七宮「私と契約して魔法魔王少女になってよ!」 勇太「……」 (109)

七宮「あっ、違った。私が魔法魔王少女だから、勇者は勇者ね!」

勇太「いやいやいやいや、ちょっと待て!お前……七宮か?」

七宮「違うよ?私はソフィアリング・Sーー」

勇太「やっぱり七宮なんだな……」

七宮「にーっはっはっはっ♪久しぶりだね、勇太!」

勇太「久しぶりだねって……急にいなくなったと思ったらいきなり現れて……」

七宮「あれは仕方なかったんだよ。魔界から使者が来てあの地を離れなくちゃいけなかったからね」

勇太「転校するなら一言くらい……別れの挨拶くらいしていけよ」

七宮「それはちがうよ。だって別れの言葉を口にしたらその時が別れだから……だから別れの挨拶なんて必要無かったんだよ」

勇太「あのなぁ」

七宮「それにほら!こうして無事再会出来たんだし!これからまた宜しくね、勇者♪」

勇太「あれ?そう言えばお前、その制服……」

七宮「うん♪明日からは同じ学校に通うお隣さんだよ♪」

勇太「はあ!?同じ学校……じゃなくて、お隣さん!?」

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七宮「まさか新しい拠点が勇者の隣だったなんて流石のソフィアも驚いたよ!」

勇太「そう言えばなんか引越し屋が来てたな……あれお前だったのか」

七宮「にーっはっはっはっ♪このベランダには結界が張ってあるけど、こうして下を潜れば勇者の拠点と行き来が可能なんだよ!」

勇太「分かった分かった!もう良いから!登校初日の前に制服を汚すな!」

樟葉「お兄ちゃん、何一人で騒いでるの?風邪ひいちゃうよー」

七宮「あっ、樟葉ー!……だよね?」

樟葉「え?もしかしてさとねちゃん?」

七宮「にーっはっはっはっ♪樟葉大きくなったね!私がこの地を去る前は三センチくらいだったのに」

樟葉「さすがに三センチじゃ無かったけど……どうしてさとねちゃんがココに?確か引っ越したんだよね?」

七宮「そう!で、今日また舞い戻ったんだよ。お隣にね!」

樟葉「ええっ!?お隣さんなの?」

七宮「おっと、もうこんな時間!そろそろ夢の住人が迎えに来る時間だよ。勇者、樟葉、また明日ね!」もぞもぞ

勇太「だからベランダの隙間から帰ろうとするなよ」

七宮「にーっはっはっはっ、じゃあ明日からは正面突破させてもらうよ」

翌日

ジリリリリリ!!

勇太「ううーん……」

七宮「おはよう勇者!朝だよ!!」

勇太「後少しだけ…………」

七宮「だらしないなぁ。しばらく見ないうちに魔力が弱まったの?」

勇太「そうそう、魔力が……な…………」むにゃむにゃ

七宮「あっ、じゃあ私が魔力を分けてあげるよ♪」

ふにっ

勇太「…………ん?」

七宮「どう?勇者、魔力が戻った?」ふにふに

勇太「…………うわあああああ!!」

バタンバタン!!ドサッ……

勇太「いたた……っ」

七宮「大丈夫!?まさか魔力の暴走!?」

勇太「お前なぁ……もう高校生なんだから鼻ぽちはやめろ!」

七宮「どうして?」

勇太「どうしてって……とにかくダメな物はダメなの!!」

樟葉「お兄ちゃん朝からうるさいよー」

登校中

勇太「はーあ……朝からひどい目にあった」

七宮「にーっはっはっはっ。初日から刺激的な朝だったね!」

勇太「刺激なんていらない。明日からは平凡な朝を迎えさせてくれ」

七宮「ダメだよ!私達は常に刺激を求めて生きていかないと魔力が失われてしまうんだから!」

勇太「はいはい、魔力はとっくの昔に失ってるの」

七宮「だったら取り戻す為にも、もっと刺激的な朝を迎えないとね!明日から覚悟しててよ、勇者!」

勇太「今日の鼻ぽちでも十分刺激的だっつの。……それにあれ以上刺激的って」

七宮「? 勇者?顔が赤いよ?魔力の暴走?」

勇太「と、とにかく!明日からは起こすなら普通に起こしてくれ!」

七宮「うん!明日からも勇者を起こしにいくね!」

勇太「あ、あれ?」

学校。席決め

一色「なあ、なあなあ」

勇太「…………」

一色「おい、おーい!えっと、富樫……だっけ?」

勇太「え?俺……?」

一色「おう!俺は一色誠、よろしくな!」

勇太「ああ、こちらこそ宜しく」

一色「でさ、どう思う?」

勇太「どうって、何が?」

一色「女子だよ、女子!この学校レベル高いよな!!」

勇太「そ、そうなのか?って言うか、初日から何言っ」

一色「俺のデータによると丹生谷が飛び抜けて人気あるみたいなんだけどさぁ、誰も中学時代同じ学校だった奴が見当たらないんだよなぁ」

勇太「丹生谷?あのクラス委員長になってた子か」

一色「スタイル抜群で容姿端麗、クラス委員長するくらいのリーダーシップ。多分頭も良さそうだ!いるんだなぁ、あんな人間」

勇太「完璧超人ってやつか」

一色「あとまぁ人気があるのはーー」

七宮「勇者、勇者!私達隣の席だって!クラスだけじゃなく席まで隣だなんて、これも運命だよね!」

勇太「分かったからあんまり大声で勇者勇者言うなよ!」

七宮「どうして?……はっ!もしかして極秘任務!?」

勇太「そうだよ、極秘任務だから勇者は禁止だ」

七宮「うん!わかったよ、勇者!!」

勇太「はぁ……」

一色「すでにかわい子ちゃんランキング上位の七宮さんと仲良く話すなんて……師匠と呼ばせてくれ!」

勇太「断る!」

一色「そこをなんとか!師匠~!」

七宮「すごい!勇者はもう弟子を作ったんだね!!」

丹生谷「みなさん、静かにしてくださーい。これから掃除当番を決めたいと思います」

勇太「ほら、お前ら静かにしろ」

七宮「ねぇ勇者、この消しゴムに魔法陣描いてみたんだけどね!」

丹生谷「コホンッ……そこの人、ちゃんと聞いてくれないと適当に決めちゃうよー」

勇太「すみません!七宮、席に戻れ!」

七宮「うん!じゃあ席を引っ付けるね!」

勇太「引っ付けるなよ!小学生か!」

丹生谷「ちょっと!人の話を…………」

七宮「はーい……あれっ?……モリサマ!?」

丹生谷「ソ、ソフィア……!?」

勇太「ん?」

七宮ちゃんに幸せになってもらいたいだけの人生だった……

勇太「七宮、おまえあの丹生谷って子と知り合いだったのか?」

七宮「うん!私とモリサマは親友だよ!」

勇太「その割には最初驚いた顔した後、1度も目を合わさず避けてなかったか……」

七宮「きっと組織の目があるから正体を隠してるんじゃないかな?だってモリサマは妖ーー」

丹生谷「モリサマ言うな!!」

七宮「わっ!ごめんねモリサマ、正体を隠してたのに大声で」

丹生谷「そうよ。その過去は隠して生きていくの。未来永劫ね!」

七宮「モリサマ……大変なんだね!でも2人の時はモリサマって呼ぶから大丈夫だよ!元気出して!」

勇太(さっきまでのクラス委員長してる時と随分キャラが違うな……)

丹生谷「はぁ……で?そっちの彼はなに?」

七宮「そうだ、紹介するよモリサマ!これがずっと言ってた私の勇者だよ!」

丹生谷「勇者?……ああ、確か転校してくる前、一緒にバカやってたって言う」

勇太「あはは……っ」

丹生谷「ふーん。普通そうに見えるけどそっち側の人なんだ」

勇太「そっち側とか言うなよ!」

七宮「で、こっちがモリサマ。私が転校した先で一緒に戦ったりしてたんだ!モリサマは妖精が見えるんだよ!」

勇太「モリサマ?妖精?……へー、丹生谷って真面目そうに見えるけどそっち側の人なんだな」

丹生谷「そっち側言うな!!」

勇太「でもモリサマってなんだよ?」

七宮「こっちの世界では森夏って名乗ってるけど本当はモリサマーなんだって!」

勇太「そっか。名前が丹生谷森夏だからモリサマーか。へー……」

森夏「何よ!言いたい事があるならハッキリ言えば!?勇者!!」

勇太「なんか覚えたての英語使いたかった子供って感じだな」にやにや

森夏「くっ……!」

七宮「ちなみに勇者はダークフレイムマスターでありゲルゾニアンサツでもあるんだよ」

森夏「へー、ダークフレイムマスターなんだ。富樫君」にやにや

勇太「七宮、余計な事言うなよ!」

森夏「じゃあ私は委員会の集まりがあるから。さよなら、七宮、ダークフレイムマスター君♪」

勇太「ああ、せいぜい本性がバレない様に気をつけろよ。モリサマー」

スタスタ

七宮「うーん、やっぱり精霊の力を司るモリサマと闇の力を司る勇者は相性が悪いのかな……」

勇太「さあな。まだ知り合って1日なのに好きも嫌いもないだろ?」

七宮「そっか!うん、そうだよね!きっと仲良くなれるよ!」

勇太「仲良くなれるかは保証しかねるけどな」

七宮「大丈夫!この魔法魔王少女、ソフィアリング・SP・サターン7世にまかせてよ!」

勇太「はいはい。じゃあ俺たちも帰るぞ

七宮「へ……?一緒に帰るの?」

勇太「隣に住んでるんだから帰り道は一緒だろ?くる時も一緒に来たんだしさ」

七宮「そうだけど……」ちらっ

勇太「ん?……ああ、そうか。さすがに高校生にもなって一緒に帰ってたら誤解されて困るもんな」

七宮「う、ううん!私は別に全然大丈夫だよ!一緒に帰るよ、帰ろう勇者!」

勇太「いや、でも無理しなくても」

七宮「にーっはっはっは!魔法魔王少女の私に不可能はないんだよ!」

勇太「大袈裟だな……まぁ七宮がいいなら俺はかまわないけど」

七宮「うん!よーし!なんだか魔翌力が高まってきた気がする!駅まで競争だよ!勇者!」ダッ

勇者「お、おい!…………これって一緒に帰ってる事になるのか?」


なんとか駅前で追いついて一緒に帰った。

七宮ちゃんの胸に顔を埋めたいだけの人生だった……

七宮の部屋


七宮「勇者!右から行くよ!」

勇太「悪い、回復薬持ってるか?」

七宮「うん!じゃあこれ使ったら一気に狩りに行こうね!」

勇太「よし、じゃあ後衛はまかせたぞ」

ポチポチポチポチ……


勇太「お、おお!おおおお!」

七宮「やったよ勇者!ついに倒したね!」

勇太「やったな!何度やってもクリア出来なかったのに2人でやればこんな簡単に行くなんて」

七宮「私たちが協力すれば不可能なんてないんだよ!こんなドラゴンまで倒せたんだから!」

勇太「でもまさか七宮もこのゲームやってたなんてな」

七宮「きっとこれも運命だよ!私達はバーチャルの世界でも共に戦う宿命だったんだね!」

勇太「だな」

七宮「に、にーっはっはっはっ!そうそう、運命なんだよ!」

勇太「おっと、もうこんな時間か……」

七宮「へ?私ならまだ全然大丈夫だよ?」

勇太「いや、もう7時だし。樟葉が夕飯用意して待ってるからな」

七宮「あ、うん……そうだね!樟葉が待ってるなら帰らなきゃだよね!」

勇太「家の人はまだ帰らないのか?」

七宮「え?」

勇太「だから、お前の家族はまだ帰らないのか?」

七宮「うん、うちは帰りが遅いからね」

勇太「そっか。じゃあ今からうち来るか?」

七宮「だ、だめだよ、これからご飯なんでしょ?」

勇太「一緒に食べれば良いじゃないか」

七宮「でもほら、昨日もご馳走になったし……」

勇太「今更そんな気を使う事無いだろ」

七宮「でもでも、昨日はカレーだったから良かったけどハンバーグとか人数分しか無かったら困るだろうし!」

勇太「うーん……」

七宮「それに今日はうちもお母さんが夕飯作り置きしてくれてるから!」

勇太「そうか?じゃあ帰るけど、何か困った事があったらいつでも来いよ。近所なんだからさ」

七宮「うん!ありがとうね、勇者!」

バタンッ

勇太「ただいまー」

樟葉「おかえりー。夕飯用意できてるよー」

勇太「ああ」

樟葉「あれ?今日はさとねちゃん一緒じゃないの?」

勇太「七宮?一緒じゃないけど?」

樟葉「そうなんだ。一緒に来ると思ってさとねちゃんの分まで作っちゃったんだけど」

勇太「ハンバーグか……そう言えばあいつハンバーグ好きだったな」

樟葉「そうなの?よく覚えてるねー」

勇太「作り置きがあるって言ってたけどあったかいほうが美味いよな。一応声掛けてみるか」

ピンポーン

勇太「…………?」

ピンポーン、ピンポーン

勇太「…………留守?どこ行ったんだこんな時間に」

勇太「ついさっきまで一緒にゲームやってたのに……ん?」

七宮「……」スタスタ

勇太「今下歩いてたのって七宮だよな」

勇太「……」

コンビニ

七宮「うーん、グラタンかお弁当かラーメンか…………よし!全部買っちゃおう!」


店員「ありゃっしゃっしゃっしゃー」

ウィンッ…

七宮「にーっはっはっはっ♪ついでに揚げたての唐揚げも買っちゃったもんねー」

勇太「そりゃ良かったな」

七宮「うん!良かったら勇者にも分けてあげーー」

勇太「……」

七宮「勇者!?」

勇太「凄いな。お前のお母さんはコンビニに弁当を作り置きしてくれてるのか?」

七宮「にーっはっはっはっ♪そうなんだよ!」

勇太「そんなわけあるか。……なんであんな嘘ついたんだよ」

七宮「それはその……迷惑かけてばっかじゃダメかなーって……」

勇太「はぁ……」

勇太「おまえはそんなキャラじゃないだろ」

七宮「そ、そうかな?」

勇太「しっかし大量に買い込んだな……何日分だよ」

七宮「へ?一食分だよ?」

勇太「そんなに食うのかよ!?」

七宮「にーっはっはっはっ!なんてったって育ち盛りだからね!」

勇太「育ち盛りって、あんまり身長伸びてるようには見えないけど」

七宮「うっ……」

勇太「縦に育たなくなったら後は食べた分だけ横に育つだけだぞー」

七宮「ううぅ……確かに、最近胸の辺りにばかり脂肪が……」ふにふに…

勇太「お、おい!!」

七宮「ん?」

勇太「ん?……じゃない!そういう……人前で、だからその……そういう事は、だな……」

七宮「そういう事?」ふにふに

勇太「だから人前で胸を揉むなよ!!」

七宮「ところで勇者はどうしたの?買い物?」

勇太「樟葉が七宮の分も夕飯作ってるから食べに来いって言いに来たんだよ」

七宮「そうなの!?」

勇太「そうだよ。作っちゃってるんだから迷惑とか考えるなよ。むしろ食べて貰わないと余って迷惑なんだからさ」

七宮「えっと、じゃあお邪魔しようかな……」

勇太「そうしてくれると助かるよ。さぁ行くぞ」

七宮「ちょっと待って勇者!これだけ食べて行って良い?」

勇太「唐揚げ?」

七宮「うん!揚げたてだからつい買っちゃったんだ!」

勇太「別に良いけど食べ過ぎて夕飯食べれなくなっても知らないぞ」

七宮「にーっはっはっはっ!唐揚げも樟葉の料理も別腹だから大丈夫なのだよ!」

勇太「おまえは牛か」

勇太「それだけだそ」

七宮「わかってるってば♪勇者にもあげるね!」

勇太「俺は良いよ。夕飯が食べれなくなるだろ」

七宮「少しくらいなら平気だよ!それに勇者は唐揚げ好きって言ってたでしょ?」

勇太「ああ……よく覚えてたな。そんな昔の事」

七宮「にーっはっはっはっ、勇者の好みはもちろん覚えてるよ♪だってーー」

勇太「……?」

七宮「あー……っと、だって昔よく一緒に不死鳥の唐揚げを食べたでしょ?」

勇太「普通の唐揚げだけどな」

七宮「コレくらいの事を覚えてるのはパートナーとして当然!ああっ!まさか勇者は私の好みを忘れたわけじゃないよね!?」

勇太「ハンバーグだろ。あとさくらんぼとトウモロコシとー」

七宮「え?ええ!?どうしてそんなに詳しく覚えてるの!?」

勇太「どうしてって……パートナーだから当然なんだろ?」

七宮「…………っ!」もしゃもしゃもしゃもしゃ

勇太「どうした七宮!?どうして無言で唐揚げを食べ続ける!?」

七宮ちゃんと刹那の陣・改をしたいだけの人生だった……

樟葉「ほんとにごめんなさい!ともちゃんのお母さんが夕飯も一緒にって言ってくれてて」

勇太「そっか……うん、いや別に良いよ。ちゃんと御礼言うんだぞ」

ピッ…

勇太「樟葉が帰ってこないんじゃどうしたもんかな……」

七宮「あっ!おーい、勇者ー!こんな玄関前で何してるの?家に入らないの?」

勇太「ああ、七宮か……おお!七宮!七宮じゃないか!」

七宮「え?そうだよ!いかにも私がソフィアリングーー」

勇太「七宮、いまからちょっと時間あるか?」

七宮「時間?うん、別に用事は無いけど」

勇太「じゃあ一緒について来てくれ!」

七宮「ついて行くって何処へ?」

勇太「それはえっと、あれだ!付いてくれば分かる!」

七宮「あっ!もしかして魔界獣を倒しに行くの!?」

勇太「あ、ああ、そんな感じだ!」

「たまご、お砂糖、98円!お一人様どちらか一点のみ!!」


勇太「やれやれ、なんとか残っててよかったな」ほくほく

七宮「勇者、魔界獣は?冒険は?」ワクワク

勇太「スーパーまで冒険したし魔界獣の卵も買っただろ?」

七宮「これは魔界獣の卵じゃなくて鶏の卵だよ!」

勇太「なんだ、分かってるじゃないか。お前ならてっきり魔界獣の卵って言い出すと思ったけど」

七宮「このソフィアを騙すなんて……!屈辱だよ!」

勇太「悪かったよ。そう怒るなって」

七宮「怒らずにはいられないよ!ちょっと期待したのに~!」

勇太「わかったわかった、お詫びに何か食わせてやるから機嫌なおしてくれ」

七宮「勇者の手作りなら交渉の余地はあるけど……」

勇太「それで良いから。騙すような事して悪かった」

七宮「おじゃましまーす。……あれ?誰もいないの?」

勇太「ああ、樟葉は友達の家で夕飯食べてくるらしい」

七宮「そうなんだ」

勇太「で?何が食べたいんだよ?」

七宮「にーっはっはっはっ!じゃあ魔法力が詰まった暑さ10㎝のステーキを」

勇太「幅1㎝の豚肉で良ければ」

七宮「それはトンテキだよ!」

勇太「そうだよトンテキだよ」

七宮「えー、そんなのつまらないよ」

勇太「じゃあオムライスにするか?せっかく卵買ったんだし」

七宮「あの伝説の食材、魔界オムライス!?」

勇太「よし、玉ねぎも鶏肉もあるな」

七宮「これがあの……さすが勇者、こんな凄い物を手に入れていたなんて」

勇太「言っとくけど狩りなんてしてないし捕獲難度とかもないからな」

七宮「…………召喚?」

勇太「もう良いからお前は向こうで座ってろ」


七宮「にーっはっはっはっ!やっぱりこの番組は最高だね!」

トントントン

七宮「んー……やっぱり私も何か手伝うよ勇者」

勇太「だったらこのコップと飲み物を運んでくれ」

七宮「そんな大役を私に……!」ゴゴゴゴ

勇太「やっぱり面倒くさいから向こうで座ってろ」

勇太「おまたせ」

七宮「おおーっ!これが伝説のオムライス!」

勇太「あとケチャップは好きなように……あっ、冷蔵庫にサラダもあったんだった。ちょっと取ってくる」

七宮「じゃあ私は勇者のオムライスに魔法陣を書いて暗炎竜を召喚しておくよ!」

勇太「あんまりめちゃくちゃかけるなよー」スタスタ

七宮「…………」

七宮「す……き……」にゅっ

七宮「うぅ…………」

勇太「サラダもってきたぞー」

七宮「わあああああ!!」ぐしゃぐしゃ

勇太「うわあああああ!!お前、俺のオムライスになんの恨みがあるんだよ!!」

七宮「に、にーっはっはっはっ!混ぜオムライスなんだよ!!」

七宮ちゃんに魔翌力を分け与えて貰いたいだけの人生だった……

勇太「盆踊り?」

七宮「にーっはっはっ!それは表向きのカモフラージュ、実は死霊復活祭なんだよ!」

勇太「変な言い方するなよ。そういえば樟葉がバイトだか手伝いだか忘れたけどするとかなんとか言ってたな」

七宮「勇者はいかないの?」

勇太「俺?俺は声掛けられてないからな。樟葉の方が客受けも良さそうだし」

七宮「そうじゃなくて、個人的に死霊復活祭を見に行ったり誰かと行ったり……」

勇太「地元の盆踊りに1人で行くのもあれだし行かないかな」

七宮「そ、そうだよね!いくら勇者でも1人で死霊復活祭に行くのは危険だよね!うんうん!」

勇太「?」

七宮「よし!じゃあ一緒に行こうよ!実は私もあの儀式は気になってたんだけど1人じゃ手に余るかもしれなかったし!」

勇太「お前……もしかして……」

七宮「~ッッ!?」

勇太「友達いないのか?いつまでも中二病なんてやってるから……」

七宮「にーっはっはっ!一般人をあんな危険な儀式に連れて行くなんてとんでもないよ!」

七宮「そういう訳だから今夜の予定は空けといてね、勇者!」

勇太「分かったよ。じゃあ6時くらいに待ち合わせするか?」

七宮「ううん!準備できたら私が勇者の家まで迎えに行くよ!」

勇太「そうか?じゃあ家で待ってるから」

七宮「うん!じゃあまた後でね!!」

タッタッタッ

勇太「え?おい、どこ行くんだよ?」

七宮「にーっはっはっ!魔法魔王少女にも色々準備があるんだよ!」

勇太「?」


店員「いらっしゃいませ」

七宮「すみません、浴衣のレンタルお願いします!1番魔力値が高いやつで!」

店員「はい?」

夕方

ピンポーン

勇太「はーい。随分遅かったな」

七宮「にーっはっはっ!少しばかり魔装選びに手こずっていたんだよ!」

勇太「魔装?その浴衣の事か?」

七宮「浴衣の見た目をしているけど超魔力が込められてる凄いーー」

勇太「分かった分かった。じゃあ早く行くぞ。夕飯作ってないから売り切れる前に食べ物買わないと」

七宮「そ、そうだね、遅くなってごめん……」

勇太「でもあれだな。お前が浴衣着ると新鮮って言うか、よく似合ってるよ」

七宮「…………」

勇太「七宮?なにぼーっとしてるんだよ、置いて行くぞー」

七宮「に……にーっはっはっ!さすが勇者だね、今の攻撃にはこのソフィアも思わず思考回路が停止しちゃったよ!」

勇太「はあ?どうでもいいけど、浴衣着るときくらいそのマフラー外したらどうだ?」

七宮「にーっはっはっ!ほらは、早く行かないと置いて行っちゃうよ!勇者!」

勇太「あっ、おい!……なんなんだいったい」

歯医者送りの時間だ

随分間が空いたけど次は詰めて書いていきます。すみません

七宮「勇者、まずはどのお店から回るの?」

勇太「迷うほど出てないけどな。確か樟葉が焼きそば作ってるはずなんだけど」

樟葉「あっ、おにーちゃーん」

勇太「いたいた」


勇太「がんばってるな」

樟葉「うん。お給料もくれるって言ってくれたし」

勇太(こんな町内の盆踊りレベルで給料なんて出るのか……)

樟葉「それよりこれ!今日夕飯まだでしょ?町会長さんが持って帰って良いって」

勇太「焼そばか、助かるよ。夕飯どうするか考えてたんだ」

樟葉「本当にー?最初から焼そば目当てで私を探してたんじゃないの?」

勇太「うっ……な、なに言ってんだ。そんな訳ないだろ?」

樟葉「ふーん、まぁ良いけど。それより1人で来たの?盆踊りに……」

勇太「いや、ここにいる七宮と……あれ?七宮?」

樟葉「もしかしてあのやぐらに登ってるの……」

勇太「うわあぁぁぁぁ!!」

勇太「次バカな事したら連れ帰るからな」ペシペシ

樟葉「おにいちゃん、あんまりチョップしちゃ智音ちゃんがかわいそうだよ」

七宮「にーっはっはっ、大丈夫だよ樟葉!何故なら今私は頭に結界をはっているからね!」

勇太「だったらもっと強くしても大丈夫だ、な!」ビシッ

七宮「あぅっ!」

樟葉「おにいちゃん!!」

勇太「うっ……あんまり大きい声だすなよ、わかったから」

七宮「ありがとう樟葉。樟葉は命の恩人だよ」

樟葉「じゃあこれ、焼そばね」

七宮「焼そば!勇者が買ったの!?」

勇太「いや、これは貰…………そうだな。買ったんだ。七宮も食うか?」

七宮「良いの?」

勇太「そういう訳だからもう一人前頼むよ」

樟葉「それは良いけど……どうして買ったって言ったの?」ヒソッ

勇太「俺だけタダで貰って七宮の分だけお金いるなんて聞いたら気を使うって言うか疎外感みたいなのがあるかもしれないだろ?」ヒソッ

樟葉「へー……おにいちゃんもたまには考えて動いてるんだね」

勇太「たまにで悪かったな」

樟葉「そういう事ならちょっと聞いてみてあげる」

勇太「聞いてみてあげる?」

樟葉「すみませーん」

役員「はい!どうしたんだい樟葉ちゃん!か

町会長「樟葉ちゃん、呼んだかい!?」

その他大勢「くずはちゃんくずはちゃんくずはちゃんくずはちゃんくずはちゃんくずはちゃん」

勇太「うわあぁぁぁぁ」

樟葉「実はかくかくしかじかで……」

役員「なるほど、お兄さんがお連れさんを」

町会長「そういう事なら全然構わないよ!」

その他大勢「だったら俺たちも!俺も、俺も!樟葉ちゃんの為なら!!うおおー!!」

七宮「死霊として蘇った者達が樟葉に使役……まさか樟葉がこの儀式の黒幕!?」

勇太「いや、兄の俺がこんな事言うのもなんだが……樟葉は町内でカルト的な人気があるんだよ……」

町会長「樟葉ちゃんは我が町の娘であり孫であり宝でもあるからね」

七宮「ゆ、勇者、これは一刻も早く死霊の封印をしなきゃだよ!」

町会長「はい、これはこの会場で使えるタダ券だよ。使える所は決まってるけどね」

勇太「いいんですか?こんな物まで貰っちゃって。しかも2人分も」

町会長「良いの良いの!樟葉ちゃんにはいつもお世話になっているからね。君はお兄さんでそっちはお姉さんかな?」

勇太「あ、いや、こいつは同級生……」

町会長「なるほど!でも将来は樟葉ちゃんのお姉さんになるかもしれないし大サービスだ!」

勇太「七宮がお姉さんに?」

七宮「…………っ」カアァァ…

勇太「七宮?」

七宮「にーっはっはっ!にーっはっ……にーっはっはっ!!」

ダッ

勇太「なんだあいつ?」

七宮ちゃんの着崩れた浴衣を食べたいだけの人生だった……

勇太「それにしてもこんな券本当に使えるのか?思いっきりマジックで手書きだけど……」

「たこ焼き券」「よーよー券」「フランクフルト」「りんご」「スーパー」

勇太「なんか後半はよくわから無いし……りんごあめとスーパーボールか?」

七宮「ものは試しだよ!勇者!ほら、まずはあのたこ焼き屋さんに行ってみようよ!」グイッ

勇太「あっ、おい!」


たこ焼き屋「へい!いらっしゃい!」

七宮「にーっはっはっ!私は魔法魔王少女、ソフィ」

勇太「やかましい」ポスッ

七宮「あぅっ」

勇太「すみません、このチケットって使えますか?」

たこ焼き屋「チケット?」

勇太「はい。これを貰ったんですけど」ヒラッ

七宮「これは全ての不可能を可能にするーー」

勇太「」ポスッ

七宮「あぅっ」

たこ焼き屋「ああー!はいはい、聞いてるよ!」

勇太「本当ですか!?」

七宮「やったね勇者!これでこの空間、死霊復活祭は支配したも同然だよ!」

たこ焼き屋「確か樟葉ちゃんの家のお兄さんと」

勇太(全てが樟葉中心に……)

たこ焼き屋「そっちは樟葉ちゃんのお姉さんだったね!」

勇太「えっ?いえ、こいつは僕のクラスメートで」

たこ焼き屋「おっと!そうだそうだ!未来のお姉さんだったか!」

勇太「未来の?なんですかそれ?」

七宮「に、にーっはっはっ……」ぷすぷす…

勇太「なんでお前は恥ずかしそうにしてるんだよ」

たこ焼き屋「はいよ!たこ焼きお待ちどうさん。他の人には内緒にしといてくれよ?」

勇太「はい。ありがとうございます」

たこ焼き屋「披露宴には呼んでくれよー」

勇太「披露宴?」

勇太「七宮、次は何が食べたい?」

七宮「そうだね、勇者に任せるよ!」

勇太「じゃあ次は焼き鳥屋に行ってみるか」


勇太「すみません、このチケットーー」

焼き鳥屋「おーおー、聞いてるよ。君らがあの樟葉ちゃんのーー」

勇太「樟葉、お前はいったいこの町内のなんなんだ……」

焼き鳥屋「女神……いや、天使…………まぁ話は聞いてるから好きなだけ持って行きな!」

勇太「えっ……こっちから言い出してなんですけど好きなだけって大丈夫なんですか……?」

焼き鳥屋「おう!ちょっと早いが俺からの結婚祝いだ!」

勇太「結婚祝い?誰のですか?」

焼き鳥屋「誰って2人に決まってんだろ?」

勇太「…………ん?」

勇太「2人って俺と七宮の事……ですか?」

焼き鳥屋「なんだいなんだい、結婚間近って聞いてるけどまだなの下の名前で呼んでないのかい?ウブだねぇ」

勇太「…………」

勇太「おい!七宮!!これはどういうーー」

七宮「」へんじがない。ただのしかばねのようだ

勇太「何かたまってんだよ!!もう良い、俺が誤解を解いてーー」

七宮「まって!勇者!」グイッ!

勇太「ゲホッ!!なんだよ!?」

七宮「何故かお店の人達は私達がけ、結婚すると言う幻覚を見せられているようだよ!」

七宮「今私達が全魔力を開放すれば幻覚からすぐにでも解くことが可能だよ。でもそれはこのチケットの効力を失いかねない」

七宮「だから今この場はこのまま、ね?」

勇太「まぁ……七宮がそれで良いなら……」

眠気に負け続ける人生だった……

七宮「じゃあ今から儀式を始めよう!」

勇太「儀式?」

七宮「そうだよ勇者。一夜限りの恋人契約!」

勇太「はあ!?いいよそんなの。大袈裟な」

七宮「ダメだよ、しっかり契約はちゃんとしなきゃ。じゃないと、ほら……気持ちの整理もさ……」

勇太「はあ……相変わらず面倒くさい奴だなぁ。で?何をすれば良いんだよ?」

七宮「うん!まずは手を出して」

勇太「こうか?」

七宮「それから……」にぎっ

勇太「握手?」

七宮「…………」

勇太「ん?七宮?」

七宮「わっ!あっ……に、にーっはっはっ!これで一夜限りの恋人契約は完了だよ!」バッ

勇太「?」

七宮「さあ勇者!これでもう誰がどう見ても私達はこ、恋人に見えるはずだよ!」

勇太「まあ既に間違えられてたけどな」

七宮「まさに一つになり天を翔て、誇りを叫び散る花火のようだね!」

勇太「なるほど。全くわからん」

七宮「ほら!早く行くよ勇者!まずはあのヨーヨーすくいから!」

勇太「はいはい」

七宮「すみませーん!このチケットで2人お願いします!」

ヨーヨーすくい屋「いらっしゃい。……あら?2人?」

七宮「にーっはっはっ!私とダークフレイムマスターは恋人同士なんだよ!」

勇太「お、おい!」

七宮「大丈夫だよ勇者。今の2人は制限付きで恋人のーー」

ヨーヨーすくい屋「へー……あんた達付き合ってるんだ。それにしてもソフィアに恋人ねぇ……なんか腹立つわね」

七宮「ん……?ソフィア……?」チラッ

森夏「で?何がどうなって付き合い始めたのよ?」

七宮「ヨーヨー……屋さん……」

森夏「バイトよバイト。こっちに親戚がいて手伝ってるの。時給千円でね♪」

七宮「に、にーっはっはっ!……せ、戦略的撤退!!」ダッ

勇者「おい!今度はどこいくんだよ!?」


樟葉「ありがとうございましたー」←樟葉の焼きそば販売時給8000円

七宮「ハァッ……ハァッ……!」

勇太「待てよ!どこまで走る気だ!!」

七宮「こ、ここまで来れば……安全かな」

勇太「まったく、勘弁してくれよ」

七宮「あっ!見てよ勇者!こんな所に伝説の祠があるよ!」

勇太「いつから伝説になったんだ」

七宮「魔法魔王少女の私としては祈る神なんてとうに忘れたけどね」

勇太「祈る神はいなかったり伝説の祠とか言ったり……ん?降ってきたな」

七宮「何が!?もしかして星々が!?」

勇太「そんなもん降ってきたら大事件だろ!雨だよ。結構強く降り始めたな」

七宮「くっ……私の負のパワーが死霊復活祭自体を消し去ろうと……!」

今日も眠気には勝てなかったよ……

勇太「うーん……全然止まないな」

七宮「なんだか心なしか辺りが静まり返ってる気がするね」

勇太「この雨だからな。盆踊りも中断してるんじゃないか?」

七宮「なるほど。つまりソフィアの怒りが死霊復活祭を中止にしたんだね!」

勇太「さっきもそれ言ってたけど別にお前は関係なーー」

七宮「にーっはっはっ!死霊復活祭やぶれたり!私達の大勝利だよ!勇者!」

勇太「いつ戦い始めたんだよ。まったく、お前は何年経っても本当に変わら無いな」

七宮「私は魔法魔王少女。数え切れ無いほどの悠久の時を過ごしてきたからね。3年や4年前なんて昨日の事のようだよ!」

勇太「そっち濡れ無いか?」

七宮「うん!肩に強力な結界をはっているからね!」

勇太「何が結界だよ」

七宮「そういえば……」

勇太「ん?」

七宮「ううん!な、なんでもないよ!にーっはっはっ!」

勇太「なんだよそれ?変な奴だなー」

七宮(前にもこんな事あったな……あの時は勇者の上着を傘代わりにして2人で……勇者はもう忘れちゃったよね……)

勇太「そういえば前にもこんな事あったよな。ほら、中学の時ーー」

七宮「にゃふっ!?」

勇太「にゃふっ??」

七宮「にーっはっはっ……よ、よくそんな昔の事覚えていたね!」

勇太「そんな昔の事って、お前にとって3年や4年なんて昨日の事の様じゃなかったのかよ」

勇太「あの時は2人で俺の上着かぶってさ……」

七宮「う、うん、今となればいい思い出だね!」

勇太「何が良い思い出だよ。あの後俺もお前も風邪ひいて学校休んだだろ」

七宮「にーっはっはっ!魔法魔王少女にも休息は必要だったんだよ」

勇太「本当にお前は変わら無いな」

七宮「うん、私は変わら無いよ!って言うか、勇者今日はそればっかりだね」

勇太「まあ七宮の変わった所なんて……髪が短くなったくらいか?」

七宮「うーん、少しは変わったかもしれないけど……髪型が変わったからそう見えるだけじゃないかな?」

勇太「そうなのか?」

七宮「…………」

勇太「ん?どうした?」

七宮「ゆ、勇者は昔の、その……髪はおろした方が良かったりするのかな……なんて」

勇太「別にどっちでも良いんじゃないか?」

七宮「そだよね……」

勇太「今のその髪型も普通に似合ってるぞ?」

七宮「……っ!」

勇太「さてと、これからどうすーー」

七宮「にーっはっはっ!!にーっはっはっはっはっ!だよ!!」

勇太「うわっ!いきなり笑いだすなよ!びっくりするだろ!」

七宮「嬉しい時は笑うものなんだよ!にーっはっはっ!」

勇太「雨降って困ってるのに何が嬉しいんだよ!?」

七宮「にーっはっはっ♪」

アニメの七宮ちゃんは妄想で勇太にキスどころか裸で迫っちゃうエッチな女の子

その事をどうか念頭においていただきたい……っ!

勇太「ん?あれは……」

七宮「どうしたの勇者?」

勇太「よしっ」ヌギヌギ

七宮「ゆ、勇者!?」

勇者「一応上着を着て来てよかった……なっ!」パサッ

七宮「あっ……」

勇太「よし、行くか」

七宮「まっ……勇者!」

勇太「お前はここにいろ。動くなよ!」ダッ

七宮「勇者……私も、あの時みたいに一緒に……」

ダッダッダッ

勇太「だあぁぁぁぁー!!!!」

七宮「勇者?」

勇太「ハァッ……ハァッ……。ほら、使えそうな傘……あっちに落ちてたんだよ……ハァ……」

七宮「この傘を取りに行ったの?」

勇太「俺が雨の中を無駄に走り回ってた様に見えたのか?」

七宮「ううん!すごいよ勇者!まさかココから辺りを見渡しただけで傘を見つけるなんて!」

勇太「いや、わりと近くに落ちてただろ」

七宮「こんな透明の傘を見つけ当てるなんて……ついに開眼したんだね!邪王心眼が!!」

勇太「勝手に変な力を付け足すなよ!!」

七宮「このATフィールド発生装置さえあれば雨なんてイチコロだよ!」

勇太「お前さっき思いっきり透明の傘って言ってたの聞いてたからな」

七宮「さあ行こうよ勇者!ギリギリ2人入れそうだし!」

勇太「俺は良いよ。さっき傘拾いに行ったからもう濡れてるし。お前が使え」

七宮「ダメだよ!またあの時みたいに風邪という名の呪いを受けちゃったら大変だし!ね?」

勇太「わかったよ。じゃあ傘は俺が持つから」

七宮「うん!」

スタスタスタ……

勇太「おい七宮、あんまりひっつくなよ」

七宮「仕方ないよ。このバリアーはごく小規模だから」

勇太「じゃあもっとそっちに傘を寄せてやるから」

七宮「そんなことしたら勇者の肩が濡れて汚染されちゃうよ!」

勇太「どんだけ凶悪な雨なんだよ!!」

七宮「ほら、急ごう勇者!」ぎゅっ

勇太「だっ、だから腕にひっつくなって!」

七宮「…………」むぎゅっ

勇太「…………なんか言えよ!だまってひっつかれたら気まずいだろ!」

七宮「ソフィアは……今戦っているから行き道は勇者に任せるよ」

勇太「何と戦ってるんだよ!?」

七宮「にーっはっはっ!自分自身とだよ!」むぎゅっ

勇太「はあ!?ちょ……は、挟むなよ!!」

七宮「はさむ?」

勇太「だから……!ああもう、あっちの裏道から行くぞ!向こう通ったら何言われるかわからないからな……」

七宮「むっ!そこっ!神黒炎砲!!」バッ

ふにゅっ…

勇太「おい!無駄に動き回るなって言ってるだろ!」

七宮「でもあっちから敵の気配が」

勇太「しない!」

七宮「したよ!ぜったいしたんだってば!」グイグイ

勇太「わ、わかった、わかったから!」

七宮「?」

勇太「……」

七宮「勇者、さっきからなんだか変だよ?前かがみになって……もしかして新たな新技!?」

勇太「…………」

七宮「私も負けてられないね!まだまだ修行してどんどん新技をあみ出さないと!」

勇太「もうとんでもない新技をくらいっぱなしなんだけどな……」

七宮「え?」

勇太「お前!……もう大人なんだから少しは考えて行動しろ!」

七宮「にーっはっはっ!魔法魔王少女には大人や子供と言った概念は存在しないんだよ!」

勇太「頭はそうでも身体は大人になってるだろ」ボソッ

七宮「?」

自宅前

勇太「やっとついた……」

七宮「勇者、ずっと前かがみになって歩いてたけど大丈夫?お腹痛い?やっぱり雨に濡れたから……」

勇太「いや、……うん、大丈夫だから。じゃまた明日な」

七宮「うん。また明日ね!おやすみ勇者!」タッ


勇太「はぁ……まだ左腕に感触が……」

勇太「ああいうのを無意識にされるのが一番困るんだよな……」

勇太「中身は子供、身体は大人って……」



七宮「…………」

七宮「うぅ~……勇者にいっぱい押し付けちゃった……勇者にいっぱい……」ぷしゅー…

七宮「勇者……嫌じゃなかったかな……」

七宮ちゃんは自分からおっぱいを押し付けてくるエッチな女の子!

最近忙しすぎて何も書けないでいたけど七宮ちゃんと相合傘するトレーニングだけは怠りませんでした

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