モバP「なっちゃんという担当アイドル」 (35)

前作
モバP「なっちゃんという同級生」
モバP「なっちゃんという同級生」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1434111292/)

前スレはHTML依頼出してしまったので新スレ立てました
ちょくちょく独自設定を混ぜ込んでいるので、先に前作を読んでいただくとわかりやすいかと思われます

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1434292580

P「――というわけで、アイドルに恋愛はご法度だ」

P「不祥事を起こすと大変なことになるからな。みんな、気をつけるように」

凛「はい」

菜々「わかりましたっ」

茄子「肝に銘じておきますね」

P「よし。では朝の挨拶はこれで終了。各自レッスンなりお仕事なりの準備にとりかかってくれ」

茄子「P君、P君」ツンツン

P「なんだ?」

茄子「今夜デートしませんか♪」

P「なっちゃん、俺の話聞いてた?」

茄子「もちろんです」

P「じゃあデートがまずいのもわかるよな?」

茄子「ふふっ、大丈夫ですよ」

茄子「私の幸運で、何しても絶対にばれませんから」フフフ

P「うわあ、こいつゲスいよ。自分の幸運悪用する気満々だよ」

茄子「まあ、それはさすがに冗談です」

茄子「デートと言いましたが、夕食を一緒に食べに行くというだけです」

茄子「そのくらいならOKですよね?」

P「ああ……食事くらいなら、プロデューサーとアイドルという関係上、さして問題はないな」

茄子「でわでわ、決まりですね♪」

P「で、どこに行くんだ? なっちゃんと食べに行くなんて久しぶりだけど、せっかくだしこじゃれた店とか」

茄子「ラーメン食べにいきましょう!」

P「女っ気のかけらもないチョイスだな……」

茄子「あら? もしかしてP君、私との食事でそういうの期待してたんですか?」

P「……いーや。よく考えてみたら、学生時代になっちゃんと行ったのはラーメン屋とカレー屋ばっかりだったな」

茄子「久しぶりに行ってみましょうよ、思い出のラーメン屋に」

P「そうだな。随分とご無沙汰だったし」

凛「なに? 二人でどこか行く約束?」

P「おう。なんなら凛も来るか? 今夜ラーメン食べるんだが」

茄子「ちょっとここから遠いですけど、おいしいですよ♪」

凛「ふーん……せっかくだし、いってみようかな」

P「じゃあひとり追加と」

茄子「先生もどうですか?」

菜々「ナナもですか? それじゃあお言葉に甘えて」

菜々「あと、もう先生じゃないです」

茄子「あ、そうでした。では改めまして、一緒にいきましょう、菜々ちゃん♪」

菜々「……かつての教え子にちゃんづけされるのも変な気分です」

茄子「私はなんだか面白い気分ですね~」

その日の夜


店長のおっちゃん「いらっしゃい!」

P「おー、内装なんも変わってない」

茄子「懐かしいですね~」

菜々「高校の近くにこんなお店があったんですねー」

凛「……男の空間って感じかな」

P「ちょうどそこの席が空いてるな。座ろう」

店長「ご注文は……って、よく見たら兄ちゃん、懐かしい顔じゃねえか」

P「あ、店長覚えててくれたんだ。じゃあなっちゃんのことも?」

店長「もちろん。うちじゃ数少ない、というかほぼ唯一の女の子の常連だったからな」

茄子「お久しぶりです。確かに、いつ来ても男の人ばかりでしたね」

P「ラーメン屋だし、店長男臭いし、店の見た目も地味だしなあ」

店長「いいんだよ。代わりに男がたくさんやってくるから、採算はとれてんだ。それより、今日はずいぶんと女の子だらけじゃねえか」

P「ま、いろいろあってね」

凛「どうも……」

菜々「こんばんは、です」

店長「おう、ゆっくりしていってくれ」

P「(ちゃんとしたデビューもまだしてないなっちゃんとナナ先生は当然として、凛がアイドルってことにも気づいてないか)」

P「(そういうの疎そうな相手とはいえ、まだまだ知名度不足ってことだな。デビューから半年も経ってないし、当たり前かもしれないけど)」

店長「それで、注文は決まったかい?」

菜々「ナナは醤油ラーメンをお願いします」

凛「私は塩ラーメンで」

P「味噌ネギチャーシュー大盛り」

茄子「とんこつチャーシュー大盛りで」

店長「はいよ」

凛「(茄子さん、大盛り食べるんだ)」

菜々「(そういえば、結構バクバク食べるタイプだったなあ)」

ラーメン到着


4人『いただきまーす』


凛「あ、おいしい」

P「だろ? 味の濃さが癖になるんだ」

凛「普段ラーメン屋とかあんまり来ないけど、いいね。こういうの」

茄子「よかったですね、店長。若い子にも好評みたいですよ♪」

店長「当たり前だ。うちのラーメンは味だけならナウなヤングにも馬鹿ウケ間違いなしだからよ」

P「いや、ナウでヤングって古いよ店長……」

店長「そっちのナウでヤングなお嬢ちゃんもどうだい? うまいだろう」

菜々「や、ヤング……! は、はい! ナウでヤングなナナの舌にもぴったりですっ!」

店長「うれしいねえ」

凛「……ナウでヤングなんだ」ボソッ

茄子「外見だけなら私よりも年下に見えますからね~」ボソッ

P「あの人こそ『ナウでヤング』がふさわしいな」

しばらく談笑した後


茄子「ごちそうさまでした」

凛「はやっ……茄子さん、もう食べ終わったんだ」

茄子「早食いは得意ですよ~。伝家の宝刀・隠し芸のひとつです♪」

P「昔は割と小食だったんだけどな」

凛「そうなの?」

茄子「単純に、ひとりで引きこもって運動していなかったから、お腹が減らなかっただけですけどね」

茄子「いっぱい食べるようになったのは、あのテニス大会からでしょうか」

凛「テニス大会?」

P「あー、あったなそんなことも。俺となっちゃんが仲良くなってすぐのころ、男女混合ダブルスでクラス全員によるトーナメントが開催されたんだよ」

茄子「私はP君とペアを組んだんですけど、そしたらP君が急に優勝狙うって言い出しまして」







茄子「……はい? 優勝?」

P「そうだ」

茄子「バカじゃないですか」

P「一応本気だけど」

茄子「だったらなおさらバカですよ……どうして優勝だなんて」

P「理由は今から説明する」

P「まずなっちゃん。お前は運動ができない。そうだな」

茄子「……否定はしません」

P「俺は運動できるほうだけど、それでもテニス部の連中よりは実力的に下だ。普通に考えたら、俺達は優勝できない」

P「だがしかし!」

茄子「っ」ビクッ

P「そんな俺達が優勝すれば、当然俺となっちゃんはみんなに注目される」

P「無愛想で根暗でもやしっ子だというなっちゃんの印象も変化するかもしれない」

P「それは結構面白いんじゃないかと思ってな」

茄子「失礼な物言いをされた気がしますが……ひょっとして、私のためを思っての行動ですか?」

P「違う。俺が面白いと思ったからだ」

茄子「……わかりました。そういうことにしておきます」フフッ







茄子「それからP君による鬼のような指導が始まりました」

茄子「ラケットを振り続けたせいで手はマメだらけ」

茄子「飯食って体力つけろと言わんばかりに、男らしい料理が出るお店にもたくさん連れていかれました」

P「幸運によって120パーセントの実力が出せるとしても、元の実力がへっぽこじゃ意味ないからな。鍛えに鍛えた」

凛「昔から、そうやって人の世話するの好きだったんだね」

菜々「プロデューサーになったのも、そのあたりに理由があるのかもですね」


凛「それで、結果は?」

P「惜しくも準優勝だったが、なっちゃんが注目されるという当初の目的は達成できた」

茄子「あれ以降、私もだんだんと周囲に溶けこめるようになりました」

茄子「それプラス、もやしっ子も卒業できました♪」

菜々「そういえば、以前の茄子さんはちょっとやせ気味でしたっけ」

P「今は出るとこ出ててむっちりだな」

茄子「惚れちゃいました?」

P「見惚れはしたが惚れてはいない」

茄子「ほう。そういう答え方もありますか~」

凛「………」

凛「二人ってさ」

凛「今まで、付き合ってみようとか思わなかったの? ……そりゃ、今は駄目だけどさ」

P「へ?」

茄子「え?」

凛「いや、すごく仲良さそうだし」

菜々「そういえば、高校の時も噂になってましたね。あの二人付き合ってるのかーとか、付き合ってないのかーとか。青春ですねえ」

凛「そこのところ、どうなの」

P「どうって……」

茄子「言われても……」

P「もちっとおとなしくて優しい子がいい」

茄子「もう少しかっこいい人がいいですね」

P「なっちゃんも微妙にイイ線いってなくもないんだがなあ」

茄子「P君も決して悪くはないんですけど……」

凛「二人とも、恋愛に対するハードル高くないかな……」

菜々「青春ですねえ」

後日


P「なっちゃんとナナ先生の初ライブ成功を記念して」

茄子「かんぱーい♪」

菜々「って、事務所でお酒飲んじゃっていいんですか?」

P「定時過ぎてるし、仕事終わったし、多少はね?」

茄子「仕事場で飲むっていうのも乙なものです」

P「というわけで先生も飲もうよ」

菜々「な、ナナは未成年なので……」

P「それは設定だし」

菜々「せ、設定じゃないです! 本人が未成年といえば未成年なんです! だからお酒も飲めません。あといい加減そろそろ先生呼びはやめましょう」

茄子「まあまあ、そう無理に勧めなくてもいいじゃないですか。菜々ちゃんにはジュースがありますよ♪」

1時間後


P「はあ~、だいぶ酔ってきたなあ」

茄子「そうれすね~」

菜々「あの……二人とも、そろそろお酒は控えたほうが」

P「なんだとぉ! 自分は飲まないくせして上から目線か!」

茄子「そんなに言うなら~、菜々ちゃんが私達の代わりに飲んでくらさい~」

菜々「わわっ、ついに支離滅裂な絡みが始まってしまいました……!」

P「ほらほら」グイグイ

茄子「飲んじゃえ、飲んじゃえ♪」グイグイ

菜々「ぐ、グラスを押しつけないでください~!」

ちひろ「あれ? プロデューサーさん、まだ残って――」ガチャ


ちひろ「……何やってるんですか?」

菜々「た、助けてくださいちひろさん!」

菜々「この二人、根本的なところが似通ってるので、悪乗りし始めると止まらないんです!」

茄子「興が乗ってきたところで、そろそろ隠し芸のひとつでも……」

P「よっ、待ってました!」

ちひろ「……確かに、えらいことになってますね」

一段落ついて


P「うーん、よく覚えてないけど結構はしゃいじゃったらしい」

茄子「書き置きだけ残して、菜々ちゃんも帰ってしまったみたいですね」

P「『酒は飲んでも飲まれるな! 先生とのお約束ですよ!』か……やっぱり先生じゃん」

茄子「今後はお互い気をつけましょう」

P「さて。もうすぐ日付も変わるころだし、そろそろ俺達も帰るか」

茄子「ですね。でも、その前にひとつだけ」

P「ん?」

茄子「ねえ、P君」

茄子「私って、実は照れ屋なんです」

茄子「だから、こうしてひどく酔ってる時でもないと、面と向かって言えないんです」

P「(酒がまわって顔を赤くしたなっちゃんの視線は、じーっと俺を捉えたまま)」

P「(はにかみながら、すっと俺の膝に手を伸ばしてきた)」

茄子「今まで、ずっと言いそびれちゃってましたけど」

茄子「4年前。私に声をかけてくれて、私の手を引いてくれて……」


茄子「本当の私を見つけてくれて、ありがとう」

茄子「……ふう。やっと言えました」ニコッ


P「………」

P「ああ」

P「その分のお礼は、なっちゃんがトップアイドルになることで返してくれ」

茄子「りょーかいですっ」

P「(その時のなっちゃんの顔は、それはもう頼もしいもので)」

P「(俺は、これからの日々が楽しいものになるであろうことを確信するのだった)」


おしまい

短いですが、もともとオマケみたいな話なのでこれで終わりです
お付き合いいただきありがとうございました

SSでの茄子さんって大体ラブラブかヤンデレのどちらかなイメージなので、たまにはこんなのもありかなと。これでも十分いちゃいちゃしていますが

次回は「ナナ先生のメルヘンデビュー」とか書けたらいいな、と思うだけ思っています。本当に書けるかはわかりません
その前に地味に進めているアイドル妹シリーズのほうを書くかもしれないので……

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