士郎「いらっしゃい、ライトニングさん」 ライトニング「ああ、邪魔をする」ガラッ (42)

士郎「今日は料理を教えて欲しいんだっけ?」

ライトニング「そうだ。セラを見てると、私も何か女らしいことの一つでも、とな」

士郎「女らしいこと、か。男の俺がそれを教えるのも、なんか変な感じだなあ」

ライトニング「確かに、私達は性別を間違えているのかもしれないな」

セイバー「む、聞き捨てなりません、ライトニング!」ズサー

士郎「あ、セイバー」

セイバー「士郎は十分男らしく育っています!家事全般をこなし和食を振る舞うその姿はまさに日本男子!」

士郎「そこらへんが男らしくないって言ってるんだけどなあ」

セイバー「そ、そうですか…」シュン

ライトニング「相変わらずだな、お前たちも。それと、私のことはライトでいい」

セイバー「ではそのように」

士郎「わかったよ、ライトさん。とりあえず台所へ行こう」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1433765470

士郎「じゃあ女の子らしく、肉じゃがでもつくろうか」

ライトニング「女らしいレシピがそれか?」

士郎「家庭的っていうかさ、まあ定番なんだよ。そんなに難しくないしさ」

ライトニング「そうか」

士郎「じゃあとりあえずじゃがいもの皮むきからかな。ハイ、ピーラー」スッ

ライトニング「必要ない。刃物の扱いは慣れている」ジャキン

士郎「剣はしまって、せめて包丁でお願いします」スッ

ライトニング「す、すまない」シャッシャッ




参考URL:http://www.kikkoman.co.jp/homecook/college/main/nikujaga.html

ライトニング「……」

士郎「……」

桜「あれ?ライトニングさん、いらしてたんですか」トコトコ

桜「ところでこのクリーム色の見事な立方体は一体…?」

士郎「……じゃがいもだ」

桜「え?」

士郎「じゃがいも、なんだ……」

ライトニング「……」グスッ

士郎「皮を、むきすぎたんだ……」

桜「そ、それはまた、その……凄いです、ね……」アセアセ

士郎「まあ、その、もう一回やろう、ライトさん」

ライトニング「ああ…」ぐしぐし

士郎「とりあえず正二十面体くらいにはできるようになってきたかな」

ライトニング「飲み込みは早いほうだからな」ドヤッ

士郎「皮だけ削って、実は削らないで欲しいんだけどな……じゃあ次は、これを一口大に切るんだ」

ライトニング「一口大というと、一口で食べられる大きさということか?」

士郎「うん、それくらい」

ライトニング「ならばこのままでも食べられるだろう」

士郎「えっ」

ライトニング「えっ」

士郎「いや、小さくはなってるけど、それでも卵ぐらいのサイズはあるよね?」

ライトニング「これくらいはいける」

士郎「あー、その、一口大ってのは、ちょうどセラさんが大口を開けずにおしとやかに食べられるくらいのサイズを想像してほしいな」

ライトニング「ああ、たしかにこれでは無理だな」

士郎「スノウさんあたりなら食べそうだけど」

ライトニング「セイバーも食べるんじゃないのか?」

士郎「否定できない」

士郎「よし、じゃあこのじゃがいもは水につけておいて…」ジャポジャポ

士郎「次は玉ねぎかな」

ライトニング「どうすればいい?」

士郎「手で皮を剥いて、こう、くしの形みたいに切るんだ」スコッスコッ

ライトニング「なるほど、わかった。やってみよう。皮をまずむくんだな?」

士郎(どうなるか予想がつくけど黙っていよう)

ライトニング「士郎、どこまでが皮なんだ、こいつは!」むきむき

士郎(やっぱり)

士郎「何枚かだけでいいんだ、じゃないと玉ねぎはどこまでもむけてしまう」

ライトニング「ぐ、玉ねぎ…!面倒なやつ……!」ダンッ

士郎「じゃあ、それをくし形切りしよう」

ライトニング「それなら簡単だな」ストンッ ストンッ ストンッ

士郎「……」

ライトニング「……」ストンッ ストッ……

ライトニング「……」ジワァ…

ライトニング「く、こ、これは……」グスグス

士郎(かわいい)

ライトニング「士郎!こいつ、魔物か何かなんじゃないのか!精神攻撃をしてきたぞ!」ゴシゴシ

士郎「玉ねぎには涙を出させやすくする成分が含まれているんだよ」

ライトニング「どこまでも面倒なやつだな、玉ねぎめ…!」ウルウル

士郎(かわいい)

ライトニング「士郎のときはなんともなかったじゃないか!」

士郎「体質もあるらしいけど、どっちにせよ素早く切っちゃえば大丈夫」

ライトニング「そうか、考えればあたりまえだな。よし!」スココココココ

士郎「うわっ」

ライトニング「慣れているといったろう」ドヤァ

ライトニング「……」ウルウル

ライトニング「やっぱりだめじゃないかあ!」グシグシ

士郎(かわいい)

士郎「あとはにんじんと牛肉だな。こんなかんじで」スコンスコン

ライトニング「…こいつらもまた、何かあるのか。玉ねぎのような」

士郎「なにもないから、普通に切れば大丈夫」

ライトニング「信じるぞ」スコンスコン

士郎「そうそう、そんな感じ」

ライトニング「……」黙々

士郎「……ん?」

セイバー「……」チラチラ

桜「……」チラチラ

ライダー「……」ガン見

士郎(居間の3人の視線を感じる…)

ライトニング「……」スコンスコン

セイバー「ライトはうまくやっているようですね」

桜「はい、先輩とも仲が良さそうですね」ジトッ

ライダー「そういえば、サクラも士郎から料理を教わったのでしたね」

桜「……」ジトォ…

ライダー「サクラのように要領が良いわけではなさそうですから、士郎も苦労しています」

桜「!」パァァ

桜「そ、そうよね、ライトニングさんだもんね」

桜「どっちかっていうとセイバーさんに近い人だし、大丈夫よね!」

セイバー「なにがですか?」センベイバリバリ

ライダー「わからないならそこまで、ということです」

セイバー「む、よくわかりませんが罵倒されたのはわかります」バリバリ

ライダー「はあ、私の分も食べて結構ですよ」スッ

セイバー「では聞かなかったことに」バリンバリン

士郎(全部聞こえてるんだよなあ…)

士郎(でも確かにライトさんはセイバーに似てる)

ライトニング「…肉……」スコスコ

士郎「ライトさん、肉ちょっと大きいかな」

ライトニング「肉はこのくらいのほうが食べごたえがあるだろう」

士郎「今回は『女の子らしく』だから…」

ライトニング「そ、そうだったな、小さくしよう」スコスコスコ

士郎(似てるなあ…)

ライトニング「士郎、これは?」

士郎「しらたきだよ。ささっとゆでて、こんなかんじに食べやすいサイズに切るんだ」ゆでゆで スコスコ

ライトニング「なんだかぬらぬらしているな、どんな魔物から取れるんだこいつは」

士郎「元々はイモだよ」

ライトニング「……なんだと?」

士郎「こんにゃくと同じで、こんにゃく芋からできるんだ」

ライトニング「こ、こんにゃくも、イモだと!?どんな魔法だそれは!こんにゃくはこんにゃくだろう!」

士郎(セイバーも同じこと言うだろうな)

セイバー「そうです!こんにゃくがイモからできるはずはない!嘘を騙るのはよくないです、シロウ!」ガタッ

士郎(言っちゃってた)

ライダー「二人とも落ち着いてください、確かにこんにゃくはこんにゃく芋から作られます」

ライダー「聖杯もそう言っていたでしょう、セイバー」

セイバー「え……はっ、確かにそうでした。聖杯からの知識にそうあります」

士郎「なんで聖杯がこんにゃくの作り方を教えるんだ」

セイバー「サーヴァントは現界時に現代で過ごす為その時代に必要な知識を与えられるのです」

士郎「いらない知識じゃないかなあ」

士郎「次は材料を炒めるんだ」

ライトニング「料理らしくなってきたな」

士郎「まずはフライパンに薄く油を引いて、玉ねぎから炒める」

ライトニング「薄く、だな?」ソーッ

ライトニング「うすく、うすく…」ソーッ…ダバァ

士郎「あー」

ライトニング「……」ウルッ

士郎「だ、大丈夫、大丈夫」アセアセ


桜「ふふふ…」

ライトニング「ほっ、はっ、ほっ」ジュワワー

士郎「そうそう、そんな感じ。牛肉もいれよう」

ライトニング「まかせろ」ジュッ ジュワッ

士郎「ある程度焼けてきたら他の材料も全部入れて、全体に火を通すんだ」

ライトニング「ああ、わかった」ジュワァー

士郎「うん、すごくいい」

ライトニング「そうだろう、そうだろう」ジュジュワー


桜「……」

ライトニング「どうだ、焼けてきたぞ」ジュワー

士郎「よし、じゃあこのだし汁を入れるんだ」スッ

ライトニング「こ、この熱したフライパンにか?」

士郎「うん」

ライトニング「わ、わかった…」おそるおそる

士郎「……」

ライトニング「……」ザバッ ジュバァァァァァァァァ!!!

ライトニング「っひぃ!」

士郎(かわいい)


セイバー「なかなかうまくいっているようではないですか」バリバリ

桜「……」

ライトニング「よ、よし、だしは入れたぞ」フゥ

士郎「そのまま沸騰させるんだ」

ライトニング「わかった」

桜「ライトニングさん」ヒョコ

士郎「わ、びっくりした」

ライトニング「ライトでいい…どうした?」

桜「どうしてまた、急にお料理を?」

士郎「ああ、確かに」

ライトニング「…………」

ライトニング「……ホープが…」

桜「ホープ君?」

ライトニング「ホープが、セラの、料理を、その、美味しそうに、食べていて……」

桜(あー)

士郎(あー)

桜「それで、セラさんみたいにホープ君に手料理を食べさせてあげたいんですね?」

ライトニング「……そう、だ」カオマッカ

桜「よかった…」ボソッ

士郎「どうした、桜?」

桜「い、いえ、その、ライトさんも、女の子だなあって!」

士郎「そうだな」

ライトニング「ふん……」マッカッカ

ライトニング「…ん?士郎!様子がおかしい!」グイグイ

士郎「え?」

ライトニング「なんだか妙な泡が出てきたぞ!」

士郎「ああ、煮えてアクが出てきたんだよ。この網じゃくしで取るんだ」スイッスイッ

ライトニング「なるほど…やってみよう」スイスイ

桜「ではライトさん、ホープ君のためにがんばってくださいね」

ライトニング「ああ……え?!あ、ああ……」テレテレ

桜(かわいい)

士郎(かわいい)

桜「なかなかうまく行ってましたよ、ライトさん。先輩の指導がいいんでしょうね」

セイバー「士郎は細かい配慮のできる人ですから、教えるのにも向いているのでしょう」

桜「なんでも、ホープ君のために教わってるんだって」

セイバー「ホープ…?ああ、ライトとよく一緒にいるあの少年ですか」

ライダー「なかなか健気ですね、ライトニングは」

セイバー「彼女も女性ということですね」センベイバリバリ

ライダー「…………、まあ、そういうことなら心配はいりませんね、サクラ?」

桜「え?や、やだもう、なにも心配なんかしてないよ、ライダー」

ライダー「そうですか?」

桜「……ホッとしたのは、ほんとだけど」

ライダー「ライトニングは見た目麗しい女性ですから、桜の心配も当然です」

桜「ありがとう、ライダー」

セイバー「……?」バリバリ

士郎「アクが取れたら、この調味料を入れて、落とし蓋をするんだ」

ライトニング「おとしぶた?」ジャバー

士郎「材料の上に蓋を置いて、全体をまんべんなく煮詰めていくんだ」

ライトニング「変わったことをするんだな」カパッ

士郎「あとは煮るだけかな」

ライトニング「ふう、なかなか大変なものだな、料理というのは」

士郎「いろいろやらないといけないもんなあ、切ったり焼いたり」

ライトニング「女らしいことを、と思ってやってみたが、やっていることはなかなか勇ましいことも多いように感じた」

士郎「ははは、女の人は強いもんな」

ライトニング「…セラは、こんな苦労をしてスノウに……」

士郎「スノウさん?」

ライトニング「ああ、スノウのためにと、いつもいろんな料理を練習している」

ライトニング「スノウに食べさせる前に味見させられるんだが、さすがセラというか、どれも美味しいんだ」

士郎「確かにセラさんは料理上手なイメージだな」

ライトニング「こんな苦労をしてでも、スノウを喜ばせたいんだな、セラは……」

士郎「一途だもんなあ、セラさん」

ライトニング「……女は、強いな」

士郎「よし、煮えたんじゃないかな。ライトさん、味見してみて」

ライトニング「ん…ああ」ヒョイパク

ライトニング「うん、…ん?…うん…」

士郎「どう?」

ライトニング「いや、肉じゃがらしくできていると思うんだが、その…」

士郎「うん?」

ライトニング「自分で作ったせいか、上手く出来ているかどうか判別がつかない」

士郎「ああ……、じゃあ俺も一口」パク

士郎「…うん、なかなか良く出来てるんじゃないかな」

ライトニング「そ、そうか?」

士郎「これ、このままホープに持っていく?」

ライトニング「いや、今日作ったものはこの家の者で食べてほしい」

ライトニング「今日は士郎につきっきりで教わって作ったものだから、ホープに渡すものは、その、ちゃんと自分の手で…」

士郎「そうか、たしかにそれがいいな。じゃあ、皆に味見してもらおう」

セイバー「おお、これがライトの作った肉じゃがですか」

ライトニング「ああ、不味かったら遠慮無くいってくれていい」

ライダー「士郎が手取り足取り教えたのです、それはないでしょう」

士郎「ははは、そうかな」

桜「そうですよ、先輩」

セイバー「では、いただきます」

ライダー「いただきます」

桜「いただきます」

セイバー「ふむ、ふむふむ」モグモグ

ライダー「士郎の言うとおり、なかなか良く出来ています」

桜「材料の大きさがバラバラなのと、焼き加減がまばらなのを除けば上出来ですね!」

士郎「桜…」

ライトニング「そ、そうか、今度作るときは気をつけよう…」

セイバー「もぐもぐ…あれ?これだけしかないのですか?」

士郎「今日は練習だったしな」

セイバー「そうですか、残念です」ショボン

ライトニング「セイバーがそう言ってくれるのなら安心だな」

士郎「はは、確かにそうだ」

セイバー「む、褒められているのでしょうか?」

ライダー「どうでしょう?」

ライトニング「今日は世話になったな」

士郎「いや、俺も楽しかったし大丈夫。はいこれ」ヒョイ

ライトニング「これは?」

士郎「材料とか分量とかのメモだよ」

ライトニング「ああ、助かる」

桜「がんばってくださいね、きっとホープ君喜びますよ」

ライトニング「そ、そうかな…」

ライダー「貴女はセイバーと同じくそういった女性的な事柄に疎い印象がありますから、意表を突くことができるでしょう」

セイバー「ぐ……」

ライトニング「あ、ああ、そうだな」

ライダー「……ところで、どうして妹のセラに教わらなかったのですか?」

桜「」ハッ

セイバー「ああ、確かにそうですね。料理上手な身内が居るのです、彼女に教わったほうが早い」

士郎「そういえばそうだな」

ライトニング「セラに教えてもらうのはちょっと、な」

桜「どうしてですか!先輩のほうがよかったんですか!」クワッ

ライダー「サクラ、抑えて」

ライトニング「急に私が料理などと言い出したら、きっとセラは訝しがるだろう」

ライトニング「ホープのために、などとはセラには言えないし…」

ライダー「ああ、それで士郎を頼ったと」

桜「なるほど」ホッ

ライトニング「そういうわけだ。今日はありがとう、士郎」

士郎「ああ、また教えてほしい料理があったらいつでも来てくれ」

桜「私も教えられますからね!!」クワッ

ライダー「抑えて、抑えて」

ライトニング「ああ、それじゃあまたな」ガラッ

士郎「いつでもどうぞ」

セイバー「また食べさせてくださいねー!」

ライダー「……士郎、今度は、セイバーにも教えるべきでは?」

士郎「そうかもな……」

セイバー「?」キョトン

終わりです。ライトニングリターンズを中古で買って、やってたら書きたくなったので書いてみました。
書いててすごくセイバーとキャラがかぶりました。ライトニングさんはZeroセイバーあたりと結構キャラ的に似てるんじゃないでしょうか。どうでしょう。
なんとなく気に入った組み合わせなのでまた書きたいです。
ありがとうございました!

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