ハングオーバー!!!!帰ってきた、史上最悪の二日酔い (251)

洋画、ハングオーバー!のssです。
今さらですが。

時系列としては3の後ですが、
3のラストとはかなり変えてありますのでそこら辺はご配慮を。

設定を全て把握してるわけではないのでキャラ崩壊や矛盾が出てくるかもですが大目に見てください。

ゆっくり書いていくのでかなり更新は遅くなりますが、それでもいいのならどうかお読みください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1435133130

――結婚式開場にて

ダグ『ダグです、電話に出られません。名前と電話番号、メッセージをどうぞ』ブチッ

ステュ『ゴッドハンドの歯科医師、スチュアート・プライスは今電話に出られません。ピーという音の後に……』ブチッ

フィル『フィルだけど伝言をどうぞー。頼むから、ウザいメールは送らないようになー』ブチッ

アラン『ゴホンッ!……あー、こちらアラン・ガーナー。えーと、俺に用があるなら』ブチッ

女性は携帯をしまい、ため息をついて頭を抱える。

トレイシー「ねえ、電話繋がった?」

ローレン「ううん、ステュには繋がらない」

ステファニー「私もフィルからの連絡もないし、留守電すら」

キャシー「どこにいるのかしら、アラン……」

トレイシー「もう、花嫁に心配かけて、結婚式を開く度にこれなんだから……ごめんねキャシー、アランが……」

キャシー「ううん、元々アランのそういうところに惚れたんだから」

トレイシー「あなたは本当に優しいわ、ほんと、アランの嫁には勿体ない」

キャシー「そんな、私だって自慢できるほどの人生を送ってないし……だから大目に見てね、お義姉ちゃん」

トレイシー「あはは、その呼び方はやめてよ」

プルルルルル、プルルルルル♪

四人の会話の直後、トレイシーの電話が鳴る。

トレイシー「!フィルから電話だわ!」

ステファニー「なんで毎回トレイシーにかけるのかしら」

トレイシー「もしもし!?」

フィル「ああ、トレイシー!」

トレイシー「もしかして……また?」

フィル「……あぁ、またやっちまった」

トレイシー「今度はどこにいるの!?」

フィル「……ベガスだ」

トレイシー「は!?また!?結婚式の場所はハワイよ?なんでそんなところに!?」

フィル「それが……色々あって……ホントヤバイんだ……」

――二日前、アランの自宅にて。


フィル「全く、立派になったもんだ」

ステュ「ああ、まさかアランが結婚するだなんて」

アラン「なんか引っ掛かるな、その言い方」

ステュ「気のせいさアラン」

ダグ「でもホント、俺も嬉しいよ、最初はどんな子を連れてくるかと思ったけど、とても良い子じゃないか」

アラン「そりゃそうだよ、キャシーは最高さ」

フィル「ははぁん、お熱いねぇ」

アラン「ああ、なんてったって、俺達はホットな関係だからね」

ステュ「本当だ、僕の眼鏡も曇ってきた」フキフキ

ダグ・フィル「はは」

フィル「で、どうだ?もうしたのか?」

ダグ「フィル……」

アラン「もちろん、昨日も二人で楽しんで、そりゃもう大フィーバーさ」

フィル「ほう、やけにお熱いのはそのせいか」

アラン「すごかったよ、ウェディングドレス着てるのに彼女激しくて……」

ステュ「ちょ、ちょっと待てアラン、キャシーにウェディングドレスを着せてヤったのか?」

アラン「当たり前だよ、皆もやっただろ?キャシーはドレスセックスが夢だったらしいし。まさにホワイトパーティだよ」

フィル・ステュ・ダグ「……」

ダグ「ま、まあとにかく……結婚おめでとう、アラン」

アラン「ありがとう、お義兄ちゃん」ギュ

ダグ「はは」

ステュ「おめでとう、アラン」

アラン「ありがとうステュ」ギュ

フィル「おめでとう」

アラン「ありがとうフィル」ギュ

アランは皆にお礼をいいながらハグをしていった。

アラン「そうだ!俺、皆にスピーチ書いてたんだ、すっかり忘れてた」ガサガサ

アランは部屋の机に置いてあるサッチェルからスピーチのメモを取り出す

フィル「おいおい、祝われる本人がスピーチ読んでどうする?」

ステュ「そうだぞアラン、ここは僕が一言……」

アラン「ダメ、だって俺のスピーチの方が絶対イカしてるもん」

ダグ「まぁ、インパクトはあるよね」

フィル「はは、確かにな。ま、でも立派になったアランのスピーチも聞いてみる価値はあるんじゃないのか?」

アラン「さすがフィル、ステュとは違うね」

ステュ「なんで僕と比べるんだ?」

ダグ「良いじゃないか、アランのスピーチを聞こうよ」

アラン「そうだよステュ」

ステュ「……分かったよ、じゃ、インパクトのあるスピーチを頼むよ」

アラン「よし、じゃあ読むよ?……皆、改めて俺達に祝福をありがとう、すごく嬉しいよ」

アラン「キャシーは本当にスゴい女なんだ、この前一晩中セックスしてたんだけどスゴかった、あんなに気持ちよかった経験はないよ。ちなみに数えてたんだけど、俺と彼女じゃイッた回数が二倍程の差があったんだ、しかもその差は69回、サイコーでしょ?アハハ!」

フィル・ステュ「……」

フィルとステュは一度だけ顔を見合わせたあと、アランの方へ向き直る。

アラン「ちなみに豆知識、セックスしすぎると脳細胞が破壊されて大変なことになるから気を付けてね、バカになって……」

ダグ「あ、アラン、そこの豆知識は飛ばしてくれるか?」

アラン「えー、ここからがいいとこなのに……」

ダグ「アラン」

アラン「わかったよ……言いたかったな」

フィル・ステュ「……」

アラン「ゴホンッ!……そんな彼女はセックスだけじゃない、キャシーは心もホットなんだ、こんな素晴らしい女性に出会えたのも、皆と知り合ったおかげだ」

アラン「俺とキャシーは契りを交わした。皆とは血の契りを交わしたけど、今度は愛の契りだ。その証拠に、彼女の中に俺のザーメンを残した」

アラン「キャシーとは強い絆と愛で結ばれた。でも皆との絆も、彼女と同じくらい固く結ばれてる」

アラン「狼軍団は卒業しちゃったけど、俺達の絆は永遠だ、血の契りがあるかぎり」

フィル「ああ、そうだな」

ステュ「ある意味、忘れられない契りだったからね」

ダグ「はは、そうだね」

アラン「だからそんな皆に楽しんで貰いたくて、今日は俺からプレゼントを用意したんだ」ガサガサ

アランはメモの裏に隠しておいた紙切れを取り出す。

ステュ「?なんだいそれは」

アラン「シーザーズ・パレスの宿泊券だ」

フィル「マジか!?」

アラン「スゴいでしょフィル?マイク・タイソンに貰ったんだ」

ステュ「マイク・タイソンから!?」

アラン「なんかテレビのイベントに出たときに賞品として当てたみたい、でもあのホテルには二度と行きたくないからって俺にくれたんだ」

フィル「まぁ……だろうな」

ステュ「というか、僕の結婚式の時といい、いつの間にそんなに親しくなったんだ?」

フィル「なんだ、羨ましいのか?」

ステュ「そりゃそうさ、マイク・タイソンだぞ?」

アラン「まぁ、ステュには絶対紹介しないけどね」

ステュ「なんでだ?」

アラン「ステュの羨む顔が面白いから」

ステュ「……そりゃどーも」

アラン「だから皆、今夜はあの始まりの地、ベガスで……」

アラン「独身(バチェラー)パーティを楽しもう!」

フィル・ダグ・ステュ「……」

アラン「どーしたの、皆?」

ステュ「……おいアラン、聞き間違えかもしれないからもう一度聞くけど、独身パーティって言ったか?」

アラン「うん」

ダグ「……アラン、悪いけど、独身パーティはもうやめよう」

アラン「どうして?」

ステュ「どうして?逆に今までの惨事を起こして、なんでまたやろうと思うか僕は理解できないね」

アラン「なんで!あんなに楽しかったのに!!」

ステュ「楽しかった!?は!!速報速報、どうやらアランくんは結局なにも学んでないようです!」

アラン「ひどいよステュ!なんでそんなこと言うんだよ!」

ステュ「ひどいのは君だアラン!!」

アラン「フィル、ダグ、二人とも行きたいだろ!?」

フィル「……」

ダグ「……」

アラン「そんな……」

ステュ「三対一で多数決、君がおかしいんだよ、アラン」

アラン「……う……うぅ……」

アラン「ヒィーーーーーーーーン、ヒィーーーーーーーン」

※アランは泣いています

ステュ「ああ、またこれか……!頼むからその泣き方はやめてくれ、超音波でも流されてる気分だ」

フィル「いつ聞いても慣れないな」

ステュ「アラン、泣いても無駄だ、諦めるんだ」

ダグ「僕も独身パーティには賛成じゃない」

ステュ「ほらダグもこう言ってる、フィルからもなんか言ってくれ」

フィルは一瞬顔を伏せて考え込むと、何かを決心したかのように顔を上げる。

フィル「……そうだな、独身パーティをやろう」

ダグ「え!?」

ステュ「フィル、本気か!?」

フィル「本気もなにも、アランが薬を盛らなきゃいい話なんだ、だろ?」

ダグ「まぁ……」

ステュ「そうだけど……」

フィル「アラン、もう酒やマシュマロにルーフィだか筋肉弛緩剤とかは入れない、誓うな?」

アラン「……うん、ひぐっ……ち、誓うよフィル」

フィル「これでいいだろ?」

ダグ「……わかったよ、よく考えたら、アランが結婚したらもう独身パーティは出来ないしね」

アラン「……う、ううっ……ありがとうダグ」

フィル「ステュ、お前は?」

アラン「……」

ステュ「……あああわかったよ!行くよ、だからそんな目で見るなアラン!」

アラン「やったーー!!」

フィル「よし、そうと決まったら早く出掛けるぞ、今から車で行けば夜の8時には着く」

ダグ「そうだな」

アラン「じゃあ皆……行こうか、シン・シティへ」

フィル「ったく、調子のいいやつだ」

四人は出掛ける準備をすると、アラン自宅のガレージへと向かう。

ステュ「おいフィル」

その途中でステュはフィルを引き留める。

フィル「?なんだステュ」

ステュ「……本当は行きたかったんだろ、フィル」

フィル「……バレた?」

――アラン宅、ガレージ

フィル「おおー!!あの時のベンツじゃないか」

アラン「ああ、この日のために修理して、一度も乗らなかった」

ダグ「僕も知らなかったぞ」

アラン「だって隠しておいたからね、驚いた?」

ダグ「ああ、すごく驚いたよ」

フィル「アラン、お前最高だ!」

アラン「でも運転するのはダグだよ」

フィル「なんだよけちんぼ」

ステュ「実際僕達はボロボロにしたからね」

ダグ「またあんな風にされたらたまらないよ」

ステュ「しかも運転してたのは君だろ、フィル」

フィル「け、しらけるぜ」

ステュ「……」


――高速にて


アラン「ヒャッホウー!ベガスだ!シンシティだー!」

ダグ「はは、落ち着けよアラン」

アラン「落ち着いてちゃダメだよダグ、今を楽しまなきゃ、ヒャッホウー!」

フィル「ゴクッ、ゴクッ……そうだな、盛大に騒ぐぞ今日は!この酔っぱらい運転手をなめるな、フゥーッ!!」

フィルはワインを片手に後部座席で騒ぐ。

ステュ「君が運転すると確実に車が壊れるから洒落にならないよ」

ダグ「酔っぱらい運転手は違うな」

アラン「ねえダグ、今日はカジノで楽しんでもいいよね」

ダグ「ああ、禁止令はもうないからね」

フィル「おっしゃ、稼ぎまくるぞ!」

ダグ「さあ、着いたぞ、皆」

フィル「ここに来るのも三度目か……」

ダグ「三度目?ああ、あの時か、僕が人質にされて……」

ステュ「ひどかったよ、二度目のシーザーズ・パレスは……」

フィル「ああ、最悪だった……」

アラン「はは、看板の文字があのときのままだ」

フィル「まだ直されてないのかあれ。もう一ヶ月は経つぞ」

ステュ「……君たちとつるむと本当、ろくなことにならない」

フィル「でも一番クレイジーなイカれ野郎はいつもお前みたいだけどな」

アラン「なんてったってステュの中にはデーモンとザー○ンがいるからね」

ダグ「はは、確かに」

ステュ「……本当、ろくなもんじゃない」



フィル「やあどーもー、久しぶりー」

受付の女性「……」

フィル「え、えっと……この宿泊券でヴィラスウィートに泊まりたいんだけど……」

受付の女性「……あちらへ」



フィル「ったくなんだよあの女の態度!」

ダグ「仕方ないだろ、前に部屋をメチャクチャにしたんだ」

ステュ「僕も確かにそう思う、だけどそのメチャクチャにした部屋のために犠牲になった僕の多大な被害額も忘れないでほしいね」

フィル「俺も払ったんだからいーだろ」

ステュ「ああ、ありがとう、被害額の4分の1も払ってくれて」

アラン「アハハー!」

ダグ「アラン、笑うとこじゃない」

ダグ「2452号室……ここだな、前と同じ部屋じゃないか」

ステュ「悪意を感じるな」

フィル「んなこたどーでもいーだろ、細かいことを気にすんな」

フィルは2452号室の扉を開ける。

フィル「フォー!またこの部屋に来れるとはな!スゲー!」

ダグ「ああ、やっぱりこの景色はサイコーだ」

ステュ「僕は素直に喜べないね」

フィル「ノリが悪いぞステュ」

アラン「そうだよ、まだ歯を無くしてないだろ、ぷっ」

ステュ「……」

フィル「そうだ、メリッサに電話しなくていいのかー?ナパバレーのワイン畑だって」

ダグ「おい……」

ステュ「君たち、少し黙りなさい」

ダグ「んじゃ、どうする?」

フィル「やっぱあそこだろ」

アラン「へへ、ワンワンだね、フーレツアドーガーフッ、フッ」

ダグ「はは、そうだな、ワンワンしに行こう」

フィル「決まりだ、おいアラン、今度はサッチェルなんぞ掛けてくんなよ」

アラン「うう、あれイカしてるのに……」

フィル「せめてフォーマルなスーツで来い」

アラン「分かってるよ」

ステュ「……」

フィル「おい、気を付けろよ、オートロックだ」

ダグ「ほんと、この扉のせいで大変な目にあった」

ステュ「ごめんな、ダグ」

ダグ「いいよ、ベガスでの出来事は、ベガスに置いてこいってね」

フィル「ここはベガスだぞ」

ダグ「あ、そうだった、じゃあ許さない」

フィル「ハハ」



フィル「おおー、やっぱこの景色はいつ見てもいいな」

ステュ「ああ、確かに」

ダグ「綺麗だ」

フィル「おいアラン、何してる?」

アラン「ふふーん」

フィル「フォー!イエーガーマイスターか!」

フィル「……今度は大丈夫だろうな?」

アラン「ああ、正真正銘、ただのイエーガーマイスターさ」チョロロロロ

アランはフィルにコップを渡し、イエーガーマイスターを注ぐ。

ダグ「心配だな……」

ステュ「ああ、全くだ」

アラン「大丈夫だよ、俺もヤクとはきっぱりお別れしたし」

フィル「……じゃあ、遠慮せず飲むか!」

ダグ「ああ」

ステュ「……」

フィル「じゃ、このベガスの夜に愛を込めて……」

ダグ「はは」

アラン「乾杯!」

フィル「ゴクッ、ゴクッ……ぷはぁっ!サイコーだな」

ステュ「……なあアラン、ちょっといいか?」

アラン「ん?いいよ」





アラン「どうしたの、そんなアホみたいな顔して」

ステュ「……アラン、すまなかったな」

アラン「なにが?」

ステュ「いや、僕たちのために、こんなパーティを開いてくれたってのに……本来はこれは僕たちの仕事だ、すまない」

アラン「どうしたの、急に改まっちゃって、らしくないよ」

ステュ「……はは、そうだな、今夜は楽しもう」

アラン「ああ、変に呼び出すからケツを掘られるかと思ったよ」

ステュ「……やっぱり謝るんじゃなかった」

フィル「おーいそこの二人、そろそろベガスの街を堪能しようぜ!」

アラン「分かったよフィル!」

ステュ「……ま、いいか」


――ベガス通り


フィル「今夜は最高の夜にするぞ、今度は忘れないようにな」

ダグ「ああ、そうだな」

フィル「よし……じゃ、出発だ」


そしてこの男たちの、最後の"イカれた"独身パーティは始まった……。

フィル「う、うう……」

フィル「っつぅ、頭イテェ……ここどこだ……」

フィルは目を覚まし、頭を抱えながら立ち上がると、周りを見渡す。そしてその状況を理解し、一気に血の気が引いた。

フィル「おいおい嘘だろ……」

そこはどう見ても、ホテルの部屋の景色ではなかった。様々なものが散らかった床、壁は全面木材、窓はなく、木と木の隙間からは日光が差し込む。そう、そこはどう見ても小さな山小屋の景色だった。

フィル「くそ、マジかよ……何処だよここは……」

フィル「……そうだアラン!アランは何処だ!」

フィルは山小屋の中を探す。だが、アランの姿は見当たらない。それどころか、ステュ、ダグの姿も確認出来なかった。

フィル「おいおい……今度は全員行方不明かよ!!」

フィル(アラン……入れてないって言っただろ……ったく、信じた俺がバカだった!!)

フィル「くそっ!」

ガンッ!!

フィルはアランへの怒りに任せて、下にあった箱を蹴る。すると。

カチッ、カチッ……

フィル(?なんだこの音?)

フィルは箱の中身を確認した。そこにはなにやら、電子表示板とともに、何本かも数えきれないほどのコードが張り巡らされている。フィルがそれがなにかを理解する。

フィル「……爆弾だ!!!」

電子表示板にはあと20秒と表示されている。

フィル「おい嘘だろふざけんな!!!」

ガチャ、ガチャガチャ!!

フィル「くそ!開かない!!」

フィルは開けるのを諦め、壊して逃げ出そうとドアに体当たりする。

ガンッ!ガンッ!

フィル「早く壊れろよ!!」

ガシャアアアン!!!

三度目の体当たりで、山小屋のドアは壊れた。そして、下の砂利につまづきながらも慌てて山小屋から離れる。

フィル「はぁ……はぁ……」

フィルはある程度山小屋から離れると、そこから山小屋の様子を伺う。

フィル「……あれ、爆発しないな」

だが、20秒ほどたっても爆発は起こらない。

フィル「爆弾じゃないのか」

フィルはそれに安心し、ゆっくりと山小屋に近づく。そのときだった。

ドガァァァァァァァンン!!!!

フィル「うぐおぁっ!!?」

山小屋は爆発した。

フィル(一体……何が起こったんだ……昨日)

フィルはその状況に唖然としながらも、今の時間を確認するため携帯を取り出す。が。

フィル「携帯が……ない」

どのポケットにも携帯は無かった。

フィル(まさか……あの山小屋に……)

フィル「最悪だ……どうすりゃいーんだ……」

フィルは頭を抱え、その場に座り込む。

フィル(……くそ、考え込んでても仕方ない、とりあえずここがどこかを把握しないと)

フィル「マジでどこなんだ……ここ……」

あれからしばらく歩いたものの、結局フィルは今いる場所が把握出来ないでいた。

フィル「とりあえず財布はあったから公衆電話は使えるが……」

フィル(……ん?)

フィルはとある場所に目を向ける。そこには……。

フィル「!?道路か!?」

タッタッタッ……

フィル「はぁ……よかった……やっと森の中から抜け出したな」

フィル(っていっても、ヒッチハイクでもしなきゃなにもできないな)

すると、一台の車がフィルの目の前に現れた。

フィル(不本意だが……ヒッチハイクしてみるか)

フィルは右手にグッドサインを出しながらその車を待った。すると、呆気なくその車は止まった。

フィル(意外と早く捕まったな)

フィル「すみません、シーザーズ・パレスまで乗せてってほしい……」

?「あれ?フィル?」

フィル「?……ジェイド!?」

少し眠たくなってきたので
今日はここまでにします。

初のss投稿なので更新が遅いしテンポが悪く、説明不足ですが最後まで読んでくれるとありがたいです。

それでは、今日ここまで読んでくれた方々、ありがとうございました。

再開します

ブゥゥゥゥゥン……

――車内にて

?「えーと、この方は……」

ジェイド「ああ、フィルよディック、私の友達。フィル、この人が私の夫なの」

フィル「おおそうか、よろしく、話は聞いてるよ、確か医者(ドクター)なんだってね?」

ディック「ああ、そうなんだ」

フィル「君が友達ならいつでも救急車を呼ばなくて済みそうだ」

ディック「はは、ありがとう。君はどんな仕事を?」

フィル「俺は教師をやってる。といっても小さな学校の、だけどね」

ディック「いやいや、立派な仕事じゃないか」

フィル「ありがとう」

ジェイド「にしても、なんでフィルがこんなところに?しかも徒歩だなんて」

フィル「ジェイド、それは俺が知りたいんだ」

ジェイド「もしかして、皆とまたヤっちゃったの?」

フィル「……ああ、恥ずかしい話、マジで記憶が飛んでる」

ディック「はは、ジェイドから聞いた通り、スゴいね君たちは」

ジェイド「でしょ、本当に面白い人たちなの」

フィル「アハハ……それで、ここはどこか教えてくれる?」

ジェイド「ここはチャールストン山よ」

フィル「チャールストン山?」

ジェイド「そう、ここの上でね、乗馬が楽しめるの、ねータイラー?」

タイラー「うんママ」

フィル「あはは、そりゃ楽しかったなー?カルロ……じゃないタイラー?」ワシャワシャ

フィルはタイラーの頭を撫でる。

タイラー「うん、パパと一緒に乗ったんだ」

ディック「どうせベガスにショッピングに行くつもりだったし、シーザーズ・パレスまで乗せてくよ」

フィル「ほんとか!?マジで助かる……ああ、そういえば今って何時?」

ジェイド「今は……12時50分ね」

フィル「おおうマジか……ベガスにはどれくらいで着く?」

ジェイド「多分小一時間で着くわ、安心して」

フィル「良かった……ありがとう、君たちが来てくれなかったから俺は今ごろ遭難してたよ」

ジェイド「アハハ、大袈裟ねフィル。……あれから皆は元気?」

フィル「ああ、元気すぎてこうなっちまったよ。そうだ、それに今度、アランが結婚するんだ」

ジェイド「ほんと!?……なんで私を呼んでくれないのかしら、この前のステュの結婚式だって、私行きたかったのに……」

フィル「ステュが気まずい気まずいってうるさくてね、全くめんどくさいやつだよ」

ジェイド「そう……ちょっと寂しいな」

フィル「……君も来るか?」

ジェイド「ほんと?でもステュに悪いし、それに……」

ディック「大丈夫だよジェイド、せっかくの友達の結婚式だ、楽しんだ方がいい」

ジェイド「ディック……」

フィル「ああ、それにステュのことも気にすんな、無駄にプライドが高いだけだから」

ジェイド「……ありがとうフィル、でもほんとに気持ちだけで嬉しいわ」

フィル「そっか……」

ディック「ああ、着いたよ」

フィル「おお、ほんとにありがとう、ディック、ジェイド」

ジェイド「こちらこそ、皆の話が聞けて嬉しかった」

ディック「ああ、楽しかった」

フィル「カルロ……じゃなかった、タイラーもまたな」

タイラー「うん、バイバイ、今度ホントのパパも連れてきてね」

フィル「……ホントのパパ?」

ジェイド「タイラー、パパはディックでしょ?」

タイラー「ううん、アランが『ホントのパパは俺だ』って、ほら、このサングラス」カチャ

フィル「……アラン」

タイラー「あと、僕の名前はタイラーじゃなくてカルロ……」

フィル「あ、アハハタイラー、もうわかったから、おじさんはもう行くよー、はは」

フィル「……じゃ、じゃあ、ホントにありがとう、二人とも」

ジェイド「え、ええ、また今度皆でまた遊びに来てね?」

ディック「ああ、歓迎するよ」

バタンッ!

フィル「それじゃ、元気で」

ジェイド「ええ」

ブゥゥゥゥゥン……

フィル「……アラン、お前タイラーに何吹き込んだ……」

ウィーーーン……

タッタッタッ……

フィル(早く部屋に行って、皆を探さないと……結婚式は明日なんだ……!)

フィルは自分たちの部屋の前に着くと、なにかを思い出したかのように唐突に悔しそうな顔を浮かべた。

フィル「……ああくそっ!そうだ、鍵が無かったんだ!!」

フィル(ここの支配人に頼んで開けてもらうしかないな……急ごう)

タッタッタッ……

ドンッ!

フィル「イテッ!?」
?「うおっつ!?」

ドサァッ!

フィル「イッテェ……大丈夫か、急いでて……」

?「ああ、気を付けてくれよ……ん?」

フィル「ん?どうかしたか?」

?「君、どこかで会わなかった?」

フィル「?気のせいだろ、すまんが急いでるんだ、じゃあな」

?「何かあったのか?」

フィル「ああ……と、ちょっと鍵をなくしてね、支配人に会いに」

?「なんだ、偶然だな、俺も支配人に会いに行くつもりだったんだ」

――シーザーズ・パレス内、廊下

?「ここの支配人とは知り合いでね、昔からの友達なんだ」

フィル「スゴいな!ここの支配人と知り合いだなんて」

?「でもあいつ、昔は貧乏だったんだ、しかも俺より」

フィル「よくここまで来れたな」

?「ああ、あいつの努力はスゴいよ、前は誰が見ても裕福な家に住んでなかったのに、今じゃ庭に高級車やら自家用ジェットやらが並んだ豪邸さ。美人の奥さんもいてよろしくやってるらしい」

フィル「そりゃ羨ましい限りだ」

フィル「ここだな」

トントン

フィルは「支配人室」と書かれた扉をノックする。

?「おいウィルコックス、俺だ」

?「おお君か、入ってくれ」

?「久しぶりだなーウィルコックス」
ウィルコックス「ああ、会いたかったよクリーピー」

クリーピー「ああそうだ、紹介するよ、コイツは……」

ウィルコックス「いや、知ってるよ、その男は」

フィル「え?どうしてです?どこかで会いました?」

ウィルコックス「私のホテルをメチャクチャにした男たちを忘れるわけがない」

フィル「あー……えーと……」

ウィルコックス「……ははは、冗談だよ、よろしくフィル」

フィル「アハハ……よろしく、ウィルコックス」

ウィルコックス「それに、君たち以外にもホテル内で暴れる奴なんていくらでもいる。ただ、君たちのことはなぜか妙に印象に残っててね」

フィル「そりゃ嬉しい限りです」

フィル「ああそうだ、そのことなんですけど、俺は今人を探していまして……」

クリーピー「なんだ、鍵を探してたんじゃないのか?」

フィル「ああそれもあるが……なにせ記憶がなくてね」

ウィルコックス「ははは、本当に面白い人たちだ。で、誰を探しているんだい?」

フィル「俺と一緒にここに来た奴ら全員です」

ウィルコックス「今警備員に監視カメラをチェックさせたよ」

フィル「ああ、助かります」

ウィルコックス「どうやら、一人は君たちの部屋にいるようだ」

フィル「ホントですか!?誰が!?」

ウィルコックス「えーと……眼鏡をかけた……」

フィル「ステュだ!良かった……」

ウィルコックス「にしても……彼は随分派手な男だね?」

フィル「……はい?」

ガチャ

フィルはウィルコックスからもらった代用キーで部屋の扉を開ける。

フィル「ステュ!ステュ!どこだ!?」

フィル(くそ……どこに……)

?「うおおおおうぇぇえ!!!」

すると突然、トイレの方から大きな呻き声が聞こえてきた。

フィル「!?ステュか!?」

それを理解した途端、彼は真っ先にトイレの中に飛び込んだ。

ガチャ!

フィル「ステュ!無事か……おほほう」

ステュ「ん……あ、あれ、フィルか?」

フィル「あ、ああそうだ、そんなことよりも……ふっ、鏡見てみろよ」

ステュ「……まさか!」

ステュは慌ててトイレの鏡を見る。

ステュ「うわっ!な、ななななんだこれ!?」

ステュ「くそ!一体どうなってんだ!」

ステュの頭には、大量のカラフルなヘアチョークが巻かれ、まるでパンクロッカーのような逆立った髪型になっていた。更に、メタル調の激しいメイクが顔になされていた。

フィル「くく、まさに悪魔(デーモン)だな」

ステュ「一体なんなんだ!」

バシャバシャ!

ステュは蛇口を回し、髪や顔に着いたものを激しく洗う。

フィル「ああそうだな、今度は洗ったら取れるかもな……くく」

ステュ「おいフィル!笑ってないで手伝ってくれ!」

フィル「了解しました、悪魔殿?」

ステュ「くそ……メイクしか取れなかった……」

フィル「いいじゃないか、最高にキマッてるぞステュ」

ステュ「あははー、ありがとう、最高に嬉しいよ全く」

ステュ「……そういえば皆はどうしたんだ?」

フィル「それが……」

ステュ「おい嘘だろまたか……それに今度は二人とも行方不明だなんて」

フィル「ああ、ホントわけがわからない」

ステュ「……またアランか?」

フィル「わからん、だが、確実にこの惨事が二日酔い(ハングオーバー)だけじゃないことは分かる」

ステュ「くそ!またヤクか!!なんなんだホントに!そろそろ僕たちヤク中になってもおかしくないんじゃないのか!?」

フィル「ステュ落ち着け、騒いだって仕方がない、とりあえず皆を探そう」

ステュ「探そうたってどこを?手掛かりが全くないんだぞ!」

フィル「とりあえずステュ、ポケットの中を確認だ」

ステュ「……そうだな」

ステュ「……なんだこれ」

フィル「なんだ、なにか見つかったのか?」

ステュ「伝説の歯科医師ギタリスト、スチュアート・プライスソロコンサート……10時から『BREAK TIME』にて……」

フィル「は?」

ステュ「僕って奴はどこまで……」

フィル「おいおい見せろよ!」

フィル「……ぷはっ!なんだこれ!自作チケットか?」

ステュ「やってらんないよ……」

フィル「もしかしてあのエレキギターでやったのか?いつの間にあんなの持ってきてたんだ?」

ステュ「?」

ステュがそれを聞いて不思議そうな顔を浮かべたので、フィルはステュの後ろを指差した。そこには、かなり明るみのある赤色で塗られた派手なギターが置いてあった。

ステュ「は?こんなの知らないぞ僕は」

フィル「じゃあ誰のなんだよ」

ステュ「僕が知るわけないだろ。それに、僕はこんな派手な変形型は使わない」

フィル「どうだか……ん?」

フィル「何か文字が掘ってあるぞ」

ステュ「?」

フィル「……『Kevin Jonas』だってよ、知ってるかお前?」

ステュ「ケビン・ジョナス……ジョナス……!?」

ステュ「ジョナス・ブラザーズのメンバーの名前だ!」

フィル「はは、マジか!」

ステュ「どうゆうことなんだ……」

フィル「また誰かから盗んだとかじゃないよな」

ステュ「……どうやら、そうじゃないらしい」

フィル「どうゆうことだ?」

ステュ「そのギターを購入した時のレシートが財布に入ってた」

フィル「おい!そういうのは早く出せよ!見せろ!」

フィル「……ミュージックショップ『ENJoY』……よし、とりあえずその『BREAK TIME』ってところと一緒に回るぞ」

ステュ「そうだな、行こう」

再開します

フィル「あーとちょっと待てステュ!お前携帯持ってるか?」

ステュ「携帯?なんで?君のはどうした?」

フィル「爆発した」

ステュ「……は?」

フィル「だから、爆発……いや、そんなことはどうでもいい!お前の携帯で二人に電話をかけろ!」

ステュ「分かった……あれ?」

フィル「おいまさか……」

ステュ「僕の携帯もない」

フィル「嘘だろ……」

ステュ「ちょっと待ってくれフィル。確かに携帯をなくしたのはかなり精神に来たけど、電話ならそこら中にありふれてるだろ。例えばこの部屋の電話とか」

フィル「お前まだ分かんないのか?」

ステュ「?さっぱりだ」

フィル「じゃあステュ、俺の電話番号を言ってみろ」

ステュ「……そうゆうことか」

フィル「そうだ」

――シーザーズ・パレス、ロビー。


フィル「おい、聴けよステュ、この曲」

ステュ「?」

ステュは館内で流れている音楽に耳を傾ける。

ステュ「……ああ、『アメイジング・グレイス』だ」

フィル「あの時のアランすごかったよな」

ステュ「ああ、まさに"天使の歌声"だった」

フィル「……この女よりアランのが上手いな」

ステュ「認めたくないけど同意見だ」

ウィルコックス「――おお!ちょうどいいところに!」

フィル「?ああ、ウィルコックスさん!」

ステュ「知り合いかフィル?」

フィル「アホ、このホテルの支配人だ」

ステュ「マジか」

ウィルコックス「ちょうど良かった、君たちに伝えたいことがあってね……あれ?」

ステュ「?」

ウィルコックス「メイクはとってしまったのかい?あれ笑えたのに」

ステュ「あ、あははは、か、勘弁して下さい……おいフィル、なんであのことを知ってるんだ!」

フィル「さっき監視カメラを確認したから」

ステュ「監視カメラに写ってたのか……最悪だ」

ウィルコックス「いやいや、盛大に笑わせてもらったよ。あ、で、その監視カメラなんだが……」

フィル「?」

ウィルコックス「もしかしたらもう一人の場所が分かるかもしれない」

フィル「ホントですか!?」

ウィルコックス「ああ、深夜に、廊下に設置された監視カメラに君たちが写っててね、その監視カメラの録音機にこんな声が入ってたらしい」

ウィルコックス「"サファイヤ"で乱交パーティだって」

フィル「サファイヤ……?」

ウィルコックス「でも行ったのはそれを言った彼だけであとは皆各々バラバラにどこかへ行ってしまった」

フィル「ちなみに、それを言ったのは?」

ウィルコックス「ええと……猿みたいな背の小さな男で……」

ステュ「……ダグか?」

フィル「イカれてたとはいえあいつらしくないな」

ウィルコックス「すまない、監視カメラの画像が粗くてね、そこまでしか……」

フィル「いや、本当に助かります、なぜここまでしてくれるんです?」

ウィルコックス「私にもよくわからないんだが、君たちを見ているとなんだか放っておけなくてね」

フィル「放っておいたら大変なことになりますからね、俺たち」

ウィルコックス「はは、確かにね」

ウィルコックス「――アメイジング・グレイス、いい曲だろう」

フィル「ああ、そうですね」

ウィルコックス「これは私の妻の歌声なんだ」

ステュ「ゴホッ!!ゴホッゴホッ!!」

フィル「ヴ、ヴヴンッ!あ……そ、そうなんですか、綺麗な歌声だと思ったら」

ステュ「あ、ああ、本当に」

ウィルコックス「だろう?でも、もうこの素晴らしい歌声は聴けないんだ」

フィル「え?」

ウィルコックス「実は私の妻はオペラ歌手をやっていたんだが、その仕事のせいかストレスのせいか、喉をやられてしまってね、今は発声を禁じられてるんだ」

ウィルコックス「おっと、暗い話になってしまったね、急いでいるんだろう?」

フィル「ああいえ、お構い無く……ああ、とりあえず車を手配してくれます?」

ウィルコックス「ああ分かった、気を付けるんだよ、ベガスでは何が起こるか分からない」

フィル「ええ、肝に銘じておきます」

ステュ「本当にありがとうございました、ウィルコックスさん」

ウィルコックス「ああ、次来るときも私を笑わせてくれ」

ステュ「あ、あはは」

ウィルコックス「それじゃ」コツコツコツ……

フィル「……さっきの聞かれてたらどうなってた俺たち?」

ステュ「間違いなくホテルから追放だったろうね」

――シーザーズ・パレス、入口。

フィル「にしてもかなりの情報が手に入ったな」

ステュ「ああ、携帯はないけど、今回はなんとなく希望が持てるよ」

フィル「一時はどうなることかと思ったが……」

ブロロロロロロ……

バタンッ!

係員「お待たせしました」

フィル「よし、じゃあ早速……」

フィル「……」

フィルは目の前に現れた車を呆然と見つめる。

ステュ「……おい、どうなってる」

フィル「落ち着けステュ、落ち着くんだ」

そんな二人の前に現れた車、それは……。

これから仕事なので今日はここまで。
全く話が進みせんでしたけど

多分すぐ終わりますが再開します


ブロロロロロロ……


――車内


ステュ「なあ、この車ってチャウの……」

フィル「黙れステュ、そんなことは分かってる」

フィル「重要なのは、なんで俺たちがこの車を持ってるかだ」

ステュ「さぁ?分かんないねぇ、なぜ縁を切ったチャウの車が、いつの間にか僕たちの車になってたかなんて」

フィル「ステュ、昨日のこと、どこまで覚えてる?」

ステュ「屋上でイエーガーマイスターを飲んで、確か一旦部屋に戻ってルームサービスのデザートを食べて、その後外へ出掛けて……そこからは記憶がない」

フィル「そうだな、俺もそこら辺までの記憶しかない」

ステュ「全く、僕たちはいくつ過ちを犯せば気が済むんだ」

フィル「さぁな」

フィル「まぁいい、この問題は後回しだ、とりあえず手掛かりのありそうな建物へ向かおう」

ステュ「なんでいつもこうなるんだ……」

フィル「どこかで地図を貰おう、このままじゃ現在地すら把握できない……ああ、あそこのセブンイレブンに停めるぞ」


――ラスベガスのどこかのセブンイレブンにて


?「いらっしゃいませー」

フィル「ああ、ちょっとそこの店員さん?」

?「はーい……あれ?フィルにステュじゃない!ちょっと待ってて、今レジ済ませるから」

フィル「……?」

ステュ「おいフィル、誰か分かるか?」

フィル「いや、全然」

?「二人ともお待たせー」

フィル「あ、ああ」

?「昨日は楽しかったわねー!ホント最高だった」

フィル「あーえーと……」

?「ステュなんて腰が抜けそうなくらい私の上で暴れまわるんだもの、あのあと下半身が言うこと聞かなくて大変だったのよ?」

ステュ「あ、あはは……」

?「……二人ともどうしたの?今日はやけに静かなのね?なんか笑える」

フィル「あー……そのことなんだけどー、俺たち昨日のことは全く覚えてないんだ」

ステュ「そうなんだ、だから君のことも全く覚えてなくて……」

?「あはは、二人ともホント面白いんだから」

フィル・ステュ「……」

?「……本気(マジ)なの?」

フィル「ああ、大マジだ、だから昨日何があったのか教えてほしいんだ」

ステュ「ああ」

フィル「とりあえず君の名前を教えてくれるか」

?「私はハンナ、朝から夕方まではここのコンビニでバイトしてるんだけど、夜はストリップクラブで働いてるの」

ステュ「またかクソ……昨日僕たちとヤッたのか?」

ハンナ「ええ、ホント最高の夜だった」

ステュ「僕はなんてことを……浮気だ、しかも年下の女性と」

フィル「ステュ落ち着け……えーとハンナだっけ、どういう経緯で俺たちと出会ったんだ?」

ハンナ「ストリップクラブでフィルとステュの二人が私を指名して、クラブの方で楽しんだ後私の家でヤッたの、三人で」

フィル「おほほう、今度は3Pか」

ステュ「嘘だろ……まさか僕たちは君の中に……」

ハンナ「ううん、全部外へ出したわ」

ステュ「良かった……いや良くない、浮気だ」

ハンナ「ステュとフィルったら『君はサイコーだー!!』とか叫びながら前と後ろで暴れまくるんだもの」

ステュ「……ちょっと待ってくれ、後ろってことは……」

ハンナ「もちろん、ア○ルよ」

フィル「ワオ」

ハンナ「それでここからが面白いんだけど、私に二人で二穴同時ファックした後、今度はフィルとステュでヤりはじめて……」

フィル「……は?」

ステュ「ちょちょちょちょっと待ってくれハンナ、ってことはまさか……」

ステュ「……僕とフィルでヤッたのか?」

ハンナ「そうよ」

フィル「……嘘だろ」

ハンナ「ほんとすごかったわー、ステュもフィルもお互いのア○ルで奇声上げながらピストンしまくって……」

ステュ「うおぇ……」

フィル「最悪だ」

ハンナ「しかも勢い余ってフィルの中に出しちゃうんだもの、ステュ」

ステュ「え」

フィル「お前なんてことしやがる!!」

ステュ「知らないよ僕だって覚えてないんだ!」

ステュ「というか、なんで君はそんなに面白がって見ていられるんだ!」

ハンナ「だって面白かったんだもの」

フィル「クソ……お前は穴ならなんでもいいのか!!」

ステュ「だから知らないって!!だいたい君も出してないとはいえヤッたんじゃないか!!」

フィル「もういい!こんな気持ち悪い会話してられるか!!」

ステュ「同感だ全く!!」

さて、今から仕事なのでここら辺で。
読んでくださった方々、ありがとうございました。

再開します

ハンナ「ああそうだ、そのときの写メ撮ったんだけど、見る?」

ステュ「いや、是非遠慮するよ」

フィル「はぁ……あー、とにかく、それは何時ぐらいのこと?」

ハンナ「んー、だいたい深夜の1時ごろだったと思う、写メの時間もそれぐらいだし」

フィル「そうか……」

ハンナ「……ねぇ、ホントに写メ見なくていいの?」

ステュ「いい」

ハンナ「残念、すっごく面白いのに……」

ステュ「僕は面白くない」

フィル「とりあえずハンナ、頼みたいんだが、ラスベガス地図をくれるか」

ハンナ「ええ、いいわよ、ちょっと待って、今取ってくるから」

ステュ「……悪夢だな」

フィル「お前の方がまだマシだ、オカマ先生」

ブロロロロロロ……


――車内


二人はハンナから地図を貰ったあと、再び車を走らせた。

ステュ「一体僕たちは何をやってるんだ……」

フィル「もういいだろ、忘れよう」

ステュ「忘れられるか!今でも吐きそうだ……クソ!」

フィル「いい加減にしろステュ、お前のせいで忘れたくても忘れられないだろ!」

ステュ「……すまない、落ち着くよ」

フィル「ああそうしてくれ」

フィル「で?手掛かりのありそうな建物でここから近いのは?」

ステュ「えーと……『BREAK TIME』だな」

フィル「よし、そこへ行こう」

フィルは強めにアクセルを踏み、目的地へ急がせた。

フィル「ここだな」

ステュ「ああ、そうみたいだ」

バタンッ!

二人は車から降りると、『BREAK TIME』とネオンで書かれた建物の入口に真っ直ぐ向かった。

フィル「さて、どうするか……」

?「おおおステュじゃないか!会いたかったよー!」

ステュ「え?」グッ

突然、ステュは見知らぬ男にハグをされた。

?「それにフィルもだ」

フィル「おおう、ハハ」グッ

?「……?二人ともどうした?このミッキーに昨日のクレイジーなノリを見せてくれよ」

フィル「それなんだが……昨日何があったのか覚えてないんだ」

ミッキー「……冗談だろ?」

ステュ「冗談だと思いたいよ」

ミッキー「おーいあんなにクレイジーでイカれたコンサートは二度とないってのに、マジで忘れちまったのか?」

フィル「ああ、だから何があったのか教えてほしいんだ」

ステュ「出来れば知りたくないけどね」

フィル「オイ」

ミッキー「そういや昨日の連れはどうした?」

フィル「それが……皆いなくなっちまって」

ステュ「そうなんだ、なにか知らないか?」

ミッキー「すまないが、あのステージの後は誰も見てないよ」

フィル「そうか……そういえば君はここの従業員きい?」

ミッキー「俺はこの店のオーナーみたいなもんだ、この店ではな、規定の金さえ払えば、どんな奴でも楽器と声さえありゃコンサート出きる」

フィル「そうなのか、そういえばステージはどこに?」

ミッキー「ああ、あそこにある階段で地下に降りるとステージがあるんだ、そこでコンサートを行う。野外にもステージを建設してたんだが、一度暴動が起きて取り壊しになっちまった」

フィル「それはお気の毒だな……でー、ミッキー?昨日何があった?」

ミッキー「確か九時ぐらいに君たちがステージの登録に来て、「10時に予約を入れたい、最高のステージを見せてやるから」とかなんとか言ってどこかへ行ったと思ったら、あの地下会場に入りきらないぐらいの人をたった一時間で連れてきてコンサートをしてたよ、ものすごい熱気だった、やけに女性客が多くてね」

ミッキー「それもそのはずだ、なにせあのジョナス・ブラザーズのケビン・ジョナスが何故か君たちと一緒にコンサートを行っていたからね」

ステュ「な、ケビン・ジョナスがいたのか!?」

フィル「そういうことだったのか……なんでケビン・ジョナスが?」

ミッキー「詳しいことは知らないんだ、ただステュのソロコンサートとともにケビンがサプライズとして来たってぐらいしか」

フィル「スゴいな」

ステュ「スゴすぎて何がなんだか……」

ミッキー「ホントにすごかったんだよ、君の格好も最高にイカれてたしね、悪魔って感じの」

フィル「ハハハ、確かに」

ステュ「出来れば僕はそれを覚えていたくなかったね」

ミッキー「君の演奏力にはホント驚かされたよ、ケビンも誉めてた」

フィル「大学時代にバンド組んでたしな、お前」

ステュ「まぁね、インディーズを目指してた」


ミッキー「それに君はステージを盛り上げるために何を用意したと思う?」

ステュ「さぁね、さっぱりだ」

ミッキー「爆弾だよ、爆弾」

ステュ「爆弾!!?」

フィル「……そうゆうことだったのか」

ミッキー「まぁ、といってもあまり威力はないからちょっとした破裂弾みたいな感じの代物だったけどね」

ステュ「それでもイカれてるよ」

ミッキー「だろ?皆もう大騒ぎさ」

ステュ「褒めたわけじゃない」

フィル「……威力はホントに弱かったのか?」

ミッキー「ああ、どうかしたのか?」

フィル「……」

ステュ「?」

ミッキー「とにかく盛り上がったんだ、ホントあんたら最高だよ」

フィル「他に俺たちは何か言ってなかったか?」

ミッキー「そうだな……ああ、別れ際に、ケビンと一緒にカジノで一儲けしてくると言ってたな」

フィル「カジノか……」

フィル「ありがとうミッキー、助かった」

ステュ「ああ、ホントに」

ミッキー「いいんだ、それにあれだけクレイジーなステージは久しぶりだったからね、ホントに君たちが覚えてないのが残念なくらいだ、また来てくれよ」

フィル「ああ」


ブロロロロロロ……


ステュ「爆弾だなんて……僕たちはどうやって用意したんだ、そんなもの」

フィル「……ステュ、俺がホテルで言ったこと、覚えてるか?」

ステュ「なんのこと?」

フィル「携帯が爆発したって」

ステュ「ああ、そのこと……まさか」

フィル「ああ、多分その爆弾だ、でも……」

ステュ「?どうしたフィル?」

フィル「あまりにも威力が違いすぎるんだ、俺の携帯を破壊した爆弾は、山小屋をまるごと吹き飛ばした」

ステュ「なんだって!?よく無事だったな!?」

フィル「ああ、どうも悪運が強いらしいな、俺たち」

ステュ「だな」

フィル「全く……何が起こったんだ……」

ブロロロロロロ……

フィル「……そういえば、ジェイドに会ったぞ」

ステュ「……いつ?」

フィル「お前と会う前に、チャールストン山で」

ステュ「そうか」

ステュ「……何か言ってたか?」

フィル「お前が結婚式に招待してくれなかったから拗ねてたぞ」

ステュ「仕方ないだろ」

フィル「何が仕方ないんだ?」

ステュ「……さぁね、自分でも分からないよ」

フィル「はぁ……なあステュ、せめてアランの結婚式には連れてってもいいだろ、ジェイドはお前や皆に会いたがってる」

ステュ「……」

フィル「……まぁいいさ、今は二人を探すことに集中しよう」

ステュ「……ああ」

ステュ「……お、おい、あれ!」

フィル「?」

ステュは慌てて道路の先を指をさす。その視線のそこにあったものは……。

フィル「ベンツだ!!」

ステュ「なんであんなところで!?」

フィル「誰が乗ってるんだ、俺たちのベンツに!」

ステュ「早く追いかけよう!」

フィル「ああ!」

フィル「気づかれてないよな」

ステュ「ああ、多分ね」

フィル「もしかしたらダグかアランかもしれない、早く正体を確かめないと」

だがその時だった。

キュルルルルル!

突然、ベンツが猛スピードで道路を走っていく。

ステュ「な、なんだ!?」

フィル「くそ!追いかけるぞ!!」

キュルルルルル!!!


フィル「クソ!!一体なんなんだ!!」

ステュ「なんでいつもこうなる!?」

フィル「せっかく見つけたってのに逃がしてたまるか!!」


キュルルルルル!!!


二人が追いかけている途中、ベンツは先にある交差点を左に曲がった。

ステュ「フィル、曲がったぞ!!」

フィル「分かってる!!」


キュルルルルル!!!


そしてフィルがハンドルを左へきり、交差点を曲がった瞬間、


プォーーーーーーン!


トラックが目の前に現れた。


ステュ「うおぁ危ない!!!」

フィル「のわああっ!?」


キュルルルルル!!!


フィルはそれを間一髪のところで避けた。


フィル「……あ、あっぶねぇ……!!」

ステュ「死ぬ!死ぬううう!!」

フィル「うるさい黙れ!!」

フィル「ああくそ!見失っちまう!!飛ばすぞ!!」

ステュ「飛ばさなくていい!!これ以上怖い思いはしたくない!!」

フィル「だったら降りてろオカマ先生!!」

フィルは目の前のベンツが右側にある狭い道に入ったため、それに合わせて勢いよく曲がる。

キュルルルルル!!!

ステュ「ぎゃああああ!!!」

フィル「いちいち声を出すな!!」

だが同じ道で曲がったにも関わらず、ベンツはもうどこにもいなかった。

フィル「ちくしょう!ふざけんな!!」

プァーーー!!!

フィルは怒りとともに勢いよく車のクラクションを鳴らす。

ステュ「なんで見失うんだよ!」

フィル「知るかよ!!誰かさんがばか騒ぎして運転の邪魔をしたせいかもな!!」

ステュ「僕のせいだっていうのか!?」

フィル「あいにくこの車には俺とお前しか乗ってないからなぁ?」

ステュ「あんな酔っぱらい運転されるぐらいなら見失った方が僕はマシだと思うよ!」

フィル「なんだと!?……はぁ……どうするんだ、せっかくの手掛かりを」

ステュ「……なぁフィル、外を見てくれ」

フィル「ああ!?…………嘘だろ」

フィルが外を見ると、そこには黒いスーツを着た男たちがズラリと並んで車を囲んでいた。

フィル「……もう勘弁してくれよ」

そのなかの男の一人が、ゆっくりと運転席の方へ近づいてきた。
フィルはそれに気づくと運転席の窓を開けた。

フィル「……あのー、なにか用ですか?」

?「なにか用だと?お前らが合図をしたんだろう」

ステュ「はい?」

フィル「すみません、なんのことだか……」

?「クラクション」

フィル「……あー」

今日はもう寝るのでここまでで。
更新が遅くすみません。
そのせいで小説もテンポが悪い……。
せめてハングオーバーのテンションや雰囲気を表現出来ていればいいのですが。

読んでくれていた方、明日は
出来るだけ早く更新しますので、
これからも読んでくださると
ありがたいです。

再開します


?「……話を聞かせろ」

フィル「ふぅ……良かった」

ステュ「ああ……」

? 「両手はあげてろ!!」

ステュ「ヒィィィィ!!!」

二人はその後、銃を突きつけられながら路地裏にある倉庫のような場所に連れていかれた。

?「何一つ覚えてないのか?」

フィル「ああ、ホントに全く覚えてなくて……何があったんです?というか、あなたは何者?」

?「……おい、あれを持ってこい」

黒服の男「承知しました」

ステュ「……?」

?「俺はキルベイン、武器の売人だ。同時にこの工場で武器を作ってる」

フィル「武器?」

キルベイン「ああ、昨日の九時半ぐらいにお前らはここに武器を買いに来た」

フィル「……もしかしてコンサートで使った爆弾か?」

ステュ「僕たちは売人に頼んでまで爆弾を買ったのか……なんてことだ」

キルベイン「これだ」

黒服の男は、黒い手榴弾のような物を二人に見せた。

キルベイン「閃光弾、スタングレネードさ」

ステュ「……イカれてる」

フィル「……」

ステュ「なんで僕たちはここのことを知ってたんだ?」

キルベイン「お前ら本当になにも覚えてないんだな」

ステュ「?」

フィル「どういう意味だ?」

キルベイン「……チャウを覚えてないのか?」

ステュ「……まさか僕たち、チャウと一緒にここへ?」

キルベイン「ああ」

フィル「クソ……」

ステュ「なんであいつが僕たちと一緒にいるんだ!!」

フィル「車はその時ってことか……」

ステュ「僕たちは爆弾を何個買ったんだ?」

キルベイン「確か……120個だったな、今ある分を全部渡せと言ったから」

ステュ「嘘だろ!一体何ドルしたんだ!!」

キルベイン「100万ドルだ」

ステュ「……は!?」

フィル「な、スタングレネード120個で100万ドルだと!?」

キルベイン「違う、チャウの奴が他にも色々武器を買ってったからな」

ステュ「100……100万ドルだなんて!どうかしてる!」

フィル「チャウはまだ現れてないのか!?」

キルベイン「ああ、だがもう夜の7時だ、俺は約束を守らない奴が一番嫌いなんだ、だから……おい、連れてこい」

黒服の男「はい」

ステュ「つ、連れてこいって……」

フィル「まさか」

ダグ「んー!んーー!!」

黒服の男が連れてきたのは、ロープで口や手を縛られたダグだった。

ステュ「だ、ダグ!?」

フィル「おいどういうことだ!!」

キルベイン「やっぱりお前ら何も覚えてないんだな」

フィル「だからさっきからそう言ってるだろ!!」

キルベイン「実はな、チャウは元々売人の間では信頼が少ない、だから保険としてダグを預かった」

フィル「嘘だろ……!!」

ステュ「なんで黙ってたんだよ!」

キルベイン「お前らがそこまで覚えてないとは思ってなかったからな」

フィル「おいダグと話をさせてくれ!」

キルベイン「いいだろう……外してやれ」

キルベインがそう言うと、黒服の男はダグの口に縛られたロープを外す。

ダグ「んはあっ!ゴホッ!ゴホッ!……フィル、ステュ!」

フィル「良かった……無事だったんだな!!」

ダグ「無事なもんか!どうなってるんだこれは!」

ステュ「すまない……僕たちも全然覚えてなくて」

キルベイン「お前らが人質ならコイツがぴったりだとか言って笑いながら俺たちに引き渡したんだよ」

フィル「……マジか」

ダグ「お、お前らイカれてる!!」

ステュ「ご、ごめんよダグ」

ダグ「ごめんで済むか!!」

ダグ「クソ……なんで毎回僕はこんな目に……」

キルベイン「とにかく、だ。一応取引の時間は引き伸ばしてやる、夜の0時だ、それまでにここへチャウを連れてこなかったら……どうなるか分かるよな?」

ステュ「今日の0時までなんて絶対無理だ!!手掛かりだって……」

キルベイン「ガタガタ騒ぐな!!」カチャ

キルベインはステュに銃を向ける。

ステュ「うわあああ!!!」

フィル「わ、分かった、絶対にチャウを連れてくるからその銃を下ろせ!!」

キルベイン「……」カチャ

ステュ「ふ、ふぅ……」

キルベイン「……絶対だぞ、さっきも言ったが、俺は約束を守らない奴が一番嫌いだ」

フィル「ああ、絶対だ!」

ブロロロロロ……


ステュ「どうするんだよ!チャウの手掛かりなんて一つもないぞ!!まだアランすら見つかってないのに!!」

フィル「分かってるよ!!だけどあそこでああ言わないとダグが殺されちまうだろーが!!」

ステュ「もう……ホント君たちとつるむとロクなことにならないよ!」

フィル「ホントによく喋る奴だな!!少しは黙れないのか!!」

ステュ「ああごめん、君への不満と怒りで口が止まらないんだ!!」

フィル「黙れ!!……待て」

ステュ「なんですかフィルくん!」

フィル「……まだこの車の中を調べてない」

ステュ「……まさか!!」

二人は何かを思い付いたのかよハッ!とした顔をすると、急いで車をどこかの駐車場に停めた。

バタン!

タッタッタッ……

二人は車を停めた後急いで車から降りて、トランクへと向かった。

フィル「開けるぞ!」

ステュ「ああ!」

ガチャッ!

フィル「……クソ!!いない……!!」

だが、トランクを開けてもそこに二人が予想していた人物はいなかった。

ステュ「結局チャウの手掛かりは0か……僕たちはお仕舞いだ」

フィル「落ち込んでも仕方ない、今の時点で手掛かりのありそうな建物に……ん?」

ステュ「……?どうしたフィル?」

フィル「……トランクの奥に何かある」

フィル「……!?チャウの携帯だ!!」

ステュ「本当か!?バッテリーは!?」

フィル「……良かったまだあるぞ!!」

ステュ「おお!!」

フィル「これで少しは手掛かりが掴めるだろ!」

ステュ「ああ、ホントに良かった!」

フィルは希望に満ちた笑みを浮かべ、嬉しそうにはしゃぐステュを横目にチャウの携帯の様々な履歴を調べた。

少し眠たいので休憩します。
すぐに再開します。



>人質ならコイツがぴったりだ
なんとも言えねえwwww

>>98

ありがとうございます(笑)

それでは再開させていただきます。





フィル「……」

ステュ「どうだった、フィル?」

フィル「……手掛かりになりそうなものはメールだけだ」

ステュ「な……しゃ、写真は!?写真はないのか!?」

フィル「残念ながら昨日の夜の写真はない……」

ステュ「ちくしょう!希望が見えたと思ったらこれだ!!」

ステュ「はぁ……で、誰とメールを?」

フィル「アランとの履歴がある」

ステュ「あいつまだチャウと付き合ってたのか!!」

フィル「違うそうじゃない、アランとメールのやり取りをしてるのは昨日だけだ、それにメールの時間は9時15分、多分その時には俺たちはもうイカれてた」

ステュ「は……イカれた理由もどうせアランだろ」

フィル「……それがどうやら違うみたいだ」

ステュ「え?」

フィル「チャウの送信履歴を見たらこう書いてあった」

フィルは携帯の画面をステュに見せる。

ステュ「『私からの甘~い贈り物は気に入ってもらえたかな?今夜は最高にイカれたパーティをしようじゃないか!君たちがいる場所を教えてくれ、チャウ直々にそこへ向かおう』……」

ステュ「……甘~い贈り物ってなんだ」

フィル「……なあステュ、確か俺たち、ホテルから出掛ける前にルームサービスを貰ったよな」

ステュ「ああ、あのデザート……まさか!?」

ステュ「あのデザートにチャウが「ヤク」を仕込んだのか!?」

フィル「そうだ……アランじゃなかったんだ」

ステュ「全てチャウのせいだったのか……なんてこった、僕はてっきりまたアランだと思って……」

フィル「とにかく、チャウを捕まえよう。話はそれからだ、それにまた手掛かりを手に入れられそうだ」

ステュ「なんだって!?」

フィル「アランがチャウにメールでこう書いてた、『それじゃあ、『ENJoY』で会おう』ってな」

ステュ「『ENJoY』ってあのミュージックショップじゃないか!!」

フィル「ああ、だから今すぐそこへ向かおう、きっと何か手掛かりがあるはずだ!」

ステュ「……またチャウを追うことになるなんて」

フィル「ああ……全く、どれだけ俺たちを巻き込めば気がすむんだ」

ステュ「まさに腐れ縁って奴だな、やってられないよ」

フィル「俺もだ、だが今はその縁を辿って捕まえるしかない」


ブロロロロロ……


フィルが車を五分程度走らせると、そこにはもう『ENJoY』が現れた。

ステュ「意外と近いな」

フィル「あの倉庫に来たのが9時半で俺たちがあの店にいた時間はだいたい9時10分~20分くらいだからな、これぐらいで着かなきゃ困る」

ステュ「それもそうだ」

――ENJoYにて


フィル「あのーすみません……」

?「……!おお、君たちは昨日の!」

フィル「俺たちを覚えてるのか!?」

?「覚えてるも何も、ケビンに『一緒にコンサートを開こうー!』って騒いでただろ」

ステュ「ケビンって……ケビン・ジョナス?」

?「ああ、それに、君たちかなりテンション高くてぶっ飛んでたからね、覚えてないはずがない」

フィル「えーと、とりあえず君の名前は?俺たち昨日のことは覚えてないんだ」

?「……え、どうゆうこと?」

ステュ「まぁ……ひどい二日酔い(ハングオーバー)……でね」

?「まぁいいや、ちょっと待ってな、今ケビンを呼んでくるから」

ステュ「!?今ここにケビンがいるのか!?」

マイケル「ああ、こっちの方に遊びに来ててね、待っててよ?」


タッタッタッ……


マイケルはそういうと、店の奥へ駆けていく。

ステュ「……まさかケビンがいるなんて」

フィル「ああ、アランにも見せてやりたいよ」

マイケル「おーい、連れてきたぞ!」

すみません、間違えて彼の名前を表示してしまいました(笑)

名前はマイケルで合ってるのでよろしくお願いします(^^;

ケビン「……ああ!やあ皆!」

ステュ「ほ、ホントにケビン・ジョナスだ!」

フィル「す、スゴいな……」

ケビン「昨日のこと覚えてないって本当かい?」

フィル「ああ、何も覚えてないんだ……」

ケビン「そうか……あんなに楽しかったのに」

ステュ「でも爆弾を使ったコンサートだったんだろ?」

ケビン「そうさ、演出で爆弾を使うだなんて最高にクールじゃないか」

フィル「……やっぱ大物は違うな」

マイケル「俺の名前はマイケル、ケビンとは昔バンド組んでた時に出会ったダチでね」

ケビン「ああ」

フィル「そうか……どういう理由で俺たちとコンサートを?」

ケビン「君たちがマイケルの店でGRASSROOTSの変形ギターを買ったあと、『最高にクールなステージを開こう!』って僕にしつこく言ってきてね、夜は僕たち予定無かったし、せっかくだから久しぶりに音楽を楽しもうって話になって、マイケルと二人で君たちに着いていったんだ」

フィル「ギターってあれか」

ステュ「ああ、そうみたいだな」

マイケル「ああ、そしたらなんだかヤバそうな集団から友達一人どこかへ置いてきて爆弾を買ってくるし、『BREAK TIME』に向かう途中でどこかへ寄ったかと思ったらチャウがメイクアーティストみたいなのを連れてきてステュの顔や髪型にすごいことし出すし、思わずコイツらすごいって思っちゃったよ」

ケビン「ああ、スゴかったよ」

ステュ「はは……」

フィル「ホントイカれてるな」

ステュ「もしかして、あのギターのサインはホントにケビンが?」

ケビン「ああ、アランが『このギターにサインしてくれ!』って泣きながら頼むから、チャウが持ってたナイフでギターに僕の名前を彫ったんだ」

ステュ「そうゆうことだったのか……」

フィル「そういえば聞いたんだけど、俺たちと一緒にカジノへ行ったんだよな?」

ケビン「行ったよ」

マイケル「カジノもかなり楽しんだ」

ケビン「ああ、アランとチャウがブラックジャックでカードカウンティングしてめちゃくちゃ稼いだんだ。終いにはやりすぎてディーラーに止められてた」

ステュ「ついに止められたのかアラン」

フィル「まさにレインマンだな」

フィル「じゃあカジノへ行ったあと、俺たちと別れたのか?」

ケビン「そうだよ」

フィル「別れ際に俺たち何か言ってなかったか?」

ケビン「んー……なにか言ってたっけ」

マイケル「俺の覚えてる限り、『ホテルへ戻る』ってぐらいしか……」

ステュ「確かに監視カメラにも一度戻った僕たちが撮影されてたしね」

フィル「ああ、そうだな」

ケビン「ごめん、僕たちの知ってることはこれぐらいだ」

ステュ「いや、十分さ、ありがとう」

マイケル「また今度ここに来てくれよ、そしてまたベガスの夜を楽しもう」

フィル「ああ、ありがとう……じゃあ行くか、ステュ」

ステュ「ああ」

ステュ「……そうだ、ちょっと待ってくれフィル!」

フィル「?」

ステュ「なあケビン、頼みたいことがあるんだ」

ステュ「フィルはさきに車に行っててくれ」

フィル「おいおい俺は仲間外れかよ」

ステュ「いいから」

フィル「……急いでるんだ、早く来いよ」

ステュ「ああ」




ケビン「……うーん、二人がOKって行ってくれるかは分からないけど、僕はOKだよ」

ステュ「本当かい!?」

ケビン「ああ、喜んで」

ステュ「ありがとう……それじゃあ」

ケビン「ああ」

マイケル「またこの店に来てくれよ!安くするからさ!」

ステュ「絶対来るよ、ありがとうマイケル」


ブロロロロロ……


――車内

フィル「なあステュ」

ステュ「?なんだい?」

フィル「お前ケビンに何を頼んだんだ?」

ステュ「……秘密さ」

ブロロロロロ……


フィル「次はサファイヤだな」

ステュ「……なあフィル、そのことなんだけど……さっきから気になってるんだよ」

フィル「なんだ?」

ステュ「確か支配人は監視カメラの音声から『サファイヤで乱交パーティだ!』って叫ぶダグの声を聞いたんだよな?で、そのあとは皆バラバラで行動したって」

フィル「ああ、だから今チャウの手掛かりを探すことも含めてサファイヤに向かってるんだろ」

ステュ「でもそれじゃ時間がおかしい」

フィル「どうゆうことだ」

ステュ「確かダグは9時半に寄った武器工場の売人に人質に取られたんだよな」

フィル「ああ」

ステュ「だとしたらホテルの監視カメラにダグが写ってるはずがない」

フィル「……確かに、じゃあ監視カメラに写ってたやつは誰なんだ」

ステュ「分からない……ん?」

フィル「どうした?」

ステュ「……そうかわかったぞ!!」

フィル「分かったのか!誰なんだ?」

ステュ「……フィル、支配人は確かそのカメラに写った男をこう表現してたはずだ」

ステュ「『猿みたいに背の小さい』男だって」

フィル「ああ……」

フィル「……そうゆうことか!!」

ステュ「」コクッ

ステュはフィルの言葉に静かに頷く。

フィル「どうりでらしくない言葉だったわけだ!」

ステュ「そうゆうことさ、だから監視カメラに写ってた男は……」

フィル「……"チャウ"ってことだな!!」

ステュ「ああ」

フィル「そうと分かれば早く行くぞ!」

異常に眠いので
今日はここまでにします。

読んで下さった方、
ありがとうございました。

再開します

ブロロロロロ……

『ゴホンッ!……あー、こちらアラン・ガーナー……』ブチッ

ステュ「……ダメだ」

フィル「どうした?」

ステュ「今チャウの携帯でアランの携帯にかけてみたんだ、だけど繋がらない」

フィル「クソ……とりあえずチャウを見つけるしかないってことか……そうだ!」

ステュ「どうしたんだフィル?」

フィル「前にアランが使ってただろ!ほら……GPSがどうとかいう……」

ステュ「……ダメだ、チャウの携帯じゃ出来ない」

フィル「ダメかよ……」

ステュ「はぁ……ダグが殺される」

フィル「縁起でもないこというな!」

ステュ「だって実際そうじゃないか!僕たちが分かったことはチャウがどの建物に寄ったかってくらいで、チャウの居場所が掴めたわけじゃないんだ!!」

フィル「そんなことは分かってる!ったく冷静になったり急に騒ぎ出したり忙しいやつだな!!」

ステュ「うるさい!もう僕はこの緊張感でどうかなりそうなんだ!」

フィル「ったく……これならダグかアランの方がよっぽど冷静だよ!」

ステュ「そうかいそうかい、悪かったねぇ僕が一緒で!」

フィル「はぁ……頭痛くなってきた」

ステュ「きっと二日酔いのせいだろうねぇ」

フィル「黙ってろ」

――サファイヤ、駐車場

フィル「ほら、着いたぞ」

ステュ「ほんとに手掛かりは見つかるのかねぇ」

フィル「お前のネガティブシンキングにはつくづく腹が立つ」


――サファイヤ、クラブ内


フィル「えらくデカイストリップクラブだな……」

ステュ「このベガスじゃ結構人気らしいね」

フィル「人気ともなるとこの規模か……」

オーナー「いらっしゃい~」

フィル「あーどーも、えーと、少し聞きたいことがあるんだけど……」

オーナー「……もしかして、チャウのこと?」

フィル「ああ!知ってるのか!」

オーナー「まぁな、ちょっと待ってろ、渡すものがある」

タッタッタッ……

フィル「渡すもの……?」

ステュ「……なんだ?」

オーナー「これだ」

サファイヤのオーナーは二人に持ってきた物を見せた。

フィル「……!?俺たちの携帯だ!!」

ステュ「なんでアンタが持ってる!?」

オーナー「チャウから渡されたのさ、『私を探してるというやつが来るまで、これを預かってくれ』とね」

フィル「は!?何のために!?」

オーナー「で、チャウから伝言を預かってる」ガサガサ

オーナーはポケットからチャウのメモを取り出す。

ステュ「全く……チャウは何を考えてる?」

フィル「少なくとも、常人の俺たちに理解できることじゃないだろうな」

オーナー「じゃ、読むぞ?」

オーナー「『やあ、最高のクソッタレども、といっても、ダグはいないだろうから、また三人で私を探してるのかな?』」

ステュ「ふん、残念だがアランもいないよ」

フィル「全くだ」

オーナー「『私が仕掛けたパーティは楽しかったかい?ああ、覚えていないか、こりゃ失敬』」

フィル「……」

オーナー「『私をあの売人のところへ連れていきたいんだろう?だったら、チャールストン山のふもとまで来い、昨日あったことを教えてやる、それじゃあねさいなら~』」

フィル「……」

ステュ「……なあフィル」

フィル「なんだ」

ステュ「今僕はチャウをボコボコにしたい気分なんだけど、僕はイカれちまったのかな」

フィル「いいやステュ、俺も全く同じ気持ちだ」

オーナー「お前ら何があった?この携帯といい、チャウに何かされたのか?」

ステュ「何かされたどころじゃない、気持ち的にはオカマのヤク中にぶっとい針をケツに刺された気分だよ!」

フィル「オカマのヤク中ねぇ」

ステュ「……フィル、お願いだから僕を見るな」

フィル「随分親しげだが、アンタチャウとどうゆう関係なんだ?」

オーナー「あー、チャウはここの常連でね、最高にワイルドで楽しい奴さ、昨日もハンドガンぶっぱなしながら人質プレイだとか言って店の子に銃向けながら全員とダンスしてたよ。そのあとも何人かお持ち帰りしてたから一晩楽しんだろうね」

フィル「チャウならやりそうだな」

ステュ「僕たちがどれだけヤクをやってもチャウのテンションには敵わないね」

オーナー「ホント楽しい奴さ」

フィル「でー、そのこと以外で他に何かないか?」

オーナー「そうだねぇ……」

オーナー「二人ともうちで楽しんでくかい?イイ娘揃ってるよ」

フィル「……」

ステュ「……仕事熱心で感心するよ」

――車内

バタンッ!

フィルは勢いよく車のドアを閉めると、深くため息をついた。

フィル「……とことんクズ野郎だな」

ステュ「ああ、僕は怒りを通り越して冷静になったよ」

フィル「どうりでアランに繋がらないわけだよ」

ステュ「全部チャウの計画通りってことだろうね」

フィル「今ならどんなやつが現れても怒りでどうにかなりそうだ」

カチャ

ステュ「ああ、ホントだよ……フィル!!窓窓!!」

フィル「は?……うぉあっ!?」

フィルがステュに言われて運転席の窓を見る。そこには銃を持った二人組の男が立っていた。

出掛ける予定が出来たので
一旦終わります

相変わらず更新が遅くすみません。

ガチャ!

二人組は車のドアを勢いよく開けると、フィルとステュを無理矢理外へ放り出した。

フィル「やめろやめろ離せ!!痛いだろ!!クソ!!」

ステュ「今度はなんなんだ……ん?」

ステュは何かに気づき改めて二人を見る。それは、チャウに最初に出会った時にいた仲間の二人だった。

フィル「……あれ?アンタらはチャウと一緒にいた……」

ステュ「本当だ、チャウの仲間じゃないか」

男1「そんなことはどうでもいい、チャウさんはどこだ!!」

フィル「おいそんな焦るなって……」

バンッ!

フィル「うわっ!?」

ステュ「ぎゃあ!?」

男の一人がフィルの近くへ銃を発砲する。

男1「チャウさんはどこだ!?」

フィル「おい何すんだよ!?」

男1「さっさと答えろ!!」

フィル「だから今答えようとしたろ!!何をそんなに焦ってる!?」

男の一人はそのフィルの言葉に反応し、一瞬戸惑ったような表情を見せると、その口を開いた。

男2「実は……」

フィル「仲間が謎の男に人質に!?」

男2「ああ……」

男1「だからチャウさんを連れてこないとそいつが殺される」

フィル「全く、あいつにはどれだけの敵がいるんだ……」

ステュ「いつまでに連れてこいって?」

男1「夜明け前までにビッグ・ロックへ連れてこい、との約束だ」

フィル「あのときの場所か……だが、十分間に合うな」

フィル「チャウは多分、今チャールストン山にいる」

男2「チャールストン山か……確かチャウさんが新しく別荘を作った場所だな」

フィル「あいつまた家建てたのか!?」

ステュ「多分、マーシャルの金塊の金だろうね」

フィル「どうかしてる」

男1「俺たちも後でそこに向かう、まだ済ませなきゃならないことがあってな」

男2「そうだ、だから先にチャウさんと会っててくれ」

フィル「ああ、分かった」

ブロロロロロ……

ステュ「さて……チャウの手掛かりが掴めたものの……」

フィル「ああ、肝心のアランがまだだ」

ステュ「……なあ、ここからは二手に別れて探索しないか?このままじゃアランを探せそうにない」

フィル「そうだな……確かに時間的に効率はいいけど、お前車はどうする?」

ステュ「地図によると……多分この先にレンタカーがある、そこで適当に借りるさ。着いたら降ろしてくれ」

フィル「了解」

――レンタカー、駐車場

フィル「気を付けろよ、ステュ」

ステュ「それはこっちのセリフだ」

フィル「もしなにかあったら、携帯に連絡してくれ」

ステュ「君もな」

ステュ「……死ぬなよ」

フィル「それを聞くのも二回目だな」

ステュ「はは……そうだね、じゃあ安心だ」

フィル「ああ、悪運だけは強いからな……それじゃ」

ブロロロロロ……

フィルはステュにそう言うと、車を走らせ目的の場所へ向かった。

ステュ「……僕もアランを探すとするか……」

ステュはそう呟くと、歩いてレンタカーの入口へと向かう。

プルルルルルル♪

だが、その途中でステュの携帯の着信音が鳴った。

ステュ「誰だ……?……え、ジェイド!?」ピッ

ステュ「も、もしもし?」

ジェイド「もしもし!?ステュなのね!?あの、そっちにタイラーはいない!?」

ステュ「いないけど……まさか!?」

ジェイド「ええ、タイラーがいなくなっちゃったの!!」

ステュ「なんだって!?」

時間が空いてしまいましたが
再開します


――その頃のフィル


ブロロロロロ……


フィル「チャールストン山までは……あと30分ぐらいか、今は……9時、まだ余裕だな」

フィル「……ホントにいるんだろうな、チャウの野郎」

フィルはそんな不安を抱えながらも、真っ直ぐチャールストン山へと向かった。


――チャールストン山、ふもと


フィル「ん……あれか?」

夜の暗闇の中、フィルは車のライトを頼りにフロントガラスを覗く。そこには一台の車と一人の人影があった。フィルは目を凝らしながらよくその影を見た。

フィル「……な!?」

そこには余裕の表情で手を振る中国人と、見覚えのある車が止まっていた。

バタンッ!

チャウ「やあイケメンフィルくん、久しぶり」

フィルが車から降りると、彼が戸惑う様子も気にせず、チャウは早速声をかけた。

フィル「な、なんで……」

フィル「なんでお前が俺たちのベンツを持ってる!?」

フィルはその車――ベンツに指をさし、チャウにそう聞いた。

チャウ「いやー、チャウ、一度ベンツを乗り回してみたかったのさ、私はアジア車しか好まないから乗ったことがなくてね……あでもヒュンダイは別ね?だが……」

チャウはフィルが乗ってきた自分の車のボンネットに頬をこする。

チャウ「わが愛しのオーリオン、やっぱり君の乗り心地の良さには敵わないねぇ、うん」スリスリ

フィル「お前……そんな理由で……」

チャウ「いいだろ?オーリオンを貸してやったんだからお互い様さ」

フィル「頼んだ覚えはない」

チャウ「で、来たのは君だけかい?」

フィル「ああ、色々あってな」

チャウ「相変わらずだねぇ……まぁいい、このベンツに乗って、チャウのオーリオンについてこい、私の別荘に案内しよう」

バタンッ!

チャウはフィルにそう言うと、自分の車に乗った。

フィル「……何が『相変わらずだねぇ』だ、呑気な奴め」


――チャウの別荘、駐車場


チャウ「さあ着いたぞ」

フィル「無駄にデカイな……こんな山の中に存在してることに違和感を感じる」

チャウ「ありがとう、この別荘は今の別荘で三番目に気に入ってる別荘さ」

フィル「三番目って……また他の場所にも建てたのか」

チャウ「チャウは国際犯罪者よ?それぐらい当たり前さ」

フィル「全く……」

フィル「で、チャウ、お前は昨日俺たちに何をした?」

チャウ「……私はひどく傷ついた」

フィル「……は?」

チャウ「君たちとまたイカれた夜を楽しみたかったのさ」

チャウ「なのに君たちはチャウと縁を切るだなんて抜かすだろう?だからチャウはあのあと考えた」

チャウ「今度はいつか、私自身であのイカれた夜を計画しようとね」

フィル「ったく……なんで俺たちがホテルにいると分かった?」

チャウ「チャウをなめるなよ?チャウのキュートなお鼻はワンワンよりも鋭いのね、だから君たちを見つけることなんて朝飯前さ」

フィル「……なんで分かった」

チャウ「ノリの悪いイケメンだ……たまたまだよ、昨日はあそこで『マリファナ』の取引をしたのさ、Mr.クリーピーって最高の変態野郎とね?」

フィル「クリーピー……って、あいつか!?支配人と友達だとか言ってた!?」

チャウ「でもチャウはマリファナなんてあんな赤ちゃん専用のヤクはやらないよ?だから本当は私の友達のデイヴィッドに倍額で売り付けるつもりだったんだが……」

チャウ「ホテルの受付にいる君たちを見かけた」

チャウ「そしてチャウは思い付いたんだ――このマリファナで君たちと最高の夜を楽しもうとね」

フィル「クソ……」

フィル「お前自分でなにしたか分かって……」

ドンッ!

?「ウキィャァァァ!!!」

フィル「うわぁぁぁ!!?」

フィルは突然の事態に驚く。二人が話している途中で、突然なにかがフィルの肩に落ちてきたのだ。

チャウ「アハハハハ!!間抜けな驚き方だぁ!おいデクスター、やめろ」

デクスター「ウキィ……」

デクスターと呼ばれたその猿はチャウの言葉に反応し、フィルの肩から降りた。

フィル「はぁ……なんでコイツがここにいる!?」

チャウ「私が動物病院に寄ってコイツを連れてきたのさ、何気に役に立つからねぇ、なぁデクスター?」

デクスター「ウキィ!」

フィル「……とにかく、お前のせいで色んな奴が迷惑かかってんだ、分かってんのか!?」

チャウ「は!迷惑?馬鹿馬鹿しい!そんなの、私が失ったものと比べたら全然足りないねぇ」

フィル「なんだと!?」

チャウ「……バンコクに捕まってから、チャウの人生はメチャクチャさ」

チャウ「財産は没収され、オークションで家を全て売り飛ばされ、Mrs.チャウには捨てられ、仲間にも裏切られ、更に君たちに縁を切れだなんて、チャウのガラスのハートはひびだらけさ……まぁ金はマーシャルから奪った金塊があるからいいんだけどね」

チャウ「……チャウを癒してくれるのは、このお猿のデクスターだけさ」

フィル「……」

チャウ「そんな私だ、少しはチャウを労ってくれてもいいだろう、フィル?」

フィル「はぁ……」

フィル「……待て、今なんて言った?」

チャウ「え?だから、チャウを少しは労って……」

フィル「違う、その前だ!さっきお前、仲間に裏切られ……て」

チャウ「ああ、それがどうした」

フィル「……まずい」

プルルルルルル♪プルルルルルル♪

フィル「早く……早く繋がれ……」

ガチャ

フィル「ふぅ、良かった!もしもし、ステュか!?」

ステュ「ああフィル!こっちも電話しようとしてたところだ!」

フィル「どうした!?アランが見つかったのか!?」

ステュ「……いや、まずい状況になった」

フィル「は!?今度はなんだ!?」

ステュ「ジェイドから今電話があって……タイラーがいなくなったらしい」

フィル「なんだと!?」

ステュ「だから今ジェイドの家に向かってるところなんだ、そっちはどうした?」

フィル「それが、チャウに会う前に俺たちあいつの仲間に会ったろ?」

ステュ「ああ」

フィル「実はあいつらがチャウを探してたのは人質を取られたからじゃなく、チャウを[ピーーー]ためだったらしい」

ステュ「嘘だろ!?居場所を教えちゃったじゃないか!?」

フィル「ああ、だから今逃げる準備をしてる……!?」

フィル「……マジかよ」

ステュ「どうしたフィル!?」

ブチッ!

ツー、ツー、ツー……

ステュ「おいフィル!フィル!!」

ブロロロロロ……


――車内


ステュ「クソ!なんでどんどんおかしなことに巻き込まれるんだ!」

ステュ「……はぁ、今はとりあえず、落ち着いてジェイドの家へ向かおう」


――ジェイドの家

ピンポーン

ジェイド「はーい」

ステュ「……おっと、よく考えたら僕一人だった……」

ガチャ

ジェイド「ああステュ!来てくれて助かったわ」ギュ

ステュ「あ、ああ……で、タイラーがいなくなったってどうゆうこと?」

ジェイド「そうなの、私がお風呂に入ってる少しの間にいなくなっちゃったの!」

ステュ「それはいつぐらいのこと?」

ジェイド「えーと……8時半にお風呂を出たから、その前ぐらいだと思う」

ステュ「そうか……」

ジェイド「ディックはさっき病院に呼び出されたみたいで携帯にかけても出ないし……」

ステュ「警察にはもう連絡した?」

ジェイド「ええ……だからあと20分くらいでこの家に来てくれるって言ってたけど……」

ステュ「そうか……なにか心当たりは?」

ジェイド「ううん、全く」

ステュ「参ったな……」

ジェイド「もしタイラーになにかあったら……」

ステュ「大丈夫さジェイド、僕も協力する」

ジェイド「でもステュ、あなたはアランを……」

ステュ「アランもタイラーもきっと見つける、だから安心してくれ」

ジェイド「……なんでここへ来てくれたの?」

ステュ「え?」

ジェイド「私と会うのは……その……」

ステュ「何を言ってるんだ、今はそれどころじゃないだろう」

ジェイド「……そうね」

ジェイド「……ありがとう、ステュ」

――ジェイドの家、玄関


ステュ「タイラーを見つけたら必ず連絡するよ」

ジェイド「ありがとう」

ステュ「ああ、それで……」

ジェイド「……?」

ステュ「……結婚式、来るかい?」

ジェイド「……いいの?」

ステュ「いいも何も、僕がおかしなことをペラペラ口走ってただけだし……」

ジェイド「あはは、確かハワイよね?」

ステュ「ああ、僕らが必ずここへ迎えに来るよ」

ジェイド「ホント?タイラーもこの子もきっと喜ぶわ……」ナデナデ

ジェイドは自分の膨らんだお腹を微笑みながら撫でる。

ステュ「……それじゃ、またタイラーが見つかったら」

ジェイド「……ええ、それじゃあ」


バタン……


ステュはジェイドのその言葉を聞くと、ゆっくりと玄関のドアを閉めた。

ブロロロロロ……



ステュ「ふぅ……」

ステュ(タイラーにアラン……なんだろう、この組合わせ、すごく嫌な予感がする)

ステュ(とりあえず、二人を探そう……カジノに手がかりを聞きに行くついでに途中の道を目を凝らして探すか)

ステュ(見つかるといいけど……)


――その頃のフィル


ブロロロロロ……


バンッバンッバンッ!!!


フィル「うわ!?」

キュルルルルル!!


あれからフィルはチャールストン山からラスベガスのストリップまで車で逃げていた。街中を猛スピードで運転するフィルの車に、後ろから数台のバイクが追いかけてきている。そのバイクに乗っている謎の男たちの放った銃の弾丸が、何発かフィルの車に直撃した。


チャウ『アハハハハ!!銃撃パーティだねぇ!!』

フィル「うるさいチャウ黙ってろ!!」

バンッ!!

フィル「ヤバイヤバイヤバイ死ぬ死ぬ!!」

キュルルルルル!!

バンッ!!

キュル!

フィル「クソ!タイヤが!!」

フィルの車のリアタイヤに弾丸が当たってしまい、フィルはそれでバランスを崩した車を必死にハンドルでコントロールする。


キュルルルルル!!


フィル「クソ!!ハンドルが効かない!!」

チャウ『あーあ、お疲れちゃん』

フィル「チャウ、少しは焦って……チクショウ!!」


ガシャアアアアアアン!!!


だが、パンクしたフィルの車は結局操作できず、そのまま街の街灯へ真っ直ぐ突進していった。

シュウウウウ……

フィル「う、うう……」

カチャ

謎の男1「おい、チャウを出せ」

謎の男たちはフィルの車の運転席へ集まると、その中の一人が銃を向けながらそう言った。

フィル「……チャウはいない」

謎の男1「どうゆうことだ!!」

フィル「この車には……いないんだ」

フィルはそういうと、下に落ちた携帯を拾い、謎の男たちに向ける。

チャウ『そうゆうことさ間抜けども、私を捕まえたかったらその足りない頭をよく回転させてから来るんだったねぇ、それじゃあねぇクソ野郎共?』ブチッ!


ツー、ツー、ツー……

謎の男1「クソッ!!チャウめ!!」

ガシャン!!

謎の男の一人はそう言って怒りに任せ地面に銃を叩きつけた。

フィル「……ってことだ、だから他を当たってくれ……」

謎の男2「そうか、だがその前に……」

カチャ

謎の男の一人がフィルのこめかみに銃を当てる。

フィル「……マジか」

謎の男2「死んで償え」

フィル「クソ……」

バンッ!!

今日はここら辺で終わります。

読んでくれた方やコメントをしてくださった方、ありがとうございます。

再開します


バンッ!!

警察「おいお前ら、何をしてる!!」

警察の男性は事故車に群がる謎の男たちに威嚇射撃を放つ。

謎の男2「クソ、サツか……!逃げるぞ!」

謎の男たち「ああ」

謎の男たちは、その警察の言葉を無視しそれぞれのバイクに乗って走り去った。

タッタッタ……

警察「!?おい君大丈夫か!?」

フィル(な、なんだ……誰だ……?)

警察「おいしっかりしろ!?」

フィル(ヤバ……もうだめだ、意識が……)

警察の声も気にできない程意識が遠退いていた彼は、やがてその意識をゆっくりと閉じていった……。

――その頃のステュ


ブロロロロロ……


ステュ(フィル……無事でいてくれよ……)


――シーザーズ・パレス、入口


ステュ(カジノに寄る前に部屋に戻ってみるか)

――シーザーズパレス、2452号室。

ステュ(そういえばこの部屋、よく探してないな……)

ステュ「なにか手がかりがあるかもしれない」

ステュ「……はぁ、結局何もないな」

ステュ「……まさか……屋上か!?」

ステュはそう呟いたあと、真っすぐ屋上へ向かう。

――シーザーズ・パレス、屋上

ステュ(あれ……開いてる?)

ステュが屋上のドアの前で立ち止まる。なぜか屋上のドアが開いたまま固定されていたのだ。
ステュはそれに疑問を感じながらも、屋上へ足を踏み入れる。

ステュ「アランー!いるのかー!」

ステュはそう叫びながら屋上にある梯子を登る、すると。

ステュ「……あ、アラン!!」

アラン「……あれ、ステュ?」

そこには本当に、ステュが探していた男、アランが居た、見覚えのある子供と一緒に。

ステュ「それにカルロ……タイラーまでいるじゃないか!」

タッタッタ……

ステュは急いで二人に駆け寄る。

ステュ「なんでタイラーがここにいるんだ!」

アラン「仕方ないだろ!だって遊びたかったんだ……」

ステュ「だから、なんでここにタイラーがいるんだ!」

アラン「……ジェイドの家から連れてきた」

ステュ「……は?」

アラン「最初は連れ出す気なんてなかったんだ、でも……」

ステュ「……アラン、とりあえず何があったのか話せ」

アラン「……分かった」

アラン「俺……目を覚ましたら牢屋の中に居たんだ」

ステュ「牢屋の中!?どうして!?」

アラン「公然猥褻で捕まったらしい、公園のど真ん中で真っ裸で倒れてたみたい」

アラン「まぁ結局泥酔してたこともあって罰金払ったらすぐ釈放されたんだけど」

ステュ「お前はどんどん前科を増やしていくな」

アラン「で、釈放されたのはいいんだけど車もお金も無いから歩いて色々探してたんだ」

アラン「そしたら犬に会った」

ステュ「犬?」

アラン「ああ、ほら来いよキャトル」

キャトル「ワン!」

アランがそう呼ぶと、一匹のダルメシアンが彼のもとへ駆けてきた。

アラン「どうステュ?101匹わんちゃんみたいでしょコイツ、ちょー可愛いんだ。途中の路地裏で会った」

キャトル「ワンワン!」

ステュ「……と、とりあえずその後は?」

アラン「で、色々歩いて回ってたらジェイドの家に着いたんだ」

アラン「最初は本当にジェイドに皆の居場所を聞こうと思ったんだ、でも……」

アラン「呼び鈴を鳴らしたらこの子が玄関に一人で出てきたのを見て、つい……」

ステュ「連れてきちゃったって言うのか!?」

アラン「俺だって悪いことだと思ったんだ、だけどカルロスとの思い出を作りたかった!」

ステュ「この子はカルロスじゃなくてタイラーだ!お前自分で何したか分かってんのか!?」

アラン「だって、コイツ俺たちと過ごしたあの時間だって忘れてる、カルロスってイカした名前も俺が考えたのに、それすら忘れちゃってた、そんなの寂しいじゃないか!それに……」

ステュ「なんだ!」

アラン「目覚めたらもう昼だし、皆もいないし、昨日の晩のことだって覚えてない、こんなに寂しく独身パーティを終わらせたくなかったんだ」

ステュ「だとしてもやっていいこととわるいことがあるだろ!せめてジェイドに一言言ってから連れ出せば良かったじゃないか!」

アラン「今そんなこと言うなよ!もう連れてきちゃったじゃないか!」

ステュ「知るかアホ!!」

ステュ「とりあえず、タイラーに謝るんだ」

アラン「……ごめんよカルロス……」

タイラー「ううん、楽しかったよ、それに……」

タイラー「アランの言う通り、この景色、すごく綺麗だね」

アラン「……ああ、俺たち元狼軍団の、思い出の場所さ」

ステュ「……」

タイラー「また一緒に遊ぼうね、ホントのパパ?」

ステュ「……ホントのパパ?」

アラン「ああ、絶対遊ぼう、約束だ」

ステュ「おいアラン、ホントのパパって――」

アラン「行こうステュ、皆のところへ」

ステュ「あ、ああ……」

アラン「キャトル、行くぞ」

キャトル「ワンッ!」

アラン「ところでステュ」

ステュ「なんだよ」

アラン「フィルとダグはどうしたの?」

ステュ「……今面倒なことに巻き込まれてるみたいでな」

アラン「そう……その髪型は?」

ステュ「……昨日色々あったらしくてな」

アラン「最高にイカしてる」

ステュ「……どーも」

アラン「嘘、最高にイカれてる……ぷぷっ」

ステュ「……」


プルルルルル♪プルルルルル♪


ステュ「ん……!?フィルからだ!?」

アラン「フィル!?」

ステュ「もしもし!?」

?『もしもし、あのー、プライスさんの携帯でよろしいでしょうか?』

ステュ「……え、そうですけど、あのー……」

?『私はサンライズ病院のカレン・マーベリックというものですが、お友達のウィネックさんが病院に運ばれて……』

ステュ「なんですって!?何があったんですか!?」

カレン『外部には軽傷しか見当たらないようなので命に別状はないみたいなのですが、軽い脳震盪を起こしてて意識が……』

ステュ「嘘だろ……!!」

アラン「ねぇステュ、何て言ってるの?」

ステュ「……フィルが病院に運ばれた」

ブロロロロロ……

ステュ「まずはジェイドの家だ、先にカルロ……タイラーを置いてこないと」

アラン「そうだね」

ステュ「全く、君が余計なことをするせいで無駄に時間を食った!」

アラン「ごめんステュ……」

ステュ「……な、なんだ、やけに素直じゃないか」

アラン「なんだよ、せっかく謝ったのに、ったく」

ステュ「分かった分かった」

タイラー「ねぇアラン」

アラン「どうかした、カルロス?」

タイラー「……ううん、やっぱなんでもない」

アラン「?」

ピンポーン

ジェイド「はーい」

タッタッタ……

ジェイド「……あれ、皆……タイラー!?タイラーを見つけたの!?」

ステュ「ああ、どうやら、アランの仕業だったらしい」

ジェイド「ああタイラー!無事だったのね!」ギュ

ジェイドは玄関から出てくると真っ先にタイラーを抱き締める。

アラン「ごめんジェイド、俺……」

ジェイド「……お願いだから、二度とこんなことしないで、アラン」

アラン「……ごめん」

ジェイド「今度からタイラーと遊ぶ時は、ちゃんと私に伝えてから、ね?」

アラン「……ああ、そうするよ!」

ステュ「全く……すまなかった、ジェイド」

ジェイド「いいのよ、この子が無事なら」

タイラー「ねぇママ」

ジェイド「どうしたの?」

タイラー「……すごく楽しかった」

ジェイド「……ふふ、良かったわね?」

ステュ「そういえば警察はまだ?」

ジェイド「ううん、さっきもう来たわ、警察に見つかったって連絡しないとね」

ステュ「アラン、二度とやるなよ」

アラン「ああ……」

ステュ「じゃあ、僕たち急いでるから、これで……」

タイラー「アラン待って、渡すものがあるんだ」

アラン「渡すもの?」





タイラー「はい、これ」

タイラーはそういうと、あるものをアランに手渡した。

ステュ「カウボーイハットじゃないか、どこで……」

ジェイド「……ああ、今日家族でチャールストン山に行く前に、タイラーが「乗馬するならカウボーイハットが欲しい!」って言うから買ったのよ、二つも買った理由はそれだったのね……」

ステュ「ああ、確かあそこには乗馬ツアーがあったね」

ジェイド「そうそう、ディックと一緒に乗馬したんだけど、楽しそうにはしゃいでたわ」

ステュ「それは良かったね」

アラン「ありがとう、カルロス」

ジェイド「え?」

ステュ「あ、アホ、この子はタイラーだ」

アラン「いや違う、俺にとってはカルロスだ、タイラーよりよっぽどイカしてる、だろ、カルロス?」

タイラー「うん」

ジェイド「あ、あはは……」

ステュ「はぁ……」

ブロロロロロ……

ステュ「早く病院へ向かうぞ、フィルが待ってる」

アラン「ねぇステュ」

ステュ「どうした……」

ステュ「……」

ステュがアランの座る助手席へ目をやると、先程のカウボーイハットをかぶっているアランの姿があった。

アラン「どうステュ?似合ってる?」

ステュ「……ああ、イカしてる」

アラン「インディ・ジョーンズみたい?」

ステュ「ああ、様になってる」

アラン「えへへ、サッチェルを買っておいて良かった」

ステュ「……」

ステュ「というかその犬、誰の犬なんだ?」

アラン「分かんない、首輪しか着いてないし」

ステュ「……首輪が着いてるなら大抵のことは分かるだろ」

アラン「そうなの?知らなかった、おしゃれな首輪だよね、これ」

ステュ「……勘弁してくれよ」





ステュ「何か書いてあったか?」

アラン「名前が書いてある……ベリーだって、コイツメスみたいだ、オスだと思ってたのに。股間にチンチンみたいなのが……」

ステュ「そんなことはどうだっていい、電話番号とか、住所は書いてないのか?」

アラン「えーと……ホントだ、電話番号が書いてある」

ステュ「やっぱり……よし、この問題が解決したら必ず届けよう」

――サンライズ病院、病室

ステュ・アラン「フィル!!」

フィル「んあ……ステュに……アラン!?」

ステュ「良かった、意識を取り戻したんだな!」

アラン「フィル!!生きてたんだね!!」ギュ

アランはベッドで寝ているフィルに力強くハグをする。

フィル「イタイイタイ離せアラン!!」

アラン「ご、ごめんフィル」

フィル「ステュ、アランを見つけたのか!」

ステュ「ああ、まぁ色々あってね、シーザーズのカジノに寄らなくて済んだ……そういえばチャウは!?お前何があったんだ!?」

フィル「ああ、アイツは今売人のところへ100万ドル払いに行ってる、だから安心しろ」

ステュ「そうか……」

フィル「でー、実はな……」

ステュ「事故にあった!?」

フィル「ああ、変な奴等に追いかけられてな、多分あの二人組の仲間だろう」

ステュ「そういえばなんでチャウと一緒に車に乗らなかったんだ」

フィル「囮さ、俺がチャウの車で逃げてあいつらを引き付け、その少し後にチャウはベンツでダグのところへ向かった」

ステュ「フィル……ばか野郎、一歩間違えたら死んでたんだぞ……」

フィル「はは……でもこの通り大丈夫だろ?なんてったって、悪運が強いからな、俺たち」

アラン「……イカしてる」

フィル「は?」

アラン「……フィル、ビデオに取るから、もう一回今の台詞言って、メチャクチャかっこよかった」

アランはそういうと、携帯を取り出してフィルに向けた。

フィル「ゴホンッ!……でもこの通り大丈夫だろ?なんてったって、悪運が強いからな、俺たち」

ピロン♪

フィル「……撮れた?」

アラン「……うん、サイコー!ちょーかっけー!」

ステュ「……君たちは何をしてるんだ」

これから仕事なので、
今日はここまでで。

相変わらずのローペースですが、
読んでくれた方、ありがとうございます。

再開します


フィル「とりあえず退院の手続きをしにいこう」

ステュ「アホ、まだ意識を取り戻したばかりだろう、脳を刺激するような真似はするな、また脳震盪を起こしたらどうする」

フィル「おおう、さすが自称ドクター、それっぽいこといいやがって」

ステュ「……歯医者だってドクターだ」

フィル「分かった分かった、つまらんこと言ってないで早く行くぞ、そろそろチャウもダグを救出出来たところだろう」


プルルルルル♪プルルルルル♪


ステュ「電話……チャウからだ!」

フィル「ほら、噂をすれば」

アラン「すごいねフィル、超能力?」

フィル「まぁな」

ステュ「ったく……もしもし?」

チャウ『あーもしもし、Dr.プライスくん?ニュースだよ』

ステュ「取引は無事済んだのか!」

チャウ『ああ、取引は済んだ』

ステュ「……取引"は"?」

チャウ『そこでチャウから良いニュースと悪いニュースがあるんだよね、どっちを先に聞きたい?』

ステュ「……良いニュースからお願いするよ」

チャウ『私を追ってた奴等の正体が分かった』

ステュ「……それはお前にとっての良いニュースだろが!!悪いニュースはなんだ!!」

チャウ『ダグちん連れ去られちった』

ステュ「……は?」

チャウ『連れ去られ』ブチッ

フィル「お、おいステュ、どうした、すごい顔だぞ」

アラン「ステュ怖い……」

ステュ「ダグが……」

フィル「?」

ステュ「ダグが連れ去られたらしい」

フィル「……嘘だろ」

ステュ「なんでこう……僕たちはいつも……クソ!!」

フィル「ダグ……お前ってやつはどこまで誰かの人質になれば気が済むんだ……」

アラン「ダグ、また捕まっちゃったの?」

ステュ「ああ……」

昨日はいきなり終わってすみません
再開します


プルルルルル♪プルルルルル♪


ステュ「はあ……またチャウから着信だ」

ステュ「……もしもし?」

チャウ『おい途中で切るなマヌケ!チャウの話はまだ途中だ』

ステュ「これ以上何を話すんだ」

チャウ『……まぁいいだろう、チャウ様直々にそっちに向かう、それから話をしようじゃないか』

ステュ「そうか、是非楽しい話を聞かせてくれ」ブチッ

ステュ「ったく……あいつのせいで全てがメチャクチャだ!!最後の独身パーティだったってのに!!」

フィル「ステュ落ち着け……」

ステュ「落ち着いてられるか!あいつのせいで独身パーティを邪魔されて、あいつのせいでこんなイカれた頭にされて、あいつのせいでお前は病院送り、そして助かるはずだったダグも見失った!!」

フィル「だから落ち着けって、それにダグを人質にしたのは俺たちだ」

ステュ「ぐぐぐ……んもう!!」

アラン「どうするの、フィル」

フィル「決まってんだろ、退院の手続きだ、さっさと受け付けに行くぞ、ほらステュ」

ステュ「鬱になりそうだ……」

――サンライズ病院、受付前

?「あれ……君たちは」

フィル「え……あ!?アンタは!?」

ステュ「フィルが前に入院した時にいた……」

?「ああ、名医Dr.ヴォルシュだ」

ステュ「なんでアンタがここに?あの病院に勤めてたんじゃ……」

ヴォルシュ「ああ、ここはあそこの病院と姉妹病棟のようなものでね、ここに異動になったのさ」

アラン「何か悪いことしたの?」

ヴォルシュ「……違う、今ここの病院はかなり発展してて、既存のドクターじゃ人手不足で回していけないらしい、だから助けゴマってところさ」

フィル「まさかアンタともう一度会うなんてな」

ヴォルシュ「ああ、縁とは恐ろしいもんだ」

ステュ「全くだね」

フィル「……って違う!おいヴォルシュ、退院手続きをしてくれないか、出来るだけ早めに」

ヴォルシュ「どうした、また何かやらかしたのか」

フィル「ま、まぁそんなところだ」

アラン「また全員頭がぶっとんで記憶もぶっとんじゃった、アハハ!」

ヴォルシュ「……飽きないねぇ、偶然なことに私は今暇だ、ちょっと待ってろ」

フィル「ありがとう、やっぱ本物のドクターは言うことが違うね」

ステュ「……それは嫌味か?」

フィル「医者権限で安くしといてくれ」

ヴォルシュ「残念ながらそんな権限はない。私を割引券か何かだと思ってるなら大間違いだ」

フィル「いいだろ、ったく医者ってのはケチなやつばっかだな……今からディックにでも頼んで安くしてもらおうかな」

ステュ「友達の夫をそんなことに使うな」

ヴォルシュ「君たち、ディックを知ってるのか?」

フィル「ああ、なんだ、知り合いか?」

ヴォルシュ「知り合いも何も彼はここの医者だ」

フィル「そうなのか!?じゃあ今すぐ連れてこい!安くしてもらうから」

ヴォルシュ「残念だが、彼は今日ここにいない、タイミングが悪かったな」

フィル「ちっ……」

ステュ「……ちょっと待ってくれヴォルシュ、彼はここに来てないのか?」

ヴォルシュ「ああ」

ステュ「……一度も?」

ヴォルシュ「ああ、今日は家族と楽しく登山さ」

フィル「なんだステュ、どうかしたのか?」

ステュ「……?」

――車内

フィル「そういや、あの山小屋、チャウの所有物だったらしい」

ステュ「そう……でも今の僕にはどうでもいいことさ」

アラン「山小屋がどうかしたの?」

フィル「ああそうか、アランは知らないのか、実はな……」



アラン「……スゴいね」

フィル「スゴすぎておかしくなりそうだ」

アラン「ああ、ケビンに会いたかったなー、もっと早く俺を見つけてくれよ」

フィル「……」

ステュ「……話にならない」

キュイ、キュイ

ジャーン……

フィル「お前そのエレキギター持ってきたのか」

ステュ「まぁ、なんとなく、ね」

ステュは車内でチャウを待つ間、エレキギターの音を調節する。

アラン「ワオ!ホントにケビン・ジョナスって書いてある!」

フィル「お前……まさかエレキギターで弾く気か?しょぼい音でチャカチャカと?」

ステュ「……」

ステュはフィルのことを少し見つめたあと、エレキギターの方へ向き直る。そして音を調節し終えると、ギターをかき鳴らした。


『He name is "Leslie Chow"(彼の名前はレスリー・チャウ)」』
歌 ステュアート・プライス
作詞 ステュアート・プライス
作曲 ステュアート・プライス


ジャンジャジャ~ン♪ジャンジャジャ~ン♪


ステュ「I have a crazy friend(僕にはイカれた友達がいるんだ)」

ステュ「He name is "Leslie Chow"(彼の名前はレスリー・チャウ)」

ステュ「He calls me "good friend"(彼は僕をこう呼ぶ、"最高の友達"と)」

ステュ「I call him "fucking guy"(僕は彼をこう呼ぶ"クソ野郎"と)」

ステュ「If make light of him(彼をなめたら)」

ステュ「Is Licked ass(ケツをなめられる)」


ジャッジャジャジャ~ジャジャ~ジャジャ~ン♪


ステュ「Turning of guns him(彼に銃を向ければ)」

ステュ「Be turned of penises(チ○コを向けられる)」

アラン「アハハー!」

フィル「ったく……」


ジャッジャジャジャ~ジャジャ~ジャジャ~ン♪


ステュ「Seduce us in the sweet smell(甘い香りで僕らを誘い)」

ステュ「And upset everyone(そして皆を狂わせる)」

ステュ「Phil have an accident(フィルは事故り)」

ステュ「Alan was arrested(アランは逮捕され)」

ステュ「Doug was in hostage(ダグは人質にされ)」

ステュ「I become a faggot(僕はカマ野郎に)」


ジャジャッジャ~ン♪


ステュ「He name is "Leslie Chow"(彼の名前はレスリー・チャウ)」


ジャッジャジャ~ン♪


アラン「アハハ、サイコー!」パチパチパチ

フィル「はぁ……」

ステュ「どーも」

フィル「ていうか、さっきから横で寝てるコイツはなんだ?」

アラン「キャトルさ、俺が拾ってきた」

フィル「おいおい面倒事を増やすなよ」

アラン「大丈夫さ、首輪に電話番号が書いてあったからすぐ見つかる」

フィル「そういう問題じゃないっての」


ブロロロロロロロ……


ステュ「おい、チャウが来たぞ」

アラン「あ、俺のベンツだ」

フィル「やっと来たか……」

すみません、
彼の名前はレスリー・チャウなので

His name is Leslie Chowですね(笑)

チャウ「やあ君たち、会いたかったよー、まぁフィルにはさっき会ったけど」

フィル・ステュ・アラン「……」

チャウ「なんだよ、冷たいねぇ、そんなにチャウが嫌いなのかい?」

ステュ「当たり前だ」

チャウ「はぁ……とりあえずこんなところじゃあいつらに見つかりそうだ、ホテルへ行こうじゃないか」


――シーザーズ・パレス、2452号室


フィル「で?何があったらダグが連れ去られることになるんだ?あいつ人質にされたはずだろ?」

チャウ「そう焦るな、今から話すよ」

中途半端ですが
仕事なのでおわります

読んでくれた方、コメントしてくれた方、ありがとうございます。

一日開けましたが
再開します。

チャウ「私はあの売人のいる場所へ取引しに行ったんだ、そしたらキルベインはいたんだが……」

チャウ「ダグをあの連中に引き渡したらしい」

ステュ「……何でそんなことになる?」

チャウ「なんか約束の時間がどうとかほざいてたね、よくわからんが」

ステュ「……は?」

フィル「……あのな、約束の時間ってのは、チャウを0時までにそこへ連れてこいってことだった、確かに俺が伝えてなかったこともあるが……」

フィル「どう考えてもあの時間に家を出たなら間に合ったはずだろ!?出たのは22時だぞ!?1時間はそこへ向かう時間だとして、後の1時間の間お前何してたんだ!?」

チャウ「おいおいそういうことは早く伝えてくれよ、道の途中でコークに誘われて買っちゃったじゃないか」

ステュ「……チャウ、お前はホントに何を考えてる?」

フィル「クソが……ダグが人質にされてるってことがわかってんのか!?」

チャウ「仕方ないだろう、コークが私を呼んでたんだ、『チャウ、私を吸ってぇ、気持ちよくさせてあげるからぁ、ねぇお願い?』アハハ、それはもう売春婦みたいに懇願するもんだから思わずタマタマがいきり立つところだったねぇ」

ステュ「イカれてる、ホントにイカれてる」

フィル「……あり得ない」

チャウ「いいだろ、取引は済ませたし、ダグの居場所もあいつらが何者かもちゃんと聞きだしたんだからさぁ?そう熱くなるなって」

ステュ「君がバカしなけりゃ聞かなくても解決してたよ」

フィル「で、ダグの居場所は何処なんだ?さっさと教えろ」

チャウ「だからそう焦るな……どうやらキルベインが言うには、私と"あるもの"が目的らしいな、彼からあいつらの伝言を聞いたよ」

チャウ「『友人を返してほしければ三時までに国道95号線沿いの売春宿、『Balalaika』まで来い』とさ」

チャウ「この店の名前で私を追ってる奴等が分かるなら、君たちは優秀だねぇ」

ステュ「……すまないチャウ頭の悪い僕たちには全く分からないから是非教えてもらえないか?」

チャウ「全く、ユダヤ人も落ちたもんだ」

ステュ「……」

フィル「ステュ、抑えろ」

チャウ「Balalaikaはロシアにある弦楽器の名前さ、つまりロシア語だ。この店はその名前の通り売春婦は全員ロシア人だ、で、ここに売春婦を流してるのも、全員ロシア人だ」

ステュ「ロシア人って……まさか!?」

チャウ「ああ、そこの経営者、というよりマフィアなんだが、前にデクスターを盗んだ時に追ってきたグループと全く同じ奴等だ」

フィル「……おい、じゃああいつらが追ってるあるものって……」

チャウ「ああ、デクスターだ」

フィル「……嘘だろ」

アラン「ねぇフィル、デクスターって誰?」

フィル「……売人が飼ってた猿の名前だ」

アラン「ああ」

ステュ「……じゃあフィルは、そのクソ猿なんかのために囮になってまで死にかけたってのか!?」

アラン「おいクソ猿っていうなよ!お猿さんが可哀想だろ!」

ステュ「どうでもいいよそんなことは!!」

チャウ「お[ピザ]ちゃんの言う通りだ、この猿はクソ猿どころか、売人中ではかなり金になる猿だ」

チャウ「前にも言ったがコイツがいればどれだけヤクを流しても、流してるのはこの猿自身だから売人自体は完璧なシロ、猿が麻薬所持、麻薬売買で捕まるわけもない、だから売人の間ではかなり有名な猿だ、狙う奴も多い、金になるしねぇ?ホントに利口な猿だよ」

ステュ「……僕たちはそんな猿のすごさを聞きたいんじゃない、お前が動物病院からそんな猿を連れてこなければ、こんなことにはならなかっただろ!!」

フィル「お前は自分でなにしてんのかわかってんのか!?」

チャウ「分かった分かった、分かったから二人で騒ぐのは止めてくれ、耳がどうかなりそうだ、あーあー、ほら、耳鳴りがしてきた」

フィル「クソ……なんでこんなやつに頼んじまったんだ」

ステュ「……とにかく、そこへ向かえばダグがいるんだよな?」

チャウ「ああ」

フィル「だったらさっさと向かうぞ、アラン、立て」

アラン「うんフィル……ねぇ、ダグ……生きてるんだよね?」

フィル「ああ、コイツの言ってることがホントならな?」

チャウ「なんだ、チャウを疑うのか?」

ステュ「当たり前だ、コカインを吸ってぶっ飛んだ状態だった奴の話なんて信じられるわけがない」

チャウ「まだ吸ってないさ、だが、ダグを救ったら思いっきり楽しむつもりだよぉん、へーへへへ!」

フィル「吸わなくても十分楽しそうだ」

――シーザーズ・パレス、ロビー

ザワザワザワ……

フィル「?なんだ?夜明け前だってのにやけにホテルが活気付いてるな?」

ステュ「さぁ?なにかパーティでも開くんじゃないのか?」

チャウ「乱交パーティなら是非加わりたいねぇ」

アラン「あのケーキ旨そう」

フィル「誰かの誕生日パーティかもな」


――車内


チャウ「そうだ、もしもの時のために少し私は準備がしたい、別荘に寄らせてくれ」

フィル「おい、時間は大丈夫なんだろうな?」

チャウ「ああ、必ず間に合わせるさ、じゃ、行くよん?」


ブロロロロロロロ……

ブロロロロロロロ……


アラン「……俺、昔スゴい奴を見たんだ」

フィル「……なんだ?」

アラン「スレンダーマンだよ、細身でめちゃめちゃ背が高くて、白い布を顔に被ってる、マジで怖かった」

フィル「……」

ステュ「……スレンダーマンを見たのか?」

アラン「ああ」

ステュ「見たら死ぬのにか?」

アラン「……」

アラン「……さぁね」


――チャウの別荘


チャウ「……ふぅ、着いた」

ステュ「デカイな」

アラン「スゴい豪邸だね」

フィル「ああ、違和感を感じて仕方ない」

チャウ「よし、お前ら待ってろよ、準備を済ませてくる」

バタンッ!

チャウはそういうと勢いよく車のドアを閉めた。

――車内


ステュ「……なぁ、疑問に思うことがあるんだ」

フィル「なんだ?」

ステュ「あのチャウの元部下はあのロシア人とグルだったんだよな?」

フィル「まぁ、そうなんだろうな」

ステュ「だとしたらなんで僕たちに会ってまでチャウを連れてこようとしたんだ?だって、僕たちがチャウにあの二人組のことを伝えたら一発で罠だと分かる、仲間が捕まったから、なんて嘘をつく必要もない」

フィル「だから、俺たちは二人がチャウを裏切ったことを知らなかったから、場所を炙り出すために利用したんじゃないのか?」

ステュ「だとしたら僕たちに嘘をつくこと自体リスクが高すぎないか?チャウは二人が裏切った事実を知ってる、本来なら僕たちに場所を聞くだけで用済みのはずだ。それにだ、あいつら、『ビッグロックへ来い』と僕たちに伝えたのに、なぜか今度は場所を変えてきた」

フィル「……確かに、それは妙だな」

ステュ「それに、キルベインはチャウが約束を破ったからダグを引き渡したんだ、それまではチャウを強制的に連れてこさせる手段が無かったってことだ」

フィル「……」

ステュ「まだこの疑問がよく分かってないから強く言えないけど、なにかが違う気がするんだ」

フィル「……まぁどのみち、チャウは命と猿を狙われてるのは確かだな」

ステュ「まぁね」

アラン「……なんかよく分かんない」

すみません、
>>181のチャウの台詞

別荘に寄らせてくれ×
別荘には長い間寄らせてくれ○

です。

あと、すみません、
非常に厚かましいことなのですが、
このssを読んでくださってる方、
現時点での感想を頂けないでしょうか?
まだ完成してもないですが。

良い点悪い点遠慮せずおっしゃってください。皆さんのアドバイスをくださると嬉しいです。
出来るだけ皆さんのアドバイスを参考に書いていきたいと思いますので、
どうかコメントをお願い致します。

そういう書き込みそのものが煙たがられるととだけ
脳内再生率はすごいと思うわ
頑張って書いてくれ

素直にハングオーバー4って感じに楽しめるよ

>>186
ありがとうございます。

了解しました、今後このような類いの
発言は控えます。

>>187
ありがとうございます。
そういって頂けるとありがたいです。

それではお二方、失礼しました。
切り替えて続きを書いていきます。

スタスタスタ……

バタンッ!

チャウ「さぁ、連れてきたぞ」

アラン「おおー、リル・ウェイン、会いたかったよー」

フィル「……リル・ウェイン?」

ステュ「なんでリル・ウェインなんだ?」

アラン「だって、そっくりだろ、顔が?」

チャウ「アハハー、それは言えてるねぇ」

フィル「……言われてみれば」

チャウ「だがアラン、この子はデクスターだ、そんなダサい名前をつけないでくれるか」

アラン「なにいってるんだよチャウ、名前だけはイカしてるだろ!」

チャウ「ダメだ、コイツはデクスターで決まりだ」

フィル「でもまぁそっくりなのは確かだな、くく」

ステュ「……お前ら、リル・ウェインに失礼だ」

デクスター「ウキィ!」

フィル「はぁ……こんな猿のために俺たちは……」

アラン「こんな猿って……」

フィル「ああ分かってるよアラン、こんな猿って言って悪かったな」

アラン「う、うん……」

チャウ「ふん、ロシア人どもめ……よくもチャウの山小屋を破壊してくれたもんだ」

ステュ「それってロシア人の仕業だったのか?」

チャウ「まぁ爆弾を置いたところは見てないが……おそらくあいつらだろう」

ステュ「……なんで山小屋に仕掛けたんだ?」

チャウ「さあね、威嚇のつもりじゃないのか、こざかしい奴等め」

ステュ「威嚇……か」

今のところすごい面白いよ
欲を言うなら投下間隔が短くて一度の密度が濃いといいかも知れない
スピーディな話の展開が原作の魅力の一つだと思ってるから

>>191
ありがとうございます。
面白いと思っていただけるだけで
幸いです。

そうですね、ご指摘の通り
更新速度には気を付けたいです。
自分も原作の魅力は
展開のテンポの良さだと思っていますので、出来るだけ早く書き上げていきます。

昨日は寝てしまい更新を止めてしまいました。
再開します。


――Balalaika内

カランカラーン……

チャウが店のドアを開けると、ドアについたベルの音とともに一人のロシア人が目の前に立っていた。

ロシア人1「いらっしゃ……お前らか」

チャウ「ああ、チャウ様だ、お前らお待ちかねのものを連れてきてやった」

デクスター「ウキィ!」

ロシア人1「おい、チャウが来た、案内してやれ」

ロシア人2「了解」




――Balalaika、奥の部屋


?「やあ、君がチャウか?私のビジネスを横取りしたという?」

チャウ「そういうアンタは何者だ?」

?「私はベンジャミン、ここのオーナー兼、ボスと言った方がいいかな?」

チャウ「自己紹介どーもぉ、誰のビジネスだか知らないが、私は動物病院にいた猿を引き取っただけさ、奪ったつもりはないよ?」

ベンジャミン「ははは、奪ったつもりはない?面白い冗談だよ……」

ベンジャミン「さっさとその猿を返せこのシナ人が!!」カチャ

ベンジャミンはチャウに怒鳴ると銃を取り出してチャウに向けた。

フィル「おいまたかよ!!」

ステュ「もう勘弁してくれ!!」

チャウ「おいおいそう焦るな、この猿は返す、ほらデクスター、行け」

デクスター「ウキィ……」

チャウ「行け」

デクスター「……」

アラン「ちょ、ちょっと待ってチャウ」

チャウ「ん?なんだいお[ピザ]ちゃん?」

アラン「最後に少しだけ話をさせてよ」

チャウ「……さっさと済ませるんだぞ」

アラン「……」

デクスター「……」

アランはデクスターの目を真っ直ぐ見つめる。そしてしばらくそれを続けたあと、決心のついた顔をして、一言だけデクスターに伝えた。

アラン「……じゃあね、リル・ウェイン」

デクスター「……」

デクスターは黙って首を傾げる。そして真っ直ぐベンジャミンの元へ駆けていった。

ベンジャミン「やあクリスタル、会いたかった、お前がいなくて寂しかったぞー?財布の中が静かでねぇ?ハハハ!」

ベンジャミンはそういうと銃をしまいながらデクスター……クリスタルを撫でた。

デクスター「ウキィ」

アラン「……」

チャウ「ほらベンジャミン、猿は返した、ダグを返せ?」

ベンジャミン「ああ分かった……お前ら、連れてこい」

ロシア人たち「はい」





ダグ「んー!んー!」

フィル「ああダグ!!」

ステュ「ふぅ……」

アラン「ダグ!!」

ベンジャミン「ロープを外してやれ」

シュルシュルシュル……

ダグ「ゴホッゴホッ!!」

ロシア人3「行け」

ダグ「うわっ!」

ロシア人たちはダグを縛っていたロープを全て外すと、背中を思いっきり押してチャウたちの元へ返した。

ステュ「ああ!もっとダグを大切に扱え!」

ロシア人3「なんだと?」カチャ

ステュ「なんでもない!」

ダグ「ふぅ……」

ステュ「よ、良かったよ……」

フィル「ああ本当に、ケガはないか?」

アラン「ダグ、大丈夫?」

ダグ「……もう疲れたよ」

チャウ「おいベンジャミン、少し話がある」

ベンジャミン「なんだ?」

チャウ「私の元部下はどこにいる?」

ベンジャミン「……元部下?」

チャウ「ああ、こんな真似をしてくれたあいつらにどうしてもケジメをつけさせたくてねぇ、どこにいる?」

ベンジャミン「……なんの話だ?」

チャウ「ったく頭の悪いロシア人だねぇ、お前の嫌いなシナ人を連れてこいと言ってるんだよ!もしかしてお前はロシア人とシナ人の区別も出来ないのか?あ"!?」

ベンジャミン「……お前こそ頭を使うんだなチャウ、私が、私の嫌いなシナ人をここで雇うと思うのか?」

チャウ「……なんだと?」

ステュ「おいチャウ、多分本当のことなんじゃないのか?」

チャウ「……じゃああいつらはどこにいる?」

ステュ「……なぁもしかしてチャウ、お前はかなりの勘違いをしてるんじゃないのか」

フィル「どうゆうことだステュ?」

ステュ「本当に彼らは君を裏切ったのか?」

チャウ「当たり前だ、あの屈辱は忘れもしないよ、よくも私の妻を……」

ステュ「……妻?」

チャウ「ああ、あいつらが私の愛する妻を寝とった」

ステュ「……は?」

チャウ「私は心をひどく傷つけたよ、まさか部下に寝とられるとはねぇ、よくやってくれたもんだ、今思い出しても――!!」

ステュ「ちょちょちょっと待てチャウ、じゃあ君は、部下が裏切った理由が、『妻を寝とったから』だって言うのか?」

チャウ「ああ、一週間前に私に秘密で妻とシーザーズへ行くところを見た、それ以来あいつらとはムカついて連絡もしていない、一体何Pして楽しんだのかねぇ、クソ野郎どもめ!」

ステュ「……シーザーズ?」

フィル「……まさか」

ステュ「……おいチャウ、君の誕生日はいつだ?」

チャウ「ん……ああ、そういえば今日が誕生日だねぇ」

アラン「本当に?おめでとうチャウ!」

チャウ「はは、ありがとうアラン、ほら、皆も祝ってくれ?」

ステュ「な……」

フィル「……なんてバカな奴なんだ」

ベンジャミン「そうかチャウ、お前は今日が誕生日なのか……」

チャウ「ああ……そうだ!私はその猿をお前にプレゼントしたんだ、今すぐプレゼントを頼むよ、いいだろう?」

ベンジャミン「ハハハ、いいだろう、お前にとっておきのプレゼントがある……」

チャウ「本当か?さっさと出せベンジャミン」

ベンジャミン「……『死』だ」カチャ

バンッ!

フィル・ステュ・アラン・ダグ「!?」

チャウ「……クソ」

バタリ……

ステュ「……え」

ダグ「な……」

フィル「……嘘だろ」

アラン「……う、うぅ……ひぐ……ヒィーーーーン、ヒィーーーーン」

ステュ「アラン黙れ!」

フィル「嘘だろおい!?」

ステュ「うぉぇえええ!!」

アラン「ヒィーーーーン、ヒィーーーーン」

ダグ「な、なんてことだ」

フィル「アンタなんでこんなことを!?」

ベンジャミン「……チャウは猿を奪った時、車で逃げた……その時に何人の私の部下が死んだと思う……?」

フィル「……」

ステュ「そうだった……」

アラン「うぅ……ひぐぅ」

ベンジャミン「だが実はそんなことは重要じゃない、理由はもっと単純だ」

ベンジャミン「……ムカついたから殺した、元々中国人は私には合わなくてねぇ、だがまさか、今日が誕生日だったなんてねぇ、ハハハハハ!」

ステュ「そ、そんな理由で……」

ダグ「イカれてる」

フィル「クソ……」

ベンジャミン「はぁ……もういいだろう、友人は返した。さっさと消えるんだな、お前らも殺されたいのか?」カチャ

ステュ「わ、分かった、消えるよ……」

フィル「チクショウ……」

ダグ「……最悪だ」

アラン「うぅ……チャウ」

――車内


ステュ「チャウが死んだ」

フィル「分かってるよ」

ステュ「もう嫌だ……こんな思いは懲り懲りだ」

アラン「うぅ……」

ダグ「僕はもう……何が何やら」

フィル「はぁ……とにかく、最後にこの気持ち良さそうに寝てる呑気な犬を返しに――」


バンッ!バンッ!

┣¨┣¨┣¨┣¨ドドッ!!

バンッ!

ガシャアン!!

フィルのその言葉のあと、外で様々な大きな音が聞こえてきた。

フィル「な、なんだ……!?」

ステュ「……な!?」

ステュは音につられてBalalaikaの店を眺めていると、そこに予想もしない人物が立っていた。

ダグ「チャウだ!?」

アラン「え!?」

フィル「こっちに走ってくるぞ!」

ガチャ!

バタンッ!

チャウ「よぉお前らまた会ったねぇ!よし、逃げるぞ!」

ステュ「何が『よし、逃げるぞ!』だ!一体どうなって――」

チャウ「あああうるさいぞメガネくん!おいイケメン、早く車を出せ!」

フィル「わ、分かった」

ガチャリ!

ブォォォォン!!

フィルはチャウにそう言われると、急いで車のエンジンをかけ、Balalaikaの駐車場を出た。


ブロロロロロロ……


フィル「おい、一体どうなってる?」

チャウ「もしかして、チャウが死んじゃったと思った?アホ、チャウは鉛弾の一つや二つで死にはしないのねぇ?」

アラン「チャウ……良かった、生きてて」

チャウ「ああお[ピザ]ちゃん、心配させたねぇ」

ステュ「で、結局なんで生きてるんだ?」

チャウ「……これを見ろ」ヌギヌギ

チャウはそう言うと、コートとシャツを脱ぐ。

フィル「……防弾チョッキか?」

チャウ「ああ、万が一のためにね、特にロシア人なんてイカれた奴ばかりだ、こういうパターンは少なくない、だから準備しておいたのさ」

フィル「は、用意周到な奴だ」

チャウ「ありがとうフィル?」

アラン「……それ、イカしてる、俺も着たい」

チャウ「……残念だが、お[ピザ]ちゃんには着られない」

ブロロロロロロ……


フィル「どうやらもう追ってきてないみたいだな」

ステュ「ふぅ……」

ダグ「……なぁステュ、その頭、何があったんだ?」

フィル「くく」

ステュ「……ああ、ちょっとね」

アラン「ぷぷっ」

チャウ「最高にきまってるよぉステュ?」

ステュ「……」





フィル「で、どうする?チャウが生きてるなら……」

ステュ「ああ、行き先はビッグ・ロックだ」

チャウ「あいつらには悪いことをしたよ、まさかチャウのために誕生日パーティを企画していてくれたなんて」

ステュ「本当だよ、助けたらちゃんと謝れよ?」

チャウ「分かってるよ」

アラン「でもホントに二人とも生きてて良かった」

フィル「ああ」

ステュ「……まぁ、ね」

フィル「そういやあの猿はどうした?」

チャウ「ああ、銃声にびびってどこかへ行ってしまったよ、残念だ」

アラン「お猿さん……無事だといいけど」

――ビッグ・ロック

チャウ「さあ……着いた」

フィル「ああ」

ステュ「あの車か?」

ダグ「このおかしな時間にいるなら、そうだろうね」

フィル「……よし、行こう」

アラン「うん」

ガチャ……

各々は車のドアを開けて、ゆっくりと降りる。
すると相手の車からも、次々と男たちが降りてきた。

フィル「……な!?」

ステュ「?どうした?フィル?」

フィル「な、なんでだ……」

だがその中に、フィルにはその驚きを隠せない人物がいた。

?「……やあフィル、また会ったね」

フィル「……なんで君がいるんだ……」

ステュ・アラン「え?」

ダグ「な、なんだ、知り合いなのかフィル?」

フィル「あいつは……」

フィル「……ディックだ」

ステュ「ディ、ディックだって!?」

ダグ「?ディックって?」

アラン「え、なに?クソ野郎(※ディックの俗称)ってこと?」

ステュ「……違うアラン、ジェイドの結婚相手だよ」

ダグ「なんだって!?」

チャウ「アハハ、名前がディックだなんて、最高に笑えるねぇ」

ディック「黙れチャウ!!」カチャ

フィル「おいおいおいディック!?なにしてる!?」

ステュ「そうだぞディック、そんなもの降ろせ!」

ディック「……君たちはなにも言うな、僕はコイツに用があるんだ、このムカつく中国人にね?」

フィル「な、何がどうなってるんだ……」

アラン「……」

眠たいので少し休憩します

再開します。


ディック「あの二人組に連絡しておけ、チャウが見つかったと」

男1「分かりました」ピピピッ

チャウ「おチ○ポ野郎(※ディックの俗称)、私の部下は無事だろうねぇ?」

ディック「……ああ、連れてこい」

男2・3「はい」





チャウの部下1「チャウさん!」

チャウ「おお私の愛しい部下よ、無事だったか?」

フィル「よく言うぜ……」

ディック「チャウ……なんで僕が君を狙うか分かるか?」

チャウ「チャウのア○ルが素敵だから?へへへー!」

アラン「アハハー!……ゴホンッ」

皆「……」

チャウ「あれ?笑えない?つまんない奴らだねぇ」

チャウ「……聞かせろ」

ディック「……僕はマーシャルの息子だ」

フィル「……マジかよ」

ステュ「君がマーシャルの息子!?」

チャウ「ほう、マーシャルJr.ってことか、なんだ?父の敵討ちってとこか、ん?暇だねぇ?」

ディック「……違う、正直父は嫌いなもんでね、あいつが死んだところで僕はどうだっていい」

ステュ「じゃ、じゃあどうして?」

ディック「君はマーシャルとともに、彼の側近を殺しただろ?……彼は名前をハンクと言ってね、僕は彼とはかなり古い付き合いで、父より世話になった男だ」

チャウ「あーそんな男居たねぇ」

ディック「お前……!!」

ステュ「ディックやめ……」

アラン「やめろ!」

ザザァ!

アランはそう声を上げると、チャウの前に立った。

フィル「あ、アラン?」

アラン「……ダメだ、そんなことをしたら」

ディック「……誰、君?」

アラン「……アラン、チャウの友達だ」

チャウ「アラン……」

ディック「……ごめんアラン、だがどいてくれ、僕はコイツを……」

アラン「ダメだ……君はこんなことをしちゃいけない」

ディック「……」

アラン「君はカルロスのパパだ、人を殺したら、カルロスが悲しむ」

ディック「……」

ディック「……カルロスって?」

フィル「あ、ああ、タイラーのことだ」

アラン「カルロスのためにも、その銃を降ろして」

ディック「……」

ステュ「お願いだディック、こんなことをしたって誰も浮かばれないよ」

ディック「……」

チャウ「……もういいよお[ピザ]ちゃん、君はホントに優しい奴だ」

チャウはそう言うと、アランを目の前から退かせた。

チャウ「アランに銃を向けるな、[ピーーー]なら私をさっさと殺せ」

フィル・ステュ・ダグ「チャウ!」

アラン「チャウやめろダメだ!」

チャウ「さぁどうした?さっさとその銃で私を撃て」

ディック「……クソ」

ディック「僕は……大事なことを忘れてた」

フィル「はぁ……良かった」

ステュ「ああ」

アラン「ディック……」

ディック「……そうだね、ジェイドもタイラーも、悲しませるわけにはいかない」

ディック「皆、そいつを離してやれ」

男たち「は、はい」

ディック「アラン……ありがとう」

アラン「ああ」

チャウ「ディックくん、じゃあ仲直りをしよ……」

ディック「お前を許したわけじゃないぞチャウ」

チャウ「おっと手厳しい」

ダグ「とりあえず……」

フィル「万事解決か?」

ステュ「いや、まだ犬が残ってる」

フィル「ああそうだった!犬のことなんてすっかり忘れてた」

アラン「電話しないとね」

フィル「もしかして、君が私の山小屋に爆弾を?」

ディック「ああ、まさか生きてるとは思ってなかったけどね」

ステュ「生きてる……って、チャウを[ピーーー]つもりだったのか?」

ディック「ああ、あの山小屋に閉じ込めておいた」

ステュ「じゃあ君がチャールストン山に行ったホントの理由は……」

ディック「チャウを[ピーーー]ためだ、今思えばイカれてたよ、家族の車のトランクにコイツを乗せてたんだから」

フィル「……ワオ」

フィル「……は?いやちょっと待ってくれ、山小屋に閉じ込められてたのは俺なんだぞ?」

チャウ「……アハハハハ!そういうことか!」

フィル「……なんだ?」

チャウ「実は目覚めたら自分の山小屋にいてね、んで手足を縛られてるだろ?だから色々と道具を使ってあそこから抜け出したんだ」

チャウ「そしたら山小屋の目の前でフィルが寝てるだろ?だから私はてっきりあの時トランクに詰められたみたいにフィルに閉じ込められたのかと思ってね?ムカついたからフィルを山小屋の中に閉じ込めたんだ」

フィル「……なんだと?」

チャウ「いやいや、よく生きてたねーフィル?アハハハハハハハ!」

フィル「……ディック、銃貸せ」

ダグ「フィル落ち着け」

フィル「このくそ野郎!!」

ステュ「フィ、フィル落ち着けって」

フィル「ふざけんな!!こいつに殺されかけたんだぞ!!」

チャウ「アハハ!でも良かったじゃないかー、生きてて?」

フィル「こんの……!!」

ステュ「だから落ち着け……もう済んだことだ」

フィル「……クソッタレ」

最高に面白いよこのスレ
原作の再現率が素晴らしい
急がなくてもいいから、書きたいことを書いてくれればいいよ

>>208

ありがとうございます。
出来るだけ原作の雰囲気に
近づけたいと思っていますので、
そう言って貰えるとうれしいです。

ブロロロロロロ……

チャウ「おお、やっと部下たちが来た」

バタンッ!

チャウの部下2「チャウさん、無事だったんですね!」

チャウの部下3「チャールストンの別荘に向かっても居なかったから……」

チャウ「アホ、チャウは不死身だ、用意だってしてある」

チャウは二人に中に着た防弾チョッキを見せる。

ステュ「……あいつ、だから自分を撃てって……」

フィル「そういや着てたなアレ……そりゃ自信満々なわけだ」

ステュ「ホントムカつく奴だよ」





フィル「皆、これからどうするんだ?」

ディック「僕はこのまま家に帰るよ、僕を手伝ってくれた彼らも送らなきゃね」

フィル「そいつらはマーシャル……君の父の?」

ディック「ああ、元部下だ、彼を連れ去るために頼んだ」

フィル「なるほど」

ステュ「……ああそうだ……忘れてた」

フィル「どうしたステュ?」

ステュ「……実はジェイドを結婚式へ誘ったんだ、だから迎えに行くって、時間大丈夫かな……」

フィル「ほほう?」

ステュ「……なんだそのニヤケ面は?」

フィル「いや、別に?」

チャウ「なぁ私の愛する部下よ、誕生日パーティはいつからだ?」

チャウの部下1「えーと……え!?な、なんでそれを!?」

チャウ「チャウはなんでもお見通しだ」

フィル「調子にのってるな……」

チャウの部下2「えーと、夜の9時からです」

チャウ「アラン、結婚式は何時からだ?」

アラン「朝の11時からだ」

チャウ「じゃあ飛行機に乗ればギリギリ誕生日パーティには間に合うな、私も結婚式を楽しむとするよ、チャウも連れてけ」

フィル「……お前も来るのか?」

チャウ「なんだ?私はアランの結婚式にとプレゼントを用意しておいたんだぞ?」

アラン「プレゼントって?」

チャウ「それは結婚式でのお楽しみだよ、お[ピザ]ちゃん?部下よ、お前らも来るか?」

チャウの部下3「いいえ、私たちは用事があるので楽しんできて下さい、夜の8時には必ず来ますから」

チャウ「そうか」

フィル「それじゃあディック、ジェイドによろしく伝えといてくれ、『後でDr.プライスが迎えに行く』って?ああ、ドクターのとこを強調しといてくれよ」

ディック「ああ、分かったよ」

ステュ「ったく……」

チャウ「じゃあ部下よ、ここでさよならだ」

チャウの部下1「ええ、楽しんできてください、じゃあ行くぞお前ら」

チャウの部下たち「ああ」

チャウ「ディックもね?」

ディック「……」

チャウ「相変わらず冷たいねぇ」

フィル「ほらチャウ、さっさと行くぞ」

チャウ「分かってるよ」

アラン「……ディック」

ディック「?なんだいアラン?」

アラン「……カルロスをよろしく」

ディック「……あ、ああ、タイラーのことだね?分かった」

ブロロロロロロ……


ダグ「そういえばこの犬って?」

ステュ「ああ、アランが見つけてきたんだ」

アラン「そうだよ、可愛いだろダグ?」

ダグ「そうだね」

フィル「……あー、もしもし?」

?『……もしもし?』

フィル「こんな時間にすみません、えーと……お宅の犬を拾ったものなんですが……ベリーというダルメシアンはあなたの犬ですか?」

?『!?ベリーを見つけてくださったんですか!?』

フィル「ええ、それでベリーちゃんを届けたいと思っていますので、お宅の住所をお願いできます?」

?『えーと……』





フィル「分かりました、今すぐお届けしますので」

?「ああ……ありがとうございます」

ブチリ

フィル「よし、伝えたが……」

ステュ「どうかしたのか?」

フィル「どっかで聞いた声だったな……」

フィル「やっと……終わったんだな」

ステュ「ああ……これで犬を届ければ、あとは結婚式だ」

フィル「……良かった、今度はトレイシーに連絡しなくて済みそうだ」

ダグ「はは、そうだね」

ステュ「これ以上はなにもないだろうな?チャウ?」

チャウ「ああ、チャウも結婚式に間に合わなくなるような真似はしないさ」

フィル「……ホントかよ」

フィル「……じゃあ……復活だな」

ステュ「復活だ」

ダグ「ああ」

アラン「俺たち5人は、親友なんだ、俺たち5人は、大のなーかよし……」

ステュ「アラン……その歌はやめて――」


ガシャアアアアアン!!!


フィル「おわぁ!!?」

ダグ「なんだ!?」

ステュ「……!?」

ステュ「う、後ろだ」

フィル「……勘弁しろよ」

ステュの言葉を聞いてフィルは車の後ろを覗く。そこには、何者かの黒いセダンが後ろをぴったりとくっついてきていた。

フィル「おい誰だよあれ!?」

ステュ「……あのロシア人じゃないのか!?」

チャウ「クソ……やっぱりロシア人はイカれてるねぇ」

ダグ「冷静に言ってる場合か!?」

チャウ「分かったよ、逃げればいいんだろう?チャウのF1並みのドライブテクを見せてやるよ」


ブォォォォォンンン!!!


バンッバンッバンッ!!


アラン「フィル銃だ!!」

フィル「言われなくても分かってるよ!!」


バンッバンッバン!!


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ッ!!


ステュ「うわああああああ!!うわああああああ!!」

フィル「ステュ黙れ!!」

チャウ「アハハハハ!!女みたいな悲鳴をありがとう!」

ダグ「笑ってる場合か!!」

チャウ「ちゃんと捕まってろよぉん?」


キュルルルルル!!


ステュ「ぎゃああああ!!」

フィル「黙れ!!」

バンッバンッバンッ!!

ガシャアアアアアン

アラン「ヒィ!窓が割れた!!」

チャウ「ちっ……くどいねぇ……フィル、運転を変われ」

フィル「お、おいなにする気だ?」

チャウ「おいフィル……何のために準備をしたと思うんだい?」

ガチャ……ガチャガチャ

チャウは車の後ろから色々漁ると、二丁のサブマシンガンを取り出してこう言った。

ステュ「う、嘘だろ」

チャウ「お掃除の時間だよぉ、ロシア人ども」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ッ!!


ガチャ……ガチャリ


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ッ!!


チャウ「ひゃははははは!!!ぶっ飛べロシア人ども!!」

アラン「ねえチャウ、二丁同時撃ちじゃないの!?」

チャウ「ひゃははははは……なにいってんだお[ピザ]ちゃん!いくら私でもそんなことしたら頭も肩もイカれちまうだろぉ!!映画の見すぎだよ!!ひゃははははは!!!」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ッ!!


アラン「なぁんだ、夢を壊された気分!!」

ステュ「そんなこと言ってる場合か!!」

チャウ「ひゃははははは!!!」

ダグ「クソ!耳がおかしくなりそうだ……!!」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ッ!!


ロシア人1「ぐあああっ!!」


チャウ「へへー、1hitだぁ、ひゃははははは!!!」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ッ!!


フィル「……完全にイカれてるな」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ッ!!

バンッバンッバンッ!!

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ッ!!

バンッバンッバンッ!!


ステュ「おいチャウ、なんか段々あいつら増えてないか!?いつの間にかバイクまでいるぞ!?」

チャウ「ちっ……キリがない……やっぱり変われフィル、あいつらを撒くしかない」

チャウは銃をしまうと、そのまま運転席へと移る。

チャウ「クソロシア人め……お前らが銃を扱えたら良かったんだけどねぇ」

ステュ「誰がやるか!!」

チャウ「さぁ、逃げるよぉ!」

キュルルルルル!!


チャウ「ほらほら捕まえてみろぉ」


キュルルルルル!!


バンッバンッバンッ!!


ステュ「クソ……これレンタカーなのに……」

アラン「チャウ!横にバイクが!!」

チャウ「アホな奴だ、見てろ?」


キキィィィィィ!!


フィル「うお!?」

チャウはそう言うと、力強くブレーキを踏む。そして、

チャウ「じゃあねクソ野郎ぉ?」


ガチャ!!


思いっきりドアを開いた。


ドガァッ!!


ロシア人2「がぁっ!?」

ステュ「うわぁぁぁ!!ひ、人殺しだぁぁぁ!!」

チャウ「ひゃははははは!!!チャウをなめるからだぁ!」


キュルルルルル!!


そしてそのブレーキを離すと、ハンドルを思いっきり回し対向車線へとUターンした。

ダグ「……もうどうにかなりそうだ」

――どこかの路地裏


チャウ「……さぁ、奴等をまいたぞ」

フィル「ふぅ……」

ダグ「本気で死ぬかと思った」

アラン「カーチェイス最高!」

ステュ「うぷっ……吐きそう」

フィル「これからどうする?あいつら、お前が生きてる限りずっと追ってくるぞ」

チャウ「そうだねぇ、また囮作戦でもやるかい?」

フィル「勘違いするなよチャウ、あれはダグを助けるためにやったんだ、もう事故は懲り懲りだ」

ダグ「フィル、もしかしてその所々の傷……事故で?」

フィル「ああ、病院送りさ」

ダグ「大丈夫なのか!?」

フィル「ああ、なんとか軽傷で済んだ」

チャウ「……分かったよ、お前らはここで降りろ」

アラン「……え、チャウ一人で逃げるの?」

チャウ「……まぁ、チャウは君たちに色々と助けられた、それに、結婚式に間に合わないだろう?まだこのバカ犬もいるんだ」

フィル「お前……」

ステュ「……ちょっと待てフィル、お前さっきなんて言った?」

フィル「は?」

ステュ「さっきだよ、生きてる限り追ってくるとか……勘違いするな……って……」

ステュはそう呟いて何かに気づいたような顔をすると、今までの様々な言葉を思い出す。


ステュ『チャウが死んだ』


チャウ『もしかして、チャウが死んじゃったと思った?』


ディック『ああ、まさか生きてるなんて思ってなかったけどね』


フィル『お前が生きてる限り、ずっと追ってくるぞ』


マイケル『チャウがメイクアーティストを連れてきたと思ったら、ステュの顔や頭にスゴいことし出すし』


チャウ『おいおいそういうことは早く伝えてくれよ、道の途中でコークを買っちゃったじゃないか』


フィル『……ヤバイ死んでる!!』


チャウ『お前らコカインやったことないの?心臓なんか止まったってまた動く、本を読め!』


ステュ「……チャウ」

チャウ「なんだいステュ?」

ステュ「……名案を思い付いた」

ブロロロロロロ……


バンッバンッバンッ!!


チャウ「けっ、本当にしつこい奴等だ」

チャウ「……そろそろ、"イク"か」


スゥゥゥゥゥ……


バンッバンッバンッ!!


キュルルルルル!!


ガシャアアアアアン!!!


ロシア人3「おい!チャウが事故を起こしたぞ!!」

ロシア人の一人がそういうと、追っていた集団全員で事故を起こしたチャウの車へと向かう。

ロシア人4「……死んでるのか?」

ロシア人3「……ああ、脈がない」

ロシア人3「ボス、チャウが死にました」

ベンジャミン「くく……私に銃を向けた罰だ……さっさとそこから消えろ、面倒に巻き込まれたらまずい」

ロシア人3「はい……お前ら、行くぞ」


ブロロロロロロ……

――シーザーズ・パレス、入口


ブロロロロロロ……


四人が入口で待ち構える中、一台のタクシーから一人の男が降りてくる。

チャウ「……やぁお前ら、地獄の底から蘇ってきたよぉん」

フィル「おおチャウ!」

ステュ「戻ってきたか!!」

チャウ「いやーステュ、名案だったねぇ」

フィル「よく思い付いたなぁ」

ダグ「ホントだよ、どうして思い付いたんだ?」

ステュ「突然閃いたんだ、チャウが生きてる限りロシア人は永遠に追ってくるけど、もしチャウが死んだら、もうチャウを追う必要がなくなるってね」

フィル「それでコカインってわけか」

ステュ「あぁ、ただ死を事故で偽装出来たとしても、肝心な傷を作る必要がある、ホントに傷を作るわけにはいかないしね?そしたらメイクアーティストのことを思い出したんだ」

チャウ「ユダヤ人もなかなかやるねぇ、見直したよ」

フィル「でも怪我をしなかったのか?」

チャウ「まぁ体はまだ痛むけどねぇ……頭にはヘルメットをしてたから、それなりに傷は抑えたさ」

フィル「だけど、レンタカーを破壊しちまったな」

チャウ「チャウに任せろ、金はいくらでも払ってやるさ」

ステュ「ホントに助かるよチャウ」

フィル「よし、じゃあさっさと犬の持ち主の場所へ向かうぞ!結構時間もヤバイ、ステュ、今度は飛行機予約出来たんだよな?」

ステュ「ああ、大丈夫だ」

ベリー「ワンワン!」

アラン「早く行こう、ベリーが待ちわびてる」

ステュ「は、銃撃戦の中でも寝てたくせに……」

ブロロロロロロ……

バタンッ!

係員「どうぞ」

係員がベンツを持って、五人の場所へ止める。そしてそれを確認したフィルが

フィル「じゃ、出発だ」

と言うと、各々は車に急いで乗り、ベリーの飼い主の家へと向かった。

――ベリーの持ち主の家

ステュ「お、おい、ホントにここなのか?」

フィル「ああ……ここのはずだ」

アラン「メチャクチャデカイ……チャウの家より」

チャウ「ふん、メキシコの別荘に比べたら、これぐらい余裕で越えるさ」

ベリー「ワンワン!ワンワン!」

ダグ「とにかく、早くこの犬を連れていこう」

フィル「ああ」

ステュ「お、おい、なんだこのバカ広いガレージは!?噴水まであるぞ!」

アラン「スゲー!向こうに滑走路みたいに長い道がある!」

ダグ「あれって……自家用ジェットか?」

ステュ「す、スゴすぎる……」

チャウ「……ふーん、なかなかすごいじゃないか?」

フィル「自家用ジェットって……まさか」





ピンポーン


ガチャリ


?「はい……あれ?君たちは……」

ステュ「ウィルコックスさん!?」

フィル「……やっぱりそうだったか」

ウィルコックス「もしかして君たちがベリーを……」

フィル「はい、この犬ですよね?」

ベリー「ワンワン!」

ウィルコックス「おおベリー!一体どこへ行ってたんだ、心配したんだぞ」

アラン「俺が見つけたんだ、路地裏で」

ダグ「フィル、知り合いなのか?」

フィル「この人はシーザーズ・パレスの支配人だ」

ダグ「ホントに!?」

フィル「でも今日はなんでここに?」

ウィルコックス「ああ、たまたま休暇を取っていただけさ、妻とミュージカルを見に行く約束でね……ああ、噂をすれば」

ウィルコックスはそういうと歩いてきた女性を呼び、フィルたちへ紹介した。

ウィルコックス「私の妻、ヘレンだ」

ヘレン「……」コク

フィル「ああ、どーも……」

ステュ「そう言えば発声を禁じられてるとか……」

ウィルコックス「そうなんだ……彼女は音楽が好きでね、医者からそう命じられた時は、非常にショックを受けてたよ……」

ヘレン「……」カキカキ

ヘレンはウィルコックスの言葉を聞くと、ポケットから取り出したメモ帳に何かを綴り、フィルたちへ見せた。

ヘレン「『でも今はそれも乗り越えたわ、声は出せなくても、これまでみたいに音楽は聞けるし、楽器だって弾ける、辛くはないの』」

フィル「そうですか……そうだステュ、どうせならお前なんか弾いてやれよ、ピアノ弾けただろ?」

ステュ「な、そんな、僕には重すぎるよ!」

フィル「いいだろ、ヘレンさんのためだ、まだギリギリ時間はあるし」

ステュ「僕の歌と演奏力で人を感動させられると思うか!?歌に関しては論外だ!!」

フィル「別に歌なんか歌わなくたって……あ」

アラン「……?どうしたのフィル?俺の顔なんか見つめて?」

フィル「……とっておきがいるじゃないか」

アラン「――――ふぅ……」

ウィルコックス「す、素晴らしい……なんて素晴らしい声なんだ……」

ヘレン「『アラン、貴方の声は奇跡の歌声だわ』」

ヘレンは頬から流れ落ちる涙をハンカチで拭き取る。

アラン「えへへ、どーも……フィル、俺スゴかった?」

フィル「ああ、やっぱお前はスゴいよ」

ダグ「アラン、感動したよ」

チャウ「まさかお[ピザ]ちゃんがこんな声を持ってるとはねぇ」

ステュ「ホントにスゴかったよ、アラン」

アラン「ステュのピアノもなかなか良かったよ」

ステュ「相変わらず偉そうなやつめ」

フィル・ダグ「ハハ」

ウィルコックス「ホントにありがとう、ヘレンがこんなに涙を流すなんて……」

ヘレン「『あなた、恥ずかしいからやめて』」





ウィルコックス「君たちには本当に感謝するよ、何かあったら、是非ここへ相談しに来てくれ、力になれることならなんでもするよ」

フィル「ええ、ありがとうございます」

ステュ「行こうフィル、もう時間だ」

フィル「ああ……それじゃあ俺たち、急いでるんで」

ウィルコックス「ああ、気を付けて」

ブロロロロロロ……

フィル「次は空港か?」

ステュ「いや、ジェイドの家だ」

フィル「ああそうだった……早く行こう」


――ジェイドの家


ジェイド「ああ皆!今から間に合うの?」

フィル「ああ、ギリギリ結婚式に間に合う便がある、早く行こう!」

ジェイド「分かったわ、カルロス、行きましょう?」

カルロス「うん!」





ブロロロロロロ……


アラン「ねぇどうフィル?似合う?」

フィル「はは、どうしたんだよその帽子?カルロスまで?」

アラン「カルロスから貰ったんだ」

フィル「カルロスから?」

ジェイド「タイラーが欲しいって言うから私が買ったの」

フィル「そういうことか、よく似合ってるぞ、アラン」

アラン「フィルも被る?そっくりになるよ?」

フィル「ああ……いや……やめとく」





ステュ「……やっと、本当に終わるんだな」

ダグ「……ああ」

ジェイド「大変だったのね……」

ステュ「ああ……だけど、これで本当に終わるんだ」

フィル「……そうだ、これで終わりだ」

ステュ「……もう、何も起きないよな」

フィル「当たり前だろ?これ以上何が起こるってんだ?」

――マッカラン空港、港内


フィル「はあ!?到着が遅れてる!?」

受付「はい、どうやら航空機にトラブルがあったようで……」

フィル「ふざけんなよ!もう時間が迫ってるんだぞ!!」

ダグ「落ち着けフィル、待つしかないよ」

ステュ「はぁ……出来るだけ早く着いてくれよ……」

ジェイド「不安だわ……」


――30分後

タイラー「ねえママ、飛行機まだ?」

ジェイド「ええ……もう少し待っててね?」

フィル「……まだ来ないのか」

ステュ「……ああ」

チャウ「チャウ、お腹減った」

アラン「俺も」

ダグ「我慢しろ二人とも……どうするフィル?」

フィル「あと30分たっても来ないなら……トレイシーに電話だ」

プルルルルルル♪プルルルルルル♪

ガチャ

トレイシー『もしもし!?』

フィル「ああ、トレイシー!」

トレイシー『もしかして……また?』

フィル「……あぁ、またやっちまった」

トレイシー『今度はどこにいるの!?』

フィル「……ベガスだ」

トレイシー『は!?また!?結婚式の場所はハワイよ?なんでそんなところに!?』

フィル「それが……色々あって……ホントヤバイんだ……」

トレイシー『また誰かいなくなっちゃったの!?』

フィル「いや、今度は全員いる」

トレイシー『良かった……じゃあどうして?』

フィル「飛行機が遅れてるみたいで……そっちに間に合いそうにない」

トレイシー『嘘でしょ……』

フィル「すまない……」





ステュ「クソ……このまま間に合わないのか……」

アラン「キャシー……ごめんよ」

ダグ「……お願いだ……早く来てくれ……」

ステュ「……お願い?」





タッタッタッ!


ステュ「フィル!」

フィル「ああ……だから結婚式は中止――」


パシッ!


ステュ「携帯貸せ!」

フィル「お、おいなにすんだよ!?」

ステュ「あーもしもしトレイシー?僕だ、ステュだよ」

トレイシー『ステュ!?間に合わないって……今まで何してたの!?』

ステュ「間に合わない?アハハハハ!フィルがそんなこと言った?多分事故って頭ぶつけたからイカれてるんだよきっと」

トレイシー『事故ったって……』

ステュ「とりあえず、絶対に間に合うから安心してくれ」

トレイシー『え、どうゆう……?』

ステュ「それじゃあトレイシー、結婚式で!」ブチッ

フィル「おいどういうことだよ!?」

ステュ「……これはもうたった一言だけ言えば分かるはずだ」

フィル「は?」

ステュ「……自家用ジェットだよ」

フィル「……そうか!!」


――ウィルコックス宅


フィル「早速相談しに来ました」

ウィルコックス「はは、随分早いね?なんだい?」

ステュ「自家用ジェットを貸してください」

ウィルコックス「いいよ」

フィル「ホントですか!?随分あっさりと……」


ウィルコックス「古い方でいいならね」

フィル「……古い方?」

ウィルコックス「私は自家用ジェットを別のところで2台所有してるんだ」

フィル「……なんてこった」

ウィルコックス「でも……誰か運転できるのかい?私は行けないよ?」

ステュ「ああ……それは考えてなかった……」

チャウ「……おいおいお前ら、ここにもう一人金持ちがいることを忘れてるなぁ?」

フィル「まさか運転できるのか!?」

チャウ「チャウは昔、自家用ジェットを四台持ってた」

フィル「……本当は?」

チャウ「……1台だよクソ野郎」





チャウ「じゃ、行くぞぉん?」


ブロロロロロロ……


ウィルコックス「気を付けるんだぞ!!」

フィル「はい!貸していただいてありがとうございます!!」

ヘレン「『気を付けて』」

チャウ「しゅっぱぁーーつ!!」


ブゥゥゥゥゥン……

ジェイド「まさか自家用ジェットに乗って結婚式に行くだなんて……」

タイラー「スゴい!街があんなに小さい!」

フィル「はは、タイラーがはしゃいでるな」

ジェイド「飛行機に乗るのは初めてだから」

ステュ「チャウ、ハワイへの航路は分かってるんだよな?」

チャウ「ああ勿論さ、チャウがどれだけの国境を超えてきたと思う?」

ダグ「あと何時間で着きそうなんだ?」

チャウ「そうだねぇ……ざっと4時間ぐらいかねぇ」

フィル「よし、余裕だな」

ステュ「いや、ギリギリだ」

フィル「間に合うならいいんだよ……あ!!」

ステュ「どうした?」

フィル「スーツどうする?」

ステュ「そうだ忘れてた……」

ジェイド「私とタイラーは着てきたからいいけど……」

アラン「ふふん、心配ないよ」

フィル「……まさか、ここまで来るのか?」

アラン「あいつはどこにいても必ず運んでくれるプロだよ?当たり前さ」

チャウ「おいお前ら、隣によくわからん飛行機が来たぞ!!」

フィル「……マジかよ」

ニコ「おいお前ら、スーツを届けに来たぜ!!」

フィル「おほほう、嘘だろ信じられない!!」

アラン「やあニコ、久しぶり!!」

ニコ「よぉアラン!!元気にしてたか!!」

アラン「ああ!!」

ニコ「なあ!!そっちにスーツの入ったバッグを渡すから、高度とスピードを下げてくれ!!」

チャウ「了解だ!!」





フィル「よし、下がったぞ!!」

ニコ「ほら!!受けとれ!!」


シュッ!


ニコはそういうと、フィルにロープの着いた大きな鞄を投げ渡す。


パシッ!


フィル「受け取った!!」

ニコ「よし、じゃあバッグからスーツを取り出したら、その中に金を入れてくれ、そしたら俺たちに渡せ!!」

フィル「……入れたぞ!!」

ニコ「よし渡せ!!」

フィル「ほら!!」


シュッ!


パシッ!


ニコ「……どーも!じゃ、またな!!俺も結婚式に行くからな、アラン!」

アラン「ああ、待ってるよ!!」

ステュ「ありがとうニコ!!」

ニコ「お安いご用さ!!」


ブゥゥゥゥゥン……

フィル「はは!スゴいなアイツ!」

アラン「だろ?サイコーの友達さ」

ステュ「よし、早く着替えるぞ……あ」

ジェイド「……い、いいのよ、見慣れてるし」

フィル「……あっちで着替えよう」


――その頃の結婚式会場


キャシー「大丈夫かしら……アラン」

トレイシー「大丈夫よ、間に合うって言ってたんだから」

ローレン「ええ、きっと間に合うわ、なんだかんだ言って、いっつも間に合っちゃうんだから」

ステファニー「アハハ、確かにね。心配しなくても、皆は絶対来るわ、キャシー」

キャシー「……そうね、ありがとう、皆」

フィル「そう言えば、どこに着陸するんだ?」

チャウ「……何処だろうねぇ」

ステュ「考えてないのか!!」

チャウ「……よし、決めたよチャウは」





フィル「おいまさか……空港に着陸する気か!?」

チャウ「だってハワイに結婚式会場に近そうで着陸できそうな広い場所が見当たらないんだもん、もう空港でいいだろ?よし、見えてきた見えてきた……」

ステュ「クソ……メチャクチャだ」

チャウ「ほら……着陸するよぉん……3、2――」


ドォォォォォン!!!


フィル「うおわっ!!?」

ジェイド「きゃ!!」

ステュ「……お、おい!全然秒数と違うじゃないか!」

チャウ「ごめん、チャウ数学は苦手なんだ」

フィル「っておいおい前見ろチャウ!!」

チャウ「ん……?ありゃりゃ、飛行機が止まってるねぇ、止まれるかなぁ……よいしょっと」

ガコォォン!!

キィィィィ!!!

フィル「おわっ……おいチャウ!!」

チャウ「アハハハハごめん、ブレーキがこんなに効くと思わなくて」

ダグ「や、ヤバイ!!飛行機がもう目の前だ!!」

ステュ「死ぬ!死ぬ!!!」

アラン「う、うぅ……」


キィィィィ!!!


フィル「止まれ止まれ止まれ止まれ!!!」


シュウ……


フィル「……ふ、ふぅ……助かった……」

ステュ「ほ、本気で、死ぬかと……」

チャウ「いやぁ、スリル満点だったねぇ」

ステュ「ジェイド、大丈夫かい?」

ジェイド「え、ええ……」

アラン「カルロス、大丈夫?」

タイラー「うん」

進行役「間もなく、結婚式が始まります、皆さん、お静かにお待ちください」

トレイシー「まだなの……皆……?」


ガチャッ!!


突然、教会の大扉を勢いよく開ける音が館内に響く。その音につられて館内にいた全員が視線を向けるその中、そこには息切れしながら入ってきた男女の集団が立っていた。

フィル「はぁ……はぁ……ま、間に合った」

ステュ「すみません、空で迷っちゃって

パンパンパパーン♪パンパンパパーン♪


フィル「ワオ、あのイケメンと美人誰だよ?」

ステュ「二人ともよく似合ってる」

ダグ「ああ、キャシーが服を選んだらしいよ」

チャウ「まさかあのお[ピザ]ちゃんが結婚するとはねぇ」

フィル「アランは成長したんだよ」

ステュ「ああ、今じゃフィルにそっくりだ」

フィル「……なんだって?」





アラン「キャシー、遅れてごめんよ」

キャシー「いいのよアラン……楽しかった?」

アラン「……ああ、楽しかったよ」

アラン「……キャシー、綺麗だね」

キャシー「ふふ、アランも素敵よ?……特にこのはち切れそうなスーツのとことか?」

アラン「アハハ!」

途中で寝てしまいましたが、
これから仕事なので終わります。

読んでくれた方、コメントを下さった方、ありがとうございます。

再開します。
今日でラストかもです。


ジャーン……♪

パチパチパチパチ!!!

進行役「えーそれでは、バンドの演奏を終えたところで、ゲストサプライズのコーナーへ移りたいと思います。それでは、ご友人のステュアート・プライスさん、舞台の方へお上がりください」

スタスタスタ……

ステュ「ゴホン……えー、どーも、ゴッドハンドの歯科医師こと、ステュアート・プライスです。本日は皆さん、僕の友人、アラン・ガーナーのために、結婚式にご出席いただき、ありがとうございます」

ステュ「本日は、僕からアランにとっておきのプレゼントがあります。アラン、気に入ってもらえると嬉しいよ」

ステュはそう言うと、進行役へ黙って頷く。

進行役「はい、ステュアート・プライスさん、ありがとうございました。それでは、プレゼントの発表に参ります、どうぞ!」


ダダダダダダダタ……


壮大なドラムロールとともに、舞台の閉じられた幕が段々と開いていく。
そして、その向こうから聞こえてきたのは、歌声だった。

『Burnin' up』
作詞:Nick Jonas, Joe Jonas, Kevin Jonas
作曲:Nick Jonas, Joe Jonas, Kevin Jonas

ニック「……I'm hot,You're cold(僕は熱く、君は冷たい)」

アラン「ジョナスブラザーズだ!!キャシー、ジョナスブラザーズだよ!!」

キャシー「ワオ、なんてこと」

ニック「You go around,
Like you know(僕の周りに現れては、僕の気持ちをわかっているかのように)」

ニック「Who I am But you don't,You've got me on my toes(つま先で僕をあしらうけど、君は僕のことをわかっていないよ)」

ニックがそこまで歌いきると、ケビンがマイクで呼びかけ、アランを舞台上まで呼び込んだ。

ケビン「アラン、一緒に歌おう」

アラン「いいの!?」

ケビン「ああ」

ニック「来なよアラン」

そして、ケビンがアランの声も入るようにマイクを調整すると、ニックと一緒に歌った。

ニック・アラン「I'm slippin' into the lava(僕は溶岩の中へ滑り込んで)」

ニック・アラン「And I'm tryin' to keep from going under(どこまで底へ行けるかを試しているんだ)」

ニック・アラン「Baby, who turned the temperature hotter(ベイビー、君は誰よりも熱いから)」

ニック・アラン「Cause I'm burnin' up,Burnin' up,For you Baby(君のせいで僕は燃えている、燃えているんだ、君のために、ベイビー)」

ニックとアランはサビを歌い終わり顔を見合わせると、アランは何かに感づいたかのようにキャシーの方へ向く。

ニック・アラン「C'mon girl?(そこの君、こっちへ来なよ?)」

キャシー「アハハ!ちょっとやめてよもう……」


――客席


フィル「ほほ、スゲーな、よくやったなステュ?」

ステュ「仕方ない、親友のためさ」

ローレン「まさかステュがアランへプレゼントだなんてね」

ダグ「ああ、こんな日が来るなんて」

ステュ「……ちょっと違うことをしてみたらこれだ」

?「よぉお前ら」

フィル「ん?……マイク!?」

ステュ「君も来てたのか!?」

マイク「ああ、アランの結婚式だからな、親友と一緒に来たんだ」

フィル「親友?」

ホリフィールド「俺だ」

フィル「な、イベンダー・ホリフィールド!?」

ダグ「はは、信じられないよ!」

ステュ「ほ、本物だ!」

チャウ「ワオ、こりゃすごいねぇ、耳噛み事件の二人がお出ましか」

ステュ「お、おいチャウ!」

マイク「……誰だコイツ?」

フィル「えーと……」

チャウ「マイク、イベンダーの耳はおいしかったか――」


ドゴォ!!


チャウは言葉を言い切る前に、マイクの右拳を顔に浴び、気絶した。

フィル「……ワオ」

マイク「よし、うるさいハエは黙ったな」

ホリフィールド「ハハハハハ!」

ステュ「ハ、ハハハ……」





ステュ「マイク、この前の結婚式はありがとう」

マイク「まぁ、アランの頼みだったからな、お前の頼みだったら来なかった」

ステュ「で、ですよねー」

ホリフィールド「にしてもお前ら、今までどこ行ってたんだ?」

フィル「まぁ……」

ダグ「話せば長い話でね」

ステュ「ああ……ホントに」

マイク「相変わらずイカれた奴等だ」

――結婚式、その後


ジェイド「皆?」

フィル「ああ、ジェイド」

ジェイド「もう遅いから、私とタイラーは帰るわ」

ステュ「分かったよ、わざわざありがとう」

ジェイド「ううん、ステュが誘ってくれたんだもの、それに、皆と楽しめて嬉しかった」

ダグ「それは僕たちもだよ」

フィル「ああ」

ジェイド「……アラン、キャシー、幸せにね?」

アラン「ああ」

キャシー「勿論よ」

ジェイド「それと……」

ジェイド「また、"カルロス"をよろしくね、アラン?」

フィル「ハハ」

アラン「ああ!……じゃあね、カルロス?」

カルロス「うん、また遊びに連れてってね」

アラン「ああ、絶対ね」

ジェイド「……ステュ」

ステュ「……なんだい?」

ジェイド「……幸せにね」

ステュ「……ああ、君も、ディックと幸せにね」

ジェイド「……それじゃあ皆、今日はありがとう」

フィル「気を付けて帰れよ?」

ステュ「ああ、"事故"らないようにね?」

フィル「けっ……」

ジェイド「アハハ」

ジェイド「……それじゃあタイラー、行こう?」

タイラー「うん」

フィル「そういえばチャウは?」

アラン「ああ、誕生日パーティに行ったよ」

ステュ「一言言っていけばいいのに」

アラン「……実はあるんだ、チャウからの一言」

ダグ「どうゆうことだ、アラン?」

アラン「えへへ……ちょっと待ってて」





アラン「ジャジャーン!」

フィル「おお!ホールケーキか!!」

ステュ「かなりでかいな!」

キャシー「アラン、これどうしたの?」

アラン「実はこれ、チャウから俺へのプレゼントなんだ!」

ステュ「ああ、プレゼントってこれのことだったのか」

フィル「もうひとつのウェディングケーキってことだな」

アラン「そうなんだ、で、チャウからこれともうひとつ預かってる」

ステュ「もうひとつ?」

アラン「……これだよ」サッ

フィル「……お前の携帯か?」

アラン「ああ、で、チャウからの留守電を預かってる」ピッ

チャウ『……やぁお前ら、今、チャウがいなくて寂しくなっちゃってるとこかな?』

ステュ「全く」

フィル「くく」

チャウ『で、チャウからの甘~い贈り物、気に入ってもらえたかい?まぁそんなことは二の次だ』

フィル「?」

チャウ『お前ら、自分の携帯の写真を見てみろ、サイコーにイカれたお前らを見れちゃうんじゃないのかなぁ?そいじゃねーサイコーのクソッタレども?』ブチッ

フィル「……まさか」

ステュ「……そういえば、確認してなかったな」

アラン「で、チャウに言われた通り、自分の携帯の写真をテキトーにチェックしてみたんだ、そしたらスゴい写真がいっぱいあったんだ、サイコーだよ!」

フィル「マジかよ、おいお前ら、自分の携帯を出せ!」

二人はフィルに言われて各々慌ててポケットの携帯を取り出す。

キャシー「な、何が始まるの、アラン?」

アラン「記憶を取り戻す時間さ」

フィル「……は!ヤバイなこれ!」

ステュ「な、なんだこれ!」

ダグ「な、なんてことだ……」

フィル「……おいちょっと待て、これじゃあ面白くない、一人ずつ携帯を確認していこう」

ステュ「い、嫌だよ、何が写ってるか……」

フィル「いいだろ?誰のから確認する?」

アラン「俺の携帯から見てみる?」

フィル「決まりだ、携帯貸せアラン」

アラン「ああ」

フィル「……おいアラン、携帯のロックを解除してから渡せよ」

アラン「あ、そうだった、ごめんフィル」

フィル「暗証番号は……」

アラン「『やあフィル』」

フィル「……そうだった」





フィル「……お前ら、覚悟はいいか?」

ダグ「……ああ」

アラン「勿論だよ」

ステュ「嫌々だけどね」

キャシー「アハハ、なんだか面白そう」

フィル「キャシー、何をみても驚くなよ?」

キャシー「フィル、私を誰だと思ってんのよ?」

フィル「いい返事だ……じゃあ、行くぞ?」ポチッ

フィルはボタンを押す。
そしてついに、アランの携帯に昨日の晩の出来事が写し出された。

フィル「……マジかよ!?」

キャシー「嘘でしょ!?」

ステュ「なんてこった……」

ダグ「これは……」

アラン「アハハ、バカウケー!!」






-Fin-……?

――翌日


フィル「あ……ああ……」

フィルは眠たそうに目を細目ながら目を覚ますと、辺りを見渡した。部屋の床には、アランとキャシーが仲良く寝転がっていた。
だがそれよりも、額縁に刺さった剣、首のもげたキリンの縫いぐるみ、液晶の破壊されたテレビ、銃弾でボロボロになった柱、その前には固定されたミニガン、壁に突っ込んだバイク、その状況とは裏腹に規則的に並べられたワイングラス、と、とにかくそこには誰もが想像を絶する光景が広がっていた。

フィル「はぁ……はぁ……どうなってんだ……?」

アラン「うぅぁ……?」

フィルのその声に反応したのか、寝ぼけながらアランが目を覚ました。それに続いて、隣に寝ていたキャシーもゆっくりと起き上がる。

ステュ「アハハハハー!!」

すると突然、トイレの方からステュの大きな笑い声が聞こえる。

ステュ「アハハハハー、大笑いだ!」

ステュ「ハハ!!見てくれ、マジでイカれすぎだよ、ハハ!!ピンクのパンティ履いちゃってる、アハハハハー!」

そう言いながらトイレから出てきたステュの体は、ステュが口にした桃色の下着よりも大変なものが胸についていた。

キャシー「ぷふっ、ちょっと何あれー、ハハハハ!!」

フィル「ステュ……驚くなよ?ゆっくり下を向け?」

ステュ「ふふ……なに……?」

ステュはフィルの言葉に従いゆっくりと下を向く。

ステュ「……なんじゃこりゃああああ!?あ、あああああ!?」

そこには、誰が見ても分かるであろう、巨大な乳房がステュの胸についていた。

フィル「アハハハハ!!」

ステュ「わああああ!!わああああ!!」

フィル「ハハ、すげー巨乳!!アハハハハ!!」

ステュ「オッパイがついてるんだけどお!?」

フィル「お、おいしいなあそれ、アハハハハー!!」

ステュ「笑い事じゃないよ!!アラン僕に何をした!?」

アラン「……!?」

ステュにそう言われたアランは、ハッ、と何かに気づいた素振りを見せたあと、その口を開いた。

ステュ「一体何をしたんだ!?」

アラン「……ウェディングケーキだ、チャウから貰った」

ガシャアアン!!

全員「!?」

アランがその言葉を言ったあと、突如室内から何かが割れたような激しい音が響き渡る。

スタスタスタ……

ステュ「……おい嘘だろ」

そして部屋の奥からとある男が現れる。青い着物をだらりと着こなし、片手にワインボトル、片手に刀を持った異様な姿の中国人、それはチャウだった。

チャウ「最高にイカれた夜だったねぇ、へーへへへへ!!」

ステュ「ああ……」

ステュはチャウと、そのチャウの異様な姿に絶句する。その時だった。

デクスター「ウキィ!!」

スタッ!

ステュ「!?うわああああ!?おわああああ!?」

ステュの肩に、チャウの飼っている猿、デクスターが部屋の天井から突然現れた。

ステュ「もう嫌だあああああ!!!!」


~fin~

これにて、

『ハングオーバー!!!!帰ってきた、史上最悪の二日酔い』

は終了します。

4というより3.5みたいな時系列になりましたが、このラストは後付けです。

今まで読んで下さった方々、コメントをくださった方々、本当にありがとうございました。

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