吹雪「この鎮守府はどうしてこんなにもおかしいんでしょうか……?」 (1000)

吹雪「吹雪です!本日もよろしくお願いします!」ピシィッ

提督「あ、吹雪ちゃん、この書類なんだけど、どう思う?」

吹雪「え?あ、それですか?その件は……」


※長くなるかもしれないが↓から読んでってくれ……すまねぇ……!
1スレ目「この鎮守府はおかしいです!!」 
吹雪「この鎮守府はおかしいです!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1422813372/)

2スレ目「やっぱりこの鎮守府はおかしいです!!」
吹雪「やっぱりこの鎮守府はおかしいです!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424708332/)

3スレ目「どう考えてもこの鎮守府はおかしいです!!」
吹雪「どう考えてもこの鎮守府はおかしいです!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426297599/)

4スレ目「この鎮守府はおかしすぎます!!」
吹雪「この鎮守府はおかしすぎます!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1427736104/)

5スレ目「この鎮守府はおかしいって皆言ってますよ!!」
吹雪「この鎮守府はおかしいって皆言ってますよ!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428504320/)

6スレ目「だからこの鎮守府はおかしいって言ってるんです!!!」
吹雪「だからこの鎮守府はおかしいって言ってるんです!!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429798843/)

7スレ目「この鎮守府はおかしいって言ってるのに聞いてくれません……」
吹雪「この鎮守府はおかしいって言ってるのに聞いてくれません……」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1431283182/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1433201747


次スレを立て忘れた挙句二度寝なんてレディーの心構えがなってないわね…
夜に本編よ!

俺「おはよーごぜーやーす」

社員「……?」

俺「……?」

社員「>>1今日休みって言ってへんかった?」

俺「……え゛」

社員「ま、今日は別に忙しくないし、帰りー」

俺「あ、へ、へい!失礼しやす!」


というわけでちょっとやる

吹雪「…………はぁ……レ級……どこ行ったんだろ……」キョロキョロ

ヲ級「ヲヲヲー……」

ヲ級「……ヲ?」ン?

ヲ級「…………ヲヲッ!」ピコーン

吹雪「ヲ級?どうしたの?」

ヲ級「…………」ムムム

ヲ級(……ヲヲー……ヲヲヲ……)ムムム





研究室 奥の部屋

ヲ級(ヲヲー……ヲヲヲ……)

レ級「!」

研究員A「何かを感じ取った……?」

レ級(……ヲキュ……?)

ヲ級(ヲヲッ)

レ級(ヲキュ……ドコ……?)

ヲ級(ヲッヲヲヲヲーヲヲッヲヲヲヲッ……)

レ級(…………ン……)

研究員D「先輩……この子、誰かと話をしてるような……」

研究員A「テレパシーだというの?ありえないわ、非科学的すぎるもの」

研究員B「川底棲艦のような未知の存在ならやりかねませんね」

研究員A「生物の神秘は科学を凌駕するの……?」

研究員D「そのようですね……」

レ級「……ア……」チラ

研究員A「……?」

レ級「……エ……ア……アリ……アリ……ガト?ガト……?」

研究員A「……ありがとう?」

レ級「ン……アリガト……?レレッ!……アリガト」ペコッ

研究員A「……また何時でも遊びに来なさい」

レ級「……」ペコッ ピョンッ スタスタスタッ


研究員C「……可愛いもんだなぁ、なぁシゲル」

研究員B「まぁな……尾口さんが可愛がる理由もわかる」

研究員C「……」

研究員D「先輩……結局あの子の飼い主は誰だったんでしょう?」

研究員A「さぁ……?」

ヲ級「……?」

吹雪「うーん……どこだろ……」

ヲ級「ヲッ!」ゴシュジンサマッ

吹雪「ん?あ、レ級!」

レ級「~!!」ピョンッ! ダキッ

吹雪「よかったぁ…………!急に離れたらダメでしょ?もう……心配したんだから……」ナデナデッ

レ級「ウゥ……」クスンッ

吹雪「……もう……」

レ級「…………」ギュゥッ

吹雪「…………」ポンポンッ

ヲ級「ヲ……」モジッ

吹雪「……ヲ級も?」スッ

ヲ級「ヲッヲッ」コクッ ギュッ

吹雪「……ふふ…………」

吹雪「…………あれ……じゃあ司令官は……?」



研究室 奥の部屋

提督「吹雪ちゃーん!レ級ー!!」

尾口「リっちゃん、この辺に川底棲艦見なかった?」

研究員A「先程そっちの角を曲がっていきましたわ」

尾口「そう……ありがと!」

提督「はぁー全く……どんだけ広いんだこの研究施設は……」

20分後 応接室

提督「で……結局……ここで落ち合えたと……」ハハハ

吹雪「あはは……ま、まぁ……落ち合えて良かったです……」

提督「にしても大きな施設だったな……ドン・キホーテ並とは言ってたけど……すごいな……」

尾口「はぁぁ……でも……広さが仇となるなんて……今度皆で整理しないと……あ、お茶、どうぞ」コトッ

レ級「レレー♪」ウリウリー

ヲ級「ヲ……」ヤメテ

吹雪「……それにしても……今日はどういうお話をする予定なんですか?」

提督「あぁ、そうだそうだ……本題だったな」

尾口「はい、実は今日、折り入ってお二人にお願いがありまして……」

提督「ふむふむ……」

尾口「……実は、虫母ヲ級達の能力を利用して養蜂家などの支援活動を行いたいんです」

ヲ級「ヲ?」

提督「ほー……」

吹雪「へぇ…ヲ級達を…?」

尾口「しかしヲ級たちは川底棲艦、新種の生き物として扱われているので、捕獲、飼育が認められているのはリ級までなんです……
   それにこれは軍が関係する問題ですのですので……出来れば二丁目さんにお力添えいただければと……」

提督「えぇ、構いませんよ?僕で良ければ」

尾口「早っ!?」

提督「いやだって……川底棲艦ですし、ヲ級も大丈夫だよな?」

ヲ級「ヲ?」ナンノハナシ?

吹雪「……あ、聞いてなかったみたいです……」

提督「……吹雪ちゃん、説明は任せた」

吹雪「は、はい、あのね……」



尾口「……いいんですか?軍が管理してる生き物でしょう?」

提督「そうは言っても所詮は僕と吹雪ちゃんだけが管理してるんですし…それに厳密には僕がしてるわけじゃないですから」

尾口「……川中島姫……でしたっけ?提督さんの資料に書いてありましたね」

提督「えぇ、前浜町一帯はあの子が仕切ってるんです、ですからあの子の許可さえ貰えれば養蜂家さんにも提供できるかと」

尾口「なるほど……その子は一体どこに?」

提督「二ツ木山の川の上流です、声をかければ出てくると思いますよ、あ、でも、くれぐれも機嫌を損ねるようなことはしないように…」

尾口「わ、分かりました……」



吹雪「で、だから養蜂家……蜂を育てる人のお手伝い」

レ級「キシシ」ツンツンッ

ヲ級「ヲッヲヲ……」

吹雪「レ級」キッ

レ級「ア……」ショボン

吹雪「いい?ヲ級、もう一度説明するからね……」

ふぅ……取り敢えず一段落じゃ、ちと出掛けるぞ

専ブラじゃなくても「吹雪 おかしい」で検索かけりゃ一発なんだよなぁ

専ブラじゃなくても「吹雪 おかしい」で検索かけりゃ一発なんだよなぁ

>>142
ガキが

安価を取ろうとして盛大な誤爆をしてしまった…
別に頭がおかしくなった訳じゃないから気にしないでくれ
というわけでちょっとだけ書きます

数時間前 横須賀鎮守府

叢雲「…………な……」

横督「…………」

叢雲「それ……本当なの……?」

横督「…………」

叢雲「…………」

横督「…………失せろ、伝えることは伝えた」

叢雲「ちょ……ちょっと待ちなさいよ……!」

横督「視界から消えろ、目障りだ」

叢雲「……アンタ……!」

横督「…………」

叢雲「…………なら、一つだけ質問があるわ」

横督「……」

叢雲「……長門さんを撃つ事……少しくらいは躊躇ったんでしょうね……!!」

横督「自分の命と長門の名誉、私はどっちを優先すると思う」

叢雲「…………随分と落ちぶれたわね、質問を質問で返すなんて……聞かれたら「はい」か「いいえ」で答えるのが常識よ」

叢雲「……長門さんを迷いなく撃ったの……?さっさと答えなさいよ……!!!」ガシッ…グググ…

横督「鉄屑の射撃に躊躇はしない」

叢雲「……そう……」

横督「質問は以上か、ならばその小汚い手を離せ」

叢雲「…………」パッ

横督「……人工物風情が胸倉を掴むなど……随分と偉くなったものだな」

横督「……部屋から出て行け、暫くその顔を私に向けるな」

叢雲「…………く……!!」ギリッ



パシィンッ


横督「……」

叢雲「……言われなくても……アンタの面なんか二度と見たくないわよ……!!!」フルッフルッ…!!!

叢雲「…………うぅっ!!!」ダッ!!!

横督「…………」スッ

横督「……平手打ちか……久々に喰らうと痛いものだな……」

横督「…………」

横督「…………」

独房

天龍「…………その様子じゃ、全く眠れなかったみたいだな……」

長門「……当たり前だ……」

天龍「……ま、そりゃそうか……悪いな、アンタにくれてやれるのは水しかねぇみたいだ」スッ

長門「…………」スッ コクッ

天龍「それと……これは俺からの個人的なプレゼントだ」スッ

長門「……枝豆……?」

天龍「茶豆ってんだ、パンくらい渡したかったんだけどな…これくらいしか隠し持てなかった、殻は便所にでも捨てといてくれや」

長門「……すまない」スッ

天龍「…………にしてもまぁ……呉の敏腕秘書艦って聞くもんだからもっと冷静な人だと思ってたんだけどな……」

長門「…………」

天龍「…………アンタが出てく直前くらいに俺が作られたんだよな……」

長門「……」

天龍「10年前だっけか、あのクソ野郎がギャーギャー怒鳴ってたのを覚えてる」

長門「……あの男の怒鳴り声か……フッ……懐かしい」

天龍「……」

長門「……」

天龍「…………」

長門「……天龍」

天龍「ん?」

長門「お前は、あの男の事をどう思う?」

天龍「は?」

長門「……提督としてではなく、人間としてだ」

天龍「…………人間として……か……一言で言うと、最低だな」

長門「……だろうな」

天龍「人の気持ちは考えない、口を開けば嫌味、恨み事、暴言……人間じゃねぇから分からねぇけどとても人間らしいとは思えねぇな」

長門「……」

天龍「……お前んとこの提督はどうなんだよ」

長門「……まぁ……そうだな……お前と同じように一言で言うと、実力不相応……だな」

天龍「……?」

長門「……ハジメとは逆の性格だ、人の気持ちを考え、どんな時でも笑顔を絶やさず、理不尽な事を言われても口を出さない」

長門「……ただ、指揮能力や艦隊の運用能力などは、素人以下だ……」

天龍「だからアンタが手助けしてやった……って事か」

長門「……そうなるな……」

天龍「……けど、何でそんな提督にふさわしくないやつを助けたんだ……そんな奴他にも山程居るだろ?」

長門「これを…………」カチッ コトッ

天龍「……ヘッドギア?」スッ

天龍「……?……へぇ……名前が彫ってあんのか…アンタと……提督ねぇ……」

長門「……陸奥のギアには彫られていない……こんな物を渡されると……な……」フッ

天龍「……惚れたって奴か……はぁ~……ロマンチストだなぁ……」

長門「軍人としては最も恥ずべき事だがな…………だが……」メソラシ

天龍「それでも一緒に居たい……か」

長門「…………」

通信室

龍田「…………」トントットトットトットトトトトッ…

ピピピッピリッピピーッピピリピッーーッ

龍田「…………」

摩耶「…………全鎮守府、伝えたぞ」

龍田「お疲れ様~私も終わったよ~?」

摩耶「…………はぁ……ったく……あの野郎……面倒くさい事してくれやがる……」

龍田「本当ねぇ……はぁ……鎮守府に被害が及ばなければいいけれど~…」ヤレヤレ

摩耶「……いや、あるだろ……これ絶対……アタシ達の事恨んでる泊地や基地は山程居ると思うぜ」

龍田「そうねぇ…」

摩耶「……主にアイツのせいでな……」

龍田「因果応報って言うのかしら?困ったものねぇ」

摩耶「……もし、艦娘がこっちに来て、戦うことになったら……どうする?」

龍田「ん?私~?私は戦うよ?艦娘と本気で殺し合えるなんて貴重な機会だしね~」

摩耶「……アタシは戦わないな……」

龍田「ま、そうだよねぇ~」

摩耶「はぁ……ったくぅ……」ガクッ

龍田「……つかれたぁ~……」クテェッ



バァンッ!!!


摩耶「はひゃぃ!?」ビクッ

叢雲「……っ……!!」フゥーッ!!!フゥーーッ!!

摩耶「む、叢雲……?」

叢雲「…………っ……うぅぅ……!!!」ッダン!!!!

龍田「……叢雲ちゃん?」

叢雲「…………」カチャッ トントントトトトットトンットトトッ

叢雲「………………摩耶、龍田」

摩耶「……は、はい」

龍田「……」

叢雲「……今すぐ長門さんを開放しなさい」

摩耶「は、はぁ!?そんな事」

叢雲「いいから!!!!」

摩耶「……な、何怒って」

叢雲「黙れ!!!!!命令に従え!!!!!」

摩耶「……は、は……い……龍田、行くぜ」

龍田「……え……え……えぇ……」

叢雲「……」

叢雲(私の憧れを侮辱して傷つけたこと……)

叢雲(後悔させてやる…………!!アイツも同じ目……いや……それ以上の報復を受けてもらう……!!!!)

叢雲「…………くぅっ……もう我慢できないのよ……10年もこんな状態で!!ふざけるなぁ!!!!!」ッガン!!!!

叢雲「…………」

現在 前浜町二丁目鎮守府 リビング

川内「…………ふぁぁ……っ……ふ~……吹雪の漫画……割と面白いかも……」ペラッペラッ

戦艦レ級「…………」スヤスヤッ

川内「…………帰って来るまでに戻しとかないと……ま……もうすぐ最新刊だしもう少しだけ……」ペラッ

戦艦レ級「…………んにゃ……ん……」カクッ

川内「……ん……?」

戦艦レ級「……クヒヒ……クゥ~……スピ~……んぅ~……」スヤスヤ

川内「…………ま……いっか……」ペラッペラッ

戦艦レ級「………………」スヤスヤ

川内「……あ、でも体が乾いたら駄目なんだっけ……えっと……顔が一番分かり易いのかな……」スッ

戦艦レ級「…………ん……」モゾッ

川内「…………しっとりしてる…………」ワシャッ

川内「…………髪も……結構乾いてるように見えるけど……」ジワッ

川内「意外と……湿ってんのね……てか、触り心地いいなぁ……深海棲艦の髪の毛……」ワシャッ

川内「…………」ワシワシッ

川内「いや……私がちゃんとリンスしないからか……いや……でもちゃんとお風呂入ってるし……何の違いが……」

戦艦レ級「……」クゥックゥッ

川内「……虚しい……考えないどこっと……」ペラッ








夕方前 河川水質保全委員会


尾口「では……そういうことで……川中島姫ちゃんとのコミュニケーションが取れて、結果がわかったらまた……」

提督「はーい……あ、えっと……そうだそうだ……鎮守府の電話よりも僕の携帯に電話してくだされば……えっと……ここに」スッ

吹雪「司令官……名刺渡してなかったんですか?」

尾口「あ!私も……!すっかり忘れてた……えっと……今更ながら私はこういうもので……」スッ

吹雪「……あはは……」

吹雪(…………仲いいなぁ……)イジッ

提督「尾口めぐみ……さん……なるほど……じゃあこっちも何かあったら電話しますね」

尾口「は、はい!すみません遅れちゃって……」

提督「お気になさらず、では……失礼します」ペコッ

吹雪「失礼します……!」ペコッ



門番「……ZZzz…………ハッ……!開けますね!」ガララッ


ガララッ ガコンッ

ズイブントイイミブンネ ソトデモイネムリナンテ… 

エ、ナンデコンナトコニ ヒェッ!! ヤ、ヤメッ!! ソトデナイフハダメデスッテバァ!!!


吹雪「…………」スタスタ

提督「……どうしたんだ?」

吹雪「……別に……何でもないです……」

提督「……?」

そして私は、温かい布団のもとに召されるであろう!!! ジーク!フトン!!

長門「……ハジメとは逆の性格だ、人の気持ちを考え、どんな時でも笑顔を絶やさず、理不尽な事を言われても口を出さない」

長門「……ただ、指揮能力や艦隊の運用能力などは、素人以下だ……」

この時点でもう誰が悪いかなんて一目瞭然だよな
無能を無理矢理使おうとするとかポケモンで言うマイオナ厨みたいなもん…いやあれはまだ戦略でなんとでもなるからそれ以下だな

二丁目提督はヨッコさん曰く有能だけどね

む、さすがに今日はお休みじゃ

もう少しで始めるにゃ、最近Google日本語入力がアホになってきてるにゃ

横須賀鎮守府 提督室

横督「…………」

天龍「…………」ポリポリッ

天龍「……ホント……お前は馬鹿だな、馬鹿中の馬鹿だ」

横督「…………」

天龍「アイツが暴れちゃもう手が付けられねぇぞ、どうすんだ」

横督「横須賀鎮守府内で保有している全て艤装にロックをかける」

横督「天龍、銃を使え」 ピッピッピッピッ グィーンッ

天龍「銃?……って……何だこれ……」

横督「ロックを外して引き金を引けばいい、それだけであの馬鹿は黙る」ガチャッ 

天龍「……俺にアイツを撃てってのか……?」スッ… ジャキッ

横督「殺す必要はない、場合によっては眉間に穴を開ける必要があるかも知れんがな」

天龍「……チッ……他に方法は?」

横督「スタンガンでも使うか?要は奴を五体満足で止める事ができればそれでいい」

横督「奴を説得するのは不可能だ、15年の鬱憤は口だけでは止まらんだろう」

天龍「…………」ハァ

天龍「……そうかい……ならてめぇでやれ」ポイッ ガチャン

横督「……」

天龍「長門さんを撃ったのも、叢雲をキレさせたのもてめぇの責任だ」

天龍「15年もアイツをこき使ってストレス溜めさせた上にキレたら銃で止めろだ?」

天龍「艦娘を都合のいいマシンかなんかだと思ってんじゃねぇのか、お前」

横督「私は艦娘を艦娘として扱っている」

天龍「なら」

横督「そして、艦娘として深海棲艦と戦いたい奴だけを望んでいる」

天龍「……」

横督「長門も叢雲も……人間として生きたいという気持ちが強すぎる」

横督「艦娘は戦うために作られた兵器だ、そもそも艦娘に心など必要ない」

横督「もっと言うと、貴様ら艦娘が持っている個性も必要なかったのだ、戦闘服も何もかも統一すべきだった」

横督「……だというのに、本営の屑共は世の宣伝力など人権などで貴様らを飾り……挙句の果てには心を作った……」

横督「00から既に私の望む艦娘からは遠く離れていた……01も叢雲も長門も……貴様ら全員…全て失敗作だ!!」

天龍「言いたいことはそれだけか」

横督「……」

天龍「……話になんねぇよ、都合が悪くなりゃ全部艦娘のせいか、そんなに自分の欠陥を許せねぇのか?」

天龍「長門や叢雲が荒んだのは全部てめぇの腐りきった性格のせいだ、いい加減認めろ」

天龍「あばよ、悪いが俺は摩耶達を連れてしばらく鎮守府を離れる」

横督「何だと」

天龍「揉め事に兵器が口挟むわけねぇだろ?お前の大好きな兵器らしさってやつだ、じゃあな」 ガチャッ バタンッ

横督「…………」

横督「…………」

横督「……降格では済まんな、これでは……」

廊下

天龍「…………」スタスタ

天龍「…………」

天龍(……とは言ったものの……)

バタバタッ ザワザワ

天龍(……他の連中が慌てふためてる中……どうまとめるべきか……)

天龍(……とりあえずアメリカの連中は一旦呉……いや……完全中立の舞鶴に移すか…)

天龍(他の奴らは……騒ぎが終わるまで外で自由行動……かねぇ…一人10万くらいで2晩は持つか…)


タッタッタッタッ!!


龍田「天龍ちゃん!」

天龍「龍田?」

龍田「話は聞いてる!?叢雲ちゃんが……」

天龍「あぁ、聞いてる……長門さんは?」

龍田「開放した後叢雲ちゃんと合流して今は外……だと思う……」

天龍「そうか……外の衛兵たちを全員中に入れろ、それとそこら辺で慌ててる奴らも全部一箇所に集めるんだ」

龍田「一箇所って……どこ……」

天龍「落ち着け龍田、会議室だ、第一会議室なら全員収容できる、放送の音量を最大にすりゃこの騒ぎでも聞き取れるだろ?」

龍田「で……でも提督に……」

天龍「提督には俺が話をつけた、この件は提督と叢雲たちの問題だ、だから心配するなポンポンッ

龍田「…………」

天龍「ほら、深呼吸しろ、会議室に今いる艦娘全員を集めるんだ、いいな?」

龍田「……すぅっ……はぁ…………うん……分かった……天龍ちゃんは?」

天龍「俺は工廠で艤装が使えるかどうか確かめる、すぐ戻るから待ってろ」

龍田「……すぐ戻る……って……天龍ちゃん!!駄目!!」

天龍「いや、そういう意味じゃねぇ!マジですぐ戻るから心配するな!!な!?落ち着けってオイ……!」ガシッ

龍田「うぅ……」

天龍「じゃあ俺、行くからな?言われたとおりにやれよ……?」

龍田「…………」コクッ

天龍「おし……いい子だ……」タッタッタッタ


工廠

龍田『…………全ての艦娘は至急第一会議室まで……』

天龍「…………」ガチャッ

天龍「…………」キョロキョロ

天龍「……明石も行ったか……今ん所叢雲らが入ったようには見らねぇ……な……」スタスタ

天龍「……艤装は……あれ……ロックがかかってねぇ……」カチッ グィーンッ プシューッ

天龍「とりあえず俺のと、龍田の、それと摩耶……」ピッピッピッ ガコッガコッガコッ

天龍「……後は……」

叢雲『天龍!!!』

天龍「げ……見つかっちまったか……」

叢雲「……」チャカッ

長門「……」

天龍「……オイオイ……拳銃ってお前…どっから持ってきたんだよそんなもん……」

叢雲「……抵抗しないで」

天龍「手は上げてるぜ?撃つなよ?」

叢雲「……艤装のロックは」

天龍「今ん所かかってねぇ、出したいなら出せよ」

叢雲「…………っ」チャカッ

天龍「……はぁ……はいはい、俺が出しますよ……ったく、図々しい奴だな……」ピッ グィーンッガコッ

叢雲「……」

天龍「ほらよ、使えよ」

叢雲「……長門さん、少し待ってて下さい……」

長門「あぁ……」

天龍「…………」

叢雲「……悪いわね」

天龍「ちゃっちゃとつけろ」

叢雲「……」カチッ カチッ カチッ グィーンッ

叢雲「……」

長門「……」

叢雲「……何も聞かないのね、天龍」

天龍「聞いた所でどうにも出来ねぇからな、これはお前らの問題だ」

叢雲「……迷惑かけるわね」

天龍「迷惑かけてると思うなら、ちゃっちゃとこの問題終わらせていつも通りの状態にしろ」

叢雲「……えぇ」

天龍「なら、問題を片付けてこい、提督殺そうが鎮守府ぶっ壊そうが何しようが構わねぇよ、ただ」

叢雲「……」

天龍「お前らを恨んでる連中がけしかけてきても俺達は何もしねぇ、全部お前らの問題だ、いいな?」

叢雲「……分かったわ」

天龍「……出来れば全員生きてることを祈るよ……」ガチャガチャガチャッ

天龍「じゃ、俺らは先に出て行くから……あばよ」スタスタスタッガチャッ バタンッ

叢雲「……」コクッ





夕方 二丁目鎮守府

吹雪「…………ただいまー……」ガラララッ

ヲ級「ヲッヲヲー!」

レ級「レーッ」

提督「帰ったよーっと……ってあれ……?」

川内「…………」スヤスヤ

吹雪「……寝てますね……」

提督「さすがに寝るだろ、朝から夕方までひとりぼっちじゃやること無いし……」

吹雪「……ちょっと申し訳ない事しちゃいましたね……」

提督「……確かになぁ……」

第一会議室

天龍「っつーわけで……今日からお前らには……」

ザワザワザワ

ナニガアッタノカシラ

ワカバダ

天龍「聞けっての!聞けっつってんだろお前らぁ!!」

加古「っでもさぁ……その問題ってのにあたしらは参加しなくていいの?」

天龍「その必要はねぇ、これは提督と叢雲の命令だ」

加古「……ふーん……ま、あたしはいいけどさ……」

龍田「……そういう事、今回の問題は秘書艦と提督以外の干渉を一切認めないみたいよ~?」

龍田「だから、私達はみ~んなおやすみ、違う鎮守府や泊地に所属していた艦娘はそこに帰るのも良し、
   行く宛がない艦娘は私と一緒に寝床を探すのも良し、自由行動ってこと~」

天龍「そういうこった、外にでることが少ない艦娘は久々に外にでるのもいいだろ」

天龍「何にせよ、しばらくはこの鎮守府には居られねぇ、旅費は今から支給するからそれで何とかしてくれ、以上」


ソンナムセキニンナコトガ…

テンリュウサンッ!


天龍(……ま、この反応が当たり前か……昨日まで普通に日常やってたってのにこれだからな……)

天龍(…………)

摩耶「オイ天龍、これってやっぱ……」

天龍「言うな、摩耶」

摩耶「……他の奴はどうすんだよ」

天龍「龍田が金庫から金を持ってきてる、そっから適当に金配ってそれで生き残らせる」

摩耶「でもよ……」

天龍「……ここにいる奴のほとんどが他の鎮守府からの流れもんだ、それ以外は俺と龍田が引き受ける」

摩耶「って事あたしは天龍の」

天龍「いや、お前は今から二丁目に行け、アイツに一応状況を知らせといた方がいい」

摩耶「二丁目に?何でここでアイツの」

天龍「……多分アイツ、今の状況を何も理解してねぇ……言った所で無駄だが何も知らなきゃ他の泊地らからの反感を買う事になる」

摩耶「あぁ……他は死ぬほど忙しいのに~ってやつを防ぐ訳だな」

天龍「そういうこった、後で俺んとこに合流しろ、艤装は用意してる……悪いが急いでくれ」

摩耶「あいよ、分かった」タッタッタッタッ

天龍「おし、10分後には全員この鎮守府から出ろ、いいな!解散!!」


ザワザワ

夕方 深海 前浜町 テトラ棲地

空母ヲ級「……」キョロキョロ

空母ヲ級「……レ級は……最深部か……」スゥーッ


最深部


戦艦レ級「…………」

空母ヲ級「レ級っ!」

戦艦レ級「……ヲ級!お前治ったのか!?」

空母ヲ級「何とかな……」

戦艦レ級「…………」ジワァッ

空母ヲ級「…………」フッ

戦艦レ級「ヲ級……よかったぁ……!!治ったんだな……!ニセモンじゃねぇよな!?」ペタペタッ

空母ヲ級「あぁ、正真正銘本物の私だ、ほら、手も動くし、足もちゃんと動く……だろ?」

空母ヲ級「……迷惑かけたな、レ級……」

戦艦レ級「……あぁ……ほんとにお前は……頼りになりそうで頼りにならねぇよ……」

空母ヲ級「すまない……」

戦艦レ級「……だからさ……」ギュウッ

空母ヲ級「……」

戦艦レ級「アタシはお前を離さねぇ……だから……ヲ級もアタシから離れないでくれ……」

戦艦レ級「……もう、深海棲艦でアタシを本当に知ってる奴は……お前しか居ねぇんだ…………!」

戦艦レ級「弱虫で……泣き虫なアタシを知ってる奴は……っ……!」

空母ヲ級「……分かった……もう、離さないからな……」ナデッ

戦艦レ級「………………」

空母ヲ級「あと……」

戦艦レ級「……」

空母ヲ級「さり気なくカ級をハブるな、学部は違えどアイツも一応同期だ、影は非常に薄いが」

戦艦レ級「……素で忘れてた……」



夕方 二丁目鎮守府 台所

提督「……えっと……」ザクッザクッ

提督「……で……えっと……里芋だっけ……山芋だっけ……ま、どっちでもいいか……」

提督「……吹雪ちゃ」

吹雪「シィーッ!……川内さんが起きちゃう……!」コゴエ

提督「あ、ごめん……紅しょうがどこだっけ?」

吹雪「……冷蔵庫の中の上の段です」

提督「えっと……これ?」

吹雪「それです、フタ付きの、はい」

提督「……あぁ、これか……」カチャッ

吹雪「……何作ってるんですか?」

提督「お好み焼き」ザクッザクッ パッパッ

吹雪「……ホットプレート用意しましょうか?」

提督「フライパンで大丈夫だよ、片付け面倒だろ?」

吹雪「ま……それもそうですね……」

吹雪「あ、じゃあ私お風呂洗ってきますね」

提督「はいよ~」

吹雪「今日はどのバスロマンにします?」

提督「じゃあ、あの緑色で」

吹雪「はーい」


カララッ カラララッ


提督「…………」トントントンッ パッ

提督「…………」グリグリグリッ

提督「……もう少し水……いや、卵かな……」コンコンッ パカッ

提督「…………」グリグリッ

提督「……よし、こんなもんか……」

提督「……焼くのは……川内ちゃんが起きてからにしようか……」


提督(……って待てよ……川内ちゃんが寝てるのに吹雪ちゃんがお風呂を洗う……)

提督(ヲ級もレ級も寝てる……と言うことは吹雪ちゃんがバスロマンを投入すると……)

提督(………………でもこの間お風呂掃除邪魔したらものすごい剣幕で怒られたしな……) ポワワーンッ


------------------------------------

ちょっと前

提督「あ、吹雪ちゃん、悪いんだけど今からコンビニ」カララッ

吹雪「……」ギロッ

提督「うぇ……ふ、吹雪ちゃん……?」

吹雪「……司令官……私がお風呂洗ってる時は邪魔しないでって言ったよね……?」

提督「え……あの初耳」

吹雪「言ったよね!!!!??」

提督「あ、はい!言いました!言ったような……い、いえ!言いました!」

吹雪「バスロマンなめてるの!?お風呂掃除はバスロマンの基本でしょ!?どういうつもり!?」

提督「はい!バスロマンの基本は掃除!掃除8年バスロマン10年です!ゴメンナサイ!」

吹雪「集中を乱さないで!出て行って!!」

提督「ご、ごめんなさい!」ペコォォッ!!


--------------------------------------


提督(……日が増すごとにバスロマンどころかお風呂に対する愛情がすごいことになってる気がする……)

吹雪『……フゥゥゥッ……フンッ!!』

提督(素振りが始まった……お風呂力?だっけ……そんなのをお湯と一緒に貯めてるんだっけ……)

提督(……散髪する前にこのものすごいこだわりをなんとかした方がいいかも……)


吹雪『…………ハァァァァッッッ!!!』


っでぇええやああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!

ドゴォオオーーーンッ!!!


川内「っ!?ななな!?何!?夜戦!?!砲撃!??」ビクゥッ

提督「…………これでいい湯が出来るんだからすごいよなぁ……」

吹雪「…………っふぅ……」フキフキ

提督「…………」

川内「…………」アワワ

ヲ級「……ヲ……」スヤスヤ

レ級「……ンゥー……」スヤァッ

吹雪「……?」

提督「吹雪ちゃん、テルマエ・ロマエって漫画知ってる?」

吹雪「え?テルマエ?あのルシウスの漫画でしたっけ?」

提督「そうそれ」

吹雪「……読みましたけど……それが?」

提督「……いや、読んだならいいんだけど……」

吹雪「?変な司令官……」







夕食後 風呂

ザバーッ カポンッ チャプッ

川内「……いや~美味しかったねぇ……お好み焼き……」

吹雪「本当ですね……まさかあの量の紅しょうがを全部使うなんて……」

川内「確かに紅しょうがの風味すごかったなぁ……提督のお好み焼き若干赤かったよ?」

吹雪「ちゃんと混ぜないからかたよるんですよ……」

川内「ま、そうだねっ……にしても……温かいなぁ……このお風呂……体の疲れが取れるっていうか……」

吹雪「バスロマンの配合とお風呂の温度、それに溶かすまでの時間、今日は完璧でしたからねっ」ドヤ

川内「うん、言うだけのことはある……それにしても、そのバスロマンのこだわりは何時から?」

吹雪「CMの再放送みたいなので見たんです、バスロマンのこだわり……」

川内「ふぅん……」

吹雪「あのおじさんのバスロマンのこだわり方、そして銭湯のお客さんの気持ちいいの声に対する笑顔……」

吹雪「……私はあの人のお風呂に対するこだわりに感動したんです……それに感銘を受けて修行する俳優さんも……」

川内「……へー……それでこのお風呂が……」

吹雪「……イイお風呂でしょ?」

川内「多分バスロマン本来の成分以外の効能も出てる気がする……何か心なしか健康になりそう……」ポワーン

吹雪「ふふ……今度はもっとイイお風呂を用意しますよ……!」

川内「お、それは楽しみだねっ」


アハハハハハハハ



提督の部屋

提督「……」カタカタカタカタッ カチッ

提督「……っふぅ~……今日の仕事終わりっと……」

提督「…………」

提督「…………ふんふん……」カチッ カチッ

ピンポーンッ!

提督「……お……?こんな時間に誰だ……?」

スゥーッ スゥーパタン

ギィギィギィギィギィギィッ ガチャッバタンッ

提督「……吹雪ちゃん、まだお風呂?」

吹雪『はーい、ちょっと出てくれます?』

提督「分かってる、まだ部屋入っちゃダメだぞ?」

吹雪『はーいっ』


ガララッ

提督「はいはい……って摩耶さん?」

摩耶「はぁっ……はぁ……迷っちまった……よう、提督」

提督「どうしたんだ?そんな慌てて……艤装もつけっぱなしで……」

摩耶「いやぁ……実は結構厄介なことになっちまって……それを伝えに来たんだけどよ……」

提督「……厄介なこと……?」

摩耶「実はさ……」










提督「…………内乱……か……」

摩耶「そういうことになるな……」

提督「…………」

摩耶「別に提督にどうこうして欲しいってわけじゃねぇけど、現状は把握して欲しい……」

提督「……起こっちゃったかぁ……内乱……」

摩耶「……ついにって感じだ……今横須賀は叢雲と長門さんと提督しか居ねぇ……」

摩耶「それが長引くようなら、多分新しい闘いが生まれるんじゃねぇかって状況だ……」

提督「なるほどねぇ……」

摩耶「……なぁ、提督……」

提督「……?」

摩耶「……提督は、横須賀都呉が本気で争った時……どっちにつくんだ?提督はどっちの派閥に入ってるんだっけ?」

提督「俺はどっちにも付かないしどっち派でもない」

摩耶「でもそれじゃ!」

提督「……叢雲ちゃんにも前に言ったんだけどな……そういうことが起きないようにって……」

提督「……分かった、とりあえず把握はしたから大丈夫だ、でも俺はどっちにもつかない」

摩耶「……じゃあ、そういうことにしとく、じゃあ、アタシの要件はこれだけだ、帰らせてもらうぜ」

提督「んー……」

ガララッピシャッ

提督「……全く……どうなってるんだ横須賀鎮守府は……」ハァ

ふむ、寝落ちしなければこっちが持つまい……ということを書きたかrたのじゃ、すまぬ

ガキですまんな

さて、やりますか……
あ、今日はどこかで安価るかもしれん

数分後

カラララッ

吹雪「……あ、司令官……さっきの……どうしたんですか?」フキフキ

提督「いや、別に何てことはないよ」ピッ

TV『校長っっっ!!!ここのスミにでっかい優勝旗を起きたいとは思いませんかっっ!!!!!』

提督「ただなぁ……」

吹雪「……?」

提督「一難去ってまた一難去ったと思ったら更に一難が突っかかるってさ……どうなのかな……」

吹雪「……心を落ち着かせたい……ですか?」

提督「その通り……たまには一日ゴロゴロしてな~んにも考えず過ごしたいよ」ゴロッ

吹雪「忙しいのは嫌いですか?」バタッ バタンッ

提督「大っ嫌いだ」

吹雪「でしょうね、正直私も嫌いです」カチャッ ゴクッ

吹雪「……っはぁ……」

提督「お、ジュースいいなぁ」

吹雪「お風呂あがりに飲む冷たい飲み物は格別ですっ」

提督「確かに……最近ビールとはご無沙汰だからな……久々に風呂あがりの一杯ってのを飲むかっ」スクッ スタスタッ カララッ

吹雪「あ、まだお風呂川内さんが」

カララッ



川内「あ、ちょうど良かった、悪いけどブラのホックが変なトコにかかってさ……」

提督「え?あ、あぁ……わ……分かった……どうするんだ?」

川内「知らないの?まぁ吹雪はまだ小さ…………」

提督「……」

川内「……」

川内「…………提督……」

提督「……あ、はい……」

川内「……悪いけど……私は自分のブラを男に触らせるほどガサツじゃないの……」

提督「……ま、まぁ……俺も触れるとは思ってなかった……」

川内「……言いたいことはある?」

提督「…………吹雪ちゃん以外のブラってのはレース付きの意外と大人っぽい触りごこぐぇぇええっっ!!??」 ガスッ!!!


ドサァッ


吹雪「…………ハァ」

風呂場

提督「……ってて……しみるしみる……」

提督(二回に分けて洗濯してるからなぁ……吹雪ちゃんと療養中の艦娘の分と俺の分……)

提督(吹雪ちゃんは気にしないみたいだけど古鷹ちゃんや川内ちゃんは割と気にしてたからな……いつの間にかこうなってたっけ……)

提督(……ま、川内ちゃんが帰ったら容赦なく吹雪ちゃんの服は俺の服と一緒に洗濯されるだろうけど……)

提督(…………)

提督(……にしても……15年分の恨み……ねぇ…………どんなものだろうな……)

提督(15年前……15年前……って……横須賀さんいくつだよ……あの顔で40超えか……?)

提督(てっきり俺と歳が近いものかと思ってたけど……それともあれか……10代で既に提督になってたのかな……)

提督(だとしたら……まぁ……すごいな)

提督(呉さんは……近いのかな、年……顔も声も聞いたことないからわからないけど……)

提督(……ま……いいか……)ザバッ






呉鎮守府 第五遊撃部隊 宿舎

白雪「……」

金剛「……長門サンが横須賀に拉致されてもう1日が経過するネ……」

白雪「……」

金剛「姫ぇ……どうするんデース?」

白雪「……私達が横須賀に行っても……返り討ちに合うだけ……それに今は近づいてはいけません……」

加賀「今は長門秘書艦を信じるしか無いわ……この問題は長門秘書艦の問題……詮索してはいけない……」

瑞鶴「……でも心配なのはこの騒ぎに巻き込まれてる大井と北上よ……あの子たち……まだ横須賀に居るんじゃ……」

白雪「……」

北上『…………あのー……』ヒョコッ

大井「……」チラッ

金剛「……?」

北上「……んしょっと……おっひさー」コツッ コツッ

大井「……久しぶりね、皆」

金剛「キッタカミィー!オーイッチー!ひっさしぶりデース!!元気してましたカ!?」ダキッダキッ

北上「うへっ……いっててて……痛いって金剛さん……」

大井「むぐぐっ……」

加賀「……あなた達、横須賀で治療中ではなかったの?」

北上「んー……まぁ今日の夕方まではね……何か急に皆を鎮守府から追い出したみたいでさ…………」

大井「私達は佐世保方面の艦娘と一緒にここに戻ってきたのよ……艤装のロックがかかってなかったのが救いね……」ヤレヤレ

北上「……はぁー……全く……でもここに戻ってこれてよかったよね、大井っち……あ、松葉杖そこ置いといてくれる?」

大井「えぇ……他人ばかりの横須賀よりここの方がよっぽど居心地がいいもの……それにあの変態も居ないし……」

白雪「……」

加賀「……白雪さん」

白雪「……えぇ……」

加賀「…………」

白雪・加賀「「……大井さん……風邪か何かを患っているのでは……?」」

大井「失礼ね!!!」

白雪「……」

北上「……声だけ聞いたけど叢雲の怒鳴り声が半端じゃなくてさ……」

北上「だまれっ!命令に従えっ!とか、口ばかり動かして何もできん屑共がっ!とかねぇ……」

大井「駆逐艦なのに傍から聞いてる私達まで怒られてる気分だったわ……」

瑞鶴「……ちょっと見ないうちに随分荒んだわね……横須賀……」

加賀「……」

白雪「そういえば、大鳳さんは……?」

金剛「テートクの部屋に血相を変えて走ってったのが見えましたケド……」

白雪「……横須賀出身の艦娘でしたね……大鳳さん……」

金剛「お気の毒デス……ここに来て間もないというのに……」




呉鎮守府 提督室

大鳳「今すぐ横須賀鎮守府と連絡を取らせて下さい!提督に話を聞かないと……」

呉督「……」ボソッ

大鳳「え?」

呉督「……」ボソッ

大鳳「え……ちょ……何?もう一度……」

呉督「…………っ」

大鳳「聞こえないですっ!もっとはっきり喋って!!」

呉督「……駄目だ……」

大鳳「どうして!!??」

呉督「……横須賀……は…………だから…………叢雲…………と………………」

大鳳「…………横須賀鎮守府は今誰も近寄れない状況だから……
    今の叢雲と長門と提督が落ち着いて話し合う環境をつくるにはこういった環境でしか話せない……」

呉督「…………」コク

大鳳「……つまり……私はあの3人の邪魔だ……というのですか……?」

呉督「………………すまない……」コクッ

大鳳「…………」

大鳳(……提督……)

夜 二丁目鎮守府 リビング

カララッ

提督「……ふぅー……」フキフキ

吹雪「司令官、はい、冷やしときましたよ」スッ

提督「お、ありがとう」ヒヤッ

提督「いいねぇ……冷えたビールって……」ボスッ カシュッ

川内「ビールねぇ……美味しいの?」

提督「ま、それなりにって感じだ、夏の週末もしくは人仕事終えた後には絶対欲しい一品だな」ゴクッ

川内「そう?……まぁ提督は昨日も今日もお疲れだし……そういう人には必要なのかな?」

提督「……全くだ……その上他の鎮守府でも問題なんて……はぁ……」グビッ プハァッ

川内「あぁ……横須賀だっけ……?うちの鎮守府といざこざが起きてるらしいじゃん……」

提督「……まぁなぁ……ハァ……」

吹雪「何だか大変ですね……あ、川内さん、ジュースいります?」

川内「ん、いいの?」

吹雪「えぇ、オレンジジュースとりんごジュース、どっちがいいですか?」

川内「じゃ、リンゴで」

吹雪「はーい」バタッ バタンッ

吹雪「はいっ」

川内「……ありがとー」

吹雪「……司令官、隣座りますね」ストッ カチャッ

提督「あり、二本目?」

吹雪「えぇ、オレンジジュース好きですから」

提督「そうだっけ?」

吹雪「……だって、司令官みたいに大きなカンじゃないですから、すぐに無くなっちゃうんですよ」

提督「あー……百均で売ってるちっこいやつだったか……そりゃ確かになくなるな……」

吹雪「ついつい買っちゃうんですよね……1本20円って聞くと安く感じちゃって……」

提督「分かる分かる、まぁ軽く喉を潤すにはちょうどいい量だよなぁ……」

川内「確かにちっちゃいねぇ……飲みやすくていいかも」カチャ コクッコクッ

提督「手ごろなサイズで飲みきりやすいのも特徴だな」

吹雪「えぇ…………あ、今日ってなにか面白い番組ありましたっけ?」

提督「木曜日はあまり詳しくないんだよなぁ……ん……?木曜……?」

川内「……木曜……?」

吹雪「……明日は……金曜日……?」

提督「昨日は水曜日…………携帯は……」スッ ポチッポチッ

提督「………………うん……金曜日に実家に帰るって言ってるな……」

吹雪「…………」チラッ

川内「…………」チラッ

提督「…………」

川内「か、帰る準備しなきゃぁああ!!!???」

提督「吹雪ちゃん!旅行バッグってどこ置いてったっけ!?」

吹雪「し、知りませんよそんなの!!!」

提督「ボーッとしてる場合じゃなかった!!!!すぐ準備するぞ吹雪ちゃん!!」

川内「え、えっと!艤装はっぎそうはぁーー!!」

数十分後 

提督「えっと……とりあえず来た時の旅行バッグと……適当な二泊三日くらいの着替え……と」ゴソゴソッ

吹雪「司令官、バッグはこれで大丈夫ですか?」ドサッ

提督「それって、ここに来た時のやつだっけ?」

吹雪「えぇ、これなら服も艤装も入りますし……それに使い慣れてますからね」

提督「艤装か……まぁ飛行機に乗るわけじゃないしまぁ……いいか」

吹雪「…………会社員でしたっけ?司令官のお父さん」

提督「あぁ、よくあるオッサンって感じだ」

吹雪「……よくあるオッサン……がよく分からないんですけど」

提督「テレビに出てるようなおじさんだ、別に悪い人じゃないから安心していいよ」

吹雪「怖い人ですか?」

提督「俺には厳しいけど吹雪ちゃんには優しくすると思うぞ?」

吹雪「……どうして?」

提督「男ってのはそういう生き物だからだ」

吹雪「…………?」

ヴーンッヴーンッ ヴィーンッ

提督「……って……噂をすればオヤジだ……聞く?オヤジの声」

吹雪「ちょっと気になります……」

提督「りょーかいっと……」ポチッ


提督「なんだよ」

父上『おいクソ息子お前明日帰るんだよな?』

提督「帰るけど」

父上『何時に着くんだ?』

提督「……さぁ」

父上『さぁ?さぁはないだろお前、新幹線の切符はどうしたんだよ』

提督「当日買うけど」

父上『……はぁー!?おま……8月終わりだぞお前!?乗れると思ってんのかお前!?馬鹿なのか!?』

提督「さぁ……乗れるんじゃね?」

父上『……まぁお前が何で来ようと俺は知らねぇけど!ただ艦娘さん頼るようなアホな真似だけはすんなよ!?いいな!?』

父上『それと名古屋土産!絶対買ってこいよ!!おーけい!?』

提督「買うっての……」

父上『じゃあな、母さんには明日来るって伝えてるから、絶対来いよ!』

提督「はいはい、母さんによろしくな」

父上『よし、じゃあ艦娘さんに夜更かしさせないように、明日気をつけてこいよ、いいな?』

提督「あいよ」

父上『……お前も寝ろよ、また1時3時まで起きてたら体が持たねぇぞ、お前もいい年なんだから睡眠覚えろよ?』

提督「オヤジかお前は!」

父上『正真正銘オヤジだ!!あばよ!!』ガチャッ ツーッツーッ


提督「……全く……」

吹雪「……すごいお父さんですね……お幾つですか?」

提督「66だったっけな……結構行ってるんだよな」

吹雪「へぇ……人は声によらないんですね……」

睡魔には勝てなかったよ……すまぬ……すまぬ……!!マジですまぬ

書ききれなかった文は今日の昼にでも書くぜよ

あれ、川内が戻るのって木曜じゃ……来週の木曜か?

>>185
……ドッチダッケ……すまねぇ、昼までに読み返してみる

……うむ、木曜だった、痛恨のミスじゃ
というわけで何だかんだそろそろ始めやす

吹雪の部屋

川内「……えっと……えっと……これと……これと……ってか体は……大丈夫かな……」コキコキッ

川内「日にちは変わってない……今から最大船速でぶっ飛ばせばぎりぎり間に合う……大丈夫かなぁ」ゲンナリ

川内「えっと……書類はと……げ……白紙じゃん……」ペラッ

吹雪「川内さん、大丈夫ですか?」スゥッ スゥッパタンッ

川内「あーゴメン吹雪、そこのたたんだ服鞄に突っ込んでくれる?ちょっと書かないといけないものが……」

吹雪「あ、はい、ペンは机の上にあるのでそれ使って下さい」

川内「ありがと!ゴメンねっ!」カサッ カキカキカキッ

吹雪「…………」フゥ

川内「……ん?どうしたの?」

吹雪「い、いえ……何も……」

川内「?」

吹雪「……」ゴソゴソッ

川内「私の事?」

吹雪「……と言うより……鎮守府の事です」

川内「?」

吹雪「戦闘やトラブルでここ最近ずっと働き詰めだから……長門さんに頼まれてる療養艦娘の療養が殆どできないんです……」

川内「あー……確かに、あの雷巡と沖縄の一件でそれどころじゃなくなってるよね……」

吹雪「……本来ならもっと家……あ、鎮守府でのんびりしてもらいたいんですけど……」

川内「……これからはもう特別な事は起こらないでしょ、横須賀と呉の問題も吹雪達が実家でのんびりしてる間に解決するよ」

吹雪「そうだといいんですけど……」

川内「大丈夫大丈夫、何だかんだで私ものんびりさせてもらったしね、羽伸ばしができたって奴」カキカキッ

川内「……それに戦闘に参加は出来なかったけど、夜戦らしい夜戦もさせてもらったしね、あの視点の夜戦も悪くない」

吹雪「……あの視点?」

川内「提督目線での夜戦、あんなに夜戦が大変だとは思わなかったからさ……」カキカキッシャッシャッ

吹雪「あぁ……それにしても、そんなに夜戦が好きなんですか?」

川内「好きっていうか、夜じゃないと本来の性能が発揮できないって言うのかな……」

川内「本気で戦える夜を望みすぎて、いつの間にか夜が好きになってたって奴?」

吹雪「……という事は、仕方なくってことですか?」

川内「ま、ただ単に星空が綺麗だから好きってのもあるけどねっ」フフッ

吹雪「……星空」

川内「うん、星空……海のど真ん中で全部の明かりを消して上を見上げたらさ、物凄くきれいな星が見えるんだよね…」

川内「だから私は夜が好き、夜戦みたいな命を張り合いもいいけど、何も考えずに星空を見上げるのも好き…」カキカキッ

吹雪「……何だか、意外ですね」

川内「でしょ?皆信じてくれないのよ……」

吹雪「でも、素敵ですっ…私も星空は好きですから…あまり夜に出歩くことはないですけどね……」エヘヘ

吹雪「あ、書けました?」

川内「うん、吹雪も終わった?」

吹雪「はい、全部入れておきましたけど……大丈夫ですか?」

川内「十分、ありがと……えっと……灯台まで一番近い道順って分かる?」

吹雪「あ、私送ります、司令官!川内さん出るって!」     <アイヨー

川内「色々世話かけるね……ホント」

吹雪「気にしないでくださいっ」

横須賀鎮守府 提督室

横督「…………」

横督「…………」

横督(……すまなかった……そう一言謝れば済む話ではない……)

横督(…………)

横督(……相談できる相手も……頼れる仲間も居ない……)

横督(……自分の判断次第……か……)






外 演習場

リッリッリッリッリッリ…

叢雲「……」

長門「…………」

叢雲「…………白雪は元気?」

長門「……あぁ……」

叢雲「……そう……良かった……」

長門「…………叢雲……」

叢雲「……」

長門「……」

叢雲「……何……?」

長門「…………私は、もう一度ハジメと話をしたいと思っている……」

叢雲「村上と……?何で……?」

長門「……やはり奴とは……話をつけなければならない……和解するにも……決別するにも……」

叢雲「…………」

長門「……叢雲……君も付いてきてくれるか……?」

叢雲「……えぇ……勿論よ……でも……」

長門「…………分かっている……どうしても我慢できないなら……」

叢雲「……」コク

長門「……いつまでもこうしてる訳にはいかない……行こう……」


ザッザッザ





提督室 

ガチャッ 

長門「……」

横督「……」

叢雲「……」

横督「……何をしに来た、欠陥品共」

長門「……お前と……改めて話をしたい」

横督「…………」

叢雲「…………」

横督「…………話は聞いてやる……」

長門「…………ハジメ……」

横督「……謝罪も叱責もいらん、貴様が今後どうしたいか、それだけを言え」

叢雲「……アンタねぇ……!!」

横督「……余計なハエが飛んでいると思ったら貴様か、ブンブンと飛ぶのをやめてくれないか、目障りだ」

叢雲「……っっ!!!」グッ

長門「よせ、叢雲」

叢雲「長門さん……!!」

長門「……なら、手短に話そう……ハジメ、私はもう二度とお前に口出ししない」

横督「……」

叢雲「な……」

長門「……そして彼を……一度解任させる……」

横督「……ほう」

叢雲「ちょ……ちょっと待って!長門さん!!それじゃコイツは!!」

長門「……」

横督「条件があるのだろう」

長門「……あぁ」

横督「言え、条件とは何だ」

長門「……」

長門「……彼を……貴方の下で教育して欲しい」

横督「……」

叢雲「彼って……呉の司令官を……?」

横督「……」

長門「……これが、彼を呉鎮守府から解任する条件だ」

横督「……呉鎮守府の提督はどうするつもりだ」

長門「提督学校を卒業し、着任待ちの優秀な学生がいる、20歳の飛び級卒業者だ」

横督「能力は」

長門「周りの気遣い、指揮能力、情報分析能力、どれを取っても平均以上だ……期待できる」

横督「……貴様が秘書艦をするのか」

長門「……いや、私に秘書艦は向かない……私は本日付けで秘書艦を降りる」

叢雲「……長門……さん……?」

横督「やっと気づいたか、疫病神が……」

叢雲「そ……そんな……長門さん!!」

長門「叢雲……」

叢雲「……長門さんが秘書艦を降りるなんて事……!!」

長門「……ハジメ……頼む」

横督「…………了解した」

叢雲「……長門……さん……!!」

横督「……呉の男の解任手続きは済ませておく、そして長門、貴様はこの瞬間から秘書艦長門ではなく戦艦長門となる」

横督「構わんな?」

長門「……あぁ……すまない……叢雲……」

叢雲「…………っ……!!」ギリッ ダッ!!!

横督「…………」

横督「……長門、その場から動くな」ガタッ タッタッタ

横須賀鎮守府 消波堤

ザザザーーッ ザザーンッ ザザーンッ

叢雲「…………」

叢雲「…………」

タッタッタッタッ

横督「叢雲」

叢雲「来ないで」

横督「……」

叢雲「……」

叢雲「……長門さんとアンタがケンカして……長門さんが出て行って……」

叢雲「何があったのかもよくわからないまま秘書になって……慣れない仕事をいっぱいやって来て……」

横督「お前……」

叢雲「……いつか戻ってくるって……長門さんは戻ってくるって思ってた……」

叢雲「それなのに、3年経っても、5年経っても長門さんはアンタの秘書艦として戻ってこないの……」

叢雲「…………もう嫌よ……いつまでこんな状態が続くのよ…………っ」

横督「……」

叢雲「何で長門さんはアンタと喧嘩したのよ……!何で……人間に恋なんか……!!」

横督「叢雲……私は」

叢雲「正しい事したっての!?えぇそうよ!!!艦娘の心を握り潰すような事務的な対応ね!!模範的だわ!!」

叢雲「アンタは何一つ間違ってない!!!間違ってるのは私達よ!!色ボケた上に感情で動く欠陥品よ!!!!」

叢雲「人間に作られた人工物が人間に逆らって!挙句の果てに人間を好きになるなんて!!人工物のすることじゃないわよ!!」

叢雲「この心も!!この体も!!全部アンタら人間のものよ!!!艦娘ってのは人間の命令で動く生き物だったんでしょ!!!」

横督「…………」

叢雲「……何よ……!そんな顔して……!!何時もみたいに命令しなさいよ!!すぐに戻れって!!」

叢雲「何なら死んであげるわよ!!主に逆らう艦娘なんか……アンタには必要ないんでしょ!!!!」チャカッ

横督「ま……待て!」

叢雲「…………っ……うぁああああ!!!!」グッ


横督「吹雪!!!」


叢雲「……!?」

横督「……死ぬな……吹雪……!!」

叢雲「……何を……今更……!!その名前で呼ぶなぁ!!!」

横督「吹雪……お前が必要だ……!!」

叢雲「呼ぶなって言ってるのよ!!私は叢雲……!長門さんに付けてもらった名前で死にたいのよ!!」

横督「お前は私のものだ!死ぬならば私の名づけた名で死ね!!!」

叢雲「……っ……!!」

横督「そうだろう!お前は特型五番艦ではない!!艦娘駆逐艦一番艦吹雪だ!!」

横督「登録名が変わったとはいえ自分自身を忘れるなど……艦娘は10年弱しか記憶が持たんのか!!」

叢雲「……何よ……何が言いたいのよ!!私が吹雪だろうと叢雲だろうと……関係ないでしょ!!」

横督「お前は誇り高き横須賀鎮守府の艦娘!そして全駆逐艦の姉!!」

横督「……そして……私を支えてくれる秘書艦……いや……友人だ!!……だから……死ぬな!!」

叢雲「……っ都合のいいことを……!!」

ああだから横鎮に吹雪の艤装が…

叢雲「……だったら……!!」

叢雲「……」

叢雲「何なのよ……もう……何なのよ!!」

叢雲「…………この溝……どうやっても埋められないじゃない!!」

横督「…………埋めるさ……」

叢雲「え……?」

横督「10年分の溝ならば、それ以上の年月をかけて埋められる」

横督「お前たちには寿命がない、たとえ私が溝を埋められなくてもお前たちが居る」

横督「…………吹雪……いや……叢雲……」

叢雲「……」

横督「……今更だが……済まなかった……こんな私で……」

横督「……この性格は治せない……人に辛辣なことを言っている事は自覚している。だがこれだけは知ってほしい」

叢雲「……」

横督「艦娘を艦娘として扱っている、そして何も言わず、黙って戦う者を私は望んでいる……お前たちは私にとっては失敗作だ」

                オマエタチ
横督「……だが、心を持つ艦娘を持った以上……私はお前達を命が尽きるまで導くつもりだ」

叢雲「……司令官……」

横督「……こんな私ですまない……だが……信じて付いてきてくれないか……!……君だけでもいい、私を信じてくれ!」

叢雲「…………」

叢雲「……馬鹿ね……自覚してるなら……直しなさいよ……」

叢雲「……でも駄目……この溝を埋められたら……あなたを信じてあげる……っ……だから今はダメよ……」

叢雲「今あなたを信じたら……あなたの為にならないでしょ…………?」ポロッポロッ

横督「……吹雪……」

叢雲「……だから……私は吹雪じゃないって……」

横督「…………すまない……」ギュゥッ

叢雲「……っ!」

横督「……この性格も……いずれ治す……だから共に居てくれ……私の元を離れるな……」

叢雲「…………」フッ

叢雲「……ま、せいぜい頑張りなさい……付き合ってあげるわ」

横督「……感謝する」




前浜町 灯台

川内「名残惜しいけど日付が変わるっ!別れの挨拶はあとで電話でするから!!!じゃあっ!!」バッ ザシャァァウウウッ!!

吹雪「お、お気をつけてー!!!」

提督「はぁっ……はぁっ……いやあー……疲れた…………」

吹雪「本当っですね……っ……はぁっ……」クタァッ

吹雪「…………司令官」

提督「ん?」

吹雪「アイス……食べたいです」

提督「確かに……コンビに行くか~暑いし」

吹雪「えぇ、あ、私、ハーゲン?って言うの食べてみたいです」

提督「150円までで勘弁してくれ……」

吹雪「ケチっ」

うぅ……もう……いっぱいでち……

あれ?これは?


 548  ◆zOYKx3HUX2 [saga]  2015/02/13(金) 23:01:04.78 ID:mXqLifN0o [7/9]

瑞鶴「……」

吹雪「……」ムスッ

瑞鶴「え、えと……ごめんね?」

吹雪「いいですっ」ツーン

瑞鶴「まさかあんな反応するなんて思わなかったから……ね?そんなに怒らないで?」

吹雪「怒ってません」

瑞鶴「怒ってるじゃない……」

吹雪「怒ってませんっ!」

瑞鶴「……」シュン

吹雪「……」

瑞鶴「……」チラッ

吹雪「……何ですか?」キッ

瑞鶴「……あ、いや……」

吹雪「……」

吹雪「……」ハァ

吹雪「……恥ずかしかったんですから……」

瑞鶴「……返す言葉もないわ」

吹雪「日も暮れちゃったし……」

瑞鶴「あ、明日は、絶対に一緒に行くから!ね?……ね?」ギュッ

吹雪「……そうですね…………あの、痛いです、離してください」

瑞鶴「あ、ごめん」



吹雪「それに、疲れてるのに無理やり連れて行こうとした私も悪いですし……」

瑞鶴「……許してくれる?」

吹雪「はい、あ、でも……」

瑞鶴「まだ……何かある?」

吹雪「アイスおごってくれたら許してあげますっ」

瑞鶴「買ってくるわ!!……どこ行けばいい?」

吹雪「あ、じゃあ私も行きます、コンビニまで結構ありますし……と言うかかなりありますから」

瑞鶴「うん、じゃあ行こう!」

吹雪「はい、じゃあ私ハーゲンダッツで」

瑞鶴「え」




>>203
横鎮にあるのは「吹雪の艤装」じゃなくて、厳密には「叢雲と同じタイプの艤装(Ver.吹雪)」なんだよね。
ひょっとして叢雲は、元々「特Ⅰ型1番艦」の予定で作られた……?

呉鎮守府 資料室

利根「…………うーむ……説明しにくい謎じゃ……叢雲が吹雪で吹雪は吹雪……だが二丁目の吹雪は改ではない……?」ペラッ ペラッ

睦月「そもそも叢雲さんのデータっていうのがほとんど残っていませんよね……」

利根「今のところハッキリしておるのは叢雲と天龍は同じコンセプトで作られた艦の魂が存在しない艦娘……と言う事じゃな、後から申し訳程度に設けられおったが…」

睦月「……?でも、長門さんは叢雲さんよりも前に作られたんじゃ……?長門さんにはちゃんと戦艦長門の魂が入ってるじゃないですか」

利根「確かにそうだ、核の光の恐怖も連合艦隊の旗艦としての誇りもしっかり身につけておる……」

利根「……恐らく長門秘書艦は別の建造案で建造された、初めて艦の魂を持った艦娘なのじゃろう……」

睦月「じゃあ、叢雲さん達のような近接戦闘に特化した艦娘は……」

利根「恐らく天龍と龍田、それと似た武装の艦娘は叢雲の建造案を元に設計されておるのじゃろうな……初春とか子日とかも」

睦月「どうなんでしょう……でもそうなるとあの初春さん達にも魂が入っていないってことになりますし……」

利根「うーむ……」

睦月「そこはまぁ……いっか……でも叢雲さんが吹雪ちゃんって言うのは……?」

利根「艦娘を今のように分かりやすくジャンル分けする際に吹雪の名を持つ叢雲がどうしても都合が悪かったのじゃろう」

睦月「……どうして?」

利根「叢雲の能力は今の吹雪型の数百倍の強さを誇っておる、所謂オーバースペックというものじゃ
    吾輩が束になって叢雲に襲いかかっても恐らくかすり傷も与えられん……
    そんな化け物が吹雪型の一番艦となり、新たに白雪、深雪、初雪と建造するとなると」

睦月「……とんでもないことになりますね……資金的に」

利根「そうであろう?そこで長門秘書艦は急遽、『艦娘駆逐艦 吹雪』を『特I型駆逐艦5番艦 叢雲』と改名したのじゃ
    そして、叢雲に改名後、建造中だった天龍が完成……叢雲と天龍には後付の艦艇の魂を設けられた……と言うことじゃな」

睦月「ふむふむぅ……でも、どうしてジャンル分けなんかしたんでしょう……?」

利根「人間のような心と、かつての艦艇の魂を持つ艦娘を海軍の保有兵器として正式に登録するには色々と決まりがあったそうじゃ、えっと……何だったか……」

睦月「……?」

利根「まぁ……色々とあるわけだ!とにかく、叢雲と天龍には艦艇の魂が無かった、そして叢雲の改名は艦艇のジャンル分けの都合の為じゃ!」

睦月(誤魔化した……)

睦月「……ところで、艦娘駆逐艦吹雪……って、今の吹雪ちゃんには何も関係がないんですか?」

利根「今の吹雪は特に何も関係はない、今の吹雪は5年前に完成し、二丁目に配属されるまでずっと舞鶴の工廠で燻っておっただけじゃ」

睦月「へ~……5年前って事は……」

利根「電までの特型駆逐艦全ての建造が始まった年じゃな……完成したかは別として」

睦月「およ……?完成したかは別?」

利根「叢雲をベースにした雲型は全て失敗しておるそうじゃ」

睦月「そうなんですか?」

利根「うむ…性能を大幅に下げたとはいえ、同型艦の建造すら不可能な艦娘とはな……」

睦月「特異な艦娘なんですねぇ……」

利根「いつの日かもう一度東雲を造ろうと考えておるそうだが…どうなることやら……」



※ 無論のことながら独自設定でありますっ

さすがに本編は書けんぞ、今日の夜か気が向いた時に書くのじゃ

もうすぐ始めるのね!

夜中 提督の部屋

提督「…………」

佐督『つまり、アンタは何もせずボーッと見守ってたっての?』

提督「まぁ……そうなりますね……見守ってすらないですけど」

佐督『…………』

佐督『……ふぅん……アンタにしてはまともな判断ね』

提督「というと?」

    アノバカドモ
佐督『呉と横須賀に毎回引っ張られてるようじゃいつまでたっても一人前になれないって事』

佐督『……アンタ、あの鎮守府が他の鎮守府から物凄く嫌われてるって知ってる?』

提督「いえ……?」

佐督『……はぁ……世間知らずもいいとこね……ま……いいわ……』

提督「やっぱりめちゃくちゃ評判悪いんですか?」

佐督『そりゃそうよ、呉は前時代的な考えでわざと先の大戦をなぞるような編成を組んで艦娘を窮地に立たせて他の鎮守府に迷惑をかける』

佐督『かと思ったら今度は呉の提督と長門ちゃんの熱愛が原因で横須賀鎮守府と内乱を起こす……あきつ丸が聞いたら発狂して喜ぶ展開ね』

提督「……横須賀は……」

佐督『……言うまでもないでしょ?他の艦娘の強引な接収、提督の横暴な態度、レズビアンセックスを眺めるという悪質極まりない趣味
    長門ちゃんに銃を向けるなどの最っっっ低な行為、今すぐ殺されてもおかしくないわね……』

提督「……ま、レズ云々は知りませんけど確かに人としてどうかとは思いますね……」

佐督『……でしょ?だから皆嫌ってるのよ……ったく……』

提督(確かに吹雪ちゃんも58ちゃんもあの人のことは大嫌いみたいだ…でもどうなんだろうな…)

佐督『アンタはアイツとかなり親しいみたいだけど、どうなの?村上一って奴は』

提督「どうって言われても……かなりキツイ性格としか言いようが無いですね、根っからの悪人って訳じゃないですけど」

佐督『どういうこと?まさかアイツの肩を持つつもり?』

提督「いや、別にそういう訳じゃないですよ、僕もそんなに好きな部類じゃないですし…」

佐督『……相変わらずハッキリしない性格ね……アンタモテないでしょ?』

提督「うぐ……」

佐督『……ま、いいわ……二丁目、明日から忙しくなるわよ……』

提督「え?そうなんですか?」

佐督『そうなんですかって……何他人事みたいに言ってんのよ!アンタはすぐにでも一航戦の療養を……』

提督「……えっと……」

佐督『アンタもう「えっと」禁止っ!!はっきりしなさい!!』

提督「……実は俺と吹雪ちゃん……今日から数日間実家に帰るって本営宛にメールを送ったんですよね……」

佐督『……は……はぁ!?実家ぁ!?』

提督「えぇ、実家です」

佐督『あ、あぁ……あぁんた!何勝手なことしてんのよ!?今のあんたの立ち位置分かってんの!?』

提督「立ち位置って言われても……愛知県の端っこ中の端っこの鎮守府ですけど…」

佐督『んなこと聞いてんじゃないの!!アンタの鎮守府がなかったら一航戦の復帰がどんどん遅くなるじゃない!!』

佐督『呉の一航戦が抜けてる今の状況分かってんの!?航空戦力が半分近く減ってる状態なのよ!?空自の男だって体力ってのがあるのよ!!』ガンッ

佐督『それをあんた……お盆も夏休みも終わってんのに実家に帰るって……!無責任にも程があるわよ!!あんた軍人でしょうが!!』ガンガンッ!!

提督「…………すみません……」

佐督『……もう……どうすんのよこの状況……横須賀の復帰には時間かかるし……呉はもはや機能してない……コイツは役に立たないし……』

佐督『……はぁぁ……分かったわ……一応あんたの携帯の連絡先送って……何かあったら連絡するから……じゃ……』ブツッ

提督「…………何かすごい罪悪感だな……今からでもキャンセル……無理か、本営さんの手続き終わっちゃったし……」

提督「…………」パタンッ

提督(にしても……本営さんってなんなんだろ……?)

提督(学校では艦娘の建造案や鎮守府の管理を主な仕事としてるって聞いたけど…本営で働いてる人って見たことないよな……)

提督(そもそも本営がどこにあるのかわからないし……トップシークレットってやつなのかな…)

提督(……まさかメタルギアみたいに主軸となるのがシステム~なんてこと……)カチャカチャ

提督(…………な、ないよな……?なんか怖くなってきたぞ……)カチャッ 

提督(メールとか手続きとかのためのチャットも定型文じみた文章しか帰ってこなかったし……)カチャカチャッ

提督(……ないない……)コトッ

提督「……あ、右手と左手間違えた」スポッ スポッ カチャッ カチャッ

提督「…………」


コンコンッ

提督「ん?ま、窓……ってうぉ!?」

空母ヲ級『私だ』

提督「え?ヲ、ヲ級ちゃん?」

空母ヲ級『す、すまない……窓を開けてくれないか……触手の粘着力が……っ……そろそろ浮遊も限界なんだ……』

提督「あ、お、おう……」ガラッ

空母ヲ級「っと……」ガッ

空母ヲ級「…………」ガッ ガッ

提督「…………あー……窓小さいからな……」

空母ヲ級「……どうやら……私はここまでのようだ…………」パッ ヒューーッ 

戦艦レ級「……え、ちょっ!?う、うわあああ!!!」

ドッシャァーーンッ

提督「……何しに来たんだ……二人共……」


リビング

空母ヲ級「……盲点だった……帽子のサイズと窓枠のサイズが一致しないとは……」ボロッ

戦艦レ級「ってて……平気か?ヲ級」

空母ヲ級「お前がクッションになってくれたおかげで無傷で済んだ……吹雪はどうした?」

提督「こんな時間だからな、それに明日からしばらく鎮守府を開けるから早めに寝かせたんだ……」グルグルッ

戦艦レ級「……ちょっと大げさすぎねぇか?腕の擦り傷で包帯って……」

提督「体が湿ってるから絆創膏貼れないんだよ…目立つかもしれないけど我慢してくれっ」ギュッ

戦艦レ級「ばんそーこー……?まぁいいか……サンキュ」

提督「……で?どうしたんだ?こんな時間に……と言うかヲ級ちゃん手足治ったんだな……良かった」

空母ヲ級「あぁ、その事を報告しに来たんだ、それとさっき聞いたんだが……お前達、数日間鎮守府を離れるのか?」

提督「そうなるな……親の所に帰らないといけないから……」

空母ヲ級「……となると、鎮守府周りの警備が手薄になってしまうな……」

提督「……そうなんだよ、そこが心配なんだ、万が一のことが起きてからでは遅いし……」

戦艦レ級「じゃあさ、じゃあさっ……アタシ達が鎮守府周りの警備代わってやるよ、そうすりゃ安心だろ?」

提督「マジ?でも大丈夫なのか?人の目とかあるだろ?」

戦艦レ級「大丈夫だって、ドがつく程人間達に見られてるし、前浜町だけなら普通に人間と会話もできるしな…街から出たら駄目だけど」

空母ヲ級「提督が望むなら私達だって役に立つ、それに今の私ならコイツが馬鹿やらかしても止められる、任せる価値はあると思うぞ?」

提督「……うーん……じゃあ二人がどれ程町の人に知られてるか……教えてくれないか?それで判断するよ」

戦艦レ級「おう、えっとだな……」

戦艦レ級「……まず朝だな、漁師のおじさんと海のど真ん中で朝の挨拶するだろ?」

提督「海のど真ん中で挨拶するって地点でおかしい気がするが……まぁいいや」

戦艦レ級「漁師のおじさん、すげぇいい人なんだよな……最初はお互いビビったけど話してみればすげぇフランクでさ…」

提督「……お、おう……」

戦艦レ級「あ、そうだ、こないだおじさん、イ級に襲われてたんだよな、そんで軽く蹴っ飛ばしてやったんだけどよ」

戦艦レ級「あん時、泣きながら感謝してくれたんだよな…………アタシすっげぇ嬉しかったよ……」

提督「まるで故人みたいに言ってるけど……生きてるよな?その人」

戦艦レ級「そりゃ勿論、もうすぐ盲腸で入院するって言ってたけど……盲腸って人間の病気だろ?治んのか?」

提督「10日くらいで退院できるらしいけど……」

戦艦レ級「そっか……良かった……朝飯まではずっとおじさんと話してるんだよな……」

空母ヲ級「……今度私も話しに行っていいか?」

戦艦レ級「おう、いいぜ、おじさんもびっくりすると思うぞ」

提督「……町中でも人間と話たりするの?」

戦艦レ級「ったりめぇだろ?提督が他の人との交流を聞いただろ?あれからアタシも頑張って結構慣らしてんだよ、な?」チラッ

空母ヲ級「……いや、私は知らないぞ……?」

提督「へぇ~そりゃすごいな、って事は吉岡さんとも話したの?」

戦艦レ級「勿論、あの人勉強頑張ってるんだよな?今日も明かりついてたしよ」

提督「あぁ、もうすぐ受験だしな……」

空母ヲ級「受験か……その、吉岡さんって言う人間は苦労してるのか?」

提督「さぁ……あの人は日中は居ないし、夜は家に篭りがちだからな…あんまり話し聞かないんだよな……」

戦艦レ級「なーんか、テンション低いんだよな~……あと、多分あの人はマニアックな趣味持ってると思う」ムムム…

提督「……何で?」

戦艦レ級「アタシの尻尾、ものすごい珍しい目つきで見てきたからよ……多分あれはアタシに気があるな……」

提督(……性的な意味じゃなくて生物学的な意味だと思う)

戦艦レ級「ま、アタシはあんな男にはなびかねぇけどな、アタシは安くねぇよ?」

空母ヲ級「……どうだか、案外ホイホイと付いていくんじゃないのか?」フッ

戦艦レ級「うっせぇ、アタシはそんなに安っぽい女じゃねぇんだよ」

提督(……出来れば俺になびいて欲しいな……イイ胸してるし……)

戦艦レ級「……ま、そんなもんだ、オバちゃんやおじいさんとも挨拶できるしガキともちゃんと喋れる」

戦艦レ級「人間の目は気にしないでいい、海周りの警護ならアタシらだって十分にできるぜ?」

空母ヲ級「私も少しずつ慣らしていく、だから……いいか?」

提督「…………うーん……」

戦艦レ級「……」

提督「……よし、でも何かあったらすぐに吹雪ちゃんの艤装に連絡してくれないか?」

戦艦レ級「あぁ、分かってる、だから提督は安心して自分の親のところに行ってくれよ」

提督「ありがとう……助かるよ」

空母ヲ級「あぁ……ところで提督……」

提督「ん?」

空母ヲ級「私の手足……変になってないか?ちゃんと治っているな?」

提督「お………大丈夫だ、ちゃんと指は5本だ、足もちゃんと動いてるし見た目も問題ない……」

空母ヲ級「そ……そうかっ!……なら、良かった……」フフ

戦艦レ級(……………はっはーん……さてはヲ級……)

数十分後

空母ヲ級「……なるほど……何かが壊れたり、何かが必要になった時は……」ペラッ

空母ヲ級「この地図に書かれた通りに進めば着くんだな……?」

提督「そういう事、髪の長い変わった雰囲気の女性には会った事ある?」

空母ヲ級「?」

提督「あー……うん、この街の雰囲気とは違って少し代わった雰囲気の人」

戦艦レ級「……ここって、あぁ……あの店か……」

空母ヲ級「知っているのか?」

戦艦レ級「まぁな…何売ってんのかよく分かんなかったけど…あそこ人いんのか?」

提督「いるぞ?若いの女性で、かなりミステリアスな雰囲気の人なんだよな……いい人だけど」

空母ヲ級「……名前は知ってるのか?」

提督「いやぁ……名札にはなんたら美……とは書いてあったけど……店員さんって呼べば通じるから大丈夫だぞ?」

空母ヲ級「……そうか、分かった……えっと……じゃあこの鎮守府に行く必要はないんだな?」

提督「うん、ちょっと町の見回りと川が汚くないかだけを見てくれればそれでいい、海は勿論忘れないでくれよ?」

戦艦レ級「あぁ、勿論だ」

提督「……ところで二人共、いつも燃料とかはどうしてるの?」

空母ヲ級「最近はガソリンスタンド?って所ののオーナーさんがタダでくれるらしいんだ、レ級が時々持ち帰ってくれる」

戦艦レ級「二丁目に助けてもらったって聞いた途端すっげぇ笑顔になってよ、そっからずっと燃料くれるんだよな…」

提督「へぇ~あの人が……」

戦艦レ級「提督も知ってんのか?」

提督「吹雪ちゃんが来る前に資材集めてた時にお世話になったんだ、頭下げてたらジェリ缶一個分のガソリンタダでくれてさ……」

戦艦レ級「ジェリ缶……ってあの変なボトルのやつか?結構図々しいんだなお前……」

提督「え?レ級ちゃんはどれくらい貰ってるの?」

戦艦レ級「アタシは普通に人間用の鍋いっぱい分くらいの密閉ボトルで貰ってるけど?」

提督「結構燃費いいんだな……レ級ちゃんって…」

戦艦レ級「常に艤装つけてるからだろ、褒められる事じゃねぇよ」

空母ヲ級「……燃費か……私はどうなんだ?」

戦艦レ級「全く燃料のまえねぇ所見ると、アタシ以上に良さそうだぜ?」

空母ヲ級「……だろうな、お前の大食漢ぶりを見るとよく分かる」

戦艦レ級「へへ、褒めんなよ」

空母ヲ級「褒めてない……じゃあ提督……もう夜も遅いだろうし、私達はそろそろ失礼するぞ、世話をかけたな」

提督「ん?あぁ……もう夜明けか……俺も寝ないとな……」

戦艦レ級「……ん?うぉ……もう太陽登りかけてんじゃん……行こうぜヲ級!」

空母ヲ級「そうだな……じゃあ、明日は今日提督が言った通りに動く……じゃあ……」ペコッ

提督「おーう、頑張ってね~」ヒラヒラ


ハキハキッ イソイソッ 

ジャーナッテイトクーッ シツレイスル…


ガララッ ガラララッ ピシャッ


提督「ふぁぁ……何と言うか……嵐のような子たちだな……ほんと」カチッ

空母ヲ級「…………」カッカツッカツッ

戦艦レ級「……にしてもま、認めてもらってよかったな」テクテクッ

空母ヲ級「あ……あぁ……そうだな……」

戦艦レ級「……なぁ、ヲ級」

空母ヲ級「……何だ?」

戦艦レ級「…………お前、提督の事好きだろ?」

空母ヲ級「っ!ど、どうしてだ?」

戦艦レ級「……別に、今日のお前の反応見てもしかしたらって思っただけだ」

空母ヲ級「……そ、そうか……馬鹿なことを言うな、私はただあの人のことを命の恩人と思っているだけだ……」

戦艦レ級「そうか?……だったら何でそんな顔が真っ赤なんだ?体調が悪いのか?」ツンツンッ


空母ヲ級「な……そんな馬鹿な……っ!?」パッ……シュゥ……

戦艦レ級「……全く……提督に手足見せた時の笑顔はすげぇもんだったぜ?ヲ級があんな顔見せるとはなぁ……」

空母ヲ級「や、やめろ!い、言うなっ!」

戦艦レ級「……ま、想い伝えたいならさっさと言えよ?吹雪に取られちまうぜ?」

空母ヲ級「よ、余計なお世話だっっ!!私は先に帰る!!」タタッ

戦艦レ級(……素直じゃねぇなぁ……)

戦艦レ級(……ま……いいか……アタシには関係ねぇし……)スタスタ

戦艦レ級(……アタシの胸……大きくした方がいいのかな……)ムニッ

戦艦レ級「…………」

戦艦レ級(……別にいいか、このまんまで……)スタスタッ

……うむ、しばらく寝るっ!!!

もうそろそろ始めるつもりじゃ!

次の日 朝 前浜町 バス停前

提督「よっこらせ……っと……」トケイカクニン

提督「……バス到着まで20分近くあるな……」

吹雪「本当にここ、バス来ませんよねぇ……」

提督「タクシーも来ないし……後乃木市に行くのもタクシー拾うためなんだよな……」

吹雪「市長さんにバスの本数増やしてもらったらどうですか?」

提督「海軍が旅行に行きやすいようにバスを増やして下さい……酷くないかそれ」

吹雪「あ、改めて言葉にしたらすごく酷いですね……」

提督「まぁ、利便性を犠牲に静かな時間を得ることが出来たって考えよう……はぁ……」

吹雪「…………」ジィー

吹雪「……司令官、昨日何時に寝たんですか?」

提督「へ?4時過ぎだけど?」

吹雪「……ハァ……酷いクマだと思ったら……ちゃんと寝ないといつか倒れちゃいますよ?」

提督「ははは……悪い悪い、新幹線で寝るから大丈夫だよ」

吹雪「約束ですよ?」

提督「大丈夫だ、俺は約束を守る男だ」

吹雪「……全くっ」


10分後

ゾロゾロッ

会社員「……遅ぇ……」

オバチャン「…………」

学生A「…………」シャカシャカッ

学生B「…………」ポチポチ

学生C「ちっす」

学生D「うっす」

学生C「……どう?休み明けテスト」

学生D「死んだ」

学生C「俺も死んだわ、今日帰ってくるんだっけ?」

学生D「ん、マジでやべぇわ……再テストだろ?補習だっけ?」

学生C「補習だな……うっわぁ……黒田Tやべぇもん、普通に容赦ねぇしなぁ」


吹雪「……T?」

提督「ティーチャーのTだ、多分黒田先生がヤバイんだろ」ボソッ

吹雪「……って事は、あの人達は学生?」

提督「高校生以降になるとバス通学も珍しくないしな……しかも今朝早いし」

吹雪「へぇ……」

提督「……にしてもバス……まだかなぁ……」

吹雪「予定だと後3分くらいですね……まだかなぁ……」

提督「…………」

ブゥゥゥゥゥッ…… キィッ プシイイイーッ ガッタン

提督「お、来た、乗ろうか」

吹雪「はいっ、よっと……」

ゾロゾロゾロゾロッ

前浜町 漁港

空母ヲ級「……」

空母ヲ級「いつまで飯を食ってるんだアイツは……」キョロキョロ

空母ヲ級「…………」

空母ヲ級「…………ん?」チラッ


ザワザワザワ

空母ヲ級「……何だ……?人間の……熟年者か……?何であんな所に立っているんだ……」コツッコツッコツッ

空母ヲ級「…………」

空母ヲ級「…………」

オバチャン「…………」

空母ヲ級「…………」

空母ヲ級(声をかけるべきか…?今のところ視認はされていないが……)

オバチャン「さっきからチラチラと……なんだい!!そこのデカ帽子!!」

空母ヲ級「ひゃ……!?え……?」

オバチャン「アンタだよアンタ!!そんな馬鹿デカイ帽子被って……何見てんだい!!」

空母ヲ級「わ、……私……か?」

オバチャン「……アンタ、レッちゃんの知り合いかい?」

空母ヲ級「え、れ、レッちゃん?確かにレのつく女と知り合いというか……」

オバチャン「知り合いなら知り合いってはっきりいいな!!!」クワッ!!

空母ヲ級「は、はぃ!知り合いです!!」

オバチャン「全く……最近の若いコは何時もそうなんだヨ、はっきりしない、近頃の若い子はすぐ天狗になってエラそうな顔するんだから、オバチャンからすれば大戦中の軍艦を女の子にしたからって日本が強くなるとは思えないけどネ、そういえば最近この街にその軍艦の女の子が引っ越してきたって聞いたけど挨拶一つ寄越さない、全く教育がなってないヨ、二丁目だっけ?そいつも女の子が引っ越してくる前にここに来たんだけどサ、あの男は駄目だね、アイツには魅力がないから同居生活しても長持ちしそうにないワ、オバチャン好みの男ってのはいつまでたっても現れないもんでホント最近はついてないワ、横須賀の提督?ってのは良かったけどね、それでもミッちゃんには勝てないのよ、ミっちゃんて知ってる?昔話題になった検事さんなんだけどね、深海にはそういう検事は居ないだろうけど名前は覚えときな絶対後で役に立つワ、そもそもオバチャンがミッちゃんを好きになったのはかなり前なんだけどネ」



空母ヲ級「……は、はぁ……」

戦艦レ級「あー、オバチャン?その話あとでじっくり聞いてやるから、ちょっとこいつと話させてくれねぇ?」

オバチャン「あらレっちゃん」

戦艦レ級「オバチャン、おはようさん」

オバチャン「聞いてよレっちゃん、昨日主人と話したんだけどね、主人はやっぱり深海棲艦より艦娘のほうが信用できるんだってさ」

戦艦レ級「それがマトモじゃねぇかな……」ウーン

オバチャン「そうだけど、オバチャンは悲しいねぇ……寄ってたかって男が女の子いじめちゃ可哀想ったらありゃしない、軍艦の子を動かしてんのは男なんだろう?」

戦艦レ級「まぁなぁ……あ、そうだ、今日アタシが二丁目鎮守府の代わりやるんだよ、だから海で困ったことあったら言ってくれよな?」

オバチャン「あらっ!レッちゃん今日はお仕事かい?熱心だねぇ」

オバチャン「ならオバチャンも手助けしてあげなきゃ、こう見えてもオバチャンは色んな所に顔が利くからネ、二丁目に来る前はかなりヤンチャしてたからその時のツテってもんがあるのヨ、そもそも事の始まりは殺人事件で証人デビューを果たした時なんだけど、そん時のギザギザ頭の弁護士がオバチャンを悪者にしてそれでクビになったってわけ、そっからいろんな職を転々としてたんだけど点々とした先に一筋の希望が見えたのヨ、それが御剣怜侍、って検事で、あれ?この前この話したっけ?まぁいいワ、で、それでミッちゃんが」


空母ヲ級「……なぁ……レ級……」

戦艦レ級「……言いたいことは分かる」

空母ヲ級「……人間と話すのは……疲れるんだな……」

戦艦レ級「……この人だけだ、我慢しろ」

数十分後

空母ヲ級「やっと開放された……」ゲンナリ

戦艦レ級「舌が回るおばさんだ、あの人に捕まったら何十分も無駄にするからな……覚えとけ……」ポンポン

空母ヲ級「あれが、人間のおばちゃんという人種だな……覚えておく」

戦艦レ級「オバチャンってかおばあちゃんだなありゃ…………そういやヲ級、お前帽子被ってきたのか?」

空母ヲ級「一応な……何に使ええるかは知らないがそれらしい感じは出ているだろう?」

空母ヲ級「それに、漁業の手助けをするためには深海棲艦と出くわす危険性が高まる」

戦艦レ級「艦載機を持ってねぇお前ができる事といえば、威嚇くらいか」

空母ヲ級「帽子の有無で存在感がかなり変わるからな、私にとってはこれが唯一の希望だ」

戦艦レ級「…………」スポッ

空母ヲ級「……」

戦艦レ級「ま、海の方は私に任せとけ、ヲ級は地上の見回りを頼みてぇんだけど……いいか?」

空母ヲ級「……地上の見回りに威嚇はいらないのか?」

戦艦レ級「見回りってか散歩みたいなもんだからよ、先ずはヲ級に前浜町って街がどんな所か知って貰わねぇと」

空母ヲ級「……どんな所って……平和な田舎町だろう」

戦艦レ級「ところがそうじゃねぇんだよな……ま、色々歩きまわってみろよ、帽子はテトラんトコに置いとくからよ」 フワッ チャプンッ


マッタナーッ 


空母ヲ級「………色々歩きまわるって……」キョロキョロ

空母ヲ級「……私は深海棲艦だぞ……?歩き回れるわけがないだろう……」スタスタスタ

空母ヲ級「…………」

空母ヲ級「……まぁ……適当に探索するか……騒ぎになってもアイツのせいにすればいいし……」スタスタ

後乃木市内 タクシーのりば

提督「流石に……っとと!来た来た!」バッ

吹雪「え……え?あ、はい!」バッ

ブゥゥゥン…キッ ガチャッ


提督「……ふぅ……えっと荷物は……」

運転手「はいはいっ……トランク開けますね―……」ガチャッ

提督「あ、どうも……じゃあこれ」スッ

吹雪「すみません、お願いしますっ」スッ

運転手「はいっ……はい……あ、どうぞ乗って下さい」 バンッ

提督「はーい……よいしょ」

吹雪「し、失礼しまーす……」ススッ

運転手「はい、閉めますねー」バンッ

提督「名古屋駅まで、大丈夫ですか?」

運転手「はーい……」ピッピッピッ ピッ

運転手「…………じゃ、動きますねー」


ブゥーンッ


吹雪「司令官、名古屋駅からどこに行くんですか?」

提督「え?言ってなかったっけ?」

吹雪「えぇ」

提督「埼玉だけど、かなり田舎なんだよな……生渕町って言うんだけど」

吹雪「……きぶちちょう……?」

提督「あぁ、これまた端っこにある街でな……まぁ行ってみなきゃわからないよ」

吹雪「生渕町……ですか……そこに司令官のお父さんが?」

提督「そ、平井雅之と平井千佳って言うんだ、結構強面な爺さんと、気弱そうなおばあさんだよ」

吹雪「写真とはないんですか?」

提督「それが頑なに撮らせないんだよなぁ…………ま、それは会ってみてのお楽しみってことで」

吹雪「ふぅん……どんな人なんだろう……」

数時間後 昼前 新幹線

ゴォォォォーーーーー

提督「…………」スピー スピー

吹雪「…………」キィーン

吹雪(うぅ……トンネルに入ると耳が……)ゴクッ

吹雪「……っふぅ……」

吹雪(……それにしても……)チラ

提督「…………ZZzz……」

吹雪(司令官のお父さんとお母さんかぁ……なんだか……想像がつかないなぁ……)

吹雪(…………怖い人じゃなきゃいいけど…………)


てんてんてんててん♪

『…………次は、小田原です』


吹雪「……もうちょっと……だっけ?」

提督「……ん……吹雪ちゃん、今どこ?」

吹雪「おだわら?っていう所らしいです」

提督「そっかー……もうちょっとかかるな……」

吹雪「分かるんですか?」

提督「いや、分からないけど……じゃもうちょっとだけ…………」

吹雪「……ま、いっか……」ポケーッ

吹雪(……)

吹雪(…………司令官……)チラ

提督「……」

吹雪「……あ……そうだ……」ゴソゴソッ

吹雪「…………漫画、しばらく読んでなかったっけ……」

吹雪「……いい機会だし、今のうちに読みきっておこっと……」ペラッペラッ


吹雪「………………」ペラッ


吹雪「…………」ペラッ



数十分後 東京駅

提督「……で、酔っちゃった……と」

吹雪「す、すみません司令官……」フラフラ~

提督「まぁ、あるあるだな、昔俺もゲームやってて盛大に酔ったことあるし…」

吹雪「……うぅう~景色が動いて気持ち悪い…………」

提督「ちょっと休憩するか、昼ご飯時だし、どこか落ち着ける場所は……」

提督「……うーん……駅のホームなら座るところくらいあるだろ……吹雪ちゃん、歩ける?」

吹雪「え……えぇ……」

提督「とりあえず切符買ってホームに行こう、そこでどこか座れる所探そう、ほら、手」スッ

吹雪「はい……すみません司令官……」ギュッ

提督「……はぐれるんじゃないぞ?はぐれたら冗談抜きで捜索願い出さないといけないし……」

吹雪「は、はいっ……」

テクテクテクッ…

昼 前浜町 住宅街 コンビニ付近

空母ヲ級(……人間の生活空間……と言うものか……これが……)

空母ヲ級(いつも二丁目に行くために気にも留めていなかったが……凄いものだな……これは……)

空母ヲ級(人間の家はどの家も違うデザインで作られている、そして何よりも……)

空母ヲ級(このコンビニ、と呼ばれる施設のデザインが素晴らしい……これは一体誰が考えたんだ……)

空母ヲ級(…………)

空母ヲ級(それにしても……人間とは中々出会えないな……どこに行けば会えるのだろうか……)キョロキョロ

空母ヲ級(……一度戻るか……)スタスタスタ












前浜町 川 中学校付近

空母ヲ級「……見慣れた場所だ……そういえば……川の様子を見てほしいとも頼まれていたな……」

空母ヲ級「…………」ジィーーッ

空母ヲ級「……特に目立った汚れは見られないな……ネ級の頑張りのおかげか……あいつ、元気かな……」

空母ヲ級「…………」

空母ヲ級「…………」フゥ

空母ヲ級「それにしても……何も起きない街だ……本当に……」ゴロンッ

空母ヲ級「………………このままずっとゴロゴロしていたくなるな…………」

空母ヲ級(…………)

空母ヲ級「…………」スゥ スゥ

埼玉県 生渕町 提督の実家前


提督「さって……ついたぞ……」

吹雪「………………」

提督「吹雪ちゃん……?」

吹雪「へ、は、はは、はい!?」

提督「緊張してるのか?」

吹雪「い、いへ!きんひょうなんかしてません!!」

提督「…………まぁ、そう緊張しなくてもはいこんにちわで大丈夫だぞ?」

吹雪「は、はぃ……」

提督「…………」

吹雪(……見た感じ、普通の住宅街にある普通の家……って感じだけど……)

提督「……」

吹雪(この家に司令官のお父さんとお母さんがいるんだよね……表札には平井ってちゃんと書かれてる)

吹雪(……し、失礼のないようにしないと……)

提督「…………」ピンポーンッ

吹雪「っ!」ピクッ


母上『はい?』

提督「母さん、俺だよ、二郎」

母上『あ、二郎?』ガチャンッ


オトーーサーン! 


吹雪「……!!」ドキドキ

提督「…………相変わらず休みの日は寝てるんだな……」


ガチャッ


父上「おう、帰ったか二郎」ボリボリ

提督「父さんまた寝てたのか?」

父上「うるせぇ……あ、そっちの子が?」チラッ

吹雪「え、えっと……は、はじめまして!平井さん……えっと司令官のお父さんだから……えっとえっと……!」アワワワワ

提督「吹雪ちゃん、自己紹介自己紹介っ!」

吹雪「は、はじめまして!と、特I型駆逐艦!一番艦の吹雪!艦娘です!!」ピシィィィッ!!

父上「……艦娘?」

吹雪「は、はい!艦娘です!司令官の鎮守府のひ、秘書艦を勤めさせて頂いています!!」

父上「…………」ジィー

吹雪「う……うぅ……こ、怖い……」

父上「……あぁ、君が艦娘の……」

吹雪「は、はい!」

父上「テレビでよく見る子だっけ?長旅疲れたろ、上がって上がって」

吹雪「え、え、あ、はい!お、お邪魔します……」

提督「ただーいまっと……」 ギィッ バタン

うむ……意識が朦朧としておる
ここは無理せず寝たほうがよいであろう?

提督の実家 二階 提督の部屋

吹雪「へぇ~司令官のご実家かぁ……」

提督「なかなかいい家だろ?微妙に広く、そして微妙に狭い……端っこでいいか、荷物」ドサッ

提督「……」キョロキョロ

ガラ~ン

吹雪「……司令官の部屋にしては寂しいような気がしますけど……」

提督「俺が出て行ってすぐにこの部屋片付けたんだってさ」

吹雪「そうなんだ……って事は、趣味のプラモデルは昔から作ってたんですか?」

提督「中学校の時に初めて作ったんだ、それ以降小遣いが入ったらすぐにプラモ屋に駆け込んでたな」

吹雪「…今もそのプラモデル屋さんは残ってるんですか?」

提督「あぁ、少なくとも俺が学校に入学するまでは残ってたな、たぶん今も残ってると思うぞ?」



オイジロォー! 

提督「ん?」

ガラッ

提督「何ー?」

父上『荷物片付けたか?』

提督「今終わったー」

父上『そうかー、母さんが艦娘さんと挨拶したいらしいから下りてこい』

提督「あいよー」

提督「……だってさ」

吹雪「は、はいっ」

提督「大丈夫だって、ほら、行こう」ポンッ

吹雪「うぅ……」


トットットットッ……トトンッ

吹雪(あ、うちの階段よりギシギシ鳴らない……)

ガチャッ バタンッ


茶の間

提督「うっす」スッ

母上「おかえり」

提督「ただいま、元気だった?」

母上「まぁね、二郎も変わりない?」

提督「一応は……」チラ

吹雪「…………」カチコチ

提督「吹雪ちゃん、とりあえず座ったら?ちゃぶ台慣れてなかった?」

吹雪「え、あ、は、はい……えっと……ソノ……」

母上「……艦娘さん?」

吹雪「ぅえ…!?…あ、はい!艦娘の吹雪です!えっと……二郎さんの鎮守府で艦娘として働いています!」ピシッ

吹雪(ど、どうしよう……す、座っていいのかな……?失礼にならないかな……?)

母上「へぇ……あ、どうぞ?座ってね?」

吹雪「は、ははは……はい!しし、失礼っ……します…ぅ…」ススッ ガチガチ

提督「こりゃ慣れるまで時間がかかるな……」ハハハ

提督「で……」

母上「何?」

提督「いや、何って……吹雪ちゃんに挨拶したいんだろ?」

母上「あ、あぁ~そうだった……」

吹雪「し、司令官……私何を話せば……」ボソッ

提督「とりあえずあれだ、こういう時は近況報告……」ボソッ

吹雪「近況って……大体が朝起きてご飯食べて訓練して寝るくらいしかないですよ?」ヒソッ

提督「いや、そういう意味じゃなくてだな……こう、あるだろ……俺と何何した~とか、俺はどういう人だ~とか……」ヒソ

吹雪「で、でも!それじゃお見合いみたいじゃないですかっ……!」ヒソヒソ

提督「どこがだよ!あんな見た目おばさんで実年齢がおばあさんが相手って」

母上「誰がおばあさんって?」

提督「あ、いや何でもないよ」

吹雪「っ……ぁ……そ、それにしても、お若いですね……!」

吹雪(怒られませんように怒られませんように怒られませんようにっ!!!)

母上「あら、本当?やぁね吹雪ちゃんったらお世辞ばっかりっ」

吹雪「お、お世辞なんかじゃないですよ、私は美しいと思います!」

提督(初対面の相手にお世辞らしいお世辞で機嫌を取る……こりゃ悪女道まっしぐらだな……)メソラシ

吹雪「……何ですかその顔は」ジトッ

提督「俺は自分の気持ちにウソを付くような女の子を育てた覚えはないよ…」ウルッ

吹雪「…………?」

母上「艦娘……艦娘ってどんなお仕事をするの?」

吹雪「え?」

母上「軍人さんでしょ?でも何か、今男の人も海に出てるらしいじゃない?艦娘さんってどんな仕事をするのかしら……?」

吹雪「どんな仕事って言われましても……まずは、深海棲艦と戦って、海の平和を守る事……ですね……」

母上「ふんふん…」

吹雪「それと、洋上に出て仕事をする船を護衛したり、時には水害時の救助を行ったり……」

吹雪「海に関するお仕事をされる方のサポートや、海で万一の事態が発生した際に真っ先に対応に向かうのが艦娘なんです」

母上「へぇ~っつまり軍人さんなのっ」

吹雪「えぇ、そうなんです」

提督(絶対分かってないな……)

母上「でも、何で女の子なの?男の人でも出来るんじゃないの?」

吹雪「それはちょっと違うんです、艦娘には艤装と呼ばれる自分自身と呼べるもう一つの部分がありまして……」

吹雪「その艤装と私がつながることで初めて艦娘としての本来の力を出すことが出来るんです」

吹雪「ですが、艤装と同調するためには人間ではなく私達「艦娘」という人の手によって作られた私達が一番なんです」

提督「艤装とシンクロするためには女性の体で……ってか分かる?」

母上「いや、全然?」

提督「だと思った、まぁ何だかんだで女の子の体じゃないと駄目なんだよ」

吹雪「……」コクコク

母上「ほぉ~……大変なのね~」

吹雪(司令官、お母さん、分かってるんでしょうか?)チラッ

提督(いや、絶対わかってない、多分半分以上聞き流してる)ゲンナリ

吹雪(あはは……)

提督「で、母さんはどうなの?仕事辞めてから」

母上「あぁ、あの後パートの仕事始めようと思ったんだけどねぇ、見事に落とされちゃったのよ」

提督「パート!?親父は?」

父上「俺は今年で定年だ」ガチャッ バタンッ

父上「退職金は出るし、年金もちゃんと払ってるって言ってるのに母さん無理して……」スッ

吹雪「あ、お父さん……えっと」

父上「吹雪ちゃんだね?話は二郎から聞いてるよ」

吹雪「は、はいっ」

父上「二郎はどうだい?しっかりしてるか?」

吹雪「はい、いつもお世話になりっぱなしで……司令官のお陰で今の鎮守府が成り立っていますから……」

父上「司令官……?」

提督「海軍じゃ艦娘を運用」

父上「う、運用……?」

提督「あぁ……艦娘と暮らしてる人は、艦娘から提督、もしくは司令官って呼ばれてるんだ」

父上「違いはあるのか?」

提督「大きな違いはないから問題ない、」

父上「そうか……吹雪ちゃんは、二郎に不満はないか?」

吹雪「いえ、特に何もないです、お互い助けあってますからっ」

父上「そうか、ならいいんだ」

吹雪「……あ、でも……」

父上「何だ?なんでも言いなさい」

提督「ちょ、吹雪ちゃ」

吹雪「お風呂を覗く癖が治らないので……そこは……なんとかして欲しい……かも」テヘヘ

提督「う゛……それかよ……」

父上「……二郎、ちょっとこっちに来なさい」

提督「ちょ、と、父さん!!吹雪ちゃん余計なことを!あれはシャンプーが足りな……」

ガチャッ

バタンッ



吹雪「…………」

母上「……」フフ

吹雪「?」

母上「吹雪ちゃん、」

吹雪「え?」

母上「二郎の顔を見れば分かる、お互いうまくやれてるんでしょ?」

吹雪「……え……えぇ……それに私もあの人を助けてあげないといけないし……あの人すぐに怠けるから……」

母上「」

はわわわっ

吹雪「…………」

母上「……」フフ

吹雪「?」

母上「吹雪ちゃん、二郎と本当に仲がいいのね」

吹雪「え?」

母上「二郎の顔を見れば分かる、お互いうまくやれてるんでしょ?」

吹雪「……え……えぇ……それに私もあの人を助けてあげないといけないし……あの人すぐに怠けるから……」

母上「いいコンビっていうの?」

吹雪「というより、放っとけないです、私がしっかりしないとあの人1人じゃ鎮守府として成り立たないですからっ!」

母上「そうねぇ、二郎に軍人はねぇ……」

吹雪「……そういえばじろ……司令官はどうして海軍に?」

母上「思いつき……らしいけど」

吹雪「……思いつき……?」


だったのです

母上「そう、思いつき」

吹雪「……」

母上「二郎が昔フリーターやってたっていうのは知ってる?」

吹雪「えぇ、いろいろな職を転々としてた……とか……」

母上「そう、そんな時突然ね」



ある日 朝 8時前


提督「俺そろそろまじめに就職しよう思うんだ」

父上「お、ついにお前も就職か」ズズズッ

母上「どんな職?正社員?」フキフキ

提督「海軍に入ろうと思うんだけど」

母上「   」ガシャーンッ

父上「   」ブフゥッ!!




吹雪「な、なんてタイミングで……」

母上「二郎が起きてすぐそんなこと言うもんだから冗談か夢物語かと思ったけど……」チラ

吹雪「…………」

母上「人生って何が起こるかわからないわねぇ」フフ

吹雪「……本当ですね……」

佐世保鎮守府 昼

佐督「…………」イライラ

初雪「……司令官……?」

佐督「何っ!!……って初雪ちゃん?どうしたの?」カタカタッ

初雪「ぅ……司令官……怖い……」

佐督「ごめんね?すぐに終わらせるから……」カタカタ

初雪「……ぅん……」

佐督「…………」カタタタタッ ッタァンッ

佐督「……うしっ!これで大丈b」


ピコンッ


ラバちん『呉の提督が解任し、横須賀鎮守府の補佐役となりました』

佐っちゃん『知ってる、長門ちゃんは秘書艦を降りて、陸奥ちゃんでしょ?』

ラバちん『えぇ、ですがそうなると、誰が呉の提督を?』

佐っちゃん『優秀な男、特に心配することはなかったはず』

ラバちん『だといいのですが』



佐督「ったく……余計な事でチャット使うんじゃないわよ、糞虫が」チッ

初雪「…………ぅぅ……」

佐督「…………」カチッ

佐督「…………ねぇ、初雪ちゃん」ギィッ

初雪「……?」

佐督「吹雪ちゃんとあいつ、実家に帰ったのよね?」

初雪「……うん」

佐督「……じゃあ誰が鎮守府見てるの?」

初雪「…………知らない……けど、前浜周りの海でレ級が見回りしてるのを見た……って」

佐督「……って事は深海棲艦を使ってんのね……っとに……」

初雪「……」

佐督「あのレ級は横須賀と呉がマトモな機能を再開するまでの切り札よ、監視を怠らないで」

初雪「……分かった……伝えとく……」

テテテッ ガチャッ バタンッ

武蔵「……?失礼するぞ、提督、戦術室の掃除が完了したことを」

佐督「武蔵」

武蔵「……何だ?」

佐督「報告は後で聞く……その……悪いわね、ちょっと……人肌が恋しくなったというか……」モジッ

武蔵「……な……またか……?ストレスの発散は夜にじっくり……」

佐督「……お願い……」

武蔵「……フゥ……まぁ……いいだろう……貴様が納得行くまで触るといいさ……」

佐督「…………」

武蔵「……」コクッ


あぁぁぁーああああーーっ!もう我慢できないー!!

て、提督よ……もう少し落ち着き……ぁっ……

数十分後 提督の部屋

提督「……やっと開放された……」ガラッ

吹雪「あ、お疲れ様です、どうでした?」

提督「どうもこうもないよ……シャンプーの補充を予めやっとけってさ……っふぅー」ゴロッ

吹雪「まぁ、そうでしょうね……」ペラッ

提督「…………」フゥ

吹雪「…………」

吹雪「…………」ペラッ ペラッ

提督「…………」

吹雪「……それにしても……司令官、思いつきで海軍に入ったんですね……」

提督「まーねー……他に働き先もなかったし、ほんなら一丁やってみるかって感じで」

吹雪「……それで提督になれるんですから凄いですよ」

提督「ただ単に運が良かっただけだよ」

吹雪「…………」

提督「…………」

吹雪「…………」

提督「…………何か母さんに言われた?」

吹雪「お互いの関係を大事にしなさい、って……司令官は?」

提督「父さんはあまり人間関係に口出しするタイプじゃないんだよな」

吹雪「……そうなんですか……」

提督「…………」

吹雪「…………」ペラッ

提督「…………」

吹雪「…………」

提督「…………母さんは何してる?」

吹雪「下でお父さんとテレビを見てますね、夕飯まではまだ早いみたいです」

提督「…………そっか」

吹雪「…………」

提督「…………」


提督「…………」チラッ

吹雪「…………」チラッ

提督「……あ……」

吹雪「!」プイッ

提督「……そ、そういえば……二人で一緒の部屋っていうのも……久しぶり……だよな」

吹雪「え、えぇ……他に部屋がないから仕方ないかもしれないですけど……」

提督「…………」

吹雪「…………」

提督「…………」

吹雪(何だろう……司令官のお母さんと司令官の話してから……何故か……ちょっと気まずいような……)

提督「……」

提督(吹雪ちゃんって意外とあがり症……なのか?)

ね、眠気を甘く見た訳じゃないんだけど、ごめんなさい……
明日と明後日は休みなので昼に書くかなぁ……?

もうすぐ始めるデース!

前浜町 川

空母ヲ級「…………」スゥ…スゥ……

中学生A「…………」ジィー

空母ヲ級「…………」

中学生B「…………」ツンツン

空母ヲ級「…………ん……っ……ぅ……」モゾッ

中学生B「!」バッ

空母ヲ級「…………」

中学生A「……川底棲艦……って乾いちゃ駄目なんだよな……?」チラッ

中学生B「……うん……でも川底棲艦ってこんなに大きかったっけ……?」コクッ

空母ヲ級「…………」

中学生A「…………足持つから、お前頭な」

中学生B「頭……って……髪の毛?」ワシャッ

空母ヲ級「……いっ……!」

中学生A「ばっ!おまっ……違うって!肩だ肩!……起こすなよ?」

中学生B「わ、分かった……」スッ

中学生A「……」ガシッ


イッセーノッデッ ホッ!


空母ヲ級「…………ん……」

中学生A「……っふぅ……よし……横にな……意外と重……い」

中学生B「う、うん……行くよ?」

中学生A「おう……っちに……いっちに……」

空母ヲ級「…………」スヤスヤ

中学生B「……いっちに……いちに……」

空母ヲ級「…………」

空母ヲ級「………………ん……?」

中学生A「……!」

中学生B「あ……」

空母ヲ級「……え……!?え!?わ、私……どうなって……お、下ろして……!!」ジタッバタッ

中学生A「う、ううわぇえああああ!!しゃべったぁあぁーー!!!!?」バッ!

中学生B「わ……うわあ!?」バッ!

空母ヲ級「え」 ポーンッ

中学生A&B「「あ」」


ヒューンッ バッシャァァーーンッ!!!


空母ヲ級「…………」プカーッ

空母ヲ級(……人間に運ばれてた……のか……?川に……)

中学生B「だ、だ……大丈夫ですかぁ……?」バシャバシャ

空母ヲ級「……っぷは……!」バシャッ!!

中学生A「……」

空母ヲ級「……私は心配ない……君達は?」フルフルッ 

中学生B「ぼ、僕は大丈夫です……」

中学生A「……お、俺も……」

空母ヲ級「そうか……水辺まで連れてきてくれたのか?」

中学生A「え、あ、えっと……はぃ」

空母ヲ級「そうか、済まないな」

中学生B「……はい、えっと……川底棲艦ですよね……?」

空母ヲ級「私を知ってるのか?」

中学生B「え、あはい、えっとぉー……そのぉ……川の掃除で時々なんですけど……なぁ?」

中学生A「え、うん、見ます」

空母ヲ級「……そうか……」

中学生A「大きい、ですね」

空母ヲ級「……生憎私は川底棲艦じゃないんだ」

中学生A「え?じゃあ何底棲艦ですか?」

空母ヲ級「深海棲艦だ、空母ヲ級と呼ばれている」

中学生A「…………」

中学生B「…………」

中学生B「…………深海棲艦って……あの、学校が海軍の基地になった時の……?」

中学生A「……マジで?」

中学生B「…………あの、あの手足のない深海棲艦……ですか?」

空母ヲ級「一時そうだったな、今はこの通り手足があるが……有名なのか?」テレッ

中学生A「…………なぁ、深海棲艦って……?」

中学生B「うん、最近街を歩いてる青白い人、テレビでも見たでしょ?」ヒソッ

中学生A「え、マジか!?すっげ!握手して!握手!」スッ

空母ヲ級「……え?あ、握手か……」スッ ガシッ

中学生A「あざっす!イテテテ……」

空母ヲ級(私と握手して嬉しいのか……?)ハテナ?

中学生A「すっげ……俺応援してるっす!」

中学生B「あはは……」

空母ヲ級「…………君達は、ガッコウに行かないのか?」

中学生B「えぇ、夏休み明けのテストが終わったんで、今日は皆午前中に帰ったんです」

空母ヲ級「テストか、なるほど…二人共ちゃんと勉強してるか?」

中学生A「いやぁー……受験が近いのに俺達全く出来てなくて……」

中学生B「……うん……」

空母ヲ級「そうか、ちゃんと勉強しないと後悔することになるぞ?」ポンッ

中学生A「うすっ!肝に銘じます!」キリッ

中学生B「ぼちぼち……やらないとなぁ……」

空母ヲ級「そうだな、続けることが大事だ、頑張るんだぞっ」ニコッ

中学生A&B「は、はいっ」

空母ヲ級(人間の子供というのは……案外素直な生き物なんだな…………)

キヲツケテカエルンダゾー

ハ、ハーイ

サヨナラーッ





前浜町 海岸沿い

空母ヲ級「……それにしても……やはり人が少ない……」テクッテクッ

空母ヲ級「…………」チラッ

空母ヲ級「……人間目線から見た海……青いなぁ……」

空母ヲ級「………………」

空母ヲ級「…………空も青……ん……?」

空母ヲ級「………………」ジィィーーッ

空母ヲ級「あれは……無人ヘリコプター……だったか……?」

空母ヲ級(何故あんな所を飛んでいる……あの距離…領空ギリギリじゃないか……!)

空母ヲ級(もしあれが撃ち落とされたら近くで量をしている漁師に迷惑がかかる……燃料は魚に毒だ……)

空母ヲ級「………………」ジィイッ

空母ヲ級(…………この回路……見つけた……これを……!)

空母ヲ級「…………っ……っっ!!」ヴンッ





百数キロ先

無人ヘリ『…………』バタバタバタバタッ

ヴンッ

無人ヘリ『……!』バチバチッ!!

無人ヘリ『……』フラッ

空母ヲ級(よし……乗っ取った……安全な空域に輸送……出来るか?操作がかなり難しい……)

空母ヲ級(……軍の機械か……下手に動かすと返した時の操作に異常が出る可能性がある……)

空母ヲ級(……単純な操作だけにとどめておくのが一番だな)

無人ヘリ『……』バタバタバタッ

無人ヘリ『……』バタタタッ

空母ヲ級(これでよし……ここなら艦載機に落とされる危険はないだろう……操作を返すか) ヴンッ

無人ヘリ『……』バタタタタッッ



前浜町 海岸沿い

空母ヲ級「っふぅ……さすがは超高等技術……一機が限界だな……」フゥ

戦艦レ級「お、やっと気がついたか、何してたんだ?」

空母ヲ級「領空から出そうになった航空機を一時的に乗っ取った」

戦艦レ級「……あー……海でもの落としちゃ漁師に迷惑だかんな……」

空母ヲ級「だろう?だから私が一肌脱いだんだ、感謝して欲しいな」

戦艦レ級「サンキューな、これで艦娘らしい仕事を自慢できそうだっ……で、どんくらいの人に会った?」

空母ヲ級「おばさん1人と子供が2人、後はすれ違った人間に挨拶したくらいだ」

戦艦レ級「へぇ~……割といけてるんだな、アタシは怖がられるばっかだったのに」

空母ヲ級「そりゃ……おガレ級だからだろうけどな……私は別に他から知られてるわけじゃないし……」アハハ

戦艦レ級「にしても乗っ取りねぇ……空母の中でも出来るのは少ないんだっけか?」

空母ヲ級「そうだな、確かにかなり少ない、先輩のようなフラグシップあたりから出来るようになると聞いたが……」

戦艦レ級「へぇ~……あの片目が?」

空母ヲ級「先輩は使えないが、一部のフラグシップは戦術として活用してるらしいぞ」

戦艦レ級「……どうやって?」

空母ヲ級「無理やり操縦桿を奪って海の中に叩き落としたり、空中衝突させるらしい」

戦艦レ級「パイロットごと乗っ取るのか?それ」

空母ヲ級「いや、パイロットは関係ないそうだ、つまり、乗っ取られている間パイロットは……」

戦艦レ級「恐怖しかないだろうな、勝手に死ににいくんだからよ……」

空母ヲ級「だから使いたくないんだ、たとえ私が乗っ取り技能を使えたとしても……」

戦艦レ級「けどあれだろ?艦娘が直接指示出してる艦載機を乗っ取ったら、艦娘の精神がヤバイことになるんだろ?」

空母ヲ級「艦娘の精神ごと乗っ取れるなら、それ以上の武器はないだろうな、規制されそうだが」

戦艦レ級「下手すりゃ侵食武器より酷いだろうしな……空母が乗っ取られて発狂でもしたら流石に見てられねぇや……」ハハハ

空母ヲ級「……笑いで片付けばいいが……」ハァ


ザザーンッ ザザーンッ


戦艦レ級「……お、そろそろ夕方だな」

空母ヲ級「そうだな……」

戦艦レ級「…………どうだ?前浜町」

空母ヲ級「改めて歩いてみると……どこも静かで、過ごしやすいように感じたな……」

戦艦レ級「もっと簡単に言ってもいいんじゃねぇか?」

空母ヲ級「いい所だ、静かだし」

戦艦レ級「……だろうな……」

空母ヲ級「……」

戦艦レ級「……」

空母ヲ級「……帰るか」

戦艦レ級「だな、今日も海は平和そうだし……」スタッスタッ

空母ヲ級「今日の飯はどうするんだ?」

戦艦レ級「魚取りの魚次第だな」

空母ヲ級「……今日こそ獲れるんだろうな……」

戦艦レ級「そりゃ、そん時のお楽しみだ」ヘヘッ

空母ヲ級「…………ミッドウェーの糧食、そろそろ尽きるんだぞ……?燃料は問題ないが食料の問題を解決しないと……」

戦艦レ級「明日もっといい飯の取り方考えるからさ……」

空母ヲ級「……私も考えるぞ、お前の思いつきは当てにならん」

戦艦レ級「お前がいると心強いよ」

空母ヲ級「むしろお前に任せてた私が馬鹿だったのかも知れんな」

戦艦レ級「違いねぇ」ハハハ

空母ヲ級「全く……」ハァ

生渕町 夕方 田んぼ道

ザワッ~ササササァァァァーー……

ォーィッチュクチュクォーッ チュクチュクォーシッ ックチュクィーオッチュクククィーオッ ィィィィイイイイイーーッ………

吹雪「わぁ……司令官!田んぼですよ!田んぼ!」

提督「5~6年ちょっとじゃ変わらないなぁこの田んぼ道……」

吹雪「前浜町にもこんな道ないですよね……」

提督「ドがつく程の田舎だからなぁ生渕町って……住宅街抜けたら田んぼはすぐそこだし……」

吹雪「……あ……赤とんぼ……」

提督「お……」

吹雪「…………綺麗……」

提督「トンボかぁ……そういえばさっきからセミも鳴いてるな……」

吹雪「えぇ…………ツクツクボウシ……でしょうか?」

チチチ……ックツクォーッシ!!ツクツクオーッシッ!!

提督「夏の終わり……って感じだな……もうすぐ秋か……」

吹雪「…………」

提督「…………」

吹雪「……落ち着きますね……」

提督「自然の音しか聞こえないからな……やっぱり……安らぐんだろう……」

ッツクツクゥィヨーッス!! ツクツクウィーヨーッス! ツクツクウィーヨーッス!! ジィィーーーッ……

ッナカナカナカナカナ……

吹雪「…………前浜町って……セミ少ないですよね……」

提督「…………」

吹雪「…………」クゥゥ

提督「…………ハラ減ったなぁ……」

吹雪「えへ……バレちゃいました……?」

提督「ぐぅーなんて鳴く虫は居ないからな……そろそろヲ級たちの餌の時間だな……」

吹雪「………あ、ヲ級達……」

提督「心配ない、こんな事もあろうかと昨日のうちにリンガ泊地にヲ級たちの面倒を任せてたんだ」

吹雪「リンガ?何でそんな遠い所の泊地に?」

提督「横須賀の騒ぎで手が空いてるのがリンガ泊地しかないんだよ、W島は重爆撃機の迎撃で忙しくて連絡が取れなかったし……」

吹雪「……リンガ泊地って事は、ゴーヤさんの?」

提督「そう、話してみたら伊8ちゃんと58ちゃんがヲ級たちをリンガに連れて行くことになったんだ」

吹雪「……ほっ……それなら良かったです……司令官のことだから忘れてたのかと……」

吹雪「と言うか、そういうことは早く言ってくださいよ!心配したんだから……」

提督「いやあ、俺も吹雪ちゃんに言われるまで頼んでたこと忘れてたんだ……」スマホカクニン


【goya i58@XXXX.com さんからの新着メールが9件届いています】


提督「……うん、あとで謝っとかないと……」

吹雪「しっかりしてるのか抜けてるのか……もうっ……」


ツクツクィーヨッツクツクィーヨッ

ふぅ……しばらく寝るっ!!

何か本編以外のことを書きたい、ネタが思いつき次第ぶっこんでくぜ

番外編じゃ

ある日 昼 提督の部屋 

トントンッ

吹雪『司令かーん、部屋の掃除をしたいんですけど、入っていいですかー?』

提督「…………」カチャカチャ

吹雪『……あれ?しれーかーん?』

提督「…………うむむむ……」カチャッ

吹雪『開けますよー?』

スゥッ スゥーッパンッ

吹雪「…………司令官?」

提督「…………」カチャカチャ

吹雪「…………し、れ、い、か、ん?」ツンツン

提督「…………」シャカシャカシャカッ♪

吹雪「……」ハァ

提督「…………」

吹雪「……」スポッ

提督「ん、あれ?」

吹雪「しれいかん!!!!!!」

提督「はひぃ!?」





提督「み、耳が…………」キィーンキィーン

吹雪「全く……お部屋の掃除するから少し出て行って下さい、それとも司令官が掃除機かけますか?」

提督「あ、あぁ……俺がかけるよ」

吹雪「じゃ、おねがいしますね?私、机の上の整理しますから」

提督「はいよっ」








提督「…………」フィィィーーン……ィィーン

吹雪「……えっと……これがこっちで…………プラモデルばっかり……」

提督「ふふふふーふふん、ふーふーふふーふーんっむせる~」

吹雪「るるるるーるるるーん♪」

提督「……よしっと」

吹雪「あ、終わりました?」

提督「うん、吹雪ちゃんも?」

吹雪「はい……ふぅ……綺麗になったかな……」ヌグイッ

提督「……そういえばさ」

吹雪「ん?」

提督「吹雪ちゃんって趣味あるの?」

吹雪「え?」

吹雪「しゅ、趣味……ですか?」

提督「そ、趣味、吹雪ちゃん、いつも掃除したりとか訓練したりとかばっかじゃん?」

吹雪「趣味……バスロマン……いや、あれは人生そのものだし……」

提督「お、おう……漫画とか?」

吹雪「あれは暇つぶしです、実際ストーリーが頭に入ってきませんし……」

提督(……って事は趣味はほとんど無いのか……釣りは一回しかやったことないし……)

吹雪「……確かに、趣味……ないですね……」

提督「…………」

提督(なんてこった……割と長い間いるのに同居人の趣味がないなんて……)

吹雪「……でも、家事が趣味って思えば」

提督「吹雪ちゃん!」ガシッ

吹雪「え……?」

提督「趣味を探そう」

吹雪「え、え……」

提督「……うん、それがいい……趣味がないとこの先の人生退屈になってしまうぞ!」

吹雪「え、は、はぃ……?」

提督「…………でも、趣味を極めるのは自分自身だ……」

吹雪「そ、そうですよね」

提督「…………」

吹雪「…………えっと……その……とりあえず手を離して欲しいんですけど……」

提督「あ、ご、ごめん」パッ

吹雪「……で、どうするんですか?」

提督「そ……そうだな……趣味について詳しい人に話を聞くとか……面白そうと思ったことに手を出してみるとか……だな」

吹雪「……なるほど……」

提督「…………とりあえず……↓3とか……かな」


突然の安価 ↓3

1.叢雲ちゃんに相談してみたら?

2.外に出たら面白いものが見つかるかもしれないな……(どこに行くかを書いてくれ)

3.58ちゃんとか詳しいかも

4.こういうのは陽気なレ級ちゃんに聞いてみるとか……

5.あきつ丸さんに頼る?

6.安定の瑞鶴ちゃんだな……詳しそうだし

7.その他(常識の範囲内で自由)

さすがにド平日の昼間に安価は不味かったの、
こっから直下じゃ

prrrrrrr 

ガチャッ

横督『横須賀鎮守府だ』

吹雪「……あ、横須賀の司令官……えっと……」

横督『叢雲に代わる』


キノコッノッコーノコゲンキノコッ エリンーギマツタケブナシメ


叢雲『姉さん?どうしたの?』

吹雪「あ、叢雲ちゃん、今大丈夫?」

叢雲『まぁ……別に忙しくはないけど……何かあった?』

吹雪「あの、実は……」

叢雲『何よ、忙しくはないけどヒマじゃないのよ、さっさと言いなさい』

吹雪「む、叢雲ちゃんって趣味ある?」

叢雲『は?趣味?』

吹雪「うん……私……趣味がないから、新しい趣味を持とうと思うんだけど……中々決まらなくて……」

叢雲『ふぅん……趣味かぁ……』

吹雪「……」

叢雲『正直、毎日忙しくて趣味どころじゃないわ……まぁ強いていうなら天龍とゲーム……かしら」

吹雪「ゲーム?」

叢雲『そ、テレビゲーム、聞いたことあるでしょ?』

吹雪「テレビゲーム……かぁ……」

叢雲『アンタのトコにもテレビくらいあるでしょ?司令官に買ってもらってやってみるのもいいわね』

吹雪「うん、分かった」

叢雲『……ま、肌に合わないなら他の艦娘に聞いてみるのもアリね、趣味っていうのは人の数だけあるから
    佐世保の初雪姉さんにも聞いてみたら?あの子なら基本引きこもってるし、いい趣味持ってるかも』

吹雪「初雪ちゃん……分かった、聞いてみるね」

叢雲『ま、楽しみなさい、じゃあ』


ツーッツーッツーッ


吹雪「テレビゲーム……かぁ……」 メモメモ



【私の趣味候補】

・テレビゲーム



吹雪「……えっと……佐世保鎮守府……佐世保鎮守府」ペラッペラッ

ピポパッ 

prrrrr……prrrrr……

初雪『はぃ……佐世保鎮守府……です……さようなr』

吹雪「ま、待って初雪ちゃん!!いきなり切らないで!!私だよ!」

初雪『……オレオレ詐欺には引っかからない派ですから……さようなら……』

吹雪「待って!!吹雪!吹雪だよ!」

初雪『佐世保に吹雪お姉ちゃんは所属していません……じゃあ……』

吹雪「違う!だから!吹雪が電話してるの!吹雪が初雪ちゃんに用があるんだって!」

初雪『…………なるほど……』

吹雪「ふぅ……びっくりした……」

初雪『うんっ私もびっくりした……じゃっ……』

吹雪「まま!待って!待って!!まだ本題に入ってないよ!!」

初雪『……なぁに……?』

吹雪「あの……ちょっと初雪ちゃんに相談したいことがあるんだけど……」

初雪『相談……?』

吹雪「あの……私……趣味がないんだ……」

初雪『……趣味がないんだ……』

吹雪「うん……無いの……」

初雪『なるほど……』

吹雪「うん……」

初雪『ふん……』

吹雪「……」

初雪『……』

吹雪「……」

初雪『……じゃ、さよなら』

吹雪「何で!?」

初雪『……ぇ……まだあるの?』

吹雪「あるよ!!初雪ちゃんの趣味が知りたいの!!」

初雪『……アニメ見て、ネットして、寝る……それだけ……』

吹雪「アニメ……インターネット……睡眠……」

吹雪「アニメって、何見てるの?」

初雪『一騎当千とか……カグラとか……聖痕のクェイサーとかの……昔のアニメ……今のアニメはメダロットだけ見てる…8のアニメ版…深夜枠のナビもおすすめ…かな』

吹雪「なるほど……」

初雪『あ、でもアニメはロボット物だけじゃなくてラブコメもいいかも……「はにわストライプ」ってアニメ、あれ、主人公とヒロインのイチャイチャがすごく微笑ましいよ……』

初雪『それにアニメだけじゃなくてドラマも少しかじると詳しくなれる……ドラマなら他の人との会話で引かれることはないし……アニメってやっぱり人を選ぶから……そういう面じゃ、ドラマのほうがいいかも』

吹雪「…………?……?」

初雪『ゲームもいいかも、お姉ちゃんならノベルゲーとかに惹かれる……かな……純愛モノとか推理モノのノベルゲーならお姉ちゃんでも出来ると思う……かまいたちとか……そういうの……』

吹雪「ノベルゲー?」

初雪『……文字を読んでゲームを進める……複雑な操作はいらないから、ゲームに興味が無い人でもできる……おすすめ……だよ』

吹雪「へぇ……分かった、試してみるね」

初雪『……ん……じゃ……さよなら……』 ガチャッ ツーッツーッツーッ



吹雪「……初雪ちゃんがあんなにおしゃべりなの……初めて……」

吹雪「…………」カキカキッ

【私の趣味候補】

・テレビゲーム

・アニメ鑑賞

・寝る

・インターネット


吹雪「…………いんどあ?って言うんだっけ……これじゃあまりにも……」

吹雪「…………」

吹雪「…………どうしよう……」

吹雪「……うーん……それにしても……趣味ってなんでこんなに難しいんだろう……」

吹雪「…………新しいことに挑戦するのは悪いことじゃないはず……」スッ ピッ


TV『この事件はやはりあなたが……!』


吹雪「えっと……番組表は……」ピッ

吹雪「…………」

吹雪「アニメって深夜にやってるんだっけ……」ピッピッ

吹雪「…………えっと……うわぁ……結構あるんだ……2時半……1時半……やっぱり深夜ばっかりだなぁ…」

吹雪「でも……こんな時間にまで起きてられるのかな……川内さんなら起きれるかもしれないけど……」

吹雪「うーん……」

吹雪「そうだよね……アニメを見るのはいいかもしれないけど……アニメのために生活リズムを見だしちゃ駄目だよ…」

吹雪「となると……アニメは駄目……か……」カキカキッ

吹雪「じゃあ……テレビゲーム……っていくらなんだろう……」

吹雪「……そもそもこのへんにゲーム屋さんってあったっけ?」



提督「吹雪ちゃん、趣味、見つかった?」

吹雪「あ、司令官、テレビゲームっていくらか知ってます?」

提督「ゲーム?プレステとか?」

吹雪「その辺はよくわかりませんけど……」

提督「うーん……そうだな……ハード一つでも4~5万だな……」

吹雪「5万円!?」

提督「うん、そのレベル」

吹雪「……駄目ですね……じゃあ……」

提督「別に駄目ってワケじゃないけど……どんな趣味にしたの?」

吹雪「それが、どうも思いつかなくて……聞いてみたんですけど……」ペラッ

提督「なになに……テレビゲーム……アニメ鑑賞、寝る、インターネット……」

提督「見事にインドア派な趣味だな……」

吹雪「やっぱりそうですか……」

提督「うーん……吹雪ちゃんは、外は好きな方?」

吹雪「私は……そうですね……やっぱり、遊ぶなら外で遊びたいかなぁ……鎮守府に来る前はずっと部屋の中でしたし……」

提督「なら、アウトドアな趣味を探すのがいいかもな」

吹雪「なるほど……でもアウトドアな趣味ってどんなのでしょうか?訓練くらいしか思いつきませんよ?」

提督「そうだなぁ……」

提督「そうだなぁ……アウトドアな趣味かぁ……」

吹雪「うーん……」

提督「…………よし!」

吹雪「?」

提督「泳ぐか!」

吹雪「はい!?」

提督「俺の家……じゃない、鎮守府は山沿いだけど前浜町はれっきとした海沿いの街だ」

吹雪「え、えぇ……そうですけど」

提督「だったら少しくらい泳いでもバチ当たらないだろ」

吹雪「…………司令官……」

提督「ん?」

吹雪「……私……」

提督「?」

吹雪「私……その……」

提督「あぁ、大丈夫、艦娘は海を泳いじゃいけないなんて法律はなかった」

吹雪「そうですけど!……その……」

提督「……?」

吹雪「……水着……持ってないんです……」

提督「……マジか……」

吹雪「すみません……一応この服は防水加工されてるんですけど……」

提督「……58ちゃんの水着くすねたり」

吹雪「してるわけ無いでしょ、それにあの水着サイズ合わなかったし……あんなの着たら肩がずれちゃいますよ……」

提督(実際ものすごいずり落ちてたよな……俺は忘れないぞ……あの小さな胸を)

提督「……そうだな……じゃあ買いに行くか」

吹雪「買うって……水着ですか?」

提督「そりゃそうだ、俺も海パンもう一丁くらい買っとかなきゃ駄目だしな」

吹雪「それと水中メガネも買わないと……じゃあ、行きましょうか」

提督「善は急げってやつだな、バスの時間もちょうどだし、行くか」

吹雪「はい!あ、お金は……?」

提督「心配ない、行こう」

吹雪「……水着かぁ……」ワクワク

……さっきから吹雪のあさっりーっしっじみーの歌が頭からはなれない

----------------------------------------

洋服屋 水着コーナー

吹雪「……露出の少ないほうが、日焼けも軽減できるし……やっぱりこういうタイプのほうが」

提督「いや、吹雪ちゃんはもう少し自分の容姿に自信を持つべきだと思うんだ、俺はこっちのほうがいいと思う」スッ

吹雪「ま、マイクロビキニ……そ、そんなの駄目です!やっぱりこういうお腹を出さない……」

提督「吹雪ちゃん」

吹雪「は……はい?」

提督「吹雪ちゃんは、もう少し積極的になるべきだ」真顔

提督「……俺は吹雪ちゃんの為に、このビキニを推している」

提督「確かに吹雪ちゃんは胸が小さい、容姿に自身が持てないのも分かる」

吹雪「……」

提督「……だが、卑屈にならないでくれ……」

提督「それが……俺の願いだ」

吹雪「し、司令官……」

吹雪「……」コクッ

吹雪「司令官……分かりました……司令官のために……私頑張ります!」








前浜町 灯台

吹雪「…………司令官!着替えましたー!」

提督「お、吹雪ちゃ……!?」

吹雪「えへ……どうですか?似合ってますか!?」

提督「お、おぉ……これは……」

提督「……うん……最高だっ!」

吹雪「やった!じゃあ、泳ぎますね!!」

タッタッタッタッタッ ピョンッ ザブンッ!


提督「…………」

提督「やっぱり貧乳にはマイクロビキニだな……」

吹雪(司令官……ちゃんと私の為を思ってこの水着を……)

吹雪(今度から、積極的に泳ごうかな……?)

提督「……」

提督「ふっ……今夜は忙しくなりそうだ……」 タタタタッ バッ! ザッブーンッ!!

よし、ド平日の昼間、ずっと吹雪のあの歌が頭からはなれない
こんな時は出かけよう! オタッシャデー!!

やっと二日酔いから覚めた
ではちょっとだけやろうかしら

前浜町 二丁目鎮守府 昼下がり

伊58「……全く、病み上がりだっていうのに無茶を言ってくれるでち……」ゴソゴソッ

伊58「えっと…鍵は確か……ポストの中の……あったあった……」チャラッ

伊58「にしてもこんな所に隠すって…不用心だねぇ……」カチッ ガラララッ 

伊58「ヲ級ー!レ級ー!ゴーヤだよー!!」




二丁目鎮守府 リビング

空母ヲ級「………………?」

戦艦レ級「…………ゴーヤぁ?誰だ?」

伊58「…………」

伊58「…………」

伊58(深海棲艦?それともあのちっちゃくて可愛かったヲ級とレ級が一ヶ月で大変貌を……?)

戦艦レ級「……おい、おーい?」

伊58(……あの緑色の目の光、それにレ級の無垢な顔……確かに雰囲気は似てるでち……)

伊58(でもあのヲ級……ヲ級はあんなに眉間にシワが寄ってなかったはず……何か原因があってグレたのかそれとも……)

空母ヲ級「…………」

伊58「…………す、水槽は……」チラ

虫ヲ級「……ヲッ?」ダレダッケ……?

蟹レ級「……?」クビカシゲ

伊58(……あ、居た……って事は……)



伊58「お、おお、お、お、お前ら……!ど、どど、どこから入ってきやがったでちぃーーーー!!!!????」ガシャコンッ

空母ヲ級「な……!?艦娘……!?潜水艦だったのか!?てっきり水着を常備する変態かt」

戦艦レ級「チッ……アタシらが居ること伝わってねぇのか!!」

伊58「で、でてけえええええぇ!!!」

空母ヲ級「っ!まずい……!!」

 ドゴッ


伊58「……っぶふっ……うぐ…………」カクッ

空母ヲ級「…………」スッ

戦艦レ級「……生きてっか?」

空母ヲ級「心配ない、みぞおち?とかいう場所を殴っただけだ、死んではいない」

伊58「っ……かはっ……こほっ……!!」

戦艦レ級「ならいいが……何だこいつは……えらくほっそりした服じゃねぇか……」

空母ヲ級「恐らく潜水艦だろう、提督の友人か、もしくは劣等しゅ……川底棲艦の友人だろう」

戦艦レ級「……って事はあれか?提督は川底棲艦の世話をコイツに任せてったってことか……」

空母ヲ級「恐らくそうだろう、この子は家の鍵の場所を知っていたからな……」

戦艦レ級「……何じゃそりゃ……あの苦労はなんだってんだよ……」ハァッ

空母ヲ級「彼は少し抜けているからな……まぁ、この子が目覚めてからゆっくり説明するか……」

戦艦レ級「っだな」

伊58(い、いったいこいつら……てーとくの何なんでち……!?)カハッコホッコホッ

空母ヲ級「おい、大丈夫か……?」

伊58(で、でも……悪い奴らっぽくは……ないのかな……?手が湿ってるけどあったかいでち……)ゴホッゴホッ…

数十分後

伊58「……深海棲艦だったんだ……やっぱり……でも味方なんだよね……?」アハハー

空母ヲ級「お前達の泊地では何も聞いていないのか?」

伊58「うん、特にゴーヤはずっと寝てたから情報とかもあんま入ってこなかったし……」

伊58「それに最近横須賀の命令で出撃の回数が半減したからね、あんまり外には詳しくないんでち」

空母ヲ級「横須賀の?」

伊58「そ、横須賀、何かうちの泊地の艦娘酷使が酷かったみたいで、何週間か前にうちのてーとくが本営に呼び出されちゃって…」

戦艦レ級「ほんえい?なんだそりゃ」

伊58「よく分かんないけど、すっごく偉い人の集まりらしいよ?横須賀鎮守府のてーとくもあそこには頭が上がらないんだって」

戦艦レ級「マジか、あのムカつく野郎がか?」

空母ヲ級「水鬼様のようなものか……」

伊58「……にしても……この鎮守府……深海棲艦まで味方につけてるって……一体どうなってるんでち……」

空母ヲ級「……で、お前がここに来た目的は何だ?」

伊58「あ、そうだそうだ……川底棲艦をうちの泊地でしばらく引き取ろうと思ってるんだけど……いい?」

虫ヲ級「ヲッ?」

空母ヲ級「……私は構わないが……お前達はいいのか?」

虫ヲ級「ヲッヲヲッ……ヲ?」

蟹レ級「ンッ」コクコク

空母ヲ級「……別に構わないそうだ」

伊58「ほっ……じゃあ……えっとどれで運べばいいんだっけ……」キョロキョロッ

虫ヲ級「ヲヲッヲヲヲッ……ヲヲヲヲッ」ユビサシ

空母ヲ級「……何?」

虫ヲ級「ヲヲヲヲッヲヲッ、ヲヲッヲヲヲッ……ヲヲッ」ユビサシ

空母ヲ級「……ご主人様の……召し使いは……バケツで運んでいた……外にある」

空母ヲ級「…………?」スタッスタッ ガラララッ

ア、コレカ……

空母ヲ級「伊58、だったか?これに淡水を入れてこの子たちを入れるそうだ」ゴトッ

伊58「バケツ?そんなのでいいの?」

空母ヲ級「らしいぞ、ご主人様……多分吹雪だろう、その召し使いがこれで運んでいるそうだ」

伊58「……召し使い?」

空母ヲ級「分からん、提督ではないと思うが……」

伊58「……ふぅん……」スッ ジャァーーーッ

戦艦レ級「水道水そのまんまじゃマズイんじゃねぇの?」

伊58「駄目なのかなぁ……?」

戦艦レ級「川の生きもんだし、川の水のほうが安全じゃねぇか?」

蟹レ級「……」フルフル

伊58「別にいいらしいよ?」

戦艦レ級「そうか?何か不安だけど……」

蟹レ級「ンー……ゴシュジ……ンー……テトク?」

戦艦レ級「提督に聞かねぇと分からねぇか……まぁ……とりあえず水道水で入ってみるか?」

蟹レ級「……ンッ」

戦艦レ級「だな、駄目なら川の水にするか」

伊58(……しれっと会話してるけど……何で通じるんだろ……)

伊58「…………」チャプッ ゴトッ

伊58「ど、どうぞ?」

虫ヲ級「ヲー……ヲ…」スッ

虫ヲ級「ヲッ……」チャプッ

伊58「…………どう?」

虫ヲ級「…………ヲ!」グッ

伊58「ほっ……良かった……レ級は?」

蟹レ級「……っ……」チャプッ

蟹レ級「…………ンゥ……アゥ……」チャプッチャプッ

蟹レ級「…………」プカーッ

蟹レ級「…………プフゥッ……ンッ」オッケー

戦艦レ級「割といけるもんなんだな……あ、昼飯はやっといたから大丈夫だぜ」

伊58「ホント?ありがとっ」

戦艦レ級「あぁ、ただ、コイツらは割と腹の減りが早いからな、もし帰るのに時間がかかるなら晩飯も持って行っとけよ?」

伊58「うーん……水に浮いて進むから多分帰るのは……明日の朝くらいになるかも……」

空母ヲ級「潜水艦が水に浮くのか?危ないんじゃ……」

伊58「まぁ、多少のリスクはあるけど改造種が消えたでしょ?だからある程度は安全になったみたいで……」

戦艦レ級「…………」

伊58「……でも、まだ何隻か生き残りがいるから……周辺を警戒しながら行くとなると……ちょっと時間はかかるかなぁ……

戦艦レ級「生き残りか……まだのうのうと生きてる屑がいるのか……」チッ

空母ヲ級「落ち着け……なぁ伊58」

伊58「ゴーヤでいいよ」

空母ヲ級「ゴーヤ?……まぁいい……お前……どうやら艦載機を持ってるそうだな」

伊58「え?うん、持ってるけど……」

空母ヲ級「見せてくれ」

伊58「……取らない?」ジトッ

空母ヲ級「必ず返す」

伊58「……じゃあ……はい、晴嵐さん」カチャッ カチャチャチャッ コトッ

空母ヲ級「晴嵐……お前達の間ではそう呼ばれているのか……」スッ

伊58「…………」

空母ヲ級「…………なるほど……十分だな…………ただ、何だろう……何か違和感があるような気がする……」

伊58「違和感?どういうことでち?」

空母ヲ級「……恐らくコイツは……はるか昔に作られた機体と違い……どこか改修が施されているようだな……」

伊58「そうなの?」

空母ヲ級「…………両翼機銃か……?」

伊58「30ミリ機関砲?」

空母ヲ級「そうだな……恐らくその辺りだ」

伊58「うーん……確かにここだけ妙に新しい雰囲気がするね……」

空母ヲ級「……まぁ、便利なのは悪い事じゃない」

伊58「でも、これ借りてどうするの?」

空母ヲ級「お前を護衛させてもらう、不足だろうが、気休めにはなるだろう?」

伊58「……え?」

伊58「い、いやいや!だってこれ艦娘の艦載機だよ!?動かせるわけないでち!!」

空母ヲ級「深海棲艦の技術を見くびるな、艦娘の制御下に入っていない飛行機くらいなら……」グッ ヴンッ

晴嵐『……!』ゥィィイイイーーー ヴッル゛ン!!

空母ヲ級「…………乗っ取れる」ヴンッ

晴嵐『…………』ルンッ…ッルン…ゥン……

伊58「妖精さんが居ないのに……どうやって?」

空母ヲ級「話せば長くなるが、簡単に言えば航空機の核となる部分に私の意識を乗り移らせる……みたいなものだ」

戦艦レ級「嘘つけ、ただのハッキングだろ、さっきまで自慢気に話してたろうが」ジトー

空母ヲ級「っ!い、言うな……!」

戦艦レ級「意識を乗り移らせる……ねぇ……?」ニマニマ

伊58「え?意識云々は嘘なの?」

空母ヲ級「~~~~!!」カァァッ

空母ヲ級「……ゴホンッ……!つまり、だ、これでお前は川底棲艦の運搬に集中できる、いいな!?」

伊58「……う、うん」

空母ヲ級「…………いいか?さっきの失言は他言無用だ……分かったな?」

伊58「勿論、ヲ級の黒歴史としてゴーヤの心のなかにしまっとく!」

空母ヲ級「く、黒歴史?」

伊58「……語られたくない過去を黒歴史と呼ぶのが、人間の文化でちっ」

空母ヲ級「ふ……そうか……レ級の攻撃は「神の怒り」とか何とか」ニヤッ

戦艦レ級「わぁあああ!!わあぁあ!!!わああーー!!!わあああああ!!!!!」

空母ヲ級「龍の魚雷ねぇ……」フフッ

戦艦レ級「っっっっっ!!!」ボンッ

戦艦レ級「も、もぉやめてくれ……っあれはちょっと負け無しで調子こいてただけなんだよぉ……」プシュゥゥゥ…

空母ヲ級「……なるほど、これが黒歴史のパワーか……」

伊58「親しい仲の恥ずかしい過去は時に絶大な攻撃力を誇る武器になるでちっ」

戦艦レ級「…………緑眼の戦士」

空母ヲ級「っ!」

空母ヲ級「……な、ナゼソレヲ……!!」

戦艦レ級「……アタシとお前が同じ部屋で寝てる地点で察せっての……面白いもんを読ませてもらったぜホント……」ヘヘッ

空母ヲ級「お、お前ぇぇぇぇぇ!!!!」


伊58「……こうなるとキリが無くなるでち……」

虫ヲ級「ヲヲー……」マダ?

伊58「もう少し待ってね」

蟹レ級「ウー……」

数十分後 前浜町

戦艦レ級「…………」ツーンッ

空母ヲ級「…………」フンッ

伊58「……え、えっと……」

空母ヲ級「……とりあえず、カタパルトから出してくれ」

伊58「あ、う、うん……」カチャッ 

伊58「晴嵐さん!お願いします!」

晴嵐『…………』チチッチチッチッ……ヴルンッッルンッルンッ!!

空母ヲ級「……」

伊58「いっけぇ!!」バシュッ

晴嵐『……!』ブゥゥゥーーンッ!!! ゥゥーーン……

空母ヲ級「飛んだか…………っ!!」ヴンッ!!

晴嵐『!』ビチィッ!! フラッ

伊58「ぐっ……!?」バチッ 

伊58「制御が引き剥がされた……フラってするでち……」ペチペチッ

空母ヲ級「すまない」

戦艦レ級「……あれ、お前が動かしてんのか?」

空母ヲ級「今はな……」

晴嵐『…………』フラッフラッ

戦艦レ級「……えらくフラフラしてんじゃねぇか、大丈夫か?」

空母ヲ級「黙ってろ……こいつ……トリガーがスロットルにあるのか……ゴーヤ、少し撃つぞ」

伊58「弾は多くないから、ちょっとだけだよ?」

空母ヲ級「解ってる」

空母ヲ級(……この飛行機にこの大きさの機銃……果たして使えるのか……?)グッ

ドドドッドドドドドドッドドッ!!!!

空母ヲ級「っ……!機首にも付いているのか……撃ち続けたら失速するぞ……!」

伊58「水上機界の火力バカって泊地では呼ばれてるけど……そんなに凄いの?」

空母ヲ級「深海棲艦の艦載機、私が使っていたのはMark7だが……その数倍の火力はある……なにせ4挺の大型機関砲だ」

伊58「へぇ……でも……猫艦戦?だっけ……あれはもっと強力な機関銃だったはずだけど……」

空母ヲ級「私達の艦載機は口径が小さい……だから手数で押すが……こいつは一発一発の火力で勝負している……」

空母ヲ級「こんなのが深海棲艦の障壁を突き破るところを想像すると……ゾッとするな……」

伊58「晴嵐さんって……実はすごかったんだね……でもやっぱりあの機銃は違和感を感じるような……」

空母ヲ級「……何故だろうな……投下爆弾は一個か?」

伊58「うん、機体内にもう一つあるけどそれは50だからあまり威力は期待できないでち」

伊58「800なら、鬼だろうと姫だろうと一撃で肉片にしてやれるでち」

空母ヲ級「……分かった、ゴーヤに近寄る愚か者を機銃と爆弾で葬るんだな、後部に機銃はもあるのか?」

伊58「あまり使えないけどね」

戦艦レ級(……ついていけねぇや……戦闘機なんかどれも同じだろうよ) 

ちぃ、犬っころが鳴き始めたか
ちと散歩に出るぜよ、戻ったらまたやるかも

よし、朝飯の時間までやるかな

伊58「じゃ、行くね!ヲ級さん、よろしくお願いしまちっ!」

空母ヲ級「任せておけ、だがお前も周辺警戒を怠るな」

伊58「もちろんでち!じゃあね!」

戦艦レ級「……なぁ、ヲ級……あいつどうやってあの二人持って行くんだ?」

空母ヲ級「……さぁな……」

伊58「……よいしょっと」チャプンッ

伊58「……で……あ、レ級さん、バケツ頂戴っ」

戦艦レ級「ん?お、おぉ」スッ

伊58「ありがとっ……」

戦艦レ級「手で持つのか?倒すなよ?」

伊58「本来なら直接手で持っていく予定だったんだから、それにゴーヤのバランス感覚は水上艦の比じゃないよ?」

戦艦レ級「そうなのか?」

伊58「もっちろん、誰が調べたワケじゃないけど」

戦艦レ級「……駄目じゃねぇか」ハハ

伊58「まぁ、大丈夫、この子たちはゴーヤが責任をもってリンガ泊地にお届けするから!」

戦艦レ級「……ま、頼んだぜ」

伊58「うん、じゃあね!」スゥーッ

虫ヲ級「ヲッヲーッ」バイバイ

蟹レ級「レッ」ケイレイ

戦艦レ級「あばよーっ」






ザザーンッ ザザーンッ


空母ヲ級「…………レ級」

戦艦レ級「ん?」

空母ヲ級「その、何だ、さっきは済まなかったな」

戦艦レ級「は?あぁ……黒歴史か、何、気にすんじゃねぇよ、アタシが最初にけしかけたんだからよ」ヘヘッ

空母ヲ級「……そうか……」フッ

戦艦レ級「……で?ゴーヤだかなんだかはどうだ?川底の子達落としてねぇよな?」

空母ヲ級「問題ない、バランス感覚がいいというのは本当みたいだな……」

戦艦レ級「……」ジィーッ

戦艦レ級「……航跡がまっすぐってのは確かにすげぇな……魂が船だから当然だろうけど……」

戦艦レ級「…………ん?」ジィーッ

空母ヲ級「どうした?」

戦艦レ級「ヲ級、気をつけろ……かなり遠いが何かいる……多分深海棲艦の……おい……ありゃ……」

空母ヲ級「……重爆の連中か!火を吹いてる……!黒空母の艦載機と交戦中みたいだ……」

戦艦レ級「ゴーヤのコースと被るか?」

空母ヲ級「40分後に……ギリギリ掠めるか掠めないかだ……だが潜行できない潜水艦など爆撃機からすればいい的……」

戦艦レ級「どうする……?」

空母ヲ級「……J型重爆は操縦体が機体後部にある……それを潰せばコースを大幅に外すことが出来るハズ……」

戦艦レ級「やれるか?」

空母ヲ級「やらなければ川底棲艦が海水にさらされるだけじゃない、ゴーヤまで死ぬ……やるしかないだろ!」

W島防衛基地 近海

瑞鶴改「……翔鶴姉!そっちは何機残ってる!?」

翔鶴改「震電29!紫電19!五二が27!!」

瑞鶴改「十分……このまま一気に!!」

瑞鶴改「……!」

翔鶴改「何か来る……?リンガの晴嵐……?」

瑞鶴改「みたいだけど……白3番機!見える?」

紫電『こちら白小隊3番機、リンガ泊地所属の晴嵐…………えぇ、見えます!アレは一体……?』

瑞鶴改「コンタクトは?」

紫電『取れません、誰も乗ってないみたいで……』

瑞鶴改「……なんですって……?」

翔鶴改「…………警戒を怠らないで」

紫電『了解っ』ザザッ


瑞鶴改「……一体どこの?」

翔鶴改「こっちを見つけても攻撃を仕掛けないところを見ると……敵ではないわね……」

瑞鶴改「戦闘空域に入ったわね、どうするつもりかしら……」


ザザザッザザッ 


瑞鶴改「……無線?」スッ

瑞鶴改「こちらW島防衛基地所属艦娘、瑞鶴」

空母ヲ級『聞こえるか!前浜町二丁目鎮守府所属、深海棲艦の空母ヲ級だ!』

瑞鶴改「……前浜の空母ヲ級……!?何であなたが……!」

空母ヲ級『ズイカクか……詳しい説明は後だ!!協力する!』

瑞鶴改「え……えぇ……!?」



太平洋 上空

空母ヲ級(…………防空機銃の死角は……ほぼ無い……だが機体が損傷してる……となると……)

重爆「……」バタダタタタタタッ!! 

晴嵐「……!!」ヒュンッヒュンッ!!

空母ヲ級(……くっ……妙な機体のせいか……!こっちに攻撃が集中している……!)

晴嵐「…………」ドドドドッ!!

重爆「……」カカァンッ

空母ヲ級(機銃直撃……既に障壁発生装置は破損しているか……ならば勝機はある……エンジン出力最大…!)

晴嵐「!!」ブヴゥゥーーーーンッ!!!

重爆「……!」

空母ヲ級(重爆の巨体を動かしている操縦体は機体後部の突起……障壁が破損しているとなるとそこはむき出しのはず!)

空母ヲ級(ゴーヤの航行ルート到達まで10分を切った……なりふり構ってられるか!!)グッ

晴嵐「……!!」ドドドドドドドドドドッ!!ドドドドッ!!! ドドドドドッ!! ガシュッ!!!

晴嵐「…………」シュゥゥゥゥッ

空母ヲ級(っちぃ……!!銃身が!!!なら……!!)


空母ヲ級「空の敵は空で落としたかったが……レ級!!!」

戦艦レ級「……へっ……カッコつけてねぇでアタシに任せとけってんだ……」

空母ヲ級「操縦体の損傷は確認済みだ!後はお前に任せる!!弾は持ってるな!?」

戦艦レ級「安心しろ、沖縄ん時のHE弾が残ってる、1発で十分だ」カチッカチッ ガコンッ



戦艦レ級「……見えたぜ、どこ撃てばいいんだ?」グググッ

空母ヲ級「機体が傾いているだろう、その中心に白い帯を引いているのが見えるか?」

戦艦レ級「ひこうき雲みたいな奴か」

空母ヲ級「……そうだ、それの発生源を狙え」

戦艦レ級「……操縦たい?ってのをぶっ壊したのはあれか」

はわわわ!!途中送信してしまったのです!!

----------------------------------------

戦艦レ級「……操縦たい?ってのをぶっ壊したのはあれか、機体を傾けるためか」

空母ヲ級「その通りだ、さっさと撃て!」

戦艦レ級「はいよ…………」

戦艦レ級「………あ……たぁ………れっと!!」ドォォオオオオンッッ!!!!!!



ヒュンッ!!











空母ヲ級「…直撃、撃墜だ」

戦艦レ級「うっし!!まだ腕は衰えてねぇな!」ピースッ

空母ヲ級「……全く……肝が冷えたぞ……」

戦艦レ級「……ふぅー……」ガパッ ハシュウウーーーッッ!!!

戦艦レ級「で?他の爆撃機はどうなった?」

空母ヲ級「私が落としたのは爆撃隊長機だ、奴を落とすと他の爆撃機は散り散りになる、後はズイカクらの仕事だ」

戦艦レ級「ゴーヤに関係のないやつはほっとくって奴か、まぁ今大事なのは重爆でも戦果でもねぇわな……」

空母ヲ級「そういう事だ……また何かあったら知らせる、少し待っててくれ」

戦艦レ級「あいよ……」ゴロッ

W島防衛基地 近海

瑞鶴改「……爆撃隊長機…撃破」

瑞鶴改「レ級の砲撃ね……よく当てるわ……あんなの……」アハハハ…

翔鶴改「爆撃隊散開、瑞鶴、私は左に逃げた二機を仕留めるわ、瑞鶴は右の一機を」

瑞鶴改「分かった!」スッ

瑞鶴改「空母ヲ級、手短に説明して」

空母ヲ級『……伊58が海上に出て川底棲艦を輸送していた、その護衛のため協力させてもらった、すまないな』

瑞鶴改「……川底棲艦を……?」

空母ヲ級『そうだ、私は引き続き伊58の護衛を行うためこれ以上の支援は行えない、失礼する』ブツッ

瑞鶴改「……何かあったのかしら……まぁ……何か理由がないとそんな事にはならないだろうけど……」

翔鶴改「……きっと何かの作戦行動の為よ、二丁目を防衛する時にか弱いあの子達は危険だわ……」

瑞鶴改「そうね……これが終わったら哨戒機を二丁目の周りに飛ばすわ……いい?」

翔鶴改「えぇ、勿論」

瑞鶴改「……さってと……さっさと落とすわよ!!皆いい!?」


【了解っ!!】



前浜町 灯台

空母ヲ級「にしても……提督の実家ってどんなところなんだろうなぁ……」

戦艦レ級「さぁなぁ……住み心地のいい街なんだろうよ」

空母ヲ級「…………」

戦艦レ級「…………」

戦艦レ級「…………行きてぇ」

空母ヲ級「………私もだ」

戦艦レ級「……お前は行きたいんじゃなくて、提督に会いたいんだろ?」

空母ヲ級「黙れ、何度も言ってるだろう、私と提督はそんな関係じゃない、提督の想い人は吹雪だ」

戦艦レ級「ふぅん……」ニヤニヤ

空母ヲ級「……何だそのニヤケ面は……蹴るぞ」

戦艦レ級「へへ、手足がないのにどうやって蹴r」

空母ヲ級「っ!」ゲシッ

戦艦レ級「あぎゃぅんっ!?しまった!!手足生えてt」

空母ヲ級「ふんっ!」ブミッ!! グリグリグリ

戦艦レ級「あやぁああん!!?だ、だから尻尾はやめろって、あ、痛い!!痛い!!ヒールが!!刺さって!!痛いいい!!!」


イヤアアアアアアア!!!  ゴメンナサイ!!!  ゴメンナサイ!!! ヤメテェェェェエエエエエ!!!!!



2時間後 夕方

戦艦レ級「あ……うっ……ふ……うぅ……」ビクッビクッ 

空母ヲ級「ゴーヤ、着いたようだな」

伊58『うん!ありがとね!ヲ級!!』

空母ヲ級「礼には及ばない、しばらくの間二人を頼んだ……晴嵐、返すぞ」ヴンッ

伊58『任せといてっ……ところで……運んでる時、何か嬌声みたいな声が聞こえたんだけど何かあったんでち……?』

空母ヲ級「心配ない、変態を退治してただけだ」

伊58『……??』

吾輩はさすがに眠いぞ…………しばらく寝るっ!

さて、やりますか

夜 提督の実家 提督の部屋

prrrr……

提督「…………」

伊58『…………』

提督「あのー……その……」

伊58『メール』

提督「あれはその、返信が」

伊58『……』ドンッ!!

提督「はい、すみませんでした……」

伊58『……まったく……』

提督「……で、その……トラブル無く進んだ?」

伊58『まぁ、一応進んだけどね……でも、深海棲艦が居るってことくらい伝えて欲しかったかなぁ……!』

提督「反省してます……」

伊58『……』ハァ

伊58『取りあえずヲ級とレ級の事はゴーヤに任せといて大丈夫でち、後は……』

提督「ヲ級ちゃんとレ級ちゃんか……大丈夫だった?」

伊58『人んちに侵入してたでち、何食わぬ顔でソファでくつろいでたよ?』

提督「大丈夫じゃなさそうだな……鍵とか大丈夫だった?」

伊58『…………』

提督「……ま、まぁ……後で鎮守府に連絡しとくか……」

伊58『そうした方がいいでち……多分あの様子じゃまだ居座ってるだろうし……』

提督「…………」

伊58『…………』

伊58『あ、そ、そうだ、吹雪ちゃん、何してる?』

提督「吹雪ちゃん?」チラッ

吹雪「…………」ポケーッ

提督「夜風を堪能してらっしゃるよ」

伊58『ちょっと……代わって欲しいな、声が聞きたいでち』

提督「ん、分かった、じゃあちょっと変わるぞ」


提督「ふぶっきーっ」トントンンッ

吹雪「はい?」ポケーッ

提督「58ちゃんが吹雪ちゃんに代わってってさ、ほい」スッ

吹雪「ゴーヤさん?」スッ


吹雪「はい、吹雪です」

伊58『吹雪ちゃん!久しぶり!』

吹雪「ゴーヤさん!お久しぶりです!お元気でしたか!?」


……ハイッ……エ?シレイカンガ……?ハァ……マタシレイカン……ワカリマシタ……アトデキツクイッテオキマスネ……ハイ


提督「……嫌な予感が……」

数十分後 

吹雪「……で……今回の件、誰にどれくらい伝えたんですか?」ニオウダチ

提督「……え、えっと……」

吹雪「早く答えて」

提督「だ、大本営と……佐世保さんと……58ちゃんを通してリンガ泊地全体と……ヲ級ちゃんとレ級ちゃんです」

吹雪「…………ねぇ、司令官」

提督「は、はい」

吹雪「前浜町の司令官の部屋には何があるか、知ってますか?」

提督「ぱ、パソコン……です」

吹雪「……じゃあ、あのパソコンの機能、勿論知ってますよね?」

提督「……海軍のネットに繋いで……他の提督との情報共有が」

吹雪「出来るんだよね?じゃあ、佐世保さん以外にも伝えられる人、居るよね?言ってみて」

提督「……横須賀鎮守府や呉鎮守府……W島防衛基地や……その他いろいろな海軍施設に」

吹雪「伝えるべきでしたね?何で伝えなかったんですか?」

提督「……」メソラシ

吹雪「……答えないと終わりませんよ」ゴゴゴ

提督「……実家に帰るまでに……作っておきたいプラモが」

吹雪「は?」

提督「ごめんなさい!!」ドゲザッ

吹雪「……あぁもう全く……!どうして司令官はいつもそうなの!?」

提督「い、いやはや……どうも欲望が先走ってしまって……」

吹雪「……」

提督「……あ」

吹雪「……何!?」ギロッ

提督「あ、いや、そうじゃなくて……ちょっとスマホ貸してくれる?」

吹雪「……はぁ……変な所に電話したら怒りますからね、今度は本気で」スッ

提督「しないよ……」スッポチポチッ 

prrrr prrrr


佐督『佐世保鎮守府提督よ、何?』

提督「あ、佐世保さん?」

佐督『二丁目?何よ』

提督「その……実は……」






佐督『……だと思ったわ……っとに使えない男ねアンタ……』

提督「面目ない……」

佐督『……分かった、この件は私が処理しておく、二丁目が不在って事を全鎮守府に連絡をすればいいんでしょ?他に何かある?』

提督「あ、いえ……家の鍵と窓がちゃんとしまってるかどうか」

佐督『それは私の知ったこっちゃない……ったく……今度吹雪ちゃんおごりなさいよ?』

提督「は、はい……はい?」

佐督『じゃ、また何かあったら連絡しなさい』 ガチャッ ツーッツーッ

提督「…………吹雪ちゃんを……おごる?」

提督「…………ま、まぁ……解決したし……いいか」スッ

吹雪「……で、解決したんですか?」キッ

提督「……ま、まぁ……一応」

吹雪「……はぁ……次同じ事したら本当に怒りますから……!」

提督「き、肝に銘じます」

吹雪「……」フゥ

提督「……」ハハ

吹雪「……何笑ってるんですか……」

提督「いやぁ……ホント……吹雪ちゃん、成長したなぁって思ってさ……」

吹雪「はぃ?」ハァ?

提督「吹雪ちゃん、確か7月に来たんだっけ?」

吹雪「えぇ、7月の15日だったはずですけど……」

提督「……その頃に比べると……本当にねぇ……」

吹雪「……私からすると司令官が馬鹿になってるような気がしてならないんですけど……」ジトッ

提督「それはあるかも……」

吹雪「……しっかりしてくださいよ?もう無名鎮守府の無名提督って訳には行かないんです……」

吹雪「私達は、艦娘たちの心労を癒やす立派な海軍施設の一員なんですからっ」

提督「海軍施設……俺には荷が重いな……」

吹雪「……気持ちはわかります……」ガラッ


ベランダ

リッリッリッリ…… ギィーーー……

吹雪「私も、この数ヶ月でここまで存在感のある鎮守府になるなんて……思いませんでしたから」ストッ

提督「……確かになぁ……」


サァァァァッッ……


吹雪「…………ね、司令官……」

提督「ん?」

吹雪「……」

提督「……」

吹雪「……うん……何でもないです……」

提督「……そうか?」

吹雪「えぇ……気にしないでください」

提督「……じゃ、気にしないでおこう」

吹雪「…………」

提督「…………」

スゥーッ 

父上「風呂っ」

提督「あいよーっ」

父上「吹雪ちゃんは後でいいか?」

吹雪「え、あはい、構いませんっ」

父上「……ベランダに出るのはいいけど、風邪引かないようにな~」

吹雪「は、はいっ」コクッ

呉鎮守府 夜 広間


ザワザワザワザワッ


白雪「…………」

夕張「…………」

望月「…………」ファァァッ

弥生「望月っ」ペシッ

睦月「……白雪ちゃん……これは?」ヒソッ

白雪「……司令官が解任されて……新しい司令官が着任されるそうです……」ヒソッ

夕立「って事は……長門秘書艦の話も本当だったっぽい?」

利根「本当も何も長門秘書艦自ら語っていたではないか……」

長門「…………」

白雪「皆さん……お静かに……」

夕立「うーん……」


ザワザワザワ

比叡「……お姉様……長門秘書艦は本当に……?」

榛名「霧島、何か聞いてない?」

霧島「…………うぅーん……今のところ何の情報も」

金剛「ビークワイエットッ……そろそろ話が始まるネ……」


シーンッ


陸奥「……皆に集まってもらったのは他でもないわ……本時刻より着任される呉鎮守府の提督を紹介するわ」

ザワザワザワッ

白雪「……司令官……次の司令官ってことでしょうか?」

利根「そのようじゃ……恐らく新卒業生の中でも指折りの実力者……呉の提督を任されるとなると……」

長門「…………」

ガラッ

呉督(二代目)「…………」

呉督「……本日よりこの鎮守府に配属となりました、鷲山英樹新米少佐です!」ビシッ


オォッ……


呉督「至らない点、未熟な点が目立ちますが……日々勉強し成長させていただきますっ!」

呉督「よろしくお願い致します!!」ペコォッ

ザワザワ


ナニアレ……スッゴクカッコイイ……ワーオ……フレッシュボーイデース……


陸奥「……よろしくお願いします、提督」

呉督「えぇ、今後ともよろしくお願いします」

陸奥「……では、詳しい挨拶は明日の朝礼で行うわ、皆解散!……長門、こっちに」

長門「あぁ」スタスタ

呉鎮守府 提督室

呉督「……あなたが長門さんですか……」

長門「はい、戦艦長門です、よろしくお願いします」

呉督「えぇ、よろしくお願いします」ペコッ

長門「……」ピシッ

呉督「……」

陸奥「長門……あなた本当に秘書艦を降りるの……?」

長門「当然だ……腐りきった自分の根性を立て直すには……こうする以外ない」

陸奥「……長門……」

大淀「長門秘書艦、私はあなたの解任に反対です」ガタッ

長門「……」

大淀「……失礼しました……失言を……」

大淀「…………」

長門「……陸奥……」

陸奥「……」

長門「何かあったら、私に言ってくれ、力になる」

陸奥「…………」コクッ

大淀「…………」

呉督「……あの……一体……?」

陸奥「……前の提督と長門は……」

長門「陸奥」

陸奥「あ……」

長門「…………」

呉督「……分かりました、深く詮索するのはやめておきます」

陸奥「……悪いわね、初日からギスギスしてしまって……」

呉督「いえ、気にしないでください……初代の呉鎮守府の提督から、三代目ですし、覚悟はしていました」

長門「……」

長門(……何だ……私はこの男が気に入らないのか……?私が選んだ提督だというのに……)

陸奥「…………長門……」スッ

長門「……!」

陸奥「…………いつか……元の関係に戻れるように……今は頑張りましょう」

長門「……」

陸奥「横須賀と呉が手を取り合って、彼が十分な練度に達するまで……だから、気楽になりましょう?」

長門「……受け入れられないのか……あれだけ考えても……私は……!!」ググッ

陸奥「長門……少しは私に相談して頂戴……」

長門「!」

陸奥「私達、生まれる年は違っても姉妹なんだから……長門……あなたはいつも1人で抱え込んで……」

陸奥「…………生まれも、育ちも違ったら……姉妹じゃない?」

長門「……いや、それは!」

陸奥「だったら私に相談してっ!!あなた一人で全部抱え込んだら……私とあなたが姉妹である意味がないじゃない!!」

陸奥「…………私も長門型なのよ……能力や戦闘力が違っても……姉妹である以上立場は対等でありたいの……!」

陸奥「………………だから……長門……今のあなたの思いを聞かせて……」

長門「……陸奥……」

む……いかん、このパターン、値落ちの可能性がある
しばらく一息つかせてもらうのじゃ

と思ったら朝じゃった
すまぬ

書いてる奴の頭がおかしかったら作品のキャラの頭もおかしくなるのさ…
すまない

ほいじゃ、12時位に始めようかしら

夕食後 茶の間

提督「……」

父上「ほれ」コトッ

提督「ん?お、ありがとう」

父上「……吹雪ちゃんは?」

提督「向こうの部屋で母さんと喋ってる……」カシュッ

父上「ほーん…………」カシュッ

提督「…………ん」スッ

父上「おう、お疲れさん」

コンッ

提督「……」グビッ

父上「……っ」グビッグビッ

提督「……ぷはっ……」

父上「っかぁー!うめっ」

提督「……しっかしま……変わらないな、父さんは」

父上「お前は変わったな、少しマシになった」

提督「そう?」

父上「おぉ、相変わらず報連相がなっちゃいないが……」

提督「……聞いてたのか」

父上「あんなでかい声で電話してたら隣の家まで聞こえるっての」グビッ

提督「はは……ごめんよ」

父上「……でもまぁ、案外楽しそうじゃないか……え?あんな可愛い子と一緒に生活してるんだろ」

提督「まぁ……吹雪ちゃんいい子だし……それに最近は本当にお世話になってるからなぁ……」

父上「何か恩返ししたか?」

提督「いや……まだ出来てない」

父上「そうか……近いうちに何かしないと愛想尽かされるぞ」

提督「分かってるよ……でもあの子の好きなものって言うのがよく分からないんだよ……」

父上「聞いたか?」

提督「そりゃ聞いたよ、でも「私は司令官の役に立てればそれでいい」って言われてさ……」グビッ

父上「って事は、特に好きなものはないのか……」

提督「みたいだな、もしくは遠慮してるか」

父上「あぁ、遠慮か……」

提督「……」グビッ

父上「……そりゃ難しいな……あの子、余計なものは集めない派だろ?」

提督「いらないものは結構積極的に捨ててるな、趣味も漫画くらいだし……」

父上「…………ふぅん……」グビッ

提督「…………」

父上「…………」コトッ

提督「……何かしてあげたいんだけどな……」グビッ

提督「そう考えて、もう何週間も経ってしまった……」コトッ

父上「……」フゥ

父上「……まぁ、俺が口を出したらお前の純粋な気持ちじゃなくなる、じっくり考えな」

提督「そうだな……」ハァ

提督「…………」

父上「けど、お前が軍人になるなんてなぁ……人間、変わろうと思えば変われるもんだな」

提督「軍人なのかな……これで……」

父上「?」

提督「いや……まぁその、なんて言うのか……他の人からすると俺ってどう見えてるのかなぁって……」

父上「……どういう事?」

提督「言えば、社長から評価されてるけど、部長からは嫌われてるって事、こういう時、どっちの評価が正しいんだろ……?」

父上「ぁー……そういう感じか」

提督「うん……」

父上「……その時のお前の行動によるな、お前が何かやらかしたんなら部長が正しい、お前にやらかした自覚が無いって言うなら社長が正しい」

父上「まぁでも……ぶっちゃけた話、評価って言うのは人によるし……信用してる方の評価を信じたらいいんじゃないか?」

提督「そういうもんなのか……」

父上「そういうもんだ、もしくは会長クラスの評価を聞いてみるかだな」

提督「……うーん……」

父上「不安か?」

提督「まぁ…………」

父上「そうか、でもその不安に負けちゃ駄目だ、フリーターとは違うからな、責任ってものがある」

提督「……」

父上「人の評価なんか気にすんな、お前は吹雪ちゃんを守る責任を果たせばいい、まだ1年目だろ?深く考えるな」

提督「そうなんだけど……なぁ……」

父上「……偉い人に目つけられたのか?」

提督「……うん」

父上「なら、素直に「僕はこれができません、でもこれはできるのでこっちに集中させて下さい」って言うんだ」

提督「父さん、相手は軍だぞ……?そんな甘い事が通用」

父上「でもできないもんはしょうがないだろ、人には限界ってものがあるんだ、軍の人でもそれくらいは分かるだろ」

提督「……」

父上「……どうしても無理ならそう言え、そうすればお前にあった仕事をくれるはずだ、お前だって評価されないわけじゃないだろ?」

提督「まぁ……階級はちょっと上がってるし……」

父上「1年目でそれなら十分、少しずつでいいんだ、急ぐな急ぐな」ポンポンッ

提督「…………」

父上「…………あ、でも報連相は基本だからな「僕は報連相ができないので報告も連絡もしません」とか言うなよ?」

提督「言うわけ無いだろ」ハハ

父上「お前なら言いそうだから怖いんだよ……高校の期末テストで合計30点超えない奴が軍人やってるんだぞ……」

提督「……あれは……あれ……そうだな……何で俺みたいなのが鎮守府の提督になれたんだろう……」

父上「まさに奇跡だな」

提督「割と本気でそう思う」

和室

吹雪「……」

母上「えーっと……どこにあったかしら……」ゴソゴソッ

母上「…………」カパッ

吹雪「?」

母上「あったあった……これ、二郎の通信簿……」スッ

吹雪「通信簿……?」

母上「学校の成績よ、見る?」

吹雪「え?いいんですか?」

母上「いいのよ、ほら」

吹雪「……」ペラッ

吹雪「……1がたくさん並んでますけど……これは?」

母上「えっと、それは5段階評価になってるの、1が悪くて5がいい……」

吹雪「……5なんて無いですよ?」

母上「……」メソラシ

吹雪「ハァ……司令官、学生時代はどんな人だったんですか?」

母上「悪い子ではなかったわ、頭は悪かったけど」

吹雪「……先生の言葉にも書いてありますね……思いやりを大切にする人だって……」

母上「その通りよ、二郎はただ学力と理解力が追いつかないだけで、本当にやさしい子なの」

母上「ただ……本当に……頭が悪くて……サボりぐせも酷くて……隠すのが下手なのにごまかすのよ」

吹雪「頭はよくわかりませんけど……本当にサボりぐせが酷くて、よくごまかしますね……」

母上「……あの子に悪気はないんだけれど……ごめんなさいね、うちの二郎が……」シュン

吹雪「い、いえいえ!そんな……誰にでも平等に接する事ができる司令官は尊敬してますし……別にけなしたわけじゃ……」アワアワ

母上「……なら……いいんだけど……本当に耐えられないならいつでもうちに電話して頂戴ね?」

吹雪「……大丈夫ですよ、司令官は」

母上「……あの子が軍人さんなんかになって……他の軍人さんに迷惑かけたりイジメられたりしてないか不安なのよ、野蛮な人もいるんでしょう?」

吹雪「確かに、海軍の鎮守府には厳しい人も居ます……辛辣な言葉で苦しめる人や男性が嫌いな人……提督は変な人ばかりです」

母上「……二郎はこれからも……やっていける?」

吹雪「はい、司令官は色々悩みながら他の鎮守府に負けないように一生懸命努力しています……よく途中でサボるけど」

吹雪「で、でも!……司令官の努力は私、ちゃんと見てます!……努力はきっと実るはずです」

母上「…………」

吹雪「……お母さん……二郎さんの足りない部分は私が補います、二郎さんがどんなにお馬鹿でも……」

吹雪「……二郎さんがどんなミスをしても見捨てません、だから……安心して下さい」ニコッ



母上「……吹雪ちゃんは二郎といて……幸せ?」

吹雪「はい、楽しいです」

母上「……吹雪ちゃん」ススッ

吹雪「……」

母上「……二郎をこれからもよろしくおねがいします……」ススッ

吹雪「……はいっ!」

横須賀鎮守府 資料室

横督「……前浜町二丁目鎮守府……」スッ

横督(あんな鎮守府にここまで大きなファイル……棚の場所をとるだけだな……)パチッパチッ ペラッ

横督(…………鎮守府として機能していない名前だけの「鎮守府」……規模は民家程度……)ペラッ

横督(運用目的は、鎮守府登録数の水増し……本営からすれば奴らはただの捨て駒……)

横督(……提督学校を卒業「しただけ」の男を放り込み、どの鎮守府からも見捨てられた残り物の欠陥艦娘を着任させる)

横督(特例が認められない限り、数週間で平井と吹雪を同時に解任……吹雪は不名誉解体、平井は行方不明とする……か)

横督(邪魔者と邪魔者を同時に始末できる上、鎮守府数を誤魔化すことが出来る、更に役立たずに対する見せしめにもなる……

横督(……馬鹿げた考えだな)


横督「……しかし既に次の方針は決まっている……」グッ

横督「……」ビリッビリッビリッ クシャクシャクシャ ポイッ

スコンッ 


横督(今日からは鎮守府の有効活用……か……手のひら返しの上手な集団だ……)ペラッ スッ

横督(…………)パチッ パチッ

横督(……私が進言したのだ、精々頑張ってもらうぞ、平井二郎)スッ


ガチャッ


叢雲「司令官、元呉の男が来たわ、提督室に来て」

横督「……分かった、それと奴は副提督だ、呼び方を間違えるな」

叢雲「はいはい、行くわよ」

ガチャンッ カチッ

数時間後 深夜 提督の部屋

吹雪「……話しましたね……」

提督「……俺のかこの有る事無い事……色々言われたな……」

吹雪「司令官……本当に変な人だったんですね……」

提督「……どの事を言ってるんだ……?」

吹雪「居眠りで4時間授業を無駄にしたりとか、テスト勉強の教科が違う教科だったりとか……」

提督「……今はそんなヘマしてないだろ?」

吹雪「……どうでしょうね?」

提督「…………してないよな?」

吹雪「…さぁ?自分の心に聞いてみたらどうです?」ニヤッ

提督「う……と、とりあえず布団敷くぞ!どいてどいて」スゥーッ ゴソッ バフッ

吹雪「あ、私も手伝います」

提督「お、じゃあ枕とシーツお願いしようかな」

吹雪「はーい……えっと……シーツはっと……」バサッ ススッスッ

提督「……全く……恥ずかしいったらありゃしない……」 ゴソッ バフッ




数十分後 深夜

吹雪「じゃ、電気消しますね」カッチャ カチャ カチャッ

提督「ありがとう……ファァッ」

吹雪「…………」モゾッ

提督「……この天井……久しぶりだな……」

吹雪「……何年くらいですか?この家を出て……」

提督「何年かな……父さんと母さんが寮に来ることはあったけど……家に帰るのはかなり久しぶりだ……」

吹雪「……」

提督「……吹雪ちゃん……」

吹雪「……はい?」

提督「父さんと母さん、どう?」

吹雪「……ご年配とは思えないですね……若いです」

提督「いや、見た目じゃない、性格とかその辺りだよ」

吹雪「……いい人ですね、うまく伝えられないけど……」

提督「……そうか、良かった……」

吹雪「……」

提督「……」

吹雪「……」

提督「吹雪ちゃんってさ……髪下ろしたほうがいいんじゃない?」

吹雪「へ?」

提督「いや…………何となくだけど……いつも結んでるし、一日くらい下ろしてもバチ当たらないんじゃないかなって」

吹雪「…………そう?」

提督「うん、まぁ今のポニーテールも好きだけどね……」

吹雪「……ぽ、ポニーテール!?そんなに伸びてたんですか?」

提督「初日と比べたらえらい伸びてるぞ?日に日に後ろ髪が伸びてるし……そろそろ切る?」

吹雪「……そ、そうですね……そんなに伸びてたんだ……」

提督「…………にしても……」

提督(……眠れないな……ほんとに……)

吹雪(……何でだろう……眠れないな……)

提督(……こういう時は一発コロニーレーザーを照射するに限るが……)

提督(隣に人……まして女の子がいる時にそんな事出来るわけがない……)ジィー

吹雪(し、司令官……なんでそんなに見つめてるの……?)

提督(……いかん……そんなこと考えたらムラムラしてきたぞ……)

吹雪「……?」

提督(……やっぱりドストライクだよな……吹雪ちゃん……いつも一緒に暮らしてるからあまり意識してなかったけど……)

提督(……吹雪ちゃんが一番性格的にも貧乳度的にもトップクラスだな……)

吹雪「え、えっと……?」

提督(……って、いかんいかんそんなこと考えたらいけない……)

提督(俺は提督だ、変態じゃない、増して同居人に手を出すなどあってはならない)

提督(……落ち着け……落ち着け俺……)ジィィーーッ

吹雪「……し……しれい……かん…………?」

提督「…………」

吹雪「…………そんなに見ないで……」プィッ

提督「…………」

提督(……はっ……いかんいかん……また意識……しまった……発射形態に入ってしまった……)

吹雪「……」

提督「……」

吹雪「……もしかして……」チラ

提督「……へ?」

吹雪「…………」クイッ

提督「!!」

吹雪「…………」サッ

吹雪(……やっぱり……)カァァッ

吹雪「司令官……さっきから…………胸……見てたんですか?」モジッ

提督「!!……そ、そんなわけないだろ!」

吹雪「……」

提督「……」

吹雪「……別に……男の人ですし……よくお風呂で見られるし……」

提督「……」

吹雪「……でも……隣同士の布団で寝てる人に……そういう目で見られると……眠れなくなっちゃうから……」

提督「は……はい……」

吹雪「……もしかして、向かい合って寝転んでた時からずっと……?」

提督「も、もうしないから、すまない」

吹雪「…………」

吹雪「……司令官って……意外とエッチ……」

提督「わ……悪かった!」ゴロッ 

吹雪「あ……」

吹雪「…………」

吹雪「…………」モゾッ

吹雪(……気づかないふりしたほうが……良かったのかな……)

提督(ば……バレてしまった……死にたい……明日どんな顔で吹雪ちゃんを見ればいいんだ……)

……そうだ、睡眠すれば、またすぐ書ける……すぐだっ……

>>1の本気を見るのです!

次の日 朝

吹雪「……」

提督「……」スピーッスピーッ

吹雪「……くぁっ……んぅーっ…………っはぁ……」

吹雪「…………」ポケーッ

吹雪「…………っ!」ブンブンッ

吹雪「…………着替えよ……っと……」ゴソゴソ


シュルッ パサッ ゴソゴソ


吹雪(あ……制服洗ってたんだっけ……2着くらい持って来た方が良かったかな……?)

吹雪(……運動着でいいかな……)スッ

パッ…ススッスルッ……ゴソッスッ……

吹雪(……変じゃない……かな……?)

吹雪(……うん……大丈夫……)


スゥーッ スゥーッパタン

トットットット…トッ……ト……

ガッ…チャ… ッパタ……


吹雪「誰もいない……皆寝てるのかな……?」ヒソッ

吹雪(……そっと出ないと……)

コトッ ハキハキッ

…………ッカチ……ガチャッ…………ッタン……



生渕町 朝

ッチッチチチチ……チュンチュン……

ドゥーッドゥッドゥーッドゥッドゥッ……ドゥーッドゥッドゥーッドゥッドゥッ…


吹雪「っふぅ……静かに外にでるのって……緊張するなぁ……」

吹雪「…………」キョロキョロ

吹雪「……とりあえず、家の周りを走ったほうがいいかな……?迷わないし……」

吹雪「…………」グィッグィッ……ギュッギュッ

吹雪「いち……に……さんし……ごーっろく……しちっはち……」グィッ…グィッ…

吹雪「よしっ!行こう!」

タッタッタッタッタッタッタ……

生渕町 提督の実家周辺 十鹿神社付近


吹雪「…………」タッタッタッタッタ

吹雪「…………」タッタッタッタ

吹雪(…………本当に田んぼが多いなぁ……)

吹雪(…………隣には森……自然の中の町って感じ……)タッタッタッタ

吹雪「ほっ……ほっ……ほっ……」タッタッタッタッタ

吹雪(……ん?)ッタッタ……タ……


ザワザワ~……サァァァッ……


吹雪「……鳥居……?」スゥッフゥッ……

吹雪(……木に隠れてよく見えないけど……どう見ても鳥居だよね……これ……)

吹雪(って事は、神社……なのかな……?)スタスタ……

吹雪「えっと………………十鹿神社……じゅう……しか……?」

吹雪(……どういう意味なんだろ……?)ザッザッザッザ




十鹿神社 境内

吹雪「……」

カァッ……カァッ……

吹雪「……誰も居ないんだ……?」

吹雪「…………」

サァァァァァ……

吹雪「……朝の風が……気持ちいい……」

吹雪「……それにしても……何でこんな森の中に神社が……」

吹雪「…………」ザッザッザ…

吹雪(本堂は腐って……建物として使うには危険……それに賽銭箱や鈴もない…)

吹雪(御手洗?だっけ?水で手を洗うところももう長い間使われてないみたいだし……)

吹雪(廃神社って言うのかな……)

ザッザッザッザッザ

吹雪「……?」

女性「……ん……?」

吹雪「あ、お、おはようございます……」ペコッ

女性「おはよ……ってか、誰?」

吹雪「……あ、えっと……この辺りに住んでいる平井さんの知り合いで……」

女性「あぁ……二郎の?」

吹雪「え、ご存知なんですか?」

女性「ご存知も何もあんな問題児、忘れたくても忘れないって……アイツほんとに海軍の提督になってたんだ……艦娘でしょ?」

吹雪「は、はい!吹雪っていいます!」

女性「……へぇ……二郎はまだ寝てんの?」

吹雪「え、えぇ……多分起きるのは9時位になると思いますけど……何か御用ですか?」

女性「いんや、別に……私はただこの神社の掃除に来ただけだから、賽銭入れてく?」

吹雪「い、いえ……遠慮しておきます……」

女性「そ、ならいいけど」 ガラッ カラッ…… サッサッ……サッ

吹雪「……あの……」

女性「ん?」

吹雪「あなたはその……司令官の友人の方ですか?」

女性「いや、アイツよりアイツの友達の友達、だから別に関係ない」ザッザッザッ

吹雪「そうなんですか……」

女性「ま、気になるなら、神社でてすぐ近くの畑に顔出してみなさい、アイツと親しい男がいるから」

吹雪「あ、はい!ありがとうございます、巫女さん!」

女性「は?巫女?」

吹雪「え?」

女性「……」

吹雪「え、だって……神社で働いてるんじゃ」

女性「こんなラフな格好の巫女が居るわけ無いでしょ……毎日この神社を掃除すりゃ何かもらえるって聞いた掃除してるだけよ」

吹雪「……国からですか?」

女性「違うわ、別世界の住人からよ……っ」ヒソッ

吹雪「……べ、別世界……?」

女性「アンタもしばらくここに居るなら、この神社を掃除してみたら?別世界の住人に褒められるかもしれないわよ?」

吹雪「は……はぁ……」

女性「…………じゃ、私仕事行くから、畑の男よ?あ、この法規片付けといてくれる?」スッ  タッタッタッタッタ

吹雪「え、あはい……」ポカーンッ

吹雪(……変わったお姉さんだったなぁ…………)


吹雪「…………」サッサッサッサッ サッ

吹雪「……そもそもあんな掃除の仕方じゃ……別世界の人も怒るよ……ちゃんと落ち葉はまとめないと……」サッサッ

吹雪「…………」


コツンッ チャリ-ンッ


吹雪「った……」

吹雪「……?」スッ

吹雪「五円玉……?」

吹雪「…………」キョロキョロ

吹雪(まさか……何かもらえるって……これの事……?)

吹雪「……ま、いいか……」スッ

タッタッタッタ

十鹿神社前 畑

吹雪「えっと……神社を出てすぐの畑……ここの事かな……」

吹雪「……」ザッ……ザッ……

男性「……」

吹雪「す、すみません……?」

男性「…………はい?」

吹雪「あの……平井二郎さんの友人ですか?」

男性「平井……あぁ、二郎の?」

吹雪「は、はい」

男性「まぁ友達っちゃ友達ですけど……」

吹雪「……少し、お話を聞きたくて……あ、私、艦娘の吹雪って言います!」

男性「……!」

男性「あぁ……!あの艦娘の……へぇ……アイツ本当に……てっきり嘘かと思ったけど……」

男性「俺、清水武春って言います、アイツの同級生です」

吹雪「清水さん……よろしくお願いします!」

男性「……へぇ……艦娘かぁ……あ、何でも聞いて下さい、アイツが小学生の頃からずっと一緒ですから」

吹雪「は、はい……じゃあ……司令か……二郎さんがどんな人だったかを……」

男性「……どんな人……か……まぁ一言で言うと、筋金入りの馬鹿……ですね」

吹雪「や、やっぱり……」アハハ

男性「…………まぁ……そうですね……成績は1以外の数字を見つけるのが大変でしたね」

男性「授業中の居眠りは当たり前、年下の女の子にまで叱られる始末……学力に関しては目も当てられない状況です、今もそうでしょう?」

吹雪「えぇ……確かに……」

男性「まぁ、性格に関しては……今も昔も変わってないと思いますよ」

吹雪(性格……)

男性「……わからないでしょう?」

吹雪「……」コク

男性「俺にも分かりません」

吹雪「え」

男性「……分かるのは、アイツが貧乳好きって事と、出来ないくせに何でもかんでも抱え込もうとする無茶しい、って事だけです」

男性「面倒みがいいでしょう?彼」

吹雪「はい……でも」

男性「そのせいで、変なことによく巻き込まれる」

吹雪「……」コクッ

男性「……変わってないな、彼は」

吹雪「昔からそうだったんですか?」

男性「えぇ……そりゃあ……勿論……」






19年前 提督13歳 

提督「……なぁ、武春」

男性(以下 武春)「…………」

提督「…………なぁ」

武春「……どうしたんだよ……」

提督「セックスしたい」

武春「…………」

武春「……」

提督「貧乳の女の子をガンガン突きたいんだ、どう思う?」

武春「……なぁ……お前マジでいっぺん病院行けよ……」

提督「へ?何でだよ」

武春「……あのな、お前に一つ言っとくわ」

提督「……」


デアルカラシテ……インスウブンカイハ……


武春「……今授業中だぞ、それも数学の」

提督「……」

武春「……」

提督「それとこれとは話が別だと思うんだよ、俺は貧乳を突きたい、この気持ちに嘘はないんだ」

武春「別じゃねぇよ!せめてヒソヒソ声で話せ!!」

提督「こう、分かるか?」

武春「聞け!!一旦黙れ!!」

提督「…………」

武春(小学校でも薄々思ってたけど……何でコイツ育成学級に連れて行かれないんだ……?)

提督「でさ」

武春「あ!?」

提督「……あ、悪い」

武春「チッ」


キーンコーンカーンコーン



帰り道

武春「お、今日も参拝?」

女子「うん、今日こそ悪鬼悪霊を退治してもらうんだ!」

武春「がんばれよー」

女子「はーい!」

タッタッタッタッタッ


武春「……さて……帰るか…………ん?」

提督「…………」

武春(……あいつ……草むらの中でうずくまって……何やってるんだ……?)

…………ママァ……パパァ……どこなの……

武春「    」

武春(……今……あいつの草むらの中で…………ま、まさかあいつ……)

武春「……じ、二郎おま……!」ガサッ

提督「……なるほど……お父さんとお母さんが……」

幼女「うん……にげてきたの……」

提督「逃げた?お父さんとお母さんから?」

幼女「……ううん……」

提督「…………」

幼女「ゆうかいはん……っていってたの……」

提督「ゆ、誘拐!?」

幼女「うん……」

提督「…………誘拐って……連れ去られたの?」

幼女「うん、ずっとまえに……まいごになって……パパとママがいなくなって……」

提督「……」

幼女「くらかった……まっくらで……ずっとまっくらで……」

提督「…………」

提督「…………」

武春「……」

幼女「…………」

提督「…………」

幼女「おうちにかえりたいよぉ……」

提督「……辛かったなぁ……きつかったね……」

武春「……あ、もしもし……警察ですか?えぇ……その……」












男性「結局その後、警察に保護されたんですけど……その後親御さんが来るまで彼はずっとその子に付き添ってたらしいんです」

男性「……確か夜中の3時って言ってましたね……寝なかった自慢が酷かったです……」

吹雪(……)

吹雪「あの……清水さん……一つ聞きたいんですけど……」

男性「何ですか?」

吹雪「その……司令官が……小さい胸が大好きって言ってましたよね?」

男性「言ってましたね」

吹雪「それって……それが影響してるんですか?」

男性「いえ、貧乳好きは小学校6年の時は既に目覚めてましたね」

吹雪「……そ、そうなんですか……」

吹雪(どういう反応すればいいんだろう……)

うむ、吾輩はry

まず生地を用意します
「つまんね」「エタれ」等お好きな暴言を盛り付けます
次に飛行機を飛ばします

新しく用意したIDで今度は「荒らしは消えろ」等アクセントをつけます
さらに飛行機を飛ばし今度は「信者キモいわ。荒らしより信者がウザい」と書き込みましょう
この時他の具材もあればお好みで

しばらくこの工程を繰り返します
後はオーブンで焼けばコンガリ香ばしいスレの出来上がりです

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年06月03日 (水) 11:19:46   ID: 02GjHK8g

あれ?どこぞの居眠り門番さんに見えるのは何故?

2 :  SS好きの774さん   2015年06月05日 (金) 11:50:00   ID: 7QcBsYl7

おもしろい

3 :  SS好きの774さん   2015年06月18日 (木) 23:36:24   ID: Uri3nZYK

無駄にレス消費してる荒らし鬱陶しいなぁ

4 :  SS好きの774さん   2015年06月19日 (金) 06:15:38   ID: Dhx1Zbwz

なんだこれ、たった2日で200もレス消費したのか!?

5 :  SS好きの774さん   2015年06月20日 (土) 17:23:27   ID: HNQXNdox

なんでこんなことに…

6 :  SS好きの774さん   2015年06月20日 (土) 17:57:18   ID: 3FcR0P2G

酷いことするなあ

7 :  SS好きの774さん   2015年06月20日 (土) 18:30:51   ID: K2Pt1vHI

まったくだ

8 :  SS好きの774さん   2015年06月21日 (日) 05:51:40   ID: uGXnvNRT

面白かった、ぜひ続き読みたいね

9 :  SS好きの774さん   2015年06月21日 (日) 05:56:25   ID: nj9fPFkI

せっかく吹雪が主人公の物語だったのに…
楽しく追ってたのに…
吹雪が可愛かったのに…

10 :  SS好きの774さん   2015年06月21日 (日) 22:23:07   ID: ORgqySBz

この上なく残念……
どうにかなんねーのかな、糞荒らし共……

11 :  SS好きの774さん   2015年06月22日 (月) 00:24:48   ID: 7TCKyFhs

無駄にパート数増えてたまったもんじゃないな

12 :  SS好きの774さん   2015年06月22日 (月) 00:38:55   ID: 6gVLlMgD

まあ気長に待ちますか

13 :  SS好きの774さん   2015年06月22日 (月) 02:07:57   ID: jmT5MvK_

ハーメルンでやれ
見に行くから
クソ民度低いゴミスレより全然いいからさ

14 :  SS好きの774さん   2015年06月25日 (木) 17:39:59   ID: BP4bHk90

せっかく追いついのにこなことになんてな

15 :  SS好きの774さん   2015年06月25日 (木) 23:36:03   ID: 2NgiqQkp

終わりなの?

16 :  SS好きの774さん   2015年06月29日 (月) 22:37:55   ID: mm0SIMfq

やべーな。
これともうひとつ長く続いてる超人変態提督のss
あれも荒らしにやられて進まなくなった・・・・・。
荒らしてんの在日か?

17 :  SS好きの774さん   2015年06月30日 (火) 08:00:33   ID: twhKOwNW

赤城&加賀食べ放題と吹雪おかしいですはどちらも毎日更新楽しみにしてただけにツライ

18 :  SS好きの774さん   2015年07月01日 (水) 07:37:52   ID: TGm0T3wV

もっと読みたかった
これの更新を楽しみにしてたのに

19 :  SS好きの774さん   2015年07月02日 (木) 09:43:09   ID: 6vqvtxAK

パート数が増えるのは別によくね?
スレタイ楽しみにしてたの俺だけ?

20 :  SS好きの774さん   2015年07月02日 (木) 17:30:17   ID: c6Eez2NE

一昨日から見つけて寝る間も惜しんで追ってたんだがなぁ…こんなことになったのか… 確かに要らん雑談ばっかで鬱陶しかったがな、荒らさなくてもいいだろ
荒らしはホント糞ね

復帰まってるぞぉ…

21 :  SS好きの774さん   2015年07月05日 (日) 23:42:54   ID: UokzbhIC

頑張って!

22 :  SS好きの774さん   2015年07月06日 (月) 00:51:23   ID: 3l8RA3eQ

続き待ってます!

23 :  SS好きの774さん   2015年07月08日 (水) 21:34:03   ID: nzeXRx-G

これといい食べ放題?といい立て続けに荒らしにやられちゃったなぁ...
かなしいもんだ

24 :  SS好きの774さん   2015年07月19日 (日) 21:43:42   ID: CIbCLznV

続き見たいです!頑張って下さい!

25 :  SS好きの774さん   2015年07月22日 (水) 08:48:43   ID: mN3I0k0z

もう一度再開して欲しいです。
ここの吹雪が可愛すぎて秘書艦を吹雪にしなんです!!

26 :  SS好きの774さん   2015年07月28日 (火) 07:32:43   ID: 1JvwtC_-

この作者さんこのあと吹雪を捨てて若葉に乗り換えたけどそれも荒らされてもう完全に潰れてしまったみたいね・・・
吹雪を捨てたのはショックだったけど、これだけ待ち望んでる人がいるんだ・・・わがままだけど戻って来てくれ・・・
また可愛い吹雪と提督と負傷艦娘たちの物語を読ませてくれ・・・

27 :  SS好きの774さん   2015年08月05日 (水) 14:47:07   ID: xQ4slgQ9

このSS見て吹雪好きになったんだよなぁ…
どのサイトでもいいから再開してくれよなぁ…頼む…

28 :  SS好きの774さん   2015年10月10日 (土) 09:56:18   ID: TikhWC20

ここのSS投稿速報でやってくれればありがたいんだが、作者さんこのまとめ見てないよな

29 :  SS好きの774さん   2015年10月28日 (水) 20:22:09   ID: _HT3lkUQ

このシリーズ大好きなので
再開してください

30 :  SS好きの774さん   2016年01月26日 (火) 01:46:18   ID: r1ENm-Jb

早く次の話を書いてください。
お願いいたします。

31 :  SS好きの774さん   2017年01月04日 (水) 18:51:24   ID: K7LqHvuC

面白いので続き待ってます

32 :  SS好きの774さん   2017年02月12日 (日) 02:19:00   ID: JIAoMKNV

頼む…続いてくれ…
期待して待ってる

33 :  SS好きの774さん   2022年12月22日 (木) 08:32:35   ID: S:kWLieZ

ほのぼのしてていいssだと思います。平和とはどういうことかを知らないと平和なんて実現しませんからね。
……執筆が再開したらなお嬉しいところですが……

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom