日向「世界の意味」 (18)

【図書室】

日向「……ん?」

三日月「お疲れ様です。日向さん」

日向「君は睦月型の…」

三日月「三日月です」

日向「ああ。それで、三日月。わざわざ図書室に来るとはどうした?」

三日月「今日は白雪さんと初霜さんと一緒に自習をしようと思いまして」

日向「真面目だな。結構なことだ」

三日月「いえ、そんなことは…」

初霜「三日月さん?すみません、遅くなりました」

白雪「お待たせしました…。あら?日向さんまで。お疲れ様です」

日向「お疲れ様。別に固くなる必要はない。それで、何について
   勉強する気なんだ?」

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白雪「はい。今日は潜水艦への対策として効率的な爆雷の散布方法や
   連携について学ぼうかと」

日向「ほう?」

三日月「鎮守府周辺にも最近は敵潜水艦をよく見かけますから」

白雪「やはり主砲では撃退は難しいですよね…」

初霜「ええ…。でも、対潜水艦は私達の仕事ですものね」

白雪「水上爆撃機や艦攻などもありますけど
   有効な手段ではないですからね」
   
三日月「それに私達では積めませんし…」

日向「いや、主砲や高角砲でも技術と狙い方次第だ。
   最善手、とは行かないが撃退は出来るぞ?」
   
白雪「そうなんですか?」

日向「ああ、実は私もそれで撃退したことがあってな
   苦肉の策だったが何とか上手くいった」
   
初霜「凄いです…」

日向「だが、基本は君達の仕事だ。できれば仕留めて貰えると
   助かるのも事実だな」
   
三日月「はい」

白雪「でも、あの潜水艦…やはり鎮守府の偵察でしょうか」

三日月「相手がどういう意図を持っているのか分かれば
    対策もしやすいんですけどね」
    
日向(敵戦力は何のために…こちらへ…)

初霜「日向さん?」

日向「いや、なんでもない。ふと、深海凄艦の侵攻意図が
   気になってな」
   
初霜「意図、ですか…?」

日向「奴らとて生物だ。連中の行動原理さえ分かれば、今後の戦闘において
   何かのヒントになるかもしれん」

白雪「あまり考えたことがなかったですね」

初霜「言われてみれば…そうですね」

三日月「私達、ただなんとなく戦っていただけなのかもしれません…」

日向「……」

日向「すまない。私はこれから用事があるから失礼する」

三日月「はい。お疲れ様でした」

初霜「お疲れ様です」

白雪「…お疲れ様です」


【伊勢と日向の部屋】


伊勢「おかえりー」

日向「ああ」

伊勢「なんか面白い本あった?」

日向「いや、結局駆逐艦と戦闘についての話になってしまった」

伊勢「へえー。駆逐艦の子達と?また珍しい」

日向「自分でもそう思うさ」

日向「……」

伊勢「どうしたのさー日向」

日向「いや…敵勢力は何のために攻めてくるのかと思ってな」

伊勢「んー。そういやあんまり考えたことなかったなー」

日向「向こうとは、そうそうコミュニケーションは取れんからな…」

伊勢「喋るのもいるみたいだけどねー」

日向「だが、話し合いのテーブルにつけそうな感じではないな」

【図書室】

日向(深海凄艦の生態について書かれたもの自体が少ない…)

日向(そしてその殆どが「過去に沈んだ船の怨念の具現化といわれている」か)

日向(ふむ…一旦こちらの調査は置いておくか。では私達、艦娘については…)

朝潮「日向さん?」

日向「ん?」

朝潮「お疲れ様です!」

日向「ああ、お疲れ様。それで、今日は…」

朝潮「はい。三日月さんと初霜さんと白雪さんと連携についての相談を」

日向「あの三人か」

朝潮「?」

日向「昨日もここで会ったよ。そういえば、君はいなかったな」

朝潮「はい、遠征に行っていたので…」

日向「なるほど。いつも悪いな」

朝潮「恐縮です」

日向「そうだ。会ったついでに一つ聞きたいのだが」

朝潮「なんでしょうか?」

日向「私達は何のために生まれてきたと思う?」

朝潮「深海凄艦の侵攻から人類を守るためです」

日向(清々しいまでの模範解答だな)

朝潮「あの…?」

日向「いや、参考になったよ。ありがとう」

初霜「朝潮さん。いらしてたんですね、皆さん揃い…あら、日向さん」

三日月「日向さん。お疲れ様です」

日向「ああ、君たちか。…私は調べ者がある。気にせずやってくれ」

初霜「あ、はい」

朝潮「失礼します」

三日月「……」

日向「どうした?私の顔になにかついているか」

三日月「いえ、失礼します」

【???】
???「…という報告があったのですが」

???「日向さんにも困ったものですね…」

???「どうするの?」

???「壊れた人形は置いておいても価値はありませんからね…。
    解体…いえ、彼女はまだこの鎮守府の主戦力…。
    それも不自然が過ぎますか。では工廠に呼ぶようにしましょうか」

???「ああ、改造?」

???「ええ、そういうことです。ちょっと弄っちゃいましょう」

???「じゃあ、あの方への指示は私が出します」

???「ええ、後は任せなさい」

【伊勢と日向の自室】

伊勢「いたいた。日向ー。提督が呼んでるよー?」

日向「私を?」

伊勢「なんだか分かんないけど早く行ったほうがいいよ」

日向「そうだな。では行くとしよう」


【工廠】


日向「航空戦艦に改造、か…。確かに制空権は選局を大きく左右しつつあるからな」

明石「主砲を一部撤去しちゃうので火力自体は多少下がりますけど、
   安定感は上がると思いますよ」

日向「水上爆撃機、か…」

明石「じゃあ、改造始めますねー」

日向「見学していればいいのか?」

明石「はい。艤装を装備した状態でのバランスもチェックしたいので」

日向「分かった。しかし…待つだけ、というのも暇だな。
   本でも持って来るべきだったか」

明石「あ、じゃあこれでも見ておきます?」

日向「これは…」

明石「そう、水上爆撃機『瑞雲』!航空戦も爆撃も対潜も索敵も出来るんですよ!」

日向「これが例の…。では、暇つぶしついでに見せてもらおう」

明石「どうぞー」

日向「ふむ」

明石「…………」

日向(下駄履き、というやつか……ッ!?)キィィィィィィィン…

日向(なんだ、急に頭痛が…!?くっ、頭が割れ、そう、だ…!!)ドサッ

明石「いけ…い…猫…です。『好…は…をも…』…よ」

日向(明石、何を言って、いるんだ…?)

日向「う…ん?」

明石「日向さん!日向さーん!」

日向「明石?」

明石「もうー。バランスのチェックをするって言ったじゃないですかー。
   寝るなんて酷いですよー」

日向「すまない。どうも疲れていたようだ」

明石「艤装の改造は一通り終わりましたので、さっそくいいですか?」

日向「ああ」

明石「どうです?」

日向「悪くない。むしろ前より軽くなったか?」

明石「お目が高い!実はそうなんです!」

日向「しかし、これで私も普通の戦艦ではなくなったか。
   …まさかの航空戦艦の時代か?」

明石「かもしれないですよー?」

日向「なるほど…素晴らしい改造だ。流石だな、明石」

明石「そんな褒めないでくださいよー」

日向「特にこの瑞雲が素晴らしい…。これは人類の宝になるぞ」

明石「………」

日向「さっそく最上たちや伊勢に瑞雲の素晴らしさを教えないとな…フ、フフフ」

明石「………」

日向「今日は瑞雲記念日とするか…。演習が待ち遠しいな」

明石「気に入っていただけて何よりです」ニコッ

【指令室】

明石「提督。ご命令通りに日向の改造を行いました」

提督「様子は?」ピチャ、クチュ…

明石「あの疑念もすっかり忘れたようです」

提督「油断は禁物だぞ、定期的にチェックを忘れるな」

明石「了解しました。では、失礼します」

提督「ああ」

提督「今回はお前達のおかげだ。よくやったぞ」

白雪「ああ…司令官…。ぺろ、ぴちゅ」

三日月「もったいないお言葉です…、ん、ああ…おいしい…」

初霜「提督、あの、図々しいのですが、その、ご褒美を…」

提督「いいだろう。だが、お前達四人の口で奉仕してもらうぞ」

朝潮「は、はい…頑張ります…ですから…」

提督「心配するな。みんな可愛がってやるさ…」

三日月「嬉しい…司令官…もっと、もっと大きくなってください…」

初霜「私達、提督のためなら何だってして見せます…」

白雪「そ、そうです…。私も、司令官のためなら何だって…」

朝潮「はやく、はやく司令官のを…」

提督(あれ…?俺は何で日向を改造させようとしたんだ?
   まあ、いいか…戦力増強だし…)

【指令室の隣室】

浜風「またネズミですか。どこからでも湧いてきますね」

憲兵「くっ…」

吹雪「司令官を捕まえようだなんていけない憲兵さんですね
   そんなに殺されたいんですか?」

憲兵「私は…君たちを助けようと…」

秋月「そうですか」

浜風「その言葉は聞き飽きました。遺言はそれで終わりですか?
   それでは首を吹き飛ばしますね」

憲兵「まだ間に合う、君たちは軍法会議にかけられないように
   私も最大限の努力をする。だから考え直すんだ」

秋月「私達は望んで司令にお仕えしているんですよ…?
   そんなこともわからない愚図だからこうなるんですよ。
   大人しくしていればいいものを」

憲兵「待て、やめr」

憲兵「」

吹雪「司令官、私やりました。早くご報告に行きましょう、
   秋月ちゃん、浜風ちゃん」

秋月「ええ…。ああ、ご褒美を考えただけで体が疼いてきます」

浜風「今は提督もお楽しみ中ですから。ゆっくり可愛がって
   頂く為に、ゴミの後始末もしていきましょう。ふふ、ふふふ」

【???】

???「……」

???「フフフ…。提督もお疲れ様です」

???「でもなんで駆逐艦なの?憲兵さんの処理もめんどくさいんですけど」

???「決まってるじゃないですか。特にああいう真面目な子たちは
    疑われにくいんですよ。何をしても、ですね」

???「お人形さんたちにはもっと頑張ってもらわなければ」

???「まだまだ、この世界を終わらせるわけには行きませんからね」

終わり。巷で言われる説をSSにしてみたくて即興で作りました
駆逐艦へのご褒美シーンは各自想像してね!

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