安斎都「Iにまつわるミステリー」荒木比奈「彼女が眼鏡を忘れた理由」 (37)

ガバガバなんちゃって推理ってほどでもない日常の謎っぽいミステリーもどき、始まります。アイドルの個性を多少盛っています。
今回は少々アダルトな話になるかもしれないのでご注意ください。

前のおはなし。
安斎都「Iにまつわるミステリー」池袋晶葉「何も盗まなかった泥棒」
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P「な、なな……」

都「世界の終わりがやってきたのでしょうか……」

比奈「2人ともひどい言いようッスね。気持ちはわからなくはないんですけど」

皆さんこんにちは! 4869プロ所属の探偵アイドル安斎都です! 今日私たちは346プロの人気ユニットブルーナポレオンと一緒のお仕事でしたが……

春菜「単純に眼鏡を忘れただけですよ」

P&都「眼鏡を忘れたああああああああ!?」

メガキチと呼ばれる程の眼鏡マニアである上条春菜さんが……眼鏡を忘れていたなんて!!!


都「わ、忘れるなんてあり得ないですよ! 何があろうと眼鏡をかけている春菜さんですよ!?」

春菜「恥ずかしい話ですけど、私にもそういう日ぐらいありますよ」

都「プロデューサーさん。見たことありますか?」

P「346にいた時から知ってるけど……裸眼の春菜を見るのは初めてだぞ?」

比奈「……まあ、そうでしょうね。アタシも初めて見たし」

春菜「たまたまそういう日だったってことです」

都「ああああ! どうしましょう! SEKAI GA OWARIです!!」

???「世界と聞いて飛んできたわっ!」

P「すみません、関係ないです」


目の前にいる猫のTシャツを来た女性は上条春菜さん。
346プロに所属している先輩アイドルで、とにかく眼鏡に対するこだわりと愛が深いことで有名でした。

春菜「まぁまぁ眼鏡どうぞ。あっ、今日は忘れちゃったんですけどね」

都「こ、こんなことってあるんでしょうか……だって春菜さんって」

?「眼鏡に目が無ぇのですね」

P「すみません、貴女も今回関係ないです」

そんな彼女が、眼鏡を忘れたなんて!! 眼鏡が本体……とまでは言いませんけど、かなり新鮮な姿です。


上条P「おーい、そろそろ本番だぞー。ほれ、スタイリストさんから眼鏡を借りてきたぞ」

春菜「あ、ありがとうございます! ふぅ……や、やっぱり眼鏡をかけないと落ち着かないですね……」

上条P「でもいいのか? それ、度が入っていないけど」

春菜「それで大丈夫です!!」

比奈「?」

P「……本当に忘れただけ、なのか?」

都「でもあの春菜さんですよ? 家の眼鏡がまるごと怪盗に盗まれたぐらいの理由がないと納得できませんよ!」


P「眼鏡だけを狙う怪盗ってどうなんだ?」

都「ほら、アルセーヌ・ルパンだってメガネかけていますよ?」

P「あれは眼鏡っていうよりかはモノクルだろ」

春菜「素晴らしいと思います! 人は皆、眼鏡を求め続けるのですから!!」

P「肯定しちゃった!?」

比奈「春菜ちゃん、何でアタシの方をみて言ったんスかね」


都「いや、逆に眼鏡属性がない人なんじゃないでしょうか? 世の中の全ての眼鏡をコンタクトにしてやるー! みたいな?」

P「みたいな? って言われても。んな極端な泥棒いてたまるかよ」

春菜「そんな人がいたら人格を疑いますね!!」

P「そこまで言うか?」

春菜「眼鏡の海に溺れてしまえばいいと思いますよ」

比奈「だから何でいまアタシを見ていったんスか?」


仕事が終わって4869プロダクション

都「ふぅ……仕事終わりの一杯が、探偵につかの間の休息を与えてくれますね」

P「しっかし春菜が眼鏡を忘れるなんてことも有ったんだなぁ。今年一番の衝撃だぞ」

都「それなんですけど」

P「うん?」

都「本当に、単純に忘れただけなんでしょうか?」

P「というと?」


都「だってあの春菜さんですよ? 自分の眼鏡だけでなくて、他人にも眼鏡をかけさせる程のメガキチです! 鯖江市親善大使は伊達じゃありませんよ」

P「鯖江市……ああ、眼鏡の名産地だったっけ?」

都「ええ。それにとある人気漫画の実写化の話が来て春菜さんがキャストに選ばれた時も、そのキャラが眼鏡を掛けていないキャラだから引き受けなかったって言う逸話があるぐらいです」

P「それ程までに徹底している眼鏡の化身とも言える春菜が眼鏡を忘れる、か」

都「むむむ……探偵の勘が囁いています。これには何か秘密があると!!」

P「単純に壊しちゃったんじゃないのか?」


都「でも借りてきたのって、度が入っていないって言ってましたよ?」

P「そだっけ?」

都「ディティクティブイヤーは地獄耳です! 私の耳はあらゆる情報を聞き漏らしませんよ!」

P「それが学業に活かせればいいな」

都「そ、それとこれとは別問題ですよ!!」

P「アイドルとして時間を使っている以上、ちゃんと学業と両立しなきゃダメだぞ?」

都「気をつけます……」


P「まあそれはおいてといて。春菜は度の入っていない伊達眼鏡をかけたってことか?」

都「だと思います。だってほら、今日の収録中も……」

【回想】

春菜「うわっ!」ドンガラガッシャーン

都「だ、大丈夫ですか春菜さん!!」

春菜「すみません、ちょっと躓いちゃって……」

比奈「春菜ちゃん、お地蔵さんに話しかけてるッスよ?」


P「ああ、そんなこともあったなぁ」

都「却って面白いってことでそのまま収録が進みましたけど、やっぱり伊達眼鏡じゃ仕事に支障が出るぐらいには目が悪いんですよね」

P「みたいだな。度の入った眼鏡ぐらい、用意できそうな気もするけどさ」

都「やっぱりここでアレコレ考えるよりも、動かないと情報を得ることができませんね! そうと決まれば行きましょうプロデューサーさん! 聞き込み調査です!」

P「聞き込みって、直接本人に聞くのか?」

都「いいえ。春菜さんに近しい人なら、何か他の異変にも気付いているかもしれません。それに答えを聞いちゃ、推理でもなんでもないですからね!」

都「真実は自分の目で見ることが大事なんですよ! さあ、比奈さんに事情聴取と洒落込みましょう!!」


346プロ

P「つーことで都が盛り上がってしまったんだ。少し付き合ってくれないか?」

比奈「はぁ、まあアタシも仕事が終わって暇だったし話なら聞くッスよ」

都「ご協力ありがとうございます。それで、春菜さんに変わったことってありましたか?」

比奈「いや、特にはなかったです。昨日も仕事が終わって、プロデューサーに送ってもらって……」

都「ふむふむ」

比奈「まあ、いつも通りスね。途中でプロデューサーと春菜ちゃんと別れたので、その先で何か有ったかもしれないスけど」


都「思いつくのは眼鏡ことぐらい、ですか」

比奈「うーん、そうッスねぇ」

都「他にはないですか? 些細なことでもいいんです。着メロが変わったとか新しい服を着ているとか」

比奈「着メロは猫の鳴き声ッス。前からそれでしたし、着ている服は春菜ちゃんが何枚も持っている猫のプリントがされたシャツでしたし」

都「何か出てきませんか?」

比奈「いや、あまりにもインパクトが強すぎてそこまで注意深く……」

P「まあ裸眼で来られたら嫌でも印象に残るよなぁ」


都「どうかしましたか?」

比奈「いつもはお弁当を家から持ってきてるんだけど、今日はコンビニでパンを買ってたってのは、変わったことに入るんですかね?」

P「コンビニ?」

比奈「デイリー●崎ス」

都「? この辺にありましたっけ?」

比奈「来る途中で買ってきたんじゃないスか? でも何回か家に遊びに行ったことあるけど、見たことないでスね」


P「遅刻しかけてたとかかな? それで弁当を作る時間がなくて、コンビニで買って。慌てたから眼鏡をかけることも忘れてしまった、とか」

都「うーん……コンビニに行く余裕は有ったけど、弁当を作る時間はなかった……そこまで慌てるようなことでもない気もしますよ。それに」

P「それに?」

都「比奈さんって、春菜さんと一緒に寝泊まりしたことありますよね?」

春菜「一緒のユニットでやっているスからねー。泊まりがけの仕事の時とかは同じ部屋で寝ているっスけど」

都「寝ている時って、眼鏡外していますか?」


比奈「いーや、寝ている時も眼鏡は外さないっスよ。もはや体の一部って言ってもいいぐらいかと」

P「やっぱ壊れた説が一番じゃないか?」

都「むむむ……」

比奈「アタシもそうじゃないかと思うスよ。でも気になるんスよねえ。春菜ちゃんどこからともなく眼鏡を出してくるし、予備は持ってるはずなんスけど」

P「それにわざわざ伊達眼鏡をかけた理由が分からないなあ……」

比奈「もうそういう気分だった、って答えしか思いつかないッスね」

都「何か……何か見落としてないのかな?」グゥ


P「都、腹減ったか?」

都「えっ、いや!! ち、違いますよ! 今のはお腹の音じゃなくて……私の指パッチンの音です!!」

P「んなごまかし方があるかよ。結構いい時間だしなー、晩飯食って帰るか」

都「それじゃあ私はサイ●リアで!」

P「財布に優しくて助かるな。んじゃ失礼す」

都「! 御飯で思い出しました!」


P「のわっ! いきなり大声出すなよ! ビックリしたでしょ!」

都「あっ、すみません……でも確認したいことがあるんです!!」

比奈「なんでスか?」

都「春菜さんはコンビニのパンを買ったんですよね?」

比奈「うん。そうだけど」

都「では、お昼ご飯はどこで食べましたか?」


比奈「ここで食べたスけど……」

P「今のがヒントになるのか、都」

都「ちょっと失礼します! えーと、コンビニの袋は」

比奈「わわっ! ゴミ箱あさっちゃ汚いスよ!!」

都「ありました! デイリー●崎の袋です!!」

P「おいおい、ちゃんと手を洗えよ」

都「レシートは……ありました!」


P「なんだかストーカー紛いのことをしているよね俺達」

都「探偵ですから仕方ありません。コラテラルダメージです」

P「違うと思うぞ」

比奈「うん?」

都「どうかしましたか?」

比奈「あっ、ほら。レシートって住所とか書かれているじゃないスか」

P「まあ、そうだろうけど。何か気になることでも?」

比奈「これ、今日の朝買ったやつだと思うんスけど……住所、反対方向なんスよね」


比奈「あっ、いや……そ、そういうわけじゃないスけど……進んでるスね最近の子は……」

P「比奈?」

比奈「ちょっとアタシの口からはとてもじゃないけど言えないスね……」

都「! まさか大きな陰謀が動いているのでしょうか!?」

比奈「あのー、気になるなら……件のコンビニの方まで行ってみたらどう、スか?」

P「心当たりが?」

比奈「行けばわかる、と思います」

都「行きましょうプロデューサーさん! 真実が近づいてきた、そんな気がします!! 解決編はこの後すぐ!!」

P「……になればいいけどね」


コンビニの近く

都「アンパンよし! 牛乳よし!!」

P「張り込み?」

都「こういうのは形から入るのが一番です! ほら、プロデューサーさんも!」

P「いやいや、尾行するわけじゃないだろ」

都「細かいことは気にしちゃダメです!!」

P「探偵の言っていいセリフじゃないなそれ!」


都「346プロは西の方向ですから……春菜さんは東からコンビニに行ったと考えられますっ」

P「西と東が逆だぞ?」

都「おお! 流石ですね! やだなあ、分かっていましたよ。今のはプロデューサーさんを試したんです」

P「さいですか」

都「さいですよ! むっ、信じていないって顔していますね!!」

P「分かった分かった、信じとくよ。ほら、遅くなる前に行こうぜ」

都「ええ! コンビニの先に行ってみましょう! きっと何かがあるはずです!!」


歩いて20分ほど

P「……」

都「……こ、これって」

P「あ、ああ……そっかぁ。都も知っていたか……」

都「こ、こう見えて花の女子高生、ですので……それは、もう」

P「だ、だよな……。お城です! って喜ぶ年頃でもないわな」

都「え、ええ……」


ホテル ニュ●越谷

P(ラブホテルじゃないかああああああああ!!!!!)

都「え、えーと……私、真実が見えた気がしたんですけど……出来れば間違っていて欲しいような、そうでないような……」

P「一応、聞かせてくれないか?」

都「ええ!? プ、プロデューサーさんは私の口から聞きたいんですか!?」

P「ああ、分かった……敢えて聞かないでおく」

都「ええ、そうしてくれると嬉しいです」


P(恐らく都の推理と俺の考えは一緒だと思う。なので恥ずかしがっている都の代わりに、今回の推理を発表してみよう)

P「まず眼鏡はどうなったか? という話だが、恐らく眼鏡は壊れたんだろう。だけど比奈が言っていたように、予備の眼鏡を持っていたはずだ」

P「にもかかわらず掛けなかった。それはなぜか? ここからは推測だけど……」

P「ハッキリと見たくないものがあった、というのが答えじゃないだろうかと俺は思う」

P「朝、ラブホテルの有る方向のコンビニでご飯を買って事務所に来た――。まあ、そういう事なんだろうな」

P「昨日春菜は家に帰らなかったのだろう。どこに誰と何をしていたかは……ご想像にお任せしよう」


P「何かしらの原因で眼鏡が壊れたのは、春菜にとってラッキーだったのかも知れない」

P「きっと恥ずかしくて……いろいろな感情があって、面と向かって見ることができなかった。だから敢えて眼鏡をかけなかったのだろう」

P「しかし世間での春菜のイメージは眼鏡の求道者。裸眼のままでテレビに出ると何かしら勘ぐられると思った」

P「そこで応急処置として伊達眼鏡をかけた。眼鏡アイドルという上条春菜のアイデンティティーは守られ、尚且恥ずかしくて見ることが出来ない相手もぼやけて見ることができる」

P「流石にこれを本人に答え合わせ……とは行かないか」

P「あくまで推論……というか想像でしか過ぎないし、実際はどうかわからない。多分だけど、比奈も気付いてしまったんだろうな」

P「ぶっちゃけ、どうとでも考えられるよな。これも飽くまで可能性の話だ。真実はいつも一つって言うけど、複数ある日があっても構わないだろう」

P「……以上、ワトソン役の推理でした」


都「……」

P「……」

都「……えっと、帰りますか」

P「だな。結構遅い時間だし送って帰る……」ポツポツ

都「うん? 雨が振って……ってわ! ざあざあ振りです!!」

P「今日は晴れだって言ってたのに! 良純のバカ!! 傘持ってるか!?」

都「今日は持っていません!」


P「どこかで雨宿り……」

都「……えっと、プロデューサーさん?」

P「お、応急処置だからな!! 雨宿りするだけだからな!!」

都「ええ!? まさか!!」

まあ、あれだ。この後むちゃくちゃ……部屋にあったトランプで神経衰弱をした。

P「……そう言えば」

昨日の夜も雨、降っていたよな――


翌日――

4869プロ社長「うん? 二人共、どうしたんだね?」

P「いや、えーとですね」

都「まあまあ、社長も眼鏡どうぞ!」

社長「?」

P「あはははは……はぁ。まだ駆け出しアイドルでよかったな……」

都「そ、そうですね……あははははは……クシュン!」

決してやましいことはしていないけど、グルグル眼鏡をかけた2人がいたとかいなかったとか。

Fin


P「Next都’sヒーント!!」(声:高木渉)

都「ゆるふわ時空!!」


都「どうですか! 私もメガネをかけてみました! 似合いませんか?」

P「牛乳瓶、か?」

??「ああ、それ勉三さんがかけてる眼鏡ですよね!! 懐かしいな……あっ、再放送! 再放送で見たんですよ!! リアルタイムでは見ていませんからね!!」

P「そこまで強調しなくても」

全部合わせて33レスで終了。読んでくださった方ありがとうございました。

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