【陽-Haru-】 宮永照選手引退 (125)

咲の舞台から約20年後
更新ゆったり
文章稚拙

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「先日、チャンピオン宮永照選手がプロ雀士を引退することを明らかにしました」

「宮永選手は……」

宮永照の引退
それを他のプロ雀士を大きく驚かせただけではなく、麻雀界の新たなる時代の幕開けとなった

宮永照

通算成績 15731勝 17敗


全国高等学校麻雀選手権 団体・個人優勝

全国プロ麻雀選手権 優勝

世界プロ麻雀選手権 優勝 etc……

記録

歴代最多和了記録 205837回

歴代最多連続和了記録 158回 etc……


他にも数えればたくさんある宮永照の記録
彼女にはプロになった後も敵はいなかった
高校卒業後にすぐにプロ入りし、国内最強と言われた小鍛冶プロをあっさりと完封
その後も連勝に連勝を重ね、最強の称号を手に入れた
私はそんな彼女のことが大好きであったし、尊敬もしていた
その人が、私のためにプロをやめるまでは……


照家

陽「おばさんご飯できたよ!」

照「おばさんじゃなくてお姉さん
それにご飯はいらないって言った」

陽「さすがにもうすぐ40代の人をお姉さんとは呼べないよ
おばさんいつもお菓子ばかりだからたまにはご飯も食べなくちゃダメだよ」

照「わかった
今ゲームしてるから終わったら行く」

陽「早く来て!」

私の名前は宮永陽(はる)
高校1年生
宮永照の姪であり、あの宮永咲の娘
え?お母さんはどうしたって?
その話はまた後日

照「陽は部活は決めたの?」

陽「まだだけど、文藝批評討論同好会っていうのに入ろうと思ってるよ!」

照「なにその部活……
あやしい……」

陽「おばさんも家でぐうたらしてたらダメだよ!
たまには外で運動したりしないと!」

照「今日は誠子の釣り番組があるからそれを見ないといけない」

陽「はいはい……
お昼ご飯は冷蔵庫に入れてあるからレンジでチンして食べてね」

照「うん」

陽「そろそろ時間だから行ってくるね!」

照「うん」

陽「あ、希京ちゃんおはよう!」

希京「陽ちゃんおはよう!」

彼女の名前は須賀希京
お母さんの友達2人の娘
当初名前を考えたときに、2人の名前を組み合わせて名前をつけたかったらしく
某アニメ犬朝叉のキャラクターにも同じ読みの名前がいるということでこの名前になったらしい

陽「相変わらずタコスが好きなんだね!」

希京「お母さんにそっくりって言われるから嫌なんだけど
やめられないんだよねー!」

希京「それより陽ちゃん」

陽「ん?」

希京「麻雀部に入らないの?
顧問の先生も陽が入ってくれたら全国制覇狙えるかもって言ってたよ!」

陽「でも私はもう麻雀は……」

希京「そ、そうだったね……
ごめんね!
よく考えれば部員は私を含め3人だから団体戦には出れないし!
忘れて忘れて!」

陽「うん……」

希京「いこいこ!」

??「やっぱりダメだったようね」

希京「先生も自分で言ってくださいよー!
陽ちゃんの前で麻雀の話はなんとなく話にくいんですよー!」

??「彼女が本当に麻雀と運命があるなら
私が言わなくても彼女から来るはずよ」

希京「先生が言った方がいいと思いますよ」

??「私は待つのには慣れっこだから」

希京「どういうことですかそれ……」

帰り道

陽「あ、和お姉ちゃん!」

和「もうお姉ちゃんとは言われる年ではありませんよ陽さん」

陽「和お姉ちゃんは誰にでもさんつけるね!」

陽「今日は学校に何か用?」

和「久しぶりに麻雀部のみんなで集まろうということになりまして
それはそうと
陽さんは麻雀部には入らないのですか?」

陽「うーん……
多分入らないと思います」

和「そうですか……」

和「よかった……」ボソッ

陽「?
お姉ちゃん何か言った?」

和「な、何でもないですよ!
私そろそろ時間ですから行きますね!」

陽「うん!
またねお姉ちゃん!」

和 (陽さん
私はあなたにもう麻雀をして欲しくはありません)

優希「みんな久しぶりだじぇ!」

まこ「あんたは下に小さい子おったじゃろうに
大丈夫なんか?」

優希「京太郎に任せてあるじぇ!」

まこ「相変わらずの関係じゃのう」

久「みんな久しぶり!」

優希「部長!」

久「あらあら、
今は部長じゃなくて顧問よ」

和「まさか部長が教師になるとは思ってもいませんでした」

久「いろいろ迷ったんだけどね
私昔から人に指導するの得意だったから」

まこ「まぁ、わしらはあんたのおかげで強くなれたもんじゃけんのう」

優希「あの合宿が懐かしいじぇ!」

和「あれからもう20年以上も経つのですね」

久「あの時は咲もいたわね」

まこ「あんた……」

優希「じぇっ!?」

和「……」

久「ごめんごめん!
場をしらけさせちゃったわね」

まこ「それで
今日は何でわしらを呼んだんじゃ?
昔話をしようと読んだわけじゃないんじゃろ?」

久「実は
私ね
陽に麻雀をさせたいと思ってるの」

優希「ぶ、部長それは……」

和「ダメです!
絶対に許しません!」

まこ「」

久「でもね和」

和「何を言おうとも
私は絶対に許しません!!」

和「陽さんに麻雀をさせることは私が許しません!!」

バタン

まこ「怒って帰ってもうたのう……」

優希「和ちゃんが怒るのは当然だじぇ……」

久 (和
あなたは本当に麻雀が嫌いになってしまったのね)

和 (麻雀
あなたはまた
私から大切な人を奪おうとしているのですか?)

照家

照「ごちそうさま」

陽「ごちそうさまでした!
おばさん美味しかった?」

照「うん、誠子の魚がすっごく美味しい」

陽「もー、味付けは私がしたんだからね!」

照「それはわかってる
陽にはいつも本当に感謝してる」

陽「私だって、おばさんにはいつも感謝してるよ」

陽「だって私のせいでおばさんは……」

照「陽、その話はしない約束
私は別にあなたのためじゃない
私が選んだ道だから」

陽「うん、ごめんなさい」

照「怒ってないから大丈夫
あと陽」

陽「ん?なにー?」

照「週末、咲に会いに行こっか?」

陽「うん!私週末の予定空けておくね!」

照「うん」

照「じゃあ私、おかし食べながらゲームしながら菫とskypeしたら寝るからお休み」

陽「寝るのはだいぶ後なんだね……おやすみおばさん」

照「陽」

陽「ん?」

照「skypeのパスワード忘れた……」ウルウル

陽「……はいはい」ニコ

翌日

陽「おばさん起きて!今日は用事あるんじゃなかったの!?」

照「今日は菫と麻雀の講演会に行く予定が……」

照「!?」

陽「やっと目が覚めたんだね」

照「どうしよう陽……」ウルウル

陽「大丈夫だから大丈夫だから!京ちゃんに電話してみよ」

照「京ちゃん連れてってくれるかな?」

陽「もしもし京ちゃん?実は……」

京太郎「は!?東京行き電車に乗り遅れたから車に乗せろだって!?」

京太郎「しかも今すぐって……」

優希「行ってやるんだじぇ京太郎!
咲ちゃんのお姉ちゃんは私が決勝戦で戦った盟友だじぇ!」

京太郎「そう簡単に言うなよ……」

優太「パパがんばるんだじぇ!」

京太郎「うおぉー!!男須賀京太郎!3歳の息子に応援されたらいくしかない!」

希京 (私以外バカ……)

優希「私は優太を保育園に連れてくじぇ!」

まこ家

まこ「いらっしゃーい」

和「おはようございます」

まこ「あんたー、こんな時間にどうしたん?」

和「昨日は取り乱してしまい、すいませんでした」

まこ「わざわざそれを言うためだけに……あんたは本当に真面目じゃのう」

まこ「メイドでもしてくれるんかと思ったんじゃがなー」

和「興味はありますが……流石にこの年齢ではきついので……」

まこ (あんたが30代ってことが不思議じゃよ……)

まこ「部長も怒っちょらんじゃろー」

まこ「わしもあんたの怒る気持ちはようわかる」

まこ「でも部長は、才能を放置しておくのが嫌なんじゃろうなー」

和「」

まこ「咲をうちの麻雀部に入れるために図書室で待ち伏せしたほどじゃけんなー」

まこ「部長に悪気はないんじゃ」

和「……はい
私にもわかってるんですが……
陽には麻雀をさせたくないんです
例えそれが、陽が望んでいることでも……」

まこ (和も変わってもうたのう
あんなに麻雀を好きだった和が
こんな時、あんたじゃったらなんて言うんじゃ?咲……)

和「朝早く失礼しました
これから仕事なので失礼します」

まこ「充分なもてなしもできんずにすまんのう」

和「いえ、では失礼します」

清澄高校

久「ツモ!
6000オール」

希京「また先輩が飛ばされて終わりですねー」

モブ先輩A「不甲斐ない……」

モブ先輩B「先生、手加減してください……」

久「あらあら、これでも現役時代の1/3程度よ」

モブ先輩B「どんだけ当時の部員さん強かったんですか……」

久「みんな強かったわよ」

久「できれば戻りたいわ」

希京「東風戦は得意なんですけどねー」

久「あなたは優希のスタイルにそっくりね」

久「口調以外は優希の高校時代そのものだわ」

希京「わ、私をお母さんと一緒にしないでください!」

希京想像

優希「だじぇだじぇだじぇだじぇだじぇ!」

優希「タコスタコスタコスタコス!」

希京 (あんな変人と一緒にされたくない……)

乙です?
一点だけ気になるところが
>>23の和が無言になるところは、『「」』ではなく『「…」』とかにした方が良いかと
『「」』だと完全思考停止でバカっぽく見えちゃう

>>27、28
そこ私もどうしたらいいか迷ってました
アドバイス感謝です

バタン

久「あら、久しぶりじゃない?」

久「どうかしたの?」

美穂子「上埜さんも相変わらずお強いですね」

久「福路プロに言われると嬉しいわね」

希京「え?福路プロ!?」

モブ先輩A「今年の国麻のベスト16……」

モブ先輩B「なぜこんなところにそんな人が……」

美穂子「あなたたちの顧問の方がよっぽど強いですよ」

希京「いやいやあり得ないですって!」

モブ先輩A (福路プロに自分より強いって言われているうちの顧問)

モブ先輩B (本当何者なんだよ……)

美穂子「上埜さん
本当に今年も予選に出場しないのですか?」

久「何度も言ったじゃない?私は表舞台からはもう退いたのよ?」

美穂子「でもあなたの実力なら……宮永プロが引退してから、麻雀界に以前の活気がないのはご存知ですよね?」

美穂子「宮永プロの引退をきっかけに、天江プロ、原村プロ、園城寺プロ、そしてあなたも……さまざまな人が麻雀界から去りました」

美穂子「あなたが戻ってくれればまた以前のように……」

久「私ね、今やりたいことがたくさんあるのよ?」

久「ぶのわるい待ちだけどね……」

美穂子「相変わらずですね」

美穂子「自ら悪いまちにする」

美穂子「清澄の麻雀部を作り上げたときみたいに、またあなたは誰かを待っているのですか?」

久「あの子が麻雀をはじめれば、また麻雀界は以前の活気を取り戻す」

久「そう思えるくらい私の待ってる子の影響は強いと思うと私は思っているわ」

久「だから美穂子も期待しててよ」

美穂子「……また全国の皆さんと楽しく麻雀を打てるといいですね」

美穂子「20年前のインハイみたいに……」

久「いつかその日は来ると思うわ」

久「その日まで私はこの子たちと特訓よ!」

美穂子「……わかりました」

美穂子「私も陰ながら応援していますわ」

久「ありがと」

久「さてと」

久「また待ってみますか」

久「待つのは慣れてるから」

照家

陽「おばさんただいまー!」

シーン

陽「そっか……おばさん東京なんだ……」

和「おかえりなさい」

陽「あれ!?和お姉ちゃんどうしているの!?」

和「お姉さまから、陽さんを1人にするのは心配だと面倒を見るよう頼まれてまして」

陽「もー、おばさんはいつも私を子供扱いする!」

和「でも陽さんお姉さまがいなくて寂しそうでしたよ」

陽「そ、そんなことないよー!」

アナウンサー「女性同士での結婚が、一昨年は全国で214件、去年は235件と、順調に伸びていますね」

竜華「これもうちが先駆けて結婚したおかげやなー!」

アナウンサー「そ、そうですね……」

竜華「うちと怜の子供、すっごいかわいいんやでー!」


陽「この人清水谷さんだ!
プロの清水谷さん!」

和「そうですね
なかなか強い方でした」

陽「和お姉ちゃんは、もう麻雀やらないの?」

和「私は……そうですね……おそらくもうやらないと思います……」

陽「私ね、麻雀してる時の和お姉ちゃんすごく好きだったよ!」

和「え?」

陽「もちろん今の和お姉ちゃんも好きだよ!」

和 (咲さん……私本当に……これで良かったのでしょうか?)

和 (咲さん……)

和 (あなたの声が聞きたい……)

和「そ、それはそうと、部活の方は順調ですか?友達できましたか?いじめられていませんか?」

陽「もー、和お姉ちゃん心配しすぎだよ!まるでお母さんだね!」

和「そ、そうですね……」

陽「今のニュース見てて思ったんだけど、私ってお父さんだったのかな?それとも2人共お母さんだったのかな?」

和「それは……私もわかりません」

陽「そっかー……どんな人だったんだろうね」

和「わ、私そろそろ帰りますね!仕事が残ってますから!」

陽「そっか……来てくれてありがと!またいつでも来てね!和お姉ちゃんは家族も同然だから!」

和「はい……では、お邪魔しました……」

和 (家族同然ですか)

和 (嬉しいのやら嬉しくないのやら……)

陽「もしもし?あ、おばさん!」

照「何度も言うけどおね……」

陽「お姉さんどうかしたの?」

照「……ご飯はちゃんと食べた?」

陽「うん!和お姉ちゃんと一緒に食べたよ!」

照「ならいい」

照「今から講演の夜の部だから」

陽「うん!講演頑張ってね!」

照「しっかりお風呂に入って戸締りして寝ること」

照「あと淡主演のドラマ録画しといてね」

照「あと棚の上のお菓子は食べないこと」

照「あと……」

陽「大丈夫!わかってるから!」

菫「照、そろそろ時間だぞ」

照「今行く」

照「じゃあまたね」

照「おやすみ」

陽「おやすみ!」

陽「相変わらずの心配性だなぁ」

陽「よく見たら着信47件にLINEが462件送られてきてる……和お姉ちゃんと話してたから気づかなかった……」

陽「後片付けしないと!」

咲「私は麻雀……それほど好きじゃないんです」

咲「原村さん、いっしょに全国に行こうよ!」

咲「うん!約束!」

咲「和ちゃん!」

和「咲さん!!」

和「……」

和「夢ですか……」

和「咲さん……私……どうすればいいんでしょうか?」

希京「陽ちゃん今週の土曜日遊ぼー!」

陽「ごめん」

陽「今週はお母さんのところに行く予定があるんだ」

希京「あ、そっか……そういえばお母さんとお父さんの週末は出かけてくるって言ってたっけ」

陽「うん、ごめんね」

陽「また今度遊ぼうね!」

希京「気にしなくていいよ!」

土曜日

照「咲……みんなと陽が来てくれたよ」

久「久しぶりね咲……」

まこ「あまり来れなくてすまんのう」

優希「タコス持ってきたじぇ!」

京太郎「俺もきたぜ!」

和「咲さん……」

咲「……」

陽「あの……お母さんの状態は?」

医師「相変わらずです……今すぐにでも起きるかもしれないし……もしくは一生……」

和「やめてください!!
咲さんがこのままで終わるはずがありません!!」

久「和、ここは病院よ……」

和「咲さんは、今までどんな逆境の中でも勝ち抜いてきたんです!!
これくらいの逆境なら……」ポロポロ

照「和……ありがと」

照「私も咲なら絶対このままで終わらないと信じてる」

陽「お母さん……お母さんがいないのはとっても寂しい」

陽「でも今の生活もとっても楽しいよ」

陽「おばさんもいるし、和お姉ちゃんもよく来てくれるし」

陽「私の心配はいいから……お母さんの起きれる時でいいから……」

陽「絶対に起きて……もう一度一緒に暮らそ」

陽「また一緒に暮らそうよ」

照「陽……」

久「じゃあ私はそろそろ帰るわね」

久「来週の小テストの問題作らないと」

まこ「わしもそろそろ店があるけんのう」

優希「私ももっといたいけど……」

京太郎「今日は優希の親が家にくることになっててな」

優希「わるいじぇ」

照「大丈夫」

照「みんなありがと」

照「咲のこといつまでも心配してくれて」

久「何言ってるのよ?当たり前じゃない」

久「私達はこの子の仲間なんだから」

和 (咲さん……見ていますか?)

和 (あなたには、こんなに素敵な仲間がいるんですよ?)

和 (それに陽も……)

陽「じゃあお母さんまた来るからね」

陽「またお母さんとおばさんと和お姉ちゃんと」

陽「一緒に麻雀したいな」

和「……」

陽 (その時は私も……)

陽 (もう一度麻雀してもいいのかな?)

和 (……咲さん)

和 (私は今、陽のためとはいえ)

和 (陽と麻雀を離れさせようとしています)

和 (これでいいんですよね?)

和 (私はもう……あなたの時のような思いはしたくありません)

和「咲さん……また来ますね」

和「……」

のどっち「元気がありませんね」

和「またあなたですか?あなたは何者なんですか!?」

のどっち「言ったではないですか?私はのどっちです」

和「説明になっていません」

のどっち「遊戯王で言えば闇遊戯の事ですよ」

和「そんなオカルトありえません」

和「あなたは闇遊戯より闇バクラか闇マリクが似合ってると思います」

のどっち「和さんもたまには面白いこと言うんですね」

和「余計なお世話です!」

和「何でいきなり私はあなたのことが見えるようになったのか知りたいのですよ!」

のどっち「それは……あなたの身の回りで悲しいことがあったからでしょうか?」

のどっち「ほら、遊戯王でも紅葉さんが意識不明になった時に十代にハネクリボーが見えるようになりましたよね?」

和「あなたは遊戯王にたとえるのが好きなんですね」

のどっち「私は和さんの趣味に呼応していますからね」

和「ゆ、遊戯王は……中学に進んだ頃、奈良の友達と疎遠になった時期にはじめた暇つぶしの一つですよ……」

のどっち「それにしては大会にも出場したりモンスターのコス……」

和「む、昔の話ですよ!ていうか、あなたはいつから私に取り憑いているのですか?」

のどっち「あなたが麻雀を始めた頃から私はいます」

のどっち「あなたがネット麻雀をしていた頃は私があなたの代わりに打ってました」

和「だからですか……自分で打ってる気がしませんでした」

のどっち「あと、あなたが高校に入り、エトペンを抱きながら打ってた時も、途中から私が打ってました」

和「あの時の私は完璧でした……あなただったのですね」

のどっち「わかりやすく説明をすると、眠りの小五郎みたいなものですよ」

のどっち「でも、私が打ってる間にも、あなたの意識は微量ですがありました」

のどっち「そしてあなたは、私の麻雀を体で体感することによって、麻雀の実力をあげ、私が必要ないほど強くなりました」

のどっち「それから私はあなたの心の奥底で眠っていました」

和「そんなことありませんよ」

和「昔の牌譜なんかもたまに見ますが、あなたの牌効率は完璧でした」

和「私にはどう頑張っても真似できませんよ……」

のどっち「そう言われると照れますね//」

のどっち「まるで佐為に憧れるヒカルですね」

和「褒めなければよかったです……」

和「あなたはそれにしても漫画にたとえるのが好きですね」

のどっち「私の性格はあなたの性格をうつしだしているのですよ」

和「そう言われると返す言葉がありませんね……」

のどっち「先ほどは、あなたが悲しんでいたから私が出てきたといいましたが、本当の理由は私にもわかりません」

のどっち「ただ、あなたが私を何らかの形で求めていたのは確かだと思いますよ」

のどっち「そうでないと、麻雀をやめる決意をしたあなたの前に私が現れる理由がわかりませんからね」

和「私は、もう麻雀はしません……」

のどっち「私はあなたの心の中にいますから、あなたの考えていることは大体わかります」

のどっち「あの日のことは、あなたには罪はありませんし、咲さんが倒れたことも……」

和「私は別に罪の意識に囚われているとかそんなわけではありません」

和「ただこれは私のけじめです」

和「麻雀に対する復讐でもあり」

和「私のあの子に対する贖罪です」

のどっち(相変わらず堅い子ですね……)

のどっち (あなたのその気持ちが……裏目にまわってしまわないことを私は祈ることくらいしかできませんね)

和「それはそうと……」

のどっち「?」

和「あなたはなぜ高校の頃の私の容姿と変わらないのですか?」

のどっち「本来なら私もあなたと共に老化してしまうのですが」

のどっち「私はあなたが高校2年生になった時からあなたの奥底で眠っていましたからあなたの高校生の頃の姿のままなんです」

和「そうなんですか……」

のどっち (今聞くべき事なのでしょうか……)

陽「お母さん、今日も起きなかったね……」

照「大丈夫」

照「咲は何があっても絶対に諦めない子だから」

陽「ねえねえおばさん」

陽「お母さんってどんな人だったの?」

照「咲がああなっちゃったのは陽が5歳の頃だったから陽にはあまり咲の記憶がないんだね」

陽「うん」

陽「何となくみんなで麻雀やった記憶とかはあるんだけど」

陽「あとは……なんか頼りないお母さんだった気がする」

照「咲は確かに頼りなかったよ」

照「でも咲はね」

照「ここぞというときはすごい子だったんだよ」

照「昔ね、咲とおばさんは喧嘩してたんだ」

陽「え?そうだったの?」

陽「私が知ってるおばさんとお母さんはとても仲良しな気がしたんだけど……」

陽「家に飾っている写真も仲良く2人で写ってるし」

照「あれは仲良くなった後だから」

照 (喧嘩してたっていうのは咲の思い込みだったんだけどね……」

照「私と仲直りするためにインターハイにまで出てくる子だから」

陽「それはきっとおばさんのことが大好きだからだよ」

陽「おばさんのことが好きだから麻雀も頑張れたんだね」

照「そこまでする子だから」

照「陽ともう一回一緒に暮らすために咲は絶対に目をさますよ」

照 (そういえば和が言ってたかな……咲は私ともう一度一緒に暮らすんだ言ってたって…)

陽「私は……お母さんもだけど……もう一人の親とも一緒に暮らしたいな……」

陽「ねえ」

陽「おばさんは私のもう一人の親のこと何も知らないの?」

照「……知ってるよ」

陽「え?何で今まで教えてくれなかったの!?」

照「陽何も言わなかったし……あまり話さないっていう約束だから」

陽「そっか……」

照「怒らないの?」

陽「おばさんが言わなかったなら何か理由があるんだろうし、何か訳ありなら仕方ないよ」

照「陽は優しい子だね」

照 (その理論的な性格も似たんだろうなー)

陽「でも10年前……お母さんが倒れちゃった時」

陽「一緒にいて欲しかったなぁ……」

照「そっか……」

照「……多分いつか会えると思うよ」

照「その人は色々と訳ありだから、今は会えないけど」

照「陽が会いたいと思っていれば会えるよ」

陽「うん」

陽「会えたら昔話とか私の名前の由来とか聞きたいなー」

照 (陽の名前の由来か……私が教えてあげてもいいんだけど……名前をつけたのは……)

のどっち「では、陽さんの名付け親は和さん何ですね」

和「はい」

和「まだ陽の名前が決まっていなかった時に……」


15年前

和「お腹大きくなってきましたね」

咲「うん!もうすぐ生まれるって先生も言ってたよ!」

和「ところで咲さん、名前は決まったんですか?」

咲「名前は……色々考えたんだけど…….優希ちゃん達みたいに名前を合わせるってしたかったんだけど……」

和「それだと難しいですね……」

和「私も考えてきたのですが……陽というのはどうでしょうか?」

咲「はる?」

和「太陽の陽です」

和「太陽の様に私達を照らしてくれるという意味です」

和「あと……」

和「太陽がないと花も咲けませんし、雨が降っていてはのどかだと感じることはできませんからね」

咲「和ちゃん……」

和「へ、変だったでしょうか?」

咲「ううん!最高だよ!さすが和ちゃんだよ!」

和「そ、そうですか?//」

和「お姉さまに、私の名前も1mmくらい関わって欲しい……と言われたので、いろいろ考えたらこの名前がベストでした」

咲「すごくいい名前だよ!」

咲「陽……早く出てきて一緒に暮らそうね!」

和「咲さん……陽をよろしくお願いします」

和「不甲斐なくて申し訳ありません」

咲「和ちゃん、そのことは謝らないって約束したよね?」

和「ですが……」

咲「仕方ないよ……でもいつか一緒にみんなで暮らせるよ……」

咲「いつかもっと暮らしやすい世の中になるよ」

咲「そうなったら3人で一緒に暮らそ!」

咲「いつまでも待ってるよ!」

咲「和ちゃんに似て真面目なこの子と」

和「きっと咲さんに似ておっちょこちょいな子ですよ」

咲「もしかしたらお姉ちゃんに似て口数が少なくて近寄りにくい子かもね!」フフフ

和「そうですね」フフフ

照「……」ゴゴゴ

咲「お、お姉ちゃん!?」

照「果物切って来たけど帰る」ウルウル

和「お姉さま待ってください!」

のどっち「そういえばそんなことがありましたね」

和「あれから陽が生まれて、なんだかんだで私達は幸せでした」

和「私は陽の親として接することはできませんでしたが、一緒に麻雀したりしてとても楽しかったです」

和「そう」

和「あの日までは……」




10年前

華菜「決まったー!!」

華菜「決勝に進出したのは原村和!」

華菜「これで決勝に進出したのは宮永姉妹に天江衣に原村和だし!」

華菜「姉妹対決 元同級生対決だし!」

華菜「荒川プロはどう思うし?」

憩「うちも出場してたら決勝まで行けたと思うんやけどなー」

憩「残念やわー」

憩「まーでもこれはこれでおもろいやろなー」

華菜「解説終わるし!」

華菜「決勝は明日だし!」

華菜「みんな今日は早く寝るし!」

陽「和おねーちゃんおめでとー!」

和「陽さん!わざわざきてくれたのですか?」ナデナデ

陽「えへへー♪」

陽「和おねーちゃん頑張ってたからご褒美!」チュッ

和「は、陽さん///」

和 (我が子ながら可愛すぎます……)

和 (親バカというものでしょうね)

陽「和おねーちゃんとママどっちが強いのかなー?」

和「そうですねー」

和「どちらが強いかはわかりませんが」

和「全力を尽くすだけですね」

陽「ふーん」

咲「陽!」

陽「ママー!」ギュ

咲「やっぱり和ちゃんのとこ行ってたんだね!」

和「試合終わってここで休憩してたら陽さんが来たのでびっくりしましたよ」

咲「陽は和ちゃんのこと大好きだから!」

咲「あれ?お姉ちゃんどこいったんだろ?」

和「まさかまた迷子になったのでは……」

陽「おばさんのこと探してくるー!!」

咲「陽待って!」

咲「行っちゃったよ……」

和「誰に似たのでしょうね……」

咲「きっと和ちゃんだよ!私が迷子になった時もよく和ちゃん探しに来てくれたもんね!」

和「あの後先見ない性格は咲さんに似たのだと思いますよ」

咲「和ちゃんだよー!」

和「いいえ咲さんです」

久「何のろけ見せつけてくれてんのよー」

和「あ、部長!先ほどの試合はありがとうございました」

久「私も久しぶりに和と打てて楽しかったわ」

久「やっぱり強いわね」

和「部長こそさすがでした」

和「実力は変わりませんよ」

和「あえて言うなら……」

久「思いよねー」

久「やっと直接対決ができるんだもんねー」

和「そうですね……」

咲「うん……」

咲「今までも和ちゃんとなたくさん打ったけど」

和「陽さんがいた手前、本気では打っていませんからねー」

久「私達も楽しみにしてるのよ」

咲「私達?」

優希「咲ちゃんのどちゃんおめでとーだじぇ!」

まこ「おつかれさん」

和「優希に染谷先輩!」

優希「本当はのどちゃんと咲ちゃんが対決する卓には私が入りたいんだが、私はもう引退した身」

優希「2人とも」

優希「全力を尽くすんだじぇ!」

咲「うん!あの時、みんなで打った時のように、思いっきり麻雀を楽しむ!」

まこ「その意気じゃー」

咲「本気じゃないと和ちゃんにプロやめてくださいって言われちゃうから!」

和「あの日のことはいい加減忘れてください!!」

咲「私と和ちゃんが仲良くなったきっかけだもん」

咲「忘れられるわけないよ!」

和「咲さん……」ウルウル

久「あらあら和」

久「年取って涙もろくなっちゃったのかしら?」

和「そ、そんなことありません!」

陽「ママー!おばさん見つけたよー!」

咲「お姉ちゃん!どこ行ってたの?」

照「売店にアイス買いに行ってた」

照「迷子になってたわけじゃない」

陽「おばさんにアイス買ってもらったー!」

咲「もーお姉ちゃん!陽に甘くしすぎだよ!」

照「陽が欲しいって言ったから買ってあげただけ」

照「甘やかしてはいない」

和「陽さん、食べ過ぎると、グルメリポーターのフカボリンみたいになってしまいますよ」

陽「えー……なら陽アイスいらなーい」

陽「おばさん2つ食べていいよー」

照「うん」パクパク

照「お腹痛くなってきた……」

照「咲どうしよう」ウルウル

咲「もーお姉ちゃんったら!」

咲「トイレ行くよ!」

和「咲さんとお姉さまだけだと心配なので私も行きます」

陽「陽も行くー!」

まこ「仲良しな家族じゃのー」

優希「私と京太郎familyに負けず劣らずの仲だじぇ」

相変わらず更新遅くてすいません(/ _ ; )

ホテル

陽「ホテルのご飯おいしいね!おばさんのご飯よりは100倍おいしい!」

照「私は普段ご飯作らないから下手なだけ」

照「ママも元々は下手だったんだよ」

陽「えーそうなのー?」

咲「あはは……」

咲「ママは和ちゃんに教えてもらったんだよ」

陽「そうなんだー!」

陽「和おねーちゃんは先生だね!」

和「そんな大層なものじゃありませんよ」

陽「ママは麻雀も和おねーちゃんにおしえてもらったのー?」

咲「麻雀は教えてもらってはないかなー…….でも麻雀の楽しさは和ちゃんから教えてもらったかな?」

和「咲さん……」

陽「やっぱり和おねーちゃんはすごーい!」

和「わ、私こそ咲さんのおかげで麻雀頑張れたんですよ!」

和「お互い様です」

照「ちなみにママに麻雀を教えたのは私」

照「私もすごい、私も先生」

陽「おばさんはすごくなーい」

照「……」ガーン

陽「でも麻雀しているおばさんはすごーい!」

陽「おばさん麻雀強いもん!」

陽「保育園のみんなもおばさんが一番強いって言ってる!」

咲「お姉ちゃんよかったね!」

和「さすがですお姉さま」

照「じゃあ……陽はこの中で一番誰みたいになりたい?」

陽「うーん……陽は……ママみたいなママになって、和おねーちゃんみたいな綺麗な人になって、おばさんみたいに麻雀強くなるー!!」

咲 (こんな可愛い子に育ってくれて嬉しいよ)

和 (今すぐ抱きしめてキスしてあげたいですね)

照 (私に対して普段は生意気だけど、こういう時があるから余計愛しい)

和「陽さんならきっと私なんかより全然綺麗になりますよ」

陽「うん!」

陽「それでね、希京ちゃんと一緒に清澄高校の麻雀部に入って、全国優勝するんだ!」

照 (白糸台には入らないのかな?……)

咲「そろそろ時間だね」

咲「陽はもう寝ないと」

陽「陽もまだみんなとしゃべるー!」

和「陽さん」

和「早く寝ないと大きくなりませんし」

和「綺麗にもなりませんよ」

和「フカボリンになっちゃいますよ」

陽「うーん……じゃあ陽もう寝るー」

和「陽さんはいい子ですね」ナデナデ

陽「うん!」

照「じゃあ陽」

照「今日は私と寝ようか?」

照「ママと和は話があるから」

陽「わーい!おばさんと寝るー!」

照「じゃあ行こっか」

照「咲と和、陽は私が寝かせとくからゆっくり話して大丈夫」

咲「うん!」

和「わざわざ私達のためにありがとうございます」

陽「おばさん早くー!」

照「うん、じゃあまた明日」

照「明日は負けないから」

咲「私もだよ!」

和「全力でいきます」

咲「二人きりだね」

和「そうですねー」

咲「……」

和「……」

和「いざ二人になると会話が続かないものですねー」

咲「うん……」

咲「昔の話でもしよっか」

和「昔の話ですか?」

咲「うん」

咲「インターハイのときの話でも」

和「全国大会ですか……」

和「いい思い出でもあり、嫌な思い出でもありますね……」

20年前

淡「ロン!3900!」

咲「え……」

アナウンサー「きーまったー!!!」

アナウンサー「白糸台高校大星選手!オーラスで阿知賀女子高鴨選手から3900のあがりで逆転トップ!」

アナウンサー「今年も白糸台の優勝が決まったー!!」

咲「そ、そんな……」

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