まどか「さみしいよ、ほむらちゃん」 (135)

ほむら「…こんな…!こんなひどい結末…!」

ほむら「…あなたはっ…!誰からも忘れられたまま…!」

ほむら「…永遠にこの宇宙に繋ぎ止められるのよ…!?」  

まどか「…それでもいいの」

まどか「私が決めたことだから」

まどか「それに、ほむらちゃんなら」

ほむら「…?」

まどか「私の最高の友達のほむらちゃんなら…」

ほむら「…」

まどか「…ちょっとだけ、本当の奇跡が起こるかもしれないよ」

ほむら「…まどか…まどかぁ!」

まどか「さよなら、ほむらちゃん」

 


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杏子「…バカ野郎…!自分が死んじまってどうすんだ…!」

杏子「…やっと、友達になれたってのに…」

マミ「…行ってしまったわ、円環の理に導かれて」

ほむら「…」

ほむら「…!」ハッ

ほむら「…杏子…マミ…?」

マミ「…暁美さん…?」

杏子「…」

杏子「…何泣いてんだ…お前」グスッ

ほむら「…えっ…」

ほむら「…な、何これ…」





杏子「…らしくねーな、ほむら」

杏子「…あんた…さやかとそんな仲良かったっけ…」グスッ

ほむら「…さぁ」

ほむら「どうかしらね」

マミ「…二人とも、今日はもう、帰りましょう」

杏子「…あぁ…」

ほむら「…えぇ」





マミ「…ふふ、遠慮しないでいいわよ」

杏子「…別にしてねーさ」

杏子「…たださ、食欲がねぇ」

ほむら「…」

マミ「…」

杏子「…なんだかなぁ」

杏子「…あたし、あいつと食う飯が一番好きだったんだ」

杏子「…さやかぁ…!」ポロポロ

マミ「…よしよし」





杏子「あ、あたし…!あいつにまだ…!な、にも言ってねぇ…!」

杏子「さ、よならも!ありが、とうも…!」ポロポロ

杏子「…大好きってことも…何一つ…!」
マミ「…うん、うん」

杏子「さやかぁ…!さやかぁ!」ポロポロ

マミ「そんな風に思われて…美樹さんは幸せ者ね」

杏子「…うぅぅわぁあああ…!」

ほむら「…」





杏子「…みっともねぇとこ、見せちまったな」

マミ「…あら、私は嬉しかったわよ」

杏子「か、からかうんじゃねぇ!」

マミ「…少しは落ち着いた?」

杏子「…うん、大分」

マミ「そう」

ほむら「…」

杏子「…ほむらも、すまん」

ほむら「え?」

杏子「…いや、情けないところを」

ほむら「別に何も思ってないわ」




ほむら「泣きたい時に泣けばいいじゃない」

ほむら「さやかが死んで悲しいのなら、泣けばいいのよ」

ほむら「魔法少女と言っても元人間、それくらいは許されるはずよ」

杏子「…ははっ、お前にかかると無理矢理にでも慰められちまうな」

ほむら「ふふ」

ほむら「その代わり、それ以上に、笑いたい時に笑いましょう」

マミ「ふふ、そうね」

杏子「…あぁ」





ほむら(…それにしても、魔法少女って)

ほむら(案外楽じゃないものね)

ほむら(…私の場合は扱いにくい弓矢が武器だし)

ほむら(何か別の攻撃方法を考えなくちゃ)
マミ「あら、もういいの?」

杏子「か、からかうなよ!」

ほむら「…」

ほむら(…二人に迷惑かけるわけには行かないものね)ニコッ





マミ「皆、昨日はよく眠れた?」

杏子「ばっちりさ」

ほむら「私も」

マミ「ふふ、じゃあ今日は手分けして魔獣を探しましょう」

杏子「おう」

マミ「私は病院に行くわ」

杏子「じゃ、あたしは学校だな」

ほむら「…私は…、そうね、公園にでも行きましょうか」

マミ「よし、じゃあ見つけたらテレパシーよろしくね」

ほむあん「了解」




ほむら「…」

ほむら(…あら?)

ほむら(そう言えば、このリボンいつからつけてるんだっけ?)

ほむら(…思い出せないわ)

ほむら(…魔法少女のコスチュームかと思っていたけれど)

ほむら(…そう言えば変身が解けても消えたりしないわね)

?「あー、うー」

?「まろかー!まろかー!」

ほむら「…!」

?「…?」




ほむら「僕、一人?」

?「うー?ねえちゃ!ねえちゃ!」

ほむら「お名前は?なんていうの?」

タツヤ「たつや!」

ほむら「ふふ、そっか、タツヤ君か」

ほむら「…私は、ほむらだよ」

タツヤ「まろか!」

ほむら「え?」

タツヤ「これ、まろか!」カキカキ

ほむら「…ま、ろか?」

タツヤ「えへへへ」





詢子「こらー、タツヤ、一人で出歩くなー」

詢子「…っと、ごめんね、うちの子が迷惑かけたかい?」

ほむら「…あ、いえ」

タツヤ「ほむら!ほむら!」

詢子「こーら、年頃の女の子の髪を触っちゃダメだぞ」

ほむら「ふふ」

詢子「見ない顔だね」

ほむら「最近越してきたんです」

詢子「あー、なるほど」




詢子「ってことはこの辺のことあんまりわかんないんじゃないのか?」

ほむら「…そうですね、今は友達に教えてもらいっぱなしです」

詢子「そうか」

タツヤ「まろか!まろか!」

ほむら「ふふ、そうなの?」

詢子「あはは、こいつの空想上の友達だよ」

ほむら「まろか?」

詢子「うーん、なんとなく、まどかだと思うんだけどね」

ほむら「…まどか」




詢子「あのくらいの子供はあーやって居もしない奴と遊ぶもんさ」

ほむら「ふふふ、でもタツヤ君楽しそう」

詢子「そうだな」

タツヤ「ほむら!ほむら!」

ほむら「きゃっ」

詢子「おやおや、どうやらまどかよりもあんたを気に入ったらしいね」

ほむら「…」

詢子「あんまり人懐っこいやつじゃないんだけどね」

詢子「ふふ、なんかあんたを見てると懐かしく思うよ」

ほむら「…」




ほむら「…懐かしく、ですか」

詢子「んー、まぁ大したことじゃないんだけどさ」

詢子「都会に出てまだ右も左もわかんないときのあたしそっくりだよ」

ほむら「…お母様と私が…」

詢子「あっはっはっ、お母様って!」

ほむら「…あ…」

詢子「くっひっひっ、もうタツヤをご予約かい?」

ほむら「そ、そんな!」



詢子「あはは、うそうそ」

詢子「だけどお母様はくすぐったいからさ、絢子さんとでも読んでくれよ」

ほむら「…絢子さん」

詢子「そうそう」

ほむら「ふふ」

詢子「そういやほむらちゃんの親もこっちにいるのかい?」

ほむら「いえ、私は病気の治療のために一人でこっちに越してきたんです」

詢子「ホントかい?若いのに対したもんだよ」

ほむら「…いえ、私なんて」




詢子「病気とやらはどうなんだい?」

ほむら「えぇ、もうすっかり治りました」

詢子「ふふ、そうか」

詢子「な、ほむらちゃん」

ほむら「え?」

詢子「たまにはまたこいつと遊んでやってくれよ」

ほむら「…」

詢子「どうやらあんたが気に入っちまったみたいでさ」

ほむら「私でよければ、是非」ニコッ

詢子「あはは、だってさ、良かったなータツヤ」

タツヤ「ほむらねえちゃ!」

ほむら「ふふ、よろしく、タツヤ君」




マミ「報告会」

杏子「始まるぜ」

ほむら「…」

マミ「私のところには何もなかったわ」

ほむら「それは?」

マミ「たこ焼き」モグモグ

杏子「あっ!ずりーぞ!マミ!」

マミ「大丈夫よ、みんなのも買ってきてるわ」

杏子「ひゃっほーい!」

ほむら「…はぁ」




マミ「真紅の幻影、佐倉杏子、結果報告よ」

杏子「んー、あたしのところも特になしだな」

マミ「それは?」

杏子「帰りにゲーセンよった、んで、UFOキャッチャーの景品」

マミ「遊びじゃないのよ!?」

杏子「あんたもだろ!」

ほむら「…ふぅ」




ほむら「…私のところも特に何もなかったわ」

杏子「おいおい、これだけいて収穫なしかよ…」

マミ「ちなみに暁美さんそれは?」

ほむら「…リボンよ」

杏子「ん?あんたそんな色の持ってたっけ?」

ほむら「…いえ、貰ったのよ」

マミ「可愛いリボンね」

杏子「そうだな、黄色いからマミにも似合いそうだ」

マミ「つけてみれば?」

ほむら「えっ…」



ほむら「ど、どうかしら?」

杏子「おー、リボン一つで変わるもんだな」

マミ「そうね」

ほむら「…あの赤いリボンだけじゃバリエーションも無いし」

ほむら「これも使ってみようかしら」

杏子「へへ、いいじゃん」

マミ「とっても良く似合うわよ」

ほむら「ふふ、ありがとう」




ほむほーむ

QB「ほむら、居るかい?」

ほむら「あら、QB、いらっしゃい」

QB「やぁ」

ほむら「こんな遅くにどうしたの?」

QB「いや、少し報告をね」

QB「おや、リボンを変えたのかい?」

ほむら「…えぇ」

QB「似合うじゃないか」

ほむら「あら、あなたお世辞をいうことあったの?」クスッ

QB「僕だっていうさ」



ほむら「それで、報告って何?」

QB「僕が君に報告と言ったら一つしかないだろう」

ほむら「…魔獣ね?」

QB「そうだよ」

ほむら「…」

QB「奴らが動き出したよ」

ほむら「…魔獣の群れね」

QB「うん」

ほむら「…到着はいつ頃?」

QB「来週の今頃だと推測できるね」

ほむら「そう、GCを集める時間はありそうね」

QB「もっとも君たち三人にかかれば容易くはないけれど無謀でもない」

QB「充分気をつけてね」

ほむら「えぇ、ありがとう」




ほむら(…ああ)

ほむら(…魔獣と戦う日々は大変だけれど)
ほむら(…契約して正解だったわ)

ほむら(自分の性格を変えるという願いが叶ったお陰でこんなにも素直になれたんだもの)

ほむら(あの頃の引っ込み思案な私はもういないわ)

ほむら(…さやかが居なくなってしまったのは悲しいけれど)

ほむら(…でも、頑張るね)

ほむら「…ふふ」

ほむら「これが充実してるって事なのね」




ほむら(さて、今日は魔獣は出てこなさそうね)

ほむら(念のためにパトロールするのもありだけど)

ほむら(ここは一つ、魔力の温存に努め)ドフッ

ほむら「っふぉっ」

タツヤ「えへへー、ほむらねえちゃ!」

ほむら「い、いったた…」

ほむら「あら、タツヤ君」

タツヤ「えへへー」

ほむら「お母様…ママは?」

タツヤ「あっち」

ほむら「井戸端会議ってやつかしら」

ほむら「ふふ、ママが話終わるまで遊んでよっか」

タツヤ「うん!」





ほむら「あはは、タツヤ君、それじゃ変だよ」

タツヤ「えー?」

ほむら「ここをこうして…」カリカリ

ほむら「ほら、ライオンさん」

タツヤ「わぁぁぁ…ほむらねえちゃすごい!」

ほむら「ふふ、ありがとう」

タツヤ「次、次、お馬さん!」

ほむら「お馬さんはね…」

タツヤ「きゃっきゃっ!」

ほむら「…ふふふ」




ほむら(…子供なんて面倒くさいばかりだと思ってたけど)

ほむら(案外どうして、すごく楽しいものね)

ほむら(…ふふ、タツヤ君かぁ)

ほむら(いいこね、本当にいい子)

ほむら「…」

ほむら「…だから、あなたもこんな時間から野暮はやめなさい」バシュッ

タツヤ「うー?」

ほむら「ちょっと待っててね、タツヤ君」




魔獣「ギャオオオオオオ」

ほむら「…はぁ、ほんと、どこにでも湧いてくるのね貴方達」

ほむら「…」ギリギリ

バシュゥ!

魔獣「ァァァァァァァァ…」

ほむら「これで、とどめ…!」

バシュゥ!

ほむら「…ふぅ」



ほむら「お待たせ、タツヤ君」

タツヤ「あー、ほむらねえちゃ!」

絢子「おー、ごめんね、ほむらちゃん」

ほむら「…あ、おか…絢子さん」

絢子「タツヤと遊んでくれたんだって?」
ほむら「いえ、遊ぶというほどでも」

絢子「良かったなー、タツヤ」

タツヤ「えへへ」

ほむら「ふふ、では私はこれで」

絢子「ちょいちょい」
 
ほむら「え?」





絢子「あんた、今日のご飯はどうするんだい?」

ほむら「ご飯ですか?」

ほむら「カロリーメイトと、ウイダー…」
絢子「はぁぁぁぁ!?」

絢子「何言ってるんだ!育ち盛りの女の子が!」

ほむら「…え?え?」

絢子「うちへ来な、本当の晩御飯ってやつを見せてやる!」

ほむら「で、でも、流石に…!」

絢子「ふふ、冗談さ、あんたに来て欲しいんだよ」

ほむら「…!」




絢子「なー?タツヤも来て欲しいよなー?」

タツヤ「うん!」

ほむら「…お邪魔じゃないですか?」

絢子「あはは、子供が遠慮するもんじゃないよ」

絢子「それにあたしは言いたいことはいうタイプなのさ」

絢子「食べにおいでよ、ウチの旦那のご飯は絶品だぞー?」

ほむら「…ふふ、じゃあ…お邪魔します」
絢子「おう、来い来い」

タツヤ「いっしょ!、ほむらー」

ほむら「ふふふ」




ほむら「お邪魔、します」

知久「やぁ、おかえ…ん?君は…」

絢子「あぁ、ほむらちゃん」

知久「流石にそれだけじゃわかんないよ、ママ」

絢子「タツヤのお姉ちゃんさ」

タツヤ「ほむらねえちゃ!」

知久「あぁ、そういう」

知久「いらっしゃい、ほむらちゃん」

絢子「ご飯ご馳走してあげてよ」

知久「ははは、作りがいがあるよ」




知久「へぇ、一人暮らしなんだね」

ほむら「はい」

知久「大変だろうね、君くらいの年じゃ」
ほむら「えぇ、友だちから教えられることばかりで」

知久「はは、いい友達を持ってるんだね」
ほむら「はい」

絢子「あれ?ほむらちゃん、そのリボンつけてくれたんだ」

ほむら「…あ、はい」

絢子「ふふ、似合ってるぞー」

ほむら「そ、そんな///」

知久「ははは」

タツヤ「ほむら、かわいい!」

ほむら「タツヤくんまで…///」

知久「あはは、出来たよ」





絢子「いただきまーす、ほら、タツヤも」
タツヤ「いただきまーす!」

知久「いただきます」

ほむら「…いただきます」パクッ

知久「どうかな?口にあってればいいけど」

絢子「パパの料理をまずいって言う筈ないさ」

ほむら「…!」

ほむら「…とっても、美味しいです…!」
知久「そう、よかった」

絢子「あ、昨日の飲みかけだったな」

知久「程々にね、ママ」

絢子「ほいほい」




絢子「ひひひ、それにしてもほうらちゃんはかぁいいねぇ」

ほむら「あ、あの、絢子さん」

知久「程々にっていったのに」

タツヤ「…すぅ、すぅ」

絢子「実際どーらい?告白されたりする?」

ほむら「こ、告白…?」

絢子「そうそう、ほうらちゃんくらいかぁいければされるらろ?」

ほむら「…いえ」

絢子「おや、意外らね」

ほむら「…男の人から告白されたことがありません」

絢子「…危険な香りがするれ…」

ほむら「…///」

知久「はいはい、ママ、そこまでだよ」

絢子「ぁんだよぉー」





絢子「くがぁー」

ほむら「…寝ちゃった…」

知久「ふふ、ほむらちゃんもゆっくりしておいで」

ほむら「いえ、手伝います」

知久「いやいや、お客に手伝わせたらママに怒られちゃうよ」

ほむら「で、でも…!」

タツヤ「…んん…ほむら…ねえちゃ…」

絢子「…良かったれぇ…タツヤ…姉ちゃんがれきて…むにゃ…」

ほむら「…」

知久「おやおや」

知久「…それじゃあ手伝ってもらおうかな、ほむらお姉ちゃん」

ほむら「…はい」ニコッ



知久「…」カチャカチャ

ほむら「…」カチャカチャ

知久「あ、そう言えばほむらちゃんは」

ほむら「はい?」

知久「見滝原中学に通ってるのかい?」

ほむら「はい」

知久「ふふ、この前そのあたりを通ったら女の子がいてね」

知久「ほむらちゃんと同じくらいの年だったけれど」

知久「いきなり怒鳴られたよ」

ほむら「…ええぇ…」


知久「なんでも僕の買物袋を見て泥棒だと思ったんだって」

ほむら「…なんでまた」

知久「ははは、僕の買い物袋が知り合いのものと同じだったんだ」

知久「名前を見せてあげたら謝ってきたけどね」

知久「これだよ」

ほむら「…あ、可愛い…」

知久「ははは、何でかな、ついつい買っちゃったんだ」

ほむら「…もしかしてお父様は…」

知久「ん?」

ほむら「あっ」

ほむら「と、知久さんは可愛い物好きなんですか?」




知久「さぁ、どうだろうね」

知久「嫌いじゃないけれど、好きってわけでも無いからなぁ」

ほむら「そうですか…」

知久「一人暮らしは辛いかい?」

ほむら「…少し…だけ」

知久「まぁそうだよね、どれだけしっかりしてると言っても君はまだ中学生だ」

ほむら「…」




知久「辛かったら、またおいで」

ほむら「…え?」

知久「はは、タツヤもママも、僕も君が気に入っちゃったんだ」

ほむら「そ、そんな、それは迷惑じゃ…!」

知久「迷惑だったら言わないよ」ニコッ

知久「またいつでもおいで、ほむらお姉ちゃん」

ほむら「…はい」

知久「これ、ママのアドレス」

ほむら「…ぁ」

知久「ははは、ちゃんと送ってあげてね、あぁ見えて寂しがりやだから」

ほむら「…はい」




ほむら「ありがとうございました」

ほむら「ご飯、とっても美味しかったです」

知久「使ってない部屋があるから泊まっていっても構わないのに」

ほむら「いえ…明日は朝が早いので…」

知久「ふふ、そっか」

ほむら「それでは…」

「…ほむらぁ!!!」

ほむら「…ひゃうっ!」ビクッ

絢子「…また、来いよぉ…ヒック…!」

ほむら「…!」

ほむら「…はい、今度は、もっとタツヤ君と仲良くなります」

ほむら「もちろん、絢子さんと、知久さんとも」ニコッ

絢子「…おぅ…ヒック…」



ほむら「…ふふ」

ほむら「ほむら、お姉ちゃんか」

ほむら「…なんかくすぐったいな」

杏子「お、ほむらじゃねーか」

マミ「あら、偶然ね」

ほむら「…あら」

杏子「なんだ?誰の家だ?あそこ」

マミ「ふふ、もしかしてお祝いコース?」
ほむら「…なっ…!だ、誰が…!」

ほむら「…あれあれあれ?」

マミあん「…?」

ほむら「…貴方達買い物帰り?」

マミ「?えぇ」

杏子「どうしたんだ?」



ほむら「…それ」

マミ「…あぁ、この買い物袋?」

マミ「佐倉さんが珍しくプレゼントしてくれたのよ」

杏子「ま、マミ…!」

マミ「可愛いでしょ?」

ほむら「…」グニー

杏子「ひょっ!?ふぁにふるんふぁよ!ほふら!」

マミ「いつも、ご飯作ってくれるお礼だって」

マミ「ふふ、改めてありがとう、佐倉さん」

ほむら「…」パッ

杏子「…いってぇな、なんだよいきなり…」

ほむら「…まぁ、マミ免じて許してあげる」

杏子「だからなんなんだよ…」




学校

「…」

ほむら(…やっぱりさやかが居なくなってから…)

ほむら(当然だけど…静かになってるわね)

ほむら(…)

恭介「…さやか…」

ほむら「…上條、恭介」




ほむら「…早いものね」

ほむら「あなたが居なくなってから、もう一週間」

ほむら「…死体は残らないけれど、名前は刻んであるわね」

ほむら「…」

ポツポツ

ほむら「…雨」

「…あ…」

ほむら「…!上條、恭介…」

恭介「…暁美さん…」




ほむら「…意外ね、あなたはここへは姿を見せないものだと思ったけれど」

恭介「…」

ほむら「…それは罪悪感からかしら?」

恭介「…さやかは…僕の腕が治って…誰よりも喜んでくれた」

恭介「…なのに僕は、あんなにひどいことを…」

ほむら「…」

ほむら「…私はね、上條恭介」

恭介「…」



ほむら「彼女とはいがみ合う仲だったけれど」

ほむら「…でも、そんな関係が嬉しかったの」

ほむら「本気で話せて、本気で喧嘩できて、本気で分かり合える」

ほむら「初めての人だったから」

恭介「…そっか」

ザァァァァァ

ほむら「…だから、私はあなたを許さない」

恭介「…!」

ほむら「…さやかを傷つけたあなたを許しはしない」

恭介「…」



「お、ほむら、こんなとこにいたのか」

ほむら「…!!」

杏子「…ん?誰だこいつ?」

恭介「…君は…?」

恭介「さやかの知り合いかい?」

杏子「…まぁ、そんなところだ」

恭介「僕は、恭介」

恭介「…上條恭介」

杏子「…!」





杏子「…上條…恭介…?」

ほむら(…まずいわね)

恭介「君もさやかの友達なのかい?」

杏子「…」

恭介「…さやかは幸せ者だね、こんなにも…」

ドゴォッ!!!

恭介「なっ…!」

杏子「てめーが、上條恭介か」

ほむら「杏子、やめなさい」グイッ

杏子「うるせぇ、離せ」パシッ

ほむら「…」



恭介「な、何を…」

杏子「…てめぇが、さやかを傷付けた奴か」

恭介「っ…!」

杏子「…許さねぇ、許さねぇぞ」

杏子「…お前見てぇな坊やのせいで…さやかが…どれだけ苦しんだと…」

杏子「どれだけ泣いたと思ってやがる…!」

恭介「…!」




杏子「…いじめてるだ?」

杏子「悲劇のヒロインぶって現実から逃げてりゃそりゃ楽だろうがよ」

杏子「…なんで、さやかに言うんだよ」

杏子「…てめぇは…」

杏子「てめぇなんかにさやかの何がわかるんだよ…!」グイッ

恭介「…」

ほむら「杏子、やめなさい!」

杏子「…なぁ、教えてくれよ、優等生」




杏子「さやかの何が悪かったんだ?」

杏子「どうしてあいつは死んだんだ?」

杏子「お前、どれだけ偉いんだよ?」

ドゴォッ!!!

恭介「がっ…!」

杏子「お前はもう、さやかの友達でもなんでもねぇ」

杏子「…さやかが嫌がるだろうから、もう何もしねぇが」

杏子「次ここに来たら、ぶっ殺す」

ザァァァァァ

ザァァァァァ

恭介「…ごめん、さやか」

杏子「遅いんだよ、今さら…!」ギリリッ




ザァァァァァ

恭介「…」

ほむら「…」

恭介「…さやかは」

ほむら「…」

恭介「さやかは、最後、何を思ったんだろう」

ほむら「…」

恭介「…」

ほむら「彼女は、いつでもあなたのことを思っていたわ」

ほむら「…だからこそ、杏子は許せないのよ」

ほむら「あなたみたいな人を最後まで思ったさやかと、助けられなかった自分自身をね」

恭介「…」




ほむら「もうここへは来ないことね」

恭介「…」

ほむら「きたら、次は本当に杏子に殺されるわよ、あなた」

恭介「…」

ほむら「…晴れないわね、空」

恭介「…そうだね」

ほむら「…帰りなさい、風邪をひくわよ」
恭介「…うん」



恭介「…さやか」

恭介「…どうしてあの時、あんなこと言っちゃったんだろうね」

恭介「…僕はあの時、なんていえばよかったんだろうね」

恭介「さやか…」

ザァァァァァ

ザァァァァァ

ザァァァァァ

さやか「わぁ」

恭介「…君は誰?」

さやか「すっごくきれいだね!それ!」

恭介「…」





さやか「もう一回引いてよ!」

恭介「…やだよ」

恭介「僕は、バイオリンなんてしたくないんだ」

さやか「えぇー、もったいないよぉ!」

さやか「すっごくきれいなのに!」

恭介「…」

恭介「ほんと?」

さやか「うん!」




恭介「…」~♪

さやか「…綺麗な音…」

恭介「さやかちゃんはそんなに好きなの?」

さやか「…えっ!?」

恭介「バイオリン」

さやか「あ、う、うん!」

恭介「…そっか」

恭介「どうして?」

さやか「えへへ、良くわかんない」

恭介「なんだよ、それ」

さやか「だけどね、恭介君の音楽を聴くととってもいい気分になれるんだ!」

恭介「…」

さやか「落ち込んでる時も、そんなのどっかに行っちゃうの!」

恭介「…ありがとう」

さやか「…?」

恭介「…よかったら、また聞きに来てね」
さやか「えへへ、うん、またくる!」

ザァァァァァ

ザァァァァァ

ザァァァァァ



恭介「…」

恭介「どうして」

恭介「どうして忘れていたのかな」

恭介「…あれは、さやかのためのものじゃないか…!」

恭介「…さやかっ…!」

恭介「僕はまだ、君に何も伝えてない!」
恭介「ありがとうも…!さよならも…!」
恭介「…さやかっ…!」ダッ




恭介父「…ん?恭介、どこに行くんだ?」
恭介「…うん、ちょっとね」

恭介父「今日はやめなさい、ひどい雨だ」
恭介「そうも行かないよ」

恭介父「うん?」

恭介「…やることがあるんだ」

恭介「…やり残したことが、あるんだ」

恭介父「…」

恭介父「余りそれを雨に濡らすと良くない」

恭介父「なるべく早く帰ってくるんだよ」
恭介「…うんっ…!」



杏子「…」

ほむら「…」

マミ「…」

ほむら「…ひどい雨ね」

マミ「そうね、なんだってこんな日に魔獣が出るのかしら」

杏子「うだうだいったってしゃーねーさ」
杏子「…あ、ちょっと待っててくれ」

ほむら「…いいわよ、さやかでしょ」

マミ「ふふふ、私たちも行くわ」

杏子「…へへ、すまねーな」




恭介「…はぁ…はぁ…」

恭介「…あ…」

ザァァァァァ

ザァァァァァ

ザァァァァァ

杏子「…」

杏子「…何しに来たんだ?坊ちゃん」

杏子「…どうやら昼間のじゃ懲りてないようだな」

マミ「さ、佐倉さん?」

ほむら「…杏子、やめなさい」




杏子「…だったら、お望み通り殺してやるよ」

杏子「…!」

杏子「…てめぇ、そりゃあ…」

恭介「…ごめん」

恭介「…僕が臆病だった」

恭介「…あの日の自分に向き合いたくなくて」

恭介「僕は…大きな間違いを犯すところだったよ」

杏子「…」パッ




恭介「…」

杏子「…下手な演奏したらただじゃ置かねぇぞ」

恭介「うん」

マミ「…」

ほむら「…」

恭介「…さやか」

恭介「僕はね」

恭介「…僕の音楽を聴いてくれる君の笑顔が見たくて」

恭介「だから、バイオリンが続けられたんだよ」


恭介「…ありがとう」

恭介「君とあえて、僕は幸せだった」

恭介「君のことを絶対に忘れない」

恭介「君が、好きだ」

~♪

~♪

マミ「…アヴェ・マリア」

ほむら「…綺麗ね」

ザァァァァァ…



~♪

~♪

~♪

君とすれ違ったこともあった

君と喧嘩した日もあった

だけど今は、それが全て愛おしい

ありがとう、さやか

~♪

杏子「…さやか」

杏子「…さやかぁぁ…!」ポロポロ

笑いあった日も、そっと寄り添った日々も

忘れる事なく、覚えているよ

ほむら「…あ」

マミ「…雨が…」

神様、もしいるのなら

どうか天国にいるさやかに

この音色に乗せて、僕の感謝を

この音に乗っていけ

僕の気持ち




~♪

~♪

ポツポツ…

ポツポツ…

ポツ…

君のことを絶対に忘れない

~♪

恭介「…ありがとう…」

恭介「…さよならぁ…!」

恭介「…さやかぁぁぁぁぁ…!!!」

ほむら「…晴れたの、かしらね」

マミ「…ええ」





杏子「…悪くなかったよ」

恭介「…そうかい」

恭介「…」

杏子「…」

恭介「…」

杏子「ぐしゃぐしゃじゃねーか、顔」

恭介「…君もね」

杏子「…ふ」

恭介「…はは」

「あっははははは!」




恭介父「…おや、ずぶ濡れじゃないか」

恭介「…うん」

恭介父「…用事は住んだかい?」

恭介「…うん」

恭介父「…」

恭介「…」

恭介父「…届くさ」

恭介「…!」

恭介父「何たって彼女は、お前の一番のファンだったんだから」

恭介「…うん…!」




ほむら(…幸せね)

ほむら(…最近の充実した日々)

ほむら(…ふふ、明日は何が起こるのかしら)

ほむら(こんなに明日が楽しみだなんて)
ほむら(…あ、リボン)

ほむら(…)シュルッ

ほむら(…明日はどっちをつけようかな)
ブーッブーッ

ほむら「…あ、絢子さんからだ」

ほむら「…ご飯、か」

カチカチ

ほむら「…ちょっと、図々しいけど…どうかしら」

ブーッブーッ

ほむら「…」

『もちろんさ、またタツヤの姉ちゃんが増えるな!』
 
『あたし達にも紹介してくれよ、ほむらちゃんの友達!』

ほむら「…ふふ」

ほむら「…幸せ、だなぁ」






杏子「…な、なぁ、ほんとに行ってもいいのか?」

ほむら「歓迎してくれるそうよ」

マミ「ふふふ、佐倉さんが緊張するなんて」

杏子「ば、バカ野郎、人様の家に迷惑は…」

ほむら「じゃあやめる?」

杏子「…い、行く」

ほむら「ふふふ」

「…」

恭介「…そ、それで僕もかい?」

杏子「なんだよ?不満か?」

恭介「い、いや、流石に男が僕一人っていうのも…」

杏子「いいんだよ、お前のバイオリン、聞かせりゃいいじゃないか」

杏子「ただし泣くのは勘弁な」

恭介「…君もね」

杏子「なんだとコラァ!」

恭介「ぼ、暴力反対!」

マミ「ふふふ」

ほむら「…ふふ」ニコッ




絢子「お、いらっしゃーい」

絢子「ひゃあー、結構連れてきたねぇ」

絢子「お、まだそのリボンしてくれるのかい?ほむらお姉ちゃん」

ほむら「ふふ、はい」

タツヤ「あー、ほむらねえちゃ!」

ほむら「こんにちは、タツヤ君」

マミ「こ、こんにちは」

絢子「おっ、ほむらちゃんの友達…」

絢子「…でかいね」

マミ「なっ、何がですか!?」



杏子「…あぁぁぁぁぁーーーー!!!」

知久「え?」

杏子「あ、あんたあんときの…!」

知久「…あぁ、赤い髪の…」

杏子「す、すまんかった!わ、悪気があったわけじゃ…!」

知久「あはは、いいよ別に」

杏子「だ、だけどよ…!」

知久「はは、じゃあ具材を運んでくれるかい?」

杏子「お、お安い御用だ!」




絢子「おやぁ、この美少年は誰だ?」

恭介「…あっ、その…」

ほむら「ふふ、わたし達の友達です」

恭介「…!」

絢子「ほー、そうか」

絢子「ほむらちゃんはやらんぞー!」

恭介「そ、そんなんじゃあ…!」

ほむら「大丈夫ですよ、私は恭介君じゃないですから」

ほむら「…もう先客がいますから」

絢子「かぁー、ませてるねぇ、最近の子供は!」



マミ「ふふ、皆でバーベキューなんて初めてだわ」

ほむら「私もよ」

絢子「なんるぁ?やったことないろか」
 
絢子「ひひひ、マミちゃん、ほい」

マミ「あ、どうも」ゴクッ

杏子「恭介ー!一曲頼むぞー!」

恭介「…えぇ、いきなりだな、もう」

知久「…お、アヴェ・マリアか」

知久「綺麗だね」




ほむら(…少し前まではこんなこと考えもしなかった)

ほむら(…本当に、今が楽しいわ)

マミ「…暁美しゃん」

ほむら「え?何…?…しゃん?」

マミ「…」

マミ「…うぇぇぇええええん…!」

ほむら「ええええええ!?」

絢子「あっひゃっひゃっひゃっ!!!!」
ほむら「ど、どうしたのよ!マミ!」

マミ「…嬉しくで…!涙が出るのよぉ…!」

知久「こらママ、飲ませちゃダメだよ」

絢子「ひゃっひゃっひゃっひゃっ…うっ、げほぉっ!!!」



杏子「恭介ぇ!」

恭介「え?」

杏子「…ねるなぁ!」

恭介「ね、寝てないよ」

杏子「ひゃっひゃっひゃっひゃっ!!」

恭介「…」

恭介「…これ、アルコール…」

杏子「…だいたいなぁ、お前は分かってねぇんだよ」クドクド

恭介「…はぁ…」





タツヤ「…」

ほむら「あら?タツヤ君、どうしたの?」
タツヤ「…ほ、ほむらちゃん」

タツヤ「お、おトイレ」

ほむら「あらあら」

ほむら「行きましょう」

タツヤ「…う、うん」





ほむら「…ふぅ、終わった?」

タツヤ「…ほむらちゃん」

ほむら「…なぁに?」

タツヤ「…私だよ」

ほむら「…え?タツヤ君?」

タツヤ「…私だよ」

タツヤ「…鹿目、まどかだよ」

ほむら「…?」

ほむら「…どうしたの?タツヤ君」



タツヤ「…」

タツヤ「奇跡は起こらなかったんだね」

ほむら「…タツヤ君、どうかしたの?」

タツヤ「…」カクン

タツヤ「…あー、うー!」

タツヤ「あ、ほむらねえちゃ!」

ほむら「…え、えぇ?」

タツヤ「きゃはははは!!」

ほむら「…ふふ、変な子ね」ニコッ

タツヤ「あー」

ほむら「…あら、赤いリボン、ポケットに入れてたのね」

タツヤ「きゃははは」

ほむら「ふふふ」


(…やっぱり、覚えてないんだね)

(奇跡は、怒らなかったんだね)

(…あはは、うん)

(…少しそんな気がしてたの)

(…奇跡が起こるなんて、有り得ないって)

(…ねぇ、ほむらちゃん)

(…今、あなたは幸せかな)



タツヤ「…」

タツヤ「奇跡は起こらなかったんだね」

ほむら「…タツヤ君、どうかしたの?」

タツヤ「…」カクン

タツヤ「…あー、うー!」

タツヤ「あ、ほむらねえちゃ!」

ほむら「…え、えぇ?」

タツヤ「きゃはははは!!」

ほむら「…ふふ、変な子ね」ニコッ

タツヤ「あー」

ほむら「…あら、赤いリボン、ポケットに入れてたのね」

タツヤ「きゃははは」

ほむら「ふふふ」

>>84
ミス



タツヤ「…あー!」

ほむら「…え?これ?」

タツヤ「…きゃははは」

ほむら「欲しいのこれ?」

ほむら「ふふ、いいわよ、私には新しいリボンがあるもの」

ほむら「大事にしてね?」

タツヤ「あい!」





まどか「寂しいよ、ほむらちゃん」





まどか「あなたに触れたい…」

まどか「あなたと話したい…!」

まどか「…ほむらちゃんに、会いたいよぉ…!」

まどか「…うっ…!うぇ…」

まどか「…うぇえええええん…!」

まどか「…うわぁぁぁぁぁん!!!」




ほむら「あはは、引っ張っちゃダメだよ、タツヤ君」

タツヤ「きゃっきゃっ!!」




ほむら「今日はご馳走様でした」

知久「うん、僕たちも楽しかったよ」

杏子「ごっそーさん!」

マミ「ご馳走様でした」

恭介「ご馳走様でした」

知久「ふふ、3人は一人暮らしだってね」
知久「多く作りすぎちゃったから持って帰るかい?」

杏子「えっ!?マジか!マミ!貰おうぜ!」

マミ「…もう、佐倉さんたら」

知久「あはは、はい、どうぞ」





杏子「いやー!うまかったなぁ!」

ほむら「ふふ、そうね」

マミ「楽しかったわね」

恭介「知久さん、詳しかったなぁ」

ほむら恭介(…でもお酒は勘弁して欲しい)

杏子「…ふぁー」

マミ「あらあら、眠いの?」

杏子「んー、ちょっとな」

ほむら「あ、私はここで」

杏子「おう、じゃなー」

マミ「さよなら、暁美さん」

恭介「さようなら、暁美さん」

ほむら「ええ、さようなら」



5日後

QB「凄まじい障気だね」

ほむら「…そうね」

杏子「あたしらなら大丈夫さ」

マミ「…えぇ、でも、油断しないで行きましょう」

魔獣「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

ほむら「たぁぁぁぁっ!」

杏子「らぁぁっ!!!」

マミ「ティロ、フィナーレ!」

ズドオオオオオ!!!



QB「気をつけて!まだ生きているよ!」
魔獣「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

ほむら「…しまっ…!」

ドォッ!!

ほむら「…か、ふ…」  







ほむら「ここは…」

ほむら「…?あなたは誰?」

「…」





「…忘れちゃったんだね、ほむらちゃん」

「うん、仕方ないの」

「…だってそうなったのは私のせいだもん」

「ほむらちゃんの反対を押し切って、契約したのは私だもん」

ほむら「…」

ほむら「…あなた、誰?」

ほむら「私になんのよう?」

「…」

「…まどか」

ほむら「…」

まどか「鹿目、まどか」




ほむら「…まどか?」

ほむら「見たところ魔法少女のようだけど」

ほむら「…ところでここはどこなの?」

ほむら「…この空間は、何?」

ほむら「…あなた、敵?」

まどか「…!」ジワッ

まどか「…そっ…か」

まどか「ウェヒヒヒ、私ったら馬鹿だなぁ」

まどか「覚悟してた筈なのにね」

ほむら「…」




まどか「そうだよね、そんな奇跡がある筈がない」

まどか「…だって、奇跡があるなら」

まどか「…そんなっ…奇跡がある、なら…」

まどか「…ほむらちゃんは…あんなに辛くなかったもんね…!」ポロポロ

ほむら「…」

ほむら「…要領を得ないわ」

ほむら「…ここから出しなさい」

まどか「…」ポロポロ




まどか「ほむらちゃん」

ほむら「…何?」

まどか「私は感謝してる」

まどか「例えほむらちゃんが覚えてなくたって」

まどか「私は絶対にあなたを忘れない」

ほむら「そう」

まどか「…だから」

まどか「…だ、から…っ!」




まどか「幸ぜに…なっで、ね…!」ポロポロ






杏子「…おい!ほむらっ!」

マミ「暁美さん!起きて!」

ほむら「…ん、んん…」

ほむら「…あら」

ほむら(…変な夢を見たのね)

杏子「後ちょっとだ!一気にいくぞ!」

マミ「行くわよ!」

ほむら「…えぇ」

ほむら(…幸せ?)

ほむら(…私はもう、幸せよ)


ドゴォォォォン!!





杏子「ふぃー、ほむらぁ、ヒヤッとさせんなよぉ」

ほむら「済まないわね、ちょっと油断していたわ」

マミ「もう、気が抜けるのもわかるけど気をつけてよね」




ほむら「……まどか」

杏子「…は?」

マミ「誰?その人」

ほむら「…いえ、何となく」

ほむら「言ってみただけよ」

杏子「なんだそりゃあ」 

ほむら「…」





ほむら「…まどか」

ほむら「…まどか、ね」

ほむら「…そう言えば、タツヤ君も言ってたっけ」

QB「やぁ」

ほむら「もう、いきなり出てこないでよ」
QB「ごめんごめん」

ほむら「何の用?」

QB「…いや、少し気になることがあってね」

ほむら「気になること?」




QB「ほら、今日は君が一撃もらっただろう?」

ほむら「…あぁ、そう言えば」

QB「あの時少しおかしなことが起こったんだ」

ほむら「おかしなこと?」

QB「うん」

QB「周りのね、魔獣たちの動きが少しだけ止まったんだ」

ほむら「…なんですって?」

QB「まるで君に止めを刺さまいとしているようだったよ」

ほむら「…」




QB「なにか思い当たることはないかい?」

ほむら(…あるとすれば)

ほむら(あの時、とんだ意識の中で…)

ほむら(…私は空想上のキャラクター、まどかにであった)

QB「…どうかな?」

ほむら「…少しだけ、不思議なことがあったわ」

QB「…」





QB「なるほどね」

QB「これで合点がいったよ」

ほむら「なんですって?」

QB「おそらく魔獣を操っているのはそのまどか、という存在だよ」

ほむら「…」

QB「どうして君を殺さなかったかは置いといて、明らかにあの魔獣達は様子がおかしかった」

ほむら「…」

QB「ということは」

QB「…そのまどか、というのを叩けば」

ほむら「…魔獣が居なくなるかも、しれない」

QB「無論僕には接触方法なんて見当もつかない」

QB「たけど一度接触できた君ならどうかな?」

ほむら「…」




ほむら「…つまりあなたは」


ほむら「まどかという魔獣の親玉がいて」

ほむら「何故だか分からないけれど私を助けたと言いたいのね」

QB「そうだね、おそらく君を何らかの形で利用しようとしたんだろうね」

ほむら「…ふん」

ほむら(幸せになってね、か)

ほむら(彼女の言う幸せが何なのかはわからないけれど)

ほむら(…私は、もう迷わない)






まどか「…違うよ…」

まどか「違うよ、ほむらちゃん…!」

まどか「わっ、私はっ…私は!」

まどか「ほむらちゃんのために…」

まどか「ほむらちゃんのために…!魔獣を…!」



ほむら「…私たちが幸せに生きていくためには」

ほむら「魔獣という存在を消さなければならない」

ほむら「…いいわ、そのまどかと言う存在を」

ほむら「私が消してやる」

まどか「…ほむら、ちゃん…!」ポロポロ

まどか「…ぅ、ぁ…ぐっ…えぇええええええ…!!」ポロポロ




杏子「…さて、今日もいつもどおりだが」

マミ「…そうねぇ」

ほむら「…」

杏子「どうしたんだよ、ほむら」

マミ「凄いポケーっとしてるわよ」

ほむら「…!、そ、そうかしら…」

ほむら(…接触してくるとしたら、夜)

ほむら(もっと言えば魔獣のいる夜)

ほむら(…私たちの平穏のために、あなたには消えてもらうわ、まどか)

まどか「…」




魔獣「…グオオオオオオオオ!」

杏子「出やがったな!」

マミ「やぁっ!」

ほむら「…たぁぁぁぁっ!」

杏子「…ほむら、突っ込みすぎるなよ」

ほむら「…えぇ」

魔獣「グオオオオオオオオ!!」

ほむら「…!」

ほむら(…景色が、意識が…!引き伸ばされる…!)


ほむら「…また、あったわね」

ほむら「…まどか」チャキッ

まどか「!!」

ほむら「あなたは、魔獣の親玉なの?」

ほむら「QBはあなたが魔獣を操ってると言っていたわ」

ほむら「…どうなの?」

まどか「…」

ほむら「…沈黙は肯定とみなすわ」ジャカッ

まどか「…うぅ…うわぁぁ…」ポロポロ

ほむら「…!泣いていたらわからないわ!!!」



「…誰にそれを向けてんだ」

ほむら「…!」バッ!




「…誰にそれを向けてんだよ!ほむらぁ!!!」

ほむら「…あなた…」

ほむら「…美樹さやか…!?」

さやか「…ほむら、あんた…!!」

ほむら「な、何故あなたが…!そもそもここはどこなの!?」

さやか「…ほむら」

ほむら「…え?」

さやか「ばかぁっ!!!」バシイッ!

ほむら「…いっ…!」

さやか「…あんたって、ほんと…!」

ほむら「何を…!」

さやか「…私からは何も言えないよ」




ほむら「…だったら…」

さやか「…これは、あんたが気付くべきことだから…」

ほむら「…何を言ってるのよ!」

ほむら「私は…!幸せのために…!」

さやか「奇跡は起こらなかった」

さやか「あんたがどれほど望もうとも、ほんの少しの奇跡も起こらなかった!!」

ほむら「…何を…!」

さやか「だったら、起こせよ!」

さやか「あんた自身が、起こすしかないんだよ!!」

ほむら「…!」



さやか「…気付けほむら」

ほむら「…」

さやか「…あんたの瞳は何を見ていたの?」

さやか「あんたはどうして契約したの?」

ほむら「…私は…自分の性格を…」

さやか「あのリボンは、誰のだよ!」

ほむら「…!!!」



皆、あなたのことを忘れて

ほむら「…ぁ…」

大丈夫だよ

ほむら「…あぁ…!」

きっと、ほんの少しなら、奇跡は起こるから

ほむら「あぁぁ…!ぁぁぁあああぁ!!!」

さやか「まどかが作り替えた世界で」

さやか「まどかのことを覚えているのは、覚えているべきなのは、あんたしかいないよ」

ほむら「…私は、私は…!!!」

まどか「ほむらちゃん…」







まどか「…大好き」ポロポロ

ほむら「!!!!!!」



杏子「…チッ、ほむらのやつどこに行った!?」

マミ「佐倉さん、まずは目の前の敵よ!」
杏子「…くそ、どけえええええええ!!!」

魔獣「…グオオオオオオオオ…!」 

マミ「…暁美さん…」

マミ「…早く帰ってきてね…!」







今からもう、ずっとずっと昔

この世界ができる前に

一人の女の子がいた

彼女は大好きな人を助けるために

自分の時間を犠牲にしてまで戦った

だけどそれでも、絶望は覆らず

最後には、守るべき女の子に守られて、彼女は全てを忘れた

どれだけ居心地が良くても、どれほど過ごしやすくても

きっと、あの時の彼女なら、全てを忘れて生きることは

望まない




ほむら「…タツヤ君に、返してもらわないと」

ほむら「…あなたとの、絆の証」

ほむら「…ごめんね、まどか」

ほむら「…愛してる」





魔獣「グオオオオオオオオ!!!」

杏子「くそっ!きりがねぇ!」
 
マミ「まだよ!諦めちゃダメ!」

杏子「…!」

杏子「…ほむら…!」

ほむら「…遅れてごめんなさい」

マミ「暁美さんっ!

ほむら「…即効で片付けるわよ」ドガドガドガ!

杏子「…へへ」

マミ「…ふふふ」

ドゴォォォォン!!

杏子「…やったか」

マミ「ええ」

ほむら「…」





ほむら「…まどか」

ほむら「…まどかぁ…!!」

ほむら「…あなたに、触れたい」

ほむら「…あなたと、話したい」

ほむら「まどかに、逢いたいよぉ…!!」
杏子「…?」

マミ「…今はそっとしておきましょ」

杏子「…あぁ」

ほむら「…うぅ…うううぅ…!!」ポロポロ




ピンポーン


絢子「…はーい、お、ほむらちゃん」

ほむら「おはようございます、詢子さん」
詢子「おーう、おはよう」

詢子「今日は友達一緒じゃないのかい?」
ほむら「…はい」

詢子「…どした?

ほむら「…タツヤ君はいますか?」

詢子「タツヤ?」  

詢子「おーい、タツヤー、ほむらちゃんだぞ!」

ほむら「…」

ほむら「おはよう、タツヤ君」

タツヤ「…あー!ほむらねえちゃ!」 





ほむら「…ごめんね、タツヤ君」
 
ほむら「…そのリボン、返してもらえないかな」

タツヤ「…うー、これ?」  
 
ほむら「うん」


タツヤ「…あー…」

ほむら「…ダメ、かな?」

タツヤ「…はい!」

ほむら「…!」  

タツヤ「きゃはは!まろか!まろか!」

ほむら「…あはは、うん…」

ほむら「…!」

詢子「おー、なんだ、ほむらちゃん」

詢子「「大好きだよ」?へー、リボンに書くなんてお熱いじゃんか」

タツヤ「まろか!まろか!」

ほむら「…うん、うん…!」ポロポロ

ほむら「…まどか…だね…!!」ポロポロ






忘れないで

あなたのことを覚えている人がいる

あなたの勇気を私は忘れない 

ほんのちょっとの奇跡すら許さないこんな世界

だったら、起こしてしまおう

奇跡よりも、奇跡らしい奇跡を  

私はもう、二度と忘れない

だから、待っていて

もう一度、あなたと出会える日を

もう一度、あなたの笑い合う日を


杏子「…さて、行くか」  

マミ「…ええ!」

 
ほむら「…行くわよ」  






もう一度、貴方と巡り会える日を、信じて

ほむら「やっと導かれたわ!」
まどか「ごめん誰?」
さやか「年月って怖い」
ほむら「うわぁぁぁ!」


お疲れ様です
書きためてたけど途中でなにがなんだかわかんなくなりました
見てくれた人はありがとう
お目汚しすいません
またいつか

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