超合体公演 スーパーシンデレラ大戦 (161)


参戦作品(全8作品)

『幻想公演 黒薔薇姫のヴォヤージュ』
『西部公演 ガンスリンガージャーニー』
『海賊公演 オーシャンクルーズ』
『功夫公演 香港大決戦』
『戦国公演 天魔の乱』
『幻想公演 栄光のシュヴァリエ』
『戦国公演 風来剣客伝』
『御伽公演 ふれあい狼と小さな赤ずきんちゃん』


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――――香港エリア/中華料理店――――


店主「ユカちゃん、こいつを3番のお客さんに!」

ユカ「はい!」

タタタ...

ユカ「お待たせしました、具なし肉まんです!」コトッ

女性客「あ、ありがとうございます……」

タタタ...

店主「今日は何も起こらないといいんだがね……」


マフィア・レイナ「ちょっと! この料理虫が入ってるじゃない!」

子分「姐さんに虫入りの料理出すたぁいい度胸じゃねぇか!」

子分「そうだそうだ!」

店主「そ、そんな! 申し訳ありません!」

子分「謝って済むと思ってんのか!」

子分「そうだそうだ!」

レイナ「待ちなさいアンタたち。アタシも鬼じゃないわ……そうね、100万マニーで許してあげる」

店主「ひゃくまんんんん!?」


ユカ「100万マニーなんて滅茶苦茶です!」

子分「払えねぇってのか!」

???「……少しよろしいか?」

レイナ「あ? 何よアンタ」

剣客・タマミ「その料理に混入している虫、先程そちらの子分らしき男が懐から取り出したように見えたが……」

タマミ「拙者の見間違えでござるか?」

子分「っ!」


子分「このガキ……俺たちに因縁つけようってのか!」

タマミ「がっ、ガキ!?」

レイナ「いい度胸ね……アンタたち!」

子分「へい!」

ブンッ!

ガシッ!

子分「ぐっ……!?」

ユカ「お客様への手出しは許しません!」






第1話 炎の中華看板娘





店主「お、おいユカちゃん!」

子分「てめぇ!」

ガッ!

子分「ぐはっ!?」

タマミ「店員に手を上げるなど、客として失格でござるな」

レイナ「ぐぐぐ……アンタたち、何なのよ!」

タマミ「拙者は風来の野良ザムライ……悪党に名乗る名などござらん!」

ユカ「私はただの店員ですが、右に同じです!」

店主「ちくしょう、まただ!」


レイナ「ムカつくわね……アンタたち、やっちゃいなさい!」

子分「へい!」

タマミ「店員殿、ここは拙者に……」

ユカ「いえ、乗りかかった船ですから!」

タマミ「し、しかし……」

レイナ「余裕こいてべらべら喋ってんじゃないわよ!」

ブンッ!

ユカ「っ!」

シュタッ!


ユカ「はあぁぁっ!」

ガスッ!

タマミ「ふんっ!」

ガッ!

子分「ごふっ……!」

バタッ バタッ

レイナ「なっ!?」


タマミ「安心なされよ、刀は抜いておらぬ。鞘で強く叩いただけでござる」

レイナ「こうなったらこのバズーカで……!」

タマミ「っ!」

シャキィンッ!

レイナ「ひっ、バズーカが!? お、覚えてなさい!」

ユカ「逃がしません! 2月2日、ナカノゴロウという刑事を殺したのはあなたですか!」

レイナ「し、知らないわよ!」


ユカ「嘘を吐かないでください!」

レイナ「本当に知らないっての! その日はアタシ、戦国エリアにいたんだから!」

ユカ「そうですか。では……!」

ガスッ!

レイナ「きゅう……」

バタッ


ユカ「ふう……」

タマミ「後はこやつらを警官隊に突き出すだけでござるな」

店主「……またやってくれたな、ユカちゃん」

ユカ「あっ!」

店主「今週に入って3回目だぞ!? こう何回も店を滅茶苦茶にされちゃあ商売あがったりだ!」

ユカ「す、すみません!」

店主「いーやもう面倒見切れねぇ、出てってくれ! クビだ!」

ユカ「えぇっ!?」


――――香港エリア/田舎道――――


ユカ「はぁ……」

タマミ「申し訳ない。えぇと……ユカ殿?」

ユカ「おサムライさんが謝る必要はありませんよ。多分私一人でもこうなってたハズですし、そろそろ他の所へ……」

タタタ...

???「あ、あの……」

タマミ「おや? 先程店内にいた……」

猟師・ノノ「あの、私、この近くの村で猟師をしてるんですけど、その……」

ノノ「村に悪い人たちが来てて、二人とも強そうなので……」

ノノ「助けて欲しいんですけど……」

訂正
タマミ→珠美


――――幻想エリア/村へ続く道――――


ユカ「なるほど、ノノちゃんは助けを求めに幻想エリアから……」

珠美「しかし、幻想エリアなら騎士団に助けを求めた方が早いのでは?」

ノノ「えっと、それは……」

ユカ「それは……?」

ノノ「すっかり忘れてました」

珠美「なんと」


ユカ「そういえばおサムライさんはどうして風来の旅を?」

珠美「拙者、天下無双の剣豪になるべく、各地のモノノフと手合せしているのでござる」

ユカ「修行の旅、ですか……」

ユカ(アキ……)

珠美「ユカ殿?」

ノノ「あ、見えてきました。あれが私たちの村です」

ユカ「さあ、早く行きましょう!」

タタタ...






第2話 黒薔薇の騎士





――――幻想エリア/森に囲まれた村――――


ホタル・ シュバルツ「赤ずきんはどこですか!」

タタタ...

ナツキ・ロイバー「言われてた物は見つけてきたぜ!」

ホタル「これが炎の首飾り……!」

ナツキ「後は……」

タタタ...

ユカ「待ちなさい!」


珠美「罪も無き村人たちを襲うとは許しがたき行為!」

ユカ「この村から出て行ってもらいます!」

ホタル「邪魔をするつもりですね……何者ですか!」

珠美「悪党に!」

ユカ「名乗る名はありません!」

珠美「さ、ノノ殿は隠れていてください」

ノノ「は、はいぃ……」


ナツキ「ハッ、正義の味方気取りか!」

珠美「そのような大層な者ではござらんよ。ただ、困っている人を見捨ててはおけないだけでござる」

ナツキ「そういうのを正義の味方気取りって言うんだよ!」

ブンッ!

ガシッ!

ユカ「おサムライさん、ここは私に任せてあっちの騎士を!」

珠美「了解でござる!」


ナツキ「へぇ、アンタがアタシの足止めをしようってのか」

ユカ「足止めじゃありません、倒すんです!」

ナツキ「そいつは面白れぇ冗談だ!」

ガスッ!

ガスッ!

ナツキ「中々やるじゃねぇか!」

ユカ「褒められても嬉しくないですね!」


ホタル「戦国エリアのちびっこサムライごときが私に敵うとでも?」

珠美「身長は関係ないでござろうに!」

ガギンッ!

ガギンッ!

珠美「この騎士、できる……っ!」

ホタル「当たり前でしょう? 私は黒薔薇軍の騎士、シュバルツ・ホタルですよ?」

珠美「名乗りは不要! 拙者、悪党の名前を覚えるつもりはござらん!」


ガギンッ!

ガギンッ!

ホタル「くっ、厄介な……カラスよ!」

カラス「カァー!」

バサバサ

珠美「か、カラス!? ああもう、邪魔でござる!」


カラス「カァー!」

バサバサ

ガスッ!

ガスッ!

ナツキ「オラオラ、さっきまでの威勢はどうした!」

ユカ「くっ、こうなれば先にカラスを……」


シュタッ!

ユカ「神誠拳……飛鳥落とし!」

ガスッ!

カラス「グギャァッ!?」

ホタル「神誠拳? どこかで聞いたような……」

珠美「隙ありっ!」

シャキィンッ!

ホタル「きゃあぁっ!」


珠美「追撃を……」

カラス「カァー!」

バサバサ

珠美「だから邪魔でござるってば!」

ガッ!

カラス「グギャァッ!?」

ユカ「神誠拳……岩砕拳!」

ガスッ!

ナツキ「ごふっ……!」

バタッ スウッ...


ホタル「1対2ですか、それくらいのハンデは……」

???「そこまでよ!」

聖騎士・チアキ「幻想城騎士団団長、聖騎士・チアキ推参!」

ホタル「……い、1対3となるとさすがに分が悪いですね……仕方ありません、ここは撤退しましょう」

タタタ...

珠美「待つでござる!」

カラス「カァー!」

バサバサ

珠美「もう!」


ノノ「ありがとうございます。助かりました……ユカさんと、えっと……」

珠美「拙者の名はお気になさらず。名乗るほどの者ではござらんよ」

ノノ「そ、そうですよね……助けて欲しいからって自分では戦わず、隠れてるだけなんて悪党のすることですよね……」

珠美「あ、いや、そういうワケでは……」

ユカ「ふふ、一本取られましたね」

珠美「分かったでござる分かったでござる! 拙者、名を珠美と申す」

ノノ「珠美さん、ですか。ありがとうございます、珠美さん」

珠美「いやいや、お礼を言われるほどのことはしていないでござるよ」


チアキ「あなたたちがこの村を守ってくれたのね? 私からもお礼を言うわ」

珠美「あなたが騎士団の団長殿……」

チアキ「最近この森に盗賊が出るって噂を聞いて、パトロールをしていたの。そしたら……」

珠美「先程の戦いに出くわした、と」

ユカ「そういえばさっき私が倒した人はどこに?」

ノノ「村の人たちがふんじばってます」


ナツキ「うぅ……」

チアキ「目が覚めたようね」

ナツキ「……そうか、アンタたちがアタシを解放してくれたんだな」

珠美「解放? 何のことでござるか?」

ユカ「それよりも、あなたに聞きたいことがあります。2月2日、香港エリアでナカノゴロウという刑事を殺したのはあなたですか?」

ナツキ「ヘッ、アタシは盗賊だが、人殺しなんてマネは一度だってしたことないね」

ユカ「……そうですか」


チアキ「じゃあ私はこの者を城の牢まで連れて行くわ」

ユカ「お願いします」

珠美「お達者で」

チアキ「ええ、お互いに」

ナツキ「……」

ザッザッザッ


珠美「……さて、これからどうするでござるか?」

ユカ「特に行くあてもないですし、珠美さんに付いて行こうと思います」

ノノ「あ、あの……」

ユカ「どうしました?」

ノノ「えっと、さっきの騒ぎでいなくなった赤ずきんを探して来いって村長に言われて……」

ノノ「一緒に探してもらってもいいですか……」


――――幻想エリア/森――――


チアキ(さっきの黒い薔薇の騎士、どこかで見たような……)

ナツキ「……」

チアキ(なぜあの村を狙ったの? もしかしてオークの封印石を探して……)

ナツキ「……よし!」

チアキ「しまった、縄抜けを!?」

タタタ...

ナツキ(アタシをいいように操ってくれたあの魔術師、絶対一泡吹かせてやる……!)


ホタル「結局首飾りしか手に入れられませんでしたか……」

ホタル「でも、これだけでも充分です。これさえあれば……」

ホタル「炎の首飾りよ、私に力を……!」

ホタル「……」

ホタル「あ、あれ?」

ホタル「もしかして、別物?」

ホタル「そんな……」


――――幻想エリア/森――――


珠美「……では、その赤ずきんという娘を探せばいいのでござるな?」

ノノ「はい……見つけるまで帰ってくるなって……」

ユカ「そんな無茶苦茶な!」

ノノ「まあ、その間はお仕事しなくていいから別にいいんですけど……」

ユカ「えぇー……」

珠美「ところで、赤ずきんの特徴は?」

ノノ「赤いずきんをかぶってます」

ユカ「そのままなんですね」


珠美「そういえばユカ殿、ナカノゴロウという方は一体……」

ユカ「私の父です。香港エリアで刑事をしていたんですけど、誰かに殺されて……」

ユカ「だから各地を転々として、師匠から教わった正義の拳、神誠拳をふるって悪党退治をするついでに父の仇を探しているんです」

珠美「そうでござったか……」

ノノ「大変ですね……」


???「ちょっとちょっと、何やってるの君たち!」

タタタ...

サナエ「ここらは最近オオカミが出るから危ないのよ」

ミサキ「だからあたしたち自警団がパトロールしてるのぉ」

トキコ「死にたくないならさっさと帰ることね」

ノノ(自警団?)

珠美「ノノ殿、どうなさった?」

ノノ「あ、いえ、なんでもないです……」


トキコ「ほら、とっとと帰りなさい」

珠美「いや、拙者たちならオオカミの一匹や二匹……」

ユカ「さすがにそれは……」

ユカ「じゃなくて! 私たち、赤ずきんって子を探してるんですけど、この辺りで見かけませんでしたか?」

サナエ「!」

トキコ(……サナエ)

サナエ(分かってるわ)


サナエ「その赤ずきんって子はお姉さんたちが探しておいてあげるから村に帰って待ってなさい、ね?」

トキコ「ミサキ、アンタはこいつらを村に連れて行きなさい」

ミサキ「えっ、あたしですかぁ?」

トキコ「アンタ以外に誰がいるのよ」

珠美「うぅむ、これでは赤ずきんの捜索ができないでござる」

ユカ「どうしましょう……」

ノノ「私は見つけないと帰れないんですけど……」


ガサガサ

???「ほー……どこかしらー?」

ノノ「あっ」

赤ずきん・ヨシノ「そこのお方ー、ひとつお伺いしたいことがございましてー……むー?」

ヨシノ「あぁー、そなたでしたかー、わたくしを探しているのはー。人をお探しだったのでしょうー?」

ノノ「えっと……」

ミサキ「トキコさんが行けばいいじゃないですかぁ」

トキコ「アァン? なんで私が行かないといけないのよ」

訂正
トキコ「アァン? なんで私が行かないといけないのよ」 →トキコ「アァン? なんでアタシが行かないといけないのよ」


ノノ「その……」

珠美「モメているようでござるし、今のうちに……」

サナエ「いや、あたしはモメてないからね」

ユカ「だそうです」

ノノ「あのー……えっと、うぅ……」

ノノ「す、すみません!」

珠美「ひゃっ!?」

ユカ「ノノちゃん、どうしました?」

ノノ「赤ずきんいますけど……」


ヨシノ「わたくし、赤ずきんのヨシノでしてー」

サナエ「いっ」

ユカ「いたああああああ!」

ヨシノ「どうしましてー?」

ユカ「私たち、赤ずきん……ううん、ヨシノちゃんを探してたんです。村の人たちが心配してましたよ?」

珠美「自警団の方々も探しに来ているでござる」

ヨシノ「はてー、いつの間に自警団ができたのでしょうー。今朝まではなかったような気がするのですがー」

サナエ「えっ!?」

ノノ「あ、やっぱり……」

ユカ「知ってたんですか!?」

ノノ「あ、いえ、記憶違いと思ってて、すみません……」


ユカ「じゃあこの人たちは……?」

トキコ「チッ! こうなったら……サナエ!」

サナエ「ええ!」

マフィア・サナエ「アタシたちは香港マフィア、『暗黒会』の者よ!」

マフィア・トキコ「ほら、こっちへ来なさい赤ずきん!」

ヨシノ「あーれー」

タタタ...

ユカ「っ! 待ちなさい!」

珠美「幼子を攫うとは不届き千万!」

ノノ「あ、あの、二人とも待って……」

タタタ...

ミサキ「あ、あれぇ~?」






第3話 小さな森の動乱





ユカ「ヨシノちゃんを放しなさい!」

トキコ「しつこい!」

ピシャァッ!

ユカ「くっ!」

珠美「拙者たちに倒されるか、ヨシノを置いて逃げ去るか、選ぶでござる!」

ガッ!

ガスッ!

サナエ「ああもう、うっとうしいわね!」

ノノ「えっと、えっと……」


ガサガサ

???「ッラァッ!」

ガスッ!

珠美「ぐっ……!?」

ユカ「珠美さん!」

森のどうぶつ・ミレイ「オマエら、ウチらの森をこれ以上荒らすとひっかくぞッ!」

森のどうぶつ・タクミ「これ以上暴れてぇってんならアタシらが相手だ」


ユカ「ち、違うんです!」

ミレイ「うるさいッ! モンドウムヨウだッ!」

ガスッ!

珠美「ライオン殿、拙者たちはただ……」

タクミ「大人しく森を出てくか、アタシらにシメられるか、選びな!」

ガスッ!

珠美「聞く耳は持たぬか……!」


サナエ「……ここまで来れば大丈夫ね」

ヨシノ「ちょっと疲れたのでしてー……」

トキコ「……チッ、しょうがないわね、これでも食べてなさい。食べたらさっさと行くわよ」

ヨシノ「これはとてもありがたきー」

サナエ「ねえ赤ずきんちゃん、お姉さんたち探し物をしてるんだけど、一緒に探してくれないかな?」


サナエ「見つけてくれたら、ちゃんとお家まで連れて行ってあげるわ」

ヨシノ「もぐもぐ、ほー……では手早く見つけるべきなのですねー」

トキコ「ハァ……なんでアタシたちが子守りなんて……」

ヨシノ「ねーねーそなたー、ところでこれはなんでしてー?」

トキコ「具なし肉まんよ」

ヨシノ「具なし肉まん……」


ミサキ「あの二人マフィアだったんだぁ、驚いちゃった」

ミサキ「赤ずきんちゃん先に取られちゃったなぁ……」

ミサキ「シノ船長に怒られないといいけど……」

ミサキ「これくらいじゃぁ怒られないか☆」

投下抜けがあったので補完。以下の2レスは >>48>>49 の間にあるものとしてお考えください


サナエ「……今のうちに!」

トキコ「アンタたちはその動物たちと楽しく遊んでなさい!」

ヨシノ「あーれー、おたすけー」

タタタ...

珠美「ヨシノ!」

タクミ「よそ見してる暇が……」

BANG!

タクミ「ごふっ……!」

バタッ

ミレイ「た、タクミっ!?」


ノノ「……」

ユカ「じ、銃……?」

タクミ「……」

ミレイ「タクミ! 死んじゃダメだ、タクミッ! ……オマエッ!!」

ノノ「あ、あの……心配しなくても、麻酔弾だからしばらくすれば目を覚ましますけど……」

ミレイ「ほ、ホントか!? よかった……」

ノノ「なんでそんなことで嘘吐かなきゃいけないんですか……」


――――森に囲まれた村/ノノの小屋――――


ユカ「……というワケで、私たちは森を荒らすつもりはなかったんです」

ミレイ「そうだったのか……」

タクミ「うぅ……」

珠美「目が覚めたようでござるな」

タクミ「ここは……」

ミレイ「タクミッ!」

タクミ「うおっ!?」


ミレイ「死んじゃったらどうしようかって、ウチ、ウチ……ッ!」

珠美「ノノ殿の言ったこと、全く信用されてないでござるな」

ユカ「はは……」

タクミ「ところで、なんでアンタらがアタシを助けたんだ?」

ミレイ「あの時コイツら、マフィアにさらわれた女の子を助けようとしてたんだって」

タクミ「……アタシらがそれを邪魔しちまったってワケか……」

タクミ「すまねぇ! 詫びならなんでもする! だからこいつだけは見逃してやってくれ!」


ユカ「いえ、私たちは……」

ガチャ

ノノ「村長にしこたま怒られたんですけど……」

ノノ「やっぱり赤ずきんを連れて帰るまで帰ってきちゃ駄目だって言われました……」

タクミ「アンタにもすまなかった! アタシに出来ることがあるなら言ってくれ!」

ノノ「え、えぇー……じゃあ、私の代わりに森と村を守っててくれませんか……しばらく帰って来れないし……」

タクミ「そんなことでいいのか?」

ノノ「その他は特になにも……」

タクミ「……分かった。アンタがいない間、このシマはアタシが責任を持って守る!」

ミレイ「う、ウチもだ! だから安心して赤ずきんを探しに行っていいぞ!」


珠美「では二人……いや、二匹とも。後は頼むでござるよ」

タクミ「おう!」

ミレイ「任せろ!」

ユカ「じゃあヨシノちゃんを追って……って、手がかりがありませんね……」

ノノ「そういえば、村の人が怪しい人が西に行くのを見たって言ってました」

珠美「ならひとまず西へ向かうでござるか」

ユカ「あ、西なら確か列車が出てるはずなのでそれで行きましょう!」

珠美「拙者、列車に乗るのは初めてでござる……」

ノノ「私も……」


――――西へ向かう列車/客室――――


ノノ「うわぁ……」

珠美「……」

ユカ「列車ってこんなに速いんですね!」

ノノ「結局みんな列車は初めてだったんですね……」

ユカ「私も……あれ、珠美さん?」

珠美「どうすればこんな鉄の塊が動くのでござるか……恐ろしい……」


ノノ「それを言ったら魔法とかどうなるんですか……」

珠美「あれは人が使っているから問題ないのであって……」

ユカ「まあまあ、細かいことは考えず景色でも見ましょうよ」

ノノ「そうですね。駅に着くまで景色でも……見て……」

ノノ「え、なんですかあの人……」

珠美「ん、どうしたでござるかノノ殿……うわぁ!?」

ユカ「どうしたんですか二人とも?」

ノノ「あ、あの、人が……」

珠美「列車に並走しているでござる!」

ユカ「またまたそんな冗談を……」

???「……」

タタタ...

ユカ「っ! あれは!」






第4話『暗黒の兄弟子』





アキ・シュラーク「ホタルが世話になったようですな!」

珠美「ホタル……お主、黒薔薇軍の者か!」

アキ「知っているなら話が早い……とうっ!」

シュバッ

ガシャァーン!

ノノ「窓を突き破って車内に……!?」

アキ「さあ貴様ら、赤ずきんの居場所を吐いてもらうであります!」


ノノ「そうは言われても私たちだって……」

珠美「ノノ殿、余計な情報を与える必要はないでござる」

アキ「ならば拳で聞き出すまで……」

ユカ「アキ!」

アキ「む?」

ユカ「あなたがどうして黒薔薇軍に!」

アキ「私のことを知っているようだが……私は貴様のことなど!」

ガスッ!

ユカ「くっ……」

アキ「暗黒神誠拳……リボルバーキック!」

ユカ「神誠拳……九頭龍脚!」

ガガガガガ!

ユカ「きゃあぁっ!」


珠美「ユカ殿! はあああ!」

シャキィンッ!

アキ「そんな見え見えの太刀筋で!」

珠美「なっ!?」

ガスッ!

珠美「っ!」

BANG!

アキ「徒手空拳だから銃弾が通用すると思ったか!」

ノノ「そんな、銃弾を素手で……」


ガシッ

ユカ「ぐうっ……!」

珠美「ユカ殿!」

アキ「さあ、赤ずきんの居場所を……」

???「うるさいなー、街に着くまでお昼寝してようと思ったのに全然眠れないじゃん」

アキ「誰でありますか? 邪魔をするなら誰であろうと……」

BABABABANG!


アキ「っ!」

ドサッ

ユカ「うっ!」

ノノ「ゆ、ユカさん!」

アキ「いきなり撃ってくるとは、西部の者は滅茶苦茶でありますな……!」

ガンスリンガー・シキ「キミ、なんかヤーな臭いがするからねー」

シキ「それに、全弾掴み取ったキミが言っても説得力ないって!」


珠美「ユカ殿、動けるか?」

ユカ「大丈夫です……!」

珠美「では……行くぞ!」

ユカ「はい!」

珠美「はあああああっ!」

アキ「暗黒神誠拳、天地薙ぎ!」

ガスッ!

ギンッ!

珠美「ぐっ……!」


アキ「私の蹴りを受け止めただと? だが、そのていどでは……むっ!」

BANG!

ノノ「わ、私もいるんですけど……! 忘れてもらっちゃ……あ、忘れててもらった方がいいですね、忘れてください……」

アキ「幻想エリアのチャチな銃など私に通用しないと……」

珠美「ユカ殿!」

ノノ「今です……!」

ユカ「うおおおっ! 神誠拳、弾丸蹴り!」

ガスッ!

アキ「ごふっ……!」

ノノ「や、やった……?」


アキ「こ、ここは勝ちを譲りましょう! だが次はないと思え!」

シュバッ

ノノ「窓から飛び降りて走っていった……」

ユカ「待って、アキ!」

アキ「次に会う時が貴様らの最期であります!」

タタタ...

ユカ「アキ……」


――――西へ向かう列車/客室――――


ノノ「あの、助かりました……」

珠美「拙者からも礼を言うでござる」

シキ「お礼なんていらないって。臭い物に蓋をしただけだからさー♪」

珠美「うん? 意味が違うのでは……?」

シキ「てゆーかさっきのヒト、その子と関係あるみたいだけどどうしたの? ケンカしちゃった?」

ノノ「いや、そういうワケじゃ……」

ユカ「……アキのことは私が説明します」


ユカ「アキは私の兄弟子で、私と共に師匠の元で神誠拳を学んでいました」

ユカ「そして神誠拳の精神を受け継ぎ、さらなる修行の旅に出たはずだったんですが……」

珠美「黒薔薇軍に身をやつしていた、と」

ユカ「はい……」

ノノ「何か弱みを握られているとか……?」

ユカ「いえ、アキの拳には迷いがありませんでした。それはないと思います」

ユカ「それに暗黒神誠拳……一体アキに何が……」


珠美「しかし、黒薔薇軍までもがヨシノを追っているとは……あの娘、何か不思議な力でも持っているのでござるか?」

ノノ「えっと、村では特にそんなことはありませんでした……しいて言うならよく村の人たちの落とし物を探してあげたりしてましたけど……」

珠美「探し物……そういえばホタルは何かを探していたが……」

シキ「ねーねー」

ノノ「な、なんですか?」

シキ「難しい話聞いてたら疲れちゃった。ハスハスしていい?」

ノノ「なんですかそれ……」


――――西部エリア/荒野――――


アキ「あいつら、ホタルから聞いていた以上に手強いであります」

アキ「それにあのユカという女の使う神誠拳、私の暗黒神誠拳と何か関係が……っ!」

アキ「先程の戦闘のダメージが思ったより大きいでありますな……」

アキ「だが、この黒薔薇に誓って負けるわけには……!」


――――西部エリア/ステーション――――


シキ「とうちゃーく!」

珠美「シキ殿のような恰好の者ばっかりでござるな」

ノノ「片手で持てる銃ばっかり……」

シキ「西部エリアは初めてかい? これが西部エリアの文化なのさー」

珠美「なるほど……」

シキ「あっそーだ、人を探してるんだっけ? それならいいトコロがあるよ~」

ユカ「いい所……?」


――――西部エリア/無法の酒場――――


シキ「またまたとうちゃーく!」

ノノ「怖そうな人ばっかり……」

シキ「まあまあ、情報収集の基本は酒場ってね。全エリアに通じてる列車のステーションがあるから、ココは特に情報が集まりやすいんだ」

珠美「ふむ、そうであったか」

シキ「そーそー、あたしもそのためにココに来たしね。さ、ゆっくり飲み物でも飲みながら情報収集といこう!」

ユカ「私たち、まだ未成年なんですけど……」

珠美「牛乳くらいはあると思いたいが……」

シキ「ミルクならあるよー、でも立派なおサムライくんがミルクってのはどーなのかなー」

珠美「す、好き嫌いは関係なかろう!」

シキ「にゃはは!」


???「ヘイユーたち! そううるさくされちゃあドリンクがマズくなるネ!」

ノノ「あっ、す、すみません……」

ガンスリンガー・キャシー「すみませんで済んだらスターの保安官がお空のスターになっちゃいマース!」

シキ「……へぇ、じゃあどうするの?」

キャシー「……そっちのガンスリンガーは物分かりが良くて助かりマスネー」

ジャキッ

珠美「!」

ユカ「!」

ノノ「こ、こんなところで銃を使うのは……」

シュバッ!

シキ「っ!」

珠美「銃を収めよシキ殿、我々はここに争いに来たのではない」

キャシー「っ!」

ユカ「あなたもです。騒がしくしたのは謝りますけど……それとこれとは話が別です」

シキ「……」

シキ「やっぱり面白いね、キミたち」


シキ「冗談だよ。ほらほら、引き金には手をかけてないでしょ? あっちのヒトもあたしもさ」

珠美「……へ?」

ノノ「あ、ホントだ」

ユカ「じゃあどうして……」

シキ「西部出身だとさ、どーもこーゆー芝居がかったコトが好きになっちゃうんだよね」

ユカ「なんだ、そうだったんですか……」

キャシー「その通りデース! 最近は織田軍のせいで滅多に他のエリアから人が来なくなったから、ついテンションが上がっちゃいマーシタ!」

ノノ「ほっ」

シキ「ま、気が荒いヒトたちだとホントに撃ちあっちゃうコトもあるんだけどねー♪」

ノノ「えぇー……」


珠美「ところでキャシー殿、西部エリアと織田軍にどのような関係があるのでござるか?」

キャシー「ここのステーションは全てのエリアの路線に繋がってるからネ。多分それを狙ってか、最近よく兵を差し向けてきてるみたいデース」

珠美「織田信長め、戦国エリアでは飽き足らず他のエリアまで……!」

ユカ「織田信長って……あの歴史上の人物ですか?」

珠美「その織田信長でござる。もっとも、“その役割を受け継いだ人物”でござるが」

ノノ「うん……?」

珠美「つまり暴君だとか、第六天魔王だとか言われている歴史上の織田信長の役割を与えられた別人でござる」

シキ「あっはっは! 全然わかんない!」


???「へいゆーたち! 大人しくほーるどあっぷね!」

ノノ「!?」

保安官・ソラ「怪しい連中がいるって情報があったから駆けつけたけど、ゆーの服装、戦国えりあのものね!」

珠美「そうでござるが……」

ソラ「つ・ま・り、織田軍! しぇりーふソラがたいほ!」

珠美「ええええええっ!?」

珠美「ちょ、ちょっと待ってほしいでござる! 拙者たちはただ人を探しているだけであって、織田軍とは関係ないでござる!」

ユカ「そ、そうですよ! むしろ成り行き上黒薔薇軍や暗黒会と戦ってる、どちらかというと正義の味方側ですって!」

シキ「列車で戦ってたあの子も黒薔薇軍だったよね」

ソラ「むむむー、しぇりふを無視するのはばっど!」

ノノ「どうもすみません……」

ソラ「問題なっしん☆」


???「保安官さん、その人たちは恐らく悪い人ではありませんわ」

キャシー「うんうん、現用心棒のキャシーから見ても悪人とは思えないネ!」

ソラ「おーそーりー! しぇりふの早とちり!」

珠美「誤解を解いていただき、感謝でござる。キャシー殿に、えぇと……」

踊り子・ユキノ「私はこの酒場で踊り子をしているユキノと申します」

珠美「ユキノ殿でござるか。改めて礼を言うでござる」

ユキノ「いえいえ、それほどのことはしていませんわ」


客「そこの君、ちょっといいかい?」

ノノ「あ、す、すみません、騒がしかったですよね……」

客「いや、そういう訳じゃないんだ。さっきまでここにいた客が『織田軍が列車をのっとって戦国エリアからこっちへ向かってきている』と言っていてね」

ノノ「え、それって……」

客「これは君たちにとって重要な情報だと思うんだが、どうだろう?」

ノノ「でもいいんですか、そんな情報タダで貰っちゃって」

客「構わないさ。強いて言うなら……そうだな、代わりにこの街を織田軍から守って欲しい」

ノノ「は、はい……!」


ノノ「あの、みなさん大変です。織田軍が列車をのっとってこっちに向かってきてるって……」

ソラ「ほわっと!?」

キャシー「ワッツハプンドゥ!?」

珠美「ヨシノの消息も気になるが、ここは……」

ユカ「列車を止めに行きましょう!」

シキ「どーやって?」

ユカ「へ? えぇと……真っ向からガシッ、と?」

珠美「いや、無理でござろう……」

ノノ「どこの超人ですかそれ……」

キャシー「運転室に行けば誰でも止めれるネー! さぁ、みんなで列車を止めに行くヨー!」

ソラ「乗り物はソラにお任せ!」

ユキノ「みなさん、どうかこの街を救ってください……」


――――西部エリア/ステーション前――――


ユカ「の、乗り物って……」

珠美「牛でござるか」

ソラ「この街でも選りすぐりの早い子たちを連れてきたからべりーくいっく!」

ノノ「まあ、乗ったことはあるから大丈夫ですけど……」

シキ「あたしは乗ったコトないから保安官さんと相乗りしよっかなー、ついでにハスハスしちゃお!」

キャシー「さぁ、立ち話はそこまでにして出発するネー!」

ユカ「はい!」

ソラ「さぁ、まいろで、もーもー! しゅっぱーつ!」

珠美「……うん?」

ユカ「どうしたんでしょう、動きませんね」

ソラ「……あれれ、しゅっぱーつ!」

ノノ「この子たち、怯えてます……」

キャシー「怯えてる? やっぱり動物からすると列車って怖いんデスカ?」

シキ「……いや、ちょっとそれは違うみたいだよ」


珠美「うん? シキ殿、どうしたでござるか?」

シキ「まさかそっちから会いに来てくれるとはねー」

???「少し……大人しくしていて……不要な墓標は立てたくない……」

ノノ「ぼ、墓標……!?」

ガンスリンガー・ノア「用があるのはただ一人……貴方よ、紅きガンスリンガー、シキ……」

シキ「にゃは! のあちゃん決まってるぅ!」

ユカ「……強い闘気を感じます。あの人、ただ者じゃありません」

珠美「何者かは知らぬが、邪魔立てするというのであれば容赦はせぬぞ」

ノア「やめておくがいい……貴方がそれを抜く前に私の弾丸に撃ち抜かれることになる……」

珠美「くっ、確かにこの距離では……!」

シキ「とゆーか、相変わらずタイミング悪いよねー。相手なら列車を止めた後にしてあげるからさ、今はちょーっと邪魔しないでくれるかな」

ユカ「そうです! 今は少しでも時間が惜しいんです、そこをどいてください!」

ノノ「ど、どいてくれなきゃ、撃つことも辞しませんけど……」

ノア「…………」

ノノ「あ、あの……」

ノア「……引き金を引く覚悟のない者に銃を向けられると興が削げる……気が抜けたわ。今は引き下がってあげる」

シキ「なんだかんだ言って素直だよね、のあちゃん」


ノア「……ただし、運命の因果は私たちをまた呼び寄せる……さらば」

キャシー「何を言ってるかチンプンカンプンデース!」

ノア「……迷いを持ちながら戦場に立つことは死を招くことになる……幻想エリアの銃使いよ、覚えておくがいい」

ザッザッザッ

ノノ「……」

珠美「行ったか……」

ソラ「じゃあ気を取り直して、しゅっぱーつ!」


――――西部エリア/戦国エリアへと続く線路――――


珠美「シキ殿、あのノアというガンスリンガーとはどのような関係が……」

シキ「にゃはは……やっぱり気になるよね。あたしとノアのコト。そうだなぁ、目的が同じ仲間、ライバル……そして敵、みたいな?」

珠美「なるほど、拙者が今まで戦ってきたモノノフも、そのような者たちばかりでござるよ」

シキ「あの子はマジメすぎるんだ。みんなが自分の意志で立っていられると思ってるけど、それは強者の論理だって気付いてないのさ」

ノノ「私なんて、ただ状況に流されてここにいるだけですし……強くなんてないです」

シキ「そーそー、大体のヒトがそうなんだよ。一握りの強者の理論を周りのヒトに押し付けるから、あの子は……」

ユカ「みなさん、列車が見えてきました!」

キャシー「後は運転室に乗り込んで、コントロールを奪うだけデース!」

ノノ「でもこれ、どうやって乗り込むんですか……?」

ソラ「あっ」

ノノ「えっ」


ソラ「……」

ソラ「各自、飛び込み乗車の準備をすたーと!」

ノノ「えっ、ちょっ、本気ですかそれ!?」

ユカ「本気でも冗談でも、やるしかありません! ノノちゃん、私の手を!」

ノノ「は、はいぃ……」

シキ「にゃははー! ドギツイ危険な匂いがぷんぷんする!」

珠美「行くぞ、皆の者!」

キャシー「レッツゴー!」

ノノ「じ、辞世の句を……」






第5話 ウエスタン・ファイト 前編





――――暴走列車/2番車両――――


ユカ「はぁ、はぁ……なんとか飛び乗ることができましたね……」

ソラ「ちゃんとみんな乗れてるかな?」

シキ「あたしは大丈夫だよー」

珠美「拙者も同じく」

キャシー「キャシーもオッケーネ!」

ノノ「お元気ですか村の人たち……列車に飛び乗るのに失敗した私は今、天国へ向かう列車に揺られています……ドナドナ……」

シキ「おーいノノちゃん、まだ死んでないよー?」

ノノ「はっ!?」

ユカ「早く列車を止めないと……」


???「おのれ、列車を止めに来ましたか!」

キャシー「おっと、早くも護衛が!」

忍者・あやめ「そうはさせません、織田軍一の忍、あやめがお相手しましょう!」

シキ「でもさー、のあちゃんならともかく、キミ一人であたしたちに敵うとは思えないなー」

あやめ「のあちゃんなる者がどれほど強いかは知りませんが、それはわたくしも百も承知です……忍法、影分身の術!」

珠美「なっ……!」

あやめ「ふふふ……」

あやめ「これで人数は問題ありません!」

あやめ「後はそれぞれ各個撃破するのみ!」

あやめ「それに、この人数であればわたくしたちが邪魔で運転室に通じる通路を通ることはできないでしょう!」

あやめ「おとなしく指をくわえて見ていなさい!」

ユカ「ふ、増え……!?」


ノノ「あんなに沢山……」

キャシー「あんなヤツに構ってる暇はないというのに!」

シキ「じゃああの通路、通らなかったらいいじゃん」

ユカ「へ?」

珠美「シキ殿、それはどういう……」

シキ「話は後で! ユカちゃんはともかく、たまちゃんは高いトコロ大丈夫?」

珠美「た、たまちゃん? 拙者のことでござるか? それなら……だ、大丈夫でござる」

シキ「ちょっと不安な回答だにゃー……ま、いいや! 二人ともついてきて! 後のみんなはシノビちゃんの相手をヨロシク!」

ソラ「おーけー、ここはソラたちが任された!」

キャシー「任されたネー!」

ノノ「は、はい……」

タタタ...


あやめ「人数を減らしてわたくしたちに勝てるとでも?」

キャシー「むしろ味方の人数が少ないほど戦いやすいデース……ソラ!」

ソラ「援護射撃はソラにお任せ!」

キャシー「ユーは怪我しないように隠れててくだサーイ!」

ノノ(引き金を引く覚悟……ユカさんの知り合いの時みたいに無意識に撃つんじゃなくて、自分の意志で……)

キャシー「ノノ! 聞いてマースカ! 早く隠れてくだサーイ!」

ノノ「えっ、は、はい……」

あやめ「わたくしを侮るような真似を……後悔させてあげましょう!」


キャシー「ゴーッ!」

あやめ「銃を持って接近? わざわざ有利性を捨てるとは!」

あやめ「忍刀でっ!」

キャシー「ソラ!」

ソラ「おっけい!」

BANG!

ガギンッ!

あやめ「たかが一発の銃弾、弾けぬとでも……っ!」

キャシー「遅いネー!」

ノノ「あっ、危ない……!」

シュバッ!

ガッ!


キャシー「そのくらいの奇襲、見え見えデース!」

あやめ「あの角度からの苦無を回避しますか……ならば!」

BANG!

ガギンッ!

ソラ「見えない所はソラががーど!」

あやめ「厄介な!」

キャシー「よそ見してる暇がありマスカー!」

シュバッ!

ガスッ!

あやめ「ぐっ……!」

ボウンッ

キャシー「まずは分身一つ!」


ノノ「ガンスリンガーなのになんであんなに格闘に長けてるんですか……」

ソラ「きゃしーちゃんはいろんなえりあを渡り歩いて、あのふぁいとすたいるをげってぃん!」

BANG!

ノノ「そうなんですか……すごい……あっ」

あやめ「どれだけ動き回ろうと……」

あやめ「壁際に追い詰めれば……」

あやめ「どうしようもないはず!」

ノノ「あの……ソラさん、援護……」

ソラ「あのくらいなら問題なっしん!」

あやめ「御命頂戴!」

ブンッ!

キャシー「クイック、ジャァンプ!」

シュバッ!


あやめ「なっ、壁に刺さった苦無を踏み台に!?」

あやめ「しかし空中での回避は不可能なはず! 苦無で狙い撃ちに……」

BANG!

あやめ「くっ!」

キャシー「ワンモアターボ!」

シュバッ!

あやめ「天井を蹴った!?」

キャシー「てやんダーイ!」

BABANG!

あやめ「……むっ」

あやめ「無念……」

ボウンッ ボウンッ

ノノ「す、すごい……あんなにいた分身がもう全滅……」

ソラ「さっすがきゃしーちゃん☆」

ジャキッ

キャシー「さあ、おとなしく道を開けナサーイ」

あやめ「……」


――――暴走列車/車両連結部――――


タタタ...

シキ「さ、ここから屋根に登って運転室まで行くよ!」

珠美「ええええええっ!?」

ユカ「なるほど、その手がありましたか!」

シキ「さあたまちゃん、あたしが押してあげるから先に登るんだ!」

珠美「えっ、あっ、いや……そう! 奇襲に備えて体術に長けたユカ殿を先に登らせるべきではなかろうか! 拙者の場合、刀を抜かねばならぬのだし!」

ユカ「それもそうですね……じゃあ私が先に!」

シキ「ちぇっ」

珠美「ちぇってなんでござるか!?」


シキ「じゃあユカちゃん、お先にどうぞー」

ユカ「ではお先に……とうっ!」

シュバッ

シキ「おー、軽やか!」

ユカ「……! 二人とも、早く来てください」

シキ「ん、どしたのー? たまちゃん、早く行った方がイイみたい」

パカラッパカラッパカラッ...

珠美「わ、わかったでござる……む、この音は……?」


???「そこまでです!」

シュバッ

珠美「何奴!」

ガギンッ!

伊達政宗・むつみ「今はこうしている時間も惜しい……事を済ませた後に名乗らせていただきます!」

ガギンッ!

珠美「くっ……! シキ殿、ここは拙者に任せてユカ殿の元へ!」

シキ「相手も刀持ってるしあたしよりたまちゃんが適役かなー。うん、ここは任せたよ!」

シキ「よいしょ、っと!」

むつみ「あっ、待ちなさい……っ!」

ガギンッ!

珠美「お主の相手は拙者でござる!」


――――暴走列車/屋根――――


シキ「よいしょ、っと!」

ユカ「あれ、珠美さんは?」

シキ「たまちゃんは野暮用でちょっと遅れるよー。たまちゃんが来る前に二人でさっさと列車を……」

???「……」

シキ「っと、そう簡単にはいかないみたいだね」

ガンスリンガー・メグミ「あの忍が足止めをすると聞いて、念のためにと登っておいたけれど……まさか本当に来るとはね」

ユカ「……そこを退いて下さい」

メグミ「それはできないわ。一度乗った仕事は、終点まで途中下車しないのが私のモットーなの」

ユカ「そうですか……シキさん、いきますよ!」

シキ「どーしてこう、西部の人間ってめんどっちいヤツばっかりなんだろうねー」

シキ「ま、あたしも西部の人間なんだけどさ!」






第6話 ウエスタン・ファイト 後編





ユカ「一度でも当たってしまえば大きな負傷は避けられない……ならば!」

メグミ「貴方たちに恨みはないけど……消えてもらうわ」

BANG!

ユカ「神誠拳、陽炎の構え……!」

シュバッ

BANG!

シュバッ

シキ「人間って列車の上であんなに素早く動けるんだねー、よっと!」

BANG!

メグミ「っ!」

BANG!

ガギンッ!

シキ「いやいや、銃弾を銃弾で弾くってメチャクチャでしょ」


BANG!

BANG!

ガギンッ!

BABANG!

シュババッ

メグミ「1対2だと、かなり分が悪いわね……でも」

ユカ「リロード……この隙に!」

メグミ「甘いわ」

BANG!

ユカ「速い!? それでも!」

シュバッ

メグミ「そこ!」

ユカ「神誠け――しまった!」

BABANG!

ユカ「ぐっ……!」

バタッ

シキ「ユカちゃん!」


メグミ「致命傷ではないわ。死にたくないならそのまま倒れていなさい」

メグミ「これで1対1。貴方も諦めなさい」

シキ「そーはいかないんだよね!」

BABABABABABANG!

BABABABABABANG!

ガギギギギギギンッ!

BABABABABABANG!

BABABABABABANG!

ガギギギギギギンッ!

BABABABABABABABABABABABANG!

BABABABABABABABABABABABANG!

ガギギギギギギギギギギギギンッ!

シキ「ここだっ!」


メグミ「銃を投げ……っ!?」

ガッ!

メグミ「拙い、銃が!」

シキ「今だよ!」

ユカ「はい! ぐ、うぅ……うおおおおおおおっ!!」

メグミ「なっ!?」

ガスッ!

メグミ「ぐっ……!」

バタッ

ユカ「し、シキさん、後はお願いします……」

シキ「うんうん、後はあたしに任せて休んでなー」

シキ「……お、よかったよかった、あたしの銃は下に落ちてなかったみたいだ」


メグミ「少なくとも素早く動くことはできない程度の傷を負わせたのに、どうして……」

ユカ「はぁ、はぁ……無理をすれば、多少は動けます……!」

メグミ「……なるほど、それもそうね」

メグミ「なら私も……少し無理をさせてもらうわ!」

ガスッ!

シキ「わっ!」

メグミ「運転室には行かせない……武器が無くなったとはいえ、私はまだ戦えるわ」

シキ「やめときなって。キミは丸腰で、あたしは銃持ってるんだよ?」

メグミ「そうはいかないの。私のプライドに傷を付けるわけにはいかない……これは意地よ」

シキ「はー……どうしてこう、あたしの敵ってのは意地っ張りなのかな!」

ジャキッ

メグミ「っ!」

シキ「スキあり!」

ガスッ!

メグミ「ごふっ……!」

バタッ

シキ「プライドを大切にするのもいいけどさ、命もちょっとは大切にしなって」


――――暴走列車/車両連結部――――


ガギンッ!

珠美「なかなかやる……っ!」

むつみ「私が受け継いだ役割の名に懸けて、あなたたちの野望は阻止します!」

珠美「役割? まさかお主、何らかの武将の名を継いだ者か! それがどうして!」

ガギンッ!

むつみ「どうしてもこうしてもありません! ただ正義と思ったことを為すだけです!」

珠美「これのどこが正義でござるか!」

ガギンッ!

むつみ「その言葉、そのままお返しします! 列車を乗っ取り、街を襲おうなどと!」

珠美「何を言うか! 拙者たちは織田軍の企みを阻止しようと――」

むつみ「へ?」

珠美「うん?」


むつみ「織田軍の者じゃないんですか?」

珠美「ああもう、またでござるか! 拙者たちは織田軍ではないでござる!」

むつみ「わわわわわっ、すみません! これはとんだ勘違いを! おかしいなぁ、情報が間違っていたのか……」

珠美「まったく、拙者たちは一刻も早く列車を止めねばいかぬというのに……はっ、こうしている場合では!」

珠美「ユカ殿、シキ殿! 大丈夫でござるか!」

BABABABABABANG!

珠美「いかん、すぐに助太刀に向かわねば……」

むつみ「お手伝いします!」

珠美「拙者を屋根に押し上げた後、お主は列車を通り拙者の味方に加勢して欲しい! 車内の敵は分身するくノ一だけでござる!」

むつみ「分かりました! よいしょー!」

珠美「わっわっわっ、もう少し慎重にやって欲しいでござる!」


――――暴走列車/2番車両――――


キャシー「さあ、早く列車を止めマショウ!」

ソラ「ゆーはくわいえっと! 後で色々いんたびゅー!」

ノノ「一応簀巻きにしときました……」

あやめ(……上の戦いも終わりましたか、もうわたくしがここにいる必要もありませんね)

タタタ...

むつみ「助太刀に来ました!」

ノノ「えっと、どちらさまですか……」

むつみ「私は現・独眼竜伊達政宗のむつみです。小さなサムライの方にこちらの助太刀を任されました!」

ノノ「小さなサムライって……」

キャシー「アー、決着はもうフィニッシュしちゃったネー」

ソラ「ほら、相手の忍ならここにしっだん……あれ?」

ノノ「あ、外に……」

タタタ...

あやめ「今回はわたくしども、織田軍の敗北です! 列車は諦めましょう!」

タタタ...

むつみ「れ、列車の隣を走ってる……」

ノノ「列車と並走するのって流行ってるんですかね」

キャシー「流行ったからってできるもんじゃないネー」


――――暴走列車/屋根――――


シキ「うひー、これ降りるのちょっと怖いなー」

ユカ「手伝いましょうか?」

シキ「いいよいいよ、ユカちゃんはゆっくりしてなって。その間に応急処置とかしてなー」

シュバッ

珠美「大丈夫でござるか!」

シキ「あたしは大丈夫だけど、ユカちゃんがちょっとマズいかな。たまちゃん、トヤマノクスリとか持ってない?」

珠美「持ってないでござる。申し訳ない」

ユカ「いや、謝る必要なんて――」

あやめ「今回はわたくしども、織田軍の敗北です! 列車は諦めましょう!」

シキ「おっと、下も決着がついたかな。もう仕事も終わったみたいだし、キミもおとなしくしててね」

メグミ「……」


――――暴走列車/運転室――――


むつみ「とりゃー!」

ガッ!

織田軍兵「うぐっ!」

バタッ

ソラ「はやく列車をストッピン!」

キャシー「合点承知!」

キキーッ!

珠美「これにて一件落着、でござるな」

むつみ「でも、この列車はどうするんですか? ここに停めっぱなしはさすがにまずいでしょうし」

ソラ「とりあえず街まで動かそう!」

シキ「その前に休憩しよーよー、あたし疲れちゃった」

珠美「それもそうでござるな。ユカ殿とあのガンスリンガーを屋根から降ろさねばならぬし」

むつみ「そうですね。それに、後ろの方の列車に逃げ遅れた乗客がいるかもしれません」


――――夕陽の荒野/列車横――――


シキ「ユカちゃん怪我してるから、優しく降ろしたげてねー」

ソラ「おっけい☆」

ユカ「大丈夫です、一人で降りられ……っ」

メグミ「今は無理をする必要はないわ。大人しくしておきなさい」

ユカ「それを言うならあなただって……」

メグミ「打撲によるダメージと銃創によるダメージは違うの。ほら、降ろすわよ」

キャシー「オーライオーライ!」

シキ「おっけー、放していいよー」

ノノ「あの、ありましたよ。列車の中に薬箱……」

???「あら、薬がご入り用?」

ノノ「ひゃっ!?」


商人・レイ「あら、そんなに驚かなくたっていいじゃない」

珠美「この方は行商人で、偶然この列車に乗り合わせてしまったようでござる」

レイ「そういうこと。薬が必要ならいいものがあるわよ。今回は助けてもらったお礼にお安くしておくわ」

ノノ「そこはタダじゃないんですね」

レイ「そりゃあこっちだって商売だもの。銃創には……これね」

ユカ「ありがとうございます」

むつみ「もう一人逃げ遅れた人がいました!」

キヨラ「ありがとうございます。助かりました」

珠美「お気になさるな。もう大丈夫でござるよ」

キヨラ「はい……」

キヨラ「……」


珠美「さて、後は……」

メグミ「保安官さん、銃は持ってるかしら?」

ソラ「うん? もちろん!」

メグミ「なら撃つべき相手が一人残っているわ」

ソラ「?」

シキ「キミ、ホンット変なところで真面目だよねー。ソラちゃん、気にしなくていいよー」

ソラ「お、おー? おーけーのーぷろぶれむ!」

シキ「ほらほら、あの乗客たちに事情聴取しないと!」

ソラ「おーそうだった!」

タタタ...

メグミ「本当におかしな子……邪魔をした人間に情けをかけるなんて……」

シキ「今ここにいておかしくないヒトなんていないし!」

珠美「えっ」

シキ「にゃはは!」


メグミ「情けをかけるのもいいけど、そんなことではこの荒野……この先生きのこれないわよ」

シキ「んー、でも今まで何とかなってきたし! もしダメでも今はあたし一人じゃないし!」

メグミ「一人じゃない、ね……私には無理そうね。仲間と呼べる人なんて、もういないもの」

ユカ「……じゃあ、私たちと行きませんか?」

シキ「そーそー。あたしたちが喋らなきゃ、キミが敵だったなんて誰にも分からないしさ」

メグミ「それはできないわ。一度銃を向け合った相手と道を共にするなんて……」

珠美「昨日の敵は今日の友、と言うではないか。織田軍に手を貸したのは、まあ……ともかく! 行く当てもないのなら、拙者たちと共に行こうではないか!」

メグミ「……そうね、それなら――」

パカラッパカラッパカラッ...

???「…………そうはいかない」

シキ「!」

珠美「お、お主は!」






第7話 沈め、夕陽とともに





シキ「のあちゃん……何の用?」

ノア「……相手なら列車を止めた後にしてあげる、そう言ったのは貴方」

シキ「だからずっと馬に乗って隠れてたって? 馬鹿正直にも程があるでしょ」

ノア「馬鹿であれ何であれ、私は混沌を律する……自由が美しくあるために、貴方と……」

メグミ「……」

ジャキッ

ノア「……シキ。貴方を撃つ」

BANG!

シキ「っ!」

ガギンッ!

珠美「ならば、拙者を撃ってからにせよ」

ノア「……自ら死を望むか、自由という名の混沌に冒された侍よ……」


キャシー「ナニゴト!」

ノノ「あ、あなたは……!」

ソラ「さっきのでんじゃらすながんすりんがー!」

シキ「あんましこっち来ない方がいいよ。流れ弾が当たっちゃうからねー」

キャシー「ユーたちもこっちに避難するネー!」

キヨラ「は、はいっ!」

レイ「分かったわ」

タタタ...

シキ「それに、あんまり一人相手に大勢だとちょっと気おくれするし」

ノア「…………私は何人相手だろうと気にしない」

シキ「あ、そう? まあいいや」

メグミ「保安官さん、この子をお願いするわ」

ソラ「おっけー任された!」

ユカ「すみません……」

メグミ「じゃあ申し訳ないけど、後は任せるわ」

シキ「あー、そういや銃落としちゃったんだっけ」

メグミ「ええ、誰かさんのおかげでね」

珠美「何があったかは知らぬが……そういうことならば下がっておられよ!」

メグミ「そうさせてもらうわ」

タタタ...


ノア「……話は終わったか」

BANG!

ガギンッ!

珠美「ああ、たった今終わった所でござる! シキ殿!」

シキ「分かってるって!」

BANG!

ノア「狙いが甘い……」

シュバッ

BABANG!

ガギンッ!

珠美「一発は落とした!」

シキ「サンキュッ!」

シュバッ


BABANG!

シュバッ

シュバッ

珠美「入った!」

ガッ!

珠美「なっ、銃身で刃を逸らし――」

ノア「懐に入るだけで勝利と思い違う……!」

ガスッ!

珠美「ぐうっ……!」

ノノ「珠美さん!」

珠美「まだ倒れぬ!」


珠美「はあああああっ!」

シュバッ

ガスッ!

珠美「ぐはっ……!」

バタッ

ノア「……貴方に自由は勝ち取れない」

BANG!

BANG!

ガギンッ!

シキ「あたしがいるコト、忘れないでもらえるかな」

ノア「………………貴方を忘れるなど、ありえない……」


シキ「……」

ノア「……」

ジャキッ

BANG!

ガィンッ!

シキ「銃が!」

ノア「っ……!」

シキ「ああもう、またこれだ!」

タタタ...

ガスッ!

ノア「ぐうっ……まだよ!」

ガスッ!

シキ「があっ!」


ノア「貴方の天性の才能……それはいつか脅威となる!」

ガスッ!

ノア「自由という名の混沌、その言葉は甘く……人をかどわかし、堕落させる!」

ガスッ!

シキ「昔っからそうだ、キミは難しく考えすぎなんだよ! もっと気楽にさぁ、お互い自由を求めてる同士なんだから!」

ガスッ!

ノア「私は自らの意志で進む……頂点に君臨するために! 自由とは敵を倒さずして勝ち取れないものだから!」

ガスッ!

シキ「この……わからずやあああああああっ!」

ガスッ!

ノア「ごふっ……!」

バタッ

ノノ「や、やった……」

シキ「はぁ、はぁ……自由はあたしが勝ち取らせてもらったよ」

珠美「! まだでござる!」

ジャキッ

シキ「!」

ノア「これで終わらせる……!」

BBAANNGG!!


珠美「シキ殿!」

シキ「……あれ?」

ノア「…………最後まで貴方を超えることが出来なかった……だが苦しみからは解放される……永遠の、眠りと共に……」

シキ「いやいや、のあちゃん殴られただけで死ぬほどヤワじゃないでしょ。とゆーかのあちゃん、なんで外したの? この距離だよ?」

ノア「私は外してなどいない……刹那の一瞬、弾同士が惹かれあい……そして弾け、軌道を外された……それだけのこと」

シキ「それって……」

ノア「……幻想エリアの銃使い、少しは良い眼になった……」

ノノ「あ、えっと……」

シキ「そっか。ノノちゃん、ありがとね」

ノノ「あの、いえ、それほどでも……はい」

タタタ...

ソラ「もうふぃにっしゅ?」

シキ「うん、なんとかね」

ユカ「……はは、今回はみんなボロボロになっちゃいましたね」

珠美「そうでござるなぁ」

ノノ「あれ、キャシーさんたちはどこに?」


ソラ「あれ? あの知らないがんすりんがーと政宗ちゃんといっしょに乗客を避難させてたはずなんだけど……」

キヨラ「あのガンスリンガーさんたちなら、車両の中でお休みしてるわよ」

珠美「そうでござったか。もう戦いは終わった故、四人を呼んできて欲しいでござる」

キヨラ「ううん、疲れてたのかぐっすり眠ってるから……あなたたちもしばらく休んで行ったらどうかしら?」

ノノ「……まあ、そうですね。すごく」

シキ「くんくん……うん? なーんかヘンな臭いがするなぁ」

ユカ「ヘンな臭い……?」

ノア「!」

ジャキッ

キヨラ「あら、どうしたの急に?」

ノア「それほどの殺気を纏っておきながら白々しい……」

キヨラ「うふふ、ガンスリンガーってみんな勘がいいのね。でも残念。あなたたちはここで死ぬのよ」


マフィア・キヨラ「あなたたちは後々暗黒会……いえ、あのお方の邪魔になりそうだから、早いうちに消しておこうと思ったのよ」

珠美「暗黒会だと!」

キヨラ「そうよ。でも、まさかこんなに疲弊してくれるとは思わなかったわ」

ノア「手負いとはいえ易々と殺されると思ったら大間違い……ちっ、弾切れか……」

シキ「銃さえ拾えばこっちの、もの、あれ……?」

キヨラ「上手く身体が動かないかしら? どう? 私が作った痺れ薬入りの香は」

シキ「それの臭いだったかぁ……」

ノノ「まだ動けますけど……!」

キヨラ「ふんっ!」

ガスッ!

ノノ「ああっ!」

珠美「ノノ殿!」

ガスッ!

珠美「ぐうっ!」

キヨラ「ほら、ゆっくりお休みなさい。抵抗しなければ苦しまずに死なせてあげるわよ」


キヨラ「それじゃあまずはあなたから♪」

ジャキッ

ノノ「ひっ、な、ナイフ……」

キヨラ「ちょっとチクっとしますからね――」

ユカ「その香、もらった!」

キヨラ「なっ!?」

ユカ「風下に投げてしまえば、こんなもの!」

キヨラ「しまった!」

ガシャァーン!

キヨラ「おのれ……どうして……どうして動けるの!」

ユカ「シキさんがヘンな臭いがすると言っていたので、念のために息を止めておいただけです!」

ユカ「暗黒会のマフィア……2月2日、香港エリアでナカノゴロウという刑事を殺したのはあなたですか!」

キヨラ「……知らないわね、そんな刑事」

ユカ「ならば倒すだけです!」


ユカ「はっ!」

キヨラ「甘いわね、お嬢ちゃん!」

ガスッ!

ユカ「ぐうぅっ……!」

ユカ(傷口が開いて……!)

キヨラ「これじゃあ香なんて必要なかったかしらね!」

ガスッ!

ドサッ

ユカ「あっ、身体が……!」

キヨラ「うふふ……こんなに間近で香を嗅いじゃったら、もう動けないでしょう?」


ユカ「ま、だ、ま、だあああああああっ!」

キヨラ「そんな遅い攻撃、当たらないわ!」

ガスッ!

ガシッ

ユカ「があっ、つ、捕まえた……!」

キヨラ「あらあら、悪あがきはみっともないわよ」

ユカ「はああああ……昇陽投げ!」

ブンッ!

キヨラ「きゃあっ!?」

ユカ「今日最後の無理を……耐えて、私の身体!」

シュバッ

ガシッ

ユカ「夕陽落とし!」

ゴシャッ!

キヨラ「ごふっ……!」

ユカ「神誠拳奥義、天地無用……!」

キヨラ「……」

ユカ「はぁ、はぁ……どこかに解毒薬を持っているはず……あった!」

ユカ「みなさん、この解毒剤を……!」


――――夕陽の落ちた荒野/列車横――――


シキ「ふーっ、生き返った! 痺れが取れただけだけどさ」

珠美「助かったでござる……」

ノノ「でもユカさん、見事な回転パワーボムでした」

ユカ「いえ、あれは夕陽落としという技で……つっ!」

珠美「散々無理をしたんだから今は安静にしているでござるよ。おそらくお主が一番重症でござろう」

ユカ「そうですね……」

ノノ「……あ、ソラさんたちにも解毒剤飲ませてきますね」

ユカ「お願いします」

シキ「ほらのあちゃん飲みなって」

ノア「…………必要ない」

シキ「まーたそうやって意地張るんだから!」

ノア「……私は己の力だけを信じ、ここまできた……でも、貴方は私が持たぬ『仲間』という力を得た……」

シキ「……はぁ、ホント人の話聞かないよね、のあちゃん。ま、それでこそのあちゃんなんだけどさ」

ノア「安堵したせいか……まぶたが重い……眠りが私にとっての解毒剤となる……」

シキ「うんうん、だったらゆっくり眠りな。やっとキミと分かり合えたような気がして……嬉しいよ。だから……」

シキ「だから次に目が覚めたら……そのときは一杯おごるよ……zzz……」


――――西部エリア/保安官の家――――


ノア「……う……ここは……」

シキ「……すぴー」

ノア「そうか、私は……」

ノア「…………」

シキ『だから次に目が覚めたら……そのときは一杯おごるよ……』

ノア「…………今はまだ、その時ではない」

ザッザッザッ


珠美「ふあぁ……よく寝たでござる」

シキ「いっちちち……やっぱし一晩寝ただけじゃあ全回復とはいかないにゃー」

ノノ「当たり前じゃないですか……あれ、ノアさんいないですね」

シキ「へ? 嘘!?」

ノノ「なんで嘘吐く必要があるんですか……」

シキ「だよねー。 ……ねえねえユカちゃん、のあちゃん見てない?」

ユカ「ノアさんですか? そういえば見てないですね」

シキ「ちくしょー、逃げたなあいつ!」

シキ「……またいつか会えるよね」


ソラ「でもでも、列車を一緒に停めてくれてほんとにさんきゅー!」

珠美「拙者たちはただ、悪党を見過ごせなかっただけでござるよ」

ノノ「ホントに成り行き上こうなってるだけですもんね……」

むつみ「あの、その悪党を見過ごせないあなたたちに、折り入ってお願いが!」

ユカ「なんでしょう?」

むつみ「私は武将の役割を受け継いだ者として、織田軍を討たんとしています。しかし、今は戦力も少なく……」

珠美「拙者たちを引き入れたい、と。そういうことでござるか?」

むつみ「はい! ここから北に向かったところの合戦場で武田信玄、島津義弘、浅井長政の三武将が合戦を行っています。それに乱入し、彼らを仲間に引き入れたいのです!」

ノノ「でも私たち、赤ずきんを探してて……」

ソラ「赤ずきんってもしかして赤いずきんを被った女の子のことかな?」

ノノ「そうですけど、なんで知ってるんですか?」

ソラ「こないだ赤いずきんを被った女の子を連れた二人組が港町の方向に向かうのを見たって人がいたんだ。もしかしたらーって思ってね!」

ユカ「二人組……まさか!」


ノノ「やっと手がかりが……」

珠美「では早速港町へ向かうでござるか!」

ユカ「でも合戦場には……」

珠美「む、そうか……ではこうしよう。拙者はむつみ殿と共に合戦場へ。ユカ殿とノノ殿は赤ずきんを追って港町へ。それでいいでござるか?」

キャシー「ちょっと待つネー! ミーも仲間に入れてくだサーイ!」

シキ「あっ、あたしもあたしもー! もう目的は果たしちゃったからさ、ちょうどいいや!」

珠美「拙者たちは構わないが……いいのでござるか?」

キャシー「あたぼうよ! ミーは合戦場へ行かせてもらうネー。久しぶりに戦国エリアにも行ってみたかったデース」

シキ「じゃああたしは港かなー。ついでに赤ずきんってコをハスハスしちゃお!」

ユカ「なら善は急げですね。ソラさん、お世話になりました!」

ソラ「何かあったらまた来てね☆」

もう少し待っていただきたい


――――???――――


???「あの武将たち……いつ織田に牙をむくか分かりませんね」

???「私たちの目的の為にも、勢力が大きくなる前に潰しておかなければ……」


――――戦国エリア/森――――


ザッザッザッ

むつみ「そろそろ合戦場が見えてくるはずなんですけど……」

ガギン! ガギン! ガギン!

キャシー「この音は……」

珠美「道は合っていたようでござるな」


――――戦国エリア/合戦場――――



ガギン! ガギン! ガギン!

キャシー「ヒューッ、やってるネー!」

珠美「この大勢の中から三人の武将を探すのは、少し骨が折れるでござるな……」

むつみ「そうでもありませんよ。武将は大抵、先陣を切って戦いますから……あそこです!」

島津義弘・渚「うおおおおおッ!」

ブンッ!

浅井長政・保奈美「甘い!」

シュバッ

武田信玄・亜里沙「ふふっ。スキあり♪」

ガギンッ!

珠美「むむ、なんという気迫……!」

キャシー「それでも突っ込むだけネー!」


渚「なかなかやるな、アンタら!」

亜里沙「ふふっ、それはこっちのセリフよぉ」

保奈美「くっ、戦いは好きではないのに……!」

ガギンッ!

戦国兵「なんだお前たち!」

BANG!

戦国兵「こ、こいつら強い!」

ガギンッ!

戦国兵「ぐああっ!」

渚「どうした!」

キャシー「第四勢力の乱入デース!」

保奈美「!」


むつみ「島津義弘、武田信玄、武田信玄の名を継ぎし者とお見受けします!」

珠美「御三方、織田を討つため拙者たちに力を貸していただけぬか!」

渚「いきなり割って入ってきて、それで力を貸せだって? ハッ、冗談も大概にしな!」

ブンッ!

ガギンッ!

むつみ「ぐっ!」

珠美「ならば刃で語り合うまで!」

亜里沙「臨むところよ~!(上等だトラー!)」

保奈美「……」

キャシー「ユーも二人と同じ考えデースカ?」

保奈美「いえ、私は……」

保奈美「英語のレッスンをしていただきたい!」

キャシー「ホワッツ!?」






第8話 対決、三武将





渚「うおぉ、ラァッ!」

むつみ「はあああ!」

ガギンッ!

渚「オレの剣撃を止めるとは、なかなかッ!」

珠美「あの武田信玄殿と剣を交えることができようとは!」

亜里沙「そう言ってもらえると嬉しいわぁ」

ガギンッ!

珠美「ぐっ!」

キャシー「アップル!」

保奈美「アップル!」

キャシー「グッド!」


キャシー「スシ!」

保奈美「スシ!」

キャシー「ゲイシャ!」

保奈美「ゲイシャ!」

キャシー「テンプラ!」

保奈美「テンプラ!」

保奈美「うん……?」

キャシー「ベリーグッド!」

ガギンッ!

渚「なかなかやるねッ! じゃあこれならどうかなッ!」

ガギンッ!

ガギンッ!

ガギガギンッ!

むつみ「くっ、まだまだ!」

ガガガギギンッ!

渚「どおおりゃあぁッ!」

ガガガガガガギギンッ!


むつみ(このままでは押し負ける……)

ガガガギンッ!

渚「これで決めるよッ!」

むつみ(上手く受け流して……っ!)

シュバッ!

むつみ「……ここで!」

シャキィンッ!

渚「うおっ……!」

ガギンッ!

むつみ「なっ!?」


ガギンッ!

ガギンッ!

ガギンッ!

珠美「ぐあぁっ!」

珠美「さ、さすが武田信玄殿……甲斐の虎と言われるだけのことはあるでござる。強い……いや強すぎるでござる……!」

亜里沙「私を倒せないようじゃ織田信長はおろか幸村ちゃん……真田幸村すら倒せないわよ?」

珠美「うぅ、情けないでござる……拙者の未熟さを思い知ったでござる……」

亜里沙「これ以上は無駄なようね。大人しく帰った方があなたの身の為よ……情けないおサムライさん?」

珠美「ぐうぅ……拙者はこんな辱めを受けるためにここまできたわけじゃないでござる! 天下無双の剣豪になり、悪を討つために!」


珠美「そのために!」

シュバッ!

亜里沙「あら、その体勢からよく距離を詰めたわね。でも、それだけじゃ……」

珠美(ユカ殿のように、直線だけではない動きで!)

珠美「はあああああ!」

亜里沙「っ!?」

シャキィンッ!

亜里沙「きゃあっ!」

珠美「やったか!」

亜里沙「ふふっ、なんてね♪」


珠美「そ、そんな……」

亜里沙「でもよくできました。あなたたちに協力してあげるわ」

珠美「本当でござるか!」

バタッ バタッ

渚「はぁ……ッ、はぁ……ッ」

むつみ「はあ、はあ……」

渚「あっははははは! 気に入ったよ! この島津義弘・渚、アンタらに力を貸そうじゃないか」

むつみ「あ、あはは、ありがとうございます……」

キャシー「お、あっちは勝負がついたみたいデースネ! 今日のレッスンはこれまでデース!」

保奈美「ありがとうございました!」

渚「……何やってんだあいつら」

むつみ「さあ……?」


亜里沙「それで? 私たちはどうすればいいのかしら」

むつみ「みなさんはしばらくの間、各々自らの領地を守っていてください」

保奈美「それは……なぜかしら?」

むつみ「今は織田軍をはじめ、黒薔薇軍や暗黒会などが悪事をはたらいています。私たちと行動を共にしている間にそちらが狙われないとい

う確証はありません」

珠美「時が来るまで、御三方にはしばし辛抱していただきたい」

渚「分かった。織田と一戦交える時になったら呼んでくれよッ」

キャシー「モチロンデース! それじゃあ次は……っ!?」

亜里沙「あら……?」

珠美「か、身体が……」

渚「急に重く……ッ!」

???「織田に牙をむこうと企む危険分子……今の内に排除しておきます」

むつみ「何者ですか!」


ユカリ・フェアヘイレン「我が名はユカリ・フェアヘイレン。あなたたちに癒しを与える者です」

珠美「癒し……?」

ユカリ「そう、癒しです。全てが滅びた静寂こそ本当の癒し……」

ユカリ「心穏やかに……果てましょう」

保奈美「冗談じゃないわ、私はまだ果てるわけには……」

珠美「そうでござる! まだやるべきことが残っているのに、志半ばで果てるなど!」

ユカリ「……そうですか。せめて苦しまずにと思ったのですが……」

亜里沙「(余計なお世話だトラー!)」

キャシー「それでもやるってんなら相手になりマース!」

ユカリ「うふふ……」


ユカリ「ではまず大剣のあなたに『一生大振りな攻撃が相手に当たらない』という微妙な呪いをかけましょう……!」

ビビビ...

渚「うおおッ!」

シュバッ

渚「危ねぇッ! 結構致命的だろそれ!」

むつみ「呪い……厄介な相手です」

キャシー「でも勝機はありマース! 『人を呪わずんば穴からずや』デース!」

保奈美「キャシー殿、それは少し違うわ……」

亜里沙「おしゃべりしてる暇はないわよ!」

シュバッ

ユカリ「コール・ファイア!」

ボウッ!

亜里沙「きゃっ!?」

シュバッ

珠美「ひ、火を出した……?」

保奈美「やはり魔法使いか、これは厄介だな……」


珠美「呪われる前に突っ込めば!」

ユカリ「あなたには『これ以上背が伸びない』という呪いを……」

ビビビ...

珠美「わああああっ!」

シュバッ

珠美「な、なななんと非道な!」

むつみ「近付くことすら危ういですね……」

キャシー「なら近付かなきゃいいんデース!」

BANG!

ユカリ「コール・バリア!」

ガギンッ!

キャシー「バリアまで!?」


ユカリ「うふふ……どうしました? 何もしなければどんどん弱っていくだけですよ?」

亜里沙「うふふ、じゃあ急がないといけないわね(囲んでフクロにするトラー!)」

むつみ「はい! 奴を囲んで一気に!」

シュバババッ!

ユカリ「甘いですよ……コール・ファイア!」

ボボボボウッ

保奈美「か、回転して魔法を……!?」

珠美「ぐあぁっ!」

シュバッ

渚「うおおおッ! 必殺・ダンクシュート大剣斬りぃぃぃッ!」

ユカリ「大振りですね!」

シュバッ


ガスッ!

渚「ぐうっ……!」

キャシー「そこ!」

BANG!

ユカリ「コール・バリア!」

ガギンッ!

ユカリ「……もう立ちあがるのも辛いでしょう? そのまま何も考えず……ゆっくり朽ちていきなさい……」

珠美「ど、どうすれば……」

保奈美「走って近付けば魔法、遠くから撃てばバリア……」

キャシー「ああもう、このままじゃジリ貧デース!」

むつみ「どうにかして魔法を無力化しないと……」


渚「……! おいガンスリンガー、オレの剣で跳べッ!」

キャシー「ホワッツ?」

渚「いいから!」

キャシー「……合点承知!」

渚「ウオオォ……ラアァッ!」

ブンッ!

シュバッ

ユカリ「どこから撃とうとバリアを張れば……」

キャシー「ホナミ!」

保奈美「ああ!」

シュバッ

渚「上と下、同時に魔法は出せないだろッ!」

ユカリ「しまっ……!」

キャシー「発砲!」

保奈美「美刃!」

BABABAシャキィンッ!

ユカリ「きゃああっ!」


亜里沙「……! 身体が……」

珠美「軽くなった!」

むつみ「これでまともに戦えます!」

ユカリ「……これ以上一人で戦うのはまずいですね。今回は引き下がります!」

渚「待ちやがれッ!」

ユカリ「コール・フレイム!」

ボウッ

渚「うおッ!?」

タタタ...

渚「チッ、逃がしたか……」

むつみ「でも、追い払えただけよかったです……」

亜里沙「一旦私の拠点で落ち着きましょう? 二人も、それでいいかしら?」

渚「……ああ」

保奈美「構わない」


――――合戦場/武田軍拠点――――


渚「さっきのなんとかヘレンってのは何だったんだ?」

むつみ「ユカリ・フェアヘイレンと言っていましたね。口ぶりからすると織田軍の者のようですが……」

渚「でもあの格好は幻想エリアの人間だろ? 織田は他のエリアからも兵を集めてるのかよ」

亜里沙「全エリアの支配を宣言する前はいなかったはずなのよねぇ」

珠美「ふむ、では織田軍の兵力は御三方の知るそれより強くなっていると考えた方が良さそうでござるな」

保奈美「……」

キャシー「どうしマシタ?」

保奈美「……あっ、いや、レッスンの内容を思い出していたのよ」

保奈美(お市、君は大丈夫だろうか……)


キャシー「じゃあ三人はまた呼びに来るのでそれぞれのお城で待っててくだサーイ!」

渚「なるべく早く呼んでくれよなッ!」

むつみ「さて、目的も果たしましたし一度西部エリアに戻りましょうか」

珠美「待ってほしいでござる。確かここの近くに聖騎士団のある城があったはず……彼らに協力を仰いでみるのはいかがでござるか?」

むつみ「なるほど……ではそうしましょう!」

亜里沙「そうだ、おサムライ……ううん、珠美ちゃん。旅の途中で幸村ちゃんに会ったら早く帰ってきなさいって武田信玄が言ってたって言っておいてくれないかしら」

珠美「承知したでござる!」

亜里沙「幸村ちゃんは槍使いの女の子で、とっても強いのよ。戦ってみるのもいいかもしれないわね」


――――幻想エリア/森――――


ホタル「……見つからない……」

ホタル「せめて一つでも手に入れておかないと帰れません……」

ザッザッザッ

ホタル「ひっ!? 誰ですか!」

ユカリ「……くっ、まさかもうあれほど強くなっているとは……あら、ホタルさん?」

ホタル「ユカリさん! ど、どうしてここに……」

もう少し待っていただきたい

申し訳ないが打ち切ります

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