衛宮士郎「その後の日常と非日常」 (184)

Fate、アンリミテッド編の続きの妄想です。

オリジナルキャラが出ます。アトラクシアまでしかやったことがないので話の整合性、その他もろもろご勘弁を。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1434213437

時計塔 魔術協会 住居管理区域




士郎「はぁ、弟子の立場とはいえ。遠坂と同じ部屋って聞いたから色々期待してたけど……まさか家が地下にあるとはな。息苦しそうだ」




凛「なに勘違いしてんの、住居は外のアパートよ。ここは工房として使うの、ほらさっきとあなたも手続きして」


士郎「それは何より。遠坂ならケチって工房に住み着くとか言い出すかと思って」



凛「…………」



士郎(考えてたのか!?)



???「あらミス・トオサカご機嫌よう」


凛「げ、なんでアンタがここにいるのよルヴィア……」

ルヴィア「別にアナタに会いに来たわけじゃありませんわ。偶然ですわ偶然」




士郎「知り合いか?」




凛「まぁね……入学手続きの時に少しね」




ルヴィア「あら、アナタ?」




士郎「初めまして、衛宮士郎です。よろしく」




ルヴィア「……アナタ何処かでお会いしました?」




士郎「? いえ初めてだと思うけど?」

ルヴィア「そう……まぁいいですわ。それより、ミス・トオサカ! 私見損ないましたわ!これから一流の魔術師になる為の試練に赴くというのに男連れで来るなんて!」


凛「そう? 結構そういう人達いっぱいいると思うけど?」


ルヴィア「私はあまり感心しませんわ! ・男子厳禁! 訓練第一!」


凛「どこの女子プロよ……言っておくけど士郎は私の弟子なの!やましい事はしないわ!」


士郎「えっそんなーぐぉ!?」脇腹手刀

凛「ばかっ!!」

ちょっと修正します

ルヴィア「別にアナタに会いに来たわけじゃありませんわ。偶然ですわ偶然」


士郎「知り合いか?」


凛「まぁね……入学手続きの時に少しね」


ルヴィア「あら、アナタ?」


士郎「初めまして、衛宮士郎です。よろしく」


ルヴィア「……アナタ何処かでお会いしました?」


士郎「? いえ初めてだと思うけど?」


ルヴィア「そう……まぁいいですわ。それり、ミス・トオサカ! 私見損ないましたわ!これから一流の魔術師になる為の試練に赴くというのに男連れで来るなんて!」


凛「そう? 結構そういう人達いっぱいいると思うけど?」


ルヴィア「私はあまり感心しませんわ! ・男子厳禁! 訓練第一!」


凛「どこの女子プロよ……言っておくけど士郎は私の弟子なの!やましい事はしないわ!」


士郎「えっそんなーぐぉ!?」脇腹手刀


凛「ばかっ!!」

ルヴィア「弟子ね……ふむふむ。正直なところ魔術師かどうかも怪しいところですわ。魔術回路が少し多いくらいで特に変わったモノは……うーんやっぱり何処かで見たような……」


士郎「」ドキドキ


凛「」無言の手刀


士郎「グッ!? さっきからひどいぞ!」


ルヴィア「はいはい……イチャつくなら他所でやってほしいですわ。ともかく、私に勝ちたいなら死に物狂いで鍛えることね!」スタスタ


士郎「……遠坂負けたのか!?」


凛「負けてないわ。バックドロップを食らっただけよ! アンタも気を付けなさいアイツ日本人嫌いなんだから!」


士郎「そんな悪いやつには見えないけどな……」


時計塔 周辺の街


凛「さ、アパートに戻って荷物の整理よ」


士郎「家具とか電化製品はこっちで買うんだよな? なんか当てあるのか?」


凛「別に。安くて使えればどこで買ってもいいわ」

士郎「近くに電気量販店でもあれば……お?」トコトコ


凛「何よ士郎、落ちてるチラシなんか拾って?」


士郎「見ろよ凛、これ改装セールって書いてあるんだろ多分」


凛「そうだけど……ちょっとどさくさにまぎれて凛って!」

士郎「いいだろそろそろ? 特に人の目もないわけだし」


凛「嫌よ、その、まだダメ!」


士郎「なんで……まぁそれよりそれ、よく読んでくれよ」


凛「んと、オールドストーンモール……リニューアルの為一時休業、全店割引。へぇいいわね」


士郎「色々買い揃えるのに良さそうだろ?」

凛「そうね、明後日スタートか。一日二日くらい不便でもしょうがないないわね」


士郎「あぁ、……なんかこういうの楽しいな」


凛「……そうね。入学式は来週よ、それまで生活環境整えないとね」


凛「ちなみに明日は工房の整理よ! 荷物いっぱいだから体力使うわよ。……言ってる意味分かる?」



士郎「あぁ! 力のつく料理は任せておけ!」


凛「…………違うわ、バカ」


次の日 ・時計塔 地下 ・凛の工房



士郎「うわぁ広いなぁ、家のアパートより広いんじゃないか?」


凛「そうよ。値段も倍なんだから!」


士郎「そ、そうか。まぁなんだ、頑張ろうな」


凛「当たり前よ」


コッコッ


士郎 凛「ん?」・


???「どうもこんにちは……」


凛(日本語……)「どなたかしら?」


フルイシ「初めまして。私はフルイシ・ミツド・パフマと言います。アナタの先輩に当たりますね。よろしくお願いします」握手


凛「あら、これはご丁寧に。遠坂凛よ、よろしく」握手


士郎「凛の弟子の衛宮士郎です、よろしく」握手


フルイシ「えぇ、よろしく」


凛「日本人かしら?」


フルイシ「はい。もっとも日本よりもイギリスに住んでる時間の方が多いですが……少しお時間よろしくですか?」


凛「ええ、まだ散らかってるので上のテラスで」


フルイシ「はい」ニッコリ


テラス



凛「スカウト?」


フルイシ「はい、我がクルイド魔術会に入会して欲しいのです」


士郎(どういうことだ? サークル勧誘みたいなものか?)


凛(どうかしらね……)「クルイドって魔術師聞いたことあるわ。ここの研究者ね。」


フルイシ「はい、そうです。聡明な方です。何の研究かは教えられませんが、偉大な研究をしています。私はそこの研究員の一人で彼は私の師であります」


凛「で、私にその魔術会に入れと?」


フルイシ「そうです。我々は常に向上心ある同胞を探さしております。優秀な魔術師には声をかけてます。アナタのように」


凛「優秀なんて言われて悪い気はしないけど、アナタの師匠に目をつけらるほど名が売れてるとは思えないけど?」


フルイシ「ふふ、アナタは自分が思ってる以上に有名人のようですよ?私は知りませんが私の師、その周りの地位にいる人々は何故かアナタに注目しています」

凛「…………私の後見人は知ってるわよね」


フルイシ「はい、もちろん。しかし彼の人は魔術はともかく、弟子のプライベートには関心はないはずですが?」


凛「まぁね。基本あまり干渉してこないからね」


フルイシ「師の命で、アナタに実際会ってみて思いました。アナタがどう特別かは分かりません。ここにはそういう方はいっぱいいますが、そのなかでも、そう、何か大きく、恐ろしい神秘を経験したような光を感じます」


凛「……アナタ目が」


フルイシ「はい、見えません。この目は義眼です。ですがそれ以上に強い色を感じることが出来ます。そういった意味では私も特別ですが、フフ」


凛「断ったらどうなるのかしら?」


フルイシ「ハハッ。やっぱりアナタは特別ですね。そんな物騒な話じゃありません。よくある勧誘ですよ。……そう悪い話じゃありません。我が魔術会に入れば手厚い援助が得られますよ?」


凛「」ピクン

フルイシ「我がクルイド魔術会は他の魔術会よりも豊富な資金があります。優秀な魔術師が資金が得られず大成を成せないことは悲しいことです」


凛「そうね……」


フルイシ「今日返事を貰えるとは思ってません。ただのご挨拶です。これを、私の話に付き合ってもらったお礼です」ペラ


凛「これ……株主優待のチケット?」


フルイシ「時計塔近くに私達が管理するお店や企業があります。そのチケットがあれば色々便利ですよ」


凛「……一応貰っておくわ」


フルイシ「ふふ、ではまた」


凛のアパート



凛「疲れたわ……」


士郎「荷物整理に長話……。あの勧誘受けるのか?」ホウチョウトントン


凛「未定よ。まだ決められないわ。魅力的だとは思うけど」


士郎「実際ああいうのはいずれ入るんだろ? まぁ凛の先生がどう言うか気になるんだろうけど?」ナベグツグツ


凛「あの人は弟子のすることに是非はしないわ。……助言くらいはくれるだろうけど」


凛「今は新生活の準備が先よ。一応クルイド魔術会は調べるけどね」


士郎「そうか。よし出来た『肉じゃが』だ! ソースじゃなくてちゃんと醤油味だぞ!」


凛「わーありがとう士郎愛してるわ」



士郎「ぐ、そういう時だけズルいぞ」



第一話 了

全6話のお話です。
今回のFateは最初に書いた通りhollouまでしかやっていないのでかなり偏った感じになるので次の話も出来ていますが、この話が問題あるようなら今回までということで。明日スレが残ってたら投稿します。

スマホのメモ帳で書き留めしてここに載せてるわけなんですが、凄いズレるんですよね。
どうすればいいのか、アドバイスがあれば嬉しいです。

第二話 やります。

オールドストーンモール


士郎「人がいっぱいだな。目当てのモノが売り切れなければいいけど」


凛「士郎迷わないでよ、アナタの英語まだまだなんだから」


士郎「ヘイヘイ。しかしなんだな、生活用品、家具、家電、洋服。お、銀行まであるんだな」


凛「そうね。都会のはずれにこんな大きな複合施設があるなんて、まぁどこでも田舎はこうなるのかしら」


士郎「よしまず家電か、冷蔵庫と電子レンジ……炊飯器ってあるのか?」


凛「……あることを願いましょ」


買い物中


凛「えーとメモしたヤツの内、大きい物は配送してもらったから、あとは小さいヤツかな……」


士郎「そうだな、それにしてもあの貰ったチケット早速使えたな」


凛「……ホントはあまり使いたくなかったけど、やっぱり背に腹は変えられないわね」

士郎「背に腹。……小腹が空いたな」


凛「あそこにベンチがあるわ、少し休みましょうよ」


士郎「じゃあ俺何か買ってくるよ、遠坂は何か食べるか?」


凛「私は何でもいいわ」


士郎「分かった」


凛(これ……なんとなく買い物に来たけど、デートよね)


士郎「遠坂? どうした?」


凛「ん、あ、いや、やっぱり向こうで売ってたアイスクリームがいいかな……なんて」


士郎「お、あれ美味しそうだったな。何味がいんだ?」


凛「士郎と同じでいいわ」


士郎「よし待ってろ」タッタッタッ


凛「ーーふぅ」(……不安もあったけど、今はちょっと幸せかも)


凛(……あれ? 疲れが溜まってたのかしら、ねむ……)


???「」

士郎「悪い、遠坂なかなか混んでて……あれ? どこいったんだ? 遠坂!遠坂 ー!」


ルヴィア「ミス・トオサカがどうしまして?」


士郎「わぁ!! えっとアンタはえーと」


ルヴィア「そういえば名前を名乗りませんでしたわね。私はフィンランドの魔術師の名門エーデルフェルト家当主。ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトですわ」


士郎「え、エーデルフェルト。……俺は士郎、衛宮士郎。日本人だ」


ルヴィア(衛宮、エミヤ……まさかあの殺し屋に子供なんて)


士郎「どうしたんだ?」


ルヴィア「何でもありませんわ。それよりミス・トオサカが何か?」


士郎「いや、突然いなくなって……トイレかな?」


ルヴィア「ふふ、あらあらもしかして迷子ですの?」


士郎「いや、さっきまでこのベンチに座ってて……エーデルフェルトも買い物?」


ルヴィア「違いますわ。ここを管理してるオーナーがーー」


執事「お嬢様ー!」

執事「勝手に行かれては困ります」


ルヴィア「ジィ。私は一人でアイスクリームくらい買えます!」


執事「しかしですねーー」


士郎「アイスか? これ遠坂の分なんだけど代わりに食べるか? 溶けちまうからな」


ルヴィア「アナタに恵んでもらういわれはないですわ」ギロッ


士郎「そうですか」(日本人嫌いね…)


士郎「とりあえず携帯に……アイスが邪魔だな。なぁ悪いけどアイス持っててくれないか?」


ルヴィア「」ムカッ!


パシッ! ガブ!ガブ!


士郎「お、おー。あっという間に……」


ルヴィア「!?」キ~~ン ・ウズクマリー


士郎「そりゃそうなるだろ……」


ルヴィア「う、う~ん、うん? これは」ペラ


士郎「どうした?」


ルヴィア「この紙切れ、魔術の触媒にされた形跡があるわ」ペラペラ


士郎「まさか……《ピッ!》遠坂、遠坂っ! 電話が繋がらない?!」


ルヴィア「ジィ。オーナーに連絡を。この区域で怪しい人物がいないか監視モニターで調べるよう言って」


執事「畏まりました」


ルヴィア「シロウと言いましたね。アナタ私と来なさい」


士郎「分かった!」

改修工事現場


士郎「モールの裏側はもう改修工事が始まっているのか……こっちに遠坂がいるのか?」


ルヴィア「さぁただの直感よ」


士郎「ただの勘って!そんな……」


ルヴィア「魔術師の直感と、 常人の山勘を一緒にしないで欲しいですわ!」


士郎「そういうものなのか?」


ルヴィア「……アナタ結構冷静ね。慌てふためくかと思ったけど」


士郎「心配してるさ。でも遠坂はそんな簡単にどうにかなるようなタマじゃない」


ルヴィア「ふふ、あの激情女の恋人なだけはあるのかしら?」


士郎「激情女ってーー


バァン!!


士郎「今の!?」


ルヴィア「奥ね、急ぎますわよ!」


凛「オラオラオラッ!!」ガンド撃ち


バシュバシュ!!


人間サイズの紙人形「オーーーン」


呪いの塊が当たるがよろけるだけで凛に迫る


凛「ちっ、イマイチね」


紙人形「オーーーン」バュッーー!!


凛「腕が伸びる!? くっ!?」


ギリギリでかわす凛。伸びた腕が工事中の鉄パイプに巻き付き潰す


凛「ヤバいわね」


士郎「遠坂ーー!!」


凛「士郎!!」

ルヴィア「喰らいなさい!!」ガンド撃ち


バババッ!!


凛「なんであんたがっ!?」


ルヴィア「効きが悪いですわね!」


凛「もう、なにがなんだか! アイツに呪いは効かないわ!」


ルヴィア「ならーー!!」


ルヴィア(マジックサーキット・フルスロットル!! ・)


ルヴィア「脚と大地と腰の大回転!!」


ルヴィア「どおりゃああーー!!」


トールハンマー!!(ラリアット)


紙人形「オ、オーーーン」横真っ二つ!!


ルヴィア「フン。魔術と肉体の融合、これがエーデルフェルト流ですのよ!」


凛「相変わらず非常識ね……」

紙人形達「オーーーン」


凛「まだ三体も!ルヴィア危ない! 腕が伸びるわ!捕まったら終わりよ!!」


ルヴィア「こんな鈍い動きなら!」


紙人形「オーーーン」ブンッ!


ルヴィア(コンクリートの袋!?)


ルヴィア「チィッ!」ガンド撃ち


穴だらけになる袋、中の粉が散乱する


ルヴィア「ゴホッゴホッ、ハッ!?」


紙人形「オーーーン」ブオッ!


士郎「オオオオッ!!」


ザクザクザクザクッ!!


紙人形「オ、オ、オ……」


細切れになる紙人形


士郎「悪いトレースが遅れた! 大丈夫か?」


ルヴィア「え、えぇ……投影魔術?」

士郎「行くぞ紙切れ!!」


干将・莫邪を構える士郎


凛『軽量ーー重圧ーー』


士郎「オオオオッ!!」


風の如く疾風る士郎 ・交差する斬光


紙人形「「オ、オ、オ、オーー」」


切り裂かれ、ただの紙に戻る人形達


士郎「ありがとう遠坂」


凛「お安いご用意よ」

ルヴィア「ミス・トオサカ!!」ガバッ


凛「うわ!? 何よ!?」


ルヴィア「説明しなさい」


凛「私にも分からないわ。もしもの時の為に身に付けてたタリスマンのお蔭でー」


ルヴィア「そうじゃないですわ! それも後で聞きますが……衛宮士郎の事です!」


凛「あっ」


ルヴィア「彼、『本物』を出しましたわ」


凛「そ、そうかしら? ただの双剣だったと思うけど」


ルヴィア「このルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトの名前と先祖とその他もろもろにかけてあれは本物の『干将・莫邪』ですわ」


凛「ま、まさか似てるだけよ」


ルヴィア「とぼけるんじゃありません! どんなに有り得ない事か知らないアナタじゃないでしょう!?
今の在校生、いやマスタークラスの魔術師でも本物の『概念』まで投影できる人間なんて聞いたことありませんわ!」

凛「そ、そんなことないわよ?」ニヤニヤ


ルヴィア「彼氏を褒められてニヤついてるんじゃありませんわ!」


士郎「あ、あの……」


ルヴィア「ねぇシロウ。さっきのもう一回見せてくれないかしら?」


士郎「いや、そのあれくらいのヤツでも結構大変で……」


ルヴィア「『あれくらい』? あれくらいぃー!? アナタの投影したものは本来ならこの世に存在しない、出来ないものなのよ?
似たような形のモノは出来てもそれは似たような別のモノであって本物の奇跡を起こす…………待って、もしかしてあなた他にも出来るの?」


士郎「まぁ、うん、一応……」


ルヴィア「…………さっきの宝具よりも奇跡的なものを?」


士郎「は、はい……」


ルヴィア「ミス・トオサカ。今すぐ魔術協会に進言して彼を第一級特待魔術師候補者にするべきですわ!」

凛「待ってルヴィア! お願いよ、士郎の事はまだ秘密にしておいて。まだ色々と問題があるのよ」・


ルヴィア「アナタねぇーー」


士郎「俺からもお願いする。まだ魔術師として何もかもが未熟なんだ。自分の力をどんな風に使えるか、自分で確かめたいんだ」


ルヴィア(チラチラ)「すぅーーーはぁ~~~。……分かりましたわ……」


凛士郎「ホッ……」


凛(固有結界の話なんかしたら、下手したら士郎協会に封印されちゃうわ)


ルヴィア「 ….そうね、わたくしも彼に興味が出て来ましたわ」

凛「はぁっ!? 何を言ってるの?」


ルヴィア「そのままの意味です。ねぇ、シロウ? 我が屋敷に招待しますわ。アナタの事もっと教えてくれませんこと?」ガシッ


士郎「えぇ、あの、その、 エーデルフェルト!?」アセアセ


ルヴィア「ルヴィアでいいですわ♪」


ブチッ


凛「や~~っぱりアンタとは最後まで決着着けないといけないらしわね!!」


ルヴィア「ホーホッホ! 望むところですわ!!」

凛に迫る何かの陰謀、士郎に興味を持ち始めるルヴィア。何もかもが今始まろうとするのでした!




第二話 了

次の話はまた時間が取れたら載せます。
二日三日くらい?には載せたいです。

括弧をつけると勝手に間を空けてくれるのを今日知りました。やっと慣れてきた気がします。

またよろしくお願いいたします。

第三話 始めます。

ルヴィア邸 客間




士郎「立派な屋敷だなー遠坂家くらいあるかな」


凛「どうでもいいわ……」


執事「お飲み物はいかがなさいますか?」


凛「紅茶で」


士郎「自分も同じで」


執事「畏まりました」カチャ


ルヴィア「さて。正直わたくしはシロウの事を詳しく聞きたいですけども、アナタが襲われた事についても喋ってもよろしくてよ」


凛「士郎、帰るわよ」


士郎「まぁ待てよ。ルヴィアがいたおかげで遠坂の場所が分かったんだ。今回の事も協力してくれるようだし、な?」


凛「はぁ……。ホントついてないわ」

士郎「で、実際どうしてあんなとこいたんだ?」


凛「意識を奪われたというか、気付いたら眠らされたのが近いかしら?
どうやって私を連れて行ったかは分からない。気付いた時は、あの紙の人形が私を襲ってきて……いや多分私を抑えつけようとしたんだわ。私が抵抗したから襲いかかったんだと思う」


士郎「よく気付いたな」


凛「護身用の宝石が私を覚醒させたのよ、でもおかしいの」


士郎「眠らされた時に発動しなかった?」


凛「それもあるけど……。私は魔術に対する抵抗措置をしているの。例え無意識でも私に対して呪いのようなものを仕掛ければ私は気付くし、ある程度の抵抗が出来る。けど今回はそれが効果がなかった。……私は何か物理的な、科学薬品を使われたと思うんだけど」


ルヴィア「あるいは間接的に呪いをかけたのかも」

凛「どういうこと?」


ルヴィア「これを見なさい。今もう感じませんが、拾った時には微かな魔翌力を感じました」


士郎「ルヴィアが遠坂のベンチで見つけた


紙きれだな」


ルヴィア「えぇ。調べたところ、わたくし達を襲った紙人形と同じ紙質のようですわ」


凛「見せて……何も書いてないわね。六センチ三センチくらいの長方形、紙の種類は分からないけど、特に特別な紙にも思えないわね。今は何も感じないってことは本当に僅かな魔翌力だったのね」


士郎「気付かないか?」


凛「うっ!? 意識してないと分からないわ」


ルヴィア「私は気付きました。おおかたデートに浮かれてたんでしょう?」


士郎「遠坂おまえ……」


凛「うるさいわね! こっち見るな!相手が上手にやったんでしょ!」


ルヴィア「……その紙、本当に何も書いてないのか、それとも何か書いてあったのか」


凛「そうね。やってみましょう」

士郎「なんだ?」


ルヴィアは最初から察していたのか水差しとペーパーナイフを持ってくる。


凛「私がやるわ。……っ」


凛は自らの指を軽く切ると滲み出た血を水差しに垂らした


凛「この水は聖水、本来なら穢れるとその力を失うのだけれど魔術師の血を混ぜるとちょっとした検査薬になるの」


凛は皿の上に紙を置き、その水をかける


。しばらくすると白い紙にうっすらと赤い文字のようなものが浮かび上がってきた。


士郎「これは……」


凛「見えないように細工された魔術式よ。最初から見えないようになっているか、術を使用すると消えたりだとか色々あるけど」


凛「血の色で見えるようにしたの。私の血に含まれる僅かな魔翌力と消えた術式を結びついて、聖水の魔を祓う力で浮き上がらせたのよ」

士郎「なるほどな。……で、この浮き出た模様と紙の感じといい御札みたいだな。神社とかお寺で見たような感じだけど」


凛「梵字……に見えるけどちょっと違うわね」


ルヴィア「梵字を崩して別の魔術系統の魔方陣に組み込んだのかしら……ここまで弄るとほとんどオリジナルですわね」


凛「参ったわね、私こっち系の魔術は疎いわ」


ルヴィア「日本に住んでいたのに情けないですわね!」


凛「うるさいわね! 日本の魔術はいろんな文化が入り乱れてガラパゴス状態なのよ!お盆を迎えてクリスマスを祝うのよ!」


ルヴィア「日本人はまったく……」

士郎「ん~。あの紙人形といい、札といい


陰陽道ぽいけど、確かあれって魔術じゃないんだよな?」


ルヴィア「いえ陰陽道は魔術に通じるものですけど……紙人形はともかく、基本的に他の魔術と同じ呪術を使う以上、魔翌力を使うはずですわ。仮に呪術をかけるくらいの魔翌力を込めた場合、普通の魔術師ならそれに気付くはずですわ」チラッ


凛「ふん! ……けど士郎が当たりかも。相手は陰陽道に精通してるわね」


凛「陰陽道系の魔術は瞑想、トランス状態が基本にあるの。私達の魔術でももちろん使うけど、こっちの基本は集中。意識を自然に戻すやり方は向こうが上手いの」


ルヴィア「なるほど、そういうことですの」


士郎「え、どういうことだ?」

魔翌翌翌力ってでるのはなせだ…。
魔翌力です。

凛「無理矢理、眠らせたんじゃなくて『自然に眠らせた』のよ。体をゆっくりと自然体させて自発的に眠気を起こした。確実じゃないけど気付かれずに相手を眠らせられるわ。そして、そう私が眠ってしまったあとに、呪文で『本当に』眠らせたんだわ」


士郎「相手の目的はなんなんだ? わざわざそんな周りくどい手を使って遠坂を誘拐するなんて。……何か恨まれたりとかあるのか?」


凛「………………」


士郎(わりと思い当たることがあるようだ)


ルヴィア「ふん。相手を見れば分かることですわ」


凛「どういうこと?」

ルヴィア「わたくしあのモールの新しいオーナーと知り合いですの。今日だってそのオーナーに食事会に誘われましたのに緊急の用事が出来たとかで無しにされて……本当に無礼ですわ!やはりーー」


凛「ちょっとちょっと、そうじゃなくて相手を見ればってどういうこと?」


ルヴィア「防犯カメラの映像を寄越すよう言いましたの。ミス・トオサカを襲った犯人が写ってる可能性は高いでしょう」


士郎「凄いなルヴィア!」


ルヴィア「ふふふ。これが出来る淑女ですわ!」


凛(どういう淑女よ……)


執事「お嬢様……それが……」


ルヴィア「どうしたの?」


執事「はい……向こう方が言うには改装工事で電気回線の一部を止めており、外の防犯カメラは起動されてないとのことで……」


ルヴィア「なんて使えないのかしら! それとも協会に繋がってるのをいいことにエーデルフェルト家を舐めているのかしら!?
ジィ! もう二度と関わらないようにしなさい!」


執事「はいお嬢様」

凛「……ねぇ、オールドストーンモールって協会の会社なの?」


ルヴィア「このロンドンの、特に時計塔まわりにある大きな企業は魔術協会と何らかの関わりがありますわ。あのモールはそもそもクルイド魔術会の所有物だったのだけれど、さっき言った違う会社のオーナーが買い取ったのよ」


士郎「……クルイド魔術会」


凛「まさか昨日の今日よ? ……でも今のところそれ以外に繋がりが見えないわ」


ルヴィア「知っていますの?」


士郎「あぁ、昨日遠坂がその魔術会に誘われたんだ」


凛「今思えば、あの株主優待チケットはモールに誘き寄せる罠?」


士郎「けれどオールドストーンモールに行くなんて言ってないぞ?」


ルヴィア「……怪しいことこの上ないわね。ジィ!」


執事「はいお嬢様」


ルヴィア「クルイド魔術会について調べて。…………ついでにオールドストーンモールとその新しいオーナーについてもね」


執事「わかりました」


ルヴィア「……ミス・トオサカ、これは借りですわよ?」


凛「何言ってんの、その借りは士郎が紙人形から助けた事でチャラよ」

ルヴィア「ならシロウに借りですわ!ねぇシロウ? なんでこの女をパートナーに選びましたの?」


士郎「え、遠坂はいいやつだぞ?頼りになるし、俺に魔術を教えてくれるし、ロンドンまで俺を連れて来てくれたし。……なんだかんだで優しいしな」にっこり


凛「む~~~~」顔真っ赤


ルヴィア「……………」


士郎「ん?」


ルヴィア「ふーん……アナタ日本人の割りになかなか紳士ね。ますます気に入ったわ」


凛「ちょっとぉ!」


ルヴィア「シロウ、アナタ今夜はここに泊まりなさい。アナタの事よく教えてくれるのでしょう?」


士郎「え、あの遠坂は?」

魔力

ルヴィア「ミス・トオサカ、アナタも泊まりなさい。アナタが襲われるのは構わないけどシロウが同じ目に合うのは可哀想だもの」


凛「ムッ!……そうね、そうするわ。もちろん士郎と私は同じ部屋にさせてもらうわよ。……ねぇ士郎?私襲われたショックで眠れないわ。……眠れるまで一緒にいましょ?」


士郎「お、おい、遠坂!?」


ブチッ


ルヴィア「我が屋敷のベッドを汚す覚悟があるなら、まずはこの家の主を倒してからにすることね!」袖チギリッ!!


凛「人の弟子にちょっかいかけて偉そうに言ってんじゃないわよ!」八極拳の構え!!


士郎「またかよっ!」

全部の投稿にsaga 入れた方がいいのかな?
とりあえずいつも通りやります。

翌日の朝 ・時計塔近くの通り




士郎「いいのか工房に行くなんて。ルヴィアからの情報を待ってからでもいいんじゃないか?」


凛「入学式まであと四日よ?一日だってもったいないわ。それに向こうから仕掛けてくれた方が手っ取り早くていいわ、返り討ちよ!」


士郎(昨日の誘拐未遂で不覚をとったこと相当根に持ってるな……当たり前か)


士郎「しかしルヴィアが聖杯戦争の事知ってたなんてな。……昨日の事といい、あいつ味方になってくれると頼もしいな」


凛「味方じゃないわ、敵よ敵!あいつにやられたノーザンライトボムのせいでまだ首が痛いわ!」


士郎「あははは……」(その後二人でお風呂入ってたのはなんなんだ……)


凛「!?」立ち止まる凛


士郎「どうした!?」

凛の視線の先を追うと高そうなスーツに身を包んだ白髪の男が立っていた。


???「……初めてましてだね遠坂君。私は時計塔第二魔術研究機関室長、そしてクルイド魔術会の長でもある。クルイド・メルフェール・サナモンだ。……よろしく」


男は握手でも求めるように士郎達へ近づく


。前に出る士郎を凛が止める


凛「……お会いできて光栄ですわ、ミスター・クルイド。しかし残念ですわ『昨日の件』のせいで右手を痛めてますの。握手は無理そうです」


凛の言葉に立ち止まると男はすまなそうな顔で両手を広げた。


「流石だ遠坂君。いや、本当にすまない。謝ってすむ問題ではないがね。『アレ』はこちらの伝達ミスなんだ……あ~お時間いいかね?そっちのボーイフレンドも?」


凛「……えぇ」

某コーヒーショップ




クルイド「学生の頃はこのようななんの風情もない喫茶店は嫌いだったのだが。忙しい身になり、こちらの方が正しい形のようにさえ思うようになった。金を払いコーヒーを買う。それだけでいいと思える人間が余った時間で世の中を動かすのだ」


凛「……私達とのおしゃべりも無駄な時間ですか?」


クルイド「ハッハッハッ。皮肉を言ったわけじゃないんだ。えーと今ちょうど9時だから……331時間振りに時計塔を出て少し気分が高ぶってるんだ。……日本語上手だろ?日本のビジネスマンとやり合う為に覚えたんだ。あいつらなかなかヤり手でね、こっちも儲けたが奴らはもっと儲けたよ。……おっとすまない無駄話が過ぎたな」


凛「いえ。失礼かも知れませんが、思ったより明るい方で驚きましたの」


クルイド「フフ。まぁ魔術師で更に研究者なんて社交性や人間性なんてありゃしないのが大半さ。私は結構お話好きの、人間好きでね。人と関わるのが好きなのさ。研究のインスピレーションはいつも他人との会話が始まりでーー」

凛「話を! 遮って悪いですが、さっきの返し、昨日の件、クルイド魔術会が関わってるを認めるのですね?」


クルイド「あぁそうだよ」


士郎「……おい、あんたふざけてんのか!?」ガタッ


クルイド「おいおいやめてくれよ恋人君、君に睨まれると私は怖い」


凛「士郎待って」


士郎「遠坂にしたこと分かってのか?何をしようとしたかは知らないが、遠坂に乱暴したのがアンタだって分かった以上俺はアンタを許さない」


クルイド「いや、ホントすまないね……。私はあんな命令だしてないんだよ。私はフルイシを使って平和的に君達を仲間にしたかったんだが、私の研究チームには早く研究を進めたい連中がいてね。勝手に物事を進めたのさ」


凛「……単刀直入に聞きます。アナタ達は私の『何が』欲しいのですか?」

クルイド「……君自身優秀さ。経歴を見たが才能と努力を感じる」
クルイド「だか何より!」
クルイド「『あの戦争』を体験した証を持っている!刻まれた魔術師の証を持っている!」
私が欲しいのは令呪が刻まれた君の魔術回路だ

冷たい空気が流れる。


凛「言っている意味が分かってるの!? 『内蔵をくれ』と言っているのと同じようなものよ!」

クルイド「分かるよ君達より大分先輩魔術師さ。よくわかる。でも研究させて欲しいんだ」

凛「もう令呪は消えたわ! 何も残ってない!」
クルイド「いや残ってるんだ、刻まれてる。令呪の仕組みをはっきりと理解してるわけじゃないんだが、令呪が刻まれた時、その仕組みが魔術回路に刻まれてるはずなんだ、多分、おそらく! だから調べたいんだ!」
士郎「待て! なんで遠坂なんだ! 俺にも令呪は刻まれたぞ!」・
凛「バカッ!!」


クルイド「へーそうか。じゃあ君も貰う。……でも一番は君の魔術回路だ遠坂君。なんたって君の魔術回路はあのシステムを造った始まりの御三家なのだから!」

凛「なにをーー!!?」

クルイド「調べたからね331時間!! なぁいいだろう?君の魔術回路、研究させてくれよぉ~~」

士郎「凛っ!!」

凛「こいつイカれてるわ!」

クルイド「……残念だよ。それを調べれば『スイッチ』が完成するかも知れないのに、いや、私は諦めない絶対に諦められない!」


店内の空気が変わる
日常から非日常へと


魔術師の夜が始まる



第三話 ・了

第三話終わりです。
慣れたかなと思ったらこの様です。書き込みするときよく見直すべきでしたね。つ次は気を付けます。また二日三日頃、続きを載せます。

アドバイスをくれた方、ありがとうございました。

クルイド「……君自身優秀さ。経歴を見たが才能と努力を感じる」

クルイド「だか何より!」

クルイド「『あの戦争』を体験した証を持っている!」

刻まれた魔術師の証を持っている!」


私が欲しいのは令呪が刻まれた君の魔術回路だ

ぐぅ。難しい、

スマホのメモ帳で書きためてコピーして
張り付けてます。

アドバイスありがとうございます。
気をつてみます。

オオッーーいくぜっ!! 第四話っ!!


魔術師にとって『争い』は常に想定されている事態である。

それは魔術(世界の神秘)を追求するという行為は他のそれ以外の人々にとって不理解と脅威にしかならないからだ。

そしてその事を一番理解してるは魔術師自身に他ならない。魔術師は知っている。ある日世界に突然異形の怪物が暴れまわっていても。神を名乗る奇跡の代行者が大地を海に沈めても。それはあり得る事で『仕方がない』ことだからだ。

魔術師は理解してる。魔術を追求するならば、平穏などないことを。

時計塔 周辺の???




士郎は一人でそこにいた。何処かは分からないが周りの景色を見てどうやらどこかの廃ビルの中のようだ。


士郎「遠坂! 遠坂ー!!」


???「ここにはいませんよ」


士郎「アンタ……フルイシか?」


フルイシ「彼女は今、偉大な研究のお手伝いをしているんです。邪魔しないで欲しいですね」


士郎「俺達に何をした!?」


フルイシ「転移させただけですよ。彼女はともかく、君に暴れられると困る。……あそこのコーヒーショップは私の傘下が管理してる店でしてね。まぁこの周辺の店はだいたいそうです」

士郎「お前分かっているのか? クルイドはまともじゃない。それを手助けしているお前だって!」


フルイシ「いや、彼はまともだ。他の魔術研究者に比べれば。世のため人のために魔術を追求している」


フルイシ「君はどうですか衛宮君?何故魔術を学ぶ?自分の名声の為ですか?世の真理を見つける為ですか?」


士郎「話にならないな。そういう話は遠坂を俺の目の前に連れて来てからするんだな!」


士郎(ーートレース、オン)

フルイシ「やれやれですね。もう少しお話をしたかったですが、やはりそうはいきませんか」バッ


フルイシが懐から一枚の紙を出すと呪言を唱える。


フルイシ「ーー開前敵滅、急急如律令」


紙が燃え上がり、士郎の周りに備えられていた複数の人型の紙が動き出す。


紙人形「オーーン」


士郎「あれはお前だったのか!」


干将・莫耶を完成させ構える士郎。


フルイシ「クルイド様は私に勧誘するよう言いましたが……私には解るのです。君らが私達の仲間にならない事が」

フルイシの眼が人間ではあり得ないほど怪しく光る。


フルイシ「この義眼はクルイド様お手製でしてね。相手の心理状態が色で分かります。また私が念じれば、アナタ達が意識しなくともアナタ達の『本質』が私の質問に答えてくれます。そしてそれはほぼ間違いなく揺るがない答えなのです」


士郎「そうかよ!」


紙人形に斬りかかる士郎。瞬く間に一体を切り伏せる。が、数が多い。

フルイシ「アナタ方は特別です。普通の人、魔術師だろうが人は欲に弱いものです。金であったり名誉であったり。遠坂凛は金と名誉を欲していたが本質では金や名誉で買えない『平穏』を望んでいた。しかしそれでも彼女だけなら我々の仲間にできたかも知れない。だがーー」


フルイシ「君だけは無理だ。君だけは!君は何なんだ?
どうやったら君みたいな普通の人間でありながらその様な『本質』を持てる?まるで神話の英雄のようだ。人の形をした剣だ!
そして彼女は君を受け入れている。私は君が恐ろしいのに!」


士郎「人を化け物みたいに言いやがって!」

フルイシ「化け物ですよ君は。だから私は諦めて彼女を頂くとしました。君の側にいる限り彼女もまた普通ではないですからね」


士郎「…………」


士郎は紙人形を倒していく。数の多かった紙人形が残り数体になっていく。


フルイシ「君は私の式紙をあっさり倒しますが、その式紙はそれが炎だろうが魔術的なものならば、ほとんど通用しない魔術師殺しの特別性です。どうやらアナタの投影した剣には意味をなさないようですが」


士郎「ならさっさと諦めるんだな。遠坂はどこだ!」

全ての式紙を倒した士郎がフルイシに向かう。


フルイシ「……私は特別強いわけではありません。日本の古い寺で産まれ、両親は私に陰陽術を教えました」


フルイシ「両親は先祖代々、権力者達の運勢を占う陰陽師でした。しかし両親の代ではその力が失われてきたのです。両親は産まれたばかりの私の目を潰しました。盲(めしい)の者は霊能が強いと信じられてきたからです」


フルイシは溜め息をつく。


フルイシ「それは成功し、私は力を得ました。しかしそれは何の意味もありませんでした。彼ら(権力者)は私の力が本物であろうとなかろうと関係なかったのです。ただ心から『安心』したいだけなのです。私が占ったことなど構わず決断し、成功し、失敗する!」

士郎「お前の話は聞き飽きた。遠坂の居場所を言わないなら、料理も出来ないような身体にするぞ?」


フルイシ「……そんな下らない理由で奪われた私の光をクルイド様は再び私に下さったのだ! 人間の『本質』を教えてくれたのだ!
もう誰にも私の『光』は奪わせない!」バッ!


フルイシはいつの間にか手にしていたスタングレネードを士郎に放り投げた。

士郎「なっ!? うわっ!!?」


危険を察知しビルの柱の裏まで駆け出す。強烈な光と音がビルのフロアに溢れる。


フルイシ「殺しはしない、君も令呪を刻んだ者ですからね。……私には尊敬する魔術師が二人いる。一人はクルイド様。もう一人はどんな手段を使ってでも目的を果たす非情の魔術師だ。君がその後継者かどうか、その『本質』を見せてくれ」

士郎「くそ、どうする?!」


光が消えるとフルイシの姿はなかった。士郎は携帯電話を使おうとするが圏外になる。ビル自体に何かの妨害があるようだ。


窓から外を見ると最低でも10階以上はあるだろうビルの高さに目眩いした。


士郎「…………」


ビルから脱出すれば何とかなる。士郎は意識を集中する。


士郎(ーー同調、開始)


ビルの構造を掴もうとする。


士郎(俺の理解を越えたモノだが、俺の予想が合ってるならーー)

ビルの全体の幾つかに士郎の理解できるモノがあった。


士郎「……まいったな、トラップだらけだ」


ビル全体にトラップが仕掛けてあった。屋上から下の玄関口、非常階段まで全ての箇所に凶器がセットされていた。把握出来ないモノも含めれば、通常手段の脱出は困難だろう。


士郎「セイバーがいれば、多少の無茶は出来たんだけどな……」


しかしやらねばならぬ。士郎は決心する。

フルイシ「さてどうするか……」


ビルの外で複数の部下と共にフルイシは待ち構えていた。

フルイシの任務は士郎をビルに閉じ込めること。複数人で押さえつけて制圧してもよかったが、士郎の不気味な強さにフルイシは警戒した。

正直なところ、正面からの戦闘ならば、例えフル装備の特殊部隊や熟練の魔術師達でも士郎には勝てないような気さえした。

フルイシ「彼が普通の人間ならトラップにハマってくれるだろう。魔術師ならビルから飛び降りるだろうが、……我々がそれを許さない」


出来れば生け捕りがいいが……無理なら殺すしかない。要は魔術回路を手にいれることが出来ればいいのだ。


フルイシ「衛宮士郎君、君が魔術師として来るならば。飛び降りる最中を銃弾と呪術で狙い撃つ」



士郎は『あの時』をイメージする。あれは『アイツ』が作った贋作だがそれは確かにあの場所にあった。


士郎は埋葬された剣の丘を歩く。


士郎「ーートレース、オン」


魔術回路に魔力が通る。今この瞬間の心配は成功するかどうかじゃない。

魔術回路が士郎の無茶に答える為、唸りだす。全身がズタズタになるような激しい痛みが襲う。


俺の身体が文句を言うように軋みを上げる。


何の為に無茶をする?


自分の生命よりも大事なモノか?


ーー遠坂凛を助けること


当たり前だろ!!


士郎「ーー体は剣で出来ている」


士郎は窓ガラスに向かって走り出す。


フルイシ「!? 愚かな! 撃て!!」


士郎がビルから飛び降りるのを確認するとフルイシは躊躇なく命令を下した。


銃弾。呪い。あらゆる殺意が士郎に迫る。


士郎「ーー熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!!」


士郎の身体を包むように一枚の花びらが咲いた。本来それは七つの花びらの内の一枚に過ぎないものだが。その一枚で十分だった。士郎に向けられた殺意など『英雄の殺意』一枚分にも満たないものだった。

フルイシ「なんだとぉっ!!?」


士郎の着地の衝撃で花びらは砕け散る。


士郎「ウオオオッーー!!」


身体の故障など無視して即座に干将・莫耶を投影し、莫耶を銃を持ったフルイシの部下に投げつける。


莫耶はまるで意思を持った鎌のようにフルイシの部下を次々と切り刻む。慌てる部下達。その隙を士郎は逃さない。隊列を組む暇など与えず容赦なく斬り込む。


士郎の剣幕と先ほど見た異質な魔術に魔術師が怯える。魔術師だけが分かる士郎の異常な投影魔術に恐怖したのだ。一人が奇声を上げ逃げ出すと一人、また一人と逃げ出した。

銃を持った戦闘員を全員戦闘不能にすると士郎はフルイシに向きあった。


フルイシ「ーーなるほどさすが彼の後継者だ。ーーだが!」


フルイシは懐から札を出す 。一枚、一枚が人一人呪い殺せる魔力が秘めている。


フルイシ「死ねえっ!!」


フルイシの投げた札が士郎に迫る。士郎は両手の干将・莫耶を投擲した。干将・莫耶は札を切り裂きそのままフルイシの肩に突き刺さる。

フルイシ「があっ!!?」


よろけるフルイシが次に見たのは再び投影した干将・莫耶を構えた士郎の姿だった。


フルイシ「ーークルイド様っ!!」


『×』に切り裂かれ倒れるフルイシ。

そのまま彼は動かなくなった。



士郎「ハァッ、ハァッーーーー」


肩で息をしたまま士郎は歩き出す。フルイシ達が立ち退かせたのか、歩く人すら見当たらない。ビルから離れた所にあったバス停にもたれかかる。


携帯電話を見る。使えるようになったようだが、遠坂からの着信はない。こちらからかけるが繋がらない。


士郎「ハアッ……ハアッ……」


士郎は少し考えると最近アドレス帳に載ったある人物に電話をかける。


この異国の地で唯一の味方であり、最大の味方になる人物に。




ルヴィア「大丈夫よシロウーーお任せなさい」




第四話 ・ ・了

今回はいつもよりキレイに載せられたので満足です。ところどころ変なところはありますが寛大な心で許して下さい。

次回は土日のいつかに載せられたらいいなと思います。またよろしくお願いいたします。

誰もいないかも知れないけれど~このお話はキチンと終わらせたい~(涙)
第五話始めます!

誰もいないかも知れないけれど~このお話はキチンと終わらせたい~(涙)
第五話始めます!

誰もいないかも知れないけれど~このお話はキチンと終わらせたい~
第五話始めます!

上のは失敗ですね。気にしないで下さい。
始めます。


オールドストーンモール



表向きは改修工事となっている無人のオールドストーンモールに慌ただしい足音が響く。五人のフードを被った、現代ではあまり見ないローブ姿の男達が険しい眼で辺りを見回す。


「いたか?」「いや」「生体反応がある」「近くにいる」「油断するな」


小さく声が聞こえるくらい近くに遠坂凛はいた。ブランドショップの入口近くのカウンター、レジの下で息を殺して隠れている。


遠坂凛は落ち着いている。表向きはそうしてる。


『あの時』。転移魔術を仕掛けられたときは焦りを感じたが、魔術師としての本能なのか冷たく静かに服の裏に隠していた宝石を握って襲撃に備えることが出来た。


転移した場所を確認する暇なく囲んでいたクルイドの部下が襲いかかってきたが、逆に魔力を込めた宝石をブーストにし、ガンドで返り討ちにした。


凛(とりあえず二人は動けなくしたはず……)


そのまま空いた敵陣から脱出し隠れながら応戦していた。

凛(どうして転移した場所がオールドストーンモールなのかは分からないけど)


おかげで隠れる場所には困らなかったが、敵に自分の居場所を探知出来る魔術師がいるのかすぐに見つかってしまう。


その状態で今まで逃げ延びてこれたのは、相手の不手際によるものだと凛は考える。相手は戦闘経験が浅い。魔術師の腕前=戦いの強さではないことは実戦を経験した凛はよく理解していた。相手は人数の優位にたかをくくり、遠坂凛を舐めている。

遠坂凛は落ち着いている。

『入学前のくそ忙しい時期に手前勝手な言いぐさで人の大事な魔術回路を奪おうとする大馬鹿迷惑な奴らをぶん殴る為』に遠坂凛は落ち着いている。


クルイドの部下「この中だ」


3人の部下が凛のいるブランドショップに入ってくる。部下達が完全に中に入りきった瞬間。

凛「くっ!!」


全力で店を飛び出す。


クルイドの部下「いたぞっ!」


出入口にいた魔術師二人がこちらに呪術を向ける。が、それに構うことなく凛は呪文を唱える。


凛「『灯を竃に』(ひをかまどに)ーー『爆破』(はぜろ)ーー」


自分がいた場所に仕掛けた3つの宝石が凛の魔力に呼応し紅く震え破裂し、大爆発を起こす。凄まじい音と振動が辺りに広がる。


クルイドの部下「オアァッーー!!?」


出入口にいた二人は爆破で吹っ飛び倒れた。
ガラガラと音をたて崩れる店から悲鳴が聞こえるが、そのまま中の3人は崩れた店の下敷きになった。


凛「ハアッ、ハアッ、どんなもんよっ!」


大事な宝石を3つも使用した豪華な一撃の戦果にガッツポーズした凛だったが、それと同時に失った3つの宝石の金額が与えた『デカイ一撃』に半分ヤケクソな凛だった。


凛「これで相手も大分戦力が落ちたはずだけど……」


宝石はまだひとつある。行くべきか、引くべきか。



『優雅であれ』は遠坂の家訓だが、それを実行出来るほど自分は『まだ』優秀な魔術師ではない。

それはかつて経験した聖杯戦争で学んだことだ。悔しいが、ホント悔しいが!

相手の戦力が不明で手駒がない以上、今はここから(オールドストーンモールから)逃げるしかない。


凛は携帯電話を確認するが着信は無い。士郎は危なっかしいが、さっき自分が相手にした程度の魔術師ならなんとかなるだろう。


凛「さて、出口は……」


凛が動きだそうした瞬間、辺りの空気が、一変した。文字通り、『変わり』だしたのだ。


凛「なに!?」


慌ててその場から離れ、近くの店に飛び乗るが、その店自体が異質なものへと変化していく。店の上から見るにモール全体が『機械化された工場』に塗り替えられていく。


凛「これは?!」


クルイド「『社長は自分でチャンスをモノにするのではなく、部下にチャンスを与えることで組織を大きくするものである』ーーとビジネス書に書いてあったが、やはりなかなか上手くいかないね~」


凛「クルイドッ!」


凛の立つ真向かいの店にクルイドが現れる。


クルイド「どうだい私の『工場(ファクトリー)』は? 君なら理解出来るだろ?」


凛「……『固有結界』」


クルイド「うーん惜しいけどだいたい合ってる。これは私の中にあるモノでなく、一から築き上げて作った魔術結界さ。もともと、このモールに仕込んであるんだ。私の根源である『分解』と『融合』で産み出した私の研究の到達点さ。……いいものを見せよう」


先程凛が壊した店が変化し巨大なパイプに繋がれた冷蔵庫のようなモノになっていた。


クルイド「『分解』『再構成』ーー『結合』ーー『エメト・ゴレィム』」


冷蔵庫のようなものの中から巨大な石像が現れ、ゆっくりと歩き出す。


凛は戦慄した。その工程はここからでも見てとれたがそれは魔術というルールから逸脱したモノだった。


凛「どういうこと?! 『アルケミー(錬金術)』で分解、構築され『ルーン文字』で結合された『ユダヤのゴーレム』ですって?!馬鹿げてるわ!」


クルイド「しかし本物だ。魔術師3人で作った『本物の』ゴーレムだ!」


凛「魔術は系統によるルールがあるわ。アルケミーにはアルケミーの。ルーンにはルーンの。それぞれの神秘はそれぞれの信仰に基づいて魔術として成立してる。でもこれはめちゃくちゃだわ。こんなことしても神秘が失われるだけで魔術は発現しない……なのに」


クルイド「私の造り上げた魔術式(プログラム)は本来なら混じりあわない魔術を『分解』し、『融合』することでより効率的な術式へと変化させる。さすがに無から造る事は出来ないが、元となる魔術(ソフト)の概念さえ取り込めば、後は自由に引き出せる」


凛はクルイドを睨み付ける。この男はイカれた研究者かも知れないが、間違いなく時計搭の魔術協会に一席を置く異才の魔術師だった。


凛「……これで何をするつもり?」


クルイド「時間稼ぎのつもりかね?でもいいよ君には知ってほしいからね」



オールドストーンモール周辺の道路



士郎「っ!? オールドストーンモールに遠坂はいるのか?」


リムジンの中でルヴィアに手当てを受ける士郎。


ルヴィア「そうですわ。魔術師の直観と言いたいところですけど、今は便利なモノがいっぱいありますわ……GPS とか」


士郎「それで遠坂は無事なのか?!」


ルヴィア「落ち着きなさい! 慌ててもどうにもなりませんわ……」


ルヴィア「……ミス・トオサカはわたくしが認めたライバル。そう簡単にくたばりませんことよ!」


士郎「……あぁ、そうだな。……けど、ありがとうな。一緒に付いてきてくれるなんて」


ルヴィア「構いません。どうやらアナタ達だけの問題じゃなかったようですし」


士郎「どういう事だ?」


ルヴィア「相手の目的が分かりました」


士郎「!? いったい奴らは何を?!」


ルヴィア「クルイド魔術会の目的は『人工的にマナを生み出す』ことのようですわ」


士郎「『マナ』って自然界にあるモノだろ?それを人工的にって」


ルヴィア「そうですわね。『マナ』はどこにでもある自然の魔力。そして当然ながら自然豊かな土地であるほど多くマナが生み出さる。クルイドはその『マナ』を人の多く住む土地で大量に発生させることを計画しておりましたの」


ルヴィア「わたくしもどういう理論で考え出されたモノかは分かりません。しかしクルイドはそれを実現しようし、実際に実験しています」


士郎「もしかして……」


ルヴィア「今向かっているオールドストーンモールでその実験は行われました。結果どうなったか分かりませんが……人の命が100名近く失われたようですわ」


士郎「そんなヤバい奴、どうして魔術協会はほっといたんだ!」


ルヴィア「クルイドが時計搭で優秀な魔術師であったこと、相応の権力を持っていたこと、いろいろあるでしょうが何も追求が無かったわけじゃないようでしたの……」


執事「お嬢様着きました!」


ルヴィア「よろしい。士郎はそこでお待ちなさい!」


士郎「そんなわけいくかっ! 俺も行くに決まってる!」


士郎は満身創痍である。身体の傷もそうだが宝具級の投影を繰り返した無茶のせいで士郎の魔力は無く、魔術回路もボロボロである。


ルヴィア「足手纏い!もしもの時は庇えませんことよ!」


士郎「上等! 俺一人でも遠坂は助ける!」


ルヴィアは少しだけ困ったように顔を曇らす。


ルヴィア「先程の続き。クルイド魔術会は証拠隠滅の為オールドストーンモールを一見関係ない企業に売却したの。その企業がわたくしの知り合いのオーナーの会社。そこから『シッポ』が掴めたわけだけど。……どうやらエーデルフェルトの資金がクルイド魔術会に流れていたみたいですの」


ルヴィアは優しく士郎を見る。


ルヴィア「これはわたくしの家の問題でもあるのよ。だからーー」


その時、オールドストーンモールが異常な魔力に覆われ形を変えていく。


ルヴィア「!? これは固有結界!?」


士郎「ルヴィア」


ルヴィア「ーー!」


士郎「たとえどんな理由があっても遠坂が危ないなら俺は行くぞ!」


士郎の真剣な眼差しにルヴィアの心は熱くなる。


ルヴィア「ふ、いいでしょう!」


ルヴィアは袖を捲り両手に宝石を出す。まだ異形化してない外壁に魔力を込めた宝石を叩きつける。


ルヴィア「リングインは淑女の花舞台!乱入はド派手にいきますわよ!!」


士郎(待ってろ遠坂!)


固有結界 ファクトリー内部



クルイド「『マナ』は自然の魔力、地球(ほし)の息吹き。だが人間だってそうさ自然物さ」


凛「言いたいことは分かるわ。私達のオド(人間の持つ魔力)は魔術師以外にも持っている人がいる。だけどそれを使うのは人間を束縛して殺すも一緒よ!」


クルイド「そうでもないのさ。人間の日々の営みも自然の営みのひとつだよ?」


凛「意味が分からないわ!」


クルイド「……私は研究で世界各地を放浪していたときにある『現象』にあった。それは町ひとつが人々の噂や恐怖、あらゆる感情で覆われ、ありもしないものが形を持ち『怪奇』として生み出されるという現象だった。後からそれは一体の使途が持つ概念だと知ったが、私はそれに感銘を受けた」


クルイド「その現象によって発生した魔力たるや、マナと同等。人々の持つ生命のエネルギーを体感出来たよ!人々が日々抱く感情、意識。そこから魔力を産み出す! 私の生涯の研究テーマが生まれた瞬間だ!」


凛は頭を抱える。


凛「……出来る出来ないはともかく。それがアナタのいう世のため、人のためになるの?」


クルイド「あぁ、人類による人類のためにの新しいエネルギー供給の始まりさ!」


凛「……ホントあきれたわ。言ってること分かってんの? そんなこと、時計搭も教会側も許すものですか」


クルイド「どうかな? 少なくとも時計搭の連中は私を見逃してる」


凛「なんですってーー」

クルイド「ふふ。私はどうにかその使途の血液を手に入れ、その研究の完成にフルイシの陰陽道を利用した。陰陽道に使われる『自然の気の流れを掴む術式』はまさにマナ操作に持ってこいだった。異なる概念だが私の魔術式なら問題ない。……だが問題起きた!」


クルイド「私は『工場』に概念を組み込み術式を完成させたが、いかんせん『人手不足』だった」


凛「アナタそれって……」


クルイド「ん?あぁ。そりゃそんなデカイ魔術、私一人の魔術回路じゃムリだよ。いくつかの魔術回路を持つ人間を要所要所に『設置』したのさ。いやぁどうしたもんかと思ったけどさ。流石に搭の魔術師はもったいないからね。山奥とかジャングルの奥地にまで行って探して来たよッ!!」


凛のガンドがクルイドに撃ち込まれる。

しかしクルイドは分かっていたのか、周りの機械化した建物が隆起してクルイドを守る。


クルイド「ふ、いいじゃないか。この世はいつだって弱者の犠牲で成り立っているんだ。それにちゃんと満足するような金は与えたぜ?」


凛「アナタもう喋らなくていいわ『口が臭い』もの」


クルイド「傷付くね。しかし私は喋る。魔術を完成させた私はこのモールに術式を仕組んでさっそく実験した」


凛のガンドを避けながらクルイドは語る。


クルイド「結果は大失敗。生み出した魔力で花火でも上げようと思ったけど、その前に爆発。あれは色々酷かった……『私を守れゴーレム』」


命令されたゴーレムはその巨体から想像出来ないほど恐ろしい速さで凛に迫った。


凛「このっ!!」


迫るゴーレムにガンドを放つが全く効果がない。逃げようとするが、突然足元に機械じみた鎖が現れ足を拘束する。


クルイド「ここは私の世界さ遠坂君。『捕まえろゴーレム』」


ゴーレムの腕に捕まる凛。


クルイド「……そう『命令』なんだ。術式は完璧だった。しかし組み込んだ人間の意識と、またその違う場所に組み込んだ人間との意識のズレのせいでスムーズに魔力が通らない。そして暴発する」


凛「ぐ、くぅ……」


容赦ない締め付けに意識が飛びそうになる。


クルイド「複数の人間の意識をスムーズに切り換えることが出来る『スイッチ』が必要だ。そう君の『令呪』だ。神話の英雄ですら従わせる『強制力』。これで完璧な装置になる」


クルイドの手が凛の腕に触れるようとした瞬間ーー


巨大な爆発が外で起こる。


クルイド「……なんだ?」


クルイドの意識が凛から外れた。薄れゆく意識の中、凛は最後の宝石を点火させる。


凛「ーーーーバン」


稲妻のようなガンドがゴーレムの腕を抉り、そのままクルイドに撃ち込まれる。


クルイド「ぐぅ!?お、おのれぇ!!」


ゴーレムから解放される凛、未だ劣勢ながらもその瞳は凛々しく、その闘志は服と同じく赤々と燃えていた。


凛「長々とお話ありがとう。けどもう終わりよ。アナタの魔術も研究もーー」


凛「私『達』が終わらすわ!」




第五話 了

ありがとうございます。
一人でも読んでくれる人がいてくれるだけで嬉しいです。

最終話は週末には載せられるようにしたいです。

最終話です。下手くそな文章にお付き合いありがとうございました。

楽しんでもらえれば嬉しいです。


固有結界『工場(ファクトリー)』内部




士郎「オォ!!」


士郎は手にした金属バットで家電製品で出来たゴーレムを打ち抜く。投影ではなく近くのスポーツ店で調達したものだ。


ルヴィア「はぁっ!!」


炎で出来た狼をガンドで打ち消すルヴィア。


士郎「キリがないな!」


襲い来る敵を倒しても、機械化された店舗から次々と化け物が生産されていく。


士郎「クルイドってヤツはとんでもないな!これだけのモノを行えるなんて!」


ルヴィア「いえこれは一人で出来る規模を越えてますわ。恐らく魔術回路も魔力も別のところから供給してますわね」


士郎「それって!?」


ルヴィア「……10人。いや、『20人』は必要ですわね」


士郎は金属バットを地面に叩きつける。


士郎「クルイドのヤツーー」


ルヴィア「許せないですわっ!!」


恐ろしい剣幕のルヴィアを見る士郎。


ルヴィア「何の罪もない民を犠牲にしてまで己の利に走るなど魔術師の風上にも置けません!必ず報いを与えますわ!」


猛るルヴィアに士郎は初めてルヴィアの『素』を垣間見た気がした。


やっぱりいいヤツじゃないか。改めて士郎はそう思う。


士郎「ーーけど、どうするこのままじゃ遠坂まで辿り着けない!」


ルヴィア「大丈夫よシロウ。敵は大きな誤算をしてるわ……シロウ少し時間を稼いで頂戴」


士郎「任せろ!」


ルヴィアは地面に宝石をばらまくと静かに目を閉じる。
ルヴィアから溢れる強力な魔の力に当てられ、
異形の化け物達がルヴィアに迫るが士郎がそれをさせない。


ルヴィア「ーー敵の誤算はただひとつ。このルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトを『本気で怒らせた』ことですわ!」


ばらまかれた宝石が輝き出すと地面に溶け込んでいった。
途端に辺り一帯の機械化された風景が壊れたように歪み始める。


固有結界『工場』 中心部




クルイド「ムッ!?」


凛に撃ち込まれた腹を庇いながながらクルイドは『工場』に起きた異常事態を感じた。


クルイド(私の工場の機能を力業で止める魔術師がいるとは……)「君の『恋人』はなかなかにやるようだ……」


凛「あの馬鹿また無茶して」



工場にノイズのようなものが走り、
さっきまで活発に動いていた機械の一部が止まっていくのを凛は感じた。


クルイド「まさかフルイシが倒されるとはね。何故フルイシが君ではなく彼を警戒するのか理解出来たよ」


凛「で、どうする?降参する?」


クルイド「まさか。工場は今だ動き続けている。君の令呪を頂いた頃には機能回復してる、さっ!」


クルイドは地面を剥ぐように腕を振るうと呪いの波が地面を走る。
黒い波は凛に近づくにつれ津波のように大きくなっていく。


クルイド「呪いの波に溺れろっ!!」


呪いの波が凛を飲み込む。


クルイド「君は優秀さ、魔術師の卵としてはね。だが本物の魔術師の私には及ばないね。…………!?」


凛「オォーーリャッ!!」


呪いの波を突き抜けてクルイドに向かって突進する凛。


クルイド「な、何をすーー!?」


クルイドのお喋りを遮るように容赦ない顔面パンチ。
しかしクルイドもギリギリで防壁魔術を完成させる。


クルイド「ふざけーー」


凛の攻撃は終わらない。
魔術でコーティングされた脚で飛び膝蹴り。
打撃。蹴撃。繰り出される連撃に魔術を使う暇を与えない。


クルイド「ーーふざけるなっ!」


防壁魔術が破られそうになる前に凛から逃げるように大きく距離を取るクルイド。


クルイド「魔術師の決闘に拳を使うなどーーまったくフルイシといい、最近の若い魔術師は魔術師としての誇りは無いのか!?」


凛「アナタに言われたくないわね。『世の理』を知ろうとする魔術師が世を乱そうとするなんて本末転倒だわ」


クルイド「乱そうとはしてないさ。私はね遠坂君。『魔術』というものを世に知らしめたいのだよ。なぜ魔術師が表舞台に立たず、裏に生き秘密とされているのか分かるか?」


凛「……魔術を護るためよ。魔術の力は神秘性を保つことで世の理として再現できる。先祖から伝えられた魔術の知恵と能力(ちから)を守り、伝えていく為にも魔術師はその存在を隠していかなければならないのよ」


クルイド「それは魔術師の都合だ。我らの使っている魔術は我々だけのものではない。世の中に活かされるべきなのだ!」


凛「なるほどね。
何となくアンタを擁護する魔術協会の『派閥』みたいなのがどういう考えを持ってるか分かったわ……」


ふたたび凛がクルイドに詰め寄る。


凛「アンタの考えはご立派よ。
けどね!その考えの結果が人間を犠牲にしたマナ発生装置だなんてお笑いよ!そんなもの認められるわけないでしょ!」


クルイド「君の考えている『人の社会』は小さいな遠坂君。
少ない犠牲で社会が生きるのなら犠牲にならない大部分の人々は私を『英雄』と称えるだろう。
それが社会で新たに認識される魔術師の存在だ!」


再びクルイドの周りに呪いの波が沸き立つ。
対して八極の構えを取る凛。


凛「そんな最低な野望の為に他の健全な魔術師を巻き込まないで欲しいわね!」


クルイド「世間知らずの魔術師が!先程の攻撃と同じとおもうなよーー『渦巻け』『風切れ』『昂れ』『駆けろ』!」


呪いの波が燃えるように昂り、
渦を巻きながら勢いを増し呪いの竜巻となる。


クルイド「様々な呪術を掛け合わし造り上げた私の傑作だーー降参するかね?」


凛「……魔術回路を取られれば私は死んだも同然だわ」


クルイド「そうかね……ならば『二度』死んでもらおう!」


クルイドから放たれた呪いの竜巻は、
最早周りの建物さえも巻き込み巨大な嵐となって凛に迫る。


クルイド「逃げ場無しだ!我が呪いに燃え上がれ!」


遠坂凛は逃げない。呪いの嵐に立ち向かう。


凛「ーー『逆巻け』『納まれ』『靡散れ』『裂けろ』!」


嵐が凛を飲み込もうとするが
凛に触れる前に呪いが全て掻き消される。


凛「はぁああああっ!!」


嵐を突破しクルイドの懐に入る。


クルイド「ばかなっ!?」


凛「終わりよ!!」


寸勁。回転足払い。回転肘撃ち。崩拳。


全ての技がクルイドに叩き込まれる。


クルイド「ガハッ!?ーーあらゆる属性の魔術を打ち消すとは……そうか、君は……」


凛「悪いわね。私は『全部持ってるの』」


クルイド「く、く、くく。魔術師として負けるか……だが、それでも、君は甘い!」


クルイドの足下から機械の腕が造られる。
工場の機能が回復したのだった。


凛「ーーしまった!?」


咄嗟にクルイドから離れるが間に合わない。
身構える凛。


ーー機械の腕が凛を捉えそうになる瞬間。
クルイドと凛の間にあった店舗が爆発した。


クルイド「ーー誰だ!?」


凛「ーー士郎!?」


ではなかった。
噴煙と共に現れた乱入者は蒼いドレスコートに
美しい金髪をフワリと巻き上げた
見目麗しい生粋の貴婦人だった。


凛「ルヴィア!?」


ルヴィア「どりゃあああ!!」


ルヴィアは爆風の勢いのまま
踵落としで機械の腕を打ち砕く。


クルイド「く、フルイシの報告にあったエーデルフェルトの当主か!?」


流れるような動きでクルイドの背後を取るルヴィア。


クルイド「へ?」


ルヴィア「わたくしの怒りを喰らいなさいっーー!!」


クルイドは地面から引っこ抜かれ、
空を仰ぎ、そのまま脳天から叩き落とされる。


クルイド「ーーヘギィ!!?」


美しいジャーマンスープレックスにより
地面に沈むクルイド。


ルヴィア「ふぅ。多少スッキリしましたわ」パンパン


凛「………………アンタねぇ……空気読みなさいよ!」


ルヴィア「何をおっしゃって?せっかく助けに来てあげたのに……」


士郎「大丈夫か遠坂!?」ダッ


凛「ダーー!!」ゴツン!


士郎「な、なんだ!?洗脳魔術か!?」


凛「あたしゃ正気よ!なんでルヴィアより早く助けに来ないの!」


士郎「いや俺もヘトヘトで……ホント無事で良かった」


凛「!? ふ、ふん私一人でどうにかなったわ……。でも、その、ありがとう……」


ボロボロな士郎に巻かれた包帯に
優しく触れる。


ルヴィア「面白くありませんわね~~」フンッ


和やかな雰囲気が流れるなか、
ゴゴゴゴゴと周りの機械化された建物が動き出す。


士郎「元に戻るのか?」


ルヴィア「……何か様子がおかしいですわね」


クルイド「くくくくくーー」


凛「クルイド!?」


クルイド「今『スイッチ』を入れた。間もなくここにマナが満ちる……」


凛「!? 令呪がなければ暴発するんでしょ!?」


クルイド「そうだよ。ハハ、大変だね」


士郎「オマエ!いい加減にしろ術を止めろ!さもなないとっ!」


クルイド「殺すか?意味無いね!この術式は一度動き出したら止まらん。仮にスイッチを入れた今の術式を無理矢理止めようとすればその時点でドカンだ!」


クルイド「この術式を止める方法はひとつーー」


クルイドの横から
『腕ひとつ収まるくらいの穴の空いた装置』が現れる。


クルイド「君達の腕を術式に繋ぎ、止まるよう命令するんだ!」


ルヴィア「……一度繋いだら魔術回路ごと繋がりそうですわね」


クルイド「やるべきだよ遠坂君、衛宮君!今回は前よりも『気合いを入れた』からね!ここら一帯が吹っ飛ブッーー!?」


ルヴィアの容赦ない蹴りが
クルイドの腹にブチ込まれた。


士郎「凛…………」


凛「私は嫌よ。私でも士郎でも。こんな事で腕を無くすのも、命を無くすのも」


士郎「そうかーー」


ルヴィア「…………シロウ……ミス・トオサカ」


士郎「ならやることは一つだな!」


凛「そうね、方法は一つね。クルイド!」


クルイド「!?」


凛「アナタは色んな手で私達を追い込んだつもりでしょうけど、どれにしたって絶望なんかとは程遠い障害物よ!『あの時』に比べれば!」


ルヴィア「……アナタ達いったい何を?」


凛「ルヴィア!宝石まだあるわね?」


ルヴィア「それはもちろん!」


凛「それ士郎に埋め込んで!」


士郎「おう……え?」


凛「いいから埋め込んで!」


ルヴィア「…………ふむ。アナタのやりたいことは何となく察しがつきましたけれど」


ルヴィアは士郎に近づくと
顎を掴み寄せる。


ルヴィア「ちゃんと受けるのよ?」


士郎「へ?ーーんっ」


ルヴィアは士郎に口づけると
恋人同士がするような濃厚な
キスを繰り広げる。


凛「~~~~っ! ーーオラッ!」


クルイド「ーーなべっ!?」


凛の八つ当たりで今度こそ
間違いなく気絶するクルイド。


ルヴィア「ふぅ。(ほっこり)こっちの方が手っ取り早いわ♪どうシロウ?」


士郎「……え、あ、あぁルヴィアから魔力が伝わってくる」


ルヴィア「うふふ。まぁ即席のリンクですから10分位しか持ちませんからお早く」


凛「ルヴィア……アンタ覚えておきなさいよ……」ゴゴゴゴゴ


ルヴィア「あら恐い。……さてシロウの実力見せてもらいましょう」


凛「…………頼んだわよ士郎」



士郎は意識を集中する。
唇を噛み締め、
痛いくらい拳を握る。


ーーそうしなければ



ーー思わず笑い出しそうになるからだ。


ーー体は剣で出来ている


やはり俺は『あの戦争』から
おかしくなってしまったのだろうか。


ーー血潮は鉄で心は硝子



本来なら絶望的なこの状況を
苦しみ嘆くべきなのだろう。


ーー幾たびの戦場を越えて不敗


しかし『そういう気』がまったく起きない。


ーーただの一度の敗走もなく、


ーーただの一度の勝利もなし


この魔術をしくじる気もない。


ーー担い手はここに独り


ーー剣の丘で鉄を鍛つ


ただここに遠坂とルヴィアがいるだけで
俺は何も恐くない。


ーーならば我が生涯に意味は不要ず


『アイツ』はこんな気持ちで
この魔術をつかえたことはあるのだろうか?


ーーこの体は、


ーー無限の剣で出来ていた




士郎を中心に士郎の心象風景が 現実世界を侵食する。


剣の丘は『工場』で造られたマナを
吸収しモール全体に拡がっていった。


固有結界により丸ごと書き換えられた工場は
その機能を失い消失していく。




本来その風景は、担い手のいない剣達が
墓標のようにたたずむ、
寂しい風景のはずであった。


しかし今、その剣の丘には花が咲いていた。


凛々しい赤と誇らしい青の花。


それだけで衛宮士郎の風景(こころ)は
満たされ、輝くのであった。


エピローグ

時計塔近くのカフェテラス




ルヴィア「クルイド達は魔術協会で裁判にかけられるようですわ。アナタの師匠のおかげね」


凛「あの人じゃないわ。多分あの人の弟子のおかげよ」


クルイド達との決着は着いた。
やり過ぎたクルイド達は協会からも見放され
判決を待つ身となった。


クルイドの『工場』に利用された人々は
救出され、衰弱していたが命は助かったらしい。
それでも幾人かの帰らない命もあったようだが。


ルヴィア「しかしシロウには本当に驚かされるわ。魔術の素人が魔術師の目指す高みのひとつに到達するなんて……称賛、と言うより嫉妬してしまうわ」


凛「まったく人の努力をこけにする反則技よ」


ルヴィア「うふふ。それでもわたくしはよりシロウにーーシロウ?」


士郎「ーーーー」


あの後、遠坂からクルイドの野望を聞いた。
とてもじゃないが認めることの出来ない
おぞましいものだと俺は思った。


しかしと思う。
『アイツ』はどうだろうか?


『小』を切り捨て『大』を生かしてきた
あの英雄はクルイドの思想を聞いて
何を思うだろう。


凛「士郎!ーー聞いてるの?」


士郎「ん?あぁーー」


『アイツ』は俺を否定した。
俺もアイツを否定した。
アイツは今も聖杯に導かれて
違う俺の前に現れているのだかろうか?
今の俺はアイツの後ろで
俺はアイツの続きなのだろうか?
答えまだずっと先だろうか。


隣の凛を見る。


士郎「『あの時の俺』、格好良かったか?」


凛「そうね。英雄みたいだったわ」


士郎「おい……」


凛「……あの時やめてと言っても士郎はやるてしょ?どうしたってアンタは無茶するんだもの、隣にいる私の身にもなってよ」

士郎「……フルイシが言っていた。俺は普通じゃないと。俺につるんでいるヤツも普通じゃなくなると」


凛「ふん。あんな小悪党の言うこと気にするなんて、心の贅肉よ。
言っておくけど、アンタに付いていく私じゃなくて、アンタが私に付いてくるのよ!
……そして私の目の前の障害物を全部ぶっ飛ばすの!」


凛「そしてーーそして、その見返りにアンタは幸せになるの。
いや『してやる』!いい?『士郎は士郎で士郎のまま』よ!」


士郎「凛…………」


凛「だいたいね!こんな事件が可愛く思える程、
面倒くさいやつらがこれから行く学校にはいっぱいいるの!
だからアンタもこれくらいで泣き言なんて言うんじゃないの!ーーふん!」


凛は顔を真っ赤にしてそっぽを向く。
それを見る士郎は優しく笑う。
どこかの誰かに似た笑みだったが、
それより早く手に入れた優しい顔だった。


ルヴィア「ーーゴホン!まったく、人前ではしたない。全然面白くありませんわ!」


凛「出たわ士郎、最初の障害物よ」


士郎「おいおい」


ルヴィア「まぁ今は好きにさせますわ。勝負は最後に笑ってる者の勝ちですもの」フニュン!


士郎「ルヴィア?そう近いといろいろと困るんだけど?」アセアセ


ルヴィア「ねぇシロウ、今ちょうど執事を求人募集中なの、やってみませんこと?」


凛「あら、ごめんあそばせ?士郎はこれからと~~っても忙しくなるの。そんな暇無いわ!」ペトッ!


ルヴィア「ちなみにお給料の方は……」ゴニョゴニョ


士郎「のった!」


凛「士郎っ!?」


士郎「いやだって、今回宝石とか使い過ぎただろ?後から賠償されるかもだけど当分先だろうし……」


凛「ぐぬぬ……」


ルヴィア「交渉成立ですわ!今日からアナタは私の『シェロ』ですわ!」


士郎「シェロ……まぁよろしく頼む」


ルヴィア「ふふ、まずは美味しい紅茶の淹れ方に、正しい礼儀作法。社交術も身に付けてもらわないと!」


士郎「……なんか気を急ぎ過ぎたかな」


凛「ふん!せいぜい私と士郎の幸せの為の資金を貢ぎ続けるがいいわ!」


ルヴィア「(プツン) あら~~シェロを幸せにすることにミス・トオサカが必要、ということはないんでございまして~~?」


凛「(プツン) どういう意味かしらね~~それ~~」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!




凛「いい加減、人の弟子に手を出すんじゃないわよ!!」ドツキ!!


ルヴィア「今はわたくしの執事ですわ!!」タックル!!


士郎「ハハッ、仲良いな」


笑う士郎。止まる赤鬼、青鬼。


凛「あ~~何その感じ腹立つわね……」


ルヴィア「さっそく躾が必要かしらね?」


士郎「は、はは、ホント仲良いね……」




その後のその後も続いていく。
日常はコメディに非日常はシリアスに。
この時が『アイツ』に繋がるか分からない。
けどもしかしたら、


ほどほどに厳しくて、


そこそこに紳士で、


なかなかに笑える英雄が生まれるかも知れない。


そんな可能性の『その後の日常と非日常』。





衛宮士郎「その後の日常と非日常」 了

S Sに初めて挑戦して悪戦苦闘しながらも
一応最後まで載せることが出来ました。

読みづらいこの文章を最後まで
読んでくれた方にはホント感謝です。

出来れば読んでくれた方が楽しんで貰えたなら
私は満足で、とても嬉しいです。

やりたいですね~。
アタラクシアの中のエピソードの一つとして
お祭り風に士郎と凛と桜を巻き込んだ
冒険話はやりたいですね。

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