【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開10回目】 (1000)

このスレは安価で結城友奈は勇者である。を遊ぶゲーム形式なスレです


目的

【誰もが望む、未来を目指す】

安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2


能力
HP MP SP 防御 素早 射撃 格闘 回避 命中 
この9個の能力でステータスを設定

HP:体力。0になると死亡。1/10以下で瀕死状態になり、全ステータスが1/3減少
MP:満開するために必要なポイント。HP以外のステータスが倍になる
防御:防御力。攻撃を受けた際の被ダメージ計算に用いる
素早:素早さ。行動優先順位に用いる
射撃:射撃技量。射撃技のダメージ底上げ
格闘:格闘技量。格闘技のダメージ底上げ
回避:回避力。回避力計算に用いる
命中:命中率。技の命中精度に用いる


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%



wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新

前スレ

【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開0回目】
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【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開1回目】
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【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開2回目】
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【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開8回目】
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【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開9回目】
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1435238838



邪魔な胸が重力に引かれて、友奈とぶつかる

……関係ない

そう切り離して、そっと唇を重ね合わせる

友奈「っ…………」

閉じたままの友奈の瞼が震え

少しこわばっているせいか、唇はちょっとだけ硬さを感じる

可愛い

天乃「んっ」

友奈「ぁ」

天乃「っ」

なにが可愛いのか

自分の方がよほど可愛いと言うのに

天乃「っは……はぁ……」

友奈「はぁっ……はぁ……っ」


友奈「っ」

天乃「はぁっ……っ」

吐息は熱っぽく、荒い

たった数分にも満たない短いキスでも

鍛えた体でも

体の上気は止められない

天乃「友奈……」

友奈「天乃先輩……」

名前を呼び合って

もう一度唇を重ね合わせ、絡ませ合って

少しだけ離れて、思う

友奈「久遠先輩は……綺麗です」

汗に濡れた額にくっつく桃色の髪

上気した頬、艶やかな唇、零れる吐息の熱っぽさ

以前見たえっちな画像の女の人よりも、天乃先輩はずっと艶めかしい


手を握り合って

熱っぽい吐息と瞳を交錯し合いながら

友奈と天乃はもう一度

もう二度、もう三度

何度も何度も繰り返す

乾いていた唇が潤って、キスをするたびに小さな音が跳ねる

友奈「んっ」

天乃「っ………」

最後にしようと言ったキス

その終わり

離れるのを嫌がるように、絆の糸が唇同士を繋げる

天乃「ふふっ……だめ、なんだかもう。好き」

友奈「私もです」

そう言って笑った少女たちは唇を重ね合う

キスの心地よさを知った

けれどそれ以上に

互いの温もりとやさしさ

そう……生きていると言うのを実感できるから

天乃も友奈も互いに、キスという行為を日課のように……していった


√ 8月8目 昼

結城友奈との交流が可能です

1、お墓参り
2、イネス
3、映画
4、海
5、帰る
6、ぼーっとする
7、ねぇ友奈……えっち、してみる?
8、イベント判定

↓2


ではここまでとさせて頂きます
明日はまた22時予定出来たら今日と同じです 



神樹「えっちな子は勇者じゃない。遊び人だ」


では、薦めていこうかと思います


天乃「ねぇ友奈……えっち、してみる?」

友奈「えっ?」

天乃「……だから」

そこで切った天乃先輩は

私の両頬を手で覆いながら

キスをするかのように顔を近づけて……耳元で囁く

天乃「えっち、してみる?」

えっ?

頭の中で驚く

声が出ない

目が回っているように視界が悪い

これが本当に混乱しているということなんだろうと、思って数秒

燃えるように顔が熱くなってハッとする

友奈「し、しません!」


天乃「あら……私とはしたくないの?」

友奈「そ、そういうのは……そのっ……」

したいのか

したくないのか

考えるまでもない

前調べたあのエッチしている女性は

キスしている時よりも恍惚としていて、幸せそうな顔をしていた

だから、興味がある。だから、してみたい

けど

友奈「全部……終わってからで」

天乃「………………」

友奈「……ダメですか?」


今全ての幸福を得てしまうと

なんだか、色々な意味で躊躇できなくなってしまいそうな気がする

だから、なんとなくという感覚ではあるけれど

友奈はいまするのだけは嫌だった

天乃「終わってからの、ご褒美?」

友奈「はい」

天乃「……そう」

友奈の瞳は戸惑いと躊躇いにぐちゃぐちゃだ

したい気持ちもある

でもしたくない気持ちもある

でも、そう

以前は絶対にしないと言っていたのに

今度は条件付きのOKという返し

それは天乃の手の平の上にいると言う事だと、友奈は気づかない



1、キスをする
2、解ったわ
3、お預けなんて……私、貴女にとっては犬なの?
4、条件にできる事柄が後に控えてれば、そう言うだろうと思ってたわ


↓2


天乃「なら……」

これだけは。と

言葉を直接体の中へと吹き込む

友奈「んぅ………」

拒否は出来ない

拒絶はさせない

自分よりもわずかに大きい

けれど愛らしい体を抱きしめながら

強く、優しく、重く、軽く、唇を重ね合わせる

天乃「ん………」

えっちな事なんてしなくても

キスだけで、救われる

けれど……してみたい

天乃「解った。全部終わったら……ね? 約束よ?」

友奈「……はいっ」


天乃先輩との約束

絶対に破るべきではない約束

ちょっと恥ずかしいけれど

でも、初めてというものを捧げる相手は最愛の相手が良いと、聞いたから

だから、これでいいんだと思う

まだまだ早いかもしれない

でも、それは普通ならであって、普通じゃない私達にとっては早くはない

友奈「天乃先輩」

天乃「うん?」

友奈「破ったら、嫌ですよ」

天乃「もちろんよ。楽しみだわ」

友奈「っ」

えっちな事を知らない天乃先輩の純真な子供みたいな笑顔は

えっちな事を知っている私の心を激しく震わせた

やっぱり……天乃先輩はずるい人だ


√ 8月8目 夕

結城友奈との交流が可能です

1、お墓参り
2、海
3、帰る
4、ぼーっとする
5、イベントの判定
6、兄のPCを覗く

↓2


√ 8月8日目 夕

01~10 えー、久遠婦妻はいつになったら帰ってくるの? 帰ってこないの? フォーエバーなの?
11~20 いい加減にしなさいよ……あんたら
21~30 久遠天乃について
31~40 大赦
41~50 春信さん
51~60 久遠先輩、今夜も戻られないのですか?
61~70 久遠先輩、お願いがあるんですけど……
71~80 えー、久遠婦妻はいつになったら帰ってくるの? 帰ってこないの? フォーエバーなの?
81~90 大赦
91~00 久遠天乃について

↓1のコンマ  


では、ここまでとさせて頂きます



久遠天乃について……結城友奈の著


VFBの内容は反映されません

では、再開いたします


友奈「………………」

天乃先輩のお兄ちゃんの部屋

そこから出てきた一冊のノート

表には久遠天乃について。と

マジックペンで小さめに書かれていた

友奈「天乃先輩、このノートなんですけど」

天乃「ん?」

友奈「天乃先輩について書かれてるんじゃないかなって」

天乃「……………」

題名通りなら確かにそうかもしれない

見るべきか見ないべきか

悩んだ末に、1ページ目を開く


天乃10歳

身長 119cm バスト69cm

一緒にお風呂に入っていると

周りのみんなに胸が大きいと言われるようになった。と相談してきた

小学生の中では大きいんじゃないか? と、運動会を見ての感想を伝えると

そうなのかなぁ……と、良く解っていない様子だった

春信にはそろそろ一緒に入るの止めないと後が怖いぞと忠告されたが、そんなことは知った事じゃない

今が良ければそれでいい


友奈「……いつまで一緒に入ってたんですか?」

天乃「11歳」

友奈「……………………」

天乃「それが普通、それが当たり前だって言われてたから……」

修学旅行でつい、うっかりと友達に一緒に入っていることを言わなかったら

きっと、中学生になっても続けていただろう

そう考えると……思わず体が震えた


天乃11歳

ぶん殴られた。天乃に

楽しい楽しい修学旅行から帰ってきたのに不機嫌だなと思ったら

おお兄ちゃんとお風呂は異常だとついに知ってしまったらしい

久遠家の常識だと教えてきたんだが

それでもやっぱりおかしいとか、変だとか言われたらしい

……なんて友達だ


天乃「凄く恥ずかしい思いしたわ」

友奈「で、ですよね……」

天乃「バストサイズとかも図って貰ってたのよ……もう、本気で殴ったわ」

10歳の所や

それ以前の年齢の下にもバストサイズやら身長やらが書いてあるが

それは全て、天乃が兄に図って貰ったものに他ならない

天乃「碌な事書いてなさそうね……見るの止めましょう」

そう言ってノートを閉じようとすると

友奈が手を挟んで、懇願するような表情を浮かべた

友奈「あ、あと少しだけ……だめですか?」



1、ダメよ
2、勝手にしなさい(友奈だけが見る)
3、見たって面白くはないけれど……仕方ないわね


↓2


天乃「見たって面白くはないけれど……仕方ないわね」

少し悪態をつきながらも

天乃先輩はちょっとだけ懐かしんでいるような

寂しそうな表情で笑った



天乃12歳

下着の枚数が減ってる。お兄ちゃん返して。と

迷いなく断定して来ることが増えてきた

洗濯物を畳んだ際に、偶然巻き込んで畳んでいるだけだって言うのに、酷い話だ


天乃が勇者になるかもしれない年齢だったが

春信から別の三人が勇者として選ばれた。と、連絡が来た

最悪だ……その中の一人は天乃と大親友どころの話じゃない


友奈「これって」

天乃「先代……園子達の事。でも、この大親友は園子とは別の子よ」

友奈「他にいたんですか?」

天乃「ええ、三ノ輪銀って……私の親戚がね」


天乃13歳

あの子を失ってから1年近くが経過した

あの人たちはまだ、天乃が勇者になることを望んでいる

久遠家の決まりごとは呪いだ

そしてそれは、天乃に背負わされることになった

どうして天乃でなければいけないのか

そう聞いた時、あの人たちは言った

それが久遠家に生まれ、天乃の名を貰った者の定めである。と

あの人たちは言った

それは願い、それは祈り、それは希望であると


けど、俺は思ったそれはただの【強欲】だ。と


友奈「強欲……?」

天乃「……………」

友奈が小さく呟いた言葉を頭の中で繰り返しながら

その前の文章を読み返す

定め、呪い、希望、祈り、願い

呪いはまじないとも読む

だから、祈りや願いと同等のものだと考えることも出来なくはないし

希望と同じように考えるのも……出来なくはない

では、強欲とは何か

その希望達が指し示す、久遠家の定め?

天乃「どういうことよ……」

自分の名前が神様の名前を借りたものだと言う事は聞いた

けれど、それだけではないような気がして

そして、その答えが次のページにあるような気がして……躊躇う

見ない方が良いような気がするのだ



1、見る
2、見ない


↓2


真実を恐れて震えそうな手を……友奈が掴む

友奈「私も一緒です」

天乃「友奈……」

友奈「私も一緒に、真実を背負う……だから、見ましょう」

力強さのある友奈の瞳を見つめ、

小さな笑みを浮かべて天乃はページをめくる

どんな真実であっても

友奈となら受け入れられる

友奈となら乗り越えられる

そんな気がした


久遠天乃について

天乃とは、神様のアメノを奪い去った名前

久遠とは、過去や未来あるいは永遠

つまり、久遠天乃とは人が永遠に神と等しいあるいはそれ以上だ。と、誇示しようとしている名だと、聞いた

だからこそ、それは呪いで、希望で、祈りで、願い

しかも神世紀の人々のものではなく、それ以前の旧世紀

バーテックスが侵攻を始めるきっかけとなった人々のものだと、聞いた

過去の負、過去の罪

それを、天乃は背負わされている……ということだ

もしかしたら、銀が死に、園子達があんなことになったのは

天乃に世界に対しての憎しみを抱かせて

世界を滅ぼすか、世界が学習することを信じ、延命させるかを決めさせるためなのかもしれない


……必要だ

天乃を正しく導いてくれる友人が

勇者候補の犬吠埼家の長女が作った勇者部

彼女達ならきっと……きっと、天乃のことを助けてくれるはずだ


では、ここまでとさせて頂きます


なぜ、兄が勇者部を天乃に嗾けたのか
物語の始まりについてになってしまいました


では、少しずつ進めていきたいかと思います

9日目終了出来たらいいかなと、思います


友奈「勇者部……」

間違えようがない

だって、犬吠埼家の長女。と、書かれているから

この彼女達とは、私達の事だ

友奈「天乃先輩」

名前を呼んで手を伸ばして……息を呑む

唐突に不安になった

一緒に背負うと言っておきながら、怖くてたまらなかった

私に、世界の命運を決める器があるのか。と

でも

天乃「……まぁ、死神の時点で。ね」

天乃先輩は笑みを浮かべていた

無理してない

騙してもいない

解りきっていたと言うような笑顔

天乃「私は……決めてるわよ。どっちにするかなんて」

不安だった心が

怯えていた体が……ふと、空気にとけたように軽くなった


天乃「滅ぼしたら、私が好きな物を見ることが出来なくなっちゃうもの」

友奈「じゃあ――」

天乃「でも、滅ぼせばみんな死ぬし、そうすれば冥府で会える……?」

友奈「あ、天乃先輩!?」

天乃「ふふっ、冗談よ」

天乃先輩は神様の名前を奪った存在

それは人の願いで、祈りで、希望で

罪でもあって、呪いでもあって、負でもあって

でも、何がどうあったって

天乃「勝たなきゃ、エッチなことしてくれないんだものね」

友奈「っ!」

天乃先輩は天乃先輩だ

先輩で、年上なのに

小さくて、大きくて、優しくて、温かくて、悪戯好きで

可愛かったり、綺麗だったり、格好良かったりする

友奈「あ、あんまり言わないで下さい」

私の大好きな――人だ


√ 8月8目 夜

結城友奈との交流が可能です

1、帰る
2、海へ
3、三ノ輪銀について話す
4、友奈を抱きしめる
5、ねぇ、もう一晩。泊まって行かない?
6、帰る(結城家)
7、イベント待機
8、ほら、夜だよ夜。いっそもう、朝から朝まで頑張っちゃおうよ


↓2


友奈「い、良いのかな……」

天乃「良いじゃない。ちゃんと帰ってきたんだから」

友奈「でも……」

天乃が楽しげな一方で

友奈は少し不安げに頭を悩ませる

端末には勇者部のほかのメンバーから

いつになれば帰ってくるのか。という問い合わせのメールが数件入ってきているのだ

なのに


  【結城】


見慣れた我が家と表札を見つめて

友奈は天乃へと目を移す

天乃「友奈の家、久しぶりだわ」

楽しそうだった

幸せそうだった

神様だ、勇者だ。なんて無関係なただの女の子のようだった

友奈「一緒に怒られるしか、無いですね」

だから友奈はダメとは言えずに

天乃を家へと招き入れた


以前、家に泊まりに来たこと

お役目と言う名の勇者部強制シェアハウスで中々会えなかった事があったからか

友奈の両親は何も言わず、何も聞かずに2人を受け入れた

天乃「……美味しい」

自分の母親ではない

自分の父親でもない

けれど、親が作ってくれる料理というものが懐かしくて、愛おしくて

天乃は泣きそうになって、首を振る

友奈「天乃先輩?」

天乃「美味しいです」

風が作る料理もおいしい

でも、やっぱり母親の味と言うのは格別だと……思った

友奈「………………」

笑顔の中の寂しさ

両親には気づけなくても

友奈にははっきりと……解った




1、お風呂で
2、友奈の部屋で
3、イベント判定

↓2


01~10 天乃先輩……私
11~20 天乃先輩、私に武術を教えてください
21~30 天乃先輩、三ノ輪さんってどんな人ですか?
31~40 天乃先輩、先代勇者ってどんな人たちなんですか?
41~50 えっちな事は、しないけれど
51~60 先手必勝、マウントポジションは私がもらいます!
61~70 天乃先輩、三ノ輪さんってどんな人ですか?
71~80 天乃先輩、先代勇者ってどんな人たちなんですか?
81~90 天乃先輩……私
91~00 天乃先輩、私に武術を教えてください

↓1のコンマ  


私は武術を少しだけ、嗜んでいたりします

だから、初めてのバーテックスの戦いにも一応はしっかりと対処できたし

戦い方だって

夏凜ちゃんや風先輩みたいに剣ではなく

樹ちゃんや東郷さんみたいな遠くの敵を攻撃できるような武器もない

友奈「けれど……それだけじゃダメな気がするんです」

天乃「ダメって、なにが?」

友奈「風先輩が言ってたんです。ラスボスを倒せるのは、2人のこの手が真っ赤に燃える時だって」

天乃「……はぁ?」

ぎゅっと手を握りしめて

きらきらとした目で見つめてくる友奈に対して

天乃は思わず、ため息をつく

友奈「つまり、その……」

天乃「なぁに?」

友奈「2人で一緒に……バーテックスにも神樹様にも伝えられる技が、欲しいんです」


互いの持ちうる技法は別物

合わせようと思えば合わせることもできる

けれど、本当に完璧な合わせ技をしたいのなら

どちらも同じ技法が望ましい

だから、友奈は武術を教えて欲しいと、言ったのだ

天乃「……んー、まぁ、別に良いけど」

友奈「やったーっ」

天乃「手が真っ赤に燃えたりはしないわよ?」

友奈「それは別に……」

風先輩の言った冗談だし

そのあとに続いた言葉が、重要だから

恥ずかしくて……言えないけど

友奈「天乃先輩との共同作業……なんて」

天乃「………まったく、貴女って子は」

恥ずかしがりながら見せた友奈の笑顔は

とても、愛らしくて

天乃は困ったように笑って、友奈をベッドに押し倒す

天乃「レクチャーの報酬は、高いわよ?」

友奈「意地悪です……天乃先輩は」

そう言って、友奈は降りてくる唇を受け入れて目を閉じる

キスに始まり、終わる

誰かはそれを不純だと言うだろう

けれど友奈にとっても天乃にとっても

それはまったくもって悪くない一日だった

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流有(キス、えっちなこと、天乃について、結城家、武術)
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流無()
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流無()
・     神樹:交流無()


8月の8日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 41(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 39(少し高い)
  結城友奈との絆 100(コンプリート)
  東郷三森との絆 41(少し高い)
  三好夏凜との絆 73(かなり高い)
伊集院沙織との絆 63(かなり高い)

  乃木園子との絆 17(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
      死神との絆 36(少し高い)
      神樹との絆 01(低い)

大赦による久遠天乃警戒レベル:65%
神樹による久遠天乃警戒レベル:20%
神樹に関する調査報告:だんだんと弱くなってきています




√ 8月9日目 朝

01~10 天乃ーッ!
11~20 
21~30 外泊2日はお母さん認めてないわよー?
31~40 
41~50 結城友奈は誘者である
51~60 
61~70 久遠先輩、友奈ちゃんを何日も連れ回すのは止めてください
71~80 
81~90 久遠先輩……
91~00 

↓1のコンマ  


外泊2日はお母さん認めてないわよー?

と、風に怒られた

怒られたと言っても

ちょっと注意するような感じの、優しい言い方で

最後には「楽しかった?」と、聞いてきた

風だけじゃない

夏凜も、樹も、東郷も

誰も私のしたいことを阻害しようとはしない

もちろん、一人で突っ走ったり、自己犠牲は別だけれど

天乃「……それって、私が老い先短いからこその特権?」

風「なんて質問投げてくるのかしらね……この子は」

母親のような言いぐさの同級生は

困ったような顔をして、髪を掻く

風「天乃がここに来るまでに経験した苦労を考えたらさ。なんか、何でも許してあげたくなっちゃうのよ」


天乃「同情?」

風「……かも、しれない。あたしにとっての樹のような支えを天乃から奪うのは、あたしには出来っこないし」

天乃「そっか」

風と僅かに似た家庭状況

違うのは、両親の生死、兄姉妹弟の生死

そして、それを招いたのが自分か否か

あぁ、違う。ほとんど全部違っていた

風「で、どうだった?」

天乃「そうね……柔らかかった」

そう言いながら

そうっと唇に触れて、天乃はにやりと笑う

風「や、柔らかかったって……なにが?」

天乃「さて、なにがかしらね」


風「あ、天乃……あんたまさか友奈と一日中……」

天乃「ふふっ」

風「認めるべきじゃなかった……今更だけど」

友奈と天乃がある程度強い関係を結んでいるのは周知の事実

付き合う以前から肉体関係がどうとか言っていたのだから

付き合いだしたらそれはもう、罪悪感などない心地良い……のかはともかく

そんなキスを出来るようになると言うのは解っていた

けれど、友奈だ

あの純粋無垢で穢れない友奈が、そんな一日中キスなんてするだろうか?

否、断じて否だ

風「あんまり無理に付き合わせると、流石に断られるわよ?」



1、風に悪戯する
2、別に無理矢理はしてないわよ
3、貴女も樹としてるんでしょ?
4、……付き合わされるのは私なのだけど
5、それで相談なのだけど。こんど友奈とエッチな事するから、エッチについて教えて

↓2


天乃「……だったら」

声は低めに

視線を下げて、足取りはおぼつかない感じを装って

一歩前へと踏み出す

風「あ、天乃……?」

天乃「だったら……」

もう一歩、もう二歩、もう三歩

ゆらりとした動きで風へと近づいて

風「っ!」

トンっと

風の体が壁にぶつかった瞬間を見計らって、一気に距離を縮める

天乃「だったら貴女が……私の渇きを、潤してくれる?」

下げていた視線は上目使いに切り替えて

一気にではなく、躊躇いを感じさせるように、

ゆっくりと、顔ではなく唇を近づけていく

天乃「ねぇ……風」

名前を呼ぶのと同時に、耳元へと息を吹きかけた


風「あ、天乃……?」

息を吹きかけられた瞬間

仕方がないのかもしれないけど、ゾクゾクした

そのせいで目が見開かれて

あたしの目は、目の前の切なそうな瞳にくぎ付けになった


やばい、普通に――綺麗だ


息を呑もうとして、ごくっと喉が鳴る

可愛いのではなく

色気を感じさせる綺麗さ

していいのかと、目が唇へと動く

そして――

風「あ、ああ天乃にはゆ、友奈がいるでしょ!」

そう怒鳴って、天乃の胸を押す

凄い、弾力だった


風「はぁっはぁっ……はぁっ……」

運動をしたわけでもないのに、心臓が凄い速さで高鳴って

荒くなった呼吸を整えるために、深く息を吐いて、吸う

天乃「っ……もう、なにするのよ」

風「あ、あたしは友奈の代わりにはならないっ」

天乃「あぁ、それは……ただの冗談よ。というか、貴女にキスなんてしたら、私が友奈に怒られるから」

抱き付いたりなんだりは良いけれど

キスは友奈にだけしかしないと言う約束がある

天乃「だから――」

風「あ~ま~の~ッ!」

天乃「っ」

風「人をからかうのもいい加減にしろーッ!」

悪戯を仕掛けた天乃は

風にこっぴどく叱られた……当然の報いである


√ 8月9目 昼

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、出かける(一人で 場所は後ほど)

↓2


一旦中断します
19:30には再開する予定です


天乃「ねぇ、東郷」

東郷「何でしょうか?」

天乃「そこの柱にヒモが括り付けてあるのはなんで?」

東郷「おいたをした子を張り付ける為です」

にっこりと笑った東郷は

キィィ……と、車椅子を軋ませながら

ゆっくりと天乃へと近づく

天乃「おいたをしたのって……誰?」

東郷「そうですね……人を誑かすのがとても上手で、悪戯好きで、樹ちゃんと同じくらいの身長の先輩でしょうか」

天乃「か、限りなく私に近いような気がするんだけど、私は誑かすのとか得意じゃないから違うわね」

言いつつ後退った私の手を何かが掴んで強く引く

東郷「どこに行かれるおつもりですか?」

天乃「えっ?」

東郷「久遠先輩、逃がしませんよ」

東郷はにこっと笑って

手元にあった紐を……握りしめた


東郷「友奈ちゃんと何をしていたんですか?」

天乃「言わなきゃダメなの?」

東郷「一日だけならいざ知らず、二日も外泊するなんて……」

東郷は心なしか不安そうな表情で

ちょっと申し訳ないことをしちゃったかな……と、思った

東郷「久遠先輩だって、供物の件があるんですよ?」

天乃「……今すぐ死ぬってほどでもないわよ」

東郷「それでも、一分一秒、一時間、一日が着実に過ぎ去っていることに変わりはありません」

東郷なりに、不安なんだろう

心配なんだろう

友奈の事だけでなく、私の事も……



1、悪かったわね
2、あら、ヤキモチ?
3、友奈とはキスしてただけよ
4、大丈夫よ。過ぎることが事実でも、まだあることも事実なんだから


↓2


天乃「大丈夫よ」

東郷の透けるような白い頬に優しく触れながら

静かに、宥めるような声で言い聞かせる

天乃「過ぎることが事実でも、まだあることも事実なんだから」

東郷「終わりまではまだある。ということですね」

天乃「ええ」

終わりばかりを考えて

悲観的になっているのは良いことじゃない

言い換えれば、前向き思考とか、ポジティブとか、そう言う事

でもだからって、一瞬一瞬を無駄にしたりするつもりはない

天乃「もうすぐ来るであろう戦いの為に、英気を養ったのよ」

東郷「っ……あ、あまり、羽目を外しすぎないように、してください」

ぺろりと唇を舐めたのを見て

東郷は英気を養う行動がどういうものかを悟ったらしい

少し頬を紅潮させながら、そう言い放った


√ 8月9目 夕

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、死神
6、イベントの判定
7、出かける(一人で 場所は後ほど)

↓2


樹「お姉ちゃんや東郷先輩に、怒られませんでしたか?」

天乃「まぁね」

樹「みんな、久遠先輩の事も、友奈さんの事も好きなんです」

天乃「…………………」

樹「だから、会えないと寂しいなって思いますし、連絡がないと何かあったのかなって不安になるんです」

樹ははにかみながらも

どこかに不安や寂しさを交えた表情で、天乃を見つめる

もっともな話だ

そこに

東郷が言ったような寿命が残り少ないと言う不安要素があれば、尚更

樹「友奈さんと2人きりになるのも良いと思いますが、連絡したり、夜には帰ってきてくれると、嬉しいです」

天乃「……そうね、心配かけちゃったわね。樹」

樹「はい」

天乃「だから今度からは友奈とキスしてる時にテレビ電話するわ」

樹「それはしないで下さいっ!」


天乃「ふふっ、冗談よ」

樹「冗談じゃないと困ります……」

相変わらず

夏凜と同じように、樹を弄るのが楽しくて仕方がない

もっとも

樹の場合はやりすぎると怖いお姉さんが出てきてしまうから

マイルドな冗談で済ませてる

押し倒したりなんだりなんて、出来たものじゃない

樹「でも、意外でした」

天乃「うん?」

樹「久遠先輩は夏凜さんか、伊集院先輩じゃないかなって、思ってたので」

天乃「……なんで女の子限定なのよ」

樹「男の子は久遠先輩は近寄りがたいオーラがあるって、中々言いだせない感じだったからです」


天乃「なんでそんなことわかるのよ」

樹「勇者部では、恋愛相談も受け付けているんです。それで、色々と」

そう、色々あった

相談されて

それならタロットで占ってみようって話になって

捲ってみれば審判の逆位置とか、悪魔の正位置とか

本当に……酷い有様で

天乃「そっか」

樹「でも、みんな諦めたわけじゃなかったみたいです……けど、友奈さんとの恋人説が浮上したので」

天乃「ので?」

樹「最近、女子生徒からの恋愛相談が増えました」

天乃「なにか、おかしくない?」


樹「久遠先輩と友奈さんのようなことがほかにもありますから、おかしくはないと思いますよ」

天乃「でも、ほら。私が友奈と付き合ってるって話が出たんでしょう?」

樹「久遠先輩は優しいから二股してくれそう。って話を聞きました」

天乃「しないわよ」

私云々と言うよりも

逆に友奈が身を引いてしまいそうな危険がある

それは私的にも避けたいことだし

天乃「まったく……意味の解らない噂なんて、なんで立つのかしらね」

樹「なんででしょうか……」

それは

僅かでも希望を持ちたい、可能性が欲しい。という

人間の欲から……かもしれない



1、ねぇ、樹には好きな人いるの?
2、噂の出どころとか、解らないの?
3、ねぇ、貴女の歌を、聞かせて?
4、ねぇ、そろそろ一人で起きられるようになった?


↓2


天乃「ねぇ、貴女の歌を聞かせて」

樹「そ、そんな急に……」

天乃「お願い」

樹「ぅ……そ、それなら。えっと、少し、待ってください」

この部屋には音響機材なんかなくて

別の部屋に行かないと、いけないかなって思った

でも

久遠先輩はアカペラじゃないと嫌だって、言う

天乃「でないと、私の好きな貴女の本当の声が、聞こえないじゃない」

樹「……………」

男子生徒も、女子生徒も

誰もが引かれる久遠先輩

東郷さんが言っていた【誑かす才能】それもあると思うけど

やっぱり私は……久遠先輩の笑顔が素敵だからなんじゃないかな。と、思った


樹はオーディションを受けて

その発表を待っている最中

でも、歌を聞けば聞くほど

発表を聞くまでもなく、合格できたんじゃないかなって、思う

天乃「ありがとう」

一人だけの拍手をしながら

照れくさそうな樹に、感謝を述べる

天乃「いつか、会場を埋め尽くすファンの前で、歌を歌うことが出来ると良いわね」

樹「その時は、久遠先輩の為に、特等席を予約しておきます」

天乃「あらっ……私と友奈の分で2枚にしておいてくれる?」

樹「お姉ちゃんや夏凜さん。東郷さんの分も。ですねっ」

解ってる

5枚のチケット、5つの座席

その1枚は、その1席は

誰も受け取ることはなく、誰も座ることが出来ないのだと

それでも

樹「ずっと、ファンでいてくださいね。久遠先輩っ」

そう言わずには――いられなかった


√ 8月9目 夜

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定

↓2



1、ベランダ
2、寝室


↓2


夏凜「友奈と寝なくて良いわけ?」

天乃「昨日一昨日って、好きなだけ寝させてもらったし」

夏凜「あっそ……」

そう言いながら

夏凜は私と同じ布団から出ようともせずに

もぞもぞと体を動かして

私の方へと顔を向けた

夏凜「幸せそうね、あんた」

天乃「……まぁね」

夏凜「その返しにも……無理してる感じがしない」

本当に、幸せそうで何より。と

夏凜は2度目は口にせず

笑みを浮かべて天乃の髪に触れる

夏凜「良かった……ほんとに」


友奈が恋人として支えてくれているのだから

心配はしていなかった

いや、そもそも

誰かを自分の大切な存在として、

その誰かとより親密な関係になった時点で……少し、安心していた

天乃「……なによ」

夏凜「色々あったから、あんたが自己犠牲に走るんじゃないかって、正直、凄く怖かったのよ」

天乃「………………」

夏凜「100%解るなんて言えないけど、あの賑やかさを知ってるから、それが無くなったらどうかって言うのは、解るし」

家族同然だと言ってくれた

とても明るかった

とても温かかった

とても優しかった

そんな家族が……崩壊したのだ

夏凜「あんたの気持ちも少し解ってた。だからこそ、空っぽすぎて、逆に何でもできると言うのが恐ろしかった」


夏凜「でも、もうその心配は必要ない」

天乃「……ええ」

夏凜「友奈を悲しませるなんて、出来ないだろうし」

確信を得ていると言うような、表情で

夏凜は私に向けて、そう言い放つ

見透かしたようなこと言ってくれちゃって……

まぁ、事実だから反論のしようがないんだけれど

夏凜「大きな戦いとやら……絶対、生き残るわよ」

天乃「ええ、もちろん」



1、じゃなきゃ、友奈がエッチしてくれないもの
2、貴女も、満開はしたりしないでね?
3、言うからには、貴女もちゃんと生き残るのよ?



↓2


天乃「貴女も、満開はしたりしないでね?」

私のその一言に

夏凜は少し驚いた表情を浮かべながらも

鼻で笑ったような音を零して……にやりと笑う

夏凜「当たり前でしょ? それが、私達の目指す未来、なんだから」

天乃「……達?」

夏凜「そう。誰も犠牲にならずに戦いを終えて、日常を取り返すのよ。私達のね」

それこそが、天乃

あんたの守りたいものなんでしょ?と

言う代わりに、体を少しだけ寄せて

天乃「ちょっ、暑……」

夏凜「そこに、あんたもいる事。それが、幸せの条件よ。天乃」

それだけはしっかりと言っておく

天乃「……解ってるわよ」

夏凜「ならよし、寝るわよ」

天乃「寝るって……そんなくっつかれたら――」

暑くて、寝るのには少し時間がかかってしまった


1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流有(許可してない、悪戯)
・  犬吠埼樹:交流有(歌を聞かせて)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流有(大丈夫)
・  三好夏凜:交流有(満開、しないでね、一緒の布団で)
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流無()
・     神樹:交流無()


8月の9日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 44(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 40(少し高い)
  結城友奈との絆 100(コンプリート)
  東郷三森との絆 43(少し高い)
  三好夏凜との絆 76(かなり高い)
伊集院沙織との絆 63(かなり高い)

  乃木園子との絆 17(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
      死神との絆 36(少し高い)
      神樹との絆 01(低い)

大赦による久遠天乃警戒レベル:65%
神樹による久遠天乃警戒レベル:20%
神樹に関する調査報告:だんだんと弱くなってきています


では、ここまでとさせて頂きます



天乃「この戦いが終わったら、私。友奈とエッチするんだ」


少ししたら再開しようかと思います


√ 8月10目 朝

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、出かける(一人で 場所は後ほど)

↓2


天乃「かーりーんーちゃーん」

夏凜「気色悪い呼び方すんじゃないわよ」

天乃「だって、ずっと見てたでしょ? 私達の事」

新しい日課として始めた

友奈との武術稽古

それを庭でやっている間

ずっと、2階のベランダから視線を感じたのだ

夏凜「……何やってるのかと、思っただけ」

天乃「一目見れば解るんじゃない?」

夏凜「そりゃぁ、解らないことはないけど。別に、見ちゃ駄目だなんて決まりはないでしょ」

天乃「そうなんだけどね」


天乃「…………………」

その視線からは

何をしているんだろう? という疑問も

凄いなぁ。という驚きも、羨望も感動も感じなかった

本人ではないから

断定することは出来ないけれど

羨ましいなぁというような……

友達の輪を見つめる独りぼっちの子供の視線みたいなのを、感じた

夏凜「で? 態々それを言う為だけに、ベランダにまで出てきたわけ?」



1、お出かけしない?
2、あれはね? 友奈とラブ100%だってことを、バーテックスに叩き込むための特訓なのよ
3、別に? ただ、貴女がここにいると思ったから、来ただけよ
4、なんとなくわかるの……もうすぐ、戦いが始まるんだなぁって



↓2


1、銀のお墓
2、久遠家
3、海
4、映画館
5、イネス
6、遊園地


↓2(>>165の安価をとった人も取ることが可能な安価です)


天乃「ねぇ、夏凜」

夏凜「ん?」

天乃「銀のお墓参りに……行かない?」

銀、三ノ輪銀

その名前を聞いた瞬間

夏凜は「行くわ」と、即答する

行かないはずがない

大切なパートナーの眠る場所

言うべきことが、たくさんあるから

夏凜「すぐ支度するから」

天乃「ええ、私もシャワーを浴びたいし、そうね。パパッと済ませて30分後くらいに出発するわ」

夏凜「了解」

天乃が部屋からも出ていったのを見送ってから

深く息を吐いて、空を見上げる

夏凜「今行くから……待ってなさいよ。銀」


夏凜「……銀」

向こうは名前を知らなければ、顔も、声も何も知らない

でも、私は顔も名前も知っている

たった11年の人生が

どんなものだったのかも、知っている

夏凜「あんたは頑張った。本当に、頑張ってくれたわ」

友人を守る為

家族を守る為

世界を守る為

犠牲になったことが喜ばしいことだとは

口が裂けても言えないけれど

夏凜「あんたのおかげで、今がある」

それが真実で、現実で

だから

夏凜「あとは私に任せなさい……ううん、私達に、任せなさい」

勝手に相棒だと定めた先代勇者の墓前で

三好夏凜ははっきりと宣言する

夏凜「世界も、何もかも。私達が守って見せる」

三ノ輪銀はそこにはいない

だから、届いたのかどうかなんて確かめようはない

けれど、夏凜には……なんとなく、しっかりと届いているような気がした


では、少し早いですがここまでとさせて頂きます

明日、明後日は出来ない可能性があります
22時までに再開報告がなければありません

少ししたら少しだけ進めようかと思います


√ 8月10目 昼

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜(お出かけ継続)
5、美森
6、死神
7、イベントの判定

↓2


行先


1、大赦
2、海
3、イネス
4、久遠家
5、壁際
6、遊園地


↓2


天乃「はい、これ」

夏凜「はいって……」

手渡されたカップの中には

ぐるぐるととぐろを巻いた冷気を放つなにかが鎮座していた

なにか。と、言うのは

ジェラートであることは解っているのだが

緑色のメロンや抹茶でなければ

赤色等のいちごや桃ですらないちょっぴり薄茶色に近い色合いだったからだ

夏凜「コーヒー?」

天乃「醤油」

夏凜「はっ?」

天乃「醤油よ。醤油のジェラート」

夏凜「……え、なんで?」


思わず素っ頓狂な声で返した夏凜は

首を横に振って、天乃へと突き返す

夏凜「こんなゲテモノ渡されても困るんだけど」

天乃「貴女の相棒はそれが大好物だったのよ? だから、まぁ、一口くらい食べてみなさい」

夏凜「こんなのが大好物って……」

自分の相棒と言う位置にはしたのだが

流石になにからなにまでをすべて認める。なんていうのは中々に難しい

特に、自分からしてみればゲテモノな食べ物。とか

夏凜「まぁ、一口だけなら」

頼んだわけではないけれど

一応は奢ってくれたもので、相棒の好物

だから、食わず嫌いはやめよう

そう思って、ジェラート一掬いを自分の口へと運ぶ


端的に言うと

夏凜の口には合わなかった

決して美味しくないと言う事はなかったのだが

一口、二口と食べ進めていくと

アイス特有の甘さに交じって

醤油のあの微かな甘みと辛みが下に浸透して

積み重なって、醤油そのものを一舐めしているような気がしてしまったのだ

夏凜「っ……な、なかなか」

天乃「……大丈夫?」

夏凜「まぁ……平気」

返しが不自然な程に、シンプルになっていた



1、夏凜に、あーん。と、裏メニューの激辛麻婆味を差し出す
2、夏凜がジェラートを掬ったスプーンを咥える
3、無理しなくていいのよ?
4、メロン味を差し出す


↓2


天乃「無理しなくていいのよ?」

夏凜「けど――」

何かを言おうとした夏凜の手から

食べかけのカップを奪い取って、首を振る

天乃「私は別に、銀と同じようなことをしてほしいだなんて思ってないし、同じものを好きになって欲しいとも思ってない」

銀は銀で

夏凜は夏凜だ

後継だろうが、相棒だろうが

別人であることには他ならない

天乃「そうあろうと無理することは、銀だって望んだりはしないわ。きっと」

夏凜「………………」

天乃「あの子の大好物、でも、貴女は嫌い。それでいいじゃない」

そう言って笑った天乃は

夏凜の食べかけのジェラートを口に含んで、笑みを浮かべる

天乃「私と貴女だって、最初はそういうものだったんだから」

夏凜「っ………」


無邪気な笑み

悪戯心のない、純粋なその笑みは

心に来るものがあって……夏凜は、首を振る

確かにそう

始めは大っ嫌いだった

ふざけるなこんな任務

勇者の仕事じゃないし、私の仕事でもない

そう、怒ったことだってあった

けれど……今は

夏凜「まぁ、いずれはって……所ね」

天乃「そう言う事」

夏凜「……………」

あぁ、やっぱり。好きだ

過去から現在へと思い出を駆け巡って……再認識

けれどそれは、家族として、友人として

そう考え直して、笑みを作る

夏凜「一応、礼は言っておくわ」

天乃「ふふっ、はいはい」

そう言って子供のようにジェラートを食べる天乃を見つめながら

夏凜は小さく、ため息をついた


では、ここまでとさせて頂きます

恐らく明日は出来ませんが
出来たら22時頃から始めるかと思います

切ないけど久遠家が崩壊してしまった今
夏凜のポジションはやはり必要になって来るだろうな

スレ開始
◆QhFDI08WfRWv
2014/12/22(月) 22:27:22.35 ID:ujzyfikCO
現行最新
◆QhFDI08WfRWv saga
2015/06/30(火) 23:35:55.70 ID:6LWYzz4Mo

大体半年だな

>>208
最初 仲悪かったのが支え合ってるって王道だよな
でも大好きだわ

では、今日も進めていこうかと思います


√ 8月10目 夕


01~10 ねぇ、天乃

11~20 
21~30 
31~40 ねぇ、天乃

41~50 
51~60 
61~70 ねぇ、天乃

71~80 
81~90 
91~00 ねぇ、天乃


↓1のコンマ  


√ 8月10目 夕

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜(お出かけ継続)
5、美森
6、死神
7、イベントの判定

↓2

1、海
2、イネス(継続)
3、久遠家
4、大赦

↓2

>>220の安価をとった人でも取得可能です


懐かしい夕方のイネス

展望フロアのような屋上で

天乃と夏凜は並んで長椅子に座り込む

夏凜「今日は……友奈のこと、放置でいいわけ?」

天乃「別に、友奈は気にしないわよ。ずっとってレベルなら話は別だけど」

もっとも

気にしていないとは言いつつも

夜の布団に潜り込んでくるあたり

少しばかり……寂しいと思うことはあるのかもしれない。と

天乃は思って苦笑する

天乃「それとも、さっさと2人きりなんて状況を終わらせたい?」

夏凜「そんなこと言ってない」

天乃「じゃぁ、一緒にいたいの?」


確信をつくようなその一言に

夏凜は目を見開いて唖然として

おもむろに首を振って目を逸らす

夏凜「そんなことも言ってない」

天乃「じゃぁどっちなのよ」

夏凜「どっちでもない」

素っ気なく返した夏凜は

何気なく空を見上げて息を吐き出す

昼も、夕方も

自分の時間を一切持たずに付き合ってあげてるのに……

そう思いながらも、口にはしない

天乃「……そっか、じゃぁ、付き合ってくれたお礼に――」

そう言った天乃は

どこで買ったのか、紙袋から何かを取り出す

お礼

そう言われて気分が少し高揚していた夏凜は

照れくさそうに目を逸らしながらも

差し出してきた何かを持つ天乃の手元をチラチラと見つめる

そして――

天乃「この激辛生き地獄饅頭を進呈するわ」

夏凜「いるかっ!」

思いっきり突き返した


夏凜「なんであんたはいつもっ! そういう大事な場面でっ!」

天乃「私的には……最高のプレゼントなんだけど」

夏凜「自分基準で考えてんじゃないわよ」

深々とため息をついた夏凜は

残念そうに饅頭を頬張る天乃を一瞥して、息をつく

ただの子供だ

見た目も、中身も

今だけ考えればそんなものなのに

どうして本当に大切なところでは……先輩になれるのか

理解できなくて、項垂れた

天乃「………………」


1、お礼はともかく、ありがとね。付き合ってくれて
2、でも。本当にありがとね
3、だったらどんなお礼が良かったの?
4、ねぇ、今のって大事な場面だったの?
5、夏凜の出方を待つ


↓2


天乃「でも、本当にありがとね」

夏凜「ん?」

天乃「……何が。とは言わないけれど、色々と、ね」

夏凜「そっ」

それが、ずるいのよ

興味なさげに返答しつつも

心の中ではそんな悪態をつく

子供っぽさもありながら

しっかりとした年上を感じさせる言動

そんなだから……私は

想いを胸に、夏凜は眉を潜めて天乃を睨む

夏凜「意味解らないけど、言葉だけなら受け取っておくわよ」

天乃「……お饅頭、食べないの?」

夏凜「っ」

子供みたいな潤んだ瞳と、猫なで声

演技だと解っていても

それはとても我慢しきれるようなものではなくて

夏凜「わ、解ったわよ! 1つ! 1つだけ食べてやるわよ!」

そう怒鳴って――九死に一生を経験した


ではここまでとさせて頂きます
明日も同じような時間になるかと思います


今日は出来ないので、明日の同時刻頃を再開予定としています

適当だけど色塗ったよー
http://i.imgur.com/HiFdEM1.jpg

ハッピーエンド来い!


では遅くなってしまいましたが、薦めようかと思います


√ 8月10目 夜

犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

結城友奈から交流を求められています


1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定

↓2

夜なので場所の指定


1、寝室
2、ベランダ
3、別室


↓2(>>252をとっていても取得可能な安価です)


樹「今日は、友奈さんとじゃなくていいんですか?」

天乃「貴女までそう言うこと聞いてくるの?」

樹「一応、その……そう言う関係なので」

躊躇いがちに樹はそう零して

隣で横たわる友人の恋人を眺める

朝、友奈と特訓をしていると言う事は聞いているが

それにしても、今日はほぼ1日中夏凜と一緒だったはずなのだ

樹「友奈さん、来てくれるの待ってたりしませんか?」

天乃「待ってる……のかしら?」

樹「待たないんですか?」

天乃「……さぁ、どうかしら?」

待つことも出来ずに、布団の中に潜り込んでくる可能性だって、友奈にはある

けれど、そう

そもそも、友奈は別に交わりさえなければきっと何も気にしたりはしないだろう

もっとも、寂しがることとは全く関係ないことだが


天乃「友奈って、結構積極的な一面もあるでしょう?」

樹「そうですね」

天乃「だから、このまま寝たら貴女が縛られて私が連れ去られちゃうかも――」

樹「それはないと思いますよ……?」

天乃「解ってる」

友奈が友人だけでなく

人に対して何かしらの酷いことが出来ない子だと言うのは重々承知

それでも影のように布団の中へと忍び込もうとしたりはする

というか、されたのだ

樹「ふふっ、なんだか羨ましいです」

天乃「えっ?」

沈黙を破る控えめな笑い声と

行先不明の賞賛に、天乃は目を丸くして首を傾げる

樹「お姉ちゃんが、友奈さんに言ったんです。久遠先輩が夏凜さんと浮気してるんじゃないかって」

もちろん私も、風先輩も、東郷先輩も

それが冗談で言ってるなんてことは解っていたけど

樹「そしたら、友奈さんは」


【友奈「天乃先輩はそういう事……出来ない人です」】


樹「なんて言って……久遠先輩も友奈さんも解り合ってるんだなって……思って」

なんだかすごく信頼し合っていて、頼りあっていて

人と人との関係の最高潮に達してるんじゃないか。と

樹は羨ましそうに、笑みを浮かべた



1、それはまぁ……恋人だしね
2、貴女はそう言う仲になりたい人。いるの?
3、ふふっ、そうでもないわよ
4、浮気……ね。どこからが浮気なのかがそもそも……良く解らないのだけど
5、情報ありがとうね。明日、風のこと叱らなきゃ


↓2


天乃「それはまぁ……恋人だしね」

樹「恋人……」

天乃「ええ……樹はこういうの、否定派?」

樹「そんなことはないです」

恋人にしたい人はいるかと聞かれて

だれだれくん、だれだれさん

なんてすぐに言うことは出来ない

けれど、誰が好きかというのなら……間違いなく風で

けれど、誰が理想なのかと聞かれたら、もしかしたら、天乃で

自分も男の子より女の子側なのかなぁ……と

樹は悩んで、首を振る

樹「まだよく、解らないです」

天乃「ふふっ、そっか。別に早くなくちゃいけないと言う事もないし、ゆっくり考えなさい」

そう言って

樹の頭を優しく撫でて、微笑む


温かくて、優しくて……お姉ちゃんみたい

不思議なんかではなく、

心が安らいで、ゆっくりと瞼を閉じる

天乃「……お休み、樹」

風が溺愛する気持ちを解ったような気がして

もしかしたら、あの人も。と

今は亡き兄の気持ちを考えてため息をつく

天乃「あれは異常でしょ……」

樹「すぅ……すー……」

天乃「ふふっ」

もうしばらく触っていても良いかな? と

誰に許可を取るわけでもなく呟いて

天乃は暫く、樹の頭を撫で続けた

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流有(寝室、恋人だから)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(遊びに、イネス、無理しないで、夕方イネス、ありがとう)
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流無()
・     神樹:交流無()


8月の10日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 44(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 42(少し高い)
  結城友奈との絆 100(コンプリート)
  東郷三森との絆 43(少し高い)
  三好夏凜との絆 80(かなり高い)
伊集院沙織との絆 63(かなり高い)

  乃木園子との絆 17(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
      死神との絆 36(少し高い)
      神樹との絆 01(低い)

大赦による久遠天乃警戒レベル:65%
神樹による久遠天乃警戒レベル:20%
神樹に関する調査報告:だんだんと弱くなってきています


ではここまでとさせて頂きます

明日はお昼頃から14時ころには再開の予定です

>>247ありがとうございます


少ししたら、再開します

√ 8月11目 朝

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、お出かけ(誰かと行く場合は、相手を選択してから)

↓2


√ 8月11目 朝


01~10 夏凜
11~20 友奈
21~30 大赦
31~40 東郷
41~50 沙織
51~60 春信
61~70 樹
71~80 風
81~90 友奈
91~00 樹海化

↓1のコンマ  


春信から連絡を受けた天乃は

友奈達には適当な言い訳をつけて一人、学校の部室へと着ていた

「わざわざすまない」

天乃「いえ、別に……私としても聞かれたら困ることありますから」

「……そうか。まず、君が懸念していたことだが、問題なく君のご両親やご友人は保護される」

母親の精神状態安定のための処置はもちろん、

金銭面の援助もしっかりと行われ続けるだろう

もっとも、それに関しては依然、上の方が直接接触して契約を取り付けたようだが

天乃「そう……良かった」

安堵して息をつく姿は

やはり、まだ中学生の女の子だ

そんな少女に、そんな少女たちに

世界の命運を背負わせなければいけない

「……拒否することも、出来る」

天乃「……………」

「君は、君達は……ただ、選ばれてしまっただけだ。嫌だと、やりたくないと……そう言っても、構わない」


「………………」

自分の友人が溺愛していた妹だから?

もうこれ以上ないと言うほどに失い続けた少女だから?

自分の妹がいるから?

その友人たちがいるから?

それは否定しない

大赦に所属しているのだって

それに似た理由でしかない

天乃「そう言ったら、世界が終わるわ」

「しかし……言わなければ君達が傷つく」

天乃「……だから別の何かを傷つけろって言うの?」

「…………………」

天乃「傷つく痛みを、怖さを知っているから逃げる。それはきっと普通だったら当たり前なんでしょうね」

でも。と

天乃は笑みを浮かべて続ける

天乃「私達は選んだの。勇者であることを……だから、私達は逃げません」


「………………」

天乃「春信さんの気持ちは嬉しい。でも、ごめんなさい」

大赦の職員でありながら

その教えに、その方針に逆らってまで提案をしてくれた春信に向かって

天乃は頭を下げる

友奈だって……そうするはずだから

「なら、教えて欲しい」

天乃「なにを?」

「君が去った後、恋人や勇者部、家族……皆に渡すべきものがあるのかどうか」

天乃「遺言とか、遺物でも渡せってこと?」

「広義的に言えばそうなるだろう」



1、無いわ……だって、この戦いで死ぬつもりはないもの
2、未来
3、……そうね、ビデオレターを80年分くらいお願いしようかしら
4、ねぇ……いつか、女の子同士で子供を作れるようになる?



↓2


天乃「じゃぁ……未来を」

「未来?」

天乃「そう、あの子達に未来をあげて」

「………………解った。私が責任をもって、未来を渡そう」

一人の少女のたった二文字の願い

それは限りなく、果てしなく大きくて、深くて、広い願い

「難しいことかもしれない。だが、約束する」

天乃「うん」

「……久遠天乃」

天乃「なに?」

「夏凜に友人や家族がいる意味を教えてくれたことに……感謝している」

春信の礼に

天乃は微笑みながらも小首を振って、否定する

天乃「私は何もしてないわ。あの子が、傍にいてくれたのよ……ずっと」


「そうか」

天乃「ええ」

「それでも、礼は受け取って欲しい」

春信は精一杯仲良くしようとした

それでも、春信と夏凜の才能の差は大きく

それによる周りからの比較や、当てつけは酷くて

いつしか、家族と言うものを友人と言うものを持たなくなった夏凜

それが今では

天乃の為に、勇者部の為に……と

「夏凜が良く笑うようになった。それはきっと、いや……絶対にキミのおかげなのだから」

天乃「……そこまで言うのなら、貰っておかないと失礼よね」

くすくすと笑って天乃は言う

その笑みに、その仕草に

春信は亡き友人の想いを理解できたような気がして、目を背けた


√ 8月11目 昼

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神・三好春信との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、三好春信(お出かけです)
9、お出かけ(誰かと行く場合は、相手を選択してから)

↓2



1、お墓参り
2、イネス
3、公園
4、遊園地
5、屋上

↓2


春信「それで……?」

もう少し付き合って欲しい。と

天乃に頼まれて、春信は屋上へと来た春信は

何も言わない天乃を急かすように問う

春信「申し訳ないが、何もないのなら……戻らなければいけない」

春信とて

暇だから会いに来たと言うわけではないし

やることは山積みで

今頃はきっと、女性職員が一人で肩代わりしているはずなのだ

天乃「何もなかったら戻らないとダメ……なのね」

「当然だ。私は仕事をしているのだから」



1、あの人(新人ちゃん)とはどういう関係なの?
2、ねぇ……女の子同士で子供は出来ないの?
3、私が春信さんといたいと言うだけじゃ、理由は足らない?
4、夏凜と、ちゃんと仲直りしてね?
5、ねぇ、春信さん達の力で大赦を変えることは出来る?


↓2


天乃「じゃぁ、私も用件は手短に」

色々と、言いたいことや頼みたいことはあるけれど

でも、やっぱり

一番いうべきはこれかな。と

天乃は考えに考えて、春信を見つめる

天乃「夏凜と、ちゃんと仲直りしてね?」

「……それは」

天乃「しーっ」

「っ」

自分の唇に人差し指を当てながら

天乃は声を漏らして、笑みを浮かべる

天乃「無理だなんて、言ったらダメ」

「しかし、私と夏凜は」

天乃「それでも……家族なんだから」


「……………」

天乃「私のおかげで。なんて言わないけれど、でも。夏凜はちゃんと家族の大切さを知ったのでしょう?」

だったら

それなら

きっと、絶対、必ず、確実に

夏凜だって、仲良くありたいと思っているはずなのだから

天乃「大丈夫、夏凜は本当に優しい子だから」

「それは……解っている」

天乃「お願いよ。春信さん」

これは願いだ

血の繋がりも、法律上の縁組でさえもなされていない他人同士でありながら

家族同然の絆を持った少女の、願い

天乃「今すぐじゃなくていい。でも、私がいなくなるまでには……絶対に」

「……………」

どうして拒絶できようか

どうして無理だと言えようか

未来に希望を持ちながら

見据える瞳に愁いを帯びた少女の願いを

どうして無下にできようか

「解った。以前、君の兄から受け取った妹攻略マニュアルを――」

天乃「それはなしで。むしろ険悪になる」

「そうか……解った。とにかく、何とかしよう」

天乃に誓って、春信は空を見上げる

そしてそこには見えない遥か遠い友人にも……誓いを立てた


√ 8月11目 夕

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、お出かけ(誰かと行く場合は、相手を選択してから)

↓2


夏凜「あんた、結局どこ行ってたのよ」

天乃「ふふっ、知りたい?」

夏凜「別に」

夏凜は素気なく言いながらも

興味ありげにチラチラと視線を送ってくる

そんな煮え切らない様子に

膝を抱えて椅子に座っていた天乃は、

小さく息をついて、横目で夏凜を捉えた

夏凜「な、なによ……」

天乃「んーん。何か視線を感じるなって」

夏凜「そりゃ、あんたがスパッツ履いてるからってスカートなのに、その……」

天乃「うん?」

夏凜「な、何でもないわよ!」



1、春信さんとね、お話してたのよ
2、ねぇ夏凜。春信さんは、嫌い?
3、なぁに?
4、夏凜の出方を待つ


↓2


天乃「ねぇ、夏凜」

夏凜「?」

天乃「春信さんのこと……嫌い?」

夏凜「なるほど……今日は兄貴と会ってきたのか」

言ってもいないのに

何かを察したように夏凜は呟いて

くくっと笑うと……首を横に振る

夏凜「まぁ、キライってほどでもない」

天乃「そっか」

夏凜「そもそも、私はあの比較される環境が大っ嫌いだっただけだし……」

今思えば

あの頃の兄貴はいつも、ずっと

私のことを追いつかせようとしてくれていた……ような気もする

天乃「じゃぁ、好き?」

夏凜「好き……とも、言えないわよ」

好きも嫌いもない

普通だ、ごく普通の

そう……ただの兄貴だとしか思っていない


天乃「じゃぁ、一つ聞いても良い?」

夏凜「結構聞いてる気がするんだけど……なによ」

天乃「春信さんが、もしも夏凜と二人で暮らしたいと言ったら……受ける?」

夏凜「はっ?」

何がどうなったらそう言う状況になるのか

そんなお願い事が飛んでくるのか

考えても解らなくて、頭の中はこんがらがっていって

天乃「もしもの話、よ」

夏凜「そんなの……」

家族の温もり

今度は仮でも偽りでもなく

本当の家族の……だけど、それでも

夏凜「……私は、この家が好き」

天乃「………………」

夏凜「私の居場所はここにある。帰る場所だってここよ。だから、兄貴とは暮らせない」


天乃「春信さんが聞いたら泣いちゃうわよ?」

夏凜「知らないわよ……っていうか、その春信さんって言うの止めない?」

天乃「どうして?」

夏凜「いや、なんていうか……ほら、恋人……みたいだし」

照れくさそうに目を逸らして

頬を紅潮させる夏凜の言葉に目を見開いて

ハッとしたように、笑い声をあげた

夏凜「な、なによ!」

天乃「ふふっ、あははっ……ごめん、ごめんねっふふっあはははっ」

夏凜「っ」

笑いながら席を立って

歯ぎしりが聞こえそうなほど唇を噛み締める夏凜の肩をポンポンっと叩く

天乃「私の恋人は友奈だけよ。大丈夫っ、お兄ちゃんは取らないから」

夏凜「なっ、違……違うから!」

天乃「ふふっ、はいはい」

夏凜「違うって言ってるでしょうが!」

天乃「あらあら、照れちゃってまぁまぁまぁ~」

夏凜「表でろ! 叩き斬ってやる!」

ドタバタと騒がしくし過ぎて

料理中の風に叱られたのは、言うまでもない


では、一旦休憩します
再開は大体30分から1時間後くらいです

今日の予定では11日目終了、12日目昼まで、になります
出来ればそれ以降も


では、再開いたします


√ 8月11目 夜

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定

↓2


友奈「夏凜ちゃんにあんまり悪戯しないであげてくださいね」

天乃「友奈は夏凜の味方なの?」

友奈「中立です。悪い時は悪いですっ、天乃先輩も」

リスみたいな顔をした友奈は

そう言って天乃の事を見つめる

きっと、これでも怒っているつもりなんだろう

優しい子だ

天乃「だって、夏凜が弄り易いんだもの」

友奈「だからって……でも、夏凜ちゃんも夏凜ちゃんで楽しそうです」

夏凜ちゃん自身

それが天乃先輩の悪戯だと解っているから

それが決して、何か傷つけるようなものではないから

きっと、あんなにも楽しそうな怒り方をするんだろう


………………


友奈「……あの、天乃先輩」

天乃「うん?」

友奈「私の事は……その、弄っては、くれないんですか?」


天乃「えっ?」

友奈「夏凜ちゃんみたいに」

天乃「いや、それは解るけれど……」

弄って欲しいと頼まれて弄る

そんなことはしたことがないし

ポイントはいくつかあるのかもしれないが

正直な話……友奈は弄り難かった

友奈「天乃先輩」

天乃「っ」

ぐっと身を寄せてくる友奈から目を逸らして

天乃は考え込む



1、そんなこと言われても困るわ
2、そういうのにはね? 流れっていうものがあるのよ
3、キスをする
4、布団に押し倒す
5、黙り込む



↓2


友奈「んっ!」

天乃「仕方のない子ね」

友奈「天乃せ――っ」

言うだけ言って、唇を重ね合わせる

言われなくても、解ってる

別に……必ずしも弄って欲しいなんて思っていない。と

ただ、寂しかったんだと

自分以外の誰かと楽しそうにしていて

昨日も今日も

自分とは全然関わってくれなかったことに

ヤキモチを焼いてしまったのだと

友奈「っは……んっ」

天乃「っ……ん」

呼吸の為に一瞬だけ離れて、また繋ぐ

拒絶はなく、手を握り合わせて……目を瞑ると

全ての感覚器官が一本の矢になって脳に感触が突き刺さる


友奈「んんっ……ぁ……」

天乃「んっ」

唇だけの接触

なのに体の奥底から熱が沸く

天乃先輩……っ

ふさがった口から言葉はもれず

心の中に思いが押し返される

天乃「っ?」

友奈の右手が天乃の手を離れて、首元へと回り込む

今度は押し返されてしまわないように

ねっとりと……天乃の口腔へと想いを忍び込ませて

優しく絡める

天乃「んん……ぁぅ……っ」

友奈「っ……ぁっ……ふっ……」

息苦しさに負けて離れると

2人の唇を目に見える形となった絆が結ぶ

天乃「……友奈」

友奈「天乃先輩……」

それを切らせないように

それが行方不明になってしまわないように

2人はもう一度唇を重ね合わせた

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流有(ヤキモチ、キス)
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(春信)
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流無()
・     神樹:交流無()


8月の11日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 44(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 42(少し高い)
  結城友奈との絆 100+3(コンプリート)
  東郷三森との絆 43(少し高い)
  三好夏凜との絆 80(かなり高い)
伊集院沙織との絆 63(かなり高い)

  乃木園子との絆 17(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
      死神との絆 36(少し高い)
      神樹との絆 01(低い)

大赦による久遠天乃警戒レベル:62%
神樹による久遠天乃警戒レベル:17%
神樹に関する調査報告:だんだんと弱くなってきています


√ 8月12目 朝

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、お出かけ(誰かと行く場合は、相手を選択してから)

↓2


死神「モウスグ」

天乃「……うん」

死神「ダイジョウブ、ミンナイルカラ」

天乃「解ってる」

庭で特訓する夏凜をベランダから見下ろしながら

天乃はため息をついて、首を振る

ここ最近、夢見が悪い

咲き誇る花々が踏みにじられて、次々に枯れて

風に吹き飛ばされて、跡形もなく消えてしまう夢や

星々が降り注いで

衝撃と共に、世界が光に包まれてしまう夢

天乃「神樹の仕業だってことは解るんだけど……」

死神「キル?」

天乃「そこまでしなくて良いわよ……向こうだって、近々あることを教えようとしてくれているだけだろうし」


純粋な血統として

巫女の血を引いている天乃だが

それに加えて神樹様修復の為

天乃の力=生命力を捧げたことが起因だろう

天乃「多分、あと2日3日って、所でしょうね」

死神「ウン」

天乃「ねぇ、死神さん」

死神「ナァニ? クオンサン」




1、私が死んだら、貴方はどうなるの?
2、……勝てるかな
3、貴方が相棒で良かった
4、最期まで、私に尽くしてくれる?
5、本当に、次の満開で死んじゃうのよね?


↓2


天乃「私、本当に次の満開で死んじゃうのよね?」

死神「ウン……シンジュガカエシテクレナイナラ、シヌ」

天乃「返してくれると思う?」

天乃のまったく期待のない言葉に

死神は素直に首を横に振る

返してくれるはずがない

いや、人の寿命なんて返せるわけがない

視覚や聴覚、触覚、嗅覚、味覚などの感覚器官や

両腕、両足などの身体的機能であるならば

現代医療でも100%ではないにしろ、戻すことが出来るのだから

神様に出来ないはずがない

けれど、失われた命をもう一度

そんなことは神様にだってできない

死神「ナガクテゴネン、クオンサンハモウ。ソレダケノチカラヲツカッタ」

天乃「……そっか」


死神「ゴメンネ、クオンサン」

天乃「え?」

死神「ワタシジャナカッタラ、キット、クオンサンノクモツハミンナトイッショダッタ」

だから、ごめんなさい

死神はもう一度謝って

しょんぼりふよふよと体を彷徨わせる

天乃「………馬鹿ね」

死神じゃなかったら

確かにこんな命を削るなんてことにはなっていなかったかもしれない

でも

天乃「貴方だったから」

だから

天乃「私は何物にも阻まれず、勇者として……ここまでみんなを守ってこれたんじゃない」

死神「クオンサン………」

天乃「嫌なこともあったし、悪いことだって。でも、貴方じゃなければなんて思わない……むしろ、感謝しているわ」


漂う死神の体を捕まえて胸に抱き

その頭であろう場所を優しく撫でる

天乃「ごめんなさいは、要らないわ」

死神「ウン」

天乃「自分じゃなかったら。も、だめ」

死神「ウン……ワカッタ」

そう言った死神の頬のあたりをそっと撫でて、手放す

悲しげな遊泳をせずに

死神はくるりと回って――

死神「クオンサンダイスキッ」

天乃の頬へと、キスをする

天乃「あ、貴方っ」

死神「ワタシハシニガミダカラネッ、ウバッチャウヨ」

そう言って

死神はパッと姿を消した


√ 8月12目 昼

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、お出かけ(誰かと行く場合は、相手を選択してから)

↓2


√ 8月12目 昼


01~10 朝、何話してたわけ?
11~20 天乃、あのさ……ちょっと。話
21~30 天乃先輩、お願いがあるんです
31~40 久遠先輩、先ほど……死神とお話していましたよね?
41~50 久遠先輩のこと、満開で死なせたりはしません
51~60 天乃先輩、さっき……死神さんとキスしてました?
61~70 久遠さん、久しぶりだねっ
71~80 久遠様、少々お時間をいただけますか?
81~90 樹海化っ
91~00 結城友奈は、いるか?

↓1のコンマ  


沙織「久遠さん、久しぶりだねっ」

カメラ付きインターホンから聞こえてきたのは

久しく顔を合わせていない親友の声だった

天乃「どうしたの? 急に」

沙織「色々あるんだよね……まぁ、久遠さんならも解ってるだろうけど」

笑顔での言葉でありながら

達人の持つ鞘に収まった刀のような危うさを感じて

天乃は気を引き締めて、息を吐く

天乃「やっぱり、近いのね?」

沙織「うん……週明け。だと思う、今までにないくらい近かったから月はない」

天乃「そっか……それを言う為に?」

沙織「あとはね……えっと……」

沙織は持ってきた小さなポーチを漁ると

大赦が支給する端末を取り出す

心なしか、使い古された感じがあった

沙織「これを、恋び……結城さんに」


天乃「友奈はもう、持ってるはずだけど……」

沙織「これは乃木さんの端末」

天乃「えっ?」

沙織「乃木さんがね、お願いって」

天乃「……………」

鷲尾須美の端末は、東郷美森に

三ノ輪銀の端末は、三好夏凜に

そして

乃木園子の端末が今、結城友奈へと渡ろうとしている

沙織「私達も一緒に、戦うよって」

天乃「……園子は、動けないの?」

沙織「察しが良いね……やっぱり」

戦うと言うのなら、園子自身が赴けばいい話で

大赦の縛りどうこうなんて、端末を渡すのも同じことなのだからきっと、それは関係ない

沙織「乃木さんは久遠さんと同じく神様に近いからね……ちょっと、苦しいみたいだから無理そうなんだ」


天乃「やっぱり……向こうは地獄なのね」

沙織「だからあと数日で間違いなく来る」

沙織の力強い瞳は

だから受け取って欲しい。と語る

天乃「……解った」

沙織の端末を持つ手に手を重ねてぎゅっと握る

沙織の手の温もりはそこまで温かくはなく

寧ろひんやりとした冷たさまで感じる

そう……伊集院沙織もまた、久遠天乃と同じなのだ

沙織「……久遠さん?」



1、確かに、受け取ったわ
2、まったく……貴女も馬鹿な子ね
3、園子だけじゃないわ。貴女も、よ
4、絶対に勝つ、絶対に生き残る。約束するわ、沙織



↓2


天乃「園子だけじゃないわ。貴女も、よ」

沙織「え、でもあたし……」

天乃「これ、憶えてる?」

そう言って

天乃は自分の髪を纏めていた髪留めを外すと

沙織へと差し向ける

沙織「あっ」

黒い蝶の髪留め……

あたしがたしかそう、一ヶ月くらい前にあげたやつだ

天乃「貴女の想いも、ちゃんと……持って行く。感じるよ、ずっとそばに」

髪留めを抱きしめるようにして

伏し目がちに、愁いを帯びた艶やかな笑みを浮かべる

沙織「っ………」

天乃「ちゃんと帰ってくる。だから、安心して」

沙織「……うんっ」

狡い、それは狡い

好きな人にそんなことを言われたら、嫌でもうんと言ってしまう

お願いねとか、信じてるよとか、何も言わせてくれない

ただただ……頷くことしかできない

沙織「乃木さんの端末、確かに渡したからね?」

だから

沙織はそういって、笑みを浮かべた


では、ここまでとさせて頂きます




――乃木園子の想いが……結城友奈へと受け継がれる


では、少ししたら始めようかと思います


√ 8月12目 夕

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、お出かけ(誰かと行く場合は、相手を選択してから)

↓2


友奈「これ……ですか?」

天乃「そう。説明した通り、園子の端末」

友奈「…………………」

自分が受け取っていいものなのかどうか

悩んだ末に、友奈は端末を受け取って握りしめる

友奈「ちゃんと、受け取りました」

天乃「ええ」

友奈「乃木さんの想い……私がちゃんと、連れていきます」

託された思いの強さをひしひしと感じる

けれど、今の自分ならしっかりとそれを抱えることが出来る

落さず、零さず、最後まで連れていけると思った

友奈「天乃先輩」

天乃「うん?」

友奈「絶対、みんなで生き残ること……できますよ」

根拠はない、けれど確信がある

そんな友奈の笑みに、天乃は「そうね」と、笑みを返した


友奈「ところで……何ですけど」

天乃「なによ改まって」

友奈「天乃先輩は卒業したらどうするんですか?」

学校、就職

広く分ければそんなもので

細かくすれば学校にしてもいろいろあるし、就職にしたって色々とある

天乃「そうねぇ……」

以前、沙織に神樹信仰を求められず

割と自由な就職みたいなものがある。と、言われたけれど

それがどうなったのかは、解らないし……



1、普通に進学よね
2、就職……かしら?
3、それはもちろん、貴女と結婚するわ


↓2


天乃「普通に進学よね」

友奈「学校行くんですか?」

天乃「まぁ……そうすればまた。貴女と先輩後輩が出来るし」

心からの笑顔を浮かべながらの言葉

思わずどきっとした友奈は

照れくさそうにはにかんで、目を逸らす

ずっと先輩後輩です

たとえ、進学しなくても

たとえ、就職しても

たとえ……結婚、したとしても

友奈「天乃先輩はずっと、私の先輩ですっ」

天乃「友――」

天乃の腕にしがみ付いて

体を隣に並べて、肩を寄せる

友奈「こうやって隣にいても、たとえ、天乃先輩の方が小さくても。先輩は先輩です……ずっと、私の大好きな先輩です」


天乃「っ……」

本当は

残りがもう数年だと言う事を悟られたくないがための、言葉だった

進学したくない、就職したくない

そんなわがままも久遠天乃としてはおかしくないはずだ

けれど、それはただの冗談にならない

進学したら、一年間は別々の学校だ

就職したら、ずっと別々だ

誰かにとってはたった一年、長い一年

だとしても、天乃にとっては一年も……なのだ

友奈「あ、天乃先輩?」

愛しい恋人の体を抱きしめて

安らぎの森に顔を埋めて……目を閉じる



1、私ね……あと、5年が限度なの
2、少しだけ……こうしていていい?
3、戦いが終わっても、一緒に暮らしましょう。友奈
4、私も大好きよ、友奈


↓2


天乃「私ね……? あと、5年が限度なの」

友奈「え……?」

天乃「黙っててごめんね」

最後まで騙しきろうかとも思った

けれど

どうしても、隠し通すことなんてできそうになかった

何も知らせずに

ただ、唐突に息を引き取るなんて

そんなの……友奈には悔いしか残らない

そう思ったから

友奈「5年って……そんな」

天乃「ごめん」


あと数年だっていうことは聞いていた

でも、5年なんて……あまりにも、短い

友奈「…………だ」

天乃「友奈?」

友奈「そんなの、嘘だ」

手が震える

それだけじゃない、体が震える

自分よりたった1年先輩なのに

それだけなのに、あと……たった5年で?

そんなの、嘘だ

友奈「嘘……ですよね? またいつもの、冗談ですよね?」

天乃「ううん、嘘じゃない」

友奈「嘘」

天乃「嘘じゃないわ」

友奈「嘘ですよ……だって、数年って……数年なら、あと8年とか、9年とか……」

天乃「……友奈っ」

自分よりもほんの少し大きい体を抱きしめながら

天乃は小さく首を振って、告げる

天乃「私はあと5年しか生きられない……受け入れがたいとは思う。でも、お願い。その上で、私と一緒に生きて欲しい」


友奈「なんで……」

あと5年で何が出来る?

成人する姿ですら、見ては貰えない

大人になったと言えることですら何一つできない

大人になったらしてみたいと聞くお酒の乾杯だって、不可能だ

友奈「っ………」

噛み千切れてしまいそうなほどに強く下唇を噛む

泣いちゃだめだ

怒っちゃだめだ

私なんかより……きっと、ずっと

天乃先輩の方がこの現実を受け入れがたいはずなんだから……っ

友奈「あと、3年」

天乃「え?」

友奈「あと3年経ったら……私と結婚、してくれますか?」

できないことが沢山あるのなら、できる事は全てやりたい

それが友奈の、せめてもの願いだった



1、……何言ってるのよ
2、うん
3、違うわ……貴女が私と結婚するのよ



↓2


天乃「……うん」

そう囁いて、抱きしめると

友奈もまた優しく抱きしめ返す

あとたった5年しか生きられないのなら

その5年間は何が何でも守り抜く

いつか来る戦いで失わせるなんてそんなことは――絶対にさせない

友奈「……………」

私を勇者にしてくださいなんて、頼まない

頼むだけじゃ何も変わらない

何もないまま終わっちゃうんだ

だから

友奈「私は」

天乃「友奈?」

友奈「私は……勇者になるッ!」

強い思いを抱いて

乃木園子より受け継いだ端末を握りしめる

想いは想いを受け入れて

重なった思いは形となって友奈を包み込む

友奈「――守るんだ、絶対に!」

一度消え、失われた勇者は今一度、姿を現す

守るべきものを守る為ではなく

守りたいものを守る為に――結城友奈は再び、花開く


ではここまでとさせて頂きます

明日は出来るかどうかわかりませんが、
可能でしたら22時ころに


予定では今週中に14日目まで


では、再開します


√ 8月12目 夜

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定

↓2



1、寝室
2、別室
3、ベランダ


イベントの場所を選択  ↓1




01~10 友奈
11~20 風
21~30 東郷
31~40 夏凜
41~50 樹
51~60 友奈
61~70 夏凜
71~80 風
81~90 東郷
91~00 樹

↑と同じレスのコンマで判定 


天乃「貴女らしくないじゃない、夜這いなんて」

東郷「……違います」

天乃「だったらなに? 明日もあるし……寝たいのだけれど」

決して突き放そうとしているわけではないが

少しばかりとげの見え隠れする物言いに

東郷は自分の手を握りしめて……俯く

天乃「……眠いのよ。別に、貴方が嫌いなわけじゃないわ」

東郷「久遠先輩がそう言う方だと言うのは解っていますので……別に」

天乃「うん?」

言い方が少しきつかったかもしれない

そう思ったのに反して

東郷は薄らと切なげな笑みを浮かべて首を横に振った


天乃「どうしたのよ……本当に」

友奈のように

構ってあげなかったから寂しくて……なんていうのは

恋人でもないのにありえない

だとしたら……なんなの?

東郷「その……」

天乃「……………」

何かを言いたい

でも

それと同時に言うべきではないと思ってる

そんな感じがして、天乃は目を細めた


1、そうね、貴女が思っている通りよ
2、悪いけれど、それは貴女の見当違いよ
3、私には友奈がいるから駄目よ……
4、一緒に寝たいのね
5、黙って待つ



↓2


天乃は黙って東郷の出方を伺う

けれど、東郷は一向にその胸の内を明かすどころか

おもむろに首を横に振って……笑みを浮かべる

東郷「すみません、久遠先輩」

天乃「なにが?」

東郷「思い返してみたのですが、ただの勘違いのような気がして……すみません」

天乃「そう……」

東郷「お休みの邪魔をして申し訳ありませんでした」

天乃「そんな誠心誠意、謝罪で捲し立てられても困るわよ……」

そう言った天乃の瞳はしっかりと、東郷の瞳を捉えていた

東郷「っ……」

奥の奥まで見透かされているようなその視線に

東郷は笑みに見せかけて目を閉じるほかなかった

天乃「まぁ、貴女の勘違いだと言うのなら……それで良いわ」

東郷「はい、失礼しました」


もう一言謝って

東郷は自分の布団へと戻っていく

そう、きっと勘違い、思い違い

ただの聞き間違い

東郷「っ………」

せっかく、自分の知らない自分を憶えていてくれる人に出逢えたのに

なのに

あと5年という制限付きだなんてそんなの……あんまりだ

東郷「……神樹様」

勇者として頑張って

自分の大切な人達を失って、傷ついて

それでもまだ頑張っている人への仕打ちには――あまりにも酷いと、思いませんか?

東郷「…………………」

神樹様は答えない

今朝、そんな気もなく聞いてしまった会話

そこで知った衝撃的な真実を肯定するかのように

何もかもが――沈黙を保っていた

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流有(スマホ、結婚)
・  東郷美森:交流有(話、沈黙)
・  三好夏凜:交流無()
・伊集院沙織:交流有(乃木園子の意思)

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流有(死期)
・     神樹:交流無()


8月の12日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 44(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 42(少し高い)
  結城友奈との絆 100+6(コンプリート)
  東郷三森との絆 44(少し高い)
  三好夏凜との絆 82(かなり高い)
伊集院沙織との絆 64(かなり高い)

  乃木園子との絆 17(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
      死神との絆 37(少し高い)
      神樹との絆 01(低い)

大赦による久遠天乃警戒レベル:62%
神樹による久遠天乃警戒レベル:17%
神樹に関する調査報告:だんだんと弱くなってきています


ではここまでとさせて頂きます


話としては、14日目終了後、飛ばして戦闘となる予定ですので
即戦闘という認識で間違いはないと思います


この次に関しては考えていませんので
やらない可能性もあります


では、再開します


√ 8月13目 朝

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、お出かけ(誰かと行く場合は、相手を選択してから)

↓2


友奈「……………」

昨日、強さを見せていたとはいっても

友奈はやっぱり女の子で

天乃の寿命の件を気にしてか、今朝は元気良さに欠けていた

天乃「ゆーなー」

友奈「は、はいっ」

天乃「ボーっとしてると――」

言いながら姿勢を低くして

風が止んだ一瞬を踏み抜き、

友奈との距離を詰めて唇に人差し指を突き立てる

天乃「塞ぐわよ? ここ」

友奈「っ………」

不意を突かれた出来事に困惑していた友奈は

状況全てを天乃のその一言に丸め込んで頷く

友奈「天乃先輩となら……その、はい……」

天乃「え、良いの?」

友奈「き、キスくらいなら……見られても恥ずかしいことじゃないかな。なんて……」


自分から何度かした

天乃先輩からだってもう何度も……

だからそう、

2人にとってキスはもはや日課であり

言い換えてみれば食事とさえいえるようなものなのだ

天乃「そっか」

友奈「はい」

天乃「………………」

とはいえ、風からはせめて場所くらいはわきまえてくれ。と

目撃されたわけではないが通達というか警告が出ている

けれど、人目の少ない朝の庭でするのは許されるだろうか……?



1、そんなことよりお出かけ(場所は次の安価)
2、キス
3、芝生に押し倒す
4、あんまり、深くは考えなくていいからね? 私の寿命
5、ねぇ、ところで私が夫? 貴女が夫?


↓2


天乃「じゃぁ……」

友奈「……屈みますか?」

天乃「いい、届く」

そんな手慣れた言葉を交わしあって

天乃は友奈の両肩を掴み、爪先で立って顔を近づけて……

天乃「あっ……朝だし、舌はなしよ?」

友奈「わ、解ってます」

ちょっと期待した。なんて言えなくて

友奈は頬を紅潮させながら、目を瞑る

友奈「……………」

唇の感触が待ち遠しくて

空気が触れるのですら擦られているみたいに感じるほどに

感覚が研ぎ澄まされていく

肩にかかる天乃の手の力が少しずつ強くなって行くにつれて

頭の中の天乃と自分の距離がぐんぐんと近づき――

友奈「っ」

天乃「ん」

柔らかい感触が唇から全身に響き渡って

思考を揺らして、めちゃくちゃにして抜けていく

友奈「気持ち良いです」

その感覚が切なくも、心地よくて

友奈はもう一度キスしようとして踏みとどまった


天乃「ん?」

友奈「…………して、良いですか?」

天乃「ダメって言ったら、しないの?」

友奈「………………」

疑問を投げつけながらも

両肩から手を放して、天乃は普通に佇む

その瞳は瞼に塞がれていて、見えない

友奈「天乃先輩のそういう所が、ずるいんです……」

全部見透かしていて

挑発とか、後押しとか、手を引くとか

そんな素振りを見せてくる

そんなことされたら

天乃「んんっ!」

友奈「……天乃先輩が悪いですっ」

天乃「ちょっ」

我慢なんて、出来るわけがないよ……っ!


01~10 
11~20 樹
21~30 
31~40 東郷
41~50 
51~60 夏凜
61~70 
71~80 新人ちゃん
81~90 
91~00 風

↓1のコンマ  空白 現実は非常である。無茶苦茶にされた


風「ちょっ、友奈ストップ!」

友奈「風先――風先輩っ!?」

風の叫び声にも似た呼び声にハッとして

友奈は芝生に押し倒した天乃を見下ろす

天乃「貴女……結構、遠慮ないわよね……」

友奈「ご、ごめんなさい……あの、私」

天乃「謝る必要はないわよ。そもそも、誘惑したのは私だし」

押し倒したまま

押し倒されたまま

照れくさそうな顔をしながらも平然と会話をして

自分の存在が早くも忘れ去られた風は、パンッ! っと、力強く手を叩く

風「はいっ、終了。やるなら部屋でやれッ!」

天乃「……お風呂は?」

風「これから樹達が使うから駄目」

天乃「そっか」

風「っていうかやる気なのね……」

天乃「貴女も混ざりたい?」

風「遠慮しとく」

絶対に二人の視界からフェードアウトするから

そんな皮肉を心にしまって

風は苦笑いを浮かべた


では、ここまでとさせて頂きます


明日も21:30または22:00から1時間程度となる予定です

>友奈「……屈みますか?」
>天乃「いい、届く」

このやり取りにキュンときた
想像したら天乃めっちゃ可愛い


すみません、今日は出来そうにないのでありません
明日こそはやろうかと思います


では、今日は進めていこうかと思います


√ 8月13目 昼

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈(継続)
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、お出かけ(誰かと行く場合は、相手を選択してから)

↓2


風「ったく、何考えてんのよ……もう」

天乃「貴女こそ何考えてるのよ……せっかくの良い雰囲気を壊すなんて」

風「時と場所をわきまえなさい」

親のようにぴしゃりと言い付けた風は

気落ちした寂しげな表情の天乃を見つめて目を逸らす

ここで甘いことを言ったらいつもと変わらない

あれは後輩でも他人でもなく

れっきとした同級生なのだ

天乃「……友奈とイチャイチャ禁止、かぁ」

風「そこまでは言ってないけど」

天乃「夜にすべてを詰め込むしかないなら……徹夜確定ね」

風「っ………」

言葉を発する前にため息、言い終えてため息

そのあからさまなアピールに、

風の神経は逆なでされて、総毛立つ

風「だから場所! 場所考えて! 時間は――もう、この際どうでも良いからッ!」


天乃「場所考えてって言われても……」

風「不満でもあるの?」

天乃「ほら、私達って寝室共有してるじゃない?」

天乃含めた勇者部6人

全員が一つの部屋で寝ている為、

自分の部屋で二人きりなんてことは出来ない

もちろん、部屋が余っていないこともないが

一人一つと言うには部屋数は足らず

恋人になったからと割り振るのは、あからさますぎてやや抵抗があった

天乃「まぁ、別に空いてる部屋で戯れても良いんだけど……殺風景な部屋ってなんだかいろいろ足りない気がするのよ」

風「知るか」

投げやりに吐き出してそっぽを向く

正直に言って、風からしてみれば目に入らない場所ならどこでも良かったのだ


1、というわけで、私達に部屋くれない?、
2、一応、貴女に話しておこうと思うんだけど……(寿命五年について)
3、ねぇ。風。私が居なくなった後も……ちゃんと、勇者部を続けてね?
4、今更だけど、ありがとね……お兄ちゃんに言われたからかもしれないけど。私の事を誘ってくれて
5、なによ、ヤキモチ?



↓2


そんな風を見つめていた天乃は

見えないような微笑を浮かべて頷く

近々始まるであろう戦いに向けて緊張しているのかと思えば、そうでもないみたい

冷たくあしらわれるのは寂しいけれど

でも、張りつめてるよりはマシかしらね

天乃「ねぇ、偏西風先輩」

風「だれよそれ」

天乃「……一応、貴女に話しておこうと思うんだけど」

風「………………」

意味の解らないふざけた言葉からは考えられない空気の変わりように

思わず息を呑む

おふざけ9割、真面目1割程度の天乃だからこその空気感

普通の人の危ないと言う言葉が危険度50%だとしたら

天乃の危ないと言う言葉は80%を上回る危険度がある

それくらいに、天乃の真面目な言葉には重みがあるのだ

天乃「あと5年。あと5年で私は死ぬわ」

風「はっ? えっ……5年?」


天乃「以前、そこを尽きかけてると言ったけれど……」

風「い、言われたけど……でも、それって」

人間の平均寿命は約90くらいで正確に言えば85、6

それで考えれば、寿命が底をつきかけてると言われても

短くて7、8年

そう、せめて成人するまでは生きていてくれるんじゃないか。なんて

風は生温い考え方をしていた

だって、別に悪いことなんか何一つしていないんだから

そんな甘い目で見てくれたっていいじゃないか。と

けれど

世界は何処までも、果てしなく、永遠に

久遠天乃と言う人間には厳しかった

風「……早すぎるでしょ」

天乃「そうかしら」

風「だって、それじゃ成人すらできないじゃない」

天乃「出来るわよ。5年後の誕生日まで生きていられたら。の、話だけど」


風「でも……」

天乃「まぁ、寿命を誕生日から数えるのなら、私は誕生日の翌日……起きることはないと思う」

もしくは

誕生日を迎えられる午前零時をもって息を引き取るか

残念ながら病による余命宣告ではなく

神によって行われる超常的な死

ゆえに、そこから間延びしたりすることはきっとないのだ

風「毎回、同じこと言うけど――」

天乃「もう話した……でも、でもね。なんでかな……夏凜にはまだ伝えられてない」

風「それは天乃が夏凜の事を本当に大切に思ってるからでしょ」

天乃「でも、友奈には」

風「友奈は恋人だから一緒に乗り超えたいと相談する。でも、家族だから……だから、夏凜には言い難いのよ」

悲しませたくない

心配させたくない

気を使わせたくない

一緒に乗り越えていくことを考えるよりも先にそんな気持ちが先行する

それを風は……良く解っていた

風「あたしもそうだったから良く解る……本当に大切だからこそ、身近だからこそ、大事なことが言えないのよね」


風「天乃さえ良ければあたしから伝えるけど?」

天乃「………………」

風「経験したから言えることだけどね? 言い難くても言わないとダメよ、天乃」

天乃「そんなこと、解ってるわよ」

どちらも中学3年生

あと半年も過ぎれば高校生になることが出来る

けれどそれは形式上でしかない

精神的にはずっと成長していて中学校はもちろん

高校でさえ卒業しているほど、成熟していると言えなくもない

風「きっと、突然死なんて最悪なシナリオには出来ないんだから……」

天乃「……でしょうね」

大赦からは、天乃について何らかの補足が行われて

いつ死んでも不可解なものにはならないようにされるだろう

つまり、どう足掻いたって夏凜には死期が近いことが知らされるのだ


1、風に伝えて貰う
2、自分から伝える(夜または夕方 夏凜を選ばなかった方で強制でイベントです)


↓2


天乃「良いわ、私から伝える」

風「……そっか」

夏凜ならきっと大丈夫

そんなことは風から言う事は出来ない

夏凜以外で誰よりも夏凜を知っているのは

他でもない天乃自身だからだ

風「まぁ……あたしは多分、キッチンにいるから」

天乃「馬鹿な事言わないでよ、私は友奈がいるんだから」

風「そっか」

とはいえ、くるのは天乃じゃないのは解りきってる

もちろん、くるかどうかなんて解らないけど、でも

風「その時は、任せなさい」

天乃「……ええ、お願いね。部長」

信頼ゆえの言葉に

2人は微笑を向け合っていた


では、ここまでとさせて頂きます

この寿命話イベントは
夕方に夏凜を選択したら夕方
夕方に夏凜以外を選択したら夜となります

今日は出来ないと思います
再開は明日のお昼頃を予定しています

今でも最高に面白いんだけどやっぱり夏凜ルートも見てみたかったよな
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira081832.jpg


少ししたら再開しようかと思います


√ 8月13目 夕

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、お出かけ(誰かと行く場合は、相手を選択してから)

↓2


天乃「東郷さん、なにしてるの?」

東郷「……さん付けは止めてください。違和感が凄いです」

天乃「たまには、ね……後輩を立ててあげようかなと思ったんだけど」

東郷「立てるならせめて冗談でからかうのをやめるべきでは?」

天乃「ええ、ごもっともな意見だわ」

くすくすと笑って

天乃は東郷の傍に椅子を置いて、座り込む

友奈や風

夏凜や樹とでは生まれないであろう清流のような沈黙

互いに見つめあうわけでもなく、ただぼーっと窓の外

沈みゆく陽を眺めていた

東郷「私達は」

天乃「?」

東郷「私達は私達の力だけで戦うことは出来ません」

勇者にならなければ攻撃なんて通じない。身を守ることさえも出来ない

だから、100%自分たちの力なんてことはきっとできはしない

東郷「それでも、神のお力である満開だけはせずに戦う。それで、本当に何かを変えることが出来るのでしょうか?」


天乃「さて、どうかしらね」

東郷「………………」

天乃「でも、このままだと、何も変わらないのは確かだと思うのよ」

東郷「なぜ、ですか?」

天乃「ただ戦うだけなんて、結局。どちらかが悲しい思いをして、辛い思いをして、どちらかが淘汰されなければ終わらないでしょう?」

東郷「………………」

戦う事の痛みを知って

戦う事の辛さを知って

戦う事の悲しさを知って

最後には戦う事の無意味さに気づいて、後悔を覚えて、一生消えない何かを背負ってしまう

天乃「そうなる前に、私達が誰にもできないことをしなければいけない。ううん、私達だからこそできる何かを成し遂げなくちゃならない」

東郷「それが、満開の封印。ですか?」

天乃「違うわよ」

天乃は首を横に振って、東郷へと目を向ける

天乃「どんな相手にだって、諦めずに気持ちを伝え続ける事。そう、たとえば……生意気で意地悪で素行の悪い先輩にし続けたように」


東郷「……自分で言うんですね」

天乃「自覚はしてたから」

東郷「ふふっ、そうでしたね」

諦めずに気持ちを伝え続けられる勇者たち

その気持ちを受けたことでどんな変化があるのかを身を持って知っている勇者

確かに

その変化には辛いことや悲しいこと

嫌な事や絶望してしまうことだってあっただろう

けれど、それでも最後にはむげにはしなくて良かったのだと

その気持ちを受け入れていて良かったのだと

言う事が出来るようになるから

天乃「それが出来るのは私達しかいない。後にも先にも……この勇者部だけ」

東郷「やり遂げなければ戦いは続いてしまいますか?」

天乃「ええ、きっと続く……だから」

東郷「次の戦いで、確実に」

天乃「そう」


士気の高まった東郷の表情を見つめて

天乃は安心したように息をつく

東郷は抱え込みやすいタイプの子だから

やらなくちゃ、やらなくちゃって、なってるかもしれないと思ったけれど

この分なら……問題はなさそうね

東郷「な、何か顔についてますか?」

天乃「ん?」

東郷「じっと……見ないで下さい」

ふいっと東郷は顔を逸らして

誤魔化すように、夕日を顔に浴びせる

天乃「……………」



1、貴女って、肌白くて綺麗よね
2、友奈と夏凜にも銀の事は話したわ。だから、もしも行きたくなったら2人を誘いなさい
3、ねぇ、友奈を取った事怒ってたりする?
4、貴女のぼた餅が食べたいわ
5、何も言わない



↓2


天乃「そうだ、貴女に言っておくことがあったのよ」

東郷「言っておくこと……?」

天乃「友奈と夏凜にもね? 銀のこと、話したから」

だから、もしも会いに行きたくなったら

2人を誘いなさい。と

天乃は告げて、東郷の手に触れる

東郷「……でも」

天乃「それは貴女に委ねるわ。どちらにしても、大丈夫だと思うから」

東郷が鷲尾須美と言う先代の勇者であることまでは話していない

三ノ輪銀が先代勇者だから会いに行く

三ノ輪銀が親友だったから会いに行く

どちらにしても、みんなはちゃんとわかってくれる。受け止めてくれるだろう

天乃「東郷、貴女は1人じゃないわ。今までも、これからも」

東郷「……はいっ」

来るべき戦いが終わったら

例え憶えていなくても

自分が先代であり、鷲尾須美と言う人間だったことを話そう

東郷美森は――そう、決めた


√ 8月13目 夜


三好夏凜との交流になります

※寿命残り年数を教える


夏凜「で、話って何よ」

天乃「まぁ……とても大切な事、かしらね」

夏凜「あんたが自分からそう言うと妙に嫌な予感するんだけど……」

あからさまに引いて見せた夏凜は

ため息をついて、窓際の壁に寄りかかる

誰も使っていない部屋のせいで座る場所も何もなく

少しだけ、声が大きく聞こえる

天乃「前に話したでしょ? 私は長くないって」

夏凜「聞いたわよ? 正確な年数は聞いてないけど」

この時点で、夏凜は今回の呼び出しの理由が解って

それが良いものではないことにも、気づいた

だから、言わなくていい

そう叫ぼうとして……首を横にふる

夏凜「何年」

天乃「えっ?」

夏凜「あんたのその憎たらしい声は、あと……あと何年聞いてられるのよ」

わざとらしく、挑発して

くすっと天乃が笑ったのを見て夏凜も苦笑する

天乃「あと5年間だけ、我慢して聞いててくれる?」


天乃「そうすればもう、聞かなくて済むから」

そう言って笑みを浮かべた天乃に対して

怒りなのか悲しみなのか

複雑な感情を抱いた夏凜は強く拳を握りしめる

たった5年?

それっぽっちしか……生きていられない?

想像をはるかに超えた短さに驚き、叫びそうになる気持ちを抑え込んで

夏凜はニヤッと笑う

夏凜「たった5年でいいわけ? その程度じゃ、この私を屈服させることなんてできやしないわよ?」

言っていて悲しくなる

とてつもない虚しさを感じる

たった5年しか、聞けないの?

たった5年しか、顔を見ることが出来ないの?

心が寂しそうに聞いてくる

天乃「ふふっ、5年じゃ足らないかな」

夏凜「全然足らないわよ……全然……っ」


あぁ……ダメだ

全然誤魔化せない

ちっとも隠せやしない

私って……こんなにも弱い人間だったっけ……

夏凜「っ……あ、ぁと…あと………」

天乃「……………」

夏凜「っ……あと、10年とか、いや、50年とか……っ」

天乃「……夏凜」

何度も何度も目元を拭って

騙しぬこうと笑みを浮かべて

でもやっぱり――無理だった

夏凜「生きなさいよっ」

天乃「ごめん」

夏凜「謝るなッ」

天乃「ごめん」

夏凜「天乃ッ!」

天乃「ごめんなさい」

天乃の両肩を掴み、激しく揺らしながら怒鳴る

それでも天乃は否定しなかった。冗談だと、笑わなかった

ただごめんなさいと、言い続けた

夏凜「やだ……そんな……そんなの……っ」

天乃「ごめんね……本当にごめんね。久遠家は、貴女に嫌な思いしか、させてあげられなくて」


夏凜「そう思うなら……私が死ぬまで償えっ!」

勝手に死ぬな!

寿命が何だ!

運命が何だ!

自由人だとか、自由奔放だとか言うなら

そんなもの関係ないってへらへらした顔して言いなさいよッ!

なんで

なんで……なんでなのよ……

天乃「ごめんね」

夏凜「っ………」

天乃「痛っ……夏凜……」

肩を掴む力の強さに顔を顰める

けれど、絶対に振り払ったりはせずに受け止めて、自分の身体に痛みを刻む



1、抱きしめる
2、ごめんね
3、春信さんと、ちゃんと……仲良くしてね?
4、どうしようもないなら。受け止めるから……殴るなり、蹴るなりして頂戴
5、私がいなくなっても……貴女にはちゃんと家族がいるから、大丈夫よ

↓2


天乃「夏凜」

夏凜「っ」

天乃「どれだけ罵ってくれても良い。必要なら、貴女の拳だって受け止める」

肩の痛みに耐えながら

ゆっくりと夏凜の背中に腕を回して抱きしめる

ごめんね

本当に、ごめんね

貴女の傍にずっといてあげたいと思ってた

けれど、それは出来ない約束になってしまった

夏凜「そんな必要……ないから」

天乃「夏凜?」

夏凜「…………っ」



あと5年間しか生きることが出来ない

そんなのを受け止めるだなんて無理だ

絶対に嫌だ

認めてなんてやるものか

猛り狂う心をの中の炎を抑え込んで

夏凜は天乃と同じように

肩を掴んでいた手を背中に回して抱きしめ合う

夏凜「残りの5年、幸せじゃなくて……凄い幸せだって言える毎日を送って」

天乃「…………」

夏凜「毎日、あんたの笑顔を見せて、あんたの笑い声を聞かせて」

天乃「……夏凜」

夏凜「本当は生きられるはずだった時間の分……それ以上に幸せなあんたの姿を、私に見せて」

天乃「それが、貴女の願い?」

夏凜「私の希望よ」

そうはっきり言って、笑って見せた夏凜に向かって

天乃は悪戯した時のような満面の笑みを浮かべる

天乃「解った。その希望に……私はなるって約束するわ」

願いではなく、希望

それは三好夏凜がまた1人家族を失ってもなお、笑顔を失ってしまわない為の大切な、宝物

伝う涙を拭い合って

血の繋がりのない深い絆を持つ姉妹は暫く……抱き合っていた

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流有(空気を読めない闖入者? 寿命)
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流有(いちゃいちゃ、きゃっきゃっ)
・  東郷美森:交流有(戦い、過去について)
・  三好夏凜:交流有(寿命、抱きしめる)
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流無()
・     神樹:交流無()


8月の13日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 46(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 42(少し高い)
  結城友奈との絆 100+10(コンプリート)
  東郷三森との絆 47(少し高い)
  三好夏凜との絆 86(物凄く高い)
伊集院沙織との絆 64(かなり高い)

  乃木園子との絆 17(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
      死神との絆 37(少し高い)
      神樹との絆 01(低い)

大赦による久遠天乃警戒レベル:62%
神樹による久遠天乃警戒レベル:17%
神樹に関する調査報告:だんだんと弱くなってきています


√ 8月14目 朝

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、お出かけ(誰かと行く場合は、相手を選択してから)
9、全員でお出かけ(場所選択はこのあとに)

↓2


場所の選択


1、イネス
2、海
3、遊園地
4、学校(部室)



↓2  (連取可能な安価です)


風「珍しいわね、天乃がここに来たいなんて」

東郷「珍しいと言うよりも……初めてでは?」

強引に連れてきたり

仕方がなくここに来なければいけない。というようなことで来たことは多々あれど

そんな強制力もなく

自ら部室に行きたいと言うのは……これが初めてだった

天乃「悪い?」

友奈「そんなことないですっ、嬉しいですよ」

天乃「……そう」

友奈「はいっ!」

天乃が来てくれたことで燥ぐ友奈の明るい声に

夏凜はため息をつく


夏凜「もう少し静かにできないの……?」

樹「無理もないですよ」

夏凜「……そうかもしれないけど」

樹「夏凜さんだって、嬉しいですよね?」

夏凜「っ………ま、まぁまぁね」

樹の純粋な笑顔から目を逸らして

夏凜は照れくさそうに言い捨てる

黒板の行事予定などを書く場所に書かれた部員名

その空欄は、あと一つ

一番端っこに詰めれば、あと二つくらいだろうか

風「天乃」

天乃「なに?」

風「……勇者部に、入る気はない?」

何度目かの正直

風はここ最近は全く言う事のなかった言葉を……口にした



1、あら……私が部員ではないと。いつから勘違いしていたのかしら?
2、良いわよ
3、そうね…… (黒板に名前を書く)
4、嫌よ。放課後は友奈といちゃつくって決めてるんだからっ




↓2


天乃「そうね……」

明確な答えを口にはせず

天乃はチョークを手に取って

三好夏凜と書かれた名前の隣に文字を書き込んでいく

友奈「ぁっ」

夏凜「ふんっ……やっとか」

風「いや、それ言うのあたし……」

夏凜「言ったもん勝ちでしょうが」

風「新入部員の下っ端の癖にーっ!」

夏凜「この前の合宿で惨敗しておきなが――」

樹「お姉ちゃんも夏凜さんも静かにしてっ!」

風「は、はい……」

夏凜「すみませんでした」

騒がしい2人にため息を返し

ただ一人、純粋な瞳を感激に震わせる友奈を見つめて、笑みを浮かべる

天乃「久遠天乃。只今より、勇者部に……入部します」

友奈「ゃ、やったーっ!」

東郷「ふふっ……本当に長かったです。歓迎いたします、久遠先輩」


勇者部に加わった新たな部員

その喜びの声が夏休みの学校で

部活にいそしむ生徒達の掛け声よりも大きく響き渡る

天乃「卒業までほんと数ヵ月しかないし、受験もあってそこまで役立てないかもしれないけれど……」

樹「そ、そんなことないですっ。久遠先輩がいてくれるだけで嬉しいです」

天乃「そっか」

東郷「風先輩だけでは、少しばかり不安な面もあるので、助かります」

風「こら東郷! 聞き捨てならないぞーっ!」

東郷「ふふっ、冗談です」

夏凜「あんた……どことなく、天乃っぽくなってきてるわね……」

わいわいと楽しげな空気があたりを取り巻く中で

天乃と友奈だけは台風の目にいるかのような静けさを保っていた

友奈「大歓迎します」

天乃「ありがと」

友奈「私こそ……ありがとうございます。とても、嬉しいです」


天乃「何泣きそうになってるのよ……」

友奈「だって」

ずっと願ってた

ずっと夢だった

仲良くなりたいと思い始めてから

いつかは勇者部で一緒になって

部活や、帰り道のかめや、週末だって……

そう、色々と楽しいことをしたかった

友奈「殆ど先にやっちゃったけど、部活だけは入って貰えてなくて」

天乃「うん」

友奈「だから、私……凄く嬉しくて」

願った全てが叶っていく

望んだものが次々と………あぁ、でも

何もかもでは、ないんだよね……

天乃「まったく」



1、抱きしめる
2、頭を撫でてあげる
3、涙を拭ってあげる
4、私も凄く嬉しいわ


↓2


天乃「それなら……」

友奈「っ」

友奈の目元を拭って

天乃はにこっと優しい笑みを浮かべる

天乃「泣いていないで笑うのよ」

友奈「はい……っ」

嬉しさからこみあげてくる感激の涙を抑え込んで

友奈はいつもの可愛らしさではなく

どこか美しさのある笑顔を浮かべる

天乃「っ………」

こ、これが泣きながらの笑顔……?

ちょっと

いや、結構……

よこしまな考えを頭を振って吹き飛ばすと

天乃は頷く

友奈「ようこそ! 讃州中学――勇者部へ!」


√ 8月14目 昼

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

犬吠埼風から提案があります:選択肢8

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、風の提案に乗る
9、全員でお出かけ(場所選択はこのあとに)

↓2


風「さーって!」

ぱんぱんっと手を叩いた風は

自分に注目するように声を張り上げる

風「時は来たれり! 歓迎会を兼ねてうどんを食べに行くぞーっ!」

夏凜「あんたが食べたいだけでしょうが」

風「そんなことな」

ぐ~っと言うまでもない特定の誰かのお腹が鳴って

部室が静まり返ると

その誰か埼先輩の乾いた笑い声が漏れる

樹「もうっ、お姉ちゃんったら」

友奈「天乃先輩もおうどんでいいですか?」

東郷「辛いものや、中華料理の方がよろしければ、そちらでも……」

天乃「ううん。お任せしちゃうわ」

麻婆ぅ丼というものもあるのだから

別に中華料理にこだわる必要性はないのである

夏凜「それじゃぁ、行」

風「勇者部ーっ! しゅっつどーう!」


「おや、久しぶりに全員で来たかと思えば……新入部員さんかい?」

天乃「はい、新しく勇者部に入りました。久遠です」

「ふふっ、礼儀正しくていい子だねぇ……注文が決まったら呼んでおくれ」

天乃「ありがとうございます」

常連客である勇者部と特に親しい店員さんが去っていくと

天乃はふっと息を吐く

風「こ、これは化け猫の類か何か……?」

夏凜「それを言うなら猫かぶりじゃない?」

天乃「……ふふっ、トラ被りでも良いのよ?」

楽しげな3人を横目に

比較的おとなしい樹達は周りを気にして苦笑する

友奈「天乃先輩はちゃんとしてて優しくて良い人なのに」

樹「お姉ちゃん達もそれを解ってて言ってるんだと思いますよ」

東郷「いつも散々からかわれているから……やり返したいのね。きっと」


夏凜「注文決めたの?」

風「いつもの」

樹「私もいつもので」

東郷「私もいつものです」

通いなれている風達は

注文を見る事すらなく、そう言ってメニュー表を天乃へと渡す

天乃「……いろいろあるのね」

友奈「全部美味しいですよ」

天乃「そっか……」



1、麻婆うどん
2、友奈のおすすめ(肉うどん)
3、天ぷらうどん
4、友奈と一緒に、カップルゥどんを頼む



↓2


天乃「友奈、カップルゥどんとかいうのが食べてみたいわ」

友奈「えっ?」

風「いやいや、そんなの……」


【カップルゥどん】

2人前のうどんをたった一本に収めたうどん
両端から二人で食べ進めて、切れることなくキ……食べ終えることが出来たら
きっと2人は別れることなく永遠に愛し合えるでしょう


風「こらぁッ!」

樹「お、お姉ちゃん……」

風「色々と不味いでしょ!」

夏凜「今に始まった事じゃないし」

風「なんでそこで諦めるんだ! 諦めたらそこで試合は」


ぴんぽーん


東郷「試合終了の笛が鳴ってしまいましたね」

風「場所を考えろと……あれほど……」


カップルゥどんを頼んだよっ


天乃「あら……長い」

友奈「それに結構太いですね」

2人前を1本の凝縮したうどんは

長すぎることもなく、太すぎることもないよう緻密な計算の上で作られた

しかし、カップルというだけあって

どちらかと言えば高校生や、大学生や大人

それも女子女子ではなく男女の交際している人向けの為

天乃達には少し……大きかった

天乃「でも、食べ切れば永遠に愛し合えるらしいわよ?」

友奈「食べきれなくても永遠ですっ」

天乃「ふふっ、そうね」

色々な意味で熱い2人のすぐ近くで

頭を抱える風は、息をつく

風「なんとかして……」

夏凜「こんなの、日常茶飯事でしょうが、いい加減耐性つけなさいよ」

風「だってぇ……一度はこういう甘々なことしてみたくなっちゃうじゃない……」

夏凜「いつかできんじゃないの? まぁ……約束はしないけど」


01~10 食べれたよ
11~20 無理だったよ
21~30 食べれたよ
31~40 無理だったよ
41~50 食べれたよ
51~60 無理だったよ
61~70 食べれたよ
71~80 無理だったよ
81~90 食べれたよ
91~00 無理だったよ

↓1のコンマ 


ぞろ目で ほらやっぱり、キスしたよ 


それじゃ、と

2人で両端を箸でつまんで口に含む

噛みちぎってしまうことがないように

歯ではなく唇で優しく咥えて、視線を交える

天乃「ん」

友奈「ん」

軽く頷いてズルズルッと少し啜る

器の中のうどんはまだまだとぐろを巻いていて

終わりはまだまだ見えそうにない

天乃「ふっ………んっ」

友奈「っ、んんっ……」

それなりに熱さを抑えているとはいえ

唇に感じる汁の熱さに、思わず変な声が漏れる

冷やしにすればいいとは言うが

そもそもこのメニューに冷やしはない

これは

熱さという試練があってこそで、冷やしは甘えでしかないのである


天乃「んんっ、くっ……」

友奈「っ、んむっ……」

長いだけでなく、

太さもあるせいで口の中は瞬く間に一杯になり

友奈と天乃は啜るのを止めて、一息入れる

あとわずかでも啜れば耐えきれなくなって吐きそうだった

天乃「ぅ?」

友奈「ん」

言葉を交わしたりは出来ない為

その小さな声で意思疎通して頷くと

唇で咥えながらゆっくりと咀嚼していく

口からうどんを垂らしあって、見つめあいながら

ごくっと何度も喉を鳴らして口腔に会ったうどんを胃に収める

それを何度も何度も繰り返して

友奈と天乃は……成し遂げた


夏凜「や、やるわねあんたら……」

天乃「まぁね」

口元の汁をペーパーで拭って

天乃は当たり前でしょ? と笑みを浮かべる

流石に出来ないだろうと思っていた周りの客や店員も

成功するや否や、感嘆の声を漏らして拍手が響き渡る

風「うぅぅ……」

樹「お、お姉ちゃん大丈夫? まだ1杯も食べ終わってないよ……?」

風「お腹いっぱい。胃じゃなくて、お腹が」

樹「頑張ってお姉ちゃんっ。せめて一杯くらいは食べなきゃこの先生きていけないよっ!」

風「頑張る……」

天乃達が食べ終わった一方で

風は色々な意味で追い詰められて

たった1杯の為に、通常の何倍もの時間がかかった


√ 8月14目 夕

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
9、夕方だよ。海に行こう
0、イネスの屋上

↓2


※1~7は交流・イベントの場所の選択があります


陽も傾いた夕方

勇者部は海に来ていた

もちろん、これから泳ぐなんて言う危ないことはしない

友奈「冷たいっ」

天乃「そう?」

砂浜に流れては引いていく波に

靴を脱いだ友奈と天乃が足を浸す

天乃「気持ち――きゃあっ!?」

ぐいっと後ろ首が引かれた瞬間

冷水が背筋に降り注ぎ

天乃は耐えきれずに悲鳴を上げ、すぐさま背後の人物を睨む

天乃「っ……く……風ッ!」

風「場所を考えろって、言ったのにあんなことした罰よー?」

天乃「っ……」


1、風に仕返しを決行する
2、服がぬれたことで泣く
3、放置して友奈と戯れる
4、自作の釣具で無謀な釣りをしようとしている夏凜と交流する
5、黄昏ている樹・東郷ペアに近づく
6、全員で、夕日を眺める


↓2


天乃「ったく……」

確かに

場所をわきまえなかったのは自分達

と言うより、自分だ

カップルぅどんとかいう未知の名前に引かれたとはいえ

少しばかり、度が過ぎていただろうか

友奈「天乃先輩、風先輩、見てくださいっ」

風「え?」

天乃「あら……風、見なさい。貴女の意地悪な心を清浄化してくれるわよ」

風「天乃が言うか……でも、まぁ」

綺麗よね……と

風の小さな声が漏れる

友奈や風、天乃そこから少し離れていた樹と東郷も

水平線の向こう側へと消えていこうとしているオレンジの光を眺める

引いては押されての波の音が

自然のBGMとして

その瞬間をより幻想的に、美しい時間へと変えていった


天乃「……これが見たかったのよ」

風「邪魔なら退散するけど?」

天乃「ううん、友奈と。じゃなくて、みんなで。だから」

風「……そっか」

一度は身を引こうとした風も

じっと太陽を見続ける天乃の横顔に思いを寄せて、薄く笑みを浮かべると

またオレンジの光へと向き直る

風「…………」

天乃「……………」

喧嘩したり、悪戯し合ったり

色々とあったけれど

でも、どれもこれも嫌な思い出ではなくて……

風「………っ」

ハッとした風は

天乃の手を握ってしまいそうだった手を抑えて目を瞑り

いつか天乃も同じように見えなくなってしまう……なんて考えを持つ頭を振ると

天乃をちらっと見て

風「ありがと……良い思い出が、また一つ増えた」

そう言った


天乃「……なによ、急に」

風「なんか言いたくなっただけ」

天乃「そう」

生意気だと思うことが多々あるし

悪戯が好き過ぎて

少し呆れることも沢山ある

でもやっぱり

それでもやっぱり

久遠天乃と言う存在は掛け替えなくて、尊い

天乃「私も感謝してるわ」

風「ありがと」

天乃「うん」

風「……今日の夕飯は、中華で決まり」

天乃「貴女も手伝いなさいよ? 言ったなら」

風「えーっ、天乃の手料理が良い」

天乃「煽てたって調子には乗らないわよ? まったく」

思えば思うほど

誤魔化せば誤魔化すほど

隠せば隠すほど

失いたくないと言う思いは――膨れ上がっていくのだった


√ 8月14目 夜

結城友奈が交流を求めています
東郷美森が交流を求めています
三好夏凜が交流を求めています
犬吠埼樹が交流を求めています
犬吠埼風が交流を求めています

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、全員で、布団をくっつけて寝よう

↓2


夏凜「なんか、不思議な感じ」

東郷「そうね……なんでだか、みんなで一緒にいたくて仕方がなかった」

風「確かに」

朝に始まり、夜もいつもは離れている布団を横一列ではなく

3人ずつの二列でくっつけて寝ようとしていた

樹「今日はみんなで一緒にいたいって、思ってました」

友奈「私も」

天乃「……そうね、私も。かしら」

いつもなら友奈といちゃついたり、風や夏凜をからかったりしているだけだった

でも

今日はみんなで一緒にいる方が良いと、思っていた

風「じゃぁ、寝る前に……何かする? あ、恋愛系は厳禁で」

樹「お姉ちゃんがあの話を封印した!?」

東郷「荒れますよ。今夜は確実に」

友奈「それは大げさじゃないかな……多分」


1、トランプ
2、怖い話
3、王様ゲーム(罰ゲームは資料から適当に引用します)
4、まくら投げ
5、夢を語り合う
6、戦いが終わったら、したいこと


↓2


単体、連取なので
王様ゲームで戦いが終わったらしたいことを言う。というフラグ乱立するべきでしょうか


少し中断します
再開は約1時間後の20時30か、20時を予定しています


王様ゲーム簡単ルール

王様一人をコンマで決める。

その際、6人分の判定をし、コンマが一番高い人が王様となる

残り5人はコンマ一桁を使い、その人の数字を決める

1~5を利用するため 6=1 7=2 8=3 9=4 0=5 とする
もしも数字が被った場合は、二番手のキャラが空いた数字になる

また、命令を受ける人は王様のコンマの人となる
その際、同じ数字になってしまう場合は、一桁目に+1する

罰ゲームは
二桁目の人が、一桁目の人にする。という形


例:

風:91
樹:75
天:64
夏:58
東:90
友:18

一番高いのは風なので、風が王様
罰ゲームを受けるのは9=4番と、1番で、4番が1番に実行する

各数字は

樹=5 天乃=4 夏凜=3 東郷=1 友奈=4=2となる

つまり、天乃が東郷にほにゃらら。となる

もし、王様が33などのぞろめや38などの場合
33=34 38=39
このように、一桁目に1足して対象を変えます



では、再開します


風「じゃぁ、誰も意見がないと言う事で、王様ゲームをやるわよー!」

天乃「はぁ?」

夏凜「なにそれ」

東郷「王様を決めて、命令をする。というようなものだったと思うわ」

知らなかったり、やる気が無かったり

歓声も賛成もないことに寂しそうな表情を浮かべる姉を見つめて

樹は困ったように笑って息を吐く

樹「わ、わぁーっ、楽しみだなぁ。やってみたい!」

友奈「面白そうかも」

風「そうでしょそうでしょ! 罰ゲームはこっちで健全なの作っといたから」

天乃「なんでそこで私を見るのよ」

風「王様にはくじを引いて決めて貰うわ」

東郷「やりたかったんですね……風先輩」

風「それじゃ、王様だーれだ!」


天乃↓1  風↓2  友奈↓3

東郷↓4  樹↓5  夏凜↓6


王様:友奈

命令実行:8=3(夏凜)
命令受け:4(東郷)


命令文


01~10 手を繋ぐ
11~20 頬キス
21~30 ポッキーゲーム
31~40 デコピン
41~50 頭なでなで
51~60 壁ドン
61~70 抱きしめる
71~80 お姫様抱っこ
81~90 一桁目(東郷)は語尾に「にゃん」を、二桁め(夏凜)は語尾に「にぼ」を
91~00 戦いが終わったら、したいこと(全員)

↓1のコンマ  


友奈「あっ、私だ」

風「友奈かぁ……でも、命令は友奈だからと言って優しくはないからね?」

天乃「変なのだったら承知しないわよ?」

風「そこまで変なのは入れてないって」

天乃の威嚇に風が怯む中

友奈はドキドキしながら、クジ入りの箱を見つめる

友奈が見た王様ゲームは

少女漫画であってもキスだのなんだのがあったし

諸事情で見た検閲対象になりかねないものでは

天乃が誰かとやるのなんて絶対に見たくないものとかがあった

夏凜「友奈、早く引きなさいよ」

友奈「う、うん……」

風先輩だし、そんなのはないよね?

そんな信頼を胸に、友奈は勢いよくくじを引く

【3番】 が 【4番】 と 【手を繋ぐ】

予想以上に普通な内容に

友奈は思わず……大きな安堵のため息をついた


風「3番4番だれー?」

東郷「私が4番です」

夏凜「3は私よ」

普通な内容と言う事もあって簡単に名乗り出た2人

けれど、普段そんなことはしないと言うのもあって

気恥ずかしいものがあるのだろう

中々手を繋ごうとはしなかった

東郷「えっと、夏凜ちゃん」

夏凜「な、なによ東郷」

東郷「その、右手と左手……どっちで繋ぐ?」

夏凜「そんなの東郷がやりやすい方でいいわよ」

東郷「そ、そう……」

樹と場所を変わって貰ったため

東郷からすれば右手が有難い

手を掴むのを躊躇って、未知なる何かに怯えながらも触れようとする犬猫のような東郷の仕草に

夏凜はため息をついて、ぐっと掴む

東郷「っ」

夏凜「お、遅いのよ。あんたはいつも」

東郷「ごめんなさい……ありがとう、夏凜ちゃん」


暫く見つめ合っていた二人は

ハッとして照れくさそうに目を逸らす

風「……………」

天乃「……風、次次」

風「えっ、あぁ、そう、そうね! 2人は次の罰ゲーム終了までそのままってことで」

初々しい恋人を取り巻く空気を吹き飛ばすように

風はわざとらしく声を張り上げる

えっ、なに? 東郷と夏凜ってそんな関係だったの?

いや、そんなはず

けど、友奈と天乃を思う二人が慰め合うために……

風「っ、次の王様だーれだ!」

そんなのないでしょ……たぶん

というか、全く感じさせなかったし

そういうことしないから照れただけ……よね?

戸惑いながらも、風はゲームを進めた


天乃↓1  風↓2  友奈↓3

樹↓4  東郷↓5  夏凜↓6


※ゲームは3ゲームなので、これ含めてあと2回

王様:天乃

命令実行:8=3(風)
命令受け:4(夏凜)


命令文


01~10 手を繋ぐ
11~20 頬キス
21~30 ポッキーゲーム
31~40 デコピン
41~50 頭なでなで
51~60 壁ドン
61~70 抱きしめる
71~80 お姫様抱っこ
81~90 一桁目(夏凜)は語尾に「にゃん」を、二桁め(風)は語尾に「にぼ」を
91~00 戦いが終わったら、したいこと(全員)

↓1のコンマ  


天乃「ということで、私が王様」

夏凜「これほどまでに、命令がくじで良かったって思う王様はいないわ」

東郷「そうかしら」

夏凜「どういうことよ」

東郷「久遠先輩なら、友奈ちゃんがおかしなことしないで済むように、絶対に無難な命令にするわ」

夏凜「っ!」

夏凜はキッと風を睨みつけてから

くじの箱を見つめる

確かにそうかもしれない

天乃なら。天乃が命令を考えるのなら

友奈の為を思って無難かつ簡単なものにしていた……が

これはかの勇者部部長の考えた命令

よって、天乃のような優しさはきっとない

夏凜「とはいえ、私がまた罰ゲームになるとは限らな――」


【3番】 が 【4番】 と 【手を繋ぐ】


夏凜「ああああああぁぁぁぁぁッ!」  ←4番


現実は常に、非情なのである


夏凜「なんで!?」

天乃「さ、さぁ? 命令文はこれ多分友奈が引いたやつだろうなって感じで引いたけど……」

命令を受ける番号に関しても

実のところくじ引きで決められているため

ランダム性はかなり高いはずなのだ

にも関わらず、夏凜は命令を受けることになってしまった

風「3番はあたしか……」

東郷「じゃ、じゃぁ私が」

友奈「ううん、私と夏凜ちゃんが変わるよ」

夏凜「 よ ろ し く ! 」

風「痛ッ! こんのッ!」

手を握る

優しいはずのその行為は

風と夏凜には握りしめ合う攻撃の手段と化していた


天乃「何やってんのよ」

樹「あはは……お姉ちゃんがごめんなさい」

天乃「これに関しては夏凜じゃないかしら……」

バチバチッと火花が飛び散り

ギリギリっと噛み締める歯軋りが聞こえてきそうな隣を一瞥して

天乃は大きくため息をつく

東郷「…………」

友奈「どうかしたの? 東郷さん」

東郷「夏凜ちゃんの手……どこか懐かしい感じがしたなって思って」

そんなことはないはずなのにね。と

東郷は困ったように笑う

天乃「手を繋ぐだけだからね、そう言うこともあるわよ」

いつかどこかで、

夏凜と似た手の持ち主と、繋いだことが……ね




天乃↓1  風↓2  夏凜↓3

樹↓4  東郷↓5  友奈↓6


※ゲームは3ゲームなので、これで最後です

王様:樹

命令実行:7=2(風)
命令受け:9=4(夏凜)


命令文


01~10 手を繋ぐ
11~20 頬キス
21~30 ポッキーゲーム
31~40 デコピン
41~50 頭なでなで
51~60 壁ドン
61~70 抱きしめる
71~80 お姫様抱っこ
81~90 一桁目(夏凜)は語尾に「にゃん」を、二桁め(風)は語尾に「にぼ」を
91~00 戦いが終わったら、したいこと(全員)

↓1のコンマ  


※天乃が6=1で、風が1=1で二番手なのでこの図です


樹「えっと私が――」

風「樹、命令文は!?」

夏凜「何なの!?」

樹「ひっ」

2人の気迫に押されて

樹は俊敏な動きでくじの箱の中から命令文を抜き出すと

2人に見せつけるようにして、広げる


【2番】 が 【4番】 に 【壁ドン】


夏凜「んなっ、私4……これしく」

その言葉が終わるよりも早く、

ドンッ! と壊しそうな強さで、夏凜の真横の壁に手をつく

夏凜「まさか……」

風「……いい加減、そういう態度止めなさいよ」

やったのは、風だった


夏凜「あんた、仕組んだでしょ」

風「何言ってるのか解らないわね」

夏凜「風――」

ピッと

目にも止まらない速さで夏凜の唇に人差し指を押し当てて

風は何も言わずに首を振る

風「仕組んでない」

夏凜「…………」

風「あたしと夏凜の為に、神樹様がお膳立てしてくれただけ……つまり、これは運命よ」

唇に当てていた人差し指を

夏凜の下あごに当てて……くいっと持ち上げると

風はぐっと顔を近づける

夏凜「っ………」

近い……なんなの……なんで

風の奴……本気なの……?


夏凜「こ、ここまでする命令じゃない……っ」

風「だから?」

夏凜「だ、だからって……つまり、その、もう止めろって……ことよ」

風「あたしは止めない。嫌なら突き飛ばしなさい」

出来るなら……だけどね? と

近づいてくる風の言葉に

夏凜がごくりと喉を鳴らして目を逸らす

止めて欲しい

けれど、突き飛ばすなんて言うことは冗談にならないような気がして、出来なかった

夏凜「ふ、風」

風「ん?」

夏凜「離れて」

ただ一言

真剣なまなざし、切れ味のある言葉

受けた風は一瞬だけ目を見開いて、くすっと笑う

風「解ってるって、じょーだんよ」


そして、王様ゲームは終わりを迎えた



就寝時間となります

最期に、言いたいことは……ありますか?



1、みんな、ありがとう。頑張りましょう
2、みんな、ありがとう……私は幸せよ
3、やりたいこと、やりつくしたって感じですっきりしたわ



4、そんなものは、ない


↓2


死神「………………」

天乃「………………」

真っ暗な部屋の中

仰向けで眠る天乃の目の前に、赤い瞳が浮かぶ

死神「………………」

それは何も言うことなく

そして、少女もまた何も言うことなく

いつもと特別な一日を過ごしてきた少女達は眠る

死神「………………」

これは世界の為の戦いではなく

少女たちの、少女たちによる、少女たちの為の戦い

求めるは勝利

願うは生存

故に――


……ピコン


         【勝ち取りましょう。私達の未来を】


1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流有(入部、海、夕日、一緒に寝る)
・  犬吠埼樹:交流有(入部、海、夕日、一緒に寝る)
・  結城友奈:交流有(入部、カップルゥどん、海、夕日、一緒に寝る)
・  東郷美森:交流有(入部、海、夕日、一緒に寝る)
・  三好夏凜:交流有(入部、海、夕日、一緒に寝る)
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流無()
・     神樹:交流無()


8月の14日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 50(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 46(少し高い)
  結城友奈との絆 100+15(コンプリート)
  東郷三森との絆 51(少し高い)
  三好夏凜との絆 90(物凄く高い)
伊集院沙織との絆 64(かなり高い)

  乃木園子との絆 17(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
      死神との絆 37(少し高い)
      神樹との絆 01(低い)

大赦による久遠天乃警戒レベル:62%
神樹による久遠天乃警戒レベル:17%
神樹に関する調査報告:だんだんと弱くなってきています


では、キリがいいので少し早いですがここまでとさせて頂きます

戦闘無しでエピローグか
戦闘を描いて、戦闘終了させて、エピローグ

このどちらかになるかと思います
余りにもぶつ切りになってしまいそうな場合は無しで薦めるかもしれません


……初エッチ書いてエピローグ


では、再開しようかと思います

戦闘はざっくりになってしまうかもしれません


9月某日


天乃「……来ちゃったか」

見慣れた校舎から視界は一新されて

カラフルな木の根、樹海の中へと切り替わる

毒々しい世界の最果て

蠢く軍勢が枝葉を踏み鳴らして恐怖を演出するように、近づく

風「っ」

友奈「ついに、なんですね」

樹「頑張らなきゃ……」

夏凜「……失敗は出来ない」

東郷「っ…………」

恐怖を感じないなんて無理だ

不安を覚えないなんて不可能だ

緊張しないことなんてできるはずがない

でも

天乃「なんだ……たった12体じゃない」

久遠天乃は、にやりと笑う


夏凜「たった12体ってあんた」

天乃「星座がいくつあるか知ってる? 88よ? 88」

東郷「そうかもしれませんが……」

天乃「そう考えれば12体なんてほんの7分の1程度。私達に対してたった2倍」

余りにも、無謀じゃないか

余りにも、見下されているじゃないか

一人が一人だと誰が決めた?

死神「ワタシタチモ、イル、ヨ」

死神、牛鬼、犬神、木霊、刑部狸、青坊主、不知火

そして義輝と……ガシャドクロ

天乃「貴女達を含めたりなんかしちゃったら圧倒的じゃない……私達は」

友奈「……そう、ですね」

天乃「そう。だから。そんな不安な顔はしなくていいのよ」

右も

左も

前も

後も

全ての場所に

天乃「仲間がいるんだから」


天乃のその言葉を皮切りに

三好夏凜が東郷美森へと目を向ける

夏凜「……東郷」

東郷「なに?」

夏凜「私は東郷の腕を信じてる。だから」

東郷「私は夏凜ちゃんを信じて、敵を撃て、と?」

三好夏凜は答えない

ただ、頷いて応える

東郷「解ったわ」

夏凜の見せる背に言葉を乗せて

東郷は名を失いし銃をその手に握る

東郷「……私は今度こそ。護るわ」

夏凜「任せたッ!」

そう言い放つや否や

電光石火のごとく、三好夏凜は樹海を駆け抜ける

東郷「貴女の力を貸して……三ノ輪さん。ううん、シロガネ」

かつて親友だと聞かされた亡き勇者の名をその身に受け

その銃口はギラリと光る

東郷「――我、砲撃ヲ開始ス!」

その第一撃が、軍勢の先端、乙女座の尾を撃ち抜いた


風「樹……」

樹「大丈夫だよ」

風「けど」

樹「私はもう、お姉ちゃんの後ろは歩かない」

陰に隠れて震えているだけなんてしない

怖いこと、嫌な事

それが無くなったわけではないけれど

それでも

樹「私はお姉ちゃんと一緒に歩いていくって決めたんだ」

風「……そっか」

樹「だから行こう。お姉ちゃん」

風「妹がそう言うのなら……お姉ちゃんはもっともっと頑張って見せないとだよね」

守る為の盾であり

守る為の剣であるその大剣を肩に乗せて、犬吠埼風は前を見つめる

風「遅れたりしても、アタシはもう待たないわよ」

樹「うん、大丈夫だよ。お姉ちゃん」


紅き勇者が駆け、蒼き勇者が撃つ

姉妹の勇者が道を斬り拓いていく

友奈「天乃先輩」

天乃「うん?」

友奈「約束……覚えてますよね?」

天乃「ええ」

場に不釣り合いな照れくさそうな表情の友奈は

天乃が頷くとより頬を染めて、頭を振る

友奈「私、約束を破ったりはしません」

天乃「そうね」

友奈「だから……天乃先輩も絶対、約束を守ってください」

天乃「もちろんよ。だってそうしなきゃ……」

そっと友奈の耳元に顔を近づけて

天乃「貴女とえっちなこと……出来ないじゃない」

そう囁く

友奈「っ」

天乃「私達の楽しい時間を邪魔しようとする悪い子達は、オシオキしちゃいましょ」

友奈「天乃先輩は、意地悪です」

天乃「自覚してる」


戦いを眼の前にして、戦いをそっちのけにする

そんな二人のすぐ近くに、日本刀が突き刺さった

夏凜「遊ぶな!」

天乃「あらっ、怖い」

友奈「天乃先輩がふざけるからです」

天乃「乗ってくれたくせに」

友奈「……恋人ですから」

戦う事の恐怖、不安、緊張を振り払う

いつも通りでいいのだ

何も特別な事なんて必要ない

天乃「行くわよ」

友奈「はいっ!」

そして、6人の少女たちの戦いが――始まった


夏凜「っ!」

乙女座のしっぽの先から出てくる種のような爆発物

いくつかは東郷が確実に破壊するが

それでもすべて壊せているわけではない

夏凜「はぁぁぁぁぁッ!」

一つ目を切り裂き、

爆風を利用して素早く身を翻し、3つ目を切り払う

夏凜「キリがな――」

種の爆煙を貫いて、蠍座の尾が迫る

夏凜「くっ」

振り切った隙を狙ったそれを回避する余裕はなく

無理に体を動かそうとしたせいか、あろうことか体がよろめく

このままでも、精霊のガードがある……っ

痛いだろう、苦しいだろう

でも、死にはしない

夏凜「っ―――?」

だから。と、衝撃を覚悟した夏凜の目の前で

どこからともなく飛来した弾丸が、鋭い針を弾き飛ばす


夏凜が振り返ると

肉眼では見ることが出来ないようなはるか後方で

何かがキラッと光る

夏凜「……東郷」

あんたは最高のスナイパーよ

向こうが確認できるかも解らずに

夏凜はくすっと笑って刀を握る手に力を込める

夏凜「振り返るな。立ち止まるな。突き進め……って、ことか!」

弾かれてもなお

夏凜を狙おうとする針を確認し

サイドステップを踏んで躱して跳躍

待っていたと言わんばかりの槍の弾幕は風の大剣が薙ぎ払う

風「行け!」

夏凜「うおぉぉぉッ!」

雄叫びと共に、三好夏凜の刃が乙女座の体を引き裂く


友奈「天乃先輩!」

天乃「解ってる!」

降り注ぐ矢

触れるだけで大怪我では済まない雨を掻い潜り

魚座の巨躯を蹴り飛ばし、足場にして

天乃「下がって!」

側面から乙女座の体の拳を叩きこんで、四散させる

久遠天乃だけが持つ

回復を阻害する力だからこそできるその強引な一撃に

軍勢は心なしか後退りしたように見えた

夏凜「くそっ……」

樹「夏凜さん、大丈夫ですか?」

夏凜「別に怪我とかあるわけじゃないけど……」

言いながら

夏凜は手に持っていた刀を力一杯に振るう

その瞬間、刃が粉々に砕け散った


友奈「か、夏凜ちゃん!?」

夏凜「たった一体倒すだけでこのありさまなのよ」

前衛を務める夏凜は

攻撃を受けない為に躱しているし

その援護として風や樹、東郷の手も借りている

それでも防ぎきれないときには武器を用いて防いでいるものの

それにも限界があった

夏凜「替えが利くとはいえ、連続されたら出す前に潰されるかも」

天乃「そうならないように、私がもっと前に出る」

夏凜「できるの?」

天乃「舐めないでよね……私がこの中で一番強いんだから」

夏凜「まぁ、否定はしないけど」

樹「無茶はしないで下さいね?」


天乃「そこはツッコミどころだったんだけどね」

困ったように苦笑すると

天乃は解ってるからと言って手を叩く

自負するつもりはないし

模擬戦を行ったのなんかは夏凜と友奈くらいで

誰が一番強いのかなんて解りはしない

けれど、それでも

この場で注目の的になれるのは自分しかいないと、天乃は思っていた

天乃「私は素手だから壊れないし、小回りも利くし。異論はない?」

友奈「それなら私も……」

天乃「友奈は夏凜達と一緒にバーテックスを撃退して。ターゲットが分散するのは危険だから」

友奈「……解りました」


1つずつ、確実に

そんな作戦を決めた友奈達は、ある違和感に気づいた

天乃「そう言えば……」

攻撃が全く来ない

勇者が全員集まっているのだ

僅かに後退したとはいえ、攻撃する素振りどころか

近づいてくる音さえしないのは、明らかにおかしかった

プルルルッ

天乃の端末が鳴り響き

出るや否や、東郷の声が噴出し、思わず落としそうになって顔を顰める

天乃「どうしたのよ」

東郷『今すぐ退いてください! なにかが……』

天乃「なにかって……」

暗い部屋の電気がついたかのように

夜が明け、太陽が姿を現したかのように

世界がパッと明るくなる

風「うっそ……」

樹「太陽……?」

巨大な太陽のような塊が、バーテックスによって作り出されていた


端末を確認してみても

その存在は以前の天乃のように詳細不明としかならない

けれど、あれは複数個体の集合体

あるいは、あれが一つのバーテックスであることは確実

天乃「……うーん」

友奈「天乃先輩?」

天乃「まとまってくれたのなら、話が速い」

乙女座を抜いた11体がたった1体になってくれたのだ

大きさや熱量、質量、その破壊力、その浸食率

それらが桁違いに上がっているとはいえ、これさえ倒せば終われると考えればまだ楽だ

けれど

友奈「これを倒せば――」

その考えをあざ笑うかのように

ヒュンッ……と

旋風が駆け抜けて

気づけば、天乃の近くにいた勇者は4人になっていて

どこか遠くで、爆発音が響く


夏凜「え?」

友奈「今の……」

何が起こったのか理解できない面々

樹「ぁ……あ……」

自分の真横にいた存在が一瞬で消え

爆発音が響いたと言う理解しがたい流れに、唖然とする少女

天乃「……風?」

その場にいたはずの名前を呼ぶ

返事はない

天乃「ッ!」

次の瞬間

理解する間もなく天乃は総毛立ち

目を見開き、確認すらせずに口を開く

天乃「全員散れッ!」

全員がびくつき、慌てて離れたその場所で

僅か数秒も経たずに紅い光が瞬いて、爆発を起こした


友奈「天乃先輩っ!」

天乃「くっ……」

何もない場所で爆発が起きているのではなく

あの巨大な球体から何かが飛び出している

それは見えた

それは解った

けれど、だからどうした……

天乃「っ」

樹「お姉ちゃん! お姉ちゃんっ!」

後方から樹の悲痛な叫び声が響く

あの速さでの衝突に加えて、爆発

精霊のバリアがあったところでほとんど無意味と言っても過言ではない

天乃「まずい……本当に、まずいッ」

球体の攻撃速度、攻撃量は馬鹿に出来ないほど早い

死のピッチングマシンを目の前にして、天乃は唇を噛み締める

東郷『私と夏凜ちゃんで道を作ります』

天乃「……え?」

手にした端末から

覚悟を決めた少女の声が……響いた


では、ここまでとさせて頂きます


明日で戦闘は終わる……予定ですが、未定です


では、再開します


天乃「何言ってるのよ、あれは」

東郷『久遠先輩が言ったんですよ? どんな相手にだって諦めずに……と』

天乃「けれど……」

敵の強さは予想をはるかに上回っていて

数の戦いですらなくなってしまっている

夏凜「東郷の策、私は乗るわよ」

天乃「夏凜!」

夏凜「あいつの核は私達で傷をつけることは出来ない。でも、あんた達ならきっとできる」

だから

出来る限りの事は100%

いや、120%全力でやるのよ。と夏凜は両の手に力を込めて頷く

東郷『夏凜ちゃん。危険なことを任せてごめんね? 全力でサポートするから』

夏凜「任せておきなさい、完成に至ることのできたこの私の力、存分に見せしめてやるわ」

天乃「っ…………」


友奈「夏凜ちゃん、東郷さん」

夏凜「ん?」

東郷『どうかしたの?』

友奈「……2人の事、信じて進む。それでいいんだよね?」

夏凜「ええ、そうじゃなくちゃ――ダメなのよッ!」

迫りくる獄炎の弾を切り払い、夏凜は叫ぶ

東郷『どんなことがあったって、何があったって……私達は立ち止まらない』

夏凜「目を背けたりしない、逃げたりしないで」

風「全力で立ち向かう!」

天乃「風!」

天乃の叫びに弱弱しい笑みを返すと

風は太陽のような塊を睨んで続ける

風「その意志を、そのために得た力を……あいつに叩き込んでやるのよ。友奈、天乃」

樹に支えられるようにしながらゆっくりと合流してきた風

その体は酷くボロボロで

口元には血を拭ったような跡が残っていた


夏凜「あんたは休んでなさいよ」

風「いや、アタシもやる……まだやれる」

天乃「けど……」

精霊のバリアがあっても

恐らくは吐血するほどの衝撃が体に伝わったはず

そうでないにしても

ボロボロの体は満身創痍と言っても過言ではなかった

樹「お姉ちゃん、無理はしないで」

風「解ってるって……大丈夫。犬神がちゃんと守ってくれたから」

東郷『風先輩と樹ちゃんも久遠先輩と友奈ちゃんを送り届ける為に……お願いします』

樹「解りました」

風「了解!」

誰も聞いてくれない

無茶しないでって、無理しないでって

怪我するし、それだけで済まないかもしれないのに……


友奈「天乃先輩の満開があれば、確かに。あの敵は倒せます」

天乃「……………」

友奈「でも、それじゃ今までと何も変わらないんです」

本当は進みたくない

今を永遠のものにしたい

そう思う気持ちがないと言えばウソになってしまう

だって

勝ち得た未来には大切なものを失う定めがある

でも、それでも進むと友奈は決めた

友奈「例え苦しい未来が待っているとしても、天乃先輩達と生きる未来を切り捨てたりなんてしたくない」

ほんの数年であるとしても

それは大切で、貴重な時間で、思い出だから

だから

ここで諦めたりしてすべてを失うなんてことは絶対にしたくなかった

友奈「行きましょう、天乃先輩」

天乃「………………」

友奈「私達の力で……私達の未来を掴むために」


天乃「……全員で生き残る。それを、忘れていないのなら」

東郷『当然です』

樹「もちろんです」

風「当たり前でしょ」

夏凜「何度も言わせんな」

友奈「そのための、戦いです」

天乃「たく……」

口々に別の言葉を言いながら

心だけは統一した勇者部を見渡して、天乃はため息をつく

一瞬でも弱気になった自分が馬鹿だった

勇者部とはそう言う人間の集まりなのだ

ここまで来て引き返すなんて、あり得ない

天乃「解った、行くわよ。みんな」

天乃のその一言にみんなの声が響き渡る

強大で巨大な敵を前に――勇者部が、一丸となって立つ


風「どりゃぁぁぁぁぁぁっ!」

大剣を大きく振って傷をつけるも、モノともせず、瞬時に回復する

けれど、それで良い

樹「鬼さんこちら! 声のする方へ!」

翠色の光の蔓を打ち付け

ゆっくりと進行する巨大なバーテックスの気を逸らす

樹「っ!」

表情はなく、前後左右判別つかないが

おそらくは樹をターゲットにしたのだろう

動きを止め、高速の火炎弾が雨のように飛来する

東郷「させないっ!」

長距離用の銃から中距離用の連射が利くものに持ち替えて

一つ一つを確実に撃ち落とし、破壊していく

夏凜ちゃん……友奈ちゃん、久遠先輩……っ

東郷「風先輩!」

風「任せろッ!」


止まない火の雨の中

叫んだ風が大剣を振りかぶって地面を叩き土煙を巻き起こしてすべての視界を奪う

夏凜「ッ!」

バーテックスさえも攻撃を止めたその中で

夏凜達が樹海を駆ける

煙が目に入らないように瞳を閉じてなお

3人は迷うことなくバーテックスへと直進していく

元々気配察知能力の高かった夏凜

修行し続けてそれを会得した天乃

その2人と一緒に特訓して同じ組に付けた友奈だからこその戦法

土煙が晴れ、天乃達の目の前に巨大な球体が姿を現した瞬間

接近に気付いた球体から目のも留まらないスピードで火の玉がはじけ飛ぶ


夏凜「くっ……」

狙い定めていないその数だけの弾幕は

容易に回避できるものではなく、夏凜は触れそうな物だけを切り払っていく

くそっ……こんなのッ

右から来た球をしゃがんで回避し

頭部に一直線の球を左手の刀で切り払う

……ピシッ

夏凜「ッ」

嫌な音が響く

それでも弾幕は止まず

武器を手放して入れ替えるなんてことも出来ずに

左から来る火の玉を体を回して回避し

続けてきていたものを右手の刀で切り裂く

……パキッ

夏凜「ぁっ」

ちらっと見ると

左手の刀も右手の刀にもダメージが蓄積し

刀身には細い筋が皺のように広がっていた

天乃「夏凜ッ!」

夏凜「しまっ」

その時を待っていたかのように

一際大きい極炎の球が夏凜を狙って猛スピードで接近して

ガラスが砕け散るような乾いた音が響いて、夏凜の体が炎に包まれた


夏凜「っ……」

カシャドクロ「……………」

劫火の中

自分を守る精霊と目が合った

夏凜「銀……」

端末を握りしめ、相棒の名を呼ぶ

刀に不足はない

けれど、守る為にはまだ足りない

夏凜「私の体はいくらでも貸してやる……」

疲労を蓄積するなんて序の口だ

ボロボロになることも厭わない

こき使ってくれても構わない

夏凜「だから、あんたの想いを……力を、私に寄越せッ!」

カシャドクロのバリアが消失すると同時に現れた巨大な剣――否、斧

一振りで劫火を薙ぎ払い、二振りで周囲の極炎を一掃する

天乃「っ…………」

夏凜「これが銀の力……」

いつも持っている刀と重さはさほど変わらない

けれどその存在感は圧倒的で

夏凜「行くわよ銀……!」

夏凜は深く息をついて、敵を見据えて――駆け出した


精霊のバリア一つ分の力は絶大で

刀ならば砕けているであろう量をさばいてもなお

銀色の体は強く輝き、亀裂1つ入ることはない

夏凜「うぉぉぉぉぉっ!」

無数に飛び出してきた火の玉の最期の一つを雄叫びとともに切り払い、背後に隠した主力に振り向く

後は任せた

ここから先は、2人に託す

絶対に、貫き通せ

言葉にはしなかったそれらの想いを天乃達に投げつけて

バーテックスに完全に狙い定められた夏凜は

その場から全速力で離れていく

天乃「いける?」

友奈「はい」

天乃「なら、さっさと終わらせてエッチしましょうか」


こんな時でも冗談を言う天乃先輩の背中は

目に見えるよりもずっと大きかった

友奈「っ………」

死ねばずっと一緒

永遠の中で、朽ちることなく傍にいることが出来る

心の中のどこかがそんな誘惑をしてきて

思わず、私は動きを止めてしまった

友奈「私……っ」

天乃「友奈」

天乃先輩が私の名前を呼んで

下からのぞき込むようにして、目を合わせて

天乃「私はまだまだ貴女達としたいことが沢山あるのよ。だから、ね?」

そういって、笑みを浮かべながら手を差し出してきた

友奈「………………」

生きる為の戦いでありながら死ぬ未来を勝ち得ることになる

なのに笑っていた天乃先輩の手は温かくて、優しくて、とても力強くて

友奈「はいっ」

私の嫌な気持ちを簡単に拭い去ってくれた


友奈「うおぉぉぉッ!」

自分でも女の子らしくないと思うような声をあげながら

私は天乃先輩と一緒に、巨大な太陽みたいなバーテックスへとぶつかっていく

天乃「友奈!」

友奈「天乃先輩!」

握り合った手をより強く、より固く

それを一つの拳として作り上げる

火なのに、熱くない

火なのに、涙を蒸発させてくれない

失う未来を勝ち取る戦いに終止符を打つ拳を力一杯引き絞る

友奈「受けとれぇぇぇぇぇぇッ」

たとえどんな辛い未来であろうと

どんなに苦しく、悲しい未来が待っているとしても私達は前に進む!

友奈「これが私達の、想いだぁッ!」

撃ち放った拳はバーテックスの炎のような体を容易に突き破り、

その中央にある御霊をへと到達する


そして――友奈達は大きな消滅の爆発に巻き込まれ、光の中へと消えていった


では、ここまでとさせて頂きます


ざっくりになッてしまいましたが、戦闘は終わって
後はエピローグ……ですね
10年後も考えましたが、5年後の某日を描く予定です


では、薦めていこうかと思います


――神世紀305年 6月5日


あれから5年

いや、正確には4年と半年くらいが経過した

それでも、

相も変わらず壁の外は地獄のままで

私達人間も神樹の結界の中のままだけれど

バーテックスの攻めてこない日常が続いている

友奈達正規の勇者は任期満了なのか

委託系の何かだったのかは解らない

でも、勇者としての役目を終えたとして

端末はすべて回収され、それに並行するようにして精霊も姿を消した

そこで正規の勇者は。というのは

他でもなく、私の精霊だけは消えることなく今も傍にいるからだ

天乃「……ほんと、特別よね」

死神「ウン」


バーテックスが攻めてこないのは

死神曰く、やろうと思えば滅ぼすことだってできるけれど

私達との戦いによって、

人類に今一度チャンスを与えてくれてるのかもしれない。とのこと

天乃「意味解らないわよね……」

神様なんて相変わらず理解することなんてできない

けれど、それと同じく神も人間を理解できていなかったのかもしれない

天乃「……まぁ、難しいわよね。人間も」

死神「シンジュガ、オコラレタコト?」

天乃「そう。夏凜達にとっては理不尽な事だったのよ……自分の事じゃないとしてもね」

夏凜達が神樹に抗議したこと

理不尽だと思ったこと

それは【夏凜達の供物は返せるのに、天乃の供物だけは返せなかった】事だった

削った魂を今一度なんていうのは無理な話で、仕方のないこと

いくら神様とはいえ、出来ないことはあるのだから

でも、夏凜達は納得がいかなかくて

足なんて動かなくていい、匂いなんて解らなくていい。そう言って抗議していて

東郷が記憶も――と言いだそうとした時は、流石に私も怒ってしまった

神授にではなく、東郷に対して。だけど


匂いは世界に溢れている

記憶だって世界に溢れている

ものを動かす力だって世界に溢れている

けれど

人間を生きさせる魂と言うものはその人の中にしかない

どこか遠くに離れたわけでも

欠片がバラバラになって漂っているのでもなく

削り取られ、消滅してしまった以上は……神樹にだって賄うことは不可能だ

天乃「…………」

ふと、空を見上げる

眩い太陽の光が地上を照らしていた

それはアスファルトを熱して人を料理する。なんて

……私はもうすぐ死という味付けをされて、世界に食べられる。なんて

死神「……クオンサン」

天乃「うん?」

死神「キョウデオワリ。ヤリノコシタコトハ、ナイ、カ?」


私の頭の中を覗いたのか

そんなことを言いだした死神に微笑んで、シングルベッドを見つめる

天乃「友奈に離婚届のサインをせがむこと?」

死神「バカナノ?」

天乃「じゃぁ、私のDNAを抽出して、いつか子供を作って貰えるようにすること?」

死神「クオンサン」

天乃「冗談よ」

ちょっとだけ遊んでいると

ベッドの上の布団に包まった芋虫がもぞもぞと動いて脱皮する

産まれた赤い髪の女の子は

私がいるべき場所に伸ばした手が空を切った瞬間

ハッと目を見開いてあたりを見渡し

私に気づくや否や、瞳を潤ませ始めた

友奈「天乃先輩っ……今日は勝手に動かないって、約束したじゃないですか……」

天乃「そんな泣きそうにならないで……私が悪かったから」

死神の言う通り

今日で私の人生、命、寿命が尽きる

そのせいか、友奈は昨日からずっと、私にべったりだった


では、ここまでとさせて頂きます

今までと比べると少し特殊ですが、
エピローグと言う事で天乃視点で進めさせて頂いています

思うように描けなかったら塗潰せばいいんだなttp://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira082211.jpg


すみません
今日は出来ませんので、投下は明日となります
また、18日は諸事情で出来ないと思いますので明日、終わらない場合は19日が次々回となります



>>485 >>713
ありがとうございます、時間が出来た際にWIKIの方にあげさせて頂きます


では、薦めていこうかと思います


友奈「な、泣いてなんてないです」

天乃「本当に?」

友奈「ただ、起きたばっかりだから、アレなだけです」

そう言った友奈は目元を袖で拭って

いつもの笑顔を作り出す

そう言うのなら、そう言うことにしてあげるべき……かしらね

天乃「で、だけど」

友奈「昨日言った通り、天乃先輩が行きたい所に行きましょう」

天乃「そう丸投げされると……結構厳しいのよね」

行きたいところは多々あるけれど

それが友奈にとって楽しめるところなのかどうか……

友奈「私のこと考えなくて良いですよ? 私的には、天乃先輩と一緒ってだけで、大満足ですからっ」

天乃「ったく……」

死神「アナタガワカリヤスイノヨー」

天乃「引っ叩くわよ。貴方」

ひと睨みすると

風の真似をしていた死神はパッと消える

いつからか、死神からからかってくることが増えた

夏凜曰く【飼い主に似ただけでしょ】との事らしい

酷い言い掛かりだわ

天乃「友奈、出かけるから準備して。あと、朝食も、食べるでしょ?」

友奈「…ぁ、はいっ!」

ぼーっと時計を見ていた友奈は

声に反応して慌ててベッドから抜け出していった


天乃「天乃特製、スペシャル麻婆定食、モーニング・セレクションバージョン!」

友奈「…………?」

味噌汁の代わりに麻婆

中辛の麻婆に寝かせ、味の染み込んだ鯖の味噌煮ならぬ麻婆煮

そしてどどんと白米

というのが、本来の内容なのだけれど

天乃「それは冗談で今日は普通に和の朝食よ」

友奈「いつも見たいに定食で良かったのに……じゃぁお夕飯は麻婆、一緒に作ってくれますか?」

天乃「貴女、かなり好きになったわよね」

友奈「ほとんど毎日食べてましたし……それに、本当においしくて、病みつきになっちゃったから」

困ったように、友奈は笑う

一番初めは辛さに適応するのがやっとだったけれど

いつしか、私と同じくらい平然とするようになって

気づけば、友奈自身が作ってたりもして……

友奈「中々、天乃先輩みたいに作れないから……勉強の為にも食べたいです」

天乃「じゃぁ、お夕飯で作ってあげるわ」

友奈「約束ですねっ」

天乃「ええ、約束」


友奈「まずは何処に行くんですか?」

天乃「そうね……まずは、悪いけれどお墓参りに付き合って欲しいの」

友奈「……お墓、3つですし、早めに行っておいた方が良いですよね」

天乃「悪いわね、朝から」

友奈「いえ……」

首を横に振った友奈の表情は

明らかに私の言葉を否定してはなかった

とはいえ、その理由は朝からお墓参りなんかに付き合わされるから。とかではない

ただ、お墓という場所が

私の死をより強く連想させてしまうからだ

なにせ、私の……ではなく

私達のお墓の場所がすでに、確保されている上に

これから行く3つのお墓のすぐ近くに。というのだから救いようがない

友奈「…………」

天乃「急いでないし、そんな秒刻みに時計見なくてもいいんじゃない?」

友奈「ぁ、いえ……急ぎますっ」

言うや否や、友奈は食べ終えた食器をささっと洗い場に置いて

洗面台の方へと慌ただしく駆けていく

天乃「……なんなのかしら」

私が出来る限りしたいことが出来るようにと配慮してくれているのか

それとも、何かサプライズがあって、時間を気にしているのか

天乃「私が気にしちゃいけないことよね、それは」

首を振って思考を洗い流し

友奈と自分の分の食器を洗う

……やり残しは、内容にしないといけないものね

>>721 訂正


友奈「まずは何処に行くんですか?」

天乃「そうね……まずは、悪いけれどお墓参りに付き合って欲しいの」

友奈「……お墓、3つですし、早めに行っておいた方が良いですよね」

天乃「悪いわね、朝から」

友奈「いえ……」

首を横に振った友奈の表情は

明らかに私の言葉を否定してはなかった

とはいえ、その理由は朝からお墓参りなんかに付き合わされるから。とかではない

ただ、お墓という場所が

私の死をより強く連想させてしまうからだ

なにせ、私の……ではなく

私達のお墓の場所がすでに、確保されている上に

これから行く3つのお墓のすぐ近くに。というのだから救いようがない

友奈「…………」

天乃「急いでないし、そんな秒刻みに時計見なくてもいいんじゃない?」

友奈「ぁ、いえ……急ぎますっ」

言うや否や、友奈は食べ終えた食器をささっと洗い場に置いて

洗面台の方へと慌ただしく駆けていく

天乃「……なんなのかしら」

私が出来る限りしたいことが出来るようにと配慮してくれているのか

それとも、何かサプライズがあって、時間を気にしているのか

天乃「私が気にしちゃいけないことよね、それは」

首を振って思考を洗い流し

友奈と自分の分の食器を洗う

……やり残しは、無いようにしないといけないものね


天乃「久しぶりね、お兄ちゃん、お姉ちゃん」

友奈「お、お久しぶり……です。結城友奈です」

天乃「……どうやら、お父さん達が来てるみたいね」

友奈「そうみたいですね」

久遠家のお墓には

真新しいお花がしっかりと差し替えられていて

つい最近したばかりなのか

水皿とかにも汚れ一つなく、きれいに手入れされていた

友奈「お会い、しなくて良いんですか?」

天乃「無理無理……私、死んでることになってるから」

友奈「でも……」

天乃「今更、顔出したところで……お母さんの事を苦しませるだけよ」

友奈「…………………」


苦渋の選択だった

でも、選択と言えるほど選択肢があったわけじゃない

ううん、むしろ選択肢なんてなかった

娘さんは生きてます。ですが、あと数年で死にます

そんなことは絶対に言えるわけがなかった

だから、子供3人は纏めて死んだことにされた

そうするしかなかった

それでしか、お母さんの立ち直りかけていた心を守る術なんてなかった

友奈「……ごめんなさい」

天乃「良いわよ。私はもう、久遠ではないわけだし」

友奈「…………………」

天乃「それに、私には新しい両親が出来ていたから……寂しいなんてことも、無かったもの」

だから、申し訳ないなんて思わないで。と

俯きがちな友奈の頭を優しく撫でる

天乃「ね?」

友奈「……はい」


では、ここまでとさせて頂きます

明日は出来ませんので、次回は19日となります
もしかしたら、今月中に終わるのは無理かもしれません


では、薦めていこうかと思います
安価スレですが、エピローグなので安価はございません。ご了承下さい


お兄ちゃんとお姉ちゃんのお墓参りを済ませて

次のお墓、三ノ輪家のもとに向かった

友奈「三ノ輪さん、こんにちは。結城友奈です……お久しぶりですね」

天乃「そんな丁寧にやってると、堅苦しいって怒られるわよ」

友奈「じゃぁ、久しぶりだね。銀ちゃん」

墓に向かって明るい声をかける友奈は

手を合わせて、目を瞑る

何を話しているのか、何を願っているのか

多分、どうせ、きっと……私の事をよろしくお願いします。とかだろう

天乃「……銀」

友奈の隣で手を合わせて、口にはしない言葉を投げる

もうすぐ、会いに行くわ

貴女の分も幸せになる。貴女の分も長生きする。貴女の分も沢山の経験をする

いくつ守れたかな……いくつ、叶えてあげることが出来たのかな

私が貴女の隣に並んだら、答え合わせをしてくれるかしら

天乃「そうだ」

私の隣にいるこの子の事を

もちろん、私も見守るつもりだし、神樹とかいうインチキな神に頼らず守護する気だけれど

もしも私が天国じゃなくて、地獄に行くことになったとしたら

私の代わりに、最期まで。見守って、くれないかしら

友奈「お願いします」

天乃「お願いね」

友奈「…………」

天乃「…………」

2人で同時に言い終えて

くすっと笑って『秘密です』と、共振させた


銀のお墓には

これからも友奈が来てくれるだろうし

東郷や夏凜……春信さんや園子……家族

ちゃんと沢山の来客があるようで

天乃「おはぎと醤油ジェラートがお供えされたお墓って……」

友奈「東郷さんと、夏凜ちゃんかな」

天乃「でしょうね……春信さんも多分一緒に来たんだろうけれど」

友奈「どうしてわかるんですか?」

天乃「春信さん、選ぶお花というか、その割合が精密なのよ。だから、その束があるってことは、来たってことなのよ」

友奈「なるほど……」

友奈にとってはどうでも良い知識

それでも、友奈は嬉しそうに楽しそうに頷いて、応えて、笑みを浮かべる

天乃「そろそろお昼?」

友奈「まだ11時20分の30秒くらいです」

天乃「そっか」

端末で時間を何度も見ているからか

友奈が端末を見ることなく答えた時間は秒単位のズレしかなかった

天乃「それじゃあと一つ、行きましょうか」

友奈「はいっ」


「おっ、久遠!」

「くーちゃん!」

もう一つのお墓には

中学時代を一緒に過ごして

高校時代も、なぜか一緒に過ごすことになった同級生がいた

天乃「数日ぶりね」

友奈「ご無沙汰してます」

「これはどうも丁寧に……たしか、ゆうくんだっけ」

友奈「女の子ですよ? 私」

「知ってる」

くくっと笑う彼の隣で

同級生の女の子は困ったように苦笑して、真剣な表情を浮かべた

「くーちゃん、出歩いてて平気なの? 病院はもう行った?」

天乃「毎日行ってるわよ。まぁ、だからどうなるってこともないけど」

もちろん、毎日行ってるなんて嘘だ

一度だって――行ってない


彼女が病院に行ったかどうかを気にする理由は

私が明日すでに死んでいることが、原因だ

「そんなことないよ……いつか、病気なんだからいつかきっと」

天乃「そうね」

久遠天乃は治療の難しい重い病気である

というのが、大赦が考え出した私の死亡理由

老衰はともかくとして、

神樹様に守られている、その加護があると謳っているこの世界で

急死するなんていうのは前代未聞で、不和を招きかねないからだ

事故でさえ、不幸だなんだ。と

やや神樹様への進行の意味に亀裂が入るのだから

「成長止まったんだから、病気の進行も止まっちまえば良いのに」

天乃「馬鹿にしてるの? それとも心配してくれてるの?」

「心配だよ」

天乃「あらっ」

「散々、久遠には助けられてきたんだ……だから、でも……すまん」


同級生の男の子は本気で頭を下げる

悔しそうな顔で、血が出そうなほど唇を噛み締めて

お兄ちゃんに似て、冗談ばかりだった彼は真面目だった

「医大に行っても……久遠の手術が出来るほどの力が俺にはない」

天乃「貴方は努力しているわ」

「努力しても、執刀できるほどじゃなきゃ意味がないんだ!」

同級生は声を張り上げて

手に持っていた水桶を地面に叩きつけそうになりながら、首を振る

友奈「そこまで……天乃先輩の事……」

「ああ……じゃなきゃ合法的に人妻の久遠にエッチな事出来ねぇからさ……」

友奈「っ、ふざけないで下さい!」

「っと……ただの冗談だ」

友奈の容赦ない拳を運よく右手で止めた同級生は

焦った顔で、友奈を見つめる

友奈「冗談じゃないっ、冗談にならないっ、そんなの――っ!」

「す、すまん……」


天乃「友奈」

友奈「っ………」

名前を呼んで

友奈の体を優しく抱きしめる

はたから見たら

身長差的に縋り付いたように見えるかも位知れないけれど……

本当に珍しく、友奈は本気で怒っていた

今のは彼が良く言うえっちな冗談だと知らないわけではないのに

天乃「落ち着きなさい」

友奈「冗談にならないのに……ッ」

天乃「うん、そうね。ならないわよね」

私にエッチな事が出来ないとかいうのも冗談にはならないのだろうけれど

その程度なら、友奈は笑ってスルーすると言う事が出来るようになった

だからきっと、一番気に入らなかったのは

私の死を本気で心配しているような素振りを見せながら、冗談の種にした事だと思う

「悪い……ほんと、悪かった」

天乃「気にしなくていいわ。でも……やめてね」


天乃「今日も大学の講義があるんでしょう? 急がなくていいの?」

「そ、そうだね……ごめんね。くーちゃん。ゆーちゃん」

「悪い」

天乃「ううん、久しぶりに貴女達の顔が見れて良かった」

ばつの悪そうな同級生2人組

言い換えるならカップルに

私は笑顔で手を振って、最期に言いたかったことを頭の中で紡ぐ

散々迷惑をかけられた

散々、大変な目に合わされた

でも、だけど

天乃「……楽しかったわ。ありがとう」

「う、うん? そっか、良かった」

「久遠」

天乃「なぁに?」

「今まで世話になったな……ありがとな? スゲー感謝してる」


私の言葉で悟ったのかもしれない

男の子はそう言いながら

悲しそうな表情を隠すように首を振って、笑みを浮かべた

「どうしたの?」

「いや……言っておこうと思ってさ」

「ふーん……ありがとね。くーちゃん。私もお世話になっちゃってたね」

天乃「ううん、気にしないで」

女の子は男の子に合わせるように告げて

2人で去っていく

天乃「……………本当に、ありがとうね」

大学に私はいかない

だからもう、2人とは会うことはないだろう

友奈「……………」

天乃「さて……男の子のお墓に、ちゃんとあいさつしないとね」

ラブレターを送ってくれた男子生徒

彼の墓前にもうすぐ私もそっちに行くからね。と

そうしたら、今度はちゃんとお話をしましょうね。と

約束事を取り付けて……お墓を後にした


風「久しぶりー」

樹「本当に、久しぶりですね」

現在、現役高校生アイドルとして歌だけでなく

様々なテレビ番組に出ている樹

そのマネージャー的な立ち位置で仕事をしている風

2人と会うのは難しくて、今日だって本当に特別な日だからと

無理矢理にスケジュールを捻じ曲げて貰えたからこそ、会えたのだ

もっとも、5年前から予約していたのだから

どんな大きな仕事だろうが、風も樹も絶対に断ると言っていたから

難しくはなかったかもしれない

天乃「元気に活動しているようでなによりだわ。化粧で誤魔化している感じもないし」

友奈「樹ちゃん、少し背。伸びた?」

樹「えへへっ、はいっ! 友奈さんも大分……久遠先輩はお変わりなくて安心しました」

天乃「窶れてなたりしなくてって解釈するけど、良い?」

樹「そ、それでお願いします」


風「……でさ」

天乃「うん?」

風「いや、なんていうか……そのさ」

天乃「なによ」

風「言いたいことは沢山あるのよ……でも」

ぽろっと……涙を零す

それを皮切りに風は次から次へと雫を落していき

ハンカチで拭っても拭っても、それは絶え間なく流れて一筋の川を作り出す

同級生と違って、

風や樹は私が死ぬ理由も死ぬことが決まっていることも

それがいつであるのかも、全部知っている

だから、我慢できなかったのかもしれない

樹「お、お姉ちゃんダメだよ……我慢しなきゃ」

風「樹だって……泣いてるじゃない……っ」

そう言った風は樹を抱きしめて

抱きしめられた樹は風を抱きしめ返して……声をあげて悲しさを吐き出していく

友奈「……会うのがこの家で良かったですね」

天乃「そうね」

いつか、6人で使っていた勇者部の為の家

だからこそ、大人気のアイドルとそのマネージャーは躊躇うことなく

源泉が枯れてしまうまで、泣き続けた


中断します
もしかしたら再開できませんので
このまま再開の報告が無ければ続きは次回となります


では、再開したいかと思います


風「ごめん天乃、泣かないって思ってたんだけどさ」

天乃「気にしなくていいわよ」

風「さっきの続きだけど、言いたいこと沢山あるけど、何一つ言いたくないわ」

天乃「私は別に、それでもいいけれど」

風が真剣に悩んでそう言っているのは解っていた

それでも、重苦しくなってしまっていた空気を拭うために

そんな冗談を呟いてみたけれど

でも、宇うも樹も悲しそうな顔で、首を振る

風「五年半くらいの思い出。とてもじゃないけど語りきれない」

だから。と

風は困ったような笑みを浮かべる

風「ありがとう。天乃……天乃が教えてくれたことは生涯。末代に渡って忘れない」

樹「私は私が出来る限りの事で、世界に伝えていこうと思ってます。本当に、ありがとうございました!」


天乃「なぁにそれ。まるで今生の別れみたい」

風「そうだから言ってるんでしょうが」

天乃「そんな怒って言わなくても……」

風「私だって言いたくはないけどさ。でも、言わないまま本当に別れになったら悔やみきれないから」

樹「明日もまたお会いすることが出来たら、笑い話にもなりますし」

樹は笑いながら言う

でも、本気で笑えておらず

その目は私ではなく友奈を見つめる

樹「友奈さん?」

友奈「えっ? あ、うん。聞いてるよ」

風「さっきから時間気にしてるけど、夏凜達に会うまではまだ時間あるでしょ?」

友奈「そうですね、夏凜ちゃんはまだお仕事してると思いますし」

風「だったらもうちょっと、こう……なんていうか。話さない?」

友奈「天乃先輩とのお話の邪魔はしちゃいけないかなって思って」


友奈は申し訳なさそな顔で、呟く

同級生と話している時とかも

怒ることは確かにあったけれど

余り口を挟んだりせず、静かにしていた気がする

天乃「そんな事気にしなくていいわよ?」

友奈「そう、ですか?」

天乃「貴女が静かだと私まで気落ちしちゃうし」

風「あんた達のシンクロ率は異常だしね」

樹「お姉ちゃんっ、褒めてないよ」

友奈「えへへっ、婦妻だからね」

一転して楽しげな友奈の声色は

どこか不安定な危うさを感じる

少しだけ……無理、させているのかな

時間を気にしているのが

風達と一緒に仕込んだサプライズじゃない可能性が出てきたのも気になるけれど

友奈自身の気持ちが危なっかしいのも、気になるわ


風「次は夏凜、だっけ?」

天乃「予定だとそうね」

なぜ全員で一日過ごさず

それぞれに会っているのかと言うと

時間を決めずに全員一緒にいると

話せない人が必ず出てくるだろうし

そうなると……まぁ、友奈と5年前の約束が果たせなくなってしまいそうだからだ

風「こんな日だっていうのに、出かけてばっかりで大変そうね」

天乃「そうでもないわ。これが最期だもの」

樹「明日も会いたいです。お話がしたいです」

天乃「出来たら……ね」

出来るわけがないことは明白

でも、我慢できずにそう言って樹の頭を撫でる

天乃「樹。貴女の歌、私は好きよ。だから、これからも無理しないで続けて行って頂戴」

樹「はいっ!」

天乃「風。貴女は樹の事があるかもしれない。でも、一番は貴女自身が無理をしないこと」

風「そんなこと」

天乃「解ってるならいいわ。でも、貴女がダメになったら樹が背負う。だから、樹を大切にしたいならまず、自分を大切に。ね?」


風「解った」

天乃「うん」

風「それじゃ」

樹「帰ろう。お姉ちゃん」

樹の言葉に力なく頷いて風は出口の方に向かう

けれど

樹「……天乃っ!」

一旦は帰ろうとしながら

風は踵を返して、私の体を抱きしめる

抱き付いた。と、言えないのが悔しい

20cm近く身長が離れてしまっているのだから

仕方がないのかもしれないけれど

悔しい

風「ありがとう。本当に、ありがとう……天乃の事、好きだった」

樹「……私も、大好きですよ。久遠先輩」

天乃「うん、私も好きよ」

最期の別れ

泣かないと決めた別れ

だから私はあくまで笑顔のまま、2人と別れた


夏凜「受け取りなさい、天乃」

天乃「今来たばっかり、なんだけど」

夏凜「与えられた時間は短いんだから仕方がないでしょうが」

天乃「そうだけど……」

投げ渡された木刀を受け取って

夏凜からぐるりと回りを見渡す

以前は沙織だけだった模擬戦の観客が

今や十数人にまで跳ねあがっていた

夏凜「一撃決殺……それでいいわね?」

天乃「了解。まぁ、そうじゃなきゃ終わらないし」

夏凜「この試合だけは絶対に勝たせて貰う!」

天乃「悪いけれど、勝ち逃げさせて貰うわ」

夏凜との最期の戦い

それこそが

夏凜が望んだ私との最期

私との最期の会話

でも……勝たせてなんてあげないわ


では、ここまでとさせて頂きます

模擬戦に関しては、今までの神樹様視点でやるかと思います


badendの時よりはマシだけど
久遠さん亡き後の友奈ちゃん辛いだろうな…

後、>>756で風先輩のセリフが
樹ちゃんになってる所があるよ


>>756訂正


風「解った」

天乃「うん」

風「それじゃ」

樹「帰ろう。お姉ちゃん」

樹の言葉に力なく頷いて風は出口の方に向かう

けれど

風「……天乃っ!」

一旦は帰ろうとしながら

風は踵を返して、私の体を抱きしめる

抱き付いた。と、言えないのが悔しい

20cm近く身長が離れてしまっているのだから

仕方がないのかもしれないけれど

悔しい

風「ありがとう。本当に、ありがとう……天乃の事、好きだった」

樹「……私も、大好きですよ。久遠先輩」

天乃「うん、私も好きよ」

最期の別れ

泣かないと決めた別れ

だから私はあくまで笑顔のまま、2人と別れた


>>761
ありがとうございます、気づきませんでした



では、少しだけですがやりたいかと思います


夏凜「ルールは簡単。あんたも私も手袋や靴の場合は無効。それ以外は当たりとして終了」

天乃「はーい」

夏凜「気の抜けた声出して……手を抜いたら墓石に刀突き刺すから」

天乃「良いから良いから。おいでにぶっしー。遊んであげる」

夏凜「誰がにぶっしーだッ!」

天乃の挑発

それを開始の合図として左手の木刀を振り上げる

挑発の一手に先駆けの一手

天乃「っ」

天乃の手が初動に入ったのだけを確認して

弾かれるのか、躱されるのか。それを見る前に一歩下がる

当たろうが、弾かれようが、躱されようが、フェイントはフェイント

それなら、あえて自分から外すことも、有りだ

天乃「ちょっ」

夏凜「はぁっ!」

着地したばかりの右足に重心をかけて反転

右の木刀が薙ぎ払おうと一線を描く―が

天乃「このっ!」

夏凜「くっ」

目にも止まらないような掌底が下方から放たれて

ガンッ っという音と共に木刀は腕ごと上にはね飛ぶ

初撃決殺なんてなるものですか

にやりと笑った天乃は

あえて追撃せずに、2、3回バックステップを踏んで下がった


夏凜「そんな小さい体のどこにそんな力があるんだか」

天乃「小さいは余計よ」

夏凜「とはいってもね……」

受けた場所が悪かったのか

たった一撃を中心に喰らった木刀は大きくヒビが入っていた

天乃の狙いは武器破壊か……いや

そんな姑息な真似をする気はないはず

だとしたら……

夏凜「本当に、本気でやってんのね」

天乃「初めから本気よ。私はね」

夏凜の視線に、天乃はくすくすと挑発するような笑みを返す

最期の戦いで手を抜くなんてことは

久遠天乃が絶対にやらないことなのだ

その戦いが相手の望みであるのなら、尚更

夏凜「フェイントなんて真似して悪かったわ。正々堂々、正面からつぶしに行く」

天乃「良いわよ。かかってきなさい」


夏凜「………………」

右の木刀は出来てあと一撃

左の木刀は無傷だけど……当たらなければ砕かれる

夏凜「ったく」

左右を入れ替えて天乃を見据え、

姿勢を低くして飛び出すための体制を整える

天乃「早くしないと、私から動くわよ?」

夏凜「来れるなら、来てみたら?」

天乃「なら遠慮なく」

ギャリッっと小石が削れた音が響き、天乃が飛び出す

それに合わせるようにして、夏凜もまた天乃に向かって一直線で突き進む

夏凜「はぁっ!」

天乃「っ!」

木刀と木刀が鍔迫り合いになった瞬間

天乃は空いた左手で夏凜の木刀に拳を打ち込む

夏凜「このッ!」

木刀が砕け散って木片が舞う中、唸った夏凜は左手の木刀を逆手に持ち替えて

天乃の腹部目がけて突き出す

――が

天乃「せいっ!」

競り合う相手のいなくなった天乃の木刀が振り下ろされ

手負いの木刀もまた砕け散る

夏凜「ふざけっ!」

完全な武器破壊

攻撃できたにもかかわらず、木刀を狙って破壊した

天乃「ふふっ」

夏凜「性格悪すぎるわよあんたッ!」

天乃「おほめに預かり光栄ですわ。三好教官殿」

夏凜「ッ!」

天乃の不敵な笑みにくぎ付けになりかけていた眼を閉じて、思いっきり後ろへと下がって

立ち止まることなく横に飛ぶ

一瞬前まで自分がいたところに木刀が突き刺さり、目がそっちに引っ張られそうになる

夏凜「けど」

天乃「ふっ!」

夏凜「見え見えなのよ!」

飛び込んできた天乃の掌底に拳をぶつけて相殺

天乃「っ!」

夏凜「させるか!」

振り上げられそうだった足を踏んで打ち消す


そして、2人の動きが止まった


夏凜「あんた、私のプライドをズタボロにして勝ち逃げするつもりでしょ」

天乃「なんのことだか」

夏凜「攻撃できたのに、あえてあんたは武器を破壊した」

夏凜の武器である木刀を両方砕き、

完全な敗北を突き付けようとしているのだ

たしかに、これは手抜きなんかじゃない

性悪女の超本気モードの精神攻撃

今後生きていくうえで

永遠に名前に傷がつくのだからかなり質が悪い

夏凜「昔っから、あんたのその変に意地悪なところに翻弄され続けたけど」

天乃「それはもう、今日で卒業する?」

夏凜「卒業証書なんていらないから、今まですみませんでしたって答辞を読め! 天乃っ!」

夏凜が天乃の足を抑え込んでいた左足を振り上げ

天乃は踏まれていた足を素早く横に逸らし、膝裏で夏凜の足を捕まえる

天乃「お断りします」

夏凜「このッ!」

天乃「!」

仰向けに倒れるようにバランスを崩し、

天乃の体が浮いた瞬間に反転して、天乃の身体を地面に叩きつける

手加減していたらこっちがやられる……だから!

夏凜「終わりだっ!」

天乃の胸元目がけて、拳を思いっきり振り下ろした


「三好教官はあの人の事が嫌いなんでしょうか?」

友奈「ううん、そんなことないよ」

「ですが、凄く……」

友奈「夏凜ちゃんが甘えることのできる人だから。だからああやって、ずっとずっと、文句が言えるんだよ」

夏凜の教え子たちの疑問に答えながら

友奈はちらっと端末の時間を確認して、また2人の絡み合いのような戦いを見つめる

2人とも本気なんだ

本気で……気持ちをぶつけあってる

天乃先輩は自分なんかに負けるなってわざと挑発して勝つ力をつけようとしてる

夏凜ちゃんは天乃先輩に勝って自分は大丈夫だと言う事を証明しようとしてる

それなのに……私は

園子「ゆーゆーは、天さんと離れたくない?」

友奈「っ!」

園子「解るよ~ゆーゆーは嘘付けない子だから。きっと、天さんもそれに気づいてるんじゃないかな~」

友奈「そんなことない。私、平気だよ……受け入れるって、ちゃんと。この5年間ずっと、覚悟してきたんだもんっ」


園子「でも、その覚悟をした5年前よりも、ゆーゆーの天さんへの気持ちはずっとずっと大きくなった」

友奈「……………」

園子「ゆーゆー。あのね? 1つだけ大事なことを教えてあげる」

友奈「大事な事?」

うん。大事なことだよ~っと

いつもの間延びする声でほのぼのと切り出した園子は

友奈の頭を撫でながら、笑顔を浮かべる

園子「我慢するのと、覚悟をするのは全然違うことだよ」

友奈「っ」

園子「泣いちゃダメ、求めちゃダメって言うのは我慢であって覚悟じゃない」

友奈「園ちゃん……」

園子「泣いて良いんだよ。行かないでって言って良いんだよ。気持ちを全部ぶつけて、納得しなきゃ」

そうじゃなきゃ、覚悟なんて出来るはずがないんだから。と

園子は今まで通りの変わらないゆるんだ声で告げる

友奈「うん、そうだよね……」

友奈はそう言って、絶戦いを続ける2人へと、向き直った


では、一旦ここまでとさせて頂きます

この後できればこの後
出来なければ夜にでもまたやろうかと思います


後ほど再開予定です

初エッチに関してですが、失敗して15000字ほどになってしまっているので
以前のBEのように、wikiにファイルを落す予定です

縦書き、横書き

セリフ前の名前の有無
字の文には段落付け

普通の小説のように改行がない方が良い。など
長すぎるので、ご要望在りましたら、読みやすい方に作り替えますので、お願いします

デフォルトでは

縦書き(セリフ前名前なし、地の文段落有、改行無し、心理描写()あり)
縦書き(セリフ前名前あり、地の文段落有、改行あり、心理描写()あり)
横書き(セリフ前名前あり、地の文段落無、改行あり、心理描写()あり)

をtxt、docx、PDFで出す予定です


天乃「しっ!」

短く息を吐き出して、夏凜の視界の外

死角へとのがれた右足を浮かせる

だが


右足が見えないからと言って、天乃の体が見えていないわけじゃないッ!


夏凜「っ――ったらぁ!」

天乃「っ!」

夏凜はその足を難なく蹴り飛ばして

逆に右こぶしを突き出す

普通なら、弾かれたことに驚き

その反動に隙が産まれ、勝敗は決していたことだろう

しかし――

天乃「はぁッ!」

夏凜「くっ!」

右腕の関節を左手で打ち抜いて拳撃を遮断

天乃はそれで止まらず、夏凜の右腕を掴んで体を押し当てると

勢いをつけて反転し、夏凜の体を背負って投げ飛ばす

夏凜「舐めるなぁっ!」

叫び声を上げ、たたきつけられる寸前に回転

背中ではなく、正面を地面側に変えると、右足を即座に出す

ダンッ! っと大きな音を立てて着地

その衝撃を摩擦に代えて、天乃へと突っ込む

天乃「ねばっしーちゃん怖いッ!」

夏凜「ッ!」

迫りくる拳を弾き落とす天乃の殴りたくなる笑顔

解ってる。挑発だ

落ち着け私、飲まれるな

天乃「にぼしとねばねば。合わせてにばっしー。その心は」

夏凜「はぁ?」

天乃「いつも二番手。だからにばっしーにぼっ」

夏凜「ぶっ飛ばすッ!」

天乃「きゃーっ、怒ったー!」


夏凜「逃げんじゃないわよ!」

天乃「逃げてないわよ。貴女が、遅いだけ」

夏凜「言ってくれるじゃない!」

走り回り天乃の先の先を見据えて

次に軸となる足の筋肉を凝縮させ、力を溜める

夏凜「追い抜けぇッ!」

力を溜めた足が着地した瞬間に思いっきり地面を蹴る

靴と地面の間に挟まった小石がギャリッと音を立て

一部は圧力に耐えかねて、削れて砕け、砂塵が舞う

天乃「っ!」

夏凜「あんたを追いかけるのはもう終わらせたいのよッ! 私はッ!」

追い抜き、身を翻した夏凜の右拳が視界から消える

確実に振りぬく全力の一撃

速度を乗せたそれは今までよりもずっと力強いだろう

天乃「……ったく」

躱せないこともなかった

しかし、天乃はあえて直進することを止めず、

夏凜と対峙する直前で足を止める

ギャリギャリと余ったエネルギーに身体が引きずられ、足元が唸る

夏凜「今度はあんたが私の背中を見てろッ!」

天乃「見せてみなさいよ、私に!」

風を切るほどの速さで穿たれた夏凜の拳を天乃は左の拳で弾く

夏凜「まだっ!」

控えていた左拳が放たれた瞬間

天乃は右手を弾いた左手をその反動を利用したまま右に逸らし、夏凜の左手を捉える

夏凜「このっ!」

天乃「っ! っと」

振りあがりかけた足を、さっき夏凜がやったのをそっくりそのまま返してせき止めて、

反動で浮いた足の爪先で夏凜の下あごを狙う

夏凜「く!」

天乃「まだまだ行くわよ」

顔を逸らして回避した夏凜の腕を引いて自分との距離を詰めさせて

右手の掌底を夏凜の胸元目がけて放つ


まだ、まだ終われるかッ!



誰もが諦めかけるところで

夏凜はさらに意思を強めて、一番初めに弾かれていた右手を

関節を軋ませながら強引に引き戻して天乃の右手を弾く

天乃「っ!」

夏凜「あんたの言う通り、私は粘り強いのよ!」

天乃に腕を掴まれたまま体を回して天乃を巻き込み、

そのまま地面に倒れ込んで、天乃を抑え込む


夏凜「はぁっ……はぁっ……」

天乃「はぁ……っ、はぁっ……」

動き続けていたうえ

喋り続けていた二人はそろって荒い呼吸をして

その間はどちらも動かずに、相手を見据える

優しさではなく

たとえ指一本でも動かせば

反撃されるという緊張感ゆえの、休息

天乃「……やられたわ」

夏凜「まだ終わってないでしょうが」

天乃「私、この体位では友奈にさえ勝てないのよ」

夏凜「友奈にも?」

天乃「まぁ……夜の戦闘なんだけど」

夏凜「よっ――」

顔が真っ赤凜になった瞬間

天乃は思いっきり足を動かして仰け反った夏凜の首を足でホールドして、横に倒し、

うつ伏せになった夏凜の両腕を後ろ手にクロスさせ、膝で抑え込む

夏凜「き、汚いわよ! このっ、破廉恥なッ!」

天乃「ふふっ、悪いわね。私、手段は択ばない女なの」


天乃「大体、私は夜の戦闘としか言ってないわよ?」

夏凜「それが?」

天乃「それだけで……ほら、アレなこと想像する夏凜ちゃんこそ、イヤらしいと思うわ」

夏凜「なっ、違っ、私はその……」

天乃「三好教官ってエッチな人だったんですね。幻滅しました。東郷教官に付きます」

夏凜「だぁぁぁぁぁッ! 違うって言ってんでしょうがァ!」

夏凜は怒りに任せて体を思いっきり跳ねさせ、

天乃の小さな体は意外に容易く宙に浮く

夏凜「全部園子のせいなのよッ!」

天乃「っ!」

夏凜「あ……」

無意識にマウントポジションを奪い返した夏凜の両手は

いつぞや怒ったハプニングの時のように、天乃の乳房を思いっきり握りしめていて

中でずれたのか、先端がわずかにシャツから透けて見えた

夏凜「その……ごめん」

天乃「ううん。それより、貴女の手は私の体に思いっきり触れた……貴女の勝ちよ。おめでとう」

夏凜「こんな勝利いるかァッ!」


要らないとはいえ、勝利は勝利

その物凄く嬉しくない決着に、夏凜は頭を抱えて項垂れた

夏凜「なんて締まらない終わりなのよ……」

天乃「私達なんて、いつもそういうものだったじゃない」

夏凜「……けど」

天乃「貴女は優勝カップに触れられたのよ? 胸だけに」

夏凜「嬉しくないわよ!」

強く怒鳴った夏凜は

大きくため息をついて首を振ると

天乃の上から退くことなく、耳元に顔を近づけた

夏凜「一度しか言わないわ」

天乃「うん」

夏凜「最期の最期までありがとう。天乃と過ごしてきた思い出はずっと忘れない」

天乃「うん」

夏凜「天乃。あんたは私にとって最高の家族。最高の姉。最高の親友。そして……最愛の人よ」

天乃「夏凜……」

夏凜「心配しないで良いから。あんたはあんたの本当の家族と向こうで幸せに暮らしなさい。またね、天乃」

言い終えた瞬間には

夏凜は大きく飛び退いて、全力でどこかへと駆けていく

もう見ていたくなかった

見られるわけにはいかなかった

雨が降ってくれれば、誤魔化しながら居られたのに。と

雲がほとんどない空を睨み、夏凜は目元から零れ落ちていく雫を拭った


園子「にぼっしーが行っちゃったから、私もすぐ行かないといけないね~」

天乃「……放っておいても良いんじゃない?」

園子「そういうわけにもいかないんだよね。私、一応にぼっしーのパートナーだから」

えへへと笑う園子の緩い笑顔に

天乃はくすっと笑ってそれなら仕方がないわね。と呟く

園子「イリーがね? 天さんに話したいことあるーって言ってたから、わっしーに会ったらそのまま行くと良いよ~」

天乃「うん。その予定」

頷いた天乃を見つめていた園子は

困ったように頭を指で突いて、残念そうに息をついて俯く

園子「……別れの言葉。言おうと思ってたんだけど、なんかね? 他の言葉を言いたくて言いたくて仕方がなくなっちゃうんだ~」

天乃「風が良く言ってた、勉強しようとすると部屋を片付けたくなる病。みたいなやつ?」

園子「そうかも~……でも、これじゃぁゆーゆーに示しがつかないし。頑張らないとだよね」


園子「天さん。ありがとう」

天乃「私も。ありがとう」

園子「この平和は、私達が絶対に守るから、安心して。ゆっくり休んでね~?」

天乃「ええ」

園子「もしもミノさんに会うことが出来たら。私達は元気でやってますって、伝えてくれるとうれしいな」

園子は泣かない

辛い経験をたくさんしてきたから

耐えるほどの力がある。なんていう理由ではなく

心配するなと言った以上は、心配させるような表情は絶対にしたくなかったから

園子「天さん」

天乃「うん」

園子「………ゆーゆーの事、最期まで大事にしてあげてね?」

天乃「もちろんよ」

園子「じゃぁ、私。にぶっしー? にぼっしーのこと追いかけるから……バイバイ。天さん。ズッ友だよ!」

園子もまた夏凜を追いかけて去っていく

なぜ走って逃げたのか

夏凜の気持ちが解ったような気がして

園子「仕方ないな~にぼっしーちゃんは~」

……園子は涙にぬれた笑顔を浮かべた


東郷「こんばんは。友奈ちゃん、久遠先輩」

天乃「こんばんは……こんばんはって時間なのね」

東郷「まことに残念ながら、そのような時間です」

平静を装いながらも

東郷の声はわずかに震えていた

当たり前だ

東郷美森としての期間はもちろん

鷲尾須美としての記憶も、東郷はついに得たのだ

つまり、

合わせて園子と同じく、7~8年分の思い出がある

だからこそ、その喪失による悲しさはとてつもなく大きい

東郷「久遠先輩は私達にとって、風先輩達と共に非常に素晴らしいムードメーカーです」

天乃「ふふっ、ありがと。でも、夏凜や風がいるからこそだけどね」

東郷「楽しかったです。嫌なこともありましたが。本当に……久遠先輩のおかげで楽しく、幸せな5年間でした」


天乃「そんなに褒められると照れちゃうわ」

東郷「ふふっ。照れた久遠先輩が可愛いと友奈ちゃんが絶賛しているので、生で見てみたいです」

天乃「絶賛って……というか、生でってどういうこと?」

友奈「あはは……その、私の端末の待ち受けに」

天乃「はぁっ!?」

友奈から端末を受け取った天乃は

友奈との結婚した日付を入力して解除し、

待ち受けを見つめて、顔を真っ赤にして首を振る

天乃「い、いつ撮ったのよ!」

友奈「その、夜に」

天乃「友奈のエッチ!」

友奈「えっ!?」

天乃「えっちなことしてる時に……こんなっ」

顔を両手で覆った天乃を見ていた友奈は

流石に黙っていられず、何もない空中を一瞥する

友奈「撮ったのは死神さんです……というか、待ち受けにしたのも死神さんです。残したのは私ですけど」

死神「ウラギッタ!」

天乃「死神ィッ!」

死神「カワイイノガイケナイノ! ワタシハワルクナイワ!」

東郷「悪霊退散っ!」

死神「ッ!」

東郷の放った矢が自分の体の真横を通った瞬間

死神はパッと姿を消し、どこかへと消えていった


天乃「まったく……」

東郷「破廉恥な精霊ですね」

天乃「ホントよね……呆れて何も言えないわ」

深々とため息をついた天乃は

友奈に端末を返すと「まぁ、友奈が持ってるのならいいわよ」と

照れくささを残した笑みを浮かべる

……だから死神さんが可愛いのが悪いって言うのに

友奈はそんなことを想いながら

頭の中に天乃の笑顔を焼き付けて、苦笑した

東郷「久遠先輩」

天乃「うん?」

東郷「お疲れ様でした。沢山のものを頂いておきながら、何もお返しできず申し訳ありません」

天乃「ううん、良いのよ。私は別にお返しが欲しくてしていたわけじゃないから」


東郷「……貴女のそんなところが、私は好きです」

天乃「何言ってるのよ」

東郷「冗談ではなく、本当に。心から尊敬しています」

その優しさ、温かさ、強さ

その弱さ、意地悪さ、冷たさ

人を思うがゆえに、己を孤独にすることが出来る意志

真似しようと思ってできる事じゃない

東郷「久遠先輩。大変お世話になりました」

天乃「こちらこそ。ありがとう。東郷」

足が治り、さらに背も伸びた東郷が頭を下げても

天乃が立っている時よりもわずかに高い

天乃「……身長が欲しかったなぁ。お返しに」

東郷「それは、難しい話です」

天乃「解ってるわよっ」

笑い話で話を終わらせた天乃は

大赦の施設へと向かい、園子がイリーと呼んだ少女

伊集院沙織と、再会した


沙織「ごめんね、着て貰っちゃって」

天乃「気にしなくていいわ。それより、友奈にも聞かれたくない話って何?」

沙織「……仮説だから、余計な不安を与えちゃいけないかなって思ったんだけど」

久遠さんにだけはしっかりと話しておくべきかなと思ってね。と

沙織は真剣なまなざしで切り出す

沙織は天乃が身代わりとして寿命を捧げたおかげで

その分の寿命を延ばすことが出来た

だから

天乃が後世に残すはずだった何かの分だけ

勇者に関しての何かを残す。それが、沙織の目的

沙織「満開による後遺症と、その回復に関して、そして、死神さんが治った部位に感じた神様の力。の理由」

天乃「わかったの?」

沙織「あくまで仮説だけど、満開というのはその勇者に蓄積された戦闘による……何か。そうだね。穢れを払う力。だと思うんだ」

天乃「……どうして?」

沙織「代償が必要だからだよ。代償が必要だと言うのなら、戦いで貯まった経験値なんて何の意味もないんだ」

天乃「…………」

沙織「代償=満開に必要。だったら経験値とは何か。それを蓄積された穢れとすれば、満開が祓う力つまり、神の力=絶大な力だと思うんだよね」


沙織「さらに言えば、奪っておいて補助機能。だなんて馬鹿げた話だよね? 補助するなら初めから奪わないでよ」

ちょっと怒っているような物言いに

天乃は困りつつも同意して頷く

天乃「それもそうね……」

沙織「でも、お祓いをするために一時的に預かる必要があった。とすれば話は別だよね?」

天乃「……………」

沙織「回復した機能に神様の力が宿っているのも、それでなんとなく説明がつく」

一息ついて、お茶を口に含んだのを見計らって

天乃は口を開く

天乃「じゃぁ、なんで園子は治るのがあんなに遅かったの?」

沙織「蛇口から流れる水は太くても、たくさんの穴が開いたシャワーヘッドがついたら細くなるよね?」

天乃「……………」

沙織「そして一番重要なのは、久遠さんの寿命もあたしの寿命も戻らない理由」

沙織が一番答えを見つけたかったこと

沙織が一番、解決策を作り出したかった事

沙織「あたしは消費されるエネルギーみたいなものに転換した。久遠さんは穢れそのものを力として扱った。だから……返せるものなんてないんだよ」

残念そうに言った沙織は

おもむろに笑顔に切り替えると、首を横に振る

全部仮定、全部想像

でも、もしかしたらそれが答えなのかもしれない

沙織「だから、ごめんね久遠さん。どうしてもあげられない」

天乃「そんなこと……」

沙織「ありがとう。ごめんなさい……久遠さん。あたし、誰よりも早く追いつくことになるとは思う。でも、あたし頑張る。これからの勇者の為に、もっともっと頑張るから」

天乃「頑張りすぎてはダメよ。窶れた貴女となんて、再会したくない」

心優しい拒絶に

沙織はくすくすと悲しそうな笑い声を返して……頷く

沙織「解った。適度に頑張ってちゃんとした結果を残して見せる」

沙織と天乃の大事な約束

沙織は悲しそうな声色にはなりながらも、決して涙は見せず

終始笑顔のまま、天乃と別れた


では、ここまでとさせて頂きます

あとは友奈との交流→END


沙織の語ったことはこのスレ上の設定です


では、エピローグのラストを始めたいかと思います


友奈「……夜ですね」

天乃「どうしたのよ。今日、時計ばっかり見てたでしょ」

ベッドの上に座る友奈は、横の時計から天乃へと目を移すと

今にも泣き出してしまいそうな表情で、首を振る

友奈「見えないものは、過ぎ去っていくのが速すぎるから……」

朝起きてから

幾度となく時間を確認し続けた

一時間二時間ではなく、一分、二分

もっと早ければ十数秒単位で確認していた

それはドッキリなんかでも

終わりまでの時間を数えていたのでもなく

友奈「ずっと見ていれば、ゆっくり過ぎていってくれるって、思ったんです」

ただ、それだけの理由だった

天乃「……どうだった?」

友奈「全然だめでした。気づいたらお昼、気づいたら夕方、気づいたら夜……切り取られちゃったみたいに、あっという間でした」


友奈「でも、天乃先輩がどんなお話してたのか。誰と会っていたのか。頭の中では鮮明で」

心と体は本当に別物なんだなって

なんだか哲学に近い何かを思って

心よりもずっと、体は非情なんだなって思って……

友奈「もう、泣きたいです」

天乃「私は泣いちゃだめだなんて、言ってないわよ?」

友奈「泣いたら天乃先輩がぼやけちゃうじゃないですか」

天乃「……でも、辛くない?」

友奈「泣くのを我慢するよりも辛いこと、ありますからっ」

友奈は満面の笑みを浮かべながらそう言って

そっと、天乃の手に触れる

まだ温かい、まだ、力強い

久遠天乃の生をしっかりと感じて、見つめる

友奈「約束、憶えてますか?」

天乃「ええ、ちゃんと憶えてるわ」


天乃「でも、本当にするの? 最期の夜なのよ?」

友奈「……最期だからこそ、するんです」

天乃「そういうものなの?」

友奈「私の個人的な希望です」

二人の約束

それは友奈から言いだしてきたことであり

五年前のあの時、まだ知識も全くなかった頃に

天乃が安易な気持ちで請け負った事だ

もっとも、友奈が相手だからという信頼と愛情があってこその

貞操観念の緩さ。と、言えるのかもしれないが

天乃「まぁ、純血は一生に一度、たった一人にしか与えられないものみたいだし、貴女の願いでなくても。あげるのなら貴女が良い」

友奈「………………」

天乃「……道具は? 確か、必要なんでしょう?」

友奈「それなら用意してあります」


友奈「これです」

ベッドの下を漁っていた友奈は

開封さえされていない特殊なパッケージの箱を取り出すと

少しためらいながらも箱を置開けて、両端が同じ形をし、わずかに反り返った棒状のものをベッドの上に置く

天乃「えっ? なにこれ、こんなの使うの……?」

友奈「二人で使うからですよ? 一人だったらこの半分くらいかと」

天乃「そ、そうよね……さすがにこの長さは収まらないわ」

引き気味の天乃に対して

友奈はちょっと困ったような笑みを浮かべながらも、道具を手に取る

五年前の時点で大差あった性知識は

今もなお、友奈の方が豊富だった

友奈「初めはたまにするエッチをそのままする方が良いみたいです」

天乃「滑りを良くするため?」

友奈「それもありますけど……あとは解すためですね。何もしないままだと摩擦が強くて入れ辛いうえにとっても痛いらしいです」


恋人が死んでしまう時間が刻一刻と近づいているにもかかわらず

友奈は丁寧に説明をする

どれだけ時間がなくても

どれだけ焦っていても

痛い思いも、辛い思いも、苦しい思いもさせたくないからだ

天乃「脱ぐべき?」

友奈「はい。今回は……全部」

一番初めのあのぎこちなさを思い出しながら、天乃が自分のシャツのボタンをはずしていくのを一瞥し、

自分のスカートのホックをはずし、ファスナーを下げる

ファサッと軽い音が聞こえ、巻き起こった小さな風が足元を駆け抜けていくのを見送って

Tシャツの裾を掴み、一気に引き上げて頭から脱ぎ、

キャミソールとショーツだけになって、

同じ格好で留まった天乃と目を合わせ、布団に押し倒して

友奈「んっ」

天乃「っ………」

唇を重ねる

友奈と天乃のエッチの始まり

それは最初を除けば、いつも必ずキスからだった


友奈「んっ」

天乃「っ、ぁ……ん」

まずは唇を重ねるだけの軽いキス

ほんの数cm離れて、どちらかが口を半開きにして

もう一人が、その中に舌を挿入する

天乃「んむっ……んんっ」

口腔に友奈を受け入れた天乃は

舌を噛んでしまわないように気を付けながら

ダンスに誘うような接触を続ける友奈の舌先に舌先を触れさせて、絡める

友奈「ぁっ、んっ……ふっ……」

舌が熱く絡め合い

閉じることのままならない口元から透明の唾液が垂れて、天乃の口元を汚す

天乃先輩……いつもより積極的だ

ねっとりとした口腔に飲み込まれた自分の舌に意思を通し

友奈は負けじと抗って、天乃の舌の裏筋を舐め上げて、表面ではなく、側面をペロリと時間をかけて舐める

天乃「っ」

くすぐったさと心地よさの絶妙な境界線に受けた刺激は、天乃の体をぞくぞくと震わせる

さらに追い打ちをかけるように、友奈は口蓋に浮かぶスジをなぞるように舐めて

分泌されていた唾液を舌に絡めて天乃の口から抜け出すと

天乃の目の前でゴクリと喉を鳴らす

友奈「っ……」

天乃を恥ずかしがらせるはずだったのだが

思った以上に友奈の身体にも響き、天乃だけでなく友奈もまた熱を持ち始めていた


では、ここまでとさせて頂きます

最期だからこそのエッチ……その理由は


では、薦めていきます


友奈「下、触っちゃいますね」

天乃「うん」

友奈「ん……」

優しく口づけをしながら

天乃のショーツの中へと手を忍び込ませる

成長が止まっているからか、相も変わらず更地な事には触れず

友奈は縦に入った亀裂の縁に指を押し付ける

いつもより、濡れてない……?

疑問に舌を止めた友奈の瞳に疑問の色が浮かび

天乃はクスッと笑って呟く

天乃「……焦らすの?」

友奈「いつもより、ガードが固いなって」

天乃「いつもは貴女が攻めてくれるからよ。今日は……私からでしょ?」

友奈「……そう言う事ですか」

天乃「そういうことよ」


会話しながら体を責めあい、昂らせていく

中途半端な前戯では痛い

だからこそ、

念入りに、ねっとりと、じっくりと、丁寧に行う

天乃「んっ、っ……ぁっ」

友奈「天乃先輩はこうされるのが、ダメなんですよね」

天乃「っあ!」

天乃の乳房を鷲掴みにし、ピンッと張った果実の種をこねくり回して押し潰す

純粋であれ、不純であれ

吸い付く者がたった一人で時々でしかない乳頭の色は綺麗だ

天乃「んんっ、くぁ……っ」

友奈「赤ちゃんが出来なかったから、吸っても何も出ないけど……」

天乃「っ!」

熱っぽい息を肉芽に吹掛けながら、ねっとりと唾液の伸びる唇で甘噛みしつつ

舌先でちろっと舐めて、上目遣いに天乃の顔を伺う


快楽に耐える為に閉じられた瞼、揺れるまつ毛

唇は結ばれたり、ゆるんだりしていて忙しなく、頬は上気してわずかに紅い

友奈「天乃先輩のエッチな声、もっと聴かせてください」

天乃「っ、何言ってるのよ」

友奈「これで聞き納めですから」

天乃「っ!」

乳首だけでなく

肉釦の周囲の輪郭までも広げた唇の輪の中へと吸い込み

ずずずっと音がする勢いで吸い続けながら

空いた手でもう片方の美味しそうな風船を撫でて乳頭を摘み上げる

天乃「ひぐっ」

友奈「我慢しなくていいですよ」

天乃「が、我慢って言うか……っ」

友奈「んちゅ……んっ」

天乃「あ、んんっ、ぅ……っ」

さっきは湿気も少なかった下着の中が温室へと切り替わっていったのを手で確認し

大切に保管された淫花を守る布地の上からそうっと陰唇をなぞる

天乃「ん! ぁっ、っ、っ……」

友奈「天乃先輩のポイントは知り尽くしてるんですから。無駄ですよ」

にこっと笑った友奈は

天乃の果実の芽と、蜜を滴らせる淫花の蕾をぎゅっと摘んで捻り上げる

天乃「っあぁぁぁっ!」

沁み出る蜜よりもより濃厚なエキスを吐き出した二枚貝

その縁を静かになぞって人差し指を挿入する

天乃「んんぅっ……!」

友奈「私もしてください、天乃先輩」

友奈のその懇願に色っぽい目を向けた天乃は答えずに友奈の陰部に手を触れる

布の上からでも微かに感じられる愛欲の温もり

じんわりと広がっていくシミを確認した天乃はショーツの中へと手を入れて

隆起した陰核に指先で触れるや否や

ぐいっと押し潰した

友奈「んっ!?」

天乃「まだ」

くちゅりと音を立てる準備万端な入口に指を先行させて

雌蕊の側に向かってフックのように指を引き上げる

友奈「ひぅぁっ!」

天乃「ふふっ……まだ。出てはいないわよね?」

友奈「まだです……もっと。もっと下さい」

天乃「ええ、そのつもりよ」

恍惚とした表情で

さらに先へと進むことを望む友奈の頬を撫でて

天乃は優しく、そう答えた


それから約一時間程度

二人は互いに何度も快楽の絶頂を与え合って

荒く色っぽい呼吸をになりながらも

空気を取り込むよりもまず相手の吐息、唾液を体の中に取り込み

惚けたような瞳で見つめあう

友奈「そろそろ……良いと思います」

天乃「ようやく、なのね……」

どれだけ熱く交わろうとも

必ず視界の片隅にいた愛の伝達棒を友奈は手に取ると

天乃へと差し出して、自分の陰唇を指で広げる

友奈「入れてください」

天乃「私が?」

友奈「自分で喪失はしたくないです」

天乃「……解った」


上の口が食欲を刺激されて涎を垂らすように、

下の口は性欲を刺激され続けて、淫涎を垂らす

天乃「痛かったらそう言って」

友奈「はい……っ」

先端が触れるとぬちゅっと淫猥な音が零れ落ちて

ゆっくり、ゆっくりと蜜壺の中へと無機質な身代わりが挿入されていく

ディルドから手に伝わる友奈の肉壁が押し広げられていく感触

ぐにゅ、ぐちゅっと気分を高揚させるような卑猥な音が絶え間なく漏れる中

友奈の顔がほんの一瞬だけ険しくなったのを見逃さず、天乃が手を止めた

天乃「痛い?」

友奈「そ、そんなことは……ただ、その。違和感が凄くて」

普段ぴったりと閉じているからか

陰唇が広げられ、奥襞を擦られている感覚が友奈には新鮮だったのだ

ゆえに心地よさよりも違和感がある

天乃「じゃぁ、ここを触りながらにしておくわ」

友奈「それよりもキスが良いです」

雌蕊に触れようとした天乃の手を握って止めると

友奈は求めた瞬間から、天乃と唇を重ね、舌を割り込ませていく


では、ここまでとさせて頂きます


長くしてしまいそうなので、次回からはディレクターズカットにしようかと思います


ほんの少しですが、すすめます


唇を強く押し付け、先っぽで触れてくる友奈の舌

天乃は舌の凹凸が密着するほどに強く絡めて削るように引き返し

また表面をなぞり、頬の裏の粘膜を擦る

友奈「んっ、っ、ぁっ……」

天乃「んちゅ、っ、んっ……ふ……」

唇がわずかでも離れると

二人の混ざり合ったエキスが口元を伝って流れ落ちていく

もっと激しく、もっときつく……友奈の気を、私とのキスに

熱を持ちすぎて潤んだ瞳

天乃と友奈はそんな視線さえも交錯させ、折込む

離れたまま舌を伸ばして舌先で触れ合う

ねっとりとテカった健康的な舌は触れる空気にヒクヒクと震える

友奈「はぁっはぁ……んんっ」

天乃「頂くわ」

友奈「んっ!」

パクッと友奈の舌を咥えて、天乃は唇だけをもごもごと動かす

揉みほぐされるような感覚が伸びきって張りつめた神経を通って脳を蕩けさせ

友奈の感覚にはその心地よさが強く印象付けられて、下半身の違和感は快感によってかき消されていく


慎重に性具を友奈の蜜壺の中に押し入れる

伝う蜜で滑ることの無いように手に力を込めて

数センチ、数ミリ単位でポイントへと進行していると

友奈の体がビクっと震えて小さなうめき声が口から洩れた

天乃「友奈?」

友奈「っ、だ、大丈夫です……」

天乃「でも」

友奈「このまま、お願いします」

そう言った友奈の表情には快感混じりの苦痛が浮かぶ


――当たったかな……膜


個人差はあれど、貫通した際に痛みを伴う原因

乙女の純血と言われるもの

下腹部の内側

秘蔵の美酒を守る砦への干渉を友奈はピリッと感じたのだ

慎重な手つきだからこそ、その程度

勢い余ってなんてなっていたら痛みと苦痛で性交どころではなくなることもありえたかもしれない


天乃「痛いなら言うのよ? 絶対よ?」

友奈「はい……っ」

少しだけ裂けたのだろう。痛みはまだ淫口の奥で

擦り傷への薄めた消毒液のようなヒリッとした感覚がわずかに伝わってくる

天乃「友奈、キスしながらにする?」

友奈「舌が危ないので……」

天乃「解った。じゃぁ、その可愛らしいお山を登るわ」

痛みを耐えようと歯を食いしばれば舌を噛む危険性がある

そんな不安を抱く友奈に笑みを浮かべた天乃は

ぬちゅ……っと、わざとらしく口の中で唾液を伸ばして

食欲あるいは性欲を身に纏うぬめった舌先は、可愛らしく育った乳房の麓から、頂上を眺めるように立ち尽くす

友奈「っ、んっ」

天乃「はぁ……っ、ぁー……」

友奈「っぁっ! んんっ……」

這い上がってくる舌の密やかなざらつきが心地よく、

通った道に残った水滴が空気に触れてひんやりとする

友奈「ん、ぁっ、やっ……」

天乃「んちゅ、ん、はぁ……ん」

友奈はわざわざぐるりと遠回りコースを歩む刺激にゾクゾクと体を震わせて

飲み込むのを忘れた唾液が口元から零れ落ちる

友奈「そんな、そんなゆっくり……っ」

天乃「せっかくだもの、ゆっくり楽しまなきゃ」

友奈「ぁっ、あぁっ……ぅ……」

果実の芽を触れてくれれば、舐めてくれればもっと強い刺激が得られる

それを覚えている体は早く早くと天乃の舌がたどり着くことに期待し

神経は一斉に乳頭へと集っていく


友奈の表情が柔らかくなって

吐息が荒々しく、熱っぽいものへと戻っていく

友奈「はぁっ、はぁ……あっ、んんっ」

天乃「んっ、ちゅ、んぁ……ふ……」

友奈「っ! んっ、ぁっ」

ディルドを伝う露に手が濡れていく


……感じるわ。貴女の大事なもの


生唾を呑みながら、天乃は友奈の小ぶりな乳房

その先端の歯ごたえのありそうな肉性の釦をランダムに刺激する

咥えて、舐めて、吸って、揉むように甘噛みして

息を吹きかけて、押してみたりと忙しなく責めたてながら

少しずつ友奈の処女膜を愛の代行でゆっくりと押し広げ、裂いていく

友奈「んっ、ぁっ、あぁっ、はっ、あっ……んんっ」

天乃「ふ……んっ、ジュルッ」

友奈「っぁぁっ!」

天乃「ぁ……」

滲み出てくる蜜に交じって、赤みがかった初めての証が陰部から出てきたのを見て

天乃は思わず小さな声を上げる


これが、純血……


友奈の処女を奪った

友奈の純血をもらった

初めは実感なんてなく、次第に嬉しさが込み上げて来て

天乃は友奈の双乳への愛撫、愛舐を止めて、友奈と見つめあう

友奈「……奥の方で、何かが叩かれてる感じがします」

天乃「痛くない?」

友奈「ほんの少しひりひりするような感じはありますけど……痛みは。不思議と全然」

陰唇や膣道が無機質でありながら、温もりを感じる性具に押し広げられている感覚は

少しでも動けば嬌声を漏らしてしまいそうな極限状態への栓のようだった

友奈「天乃先輩も、広げてください」

天乃「ひ、広げなきゃダメ……?」

友奈「ダメです」

天乃「っ、あんまり見たりしないでね?」

そんな前置きをして顔を真っ赤にしながらふいっと背けた天乃は

自分の手で淫裂の縁を抑えて、ゆっくりと広げていく


大陰唇が剥かれて、露わになった肉襞は綺麗なピンク色で

自分の蜜に濡れてテカリ、ひくひくと震える小さな小さな淫口は淫靡で

女の子の卑猥な香りが漂ってくる

天乃「友奈っ」

友奈「ゴクッ……」

無意識のうちにつばを飲み込んだ友奈は

泣きそうになりながらも従順に恥丘のワレメを広げる天乃を一瞥して

浮かせていた腰をゆっくりと引き、

疑似男性器の先端を天乃の陰部に押し当てる

友奈「ひぁっ!?」

その瞬間、子宮口が若干押し広げられ

膣道の周囲、奥襞がこすれた友奈は甘美な叫びを上げる

友奈「んんっ……ぁっ、ぅ……」

天乃「っ………」

友奈「ぁっ、んっ、はぁ、はぁっ……」

天乃の入り口は年齢に見合わず小さくて入り辛く

友奈の体の奥の3つ目の口が徐々に押し広げられていく快感は

高圧電流のようにビリビリと友奈の神経を駆け巡る


男の子が挿入するときも、こんな風に気持ち良いのかな……出ちゃわないようにするの、大変そうっ


天乃「んっ、っ! ぅ……ぁっ、は……」

友奈「んぁぁっ……あっ、はっ、はぁ……あっんんっ!」

果ててしまいそうなのを堪えながら

友奈はゆっくりと、慎重に、天乃の小さな女の子の穴に挿入していった


では、ここまでとさせて頂きます

ないかもしれない(やらないとは言ってない)
それはともかく次の投下開始前か終わりに答えてくれるだろうからいちいち喧嘩腰になるなよ

エロを楽しもうぜ(ニッコリ)


描写に関しては、書き溜めの放出ではないので未定ですが
明日の投下で確実に終了する予定です

ニューゲームに関しては

鷲尾編を新たに解放して
鷲尾編または友奈編のどちらかをプレイすると言う者も考えてはいましたが

現状の投下スケジュール(日曜以外22~23時)を考えると
安価スレとして機能するにはやや厳しいかなと思っています

とはいえど、とりあえずは終わらせることが先決なのでどうするかは終わってから考えます


天乃「くっ……ううぅっ……」

天乃は押し殺しきれない苦痛の声を漏らす


これは確かに痛い……というか、点と線が繋がっちゃいそう


身長だけなら小学生で通せる天乃の体は成熟しながらに未成熟と

相反する二つを併せ持っている

それは

人間と神の両面性を担っているような存在ゆえの対価なのかもしれない

天乃「~~~~~~っ!」

友奈「い、痛いですか?」

天乃「平気、平気だからぁっ……」

友奈「そう言われても」

我慢すれば平気なのかもしれないが、流石に危険な領域なのだろう

天乃の瞳にたまった涙はつぅーっと流れ落ちていく

友奈「ゆっくり、馴染ませながら行きますね」

天乃「ええ……」

引き返すわけでもなく進攻を止めて天乃とキスを交わし、空いた手で乳房に触れながら

小さなトンネルにその大きさを馴染ませて、体が気づけないほどに微量な速度で押し入れていく


友奈「ん、ぅ……んちゅ」

天乃「んっ、ぁっ、くぁっ、あっ……」

友奈「ふ……っ、ぁ……ん……コクッ」

激しく熱く、そのキスこそが性交のように絡め合う

ぶつかり合う熱い吐息。とめどなく溢れる透明のぬるい水

互いの口元から唾液が毀れていくのもお構いなしに

情熱的なベーゼは続く

友奈「はぁ、はぁっぁっ……んんっ」

天乃「ぁっ、っ!」

隠密行動を続けていたディルドの先端が障害物に触れたのを感じた2人は見つめあって

覚悟を決めた瞳で頷き、両の手を広げる天乃を友奈は見下ろす

胸に飛び込んでおいで。良いよ、受け止めてあげるから……そんな言葉が頭に響く

友奈「……天乃先輩の、初めて」

天乃「うん。そう。この日の為にずっと守り続けてきた純血」

友奈「…………………」

天乃の広げられた両手が友奈の頬に触れる

抵抗はもちろん、身動ぎさえしない友奈を見上げる天乃は困ったような表情を浮かべると

小さなため息をついて口を開く

天乃「ゴールテープを切るのが怖い?」

天乃「え?」


天乃「貴女が設けた私との生活の終わり、ゴールテープ」

友奈「……………」

天乃「それが、私のこのお腹の中。処女膜……違う?」

天乃の射抜くような鋭さのある瞳に友奈は緊張を覚えて生唾を呑む

間違ってない。正解だ。大正解だ

えっちな交わりに没頭し、初めてを終りとして

友奈は確定した現実をいつの間にか過ぎ去った過去にしようとしていた

友奈「っ……」

天乃「…………」

友奈の瞳からポロポロとしずくが滴る

えっちの昂りを体に残し、互いの体を生温い性具で繋いだまま

友奈は目元を拭って首を振る

友奈「それじゃダメなんですか? 受け入れるしかなかったって過去にすることの何がいけないんですか?」

天乃「友奈……」

友奈「受け入れたくないッ! 認めたくなんてないッ! 覚悟なんて出来るわけないッ! 諦められるわけ――ないじゃないですかッ!」


友奈「この5年間……したいことは全部やろう。やり残しも悔いも無いように、全部しようって過ごしてきました」

でも

やればやるほど悔いが生まれた

やればやるほどやりたいことが増えていった

続編が制作中のアニメ、マンガ、ドラマに映画

数年後にできる新しい観光施設、娯楽施設

一緒に見たい。一緒に行きたい。一緒に楽しみたい。一緒に喜びたい……

友奈「一緒にしたいことがまだまだ沢山あるのにっ、これからももっともっと! 増えていくのにッ!」

天乃「…………」

友奈「どうして、どうして死んじゃうんですか……どうして、なんで……っ」

悲しみがあふれ出す

我慢なんてできない。全部我儘だと理解はしている

でもだからと口を慎むことなんて、友奈にはどうしてもできなかった

友奈「死なないで……逝かないで……私とずっと一緒にいてください。お願いします……っ」

無理なことだ

天乃にはどうしようもないこと

相棒である精霊、死神にだって抗う事の出来ない運命

それを覆せと願う恋人の頬を撫で、涙を拭った天乃は首を横に振る

天乃「五年前。貴女が未来の自分の為に用意した最期をしっかりと迎え入れなさい。友奈」

友奈「っ…………」

天乃「私の未来が変わることはないけれど、貴女の未来にはきっと。変化をもたらしてくれるはずだから」


では、ここまでとさせて頂きます
明日は可能であれば朝から進めて明日中には終わらせたいと思います


友奈「っ………」

天乃「私の想い、私との記憶は、貴女に背負わせる物じゃないの」

天乃が友奈を好きな気持ち、その心

天乃と友奈が歩んできた5年半。その記憶。その思い出

それは天乃よりも長く生きる友奈を縛り付け

悲しませ、苦しませて、辛い思いをさせるためのものではない

背負わせるものなんかでもない

天乃「これからも生きていく貴女に寄り添うもの。私の代わりに貴女のことを支えてあげる為にある」

友奈「そんなの……っ」

天乃「貴女が自分に自信を持てなくなった時。貴女がこの世界に絶望するようなことがあった時……」

天乃は零れそうな涙を引き戻しながら笑みを絶えず浮かべ

友奈の頬を撫でて、頭を撫でる

天乃「そんな貴女を愛した人がいるのだと、自信を与える為に。そんな世界には、貴女の大切な思い出があるのだと、その手を掴む為に……それらはあるのよ」

友奈「っ」

天乃「本当は全部私がやってあげるべきこと。でも、出来ないから……沢山の気持ちと記憶を置いていく」


本当は、本心は

死にたくなんてない

もっと見たいものがある。やりたいことがある。行きたい場所がある。連れて行きたい場所がある。

もっともっと、たくさんあるのだ

でも。その大切な未来を失う代わりに、大切で大好きな過去を得たのだから

この死に悔いはない

友奈「私……ずっと、ずっと天乃先輩だけを好きでいます。天乃先輩だけを――」

天乃「その必要はないわ」

友奈「え?」

天乃「もしも誰かを好きになったら。遠慮せずに恋をしなさい。尽くしてしまいなさい」

友奈「でもっ」

天乃「私は貴女に幸せになって欲しいのよ。気持ちは嬉しいけど、それじゃ貴女は幸せになれないでしょう?」


友奈「天乃先輩……っ」

天乃「うん」

今も、昔も、これからも天乃先輩は私の事を考えてくれている

死んじゃうのに。いなくなっちゃうのに

そのあとのことまでもちゃんと考えて、言葉を残してくれている

そんなことをされて、言われて

いつまでも文句や我儘を言うなんてことは、友奈には出来なかった

友奈「私、幸せになる為に、誰かと恋をするかもしれません。でも、天乃先輩の事は絶対に忘れない。絶対に好きでいる……それだけは許してください」

天乃「……ええ。お墓の掃除を怠ったら化けて出てやるから覚悟しなさい」

友奈「あははっ、そんなこと言ったら掃除しませんよ?」

天乃「ふふっ、確かにそうね」

二人で笑い合って、見つめあって、泣くのはダメだと涙を堪える

友奈「ちょっと痛いかもしれません。でも、貰います」

天乃「どうぞ」

止めていた腰をゆっくりと動かして、友奈は天乃の体の中

喪失のある未来への壁を貫いて、進んでいった


天乃「っぅ………!」

友奈「んっ……ぁっ」

膜を突き破って天乃の膣口へとたどり着いたディルドは

もう一方もまた、友奈の隠された出入口に触れる

友奈「天乃先輩」

天乃「っ……うん」

名前を呼んで、唇を重ね合わせて、舌を触れ合わせる

一秒一秒を大切に、その体へと刻み込むように重く、強く、限りない優しさと愛をこめて

舌先を接触させて、絡めて、舌を滑らせる唾液を体に取り込む

友奈「んちゅ、ふ、ぁん……」

天乃「っ、ぁっ……んっ、はぁ……ちゅ……っ」

手を握り合い、乳房を押し潰すほどに密着させる

柔らかな果実をすり合わせ、肉芽を擦り、押し潰す

友奈「はぁっはぁ……」

天乃「っ、はぁ……はぁ……」

上も下も口元は唾液にぬれ、艶めかしいテカリを帯び、

見つめあう瞳の縁からは溜めこまれていた思いが伝い落ちる


引けば奥襞が擦られて、押そうとすれば子宮が圧迫される

無理矢理に開かれた陰唇

摩擦される蜜は空気を含み

ぐちゅっ、くちゅ、ぬちゅっ……と

淫らな響きを部屋に響かせて

入りきれていない無機質ながら生温かさを得た棒は

二人の純血とエキスに絡められて、仄かに紅く染まる

天乃「あっ、っ、んっ、はぁっ……はぁ……」

友奈「んっ、っ、はぁあっ! あっ、ん、っ」

痛みは薄れてだんだんと快楽へとシフトし

火照った身体中にじわじわと心地よさを広げていく

友奈「最期も、一緒に……っ」

天乃「うん……友奈」

昂りきった体が果ててしまいそうなのを感じた二人は

最期のキスをして、手を固く結ぶ

友奈「っんんんんっ!」

天乃「んんぅぅっ!」

同時に赤みがかった快楽の雫を迸らせて

疲れ切った友奈の体はつながったまま、天乃の身体へと沈む


天乃「はぁっはぁ……はぁ……んっ」

友奈「はぁ、はぁ……っ」

汗だくの体を抱き合う

月明かりに照らされた室内は女の子の匂いに満たされて、妖艶な空気を漂わせる

無音に近い夜。収まらない荒い呼吸を漏らしながら、見つめあう二人

口の中はどちらのものかも解らない唾液に溢れ、

舌の感覚はキスの交わりで痺れたままだ

友奈「天乃先輩、お風呂入りますか?」

天乃「そうね」

友奈「じゃぁ、一緒に入りましょう」

天乃「悪いわね……多分」

友奈「気にしないで下さい」

天乃が言おうとしたことを察しながら

友奈は先回りして首を振ると、ディルドの中腹を掴んで腰を引く

友奈「ふぁっ、あぁぁっ、あっ、んんっ!」

ぐちゅ……っと音を立てて、友奈の身体から愛の絆が抜け、

天乃も友奈と同じように中腹を掴んで棒を引く

天乃「ふくっ……ぁっ、んっ! んんっ、ぁっ、あぁっ!」

抜けたディルドから愛液が糸を引く

赤色の混じる淫水に塗れた性具をタオルのタオルの上に置いて

抜いたばかりでまだ開花したままの淫花を互いに見つめて、苦笑する

天乃「形状記憶?」

友奈「へ、変なこと言わないで下さいっ! 暫く挿入感はあるけど戻りますから」

天乃「そうよね。じゃなかったら水着を着た時に大変なことになるし」

友奈「良いからお風呂行きますよっ」

裸のまま、洗濯機に放り込む服をもち

寄り添い合ってお風呂場へと向かう

二人しかいない自宅の廊下とはいえ、裸で歩くのはなんだか変な気分だった


天乃「洗ってあげる」

友奈「お願いします」

栓をひねるとキュキュッと音を出しながらシャワーが止まる

浴用イスに座った友奈の赤い髪を

シャンプーを纏った手でわしゃわしゃと弄ぶ

天乃「男の子とのえっちって毎回あんななのかしら」

友奈「していくうちに身体が慣れて痛みはなくなるらしいです」

天乃「入口とかがそれに合わせて広がったりするの?」

友奈「多分ですけど……経験数が多い人は陰唇が閉じなくなっちゃうとか」

天乃「友奈のもいつか広がったままに……」

友奈「そ、そんなにしないですっ!」

そもそもの話

友奈が次の恋をする相手が異性とは限らない

むしろ、初めてが天乃ゆえに次からも同性である可能性は高い


友奈「天乃先輩」

天乃「うん?」

友奈「結婚式でブーケ受け取った大赦の人。どうなると思います?」

天乃「さぁね。春信さんはただの部下って言ってたし。あの人はあの人で尊敬してます。だし」

友奈「信じてます?」

天乃「まさか」

ですよね。と友奈は呟いてくすくすと笑うと

鏡に映る天乃をを見つめながら、式の日の事を思い出す

友奈「天乃先輩、どっも似合ってましたね。男装も、ウェディングドレスも」

天乃「頑張ってさらしを強く巻いたんだから、似合ってくれないと困るわ」

友奈「さらしを巻いてる天乃先輩はなんだか武人! って感じで格好良かったです」

天乃「ふふっ、そっか……流すわよ」

ザーっとシャワーを出し、手にかけて温度を確かめてから

友奈の頭の上に降らせて泡を流し、わしわしと揉むように手を動かす


天乃「まぁ、男装してる友奈は可愛さが隠しきれてなかったから。格好良くはなかったけどね」

友奈「そんな言い方されたら文句言えないじゃないですかっ!」

天乃「怒ってても可愛いわ」

友奈「もぉっ!」

二人とも女の子

だからといってどちらかがタキシード、どちらかがウエディングドレス

どちらもウエディングドレスなんてことはせず

化粧直しを挟んで両方がどちらも着込んだ結婚式

侮蔑されることはなく、むしろ喜ばれたあの日の事は忘れない

友奈「憶えてますか?」

天乃「なにを?」

友奈「あの時の言葉です」

今度は友奈が天乃の髪を洗いながら、問う


あの時の言葉

それが人前式で言い放った言葉だとすぐに気づいて

天乃はくすっと笑う

天乃「死が二人を別つとしても愛を誓う。でしょう?」

友奈「そうです。だから、私は天乃先輩の事を、ずっとずっと愛しています」

天乃「……私も愛してるわ」

友奈「約束ですよ」

天乃「ええ」

友奈はお風呂場の電子時計を一瞥し

唇を強く噛んで、首を横に振ると流しますよ。と言ってシャワーを天乃にかける

天乃「…………」

友奈「天乃先輩、体の方も洗いますね」

スポンジにボディソープを染み込ませて、天乃の体を優しく擦り、

手を持ち上げて肘から脇もしっかりと洗って股を残して足の先までスポンジを滑らせる

友奈「えっちでもしたので、今更ですよね」

石鹸を手で泡立てて、淫裂の周りを包むように優しく撫でる

擦るような強さではなく、あくまで撫でるような優しい手つき

それでいて、しっかりと汚れを落とすために指の腹、皺の凹凸でしっかりと拭う


周りを洗ったら少しだけ開き、陰核を包む皮を爪で傷つけないように優しくつまんで揉み洗いし、

陰核部分もエッチの時以上に優しく扱う

大小の陰唇の溝にもしっかりと指を滑らせて

洗いの腰が無いようにもう一周繰り返し、熱すぎないぬるま湯程度のお湯で洗い流す

友奈「綺麗になりましたね。天乃先輩」

お湯を止めて、一旦お風呂場を出てバスタオルを手に戻る

友奈「……………」

浴用イスに座り、壁に寄りかかって目を瞑った天乃の全身と髪先

自分の身体と髪を残さず拭くと、

友奈は一足先に眠ってしまった天乃の体に服を着せて、おんぶする

友奈「天乃先輩が小さい人で良かった点が、また一つ見つかりましたよ」

一人で呟き、一人で笑って

ベッドに天乃を寝かせた友奈は一人佇んで

力強く拳を握りしめて、頭の中がぐちゃぐちゃになってしまいそうなほど激しく首を振る


友奈「幸せそうな寝顔、写真にとっちゃいますよ?」

きゅっと閉じた瞼

手入れのいき届いた眉毛

お風呂上がりで艶々として、火照っているのかほんのりと赤い頬

閉じた唇はそこの薄い器のようになっていて

全体を通してみると、笑っているようにしか見えなかった

いや、きっと

この結果に不満はなく、悔いもなくて……幸せだったから

友奈の最愛の人は、笑っているのだ

友奈「……お疲れ様でした。天乃先輩」

髪を撫でて、頬に触れる

まだ温かい。でも、柔らかな乳房の揺れはない

友奈「おやすみなさい。天乃先輩」

天乃と過ごした5年半。幸せだった分だけ悲しみが押し寄せて

堪えることのできない涙が絶え間なく溢れ出す

けれど、友奈は天乃と同じように笑みを浮かべていた

悲しみはある。でも、これは決して悲しい結末なんかではないからだ

報われるはずのなかった勇者が報われた結末

それが悲しい終わりのはずがないからだ

友奈「天乃先輩が幸せそうで……私は嬉しいです。本当に、幸せそうで良かった」

自分だけが生きている

でも、残していったものは友奈だけではない

だから、友奈は沈まずに前を向くことが出来る

友奈「ありがとうございました。天乃先輩……大好きです」

この結末を。この喪失を

結城友奈の一部として、友奈は新しい一歩を踏み出す

久遠天乃が残したものはいつか芽をだし、大樹となるだろう

世界は変わらないのかもしれない。でも、世界を変えることは出来る

その変化をもたらすのは、きっと――久遠天乃が勝ち取った少女たちの未来だ



クリアデータ:久遠天乃は勇者である(happyend①)

データを保存

………………

・久遠天乃のデータを使用することが可能です
・伊集院沙織のデータの保存に失敗しました
・新人ちゃんのデータの保存に失敗しました
・鷲尾須美は勇者であるを解放しました


1クールの内容に2クールの時間がかかりましたが
これでこの話はおわりになります

ニューゲームに関しては
現在の投下スケジュール日曜以外(22時~23時※無い日有)は確保できていますが
この場合、少なくとも1年はかかるかと思います

終わるまでが果てしないですが、問題がなければ始めようかと思います


では、こちらで主人公や舞台設定(鷲尾・結城)を決めて
新しいスレを立てたいかと思います

55分頃に決めますので、よろしくお願いします

決め方は初めと同じく、多数決ではなく普通の方法
ただ、↓2で決めようかと思っています


ではまず、舞台設定です



1、鷲尾須美は勇者である

2、結城友奈は勇者である


↓2


結城友奈は勇者である


年齢設定


1、11歳(小6)~17歳(高3)
2、久遠天乃を利用する



↓2



※久遠天乃のデータを再利用することが可能です
 この場合、その他の設定も不要になりますが、性格の変更・過去の変更が可能です


久遠 天乃(くおん あまの)

中学3年生(不登校) 髪:ピンク 瞳:橙 髪型:ポニー(ロング)

身長148cm バスト84cm  誕生日6月6日

家族と生活(姉、兄、父親、母親、祖父、祖母)

麻婆が好きできのこが嫌い

カラー:黒 武器:素手

ここまでのデータをロードしました


学校設定


1、転校生
2、不登校
3、風と同じクラス
4、風とは別のクラスにいる
5、学校には通っていない


↓2


久遠 天乃(くおん あまの)

中学3年生(学校には通っていない) 髪:ピンク 瞳:橙 髪型:ポニー(ロング)

身長148cm バスト84cm  誕生日6月6日

家族構成(姉、兄、父親、母親、祖父、祖母)

麻婆が好きできのこが嫌い

カラー:黒 武器:素手


性格設定


1、自由な性格
2、冷たい性格
3、優しい性格



↓2

久遠 天乃(くおん あまの)

中学3年生(学校には通っていない) 髪:ピンク 瞳:橙 髪型:ポニー(ロング)

身長148cm バスト84cm  誕生日6月6日

家族構成(姉、兄、父親、母親、祖父、祖母)

麻婆が好きできのこが嫌い

カラー:黒 武器:素手  性格:自由気まま



過去設定


1、先代勇者

2、今回勇者


↓2


久遠 天乃(くおん あまの)

中学3年生(学校には通っていない) 髪:ピンク 瞳:橙 髪型:ポニー(ロング)

身長148cm バスト84cm  誕生日6月6日

家族構成(姉、兄、父親、母親、祖父、祖母)

麻婆が好きできのこが嫌い

カラー:黒 武器:素手  性格:自由気まま

過去:先代勇者(ステータス前回のを若干引用します)





1、一人暮らし
2、家族暮らし
3、園子と同棲(お祀り状態)

↓2

久遠 天乃(くおん あまの)

中学3年生(学校には通っていない) 髪:ピンク 瞳:橙 髪型:ポニー(ロング)

身長148cm バスト84cm  誕生日6月6日

家族構成(姉、兄、父親、母親、祖父、祖母)

麻婆が好きできのこが嫌い

カラー:黒 武器:素手  性格:自由気まま

過去:先代勇者(ステータス前回のを若干引用します)

現在:園子とお祀り状態



ここから先はコンマ判定になります


満開数と散華箇所の判定です


コンマ判定 満開数

園子様が満開数21回、鷲尾さんが2回なので、最大値は21とします



コンマ一桁の数だけ 満開


0は10 ぞろ目の場合は一桁+二桁(00なら20回)


↓1


満開数7回

コンマを7回引けます。



01:記憶 02:視覚 03:聴覚 04:触覚 05:視覚 06:嗅覚 07:聴覚 08:触覚 09:味覚 10:腕
11:視覚 12:記憶 13:触覚 14:視覚 15:触覚 16:聴覚 17:嗅覚 18:嗅覚 19:腕 20:味覚
21:聴覚 22:視覚 23:記憶 24:触覚 25:視覚 26:嗅覚 27:嗅覚 28:腕 29:味覚 30:腕

31:触覚 32:聴覚 33:足 34:視覚 35:記憶 36:嗅覚 37:腕 38:味覚 39:味覚 40:足 
41:味覚 42:記憶 43:嗅覚 44:触覚 45:視覚 46:味覚 47:記憶 48:腕 49:聴覚 50:足 
51:触覚 52:聴覚 53:腕 54:嗅覚 55:腕 56:視覚 57:足 58:味覚 59:記憶 60:足 
61:味覚 62:触覚 63:記憶 64:嗅覚 65:聴覚 66:腕 67:視覚 68:腕 69:足 70:記憶 
71:触覚 72:味覚 73:嗅覚 74:足 75:腕 76:聴覚 77:足 78:視覚 79:記憶 80:聴覚 
81:味覚 82:触覚 83:足 84:嗅覚 85:聴覚 86:腕 87:足 88:記憶 89:視覚 90:足 
91:嗅覚 92:味覚 93:腕 94:聴覚 95:触覚 96:足 97:記憶 98:視覚 99:視覚 00:記憶 


↓1コンマで1つ目の供物

※すべて片方です
※記憶はこちらで調整します


01:記憶 02:視覚 03:聴覚 04:触覚 05:視覚 06:嗅覚 07:聴覚 08:触覚 09:成長 10:腕
11:視覚 12:記憶 13:触覚 14:視覚 15:触覚 16:聴覚 17:嗅覚 18:嗅覚 19:腕 20:皮膚機能
21:聴覚 22:視覚 23:記憶 24:触覚 25:視覚 26:嗅覚 27:嗅覚 28:腕 29:成長 30:腕

31:触覚 32:聴覚 33:足 34:視覚 35:記憶 36:嗅覚 37:腕 38:記憶 39:皮膚機能 40:足 
41:味覚 42:記憶 43:嗅覚 44:触覚 45:視覚 46:記憶 47:記憶 48:腕 49:聴覚 50:足 
51:触覚 52:聴覚 53:腕 54:嗅覚 55:腕 56:視覚 57:足 58:足 59:記憶 60:足 
61:手 62:触覚 63:記憶 64:嗅覚 65:聴覚 66:腕 67:視覚 68:腕 69:足 70:記憶 
71:触覚 72:味覚 73:嗅覚 74:足 75:腕 76:聴覚 77:足 78:視覚 79:記憶 80:聴覚 
81:嗅覚 82:触覚 83:足 84:嗅覚 85:聴覚 86:腕 87:足 88:記憶 89:視覚 90:足 
91:嗅覚 92:成長 93:腕 94:聴覚 95:触覚 96:足 97:記憶 98:視覚 99:視覚 00:記憶 


↓1(2つめ)


01:記憶 02:視覚 03:聴覚 04:触覚 05:視覚 06:嗅覚 07:聴覚 08:触覚 09:成長 10:腕
11:視覚 12:記憶 13:触覚 14:視覚 15:触覚 16:聴覚 17:嗅覚 18:嗅覚 19:腕 20:皮膚機能
21:聴覚 22:視覚 23:記憶 24:触覚 25:視覚 26:嗅覚 27:嗅覚 28:腕 29:成長 30:腕

31:触覚 32:聴覚 33:足 34:視覚 35:記憶 36:嗅覚 37:腕 38:記憶 39:皮膚機能 40:足 
41:味覚 42:記憶 43:嗅覚 44:触覚 45:視覚 46:記憶 47:記憶 48:腕 49:聴覚 50:足 
51:触覚 52:聴覚 53:腕 54:嗅覚 55:腕 56:視覚 57:足 58:足 59:記憶 60:足 
61:手 62:触覚 63:記憶 64:嗅覚 65:成長 66:腕 67:視覚 68:腕 69:足 70:記憶 
71:触覚 72:味覚 73:嗅覚 74:足 75:腕 76:聴覚 77:足 78:視覚 79:記憶 80:聴覚 
81:嗅覚 82:触覚 83:足 84:嗅覚 85:聴覚 86:腕 87:足 88:記憶 89:視覚 90:足 
91:嗅覚 92:成長 93:腕 94:聴覚 95:触覚 96:足 97:記憶 98:視覚 99:視覚 00:記憶 

↓1(3つめ)


01:記憶 02:視覚 03:手 04:触覚 05:視覚 06:嗅覚 07:足 08:触覚 09:成長 10:腕
11:視覚 12:記憶 13:触覚 14:視覚 15:触覚 16:記憶 17:嗅覚 18:嗅覚 19:腕 20:皮膚機能
21:視覚 22:視覚 23:記憶 24:触覚 25:視覚 26:嗅覚 27:嗅覚 28:腕 29:成長 30:腕

31:触覚 32:皮膚機能 33:足 34:視覚 35:記憶 36:嗅覚 37:腕 38:記憶 39:皮膚機能 40:足 
41:味覚 42:記憶 43:嗅覚 44:触覚 45:視覚 46:記憶 47:記憶 48:腕 49:視覚 50:足 
51:触覚 52:足 53:腕 54:嗅覚 55:腕 56:視覚 57:足 58:足 59:記憶 60:足 
61:手 62:触覚 63:記憶 64:嗅覚 65:成長 66:腕 67:視覚 68:腕 69:足 70:記憶 
71:触覚 72:味覚 73:嗅覚 74:足 75:腕 76:記憶 77:足 78:視覚 79:記憶 80:成長 
81:嗅覚 82:触覚 83:足 84:嗅覚 85:視覚 86:腕 87:足 88:記憶 89:視覚 90:足 
91:嗅覚 92:成長 93:腕 94:足 95:触覚 96:足 97:記憶 98:視覚 99:視覚 00:記憶 


↓1(4つめ)


01:記憶 02:視覚 03:手 04:触覚 05:視覚 06:嗅覚 07:足 08:触覚 09:成長 10:腕
11:視覚 12:記憶 13:触覚 14:視覚 15:触覚 16:記憶 17:嗅覚 18:嗅覚 19:腕 20:皮膚機能
21:視覚 22:視覚 23:記憶 24:触覚 25:視覚 26:嗅覚 27:嗅覚 28:腕 29:成長 30:腕

31:触覚 32:皮膚機能 33:足 34:視覚 35:記憶 36:嗅覚 37:腕 38:記憶 39:皮膚機能 40:足 
41:味覚 42:成長 43:嗅覚 44:触覚 45:視覚 46:記憶 47:記憶 48:腕 49:視覚 50:足 
51:触覚 52:足 53:腕 54:嗅覚 55:腕 56:視覚 57:足 58:足 59:記憶 60:足 
61:手 62:触覚 63:記憶 64:嗅覚 65:成長 66:腕 67:視覚 68:腕 69:足 70:記憶 
71:触覚 72:味覚 73:嗅覚 74:足 75:腕 76:記憶 77:足 78:視覚 79:手 80:成長 
81:嗅覚 82:触覚 83:足 84:嗅覚 85:視覚 86:腕 87:足 88:記憶 89:視覚 90:足 
91:嗅覚 92:成長 93:腕 94:足 95:触覚 96:足 97:成長 98:視覚 99:視覚 00:記憶 

↓1(5つめ)

01:記憶 02:視覚 03:手 04:触覚 05:視覚 06:嗅覚 07:足 08:触覚 09:成長 10:腕
11:視覚 12:記憶 13:触覚 14:視覚 15:触覚 16:記憶 17:嗅覚 18:嗅覚 19:腕 20:皮膚機能
21:視覚 22:視覚 23:記憶 24:触覚 25:視覚 26:嗅覚 27:嗅覚 28:腕 29:成長 30:腕

31:触覚 32:皮膚機能 33:足 34:視覚 35:記憶 36:嗅覚 37:腕 38:記憶 39:皮膚機能 40:足 
41:味覚 42:成長 43:嗅覚 44:触覚 45:視覚 46:記憶 47:記憶 48:腕 49:視覚 50:足 
51:触覚 52:足 53:腕 54:嗅覚 55:足 56:視覚 57:足 58:足 59:記憶 60:足 
61:手 62:触覚 63:記憶 64:嗅覚 65:成長 66:手 67:視覚 68:腕 69:足 70:記憶 
71:触覚 72:味覚 73:嗅覚 74:足 75:腕 76:記憶 77:足 78:視覚 79:手 80:成長 
81:嗅覚 82:触覚 83:足 84:嗅覚 85:視覚 86:腕 87:足 88:記憶 89:視覚 90:足 
91:嗅覚 92:成長 93:腕 94:足 95:触覚 96:足 97:成長 98:視覚 99:視覚 00:記憶 

↓1(6つめ)  腕と手は別物

01:記憶 02:視覚 03:手 04:触覚 05:視覚 06:嗅覚 07:足 08:触覚 09:成長 10:腕
11:視覚 12:記憶 13:触覚 14:視覚 15:触覚 16:記憶 17:嗅覚 18:嗅覚 19:腕 20:皮膚機能
21:視覚 22:視覚 23:記憶 24:触覚 25:視覚 26:嗅覚 27:嗅覚 28:腕 29:成長 30:腕

31:触覚 32:皮膚機能 33:視覚 34:視覚 35:記憶 36:嗅覚 37:腕 38:記憶 39:皮膚機能 40:皮膚機能 
41:味覚 42:成長 43:嗅覚 44:触覚 45:視覚 46:記憶 47:記憶 48:腕 49:視覚 50:足 
51:触覚 52:足 53:腕 54:嗅覚 55:足 56:視覚 57:足 58:足 59:記憶 60:手 
61:手 62:触覚 63:記憶 64:嗅覚 65:成長 66:手 67:視覚 68:腕 69:成長 70:記憶 
71:触覚 72:味覚 73:嗅覚 74:足 75:腕 76:記憶 77:足 78:視覚 79:手 80:成長 
81:嗅覚 82:触覚 83:足 84:嗅覚 85:視覚 86:腕 87:成長 88:記憶 89:視覚 90:足 
91:嗅覚 92:成長 93:腕 94:嗅覚 95:触覚 96:足 97:成長 98:視覚 99:視覚 00:記憶 


↓1(7つめ)  腕と手は別物


久遠 天乃(くおん あまの)

中学3年生(学校には通っていない) 髪:ピンク 瞳:橙 髪型:ポニー(ロング)

身長148cm バスト84cm  誕生日6月6日

家族構成(姉、兄、父親、母親、祖父、祖母)

麻婆が好きできのこが嫌い

カラー:黒 武器:素手  性格:自由気まま

過去:先代勇者(ステータス前回のを若干引用します)

現在:園子とお祀り状態

満開:7回(味覚、聴覚①、聴覚②、記憶①、片腕(左)、片足(右)、片足(左))



以上で設定を完了します


また長くなるのと
同じスレタイで11にすると、どこからリスタートか解らないので

【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ1】

としています


【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ1】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ1】 - SSまとめ速報
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