律子「ブラッスリー」 (36)


都内某所



P「ここか?律子のお勧めの店は?」

律子「と言っても一度来ただけなんですけどね」

P「折角の誕生日なのに、店を決めてやれなくてゴメンな」

律子「気にしないで下さい!とりあえず入りましょう!」

P「ああ!」





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P「お?パン屋が併設されてるのか」

律子「すっごく美味しいんですよ?」

P「あとで買って帰ろうかな」

律子「そうしましょう!」



店員「いらっしゃいませ」

P「すみません、二名で」

店員「ではご案内いたします」



???「あれは……」


P「なんだか緊張するな」

律子「ブラッスりーだからそんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」

P「そうなのか?」

律子「食事の出来るカフェみたいなものですからね」

P「なんだか女の子にエスコートして貰っちゃって情けないな……ははっ」


律子「それより何飲みますか?」

P「うーん…メニューを見ても全然わからん」



???「おやおや?誰かと思えば三流事務所のへっぽこプロデューサーではないか」


P「そ、その嫌味ったらしい声は!黒井社長!」



黒井「ウィ。奇遇だな」



P「なぜここに?」

黒井「ここは私の馴染みの店なのだよ」

P「な、なるほど」


黒井「貴様こそなぜここにいる?」

P「えっと、律子が誕生日なものでお祝いに……」

律子「どうも」

黒井「ほう」



黒井「貴様らはこういう店は初めてか?」

P「恥ずかしながら」

律子「私はランチに一度だけ」

黒井「なら丁度いいな」

P「え?」

黒井「このセレブな私が色々教えてやろうではないか」

P「ええ!?」




黒井「どうせ貴様は何を頼めばいいのか分かってないのであろう」

P「ぎくっ」

黒井「恥をかくよりは、料理を堪能した方がいいだろう?」

P「は、はぁ」

黒井「それに夜はまだまだ長い。十分二人きりになれる時間はあるだろう」

P「た、確かに」

律子「ちょっと!何を納得しているんですか!」


黒井「秋月律子よ。確か20歳になったのであったな?」

律子「そうですけど。よく御存じですね?」

黒井「う、うるさい!」



黒井「ギャルソン!注文だ!」




黒井「このポメリー・サマータイムを人数分貰おうか」

律子「一杯で1800円!?」

黒井「初めて飲む酒くらい、良いモノを飲みたまえ」

P「俺は何飲んだっけなぁ…」


───




黒井「それでは誕生日おめでとう!」

律子「あ、ありがとうございます」

P「なんで仕切ってるんだこのおっさん」

黒井「乾杯!」

律子「かんぱ~い!」

P「乾杯!」


黒井「うむ」

P「う、うまい!なんだこれ!」

律子「あっ、これなら飲めるかも」

黒井「そうであろう?」

律子「はい」


黒井「ブラン・ド・ブランと言って、シャルドネという品種の白ブドウを100%使ったシャンパンだ」

黒井「フルーティな味わいで飲みやすいはずだ」

律子「美味しいですね」

P「あ、あの」

黒井「なんだね?」

P「シャンパンとスパークリングワインの違いってなんですか?」


黒井「そんな事も知らんのかね?」

P「す、すいません」

黒井「シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方で作ったスパークリングワインの事だよキミ」

P「な、なるほど」

黒井「そんな事では接待など出来んぞ?」

黒井「秋月律子は今後ゆっくり覚えていけばいい」

律子「はい!」

P「なんか扱い違くないか!?」



黒井「さて、料理も注文するとしよう」

黒井「肉や魚は調理に時間がかかるものが多いからな」

黒井「全部一緒に頼むのがいいだろう」



律子「あ!じゃあこのニース風サラダがいいです!」

黒井「南仏ではポピュラーなサラダだな」


律子「あとオニオングラタンスープを下さい!」

P「じゃあ俺はこのヴィシソワーズ(ジャガイモのポタージュ)ってやつを」

黒井「私はスープ・ド・ポワソン(魚介のスープ)を貰おう」



律子「魚料理は……ホタテのソテー・タプナードソース(黒オリーブソース)を!」

P「俺はムール貝の白ワイン蒸しで」

黒井「私は食べきれそうにないので、魚はやめておこう」



黒井「ブラッスリーの料理はアラカルト(単品)だと量が多いからな」

律子「なるほど…ではお肉は取り分けた方がいいかもしれませんね」

黒井「うむ」



律子「じゃあメインは鴨肉のコンフィを!」




黒井「今回はコースの様に組み立てたが頼み方は自由だ」

黒井「ギャルソンに聞けば懇切丁寧に教えてくれるはずだ」

律子「ふむふむ」


黒井「あとは今回はオーソドックスなものばかりだが、旬のお勧め料理なども聞くと良いだろう」

黒井「何もわからずに格好をつけて失敗するより、ちゃんと聞いた方がスマートだぞ」

P「なるほど…」


───




律子「あっ!私が取り分けますね!」

P「主賓はゆっくりしててくれ」ガチャガチャ

黒井「何をやっているんだ貴様は」

P「このスプーンとフォークだと取り分け難くて…」

黒井「サーバーだ馬鹿者。どれ貸してみろ」

P「おお!片手で!」

黒井「練習しておきたまえ」






律子「うーん!どれも美味しいですね!」

黒井「そうであろう!はーはははっ!」

P「ちょっと声大きいですよ!酔っぱらってませんか?」

黒井「この程度で酔うはずがなかろう!」

律子「そうですよ!」

P「律子は酒飲むの初めてだろ!」


黒井「ソムリエ!おすすめはなんだね?」

ソムリエ「白ワインですとマコン・ヴィラージュのビオなどいかがでしょう?」

律子「ビオ?」

黒井「オーガニックワインの事だ。ではこれを貰おう」

ソムリエ「ありがとうございます」



黒井「ワインに詳しくないのであれば、基本的にソムリエに任せるといいだろう」

P「そ、そうします」


律子「これも美味しいですね!」

黒井「中々だな!」

P「大丈夫かなぁ、ペースも早いし……。あ!お肉も来ましたよ!」



律子「美味しそう~!」

黒井「付け合わせはキノコとジャガイモのソテーだな」



P「やっぱりお肉には赤ワインなんですか?」

黒井「一概にもそうとは言えんがな」


黒井「この鴨のコンフィは相当味付けが濃いからな」

黒井「ワインにもパンチが無いと負けてしまう」

P「なるほど」

黒井「ここはカベルネ・ソーヴィニヨンが鉄板であろう」

黒井「あとチリワインも中々合うぞ」


P「本当だ!凄い合いますね!」

黒井「だろう?」



P「そういえばさっきから律子が静かだな……」

律子「Zzz……」

P「あ!いつの間にか寝てる!」

黒井「初めて酒を飲むのなら無理はないだろう」


黒井「ではそろそろお開きにするとしよう」

P「そうですね」

黒井「ここは私が全部出そうと言いたい所だが、貴様の面目が立たんであろう」

P「あ、ありがとうございます」



黒井「どうせ貴様は律子ちゃんをホテルに連れ込むんだろう?少しは財布に残しておかないとな!」

P「何言ってんだこの酔っ払い親父!少し格好いいと思った俺が馬鹿だった!」


黒井「冗談はさておき、私はもう少し残ってゆっくりしていく」

P「すいません。色々勉強になりました」

黒井「ウィ。高木とは違うのでな」

P「ははっ」


─────
───




P「俺たちも今やすっかり常連だな」

律子「ふふっ、そうね」

P「何から飲む?」

律子「うーん、シャンパンにしようかしら」

P「じゃあ俺もそうするか」


律子「当時は黒井社長には色々教えて貰ったわね」

P「ライバル事務所なのに、なんだかんだ面倒見良かったしな」

律子「……」

P「……」

律子「……乾杯しましょうか」

P「……ああ」





終わり







間に合わなかったけどりっちゃん誕生日おめでとう

建てたときは恋愛ものにしようと思ったのに、なぜか全く関係なくなってしまいました

料理とかは画像検索して貰えればどんなものか分かるかと

あとこういうお店ではどんどん恥ずかしがらずに店員さんに聞きた方が良いと思います

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