提督「新しい艦娘だ」 (100)



艦娘……


深海棲艦に対抗できる力をもった存在


対象となった少女に艦の魂を融合させることで誕生する


今まさに新しい艦娘が生まれようとしていた




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提督「ねぇ、君?」


少女「はい?」


提督「僕のところで艦娘やってみない?君、素質あるよ」


少女「……」


提督「はは、大丈夫。僕は怪しいものじゃないよ」


少女「どう見ても怪しいです。『水着でアロハシャツ着て街中で女の子に声かけてる』なんて…」


提督「ばっ…コレはお前…今の海軍のトレンドなんだよ」




少女「軍服とかないんですか?」


提督「だって暑いし… 軍所属の身分証明証なら持ってる」ホラ


少女「ホントだ… それで私に艦娘になれ?ってことですか?」


提督「その通り、君には素質がある。この国を守るため力を貸してほしい!」




少女「この国を守る…でも…」


少女「国はお父さんとお母さんを守ってはくれなかった…」


提督「失礼ながら調べさせてもらったよ。ご両親は深海棲艦に襲われた船に乗り合わせ、軍は太刀打ちできずに、船ごと犠牲に…」


少女「だから私は……」




提督「君が軍や国を信じられないのもわかる…だが」


キャアアアァ!!


少女「!?」


提督「!?」




シンカイセイカンダ- ジョウリクシテキタ-

駆逐イ級「イーッ!」


少女「そ、そんな…」


提督「……見ていてくれ」


少女「え?」


提督「俺達軍は非力かもしれない…けど国を、人を守ろうとする思いは本物だってことを!」ダダダッ


少女「ちょっ!?」


提督「変身!」\アドミラル/ キガエキガエ


少女「変身した!?…って軍服に着替えただけだーっ!」




提督(軍服)「うおおぉぉ!」キィーック


イ級「イ、イーッ?」チュドーン


市民「ぐ、軍人さんが深海棲艦をやっつけてくれたぞ!」ワーイ


少女「倒しちゃった!?」




提督(軍服)「……怪我はなかったか?」


少女「な、なんで… なんでそれだけの力がありながら、お父さんとお母さんを守ってくれなかったの!」


少女「なんで艦娘の力なんて必要とするの!?」


提督(軍服)「すまない…この力は陸でしか発揮できない。海上では無力なんだ」キガエ




提督「俺達提督にできる戦いはここまでなんだ…君のご両親のように海で被害にあう人たちを…助けることはできないんだっ」クッ


少女「だから…艦娘が…私の力が、必要?」


提督「あぁ」


少女「わかり…ました…」




少女「わたし、艦娘になります!」


提督「!」


提督「ありがとう…ありがとう!拒否されたらハイエースしないといけないかと思った!」


少女「ハイエース?」




少女「でも…艦娘ってどうやってなるんですか?」


提督「それは…」


??「説明しましょう」ポワン


少女「わっ、火の玉?」


??「私は艦魂…一つになることで、私の力と艦の記憶を貴方に授けます…」パァァァァ




少女「こ、これは…あ、頭の中に…艦の記憶?貴女は…」パァァァァ


艦魂・竹「私の艦名は竹…」


シャキーン


竹「松型駆逐艦二番艦の竹です!雑木林なんて呼ばれた戦時量産型だけど、輸送船護衛に頑張ったんだから!」


提督「おぉ!うまく艦魂と同調した!松型の艦魂なんて他に例がなかったから、適合者があらわれるか不安だったが…これからよろしく頼む!」


竹「はい!よろしくお願いします、提督!!」


提督(既存にない、言わばオリジナルの艦娘……この存在、吉とでるか凶とでるか…)

続く
以前書いた小ネタSSの焼き直し



提督「では竹ちゃんの準備も済んだことだし…我が鎮守府へ案内しよう」


竹「はい!」



鎮守府



提督「それじゃあ、まずここの艦娘に竹ちゃんのことを紹介しなきゃな…」


竹「せ、先輩の艦娘さんですね」


提督「はは、そんなに緊張しなくてもいいよ。あ、いいところに時雨たちが…おーい!」



時雨「おや?」


夕立「提督さん!」


提督「紹介しよう、新しい艦娘の竹ちゃんだ」


竹「あ、あの…松型二番艦の竹です。よろしくお願いします!」ペコッ


時雨「……」ムスッ


夕立「……」ムスッ


竹「えっ…!?」




時雨「ふん、どんな艦かと思えば雑木林か。失望した……グレ」


夕立「新参者の量産型がいい気になるなー……っぽい」


竹「ひぃっ!?」プルプル




提督「こらっ、お前達!何てこと言うんだ!そんな子に育てた覚えはないぞ!」


竹「提督ぅ」ジーン


提督「先輩として竹ちゃんの面倒を見てあげるくらいでなくてどうする!」キリッ


時雨「えっ?」
夕立「えっ?」


提督「え…?」




時雨「あの……新しい子を連れてくる前に提督が言ったんだよね?『最初が肝心だからガツンと厳しめに言ってやれ』って」


夕立「だから夕立たちわざと悪役を演じたっぽいのに~」


提督「あ、あれ?そうだっけ? いや~竹ちゃんが可愛い子だったから、ついつい忘れて庇っちゃったよ~」ハハハ


竹「えぇ……」



時雨「ひどいグレよ!わざわざ悪役らしく僕の語尾まで指定しておいてそれはないグレ!」ポカポカ


夕立「時雨もしかしてその語尾気に入ったぽい…? っと、とにかく提督さん酷いよ、これじゃ夕立たちのイメージ最悪っぽい~!」ゲシゲシ


提督「悪かった、悪かった…ぶつな叩くな。 竹ちゃん、というわけでコイツらも怖い先輩じゃないから安心して」


竹「え、ええっと…私はむしろ提督に安心できなくなりましたが……」



時雨「ふぅ、気を取り直して…よろしく竹ちゃん。白露型二番艦時雨だよ」


夕立「同じく四番艦の夕立だよ~。提督さんのことは放っといて、仲良くしてほしいっぽい!」


竹「あっ、はい!こちらこそ、ご指導よろしくお願いします」ペコリ


夕立「可愛いのに礼儀正しくていい子っぽい~」ギュウ


竹「ひゃあぁぁ」ダキシメラレ



夕立「こんな可愛い子を提督さんの側に置いておくのは危険っぽい!変なことされそうになったら鎮守府の壁にある『緊急憲兵召喚ボタン』を押すといいよ!」


提督「おまっ…!いつの間にそんな装置を…道理で最近憲兵に事情聴取されるわけだ…」


時雨「押されるようなことしてるんだね…」




竹「な、なんだか提督の人となりが掴めません…」

竹「アロハシャツで勧誘してきたと思ったら、軍服に変身(?)して深海棲艦を倒したり…」


時雨「あ、提督変身したんだ。そう…提督はやる時はやるんだけど、普段は駄目人間でね。でも信頼には足る提督だと思うよ…」


夕立「ぽい~ぽい~!」ゲシゲシ
提督「くぬっくぬっ!」ポコポコ


竹「……」

時雨「……」




時雨「え、えと……そうだ、もう一人紹介しておくよ。もうすぐ来ると思うんだけど…」


??「すみませぇん。遅くなりましたぁ…」


竹「!」


五月雨「五月雨ただ今帰還しました…ってあれ、貴女は…?」


竹「さみ…だれ、ちゃん?」


五月雨「竹ちゃん!艦娘になったのね!この姿で会うのは初めてだけど…」


竹「うん、でも艦の記憶でわかる…最後に船体を助けてあげられなくて…」


五月雨「ううん…乗組員の人を助けてくれただけでも十分。今度は一緒に頑張ろう!」


竹「うん!うんっ!」

続く



そして初出撃の日


提督「よーし!いよいよ初出撃だな、竹ちゃん!」


竹「はいっ!この日のために訓練を積んできました!」


夕立「とっても頑張ってたっぽい!夕立たちも一緒だから安心して」


提督「頼んだぞ」




海上


五月雨「前方に深海棲艦!会敵します!」


夕立「さぁ、素敵なパーティしましょ!」


時雨「竹ちゃんは後方から援護して。今日は戦場の雰囲気に慣れればいい」


竹「はっ、ハイ!」




ダァーン ダァーン


五月雨「えいっ、えいっ!」


夕立「よりどりみどりっぽい!」


深海棲艦「ギャー」


時雨「よし、あと一撃!」ドゴン


深海棲艦「グ…アバババァァァ」チュドーン




竹(す、凄い!私なんかここから援護射撃するくらいしかできなかったのに…)


竹(あれ?)


潜水カ級「……」ソローリ


五月雨「やった、やったぁぁ」
夕立「ぽい~ぽい~」


竹(潜水艦ッ!?みんな気付いてない!)ダッ


潜水カ級「…!」ギョライ


竹「後ろッ!!」


時雨「え?」


竹「あぶなぁぁぁいッ!!」ワリコミ

ドカーン!!




竹「う……うぅ…」中破


五月雨「竹ちゃん!?」


夕立「しまった!?まだ敵が残ってたっぽい!?」


時雨「いけない!まだ敵が近くにいる!竹ちゃん、下がって!」


カ級「…」ニィ




竹「……るな…」


カ級「?」


竹「松型駆逐艦をなめるなぁ!!」


時雨「竹ちゃん!?」
夕立「ケガしてるのに航行に支障ないっぽい?」


竹「タービンが片方やられたくらいでぇ!!」ドカンドカン


カ級「!?!?」チュドーン




五月雨「そっか、松型駆逐艦はシフト配置だから…」


竹「えへへ…やり…ましたよ…」ガクッ


五月雨「だからって無理しすぎだよぉ、竹ちゃん」


夕立「ご、ごめんね!竹ちゃん!夕立たちが油断したせいでっ!」


時雨「とにかく鎮守府へ戻ろう!」




鎮守府


竹「う… ん…、提督?」


提督「気付いたか!?竹ちゃん!」


竹「…私、やられちゃったんですね」


提督「それでも敵を一隻沈めた。戦果は上々だ。君のおかげで皆も無事だ」


竹「私が……私の力が…?」


提督「あぁ、皆を守ったんだぜ!これからも頼むよ」


竹「はいっ!」




竹「よかった…これからも頑張らないと。お父さんとお母さんのためにも…私みたいな人を出さないためにも」トコトコ


夕立「あっ!竹ちゃーん!」


竹「夕立ちゃん!?」


夕立「もう大丈夫っぽい?どこも痛くない?」ギュウウウ


竹「あぅあぅ…夕立ちゃん、苦しいですよぅ」


夕立「えっ!やっぱりまだ苦しいの!?夕立が油断したせいっぽい!ごめんねぇ…」ギュウウウウッ!


竹「」




時雨「もう!夕立ったらやりすぎだよ!」


竹「きゅ~」グッタリ


五月雨「あはは…でも大事がなくてよかったよぅ」


竹「…あ、『駆逐艦・竹』は護衛任務がメインだったから。皆を守れて良かった…」


五月雨「でも、でもっ!もうあんな無茶はしないで!私達も油断しないようにするから!」ギュ


竹「五月雨ちゃん……うん」ギュッ




五月雨「あっ、そういえば、この後金剛さんがティーパーティをするんだって。一緒に行こうよ」


時雨「まだちゃんと挨拶してなかったからって…竹ちゃんの歓迎会みたいなものだよ」


竹「わぁっ!ありがとう!」


夕立「金剛さんのいれる紅茶はとっても美味しいよ。まるで英国人っぽい」


竹「楽しみ~」




五月雨「金剛さん、準備できてるかな~?」ヒョイ



金剛「ヘーイ、テイトク!?これは一体どういうコトデース!?」


五月雨(ひゃ!?)
夕立(何かあったっぽい?)
竹(どうしたんでしょうか?)
時雨(金剛さんがあんなに提督に詰め寄るなんて…)




提督「見ての通りだ…茶葉は……無い」


金剛「そんなはずはありまセーン!ワタシがキープしておいた紅茶缶はどうしたネー?」


提督「あれはつい昨日の出来事だ」

~~~

熊野「提督?よろしくて?」ガチャ


提督「なんだ?」


熊野「私、お昼はサンドイッチを所望しますわ」


提督「いきなり来て何言ってんだ?そんな洒落たもんは無いぞ」


熊野「ちっ、しけてやがりますわね…」


提督「えぇ・・・」


熊野「あら?これは…なかなか良いお茶ですわね。もらっていきますわよ」


提督「おい!待て!?それは金剛の…」ガタッ


熊野「おだまりなさい!とぉおうぉぉ!!」


提督「ぐふぉぉ!!」


熊野「行き掛けの駄賃に貰ってさしあげると言ってますのよ。それでは提督、ごきげんよう」ヒラヒラ


~~~


提督「と、いうわけだ…」


金剛「……熊野に何があったネー!?」

駆逐艦’S(ホントに……)


金剛「しかし困りマシタ。これではタッケーとお茶会ができまセーン!」


竹「あのぅ…金剛さん?」


金剛「タッケー!」


提督「竹ちゃん!?」


竹「紅茶ではありませんが、こんな趣向はいかがでしょう…」




チョロロロ…カッ…コーン!


竹「即席で鹿おどしを作ってみました!紅茶が無いならお抹茶は如何でしょう」


金剛「Oh、“茶の湯”空間!!」


時雨「凄い!あっという間に茶席が…」


金剛「ホントはタッケーの為の歓迎のハズだったんですけどネー!」


夕立「でもいつの間に鹿おどしなんて?」


五月雨「竹ちゃんはいつも「竹」を持ってるんです」


提督「説明しよう!駆逐艦竹ちゃんは「竹」を使ったものならばたいていは作れるのだ!」


ある日の食事時


夕立「うぅ~暑くなってきたから食欲がわかないっぽい」グデ


五月雨「もぅ!まだ6月だよ」


時雨「ちゃんと食べないと疲労が抜けないよ」


夕立「だって~」
提督「暑いもーん!」グテー


時雨「提督まで何してるのさ…」




提督「こう暑いと性欲も減退するな…セクハラもできねぇよ」


五月雨「しなくていいですよぉ…」


竹「あのぉ…」


五月雨「わっ、竹ちゃん!どうしたの、その竹の樋!?」


竹「ええっと…コレ作ってみたんですけど、流しそうめんできないかな、って…」


提督「おお!!」


夕立「楽しそうっぽい!!」




竹「間宮さんにおそうめん貰ってきました!それじゃあ流しますよ~!」


竹「えいっ!」シュルシュルー


時雨「よっと…」パシッ
夕立「っぽい!」パシッ
五月雨「たあっ」パシッ


提督「……」シーン


竹「もう一回行きますよ~!えいっ!」シュルシュルー


時雨「よっと…」パシッ
夕立「っぽい!」パシッ
五月雨「たあっ」パシッ


提督「……」シーン




夕立「冷たくて美味しい!」チュルチュル


時雨「この季節ならではだね」チュルチュル


五月雨「流れる水が気持ちいいです」チュルチュル


提督「……」


夕立「あれ?提督さん、どうしたの?食べないっぽい?」


提督「お前らがぜんぶすくっちゃうから俺の所に流れてこないんだよ!!」



竹「まぁまぁ、提督の分もありますから」ハイ


提督「ううっ、竹ちゃんはいい子だなぁ。よぉし、そうめん食べたら可愛がっちゃうぞ~」ウェッヘッヘ


竹「……」ポチ


提督「え?」


ビーッ ビーッ ビーッ

ザザッ


憲兵「動くな!憲兵だ! 貴様!そのそうめんを手放して両手を頭の後ろで組め!」


提督「」


竹「わあっ!憲兵さんはこんなふうに来てくれるんですね!」ニッコリ


五月雨「竹ちゃん……」



五月雨「あ、提督が戻られました」


時雨「憲兵さん達にだいぶ絞られたみたいだね」


提督「ふぅ~っ、ひどい目にあったぜ」ヤレヤレ


竹「自業自得ですっ」


その時…


大淀『緊急入電!現在鎮守府近海にて民間船が深海棲艦による襲撃をうけています!』


竹「!?」



提督「…ッ!?緊急出撃!今動けるのは!?」


夕立「私達駆逐艦だけっぽい…」


竹「……行かなきゃ」


五月雨「竹ちゃん?」


竹「私はそのために艦娘になったんだから!」


提督「その意気やよし!五月雨、竹両名は民間船の乗客の救助…」

提督「時雨、夕立は深海棲艦への攻撃だ!」


駆逐艦’S 「はいっ!!」




竹「提督…」


提督「どうした竹ちゃん?」


竹「必ず私が守ってみせます!もう…私の両親みたいな目に遭う人は出させません!」


提督「頼んだぜ」


竹「あと…」


提督「?」


竹「いつも今みたいに真面目にしててください。じゃ、行ってきます!」ダッ


提督「………馬鹿野郎、提督がセクハラやめちまったらそれはもう提督じゃねぇんだよ」




海上 民間船


ル級「フフ、非力ナ人間ドモ……沈ミナサイ」


夕立「そうは…」
時雨「させないっ!」


タ級「ムッ…艦娘カ…」


ル級「コノ小娘ドモノ相手ハワタシガシマショウ…タ級ハアノ船ヲ…」


タ級「ワカッタ…」




民間船


五月雨「よかった…まだ船は無事みたい」


時雨『五月雨、ごめん、一体そっちに向かった!』


五月雨「え?」


ザッ


タ級「オソイ…」ドォン


五月雨「きゃあああ」ボロッ


タ級「他愛ナイ……ン?」

スパーン


タ級「ムッ?竹…槍?」


五月雨「竹ちゃん!」


竹「誰も犠牲になんかしないんだから…」


タ級「オカシナ武器ヲツカウ艦娘ダ…」




竹「砲撃で戦ったら不利になる…なら」

竹「舞うぞ、緑竹(りょくちく)!」

トーン  タン  タン


五月雨(あっ、某古代中国のマンガに影響されてる!?竹槍構えて舞いだしちゃった…)



タ級「竹槍ナドデ勝テルカ!」ドォンドォン


竹「ヤァァァァッ!!」タン タン トーン


タ級「カ、カワシ…!?」


竹「死人の分際で道をふさぐなぁ!!」ザシュ


タ級「グアアアッ……」


五月雨「やった…竹槍で戦艦をやっつけちゃった…」(でも竹ちゃん、それ違うキャラの台詞…)







夕立「無事に港まで護衛できたっぽい!」


時雨「竹ちゃんが敵を沈めてくれたおかげだね。僕たちが相手にしていた深海棲艦もすぐに退却していったよ」


提督「おう、皆!やったな!」


五月雨「提督!こちらにいらしてたんですね!」


提督「さっき着いてな。船長からも船を守ってくれて深く感謝するって言われたよ。みんなよく頑張ったな!」


五月雨「えへへ」




提督「あれ?竹ちゃんは?」


時雨「実は乗客の中に知り合いがいたみたいで…」


夕立「今、お話してるっぽい」


提督「知り合い?」


時雨「うん」
夕立「男の子だったっぽい」
五月雨「もしかしたら元彼かも!」
ワイワイキャッキャッ


提督「……」


提督「なにぃぃ!?竹ちゃんに男ォォォ!?」




少年「助けてくれてありがとう。でも少女がまさか艦娘になってたなんてなぁ」


竹「今の私は駆逐艦・竹って言うんだよ。少年くんがあの船に乗ってたなんて…間に合って本当に良かった…」


少年「なぁ…なんで艦娘になったんだ?海の上で正体不明の化け物と戦うなんて、怖くないのか?」


竹「……怖いよ。でも、私はこれ以上深海棲艦による被害を出したくない…だから戦うの!」


少年「少女…お前…」


竹「竹だってば」


少年「わかった。竹、俺も海軍に入って提督を目指す!」


竹「え…」


少年「そしたら一緒に戦おう!俺は、少しでも君の力になりたい!」


竹「少年くん。ありがと…嬉しいッ」///

イチャイチャ・・・



  (遠くから眺め中)

時雨「素敵だね」


夕立「甘酸っぽい!」


五月雨「いいなぁ……ってあれ?提督?」


提督「……」プルプル


提督「ぐはっ!!」


五月雨「提督ぅぅ!?ど、どうしたんですか!?」




提督「くっ…竹ちゃんとあの少年、すげぇリア充圧だ…気を抜いたら押し潰されそうだぜ」ガクガク


五月雨「て、提督ぅ、しっかりしてくださぁぁい!」


夕立「説明するっぽい!提督さんはいざって時はすごく格好良いけど、私生活ではてんで駄目人間っぽいから、イチャイチャしたオーラには凄く弱いの!」





竹「もっともっと頑張らなきゃ♪」キラキラ



竹「駆逐艦、竹!出撃します!」


提督「うむ!頑張れよ、竹ちゃん!武運を祈る!」


竹「はい!行ってきます!」





大淀「竹ちゃんも随分たくましくなりましたね」


提督「まぁな。もともと深海棲艦の脅威をよく知ってる子だ…皆を守りたい、という思いは人一倍だろう」


大淀「時々、駆逐艦とは思えない力を発揮するのも、彼女の意志のつよさですね……」

大淀「ところで提督?軍司令部から入電が入っていますが…」


提督「ん?何だ?」


提督「……」


提督「何だと!?」






五月雨「竹ちゃん、最近すっごく頑張ってるよね」


竹「そ、そうかな?」


時雨「うん、もう僕たちも抜かれそうなくらいだよ」


夕立「竹ちゃんと夕立たちなら最高に素敵なパーティができるっぽい!」


竹「私なんてまだまだだと思うけど…でも、皆で力を合わせれば、きっとこれからも深海棲艦から人々を守れるよね!」


??「残念だが力を合わせるわけにはいかねぇなぁ」ドカーン

??「お友達ごっこもここまでねぇ」ドォン


竹「!?」




竹「な、なに?砲撃?」


時雨「予想会敵地点はまだ先なのに!」


夕立「っていうか深海棲艦の反応がないっぽい~」


五月雨「あっ!あれ見て!」


天龍「……」

龍田「……」


竹「他所の鎮守府の艦娘さん?どうしてあんな所に…」


天龍「…」ジャキン


竹「えっ!?」


五月雨「こ、こっちを狙ってる!?」


時雨「まさかさっきのはあの人達が…」


天龍「止まれ!そこのチビ!」


竹「わたし?」


天龍「そーだ。お前だ、艦娘モドキ」




時雨「艦娘…もどき?」


夕立「失礼っぽい!竹ちゃんは立派な艦娘だよっ!」


龍田「あらあら~知らされてないみたいね」


五月雨「どういうことですか?竹ちゃんは松型駆逐艦の…」


天龍「そんな艦娘いねぇんだよ」


竹「え?」


龍田「不思議に思ったことはない?『時雨』や『夕立』、『天龍』や『龍田』の艦魂を受け継ぐ少女は他の鎮守府にもいるのに、『松型駆逐艦の竹』なんて他のどの鎮守府でも聞かないでしょ?」


時雨「そんなの…ただ珍しいだけでしょう?」


五月雨「たしかに量産型駆逐艦で数が少ないのは変かもしれないけど…なかなか出にくい艦の魂だってあると思います!」




天龍「ちげーんだよ。『大和』だろうと『島風』だろうと『初風』だろうと、大本営には登録されてるんだ。今までにない新しい艦娘が登場するときも、そこに登録される…」


龍田「だけど、そこの“ニセモノ”ちゃんは登録されてないのよね~」


天龍「フフッ、理解したか?」


竹「……」


五月雨「だからって!竹ちゃんを仲間はずれにしないでください!」


夕立「竹ちゃんは今までも深海棲艦から皆を守ってきたんだもん!」


天龍「はっ!知ったことかよ!軍に認知されてない奴が勝手に武器持って戦うなんて真似しやがって」


龍田「白露型のお嬢ちゃんたち?あなたたちも正式な艦娘なら、こんなどこの馬の骨かわからない子に遅れをとることを恥と思いなさいな」


時雨「そんな言い方……っ」




龍田「オリジナルの人物が活躍できるのは頭の悪い作者の書いたSSだけよ。そこでだってオリキャラが活躍すれば叩かれるわ。貴女のようなイレギュラーには居場所はないのよ」


竹「……それで、私をどうする気ですか」


天龍「ふん!うちの大将のとこへ連れてこいってさ」


龍田「検分した後に解体処分でしょうね。運がよければ松型とやらが大本営で実装されるイケニエになれるんじゃないかしら」


竹「お断りします……たとえ私が何であろうと…私はこの力で人々を守るって決めたんです!!」



鎮守府


提督「…」


海軍大将「一方的に通達しただけで、突然の訪問をしてすまないね」


提督「それは構いませんが…」ジロリ


海軍大将「あのイレギュラー…駆逐艦・竹がそんなに気に入ったかね?あの非公式な存在が」


提督「えぇ、気に入りましたよ。正式な艦娘かどうかなんてどうでもいい。彼女は我々の仲間です」


海軍大将「世間では“オリキャラ無双w”と揶喩されているぞ」


提督「オリキャラを楽しめないお前が悪い、とでも言い返しますよ…」


海軍大将「ふん…大層な気概だが…もう遅い」

海軍大将「今頃私の配下の艦娘が……」


ピピッ


天龍『海軍大将、マズイぞ。艦娘モドキを連れてこうとしたが…深海棲艦の大所帯がやってきやがった!』


海軍大将「なに?」


龍田『正直、任務どころじゃなくなったわね』



ピピッ

時雨『提督、大変だよ!敵の大群が……竹ちゃんもその…ちょっと動揺してて。僕たちも迎撃はしてるんだけど…』


提督「竹ちゃんのことはこっちでも聞いた。今は大将配下の艦娘と争ってる場合じゃない。協力して…」


海軍大将「天龍、龍田、今よりその海域から撤退しろ」


提督「はぁ!?何を言って…」


海軍大将「イレギュラーの連行は中止。そいつらが戦うというならやらせておけ。帰るぞ…」


提督「お、おい!?」


海軍大将「せいぜい市街地に被害を出さんようにしたまえよ。では失礼…」


提督「……」



提督「……わかった、好きにやらせてもらう」


大淀「提督…」


提督「夜も好きにヤらせてもらおう!」


大淀「させねーよ」


提督「冗談だ。鎮守府の全艦娘に戦闘準備を。指揮は金剛にやらせろ」


大淀「ぜ、全員ですか?一度にそんなに出撃は…」


提督「出撃はしなくていい。それと大淀には別任務だ」


大淀「?」




一方、海上では


天龍「おぅ龍田、大将が帰ってこいってよ」


龍田「そうねぇ…私達だけじゃ相手にできる数じゃないしね」


天龍「ニセモノの艦娘に付き合ってこっちまで轟沈じゃ割にあわないからな」スタコラー


龍田「せいぜいカッコつけて沈みなさい。それが貴女にはお似合いよ」スタコラー


竹「……」


夕立「逃げ出すくせに何て言い草っぽい!」


五月雨「竹ちゃん!あんな人たちの言うこと気にしちゃ駄目だよっ!」


竹「…ありがとう、五月雨ちゃん。今は目にの前の深海棲艦と戦わなきゃ、だよね」


五月雨「うんっ!……ひゃぁ!?危ないっ」


ドゴーン ドゴーン


時雨「で、でもどうしよう…僕たちだけで戦うには数が多いよ」


深海棲艦’S「……」ワラワラ ワラワラ




ピッ


提督『竹ちゃん!みんな!まだ生きてるか!?』


夕立「提督さぁん!もう無理っぽい~」ワーン


時雨「だ、だんだん数に押されてきてる…このままじゃ…」


竹「だ、だいじょうぶですっ!!いざとなったら竹槍で刺し違えてでも…」


提督『こらっ!物騒なこと言うんじゃない!いいか竹ちゃん、今から沿岸部まで後退するんだ!』


竹「そ、そんなことしたら町が深海棲艦に…」


提督『こちらも鎮守府の全戦力を沿岸部の防備に配置してる…』


竹「でも…」


提督『最初に会ったとき言ったはずだ…』

提督『深海棲艦の脅威から人々を守りたい、って想いは本物だってな』


竹「あ…」


提督『さぁ早く、後退しろ。時雨、夕立、五月雨、縄をかけてでも竹ちゃんを引っ張ってきてくれよ』



沿岸部

ドーン ドドーン ドカーン


五月雨「竹ちゃん、頑張って!もうすぐ鎮守府だよ」


竹「う、うん。私は大丈夫…それより敵は私達を追ってきてる?」


深海棲艦’S「……」ゾロゾロ


時雨「うん、このままいけば鎮守府のほうに向かってくるだろうね」


夕立「後退の指示にはちょっとビックリしたけど、敵を引き付けて…撃つ!と思えばいいっぽい」



ヘーイ!


竹「あっ、あれは金剛さん!」


金剛「みんなよく頑張りマシタ!後はワタシたちに任せるネ!」

ズラーリ

時雨「わっ!ホントに鎮守府の戦力を全部出してきたの?」


五月雨「燃料や弾薬は大丈夫なんでしょうか?」


金剛「タッケー達のピンチにケチケチしてたら駄目デース。ここはひとつド派手に…」スッ


金剛「全艦!主砲一斉射!ファイヤー!!」


深海棲艦’S「!?」


ドドドドーン


竹「や…やった!」




戦艦ル級「チィッ」スウッー


竹「敵の一部隊が転進した!?」ダッ


五月雨「竹ちゃん!?どこへ行くの!?」


竹「敵の一部が転進してるの。このままじゃ市街地のほうに…私が迎撃してくる!」ボロッ


五月雨「そ、その状態じゃ無理だよ」


竹「無理でもやらなきゃ…」ダダッ


五月雨「竹ちゃん!?」


金剛「大丈夫デス!テイトクは市街地に上陸されてもいいように手を打ってマース!」


五月雨「え?」


金剛「向こうはタッケーにまかせて、ワタシ達は残りの深海棲艦を迎え撃ちマショー!」







沿岸部市街


ザバァッ


ル級「ン?人間達ガイナイ?非難シタノカ?」キョロキョロ

ル級「マァ、イイ。ココヲ制圧シテ我々ノ棲地ニスル…」


竹「そんなことさせないっ!」


ル級「ムッ!?」




ドカーン ドカーン


高台の避難所

「わわっ、砲撃の音が」


「深海棲艦が来たのか?」

「避難警報が発令されたきり…海軍は何をやってるんだ?」

「あっ、でも見て!海岸で艦娘さんが戦ってる!」







ル級「ハァハァ、シブトイ…」


竹「ぜぇぜぇ…あなたたちに好き勝手なんかさせない…」ボロボロ


ル級「立ッテイルノガヤットノクセニッ」ジャキン


竹「私は艦娘だからッ!雑木林だって、非公式だって、最後まで戦う!みんなを守るんだッ!」


ル級「沈メェ!!」ドォォン


竹「くぅ……っ」ギュッ






「よく言った!竹ちゃん!!」\アドミラル/




ガキィィン


竹「…!」


ル級「砲撃ヲ弾イタ!?」


提督(軍服)「砲弾を弾くくらい金剛でも出来るぜ?提督なら出来て当たり前だろ?」


竹「提督!」


提督(軍服)「すまんな。上陸してきた敵は俺が仕留めるつもりだったが…市民への避難誘導に時間がかかっちまった」


大淀「もぅ…提督ったら。竹ちゃんが踏ん張ってくれなかったら町に被害が出てましたよ…」


竹「提督…私…」


提督(軍服)「よくやったな。うちの自慢の艦娘だよ」ナデナデ


竹「えへへ、よかっ、た……あ」フラッ

提督(軍服)「っと。大淀、竹ちゃんを頼む」ダキカカエ


大淀「はい」



ル級「タダノ人間ガ…我ラニ勝テルト思 提督(軍服)「おい…」


提督(軍服)「陸の上で、提督様をなめるなよ」ギロッ

タ-トエ セカイノスベテガ ミイロニトケテモ-♪

提督(軍服)「ハアッ! タァッ! でやあああぁっ!!」

ドコーン ドコーン ドッカーン



竹(疲労困憊だった私は……提督が深海棲艦を吹き飛ばしていくのをぼんやりと見つめていました)


竹(私に寄り添ってくれている大淀さんが動く必要もないくらいに圧倒的な力で敵を蹴散らしました)


竹「提督って一体どうなってるんですか?」


大淀「鎮守府司令官には対深海棲艦用の軍服が支給されるのよ。海には出られないけど、ホントでたらめよね」


竹「初めて会った時はアロハシャツで勧誘してきて…、普段もセクハラばっかりして憲兵さんにしょっぴかれる人なのに…」


大淀「ここぞ、というときには力を発揮してくれる人なのよ。“深海棲艦から皆を守りたい”という気持ちは提督も同じよ」


竹(そう…初めてあった時から)


竹「はい、それは…知って、ます…………」クタッ


大淀「竹ちゃん?」


後日


五月雨(あのあと、私達は金剛さんと、沿岸から支援砲撃を行っていた皆さんとも協力して深海棲艦を撃退しました)


五月雨(街に上陸した敵部隊も竹ちゃんと提督が退治したそうです)


五月雨(その時の奮闘を、避難していた市民の皆さんが見ていたことで、町では竹ちゃんの人気が高まり、軍からの嫌がらせはなくなりました…)


五月雨(でもその後、ダメージが大きかった竹ちゃんは…)







キャッキャッ ワーワー


提督「……」ボ-ッ


夕立「提督さん、やっぱり今日も元気ない?第七駆逐隊や白露姉さん達が水着を披露してるのに…」モノカゲ


時雨「うん、竹ちゃんが意識を失ってからずっと…」


五月雨「入渠して傷は治ったはずなのに…うぅ、竹ちゃん」グスッ


提督「……」


時雨「流石の提督も鼻の下を伸ばす気にはならないみたいだね」


夕立「っぽい」





「そうでしょうか?」


「「「!?」」」




提督「…竹ちゃんにも水着着せてやりたいなぁ」ウヘヘ


「どんな水着なんです?」


提督「そりゃあ駆逐艦用のマイクロビキニかな…未成熟な身体に僅かばかりの布地が……って!!?」


「絶対着ませんからね!」


提督「竹ちゃん!!目が覚めたのか?」


竹「はい。目が覚めたら、提督がまた駄目人間に戻ってましたけど…」


提督「竹ちゃん!!」ダキッ


五月雨たち「わーん!竹ちゃーん!!」ダキツキ


竹「皆さん……」


竹「松型駆逐艦二番艦の竹、これからも頑張ります!!」ニッコリ


終わり

妄想をうまく表現できなかったが、俺の頭の中にいる竹ちゃんが一番かわいい!ってことで

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