勇者「ついにやったぞ!」 執事「お祝い申し上げます」(281)

勇者「ハッハッハァ、これが勇者の紋章!執事わかるだろ?!」

執事「はい、紛れもなく勇者の紋章でございます」

勇者「ついにやったぞ!俺様もついに目指す勇者になれたのだ!」

執事「お祝い申し上げます」

勇者「さて・・・次は、そうだな」

勇者「仲間を引き入れなければな!勿論俺様好みだ!」

執事「それならばこの町の酒場が最適と聞きます」

勇者「ほう、では俺様自ら出向いて選別するか!」

<王国・酒場>

バァン

勇者「たのもう!来たる旅の道程を友にする仲間を、俺様自ら雇いに来てやったぞ!」

ザワ・・・ザワ・・・

* 「なんだアイツ・・・この暑さにあてられたか?」

** 「キチガイなんてしったこっちゃねぇよ。それより昨日さ・・・」

バニー「お客様、紹介場はこっちですじゃ」

勇者「ほう!では案内しろ!」

バニー「了解しましたですじゃ」

勇者「ところで、この国では魔物が職につけるのか?」

バニー「そのような事は認めておらんはずじゃが・・・」

勇者「そういう貴様には耳がついてるではないか。不法就労か?んん?」

バニー「な、何を言っておるんじゃ?!ほれ!」パッ

勇者「!」

バニー「飾りに決まっておるじゃろうが・・・」

勇者「・・・なるほど!」

勇者「ハッハッハ!一本取られたな!いや全く!不覚であった!」

執事「切れ者でございますね」

勇者「まったくその通りだな!ハッハッハァ!」

バニー「」ポカーン

勇者「ハッハ!・・・ところで」

バニー「ああ、すまんの、案内がまだじゃったな」

勇者「そういう訳では無いのだがな・・・ほうほう」

バニー「な、なんじゃ?ジロジロと・・・」

勇者「ほう!貴様、特技などあるか?」

バニー「特にはなにも無いが・・・」

勇者「魔術の心得は?」

バニー「氷魔法を少し・・・」

勇者「ふむ・・・よかったな!執事、早くも魔法使い枠は埋まったようだ!」

執事「お祝い申し上げます」ペコリ

バニー「な、なんじゃと!?」

勇者「よし、貴様早く案内s」

バニー「ちょっと待たんか!」

勇者「店の者なら黙って案内するがいい」

バニー「あ、失礼しましtじゃない!そうじゃ、わしは店員じゃ!」

勇者「なんだ、それがどうかしたのか?」

バニー「店員は傭兵でないからやとえぬぞ!」

勇者「そうか・・・だが店から買って引き抜けばいいだろう」

バニー「はぁ?!」

勇者「選ぶついでに店主に掛け合うか!アッハッハ!」

勇者「よう、店主。イキのいい戦士と僧侶は居ないか?」

店主「僧侶はおりますね。あと戦士はおりませんが剣士はおります」

勇者「そうか、でかした!連れて来てくれー・・・っと、もう一つ」

勇者「この不法就労者も雇いたいのだが」グイッ

バニー「いたた、誰が不法就労者じゃ!店主殿断ってくだされ!」

店主「よろしいですよ」

バニー「な、な!」

勇者「よし!そうと決まれば連れて来い!」

店主「かしこまりました」

執事「勇者様、今後のご予定に変更はございませんか?」

勇者「無いな、むしろ計画通りと言ったところだ!」

バニー「執事殿、その予定の中にわしのパーティー解雇予定も加えてくれぬかの・・・」

執事「既に入っております。」

バニー「ほ、本当か?!」

執事「はい。それと予定の変更、追加、削除は勇者様の権限ですので」

執事「今後の予定の変更は勇者様を通してお願いします」ペコリ

バニー「は、はい・・・」ペコリ


店主「お連れしました」

勇者「おう!待ってました!」

>>6
不法就労者wwwwwwwww

剣士「こ、こんにちは」

僧侶「おっす」

勇者「ほうほう!俺様にはわかる、貴様等は磨けば光る原石だ!」

勇者「セオリー通りではないが・・・雇ってやるぞ!アッハッハァ!」

僧侶「高飛車過ぎんのが気に食わないけど、よろしくな」

剣士「よろしくお願いします・・・」

勇者「図らずも個性溢れたパーティーになってしまったな!」

バニー「お主から洪水しておる個性に勝る者はおらんじゃろうな・・・」

<町中>

勇者「よーし、次の予定は部具の選定だったな?」

執事「いえ、勇者様、昼食のご予定がございます」

勇者「そうかそうか、腹が減っては死んでしまうな!」

バニー「大袈裟じゃのう・・・」

グウウ~・・・

剣士「あっ・・・///」

勇者「ほれみろ、剣士が瀕死らしい!」

剣士「え?い、いえ・・・///」

僧侶「アタシも腹が減ったな」

執事「では皆様、こちらです」

勇者「うむ、案内してくれ!」

<某食事処?>

勇者「ついたぞ!」

僧侶「へぇ・・・酒場の近くにこんな所あったんだね」

バニー「貸し切りじゃな」

剣士「隠れた名店・・・でしょうか?」

バニー「聞いたことも無いんじゃが・・・店名もしらんし」

執事「では注文をお取りしましょうか」

勇者「俺様はチキンライスで、あ、グリンピースは抜いてくれ」

僧侶「軽めにパンとコンソメスープで」

剣士「ええと・・・ラーメンで//」

バニー「バラバラじゃな・・・わしは剣士と同じで」

執事「かしこまりました、少々お待ちください」イソイソ・・・

バニー「な・・・執事が厨房に入ったぞ」

勇者「なんだ知らんのか?ここは俺様所有の厨房だ。極たまに俺様がここで食事するためのな」

バニー「店でもないのに知るも知らないも無いじゃろうが」

剣士「執事さんが作ってくれるんですか?」

僧侶「そうみたいだな、ほらあそこ」

執事「・・・・・・」ザザザザクッ

剣士「す、すごい包丁さばきですね・・・キャベツの千切りなんて」

勇者「剣士なら刃物には慣れてるだろ。貴様も千切りできるのではないか?」

剣士「その・・・剣と包丁は違うので・・・」

バニー「無茶振りじゃな・・・わしは手伝ってくる」

勇者「不法就労時代を彷彿させるな」

バニー「ついさっきまでのことじゃろうが!後不法就労なぞしてはおらんー!」

剣士「いただきますー」

僧侶「いただきます」

バニー「いただきますじゃー」

執事「どうぞお召し上がりください」

勇者「・・・・・・おい・・・おい!」ワナワナ

剣士「どうしました?勇者さん」

勇者「俺様のチキンライスに『『グリンピース』』が入っているのだが!!!」

バニー「わしを不法じゃ不法じゃと言っておった罰じゃな」ハフハフ

勇者「なんだと貴様!これでは俺様が腹をすかせて死ぬだろうが!」

バニー「好き嫌いせず食うんじゃな、ぬははは!」

勇者「おのれ・・・グリンピースが触れた半径1cm以内の飯粒を除いてしまえば食うところが無いだろうが!」

勇者「貴様のそれと交換しろ!」バッ

バニー「た、たわけ!食いかけなんぞお主に譲れる訳が無かろうが!」

僧侶「食うときくらい静かにしてほしいもんだけどな・・・」

剣士「あはは・・・で、でも、安心した」

僧侶「なんでだ?」

剣士「勇者さん、変わった方みたいで、始めは恐かったけど・・・」

僧侶「・・・だめだよ、まだ胡散臭い」

剣士「そ、そうかな・・・」

僧侶「様子見ないとよくわかんないけどな」

剣士「う、うん・・・執事さん」

執事「はい、いかがなさいましたか?」

剣士「おかわり・・・それと、一味唐辛子・・・お願いします」

執事「かしこまりました」

僧侶「・・・お前体小さいくせによく食うよな」

剣士「そ、そうかな?」

僧侶「すでに3杯食っておいて余裕だな」

剣士「次ラストだから・・・」

<町中>

勇者「どこぞの不届き千万な輩のおかげで昼がのびたラーメンになったわ・・・ウプッ」

バニー「グリンピースもロクに食えん軟弱が勇者とはのぅ~」

勇者「この!・・・ウプッ」

執事「勇者様、お薬をば」

勇者「うむ、すまない・・・」

僧侶「お前もあれだけ真っ赤なラーメン食ったんだから薬貰ったらいいんじゃないか?」

剣士「あ、いえ・・・おいしかったですよ・・・?」

僧侶「辛党こじらせ過ぎだっつの・・・」

勇者「次は部具選びか!気合いが入るな!ハッハッハァ!」

バニー「ああ、復活してうるさくなってしもうた・・・」

<武具屋>

バタァン

勇者「たのもう!武具を選びに来てやったぞ!店長はどこだ!」

店員「は、はい!呼んでまいります!」

僧侶「でっか・・・」

剣士「ほぁ~・・・」

執事「この施設も勇者ざまの・・・失礼しました、勇者様の施設です」

バニー「あやつ何者じゃ・・・」

勇者「・・・おい!貴様!」

剣士「は、はい!」

勇者「装備整えるからこちらへ来るんだ」

剣士「わかりました!」

僧侶「・・・用事しろよ」

剣士「う、うん」

勇者「お前は剣士であるから、身軽かつ頑丈な防具、得物でなくてはな」

剣士「は、はい・・・」キョロキョロ

勇者「どうした?」

剣士「え?!あ、いえ・・・こういうとこあ、あまり来たことなくて・・・」

勇者「そこまで緊張するほどのことか?ほら」ポンッ

剣士「あ・・・・・・///」

勇者「さっさと肩の力を抜け。深呼吸だ」

剣士「すーーっはぁーーっ・・・」

勇者「よし、落ち着いただろ?」

剣士「はい・・・ありがとうございます」

勇者「ハッハッハ!これしきで礼が貰えるのか!まあいい、これが合うかつけてみろ」

剣士「は、はい」

剣士「・・・・・・」トテトテ

バニー「えらく立派な形になったのぅ・・・」

僧侶「どうもなかったか?」

剣士「う、うん・・・///」

僧侶「・・・?」

勇者「次は貴様だ、早く来るんだ!」

僧侶「アタシかい?」

勇者「そうだ!俺様直々に選んでやる!」

僧侶「はいはい・・・」

バニー「暇じゃのう・・・なぁ執事殿」

執事「・・・・・・」

バニー「話し相手にはならんかー」

僧侶「・・・おい」

勇者「なんだ?」

僧侶「なんでお前はハンマーを選んでるんだ?」

勇者「お前なら装備できるtぅあたっ!!」パシン

僧侶「・・・ったく、よく剣士と引き合いにされるから気にはしているんだ」

僧侶「こう見えても華奢なんだからな?」

勇者「いっつぅ・・・俺様より高身長でありながらその力を振るわないとは・・・」

僧侶「だから非力だっつってんだろ」コンッ

勇者「いたっ・・・しょうがないな、攻撃力を削るのは不本意だが・・・」ゴソゴソ

僧侶「・・・今度はなんでムチなんだ?」

勇者「お前はすぐ手が出るからsっ気があるtおい叩くな!」ダッ

僧侶「チッ・・・逃がしたか」

勇者「はぁーっはっはっは・・・選び抜いてやったぞ・・・」ボロッ

剣士「ど、どうしたんですか勇者さん?!」

バニー「店内で魔物にでも出くわしたのじゃろう、あやつは呼び寄せそうな人相しておるからな」

勇者「魔物は・・・案外近くに潜んでいるものだ・・・おfっ」パシン

バタリ

執事「勇者様、今治療いたしますゆえ・・・」イソイソ

僧侶「アタシの武具選びは、ほら、終わったよ」

剣士「勇者さんをあんなにボロボロに・・・や、やりすぎだよ」

僧侶「ハンマーに大剣まで持たされそうになったんだぞ?条件反射だ」

バニー「恐らく何も知らん奴から見れば、背が高くて焼けてるんじゃから戦士に見られてもおかしく・・・」

僧侶「アタシは僧侶だ」ギロッ

バニー「す、すまぬ・・・」

剣士「わ、私は、いろんな意味で、背が高いのは、う、うらやましい・・・よ?」

僧侶「・・・ありがとうって言っとく」

勇者「 」

バニー「鎧の右肩がひしゃげておるぞ・・・」マジマジ

僧侶「モーニングスターで殴ったらへこんだんだ。丈夫なのに取り替えるいいチャンスだな」

バニー「なんと・・・」


剣士「・・・僧侶さん、どうだったんですか?」

僧侶「疑うも何も、ただのアホだったよ」

僧侶「拍子抜けしたけどさ、剣士が安全ならそれでいいんだ」

剣士「・・・ありがと、で、でも、闘いは前線だけどね」

僧侶「アタシの治癒魔法なめんなよ?」

剣士「うん、頼もしいな・・・」



勇者「ハァッハッハッハァ!次はお前だ、来い!」

バニー「ようやくじゃのぅ・・・」

勇者「最近になって疑問に思っていたのだが」

バニー「なんじゃ?」

勇者「バニーガールとは、不法就労s」

バニー「グリンピース」

勇者「店屋などの店員のことだろう?」

バニー「そうじゃな」

勇者「格好も肩書きも、この俺様、つまり勇者様のパーティーの中で浮きまくってるではないか」

バニー「お主が強引に連れて来たせいじゃろうが!!」

勇者「その耳も、魔物と見間違えられたら、見ていて不敏だからな」

バニー「だーかーら・・・」バッ

バニー「魔物ではないわ!」

勇者「なっ・・・耳が着脱可能な魔物か・・・」

バニー「・・・・・・」

勇者「緑の悪魔を捨てたところで提案だ」ポイッ

バニー「言うてみぃ」

勇者「このパーティーの者は、言い換えれば俺様の主従・・・」

勇者「位の高い者に仕える女性とは」

勇者「そう・・・メイドだ」ニヤリ

バニー「だからなんじゃ?」

勇者「今からお前はバニーではなくメイドだ」

メイド「は、はぁ?!」

メイド「お、おい!名前が変わってしもうたぞ!」

勇者「俺様が主人公だからな!ハァーッハッハッハ!」

メイド「・・・好みの問題なのじゃろう?」

勇者「そうに決まってるだろうが!あ、魔物の耳は取るな、お前のシンボルだ!」

メイド「はぁ・・・」

メイド「・・・・・・」

僧侶「お、おいおい・・・似合ってはいるが戦闘する服装か?」

勇者「前より厚着になっただろうが」

僧侶「そういう問題か?」

勇者「そうだ、そしてお前等もだ」バッ

剣士「へっ?」

僧侶「なんだと?」

勇者「一人だけだと統率感が出ないではないか」

僧侶「そういう問題か!」

勇者「そうだ。ちなみにお前のはサイズが無かったからオーダーメイドだ、メイドだけnとうっ!!」シュバッ

僧侶「クソが・・・」

<町中>

メイド「防具など選ぶ必要は無かったんじゃな・・・」

僧侶「ああ・・・」

剣士「・・・・・・・・・////」

勇者「メイド3人か!見栄えがいいな!」

メイド「こんなもので魔物に勝てるのか?」

執事「失礼いたします、私の方からご説明しましょう」

メイド「うむ」

執事「この服は『メタルキングのメイド服』と申すもの」

執事「とてつもない防御力を発揮しながらもなお軽い、という優れものでございます」

僧侶「へえ・・・だが、盾にメイス持ちのメイドなんて、周りから見ればとてつもなくシュールだろうな」

剣士「わ、私は細剣・・・///」

メイド「わしは手ぶらじゃけどな」

勇者「お前はこれで勉強だ、精進するんだな」ポイッ

メイド「なんじゃ・・・魔道書か」トサッ

統率感って何だよwww

<町の外・草原>

メイド「なんじゃ歩きなのか・・・」

勇者「戦闘に慣れるためには経験を積まねばな!」

僧侶「そんなに声が大きいと寄ってくるぞ?」

剣士「・・・・・・」ツンツン

僧侶「なんだ?・・・って」

スライム「ピキー」

僧侶「モンスターだな」

スライム「ピキー!」ビャッ

勇者「何事も経験ありkおぶちっ!!」ビターン

メイド「な、なんじゃ?!」

剣士「モ、モンスターです・・・」

>>26
今間違いに気づいた

統率感→統一感

適切なるツッコミに敬意を表します

スライム「 」

勇者「 」ピクピク

メイド「余裕じゃな」

剣士「どんどんいけそうですね」

僧侶「・・・おい、さっさと起きろ」グイグイ

勇者「・・・・・・はっ!」ガバッ

勇者「な、何が起こったんだ・・・急に視界が真っ青で・・・空が落ちて来たようなショックが・・・」

メイド「お主がボサッとしておるからじゃ」

執事「馬車をご用意しましょうか?」

勇者「た、頼んだぞ」

剣士「これで楽できる・・・?」

僧侶「だけど運動はちゃんとしないとな」

剣士「うん」

メイド「ところでだいぶ日が暮れてきたが・・・」

勇者「周りに宿など無いから当然野宿だな」

剣士「少し怖いです・・・」

メイド「本当に予定通りなんじゃろうな?」

勇者「当然だ!俺様は野宿がしてみたいんだ!」

メイド「おい」

僧侶「これからいやんなるくらい経験できると思うんだけどな・・・」

勇者「キャンプといえばカレーだな、おい!」

執事「かしこまりました、準備いたしましょう」

メイド「わしも手伝うかのー」

僧侶「んじゃあアタシも」

剣士「・・・・・・料理練習しようかな」

~夕食後~

僧侶「・・・メイド」

メイド「なんじゃ?」

僧侶「夕食前に言ってた『予定』ってなんだ?」

メイド「ああ、あれかの。この旅の予定はどうやら決まっておるみたいでのぅ」

メイド「予定の管理は執事殿がやっておるようじゃ」

僧侶「なるほどな・・・」

メイド「因みに、わしの解雇予定もあるようじゃ、だいぶどうでもよくなってきたがの・・・」

僧侶「・・・・・・」

メイド「そういえば、お主と剣士はえらく仲がいいのぅ」

僧侶「・・・長い付き合いだからな」

剣士「・・・・・・」スヤスヤ

勇者「遺憾だ・・・」ブツブツ

勇者「甚だ遺憾だ・・・」ブツブツ

勇者「何故俺様が寝ずの番などしなければならない・・・!」

勇者「確かにどいつもいい顔立ちであるが、剣士以外は中身は男並に豪胆だろうに・・・」

勇者「まぁ・・・しかし、楽しみが無い訳でも無い」コソコソ

勇者「いくら豪胆であるとはいえ、寝ている間は無防備だ」コソコソ

勇者「その無防備な寝顔を拝むのもまた・・・む?」コソッ

勇者「まだ起きているのか・・・まぁしかたない、妥協して盗み聞きに移行だ」コソコソ

メイド「ほう・・・そんなに幼少の頃からか」

僧侶「そう。あん時は背も一緒くらいだったんだけどね・・・」

メイド「ぬはは・・・」

僧侶「一人前になった頃、傭兵としてパーティーに参加したんだ」

メイド「これより前じゃろ?」

僧侶「ああ。初めての冒険だったし浮かれたもんだよ」

僧侶「町を出る前に立ち消えになったけどね・・・」

メイド「む、どうしてじゃ?」

僧侶「・・・パーティーの戦士格のクソが剣士を襲いやがったんだ」

メイド「な・・・・・・」

僧侶「剣士が着た物も目茶苦茶のままアタシのとこに駆け込んで来たときは、そりゃびっくりさ」

僧侶「戦士のクソは追いかけて来たとこを待ち伏せして叩き伸ばして御用」

僧侶「あとで魔法使いもグルって知ったよ」

メイド「・・・・・・」

僧侶「それまで活発だったけど、その時から今みたいなかんじになっちゃったな」

メイド「それでよくこのパーティーに参加する気になったのぅ・・・」

僧侶「剣士から言ってきたし、強く言ってきたから断れなかったよ」

メイド「そうか・・・」

ズビビビビッ

僧侶「だ、誰だ?!」

メイド「何奴っ?!」

勇者「俺様だ・・・」グスッ

メイド「なっ・・・ったく、盗み聞きとは愚か者が・・・」

勇者「後で出てこようとしたら鼻を啜る音でばれてしまった・・・」

メイド「アホかお主は」

勇者のキャラが良いねw
ランス系かと思いきや
実は口調がオレ様系なだけの善人
こういうの好み

勇者「僧侶・・・お前の話は俺様に対して会心の一撃をたたき出した・・・」グスッ

僧侶「お前が泣いてもどうしようもないけどな」

勇者「道理で出会いばなのお前は傲岸不遜な輩だったのだな・・・俺様を警戒してのことだろう」

メイド「言い過ぎじゃ、たわけ者」

僧侶「そうだが・・・」

勇者「まだ俺様は信用できないか?」

僧侶「・・・盗み聞きしてただろうが」

勇者「そういえばそうだったな!これからは控える!」

メイド「胡散臭いのぅ・・・」

僧侶「まぁいいさ・・・剣士はいい人認定してたし、胡散臭いけどついて行ってやるよ」

勇者「そんなに俺様は胡散臭いか・・・」

~翌日~

メイド「んーっ!いい朝じゃなー」

執事「おはようございます、朝食の用意はできております」

僧侶「おはよう」

剣士「・・・・・・」ボケーッ

勇者「すこぶる・・・すこぶる眠いぞ・・・」フラフラ

僧侶「途中で執事と代わればよかったじゃん」

勇者「執事は体質のせいで夜中は動けんのだ・・・」

執事「お力になれず申し訳ありません」

勇者「いや、いいんだ。俺様は馬車の中で寝る・・・」フラッ バタン

メイド「昼夜逆転も時間の問題じゃのぅ・・・うむ、美味い」パクパク

僧侶「おい剣士、顔洗って目を覚まして来い」

剣士「・・・・・・ふぃ」ボケーッ

<とある村>

僧侶「村についたぞ」

剣士「ここ・・・どこかな・・・」

メイド「曲がりなりにも勇者一行なんじゃから、村長殿に挨拶せんとな」

僧侶「それもそうだな」

剣士「・・・・・・まだ寝てる」ツンツン

勇者「・・・・・zzz」

僧侶「剣士起こしてやってくれ」

剣士「へ?///」

僧侶「へ?じゃないが・・・」

剣士「わ、わかった・・・・・・勇者さん、起きて」ユサユサ

勇者「んあぁ・・・・・zzz」

剣士「お、起きてください」ユサユサ

勇者「あと5分・・・zzz」

剣士「・・・・・・」スッ

剣士「・・・・・・フウーッ」

勇者「どっひゃあああ!!」ゾゾッ

メイド「み、耳の後ろに・・・なんつう起こし方じゃ・・・」

剣士「私が起きない時に・・・お母さんによくされた・・・」

僧侶「アタシもされたことあるな・・・」

勇者「背中にゾクッときたぞ!何だったんだあれは!!」

メイド「よいから、ほれさっさと行くぞ」

スライムに負けた勇者…

先行き不安なパーティーだなw

<村長宅>

勇者「ハッハッハ!でな、まだ小学生のジョンがカエルを拾ったんだ」

村長「ほう、そして?」

勇者「そのカエルは『とある国の王妃ですが、口づけでないと解けない魔法にかかった、解いて欲しい』」
勇者「って言うんだよ」

村長「うはwwwジョン勝ち組www」

勇者「でもな、ジョンは口づけしないで虫カゴに放り込んだんだ」

村長「は?なんで?」

勇者「俺様もわからなかったから後で見せてほしいって頼んだらさ、こう言ったんだ」

ジョン『へ?もうネットオークションで高値で売っちゃった!』

勇者「ってさ」

村長「最近のショタこええwww俺だったら絶対元に戻して・・・」



メイド「酒が入ってしもうたか。何の話をしておるんじゃ?」

僧侶「少なくとも上品な話ではないさ」

剣士「何の話してたっけ・・・」

僧侶「おいおいちゃんと聞いておけよ」

剣士「ご、ごめん・・・」

メイド「簡単に言えば、西方にある洞窟の化け物退治じゃな」

僧侶「そう、村の人達が手を焼くくらいだから、少しはできるんだろう」

僧侶「だから準備しないとなんだが、あれじゃあな」

剣士「執事さんもいるから、私達で済ませちゃえば・・・」

僧侶「私もそう考えてた」

メイド「決定じゃな、ならば早速・・・」ポンポン

メイド「ん、だれじyモゴッ?!?!?!」ゴクッ

勇者「ハッハッハァ!んんー?メイド、えらく旨そうにくわえよるではないか!」グイグイ

パシ-ン

勇者「おっとと」

メイド「ぷはぁ・・・お主」

メイド「いきなり酒瓶を口に捩込むとはどういった了見じゃ・・・?」ユラリ・・・

勇者「宴席で飲まんなど有り得んだろうが!」

メイド「そうじゃな・・・じゃがしかし・・・」

メイド「やっていいことと悪いことの見境も付けれんような飲んだくれには制裁が必要じゃな・・・」

村長「よっしゃあ!もっとやれ!」ヒューヒュー

勇者「なんだ?酒瓶ごときでこの俺様に敵uバニッシュッ!!」パリーン

メイド「こっちの台詞じゃ・・・ヒック」

勇者「 」パタリ

メイド「明日まで寝ておれ馬鹿者」ポイッ ガシャン

僧侶・剣士・村長「「「・・・・・・」」」ポカーン

~翌日~

勇者「おい、ここは何処だ?空が落ちてきたような気がしてから何も覚えてないぞ・・・」

僧侶「酔ってる間どころかその前の事象まで忘れてるみたいだな」

剣士「打ち所が悪かったのかな・・・?」

勇者「そして二日酔いのような頭痛がするぞ・・・」

メイド「執事殿、わしとあのアホ二人分の薬草を貰えんかの」

執事「かしこまりました、用意致しましょう」

メイド「全く・・・襲ってくるとは不埒な輩じゃな・・・」

僧侶「襲うというかなんというか・・・まぁいい薬だな」

剣士「勇者さん、一日に一回は倒れてるけど・・・大丈夫なのかな」

これは面白い!ゆっくりでいいから完結させておくれ!

<西の洞窟>

勇者「いい加減俺様も実力を発揮したいんだ!」

メイド「何を焦っておるんじゃ?」

勇者「俺様はまだモンスターを倒したことが無いんだ!!」

僧侶「ああそうか、道中敵少なかったからな寝不足で寝てたりしたし」

剣士「勇者さん、寝てる方が多かったから・・・」

勇者「好きで寝たわけでないのが大半だ!」

勇者「昨晩の記憶が無いのは誰かに襲われやられたのだろう・・・酷い奴がいたものだ」

メイド「むしろ襲い掛かっておったがの・・・たわけが・・・」

勇者「俺様は運の悪い星の元に・・・んん?」

勇者「分かれ道だ・・・おかしいな、村長は一本道だと言っていたが・・・」

僧侶「二手に別れるかい?」

勇者「戦力分散は得策ではないが、致し方ないか」

勇者「ということでチーム分けだが、前衛である俺様と剣士は必然的に別れることになる」

僧侶「そういえば執事は?」

勇者「ああ、あいつは暗いとこ苦手なんだ」

僧侶「へぇー・・・超意外だな」

勇者「はい、ということで、俺様に同行願いたいというやつは手を挙げろ!」

シーン

勇者「なんだ、いくら俺様が頼もしいとはいえ、単独行動は寂しいのだぞ?」

メイド「いや、なんというか、お主は最近トラブルメーカーになりつつあるからの・・・」

勇者「俺様を信用していないのか?」

メイド「信用もじゃが、こう、お主の人間性が・・・」

勇者「そこまで言うのならお前が来い!俺様の実力を見せ付けてくれるわ!!」グイッ

メイド「お、おいっ!こら!なんでわしじゃー!!」ドタバタ


僧侶「・・・話し合いも無しに右に行っちゃったな」

剣士「私達は左だね・・・頑張ろっ」

<洞窟・右ルート>

メイド「わたた、ついてゆくからその手を離せー!」

勇者「実は俺様は暗いところが苦手・・・」

メイド「なんじゃお主ヘタr勇者「とでも言うと思ったかバカ者!」」

メイド「いや、意味がわからん。いいからその手を離せ、暑いんじゃー」

勇者「ったく、つれん奴だな、お前は」

メイド「つれないもへったくれもあるか・・・」

勇者「いや、あるだろうが。周りを見てみろ、お化けが出てきそうな雰囲気だろう」

メイド「アホかお主は・・・第一お化けはモンスターじゃからな」

タタタタッ

勇者「む!前方から魔物らしき足音!」グイッ

メイド「こ、こらっ!なぜ引きずり出すんじゃ!」

勇者「俺様を護れ!対魔物用人型防御盾(身代わり)!!」

メイド「こ、このっヘタレ勇者がー!」

ガッ

<洞窟・左ルート>

剣士「・・・・・・・・・」ギュー

僧侶「・・・いきなり敵が出てきたらどうするんだ?」

剣士「僧侶ちゃんを盾にする・・・」

僧侶「どっかのアホみたいな事を言うな・・・」

僧侶「剣士、自分の身は自分でどうにかできていかなきゃこの先厳しいぞ?」

剣士「う、うん・・・」

僧侶「仮にアタシが倒れでもしたらどうするんだ?」

剣士「えっ・・・そ、そんなこと!」

僧侶「仮にだ、か、り、に。こういう二人のときだったらお前は一人でなんとかしなくちゃならないんだぞ」

僧侶「昔のお前ならそれができるはずだ・・・っと」

僧侶「なんだ、行き止まりか?」

僧侶「ったく、ハズレかよ・・・戻るぞ」

剣士「・・・・・・・・・」スッ

僧侶「・・・ん、後ろがどうした?」

剣士「・・・下がって」チャキ・・・

・・・タ・・・タタッ

ダースウルフェン×3「「「・・・・・・」」」

僧侶「逃げ場が無いな・・・」

剣士「一撃ずつなら・・・私達、怪我しないね」

ダースウルフェンa「・・・・・・!」ダッ

ザシュッ

ダースウルフェンa「 」ゴトッ

僧侶「・・・お見事」

ダースウルフェンb、c「ガウッ!!」ダッ

僧侶「片っ方は任せろ!」

剣士「わかった・・・」スッ

僧侶「おらっ!!」

ガンッ

ダースウルフェンc「ギャウッ!!」ズザザ・・・

僧侶「盾ビンタもそこそこいけるな」

剣士「・・・・・・」ザッ

ダースウルフェンb「 」

僧侶「あっという間だな・・・戦闘に関してはでかい口叩けないなこりゃ」

剣士「ううん、僧侶の励ましが私の力になるから・・・」

僧侶「そうなのか・・・おっ」

僧侶「行き止まりだったのに開けてるな・・・あの狼どもは門番だったのか」

剣士「いってみよ」

僧侶「そうだな、あいつらより先に着いてやるぞ!」

<洞窟・右ルート>

メイド「あ、危なかった・・・」ガクッ

アルミラージ「・・・!・・・!」ジタバタ

勇者「おお!咄嗟に氷の障壁で防ぐとは・・・」

勇者「この技には名前が必要だな。氷の障壁で安全地帯を作り出すのだから・・・アイス・・・アイフィーんごっ!!」ゴチン

メイド「何を悠長なことを抜かしておるのか?」

メイド「こっちは下手したら死んでおったんじゃぞ!!あれを見てみぃ!」

アルミラージ「・・・・・・!」モガモガ

メイド「あの角であわや串刺しの憂き目にあうところだったんじゃ!」

メイド「それなのにお主は・・・」

メイド「・・・っ!」タタタッ

勇者「お、おい!危ないぞ!」

勇者「・・・俺様としたことがマジギレさせてしまった様だ」

勇者「関係の悪化はスケジュールに影響するな・・・いろんな意味でマズイ」タッ

<洞窟・左ルート>

ボーンプリズナーe「 」ガタッ

僧侶「これで扉は4つ目・・・いくつあるんだよ・・・」

剣士「まだいける・・・」

僧侶「よし・・・ってなんだこりゃ、また二股かよ!」

剣士「じゃあ私左ね・・・」

僧侶「即決かよ・・・じゃあアタシ右なー」

<洞窟・左ルートの左ルート>

イビルアイ「 」ボタッ

剣士「・・・・・・」ブルッ

剣士(怖いけど・・・僧侶ちゃんにはいっぱい支えてもらったんだから・・・)

剣士(自分の出来ることで恩を返していこう!)グッ

剣士「ん・・・お花?そして行き止まりだ・・・」

剣士「この先に要るかもしれないから摘んでいこう・・・ごめん」

花「・・・・・・」プチッ

剣士「・・・よし、ポケットに入れたし、僧侶ちゃんのとこに行こ」

<洞窟・左ルートの右ルート>

僧侶「んーいい加減疲れてきたな

僧侶「でも敵わんさか出てくるし・・・こっちが当たりなのかねぇ」

僧侶(剣士めちゃくちゃ強くなってたな・・・)

僧侶(もう心配するほどでもないかも・・・)

僧侶「・・・ん、宝箱だ」

僧侶「開封っ・・・と、わーお、マジもんのお宝じゃん」ジャラジャラ

僧侶「なんかイマイチ嬉しい!とか無いのはなんでだろうな・・・」

僧侶「勇者のせいで金銭感覚イカレたかもしれない・・・」

僧侶「まぁ足りてるんだし、少しだけ貰っていっとくか」チャリ・・・

僧侶「んーよし、先はないし、剣士と合流するか」

<洞窟・右ルート>

メイド「なんじゃこいつら・・・」

アルミラージd「 」

いっかくうさぎc「 」

メイド「一本道じゃから突っ込んで相手を串刺しにする腹積もりか・・・」

メイド「氷玉ぶつけて先制してやればええがの・・・魔道書の魔法を試すまでも無いが・・・」

メイド「哀れといえば哀れじゃ」

勇者「どうした、同族嫌悪か?」

メイド「・・・意味のわからん事を抜かしおる時点で進歩は無かったようじゃの」

勇者「・・・・・・」ザッ

メイド「・・・なっ!」

勇者「すまなかった・・・冗談程度で済ませるつもりだったが」

勇者「あれ程お前がショックを受けるものとは思わなかった」

メイド「いいから頭を上げるんじゃ!」

勇者「人の気持ちを理解せずに行動できるよう努力する」

勇者「だから・・・すまんかった、メイド・・・」

メイド「立て!バカ者!」

勇者「・・・・・・」

メイド「許すから立たんか!」グイッ

メイド「バカかお主は・・・土下座などみっともないことをするな、バカ者」

勇者「・・・・・・」

メイド「わしはただ、けじめを付けてほしいだけじゃ」

メイド「メリハリとも言うか・・・」

メイド「さっきの様に、いついつ死んでもおかしくないような時はしっかり戦って欲しいんじゃ」

メイド「それだけじゃぞ・・・それだけじゃ」

勇者「・・・わかった、心に刻んでおく」

<洞窟・左ルート>

僧侶「おい、なんだこいつは・・・」

ローズバトラー「・・・・・・」

剣士「で、でかい・・・」

僧侶「ボス格だな、いけそうか?」

剣士「きた道塞がれてるから、行くしかないよ・・・」

ローズバトラー「キシャアアア!!」ビッ

ジャキン

剣士「段幕多そう・・・」

僧侶「それは私が面倒見るさ」

剣士「任せた・・・」

ローズバトラー「シャアア!」ビュビュッ

ガギッ

僧侶「な、なんだ、そんなにこのメイスが欲しいのか?」ジリジリ

僧侶(腕4本支えるのでギリギリだ・・・体格だけの力はあるな・・・)

ザザッ ボトボト

ローズバトラー「アアアアア!!」

僧侶(剣士は足を全部削ぐ気か・・・!)

僧侶「よそ見すんな、化け物!」グイッ

プチッ

ローズバトラー「オオォアアアア!!」ババッ

ドゴッ

剣士「あっ・・・!まだ・・・」

ザッ ブチッ

僧侶「わっ!」ズテンッ

剣士「ラスト・・・」ブチッ

ローズバトラー「キャシャアアアア!!」

ギンッ

剣士「頭には刃が通らない・・・」

僧侶「足は全部無くなったし、無力化はできたみたいだな」

僧侶「道も開いてるし、先に行くぞ」

剣士「うん、早く合流しないとね・・・」

<洞窟・右ルート>

勇者「ここはウサギの巣か何かか?」

メイド「知らん・・・というかお主動けるの・・・」

勇者「俺様は勇者だぞ?」

メイド「といっても、わしが足止めしたのを叩いておるだけじゃが・・・」

勇者「ぐぬぬ・・・」

勇者「ぬ、広間に出たが・・・」

ゾロゾロ・・・

アルミラージ「「「・・・・・・」」」

いっかくうさぎ「「「・・・・・・」」」

???「・・・・・・」

メイド「お主の言うこともばかにならんのぅ・・・ウサギの巣のようじゃ」

勇者「だが、真ん中のあの機械はなんだろうか・・・」

メイド「合わせて20はおるのぅ・・・さすがにアイ・・・なんじゃったか?」

勇者「アイスフィールドを少し略してアイフィールドだ」

メイド「アイフィールドでは防げそうにないのぅ・・・」

勇者「ハッハッハ!仕方が無いな、とうとう俺様の出番の様だ!」

メイド「・・・何をするんじゃ?」

勇者「言っていなかったが・・・俺様は炎魔法の分野に於いては類い稀なる才を持っている」

勇者「野宿の際の薪の着火にもこっそり利用していたんだからな!」

メイド「別にこっそりやる必要は無かったじゃろ」

勇者「ふん、その時に公表してみろ」

勇者『ハーッハッハッハ!俺様の類い稀なる炎魔法の才を用いて着火してやる!!』

メイド『はぁ~』

僧侶『ほぉ~』

剣士『へぇ~』

勇者「ハ行の生返事というリアクションしか返って来ないだろうと考えてのことだ!」

メイド「むしろメラごときで腰を抜かす輩を目撃する方が類い稀じゃの」

勇者「しかし、今から使う魔法は、この段階では既にチート級のレベルだ!」

メイド「・・・ちと待てよ、この辺を焼き払うくらいありそうじゃが」

勇者「待てん!」ザクッ

勇者「俺様の中に宿りし炎・・・今ここに具現し地を焼き払わんっ!!」

勇者「ベギラゴン!!」ゴオゥ

メイド「こんな密室で範囲魔法など・・・アイフィールド!」パキーン

パチパチ・・・

アルミラージ「 」

いっかくうさぎ「 」

???「・・・・・・」

メイド「一歩間違えば焼け死んでおったわ!」ペチン

勇者「すまん!だが結果オーライだ!」

勇者「・・・と思いきや機械がまだ残っているな」

メイド「先ほどの灼熱を受けてもあれか・・・」

勇者「でも動かなければただのでくの坊だな」

メイド「動かなければの・・・」

勇者「そうだ、だから物音をたてずに背後をまわって」

キラーマジンガ「・・・・・・」ピコーン

メイド「もう起きてしもうたぞ・・・」

勇者「はっ・・・あいつは!」

勇者「かつては宝の番人をしており、パーティーを全滅させること幾星霜・・・」

勇者「圧倒的な攻撃力で有名なキラーマジンガだ・・・!」

メイド「ようわからんが・・・」

キラーマジンガ「・・・・・・」ジャラ・・・

メイド「物騒ななりをしておるのぅ」

勇者「奴は遠近どちらの攻撃も持っている、だが二人同時には相手できないだろう」

勇者「だから歯がたつならば切ってかかりたいところだが・・・」


メイド「ちと厳しそうじゃのう」

メイド「なら話は簡単じゃ、避けながら魔法を撃てばよい」

勇者「・・・そう簡単な話でもないんだ」

メイド「ん、なぜじゃ?」

勇者「奴は常にマホカンタをはっている」

メイド「魔法が効かないんじゃな・・・」

勇者「安心するがいい、俺様がぶち破れるからな」

勇者「そのあとは・・・そうだな、俺様が焼くからお前は思いっきり冷やせ」

メイド「熱して急に冷やされた鉄は脆くなるんじゃったか・・・?」

勇者「そういうことだ。しかしあのキラーマジンガ、待ってくれるとは関心だな」

メイド「単に射程内にわしらが居ないからではないかの?」

勇者「ぬぬ・・・まあいい、作戦会議終わりだ、いくぞ!」

メイド「うむ!」

キラーマジンガ「・・・・・・!」ビッ

ヒュッ

勇者「おっと、矢が・・・」

メイド「矢はわしがフィールドで対応する、さっさとマホカンタを解かんか!」

勇者「よし・・・!!」

勇者(人目に見せていいかはわからないが・・・俺様も命が惜しい!)

勇者「闇の権化よ、剣身を包みて力となれ!!」ザッ

バリーン

キラーマジンガ「・・・・・・」シュッ

勇者「ぐっ・・・解けたぞ!くらえ!」ゴオッ

メイド「む、今か!冷やして叩くなら・・・こうじゃな!」ヒュオオ

キラーマジンガ「・・・・・・!」ギチギチ

勇者「ぐ・・・動けん・・・!」ズキズキ

メイド「バ、バカ者!こうなったら習い立てほやほやじゃ!」バッ

ドガアアアアン!!

勇者「イオ系の呪文か・・・でかし・・・た・・・」バタリ

キラーマジンガ「・・・ ・ ・・」ヂヂヂ

メイド「ケホケホ・・・こ、こやつ脇腹にひどい切り傷が・・・!」

メイド「わ、わしはそれなのに巻き込んで・・・」グイッ

メイド「・・・後悔は後じゃ、早く合流せねば!!」ズルズル

<西の洞窟・最奥部>

ドガアアアアン

剣士「! 爆音がした!」

僧侶「こっちから向かって合流するぞ!」ダッ

剣士「・・・・・・」ダッ



メイド「ハァ・・・ハァ・・・っくう!」ズルズル

勇者「 」

僧侶「いた!って血まみれじゃないか!」

メイド「わしは・・・大丈夫じゃから、こいつを頼む」

剣士「僧侶ちゃん、ここ!」

僧侶「ああ、わかってる」ポォ・・・

メイド「はぁ・・・・・・しんどかった」

僧侶「何があったんだ?爆発音もあったが」

メイド「うむ・・・」

僧侶「魔法も物理も効かない敵か・・・災難だったな」

メイド「旅の始めにしてはかなりの難敵じゃった・・・」

剣士「ここの扉の先、何か居るみたい」

メイド「また敵だったら厳しいかもしれん・・・いまのより」

僧侶「さっきのが中ボスで~みたいなパターンか」

メイド「むぅ・・・」

勇者「・・・ぅえっきしっ!!」

勇者「あ゙ー・・・お?キラーマジンガは倒せたんだな」

メイド「あ、えと・・・そのっ、ごめんなさい・・・」

メイド「未熟なせいで手負いのお主まで巻き込んでしもうた・・・」

勇者「なになに、あの冗談の返礼だと思えばもっと欲しいくらいだ!!」

メイド「お主というやつは・・・」

勇者「気になるのはこの先だ」

剣士「・・・行く?」

僧侶「とっとと行くか」

勇者「行くぞ皆のもの!!」

四人「「「「おーっ!!」」」」

ガラッ

勇者「たのもう!我等は勇者一行だ!ボスならボスと名乗り出ろバカ者!!」

???「え、えと、私がボスですっ!バカじゃないですっ!」

勇者「なんだ、メイドの妹か。お前の身内がなんでこんな所にいるんだ?」

メイド「いや、わしに妹なぞおらんし」

勇者「いや、ここにいるし」

???「お姉・・・ちゃん?」

剣士「すごく似てる・・・かわいい」ナデナデ

???「ん~」

メイド「・・・ホントに妹などおらんからな?」

勇者「ハッハッハ、恥ずかしいのはわかるが、せっかくの対面だぞ?もっと喜べ!」

勇者「ところでボスはどこだ?」

???「あ、私がボスですっ!」

勇者「な、なんだと・・・!」

メイド「さっき言っておったじゃろうが」

勇者「くっ・・・そうか、わかったぞ!」

勇者「幼少の時期にさらわれ、魔物に洗脳されておるにちがいない!」

メイド「聞いたこともないんじゃが」

勇者「惚けるな!その耳が何よりの証拠だろうが!」

メイド「これは飾りもんじゃ!お主がつけろというたじゃろうが!」

僧侶「はいはい、夫婦漫才はやめだ。こいつからいろいろ聞き出せばいいじゃないか」

メイド「夫婦なぞ言うな!虫酸がはしる!」

???「私、お姉ちゃんの妹なの?」

勇者「可能性は大いにありえる!・・・だが」

勇者「お前はこの洞窟のモンスターを指揮し、村を荒らした咎めは当然償ってもらうぞ?」

???「へっ?!」ビクッ

???「うっうぅぅ・・・」ジワァ

勇者「泣かれても困るな・・・俺様は慈悲深くはあるが、村の者が受けた損害は甚大なのだ」

僧侶(・・・昨日あんなに騒いでたから全然そんな印象ないぞ)

メイド(酒飲んだ時に『被害やべぇwwあんなんマジ勘弁www』って言っておったじゃろ)

僧侶(そうだけどさ・・・)

???「私が動かす魔物さんは悪いことしないもん!」

勇者「ならば改めてお前の姉を見てみろ」

メイド「姉ではないぞ」

???「ふ、服が血だらけ・・・」ブルッ

勇者「これは俺様から出た血だ。この洞窟に潜む魔物に襲われてな・・・」

???「えっ・・・?」

???「ば、番人の機械さんだけしか攻撃はしないようにして・・・」

勇者「ん・・・?」

???「ここのみんなを守るために、動くようにしてあげた・・・から」

???「だから、その子以外は何もしないの!ほんとなの!」

勇者「・・・・・・」

メイド「・・・・・・」
↑襲われた方々

勇者「自業自得だったのか・・・傷が疼く・・・」

僧侶「起動させた非はこっちにあるな・・・だが」

剣士「うん・・・私達は狼に襲われた、だから倒した・・・」

剣士「正当防衛・・・だよね?」

メイド「わしはウサギに不意打ちをくらい、あわや串刺しじゃった・・・」

???「な、なんで・・・」

僧侶「アタシ達は倒さざるを得なかったんだよ」

勇者「そういうことだ!」

メイド「お主・・・」

???「・・・・・・っ!」ゴオッ

ズズズ・・・

ボーンプリズナー「・・・・・・」

勇者「お、おのれ、ついに正体を現s???「攻撃して!」

ボーンプリズナー「・・・・・・」

???「この人達を攻撃して!!」

ボーンプリズナー「・・・・・・」

???「ねぇ!!」

ボーンプリズナー「なぁ、嬢ちゃん何言ってまんのん?」

4人「「「「?!?!」」」」

っ④

ボーンプリズナー「縁起でもないわぁ・・・風邪でもひいたんとちゃうか?」

???「う・・・うっ・・・」

???「ぅぇええ・・・」ポロポロ

ボーンプリズナー「な、なんや?!嬢ちゃん泣かしたんはあんさんらか!」

メイド「わ、わからんが・・・」

ボーンプリズナー「なんつって!実は地の底から見学しててん・・・おーよしよし」ナデナデ

???「・・・・・・うっ・・・ひぐっ」

ボーンプリズナー「なんちゅうかなぁ、嬢ちゃんの呼び出す魔物っちゅーんは、なんやけったいなモンばっかや」

ボーンプリズナー「ワイみたいにな~、あとは、植物に、機械か」

ボーンプリズナー「そしてワイみたいに喋るで!どや?」

僧侶「あ、うん・・・ええと、すごいな」

ボーンプリズナー「せやろ?人様と意志疎通はできるんや」

ボーンプリズナー「うさぎは、あれは・・・話はでけへんかったけど、角は無かったはずや」

ボーンプリズナー「刺さったら危ない言うて嬢ちゃんが魔法で取り除いてもうたからな」

ボーンプリズナー「ワイらかて、悪さできひんわけじゃないんや」

ボーンプリズナー「せやけどな・・・」

ボーンプリズナー「無念で無念でしかたのうてさまよっとる連中に、ワイみたいに体与えて」

ボーンプリズナー「無邪気に懐いて遊んでくれる嬢ちゃんに刃向かうモンは一人もおらん」

勇者「・・・・・・」

ボーンプリズナー「死因はなんであれ、ワイらも元人間や、それこそ、腐っても白骨しても」

ボーンプリズナー「この洞窟に縛られて自由がないと不満を漏らす輩もおるにはおる」

ボーンプリズナー「でも、そんな輩に嬢ちゃんは言ったんや」

???『ここに、魔物さん達の楽園を作ればいい!!』

ボーンプリズナー「ってな」

ボーンプリズナー「その矢先にこれや!」

剣士「そ、それじゃあ・・・私達・・・」

ボーンプリズナー「・・・あんさんらはデストロイヤーやないで」

ボーンプリズナー「一昨日来たオッサンがおったんや、そいつが元凶や」

ボーンプリズナー「そのオッサンが帰ってから、みんなものも言わずに、無気力に歩き回って」

ボーンプリズナー「村まで襲いおってん」

僧侶「ここに縛られてるのにか?」

ボーンプリズナー「せや・・・何故か嬢ちゃんの支配下を離れたんや」

ボーンプリズナー「そこで、ギリギリ正気が残っとるモンが、嬢ちゃん騙してここに閉じ込めた」

ボーンプリズナー「嬢ちゃんを襲ってしまうって自覚してたからやな・・・」

メイド「・・・お主は?」

ボーンプリズナー「ワイか?ワイは一昨日、オッサンが来る前にすっころんでバラバラになってんwww」

ボーンプリズナー「・・・まぁ、なんにせよ、嬢ちゃんは無実や。ウサギもここのもんなやい」

ボーンプリズナー「丸焼きはやり過ぎやけどな、ホンマwwww」

メイド「・・・・・・」

勇者「・・・そんな目で見るな」

ボーンプリズナー「まぁ、なんや、ワイらはまたこうやって呼び出されればええからな」

ボーンプリズナー「みんなぶっ飛ばされて正気にもどっとるやろ」

勇者「・・・そうか、わかった。今から戻って、この一連の出来事を報告するぞ」

???「・・・まって!」

勇者「ん、なんだ?」

???「私も行く!」

ボーンプリズナー「じ、嬢ちゃん?!ここを放り出すんか?!」

???「・・・私、許せないよ・・・無念を残して亡くなった人達に悪ささせて・・・」

ボーンプリズナー「嬢ちゃん・・・」

???「洞窟は、魔物さん達に任せる。私はあなたたちを信じてるから・・・」

???「だから・・・私は荒らしたネクロマンサーにお仕置きする」

勇者「そこまで言うなら仕方ないな、連れていってやる!」

僧侶「おいおい・・・なんで上から目線なんだよ」

勇者「こいつの復讐に巻き込まれるのだぞ?こき使ってやらないとな」

メイド「・・・・・・」ジトーッ

勇者「・・・なんてことを言えば、クズ認定されかねんって言いたかったんだ。だからそんな目で見るのはやめろ!」

???「ありがとう、お兄ちゃん・・・」

勇者「な、なにっ・・・」

勇者「お兄ちゃんだと!!!!」ガタッ

僧侶「興奮すんな」ペチン

勇者「をふっ」

???「私、魔物さんたちを元通りにして、明日村に行くから、待ってて!」

<村>

勇者「ということなんだ!アッハッハ!」

村長「ちょwwwおまっwwwwロリとかwwwautowwwwwwww」




メイド「何の話をしておるんじゃろう・・・」

僧侶「・・・少なくとも上品な話じゃないさ」

剣士「・・・デジャウ゛」

剣士「これからは、打倒ネクロマンサーになるのかな」

メイド「勇者のスケジュールがあるから何ともいえんが・・・」

剣士「行ってあげなきゃ、『勇者』じゃないよ・・・」

僧侶「そうだな、まがりなりにも勇者だ。心配はいらないんじゃないか?」

メイド「そうか、心配はいらんか・・・アイフィールド」

ゴッ

勇者「ごふっ・・・」バタリ

メイド「酒が入ったら人を巻き込む癖はさっさと治すんじゃな」

僧侶「はぁ・・・」

~翌日~

???「お姉ちゃん!」ガバッ

メイド「なんとも不思議な気分じゃな・・・」

執事「代えの服の着心地はいかがでしょうか」

メイド「ぴったしじゃ」

剣士「いいと思う」

僧侶「今更だが恥ずかしくないか・・・?」

剣士「慣れた」

僧侶「そうか・・・慣れって怖いな」

執事「妹様にもこちらを」

メイド「こ、これ!こやつにも着せるのか?!」

僧侶「勇者・・・」

勇者「頭が痛い・・・顔が痛い・・・どうなってるんだ?」ヨタヨタ

???「あ、お兄ちゃんおはよう!」ニコー

勇者「!!・・・来ていたのか、おはよう」

勇者「・・・ここに根を下ろすのもアリかもしれないな」

執事「そういう訳にもいかなくなってまいりました、勇者様」

勇者「ん・・・どうした?」

執事「先日の洞窟の件、いろいろ洗ってみましたところ」

執事「どうも動いているように思われるのがこやつです」ピラッ

勇者「なるほど・・・昨日の事件を起こせたのも頷けるな」

勇者「めんどくさいな・・・だが、洞窟の主のこともある。スケジュールを少し曲げるか」

執事「かしこまりました」

勇者「いろんな意味で頭が痛いぞ・・・」

<山道>

勇者「代わり映えのしない道程ほど辛いものはないぞ~」グデーッ

メイド「そうじゃのう・・・」グデーッ

???「私がいっぱいお友達喚んであげる!」

僧侶「やめとけ、百鬼夜行してるみたいな軍団になるぞ」

???「そうなんだ・・・剣士姉ちゃんはなに読んでるの?」

剣士「これ・・・」

???「モンスター・・・なんて読むの?」

剣士「『不死系モンスター大全』・・・」

???「うわぁー絵がリアル!」

僧侶「なんてもん読んで・・・うわぁ・・・」ノゾキコミ

剣士「メイドの妹ちゃんに触発された・・・」

勇者「そういえばお前の妹の名を俺様はまだ知らないんだが」グデーッ

メイド「妹なぞおらんじゃったから知らんぞー」グダァ

勇者「お前も妹の名を忘れるとは、何というか・・・おっちょこちょいだな」

メイド「わしは知らん、妹に聞いてくれー」グダァ

勇者「それもそうか、おい、妹」

???「なになに?お兄ちゃん」

勇者「!!・・・コホン、まだ聞いていなかったんだが、お前の名は何だ?」

???「まだ言ってなかったんだ。私、幼魔っていうよ、お兄ちゃん!」

勇者「!!・・・そうかそうか、名前でないと呼びにくいからな、うん」

メイド「『お兄ちゃん』で一々反応するな。気持ち悪いぞお兄ちゃん」ヒョコッ

勇者「おおっ、お前も言ってくれるか!クセになるな!もっとくれ!!」

メイド「・・・いかん、ノリで言ったら調子に乗ってしもうた」


剣士「・・・・・・」ペラッ

僧侶「・・・・・・うわぁ・・・」チラッ チラッ

執事「・・・・・・」ペラッ

メイド「執事殿も読書タイムか、どれどれ」ズズイッ

メイド「ほぉ~、料理屋に判定がつけてあるんじゃな」

執事「皆様には常に美味しい食事をとっていただきたいですからね」

メイド「なるほど、次の町が楽しみじゃなー」

幼魔「お姉ちゃん、これなに?」

メイド「ん、ああ、魔道書じゃ」

幼魔「魔道書?」

メイド「いろんな魔法が載っておってのぅ・・・」


勇者「なんだこの読書タイムの流れは・・・」

平和だな

<町>

僧侶「あー気分悪い、魔物あんまり出てこないから全部見ちまった・・・」

剣士「酔った・・・」フラフラ

メイド「うむ・・・」

勇者「ハッハッハ!だらし無い奴らだな。元気な俺様を見習え」

メイド「暇だ暇だと連呼した揚句に寝てしもうた奴をか?」

幼魔「私も元気だよー」

執事「動けるうちに宿屋へご案内しましょう」

<宿屋>

店主「一人部屋、二人部屋、四人部屋がございます」

メイド「四人部屋と二人部屋の組み合わせで決定じゃな」

勇者「二人部屋には執事、幼魔、後は四人部屋でたのむ」

僧侶「おい」

メイド「こら!」

店員「かしこまりました、二人部屋はこちらになりま~す」

執事「参りましょうか」

幼魔「うん!バイバーイ」タタタ

メイド「行ってしもうた・・・お主」

勇者「男二人では寝苦しいだろうが、察してくれ」

メイド「察してくれはこっちの台詞じゃ・・・」

<宿屋・二人部屋>

幼魔「ねぇねぇ執事さん」

執事「なんでしょうか、幼魔様」

幼魔「執事さんって、おじさんみたいだけど、お兄ちゃんくらい?」

執事「どういう意味でございますか?」

幼魔「お歳のこと!」

執事「私は顔相応の年齢でございます」

幼魔「私は、もっとお兄ちゃんみたいな気がする・・・」

幼魔「でも、私わかるの」

幼魔「私、頑張れば執事さんを征服できるよ・・・?」

執事「・・・・・・」

<宿屋・四人部屋>

メイド「・・・」

僧侶「・・・」

剣士「・・・」スヤスヤ

勇者「思っていたより広いぞ!もう少し狭いものと思っていたんだが」

メイド「お主の魂胆は何じゃ?」

勇者「魂胆?お前等との親睦を深めたい一心だぞ俺様は」

メイド「その『親睦を深める』が怪しいんじゃが・・・」

勇者「お前はなにを疑っているんだ?」

僧侶「いいじゃないかメイド、なにかあったらぶっ飛ばせばいい」

勇者「最近は扱いがひどいな・・・」

メイド「・・・で、今がぶっ飛ばす時ではないか?」

僧侶「ばかいうな、思いっ切り動いて外れたらどうするんだよ!」

勇者「部屋付きの風呂の割にはなかなか快適だなー」

剣士「・・・・・・」ウトウト

僧侶「狭くはないけど足伸ばせないじゃん・・・」

メイド「勇者のせいじゃな。でもわしはのばせておるぞ?」

僧侶「おい・・・それ遠回しに」

メイド「わーっ!誤解じゃ!」

僧侶「ったく・・・大体なんだって、『お邪魔するぞ』とか当たり前みたいに入ってきたんだ・・・」

僧侶「アタシが前読んだ本じゃ逆のシチュエーションだったぞ?」

メイド「お主、そんな本読むんじゃな・・・」

僧侶「たまたまだ、たまたま!」

勇者「ん、たま?俺」

バシャァ

勇者「・・・心外だ」ポタポタ

勇者「じょぅお~ねっつの あっかい~ばんらぁ~♪」ゴシゴシ

僧侶「やれやれ・・・もうそろそろ上がるか」

メイド「うむ、剣士起きろー」ツンツン

剣士「・・・!」ザパァ

僧侶「な、なんだよ?」

剣士「っとと」フラッ

メイド「わーっ!」

ザッパーン

勇者「お前等、いくら気持ちいいからといってはしゃg」

メイド「 」

剣士「あれ・・・メイドちゃん?」

勇者「なるほど、お前等の仲もだいぶ良くなったとは思っていたが」

勇者「まさか押し倒す程だとは俺様も思ってもみなかったぞ・・・」

僧侶「おらっ!」バシャ

勇者「ぐっ・・・目がっ!!」

僧侶「今の内に上がれー!」

剣士「は、はいっ!」

メイド「 」

僧侶「担いでかないといけないよな・・・」

勇者「目が痛いぞ・・・」ゴシゴシ

メイド「 」

僧侶「今日中は起きそうにないよな、はぁーしんど」

勇者「おい、まだ寝るんじゃない!知らせることがある」ゴシゴシ

剣士「な、なんでしょう・・・///」

勇者「明日は領主の館に向かうつもりだが、その前に・・・」

勇者「魔王が失踪したらしい」

僧侶「はぁ?!」

勇者「風呂に入る前に読んだ雑誌に載っていたぞ。魔王側近の証言らしい」

僧侶「雑誌かよ、根拠弱すぎだろ・・・」

乙乙
見たんだよな。勇者はみたんだよな!
バニーちゃんと剣士ちゃんの裸を!!!



僧侶「じゃあなんだ、目的は魔王城行きから魔王捜索に変更か?」

勇者「いや、魔王城から変更はしない」

勇者「情報操作かもしれないからな」

僧侶「胡散臭すぎ・・・」

勇者「執事に調べさせれば嘘か誠かわかるだろうな」

勇者「よし、明日起きれなかったらあれだから寝るぞ!俺様の弱点は朝だからな!」

僧侶「はいはい・・・はぁ」

メイド「 」

僧侶「先行きが不安だ・・・」

メイド「はっ?!」ガバッ

メイド「むぅ・・・」キョロキョロ

メイド「ここが風呂でないということは、よほど寝ていたんじゃろうな・・・」

ガァァァァァ! ウ、ウワッ!

メイド「な、なんじゃ?!」

執事「メイド様」ヌッ

メイド「わっ?!」

執事「緊急事態のようです」

幼魔「起きてー」ペチペチ

メイド「い、いつ入ってきたんじゃ・・・」ビクビク

執事「なにやら賊が軍団をなして町を襲っておるようです」

執事「あちら側には既に火の手が・・・」

剣士「この町にも守備隊はあるはずだけど・・・」ヌッ

メイド「っ!!・・・状況が掴めんな」

執事「我等は勇者一行です、この町を守らないわけにはいきますまい」

メイド「そうじゃな・・・おい、起きんか」バッ

勇者「ひゃっこい!」ガバッ

僧侶「うわっ!」バッ

勇者「なるほど、相手は人間か・・・」

剣士「私絶対切れないよ・・・」

僧侶「剣の腹でビンタすればいいんじゃないのか?」

剣士「・・・やってみる」

僧侶「マジかよ、適当に言っただけだから無茶すんなよ?」

メイド「それより、えらくここ一帯は静かじゃのぅ」

執事「現在宿屋付近は幼魔様の呼び出した守衛に警護されております」

幼魔「ふふ~ん♪」

勇者「そうか、ではここに怪我人等を収容するといいかもしれないな」

賊の襲撃とな?…パンツ脱ぐか



メイド「・・・で、またいつぞやのごとく二手に別れるのか」

勇者「もう既に編成は考えてある」

勇者「前線には俺様、剣士、幼魔の三人で向かう」

メイド「な、なんで幼魔が戦闘に参加するんじゃ!」

勇者「こちらは少数精鋭といっても相手は賊軍だ、数にものを言わせて撃退されかねない」

メイド「だったらわしの魔法が・・・」

勇者「お前はできるだけ傷つけたく無い。俺様の我が儘だが、従ってくれ」

メイド「・・・その言葉の意味がよくわからんが、幼魔に怪我をさせたらただじゃすまさんぞ」

勇者「当然だろう!いい加減俺様を信用したらどうだ!!」

メイド「はいはい」

勇者「くそっ見返してやるからな!」ダッ

幼魔「お兄ちゃん待って!」トテテ

剣士「・・・行ってきます」

<戦闘班>

勇者「町の北に領主の館があると聞いていたが、既にその周辺に火の手が上がってるな」

勇者「あそこに敵の大部分がいるに・・・ん?」

* 「オラァ!質屋に何も無いわけがねぇだろ!」ガターン

** 「こ、ここは質屋じゃないですよ!」

* 「っせぇ!しらばっくれてんじゃねぇよ!!」

剣士「・・・勇者さん」

勇者「幼魔、頼めるか?」

幼魔「わかった、えいっ!」ゴウッドスッ

メリメリ・・・・・・ゴゴンッ

スカルドラゴン「・・・・・・」

幼魔「土に埋まってたんだね!いってらっしゃーい」

剣士「す、すごい・・・」

勇者「・・・はやく館を目指すぞ」

賊戦闘員a「さっさ出しちまえばいいだろうが!」ガシッ

賊戦闘員a「あ?なんだテメ」ギロ。。。

スカルドラゴン「・・・・・・」グググ

賊戦闘員a「ひっ?!いだだだだだ!肩がぁ!!」

町人c「ひ、ひゃああああ!」

バキッ

賊戦闘員a「あ・・・がっ・・・」ガクッ

バタッ

スカルドラゴン「・・・・・・」チラッ

町人c「あ・・・・・・あぅ・・・」ガタガタ

スカルドラゴン「・・・・・・」ノッシノッシ

町人c「あ・・・あれ・・・?」

スカルドラゴン「・・・・・・」ノッシノッシ

スカルドラゴン(あ、あかん・・・)

スカルドラゴン(今のワイ、見た目もやることもかっこ良すぎやろ・・・!)

スカルドラゴン(すっ飛んで来た甲斐があったってもんやで!)グオオオオッ!!

<救護班>

僧侶「ふう・・・怪我で運び込まれた人はざっと数えて20人ってとこか」

メイド「ここで既に人員が不足気味じゃのぅ・・・」

僧侶「そうなんだよなぁ・・・怪我した人つれてくるのは執事一人だし」

メイド「軽傷の者や怪我人と避難して来たものに協力を乞うしかないのう・・・

僧侶「そうするか・・・」

僧侶「そういえばさ」

メイド「なんじゃ?」

僧侶「あいつ、あんたをここにおいて行くために、『お前は傷つけたくない』みたいなこと言ってたじゃん?」

メイド「う、うむ・・・言っておったな」

僧侶「あれどういう意味かって考えると」

僧侶「あいつ、ひょっとしたらお前に惚れてるんじゃないかなー・・・と思ってさ」

メイド「な、なんでそうなるんじゃ?!」

僧侶「お前等なんだかんだで名コンビじゃん。なんかえらく強い機械だってぶっ飛ばしたんだろ?」

僧侶「普段の会話見てもお前等仲いいから、そっからそう思ってたんだけど」

メイド「・・・まだそういうのはないぞ」

僧侶「まだってなんだよ」

メイド「ミスじゃ!ミス!ぜんっぜんじゃな、あやつ人を盾にするカスじゃからな!」

僧侶「お、おう」

メイド「ほれ、執事がきおった。職務を全うするぞー」ソソクサ

僧侶「チッ・・・逃げられちった」

<戦闘班>

バシィン!

賊戦闘員j「ぶふぉっ!!」ドサリ

勇者「剣の腹でのビンタ・・・死ぬほど痛そうだな」

剣士「死ぬよりはマシだと思う・・・」

勇者「そうか、しかし倒せど倒せど増える一方だな」

勇者「そろそろ俺様が考えたグレイトな作戦を実行させる時が来たな!!」

勇者「おい、幼魔!」

幼魔「はいっ!お兄ちゃん!」

勇者「この路地を抜けたすぐ右側に墓地があるんだが・・・やれるか?」

幼魔「わかった!」タタッ

勇者「名付けて“ゴーストタウン大作戦”始動!!」

剣士「他力本願・・・」ボソ

幼魔「ここ・・・さっきは洞窟の魔物さんに手伝ってもらったけど」

幼魔「いっぱい喚ぶなら魔力が足りないから、近い町の幽霊さんに助けてもらわないと・・・」

幼魔「で、でも、町を守るために来てくれるはずだよ!」ゴウッ

幼魔「来て来て!力になってください!」ドスッ

メリメリッ・・・

さまようよろい「・・・・・・」ガチャ・・・

しにがみきぞく「・・・・・・」カタッ

ゾロゾロ・・・

友情出演?

おまえらゾンビ「>>116!!」


俺、この戦いが終わったらバニーちゃんと結婚とするんだ。

おまえらゾンビ「俺、この戦いが終わったらバニーちゃんと結婚するんだ。」

幼魔「バニーちゃん?」

おまえらゾンビ「君のお姉さんのことだよ」

幼魔「へ?!おまえらさんお姉ちゃんと結婚するの?!」

おまえらゾンビ「そうだ。・・・だけどまだプロポーズもしてないから、やっぱそこからになるのかな・・・」ブツブツ

キュピピーン

おまえらゾンビ「?!?!」ビクッ

幼魔「おまえらさんどうしたの?」

おまえらゾンビ「バニーちゃんが危ないっ!!」

? 「お前が抜けた穴は俺が埋める、だから行ってこい」

おまえらゾンビ「お前は・・・おまえらゾンビb!」

おまえらゾンビb「己の身を犠牲にしてでも、守り抜け・・・いいな?」

おまえらゾンビ「・・・すまんっ、任せた!」ダッ

おまえらゾンビb「死亡フラグ回収係か、厄介なモン引き受けちまったな・・・まぁでも心配いらないか」

おまえらゾンビb「俺ら、不死だから」

<宿屋周辺>

ボーンプリズナー「・・・・・・」ジャラジャラ

アンデッドマン「・・・・・・」ガチャガチャ

? 「なんだこりゃ?魔物が宿屋囲んでるな・・・」

? 「見た感じ中に入るでもなし・・・徘徊して様子見か?」

アンデッドマン「・・・・・・」ジーッ

? 「悪意を持った眼差しだ、オオゥ・・・ここを守ってるってのが正解かもな」

? 「だとしたら、魔物に守らせるほどのモンがここにあるってわけで・・・」

? 「折角だし寄っていこうか」

ヒュン ヒュン

ボーンプリズナー「 」ガラガラ・・・

アンデッドマン「 」ガタタ

? 「よし、ごめんくださーい」コンコン

<救護班>

ゴンゴン <ゴメンクダサーイ

メイド「む、誰か来たようじゃぞ」

僧侶「町の人なんじゃないか?」

僧侶「っつーかメイドが出てくれよ、治療で忙しいんだ」

ゴンゴン <ダレカイマセンカー?

僧侶「ほらっ」

メイド「しょうがないのぅ・・・はいはい」ガチャ

? 「はっ、メイドさん?!宿屋の名を騙ったバーだったのか?!」

メイド「ここは現在救護所になっておる」

? 「そうだったんだ、ふーん・・・」

メイド「どこか怪我などあるかの?」

? 「無いけど・・・外あれだしさ、避難してていい?」

メイド「うむ、入って休んでくだされ」

? 「おじゃましますー・・・っと」

ガシッ チャキ・・・

メイド「?!」

? 「えっと、暴れるのと大声だすのはタブーだよ」

? 「外の魔物がここ守ってるみたいだったから、大事な物があるってふんだんだけど」

メイド「まさか賊・・・」プツッ・・・

メイド「いたっ・・・!」

? 「質問にしっかり答えてくれないと・・・あ、でも名乗りは必要かもしれないね」

? 「ボクはフーリー盗賊団団長の盗賊っていうんだ」

盗賊「あ、ボクフーリーさんじゃないからね?フーリーさんは先代の団長なんだ」

メイド「・・・救護所である宿屋に大事な物などあるはずないじゃろう」

盗賊「ううん、違うね。魔物が守ってる宿屋なんて初めて見たし」

盗賊「詳しいことは2階で聞こうかな、つれてってよ」

メイド「・・・・・・」

<宿屋2階>

盗賊「ボクが知り合いかぁ~・・・ウサギちゃんって嘘が下手だね!」

メイド「ナイフを押し付けられて頭が回るはずがなかろう・・・」

盗賊「こう見えてビビっちゃってるんだ、カワイイなぁ・・・」

盗賊「よし、本題だけど・・・お宝の隠し場所とか、怪しいとことかない?」

メイド「・・・お主、魔物がどうとか言っておったじゃろ」

盗賊「ねぇ・・・」スッ

メイド「ま、待たんか!今はおらんが、わしらの仲間の中には不死の魔物を操れる者がおる」

メイド「わしの今は暫定な妹なんじゃが・・・妹が宿を守るためにおいて行ったものじゃ」

盗賊「ふーん・・・つまり、ネクロマンサーがここを守るためにおいてったものだから」

盗賊「大事な物とかお宝があるとかとは関係が無いってこと?」

メイド「そういうことじゃ」

盗賊「・・・・・・」

盗賊「・・・いやーなかなかできた嘘なんじゃないかな?」

メイド「むぅ?」

盗賊「当のネクロマンサーもいないのに信用するなんておかしな話でしょ」

メイド「いや、外にいたじゃろ、魔物」

盗賊「いたね。だけど、ウサギちゃんの妹が動かしたわけじゃないかもしれないじゃん」

メイド「いや、それ以外に・・・」

盗賊「あーもういいから、どの道物色するつもりだったし」

盗賊「ホントのこと喋ってくれたら楽だったけど、うまくいかないよね・・・」

メイド「全て真実じゃが・・・」

盗賊「はいはい、今から物色してくるから、この部屋から出ないでね?」

盗賊「鍵いじくるから出れないと思うけど」ガチャ

盗賊「そんじゃ!」バタンガチャ・・・

メイド「・・・・・・あやつ絶対阿保じゃろうな・・・」

乙乙
盗賊め愛しのバニーちゃんになんて事を…アホだけど
頑張れ超頑張れ俺!!

<戦闘班>
リビングデッド「・・・・・・」ユラリ・・・

賊戦闘員q「ひいっ?!全然効いてねぇっ!」

賊戦闘員長「も、もう味方はこんなに減ったのか?!」

賊戦闘員長「くっそぉ!!撤退しやがれ!!しんがりは時間を稼げ!」

勇者「撤退を許すな!ここで壊滅させるぞ!!」

ゾンビ共「「「グオオオオアアァァァァアッ」」」

賊戦闘員長「弓隊!矢を射かけて時間を稼げぇ!!」ダッ

賊弓兵士「・・・・・・」ギリッ

ヒュンヒュン

勇者「アッハッハァ!!効くわけないだろうが!!」
幼魔「お兄ちゃん!」ヒョコッ

ヒュンッ

メイド『幼魔に怪我させたらただじゃすまさんぞ!』

剣士「・・・!」

勇者「非常にやばいぞ!!」ダッ

<宿屋2階>

ガチャ バタム

盗賊「やぁ、待った?」

メイド「・・・・・・」

盗賊「冗談じゃないかー、冗談はスルーされるとされた方ってかなり傷つくんだよ?」

盗賊「まぁそれより、物色終わったんだけど、成果聞く?聞いちゃう?」

メイド「興味が無いんじゃが」

盗賊「素直じゃないなぁ、こう、もっと素直で従順ならもーっとカワイイのに」

盗賊「よし、じゃあボクちゃん、今日の成果を発表しちゃうぞー!」ワキワキ

盗賊「とうっ!」トサッ

メイド「・・・金かの?」

盗賊「恐らくはここの主人のヘソクリでーす」

メイド「セコい」

盗賊「手厳しいね・・・」

盗賊「じゃあさ、次は何がくると思う?」

メイド「・・・貴重品の類いか?」

盗賊「乗ってきたね!でも、ブーッ、残念でした」

盗賊「正解は・・・なななんと!」



盗賊「無かったんだよね、何にも」

メイド「・・・・・・」

盗賊「あると思ったのに・・・本棚の裏の扉の中とか、掛け軸の裏の隠し部屋とか、ポスター裏のボタンとか・・・」

盗賊「期待を裏切られた!悔しー!」

メイド「バカらしいのぅ・・・わかったらさっさと出て行かんか」

盗賊「んー・・・そういうわけにもいかないかな」ツカツカ

ドサッ

メイド「・・・何の真似じゃ」

盗賊「昨日読んだエロ本の真似です」

メイド「顔が近いぞ、あと1光年離せ」

盗賊「めぐりめぐって元に戻ってきちゃった」

盗賊「ウサギちゃんて、やっぱりこう見えても内心焦っちゃってるんでしょ?」

盗賊「そう考えると、なんか、こう・・・込み上げて来るものがあるよね」サワ・・・

メイド「ひゃっ?!」ビクッ

盗賊「服の上からなんだけど、うーんいいね!」サワサワ

メイド「や、やめんかっ!」バタタ

盗賊「・・・きーめた」

盗賊「大事な物はいいから、ウサギちゃんをもらってこ!」

<戦闘班>

ドスッ

勇者「や、やはり止める術はこれしかなかったか・・・」ガクッ

剣士「勇者さん!」タタタ

幼魔「お、お兄ちゃん?!」

勇者「安心しろ!矢の一本くらい、背中で受け止めてやるのが男と言うものだ!」

勇者「刺さっているのは腕だけどな!」

幼魔「大丈夫なの・・・?」

勇者「引き続き敵の殉滅を続行!出来るだけ生け捕れよお前等!あとはお前達mんぶっ?!」ガクッ

ビチャビチャ

幼魔「?!?!」

勇者「ゴホッ、な、なんだ?」フラッ

剣士「・・・毒矢!」ガシッ ズッ

勇者「い゙っでええ!!な、何をするんだ剣s」

カプッ

剣士「んっ・・・」カプチュ

勇者「お、おい!何を」

剣士「・・・・・・」チュ・・・ プッ

剣士「動かないで静かにしててください」

勇者「わかった、了解した、承知した」

幼魔「け、剣士お姉ちゃん・・・?///」

剣士「はむっ・・・・・・んぅ・・・んん・・・」アムクチュ チュウ

勇者「あれだな、吸われ舐められる内に、俺様の内側の何かが崩れていくのがわかるな」

勇者「これは先日の風呂場でお前の裸を見たときよりも」

剣士「・・・・・・」ンチュ・・・カリッ

勇者「しっ・・・・・・しっ・・・!!」

勇者「死ぬほど痛いぞおおおおおお!!!!!」

<宿屋2階>

ピキピキッ

メイド「・・・それ以上近づいたらただではすまんぞ」ギュッ

盗賊「氷の針なんかでボクを止めるの?魔法使えるなら、バーッてやったらいいじゃん」

メイド「・・・使えないとわかっていっておるんじゃろ?」

盗賊「んーそうだね、下の階に被害が出る可能性があるからかな」

盗賊「だったらボクに身を任せればいいじゃん。痛くはしないつもりだよ?」

メイド「死んでも嫌じゃ」

盗賊「あっそ、どこでこんなに嫌われたのかなー・・・」

盗賊「まいっか、懐かせ方なんてそれこそ五万とあるし、連れ帰っちゃえば」

スッ ピタ

? 「・・・動くな」

盗賊「?!」

盗賊(前後取られた・・・終わったかもわからないな)

盗賊「・・・折角いいとこだったのに、水を差しちゃうんだ」

? 「水どころか短剣までぶち込むつもりだけどな」

? 「何か言い残す事はあるか?お経でもいい」

盗賊「じゃあ、一ついいかな」

? 「ん?」

盗賊「ボクを自由にしてくれない?」

? 「手段が無いわけでもないな」

? 「その手段は・・・『俺達の仲間になる』ことだっ!!」グオッ

ドサッ

盗賊「ぐっ?!」サッ

グサグサッ

盗賊「は・・・はっ・・・」カタカタ

? 「投げられて地面にたたき付けられても反応してくる身のこなしはたいしたもんだ」

? 「けど、相手が不死なんだからお前もツイてないよな」

盗賊「不死・・・効いてない・・・・・・なか・・・ま・・・」ガタガタ

? 「お前が呼び出されるかは幼魔ちゃんの気まぐれだけどさ」

? 「性格に難ありみたいだから正式採用は厳しいかもな」

盗賊「ゴフッ!ゴホッ・・・・・・死・・・や、やぁ・・・」ビチャビチャビクッ

? 「死ぬだけではお前の業は消えない・・・せいぜい綺麗になって呼び出されてくれよな?」

盗賊「 」ビクッ

メイド「・・・・・・お、お主、何も殺さんでも・・・」

? 「こいつ?」

盗賊「 」

? 「逃がして悔い改めるのに期待するか?」

メイド「・・・・・・」

? 「期待・・・できないよな」

? 「たぶん、どんな説法も最早馬の耳に念仏だった、この男には」

? 「わかるんだよ」

メイド「・・・・・・」

? 「人は楽な方に身を任せがちだが、どん詰まりまで来ると取り返しがつかなくなるんだ」

? 「それが、俺なら人を避けること、こいつなら物を盗むことだった」

? 「物を盗むのが楽だなんて、俺には信じられない話だが」

? 「どん詰まりに着いた奴には最早先も後も無い、変われないんだ」

? 「『死ぬ』くらいよっぽどなことが無い限り」

支援

メイド「お主は・・・」

? 「さっき言った通りゾンビだ、幼魔ちゃんに呼び出された」

? 「幼魔ちゃんみたいな人に呼び出されるのもなかなか大変なんだぞ?」

? 「罪を払拭しないと、まず呼びかけすら聞こえないからな」

? 「まさか人を避け続けた挙げ句、病気で死んだ俺に罪があったのには驚いたけど」

メイド「・・・・・・」

? 「ごめん、空気重くするつもりは無かったんだけどな・・・」

? 「今日は出直す。言える空気でも無いし、気分でもない、じゃあ・・・」

メイド「・・・名を聞いてもいいかの?」

? 「当然!おまえらゾンビって言うんだ、いつでも喚んでくれ!」

おまえらゾンビ「俺は何があってもバニーちゃん一筋だからな、いつでも力になる!そんじゃ!」タタタッ

メイド「・・・・・・来るのも去るのもあっという間じゃったな・・・」

メイド「一筋か・・・覚えておくかの・・・」

<戦闘班>

賊戦闘員長「へっ・・・さすがにゾンビの足じゃ追いつけないよな」

賊戦闘員長「味方の数は8人か・・・この盗賊団も終いだな」

ガシッ

賊戦闘員長「ん・・・お前等どうしt」

ドラゴンゾンビ「・・・・・・」ゴゴゴゴゴ・・・

賊戦闘員長「ひ、ひぃ?!」

ドラゴンゾンビ「あんさんか?ワイのご主人に弓なんぞ射かけたモンは・・・」

ドラゴンゾンビ「天誅どころじゃ済まされへんで・・・!」グググ

賊戦闘員長「いだだだっ?!お、俺じゃない!俺は指示しただけだ!!」

ドラゴンゾンビ「同罪じゃボケェ!反省せんような輩は・・・」

ドラゴンゾンビ「『ワイらの仲間になれ』やああああっ!!」グオオオオッ!!

賊戦闘員長「ひっ?!ひいいぃぃぃぃぃっ?!?!」
ガブッ

勇者「無様な絵面だな・・・俺様が背負われるなんて・・・」

剣士「重いからあまり動かないでください・・・」

勇者「すまん・・・」

幼魔「お、お兄ちゃん死んじゃうと思った・・・」

幼魔「私のせいなの!ごめんなさいっ!」

勇者「い、いや・・・謝られても困るんだが・・・」

幼魔「ゆ、許せる事じゃないよね・・・」シュン

勇者「いや、そういう意味ではないぞ?!」アタフタ

剣士「動かないで・・・」

勇者「す、すまん・・・」

勇者「・・・コホン、あのな幼魔、俺様は勇者だ」

勇者「勇者と言うものはな、自分が怪我してでも他人を救う、そういう存在だと俺様は思うわけだ」

勇者「よって、今回のことは勇者として当然のことをしたまでなのだ!」

勇者「だからな、謝罪ではなくて感謝の気持ちさえもらえれば、俺様はそれ以上は何も望まん」

勇者「つまりな・・・『ごめんなさい』ではなく『ありがとう』と言ってくれ、いいか?」

幼魔「・・・うん、わかった」

幼魔「ありがとう、お兄ちゃん」ニコッ

勇者「よし、それでいいぞ!お前もよくやった!」ズイッ

剣士「身を乗り出さないでください!」

勇者「頭くらい撫でさせてくれ!」

<宿屋>

剣士「・・・・///」ドサッ

勇者「ぐふっ」ドサッ

幼魔「疲れた・・・」ドサッ

僧侶「おかえりー・・・寝るなら部屋に入ってからな」

剣士「勇者さんが・・・毒矢もらってるから解毒してあげて///」

僧侶「マジかよ?!・・・お前も顔真っ赤だぞ、大丈夫か?」

勇者「背負っている俺様が散々動いたからな・・・毒抜きの応急処置もしたから血もついているだろう」

幼魔「お兄ちゃんがお姉ちゃん撫でてたのもあるとおもう・・・」

勇者「命の恩人に感謝の意を示しただけだ!幼魔に対してだけでは不公平だからな!!」

僧侶「ふぅん・・・やり方がいただけないが・・・」

勇者「そういえばメイドはどこだ?」

僧侶「知人と2階にいるみたいだ、訪ねるなら毒抜いてからにしろ」

<宿屋2階>

勇者「あいつの荒療治ときたら・・・」ズキズキ

剣士「勇者さんがソワソワして落ち着かないから・・・」

勇者「仲間の無事を確かめんうちは落ち着けるわけがなかろうが」

勇者「まぁ宿屋は無事だったようだから心配は皆無・・・?!」

剣士「血の臭いがする・・・!」

勇者「おい、メイド!」

ガチャ

メイド「・・・・・・」

盗賊「 」

勇者「なっ?!」

剣士「?!」

メイド「・・・はっ?!お主ら!」

勇者「もしかしてそれは知り合いか?!」

盗賊「 」

剣士「で、でも、この人の服・・・!」

勇者「! 盗賊団か!!」

メイド「お、お主ら、この訳は後で話すでの」フラッ

メイド「あと・・・で・・・」

ドチャッ

勇者「お、おい!!」

剣士「早く下に運ばないと・・・!」

<宿屋1階>

勇者「どうなってるんだ・・・」

僧侶「上がそんなことになってたなんて・・・」

幼魔「お姉ちゃんどうしちゃったの・・・?」

剣士「眠ってるだけだから・・・大丈夫」

勇者「状況だけみれば・・・メイドが知人を殺したことになるが」

勇者「あいつの服装はどう見ても盗賊団だ」

僧侶「そ、そうだったのか?!気づかなかった・・・」

勇者「正当防衛・・・だったのかもしれない」

? 「幼魔ちゃん、ここにいたのか」ザッ

幼魔「あ、おまえらさん!」

おまえらゾンビ「バニーちゃんがここにいるってことは、上の惨状を見たんだよな・・・」

勇者「お前・・・何か知っているのか?」

おまえらゾンビ「ああ・・・俺の知ってるとこまで教える」

勇者「あいつが盗賊団団長・・・道理で雑魚しかいなかったわけだ」

おまえらゾンビ「・・・もっと詳しいことはバニーちゃんに聞いてくれ」

勇者「しかし、つじつまが合わんな。聞いた限り、お前は盗賊から団長ということを聞いていないが」

勇者「いつ団長であることを知ったんだ?」

おまえらゾンビ「・・・それは詳しく話すことはできないが、俺は言わばこの話の秩序となる存在だ」

勇者「話?秩序?・・・どういうことだ?」

おまえらゾンビ「この冒険の過去、現在、未来は決まっていて、ある者達の監視下に置かれている」

おまえらゾンビ「その権化が俺だと思ってもらって構わない」

おまえらゾンビ「ただ俺はバニーちゃん一筋だからバニーちゃんを救ったんだ」

勇者「・・・お前がよくわからない存在だということはわかった。メイドの事実も知ることができた、感謝する」

おまえらゾンビ「ああ、じゃあそろそろ・・・」

幼魔「おまえらさん、どうだった?」

おまえらゾンビ「ん、あー、また今度挑戦するよ、じゃあな」

幼魔「がんばってねー!」

<<136
ドラゴンゾンビ→スカルドラゴン

そしてドラクエ路線で行くならば
スカルドラゴンというモンスターはおそらく存在しないので・・・
(スカルゴンならいる)

↑の訂正は無しで、ドラゴンゾンビでいきます

ドラゴンゾンビ「外面イケメンやったらなんでもええわwwww」

・・・ということで再開

勇者「・・・なんだかんだで一番きつかったのはこいつかもしれないな」

メイド「・・・・・・」スースー

幼魔「はーい魔物さん、こっちこっち!」

盗賊「 」ユラユラ

幼魔「墓地までダッシュ!」

盗賊「 」ダッ

僧侶「うわぁ・・・」

剣士「幼魔ちゃん、普段から見馴れてるからへいきなのかな・・・」

勇者「だろうな、将来が心配だ・・・」

メイド「・・・・・・」スースー

勇者「ゆっくり疲れをとってくれよ・・・」

~翌日~

ドラゴンゾンビ「ああーしんど!ご主人人使い荒うなったなー・・・」

ドラゴンゾンビ「実はしんどくはないんやけどな、洞窟に戻りたいだけや・・・」

町人c「あ!ふ、復興作業お疲れ様です!」ペコリ

ドラゴンゾンビ「・・・!」

町人c「あ、あと、あの時は助けていただいてありがとうございました!」ペコペコ

町人c「ど、どうぞお茶を」スッ

ドラゴンゾンビ「あ、ああおおきに、でもワイ骨やから飲めへんねん」

ドラゴンゾンビ「気持ちだけ・・・」

町人c「あ・・・・・さ・・・し、しゃ・・・」フルフル

ドラゴンゾンビ「な、なんや?」

町人c「しゃべったああああ?!」

ドラゴンゾンビ「?!」

町人c「あちっ!」バシャ

ドラゴンゾンビ「あっつ!!骨になんで痛覚あるんや!!」



勇者「領主の館はこの通りをまっすぐだ」

メイド「今日もあっついのぅ・・・」

僧侶「メイド・・・お前もう大丈夫か?」

メイド「あのクソ野郎はもうおらんしの、清々したわ」

僧侶「そ、そうなのか」

メイド「・・・・・・」

メイド(死んで初めて気づく罪もある・・・)

メイド(わしは今どれだけの罪を重ねておるんじゃろうか・・・)

メイド「・・・・・・」モンモン

勇者「辛気臭い顔をしているな!勇者様のマーチでも歌ったらどうだ!」

メイド「う、うむ」

メイド「・・・そんな歌は知らんのじゃが」

<領主の館>

領主「貴様らが勇者一行か・・・?」

勇者「はっ、ここにいる総勢六名がそうでございます」

領主「ほう・・・劇団かなにかかと思ったぞ」

僧侶「だろうな・・・」ボソ

剣士「うん・・・」ボソッ

領主「賊軍の撃退、首領の討伐、甚だ見事であった」

領主「だが・・・非常に申し訳ないが、なるべく早くこの地を離れてもらわねばならない」

勇者「・・・何故でしょうか?」

領主「先代がいる・・・という話は恐らく知っているだろう」

領主「貴様らが討伐したのはその息子でな、貴様らは眼をつけられたも同然だ」

メイド「!」

領主「さすがに今回のように大勢で夜襲をかけて来るようなことはないと思うが」

領主「今のこの町には先代の賊軍を受けるだけの余裕は当然無い」

領主「働きに対しての褒美は出す、早い決断を頼む」

勇者「わかりました、復興の進行具合の程度を見て、準備が整い次第出発します」

領主「うむ・・・」

勇者「それと・・・褒美は辞退させていただきます。活動資金は潤沢にございますので」

領主「ふむ・・・ならばこれを持っていけ」

領主「呪具であり、呪われているが・・・効果は強力だと聞く」

勇者「・・・ありがとうございます」

<町>

僧侶「今回の騒動がゴングみたいなモンか・・・指名手配くらった気分・・・」

勇者「なんだ、くらった事があるのか?」

僧侶「ねぇよっ!!」

メイド「というかお主・・・なんで呪具を素手で持てておるんじゃ?」

勇者「勇者だからな」

メイド「ぶっ飛んだ理屈じゃな・・・」

幼魔「ねーねー、私にも貸して!お兄ちゃん!」

勇者「だめだ、俺様がつけたいからな」

メイド「女物の手袋じゃぞ?気持ち悪い」

剣士「勇者のくせにセコい・・・」

勇者「『くせに』とはなんだ、失敬だぞ!」

僧侶「そこだけしか否定しないんだな・・・」

勇者「まぁいい、今のは全て気の利いたジョークだ、ほら」ポン

メイド「こ、こら!仮にも呪われとるんじゃぞ!!」

パサッ

幼魔「ぴったし!!」

僧侶「あ」

剣士「あ・・・」

幼魔「・・・・・・!」ゴウッ

勇者「なにっ?!」

幼魔「がおーっ!!」パタパタ

勇者「や、やめろ!寄るな!」

幼魔「がおっがおっ、えへへー!」ペシペシ

勇者「ぐぁっ!や、やめっ!傷はやめろ痛いっ!!」

メイド「幼魔も大丈夫なんじゃな・・・」

ボンッ

勇者「へっ?!」

幼魔「ふえっ?!」

勇者「・・・あ、あれ?」

メイド「?!」

僧侶「お、おい!なんで女になってんだよ?!」

勇者「し、知らない・・・どうしよう・・・」フルフル

僧侶「勇者ってこんな奴だったか?」

勇者「ご、ごめんなさ・・・い・・・」ジワァ

僧侶「おおおい泣くなよ!」アタフタ

勇者「泣いてごめんなさい・・・こんな奴でごめんなさい・・・生きててごめんなさい・・・」ポロポロ

勇者「生きてて・・・そうだ、手ぶらで盗賊団のとこに・・・」フラッ

僧侶「こいつマジで死にに行きそうだ!なんとかしてくれー!」ガッシ

剣士「・・・幼魔ちゃん、勇者子ちゃんに必殺パンチ」ボソッ

幼魔「わかった!ダークネスぱんち!!」ゴウッ

ドスッ ボンッ!

<宿屋>

勇者「ふざけるつもりが酷い目にあったぞ・・・」

僧侶「性別に性格も変更させる手袋とか危険過ぎるぞ・・・」

メイド「呪われる手袋ではなくて呪う手袋ではないか・・・」

勇者「性格はほぼ正反対になるみたいだ・・・目茶苦茶恥ずかしいんだが・・・」

僧侶「記憶も引き継ぐのか・・・」

勇者「お前らの反対なぞ、俺様よりもっと凄惨だろうな!」

メイド「・・・・・・」

僧侶「・・・・・・」

剣士『ガッハッハッハ!!』

僧侶『え・・・えと・・・』モジモジ

メイド『・・・であるからして』ブツブツ

僧侶「やばいな」

メイド「うむ・・・」

おまえらゾンビ格好良すぎ

勇者「・・・執事」

執事「・・・なんでございましょう」

勇者「どうも予定が狂いすぎてだめだ。スケジュールは破棄することにした」

勇者「いきあたりばったりになるが・・・ついて来てくれ」

執事「・・・かしこまりました」

勇者「だが本筋は変わらない・・・」

勇者「まずはようやく面が割れたあいつを倒し・・・」

勇者「魔王を討伐、そして」

勇者「大魔王の打倒だ」

~翌日~

町人c「もう行っちゃうんですか・・・?」

ドラゴンゾンビ「そうなんや・・・平和になったら洞窟に遊びにきいや、歓迎したる!」

町人c「はいっ!ドラゴンゾンビさんも町に遊びに来てくださいねっ!」

ドラゴンゾンビ「合点承知や!ほなな!」バッサバッサ

ドラゴンゾンビ「って、ワイ骨やから飛べへんねんなwwwww」

町人c「もうっ、ドラゴンゾンビさんったらっ///」バシッ

ドラゴンゾンビ「なははははは!」

僧侶「なんかシュールなやり取りだよな・・・」

幼魔「私、本当は洞窟じゃなくて、人と魔物さん達が仲良しできる町を作りたいの!」

勇者「ほう、ということは幼魔の夢は町長か!頑張るんだぞ!」

幼魔「うんっ!」

ドラゴンゾンビ「さっきのバシィで羽の骨一本無くなってもたwww」

町人c「す、すみません・・・」

<草原>

勇者「次の町まで三日ほどかかるようだ」

僧侶「三日も乗りっぱなしかよー・・・」

勇者「文句を言うな!馬にピオリムでもかけてやったらどうだ?」

僧侶「アタシ、ピオリム使えねーし」

ポンポン

僧侶「ん、なんだ?剣士」

剣士「次の町で、昇級試験が受けられる・・・」

剣士「試験資格はlv.30以上・・・」

勇者「レベルなんてあったのか?!」

メイド「いまさらじゃな・・・」

剣士「レベルカード、申請して貰ってきてるから、配りまーす・・・」

剣士「私はlv.27だった・・・もう少し」

僧侶「アタシlv.11なんだけど」

メイド「lv.13じゃ」

勇者「俺様はlv.24だな」

僧侶「おい!なんでこんなに差がついてるんだよ?!」

メイド「ほれ、昨日の・・・」

僧侶「・・・あー、そういやアタシら世話係だったもんな」

幼魔「私lv.49だ!」

勇者・僧侶「「なんだと?!?!」」

剣士「ほら、元ボスだから・・・」

僧侶「だからってバランス崩しすぎだろ!!」

勇者「ということでメタルスライム狩りだ!行くぞお前達!」

僧侶「おーっ!」

剣士「・・・おーっ」

幼魔「おー!」

メイド「わしは魔法のお勉強じゃ~」

勇者「ノリの悪いやつだな・・・執事と留守番頼んだぞ」

幼魔「行ってきまーす!」


メイド「・・・よし、呼んでみるかのぅ」

メイド「地面に叫べばいいんじゃろうか・・・」

メイド「おーいおまえらゾンビ、でてこんかー」ペシペシ

メイド「でてこーい」ゲシゲシ

おまえらゾンビ「出てきてるとこ蹴るな痛い!」

おまえらゾンビ「なんだ、まだ考えていたのか」

メイド「まだとはなんじゃ」

おまえらゾンビ「いや、バニーちゃんもっとあっさりしてるのかと思ってたんだが・・・」

おまえらゾンビ「そんなに俺が言ったことを真剣に・・・なんというか、えらいぞ」ガシガシ

メイド「や、やめんか!ちょっと馬鹿にしておるじゃろ!」

おまえらゾンビ「してないしてない」

メイド「二回言ったぞ」

おまえらゾンビ「してない」

メイド「言い直しても一緒じゃ」

おまえらゾンビ「じゃあ、した」

メイド「開き直るでないっ!」

おまえらゾンビ「死んだ後の事のために生きてる内の時間使うのは勿体ないぞ」

おまえらゾンビ「あんな事言ったが・・・あれはほら、カッコつけただけだ」


メイド「う、うむ・・・」

おまえらゾンビ「今は今だろ?っつーことで、今の悩みがあれば聞くけど」

メイド「そうじゃな・・・暇じゃな、暇なのが悩みじゃ」

おまえらゾンビ「レベル上げはどうしたんだ?」

メイド「暇じゃとゆうとろうが」

おまえらゾンビ「しょうがないな・・・じゃあ」

幼魔「たっだいまー!」

幼魔「あ、おまえらさんだ!」

おまえらゾンビ「おすー」

メイド「早かったのぅ」

幼魔「スライム早すぎて捕まらないんだもん!つかれた!」

幼魔「ねぇねぇおまえらさん、これしよー」

おまえらゾンビ「花札か・・・いいぞ」

メイド「花札じゃと?!」

おまえらゾンビ「洞窟には博打好きな住人もいるんだ」

おまえらゾンビ「かけるのはアメだけどな」

幼魔「決まりだよー」

メイド「お主ら変なモノを吹き込むでない!」

幼魔「私から・・・これ!」

おまえらゾンビ「猪鹿狙いか・・・じゃあこれ」

メイド「聞いておらんっ」

僧侶「あーメイス持つ手がいてぇ・・・」

勇者「奴ら弾き返してくるからな」

勇者「ん、そういえば幼魔はどこだ?」

剣士「疲れたから帰るって・・・」

勇者「なんだと・・・花が無くなってしまったな」

僧侶「なんだと、はこっちの台詞だ!お前はいつからロリコンんになったんだ・・・」

勇者「俺様がロリコンなはずが無いだろうが」

勇者「現にお前の豊満なおっぱいは大好きだぞ」

ガンッ

僧侶「そこしか見てねぇのか変態が・・・」

勇者「しかし剣士のもハリツヤが」

ガンッ

勇者「フォロー・・・は・・・いるだろ・・・」バタッ

剣士「・・・変態」

メイド「ほう、これが花見酒・・・」

おまえらゾンビ「そうそう、んでこの組み合わせが」

幼魔「ねーねー」

メイド「なんじゃ?幼魔」

幼魔「お姉ちゃんはまだ結婚しないの?」

おまえらゾンビ「わお・・・」

メイド「な、なんじゃ急に」

幼魔「おまえらさんがお姉ちゃんと結婚するって言ってたんだもん」

メイド「?!」

おまえらゾンビ「幼魔ちゃん!俺から言うんだからばらしちゃダメでしょ!」

幼魔「んふふ~♪」

おまえらゾンビ「幼魔ちゃん・・・恐ろしい子・・・」


愛しのババババニーちゃんと一緒ハアハア

メイドとくっつけるたかやめてね

おまえらゾンビ「えっと・・・その、なんだ、先日言おうとしたんだが」

おまえらゾンビ「あの空気の中じゃ言えなかった・・・空気重くしたの俺だけどさ」

メイド「・・・だから一筋などと言ったのか?」

おまえらゾンビ「そうだな、俺はバニーちゃん一筋だ」

メイド「そ、そうじゃったのか。こういうアプローチを受けるのは初めてなんじゃが?」

おまえらゾンビ「・・・困ってるのか?」

メイド「すまんの・・・少し時間をくれんか」

おまえらゾンビ「お、おう」

勇者「よし、あのスライムもらった!!」

僧侶「待てよー・・・」

メイド「! お主帰るんじゃ!」

おまえらゾンビ「なんでだ?」

メイド「いいから!」グイグイ

おまえらゾンビ「お、おう、じゃあまたな!」タタッ

>>166
安価どーりにいくとくっつく予定
それか死亡フラグ発動するか・・・

まだ考えてないから気分とストーリーによる

ドズン

メイド「わっ!」グラグラ

幼魔「わー!」

僧侶「やば・・・馬車にめり込んじゃったじゃん」

勇者「どこがやばいんだ?好機じゃないか」

ズポッ

幼魔「スライムさん捕まえた!」

メタルスライム「ピギー!」バタバタ

幼魔「おとと、お兄ちゃん!」ポイッ

勇者「おう!」キャッチ

幼魔「持ってて!私が倒すもん!」

勇者「・・・なに?」

幼魔「必殺ぅー・・・ダークネス」

勇者「おいちょっとまt」

幼魔「ぱんち!」

ドズン

勇者「ゴフッ?!」ポイッ

剣士「・・・キャッチ」トサッ

ボンッ

勇者「また殴られた・・・パパにもぶたれたことないのにぃ・・・」グズグズ


僧侶「あらら、まためんどくさいやつになっちまった・・・」

幼魔「剣士お姉ちゃん持ってて!」

剣士「えっ」

幼魔「スーパー必殺・・・ぐるぐるダークネスぅー・・・」ダッ

剣士「南無三っ・・・!」

メイド「お主ら、騒ぐのも大概に」

幼魔「ぱんち!!」ドスッ

メイド「ぶっ?!」

ボンッ

僧侶「まずいな・・・収拾つかなくなってきた・・・」

メイド?「・・・・・・」スッ

僧侶「性別変わってる・・・メイド服着てるからやばいなありゃ」

メイド?「お嬢さん、どうなさいました?」

勇者?「ふぇっ?!」ビクッ

メイド?「何を嘆いておられるのでしょう」

勇者?「わ、私すぐ怪我するし、馬鹿で役立たずだしぃ・・・」グスッ

勇者?「へ、ヘンタイだし・・・///」

勇者?「出来損ない勇者で、足引っ張ってばかりで迷惑かける自分が・・・嫌いなんです・・・」

メイド?「果たして貴女は出来損ないでしょうか?」

勇者?「へっ?」

メイド?「貴女は今までの旅でどれだけの命を救いましたか?」

メイド?「町で、村で、勇者という地位にたどり着く過程で、どれだけ救ってきたのでしょう・・・」

メイド?「私もその内の一人ですよ。そして貴女に救われた私が断言します」

メイド?「貴女は・・・十分立派な、勇者ですよ」ニコッ

勇者?「メ、メイド?さん・・・」ギュッ

メイド?「勇者?さん・・・」ギュッ

メイド?「もっと誇りに思ってもいいのですよ、ヘンタイは勇者のステータスです」

メイド?「だから・・・その涙を拭いてください」

勇者?「・・・はい」

僧侶「舞台でも見てるみたいだ・・・」

剣士「・・・幼魔ちゃん、二人にタッチ」

幼魔「わかった!タッチ!」ペシペシ

ボボンッ

剣士「パンチ当ててもらったら懐いた・・・」ギュー

メタルスライム「ピキー!」

幼魔「お手々痛い・・・」

僧侶「剣でも弾くってのに・・・ほら、見せてみ」

勇者「・・・・・・」グッタリ

メイド「・・・・・・」グッタリ

勇者「その、なんというか・・・乙女心にグッときたぞ?」

メイド「黙っておれ・・・」ハァ・・・

<次の町>

メイド「・・・あーしんど」

勇者「メタル狩りについて来なかった自分を呪うんだな!ハッハッハァ!」

メイド「くぅー・・・さすがに反論できん・・・」

勇者「まったく、昇級試験の申請をしたらとっとと宿に入るぞ」

剣士「・・・少しいい?」

僧侶「ん、どうした?」

剣士「ちょっと行きたいとこある・・・」

勇者「ん、何ならついていくが?」

剣士「大丈夫、しょうもない用事だから・・・」

勇者「そうか、ここは治安も悪くないし、まぁ遅くなりすぎない内に帰ってくるんだぞ」

剣士「・・・わかった」タタタ

メイド「あ゙ー眠いぞー」フラフラ

<製紙工房>

所長「なんだい?嬢ちゃん、お使いなら店に行ってくれ」

剣士「いえ、あの、紙を作りに来ました・・・」

所長「なんだ、バイトの申し込みか?」

剣士「た、体験みたいなものでいいんです。栞が作りたくて・・・」

所長「はぁ、栞ねぇ。買えばいいってのに嬢ちゃんも物好きなこった」

所長「40年やってきたが、そんな依頼は初めてだ」

剣士「無理・・・でしょうか・・・」

所長「無理とは言ってないよ。納得するまでやったらいい」

剣士「あ、ありがとう・・・」

<宿屋>

幼魔「まてー!」バタバタ

メタルスライム「ピキー!」ビョンビョン

勇者「おい、部屋で暴れるんじゃないぞ!壁に穴があくだろう」

僧侶「隣とか寝てる奴に配慮しろとかではないんだな・・・」

メイド「・・・」スースー

僧侶「っつーかなんでまた同じ部屋にいるんだよー」

勇者「先日の様な事態に連絡がとれなかったらいけないからな、俺様の配慮だ」

僧侶「そうかもしれないけどさ、なんつーか信用ならないというか・・・」

勇者「何かあったらぶっ飛ばせばいいではないか」

僧侶「それ自分で言うの?」

勇者「風呂も俺様が先に入れば問題ないだろう」

僧侶「それも・・・そうか、そうしてくれ」

剣士「ただいまー」

僧侶・幼魔「「おかえりー」」

メタルスライム「ピキー!!」

剣士「よしよし・・・よいしょ」ダキッ

剣士「・・・お風呂入ってくる」

僧侶「ちょっと待った、今勇者が入ってるぞ?」

剣士「今入りたいからはいる」

僧侶「・・・そうか、じゃあ何かあったら呼ぶんだぞー」

剣士「わかった」

ガララ

剣士「・・・失礼します」

勇者「・・・剣士か、帰ってきていたんだな」

剣士「今さっき・・・」

勇者「そうか、ゆっくり浸かれ」

剣士「・・・はい」チャプ・・・

剣士「・・・・・・」

勇者「・・・・・・」

勇者「・・・なぁ、剣士」

剣士「?」

勇者「俺様はそんなに信用ならないだろうか?」

剣士「・・・どういうこと?」

勇者「そのままの意味だ。どうなんだ?」

剣士「んー・・・」

勇者「・・・・・・」

剣士「んんん・・・」

勇者「・・・・・・」

剣士「信用できてないなら、一緒にお風呂入らない・・・と思う」

勇者「そうか!・・・!」バジャア

勇者「・・・ということは、僧侶にはまだ信用されていないということか」チャププ・・・

剣士「何か・・・言われたの?」

勇者「先程の話だが・・・」





剣士「・・・そうなんだ」

勇者「いくら俺様の鋼のハートでも、傷くらいつくからな」

剣士「・・・私はもう信用してる」

剣士「私は勇者さんがしてくれたこと、ちゃんと知ってる・・・」

剣士「僧侶ちゃんは、勇者さんと行動する機会が少ないから・・・」

勇者「・・・・・・」

剣士「・・・勇者さん、私の昔のこと聞いたことある・・・?」

勇者「・・・・・・聞いたぞ、不覚にも涙腺が緩んでしまったが・・・」

剣士「・・・そうなんだ、勇者さん優しい人だね」

剣士「・・・ひょっとしたら」

剣士「僧侶ちゃんの方が、私よりダメージが大きかったのかもしれない・・・」

剣士「それか、恥ずかしがってるのかな・・・」

勇者「後者は有り得ないだろう」

剣士「ううん、僧侶ちゃん、気が強いから・・・」

勇者「気が強いのはわかるが・・・どうも俺様の中の変態成分が拒絶を招いてるらしい」

勇者「だが俺様は変態がどういうものかわからない・・・俺様は何時だって素だからな」

剣士「え・・・?」

勇者「背中の手が届かない場所がむず痒い心理と似ているな」

勇者「俺様にわかるように変態が何かを教えてくれないか?治せたら治したいからな」

剣士「変態が何か・・・」

剣士「・・・変態の基準とかは無いと思うけど」

剣士「お、おっぱいって女の子の前で言うと・・・変態だって思う人はいると思う」

剣士「言い換えたら・・・大丈夫かな・・・?」

勇者「ほう・・・なるほど」

勇者「では今タオルから少し覗いているお前のむn」

バシャ

勇者「・・・話が違うぞ」ポタポタ

剣士「恥ずかしいからやめてください・・・」

剣士「女の子に対して、え、えっちな事を言わなければいいと・・・」

勇者「えっちな事?なんだそれは」

剣士「・・・勇者さん、意地悪?」

勇者「俺様は変態と呼ばれることはあっても」

勇者「意地悪と言われたことはないな・・・」

剣士「・・・意地悪と変態は紙一重な気がする」ボソ

勇者「ん、なんだ?」

剣士「な、なんでも・・・」

剣士「私の口からは言いにくいので、調べてください・・・」

勇者「むぅ・・・しょうがないか」

勇者「話を聞いてくれて感謝するぞ」

剣士「はい・・・また何かあれば・・・」

メイド「・・・」スースー

勇者「・・・」

勇者「確定したわけではないが・・・あれが使えればメイドが・・・」

勇者「俺様の感覚が正しければそうにちがいない・・・」

勇者「俺様の計画にはまだ筋が通っているようだ・・・」

メイド「・・・・・・ん」ムクッ

勇者「ん、起きたのか」

メイド「他の者らは?」

勇者「風呂に入ってるぞ」

メイド「じゃあわしも入るか・・・ん~っ!」ノビー

勇者「・・・メイド」

メイド「はーっ、なんじゃ?」

勇者「魔法の習得、頑張るんだぞ」

メイド「言われんでもわかっておる、曲がりなりにも魔法使いじゃからな!」

勇者「頼もしいな・・・」

~夜中~

* 「はっ!せいっ!」ブンッブンッ

* 「やっ!」ブンッ

* 「・・・はぁ、一休みだ」

* 「・・・スマンな、剣士。悪いが俺が試合には俺がでる」

* 「お前の名を不同のものにし、師として崇められるほどの技量を見せつけ!」

* 「最強が誰かを自覚させてやるんだ!ダッハッハぁ」

支援

~翌朝~

ダァァン!!

勇者「遅いぞ!」ガタァン

メイド「お主は騒がしすぎじゃ・・・」フアァ・・・

勇者「後1時間しかないんだぞ!この寝坊助が!」

メイド「3時間しか寝ておらんからのう・・・」モグモグ

僧侶「まったくだ・・・詰め込みなんて金輪際御免だ・・・」フラフラ

勇者「剣士がおらんではないか」

僧侶「剣士ねぇ・・・昨晩窓から飛び出してったんだけど」

勇者「僧侶、顔を洗って来い。眠気が取れておらんようだ」

僧侶「まあそうだけどさぁ・・・嘘ではないぞ」

勇者「ではまやかしの類か。僧侶という職にありながら化かされ」

バァァン!!

幼魔「ん・・・むむ・・・だあぇ?」ポケーッ

剣士?「ダッハッハァ!試験も近いんだろ?サッサと行くぞゴルァ!!」

<町中>

ザワ・・・ザワ・・・

剣士?「このとーりだ!マジで頼む!!」ドゲザー

勇者「馬鹿者が、早く顔を上げろ!」

勇者「全く・・・顔は殆ど同じだが、それで参加許可が下りると思っているのか?」

剣士?「なぁ、俺は合格したいし、させたいだけなんだって!」

勇者「話が噛み合わん・・・俺様ではなく受付に頭を下げろ馬鹿者が」

剣士?「なるほど!受付にナシつけりゃいいんだな!ほんじゃま~」タタタ

勇者「おい・・・全く、なんで俺様が剣士?の番を・・・」

勇者「はぁー、競技場はあそこだな?執事」

執事「左様でございます」

勇者「よし、では仕事を続けてくれ」

執事「かしこまりました・・・」

~正午過ぎ~

僧侶「ん~っ!清々しい!割と解けるもんだ!」

メイド「あれは落ちたのぅ」フッ・・・

僧侶「なーに白けてんだよ、せっかく終わったんだし、さっさと合流しようぜー」

メイド「あー!!」ガシガシ

メイド「スーッ」

メイド「ハァァー・・・」

メイド「・・・」

メイド「よし、行くぞ~」

僧侶「何やってんだ・・・?」

<競技場>

僧侶「おーっす」

勇者「・・・なんだ、終わったのか」

メイド「そうじゃな・・・いろいろ・・・」トオイメ

僧侶「まぁまぁ・・・ん」

メイド「・・・む、どうしたんじゃ?」

僧侶「剣士いないじゃん」

メイド「まだ試験が続いておるんじゃろ、そして剣士でなくて剣士?じゃ」

僧侶「んだとしても午前には終わるはずだろ?」

勇者「よく見ろ、あそこにいるだろうが」ビッ

ドサッ

相手選手「 」

剣士?「チッ・・・シケてんな・・・雑魚すぎ」

アナウンサー「相手方の意識が飛び戦闘不能!ナンバー27、剣士選手準決勝進出です!!」

ワァァァァァッッ!!



僧侶「おい、なんなんだ?これ」

勇者「剣士の上、スレイヤーのそのまた上のソードマスターを決めるトーナメントらしい」

幼魔「らしいよ~」

僧侶「マジかよ・・・」

メイド「年四人選抜じゃったっけのぅ・・・」

僧侶「4つのトーナメントの各一位だったな・・・たしか」

メイド「ソードマスターになれたら道場開いて師範にもなれるらしいのぅ・・・」

メイド「っは~わしもソーサラーになれる頭があればのぅ~」

勇者「なんでコイツは半ば自棄になっているんだ?」

僧侶「試験が悪かったんだよ」

勇者「なるほどな」

勇者「・・・しかし、後二人抜けばソードマスターとやらになれる」

勇者「どこで教わったのかは知らんが・・・俺様のパーティーの質も上がるものだ」

勇者「よって応援するぞ、応援団長」ポン

メイド「・・・む?」

勇者「まかせたぞ!」

メイド「行くんじゃ剣士!フック!アッパー!と見せかけて腹パンじゃ!」ギャーギャー

僧侶「まだ始まってないぞ」



剣士?「勝手に出ちまったものの、ここまで来ちまった・・・」

剣士?「後には引けねぇよなぁ?」

アナウンサー『さて、準決勝!cブロックでは剣士vs玄人剣士の試合が始まります!』

剣士?「玄人剣士・・・なぁ」

ザッザッザッ

玄人「よぅ、女、俺はこの辺で30年やってる剣士だ、よろしく頼むぜ」

審判「制限時間は3分!始めてください!!」

剣士?「・・・んあ?今お前女っつったよな」

玄人「ああ、言ったが?」

剣士「目ぇ開いてんの?どう見てもイケメンじゃん」

玄人「お前こそ何言ってるんだ?服も面も、名前も女だろ?」

剣士?「これは着替える暇がなかったからだ!」

玄人「え?」

剣士?「クソが、恥かかせやがって・・・今から一分だゴルァ!!」ダッ

玄人「コイツ台詞が悪もんだ!」

剣士?「タコにしてやんぜ!」ブンッ

ガキィッッ

玄人「くっ?!」

剣士?「あと40秒しかねぇんだよ!」ブンブンッブンッッ

アナウンサー『玄人選手、剣士選手の剣撃が見切れない!!』

アナウンサー『受けで精一杯な様ですが・・・?』

解説『・・・ほ、・・・!・・・・・・ほひゅ・・・・!・・・・・・・・・フヒッwwwwwww』ケタケタ

アナウンサー『解説さん、熱弁を奮いすぎて言葉が出ていない!』

アナウンサー『しかし、読唇術を修得している私にはわかります!フムフム、なるほどー!』

剣士?「あ~らよっ!」ヒン

カンッ ガツンッ!

玄人「がっ?!?!」

玄人(な、殴りやがった?!)ズザザ

剣士?「チャンス!ひぃ~っさつのー・・・」ドッ

玄人(まずい・・・だがカウンター・・・!)ダッ

解説『・・・・・・ま!・・・ゃあ・・・・・・フヒッwwwwwww』ケタケタ

バシイッッ!

玄人「わっ?!」フワッ

剣士?「ふーるぼっこぉー・・・」ビビビビビッッ

ガガガガガッッ!

剣士?「斬ッッ!!」バシイイィィ

ズゴオオォォォッッ!・・・

・・・ザワ・・・ザワワ・・・・・・

玄人「 」ピクピク

剣士?「ダーッハッハァ!ざまぁないぜ!!」ゲラゲラ

剣士?「玄人なんざ名乗るくらいならさっさと試験受かりゃあいいんだ!」

アナウンサー『決着!剣士選手、玄人剣士選手を圧倒し、決勝戦進出です!!』

解説『こっ・・・・・・ま・・・むむ・・・!・・・・・・っ、フヒッwwwwwww』ケタケタ

アナウンサー『次は・・・なるほどなるほど!熾烈を極めた戦いになりそうです!』

剣士?「よし、剣士・・・後一歩だ」グッ




メイド「チェスト!チェストー!!」ギャーギャー

僧侶「メイド、準決勝終わってんぞ」

勇者「勝ったところで、今朝から今まで抱いていた疑問をぶつけさせてもらおうか」

僧侶「なんだ?」

メイド「なんじゃなんじゃ?・・・」

勇者「お前達は転職したところで何かメリットはあるのか?」

勇者「因みに俺様は呼び名が変わっただけだ。やっていることは旅人時代と変わらんからな」

メイド「そうでもないじゃろ。勇者という職が周りに与える安心感は旅人より上じゃと思うぞ」

勇者「安心感か・・・」

メイド「話を戻すとの、わし等の転職は、将来のためじゃ」

勇者「・・・む、まて、勇者様パーティーに加わっているものの心配事とは思えんぞ」

メイド「何を言っておるのじゃ、お主解雇予定があると言っておったろうが」

僧侶「この話も一回目じゃないぞ」

勇者「そういえばそうだったな」

メイド「お主・・・」

勇者「やめてくれ、その目線は俺様も堪えるんだ・・・」

勇者「しかし、お前達は魔王城まで来てもらう予定だぞ?」

勇者「これも前に話した気がするんだが・・・」

メイド「初耳じゃな」

僧侶「だな」

勇者「・・・・・・」

僧侶「というか、なんで魔王城までなんだ?その先は一人で行くつもりか?」

勇者「魔王城の内部も含むに決まっているだろうが」
勇者「紛らわしい言い方をしたな、すまない」

僧侶「お、おう・・・謝るほどか・・・?」

勇者「・・・そろそろ決勝戦が始まるようだな」

メイド「じゃな」

アナウンサー「大会も大詰め!決勝戦は剣士対老剣士です!」

解説「wwwwwwww」ケタケタ

剣士「・・・・・・」

剣士(幼魔ちゃんの悪戯は今に始まった事じゃないけど・・・)

剣士(・・・もういい、元に戻れた)

剣士(頑張るね、もう一人の私・・・)

老剣士「ふぉふぉふぉ、お主がえらく好調子じゃという者か」

剣士「・・・はい」

老剣士「ふむ・・・何やら先程とは様子が違うようじゃが」

老剣士「まあよい・・・かかってきなさい」

剣士「・・・はい!」スッ

審判「始めえぇぇいっ!!」バッ

剣士「・・・・・・」ジリッ

老剣士「・・・・・・」ジリ・・・

アナウンサー『相手の出方を見ている・・・というところでしょうか』

解説『・・・わ・・・・・・らぉ・・・!フヒッwwwwwww』ケタケタ

アナウンサー『なるほど・・・』

老剣士「・・・良かろう、ならば受けてみよ」ザッ

剣士「・・・」

老剣士「よっ、ほっ」タッ タッ

ガキッッ

剣士「・・・」グググ

老剣士「ふむ・・・」

老剣士「ほっほっ」フンヒュン

ガンッガキッ

剣士「・・・」ザッ

老剣士「足を掬うか、その手は食わんよ・・・」ガシッ

剣士「・・・?!」

老剣士「でぇやっ!!」ブンッ

アナウンサー『な、なんと老剣士選手、相手を放り投げた!』

老剣士「着地点に隙有り・・・」ダッ

剣士「・・・っく」

老剣士「老亀流、甲断ち・・・」ダンッ

ガッ

剣士「・・・!」

老剣士「空中で受け止めるか・・・問答無用っ!!」

ドゴオオォォォ・・・

アナウンサー『剣士選手、地面にたたき付けられた!』

モクモク

老剣士「ふぉふぉ、立てるかのぅ」

バァッッ

老剣士「ぬっ?!」ガッ

剣士「このっ・・・!」ゲシッ

老剣士「ぐっ!」ザザザ

剣士「距離を詰めて・・・あれでいく」ダッ

老剣士「突っ込んでくるか・・・ならば!」

老剣士「老亀流、万突切」シババババ

老剣士「突きと斬撃の隙を潜ることなぞできまい・・・!」

支援!

シババババッ

剣士「・・・」ザッ

アナウンサー『んん?剣士選手、足を止めたようだ』

剣士(・・・わかってる、恐らく)

剣士?『あと40秒しかねぇんだよ!』ブンブンッブンッッ

剣士(もう一人の私の太刀筋はいくつかのパターンを組み合わせてあるから・・・)

剣士(この人の突きにも法則があるはず・・・)

老剣士「ふぉふぉふぉ!」シババババッ

剣士「・・・・・・」ジッ

剣士(わ、わかんない・・・)

剣士(でも・・・弾幕が薄いとこがある)

スッ

解説『!・・・・・・!!・・・はっ!・・・フヒッwwwwwwww』ケタケタ

アナウンサー『?!』ビクッ

剣士(イチバチ・・・!)ダッ

老剣士「下段か?相変わらずじゃな!」シババババッ

剣士「・・・必殺」ボソッ

ガガガガガッ

剣士「・・・ふるぼっこ斬」

老剣士「っ?!」

アナウンサー『な、なんと?!鍔ぜり合いに持ち込んだ!』

老剣士「・・・何じゃ今のは、出鱈目に剣を振り回しただけではないか」グググ

剣士「・・・だから弾き返せなかった・・・はず」グググ

剣士(さっき投げられたからまた・・・)

老剣士「お、おのれっ!」

剣士(来る!)

ザッ

老剣士「な?!読まれ・・・」

ガッ

老剣士「ぬをっ・・・」フワッ

ドサッ バシィィン!

老剣士「・・・・・・」

老剣士「得物が無い・・・な・・・」

審判「老剣士、武器を失い戦闘不能っ!」

審判「よって勝者、剣士選手!!」

剣士「・・・・・・」ペコリ

ワアアアァァァァッッッ!!

アナウンサー『頭脳戦を制したのは剣士選手!はれてソードマスターの称号が贈られます!おめでとう!』

解説『おめでとー!!』



勇者「・・・」

メイド「・・・」

僧侶「・・・なんかさ」

僧侶「宝くじ一等当たったみたいな感覚だ・・・」

<町中>

神官「ソードマスター」

メイド「マスター」

勇者「ソードマスター・・・」

幼魔「ますたー!」

ソードマスター「や、やめてください・・・」

神官「出てくるのにも一苦労だったな、全く」

メイド「全くけしからんのぅ・・・」チラッチラッ

神官「うっ・・・まぁオーライオーライ」

メイド「ぐぬぬ・・・!」

勇者「メイド、お前は俺様のメイドだ。それ以上でもそれ以下でもない」

メイド「お主、それが励ましじゃったらヒャダイン降らせるぞ!」

勇者「強力な魔法は職業に関係なく使えるんだろう?」

メイド「頭の追いつかん魔法使いなんぞ、ある種の脳筋じゃぞ・・・」

info

剣士→ソードマスター

僧侶→神官

に転職しました

* 「・・・」テクテク

* 「・・・む?」スン

メイド「ソードマスターと勇者、どちらが凄いのかのぅ・・・」

勇者「ソードマスターという響きに勇者は負けているな」

ソードマスター「い、いえ、勇者だって負けてないです・・・」

勇者「俺様勇者」

メイド「わし魔法使い」

幼魔「ネクロマンサー!」

メタルスライム「・・・! ピキー!」

神官「まぁまぁ・・・」



* 「・・・まさか、あの方は」スンスン

* 「師匠っ!!」

<シッショーーー!! ダダダダ

勇者「む、知らないうちにもう弟子を」

ソードマスター「作ってません・・・それに、あんな剣知らない」

* 「実に四年ぶりっ!よーやっと再開できましたぁぁぁぁ!! 」ダダダ

* 「ししょおおぉぉっ!!」ジャキンッ ダダダ

ソードマスター「っ?!割り込めないっ」ザッ

神官「ア、アタシ?!」

ガンッッ!

* 「し、ししょー・・・どん・・・・・・な・・・手・・・・・・」ズルル・・・

バタッ

メイド「土壇場のアイフィールドじゃな!」フンッ

<宿屋>

神官「連れて帰ってくんのかよ・・・」

勇者「のびた女を路上に放置するなど、俺様にはできんからな!」

神官「通り魔だぞ?」

勇者「お前の弟子らしいではないか」

神官「弟子とった覚えはねぇよ!」

ソードマスター「一緒にいるけど、私も知らない」

幼魔「わたしもー」

メイド「師匠と呼ばれたのはお主じゃったがなぁ・・・」

* 「っは! 師匠!」バッ

勇者「ん」

* 「ししょおおお!!」ビョンッ

メイド「ま、またじゃ!アイフィールド!」バッ

* 「なんのっ!!」カチッ キィンッ

バリィィン

メイド「!」

* 「ししょー!!」ガバァ

神官「うわっ?!」

* 「・・・ししょう・・・ししょー・・・・・・」モゾモゾ

神官「は、離れねー!」グググ

* 「・・・・・・」スゥーハァッ

* 「・・・・・・ううっ・・・」グスッ

神官「な、なんで泣くんだよー!」

勇者「弟子と師の対面か・・・」

神官「違うっつってんの!」

神官「大体誰なんだよぉー」

メイド「うむ・・・名も聞いておらんかったしな」

幼魔「お姉ちゃんだれ?」

メタルスライム「ピキー」

* 「はっ!失礼しました!名も名乗らずに!」


* 「・・・っ」ゴシゴシ

* 「・・・よし!」スゥーッ

ダンッ

* 「知らざぁ言って聞かせやしょう!」バンッ

* 「剣を振り、悪を成敗するが幾星霜」

* 「旅の中途、義に打たれ、善を知り、愛を悟るもまた一興!」

* 「以前を言えば、生まれも魔界で育ちも魔界」

* 「親とはなるるが十の歳、師につき教えを乞うが十一で、旅に出づるが十六よっ!」

* 「苦節三年!ようやく師と再開し本懐を遂げたる者は・・・」

* 「若鶴夢想一真流師範が一番弟子っ」

* 「あっ」

* 「魔刀士たぁ私のことよっ!!」ベベベンッ

勇者「・・・・・・」

神官「・・・・・・」

幼魔「いぇーい!!」パチパチ

魔刀士(師匠・・・私噛まずに言えました・・・)

魔刀士(完璧ですっ・・・!)ウルウル

支援

支援!

勇者「それが魔界式の自己紹介か?」

魔刀士「へへへ、それは誤解ですぜ、旦那ァ」

勇者「お前のせいだろう」

魔刀士「ノンノンノン!今のは師匠から伝授された、『名乗り』です!」

魔刀士「師匠からは名乗りだけでなく、剣術や技も磨いていただいたもんです・・・」キラキラ

魔刀士「ね!師匠!」

神官「いや、違うから」

魔刀士「師匠!雨の日も風の日も共に剣を振るい、滝に打たれた・・・あの・・・」

魔刀士「あの日々を忘れてしまったんですか!」ウルウル

神官「そんなこと言われても、面識がないんだ!」

魔刀士「そんな・・・そんなはず・・・」

魔刀士「じゃあ、若鶴流の合言葉はどうですかっ!」

魔刀士「鶴は千円?」

神官「知らないってば、諦めてくれ・・・」

魔刀士「なんですと・・・師匠は記憶が無いんでしょうか・・・」

神官「なんでそうなる・・・」

魔刀士「そうとわかれば、この魔刀士、全身全霊をかけてその記憶取り戻させていただきます!」

勇者「待て待て、素性の知れない部分が多すぎて怪し過ぎるぞ貴様」

魔刀士「さっき名乗ったじゃないですか!」

勇者「切り付けた理由なり、その若鶴流とかいうのをはっきりさせろ」

魔刀士「ああ、はいはい!そういうことですか旦那」

魔刀士「切りつけたって旦那は言いましたけど、あれは立派な挨拶です!」

ソードマスター「・・・物騒」

魔刀士「物騒ではありましぇん!相手の受け方である程度のコンディションがわかるんです!」

魔刀士「便利ですよね!ね!」グイッ

メイド「う、うむ」

魔刀士「カッコイイじゃないですか・・・出会い頭に火花を散らし、一瞬にして互いを理解する・・・」

魔刀士「師匠に受け止めていただけなくて甚だ残念の極みです・・・」

魔刀士「あ、『記憶が消えても体が覚えてるぜ!』とかあります?」

神官「そんな剣握ったこと無いぞ・・・」

魔刀士「まぁまぁ、遠慮なさらずー」グイグイ

神官「お、おい!」

魔刀士「若鶴流は抜刀術の流派なので、構えはそんな感じですね」

神官「・・・・・・」

勇者「待て、ここは屋内だぞ?」

魔刀士「大丈夫ですよぅ旦那ァ、減るもんじゃなし」

勇者「そういうものではないだろう」

魔刀士「ではちゃちゃっとやっちゃってくださいっ!」

神官「・・・・・・」ヒュゥゥゥ・・・

神官「やっ!」ガキッ

勇者「・・・・・・」

メイド「・・・・・・」

魔刀士「はいはい来ましたね、勢いよく抜こうとして抜けないケースですね」

魔刀士「って師匠!全然ダメじゃないですか!」

神官「だからやったことないっての!」

魔刀士「記憶が消えたら、今まで培ってきた技能までもすっ飛んでしまうのですね・・・」

魔刀士「師匠・・・おいたわしや・・・」スリスリ

神官「離れてくれよぉ・・・」

勇者「剣も振れない、本人も知らない、これのどこかが師匠なんだ?」

神官「もう少し柔らかい言い方はできないのか・・・」

魔刀士「匂いが師匠と同じなんです!」

魔刀士「私、嬉しさのあまり飛びついたことが幾度となくありますので、この辺の匂いとか・・・」クンクン

神官「やめろって・・・!」グググ

魔刀士「んはっ!やばい、変な気分になっ」

グイッ

ソードマスター「・・・そこまで」

勇者「・・・おい」

メイド「なんじゃ?」

勇者「なぜ俺様の四方をアイフィールドで囲むんだ?」

メイド「視界を遮るためじゃな」

勇者「寒い、退かせ」

メイド「退かし方を知らん」

勇者「おい!」

魔刀士「知ってます!あなたあのソードマスターですよね!」

ソードマスター「・・・たぶん、そう」

魔刀士「先生と呼ばせていただくので離してください!怖いです!」

ソードマスター「・・・わかった、メイドちゃん」

メイド「うむ」バッ

魔刀士「む、四方が氷の壁に!」

ソードマスター「・・・少し出かけて来る」ガチャ

メイド「うむ」

魔刀士「ぅえっきし!さむむ・・・」

勇者「・・・寒いな」

魔刀士「あら、旦那もですか。それは困りましたねぇ」

勇者「お前は出られるのか?」

魔刀士「刀が抜けなくて切れましぇん!」ガッツガッツ

勇者「引いてダメなら押してみろ」

魔刀士「名案です!頭が切れますね!ふんぎぎぐぎ・・・!」グググ

魔刀士「・・・あ、やばっ」ブルッ

勇者「どうした?」

魔刀士「寒さのせいでもよおしてきましてございます・・・」ブルル

勇者「おいっ!」

乙んつん
亀は万円てか

ドタドタドタッ

メタルスライム「ピキー!」ダダダ

幼魔「次これつけよー!」ダダダ

ガッシャアアァァァン バリイイィィィン

ガララ・・・

メタルスライム「ピキー!」ダダッ スポッ

幼魔「あー!せまいとこ入った!でてこーい!」ワーワー!

勇者「・・・くっ、ようやく出れたぞ」

魔刀士「あたたた・・・うおっ!」ブルッ

魔刀士「やばばー!」ダダダ・・・

メイド「・・・そういえば、片付けを考慮しておらんかった」

神官「片付けるか・・・」

<製紙工房>

コンコン

ソードマスター「・・・・・・」

ソードマスター「・・・いないみたい」

所長「よぅっ」ポンッ

ソードマスター「!!」ビクッ

所長「はっはっは、スマンスマン!少し空けてたんだ」

ソードマスター「・・・そうですか」

所長「栞だったな、もうできてるはずだ。入りな」ガララ

ソードマスター「・・・失礼します」

所長「飲み物は・・・麦茶とコーヒーか。どっちにするか?」

ソードマスター「・・・麦茶で」

所長「あいよ・・・っと、んで、嬢ちゃん、大会でてたろ?」コトッ

ソードマスター「・・・はい」

所長「やっぱりか!いや、人違いかと思ったが面がそっくりでなぁ」

所長「スマンな、こんなもてなししかできなくてよ」

ソードマスター「・・・いえ、相手は強かったですし、まぐれです」

所長「折角勝ったんだから、そういうことはいいなさんな」

所長「っと、これが例のブツだろ?つっても栞だけどさ」サッ

所長「形は整えさせてもらったが、やっぱちとでかくなっちまったな」

所長「んでもイイ出来だぜ。綺麗な押し花だったし、形も崩れないでうまく挟み込まれてる」

ソードマスター「・・・すごい」

所長「手作業だから為せる技っちゅーやつだな、うん。魔法でもこうはできないからな」

所長「しかし綺麗な花だけどさ、どこで摘んだ?」

ソードマスター「・・・洞窟の中です」

所長「洞窟?!日の光りも当たらないのにか?」

所長「だとしたらそりゃ、珍しい花だよ嬢ちゃん。大切にしな」

所長「お守りも兼ねた栞だな!」

ソードマスター「お守り・・・」

<宿屋>

幼魔「スライムさんゴーゴー!」

メタルスライム「ピキー!」ガリガリバクバク

神官「後は任せて大丈夫そうだな」

メイド「じゃな」

ガチャバタン

魔刀士「はああぁ~スッキリしました!この世の極楽はトイレにあったんですね~・・・」

魔刀士「あ、そういえば師匠、この方達と何をされてるんですか?」

神官「師匠じゃないって・・・勇者と旅してるんだよ」

勇者「そうだ。神官含む俺様のパーティーは、魔王城に向けて進攻中だ」

魔刀士「そうなんですか?!」

魔刀士「あじゃぱー・・・旦那さんってば勇者さんで」

勇者「人型の魔界出身なら、お前は魔人クラスの魔物か。一応討伐対象だぞ」

魔刀士「げげんっ、そんな殺生な!それならあの方の妹さんだって魔人の匂いがしますよ!」

メイド「幼魔はわしの妹ではないぞ」

魔刀士「何をおっしゃるうさぎさん、目元がクリソツですよ」

勇者「魔人なら匂いで判断しなくても判断材料は他にあるだろうが」

魔刀士「あ、こういうのですか?」シュル

神官「・・・尻尾だ」

メイド「・・・尻尾じゃな」

魔刀士「確かに余程変な形で生まれなければこんな感じですけど」

魔刀士「偉い魔人はほとんど人間と同じみたいですよ!」

神官「幼魔には尻尾なんてなかったよなぁ・・・」

メイド「わしも見たことが無いぞ」

勇者「不思議なことといえば、あの歳で召喚魔法を扱うことと、高すぎるレベルくらいか」

メイド「謎じゃな・・・」

神官「むむむ・・・」

魔刀士「なんでしょう、事件の匂いがしますね・・・」

勇者「事件ではないが・・・魔人かもしれないことは考慮しておこう」

ガチャ

ソードマスター「ただいま・・・どうしたの?」

メタルスライム「ピキー♪」

ソードマスター「・・・そんな話してたんだ」ナデナデ

魔刀士「今さらですけど、懐いてるメタルスライムなんて初めて見ました!スゲー!」

ソードマスター「仮に幼魔ちゃんが魔人だったとしたら、魔界に親御さんとかいるかもしれない」

勇者「それもそうだな・・・」

ソードマスター「行くうちに出会うかもしれないし、その時考えればいいと思う・・・」

ソードマスター「・・・それに、今からどうするかも大事」

メイド「・・・そういえば盗賊団残党に追われておるんじゃったな」

神官「動きを探られてたり・・・」

魔刀士「あら、因縁でも吹っかけられたんですか?」

――――――――――
――――――
―――


魔刀士「ありゃりゃ、それは災難でしたねー」

魔刀士「でも凄いですよ幼魔ちゃん、ゾンビで軍隊作れるじゃないですか!」

幼魔「私無理矢理起こしたりしないよ!」

幼魔「いい人で行くって人だけ呼んでるもんねー」

メタルスライム「ピキキ」

神官「召喚にもやり方があんのかねぇ」

勇者「まぁとにかくだ、幼魔が悪いと思う事にはその力を使うことは無いだろうな」

魔刀士「なるほどー、幼魔ちゃんいい子いい子!」ナデナデ

幼魔「ん~♪」

勇者「よし、今日はいろいろあって疲れただろう、各自さっさと休め」

魔刀士「わっかりました!」

勇者「おい」

勇者「お前はお前の帰る場所があるだろうが」

魔刀士「旦那、今さらですぜ。同行願いましょうや」ヘヘヘ

勇者「お前が言うな」

魔刀士「第一、私がしっしょーから離れられるわけないじゃないですかっあんっ」グイグイ

神官「この絡みいい加減止してくれよ!」グググ・・・

魔刀士「この抵抗力が心地いいですよね・・・!」グググ・・・

メイド「引きはがすのは無理じゃろうな・・・」

ソードマスター「私疲れた・・・寝る・・・」フラフラ

幼魔「じゃあ私もー!」バタバタ

メタルスライム「ピキー!」バタバタ

勇者「・・・しょうがないな全く」

~深夜~

勇者「執事、裏方の仕事ばかりすまないな・・・」

執事「いえ、滅相もございません。何用でございましょう?」

勇者「盗賊団の件だ」

執事「・・・はい、情報は得ております」

執事「残党に我々は狙われている、との事ですが、その指導者が不明なのでございます」

勇者「ん・・・?フーリーとか言う者では無かったのか?」

執事「領主殿はそう申されたようですが、フーリーなる者は既に息子の盗賊の手にかかり、この世におりません」

勇者「なんだと・・・?」

執事「しかし人は集まる・・・更に特殊な兵を集めているようです」

勇者「・・・?」

執事「聖職者、それも退魔や不死モンスターの浄化を得意とするものを集めているようです」

執事「どのような手段で集めているかは不明ですが・・・」

勇者「明らかにこちらを潰しにかかっているな・・・」

執事「簡単に知り得た情報ですから、プレッシャーの意味合いもあるのでしょう」

執事「それに、ピンポイントで弱点を突いて来るのですから、その方面に明るい者の仕業かと推測されます」

勇者「勇者パーティーなのに弱点が聖か・・・対策は考えておく」

執事「かしこまりました、それでは・・・」

勇者「ああ、頼んだぞ」

勇者「・・・・・・」

勇者(・・・疑問はたくさんある)

勇者(元剣士の異常なまでの成長の早さ・・・幼魔の身辺・・・)

勇者(事がうまく運ぶといいが・・・)

~翌日~
<町の外:馬車付近>

神官「やっぱしついて来るんだな・・・」

魔刀士「師匠から離れるなんて考えられましぇん!」

勇者「戦力が増えるのはなによりだがな・・・おい」

魔刀士「はい!何でございましょ」

勇者「俺様のパーティーに加わる際には漏れなくこれの着用が義務付けられる」サッ

魔刀士「おおっ、旦那いい趣味してますね」

魔刀士「師匠とお揃いなのに断れるわけないじゃないですか!」バッ

メイド「これで五人目・・・色を分ければヒーローになれそうじゃな・・・」

神官「実際端から見れば凄いと思うぞ」

勇者「馬車の中で着替えろ馬鹿者!」

魔刀士「おっと失礼、一人旅長かったもんですから、ヘヘヘ」

<森>

魔刀士「ドナドナドーナードーナー、僕らをのーせーてー」

魔刀士「ドナドナドーナードーナー、荷馬車がゆーれるゆれるぅ!」ガタンガタン!

神官「暴れないでじっとしててくれ・・・」

魔刀士「無理です!落ち着きません!!」

神官「じゃあ自分の武器の手入れでもしててくれ・・・」

ガチャ・・・

神官「っつうかなんで8本もあるんだ?」

魔刀士「ふふふ・・・知りたい?知りたい?」ググイッ

魔刀士「って師匠は既に知っとるやないかーい!」ベシッ

神官「知らないってば」

魔刀士「あ、記憶無かったんですよね、じゃあ説明しましょう!先生!」

ソードマスター「・・・何?」

魔刀士「少し打ち合わせをば・・・」コソコソ

魔刀士「3・2・1・・・どっかーん!なぜなに若鶴夢想一真流ぅー!」

魔刀士「みんな集まれー、なぜなに若鶴流の時間だよー!」

ソードマスター「あつまれー・・・」

幼魔「やったー!」パチパチ

メタルスライム「ピキー!」プルプル

神官「・・・・・・」

勇者「・・・・・・」

メイド「・・・・・・」

魔刀士「みんな元気にしてたかなー?」

幼魔「はーい!」

メタルスライム「ピキー!」

魔刀士「そう、それはよかった!私もとっても元気!ね、先生!」

ソードマスター「・・・ねぇ、魔刀士お姉さん、なぜなに若鶴流って・・・何?」

魔刀士「先生、若鶴夢想一真流って知ってる?」

ソードマスター「・・・何のことかわからない。私なにしろソードマスターだから」

魔刀士「ふっふっふ・・・それではまず、抜刀術のなんたるかからお教えしましょう」

魔刀士「抜刀術とは、こう、刀を鞘に納めた状態から・・・」グググ

魔刀士「えいっ!」キンッ

魔刀士「・・・と、刀を出した勢いで攻撃するやり方です!」

勇者「馬車の中で刃物を振り回すな」

魔刀士「すみませんっ!それで、この出した勢いで攻撃したり、先生!」

ソードマスター「・・・くらえー」ノロノロ

魔刀士「はっ」カキンッ

魔刀士「やーっ!」シュッ

ソードマスター「・・・やられたー」パタリ

魔刀士「・・・と、一撃目をいなして切り返すなんてこともできます!」

幼魔「ほぉー!」

メタルスライム「ピキキ」

魔刀士「でもでも~・・・やっ!」シュッ

ソードマスター「・・・!」ブンッ

ガキィンッ

魔刀士「わとと・・・片手で振るので、両手より非力なんです」

魔刀士「って、先生!今のは怖かったです!」

ソードマスター「・・・続けて」

魔刀士「は、はい、ゴホンゴホン!それで、初代の方はたぶんこう考えました」

魔刀士「『一撃をとても強くすればいいんじゃない?』と!」

魔刀士「なので・・・この刀ですね、無茶苦茶重いです!」

勇者「・・・たしかに」グイッ

魔刀士「お陰で魔人とか、人間と魔人のハーフの方しか振れなくなったので、その中で広まっていきました」

魔刀士「あんまり多くは無いですけど!」

魔刀士「しかし、少なくても弟子は弟子!調子に乗った初代の方はたぶんこう考えました」

魔刀士「『軽くても数増やせばいける』いけるっ!」

魔刀士「ということで、重い刀一本と軽い刀三本の、計四刀流までの技がありますっ!」

魔刀士「そんな荒い使い方するので、予備に刀が要るんですよー」

ソードマスター「・・・そうなんだー」

魔刀士「技はいいですよー、披露できないのが残念ですけど」

魔刀士「まぁいいです、これで若鶴夢想一真流のなんたるかは理解できましたか?」

幼魔「??」

魔刀士「うん、大丈夫だね!それじゃあみんな、まったねー!」

ソードマスター「・・・ばいばい」

ソードマスターたん支援!

魔刀士「こんな感じでどうですか、師匠!思い出しました??」グイッ

神官「全然・・・?」

魔刀士「ダメですか・・・仕方ないですね、奥の手です」

神官「奥の手?」

魔刀士「ショック療法です!どうしてくれましょうか!」グググ

神官「無いものは無いんだっての・・・!」グググ



メイド「・・・ん、そういえばそうじゃ、勇者」

勇者「なんだ?」

メイド「この魔導書の・・・このページじゃが」ペラッ

メイド「幼魔には見えておらんらしい。お主はどうじゃ?」

勇者「・・・ん?俺様にも白紙にしか見えんが」

メイド「・・・む、そうか。ライデインという魔法なんじゃがなぁ」

メイド「他の者にも聞いてみるかのー」ズイズイ

勇者「・・・・・・・・・」

幼魔「よいしょ、よいしょ」コネコネ

メタルスライム「ピキー・・・」グニャー

魔刀士「わお、幼魔ちゃん何やってるの?」

幼魔「マッサージ!」コネコネ

魔刀士「ほっほー、こんなにグニャグニャになるんだ!妹御、私にも一つ」

幼魔「いいよ!」パッ

魔刀士「おおっ!どれどれ・・・」

グニャ

魔刀士「わ、わぉ・・・不思議な触り心地というか・・・」

魔刀士「・・・なんだこの感情は」

<森・空地>

勇者「少し開けた場所に出たみたいだな、魔法の練習でもやってみるか?」

メイド「そうじゃな・・・マヒャドはともかくライデインは試しておきたいところじゃ」

魔刀士「ん、んん?」ピクッ

魔刀士「何やらいい匂いがしますねー」クンクン

幼魔「しないよ?」クンクン

魔刀士「甘い匂いでございますよ!こっちでしょうか?」テクテク

幼魔「私も!」

メタルスライム「ピキー!」ダダダッ

ソードマスター「・・・行ってくる」

神官「あっという間に居なくなってしまった・・・」

勇者「行動力はピカイチだな」

勇者「さて、こちらも始めるか!」

神官「あ、メイド、私に魔法教えてくんない」

メイド「よいぞ~」

メイド「試す前に教える方をやっておこうかのー」

神官「おう、ごめんな。このバギマってやつなんだが・・・」



勇者「・・・まてよ」

勇者「幼魔等は何やら奥地へ行ってしまった」

勇者「メイド共は魔法の練習中・・・」

勇者「執事は俺様が頼んだ仕事をこなしている」

勇者「俺様は・・・」

勇者「・・・お、アリの行列か」

勇者「・・・・・・」マジマジ

<森・奥地>

ダダダッ

ドッカアァァン! ドサドサッ

魔刀士「いやぁ~流石だと思いますよ、うん」

幼魔「スライムさんさすが!」

メタルスライム「ピキー!」

魔刀士「何やらピンク色のいい匂いのする実のようですが」

ソードマスター「・・・食べられるの?」

魔刀士「知りましぇん!」

メタルスライム「ピキッ」カプリ

幼魔「スライムさん食べてるよ!」

ソードマスター「・・・実に毒があっても、毒が効かないメタルスライムじゃわからない」

幼魔「むー!」ゴウッ

ドスッ ゴゴゴゴ・・・

ドラゴンゾンビ「ぶあぁ・・・なんやご主人、どないかしたんか?」

ドラゴンゾンビ「ワイ今叩き起こされて寝起きやから辛いねん・・・」

幼魔「前にゾンビは疲れないって言った!」

ドラゴンゾンビ「見栄やでご主人、男っちゅう生きもんはな、見栄張ってナンボやねん・・・」

ドラゴンゾンビ「人よりめちゃタフやけどな、実際・・・」

幼魔「じゃあこれ食べて!」ポンッ

ドラゴンゾンビ「ん?んあ」カプッ

ドラゴンゾンビ「?!?!ペッペッ!」

ドラゴンゾンビ「しっぶ!ご主人、これ絶対熟れてへんで!」

幼魔「毒ある?」

ドラゴンゾンビ「ワイ毒味させられとったんかい!」

幼魔ひでえwwwww

しえ

魔刀士「ほうほう、ドラゴンの骨を乗っ取ってるんですねー」ペチペチ

ドラゴンゾンビ「嬢ちゃん、はたくなや・・・パーツ飛んだらひどいで?」

魔刀士「こんなのですか?」チラッ

ドラゴンゾンビ「あー!それ羽のパーツやないか!何時かもがれてからもげやすいんやからもぐなや!」

魔刀士「え、そこだけだったんですか?」ズラッ

ドラゴンゾンビ「なに晒しとんねん!!」

ソードマスター「・・・なかなかおいしい」シャク・・・

幼魔「もってかえらないとねー」

メタルスライム「ピギー!」ゴクゴク

幼魔「丸のみだー!」

魔刀士「えーっと、どれでしたっけねぇ・・・」

ドラゴンゾンビ「早う戻してくれや、落ちつかへんねん・・・」

<森・馬車付近>

勇者「・・・・・・おい」ヌッ

メイド「うわっ!!」バッ

メイド「・・・なんじゃ勇者か」

勇者「物騒な奴だな、アイフィールドが半分出ているぞ」

勇者「当たっていたら久々に気絶の憂き目にあうところだったな」

メイド「条件反射じゃ、生きなり来るお主もお主じゃろうが」

勇者「まあ今この件に関してはどうでもいい」

勇者「本題だ、暇な俺様に構え」

ビュオオォ

神官「くそ、中々決まった場所におこせないな・・・」

メイド「ほれ、この通り今練習中なんじゃが」

勇者「見ているお前は暇だろうが、構え」

メイド「押しの強い奴じゃな・・・」

勇者「仕方がないな、お前のライデインやらマヒャドやらを品定めしてやろう」

メイド「何様じゃお主は・・・」

メイド「お主も魔法の一つでも覚えておればよいじゃろうが」

勇者「ベキラゴンで充分だろうが」

メイド「む・・・しょうがないのぅ」

勇者「何故俺様とつるむのが億劫なのかはしらんが、ようやく折れたな」

メイド「我が儘な奴じゃな・・・」

ガサッ

アンデッドマン「・・・・・・」

メイド「む?」

勇者「ん?」

神官「・・・お?」

<森・奥地>

しにがみきぞく「・・・・・・」

ワイトキング「・・・・・・」カタカタ

ゾロ・・・・・・ゾロ・・・・・・

ソードマスター「・・・何?」

魔刀士「何やら臭いと思えばおっちゃんの親戚さんみたいですね」

ドラゴンゾンビ「兄ちゃんって言えやドアホ」

ドラゴンゾンビ「第一ワイは最近ガーデニングにこっとるから、花に毎日囲まれてんねん」

ドラゴンゾンビ「フローラルな香りがするはずやで?」

魔刀士「そんなことないですよ!」

ドラゴンゾンビ「中々できた嬢ちゃんやな・・・後でシバき倒したるで・・・」

魔刀士「はいはい、後でですね!では私ちょっとあちらへー」ソソクサ

ドラゴンゾンビ「どこ行くねん!ってどっか行ってもうた・・・」

幼魔「・・・・・・」サッ

ソードマスター「・・・どうしたの?」

幼魔「あぶないよ・・・」ギュ・・・

ドラゴンゾンビ「ご主人の言う通りやな」

ドラゴンゾンビ「あいつらの目ぇあかーくなっとるやろ?」

ソードマスター「・・・うん」

ドラゴンゾンビ「あれは強制召喚された証やで」

ドラゴンゾンビ「死体に無理矢理魂ぶち込んで、それを動力源にして動かすんや・・・」

ドラゴンゾンビ「無理矢理動かしてんねんから、バラバラにされれば魂もバラバラやな」

ソードマスター「・・・・・・」

ドラゴンゾンビ「ついでに、強制召喚するなら召喚した奴も近くにおるはずや・・・」

ザッ・・・

* 「・・・・・・」

幼魔「・・・!」ビクッ

* 「我が娘よ・・・何故ここに居る・・・」ザッ・・・

* 「洞窟に封印し、守衛を侍らせておいたものを・・・」

* 「連れ出したのは・・・貴様等か?」

ソードマスター「・・・あなたは誰?」

* 「貴様等かと聞いている・・・」

ソードマスター「・・・・・・」

* 「・・・まぁいい、一目瞭然、そこに我が娘がいることが何よりの証拠だ」

* 「我が娘を返してもらおうか・・・」

ドラゴンゾンビ「・・・さっきから見とったんやけどな、あんさんやろ?洞窟あらしたん」

* 「・・・娘の召喚物か?その口の聞き方、教育がなっておらんようだな・・・」

* 「確かに洞窟へ足は運んだ。だが、荒らすなどという野蛮な事はしておらんぞ・・・?



* 「召喚物よ、貴様等の守るものが変わっていたからだ・・・」

ドラゴンゾンビ「なんやと・・・?」

* 「元来貴様等は我の手によって強制召喚された下僕に過ぎなかった存在だ」

* 「しかし、視察に来てみればいつの間にか自由召喚にすり変わり・・・」

* 「『我が娘』ではなく・・・『洞窟』を守護していた・・・そうだろう?」

* 「我はこう命じたはずだ、『我が娘を護れ』と・・・」

ドラゴンゾンビ「ワイは・・・元々強制召喚されとったんか・・・?」

ドラゴンゾンビ「悪いが記憶にあらへんな・・・」

* 「自由召喚に塗り替えられた貴様等を強制召喚に塗り替えるなど容易いことだ・・・」

* 「我は目的を履き違える貴様等を矯正してやったのだが・・・」

* 「荒らした等と誤解されてしまっては敵わんな・・・」

* 「・・・それに、だ」チラッ

幼魔「!」ビクッ

ソードマスター「・・・・・・」ジリ・・・

* 「あの環境下で自由召喚に塗り替えられる者など限られているはず・・・」

* 「そうだろう?我が娘よ・・・」ニヤリ

幼魔「・・・・・・」ブルブル

* 「我が強制召喚を塗り替えるほどの魔力、流石は我が娘であるということは言っておこう・・・」

* 「だが!」ゴウッ

ソードマスター「・・・・・・」

* 「その誇りある力を無闇に小国の設立などに乱用する様は看過できるものではない!」ゴゴゴ・・・

* 「我が娘よ、我は半ば失望したぞ・・・」

* 「そのような陳腐な世間を創造する暇があれば・・・」ゴゴゴ・・・

* 「一族の繁栄に貢献する努力をするがいい・・・!」ゴウウッ

* 「しかし・・・そのつるんでいる者共では、変化など見込めぬらしい・・・」

* 「やはり外に出さずに我が一族の掟を教えた方が手っ取り早いのだろうな・・・」

* 「お前も一族の繁栄に貢献したいと思うなら・・・」

* 「その者等との縁を切れ。我が再教育を施してやろう・・・」

* 「嫌などと抜かしても連れて帰るがな・・・」

幼魔「・・・・・・」ブルブル

ドラゴンゾンビ「ご主人怖がっとるやないか・・・父ちゃんならもちっと優しくできへんのか?」

* 「召喚物の分際で口が過ぎるぞ?貴様」

* 「塗り替えは・・・容易だぞ・・・?」ゴウッ

ドラゴンゾンビ「・・・嬢ちゃん、塗り替えられてもうた時は手っ取り早くバラバラにしてくれや」

ドラゴンゾンビ「ご主人にてぇ出すくらいやったら死んだ方がマシやで」

ドラゴンゾンビ「もう死んどるけどな・・・」

ソードマスター「・・・・・・」

* 「暴れられては困る・・・下僕共、奴らを取り押さえよ・・・」

「待てぇいっ!」

ヒュンッ・・・

グサグサグサッ

アンデッドマン「ガアアアア!」ドサッ

ソードマスター「・・・!なに?!」

* 「ぬぅ・・・何処からの攻撃だ・・・?」

「・・・たとえ凍てつく氷河の中に居ようとも、たとえ身を焼く業火の中に居ようとも」

「心に誓ったことを翻しはしない・・・」

「どんな攻めを受けても守り通さねばならぬもの・・・」

「人それを、『尊厳』と言う・・・!」

* 「貴様・・・何者だ?」

ドラゴンゾンビ「逆光で面は見えんけど声は嬢ちゃんやろ。何しとんねん」

魔刀士「お、お前達に名乗る名前などないっ!」バッ

トサッ

魔刀士「やってみたかったんですよ・・・ネタバレは勘弁してくださいよアニキ・・・」

ソードマスター「・・・それはともかく、魔刀士ちゃんの言うことは本当だと思う」

ソードマスター「・・・幼魔ちゃん」

幼魔「・・・?」

ソードマスター「・・・幼魔ちゃんは、どうしたい?」

幼魔「・・・わたし?」

ソードマスター「・・・そう。これからどうするか決めるのは、幼魔ちゃんだよ」

ソードマスター「・・・自分は自分、幼魔ちゃんは幼魔ちゃん」

ソードマスター「・・・尊厳っていうのは、そういうこと」

幼魔「・・・・・・」

ソードマスター「・・・幼魔ちゃんは・・・どうしたいの?」

しえん

幼魔「・・・私ね」

ソードマスター「うん」

幼魔「洞窟に、魔物さんたちの楽園を作りたいの・・・」

幼魔「優しいみんなと暮らしたいから・・・」

ドラゴンゾンビ「ワイらはそのために残ったモンらで動いとるんや」

ソードマスター「・・・残った?」

ドラゴンゾンビ「あんさんらにばらされた連中は元に戻らんかったからな」

ドラゴンゾンビ「あ、でも別に怨んではおらへんで!ワイら怨霊ちゃうし!」

ドラゴンゾンビ「暴走しとったやつらも、止めてもろうて喜んどるわ、きっとな」

ソードマスター「・・・・・・」

幼魔「私はみんなと暮らしたいから、お父さんには邪魔されたくないもん・・・!」

幼魔父「片腹痛いぞ・・・我が娘よ」

幼魔父「つまりお前は親子の繋がりより下僕共との繋がりをとったということだ・・・」

幼魔父「しかし元よりお前の意見などに聞く耳など持たん」

幼魔父「連れ帰らせてもらうぞ・・・」

ソードマスター「・・・ドラゴンさん、幼魔ちゃんと引いて」

ドラゴンゾンビ「な、なんでや?!」

ソードマスター「・・・乗っ取られるかもしれないし、幼魔ちゃんの護衛」

魔刀士「先生手伝います!」

魔刀士「アニキは早くあっち行った行った!」シッシッ

ドラゴンゾンビ「・・・アホか。はよ戻ってくるんやで」

ドラゴンゾンビ「ご主人いこか」ザッザッ

幼魔「うん・・・」タタタ

幼魔父「・・・残念だがそちらにも手は回してあるぞ?」

魔刀士「旦那方は大丈夫ですよ、多分!」

ソードマスター「・・・うん、今はこっちに集中」

<森・馬車付近>

ガキンッ バリーン

メイド「むー!マヒャド連発はこたえるんじゃが!」

勇者「お前が手伝わないことには防衛は難しいぞ!」ザザッ

神官「覚えたてじゃ無駄撃ちしてしまうな・・・」

勇者「ライデインは使えんのか!ライデインは!」バッ シュッ

メイド「む、効くのかの?」

勇者「効くぞ!だから早くしろ馬鹿者!」

メイド「馬鹿者というたモンが馬鹿者じゃ!」

勇者「はやくするんだ!」

メイド「撃ったことがないんじゃ!もうどうなっても知らん!」バッ

メイド「ライデインっ!」バッ

・・・・・・ピシャーン

メイド「だめじゃ、今ので魔力をだし尽くしてしもうた・・・」ヘタッ

勇者「どこに落としているんだ!」

メイド「お主指定ならピンポイントだったんじゃが・・・」

勇者「俺様は避雷針ではない!」

ゾロ・・・ゾロ・・・

神官「・・・まぁ外しちゃった訳だけど、どうする?」

勇者「どうする?ではない!止めるぞ」

・・・カランッ

ガシャガシャ・・・ガラガラ・・・

メイド「む・・・」

神官「ゾンビ達が崩れてんぞ・・・」

支援

どんえーん!

<森・奥部>

ザッ

魔刀士「足引っ張ってすみませんね、先生」

魔刀士「私、多対一初めてなんで・・・」

ソードマスター「・・・もっと回りに気を配ること」

魔刀士「あいさー!」

幼魔父「ククク・・・ちっとも我に近づけておらんが?」

魔刀士「むむ、腹立ちますね・・・ゾンビさんにやらせといて・・・」

ピッシャアアァァン!

幼魔父「ぐ、ぐおおぉおぉぁ?!」

ソードマスター「?! 落雷!」

幼魔父「ばっ・・・ばかな・・・っ・・・」

ガラ・・・ガララ・・・

幼魔父「力が・・・抜ける・・・」ガクッ

ガシャ・・・ガララ・・・

魔刀士「スキありー!」ダッ

幼魔父「クッ・・・不覚をとった・・・また会おう・・・」バッ

魔刀士「消えちった・・・」

ソードマスター「・・・敵はいなくなったから・・・帰ろ」

魔刀士「はいはいー、あっちも大丈夫かな?」

<森・馬車付近>

ガサッ

ドラゴンゾンビ「・・・・・・」

勇者「・・・まだ残っていたか」

ドラゴンゾンビ「ちゃうちゃう!ちゃいまんがな!」

幼魔「・・・・・・」

メイド「間違えるなバカモノ」ペチ

勇者「いつっ」

神官「ソードマスターと魔刀士は?!」

ドラゴンゾンビ「まだあっちにおるで・・・」

ドラゴンゾンビ「ゾンビがぎょうさんと大将もおるんや」

勇者「なんだと?!」

メイド「・・・加勢に向かうかの」

支援!

<森・奥地付近>

魔刀士「んぐぐぐぐ!」グググ

ソードマスター「んむむむ・・・!」グググ

メタルスライム「ピギー・・・」ズルズル

魔刀士「っはあ!先生!ちょっと、休みませんかっ!」ゼィゼィ

ソードマスター「・・・ふぅ、そうしよ」

魔刀士「なんでまたこんなに膨れたんですかねー」

ソードマスター「・・・食べ過ぎ?」

魔刀士「なるほど、先生冴えに冴えてますね」

<オーイ

魔刀士「お!あの声はずばり旦那でしょう!」

魔刀士「こっちでーす!」

ソードマスター「・・・助かった」

メタルスライム「・・・・・・」デプーン

勇者「なんだこれは・・・」

ドラゴンゾンビ「ワイが見たときはこんくらいやったで?」チョビッ

メイド「押すか引くかするしかないのぅ・・・」

神官「そうだなー・・・」

勇者「ならば牽引する者と押す者で分かれるか。適当に位置につけ」

魔刀士「らじゃじゃー!」

メイド「うむ」

神官「よし」

ドラゴン「ワイはこっちやな」

ソードマスター「・・・・・・」ササッ

勇者「・・・牽引するのは俺様だけなのか?」

<森・馬車付近>

勇者「 」グタッ

魔刀士「うげー・・・重かったですねぇ」

ソードマスター「・・・疲れた」

幼魔「・・・・・・」トコトコ

神官「ん、どうしたんだ?幼魔」

幼魔「・・・・・・」ポンポン

メタルスライム「・・・!」プルッ

ポポンッ コロコロ・・・

神官「ん」

メイド「お」

ドラゴンゾンビ「こりゃ木になっとった実やないか!」

ポポポポンッ ゴロロロ・・・

魔刀士「うわわわ!」

神官「果物の処理してる間に日が暮れちゃったな・・・」

勇者「野宿決定だな。まぁどの道野宿の予定だったんだがな」

メイド「マヒャドで果物は凍り漬けにしたんじゃが・・・」

神官「食って減らすしかないよなぁ・・・でもどうやって出すんだろ」

魔刀士「師匠!わたくしめが八つ裂きにして差し上げます!」

神官「散らかるから八つ裂きはナシな」

勇者「季節が季節だ、冷えた果物はそれは美味いだろう」

ソードマスター「・・・ついでに馬車の中も冷える」

メイド「あまり冷えすぎてものぅ・・・」

ドラゴンゾンビ「種ももろたし、あっち行ったら立派に育てたるわ」

ドラゴンゾンビ「ご主人の居場所やからな、華やかやないとあかん」

神官「花に囲まれるドラゴンゾンビって、想像すればするほどシュールなんだけど」

ドラゴンゾンビ「ほっとけ」

ドラゴンゾンビ「ほなな、ご主人。次呼び出すときは元気な面見せてくれや」ズズズ・・・

幼魔「・・・・・・」

ドラゴンゾンビ「後は頼んだでー・・・」ズズズ・・・

魔刀士「これで一段落つきましたねー」

ソードマスター「・・・今日はたくさん動いて疲れた」

神官「なあ、ちょっと」

ソードマスター「・・・?」

ある用事で更新打ち止めにします

来年の春に、落ちていれば修正したものを落とす予定です

支援してくれた方には本当に申し訳ないのですが・・・

では頑張ります、ごきげんよう、ごきげんよう

そっかぁ……。
頑張ってください。
期待して待ってます。

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