輝子「まるまゆ」 (117)

事務所前

まゆ「~♪」トコトコ

まゆ(うふふ…今日は張り切ってお弁当を作ってきました…!)

まゆ(最近Pさんはお疲れのようですからねぇ…)

まゆ(栄養たっぷりのお弁当で元気を出してもらいましょう)

まゆ(ちょっと早めに来ちゃったけどPさんはいらっしゃいますかね…?)

まゆ「おはようございます」ガチャリ

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まゆ「あら…」キョロキョロ

まゆ「鍵は開いているのに誰もいませんねぇ…」

まゆ「それに…」

まゆ「なんだかちょっと肌寒いというか…」フルフル

まゆ「…?ソファに誰か…?」

杏「」

まゆ「きゃあ!」

杏「…んあ?」フガッ

まゆ「び、びっくりした…。杏ちゃんでしたか…」

杏「ああ…まゆかぁ……」

杏「…」

杏「んごご…」

まゆ「ちょっと…!寝ないでください杏ちゃん…!」

杏「もー…なにさぁ…。こんな朝早くから杏を起こしたってすぐ寝るに決まってるじゃん…」

まゆ「他に誰もいないんですか?事務所に杏ちゃん一人だけなんてことは…」

杏「机の下に輝子がいるから詳しいことはそっちに聞きなよー…。私はまだ惰眠を貪りたいんだー…!」

まゆ「はあ…」

杏「じゃ、おやすみー…」

杏「グゥ…」

まゆ「寝つきのよさはのび太くん並ですねぇ…」

まゆ「机の下…」

まゆ「輝子ちゃんいますか?」

輝子「い、いるぞー…」フヒッ

輝子「さ、さっきまで…ちひろさんがいたけど…ちょっと前に帰ったぞ…」

まゆ「…徹夜だったんですか?」

輝子「み、みたいだな…Pは昨日のうちに帰ったが…ちひろさんは残ってたみたいだ…」

まゆ「Pさんはここ何日か帰宅せずに仮眠と食事以外ずっと仕事でしたからねぇ…」

輝子「ブ、ブラック企業も真っ青だな…フヒ」

まゆ「でもPさんもちひろさんも帰宅ですか…ちひろさんはともかくPさんはもう少ししたら出社してきますね」

輝子「だ、だな…」

まゆ「そうだ、昨日のキノコありがとうございました。Pさんのための良いお弁当が作れましたよ」

輝子「そ、それは良かった…。まあ…私も、Pには元気でいて欲しいからな…」

まゆ「材料がたくさんあったので輝子ちゃんにも作ってきたんですよ。はいこれどうぞ、良かったら食べてください」

輝子「お、おお…ありがとう…フヒ」

まゆ「一応ちひろさんの分もありますが…机の上にメモ書きと一緒に置いておきましょうか。お昼くらいには出社するでしょうし」

輝子「フヒヒ…い、今からお昼が楽しみだぜ…」

まゆ「Pさんが出社する時間までまだ少し時間がありますし…お隣、いいですか?」

輝子「ど、どうぞ…狭いですが…フヒ」

まゆ「じゃあちょっと失礼しますね…」ヨイショ

輝子「じ、じゃあちょっと詰めよう…しいたけくんもこっちだ…」ヨイショ

まゆ「…」

輝子「…」

まゆ「…」ブルッ…

まゆ「さっきも思ったんですけど…この事務所、ちょっと寒くないですか…?」

輝子「い、今は冷房が聞いてるからな…確かにちょっと…肌寒くはあると思う…」

まゆ「そ、それにしては効き過ぎじゃ…?肌寒いというか寒いレベルになってる気がしますが…」

輝子「クーラーの設定に関しては…あ、杏さんが弄ったからな…」

まゆ「杏ちゃんが…?」

輝子「うん…何か、れ、冷房をガンガンにした部屋で…毛布に包まって寝るのが好きなんだって…」

まゆ「すごい不健康ですねぇ…それ」

輝子「で、でも…やってみると…案外気持ちいいぞ…」

まゆ「輝子ちゃんまでそんな事を…」

輝子「ほら…ちょうど毛布あるし試しにやってみるといいぞ…」

まゆ「ええ…?」

輝子「まあまあ毛布どうぞ…フヒヒ」ファサッ

まゆ「あら…?」

まゆ(クーラーが効いて無ければ暑くて嫌になるけど…良い感じに温かくて気持ち良い…)

まゆ(薄暗い机の下というのもあって、何だか落ち着きますね…)

まゆ(あ、眠気が…)ウトウト

まゆ(早起きしてお弁当作ってたから…)ウトウト

まゆ(Pさんに…お弁当渡さなきゃ…いけないのに…)ウトウト

まゆ「…」ウトウト

まゆ「…」スヤスヤ

輝子「お、おやすみ…フヒ」

輝子「い、一応…このまま寝かせておこう…かな」

輝子「Pの机の下…まゆならぐっすり眠れそうだしな…」

輝子「フヒ…毛布に包まって…猫が丸まってるみたいだな…」

輝子「…」ゴソゴソ

輝子「…」ピロリーン

輝子「き、記念に写真を撮っておこう…フヒヒ」

輝子「あ…」

輝子「Pが来るまではどこにいようかな…」

輝子「フフ…ひ、久しぶりにジメジメした所を探そうかな…」

P「あー…クソ暑いな…」

P「まだ夏じゃないのに何でこんな暑いんだよ…7月8月になったらどうなっちゃうんだ…」

P「でも昨日は久しぶりにゆっくり寝れたし、暑くてもしっかり働けるな」

P「よっしゃ、気合入れて頑張りますかね!」

P「おはようございまーす!」ガチャ

クーラー「オイスー」ゴウゴウ

P「うわ…冷房効きすぎだろ…汗がすぐ引いたぞ…」

輝子「フヒ…おはよう…P…」

P「おう、おはよう輝子。今日は机の下じゃないんだな、珍しい」

輝子「フヒ…見れば分かるさ…」

P「…?」

P「机の下に何かあるのか?」ノゾキコミ

まゆ「…」スヤスヤ

P「おおう…」

P「これは…あれだな…」

輝子「うん…」

P「かわいいな!」

輝子「うん…!」コクリ

P「すごく、かわいいな!」

輝子「うん…!!」コクコク

P「なんというかこう…小動物的な可愛さというか…」

輝子「あ、愛玩動物…!」

P「子猫とか子犬が座布団やバスタオルの上で丸くなって寝ているような…」

輝子「しょ、小動物…!」

P「あざといけどあざとくないギリギリのラインというか…」

輝子「フヒ…私はもう携帯で写真を撮っているぞ…」

P「なんと…俺も撮っておこう」ピロリーン

輝子「わ、私ももう一回…」ピロリーン

まゆ「…」

まゆ(ふふ…)

まゆ(うふふ…)

まゆ(Pさんがまゆの事をこんなにも可愛いといってくれるなんて…!)

まゆ(寝ていると思いましたか…?)

まゆ(さっきまでは熟睡してましたがPさんが来たら起きましたよ)

まゆ(愛に不可能な事はないんですよ…うふふ)

まゆ(Pさんを騙すようでちょっと心苦しいですが…)

P「この角度良いな…。小動物感がヤバイ…!」ピロリーン

まゆ(こんな風にまゆの事だけを見てくれるのは初めてのような気がします…!)

まゆ(Pさん…まゆは今幸せですよぅ…)

P「そういえば、ちひろさんはどうしたんだ?」

輝子「て、徹夜だったみたいでPが来る前に一回帰ったよ…。お昼くらいには出社してくるんじゃないか…?」

P「フリーダムだなあの人…。まあ仕事は大体終わらせてあるみたいだし、今は俺だけでも大丈夫かな」

輝子「フヒ…が、頑張ってね」

P「おう。他にはまだ誰も来てないのか?」

輝子「あそこのソファで毛布に…く、包まってる杏さんがいるってくらいかな…」

杏「ふぎっ…」スヤスヤ

P「あいつ昨日の夜もあそこにいたが…ずっとあのままなのか…?まあレッスンになったら起こして連れてくか…」

P「しかし…まゆが寝てるから机では仕事しづらいな…別の場所に行くかな」

輝子「会議室あたりとかか…?」

P「その辺かな。パソコン持って行けば仕事は出来るからな。昼飯もパンかなんかを齧ってればいいし」

輝子「お、お昼は…まゆが作ってきてるみたいだぞ…」

P「マジか」

輝子「マジだぞ…ほら私の分もある…」

P「本当だ。まあ昼頃には起きるだろうししばらく寝かせといてあげるか。今日はレッスンも無いはずだし」

輝子「フヒヒ…邪魔にならない程度に着いていくぞ…」

P「起こしちゃ悪いしな。しいたけくんも忘れるなよー」

輝子「お、おう…フヒヒ」

P「ノートパソコン持ってと…」

輝子「フヒ…れっつごー…」

ガチャリ

バタン

まゆ(ふふ…ありがとうございます輝子ちゃん…お昼はPさんと一緒に三人で食べましょうね…)

まゆ(でも…Pさんがまゆの事、ここまで可愛いといってくれるだなんて…)

まゆ(癖になっちゃいそう…)

まゆ(たまに…こんな風に机の下で寝てみようかしら…)

まゆ(強い冷房の中で毛布に包まって寝るのも、確かに気持ちよかったですし…)

まゆ(その時は…枕とかもう少し大きい毛布を用意したり…)

まゆ(うふふ…なんだか楽しみが一つ増えちゃいましたね…)

この日から度々、Pの机の下で眠るまゆの姿が見られた

普段はしっかり者のまゆが毛布に包まりスヤスヤと眠る姿は、他のアイドルから見ても可愛いと思えるほどだった

机の下に持ち込まれた私物の中に枕と大きめの毛布が加わり、Pがさらに座りにくくなったりもした


ここまでが、この話の前提である

ある日を境に事態は急変する事となる

あ、先に断っておくとシリアスでもなんでもないです

今日はもう寝ます
また明日(今日だけど)に

まゆ「…」スヤスヤ←寝たふり

P「いやー、何度見ても可愛いなあ…」

まゆ(うふ…)プルプル

P「ぷるぷるし始めた…。何か夢でも見てるのかな?」

まゆ(まゆは何時でもPさんとの将来を夢見てますよぅ…)

P「おっと、いつまでも見ててはいけないな。来週以降のスケジュールを立てとか無いと…」

まゆ(そういえば、明日から一ヶ月ほど出張でしたっけ…?GPSで行動範囲はわかりますが…。会えないのは寂しいですねぇ…)

P「とりあえず今後のレッスンの事をトレーナーさん達と話さないとな…レッスンルーム行かないと…」ガチャ

まゆ(うふふ…今日までたっぷりPさんに可愛いと言って貰えました…これで一ヶ月は戦えます…)

杏「甘いね、まゆ」

まゆ「…!」ピクッ

まゆ(び、びっくりした…。い、今のまゆは寝ているんです…寝たふりじゃないです…)ビクビク

杏「寝たふりしたって無駄だよまゆ。杏はだらけたり怠けたりするのは誰よりも得意なんだよ?寝たふりかどうかなんてすぐ分かるよ」

まゆ「…」ムクリ

まゆ「甘い、とは何ですか…?Pさんがまゆに掛ける言葉のことですかぁ…?」

杏「違うよ。甘いのはその寝たふりの事。そしてもっと甘いものがある」

まゆ「…?」

杏「だらけ方が甘いよ」

まゆ「だらけ方…ですか?」

杏「そう、だらけ方。冷房が効いた部屋で毛布に包まって平日の昼間から寝るとか普通すぎるんだよね。もっとだらーっとしないと気持ちよくないよ」

まゆ「確かにこうやって寝るのは気持ち良いですけど…別にそこまでだらけるつもりじゃ…」

杏「Pはさ、可愛いって言ってたよね?だらけて寝てるまゆの事を」

まゆ「…はい」

杏「で、まゆもそれに気付いて寝た振りしながらPの言葉を聞いてたんでしょ?」

まゆ「…」

杏「まゆはさ、もっとPに可愛いって言って貰いたくない?」

まゆ「…!そ、それは確かに…言われたいですけど…。でもそれとだらけ方が甘いのはどう関係して…」

杏「Pはだらけて寝てるまゆの事を可愛いって言ったんでしょ?簡単だよ、もっとだらければもっと可愛いって言って貰えるよ」

まゆ「あっ…!な、なるほど!いやでもそんなに上手くいかないんじゃ…」

杏「大丈夫、大丈夫」

杏「まゆはPの事は甲斐甲斐しくお世話してるよね?」

杏「レッスンが無い時はPやちひろさんのためにお茶を淹れたり事務所の掃除したり」

杏「Pが忙しいときは代わりに年少組のお世話とかもしてるよね」

杏「しっかり者で優しくて、それでいて美人」

杏「そんなまゆが油断してだらけて隙だらけの状態で寝てる。このギャップにPはやられたんだよ」

杏「だからもっとだらければPはもっとメロメロになると思わない?」

まゆ「ギャップにやられる…Pさんがまゆにメロメロに…」

杏(よし、もう一息だ…)

杏「それに良く考えてよ。Pのまゆと杏に対しての扱いは全然違うよね?」

まゆ「え…?」

杏「まゆの方が杏より大事にされてる気はしない?それこそ『腫れ物を触る』ように」

まゆ「そ、そんな事は…」

杏「本当にそうかな…?Pは杏に対しては何にも遠慮はしないよ?それは気を許してるからじゃないかな?」

杏「それに対してまゆの扱いはどう?大事にはされてる。でも杏に対しての扱いより親密度は低いと思わない?」

杏「そりゃそうだよね。杏の方が付き合い長いし、知ってる事も多い」

杏「杏が毎日だらけていられるのもPと確かな信頼関係があるからだよ」

杏「でもまゆはどう?まゆはPの事をよく知っているけどPはまゆの事をどれくらい知ってる?」

杏「Pはまゆの事全然知らないんじゃない?Pの前にいる時のまゆって全然隙が無いし」

まゆ「だ、だってそれは…。Pさんの前でみっともない姿を見せたりしたら…」

杏「それが良くないんじゃないかなあ。まゆがPの事を好きなのはわかるけどさ」

杏「でも、Pがまゆの事を好きになるにはP本人がまゆの事を色々知ってないと駄目じゃない?」

まゆ「それは…」

杏「Pが寝ているまゆを見て可愛いと言ってくれたのはチャンスなんだと思うよ」

杏「素の状態の色んなまゆをPに見せていけばきっとPはまゆの事を好きになってくれるよ」

杏「だから杏と一緒にだらけようよ…。ね?」

まゆ「…」

まゆ「…」

まゆ「そう、ですね…」

まゆ「そうですよねぇ…好きになってもらうには、自分の事をよく知ってもらわなくちゃいけませんよねぇ…」

まゆ「杏ちゃん、まゆに色々と教えてもらえますか…?」

杏「もちろん!」グッ

まゆ「うふ…よろしくお願いしますね…!」

杏(よし、かかった…!)

杏(杏とPの間に信頼関係は確かにあるし付き合いがそこそこ長いのも事実…)

杏(でも腫れ物がどうとか好きになってくれる為とかは嘘…!真っ赤な嘘…!)

杏(全てはまゆが杏のようなニートアイドルと化すのを期待したがため…!)

杏(この事務所に問題児は数多くいるけど杏のような怠け者はいなかった…)

杏(でもまゆが杏のようにニートアイドル化すればPの気苦労は二倍…!)

杏(そしてまゆを囮にすれば、杏がだらだら出来る確率は上がる…!)

杏(まゆに色々教えるのは大変だろうけど、これも杏がさらなる怠惰な時間を得るためのもの…!)

杏(悪いね、まゆ。杏の野望の為にニートアイドル化させてもらうよ…!)

こうして、杏によるまゆのニートアイドル化作戦が始まった!

まゆ「えっと、こうですか?」だらっ

杏「ちがう!こう!」だらーっ

まゆ「す、すごい…こんなだらけ方が…!」

杏「ここでポテチを食べます」パリパリ

まゆ「お行儀が悪いんじゃ…?」

杏「気にしない気にしないー。ほらまゆ、あーん」

まゆ「あ、あーん…」パリパリ

杏「まだちょっと固いなー。ほらもっとだらけようよ」ダラーッ

まゆ「そんなに足を広げたら見えちゃいます…」

杏「あー…まゆはスカートだもんねぇ…。杏みたいにスパッツとか楽だよ?後は比奈さんみたくジャージとかねー」

まゆ「な、なるほど…」

杏「レッスン用ジャージだと、だらけてても『レッスン前に休憩してるんだな』としか思われないから気をつけてね」

まゆ「勉強になります…」

まゆ「そろそろお昼の時間ですね…。杏ちゃんもご飯食べに行きますか?」

杏「だめだめ、食べに行くと疲れちゃうじゃん」

まゆ「えっ…でもご飯はどうするんですか?」

杏「これがあるよー」スッ

まゆ「カップ麺じゃないですか!駄目ですよこんなの!」

杏「これがいいんだよー。食べに行くと疲れるし、移動にかかる時間でだらだら出来る時間が減っちゃうじゃんか」

まゆ「でもカロリーとかそういうのが…!」

杏「スープ全部飲まなきゃへーきへーき。色々あるけどまゆはどれが良い?」

まゆ「…この和歌山ラーメンで」

杏「あーこの行列の出来るシリーズ美味しいんだよねえ」

まゆ「そろそろ事務所のしまる時間ですけど…杏ちゃん帰らないんですか…?」

杏「帰るの面倒だし…」

まゆ「さすがにそれは駄目ですよ…寮はすぐ近くなんだから帰らないと…」

杏「えー…」

まゆ「ていうか普段はどうやって帰ってるんですか…?」

杏「んー…普段はPかきらりに寮まで担いでもらってるよ」

まゆ「担いでって…」

杏「まあ、寝るだけなら仮眠室だってあるし大丈夫だよ」

まゆ「お風呂は…?」

杏「一日入らなかっただけで死にはしないってば」

まゆ「それは女の子として駄目なレベルですよぅ…!」

そして、だんだんとまゆは杏の望む姿へと変わっていった…

まゆ「…」ボンヤリ

まゆ「…あ、そういえばレッスンの時間が…」

まゆ「…」

まゆ「あー…」

まゆ「今日は、何だか…」

まゆ「やる気がでませんねぇ…」

まゆ「このまま事務所のソファで…寝てたら」

まゆ「…」

まゆ「…」スヤスヤ

杏(予想以上に凄い堕落具合だ…。これなら杏の野望通りになりそうだね…)ニヤニヤ

杏(それにしても…)

まゆ「…」スヤスヤ

杏(まゆ…ちょっと太ったかな…?)

杏(ここ最近カロリー消費は少なかったのに、間食やインスタントのご飯が多かったからな…)

杏(…)

杏(だ、大丈夫だよね…?大事にはならないよね…?)

杏の予感は見事に的中する事となる

杏のだらだらとした生活は杏の体力と燃費の悪さによって、初めて成立するものだった

読者モデルとして活躍していた時から節制を心がけていたまゆにとって、杏と同じ生活は劇薬と同じだったのだ…

そしてPの出張が終わり、事務所へPが戻る日…

P「…」

杏「…」

P「まあ…俺は、な?この事務所の娘は痩せ過ぎだと思ってたよ…?アイドルとはいえ健康的でない軽さの娘が多いしな…」

杏「…」

P「お前の言うニートアイドルを増やして囮にする作戦も…まあ、理解は出来るさ。うん」

杏「…」

P「でもな…?物事には限度って物があるんだよ…」

杏「…」

P「さすがにな…標準体型越えはびっくりだよ俺は…!一ヶ月でそんなに肉が付くのかよ…!」

杏「…ごめん」

(佐久間まゆの身長、年齢での標準体重は51キロ前後)

P「はあ…。まあいつまでも怒っていちゃいかんな…解決策考えないと」

杏「ダイエットとか?」

P「そうだな…軽く肉付きが良くなるならともかく急に体重が増えるとなるとな…」

P「ていうかまゆはどこ行ったんだ…。俺が帰ってきてから一度姿を見たきりでどこにもいないぞ」

杏「Pの机の下にいるよ」

P「前から寝てた所か…。あの時でも結構狭かったが今はもっと狭いんじゃないか…?」

杏「まゆも年頃の女の子なんだからそんな事言ったら怒っちゃうよ?」

P「誰の!せいで!こうなったと!思ってるんだ!おい!」ギリギリ

杏「あだだだだ!ギブギブ!」

P「ちゃんと反省したか?」

杏「ふぁい…」ズキズキ

P「とりあえずまゆを呼ばないとな…。おーい、まゆー…その机の下にいるんだろ、出てきなさい」

まゆ「…出たくないです」

P「どうして」

まゆ「こんな丸くなった姿をPさんに見せるなんて…」

P「まあもう見ちゃったんだけどな」

まゆ「それでもです…!」

P「まあ出てこないならこっちから行くまでよ」ヒョイ

まゆ「あっ!屈まないでください!こっちに来ちゃ駄目ですぅ…!」

P「そんな事言われてもなあ…」

P「…」

P「おお…」

まゆ「…」ギチギチ

P(もともと狭い机の下とはいえなかなかの密度だな…」

まゆ「…声に出てますよ」

P「あ、すまんすまん」

まゆ「だから見せたくなかったのに…」シクシク

P「そうは言っても、このままじゃいけないってのはまゆも分かってただろ?」

まゆ「それは…そうですけど…」

P「杏の言葉を鵜呑みにするわけじゃないが、アイドルの皆に対しての扱いに差があったのは事実だ。本当にすまなかった」

まゆ「そんな…Pさんが謝る事じゃありません…!」

P「きっかけは杏の甘言とはいえ、何となく俺も責任を感じているんだ。お詫びにはならんかもしれんがダイエットやトレーニング、一緒に手伝うよ」

まゆ「Pさん…」

P「それに、ライブの時までその体型だったら『アンダーザデスクの丸い方』とか『キュート・ブライドの太い方』みたいなあだ名をつけられそうだしな!」

まゆ「Pさぁん!」キッ

P(この感じどこかで見たことが…。あ、上野動物園で見たマヌルネコだこれ)

マヌルネコ参考画像
http://download2.getuploader.com/g/sssokuhouvip/69/%E3%83%9E%E3%83%8C%E3%83%AB%E3%83%8D%E3%82%B3.jpg

清良「それで…私のところに来たと?」

P「はい。清良さんなら何か分かるかと思いまして」

清良「私は看護師ではありますけどそこまで専門的な事は分からないんですが…」

P「いえいえ、前に自分が足の臭いで悩んでた時に色々助言してくれたじゃないですか!あんな感じで何かありませんか?」

清良「あの時は結局解決したのは私じゃなかったですけどね…まあ軽いアドバイスくらいなら…」

まゆ「ありがとうございます…!」

清良(改めて見ると凄い迫力ね」ゴクリ

まゆ「声に出てますってばぁ…!」

清良「あら」

清良「そうですね…とりあえず基本的には食事は三食きっちり食べる事が重要ですね」

P「食事制限とかは必要じゃないんですか?」

清良「食生活が酷い場合はそうなりますが、まゆちゃんは寮生活ですよね?寮の食事なら栄養面でもカロリー量でもキチンとしてますから。多少はカロリーを抑え目の物になるかもしれませんが…」

P「ほほう」

清良「食事をキチンと食べて満腹なら間食する事もなくなりますからね。まゆちゃん、ここ一ヶ月事務所でお菓子をたくさん食べてましたから…」

まゆ「杏ちゃんがたくさんくれるのでつい…」

P(杏はあとでマストレさんにこってり扱いてもらうか…)

P「食事に関しては寮の方に頼んでまゆ用にメニューを作ってもらいましょうか…。食事関係以外では何かありませんか?」

清良「そうですねえ…後は無理せずほど良い運動をする事ですかね…」

清良「単純な話ですが、運動をする事で消費カロリーは増えますからね」

P「…なんか、普通ですね」

清良「だから専門的な事は分からないって言ったじゃないですか…!」

P「す、すいません…」

まゆ「いえ、でもある程度は普通に生活していても大丈夫って事は分かりましたので…ありがとうございます」

清良「はい…でもあまり無理はしないでくださいね」

まゆ「?」

清良「十代の頃はホルモンバランスの乱れで太りやすくなる時もありますからね…。ダイエットの効果が薄くてストレスを貯めて、またホルモンバランスが崩れて…。こういう悪循環に陥る事もありますから…」

まゆ「そんなことが…」

清良「それに、太るのは体質を除けばそれなりに早いですが痩せるのは太るよりずっと時間がかかりますからね…あまり気負わずにゆっくり頑張ってくださいね?」

まゆ「はい…!」

そうして、まゆのダイエットトレーニングが始まった!

マストレ「ほう…暫く見ないと思ったら中々、太太しい(ふてぶてしい)体型になっているじゃないか…!」ビキビキ

まゆ「あ、あの…お手柔らかに…」

マストレ「柔らかいのはお前の腹で十分だ!いや、その腹もすっきりさせてやる!地獄のトレーニング開始だぁ!」

まゆ「ひ、ひぇぇ…!」

杏「あ、杏は嫌だぞ!もう帰るんだぁ!」

マストレ「双葉ぁ!貴様は精神から叩き直しだ!この一ヶ月サボった分と特別メニューは必ずやらせるからなぁ!」

杏「そ、そんなぁ~!」

輝子「ふはははは!料理は私のキノコフルコースだぜぇ!」

百合子「」ガタッ

比奈「ゆりゆりは関係ねえっスよ。座ってろっス」

まゆ「あら、輝子ちゃん…?」

輝子「フヒ…まゆがダイエットしてると聞いてな…Pにて、手伝ってくれないかと頼まれたんだ…」

まゆ「そんな…わざわざごめんなさい…」

輝子「い、いや…頼まれなくても…や、やるつもりだったよ…」

まゆ「え…」

輝子「だ、だって…と、トモダチが頑張ってるんだし…協力しなきゃ、な…」

まゆ「輝子ちゃん…!ありがとう…!」

輝子(まあ…さすがにあの体型のままだと私も机の下に入れないしな…)

輝子「ふはははは!料理は私のキノコフルコースだぜぇ!」

由里子「」ガタッ

比奈「ゆりゆりは関係ねえっスよ。座ってろっス」

まゆ「あら、輝子ちゃん…?」

輝子「フヒ…まゆがダイエットしてると聞いてな…Pにて、手伝ってくれないかと頼まれたんだ…」

まゆ「そんな…わざわざごめんなさい…」

輝子「い、いや…頼まれなくても…や、やるつもりだったよ…」

まゆ「え…」

輝子「だ、だって…と、トモダチが頑張ってるんだし…協力しなきゃ、な…」

まゆ「輝子ちゃん…!ありがとう…!」

輝子(まあ…さすがにあの体型のままだと私も机の下に入れないしな…)

有香「空手を…?」

まゆ「はい…真面目にやってる有香ちゃんには申し訳ないですがダイエットとしてお願いできませんか?軽くで良いので…」

有香「構いませんよ!誰かに教えるというのも武道ではいい特訓になりますからね!」

まゆ「ありがとうございます…!」

有香「それに、筋肉をつければ消費カロリーも増えて痩せやすくなりますからね。一緒に頑張りましょう!」

まゆ「はい!」

有香「空手じゃ『はい』じゃなくて押忍!ですよ!練習しましょう!」

まゆ「お、おす…!」

有香「まだまだ!押忍!」

まゆ「押忍!」

有香「その調子です!」

由里子「…♂!?」ガタッ

比奈「そっちのオスじゃないでスよ…帰るっスよ」ズルズル

まゆ「はぁっ…!はぁっ…!」パタパタ

茜「あ!まゆさん!ジョギングですか!?」ドドドド!

まゆ「あ、茜ちゃん…!そう、軽くだけど汗を流して体温を上げれば脂肪もそれなりに消費すると思って…!」ハアハア

茜「運動する事はとても良いですよ!ご飯が美味しくなりますからね!」

まゆ「そ、そうね…」ゼエハア

茜「おや!?お疲れみたいですね!!でももう少し頑張れば寮まで5分で着きますよ!!頑張りましょう!!」

まゆ(この土手から寮まで二、三キロあったはずだけど…?)

茜「さあ!!まゆさんも一緒に頑張りましょう!!!あの夕日に向って走りましょう!!!!」

まゆ「あ、そっちは寮とは逆方向に…!」

茜「ボンッ!!!!バアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!」ドドドドドド!!!

まゆ「あ、茜ちゃん!そのまま行ったら門限すぎちゃいますよぉ…!」

まゆ「はち…!きゅう…!じゅう…!」プルプル

木場「まだまだ脂肪を燃やすには回数が足りないぞ!腕立ての後には腹筋と背筋トレーニングが残っているぞ!」

亜季「私も一緒にやるので頑張るであります!」バッバッ

まゆ「ふぎぎ…」プルプル

杏「な、何で杏まで…」プルプル

木場「マストレさんとPくんからのお達しでね」

亜季「一緒にトレーニングしてやって欲しいと頼まれたであります!」

杏「ぐおお…!」プルプル

木場「ま、これに懲りたら少しくらいは真面目になる事だな…」

杏「あ、杏は自分を曲げないよ…!」プルプル

みく「ハッ」ティキーン!

李衣菜「どしたの?」

みく「なんかみくのアイデンティティがクライシスな予感が…」

ベテトレ「練習中におしゃべりとはいい度胸じゃないか…!」ビキビキ

みく「」

李衣菜「」

そうして、数ヶ月にも及ぶまゆのダイエットが終了した…!

まゆ「とうとうこの日が来ましたね…!」

清良「ダイエットの効果はばっちりなようですね。開始前と比べたら雲泥の差です」

P「ああ、体操着越しでもしっかり引き締まっているのが分かるよ」

まゆ「うふふ…ありがとうございます…!」

P「さあ、後は体重計に乗ってどれだけ痩せたかを確認するだけだな」

まゆ「はい…!何だかどきどきしますね…」

清良「今まで体重計に乗るのは禁止してましたからね…」

P「何か理由があるんですか?」

清良「体重が減っていく事に油断して怠けてしまう事や、逆に減りにくくなった時に焦って無理なダイエットをしてしまう事もありますからね」

P「なるほど…」

清良「それに、結果は一番最後に確認した方が達成感がありますからね」

まゆ「じゃ、じゃあ…乗りますね…!」ドキドキ

P「…」ゴクリ

清良「…」ドキドキ

まゆ「…」ギシッ

まゆ「…」ドキドキ

まゆ「あ、あれ…?」

P「…?」

清良「どうかしました?」

まゆ「た、体重が…減って…ない…?」

まゆ「というか増えてます…!?」

まゆ「ど、どうして…?」

清良「これは…」

P「何か原因があるんですか…?」

清良「いえ…その…」

清良「脂肪より筋肉の方が重いので…」

清良「多分…筋肉の分、体重が増えたのだと思います…」

まゆ「」

まゆ「そ…そんにゃ…」ヘロヘロ

清良「あまり気になさらない方が…。実際は健康的な体ですから…」

P「あ、ああ!いい体だしな!グラビアの撮影とか色々仕事が増えると思うぞ!」

まゆ「ありがとうございます…」

まゆ「体操着、着替えてきますね…」

P「まゆ…」

輝子「それで…その後どうなったんだ?」

P「ああ…何だか迂闊に声を掛けづらくてな…レッスン場までは付いていったんだが…」

輝子「そ、そのまま帰って…きちゃったのか…」

P「うん…」

輝子「ま、まあ…まゆもあんなに…頑張ってたし、な…」

P「だからこそ変に励ましても逆効果と思ってな…」

輝子「た、確かに…な」

輝子「それでも…や、やっぱり…頑張った事は…褒めてあげた方がい、良いと思うぞ…」

P「…そうだな、そうだよな。もうすぐレッスンが終わって帰ってくるし、そうしたらたっぷり労わってあげよう」

輝子「そ、そうしてあげてくれ…」フヒッ

P「そうなるとどうするかな…食事に連れて行くのは不味いだろうし…」ブツブツ

輝子「…」

輝子「…と、ところで…Pはどんな体型が好みなんだ…?」

P「ん?どうしたいきなり…」

輝子「いや…何となく気になって…」

P「ううん…好みの体型ねえ…」

P「あんまり気にした事ないなあ…」

輝子「…そ、そういうものなのか?体型は…あ、あまり気にしないのか…?」

P「いや、こういう体型が好みだ!って主張する男は多いし、アイドルのファンの心をつかむ為に色々考えてはいるんだが…」

P「自分の好みはそんなに真剣に考えた事なかったなあ…」

輝子「ふ、ふうん…」

輝子「でも…ほ、ほら…何か…そういうのは無いの…?」

P「なんか今日はグイグイ来るな…」

輝子「フヒ…」

P「うーん…」

輝子「…」

P「あー…あれかな…?」

輝子「?」

P「なんというかこう…ふくよかな感じが好きかもしれんな」

輝子「ふくよか…か…」ペタペタ

輝子「…フヒ」

P「言いにくいが…こう母性を感じるというか…」

輝子「ま、マザコン…?」

P「断じて違うからな?」

輝子「フヒヒ…」

P「まああれだ…この年になると他者に対して甘える事とかないからな。ある程度大らかさがあるというか…」

輝子「それは…せ、精神が大らかって事で…体型は…か、関係ないんじゃないか…?」

>>107間違えました

輝子「ふくよか…か…」ペタペタ

輝子「…フヒ」

P「言いにくいが…こう母性を感じるというか…」

輝子「ま、マザコン…?」

P「断じて違うからな?」

輝子「フヒヒ…」

P「まああれだ…この年になると他者に対して甘える事とかないからな。ある程度大らかさがあるというか…甘えずとも受け入れてくれるというか…」

輝子「それは…せ、精神が大らかって事で…体型は…か、関係ないんじゃないか…?」

P「いやいや、体型がふくよかな方が何となくそれっぽいというか…」

P「見た感じのやわらかさがあると母性を感じないか?」

輝子「菜帆さん…とか?」

P「そうそう」

輝子「そうすると…痩せ型はそんな好きじゃないのか…?」

P「嫌いってわけじゃないが…まあ大好きって訳でもないかな」ガチャ

輝子「あ」

P「まあ俺としてはちょっと太ってたところがある方が好みかもしれんなあ…」

輝子「」

P「んん?」クルリ

まゆ「…」

P「あ」

まゆ「…」プルプル

P「まゆ、これはその…あのな…ちゃうねん」

まゆ「もう一回太ってきます!!!」

輝子「ま、まゆ…!」

P「まゆ!待って!」

この後めちゃくちゃ説得した

おわり

おまけ

まゆ「Pさんの好みは母性がある人…ですか」

まゆ「ネットで母性の付け方とか色々調べてみましょうか…」

まゆ「えっと…母性…感じる…年下…と」カチャカチャッターン

まゆ「年下彼氏…違う…」

まゆ「美魔女…?違う…」

まゆ「…」

まゆ「バブみ…?」


おわり

html依頼出してきます

長く間を空けたりして申し訳ない…
読んでくれた方、本当にありがとうございました

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