兄「可愛い妹の為なら」(15)

兄「飯だぞー」

妹「うん」

兄「しっかり食べてよく寝るんだぞ」

妹「うん」パクパク

兄「……」ジー

妹「?…どうしたの?」

兄「ごめんな、たくさん食べさせれなくて」

妹「ううん、いいの」

妹「おにいちゃんが作ってくれたんだもん」

妹「わたしそれだけでおなかいっぱいだよ」

兄「…ごめんな」


妹が原因不明の病気になってから数週間
貧乏な家だからまともにご飯も食べられない

両親は俺がまだ幼い頃他界した
この子を守れるのは俺しかいない
妹の為ならなんだってしてやる

兄「じゃあ今日も仕事にいってくるな」

妹「うん」

妹「おしごとがんばってね」

兄「あぁ、お前も病気なんかに負けるなよ」

妹「わかった」

―――――
村人「そういや妹ちゃんどうだ?」

兄「まだまだ治る気配はないです」

村人「大変だな…まだ若いのに」

兄「はい……」

村人「昔から体弱かったんだろ?」

村人「これ以上悪化させないようにな」

兄「はい」

老人「おーい」

村人「お、どうしたんだ爺さん」

老人「いやぁ向こうの方で橋が壊れてな」

老人「若いもんに直すの手伝ってもらおうって思ってな」

兄「あ、だったら俺行きます」

老人「そうかそうか、じゃあ頼むよ」

兄「はい」

村人「今日はもうあらかた終わったからいっていいぞ」

兄「わかりました」

村人「ほら、今日の報酬な」

兄「ありがとうございます」

兄「さて…」

北平原

兄「派手に壊れてるなぁ」

青年「ほら早くやるぞ」

兄「は、はい」

―――――
兄「ふー」

青年「あと少しだな」

兄「ですね」

青年「しかし何でこんな壊れかたなんだ」

青年「この近くにこんなことできる物はないぞ」

兄「まるで誰かに壊されたみたいですね」

青年「いやこんなことできるやつなんていないだろ」

兄「んー……」

村人a「大変だ!」

青年「どうした?」

村人a「ば、化け物が!」

兄「化け物?」

村人a「と、とにかく来てくれ!」タタタ

青年「行くぞ」タタタ

兄「はい」タタタ
―――――

村人b「あ…あぁ……」

グシャ

村人b「あがぁ!」ガクッ

村人a「大丈夫か!」

青年「近づくな!」

化け物?『……』

兄「なんだこいつは……」

そこには見上げるほど大きく
生々しい赤い水を口からこぼし
様子を窺っている化け物がいた

化け物?『……』

兄「うっ…」

青年「は、早く逃げるぞ!」

村人a「おいしっかりしろ」

村人b「」

青年「そいつはもうダメだ!」

青年「早く残ってるやつを!」

化け物?『……』ノシ…ノシ

兄「う、うわぁぁあ!」

青年「行くぞ!」タタタタタタ

兄「あ、あ……」

青年「おい何してるんだ!」

兄「あ……あ…」

青年「おい!」

村人c「がぁぁぁぁ!」

化け物?『……』ムシャムシャ

青年「知らねぇぞ!」タタタ

村人a「うっうっ……」

村人a「お前の分まで生きてやるからな……娘さんも心配するなよ……」

村人b「」

村人a「くそぉ!」タタタタタタ

場に残ったのは三人
うち二人は死亡

兄「あ、あしが……動かない……」

化け物?『……我らの世界に干渉するな』

化け物?『……こやつらは見せしめだ……次は……お前たち全員…』

化け物?『……殺す』ノシ…ノシ…ノシ…ノシ

兄「声……?」

兄「……でも…助かった……のか?」

兄「……」パタ

では夜にまた

寝てしまいました

―――――
妹「おにいちゃん!」ダキッ

兄「お……?」

兄「あ……ダメじゃないか寝てなきゃ…」

妹「だって……」

青年「お前もだ」

青年「もうダメだと思って見に行ったとき倒れてたんだぞ」

青年「何があるかわからんからまだ寝とけ」

兄「……いえ大丈夫です」

妹「だめ!ねないと……ゴホッゴホッ」

青年「この子は俺が寝かせとくからお前も早く寝るんだ」

兄「で、でも……仕事しないと……妹のご飯が……」

青年「そこは何とかしとくから」

妹「ゴホッゴホッ!ケホッ!」

青年「ほら、行こう」

妹「おにいちゃん……しんじゃだめだよ…」

兄「……あの化け物……」

兄「……治ったら図書館いってみよう」

兄「でも痛くないんだよな」

兄「ん」ブンブン

兄「……」

兄「明日いってみるか」
―――――
?『おい、あの計画はまだ準備もできないのか?』

??『はい…ですがあと五年…それだけ待ってくれれば…』

?『わかった……下がれ』

??『はっ』スス

?『……私の妹よ……もう少しの辛抱だからな』

――翌日――
兄「すいません、聞きたいことがあるんですが……」

兄「最近出た化け物のことなんです」

お姉さん「……私にもそのことはよくわかってないの…でも少しだけならわかるわ」

兄「な、なんですか?」

お姉さん「その化け物の名前は「マモノ」」

お姉さん「そしてマモノは今に出てきた訳じゃないの」

お姉さん「何かの拍子に人間が三人しかいなくなったときがあるの」

兄「三人!?」

お姉さん「そう……その時からマモノが現れるようになったって記録に書いてあるわ」

兄「何で三人だけ…何で生き残ったのか…何で現れ出したのか…」

兄「……わからないことだらけだ……じゃあ、ありがとうございます」

お姉さん「うん、妹ちゃんにお大事にって伝えてくれる?」

兄「はい」

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