ってたんだろ・・)

アマネ「ね!ボクはどう思う?」

ボク「ええっ!!?・・えっと・・いっくんの言う通りキケンかもしれないし・・子供だけではいるのはやめた方がいいんじゃないのかな?」

アマネ「もう!いくじなしだな!」

うきす「なあ・・今気づいたんだけど、地図で見たらあの先に何があるか分かるんじゃないのか?」

アマネ「え?」

うきす「崖とかになってるんだったら地図にのってるんじゃないのか?」

アマネ「あ、確かに!でも地図なんてあったかなぁ・・」

エリー「学校の図書室で見たことあるよ!」

いっくん「あーそう言えばあったかも」

アマネ「良し!じゃあ明日は学校に忍び込んで地図を見よう!」

ここまでにします

だいぶ開きましたがつづきです


***

うきす「ダメだ。やっぱり正面は開いてない」

アマネ「えー・・どっか窓開いてないかなぁ」

いっくん「理科準備室の窓、壊れてた気がする」

アマネ「行ってみようか」

・・・

アマネ「開いてる!」

うきす「よし入ろうぜ」

エリー「お兄ちゃん・・ここガイコツいるからこわい・・」

うきす「大丈夫だよ・・たぶん」

アマネ「早く行くよ」


オッチャン「あれ?」

ボク「あ」


いっくん「調べ物がしたくて図書室に行きたいんだけど鍵閉まってたから」

オッチャン「そうですか・・休みの間は入るのあんまり良くないと思いますけど」

ボク「あ・・あー・・えっと、自由研究のテーマ探してて、なかなか見つからなかったから、図書室行きたいんだけどダメかな?」

オッチャン「うーん・・まあしょうがないですね。実は僕もちょっと読みたい本がありまして」

アマネ「え?オッチャンも行くの?」

オッチャン「いいですか?」

アマネ「あー、うん」


***


アマネ「あった?」

いっくん「ないなぁ・・」

ボク「古い地図がのってる本だよね?」

オッチャン「ん?みなさんは古い地図をさがしてるんですか?」


アマネ「あっ・・えーっと、うん」

オッチャン「この本には昔の地図は載ってないですが、空から撮った写真が載ってますよ」

うきす「“空から見る僕らのまち”?」

オッチャン「はい。最近出版された本ですよ」

アマネ「見てみようよ!」

・・・


エリー「あ!ここ私のおうちの桃畑だね!」

アマネ「ということは、うちのブドウ畑がここだから・・・えっと・・あれ?」

いっくん「崖ではないね」

うきす「これって、家だよな?」

アマネ「だと思う・・この奥は畑かな?長方形の緑色が何個も並んでる」

ボク「・・・」

オッチャン「?」


オッチャン「もしかして、あの立ち入り禁止の先ですか?」

アマネ「あ、えっと・・うん。だってオッチャンだって気になるでしょ?」

オッチャン「はい・・・家があったんですね」

アマネ「ねえオッチャン、オッチャンもいっしょに探検しよう」

オッチャン「・・・立ち入り禁止にしてるのはそれなりに理由があるんじゃないでしょうか?」

アマネ「それを確かめるために入るの!」

オッチャン「しかし・・・」

アマネ「ボク!ボクもオッチャン一緒の方がいいと思うよね?!」

ボク「えっと・・・うん、でもオッチャンが言うように危険があるならやめた方がいいとは思う(あの先には入るなってこどもねえちゃんも言ってたし・・)」

アマネ「・・弱虫め」

オッチャン「分かりました・・杉浦さんに聞いてみましょう」

アマネ「えっ・・スギじい?絶対反対するよ!」

オッチャン「ええ。だから、入りたいから、ではなく、危険かだけを聞くんです」

ボク「スギじいってだれ?」

アマネ「この前入口まで行った寺の住職さん」

いっくん「うん、住職さんいろいろ知ってるもんね」


オッチャン「じゃあこの後、僕が聞いて来ます」

うきす「オレ、スギじい苦手だなーすぐ怒るし」

オッチャン「僕だけで行きます。将棋しながらいっつも話しているし、みんなで言ったら不審に思われますよ」

アマネ「じゃあオッチャンよろしくね」

オッチャン「はい」

アマネ「でも、オッチャンが一緒に冒険してくれるとは思わなかった。大人たちはダメって言ってるし」

オッチャン「ダメなものはダメですけど、理由がないダメには納得できません。それに気になってるのは事実ですし」

いっくん「オッチャンさんらしいね」

***


オッチャン「じゃあ僕はこれで。結果は明日報告しますので」

アマネ「うん」
うきす「じゃあ明日!」
エリー・いっくん「バイバイ」

ボク「あ・・あのオッチャンさん」

オッチャン「はい?」


ボク「僕もお寺行きたいなー」

アマネ「えー?スギじいうるさいからやめた方がいいよ」

ボク「うん、でもこの前は入れなかったし、お寺の中見てみたい」

オッチャン「一人ぐらいいっしょに来ても、大丈夫だと思いますよ」

ボク「じゃあよろしくお願いします!」

オッチャン「はい」

アマネ「私は先帰ってるからね」


***


オッチャン「杉浦住職こんにちは」

スギじい「駐在のボウズか。今日も一局・・・ん?横のちっこいのは誰じゃ?」

ボク「あ、ボク、えっと上でブドウ作ってる家の親せきのボクです。夏休みで遊びに来てます!」

スギじい「ん?美田のボウズの家の子か?」

ボク「あ、そうです!」


・・・

スギじい「なるほどな。あの先に何があるのか聞きに来たんか」

オッチャン「いえ、自由研究で町の事調べようと思って航空写真みたら、あの先に家が写ってたので」

スギじい「フン・・全く市教委も余計な本出しおって」

ボク「・・・」

オッチャン「町の大人たちは、あの鉄柵の向こうにはお化けが出るなどと言って立ち入りを禁止してますが、実際は何か理由があって立ち入り禁止なのか気になってるんです」

スギじい「美田のボウズ・・それはお前が言ったのか?」

ボク「え?えっと・・僕はよく分からないけど、家があるのになんで立ち入り禁止なのかなって思っただけで・・」

スギじい「・・・あの先にはな、昔は村があったんじゃ」

オッチャン「村?」

スギじい「ああ。まあ色々あって廃村になった。だけど建物はそのまま残っててな。崩れたりすると危険だから立ち入り禁止にしたんじゃよ。だから入ったりするんじゃないぞ」

オッチャン「そういう事だったんですか」

スギじい「ああ、それだけじゃ」

ボク(こどもねえちゃんが入るなって言った理由もそれかなぁ・・でもなんでこどもねえちゃんはこの町の人じゃないのに入ってるんだろ?)


スギじい「おい美田のボウズ」

ボク「え?」

スギじい「美田んとこのガキとかに余計な事言うんじゃないぞ」

ボク「え?え?」

スギじい「あの悪ガキはこういう事言われると逆に入りたがるかもしれんからな」

ボク「あー・・・ハハハ。そうですね」

スギじい「事故があってからじゃ遅いからな。それに・・・あの村はもう無くなることに決まった村じゃ。今更余計な事蒸し返してもしょうがないからな」

ボク「?」
オッチャン「?」


***


ボク「・・・やっぱり家があったんだね」

オッチャン「・・・ええ」

ボク「?」

オッチャン「杉浦さんが最後に言ってたこと気になりますね」

ボク「え?最後?えっと・・・村がなくなることに決まったとかいう話?」

オッチャン「ええ・・なんというか引っかかります」

ボク「・・オッチャンさんって警察って言うより探偵さんみたいだね」

オッチャン「・・・実は刑事コロンボが好きです」

ボク「?刑事じゃないの?よく知らないけど?」

オッチャン「・・・探偵的な要素があるんです。知らないならいいです」

ボク「?」


オッチャン「じゃあ明日皆さん集まるでしょうから、今日の事上手くぼかして説明して、もうあそこ入らないように言いましょう」

ボク「・・・えっと・・オッチャンさん」

オッチャン「?」

ボク「みんなには、スギじいが何も教えてくれなかったって言うだけにしませんか?」

オッチャン「それはどういう事です・・・まさかボク君は何か知っていることがあるんですか?」

ボク「えっと・・まだ言えないですけどもうちょっと待ってほしいです」

オッチャン「・・・ふふふ」

ボク「え?」

オッチャン「なんだかワクワクしてきました!いいですねミステリー小説みたいですね!」

ボク「??」

オッチャン「分かりました。明日みんなには、“古い建物があって崩れると危険だから入るな”以上のことは言わないことにします。でも、何か分かったら教えてくださいよ!」

ボク「あ・・はい(オッチャンさんってこういう人だったんだなぁ)」

オッチャン「では、明日!」


てくてく・・
ボク(家が壊れる危険があるって言ってる割には、前入った時は家のなかきれいに掃除されてたんだよなぁ・・)

がさがさ
ボク(それになんでこどもねえちゃんが、この先入ってるのか分からないし・・)

ボク「・・」

ボク(今日はミキおねえちゃんはいないか)

がさがさ

がさがさ


ボク「・・・やっぱり鍵変わってる・・番号分かんないしなぁ・・」

ちーちゃん「わあっ!」

ボク「うわああっ!!」

ちーちゃん「あははっびっくりした?」

ボク「ち、ちーちゃん?!」

ちーちゃん「ふふ、また会ったね」

ボク「ちーちゃんどこに居たの?」

ちーちゃん「ボクが来るの見えたからこっそり後つけたの」

ボク「もー・・びっくりした」


ちーちゃん「ね、この先入りに来たの?」

ボク「うん・・・でも鍵変わっちゃったから・・」

ちーちゃん「ふふふふ・・私、番号知ってるよ」

ボク「えーなんで?!」

ちーちゃん「ここにいっつも入りに来るお姉さんが、鍵を付け替えるとこ見てたから」

ボク「ええ?もしかしてこどもねえちゃんのこと知ってるの?」

ちーちゃん「こどもねえちゃん?よく分かんないけど知らないよ。草むらからこっそり見てたから」

ボク「ふーん」

ちーちゃん「ね、入りたい?」

ボク「うん」

ちーちゃん「いーよ、教えたげる」

がちゃがちゃ・・・かちゃり

ちーちゃん「行こっ!」

ボク「うん」

ここまでにします

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