あかり「ゆるゆりオールスターで短編集だよぉ」 (109)

【この姉にしてあの妹あり】


~ 繁華街

撫子「……あっ」

ともこ「……げっ」

ちなつ「……?」


撫子「“げっ”とはご挨拶ですね、ともこ先輩」

ともこ「え、えぇ、ごめんなさいね……つい驚いちゃって。久しぶり、撫子ちゃん」

撫子「お久しぶりです」

ちなつ「お姉ちゃん、お知り合い?」

ともこ「うん、中学生時代の後輩なの」


撫子「きみ、ちなつちゃんだよね? 櫻子がいつもお世話になってます」ニコッ

ちなつ「あ、はい……って、もしかして櫻子ちゃんのお姉さん!?」

撫子「うん、そうだよ」

ちなつ(うわぁ、綺麗な人……。櫻子ちゃんから話だけは聞いてたけど、想像以上だわ……)

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撫子「ともこ先輩は買いものですか?」

ともこ「ちょっとね。買いものついでに、妹とその辺をぶらぶらしてたの。撫子ちゃんは?」

撫子「いやぁ、可愛い子いないかなぁってその辺をぶらぶらと……」

ともこ「そういうところ相変わらずね、あなた」

撫子「……冗談ですよ。友人と待ち合わせしてるんです」

ともこ「撫子ちゃんが言うと冗談に聞こえないからね」

ちなつ(え、撫子さんってそういう人なの?)


ともこ「ちなみに買ったのは茶道の道具よ。ほら」ガサガサ

撫子「ともこ先輩、まだ茶道やってるんですね」

ともこ「そう言うってことは、撫子ちゃんもやめちゃったのね……」ハァ

撫子「うちの高校、茶道部なくって……」

ともこ「……あったら入ってたの?」

撫子「いや、入ってなかったでしょうね」

ともこ「でしょうね」


ちなつ「撫子さん茶道部だったんですか?」

撫子「そうだよ。意外だった?」

ちなつ「いや、そういうわけじゃ……。でもなんで茶道部に入ろうと思ったんですか?」

撫子「それはね――――」チラッ

ともこ「……?」

~~ 5年前の七森中学校 体育館

撫子(なんかどの部の部活紹介もいまいちパッとしないなぁ。もう帰宅部でいいかな)


教師『えーでは最後に、茶道部の方、よろしくお願いします』

撫子(ん、この学校茶道部なんてあったんだ……。でも茶道かぁ。ちょっと興味ないなぁ……)


ともこ「し、しんにゅ、新入生のみ、みなさん、みなっ、はじ、はじめまして!」ガチガチ

撫子「!?」

ともこ「さ、さどっ! さどうっ! まぞっ! 茶道部では! お茶! お茶をしたり! したり?」ガチガチ

撫子「…………」ポカーン

ともこ「お茶! お茶菓子をしたり! じゃなかった、つつきあったり!」ガチガチ

撫子「…………」ポカーン

ともこ「し、しながら……さ、茶道の、れ、歴史や文化を学び……」ガチガチ

撫子「…………」ポカーン

ともこ「学び……えっと……」

撫子「…………」

ともこ「そ、そんな部活です! 以上です!」

撫子(ご、強引に終わらせた……)ポカーン


教師『さ、茶道部ありがとうございました……。以上で部活紹介を終了します……』

撫子「…………」ポカーン


撫子(茶道部、入ろう……!)グッ

~~

撫子「……とまぁ、部活紹介のかみっぷりがあまりに面白かったから、つい」

ちなつ「は、はは……」

ともこ「ちょっと待って!? 茶道部に入ったのってそんな理由だったの!?!?」カァァ

撫子「そうですね。きっかけはそれでしたけど――――」


撫子「ともこ先輩と過ごした2年間は楽しかったですよ。入って、本当に良かったと思ってます」

ともこ「本当に思ってる……?」

撫子「本当ですよ。それにさっき言った、茶道部があっても入らなかっただろうっていうのは、それが理由だったりするんですよ」

ともこ「……?」


撫子「ともこ先輩のいない茶道部なんて、つまらないに決まってますから」ニコッ

ともこ「撫子ちゃん……」


撫子「ともこ先輩ほどおちょくりがいのある先輩っていなさそうですし」

ともこ「撫子ちゃん!」




おしまい

【以心伝心】


~ 放課後の生徒会室

櫻子「こんにちわー!!!」

向日葵「こんにちは」

櫻子「……って、誰もいないじゃん」

向日葵「掃除とかで長引いてるんじゃありません? 先に準備して待ってましょう」

櫻子「へへっ、それじゃプリン食べて待ってよーっと♪」

向日葵「あ、ちょっと櫻子! それ杉浦先輩ので……」


りせ「……」スッ

櫻子「おおう!?」ビクッ

向日葵「会長、いらしてたんですのね……」

りせ「……」フルフル

櫻子「すみません、あの、なんて……?」

向日葵「首を横に振ってるんだから“食べちゃダメ”って意味に決まってるでしょう」


りせ「……」スッ

櫻子(今度は床を指さしてるけど……)

向日葵(“そこに正座しろ”ってことでは?)

櫻子「なるほど……?」スッ

りせ「……」スッ

向日葵(あ、会長も正座するんですのね)


りせ「……」フゥ

櫻子(え、このため息は……?)

向日葵(“やれやれ”って意味だと思いますわ)


りせ「……」ジー

櫻子(ガン見されてるんだけど)

向日葵(多分お説教中ですわ。そこで少し反省してなさい)

櫻子(そんな!)ガーン

~~

りせ「……」

櫻子(うぅ……いいかげん足がしびれてきたんだけど……いったいいつまで続くんだこれ……)

向日葵(いつも人のプリン奪ってるから、さすがの会長も堪忍袋の緒が切れたんですわ)

櫻子(カンニングだかランニングだか知らないけど、勘弁してくれよー!)

向日葵(堪・忍・袋、ですわ)


りせ「……」ハフゥ


スクッ

櫻子(あ、会長が立ち上がった! お説教終わったのかな!?)

向日葵(わたくしでしたらあと3時間はお説教できますのに)

櫻子(え? 今なんて?)

櫻子「ひぃぃ、しかし足がしびれて、うまく、立てな……向日葵、助けて……」プルプル

向日葵「……」サワッ

櫻子「あひゃぁん!?!?」ビクッ


櫻子「なにすんだテメー!!!」

向日葵「ご、ごめんなさい……。でも足しびれてる人のって触りたくなりません?」

櫻子「なるけど、わたしのを触るのは禁止!!!」


りせ「……」サワワッ

櫻子「んぁああぅん!?!?!?」ビクビクッ

櫻子「ちょっと会長までー!!! しかえしです!!!!」サワンッ

りせ「……ッァ!」ビクッ

りせ「……」フワァ

櫻子「にゃぁぁあん!?!?」ビビクッ

櫻子「くっそー! こうなったら徹底的に会長の足を触ってやるー!!」


ッ!
ファァ!
ッッ!
オォゥァアン!!
ッン!
ニャヒィ!
ッッッ!

向日葵(なんか卑猥ですわ……)


~~

りせ「……」フゥ フゥ

櫻子「……はぁ……はぁ」


櫻子「も、もう疲れたんで、そろそろやめません?」

りせ「……」コクッ

櫻子(や、やっと終わった……)

櫻子「くそー、仕事を始める前から疲れきってしまった……」

向日葵「ちゃんと終わらせなさいよ?」


西垣「おーい、松本いるか?」

向日葵「西垣先生……。会長ならこちらにいらっしゃいますよ」

りせ「……」

西垣「お、松本今日はなんだかご機嫌だな。どうした?」

りせ「……」

西垣「ふむふむ……。なるほど……」


西垣「杉浦のプリンを賭けて大室と正座我慢大会をやったものの、負けてしまった?」

櫻子「我慢大会!?!?」

向日葵(お説教じゃなかったんですのね……)


りせ「……」

西垣「その後古谷の見ている前で、大室と色声を上げながらくんずほぐれつした……?」

櫻子「誤解だ!!!」

向日葵「間違ってはいませんわね」




おしまい

【桜探し】


~ 放課後の七森中学校 校門

西垣「……おや?」

花子「……」


西垣「どうしたお嬢ちゃん。待ち人かい?」

花子「あ、はい、そうですし」

西垣「なるほど。どれ、私が一緒に探してやろう」

花子「いえ、大丈夫ですし……。ここで待ってればそのうち来ると思いますし……」

西垣「ふむ、でも部活とかで帰りが遅くなる可能性もあるしな……。ちなみに、待ってる人の名前は?」

花子「えっと、大室櫻子なんですけど……」

西垣「おぉ、じゃあお嬢ちゃんはもしかして大室の妹か」

花子「不本意ながら」

西垣「はっはっは。なかなかスパイシーなお嬢ちゃんだ」

あかり「あれ、花子ちゃんだぁ」アッカリ アッカリ

花子「あ、自販機のお姉さんだし」

西垣「なんだ赤座、知り合いなのか」

あかり「えへへ、そうなんですよぉ」

西垣「ならちょうどよかった。お嬢ちゃんは大室を探しているみたいでな。居場所を知らんか?」

あかり「櫻子ちゃんですか? さっきまで教室にいましたよぉ」

西垣「なるほど、じゃあ大室のクラスに行ってみるか」

花子「そ、そこまでしてもらわなくても……」

西垣「なに、気にするな。仕事を片付ける気が起きなくて、ちょうど暇を持て余していたんだ」

花子「いや片付けろし!」


~ 1年2組

花子(ここが櫻子の教室かぁ。ちょっと緊張するし)ドキドキ

西垣「む、なんだ、いないじゃないか。入れ違ったか……?」

花子「あ、もふもふのお姉さんだし」


ちなつ「あれ、花子ちゃんだ? どうしてここに?」

花子「櫻子を探してるし」

ちなつ「櫻子ちゃんだったら、さっきカバン持って向日葵ちゃんと一緒に出てったよ」

西垣「ふむ、どこに行ったか分かるか?」

ちなつ「うーん、そこまでは分からないですけど……。多分、生徒会室じゃないですか?」

西垣「まぁ、妥当だろうな」

花子「世話の焼けるやつだし……」ハァ


西垣「しかし吉川の髪は相変わらずもっふもふだな。研究の参考にしたいくらいだ」モフモフ

ちなつ「なんの研究ですか……」

花子(せ、先生までもふもふをッ……!!ズルいし……ッ!!!!)


~ 生徒会室

花子(ここで櫻子が生徒会の仕事をしてるんだ……。ちゃんと仕事してるんだし?)

西垣「おーい、大室はいないか?」

りせ「……」

西垣「ん、松本だけか。なになに?」


りせ「………………」

西垣「ふむふむ」

りせ「………………」

西垣「なるほど」

花子「……?」


西垣「そうか、もうここにはいないのか」

花子(この人、今ので分かったんだし!?)


西垣「どうやらここには来たみたいなんだが、今日は生徒会がないと分かって帰ったそうだ」

花子「もう帰っちゃったんですか?」

西垣「いや、出ていくときに古谷が“図書室に本を返したい”ということを大室に話していたらしい」

花子「じゃあ次は図書室だし?」

西垣「そういうことだな。よし、行こう」


~ 図書室

花子(図書室……。うわぁ、小学校のと違って難しそうな本がいっぱいだし)

西垣「そういえば図書室なんてはじめて来たなぁ」

花子「……ん!? 先生この学校の教師なんですよね!?」

西垣「本に引火したら大変だからな。なるべく避けてたんだ」

花子(この先生、話が物騒だし……)


向日葵「あら、花子ちゃん?」

花子「ひま姉!」

西垣「おお古谷。やっと見つけたぞ」


向日葵「こんなところでどうかしました?」

花子「櫻子を探してるし」

向日葵「ああ、櫻子でしたらさっきまで一緒だったんですけど……」

西垣「なんだと!? なぜ引きとめておかない!? お前の嫁だろうが!」ガシッ

向日葵「よ、嫁なんかじゃありませんわ!?!?」ボンッ

花子(櫻子とひま姉、学校でもそういう扱いなんだし……)


向日葵「だって急にもよおしたとかで、走ってトイレに行っちゃったんですもの。一応、校門前で待ち合わせることになってますわ」

花子「最初にいたところだし……」

西垣「はっはっは。世の中うまく行かないもんだな。よし、戻ろうか」


~ 七森中学校 校門

あかり「あ、花子ちゃんやっと来たぁ」

花子「お姉さん!? なんでまだいるし……?」

あかり「だって、探してる間に櫻子ちゃんと入れ違って帰っちゃったら大変でしょ? だからあかりここで櫻子ちゃんを待ってたんだぁ」

花子「お姉さん……。ありがとうございますし」

あかり「えへへ」


ちなつ「ていうか、最初からここで待ってればよくなかったですか?」

花子「もふもふのお姉さんまで」

西垣「はっはっは。私も最初そう言ったんだがな」

花子「いや、一言も言ってないし!?」

向日葵「息を吐くように嘘つかないでくださいよ……」


花子「それよりも櫻子はどこだし?」キョロキョロ

あかり「実はさっき、忘れ物を取りに教室に戻っちゃって……」

ちなつ「つくづくタイミング悪いよね……」

西垣「なるほど、じゃあもう一度教室に――――」

向日葵「戻りませんわ」


~~

櫻子「お待たせー」

花子「やっと見つけたし……」

櫻子「おー、マジで花子来てたんだ」

花子「櫻子、あっちこっち行きすぎだし……」

櫻子「ごめんごめん」アハハ

西垣「感動の再開だな」

ちなつ「西垣先生が引っ張り回さなければ、もっと早く会えてましたけどね」

西垣「まぁそう言うな吉川。それに、しっかり得たものだってある」

ちなつ「はぁ……?」


西垣「なぁ、大室の妹よ。どうだ、いろいろ周ってみて、中学校生活が少しは楽しみになっただろう?」

花子「…………」


花子「そうですね。学校のなかもいろいろ見れたし、それに、何だかんだ楽しかったですし」

西垣「ふふ、そうか」

花子「先生、今日はありがとうございました」ペコッ

西垣「なに。礼には及ばんよ」

ちなつ「いや、本当にね」


あかり「ちなみに櫻子ちゃんへの用事ってなんだったのぉ?」

花子「あ、そうだったし。櫻子ー」

櫻子「うん?」


花子「今日の晩御飯、カレーと肉じゃがどっちがいいし?」

櫻子「カレー!」

西垣「用事しょうもねぇな!!!」

向日葵(西垣先生がツッコんでますわ……)




おしまい

【AAA】


~ 繁華街

あかり「あれ、こんなところに雑貨屋さんができてる……」

あかり(気になるなぁ……でもひとりで入るのはちょっと勇気がいるかも……)ソワソワ

あかり(今度ちなつちゃん誘って来ようっと)


「~♪」カランカラン

あかり「!」


あかり(あのお姉さん、ひとりなのに、なんのためらいもなく入っていったよぉ)

あかり(いいなぁ、かっこいいなぁ、憧れちゃうなぁ)

あかり(……)


あかり(……よーし、あかりだってもう大人だもん……! 雑貨屋さんくらい、ひとりで入れるよ!)

あかり(そりゃっ!)カランカラン


店員「いらっしゃいませー」

あかり(えへへ、潜入成功だよぉ)

あかり(わぁー素敵なお店!)

あかり(ふふ、あかりも大人の仲間入りしちゃったよぉ)アッカリ アッカリ

あかり(あっこのわんわんの置物かわいいなぁ……)

トンッ

あかり「わっ!」

藍「きゃっ、ごめんなさい。大丈夫?」

あかり「はい、大丈夫ですよぉ」

あかり(あ、さっきのお姉さんだぁ)


藍「あら、あなた中学生?」

あかり「はい。あかり中学1年生なんですよぉ」

藍「ふふ、あかりちゃんって言うんだ」クスクス

あかり「あっ、その、はい……」カァァ

あかり(うぅ、一人称が自分の名前ってやっぱり子どもっぽいかなぁ……)


藍「あかりちゃんはこういうお店好きなの?」

あかり「はい、お姉ちゃんに連れてもらってよく来てたんですよぉ。こういう、かわいい置物とか、あとぬいぐるみとか好きで……」

藍「あ、それただの置物じゃないんだよ」

あかり「そうなんですか?」

藍「ほら、この背中の部分、平らでしょ? こうやってしっぽに引っかかるようにスマートフォンを置けば……ほら」

あかり「あ、凄い……。スタンドになるんですねぇ」

藍「他にも、ほらこのお猿さんはね――――」


~~

藍「――――って感じで、お手軽に宇宙の壮大さを感じることができるんだよ」

あかり「人間という存在のちっぽけさが身に染みますねぇ」

藍「そうだね」クスッ


あかり「……お姉さんて、なんでも知ってるんですね」

藍「えぇーそんなことないよ? 人並みだと思うけどなぁ」

あかり「それに凄く大人っぽくて素敵です! あかりもお姉さんみたいに大人な女性になりたいですよぉ」

藍「ふふ、ありがとー。あかりちゃんも可愛らしくて素敵だよ」

あかり「え、そ、そうですか?」テレテレ

藍「うん。私、あかりちゃんくらいのころはすっごく泣き虫でね。いつもあかりちゃんみたいな子になりたいって思ってたもん」

あかり「えぇ、泣き虫だったんですかぁ!? 信じられないですよぉ」

藍「ふふ、よく言われる」


あかり「……どうして変われたんですか?」

藍「そうだね……。私の場合は、クラスで出会った子と、部活で知り合った先輩がきっかけだったかなー」

あかり「その話、詳しく教えてほしいです!」

藍「別にいいけど……そんな大した話じゃないよ?」

あかり「それでも……。それでも、少しでも参考になるなら、聞いておきたいです!」

藍「そこまで言うなら……。えーっとね……」


~~

(「泣き虫を直したい? うーん、ひたすら我慢すればいいんじゃない?」)

(「冗談だって。そうだね……。あ、そしたらさ、私のとこの部活に入らない? 茶道部なんだけど……」)

(「茶道のことなんて分からない? いいよいいよ。私も未経験だったし)」

(「うん、参考になりそうないい先輩がいるんだ。赤座先輩っていうんだけど――」)

~~


藍「……」


藍「いや、やっぱりあかりちゃんにその必要はないよ」クスッ

あかり「えぇー!? どうしてですかぁ?」

藍「だってあのころの私と違って、あかりちゃんは今のままで凄く魅力的な子だもん。大人っぽくなっちゃうなんてもったいないと思うな」

あかり「でもあかり、早く大人になりたいです……」

藍「大丈夫だよ。歳相応の大人っぽさなんてイヤでも身に付いてくる……。だから、今はそのままのあかりちゃんでいてほしい……なんて、勝手すぎるかな?」

あかり「……」


~ 帰り道

あかり(結局、お話は聞かせてもらえなかったなぁ)トホホ

あかり(今のままのあかり……か、難しい話はよくわかんないや)


「あれ?」


結衣「あかりじゃん。偶然だね」

あかり「……あ、結衣ちゃん」


あかり「えへへ、結衣ちゃんだぁー」ニコッ


結衣「……」ブフッ

あかり「えっ、な、なんで笑うのぉ!?」

結衣「いや、声かけたときはしかめっ面してたのに、私の顔見た瞬間笑顔になったのがおかしくって」クスクス

あかり「だ、だからって笑うなんてひどいよぉ」プンプン

結衣「ごめんごめん。でも勘違いしないで? 別におちょくってるわけじゃないんだ」

あかり「……本当?」

結衣「うん。むしろその逆だよ。なんか安心したっていうか、その……」



結衣「あかりのそういうところ、あかりらしくて、魅力的だなって思ってさ」


あかり「あかりらしい……」

結衣「……悪い意味じゃないからね?」

あかり「……」


あかり「えへへ♪ 結衣ちゃん大好き」ニコッ


結衣「ところでなんでしかめっ面してたの? なにか悩みごと?」

あかり「ううん、もう大丈夫なんだぁ」

結衣「そう? てっきりまた影が薄いことを悩んでるのかと……」

あかり「違うよぉ!!!」




おしまい

【対称c】


~ 放課後の校門

ちなつ(とほほ、急遽ごらく部が休みになるだなんて……)トボトボ

千鶴「……」

ちなつ(あれ、あそこに立ってるのって池田先輩? いや、でも目つきがちょっと悪いような……)

ちなつ(そういえば池田先輩には妹がいるって京子先輩が話してたっけ……。名前は確か……千鶴、だったかな?)

ちなつ(ってことは目の前にいるのは多分、その妹さんのほうよね)

ちなつ(妹ってことは、同学年……。よーし、どうせ暇だし、今日は千鶴ちゃんと親睦を深めちゃおうっと)


ちなつ「ねえねえ」チョンチョン

千鶴「……ん?」

ちなつ「あなた千鶴ちゃん、だよね?」

千鶴「……はい」

ちなつ「よかったぁ! 私、吉川ちなつっていうんだぁ」ニコッ

千鶴「あ、あぁ……どうも」

ちなつ「あの、池田先輩にはいつもお世話になってます」ペコ

ちなつ「へへ、千鶴ちゃんのことは京子先輩や池田先輩から聞いてたから、つい声かけちゃった」

千鶴「あぁ、そういうことで――――」

千鶴(ん? 京子先輩? 池田先輩? 多分、歳納と姉さんのことだよな? てことはこの子1年生か? なんで私だけちゃん付けで呼ばれてるんだ……?)

千鶴(でもまぁ見た感じキャピキャピ系の子っぽいしな。こういう子が格下だと認識した相手を舐めてかかるのはよくあることか)

千鶴(歳納よりも格下に思われているのは気に食わんが、意義を申し立てたところで面倒なだけだろうしな)ハァ

ちなつ「?」


千鶴「それで、なにか用事?」

ちなつ「ううん。そういうわけじゃないけど、千鶴ちゃんと仲良くなりたいなーって思って」

千鶴「は? 私と……? それで声かけてきたの?」

ちなつ「……? そうだよ?」

千鶴「……私と仲良くなったところで、なにも面白いことなんてないと思うけど」

ちなつ「ちょっともう、仲良くなる前からそんなこと言わないでよ。今からどこに行く予定だったの?」

千鶴「……図書館」

ちなつ「じゃあ私も図書館行く! 駅前のだよね? 一緒に行こっ!」グイッ

千鶴「ちょ、おい!」


~ 図書館

ちなつ「……」

千鶴「……」ペラッ

千鶴(なんだ、この子はいったいなにがしたいんだ……? 結局お互いに本を開いてるだけだし、別に会話が発生するわけでもないし……)

ちなつ「……」ペラッ

千鶴(しかもなにを読んでるのかと思えば、占いの本か……。つくづく趣味が合わないな)ハァ


ちなつ「……千鶴ちゃん、ネコ好きなの?」

千鶴「え?」

ちなつ「だってほら、ネコの本読んでるし」

千鶴「あぁ、これか。うん……まぁ…………」

千鶴(しまった……いつもの癖でついネコの本を開いてしまった……)カァァ

ゆるゆりSS嬉しい
もうSS銀河には書かないの?

ちなつ「いいよねー、ネコ。カワイイよね。私も好きなんだー」

千鶴「……おかしいだろ? 私がネコ好きだなんて」

ちなつ「へ?」

千鶴「いやだって、似合ってないだろ? 自分でも分かってはいるんだけど」

ちなつ「……さっきから思ってたけど、千鶴ちゃんて面倒くさい性格してるよね。池田先輩とは大違い」クスクス

千鶴「ぐっ……」

ちなつ「似合ってるとか、似合ってないとか、そんなの関係ないでしょ? 千鶴ちゃんは千鶴ちゃんなんだからさ」

千鶴「……出会って数分のやつに言うセリフか、それ」

ちなつ「確かにー」クスクス


千鶴(なんだろ、急に話しかけてきたかと思えば、下級生のくせにタメ口で、しかもちゃん付けまでしてくるようなヤツなのに……)

千鶴(こうして話してみると、案外常識的というか、悪くないというか、落ち着くというか……)

千鶴(友だちって、きっとこういう関係のことを言うんだろうな……って、なに考えてるんだろ私)ハァ

千鶴(……その性格が羨ましい)

ちなつ「そういえば千鶴ちゃん。私のことまだ1回も名前で呼んでくれてなくない?」

千鶴「ん、あぁ、そういえば……」

ちなつ「ほらほら、せっかく仲良くなったんだから、1回くらい呼んでみてよー」

千鶴「えっ、いやそれは、そのうち自然に呼ぶから……」

ちなつ「いいから! はーやーくー!」

千鶴「は、はい……」


千鶴「………………よ、吉川……さん」

ちなつ「千鶴ちゃん、もしかしてわざと……?」

千鶴「いや急に名前で呼べったって慣れてないし!」カァッ

ちなつ「1回言っちゃえばすぐ慣れるから! ほらほら!」

千鶴「ぐっ……。ち………………」

ちなつ「ち……?」

>>28
サブキャラ短編書いてる人?
申し訳ないけど俺はそれとは別人



千鶴「ちなつッ!」


ちなつ「……!」ドキッ

千鶴「ほらもう、これでいいだろ!」プイッ

ちなつ(あれ、千鶴ちゃん、こうしてみると意外とカッコいい……?)


綾乃「なーにしてるの。ふたりで騒がしくして」


ちなつ「あ、杉浦先輩」

千鶴「すみません杉浦さん」

綾乃「仲が良いのは結構だけど、学校の図書室じゃないんだから、お静かにね」


ちなつ「あれ、私たちそんなに仲良く見えちゃいます?」

綾乃「そりゃ……だって、ふたりって結構付き合い長いのよね?」

ちなつ「え、そんなことないですよ? なんでですか?」

綾乃「なんでって、先輩に敬語使わないってことは、幼い頃から仲良かったとかなんじゃないの? ほら、赤座さんみたいに」

綾乃「あれ? でも千歳と千鶴さんって親の転勤で各地を転々としてたような……?」

ちなつ「いやいや、だって千鶴ちゃん、池田先輩の妹なんですよね? だったら私と同学年なんじゃ……」

千鶴「ん、ちなつ、もしかして知らないのか? 私と姉さん、双子なんだよ」

ちなつ「……」


ちなつ「へぇっ?」


ちなつ「……」

ちなつ「な……ななな……」ワナワナ

ちなつ「なんですとー!?!?!?」ガタガタッ

綾乃「吉川さんシーッ! シーッ!」


ちなつ「嘘ーッ!? 私ずっと先輩相手にタメ口きいてたの!? すみません!!! すみませんでしたァァァ!!!!!」ゲザァ

千鶴「いや、いいよ別に。もうタメ口でも……」

綾乃(なんか余計なこと言っちゃったかしら……?)




おしまい

【陽だまりスケッチ】 ※ ゆるゆり単行本未収録分(101話)の要素を含みます。


※ 高岡ひろ …… かつて雑誌『キャラ☆メル Febri フェブリ』で連載されていたゆるゆりのスピンオフ漫画『りせっと!』の主人公。1年生。
なんやかんやあって勘違いから同級生のゲーム制作に巻き込まれる。イラスト担当だがイラストはまったく描けない。アニメの6話に少しだけ登場している。


~ 放課後の2年5組

ひろ「あ、あの、歳納先輩いらっしゃいますか?」

結衣「ん、京子? ……あ、君ってこの前の1年生の子だよね? ちょっと待っててね」

ひろ「すみません、お願いします」


~~

京子「お待たせーん。どうかしたかい1年生?」

ひろ「すみません、ちょっと相談に乗ってもらいたくて……。このイラストなんですけど」

京子「ふむふむ……。これがどうかした?」

ひろ「なんか身体のバランスが悪い気がするんです。歳納先輩だったらどこが悪いのかって分かると思ったんですけど……」

京子「ふふふ、まだまだだな1年生。こういうので大事なもの、それはハート、そして信念、努力――――そしてハート!!」

ひろ「それ前も聞きました!!!」

京子「とまぁ冗談はおいておいて……」

ひろ(冗談だったんだ……)

京子「そういうことなら、私よりももっと詳しい人がいるよ」

ひろ「詳しい人……ですか?」

京子「……よっしゃ、同じ志を持つもの同士、今から一緒に頼みにいってあげよう!」

ひろ「え、今からですか?」

京子「善は急げってね! ほら、こっちこっち!」

ひろ「わっ、ちょっと急に走らないでください!」


~ 美術室

京子「美術ちゃーん! 助けてー!」

東「……“東”先生って呼びなさい。で、どうかしたの歳納さん?」

京子「実はこの子がパース上手く引けないって悩んでてさー。東ちゃん教えてあげてよ」

ひろ「こんにちは……」

東「あぁ、そういうこと。今日はもう仕事もないし、構わないわよ」

ひろ「す、すみません、ありがとうございます!」


~~

東「……って感じでやってあげれば、ほら」

ひろ「す、凄い……。私が描いたんじゃないみたいです」

東「ふふ、ちゃんと高岡さんが描いたものよ」


東「あとはいろんな角度から練習を重ねていけば、もっと自然に描けるようになると思うわ」

ひろ「はい! 東先生、ありがとうございます」

東「ふふ、頑張ってね」

京子「ひろポン、私への感謝はー?」

ひろ「え、あ、そうでしたね。あ、ありがとうございます」

ひろ(アダ名付けられちゃった……)

東「……」クスクス

ひろ「……? 東先生、どうかしました?」

東「いや、歳納さんこうやって偉そうにしてるけど、はじめは高岡さんよりも断然下手っぴだったのよ」

京子「あ、ちょっと東ちゃん! それ内緒って……!」

ひろ「えぇ!?!? そうだったんですか!?」

東「うん。どうしても上手く描けるようになりたいからって、毎日私のところにお願いに来てねー」

ひろ「歳納先輩が……。信じられないです」

京子「いやぁ、お恥ずかしい話です」テレテレ

ひろ「……」

ひろ(そっか……。雲の上の存在だと思ってた歳納先輩だけど、そんな歳納先輩にも上手く描けない時期とかあったんだよね……)

ひろ(毎日練習して、努力して、そうやって上手になっていったんだ……)

ひろ(イラストなんて自分には向いてないんじゃないかって思ってたけど、負けられない……)

ひろ「……私、なんかできる気がしてきました! 頑張って、絶対いいゲームを完成させてやります!」

京子「おっ、期待してるぞー」

東「ふふ」

ピロリン


京子「おっとメールだ」ポチポチ

東「ちょ、校内で携帯は禁止でしょ……」


結衣『お前来るの遅いから、おやつのロールケーキは3人でいただきました』

京子「そんなぁ!!!!」ガーン

東「前から茶道部占拠の噂は聞いてたけど、食べ物まで持ち込んで、本当にやりたい放題なのね……」




おしまい

【追いかける人たち】


~ ケーキ屋

綾乃(ここが最近おいしいって評判のケーキ屋さんね……)

綾乃(おいしかったら歳納京子を誘って一緒に……って、なに考えてんのよ私ー! 違う違う、今日はただケーキをたしなみに来たのよ! そうよ!)

綾乃(別に歳納京子のためなんかじゃないんだから!)カランカラン


めぐみ「いらっしゃいませー」

めぐみ(あら、女の子ひとりなんて珍しい。中学生くらいかな?)


めぐみ「ご注文はなにになさいますかー?」

綾乃「え、えーっと……」

綾乃(うわぁ、これ全部フランス語かしら……? やっぱり話題のケーキ屋さんともなると、ケーキの名前ひとつをとってもオシャレなのね)

綾乃(どれもこれも綺麗にデコレーションされてて食べるのがもったいない……。これならムードもバッチリ……って、ムードは関係ないでしょー!)ブンブン

めぐみ(どうしたんだろ、この子……)

カランカラン

めぐみ「あ、いらっしゃいま……せー」

みさき「……」ムフー

めぐみ(おおっ、今度は小学生くらいの子だ! 今日は変わったお客さんが多いなぁ)


みさき「お姉さん、みさきはケーキが欲しいんだけど?」

めぐみ「はーい、いらっしゃい。どのケーキが欲しいのかな?」

みさき「ふふん、ちゃんとお母さんからメモをもらってるから!」

めぐみ「そうなんだ、えらいねー」ナデナデ

みさき「ふふ」ムフー

めぐみ「じゃあそのメモを見せてもらっていいかな?」

みさき「仕方ないわね! えっと……はい!」

めぐみ「はいたしかに。それじゃ、コレと、アレと、アレとで……合計1460円になります」

みさき「待ってね! えっと……」ゴソゴソ

みさき「あれ……?」ゴソゴソ

めぐみ「……?」

綾乃「……」

みさき「あ、あれ? あれ? ちゃんとポッケに…………」ゴソゴソ

めぐみ「……もしかして、財布落としちゃった?」

みさき「う、うぅ……」ジワッ

めぐみ「そっかぁ……困ったねぇ。どこで落としたかとか覚えてる?」

みさき「……」フルフル

めぐみ「って、それが分かったら苦労しないか……」


綾乃「――――心配しないで、みさきちゃん」

みさき「……?」グスグス

綾乃「私が一緒に探してあげるわ。来た道、一緒に戻って探しましょ?」

みさき「い、いいの……?」

綾乃「ええ、もちろん」ニコッ

みさき「……ありがとうお姉さん」

めぐみ「………………」


~ 街路

綾乃「すみません、店員さんにまで手伝ってもらっちゃって。お店大丈夫ですか?」ガサガサ

めぐみ「あはは、抜けた時間分長く働けば今回だけは見逃してやるってさ。だから大丈夫」キョロキョロ

綾乃「それ、大丈夫って言わないんじゃ……」ガサガサ

めぐみ「平気だよ。それに放っておけなくってさ、ああいう真面目で空回りしちゃうような子」


みさき「……」ガサガサ


めぐみ「私もおっちょこちょいだから、親近感湧いたのかも」ガサガサ

綾乃「おっちょこちょいだなんて、そんなふうには見えませんけど……」キョロキョロ

めぐみ「それがそうでもあるんだよねぇ」ガサガサ


めぐみ「あと、実は君にも影響されちゃったと思うんだ」ガサガサ

綾乃「へっ? 私?」

めぐみ「うん。私の同級生にも困ってる人のことを放っておけない、お人好しの子がいてね」

めぐみ「君の行動を見てたらその子のことを思い出しちゃって」


めぐみ「私さ、その子に憧れてるんだー」ガサガサ

綾乃「そうなんですか……」ガサガサ


みさき「――――あっ!」

みさき「おねーさん! 財布あった! 落ちてたぁ!」

めぐみ「中身はあるー?」

みさき「えっと……大丈夫ー!!」ガサガサ


めぐみ「……ま、今回は役に立てなかったみたいだけど」

綾乃「そうですね」クスクス


「んー、あれ?」


京子「綾乃じゃん。こんなところでなにしてんの?」

めぐみ「?」

綾乃「と、歳納京子!? べべ、別になんだっていいでしょ!? あなたこそなにしてるのよ!?」

京子「いや、気晴らしに散歩してただけだけど」

めぐみ(この子綾乃ちゃんっていうんだー……てか、この性格の変わり様はいったい……?)


京子「ところでお腹すいたんだけどなんか食べるもん持ってない?」グー

綾乃「ももももも、持ってるわけないでしょ!!!」


めぐみ(…………ははーん……もしかして)ニヤニヤ

めぐみ「あー、実は綾乃ちゃんね、さっきまでみさきちゃんの落としもの探しを手伝ってくれてたんだ」

みさき「手伝ってもらった!」

京子「へー、そうだったんですかー。さすが綾乃だね」

綾乃「こ、困ってる人を助けるのは当たり前ですもの!」

めぐみ「でね、そのお礼にお姉さんがケーキをご馳走してあげようと思ってたところだったんだけど、よかったら京子ちゃんも一緒にどう?」

京子「え、いいんですか!?」パァッ

みさき「……」

めぐみ「もちろん、頑張ったみさきちゃんも一緒にね」

みさき「ほ、ほんと?」パァァ

綾乃「え、ちょっとそんな話じゃ……」


めぐみ「いいのいいの。綾乃ちゃんの勇気と優しさに免じて、ここは私に奢らせてよ」ニコッ

綾乃「でも……」

めぐみ「ほら、京子ちゃんとみさきちゃんも心待ちにしてるよ?」

京子「ケーキ! ケーキ!」

みさき「ケーキ! ケーキ!」

綾乃「そ、それじゃあお言葉に甘えて……」

めぐみ「ふふ……応援してるからね、綾乃ちゃん」ボソッ

綾乃「なななななんの話ですか!?」カァァァ

京子「?」


~~

(「園川さん、こんなところで何してるの? ……え、定期券落とした? 探すの手伝うよ」)

(「暗くなってきたからもういいって……まだ定期見つかってないじゃん。明日からどうするつもり? いいから、黙って探す」)

(「……は? ポケットに入ってた!? このバカ川! バカ川めぐみが!」ベシッ)

(「でも良かったよ、無事に見つかってさ。……「怒ってないの?」って、無茶苦茶怒ってるけど? 怒ってないように見える?」ギロッ)

(「……次やったら罰金だからね」クスッ)

~~


~ ケーキ屋

京子「じゃあ私はこの2列目のやつ全部とー…………」

めぐみ「全部!?」

綾乃「ちょっとは遠慮しなさいよ」




おしまい

【信頼関係】


~ 放課後の生徒会室

結衣「……」モクモク

千歳「……」テキパキ


結衣「はー、終わったぁ」

千歳「ありがとうなぁ、船見さん。生徒会の仕事手伝ってもろて」

結衣「いやなに、みんな用事じゃ仕方ないし、それに生徒会には普段お世話になってるから、これくらいはね。……特に京子が」

千歳「あはは、でもそれはお互い様やと思うけど」

結衣「お互い様……? 私たち生徒会になんかしたっけ?」

千歳「ううん。でも歳納さんがいるってだけで、生徒会は借りがあるようなもんやからね~」

結衣(……どういうことだ?)

千歳(あかん、これ以上言うたら綾乃ちゃんに叱られてまうなぁ)


千歳「せや! お礼と言ってはなんやけど、プリン食べへん?」

結衣「え、でもそれ綾乃のでしょ?」

千歳「ええんよー。船見さんにだったら、綾乃ちゃんも納得してくれるやろし」

結衣「いや、尚更もらえないよ……」

千歳「そう? じゃあうちが食べよっと」ペリッ

結衣「ちょっ」

千歳「大丈夫やてー。どうせ普段から大室さんに食べられまくっとるから」アハハ

結衣「綾乃……不憫な子……」


~~

結衣「美味しかったよ。ごちそうさま」

千歳「いえいえ~」


結衣「……しかし、千歳と綾乃は本当の信頼関係で結ばれてるって感じがするね」

千歳「え? どうしたん、急に」

結衣「いや、いくら仕事を手伝ってもらったとはいえ、相方の食べもの勝手にあげても大丈夫だろうって確証がもてるのは凄いよ」

千歳「うーん、そうかなぁ」

結衣「京子のラムレーズン勝手にあげたりなんかしたら大変なことになると思うし」

千歳「それは……ふふ、想像つくなぁ」クスクス

結衣「でしょ?」


千歳「でもそれを言うたら歳納さんと船見さんだって大した信頼関係やと思うよ?」

結衣「私と京子が?」

千歳「突然泊めてくれーって言うのも、それを許可するのも、簡単にできるもんとちゃうよ?」

結衣「そう、かなぁ?」

千歳「せやでー」

千歳「………………なぁ船見さん。ちょっとだけ意地悪な質問してもええ?」

結衣「ん、嫌な予感しかしないんだけど……」

千歳「ふふ、それは多分当たっとるな~」

結衣「まぁ、いいよ。質問って?」

千歳「んー……」


千歳「もし歳納さんに恋人ができたら、ふたりのその関係ってどうなるんかなー思てな」


結衣「関係って……京子が泊まりに来るとか、そういう関係のこと?」

千歳「そー」

結衣「……なんでそんなこと聞くの?」

千歳「ん、ちょっと今後の参考になー。あ、嫌なら無理に答えんでもええからね?」

結衣「いや、別に平気だけど。うん……そうだなぁ」



結衣「多分、なにも変わらないんじゃないかな」


千歳「……ホンマに? なんで?」

結衣「いや、確証があるわけじゃないよ? ただ私がそう思ってるってだけで」

千歳「ううん、それでもええよ。根拠を教えてほしいなぁ」

結衣「…………んー、そうだね」


結衣「……その、私が寂しがるって、知ってるから」

千歳「えっ?」

結衣「いや、その、私、ひとり暮らしはじめて結構経つんだけど、割と頻繁にホームシックにかかっててさ……」

千歳「そうなんや……意外やわぁ」

結衣「その度に京子は私の家に泊まりに来てくれて、私が寂しくないようにって一緒にいてくれて……」

千歳「……」

結衣「ま、なんていうの。つまり、そんな京子が私を放って恋人のことばっかりなんて考えられないっていうか、その」

千歳「……それは立派な信頼関係やね、船見さん」ニコッ

結衣「そ、そうかな?」

結衣「………………」

結衣「あれ?」

千歳「…………?」

結衣「あれ、なんで私、千歳にこんな話してるんだ……?」

千歳「へ?」

結衣「……………………ッ!」カァァァァァアアア


結衣「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛バカバカバカバカバカバカ!!!!なに恥ずかしいことカミングアウトしてんだ私!!!」

千歳「お、落ち着いて船見さん!」

結衣「あれ……なんか千歳の顔見てたら安心して……。つい、ポロポロといらないことを……き、京子には絶対内緒にしててね?」プルプル

千歳「……もちろんやで」ニコッ

千歳(ふふ、そうやって色々話してくれるのも、もしかしたら私と船見さんの間に築かれた信頼関係あってこそなのかもなぁ。意地悪なこときいてごめんな)クスッ


結衣「ちなみに千歳は、もし綾乃に恋人ができたらどうなるの?」

千歳「そりゃもう大豊作に決まっとるやんかアハハハ」ダバダバ

結衣「ちょ、書類に鼻血がー!!!!」




おしまい

【さみしくないノ!!】


~ 古谷家

向日葵「ただいまー」

楓「お姉ちゃん、おかえりなさいなの」トテトテ

向日葵「ただいま。いつもお出迎えありがとう」

楓「えへへ」


ちなつ「おじゃましまーす」

楓「!」

ちなつ「あ、楓ちゃんだよね? こんにちは。私、お姉ちゃんのお友達で、ちなつっていうんだ」

楓「こ、こんにちはなの!」


向日葵「それでは準備してくるので、私の部屋で待ってていただけますか?」

ちなつ「うん。でもありがとね、急にマフラー作り手伝ってもらっちゃって」

向日葵「ふふ、いいものを完成させましょうね」

楓(お姉ちゃんが櫻子お姉ちゃん以外の友達を連れてくるなんて珍しいの……)

向日葵「楓、吉川さんをお部屋に案内しておいてもらえるかしら?」

楓「あ、はーいなの」

ちなつ「え、楓ちゃんそんなこともできるんだ!? おりこうさんだねぇ」ナデナデ

楓「えへへ」


楓(…………お姉ちゃんの数少ない友だち……。楓が精一杯おもてなししてあげなくちゃなの!)メラメラ


~ 楓と向日葵の部屋

楓「ここがお姉ちゃんと楓のお部屋なの」

ちなつ「へー……。あ、二段ベッド使ってるんだー」

楓「ちなつお姉ちゃん、楓お紅茶淹れてくるね」

ちなつ「えっ、いいよそこまでしてくれなくても。ただでさえ迷惑かけちゃってるし」

楓「えっ!」


楓(どうしよう、ことわられるなんて思ってなかったの……)

楓(櫻子お姉ちゃんだったらぜったいに断らないのに……)

楓(……多分、ちなつお姉ちゃんは“けんそん”してるだけだと思うから、ここはひとつ、おしばいをうつの!)


楓「でもお姉ちゃんから“お客さんにはちゃんとお飲みものをお出しするのよ”って言われてるの!」

ちなつ「へー、凄いなぁ向日葵ちゃん。しっかりお姉ちゃんしてるっていうか……」

ちなつ「でも、本当に平気だから心配しないで? 向日葵ちゃんには私から言っておくから」


楓(ちなつお姉ちゃん、意外とがんこなの……! それなら、飲みたくなるようなことを言うしかないの……!)

楓「それなら! それなら、特別なおクスリをいっぱい入れてあげるの!」

ちなつ「へ? く、くすり……?」

楓「そうなの! とってもおいしくて、気持ちよくなれるおクスリなの!」

ちなつ「え、ちょっとまって? なにそれ……」

楓「ちなつお姉ちゃん知らないの? 白くてサラサラしてる粉のおクスリなの」

ちなつ「……」


楓「えへへ、なかなか手に入らないからいつもはちょっとしか入れないんだけど、ちなつお姉ちゃんには特別なの!」

ちなつ「向日葵ちゃーん!!!」


~~

向日葵「ごめんなさい。いつも楓はグラニュー糖を入れすぎるので、うちでは薬ってことにしてるんですわ」

ちなつ「なんだビックリした……」

向日葵「なにぶんまだ6歳なものですから、言うことを真に受けなくても大丈夫ですのよ?」

ちなつ「うーん、楓ちゃんしっかりしてるから……」


楓「お、おまたせなのー!」カタカタ

ちなつ「ありがとー。ふふ、結局ごちそうになっちゃった」

向日葵「遠慮しなくてもいいんですのよ」

ちなつ「わぁ、おいしい。これ本当に楓ちゃんが淹れたの?」

楓「そうなの!」

向日葵「インスタントですけどね」


~~

向日葵「――――それで次はこの穴に通して……」

ちなつ「ここ?」

向日葵「あ、その下ですわ」

楓「……」


楓(お姉ちゃんたち、編みもの楽しそうなの……)ジー

楓(楓もやってみたいけど、下手っぴでお時間もかかっちゃうだろうし……)

楓(……今度、楓もお姉ちゃんに教えてもらおうっと)

ちなつ「……」チラッ


ちなつ「……ねぇ楓ちゃん、よかったら少しだけ手伝ってもらえないかな?」

楓「えっ、楓?」

ちなつ「うん。だって楓ちゃん、ずっとやりたそうな目してたもん」

楓「で、でも楓、うまくできないと思うし……」

ちなつ「そこは私もフォローするからさ。さっきの紅茶のお礼ってことで、ね? お願い!」

楓「う、うん! 頑張って手伝うの!」

向日葵「いいんですの? それ、船見先輩に……」ヒソヒソ

ちなつ「大丈夫だよ。楓ちゃんならきっとうまくできるし、それに大切なのは私がきちんと心を込めて編んだかどうかだもん」

向日葵「……それならいいですけれど」クスッ

楓「?」


ちなつ「それじゃ、この棒と棒を持ってー」

楓「持ったの!」

ちなつ「まずこっちの棒をここにこうして……」

楓「こうしてー……」

ちなつ「それで、次はこっちに……」

楓「よいしょ」

ちなつ「…………最後にこの穴に通して……」

楓「こう?」

ちなつ(あれ、私より上手い……)

楓「えへへ、編みものとっても楽しいの」

ちなつ「そう? よかった」

楓「はい、ちなつお姉ちゃん。やらせてくれて、ありがとうなの」

ちなつ「あれ、もういいの?」

楓「うん! 続きは今度お姉ちゃんに教えてもらうの」

ちなつ「……そっか。それじゃあ、マフラーができあがったら、楓ちゃんには一番に見せてあげるね」

楓「本当なの!? 楽しみにしてるの!」

向日葵「よかったですわね、楓」

楓「うん!!」


~~ 数日後

ちなつ「見てほら楓ちゃん! すっごく上手くできたよ!? どう?」ドジャーン

楓「……………………う、うまく、できてると、おもうの……」

ちなつ「ほんとー!? だよねー!」

楓「…………………………さっすがー…………」

向日葵(楓が気を使ってますわ……)




おしまい

【雪の芽に咲く灯り】


※ ゆき、めり …… 原作34話「掃除!!」に1Pだけ登場する激レアキャラクター。以降一切登場しない。
今回はトーンなしお団子ヘアーが「めり」、薄いトーンで二つ結びにしてるほうが「ゆき」という設定です。


~ 昼休みの中庭

めり「はぁ、花壇の水やりだなんて面倒くさいね」

ゆき「日直だから仕方ないよ……。早く終わらせて教室戻ろ?」

めり「それもそうだね……って、あれ、誰か水やりしてない?」

ゆき「……あれ、赤座さんじゃない?」


あかり「お水シャーシャー、お日様ポカポカ、元気に大きく育っちゃうよぉー♪」

ゆきめり((なんだろう、あの歌……))

めり「あかりちゃーん、なにしてるのー?」

あかり「あっ、めりちゃん、ゆきちゃん。なにってお花の水やりだよぉ」

ゆき「それ日直の人がやるお仕事だから、赤座さんはやらなくても……」

あかり「えへへ、そうなんだけど……」

めり「……だけど?」


あかり「日直でも忘れちゃう人結構いるから、そういう日はあかりが水やりしてるんだぁ」

ゆき「赤座さん、そんなことことしてたんだ……」

めり「縁の下の力持ちってやつだね」

あかり「うぅっ、それはあんまり嬉しくない……」

ゆき「ごめんね。私たちがもっと早く来てれば……」

あかり「あ、いいんだよぉ。あかりも好きでやってることだから」

めり「……そっかぁ、なるほどなぁ」

ゆき「どうしたの、めり?」

めり「いや、そういえば私たちって、あかりちゃんのことあんまりよく知らないなぁって思って」

ゆき「あぁ、確かに。いつも別のグループで固まってるもんね」

めり「こんな面倒な作業まで率先してやってくれるあかりちゃんのことを知らないなんて、もったいないと思うんだよね」

あかり「そ、そんな大したことしてないよぉ」アセアセ

めり「そこでせっかくだから今ここに、あかりちゃんに色々聞いちゃおうのコーナーを設けたいと思います!」

ゆき「ちょっとそんな急に……」


あかり「……」ワクワク

ゆき(あ、嬉しそう)

あかり「えへへ、あかりインタビューとかに答えるの夢だったんだよぉ」

ゆき(可愛らしい夢!)

めり「じゃあ早速だけど私から質問です! あかりちゃん、放課後になるとそそくさとどこかへ行っちゃうけど、いつもどこに行ってるんですか!」

あかり「あ、うん。あかりはいつも茶道部室に行くんだよぉ」

めり「茶道部室? あかりちゃん茶道部だっけ?」

ゆき「いや、茶道部ってたしか廃部してたような……」

あかり「うん、廃部してるよ。だから本当はいけないんだけど、誰も来ない茶道部室を無断で占拠して、好きに使わせてもらってるんだぁ」

ゆき「え」

めり「え」


めり(え、無断占拠? それってオッケーなの?)

ゆき(いやオッケーなわけないでしょ……。赤座さん、意外と不良……?)

あかり「?」

ゆき「そ、それじゃ次は私からいいかな? 赤座さんはいつもその部室でなにしてるの?」

あかり「うーん、特に決まった活動はしてないけど、大体は京子ちゃんや結衣ちゃんとかと遊んでるかなぁ」

ゆき「京子ちゃん? 結衣ちゃん?」

あかり「あ、ふたりは2年生の先輩なんだぁ」

ゆき「え」

めり「え」


ゆき(まってまって、赤座さん先輩を“ちゃん”付けして呼んでるの!?)

めり(どういうこと!? 先輩にタメ口きいても許されるような立場にいるっていうの!?)


あかり「あとたまに生徒会の子たちと遊んだり……」

めり(生徒会!? 部室を無断占拠してるような連中が生徒会と遊んでるの!?)

ゆき(もしかして、生徒会役員という生徒の中でも最高権限を持つ集団すら既に飼いならしてるっていうのかしら……)


あかり「そうそう、みんなでキャンプに行ったりもしたよぉ。西垣先生に荷物運んでもらってぇー…………」

ゆき(あ、ダメだこれ。教師すらすでに赤座さんの手駒と化してるわ)サー

めり(ごめんゆきちゃん、私怖くなってきちゃった……)ガクガク

あかり「あとは……って、んん!? ふたりともなにしてるの!?」

めり「……」ゲザァ

ゆき「……」ゲザァ


ゆきめり「「明日からは水やりもっと早くやるんで、命だけは勘弁してください!!!!」」

あかり「えええぇぇぇぇ!?!?!? なんでええええぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」




おしまい

【ミラクらー大集合!】


※ 石動葵 …… かつて雑誌『キャラ☆メル Febri フェブリ』で連載されていたゆるゆりのスピンオフ漫画『りせっと!』のキャラクター。1年生。
同人ゲーム作成の話をひろに持ちかけるも当の本人はなんのスキルも持ち合わせていない。オタク。


~ 書店

京子「……んん!? あそこにあるのってもしかして、ミラクるん4巻の限定版!?」

京子「うそ、なんでこんな古ぼけた書店にあんなレア物が!? か、買わなきゃ!!!」ダッ


パシパシッ

京子「よっしゃ、ゲットー……?」

葵「ゲットー……?」


京子(この子、私とほぼ同時にミラクるんに手を……? いやいや、私の方が早かったって絶対!)

葵(なにこの人、私よりも後に来ておいて横取りするつもり? このレアグッズは絶対に渡さないわ……!)

京子「……」

葵「……」

京子「あはははは」

葵「うふふふふ」


京子「あっ! あんなところにガンボーが!!!」

葵「えっ、嘘っ!?」バッ

京子「嘘だよーん! 隙あり!!」

葵「なっ、卑怯よ! これでも食らえッ!」ゲシッ

京子「いってぇ!? 暴力反対!!!」

葵「嘘ついてまで手に入れようとした人に言われたくないわ!!」

京子「くっそー、それなら私にだって考えがあるぞ……! 必殺、わきこちょ攻撃!」コチョコチョ

葵「あひぁん!??! な、なにコイツ性根腐りきってるわね!? ミラクらーの風上にも置けないわ!?」

京子「へんッ、なんと言われようと絶対に手に入れてやらぁ!」

葵「もう頭にきた! うおりゃっ!」モミモミモミモミ

京子「ちょちょちょぉー!?!? 痴漢!!! お前は痴漢か!?!?!?」

葵「うわ、あなた思ったよりナイのね……」

京子「余計なお世話だよ!?」

葵「……」ハァハァ

京子「……」ハァハァ

京子「ひとまず落ち着こう。状況の整理、大事よ」

葵「そうね……。このままやってても埒が明かないものね」

京子「まずここにあるのはミラクるん4巻の限定版です。オーケー?」

葵「1万部限定で西京焼蘭子先生の直筆サインがついてる、ミラクるん4巻の限定版ね」

京子「そう、20ページのおまけ漫画が付属しててさらにお得なミラクるん4巻の限定版」

葵「あまりの需要過多にオークションでプレミアがついてるミラクるん4巻の限定版ね」


京子「……」

葵「……」


京葵((うわ、めっちゃほしいわー……))

京子「……」

葵「……」

京子「い、いやー実は私、同人でミラクるんの本いっぱい出しててさー? 結構ミラクるんに貢献してると思うんだよなー」

葵「あっ、そういうの卑怯よ!? 勝手に二次創作してる分際で“貢献”なんて言葉使わないでよ!」

京子「いやでも知名度上昇には少なからず貢献してるわけで……」

葵「たかが知れてるわよそんなの! 大体ミラクるんの対象年齢は小学生以下の子たちよ!? 同人なんて読んでるわけないわ!」

京子「ぐぎぎ……!」

葵「その点、私は子どもの頃からの純粋なファンよ。そういうひたむきな姿勢のファンにこそ、その限定版はふさわしいと思わない?」

京子「私だって純粋でひたむきなファンだよ!」

葵「どうかしら? どうせエロい同人誌描いてるんじゃないの?」

京子「いや、興味はあるけどまだ描いてはない! まだ描いてはないから!!!」

まり「あ、お母さん! 探してたミラクるんの漫画あったー!」パシッ トテトテ

京子「……あ?」

葵「へ?」


まり母「あら、よかったわね。それじゃ、それ買って帰りましょうか」

まり「かえるー!」


京子「……嘘だろ?」

葵「よよよ、横取りよあんなの! 早く取り返さないと……」

京子「『ミラクるんの対象年齢は小学生以下の子たちよ!?』」

葵「うっ……」

京子「まぁでもその発言で少し考えさせられたよ。私たちみたいなオタクより、ああいう子たちが持っててくれたほうが、西京焼先生もきっと嬉しいよなーってさ」

葵「……はぁ、何よそれ」

京子「まあまあ。オタクはおとなしく、ネットオークションで高い金出して買おうぜ」ポンポン

葵「それもどうなのよ……。もう仕方ないわね……」

京子「それよりもさ、せっかくお仲間に巡り会えたんだし、ちょっと語り合いません?」ニコッ

葵「……そうね。たくさん語って、このもやもやを発散させましょうか」ニコッ


~ ワック

葵「――ってわけで私、あそこの胡雷(くるらい)のシーンがすごく好きで……」

京子「……貴様、胡雷派か」ギンッ

葵「……その反応、あなた雷胡(らいくる)派ね?」ギロッ


―――― オタク同士の争いの火蓋は、切って落とされたばかり。




おしまい

【迷子の迷子の子(熊)猫ちゃん】


~ 百貨店

まり「ねぇお母さん、まり、あのお店行きた……」

まり「あれ、お母さん?」キョロキョロ


まり「お母……さ……ん?」


~~

美穂「――――あら?」

まり「……」グスグス

美穂「きみ、どーしたの? 迷子?」

まり「…………ぉか……さ……ヒック…………グス」

美穂「なに? それじゃ分からないよ? お名前は?」

まり「…………」グスグス

美穂「お名前、ないのかなー?」

まり「…………」ヒック


まり「………………まり」

美穂「まりちゃんね? ほら、おねーさんが見つけてあげるから泣かないで」

まり「お、おか……お母さ……んが、お母さん……が……」グスグス

美穂「捨てられたわけじゃないんだから、そんな泣かなーい」

まり「お、おか、お母さん、ぃ、い゛な゛い゛ぃー……」ポロポロ

美穂「……もうー。あ、そうだ。じゃあ元気になるおまじない教えてあげるから、ちょっと聞いてくれる?」

まり「おまじ……ない……?」ポロポロ

美穂「いい? “まり、泣かない! がまんする!”って大きな声で言うだけ。ほら、やってみて?」

まり「…………まり泣かない……」グスグス

美穂「声が小さーい。はい、やり直し!」

まり「ま、まり、泣かない。が、がまんする……」ヒック

美穂「もっともっと。ママに聞こえるくらい、大きな声で!」

まり「…………」グス


まり「…………ま……まり、泣かない! ……がまんするっ!」


美穂「……よし、よくできました」ナデナデ

まり「……えへ」グス

美穂「もしまた泣きそうになったら、そのおまじないを使うんだよ?」

まり「まり、もう泣かない」

美穂「そのちょーし、そのちょーし」ニコッ


美穂「まりちゃんはママとはぐれてどれくらい?」

まり「わかんない……けっこう……」

美穂「そしたらこの辺にはいないのかなー。迷子センター行ってみようか」

まり「うん……」


~ 迷子センター

『――――町からお越しの、船見まりちゃんをお預かり致しております。お連れ様は至急、迷子センターまで――――』

美穂「放送流してもらったから、ママすぐに来るよ」

まり「……ありがとうお姉ちゃん」

美穂「どういたしまして」


まり母「――――すみません! さっき放送で流れた船見まりって……」

まり「!」

店員「まりちゃんですね、お預かり致しておりますよ」

美穂「ほら、すぐ来たでしょ? 早く会っておいで」

まり「うん! お母さーん!!」トタトタトタ

美穂「……」フフッ


~~

(「また落ち込んでるでしょ? 隠してるつもりかもしれないけど、私にはバレバレ」)

(「美穂ってほんと不器用だよね。あんなの、適当に周りと同調しとけば荒波起こさなくて済むのに」)

(「でもふざけてるよあの子たち。美穂の言いたいこと、考えてることを、知ろうともしないくせに、好き放題言ってさ」)

(「……私はちゃんと見てるからさ。美穂のそういう、厳しいけど優しいところ。だから元気出しなよ」)

~~


まり母「ごめんねまりちゃん……大丈夫だった?」

まり「大丈夫だった!」

まり母「あら、てっきりめそめそ泣いてると思ってたら」

まり「うん、そこのお姉ちゃんに泣かないおまじない教えてもらったから!」

まり母「……お姉ちゃん? どこにいるの?」

まり「あれ……? お姉ちゃん?」


~~

美穂「ごめーん、遅れちゃったー」

藍「遅かったね。心配したよー」

美穂「うん、ちょっと忘れ物しちゃって」

めぐみ「お、今日は美穂の奢りかなー?」ニヤニヤ

撫子「……いや、めぐみだったら奢らせてたけど、美穂ははじめての遅刻だからノーカンだね」

めぐみ「私も遅刻したことないんだけど!?!?」

撫子「……」


撫子(……迷子の子連れてってたって、正直に言えばいいのに)←たまたま見てた

美穂「逆にめぐみが私に奢るとかどう? バイト代入ったんでしょ?」

めぐみ「いや“どう?”じゃないでしょ!? 奢らないよ!?」

撫子(……ホント、いつまで経ってもそういうとこだけは不器用なんだから)クスッ




おしまい

【とある休日のセクション】


~ お昼の公園

結衣「……」フゥ

結衣(ゲーム休憩の合間に公園来てみたけど、風とか結構気持ちいいなぁ。試験勉強の休憩にもいいかも……)


コロコロ……

結衣「……ん?」


未来「ごめんなさーい」

こころ「投げてもらっていいですかー」


結衣(バスケットボールか……。そういえばこの公園ってバスケットゴールがあるんだっけ)

結衣(どれ……)ダムダム

結衣(よっ!)シュッ


未来「おわぁ!?」

こころ「……!」


ガゴン……

結衣(おぉ、まさか本当に入るとは……)


未来「すごーい! お姉ちゃんもしかしてバスケ部!?」

結衣「えっ? いや、全然違うよ。さっき入ったのもたまたまだし」

こころ「でもフォームも凄く綺麗だった」

結衣「そ、そうかな? ありがとね」


未来「ねぇこころ、このお姉ちゃんにだったら……」

こころ「……そうだね」

結衣「?」


未来「あの、私とこころに、バスケットボールを教えてください!」

こころ「教えてくださーい」

結衣「えっ、私?」

未来「明日バスケの授業なんだけど、ドリブルがうまくできなくて……」

こころ「花子様は上手にできてたのにねー」

結衣「いいけど……私も経験者じゃないから、あまり期待はしないでね?」

未来「やったぁ!」


こころ「こころ、ダンクシュート決めたい」ワクワク

結衣「それは君にはまだちょっと早いかな……」


~~

結衣「じゃあ私のいるところまでドリブルしてみてー!」

未来「それじゃ私からいくよー!」

結衣「よーい、はじめ!」


未来「てやっ! てやっ!」ポムポム

結衣(あー、ボールを前に押し出しすぎて、ついていくのに必死になってるな。ちょっとせっかちな子なのかな?)

未来「あっ! あー……ボールにおいてかれちゃった……」ポーンポーン

結衣「未来ちゃんはちょっとボールを前にバウンドさせすぎだね。自分のペースに合わせるようにしてあげるだけで、大分良くなると思うよ」

未来「はーい!」


~~

結衣「じゃあ次はこころちゃんだね。さっきの未来ちゃんみたいに、私のいるところまでドリブルしてー!」

こころ「いきます……」スッ

結衣「ん!? なんで背中向けて構えてるの!?」

こころ「こころ、こうやってドリブルするから」ドムンドムン

結衣「ちょ、ちょっと待って!? なにその動き!? なにそのドリブル!? どういう原理で前に進んでるの!?」

こころ「もー、普通にそのままやってるだけだよ?」

結衣「ごめん、ちょっと想像以上の我流で驚いちゃったよ……。きみはフォームから練習する必要があるね……」

こころ「は~い」


~~

結衣「――――そうそう、そんな感じ! ふたりとも大分上手になったね」

未来「えへへ、これなら花子様とも張り合えそうだね」

こころ「こころたちには船見師匠がついてるからねー」

結衣「そ、その呼び方はやめてほしいな……」カァァ


結衣(…………ありゃ、もうこんな時間か。今日は7時までにボス倒したかったんだけど、こりゃ無理かな……)

未来「私たち、花子様に勝てるかなー?」

こころ「……未来の犠牲は忘れないよ」

未来「私しんじゃうの!?」

結衣(……でもまぁ、いいか)クスッ


~~ 翌日の七森中学校

京子「あの、昨日結衣さんが公園で遊んでた幼女を捕まえて、スパルタばりにしばいていたって噂は本当なんでしょうか……?」サー

綾乃「えっ」

千歳「えっ」

結衣「誰からなにがどう伝わった!?」




おしまい

【オトナノカイダンオリル】


※ クドリャフカ …… かつて雑誌『キャラ☆メル Febri フェブリ』で連載されていたゆるゆりのスピンオフ漫画『りせっと!』のキャラクター。1年生。
学校で自作の詩集を配るという将来黒歴史間違いなしの奇行が特徴。葵のゲーム制作ではシナリオ担当(多分)。
ぽわぽわした雰囲気と詩っぽい独特のしゃべり方でなもり先生を苦しめた。詩集の出来栄えは微妙。本名がゴツい。


~ 放課後の廊下

千歳「……」

千歳(うーん……。最近、妄想に身が入らんなぁ。いわゆる、スランプってやつなんかなぁ)

千歳(もっとこう、うちの心をうち震わす、新たな風を取り入れなあかんかもしれへん)


~ 生徒会

千歳「――――ってわけで、おふたりさん、なんかいい案ないかなぁ?」

櫻子「うーん、難しいですね……」

向日葵(最近鼻血も出なくなって、良い兆候なのかと思ってたら逆でしたのね……)


千歳「なんでもええんよー。最近楽しいことがあったとかでも、キッカケにはなるかもしれんし」

向日葵「わたくしは特には……。櫻子はなにかあります?」

櫻子「……あぁ、そういえばなんですけどー」

千歳「大室さん、なんかあるん?」

櫻子「はい。最近友だちになった子にクドリャフカって子がいてですねー」

千歳「クドリャフカ……? そんな名前の子うちの学校におったかなぁ」

櫻子「いやなんかペンネームらしいんですけど、なぜか本名は教えてくれなくて……」

向日葵「で、そのクドリャフカさんが、いったいなんですの?」

櫻子「あーそれでクドって詩集作って、周りに配ったりしてるみたいなんですよ。そういうのって参考になったりしませんかね?」

千歳「詩集かぁ」

向日葵「あぁ、そういえば同じクラスの石動さんがそんなことを話していたような……」

千歳「なるほど、会いにいってみる価値はありそうやな。どんな見た目の子か分かる?」

櫻子「えっと、全体的にぽわぽわしてて、ショートくらいの長さの髪を内巻きにしてるんですけどー……」

千歳「あぁ分かったわ。ふたりともありがとなー」

向日葵(今ので分かるんですのね……。さすが池田先輩……)


~ 1年生の廊下

クド(……お日様 暖かい まるで おとぎの 国みたい)

千歳「権田川さーん、ちょっとええかなぁー?」

クド「!? ク、クドリャフカ! 私のなまえ!!!」

千歳「あぁ、せやったせやった、ごめんなクドリャフカさん」アハハ


千歳「実はな? クドリャフカさんが校内で詩集を配ってるーって話を聞いたんやけど」

クド「……!」パァァ


クド「私の詩集 世界にひとつ 私の詩集」サッ

千歳「お、くれるん? ありがとなー。読んでみてもええかな?」

クド「人々の 感動の涙が 私の原動力の源」

千歳(オッケーって解釈でええんやろか)ペラッ

千歳「……」

クド「……」ドキドキ


千歳(可愛らしい詩集やなー)ホワホワ


千歳(あかん、これをよこしまな妄想の糧にするんは、ちょっと忍びなさすぎるわ……)パタム

千歳「ありがとなークドリャフカさん。とっても良かったで~」

クド「この胸の鼓動 まるで恋のよう きっと明日も 恵みのお日様が 私たちを照らしてくれるわ」

千歳(これはちょっとわからん…………)


~~

千歳(結局解決できへんかったなぁ……。でもまぁ、読んだことでなにか変わったかもしれんし……)

千歳(1発、妄想してみよか!)モワモワ


~~

綾乃「はぁ、今日も生徒会疲れちゃったなぁ」

京子「綾乃ー! 今帰り?」

綾乃「あら、京子じゃない。奇遇ね」

京子「…………奇遇なんかじゃないよ」

綾乃「……?」


京子「だって私……綾乃の帰りをずっと待ってたんだよ?」

綾乃「き、京子……」ドキン

京子「ねぇ、手、繋いでいいかな? 一緒に帰ろうよ」

綾乃「し、仕方ないわね……。特別なんだからね」ギュッ


京子「……えへへ♪」

綾乃「……うふふ♪」


~~

千歳「あれ」


千歳「あれ、変やでうち……。なんか妄想の内容がやたらソフトに……」

千歳「あかん、完全にクドリャフカさんの詩集に影響されとる!」

千歳「ダメや……もっと過激な……過激な妄想をせな……過激な……過激な…………」モンモン



~ 数日後

綾乃「歳納京子ー!」

京子「あははは! 綾乃おもしれー」


千歳「……あはは」ポワワワン

櫻子「最近の池田先輩、鼻血の代わりにお花畑広がってるよね」

向日葵「何かあったのかしら…………」




おしまい

【この姉にしてこの姉あり】


~ 繁華街

あかね「……あっ」

撫子「……げっ」


あかね「“げっ”とはご挨拶ね、撫子?」

撫子「あぁ、すみません赤座先輩。そのお姿があまりにもお美しかったので、つい嫉妬心から……」

あかね「減らず口は相変わらずみたいね」


あかね「あなた、ひとりでなにしてるの?」

撫子「友人と待ち合わせしてるんですけど、相手がちょっと遅れてて……。そういう赤座先輩はなんです? またナンパですか?」

あかね「あんたと一緒にしないで?」ニコッ

撫子「すみませんでしたなんでもありません」

あかね「私は紅茶を買いに来たのよ。この辺、種類も豊富で安価だから」

撫子「緑茶の次は紅茶か……」ボソッ

あかね「ん? 緑茶って?」

撫子「あぁ、実はさっきともこ先輩にも会ったんです」

あかね「あら、そうだったの」

撫子「……いいでしょう?」ドヤァ

あかね「ドヤ顔やめなさい」


撫子「ま、でもさっき会ったばっかりなんで、連絡取ればまだ合流できると思いますよ」

あかね「いや別にそこまではいいわよ。大学でも会えるし……」

撫子「……えっ、正気ですか?」

あかね「なによ急に」

撫子「だって中学時代、あんなにともこ先輩ラブだったじゃないですか」

あかね「……」


撫子「昔の赤座先輩だったら後日会えるからなんて、そんなこと言いませんでしたよ……」

撫子「若干ウザがられてでも、朝から晩までともこ先輩に引っ付いてまわってたのに……」

あかね「え、私ウザがられてたの?」

撫子「いえ、そこは冗談です」

あかね「ぶっ飛ばすわよ」


撫子「……それとももう、ともこ先輩のことは好きじゃないんですか?」

あかね「……」

あかね「ううん、そんなことないわ。今でもともこのことは好きよ」

あかね「それに恐らく、ともこも私と同じ気持ち」

撫子「だったら余計意味が分かりませんけど……会いにいってあげてくださいよ」

あかね「……あのころとは違うのよ。私も、ともこも、恋をするには大人になりすぎちゃったから」

撫子「恋に大人も子どもも、なくないですか?」

あかね「ふふ」


あかね「ねぇ撫子は知ってた?」

撫子「……なんです?」


あかね「女同士って結婚できないのよ」

撫子「……」

あかね「世間の目もある。辛い思いをするのが私だけならそれもいいでしょう。けど私は……ともこに同じ思いをさせることはできない……」

あかね「それだったら最初から甘い夢なんて見ず、長い目で見て、不幸を回避できる選択をするべきだと思わない?」

あかね「少なくとも私はそう思ったのよ。だから恋愛ごっこはもうおしまいにしたの。……分かった?」

撫子「……」


撫子「ふふっ……」

あかね「……?」

撫子「ふふ、あははははは!!!!!!!!」


あかね(え、なに急に笑い出して気持ち悪っ)

撫子「いやぁ、赤座先輩はそういうところ変わってないですね。なんか安心しました」

あかね「どういう意味よ」

撫子「いや、どうせともこ先輩に拒絶されるのが怖いだけなんだろうなって思ったら、おかしくて」

あかね「……」


撫子「“ともこ先輩に辛い思いをさせたくない”その気持ちは分かりますよ」

撫子「けどもし本心からそう思ったのなら“ともこ先輩が辛い思いをしなくてすむ世の中をつくる”くらい、赤座先輩ならやってのけるでしょう? でも、そうしない」

撫子「結局自信がないんですよね。“両想いだとは思うけど、もし違ったらどうしよう”そんなことばっかり考えてるんじゃないですか? 違います?」

あかね「……私は――――」


****「撫子ー! ごめーん!!」

撫子「……遅いよ」

****「ごめん、定期忘れちゃって……って、あれ? この人、撫子の知り合い?」

撫子「うん。中学の時の先輩なんだ。さっきたまたま会ってね」

あかね「……この子がさっき言ってた友達?」

撫子「はい、そうで……」


撫子「……」


撫子「いや、合ってるけど違います」

あかね「はぁ……?」

****「?」


撫子「実は友達じゃなくて、恋人なんです」

あかね「……ッ!」

****「な、撫子!?」

撫子「……赤座先輩、拒絶されるのは確かに怖いかもしれません。……私も同じでした」

あかね「……」

撫子「でも、大丈夫です。私が保証します。ともこ先輩はそんなことで赤座先輩を拒絶するような女じゃありません」

あかね「……ともこのこと、信頼してるのね」

撫子「えぇ。なんなら、命賭けてもいいですよ」


撫子「……!! っと、それじゃ、私たちこれからデートなんで、失礼します」

****「あ、なんかすみませんでした撫子が……。ちょっともう、撫子ー!」

あかね「……」

あかね(あの撫子が……恋人をね。ふふ、世の中分からないものね)

ともこ「あら、あかねちゃん? やっぱりそうよね?」

ちなつ「ヒィッ!?」

あかね「ともこ……?」


ともこ「き、奇遇ねこんなところで! お買いものしてたの?」

あかね「ええ、紅茶を少しね」

ともこ「そっかー……。もう聞いてよあかねちゃん! さっき撫子ちゃんに会ってね? またからかわれちゃったのよー!」

あかね「……私も会ったわ」

ともこ「あ、うん。さっきチラッと話してるの見えちゃった。……なんか目があった瞬間逃げられたけど」ドヨン

あかね(急いで立ち去ったと思ったらそういうことだったのね)


ともこ「あかねちゃんは変なこと言われなかった?」

あかね「んー……言われちゃったかも」

ともこ「まったくあの子ったら、もう……」

あかね「――――ねぇ、ともこ」

ともこ「うん?」

あかね「今日よかったら、この後一緒に晩御飯でもどう?」

ともこ「えっ、あ、あかねちゃんからのお誘いなんて珍しいわね!」アセアセ

あかね「ふふ、今日はなんとなくそんな気分なの」

あかね(撫子なんかに触発されるなんて、私もまだまだお子様みたい)クスッ


ともこ「もちろん大丈夫! ね、ちなつも大丈夫で……って、いない!?」

あかね「あら?」

あかね(気を使ってくれたのかしら……?)


~~

Prrr...

ちなつ「あ、結衣先輩ですか!? 今日晩御飯ご馳走してくださいお願いしますうううう!!!!」ダダダダ




おしまい

くぅ~疲れましたw これにて完結です!

原作との矛盾とか、キャラ崩壊とか感じたらごめんなさい。
ありがとうございました!

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