マミ「劇場で映画を見ましょう」ほむら「チャッピー?」 (28)

『チャッピー』
ボクは…
2016年…犯罪多発都市南アフリカ ヨハネスブルグで生まれた。
ボクの寿命は…5日間。
加速度的に成長する「AI」。
ただ「生きる」ことを目的とし、チャッピーは人知を超えた行動に移るが…
我々は衝撃の結末を目撃する。
(公式サイトより)

マミ「映画館で会うなんて奇遇ね!」
  「私は映画は一人で見る派なんだけど、たまには……」
ほむら「いや、あの、私は前売り券を買いに来ただけなのだけど……」
マミ「暁美さんは何を見るの?」
ほむら「いや、だから……」
マミ「決まってないのなら、これはどうかしら?」
ほむら「………え、『チャッピー』?意外だわ」

マミ「まあ、最近ちょっと不作気味だからって言うのは正直あるけど」

マミ「でも『第九地区』の監督だから、ちょっと注目していたの」

ほむら「『第九地区』は良かったわね。割と低予算だったのにちゃんとSFしていた」

マミ「でしょう?もう決まりね」

ほむら「ああ、もういいわ。見ればいいんでしょ」

マミ「ふふ、楽しみだわ。一人映画もいいけど、誰かと感想を言い合うのも素敵よね」

ほむら「……あんまり批評家みたいなこと言うと引かれるわよ」

マミ「あ、暁美さんは大丈夫でしょ?映画秘宝とか実は読んでたりしない?」

ほむら「人聞きの悪いこと言わないで。
   「私は二作目以降のダイハードもランボーも楽しめるタイプよ」

マミ「え……うん、まあランボーは最後の戦場良かったし……」

ほむら「……」

2F シアター1


マミ「予告編も楽しみの一つだと思うの」

ほむら「まあ、確かに。あ、『ピクセル』……」

マミ「! レトロゲームが現実を襲撃に来るっていう……」

ほむら「これ予告編が卑怯だわ。見たくなるもの」

マミ「面白そうだけどどうやってストーリーをまとめる気なのかしら……」


ほむら「! マッドマックスの新作!」

マミ「予告を見る限り相変わらずで安心するわ……」

ほむら「ああ、モヒカンにバギー……何も変わってない」

『吹き替えはエグザイルの……』

ほむら「……」

マミ「……」


マミ「あ、映画泥棒」

ほむら「隠し撮りの映画で満足する輩の気がしれないわ」

マミ「DVDやブルーレイでも物足りないのにね」

ほむら「そうまで見たいなら劇場に行けば良いのに」

マミ「……まあ、ちょっと高いけど」

ほむら「一律千円にならないかしら……」

マミ「ね……」

マミ「あ、そろそろ始まるわ!」

…………

劇場近くの喫茶店

マミ「さて、感想戦の時間よ!」

ほむら「将棋みたいに言わないで」

マミ「まず百点満点で何点か、というところだけど……」

ほむら「まあ、75点くらいかしら。個人的に」

マミ「あら、もっと厳しいかと思ったわ」

ほむら「そういうあなたは?」

マミ「……75点くらいかな」


ほむら「……」

マミ「いや、だってそういう感じじゃない!?楽しかったわよ?」

ほむら「まあね。でも予想とはちょっと違った」

マミ「そう!もっと社会派というかメッセージ込めてくる感じかと思ってた」

ほむら「かなりエンターテイメント寄りだったわね」


マミ「逆に言えば……」

ほむら「ええ……」

マミ「正直突っ込みどころはたくさんあったわ」

ほむら「……あえて並べてみましょうか」

マミ「まずロボットに意識を与えるプログラムだけど……」

ほむら「ああ、やっぱりそこから」

マミ「何か、家で徹夜したらできました、という感じに見えたわ」

ほむら「レッドブル飲んでたわね……」
   「まあ、多分何年も研究していて、最後の一押しだったのよ」

マミ「うん、そこはまあいいの。その後開発者がデータを持って会社に行って……」

ほむら「テスト運転を断られる」

マミ「諦めきれない彼は、廃棄予定の警備ロボットを盗み出す……」


ほむら「何で警備ロボットなのかしら?」

マミ「家のパソコンでテストできそうよね」

ほむら「そして警備ロボットは『意識』なんてものにあっさり対応しすぎよ」

マミ「データ容量とか絶対オーバーするわよね」

ほむら「普通に記憶を持って成長とかしてたじゃない。CPUの性能凄過ぎるわ」

ほむら「……あとこれは無粋かもしれないけど」

マミ「何?」

ほむら「意識と感情は別よね」

マミ「ああ、確かに……チャッピー感情の塊だったわ」

ほむら「まあ、多分人間の精神を電子化できたって設定なんだろうけど……」

マミ「……」

ほむら「あと意識は転送できないから、チャッピーはバッテリーが切れたら死ぬって展開」

マミ「バッテリーが焼き付いて交換できないって……」

ほむら「あれ頭を取って、別の体に付ければいいんじゃない?」

マミ「バッテリーは多分ボディの方だし、意識の方は頭にあるみたいだったしね……」

ほむら「途中で電源切れたり腕を交換したりしてたから、何でバッテリーだけって……」

マミ「まあ、最後のアレがやりたかったんだと思うわ」

ほむら「アレ、予想通りだった。だって『第九地区』が……」

マミ「こ、この話後にしましょう?」

ほむら「……チャッピーを引き取って、ギャングロボに育てようとするギャング団」

マミ「ここは割と良かったと思うわ。すごく下っ端ギャングっぽくて」

ほむら「ちょっと情緒不安定だったけど、まあ……」

マミ「……作品のテーマのことになると、急に哲学的になるあのヒロイン」

ほむら「基本はギャングなのに所々テーマの語り部が憑依していたわね」


マミ「で、でも面白かったと思うわ。リーダーの名前がニンジャだったり」

ほむら「チャッピーも手裏剣を使うのよね」

マミ「あとBGMが良かったと思うの。ピコピコしたラップ?なのかしら」

ほむら「良かったわね。ギャング周りはかなり頑張って描写していたと思うわ」

マミ「逆にロボ関係が記号的…とは言いたくない……」

ほむら「まあ仕方ない部分もあるわ。それより」

マミ「どうしたの?」

ほむら「あの、テンションって書いてあったスウェット……」

マミ「あれ、そんな気はないのに日本では笑うシーン扱いでしょうね……」

ほむら「よりによってそこでそれ着る?って言う……」

マミ「悪役はどう?ヒュー・ジャックマン」

ほむら「ちゃんと嫌な奴だったわ」

マミ「というか、嫌な奴でしかなかったんじゃない?」

ほむら「一応信仰が理由で、ロボットに意識が宿ることを許さないって設定みたいだけど」

マミ「元軍人だったかしら。ほとんど掘り下げられなかったけれど……」

ほむら「戦場での経験が……とかそういう下りもなかった」

マミ「パワハラとかするじゃない。ただの最低な男だったわよ」


ほむら「でもね……」

マミ「ん?」

ほむら「……そのヒュー・ジャックマンが執着する巨大ロボ、あったじゃない」

マミ「ムース、だったっけ?」

ほむら「あれを動かしたい、というロマンだけは分かってあげたい」

マミ「ええー……」


ほむら「二足歩行逆間接重武装ロボよ。遠隔操作で空を飛ぶのよ」

ほむら「ヒュー・ジャックマンだってああなるわ」

マミ「そこ絶対監督の意図とは違うと思う」

ほむら「ムースのシーンは全部良かった。チャッピーじゃなくてムースがメインでもいい」

マミ「絶対馬鹿映画になるわ」

ほむら「そろそろ良かったところもあげましょう」

マミ「アクションは全般良かったと思うわ」
  「ロボットと人間もCGの違和感がほとんどなかった」

ほむら「絵面の完成度は高かった……?」

マミ「そう言って良いと思うわ」

ほむら「ヨハネスブルグの世紀末な感じも良かった。すごく行きたくない」

マミ「一応未来って設定なの?かなり現実感があったわね」

ほむら「……」

マミ「……」


マミ「ほ、ほら、だってこれ、アクション娯楽SFじゃない?絵面が正義なのよ!」

ほむら「ええ……『第九地区』みたいな社会性を期待すると話の荒さに驚くでしょうね」

マミ「宣伝も良くないわ。そういうのじゃないから!」

ほむら「でも、今回もちゃんとおなじみのテーマが入っていたわ」

マミ「あ、その話する?」


ほむら「この監督のおなじみ、『異物だと思っていた相手と同じ立場になったら』」

マミ「『第九地区』はこれがとても良かった」
  「見てる私たち自身の差別意識に気付かされるのよね」

ほむら「ええ、でもこのせいで『チャッピー』のオチは最初からばれてる」

マミ「まさかと思ってたら、普通にそう来たものね……」

マミ「オチの『これでいいの?』という感じは狙ってるはずよね?」

ほむら「多分ね。ちょっと怖い終わり方だもの」

マミ「あの後どうなるかと思うと……」

ほむら「あの後……」

マミ「……」

ほむら「……巴マミ、ロボとーちゃんって知ってる?」

マミ「それは言っちゃ駄目なやつよ、暁美さん!」

ほむら「ほむぅ」


マミ「ま、まあ、結構楽しめる映画だと思うわ。ロボとバトルが好きなら必見ね」

ほむら「最新CGで活躍するメタルギアが見られるものね」

マミ「ロボットが人間との間で悩む、みたいな展開は正直……」

ほむら「まあ、鉄腕アトムの方がはるかに上でしょう」
   「『A.I』とか『アイ・ロボット』の感じも……」

マミ「止めてあげなさい」

ほむら「これは被るのは仕方ないでしょうね」

…………

マミ「ふぅ、感想を言い合うのもいいものね……充実してるわ……」

ほむら「そう?じゃ、私は前売り券を買いに戻るから……」

マミ「ええ……いってらっしゃい……」

マミ「……」


ほむら「全く、まどかと見に行く映画の前売りを買いに来ただけなのに……」

マミ「暁美さん!」

ほむら「!! な、何?」

マミ「つ、次は『ランオールナイト』を見ない?」

ほむら「ラ、ランオールナイト!?」

おわり

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