由比ヶ浜「(興味本位で手を出して、今じゃすっかり止められなくなっちゃった)」

由比ヶ浜「(こんなこと、ヒッキーにもゆきのんにも・・・)」

由比ヶ浜「(優美子にも言えないなぁ・・・)」

由比ヶ浜「(ヒッキー、あたしがタバコ吸っているって知ったら)」

由比ヶ浜「(どんな反応をするのかな？)」

由比ヶ浜「(止めろと言うのかな？　特に阻止もしないのかな？)」

由比ヶ浜「(・・・も、もしかしてまた自己犠牲を・・・！？)」ｻｰ

由比ヶ浜「すぅーはぁーっ！　すぅーはぁーっ！」ﾓｸﾓｸ

由比ヶ浜「・・・・・・」

由比ヶ浜「えへへ・・・美味しいなぁー・・・」ｸﾞﾗｸﾞﾗ

『教室』


教師「えー、この部分をこの公式に取り入れてー・・・」

由比ヶ浜「」ｲﾗｲﾗ

由比ヶ浜「(あぁーっ！！　イライラする！)」

由比ヶ浜「(早くタバコ吸いたいよぉ！)」ﾕｻﾕｻ

由比ヶ浜「(吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい)」ｶﾞﾝｶﾞﾝｶﾞﾝｶﾞﾝ

八幡「」ﾋﾞｸ

三浦「」ﾋﾞｸ

教師「おい由比ヶ浜！　貧乏ゆすりをするな、うるさいぞ！」





由比ヶ浜「ふへ・・・」ﾆﾀｧ





教師「」

由比ヶ浜「(吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい)」ｶﾞﾝｶﾞﾝｶﾞﾝｶﾞﾝ

ｷｰﾝ　　ｺｰﾝ　　ｶｰﾝ　　ｺｰﾝ





由比ヶ浜「(や、やっと授業が終わった！)」

由比ヶ浜「」ｶﾞﾀ

三浦「あれぇ？　結衣、どこに行くし？」

由比ヶ浜「あ！？」ｷﾞﾛ

三浦「ひっ！？」ﾋﾞｸ

由比ヶ浜「あ・・・ゴメンゴメン！」

由比ヶ浜「ちょっと行くところがあってさ！」

三浦「結衣・・・最近あーしらと一緒に昼食べなくなったね」

三浦「何かあるわけー？」

由比ヶ浜「い、いや、そんなことは・・・」

三浦「あーしに隠し事とかないんじゃないのー？」

由比ヶ浜「」ｲﾗ

由比ヶ浜「・・・と、とにかく行くね！　ゴメン！」ﾀﾞｯ

三浦「あ・・・」

三浦「・・・・・・」

三浦「」ｼｭﾝ

『体育館倉庫裏』


由比ヶ浜「はぁー・・・」ﾓﾜ

由比ヶ浜「移動時間も含めると、お昼くらいしか吸えないんだよねー・・・」

由比ヶ浜「家ならいくらでも吸えるのに・・・」

由比ヶ浜「あーあ・・・」

由比ヶ浜「・・・もう1本吸っておこう」ｽｯ

由比ヶ浜「」ﾋﾟﾝ

由比ヶ浜「」ｼｭﾎﾞ

由比ヶ浜「」ﾊﾟﾁ

由比ヶ浜「すぅー・・・」

由比ヶ浜「ふぅー・・・」

由比ヶ浜「美味しいなぁ・・・美味しいなぁ・・・」ﾆｺﾆｺ

由比ヶ浜「(学校だと吸える場所も少ないんだよね)」

由比ヶ浜「(ここぐらいしかないけど、もし誰かに見つかったらとか考えちゃうし)」

由比ヶ浜「(いつも警戒しながら吸うのはちょっと嫌だな・・・)」

由比ヶ浜「(でも止められないし・・・)」

由比ヶ浜「あーあ・・・」

由比ヶ浜「」ｼﾞｬﾘｼﾞｬﾘ

由比ヶ浜「」ﾊﾟｶ

由比ヶ浜「」ﾎﾟﾄ

由比ヶ浜「」ﾊﾟﾁ

由比ヶ浜「・・・・・・」

『教室』


由比ヶ浜「ゴメンゴメン！　今戻ってきたよ」

三浦「随分遅くなーい？　何してきたし？」

由比ヶ浜「え、えっと・・・」

葉山「まぁまぁ、良いじゃないか」

三浦「・・・・・・」

由比ヶ浜「えへへ！」ｸﾞﾗｸﾞﾗ

『奉仕部』


八幡「」ﾍﾟﾗ

雪ノ下「」ﾍﾟﾗ

由比ヶ浜「」ｲﾗｲﾗ

由比ヶ浜「(今日は妙にヒッキーに監視されて、奉仕部に来る前に吸いに行けなかったよー！)」

由比ヶ浜「(ヒッキーのバカ！　ストーカー！　キモい！)」

由比ヶ浜「(あぁ・・・吸いたいよぉ・・・)」

由比ヶ浜「(・・・というか、あたし、お口臭ってないよね？)」

由比ヶ浜「」ﾊｧｰ

由比ヶ浜「」ｸﾝｸﾝ

由比ヶ浜「(・・・うん、大丈夫！)」

八幡「・・・？」

雪ノ下「」ﾍﾟﾗ

『翌日』





ｻﾞｧｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ･･････





由比ヶ浜「・・・・・・」

由比ヶ浜「」ﾊﾞｻ

由比ヶ浜「」ｺﾂｺﾂ

由比ヶ浜「(わざわざ傘をさして吸いに行くなんて・・・とほほ・・・)」

由比ヶ浜「(でも吸いたいし・・・)」

由比ヶ浜「すぅー・・・」

由比ヶ浜「ふぅー・・・」ﾓﾜ

由比ヶ浜「・・・・・・」

由比ヶ浜「(・・・あ、よく考えたら)」

由比ヶ浜「(あたし、しゃがんだ状態だからパンツ丸見えなんだよね・・・)」

由比ヶ浜「(だ、誰も見ていないよね・・・？)」

由比ヶ浜「」ｷｮﾛｷｮﾛ





材木座「」ｼﾞｰ





由比ヶ浜「」

由比ヶ浜「ひっ！？　へ、変態さん！」

材木座「なっ！？　こ、これは断じて違うのだ！」

材木座「何もお主の下着が見たいから覗いていたわけではない！」

材木座「さらに凄い表情でここに歩いていくお主を不審に思って後をつけてきたなどという事実も存在しない！」

由比ヶ浜「それってストーカーじゃん！」

材木座「我は何も見ていない！　お主が喫煙をしていたことなど・・・！」

材木座「あ」ﾊｯ

由比ヶ浜「・・・・・・」

由比ヶ浜「・・・見ちゃったんだね」

材木座「・・・・・・」

由比ヶ浜「あはは・・・そうだよ、確かにあたしはタバコ、吸っているんだ・・・」

由比ヶ浜「悪い子だよね？　隠れてこそこそと・・・」

由比ヶ浜「でも、遂に今日見られちゃった・・・」

材木座「・・・・・・」

由比ヶ浜「見つからないと思っていたんだけどなぁー・・・」

由比ヶ浜「・・・もちろん、先生に言うんだよね？」

由比ヶ浜「あーあ、あたし、これから一気に印象が悪くなるんだね・・・」

由比ヶ浜「これじゃあ、ヒッキーよりももっと酷くなっちゃうね・・・」

由比ヶ浜「」ｼｭﾝ

材木座「・・・・・・」

材木座「・・・我はそのようなことはせぬ」

由比ヶ浜「え・・・？」

材木座「お主も何か理由があって、そのようなことをしたのだろう」

材木座「如何だろうか？　もし放課後に時間があれば」

材木座「我に話してはくれぬだろうか？」

材木座「こんな我だが、何か力になってやれることがあるかもしれない」

由比ヶ浜「・・・・・・」

由比ヶ浜「」ｺｸ

『喫茶店　ぼっち』


材木座「・・・ふむ、なるほどなるほど」

材木座「最近、八幡と氷の女o・・・雪ノ下さんの仲が良い・・・と」

由比ヶ浜「うん・・・」

由比ヶ浜「なんかね、あたしの知らない間にどんどん距離が近くなってきてね」

由比ヶ浜「この間なんか、一緒に買い物していたんだ・・・」

由比ヶ浜「あれってさ、完全にデートだよね・・・」

材木座「(八幡死ね)」

由比ヶ浜「奉仕部では割と普通なんだけど」

由比ヶ浜「でも・・・なんか・・・あたしの心の中がモヤモヤして・・・」

材木座「それで耐えられずに、興味本位で喫煙をしてしまった・・・と」

由比ヶ浜「うん・・・」

材木座「・・・・・・」

材木座「・・・ふむ」

材木座「今回ばかりは本人達の邪魔をするわけにはいかんな」

由比ヶ浜「」ｽﾞｷｯ

材木座「お主は・・・そうだな、別のことをよく考えた方が良いのかもしれん」

由比ヶ浜「別のこと・・・？」

材木座「うぬ、けぷこん！」

材木座「お主は八幡が他の女子(おなご)と仲良くしているのが嫌なのか？」

由比ヶ浜「えっと、それは・・・」

材木座「隠さなくても良い、高校生らしい乙女心は素敵なものだぞ？」

材木座「八幡を誰かに取られたくなければ、自分が行動していくしか他に方法はない」

材木座「行動しなければ、何も起きないし何も変えられないのだ」

材木座「誰かが何とかしてくれる、どうにかなる・・・そんな考えは甘いのだ」

由比ヶ浜「・・・・・・」

材木座「お主の八幡を思う気持ちが本物ならば」

材木座「きちんと真正面から自分の思いを伝えるのだ！」

由比ヶ浜「！」

材木座「あやつは他人の気持ちに対して気づいていないフリをすることがあるからな」

材木座「悪い意味での思い込みをしているということだ」

材木座「それならば、逃げられない程に正直な気持ちをぶつけるしかないのだ！」

材木座「他の人間などに負けるでない！　お主の人生は、たったの1回しかないのだ！」

由比ヶ浜「厨二・・・さん・・・」

材木座「厨二ではない、我の名は材木座義輝であーる！」

由比ヶ浜「えへへ・・・」

材木座「それともう1つ・・・」

材木座「喫煙は止めた方が良い」

由比ヶ浜「うん・・・」

材木座「理解はしているとは思うが、喫煙は身体に多大な影響を及ぼす」

材木座「癌との関連は非常に少ないが、循環器系や呼吸器系疾患との密接な関わりがあるのだ」

由比ヶ浜「・・・・・・」

材木座「それも今ではない、老後になって症状が出てくるのが大半なのだ」

材木座「最悪の状態である、寝たきりや酸素2L、ペースメーカーをつけたいか？」

由比ヶ浜「」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

材木座「それに、お主が将来人生の伴侶と結婚し、子供を持ったとき」

材木座「少しでも元気な赤ん坊を生みたいとは思わぬか？」

由比ヶ浜「そ、それは・・・そう思うよ」

材木座「うぬ、少しでも奇形児を生むリスクを減らさねばならぬ」

材木座「つまり、我が言いたいことは・・・」

材木座「もっと自分を大切にしてくれ、ということだ」

由比ヶ浜「！」

材木座「お主は優しい・・・いや、優し過ぎるのだ」

材木座「他人ばかり気遣って、自分のことに関しては我慢を続ける」

材木座「そのようなことを続けては、身が持たんぞ？」

由比ヶ浜「うん・・・」

材木座「・・・ふっははは！　よし、この我が禁煙を手伝ってやろう！」

由比ヶ浜「え？　本当に？」

材木座「弱者を救うのも我の仕事！　任せるのだ！」

由比ヶ浜「じゃあ・・・お願い、しちゃおっかな？」

材木座「よし！　それではしっかりと計画を立てていかねば！」

ま、少なくとも未成年は吸うなってこった

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由比ヶ浜「(それからあたしは、材木座君と一緒に秘密の特訓をした)」

由比ヶ浜「(毎日吸いたくなって辛かったけど、禁煙に成功した)」

由比ヶ浜「(ヒッキーのことに関しても色々と相談に乗ってくれたけど)」

由比ヶ浜「(でも・・・もう良いんだ)」

由比ヶ浜「(だって・・・・・・)」





由比ヶ浜「ヨッシー！　やっはろー！」ｷﾞｭｯ

材木座「はぅあっ！？」ﾋﾞｸｯ

由比ヶ浜「ねぇねぇ、今日はどこに行く？」

材木座「そ、その・・・いい加減その呼び名は・・・」

由比ヶ浜「良いじゃん！　可愛くて！」

材木座「そ、そういう問題では・・・」

由比ヶ浜「この前駅前にクレープ屋さんがオープンしたんだって！」

由比ヶ浜「今日学校終わったら行ってみようよ！」

材木座「う、うぬ・・・」

由比ヶ浜「えへへ！」ﾆｺ

材木座「(か、格好つけて上手いことを言ったら大変なことになってしまった・・・)」





『奉仕部』


八幡「・・・今日も由比ヶ浜は来ないのか」

雪ノ下「えぇ・・・」

平塚「そうか、私も禁煙すれば比企谷を・・・！」ｼﾞｭﾙﾘ

八幡「」ｿﾞﾜ

雪ノ下「・・・！」

雪ノ下「彼は絶対に渡さないわ！」ｷﾞｭｯ

八幡「///」

平塚「ぐはっ・・・！？」ｺﾞﾄ





平塚「」

平塚「」

平塚「(もうお家帰る・・・・・・)」ｸﾞｽ





終わり