律子「抱きしめてもらわないと死ぬ病気なんです」 (23)

P「えっ、ああ……うん、そうなんだ」

律子「定期的に発作がですね……来ちゃうんです」

P「……律子、疲れてるんじゃないのか」

律子「発作が出ると、よだれが出たり最悪死んじゃったりするんですよ」

P「よだれ……」

律子「よだれ」

P「病院に行った方が良いんじゃないか」

律子「もう行きましたよ!」バン

P「わっ」

律子「でも……でも、完治は不可能だって……
  薬で多少、症状を抑えることはできても、治せないんです……」ポロポロ

P「あ、ごめん……ごめんな、律子……」

律子「ぐすっ……私こそごめんなさい。急にこんな話……」

P(ほんとだよ)

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律子「っ! ……ぅっぐぁああああああ!!」ガクガク

P「り、律子っ!? どうした!」

律子「うわぁああああああ!!」ブルブル

P「えっ、これマジなやつか!? 律子! ヤバいやつか!!」

律子「ぅうっ! ぷ、プロデューサー……ぐっ、早く私を抱きしめてください!」ブルブル

P「えっ、いやでも……」

律子「プロデューサーさんっ! 発作ですよ、発作ぁあ!!」ガクガク

P「えぇー……」

律子「うぎゃああぁああ!!」バッタンバッタン

P「うわぁ……何だこいつ……抱きしめるって……こうか?」ギュ

律子「あっ……ん……ふぅ……」ガク

P「り、律子……大丈夫か?」

律子「ぅうっ……ぐっ……ふ……」ガクガク

P「り、律子?」

律子「うぅ……プロデューサー、治まりません……それによ、よだれも……」ベトベト

P「きったね」ベトベト

律子「抱きしめても治らない時は……」

P「時は」

律子「ち、ち、ち、チッスを……しないと……いけません」

P「えぇー……」

律子「うぅっ……うぐっ……ふ、早く……! プロデューサー……!」ブルブル

P「……ええっと、はい」チュ

律子「うぅうわあああああああ!!」ガクガク

P「り、律子っ! どうした!」

律子「足りなーーーーいい!!」ガックンガックン

P「えぇー……」

律子「もっと濃厚なチッスプリーズ! かむ! かむ、あっ……ん……」


忙しなく動いていた律子の口を自分の口でふさぐ。
律子の柔かい唇を愛撫すると、彼女の口は何の抵抗もなく開き、差し込まれた俺の舌をすんなり受け入れてくれた。
既に熱くなっている律子の口内を擦りあげ、舌と舌とを絡ませる。律子の身体がほんの少しはねた。
暫く口内のざらついた感触を味わってから、舌を引き抜く。律子の口と自分の口の間には銀の糸が引いている。
律子の朱に染まった頬を撫でる。彼女の潤んだ目が俺の目をまっすぐ射抜く。


律子「ぷはっ……ぷ、プロデューサー、急に地の文は卑怯ですよ……」

P「……収まらないんだろ」

律子「……ふふっ……そうですね。ありがとうございます。
  これで、だいぶ落ち着きました……」

P「あ、口元、唾液でべとべとだぞ」スス

律子「んぁっ……」ビク

P「ご、ごめん……くすぐったかった?」

律子「い、いえ。大丈夫です……あの、プロデューサー」

P「……何だ?」

律子「また……発作が出た時はお願いしても良いですか?」

P「…………だ、抱き締めるくらい、だったら」

律子「……ありがとうございます」

P「り、律子……そろそろ離れても大丈夫か?」

律子「あ……ハイ。すみませんっ」パッ

P「…………」

律子「…………」

P「……かっ、帰ろうか」

律子「そ、そうですね……」

————暫く経ったある日


律子「プロデューサー」コソ

P「何だよ?」

律子「あの……お願いします……」グイ

P「あ、うん。分かった……分かったから引っ張るな」コソ


ソソクサ


千早「……プロデューサー何してるのかしら。
  これからレコーディングだっていうのに、もう……」スタスタ

千早「プロデュ……はっ!」ササッ



律子「んっ……ちゅっ……はぁ、もう、だいじょうぶれす……」クタ

P「はぁ……はぁ……おい、本当に大丈夫か……?」ガシ

律子「ちょっと……足に力が……も少し、このままでも?」

P「……ああ、いいよ」

律子「ありがとうございます……」ギュ



千早(ええっ!? ……二人はそういう関係だったってこと……!?)

千早(ど、ど、ど、どうしたら……)

千早(……………………)

千早「み、見なかったことにしよう!」ワァーオ

P「——で今日はそこまで録るけど……ここから別録りでコーラスもその時に……」

千早「…………」ボーンヤリ

P「……千早?おい、どうした。ぼんやりして」

千早「あっ……はい。すみません……」

P「はぁ……近ごろ忙しいから、仕方ないかもしれないけど、
  スタジオではそんな顔見せるなよ?」

千早「……はい、分かってます」

P「本当に大丈夫か?何か悩み事があるなら、聴くけど」

千早「えっ、と…………悩みというか……何て言うか……」

P「千早らしくないな。その、奥歯にものが挟まったような言い方」

千早「…………その、実はさっき。
  プロデューサー……が……」

P「うっ……!」ガタッ

千早「……! プロデューサー!どうしました?」

P「ぐっ、ぁあ!……うぅ……!」ガクガク

千早「け、痙攣……!? 大丈夫ですか!? プロデューサー!」

P「うわぁあああ!!」バッタンバッタン

千早「どどどどどうしよう!? き、救急車を……!」パカッ

P「ち、千早……!律子を……律子を呼んでくれ……!」ガシッ

千早「ぷ、プロデューサー!で、でも……」

P「いいから早く!」

千早「わ、分かりました!」カコカコ



千早「……もしもし!律子?」

律子『ああ……千早。どうしたのそんなに慌てて』

千早「それが……プロデューサーが!」

律子『プロデューサーが!?今行くわ!!』ガチャッ

千早「あっ、律子っ!律子っ!?
  こ、困ったわ、場所も満足に伝えられてないのに……!」オロオロ

律子「プロデューサァァアアーーー!!」ダダダダ

千早「速いなおい!」

P「り、律子……!よく来てくれた……!!」

律子「プロデューサー!もう大丈夫ですよ!」

P「早くっ……!頼むっ……!」ギュ

律子「分かってます。無理に喋らないで……」スッ

千早「律子、何を……?」


ズキュウウゥン


千早「や、やった!」


P「はぁ……レロ……りつこっ……」チュッチュチュッチュ

律子「んっ……ふっ……ぷろりゅぅひゃ……」チュッチュチュッチュ


千早「………………………………飲み物でも買ってこようかしら」

〜15分後


P「ふぅ……助かったよ律子、ありがとう」

律子「いえ……しかし、これってどういうことなんでしょうか……」

千早「本当にどういうことなのかしら」

P「俺の予想なんだが、律子から感染したんだと思う」

律子「私も……そう思います」

千早「私は何が何だかわかりません」

P「……というか、病気って本当だったんだな。
  俺、てっきり嘘かと……」

律子「ひどい! ……疑ってたのにキスだけはしていたんですね、最低」

P「いや、それは……その、嘘でも、嫌じゃなかったから……キス」

律子「なっ……! ばっ、ばか……」カァァ

千早「あの……二人とも病院に行った方が」

P「あ、そうだな……さすが千早だ」

千早「あの、皮肉で言ったんですけど」

律子「早く病院で検査をしないと……」

千早「そうですね、頭の方を……」

P「千早、悪い。今日のレコーディングは一人で頼んだ!」

律子「行きましょう、プロデューサー」




千早「…………まあ、なんでも、いいですけれど」


おわりつこ☆

〜後日談〜


千早「それで……プロデューサーと律子の頭の方はどうだったの?」

P「頭は割と正常だよ。なっ?」

律子「そうですよね」

P「こらっ、敬語はもう止めだろう?」

律子「あっ、そうでした……えと、そうだったわね、だーりん」

千早「…………病院行ってから余計ひどくなってる気がするんだけれど」

P「そんなことないよ。ねー?」

律子「ねー」

千早「はぁ……で、治るんですか?」

P「現代の医学じゃ治せないらしいんだ。
  だけど、もういいんだ」

千早「もういいって……諦めるんですか?」

律子「ま、まぁ、ある種諦めに近いかも……」モジモジ

P「いつ発作が起きても大丈夫なように、お互い、ずっとそばに居ることにしたんだ」

千早「えっ……それってつまり……」


P「俺達結婚するんだ!」

律子「いやっっほーーーぅう!!!」


千早「…………二人が幸せなら、
  まあ、なんでも、いいですけれど」



おわりつこ☆

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