P「アイドルの匣」(14)


こんにちは。
私の名前は、天海春香です。ちょっと前まで、アイドルをやってました。
今はプロデューサーさんと一緒に暮らしています。

プロデューサーさんもいまは事務所を辞めてます。

ちょっとした収録中の事故があって、責任を感じて辞めてしまいました。

そして、私も事故の影響でアイドルを辞めざるを得ませんでした……


事故についてはよく覚えていません。

……目が覚めたら、病院のベッドの上でした。

そして、ベッドの横ではプロデューサーさんが座ってて、わたしが目を覚ましたことをお医者さんや看護師さんに知らせに行きました。


お医者さん達とプロデューサーさんが戻ってきた後は、しばらくバタバタしてました。

いろんなことを聞かれて、一通り答え終わったらプロデューサーさんと二人きりになりました。

そしたら、プロデューサーさんが突然、土下座を始めました。

ビックリして「止めてください‼︎」って言おうと体を起こそうとしたら、できませんでした……


私の両腕と両脚がありませんでした。


P「すまない、春香! 俺のせいだ‼︎」

P「ーーーーー」

P「ーーー」

……この後、なんて言われたか覚えてません。


それから一週間くらい、あまり記憶がないんです。
お医者さんの説明によると、事故にあった私は、両腕と両脚に大怪我をして運び込まれたそうです。
その時は手術でなんとかなりそうだったんですが、事故のショックからか、心臓の働きが極端に弱くなってしまいました。

そこでやむなく両腕と両脚を切断しなければいけなかったようです。

今、私の両腕は肩の下から、両脚は太ももの付け根から有りません。

命を助ける為には仕方なかったみたいです。


でも、私は生きているんでしょうか?

一生、ベッドから自分で起きられない身体なのに……


病院に居る間はそんなことばっかり考えてました。
お父さんとお母さんに心配かけたくなくて、二人の前では明るく振舞ってました。もちろん、プロデューサーさんの前でも……

そのうち、765プロのアイドルのみんなや、小鳥さん、律子さんもお見舞いに来てくれて……

元気そうで羨ましい。


そんな事を考えるのが嫌で、お見舞いもあんまり受けなくなりました。何だかんだ理由をつけて断るようにしてました。

でも、プロデューサーさんは毎日来てくれてます。

お仕事で疲れてるのに、どんなに遅くなっても……


こんな私のために……

それは、プロデューサーとしての仕事だと分かっているのに……

すがりついてしまいそうで……


春香「こんばんは、プロデューサーさん」

P「ああ、こんばんは。 調子はどうだい? 」

春香「ええ、相変わらずです…」


今日もまた、いつも通りの会話です。
たぶん、ずっとこんな感じなんでしょうね……


そうして後一週間で退院できる事になりました。
退院したら自宅で介護を受ける事になりそうです。
今晩、プロデューサーさんが来たら報告しないといけないですね。
喜んでくれるでしょうか?

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