ジャン「もうおしまいだ……」 (45)

ジャン「目の前には巨人」

ジャン「馬もいねえ、味方もいねえ」


ドシン…ドシン…


ジャン「……つまんねえ人生だったな」


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10分ほど前


アルミン「ジャン!しっかり!」

ジャン「ぐっ……」

ライナー「一応血は止めたが……かなり重症だ」

ジャン「へっ、わりぃな……ヘマしちまって」

アルミン「何言ってるんだ!ジャンは女型の巨人から僕を守ってくれたんじゃないか!」

アルミン「待っててね、今すぐ救援を……」

ジャン「俺のことは置いていけ」

ライナー「何言ってやがる!置いてけるか!」

ジャン「うるせぇ!てめぇだって分かってんだろライナー!」

ライナー「……!」

ジャン「残ってんのはお前の馬だけだ。アルミンのは女型にやられたし、
俺の馬はどっか行っちまった」

ジャン「馬一匹で3人はどう考えても無理だ」

アルミン「ジャン……そんな!」

ジャン「頭のいいお前なら分かるだろ、アルミン」

ジャン「今ここで……誰が残るべきなのかが」

ドシン…ドシン…


ジャン(……これでよかったんだ)

ジャン(もともと女型の気を引くって言い出したのは
俺だからな……)


ドシン…ドシン…


ジャン(あーくそっ、死にたくねぇなあ)

ジャン(やり残したこと……山ほどあんのによぉ……)

ドシン…


ジャン「……」

ジャン「……」

ジャン「……?」


巨人「……」


ジャン(は……?)


巨人「……」


ジャン(……こいつ、なんで俺を喰わねえんだ……?)

巨人「……」

ジャン(さては奇行種……)


ドシンドシンドシンドシン!


ジャン(……!!右からもう一匹……!)


ドシンドシンドシンドシン!


ジャン(ダメだ……今度こそやられる!)

巨人「グアアアアアアアアアア!!」


バゴッ!!


ジャン「!?」



ドゴッ!!バゴッ!!


ジャン(なっ……何やってんだあの奇行種!)


ドゴッ!!バゴッ!!


ジャン(もう一方の巨人を……攻撃しやがった!)

ブチッ


ジャン(うなじを潰した……!?)

ジャン(弱点を理解して殺したのか!?)


巨人「グアアアアアアアアアア!!」


ジャン(……いや、でもエレンじゃねえ)

ジャン(あいつは部隊に加わってるはずだし、こんな外見でもなかった)


巨人「グアアアアアアアアアア!!」


ジャン(じゃあ一体……)

ドシン…ドシン…


ジャン(……!! こっちに来る!)


ドシン…ドシン…


ジャン(……っ!)


ドシン…


巨人「……」

巨人「……」

巨人「…………ジャン」

ジャン「………………え?」


巨人「……」


ジャン「お前……今なんて……」


巨人「……ア」

巨人「アイ……オウブ?……ジャン……」


ジャン「……!!」

ライナー「ジャン!!」


ジャン「!!」

ジャン「ライナー!?アルミン!?」


パカラッパカラッパカラッパカラッ


アルミン「ジャンの馬を見つけてきたんだ!」

ライナー「待ってろ!今助ける!」


パカラッパカラッパカラッパカラッ


ジャン「お、おいちょっと待て!こいつは……!!」

ライナー「おらあああああっ!!」


ザクッ


巨人「ァ……」


ドッシーン!!

ジャン「あ……」


ライナー「ふぅ……危なかったな、ジャン」


ジャン「お……おい……おい……」

ジャン「おい!しっかりしろよ!おい!!」


ライナー「なっ……!」

アルミン「えっ……?」

パカパカパカ…


ジャン「あ……俺の馬……」


パカパカパカ…


ジャン「てめぇ!今までどこ行って……」


ペロッ


巨人「……」

ジャン「……え?」


ペロッ…ペロッ…
ヒヒーン…


ジャン「……なんで……そいつを舐めてんだ?」

『もう、ダメだよ。馬にそんなこと言っちゃ』

『どうせ言葉なんてわかんねえよ』

『……あのね、ジャン』

『馬にだってちゃんと心はあるの。私たち人間みたいに』

『は?馬に心?』

『ううん、馬だけじゃない』

『生きてるものにはみんな、心があると私は思う』

『ぶははははは!』

『じゃあ何だよ!そしたら巨人にも心があるってか?』

『……もしかしたらね』

『ぶははははは!それ冗談だよな?』

『つまんねえよ本当!最高だぜ!』

『……はあ』

『そんなんだから馬術の成績伸びないんだよ』

『はいはい、馬術トップ様が言うと違いますねー……くくっ』

ジャン「……なぁ」


巨人「……」


ジャン「なぁおい……冗談だよな?」

ジャン「最高につまんねえぞお前……」


巨人「……」


ジャン「お前……お前よ……」

ジャン「クリスタか?」

巨人「……ァ」


ジャン「……!!」


巨人「ァ……メアョ……ジャン……」

巨人「ゥ……ァニ……ォンァコト……ィタ……」


ジャン「……おい」


巨人「ォンァアカラ……アジュツノ……」


ジャン「おい」


巨人「……」


ジャン「おい……おい」

ジャン「おい!!!!!」

おい……おい……
おい!!!!!



ジャン「!!」

ライナー「おいジャン!大丈夫か!?」

ジャン「ぁ……?」

アルミン「よかった!ずっと気を失ってたから心配したんだ!」

ジャン「……」

ライナー「お前も馬もこの通り……」

ガッ!!


ライナー「!?」

ジャン「てんめえええええええええ!!」

アルミン「ちょ、ちょっと!ジャン!?」


ジャン「てめえのせいで……てめえのせいで……」

ジャン「てめえのせいで……クリスタは……」

「私がどうかしたの?」








ジャン「え……?」

クリスタ「?」

ジャン「え……え……」

ジャン「クリスタ!?」

ライナー「ああ、あのあと俺たちで馬を探しに行ったんだが……」

アルミン「しばらくしたらクリスタに会ったんだ。
ジャンの馬を引き連れてた」

ジャン「……!」

クリスタ「この子ひどく怯えてたの……」

クリスタ「もしかしたら近くに持ち主がいるんじゃないかと思って……」

クリスタ「でもみんな無事で……本当によかったよ」

アルミン(神様……)

ライナー(結婚したい……)


ジャン「……」

クリスタ「……? ジャン?」

ギュッ


クリスタ「え!?」

ジャン「……」

クリスタ「ちょ、ちょっと!?ジャン!?」

ジャン「……うっ」

クリスタ「……!」

ジャン「……ううっ」

クリスタ「……ジャン、泣いてるの?」

ジャン「よかった……生きてて……」

クリスタ「……!」

ジャン「お前が……生きてて……」

ジャン「本当によかった……」

クリスタ「……」

クリスタ「……もう、ジャンったら」

ジャン「ううっ……」




クリスタ「ダメだよ?生きてるものにはみんな……」

クリスタ「心があるんだから」


おわり

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