時雨「稲川淳二提督?」 夕立「っぽい!」 (30)

時雨「夕立が怖い話好きとは意外だね」

夕立「最高にコワイお話聞きたいっぽい!」

稲川淳二提督「これは知人の提督さんが実際に体験した話なんですけどね」



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稲川淳二提督「生温か~い夜が続く、6月初旬のある日、執務室で仕事が終わって、彼は工廠前の廊下をてくてくてく~歩いていたんです。

そろそろ~艦娘達の部屋に指しかかるなと思った頃なんです。

ふと、横を見るとぼん~やりと灯りのついた部屋がある。

あれぇ~?こぉ~んなところに食堂なんかあったかなぁ?

すると食堂のドアがぎぃぃぃぃっと空いて、気がつくと席に座っている。



あれぇ~なんだかやだなぁ、でも妙に落ち着くなぁなんて思っていたら、






『私の作った玉子焼き、食べりゅ?』




という声とともに、目の前に鮮やかな色の卵焼きが置かれている。

やばいなやばいな~なんて。




それで、ふと右を見ると、地域特産の豆で作られた、トロっとした醤油が出てくる。

これなんだろな~怖いな怖いな~なんてそれをかけて口に入れる・・・合うんです!!

合うな合うな~和風だしと地産の醤油が合うな~両者が絡まっておいしいな~なんて思っていたら・・・目の前にはもう、何も、残っていなかったんです」

夕立「・・・ぽい~」ガクガク

時雨「え、夜食食べただけだよね?」

稲川淳二提督「私もね人から聞いた話なので定かではないんですがね」

時雨「・・・」

稲川淳二提督「私の知人に、元提督のTというやつがいたんですけどね」

時雨「(・・・続けるんだね)」

稲川淳二提督
「あれは~まだ~寒さの残る3月の夜中、彼は弓道場から執務室へ向かってすぅーっと、歩いてたんです。

食堂を超えたあたりにぼや~っと灯りのついた部屋がある。

あれぇ?こぉんなところに部屋なんかあったかなぁ?

やだな怖いな~と思っていたら、もう体が勝手にドアを開けて部屋に入っている。

あれぇ~なんだかやだな~怖いな~なんて思っていると、目の前に涼しげな髪色をした、小さな女の子が座っている。






『眠かったらどうぞ、私の膝を貸そうか』




なんとその子は艦娘の霊だったんです。

いっちゃいけないだめだそこにいっちゃいけない!!

そう思ったんですが、これは不思議な事なんですがね?

彼の意思と関係無く、足がその膝へ向かって行ったんです。

う~ん、でもいつもと違うなぁいつもの雰囲気と違うなぁやばいなやばいなぁ

何だろうなぁ何が違うんだろうなぁなんてよーくよーくよーく見てみるとハッ!

女の子の横に、立派なひげを生やした貫禄のある怖ーい顔の外国人の霊が立っている。

そして地の底から響くような声で






『お前はシベリア送りだ』




それを聞いた瞬間ゾゾゾーっと全身に鳥肌が立って、フッと気を失ってしまった。

彼、それ以来・・・行方が分からなくなりましてね、とうとう鎮守府から除名されてしまったそうなんだな 。

こういうことって、あるんですねぇ。

皆さんも過度なスキンシップには気を付けたほうがいいかもしれませんね・・・

安易なお触りで、どこかに連れて行かれるかもしれませんからね」

夕立「アイアンボトム・サウンドって、ホントに怖い言葉ですよねぇ」

時雨「夕立、それ気に入ったのかい?」

夕立「今度は提督さん自身のお話も聞きたいっぽーい!」ポイポイ

稲川淳二提督「この話は~2年前の、今日のような肌寒い初夏の夜のことなんですがね」

時雨「僕はまだ、ここにいても大丈夫なのかな・・・」

稲川淳二提督
「仕事が終わって、執務室で酒を一杯、また一杯とあおっていると~、突如ドアのほうから

コン・・・コン・・・コン

コン・・・コン・・・コン・・・コン

うわ~、何だよ今の音は。空耳か?

時間を何の気なしにみるとちょ~ど午前2時10分を指している。

やだなぁ~こんな時間に、やだな~怖いなぁなんて思いながら、ドアを見る。

いるんだよ!

後ろを向いた、髪の長~い、血のように真っ赤な袴を穿いた艦娘の霊が!

気がつくと体がぐぅーってぐぐぅーってドアのほうに近づいてて、ハッ!

そして真っ赤な袴の霊がドアスコープごしにゆ~っくりゆ~っくりとふりむく・・・






『ごめんなさい・・・雷撃処分・・・してください・・・』




そのままどれくらいいたんでしょうね。

気がつくと、窓からは朝日が差している。

あれは気のせいだったのかなぁ。

そう思うことにして、艦隊に資材の補給を行おうとすると・・・ない。

ボーキサイトがない。

そこでアタシは気付いた。

ああ、今日は6月6日なんだと」

夕立「赤城さん・・・また、会えるか・・・なぁ」グスッ

時雨「皆が忘れても、僕だけはずっと覚えているから・・・」スンスン

提督「あれ、淳ちゃん来てたの?懐かしいな」

夕立「提督さん!どこにお出かけしてたっぽい?」

提督「これは、つい先ほど体験した話なんですけどね」

時雨「口調は真似なくてもいいよ」

提督「夕立の胸部装甲を点検してたら憲兵に見られて、やばいなやばいな~なんて」




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提督「こういうことって、あるんですねぇ」

時雨「」
 

安易な憲兵オチがやだな~怖いな~って
艦これホラーSSを流行らせたいのでHTMLスレで百物語します

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