先輩「明日戦争がはじまる」 (64)

後輩「……」トボトボ

後輩「……はぁ」

後輩(……仕事)

後輩(疲れたなぁ……)

後輩「……」トボトボ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1433165804

後輩「……」トボトボ

後輩「……」

後輩「……はぁ」


ガチャ


後輩「……ただいまぁ」

先輩「おーぅ、おっかえりー」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……おかえりんこ」

後輩「……ヤバい」

先輩「……お?」

後輩「疲れすぎてて幻覚が見えてる……」

先輩「おいおい、大丈夫かよ。どんな幻覚出てる? 小人だとヤバいらしいぞ?」

後輩「なんか、やたら慣れなれしく心配してくる幻覚が見えてます……」

先輩「あ~、なるほどねぇ、疲れてると、そういう幻覚もあるか……」

後輩「……」

先輩「……っておーい! 私かーい!」

後輩「最近の幻覚は、ノリツッコミもできるのか……」

先輩「幻覚じゃねぇよぉー! 見ろよ! 現実を見ろ! そして私を見てください!」ガシィィィ

後輩「あぁ、もう! しがみ付かないでください! 邪魔!」

先輩「……」ガサガサ

後輩「人の買い物袋漁らないでください!」

先輩「……お、ビール」ガサッ

後輩「ビール勝手に取らないで!」

先輩「……」プシッ

後輩「開けるな!」

先輩「ングング」

後輩「飲むなー!」

先輩「……ぷはぁ」

後輩「なんなんですか、なんなんですかマジで……」

先輩「……後輩ちゃーん」

後輩「……」

先輩「久しぶり」

後輩「……」

先輩「カンパイしよーぜ」

後輩「……」

先輩「ねっ」

後輩「……はぁ」

先輩「……」

後輩「そこ、座っててください。グラス出しますから」

先輩「ひっひっひ」










カチン


先輩「ングング」

後輩「ンクンク」

先輩「……っぷはー!」

後輩「……っぷはー」

先輩「あ゛ぁー……」

後輩「あ゛ぁー……」

先輩「……はは」

後輩「……」

先輩「……いやー、マジで久しぶりだな、お前とこうやって、酒飲むのもさー」

後輩「……ですね」

先輩「3年ぶりか?」

後輩「4年です」

先輩「あ、もうそんな経つのか」

後輩「それくらい覚えておいてくださいよ」

先輩「そっかぁー……、4年も経てば、そりゃお前も変わるわけだ」

後輩「……私、変わりました?」

先輩「おう」

後輩「……どこが?」

先輩「なんか、普通っぽい仕事とか、やってるっぽい」

後輩「……っぽいっていうか、普通の仕事してますよ。OLの」

先輩「うわっ、OL!?」

後輩「うわっ、ってなんですか」

先輩「オーのエル!?」

後輩「そうですよ、オフィスのレディですよ」

先輩「officeのlady!? お前がぁ!?」

後輩「そ、そうですよ……」

先輩「どこで!」

後輩「いや、普通の商社で……」

先輩「お前がぁ……!?」

後輩「い、いいじゃないですか、別に!」

先輩「『別に、どうせ大した人生じゃないですから……』とか言ってたお前が!?」

後輩「やめてくださいよ、マジで……!」

先輩「『他人に興味を持つことに、それほど必要性を感じられません……(キリッ)』とか言ってたおま――……」

後輩「やめてったら! ……もう、なんでそんなことばっかり、覚えてるんですか……」グビグビ

先輩「ひっひっひ」グビグビ

後輩「そういう先輩は、全然変わって――……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……変わり、ましたねぇ」

先輩「そう?」

後輩「はい」

先輩「どこが?」

後輩「なんか、やつれた、というか……」

先輩「そうかなぁ……」

後輩「あと、あの……」

先輩「おう」

後輩「……聞いていいですか?」

先輩「……いいぞ」

後輩「……」

先輩「……ングング」

後輩「……あの」

先輩「おう」

後輩「……その眼帯、何?」

先輩「……カッコいい」

後輩「大バカですか」

先輩「何だよぉー、いいだろ、シブくて!」

後輩「オタクっぽい」

先輩「あぁ、あるよな、アニメとかでも。ほら、キャプテンハーロック? あれ好きだったなぁ」

後輩「何ですか、その微妙なチョイスは……」

先輩「うーるせ。……色々あったんだよ、私も。 色々……」

後輩「……」

先輩「色々……、いろいろ、あったよ」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……ンクンク」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……後輩」

後輩「……はい?」グビ

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……ごめんな、4年前……、私は……」

後輩「……いいんです」

先輩「……」

後輩「分かってましたから、先輩、きっと色々あるんだって……」

先輩「……」

後輩「だから、いいんですよ。無理して、話さなくても」

先輩「……けど」

後輩「……」

先輩「……けどさ、私、私は……、本当に、ダメでさ……」

後輩「先輩……」

先輩「後輩……、わた――っ……」ガタッ

後輩「あっ」

先輩「あぁぁぁ~~~」バシャァ

後輩「あーもう、ビール! 缶倒さないでくださいよ、もう!」

先輩「もったいなーい、もったいなーい!」ペロペロ

後輩「うわっ、何して……ちょっ! 人のテーブル舐めるのやめて! ちょっとぉ!」




今日はここまでです








後輩「はぁ……、もう……相っ変わらず、ダメ先輩」

先輩「あっはは、知ってるー」

後輩「まったく」

先輩「ダメなんだよな、私さぁ……」

後輩「……」

先輩「ダメだけど……」

後輩「……」

先輩「ダメだけど、がんばったんだ」

後輩「……」

先輩「ダメなりに……、がんばって……」

後輩「……」

先輩「……がんばったけど、ダメでさ……」

後輩「……」

先輩「止められなくてさ……」

後輩「何を?」

先輩「……後輩」

後輩「……はい」

先輩「ちょっとだけ……、そっち行って……、いい?」

後輩「どうぞ」

先輩「……」ギュウ

後輩「あ……っ」

先輩「後輩ぃ……」ギュウウ

後輩「……」

先輩「ごめん……」

後輩「……」

先輩「……止めたかったけど、私、ダメだけど、必死で……、でもダメで……」

後輩「……」

先輩「戦争、起きる……」

後輩「……」

先輩「……」ギュウ

後輩「そっかぁ」ナデナデ

先輩「……」

後輩「……仕方ないですよ」

先輩「……」

後輩「先輩、がんばったんですよね?」ナデ

先輩「……」コクン

後輩「……がんばったなら、いいじゃないですか」

先輩「いいの……?」

後輩「あ、よくはないですけど」

先輩「……ダメじゃん」

後輩「うん、ダメだけど……、しょうがない」

先輩「……」

後輩「先輩のせいじゃないですよ」

先輩「……」

後輩「……先輩がダメダメなのは、私が一番、よく知ってますし」

先輩「……うん」

後輩「だから……ね、しょうがない」ナデナデ

先輩「……後輩ぃ」

後輩「……いいですよ、ずっと、こうしてて」

先輩「……」ギュゥゥ












先輩「……」

後輩「……」

先輩「後輩ー」

後輩「……落ち着きました?」

先輩「ビール―」

後輩「後輩はビールじゃありません」

先輩「飲みたい」

後輩「どうぞ」

先輩「飲ませて」

後輩「えぇー……」

先輩「……」

後輩「……このまま?」

先輩「うん」

後輩「……赤ちゃんみたいに?」

先輩「あはは」

後輩「えぇぇー……」

先輩「いいじゃん、ねぇ……」ギュッ

後輩「……おぉ」


後輩(先輩が、甘えんぼうに……)

後輩(あの先輩が……)


後輩「……」

先輩「ねぇねぇ」

後輩「……」

後輩「……」


後輩(……なんか)

後輩(新鮮だ……)


後輩「……口開けてー」

先輩「……ゆっくりな、ゆっくり」

後輩「……」

先輩「ん」

後輩「……」チョロ

先輩「ングング」

後輩「……」チョロチョロ

先輩「ング、ンッ……」

後輩「あっ」バシャッ

先輩「んブふぉ!?」

後輩「あー……」

先輩「げほっ、ぐぇほっ、はな、は゛い゛っ……げほぉっ!」

後輩「あはは、ばっちい」

先輩「このやろ……ゲホゲホッ!ぐっは……」

後輩「あははは、あっははは!」







後輩「……ぶたれました」

先輩「二度とやんなよ」

後輩「わざとじゃないのに……」

今日はここまでです






先輩「……」

後輩「……」

先輩「……煙草」

後輩「え?」

先輩「吸っていい?」

後輩「ええ、まあ、どうぞ。灰皿、ないですけど」

先輩「いいよ、空き缶で」シュボ

後輩「……」

先輩「……スー」

後輩「……」

先輩「フー……」

後輩「……」

先輩「……」スフー

後輩「……」

先輩「……本当、変わったなぁ、お前」

後輩「え、なんですか」

先輩「普通に、慰められちゃった」

後輩「あぁ……」

先輩「何か、変わったことあったか?」

後輩「いや、特には……」

先輩「恋人できたとかさぁ!」

後輩「あ、それは、できましたけど」

先輩「あっ……」

後輩「……」

先輩「ふぅーん……」

後輩「……」

先輩「……」スフー

後輩「……」

先輩「そっかぁ……」

後輩「……」

先輩「……」スフー

後輩「……」

先輩「……男?」

後輩「女」

先輩「どんな子?」

後輩「あの……」

先輩「……」

後輩「超かわいい」

先輩「うっはっは、おぉーい!」

後輩「……えへへ」

先輩「それから?」

後輩「一橋卒」

先輩「うわっ」

後輩「実家はお金持ち」

先輩「ひぇっ」

後輩「胸はFカップ」

先輩「うぉぉ」

後輩「夜はドスケベー」

先輩「うぉっほーい↑」

後輩「……」

先輩「……」スフー

後輩「……煙草、一本ちょうだい」

先輩「ほら」

後輩「ありがとうございます」シボッ

先輩「いやぁぁ、マジでかぁ……」

後輩「マジです」スフー

先輩「や、一瞬寂しくなったけど、すごすぎてテンション一気にアガった……」

後輩「いや、本当、すごいですよ、あの子、色々」

先輩「何でそんな子と付き合ってんだよ、お前」

後輩「コマした」

先輩「コマしたぁ!? どうやって!」

後輩「何となく、こう……、先輩にされたのと、同じ感じで」

先輩「は? 私? 何かしたっけ?」

後輩「……………………」

先輩「アッ、イタい! 後輩ちゃんの軽蔑の眼差しがイタい!」

後輩「……はぁ」スフー

先輩「ふぅん、まぁ、そっかそっか。そしたら、ほら」

後輩「はぁ」

先輩「行ってあげなよ」

後輩「はい?」

先輩「いや、だって、もう会えないかもしれないし」

後輩「戦争だから?」

先輩「戦争だから」

後輩「んー、まぁ」

先輩「……」

後輩「でも……」

先輩「ん?」

後輩「別にいいです」

先輩「……」

後輩「先輩と一緒だから」

先輩「……いやいやいや」

後輩「何ですか」

先輩「え、恋人なんだろ」

後輩「はい」

先輩「……ぶっちゃけ、好きじゃないとか?」

後輩「好きですけど」

先輩「じゃあ、さっさと行けったら」

今日はここまでです

後輩「いいですって、もう」

先輩「も、もしかして、そのぅ……、わ……、私の方が、す、好きとか?」

後輩「いえ、別に」

先輩「さっさと行っちまえ!」

後輩「いや、その……、何て言うんですかね……、いろんな世界がありますね、って話というか」

先輩「何の話だよ」

後輩「だから、たとえば、先輩がいなくなった後の、ゴミみたいな私の世界、ってやつがあってですね」

先輩「……」

後輩「……で、その前に、先輩がいたころの、ゴミみたいな私の世界もあって……」

先輩「……」

後輩「たぶん……先輩と会う前のゴミみたいな私にも、やっぱり、私にとっての世界って、あって……」

先輩「ずっとゴミじゃねーか」

後輩「うん」

先輩「あはは……」

後輩「ずっとゴミだけど、でも、ちょっとずつ、違って、世界が……」

先輩「……」

後輩「世界がちょっと違うと、大事なものも、ちょっと違って……」

先輩「……だから?」

後輩「だから、行きません」

先輩「……………………」

後輩「アレッ? イタい!? 先輩の蔑みの視線がイタい!」

先輩「お前は……本当に……」

後輩「な、なんですか。いいじゃないですか別に」

先輩「お前みたいになぁ、そうやって、勝手に世界をここからここまで、なんて区切っちゃうやつがいるから」

後輩「……」

先輩「そんで、その勝手な世界の中で、勝手に優劣つけるやつがいるから、戦争がなくならないんですよ、戦争が!」

後輩「えぇぇー……」

先輩「何が世界だ! 決めんな! 勝手に!」

後輩「そういわれても、だって……」

先輩「何だよ!」

後輩「だって、しょうがないですよ」

先輩「……」

後輩「みんな、そうだけど……」

先輩「……」

後輩「みんな、そうしたくて、そうしてるわけじゃないし……」

先輩「はぁ……」

後輩「……」

先輩「そうだな……」

後輩「……」

先輩「しょうがない」

後輩「……うん」

先輩「お前も、……私も」

後輩「はい」

先輩「ビールまだある?」

後輩「ありますよ」









先輩「……ングング」

後輩「~♪」ジャカジャン

先輩「……ゲフ」

後輩「~♪」ジャカジャカ

先輩「サイクリング、サイクリング」

後輩「ヤッホウ、ヤッホウ」

先輩「あっはは」フラフラ

後輩「先輩」

先輩「んんー?」フラフラ

後輩「さっき、『好き』って聞かれて」

先輩「は?」

後輩「『別に』なんて、答えましたけど、私」

先輩「……」ユラユラ

後輩「別に、嫌いとか、そういうわけでも」

先輩「……」

後輩「……ない、ような、そんな、ような」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「後輩……」ガシッ

後輩「あっ……」

先輩「……」

後輩「あの……」

先輩「……」

後輩「ん……」

先輩「……あ」

後輩「先ぱ――……」

先輩「おい、今何時だ! 後輩!」

後輩「え、えっと……」

先輩「テレビつけろ! テレビ!」

後輩「え、え?」


パチッ


先輩「おっ、よかったぁ……、まだニュースやってる……!」

後輩「……」

先輩「おい後輩、よく見とけ、これから大事な――……」

後輩「……」

先輩「後輩? 何ヘンな顔してんだよ」

後輩「生まれつきです」プイ

先輩「ヘンなやつ」

後輩「はぁ……」

先輩「おい、いいから見ろって」

後輩「はいはい……」









――……による攻撃は、都市部を中心に激しさを増しており――


――これに対しアメリカ軍は、首都からの撤退を決定し――


後輩「……」

先輩「……」










TVレポーター「……そして先ほど入った情報によりますと、首都……において、大規模な軍事行動がはじまった模様です!」



後輩「……」

先輩「……っ!」

後輩「先輩……」

先輩「……」



アナウンサー「え~、予断を許さない状況が続きます」


後輩「……」

先輩「……」


アナウンサー「では、CMを挟んでスポーツです」


後輩「……」

先輩「……」

チャラララーラーララー


好調藤浪! 7回にまさかの……!?


チャララーン


後輩「……」

先輩「……」


コイスルージュウデンプリウスー


後輩「……」

先輩「……」


カゾクデーワケアエルー


後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……え」

後輩「……」

先輩「……えぇぇー……」

後輩「……」

先輩「マジかよぉーこの国ぃー……」

後輩「あはは」

先輩「あはは、じゃねーからぁ! 引かれたんだぞ、最終戦争の引き金が! 今!」

後輩「あー」

先輩「最悪のはめつへのじょきょきゅが!」

後輩「言えてない言えてない」

先輩「うわぁー……もうー……、何だよぉー……」グッタリ

後輩「うん、でもまぁ、しょうがないですよ」

先輩「うわでた、しょうがない」

後輩「だって、そんな遠い国のことなんて、分からないですし」

先輩「分かんないけどさぁ……」

後輩「自分と関係ないし」

先輩「……」

後輩「何しなくちゃいけないかも、分かんないし」

先輩「だから、しょうがない?」

後輩「うん、分かんなくても、何もできなくても、しょうがない」

先輩「うぁ―……」

後輩「……」

先輩「うがー!」

後輩「うが?」

先輩「こうなりゃもう、ヤケクソだぁ! 飲むぞ! 飲むぞ後輩!」

後輩「私、明日シゴトなんですけど……」

先輩「知るかー! 酒持って来いー!」

後輩「昭和の頑固オヤジですか……、日本酒でいいです?」

先輩「後輩ちゃん……、日本酒なんて飲む子になっちゃって……」

後輩「ほっといてくださいよ。いらないならあげません」

先輩「えへへ、いーるぅー」

後輩「はいはい……」

先輩「脳ミソ腐るまで飲むぞー!」











後輩「……」

後輩「……」

後輩「……」パチリ

後輩「……」

後輩「……」ムクッ

後輩「……ぅ」

後輩「……きもちわる」

後輩「……」

後輩「あれ……」

後輩「先輩?」

後輩「……」キョロ


後輩(……)

後輩(……いない)


後輩「……はぁ」

後輩「……」


後輩「また、幻覚かぁ……」


後輩(……)

後輩(最近、本当ひでーなぁ)


後輩(……飲んでなくても、見えてきちゃって)

後輩(……)



後輩(はぁ)

後輩(つらいなぁ)

後輩「……ぅぷ」

後輩「ぎもぢわるい……」

後輩「……ドイレ」ヨロヨロ







後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……あれっ、夢じゃない!?」

先輩「……」

後輩「寝息ひとつ立てず寝ますね、相変わらず」

先輩「……」

後輩「トイレは布団じゃないですよー?」

先輩「……」

後輩「……」

後輩(……眼帯)

先輩「……」

後輩「……」ペラッ

先輩「……」

後輩「……ひっ――」

先輩「……」

後輩「……っうぐ!」

先輩「……」

後輩「………………はぁ、はぁ」

先輩「……勝手に見んなよ」

後輩「……先ぱ」

先輩「びっくりしたろ」

後輩「それは……」

先輩「治んない、ってさ」

後輩「……」

先輩「あと一か月もすれば、このムラサキのピカピカが、脳まで届いて」

後輩「……」

先輩「クルクルパーになって死ぬらしい」

後輩「……」

先輩「息の吐き方とか、忘れて」

後輩「……」

先輩「息吸いっぱな死!」

後輩「吸いっぱな死かぁー……」

先輩「後輩ー……」

後輩「はい」

先輩「私、さ……嘘ついた」

後輩「……」

先輩「がんばった、って、言ったじゃん。私、ダメだけどがんばった、って」

後輩「はい……」

先輩「嘘でさ……」

後輩「……」

先輩「がんばれなくてさ、本当は……」

後輩「……」

先輩「逃げてきたんだ」

後輩「……」

先輩「死ぬって、分かって。決まっちゃって」

後輩「……」

先輩「だったら、命に代えてさ、死ぬつもりで」

後輩「……」

先輩「命を捨てて、何とかしようって、考えて」

後輩「……」

先輩「色々できるんだよ、死ぬと思えば」

後輩「……」

先輩「でもさ、いざ……」

後輩「……」

先輩「いざ、死んでやる、ってときに」

後輩「……」

先輩「お前がさ」

後輩「……」

先輩「お前の顔がさ……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……先輩」

先輩「……そしたら」

後輩「……」

先輩「急に会いたくなって……」

後輩「……」

先輩「……逃げてきたんだ」

後輩「うん」

先輩「……ダメなんだよなぁ、私……」

後輩「……」

先輩「……ごめんなぁ」

後輩「…………先輩」

先輩「……」

後輩「私は、嬉しいですよ」

先輩「……」

後輩「先輩に、また会えて」

先輩「……」

後輩「マボロシじゃなかったら」

先輩「本物だぞ」

後輩「あはは」

先輩「……一か月、さ」

後輩「……」

先輩「それまで、私……」

後輩「……」

先輩「ここにいて、いいか?」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……いてください」

先輩「……」

後輩「どこにも、行かないでください」

先輩「……」

後輩「もう、どこにも」

先輩「……」



ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ


ミサイル発射情報

ミサイル発射情報

当地域に着弾する可能性があります

屋内に避難し、

テレビ・ラジオをつけてください

ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ


ミサイル発射情報

ミサイル発射情報

当地域に着弾する可能性があります

屋内に避難し、

テレビ・ラジオをつけてください


ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ



後輩「……先輩」

先輩「……うん」

後輩「吐きそうなんで」

先輩「うん」

後輩「便器ゆずって」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「やっだー」

後輩「……やっ、ちょ、マジで……ぅぷ!」

先輩「……あははは!」

後輩「オロロロロロロ」

先輩「あっはははは! 吐いた! ガチで吐い――あはははは!」



ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ




おわりです

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom