ぺんぺん草と蝉のヌケガラと君とはずれたアイスの棒のお話(6)

「暑は夏いねー」
「夏は暑いよー」
「アイス買ってきてよ」
「お金ない」
「ほら百円」
「俺の分は?」
「アタリがでることを祈るんだな」
「はずれたらどーすんのさ」
「はずれ棒でもかじってな」
「この怒りはどこに向ければいいのやら」

「買ってきたよ」
「うむ、苦しゅうないぞ」
「ほらアイスだよ」
「世間一般的にはこれをポメラニアンと呼ぶんだが」
「ほら早く食べないと溶けちゃうよ」
「ポメラニアンが溶け始めた」
「巨神兵みたいだ」
「言いえて妙だね」
「あーあ溶けきっちゃった」
「黙祷」

「もう一回行ってきなさい」
「今度は二百円か」
「君の分も買ってきていいから変なの買ってこないでね」
「了解」

「ただいまー」
「早くアイスを寄越すんだ!」
「だが断る」
「ならばその命頂戴させて頂こう」
「ほんの出来心ッスよ、ほら」
「ガリガリ様バンザーイ」
「万歳」

「うむ美味であった」
「二人ともはずれだったね」
「はずれってこの素晴らしいアイスの価値を下げる最低の言葉だよね」
「このアイスを選んだ時点で俺達はアタってるってのにな」
「この素晴らしい出会いに乾杯」
「カンパーイ」

しえーん

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