デーモン閣下「シンデレラプロジェクト?」 (298)

・聖飢魔II×シンデレラガールズ
・ストーリーはアニメを参照
・書き溜めあり
・時間軸は聖飢魔IIによる地球征服が完了した魔翌暦紀元後
・よってダミアン浜田殿下ではなくダミアン浜田陛下
・武内Pは出ません


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第1話 Who is in the devil carriage?


~地獄~


ダミアン浜田陛下「うむ、それが聖飢魔IIに続く地球征服チームの名前だ、正式には『真泥霊羅プロジェクト』」

閣下「なるほど、ですが陛下、地球を征服するならまた聖飢魔IIを招集すればよいのでは?」

陛下「いや、今度の地球は聖飢魔IIが征服したものとは別の世界のものだからなあ、1からの布教も大変だし」

陛下「何より今回お前に行ってもらう地球では空前のアイドルブームらしい」

閣下「ふむ…」

陛下「何より、そんな世界でお前みたいなただの相撲好きのおじさんが流行るとも思えん」

閣下「」

陛下「なので今回はお前にはプロデューサーとして影の首謀者、恐怖の黒幕になってもらう」

陛下「やってくれるな?」

閣下「やだ、もう絶対やらない、我輩NHKの仕事で忙しいからやらない」

陛下「紅白のコラボ枠にも呼んでもらえなかった奴が何を言ってる」

閣下「あーあー聞こえない」

陛下「まあいい、此度の地球征服作戦はお前に一任する」

陛下「作戦名は『真泥霊羅プロジェクト』」

陛下「お前は地上の346プロダクションに潜入し、14人の少女を恐ろしい魔女に育て上げるのだ」

閣下「14人、これはまさか…」

陛下「そう、かつて地球を征服した聖飢魔IIの構成員に更に一人足した数」

陛下「これはグループは聖飢魔IIを超える可能性を意味したものだ」

閣下「なるほど…」

陛下「既に11人は私が選抜しておいた、表向きはアイドルオーディションということになっているがな」

陛下「デーモン閣下よ、残りの3人はお前がその目で選ぶのだ」

閣下「全く、陛下はいつも急な話をされる…」

閣下「だが陛下直々の御命令であれば仕方ない、この悪魔教教祖デーモン閣下、我が悪名をかけて必ずや、地上を恐怖のどん底に陥れて見せましょう」

陛下「うむ、既に346プロダクションにはお前の侍従を用意しておいた」

閣下「侍従?どこの悪魔を?」

陛下「いや、彼女はただの人間だ、だが…」

閣下「だが?」

陛下「ある意味、我々以上に極悪非道だ」

閣下「そんな素晴らしい魔材、いや、人材が地球に?」

陛下「ああ、実際に調査へ赴いたエース長官は有り金を全て巻き上げられた」

閣下「なるほど…」

陛下「ともかく、他の聖飢魔IIの構成員も手が飽き次第そちらに送る、頼んだぞ」

閣下「了解しました」

陛下「では行けデーモン!地球の人間たちに我ら悪魔の恐ろしさを知らしめるのだ!」

閣下「はっ!」

~地上~

閣下「なるほど、陛下から渡されたメモによればとりあえずは346プロダクションに行って今後の説明を受けろとのこと…」

閣下「そして噂の346プロに着いたわけだが、随分と広いな…」

閣下「受付にいけば話は通っているということだし…」

閣下「あの、本日付けでこちらのお世話になるデーモンという者ですが、千川氏はいらっしゃるでしょうか?」

受付嬢「……きゅぅ」バタン

閣下「……しまった、世を忍ぶ仮の姿に変身するのを忘れていた」

閣下「あー、どうしようか」

?「あの……」

閣下「ん?ああ、ちょうどよかった、このプロダクションの者か?」

?「!? は、はい…」

閣下「いやいや危害を加えるつもりはない、誰か人を呼んでこの女性を医務室まで運んではくれないかね」

?「わ、わかりました…あの、もしかしてシンデレラプロジェクトの関係者の方ですか?」

閣下「いかにもその通りだ、だが何故そう思った?」

?「いえ、ちひろさんからプロデューサーの方は少し変わった見た目だと伺っていたものですから」

閣下「なるほど、そういう君はここのアイドルなのか?」

高垣楓「はい、申し遅れました、346プロでアイドルをやっている、高垣楓と申します」

閣下「我輩はデーモンである、以後よろしく頼む」

閣下「だけど、あれだねえ、君はあんまり我輩を見ても怖がらないねえ」

楓「悪い人では、なさそうでしたので」

閣下「なかなか肝の据わった娘だな」

閣下「だが、一つだけ訂正するなら我輩は人ではない、悪魔だ、覚えておくといい」

楓「……ふふっ」

閣下「…信じられないだろうが、本当だからな」

楓「い、いえ、すみません、冗談だと思ったのではなくて……ふふっ」

閣下「じゃあ何がおかしい?」

楓「……あくまで、悪魔なんですね、ふふっ」

閣下「……本当に変わった娘である」



~シンデレラプロジェクトルーム~

ちひろ「はじめましてデーモン閣下!今日から閣下のアシスタントを務めさせていただく千川ちひろです!」

閣下「君が陛下が直々に推薦なさった千川さんか、よろしく頼む」

ちひろ「そんな大した者ではありません、あと私のことはもっと気安くちひろと呼んで下さい」

閣下「そう?じゃあちひろ君、改めてよろしく頼むよ、お近づきの印にこれ、聖飢魔IIの大経典」

ちひろ「わあ、ありがとうございます!」

閣下「これからは我々は力を合わせ、陛下が選ばれた少女達を世にも恐ろしい魔女へt」

ちひろ「閣下!」

閣下「うん?なんだね?」

ちひろ「女の子達を魔女なんて呼んではいけません!みんなとっても可愛い、未来のトップアイドルなんですから!」

閣下「いや、でも我々の使命は…」

ちひろ「いいですか?閣下のお仕事は、プロデューサーとしてシンデレラプロジェクトの皆を輝かせることなんです!」

閣下「恐怖の…」

ちひろ「恐怖?とんでもありません、陛下も閣下も彼女達をなんだと思ってるんですか?」

閣下「しかし、彼女達を魔女にしなければ地球征服が…」

ちひろ「いえ、地球征服はしていただきます」

閣下「ええ…?」

ちひろ「あくまでアイドルのプロデューサーとして、閣下には布教活動をしていただければと思います」

閣下「なんで陛下はこんな娘を…少女達を思い我輩に歯向かうなど聖人のようではないか…」

ちひろ「いいですよね、布教。知っていますか閣下?宗教法人って非課税なんですよ?」

閣下「なるほど、さすがは陛下が選ばれただけのことはある」

ちひろ「みんなをアイドルとして輝かせながら裏で布教をして、ゆくゆくは346プロを閣下をトップとした悪魔教本部として宗教法人化、CDやグッズなどの売り上げは全てお布施として管理します」

閣下「そういえば、長官は有り金を全て巻き上げられたと言っていたが……」

ちひろ「そんなことしてません!ただ、長官はこのドリンクの定期購入をなさっているだけですよ」

閣下「? 栄養ドリンクか?」

ちひろ「私が作っているスタミナドリンクというものです、よければお一ついかがですか?」

閣下「む、では……おお!飲んだそばから力が湧いてくるようだ!」

ちひろ「お疲れの時は、いつでも仰ってくださいね!」

閣下「うむ!」

ちひろ「では、今のスタミナドリンク1本で100モバコインになります!」

閣下「この分も金を取るのか!?」

ちひろ「嫌ですね閣下、私、差し上げるなんて一言もいってないですよ?」

閣下「」

閣下「地上に来て早々に金を巻き上げられるとは思わなかった……そうか、長官はいつもこんな気分なのか……」

ちひろ「あ、そうです閣下!初日からで申し訳ないんですが、早速シンデレラプロジェクトの残りのメンバーを選んでください!」

閣下「ああ、そういえばそんな話だったな」

ちひろ「ひとまずは、陛下が行ったオーディションの映像を見ていただいて、そこでティンと来る子がいればその子を、いなければスカウトや再オーディションで決めていきましょう」

閣下「うむ」



~アイドル候補生レッスン室~




候補生トレーナー「この間のオーディション、惜しかったわね」

候補生トレ「同期の子も、みんなどんどん辞めていっちゃって…」

卯月「…私、これからもっと頑張ります!」

コンコン

候補生トレ「はーい」

卯月「? 誰でしょうか?」

閣下「レッスン中のところ申し訳ないですが、島村卯月のレッスン室はこちらでしょうか?」

候補生トレ「はい、そうですが…卯月ちゃん、ちょっと待っててね?」テクテク

閣下「我輩、346プロのデーモン小暮という者だ、本日は島村さんにご相談がありまして伺った次第である」ドアゴシ

候補生トレ「はい、ではお入りくださ…」ガチャ

閣下「うむ!では失礼する!」

候補生トレ「」バタンキュー

閣下「ああ…またやってしまった…」

閣下「仕方ない、失礼する!」

卯月「ひっ…!」

閣下「君が島村卯月だね?」

卯月「ま……ま…」

閣下「ま?」

卯月「ママーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

~応接室~

卯月「346プロダクション、シンデレラプロジェクトプロデューサー、デーモン閣下…?」

閣下「うむ、気軽に閣下と呼んでくれ」

卯月「ぷ、プロデューサーさんなんですか!?」

閣下「ああ、そして今日は君をシンデレラプロジェクトの構成員として勧誘に来た」

卯月「構成員?」

閣下「シンデレラプロジェクトの一員、つまりアイドルということだね」

卯月「それって…デビューできるってことですか?」

閣下「ああ」

卯月「私…ついに!アイドルに!」

閣下「我輩と共に来てくれるか」

卯月「もちろんです!島村卯月、頑張ります!」

閣下「フハハハハ、いい返事だ!ではアイドル島村卯月よ、貴様に最初の任務を授ける!」

卯月「はい!なんでしょう!」

閣下「レッスン!」

卯月「はい!……え?」

閣下「いやね、大変申し訳無いんだけど、まだ残り2人が決まってないんだよ」

閣下「だからもうしばらく自分を磨いて待っていてくれないか」

卯月「な、なるほど!わかりました!島村卯月、レッスン頑張ります!」

閣下「何か聞きたいことはあるか?」

卯月「CDはいつ出せますか!?」

閣下「わからん!」

卯月「テレビには出られるんでしょうか!?」

閣下「未定!」

卯月「ライブとか出来るんでしょうか!?」

閣下「検討中!」

卯月「そ、そうですか…」

閣下「すまんが、我輩も配属されたばかりでな、だが…」

卯月「だが?」

閣下「我輩が貴様をプロデュースする以上、ゆくゆくはテレビには引っ張りだこ、ミサは超満員、教典は即完売なのは間違いない!」

卯月「ミサ…教典……?」

閣下「ああ、ライブとかCDのことね」

卯月「なるほど!わかりました、よろしくお願いします!」

閣下「他に質問はあるかな?」

卯月「えっと、じゃあ、あの…」

閣下「なんでも聞くが良い」

卯月「なんで、私が選ばれたんでしょうか…?」

閣下「なぜ、というと?」

卯月「私、このオーディションに一度落ちているので…」

閣下「ふむ、そういえばそうだったな…」

卯月「今回の選考理由とか、聞かせてもらえたらなって…」

閣下「我輩が君を選んだ最大の理由は、笑顔だ」

深夜にこっそりやろうと企んでたんだが急に出なければいけなくなってしまった
たぶん今日はもう投下出来そうにないんで明日また再開します

もし見てくれてる人いたらのっけから申し訳ない

おつー

卯月「笑顔…?」

閣下「うむ、オーディションの映像を見ていて君の笑顔が最も強いパワーを持っていた」

閣下「人々を魅了し、力を与える凄まじいパワーを、な」

卯月「そ、そんな…」

閣下「悪魔の目は、人間の持つパワーを見分けることができるのだ」

卯月「へ?悪魔?」

閣下「うむ、我輩、悪魔なのだ」

卯月「えーっと、どういう…」

閣下「だから悪魔だよ悪魔、デビル、空も飛べるし火もふける、ホラ」フワフワ

卯月「」

閣下「そんな我輩の目が君の秘めたる力を感じ取ったのだ」

閣下「君の素晴らしい笑顔、それ以上の理由がいるかな?」

閣下(まあ陛下が見落とすわけもないし、きっとわざと残しておいたのであろうが)

卯月「いえ、私、笑顔だけは自信があります!ぶいっ!」ピース!

閣下「いい笑顔だ、これからよろしく頼むよ」

卯月「はい!ありがとうございます!」

~渋谷~

閣下「ああ、もしもしちひろ君?我輩、我輩だけど、今さっき島村さんに会ったから」

閣下「うん、やってくれるって、いい子だったよ」

閣下「我輩はこのまま勧誘に行くから何かあったら電話して、うん、渋谷にいる、じゃあまた」プチッ

閣下「やはり渋谷は落ち着くな、我輩の発生地にも似てるし」


警官「ちょっと、そこの君、何やってるの!」


閣下「む?長官が絡まれているのか?」


凛「別に、何もしてないよ」

子供「ぐすっ…うえぇえぇん」

警官「何もないってことはないでしょう」


閣下「ふむ、全く…」


凛「だから、私は何もしてないったら…」

警官「じゃあなんでこの子はこんなに怯えてるんだ?」

閣下「あー、ちょっと失礼、そこのお巡りさん」

凛「知らないってば!」

閣下「君もね、ちょっと落ち着いて」

警官「知らないって、さっきから君ねえ!」

閣下「だからお巡りさんも話を聞いてあげようよ」

凛「ホントに知らないんだってば!!」

閣下「……」

警官「もういい!こっちに来なさい!」

閣下「二人とも……いい加減にしろ!!!」

>警官「ちょっと、そこの君、何やってるの!」

>閣下「む?長官が絡まれているのか?」


なんでそうなるww

凛「誰…?って、えええ!?」

警官「うわっ、なんだよいきなり…って不審者!?」

閣下「む、捕まるのは不味いな、洗脳音波!」ミューン

閣下「先程から聞かせてもらったが、まず警官!」

警官「はい…」グルグル

閣下「仕事熱心なのはいいが、まずはゆっくり事情を聞いてやれ」

警官「はい…」グルグル

閣下「そして娘も」

凛「ダメだ、このお巡りさんは当てにならない…男の子を逃して110番…男の子を逃して110番…」ブツブツ

閣下「通報の計画を立てるんじゃない!君も、理解して欲しければちゃんと事情を話すことだ」

凛「そんなこと、言われなくたって…」

閣下「ならば次からはそうするんだな」

閣下「この場は我輩が預かろう、少年よ、どうしたのだ?」

閣下「見れば、その壊れたロボットがどうかしたのか?」

子供「うん、パーツが取れちゃって踏んじゃうといけないから、止まってもらってたの……」

閣下「そういうことか?」

凛「うん」

子供「でも、全然見つからなくて……っ…」グスッ

閣下「あーあーもう、男の子が無くんじゃないの」

閣下「ほら、我輩がもっとカッコいいのあげるから」

子供「?」

閣下「これこそ、ゼノン石川和尚(元博士)お手製魔形『ぞっど君』だ!」

凛「何この妙に暑苦しくて禍々しい人形…妙にリアルだし…」

閣下「人形ではない、魔形である」

子供「うわあ…」キラキラ

凛「あ、喜ぶんだ」

閣下「ちなみにこちらのぞっど君、背中のボタンを押すと喋る」ゾッドダー

凛「スピーカーの安っぽさが悲しい…」

子供「ほわあ…」キラキラ

凛「あ、喜ぶんだ」

閣下「このぞっど君を授けるからもう泣くのは終わりだ」ブッコロスゾー

閣下「今なら特別に、取り換え用のサソリ型ベースパーツもつけてやろう」ゾゾゾゾッドダー

子供「うん、ありがとうオジちゃん!」ブッコロスゾー

凛「音声、2種類しかないんだね」

閣下「フハハハハ、では少年、気をつけて帰るのだぞ!また会おう!」

子供「お姉ちゃんも、ありがとう!!」ブッコロスゾー

凛「うん、じゃあね」

閣下「……ふう、すまないな、時間を取らせてしまって」

凛「いや、私こそ巻き込んじゃって…」

閣下「困ったときは、お互い様だ」

凛「というか、アンタもそんな格好してたら、次はアンタが警察に声かけられるよ?」

閣下「フハハハハ!我輩なら心配ない、その時はまた洗脳音波を使うまでだ!」

凛「そ、そういえばさっきも…アンタ、何者なの…?」

閣下「我輩はデーモン、元副大魔王、悪魔教教祖にして今は346プロダクションのプロデューサーである!」

凛「え、えっと…つまり?」

閣下「悪魔のプロデューサーだ!」

凛「何それ、意味わかんない…ふふっ」

閣下「……ふむ、貴様、アイドルに興味はないか?」

凛「……何それ、どういうこと」

閣下「我輩と共に、世界を征服する気はないか?」

凛「――ない」

凛「なんだ、それが狙いで声かけたの?」

閣下「いや、そういうわけではないが…」

凛「悪いけど、アイドルなんてわけわからないもの、興味ないから」

凛「かばってくれたのは助かったよ、じゃあ」

閣下「……ふむ」

~翌日 通学路~

閣下「お急ぎのところ大変申し訳ないのですが、アイドルに興味はありませんか?」

凛「……ない」

閣下「つれないなあ」

凛「というか、なんでいるの?」

閣下「今朝方からこの辺りに使い魔をはなっておいたのだ」

凛「どういうこと…」

閣下「あの後色々と考えたんだが、やはり君はアイドルの素質があると思ってな」

凛「私、昨日興味ないって言わなかったっけ?」

閣下「まあまあせめて話だけでもね、ほら、我輩の教典もあげるからさ」

凛「……はあ」スタスタ

閣下「む……」




~数日後 学校~

教師「~~で、~年~~が~を発布した」

凛「…………はあ」

凛(あれ以来、アイツ毎日来てたのに今日は来なかったな…)

凛(もう、諦めたのかな…それとも、他にいい子が見つかったとか…)

教師?「そして魔翌暦元年12月31日、聖飢魔IIは東京ベイNKホールにて最後の大黒ミサを行い地球征服を完了した」

凛(って、それじゃあ私が気にしてるみたいじゃん!違う違う……って、あれ?今なんか変な)

教師?「じゃあ、渋谷、次に聖飢魔IIが再集結したのは魔翌暦何年か言ってみろ」

凛「っ!? は、はい……ま、魔翌暦…?」

教師?「なんだ、そんなこともわからんのか、それくらいのこともわからないなら…」


閣下「お前も蝋人形にしてやろうか?」


凛「アンタ、なんでここに!?」

閣下「フハハハハハハハ!本物の先生には少し早めの昼休みをとってもらった!」

閣下「いやあ、結構楽しいね教師、陛下が世を忍ぶ仮の職業に選ばれたのも納得だよ」

凛「~~~~~~!!」

閣下「ああ、そうだそうだ、娘よ、アイドルに興味はないか?」

凛「――から…」

閣下「なんだ?聞こえないな」

凛「ないからもう出ていってええええ!!」

~翌日 通学路~

閣下「お急ぎのところ大変申し訳ないのですが、アイドルに興味はありませんか?」

凛「……ない」

閣下「つれないなあ」

凛「というか、なんでいるの?」

閣下「今朝方からこの辺りに使い魔をはなっておいたのだ」

凛「どういうこと…」

閣下「あの後色々と考えたんだが、やはり君はアイドルの素質があると思ってな」

凛「私、昨日興味ないって言わなかったっけ?」

閣下「まあまあせめて話だけでもね、ほら、我輩の教典もあげるからさ」

凛「……はあ」スタスタ

閣下「む……」




~数日後 学校~

教師「~~で、~年~~が~を発布した」

凛「…………はあ」

凛(あれ以来、アイツ毎日来てたのに今日は来なかったな…)

凛(もう、諦めたのかな…それとも、他にいい子が見つかったとか…)

教師?「そして魔翌暦元年12月31日、聖飢魔IIは東京ベイNKホールにて最後の大黒ミサを行い地球征服を完了した」

凛(って、それじゃあ私が気にしてるみたいじゃん!違う違う……って、あれ?今なんか変な)

教師?「じゃあ、渋谷、次に聖飢魔IIが再集結したのは魔翌暦何年か言ってみろ」

凛「っ!? は、はい……ま、魔翌暦…?」

教師?「なんだ、そんなこともわからんのか、それくらいのこともわからないなら…」


閣下「お前も蝋人形にしてやろうか?」


凛「アンタ、なんでここに!?」

閣下「フハハハハハハハ!本物の先生には少し早めの昼休みをとってもらった!」

閣下「いやあ、結構楽しいね教師、陛下が世を忍ぶ仮の職業に選ばれたのも納得だよ」

凛「~~~~~~!!」

閣下「ああ、そうだそうだ、娘よ、アイドルに興味はないか?」

凛「――から…」

閣下「なんだ?聞こえないな」

凛「ないからもう出ていってええええ!!」

~さらに数日後 通学路~


凛「もうなんでいるのかは聞かない」

閣下「いさぎが良くて大変結構だな」

凛「ただ一つ聞きたいのは…」

閣下「うむ、なんでも聞いてみろ」

凛「なんでその格好で馴染んでるわけ!?」

奥様A「あら、小暮さん、おはようございます」

閣下「ああ、ご婦人、主婦の皆さんは早くから大変ですね」

サラリーマン「俺もデーモンさんみたいに空を飛んで通勤できたらなあ」

閣下「いやいや、これが地獄だとみんな空を飛ぶから交通規制も厳しいんだよ」

老人「なあなあ伝衛門くん、今日の取り組みの見どころはどこだい?」

閣下「これはご老体、もしよろしければ我輩が解説するのでこの後一緒に見ようではありませんか!」

少年「閣下だー」ゾッドダー

少女「閣下ー」ブッコロスゾー

凛「ぞっど君まで流行ってるの!?」

閣下「うむ、今や原宿でも空前のブームを巻き起こしているぞ」

凛「頭痛い…」

閣下「そして娘よ、アイドルに興味はないか?」

凛「わかった…もう話でもなんでも聞くから……追い回すのはこれで最後にして……」

閣下「フハハハハ!ようやく観念したか!」

~喫茶店~

店員「いらっしゃいませー何名様ですかー」

閣下「2人だ」

店員「あ、閣下だ!おはようございます!」

閣下「うむ、悪しき朝だな!フハハハハ!」

凛「ホントに馴染んでるね…」

凛「――それで?大体、私のどこを見てアイドルなんかに向いてると思ったわけ?」

閣下「そうだな、一つだけあげるとすれば、貴様のその眼差しだ」

凛「? どういうこと」

閣下「強い真っ直ぐな瞳、人間が持つ意志の力が秘められた貴様の眼は、悪魔である我輩が見惚れるほどに美しい」

凛「そ、そんなこと…」

閣下「いや、ある」

閣下「だが、貴様の瞳の輝きは今、酷く燻っている」

凛「そんなこと…」

閣下「娘よ、貴様には泣きたい時に泣き、笑いたい時に笑える場所はあるか?」

凛「……」

閣下「我輩には、お前が今、そんな場所を探し求めているように見える」

閣下「お前は言ったな、アイドルなんてわけわからないもの、と」

閣下「わけがわからないものとは、それほど忌み嫌うものか?」

閣下「お前は今、わけがわかるものの中で燻っている」

閣下「何も変わらないことに苛立ちを覚えているように見える」

閣下「なればこそ、何かが変わるきっかけはわけがわからないものの中にこそあるのではないか?」

凛「私がどう思っていようと、アンタには関係ない」

凛「話は終わり?じゃあ、行くから」

閣下「――今日、学校が終わった後もう一度だけ会いに行く」

凛「これで最後にするって、言ったのに」

閣下「我輩は悪魔だからな、嘘もつくさ」

閣下「部活の希望欄は空白にしておけよ、凛」

凛「……」

~候補生レッスン室~

閣下「お疲れ様である!」バーン

候補生トレ「あ、閣下さんお疲れ様です」

卯月「閣下さん!見てください、このステップできるようになりました!」

閣下「おお、目覚ましい進歩だな!フハハハハ!」

卯月「はい!島村卯月、まだまだ頑張ります!」

閣下「頑張るのもいいが、今日はお前に一緒に来てもらう」

卯月「? どこに行くんですか?」

閣下「新メンバーのところだ」

卯月「じゃあ、ついに決まったんですね!」

閣下「ああ、年も近いし気が合うだろう」

候補生トレ「閣下さんから見たら、人間の年なんて全部同い年みたいなものじゃないですか」

閣下「おお、これは一本取られたな」

閣下・卯月・候補生トレ「「「あっはっはっはっは」」」



~フラワーショップシブヤ~

閣下「失礼する!」バーン

凛「……いらっしゃい」

閣下「フハハハハ!今朝方ぶりだな、今日はもう一人連れてきたぞ」

卯月「ああ、あなたが新しい!」

凛「あれ?この前の…」

閣下「なんだ、面識があるのか?」

卯月「はい、前に一度お花を買いに来たことがあって」

閣下「ほお、何の花を買ったの?」

凛「アネモネ、だったよね」

卯月「そうです!えっと、たしか花言葉は…」

閣下「白のアネモネは『期待』、『希望』などだな」

卯月「閣下さん、詳しいんですね!」

凛「……意外」

閣下「大したことはない、だがそうか、アネモネか」

閣下「ならば我輩はこれをお前に贈ろう」

卯月「これも、アネモネですか?」

閣下「ああ、色違いのな、紫のアネモネの花言葉は、わかるな?」

凛「…………さあね」

~公園~

卯月「改めまして、島村卯月です!」

凛「…凛、渋谷凛」

閣下「デーモンである!」

凛「知ってるよ」

卯月「これから一緒に、アイドル頑張りましょうね、凛ちゃん!」

凛「……え?」

卯月「……あれ?」

凛「いや、私、アイドルをやるつもりなんて…」

卯月「……ええええええええええええええええ!!??」

凛「あの、なんかごめん」

卯月「だ、だって閣下さんが新メンバーって」

凛「…どういうこと?」ギロ

閣下「そうなんだよ、まだアイドルやるって言わないんだよ」

凛「どうして、今日は卯月まで連れてきたの?嘘をついてまで」

閣下「それはだな、卯月がお前に足りないものを持っているからだ」

卯月「そ、そうなんでしょうか…」

閣下「正直に言うと、卯月はまだアイドルではない」

卯月「うう……」

凛「そうなの?」

卯月「はい、今はまだアイドルの候補生です…」

閣下「卯月は我輩が率いるシンデレラプロジェクトのメンバーに決まってはいるが、まだ346プロに登録されてすらいない」

卯月「待機中なんです、残りのメンバーが決まるまで」

閣下「今は候補生としてレッスン漬けの毎日だ」

閣下「凛よ、今朝に我輩が言ったことを覚えているな」

閣下「お前は何も変わらないことに苛立ちを覚えている」

閣下「全てが変わるきっかけを心の何処かで求めている」

凛「……」

閣下「沈黙は肯定とみなすぞ、だがそれは卯月もずっと一緒だったのだ」

卯月「私が、ですか?」

閣下「ああ、卯月にとってはアイドルこそがそのきっかけだったのだろう」

閣下「しかし、よく聞け、初めて卯月と会ってから今まで我輩は、卯月がトレーナー以外とレッスンをしている姿を見たことがない」

凛「どういうこと?」

閣下「聞けば、卯月と同期の候補生達は一人残らず辞めてしまったという」

卯月「…………」

閣下「無論、その候補生達を責めることはできないが、結果として卯月は一人になった」

閣下「そして我輩と出会うまでたった一人で孤独と闘いながら歩いてきたのだ」

閣下「凛よ、お前に足りないもの、それは進むべき道、そして歩くための力だ」

凛「道……」

閣下「卯月にはアイドルという道があり、どんな時も笑顔で頑張る力があった」

閣下「だからこそ、我輩は卯月を選んだ」

閣下「幸せは、歩いてこない」

閣下「だから歩いていくのだ」

閣下「だが、お前達が幸せを求め迷っている横から、我々悪魔が『ほれ不幸せ』『ほれ不幸せ』と災いを投げつけていく」

閣下「幸せは、いつだって目の前にぶら下がっている」

閣下「進むべき道は我輩が示そう、歩くための力も我輩が送ろう、後は一歩を踏み出すお前の意志だけだ」

閣下「さあ、早くゆけ、早くゆけ、今お前の目の前にぶら下がっている幸せを見失わないうちに!」

凛「………私、は」

閣下「明日は約束通り我輩から会いに行くことはしない」

閣下「今朝の喫茶店で待っているぞ」

~翌日 喫茶店~

卯月「うう~、凛ちゃん来てくれるでしょうか?」

閣下「まあまあ落ち着きなさいよ、焦ってもどうにもならないんだから」

卯月「なんで閣下さんは昨日はあんなに真面目だったのに今はこんなに緩いんですかあ」

閣下「そりゃあねえ、説法をする時は真面目に喋るよ、ほら、お茶のおかわりいる?」

卯月「クスン、いただきます~」

閣下「……むむ、来たな」

卯月「え?それって…」

店員「いらっしゃいませー」カランコロン

卯月「なんで閣下さん、入ってくる前に…」

閣下「フハハハハ!デビルイヤーは地獄耳なのだ!」

閣下「――それで?」

凛「……渋谷凛、15才…よろしくお願いします」

卯月「凛ちゃん!」

凛「改めてよろしくね、卯月」

卯月「はい、こちらこそ!」

凛「――それで?アンタが私のプロデューサー?」

閣下「いかにも我輩こそが元副大魔王にして悪魔教教祖、そして今日からお前のプロデューサーとなるデーモンである!フハハハハ!」

凛「ふーん、ま、悪くないかな」

閣下「歩き出す決意は着いたのだな?」

凛「歩く?私はそんなことしないよ」

閣下「む?」

凛「アンタ達悪魔が、幸せに向かって歩いている横から災いを投げつけるって言うなら」

凛「私は走るよ、だからしっかりついて来てね、プロデューサー」




~翌日 再選考オーディション~

未央「本田未央です!よろしくお願いします!」

閣下「ふむ……、フハハハハ!元気が良くて大変結構!」


第1話 Who is in the devil carriage? 終

第2話 I never seen such a frightening castle


~346プロ シンデレラプロジェクトルーム~

ちひろ「おはようございます閣下!今日も一日頑張りましょうね!」

閣下「フハハハハ!うむ、今日も様々な悪事を「閣下?」う、うむ…」

ちひろ「今日はシンデレラプロジェクトのみんなが集まる記念すべき日なんですから、変なこと言ったらダメですからね?」

閣下「なんだか我輩、ちひろ君といると型なしだよ」

ちひろ「もうすぐ、最後の3人がここに来る予定で、一度3人にはレッスンを行って体力などの簡単な測定をしてもらいます」

閣下「その後に顔合わせと宣材写真の撮影ですので、それまでに一度陛下が選んだ子たちに会っておきましょうか」

閣下「そうだね、しかし陛下が直々に選抜された構成員とは、一体どれほどの者なのだろうか…」

ちひろ「みんなとっても素直ないい子たちですよ!」

「失礼しまーす!」ガチャ!

閣下「おお、来たか」

卯月「閣下さん!おはようございます!」

凛「おはよう」

閣下「うむ、おはよう、ちゃんと時間通りに来たな、関心関心」

卯月「えへへ、昨日は楽しみで中々眠れませんでした」

凛「他のメンバーはまだ来てないの?」

ちひろ「残りの方は、午後から合流する予定です」

凛「ふーん」

卯月「えっと、こちらの方は…?」

ちひろ「申し遅れました、私は当プロジェクトのアシスタントを務める千川ちひろと申します」

ちひろ「こちらはお近づきの印です、これから一緒に頑張りましょうね!」つエナドリ

卯月「ありがとうございます!頑張ります!」

閣下「ち、ちひろ君、まさかとは思うが君こんな子供から金を…」

ちひろ「大丈夫ですよ、彼女たちの分は閣下のお給料から頂いてますから!」

閣下「悪魔か貴様は」

未央「失礼しまーす!」

ちひろ「あ、最後のメンバーが来ましたよ」

閣下「スルーか」

ちひろ「これで3人集まりましたね!」

閣下「うむ、まずは一人ずつ紹介していこう」

閣下「こちら島村卯月さん、頑張り屋さんである」

卯月「はい、島村卯月、頑張ります!」

閣下「続いてこちらは渋谷凛さん、花屋さんである」

凛「私の家が、ね」

閣下「最後にこちら、本田未央さん、飯屋さんである」

未央「飯屋?」

閣下「失礼、違う世界に言及してしまった、ほら我輩悪魔だから」

未央「なら仕方ないか!本田未央、高校1年、よろしくね!」

未央「ねえねえ、ところでモンチー!」

閣下「も、モンチー?」

未央「私が考えた閣下のアダ名だよ、デーモン閣下だから、モンチー!」

卯月「とっても可愛いですね!」

閣下「う、ううむ…」

未央「それでさモンチー、この未央ちゃんが最後のメンバーに選ばれたのってなんでなのかな?」

閣下「呼び方のことは後にして、そうだな、お前の選考理由はズバリ、その身から溢れ出んばかりのエネルギーだ」

未央「おお!!エネルギー!!そっかー、やっぱり未央ちゃんからはアイドルオーラが溢れ出ちゃってますかー」

閣下「アイドルオーラというと少し違うかもしれんが、そういうことだな」

閣下「お前の内にある、この2人に優るとも劣らぬ情熱のパワーを我輩は見たということだ」

未央「なるほど!よーし、未央ちゃん、頑張っちゃうよ―!」

卯月「みんなで一緒に、頑張りましょう!」

凛「うん、そうだね」

閣下「フハハハハ!仲が良くて結構!では、お前達にアイドルとして最初の試練を与える!」

卯月「はい、なんでしょう!」

未央「なんでもドーンと来い!」

凛「……」

閣下「最初の試練……それは…」

卯月「それは……?」

未央「ゴクリ……」

凛「……」

閣下「レッスン!!」

卯月「レッ……」

未央「スン……?」

凛「ま、ジャージとか着替えとか持って来いって言われてたしね」

ちひろ「皆さんには、これから簡単な運動能力の測定をしてもらいます」

閣下「アイドル道はここから始まる、全力でやってこい!」

「「「はい!」」」


ちひろ「では閣下、これから他のアイドル達と顔合わせをしていただきます」

閣下「我輩はここで待っていればいいんだね?」

ちひろ「はい!では一人ずつ呼んできますね!」

閣下「柄にもなく緊張してしまうな…」

「失礼しますにゃ!」コンコン

閣下「はいどうぞー……にゃ?」

みく「はじめまして!前川みくですにゃ!これからよろしくお願いしますにゃ!」ガチャ!

閣下「……猫又?」

みく「へ?」

閣下「なるほど、構成員には妖怪もいるのかさすがは陛下…」

みく「妖怪って…」

閣下「君、発生地はどこ?あれかな、まだ若い妖怪だからちゃんと世を忍ぶ仮の姿に変身できないのかな?」

みく「えっと、出身は大阪です…にゃ」

閣下「あー、地獄のBig Slopeねー、じゃあ長官とか割りと地元近いんだねえ」

みく「あ、あの、みくは妖怪じゃないよ…?」

閣下「え?そうなの?」

みく「当たり前にゃ!みくは人間……じゃなくて可愛いネコちゃんにゃ!」

閣下「あ、キャラ作りなのね、それ」

みく「むしろ妖怪だと思われるとは思わなかったにゃ…」

みく「大体、デーちゃんだってアイドルでもないのにキャラ作りしてるでしょ!」

閣下「我輩はキャラ作りなどしておらん!」

みく「いやいや、だってそんなメイクだってして…」

閣下「メイクではない、これは地肌だ」

みく「そんな格好して…」

閣下「これは我輩の戦闘服、サラリーマンのスーツみたいなものだ」

みく「なるほど、キャラ付けするならここまで徹底的にやらないとダメなのかな…」

閣下「お前とは後々ゆっくり話をする必要がありそうだな」

みく「うん、みくもこれから頑張るからよろしくね!デーちゃん!」

閣下「一人目から中々に個性的な…」

「失礼します」

閣下「はいどうぞー」

かな子「三村かな子です、よろしくお願いします!」

閣下「おお、今度は最初から人間だな」

かな子「人間…?」

閣下「いやこっちの話、これからよろしくね」

かな子「は、はい!」

閣下「じゃあそうだねえ、君は何か好きなコトとかあるの?」

かな子「好きなこと、休みの日はお菓子作りするのが好きです!」

閣下「ほお、女の子らしくていいじゃない」

かな子「でも、その分食べるのも好きで…」

閣下「ああ、わかるよ、おいしいとついつい食べちゃうよねえ」

かな子「そうなんです…私、アイドルとしてもっと痩せた方がいいんでしょうか…?」

閣下「いや、今も特に太ってるわけでもないしいいんじゃない?むしろ健康的で」

かな子「でも、油断してるといっぱい食べちゃうし…」

閣下「そうだねえ、我輩の知り合いに雷神の息子がいるんだけど」

かな子「ら、雷神?」

閣下「彼は燃費が悪くてすぐ食べるんだよ、カツ丼とカルボナーラを同時に食べたり」

かな子「それは…」ゴクリ

閣下「でも、彼は体脂肪率10%くらいしかないんだよねえ」

かな子「!?」

閣下「よかったら、彼もいってる地獄のスポーツジムを紹介しようか?今なら紹介特典もつくし」

かな子「ぜひ!ぜひお願いします!」

閣下「じゃあ話しておこう、だがアイドルの方も頑張ってくれよ?」

かな子「はい!ありがとうございます!」

閣下「はい、じゃあ次の人~」

「あ!莉嘉ちゃんの番だよ!」「一緒にいこうよ!」

ちひろ「あ、みりあちゃん!」

莉嘉「やっほー!城ヶ崎莉嘉だよー!」

みりあ「赤城みりあです!」

閣下「おお!元気のいいのが揃ってきたな!」

ちひろ「すみません閣下…ほら、みりあちゃん、順番だから…」

閣下「ああ、2人一緒でいいよ」

みりあ「ねえねえおじさん!」

莉嘉「おじさんが悪魔ってホント!?」

閣下「いかにも、地獄の副大魔王をやっていたこともあるぞ」

みりあ「そうなんだ!すごーい!」

閣下「あと我輩のことは閣下と呼ぶように」

みりあ「かっか、ってどういう意味?」

閣下「すごく偉い悪魔ということだ」

みりあ「そっかあ!じゃあかっか、これからよろしくね!」

莉嘉「えー、なんかオシャレじゃないよー」

閣下「ふむ、じゃあ好きなように呼ぶといい」

莉嘉「うん!よろしくね、デーくん!」


閣下「ふむ、まあ陛下は世を忍ぶ仮の教師生活を送るだけあってやはり元気な子供には惹かれるのだろうか」

「失礼、します」

閣下「はーい」

アーニャ「Меня зовут Анастасия、えっと、アナスタシアです、アーニャと呼んでください」

閣下「ふむ、ロシア人か」

アーニャ「あなたの、お名前は?」

閣下「我輩はデーモン、気軽に閣下と呼ぶがいい、よろしく頼むぞ」

アーニャ「わが、はい?」

閣下「Я、私ということだな」

アーニャ「そうですか、あー、カッカは、ロシア語喋れますか?」

閣下「いや、さすがの我輩もロシア語はわからん」

アーニャ「でも、今の発音とても、свободно…キレイでした」

閣下「ロシアの言葉はフランス語などに比べれば発音自体は簡単だからな」

閣下「だがしかし、お前もまだ日本語に迷いがあるようだな?」

アーニャ「はい、日本語、難しいです」

閣下「ふむ、ではアーニャよ、我輩はこれからロシア語を覚えよう」

閣下「お前が日本語をマスターするのと我輩がロシア語を話せるようになるの、どちらが早いか競争しようではないか!」

アーニャ「! はい、私、アイドルも日本語も、стараюсь…がんばります!」

閣下「フハハハハ!お互いがんばろう!」

閣下「はい、じゃあ次の方ー」

李衣菜「多田李衣菜、ロックなアイドル目指してます、よろしく」

閣下「ほう!ロックか、いいではないか!」

李衣菜「え?そ、そうですかね…?」

閣下「うむ!我輩がいた聖飢魔IIはメタルバンドの姿をした宗教団体だったがな」

李衣菜「え!?プロデューサー、バンドやってたんですか!?」

閣下「ああ、これでもそれなりに鳴らしたものだ、あと我輩のことは閣下と呼ぶがいい」

李衣菜「う、ウッヒョー!閣下、これからよろしくお願いします!」

閣下「それにしてもロックか、天国への階段をオマージュしたこともあったな」

李衣菜「天国への…?」

閣下「うむ、あのツェッペリンの」

李衣菜「テペ…?」

閣下「……レッド・ツェッペリン、知らないか?」

李衣菜「ももももちろん知ってますよ!あ、あれですよね…あの……赤い…」

閣下「音楽についてはこれから勉強だな…」

李衣菜「うう~、はい…」

閣下「まずは我輩の地球デビュー記念大教典、『悪魔が来たりてヘヴィメタる』を授けよう」

李衣菜「ありがとうございます!なんかこの衣装、ロックですね!」

閣下「違う!これはメタル!」

李衣菜「はい!」

閣下「どんなロッカーも最初は新米、これからどう育っていくか見ものだな」

「失礼します」

閣下「どうぞー」

美波「新田美波です。よろしくお願いします」

閣下「うむ、よろしく頼む」

閣下「君は唯一の大学生か」

美波「はい、他のみんなよりも少しだけお姉さんですね」

閣下「我輩からしたら、みんな子供と同じだがな」

美波「それもそうですね、ふふっ」

閣下「君は、どうしてアイドルに?」

美波「私、何かに挑戦するのが好きで、ラクロスとか資格をとるのが好きなんですけど」

美波「アイドルになれば、新しい何かが見つかるんじゃないかなって思って」

閣下「資格取得が趣味とは、若いのにしっかりしてるねえ」

美波「そんな、大したことはないですよ」

閣下「小学生もいるこのプロジェクト、君の力を借りることも多いと思う、よろしく頼むぞ」

美波「はい、美波、頑張ります!」

美波「でも、悪魔さんと一緒にお仕事なんて、イケないことしてるみたいですね、ふふっ」



閣下「はいじゃあ次の方ー」

「…………」

閣下「……次の方ー?」

「…………」

閣下「……何かあったのだろうか」

「…………し、失礼します」ガチャ

閣下「おお、ようやく来たか、さあ入って入って」

智恵理「ひっ……お、緒方智絵里、です」

閣下「うむ、緒方智絵里くん、三重県出身で趣味は四葉のクローバー集め、よいではないか」

智恵理「あ、あの…」

閣下「なんだね?」

智恵理「が、がんばります……ので……見捨てないでくれると……その……うれしい……です」

閣下「うーん、そりゃあ我輩は君を陛下から託されているからな、万が一にもそんなことはありえんが…」

閣下「智恵理よ」

智恵理「は、はい……」

閣下「そう怯えなくていい、我々は今日から同じ場所を目指す同志なのだからな」

閣下「お前は地獄の大魔王サタン45世に選ばれし者なのだ、もっと胸を張るがいい」

智恵理「でも、私……」

閣下「不安か、では我輩が一つだけ約束してやろう」

智恵理「?」

閣下「お前を必ずやトップアイドルにし、不安を覚える暇もなくなるほどに忙しい毎日を遅らせてやることを!」

閣下「お前の日常を全て破壊し尽くしてやろう!フハハハハ!」

閣下「呑気にクローバー集めができるのも今だけだと思うが良い!」

智恵理「え、えっと……クローバー集めができなくなるのは、ちょっと嫌ですけど…」

智恵理「でも、よろしく、お願いします……えへへっ」


閣下「ようやっと終盤戦か……しかし中々に個性的な構成員だらけだな、さすがは陛下…」

閣下「しかしこれまでの面々を見る限り、そうそうあれら以上の者もいまい」

閣下「よし、では次の方ー」

ちひろ「あの、申し訳ありません閣下、次の子も二人同時でいいでしょうか?」

閣下「うん?別に構わんが」

ちひろ「すみません、ではよろしk」

「おにゃーしゃー!!」バーン!!

閣下「! ゼウスの襲撃か!?」

きらり「にゃっほーい!きらりだよー☆よろしくにぃ☆」

杏「うぅ、降ろせ―、杏は帰宅を希望するー」

閣下「oh...」

きらり「あーーーー!!!」

閣下「な、なんだ」

杏「ちょっときらり…肩に担いだ状態で大声出さないで…」

きらり「あなたが、閣下さんだにぃ?おっすおっす、おにゃーしゃー!!」

閣下「う、うむ、よろしく頼む」

きらり「うっきゃー!本物の閣下さん、ワイルドでとってもかっくぃー☆」

きらり「きらり、アイドルになってみんなをいーっぱい、ハッピハッピさせるから、一緒にファイトーーー、オーーー!!!」

閣下「ふ、フハハハハ!なんだ、良い娘ではないか!それにしてもこの溢れ出るパワー、対ゼウス用の戦闘員として勧誘したいくらいだな…」


閣下「そして、きらりに担がれてぐったりしてる小さいのは誰だ?」

杏「……双葉杏、もう自己紹介したし帰っていい?」

閣下「…和尚だってもう少し働くぞ」

杏「和尚って誰さ、杏は印税生活をするためにアイドルになったんだから、頑張って杏に楽させてよね」

閣下「いっそ清々しいだらけっぷりだな」

閣下(しかし、きらりもそうだが、この杏という娘も相当な力を秘めているな……)

杏「というか、閣下って悪魔なんでしょ?杏、契約でもなんでもするから不労所得が欲しい」

閣下「あれは下級悪魔が行う外回りの営業みたいなものだ、我輩のような高位の悪魔の仕事ではない」

杏「ちぇー、じゃあいいや」

きらり「ほら杏ちゃん、きらりと一緒に、アイドルがんばろう!」

杏「あー、がんばるがんばる」

きらり「うっきゃー!じゃあ、他の子達を待ってる間、一緒にレッスンしよっか!」

杏「……え?」

きらり「それじゃあ~、レッスン室まで~位置についての~」

杏「ちょ、ちょっと待ってよきらり、杏はレッスンとか疲れるのは…」

きらり「きらり~~~~ん」

杏「か、閣下も止めてよ!面談中でしょ!」

閣下「きらり!Go Ahead!」

きらり「ダァーーーーーーーーーーーーッシュ!!!!!!」

杏「私は働かないぞおおおおおおおおおおおおおお………!!!!!!」


閣下「今世紀始まって以来の断末魔だったな…」

閣下「とはいえ次が最後の一人か……入るが良い!」

「闇に、飲まれよ!!」バーン!!

閣下「うむ、闇に飲まれよ!!」

蘭子「ククク、我が名は神崎蘭子、地獄を総べし悪魔の王よ、盟約の時は来た!」

閣下「いや、我輩は元副大魔王であって大魔王じゃないよ、大魔王になれるのはルシファーの一族だけで我輩はデーモン一族だから」

蘭子「え?あ、いやあの…これは……」

閣下「君は人間だよね?しゃべり方が地獄のBear Bookの訛りに似てるけど知り合いに悪魔でもいるの?」

蘭子「えっと……ククク、我が言霊は全て内なる魔力より零れでたマナの発現…」

閣下「魔力……黒魔術にも造形があるということか、みくは妖怪ではなかったが、なるほど陛下が用意していたのは魔女だったのか」

蘭子「いや、そうじゃなくて……」

閣下「む、違うのか?」

蘭子「あの……わ、私の言ノ葉は禁忌の術書より抽出せし神言!いかなる魔導も至ることは出来ないわ!」

閣下「その年で魔術書の解読に成功したというのか!?これは恐ろしい才能の持ち主だ!」

閣下「ちひろ君に振り回されてばかりだったが、君と我輩がいれば地球征服もすぐそこだな!」

蘭子「えっと…違うんです、そういうことじゃ…」

閣下「素晴らしい!共に地上を恐怖に陥れようではないか、フハハハハ!」

蘭子「うぅ…」




ちひろ「お疲れ様でした閣下、いかがでしたか?」

閣下「うむ、皆素晴らしい素質を持っているな、これだけの構成員を集めるとはさすが陛下だ」

ちひろ「今、残りの3人には休憩してもらっています。受付まで来るように伝えてありますので、お迎えに行ってもらえないでしょうか?」

閣下「わかった、ではその間に顔合わせと撮影の準備を頼むよ」

ちひろ「はい、おまかせください!」


~346プロ 受付~

閣下「――遅い!」

閣下「一体やつらはどこにいるのだ…」

「あら、閣下、お疲れ様です」

閣下「む、君は……」

楓「あの時以来ですね、閣下」

閣下「フハハハハ!そうだな、同じ会社でもこれほど広ければなかなか会うのも難しい」

閣下「ましてや君のような人気のアイドルでは尚更だろう、楓よ」

楓「いえ、私なんてそんな…」

楓「閣下の方も、今日からようやくシンデレラプロジェクトが始動するようですね。おめでとうございます」

閣下「うむ、今思えば、君もあの時に勧誘しておくべきだったか」

楓「私はもう新人ではありませんし、シンデレラというほど、若くもありませんから」

閣下「10万年の時を生きる悪魔からすれば、人間の女などみんな若々しい少女と同じだ」

閣下「君も、我輩から見れば凄まじいまでに若く美しい」

楓「ふふっ、ありがとうございます、やっぱり長生きしていらっしゃるから言葉がお上手ですね」

閣下「フハハハハ!お世辞などではない!全て我輩の本心だ!」

楓「あら、悪魔の本音なんて、ちょっと怖いですね」

閣下「フハハハハ!やはり誘わなかったことは間違いだったようだ!」

楓「そうです閣下、一つお願いがあるのですが…」

閣下「む、なんだね?」

楓「笑い方を、少し変えてみてはいただけないでしょうか」

楓「カッカッカッ、って」

閣下「…誘わなかったことは間違いではなかったかもしれんな」

楓「ふふっ、冗談です、では閣下、私はこれで失礼しますね」

閣下「うむ、また会おう!」

閣下「それで?どこに行っていたのだ?」

卯月「遅れてごめんなさい閣下さん!」

凛「ちょっと迷っちゃって…」

未央「それよりモンチー!今、高垣楓と喋ってた!?知り合いなの!?」

閣下「時間は厳守だ、約束は守らなければならん」

卯月「すみません…」

閣下「それと未央、事務所の大先輩なのだから呼び捨ては厳禁、いいな?」

未央「あ、そっか…」

閣下「以後は気をつけるように、ちなみに楓は我輩が初めてここに来た時に少し世話になったのだ」

未央「へー!そうなんだー!」

閣下「では行こうか、シンデレラプロジェクトの皆がお前達を待っているからな」

卯月「ついに、他の人達ともあえるんですね!」

凛「どんな人達なの?」

閣下「お前達に優るとも劣らない個性的な面々だ、楽しみにしているがいい」



~撮影スタジオ~

未央「うわ~!ここがスタジオなんだ!」

閣下「ああ、顔合わせをした後にそのまま宣材写真の撮影をしてもらう」

卯月「なんか、アイドルって感じで緊張しちゃいますね…」

閣下「これからしばらく使うアー写になる、ビシッと決めるのだぞ」

閣下「とはいえ、まずはこっちだ、ついてきなさい」

~控え室~

閣下「我輩、我輩だけど、入っても大丈夫?」コンコン

凛「悪魔でもちゃんとノックとかするんだ…」

閣下「我輩は人間の娘の体を見たところでなんとも思わんが、中にいるのは年頃の娘だからな、当然の配慮だ」

美波「は~い、今開けますね」ガチャ

莉嘉「あー!もしかして、シンデレラプロジェクトの新メンバー!?」

みりあ「これで全員集合だね!うれしいな!」

閣下「まあまあ落ち着きなさい、座って座って」

閣下「諸君、大変長らく待たせてしまったな」

閣下「もうおわかりの通り、ここにいる14名が『真泥霊羅プロジェクト』の構成員だ」

閣下「これから先、諸君らはこの面々と力を合わせて進んでいくことになる」

閣下「その前に、一つだけ我輩から諸君らに説法をさせてもらいたい」

閣下「みりあや莉嘉には少し難しいかもしれんが、聞いて欲しい」

一同「…………」

閣下「諸君、諸君らはWinner…勝利者になりたいのか?」

閣下「それとも、敗者に、お甘んじるか?」

閣下「長いものに巻かれていれば、敗者にはならずに済むかもしれない」

閣下「だが、勝利者にも、なれないがな」

閣下「どうやら、諸君達には戦う意志が残っていると思われるが……どうかな?」

一同「…………」コクン

閣下「ふむ……だが、戦いに行く時は、いつでも孤独だ」

閣下「どこかで、後押しが欲しくなるものだ」

閣下「『これは絶対に自分は正しい!』そう思っていても、行動に移すこと、言葉に出すこと、いや、考えることすら躊躇させられてしまうこの社会の中で」

閣下「歯車の一つにいつの間にかさせられているのではないか?」

閣下「そして使い良いように定期的にピカピカに磨かれて」

閣下「楽しい時に笑い、怒った時に吠え、悲しい時に涙することの出来る場所が、コンサートホールや演劇会場、スポーツ競技場、そして…」

閣下「ウェブの電脳社会の中だけだったとしたら、いい加減、社会の病も行き着くところまでいったもんだ」

閣下「我輩は諸君らを、歯車などにするつもりは決してない」

閣下「むしろ諸君らは、歯車の一つに成り下がったアンドロイド達に魂を与える、そんな存在になるのだ」

閣下「歯車になればそれは楽なのだろう、誰かに流されるままに生きるのは幸福なのだろう」

閣下「だが!我輩は悪魔だ!諸君らにそんな幸福は与えん!」

閣下「今こそ自らの牙で、鎖を解き放つ時が来たのだ、既に戦いは始まっている」

閣下「武器を取れ!そして戦え!」

閣下「自らの命を、守るために」

閣下「我輩からこの曲を送ろう、昨日が諸君らの聖飢魔IIであり、今日諸君らは生まれ変わったのだ」



「GO AHEAD」


https://www.youtube.com/watch?v=ZWULZjuoL4Q

卯月「……すごい」

李衣菜「め、めちゃくちゃ上手いじゃん……」

凛「…………」

閣下「まあ、こんなものか」

「ちょ、ちょっと今の歌、何!?」ガチャ!

閣下「む、誰だ貴様は」

莉嘉「あ!お姉ちゃん!」

美嘉「莉嘉!そっか、今日はシンデレラプロジェクトのアー写撮影だっけ…」

美嘉「ってことは…」

閣下「娘よ、ミーティング中の部屋に入る時はノックしてから入るのが礼儀ではないか?」

美嘉「ヒィッ!そっか、これが噂の…」

閣下「で、貴様は何者なのだ?見たところ莉嘉の姉のようだが」

美嘉「アハハ、ごめんね、いきなりあんな歌が聞こえてきたからびっくりしちゃって…」

美嘉「アタシは城ヶ崎美嘉、よろしくね★」

閣下「うむ!我輩はデーモンである、よろしく頼む!」

未央「城ヶ崎……って、カリスマJKモデルの!?」

美嘉「はーい★」

閣下「JK……我輩、むやみに略称をつける風潮はどうも好きになれんな」

莉嘉「もー、デーくんってばオジさん臭いよー」

美嘉「それにしても、今の歌、本当にすごかったね!」

閣下「フハハハハ!それほどのことはある!」

美嘉「こんなスゴいプロデューサーがついてるなら、莉嘉も安心かな」

莉嘉「もうお姉ちゃん心配しすぎ!」

美嘉「ちゃんとプロデューサーの言うこと聞くんだよ?」

莉嘉「大丈夫だってばー!」

「シンデレラプロジェクトの皆さん、スタンバイお願いしますー!」

閣下「おお、では諸君!これより真泥霊羅プロジェクトを始動する!」

一同「はい!」



~スタジオ~

閣下「ふむ、皆それぞれ個性を見せているな」

杏「ふわぁ~」

閣下「ただ立っているだけで個性が出るというのも実力の内なのだろうか…」

閣下「しかし……」

「島村さん!笑って!」

「渋谷さん、視線こっちでー!」

「本田さん、もっと普通に!」

閣下「我輩が選んだ3人は、少しばかり個性を発揮できていないようだが…」

閣下「我輩も、まだまだ陛下には及ばないということだろうか」

閣下「仕方ない…」

閣下「そこの3人、集合!」

卯月「うぅ、なかなか上手くできません…」

凛「いざカメラを前にすると、意識しちゃって」

未央「普通って何…?」

閣下「フハハハハ!最初はそんなものだ!」

閣下「どれ、我輩がお前達の緊張をほぐすためにも一曲歌ってやろう!」

アーニャ「カッカ、また歌、歌いますか?」

莉嘉「えー、ズルい!私も聞きたい!」

閣下「フハハハハ!では皆も集まれ!」


「BLACK BASS」

https://www.youtube.com/watch?v=XKzmthQPo-Q

閣下「ふう……どうだ?」

卯月「……ぷっ」

未央「あははははっ、何その曲、変なの~!!」

凛「~~~~~~っ!大体、さっきもどこからBGMを流してるの、っ」

閣下「それは無論、我輩の魔通力だ」

未央「そんなすごいことを、こんなムダ使いっ、あはははっ!」

閣下「せっかくの撮影だ、自分を飾るのもいい」

閣下「だが、それで自分を縛っては意味がないのだ」

卯月「閣下さん…」

閣下「お前達には既にあり余る魅力がある、それをただ見せればいい」

閣下「できるな?」

「「「はい!」」」

閣下「フハハハハ!では行ってこい!」




未央「終わった~!」

卯月「私、ちゃんと出来てたでしょうか?」

凛「大丈夫だよ」

莉嘉「ねえねえ、みんなで撮ろうよ!」

みりあ「撮りたーい!」

美波「閣下さんも、一緒にどうですか?」

閣下「む、我輩もか」

きらり「ほらほら、みんなで撮ったらハッピハッピすぅよ?」

閣下「フハハハハ!では仕方ない、地球デビューからずっとカメラに写り続けてきた我輩がアピールの手本を見せてやろう!」

閣下「では諸君!1+1は!?」フワフワ

一同「2~!」

凛「一人だけ浮くって、そりゃ目立つでしょ……」

閣下「フハハハハハハハ!!」


~シンデレラプロジェクト執務室~

未央「ええ!?私達がライブに…?」

美嘉「そう!ちょうどこんな感じの子たちを探してたんだ~」

ちひろ「担当の方から許可はおりていますが、どうしますか?」

閣下「う~ん、そうだねえ…」

「いいんじゃないか?遅かれ早かれ、この子たちもステージに立つんだ」

未央「誰…?」

卯月「どこかで見た覚えが…」

美嘉「ほらほら閣下、部長さんもああ言ってることだし~」

「「「部長!?」」」

部長?「うんうん」

閣下「はあ、全く遊びが過ぎませんかな?」

部長?「何をそこまで心配する、デーモン」

閣下「貴方がそこまで薦めることがですよ、陛下」

陛下「なんだ、バレていたのか」

未央「へ、変身したああああ!?」

凛「というか、陛下って…」

閣下「一応お前達にも紹介しておこう、この方こそ地獄の頂点に君臨する大魔王サタン45世、ダミアン浜田陛下だ」

陛下「よろしく」

卯月「え、ええええええええええ!?」

美嘉「どういうこと……?」

閣下「突然の来訪、どういった事情ですか?」

陛下「聖飢魔II構成員たちが少しずつこちらに来る目処が立ったのでな、それを知らせるついでに様子を見に来たのだ」

陛下「そしたら面白そうだったので世を忍ぶ仮の346プロダクションの部長の姿でちょっかいを出しに来た」

閣下「全く……」

凛「この人が大魔王…」

未央「ひょっとして私達、今すごいものを目撃しているんじゃ…」

陛下「デーモンよ、この3人を恐怖のバックダンサーチームにし、見事黒ミサを成功させるのだ」

美嘉「あの、ミサじゃなくてライブなんだけど…」


閣下「仕方ない、ではちひろ君、黒ミサの資料を早急に集めてくれ」

ちひろ「はい、かしこまりました」

美嘉「だから黒ミサじゃないって……でも、それじゃあ」

陛下「娘よ、我が構成員をよろしく頼むぞ」

美嘉「は、はい!みんな、楽しもうね!」

「「「は、はい」」」

莉嘉「ズルい!アタシもライブやるー!」バーン!!

美嘉「アンタはまた今度ね★」

莉嘉「え~、なんで~!」

蘭子「だ、大魔王が降臨したという予言は真か!?」

陛下「どうも」

蘭子「………………か、かっこいい」

みく「え…」

陛下「おいデーモン、この娘見る目あるな、さすがは私が選んだ構成員」

美波「私が選んだって……」

ちひろ「陛下は世を忍ぶ仮の姿でオーディション会場にいたんですよ」

みりあ「おじさん、変身できるの!?」

陛下「うむ」

李衣菜「世を忍ぶ仮の姿……なんかロックかも…」




凛「ライブって、こんな簡単に決まっていいのかな…」

未央「だいじょぶだいじょぶ!私、本番に強いタイプだから、意外といけちゃうって!」

卯月「ライブ……楽しみです!」

閣下「陛下が3人を見て推薦するか……何事も無ければいいが」


第2話 I never seen such a frightening castle 終

とりあえず第2話までいったんで今日はこの辺で
次回から他の構成員も出てくる予定です

第3話 A ball is sinister,noisy,and...



~346プロ シンデレラプロジェクト執務室~


ちひろ「閣下!大変です!」

閣下「ああ、おはようちひろ君」

ちひろ「呑気にスポーツ新聞なんて読んでる場合じゃありませんよ、大変なんです!」

閣下「むう、どうしたんだね!」

ちひろ「みくちゃんがバックダンサーの件で納得出来ないと3人のところへ…!」

閣下「ふむ…」


~レッスン室~

みく「遅れてきた新入りが先にステージにあがるのは納得できないにゃ!」

みく「みくとどっちが相応しいか、勝負にゃ!」

智恵理「み、みくちゃん、ケンカはダメだよ…」

凛「大体、勝負って言ったって何を…」

未央「その勝負、乗った!!」

卯月「未央ちゃん、ダメですよ~」

かな子「ほら、みくちゃん、あんまりワガママ言ってると閣下さんに怒られるよ?」

みく「デーちゃんは関係ないにゃ!これはみくと3人の意地をかけた勝負なのにゃ!」

未央「おお!なんだか熱い展開だね!」

凛「あの、関係ないとか言ってると…」


「――悪魔の森の奥深く」


かな子「な、なに…?」

凛「ほら来た…」


「一見、何の変哲もない古い屋敷」


卯月「な、なんだか不気味な声が…」

凛「いや、不気味も何も…」


「だが、その一室からは、毎夜、毎晩…」


みく「だ、誰にゃ!姿を現すにゃ!」

凛「だから誰も何もないでしょ」


「少女の悲鳴にも似た叫び声が、聞こえるとか、聞こえないとか…」


未央「聞こえるのか、聞こえないのかどっちだー!出てこーい!」

凛「未央、誰が言ってるかわかってるでしょ」


「お前も、蝋人形にしてやろうか?」


智恵理「ひっ…やめてください…」

凛「怖がる必要ないから…」




閣下「お前も蝋人形にしてやろうかァ!」




みく「…………」

未央「…………」

凛「…………」

かな子「…………」

智恵理「…………」

卯月「あ、閣下さん、おはようございます!」

閣下「フハハハハ!うむ、おはよう!」

凛「普通に出てこれないの?」

閣下「悪魔は登場時の演出一つにまで気を配るのだ!」


閣下「それで諸君、これは何の騒ぎだね?」

かな子「みくちゃんが、今度のライブに自分も出たいって…」

みく「そ、そうにゃ!なんでこの3人は出れてみくは出れないのにゃ!」

智恵理「それで……どっちが相応しいか勝負する、って…」

閣下「ふむ、なるほどな……」

閣下「まあ今回のミサについては陛下と美嘉の推薦により急遽決まったもの、不満が出るのもわかる」

みく「でしょ!?みくだって、ライブに出たいにゃ!」

閣下「だが、チャンスとは他人から奪うものではない、自ら掴み取るものだ」

閣下「お前達がこの『真泥霊羅プロジェクト』に選ばれたようにな」

みく「で、でも…」

閣下「誰かが座っている玉座などなんの意味もない、お前達は自身の手で玉座を作り、磨き上げなければならん」

閣下「我輩の言っている意味がわかるな?」

みく「……はい」

閣下「そして未央よ、お前もこんな勝負に面白がって乗るものじゃない」

未央「はーい」

閣下「お前達がバックダンサーを務めることが出来るのは、陛下と美嘉の期待があってのことだ」

閣下「バックダンサーの座をかけての勝負ということは、2人の信頼を賭けに出すのと同じ」

閣下「信頼とは得難く脆いもの、気安く扱ってはいけない」

未央「…ごめんなさい」

閣下「二人ともわかればいい、以後は気をつけるように」

かな子「すごい、2人を簡単に諌めちゃった…」

閣下「今回の件は、みくと未央、両者に同じだけの責任がある」

閣下「バックダンサーの座を賭けた戦いは我輩が預かる、みくは今回のミサには出せん」

閣下「しかし未央が勝負を受けたのもまた事実、よって未央は、みくが納得するまで勝負を受け、自らの実力を示すこと」

閣下「これにてこの沙汰、喧嘩両成敗とする!」

卯月「おお~!」パチパチ

智恵理「大岡越前みたいです…」パチパチ


かな子「あ、そうだ!私、みんながステージに出るお祝いにお菓子焼いてきたんです!」

閣下「ほう!ではいただくとしよう、ほらお前達も」

かな子「いっぱい作ってきたから、たくさん食べてね!」

凛「ありがとう…………おいしい」

かな子「それじゃあ、私も一つ……」

「こら、三村!」

トレ「お前もアイドルなんだから、体重のことも少しは気にしろ!」

かな子「すみません…」

トレ「閣下も、三村にあまり食べ物を与えないでくださいね」

閣下「す、すまん」

かな子「で、でも閣下さんが地獄のジムを紹介してくれるって!」

トレ「ほほう、そんなにやる気があるなら、まずは私の地獄のレッスンを味わってみるか?」

かな子「それは……うぅ」


「おっはよー★」


未央「城ヶ崎美嘉!」

閣下「美嘉?」

未央「……さん」

閣下「うむ、だがせっかく来たことだし、我輩も少々見学させてもらおう」

卯月「閣下さん、見ていってくださるんですか!?」

閣下「ああ、部外者がいて集中力が乱されるというなら出て行くから安心するが良い」

凛「なんだか、別の意味で集中力が乱れそうだけど……」

美嘉「ライブに出たらもっと多くのお客さんが来てるんだから、閣下に乱されてるようじゃダメだよ★」

閣下「なかなか頼もしいことを言うではないか、フハハハハ!」

閣下「では美嘉、トレーナーよ、よろしく頼むぞ」

美嘉「まっかせてよ★」


美嘉「1,2,3,4,5,6,7,8!」

美嘉「この時、ビシッと止まってると、カッコいいよ!」

卯月「はあ、はあ…」

未央「き、キツい…」

凛「…………っ」




トレ「閣下の目から見て、いかがですか?」

閣下「我輩はダンスには明るくないがやはり、3人とも今の段階ではほとんど素人だな」

閣下「美嘉の方は、さすがカリスマというべきか練習とはいえ目を惹かれるものがある」

閣下「だが3人も始めたばかりで出来ないのは当然のこと、これから我々が育て上げればいい、頼めるか?」

トレ「はい、それが仕事ですからね、おまかせ下さい」

凛「あの、少しわからないところがあるんだけど…」

美嘉「どこー?」

凛「えっと、トキメキどこまでもエスカレート~♪サイダーみたいにはじける恋モード♪ってとこ…」

「「「…………」」」

凛「……な、何?どこか変だった?」

美嘉「へー!アンタ歌もイケるじゃん!」

未央「しぶりんやる~!」

卯月「凛ちゃんスゴイです!」

閣下「…………ほう」

トレ「なんだか、楽しそうな顔をしていますね、閣下?」

閣下「フハハハハ!これは今後が楽しみだ!これ以上レッスンの邪魔をしてはいかん、我輩はそろそろお暇しよう」

卯月「ええ、閣下さん、もう行っちゃうんですか?」

未央「もっと見てってよ~」

閣下「部外者が練習場に長居するものではない、では諸君、また会おう!フハハハハ!」


閣下「新たな発見もあったし、非常に有意義な時間であった」

閣下「でも、それにしても広いプロダクションだねえ、今の他にもこれほどたくさんのレッスン室があるとは」

閣下「どうやら、他の部屋も賑わっているようだし、本当に大きな事務所なのだな…」



「そうなんだよ~、地獄ではもう散々でさ~」



閣下「…………地獄?しかも今の妙に聞き覚えのある声は……」


~レッスンルーム~


エース清水長官「給料も低いし、上司は仕事しない癖に偉そうだしさ~!」

輝子「あ、悪魔もなかなか……世知辛い……フヒッ」

小梅「上司さん、どんな人だったの…?」

長官「いっつも怒ってばっかりでさ~、こっちが文句言うとすぐ蝋人形だし」

長官「だいたい、俺の方が年上だってのに、なんで階級は俺の方が下なんだよ、おかしいだろ!」

幸子「ふふーん!でも清水さんもこんなにカワイイボクと出会えたんですから、これまでの不幸も帳消しでしょう!」

長官「ホント、地獄にいた時より346プロの方が待遇いいし、俺もうこっちで働こうかな~!」

小梅「でも、私もちょっと…地獄、行ってみたい…ゾンビとか、いる?」

長官「いるいる~!ゾンビよりもーっと恐ろしいマザコン悪魔もいるよ!」

輝子「母親と仲がいいのは、いいことじゃないのか…?」

長官「みんなみたいに可愛い女の子だったらいいけどねー、10万歳のおっさんがママに甘える絵と言ったらwwwwwww」

幸子「ふふん!カワイイボクは、お母さんと並んでも絵になってしまいますからね!」

小梅「そういえば、さっきから…清水さんの後ろに……」

長官「え、ちょっと何々小梅ちゃん!背後霊でもいる~?なんだよ~俺のファンか~?」

閣下「…………久しぶりだな、長官よ」

長官「」


閣下「うむうむ、驚きはせんぞ、陛下からお前達が来ることは聞かされていた」

長官「」

閣下「それにしてもボーカルトレーナーか、なるほどさすが聖飢魔IIでは過去にキーボードも務めていた男だ」

長官「」

閣下「Face to Aceでは世を忍ぶ仮の姿でボーカルも務めているしこれ以上の適任はあるまい」

長官「……あの、閣下、聞いてました?」

閣下「相変わらずの話し上手っぷりで娘達にもすぐ溶け込む、我輩も見習いたいものだ」

長官「……あ、これ怒ってる時の閣下だ」

閣下「さすがは聖飢魔IIの赤い風とまで呼ばれた男……だが、長官よ」

長官「はい」

閣下「我輩は貴様が地獄でそんな思いをしながら働いているとは露ほども思わなかった、済まないことをしたな」

長官「いえ、そんな、ことは」

閣下「もはや我輩に貴様を引き止める権利などない、だがせめて、貴様の次の就職口くらいは見つけさせて欲しい」

長官「あ、これは…」

閣下「長官よ」

長官「はい」

閣下「前置きはこれくらいでいいな?」

長官「はい」

閣下「覚悟はできたな?」

長官「…はい」

閣下「よろしい、では…」



閣下「このうつけ者めがああああああああああ!!!!!」ロウニンギョー!


長官「」カチンコチン

幸子「ちょ、ちょっと!どうしたんですか!?」

小梅「すごい……」キラキラ

輝子「これも一つの…芸術……フヒッ」

幸子「かかか感心してる場合じゃないでしょう!あ、あなた、ボクたちのトレーナーさんに何をするんですか!いい、い、いくらボクがカ、カワイくても怒りますよ!」

閣下「心配せずとも、すぐに会話くらいはできるようになる」

長官「」カチンコチン

小梅「喋る蝋人形……」パシャパシャ

幸子「小梅さん!写真を撮らないでください!」

長官「」カチンコチン

小梅「え、エヘヘ、後で、涼さんに見せてあげようと、思って…」

閣下「ほう、ならば蝋人形ビームを撃つところから録画するか?」

輝子「近頃の悪魔は……サービス精神が…旺盛なんだな…」

幸子「どんなサービス精神ですか!ほら小梅さん!サービスならボクのカワイイ姿をいくらでも見せてあげますから!」

長官「……あ、…うう……」

小梅「! す、すごい…本物のうめき声…!」

輝子「さっきから…テンション、急上昇だね……フヒヒ」

閣下「ようやく起きたか、まったく」

長官「まったくじゃないですよ!いきなり蝋人形にするなんてヒドイじゃないですか!」

閣下「全て貴様の自業自得だろう」


閣下「それで?貴様がここにいるということは…」

長官「もう他の奴らも地上に来て346プロに潜り込んでますよ」

閣下「なるほどな、他の構成員はどこにいる?」

長官「教えてあげないよwwwwwじゃんっwww」

閣下「ふんっ!」ロウニンギョー

長官「潜伏先は個悪魔個悪魔で好きに決めたのでわかりません」カチンコチン

閣下「ならば最初からそう言えと言うのだ」

閣下「だが、そうなると一度会っておく必要があるな…」

閣下「諸君、レッスンの邪魔をして悪かったな」

幸子「ほ、ホントです!ボクのあり余るカワイさがなければ許されませんでしたよ!」

小梅「楽しかったです…」ヒラヒラ

輝子「また、いつでも来るといい…」ヒラヒラ

幸子「だから、なんで2人はそんなに歓迎ムードなんですか!」

閣下「では諸君、また会おう!」

長官「いえ、もう来なくても…」ボソッ

閣下「ふんっ!」ロウニンギョー

長官「」




閣下「しかし、構成員と会うといっても一体どこから探したものか…」

閣下「よし、まずは一階の受付にて聞いてみるか、何か情報が掴めるかもしれん」


~346プロ 受付~


閣下「と、思っていた矢先に…」

ゼノン石川和尚「あ、閣下だ、いえ~い」


閣下「和尚、そこで何をしている…」

和尚「何って、見ての通り受付悪魔だよ~」

和尚「陛下にはカメラマンとか薦められたんだけど、ここが一番動かなくていいかなあって思ったから」

閣下「相変わらず動かざること山の如しだな、いや、変わりないようでむしろ安心した」

和尚「受付自体は動かなくていいんだけどね~、ここに来てから、前に作ったぞっど君についてすごい聞かれるんだよ~」

閣下「ああ、今地上に一大ブームを巻き起こしているからな」

和尚「でもオリジナルのぞっど君は今の人間の技術じゃ作れないからね、簡易版の作り方を教えてあげたよ」

閣下「あれのさらに簡易版があるのか…」

和尚「あるよ~、あと千川さんって人にすごいお礼を言われたよ」

和尚「なんでも、『コンプガチャに匹敵するにおいがする』って言ってたかな」

和尚「まあ僕、人間のお金に興味ないからね~著作権とかはあげちゃった」

閣下「我々はもしかしてとんでもないものを奴に与えてしまったのか…?」

和尚「あの子すごいね、人間にしておくのが惜しいくらい」

閣下「悪魔の侍従を嬉々として務める人間だからな、さもありなん」

和尚「エースが地上に来た時、真っ先に土下座してたもんね」

閣下「仮にも人間相手に何をやっているのだ…」

和尚「エースと言えば閣下、残りの2人のとこにいかなくていいの?」

閣下「おお、そうだった!せっかくだ、和尚の千里眼で他の構成員がどこにいるか調べてくれ」

和尚「ん~、あっちに一人いるね~」

閣下「ものすごくざっくりした情報だな…」

和尚「あと閣下、1つだけ伝えておくよ~」

閣下「む、なんだ?」

和尚「僕ら悪魔は人間の心の闇を覗いたりすることができるけど、逆に希望に満ち溢れた心は読めないじゃない」

和尚「結構苦労するかもよ~」

閣下「…何か視えたのか?」

和尚「ん~、わかんない、ここは希望を疑わずに進んでる子や、とても大きな闇を抱える子があまりにも混ざりすぎてるから」

和尚「子供って、悪魔の格好の獲物でもあるけど、同時に最大の天敵でもあるんだよね」

閣下「今ひとつパッとせんが、和尚のいうことだ、肝に銘じよう」

和尚「ホントに僕の力が必要になったらいつでも言ってね、あんまり動きたくはないけど」

和尚「僕を動かせるのは、10万年前から聖飢魔IIだけだからね」

閣下「うむ、頼りにしているぞ!では、また会おう!」

和尚「いえ~い」


閣下「和尚が言っていた言葉、陛下の勅命である以上ただでは済むまいと思っていたが気がかりだな…」

閣下「とはいえ今は構成員探しだ、ここはレストランか…?」

『恐怖のレストラン』

閣下「これはいる、絶対いる」

閣下「まあ腹も減ったことだし入るとするか、今日のシェフのおすすめは目玉の串焼きか…」

閣下「失礼する!怪奇植物のサラダと目玉の串焼き、あとはピンクの恐竜のソテーを頼む!」


「はいよ!カツ丼とナポリタン、カレーライスお待ち!」


閣下「…なるほど、ここにいるのは貴様であったか、あと我輩はそんなに食べられん」

ライデン湯沢殿下「おお!なんだ閣下か、ぶっひょ!」

閣下「まあ、出されたからには食べるがな…」

閣下「それにしても意外だったな、殿下は食べる専門だと思っていたが」

殿下「僕もね、最初は清掃員をやろうかと思ってたんだけど陛下に『公家である雷神の息子に清掃員などさせては獄際問題になる』って止められてね」

閣下「いやホントだよ、雷神が地上のビルの窓拭きとかどんな絵面だよ」

殿下「これだけデカいビルなら窓も拭くかいがありそうだよね、でもまあ止められて」

殿下「で、ここなら腹が減った時にいつでも肉が食えるということで」

閣下「そう言われるとなんだか納得してしまうな」

殿下「ちなみに、表の看板のオススメ地獄料理はまだほとんどオーダーが入ってないんだよ」

閣下「そうなの?目玉の串焼き美味しいのにねえ」

殿下「あと、レコーディングのアイドルにカツレツを出してたらどんどん客足が遠のくんだけどどうしたらいいかな」

閣下「そりゃあそうだよ、我輩だってさすがに重いよ」

殿下「気合はいるんだけどな~」

閣下「あれじゃない?カツレツもそうだけど殿下の地獄料理は年頃の女の子にはカロリー高いんじゃない?」

殿下「あ~、アダムの林檎パイとかはらわたの塩漬けとか」

閣下「そういうのじゃなくってもっとヘルシーなのにしなさいよ」

殿下「でも、少しはオーダーがあるんだよ、この前も女の子が来てさ、『この野獣のハンバーグとってもおいしいです!でもドーナツを乗せて食べたらきっともっと美味しいですね!』って」

閣下「胸焼けしそうな発想だな…」

殿下「あとは『これが世界レベルを超えた味……地獄レベル!』って言ってた子もいたっけなあ」

閣下「よくわからんな…」

殿下「あの2人は間違いなく悪魔よりの味覚の持ち主だったね」


殿下「閣下のプロジェクトの子も来てるよ、ほら」

かな子「アダムの林檎パイ、癖になりそう…」

智恵理「かな子ちゃん…またトレーナーさんに怒られるよ?」

かな子「美味しいから大丈夫だよ!」

智恵理「……あっ、か、かな子ちゃん…」

閣下「……」

かな子「ほら、智恵理ちゃんも食べなよ!もう一個頼もっか!」

智恵理「い、いや、私は……その…」

閣下「あれだけ言われたのに、まだわからんのかああああああああ!!!」

殿下「はい、アダムの林檎パイお待ち!」

かな子「かかかかか閣下さん!!どうして!?」

閣下「かな子よ、美味しいものをたくさん食べるのは良い、だがものには限度というものがあるだろう!」

かな子「で、でも美味しいし…」モグモグ

殿下「わかるよー」

閣下「デモもストもない!」

かな子「そ、それに殿下さんが雷神式エクササイズも教えてくれるって…」

殿下「いいよー」

閣下「ほう、いいのだな…?」

智恵理「かな子ちゃん、なんだかやめた方がいいんじゃ…」

閣下「では殿下よ!早急にかな子に雷神式エクササイズを伝授するが良い!」

殿下「よしきた!――まず用意しますのはこちらのライデン式ドラムセットです、本日は僕の分と合わせて2セット用意しました」

かな子「え…?」

殿下「はーい座ってねー、では最初は地獄の皇太子を1.5倍速で3セット、行ってみよう!」

かな子「えええ!?そ、そんなの無理ですよ!って体が勝手にいいぃぃぃいい!!」ドコドコ

智恵理「か、かな子ちゃんが大変なことに……」

閣下「以後、アダムの林檎パイ一個につき殿下の特別レッスンとする」

智恵理「そんな!かな子ちゃんの体がもちません!」

かな子「無理ですうううううう!!!」ドコドコ

閣下「これもかな子のためである、智恵理よ、お前がかな子の良き友であるのならわかってやれ」

智恵理「…………はいっ」

かな子「智恵理ちゃん、納得しないでええええええ!!」ドコドコ

殿下「ようし!このまま倍速FIRE AFTER FIREだ!」ドコドコ

かな子「い、いやあああああああああああああああああ!!!!!」ドコドコ




閣下「さて、長官、和尚、殿下ときて、最終構成員はあと一人…」

閣下「まさかトリを飾るのが奴になろうとは、嵐の予感しかせんな」


「ヤダ~!!もうみんなスッゴイカワイイ!!花マルあげちゃう!!」



閣下「はあ……もう間違いない、仕方ない、覗いてみるか…」

~戦闘服部屋~

ルーク篁参謀「ホントみんなスタイル抜群だから何着ても似合っちゃうね~!!」

凛「そ、そうかな…」

卯月「2人とも、ホントに似合ってますよ!」

未央「しまむーだって、一気にアイドルっぽくなった感じ!?」

卯月「でも、こういうお洋服ってどうやって洗えばいいんでしょう…」

未央「しまむー、発言が全然アイドルっぽくないよ…」

参謀「基本的には手洗いで大丈夫!でも、手が荒れないように弱めの手洗い用の洗剤を使うこと!」

卯月「そうなんですか!ありがとうございます!」

凛「というか、アンタも悪魔なの?」

参謀「そう!かつては聖飢魔IIのステージ下手でギターを奏でる美しき青き稲妻と呼ばれてたんだよー!」

凛「蒼き…稲妻……」

閣下「こらこら、此奴にだけは影響されてはいかん」

参謀「あ!閣下~!閣下じゃないですか~!どうしたんですかこんなところで!」

閣下「聖飢魔II一のお調子者はこちらの地上でも健在のようだな」

参謀「またまたそんなこと言って~、2人でコンビ組んでラジオ界の頂点を取った中じゃないですか~!」

未央「ええ!?そうなの!?」

卯月「すごいです!」

参謀「ああん、もっと言って!」

閣下「ところで参謀は何故こんなところに?」

参謀「いや、最初は俺もお笑いの部署のタレントを志望したんですがね?陛下に一応仕事だからと止められまして」

閣下「殿下といいお前達、趣味出しすぎだろう」

参謀「で、悩んでいたところにちひろちゃんから誘われまして」

閣下「何?ちひろ君に?」

参謀「いや~、戦闘服担当とは、俺もまだまだ美しき青き稲妻ってことですかね?」

凛「……蒼?」

閣下「だからいかんと言っておろうに」


閣下「参謀よ、つかぬことを聞くがちひろ君に何か言われなかったか?」

参謀「え?う~んそうっすね~、聖飢魔IIの侵略活動で作った洗剤兵器についてすごい聞かれましたねえ」

閣下「間違いなくそれだな…」

参謀「ちひろちゃん、『これがあれば洗剤業界も牛耳れる』って大喜びしてました!」

未央「これは346プロに洗剤開発部門が出来る日も近い…?」

閣下「やめろ、あまりに恐ろしい」

卯月「そんなにすごい洗剤なんですか?」

参謀「そうだよ~、服でも食器でもどんな頑固な汚れも簡単に落とせて女の子の手も荒れないっていう」

卯月「すごいです!ママにもあげたいなあ…」

参謀「ヤダ……閣下、聞きました!?この子なんていい子なんでしょう!」

参謀「卯月ちゃん!あげる!いっぱいあげるからママにプレゼントしてあげて!」

卯月「いいんですか!?ありがとうございます!」

凛「悪魔としてどうなの、これ?」

閣下「これも全て偽善活動、侵略の一貫だ、問題ない」

未央「酷く平和的な侵略だね…」

閣下「参謀の発生日には近所の繁華街の掃除などもしたが、全て偽善活動だ」

凛「もう素直にボランティアって言ったら?」

閣下「断じて違う!」

閣下「ところでお前達は今度のミサの戦闘服合わせか?」

卯月「戦闘服?」

閣下「衣装のことね」

凛「うん、サイズとかの確認だって」

参謀「もうみんなバッチリ!」

閣下「どうだ?戦闘服に着替えるといよいよミサの実感も湧いてくるだろう?」

卯月「はい、楽しみです!」

未央「ついに未央ちゃんが世間の注目の的になる日が来る、感慨もひとしおですなあ~」

凛「私は、まだちょっとわかんないかな…」

参謀「みんな初々しいね~、俺が悪魔事異動で聖飢魔IIに加入した時もこんな感じだったっけな~」

閣下「いや、全然こんな感じじゃなかったぞ」

閣下「しかし、今お前達が着ているその戦闘服こそ、お前達の最初のミサを飾る一張羅だ」

閣下「立派な戦闘服に見合うよう、精一杯練習するのだぞ?」

「「「はい!」」」

参謀「おお!閣下ったらもう女の子達と心を通わせちゃってますね~!」

閣下「……貴様がいると本当にしまらんな」


~数日後 黒ミサ前日~

トレ「……ま、ギリギリ及第点といったところだな」

未央「! やったね!」

卯月「はい!」

凛「……ほっ」

美嘉「ま、いくつか怪しいところもあったけどね★」

閣下「この短期間でよくぞここまできたものだ……だが」



長官「おめでとおおおおおおおお!!」

参謀「みんなホントに頑張ってたもんねえ!」

和尚「よかったねえ」

殿下「うむ、ナイスファイトだ!」


閣下「何故お前達がここにいるのだ…」

長官「いやあ、今日がみんなの最終テストだって聞いたら居ても立ってもいられなくってww」

閣下「自分の仕事は大丈夫なんだろうな?」

殿下「そこはさすがに大丈夫!」

美波「みんな、お疲れ様!ほら、アーニャちゃん」

アーニャ「…Поздравляю、あ……おめでとう、皆さん、とても頑張りました」

アーニャ「明日のステージ、きっとステキですね……日本語、あってますか?」

凛「……うん!」

卯月「うんうん!」

未央「ありがとう!」


キャッキャ キャッキャ

参謀「女の子達の友情、安らぐねえ~」

和尚「でもみんなスゴイよね、僕あんなに動けないもん」

参謀「翼があっても飛ばなかったもんな…」

閣下「……3人とも、集合!」

卯月「! は、はい!」

閣下「諸君、これまで本当によく頑張ってきた」

凛「…………」

閣下「此度のミサは、諸君らにとっては与えられた機会であった」

閣下「だかその機会はたった今終わりを迎えた」

閣下「与えられたのではなく、諸君らはついに自ら勝ち取ったのだ、胸を張れ」

未央「モンチー……」

閣下「ミサに臨む諸君らに我々聖飢魔IIからパワーを贈る」

閣下「どんなゼウスの妨害をもはねのける呪いを授けよう、これは悪魔にとって最大の栄誉だ、誇りに思うがいい」

閣下「準備はよいか?」

長官「よっしゃあ!」

参謀「任せろ!」

和尚「いえ~い」

殿下「1,2,3,4!」


「真昼の月 ~MOON AT MID DAY~」
https://www.youtube.com/watch?v=-t4n3PYnPAI


閣下「決戦は明日!さあ、早くゆけ!早くゆけ!目の前の幸せを、見失わないうちに!」



~黒ミサ当日~

閣下「フハハハハ!おはよう諸君!」

未央「お、おはよう」

卯月「昨日はちっとも眠れませんでした…」

凛「…………」

閣下「外には早くも多くの参拝者が集まっている、そんなことでは今からもたんぞ?」

卯月「うぅ~」

閣下「さあ、他の者も既に楽屋に入っている、我々も行くとしよう」



~楽屋~

閣下「バックダンサー到着しました~、入ってもよろしいでしょうか~」コンコン

閣下「ほら、入れ、こういう時は若手が先に挨拶をするものだ」

未央「……え?あ、うん…」

卯月「え、えっと……」

凛「……バックダンサーをさせていただく渋谷凛です、今日はよろしくお願いします」

卯月「し、島村卯月です!よろしくお願いします!」

未央「本田未央です!よろしくお願いします!」

閣下「この者達のプロデューサーを務めるデーモンである、よろしく頼む」

瑞樹「あら、この間の……今日はよろしくね」

閣下「む、既に面識があるのか?」

瑞樹「プロデューサーは初めてでしたね、お話は伺っています、今日はよろしくお願いします」

閣下「うむ、我輩のことは皆、気軽に閣下と呼んでくれればいい」

美穂「皆さん、今日が初めてのステージなんですよね?わからないことがあったらなんでも聞いてください!」

茜「はじめまして!日野茜です!今日のステージ、熱く燃えましょう!!」

まゆ「初ステージ、素敵ですねえ」

「「「は、はい、よろしくお願いします!」」」

美嘉「おっはよーございまーす★」

閣下「来たか、うむ、調子はよさそうだな」

美嘉「当然!」


瑞樹「ふふ……あら、おはようございます」

陛下「おはよう諸君、今日は期待している」

瑞樹「はい、本日はよろしくお願いします」

「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」

陛下「うむ、デーモンよ、そっちの仕上がりはどうだ?」

閣下「全ては、見ていただけるばわかるかと」

陛下「そうか、では楽しみにしているぞ」スタスタ



~リハ~

閣下「確認するぞ、客席から見て下手はどっちだ?」

卯月「えっと…み、右ですか?」

閣下「……違う、左が下手だ」

未央「え?……あ、ホントだ」

スタッフ「じゃあ、通しでいきまーす!」

閣下「…まだリハだ、気負うことはない」

凛「うん……」




卯月「あ、あの!もう一回やらせてください!」

スタッフ「これ以上は厳しいですね…」

閣下「タイムスケジュールは分刻みで作られている、仕方ない」

卯月「どうしましょうか…」

凛「せめて、ダンスだけでも合わせようか」

閣下「そうだな、あちらに使えそうなスペースがある、そこでやるといい」

凛「わかった…………未央?」

未央「…………え、あ、うん」

閣下「…………」


~関係者席~

みりあ「あ、ここだ!」

莉嘉「え~、もっと近くがよかった~!」

参謀「お、みんな~!」

長官「全員揃ってきたな~?」

きらり「悪魔さんたち、おっすおっす☆」

悪魔s「「「「おっすおっす☆」」」」

かな子「皆さんも見に来られたんですね」

和尚「陛下に席とってもらったんだよ~」

殿下「少し遠いけど、ここからならステージ全部が見渡せるな」

美波「それにしても、こんなに大きなところだと人もいっぱい入りそうですね…」

アーニャ「…………」

和尚「心配?」

アーニャ「はい…」

殿下「君たちが客席からできることは二つ!なんだかわかるか?」

李衣菜「え、えっと…」

長官「演者を信じること!」

参謀「そして誰よりも盛り上がり応援することだ!」

蘭子「……戦場へ赴く騎士達の背に、涙は不要ということね」

殿下「君たちにこれをあげよう」

杏「何?飴くれるの?」

殿下「飴じゃない、悪魔棒『災リウム』だ!」

和尚「この日の為に作ったんだよ、これ、折ると光るんだ」

みく「それって、ただのサイリウムじゃ…」

智恵理「…………ぷっ」

「「「「「あははははっ!」」」」」

莉嘉「あ!はじまるみたいだよ!」


~控え室~

閣下「入るぞ」コンコン

卯月「閣下さん…」

閣下「……なんとも、予想通りの有り様だな」

凛「予想通りって…」

閣下「初舞台がこれほど大きな会場だ、我輩もかつてはステージに身をおいていたからな、想像に難くない」

未央「……な、なんかさ」

閣下「なんだ?」

未央「昨日までは、ううん、ここに来るまでは、楽しみだったんだよ?」

未央「でもさ、いざ他のアイドルの顔を見て、ステージで練習したら全然うまくいかなくて…」

閣下「恐ろしくなったか?」

未央「…………」

閣下「初めて出る舞台が、初めて会う聴衆が、初めて向けられる期待が」

閣下「それでいいのだ、未央よ」

凛「プロデューサー…」

閣下「我輩は数え切れないほどのミサを行ってきた、だがそんな我輩も一度だって恐れを抱かなかったことがあろうか?」

閣下「いや、ない」

閣下「ステージの上で自分を出す時、それはいつだって孤独だ、怖くないはずがない」

閣下「恐れながら、カッコつけ、いつだって震えながら歩いて行くのだ」

閣下「そして、お前が歩き出す為に足りない分のパワーを我輩は昨日確かに与えたはずだ」

閣下「お前に出来ないはずがない、何故ならお前達は、このデーモンの仲魔なのだから」

閣下「さあ、行くぞ、準備はいいな?」

未央「…うん……うん!」

卯月「そうです!大丈夫です!」

凛「うん、きっと本番はうまくいく!」


~舞台裏~

美嘉「よ~し、じゃあ行こっか!」

「「「はい!」」」

閣下「美嘉よ、3人を頼んだぞ」

美嘉「まっかせてよ!」

茜「みなさ~ん!どうですか?元気ですか!?」

美穂「出るときの掛け声は、もう決まってますか?」

卯月「か、掛け声、ですか?」

美穂「あったほうがいいですよ!」

茜「好きな食べ物とかどうです!?」

未央「え、えっと…」

閣下「……フハハハハ!では、我輩がお前達に悪魔式の血の気も凍る掛け声を授けよう!」

凛「え?……でも、そんなので…」

未央「ううん、いいじゃん!」

卯月「はい!これなら頑張れそうです!」

美嘉「それじゃあ、楽しく行こうね~!!」タッタッタ

閣下「……そうだそれでいい、さあ、早くゆけ、早くゆけ、見失わないうちに」



凛「卯月、未央、準備はいい?」

卯月「はい!」

未央「じゃあ、いっくよ~!」


凛「お前も!」卯月「蝋人形に!」未央「して!」



「「「やろうか!!!」」」


~黒ミサ終了後 楽屋~

長官「びえええええええええん!!みんな、がんばったなああああ!!!」ボロボロ

美波「ち、長官さん…」

参謀「よかったああああああああ!!!すっごいよかったああああああああ!!!!」ビエエエ

杏「出た本人が泣いてないのに泣いてどうすんのさ」

和尚「悪魔もね、年をとると涙もろくなるんだよ」

殿下「だが本当に素晴らしかったぞ!」

卯月「あの、閣下さん!」

未央「私達、どうだった!?」

凛「失敗して、なかったかな…」

閣下「初めてのミサ出演にしては、上出来といったところか」

長官「そんなこと言ってえwwwホントはみんながステージに出てる間に号泣してたくせにwwww」

閣下「……ふんっ!」ロウニンギョー

長官「」カチンコチン

未央「モンチー…?」

凛「そうなんだ…」

閣下「……掛け値なしに、素晴らしいミサであった」

卯月「っ!今日は、ステージに立たせてくださって、ありがとうございました!」

未央「全部がキラキラしてて…っ…私っ」

凛「未央…成功したのに、泣いちゃ、ダメだってば……っ」

卯月「そうですよね!私達のステージ…っ……成功したんですよね…!」

長官「びえええええええええん!!」

参謀「うえええええええええん!!」

閣下「今日は3人共、本当にご苦労であった」

閣下「この経験を胸にしかと刻みつけるのだぞ」

「「「はい!」」」

長官「びええええええええええええええん!!!!」

参謀「うええええええええええええええん!!!!」


陛下「やっているな」

閣下「これは陛下、いかがでしたか?」

長官「最高でしたよねえ!?」

参謀「感動でしたよねえ!?」

陛下「うむ、実に素晴らしいミサだったぞ」

陛下「ささやかではあるがお呪いに食事を用意した、時間のある者は来るがいい」

卯月「いいんですか!?」

陛下「うむ、遠慮することはない」

未央「やったね!しぶりん!

凛「あ、ありがとうございます!」

蘭子「大魔王の夜宴……、胸が高鳴るわ!」

長官「はい陛下!」

参謀「質問です!」

殿下「酒はありますか!?」

和尚「いえ~い」

陛下「未成年は22時には帰宅、その後は…わかるな?」

「「「「よっしゃあああああああああ!!!!」」」」

かな子「未成年って…、私達みんな未成年なんですけど…」

みく「ようはおっさん達が呑みたいだけにゃ」

閣下「フハハハハ!では諸君、打ち上げ会場まで『真泥霊羅プロジェクト』総進撃である!!」


第3話 A ball is sinister,noisy,and...  終

第4話 Everyday life, really full of scream!


――今から10万年前、宇宙は神々によって支配され、平和な世の中であった


――そんなある日、闇を貫く来校と共に世にも恐ろしい悪魔の軍団『デーモン一族』が現れた


――彼らは破壊、殺戮、略奪の限りを尽くし、天上天下の万物を粉砕し、神さえも処刑した


――その世にも恐ろしい光景を目の当たりにし激怒した全知全能の神ゼウスは彼らを闇と静寂の国『ヨッツンハイム』に閉じ込めたのである


――地球に再び平和な日々が訪れた


――しかし、遥かな時を経過した20世紀末


――ゼウスの全知全能の力に陰りが見え始め、あのヨッツンハイムに10万年間閉じ込められ眠っていたデーモン一族が目を覚ましたのである


――地球は悪魔の支配する地獄と化し、人類は滅亡する


――今再び、10万年前の悪夢が蘇ろうとしている……

凛「……………………………何これ」

閣下「今日はこんな感じの自己紹介映像を諸君らに撮ってきてもらう」

凛「これ自己紹介なの!?」

未央「ホラー映画のCMじゃないんだ…」

閣下「うむ、地獄映写機が捉えたドキュメンタリーである」

卯月「じゃあ今の、10万年前の映像なんですか?」

閣下「無論だ、フィクションややらせは一切ない」

未央「おお!もしや、すごい歴史的な価値が…!?」

凛「いや、どう考えてもないでしょ」

未央「ああ~ん、しぶりんったら冷た~い!」

閣下「ともかく、お前達にはこれから真泥霊羅プロジェクト構成員の元を回ってそのありのままの姿を撮ってきてもらう」

凛「私達がカメラマンなの?」

閣下「最初は和尚がカメラマンをするという話も出ていたのだが、動きまわらなければいけないということで却下になった」

未央「どういうことなの…」

閣下「それならば仕方ないということでお前達に白羽の矢が立ったのだ」

閣下「まあ、お前達は真泥霊羅プロジェクト初のミサ出演を果たしたからな、妥当な人選だろう」

閣下「あくまで自然体の構成員をうつせとの陛下の仰せだ、レクリエーションだと思って気軽にやるがいい」

「「「は~い」」」


~346プロ 作戦会議室~

陛下「遅かったな、デーモンよ」

閣下「申し訳ありません、それで陛下、何やら我らに話があるとか…」

陛下「うむ、だがまず、先刻話したものは手に入ったか?」

閣下「はっ、こちらに……」

陛下「なるほどな、これが今地上の人間達を悩ませる魔の書か……」

閣下「はい、数名のものは手に入りませんでしたが、資料として数は十分かと」

陛下「うむ、これだけあれば十分だ、ククククク…」

閣下「おや陛下、悪い顔をしておられますな?」

陛下「お前もな、デーモンよ」

閣下「いえいえ大魔王様ほどでは…」

陛下「ククククク…」

閣下「フハハハハ!」


ちひろ「大の悪魔が、女の子達の成績表を広げて何をやってるんですか?」


閣下「おお、ちひろ君か、いや陛下が真泥霊羅プロジェクトの学生としての成績状況を把握しておきたいと仰られてな」

陛下「うむ、構成員たるもの学業も疎かにしてはならんからな、成績不振の者には我々が自ら教鞭を取る」

閣下「しかし、最近の高校生は意外と真面目なんですな」

陛下「ああ、だが本田くんは少し数学が苦手なようだな」

閣下「ではそちらは陛下の担当ですな」

陛下「しかし莉嘉くんは社会科目が苦手か、こっちはお前だな」

閣下「お任せください」

ちひろ「私、なんで呼び出されたんでしたっけ…?」


陛下「おお、そうだったそうだった、今日は報告があってな」

陛下「真泥霊羅プロジェクトの教典デビューが決まった、よろしくな」

ちひろ「ええ!?そんな急に、何も聞いてないですよ!?」

陛下「さっき決まったからな、私の中で」

閣下「単なる思いつきですか……」

陛下「当初の計画通り、少人数のユニットを組み活動をさせる」

陛下「第一弾は新田くんとアナスタシアくんの2人、そして島村くん、渋谷くん、本田くんの3人の2組を同時にデビューさせる」

閣下「いきなり2組とは、勝負に出ましたな」

陛下「はじめは新田くんとアナスタシアくんだけのつもりだったが、先日のミサで気が変わった」

陛下「曲ももう決めてある」

閣下「ほう、どんな曲を?」

陛下「――野獣」

閣下「却下です」

陛下「何故だ」

閣下「いや、さすがに野獣はいかがなものかと…」

陛下「でも私はアニマルプリントが好きなのだ」

閣下「なんの理由にもなってませんよ」

陛下「ちなみに前川くんをプロジェクトに入れたのはアニマル枠だ」

閣下「これは大変な秘密ができてしまった…!」

陛下「冗談だ、曲はデーモン、お前に任せる」

陛下「聖飢魔IIが発布した教典から彼女たちにあうものを使うといい」

閣下「……ですが閣下、聖飢魔IIはヘヴィメタルバンド、アイドルである彼女たちには…」

陛下「そこについても考えておいた」

「閣下~~!!閣下~~~~!!」

閣下「む!?この声は……」

怪人マツザキ様「陛下、閣下!!遅れて大変申し訳ありません!!」

閣下「おお!怪人マツザキ様ではないか!!」

松崎「閣下が私の力を必要としていると聞き、飛んで参った次第です」

閣下「ということは…」

陛下「そうだ、マツザキ様には聖飢魔IIの教典をアイドル用に編曲しなおしてもらう」

松崎「お任せください」


閣下「マツザキ様がいれば100人、いや、100悪魔力だ!」

松崎「必ずや、アイドルの皆様にご納得いただける教典にしてみせましょう」

陛下「デーモンよ、曲はどうする?」

閣下「……実は、陛下が先ほどの2組をあげた時、我輩の中で思いついたものがあるのです」

松崎「どちらの教典でございますか?」

閣下「うむ、~~~だ」

松崎「それは素晴らしい!早速とりかかります」

陛下「頼んだぞ、マツザキ様」

陛下「あと、レコーディングブースも使えるようにしておいたから、演奏は聖飢魔II構成員にやってもらう」

閣下「かしこまりました」

閣下「ちひろ君は、さっきから何も喋ってないがいいのか?」

ちひろ「いえ、急にCDデビューということで予算などを考えていたんですが…」

ちひろ「作詞作曲編曲と録音まで全て構成員で賄うなら、人件費もタダですし、別にいいかなって♪」

閣下「……陛下、やはりこの娘は…」コソコソ

陛下「悪魔の侍従としては最適の人材だろう?」

閣下「いや、ちょっと最適すぎて…」

ちひろ「なんのお話をされているんですか?」

閣下「なんでもない!」

ちひろ「ならいいんです♪ではマツザキ様、レコーディングブームへご案内いたします♪」

松崎「ああ、ありがとうございます」

ちひろ「いえいえ、いいんですよ!どうか、素敵な曲を作ってくださいね!」

ちひろ「彼女たちの為にも…………私の為にも」ボソッ

松崎「? 今何か仰られましたか?」

ちひろ「いえいえ!なんでもありませんよ♪」

スタスタ

閣下「陛下、あの娘、やはり実はどこかの名のある悪魔なのでは……」

陛下「今一度、長官に背後関係を調べさせるべきだろうか」

ちひろ「何か仰られましたか?」ガチャ

陛下&閣下「なんでもない!」


~346プロ 喫茶店~



閣下「陛下の急なはからいも困ったものだ、だがデビューか…」

閣下「我々悪魔がプロデュースする以上、ゼウスの妨害があるやもしれん、気を引き締めていかねば…」


「あ、あの、もしかして、ででで、デーモン、か、かかかか、閣下、ですか……?」


閣下「む?いかにも、我輩がデーモン閣下であるが……お前は?」

菜々「キャー!ほ,本物の閣下だ!私、ずっと聖飢魔IIの信者だったんです!」

菜々「あ、すみません、ナナはここで声優アイドルをやっています、安部菜々です、キャハッ!」

閣下「おお!信者のものであったか!」

菜々「はい!地上デビューされた時からずっとです!」

菜々「あ、あの、握手してもらってもいいですか…?」

閣下「もちろんだとも」

菜々「キャー!あ、憧れの御魔直手触の儀がついに…」

閣下「フハハハハ!まさかこんなところに信者がいたとはな!……いや待てよ?」

閣下「聖飢魔IIは、この地球では活動していないはずだ…」

菜々「……え?」

閣下「聖飢魔IIが征服したのは別の地球のはず……貴様、何者だ?」

菜々「え、えっと……ナナは普通のJKで…永遠の17才で……」

閣下「永遠の、17才……?」

閣下「聞いたことがあるぞ、この地球から1000ウサミン光年彼方の星には、肉体年齢が17才から年をとらなくなる種族がいるとか…」

菜々「ギクッ!」

閣下「確かその者達の名は……ウサミン星人!」

菜々「……フフフ、バレてしまっては仕方ありません」

菜々「ある時は現役JK!ある時は声優アイドル!しかしてその実態は!」

菜々「夢と希望を両耳にひっさげやってきたウサミン星人、安部菜々です!」

閣下「なるほど、ウサミン星人は我々悪魔も知らない力があると聞く、それで聖飢魔IIの活動を知っていたのか」

菜々「はい!ウサミンパワーで閣下達のミサを一目見た時から、ナナは悪魔教信者でした…」

菜々「そして一度でも直に参拝したいと地球にやって来たんですが、そこは聖飢魔IIのいない地球…」

菜々「失意のウサミン……そんな時に出会ったのが、アイドルだったんです!」

菜々「声優活動もしていた閣下のようになりたいと思い、ナナは声優アイドルを目指すことにしたんです!」

閣下「なるほど、なかなかの苦労があったのだな…」


菜々「でも、こんなところで本物の閣下にお会いできるとは思いませんでした!」

菜々「346プロに悪魔のプロデューサーが来たと噂には聞いていたんですが、まさか…」

閣下「うむ、今回はダミアン浜田陛下直々の命でこの地球に参ったのだ」

菜々「じゃあ、もしかして陛下も地上に!?」

閣下「今は世を忍ぶ仮の姿で潜伏しておられる」

菜々「キャー!ナナのうさ耳は、ウサミン星人と陛下のアニマルプリントを混ぜて考えたものなんです!」

閣下「フハハハハ!本当に敬虔な信者のようだな!ではお前にこれを授けよう」

菜々「これは……まさか…」

閣下「我輩が実際のミサで使ったギロチンだ」

菜々「あの、何人もの神を信じる不届き者を処刑してきたという……」

閣下「これからも、この世に悪をしらしめるのだ、菜々よ」

菜々「あ、ありがとうございます!……でも、これは受け取れません」

閣下「む?どういうことだ、まさか、貴様、神を……!?」

菜々「違います!こんなにすごいものをいただけるのは、すごく嬉しいんですけど……」

菜々「ナナはもう、普通のJKアイドルですから、アイドルのステージに、処刑道具は、いりませんから…」

閣下「菜々……」

菜々「閣下からのプレゼントを断っておいて、もう悪魔教信者を名乗ることは出来ませんね!」

菜々「ナナは、普通の女の子に戻ります!」

閣下「……確かに、教祖たる我輩に背いた以上、もう貴様はただの信者ではいられない」

菜々「…………」

閣下「お前は今、我輩の、聖飢魔IIの力を必要とすることなく、自らの足で一歩を踏み出したのだ、奈々よ」

菜々「…………閣下?」

閣下「安部菜々よ、貴様に我輩から洗礼名を授ける!」

閣下「今日からは我輩直々に洗礼を与えられた信者として一層の悪魔的活動に勤しむのだ!」

閣下「貴様にはアイドル活動を通して世の人間どもを洗脳する任務を与える!よいな、ウサミン安倍洗脳員よ!」

菜々「…………は、はい!」

閣下「フハハハハ!ウサミンよ、地球征服は近い!共に黄金の都を築きあげようではないか!!」

菜々「閣下、ありがとうございます!」

閣下「フハハハハ!フハハハハハハハ!」


~翌日 346プロ シンデレラプロジェクトルーム~

閣下「諸君、昨日は紹介映像の撮影、ご苦労であった」

閣下「今後の悪魔的活動に大いに有効活用させてもらう」

閣下「そして、今日は諸君らに重大な発表がある」

みく「もしかして、お仕事が来たにゃ!?」

李衣菜「私のロックが、早くも認められちゃったかな」

凛「でも、昨日の今日で早すぎない?」

未央「それもそっか…」

閣下「美波とアーニャ」

美波「は、はい!」

アーニャ「……?」

閣下「そして、卯月と未央、凛」

卯月「わ、私ですか!?」

凛「ん…」

未央「?」

閣下「今の2組でそれぞれ教典を発布することが決定した」

美波「CD……」

凛「デビュー……?」

閣下「ああ」

未央「ど、ど、どうしよう!しぶりん、しまむー!CDだよ!?」

卯月「…………ゆ、夢みたいです!」

かな子「おめでとう!」

みりあ「すごーい!!CDデビューだ!」

李衣菜「うおお……」

美波「どうしよう…いきなり過ぎて……!」


「ずるい!私は!?私もCD出したい!」



第4話 Everyday life, really full of scream! 終

第5話 I don't want to become a wax doll


蘭子「あ……」

きらり「莉嘉ちゃん……」

莉嘉「ずるい!私は!?なんで私じゃないの!?」

みく「そ、そうにゃ!みく達はどうなるにゃ!?」

閣下「……今回の5名は、陛下が御自ら選抜された」

閣下「不満が出るのもわかるが我輩からは、何も言えん」

みく「そんな……」

閣下「呼ばれた5名は執務室まで、他の者はレッスンだ、いいな」



~執務室~



閣下「先にいっておくがさっきの莉嘉とみくのことは気にするな」

美波「でも…」

閣下「わかっている、大丈夫だ、お前達が一番手というだけでゆくゆくは全ての構成員をデビューさせる準備はちゃんとできている」

閣下「さっきは事態の混乱化を防ぐために切り上げただけのこと、心配する必要はない」

アーニャ「ほっ……」

閣下「では、教典デビューに先立って紹介しておこう、お前達の曲のアレンジを務める怪人マツザキ様だ」

松崎「よろしくお願いいたします」

凛「怪人……?」

閣下「お前達には、聖飢魔IIが発布した教典をマツザキ様にアイドル用に直してもらったものを歌ってもらう」

卯月「閣下さん達の歌を私達が歌うんですか?」

未央「じゃあ、曲はもう出来てるの!?」

松崎「いえ、私も何分昨日こちらに来たものですから」

閣下「マツザキ様の力は我々悪魔も認める程のもの、期待しているといい」


アーニャ「私達の歌、楽しみです」

松崎「ありがとうございます、期待にそえられるよう尽力いたします」

閣下「うむ、頼んだぞ」

閣下「そして、今日からお前達にもボーカルレッスンをしてもらう」

凛「ボーカルレッスン…」

未央「なんか、本格的にデビューって感じ!」

美波「……あ、もしかして、閣下さんが直々に見てくださるんですか?」

卯月「ええ!?そうなんですか!?」

アーニャ「カッカ、歌、すごく上手でした」

閣下「我輩としてもそうしたいのは山々だが、他の者のプロデュースもありずっとは見てやれん」

閣下「なので、お前達のボーカルレッスンはマツザキ様と、もう一名のトレーナーに入ってもらう」

凛「? いつものトレーナーさんじゃないの?」

閣下「いや、直すとはいえ元は聖飢魔IIの歌だからな、入るが良い」

長官「どうも、フェスティバル村岡です」キリッ

卯月「長官さん!」

未央「エーちゃんが私達のトレーナー!?」

長官「みんな教典デビューおめでとー!これからバッシバシ鍛えてくからよろしくね!」

卯月「はい!頑張ります!」

凛「でも、エースさんってギタリストなんでしょ?歌のコーチなんてできるの?」

閣下「長官は現在は自らのバンドのボーカルをやっているだけでなく、構成員の中でも音楽理論についてもとりわけ造詣が深い」

松崎「それに初期の聖飢魔IIにおいてはドラムやキーボードまで演奏していた構成員随一の多彩さを持つ方です」

アーニャ「Молодец……すごい、ですね!」

長官「いやあ、そうなんだよ~、俺ってマルチプレイヤーっていうか万能っていうかね?ほら、聖飢魔IIでもクール担当だったし?」

美波「さ、最後のは関係ないんじゃ…」

閣下「このように少し調子に乗りやすいのが玉に瑕だが、我輩と聖飢魔IIの楽曲でツインボーカルをした経験もある、コーチには最適だろう」

長官「調子に乗りやすいってひどいっすよ~wwwwあ、あれですか?みんなが俺に惚れちゃうかも知れなくて心配なんすか~?」

閣下「……ふんっ!」ロウニンギョー

長官「」カチンコチン

閣下「すまん、間違えた、結構アホだが実力はまあ、ある」

卯月「ち、長官さぁ~ん!!」

凛「ちょっと!大丈夫なの、これ!」

閣下「まあよくあることだ、心配ない」


閣下「教典デビューにあたり、もちろん黒ミサも順次行っていく、よってお前達には長官の元で恐怖の強化訓練を受けてもらう」

未央「ライブ!?またライブに出られるの!?」

閣下「無論だ、お前達ももうアイドル、黒ミサの1つや2つで喜んでいるようではこの先身が持たんぞ?フハハハハ!」

アーニャ「концерт、コンサート楽しみですね、美波」

美波「うん、がんばろうね、アーニャちゃん!」

卯月「私達も頑張りましょうね!凛ちゃん!」

凛「うん、そうだね」

閣下「フハハハハ!その意気やよし!では早速、恐怖の特訓に入ってもらう……その前に、だ」

未央「も~、まだ何かあるの~?」

未央「もう未央ちゃんの体は、特訓に向けてウズウズしちゃってるんだけどー」

閣下「そうか、お前達に贈る歌を聞かせてやろうと思ったが仕方ない、今回は遠慮しておこう」

未央「わーわー!ごめんモンチー!聞かせて!お願いします!」

閣下「聞きたいか?」

未央「すっっっっっっごく、聞きたい!!」

アーニャ「私も聞きたいです」

閣下「フハハハハ!では仕方ない!」

凛「でも、私達の曲は作ってる途中だってさっき…」

閣下「今から聞かせるのは聖飢魔IIの教典、お前達が歌う曲の元となるものだ」

閣下「お前達が追いつき、そして追い越さなければならないライバルだと思え」

閣下「今日より我輩が、聖飢魔IIという偉大なグループこそがお前達の最大の好敵手となるのだ」

美波「…………」

閣下「では、まずは美波とアーニャ、お前達に託す歌だ」


「ARCADIA」
https://www.youtube.com/watch?v=5OxpGip4k8U

アーニャ「красиво…」

美波「これが、私達の歌に……」

閣下「陛下よりお前達2人のユニットの話が出た時、この曲が最初に浮かんだ」

閣下「受け取ってくれるな?」

美波「はい、もちろんです!」

アーニャ「カッカ、ありがとう!」

閣下「うむ、では次に、卯月、凛、未央、お前達に授ける曲だ」

卯月「私達の……どんな曲なんでしょう…」

未央「かっこいい曲?それとも、アイドルらしいかわいいのかな!」

凛「メタルバンドなんでしょ?あんまりかわいいのはないと思うけど」

卯月「か、閣下さん!もう私、待ちきれないです!」

閣下「フハハハハ!では心して聞くが良い」



「SAVE YOUR SOUL ~美しきクリシェに背を向けて~」
https://www.youtube.com/watch?v=kitNrJ5ZZsw



凛「……すごい」

未央「すごい!すごいよ!こんなカッコいい曲を歌えるなんて!」

未央「がんばろうね、しまむー!しぶりん!」

卯月「はい!私、精いっぱい頑張ります!」

閣下「さあお前達、美波とアーニャも、それぞれの歌を胸に携えていくのだ」

閣下「永遠のドアを開いて夢を探しに、早くゆけ、早くゆけ、見失わないうちに!」

「「「「「はい!!」」」」」



閣下「で、アイドル達は行ったがお前はいつまでそうしておるのだ」

長官「」カチンコチン




~346プロ ロビー~

みく「――つ、ついに、勝ったにゃ……」プルプル

みりあ「やったやった!」

莉嘉「エヘヘー!」

未央「な………なっ!」

凛「なんで私まで…」

卯月「うぅ~、もっと頑張ります…」

閣下「長官が元に戻ったから来てみれば…何をやっているのだ……」

長官「お、黒ひげ懐かしー」

みく「デーちゃん、勝負に勝ったから、みくをCDデビューさせて欲しいにゃ!」

莉嘉「私も私もー!」

みりあ「カワイイ歌、いーっぱい歌いたい!」

閣下「未央達の代わりに、と言わなくなったあたり少しは成長したと思うべきか…」


「あれだけ言ったのに、まだわからんのか前川ァ!」


みく「こ、この声は…」

トレ「休憩はもう終わりの時間だが、何をやっているのだ?」

みく「うぅ、最近トレちゃんがデーちゃんみたいになってきたにゃ……」

トレ「誰が悪魔か!」

みく「うぅ~、覚えてろにゃ!」

莉嘉「勝ったのに~!」

みりあ「まったね~」

未央「くっ……今度は勝つ!」

閣下「いや、もういいから早くレッスンルームにいきなさいよ」


~レッスンルーム~

長官「卯月ちゃん、ピッチズレてるよ!」

卯月「えぅ…」

長官「凛ちゃん、ただ音程合わせてるだけじゃ歌にはならない!」

凛「……はい!」

長官「未央ちゃんは勢いで音を取らない!音符を意識して!」

未央「は、はい!」



長官「美波ちゃん、音程を意識しすぎない!声に表情がなくなってる!」

美波「わかりました!」

長官「アーニャちゃんは棒読み気味だから後で美波ちゃんに歌詞の意味を教えてもらうこと!」

アーニャ「日本語、難しいです……」



長官「はい、じゃあ休憩!終わったら今度は全員で最初の基礎からやってくからね!」

美波「よ、ようやく休憩……」ヘタヘタ

卯月「疲れましたぁ……」

未央「エーちゃん、いつもと全然違ったね……」

凛「うん、悪魔みたいな厳しさだった……」

アーニャ「あれでも悪魔ですよ、リン」

未央「あれでもって…アーニャん意外と辛口…」

美波「これがずっとって、思ってたよりハードかも…」

アーニャ「歌うの、すごく疲れました」

凛「養成所でもこんな感じだったの?」

卯月「いえ、養成所の先生とは比べ物にならないです…」

凛「そっか、でも、プロとしてデビューするって、そういうことなのかもね」

アーニャ「リンは、なんだか楽しそう、ですね?」

凛「……そうかな?」

未央「お?これはもしかして、エーちゃんに特別な思いを…?」

卯月「ええ!?だ、ダメですよ凛ちゃん!私達はアイドルで、その!」

凛「そんなわけないでしょ」

美波「あ、そうだ!もう一回私達の歌を聞いてみない?」

未央「おお!いいね!」


~執務室~

閣下「レッスンの調子はどうだ?」

長官「みんなもうヘトヘトでしたよ~」

閣下「授業以外でまともに歌うのは初めてだろうからな、まあ当然だろう」

長官「流れる汗、荒れる吐息、これがもうがエロいのなんのでwwwww」

閣下「……ふんっ!」ロウニンギョー

長官「」

閣下「で、一人ひとりを見てどう思った?」

長官「え、ええ、まず、美波ちゃんは真面目な子ですねー」

閣下「あの娘は自ら他の構成員の手本となろうとしている節が見受けられるほどだからな」

長官「レッスンに真面目に取り組むのは他の子も一緒なんですが、美波ちゃんは他の子以上に失敗してはいけないっていう緊張があります」

長官「声も大人びていてキレイなんですが、どうしても硬くなって持ち味を潰してます」

閣下「おいおい、その辺もなんとかせねばならんな」

長官「次にアーニャちゃんは、歌詞の意味が掴めていないのはこれからなんとかするとして…」

長官「美波ちゃんの緊張を感じているのか、常に隣を気にしているところがありますね」

閣下「美波もアーニャも、周りに気が利く上に素直な今時できた娘だからなあ」

長官「で、アーニャちゃんもまだ当然周りに気をやれるほどの余裕はないのでミスる、そうすると…」

閣下「美波の自分に対するプレッシャーが高まり、それを見たアーニャが更に美波を心配する、か」

長官「いい子達だからこその弊害ですねー」


長官「で、一方の仲良し3人組はというと、逆に他所の心配をしているヒマもなし、って感じで」

長官「卯月ちゃんは、音程がズレると気づけるんですが焦って直そうとして次がズレる」

長官「凛ちゃんは音程はほぼ正確なんですが抑揚にかける」

長官「未央ちゃんはノリは一番いいんですが、逆に正確さに欠ける」

長官「と言った感じで、どうにか3人の仲の良さでギリギリチームとして成り立っているってとこです」

閣下「ふむ……個々の技量に問題あり、か」

閣下「ちなみに、つかぬことを聞くが、長官の悪魔センサーが一番反応したのは誰だ?」

長官「いや、これでも一応コーチですから、誰か一人を贔屓するわけには…」

閣下「……長官、いつもそんな感じならもっと給料も上がるんじゃない?」

長官「え!?マジっすか!?あ、そうだ、強いていうなら……」

閣下「ほう、誰かいるのか?言ってみろ」

長官「美波ちゃんはエロい!」キリッ

閣下「ふんっ!」ロウニンギョー

長官「う、嘘です……凛ちゃんです…」カチンコチン

閣下「その心は?」

長官「なんていうか、まだ花開くには掛かりそうですけど、なかなか良いモノ持ってるじゃないと…」

閣下「…………そうか」

長官「あ、いいモノって言ってもおっぱいの話じゃないっすよ?wwwww」

閣下「ふんっ!」ロウニンギョー

長官「」


~レッスンルーム~

未央「2人の曲も、かっこいいね!」

卯月「はい!」

美波「こんなにカッコいい曲がもらえると思ってなかったから、びっくりしちゃった」

アーニャ「この曲に出てくる銀河、私、大好きです」

アーニャ「この曲も、銀河みたいにとってもキレイ…」

凛「銀河、か……うん、そんな感じ」

美波「閣下さんも、アーニャちゃんが星を見るのが好きだからこの曲にしてくれたのかもしれないね」

アーニャ「だったら、とってもうれしいです」


みく「たのもー、にゃ!」バーン!

莉嘉&みりあ「にゃ!」


未央「出たなみくにゃん!返り討ち……に…」

かな子「おじゃましま~す」

李衣菜「どうもー」

智恵理「えっと、休憩中…?」

みく「ふっふっふ~、今日は美波ちゃんとアーニャちゃんに、交渉に来たにゃ!」

美波&アーニャ「……?」


閣下「入るぞ」コンコン

長官「みんな~、休憩終わりだ………よ……」ガチャ

美波「え、えっと……好きに…ぷにぷに、するにゃ~///」ニャン

アーニャ「にくきゅ~、気持ちいい、ニャン?」ニャン

長官「閣下……大変です…………こんなところに――黄金郷が!!!!!!」

閣下「また何を馬鹿なことをやっておるのだお前達は……」

長官「正確にはどこまで……どこまでぷにぷにしていいんでしょうか!!??あと、肉球って具体的には人体のどの部位でしょうか!!!???」

美波「///」プシュー

アーニャ「?」

長官「…………」スッ

美波「……な、なんですか?」

長官「――お前を揉み殺す」

美波「え、えええ!!???」///

長官「だって!美波ちゃんが!しろって!言ったから!」ルパンダーイブ

閣下「落ち着け長官」ロウニンギョー

長官「」カチンコチン

未央「おお、ダイブの姿勢のまま蝋人形に」

凛「っていうか、悪魔は人間の娘の体を見てもなんとも思わないんじゃなかったの?」

閣下「そこについては、美波とアーニャが悪魔をも惑わせる魅力の持ち主であるか、単純に長官がアホであるかのどちらかだ」

長官「」

閣下「我輩としては、我輩の精神衛生的にも是非とも前者であってほしいところだな」

閣下「で?なんの集まりなのだ、これは」

みく「どうどう?ニャンニャンユニット、カワイイでしょ!」

かな子「美波さん達のユニットに、もう一人入れるんじゃないかって」

智恵理「みくちゃんが……」

閣下「なるほどな、それで…」

長官「個人的にはニャンニャンも李衣菜ちゃんのロックも捨てがたいけど莉嘉ちゃんの案に賛成です!」

凛「後者なんじゃない、これ」

閣下「やめろ、頭痛が酷くなる……」

莉嘉「あ、アタシまだなんにも言ってないんだけど…」

李衣菜「わ、私のロックが迸っちゃったかなー」

みりあ「卯月ちゃん達は3人だけど、美波ちゃん達はまだ2人だから、もう一人入ったらピッタリだよね!」ギュッ

みりあ「アーニャちゃん、私ね、楽しいユニットがいいなあ!」

アーニャ「アー、いいと思います、とても…………ですが」チラ

美波「あの……」

閣下「――美波とアーニャは、2人のユニットだ、増員はない」

閣下「すまんが、曲の準備も進んでいる」

みく「そ、そんにゃ……」

アーニャ「ごめんなさい、みりあ、残念です……」

美波「ごめんね?」

みりあ「……ううん、エヘヘっ」

アーニャ「あ……」

みく「っ…………」

長官「…………さあ!美波ちゃん達はレッスン再会するよ!」

長官「他の子達はもう今日のレッスンも終わってるよね?さっきライデンが、もうすぐアダムの林檎パイが焼きあがるって言ってたぞ~?」

長官「アダムの林檎パイは焼きたてに限る!みんなも食べておいで!」

長官「早くいかないと、腹ペコライデンが全部食っちまうぞ~?」

かな子「焼きたて……」

智恵理「い、行こっか、かな子ちゃん!」

かな子「うん!ほら、みんなも!アダムの林檎パイ、とってもおいしいよ!」

アーニャ「…………」

長官「おお?アーニャちゃんも食べたいのか?ライデンにみんなの分も焼いておくように言っておくから大丈夫!」

長官「さあ!始めるよ~!」

凛「…………」


~レッスン後 シンデレラプロジェクトルーム~

閣下「~~~、以上が発布黒ミサまでの布教活動のスケジュールだ」

閣下「そして、お前達に宿題を与える!」

未央「ええ~、宿題~?やだー!」

閣下「フハハハハ!悪魔はお前達人間が嫌がることをするのが生きがいなのだ!」

凛「宿題って何?」

閣下「うむ!お前達にはこのユニットの団体名を考えてもらう」

卯月「わ、私達のですか!?」

未央「めっちゃ重要じゃん!」

卯月「あの、どういう名前がいいとか…」

閣下「そうだねえ、まず、悪そうな名前」

凛「一つ目から却下」

閣下「不気味な名前」

凛「却下」

閣下「怖い名前」

凛「却下」

閣下「凛、貴様、我輩に何か文句でもあるのか」

凛「全部アイドルって感じじゃないでしょ、もう……」

凛「こういうのって、覚えやすいとか、私達らしいとか、そういうのじゃないの?」

閣下「おお、じゃあ、そんな感じの名前で」

凛「はあ……」

卯月「凛ちゃん、すごいです!」

未央「とっさにフォローを入れる姿勢、しぶりんとモンチーもなかなかの名コンビに育ってきましたな!」

凛「茶化さないで」

凛「あと、さ」

凛「聞きたいことあるんだけど、いいかな」

閣下「なんだ?」

凛「――どうして、私達3人なの?」

卯月「あっ……」

未央「……しぶり~ん、私達じゃいや~?」

凛「そうじゃない、みく達じゃなくて、私達を選んだのはなんで?」

閣下「ダミアン浜田陛下がお前達をご覧になって御自ら選抜なされたのだ」

凛「ん……よく、わかんない」

未央「歌とかダンスとか、度胸とか?」

閣下「我輩にもわからん、だが陛下には我らにはわからない深いお考えがあるのだろう」

閣下「実際、我輩から見てもお前達はいいチームだと思うぞ」

未央「ほっほ~、嬉しいことをいってくれるじゃん!」

卯月「私、もっと頑張ります!」

凛「……ふーん」


~数日後 シンデレラプロジェクトルーム~



殿下「恐怖のレストランでーす、出前に来たぞー」

未央「あ、ライライ!」

殿下「お、ユニット名の会議ちゃんとやってるな、関心関心」

卯月「でも、なかなか決まらなくって」

凛「色々案を出してみても、これっていうのがないっていうか」

殿下「これからずっと使う名前だからな、いっぱい悩むといい」

未央「そうだ!ライライはなんかいい案ない?」

殿下「ダウ」

卯月「ダウ?」

殿下「ダウ」

凛「何この会話…」

殿下「それか、ぶっひょライジングサンダーだな」

未央「おお!なんか強そう!」

殿下「ぶっひょ!」

卯月「え、ええっと、ぶっひょ!」

殿下「うむ!いいぞ!」

卯月「えへへ、褒められちゃいました!」

凛「だから何なのこれ…」

未央「ねえねえ、聖飢魔IIってどういう風につけたの?」

殿下「ん?聖飢魔IIは我輩が加入した時にはついていた名前だから当時のことは知らないが」

殿下「陛下や閣下は10万年間のゼウスの封印から解き放たれて、地球に征服に来たわけだ」

未央「ふむふむ」

殿下「だから、『聖なるものに飢えている悪魔がIIび蘇る』これを略して聖飢魔IIとなったわけだな」

卯月「な、なるほど、なんだかすごいですね!」

凛「卯月、よくわかってないでしょ」

未央「そっかあ、でもそれだと私達にはちょっと参考にならないねー」

殿下「他の聖飢魔IIの構成員にも聞いてみたらどうだ?」

卯月「他の悪魔さんにも、ですか?」

殿下「うむ、みんな人間とは違う感性の持ち主だ、面白い案が出てくるかもしれないぞ?」

未央「よし!じゃあ、調査に行ってみよっか!」

凛「なんか、あんまりアテにならない気が…」

~受付~

未央「おーい、イッシー!」

和尚「あ、みんな、いえ~い」

卯月「はい!いえ~い、です!」

和尚「急にどうしたの?」

凛「実は、私達のユニット名を考えてるんだけど、なかなか決まらなくって」

卯月「それで、いいアイデアがないか探してるんです」

和尚「なるほど」

未央「ではイッシー、私達にふさわしいユニット名を、3、2、1、はい!」

和尚「動かざること山の如しバンド『いえ~い』!」

卯月「う、うご…?」

未央「う~ん、なんだかなー」

和尚「ダメかー」

凛「まず私達バンドじゃないし」

和尚「じゃあ、飛べない翼、とか?」

未央「なんかそれすっごいネガティブじゃん!」

和尚「う~ん、難しいねえ」

凛「それ以前の問題じゃ…」



~戦闘服部屋~

参謀「え!?何々?ユニット名!?」

未央「そう!ルールーのセンス、ここで見せてくれ!」

参謀「そっかー、どうしようかなー、そうだ!」

卯月「何か思いついたんですか!?」

参謀「スーパーチャリンコユニット、ビューティフルブルーサンダー!」

凛「ブルー…」

未央「しぶりん…?」

参謀「どう!どう!?」

卯月「えっと、却下です!」

参謀「oh...」

未央「しまむー、なにげにバッサリ…」

凛(ブルーサンダーのとこはちょっといいかもなんて言えない…)



~執務室~

陛下「『ほ、ほ、ほ、ほ、本田さんバンド』」

凛「却下」

~シンデレラプロジェクトルーム~



閣下「む、どうしたのだお前達」

未央「もう…無理……」グデー

卯月「何も出てこないです……」

閣下「まあ、まだ時間はあるからのんびり考えることだ」

凛「よかったら、プロデューサーも考えてくれない?」

卯月「お願いします~」

閣下「うむ、では考えておこう」

未央「よろしくー…」

閣下「そうだ、聖飢魔IIの構成員に一度相談してみたらどうだ?」

「「「そ、それはもう……勘弁して…」」」

閣下「?」

松崎「失礼いたします」コンコン

美波「3人共、どうしたの?」ガチャ

アーニャ「? みんな、疲れてますか?」

閣下「おお、来たな」

閣下「諸君、待たせたな、美波達が歌う曲のアレンジが先ほど完成した」

未央「ホント!?」バッ

卯月「私も聞きたいです!」

松崎「私のベストを尽くさせていただきました、自信作でございます」

アーニャ「楽しみです…」

松崎「では、今から発表する前に、1つだけ、よろしいでしょうか」

凛「? 何?」

松崎「皆様もご存知の通り、これからお聞かせする歌は聖飢魔IIの教典から作った曲」

松崎「聖飢魔IIという偉大なグループが、多くの仲魔や信者の皆様と時代を生きた証ともいうべき教典でございます」

松崎「その歌を歌われるにあたり、皆様にはそのことを、よく知っておいて頂きたいのです」

松崎「重責を感じろというわけではありません、ただ、そのことを強く強く誇りに思っていただけたら幸いです」

松崎「……余計な話をしました、閣下、申し訳ありません」

閣下「いや、マツザキ様、ありがとう」

閣下「今マツザキ様が言った通りだ、お前達は名誉とともにデビューを果たすのだ、誇りに思うがいい」

閣下「そしてマツザキ様の思いを決して裏切ってはならない、いいな?」

「「「「「はい!」」」」」

松崎「ありがとうございます」

松崎「では、早速聞いていただきましょう」

アーニャ「これが…」

美波「私達の……」


~数日後~

みりあ「今日、美波ちゃんたちレコーディングなんだって!」

莉嘉「いいな~アタシも歌いた~い」

莉嘉「よーし、デーくんに許可欲しいって言いに行くぞ~!」

みく「言っても、ダメって言われるのがオチにゃ」

莉嘉「じゃあ、どうするの~?」

みく「…………あ」

みく「……ふふ~ん」

莉嘉&みりあ「?」



~レコーディングルーム~

美波「傷つけあう~♪相手も知れずに~♪」

卯月「美波さん、キレイでカッコいいです!」

アーニャ「ミナミ、たくさん練習してました」

長官「はい、美波ちゃんOK!」

松崎「大変いい流れですので、このまま一度続きも録ってしまいましょうか」

美波「はい!よろしくお願いします!」

未央「ねえねえ、このLOVE LAIKAっていうのが2人のユニット名?」

アーニャ「はい…ちょっと、恥ずかしいです…」

凛「ライカって……どういう意味?」

閣下「ライカは、史上初めて宇宙船に乗り地球軌道を周回した犬の名前だな」

アーニャ「да、はい、そうです」

凛「そうなんだ、いい名前だね」

アーニャ「ありがとうございます」



~更衣室~

卯月「そういえばライブ、一緒にやるんですよね!」

美波「うん…一緒でよかった、私達だけだったら、ね」

アーニャ「うん…」

未央「えー!?ミナミん達なら問題ないでしょ、お客さんも盛り上がってくれるって!」

凛「なにか、あるの?」

美波「ううん、何も、何もないから心配なのかな…」

凛「それは、自信とかそういう…」

美波「うん、私達には閣下さん達がくれたステキな曲と、衣装しかないでしょう?」

美波「まだステージに立ったこと一度もないし…」

アーニャ「ミナミ……」ギュ

美波「っ!し、しっかりしなきゃね!選ばれたんだから、頑張らなきゃ!」

凛「…………」

~シンデレラプロジェクトルーム~

閣下「む、どうしたのだお前達みんな集まって」ガチャ

みく「あ!デーちゃん、聞いて聞いて!」

閣下「なんだ、随分と楽しそうじゃあないか」

みく「みく達が考えた、渾身のデビュー案にゃ!」

閣下「何?……武道館ゲリラ黒ミサ?なんだこれは」

李衣菜「いや、黒ミサじゃなくってゲリラライブなんだけど…」

莉嘉「そもそも会場抑えてる時点でゲリラじゃないし」

閣下「ふむ、だがわかった、陛下にお渡ししておこう」

みりあ「ホント!?」

閣下「ああ、だが、採用される保証はないと思っておくように」

みく「そんな…」




長官「あれ?みんな集まってどうしたの~」

参謀「何これ、渋谷でゲリラ黒ミサ、いいね~!」

莉嘉「でしょでしょ~!!さっすがルーくんわかってる~☆」

智恵理「みんなで、私達のデビュー案を考えてたんです」

蘭子「我がグリモワールの封印は解かれ、禁じられし術が放たれたわ!」

和尚「そっかー、楽しそうだねー」

みく「でも、デーちゃんは採用できないって言ってたにゃ……」

きらり「残念だったにぃ…」

殿下「まあ、閣下にも色々考えがあるんだろう」

かな子「そうですよね!いっぱい練習すれば、私達もきっと…」

参謀「うんうん」

みく「でも、みくはもう辛抱ならんにゃ…」

智恵理「みくちゃん?」

みく「こうなったら、デーちゃんにストライキにゃ!」

杏「ストライキ!?」

長官「閣下にストライキ!?」

和尚「でも、閣下はみんなのことちゃんと考えてると思うよ?」

みく「だって、みくがいくら頼んでもデビューさせてくれないし…」

みく「きっと、ワガママなみくが嫌いなんだにゃ…」

殿下「ただ順番があって、今回はそれが君じゃなかっただけだろう」

参謀「それに、閣下はみくちゃんみたいに自分の意見を言える子は大好きだと思うよ?」

和尚「この前も酒の席で言ってたよ、プロジェクトのみんな、自分がトップアイドルにするんだって」

参謀「身内にどこまでも甘い悪魔だからね~wwホントはみくちゃんやみんなのこと、早くデビューさせたくって仕方がないんだよ」



「それに、毎日のように他の構成員のデビューはいつか聞いてくるくらいだからな、全くあの悪魔は」



殿下「お、陛下、お疲れ様です!」

みく「ダミちゃん、今の話、ホント…?」

陛下「ああ、本当だ……む、みりあくんのレッサーパンダに囲まれての黒ミサはいいな、将来的に採用しよう」

みりあ「ホント!?」

陛下「ああ、私はアニマルプリントが好きだからな」

きらり「やっぱりデーちゃんは、きらり達のことちゃあんと考えてくれてたんだにぃ☆」

陛下「おそらく、地球上でもっとも君達を思っている悪魔だろうな」

智恵理「みくちゃん、だからストライキなんてやめよ?」

みく「う、うn「そんなことでどうする!」


「「「「「「…………え?」」」」」」


長官「みくちゃん、君は閣下に一言もの申したいんだろう!?そんなに簡単に折れてどうする!!」

みく「いや、みくは、デーちゃんがみく達のこと考えてくれてるならそれで…」

長官「いいや、君は!あの悪魔にちゃんと言うべきだ!この相撲バカ!マザコン!給料あげろって!」

みく「あ、あの……」

長官「心細いなら俺も共に行こう……他に一緒に来る者はいるか!?」

杏「はい!杏は働きたくありません!」

長官「よし!ならば共に行こう!」

和尚「また怒られるよ~?」

長官「今まではそうだった……だが今日こそは、あのマザコン関取悪魔に黒星の味を思い知らせてやる!!」

長官「さあ行くぞみくちゃん杏ちゃん、やられたらやり返せ…………ストライキだ!!!!!」

~喫茶店前~

閣下「………………………………………で、こうなったわけだな?」

かな子「み、みくちゃんは!みくちゃんはストライキなんてやめようと思ってたんですよ!?」

智恵理「で、でも、あの人が……」チラ



長官「我々は、権力には断固として屈しない!!マザコン相撲バカにはもっと屈しない!!」

杏「杏は週休8日を希望する!!」

長官「そうだそうだ!給料上げろ!」

みく「え…これ、みく関係ないんじゃ……」



閣下「…………概ね事態は把握した」

きらり「杏ちゃん!こんなことしちゃ、めっ、だよ!みんな困ってるよ~!」

楓「なんだか、賑やかになってますね」ヒョコ

閣下「恥ずかしい限りだ……」

楓「でもどうするんですか?ストライキをあんまり無視すーと、来季まで続いちゃいますよ、ふふっ」

閣下「まあ、地獄ではあの程度日常茶飯事だからな…」

未央「無駄な抵抗はやめて投降しろー!君たちは完全に包囲されているー!」

莉嘉「そうだそうだー!」

みりあ「そうだー!」

長官「我々に説得など無意味!我々は、最後の一人になっても戦う覚悟を決めている!!」

みく「みくもう投降していい…?」

長官「ダメだ!!」

長官「君たちのデビューを、あの悪魔の口から確約させるまで絶対に諦めるな!!」

杏「え!?デビュー!?……じゃあ杏は降りるよ…」

長官「あのわからず屋の頭でっかちの悪魔に、君の口からちゃんと伝えるんだ!」

長官「お前のはっきりしない態度のせいで、こっちはいい迷惑だって言ってやれ!!」

長官「お前も、黙ってみてないでこっちに来い!!」

閣下「…………」スッ

みく「で、デーちゃん…」

閣下「このストライキは、我輩に向けてのもので間違いないな?」

長官「そうだ!」

長官「ほら、みくちゃん、言ってやれ」

みく「でも……」

閣下「みく、お前の要求を全て聞かせてくれ」

みく「…………なんで、なんでみくが何度頼んでも、デビューさせてくれないの?」

閣下「…………」

みく「みく達も頑張ってるのになんで……」

閣下「…………」

みく「シンデレラプロジェクトのオーディション受かって、すごく嬉しかった!」

閣下「…………」

みく「小さいお仕事も頑張ってやったら、いつかデビューできるって信じてた!」

閣下「…………それで?」

みく「でも、どんどん置いてかれて、放っておかれて……何が違うの?」

閣下「…………それで?」

みく「もっと頑張ればいいの?もっとってどれくらい!?みく全然わかんない!!」

閣下「…………それで?」

みく「このままはいや……みくもアイドルになりたい!!デビューしたい!!!」

閣下「…………それが、お前の要求だな?」

みく「…………」

閣下「お前も、他の全ての構成員も、デビューの準備は進んでいる」

みく「……ホント?」

閣下「ああ、今回が第一弾、その後のユニットも既にいくつかは決定している」

みく「……ホント?」

閣下「我輩は、誰一人として疎かにはせん」

閣下「お前達は、全員トップアイドルになるのだ」

閣下「我輩はお前の要求を受け入れよう、時間はかかるが、必ずやお前をデビューさせ、頂点まで連れ去ろう」

みく「デーちゃん……」

みく「ホントだった…、ちゃんとみく達のこと考えてくれてるって、ホントだった…」

みく「もお、だったらちゃんと、言ってにゃあ……っ」

閣下「心配をかけて済まなかった」

凛「ホントだよ……」

未央「でも、これで万事解決だね!!」

きらり「ほら、みくちゃんも、杏ちゃんも、お片づけしよ!」

みく「うん……うん!!」





閣下「――清水さん、ご迷惑、おかけしました」

長官「……別にいいよ」


~翌日 執務室~
          
長官「いや、違うんですよ閣下、あれはみくちゃんを奮い立たせるために…」

閣下「ほお、それで我輩にあんな罵倒を?」

長官「俺だって本当はいいたくなかったんですよ!わかってくださいよ!」

ちひろ「そういえば清水さん、お給料にも文句があるとか?」

長官「いやいや!!それは346プロじゃなくて地獄の!!」

閣下「地獄の給金に文句が!?それは申し訳ないことをした……」

長官「あー!間違えた!俺は一切職場に対して不平不満はなかった!常日頃から最大限の感謝を持って働かせて頂いていたんだった!」

閣下「だが、我輩には不満があると?」

長官「いやいや滅相も!」

閣下「……そろそろ覚悟はできたか?」

長官「あの…毎回こういうオチって、飽きられるしどうかと……」

閣下「そうか、では次回は何か考えておこう」

長官「ああ、やっぱり……」

閣下「お前も蝋人形にしてやろうかあああああああああ!!!!!」ロウニンギョー!!

長官「蝋人形にはなりたくなあああああああああああああああああああああいいいいいいい!!!!!」

~シンデレラプロジェクトルーム~

未央「おお!これが私達の曲!?」

凛「やっぱり、かっこいい…」

卯月「あ、あの…長官さんはどうしたんですか……?」

長官「」カチンコチン

閣下「新しい就職先がオブジェになってな、予行練習だ」

卯月「そうなんですか!あと、このnew generationsっていう名前は?」

閣下「我輩が考案したお前達のユニット名だ」

未央「おお!」

凛「なんて意味?」

閣下「直訳すれば”新世代”」

閣下「これまでの常識や慣習を破り、新たな世界を自らの手で切り開いて欲しいという我輩の願い」

閣下「そして、聖飢魔IIに続く者達としての名として『新たな世紀を悪魔に代わり支配する』という意味を込めた」

未央「へえ!」

卯月「かっこいいです!」

凛「うん、いいんじゃない」

閣下「フハハハハ!では、お前達は今日からnew generetionsだ!」

閣下「ちなみに、他の案としては『非力河童人間』というのもあったがどうだ?」

凛「そっちは却下で、もう、わかって言ってるでしょ…」

閣下「フハハハハ!フハハハハハハハ!」

長官「」カチンコチン


第5話 I don't want to become a wax doll 終

今夜はこの辺で

ユニットの曲については色々意見があると思いますがあくまで至極個人的なイメージで決めたんであまり深い追及は勘弁して下さい
どんなに聖飢魔IIssでイジられてもエース長官は最高にイケメン
ちなみに俺はFace to aceも大好きなエース信者なんで構成員の中でも若干長官の出番が多いかもしれないけど気にしないでもらえると助かります

ではまた明日23時頃からおそらく更新します
遅くまで付き合ってくださった方がいたらありがとうございました


ちえりは智絵里で智恵理じゃないよ

>>121
今確認しました、ゼウスの妨害か……
チエリストの皆さんホントすみません……
ここから全部修正していきます……

再開します
おそらく今夜は1時過ぎくらいまで

第6話 Finally,our bad day has come!



~レコーディングルーム~

凛「退屈な時間なら 砂にうずめたい~♪」

閣下「うむ、凛も問題なさそうだな」

未央「そりゃあ私達は、あのエーちゃんのシゴキに耐えてきたんだからね!」

長官「シゴキって、そんな厳しくなかったでしょ~」

卯月「私、何度泣いたかわからないです…」

未央「今レコーディング中のしぶりんも、実は影で涙していたとか…」

長官「……え、そうなの?」

凛「未央、泣いてないから」

未央「まったまた~、このちゃんみおは知ってるよ~?」

未央「しぶりんが、『ごめん、卯月、未央、今日は先に帰って』って言う時は毎回一人でレッスンルームにこもって…」

凛「もう!うるさい!」

未央「レッスンの時のエーちゃんは悪魔だからね!」

長官「いや、いつでも悪魔だから」

閣下「だが、そんなこと言っているが、長官だって毎回レッスンが終わると泣いてたんだぞ?」

卯月「そうなんですか!?」

閣下「ああ、『あんな可愛い子達を泣かせるなんて、俺はなんて酷い悪魔なんだ!』って自棄酒煽りながら」

未央「泣く位ならもっと優しく教えてくれればいいのに~」

閣下「だが、その涙の日々があったからこそ、今日のレコーディングがあるのだ」

未央「うんうん、最後はモンチーもコーチに加わって、いつも優しいモンチーの厳しい姿にまたしぶりんは…」

凛「ちょっと、未央、ホントに怒るよ!!」

善澤「それじゃあ、一人ずつCDデビューに向けてのコメントを貰えますか?」

卯月「は、はい!島村卯月です!あの、とにかく頑張ります!」

凛「渋谷凛です、えっと、まだ実感ないけど、頑張ります」

未央「リーダーの本田未央です!みんなに私達のCD聞いて欲しいです!」

閣下「教祖のデーモンである、この教典発布に伴い更なる信者の拡大を期待している!」

凛「なんでプロデューサーまで答えてるの」

善澤「は、ははは、ユニークなプロデューサーさんだね」

善澤「せっかくだし、プロデューサーさんからも、彼女たちについて一言いただけますか?」

閣下「うむ、この記事を読んでいる人間共よ、喜べ、諸君達は今の地上でもっとも不幸だ」

閣下「これからアイドル活動を通して地上を支配する3人の少女達、その発生して最初のインタビューを読む事ができるのだからな」

閣下「ニュージェネレーションはただのアイドルグループではない、悪魔に選ばれし史上最悪の『真泥霊羅プロジェクト』の一番槍なのだからな!!」

善澤「史上最悪の?最高じゃあなくて?」

閣下「最悪とは、悪魔にとって素晴らしい褒め言葉なのだ!フハハハハ!」

善澤「ふむ、これは面白い記事が書けそうだ…」

閣下「せいぜい悪い記事を頼むぞ?フハハハハハハハ!」


~シンデレラプロジェクトルーム~

卯月「はあ、緊張した~…」

凛「でも、最後の方はプロデューサーのインタビューになってなかった?」

未央「私だって、もっといっぱい喋りたかったのにー!」

閣下「フハハハハ!すまんすまん」

卯月「でも、未央ちゃん頼もしかったです!」

未央「私がリーダーだからね、頑張らなきゃ!」

未央「それにしても、インタビューって案外地味なんだね、もっと大きな記者会見とかじゃないんだ…」

閣下「心配せずとも、お前達がより大きくなれば向こうから記者が詰めかけてくる」

未央「そっかー、うん、そうだよね!!」

凛「プロデューサー、随分慣れてたけど…」

閣下「聖飢魔II時代はミサやTVやラジオはもちろん、CMにゲームと引っ張りだこだったからな」

卯月「そうなんですか、閣下さんはやっぱりすごい人なんですね…」

閣下「フハハハハ!もちろんだ、だが一つ訂正するならば、我輩はすごい人ではなくすごい悪魔だ」

卯月「そうでした、エヘヘ」

未央「でもでも、私達だってすぐにそんな風にお仕事いっぱいくるんだよね!?」

凛「うん、そうなるといいね」

美波「あら、未央ちゃん達もインタビュー終わったのね」ガチャ

未央「お、ラブライカの2人だ」

未央「聞いてるよ~?すっごい堂々とインタビューに答えてたんだって?」

卯月「大人の記者さんの前で、スゴイです!」

美波「えへへ、実は、ずっと緊張して足が震えてたの…」

アーニャ「すごく、ドキドキでした…」

閣下「記者の男も、立派だと褒めていたぞ」

美波「そうなんですか?…嬉しい」

アーニャ「いっぱい、練習しました」

卯月「練習って、インタビューのですか?」

美波「うん、こんなことを聞かれたらこう答えようって、ちゃんと私達の気持ちを伝えたかったから」

凛「私達もやればよかったかな?」

未央「終わったことを言っても仕方ない!その分はミニライブでがんばろう!」

卯月「うん!」


~レッスンルーム~

長官「凛ちゃん!もっと声を前に飛ばすイメージ!」

長官「卯月ちゃんはいつも同じセクションで音が飛んでる!」

長官「未央ちゃん、一人だけで歌わない!」

長官「この曲はハーモニーが命!完成しないならライブは見送るからな!」

「「「は、はい!!!」」」



卯月「今日も、いっぱい怒られちゃいました…」

凛「レコーディングが終わっても、スパルタは変わらないんだね」

未央「でも、ライブでは大勢のお客さんの前で歌うんだもん、頑張らなきゃね!」




~戦闘服部屋~

参謀「みんなすっごい可愛い!!天使!いや、悪魔!!小悪魔だよ!!」

凛「悪魔って……それ、褒めてるの?」

参謀「もちろん!!」

参謀「ちなみに、今回の戦闘服はネットに入れればご家庭の洗濯機でもザバザバ洗える仕様になっております」

卯月「じゃあ、ママも簡単にお洗濯できますね!」

凛「そもそも、衣装って家じゃ洗わないでしょ」

未央「でも、今度はこの衣装でまたあの時みたいなライブができるんだよね…」

凛「……うん」

卯月「しかも、今度は3人で!」

美波「失礼します」ガチャ

アーニャ「хорошо…」

閣下「うむ、よく似合っている」

参謀「美波ちゃんとアーニャちゃんの戦闘服もあるから、はやく!」



未央「お~!!」

卯月「すごくキレイです!!」

参謀「閣下……」

閣下「なんだ」

参謀「この2人が天使だと言うのなら、悪魔を裏切り神の側についたジードを、俺は責めることができません…」

閣下「あ、そうですか」

美波「ち、ちょっと恥ずかしいな…」

参謀「恥じらう姿もまたよし!」グッ

アーニャ「私、大丈夫ですか?」

参謀「もうぜんっぜん大丈夫!むしろ俺が大丈夫じゃない!!」

凛「うん、すごく似合ってると思うよ」

アーニャ「спасибо!」

未央「これでニュージェネレーションズもラブライカも、ライブの準備はバッチリだね!」

未央「みんなのトップバッターとして、ガツンとかましてこようね!」

美波「うん!」


~ラジオ局~

藍子「高森藍子の、ゆるふわタイム!」

藍子「今日のゲストはCDデビューも間近のニュージェネレーションズの皆さん………と……」

未央「せーのっ」

「「「こんにちは!ニュージェネレーションズです!」」」

和尚「いえ~い」

藍子「え、えっと……346プロダクションの受付悪魔で元、魔界文化局長、ゼノン石川和尚さん、です……?」

和尚「ラジオの前のみなさん、ゼノン石川です、よろしく」

藍子「ぜ、ゼノンさんは、普段はただの受付悪魔ですが、今回はニュージェネレーションズのCDジャケットを担当されたそうです」

和尚「担当しちゃいました」

和尚「今日はニュージェネレーションズのみんなが動かない仕事ということで、それならば、と思い参加させてもらうことになりました」

藍子「は、はあ」

未央「私達のプロデューサーが冗談で聞いてみたら『動かないなら』って快諾してくれたんだよね!」

未央「で、シンデレラプロジェクトの部長さんも面白そうだからってGOを出して」

藍子「うちのディレクターさんも悪魔がゲストは面白いからOKって言ってました…」

凛「お互い、苦労しますね…」

藍子「あ、あははは」

藍子「皆さん、これからデビューということで、もちろんこのラジオは初めてですよね、少し質問させてもらっちゃいます!」

未央「はい!なんでも聞いてください!」

和尚「でもちょっと恥ずかしいな」

藍子「じゃあ、みんな休日はどんな風に過ごしていますか?まずはリーダーの未央ちゃんから!」

未央「はい!皆さん、はじめまして!ニュージェネレーションズのリーダー、本田未央です!」

未央「休みの日は、友達とショッピングに行くことが多いかなー、あ!でも最近はライブに備えて色々なアイドルのライブの映像を見て勉強したりもするかな!」

藍子「未央ちゃんは勉強熱心なんですね!」

未央「えへへー、やっぱりたくさんのお客さんをみんな楽しませたいから!」

藍子「お友達とショッピングっていうのも、楽しそうだね」

未央「私、いろんな人と仲良くなりたくってアイドルになったんです!で、仲良くなると、すぐに遊びに誘っちゃうって感じで」

藍子「そうなんだ、じゃあ、私も仲良くなったら誘ってもらえるのかな?」

未央「誘っていいんですか!?」

藍子「うん!私ものんびりお散歩するの大好きだから誘ってほしいな」


未央「誘っていいんですか!?」

藍子「うん!私ものんびりお散歩するの大好きだから誘ってほしいな」

凛「未央、ホントによく誘いに来るよね」

卯月「最近はライブの自主トレをみんなでするついでに事務所の近くにお出かけしたりもしました!」

藍子「楽しそうですね~、じゃあ、みんなの事務所の近くを歩いてたら、もしかしたらニュージェネレーションズに会えるかもしれないんですね」

未央「あ、でも、私達に会いたいからってあんまりウロウロしてると、悪魔に捕まっちゃうかもしれないよ~!」

藍子「それはちょっと怖いかも……」

凛「でも、悪魔って言ってもこんな感じですから」

和尚「どうも、悪魔です」

藍子「あはは、こんな悪魔さんなら怖くないですねっ」

和尚「ホントは怖いんだぞー?」

藍子「では続いて、卯月ちゃん!」

卯月「は、はい!はじめまして、島村卯月です!」

卯月「えっと、私、お友達と電話するのが好きでお休みの日はついつい長電話しちゃいます」

藍子「あ、ちょっとわかるかも、お友達とお喋りって楽しいよね~」

卯月「はい!最初はちょっとだけ、って思うんですけど気がつくと長くなっちゃってて…」

藍子「わかるわかる!私もお昼から話してて、気がつくと夜になってるってことがよくあって…」

凛「それはさすがに…」

未央「このラジオ、気がついたら放送時間オーバーしてたりしないですよね…?」

藍子「だ、大丈夫!そこはさすがに、たまにしか…」

凛「たまにはあるんだ…」

藍子「え、えっと、じゃあニュージェネレーションズのみんなで長電話することもあるの?」

卯月「はい!未央ちゃんとはよくしますね、凛ちゃんはあんまり長々電話でお喋りするの、好きじゃないみたいで」

凛「なんていうか、電話で話すより実際に会って話せばいいんじゃないかって思っちゃって…」

卯月「あとは、ニュージェネレーションズの3人で電話でお喋りすることもありますね!」

藍子「そういえば、ゼノンさん、悪魔も長電話をすることってあるんですか?」

和尚「まず、地獄には電話がありません」

卯月「え!?そうなんですか?」

和尚「悪魔は念話をすることができるから人間のように電話という機械を使う必要がありません」

未央「なるほどー」

和尚「つまり、僕がぼーっとしている時も、実は重要な会議をしている可能性もあるわけですね」

凛「絶対にそんなことしてないでしょ」

和尚「ちなみに、地上では普通に電話をします、長電話も悪魔によってはします」

藍子「やっぱりそこはするんですね…」

藍子「じゃあ、次は凛ちゃんお願いします」

凛「はい、はじめまして、渋谷凛です」

凛「私は、休みの日は犬の散歩とか家の手伝いをしてるかな」

藍子「凛ちゃんは犬を飼ってるんですね」

凛「はい、うちが花屋だから、ハナコって名前の子が」

卯月「ハナコちゃん、可愛いですよね!」

未央「小さくってモフモフで、ニュージェネレーションズの影のアイドルだよね!」

藍子「へえ~、私も見てみたいなあ!」

凛「よかったら、収録後に写真をお見せしますね」

藍子「ホント?ありがとう!」

卯月「ハナコちゃん、ホントにいい子で、私達もよく一緒にお散歩させてもらうんですけど」

未央「人懐っこくって、素直になれないご主人様の代わりに甘え上手に育って…」

凛「ち、ちょっと未央!ラジオでそういうこと言わないで!」

藍子「あはは、ゼノンさん、ちなみに地獄にはワンちゃんはいるんですか?」

和尚「もちろんいます、有名なのは地獄の番犬ケルベロスです」

未央「あの頭が3つっていう奴?」

和尚「その通り」

藍子「ちょっと怖いですね…」

和尚「陛下が地上から戻られてからはたべっこどうぶつが大好物みたいです」

卯月「肉食、なんでしょうか…?」

凛「地獄って、なんで素直に怖くなれないの?」

和尚「ペット愛好悪魔はたくさんいますが、最近はサタン45世、ダミアン浜田陛下が無類のアニマルプリント好きということもあり数千年ぶりのペットブームが来ています」

藍子「数千年……地獄はブームも桁が違いますね…」

藍子「ちなみに、ゼノンさんはお休みの日はどうしていますか?」

和尚「僕は近所を散歩しながら写真を撮るのが好きですね」

未央「とても悪魔とは思えないのどかな休日……」

藍子「そうなんですか!私も近所をカメラを持ってお散歩するのが好きなんです!」

和尚「そうなんですか、では、今度のお休みはぜひ一緒に撮影の旅に出かけませんかお嬢さん」

藍子「楽しそうですね~」

凛「アイドルとして、いいの?」

藍子「アイドルは恋愛禁止ですけど、ゼノンさんはそもそも悪魔ですから、そういう枠には入らないんじゃないかな」

和尚「何気に酷いことをいいますねお嬢さん」

藍子「そういえば、皆さんは今度デビュー曲の発売イベントでミニライブがあるということですが」

藍子「はじめてファンの人達の前で歌う気持ちはどうでしょう?」

未央「はい!すっごく楽しみです!お客さんみんなに元気パワーをズドドドーって届けたいです!」

藍子「ズドドドーって、なんだかスゴそうですねっ、凛ちゃんはどうですか?」

凛「え、えっと、楽しみにしてます…」

未央「しぶり~ん、もっとテンション上げてこうよ!ほら、イッシーみたいに!」

和尚「いえ~い」

卯月「いえ~い!」

未央「ほらほら、しぶりんも!」

凛「ええ……い、いえ~い…って何なのこれ!」

藍子「あははっ、凛ちゃんのいえ~いは、可愛らしいですねっ」

藍子「卯月ちゃんはどうです?」

卯月「はい!頑張ります!」

藍子「はい、がんばってくださいね!」

藍子「ゼノンさんは以前はご自身もステージに立たれていたとのことですが、何かみんなにアドバイスはありますか?」

和尚「僕は基本的に動かないポジションだったので、ダンスをしながら歌うのは大変だと思いますががんばってください」

未央「ちょっと、イッシー何それ~!」アハハ

~数日後 執務室~

和尚「石川で~す、入りますよ~」

閣下「おお、和尚、すまんな、急にラジオ出演を頼んで」

和尚「久々の布教活動だったから緊張しちゃいましたよ」

閣下「ちっともそんな風には見えなかったが…」

陛下「で、ゼノンよ、数日過ごしてみて彼女たちの心の様子はどうだった?」

ちひろ「みんな、やっぱり不安が募ってるんでしょうか…」

和尚「はい、それぞれ心の陰りはありますけど、でもなんとかなるレベルですね」

和尚「ラブライカの2人はまだちょっと不安の心が大きいけど互いに力を合わせれば大丈夫だって気持ちでがんばってます」

ちひろ「よかった……」ホッ

閣下「うむ、やはり和尚に調査を頼んだのは正解だったようだ」

和尚「ただ閣下、一個だけ気がかりなことがありまして…」

閣下「……なんだ?」

和尚「未央ちゃんだけ、全然心が読めないんですよね」

陛下「我々悪魔が負の感情しか読めん、それは千里眼を持つゼノンも同じだな」

和尚「はい、つまり、5人のうちで未央ちゃんだけが」

閣下「心に不安や迷いをほとんど抱いていない、ということか」

ちひろ「でも、それはいいことなのでは?リーダーとして心強いじゃないですか!」

陛下「これがベテランのグループであれば、そうも言えたがな」

和尚「はい、あの子達は初舞台ですから、まずありえないことかと思います」

陛下「デーモン、どう思う?」

閣下「……まだ奴らはデビュー前、我々に対するゼウスの妨害ということは考えにくいでしょう」

閣下「単純にミサを前に興奮しているのだと思いたいところですな」

陛下「うむ、だが、最悪のケースが来てくれるとは限らん」

陛下「デーモンよ、常に最善の場合を想定し警戒を怠るな」

閣下「畏まりました、和尚よ、明日はミサの会場に呼べる聖飢魔IIの構成員を全て集めゼウスの警戒にあたってくれ」

和尚「わかりました」

閣下「明日は我らが征服活動の魁となる記念すべき日、なんとしても最悪の結果で終わらせるのだ!!」


~黒ミサ当日 サンセットシティ舞台裏~

閣下「フハハハハ!フハハハハハハハ!集まったな諸君、今日はこの悪しき日を存分に楽しもうではないか!」

卯月「は、はい!」

美波「まず、私達がやって、その後にニュージェネレーションズになるんですよね?」

閣下「うむ!先鋒は戦の花形、存分に暴れまわるが良い!」

アーニャ「カッカ、暴れたら、危ないですよ?」

閣下「思いっきり楽しめ、ということだ!」

閣下「まずはリハーサル、黒ミサの計はリハーサルにあり、さあ行け!」

「「「「「はい!!」」」」」




スタッフ「はいオッケーです、じゃあ本番もよろしくお願いしまーす」

「「「よろしくお願いします!」」」

閣下「皆、ご苦労であった、ひとまず楽屋で休むといい」

卯月「うう、やっぱり緊張します…」

アーニャ「はい、ドキドキ、ですね…」

閣下「……ここまでは、問題なさそうだな」

未央「ねえねえ、モンチー」テクテク

閣下「む、どうした?」

未央「ステージ、こんな感じで大丈夫かな?」

閣下「フハハハハ!どうした、今更怖気づいたか?」

未央「そうじゃなくって!お客さんがいっぱい集まったら、お店とか通る人の邪魔になりそうだよねー」

未央「私、結構友達に声かけちゃったけど、大丈夫かな?」

閣下「なるほど、むしろ自信だったか、これは心強い、フハハハハ!」

閣下「大丈夫、お前達はステージの心配だけしていればよい」

閣下「たとえゼウスにもお前達のミサの邪魔はさせん!」

未央「? そう?モンチーがそういうなら、いいんだけど…」テクテク

閣下「……なるほど、和尚が言った通りだな」


~楽屋~

参謀「よ~し、それじゃあ、みんな可愛くメーキャップしちゃうからね~!」

卯月「はい!よろしくお願いします!」

参謀「まっかせて!」

参謀「ああ…相変わらず凛ちゃんの髪すごいサラサラ……」

凛「そ、そうかな…」

参謀「いいなー、地獄のパーマ液は強いからすぐに髪が傷んじゃうんだよね~」

凛「人間のじゃダメなの?」

参謀「それだと悪魔の髪には弱すぎてさあ」

参謀「でも、髪を傷めるのは『神を痛める』に繋がるとされてて、地獄ではどんどん髪をキシキシにするのが流行っててさ」

参謀「サラサラの方がいいのにね~」

未央「もしもし、なっちゃん?あと少しで開演だから早く来てよ?場所なくなっちゃうよ?」

未央「うん、うん、じゃあまたね」プチ

参謀「お友達?」

未央「うん、クラスの友達全員に声かけてて…」

卯月「す、すごいです…」

未央「でももっと早く来てって言っておけばよかった、早くこないと後ろからだと見えなくなっちゃうかもしれないし…」

凛「二階からも見えるみたいだし大丈夫じゃない?」

未央「でも…」

参謀「ああ、人間は飛べないからね~」



長官「お~い、みんな応援に来てくれたぞ!」ガチャ!



かな子「差し入れ持って来たよ~」

きらり「おっすおっす☆」

美波「みんな、ありがとう!」

かな子「はい、マカロン!」ドーン

美波「あ、ありがとう…」

未央「って、こんなに食べたら衣装入らなくなるってー!」

かな子「えー!?美味しいから大丈夫だよ!」

参謀「え、どういうこと…?」

長官「悪魔にもわからない謎理論だ…!」


智絵里「そうだ、あのね、みくちゃんとみりあちゃん、莉嘉ちゃんはお仕事で来られないけど、ムービーメールをもらってきました!」ピッピ



みく『ライバルとして応援してやるにゃ!ヘマしないように頑張れにゃ!』

みりあ&莉嘉『がんばれ!にゃあ~!』



未央「おお!」

美波「ふふっ」

卯月「うれしいです!」

長官「みくにゃん……っ…!」

李衣菜「なんでエースさんが感極まってるのさ…」

きらり「じゃじゃ~~ん!!きらりも、杏ちゃんからメッセージもらってきたよ~!」



杏『…………がんばれ……おみやげは甘い飴で、よろしく……」



参謀「杏ちゃん……っ…!」

凛「今のに、感動する要素なかったでしょ」

蘭子「フフフ、狂乱の宴の準備は、整ったようだな」

凛「う、うん」

李衣菜「私的には、もっとロックな衣装の方が好きだけど、それもなかなかいいじゃん?」

凛「ありがと」


美嘉「お、みんな来てるね~★」ガチャ

閣下「そこでたまたま会ってな」

未央「美嘉姉!」

美嘉「袖でしっかり見てるからさ!ぶちかましちゃいなよ★」

未央「オッケー!」

卯月「が、頑張ります!」

美波&アーニャ「…………」コクン

凛「……うん」

閣下「では、まもなく黒ミサの開演だ、スタンバイを頼む」

閣下「長官は我輩と共に来い、参謀は打ち合わせ通りに」

「「「「「はい!」」」」」


~舞台裏~

閣下「諸君、今宵は我々が目指す黄金の都への第一歩を踏み出す日だ、各々全力を尽くすように」

美波「……はい」

未央「そ、それだけ?」

閣下「ああ」

卯月「が、頑張ります!」

アーニャ「はい!」

凛「うん」

閣下「よし、では行こう!」



~舞台袖~

美波「……っ」

アーニャ「ミナミ?」

美波「……っ!な、何?」

アーニャ「рукопожатие、握手、しましょう」

美波「あ、……ええ」

アーニャ「私もさっきから、手、震えてます」

美波「アーニャちゃん……」

閣下「準備は、できたか?」

美波「はい」

閣下「不安か?」

アーニャ「……はい」

閣下「アーニャよ、初めて会った時を覚えているか?」

アーニャ「……?」

閣下「Желаю удачи, Минами」

アーニャ「! か、カッカ……」

美波「今の、ロシア語ですか…?」

閣下「うむ、アーニャよ、我輩はお前との約束通りロシア語を猛特訓で覚えている」

閣下「我輩のロシア語はどうだった?」

アーニャ「Хорошо、とっても上手でした…」

閣下「ありがとう、だが我輩は知っているぞ?我輩が仕事の合間に勉強するよりも、お前達の方がずっと今日のミサに向けて練習を重ねてきたことを」

閣下「恐れることはない、お前達ならきっと大丈夫だ」

アーニャ「カッカ、ありがとう、ございます」

美波「私達のこと、見ててくださいね」

閣下「もちろんだ、さあ、早くゆけ、早くゆけ」

「「はい!」」



「「はじめまして、ラブライカです!聞いてください、『ARCADIA』!」」



閣下「そうだ、それでいい、お前達が強く願うならきっと、どこへだって2人でたどり着けるのだから…」


閣下「さあ、ラブライカは行ったぞ、次はお前達の番だな」

卯月「はい!」

凛「……うん」

未央「まっかせてよ!」

閣下「さあ、お前達も行って来い!」

「「「はい!」」」

和尚『閣下、聞こえますかー、ここまでゼウスの妨害はありませんでしたー』

閣下「うむ!」

参謀『もう大丈夫だとは思うけど、引き続き警備を続けますねー』

閣下「頼むぞ」

アーニャ「カッカ、カッカ!」ギュ!

美波「私、私…!」

閣下「戻ったな、お前達」ナデ

アーニャ「カッカ、私達、ちゃんとできましたか?」

美波「お客さん、喜んでくれたでしょうか?」

閣下「お前達が素晴らしいミサを行ったことは、お前達の歌を聞いた聴衆の拍手が全て物語っていた」

閣下「無論、客の数は少なかったかもしれん、だが我輩の耳には、彼らの拍手が割れんばかりの大喝采に聞こえたぞ」

閣下「お前達はどうだ?」

美波「はい!頑張って、本当によかったです…っ!」

アーニャ「カッカ、本当にありがとう!」

美波「ありがとう、っ、ございます!」

美波「ごめんなさい、安心して、嬉しくて、私…っ……」

閣下「フハハハハ、泣くが良い、感情のままに、喜びのままに涙を流すお前は、誰より美しい」ナデナデ



参謀『閣下、大変です…』



閣下「! ゼウスの妨害か…!?」

閣下「いや、あれは……!」


~舞台裏~

未央「…………」

アーニャ「未央、お疲れ様、でした……未央?」

未央「…………」

卯月「未央ちゃん、待って!」

美嘉「おっつかれー!みんな、よかったよー★」

未央「…………」

美嘉「って、あれ…?」

未央「…………」

閣下「――どこへ行く、未央」

未央「…………」

閣下「我輩は、大恩ある先輩の労いを無視していいなどと教えた覚えはないぞ」

閣下「それに、先ほどのミサの有り様はなんだ」

閣下「言い訳があるなら聞こう」

未央「…………なんで」

閣下「…………」

未央「お客さん!!めちゃくちゃ少ないじゃん!!なんで!?」

未央「前のライブと全然違うじゃん!!!」

閣下「それが、あの醜態の理由か」

長官「…………」

閣下「観客が少ないから、自分の身勝手な空想に現実がついて来なかったから、やる気をなくしたのか」

未央「すっごいライブやるからって、早くこないといい場所取れないからって友達に言ったのに……私、バカみたいじゃん!」

卯月「未央ちゃん……」

未央「もっともっと、前のステージみたいに盛り上がると思ったのに……」

美嘉「それって、私の時の……」

閣下「そんなわけがないだろう!!」

未央「っ!」


閣下「あのステージは、美嘉がこれまでのアイドルとして駆けてきた人生の結果、お前が誇るべきものではない」

閣下「お前は観客が少ないこと、盛り上がらないことに失望したと言ったな」

閣下「それはつまり、お前は自身の観客に対して失望したと言ったのだ!」

閣下「『お前達がもっとたくさん集まれば私は友達に恥をかくことはなかった』、『お前達がもっと盛り上がらないから私の期待は破られた』と、お前はそう言ったのだ!!」

閣下「自分が言ったことが、お前がやったことがどういうことか、よく考えることだ」

未央「……そんな」

長官「……未央ちゃん」

未央「エーちゃん……」

長官「君は、ステージに立つ者が、最もやってはならないことをした」

未央「っ! そんな……」

閣下「今日の結果は、お前に向けられた当然の結果だ」

未央「当然の……結果…?」

未央「こんな、私が……リーダー、だったから…?」



閣下「――その通りだ」



美嘉「! ちょ、ちょっと!」

卯月「閣下さん!」

未央「…………もう、もういいよ…!」



未央「――私、アイドル辞める!!」



卯月「未央ちゃん!!」

未央「……っ!」ダッ

凛「アンタ…っ!未央、待って!」

美嘉「い、いくらなんでも、あそこまでいうことは…」

閣下「いや、奴はそれだけのことをした、我輩は悪魔だ、人が言わないなら我輩こそ言わねばならん」

長官「それに、美嘉ちゃんならわかるだろう?未央ちゃんのしたことの重みが」

美嘉「でも…」

閣下「皆、今日はもう帰るがいい、明日仕事のあるものもいるだろう」

長官「閣下……」

閣下「そうか、そうだったのだな」

閣下「ゼウスの妨害などでは断じてなかったのだ」

閣下「ただ、未央には希望を疑う理由がなかった、奴の中でぶくぶくと風船のように膨らむ期待に、誰も気が付かなかったのだ」

閣下「夢とは、常に泡沫のようなもの」

閣下「幾千年の夢もシンデレラの魔法と同じ、一夜の内に消えるもの、か」


第6話 Finally,our bad day has come! 終

とりあえず第6話終了
第7話まではできれば今日中に終わらせたい

0:30頃から第7話始めます

第7話 I wonder where I find the dark I shine...



~346プロ シンデレラプロジェクトルーム~


閣下「おはよう、2人とも」ガチャ

卯月「閣下さん…」

凛「ねえ、未央、今日も来てないよ」

閣下「そのようだな」

凛「それだけ…?」

卯月「あ、あの、私、未央ちゃんの家に行ってみようと思うんですけど…」

凛「未央の家、教えて」

閣下「奴のことは我輩に任せておけ」

卯月「でも…」

閣下「お前達はレッスンがあるだろう、長官も待っているぞ」

凛「…………」



~恐怖のレストラン~


かな子「未央ちゃん、来てなかったね…」

智絵里「ミニライブの疲れ、とか…」

李衣菜「凛ちゃんも卯月ちゃんも、最近調子悪いしね」

みりあ「未央ちゃん、やめちゃうの?」

莉嘉「ニュージェネレーションズも、解散!?」

李衣菜「この間デビューしたばっかりなのに…」

みく「そんなの、プロ失格にゃ!」


殿下「アダムの林檎パイ・ライデンスペシャルお待ち!」ドン!


李衣菜「え、私達、こんなの頼んでないけど…」

智絵里「それにいつもよりずっと大きい…」

かな子「わあ…」キラキラ

みりあ「すごーい!」

殿下「気分が落ち込んでる時は、うまいものをいっぱい食べるのが一番!」

殿下「未央くんの方は閣下が動いてくれてるから大丈夫!それより君たち!」

殿下「君たちもこれから続々とデビューしていくのだ、その時に腹が減っていてはいけないぞ!」

莉嘉「だ、だからってこんなには食べられないって」

殿下「うまいから大丈夫!そうだな!?」

かな子「はい!」

殿下「さあ、このパイを食べて、閣下を信じて、君たちは元気よくレッスンに励むんだ、いいな?」

みく「……なんか、強引にゃ」パク


~未央のマンション~

未央『……帰って、会いたくない』

閣下「今日も、話をしてはくれんか」

未央『毎日毎日、家にまで来ないでって言ってるじゃん』

閣下「我輩はお前が本当に辞めたいと言うならば止めはせん」

未央『…………』

閣下「だが、その言葉は無機質なスピーカーではなく、お前の口から聞かねばならんのだ」

未央『……帰って』

閣下「卯月も凛も、お前を待っている」

未央『もう帰って!!』

閣下「……ここのところ、まともに外にも出ていないようだな」

閣下「籠ってばかりでは体に障る、たまには外の空気を吸え、また会おう」




~346プロ レッスンルーム~

長官「俺の……せいかな……」ズーン

参謀「いつまで落ち込んでんだよー」

長官「だって!俺があんなことを言ったから…」

きらり「エースちゃん、大丈夫だよ、未央ちゃんにもエースちゃんの気持ち、ちゃ~んと届いてるはずだにぃ」

杏「大の悪魔が泣いてどうすんのさ~」

参謀「エースは音楽に対しては妥協ができない悪魔だからなー」

長官「やっぱり言い過ぎたかな……」

杏「エースは、自分が言ったことが間違ってたって思ってんの?」

長官「そんなことはないんだけど、何もあそこまで言うことはなかったんじゃないかって…」

長官「あの時の未央ちゃんの顔が毎夜俺を責め立てるんだよお!」

きらり「泣いちゃダメだよ!未央ちゃんが戻ってきた時、エースちゃんが泣いてたら未央ちゃんも悲しんじゃうよ~?」

長官「あんないい子に、初めてのミサだったのに……」グス

参謀「また泣いちゃったよ、ごめんねー、杏ちゃんきらりちゃん、毎回つきあわせちゃって」

きらり「きらりは、だいじょ~ぶ!エースちゃんに、い~っぱい、きらりんパワーをわけてあげゆ!」

杏「いつまでもヘコんでられても面倒だしね~」

参謀「そうだよ、それに閣下がなんとかしてくれるって」

長官「2人とも……なんていい子なんだ…いい子……?」

長官「未央ちゃんも、いい子だったのに……!」ブワッ

参謀「ああもう!面倒なやつだな!」



~346プロ 受付~

和尚「あ、蘭子ちゃん、おかえりー」

和尚「お仕事から一回戻ってきたの?」

蘭子「ここは我が翼を休める聖なる泉、堕天使にもつかの間の休息は必要ということね」

和尚「そっかー、みんなに会いに戻ってきたんだー」

蘭子「して、新たな時を刻みし時計、その3針は今宵揃ったか?」

和尚「それが、まだ未央ちゃん戻ってきてないんだよねー」

蘭子「そう…」

和尚「でも、閣下が毎日様子を見に行ってるから、きっと大丈夫だよ」

蘭子「……かの悪魔の魔力を持ってしても固く閉ざされた岩戸の封印は解けないと聞いているわ」

和尚「閣下もあまり強引にはしたくないみたいだね」

蘭子「流星は、気づいた時には姿をくらます泡沫の輝き…」

和尚「そうだねえ」

蘭子「……未央ちゃん、大丈夫でしょうか…」

和尚「どうかなあ、でも」

和尚「蘭子ちゃんは閣下と未央ちゃんを信じてるんでしょ?」

蘭子「……はい」

和尚「なら、きっと大丈夫だよ」

蘭子「そうでしょうか…」

和尚「そうだ、おじさんが蘭子ちゃんに元気の出る呪文を教えてあげよう」

蘭子「! く、黒魔法の術式を我に!?」

和尚「うん」

蘭子「い、いかな悪しき理を…」ワクワク

和尚「いえ~い!」

蘭子「い、いえ~い…?」

和尚「うん、元気の出る呪文、いえ~い」

蘭子「悪魔の言霊は、人類には未知の領域ということ…?」

和尚「蘭子ちゃんほどじゃないよ~」


~346プロ前~


卯月「あ、閣下さん!」

凛「未央は?」

閣下「今日も門前払いだ」

凛「追い返されたの…?」

閣下「諸葛孔明も3度会えば門を開いたというのに、あれはその上をいくじゃじゃ馬のようだ」

凛「ふざけてる場合じゃないでしょ!」

卯月「やっぱり、私、未央ちゃんの家に…」

凛「住所、教えて」

閣下「それはならん」

凛「どうして!」

閣下「奴が出てこないのは、我輩に会いたくないのもあろうが、迷惑をかけたお前達に合わせる顔がないからだろう」

凛「だからって!」

閣下「未央のことを思うなら、奴の意思も汲んでやれ」スタスタ

凛「あ、ちょっと!!」




~翌日 執務室~

凛「……未央も、卯月も来てないんだけど」ガチャ

閣下「先ほど連絡があった、卯月は風邪で今日は休むそうだ」

凛「未央は?」

閣下「いつもどおりだ」

凛「いつもどおりじゃない!全然、いつもどおりなんかじゃない!」

閣下「…………」

凛「ねえ、このまま未央が来なかったら、私達どうなるの?」

閣下「構成員が抜ければ、新たな者が加わる、それだけのことだ」

凛「……なに、それ」

閣下「グループである以上、構成員が変わる可能性はいつだってある」

閣下「このまま未央が来なければ、それが今なのだろう」


凛「アンタは、それでいいの…?」

閣下「未央自身が決めることだ、我輩が口を出せることではない」

閣下「なに、万が一未央が抜け新しい者が入っても、きっと上手くやれる」

凛「やめて!!」

閣下「…………」

凛「何それ、わかんない、全然わかんないよ…」

閣下「お前には、まだそういった経験がないだけだ」

凛「そうじゃない!アンタが、どうしたいのか全然わかんない!」

凛「適当な理由をつけて、達観したフリをして、未央から逃げてるだけじゃん!」

凛「アンタ言ったよね、進むべき道はアンタが示してくれるって、踏み出す力をくれるって」

凛「幸せは歩いてこない、だから歩いてゆくんだって」

凛「目の前にある幸せを見失わないように歩いてゆくんだって」

凛「アイドルになって、私、道がみえた気がした、目の前の幸せに気づける気がした」

凛「でも、今は真っ暗で、何も見えないよ…」

凛「ねえ、これが、アンタ達が投げつける災いなの?」

凛「最初から、これが狙いだったの?」

閣下「それは違……っ」



凛「――信じてもいいと、思ったのに」



閣下「凛……!」

凛「っ!」ダッ

閣下「…………クソ」

閣下「何をやっているのだ、我輩は…!」


~翌日 シンデレラプロジェクトルーム~

ちひろ「以上が、次回のイベントの概要となります」

閣下「何か質問はあるか?」

美波「…………」

アーニャ「…………」

閣下「そうか、では、我輩から一つ聞かせて欲しいことがある」

アーニャ「……?」

美波「なんでしょうか…?」

閣下「先日行われたミサ、お前達はどう感じた?」

美波「……えっと、ステージの最中は、歌うことで精いっぱいでした」

美波「自分がどんな風に歌ったか、全然覚えてないくらいで、気づけば歌が終わっていました」

閣下「……そうか」

アーニャ「でも、歌い終わって、拍手、もらいました」

美波「ここが私達の第一歩なんだって思えて、嬉しくて」

アーニャ「その後、カッカにも、たくさん褒めてもらいました」

美波「はじめて頭を撫でてもらって、とっても嬉しかったです」

美波「でも、今はこんな状況で……」

アーニャ「どうしていいのか……」

閣下「そうか、ありがとう、下がってくれ……」

アーニャ「……カッカ」

美波「……失礼、します」バタン

閣下「我輩は、はじめて地上でミサを行った時どうだっただろうか…」

閣下「……そうだ、卯月の様子も見に行かねばな」


~卯月の家~

卯月「凛ちゃんに、心配かけちゃったかな……」

卯月ママ「卯月、具合はどう?」コンコン

卯月「? さっき熱はかったばかりでしょ?」

卯月ママ?「あら、そうだったわね、ところで卯月、ドアを開けてくれない?」

卯月「自分で開けてよ~」

卯月ママ?「両手が塞がってるのよ、お願い」

卯月「もう、仕方ないなあ」

卯月ママ?「あ、ちょっと待って」

卯月「どうしたの?」

卯月ママ?「大丈夫だとは思うけど、はしたない格好で開けないでね?あなたも女の子なんだから」

卯月「ちゃんとパジャマ着てるから大丈夫だよー、変なママ」

卯月「というか、なんでそんなこと聞くの?」

卯月ママ?「だってそれはもちろん…」ガチャ



閣下「扉の向こうにいるのが実はママではなく悪魔かもしれんからだ!フハハハハ!」

卯月「」




卯月ママ「あの、閣下さん、悪魔とはいえ病人を脅かすようなことは…」

閣下「いや、本当にすまなかった、まさか気絶するとは…」

卯月「い、いいんですよ閣下さん!」

卯月「でも、お見舞いなんて、ありがとうございます!」

卯月ママ「こんなにたくさんの品まで持ってきて頂いて…」

閣下「知り合いの悪魔に渡されたので、仕方なくな」

卯月「あ、このお菓子は参謀さんですか?」

閣下「ああ、参謀おすすめの健康食品兵器だ」

卯月ママ「このCDは?」

閣下「そっちは長官から、ヒーリング効果のあるクラシックのCDだそうだ」

閣下「隣の画集は和尚のオススメで、ゲームは寝たきりではヒマだろうと殿下からだ」

卯月ママ「すみません、気を使わせてしまったみたいで…」

卯月「私、別にただの風邪なんですけど…」

閣下「ただの風邪と侮ってはならん、アイドルは体力勝負、しっかりと休むのだ」

卯月ママ「でも、悪魔の方々も健康に気を使われるんですねえ」

閣下「無論だ、我々悪魔は人々に病をもたらすが、その我々が病に倒れてはまさしくミイラ取りがミイラだからな」

卯月ママ「はあ、案外悪魔も職務に熱心なんですね…」


卯月ママ「それより閣下さん、この子、ちゃんとアイドルやれてますか?」

閣下「当然だ、長官も、ユニット1の努力家と言っていたぞ?」

卯月ママ「そうなんですか、この子、帰ってきてもずっと練習してて…」

閣下「立派なことだ!フハハハハ!」

卯月「ち、ちょっとママ、もういいからあ!」

卯月ママ「あら、そう?」

卯月ママ「じゃあ閣下さん、ゆっくりしていってくださいね」

閣下「ああ、食事前には帰る、急に来て申し訳ない」

卯月「もう、ママったら…」

卯月「すみません閣下さん、ママ、話し好きで…」

閣下「卯月の明るさは母譲りのものなのだな、それに卯月に似てとても美しい」

卯月「そ、そうですか……って、美しい!?」

卯月「え、えとえと……」

閣下「…………」

卯月「……閣下さん?」

閣下「……ん?ああ、すまない」

卯月「どうしたんですか?」

閣下「……あれは、全てニュージェネレーションズのCDか?」

卯月「あ、はい、ママとパパがいろんな人に配るからって、ちょっと恥ずかしいですね…」

閣下「いや、よい家族だ……なあ、卯月よ」

卯月「なんですか?」

閣下「卯月は、この先どんなことをやりたい?」

卯月「そうですね、憧れだったライブもできたし、CDも出せて、ラジオ出演も出来ましたから…」

卯月「あ!次は、テレビ出演できたらいいなって思います!」

閣下「そうか……そういえば、最初に会った時も、そう言っていたな」

卯月「はい!えへへ……」

卯月「……あの、この前のミニイベントのことなんですけど…」

卯月「ちょっと、心残りがあって……」

閣下「…………」

卯月「せっかくのステージなのに私、最後まで笑顔でやりきることができなくて…」

閣下「………何?」

卯月「だから、次はちゃんと、笑顔でステージに立ちたいなって…」

卯月「――凛ちゃんと、未央ちゃんと一緒に!」

閣下「…………そうか」

卯月「明日には、風邪も治ると思いますから、」

卯月「明日からまた、プロデュースよろしくお願いします!」


~未央の家~

未央「モンチー、今日は、来ないのかな……」

未央「もう、私なんてどうでもいいのかな…」

未央ママ「未央~、ちょっと、牛乳買ってきてくれない?」コンコン

未央「……自分で行ってよ」

未央ママ「今、料理してて手が放せないのよ」

未央「…………は~い」



~コンビニ~



店員「ありがとうございました~」

未央「……そういえば、久々に外に出たな…」

未央「しまむーもしぶりんも、心配してるかな…」



「あれ?お前は閣下のところの……」



未央「……閣下?」

ゾッド星島親分「やっぱりそうだ、ニュージェネレーションズの!」

未央「」

ゾッド「ん?どうした?」

未央「………ぞ、」

ゾッド「ぞ?」

未央「ぞっど君だああああああああああああああああああ!!!!!!!」



~未央の家の近所の公園~



未央「え!?じゃあ、あの日ホッシーもあそこにいたの!?」

ゾッド「ああ、世を忍ぶ仮の姿でゼウスの妨害の警備をしてた」

未央「そっか、じゃああのステージ、みたんだ……」

ゾッド「ああ、お前らみんな頑張ってたな、さすがは閣下の選んだ構成員だ」

未央「そんなこと、ない……」

未央「しぶりんも、しまむーも、ラブライカの2人も頑張ってたよ?」

未央「でも、私はそんな風に言ってもらう資格なんてない…!」

ゾッド「……?」

ゾッド「何かあったのか?」


ゾッド「そうか、そんなことがなあ……」

ゾッド「それで?未央はホントに、アイドルを辞めたいのか?」

未央「……うん」

ゾッド「……それは嘘だな」

未央「っ! そんなこと!」

ゾッド「吾輩はな、地獄で地獄最高審問官って仕事をやってるんだ、お前ら人間でもわかるように言えば閻魔だな」

未央「閻魔って、あの、舌を抜いちゃう?」

ゾッド「そう、吾輩は人間の嘘が手に取るようにわかる」

ゾッド「だから未央、お前が、本当はアイドルを辞めたくないっていうのもわかる」

未央「…………」

ゾッド「戻れないのか?」

未央「…………」

未央「だって、私がリーダーだったから、あんなステージになっちゃった…」

未央「今だって、しぶりんやしまむーにいっぱい迷惑かけてる!今更戻るなんてできない!」

ゾッド「そんなこと…」

未央「そんなことあるんだよ!」

未央「それに、モンチー、閣下にもいっぱい迷惑かけちゃった…」

未央「きっと、閣下も、こんな足を引っ張る私なんて辞めたほうがいいと思ってるに決まってる!」

ゾッド「――そんなことはない!!!!」

未央「っ!!」

ゾッド「閣下が!お前らの一人でも欠けていいなんて思ってるわけがねえ!!!」

ゾッド「次同じこと言ってみろ!!ぶっ殺してやる!!!!」

未央「っ………」

ゾッド「……悪い」

ゾッド「でも、閣下がそんなこと思ってるわけがねえんだよ」

未央「……なんで、そんな風にいえるの?」

ゾッド「それは吾輩が、聖飢魔IIを辞めたからだ」

未央「え?」

ゾッド「聖飢魔IIが地上デビューして、吾輩は自信をなくしちまった」

ゾッド「周りの構成員はみんなすげえ実力がある奴ばっかで、吾輩一人が下手くそでよお」

ゾッド「吾輩がいるせいで、みんなの足を引っ張っちまうって不安でよお」

未央「…………」

ゾッド「未央は閣下の歌を聞いたことあるか?」

未央「う、うん」

ゾッド「すげえよなあ、地獄一、いや違う、天国にも地上にも、あんな歌を歌えるのは閣下だけだ」

ゾッド「でもなあ、そんな閣下がいる聖飢魔IIも、地上の雑誌のデビューで0点って言われたことがある」

未央「………え?」


ゾッド「ひでえもんだった、『ヘヴィメタルを冒涜してる』って、吾輩達の曲をろくに聞きもしねえで」

未央「そんな、あんなすごい歌なのに、ひどいよ…」

ゾッド「そう思うだろ?そうだ、聖飢魔IIは世界一すげえんだ」

ゾッド「吾輩はその時、ブチ切れてその編集者をぶっ殺そうとした、けど閣下は吾輩を止めた」

ゾッド「『まだ人間達には我々悪魔の高尚な音楽がわからんのだ』って鼻で笑ってたよ」

ゾッド「閣下は気にしなかったけど、吾輩は死ぬほど悔しかったなあ」

ゾッド「そんで、思っちまったんだよ、吾輩よりもっと上手い奴がやればいいんじゃないかって」

未央「……」

ゾッド「で、そん時に吾輩のベースの師匠だったゼノンに代わりを頼んで、吾輩は帰獄した」

ゾッド「閣下は吾輩が抜けることを、一度も止めなかったよ」

未央「ずっと一緒にやってきたのに、なんで……」

ゾッド「でもなあ、吾輩も後で聞いたんだが、閣下はずっと泣いてくれてたんだよ」

未央「どういうこと?」

ゾッド「吾輩の見えないところで、『なんで辞めちゃうんだ』、『辞める必要なんてないじゃないか』って」

ゾッド「でも、吾輩の前で泣いたら吾輩の決意が鈍るから、ずっと堪えてたんだってよ」

未央「そうなんだ……」

ゾッド「閣下は地獄一優しい悪魔だからよお、誰かの気持ちを曲げてまで自分の思いを通せねえんだ」

ゾッド「誰より優しくて、誰より仲魔想いだから、相手のやりたいことは全部させてやりてえんだよ」

ゾッド「しかも、中途半端に辞めて未練たらたらな吾輩を、閣下はいつも笑って迎えてくれるんだ…」

ゾッド「人間のガキみてえな笑顔で、何度でも吾輩を迎えてくれるんだよ!」

ゾッド「そんな優しい悪魔が、未央が抜けてもいいなんて、思うわけねえじゃねえか…っ!」

未央「ホッシー……」

ゾッド「なあ、頼むよ未央、閣下はお前がいない方がいいなんて言わないでくれよぉ」

ゾッド「ホントは誰よりお前を引き止めたいはずなんだよ…っ……」

ゾッド「迷惑かけていいんだよ、ミサの一つや二つ、ぶち壊したっていいんだよ…」

ゾッド「閣下にとっては、ニュージェネレーションズに未央がいてさえくれれば、ホントはそれでいいんだよ…」

未央「そんな……」

ゾッド「閣下はホントはすげえ不器用な悪魔だから、それを上手く伝えられねえだけで、お前のことが大好きなんだよ!」

ゾッド「頼むよ、もう一度だけでもいい、閣下のこと信じてやってくれよぉ…っ」

ゾッド「…っ……お前らのプロデューサーは世界一のプロデューサーなんだ!…っ……」

ゾッド「その閣下が選んだお前に辞めろなんていう馬鹿は、全員吾輩がぶっ殺してやる!!!」

ゾッド「だから、頼むよぉ…っ……閣下を、っ…信じてくれよぉっ……!!」

未央「っ……なんで、ホッシーがっ…泣くのさあ……っ…」

ゾッド「だってよおっ!!」

未央「私まで、泣いちゃうじゃんかあ!!」

ゾッド「うああああああああああああんんん!!!!」

未央「うええええええええええええええんんん!!!!」


~346プロ 執務室~

閣下「……戻ったぞ」ガチャ

和尚「おかえりー」

殿下「卯月の様子はどうだった?」

閣下「ああ、だいぶ良くなっていた」

長官「よ、よかった…」

参謀「聞いてくださいよ閣下~、エースってば、卯月ちゃんが心配で窓から何度も飛んでいこうとしてたんですよ~」

長官「だって、卯月ちゃんまで倒れて、これじゃホントにニュージェネレーションズが……あっ」

閣下「…………」

長官「す、すみません……」

閣下「我輩に気を使う必要はない」

長官「…………」

閣下「…………」

参謀「閣下は、未央ちゃん達のこと、どうするつもりなんですか?」

閣下「凛にも言ったが、未央が辞めたいというのなら代わりの構成員を探すまでだ」

閣下「聖飢魔IIでもそうだっただろう」

長官「…………」

和尚「それは、そうするべきことであって、閣下のしたいことじゃないでしょ?」

殿下「閣下がどうしたいのか、僕達は知りたいんだよ」

閣下「お前達まで、凛と同じ事を言うのだな」

閣下「我輩がどうしたいのか、そんなことを未央に押し付けるわけにはいかん」

閣下「これは、未央個人の問題なのだからな」

和尚「……僕は、そんなことはないと思うけどなあ」

閣下「我輩はそうだと思う、さあ、悪いが出て行ってくれ」

閣下「今日は、少々疲れたのだ…」

長官「…………いつまで、そうしてるつもりだよ」

閣下「未央が、自分で答えを出すまでだ」

長官「そういうこと言ってんじゃねえんだよ!」


長官「ジードが抜けた時も、陛下が抜けた時も、ゾッドが抜けた時も、ジェイルが抜けた時も!!」

長官「ジャントニオが抜けた時も!!ガンダーラが抜けた時も!!RYO子が抜けた時も!!レクターが抜けた時も!!」

長官「全部知ってんだよ!お前が本当は誰にもいなくなってほしくないってことくらい!!」

長官「なんで、お前は一度だって行くなって言わねえんだよ!」

閣下「だから、あいつらの問題に、我輩が首を突っ込むわけには…」

長官「あいつらじゃねえだろ!あいつらと!お前の問題だろうが!」

長官「いいじゃねえか、仲魔なんだから、ちょっとくらい我が儘言ったって」

長官「お前がみんなを大好きなのと同じくらい、みんなお前が大好きなんだよ…」

長官「頼むよ、首突っ込んでくれよ、迷惑かけに来てくれよ…」

閣下「…………」

参謀「閣下?閣下は、どうしたいの?」

殿下「未央に、何を言いたいんだ?」

閣下「そんなこと、決まっているだろう…」

和尚「口に出してくれなきゃ、わかんないよ、僕らは神じゃないんだから」

閣下「未央に、戻ってきて欲しいに、決まっているだろう!」

閣下「未央がステージで輝く姿を、あの3人がニュージェネレーションズとして輝く姿をみたいに、決まっているだろう!」

閣下「卯月をTVに出させてやりたい!」

閣下「凛が夢中になれるものを見つけさせてやりたい!」

閣下「未央が、鳴り響く歓声に包まれる姿が、見たい……」

長官「じゃあ、そう言ってこい」

長官「悪魔教教祖でもなんでもなくって、ただのプロデューサーとして、未央ちゃんにそう言ってこい」


閣下「…………ありがとう、みんな」

閣下「我輩は、行かねばならない」

閣下「消えてしまわぬうちに、見失わないうちに…」

長官「ああ、早くいけ」

閣下「…………世話をかけるな」

長官「何を今更」

参謀「ホントだよ」

和尚「別に僕達、気にしないのにねえ」

殿下「さあ、GO AHEADだ!前進あるのみ!」

閣下「そうか、そうだったのだな…フハハハハ……フハハハハハハハ!!」

陛下「デーモンよ、ようやく自らの道を見つけたようだな」ガチャ

閣下「陛下……申し訳ありません、このデーモン、悪魔でありながら自らが魔境に囚われておりました」

陛下「そうか、ではデーモンよ」

陛下「地獄で会おう」

閣下「はっ!」

閣下「雨も上がった!では諸君、また会おう!フハハハハ!フハハハハハハハハハハハハハ!」




長官「全く、世話の焼ける奴だよ…」

陛下「バカは死んでも治らんというが、悪魔は死なんからな、手の施しようがない」

和尚「でも、もう大丈夫そうだね」

殿下「ああ、ああなった閣下はどんな神より強いからな」

参謀「でも、部屋を出て行った閣下、お姫様を助けに行く王子様みたいだったね~」

「「「「……は?」」」」

参謀「え?どうかした?…………あ」

長官「お前、最近自分が何なのか忘れてないか?」

陛下「それはお前達全員に言えることだと思うがな」

和尚「僕らは悪魔なんだから」

殿下「助けに行くのではなく……」


~シンデレラプロジェクトルーム~

みく「あ、デーちゃん!」

閣下「おお、お前達か」

みく「ねえ、ちゃんと聞かせて、この部署はどうなるの!?」

莉嘉「未央ちゃんは?凛ちゃんは?」

みりあ「みんな、やっぱりやめちゃうの?」

蘭子「終焉の始まりか…」

みく「やっと、やっとデビューまで信じて待ってようって思えたのに……みく達どうしたら…」

閣下「大丈夫だ」

李衣菜「え?」

閣下「ニュージェネレーションズは解散しない、誰かが辞めることもない」

閣下「だから、そんな顔をするんじゃない」

閣下「我輩に任せておけ!」

みく「デーちゃん…」

アーニャ「カッカ、2人を、助けてあげてください」

アーニャ「きっと、ミオも、リンも、待ってます」

閣下「助けるだと?残念ながらそれは出来ん相談だ」

美波「そんな、だってさっき!」

閣下「我輩は悪魔だ!王子様でも魔法使いでもない、悪魔である!」

閣下「我輩はたった今から怯えて籠もりきりの小娘たちを嫌がろうとも泣け叫ぼうとも気にすることなく!」

閣下「――あの2人を連れ去ってくるのだ!」

閣下「お前達も、せいぜい震えて待っているがいい、我輩はお前達がトップアイドルになるための障害となる恐ろしいライバルを召喚するのだ!」

閣下「これほどまでの極悪非道な振る舞い、我ながら恐ろしい限りだ!フハハハハハハハ!」

閣下「では諸君、また会おう!フハハハハ!」バサッ!

閣下「フハハハハ!フハハハハハハハ!フハハハハハハハハハハハハハハハハ!」


~フラワーショップ シブヤ~


凛「ねえ、ハナコ、これから私どうしよっか?」

ハナコ「?」

凛「私ね、プロデューサーのくれた歌、すごい好きだったんだ」

凛「退屈な時間なら 砂に埋めたい~♪」

凛「もう、歌えないのかな……」


「そこに芽生えて咲いた 夢を拾い出せ~♪」パシャ


凛「! 誰!?」

?「あ、ごめんごめん、きれいな花だと思って思わず撮っちゃったよ」

凛「アンタは……」

ジェイル大橋代官「俺はジェイル、君はシンデレラプロジェクトの、渋谷凛ちゃんだよね?」

凛「悪魔…?」

ジェイル「そう、少しお話しようよ」




凛「そっか、アンタもあそこにいたんだ…」

ジェイル「うん、久々に閣下からの呼び出しだったからね、もう大急ぎで地上まで来て」

ジェイル「もう一匹の悪魔なんて、連絡が来た途端なんの準備もせずに来たんだぜ?バカだよな~」

ジェイル「でもまあ、閣下に呼ばれたら、その気持ちもわからなくもないけどね」

凛「……随分、あいつのことを信じてるんだね」

ジェイル「もちろん」

ジェイル「凛ちゃんは閣下のこと信じてないの?」

凛「信じていいかもって、思ってた」

凛「でも今は、よくわかんない」

ジェイル「そっか……凛ちゃんって、昔の俺に似てるかも」

凛「……どういうこと?」

ジェイル「俺さ、地上デビューしてちょっとして、聖飢魔IIを抜けたんだよ」

ジェイル「閣下達のやり方に不満を覚えて、あいつらが何考えてんのかもわかんなくて」

ジェイル「『俺はこんなことをやりに来たんじゃねえ!』って突っ張って」

ジェイル「挙句の果てに人間の女と恋に落ちて陛下から追放されて」

ジェイル「いや、我ながらあの頃は尖ってたよ」

凛「そう、なんだ…」

凛「でも、なんでまた戻ってきたの?」

ジェイル「人間界で酸いも甘いも体験して、ようやく気づいたんだよ」

ジェイル「自分がどれだけ聖飢魔IIに救われてたか、どんだけあいつらが好きだったのか」

ジェイル「そんな時、閣下がミサに呼んでくれたんだ」

凛「プロデューサーが?」

ジェイル「ああ、物凄い迷惑をかけた俺を笑って迎え入れてくれたんだよ、閣下は」

ジェイル「そんな俺だからこそ自信をもって言える、聖飢魔IIは最高のバンドだ」

ジェイル「閣下が君を裏切るはずがないよ」

凛「……でも、プロデューサーは言ってた」

凛「未央が抜ければ、代わりを探すだけだって」

ジェイル「…凛ちゃんはさ、閣下が君たちに渡した曲に出てくるクリシェの意味って知ってる?」

凛「…決まり文句とか、ありきたりな表現とかそういうことでしょ?」

ジェイル「うん、正解」

ジェイル「でもクリシェにはもう一つ意味があってさ」

ジェイル「和音の中で、一つの音だけが変化していくことを音楽の世界ではクリシェって言うんだ」

ジェイル「実際にどんなものかは、そうだな、今度エースに教えてもらうといい」

凛「それが、なにか関係あるの?」

ジェイル「『グルーヴへとクリシェは変わる』」

ジェイル「グルーヴっていうのは、簡単にいえばこの場合はアンサンブルのズレから出る躍動感みたいなもんだね」

ジェイル「閣下は、この曲をどんな思いを込めてこの曲を君たちに託したのかな?」

凛「クリシェじゃなくて、グルーヴ…」

凛「そっか、プロデューサーはずっとそう言ってくれてたんだ…」

凛「私達は3人で一つなんだって、はじめから教えてくれてた」

凛「未央は辞めないって、ずっと信じてくれてたのに…」

ジェイル「一つ、いいことを教えてあげるよ」

ジェイル「閣下はさ、地獄一不器用な悪魔で、地獄一人間が大好きで」

ジェイル「地獄一、ロマンチストな悪魔なんだよ」

ジェイル「不器用だから言いたいことをうまく言えない時は、それを歌に託すんだ」

凛「私、プロデューサーに酷いこと言っちゃった…」

ジェイル「俺は気がつくのが遅かった、けど、君は違う」

ジェイル「魔法使いの魔法は12時になれば解けてしまうかもしれない」

ジェイル「でも、悪魔の呪いはそう簡単に解けやしないさ」

凛「私、プロデューサーに謝らなきゃ!」

ジェイル「あ、待ってよ凛ちゃん」

凛「待てない!」

ジェイル「お姫様が勝手に城から抜け出しちゃいけない」

ジェイル「もうすぐきっと、悪魔が君を連れ去りに来る、だから待っててあげてよ、ね?」


~未央の家~

未央「モンチーやみんなに謝らなきゃ……」

未央「いっぱい迷惑かけてごめんなさいって言わなきゃ!」

未央「って、モンチーからメールが……こんなにたくさん!?」

『もしもし?我輩デーモン、今346プロ上空にいるの』

未央「な、何これ……」

『もしもし?我輩デーモン、今県境にいるの』

未央「メリーさん…?」

未央「あれ?ってことは…」

『もしもし?我輩デーモン



今お前の家の上空付近である』



「フハハハハ!フハハハハハハハハハハ!」バサッ!

未央「ちょ!モンチー!?」

閣下「こうして会うのは久々だな未央!窓から突然すまんが…」

未央「…………」

閣下「悪魔が貴様を攫いに来たぞ!逃げられると思うな!フハハハハ!」

未央「…………とに……てく…た…」

閣下「む、反応が薄いな……おーい、未央、我輩であるぞ」

未央「ホントに、来てくれた!!」ガバッ!

閣下「うお!どうしたのだ急に!」

未央「ごめんなさい!迷惑かけて、ごめんなさい!いっぱい心配させてごめんなさい!」ギュゥゥゥ

閣下「…………随分と顔色が悪いな、だから外に出ろといったのだ」

閣下「離してくれ未央、お前の血色の悪い泣き顔を、我輩にもっとよく見せてくれ」

閣下「これを見てくれ、未央」

未央「これ、この間のライブの写真?」

閣下「自分で改めて見てどうだ?」

未央「私、全然、笑えてない…」

閣下「それが、観客に対して失望したお前の姿だ」

未央「…………」

閣下「だが未央、お前が失望した観客の姿をよく見てみろ」

未央「…………、あ…」

閣下「皆、笑っているだろう」

閣下「お前達とこれまで何の縁もなかった者達が、下手くそなお前達を見て、笑ってくれていたのだ」

未央「そんな……」パラ

閣下「それに、お前の友人も写っているぞ、皆、いい笑顔じゃあないか」

未央「ホントだ、みんな…」パラ

閣下「我輩が怒ったのは、当然の結果だと言ったのはな」

閣下「そんな素晴らしい笑顔を贈ってくれていた者達に、お前は気づくこともなく失望していたからだ」

閣下「未央よ、改めて聞きたい、今回のミサ、観客は少なかったか?全然盛り上がらなかったか?」

未央「……そんなこと、ない」

未央「こんなにたくさんの人が笑ってくれてた、楽しんでくれてたんだ…」

未央「それに気がつくこともできないなんて、私、なんてバカなんだろう…」

未央「ねえ、モンチー?」

閣下「なんだ?」

未央「この前のライブ、成功かな、失敗かな…?」

閣下「あれが成功でなくて何だというのだ」

閣下「ただ、お前が笑えたなら大成功だった、お前を笑顔でステージに立たせられなかったそれが我輩の最大の落ち度だ」

未央「モンチーは、閣下は悪くない!!全部、私が…!」

閣下「……全部一人で背負うな、どうか我輩も関わらせては、もらえんだろうか」

閣下「我輩は、お前に辞めてほしくない、アイドルを、続けて欲しい」

未央「でも、みんなに迷惑かけちゃった……」

閣下「仲魔というのはな、迷惑をかけたっていいのだそうだ」

閣下「自分のしたいことを押し付けても、いいのだそうだ」

閣下「我輩は、仲魔としてお前に側にいたい」

閣下「未央は、どうしたい?」

未央「…………辞めたくない」

未央「まだアイドルを、続けたい」

未央「――私も、閣下と、みんなと仲間でいたい」

閣下「そうか、では、共に皆に謝りに行こう」

閣下「実は我輩も、たくさん迷惑をかけてしまってな」

未央「……うん」

閣下「未央――ありがとう」

未央「――うん!」


~公園~

未央「しぶりん!」

凛「! 未央…プロデューサー……」

ジェイル「ようやく、来たみたいだね」

閣下「ジェイル、どうしてお前が…」

ジェイル「たまたま通りがかりの花屋に寄ったら可愛い子がいたんで声をかけてただけですよ」

ジェイル「じゃあ俺はこれで、凛ちゃん、またね~」

閣下「……勝手なことをしおって」

ジェイル「だって勝手にしないと、なかなか頼ってくれないじゃないですか」

閣下「……ありがとう」

ジェイル「閣下が俺にしてくれたことに比べたら、安いもんですよ」スタスタ

未央「しぶりん……」

凛「…………未央」

未央「あの……ごめん!!」

未央「私、辞めるって言って、リーダーなのに、逃げ出しちゃって…」

未央「迷惑かけて、ごめん!!」

未央「でも私、このまま終わりたくない!アイドル、一緒に続けさせて欲しい!!」

凛「……心配、したんだから」

未央「ごめん!!」

凛「急に走って行って、私、追いかけたんだよ?」

未央「ごめん!!!」

凛「未央のバカ、リーダー失格だよ…」

未央「ごめん!!!!」

凛「ホントに、心配、したんだから!!」

未央「……ごめん」

凛「許さない、許さないからね…っ!」

凛「――今度やったら、次は絶対、許さないから!!」

未央「うん、ありがとう、しぶりん」

未央「だから、泣かないで?」

凛「未央の、バカ、バカぁ……」

未央「うん、うん、ごめん」

凛「うぅ…っ……ぐすっ……」

未央「ごめん、ありがとう…」


閣下「凛……」

凛「プロ、デューサー…っ……」

閣下「お前の言う通り、我輩は逃げていたようだ」

閣下「向きあえば、立ち入れば、関われば傷つくことになる」

閣下「それを恐れて、目を背けていたのだ」

閣下「自らが傷つくことを恐れ、お前達を傷つけたのだ」

閣下「これでお前達のプロデューサーを名乗るというのだから、笑い話にもならん」

閣下「すまなかった」

凛「嫌、なんだよ」

凛「アイドルが何なのか、わからないまま始めて、よくわかんないままここまで来て」

凛「でも、もうこのままは嫌、迷った時に誰を信じたらいいかわかんないなんて、」

凛「嫌なんだよ!」

閣下「だが、迷いの中にあっても、何ひとつ分かり合えずに夢を諦められるほど輝きをなくしてはいないはずだ」

閣下「凛、お前も、未央も、我輩も」

閣下「我輩は必ずや、お前達の信頼に足る悪魔になろう」

閣下「だから、もう一度だけチャンスを与えてはくれまいか」スッ

閣下「その手を、我輩に取らせてはくれまいか」

凛「っ………」

閣下「凛よ」グッ

凛「っ!」

閣下「進むべき道は我輩が示そう、歩くための力も我輩が送ろう、後は一歩を踏み出すお前の意志だけだ」

閣下「共に、いこう」

閣下「我々なら、必ず辿り着ける」

凛「…………うん」

閣下「凛、未央、明日からまた、よろしく頼む」

「「はい!」」

~翌日 シンデレラプロジェクトルーム~


凛&未央「「ごめんなさい!!」」

閣下「ごめんなさい!!」

卯月「……凛ちゃん…未央ちゃああああん!!」ガバッ!

卯月「よかったですううう!!!」

凛「卯月……」

未央「ごめんね…っ」

閣下「今回の件は、全て我輩の責任です」

陛下「そう思うのならば、最後まで任務を完遂することだな」

閣下「はっ!」

陛下「期待している」

長官「未央ちゃああああああああああああああん!!!!!」

未央「え、エーちゃん!?」

長官「酷いこと言ってごめんなあああああああああ!!!!!」

未央「ち、ちょっと!エーちゃんが泣かないでよ!悪いのは私なんだから!」

長官「よかったあああああ!!戻ってくれてよかったあああああああ!!」ビエエエエン

未央「ああ!もう泣くなぁ!!」

和尚「ねえ、未央ちゃん、ゾッドは元気そうだった?」

未央「へ?あ、うん」

和尚「そっかあ、この前のミサも持ち場が違って会えなかったし、でも元気にしてるならまあいいや」

閣下「諸君、待っていてくれたこと、心より感謝する」

閣下「これより、改めて真泥霊羅プロジェクトを再開する」

閣下「だがその前に聞いて欲しい歌があるのだ」

みく「もしかして、新しいユニットの曲!?」

閣下「そうではない、これは元々ニュージェネレーションズに贈ろうと思っていた候補の一つだ」

卯月「私達に、ですか?」

閣下「ああ、この曲を、お前達には聞いておいて欲しい」

閣下「これは諸君ら全員に、そして我輩が自らに贈る歌だ、どうか聞いてくれ」

閣下「そして、共に歩きだそう、我らが目指す黄金の都へと」


「空の雫」
https://www.youtube.com/watch?v=_k-RQK4SwzQ


第7話 I wonder where I find the dark I shine...  終

今夜はこの辺で

だいぶ時間がかかってしまった
今だいたい全体の半分くらいです

ではまた明日
今夜もお付き合いいただきありがとうございました

こんばんは

好き勝手やりすぎてもはや一体どこまで見てる方がいるのかわかったもんじゃありませんが今夜は早めにのんびり始めていきたいと思います


第8話 I want you to know my true colors.


~シンデレラプロジェクトルーム~


閣下「私物の持ち込み?まあ、いいんじゃない?」

未央「ホント!?やったー!」

みく「仕事に関係無いものは必要ないと思うにゃ」

未央「そう?みんなの個性がみえて、いいかと思ったんだけど…」

閣下「みくの言うことにも一理ある、ここは仕事場であって遊び場ではない」

閣下「常識的に考えれば、私物の持ち込みなど言語道断である」

李衣菜「さっきはいいって言ってたのに、この手のひらの返しよう…」

閣下「だが、わg」

凛「『だが、我輩悪魔に人間の常識は関係ない、むしろ神が作った常識を破ってこその悪魔教である』、そんなとこ?」

閣下「…………である」

卯月「凛ちゃん、閣下さんの言いたいことがわかっちゃうんですね!」

凛「べ、別に……」

閣下「私物の持ち込みは許可する、だが一人一つまでとする」

莉嘉「えー、なんで一個だけなのー?」

閣下「……ダミアン浜田陛下は地獄でも有数の潔癖でな、あまり散らかすと全員揃って正座で説教だぞ?」

蘭子「高貴なる魔王が通りし後は、ただ荒野が残るのみということね」

杏「一つならなんでもいいの!?」

閣下「非神三原則に反しない限りは」

智絵里「ひ、かみ…?」

閣下「神を信じない、神を信じさせない、神を持ち込まない、悪魔教の基本原則である」

美波「えっと、聖書とか十字架とかでなければいいということですか?」

閣下「うむ!悪魔教の教えに則った諸君らの個性あふれる品を楽しみにしているぞ、フハハハハ!」


未央「やったー!」

みりあ「何にしようかなー!」

莉嘉「シールとか?」

かな子「お菓子は、みんなで食べきればまた0個ってことになるのかな?」

きらり「きらりは、カワイイものー!」

閣下「…………」

閣下「盛り上がっているところ申し訳ないが、諸君らに報告がある」

閣下「昨日陛下より、真泥霊羅プロジェクト教典デビュー第二弾の御下知を賜った」

アーニャ「CD…」

李衣菜「デビュー…?」

みく「こ、今度は、誰と誰がデビューするにゃ!?」

莉嘉「はいはーい!アタシアタシ!」

みりあ「私も!」

閣下「うむ……今回の教典デビューは、神崎蘭子」

蘭子「……え?私?」

閣下「うむ、蘭子にはソロで歌ってもらう」

蘭子「…………えっと」

みく「蘭子ちゃん、ファイトにゃ!」

みく「デーちゃん、みく達は待ってるから、忘れないでね」

閣下「無論だ、フハハハハ!」

閣下「では蘭子、一緒に来てくれ」

蘭子「…………っ、我が闇の力、今こそ開放せん!」

~執務室~

閣下「蘭子よ、実は今回お前に歌ってもらおうと思っている曲が複数あってな」

蘭子「フフ、魔王が選び抜いた珠玉の魂、魔力の波動を感じるわ…」

閣下「いや、だから我輩は元・副大魔王であって魔王はこちらに」

陛下「呼んだか?」

閣下「ああ、いえ、なんでもありません」

陛下「うむ、そうか」

閣下「まあよい、お前のイメージにあったものを選んだつもりだ、気に入ったものを選んでくれ」

蘭子「…………」ドキドキ



「人間狩り」
https://www.youtube.com/watch?v=Tgf9um3MBNY

「怪奇植物」
https://www.youtube.com/watch?v=_tDzaWLrv4k&list=RD_tDzaWLrv4k

「鬼」
https://www.youtube.com/watch?v=A1uuLIbABwY


蘭子「」

閣下「いや、正直我輩もアイドル向けの曲というのは毎回悩むのだがな」

閣下「お前は魔女、人間の中でも我ら悪魔と近い嗜好の持ち主ということで割りとすぐに決まったのだ」

蘭子「い、今紡がれし波動が我が根源の調べに…?」

閣下「うむ!今回は活動絵巻も作る予定でな、内容としてはこんな感じで血飛沫が舞い腸が飛び散るそれは美しいものに…!」

蘭子「」

閣下「魔女と悪魔、我らが手を組めばこの世で最も恐ろしい絵巻が出来るであろうな!フハハハハハハハ!」

蘭子「き、教祖よ……」

閣下「フハハハハ、お前も血が滾ってきたか?」

蘭子「い、否!」

閣下「む、ではどうしたのだ?」

蘭子「既に魔力は満ち、闇の眷属たる時は終わりを告げた…」

蘭子「今こそ、封じられし翼を解き放ち、魂を開放させる時!!」

閣下「なんだと……」

蘭子「……き、共鳴できたか?」


閣下「蘭子よ、今お前はなんと言った……」

蘭子「え?」

閣下「闇の眷属たる時は終わりを告げた?それはもしや貴様、我々を裏切りゼウスの配下に…!!!」

蘭子「」

閣下「ジードだけでは飽きたらずまたもや我輩の仲魔を、ゼウスめ……!!!!」

蘭子「ち、ち、違くて……」

閣下「む、一体どういうことなのだ?」

蘭子「えと、あの、この企画が、その…」

閣下「企画?この企画に何か問題があるというのか?」

蘭子「!」コクコク

閣下「そうか…………はっ、もしや!」

蘭子「っ!」パァァ

閣下「ちひろ君!この絵巻の構想を作ったのは346プロの関係者か!?」

ちひろ「え?ああ、いえ、これは外注のはずです…」

閣下「なるほど、そういうことか、蘭子よ……すまなかった」

蘭子「あ、謝ることはないわ、貴方は我が片翼なのだから…」

閣下「我輩ともあろう悪魔がよもやこんなことにすら気づけぬとは……」

蘭子「……!」

閣下「この絵巻を計画したものはゼウスの手先、そういうことだったのか!!」

蘭子「」

閣下「『既に魔力は満ち、闇の眷属たる時は終わりを告げた』、なるほど、悪の信者であったものがゼウスによる洗脳を受けたということだったのか…」

閣下「『今こそ、封じられし翼を解き放ち、魂を開放させる時』、奴らは我々がその事実に気づいていることを知らない、今のうちに奴らを根絶やしにするため奇襲をかけろ、と」

閣下「さすが蘭子、これほど極悪非道な作戦はなかなか思いつけるものではない」

蘭子「あ、あの、だから、違くて…」

閣下「む、これも違うというのか?」

閣下「もしかして、企画自体に問題があるとか?」

蘭子「っ!」ブンブン


閣下「あ~、そういうことね、いややっぱりBear Bookの方言は難しいねえ」

閣下「じゃあ、どういうのがいいわけ?」

蘭子「!」バッ!

蘭子「――かつて崇高なる使命を帯びて!」

蘭子「――無垢なる翼が黒く染まり……」

蘭子「――やがて真の魔王への覚醒が……!!」

閣下「なるほど、わかった」

蘭子「っ!!」パアァ

閣下「そういえば、最初から蘭子はそうであったな…、いや、これは我輩が悪かった…」

蘭子「瞳を持つ者よ…!」

閣下「つまり――陛下に御出演いただきたいと」

蘭子「」

閣下「なるほど、神々の血統を継いでいながら堕天したルシファーの子孫であるダミアン浜田陛下にそれほどまでに憧れていたとは…」

蘭子「あの…わから、ないですか…?」

閣下「いや、十分お前の熱い思いは伝わった、我輩が直々に陛下に……蘭子?」

蘭子「ワガママ言って、ごめんなさい、もう、いいです…」トボトボ

閣下「蘭子……?」



~翌日 シンデレラプロジェクトルーム~


閣下「諸君、おはよう!今日も悪しき一日にしようではないか!」

アーニャ「キレイな花ですね……あ、カッカ、おはようございます」

蘭子「っ!」

閣下「うむ、皆さっそく持ってきたようだな」

閣下「なるほど、この花は凛か」

凛「うん、涼しげになるかと思って」

閣下「奇遇だな、実は我輩も花を持ってきたのだ」

卯月「閣下さんはどんなお花を?」

閣下「これだ」

凛「……見たことない、なんて花?」

美波「とってもキレイですね」


閣下「見たことがないのも仕方あるまい、これは千年香妃花」

凛「やっぱり、聞いたことない」

閣下「中国の山奥に千年に一度だけ咲く花だからな」

未央「さ、さすが悪魔…」

閣下「この花を煎じて飲めばどんな病もたちどころに治り、どんな悩みもすぐに消し飛ぶという」

閣下「ただ、その薬には一つだけその効果に見合うだけの大きな問題があってな……」

美波「すごい副作用があるとか…?」

閣下「いや、副作用は何もない」

アーニャ「いったい、どんな……?」

閣下「――――ものすごく、不味いのだ」

未央「……………………へ?」

閣下「たとえ悪魔が鼻をつまみ一息に飲んでものた打ち回るほどに、恐ろしく不味い」

美波「へ、へえ~、それは、ちょっと嫌ですね……」

閣下「ちょっとどころでは済まされぬほどに不味いのだ……」

卯月「そ、そういえば!あの扉にかかってるのは誰が持ってきたんですか?」

未央「ランランだよね!一番最初に持ってきたんだ~」

卯月「これって、なんですか?」

凛「馬の蹄鉄だね」

アーニャ「ていてつ?」

凛「馬の足に嵌めるものだけど、扉にかけておくと魔除けや、幸運のお守り……に、も…って、蘭子、これ不味いって!」

蘭子「へ?………………あっ」

閣下「」

未央「ち、ちょっと、閣下?」

閣下「…………う、馬の……蹄鉄……」

蘭子「あ、あの……その…」

凛「もしかして、やっぱりああいう魔除けって体に悪いの…?」

閣下「い、いや、我輩も高位の悪魔、人間が作った魔除け程度ではどうともならん……」

未央「なんだ~、脅かさないでよ~」

閣下「だが、ようはあれ、『悪魔はこの中に入ってくるな』『この部屋悪魔の立ち入りを禁ず』ってことだろう…?」

美波「そ、そんなことはないですよ…」

閣下「……これが悪魔にとってどういうことか、見せてやろう…」ポパピプペ

閣下「……もしもし?我輩だが、ちょっと来てくれ…」


卯月「あ、あの、閣下さん、そんなに落ち込まなくても…」

美波「蘭子ちゃんも、気づかなかったのよね?」

長官「閣下~、呼びました…………蹄…鉄……」ガチャ

未央「あ、エーちゃん……」

長官「お、俺、何かしたかな、みんなにそんな、あの…」

アーニャ「エース、違います!」

長官「で、で、で、デリカシーのない悪魔ですみませんだしたああああああああああああ!!!!」ダッ

凛「ち、ちょっと待って!!」

卯月「行っちゃいました…」

閣下「簡単に言えば、親しい者の家に言ったら玄関に名指しで『帰れ』と手紙が置かれてるようなものだ……」

蘭子「あ、あの……」

閣下「蘭子よ、我輩はお前にそこまで言われるようなことをしてしまったのだろうか……」

蘭子「ち、違うの……」

閣下「それにな、なぜ蹄鉄が魔除けになるか知っているか?」

凛「知らないけど、この流れでは聞きたくない…」

閣下「昔々、あるところに馬で旅をする一匹の悪魔がいました……」

未央「だから聞きたくないって!」

閣下「乗っている馬の蹄鉄が壊れてしまったので鍛冶屋を探していると、とある教会の司教がかつて鍛冶屋を営んでいたという話を悪魔は耳にしました……」

アーニャ「カッカ?もういいですよ?」

閣下「そこで悪魔は世を忍ぶ仮の姿で司教に修理を頼みましたが、まだ未熟だったために正体がバレてしまいました……」

美波「なんだか、嫌な予感が…」

閣下「するとなんと酷いことに、逃げようとする悪魔の足に司教は蹄鉄を打ち付けたのです……!」

蘭子「ヒイッ!」

閣下「あまりの痛みに逃げることも出来ず泣き叫ぶ悪魔を司教は『扉に蹄鉄がかかっている時に入ってみろ、またこうしてやる』と何度も痛めつけました…」

卯月「こ、怖いです…」

閣下「必死の思いでその言いつけを承諾し、悪魔は痛む足で逃げ出しました……」

閣下「こうして、馬の蹄鉄は扉にかけておくと魔除けの力を発揮するようになったのです……めでたくない、めでたくない」

閣下「蘭子、お前はそんなにも怒っていたのだな……」

凛「だから、違うって……そうでしょ、蘭子?」

蘭子「その、ごめん、なさい……」

閣下「いいのだ、この蹄鉄がある時は我輩も入らないようにしよう……」トボトボ

閣下「では、諸君、蹄鉄のかかっていない時に、また会おう……」トボトボ


美波「い、行っちゃった…」

未央「あんな小さな背中の閣下初めて見た…」

アーニャ「ええっと、こういうの、日本語では……そうです!」

「「「「「世話のやける……」」」」」

蘭子「っ…………」

殿下「おーい、今、閣下がすごい落ち込みながら歩いてきたが何かあったの?」

卯月「あ、殿下さん、実は……?」

殿下「ん?これは蹄鉄じゃないか、誰かが持ってきたのか?」

殿下「冗談でもこういうことをするもんじゃないぞ、全く」

未央「実はね、ライライ、カクカクシカジカで…」

殿下「マルマルウマウマというわけか、なるほど」

凛「ライデンさんは、蹄鉄を見ても平気なの?」

殿下「我輩は悪魔ではなく雷神族だからな、魔除けは効かないのだ」

未央「そうなんだ…」

和尚「ねえねえ、今エースが咽び泣きながら走り去っていったんだけどどうかしたの?」

和尚「あ、蹄鉄だ、なるほどそういうことか」

卯月「お、和尚さんは蹄鉄を見ても平気なんですか!?」

和尚「たぶん、誰かが良かれと思って掛けたんでしょ?」

和尚「悪気があってやったならともかく、みんながそういうことをする子じゃないって知ってるからねえ」

美波「で、でもエースさんと閣下さんは……」

和尚「ああ、このイタズラね、めちゃくちゃデリケートな悪魔にはすごい効果的なんだよ、精神面で」

和尚「蘭子ちゃんも気にしなくて大丈夫だからね~」

殿下「なんだ、蘭子くんが持ってきたのか?」

蘭子「わ、私は同胞達に、祝福を授けようと…」

和尚「うんうん、大丈夫だからねー」

殿下「だけど、蘭子くんはもっとホラーなものを持ってくると思っていたんだけど意外だねえ」

和尚「何言ってんのライデン、蘭子ちゃんはホラーとかグロテスクなものは苦手なんだから」

未央「え、そうなの!?」

美波「ちょっと意外かも…」

アーニャ「ランコは、昨日もコウメに誘われたホラー映画も、怖くて見ませんでした」

和尚「まあ、閣下もそのことには気づいてないみたいだけどねー」

蘭子「うぅ……」


~深夜 ダミアンの館~

陛下「それで、お前らはいつまでここにいるつもりだ?」

閣下「しょうがないじゃないですか浜田さん、我輩達、シンデレラプロジェクトルームに入れないんですから…」

陛下「浜田さんって言うな、陛下って呼べ」

長官「そうっすよ……ここしか居場所がないんですよ…」

閣下「それにここは346プロから近いし…」

陛下「ここはお前達の居場所ではない」

長官「ちゃんと手を洗ってから入ったしいいじゃないですか~、あ、ちょっとトイレかりますね…」

陛下「わかっているとは思うけど、横に掛かってるタオルは風呂で使うやつだから、それで手をふかないように」

長官「わかってますよ~、毎回聞いてるんだから~」トボトボ

陛下「全く…おいデーモン」

閣下「…なんですか?」

陛下「あいつを連れてさっさと帰れ」

閣下「でも、蹄鉄が…」

陛下「まだそんなことを言ってるのか、おおかた蘭子くんも良かれと思って深く考えなかっただけだろうに」

閣下「ですが、この前の作戦会議の時も、奴は何故か途中で出て行ってしまい…」

閣下「きっと我輩に何か不満が…」

陛下「デーモンよ、そんなことでどうするのだ!!」

閣下「っ!」

陛下「お前は以前のニュージェネレーションズの件で、彼女らから逃げず共に歩むことを誓ったのだろう!」

陛下「それなのに、このようなところで何をウダウダと!」

閣下「……そうであった、我輩は奴らと向き合うと決めたのだ」

閣下「申し訳ありません陛下、このデーモンは行かねばならぬところがあります」

陛下「うむ、行くのだデーモン!エースを連れて!」

閣下「はっ!」ピューン

陛下「いや、エースも連れていけってば…」

長官「あっれー?閣下は帰っちゃったんですかー?」

陛下「私はコイツと一夜を過ごすのか……」

長官「あっ、陛下ー、間違って横のタオル使っちゃいましたーww」

陛下「」

長官「いやあ、ちょうどいいところにあったもんだからついwwww」

陛下「デーモンは減給……」

長官「え、閣下何かしたんすか?」

陛下「ああ、そしてエース、貴様は……」

長官「なんすかなんすかwwwwもしかしてボーナスとかww」

陛下「――処刑だ」

長官「」

~翌日 346プロ~

蘭子「…………」カキカキ

閣下「おはよう、蘭子よ!」

蘭子「ヒッ!!!!」

閣下「昨日はすまなかった、だが我輩はお前と改めて話が…」

蘭子「で、で、で……」

閣下「…ん?どうしたのだ?」

蘭子「で――――デスティニー!!」

閣下「…………」

蘭子「…………」

閣下「…………」

蘭子「…………」

閣下「…………」

蘭子「………あ」

蘭子「アーッハッハッハッハ!!」スタスタ

閣下「――――我輩が、何をしたというのだ…」




閣下「蘭子よ!」

蘭子「あぅっ!」

閣下「頼む、今一度、我輩にチャンスを!」

蘭子「その、で、で……」

閣下「……今度はなんだ…?」

蘭子「――デトネーション!!!」

閣下「……車などの内燃機関内で発生する、日本語では爆轟とも表記される異常燃焼現象が、何か…?」

蘭子「…………」

閣下「…………」

蘭子「………あ」

蘭子「アーッハッハッハッハ!!」スタスタ

閣下「だから、何だというのだ……」




閣下「蘭子!」

蘭子「ディザスター!」



閣下「……蘭子!」

蘭子「デオドラント!!」



閣下「……蘭子?」

蘭子「で、でも、デモンストレーション…」トボトボ

凛「……何やってんの?」


~執務室~

閣下「わからん……蘭子の考えていることが全くわからん…」

凛「今、ちょっといい?」コンコン

閣下「凛か、うむ、入るが良い」

凛「うん」ガチャ

閣下「どうしたのだ?」

凛「蘭子と、ちゃんと話せてる?」

閣下「…………どうやら、やはり蘭子は我輩のことを嫌いなようだ……」

凛「はあ、違うよ」

閣下「だが、お前とて見たのだろう、我輩が話しかける度に何か一言『デ』で始まる言葉を叫んで高笑いし去っていく姿を!」

凛「それは、まあ、見たけど…」

閣下「それにあの、扉にかけられた蹄鉄…………」

凛「いつまで気にしてるの……」

凛「何度も言ったでしょ、蘭子はただの幸運のお守りとして持ってきただけで魔除けのつもりなんてないんだって」

凛「というかそもそも、魔除けだって知らなかったんじゃない?」

閣下「そんなはずはない……」

凛「どうして?」

閣下「奴ほどの有能な魔女が、魔除けについて熟知していないわけがないのだ…!」

凛「…………魔女?」

閣下「そうか、お前は気づいていなかったのか、実は奴の言葉は地獄のBear Bookの訛りに非常に近い……」

閣下「つまり、奴は地獄の悪魔と交流のある邪悪な魔女だったのだ!!!!」

凛「…………蘭子が、自分でそう言ったの?」

閣下「いや、だがあの喋り方は他に考えようが……」

凛「…………全く、世話がやけるんだから」


凛「あのね、蘭子は魔女じゃないよ」

閣下「そんなはずはない、あの喋り方は…」

凛「ああいう芝居がかった言葉が好きなだけ」

閣下「それにあの戦闘服…」

凛「ただの趣味でしょ」

閣下「それに、よく呪文とか魂とか輪廻とか…」

凛「あれ、本当はちゃんと意味があって全部普通の会話なんだってさ」

閣下「闇に、飲まれよ、って……」

凛「お疲れ様です、ってことみたいだけど?」

閣下「それに、あと、他にも…………………マジか」

凛「うん、マジ」

閣下「蘭子って魔女じゃないのか」

凛「うん」

閣下「我輩と共にこの世を恐怖のドン底に突き落とすというのは嘘だったのか……」

凛「そもそもそんなこと絶対言ってないから…」

凛「あのね、蘭子は、少し変わった喋り方のああいう服とか小物とかが好きな礼儀正しい優しい普通の女の子だよ」

閣下「我輩は、なんという間違いを……」

凛「あとね、プロデューサー」

閣下「なんだ、もうこれ以上はさすがに驚けんぞ」

凛「蘭子って、ホラーとかグロテスクなものが大の苦手なんだってさ」

閣下「」

閣下「え、今なんて……?いや、だって…」

凛「プロデューサーはさ、蘭子のことをよく見てあげたら?」

凛「蘭子は、本当はもっとプロデューサーと話したいって思ってるんじゃないかな」

閣下「…………だが、」

凛「恥ずかしがり屋だから、うまく言えないだけだよ」

閣下「あ奴は、恥ずかしがり屋、だったのか…」

凛「まだプロデューサーは蘭子のこと全然知らないんだよ」

凛「でも蘭子からは中々近づけない、なら、プロデューサーから近寄ってあげないと」

凛「蘭子が手を伸ばせば届く場所まで」

凛「私達を連れ去ってくれた時くらい近くまで、ね?」


~346プロ ロビー~

閣下「蘭子!!」

蘭子「えぅっ!で、データベース……」

閣下「少し、我輩と一緒に来てはくれないだろうか」

蘭子「………え?」



~庭園~


閣下「夕日が美しいな、地獄では逢魔が時は丑三つ時と並び大変縁起が悪いとされる素晴らしい時間なのだ」

蘭子「灼熱の業火が、我が身を焦がす…」

閣下「そうだな、今日は日差しが強い、そうだ、前に地獄で吸血鬼の若者がな……」

蘭子「…………魔の者にこの陽はあまりにも残酷ね」サッ

閣下「ありがとう、だが問題ない、我々悪魔は夜行性でこそあるが日光を恐れたりはせん」

蘭子「……この極彩色の魔法石を受け取るがいい」

閣下「フハハハハ、ありがとう、お礼に今度お前には本物の魔法石というものを見せてやろう」

閣下「もっとも、お前がくれたこの魔法石の方が、何万倍も美しいがな……」パク

蘭子「…………」

閣下「うむ、実に美味い」

閣下「なあ、蘭子よ、お前は本当は魔女ではなかったらしいな」

蘭子「……肯定するわ」

閣下「その言葉も、地獄の訛りなどではないのだな」

蘭子「っ…………」

閣下「ハンバーグが、好きなのだそうだな?」

蘭子「っ!え、あぅ!」

閣下「皆から聞いた、全て、教えてもらったことだ」

蘭子「な、何を…我が禁忌に触れようというのか!」

閣下「蘭子、今度、長官オススメのハンバーグ屋に行ってみようか」

蘭子「ふぇ?」

閣下「安心しろ、奴は聖飢魔II随一の食通、奴の情報網を逃れられる店は存在しない」

蘭子「……?」

閣下「だから、今度そこへ行って、お前のことを少しずつ教えてくれ」

閣下「我輩は、お前のことを何も知らん」

閣下「休みの日は何をするのか、どんな音楽を好むか、好きな力士は、最も嫌いな神は?」

閣下「我輩は、何も知らん」


閣下「正直な、今もお前が何を喋っているのかニュアンスしか伝わってきておらん」

蘭子「…………」

閣下「それだけではない、卯月も、凛も、未央も、美波も、アーニャも、きらりも、莉嘉も、杏も、みくも、他の者も全員、何も知らんし、何を考えているのか我輩は全くわからん」

閣下「だがな、聖飢魔IIは違う、奴らが考えていることは何となくだが確かにわかる」

閣下「それは、我々が少しずつ、一歩ずつお互いを知り合い、教え合ってきたからだ」

閣下「だから、我輩はお前達ともゆっくりわかりあっていきたいと、そう思うのだ」

蘭子「………わ、私は」

蘭子「いつも、何を言ってるか、わかんないって言われます……」

蘭子「変な子だって、言われます……」

閣下「だが、お前はその喋り方が好きなのだろう?」

蘭子「…………」

閣下「飾り立てた言葉で格好良くきめる自分が、好きなのだろう?」

蘭子「…………はい」

閣下「なら良いではないか」

閣下「他人に合わせて生きるのは、美しい」

閣下「自らの欲望を抑制して生きるのは、知的だ」

閣下「そうやって、喜怒哀楽の私的感情を抑えこまれ科学技術の歯車となることを強いられたこの近代科学文明では、」

閣下「悲しい時に泣き、楽しい時に笑える場所が刻一刻と消えていっている」

閣下「我輩は、そんな中で自らのやりたいことを貫き通すお前の姿をとても尊く思うのだ」

閣下「蘭子よ、我ら悪魔がこの世を支配した時、世界中の全ての人間がお前を羨み目指すであろう」

閣下「その日まで、決して自分を曲げるな」

閣下「そしていつか、お前が本当に自分の思いでその言葉を捨てさる日が来たのなら」

閣下「その時お前は、何にも染まらず負けない自分を見つけることが出来るであろう」

蘭子「このままで、いいんですか?」

閣下「うむ、少なくとも我輩は、お前の喋り方をかっこいいと思うぞ」

蘭子「………っ!!」

蘭子「あ、あの、あの!!」

閣下「なんだ、どうした?」

蘭子「で、でー、で、でーも、で、で!!」




蘭子「――デーモン閣下!!!」バッ!


蘭子「い、言えた……!」

閣下「……なんだ、そんな、ことだったのか」

蘭子「あの!これ!」バッ!

閣下「これは……スケッチブックか…」パラ

蘭子「…………」

閣下「…………」パラ

蘭子「………っ」

閣下「…………」パラ

蘭子「~~っ!」

閣下「…………」パラ

蘭子「あ、あの」

閣下「これは、お前がやりたい絵巻の案であるか?」

蘭子「なっ!!」

蘭子「…………」コク

閣下「なるほどな……だが、よくわからん」

蘭子「……っ!」

閣下「だからお前の言葉で、教えて欲しいのだ」

蘭子「! よ、よかろう!」バッ!

蘭子「聞くが良い、我が下僕、いや、我が友よ!!」

蘭子「今こそ魂を共鳴させる時!!」

蘭子「既に魔力は満ち、闇の眷属たる時は終わりを告げ…」

蘭子「かつて無垢なる翼は黒く染まり、封じられし12の翼は一度道を誤れば…」

蘭子「やがて真の魔王への覚醒が!!」

閣下「……なるほどな、聖なる存在が堕天し、邪悪な存在に変わり、ゆくゆくは魔王へと…」

閣下「これで、あっているか?」

蘭子「!」

蘭子「はい!!」

閣下「フハハハハ!これは面白い!!だが、さすがに人間が仮初めとはいえ大魔王の真似をするとなると……」

蘭子「あっ、……ダメ、でしょうか」

閣下「いや、陛下に掛け合おう」

蘭子「! 感謝する!我が友よ!!」

閣下「だが蘭子、この案は次回の教典でも良いだろうか」

蘭子「?」

閣下「実はな、我輩の中でお前に渡したい曲が決まったのだ」

閣下「聞いてくれるか?」

蘭子「――うむ!」



「MASQUERADE」
https://www.youtube.com/watch?v=iOaVvmNHIO0


~後日 シンデレラプロジェクトルーム~


未央「ランラン、この間のPV撮影どうだった~?」

蘭子「ふっ、造作も無きこと、図らずも戯れに興じてしまったわ」

凛「えっと、楽しかった、ってこと?」

蘭子「しかり」

卯月「よかったですね、お疲れ様です!」

李衣菜「でも、この部屋も賑やかになったよね~」

杏「ねえねえ、このゲームどんなの~?」

殿下「お、やってみるか?」

アーニャ「キレイな絵ですね…」

和尚「僕が昔描いたんだよ」

みりあ「すご~い!」

美波「この本は、エースさんが?」

長官「そ、一つって言われたから本棚一つ丸ごと持って来ちゃったー」

智絵里「これ…なんですか?」

参謀「室内で自転車の練習ができる固定ローラーだよ~」

きらり「うきゃー!きらりもやってみゆー☆」

凛「ホント、賑やかになったね…」

かな子「なんで悪魔の皆さんまで…」

未央「あれ?ランランが持ってきたやつ、逆さまになってるよ?」

卯月「ホントだ、直しておきますね」

みく「あれ?というか、悪魔さんがいる時は外しておくようにしたんじゃ…」

蘭子「あれで良い」

蘭子「あれこそが、封印から解き放たれし真の姿…」

かな子「そうなの?」

凛「あ、そういえば、逆さの蹄鉄の意味は…」

蘭子「!」ギク

未央「えっ、なになに?」

凛「ふふ、扉に蹄鉄をかけると魔除けや幸運のお守りになる」

凛「でもね、逆さにすると、その意味も逆さになるの」

卯月「つまり?」

凛「――不運を呼び寄せ、悪魔を集める、かな」



「フハハハハ!おはよう諸君、今日も元気に悪事を働くぞ、フハハハハハハハハハハ!!!」


第8話 I want you to know my true colors. 終

第8話終了ということでちょっと休憩します
本家の蘭子のカバー曲にマスカレイドを割と本気でリクエストしてかなりの熱意を持って応募の理由も書いたのに選考通らず自棄酒煽ったのは今となってはいい思い出
ちなみに最近では貴音のカバーに月下の夜想曲をリクエストして自棄酒煽りました

続きは日付が変わるくらいから
第9話はちょっと長めなんで明日早い方は無理せずに


第9話 "sweet" is a magical word to make you "un"happy!



~都内 CDショップ~

卯月「あの、かな子ちゃん達のCD発売イベントの会場ってここであってますよね?」

凛「うん、そのはずだけど……」

卯月「でも、どこにもいないよ?」

美波「ラブライカとニュージェネレーションズ、あと蘭子ちゃんで時間の空いている者は来るようにって言ってたし…」

凛「うーん…」


――♪ジャズズ、ジャズズ、ジャズ、ズジャジャジャジャジャ…♪


卯月「な、なんですか!?」

美波「もしかして…」

凛「…………はあ」

「フハハハハハハハハハハ!!」

閣下「諸君!たった今、このレコード屋は我々Candy Islandが占拠した!フハハハハ!」

かな子「Candy Islandでーす……///」

智絵里「よ、よろしく、お願いします……」

杏「よろしくお願いしまーす!」

卯月「あ、閣下さんとみんなです!!」

美波「みんな、あの格好で外を歩いてきたのかしら……」

閣下「おい、そこの店員よ!」ビシッ

店員「は、はい!」

閣下「まさかこの店には我々Candy Islandの教典が置かれていない、などということはないだろうな」

店員「ハ、ハ、ハイ、あ、あります…」

閣下「よろしい、売れ行きはどうだ?」

店員「え、ええ、売れてます、ハイ…」

かな子「よ、よかったあ…」

智絵里「四つ葉のクローバー、いっぱい集めたからかな、エヘヘ」

美波「閣下さんと他の子の温度差が…」

店長「あ、あの、なんの騒ぎですか?」

卯月「あ、店長さんがきましたよ!」

凛「店長が来るって、どっちの挨拶なの、もう……」

閣下「お前が店長か?」

店長「ハ、ハイ」

閣下「Candy Islandの教典は、当然この店の”ご推薦”レコードになっておるんだろうな、どうなんだ?」

店長「ハイ、ぬかりありません、ハイ」

杏「ありがとうございまーす!」


閣下「ほう、これか……フハハハハ!気に入った!!」

かな子「私達のポスターだよ、智絵里ちゃん!」

智絵里「手描きのポップまである…」

閣下「この店に褒美を取らせよう、ここにCandy Islandのサインを入れてやる」

店長「あ、ありがとうございます」

かな子「これからも、Candy Islandをよろしくお願いします!」カキカキ

智絵里「よ、よろしく、です!」カキカキ

杏「よろしくー!」カキカキ

店長「こ、こちらこそ…?」

閣下「よろしい、これからも励めよ、さもないとこの店は呪われるぞ、わかったな」

店長「ハ、ハイ、励みます」

閣下「フハハハハ!我輩は大変機嫌がいい、今日は特別にここでCandy Islandによる教典お渡しの儀を執り行う!!」

店長「はあ、ではあちらにブースを用意しておりますので……」

閣下「ほう、準備がいいではないか、気に入った!」

凛「ああ、こういう段取りだったんだ…」

美波「それにしては店長さん、本当に驚いてたけどね…」

閣下「今日は特別に世を忍ぶ仮の姿でこの店に潜入しているラブライカとニュージェネレーションズのお渡し会も行ってやろう!!」

店長「……え!?」

凛「はあ!?」

卯月「私達もですかあ!?」

美波「こ、困ります、私服ですし…」

閣下「問題ない、Sgt.ルーク篁!」パチン

参謀「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!!」

参謀「みんなの戦闘服、持ってきたぜ!!」

凛「」

卯月「」

美波「」

店長「あ、あの、あちらに更衣用のスペースがありますので……」

閣下「この場にいる者は、皆悪魔の餌食となるのだ!フハハハハ!!」


~イベント終了後 CDショップ控え室~


閣下「諸君!教典お渡しの儀、御苦労であった!」

智絵里「す、すごく緊張しました……」

かな子「でも、いろんな人に買ってもらえてよかったね!」

杏「これで夢の印税生活にまた一歩……!」

凛「…………」

卯月「…………」

美波「…………」

閣下「む、どうしたお前達、元気がないぞ?」

凛「……何も、聞いて、なかったんだけど?」

閣下「フハハハハ!それは無論、サプライズだったからな!」

卯月「私達はともかく、店長さんも驚いてました…」

美波「呼ばれたのが私達だけなのが不思議だったけど、こういうことだったんですね…」

閣下「敵を騙す時はまず味方から、ということだな」

智絵里「みんなが来てくれたから、緊張したけど、ちゃんと最後まで出来ました…」

かな子「みんな、ホントにありがとう!」

凛「この2人に笑顔で言われると、何も言えなくなる…」

杏「ちなみに、杏達はみんなも参加することはお店まで歩いてくる途中で聞いてたから知ってたよ」

美波「そんなの……というか、その格好でお店まで歩いてきたの…?」

卯月「それは、ちょっと楽しそうですね!」

閣下「戦闘服で歩いていればそれだけで宣伝になるからな、我輩も聖飢魔IIの巡礼ではよくやったものだ」

凛「というか、早く出て行ってくれない?いい加減着替えたいんだけど…」

閣下「む、着替えるとはどういうことだ?」

美波「いや、私達、衣装のままなので…」

閣下「何を言っている、今日はこの後3件ほど巡礼するのだぞ?」

凛「」

美波「」

卯月「私達も一緒に行っていいんですか!?」

閣下「無論だ、既にレコード屋にも連絡してある」

美波「あ、あの、閣下さん……」

凛「それって、移動用の車とかは……」

閣下「フハハハハ、さすがに距離があるからな、現地までは車で移動だ」

美波「よかった……」

閣下「レコード屋に歩いて10分くらいの駐車場に止めてそこから宣伝がてら歩いていく」

凛「」

美波「」


~後日 シンデレラプロジェクトルーム~

未央「そ、そんなことがあったんだ…」

凛「ホント、大変だったよ…」

美波「いろんな人に、見られちゃった…」

アーニャ「アー、お疲れ様でした…」

卯月「とっても楽しかったです!」

未央「しまむーは、いつまでもそのままでいてね……」

卯月「? はい!そういえば、Candy Islandのみんなにテレビ出演が決まったみたいですよ」

未央「おお、さっそく宣伝の効果が…」

凛「なんて番組だっけ」

美波「たしか、『頭脳でドン!ブレーンキャッスル』って番組だったと思うよ」

アーニャ「クイズ、番組ですね」

未央「なるほど、それで…」

凛「うん、それで、ああいうことに…」



閣下「はい、じゃあ次の問題いってみよう!」

杏「えー、まだやるのー?」

殿下「次の問題に正解できればライデンの特製ケーキだ」

かな子「ケーキ…!」

長官「じゃあ智絵里ちゃん、ウィーンの3大作曲家といえばモーツアルト、ハイドンとあと一人は誰?」

智絵里「え、えっと…」



凛「クイズ番組の出演が決まった途端、本人達よりもやる気出しちゃって…」

美波「『我々がいる以上、勝利は決まったも同然だ!』って」

アーニャ「みんな、とっても頭いいですね?」

卯月「すごいです!」

未央「あれ?でもCandy Islandってこの後…」

トレ「お前達!いつまで待っても来ないと思えばこんなところで!」ガチャ

かな子「と、トレーナーさん!」

殿下「む、まだ問題の途中だぞ」

トレ「……いい大人が雁首揃えて、小娘捕まえて何を遊んでるんですか?」

閣下「いや、我々は大人ではなく大悪魔であって」

トレ「どうでもいい!」

長官「ヒィッ!」


トレ「Candy Islandはこれからダンスレッスン、いいですね?」

陛下「だが、もう収録は明日で…」

トレ「いいですね!?」バン!

陛下「はい」

トレ「はあ…お前達もさっさと行くぞ」

杏「でも、杏はダンスレッスンよりこっちの方が…」

トレ「行くぞ?」バン!

杏「はい」



~レッスン後 執務室~

閣下「ふむ、各ユニットどれも教典の売れ行きは好調か…」

閣下「やはり巡礼に参加させたのは正解であったな、その分蘭子の不在が惜しまれるところだが…」

閣下「まあ仕事だったからこその不在、伸びている証拠であろう」

未央「閣下~、ちょっといい?」コンコン

閣下「む、入るが良い」

未央「あのさ、ちょっと手伝って欲しいんだけど」ガチャ

閣下「?」


~シンデレラプロジェクトルーム~

智絵里「でも、大勢の人の前だと緊張しちゃって…」

かな子「やっぱり、緊張するよね…」

みく「みくなら絶対楽しむにゃ!お客さんも楽しませるにゃ!」

李衣菜「だね!」

?「あの…」

かな子「? どなた、ですか?」

みく「346プロの人?」

李衣菜「見たことないけど…」

智絵里「も、もしかして、怖い人…?」

李衣菜「え!?不審者!?」


?「いえ、違います、怪しい者ではありません」

?「私、小暮ヨシノブと申します」

みく「ヨシノブ?やっぱり聞いたことないにゃ」

かな子「あ、もしかして明日の収録のスタッフさんですか?」

ヨシノブ「いいえ、そうではなく…」

智絵里「じゃあ、やっぱり、怖い人ですか…?」

未央「……ぷっ、アハハハハハハハハハ!!」

李衣菜「み、未央ちゃん!?」

未央「ダメだ、面白すぎる!アハハハ!!」

かな子「小暮さん、未央ちゃんのお知り合い?」

未央「いや、あの、アハハハハハハ!!」

みく「笑ってちゃわかんないにゃ!!」

未央「ゴメンゴメン、でもさ、アハハ」

未央「ではでは改めて、ご紹介しましょう!!」

未央「こちらにおわすをどなたと心得る、ええい頭が高い控えおろう!」

智絵里「あ、ごめんなさい…」

未央「いや、そのままでいいからね、この方こそ、悪魔教教祖、デーモン閣下の世を忍ぶ仮の姿…」

未央「小暮ヨシノブ様であらせられるぞー!!」

ヨシノブ「どうも、小暮ヨシノブです」ペコリ

李衣菜「………え?」

かな子「い、今、デーモン閣下って……」

未央「本日は、明日の練習のためにお客さん役として来てくださいました、よろしくお願いします」ペコリ

ヨシノブ「いやいや、こちらこそよろしくお願いします」ペコリ

みく「も、もしかして、デーちゃん…」

智絵里「でも、全然……」

ヨシノブ「本日は皆さんの練習相手を務めさせていただきます」

ヨシノブ「ということで、これより恐怖の特訓を執り行う、フハハハハハハハハハ!!!!」

「「「「えええええええええええええええ!!!!!?????」」」」


みく「ちょっとデーちゃん、どういうこと!?」

ヨシノブ「先ほど言った通り、練習相手を頼まれてな」

李衣菜「そういうことじゃなくって、その格好は…」

ヨシノブ「この姿を見せるのは初めてだったか、これは我輩が人間界で正体を隠すための世を忍ぶ仮の姿だ」

かな子「全然気づきませんでした…」

智絵里「すごい、ただのおじさんみたい……」

未央「私も最初は被り物でもしてもらおうかって思ったんだけどさあ」

ヨシノブ「出来る限り実際に寄せた方がいいだろうと思ってな」

みく「というか、いつもその格好で仕事すればいいんじゃ…」

ヨシノブ「それはできん相談だ」

李衣菜「なんでですか?」

ヨシノブ「覆面を被って仕事をするサラリーマンはいないだろう?それと同じだ」

かな子「わかるようなわからないような……」

ヨシノブ「それに、一度この姿に変身すると本来の姿に戻るまで2時間ほど瞑想が必要になるのだ」

智絵里「悪魔さんも大変なんですね…」

ヨシノブ「だが今日は他でもないお前達の願いとあってこの姿で来てみた次第だ」

かな子「ありがとうございます!」

智絵里「が、がんばります!」

ヨシノブ「その意気やよし!だが、観客が一人ということもないだろうしなあ…」

未央「他の聖飢魔IIも呼ぶ?」

ヨシノブ「いや、それには及ばん……ハァッ!!」

ヨシノブ2「これでよし」

ヨシノブ8「もう少し多いほうが良くないか」

ヨシノブ25「だが部屋の広さを考えるとこれくらいが限界じゃないか?」

ヨシノブ43「それもそうか」

かな子「」

智絵里「」

みく「悪魔って、なんでもありなの…?」

李衣菜「これも、ロック…?」

未央「いや、違うと思うよ」

ヨシノブs「「「「「では始めるとしよう!!フハハハハハハハハハ!!」」」」」


~翌日 楽屋~

かな子「ええっと、信長、秀吉、光秀、家康…」

智絵里「お客さんはみんな小暮さん、お客さんはみんな小暮さん、お客さんはみんな……」

杏「……まあ、後はなるようになるよ」

智絵里「うん…」

かな子「陛下さんや未央ちゃん達も見に来てくれるって言ってたし、頑張ろうね!!」

かな子「…………」

智絵里「…………」

幸子「おはようございまーす!」ガチャ!

幸子「もう前の現場が長引いちゃって、これもボクがカワイイからですかね~?」

かな子「こ、輿水幸子ちゃん…!」

智絵里「うわぁ…!」

幸子「あ、あれ、部屋を間違えましたか?」

「――悪魔の森の奥深く…」

幸子「こ、この声は!」

「――省略!」

幸子「ヒイッ!」

閣下「お前も蝋人形にしてやろうかァ!!」

幸子「~~~~~~!!!!や、やめてください!こんなにカワイイボクはもう十分お人形さんみたいにカワイイですからわざわざ蝋人形にしなくても十分カワイイですぅ!!」

閣下「む、お前はいつだか長官のレッスンを受けていた娘ではないか」

幸子「そ、そうですよ、輿水幸子です!」

閣下「ついつい知らん声が聞こえてきたので気合いを入れて入室してしまった、フハハハハ」

幸子「だいたい何なんですか貴方は!毎回こんなにカワイイボクを驚かして!」

幸子「皆さんも何か言ってあげてください!」

かな子「あ、閣下さん、おはようございます!」

智絵里「今日は、よろしくお願いします…」

杏「とりあえず飴ちょうだーい」

幸子「だからなんでみんなそんなに反応薄いんですか!!」


閣下「そりゃあ我輩はコイツらのプロデューサーなんだから当然だろう」

幸子「そ、それはそうですけど…」

紗枝「幸子はん?」

友紀「ここにいたんだ~」

紗枝「声がするなあ思たら、何してはるんどすか?」

友紀「ライバルに宣戦布告とか~?」

幸子「紗枝さん、友紀さん!聞いてください、この人が!」

閣下「人ではない、悪魔である!」

幸子「あっ、ごめんなさい、えっと、この悪魔が!」

閣下「うむ」

紗枝「ああ、貴方が地獄から来やはったゆうプロデューサーはんどすか?」

紗枝「うち、小早川紗枝いいます、よろしゅう」ペコリ

友紀「ああ、あの噂の!アタシ姫川友紀、よろしくね!」

閣下「デーモンである!よろしく頼むぞ、フハハハハ!」

幸子「だからなんでみんな歓迎ムードなんですか!」

閣下「これはお近づきの印の大教典だ、受け取るがいい」

紗枝「おおきに~、うわあ、みんなごっつい格好してはりますなあ」

友紀「ねえねえ閣下、地獄には大物野球選手とかいないの?」

閣下「もちろん大勢いるぞ、悪魔が地上を制圧した暁には、球界も地獄の最恐球団が席巻することであろう」

友紀「へえ!やっぱ魔球とかあるのかなあ!」

閣下「せいぜい怯えているがいい、フハハハハ!」

幸子「なんで世間話してるんですかあ!」

閣下「ところで、貴様らも今日の出演者か?」

幸子「無視しないでください!」

友紀「そうだよ!」

紗枝「よろしゅうお手柔らかに」

閣下「そうか、それはすまなかった」

閣下「おい、お前達、先輩方がわざわざ楽屋に来てくれたぞ」


かな子「は、はい!三村かな子です、よろしくお願いします!」

智絵里「お、緒方智絵里です、よろしくお願いします!」

杏「双葉杏、よろしくお願いします…」

紗枝「今日は怪我せんように気ぃつけまひょ」

友紀「収録ハードだけど、頑張ろうね!」

智絵里「は、はい…」

杏「怪我?ハード?クイズ番組でしょ?」

幸子「え?知らないんですか?」

友紀「今回から、体を使ったアクションバラエティに変更になったんだよ」

「「「ええええええ!!??」」」

紗枝「それに、今回は特別編やゆうて……」

閣下「……む?」


『悪魔とドン!Devil castle!!』


未央「…………何これ」


~本番~

瑞樹&愛梨「悪魔とドン!」

参謀&和尚&殿下「「デビルキャッスル!!」」「いえ~い!」



閣下「……どういうことですかな、これは」

陛下「番組プロデューサーに頼まれてな、面白そうだったから承諾した」

閣下「はあ……」

陛下「大丈夫、ゼウスの方はエースが全力で警備してる、一人で」

閣下「ならよいのですが…」



瑞樹「さあ、装いも新たに生まれ変わりましたこの番組」

愛梨「悪魔の皆さんがアイドルと一緒に大活躍する、他では絶対に真似出来ない番組になってまーす」

瑞樹「まあ、そりゃあ無理でしょうね…」


愛梨「ではこの番組を一緒に盛り上げる悪魔の皆さんに、自己紹介をしていただきましょう!」

参謀「お茶の間のマダム、こんにちは、貴方の永遠のアイドル、ルーク篁です」

瑞樹「は~い、篁さん、よろしくお願いしま~す」

参謀「今日はみんなで盛り上がっていこうぜえええええええええ!!!!」

観客s「「「「「「Yeaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaahhh!!!!!!」」」」」」

愛梨「では次はこの方でーす」

殿下「ライデン湯澤です、ぶっひょ!!」

観客s「「「「ぶっひょ!!」」」」

殿下「ぶっひょ!!」

観客s「「「「「ぶっひょ!!」」」」」

殿下「ぶっひょ!!」

観客s「「「「「「ぶっひょ!!」」」」」」

瑞樹「わからない、わからないわ……」

愛梨「最後はこの方でーす」

和尚「先日ニュージェネレーションズと出たラジオが好評で大変安心しました、ゼノン石川です」

瑞樹「よかった…、彼はマトモそうね…」

殿下「おい、石川くん、君じゃイマイチお客さんが盛り上がってないよ」

和尚「ええ、そんなことないでしょう」

参謀「このままだと次にいけないから、早くいえ~いのおじさんに来てもらった方がいいよ」

愛梨「いえ~いのおじさんって誰ですか?」

参謀「お、愛梨ちゃん気になる?」

愛梨「はい~」

殿下「ほら、出待ちしてるから早くしなさいよ」

和尚「アイツが出ると、笑いが全部もってかれちゃうんだもの」

愛梨「?」

和尚「でも、ああ、ダメだ、アイツが来る、来てしまうー」

瑞樹「ああ、なんだか嫌な予感ね、わかるわ…」

和尚「――――いえ~~~~~~~~~い!!!!」

観客s「「「「「「いええええええええええええええええええええええいいい!!!!!」」」」」」

和尚「やあみんな、いえ~いのおじさんだよ」

瑞樹「わからない、悪魔って何、わからないわ……」

和尚「これ以上喋っても放送の尺の関係で全部カットされると思うからさっさと次に繋げるよ」

和尚「はい、瑞樹ちゃん愛梨ちゃん、どうぞ」

愛梨「はーい、皆さんよろしくお願いしまーす」

瑞樹「進行のこととかはちゃんと気を使ってくれるのね」


閣下「やはり、いえ~いのおじさんが来てしまったか…」

陛下「鉄板だからな」

卯月「あ、閣下さん、陛下さん!」

閣下「おお、お前達、撮影中だあまりうるさくするなよ?」

未央「は~い」

凛「でも、大丈夫なの、あれ?」

陛下「聖飢魔IIの構成員は皆バラエティには慣れている、問題ない」

閣下「参謀など下手なコメディアンよりよっぽど喋れるからな」

未央「それもそれでどうなの?」




瑞樹「さあ、それでは、アピールタイムを賭けて対決するアイドルの登場です!」

愛梨「まずは最多出場の、いつもの面々です!」

幸子「フフーン!」

紗枝「いぇい!」

友紀「いっくぞー!」

愛梨「いらっしゃーい、ではチーム名をどうぞ!」

幸子「カワイイボクと!」

友紀「野球!」

紗枝「どすえチーム、どすえ~」

瑞樹「はい、では続いては!」

愛梨「シンデレラプロジェクトが送り込んだ刺客、今日がテレビ初というフレッシュな3人です!」

瑞樹「いらっしゃい、チーム名をどうぞ?」

かな子「は、はい!せーのっ」

かな子「き、キャンディ アイランドです!」

杏「Candy Islandですっ!」

智絵里「きっ……」

愛梨「ふふっ、初々しいですね~」

瑞樹「さあ、早速どうでしょうか、審査員のルーク篁さん?」

参謀「そうですね、ユニット名を言うだけで笑いを取る、こういうシンプルなことがね、なかなか出来ないんですよ」

参謀「素晴らしいと思います」

瑞樹「おおっと、Candy Island早くも大絶賛!10P!」

幸子「ええ~!?ち、ちょっと!!」

瑞樹「何か?」

幸子「まだ、ボク達何も喋ってないんですけど!」

殿下「では、輿水幸子のマイクパフォーマンス、どうぞ!!」

幸子「え!?あ、えっと、その……」

幸子「……次、いきましょう」


スタッフ「はい、オッケーです!」

閣下「ふむ、やはり緊張しているな…」

陛下「まあルーク達が上手く捌くだろう」

未央「緊張する新人を優しくフォローする悪魔……」

凛「悪魔ってなんだっけ……」

瑞樹「お疲れ様です、閣下」

閣下「おお、瑞樹か」

瑞樹「ご無沙汰しております、あら、みんなも久しぶりね」

卯月「お、覚えててくれたんですか!」

瑞樹「もちろんよ、一緒にイベントを作った仲間だもの」

未央「そんな、あ、ありがとうございます!」

閣下「うちの新人が世話になっているな、あとうちのバカが若干数名」

瑞樹「アイドルのみんな、ちょっと緊張気味ですがそれをなんとかするのもMCの腕の見せどころですから」

閣下「頼もしい限りだな、フハハハハ」

瑞樹「それにしても、悪魔の皆さんも随分慣れていますね」

瑞樹「これは、推薦したかいがありました」

閣下「あいつらを推薦とは、なかなか無茶をするのだな…」

瑞樹「いえいえ、番組プロデューサーにちょっとだけ、シンデレラプロジェクトはアイドルも周りのスタッフも面白い、って話しただけですよ」

閣下「もしや、うちのアイドルにオファーが来たのも…」

瑞樹「そういうことを聞くのは、野暮というものですよ?」

閣下「フハハハハ!これは失礼した!」


瑞樹&愛梨「「風船速割り対決~!!」」

瑞樹「ルールは簡単!相手の頭上の風船を早く割った方の勝ち!」

愛梨「普通の風船割り対決なら空気入れで膨らませるところですが、悪魔とドン!はひと味違います!」

瑞樹「空気入れではなく専用の自転車を漕ぐことで、風船が膨らんでいきます!」

愛梨「まずは見本を見せてもらいましょう!挑戦するのはこちらの方!」

参謀「俺こそが、聖飢魔IIのステージ下手で輝く美しき青きチャリンコライダー、ルーク篁だ!!」

愛梨「篁さんは、自転車移動が趣味だそうです~」

瑞樹「そして、風船の下には動かざること山の如し、ゼノン石川和尚がスタンバイしています」

和尚「僕の立ち位置は見本を置く必要があるのでしょうか」

瑞樹「あります」

和尚「そうですか、なら仕方ない」

愛梨「なお、ルークさんは悪魔ということで、風船も特大サイズで用意しました~」

和尚「別に普通のでいいんじゃないでしょうか」

愛梨「いえいえ~」

和尚「そうですか、なら仕方ない」

瑞樹「では、チャレンジスタートです!」

参謀「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」ガシャガシャ

愛梨「ルークさん、凄まじい速さでペダルをこいでいます!」

殿下「自転車が壊れないギリギリのラインで力を入れているな」

参謀「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」ガシャガシャ

参謀「うおりゃあああああああああ!!!!!」パアン!!!!!

和尚「!」ビクッ!

瑞樹&愛梨「…………」

殿下「…………」

KBYDチーム「「「…………」」」

C・Iチーム「「「…………」」」

参謀「ハア………ハア…」ゼエゼエ

観客s「…………」

瑞樹「…………う」

瑞樹「動きましたああああ!!!!」

観客s「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」

愛梨「動かざること山の如し、ステージ上でも何があろうと動かないと言われるあのゼノンさんがビクッとしました!」

瑞樹「これは、いかがでしょうか、湯澤さん」

殿下「非常に貴重な映像ですね、是非とも地獄の彼の両親にも見せてやりたいです」

愛梨「ルークさん、いかがですか?」

参謀「最後は、自分との戦いでした、諦めないことの大事さをテレビの前のちびっ子に少しでも届けたい、それだけでした」

瑞樹「石川さんは?」

和尚「若さが出ました」


卯月「参謀さん、すごいですね!」

閣下「まさかあの和尚を動かすとは…」

陛下「ルークもまだまだ、進化しているということだな」

未央「いや、ホントにチョビっと動いただけだし…」

凛「そもそもリアクションとしては失敗なんじゃ…」



瑞樹「では、続いてはアイドル達のチャレンジです!」

愛梨「尺の関係で、今のゼノンさん達よりも美味しい絵が撮れなかった場合はナレーションベースになるので、頑張ってくださーい」

かな子「えええっ!?」

幸子「テストがノーカットで本番がナレーションってあり得ないでしょう!」

愛梨「では、用意、スタート!!」

――――序盤こそ同じペースで始まった両者、しかし体力的に姫川友紀を擁するKBYDチームが若干有利に試合を運ぶ

――――そして約1分後、C・Iチームの風船は無残にも破裂

――――まだまだ初々しいC・Iチームは悪魔たちを超えることができなかった

――――そう、このナレーションベースも全て放送枠と新人アイドルを利用した悪魔たちの残虐極まりない作戦だったのである



瑞樹「はい、では罰ゲーム!」

愛梨「負けたキャンディチームには、こちらの健康茶を飲んでもらいます!」

瑞樹「ちなみに、こちらの提供は健康食品兵器に詳しいルーク篁さんです」

参謀「お前も血液サラサラにしてやろうかぁ!」

友紀「一気にいったほうがいいよー!」

杏「無理無理無理!!」

紗枝「ふふっ」

智絵里「うぅ……苦い、です…」



卯月「あれって…もしかして……」

凛「卯月、知ってるの?」

卯月「私が熱を出して寝込んだ時に入ってたんですけど……」

未央「けど?」

卯月「すっっっっごく、苦かったです……」

凛「そうなんだ…」

未央「でも、おいしいリアクション取れてるじゃん!」

閣下「というかあいつら、アイドルが画面に出る時間を奪ってどうするのだ…」

陛下「あとで説教だな」



瑞樹&愛梨「続いては~マシュマロキャッチ対決~!」

愛梨「こちらのお手本をするのは~」

殿下「ぶっひょ!」

瑞樹「ライデン湯澤さんです!」

愛梨「マシュマロガンを撃つのはゼノンさんでーす」

和尚「いえ~い」

瑞樹「モンスターリズムセクションとも呼ばれる抜群のコンビネーションを持つこの2人、さあ、スタートです!」

殿下「さあ来い!」

和尚「えいさ!」ポン

殿下「ほいさ!」パク

愛梨「おお~!」

紗枝「お上手どすなぁ」パチパチ

友紀「ナイスキャッチ!」

幸子「フフーン!カワイイボクだってあのくらい余裕ですよ!」

瑞樹「見事なキャッチです!KBYDチームもナレーションベースを恐れてか、ついついコメントが多くなります!」

殿下「たりなひ」モグモグ

和尚「えいさ!」ポン

殿下「ほいさ!」ピョーン

かな子「美味しそう…」

智絵里「わ、私達もなにか喋らないと…!」

杏「え?え~っと、杏もあんな風に上手にキャッチしたいな!」

瑞樹「さあ、選手の間ではお手本の間にいかにカメラに映るかという場外乱闘が繰り広げられています!」

殿下「たりなひ」モグモグ

和尚「えいさ!」ポン

殿下「ほいっ!」バッ

愛梨「おおっと、ライデンさん、魔力を使ってマシュマロを空中でキープ!そして…」

瑞樹「や、焼いています!雷を使ってマシュマロを弱火でじっくり焼いています!!」

殿下「うまひ」モグモグ

愛梨「終了!!」

瑞樹「素晴らしいチャレンジでしたが、篁さん、いかがでしたか?」

参謀「2人のコンビネーションももちろん素晴らしかったですが、最後の一投は特に驚かされましたね」

参謀「芸術点もかなりの高得点が期待できるのではないでしょうか、ええ」


瑞樹「ありがとうございます!では続いてアイドル達のチャレンジです!」

愛梨「もちろん、ナレーションベースの可能性もあるので頑張ってくださーい」

友紀「いやいや、あれより面白いことするのは無理でしょ!」

幸子「最後のなんですか!?焼きマシュマロ作ってましたよ!?」

かな子「とっても美味しそうでしたぁ…」

紗枝「せやなぁ、収録終わったら作ってもらいまひょか~」

杏「というか、みんな反応してなかったけど普通に飛んでたよね」

智絵里「私、飛べないから取れそうにないかも…」

杏「いやいや、普通飛べないから」

瑞樹「アイドル達がナレーションが始まる前に喋るのに必死です!」

愛梨「今回の挑戦者は、友紀ちゃん&幸子ちゃん、かな子ちゃん&智絵里ちゃんのコンビです!」

幸子「フフーン!こんなにカワイイボクが出るんですから、飛ばされるわけがないじゃないですか!」



友紀「よ~し!いつでもいいよ~!」

友紀「うぐぁ!」ベチッ!

友紀「幸子~!」

殿下「少し距離が近すぎたな」



智絵里「みんな小暮さん、みんな小暮さん……」ブツブツ

智絵里「えいっ!」ポン

かな子「え、あ、ああ!」ポト

かな子「ま、マシュマロが~!」

参謀「食べたい気持ちに体がついてこない、あるんですよね、こういうこと」



友紀「よ~し、オーライ!」

友紀「ほっ、と」パク

友紀「よっしゃあ!」

和尚「ついに点差が着きましたね、姫川選手、いい意味で若さが出ました」



かな子「ここで取れなかったら…、智絵里ちゃん、いいよ!」

智絵里「はいっ」

智絵里「えいっ!」ポン

かな子「あ、あ………あっ!」ズテーン

かな子「あうぅぅぅぅ」パク

かな子「? あ、ほ、ふぉれまひは~!」

智絵里「よ、よかったぁ…」

かな子「美味しいです~!」モグモグ


瑞樹「今回の対決はなんと引き分けです!そして……」

友紀「…………」

かな子「…………」

愛梨「たった今、ディレクターさんからナレーションベースは無しとの報告がありました!」

智絵里「や、やったぁ!!」

幸子「フフーン!当然ですね!!カワイイボクが映ってるんですから!!」

瑞樹「ただし、放送はディレクターズカットバージョンとなります」

愛梨「ノーカット版はウェブにて後日公開されるそうです!」

幸子「そうなんですか、ディレクターさん、切るようなところがあったんでしょうか?」




卯月「かな子ちゃん、やりました!」

未央「まるでお菓子の神様が味方していたようだったね~」

凛「さっきの見本、普通に宙に浮いてたけどいいの?」

閣下「我輩も昔は火を吹いてみたり生き血を飲んだり色々したが問題なかったし大丈夫じゃない?」

陛下「そもそも、悪魔が本来の姿で電波にのっている事実に比べれば大したことではない」

凛「……あれ、もしかして私がおかしいの?」



瑞樹「オシャレ、それは女の子が常日頃から磨き、鍛えあげなければならない筋肉…」

瑞樹「ということで続いては、私服ファッションショー!!」

愛梨「まず最初はもちろんこの方!」

愛梨「白に銀の全身タイツが魅せる美しいボディライン!地獄のヒバリーヒルズからお越しのルーク篁さんです!」

参謀「待たせたね、僕の可愛い子猫ちゃん達」

愛梨「ルーク篁さんの一番のアピールポイントは、何といってもタイツの下に隠されたTバックだそうです!」

殿下「パッと見ただけでは見えないところにまで気を配る、オシャレの基本だな」

参謀「愛してるぜええええええええええ!!!!」

愛梨「そして、アイドルの登場です、まずはこちら!」

愛梨「北海道からやって来た妖精、双葉杏ちゃん!」

杏「いぇい!」

愛梨「Tシャツにスパッツというラフな格好、小脇にはいつも一緒のウサギさん!」

愛梨「Tシャツの文字は、彼女のポリシーか!?」

和尚「”働かない”という言葉から人を抜くと”動かない”になるんだよね」

和尚「”働いたら負け”という人間の彼女と、”動いたら負け”である悪魔の僕、何か強いシンパシーを感じずにはいられません」


愛梨「続いてはこちら!」

愛梨「京都という地に舞い降りた天女、小早川紗枝ちゃん!」

愛梨「今日はいつもの和服を脱ぎ捨てて、学生服でイメージチェンジ!」

紗枝「今日は学校から直接やったから…///」



長官「セーラー服さいこおおおおおおおおおおおおおおおおおううううう!!!!」



瑞樹「だ、誰!?」

愛梨「た、たった今、はるか上空から雄叫びが聞こえてきました!」

殿下「きっと、この会場の外にいる彼もリビドーを抑えきれなかったのでしょう」

和尚「精神の黒幕は無意識の世界で心を操るのです」

瑞樹「か、会場の外まで盛り上げた小早川選手に60P!」

紗枝「だ、誰だかわかりませんけど、おおきに~」



卯月「い、今の声って…」

閣下「…………我輩は何も聞いておらん」

凛「いや、でも…………」

閣下「あーあー、聞こえないのである」

未央「閣下も大変だね…」

陛下「4人まとめて説教だな」



瑞樹「いよいよ次が最後のチャレンジ!勝った方は栄光のアピールタイム!」

愛梨「だけど負けちゃったチームには罰ゲームが待ってまーす!」

瑞樹「美しい渓谷でのダイビングよ!!」

幸子「バンジージャンプじゃないんですか!?」

瑞樹「ヒモがないんだから、バンジージャンプとは呼べないわよねえ」

杏「いや、死んじゃうでしょ」

瑞樹「大丈夫!下では悪魔の皆さんが待機していてみんなをキャッチしてくれるから!」

友紀「ぜ、全然大丈夫に聞こえないんだけど…」

愛梨「更に、万が一の時に備えて魔力で直撃を確実に防ぐ安心設計!!」

智絵里「ま、万が一……」

瑞樹「従来のバンジージャンプよりもよっぽど怖くてよっぽど安全だとスタッフの間でも大評判よ!」

紗枝「さっきから思っとったんやけど、ここのスタッフはん、みんなおかしない?」

愛梨「ということで、みんな安心してダイブしてくださいね~」

かな子「む、無理です…」


スタッフ「はい、オッケーです!」

かな子「ど、どうしよう……」

杏「閣下、杏、無理だと思うよ」

閣下「そうはいっても、もはや引き返せるものではない、どんなものにも試練はあるということだ」

かな子「でも……」

智絵里「……っ」クラッ

閣下「! 智絵里!」バッ




~楽屋~


閣下「大丈夫か?」

智絵里「はい、すみませんでした……」

閣下「ゼウスの妨害か…!」

杏「ただの緊張だって、さっき言われたじゃん」

閣下「だが…」

閣下「…智絵里、収録はいけそうか?」

智絵里「は、はい…」

智絵里「私、この3人で、最後まで一緒にやりたいです!」

かな子「うん!私も、バンジージャンプ怖いけどみんな一緒なら大丈夫だよ!」

杏「ふふん、杏、バンジー嫌だから、逆転希望しまーす!」

かな子「そ、そっか!逆転すればいいんだ!」

智絵里「それで、一緒に歌、届けよう!」

杏「そうだよね、閣下?」

閣下「…………」

杏「……閣下?」

閣下「……フ、フハハハハ!無論である!」

閣下「ここまではゼウスの妨害もあったが、陛下を筆頭とした地獄のコーチ陣の恐ろしい特訓を乗り越えたお前達に敵うものなどありはしない!」

杏「いや、だからゼウスの妨害なんてないから」

閣下「さあ、行くのだ!そしてお前達の恐ろしさを視聴者共に教えてやれ!フハハハハ!」

かな子「Candy Island、いくぞ~!」

「「「おお~!!」」」

閣下「…………」


~スタジオ~

陛下「彼女たちは大丈夫か?」

閣下「はい、むしろここから逆転しようとしています」

陛下「……そうか」

閣下「陛下、我輩は奴らを甘く見ていたようです」

閣下「我輩は、あの3人をいかに鼓舞するかをずっと考えておりました」

閣下「ですがあの3人は、悪魔の力など借りずとも自分達の力で一歩を踏み出したのです」

陛下「それを見てお前はどう思った、デーモンよ」

閣下「最初は少しばかり頼りないユニットだと思い、巡礼も我輩が先頭に立ち、他の構成員にも同伴してもらいました」

閣下「それがいつの間にか、我輩が奴らの背を見ている」

閣下「もしかすると、真泥霊羅プロジェクトにおいて一番悪魔教の真理に近いのは、あの者達かも知れませぬな」

陛下「それは頼もしいことだ」

閣下「では、共に見守りましょう、あの者達の歩みを…」



瑞樹「それではいっちゃいましょう!最後の対決は~?」

愛梨「筋肉と頭脳の融合!」

瑞樹&愛梨「「すべり台クイズ~!」」

瑞樹「最後の最後で、以前のクイズ番組に逆戻り!」

愛梨「知力と体力、両方が試されるこの試合、ライデンさんはどう見ますか?」

殿下「体力的には第1試合でも見たようにKBYDチームに分がある」

殿下「だが、C・Iチームはクイズ番組用の猛特訓を積んできたとの情報がある、まさしく知力と体力のぶつかり合い、読めない!」

愛梨「ありがとうございまーす、ところで、悪魔の皆さんはこの対決には参加されないんですか?」

参謀「内容的にお手本も何もありませんからね、致し方ないでしょう」

愛梨「そうですか!では、第一問、芸能の10P!」

『大相撲の力士の番付における最高位の称号は?』

幸子「横綱!」ピンポーン

愛梨「幸子ちゃん正解!」

瑞樹「ここで解説の石川さん!」

和尚「はい、ご存知の通り、力士の番付の最高位である横綱、語源は横綱だけが腰に締めることを許されている白麻製の綱の名称に由来します」

愛梨「そうなんだ~!詳しいんですね~!」

和尚「元地獄文化局長ですから」



未央「へえ~、そうだったんだ~」

凛「ゼノンさん、すごいね」

卯月「物知りですね~!」

閣下「…………ちなみに、横綱は全ての力士を代表する存在であると同時に神の依り代であることの証とされている」

未央「そ、そうなんだ…」

閣下「ふん、横綱についてはまだまだ語り足りんが、せめてこの程度は説明してもらわんと物知りとは言えんなあ」



和尚「…………あ、忘れてました、横綱は全ての力士の代表なので土俵入りは病気・故障等の場合を除き、現役横綱の義務とされています」

瑞樹「へ、へえ~」



閣下「…………更に言えば、横綱のことを天下無双であるという意味を込めて『日下開山』と呼ぶこともあるぞ」

凛「なんで張り合ってるの……」



和尚「…………あ、これを言うのを忘れてた、現在最も横綱在位数が多いのは北の湖敏満d」

瑞樹「は、はい!ゼノン石川さんありがとうございました!」



閣下(ふん、さすがは和尚、やるではないか)

和尚(元地獄文化局長ですから)

凛「なんでゼノンさんはこの距離で聞こえるの…?」

卯月「デビルイヤーは!」

未央「地獄耳!」

閣下「そういうことだな」

陛下「うむ」

和尚「いえ~い」

凛「頭痛い……」

愛梨「では幸子ちゃん、次の問題は?」

幸子「芸能の20Pです!」



『『しあわせは歩いてこないだから歩いてゆくんだね』でお馴染みの365歩のマーチを歌う水前寺清子さんのニックネームは?』



かな子「え、えーっと……」

紗枝「あっ、チータ!」ピンポーン

瑞樹「正解!」

和尚「ちなみにこの愛称は、作詞家の星野哲郎氏が『ちっちゃなたみこ』を縮めてチータと呼んだことから由来します」


愛梨「では、C・Iチームのすべり台が更にあがりま~す!」

瑞樹「じゃあ紗枝ちゃん、次の問題をどうぞ!」

紗枝「ほんなら、スポーツの10Pでお願いします~」



『ジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャと並び、俗にグランツールと呼ばれる世界最大の自転車レースは?』



智絵里「わ、わからないです……」

友紀「ツール・ド・フランス!!」ピンポーン

瑞樹「友紀ちゃんお見事!」

友紀「えへへっ、スポーツならまっかせてよ!野球ならもっと大歓迎だよ!」

参謀「ちなみにツール・ド・フランスは『フランス一周』を意味するフランス語で、23日かけて約3300kmを走りぬきます」

愛梨「では、C・Iチームのすべり台が更にあがりま~す!」ググッ

かな子「きゃっ!」

智絵里「うぅ…」

杏「む、無理~」ズルッ

かな子「杏ちゃん!」

智絵里「一緒に、頑張ろう!」ギュッ!

杏「う、うん…」グッ

幸子「フフーン!次で決めますよ!歴史の10P!」



『永禄3年5月19日、今川軍4万に対しわずか3千の兵で挑み、いずれ天下をその手に掴み取らんとしていた戦国武将は?』



幸子「………へ?」

幸子「え、えっと…」

かな子「お、織田信長!!」ピンポーン

智絵里「かな子ちゃん、すごい!」

かな子「えへへっ、特訓の成果が出たみたい!」



未央「おおっ!!」

卯月「やりました!」

閣下「このうつけ者めがああああああああああ!!!!」

凛「な、何!?」

閣下「すまん、つい」

凛「!?」


瑞樹「さあ、キャンディチームは起死回生のチャンスよ~?」

杏「――科学の30P」

愛梨「おお~!!」

瑞樹「き、キャンディチームは、勝負に出ましたね…」

かな子「あ、杏ちゃん…」

杏「負けないためには、これしかないよ!」

杏「……そうでしょ?」

閣下「……うむ!」

杏「……ふふっ」



『スカイツリーのてっぺんから林檎を落とすと、落下直前の速度はいくらになりますか?スカイツリーは634メートル。重力加速度は9.8とします』



陛下「秒速111.474mだな」

未央「早っ!!」

閣下「時速の方がよいのでは?」

陛下「じゃあ時速401.306kmか」

卯月「す、すごいです…」

陛下「? 高校2年生くらいで習うだろう」

凛「いや、だからってその速さで……」

卯月「私、わかりません……」

凛「普通だから……」

未央「だ、大丈夫だよ、しまむーはまだ新2年生だから!」

卯月「うう…がんばります…」



瑞樹「さあ、わかる方はいますか~?」

幸子「え、ええと、えと…」

杏「……時速401.306km!!」ピンポーン

瑞樹「せ、正解!」

愛梨「すご~い!!」



陛下「よかった、間違ってたらどうしようかと思った」

閣下「陛下が間違えるはずがないでしょう」

陛下「それもそうか」

陛下&閣下「「フハハハハ!」」

未央「悪魔って…」


杏「アニメの30P!」ピンポーン

紗枝「も、もう、あきまへん…」ドサーッ

杏「スペシャルの30P!」



『江戸時代のオランダ貿易でガラス製品の緩衝材として持ち込まれた外来種、花言葉に幸運、約束などがある花は?』


智絵里「!」

かな子「智絵里ちゃん、わかるの!?」

智絵里「う、うん!」

杏「じゃあ杏は疲れたから、あとは譲るよ」

智絵里「し、シロツメクサ、クローバーです!!」ピンポーン

瑞樹「智絵里ちゃん、お見事!」

友紀「も、もう無理いいぃぃ!!」ドサーッ

幸子「ううううぅぅううぅぅぅうぅう!!」ズルズルドサーッ

愛梨「おおっと、KBYDチーム、ここで全員脱落です!」

瑞樹「はーい、ということで、キャンディチームの勝ち!!」

智絵里「え…?」

かな子「勝った…?」

杏「うん…」

かな子「やったぁ!私達、勝ったよ!」ガバッ

杏「ち、ちょ!」ズルッ

智絵里「ああっ!」ドサーッ

瑞樹「あらあらキャンディチーム、勝ったのに粉まみれです」

愛梨「解説のライデンさん、この勝負いかがでしたか?」

殿下「全く出番がなかったが、とてもいい試合だった!」

愛梨「ありがとうございました!それでは、結果発表!」


『120:120』


瑞樹「なんと、同点です!」

愛梨「ということで、みんななかよくアピールタイムを半分こ!」

瑞樹「罰ゲームも、仲良く半分こね!」

「「「「「「え、ええええええええええ!!!???」」」」」」


瑞樹「それでは、アピールタイムスタート!」

かな子「皆さん、はじめまして!せーのっ」

「「「Candy Islandです!」」」

かな子「これから聞いていただくのは、先日発売された私達の1stシングルです!」

智絵里「みんなが幸せな気持ちで眠れるように、心を込めて歌います!」

杏「いい曲なので聞いてください!」

かな子&智絵里「「聞いてください!!」」

閣下「この曲を聞かない愚か者は、我々悪魔が夢に出るぞぉ!」

かな子&智絵里&杏「「「なんでやねん!」」」

閣下「フハハハハ!フハハハハハハハハハ!!!」


「Goodnight Merodies」
https://www.youtube.com/watch?v=UOyJTnn4XvA


第9話 "sweet" is a magical word to make you "un"happy! 終

とりあえず今夜はここまで
このペースでいけば明後日には終わりそう

今夜も遅くまで付き合っていただきありがとうございました

ちょっと遅くなりましたが投下開始します
1時ちょっと過ぎくらいまでを目標に11話まで


第10話 Our world is full of panic!!


莉嘉「うわあ、すご~い!」

みりあ「できたんだ!」

きらり「かわいいにぃ☆」

閣下「フハハハハ!なかなか良い出来、いや、悪い出来ではないか!」

みりあ「? 悪いの?」

きらり「この悪いっていうのは、悪魔さんの言葉でとってもハピハピって意味だよ~」

みりあ「そっかぁ!」

みく「あ、ピカピカポップにゃ!」

みく「みんな、ピカピカポップと何かするの?」

莉嘉「アタシ達、このブランドとコラボするんだ~☆」

みりあ「グッズも出るんだよ~!」

みく「えぇ~、いいにゃ~…」

きらり「これも、CDの宣伝なんだよね!」

閣下「その通り、だがそれだけではない!」

みく「? 他にどんな目的があるにゃ?」

閣下「マスメディアを制する者が世界を制する、つまりこれは世界征服の始まりにすぎんのだ、フハハハハ!」

莉嘉「世界征服!?すご~い!」

みりあ「世界征服したら、どうなるの?」

閣下「もちろん、神によって創られた秩序と調和の世界は消え去り、我々悪魔が支配する狂気と混沌に彩られた素晴らしい世界が訪れるのだ!」

みりあ「? よくわかんない…」

莉嘉「デーくんってば、時々わけわかんないよねー」

きらり「大丈夫!デーちゃんは、きらり達の嫌がることはしないにぃ!」

閣下「いや、我輩は悪魔だから、人間に不幸を与えるのが使命であって…」

みりあ「? かっか、私達にイジワルするの?」

閣下「いや、そういうわけではないのだが…」

きらり「デーちゃんは優しい悪魔さんだから、ダイジョーブ!」

閣下「わ、我輩は血も涙もない……」

莉嘉「ええ!?デーくん、悪魔って血がないの!?」

閣下「そういうわけではなくだな……」

みく「3人が純粋すぎてつけいる隙もないにゃ…」


閣下「そ、そうであった、実はお前達にピカピカポップとの共同黒ミサに出演してもらうことになった」

みりあ「イベント!?」

莉嘉「ライブ!?」

閣下「残念ながら御話の儀だ、会場が狭く踊れたものではない」

莉嘉「ええ~、地味~!」

みく「お仕事があるだけ幸せにゃ、ワガママいわないの」

みりあ「トークショーって?」

きらり「どんな話をしたらいいんだろうねぇ?」

みりあ「かっか、どういうお話すればいいの?」

閣下「そうだな、ピカピカポップについてとか、コラボグッズの魅力についてがいいんじゃないのか?」

みく「普通に普通にゃ」

閣下「それでいて、お前達の魅力が十二分に伝われば何も問題はない!」

莉嘉「そんなの、ラクショーに決まってるじゃん!」

みりあ「私もがんばる!」

きらり「じゃあ、きらり達みーんなで、ハッピハピだにぃ!」




~数日後 御話の儀終了後 控え用テント~


閣下「諸君、御話の儀、真に御苦労であった!」

きらり「おっつおっつ☆」

莉嘉「デーくん、どうだった?」

みりあ「ちゃんとできてたかな?」

閣下「うむ、信者達もきっと満足したであろうな」

美嘉「初めてにしては、及第点だったんじゃない?」バサッ

莉嘉「あ、お姉ちゃん!」

閣下「美嘉よ、部屋に入る時は中にいる者に一声かけるのが礼儀だ」

美嘉「知らない仲じゃないんだしいいじゃん?」

閣下「親しき仲にも礼儀ありというであろう」

美嘉「はいはい」

莉嘉「お姉ちゃん、今日は仕事って言ってたのになんで~!?」

美嘉「ちょっと時間出来たから寄ってみただけだって」

美嘉「それにしても莉嘉、閣下の方をチラチラ見過ぎ!」

莉嘉「え~、そんなことないよ~」

美嘉「きらりちゃんとみりあちゃんは、もっと前に出ていっても大丈夫じゃない?」

美嘉「閣下はその辺りどう思った?」

閣下「そうだな、既存のファンや信者だけでなく、通りすがりの者も巻き込めるようなミサを出来れば尚素晴らしいであろうな」

莉嘉「たしかに、スルーされるのは辛かったもんね~」

みりあ「どうすればいいのかな~?」

きらり「うにゅ~…」

閣下「それは、お前達が悩みぬいて決めることだ、さあ、次の現場に向かうぞ」

「「「は~い」」」パタパタ


美嘉「ねえ、次のステージ、どうするつもり?」

閣下「どうするもなにも、奴らの好きにさせるさ」

美嘉「何それ、丸投げ?」

閣下「誰かに言われれるがままステージに立つよりよっぽどいいと思うが?」

美嘉「そりゃあ、ある程度慣れてればそうかもしれないけど、まだみんなどうすればいいのかもわかってないんだよ?」

閣下「だからこそだ、自ら考え行動するのに早過ぎるということはない」

閣下「それに、傀儡になってからでは遅すぎる」

閣下「なに、奴らは一人ではないのだ、問題はない」

美嘉「まあ、責任を取るのはアンタだし別にいいけど…」

閣下「うむ、任せておれ」



~移動中 車内~


きらり「ん~、みんなでハピハピ、むむぅ~」

みりあ「みんな、お話聞いてください、って言ったら聞いてくれるかなあ?」

莉嘉「セクシーに言ったらいいんじゃない?」

きらり「きらりはセクスィーよりも、きゃわいくいきたいにぃ~」

みりあ「う~ん」

莉嘉「もお~、デーくん、ヒント!」

閣下「ヒントか、そうだねえ…」

きらり「そうだ、みんなでどっかお出かけ、行っちゃう~!?」

みりあ「お出かけ!?」

きらり「みんなでお散歩して甘~いもの食べたらウッキャーっていいアイデア浮かんじゃうかも!」

みりあ「楽しそう!」

莉嘉「デーくん、みんなでお出かけしてもいい?」

閣下「ふむ、なるほどいい案だ」

閣下「時間は少しだけだが、まあ問題ないだろう」

みりあ「ホント?やったぁ!」


~原宿~


閣下「到着である!」

みりあ「すご~い!大きなお菓子だ!」

きらり「この街にはいっぱいおいしいお菓子があるんだにぃ!」

莉嘉「あ、そうだ、写真撮ろうよ!それで、シンデレラプロジェクトのブログに載せるの!」

閣下「ほう、それはいい案だな!」

きらり「ブログでも1番になって、きらり達でブログで世界征服、やっちゃう~?」

みりあ「じゃあ、い~っぱい写真撮らないとね!」

きらり「ウッキャー!じゃあ、きらりん御一行様~、ご案内~!!」




莉嘉「見てみて~!この服、蘭子ちゃんが着てそう!」

みりあ「ホントだー!あ、エースさんが着てるのもあるよ!」

閣下「フハハハハ!これもこの街に既に悪魔の手先が入り込んでいるからに違いない!」

きらり「うゆ~?きらりんのお庭にデーちゃんのお友達がいゆの~?」

閣下「悪魔は身近なところにこそ潜んでいるものだからな」

みりあ「じゃあここは、きらりちゃんとかっかのお庭だね!」

きらり「おお~!!きらりんとデーちゃん、コンビ組んじゃう?組んじゃう~?」

莉嘉「え~!きらりちゃんはアタシ達のユニットだもん!」




みりあ「あ、ぞっどくんだ!!」

閣下「…………ホントに原宿でブームになっていたとは」

莉嘉「あれ、デーくん、ぞっどくん知ってるの?」

きらり「さっすがきらり達のプロデューサー、時代を先取りしてるにぃ!」

閣下「いや、実はな……」

莉嘉「ええ~!?ぞっどくんってデーくんが地獄から持ってきたの!?」

みりあ「いいなぁ~、私も欲しい~」

きらり「じゃあ今度きらりと一緒に、ゼノちゃんに頼んでみよっか☆」

閣下「そのうち、シンデレラプロジェクトとぞっどくんのコラボを企画してもいいのかもしれんな…」

莉嘉「それやりたい!」

きらり「じゃあじゃあ、凸レーションのコラボ第2弾は、ぞっどくんに決定~!」

莉嘉&みりあ「「いえ~い!!」」


莉嘉「ねえねえデーくん、アタシがこ~んなセクシーな下着つけてたらどう思う~?」

みりあ「莉嘉ちゃんすごーい!」

きらり「莉嘉ちゃんには、こーいうのはまだ早いよぉ」

閣下「きらりの言うとおり、子供が過ぎた背伸びをするものではない」

莉嘉「ええ~、アタシもう子供じゃないもん!」

閣下「フハハハハ!我輩のような10万年を生きる悪魔からしてみれば人間など皆赤ん坊と同じだ」

莉嘉「ちぇ~、デーくんもアタシにメロメロになるかと思ったのに~」

閣下「外見ではなく内面の魅力で我輩をぜひとも虜にしてほしいものであるな」

みりあ「そっかぁ、10万歳ってことは、かっかは私のお爺ちゃんよりお爺ちゃんなんだね~」

閣下「……いや、それは」

みりあ「だって、そうでしょ?」

閣下「いやその、悪魔と人間では年のとり方が違うから、我輩はまだお爺さんと呼ばれるほどでは……」

みりあ「?」

閣下「……人間の純粋無垢な眼差しは、いつだって悪魔を弱らせるのだ」

きらり「この勝負ぅ~、みりあちゃんの勝ちぃ~!!」

みりあ「え?え?私、何かした?」

莉嘉「デーくんったら、アタシを子供扱いしたからバチが当たったんだよ!」

みりあ「ご、ごめんね?かっかは、お爺さんじゃないよね?」

閣下「……もう勘弁してくれ」




莉嘉「たのしいね~!」

きらり「莉嘉ちゃんは、この辺来るのはじめて~?」

莉嘉「うん!アタシ、池袋派だから!」

みりあ「…あ!甘い匂いがする!」

きらり「あそこのクレープ屋さんだにぃ!」

莉嘉「クレープ!?」

みりあ「食べた~い!」

閣下「あ~、じゃあ、好きなの選んだら我輩が買ってくるから君たち待ってなさい」

莉嘉「いいの!?」

閣下「ただし、一人一個ね、あんまり食べると晩ご飯入らなくなっちゃうから」

きらり「デーちゃん、さっきからちょっとホントにオジさんみたいだにぃ…」

閣下「まあ、10万と50数歳って悪魔もだいぶ中年だからね、実際」

みりあ「中年って?」

きらり「きらり達のパパくらいってことだよ~☆」

莉嘉「そうなんだ~!」

みりあ「じゃあ、私達は娘ってことだね!」

閣下「むぅ、まあ父親なら祖父に比べればまだ悪くはないか…」


閣下「ほら、みんなこぼさないようにね」

莉嘉「デーくん、ありがとー!」

みりあ「おいしそう!ありがとうございます!」

きらり「そうだ!デーちゃんパパ、一口食べゆ?」

莉嘉「あ、アタシも!」

みりあ「かっか、あーん!」

閣下「いや、我輩はいいから、お前達で食べなさい」

きらり「そお?じゃあ、いっただきま~す☆」

莉嘉「おいし~い!」

みりあ「んん~~!」

閣下「ああ、もう、ほら口の横についてるから」ゴシゴシ

みりあ「え、えへへへ…」

莉嘉「もー、デーくんったらホントにパパみたい」

閣下「じゃあ娘達よ、ちょっと離れた写真が欲しいから我輩はちょっと遠くから撮ることにするから」

莉嘉「おお!離れてても見守ってるってことだね!」

きらり「それじゃホントにパパみたいだよぉ」




閣下「ふむ、凸レーションは見ていて本当に子を見守る親のような心境になってしまうな……」ア、コレカワイイ!

閣下「悪魔が見るにはもったいないほどの純粋さである」コッチモカワイイニィ!

警察官「あ、あの……」スナップ?

閣下「む、なんであるか?」キラリチャンダケズルイ!

警察官「で、デーモン閣下!本物だ!」アタシモトッテ!

警察官「自分、閣下に洗脳された渋谷駅前の交番にいる警官の同期なんです!」カメラカッコイイ!

閣下「おお、あの時の警官の」ソウデース!

警察官「警官を洗脳し、泣く子を黙らせ、その後いたいけな少女を攫った閣下の悪行、このあたりの警察の間ではもはや伝説ですよ!」凸レーション1stシングルハツバイチュウ!

閣下「フハハハハ!この地上に来て最初の悪行だからな、伝説になるのも仕方あるまい!」ヨロシクオネガイシマース!

警察官「今となっては洗脳された奴がサインを求められるくらいで、あの、握手していただいてもいいですか!?」ニッゲロー!

閣下「うむ、我輩は大変機嫌が良い、特別に御魔直手触の儀を行ってやろう」ス、スミマセン!フタリトモマッテー!

警察官「ありがとうございます!」

閣下「フハハハハ!我輩はいつでも信者には寛容なのだ!」

閣下「では、我輩は公務の途中なのでこれで失礼す………る……」


警察官「? どうされましたか?」

閣下「あ、あいつらはどこへ行った…」

警察官「? ああ、あそこにいた女の子3人組なら向こうの方へ走っていきましたけど…」

警察官「ま、まさかあの子たちを誘拐するんですか!?」ワクワク

閣下「………これも、ゼウスの妨害か…!」

警察官「あの…?」

閣下「! まさか貴様も信者を騙る神の回し者か!?」

警察官「は!?」

閣下「我々を引き裂くばかりか信者を名乗り我輩を騙すとは……」

警察官「いや、あの…」

閣下「―――お前も…」

警察官「こ、これはもしかして伝説の…!」

閣下「―――お前も蝋人形にしてやろうかァ!」ロウニンギョー!


~346プロ~


長官「――何ぃ!?閣下が迷子!?」

美波「はい、今、莉嘉ちゃんから電話があって…」

長官「うっひゃあwwwwなんだその面白えのww今夜の酒はべらぼうに美味いでこりゃwwwww」(それは大変だな!どうにかこちらからも手を打たないと!)

和尚「エース、逆だよ、逆」

殿下「おーい、なんか閣下から電話来たよー」

凛「手が空いているもの三名とルークさんは原宿のイベント会場まで至急向かうようにって」

蘭子「ククク、我が意を得たり…」

殿下「あと、こっちはもう動いてるから心配するなってさ」

和尚「はいよ~」


~原宿~


閣下「まさかこんなところで妨害にあうとは……おのれゼウス…!」

閣下「先ほどきらりに電話したがつながらなかった……こんなときは…」

閣下「――――メールだ!」



莉嘉「あ!デーくんからメール!」

みりあ「ホント!」

閣下『凸レーション殿 前略 只今どちらにおられますでしょうか?またこの度は我輩の不注意により大変なご迷惑おかけしておりますこと深く陳謝いたします。 草々不一 小暮伝衛門』

莉嘉「…? 何これ」

きらり「あ、もう一通来たよ!デーちゃん、今きらり達を空から探してくれてるって!」


閣下「……きらり達からの返信はまだ来ないか…」

閣下「む、あれは……」



閣下「――美嘉!」ピューン

美嘉「! 閣下、何やってるのさ!」

閣下「どうしてお前がここに?」

美嘉「アンタがしっかりしないから、莉嘉が電話してきて…!」

閣下「なるほど、すまなかった」

美嘉「謝ってるヒマがあったら、さっさとあの子たちを見つけてよ!」

美嘉「莉嘉は、ずっとアンタに呼ばれるのを待ってたんだから…!」

美嘉「莉嘉だけじゃない、これ以上、あの子たちを待たせないでよ!」

閣下「……心配ない、だからそんな顔をするな」

閣下「既にこの街には我輩の使い魔を無数に放っている、更に和尚の千里眼で捜索も行っている」

閣下「…………ほれ見たことか、奴らの居場所がわかった」

美嘉「ホント!?」

閣下「ああ、では我々も向かおう、もう時間もない」ガシッ

美嘉「へ?ち、ちょ、この手は何!」

閣下「我輩に向かって啖呵を切ったのだ、まさかここで帰るとはいうまい?」ニヤリ

美嘉「で、でも、これ…」

閣下「地上を行っては時間がかかって仕方がない、ここは直線コースだ、フハハハハ!」ピューン!

美嘉「い、いやああああああああああああ!!!!!」




きらり「デーちゃん!!」

閣下「待たせたな!皆揃っているか!!」

美嘉「もう……お嫁にいけない……」

みりあ「かっか、莉嘉ちゃんが…!」

美嘉「! 莉嘉!?」

莉嘉「あ、アタシなら、大丈夫だから…」

閣下「ふむ、足を擦りむいておるな、これでは歩くのも辛いだろう」

きらり「……きらりが、無理に歩かせちゃったから…」

みりあ「きらりちゃん……」

莉嘉「ち、違うよ!アタシは全然平気!」

きらり「きらりが、デーちゃん探そって言ったり、そもそもお出かけしようなんて言ったからいけなかったんだよね…」

きらり「ごめんね?きらり、一番お姉さんなのに……」

美嘉「きらりちゃん……」

閣下「フハハハハ!きらりよ、言いたいことはそれだけか!?」


きらり「デーちゃん…?」

閣下「よく聞け、我々がはぐれたのも莉嘉が足に傷を負ったのも全てはゼウスの妨害によるもの!」

閣下「断じてお前の責任などではない!全てゼウスが悪い!いや、ゼウスが良い!」

美嘉「な、何それ…」

閣下「そして、一番お姉さんだと? ふん、たかだか10年そこらしか生きていない人間が歳を騙るなど10万年早い!」

閣下「お前も、莉嘉も、みりあも、我輩から見れば可愛い赤ん坊だ、お前達は同様に我輩に甘えてよいのだ」

閣下「困った時、自分だけではどうしようもない時、素直に我輩に頼ればよいのだ」

閣下「お前はまだまだ小さな子供なのだからな」

閣下「莉嘉よ、まだ足は痛むか?」

莉嘉「え?あれ、そういえばちっとも痛くない!」

美嘉「どういうこと?」

閣下「フハハハハ!説法の間に我輩の魔力で治しておいたのだ!」

みりあ「かっか、すごーい!」

閣下「だが、このままではミサの会場までは間に合いそうもないが……どうする、きらりよ?」

きらり「…………デーちゃん、きらり達を、助けてくれる?」

閣下「フハハハハ、無論だ!そういえば、お前達のユニット名はお前達が自ら考えたものだったな?」

閣下「身長も年齢も、きらりが飛び出してるから凸レーション、なるほど、悪くない」

閣下「だがな、年齢はもちろん、悪魔の前ではお前達の身長差すらも誤差にすぎんのだ!」ゴゴゴ

美嘉「ち、ちょっと!何それ!!」

莉嘉「デーくん、大きくなってる!!」

閣下「悪魔は身長も自在に操れるのだ!!」ドーン!

閣下「さあ!乗るが良い!会場までの直行便だ!」

美嘉「……というか私も!?また飛ばされるの!?」

閣下「フハハハハハハハハハ!!さあ、いくぞ!!」ピューン!




きらり「男の人の背中に乗っかるなんて、小さい時にパパにおんぶしてもらって以来だにぃ……」

きらり「デーちゃん、ありがと……」


~黒ミサ会場~


閣下「諸君、待たせたな!」バンッ

美波「閣下さん、みんな!」

凛「よ、よかった…間に合って…」

蘭子「さすがは我が友、当然の理ね…」

参謀「おっ!みんな集まってるね!よ~し、それじゃ急いで準備しちゃおっか!!」

閣下「……お前達もせっかくなら参加したら?」

蘭子「っ! 福音の時!」

凛「絶対イヤ!」

美嘉「さあ、みんな準備できたら行ってきな!」

「「「はい!!」」」




美嘉「……さっきは取り乱しちゃってゴメン」

閣下「それは、飛行中のことか?」

美嘉「そうじゃなくって! もう!」

閣下「フハハハハ、何、気にするな」

閣下「お前だって、我輩の娘も同然なのだ、いつでも怒り、吠えるがいい」

閣下「我輩はいつだって、それを真正面から受け止める覚悟である」

美嘉「全く、もう……ふふっ」



莉嘉「今日は大変なことがいっぱいあったね~」

みりあ「でも、いつでも笑顔でいなきゃ!」

きらり「ハピハピなことも、いっぱい逃げてっちゃうにぃ!」



美嘉「みんな、いい笑顔だね」

閣下「当然だな、フハハハハ!」

美嘉「閣下も、少しは爽やかに笑ってみたら?」

閣下「我輩は悪の限りに笑ってこそである!フハハハハハハハハハハハハハ!!!」


「夏休み」
https://www.youtube.com/watch?v=mN4h42MCt4c

第10話 Our world is full of panic!! 終

第11話 Can you hear the scream of young girl?


~346プロ 執務室~


みく&李衣菜「ユニットデビュー!?」

閣下「うむ、陛下直々のお達しである」

李衣菜「私達2人で?」

みく「なんで、ありえないにゃ!」

李衣菜「絶対あわないと思うんですけど!」

閣下「そう?我輩は結構おもしろいユニットだと思うけどねえ」

みく「みくはキュートでポップな猫耳アイドルを目指してるんだから!ロックなんてお断りにゃ!」

李衣菜「こ、こっちだって猫耳なんてお断りだしっ!!」

みく&李衣菜「「ふんっ!!」」

閣下「そうか、曲も決まってるんだがなあ…」

みく「み、みく達の曲!?」

李衣菜「どんな曲ですか!?」

閣下「いや、お前達がユニットを組まないのならば仕方ない……この曲は見送ろう…」

閣下「お前達がユニットとしてしばらく試験期間を見るというのならば聞かせても良いのだが…どうしたものか」

みく「むむぅ~、背に腹は代えられんにゃ…」

李衣菜「わ、わかりましたよ、試しにちょっとだけみくちゃんとお仕事してみますから…」

閣下「ホントだな?」

みく「やる!やるから曲を聞かせて欲しいにゃ!」

閣下「李衣菜もいいんだな?」

李衣菜「ロックに二言はありませんからね!」

閣下「フハハハハ!では決まりだ、よろしく頼むぞ!」

李衣菜「あの、それで私達の曲は…」

閣下「ああ、実はアレンジをどうするかマツザキ様と検討中でな、まだ聞かせられる段階ではない」

みく「はあ!?何それ!!」

李衣菜「さっきはユニット組むなら聞かせてくれるって!」

閣下「無論、アレンジの方向性が定まり次第デモ音源を聞かせよう」

李衣菜「騙したんですか!?」

閣下「悪魔だからな!フハハハハ!」

閣下「だが、ロックに二言はないんだろう?」

李衣菜「う、うぐぐ…」

みく「ロックに二言はなくてもみくにはあるにゃ!」

閣下「フハハハハ!聞く耳も猫耳ももたん!」

みく「なんにゃそれー!」

閣下「お前達を選んだ陛下も、そして指示を受けた我輩も、お前達は必ずやいいコンビになると見込んでおる」

閣下「まあやるだけやってみろ、話はそれからだ」


~数日後 346プロ~


閣下「……で、営業先でことごとく諍いを起こしていると」

みりあ「うん、5分に1回くらいはケンカしてるー」

閣下「まあ、仕事先にギリギリ迷惑はかけていないようだから叱りはせんがなあ…」

未央「ねえねえ、なんでダミヤンと閣下はあの2人を組ませたの?」

閣下「んー、だってあの2人が組んだらおもしろそうじゃない?」

卯月「おもしろそう、ですか?」

閣下「ああ、お前達はそうは思わんか?」

未央「うーん、凸凹というにはちょっとねえ…」

閣下「我輩達は満場一致で決定だったんだけどねえ」

莉嘉「ねえねえデーくん、それより、さっきパソコンで作ってたアイドルフェスってなんのこと!?」

閣下「ああ、あれはまだ企画中でな」

みりあ「みんなで出られるの!?」

閣下「もちろんだ、正式に決まったらまた報告するから、他の者にはまだ内緒だぞ?」

みく「い、今、誰かアイドルフェスって!!」ガチャ!

李衣菜「みんなでライブやるんですか!?」

閣下「みく、李衣菜、外から帰ったらまずは挨拶!そして手洗いうがい!」

みく「あ、ただいまにゃ」

李衣菜「今戻りましたー」

卯月「おかえりなさい!」

閣下「うむ、御苦労であった」

みく「そ、それよりライブってみく達も出られるの!?」

閣下「まだ予定ね、予定、あと手洗いうがい」

みく「後でやるにゃ!ライブ…!これで一気に猫耳ブーム到来にゃ…!」

李衣菜「ロックの魅力をみんなに伝えるチャンスかも!」

みく&李衣菜「「………ふんっ!!」」

未央「とことん気が合わないねえ…」

莉嘉「でも、みくちゃんと李衣菜ちゃんのコンビが上手くいかなかったら、2人は出られないんじゃない?」

みりあ「えーっ、みんなで出ないのー?」

李衣菜「い、いや、まさか…」

みく「さすがにみく達だけ出れないにゃんて…」

未央「……そうか、2人はまだ、エーちゃんのレッスンを受けてないんだね…」

李衣菜「へ?」

みりあ「エースさん、すっごく厳しかったよね……」

莉嘉「きらりちゃん、何回も口調が変になってたもんね……」

みく「そ、そんな、大げさにゃ……」

卯月「ニュージェネレーションズも何回も、このままじゃライブには出さないって言われてました……」

未央「あ、なんか思い出しただけでテンション下がってきた……」

閣下「長官の鬼コーチはもはや真泥霊羅プロジェクトの名物となりつつあるからな」

閣下「ま、ミサがやりたきゃ仲良くやんなさい、ということだな」

みく&李衣菜「そ、そんな……」


~翌日 執務室~


閣下「で、なんだって?」

みく「だから!」

李衣菜「ユニットじゃなくて、ソロでデビューさせてください!」

閣下「昨日の今日でこれか……」

みく「そもそも、なんで組ませようとおもったの?」

李衣菜「余ってる2人だからってこと?」

閣下「そんなわけがないだろう、何度も言っているように、お前達が組めばきっと面白いに違いないと思ったからこそだ」

みく「面白そうって……」

李衣菜「だから、それがどういうことなのかって……」

閣下「悪魔の第六六六感がそう感じたのだ、こればかりは信じてもらうしかないな」

閣下「だが李衣菜よ、ロックに二言はないのではなかったのか?」

李衣菜「いや、それは…」

閣下「みくも、一度やると決めたのならやり通すのがプロではないのか?」

みく「それは、そうだけど…」

閣下「……はあ、だが、やりたくないものを無理強いしても仕方がないな」

みく「! それじゃあ!」

李衣菜「私達はソロで!」

閣下「うむ、ただし、曲のアレンジなどが全て振り出しに戻るため教典デビューは先送りである」

李衣菜「えっ、じ、じゃあライブは…」

閣下「間に合わんのだから見送る他ないな」

みく「……あーっ、考えてみたらユニットも悪くないかもしれないにゃ!もう一回試してみようかなーって!」

李衣菜「そ、そうそう!私達、お互いのことをよくわかってないと思うし?」

みく「うんうん!コミュニケーション不足にゃ!」

閣下「なるほど、もっと互いを知り合う機会さえあればいいのか」

李衣菜「その通り!」

みく「時間をかければわかりあえるにゃ!」

閣下「……ふむ」


~ ? ~


みく「…………ここ、どこ?」

李衣菜「私達、346プロにいたはずじゃ…………」

閣下「ということで、悪魔の森の奥深くにある一見何の変哲もない古い屋敷にやってきたのである~」

みく「はあ!?」

李衣菜「悪魔の森!?」

閣下「うむ!先ほど入ってきた扉と悪魔の森を繋げてみたのだ」

閣下「お前達にはしばらくこの館でルームシェアをしてもらう!」

みく「そ、そんないきなり…」

閣下「これはプロデューサーとしての決定事項だ、生活に必要最低限のものだけ後で各々もってくるといい」

李衣菜「でも、こんな広い屋敷に2人って…」

閣下「ん?この屋敷で暮らすのはお前達2人だけではないぞ?」

みく「どういうこと?」

李衣菜「も、もしかして他の子もここで!?」

閣下「紹介しよう、この館を管理する謎の老人だ」

謎の老人「…………」グッ!

みく「ひいいっ!い、いつの間に!」

閣下「そしてお前達を温かく見守る蝋人形の皆さんだ」

蝋人形s「「「「…………」」」」グッ!

李衣菜「怖ぁっ!!!」

閣下「困ったときは謎の老人に頼るといい」

謎の老人「…………」イエーイ

閣下「あと、蝋人形達は夜な夜な元に戻せと泣き叫ぶがあまり気にしなくていい、そういう年頃なのだ」

蝋人形s「「「……///」」」テレテレ

みく「いや、こんなところで生活とか無理に決まってるにゃ!!」

李衣菜「そうですよ!コミュニケーション以前の問題です!」

閣下「そうか?住めば都というであろう」


みく「まず住むのが無理なの!」

李衣菜「私達が蝋人形にされちゃったらどうするんですか!」

閣下「大丈夫、昨今は蝋人形にしてほしいという奴があまりにも多いせいで地獄の蝋人形工場はそりゃもう大忙しのてんやわんやさ」

閣下「わざわざ嫌がる少女を捕まえているヒマも無いくらいさ」

閣下「よって――――お前達は蝋人形にはしてやらない」

みく「…………」

李衣菜「そりゃあ、どうも……」

閣下「では、あとは若い二人に任せて我輩は行くとしよう」

みく「え、デーちゃん、行っちゃうの!?」

李衣菜「そんな、これからどうすれば…」

閣下「ここでのことは謎の老人に聞け、住めば都だが、郷に入りては郷に従え、仲良くな」

みく「ちょっ!」

李衣菜「そんな……」

謎の老人「…………」チョンチョン

みく「ひっ!」

李衣菜「な、なに!?」

謎の老人「…………」アッチアッチ

みく「え? あっちに何かあるの?」

李衣菜「そういえば、なんか美味しそうな匂いが…」

謎の老人「…………」

みく「ポンクシチュー……晩ご飯、用意してくれてるの?」

謎の老人「…………」ウン

李衣菜「そういえば、お仕事終わってから今日はまだ何も食べてないっけ……」

謎の老人「…………」イッパイアルヨ

みく「…………とりあえず、デーちゃんへの文句はご飯を食べてから考えるにゃ」

李衣菜「…………そうだね」

みく「ポンクシチューって何が入ってるの?お魚は入ってない?」

李衣菜「え、みくちゃんって魚ダメなの? ネコキャラなのに」

みく「それとこれとは話が別なの、みくはお魚が大の苦手にゃ」

謎の老人「…………」


~翌日 執務室~


閣下「モ・ナ・リッザもお~♪ミロのっヴィーナスぅ~もぉ♪」

みく「デーちゃん、ここにいたにゃあ!ただいま!」バーン!

李衣菜「私達の話はまだ終わってないですよ!今戻りましたぁ!」

閣下「おお、今日もご苦労だったな」

閣下「どうだ、調子は」

みく「どうもこうもないにゃあ!」

李衣菜「寝てる最中ずっと隣の部屋からすすり泣きが聞こえて怖くて眠れませんよ!」

閣下「フハハハハ!楽しそうで何より!」

閣下「そうだ、我輩もちょうどお前達を呼ぼうと思っていたのだ」

閣下「今日からお前達を鍛えるスペシャルコーチ陣を用意した」

みく&李衣菜「「……コーチ?」」


~レッスンルーム~


閣下「今日諸君らに集まってもらったのは他でもない、お前達のコンビネーションについてだ」

閣下「みく、お前はどんなアイドルになりたい」

みく「何度もいってるけど、キュートでポップなアイドルにゃ!それ以外考えられないにゃ!」

閣下「李衣菜は?」

李衣菜「やっぱ、クールでロックなアイドルでしょ!」

閣下「と、この通り、お前達は全く方向性の合わないコンビに見える」

みく「その通りにゃ!」

李衣菜「正直、みくちゃんとは音楽性があいませんよ…」

閣下「だが、我輩はこう思うのだ、『なぜ、最初から二つを分けて考えるのか』、とな」

閣下「お互いのやりたいことが違うなら、一緒にやってしまえばよいではないか」

閣下「『キュートでポップでクールでロックな』アイドルを目指せばいいだけの話だ!」

李衣菜「そんな無茶な……」

閣下「これは断じて無茶などではない、ただ先人がおらんだけだ」

閣下「つまり、お前達は史上初、唯一無二のアイドルユニットとなるのだ!」

みく「そういう風に聞くと、なんかそれっぽいけど…」

閣下「一つの道を極めるのは確かに容易ではないし立派なことだ、現に日本には『八方手を出す人は身が持てぬ』という諺もある」

閣下「だが、我輩はその考え方は断じて気に食わん!」

閣下「みくよ、アイドルとはなんだ?」

みく「見てる人を、楽しませる人?」

閣下「その通り、アイドルとはエンターテイナーであり、その目的とは相手を楽しませること、これに尽きる」

閣下「そのためだったら何をやってもいいし、どんな努力も惜しまない、どんな新しいことをしても許される、いや斬新であるほど評価されるべき、それがアイドルだ」

閣下「キュートでポップ、クールでロック、なるほど似つかわん、だがそれを合体させてはいかんと誰が決めた」

閣下「神か? ならば余計それをぶち破ってこその真泥霊羅プロジェクトである!」


閣下「陛下と我輩がお前達を組ませたのは、お前達ならばきっと既存のアイドル像をぶち壊し、新たな面白すぎるアイドル像を生み出せると思ったからだ」

閣下「我輩の話を聞いてもなお、お前達はコンビが不可能だと思うか?」

みく「デーちゃんの言いたいことはわかったにゃ、でも……」

李衣菜「いきなり私達の考えを合体させるって言われてもどうすればいいのか……」

閣下「心配ない、そのためのスペシャルコーチ陣を用意した、入るがいい」

殿下「失礼する!」コンコンガチャ

殿下「閣下から話は聞いた! 新しい道を踏み出す覚悟、我輩は素晴らしいと思うぞ!」

ジェイル「どうも~」

閣下「紹介しよう、ご存知ライデン湯澤殿下と、こちらははじめましてだな、ジェイル大橋代官だ!」

李衣菜「ライデンさん!」

みく「こ、こっちの人……じゃなくて悪魔さんは?」

閣下「この2名はそれぞれ聖飢魔IIのキュートとロック担当だ」

閣下「殿下は普段は力強いが食事中や普段の動きが非常に可愛らしいと評判なのでキュート担当」

殿下「いやあ、なんかそういう風に聞くと照れるね」

閣下「そして、我々の方向性に反発し禁じられし人間との恋に落ち聖飢魔IIを追放され単身アメリカに渡りギター一本で戦った代官はロック担当」

ジェイル「俺も改めて言われると照れるわ」

李衣菜「す、すごい……ロックだ…」

みく「李衣菜ちゃんが霞んで見えるほどにロックにゃ……」

李衣菜「あ、あの! ロックってなんですか!」

みく「ついに聞いちゃったにゃ……」

ジェイル「尖り続けることかな」

李衣菜「か、かっこいい……」

みく「ロックにゃ……」

ジェイル「ま、俺も最近は音楽の中でだけ尖ればいいやって感じだけどね~」

李衣菜「し、師匠と呼ばせてください!」

ジェイル「いいよ~」

みく「…………ねえ、ライちゃん、キュートって何?」

殿下「振り向かないことじゃないか?」

みく「それは若さにゃ」

閣下「こういうところも殿下のキュートなところだな」

閣下「ともあれ、この2名はまるでタイプの違う音楽家でありながらステージの上では抜群のコンビとなる」

閣下「お前達に渡す曲は偶然にも2名のコンビネーションが冴え渡る曲、その極意を盗み出してみせろ」

殿下「よろしくな!」

ジェイル「言っておくけど、俺はエースより厳しいからね~」


~蝋人形の館~


みく「た、ただいまにゃ……」

李衣菜「おかえり…………ただいまー」

みく「おかえりにゃ……疲れた…………」

蝋人形s「…………」オカエリ

謎の老人「…………」ゴハンデキテルヨ




みく「デーちゃん、やることはめちゃくちゃだけど、ちゃんとみくたちの事考えてくれてるにゃ」カチャカチャ

李衣菜「うん、方向性が違う私達をちゃんとまとめて、私達がやりたいこともちゃんとさせてくれようとしてる…」モグモグ

みく「ねえ、李衣菜ちゃんは、キュートでポップでクールでロックなアイドル、出来ると思う?」パク

みく「みくは、やっぱりそれってスゴく難しいと思うにゃ、デーちゃんは簡単に出来るっていうけど誰にでもできることじゃないって思うにゃ――――でも」

李衣菜「ん~、確かに私もそう思うけど、だからこそやってみたいって、思うかな」

みく「!」

李衣菜「私達を信じてくれる閣下や、師匠達の期待に応えたい、それって、結構ロックかなーって」

李衣菜「あ、ゴメンみくちゃん、なんか言ってる途中だった?」

みく「…………ううん、明日からもがんばるにゃ!」



~数日後 シンデレラプロジェクトルーム 執務室~


閣下「ふむ、歌えるアイドル、ですか」

陛下「うむ、2日後のミサでメインアクトを務める予定の者が急遽出られなくなったらしくてな」

陛下「346プロで演者を探しているというから枠を奪ってきた」

閣下「また急な……」

陛下「誰か出られるものはいないか?」

閣下「確認はしてみますが……」


みく「あ、あの!」コンコン!


陛下「ん? 入るが良い」ガチャ

閣下「どうした?」


みく「あの!そのイベント、みくたちにやらせてもらえませんか!」

李衣菜「え…?」

閣下「……だが、お前達はまだ合わせて歌ったこともないだろう」

李衣菜「そ、そうだよ…」

みく「でも……でも!」

陛下「……決定だな」

閣下「陛下! さすがに…!」

陛下「やってみせるのだろう?」

みく「はい!ありがとうございます!」

陛下「よい、私はアニマルプリントが好きだからな」

陛下「みく君、次は猫耳ではなくジャガー耳をつけるといい」

陛下「ではデーモン、後は任せたぞ」

閣下「…………はっ!」



ジェイル「へ~、そんなことがねえ」

殿下「まあ陛下らしい話だね」

李衣菜「なんであんなこと言ったの?」

李衣菜「閣下も言ってたけど、私達まだ2人で歌ったこともないのに…」

みく「……ごめんなさい、でも、チャンスを無駄にしたくなかったの」

李衣菜「……チャンス?」

みく「みくはもう、待ってるだけはいやなの」

閣下「…………」

みく「ようやく選ばれて、でもユニットは上手くいってなくて……」

みく「でも、なんとなく良くなるのを待つのは嫌なの!」

李衣菜「みくちゃん……」

みく「これは、チャンスだと思う、みくたちがなりたいアイドルになるための、第一歩を掴むチャンスだと思う」

みく「確かに、大変だと思う、けど、これしきのことも出来ないんじゃキュートでポップでクールでロックなアイドルになんてなれっこない」

みく「だから……」

殿下「――――素晴らしい!」

みく「っ!」

殿下「みくくん、李衣菜くん、生きていく上で最も大切なことは何かわかるか?」

李衣菜「………?」

殿下「それはな、自分の力を信じることだ」


殿下「自分の力を信じ一歩を踏み出すこと、これが本当に大事なんだ」

殿下「みくくんは、今まさにそれを行っているところだ、我輩はそれを本当に素晴らしいと思う!」

殿下「Go Ahead!! 我輩に出来ることならなんでもしよう!前進あるのみ!」

みく「ライちゃん……」

ジェイル「そうだね、でも、李衣菜ちゃんはまだちょっと怖い?」

李衣菜「はい、だって上手にできるかもわからないし……」

ジェイル「うんうん、わかるわかる」

ジェイル「でも、じゃあさ、いつになったら李衣菜ちゃんは上手にできるの?」

李衣菜「そ、それは……」

ジェイル「ライブってさ、そういうことじゃないと思うんだよね」

ジェイル「そりゃあ失敗して笑われて馬鹿にされるのはいつだって怖いよ」

ジェイル「でもそれでもステージに飛び込んでって、俺をバカにしようとする奴らは全員音楽でやっつけてやる」

ジェイル「で、ぶん殴ってぶん殴られてるうちに気づいたらちょっと上手くなってりゃいいやっていうのがロックってもんでしょ」

李衣菜「師匠……」

ジェイル「それに、仲魔を見捨てるのはロックじゃないしなにより…」

ジェイル「後先考えずに尖っていくのがロッカーだろ?」

李衣菜「……はい!」

閣下「…………」

李衣菜「閣下、私からもお願いします!」

閣下「2人の思いはわかった、だが、実際問題として音源がまだ出来上がっておらん」

李衣菜「なら、今回だけ他の子の歌を…!」

閣下「いや、それは許可できん」

みく「そんな……」

閣下「よって、お前達は再編曲一切無しの聖飢魔IIの音源で歌ってもらう」

みく「えっ? それって……」

ジェイル「おお~」

閣下「大魔王を前にあれだけの大見得を切ったのだ、それくらいはこなしてくれるのだろう?」ニヤリ

李衣菜「……や、やってやりますよ!」

みく「ちょ、李衣菜ちゃん!」

李衣菜「私だって、ホントはみんなよりずっとライブとかやりたかったんだから!」

李衣菜「目の前にぶら下がってるのに、黙って諦められないっての!ウッヒョー、燃えてきたぁ!」

閣下「そうだ、真泥霊羅プロジェクトの中でもお前達は最も熱い思いを解き放つことも出来ず燃やし続けてきた2人」

閣下「そんなお前達がその手で勝利を呼ばんとすることを阻める者はない!」

閣下「戦闘服もこちらでなんとかしよう、お前達は今から即レッスンだ!」

みく&李衣菜「「はい!」」

閣下「殿下、ジェイル、2人を頼むぞ」

殿下「おうよ!」

ジェイル「オッケー!」

閣下「さあ、諸君、進撃である!」


~2日後 黒ミサ会場~


閣下「練習時間は僅か、戦闘服は急拵え、音源は昨日突貫でレコーディングを行ったばかり、だが客入りは上々、つまり状況は最悪!フハハハハ!素晴らしい!」

みく「なんで最悪なのに喜んでるにゃ…」

閣下「悪魔にとって最悪とは最高ということだからだ!」

李衣菜「そうなんだ、なんかロック…」

閣下「ここに来ている誰一人、お前達のこともお前達の歌も全くしらん」

閣下「お前達が盛り上げようとしてもなかなか盛り上がらんだろうし、盛り上げても覚えてもらうユニット名もまだない」

閣下「そのくせきっと失敗すれば白い目で見られるだろう………だが!」

閣下「このステージを成功させた暁には、間違いなくお前達の目の前には勝利者への道が写っていることだろう!」

閣下「みくよ、今回の曲はお前が望んだポップな曲ではない」

みく「全然平気にゃ!どんな曲でもみくのネコちゃんパワーで可愛くしてみせるにゃ!」

閣下「李衣菜よ、今回の戦闘服はロックなものを用意することが出来なかった」

李衣菜「へへっ!ロックはハート、この衣装じゃ包みきれない私の熱いソウルを見せちゃいますよ!」

閣下「フハハハハ!それでよい!」

閣下「さあ行くのだ!そして、アイドルとはかくあるべきと固定概念に囚われた者達に史上最低最悪、最強のアイドルの姿を見せてやれ!!」

みく&李衣菜「「はい!」」




李衣菜「緊張、してる?」

みく「もちろん、でも、それと同じくらい楽しみにゃ」

李衣菜「曲名、ホントにあれでいいの?」

みく「一応ライちゃん達の許可は取ったし、たまにはみく達がデーちゃんを驚かるにゃ!」

李衣菜「そっか、うん、そうだね!」

みく「みくたちは悪魔のロックな曲でも――」

李衣菜「――キュートでポップに歌いあげちゃう、そんなアイドルになるんだからね!」

みく「じゃあそろそろいくにゃ!」

李衣菜「うん!


「「いえ~い!!みく&李衣菜です!!私達の歌、聞いてください!!」」


「OωOverture~Winyar!!」
https://www.youtube.com/watch?v=xB6TC1r1l-0

第11話 Can you hear the scream of young girl? 終

今日はこの辺で
明日は最後までいきたいと思います
21時には始められるかも

~数日後 執務室~

閣下「それにしても、まさか曲名を変えられるとは……」

李衣菜「もういいじゃないですか~」

みく「そうそう、いつまでも細かいところに拘ってたらダメにゃ」

閣下「まあいい、で、このユニットで教典デビューということでよいのだな?」

李衣菜「はい、2人で最強のアイドル、目指すのもいいかなって」

みく「やりたいこと全部やって、一番みく達らしいユニットにするにゃ!」

閣下「そうか、お前達ならきっとできるだろう」

閣下「なにせ、悪魔の曲まで自分たちの色に染めてしまうのだからな!フハハハハ!」

ちひろ「失礼します」コンコンガチャ

ちひろ「閣下、アイドルフェスの企画書を提出したいので、みくちゃんと李衣菜ちゃんのユニット名をそろそろ決めていただきたいのですが…」

閣下「おお、そうだった!今日はそれを発表しようと思っていたのだ」

李衣菜「ユニット名、決まったんですか!ウッヒョー!」

みく「なになに!?」

閣下「Astarisk――ラテン語で小さな星、という意味だ」

李衣菜「アスタリスク……なんかロックかも!」

みく「可愛くていい感じにゃ!」

ちひろ「なるほど、ではユニット名はアスタリスクで提出しますね」

閣下「フハハハハ!これでユニット名も決まり、本格スタートだ!」

閣下「改めて、Astarisk、進撃である!」

「「はい!」」


第11話 Can you hear the scream of young girl? 終

21時には始められるかもとか言っておいてこんな時間になってしまった……
これもゼウスの妨害か…

随分遅くなってしまったが最終話までいきたいと思います
HTML化依頼って明日でもいいんだろうか?


第12話 The curse needed for a flower to bloom.



~346プロ シンデレラプロジェクトルーム~


閣下「来たる346プロ夏の大黒ミサに向けて、地獄の魔改造合宿を行う!」

みりあ「合宿!? 何するの!?」

閣下「無論、血も凍るようなそれはそれは恐ろしい拷問の日々が…!」

かな子「一日中練習かあ……ちょっと大変そうかも…」

智絵里「で、でも、みんなが一緒なら大丈夫だよ!」

閣下「この魔改造合宿を終えた時、諸君らはもはや今の姿を保ってはいられんだろうなあ…!」

きらり「うきゃー!スーパーアイドルきらりん誕生!?やばーい!」

莉嘉「アタシももーっとセクシーになっちゃうってこと!?」

閣下「もはや崩壊の時はすぐ側にまで迫っているぞ、フハハハハ!」

杏「あー、もうフェスまで時間もないもんねー」

閣下「…………ということで、保護者や学校への手配はこっちで済ませたから、みんなは準備しておいてね」

アーニャ「合宿、楽しみ、ですね」

未央「それにしても、みんな随分と悪魔の扱いにも慣れたよね~」

みく「デーちゃん、なんか蘭子ちゃんみたいだったにゃ…」

蘭子「ククク、さすがは我が友、魂の波動を同じくする存在…」

李衣菜「でも合宿かー、何持って行こうかなー」

卯月「お菓子はいくらまでなんでしょうか?」

凛「卯月、遊びに行くんじゃないんだよ?」

閣下「今日の連絡事項は以上、あとは配布した資料に目を通しておくように」

美波「『悪い子のための世にも恐ろしい魔改造合宿のしおり』、悪魔さんっていちいちこういう言葉を挟まないと気がすまないのかしら…?」

閣下「ああ、あと美波は執務室まで来るように」

美波「え? あ、はい!」

みく「美波ちゃん、なんかしたの?」

美波「ううん、特に見に覚えはないけど…」

莉嘉「もしかして、愛の告白とか!?」

きらり「キャー!やばーい!はっずかすぃー!」

アーニャ「……美波?」

美波「……ま、いいわ、閣下さんのことだし、心配することもないでしょう」


~執務室~


美波「失礼します」コンコンガチャ

閣下「おお、来たな、まあ座れ」

美波「はい、あの閣下さん、どうして私だけ呼ばれたのでしょうか?」

閣下「うむ、それはだね、あ、ちひろくん、梨でも剥いてあげなさい」

ちひろ「そういえば、この間いただいたのがありましたね、はい、わかりました!」

美波「そんな、気を使っていただかなくても!」

閣下「まあまあ、茶も入れたてだ、飲むが良い!」




~シンデレラプロジェクトルーム~

莉嘉「デーくん達、なんの話してるんだろ?」

未央「むむむ、これは事件の香り!」

卯月「莉嘉ちゃん、未央ちゃん、盗み聞きなんてダメですよ!」

未央「いいじゃんいいじゃん~、どうせ後でミナミンに聞けばわかるんだからさ~」

みく「じゃあ余計聞き耳を立てる必要ないにゃ」

莉嘉「こういうのは、お約束、って奴なの!」

みりあ「私もやりた~い!」

きらり「みりあちゃんは、ダ~メ!」

みりあ「ええ~、なんで~」

未央「しっ!静かに!」

莉嘉「何か聞こえるよ!」


『……閣下…どうした……の?』

『…………それは…ね…………』

『そんな……』

『ままあ……茶…入れ…て…!』


未央「」

莉嘉「」

卯月「ど、どうしたんですか!?」

みりあ「なになに~?」

未央「か、かかか、閣下が………」

莉嘉「美波ちゃんのこと、『ママ』って呼んでた………」

みく「え、色々酷くない?」

きらり「き、きっと聞き間違いだにぃ!」

莉嘉「そんなこと…!」

長官「――そんなことはない!」


未央「エーちゃん、いつの間に!?」

長官「実は、そうなんだ、みんな……!」

卯月「そう、って?」

長官「閣下は実は、地獄一のマザコン野郎なんだ!」

みりあ「まざこん、って何?」

卯月「さあ…?」

きらり「ママのことがだ~い好きって意味だよ☆」

みりあ「そっかぁ!じゃあ、私もマザコンだね!」

卯月「あ、なら私も! 島村卯月、マザコンです!」

長官「以前の梨剥いて事件では悪魔は皮ごと食べるという特性から決定打には至らなかった……駄菓子菓子!」

長官「今回のお茶は言い訳のしようがない! それに相手は未だ19歳の美波ちゃん!」

長官「これは週刊誌に高く売れるwwwwww」

未央「あ、あの、エーちゃん、そのくらいにしておいたほうが……」

莉嘉「そ、そうだよ……だってこの流れは……」

長官「いいや、今回ばかりは俺の勝ちだね!このレコーダーを売れば、閣下の権威も失墜して…!」

閣下「ほう、これがそのレコーダーとやらか」グシャ

長官「あ!ちょっと何するんすか!それを壊したら証拠が!」

閣下「おお、それは悪いことをしたな」

長官「まあいいですけどね、俺が直々に出版社までいけばいいだけなんでwwwww」

閣下「そうか、で、長官よ」

長官「はい」

閣下「我輩があの一件で大いに地獄の笑い者にされたのは知っているな?」

長官「はい」

閣下「地獄一の寛大さを誇る我輩が、あの一件に関しては非常に憤慨したのも知っているな?」

長官「はい」

閣下「で、貴様は今から出版社に行くのか?」

長官「行きません」

閣下「ではほとぼりが冷めた頃に行くのか?」

長官「は………いいえ」

閣下「そうかそうか、では許そう」

長官「ありがとうございます」

閣下「特別に処刑は免除だ、嬉しいか?」

長官「はい」

閣下「うむ、貴様が嬉しいと我輩も嬉しいぞ」

長官「はい」

閣下「では、長々とやってしまったがこの辺でいいか」

長官「……はい」

閣下「――――あれだけ言ったのに、まだわからんのかあああああああああああああああああ!!!!!!」ロウニンギョー!

長官「」


~執務室~


閣下「全く、あの阿呆は……」

美波「あ、あはは……」

閣下「話が脱線してしまったな、美波よ、お前にする話というのは他でもない魔改造合宿のこと」

閣下「実は、今回の魔改造合宿では全体曲を新たに入れ、その練習も行ってもらおうと思っている」

美波「全体って、ユニットのみんなで歌うってことですか?」

閣下「その通り、346プロ夏の大黒ミサは必ずや真泥霊羅プロジェクトの今後を決める大一番となるであろう」

閣下「プロジェクトの全員が初めて共に歌うのにこれほど相応しい舞台はないだろうよ」

美波「……あの、なんでそんな大事な話を私だけに?」

閣下「うむ、実はな、その全体での練習におけるまとめ役をお前に頼みたいのだ」

美波「私が、ですか?」

閣下「ああ、プロジェクトの最年長であり皆の信頼も厚く真面目で努力家、包容力もある」

美波「そんな、私はそんなに大したことは」

閣下「いや、これまでお前をずっと見てきたからこそそう思い、また頼みたいと思ったのだ」

閣下「頼めるか?」

美波「…………」

閣下「……不安か」

美波「……いえ、まとめ役をするのはいいんですけど……」

美波「全体曲のことが気になって……」

美波「フェスまであまり時間もないですし、今からだと大変じゃないかって……」

閣下「無論、とてつもなく大変だろうな」

閣下「だが、お前はラブライカにおいてそのとてつもなく大変なことを乗り越えた」

閣下「お前だけではない、他の者も皆乗り越えて、その先には素晴らしい景色を見たのではないか?

美波「…………」

閣下「我輩は、今度はお前達全員と、またあの素晴らしい黄金の都を見たいのだ」

美波「……閣下さん」

閣下「そして我輩は、お前はその船頭になれる器だと確信しているぞ」

美波「わ、わかりました、新田美波、まとめ役やらせていただきます!」

閣下「うむ、頼むぞ、美波」

閣下「何、心配することはない、逆らうものは皆蝋人形にしてしまえ!フハハハハ!」

美波「わ、私はそんなことできませんっ!」

閣下「ああ、あと我輩は合宿のうち数日間は参加できん」

美波「? どうしてですか?」

閣下「ここのところプロデューサー業務が忙しくて地獄での仕事が山積みでな…」

美波「な、なるほど」

閣下「大丈夫、もし何かあったらすぐに連絡すれば、地獄の果てからだろうと駆けつけるさ」

美波「……ふふっ、閣下さんが言うと、冗談に聞こえませんね、それっ」


~数日後~


閣下「フハハハハ!着いたぞ、魔改造合宿の行われる村、略して『魔改村』!」

凛「その呼び方、大丈夫なの?」

閣下「フハハハハ!大丈夫でなくとも悪魔には問題ないことである!」

アーニャ「今日の閣下、いつもより元気です」

李衣菜「合宿で浮かれてんじゃない?」

みりあ「ねえねえ、海だよ!」

莉嘉「すごーい!行ってみよ!」

閣下「待て!まずは宿舎に行って現地の方々に挨拶をした後、荷物を置き各自部屋の位置などの確認をしたら体育館に集合するのだ!」

杏「しおりを見ても思ったけど、なんでそんなに体育会系なのさ」

智絵里「でも合宿後半には『布教のための現地の人々との触れ合い体験』とか、『山や海における現地球の生態系調査』とかもあったよ?」

かな子「『人間による他生物の奴隷化状況の調査』では採れたての新鮮なミルクでアイスクリームが作れるんだって!」

未央「ハードなスケジュールの中でもレクリエーションや小さい子達の思い出作りに余念がない、閣下、なんて酷い悪魔なんだ…!」

閣下「我々悪魔がこの地を支配した時、情報が足りんようでは恐怖政治に差し支えるからな」

卯月「えへへっ、どれもとっても楽しみです!」

閣下「それと、置き去りにされた者への施し代を忘れた者はいないな?」

蘭子「ここまで辿りつけなかった者たちへの祈りに何を捧げるか、悩ましいわね…」

きらり「きらりは、パパとママにいーっぱいお土産買ってあげゆ!」

閣下「あと、宿舎の方の親切で我々がこの地を支配した証を残せる運びとなった」

みく「ああ、だから急にサインの練習をするようにいったのにゃ」

閣下「フハハハハ!恐怖の魔改造合宿は今より始まる!一同、解散!」


~夜~

閣下「一同、集合!」

閣下「諸君、魔改造合宿初日ご苦労であった」

閣下「諸君らにはこの調子で更なる発展を期待している」

未央「まっかせてよ!絶対にいいライブにするから!」

閣下「うむ、大いに楽しみである」

閣下「だが諸君らには申し訳ないことに、我輩は数日の間だが一時帰獄することとなった」

みりあ「かっか、帰っちゃうの!?」

閣下「すぐに戻ってくる予定だ、心配することはない」

閣下「そして我輩がいない間のまとめ役を設けることにした、美波」

美波「はい」

閣下「我輩がいない間は美波が代わりに諸君らをまとめる」

閣下「では美波、最初の仕事を」

美波「はい、今度のフェスではユニット曲の他に、私達全員で新曲を歌います!」

莉嘉「楽しそう!」

杏「また仕事が増える…」

美波「明日から、ユニット練習は午前まで、午後からは新曲の練習します」

閣下「全員で歌うのは大変だろうが、諸君ならできると信じているぞ」

閣下「美波、では後のことは任せたぞ」

美波「はい!じゃあみんな、今日はゆっくり休んで、明日からまた頑張りましょう!」

「「「「「はい!」」」」」


~翌日 346プロ~

ムハハハハハ!デーモンである!

今までと笑い方が違うだと?そんなことはどうでもよい!

ところで諸君、我輩は今地上の346プロというところにいる。

ここまでよく付き合って読んできた真面目な信者諸君ならば「オメエは地獄に帰ったんじゃねえのかよ」とツッコミを入れていることだろう。

確かに、我輩は昨夜魔改村においてアイドル達に一時帰獄すると言った、だが、あれは実は真っ赤な嘘だったのだ、悪魔が嘘をつくのは当然だろう、グワッハッハッハ。

そして、我輩がどうして嘘をついてまで346プロに戻ってきたかと言うと、それは今とある極秘計画が水面下で行われているからに他ならない。

聖飢魔II構成員が346プロでの世を忍ぶ仮の仕事を終え駅前の居酒屋で飲んでいた時のこと、

「いやあ、それにしてもアイドルの娘達はみんな真面目な子ばかりだねえ」

「ライブもすごい熱心に楽しそうにやってるよねー」

「俺達も久々にライブやりたいよねー」

という感じの話をしていた。

今は恐怖の黒幕としてアイドルを裏から操る我々ではあるが、やはりステージにかける思いは人一倍、いや悪魔一倍強いものがある。

そして誰かがふと言ったのだ。

「じゃあ、今度の大黒ミサで聖飢魔IIも出ちゃいます?」と。

最初は「いやあ、アイドルのイベントに俺達が出るのもねえ」「サイリウム投げられたらどうすんだよ」とか皆口々に言っていたのだが、

また誰かが「でも、正直俺ら、アイドルのライブに出るよりアウェーなこといっぱいやってきたよな…」とこぼしたのである。

そうなるともう止まらない、よし決めた、出よう、という流れになり我々は翌日すぐに346プロのアイドルフェスを管轄する部署に行き

「俺達を出しやがれ」と打診にしたのである。


ちなみに余談だが、我輩は346プロにおいて”真泥霊羅プロジェクト 恐怖のプロデューサー”という肩書を名乗っている。

しかしこれは決して346プロに雇われているわけではない、むしろ逆で我々が346プロに対して「お前らを悪魔の活動拠点にしてやる」と言って牛耳っているのだ。

そう、何を隠そう346プロは悪魔教会だったのである!

よって、以前キャンディアイランドが出演した番組に我々悪魔が出演したのも全ては教会をあげての布教活動だったのである、ガッハッハ。

つまり346プロは基本的には我々の支配下にあるのだが、さすがに悪魔がイベント出演というのには「いやあ、さすがに勘弁してください…」と断られてしまった。

正直、かなり無茶を言っているのはわかっていたし、1日明けて酔いも冷めていた我々もそれ以上強気にはなれず、「そこをなんとかお願いできないですかねえ」と頼み込んだ。

すると、「本番中はさすがに無理ですけど、イベントが終わってお客さんが完全にはけた後でしたら少しだけなら…」と言うではないか!

実はこの妥協こそ悪魔の罠、あえて下手に出ることで譲歩案を引っ張りだす作戦だったのである、あのスタッフ見事に騙されやがって、ヘッヘッヘッ。

「客がいねえんじゃただの練習じゃねえか」とも思ったのだが、「まあアイドルやスタッフ達に見てもらえばいいか」ということになり、

見事ここに超期間限定・再集結聖飢魔IIが誕生したのである、ウァッハッハッハッハッハ。

で、「せっかくならアイドルのみんなには内緒にしようか」ということになり此度の極秘計画ができたのである。

不運なことに(人間で言うところの「幸運なことに」)346プロは社内にスタジオ設備も充実しており、

その環境は構成員が皆仕事終わりに空いている部屋で毎日勝手に演奏をおっぱじめるレベルのものが揃っていたため、

「じゃあわざわざ地獄で練習する必要もないね」と仕事終わりに集まりそのまま346プロで練習しているのだ。

ただ、他の者と違い、今はアイドル達もおらず夜まで時間を持て余しているのが現実、

よって、今回は特別に我輩が346プロで真泥霊羅プロジェクト以外のアイドルに対してどのような布教を行っているのかを一つご覧に入れよう。


閣下「それにしてもやることがない、そうだ、録画していた相撲中継でも見るか」

?「そ、そのベルトは…!!」

閣下「む?」

南城光「ね、ねえ!そのベルトってBLACKのベルトだよね!?」

閣下「フハハハハ!よく気づいたな!」

閣下「いかにも! これは我輩が奴を倒した証として奪い取ったものだ!」

光「奪……った……?」

閣下「その通りだ」

光「う、嘘だ!BLACKが負けるはずがない!」

閣下「このベルトが何よりの証拠だろう?」

光「だって……光太郎はこの世に太陽がある限り何度でも蘇るって……」

閣下「奴は非常に手強いライダーであった、だが勝ったのは我輩だ」

光「もしかして、アンタが悪魔のプロデューサー…?」

閣下「いかにも、我輩こそ真泥霊羅プロジェクトの恐怖のプロデューサー、デーモンである」

光「……返せ!そのベルトを返せ!それは、悪が持ってちゃいけないものだ!」

光「子供達の夢を守り、希望の光を照らす正義のヒーローの証なんだ!」

閣下「……娘、お前の名は?」

光「南城光、未来の正義のヒーローだ!」

閣下「ふむ、光よ、貴様は神の作った正義を信じる者か?」

光「神も悪魔も関係ない!誰かの笑顔のために、誰かの役に立つ為に戦うのがアタシの正義だ!」

閣下「……フハハハハハハハハハハ!」

光「な、何がおかしい!」

閣下「いや、すまん、バカにしたのではない」

閣下「それで、我輩を倒すか? 我輩はお前より間違いなく強いぞ?」

光「強くても倒す!」

閣下「きっと負けるぞ?」

光「負けても立ち上がる!」

光「正義の味方は挫けない!」

閣下「――見事だ、小さなヒーローよ」


閣下「正義の味方を名乗る以上、貴様は間違いなく我輩の敵である」

閣下「だが、だからこそ言わせて欲しい、その魂、敵ながら天晴であると」

閣下「光よ、いつでも我輩にかかってくるがいい」

閣下「貴様が勝った時は、このベルトはお前に渡そう」

光「絶対勝つ!」

閣下「フハハハハ!楽しみにしているぞ!」

閣下「それにベルトの1つくらい惜しくはない」

光「どういうことだ?」

閣下「我輩はこのベルトの他にアマゾンとスカイライダーとスーパー1のベルトも持っているからな」

光「ほ、ホント!?」

閣下「ああ、今度持ってこようか?」

光「見たい!」

閣下「よし、ではそのうち屋敷から持ってこよう」

光「ありがとう!」

閣下「フハハハハ!しかし光よ、その歳でこのベルトに気がつくとは、貴様かなりのヒーロー好きだな?」

光「うん! あと怪獣映画とかも好き!」

閣下「おお!それはいい、実は我輩は地獄において怪獣の声研究家という肩書も持っているのだ!」

光「おお、閣下も怪獣好きなの?」

閣下「もちろんだ! 知ってるか、ゴモラには声帯が二つあるのだ」

光「そうなの!?」

閣下「フハハハハ!これは我輩しか知らない事実だ」

閣下「だが、光よ、なぜヒーローを目指す貴様がアイドルを名乗っているのだ?」

光「だって、アイドルでもヒーローでも、誰かの力になれればいいんだ! そうだろ?」

閣下「……フハハハハ!お前は強敵になりそうだな!」


ガハハハハハハハ、いかがであろうか?

南条光、悪魔を前にしても折れることなく正義を信じるその姿、まことに敵ながら天晴である!

ちなみに、光とはその後、ライダーグッズ鑑賞対決や怪獣映画評論対決など幾度と無く決戦を繰り広げている。

未だに我輩が全勝中だがな、ムハハハハハ!

しかし一見、我々とは真っ向から反するように見える奴の正義の心も実はそんなことはないのである。

我々悪魔の施政方針は「君臨すれども統治せず」、諸君ら人間は創られた規律に従うのではなく、一人一人が自ら考え判断しなくてはならない世の中になるのである。

そして光はまさに、誰に言われたわけでもなく自分の意志で自由に正義の味方を目指している。

言ってしまえば、自分勝手にやりたいことを我武者羅にやっているというわけだ。

これは実に素晴らしいことである、後はこのまま正義の味方から悪の味方になってくれれば言うことなしだ、ウァッハッハッハッハッハ。

む、美波から電話か……


~魔改村~


卯月「うぅ~、全体曲、難しいですね……」

凛「まだ一回練習しただけでしょ」

未央「そうだよ~」

美波「みんな、いる?」コンコン

卯月「あ、は~い!」

凛「どうしたの?」

美波「一応、今日の感想とか聞いておきたいと思ってね」

卯月「私は、振り付けを覚えるのに精いっぱいで…」

未央「でも、難しくても絶対成功させないとね!」

美波「未央ちゃんは、今回すごい気合が入ってるわよね?」

未央「うん、私、CDデビューの時のステージを台無しにしちゃったから…」

未央「だから今度こそ、今度は私からみんなに、笑顔を届けたいんだ」

卯月「私も、最後まで笑顔でいられなかったのがすごく残念で…」

美波「そっか…」

凛「さっきね、話してたんだ、私達のライブはまだちゃんと終わってないのかもって」

凛「だから私達、ユニット曲も全体曲も、やれるだけやってみたいんだ」

卯月「見に来てくれるみんなの為に」

未央「それと、また私達をステージにあげてくれる閣下の為に!」

美波「そう……うん、みんなの気持ちはわかったわ」

美波「私もがんばるから、一緒に最高のステージにしましょう」

「「「うん!」」」




杏「一曲歌うだけでも大変なのに、もう一曲増えるなんて大丈夫かなあ」

美波「杏ちゃんは、全体曲には反対?」

杏「まあ、それを言ったら杏は仕事は全部反対なんだけどねー」

かな子「けど、それだけたくさんお仕事できるわけだし」

かな子「私は、みんなと一緒にステージに立てる時間が増えるの、うれしいよ?」

杏「でも今日やってわかったじゃん、今からみんなで全体曲を合わせるのは難しくない?」

智絵里「…………」

かな子「それは、そうかもしれないけど…」

杏「無理に詰め込んで、本番で失敗、なんてことになったら…」

智絵里「っ!」

美波「智恵理ちゃんは、不安なのね?」

智恵理「…………はい」

杏「どうすんの?」

美波「……まだ、もう少しみんなでやってみましょう」

美波「大丈夫、きっとうまくいくわ」

杏「…………」


みりあ「えー!みくちゃん、全体曲には反対なの?」

みく「反対ってわけじゃないけど、ちょっと難しいんじゃないかって…」

李衣菜「うん…それに私達、ユニット曲もまだ完璧じゃないし…」

莉嘉「あれ? 2人のユニットって解散したんじゃないの?」

みく&李衣菜「「してない!」」

李衣菜「というか、今はユニットの方を大事にしたいんだよね」

みく「みくたちは、一番最後だったから…」

李衣菜「私達は最後だったから仕方ないとか、閣下達に思わせたくないんだ…」

みりあ「ううん…」

莉嘉「そっかぁ…」


美波「…………………」





蘭子「あの……美波さん…」

美波「あら、どうしたの?」

蘭子「今日、練習、ごめんなさい……」

美波「どうして謝るの、蘭子ちゃん、とっても頑張ってたじゃない!」

蘭子「私、みんなと全然合わせられなくって……」

蘭子「やっぱり私だけ、誰かとステージに立ったことがないから……」

美波「そんなことないわ、きっとすぐに合うようになるわよ」

蘭子「…………」





美波「きらりちゃん」

きらり「あ、美波ちゃん……」

美波「どうしたの? 元気ないみたいだけど」

きらり「…………あのね、全体曲なんだけど」

美波「…………うん」

きらり「きらりはね、みんなで歌うのって、楽しいかなーって思ったんだけどぉ……」

きらり「でも、ユニット曲も両方上手くできるか不安な子もいるんだなあって考えたら……」

美波「全体曲をやるのが本当にいいのか、わからなくなったのね?」

きらり「……………うん」

きらり「デーちゃんは、きらりもみんなも、デーちゃんに甘えていいんだよーって言ってたけど……」

きらり「デーちゃんは、いっつも優しくて力持ちだから、みんなのこといーっぱい助けてくれるけど……」

きらり「今はデーちゃんがいないから、どうしたらいいのかなあ……」

美波「………………」


アーニャ「美波?」

美波「はあ……」

アーニャ「どうしました、美波?」

美波「みんな、それぞれ全然違う考えがあって、どれも間違ってないのよね……」

アーニャ「全体曲の、ことですか?」

美波「うん……」

美波「私がまとめ役だから、みんなを引っ張っていかないといけないのに……」

アーニャ「…………美波、閣下は、すごいですね」

美波「?」

アーニャ「みんな、考える事、やりたいこと、違います」

アーニャ「でも閣下は、全部やらせてくれて、いっつも笑ってます」

アーニャ「閣下は、すごいですね」

美波「うん、こんなに大変なことを、ずっとしてくれてたんだなあって思うと…」

美波「私達が困った時は、いつでも導いてくれて……」

アーニャ「私達がどんな不安になっても、いつも後ろで笑ってくれます」

美波「私は、どうしたらいいのかな……」

アーニャ「ねえ、美波、閣下に電話しましょう」

美波「え? でも…」

アーニャ「大丈夫です、閣下は絶対に、助けてくれます」

美波「…………」

アーニャ「実はもう、電話、しちゃいました」ポパピプペ

美波「え!? ち、ちょっとそれ、私の携帯!」

アーニャ「あ、繋がりました」

アーニャ「はい、美波」

美波「え…………あの…」

『もしもし、デーモンである』


美波「あ、閣下さん…」

『どうかしたのか? もしや、ゼウスの妨害が…!?』

美波「いえ、違います!そうじゃなくて…」

『ふむ……ある者は全体曲を成功させたいと言い、またある者はユニットに専念したいと言い』

『更にある者は失敗するくらいならやめるべきだと言い、自分はやりたいが他の者が不安ならばやらなくてもいいと言う奴がいる、そんなところか』

美波「! どうして…」

『フハハハハ!お前達ならどう思うか、手に取るようにわかるさ』

『そしてお前は、みんなの考えをどうまとめるかを悩んでいるというわけだ』

美波「……はい」

『そんなこと、悩む必要はない』

『皆、好き勝手ワガママにやりたいことをただ言っているのだ』

『なら、お前も自分のやりたいことをただやればいい』

美波「でも、私はみんなのまとめ役だから……」

『我輩がお前にまとめ役を任せたのはな、美波よ』

『お前ならば、自分のやりたいことを通してもなお、皆が目指す場所へ辿り着けると信じているからだ』

『――傷つけ合う相手も知れない白い夜の世界で時の渦に身を任すだけで虹をかけられるのか』

『お前の手にあるのは鎖ではない、それはお前を縛るものでも仲魔を縛るものでもない』

美波「はい……」

『さあ、今日はゆっくり寝るといい、お休み』

美波「はい、ありがとう……ございます…っ!」

アーニャ「……美波、もう、大丈夫ですか?」

美波「……うん、でも…」

アーニャ「まだちょっと怖いですか?」

美波「…………」コクン

アーニャ「じゃあ、今日はこうして寝ましょう」ギュ

アーニャ「手をつなげば、怖くありません、ね?」

美波「……うん!」ギュ


~数日後~


閣下「フハハハハ!諸君、今戻ったぞ!」バーン!

莉嘉「デーくん!」

みりあ「おかえりなさい!」

閣下「おお、放っておいて悪かったな!」

凛「地獄のお仕事は、もう大丈夫なの?」

閣下「うむ、お前達も楽しみにしているといい」

未央「楽しみ?」

みりあ「ねえねえ、私達の全体曲みて!」

莉嘉「いーっぱい練習したんだよ!」

閣下「うむ、後でゆっくり見せてもらおう」

みりあ「えー、今見てくれないのー?」

閣下「皆すでに疲れているだろうし、何より…」

閣下「お前達の努力は、わざわざ見るまでもなくその力強い表情を見れば伝わってくるさ」

閣下「それと、美波よ」

美波「……はい」

閣下「話は聞いた、事前に伝えておいたスケジュールを破棄し、一日中遊んでた日があったそうだな」

美波「……はい」

閣下「それは、お前の指示ということでよいのだな?」

美波「はい」

美波「みんなが一つになるために必要なことでした」

未央「閣下、ミナミンを責めないであげてよ」

李衣菜「そ、そうです、美波ちゃんのおかげで、私達まとまれたんです!」

閣下「うむ、確かにお前達はしっかり上達したようだ」

閣下「だが、それはまとめ役を務めるものがその責を放棄できる言い訳にはならん」


閣下「美波よ、これらは全てお前の独断で、我輩がたてた緻密なレッスンスケジュールを破棄し構成員を巻き込んでおこなったのだな?」

美波「はい、その通りです」

閣下「そうか…」

閣下「美波、この独断専行の責任は重い、よって、シンデレラプロジェクトまとめ役としての地位を剥奪する」

閣下「よいな?」

美波「……はい」

かな子「ち、ちょっと、いくらなんでも言い過ぎじゃ…」

閣下「これでよい」

閣下「ところで諸君、一つ提案がある」

閣下「諸君らがここまで育てた今回の全体曲、それを歌う上でのステージ上での主宰、リーダーを決めようと思う」

閣下「自薦他薦は問わん、だがそうだな、出来ればリーダーは他のメンバーの意見を自ら率先して聞ける者がよい」

閣下「更に言えば、それらを理解した上で全体を導くための自身の意見を通せる者」

閣下「そのためには我輩の恐怖政治も恐れずに意志を貫ける者、この全ての要素が揃った者はいるか?」

智絵里「そ、それって……」

アーニャ「はい、閣下」

閣下「おお、誰か適任者がいるか?」

アーニャ「私は、美波がいいと思います」

閣下「ふむ、他に意見のある者は? いないな?」

閣下「では、美波よ、やってくれるか?」

美波「………っ……っ!」

美波「私で、いいんでしょうか……っ」

閣下「無論、我輩は反対であるが自薦他薦は問わんと言ってしまったし、他にやりたい者もおらんのでは致し方ない」

アーニャ「美波、リーダー、やってくれますか……?」

美波「……みんなが許してくれるなら」

閣下「――お前は、お前のやりたいことをやればいい」

美波「っ!」

美波「……やりたい、です」

美波「やらせて……っ…いただきます!」


第12話 The curse needed for a flower to bloom.  終


第13話 It' about time to start new century!


~大黒ミサ会場~


美波「他に気になるところや気づいたところはある?」

みく「出ハケ、まだちょっとバタバタしてるかも!」

李衣菜「やっぱ人数多いと……」

美波「そうね、少し余裕を持って動きましょう!」

美波「他に……閣下さんの方からは、何かありますか?」

閣下「ん?我輩?まあ、大丈夫じゃない?」

みく「も~、なんで今日に限ってのんびりモードなの?」

閣下「フハハハハ、それだけお前達を信頼しているということだ」

閣下「そうだねえ、強いて言えば、もっと肩の力を抜くんだな」

閣下「こんな感じに」

殿下「腹減った……」

和尚「…………」ボーッ

長官「あれ、俺のタバコどこ?」

参謀「知らないよ、ポケットの中は?」

長官「あ、あった」

凛「力抜けすぎじゃない…?」

閣下「このくらいでちょうどいいんだよ」

美嘉「ヤッホー★」ガチャ

閣下「ノック」

美嘉「もー、いいじゃんー」

莉嘉「お姉ちゃん!」

未央「美嘉姉!」

美波「今日は、よろしくお願いします!」

「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」


美嘉「うん!がんばろうね!」

未央「美嘉姉、見ててね!この前より絶対、一歩進んで見せるから!」

美嘉「……一歩じゃ、わかんないかもね~」

未央「ええっ…」

閣下「フハハハハ!美嘉の言うとおり、一歩と言わず空を飛んで進むくらいの気概でないとな!」

卯月「空をですか!? が、がんばります!」

かな子「あっ、卯月ちゃんのがんばります、久々に聞いた気がする!」

卯月「ええっ、そうでしょうか……うう、も、もっとがんばります!」

美波「じゃあ、閣下さん、私は出ハケのことをスタッフさんと話してきますね!」

閣下「それくらいだったら我輩がやるよ?」

美波「いえ、私がリーダーですから!」

みりあ「あ、美波ちゃん、全体曲で確認したいところがあるんだけど…」

美波「じゃあ、後で一緒に確認しましょう」

みりあ「ありがとう!」

和尚「……美波ちゃん、がんばるねー」

閣下「……力み過ぎな気もするけどねえ」


~ステージ裏~


楓「閣下、ご苦労さまです」

閣下「おお、楓か、そちらの調子はどうだ?」

楓「調子は上々です、朝食も、しっかり取ってきましたから、ふふっ」

閣下「フハハハハ!その分なら問題なさそうだな!」

楓「そういえば、閣下にステージを見ていただくのはこれが初めてでしたね」

閣下「噂にはかねがね聞いておる、素直に、楽しみにしていると言わせてもらおう」

楓「ふふっ、これは失敗できませんね」

閣下「うちの構成員もよろしく頼むぞ」

楓「はい、おまかせください」



かな子「……す、すごいね」

智絵里「う、うん……っ」

美波「大丈夫?お水飲む?」

智絵里「あっ…」

美波「待っててね!」


卯月「ちょっと熱いですね……」パタパタ

美波「スタッフさんに言ってこようか!」

アーニャ「美波、お手伝いしましょうか?」

美波「ううん、これくらい全然平気!」



瑞樹「みんな、揃ってるー?」

「「「「「はーい!」」」」」

瑞樹「お客さんはもちろん、私達も、スタッフさんも全員安全に楽しく、今日のフェスをこの夏一番盛り上げていくわよ!」

「「「「「はい!」」」」」

瑞樹「じゃあ、円陣組むわよ!」

瑞樹「掛け声はー……」

楓「―――閣下、お願いします」

未央「ええっ!?」

閣下「ん?我輩?」

楓「はい、ぜひ」

瑞樹「んー、まあ、面白そうだからいっか!」

楓「では閣下、お願いします」

閣下「ふむ……では、失礼して……」

閣下「―――諸君、諸君らはWinner…勝利者になりたいのか?」

閣下「それとも、敗者に、お甘んじるか?」

閣下「長いものに巻かれていれば、敗者にはならずに済むかもしれない」

閣下「だが、勝利者にも、なれないがなあ」

閣下「どうやら、諸君達には戦う意志が残っていると思われるが……どうかな?」

李衣菜「これって……」

かな子「初めて会った時の……」

閣下「我輩はこの地上に来て、諸君らの戦いぶりをずっと見させてもらった」

閣下「我輩は諸君らがただの歯車ではないことを知っている」

閣下「この346プロ夏の大黒ミサはこれまでの諸君らの全てが決まる大一番」

閣下「栄光に笑うのか、屈辱に泣くか、それはもはや神も悪魔も知らぬ」

閣下「今こそ自らの牙で、鎖を解き放つ時が来たのだ、既に戦いは始まっている」

閣下「武器を取れ!そして戦え!」

閣下「自らの命を、守るために」

閣下「では、全構成員に告ぐ!」

閣下「346プロ総進撃を開始せよ!」

「「「「「「「おお!!!!」」」」」」」」


閣下「とうとう、始まったな」

参謀「みんな今日まで頑張ってきたからねー!」

長官「でも、コンサートが始まってもずっと裏で待機してるってのも慣れないよな~」

和尚「まあ裏方ってそういうもんだからねー」

殿下「気持ちはわからんでもないけどねえ」

和尚「でも始まっちゃったらもう僕らにできることはないからね」

閣下「だからと言っておっさんが集まってモニター見ながら煎餅食べてるのもどうかと思うよ?」

殿下「たりなひ」

長官「あ、もう無くなってる!」

参謀「はやいよwwwww」

殿下「たりなひ」

閣下「まあまあ、さっき饅頭もらったからそれでも……」

ちひろ「閣下!!」バンッ!

閣下「おお、ちひろくん、どうしたの?」

ちひろ「美波ちゃんが倒れました!」

閣下「何!?」




~救護室~



智絵里「リハーサル室で、練習、付き合ってもらってたんです…っ……」

智絵里「そしたら、急に気分が悪いって…!」

ちひろ「風邪ではないそうですが、極度の緊張で、発熱が…」

閣下「…………」

アーニャ「美波はリーダー、とてもがんばっていました……」

閣下「医者は、なんと言っている……」

ちひろ「この熱では、とてもステージには……」

美波「もう、大丈夫です…っ…」

閣下「…………」

閣下「美波、お前をステージに立たせるわけにはいかん」

美波「…………っ!」

閣下「すまん、我輩の責任だ」

美波「っ! 閣下さんは、悪くありません!私が!」

閣下「そうではない! 我輩の責任なのだ……」

陛下「入るぞ」ガチャ

閣下「陛下、ご覧のとおりです」

陛下「……うむ」

ちひろ「どういう、ことですか?」

閣下「これは、ただの発熱などではない」

閣下「正真正銘の、ゼウスによる妨害だ」


ちひろ「そ、そんな!」

陛下「この夏の大黒ミサは346プロの一大イベント、成功すれば真泥霊羅プロジェクトの信者も指数関数的に上昇する」

閣下「ゼウスが見逃すはずがなかったのだ……」

陛下「そして奴は、真泥霊羅プロジェクトのリーダーである美波くんを標的にしたのだ」

智絵里「そんな……神様が…なんで……」

アーニャ「酷い……」

陛下「昔から、そういう奴だ」

閣下「美波の症状は、人間の医者には治せん」

閣下「神の仕業である以上、我々悪魔の魔力も及ばん」

美波「そ、そんな………」

長官「美波ちゃん!」バンッ!

参謀「ゼウスの妨害だって!?」

陛下「病人がいるのだ、騒ぐのではない」

長官「閣下、美波ちゃんはミサに出られるだよな!?」

参謀「あんだけ頑張ってきたんだからさあ!」

閣下「……見ての通りだ」

参謀「…………ふっざけんなああああ!!!!!」バサッ!

長官「あの糞ジジイ!!」バサッ!

陛下「どこへ行くつもりだ」ガシ

長官「決まってるでしょう!アイツをぶっ殺してやるんですよ!」

参謀「そうだ!それで美波ちゃんもよくなる!」

閣下「無駄だ、今からでは間に合わん」

長官「でも、だからって!」

閣下「完全に我々のミスだ、もはや打つ手が……」

和尚「―――閣下!」バンッ!


閣下「和尚……?」

和尚「話は聞いた!今すぐ動くよ!」

閣下「だが、今からでは……」

和尚「大丈夫!エースはすぐにシンデレラプロジェクトルームに行って!」

長官「なんでそんなとこに……」

和尚「あそこには千年香妃花がある!!」

長官「! そ、そっか!」バッ!

和尚「あとは地獄の僕の屋敷にまだ残ってたはずだからルークはそれをお願い!」

参謀「オッケー!!」バッ!

和尚「諦めないで、閣下、今ライデンに魔女RYO子を呼びにいってもらってる」

和尚「ありったけの魔女の秘薬を持ってきてくれるってさ」

美波「……私、ライブに、出られる、んですか?」

和尚「まだわからない、だけど、絶対に出す」

美波「っ!」

アーニャ「よかった、よかったです、美波…!」

閣下「……すまん、和尚」

和尚「前にも言ったけど、僕の力が必要な時はいつでも動くよ」

和尚「聖飢魔IIのためなら、僕はなんだってする」

閣下「ありがとう、恩に着る」

陛下「そっちはなんとかなりそうだな」

閣下「はい、必ずや」

陛下「では、私は失礼する」

閣下「……御武運を」


陛下「なんだ、諸君も来ていたのか」ガチャ

未央「ミナミンは!?」

陛下「今デーモン達が全力で治療している」

凛「……アンタは、どこに行くの?」

陛下「野暮用でな、出かけてくる」

凛「こんな大事な時に!?」

陛下「悪いが、通してもらうぞ」

凛「アンタ達は、仲魔を大事にするんじゃないの?」

陛下「無論だ、だから行くのだ」

閣下「凛、陛下をお通ししろ」

凛「でも!」

閣下「その御方は大魔王サタン45世 ダミアン浜田陛下、我ら悪魔の頂点に君臨する御方だ」

閣下「そしてその御方が、仲魔を傷つけられ黙っているはずがないだろう」

陛下「安心するがいい、これ以上、君達のミサの邪魔はさせん」

凛「邪魔はさせんって、まさか…」

陛下「うむ、天上で胡座をかいてニヤついているあのクソジジイには蝋人形すら生温い、よって私自らの手で…」

陛下「―――処刑だ」バサッ!

閣下「……相手は全知全能の神を自称するゼウス、更に天使共も相手取るとなればそれができるのは陛下ただ一人」

閣下「陛下は、お前達の怒り全てを背負って戦いにいかれたのだ」


長官「おまたせ!」

和尚「ちゃんと来るまでに煎じてきた?」

長官「おう! こ、これで大丈夫?」

和尚「…………うん、問題なさそうだね」

和尚「美波ちゃん、先に言っておくけど、これはすごく不味い」

和尚「悪魔が鼻を摘んで一息に飲んでものたうち回るくらい不味い」

美波「…………」

和尚「でも、どんな病にもすぐに効く、正直、これ以外に手はない」

美波「……お水を、ください」

和尚「…………」スッ

美波「……………………………っ!!」ゴクッ!

美波「………………~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!!!!!」

美波「~~~~~~っ…………っ」バタッ

長官「ちょ! 美波ちゃん! 衛生兵!衛生兵!!」

和尚「大丈夫、あまりの不味さに気絶しただけだよ」

長官「それ大丈夫じゃねえだろ!」

和尚「しばらく安静にしていれば目を覚ますはず」

和尚「ただ、ラブライカのステージにはまず間に合わない」

長官「そんな、話が違うじゃねえか!」

和尚「せめて、最後の全体曲に間に合わせるための方法だからね、これしかなかった」

和尚「あとは、閣下がどうするか決めてよ」

閣下「…………うむ」


未央「代役……?」

みく「ちょっとならできるけど……」

李衣菜「練習時間はほとんどないよね……」

閣下「頼む、どうにかできる者はおらんか」

蘭子「………………あ、あの!」

閣下「蘭子……?」

蘭子「っ、だ、第二形態より先は、未知の……」

蘭子「あの! 合宿の時、3人で……スペシャルプログラムで………その……」

蘭子「―――誰かと一緒に、何かをするって、すごく、ドキドキしました…」

蘭子「だから、その、やってみたいんです!!」

アーニャ「……閣下?」

閣下「…………お前の力に、頼ってもよいか」

蘭子「…………はい!!」




~ステージ裏~


閣下「…………時間だ」

閣下「今、この場にいる全ての者がそれぞれの戦いの中にいる」

閣下「まだ誰も、この戦いから欠けてはおらん」

閣下「よって誰一人、欠けてはならぬ」

閣下「諸君らは我々が選んだ地球最恐のアイドルである!」

閣下「胸を張って、行ってこい」

「「「「「「「はい!!!」」」」」」」





「MASQUERADE」
https://www.youtube.com/watch?v=iOaVvmNHIO0


みく「蘭子ちゃん、いい感じにゃ!」

李衣菜「じゃあ、このまま私達がMCで繋いできます!」

閣下「任せたぞ!」



蘭子「ハア、ハア、閣下!」

閣下「蘭子、素晴らしいミサであった」

蘭子「ま、まだ…………終焉の時、未だ来たらず!!」

閣下「うむ!お前が生み出した焼け跡に今一度火を放て!」




アーニャ「蘭子、ありがとう」

蘭子「ううん、私も、ありがとう!」



「ARCADIA」
https://www.youtube.com/watch?v=5OxpGip4k8U


ちひろ「閣下! 美波ちゃんの意識が!」

閣下「! ようやく帰ってきたか…!」




~医務室~



美波「強く願うなら、きっと一緒に、辿り着けるさ……」

閣下「美波!」

魔女RYO子「美波さんの容態はかなり順調に回復しています」

閣下「RYO子、すまんな」

RYO子「とんでもありません、一応いくつかの秘薬も飲んでもらったので、直によくなるかと思います」

美波「閣下さん……」

閣下「美波、すまなかった」

閣下「チャンスはあと一度だけだが、お前の輝く美しい姿を、我輩に見せてくれるか?」

美波「……はい!!」

長官「閣下! ここにいたのか!」

閣下「どうした?」

長官「あのクソジジイ、強行手段に出やがった!!」


~ステージ裏~


未央「閣下、どうしよう! 雨だよ!」

卯月「雷まで落ちてます!」

智絵里「さっきまで、あんなにいいお天気だったのに……きゃっ!」バーン!

李衣菜「て、停電!?」

閣下「…………」

みく「デーちゃん、どうするにゃ!?」

みりあ「ライブ、おしまいになっちゃうの…?」

閣下「……そんなことはさせん」

凛「……プロ、デューサー?」

閣下「寛大な我輩も、そろそろ我慢の限界である……」

閣下「ちひろくん、後は任せたぞ」

ちひろ「……はい」

閣下「安心するがいい、諸君らのステージは我々が守る」

閣下「準備はいいな?」

長官「…………」

参謀「…………」

和尚「…………」

殿下「…………」

閣下「―――聖飢魔II、進撃する!!」

「「「「おう!!!」」」」


~ステージ~


スタッフ「落雷の為、一時建物の中に避難してください!!繰り返します!!」ガヤガヤ


「フハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!その必要はない!!!!」


閣下「諸君、突然だが、このステージは我々悪魔が占拠した!フハハハハハハハハハハ!!」

閣下「さっきから何やら喧しい雷もなっているようだが、こんなものはこうだ、殿下!!」

殿下「おうよ!」

殿下「雷神の息子を相手に雷とか舐めてんのかああああああああああ!!!!!!!」バーン!

閣下「ようし、これで電気は元に戻ったな、フハハハハ!」

閣下「実はな諸君、ラブライカの新田美波がゼウスの妨害に遭い、今は病に伏している」

閣下「そして、この雷、これも全ては卑劣なるゼウスの妨害に他ならぬ!」

閣下「だが、我々悪魔にこの程度の妨害はなんの意味もない、フハハハハ!」

閣下「現に、既に我らが新田美波はもはや全快へと向かっており、奴のご自慢の雷攻撃もこのザマだ、ざまあねえなあ!!」

閣下「それどころか、奴は我々がステージを占拠する機会まで与えてくれたのだから感謝しなくてはな!フハハハハ!」


「引っ込め―!」「アイドル出せー!」「もうお前らいらねえだろ!」


閣下「フハハハハ!諸君らの罵声が実に心地よい!」

閣下「だが折角の機会だ、せいぜい聞いていくがいい!フハハハハハハハハハハ!」



「TIME STALKER」
https://www.youtube.com/watch?v=cgTHdEBblz0



閣下「諸君、我々のミサは、不夜城の舞踏会はまだ始まったばかりである!」

閣下「これは、この地に生ける全ての者へ贈る歌である!」

閣下「アイドル諸君、スタッフ各位も今はただただ聞くが良い」


「BRAND NEW SONG」
https://www.youtube.com/watch?v=F-TqrR5tHTY


閣下「さて、ご機嫌はいかがかな、諸君?」

信者s「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

閣下「フハハハハ!盛り上がってきたじゃあないか!」



李衣菜「すごい……」

未央「め、めちゃくちゃ盛り上がってるじゃん……」

楓「あれが、みんなのプロデューサーの本当の姿なのね」

智絵里「はうっ!」

かな子「た、高垣楓さん…!」

瑞樹「でも、私達より盛り上げるのは、ちょーっと勘弁してほしいわね…」



閣下「それでは、諸君らがこれからどんどん魂を開放し、我々の宴に溶け込んでいけるために素晴らしいものを用意したよ?」

閣下「へっへっへっへっへ、林檎だぁ!」

信者s「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

閣下「ここに取り出したのは、一見何の変哲もない林檎」

閣下「そして、林檎の中でも特に酸味が強いことで知られる品種に、紅玉というものがある」

閣下「この紅玉のことを、青森県南部地方及び岩手県地方においてはなんと呼ぶか、知っているか!!」

信者s「知らなあああああああああああああああああああい!!!」

閣下「知りたいか!!」

信者s「知りたあああああああああああああああああああい!!!」

閣下「なんと!!紅玉のことを青森県南部地方及び岩手県地方においては…!」



卯月「なんて言うんですか?」

かな子「さあ…?」

瑞樹「そういえば、まゆちゃんは宮城出身よね、岩手近いし知ってる?」

まゆ「さあ、さすがに知りませんねえ…」

莉嘉「お姉ちゃん知ってるー?」

美嘉「知るわけないじゃーん」



閣下「青森県南部地方及び岩手県地方においては、紅玉のことをなんと!!」

閣下「―――『まんこう』と呼ぶ」


凛「…………最低」

みく「…………変態にゃ」

卯月「…………///」

美嘉「//////////」

みりあ「? ねえねえ、なに、まん」

きらり「それ以上はダメ!!」バッ!




閣下「フハハハハ!まさかアイドルのイベントでこんな言葉を聞くとは夢にも思わなかっただろう!!」

閣下「悪魔には放送コードも倫理規定もR指定もないのだ!フハハハハ!」

閣下「それでは諸君達に問う!!」

閣下「青森県南部地方及び岩手県地方においては紅玉のことを、なんと呼んでいるのだ!!??」

信者s「まあああああああああああああんこおおおおおおおおおおおおおおおおう!!!!!」

閣下「フハハハハ!では、ステージ裏に控えているアイドル諸君に聞いてみるぞおおおお!!」

信者s「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」



かな子「は、ええええ!!??」

李衣菜「い、言えるわけ無いじゃん!!」

茜「おお!大声出していいんですね!?いきますよー!!」

美穂「ダメええええええ!!!!!」



閣下「青森県南部地方及び岩手県地方においては紅玉のことを…………」

閣下「これもファンサービスだぞ?」ニヤリ

閣下「なんと呼んでいるんだ!!!!」



みりあ「まああ きらり「にょわーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」」

莉嘉「まああああn 美嘉「だめええええええええええええええええええ!!!!!!」」

茜「まあああああああああああああああああああんk 輝子「ヒャッハーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」」



閣下「フハハハハ!現在ステージ裏は阿鼻叫喚である!!」

閣下「では全員で!!お前ら今一番欲しいものはなんだ!!!」

信者s「まあああああああああああああんこおおおおおおおおおおおおおおおおう!!!!!」

閣下「アイドルが持っているのにしゃぶりつきたいそれはなんだ!!!」

信者s「まあああああああああああああんこおおおおおおおおおおおおおおおおう!!!!!」

閣下「フハハハハ!フハハハハハハハハハハ!!!」

閣下「あ~ん」パクッ モグモグ

閣下「林檎の名前を叫ぶと、アイドルたちに蔑みの目で見られるだろう?」

閣下「それはこれが、悪魔の実だからだ!!」



「アダムの林檎」
https://www.youtube.com/watch?v=qUcSJVFevSU
(5:30くらいまでは閣下による説法)


凛「ジェイルさん!」

李衣菜「師匠!!ウッヒョー!!ロックだぜー!!」



閣下「紹介しよう、Mr.ジェイル大橋!!」

ジェイル「イェーイ」

信者s「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

閣下「昨今、我輩がこの地上にやってきてからというものの、『おめえら悪魔なのに全然悪いことしねえじゃねえか』という声が後を絶たない」

閣下「諸君らの見ていないところで、ちゃんと悪事は行われている」

閣下「ただ、最近プロデューサー業務で忙しいから我輩は我慢をしているだけなのだ」

閣下「我輩が我慢をしても、コイツが我慢できるかなあ?」

「ゾッドだああああああああああああああああああああ!!!!!」

信者s「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

ゾッド「ぶっ殺してやる!!!!」




未央「ホッシー!?」

きらり「ゾッドくんだ!!」

莉嘉「本物だ!!」

小梅「か、かわいい、かも…」

幸子「え…」




閣下「―――悪魔の森の奥深く、一見何の変哲もない古い屋敷」

閣下「だが、その一室からは、毎夜、毎晩……」

閣下「少女の悲鳴にも似た叫び声が、聞こえるとか、聞こえないとか……」

閣下「ここはアイドルのイベント会場、今日は若い女がたくさんいるなあ……」



閣下「お前ら全員、蝋人形にしてやろうかぁ!!!」



「蝋人形の館」
https://www.youtube.com/watch?v=w_07yqmJUIc


閣下「フハハハハ!この場の征服は完了した!では諸君、また会おう!」

閣下「フハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」



~ステージ裏~

閣下「フハハハハ!諸君、今戻ったぞ!」

かな子「…………」

未央「…………むー」

閣下「おい、なんだその顔は」

参謀「智絵里ちゃーん、どうだったー?」

智絵里「…………」サッ

参謀「あ、あれ?」

閣下「どうしたのだ………ま、まさかまたゼウスの妨害が!?」

凛「…………何、あのMC」

閣下「ん? フハハハハ!素晴らしかったであろう?」

凛「…………最ッッッッッッ低」

長官「ありがとうございます!!」

瑞樹「さすがに、あれはちょっとねえ……」

美嘉「そ、そうだよ!あんな………あんな///」

李衣菜「師匠!!」タッタッタ

ジェイル「おお、李衣菜ちゃん、どうだったー?」

李衣菜「もう最っ高にロックでした!私、ウッヒョー!ってなっちゃいました!」

ジェイル「そっかー、じゃあよかったよ」

ジェイル「凛ちゃんも、久しぶりー」

凛「うん、久しぶり」

ジェイル「どう?かっこよかった?」

凛「まあ、悪くなかったかな」

ジェイル「厳しいね、凛ちゃん達はこの後だよね?」

凛「うん、見てて、もう迷わないから」

未央「ホッシー!!」

ゾッド「おお、未央!」

未央「ホッシー最高だったよ!お客さんもすっごく喜んでた!」

ゾッド「そ、そうか?」

みりあ「未央ちゃん、ぞっどくんと知り合いなの!?」

未央「え、ああ、うん、まあね」

みりあ「?」

ゾッド「未央、吾輩は閣下を信じて頑張った、今度はお前の番だぞ」

未央「うん!!」


閣下「ニュージェネレーションズ、準備はいいな?」

卯月「はい!」

閣下「我々が繋いだとはいえ、ゼウスの妨害の余波で一部の客はまだ戻ってきておらん」

未央「そうなの?」

閣下「うむ、聖飢魔IIが出る前に退避した者もいたからな」

未央「そっかあ……」

凛「でも、やるしかない」

卯月「うん! 見てくれる人を」

未央「みんな笑顔にする!」

閣下「フハハハハ、そうだ!その通りである!」

卯月「はい!閣下さん達が守ってくれたステージ、いっぱい楽しんできます!」

凛「今度は最後まで笑顔で、ね」

未央「目指せ、打倒聖飢魔II!!」

閣下「それは面白い!さあ、行ってこい!」




「掛け声、どうする?」

「さっきの、あれがいいです!」

「じゃあ、あれでいこうか」

「よーし、いっくよー!」



「お前らみんな!」

「蝋人形に!」

「して!」

「「「やろうかー!」」」





「SAVE YOUR SOUL ~美しきクリシェに背を向けて~」
https://www.youtube.com/watch?v=kitNrJ5ZZsw


未央「閣下! どうだった!?」

卯月「最後まで、笑顔で出来てましたか!?」

閣下「うむ、そうだな……3人共、楽しかったか?」

凛「……うん!」

閣下「ならば、それが答えだ」

閣下「ニュージェネレーションズの逆襲、大成功である!!」

未央「……や、」

「「「やったー!!!」」」



かな子「凛ちゃん達、すごかったね……」

智絵里「うん、見ててドキドキした……」

かな子「私達も、あんな風にできるのかな……」

杏「あんな風っていうのは卯月ちゃん達? それとも、閣下達?」

かな子「ええ!? いや、閣下さん達のはすごかったけど……」

智絵里「お客さん、ちょっと怖かったかも……」

杏「じゃあさ、せっかくだし、杏達はニュージェネレーションズも聖飢魔IIも、両方超えちゃおうよ」

杏「それで晴れて、夢の印税生活だ!」

智絵里「できるかな…?」

杏「さあ?」

かな子「……でも、できたらすごいよね!」

智絵里「……うん!」

かな子「よし!キャンディアイランド、ファイトー!」

「「「おー!!!」」」



「Goodnight Melodies」
https://www.youtube.com/watch?v=UOyJTnn4XvA


莉嘉「キャンディアイランド終わったよ!」

みりあ「じゃあいよいよ、私達の番だね!」

きらり「よーし、じゃあきらりん御一行様出発だにぃ!」

みりあ「ねえねえ、私達はどんなライブにする?」

きらり「んー、楽しいことぜーんぶやれば、おっけ!!」

莉嘉「そんなのでいいの?」

きらり「大丈夫!きらり達はお客さんといーっぱいハピハピするのがお仕事なんだよ?」

きらり「困ったことやつらーいことは、デーちゃんにポイしちゃうんだにぃ!」

みりあ「そっか!」

莉嘉「デーくんなら、絶対になんとかしてくれるもんね!」

きらり「それじゃあ、凸レーション、しゅっぱーつ!!」

「「「おー!!」」」




「夏休み」
https://www.youtube.com/watch?v=W0o1OaPPe4c


みく「待ちに待ったアイドルフェス、だけど美波ちゃんは倒れちゃって、さらに悪天候で一時中断……」

李衣菜「でも今日は私達のことを知ってるお客さんも、アイドルのみんなも、閣下や師匠達もみんなが見てるから絶対に失敗できない……」

みく「……つまり?」

李衣菜「今日のコンディションは最高にロックだぜ!」

みく「コンディションがロックってどういうことにゃ……」

李衣菜「んー、わかんないかなあ?」

みく「ま、ニュアンスは伝わってきたから、それでいいにゃ」

李衣菜「ドントシンク、フィール!」

みく「じゃ、そろそろいくにゃ」

李衣菜「うん、それじゃあ今日はどんな感じでいく?」

みく「キュートにゃ」

李衣菜「クールでしょ」

みく「ポップが一番にゃ」

李衣菜「ロック最高!」

みく「…………」

李衣菜「…………」

みく「……仕方ないにゃ」

李衣菜「じゃあ今日もいつも通りで……」

「「キュートでポップでクールでロックに決めちゃうにゃ!!」」



「OωOverture~Winyar!!」
https://www.youtube.com/watch?v=xB6TC1r1l-0


美波「―――閣下さん!!」

閣下「待っていたぞ、美波よ」

閣下「これでようやく、全員が揃ったな」

閣下「諸君、諸君らはアイドルとしての階段を今まさに登っている最中だ」

閣下「その階段は、きっと輝きなど何もない、乾いたアスファルトで出来ていて、諸君らは孤独と不安を背負いながら歩いているのだろう」

閣下「振り返ればきっと、アイドルになるなんて思いもしない自分がいて、そいつはきっとキレイな服を着て、傷つくこともないのだ」

閣下「そこには今お前達が抱えてる悩みなどなく、愛に溢れているのだろう」

閣下「だが、諸君は知っているはずだ、生きている限り、敵はいつも自身の中にいるということを」

閣下「だからこそ、自らの手で武器を取り、鎖を解き放ち自らの足を踏み出したのだろう」

閣下「自らの命を、守るために」

閣下「そして今宵、時代は変わる」

閣下「雨は止み、明日からは日ざしを浴びて諸君らの思いのまま走れる時代がついにやってくるのだ」

閣下「さあ、出発の時間だ、後ろ髪を断ちきって世紀末を駆け抜けろ!」

閣下「諸君らの時代はすぐそこまで来ているのだから!!」

美波「―――みんな、待っててくれてありがとう!」

美波「真泥霊羅プロジェクト、ファイト!!!」

「「「「「「「「「「「「「「おおーーーーーーー!!!!!」」」」」」」」」」」」」」

閣下「―――さあ14人のシンデレラよ、早くゆけ、早くゆけ、見失わないうちに」




「DEPARTURE TIME」
https://www.youtube.com/watch?v=g9cEiscqXkE

~大黒ミサ終了後~



卯月「あっという間だったなあ~」

かな子「なんだか、まだフワフワしてる…」

智絵里「うん…」

閣下「ミサの後とは、そういうものだ」

殿下「お~い!みんな~!」

みりあ「あ、ライデンさん!」

和尚「いえ~いのおじさんもいるよぉ~」

参謀「みんなにいいもの持ってきたぞ!!」

莉嘉「何々!?」

長官「みんな宛に、信者の便りがこんなに来てるんだよ!」ドサッ

参謀「会場で配布してた密告書もあるぜぃ!」

閣下「ほう、これほどまでに信者を集めていたとは!フハハハハ、素晴らしい!」

みく「ファン、レター……」

卯月「すごい、アイドルみたいですね…………あ」

未央「あはは、アイドルだよっ!」

殿下「よーし、じゃあ順番に配っていくからな!」

和尚「みんな個人宛てのと、全員への便り、どっちもいっぱいあるよ~」


長官「閣下、閣下!」

閣下「ん、どうした?」

長官「陛下からの便りが入ってました!」

閣下「本当か! どれ……」

『地獄で会おう』

閣下「ご無事で何よりだ……」

長官「魔力をかなり消耗したからしばらくは地獄で休むそうです」

閣下「そうか、では我々が陛下の分まで励まねばな」

未央「閣下、エーちゃん!!」

閣下「おお、どうした?」

未央「……私、アイドルやめなくてよかった!」

閣下「…………そうか」

長官「そっか……俺も……」

長官「未央ちゃんがやめなくてよかったよおおおおおおおおおお!!!!」バッ

未央「ちょっ!エーちゃん!」

長官「未央ちゃあああああああああああん!!」ビエーン

未央「ちょっと閣下!なんとかして!」

長官「よかったよおおおおおおおおおお!!!!」ウワーン

未央「もー、エーちゃん!!鼻水ついちゃうから!!」

閣下「うむ、いい顔だな、未央」

未央「…………えへへっ!」

長官「いい話だよおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」ダバー


閣下「―――凛」

凛「……なんか、すごいね」パサッ

閣下「今宵のミサは、どうだった?」

凛「楽しかった………と、思う」

閣下「なんだ、煮え切らんな」

凛「うん、楽しかったのと、あとは、嬉しかったかな」

閣下「というと?」

凛「美波が倒れて、突然雨が降ってきて、すごく不安だった」

凛「みんなで歌えないかもとか、それ以前にイベントが終わっちゃうかもしれないとか、ホントはすごく怖かった」

凛「でも、ちゃんとプロデューサーは私達を助けてくれたから」

凛「私達に道を示してくれて、ステージに立つ勇気もくれた」

凛「それが、凄く嬉しかったんだ」

閣下「約束、だからな」

凛「うん―――ありがとう、デーモン閣下」

凛「これからも、私と一緒に走ってね」

閣下「フハハハハ、当たり前だ、今更泣いても逃げることは出来んぞ?」

凛「何それ、泣かないから……」

凛「変なの、ふふっ」

閣下「……それはそうと凛よ」

凛「何?」

閣下「お前、今初めて我輩の名を呼んだな?」

凛「なっ…!」

閣下「いやあ、感慨深いものがあるなあ」

凛「べ、別にいいでしょ!」

閣下「プロデューサーからついにランクアップ、いや実に長かった」

閣下「ほれ、もう一度呼んでみろ、せーの」

凛「……もう絶対言わない」

閣下「良いではないか~、減るもんでもないし~」

凛「絶対、言わない」

閣下「ほらほら、我輩もしぶりんって呼ぶから」

凛「やめて!」


未央「お!閣下としぶりんがイチャついてる!」

凛「イチャ…!? そんなんじゃないから!」

卯月「そういえば久々ですね~」

凛「卯月まで、久々とかないから!」

長官「何ぃ!?閣下だけズルい!」

李衣菜「何々、どうしたの?」

杏「閣下とエースがまた対決だってさ」

みく「えー、またー?」

殿下「お、勝負か!」

アーニャ「け、ケンカはいけません」

美波「いいのよ、アーニャちゃん、あれは止めなくても」

きらり「2人とも、とーっても仲良しさんだにぃ!」

和尚「仲良きことは美しきかな」

蘭子「魂のぶつかり合いによって磨かれる宝石、その輝きは永遠ね!」

莉嘉「あ、エースくん負けた」

みりあ「いつも通りだねー」

長官「」カチンコチン

かな子「あ、あの、大丈夫ですか?」

参謀「案外昔の家電とかと一緒で叩けば戻るんじゃない?」

智絵里「ち、チョップですか?」

閣下「フハハハハ!悪魔は地にいまし、すべて世はこともなし!」

閣下「我ら真泥霊羅プロジェクトの侵略はこれより始まるのだ、フハハハハ!フハハハハハハハハハハ!」

第13話 It' about time to start new century!  終

以上で全て終了です

アイマス10thアニバーサリーと聖飢魔II地球デビュー30周年が嬉しすぎて書きました
片方しか知らないという方はぜひもう片方も見ていただきたい
どちらも本当にすばらしいコンテンツ、宗教団体です

この先の話がわからないので奈緒と加蓮は未登場
シンデレラガールズは大変すばらしい出来だったので後半も良い作品、いや悪い作品であることを期待する

できれば続きも書きたいと思うのでこのアイドルと絡ませろとか要望がありましたらネタが思いつく限りチャレンジしたい

最初から見ててくださった方がいればホントに毎日遅くまでありがとう、悪い夢見ろよ
今日は特に遅かったので今リアルタイムで読んでくれてる方、そろそろ寝ろ、悪い夢見ろよ
読んでくれた方みんなありがとう、悪い夢見ろよ、また会おう!

HTML化のシステムもよくわかってないのでとりあえず今日の夕方くらいには依頼してみようと思います

では最後に、ダミアン浜田陛下万歳!

乙フハハハハハ!
>みく「出ハケ、まだちょっとバタバタしてるかも!」
ハゲ…(そっと頭頂部を触り、頭が砂漠地帯だった事に気付く音)

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