幼馴染「あん?何か文句でもあんのか?」男「別に」(55)

幼「何か言いたそうだったじゃねえか」

男「別になんでもないってば」

幼「ウソつけよ、言いたい事はっきり言えよ!」

男「…じゃあ、何でいつもジャージなの?」

幼「あん?動きやすい様にだよ、決まってんだろ」

幼「今さらな質問だなぁ、それ」

男「…何でいつも動きやすい格好をしてるの?」

幼「いつ敵が襲って来ても、迎撃出来るようにだよ」

幼「いつもそうしてるだろ?」

男「幼、危ない事、やめた方がいいと思うよ」

幼「…んだよ。アタシがどうしようが男には関係ねーだろ?」

幼「それに、空手黒帯のアタシが負ける訳ねーだろ」

男「…」

幼「心配すんなよ、男。アタシは無敵だ。誰にも負けねぇよ!」

男「…はぁ」




ヤンキー女a「おい、てめぇが幼って奴か?」

幼「あ?誰だお前」

ヤンキー女b「ププッ。噂通りのジャージ姿だな!」

幼「どうやら、死にたいみてぇだな…」

ヤンキー女c「噂じゃそこの高校の番長なんだって?」

幼「なんだ、番長って。アホか」

ヤンキー女a「お前、評判になってるんだぜ?」

幼「評判?どんなだ?」

ヤンキー女b「てめえの学校の番長様が、女にやられた…ってね」

幼「番長?誰の事だ、そりゃあ」

男「…幼、ちょっと、こっちに」

幼「あんだよ、言いたい事あるなら言えよ!」

男「…先週、ほら…幼が、蹴っ飛ばした奴がいたじゃん…」

幼「あ?あぁ、アイツか。あ?あいつ番長だったのか?」

男「…自分で喧伝してたからね。有名だよ」

幼「あんな奴がなぁ…番長って。ハハハ」

ヤンキー女a「オイコラ!シカトしてんじゃねぇよ!」

ヤンキー女b「今、こっちが話してんだよ!」

ヤンキー女c「そこの男、引っ込んでろよ!」

幼「まぁ、降りかかる火の粉は、パッパとはらっちまうに限るぜ」

男「止めなさいって言っても…?」

幼「ハハハ!止める訳ねー!」

幼「おら、3人まとめてかかってこいよ!」

幼「…その為に来んだろ?あん?」

ヤンキー女a「上等だコラァ!」

男「はぁ…」




幼「…お前ら弱すぎるだろ」

ヤンキー女達「」

幼「鍛えて来い!クマ一頭倒せるくらいになってから来い!」

男「…まぁ、今日はやりすぎてないみたいだから良いか…」

男「幼、ほら、手貸して」

幼「あんだよ」

男「ナックルガードもなしで、人を殴ったんだから」

男「血、出てるだろ」

男「包帯巻くから、手貸して」

幼「んなのいらねーよ」

男「幼、よくないよ」

幼「ハッ。こんくらいの血でビビってんなよ、男」

男「はぁ…」





幼「今帰ったー」

幼父「む。帰ったか…幼、ちょっとここに座れ…」

幼「あ?アホか、父ちゃん。何でアタシが…」

幼「父ちゃんの膝の上に座んなきゃなんねーんだよ!」

幼父「む。寂しかったからだ!」

幼「冗談はその鬼瓦みてーな顔だけにしろよ」

幼父「む。鬼瓦に…似ているか?」

幼「そこは疑問に思う所じゃねーだろ」

幼「鏡見ろよ」

幼父「…む」

幼父「それはともかくだ、幼」

幼「なんだよ、言いたい事あるならさっさと言えよ」

幼父「む…また、喧嘩してきたな」

幼「…そうだよ、それがどうかしたか?」

幼父「お前は強い」

幼父「その年でウチの道場で一番だ」

幼「頑張ったからな…へへっ」

幼父「だが、喧嘩はいかんぞ」

幼「そう言われてもよ、父ちゃん」

幼父「男君の事を守ろうとしているのはわかっている」

幼「な、ならよ!」

幼父「だが、喧嘩はいかん」

幼父「今は勝っているから良い」

幼父「だが、いつか、お前より強い奴が」

幼父「お前の前に立ちはだかったら、どうする?」

幼「…死んでも勝つ!」

幼父「それも良いかもしれんがな」

幼父「お前が死んだら、誰が男君を守るんだ?」

幼「…」

幼父「む。わかったら、もう喧嘩はよせ、幼」

幼「…考えとくよ」

幼父「パパは心配なんだ、幼よ」

幼「…」




幼「あー。今日だりぃなぁ。男、一緒にサボろうぜ?」

男「そんな事は認められませーん」

幼「つまんねぇ奴だな!」

男「幼、ちゃんと高校は卒業するって言ったろ?」

幼「不良のアタシが、高校に入れたのも」

幼「退学もせずに3年まで来られたのも」

幼「全部男のお陰だからよー」

幼「感謝してるんだぜ?」

男「別に感謝して欲しい訳じゃないからね?」

幼「わーってるよ」






ヤンキー「おい、そこのお前」

幼「あ?」

ヤンキー「お前がここの高校の番長だな?」

幼「何か昨日もこんな事あったような?」

ヤンキー「昨日、お前にやられたのは、俺のオンナ達だ」

幼「は?」

ヤンキー「あの3人は俺のツレだって言ってるんだ」

幼「で?」

ヤンキー「お礼はしとかないとなぁ…」

男「…幼、ダメだよ。こいつはダメだ」

幼「下がってろよ、男」

ヤンキ-「彼氏の前で、その可愛い顔、グチャグチャにしてやるぜ…」

幼「はっ!アタシが負けるかよ!」

幼「来い!デカブツ!」

男「幼っ!ダメだっ!」

ガスッ!

幼「ガハッ…」

ヤンキー「ククク。強いったって、所詮女だ」

ヤンキー「俺に勝てる訳がない」

ヤンキー「さぁ、覚悟しろよ…」

幼(やべぇ…一撃貰っただけで、足に…きてやがる…)

幼(こいつ、マジ強ぇ…)

幼(や、やられるっ…)

男「ちょっと待った!」

ヤンキー「あ?何だ?こいつの代わりにお前が俺とやんのか?」

ヤンキー「もやしみてーな身体でよぉ」

男「謝る!幼がしたこと、謝るから、勘弁してください!」

幼「お、男っ…な、何言ってやが…る」

ヤンキー「はぁ?許すわけねーだろが」

ヤンキー「頭悪いんだな、オマエ」

ヤンキー「てか、お前もぶっ潰すわ」

幼「!そ、それだけは…させな、い!」

男「金なら、持ってるだけ、全部やる!」

男「土下座でも何でもします!」

男「だから…だから、どうか許してください!」

幼「男…」

ヤンキー「あー。そうだなぁ」

ヤンキー「お前が俺の女になるっつーんだったら、許してやるぜ?」

幼「…え?」

ヤンキー「可愛い顔してるじゃねぇか。お前、俺の女になれよ」

ヤンキー「そうすれば、お前も、ここで土下座してる男も」
ゲシッ
男「…」

ヤンキー「無事に家に帰れるぜ?」

幼「くっ…そ…」

幼(身体動かねぇ…)

男「…」

ヤンキー「んじゃ、行くか?ここで2人仲良く俺にぶっ殺されるか」

ヤンキー「好きな方選べよ、ククク」

男「…まぁ、あれだ」

ヤンキー「あ?もう土下座終わりか?」

男「先に手出したのはそっちって事でいいよね」

幼「お、男…」

男「幼、ちょっと約束してくれよ」

男「この場を切り抜けられたら、俺の言う事、何でも1つ聞いてね?」

幼「は?」

ヤンキー「あぁ、2人ともぶっ殺されたい訳ね?」

ヤンキー「オッケーオッケー」

男「いいよね、幼?」

幼「お、おぅ…」

ヤンキー「おらぁ!お前から死ねやぁ!」

バチッ

ドタッ

ヤンキー「?」

男「…」

幼「お、男、今何を…」

ヤンキー「あれ?何で殴りかかった俺が地面に転がってる?」

男「あぁ、一応言ってみるけども」

男「これであいこって事で、帰ってくれないかなぁ?」

ヤンキー「ふっざけるな!クソが!」

男「…だよね」

ヤンキー「おらぁ!」

バチッ!ガスッ!

ドタッ

男「何度やっても無駄だと思うよ」

ヤンキー「んだと、コラァ!」

幼(何だあの構え…何だあの動き…空手…じゃねーよな?)

幼(男はもう空手出来ねーもんな…)

ヤンキー「クソがっ!捕まえさえすれば!」

男「そうならないように動いてるんだよ」

男「そんな大振りなパンチには当たらないよ」

男「…次はちょっと本気で行くよ…」

ヤンキー「!」

ガスッ!バチンッ!ドスッ!

ヤンキー「お、おぇえ…」

ドサッ

男「…ふう。まぁ、そうは言っても手加減したけどね」

幼「男、今の…」

男「幼、大丈夫?立てる?」

幼「アタシは大丈夫だよ!」

幼「それより、今の何だよ!空手か?」

男「違うよ」

幼「今の動き、何だ?あのアホに何したんだ?」

男「あぁ、ちょっと脳みそ揺らして、気絶してもらった」

幼「脳みそって…どうやったんだ?」

幼「早すぎて…見えなかった」

幼「気絶するくらい強く殴ったのに、コイツの顔、凹んでないぜ?」

男「あぁ、グーじゃなくて、パーで後頭部を叩いたからね」

男「さっきのはそういう技なんだよ」

幼「だから、何なんだよ?」

男「そんな事より、幼、約束守ってね?」

幼「は?」

男「この場を切り抜けたら、何でも1つ、言う事聞くって」

幼「お、おぅ…何だよ、聞くだけ聞いてやるよ…」

男「今後は女の子らしく生活する事!」

幼「はぁ?」

男「危ない事はナシ!もっと女の子らしく、ね?」

幼「で、でも!」

男「幼が、俺の為に強く強くなって」

男「俺を守ろうとしてる事はわかってる」

男「でも、もう気にしなくていいんだよ、幼」

幼「…」

男「小5の時…」

幼「ぅ…」

男「稽古の途中、幼の上段蹴りが、俺の顔面に当たって」

男「俺の左目の視力がほとんどなくなった事に」

男「責任を感じてる事もわかってる」

男「でも、大丈夫だから」

幼「…」

男「幼が空手好きなのもちゃんとわかってる」

男「だから空手を辞めろなんて言わないよ」

男「幼の演舞、俺も好きなんだ」

男「でも、もう危ない事はダメ!」

幼「…わかったよ…」

男「良かった、わかってくれて」

幼「こんだけ強いんだ。アタシの守りなんていらねーよな」

男「普通に生活していれば、こんな力を振るう事もないんだよ」

男「いざって時に、ちょこっとだけ、使えばいいんだよ」

幼「…あぁ、今日のでわかった」

幼「世の中、上には上が居るってな」

幼「とりあえず男!さっきのどうやったのか、いい加減教えろ!」

男「あー、あれ、骨法って言うんだ」

幼「骨法?」

男「まぁ、喧嘩用の技だよ」

幼「ずりーぞ、男!自分だけ!」

男「まぁ、幼に何かあった時、守れる力が欲しかったからさ…」

男「片目見えなくても出来そうな武道探してたら、見つけたんだ」

幼「アタシにも教えろ!」

男「ダメでーす」

幼「くそっ!ズルい!ズルい!」

男「幼、忘れてるかもしれないけど」

幼「あ?」

男「まぁ、今から行けば、二限には間に合うんじゃないかな」

幼「えー?今日はサボろうぜー」

男「ダメでーす」

男「気絶してるヤンキーを公園まで運んだあと」

男「ちゃんと学校行きマース」

幼「えー。今日、そんなテンションかー?」




幼「あん?何か文句でもあんのか?」

男「別に」

幼「…ていうか、何か言えよ!」

男「文句なんてないよ、幼」

男「そのロングのワンピース、良く似合ってるよ」

幼「おぅ…」

幼「や、約束だからな…」

幼「なんかスースーして気色悪いけどな…」

男「いきなり学校の制服はハードル高いと思ったから」

男「休日、私服で慣らして行こうって、ちゃんと話し合っただろ?」

幼「…そうだけどさ」

男「幼、これからはさー」

幼「おぅ」

男「もう、どっちかがどっちを守るとか、考えなくていいからさ」

幼「…」

男「ただ、傍にいてくれよ、幼」

幼「アタシがお前を守ってるつもりだったけど」

幼「逆だったんだな」

幼「それに気付けなかったアタシは大バカだな」

男「…俺の目の届く範囲に、ずっと居てくれ」

幼「それって、あれかよ…その…こ、こくは…」

男「俺と付き合ってくれ、幼」

幼「…お、おぅ」

幼「こっちから頼みてぇよ、男」

男「…うん」

幼「ガサツで、乱暴者なアタシだけど…」

幼「そんなアタシで良ければ、つ、付き合ってくれ…よ」

男「…うん。うん!」

幼「そして、骨法教えてくれよ!」

男「それはダメ!幼はもう危ないことしちゃダメ!」

幼「いいじゃんか、よっ!」
ガシッ

男「お、幼!ちょっと!当たってるよ、色々と!」

幼「ウリウリッ!アタシの言う事を聞けよ!」

男「…はぁ…幼には一生勝てる気がしないよ…」

幼「えっへっへ。そうだろ!」

幼「…一生、守ってくれよな…男」


おわり

これで終わりです
読んでくれた人が居たら嬉しいです

次スレは
幼馴染「デュフフ…二次元最高!」男「…」
ってタイトルでスレ立てると思います

では。

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