【AC3×咲-saki-】照「これがAC……」 その2 (496)



「おかえりー」

「おかえりなさい……」

「……ただいま」

「どうだった?」

「まぁ、それなりだな」

「ふふーん、なーによー照れちゃって」

「そんなことはっ」

「温かかった……?」

「あ、ああ……」

「よかったね」

「そう、だな……」




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1370174815


このスレは咲キャラでAC3をやってみようというよくわからないスレの2スレ目です
・書くのが遅いです。
・ACなので、キャラが死にます。
・でもこれを機にACに触ってくれるとうれしいです

前スレ【AC3×咲-saki-】照「これがAC……」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1355568791/)



2スレ目になりましたが、本編がまだ書けていません。
少し時間をくださいー
早く、早く書かなければ……

おつ
3好きだから前スレ見てくる

テンプレに書き忘れたので、ここで
・投下後に全く関係のないことを言うかもしれません。
・一回のまとまった投下を一話としています。なので、その投下と投下の間では何日か経過していたりします。

>>4
ありがとうございます!

次回の投下は、今日の20:00あたりに本編を予定しています。ではまた!

お待ちしております~

ね、寝坊した……
起きたらなぜか携帯の電源が切れていました。何故だ……
遅れてごめんなさい。では投下!


―トレネシティ:自宅―


「……」

朝食を食べ終え、食後の紅茶の香りを楽しむ。
外の天気は快晴だ。

「ふぅ……」

昨日は楽しかった。ああやってみんなでお風呂に入るのは、初めてだったかもしれない。
みんなでお風呂に入ったりするのは、たまにやるからこそ楽しいのかもしれない。
……それを言えるほど、私にそういった経験はないけど。

「……ん?」

紅茶を啜っていると、PCから着信音が発せられた。
メールのようだ。

「っしょ……」

チェアから立ちあがり、PCへ向かう。
さぁ、誰からかな……?



依頼主:ミラージュ
作戦領域:リツデン情報管理施設
敵勢力:不明
作戦目標:レーダー設備の全破壊

『我々はついに、直接管理者へのアクセスを可能にするプログラムを完成させた。
 これがあれば、現在の異常事態を解消することが可能だ。
 だが、つい先日このプログラムの存在をかぎつけたクレストによる襲撃を受け、
 アクセスに必要な施設が致命的なダメージを受けた。
 プログラムそのものはダミーをつかませることで、強奪を免れたが、施設の修復を待っている余裕はない。
 あの設備と同様のものを所有しているのは、我々以外にはクレストのみだ。
 クレストの情報施設を襲撃し、制圧を図る。ついては、レイヴンの協力を求めたい。
 我々の部隊に先行して施設を襲撃し、全てのレーダー設備を破壊して欲しい。
 レーダーを破壊すれば、施設は目を失ったも同じだ。混乱に乗じて、我々の本隊が制圧にかかる。
 なお、今回は僚機の使用が許可されている。協力して当たってくれ。では、頼んだぞ。』


……依頼のメールだった。

やっぱり、あの時のプログラムはダミーだったんだ。
まぁ、あんな大事なものがあっさり奪えるなんて怪しいとは思っていたけどね。

僚機だけど……
まぁ、一応菫を連れていこうかな。レーダーの破壊だけとは言え、何が出てくるかわからないし。
信頼のおける味方を連れていきたい。

「ふむ……」

アセンブリは……どうしようかな。タンクは置いておいて……


―コーテックス:エントランス―


「こんにちは」

「はい、こんにちは」

エントランスで待っていた尭深さんと落ち合う。
こんにちは、と言ったけど、おはようでもよかったかもしれない。

「依頼の内容は確認していますね?」

「はい」

「では、僚機はどうしますか?」

「リップハンターを連れていきます」

「わかりました。話をつけておきますね」

「お願いします」

「では、また」

「はい」

さぁ、後はアセンブリだね。


―コーテックス:ガレージ―


「こんにちは」

「お!よう、嬢ちゃん。今日はどうする?」

「そうですね……」


HEAD:MHD-RE/005
CORE:CCM-00-STO
ARMS:CAM-11-SOL
LEGS:MLM-MM/ORDER
BOOSTER:MBT-NI/MARE
FCS:PLS-ROA
INSIDE:―
EXTENSION:―
GENERATOR:CGP-ROZ
RADIATOR:RIX-CR14
BACKUNIT R:CWR-S50
BACKUNIT L:CRU-A10
ARMUNIT R:MWG-RF/220
ARMUNIT L:CLB-LS-2551


「……これでお願いします」

「ふむ……えらいオーソドックスだな」

何が来ても対応できるように、安定感のある中量機体を選択。
さらに何が出て来てもいいように、高出力ブレードと優秀なライフル。万能な小型ロケット。
迷ったらこれ、というアセンブリだと思う。

「何が来てもいいようにと思って」

「少し瞬間火力が足りない気もするが、総火力は十分だな」

「それが、このアセンブリの持ち味です」

「違ぇねぇ。よし、後は任せな」

「ありがとうございます」

アセンブリも伝えられた……後は、出撃するだけだね。


―コーテックス:ガレージ前―


「……菫」

「お前か」

一旦ガレージを出ると、菫が壁に寄り掛かっていた。

「昨日ぶりだな」

「うん。今日もよろしく」

「おう」

一緒に戦って、一番安心するのは菫かもしれない。
昔からの付き合いというのもあるし、実力が同じくらいというのもあるんだろう。

「内容は聞いた。まぁ、楽勝だとは思うが」

「気は抜かないでね」

「大丈夫、手は抜かんさ」

それは微妙に意味が違う気が……


―特殊実験区:リツデン情報管理施設―


輸送機に揺られ、作戦領域に到着。
機体が降下される。

<<目標のレーダーは、全部で五つあります。迅速に破壊してください>>

「了解」

<<了解>>

五つ……二手に別れた方がいいかな?

<<しかし、霧がひどいな……>>

「前がよく見えないね」

そう、この周辺は霧がかなりひどく、20m程前は霞んでよく見えない。
ACのレーダーは無事みたいだから、迷うことはないと思うけど……

「とりあえず、目の前のレーダーを破壊しよう」

<<ま、そうだな>>


‐メインシステム 戦闘モード 起動します‐



<<侵入者を確認 各部隊は攻撃態勢に移れ>>

<<敵の数が非常に多いです。気をつけて……>>

「了解」

レーダーを見ると、確かに敵の数が多い。戦闘ヘリは視認できるけど……

「っ!」

霧の向こうから、どこかで見た影が、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
あれは……!

「エクスファーの……」

右腕のライフルで狙い、冷静に撃ち落とす。
この霧の中にエクスファー……面倒、かな。

「エクスファーがいる。ボムに気をつけて」

<<わかった。お前も気をつけろよ>>

私のACであるアマテラスと、リップハンターのACルージュで、目の前のレーダー施設を蜂の巣にしながら注意し合う。
意外に堅いけど、それでもACにとっては問題ではない。
戦闘ヘリをライフルで撃ち落としつつ、次を考える。



<<どうする?>>

「……じゃあ、私が右側を片付けるから、左側をお願い」

<<了解、任せろ>>

残る四つのレーダー施設は、ここから右側に二つ、左側に二つある。
折角僚機を雇っているんだし、二手に別れない手はないだろう。

上空からOBを起動し、右前方へ余剰でかっとぶ。
しばらく飛んでいると、霧の中からレーダー基地の姿が現れてきた。

「二つ……」

大きなレーダーに向かって降下しながら、ブレードを出力。
そのまま斜めに叩き斬る。

<<レーダー2基破損!迎撃部隊は何をしているんだ!>>

<<やるな>>

「まぁね」

レーダー基地にはミサイル砲台がついているけど、今は無視だ。
それより次のレーダーに向かわなきゃ。

「っ!」

不意に視界に入ってきたエクスファーのボムをレーダーの残骸で潰す。
速度は遅いのに、何故か接近されるまで気付くことが難しいな……



<<三つだ>>

私が次のレーダー施設へ向かっていると、目標の反応が一つ消えた。
この分なら、残りもすぐに終わりそうだ。

「流石」

<<これくらいはな>>

OBの余剰で飛びながら、軽口を交わす。

「こうなってるんだ……」

残りのレーダー施設は隣接していて、ちょうど谷になっている場所に設置されていた。
何と言うか……もう少しいい場所は無かったんだろうか?おかげで非常に攻めやすい。

上空からライフルで施設の砲台を無力化しながら、レーダーに小型ロケットの雨を降らせる。

「四つ」

目の前でふらふら動いていたヘリをブレードで薙ぎ、着地。
その着地と同時にレーダーは爆発した。
あとは……

<<これで最後だ>>



<<これで最後だ>>

左側を確認すると、大きなレーダーにブレードを突き刺しているルージュがあった。
ルージュはオービットをばら撒きながら着地し、こちらに向かってくる。

<<全ての目標の撃破を確認……>>

「あっさりだったね」

<<ああ>>

これで……

<<待って、通信が……>>

……
こんな展開、前にもあったような……

<<ミラージュより通信です。基地内部の倉庫にいる武装勢力を撃破せよ、との事です>>

基地内部というのは恐らく、目の前に鎮座しているレーダー施設より一回りほど大きい建物の中の事だろう。
それよりも……

「武装勢力?」

<<ACかMT部隊か、はたまた……>>

<<正面のゲートはわかりますね?そこから基地内部に侵入してください>>

「了解」

<<了解>>

さて、何が出るのか……



<<同業者か……まぁこれも依頼だ。悪く思うなよ>>

ゲートから侵入し、倉庫に繋がるエレベータを降りると、ACが待ち受けていた。
数は……2だ。

「!AC……」

<<2機か>>

敵のAC2機とは多分アリーナで戦ったんだけど、余り見覚えが無い。
片方はタンク型。もう片方は逆関節型で……武器腕?
誰だったっけ……?

「どうする?」

<<そうだな、一対一に持っていってもいいが……>>

<<相談している暇はないぞ!>>

と、タンク型のACから、パルス弾とライフル弾が飛んでくる。
私はブーストダッシュで横へ、ルージュはブースタをふかし上へ避ける。

「臨機応変に」

<<了解>>

私は地上から攻めることにしよう。



一旦タンク型ACを放置し、逆関節型ACへブーストダッシュで接近を図る。

「……」

あの武器腕は、なんだったっけ……
形が非常に独特だけど、見慣れない為なんの武器かわからない……

「!」

と、私に押されて後退していた逆関節型ACから、ミサイルが一斉に向かってきた。
ブーストダッシュを急停止し、真横の柱の陰でそれをやり過ごす。

「……」

隠れながらOBを起動、左へ全力で出力する。
柱の陰から左へ高速で飛び出し、今度はOBを右へ出力する。
逆関節型ACを正面に捉えると、今度はそのまま前進。全速力で突っ込む。

「っっ……!」

酔いそうだ……機体を左右に激しく降ったせいか、頭ががんがんする。



<<っ?!>>

私の変態的な機動に少しパニックになったんだろうか。逆関節型ACが一瞬狼狽したように見えた。
逃がさない。
そのままOBで接近し、ブレードでコアを……!

「っ……浅い」

逆関節型は私のブレードが当たる瞬間、少し機体をそらしたらしい。
コアを捉えはしたが、装甲が少し剥がれるだけで、直撃とはいかなかった。

と。

<<こいつからやるぞ>>

ルージュが上から現れ、仕留め損ねた逆関節型目がけてオービットとレーザーライフルを降らせながら降りてきた。
放たれているレーザーライフルは、コアではなく脚部を狙っているようだけど……


「なるほど」

リップハンターの意図がわかった。多分、足を潰す気なんだろう。
私も小型ロケットで逆関節型ACの脚部を狙い、ルージュの援護に回る。

<<……悪いな>>

レーザーライフルとロケットで脚部が壊された逆関節型ACの上に、ルージュが着地する。

<<きゃああっ!!>>

そのままルージュはブレードをコアに突き刺し、逆関節型ACに止めを刺した。



<<フレア!>>

戦闘が始まって30秒と経たない内に、タンク型ACは単騎となってしまっていた。
タンク型は機動力がほぼ無いので、離れた場所で戦えば驚異にはならない。
先に逆関節型から狙ったのは、そんな理由もあったりする。

「左右から」

<<了解>>

私が右上から、リップハンターが左上から挟み撃ちを狙う。
タンク型は私たちを迎撃する為か後退するけど、すぐに背中が壁に当たってしまった。

<<私が先行する>>

ルージュが私より先に近づき、タンク型目がけて降下する。
タンク型はパルスキャノンやライフルで応戦するが、私のことも視野に入れているのか狙いが安定しない。
もちろん、そんな攻撃に当たるリップハンターではない。

ルージュはパルスキャノンを掻い潜り、ブレードを出力。空中からタンク型の頭部目がけて振り下ろす。
ルージュのブレードは見事にタンク型の頭部を吹き飛ばし、周辺にその破片が散らばっていく。

今度は頭部の無くなったタンク型AC目がけ私が右から降下し、残った敵ACの上へ着地する。

<<こ、こんなはずが!!>>

頭部の無くなったタンク型ACのコアに、真上からブレードを突き刺す。
ACが爆発する前にルージュと離脱を取りながら、リップハンターはレーザーライフル、私は小型ロケットで止めを刺す。
ほどなくして、タンク型ACは爆発した。



<<目標の撃破を確認。おつかれさまでした>>

<<まぁ、こんなものだな>>

「手早く終わったね」

ACが出てきたけど、菫が居てくれたおかげでなんとかなった。
私たちの役目は終わり。後は、ミラージュに任せよう。

アクセスプログラム、かぁ。果たして成功するんだろうか……?


‐作戦目標クリア システム 通常モードに移行します‐


◇◆◇◆

―トレネシティ:自宅―


「今日は、おつかれさまでした……」

「尭深さんも、おつかれさま」

夜。
昼に依頼をこなした後、尭深さんを誘って家でお茶会をしている。
尭深さんの淹れてくれるお茶と、私秘蔵の和菓子の相性は抜群だ。おいしい。

ぴーっ。

「!……メールですよ、シャイン」

優雅なひと時が、無機質な機械音でかき消される。
なにもこんな時に来なくてもいいのに……

「ちょっと確認してくる……」

私の大切な時間を削ったのは誰だー。



差出人:ミラージュ
題名『アクセス失敗』

『我々はクレストの施設制圧に成功し、管理者へのアクセスを試みている。
 しかし、状況は芳しくない。
 技術者連中は、時間さえあれば不可能ではないと話しているものの、管理者へアクセスするには、
 想像以上に複雑な手段が要求されることが判明したのだ。
 地下世界各地では、管理者の部隊の暴走により、電力・酸素供給の停止、地下水の流入、
 暴走した動力炉からの放射線の流出など、深刻な事態が発生している。
 レイヴン、我々はどうすればいい。我々は管理者に拒絶されたのだろうか。』


「……」

いや、知らないよ……
我々はどうすればいいって聞かれても……

それはともかく、管理者へのアクセスが容易ではないことは想像に難しくない。
技術者さん達は不可能ではない、と言っているんだし、諦めが早いんじゃ?

「どちらからか、お聞きしても?」

「ミラージュからだよ。尭深さんも見る?」

「ミラージュから……?」

尭深さんが私の隣まで歩いて来て、メールを覗きこむ。
ほのかにいい香りが……



「これは……」

こちらを窺う尭深さんに、手を広げて「さぁ?」というポーズをする。

地下世界の被害は当然深刻だし、焦ることもわかるけど……

「ミラージュも混乱しているんでしょうか……」

「うーん……」

ただの傭兵である私に、この世界で一番力のある企業がどうすればいい?なんて聞くのは、ちょっと……

「……」

ミラージュの事はともかく、地下世界の被害が広がっているのは事実だ。
いずれ、今住んでいるこのトレネシティにも、管理者の部隊が現れるだろう。

「……」

一体、どうすれば……

今回はここまでです。あっさり気味です。
実際のAC3でも、出てくるAC二機に「?」となります。なぜあんなランクの低い二人を……
そして、まさか寝坊するとは……すみませんでした!

リボルテック不動明王と、十一面観音の金色ver.を買いました。
観音の塗装剥げが若干気になりますが、それでも二体とも非常にかっこいいです。

次回の投下は未定です。なるべく早く来たいなぁ……


仏像のリボルテックシリーズがあること自体驚愕だ

仏像シリーズのカッコよさは異常

やっと追いついた…
PSP版しかやってないけどまたやりたくなってきた

>>29
フォーミュラフロントか名作だな

こんにちは
えっと、思いのほか苦戦中です。ミッション回よりアリーナ回のほうが三倍ぐらい時間かかる気がします……
できればこの連休中に完成させたい……!と報告だけでも

>>27>>28
不動さんを座らせて飾っていますが、無茶苦茶カッコいいです!
来月に軍荼利明王が出るのでそちらも楽しみです

>>29
お疲れ様です!ありがとう!PSPだと色々起動が楽で便利ですよね

>>30
PSPにはFFとAC3、SL、LRがありますぜ

定期連絡、乙です

たまに保守せんとね

忙しいのかな

こんばんは。お待たせして申し訳ない……連休中に完成させるとは何だったのか
ただもう少し時間がかかりそうなので、あと一時間ほど待っていてくれればと……
20:00あたりに投下します!

>>34
忙しかったり、疲れて書く気力が無かったりと……そんな感じです

今回視点がぐるぐる変わります。ちょっとわかりづらいかもしれません
では投下ー


―トレネシティ:自宅―


「……おはよう」

朝。住んでいる世界が大変なことになっていても、毎日朝はやってくる。
……偽りの朝だけど。

「ふあ……」

さて、今日は何をしようかな。
……うーん。

「あ」

部屋の隅に置いてあるPCが目に入る。
そういえば、アリーナでロイヤルミストさんに勝ったんだっけ。
ということは、私の説明が変わっているかもしれない。ちょっと見てみようか。

「んー……」

ベッドの上で身体を伸ばす。肩がぱきぱきと鳴ってちょっと怖い。
存分に伸ばしたところでベッドから出る。
顔を洗って、頭を覚醒させなきゃ……
アリーナ情報はその後でもいいだろう。



[A-3]シャイン:アマテラス

『あらゆるレイヴンの憧れと羨望を集める、Aランクの称号を手に入れ、ついにアリーナの頂点をも眼前にした。
 その手練の技と力を、天才と称する者も多い。最強を極めるために目指すべき相手はあとわずかだが、
 その壁はかつてないほどに高く、厳しく、そして険しい。』


「おお……」

何と言うか、いよいよ来たなぁという感じだ。
そうか、あと二人なんだ……

ついでに、一位と二位の人の情報も見てみようかな。


[A-2]BB:タイラント

『Aランクランカーの中でも特に攻撃面に秀で、相手を完膚無きまでに破壊することを信念とする。
 その行為は、相手に二度と彼女に挑む気を起こさせないための策略でもある。
 勝利の為にはいかなる卑怯な手段も厭わない。ある意味で、最もレイヴンらしい女とも言える。』

[A-1]エース:アルカディア

『最強と呼ばれたBBを破り、アリーナデビュー以来、無敗のままついに頂点を極めた。
 戦うことは理想を追うことだと語り己の夢想する、真の理想の境地を求めて、新たな強者を待つ。
 彼女と共に、更なる高みへその足を踏み入れる者は、果たして現れるのだろうか。』


一位の人はともかく、二位のBBさんはかなり怖い人みたいだ。
最もレイヴンらしい女……レイヴンらしい……って何だ?



ぴんぽーん。

「!」

アリーナ情報を一通り見終わってPCを閉じると、インターホンが鳴った。
こんな朝から誰だろう?

「はーい」

ととと、と玄関に向かい、ドアを開ける。

「BBっていうんやけど、シャインって子の家はここであってる~?」

「そうですけど……」

見たことのない人だ。……誰?

「よかったぁ~。えっとな、今日はお願いがあってな?」

「はい……?」

「私と戦って欲しいんよ~」

「戦う……ですか?」

ええっと……?

「いやぁ、最近騒がしいやん?いつ戦えなくなるかわからんしなぁ」

「はぁ……」



今日はまだ何に予定もないし、戦うのは別に構わないんだけど……どうやって?

「えっと、どうやって?」

「どうやってって……ACに決まってるやん?」

AC?というと、アリーナでということ?
……あれ、この人最初になんて言ったっけ……

「アリーナで、ですよね?」

「もちろんや~。……あ、もしかして私の事知らん?」

「すみません……」

「ええんよ、私もさらっと言うただけやしなぁ。では改めて、BBです~」

「BB……」

BB……BB……
……あ。

「ということは、A-2の……?」

「大正解~」

ぱちぱち、と手を叩くBBさん。
え、PCで見た情報と全く違うような……?
ずっとにこにこしているし、とてもじゃないけど……最もレイヴンらしい人には見えない。
人は見かけによらない、ってことなのかな?



「もう今すぐ行きますか?」

「そやなぁ、もう来てもうたしなぁ」

「じゃあ今から準備するので、待っていてもらえますか?」

「ゆっくりでええよ~」

BBさんを玄関に残し、外出の支度をしに向かう。

そういえば、何で私の家を知っていたんだろう?
ロイヤルミストさんも知っていたみたいだし、よくわからない。
一体どこから……

「ふぅ」

身だしなみを整え、玄関へ向かう。
BBさんのACは、アリーナ情報によると重装備の逆関節型タイプみたい。
うーん、今回はどうしようかな……

「お待たせしました」

「ほな行こか~」

常に笑顔のBBさんと並んで、コーテックスへ向かう。
……そういえば、試してみたいことがあった。


―コーテックス:ガレージ―


「おはようございます」

「おう、おはようさん」

今回のアセンブリは、もう決めてある。

「早速ですけど、アセンブリを」

「ん。今日はどうする?」

「えーと……」


HEAD:CHD-07-VEN
CORE:CCL-01-NER
ARMS:CAL-44-EAS
LEGS:CLL-HUESO
BOOSTER:MBT-NI/MARE
FCS:PLS-ROA
INSIDE:MWI-DD/20
EXTENSION:―
GENERATOR:CGP-ROZ
RADIATOR:RMR-SA77
BACKUNIT R:―
BACKUNIT L:CWR-S50
ARMUNIT R:CWG-GS-56
ARMUNIT L:KWG-HZL50


「……これでお願いします」



「こいつぁまた極端だな」

前回のアリーナ戦ではブレードのみで戦ったから、今回はその逆にしてみた。
レーダー性能の高い頭部を選んで軽量化、さらに最軽量のコア、腕部、脚部。
装甲はほぼ無いに等しいけど、まあ当たらなければどうということはない。
今日戦うBBさんのACはミサイルを積んでいないようだけど、デコイ持っていく。
このデコイで色々試してみたいんだけど……上手くいくかなぁ。

「なんだか、尖っていた方が使い易いんです」

特に、AC戦だとひと癖ある機体の方がいい気がする。

「なるほどな。ま、納得だ」

おお、おじちゃんもそう思うんだ。そうだよね。

「オーソドックスなACなんて嬢ちゃんにゃ似合わねぇ」

……私だけ?

「そうですか?」

「ああ。前にも言ったかもしれねぇが、戦い方も、そこら辺の奴がやったらよくて入院、悪ければ死ぬってとこだ」

そんな無茶なことしてるかな……?

「そうですか……?」

「嬢ちゃんだからこそ、ってやつだな。誇っていいと思うぜ」

素直に喜んでいいのかな……


―コーテックス:アリーナ―


いつものようにエレベータから降り、アリーナに足を踏み入れる。
向かい側には、BBさんのAC、タイラントが既に待機していた。
……そういえば、私が来るといつも相手が待っている気がする。
私の準備が遅いのかな……

<<お手柔らかにな~>>

「よろしくお願いします」

気の抜けるような声に反応して、あいさつをする。
お手柔らかに、と言われても、相手はこのアリーナで二番目に強い人だ。
全力で行かせてもらおう。
……いや、別に今まで手を抜いていたわけではないんだけども。

「……」

私のAC、アマテラスの腕を動かしたり、その場でジャンプしたりする。
……よし、問題無く動くね。
おじちゃんの腕を疑っているわけではないけど、もしもがある。
試合中に故障が起きたら、どうなるかわかったものではない。

そろそろ時間だろうか、パネルにいつもの表示が現れる。
試合開始の合図だ。

3……2……1……GO!

「!」

開始と同時に、いきなりタイラントがトリプルロケットをばら撒きながらOBで突っ込んできた。
しかも、ロケットに紛れてグレネードまで……
早速、試してみることにしよう。


―side:BB―


さあ、どうする?
開幕、ロケットを撒きながら突進してみる。
それに紛れて、さりげなくグレネードも混ぜる。
この唐突さに、シャインちゃんはどう対応する?

「!」

適当に放ったロケットは当たらなかったが、本命のグレネードは当たってくれたらしい。
アマテラスが待機していた空間に、命中したであろうグレネードの爆風が発生する。
咄嗟の事に対応できんかったんかなぁ~?

「?……っ!」

と、思ったけど、どうやら違うらしい。
爆風の中から無傷のアマテラスが飛び出し、一気に上昇する。

AC戦において、上を取られることは非常に厄介だ。
なんとか離脱したいが……先程のOBのせいでエネルギーが残り少ない。
ちょっと考えなしに突っ込みすぎたか。

思考を巡らせているうちに、真上からショットガンと投擲銃の雨が降ってくる。
……参ったな。横からならともかく、上からのショットガンは避けにくい。
今はなんとか耐えるしかないか。

「や~」

最小限の動きで、直撃だけは避けていく。
ショットガンはともかく、あの投擲銃をまともに食らうとまずいだろう。
私の機体も、そこまで装甲が厚いわけではないし。


―side:シャイン―


流石に、そう簡単には上手くいかないらしい。
ショットガンはぱらぱらと当たっているものの直撃はないし、投擲銃はまるで当たらない。
あの機体でこんなに動けるなんて……やっぱり一筋縄ではいかないなぁ。

さっきのグレネードは、デコイを盾にして命中させた。
これが私の試したかったことだ。上手くいってなにより。
どうしても避けられない攻撃が来た時は、また頼ることになりそうだ。

「……」

上空から降りてきて着地し、OBで隙を消す。
そのままタイラントの背中に回り込み、再びジャンプ。
でも、今回は高くは飛ばない。あくまで相手を越えられるぐらいにとどめておく。
相手を越えたら降下、着地、そしてジャンプの繰り返し。
いつかやった動きだ。

<<堪忍や~>>

タイラントの武装は、かなり重そうに見える。
大きいバズーカに、グレネードに、トリプルロケット……いくら旋回能力の高い逆関節型でも、軽量機である
私の機体の動きにはついてこられないだろう。

「!」

と、エネルギーに余裕ができたのか、タイラントがOBを起動し離脱を図った。
逃がさない。
私もOBを起動し、タイラントの後を追う。残念だけど、速さはこちらが上だ。
すぐに追いつき、再び攻撃を開始。
息切れしたのか、動きの鈍いタイラントの装甲がみるみる剥がれて行く。
このまま削りきれば……


―side:BB―


まずいなぁ、完全に餌になっとるわ。

こちらの武器はでかいから、一発でも当てられればいいんだが……
機体のスピードが明らかに違う。当てるどころか、狙いも定まらない。
このままやられ続けると、私の敗北は必至だろう。となると……

(こうするしかないわな)

肩に背負っていたグレネードをパージし、右腕に持っていた拡散バズーカを放り投げる。
これで大分軽くなった。
アマテラスの攻撃も……避けられる!

<<!>>

アマテラスが上空から私を狙うタイミングで、左へブースタを出力し離脱する。
軽くなった今なら、私の機体でもこれだけで避けることが可能だ。
離脱しながら、空中にいるアマテラス目がけてロケットを乱射、
二発ほどヒットし、体勢を崩したアマテラスはふらふらと墜ちていく。

「で……ここやっ!」

さらに残った左肩のロケットをパージ。アマテラスが着地した瞬間を狙い、唯一残った左腕のブレードを構える。
私の機体にレーダーは無いが、目の前に着地するであろうそれを貫くことはできる。
OBを起動し、墜ちるアマテラスの側面から突撃する――!

<<……!>>

(もろたで!)

と、次の瞬間。

「なっ……!」

突き出されるはずの左腕はそこには無く、

「っ!!」

呆然と立つ私の機体に、アマテラスの蹴りが命中した。


―side:照―


左側から突撃してくるタイラントのブレード目がけ、ショットガンを繰り出す。
普通に旋回行動を取って狙うと間に合わないので、左の脇から狙って放つ。
ただショットガンを当てるだけでは破壊は出来ないが、相手はOBを使い、突撃してきている。
なら話は別だ。
OB中に正面から攻撃をもらえば、その衝撃も威力も二倍近いものになる。

結果、タイラントを捉えた私のショットガンは、見事にその左腕を破壊した。
あとは……

近づいてきたタイラントのコア目がけ、蹴りを放つ。
その衝撃でタイラントはアリーナに仰向けに倒れるが……まだ終わっていない。

ブーストジャンプでタイラントの上空まで昇り、再びショットガンと投擲銃の雨を降らせる。
最初と違い、タイラントは動かない。
その為、当初は当たらなかった投擲銃がタイラントの頭部に直撃し、それを爆散させる。
次に右腕、右脚、左脚と順番に投擲銃で破壊していく。

「……」

もはやACではなくなったそれを跨ぐように着地し、残ったコアにショットガンを向ける。
握っているトリガーに指をかけ、狙う。
あとはこれを……



ぴーっ。

「!」

突然なったブザーと共に、セーフティがかかる。
少しすると、パネルに私の勝ちを表す「WIN」の文字が現れた。
どうやら終わったらしい。

「……大丈夫ですか?」

<<ま、まぁな~>>

BBさんは無事みたいだ。よかった……


―コーテックス:ガレージ前―


「よう」

「……ロイヤルミストさん」

ガレージを出ると、また人が待っていた。
今日はロイヤルミストさんみたいだ。

「いやはや、流石だな。修理する奴らが気の毒になるほどの完勝っぷりだ」

「……あ」

夢中で気がつかなかったけど……ぼろぼろになったパーツ、直さなきゃいけないんだ。
酷いことしちゃったな……

「あとで謝らなきゃ……」

「気にするな。負けた方が悪いのさ」

「そうでしょうか……」

「そんなもんだ。……まぁ、何はともあれ、あと一人だな」

「そう、なりますね」

今日BBさんに勝ったから、残るアリーナの相手は一人だ。
確か、無敗で勝ち上がったとか……



「しかし、次の一位との試合が楽しみだよ。あれも相当の変わり者でな」

「変わり者……ですか?」

「あいつの場合は戦い方と言うより人格か?そんなところだ」

一体どんな人なんだろう……

「まぁある意味、お前はそれ以上の変わり者だが……」

「え」

私?

「私、変わってますか?」

「ん?ああ。こうして話すとまともだが、ACに乗ると人が変わるように感じるな。
 普段のお前からは考えられんような戦い方だしな」

……おじちゃんにも言われたけど、私の戦い方はやっぱりおかしいらしい。

「なるほど……」

「……まぁ、車に乗ると人が変わる奴だって大勢いる。あまり気にすることはないんじゃないか?」

「……そうですね、そうします」

「……じゃあ、私は用事があるから失礼するぞ。いい試合だった」

「あ、はい。ありがとうございます。……では」

「ん」

ロイヤルミストさんと別れる。
……私も帰ろう。なんだか、今日は依頼を受ける気分じゃないし。

「あ……レイヴン!」

「え?」


―???―


「智葉ちゃ~ん」

「!……なんですか?」

「やっぱりあの子、むっちゃ強いやん。死ぬかと思ったんやけど~?」

「……機体の相性も大きかったと」

「まぁ、それももちろんあると思うけどなぁ~。にしてもあんな動き見たことないで~」

「……」

「……どう思う?」

「!……そう、ですね」

「……」

「……危険です」

「やっぱり~?」

「はい」

「う~ん、うちらとしてはどうでもええんやけどなぁ~……」

「……そういえば」

「うん?」

「……もう一人……」

今回はここまでです。多分すごくわかりにくいと思います。戦闘中の状況とか。力量不足です……
次回の投下は良くて今日中、悪くて……わかりません
ストーリーも大分終盤ですが、これまで以上に時間がかかるかもです……気長にお待ちください;

ところで最近よく金縛りにあいます。
夢の中で、鏡に映らない友人に肩を抱かれてある部屋に連れて行かれ、
その後ろを透明の別の友人がついてきます。
鏡に映らない友人と肩を抱かれた私、透明の別の友人の三人で部屋に入るんですが、透明の友人はその途中で消えます。
部屋に入ると冷蔵庫らしきものにでかでかと鉛筆か何かで書かれた落書きのような顔が書いてあります。(一つだったり二つだったり)
私の肩を抱いている友人は、その顔のことを「殺してやるぞ」と呼んでいて、
その友人と私が見に来るとその顔は表情を変えます。ついでに、その顔の背景の色が白から赤に変わります。
今日はその「殺してやるぞ」の下に、もう一つ女の子らしき顔が書いてあって、見に行くと背景は赤に、表情は二つとも大きな口を開けて笑いました。
この間私は金縛りで目線以外一切動けないのですが、さっき強引に起きたせいか頭がぐわんぐわんするし吐き気が酷いです。
何なんでしょう?


乙や感想等のレスはいつも励みになっています。ありがとうございます!

>>53
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

今回もテンポのよい戦闘描写が楽しめました、乙です

乙うう、もう話も佳境かアリーナは自分で構成を考えないといけないから大変だよな、応援してるよ
あと金縛りなどは日常のストレスが原因とも言われるらしい、何か発散できるものがあればいいんだけどな

なんか吐きそうなんで今日の投下はもう無理そうです。ごめんなさい……

>>54
そう言ってもらえると安心できます、ありがとうございます
>>55
ドラムぶっ叩いて発散してるつもりだったんですが……出来てないっぽいですね
ありがとうございます、気をつけます

>>56
本当に無理はしないで下さい
身体を第一に

戦闘シーンを想像してると実際にゲームやりたくなるけどやってみるとそうもいかないのがもどかしい
ゆっくりお休みー

表面に隠れた裏の事情も進行している感じがイイね

こんばんは!久々の連日投下です

>>57
痛み入ります…
>>58
書いている本人もこんな動きできません;練習すればできるんでしょうか?
>>59
ふっふっふ……

では投下ー


―コーテックス:エントランス―


「あ……レイヴン!」

「え?」

聞きなれた声に振り向くと、尭深さんがこちらに駆けださんとしていた。

「尭深さん?どうしました?」

「ちょうどよかった……今大丈夫ですか?」

「大丈夫、ですけど……」

……なにやらただ事ではない雰囲気だ。
これは……

「緊急の依頼です」

やっぱりそうか。
どうしようか……

「クレスト本社に、管理者の部隊が進攻を始めました」

「!」

これは……私の気分でどうこうしていいものじゃないな。

「……聞きます」



依頼主:クレスト
作戦領域:通気用ダクト G9-29
敵勢力:管理者の部隊(機数不明)
作戦目標:敵部隊の全破壊

『管理者の部隊がセクション422への一斉侵攻を始めました。
 同セクションは我がクレストが本拠をおく場所であり、ここが被害を受ければ
 我々はまさに致命的なダメージを被ります。
 部隊はいくつもの小隊に分かれ、各地から同時に進撃を始めています。
 我々の持つ兵力では対応しきれません。
 中でも通気用ダクトを進行している部隊は驚異的な速度で防衛網を突破しています。
 このままでは、間もなくセクション内へ到達してしまいます。
 ダクト末端の隔壁で待機し、敵部隊を全て撃破してください。
 ここで止めなければ、もう後はありません。一機たりとも撃ち漏らさないでください。』


これは……

「一刻の猶予もありません。すぐに出られますか?」

「……今すぐには、無理です」

今の私の機体は、さっきのアリーナ戦で使ったアセンブリのままだ。
依頼にあのままで行くのはまずい。装甲もダメージを受けているし。

「アセンブリの時間だけください。大丈夫ですか?」

「……恐らく、大丈夫でしょう。なるべく急いでください」

「わかりました」

と言っても、本当に急がなきゃいけないのはおじちゃん達なんだけど……
……っといけない、ガレージに向かおう。


―コーテックス:ガレージ―


「お?さっきぶりじゃねぇか。どうした?」

「アセンブリをお願いできますか?」

「急ぎか?」

「はい」

「……よし、どうする?」

ありがとう、おじちゃん。

「では……」


HEAD:CHD-07-VEN
CORE:MCH-MX/GRP
ARMS:CAM-11-SOL
LEGS:MLM-SS/ORC
BOOSTER:MBT-OX/002
FCS:PLS-ROA
INSIDE:―
EXTENSION:KEEP-MALUM
GENERATOR:CGP-ROZ
RADIATOR:RIX-CR10
BACKUNIT R:―
BACKUNIT L:―
ARMUNIT R:MWG-KARASAWA
ARMUNIT L:CES-ES-0101


「……これでお願いします」



「いよいよこいつを使うか」

「封印を解きます」

封印が解けられた!と言っても別に封印していたわけじゃないけど。

「何が出てくるかわからないので、この武器なら安心かなと」

「ふむ。確かにこの武装なら何が出ても倒せるだろうな。カタログスペックは化け物だ」

今回の敵は数で押し寄せてきて、尚且つスピードが速いらしいから、
求められるのは一発の威力の高さと発射間隔の短さ。
単発の威力が凄まじく高く、発射間隔もそれなりのこのレーザーライフルは頼りになるはずだ。
というか頼りになってくれないと困る。

「では、お願いします」

「任せろ。40秒で……とはいかねぇがな」

「ありがとうございます」

管理者の部隊……ということは、もしかすると以前研究所に現れたACがまた出てくるかもしれない。
それに、クレストの存続もかかっている……
気は抜けないね。


―環境制御区:通気用ダクト『G9-29』―


作戦領域へ到達。これがダクト……
壁にはいくつかのゲートがあり、砲台らしきものや足場がある。

<<壁に味方の砲台がありますが……あまり期待しない方がいいと思います>>

「?」

<<耐久度が低い為、すぐ破壊されるでしょうから……>>

「……わかりました」

実質私一人、ということか。
いやまぁ一人でやるつもりだったから別にいいんだけどね。

<<!反応が……気をつけてください、来ます!>>

「っと」

管理者の部隊か……ACじゃなければいいけど……


‐メインシステム 戦闘モード 起動します‐



「あれが、管理者の部隊……?」

三つあるゲートの内の一つから出てきたそれは、何と言うか、拍子抜けするような見た目をしていた。
出てきたものはAC等ではなく、これまででよく見た浮遊メカに酷似した球体だった。
その球体は三つでまとまって浮いており、壁の砲台目がけてレーザーをばら撒いている。

「いけないいけない」

思わずぼーっとしてしまった。急いで撃墜しなければ。

<<足場を利用して、上で待ち構えるのも有効と思われます>>

「なるほど……」

確かに、この機体でいちいち浮いて攻撃するのも面倒だし、ブースタとエネルギー兵器の併用は命を縮める。
幸い、相手のレーザーに対して比較的防御力の高いアセンブリになっているし、尭深さんの策、ありがたく頂戴します。

ブースタを吹かし、まずは上へ上昇していく球体、浮遊メカを目指す。
追い付き、越し、浮遊メカの上へ着地、少し休憩して再び上へ。
上の足場を目指しながら、試しに右腕のレーザーライフル、KARASAWAを放ってみる。

「わ……」

放たれた極太のレーザーは、先頭を行く浮遊メカに命中し……その浮遊メカごと爆発した。
つまり、当たれば一発と言うわけだ。

「強い……」

あの球体がどれほどの耐久力があるのかは知らないけど、それなりには堅いはず。
それを一撃とは……



「っとと……」

ブースタを吹かしながらKARASAWAを撃った為か、エネルギー残量が残り少なくなってしまっていた。
まずいまずい、こういうときは積んできたこれを使って……

「これで……」

今回積んできた、エクステンションを起動させる。
それは、エネルギーを瞬間的に回復させるという優れモノだ。
もっとも、使用できるのは二回が限度だけど。

「よし」

エクステンションを使ったお陰か、かなり上の方にある足場にまで辿り着けた。
あとは上から残った浮遊メカを破壊すれば……

<<増援、来ます!>>

二つのゲートが開き、それぞれから三機ずつ浮遊メカが侵入してくる。
こうなると、KARASAWAだけでは足りないかな。

目の前に現れた浮遊メカを撃墜しながら、EOを起動。
上に現れた敵部隊を自分で狙い、下の部隊をEOに任せる。

「おお」

このコアのEOは非常に強力らしく、敵の反応がどんどん減って行く。
そのかわりにエネルギー消費量が馬鹿にならないけど……

「よし……」

EOとKARASAWAの力で、難なく第二波を撃退。
でも、この分ならきっと……

<<第三波、来ます!>>

そうなるよね。



「くっ……」

エネルギーシールドを展開し、レーザーを防ぐ。
壁の砲台はもうとっくに破壊されたらしく、全ての浮遊メカがこちらを狙ってくる。

単体だと何の問題もないけど、こうも数で来られると流石にきつい。
EOとKARASAWAの威力が高いおかげで、なんとか手間取らずにいられるけど……

「っ……チャージング……!」

EOに撃たせすぎたのか、気がつくとエネルギー切れを起こしていた。
……無理もないか。
ブースタは使っていないにしても、KARASAWA、EO、エネルギーシールドを併用していたし……
一旦奥まで歩き、敵に狙われない位置でエクステンションを起動する。
これで二回目。もうエネルギーの強制回復はできない。

……実弾兵器を持ってくるべきだったかな。
武装が全てエネルギー兵器なので、その肝心のエネルギーが切れてしまうと攻撃の手段がない。
こうしているうちにも、浮遊メカは上へと昇って行ってしまう。
早く……早く……!

「ん」

チャージングが終わり、ようやく動くことが出来るようになった。
あの球体はどこまで進んだ……?

<<かなり隔壁に迫っています。急いで!>>

前進し、上を向いて狙う。なるべくEOには頼らず、なるべくKARASAWAだけで……
隔壁に迫る球体の群れをKARASAWAで一蹴し、次の標的を狙う。
向かってくるレーザーをシールドで防ぎながら、よく狙って確実に一機ずつ落としていく。



<<第四波、来ます!>>

ようやく全て倒したと思ったら、また増援がゲートから現れた。
数が……多い。
壁にある全てのゲートからわらわらと侵入してくる。

とりあえず自分に一番近いのから片付けて……

<<敵勢力が隔壁に接近!越えられるとどうしようもありません!急いで!>>

「くっ」

目の前の部隊は一旦放置し、足場からブーストジャンプで飛びあがる。
上を向き、KARASAWAを一発発射、上をいく三機の内の一機を撃墜。
その敵部隊に追い付いて飛び越え、二機の内の一機の上に着地。
目線の先に居た浮遊メカをKARASAWAで殴り、強引に破壊。
エネルギーシールドを展開し、それで足場にしている浮遊メカも殴りつける。
シールドだってエネルギーを出力しているんだし、きっと殺傷力が……!

「ぐっ……」

球体の中心部をエネルギーシールドで殴ると、強い衝撃と共に脚元の浮遊メカは爆散した。
倒せたのはいいけど、接触した時の衝撃があまりにも強すぎる。左腕が飛ぶかと思った……
……元々攻撃するものではないし、やめておいた方がいいかもしれない。

<<とりあえずは安心ですが、気を抜かないで>>

「了解」

足場にしていた浮遊メカが破壊された為、機体が降下していく。
EOを起動し、元いた足場へと落ちながら、下に残る部隊へエネルギー弾の雨を降らせる。
その雨はかなり強力だったらしく、足場へと戻る頃には、もう数える程しか敵は残っていなかった。
あとはこれを落ちついて狙えば……



<<……敵勢力の全滅を確認>>

「終わった……?」

<<作戦は成功です。おつかれさまでした。帰還してください>>

レーダーに残る最後の浮遊メカを撃墜すると、尭深さんがそう告げてくれた。
ふぅ……

<<一瞬ひやっとしましたが……なんとかなりましたね>>

「はい、なんとか」

そういえば、切羽詰まってKARASAWAで敵を殴ってしまった。
整備の人に悪いことしたなぁ……

まぁ、とりあえずは一件落着かな?
……と思ったけど。
ここに来た敵だけが管理者の部隊とは思えない。
種類も一種類だけだったし……何より、あのACが来なかった。
このダクトは守ることができたけど……他の場所は大丈夫なんだろうか?


‐作戦目標クリア システム 通常モードに移行します‐


―コーテックス:エントランス―


「シャイン、おつかれさまです」

「尭深さんも、おつかれさま」

コーテックスに帰ってきて、エントランスで尭深さんと言葉を交わす。

「とりあえずは、大丈夫でしょう。突然すみませんでした。ゆっくり休んでください」

「尭深さんは?」

「私はまだ仕事が残っているので……」

「そう。じゃあ、私はお言葉に甘えて一足お先に」

「はい。では」

尭深さんと別れ、帰路に着く。

今思い出したけど、今朝にアリーナ戦もやったんだった。
どおりでお腹も減るわけだ。
さて、帰って何を食べようか。


―トレネシティ:自宅―


「ふぅ……」

シャワーを浴びてさっぱりする。
食事の方は、家にあったミートスパゲティを食べた。
スパゲティって、衝動的に食べたくなる時がある気がする……

「……ん?」

頭をタオルで拭いていると、メールの着信音が微かに聞こえてきた。
もしかして、また依頼かな……?ちょっとそれは勘弁してほしいんだけど……

「どれどれ……」

新着メールは……二件。
一つはエースからと、もう一つは……クレストから?

「うーん……」

とりあえず、エースからのメールを確認しようかな。
エースって確か……アリーナランク一位の人だよね?



差出人:エース

『ここまで勝ち上がってくるなんて、もう、BBは君をどうすることもできないだろうね。
 私と同じように。
 私は長年、まだ見ぬ自分の理想の力を追い求めてきた。
 君と戦えば、それを見ることができるかもしれない。
 楽しみにしているよ。』


なんとも、アリーナの一位って感じの内容だ。
……ところで、BBさんはなんなんだろう?どうすることも、って……
と、とにかく、これでやっと二位になれた。残るのは、このエースさんとの対決だけだ。
一体、どれほど強いんだろう……

「……っと」

いけない、もう一通メールが来ているんだった。
クレストから……ということは、今日のお礼、とか?



差出人:クレスト
件名:ご苦労さまでした

『レイヴン、ご苦労でした。ですが、我々には、もう力は残されていません。
 これ以上、戦うことは出来ないでしょう。
 管理者の異常は、かなり以前より認められました。
 管理者が狂っていることなど、我々はとうに知っていたのです。
 我々は今、こう考えています。
 たとえ狂っていようと、管理者が我々を滅ぼすというのなら、それが我々の取るべき道だったのかもしれない、と。
 人は秩序無くして、生きることは出来ません。
 例えそれが、偽りであっても。』


「え……」

これって……

「!」

呆然としていると、またメールが。
今度は……

「尭深さん?」

……開いてみよう。



差出人:タカミ
件名:クレスト崩壊

『クレスト本社を防衛中だった本隊が急襲され、壊滅したそうです。
 同時に、セクション422を始め、クレスト管轄のセクションが、次々と襲撃を受けています。
 ミラージュも、各所の部隊を一挙に集め、最後の抵抗をしてるようですが、状況は思わしくありません。』


「そんな……」

結局、無駄だったということなのか。

クレストが、崩壊してしまった。
キサラギはとうに無くなっていて、今度はクレストが無くなり、残ったミラージュも劣勢……
地下世界が、音を立ててこわれていく。

「……」

そういえば、ユニオンは何をしているんだろう?
あの一件から、何の連絡もないけど……
クレストが崩壊したとなると、黙ってはいないはずだ。
きっと、近日中に何か行動を……

「はぁ……」

クレストが無くなって、キサラギも無くなって、ミラージュも無くなろうとしている。
そうなったら、管理者の部隊は市街地へ攻め入って、民間人を襲い始めるだろう。

……クレストは、管理者を受け入れるべきだと言った。
人は秩序無くして生きられない、と言った。
確かに、統率者がいなければ、人は生きられないと私も思う……けど……

でも、やっぱり、このまま黙って死んでいくのは、嫌だ。

クレストが崩壊したところで、今回の投下は終了です
いつも感想、乙などありがとうございます!

最近Dinosaur Jr.をよく聞いています。疲れた身体にその歌声がよく沁みます…

次回はまたアリーナ戦なので、遅くなるかと思います。気長に待っていたたければうれしいです

乙~!


KARASAWAは鈍器だったのか(驚愕)

乙で!
このミッションにエネルギー武器はきついよねww
そしてEシールドで攻撃ってのはF91を観てて妄想したもんだ

たまにほしゅ

気長に待ちながら…

前回の投下からもう一ヶ月が経とうとしているというのに、
忙しかったり、煮詰まったりで完成していないという現状……すみません
もう少し時間を……!

承知しました

まだあと一週間もある

一週間経っちゃったよ!!できてないよ!!ごめんなさい!!

大丈夫だ!

ガンバレ!

やっと次回のプロットが書けました……そして気付いたらもう八月に……

じっくりと進めて行ってください
気長に待ってますので

こんばんは。お待たせしました……
もうこういうのって勢いだと思います。うん
久々なので違和感ばりばりかもしれません
あ、あと今回登場する人が多いのでこんがらがるかも……

では投下


―トレネシティ:自宅―


「ん……」

朝。
いつものように、窓から射す朝日で起きる。
……昨日、クレストがなくなった。
そうなんだけど、何と言うか、実感?が湧かない。

「……」

顔を洗って口を濯いで、朝食を摂る。
……

「!」

ぴんぽーん、とインターホンが鳴った。
最近、特に来客が多いような気がする……

「はーい」

ぱたぱたと歩き、玄関に向かう。
がちゃ、とドアを開けると……

「よう」

「おはようございますーぅ」

ロイヤルミストさんと……ワルキューレさん?
何と言うか、意外な組み合わせだ。

「どうぞ」

とりあえず、上がってもらうことにする。



「どうしてこんな朝から……?」

二人をリビングへ案内して、紅茶を出す。

「いや、大した用事もないんだがな」

「ほら、クレストがなくなったやん?」

「!……知っていたんですか?」

「ああ。うちのオペレータから聞かされたよ」

「私はさっき智葉から聞きましたーぁ」

「智葉……?」

誰だろう?

「あー……まぁいいか」

「?」

「私の名前だ。本当のな」

「あれ、言ってなかったん?」

「お前な……」

ロイヤルミストさんが呆れている……



「……あの、私も教えた方が?」

教えてもらっておいて、自分が言わないのは不公平な気がする。

「んー……そうだな、一応聞いておこうか」

「じゃあ、改めて。宮永照と言います」

「辻垣内智葉だ」

「荒川憩ですーぅ」

ロイヤルミストさんが辻垣内智葉さんで、ワルキューレさんが荒川憩さんか。憶えた。

「好きに呼んでくれて構わん」

「構いませんよーぅ」

なんて呼ぼうかな……?



「っと、話が逸れたな。クレストを消し、管理者もいよいよ本気モードらしい。
 最後のアリーナ戦に挑むのは、早めにしておいた方がいいぞ」

「まだ、コーテックスまではそれほど侵攻してきてはおらん様やし、今がチャンスですよーぅ」

「……確かに、そうですね」

そうか。いつか挑めばいい、と思っていたけど、そうも言っていられないんだ……
今のところ管理者の目は企業に向かっているけど、いつコーテックスを潰しに来るのかわからない。
そうなれば、コーテックスもアリーナどころではないだろう。

「……じゃあ、行きます」

「ん?……まさか、今から行くのか?」

「はい。思い立ったが吉日って言いますし」

「まぁ、それはそうかもしれんが……」

「ええやないですかぁ。行きましょーぅ!」

「うおっ」

荒川さんが元気よく立ちあがり、智葉の腕を掴んで持ち上げた。
……こういうことは、勢いが肝心って誰かが言っていた気がするんだよね。


―コーテックス:正面前―


「さて、着いた訳だが……一位の都合がつかなかった場合、どうするつもりだ?」

「……あ」

勢いに任せてここまで来てしまったけど、それを忘れていた。
……どうしよう。

「そこは大丈夫ですよーぅ」

そう言って荒川さんが取り出したのは……携帯端末?

「呼んどきましたーぁ」

なんと。

「お前、奴の連絡先を知っていたのか?」

「一応交換しておいて正解でしたーぁ」

なんて頼もしい……ありがとうございます。



「で、何時頃来るんだ?」

「今モノレールに乗ったらしいから、あと五分くらいかなぁ」

「五分……」

あと五分で、生ける伝説と呼ばれたアリーナのランク1がここに……

「あ」

「……今度はなんだ?」

「アセンブリ……考えていなかった」

「おいおい……」

どうしよう……?
えっと、相手は確か中量二脚で……?

「……エースのアルカディアは中量二脚、肩に軽量グレネードとチェインガン、スナイパーライフル、ブレードだな」

智葉が独り言のように呟く。

「よく覚えてましたねーぇ?」

「いつでも挑めるように、対策だけは立てているんだがな……」

……?



「さて、相手のアセンは解ったぞ。どうする?」

「あ、と……」

相手にグレネードがあるから、デコイは持っていくとして……

「……あれを使います」

「あれ?」

「はい。まぁ、試合を見てくれれば、わかると思います」

「そうか……?」

「……あ、来たっぽいですよーぅ」

荒川さんが指す方向に顔を向けると、赤い髪の女の人が歩いて来ていた。
あの人がエースさんなのかな?

おーい、と手を振る荒川さんに手を振り返し、私たちのいる所まで辿り着くと、
親指を立てて自分の顔を指し、その女の人は高々に言った。

「I am legend.」



「……?」

え、えっと……?
突然のことで、どう反応していいのかわからない。れ、れじぇんど?

「……」

右を見ると、智葉が呆れた顔で白けた視線を送っていた。

「……」

左の荒川さんはいつも通りの笑顔だけど、心なしか引き攣っている気がする……

「あ、あれ……?」

そして、何故か言った本人のエースさんらしき人が一番困惑していた。

「……」

「何やっとんの~?」

「あ」

「……げ」

よくわからない空間に、よくわからない人が現れた。
BBさんだ。

「珍しいですね、こんなところに」

「私の第六感がな~」

う、胡散臭い……



「で、何しとん~?」

「いや、呼びだされただけで私も何をするのか知らないんだよね」

BBさんの問いに、エースさんが答える。……答えにはなってないけど。

「……要件を伝えなかったのか?」

「そういうのは、本人が直接言わなきゃだめやん?」

「……そういうことだ、ほら」

そう言って、智葉が私の背中を押してきた。……よし。

「あの……私と、戦ってください」

「いいよー」

軽っ。



「ところで、誰なの?その子」

……

「……私は、シャインといいます」

「シャイン……ってことは」

「はい。あなたを倒しに来ました」

「なるほどね。……よし、じゃあ行こうか」

「いいんですか?」

「挑まれれば、そりゃ相手をするよ。倒されてあげないけどね」

「なんや、朝からええもん見れそうやな~?」

「あなたも来るのね……」

「見るだけや~ん」

「だといいけど」

エースさんとBBさんがよくわからない会話をしている……

「ほら、行くよ?」

「あ、はい」

いまいち引き締まらないまま、コーテックスへ。


―コーテックス:エントランス―


「うおっ」

自動ドアが開いた瞬間、人とぶつかりそうになった。
……ってあれ?この声は……

「ん……」

「あ、菫」

「お前か……」

やっぱり、ぶつかりそうになった人は菫だった。

「この美人さんは~?」

「親友です」

「見たことない顔ばかりなんだが……この集まりは何なんだ?」

「BBです~」

「私はエース」

「ロイヤルミストと言う」

「ワルキューレですーぅ」

菫の問いかけに、みんながなだれ込むように答える。



「BB、エース、ロイヤルミスト、ワルキューレ、そしてお前……戦争でも起こすつもりか?」

「それもおもしろそうやね~」

「ええっ」

「冗談やん~。それで、親友さんの名前は?」

「ああ、私はリップハンターと言う」

「やはり……」

……?

「あなたがリップハンターかぁ。噂はよく聞いているよ」

「噂?」

「そ。何故かアリーナに参加しない猛者だってことで」

なるほど。確かに私から見てもそこは不思議だ。
なんで菫は参加しないんだろう?確実にトップ10には食い込むのに……

「なるほどな。いつかは、とは考えていたが……な」

ため息をひとつ。

「まぁ、そうだね。今更無理か」

「ああ」

「大変やもんね~」



「……それで、この集まりで何をしでかすんだ?」

「しでかすって……私とエースさんが戦うの」

「お前とエースの戦いと言うと……アリーナか?」

「そう。これが、最後」

「……そうだな。折角だし、見させてもらうか」

「……よかった」

「ほほぅ、最後って言ったね?」

エースさんが話しかけてくる。

「はい。負けませんから」

アリーナ上位の人達が見ている、と言うのももちろんあるけど……

「言うねぇ」

何より、菫が見てくれるから。


―コーテックス:ガレージ―


「よう」

「おはようございます」

いつものように、おじちゃんと挨拶を交わす。

「アセンブリか?」

「はい。……最後のアリーナ戦です」

「最後ってーと、エースか。……いよいよだな」

「今回は、KARASAWAを使います」

「お、了解。最後なんだ、出し惜しみなんかするなよ?」

「……もちろんです」



HEAD:CHD-07-VEN
CORE:CCM-00-STO
ARMS:CAM-11-SOL
LEGS:CLB-33-NMU
BOOSTER:MBT-NI/MARE
FCS:PLS-ROA
INSIDE:MWI-DD/10
EXTENSION:―
GENERATOR:CGP-ROZ
RADIATOR:RMR-SA44
BACKUNIT R:MWM-DM24/1
BACKUNIT L:―
ARMUNIT R:MWG-KARASAWA
ARMUNIT L:MLB-LS/003


「もちろんデコイは……」

「はい、グレネード用です」

「色んな事を思いつくもんだ……向こうもビビるだろうぜ」

「だと、いいんですが」

「……にしても、中々アレな見た目になるな」

「この頭部は、印象的ですからね」

「ま、見た目はアレでも馬鹿強ぇのが嬢ちゃんだ。張りきって行けや!」

「はい!」

やっと、頂点が見えた。
後は、それを越えるだけだ。


―コーテックス:アリーナ―


アリーナに入場し、反対側で待機しているエースさんのAC、アルカディアと対峙する。

<<へぇ、見たことない銃だね>>

やっぱりこの銃、エースさんでも見たことが無いんだ……

「中々の銃ですよ」

<<そりゃそうだ。私との戦いに持ちだしたんだから>>

……なるほど。確かにそうだ。

<<よし、準備はいいかい?>>

「……はい」

<<じゃあ……>>

3、2、1……GO!

<<行くぞ!>>

「っ!」

お互いが思いおもいの方向にブースタを出力し、最後のアリーナ戦が始まった。


―モニタールーム―


「始まったな……」

「……」

「あのでっかい銃は何なん~?」

「なんやろ……?」

それなりの大きさのモニターでは、アリーナ戦の中継が流れている。
今まさに、その試合が始まったところだ。

「!」

「やはりか」

モニターの中で、アルカディアがアマテラスの上空に陣取る。
ふわふわと浮きながら、真下のアマテラス目がけスナイパーライフルの雨を降らせるアルカディア。

「狙いにくいスナイパーライフルでよくもまぁ……」

「ふむ……珍しく当たっていないな」

狙いは正確に見えるが、それを上手くアマテラスはかわし続ける。
前進後退を繰り返し、ひたすら死角に入り続けて見失わせようとしているらしい。



「!」

「グレネード!」

痺れを切らしたのか、スナイパーライフルの雨の中にグレネードを混ぜるアルカディア。
唐突に降ってきたそれはアマテラスに直撃するが……

「無傷……?どういうことだ?」

「ははぁ~ん」

「?」

「あの子、またあれを積んできたんやな~」

「あれ、ですか?」

「せや。まぁ、また披露すると思うから、よ~く見とき?」

「はぁ……」

試合は続いている。


―アリーナ―


エネルギーが残り少なくなったからか、降りてきたアルカディアを迎え撃つように、着地地点にKARASAWAを放つ。

<<っと!>>

着地時の硬直を消す為だろうか、エースさんは既にOBを起動させていたらしく、避けられてしまう。
遠くの壁にKARASAWAが当たり、エネルギー弾が炸裂した。

<<あっぶない……かなりの威力らしいね、ソレ>>

「はい」

言いながら、OBで距離を取ったアルカディア目がけ、肩のデュアルミサイルを放つ。
デュアルミサイルは、豊富なミサイルの中でも特に回避が難しいはず。

<<デュアルか……>>

「……!」

……すごい。
アルカディアに向かうデュアルミサイルの片方を、なんとスナイパーライフルで撃ち落とされる。
残る一つは引きつけられ、あっさり地面で潰された。
なら……

<<っ……流石に何度もできないよねっ!>>

今度は、デュアルミサイルをひたすら垂れ流す。
対するアルカディアは、またしてもスナイパーライフルで一つを撃ち落とし、もうひとつをブレードで薙ぎ払う。
できないと言うけど、結局それ以上の事を出来ている辺り、何と言うか……
もう三組ほど発射しているのに、まるで直撃してくれない。

<<……お返しっ!>>

「!」

ふらふらと避けているアルカディアから、不意にグレネードが飛んでくる。
直撃の瞬間にデコイを放ち、相殺されたグレネードの爆風の中からアルカディア目がけてKARASAWAを撃つ。


―モニタールーム―


「また無傷か……」

「……そうか」

「わかったん~?」

「恐らく。……デコイ、ですね?」

「大正解~!」

「デコイ?」

「ああ。シャインは、奴のグレネードが命中する瞬間にデコイを発射し、それで相殺している。……ですよね?」

「そういうこと~。実は私もされたんよねぇ~」

「それはまた……人間離れしてますねーぇ」

「あいつ……」

アリーナ戦を映すモニターでは、互いに決定打がないまま試合は動かず、時間だけが過ぎていく。


―アリーナ―


KARASAWAを連打しても、当たらない。
デュアルミサイルを混ぜながらでも、確実に避けてくる。
接近を許してくれないから、ブレードで狙うこともままならない。

「……」

<<……ふふっ>>

「……?」

<<……楽しいねぇ>>

確かにエースさんは私の攻撃をことごとく避けているが、それは私も同じだった。
アルカディアの攻撃は、今のところ全て避けきっている。

「……はい」

<<やっぱり、こうでないとね。アリーナはさっ!>>

空中から、アルカディアがグレネードを放ってきた。
引きつけ、デコイを射出し、相殺する。

<<ははっ>>

「……!」

グレネードの爆風が晴れると、いつの間にか目の前までアルカディアが迫ってきていた。

<<レーダーはよく確認しないとねっ!>>

そう言いながら、アルカディアはブレードを出力し、私の機体目がけて振りかぶってくる。



「っ!」

向かってくるアルカディアにブーストダッシュで急接近し、機体ごと体当たりする。
ACが軋む音と同時に火花が散り、それを尻目ににらみ合う。
密着したおかげで、アルカディアは振りかぶっていた腕を振ることが出来ず、一旦距離を離した。

<<やるね>>

「あなたも」


―モニタールーム―


「すごい……な」

リップハンターがこぼす。

「ああ……」

試合は一進一退の攻防を繰り返している。

「あの二人の試合、何度かみたことあるけど……こんなに長い試合は初めてみますーぅ」

「いつもは一分経たず終わるからなぁ~」

モニターの中では、アルカディアが空中からチェインガンとスナイパーライフルをばら撒きながら前進し、
アマテラスを壁に追い詰めている。
一方のアマテラスはOBを起動し、前進しているアルカディアの左側面に回り込み、レーザーライフルを放つ。
咄嗟の事で反応が遅れたのか、はたまた疲労のためか、レーザーライフルがアルカディアの装備しているグレネードに命中する。
と、バランスを崩して着地したアルカディア目がけ、アマテラスがブレードを構えて突撃する。
それを見て素早く体勢を立て直し、アルカディアもそれにブレードで対抗する。
二者の振った腕部がぶつかり合い、両者のブレードがばらばらになってアリーナに落ちる。
するとアルカディアの機体がその衝撃に耐えきれなかったのか、大きくバランスを崩した。

「あ……」

「これは……」


―アリーナ―


「ふぅ……ふぅ……」

<<ははっ……!>>

軽量級の腕部を採用していたエースさんの機体が、今の衝撃に耐えきれなかったのかバランスを崩す。
今しかない……!

「っ!」

ブレードはもうないけど……まだ私には、これがある!
KARASAWAを振りかぶり、体勢を崩したアルカディア目がけて薙ぎ払う。

<<うぉいっ!?>>

振ったKARASAWAはアルカディアの懐に直撃し、大きく火花を散らす。……おじちゃん、ごめん。

「……!」

KARASAWAを懐に押しつけたままOBを起動して、アルカディアを壁に叩きつける……!

<<がっ……!>>

上半身が脆いエースさんの機体は、その強い衝撃に耐えられなかったのだろう。
黒い煙を上げ始めると、スナイパーライフルを装備していた右腕部がごしゃっ、と落ちた。

<<ははは……>>

アマテラスの武装にセーフティがかかり、武器を発射することができなくなる。
それと同時にコクピットのパネルに、見慣れた三文字が現れた。

<<……見事だ。完敗だよ>>

「……わたし……」

勝った……のか。


―コーテックス:ガレージ―


ガレージに戻ると、おじちゃんと、その横に菫が立っていた。

「やったな嬢ちゃん!!信じてたぜ!」

「おめでとう、照」

「おじちゃん……菫……」

「まさかマジで勝っちまうとはな!俺もうれしいぜ!」

「流石だよ。見事な戦いだった」

「……ありがとう」

そんな会話をしていると、入口の方からエースさん、BBさん、智葉、荒川さんが歩いてきた。

「おめでとう、シャイン。私にかわって、君がランク1だ」

「いや~久々にいいもん見れたわぁ~」

「やはり、私が目をつけただけのことはあったな。……おめでとう」

「おめでとうございますーぅ!」

「みなさん……」

こんなに称賛を浴びたのは、生れてはじめてかもしれない……



「いやー、流石は私の再来と言われただけの事はあったよ。たのしかった」

「け、怪我とかは大丈夫ですか……?」

「ん?あぁ全然大丈夫。まだ多少頭がぐわんぐわんするけど、それだけだし」

「よかった……」

「それより、胸張りなよ?」

「え?」

「この私を倒した今、この地下世界で一番強いレイヴンになったわけだしね」

「私が、一番強い……」

……どうしよう。またしても実感が湧かない。
私が一番強いと言われても、まだまだ私より強い人がたくさんいる気がしてしまうんだけど……


―コーテックス:エントランス―


「じゃ、シャインが新しいランク1に輝いたわけだし、なんかお祝いでもしようか!」

「何するん~?」

「シャイン、何かしたいことはないか?寿司を食いたい……とか」

「……あ、じゃあ」

「お、何か思いついた?」

「お、お菓子パーティー……?」

「ああ……なるほどな」

「お菓子パーティー?そんなのでいいの?て言うかお菓子パーティーって何やるの?」

「最近、お菓子に飢えている気がするから……お菓子をいっぱい食べたい」

「なら、決まりだな。……で、どこでやる?」

「菫の家がいい……」

「またか!?なぜ私の家なんだ!?」

「あの二人もいるんでしょ?」

「ま、まぁ、いると思うが……」

「じゃあちょうどいい。尭深さんと……菫のオペレータさんも呼ぼう」

「あいつも呼ぶのか……?て言うか何がちょうどいいんだ……?」



「ふふふ、なんか面白くなりそうやねぇ~?」

「お菓子をがっつり食べるのなんて何時ぶりだろ?なんかオススメある?」

「うちはプ○カが好きですーぅ」

「和菓子全般だ」

「いや別に好みを聞いているわけじゃないし!しかも一人アバウトすぎるし!」

わいわいがやがや。

「ふふ……」

「?どうした?」

「いや、なんでも……」


◇◆◇◆

―トレネシティ:菫宅―


菫がインターホンを鳴らすと、ファナティックが中から出てきた。

「はいはーい……うぇっ!?」

「こんにちは」

「かわいい子やね~?」

「しかし、買ったな……」

「すごい数やね……」

「まぁ人数もいるし、食べきれるでしょ」

「はは……」

「ちょっと、何?これ」

「宥はいるか?」

「居るけど……」

「よし」

「いや、よしじゃないわよ。何の団体?シャインもいるし」

「詳しい話は後だ。入るぞ」

「お邪魔します」

「おじゃましますーぅ」

「失礼する」

「おじゃまします」

「おじゃまします~」



「こたつ……?どういうことだ?」

「んん……何……?」

「ん?人が出てきたな」

「ふぇっ……?何?」

「こっちの部屋なら、なんとか入るだろう」

「菫ちゃん……?」

「ただいま」

「お、おかえり……この人たちは?」

「お菓子パーティーだそうだ。宥も来るか?」

「お菓子……?と、とりあえず着替えるね」

「別に気にしないのに」



「またかわいい子やね~?」

「うぉっ!?」

「菫、変な声」

「うるさいっ」

「先に行ってるよー?」

「あ、ああ」

「尭深さんとアワイ、そろそろ着くって」

「わかった」

「ちょっと菫?この団体は何なの?」

「あー……説明するから、とりあえずお前も来い」


―フローリングの一室―


「広いな……」

「これなら全員入っても余裕そうやねぇ」

「お菓子パーティーには、テーブルなんか必要なし!」

「そういうものなのか?」

「こういうのは床に広げて、みんなでつつくのがいいんだよねぇ」

「なるほど……」

「待たせたな。……うん、これなら大丈夫そうだ」

「お待たせ」

「お、主役の登場だな?」

「主役?あんた何かしたの?」

「ああ。今日は、こいつがアリーナランク1になったお祝いだ」

「ランク1!?あのエースを倒したの!?」



「因みに私がそのエースだ!」

「あんたが!?じゃあこの集まりは……」

「元ランク2のBBやで~」

「元ランク3のロイヤルミストだ」

「そのお友達のワルキューレですーぅ」

「因みに彼女もBランクだ」

「エース、BB、ロイヤルミスト、ワルキューレ、そして菫にシャイン……戦争でも起こす気?」

「あはは、また言われちゃったね」

「まぁ、そう思うよな……」

わいわい、がやがや。


◇◆◇◆


ぴんぽーん。

「!来たみたい」

「らしいな。出迎えてくる」

各々が思いおもいのお菓子の封を開け、談笑している。

「おじゃましま……わっ」

「おじゃましまーす!」

そこに、尭深さんとアワイが加わる。

「こんにちは」

「あ、シャイン、こんにちは。……これは一体?」

「見たことない人がいっぱい!」

「こっちこっち!さぁ一緒にお菓子を食べよう!」

「えぇ……!?」

「わーい!」



「こっちこっち」

「ちょ、ちょっと……!」

狼狽している尭深さんの背中を押す。

「はい」

「ぽ、ポ○キー……?」

強引に座らせ、目の前に差し出す。

「麦茶でいいよね?」

エースさんが紙コップに麦茶を注いでくれる。

「……食べる」

「……え、えっと、では……」

おずおずとポ○キーを口に入れる。

「あ、おいしい……」

あれ、これってさりげに……



「ほら、とん○りコーンを食べるときは、こうやって指にはめるて食べるんだよ!」

「そ、そうなのか?」

「ふふふっ」

見ると、既にアワイはなじんでいた。荒川さんと智葉の所に行って、正しい食べ方をレクチャーしている。
智葉がそれを真に受けてアワイの真似をして食べる姿を見て、荒川さんはにこにこしている。


「おじゃましま……わぁっ!」

「凄い人の数ですね……」

少し経つと、私が密かに呼んでいた誠子と和がさらにここへ加わった。

「またえらいかわいい子やん~」

「こっちこっちー」

ほぼみんなが初対面なのに、それぞれ打ち解けて駄弁っている。

お茶の談議を交わす二人、それを眺める一人。
ACの戦い方の講義を受ける三人、教える一人。
膝に座ってひたすら食べる一人、座られている一人。
ふらついては茶々を入れてまた別の場所に行く一人。
そして……

「美味いか?」

「うん、おいしい」

アリーナのランク1になった。
けど、そのことよりも……こうして大人数でわいわいしている方が、うれしくて、楽しくて、幸せだ。

全てを後回しにしてでも……今だけは。


といったところで、今回はここまでです。凄く待たせてしまって申し訳ないです……
あと、文がいつも以上におかしいかもしれません。ごめんなさい
次の投下は……またしても未定です。しかも連日投下にしたいので、また遅くなりそうです……
ではまた!

うおおい!待ってた!
遂にアリーナランク1か

それにしても相変わらずの鈍器っぷり
弾数少ないし仕方ないね

乙!更新ありがとうございます
エースの登場シーンにはきつい突っ込みを入れたくなったww

やたら滞空するエースの下に潜り込んで死角を取りに行くところとかリアルで良いなw

二日前?ぐらいに阿知賀キャラがACをするSSがVIPであったみたい…もっと流行れ!

あ、↑のレスは私のものです
スマホからだと酉が変わるの…?

>>131
あちらもゲームの紹介としていい内容だった

箱fa対戦会しようず

私、箱○はおろかあらゆるハードでのオンラインってやったことないんですよね……
なんかこうこわいです
どうでもいいですね

落ちそう

落とさない

もはや月一更新がデフォになってますね…最初の頃の勢いとはなんだったのか…
生存報告です

待ってますよ

気長に待つよー

>>140,>>141
ありがとうございます…!

疲れがとれないー頭が働かないー咳が止まらないー……助けてー……
でも今月中には何とか投下しないと!

いや、無理はしないで
いくらでも待つから

うん、無理しなくていいよ
そりゃ早く続きは読みたいけど

落ちても新スレで>>1に前・前々スレのリンク貼ってくれれば過去ログ見れるしさ
体壊して続きが書けなくなるより余程マシだよ

保守で
>>1は身体を大事にして
続きは待ち遠しく期待しているけれど

こんにちは
えー……
すっごい待たせちゃいましたぁ!
前回の投下から二ヶ月経っちゃってます。VDも発売しちゃったよ……
今日の12時、それから夜の20時ごろに投下したいと思います。三本立てです。

>>143,>>144,>>145さんのやさしさが身に沁みます……ありがとう!

では第一部投下します


―トレネシティ:自宅―


「……もぐもぐ」

昼食を摂っている。今日はいなり寿司。
甘めなのが好きだ。

「……もぐもぐ」

この間は楽しかった。
たくさんできた友達と、たくさんのお菓子を食べることが出来た。
また、あんなことができたらいいなぁ……

「!」

と、そんな平和な昼食に水を差すように、メールの着信音が響く。
また、仕事だろうか。



 依頼主:ミラージュ
 作戦領域:水没都市
 敵勢力:機動兵器
 作戦目標:機動兵器の破壊

『管理者の部隊と見られる、正体不明の機動兵器が現れた。
 これまで確認したことの無いタイプだ。これの撃破を依頼する。
 敵は単独だが、MTともACとも異なる。圧倒的な性能を持った大型機だ。
 我々の部隊では、市街地に近づけないだけで精一杯だった。
 目標は現在、封鎖されたセクション732にいる。
 あそこは以前地殻変動によって、隔壁が破壊され、流れ込んだ大量の水によって水没している。
 落下には十分注意してくれ。
 なお、今回の依頼は、僚機の使用が許可されている。協力して、作戦にあたってくれ。』


……仕事だった。
大型の機動兵器……?ACもかなり大型だと思うけど、それよりも大きいのか。
そして、水没都市が作戦領域ということは……フロート脚部が有利になるだろう。

僚機は……まぁ、この人でいいか。フロート脚部だし。

水上ということで、フロート脚部を使おうか迷うところだけど……どうしようかな?


―コーテックス:エントランス―


「今回の敵は、今までのそれとは戦力が桁違いでしょう。油断は禁物です……」

歩きながら、依頼の確認を進める。

「管理者も本気、ですね……」

「はい。……気をつけて」


……しかし、どんな敵なのか想像がつかない……
水に浮く巨大兵器……船?

「そういえば、今回の目標の写真がありますよ」

「写真?」

「はい。運よく、攻撃されずに撮れたそうです」

「へぇ……」

「こちらです」

尭深さんが書類の中から、その写真を見せてくれた。

……

「……海老?」

「えっ?」


―コーテックス:ガレージ―


「こんにちは」

「嬢ちゃん!こんにちは!」

「今回の敵は……一味違います」

「ほう?そりゃ、どうなるか楽しみだな。どうするんだ?」

「では……」


 HEAD:CHD-07-VEN
 CORE:CCL-01-NER
 ARMS:MAL-RE/REX
 LEGS:CLL-HUESO
 BOOSTER:MBT-NI/MARE
 FCS:PLS-ROA
 INSIDE:―
 EXTENSION:―
 GENERATOR:CGP-ROZ
 RADIATOR:RIX-CR10
 BACKUNIT R:MWR-TM/60
 BACKUNIT L:―
 ARMUNIT R:KWB-CBR01
 ARMUNIT L:KWG-FTL450


「……これでお願いします」



「……嬢ちゃん、これで何と戦うんだ……?」

機体をなるべく軽くするために、ラジエータを初期の物に。
もちろん腕部、脚部は軽量級。頭部もレーダー付属の物に。
そして多分、おじちゃんが変に思ったのは武装なんだろう。

「ロケットはともかく……射突型ブレードと、火炎放射器だぞ?」

そう、武器は右腕に取り付ける射突型ブレードと、左腕の火炎放射器。
そして肩のトリプルロケットだ。

「海老です」

フロート脚部にしようかとも考えたけど、それじゃやっぱりつまらない。

「えび?」

「はい。おっきな海老です」

「えび……?どういうことだ……?」

行ってきます、おじちゃん。


―セクション732:水没都市―


今回雇ったパーティープレイ、ACはジョーカーと一緒に、輸送ヘリで現地まで運ばれていく。
ジョーカーはフロート脚部のACで、全身が青い。

「あなたとは二度目よもー。憶えてる?」

「ええっと……」

唐突に話しかけられた。しかも、私と前に依頼をこなしたことがあるらしい。
えーと……?

「ほら、憶えてない?」

「……!」

確かにこの声と、「もー」という語尾はどこかで……

「ほら、私が遅いとかって怒られていた……」

「……ああ」

「思いだした?」

「はい。そういえば居ました」

「なんか酷くないもー!?」

<<……そろそろ到着しますよ>>

……はっ、いけないいけない。
今回の相手は、一味違うんだ。



……あ、そうだ。

「パーティープレイさん」

「何かしらもー?」

「私に作戦があります。パーティープレイさんはひたすら相手の注意を引いてください」

「注意って……あなたはどうするの?」

「私は……まぁ見ていてください」

そんな余裕ないかもしれないけど。

「まぁ、わかったわ。その機体で何をするのか、気になるしねもー!」

……語尾に「もー」って、言い辛そう……


‐メインシステム 戦闘モード 起動します‐



<<攻撃目標を確認!見たことも無い機体です。気をつけて……!>>

「では、よろしくお願いします」

「よろしくよもー!」

あれが今回の目標……遠目で見てもかなり大きい。それに、町が水に沈んでいる……
本当に水没都市らしい。
輸送ヘリから投下。辛うじて水から頭を出しているビルへ着地して……

「うわっ!?」

「……!」

いきなり、遠くを泳いでいる機動兵器から大量のミサイルが飛んできた。
その場にしゃがみ、ビルのかげでやりすごす。

「しまったなぁ……」

デコイを持ってくればよかったかな……?

「ふう、なんとか……って!?」

ジョーカーがビルの陰から出た直後に、そこへグレネードが二発飛んできた。
彼女はなんとかブースタをふかし、間一髪で避けられたらしい。

「あ、危な……」



「任せました!」

「任せたって……ええ!?あれを引きつけるの!?」

「はい」

その為のフロート脚部です。……なんてね。

「畜生ー!やってやるわよもー!」

ジョーカーが、右腕のハンドロケットを撒きながら、右に左にと機動兵器に向かって進んでいく。

「……よし」

次は私の番だ。



隠れていた足場から身を乗り出し、ブースタで上空まで昇る。
OBを起動し一瞬だけ出力し、その余剰で機動兵器の背中目がけて落ちていく。
どうやら、目標はジョーカーに夢中で私に気づいていないらしく、背中に見事着地できた。

「……!?」

「……どらどらどらどらー」

機動兵器の背中に乗り、中心部目がけて火炎放射器を発射。
さらに射突型ブレードで手当たり次第に殴りつつ、肩のトリプルロケットを撃ち続ける。

「!」

続けていると、機動兵器の背中から、オービットのようなものが射出された。
私を狙っているみたいだけど……肉を切らせて骨を断つ!だ。

グレネードの発射口は、機動兵器の正面にあるため、背中の私には当たらない。
こうなってしまえば……!

「上手に、焼けまし、たっ」

射突型ブレードによる止めの一発を、黒煙の上がる後頭部に撃ち込み、
トリプルロケットを浴びせながら離脱する。
背中に飛びついた時のようにOBの余剰を使い、水面から顔をだしているビルに着地。

……完璧だ。



「こ、これが作戦……?」

「そうです。上手くいった」

「なんというか……言葉も出ないわもー」

<<目標の沈黙を確認……無茶をしますね>>

「いつものことです」

<<ふふっ、確かに……でも、無理は禁物ですよ?>>

「大丈夫です」

無事に倒せた……けど、まさか、こんなものまで……
最初、この兵器に都市が水没させられたのかと思ったほどだ。
……いや、案外そうなのかも……?


‐作戦目標クリア システム 通常モードに移行します‐


―???―


「失礼します」

「……どうした」

「先程の、例の巨大兵器の件ですが……目標は沈黙、作戦は成功したとのことです」

「……そうか」

「僚機共々、目立った損傷もなく……また、極めて短時間で仕留めたそうです」

「……」

「……いかがいたしますか?」

「……」

「そうだな――」

短いですが、今のところはここまでです
また夜に~

乙あり~

久々だ~、乙です!

火炎放射器で海老とやるのは楽だよなw
ガチるとミサイルすげーじゃま

初見で完璧な対策ワロタ

こんばんは!
なんか久々の投下なのに反応がめっちゃ早くて感動しています…!
では第二部投下です。今回は菫視点でお送りします~

>>164
ミサイルもそうですが、グレがホントに鬱陶しい…


―トレネシティ:菫宅―


「ショッピングに行きましょ!」

「は?」

「憧ちゃん……?」

先程、昼食を摂ったところだ。
引き取っている宥はともかく、いつものように、何故か憧が居る。
まぁ、別に構わないが……
仕事のメールもなさそうだし、久々にのんびりしようかと思った矢先に、憧が突然そう言い出した。

「ショッピング?」

「そ!大体、宥姉もあんたも、素材はいいのにおしゃれしなさすぎ!あんたはいっつも同じ服だし、宥姉なんてジャージだし!」

「動きやすいから気に入っているんだ」

「わ、私は外に出ないから……」

「それでも女なんだから、おしゃれしなくちゃいけないの!ほら、行くわよ」

「仕様がないな……」

「私も行くの……?」

「当然でしょ?」

そんなこんなで、ショッピングに向かうことになった。
で、ショッピングって何をすればいいんだ……?


◇◆◇◆

―『フランモール』―


「やっぱりかわいいー宥姉!」

「さ、寒い……」

目の前で、宥が憧によって着せ替え人形にされている。
しかし、あれだけぐうたらな生活をしているのに、何故あんなにウエストが細いんだ……?

因みに、私の分はもうある。
憧が「あんたはこれ!」と言って押しつけてきた。似合うらしいが……

「あれ、スミレじゃん!何やってんの?」

「淡か」

試着室の前で、宥の強制ファッションショーを眺めていると、淡が向こうから歩いてきた。
どうやらこいつも、服を試着しに来たらしい。いくつか手に持っている。

「あ、スミレも服選びに来たの?なんか意外だねー」

「来た、と言うより連れてこられたんだよ」

「へぇ?」

「そこの奴にな」

という言葉と同時に、試着室をがばっ、と開けて憧と試着した宥が登場する。

「どう!?これもいいでしょ!…って、アワイ?」

「これも寒い……」

「おー、アコにユウ!」

……騒がしくなりそうだ。



「あんたも服を?」

「そうだよー!久しぶりの休日になったし、女子力?を上げておかなきゃね!」

「……」

あいつらは気が合うんだろうか。
先程から私をそっちのけで話し合っている。
……なんだ、この疎外感は……

「す、菫ちゃん……」

そしておい……大丈夫か?季節にあった服を着ているのに、やっぱり震えているぞ。

「似合う……?」

「あ、ああ。似合っているが……大丈夫か?」

「さ、寒いけど……あったかい」

寒いけどあったかい……?なんかおかしくないか……?

「と、とにかく元の服に着替えよう。お前をその格好にしておくと不味い」

「う、うん……」


◇◆◇◆


「ね、私も一緒に行く!」

「行くって……どこに?」

「そろそろお腹すいてきたでしょ?何か食べに行かない?」

なるほど。言われてみれば、確かにお腹が空いている気がする。
というか、もうこんなに時間が経っていたのか……

「それは構わんが……これはどうする?」

手に持った服を持ち上げる。

「あー……まぁ送ってもらえばいいでしょ。ちょっと言ってくるわ」

服が入った袋を持って、憧がレジへ向かっていく。
頼りになるな……



「そんで、何食べるー?」

「私は何でもいいが……」

「あったかいものがいいなぁ……」

「だそうだ。この辺りにないか?」

「うーん、ファミレス行けば色々あると思うけど、それじゃつまんないし……」

むむむー……と考える淡。

「……あ!じゃああれにしよう!確かあったと思う!」

「無事に送れたわよー。何食べるか決まった?」

「うん、決まったよ!早速行こう!」


◇◆◇◆

―お好み焼き屋:『neco屋』―


「店に着いたぞ!」

大通りから少し外れた、微妙に狭い路地にそれはあった。

「お好み焼き?なんか、女四人で入る店じゃない気がするんだけど……」

お好み焼き……?なんだそれは……
自分の好みのものを焼いて食べるのか……?

「じゃあ、アコだけ別の店で食べる?」

「そういうことを言っているんじゃないわよ……まぁいいわ、入りましょ?」

「あ、ああ……」

「?どうかした?」

「いや、なんでもない」

「ふぅん……?」

宥は……

「お好み焼き……あったか~い」

……どうやら知っているらしいな。
ということは私だけか。知らないのは……



店に入ると、特徴的なソースの匂いとじゅーじゅー、という何かが焼ける音が聞こえてきた。
やはり何かを焼いているのか……

「座るところはどこでもいいよね?」

「任せるわ」

壁際の、適当な場所に座る。
鉄板を挟んで、壁側が私と宥。私の横に憧、宥の隣に淡だ。
鉄板は……冷たいな。

「じゃあ熱入れるねー」

ぼっ、という音がしてしばらくすると、鉄板の隙間から熱気が溢れてきた。
どうやら下からガス?で熱するようだ。

「鉄板、あったか~い……」

宥は鉄板に手をかざして熱を受けている……

「……」

そしてメニューが……ない!名前は壁に張られているが、肝心な写真がない……!
何故無いんだ、くそ……
これはピンチだ……どうする……?



「まずはそばモダン!みんなはどうする?」

「じゃあそれとりあえず頼んで、足りなかったらまた追加しましょ」

「おー頭いい!それでいいよね?」

「構わん」

「いいよ……」

モダン……?モダンって何だ……?

モダンの意味は解る。現代的な、とか今風、とかだ。
そばモダン……つまり現代的なそば、そして鉄板で焼く……焼きそばか!
いや、焼きそばならば「焼きそばを食べに行く」と言うはずだ。
ということは、その焼きそばに何かアレンジを加えたものなんだろう。
一体どんなアレンジが……


◇◆◇◆


淡が頼んだ、「そばモダン」なるものが運ばれてきた。

黄色のそばがある……やはり現代風の焼きそばなんだな……
だがそのボウルはなんだ……?

「豚肉は置いといて……じゃあ混ぜよー!」

「!?」

なんだあれは……
海老、キャベツ、烏賊、蛸、葱、天かす……そして中心に生卵の黄身。紅生姜も……

「ふぬぬ……」

「出来る?」

「だい、じょうぶ……!」

なんか無茶苦茶重そうだぞ……あの具の下に何かあるのか……?

「ほっほっ」

「!?」

な、中から白い……なんだあれは!?
粘ついた白い液体がボウルの中から出てきたぞ!
そしてそれが、蓋をしていた具と混ざっていく……
にちゃにちゃ、と音を立てながら、どんどん、どんどん……



「そしてこれを……どーん!」

じゅああー……と、油が引かれ、熱された鉄板の上に混ざり合ったそれが落とされる。

「全部やらないでよ?」

そう言いながら、いつの間にかそばを炒めている憧。

「よーし」

ボウルに中身を少し残しておき、鉄板の中央を陣取っている何かを広げていく淡。

「おいしそう……」

え?もう食べるのか!?早すぎやしないか!?

いや、待て。完成を思い浮かべてそう言ったのかもしれない。
と言うか、今のところあまり食べ物に見えない……

「もういいかな?そば乗っけてー」

「はいはい」

炒めていたそばが、片面だけ焼けたであろう生地?の上に乗せられる。
そしてその上にさらに豚肉が三枚程乗せられて……



「ひっくり返すのは、私に任せなさい」

憧が、大きなへらを二つ持って、それの先端を鉄板と生地の間に滑り込ませる。
というかあのへらは何だ?見たことがないぞ……

「ほっ!」

「おお……」

生地をくるっと反回転。ひっくり返した。
あの細い腕から……なかなかどうして、やるものだ。

さっきまで鉄板に焼かれていた面は、程良く焼けた、所謂「いい色」になっている。
なるほど、これはおいしそうだ……


◇◆◇◆


「かんせーい!」

「うまくいったわね」

「おいしそう……!」

「うむ……」

待つこと数分。
鉄板の中央には、完成したらしい「お好み焼き」が鎮座している。

ソースがかかったその上に青のりとかつお節をまぶして、憧が四等分に切り分けて……
おお、ふりかけられたかつお節が踊っているぞ……!

「はい、あんたのへら」

「ああ」

憧が先程ひっくり返した時に使っていたものの、小さいバージョンだ。
持ち手が木製ではなく、そのまま金属になっている……

「熱っ!」

からんからん、と音を立ててへらが落ちる。受け取ろうとしたら、予想していなかった熱さが私を襲った。
熱い。



「何やってんのよ……」

ほら、と憧は渡してくる。なんで平気なんだ?熱くないかそれ?

「これぐらい熱くなんかないわよ?慣れよ慣れ」

我慢して受け取るが、やっぱり熱い。鉄板にへらの先端がずっと当たっていたからか?
くそ、なんでこの小さいへらも手持ちを木製にしないんだ……!



「マヨネーズ頂戴!」

「ああ、ほら」

なるほど、マヨネーズか。確かにこの見た目なら合いそうだ。

「はふ、はふ」

宥はもう食べている。四等分にされたものをさらに細かく分け、一口サイズにして口に運ぶ。
店内も暑いし、鉄板も熱いし、食べているものも熱いしで……幸せそうだ。
どれ、私も一口。

「!」

こ、これは……

……美味い!

この、いかにも少年期の子供が好きそうなソースの味、口に運んだ時に香る青海苔の匂い。
そして、最初に一度噛んだ時にほのかに感じるかつお節の風味。
キャベツと謎の白い液体、烏賊や蛸、そこへ割り込んでくる焼きそば、豚肉……
そこにソースが絡み、なんとも濃厚な味になるな……!
柔らかすぎず堅すぎず、絶妙な歯ごたえだ……!
例えづらい味だが、これが「お好み焼き」の味なのだろう!
ソースの味がかなり濃いから、白米なんかとも合いそうだな……
まぁ細かいことはともかく、これは……

「……美味しい」

「だよねー!」

美味い!


◇◆◇◆

―トレネシティ:『帰り道』―


「おいしかったねー!」

「美味しかったけど……ちょっと食べすぎたかも」

あの後、私が白米を頼み、さらに二玉程追加で注文した。
やはり白米とお好み焼きはよく合い、普段あまり量を食べない私も箸が進んだ。

そういえば……四人で外食したのに、あれだけしかお金がかからないのも、重要なポイントだな……

「私もちょっと……」

「同じくな……」

「あはは、みんな苦しそう!」

同じ量を食べたのに、なんであいつはあんなに元気なんだ……

お好み焼きを食べ終わった後、淡が「アイスも食べる?」とか聞いてきたから全力で断った。
デザートは別腹、とか言うが、そんなわけはない。あいつは美味しそうにそれも食べていたが。


―トレネシティ:菫宅―


「ただいまー!」

「ただいま」

「ただいま……」

「ただいま」

四人がそれぞれ、家の玄関をくぐる。

「こたつ……」

宥が真っ先にリビングに行き、炬燵の電源を入れるようだ。
私は手洗いうがいをするべく、洗面所へ向かう。

「相変わらず真面目ねぇ」

「お前もやっといた方がいいぞ?」

そういえば……喉うがいは、大人になっても出来ない人間が多いと聞いたな……



「あ、服来てるよー!」

ぱたぱた、と服の入った袋をもって淡がかけてくる。

「もう開けちゃう?」

「その前に一服しましょ。お茶淹れてくるわ」

「はーい」

いつの間にか、憧と淡がすっかり仲良しだ。


「……ん?」


パソコンにメールが来ているな……また仕事だろうか?
見ておくか。



「……あれ?どしたの、また仕事?」

「……ああ、そうらしい」

「すぐ行くの?」

「いや、すぐにはいい。明日か明後日だとさ」

「へぇ、珍しいわね……ま、いいか。お茶飲みましょ?」

「ああ、すぐ行くよ」


「待たせたな」

「おそーい!でも許す!」

「何様だよ……」

「何かあったの……?」

「ああ、仕事が来ていてな」

「え、仕事?聞いてないよ?」

「お前の方にもいっているだろう。緊急じゃないから、家に帰ってから確認しておけ」

「わかった!」


「……ありがとね」

「ん?」

「匿ってくれて……住ませてくれて」

「気にするな。私が好きでやったことさ」

「でも……ありがとう」


「ああ……どういたしまして」

第二部終了です~
お好み焼きは、関西風が好きです。
第三部は、23時ぐらい?に投下予定!お楽しみに!

なんか一気にきてるー
いいぞ!

こんばんは 第三部投下します
視点は戻って照さんとなっています。


―コーテックス:エントランス―


「あ……レイヴン、依頼が入りました」

「あ、はい」

「ん、しっかりやれよ」

「はい、また」

「あなたも」

智葉が尭深の頭にポンと手を置く。

「は、はい……」

「じゃあな」

「今のは……」

「ロイヤルミストさん。最近よく会う」

コーテックスに来ると殆どの確率で遭遇する。なんでだろう。



「それはさておき……依頼です。今回は、ミラージュからです」

「ミラージュ……」

「今回の依頼は、是非あなたにやってほしいという、ミラージュからの強い希望があります」

「強い希望……?」

「はい。こちらがその内容になります」



 依頼主:ミラージュ
 作戦領域:マグナ遺跡
 敵勢力:不明
 作戦目標:遺跡内の探索活動

『管理者の部隊による被害は拡大する一方だ。
 こうまで事態が深刻化しては、最早管理者そのものを攻撃する以外、手は無いのかもしれん。
 我々の得た情報によると、地下世界の最下層にある遺跡の奥に、
 管理者の下へと続いている通路が存在するらしい。
 偵察部隊を派遣したが、今のところ特に警戒すべき様子はない。
 このルートの存在が事実なら、管理者の暴走を止める手段になりうるかもしれん。
 なお、今回の依頼にはこちらが選抜した僚機を同行させる。
 協力して作戦にあたってくれ。』


「そんな通路が……?」

「情報が確かなら、ですが……」

……

「僚機は?」

「はい、ミラージュの用意した僚機は……リップハンター。ルージュです」

「!」

菫が来てくれるのか。ミラージュめ、よくわかっている。
とりあえずは一安心だけど……



「一つ、気になるところが」

「?」

「見てください」

そう言って尭深さんが指を差した項目は……報酬。

「報酬が、全て前払いなんです……」

「これは……」

「ミラージュの意図は読めませんが……用心しておいて、損はないと思います」

「……わかりました」


―コーテックス:ガレージ―


さて、今回のアセンブリはどうしようかな……

「どうする?」

「わっ」

気づいたら真横におじちゃんが立っていた。心臓に悪い。

「こんにちは」

「おう、こんにちは。で、どうする?また昨日みたいなゲテモノにするか?」

ゲテモノって……

「うーん、今日は尖った内容の依頼じゃないから……」


 HEAD:MHD-RE/005
 CORE:CCM-00-STO
 ARMS:CAM-11-SOL
 LEGS:MLM-MX/066
 BOOSTER:MBT-NI/MARE
 FCS:PLS-ROA
 INSIDE:―
 EXTENSION:―
 GENERATOR:CGP-ROZ
 RADIATOR:RMR-SA77
 BACKUNIT R:CWR-S50
 BACKUNIT L:CRU-A10
 ARMUNIT R:MWG-MG/1000
 ARMUNIT L:CLB-LS-2551


「……こんな感じで」



「万能機体だな。よっぽどじゃない限り、これで負けることはないだろう」

「今回は、敵が出るかどうかもわからないので……」

「用心に越したこたぁねぇしな。よし、やっておくぜ」

「よろしくお願いします」

よし、行こう。


―エネルギー生成区:マグナ遺跡―


<<リップハンターは、先に侵入しているようです>>

「了解……」

エレベータを降りて、ゲートを開ける。

「す……リップハンター」

<<来たか>>

開いたゲートの横に、菫のAC、ルージュが待機していた。

<<侵入したはいいが……敵が見つからなくてな>>

確かに、誰もいない。敵の反応も……



<<何もいない……?>>

<<いえ、反応が……!囲まれてる!>>

「っ!」

虚空からマシンガン。ということは……

<<ちっ、ステルスMTか……>>

「みたいだね」

<<さっさと終わらせるか>>

「うん」

シャインは、マシンガンが飛んできた虚空にブレードを一閃。小爆発が起き、MTが一機落ちる。

リップハンターは壁でマシンガンを潰し、カウンター気味にエネルギーライフルを三発。また一機落ちる。

「流石」

シャインが前に出て、微かに歪んだ空間にブレードを振る。また一機破壊。

リップハンターは、シャインの背中を狙う一機を、さらにその背後から近寄りブレードを突き刺す。

<<……>>

「終わった……?」

<<これで……。!待って、反応が……>>

すると、さっき私が入ってきたゲートが再び開いた。



<<やはり……この……程度では……無理……か>>

<<イレギュラー……要素は……抹消……ミラージュは……そう……判断……した>>

<<管理者を……破壊……?馬鹿げた……ことを……>>

あれは……黒い、AC?
ぶつぶつと喋っていてよく、聞き取れないけど……?

<<新たな反応を一つ確認!敵ACです!……いえ、二つ……!?>>

(え?)

横に立っていたルージュが私と距離をとり、侵入してきたACに近づいていく。


<<この世界に、お前は、不要なんだ……!>>


ルージュが、菫が、レーザーライフルの銃口を私に向けて――

菫……?何を……言って……


          <<消えろ!イレギュラー……!!>>

―――――――――――


「何を……言って……」

<<敵反応が二つ……!リップハンターが裏切りました!>>

裏……切り……?

なんで?なんで、菫が……

<<何……を……して……いる>>

黒いACから、ラージロケットが飛んでくる。
が、アマテラスは動かない。

「なんで……?」

飛んでくるそれを、小型ロケットを当てて相殺する。

<<……やる……>>

黒いACとルージュが動き出す。
左右からの挟み撃ちの形で、シャインを囲んでいく。

<<……っ!>>

一足早く射程に着いたルージュが、棒立ちのアマテラスにブレードを振る。
しかし、突然ブースタを後ろに出力したアマテラスに避けられる。



後ろに避けたアマテラスはルージュを台に、ハンドロケットを構える黒いACへとブースタをふかし、飛ぶ。

<<……>>

飛んできたアマテラスを避けるため、ブースタを左に出力してかわそうとするが……

<<……な……!?>>

飛んできていたアマテラスが突然猛スピードで黒いACに近づくと、ハンドロケットを装備していた右腕が落ちる。

<<なん……だ……!?……こい……つ>>

先程の急加速は、OBだった。相手がブースタを出力するタイミングでOBを出力し、意表をついたのだ。
ブレードで右腕を切り落としたアマテラスは、また距離を取って、立ちあがろうとするルージュの上に着地する。

<<ち……っ!?>>

と、着地したところに、拡散投擲銃が放たれた。アマテラスはもちろん、ルージュも巻き添えにダメージを受ける。
衝撃を受けたアマテラスはルージュの上から落下するが、ブースタをふかして体勢を整えた。

「……!!」

上空からのOBで、アマテラスが柱の陰に隠れた黒いAC目がけて落ちていく。
隠れ蓑にしている柱をマシンガンで傷つけた後、ひび割れた場所を勢いに乗った蹴りで破壊した。
倒れた柱に巻き込まれて、黒いACが体勢を崩している。



<<なに……が……>>

倒れている黒いACに、ひたすらマシンガンを連打するアマテラス。
頭部、脚部の装甲のつなぎ目、腕部、コアとまんべんなく撃ち込み……
最後にブレードをコアの中心に突き刺して……

<<おい!……!?>>

ルージュが駆け付けてくるが、黒いACは、小爆発を繰り返しながら黒煙を上げている。遅い。

「ほら、もう敵は居なくなったよ。帰ろう?」

<<まだ……いるだろう……!>>

レーザーライフルをアマテラスに撃つが、難なくがれきで防がれる。

<<ち……!>>

その隙にアマテラスは側面から回り込み、遺跡の中央へ。
マシンガンの銃口をルージュに向けるが、撃つことはしない。

「なんで……なんで……?」

<<っ!>>

ルージュがオービットを放つが、レーザーを発射する前にアマテラスのマシンガンとロケットによって破壊される。



<<なっ……>>

呆然とするルージュに、アマテラスの放った小型ロケットが着弾。
右肩のオービット本体が破壊され、黒煙が上がる。

「なんで……?なんで、身体が動くの……?やだ……やだよ……」

<<くそっ……!まだ……!>>

向かってくるルージュにマシンガンを放つが、
ブーストジャンプでかわされ、お返しと言わんばかりにレーザーライフルが撃ち込まれる。
こちらもブーストダッシュでかわそうとするが、肩のロケットに命中し、吹き飛ぶ。

「身体が……なんで……」

ブレードを構え、向かってくるルージュを待ち受ける。
対するルージュもブレードを構え、ブレード同士がぶつかり合う。

<<……!!>>

鍔迫り合いの最中、ルージュの左腕から火花と黒煙が上がり始めた。
しばらく続いたが、アマテラスがそれに競り勝ち、ルージュの右肘から先が無くなった。

<<……ああぁ!!>>

なりふり構わず、黒煙を上げる左腕を振り下ろすルージュだが、
その行動を見透かしていたように構えていた、アマテラスのマシンガンで、迎え撃たれてしまう。


「やだ……殺したく……!」

<<……!>>

何も持っていないルージュのコアに、アマテラスの左腕のブレードが突き刺さった。
が、それは中心を捉えたわけではなく、リップハンターの居るコクピットから少しずれた。

<<敵の反応が、全て消失しました……>>


―――――――――――



<<……流石、だな……>>

「菫……なんで……?」

<<ふ……私たちはレイヴンだ。……そういうことさ>>

「そん、な……」

その時、がらがら、と遺跡の柱が崩れ始める。
どういうこと……?まさか……!

<<……!先程の戦闘の衝撃で、遺跡が崩れ始めています!急いで脱出してください!>>

「菫!」

<<早く……行け……>>

ルージュの通信機器が壊れ始めたのか、ノイズが走り始める。
上手く聞き取れない……!

「すみれ……!す……み……」

<<長く……ない……早く……行け……!>>

<<早く!>>

<<……照……!>>

「うぅ……ぅううう……!!」

左腕をコアから引き抜き、方向転換する。菫のACを背に、ブースタをふかしてゲートへ進んでいく。

やがてそれは開き、シャインは脱出していった。
遺跡内の揺れが、激しくなる。




「行った……か……」

「ああ……ありがとう、淡……お前のおかげで、私は……」

「……憧……宥……その家は、任せたぞ……」



「……」



「……ああ、」

「……そういえば……服……着れなかったな……」

「せっかく……みんなで……みん……な……」

「――」






          「……ぅぁあああああああああ!!!」


今日の投下は以上です。ではまた

うわああああああああぁぁぁぁあっ!


リップハンターは仕方ないよね……
二回目以降わざと僚機を攻撃したのは私だけではないはず

菫死ぬのか

シナリオに沿ってるとはいえきっついなぁ…
ゲームでもMT時代からの寮機だったからなかなかショックだった


僚機なんて雇ったことなかったからリップハンターを[ピーーー]のに躊躇いなんかなかったな

追いついたー!・・のはいいんだけど次が気になるのよね・・・菫には生きていてほしい
ちなみに1はデコイ防御できるの?できるなら尊敬するはマジで

おはようございます
ファンファーレが手強いので、私もリップハンターは僚機の時にAP削ってました。ごめんね
ちなみに>>1はグレ等をデコイでは流石に消せません……出来る人おかしい

次回の投下ですが……もう月一ぐらいで気長にお願いします
恐らく、あと6回ほどの投下で終わる……かも?

了解しました
楽しみにしつつのんびり待ちます

>>211 把握~
やっぱムズイんだねあれ安心した

うちのコンビニ絶対おかしい……
深夜帯に一時間で客180人ってなんだそりゃ
愚痴ってごめんなさい。書きまする……

昔バイトしてたとこの10倍とか忙し過ぎだろ…
大丈夫?

iPhoneの発売日か、それは
凄まじいな
体に気をつけて下さい

都会は大変だな
おつかれさん

おはようございます
続きは今週中になんとか投下予定です。

>>215
18人……だと……?
荷物とかどんな感じでした?うちは今日6台でした
>>216
平常運転です(絶望)
>>217
大 都 会 岡(ry

台数は二か三台だったな朝は忙しいけど深夜は凄い暇なんだよね…まあもう潰れたけど
それはそうとして無理しないでくれ

こんばんは。ギリギリアウトです。まぁわかってた(予知夢)
あとなんか六回程の投下で終わるとか言ってましたが嘘です。無理です。
つなぎ、ということですっごい短いですが投下します。
今回は珍しく尭深さん視点です。


―side:尭深―

◇◆◇◆

―トレネシティ:シャイン宅前―


「やはり、だめですか……」

今、シャインの家の前にアップルボーイ、レジーナ、ロイヤルミスト、が集まっている。
インターホンはもちろん反応なし。声をかけてもだめ。メールも送ってはみたが、読んでいるかはわからない。

「反応なし……ですね」

前回のミッションの後から、彼女は塞ぎこんで家に引きこもってしまっていた。
私の想像していた以上に、リップハンターの存在は彼女にとって大きかったんでしょう……

「はぁ……」

ロイヤルミストが溜め息をついた。



あの依頼を終えた後、ミラージュから一通のメールが送られてきた。

差出人:ミラージュ
title:管理者

『我々は管理者を廃したかったわけではない。その力を制御できると思っていた。
 狂ってはいても、我々には管理者が必要だ。我々の生きる道は、管理者が決めるべきことなのだ。
 お前なら、管理者を破壊することもできるのかもしれない。
 だがそれは、大きすぎる力だ。その力を、ユニオンは利用しようとしている。
 お前は危険すぎた。
 お前の力は管理者を、この世界を破滅へと導く力だ。』


「……」

ミラージュの言うことが、わからないでもないけど……
それでも、今の管理者を制御できるとは到底思えない。
確かに、私たち地下世界に生きる人間は、管理者によって「管理」され、生きてきた。
その支配者がいなくなれば、当然それまで管理され生きてきた人間は混乱するだろう。
けど、死ねと命ぜられてはい、と答える人間……それは本当に人間なんだろうか?

敷かれたレールの上を歩く……
ちょっと、つまらない。



「おや、先客がいましたか」

気がつくと、私たちのそばに一人の女の人が佇んでいた。
見たことのない人ですが……

「あなたは?」

「ここの家主に用件があったんですが……なにがあったんですか?」

シャインに?ますますわからない。
あと、微妙に質問に答えられていないのも気になる……

「……見ない顔だな。何者だ?」

ロイヤルミストが訊ねる。

「おおっとそーりー。まだ自己紹介をしていませんでしたね」

「実は私、ユニオンの一員でして。今日はシャインさんに直接話したいと思い、来たわけです」

ユニオンの……?
そういえば最近、ユニオンはまるで動くそぶりを見せていなかった。
また動こうとしているんでしょうか。



「ほう、ユニオンの……だが、奴はこの通りでな。私たちが話しかけても、何も反応がないんだ」

「むむ……それはばっどですね。今日はお話の他に、依頼を頼みたいと思っていたのですが……」

やっぱり、依頼。
クレストが崩壊し、ミラージュも貴重な駒を二つ失い、今が機と考えたんだろう。

「依頼、ですか?」

「いえす。ミラージュの……っと、そういえば内容は機密でした。」

……こんなので大丈夫なんでしょうか。ユニオンは……

「しかし、困りましたね……是非とも、彼女にやってもらいたかったのですけど」

むむむ……と唸るユニオン。
……ユニオンが、シャインにこだわる理由は解る。
彼女のレイヴンとしての働きは……まさにありえない、と言っていいだろう。
今まで数々のレイヴンを見てきた私でさえ、シャインのような人は見たことがない。
受けた依頼は必ず成功させ、アリーナでも負け無しでトップに立ち、その力を企業でさえも恐れる。
……まさに、イレギュラー。

「あの!……代わりに誰かが行く、というのは可能ですか?」

と、ここでアップルボーイが声を上げる。

「依頼を達成してくれるのなら、誰でもうぇるかむです。
 ……実は何気に時間がないので、シャインさんが動けないとなると結構やばいです」



「じゃあ……私が行ってもいいですか?」

「えっ?」

なぜか、それまで静かだったレジーナが驚く。

「あなたが?……失礼ですが、どなたでしたっけ?」

「ですよねー……アップルボーイです」

「アップルボーイ……ああ、シャインさんと同期にレイヴンになった方でしたか。
 彼女の活躍に隠れてしまっていますが、大きな失敗もなく安定しているとか」

「あ、ありがとうございます……」

「いえいえ。……では、頼んじゃってもいいですか?」

「はい!任せてください!」

「助かります。では、また後ほどミッション内容を送りますんで、待っててくださいー」

そう言うと、自称ユニオンの女性は何処かへ帰っていった。



「……よかったのか?安請け合いして。何なら私が行ってもよかったんだが」

「そうですよ。詳しい内容も聞かないで……それに状況が状況ですから、かなり危険を伴う依頼だと思うのですが……」

「いやあ、はは……だって、シャインさん……照さんが動けない今、私が動くしかない!って思って……
 それに、照さんには色々お世話になりましたし!」

「……ま、お前がいいならそれでいいんだろう。精々死ぬなよ」

「あなたが死んでしまうと、照さんにさらにダメージが重なってしまいますからね……」

「な、なんでみんな死ぬ前提で……私、ちゃんと生きて帰りますから!」

小さな笑いが起きているけど……正直、アップルボーイが心配だ。
元々シャインに頼む依頼だったから、それなりに危険なものになっているはず……
何もなければいいんですが……

クッソ短いですが、今回はここまで。次回は未定です。知ってた。

みなさん凄い心配してくれてありがとうございます。がんばりまする!
あと、皆さんは店内で自転車を乗り回さないでね!>>1との約束だよ!ではー

乙~
アップルボーイ、不安しか感じないw

おつ
コンビニ内で自転車乗り回すとか何があったんだ…

照が引きこもってしまったか
そりゃあんな事があったら仕方ないよな
辛いわ


無茶すんな林檎少年……

おつー

アップル馬鹿にすんなよ!ミッションだとレジーナより使える

VSモードの林檎くんは割と強い

林檎からフラグ臭がする
あ、乙です

落とすのだけは…死んでもごめんっす

前スレで「絶対にエタらせません」と言った言葉信じてるからな

気長に待ってる

生存報告です…
誰のレスもないまま一ヶ月経つとスレが落ちるんでしたっけ…?
一ヶ月早いよ…
お待たせしている方には申し訳ないです
あと、楽しみにしていたスレがエタることは過去何度もあったので、エタることは許せないのです
もうぽこたてばりに「絶対にエタりません!」…いやまぁぽこたての人イっちゃいましたけど

あ、今夜投下します

遅かったじゃまいか…

歓迎しよう、盛大にな!

>>240
これが選ばれし>>1の投下だ!よく見ておくんだな!
>>241
ハッハー!今日ならいけるぜ、メルツェェェェェル!!
こんばんは!お待たせしました
今回は誠子さん視点になっております。では投下ー


◇◆◇◆

―side:誠子―

―コーテックス:ガレージ前通路―


昨日約束した依頼をこなすべく、コーテックスで依頼の確認を行おうとしている。
どうやらユニオンに時間がないのは本当らしく、すぐに内容が送られてきた。
彼女らも切羽詰まっているらしい。

「さて、今から行くわけですが……依頼の最終確認といきますか」

「はい」

「では……」

依頼主:ユニオン
作戦領域:レヒト研究所
敵勢力:不明
作戦目標:データの取得後、脱出

『クレストとミラージュは、ここに至ってもいまだ管理者の存続に執着している。
 このままでは、事態は悪化する一方だ。
 我々に最早力は無いが、何とか現状を打開しなければならない。
 そのためには、管理者を破壊し、その機能を停止させる以外、道はない。
 管理者の中枢が存在する場所は、クレストとミラージュのデータバンクにのみ、記録されている。
 我々もかつて何度か侵入を試みたが、ついに果たせなかった。
 一層と二層のコンピュータからコードキーを抜き出し、
 所定の装置にキーを入力すれば、ホストコンピュータがある部屋への扉が開くはずだ。
 失敗は許されない。ミラージュの施設に侵入し、データバンクから情報を入手してくれ。』



「当然ですが、ミラージュがただで帰してくれるとは思いません」

「ですね……」

「おそらく、レイヴンか……あるいは大量のMTを放ってくるでしょう」

「はい」

「……この依頼は、今まで私たちがこなしてきた依頼とは一線を画します」

「失敗すれば、命はないでしょう」

「……」

「さらに、この依頼を成功させることは、管理者の破壊への一歩となる……
 あなたは、その片棒を担ぐことになる」

「……」

「……行くんですね?」

「……はい!」



「……わかりました!ご友人の為に赴くその姿勢、すばらです!」

シリアスな雰囲気から一転、いつものキラメさんに戻る。
……あれ?なんで照さんの為って知っているんだろう?

「あれ?私話しましたっけ?」

「ご友人のことですか?……ふふ、秘密です」

「ええ~……」

どうも、教えてくれそうにない。一体誰が……

「まぁ、それはともかく……気を引き締めていきましょう。万全の準備をお願いしますね」

「はい!」


とは言ったものの、やっぱりアセンブリを変えることはなかった。
こういう時は、慣れていない重装甲よりも、使い慣れたいつもの機体がいい。
ここまで一緒に戦ってきたこいつと、照さんに恩返しするんだ……!
まぁ、流石に閉所では使いにくい垂直ミサイルを、中型ミサイルに変更したけどね。


―エネルギー生成区:レヒト研究所―


<<まずはこの施設にある、三つのコードキーを入手してください>>

「場所はわかりますか?」

<<大まかには。なんでも、タカミさん達が一度、この施設に侵入したようで……
 その時の情報と、ユニオンの調査によるマップを合わせれば、恐らく>>

照さん達は一度、ここに来ていたのか。
なるほど、だからユニオンは照さんにこの依頼を頼もうとしたんだろう。

「タカミさん達が……わかりました。とりあえず、コードキーを全て入手すればいいんですね?」

<<はい。全て入手できましたら、次に向かいます>>

「了解です」

しかし、こんな大きな施設に侵入するのは初めてだ……
一体、何が出てくるやら。


‐システム キドウ‐



「うわ……」

レーダーに敵の反応がいっぱいだ……勘弁してください。

<<とりあえず、道なりに進んでください>>

「わかりました……」

言われた通り、道なりに通路を進んでいく。
一本道で、先に進むしかないんだけどね……
あの大群の中に飛び込むのかぁ……

進んでいくと、ゲートが見えた。これを開けて進むんだろう。

<<敵がいます。気をつけて>>

「はい」

レーダーを見ると、この先に反応が二つある。大方警備用MTだろう。
と言うかそうじゃないと困る。

「やっぱり」

ゲートを開くと、ACにとっては狭い空間にMTが二機。四脚タイプみたいだけど……
……あ、こっちに気付いた。



「っ……パルス」

こちらに気付いたMTから、パルス弾が放たれた。連射も利くらしい。
しかも、ブースタが備え付けてあるのかやたら動きまわる。
時間をかけると面倒なタイプだ。

「だけどっ!」

この狭い空間の中だと、さぞ動きにくいんだろう。MTの内一機が壁に引っかかっている。
左腕のブレードを出力、ブーストダッシュで接近し、一振り。
斬られたMTは、小爆発を起こしながら機能を停止した。

「よしっ」

残ったもう一機を右腕のライフルで安全に仕留め、先に進む。

先に進むとまたゲートがあったが、開くと何もいなかった。
さらに先へ進む。



「うーむ……」

進んでいると、分かれ道が現れた。右と左にそれぞれゲートがある。

レーダーを見ると、敵はどうやら左側に集中しているらしい。
この場合は左側が正解のルートだと思うんだけど……

「キラメさん、どっちだと思います?」

一応尋ねてみる。

<<これは……左、でしょうね。なにより敵が集中していることがそれを語っています>>

「やっぱりそう思います?」

キラメさんも私と同じ考えらしい。やっぱりそうだよね!

チラッとレーダーを確認。

「……じゃあ、行きます」

ゲートの向こうでうろちょろしている敵に備えて、ブレードを構える。
よし、進もう。



ゲートを開くと同時に、踏みこんでブレードを薙ぐ。
狙い通り、ゲートの前で待ち構えていた小型メカに命中した。

「よしっ」

<<すばらっ、そのまま右に進んでください。敵は大勢居ますが、別に無視してもかまいません!>>

「了解です!」

言われるままに、細い道を進んでいく。
いや、キラメさん……MTが邪魔で進めないので、無視できそうにないんですけど……

先程遭遇したMTと小型メカを、ブレードで排除しつつぐんぐん進む。
通路は狭く、敵が正面にしかいないので、ブレードでの排除はとても楽だ。
……多少の被弾には目をつぶることにした。

<<つきあたりをさらに右に進んでください!>>

「はい!」

そのつきあたり付近に居るMTをライフルで狙撃して、ブーストダッシュで一気に進む。
キラメさんに言われた通り右を向くと、また細く狭い通路に敵が沢山。
……うん、数は多いけど、ACの敵じゃない。
今度は安全に、遠くからライフルを使ってちまちまと倒していく。



「これは、どっちが正解でしょう?」

<<うーん、そうですねぇ……>>

通路上の敵を殲滅できたので進んでいると、脇道があった。下になだらかにのびている……

<<……あ、そういえば、タカミさん達から頂いた情報がありました!>>

「あっ」

すっかり忘れていた。……ごめんなさいタカミさん。

<<ふむふむ……どうやらここは後回しでいいようです。下には行かず、そのまま真っ直ぐ進んでください>>

「わかりました」

ここは後回しでいいらしい。うん、それはいいんだけど……

「……ところで、さっきから見えるアレは何ですかね?」

脇道から目を移し正面を向くと、長い通路の奥の方が……なんかアルファベットの『Z』を描くようにレーザーが出力されている。

<<ああ、それもタカミさんからの情報で解っています。なんでも、『当たるとダメージ。』だそうです>>

「さいですか」

<<上手くすり抜けられれば、当たることなく通ることができるそうです。すばらっ>>

すばらっ、じゃないですよ……
そりゃ、照さんだったらかわせると思うけど、私じゃ無理だ。
……こうなったら!



「突、撃!」

OBを起動して、一気に通路を駆ける。
レーザーのダメージもお構いなし。機体はちょっと痛むだろうけど、それで動けなくなるわけじゃないだろう。

<<それもまたすばらっ!>>

つきあたりの壁にぶつかる寸前で、ブレーキを利かせる。
損傷は……思った以上に軽微だ!

「そんなに慎重にならなくても、よかったみたいですね」

<<なんとかなりましたねぇ>>

さて、気を取り直して先に進もう。
……と、こちらも下に続いている?

<<この先に、一つ目のコードキーがあるそうです>>

「なるほど」

そうと決まれば話は早い。とっとと回収してこよう。



通路を下り、ゲートを開く。
狭い部屋にMTが二機。

「またか」

最初に遭遇した部屋より狭い。このMTをここに配備するのは明らかにミスだと思う。

案の定、MT達は壁に引っかかって満足に動けていない。
その隙を狙って、ブレードで撃破。ちょろいものだ。

<<目の前のゲートを開けば、一つ目のコードキーがあるはずです>>

「了解です」



護衛のMTがいると思って身構えていたが、誰もいなかった。
目の前に大きな機械がある。

<<ACでその機械に触れれば、コードキーを入手できるはずです!>>

どういう原理かわからないけど、それで取り出せるらしい。言われたままにACで触れる。

<<すばらっ!一つ目のコードキーを手に入れましたね!あと二つは、先程の分かれ道に行けばあるはずです!>>

「了解です!」

これでやっと一つ、手に入れることが出来た。
よし、あと二つだ。



来た道を戻り、脇道に差し掛かる。
あの青いレーザーは無くなっていた。コードキーを奪取したからか?

「この先ですね?」

<<はい。ここを降りれば、二つのコードキーと……それを入力するものがあるはずです>>

ふむふむ。

<<コードキーの入力はこちらで行いますので、奪取の方お願いします!>>

「わかりました!」

通路を下り、ゲートを開く。



「うおっと」

若干広い部屋に、四脚型のMTが二機待ち構えていた。
パルス弾をブーストダッシュで避け、やはり壁に引っかかったところをブレードで薙ぐ。

この部屋の中心辺りには大きな柱が六本縦に並んで立っていて、これのせいで広いはずの部屋が狭く感じてしまう。
もちろんMTはその柱に妨害されて、満足に動けていない。二機目も問題なく撃破。

さて、この部屋には三つ……私が入ってきたものを入れると、四つのゲートがある。
何処から行こうか?

<<そうですね……左に見えるゲートに行ってもらえませんか?情報が確かなら、そちらにコードキーがあるそうです>>

「左ですね?」

とりあえず、行ってみよう。
……それにしても、情報をくれた方たちが有能すぎる……



「うわっ!」

ゲートを開いた瞬間、いきなり衝撃が私を襲う。
何をされた?

<<ショットガンです!>>

「げ……」

敵の姿を確認する。
……それは、私が一番相手にしたくないMTだった。しかも二機。
二脚型のMT、ギボン。嫌いすぎて名前も覚えてしまった。
耐久度もそこそこあり、ショットガン、ブレードと完全に近距離用のMT。おまけにブースタもある。
ふわふわと浮いて上からショットガンを降らせ、近づいてはブレードを振る。すごく鬱陶しい。
ただでさえ遭いたくないMTなのに、よりによってこんな閉所で戦わなければいけないなんて……

「すばらくない……」

<<?>>

どうしよう……



一旦その部屋から退却し、考える。

近距離で撃ちあっても、こちらはライフル、相手はショットガンだ。相手の方に分がある。
ブレードを狙いに行っても、逆にこちらがブレードをもらう可能性がある。ただでは済まない。
距離を取りたいけど、ここは閉所。無理だ。

「うーん……あっ」

そうだ、この肩のミサイルを使えばいいんじゃないか?
ゲートを開いた瞬間に、無防備(であることを祈る)なMTに向かって二発ほど叩きこめば?
……試す価値はあると思う。

「……よし」

肩のミサイルを構え、ゲート越しにロックオンする。
……今!

ゲートを開き、幸いにも棒立ちになっていたMTにミサイルを叩き込む。
ミサイルは見事に命中し、その反動で動けていないのをいいことに、ライフルで追撃する。
するとMTは小爆発を起こし始め、やがて爆散した。

「やった!」

<<すばらです!>>



もう一機も同じ方法で対処する。
部屋を出てゲートが閉まり、そのゲート越しにロックオン。
相手が動かなくなったら、ゲートを開き、すぐさまミサイルを発射。ライフルで追い撃ち。
これが上手く通用し、二機目も撃破することができた。

「ふぅー……」

まさか、こんなに簡単に撃破出来てしまうとは……
状況も味方していたと思う。狭い部屋で、ゲートがあって、ミサイルがあって……

<<……まだ全部、終わってませんよ?>>

「はっ!」

一仕事終えた気でほっとしていると、当初の目的を思い出した。
そうだ、コードキーを取りに来たんだった。

大げさな機械に触れ、コードキーを取り出す。



<<すばら!これであと一つです!>>

「最後の一つはどこに?」

<<はい、このまま奥に進んでもらえれば!>>

「了解!」

気を取り直して、最後のコードキー奪取に向かう。あと少しだ!


奥に続くゲートを開いて、通路を進んでいく。
するとつきあたりにぶつかり、右を向くとまたしても下に道が続いていた。

その下の方で小型メカが右往左往していたので、上からライフルでおとなしくさせる。
障害を排除したところで、さらに下へ。



「ここですね」

<<はい。この先に、最後のコードキーがあるはずです!>>

目の前にはゲート。……恐らく中にはギボンが居るんだろう。
ミサイルを最初から構え、ロックオンする。
……突入!

ゲートを開き、敵が何かは確認せずミサイルを撃ち込む。

「やっぱり」

ミサイルを食らってうろたえていたのは、ギボンだった。非情にもライフルで追撃する。爆散。

<<あれが、最後でしょう。お願いします>>

「はい」

壁に取り付けてある機械に触れ、最後のコードキーを入手する。

<<これで全てのコードキーを入手できました!入力に向かいましょう!>>

「了解です!」

来た道を戻り、柱のある広い部屋まで向かう。



<<ここから正面に見えるゲートを進んでください>>

「了解」

柱のある部屋まで戻り、向かい側に見えるゲートに進む。
初めてこの部屋に入った時に、右手にあったゲートだ。

「また……」

ゲートの前まで行くと、敵の反応がその先に一つ。またギボンだろう。
ミサイルを構える。

「うりゃっ!」

ゲートを開き、敵目がけてミサイルを放つ。
やはり居たのはギボンだった。ライフルで止めを刺す。

<<すばらっ>>

入った部屋には、いかにもコードキーを差し込んでくれと言わんばかりの機械が三つ、壁に取り付けられていた。

<<もうおわかりかと思いますが、それぞれに一つずつコードキーを差し込んでください>>

「了解です」

手前の機械に、コードキーを突き刺す。
次に真ん中、最後に奥。



<<コードキーを入力します……>>

待つこと数秒。

<<ロックが解除されました!先程の部屋まで戻って、ええと……右手に見えるゲートを進んでください!>>

「よっし!」

聞くが早いか、柱のある部屋まで戻り、右手にあるゲートを進む。
初めて入ってきたところから見ると、向かい側にあったゲートだ。

ゲートを開くと長い一本道になっており、敵もいない。OBで駆け抜ける。
OBは流石に速く、あっという間に最深部に到達した。

<<このゲートの先に、データバンクがあるはずです。あと少しですよ!>>

「はい!」

ゲートの向こうには、敵の反応が二つ。
ギボンかもしれないけど……動きを見ると、どうやら小型メカらしい。ライフルを構える。



ゲートを開き、データバンクへ突入する。

「!」

やはり、護衛は小型メカだった。あらかじめ構えていたライフルを向け、こちらが撃たれる前に仕留める。
小型メカはMTと比べると、耐久度が著しく低い。ライフルを二発ほど命中させただけで爆散していった。

「これが……」

護衛を一蹴し、奥に鎮座する人一倍大きな機械を目の前にする。

<<これがデータバンクでしょう。ACで触れてみてください>>

キラメさんに従い、ACでデータバンクに触れる。

<<すばらっ!目標のデータを入手しました!脱出してください!>>

「了解っ!」

目標を入手できた!後は来た道を戻るだけだ!
通ってきた道に居た敵は全部撃破してきたし、速攻で帰る!

データバンクのある部屋を出て、長い一本道をまたOBで駆ける。
この部屋を抜けて――



<<お互いレイヴンだ……余計な詮索は無しにしよう>>

「えっ……」

<<っ!ACです!>>

あとは帰るだけなのに……!
最後の最後でACか!

<<どうした?行くぞ>>

声が聞こえたと思ったら、次の瞬間にはそのACがブレードを構えて目の前まで迫ってきていた。

「っ!?」

咄嗟にブースタを右に向かって出力して、左にかわす。
相手の方が速かったのか、私のACの右肩にブレードが掠る。

「うわっ!」

掠っただけなのに、なんて威力……!
装備していたエクステンションの片方が、床に転がって爆発した。

<<流石に避けるか>>

ひしひしと感じる……あのACは、私なんかとは格が違う!
照さんや、ロイヤルミストさんのような……強者!



<<彼女は……>>

「え?」

キラメさんが呟く。

<<彼女は、ノクターン。AC名はザイン。現在のアリーナランクは……B-5>>

Bランク!?いや、それよりも……

「知っているんですか?」

<<……ええ。彼女とは少し……まぁ昔の話です>>

なんか、すごい気になるんですけど……ってそれどころじゃない!



<<もういいか?いくぞ>>

淡泊に吐き捨てると、また距離を詰めてきた。
あのブレード、見たことない……それに、凄い威力だった。
あんなのをモロに食らったら間違いなく……!

嫌な想像を振りはらって、こちらも距離を取ろうと動く。
ブースタを吹かして逃げようとするが……

「っ、壁!?」

ACの背中が、壁とぶつかった。
そうだ、この場所狭いんだった……!

対MTならこのぐらいの広さでも何とかなるけど、対ACとなると話は別。
これじゃ距離が取れない……!

<<行き止まりだぞ>>

「っ!」

振りかぶってきた瞬間に、一瞬だけOBを起動して左にかっ飛ぶ。

「くっ……」

OBによる衝撃はあるけど、ダメージは受けていない!



<<もう通用しないな>>

すると、ノクターンは今度は右手に持った銃を構えて、こちらに向かってくる。
ただ、先程までのように高速でではなく、ゆっくりと確実に距離を詰めてくる。
あの銃は……

「っ、ショットガン!」

<<……見たことがなかったのか>>

一発撃たれて解った。あの金色の銃はショットガンだ。
ショットガンは近距離でその威力を発揮する。よって距離を取ればいい。
けど、この狭い部屋だと十分な距離が取れない。
おまけにノクターンも、じわりじわりとねちっこく距離を詰めてくる。

……うん、ここで戦うには正に最適だと思う。
よって非常に不味い。
しかも相手は相当の手練。

「……」

……冗談抜きで、不味い。



「はっ」

そうか。後は脱出するだけだから、最悪敵は無視すればいいのか。
そういえばキラメさんも、最初にそんなことを言っていたような気がするし。
そう思い、上へと続くゲートに触れる。

……開かない。

<<当然だが、ゲートはロックさせてもらった>>

「……」

……くそ。

やるしか、ないのか。

<<諦めたか?……これも仕事だ。悪く思うな>>

どうやって……どうやって、この人に勝つ……?
こんなとき、照さんならどうする……?
どうする……!



「っ!」

<<ほう?>>

OBを起動し、一気に距離を取る。私とノクターンは、部屋の端と端で対峙する形になった。
そこから、とにかくライフルを構えて撃つ、撃つ、撃つ。

<<チッ>>

ショットガンでノクターンも応戦してくるが、弾がばらけて満足に命中しない。

痺れを切らしてノクターンが距離を詰めてくると、私は部屋の中心にある柱の陰に隠れるように移動する。
これで、上手くこちらとノクターンを柱で分断出来た。

柱は三本で一セットになっていて、そのセットが一直線に二つ並んでいる。
そのセットの間はACも通れる隙間があるけど、セットの中の三本の間は狭くて通れない。

その柱を盾にしながら、時折隙間から見えるノクターンにちくちくとライフルを放つ。
ノクターンが柱の側面から回って来たら、同じようにこちらも側面に回って状況を保つ。
自分の尻尾を追って回転する、犬みたいなものか。口がノクターンで、尻尾が私。

<<面倒な……>>

この戦法は、どうやら有効らしい。
実際に、ノクターンはこちらにダメージを上手く与えることができていないし、逆に私は出来ている。

<<だがな>>



「っ!?」

突然視界が暗くなる。と、同時に機体に衝撃が走る。何かを当てられた!?

<<ロケットだよ>>

体勢を立て直すと、ノクターンが既にブレードを構えて迫っていた。
速い……っ!

<<……>>

「はぁ……はぁ……」

なんとか、ブレードが直撃する寸前でブースタを吹かし避けることができた、が……

<<ライフルが無くなったな>>

私のダメージ源だったライフル、もといACの右腕がコアから切断された。
これで、今までの作戦は使えない。おまけに、唯一安定してダメージを与えられるライフルがなくなった。

「はぁ……!」

どうすれば……!



右肩に装備していたミサイルをパージする。機体から切り離されたミサイルが床に転がる。

<<ほう……?>>

機体に残された最後の武装である、ブレードを構える。

「ふぅー……」

<<やる気か>>

ノクターンもそれに合わせて、ブレードを構える。流石に、ロケットはパージしてくれなかったが。

「……っ!」

<<いくぞ!>>

お互いにブーストダッシュで距離を詰め、ブレードを振りかぶる。



ブレードを薙ぐ。当たらない。

ブレードが薙がれる。残ったエクステンションがばらばらになる。

ブレードを薙ぐ。当たらない。

ブレードが薙がれる。左肩のレーダーが半分になる。

ブレードを薙ぐ。当たらない。

ブレードが薙がれる。コアが削れる。


経験の差は圧倒的で、私の攻撃はまるで当たらないのに、ノクターンの攻撃はかくも当たる。
直撃はしないものの、徐々に追い詰められて、後退していく。



<<どうした?こんなものか>>

「っ……」

強い……

こんなに強い人達と戦ってきて、それでも、一度も負けない。

そんな照さんは、やっぱり特別で……

私と一緒に、レイヴンになったのに……

いつの間にか、照さんとの間に差が出来て……

その差は、みるみる広がって……

気づけば、照さんは誰よりも強くなっていて……

私は、その土俵に立ってすらいなくて……

照さんの周りには、いつも人が沢山居て……

私の周りには、誰も居なくて……

私は……

私は……――



「……!!!」

違う!!

私はレイヴンである前に、照さんの友達なんだ!

友達が困っていたら、助けるのは当然のこと!

何で私はここに来た!?それは、私が望んだからだろう!

黙って見過ごすこともできた!でもそれをしなかったのは、私が照さんの役に立ちたいと思ったからだ!

私と照さんが一緒に依頼をこなした時、いつもピンチを救ってくれた!

なら今度は、私が照さんを救う番なんだ!

照さんに降りかかる火の粉を、払うだけだけど……!

照さんを、悲しませないために……!

他でもない、私のために……!

だから……!


『……大丈夫、諦めないで』


こんなところで、死ぬわけにはいかない――!



ブースタを一瞬吹かし、少し距離を取る。

「っ!」

ブレードの応酬になる前にパージしていたミサイルを、ノクターン目がけて思いっきり蹴り飛ばす。
私が押されて後退していたおかげで、パージしたミサイルを上手く利用することが出来た。

<<何!?>>

突然の衝撃と爆発を受け、ノクターンが狼狽する。
蹴った時の衝撃と、ノクターンのACに命中した衝撃で、ミサイルが内部で暴発していた。
その様子を尻目に、ブレードを構える。
……今しかチャンスは無い!

「行くぞ!!」

<<っ、こぎゃんことで……!>>

引導を渡す為に、左腕のブレードを構えて突撃する。
後はそれを、奴のコアに突き刺せば……!

「……ぉおらっ!!」

<<っ――!>>



「……」

<<……>>

一寸の静寂。

そして聞こえ始めたのは、コアに突き刺さったブレードが、それを焼いている音。
その音のするコアは……

<<……っ、やってくれたな……>>

「ふぅ……ふぅ……」

左腕を突き出した、ノクターンのAC、ザインからだった。

<<はっ、しくじったか……>>

ザインから、エスペランザの左腕を離す。
彼女の機体から伸びた左腕は、私のACのコアを掠めていた。
もし右腕がまだついていたら、貫かれていたのは私かもしれない。

<<離れろ、危ないぞ……>>

「っ……」

ザインから機体を離す。
すると、それから黒煙が上がり、バチバチと火花を散らし始めた。
恐らく、あと少しで……

<<……今、行くぞ……>>



その声と同時に、彼女の機体がそこら中に散らばり、ザインは絶命した。

<<……ノクターン……>>

「……」

<<……っと、感傷に浸っている場合ではないですね!彼女を倒したその手腕、本当にすばらです!……っ>>

「ありがとう、ございます」

キラメさん……

<<さぁ、後は脱出するだけで――>>



「……?どうしました?」

<<敵が……敵が再配備されています!時間をかけすぎました!>>

「……えっ」

<<恐らくは小型メカとMTではないかと思われます!ただ数が……侵入し始めた時と同じぐらいです>>

「す、すばら……」

今私の武装、ブレードしかないんだけど。
右腕無いんだけど。
レーダー使えないんだけど。
機体が軋んでるんだけど。

<<出口までは、私が案内しますっ!なんとか戻ってきてください!>>

「……り、了解っ!」

……生きて、帰られるかなぁ?

と、いったところで今回はここまでです。
テンションの赴くままに書いたら過去最大のボリュームに……
お待たせしてしまってすみません!ではまた!

亦野、死ぬなっ…死ぬなっっっ!!

緊迫の状況でまた次回とは、まさにクリフハンガーw
久々の乙でした!

ノクターン先生散る…
広島の誰かかな?わかんねえ

おつ

今このミッションやってきたけど一回もブレード振ってこなかった
五分粘ったんだけどな、アマコアには偶に欠陥AIがいるから困る

月替りの保守

保守だよ~

ゲリラ投下



「いやー、面目ない……」

ははは、と笑いながら客を出迎える。

「笑いごとじゃないです!全く……」

呆れたように言う。
……仕方ないか。

あの依頼は無事?達成できた。
ブレードだけでもなんとかなるものだ、と私の中でそれの評価が少し上がった。
……まぁ、やけどやら打撲?骨折?が酷く、入院する破目になったけど。

あの状況で命が助かったことは、奇跡に近いらしい。
私もそう思う。

「無事ではありませんが、よく帰ってきてくれましたね」

「私だって、やる時はやるよ」

「……おかえりなさい」

「……ただいま」



あの依頼で奪取したデータは、今ユニオンが解析しているところだ。
これで何も有益な情報が得られなかったら、骨折り損だけど……
それは無いと思いたい。あんな高ランカーのレイヴンを雇ってまで守るデータだし。
……そういえば、キラメさんが相手のレイヴンと何かあったみたいだった。
詮索するのは、不味いよね……

「でも、こんなにぼろぼろになって帰ってくるなんて……向こうもレイヴンを?」

「うん。明らかに格上だったよ。動きも経験も何もかも」

「それは……本当によく帰ってこれましたね」

「諦めなかったからね」

ネバーギブアップ!大事なことだと思う。

「おや、先客が居られましたか」

「キラメさん」

ぺこり、と先客が頭を下げる。

「どうも……って煌さん!?」

「おや、また懐かしい顔が!和ではないですか!」

ええ!?知り合いだったの!?
キラメさん顔広い……



「和とは昔よく遊んでいましてね。しばらく見ない間にレイヴンになっていたとは……」

「それは私の台詞です。あなただってオペレータになっているじゃないですか!」

「ま、まぁまぁ……」

「おっと、本来の目的を忘れるところでした。どうです?林檎でも」

「あ、じゃあ貰っていいですか?」

「勿論!では切り分けますねー」

ベタだが良い。

「フォーク……持てるんですか?」

「左手なら、なんとか……多分」

「何なら、食べさせてあげましょうか?」

「そ、それは恥ずかしいので!」

それはベタすぎる!

「一口分切りましたよ!ほら、あーん……」

「食べないんですか?」

う……

「……あ、あー――」

がらっ

「失礼しま――っと、バッドタイミングでしたか」


◇◆◇◆


「先程はソーリーでした。中の様子は解らなかったので」

謝られている気がしないんだけど……

「いいんですよ。……それより、何か解ったんですか?」

「仲間が解析を急いでくれてはいますが、まだ何も」

「そうですか……」

「今日は、単純にお見舞いに来たんですよ。元気そうで何よりです。身体はアレですが」

「あはは……」

まさかユニオンが見舞いに来てくれるなんてね。

「あなたもいかがです?」

切り分けた林檎を差し出すキラメさん。

「おお、ではお言葉に甘えて……」

あー……と口を開けて待機している。
ぱくっ。

「うーん、デリシャスです」

満足そうだった。


◇◆◇◆


「では、あまり長居してもアレなんで、これで――」

と、突然ユニオンの人のポッケが震え始める。

「っと失礼。話してきます」

そのまま部屋を出ていった。

「あの……今の方は?」

「え?……ああ、そういえばキラメさんは知らないんでしたね」

「彼女は、ユニオンという組織の一員です」

私の代わりに和が答える。

「なんと、彼女がユニオンの!随分と若い……」

うん、ツッコんでいいかな?

……などと思案していると、唐突に扉が開く。

「……非常事態です」

嫌な予感がする……



「レイヤードのエネルギー炉に、管理者の部隊が入り込みました」

エネルギー炉に?なんでそんなところに……

「……それはすばらくない」

「目的は不明ですが、あそこが破壊されると、連鎖的に同様の施設が爆発し、大惨事になります」

「そんな……」

「……しかも、敵はどうやら内部からセキュリティを作動させたそうです」

絶望的なんですけど。

「……はぁ」

「とりあえず、私は急ぐのでこれで……」

「お待ちください」

静かに話を聞いていた和が立ち上がる。
ああ、さっきの嫌な予感ってこれのこと……?


「どうやら私の番のようですね。……ここに一人、暇なレイヴンが居ますよ?」

今回は繋ぎ、ということでここまで
無線LANの電波受ける奴がぶっこわれてましたーぐあー
保守してくれてる方申し訳ないです

乙です~

乙乙
これからどうなるか

おつ

生存報告です
みなさんあけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします!
お待たせしていて申し訳ないです…

あけおめ
ゆっくりでいいのよ

明けましておめでとうございます!

明けましておめでとう~

保守

待っています

みなさん、大変お待たせしました……
明日の夜、投下予定です

待ってる

菫さんどこぞの水没王子ばりの復活をしてくれないかな
その場合また死ぬけど

期待!

こんばんは。次の日になってしまいました……
書き込んで一分で反応があったのには無茶苦茶驚きました。早い!もう着いたのか!
では投下します!


―side:和―


「どうやら私の番のようですね。……ここに一人、暇なレイヴンが居ますよ?」

思わず、言ってしまいました。
誠子が微妙な表情でこちらを見てきます。

「あなたが?……ソーリーですが、どなたでしたっけ?」

全然申し訳なく聞こえないのは、口調のせいでしょうか……

「レジーナ、といいます」

「レジーナ……おお、あなたがそうでしたか」

この会話、似たようなものを最近見たような気がします。

「ふむ、レジーナと言えば高火力で押せ押せの機体構成でしたね……」

ぶつぶつと呟くユニオンの一員さん。

「いいでしょう!今回の作戦には最適のレイヴンかもしれません」

「では……」

「ええ、依頼の詳しい内容は後ほど送ります。ここからコーテックスに向かうまでには、恐らく」

「わかりました」

「……レジーナ、無茶はしないでね」

「……大丈夫ですよ」


◇◆◇◆

―コーテックス:エントランス―


「来ましたね。待っとりましたよ」

コーテックスに着くと、オペレータのヒロコさんが待っていました。
……そういえば、彼女とは何かと気が合いますね。

「突然ごめんなさい、私の方で勝手に依頼を受けてしまって……」

「ええんですよ。内容が内容ですし。
 レイヤードの危機なんやから、それぐらいの勝手は許されるってもんです」

「そう言ってもらえると助かります」

さて、合流したところで、今回の依頼の内容を教えてもらいましょうか。

「おっとっと、依頼の内容でしたね。ガレージに向かいながら確認しましょうか」

……彼女は私の考えていることが読めるんでしょうか?

「ふっふっふ、統計ですよ」

……そんなオカルトありえません。



ガレージ向かって歩きながら、依頼の確認をします。

「これが内容です」

「拝見します」


依頼主:ユニオン
作戦領域:エネルギー炉
敵勢力:不明
作戦目標:エネルギー炉の防衛

『非常事態だ。
 管理者の部隊がエネルギー炉に入り込んだ。
 目的は不明だが、もしあそこが破壊されでもしたら地下都市全域に設置されている同様の施設が
 連鎖的な爆発を起こし、間違いなく壊滅的な被害を受ける。
 さらに厄介なことに、敵は内部からセキュリティを作動させたらしい。
 炉心へ到達するには、大型のエネルギー砲台とシールドをかいくぐらなければならない。
 時間がない。一刻も早く敵部隊を撃破してくれ。』


……なるほど。先程簡単に説明を受けたとおりですね。
シールドですか……あまり得意ではありませんが、OBを採用してみましょう。

「ありがとうございます」

「で、どうです?やれそうですか?」

「……勿論です」


―コーテックス:ガレージ―


「ふむ……」

OB、ですか。
あれには嫌な思い出しかないんですがね……仕方がありません。
まぁ、EOがなくても総火力は十分でしょう。
ACが出てきても、一機は仕留め切れます。
……


HEAD:CHD-02-TIE
CORE:CCM-00-STO
ARMS:CAL-44-EAS
LEGS:MLM-SS/ORC
BOOSTER:MBT-NI/MARE
FCS:VREX-WS-1
INSIDE:―
EXTENSION:KEBT-TB-UN5
GENERATOR:CGP-ROZ
RADIATOR:RIX-CR14
BACKUNIT R:MWR-TM/60
BACKUNIT L:CWR-S50
ARMUNIT R:CWGG-GR-12
ARMUNIT L:CLB-LS-2551


……これで行きましょうか。
本当は左右どちらの肩もトリプルロケットにしたかったのですが……
シミュレーションした際に重量過多になってしまいましたからね。
いつも弾が余りますし、まぁいいでしょう。

「では……行ってきます」


―エネルギー生成区:エネルギー炉―


<<どうやらシールドは、八枚あるみたいですね……急ぎましょうか>>

「りょーかい」

面倒くさいねぇ……
本当はOBで突っ切りたいんだけど、そんなことをしたら機体がダメになるか。
敵を全部倒せ!って感じの解りやすいのがいいよ。やっぱり。

<<っと、ユニオンより通信!敵は既に炉心室内に到達しているようです!>>

「やっぱり、時間がないってことね」

<<侵入者確認 警戒状態に移行します>>

エネルギーシールドが展開され、道を阻んでいく。
向こう側が見えないのが辛いね……

<<敵さんが気付いたみたいですね。気を引き締めてください!>>

「よしっ!じゃあ行きますかね!」


‐戦闘システム 起動‐



「……シールド、開かないんだけど」

目の前のシールドが閉ざされたままで、奥に進めない。
このまま展開され続けたらミッション失敗なんだけど。

<<突っ込まんといてくださいよ?どれだけダメージ受けるか解りませんし>>

「大丈夫大丈夫……っと、開いた」

<<……!すぐ側面の窪みに入り込んでください!>>

切羽詰まった声。……やばそうだね。
その声に従い、一枚目のシールドを越えた先にある窪みへ移動する。
その直後。

「うっわ……」

<<食らったらひとたまりもないですね……どうやら、これを撃つタイミングでシールドが開くようです>>

轟!と音を立てて、目の前を巨大なエネルギー弾が通り過ぎていく。

冷静に分析してる場合か。いや、確かに大事だけど。
これ、目茶苦茶危ないんじゃないの?
うーんと……シールドが開く一瞬の時を狙って、OBで突っ切って窪みに入る!これで完璧。
でも、出来るの?

「……いいや、やらなきゃ」

<<何か狙ってます?>>

「もちろん」

<<……無理はせんでくださいよ>>

「それはどうかしらね」



シールドが閉まると、その上部の天井が開いて、砲台が二つ現れた。
……小型ロケットを積んできたのは正解だったかも。

一発、二発。それぞれ小型ロケット一発で沈んでくれた。
さぁ、行くぞ……

<<侵入者確認、警戒状態に移行します>>

今!
館内放送が流れた直後、シールドが開かれた。
この隙にOBで突っ切る……!

「……っの!遠いわねぇ!」

シールドを三枚ほど掻い潜り、すぐに窪みに入る。
直後、真横を大きなエネルギー弾が通り過ぎる。
……上手くいったわ。

<<ひ、ひやひやさせんといてくださいよ……>>

「仕様がないでしょ。危険だけど、こうでもしなきゃ間に合わないわ」

<<……奥のエネルギー砲台は、中心部が弱点みたいです。そこを破壊すれば、炉心へ進めます>>

「了解、よく狙えってことね」

天井から出てきた小型砲台を破壊しつつ、次のチャンスに備える。
あと二、三枚ほどくぐれば、十分に狙える位置に着くでしょう。



<<侵入者確認 警戒状態に移行します>>

「っし!今!」

OBを起動し、シールドを掻い潜る。
一枚、二枚……よし、後は窪みに潜り込めば……

「チッ!引っかか――!!」

<<レジーナ!?>>

なんてこと。
OBで進み過ぎて、急いで窪みに戻ろうとしたら、
窪みの入口に機体がぶつかり、上手く機体が制御できなかった。
その結果が……これ。
機体正面の装甲はぼろぼろ。装備はなんとか大丈夫そうではあるが……
全く……

「……だから、OBは嫌いなんです」

<<……レジーナ?>>

大型砲台に右腕を向け、中心に狙いを定める。
先程の衝撃が身体にまだ残っているが、不思議と意識ははっきりしている。
シールドはまだ閉じていない。グレネードランチャーを放つ。
大型砲台はグレネードを受けて、崩壊した。
その奥にエネルギー炉が見える。

「……では、行きましょうか」

<<あれ?レジーナ、あんた……>>

「どうかしましたか?急ぐのでしょう?」

<<……そうやね。時間がありません、行きましょう>>


―エネルギー炉:炉心室内―


<<炉心への異常を確認!早めにお願いします!>>

「酷い状態ですね……」

室内は温度が高くなっており、炉心にも外傷が見える。
敵は……

<<居ました!ACです!>>

四脚型のAC。腕は……武器腕でしょうか?
そして、肩にはロケットとパルスキャノンですか。
どれも威力が高い。……それは私も同じですが。

炉心の状況、互いの装備……短期決戦しかないでしょう。

「……行きます」

私が動き出したのと同時に、相手も動き始める。
ブーストダッシュで右から回り込み、チャンスを窺う。
対する相手は、私と同じように右から回り込み……
炉心を中心にぐるぐると回り続ける。
……いけませんね。切り返してダメージを与えなければ……



「!……ターンブースタが!」

先程のエネルギー弾の衝撃だろうか、エクステンションであるターンブースタが炎上し始めた。
被害を広げない為、それをパージする。

<<ここの温度も上昇してきとります!時間が……!>>

「くっ……」

機体を切り返し、左側から現れた敵ACの足元を小型ロケットで狙う。
……よし、これで動きが止まりましたね。

右腕のグレネードランチャーを構えて、相手を狙い、撃つ。

「……!速い!」

予想以上に速い。ロケットで出来た隙はほんの一瞬で、その隙を狙ったグレネードだったが……
あまりにも、硬直からの再始動が速い。
放たれたグレネード弾は、相手の左腕部を掠った程度で、大したダメージにはならなかった。

お返しと言わんばかりに、相手が動き出す。

「ぐ……!」

<<レジーナ!>>

敵ACから、腕部からのレーザーと、肩のパルス弾、さらにEOをもろに浴びる。
レーザーの威力が思ったより高いらしく、私の機体の左腕が吹き飛ぶ。
パルス弾とEOは左肩を吹き飛ばして……

「ぼろぼろ、ですね……」



機体の装甲は、大型砲台からのエネルギー弾で削げ、耐久力が著しく低下していた。
その時に、きっと装備も脆くなっていたんだろう。
そのことを踏まえると、この右腕のグレネードも砲身が融解するかもしれない。
それに、さっきから左肩付近もばちばちと五月蝿い。

「……ここが私の死に場所ですか……いいでしょう」

敵ACに向かって、右肩のトリプルロケットをばら撒く。
横一列に乱雑に発射されるこのロケットは、まさに「ばら撒く」といった感じだ。
数発が相手の機体に当たり、敵ACが硬直する。
その隙を狙い、右腕のグレネードを放つ。……今度は命中しましたね。

そしてやはりと言うか、グレネードが発射される際の熱と、この炉心内の温度、さらに損傷で砲身が火花を散らし始めた。
これを装備したままにしておくと、いつ爆発するか解らない。パージする。

グレネード弾が命中した相手は、その衝撃で硬直していたらしい。
今になって動き始めた。……が、こちらもやはりと言ったところか。
機体の節々から火花が散っている。この室温に加え、グレネード弾をもろに食らったのだ。
無事では済まないだろう。
だが、それでもこちらを捉え、止めを刺そうと向かってくる。

「ただし、あなたも道連れです!」

これしかないでしょう。



OBを起動し、向かってくる相手に正面からこちらも接近する。

「ぐっ……!」

放たれたレーザーを、機体を相手からそらし、かわす。
再び正面に敵ACを捉え、そのまま突っ込む。
……ああもう、アラートが五月蝿いですね。

「くっ……ああっ……!!」

OBを発動したまま敵ACに激突し、そのまま壁に押さえつけるようにタックルをかます。

……いつだったか、シャインさんがやっていましたね……

「まだ、装備は、あります……!」

右肩に残ったトリプルロケットを、ひたすら相手に向けて撃ち続ける。
敵ACの肩装備はどちらとも壁に激突した衝撃で壊れ、腕部もまた、砲身が長いせいで私を捉えられずにいた。
ロケットが弾切れになるまで、浴びせ続ける。

「はぁ……はぁ……」

<<終わった……?>>

敵ACから黒煙が上がる。
……対象は沈黙した、と見ていいでしょう。

「これで……終わりましたね」

死に場所、と言っておきながら、勝ってしまいました。
……拾った命と思いましょうか。大事にしなければ。

<<そこは危険です!早く脱出してください!>>

「ふふ、わかっています」



がしゃん!


<<!?>>

「な!?」

機体を相手と離そうとした瞬間、敵ACのEOが起動した。
ブーストダッシュをっ……!

「っ、エネルギーが!」

OBを派手に使いすぎましたか……!
く、もう脱出する術が……

<<あかん!そのまま受けたら……!!>>




<<そん、な……>>




「……」

気を、抜いてしまいましたね。

放たれたEOは、装甲の薄くなったコアを捉えた。
一発だけではなく、何発も。

命中するたびに、周囲に装甲が散らばり、機体温度が上がっていった。

敵ACはEOを撃ち切った後、爆散した。
私に一矢報いたことに満足したようだ。

……



……ああ……暑い、ですね……
目の前が真っ暗で、よく、見えません……

<<炉……に……障害が発……量増加……>>

耳まで遠く、なってしまったんでしょうか……
良く聞こえません……

「……ん」

<<……ーナ!レジーナ!>>

そこで、意識が鮮明になった。
目の前には、黒煙を上げたまま動かなくなったAC。
そしてこちらも、同じように黒煙が上がっている。

「私は、どうやらしくじったようですね……」

<<!起きましたか!>>

「ええ、はい。心配をかけましたね。でももう大丈夫です」

<<何が大丈夫や!早う脱出して……>>

「ふふ、無理、ですよ……機体が、動きません」

<<そこはほら、気合いや!>>

「気合い、ですか」

それで動かせたなら、楽なものですね……



……ああ……暑い、ですね……
目の前が真っ暗で、よく、見えません……

<<炉……に……障害が発……量増加……>>

耳まで遠く、なってしまったんでしょうか……
良く聞こえません……

「……ん」

<<……ーナ!レジーナ!>>

そこで、意識が鮮明になった。
私のACからは黒煙が上がっている。

「私は、どうやらしくじったようですね……」

<<!起きましたか!>>

「ええ、はい。心配をかけましたね。でももう大丈夫です」

<<何が大丈夫や!早う脱出して……>>

「ふふ、無理、ですよ……機体が、動きません」

<<そこはほら、気合いや!>>

「気合い、ですか」

それで動かせたなら、楽なものですね……



<<室内の温度が上昇しています 従業員は直ちに避難してください>>

<<ちっ、温度が……!なんとか回収を……!>>

「私の事は、後で構いません。それより、炉心の温度を……」

<<ああ、わかっとる!それまで死ぬんやないで……!>>

「ええ、了解、です」

ふふ、無茶を言ってくれますね……
呼吸すら、満足に出来ないと言うのに……



「誠子、どうやら……」

「私は……あなたのようには、いかないようです……」

「彼女を支えるのは、任せましたよ。みなさん」

「私は一足お先に、リタイアです……」


「……」


「……――」

投下終了……やっちまった……うがー!
急ピッチで加筆するもんじゃないですね……ぐぬぬ

一ヶ月も開けて投下しているにもかかわらず、楽しみにしてくれている方が居るのはとてもうれしいです!
あと少しなので、突っ走れ……たらいいなー
ではおやすみなさい!

乙ー!

キャラが立って生き生きと動いていたぶん、
こうして倒れていくのを目の当たりにすると辛いな

おはようございます!
今夜7時ぐらいに繋ぎを投下予定です

期待

鯖復活
待ってます

おはようございます!
やっと鯖が復活しましたね…
が、書きためはぜんえzん進んでおりません!なぜなら投下出来なかったからです!
今夜20時ごろ投下しまうs!

ヤッター!

こんばんは!
はい、一時間遅刻です。平常運転ですね。
投下していきます


―トレネシティ:自宅:未明―


寝ようと布団に入っているけど、寝られない。

「……」

菫が、死んだ。

なんでレイヴンをやっているんだろうって、考えたことはあるけど。

少なくとも、自分の親友を殺す為じゃないってことは解る。

以前一緒になったストリートエネミーも、昔の友達を同じように殺してた。

私も、そんな風に割り切れるだろうって思っていた。

でも、いざ自分が親友をこの手にかけると、そんなことは無理だった。

考えが甘かったんだ。



菫には、帰る家があった。

同居人が増えた、と愚痴る菫だったけど、表情はどこか嬉しそうだった。

ああ、あんな顔もするんだ、って思った。

思えば、最近の菫は表情が以前より柔らかくなっていた気がする。

昔から一人を好んでいたし、誰かと行動するとしても私と二人きりが多かった。

だから今になってやっと、みんなと和気藹藹とするのが楽しいって、気づいたんじゃないだろうか。

それが新鮮だったし、言い表せない快感だったんだろう。

それを、私が奪った。



もちろん私にも、帰る場所がある。でも、もう少しやりようがあっただろう。

何も命まで奪わなくても、よかったんじゃないだろうか。

だって、親友じゃないか。

……

だから、もういいや、と思ってしまった。

私がレイヴンに意固地になる必要はないんだ。どうせ、続けることに目的がないから。

だから今、窓が割られて、首を絞められたって、何とも思わない。



「っ……なんで……抵抗しないの……?」

「……」

答えようとしても、首を絞められているから言葉を発せない。

そう思っていたら、首を絞める手が少し緩くなった。

「けほっ……私には……ないから……」

「何が、ないの……?」

「生きる意味が、かな……」

私は親友を殺めてまで、生きたくない。

レイヴンを続ける意味もない。



きっと、一番守りたかったものを、自分で壊したんだろう。

失って初めて気づく、なんてありがちだけど、そういうことだったんだ。

「菫は……一番の親友だった。そんな大切な人を殺してまで、生きたいわけじゃない」

「っ……」

「レイヴンに未練も、ない。目的が、無いから」

無くなってしまったから。

「だから、いいの。ここで死んだら、もしかしたらまた、菫に会える」



「っ……ひっぐ……」

「……?」

不意に頬に冷たさを感じる。

首を絞めていた手は、いつの間にか離れていて。

代わりに、私の胸の上で小さく震えていた。

あなた、なんで泣いているの?

「菫ちゃんは、ね……あなたのお話をするとき、いつも……楽しそうだったんだよ?
 今日はこんなことがあった、あいつはやっぱり放っておけない、私が面倒を見なきゃって」

「やれやれ、なんて面倒臭がっていたけど……でも、嬉しそうだった……!」

「楽しそうに喋って……私も、そんな菫ちゃんを見るのが、嬉しかった……!」

「大好きだった……!」

私の頬が、濡れていく。

「私、菫ちゃんに、たくさん、貰った……!」

「何もかも、無くなった私に、ここに居ていいよって……!!」

「お前の居場所はここだ、って……!」

「それで……それで……!!」


「っ……なんで……あなたが泣くの……っ」

「泣きたいのは……こっちの……方なのに……っ!」

「ぅ……ぁぁ……!」

「くっ……ぅぅう……!」



「わぁぁぁあああああぁああ!」
「ぁぁぁあああああああああ……!」





◇◆◇◆

「ごめんなさい。窓、割っちゃって」

「いいの。色々、すっきりしたから」

二人して大泣きした後、泣き疲れて眠ってしまった。
相手もそうだったらしく、私が起きると横で寝息をたてていた。
起こすのは忍びなかったので、先に起きてシャワーを浴びた。
シャワーが終わって風呂場から出ると、起きた客人が困った顔できょろきょろしていた。

とりあえず顔を洗ってもらって、今はリビングで待機してもらっている。

「……」

「……」

会話が無くなった。

無理もない、だろう。私は殺されかけたし、彼女は殺そうとした。

そんな二人が、紅茶を飲んでくつろいでいる。

「あなたは……」

「?」

と、客人が口を開いた。



「あなたは、これからどうするんですか?」

「……」

どう、しようか。

さっきまでは、あんなに気持ちが沈んでいたのに。
久しぶりにいっぱい泣いたからだろうか、不思議と気分はすっきりしていた。
だから、何をやってもいいと思った。

「……わからない。どうすればいいと思う?」

「えっ?……と……」

逆に聞かれると思っていなかったんだろう、小さくうろたえている。
しばらく考えて、意を決したように彼女は口を開いた。

「……私は、この町を、ここに住む人たちを守って欲しいです」

「守る?」

「はい。管理者による被害が増えている今、いつこの都市区が襲撃されるかわかりません……」

守る……

「だから、守って欲しいんです。街に住む、大勢の人たちを……
 戦えない、私たちを……」

「生きる意味がないなら、私たちが、その意味になります……!」

「私たちを、守ってください……!」



誰かに必要とされる。
それは、素晴らしいことなんだろう。
だから、こんなにストレートに言われたら、嬉しいんだ。

「わかった」

「え……?」

「あなたたちを、このレイヤードの人達を、守る」

沈んでいた気持ちは、完全に吹き飛んでいた。

なぜ、あんなに後ろ向きだったんだろう。

まだ、私にはしなきゃいけないことがあったのに。

いつまでも、親友の死を、菫の死を引きずってちゃいけない。

「もう、失いたくないから」

前を、向かなきゃ。

結構あっさりですが、投下終了です

残ったミッションもあと二つになりました。
最後まで、どうかよろしくお願いします。

乙乙~
やはり面白い

自保守
モチベががが……

>>346
ありがとうございます……!
その言葉を励みにしていきたい……!

待ってる

この板には二年三年くらい平気でやってる人もいるし気にしないでのんびり続けてくれ

>>348
>>349
ありがとう……ありがとう……!
また繋ぎになりそうだけど、なんとかかたちにしています。頑張る!

無理して生活崩してまで書いても仕方が無い
ゆっくり完結目指して進めて頂ければ、それが一番かと

気長に待ってます
がんばってください

こんばんは!大変お待たせしました……
9時ごろに投下したいと思います!

>>351>>352
温かい言葉をありがとうございます……!

今回もミッションは進みません
投下しますー


◇◆◇◆


「イレギュラー?」

「うん……」

決意をした後、彼女……宥さんの話を聞いていると、そんな言葉が出てきた。
イレギュラー。例外?とか、不規則とか、そんな意味だった気がする。

「菫ちゃんが言ってた……」

「菫が……?」

「えっと、前にこんなお話をしてね……」



――――――

――――――――――――

――――――――――――――――――……


「……危険すぎるか?」

「?どうしたの?」

「ああ、照……シャインの力だよ」

「力……?強いってこと?」

「……ああ。ただ、強すぎるんだ」

「強すぎるって……」

「君も、あいつの強さは知っているだろう?」

「うん……エースの再来とか言われているって」

「そう、あいつは過去最短で、アリーナの頂点にまで昇りつめようとしている」

「それが危険……なの?」

「その力を制御できるならいい。だが人間の、それも照の力だ」

「もしその力が企業に、管理者に向かったとしたら……」

「ど、どうなるの……?」

「世界の均衡を望む奴らに消される、かもな。イレギュラーとして」



「消されるって、そんな」

「エースは強いらしいが……依頼はあまり受けないし、奴がトップになった時も世界は混乱していなかった。
 混乱し始めたのは、照がレイヴンとして力をつけた頃だ」

「それに、照はエースと違って依頼を最優先にする奴だ。つまり、この世界への影響が大きいと言える」

「さらに、あいつは受けた全ての依頼を成功させている。恐ろしいことにな」

「……」

「照は、その気になればこの世界を傾けることが出来るだろうな」

「……世界を、傾ける……」

「勿論、企業も最初は欲しがっただろう。その力を手中に収めれば、敵対している企業を葬りされる」

「だが、めきめきと力を付けていく照を見ていると、そんな気は失せていっただろう」

「まず第一に保身を考える企業が、そんな危険な力を欲しがることはない。
 むしろ、厄介に思うはずだ。……そして、それは管理者にも言える」

「管理者も、照さんの力を厄介に思うの?」

「ああ。あの管理者が管理出来ない力かもしれないからな。
 今まで均衡を保ってきた世界を崩壊させる……イレギュラーな存在」

「イレギュラー……じゃあ、そのうち照さんは、管理者や企業に?」

「……どうだろうな。まぁ、あいつならそれすらも撥ね退けるだろう。
 照は現に、管理者の部隊と言われているACを破壊している」

「す、凄いんだね……」

「ああ。……そして、いずれは私も……」

「……?」


――――――――――――――――――……

――――――――――――

――――――



「よく覚えていたね……」

「うん。菫ちゃんといた時間は、忘れたくないから」

「そう……だね」

きっと菫は解ってたのかもしれない。自分も私と似たような立場で、同じように狙われていたって。



ぴんぽーん。
家のインターホンが鳴ったと同時に、その音をかき消す程の大声が聞こえてきた。

「おい、照!大丈夫か!?」

あ、この声は……

「智葉だ」

「……あっ、そういえば窓割っちゃったんだった……」

「……」

そういえば割られたんだった。
今のこの人の様子を見ると、とてもじゃないけど窓を割って他人の家に入ったり、
さらにその住人を絞殺しようとする度胸があるには思えない。
というかどうやってあの窓を割って入ってきたんだろう。
……やる時はやる人なんだろうか。

「これ以上大声出されても困るから、行ってくる」



がちゃ。っと玄関のドアを開ける。

「おはよう」

「お、おはよう……じゃない!あの窓はどうした!?」

「割られた」

「見ればわかる!!」

「お、落ちついて」

「む、すまない……って照が出てきた!?」

「智葉、興奮しすぎ……」

こんなことになっている智葉は新鮮だ。なんだか面白い。

「あの、どうかしたのー……?」

智葉が騒いだせいで、宥が玄関まで出てきた。

「怒鳴っているような声が聞こえたんだけど……」

「ん?君は……確かあの時の炬燵の……何故照の家に?」



「彼女はお客さん。窓から入ってきた」

「……んん?」

「えっと、寝てたら入ってきて、首を絞められて、泣いて、ご飯を食べた」

「……は?」

「ちょっと、正直に言い過ぎなんじゃ……」

「……?嘘はよくない」

「うん、確かにそうなんだけど……ええっと、智葉、さん?」

「……あ、ああ」

「説明したいんで、とりあえず中へ」

ここ、私の家なんだけどなぁ……

「うむ。そうさせてもらう。照の話だけだと理解できん」

「むぅ……」

「そ、そんなにむくれるな、悪かったよ」


◇◆◇◆


「なるほど、イレギュラーか」

リビングに智葉を招いて、宥にさっきの話をまたしてもらった。
智葉の反応を見るに、何か知っているのかもしれない。

「私も聞いたことがあるよ。力を持ちすぎたものは、何者かに排除される。過去にも何度かあったらしい」

「何度か?」

「唯の噂話だがな。……しかし、お前はもう大丈夫なのか?」

「?何が?」

「リップハンターのこととか……」

「とか……?」

何か引っかかる言い方だ。
まだ何かあるんだろうか……

「あー……聞きたいか?」

「……うん、教えてほしい」

「大丈夫……?」

宥が心配げに見てくる。

「うん、大丈夫」



「……いいか、まずお前が引きこもっている間に、二つの依頼が送られてきた。無論ユニオンからだ」

「……うん」

「ユニオンはお前に行って欲しかったようだが、無理だったからな。代わりに二人のレイヴンが依頼を受けた。
 ……アップルボーイと、レジーナだ」

「!」

「その作戦は二つとも成功したが……アップルボーイは入院。レジーナは……行方不明だ」

「え……?」

「そんな……」

アップルボーイ……誠子の入院はまだいい。いや、よくはないんだけど。
でも、レジーナ……和が行方不明になったなんて……

「行方不明っていうのは、どういうこと?」

「状況が状況でな……機体を回収することが出来なかったらしい。行方不明というのも、かなり前向きな捉え方なんだ」

「……」



……でも、もう立ち止まれない。

「わかった」

「……大丈夫なのか?」

「起きてしまったことは仕様が無い。でも、私は和は生きているって信じる」

「そう……だな」

智葉が少し笑う。

「それで智葉、誠子のお見舞いに行きたいんだけど……」

「……そうだな、顔を見せてやれ。良い薬になるだろう」

「……どこ?」

「私の知り合いの……あー……連れていってやる」

「ありがとう」

「よし、そうと決まれば早速向かおうか。今は時間が惜しい」

そう言って立ちあがる智葉。一足先に玄関へ行くらしい。



「……ありがとう」

「え?」

「あなたが来てくれなかったら、また誰かが犠牲になっていたかもしれないから」

「そんな、お礼を言われることなんて……」

……よく考えたら、窓割られて殺されかけただけだった、私。

「これから、どうする?ついてくる?」

「ううん、私は家に帰るよ。多分、憧ちゃんが心配していると思うから」

「わかった。気をつけてね」

「うん。ごめんね、ありがとう」

宥を見送って、私も準備をする。
智葉が外で待っているしね。

「よし、行こう」


―トレネシティ:病院:402号室―


「……ここだ」

ここに誠子が……
ってこの病院、私が入院したところと同じだ。

「失礼します」

「どうぞー……って照さん!?」

「病院内では静かに」

「ああ、はい、すみません……じゃなくて!」

さっきも同じような光景を見た気がする……

「照さん、出ても大丈夫なんですか!?」

「うん。ごめん、心配かけたね」

というか私が大丈夫かって聞きたい。

「誠子こそ大丈夫なの?包帯でぐるぐるだし……」

「ああ、これですか?なーに、ちょっとした火傷と骨折ですよ!」

包帯、ほぼ全身なんだけど……

「……そう。誠子がそう言うなら大丈夫なんだね」

「はい!でも、良かったです。照さんが元気になって……」

「いろいろあってね」

殺されかけたとかは、あまり言わない方がいいだろう。
さっきの智葉の様子を思い出す。



「……やっぱり、私には照さんの代わりは荷が重すぎたみたいです」

俯きながら、誠子が言う。

「身の丈に合ったことをしなかったから、怪我しちゃいました」

そう言う彼女は、少し悔しそうに見えた。

「……うん、だから後は任せて」

「はは、それでこそ照さんです。頼みましたよ!」

……少し、大人になったかな。

「……あ!レジーナ……和はどうなったんですか?
 彼女も私と同じように、照さんの代わりとして行ったと聞いたんですが……」

「……和のこと、言ってなかったの?」

智葉を見る。

「私もつい今朝に知ったんだ。そもそも、他のレイヴンの情報が簡単に手に入る訳がないだろう」

ふむ、そう言われてみれば確かにそうだ。



「……和、レジーナは……行方不明になった」

「……え?行方不明って……機体は!?」

「回収できなかったそうだ。なんでも、エネルギー炉内部でACと戦闘したせいで、
 炉内の温度がかなり高くなっていたそうだ」

「そんな……」

「敵ACには勝ったらしいが、刺し違えた形になったんだろう。そうオペレータが言っていたよ」

「……私には無理するなって、言ったくせに……」

「お互い様、だろう?」

その言葉を受けた誠子は、はっとした後、静かに笑った。

「……そうですね。きっと、和も守りたかったんだと思います。私と同じように、命を賭して」

「それだけ愛されているということだ、照」

「……私?」

「お前以外に誰が居るんだ?」

呆れられた。



「……私も和も、照さんが居たからここまで来れたんですよ。
 だから、今度は私が照さんを守るんだって思ったんです。きっと、和だって」

「……」

「……でも、それより前に、私たちは友達ですからね!
 友達が困っていたら、苦しんでいたら……助けるのが当たり前です!」

そう言って、笑顔を見せた。

「友達……」

「はい!」

「私が友達で……いいの?」

「当然ですよ!
 ……あ、もしかして友達だと思ってくれてなかったんですか?」

ショックです、とまた俯く誠子。

「そ、そうじゃなくて、えっと……」

友達……そういえば、初めてかもしれない。
そう言われた事は。

「……ありがとう」

何となく、お礼を言いたい気分だった。



「――――え、エマージェンシーですっ!」

そんな和やかな空気を、珍しく息の上がったユニオンの人が吹き飛ばした。
どうしてここに居るのが解ったんだろう?

「どうした?珍しく焦っているようだが……」

智葉が尋ねると、息を整えながら彼女は説明し始めた。
できれば聞きたくなかったことを。

「エネルギー炉に、超大型のモビルウェポンが向かっています……
 恐らく、管理者の切り札だと思われます」

「超大型……そこまでACよりもか?」

「はい。AC5機分程のサイズではないかと」

5機分……それってかなり大きいんじゃ?

「もう、頼めるのはロイヤルミストしか居なくて……ってシャイン!?」

「あ、こんにちは」

そのリアクションはもういいよ。

「あなたが居るなら丁度いい!是非受けていただけませんか?」

うーむ……

「どうする?……と言っても、答えはもう決まっていると思うがな」

……まぁ、そうだよね。

「……うん。受けます」

「ナイスです!頼みましたよ!」

「よし。今回は私も行くぞ。安心して背中を預けていろ」

智葉も来てくれるんだ……すごく頼もしい。

「ありがとう。任せたよ」



「あ、そういえばそのモビルウェポンの写真がありますよ。見ます?」

「助かる。姿を知っていれば、気押されもしないだろう」

ユニオンの人がバッグをまさぐって、一枚の写真を取り出した。

「これです」

「どれどれ……なんだ……これは、なんとも形容し難い……」

智葉が真っ先に見て、渋い顔をしている。

「ちょっと見せてください」

興味を引かれたのか、誠子も写真を見たいらしい。

「あー、これ何て言うんでしたっけ……似たようなものを見たことがあるような……」

私も見てみよう……
と、手に取った写真を眺める。
かなりどっしりとした体型で、背中から棘らしきものが生えているそれは……


「……大仏?」

今回はここまで。
菫さんは多分自分から友達とか言わない人だと思うんです。
次回はいよいよ大仏戦です!

まさか……あんなものまで……

おつ

乙!
初めて戦ったとき対AC用装備で行ったらボコボコにされたわ
慣れたら楽しい相手になったけど

乙ですー
照復活で次回以降が楽しみです

佳境が差し迫ってきた感じ、期待!

支援

気づいたら五月でした。そんなばかな……
私めに時間をくだされええぇ……

おう

もうすぐ六月……

カレンダーが間違ってる
もう六月なはずがない

時は轟々と流れるからね、仕方ないね

一週間以内に投下します。二ヶ月はだめだよ……

待ってます!

で、出来ました……(ケチャドン2000)
いやホントお待たせしました。待っていてくださる人が居るのに二ヶ月放置とはなんたる失態
今回は大仏戦、投下していきますー


◇◆◇◆

―コーテックス:エントランス―


「本当はリハビリをさせてやろうと思っていたんだが……無駄になってしまったな」

頭を掻きながら、やれやれと智葉が言う。

「リハビリ?」

「ああ。いかにお前といえど、いきなり依頼をこなすというのは難しいだろう?
 アリーナを借りて、肩慣らしをさせてやろうと思っていたんだよ」

わざわざそんなことまで……

「あいつには悪いことをしたな……」

「その相手は、智葉じゃないの?」

「私じゃないよ。お前も知っているとは思うが……まぁそれはいい」

一体誰を呼んでいたんだろう?



「じゃあ、アセンブリしてくる」

今回はどうしよう。ちょっと操縦から離れていたから、扱いやすい機体に仕上げようかな?

「あまり無茶なそれにするなよ?」

「……大丈夫。流石にしない」

「おい、最初の沈黙が怖いぞ……」

正直、無茶の基準がわからない……

「相手は、間違いなく強敵。ふざけた機体にはしない」

「なら安心だ。常識的な範囲で、好きにしてこい」

その常識的な範囲が解らないんだけど……まぁ、いっか。

「行って来るね」


―コーテックス:ガレージ―


ここに来るのも、なんだか久しぶりな気がする。
時間的にはあまり経っていないはずなんだけど……

「嬢ちゃん!」

入り口に立ってぼーっとしていると、おじちゃんがかけて来た。
おじちゃんの顔も久しぶりだ。

「久々だな」

「はい。お久しぶりです」

「……会わない間に、何かあったみたいだな」

「まぁ、いろいろと」

本当、いろいろとあった。

「詳しくは聞かん。が、嬢ちゃんにとってマイナスにはならなかったらしい」

「?」

「いい面構えになった」

「……それはどうも」

「ま、元から美人だけどな!……で、今日はどうする?」

「そうですね……」



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「……これでお願いします」

久しぶりに操縦するので、二脚型より動きやすいタンク型にした。
タンク型なら無理なく高火力の兵器を積めるし、一石二鳥。
今回の相手がとても大きいので、ロックオンする必要はそんなにないと判断。
ブレードは狙いにいけないので、シールドを採用した。
レーダーは要らない……と思う。相手が一つだし。

「ほう、珍しい。嬢ちゃんがタンクとは」

……思えば、二脚型ばかり使っていたかもしれない。

「久々に操縦するので、あまり考える必要がないタンクにしました」

「……タンクの方がきついと思うんだが……ま、そこは嬢ちゃんだな」

え?タンクの方がきついの?



「にしても、右手武器までロケットとは、今回の相手は基地か何かか?」

「基地ではないです。ただ、大きいロボット?で」

「ACでも十分でかいんだが……それより大きいと?」

「どうもそんな感じです」

ACの何倍あるんだろう?

「はー……。まぁ、相手が何であれ、帰ってこいよ」

「もちろん。……行ってきます」

「おう、行ってらっしゃい」

さぁ、行こう。
何としても止めなくちゃね。


―自然区:作戦領域上空―


<<そろそろ目標地点です>>

<<いよいよだな……>>

ヘリコプターに揺られ、自然区へ。ここで何としても食い止めないと。
自然区のこの一帯は砂漠のようになっていて、中心にとても巨大な建造物の残骸が突き刺さるように残っている。
その周辺にも、ACほどの大きさの残骸が刺さっている。
相手の攻撃を防ぐ盾になりそうだ。

<<いけそうか?>>

「わからない。けど、出来ることをするだけ」

<<ふ、それでいい。好きなように動け。私が守る>>

何か、智葉がすごくかっこいい。
お言葉に甘えて頼りにしよう。

<<前方に大型の機影を確認……あれです!>>

<<さぁお出ましだ。行くぞ>>

「うん、行こう」

ヘリコプターから機体が離され、そのまま着陸する。

<<どれ程の力を持っているのか、まったくの未知数です。注意してください!>>

この戦場に、帰ってきたんだ。

<<ウォーミングアップは必要か?>>

「……大丈夫。身体が覚えている」

多分。



<<それはよかった。……じゃ、先行するぞ!>>

ロイヤルミストのAC、カイザーが先手必勝とばかりに動き出す。

彼女のACは重量二脚型で、ブレードの代わりに拡散投擲銃、
右腕にショットガン、両肩に背負うミサイルという高火力な機体だ。

対する相手は……まだこちらを認識していないのか、空中を優雅に散歩している。
遠くから見ても大きい。が、武装が確認できない……

「まず私がロケットを当てる。いい?」

<<構わんぞ。好きにやれ>>

右腕に装備しているハンドロケットと、左肩のラージロケットを構えて放つ。
威力が大きい分、あまり連射が効かないのが難点だ。

思った以上に距離があるのか、しばらくして命中した。



<<!こちらに気づいたらしいな>>

大きなロボット……大仏みたいなものが、先行しているカイザーの周辺を大きく円を描くように移動し始める。
と、その大仏の背中辺りからおびただしい数のミサイルが、轟音とともに発射された。
私には飛んでこない……敵はロイヤルミスト一人と思っているの?

<<これは……!デコイが必要だったか?>>

「大丈夫?」

<<ふ、なめるな、よ!>>

彼女は一旦後退し、カイザーに向かって収束していくミサイルをある程度纏め、
そこにショットガンを放って打ち落とし、打ちもらしたミサイルは地面の高低差で相殺させた。
……素晴らしい手際だ。

<<……!背中から反応が!>>

<<チッ!>>

大仏の背中から、グレネード弾が二発同時に放たれる。
咄嗟に、地面から突き出るような残骸を盾にかわすが、直撃を受けたそれは粉々になった。

<<流石に火力はあるな……だが>>



<<おかえしだ!>>

残骸を盾に使いながら、カイザーの豊富な火力で敵の装甲を削っていくロイヤルミスト。
私もうかうかしていられない。

「援護する」

私だけ安全な場所にいるというのはイヤだけど、これが確実だろう。
遠くから右腕と左肩のロケットで、こちらもダメージを蓄積させる。

<<はは、まだまだ!>>

ロイヤルミストは、ミサイルやグレネードだけでなく、
レーザーキャノンまで放ってくる大仏に紙一重で噛み付いている。

<<!敵の反応が増えました……分離します!>>

<<そんなこともできるのか>>

子機が大仏の背中から分離し、それぞれが空中を移動し始めた。
分離した子機からはグレネードが、大仏本体からはミサイルとレーザーが。
奴らは別々に動いているから、挟み撃ちされると……

あれは、まずい……いくらロイヤルミストでも!

<<ち、これ以上はまずいか……おい!でかいのを頼めるか?>>

素晴らしい動きをしていたカイザーでも、いくらかは攻撃を受けているはず。
そんな彼女にこれ以上無茶はさせられない。



「大丈夫、任せて」

OBを起動、気を引き締める。

<<悪いな、私は子機をやる。後ろは気にするな>>

「わかった」

カイザーと入れ替わるように、OBで大仏本体の前へと出る。
巨大な敵を目の前に、腕が竦む……ことはなかった。
不思議と落ち着いている。

カイザーは、離れていった子機をミサイルと共に追いながら離れて行く。
それを逃がすまいと大仏からミサイルが放たれるが、私がデコイを出してそれを引き付ける。

「あなたの相手は私」

私を認識したらしい巨大兵器はこちらに向き直る。対峙する形だ。
ここまで相手との距離が近いと、その大きさがよくわかる。

なんと言うか、威圧感が半端じゃない。
こちらが見上げる分、その大きさがさらに巨大に見える。
でも、やっぱり怖さはない。大丈夫。



<<すごい……>>

大仏とある程度距離を取りながら、しかし離れすぎず、絶妙な位置を保ちつつける。
ひっきりなしにミサイルが飛んでくるが、デコイがあるおかげでそれほど脅威ではない。
レーザーを向けられたら、正面から側面へ回ればいい。OBを起動しながら方向転換する。
大仏を中心にこちらが円を描くように動く。

タンクでもここまで動けるんだと、自分でも思う。
いざ動かしてみたら、以外に高機動戦闘が出来ている。
相手が大きい分、ロケットを狙うのも簡単だし……
このまま押し切れる?

「!」

唐突に背後に殺気を感じ、OBを起動させる。

<<!お――>>

ロイヤルミストが何か言おうとしたが、言い切る前にその場から離脱する。
直後の轟音で、先ほどまで居た場所は焦土と化した。……まぁ元から砂漠ではあるが。

「危なかった」

<<……エスパーか>>

そういえばレーダーを積んでいないんだった。



<<もう少し持ちこたえろ!こっちはもう片付く!>>

「わかった」

デコイが無くなってもなんとかなるものだ。
OBでのオーバーヒートにさえ気をつければ、砂漠に広がる残骸も駆使してミサイルをかわすことが出来る。
……にしても、かなりの数のロケットを当てていると思うが、あの大仏は未だに倒れない。
装甲は確かに剥がせているし、小爆発も何回か起こっていたが、墜落しない。
タフだなぁ……

<<……待たせた!挟むぞ!>>

後方からカイザーがこちらに向かってくる。どうやら子機を撃墜させたらしい。

「了解」

大仏の両脇に陣取り、対角線上に三つの機械が並ぶ。
こうなってしまえば、流石の大仏も墜ちる……はず。



<<……タフすぎる>>

倒れない。
二機で挟んで、ロケットやらミサイルやらで嬲っているのに、墜ちない。
こんなに撃っているのに……むむむ……

「!」

ふと、この砂漠で一際存在感のある残骸が目に入る。
その建造物のようなものは地面からはえているにも拘らず、
その天辺は大仏の浮く高さに匹敵している。
……これだ。

「あれを倒して止めを刺す。引き付けていて」

<<あれって……あのでかい残骸か?おいおい……!>>

返事を待たず、大仏に背を向けて巨大な残骸の真ん中に集中砲火を浴びせる。
ハンドロケットは破壊力もさることながら、何より装弾数が多くまだ余裕があった。
肩に背負ったラージロケットは弾切れだが……足りるかな?

<<長くは持たんぞっ……!>>

カイザーも限界が近い……早く!



<<……!建造物が崩壊を始めました!倒れます!>>

ごごご、という轟音を立てながら、大きな残骸が倒れて行く。

「よし、これで……」

そしてその先には巨大兵器が。どうやらまだカイザーにご執心のようだ。

<<くそ……逃げ切れるか!?>>

……!そうか、カイザーはOBを積んでいない。
重量二脚で、OBを積んでいないカイザーでは、機動力が……

「……!後ろにブースタを!」

<<やってる!>>

「じゃあそのまま、歯を食いしばって」

<<あぁ?……おうっ!?>>

大仏の股下を、高速で駆け抜けて行く。
そしてOBを起動したまま、正面からカイザーを抱えるように衝突。火花が散る。

「っ……そのまま!」



<<建造物と巨大兵器が接触します!>>

「っ……」

<<全く……無茶を、やる……!>>

OBで離脱しながら、背後に崩れる音を聞く。
ということは、もう大丈夫?

OBが強制的に切れ、けたたましいアラートがコクピット内に響く。
久しぶりに聞いたが、やっぱりうるさい。

空に浮いていた巨大兵器は、倒れてきた建造物の下敷きになって沈黙していた。
あの状態でミサイル等を使っても、自爆にしかならないはず。
ということは……

「間に合った……」

なんとか、なった……

<<……助かったよ。まさか私を担ぐとは>>

「担ぐ……と言えるの?」

そんないいものではなかったような……



<<何はともあれ、おつかれさまでした。最後はひやっとしましたが……>>

<<全くだ……確かにじり貧ではあったがな>>

「ごめん……」

素直に謝る。確かに危険すぎた。

<<いや、いいんだよ。好きに動けと言ったのは私だ。お陰で助かったしな>>

なら、いいんだけど……


<<しかし、写真や話は聞いていましたが……こんなものまで持ち出してくるなんて……>>

「……」

確かに、私たちでも手こずったこんなものが、万が一市街地にまで侵攻していたら……

<<管理者は本気で、私たち人間を滅ぼすつもりらしいな>>

私たちの意識していないところで、管理者を怒らせてしまったんだろうか?
……まぁ難しいことはいいか。

「被害を未然に食い止められてよかった。今はそれでいい」

そう、今はそれでいい。被害は出なかったんだ。

「帰ろう」


―コーテックス:ガレージ―


「おつかれさん」

ガレージに戻ってくると、おじちゃんが出迎えてくれた。
これもなんだか久しぶりだ。

「……なんとかなりました」

「そうみたいだな。……まぁ、なんで右腕がへしゃげてるのかは聞かないでおいてやる」

すみません。ちょっと無茶をしました。

「ま、肝心の装甲はほとんど傷ついていないし、でも弾は撃ち切ってる」

肩をばんっと叩かれる。
……痛くない。

「復活って所だな。……おかえり、嬢ちゃん」

「……ただいま、です」


―トレネシティ:照宅―


「なんとかなったな」

コーテックスに帰ってきた後、無事に撃墜したことを誠子に報告して、そのまま私の家に。
智葉と尭深と……いつの間にか居たユニオンさんがくつろいでいる。

「うん、ちゃんと動けた」

少し心配していたが、問題なく動けた。
身体が覚えていたというのは、あながち間違いではなかったらしい。

「動けたというか……動けすぎだ、お前は」

「?」

「トラウマになっていた筈のACをああも動かせるとはな……」

「大丈夫。それはもう克服した」

「いや、まぁそうなんだろうが……」

何か納得がいかないらしい。

「ええい、それはいい。それより管理者の次の手だ」



「次の?」

「そうだ。あれが奥の手だったとしてそれを潰された後、管理者が何をしてくるか……」

「……打って出る?」

でも、管理者自身が動くことが出来るんだろうか?

「……どうでしょう、管理者が移動できるとは思えませんが……」

尭深も同じ疑問を持っているらしい。
……うーん、今回の大仏が管理者の奥の手だとしたら、やっぱり次の手が見えない。
どう出てくるか……



「……オールライト」

うちに来てから、端末とずっとにらめっこをしていたユニオンさんが顔を上げる。

「どうした?」

「以前、ミラージュの施設から奪ったデータの解析が完了したそうです」

何時の間にそんなことを。

「……どんな情報があったんですか?」

尭深が尋ねる。

「これによると……管理者への道、と」

「!」

「管理者への?つまり……」

「イエス。この状況にピリオドを打つことができますね」

……えーっと。
ということは、打って出てこられる前に、こちらから仕掛けられる?
しかも、上手く行けば管理者の暴走を止められる……?
管理者を破壊すれば……
この戦いが、終わる?



「……」

「……あまり、うれしそうではないな?」

智葉が口を開く。

「……ソーリーです。私、ここまで来てまだ迷っているようです。
 私たちが率先して計画を進めてきて……それがようやく、実を結びそうなのに」

ユニオンの人が、ばつが悪そうに言う。

「……私も」

尭深が声を上げる。

「私も……迷っています。
 今まで管理者によって生かされてきた私たちが、それを失った後どうなるのか……不安で。
 本当に、管理者を破壊してもいいんでしょうか?」

……なるほど。
不安になるのもわかる。
こうしろと言われて今まで生きてきた者が、言われたことしかしなかった者が、
その命令を下す存在を失ったら……
飛び方を知らない鳥を、崖から突き落とすようなものだ。
……少しオーバーな表現かもしれないけど。
でも……



「迷うのは……後。どうせ何もしないままだと、この地下世界は終わってしまう。
 ユニオンさんに尭深は、このまま死にたいの?」

今は迷っている暇なんてない。まずは自分の命を守るべきだ。
それに……

「それは……」

「……」

「管理者はもう機能していない。私たちの、人間の敵になったの。
 私は死にたくないし、周りの誰にも死んでほしくない」

「……」

「私は……行くよ」

鳥は元々飛べるものだ。



「……決心がつきました!」

それまで俯いていたユニオンさんが、元気よく顔を上げる。

「シャインさん、フューチャーは任せましたよ!」

サムズアップしながらが爽やかに言い放つ。
……あれ?

「確かにそのとおりです。我々は現状を打破するために今までやってきたんです。
 それを自ら否定しようとするなんて……ガッデム!」

悔しそうに歯を食いしばっている。
いや、あの、未来を託されても困るんだけど……

「……わかりました。そうですよね、あなたはそんな人でした」

微笑みながら、尭深がそんなことを言う。

「シャインに……照に、ずっと着いて行きます」

「尭深……」

嬉しいことを言ってくれる……
思わず勘違いしてしまいそうだ。



「……決まりだな」

今までこの会話に混ざってこなかった智葉がまとめ始める。

「で、いつ行動する?早い方がいいとは思うが」

確かに、対策を取られる前に襲撃するべきだろう。
折角管理者までの道が判明したのに、それが塞がれては意味がない。

「そちらも、シャインさんにお任せします。準備が整ったら連絡をください。
 その後、管理者までの道を伝えます」

「ん、わかった」



「では、私はこの辺で。一度本部に戻らないと……」

言うが早いか、そそくさとユニオンさんが帰って行く。
今日も一喜一憂して、忙しい人だ。

「今日は疲れた。私も失礼するぞ」

智葉も続いて腰を上げる。
……あ、お礼言わなきゃ。

「待っている奴が居るんでな」

「……今日は本当に助かった。ありがとう」

「ふ、私もやりたくて依頼に参加したんだ。気にするな。
 お前も身体をしっかり休ませろよ?」

背中を向けて手を振り、

「じゃあな」

と言って帰って行った。
うーん……いちいち絵になるなぁ。

「……尭深はどうするの?」

「私は……もう少し、ここに居ます。いいですか?」

「うん。いくらでも居てくれていい」

くすっ、と笑う尭深。


……待っている人、か。
やっぱり、逃げていてはいけないよね。
私も会いに行かなきゃ。

今回はここまでとなります。
このスレに移って一年が経っていました……そんなに。
書き始めて一年半ほど。あと少し、お付き合いください!


一年あっという間だ……

乙ー!
待ってた甲斐があった
>鳥は元々飛べるものだ
いい文言だね

更新きてたか乙
いよいよ最後のミッションだな頑張ってくれ


楽しみにしてます

こんばんは!
前回の続きを投下します
最終回じゃないよ!


◇◆◇◆


―トレネシティ:菫宅―


翌日。

ぴんぽーん。

<<はい。……どちら様ですか?>>

「……久しぶり」

<<その声……!ちょっと待ってて>>

どたどた、と玄関までかけて来る足音。

がちゃ、とドアが開く。

「……久しぶりね」

「うん」

「何の用?と言いたいけれど……」

……

「上がって。丁度いいわ」

「……ありがとう」

靴を脱いで、菫の家に上がる。



「誰が来たの……って……!!」

通された炬燵の置いてある和室には、宥と……アワイが居た。

「シャイン……!!」

「……アワイ。久しぶり」

「照ちゃん……」

「宥も久しぶり……じゃあないか」

アワイが居るとは思わなかった。
ファナティックが丁度いいと言ったのはこういうことか。

「照……?シャインのこと?」

「そう。宮永照」

「宮永……?」

「?どうしたの?」

「う、ううん、なんでもない……」

「……」

……



「わ、私は大星淡」

「……わかった」

「ん……」

「……」

……

「……はぁ。で、あんたは何しに来たわけ?」

どう切り出すか迷っていたとき、ファナティックが助け舟を出してくれた。
内心でありがとう、と言いながら話し始める。

「……私は、話したいこと、ここに来たの」

「話したいこと?」

「……まず、形はどうあれ、私が菫を……殺して、しまったこと」

「っ!」

「ごめん、だなんて謝りたくないけど……言っておきたかった。自分の口で」



「……そうだよ、謝らなくていい」

「淡ちゃん……?」

「だって、テルは何も悪くない。……殺されたスミレだって、悪者じゃない」

「あんた……」

「二人とも凄く強くて……私にとって、レイヴンのヒーローで」

「二人とも相手を認め合ってて……互いを支えあってて」

「なのに、なんでこうなっちゃったんだろうね?」

それまで俯きながら話していた淡が、顔を上げる。
その目には涙が溜まっていた。
声が震える。



「私、わかんないよ……何を怨めばいいの?」

「……それなら、私を」

「テルは悪くないっ!!」

淡が掴みかかってくる。

「ちょっ、あんた……!」

「大丈夫だから……」

ファナティックを抑えて、腕の中に居る淡に腕を回す。

「辛いよね」

「うん……」

「悲しいよね」

「うん……」

「苦しいよね」

「っうん……!」



私の薄い胸に顔をうずめる頭を撫でつつ、語り始める。

「言っていたんだ。お前はこの世界に不要だ、って」

「え……?」

話を続ける。

「彼女は……菫はそう言って、私に銃を向けてきた」

「私のことを、イレギュラーって呼んでいた」

「イレギュラー……?」

「そう。なら私は、イレギュラーらしく行動することにした」

「らしくって……どういうことよ?」

ファナティックが質問してくる。
宥には事前に話をしたからか、この状況を静かに見守ってくれている。

「イレギュラー……つまり規則に反するということ。
 なら私は、この世界をつくっている管理者に反する」

「……!じゃあ、あんた――!」

「そう。この世界を、壊す」



「世界を……壊す……」

淡が呟く。

「うん。それしかないと思ったんだ」

「なるほど……ね。ここで燻っていると、管理者にいずれ殺されるっぽいし……
 確かにそれなら安全は確保できるか……宥姉はどう思う?」

「私は……照ちゃんがそう決めてくれたなら、応援するよ」

「そっか……まぁ、私が何か言う権利ないし、いいんじゃない?」

「……ありがとう」

二人に礼を言った後、何も言わない淡に答えを告げる。
私なりの答え。



「……菫はね、この世界に殺されたんだと思う」

「世界……に?」

「うん。菫だけじゃない。今まで戦って死んできたレイヴン全てが……この世界に」

「どういうこと?」

「レイヴンが企業の争いの道具だとしたら、そもそもの企業が無ければいい。
 そうすればレイヴンは生まれないし、争いも生まれない」

「あ……」

「レイヴンをつくったのは?企業をつくったのは?それを容認したのは?」

「管理者……」

「そう、だと思う。だから管理者を破壊して、この世界を一度壊す。
 そうしたら、また一から創めよう?争いの無い世界を」

「……」

淡の抱きしめてくる腕に、力が篭る。



「怨まないと立てないのなら、この世界でも……手を下した私でも怨んでくれて構わない」

「……ううん。もう、大丈夫。ありがと」

そう言って、淡が私から離れる。涙の痕が残る。

「淡……」

「へへ、そーだよねっ。いつまでも泣いてちゃしょーがないもんね!」

あっけからんと淡は笑う。

「いいよ、着いていく!テルが創る、新しい世界!」

「……私だけじゃないよ。みんなで創るの。淡も一緒に」

「……うんっ!」


やっぱり、来て、伝えられてよかった。
私の決意を鈍らせないためにも、淡が私のように塞ぎこまないためにも。
……でも、淡には二人が居たから、私は要らなかったかな?

……。

……なんにせよ、これで私にやり残したことはない……はず。
行こう。これで最後だ。

今回はここまでです!
いよいよ次で最終回になります
感想レス等はとても励みになっています……!ありがとう!

おっつ
そういえば秘密のキャラはどうなったんだろ


ここまで咲が出ていない、つまり…

3のストーリーでは出てこないかもしれない
3では

なるほど、連載期間が2年ほど延びるな

乙!
最終回、超楽しみ~

今夜0時付近に、投下予定です。恐らく最後の

寝ないで待つ

こんばんは!時間通りこれましたー
これで最終回!投下します


◇◆◇◆

―トレネシティ:自宅―


「……おはよう」

外はすっかり暗い。おはようとは言ったけど、朝ではない。
夜に襲撃を実行したいと言ったのは私。
あまり目立ちたくはないし、気分的に日が出ている時にやりたくなかった。
それに、襲撃と言ったらやっぱり夜だよね?
私も夜にやられたし。

「あれ……メール」

ユニオンからだ……

差出人:ユニオン
『ガレージに新しい武器を届けておきました。型番はMLB-MOONLIGHT。
 よろしければ、襲撃の際に役立ててください』

新しい武器……折角もらったのだし、使ってみようかな。

ぐぅー……

「!」

おっと、それより食事をしよう。
今日は何にしようかな……



「ふぅ……ごちそうさま」

ごはん。味噌汁。沢庵。美味でした。
後は着替えて、顔洗って、歯磨きして――


「ん。これでOK」

「行ってきます」


―コーテックス前―


「……あれ、智葉?憩さんも……」

コーテックスの入り口から、智葉と憩さんが出てきた。
こんな時間にどうしたんだろう。

「よう」

「こんばんは~」

「こんばんは。こんな時間にどうしたの?」

「それはこっちの台詞だ。……届け物があってな」

「うちはその付き添い~」

「届け物?」

「お前にな。ガレージに届けておいた。まぁ、必要なら使ってくれ」

「燃費はちょっと悪いけど、対ACなら頼りになるで~」

今日はよくプレゼントされる日だなぁ……



「わざわざありがとう。使ってみる」

「持続力はないから気をつけろよ。……もう行くのか?」

「うん。早い方がいいでしょう?」

善は急げって言うし。

「まぁ、確かにそうだ。……任せたぞ」

「お願いしますーぅ」

この二人のためにも、成功させなくては……
……この二人なら、管理者の部隊も自力で退けそうだけど。

「任せて。必ず、遂行してみせる」

二人に手を振って、コーテックスへ入る。
尭深と合流しよう。



「……まぁ、あいつならやってくれるだろう」

「みんな、あなたを待っとるからなぁ~」


―コーテックス:エントランスー


「こんばんは」

「はい、こんばんは」

エントランスに着くと、尭深が待っていた。

「いよいよ……ですね」

「うん」

神妙な顔つきだ。

「尭深は、本当にいいの?」

「え?」

「私が管理者を破壊しても」

そう聞くと、尭深は顔を綻ばせて言った。

「いいですよ。あなたがちゃんと、帰ってきてくれるなら」

……大丈夫、私は死ぬつもりはないよ。

「……必ず、帰ってくる」

「はい。待っています」



「では、依頼の細かい内容ですが、こちらにユニオンからメールが送られてきました。
 恐らくこのメールに書かれているでしょう」

「見てみよう」

尭深が電子端末を取り出して、それを二人で覗く。
なになに……?


依頼主:ユニオン
作戦領域:レイヤード中枢
敵戦力:不明
作戦目標:管理者の破壊

『以前ミラージュの施設から奪ったデータの解析が完了した。管理者の下へ向かって欲しい。
 依頼内容は管理者の破壊、それだけだ。
 果たしてこの結果が正しいのか、我々はその答えを持たない。
 管理者が何故狂い始めたのか。その理由もついにわからないままだ。
 だが、今我々に出来ることはこれしかない。成功を祈っている。』



「……」

「あまり、詳しいことは書かれていませんでしたね……」

「目的地までのデータはあるし、綿密な作戦でもないから大丈夫……だと思う」

襲撃の段取りとかは、全部私にお任せってことだろうか。
まぁ、支援とかは期待していないし、それで十分かな。

「目的ははっきりしていますからね……」

「そういうこと。……じゃあ、アセンブリしてくるね」

「はい。また後で」

尭深と別れて、ガレージへ向かう。
貰った新しい二つのパーツ、どんなものなのかな?


―コーテックス;ガレージ―


「こんばんは」

いつものように、おじちゃんに声をかける。

「よう、こんばんは。夜遅くから大変だな」

「お互い様です」

「はっ、それもそうか」

二人して笑う。

「ああそうだ、二つばかしパーツが届いているぜ」

多分、ユニオンと智葉からの贈り物のことだろう。
どんな性能なんだろう?

「どんなものですか?」

「えーっと……CBT-FLEETとMLB-MOONLIGHT……ブースタにブレードだな。どっちも特注品だ」

「特注品?」

特別なパーツなのかな。



「ショップに並ばないパーツでな。中々手に入らないんだよ」

「そんなものが……」

わざわざそんな貴重なパーツを……ありがとう、智葉とユニオン。

「それだけあって、性能は格別だ。使うか?」

「じゃあ、せっかくなので……」


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ARMUNIT L:MLB-MOONLIGHT


「……これで行きます」

頭部、腕部、脚部は使い慣れたものにして、ブースタを智葉から貰った高出力のものに。
武装は右腕に1000発もの装弾数を誇るマシンガンと、ユニオンから貰ったブレード、右肩の小型ロケット。
本当はINSIDEにも何か仕掛けたかったけど、積載量が限界だったので諦めた。
総火力は十分。不安なのはブースタがどんなものか、ぐらいかな……
まぁ、智葉がくれたものだし、そこは大丈夫だろう……多分。



「ん、了解だ。すぐに準備しよう」

「おじちゃん」

「ん?」

「……ありがとう」

「……ふっ」

「どういたしまして」


―レイヤード中枢―


通路を下って、中枢と思われる場所へとたどり着く。
ユニオンの解析したデータは、どうやら間違っていなかったらしい。
目の前には、これまでのものとは形の違うゲートが佇んでいる。

<<恐らく、あのゲートの向こうが管理者の居る中枢です。覚悟はよろしいですか?>>

「愚問だよ」

<<……必ず、帰ってきましょうね>>

「もちろん」

ACも問題なく動かせている。
アマテラス、あと少しだよ。

「さぁ、行こう」

この戦いに終止符を打つため、中枢へと潜る――!


‐メインシステム 戦闘モード 起動します‐



「おっと」

ゲートをくぐると、レーザーの洗礼を受ける。
近くの柱に身を隠し、敵を伺う。

「あれは、あの時の……」

撃ってきた相手は、以前クレストを襲った管理者の部隊だった。
普段は球体で、攻撃の際にぱかっと割れて中心からレーザーを放つ。
弱点も覚えている。

柱から身を乗り出し、球体型の前へ出る。
こちらを狙って球体が割れたところに、肩のロケットを撃ち込む。

撃たれる前に、撃てばいい。対処方法は簡単だ。

同じ方法で破壊していくうちに、ふと魔が差した。



「……試してみたい」

破壊力抜群と言われたこのブレードを使ってみようと。
幸い敵もあと一つだし、こちらが負けることはまずない。

思うが早いか、柱の影からブースタをふかして球体型に飛びつき、
迎撃しようと開いたそれ目掛けて左腕を振り下ろす。

「うわっ」

ブレードの攻撃をもろに受けたそれは、引きちぎった真珠のネックレスの如く爆散した。

「なにこれ……」

すごい切れ味なんだけど……
特注品は伊達じゃないってことかな。

<<この部屋は片付きましたね。先へ進みましょう>>

「うん」

頼もしい武器を確認できたし、先へ進もう。
次のゲートをくぐる。



「これは……」

<<ここは……天井付近に、ゲートがあるようです>>

次の部屋は筒状で非常に天井が高く、足場もないところ。
……とりあえず、昇ってみよう。
ブーストジャンプで天井を目指す。……と、

「!」

昇っていると、四方を囲んでいる壁から、
待ち受けていたように長い砲台がにゅっと出てきた。
……足場に使えそうだね。

<<砲台を攻撃して無力化すれば、安全に足場として使えそうですね>>

タカミも同じことを思ったらしい。
そうとなれば早速、上手く使わせてもらおう。

ブースタを停止して自由落下しながら、下を向いてロケットを放つ。
砲台はロケット一撃で無力化できるようで、安全にしたそれに着地する。
あとは上を向いて、目に見える全ての砲台を無力化すればおしまいだ。



「よし」

全ての砲台にロケットを撃ち終え、上へと昇っていく。
ここもなんとかなった。

<<見えました、ゲートです!>>

「あれだね……」

天井付近の壁にあるゲート目掛けて、砲台からブーストジャンプ。
難なくゲート前に着地して、息を整える。

「次」

ゲートを進む。



曲がった通路を進んで奥へ。
するとまたゲートがあった。迷わずくぐる。

「っ」

部屋に入ると同時に、またしてもレーザーが降ってきた。
咄嗟にブースタをふかし、右手にあった柱へと身を隠す。
相手は……見たことがない小型メカだ。

隠れてばかりでは倒せない。うって出よう。

「っ速い……」

あの小型メカ、小さいだけあってかなりすばしっこい。
ロックオンサイトに捕らえても、すぐに外れてしまう。

「でも」

浮遊していた一機をマシンガンで撃ち落とす。
どうやら、あの小型メカたちは急加速と停止を繰り返しているらしく、
度々何もせず空中に浮いていることがあった。
そこを狙えば、なんてことはない相手だ。

「これで……全部」

部屋に残った最後のメカを撃ち落とし、周囲を見渡す。

<<あの右手に見えるゲートでしょう>>

「だろうね」

まだまだ先は長そうだ。



「遠い……」

進んだ先の部屋は非常に長いところで、かなり向こうに次のゲートが見える。
その間には、先ほど足場にした砲台が床や天井から設置してあって、いちいち相手にするのは面倒そう。
うーん……横切った方がいいかな?

「そうしよう」

ブースタをふかして上空に飛んで、そこからOBの推進力の余剰で吹っ飛んでいく。
丁度部屋の真ん中辺りまで飛んでこれたので、再度上空に飛んでOB。
次のゲート手前に着地する。
馬鹿正直に砲台の相手をするより消耗も少ないし、これでいいだろう。

<<お見事です>>

「ありがとう」

くすっと笑いあって、ゲートを開く。
今度は何が待っているんだろう。



「この床……」

<<はい、恐らくエレベータのようなものでしょう>>

ゲートをくぐって進むと、開けたところに出た。
敵もいないし、ゲートも私が入ってきたものしかない。
ということは、やはりこの床が動くのだろうか。

「!」

下りてみると、予想通り床が動き始めた。私を下へと運んでくれるらしい。

<<!クレストから通信です!>>

「クレストから?」

しかも、このタイミングで?

<<貴女が何を求めているのか我々にはわかりません。秩序を打ち壊すことで、何が得られるというのか>>

「……」

<<ですが、我々にはもう貴女を止めることは出来ません>>

「……」

<<行きなさい、そして貴女が為したことが何を生むのか。それを見届けなさい>>

<<……通信、切れました>>

「……私がここに来ていたこと、ばれていたんだね」

……大丈夫。私は見届けるし、それと向き合ってみせる。
私たちには、それだけの力があるんだ。



<<っ敵です!>>

不意に、壁に設置されていたゲートが開き、そこから球体型のメカが出現する。
咄嗟にブーストジャンプで近寄り、ブレードで破壊する。
どうやら床が下がることで、それに隠れていたゲートが姿を現したらしい。

破壊した一機目に続くように二機目、三機目、四機目も現れたので、順番にブレードで薙いでいく。
……えらく簡単だなぁ。

結局、床が完全に下りきるまでにゲートが三つほどあり、その度に球体型のメカが出てきたが、
同じようにブレードで破壊していった。
こんなことで弾薬を消費したくないし、折角貰ったブレードだ。たくさん使いたかったのもある。

床が下りきると、またゲートがあった。

しばらく待っても、球体型のメカは出てこない。
ということは奥へと続くゲートだろう。

<<……進みましょう>>

「うん」

奥へ。



奥へと続くゲートを進むと、これまでで一番広い部屋に出た。
部屋全体に傾斜があり、左右の壁のすぐ横に柱もあり、少し動きにくそうだ。

傾斜は奥にいくほど高く、それをあがっていった先には巨大なゲートが鎮座している。
きっと、あれが……

<<二つの敵反応を確認!どちらもACです!>>

「了解」

さながら門番か……二対一、骨が折れそうだ。

とりあえず、相手を確認するためにブースタをふかし上昇する。
こちらは傾斜の下側なので、そうでもしないと相手が見えない……
と、

「っと」

傾斜の上側に居るらしい、敵AC達からグレネードとレーザーが、私目掛けて飛んでくる。
ふらふらと自由落下し、やり過ごす。

「左に重量グレネード機、右が中量レーザー機」

相手の武装、ACのタイプはわかった。

「……よし」

うん。これなら大丈夫。



まずブーストダッシュで前に出て、グレネードを誘ってみる。
グレネードは装弾数が少ないので、乱戦になる前に撃ち切らせておきたいんだけど……

「!」

左側から、待っていましたと言わんばかりにグレネードが飛んでくる。
急停止してやり過ごし、さらに挑発するように左側を飛び回る。

グレネードは相手と近いと怖い武器だが、遠ければかわすのは簡単で、それほど脅威ではない。
ばかすかと撃ってくるグレネードを柱に隠れてやり過ごしたり、飛び回ってかわしたり。

その間にもう一機の中量機と中距離で威嚇し合う。
相手の中量機はなかなか踏み込んでこず、右側からレーザーライフルを放っている。
そしてどうやら中量機も私のACの動きに翻弄されているらしく、未だに直撃をもらっていない。

対するこちらはマシンガンなので、かす当たりでもダメージを与えられているはずだ。
レーザーと違って無尽蔵にばら撒けるマシンガンは、こういうときにも頼りになる。

「9……10……」

そうしながら、放たれるグレネードの数を数える。
グレネードは火力が高い分、装弾数が少ないものだ。
弾切れを狙って……

「11……12!」



柱から飛び出し、OBを起動して遠くに居る重量機へ一気に肉迫する。
ブレードを出力して、振り下ろす――!

「っ!」

振り下ろしたブレードは、相手が咄嗟に構えたエネルギーシールドに防がれた。
その瞬間、私と相手のACに強い衝撃が走る。

「くっ……けど」

体勢を立て直し、至近距離で肩のロケットを敵ACの頭部目掛け二、三発と撃ちこむ。
視界を奪い、背後に回る――

「もらった」

無防備な重量機の背中を、ブレードで思い切り薙ぐ。
ブレードは相手の肩装備を捉え、そのまま振り切られた。
重量機の肩装備は焼き切れ、吹き飛んだ。……凄まじい威力。
このブレード、使っている私でも少し怖くなるよ。

「!」

一連の出来事を眺めていた中量機が、EOを起動させながらブーストダッシュで近づいてくる。
一方私は武装のなくなった重量機を一旦放置し、盾にしながら柱へと隠れていく。



相手の中量機の武装は、EOコアにレーザーライフル、肩にオービット。

「……」

相手からオービットが射出されるが、飛び出したそれらは壁と柱に当たって爆発した。
その隙に重量機から離れるため、OBで傾斜の下へと一気に飛ぶ。

OBのない中量機が必死で追ってくるところを、遠くからマシンガンで迎撃する。

「……」

相手との距離が近くなったところで、再びOBを起動し、すれ違いざまにブレードで斬りかかる。
中量機のオービット射出機が爆発し、斬られたACが体勢を崩す。

「……」

二機の役割はしっかりしているし、装備も貧弱じゃない。
弱いはずはないんだけど……
でも、やっぱり何かが違う。この二機には何かが足りないんだ。

「……さようなら」

よろめきながらこちらを向く中量機のコアを、正面からブレードで一突きし、
傾斜の上側でふらふら動いていた重量機も同じ様に止めを刺す。
……これで、ここの管理者の部隊は居なくなった。



<<……ゲートのロックが解除されました>>

「……」

このゲートの向こうに管理者がいるんだろう。

ようやく、ここまで来た。

<<恐らく、この先に……>>

「うん、管理者がいる」

迷いは、ない。

<<……決着を>>

「つけよう」

巨大なゲートを開き、最深部へ突入する。


―レイヤード中枢:管理者―


<<これが……>>

「管理者……」

太い筒状のそれは床から高く天井まで伸びている。
その天井付近、管理者の先端には透明な何かが、管理者の本体を守っているようだ。
筒状の管理者の周辺には足場に使えそうなオブジェが浮遊している。
今のところ攻撃してくるものはいないけど……

<<管理者の本体は強力なシールドでガードされているようです。直接の破壊は不可能ですね……>>

「それは困った……」

管理者を見上げていると、壁から小型のすばやいメカが現れ、こちらにレーザーを放ってきた。
お返しにマシンガンをやるとおとなしくなり、再び静かな空間になった。

「うーん……」

どうしたものかと考えていると、

<<……!シャイン、足場を使って上へ!>>

「了解」

タカミが何かに気がついたらしい。
言われたとおりに足場から足場へと昇っていく。

道中、壁から何時ぞやの長く大きい砲台が出てきたが、ロケットで無力化したので問題はなかった。

管理者の八分目辺りまで昇ったところで、タカミが口を開いた。



<<目の前の管理者目掛けて、ブレードで攻撃してください>>

「?」

管理者本体を攻撃せず、真ん中辺りから物理的に破壊していくんだろうか?
そんな芸当……いや、このブレードなら出来るかもしれない。
そんなことを思っていると、タカミから説明があった。

<<柱の中央に熱源を感知しました。
 それを守る装甲を破壊すれば、管理者へのエネルギー供給源が現れるはずです>>

「なるほど……」

目の前の管理者目掛けて、ブレードを薙ぐ。すると……

「装甲が……崩れて」

ブレードで薙いだ周辺が爆発し、供給源とやらを守る装甲が剥がれていく。
するとその中から、装甲がなくなりむき出しになった内部が現れた。

<<見えました、エネルギー炉です!!これを破壊すれば、管理者へのエネルギー供給は止まるはずです>>

「……つまり」

<<はい。……管理者を、破壊することが出来るでしょう>>



「……」

目の前のこれを斬りつければ、管理者は破壊、ないし停止される。

それを達成した後、私たちには何が待っているんだろう。

……


本当に、本当に大丈夫なんだろうか。



管理者が居なくなって、秩序がなくなって、人は暮らせていけるのだろうか。


私たちはそれでも、生きていけるのだろうか。




<<……いきましょう!照!>>

「……そうだね、尭深!」

でも、そんな不安もあるけど、それを超えるこれからという未来への期待。

私は、人は……きっと、乗り越えられる――!


ブレードを出力し、左腕を構えてそれを――



――振り下ろした。




<<基幹ユニットの破壊率が……90%を越えました……エネルギー供給率……低下……>>

管理者が壊れていく。根元から小爆発を始め、やがてそれは上へと。

<<近くの足場へ退避を。爆発に巻き込まれます>>

浮いている足場に飛び移り、爆発していく管理者を眺める。

<<再生プログラム……最終レベルへ移行します……地上への……ゲートロックを……解除……>>

<<……!?>>

「ん――」

<<本命令の実行を……もって……プログラムの……全行程を終了……>>

<<……>>

<<システムを……停止します……>>

「――!」

天井が、開く。

<<今の言葉は……一体……>>

<<地上……?>>





――暗然たる住処はその役目を終え、


「……見事だよ、照」

「光ですよーぅ!」


――故郷となり、


「……やりましたね、照さん」

「すばらですっ!」


――ワタリガラスを見送るだろう。


「ぐっ!……うぅ……」


――それを祝福するかのように、


「見て淡ちゃん、きれいな光」

「んー、確かにきれいだけど、私の美貌には負けるかな!」

「何言ってんのよ……」


――彼女たちの飛び立つその先からは、


「――ははっ」


――光が溢れていた。




【AC3×咲-saki-】照「これがAC……」 カン。


これにて完結、です!
最後まで呼んでくれた方、感想や乙等レスしてくれた方へ、ありがとうございました!
書き始めて一年半、まさかこんなにかかるとは思っていませんでしたが……
でも、こうして一つのSSを完結できたことは素直に嬉しいです!ありがとう……!
感想、質問等あれば遠慮なくお願いします!

長い間お疲れ様でした
ってか案外あっさり終わってあれ?とか思ってたけどI-CFFFはサイレントラインだったわ

>>467
読んでいただき、ありがとうございます!
自分で読み返してもかなりあっさりなんですが、AC3のED見たらこんな感じかなーと
というか、単に私が盛り上げる文が書けないってだけなんじゃないか…

>>468
じゃあ反省を生かして未到達領域へ行こう!



「何、あれ……」

                  「これからもよろしくお願いします、咲さん」

        「久しぶりだな、覚えているか?」

  「後はちゃちゃのんにおまかせじゃ!」

              「まずい」

     「レイヴン……」

                    「そうだ、私は……」

       「私もそんな、すてきな強さが欲しいです!」

 「あなた、誰?」

          「わしはこんなところで負けていられん!奴を殺すまでは……!」

                 「お姉……ちゃん?」

            「……ダルい」

    「人は繰り返す。繰り返してしまう」

                   「見せてやろう、レイヴンの戦いを!」

   「その声……まさか!」

                      「どうするんだ?咲ちゃん」

      「任せたぜ、咲」

                  「あんたにはその力があるのよ、咲」

 「思い出したよ……咲」

        「咲……」

                  「……咲」
   「――咲!」


               「咲さん!」


               「――行ってきます」



【AC3SL×咲】咲「これが、AC……」
――to be continued.

>>469
SLはキャラだけはある程度決まっていて、でもそれだけです
もし続きを書くとしたら、多分読んでくれた方が忘れた頃になると思われます

次回作に期待する、住人はそう判断した
ログ読み返してゲームやって待とうか

次回作期待!
超乙でしたー

贅沢をいえば最後にキャラのコードネームとの対比表が欲しいかな

乙でした

乙かれー

ACのEDは基本投げっぱなしだからこれでいいと思う

反応があるとやっぱり嬉しいです…!
>>473
一応それっぽいものが出来てますが、今日は時間が取れそうにないので明日にでも晒します!

完結おめ!
続編や番外編もいつか来て欲しい



>>475
元々のゲームもこんな感じだしね

こんばんはー!キャラ表を投下に来ました
>>475
そう言っていただけると気持ちが楽になります……!
>>477
続編は……あまり期待しないで待っていてください
このスレをHTML依頼した後は、多分趣味全開のSSを立てると思います

CAST(本名:レイヴン名/AC名)


宮永照:シャイン/アマテラス

レイヤードに存在したレイヴンの頂点。イレギュラー。
史上最短、無敗でアリーナのトップを降し、新たに伝説を築いた。
戦闘スタイルは様々で、どんな戦い方をしても負けることはない。
その戦歴や戦い方とは裏腹に、本人の性格は温厚である。
何故レイヴンを目指したかを憶えていない。


渋谷尭深:オペレータ

シャインの専属のオペレータ。彼女とは休日もたまに行動している。
お茶が好きで、よく嗜んでいる。
どんなときも、傍らでシャインを支え続けた。


弘世菫:リップハンター/ルージュ

アリーナには参加せず、企業からの依頼のみを遂行したレイヴン。もう一人のイレギュラー。
古くからの友人であるシャインとは対照的に、戦い方は一つで、精密な射撃を得意とする。
目覚ましい成長で実力を伸ばし、ミラージュにその力を恐れられた。
依頼のない休日に、友人達と炬燵で団欒するのが最近の楽しみだったという。


大星淡:オペレータ

リップハンターの専属オペレータ。彼女曰く「妹のような存在」。
いつも天真爛漫で、笑顔が絶えることはなかった。
娯楽、休日の過ごし方、女性の嗜み等をファナティックと共にリップハンターに教えた。



亦野誠子:アップルボーイ/エスペランザ

レイヴンの頂点であるシャインと同期のレイヴン。
なり立ての頃は実力的に危うかったが、中堅的な強さまで成長した。
シャインの友人の一人であり、彼女を尊敬している。


花田煌:オペレータ

アップルボーイの専属オペレータ。
非常に前向きで、同じくポジティブなアップルボーイとは良きコンビである。
過去に自分のミスで、レイヴンを一人亡くしている。


原村和:レジーナ/エキドナ

家に帰らなくなった父を探して、レイヴンになった少女。
後にシャインによって再会することができた。
ACに乗ると、普段の彼女からは考えられないような言動になる。
再会してからは父と二人で暮らしていた。現在消息不明。


船久保浩子:オペレータ

レジーナ専属のオペレータ。
オペレータとしての実力は一級品で、状況に応じて的確なアドバイスが出来る。
今でも消息不明になっているレジーナを探している。

菫さんの過去形が切ない



辻垣内智葉:ロイヤルミスト/カイザー

アリーナの高ランカー。シャインが出現するまでは3位だった。
顔が広く、交流関係が多いが、彼女の実態を知る者は一握りしかいない。
シャインの実力を認め、よき好敵手とした。また、彼女のおかげで少し温厚になった。


荒川憩:ワルキューレ/グナー

アリーナの高ランカー。いつも白衣を着ている。
レイヴンをしている傍ら、病院を経営している。レイヴンが怪我をした場合は良く利用される。
よくロイヤルミストと行動している所が目撃されている。


松実宥:ツインヘッドB/パトリオット

アリーナの低ランカー。
妹を殺したのはリップハンターであると思いこみ襲撃するが、返り撃ちにあう。
その場で拾われ、彼女の家に住むようになった。
普段は気弱な性格だが、仲間がピンチの時には頼れる存在である。
リップハンターの、家に帰る理由の一つだった。


新子憧:ファナティック/レッドアイ

作戦に挑む時は必ず僚機を雇うレイヴン。
一緒になったリップハンターに牙を剥くが、無力化された。
その後は何故か彼女に懐き、ツインヘッドBと共に家に住み込む。
彼女もまた、リップハンターの家へ帰る理由だった。



赤土晴絵:エース/アルカディア

アリーナの元ランク1。シャインが現れるまでは無敗だった。
自分の実力を過信しているところがあったが、シャインに敗れ、自身の力をみなおした。
現在は、自身の力を利用して、皆にとっての理想郷を目指している。


赤坂郁乃:BB/タイラント

アリーナの元ランク2。長年アリーナの上位に存在した猛者。
本人はのほほんとした温厚な性格だが、黒い噂が絶えなかった。
若い可憐な女性を弄るのが好きで、新人の女性レイヴンは必ずチェックしている。


小走やえ:ゲド/ゲルニカ

アリーナにおいて初心者の壁と言われたレイヴン。
レイヴンとしてのキャリア、顔の広さから敢えて低ランクに甘んじていると思われる。
相手を倒す戦いではなく、相手を伸ばす戦いを好む。
彼女を倒すことが出来て、やっと半人前と言えるだろう。


百鬼藍子:トラファルガー/ダブルトリガー

消息が途絶えた友人を探しているレイヴン。
以前はその友人と共に数々の依頼をこなし、名コンビとして知られていた。


小瀬川白望:アデュー/スカイダンサー

アリーナで万年最下位だったレイヴン。
実力がないのではなく極度な面倒くさがりで、ACを動かすことすら放棄する為、順位を上げることが出来なかった。
最近になってまともにACを動かし始め、連戦連勝するようになった。



清水谷竜華:ストリートエネミー/スタティック・マン

同じくレイヴンであったクライゼンとは親友であり、良く公園で膝枕をしていた。
彼女とはしばらく疎遠になっていたが、理由は不明である。
結局、その理由は最後まで知ることができなかった。


園城寺怜:クライゼン/インソムニア

ストリートエネミーとは親友だったレイヴン。
彼女と共に成長し一級のレイヴンになったが、敵として出会ってしまい、敗れた。
元々病弱だったが、最近はそれが酷くなっていた。
AC名である「インソムニア」とは、不眠症の意である。


松実玄:ツインヘッドW/スクリーミングアニマル

ツインヘッドBの妹。生前はコンビとして活躍していた。
ミッション中に戦死。


対木もこ:ファンファーレ/インターピッド

以前は快活な少女だったが、ある日を境に別人のようになった。
常に包帯を巻いていて、何を喋っているのかわかりづらい。
リップハンターと共にシャインを倒そうとするが、敵わなかった。
かつて共に戦った友を、最期まで思い出すことはなかった。



白水哩:ノクターン/ザイン

一撃必殺とも言えるブレードを扱うレイヴン。
元はコンビを組んでいたが、相方が戦死した後は一人で行動するようになった。
ミッション中にアップルボーイに敗れて死亡。彼女とは文字通り死闘を繰り広げた。


瑞原はやり:ミルキーウェイ/ネージュ

アリーナの自称アイドル。いかにもな口調ではあるが、ACの腕は本物。
有名な彼女だが、本名も、住居も、年齢も、それを知る者は誰一人として居ない。


江口セーラ:フライングフィックス/フラッグ

アリーナの高ランカー。
タンク型のACで、火力が非常に高い構成。
あるミッションで弾切れを起こし退却するが、どうやって弾切れになったのかは謎である。


Megan Davin:ファウスト/メーガス

アリーナでは有名だったレイヴンの一人。
黒い噂が絶えなかった。
シャインに敗れてからはアリーナに参加しておらず、行方が知れていない。


田中舞:フィクサー/アインハンダー

ランクに似合わぬ高額な装備で固めたACに乗っていたレイヴン。
八百長疑惑がかかっていた。
アリーナからは登録を解除され、本人も行方不明。



木村日菜:フレア/ダイナモ

攻撃する装備はミサイルのみという機体に乗っていたレイヴン。
ある作戦でバックブレイカーと共にシャイン達を待ち構えるが、あえなく戦死。


丸瀬紀子:バックブレイカー

タンク型のACに乗っていたレイヴン。装備が高火力では無い為決定力に欠けていた。
それがアダになったのか、一矢報いることができずフレアと共に戦死。


椿野美幸:パーティープレイ/ジョーカー

とある富豪の家の一人娘。そんな彼女が何故レイヴンになったのかは不明。
特徴的な口調で親しまれている。
最近グレネードが嫌いになったらしい。

こんな感じで……どうでしたでしょうか……?(恐るおそる)

これまでの話を思い出して面白かった
しかし振り返ってみるとさすがAC、不幸な終わりを迎えてるキャラも多いな

乙です
アインハンダーって見るといつもSTGの方を思い出しちゃう

>>489
不幸すぎたかなと思ったら、本家も大概でした
>>490
横シューいい…R-TYPEとか大好きです

HTML依頼出してきます

えー、最後まで読んでくださってありがとうございました!
初SSを投げ出さず完結させられたのは、ひとえにみなさんのレスがあったお陰です!
書いていると、乙の一言でもクッソ嬉しいと覚えました
ではまたいつかのスレで!

乙、一年半だっけ?楽しかった

乙乙~
キャラ表まで見れて満足でした

改めて乙でした
そういえば咲のキャラって譲治は言わずもがなだけど
咲の父親、カメラマンの山口、菫さん、ハギヨシ、純が中の人がAC乗ってるんだよね
はやりんはシステムボイスだし、南浦の爺さんは企業の声やってるし

ああ、終わってしまった
ずっと話を追いかけていた身としては感慨深いけれど、
やはり寂しくもあるな

ともあれ、長期間、本当にお疲れ様でした
存分に愉しませていただきました

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