シャル「もしも一夏が、ボクにぞっこんだったら!」(109)




 ボクは、私用でis学園から、外出していた。

夕方ごろ、帰ってきたけど・・・。 ボクは気まぐれで、いつもと違う夕日を眺めようと

is学園の裏にある、雑木林の先を目指した。



シャル「・・・あれ?」


シャル「なんでこんな所に電話ボックスが・・・?」

シャル「・・・不法投棄?」

            カチャ・・・キィ・・・

シャル「見たところ普通の電話ボックスだけど」

シャル「でも電話線も電線もないし・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・・」 ウ~ン・・・

シャル「・・・あ」

シャル「そういえば日本のアニメに こんな不思議な道具があったっけ」

            ガチャ・・・・・・




シャル「もしも一夏が、ボクにぞっこんだったら!」



シャル「・・・なんてn」

            ジリリリリリリリリリリリリリリリリリンッ!!

シャル「わあっ!?」

            バッ・・・ギィッ・・・バタン!

シャル「・・・・・・・・」 ドキドキ・・・

シャル「な・・・なんなの?」

シャル「・・・・・・・・」

シャル「・・・帰ろう」




              -同・is学園・校門付近-

シャル「~♪」 フフ~ン フン

一夏「・・・!! シャル!?」

シャル「あ、一夏。 ただいm」

一夏「なんて格好してるんだよ! こっちへ来い!」 グイッ

シャル「えっ!? 格好って・・・ちょっ・・・! 一夏!?」




              -同・is学園寮・一夏の部屋-

一夏「・・・ふ~。 なんとか、見つからずにすんだな・・・」

シャル「・・・いったい、どうしたの? 一夏?」

一夏「そりゃ、こっちのセリフだよ・・・」

一夏「なんで女の・・・それも、女子の制服なんて着てるんだよ?」

シャル「・・・は?」

一夏「・・・大丈夫か? シャル?」

シャル「・・・・・・・・・」


シャル「・・・えっと、ごめん」

シャル「まず、一夏が『おかしい』と思うことを 言ってくれるかな?」

一夏「・・・? ああ、わかった・・・」

一夏「女子の・・・女の子の服を着ていたからだ」

シャル「・・・それの何がおかしいの?」

シャル「ボクは女の子だもん。 女の子の服くらい着るよ・・・」

一夏「・・・おいおい、シャル」




一夏「男装してるのがバレたら、フランスへ強制送還なんだぞ?」



シャル「・・・えっ?」

一夏「・・・シャル、どうしたんだよ?」

一夏「フランスに帰りたいのか?」

シャル「・・・そんなわけない」

一夏「じゃあ・・・どうして女子の格好を?」

シャル「・・・・・・えっと」


シャル(・・・もしかして、あの電話ボックス)

シャル(あれのせい・・・?)



シャル「・・・その、ね・・・。 き、気分転換・・・」

シャル「気分転換で着てみたんだけど・・・、つい、うっかり・・・」

一夏「・・・・・・・」

一夏「・・・シャル」

シャル「う、うん・・・」


                 ギュッ・・・

シャル「!!!?!???!!?!?」 ///

シャル(ええええええええ!? い、一夏が、ボクを抱きしめて・・・!?) ///

一夏「勘弁してくれよ・・・」

一夏「ちょっとした不注意で・・・、シャルが居なくなるなんて」

一夏「俺・・・嫌だからな?」

シャル「う、うん」 ///

シャル(ど、どうしたの!? 一夏・・・) ///


一夏「・・・シャル?」

シャル「う、うん?」 ///

一夏「・・・本当に大丈夫か?」

シャル「だ、大丈夫・・・」 ///

一夏「顔が紅いけど・・・」

シャル(一夏のせいだよ・・・!!) ///

シャル「ホ、ホントに大丈夫だから・・・」 ///

一夏「なら・・・いいが」 スッ・・・

シャル(あ・・・離れちゃった・・・。 ちょっと残念) ///


シャル(・・・これは、たぶん あの電話ボックスのせい)

シャル(と・・・いう事は)

シャル(この一夏は、ボクに、ぞっこん・・・)

シャル(・・・・・・・・・・・) ///

シャル(・・・も、もう少し、様子を見てみようかな) ///


一夏「安心したら、なんか腹減ってきたな・・・」

シャル「そういえば僕も」

一夏「じゃあ、食堂に行くか?」

シャル「うん!」

シャル「あ、ボクは着替えて行くから、先に行っててくれる?」

一夏「おう、待ってるぜ!」


シャル「・・・さてと」

シャル「男装しなきゃならないって事は・・・」

シャル「ボクはここに・・・、一夏と同じ部屋のままって事だよね・・・」

シャル「・・・・・・・・・・」 ゴソゴソ・・・

シャル「あった」

シャル「・・・・・・・・・・」 シュル・・・スススッ・・・

シャル(・・・また、この胸バンドを着ける事になるなんて・・・)

シャル(これ着けると、窮屈なんだよね・・・)

シャル「・・・・・・・・・・」




             -同・is学園・食堂-

一夏「シャルル、ここだ! ここ!」

シャル「あ、うん」

シャル(そっか・・・ボクは『シャルル』って呼ばれてたっけ・・・)

シャル「お待たせ、一夏」

一夏「お、今日は焼き魚定食か」

シャル「一夏は、またラーメン? 最近ちょっと多くない?」

一夏「う・・・、確かにそうかも・・・」

シャル「ちゃんとバランスを考えないとね」

一夏「かなわないな、シャルルには・・・」

シャル「アハハ・・・」


シャル「・・・さすがに、人が少ないね」

一夏「ちょっと遅い時間だからな」

シャル「・・・・・・・・・」

シャル(・・・あれ?)

シャル「・・・ねえ、一夏」

一夏「うん?」

シャル「もしかして・・・ボクが帰るのを待っててくれたの?」

一夏「当然だろ?」

一夏「一人で食うのは味気ないしな・・・」 ハハハ・・・

シャル「一夏・・・」 ///

シャル(凄く嬉しい・・・) ///




            -夜・is学園寮・一夏とシャルルの部屋-

             ☆一夏はシャワー中☆

シャル(・・・そうだった)

シャル(ど、同室って事は・・・同じ部屋で・・・寝るって事で・・・)

シャル(ボ、ボクに、ぞっこんな一夏は・・・) ///

シャル(ボクと・・・・・・しちゃってる・・・のかな・・・?) ///

            ガラッ・・・

一夏「シャル、お待たせ。 シャワー空いたぞ?」

シャル「!!」 ビクッ! ///

シャル「う、うん! じゃ、行ってくるね!」 タタッ ///

一夏「?」


シャル(・・・・・・) ///

シャル(ど、どうしよう、こ、心の準備が・・・) ドキドキ ///

シャル(・・・・・・・・・・・・) ドキドキ ///

シャル(・・・ううん、い、一夏が、それを・・・) ドキドキ ///

シャル(ボクを、望むのなら・・・) ドキドキ ///

シャル(ボクは・・・) ドキドキ ///

シャル(・・・・・・・・・・・) ドキドキ ///

シャル(と、とりあえず、念入りに体を洗っておこう・・・うん) ドキドキ ///


               ガラッ・・・

シャル「・・・お、おまたせ」

一夏「おう」

シャル「・・・・・・・・・・・」

シャル(・・・・・・なんか、普通にくつろいでる)

シャル(・・・良かったような・・・がっかりしたような・・・) ハァ・・・

一夏「・・・・・・・・・・」 チラ見

一夏(・・・やっぱり様子が変だな)

一夏(・・・・・・・・・・)

一夏(・・・そうだ!)


一夏「シャル」

シャル「ん? なに?」

一夏「明日の休日、ヒマか?」

シャル「うん。 特に用事は無いけど?」

一夏「そうか。 じゃあさ、明日」




一夏「デートしないか?」



シャル「・・・・・・」

シャル「えっ!?」

一夏「・・・嫌か?」

シャル「ううん! そんな事無い! 行きたいよ!」 ///

一夏「よし! 決まりだ」


一夏「どこに行くかは、任せてもらえるか?」

シャル「うん! 一夏の行きたい所ならどこでもいいよ!」 ///

一夏「そうか。 じゃ、明日モノレールの○○駅前8:00くらいに・・・」

シャル「・・・? 一緒にここを出ればいいんじゃない?」


一夏「・・・おいおい、シャル」

一夏「前、一緒に行動しすぎて、ホモ疑惑かけられた事」

一夏「もう忘れたのか?」

シャル「」

一夏「・・・みたいだな」

シャル「・・・ごめん」

一夏「・・・いや、いいんだ」

一夏「明日、楽しみにしててくれ」

シャル「うん!」




              -翌日・8:00ごろ・モノレール○○駅前-

シャル「一夏、お待たせ!」

一夏「おっ、来たか、シャ・・・」

一夏「」

シャル「えへへ・・・どうかな?」 ///

一夏「お、おう、凄く・・・可愛い」 ///



一夏(白のワンピースに若草色のカーデガン・・・。 すげえ似合ってる) ///


シャル「よかった・・・」 ///

一夏「けど・・・その格好で学園を出たわけじゃないよな?」

シャル「大丈夫。 さっき、この駅の化粧室で着替えたの」

一夏「そうか・・・」

シャル「一夏の私服もカッコいいね」 ///

一夏「そ、そうか? ・・・ありがとう、シャル」 ///




              -午前中・水族館-

シャル「へえ~、水族館かぁ」

一夏「まだまだ暑い日が続くし、涼しげでいいだろ?」 クス

一夏「さて、先ずは何を見るか・・・」

一夏「シャルは、行きたい所ある?」

シャル「あ、ペンギンを見て見たいかな」

一夏「よし、ペンギンな」 ギュッ・・・

シャル「!!」

シャル(い、一夏、手を・・・) ///


シャル「うわぁ~! 可愛い~♪」

シャル「あ! ねえ、一夏、あれって親子かな?」

一夏「どれ?」

シャル「ほら、あそこ・・・ちょっと岩場の影の所にいる二羽」

一夏「ああ、あれな。・・・う~ん」

一夏「・・・俺には、俺達みたいなカップルに見えるけどな」 ///

シャル「!?」 ドキッ ///

シャル「も、もう・・・一夏ったら・・・」 ///

シャル(ふふ・・・でも、確かにそう見えるかも♪) ///


一夏「ペンギンも 結構種類があるんだな・・・」

シャル「ホントだね」

シャル「南極にしか、いないって思ってたけど・・・」

一夏「ハハ・・・、そんなイメージあるよな」

シャル「わっ! ・・・これ、大きいね?」

一夏「どれどれ・・・。 おお・・・でかいな」

一夏「お! しかも、その名も コウテイペンギン!」

シャル「ふふ、まさにピッタリの名前だね!」


一夏「さて、次は、どこがいい?」

シャル「やっぱり巨大水槽かな?」

シャル「パンフも相当 力を入れてるし、期待しちゃうな」

一夏「なになに・・・、悠然と泳ぐジンベイザメと 彩り豊かな魚達をお楽しみください・・・か」

一夏「面白そうだな」

シャル「うん!」


一夏「おお・・・・・・」

シャル「うわぁ・・・・・・」

一夏「凄いな・・・・・・」

シャル「うん・・・きれい・・・」

一夏(・・・シャルの方が、もっとキレイで可愛いよ) ///

シャル「ん?」

一夏「な、なんでもない」 ///

シャル「?」


一夏「お! あれがジンベイザメかな?」

シャル「え? どれどれ?・・・って、あれはエイじゃない?」

一夏「・・・どう見てもエイだな」 ハハハ・・・

一夏「でも・・・これもでかいな」

シャル「え~と・・・。 あっ これかな?」

シャル「オニイトマキエイ・・・世界最大のエイだって」

シャル「マンタ、とも呼ばれてるって書いてる」

一夏「へえ・・・世界最大かぁ・・・、なるほど」


シャル「あ!! 見て見て!! 一夏!!」

一夏「おおー!!」

シャル「おっきい・・・」

一夏「すごいな・・・」

シャル「ふふふ・・・」

一夏「? なにか、可笑しいか?」

シャル「うん、あのね、サメって言うから、もっと怖いのを想像してたんだけど・・・」

シャル「なんだか愛嬌のある姿だなぁって思って・・・」 クス

一夏「はは・・・確かにそうだな」

一夏(水中で絶対、遭遇したくないけどな・・・)


一夏「さてと・・・そろそろ昼飯にしないか?」

シャル「うん、いいね」

一夏「え~っと・・・、レストランは、と・・・」

一夏「こっちか」


シャル「一夏は、何にする?」

一夏「そうだな・・・」 パラパラ・・・

一夏「・・・?」

シャル「? どうかしたの?」

一夏「いや・・・、なんか普通のメニューだな、と思って」

シャル「普通?」


一夏「だってさ、水族館だから、魚の・・・例えば、サバとかアジとか」

一夏「そういう海の幸のオンパレードかと・・・」

シャル「・・・それは、逆に斬新だけど」

シャル「ボクは、さっきまで元気に泳いでた魚達が・・・って思うと」

シャル「食欲無くすかな・・・」

一夏「・・・・・・なるほど」


一夏「てなわけで、オムライス!」

シャル「ボクは・・・ナポリタン!」

         アハハ・・・

一夏「次はどこに行こうかな?」 モグモグ

シャル「今度は、一夏の行きたい所がいいな」 モグモグ

一夏「俺の行きたい所か・・・」 モグモグ

一夏「そうだな・・・」


シャル「深海魚・・・」

一夏「普段は、絶対見れないからな」

一夏「・・・って、シャル?」

シャル「うん!? な、なに?」

一夏「・・・・・・・・・」

一夏「か、変えようか?」

シャル「ううん! いいよ? ぜ、全然、おっけー!」


一夏(どう見ても・・・明らかに怖がってるじゃないか・・・)



一夏「・・・シャル、無理しないでくれ」

一夏「今日は、シャルのために来たんだから・・・」

シャル「!? ううん! む、無理なんて!」

シャル「・・・・・・・・・・・」


シャル「・・・ごめん。 やっぱり・・・怖い」

一夏「・・・いや、いいんだよ。 それくらい」 ニコ

一夏「じゃ、場所をかえy」

             ギュッ・・・

シャル「こ、怖いから、う、腕組んで、いい?・・・って言うか、もう組んでるけど」 ///

一夏「」 ///


一夏(むむむ、胸がっ! お、大物だっ!) ///

一夏「じゃ、じゃあ、行く、か!」 ///

シャル「う、うん・・・」 ///



一夏(・・・いかん! き、今日のシャルは、いつもの200倍(当社比)可愛い!!) ///

一夏(お、おまけに! 腕にとてつもなく、き、気持ちのいい感触がっ!!) ///

シャル(こ、怖いけど・・・これなら、怖くない・・・) ///


シャル「最後のリュウグウノツカイは、神秘的だったね!」

一夏「おう・・・」 ポー・・・ ///

シャル「・・・一夏?」

一夏「!! う、うん? なんだ? シャル?」 ///

シャル「話・・・聞いてた?」

一夏「お、おう! 竜宮城な! 浦島太郎が行ってきたって童話が・・・」 ///

シャル(・・・聞いてないじゃない) ムウー・・・


シャル「あ! 一夏! もうすぐイルカのショーが、始まるって!」

一夏「おっ、もうそんな時間か」

シャル「行こう! 一夏!」

一夏「ああ、行こう!」


            ザザーン・・・

シャル「わあっ! 可愛い!」

シャル「見て見て! 一夏!」

一夏「うおっ! イルカって、あんなにジャンプするんだ!」

シャル「すごい!」

一夏「おー! 今度は、三頭同時にジャンプ!」

シャル「きれいにそろってる! お見事だね!」

一夏「たくさん訓練したんだろうな・・・」 シミジミ・・・

シャル「ボク達にとっても連携は、大変だもの・・・。 感心しちゃう」 クス




----------



シャル「楽しかったね~♪」

一夏「最後のイルカの寸劇は、なかなか凝ってたな」 クス

シャル「ふふ、確かに面白かった。 あのネタを考えた人、センスあるよね!」

一夏「ホント・・・涙あり、お笑いあり、老若男女、関係なく楽しめる内容だった」

シャル「また、見に来ようね!」 ニコ

一夏「ああ・・・。 また来よう!」 ニコ


一夏「おっ、売店がある」

シャル「記念に何か買っていこうかな?」

一夏「いいな、俺も何か買うかな」

シャル「わあ・・・ぬいぐるみがいっぱい・・・」 キラキラ・・・

一夏「ジンベイザメが一番人気です・・・か」

一夏「どうだ? これなんて?」 ヒョイ

シャル「・・・・・・・・」

シャル「ううん・・・いい」

シャル「ボクは、『男』だから・・・そんな可愛いのは飾れないよ」 クスッ・・・

一夏「・・・!」

一夏「す、すまん・・・」


シャル「・・・これにしようかな」

一夏「キーホルダーか」

シャル「寸劇のイルカ君だね」

シャル「これなら大丈夫かな」

          コレクダサイ  ハイ、ドウゾ・・・

一夏「・・・・・・」

シャル「・・・一夏?」

一夏「!・・・え、えっと」

一夏「・・・じゃあ、俺は・・・、これにしよう」

シャル「・・・!? それって・・・イルカちゃんじゃない?」

一夏「おう」


シャル「・・・いいの? またホモ疑惑がかけられるよ?」

一夏「ふふ・・・それは、カンベンして欲しいな」

           コレヲ  マイドアリー・・・

一夏「・・・はい、シャル」 スッ・・・

シャル「えっ?」

一夏「寸劇通りなら、イルカ君とイルカちゃんは」

一夏「一緒にいないとな」 ニコ

シャル「一夏・・・」

シャル「・・・・・・・・・・」

シャル「うん・・・そうだね。 ありがとう、一夏」 ニコ

一夏「どういたしまして」 ニコ


一夏「さ~て、そろそろシメと行きますか!」

シャル「うん!」

シャル「最後はどこに行くの?」

一夏「クラゲのコーナーだ!」

シャル「・・・クラゲ?」

シャル「クラゲって・・・あのキミの悪い・・・?」

一夏「おっ・・・その反応!」

一夏「ふふふ・・・。 そういう反応のシャルにこそ、ぜひ、見てもらいたいんだ!」 ニコ

シャル「え~・・・」


シャル「わあ・・・」

一夏「どう?」

シャル「凄く・・・幻想的だね・・・」

一夏「だろ・・・」 ニコ

一夏「受け売りだけど、光のあて具合とか、色々計算して」

一夏「こんな風になるんだそうだ・・・」

シャル「へえ・・・そうなんだ」


一夏「・・・・・・・・・」

一夏「・・・えっと、シャル」 ///

シャル「うん?」

一夏「す、座らないか?」 ///

シャル「え?・・・うん、いいけど・・・」

シャル「・・・・・・・!?」


 一夏にうながされて 振り向いたボクは、そこがどういう空間か わかった・・・。

あえて通路状に、横長な水槽と見学スペース・・・。 

ほとんど水槽からの明かりしかない、薄暗さ・・・。

ベンチとベンチの間に置かれている、仕切りの様な観葉植物(造花)・・・。

そして・・・。 薄暗くてよく見えないけど・・・、何組かのカップルがいる・・・。


シャル(・・・こ・・・これって・・・!) ドキドキ ///

一夏「・・・い、いや、か?」 ///

シャル「・・・! う、ううん! ・・・・・・そんな事、ないよ?」 ///

一夏「そ、そうか・・・」 ///

シャル「・・・す、座るね?」 ///

一夏「・・・お、おう・・・」 ///


一夏「・・・今日は、楽しんでくれたかな?」 ///

シャル「・・・うん」 ///

一夏「そ、そうか・・・良かった」 ///

シャル「・・・・・・・・・・」 ///


シャル(・・・き、期待、しても、いいのかな?) ///

シャル(ううん・・・、こんなに雰囲気のある場所で) ///

シャル(な、何にもしなかったら・・・) ///

シャル(ボクだって、お、怒るんだから、ね・・・!) ///




 目の前には、ゆらゆらと漂う 幻想的なクラゲ達・・・。 ロマンチックだけど

それとは正反対に ボクの胸の鼓動は、早鐘を打つように激しく動いていた。

すぐ右隣に、一夏が・・・、大好きな人が、いる・・・。




 一夏の左手が・・・ボクにそっと触れる。 思わず ビクッ、としてしまうボク・・・。

でも・・・一夏の手は、戸惑いながらも ボクの肩に回され、一夏の方へ抱き寄せられた。



 今度は、一夏の右手が、ボクの顔に触れる。 ・・・そして、一夏の方へ、そうっと

顔を向けさせられた・・・。

 ボクは・・・、一夏の顔を見ながら、静かに目を閉じる。




 ああ・・・・・・。 これが、一夏の唇・・・。 たどたどしいけど・・・、とっても優しい・・・。

ふふ・・・キスの時も、『一夏』なんだね。



 唇をあわせる・・・。 ただ、それだけの事なのに、一夏の事が 全部わかった気がしちゃうよ。

うれしい・・・。 ボク、本当に幸せだよ? 一夏・・・。



 大好き・・・。




             -夕方・モノレール○○前駅-

一夏「・・・・・・」 ///

シャル「・・・・・・」 ///

シャル「きょ、今日は、ありがとうね」 ニコ ///

一夏「えっ? い、いや、シャルが元気になってくれたのなら」 ///

一夏「俺はうれしい」 ///

シャル「うん! 元気になれたよ?」 ///

一夏「そうか・・・。 よかった」 ニコ ///


一夏「じゃあ・・・、俺は先に帰っているから」

シャル「・・・!」

シャル「う、うん! わかった」

シャル(・・・あれ?)

一夏「今日は夕食、部屋で一緒に食べようぜ」

一夏「サンドイッチかなんか、用意しとくからさ」

シャル「うん、いいね」 ニコ

一夏「じゃ、部屋で待ってるからな?」

シャル「うん、待っててね・・・」

一夏「ああ・・・」


シャル「・・・・・・・・・・」

シャル「・・・さ、さてと! 着替えないと!」

シャル「・・・・・・・・・・」




             -同・モノレール○○駅・化粧室-

シャル(・・・・・・・・・) シュル・・・ススス・・・

シャル(・・・なんだろう、この気持ち)

シャル(・・・・・・・・・) ススス・・・ササッ・・・

シャル(幸せ気分が、どこかに行っちゃった・・・)

シャル(・・・・・・・・・)




             -夜・is学園寮・一夏とシャルの部屋-

シャル「ただいま~」

一夏「おう、おかえり!」

シャル「・・・あ、準備してくれてたんだ」

一夏「ハハハ・・・大丈夫。 さっき用意し終わったばかりだから」

一夏「さ、手を洗って、食おうぜ!」

シャル「うん!」

シャル「・・・・・・・・・・」

少し、休憩します。 良かったら、支援願います。

支援、感謝です。




            -翌日の朝・is学園・1組教室-

シャル「みんな、おはよう」

セシリア「あら、シャルルさん、おはようございます」

箒「おはよう」

ラウラ「うむ、おはよう、シャルル」

鈴「おはよう、シャルル」


セシリア「あのう・・・、一夏さんは?」

シャル「後五分~とか言ってたんで、そのままにしてきたよ」

鈴「うわ・・・遅刻したら千冬さんの雷が落ちるってのに・・・」

シャル「そんな事言われても・・・。 ボクは一夏の目覚まし時計じゃないから」 クスッ

箒「・・・ま、たまには、いい薬だろう」

セシリア「あら? ラウラさんは?」

鈴「え?」

箒「は?」

シャル「・・・あれ?」


鈴「!! ラウラ・・・! もしかして!」 ダッ

箒「一夏の所か!」 ダッ

セシリア「抜け駆けは許しませんわー!!」 ダッ

             ドドドドドド・・・

シャル「・・・アハハ」

シャル「・・・・・・・・・」




              -昼休み・is学園・食堂-

モブ子「デュノアくん! ここで食べない?」

モブ美「ねっねっ! いいでしょ?」

モブ枝「一緒に食べようよ~!」

シャル「うん、いいよ」 ニコ

           ワ~イ! ウレシー! キャッ キャッ


モブ子「ねえねえ、昨日のテレビでさ!」

モブ美「あ、それってあれじゃない?」

モブ枝「それよりもさ、駅前に出来た新しいケーキ屋さんなんだけど」

シャル「ああ・・・あの可愛いマスコットの?」

モブ枝「そうそう! それ!」

             アハハ・・・


シャル(・・・・・・・・)

シャル(・・・一夏は) チラ見

シャル(ふふ・・・いつも通りのみんなに囲まれてる)

シャル(・・・・・・・・)

シャル(あ・・・鈴に殴られた)

シャル(・・・何があったのかな・・・)

シャル(・・・・・・・・)


シャル(・・・・・・・・・)

シャル(ちょっとぐらい、いいじゃない)

シャル(ボクは、後で一夏を独り占めできるんだから)

シャル(・・・・・・・・・)

シャル(・・・・・・・・・)




            -放課後・is学園寮・一夏とシャルの部屋-

シャル「ただいま」

一夏「おかえり」

シャル「・・・一夏」

一夏「ん?」

シャル「あのね・・・」

一夏「うん」

シャル「・・・ホントの事、言っちゃ駄目かな?」

一夏「ホントの事?」

シャル「だから・・・、ボクが女だって事を・・・」

一夏「」


一夏「・・・どうしてだ?」

一夏「フランスに帰りたいわけじゃないんだよな?」

シャル「うん・・・」

シャル「でも・・・特記事項だってあるし、きっと大丈夫だよ」

一夏「・・・・・・」

一夏「もし・・・」

一夏「もし、大丈夫じゃなかったら?」

一夏「単なる便宜上の記述だとしたら?」

シャル「・・・・・・」


一夏「・・・・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・・・」

一夏「・・・シャル」

シャル「うん」

一夏「俺が告白した時の事、覚えているか?」

シャル「・・・え? えっと・・・」

一夏「・・・ほら、鈴とセシリアが、ラウラに 負けた日の夜」

シャル「ああ! そうだったね・・・」

シャル(・・そ、そんなに早い段階で告白したんだ・・・) ///


一夏「・・・まあ、最初は、同情だったかな」

一夏「シャルの境遇とか、似てるところあったし・・・」

シャル「・・・うん」

一夏「だけど・・・ほんの数日だったけど、シャルは、とても優しくて」

一夏「いつも俺の隣にいて、可愛い笑顔を見せてくれてて・・・」 ///

シャル「う、うん」 ///

一夏「俺の中で、どんどん存在が大きくなっていって・・・」 ///

一夏「か、掛け替えの無い、大切な人だって・・・思うようになってたんだ・・・」 ///

シャル「・・・・・・」 カァ・・・///

シャル(・・・う、うれしい) ///


一夏「・・・でも」

シャル「・・・?」

一夏「同時に怖くなった・・・」

一夏「男装がばれて、シャルが居なくなる事が・・・」

一夏「とてつもなく恐ろしくなったんだ・・・」

シャル「・・・・・・」

シャル(・・・そっか。 そう、だったんだ)


シャル「・・・・・・・・・」

シャル「・・・ごめん、一夏」

シャル「もう・・・言わないから」 クスッ

一夏「・・・・・・俺の方こそ、ごめん」

一夏「わかってるんだ・・・。 シャルに、負担をかけていることは」

一夏「だけど・・・、俺、もう・・・シャルが居なくなる事には、耐えられない」

一夏「俺・・・」 グスッ・・・

シャル「・・・一夏」

シャル(・・・・・・・・・)




              -夜中・is学園寮・一夏とシャルの部屋-

シャル(・・・・・・・・・・)

シャル(・・・どうしよう)

シャル(凄くうれしい・・・) ///

シャル(・・・・・・・・・・) ///

シャル(一夏が・・・ボクと離れたくないって言ってくれてる) ///

シャル(ボクの知ってる一夏じゃないみたい) ///

シャル(・・・・・・・・) ///


シャル(・・・!!)

シャル(・・・・・・・)

シャル(・・・そうだ、違うんだ・・・)

シャル(この一夏は・・・)




シャル(あの電話ボックスで作られた、ボクの理想の一夏なんだ・・・!!)



シャル(・・・・・・・・・)

シャル(でも・・・それでもいいじゃない)

シャル(今、隣のベッドで寝ている一夏は、理想の一夏だし・・・)

シャル(それでいいじゃない・・・)

シャル(それで・・・・・・・・)

シャル(・・・・・・・・・)




               -深夜・is学園裏・雑木林-

シャル「・・・・・・」

シャル「・・・・・・あった」

シャル「・・・・・・・・・」

シャル「いったい、誰が何の為に・・・」

シャル「・・・・・・・・・」

シャル「・・・考えても無駄だよね」




 涼しい風が心地よい月明かりの中、ボクは、あの電話ボックスの中に入った。



シャル(・・・・・・・・・・)

シャル(ホントにいいの? シャルロット・・・)

シャル(あの一夏は、理想だよ?)

シャル(元に戻ったら・・・)

シャル(また、他のみんなと取り合いになるんだよ?)

シャル(・・・・・・・・・・)


シャル(・・・・・・・でも)

シャル(ボクは知ってるもの・・・)

シャル(日の当たる場所が、心地いい事を)

シャル(ウソ偽り無く、みんなと話せることが)

シャル(とっても楽しいって事を・・・) クスッ・・・


シャル(・・・・・・・・・・・)

シャル(そして、日陰にいたボクの背中を)

シャル(優しく、そっと押してくれたのは・・・)

シャル(元の世界の一夏)

シャル(・・・・・・ふふっ)

シャル(本人にその自覚が、全然無いけどね・・・) クスッ




 ボクは、電話ボックスの受話器を手に取った。



シャル「元の世界に・・・もどって!」

            ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリンッ!!



 ボクは、電話ボックスを出ると、isを起動して それを持ち上げる。

そして・・・、湖の真ん中まで来ると、思い切りそれを放り投げた。




シャル「ライフル・・・榴弾、装填!」

             ダン!ダン!ダン! ・・・ボウンッ!!



 爆散して湖面に消える、不思議な電話ボックス・・・。

後悔してない・・・と言えば、それはウソになる。

でも・・・あれは、在ってはいけない物だ。

それは確信していた・・・。




                -次の日の朝・is学園・1組教室-

シャル「おはよう、みんな」

セシリア「あら、おはようございます、シャルロットさん」

箒「おはよう」

鈴「おはよう、シャルロット」

一夏「おう! おはよう!」

ラウラ「おはよう、シャルロット」


シャル「・・・ラウラ、今朝起きたら居なかったけど」

シャル「まさか また、裸で一夏のベッドに潜り込んでたり してないよね?」

ラウラ「ああ」

ラウラ「ちゃんとパジャマは着ていた」 ドヤッ!

シャル「・・・一夏?」 ゴゴゴ・・・

一夏「お、俺は悪くないだろ!?」

箒「ハレンチな・・・」 ゴゴゴ・・・

セシリア「一夏さぁん・・・」 ゴゴゴ・・・

鈴「一夏ぁ・・・」 ゴゴゴ・・・

一夏「」




              -昼休み・is学園・屋上-

鈴「まったく・・・あの朴念仁!」

ラウラ「嫁の悪口は止めてもらおう」

鈴「元はと言えば、あんたの所為でしょーが!」

シャル「ラウラ・・・、何度も言うけど、人のベッドに勝手に入っちゃダメだよ?」

ラウラ「そうか・・・。 ならば今度は、ことわりを入れてから」

セシリア「そう言う問題ではありませんわ!」

ラウラ「むう?」

箒(いくら言っても、平行線か・・・)


シャル「ねえ、ラウラ。 一夏の事、好き?」

箒・鈴・セシ「「「!!」」」

ラウラ「もちろんだ」

シャル「そっか」 ニコ

シャル「・・・でもね、ラウラ」

シャル「『好きだから』 といって、それを押し付けるのは良くないと思うよ?」

ラウラ「・・・?」

箒・鈴・セシ「「「・・・・・・」」」


シャル「ボクね、怖い夢を見たんだ」

ラウラ「夢?」

シャル「うん。 その夢の中での一夏は、ボクにぞっこんでね」

ラウラ「・・・どこが怖い夢だ」

箒・鈴・セシ(((う、うらやましい・・・)))



シャル「最初は、ボクもそう思ったよ」 クス

シャル「でも・・・」

シャル「夢の中の一夏は、ボクと一緒に居たいために」

シャル「ボクに男装を続けさせていたんだ・・・」

ラウラ「・・・!」

箒・鈴・セシ(((・・・・・・)))


シャル「・・・もちろん、ボクもそれを 望んでいたのかも知れないけどね」

シャル「だけど・・・人に好きって想いを押し付けてしまうと・・・」

シャル「それは迷惑な事なのかなって、思える様になったの」

ラウラ「・・・・・・・」

箒(・・・今日は)

鈴(いつにも増して)

セシリア(説得力がありますわ・・・)


ラウラ「・・・そ、そんな事は、無い!」

ラウラ「私の嫁は、喜んでいるはずだ!」

シャル「・・・・・・そう」

シャル「じゃあ、もう何も言わない」

シャル「ラウラが、それでいいなら それでいいよ」

シャル「忠告はしたからね? どうなってもラウラの責任だから」 ニコ

ラウラ「ひっ・・・!」


鈴(うわぁ・・・・・・出たよ。 デーモンスマイル・・・)

箒(・・・せ、背筋が凍りつくような感覚が) ブルッ・・・

セシリア(わ、わたくしは、負けません事ですわよ!) ブルブル・・・

ラウラ(い、いつものシャルロットじゃない・・・!) ブルブル・・・

シャル「ん? どうしたの? みんな?」

箒・鈴・セシ「「「な、なんでもない!」」 ですわ!」

ラウラ(放課後・・・部屋に帰ったら謝っておこう・・・) ガクブル・・・




 こうして、ボクの不思議な体験は、幕を閉じた。 

本当に夢なのかと思えるほど・・・。

 でも・・・そうではない、と伝える証拠が一つ・・・、ううん二つあった。




             -夜・is学園寮・ラウラとシャルの部屋-

シャル「・・・・・・・・・・」 チャラ・・・

シャル(イルカくんと イルカちゃんのキーホルダー・・・)

シャル(どうしてあるのかな?)

シャル(・・・・・・・・・・・) チャラ・・・

シャル(ふふ・・・まあ、いっか) クス

シャル(・・・・・・・・・・・)

シャル(それにしても・・・)

シャル(やっぱり もったいなかったかな・・・) チャラ・・・


シャル(・・・・・・ううん)

シャル(それは考えちゃいけないよね・・・)

シャル(でも・・・いつか)

シャル(・・・・・・・・・)

シャル(ボクの好きな一夏と・・・あんなキスをしたいな) ///

シャル(うふふ・・・) ///

シャル(おやすみ、一夏・・・) ///



 それは、ボクだけの大切な宝物になっていた。



                おしまい

皆さん、お疲れ様でした。 シャル編、終了です。
お楽しみいただけたのなら、嬉しいです。

いつもながら、支援してくださった方、ありがとうございます。

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