朝潮「一日一万回感謝の砲雷撃戦」 (15)



駆逐艦朝潮は艦娘としての自分に限界を感じていた。

駆逐艦である自分には、戦艦の様な強さも、空母の様な航空戦力も、雷巡の様な先制雷撃もない。

朝潮(このままではいけない、もっと司令官の為に、司令官の役に立ちたい)

悩みに悩み抜いた末、彼女が辿り着いたのは感謝であった。

ここまで自分を引き上げ、頼りにしてくれた提督への恩返しの為に。

朝潮「一日一万回感謝の砲雷撃戦」

姿勢を正し、両手を合わせ、祈り拝み、構えて、砲雷撃。

一連の動作を終えるのにおよそ7秒、一万回を撃ち終えるのに初回は20時間近くかかった。

撃ち終えたらそのまま演習場で倒れる様に眠り、起きたらまた撃つ、そんな生活を続けていた。

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半年が経った頃異変に気付く。

一万回撃ち終えても日が沈んでいない。

朝潮艦娘齢2にして完全に羽化。

感謝の砲雷撃戦一時間を切る。

代わりに祈る時間が増えた。



演習場を出て演習に参加した時、彼女の砲雷撃は。

加賀「索敵よし!航空ドゴーンえ?」

朝潮「いい音ですよね?」

航空戦を置き去りにした。

大和「でっ弟子にしてください」バッ

朝潮「いいですよ、間宮アイスを奢ってくれたら」



提督「朝潮、また弟子入りの手紙だぞ、いつも通りか?」

朝潮「はい、間宮アイス一つでお願いします」

提督「そうか分かった、しかし朝潮のおかげで大分平和になってきたな」

朝潮「いえそんな、私は司令官に恩返しがしたいだけですから」

提督「朝潮……実はプルルルルん?なんだ?」ガチャ

朝潮「この書類はこっちに」

提督「朝潮」

朝潮「はい?」

提督「出撃だ、異常な強さを持ったレ級が本土に向かって進撃していると連絡があった」

朝潮「了解!」



朝潮「……目標発見、戦闘を開始します」

レ級「オ前ガ朝潮トヤラカ?待ッテイタゾオ前ヲ」

朝潮「?」

レ級「交渉ヲシニキタンダ私ハ、オトナシク地上ヲ明ケ渡セ」

朝潮「断ります」

レ級「オイオイ少シハ悩メヨマッタク、死ヌゾ?」

朝潮「私に勝てると?」

レ級「駆逐艦ゴトキニ負ケル訳ナイダロ?」

朝潮「そうですか……朝潮砲雷撃戦開始します」

レ級「バカガ!先ドゴンン!?」

朝潮「遅いですよ」

レ級「ホウ……面白イナ!ダガ!駆逐艦ノ火力デハ私ノ装甲ハ抜ケナイ!」ダッ

朝潮「……無駄ですよ」スッ

レ級「!」ドゴンバッ

朝潮「!くっ」スッ

レ級(コレダ!コノ両手ヲ合ワセテ射撃ノ構エニ入ルコノ動キ!コレダケガ私ノすぴーどヲ遥カニ超エテイル!)

朝潮「はっ」

レ級(クッ)ドゴンバッ

朝潮(……なる程)スッ



レ級の戦術は至極単純だった、攻め続ける事。

朝潮が唯一レ級を上回る砲雷撃も、殆どダメージがないなら恐れるに足らず。

レ級(所詮ハ駆逐艦ノ砲撃、射撃姿勢ニヨリかばーシキレナイ角度ガ存在スルハズ、今マデノ姿勢ヲ一ツズツ考察検証シソレマデノ射撃姿勢デハかばー出来ナイ角度カラ攻撃スレバ新タナ姿勢ヲ取ラネバナラナイ道理!)

レ級(ソウシテ一ツズツ奴ノ射撃姿勢ヲ潰シテイケバ私ノ攻撃ガ奴ニ届ク、ダガ駆逐艦ノ射撃姿勢ハ多様、ソノ数ハ膨大ナ数ニナルダロウ、ダガ艦娘ナラバ無意識ノウチニ好ム姿勢ト嫌ウ姿勢ガアリソレガ奴ノ取ル姿勢ニヲ制限スルハズ)

レ級(ソコヲ狙ウ!)



朝潮(すごいスピードですね、もし取る姿勢を間違えたらそれは次の拝む時間すら奪うでしょう、常に最善手を選び続ける根気の勝負、集中力を途切れさせたら私の負けですね……)

朝潮(いつからだったでしょうか?相手の攻撃を待つようになったのは、いつからだったでしょうか?相手の差し出す手に遅れずに応えれるようになったのは……)

朝潮(違いますよね?私が目指していたのは、勝算少ない難敵にこそ全力でもって当たる、それが私の求めていた戦い!)

朝潮(あなたに会えた全ての事に感謝を……そして何よりも司令官に感謝を!)

朝潮(詰めるものなら詰んで見せてください、その時は砲雷撃の奥の手を見せてあげます)



二人が戦闘を始めてからおよそ30分、朝潮の砲雷撃によりレ級が内部に鈍い痛みを覚え始めた頃。

レ級「ソコ!」ボッ

朝潮「!」フラッ

レ級「右脚ハ貰ッタゾ、コレデ満足ニ射撃姿勢ヲ取レナイダロウ?負ケヲ認メロ」

朝潮「ふふっまだですよ!ふっ」ギシッ

レ級「ホウ?片脚デマダヤルノカ……仕方ナイナ」

朝潮「すぅはぁ……」スッ

レ級「今度ハ腕ヲ貰ウ!」バッ

その後の戦いは僅か数分の出来事であった、だがその間に交わされた攻防は数百にのぼった。

そして……。

朝潮「!」ボッ

レ級「左腕、コレデモウサッキノ砲撃ハ出来ナイナ」ニィ

朝潮「……」

レ級「サァモウイイダロウ?負ケヲ認メロ」

朝潮(……分かってませんね……拝むとは心の所作、例え腕がなくとも正しく心を成せば)スッ

レ級「!」

朝潮「砲雷撃の奥の手……零距離砲雷撃」

レ級「くっ」

ドゴォォン

朝潮「はぁ……はぁ……」

レ級「ケホッハァハァマッタク、危ナカッタゾダガ今ノガ最後ダロウ?」ボロッ

朝潮(零でさえも……もはや……)



レ級「!」ゾッ

レ級は感じた、全てを出し切り、燃料も弾薬も尽きたこの無力なはずの艦娘から感じる恐怖。

万策尽きたはずの彼女の真の奥の手。

朝潮「……司令官……お先に失礼します」スッカチッカッ

レ級(自爆!)ボッ

辺りの全てを巻き込む朝潮の自爆、その威力はあまりにも強く本土からさえもそのキノコ雲が視認でき





提督「おい朝潮……これ何だ?」

朝潮「新しい私の訓練法と、その結果起きると思われる事の想定を書いたものです」

提督「お前なぁ……どこでこんなの覚えた?」

朝潮「大潮が望月さんからマンガを借りてきたときに、お姉ちゃんも偶には読んでみたら?といわれまして」

提督「でこれか?」

朝潮「司令官への感謝なら負けません!ですからこれなら私でも出来るのでは?と思いまして」

提督「はぁ……朝潮これは無理だ」

朝潮「え?何でですか?」

提督「一日一万回も砲雷撃戦してたら燃料と弾薬がすぐに枯渇するぞ」

朝潮「あっ」

提督「第一こんなに上手く行くわけないし、上手く行ってもレ級がこんなに接近戦ばかりしてこないし、そもそもお前死んでるじゃんよ最後」

朝潮「えっと……その……」

提督「いいか朝潮……お前はお前のままでいいんだよ、無理に変わろうとかしなくていいんだ、朝潮は朝潮なんだから」

朝潮「……はいすみません司令官、最近出撃する機会が殆どなくなってしまったので、少し不安になってしまって」

提督「あーそれなんだけどな?朝潮今練度いくつかな?」

朝潮「?99ですよ?」

提督「だよな?それでこの間新しく練度が限界に達した艦娘用の新しい強化法が見つかってな」

朝潮「新しい強化法ですか?それは一体」

提督「……うん、なぁ」

朝潮「はい!何ですか司令官」



提督「ケッコンしよう、朝潮」



  艦!

はいここまでです、思った以上に短かった

とりあえず今回の改二が青葉じゃなかったので建てました……はよ来い青葉改二

まぁネタ自体は前から思いついてたんですが……一日一万回は結構難しいですね、手元に資料が無いので余計にですが

まぁとりあえずこんなの読んで下さり感謝です、後でHTML依頼してきます、それでは

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