王様「リアル鬼ごっこしまーす」【少し安価】 (60)



王様「対象者は>>2だよっ!」



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女聖騎士

王様「対象者は女聖騎士だよっ!」

女聖騎士「は?」ザワ


 豊饒の大地アスランドに衝撃が走った。

 突如として空に現れた巨大な映像。

 銀髪の男、上着を羽織り熱帯の木々をバックにはしゃぐ姿は異形の一声。

 国民達は皆、その映像を不思議そうに見上げていた。


王様「鬼はねー。こいつ!」

安価下1

素で間違えました笑

安価なら下

王様「僕だよっ」ニカッ

聖騎士「この面妖な男が……?」


 巨大な男。

 魔法の発展が目覚ましく、未だに蒸気機関程度の文明しか持っていないアスランド人にとって、機械の映像を本物の姿だと思いこむのも当然だった。

 聖騎士は戦慄した。

 この巨大な男に追いかけ回され、何をされるのか。

 押し潰されるのか。食べられるのか。それとも、その巨大な身体に見合った巨大な……。


聖騎士「くっ……殺されてたまるかっ」

隊員「聖騎士様!」

聖騎士「我はしばらく身を隠す! 後の事は頼んだぞ!」ダッ

隊員「はっ!」

※映画リアル鬼ごっこの王様です。


王様「さて、異世界との扉を繋いで、“対象者”を見つけたのは良いけれど……」

王様(こんな広い世界で、女聖騎士とかいう人間一人を捕まえるなんてできるのか……?)

王様「何か兵器はないのか」

参謀「これを」スッ


兵器

安価下1

参謀「異世界にあった被せた者を何でも言う事聞かせられる呪いの仮面でございます」

王様「そうそうこれこれ! これさえ顔にかぶせれば女聖騎士も思うがままっ」

参謀「おめでとうございます」



王様「って、捕まえなきゃ付けられないからねっ!?」



参謀「!!」ザワッ

王様「これ、目の前にいて、がばって付けなきゃどうしようもないからねっ!?」

参謀「し、しまったっ!」

王様「しまったじゃないだろ!」バキュンッ

参謀「」ドサッ

王様「……次っ」

参謀2「これを」

安価下1

参謀2「元剣士の雌奴隷でございます」スッ

元剣士「ぷぎーっふごーっ」ノシノシ

王様「ひっ!?」

王様(肘と膝から先が切られて、顔に真っ黒なマスク被せられた女が来た!?)ビクッ

参謀2「この雌奴隷、何でも言う事を聞きます」

元剣士「ふごーっ! ふごーっ!(おちんぽ! おちんぽ!)」

王様「……で、どうやって聖騎士を捕まえるのだ?」

参謀2「………」

元剣士「ふごーっ! ふごーっ!(あそこがうずくのっ! はやくっ!)」

王様「………」

参謀2「」

元剣士「」

王様「次っ! 次がラストだからねっ! 聖騎士を捕まえられる良い兵器を持ってきてよ!」

参謀3「はっ! お任せください!」



安価下1

王様「これは!」

参謀3「独自で開発した高性能のスーツでございます。異世界の魔法というモノへの対策もバッチリです」

王様「お前最高! お前参謀!」

参謀「はっ! ありがたき幸せ!」

王様(タイムリミットまでに何としてもあいつを捕まえなきゃ)ガシャンッガシャンッ


王様「行くよっ!」ゴォッ!!


こうして、女聖騎士と王様の熾烈な鬼ごっこが始まった。。。

アスランド上空

王様「これは快適だ!」ゴォォォォッ

王様(それにしても、この世界の雄大さはなんだ)


 無限に広がる大地、果てしない空、溢れる魔力。

 生まれてから自身の根城である新東京を出た事がない王様にとって、それは衝撃という言葉では足りないほど大きな出会いだった。


王様「女聖騎士は……」ピピピッ


 スーツの機能の一つ、カメラに収まる人々に検索をかけ、身体的特徴を照合する。

 だが、一向に当てはまる気配がない。

 そもそも、女聖騎士がこの大陸にいるかどうかも分からないのだ。

 異世界である事だけは分かっているのだが……。


王様「くっ、どうすれば……」


 多くの人間にとっては、身近に感じながらも果てしなく遠い存在である死だが、王様にとってはそうではなかった。

 先天性魔力欠乏症。

 地球では謎の無気力症候群と名付けられたそれは、異世界では割とポピュラーな病気だった。

 治し方は一つ。


 魔力の性質が合致する者と契りを交わす事。


 そして、王様の対象者は――。

オークの森

オーク「お、おい、あれ見ろよ」

オーク「うわぁ……最悪」


聖騎士「………」ガクガクブルブル


オーク「また来たよ。クッコロちゃん」

オーク「めんどくさいなぁ」


 アスランドの長い歴史が証明しているように、醜い生き物ほど弱い。

 魔物と呼ばれる生き物が人間と戦争するきっかけも、その弱さ故だ。

 魔王の命に従わざるを得なかった弱き存在は、魔王亡き今、悪とされ淘汰されつつあった。

 特に、王の命令で人間、特に女を凌辱してきたオークは最も憎まれている。


 だが、彼らは本来とても臆病で弱い。

 間違っても人間を単独で襲うなど出来る訳がないのだ。


聖騎士(あの巨大な人間に襲われたら、私は……)ガクガク

オーク「あ、あのぉ……」

聖騎士「!? お、オーク!?」ビクッ

オーク(お前、半年に一回来てるだろ……)

聖騎士「しまった! ここはオークの潜む森。一心不乱に逃げてきたら、こんな所に……」クソッ

オーク(いや、あんた移動魔法で一直線だったじゃないですか……)

聖騎士「いかに私がアスランドで一番強い存在だからとはいえ、囲まれては立ちうちできない」

オーク達「「あ、始まる」」


聖騎士「くっ、殺せ! お前たちに凌辱されるくらいなら死んだ方がマシだ!」


オーク達「「めんどくせぇ……」」

聖騎士「めんどくさい!? ま、まさか、脱がすのもめんどくさいと言うのか!?」

オーク「え」

聖騎士「この布面積の小さい胸と秘部を隠しただけの鎧すらもはぎ取らず、無理やりその肉棒を突っ込んでやろうと言うのか!」ハァハァ

オーク「い、いや……」

聖騎士「鎧の下に潜む、とろっとろに溢れた甘い蜜壺に、そのボコボコにそそり立つ肉棒を突っ込もうというのか!」ハァハァハァ///

オーク「」

ちょっと離れます!

聖騎士「………」ハァハァ

オーク「ちょっと待ってろ!」ダッ





オーク「なぁ、あいつどうする?」

オーク「無理だろ。俺、巨乳好きだけど、鎧から溢れるような下品な胸は嫌いだし」

オーク「それな」

オーク「でもさ、また来るだろあいつ」

オーク「そう言えば何か怯えてなかったか?」

オーク「それな」

オーク「いつもなら、期待に満ちた雌豚みたいな目で来る癖に……」


オーク長老「それはじゃな」


オーク「長老!!」


 長老と呼ばれたオークは、醜悪な姿である若者たちでさえ嫌悪感を抱くような存在だった。

 爛れた皮膚とひび割れた部分から溢れだす汁。

 大きく膨らんだ腹から覗きこむどす黒い性器。

 吐く息は色さえ付いてそうなほど臭く、呼吸と共に飛び出す唾は黄土色をしていた。

 若者たちは彼を長老と呼びながら、一方で「壊死オーク」と蔑んでいた。

 長老はそんな彼らの劣悪な心を見透かすように、言った。


オーク長老「聖騎士を、見ろ」


 オークは弱い。

 それ故に年上、特に長と呼ばれる者には従ってしまう習性があった。

 オーク達は一斉に聖騎士を見た。


 人間ならば溜息が出るような、艶のある肌。

 整った顔立ちは伝説の女神さえ彷彿とさせる。

 オーク長老はゆっくりと口を開く。その口端からは黄土色の汁が飛び出た。

オーク長老「先ほどの空に浮かぶ面妖な人間。そやつが言っていた女聖騎士があれじゃ」

オーク達「「な、なんだって!?」」

オーク長老「このままでは、あの巨大な男がやってくる」

オーク「そ、そんなっ! あの大きさの足に踏みつぶされたら、森が消えちまう!」

オーク「い、いや! 俺達が殺される方が先だろ!」

オーク「ど、どうする!?」

オーク長老「慌てるでない」

オーク「!?」

オーク長老「あやつは性に敏感な生娘じゃ。少し誘惑すれば、外に出す事も容易じゃろう」

オーク「「その手が!!」」



聖騎士「?」

森のはずれ

オーク「……うぅ…、なんで俺が…」

オーク「俺だって嫌だよ! でも、じゃんけんで負けたんだからしかたねぇだろ」

聖騎士「何をごちゃごちゃ……じゃんけん…? はっ!? ど、どっちが先に処女膜を貫通させて未開拓の膣をそのどす黒いイチモツで満たすか争ってるんだな! くっ、殺せ!」ハァハァ///

オーク「「………」」ハァ…

聖騎士「そして、もう一人は私の口の中を便器のように扱ってぐちゃぐちゃに……」ハァハァハァ///

オーク「……放っておこう」

オーク「それある」





 ――ビュォオオオオオオオオッ!!




オーク「な、なんだ!?」

聖騎士「!?」

王様「……見つけた」ブゥンッ

聖騎士「な、何者だっ!?」


 突如現れた銀色に光る人型のそれは、聖騎士が倒してきた魔物とは明らかに異質な存在だった。

 魔力を選別し、純度の高いモノだけ吸収するナノコーティング技術は、その性質を発揮する度に虹色に輝く。

 
 その姿は文献でのみ確認する事ができる、かつてアスランドを魔王から守り抜いた『虹色の勇者』のようであった。


オーク「ど、どうする?」

オーク「どうするって勝てる訳がねーだろ。あんな怖い奴」

オーク「それな」

聖騎士「………」スッ

オーク「?」

聖騎士「任せろ」ジャキッ

オーク((いや、あんたに用があるっぽいけど?))

王様「これで、生きられる……」ホッ

王様「剣……。あくまで捕まる気はないと?」

聖騎士「捕まえる気なのか!?」ビクッ

聖騎士(そ、その硬そうな皮膚から出てくる凶悪なおち……)ハァハァ


オークA「バカなのか?」

オークB「バカなんだろ」


王様「そんなモノで止められると思うなぁ!」バッ


 王様は両手を前に突き出した。

 銀色の篭手は掌に孔が空いており、この世界にある魔力を急速に吸い始めた。


聖騎士(この魔力の動きは、魔法!?)


 百戦錬磨の聖騎士だからこそ導き出せた予測。


聖騎士「オーク! 私の後ろに隠れていろ!」

オーク「「ぴぎぃ!!」」ギュッ

聖騎士「こ、こらっ、だきつ…あっ///」ビクッ

聖騎士(ふ、太いモノが私の太ももを撫でて……んっ///)ビクッ


王様「喰らえ!」ブゥゥゥンッ


 そして、閃光が彼らの視界を――。



聖騎士「ふわぁああああああっ///」ビクビクッ


 結論から述べるならば、オークの膝がただ彼女の細い太ももに触れただけなのだが、彼女にとっては一大事だったようで、

 とてつもなく大きな魔力が、王様の手から放たれた魔力とぶつかった。


オークA「帰りたい……」

オークB「それな……」


システム「警告! 警告! このままでは出力負けします!」

王様「だがっ!? これ以上出力を上げれば、聖騎士は死ぬんじゃ!?」

システム「ご自身の死と、どちらを優先されますか?」

王様「っ!?」

王様(そうか、システムはあくまで機械。俺が出力を上げて聖騎士が死ねば“三日は長く生きられる”計算をしたんだ……)

システム「出力を上げますか? 出力を上げますか?」

王様「………」

王様「……攻撃を…受ける」

システム「出力維持。5秒後に、出力負けでダメージを負います」

王様「……ああ」

王様(三日長く生きられるくらいなら。この広大な世界で……死にたい)





聖騎士「ぁぁあああああああああ///」プシャァッ

オークA「きたねっ!?」

オークB「漏らしやがった!?」





王様(もっと長く……)





聖騎士「あぁあああぁあああああ///」ビクビクビクッ

オークA「イキやがった!?」

オークB「クソビッチが!」





王様「……皆…後は…」






 たのんだ……ぞ



システム「被爆します」



 



 安価下1


1、王様の死 スタートからやり直し

2、このまま続ける


数日後。。。


王様「……なぜ…私は生きている」ムクッ


 白いシーツに包まれ、王は目を覚ました。

 外ではサイレンに似た鳴き声が轟き、空に大きな竜が飛んでいる。

 まぎれもない異世界。


王様「どういう事……だ?」


システム「説明します」


 枕元に置いてあった、銀色の兜から声が漏れる。

 機械音のそれは、スーツの機能を管理している『システム』によるものだ。

 王様は急いでシステムの声が良く聞こえる位置、枕に頭を置いた。


システム「聖騎士の魔力に、スーツの前面は損壊しました。後少しであなたの皮膚、肉、骨と焼き尽くしていたでしょう」

王様「具体的に言うな」

システム「しかし、あなたが衝撃で気絶した瞬間、魔力は消えました。跡形もなく」

王様「?」



システム「聖騎士が、気絶したのです」



王様「……は?」

システム「私は、スーツの残った部分を、機能維持の為に廃棄しました。エネルギー消費量の多い、魔力吸収装置や、推進力となる部分は一つも残っておりません」

王様「残ったのは?」

システム「いわゆる“本体”の部分と、帰還装置のみです」

王様「帰れるのか?」

システム「はい。今すぐにでも」

王様「……だ、だがっ、俺は聖騎士と契りを交わさねば!」

システム「その必要はありません」

王様「え?」



聖騎士「目覚めたようだな……旦那様///」ポッ



王様「」

王様「な、何が……」

システム「私は登録者である王様の望みを叶えるのが使命。気絶した場合は、登録された目標を優先します」

王様「つまり……?」


聖騎士「私と……いちゃラブセックスだ///」モジモジ


王様「」

システム「いえ、王様は気絶していたので、正確にはレイプ、睡眠姦です」

王様「お、俺、知らない間にセックスしてたの?」

システム「はい」

聖騎士「責任とって」チャキッ



聖騎士「くれるよな?」ニコッ



王様「………」

王様「帰還!」

システム「命令に従います」ブゥン

聖騎士「貴様っ!?」



システム「残念だったな。これ1人用なんだ」



――プシュンッ



聖騎士「消えた……」


新東京

王様「いたっ!」ドサッ

参謀「王様!」

警備「王様!」

王様「だ、大丈夫だ……」ハァハァ

参謀「よくぞ御無事で!」

王様「……ああ、目的も果たした」

参謀「それでは!!」

王様「病気は、なお――」



 ブゥンッ!!



一同「!?」


 突如として、新東京の空に現れた大きな映像。

 魔力で写るそれは、映写機によるモノより鮮明で、聖騎士の性器を細部まで映し出していた。


聖騎士「こ、これを見ろっ! き、貴様の所為で破れた処女膜だ!」


 響き渡る声。

 くちゅくちゅと淫靡な音も追いかけて、新東京は混沌と化した。


市民「ま、まんこだぁあああ!」ムクムクッ

まーん「いやぁあああ! 男子最低ーーー!」

変態「変態汁ぶっしゃぁああ!」ドクッドクッ!


 一部の男たちは歓喜したが、多くの人間はその場で吐いた。

 なぜなら、聖騎士の性器は、長年外側を弄りすぎた所為でどす黒く変色し、びらも耳たぶのように伸びていたからだ。

 そこには美しさなどなく、アスランドの住民なら同じ事を想うだろう。



 ――オークのケツに似てる、と。



王様「お、俺はあんなのに入れたのか……」ガクッ

参謀「王様!?」


 聖騎士は言った。

 貴様を地の果てまで追いかけて、だいしゅきほーるどの末に受精セックスをしてやると。

 王様は恐怖のあまり泡を吹いて倒れた。

 彼が、生き延びるために始めたリアル鬼ごっこ。



 その攻守が後退した時、誰も見た事のない地獄が――始まった。



 第一部 完

リアル鬼ごっこしようぜ!


王様「リアル鬼ごっこしまーす」


対象者 

安価下1

王様「対象者は新東京に住む処女でーす^^」

王様「追いかけるのは……」


1、リアル鬼ごっこの鬼
2、それ以外(なんか具体的に)


安価下1

王様「用意した鬼は……こいつらっ!」バッ


鉄男達「………」ザッ


王様「アイアンマンスーツ着用の鬼たちだっ!」

王様「サイレンが鳴ったらスタート、鳴り終わるまで無事逃げ切れるかな?」

王様「それじゃあ、リアル鬼ごっこ……スタートっ!」



主人公のスペックと年齢を適当に(学生とかニートとか)お願いします!

安価下1


 私の名前はさくら。

 かつて、超高校級の格闘家なんて呼ばれていた事もある。

 あの悪夢のような毎日から逃れ、今では普通の高校生として生活している。

 彼氏?

 ふふっ、私みたいな強い女の子と付き合ってくれる人っているのかなぁ?




※某論破ゲームの大神さんではないです。オリジナルssなので。

「さくらちゃーん」

「ぬっ?」


 後ろから、声がする。

 振り返ると、遥か後方で手を振る少女が1人。

 私の友人の松永さんだ。

 どうやら、彼女は寝坊したようだ。この時間に、坂道の初めだと彼女の足では間に合うはずもない。


「おはよーっ」


 助けるべきだろうか?

 私の足なら、彼女を背負っても楽々間に合うだろう。

 だが、今月ですでに三回目。

 決して悪い子ではないのだけれど、怠慢は癖になる。


 どうしよう……。




「えへへ、さくらちゃんの背中乗り心地さいこー♪」スリスリ

「全く……」

 私は、小さく息を吐いた。

 30度は傾斜のありそうな坂道に疲れた訳ではない。

 ただ、自分の意志の弱さに呆れたのだ。

「松永さん、次はちゃんと寝坊しないようにしてくださいね」

「はーい」

 何と気のない返事だろう。

 この前街中ですれ違った時は、男の子の横だったから一生懸命だったのだろうか。


「おはようございまーす」

「おう! 間に合ったな!」

「おはようございまーす」

「おはよう!」


 校門では、教師の坂崎先生が竹刀を肩に担いで通りすがる生徒に挨拶をしている。

 緑色のジャージは正直似合ってないし、竹刀を適切に振る筋力は彼にはない。

 だけど、とても良い先生なので誰もバカにしない。尊敬できる、立派な先生だ。


「先生おはよー」


 松永さんが、気だるそうに手を上げた。


「……大神、またお前甘やかしたのか」

「………すみません」


 坂崎先生の溜息は優しく空に消えた。

 にっこりと笑いながら、「良いんだ。優しいな、大神は」と、私の頭を撫でる先生は太陽より輝いて見えた。


「さくらちゃん、れっつごーっ」

「お前は降りろ松永!」


 喧騒な朝。ありふれた日常。

 平和な日々があっさりと終わるなんて、この時は想像もしてませんでした。
 


 教室に入ると、生徒達が口々に挨拶をしてくれた。

「おはようさくらさん」

「おはよう大神さん」

「大神さん今日も可愛いね」

「大神さん! 一緒にお昼食べようね!」

 男の子も、女の子も、優しい言葉を並べてくれる。

 だけど、返事をしたのは、

「うむうむ、苦しゅうないぞ♪」


 ――松永さんだった。


「おめーに言ってねぇし」

 教室内に笑いが溢れる。

 なんて、良いクラスなんだろう。

 かつて、コロシアイを体験した私が一生手にする事の出来ないと思っていた大切な日々。

 本当に……幸せだ。


「おーい席につけー。王様の時間だぞー」


 担任の江藤先生が声をかける。

 そして、教卓のそばにある赤い布をどけ、ディスプレイを露わにした。

「えー、またかよー」

「今度もまた草抜きかなー?」

「………」


 王様の命令はとても気まぐれだった。

 新東京都民全員で草抜きをしたり、ラジオ体操をしたり、靴下を脱いで生活したり。

 それでも、王様の命令である以上誰も表立って文句を言ったりはしない。

 影でこそこそと悪口を言うのが関の山だ。


 画面が、パッと明るくなる。

 背景はどこかの南の島のようだ。造り物であることが遠目でも分かる。


「……やぁっ! 諸君! 諸君らに私は試練を与えようと思う!」


 試練? やはり前みたいに草抜きだろうか?


「題して“リアル鬼ごっこ”だっ!」


 リアル鬼ごっこ。なるほど、全速力で追いかけっこをして、都民の体力を養おうと言う意図か。

 それなら、私でも活躍できそう。

「まずは、対象者を決めたいと思う!」

 対象者? ……鬼と逃げる側を決めるのかな?


 運ばれたダーツの的には、四つのカテゴリーに分けられていた。


『童貞』『非童貞』『処女』『非処女』


「おいおい田中! お前童貞じゃねぇのかよ!」

「ど、どどど、童貞ちゃうわ!」


 田中君と佐藤君が騒ぐ。

 教室に笑いが溢れた瞬間、ダーツの矢が刺さる。



 【処女】



「対象者は処女だ! サイレンが鳴ってから、鳴り終わるまでの一時間、全力で逃げたまえっ!」


 処女が対象? それなら私も……。




 突如、けたたましい音でサイレンが鳴り響く。


「な、なんだよこれ!?」

「処女はどうなるんだ!?」

 それは私達処女が聞きたい。

 しかし、答えはすぐに分かる。


 ガシャァンッ!!


鉄男「………」ブゥンッ


 突如として、窓ガラスが割れる。

「きゃぁああああ!?」

 生徒達は叫びながらも、金属に身を包んだ彼らを見た。

 その姿は異形。

 だが、私は知っている。



「アイアンメェンスーツ……」



 天才が造り出した、一つあれば戦争を止められるほどの兵力を持つと言われるスーツ。

 そのアイアンマンスーツを着た者が、教室に侵入してきた。


 その意図は穏やかとはとても言い難い。


「ななな、なんだよお前!」

「佐藤君!?」


 


 椅子を掲げて、威嚇する佐藤君。

 アイアンマンは、ゆっくりと首を動かして佐藤君を捉える。


「お、お前一体……なんなんだよっ!」


 佐藤君の問いに答えず、アイアンマンはゆっくりと腕を上げ、掌を彼に向けた。


「え……」


 キュィィィィン、と、金属音のような、いやもっと高い音を響かせて、何かがアイアンマンの掌に収束していく。

 ヘルメットの下では、何を想っているのか。

 少なくとも、佐藤君に対して、良い事をするようには見えない。


 だから、私は――。


「はぁあああああああ!」

『……?』


 アイアンマンさん。

 あなたに何の目的があるか分からないですが、



「この教室では好き勝手させませんよ」





 もう一人の主人公(男)。

 安価下1(特徴や年齢を)

ごめんなさい、安価出しましたが一旦はなれます!

安価だったら下で!

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