響「とある司令官と電の改二」 (87)

・基本台本書きです
・独自解釈設定とかあるかも知れません
・書き溜めです
・タイトル詐欺だなんて知らない
・宜しければこちらもどうぞ
→暁「とある司令官と電のケッコン」暁「とある司令官と電のケッコン」 - SSまとめ速報
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電「以上注意せよ、なのです!」


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響「お前は誰だ」

そう、目の前の人物に問い掛ける。

否、正確に言えば人物ではないか。

響「……、……」

睨み付けてみる。相手もまた、こちらを睨み付けてくる。

白銀の髪、幼い身体、水兵を彷彿とさせる服に帽子、そして……特Ⅲ型の証であるバッヂ。

普段はあまり見慣れないその姿は、確実に私そのものなのに。

記憶が渦を巻く。今にも崩壊しそうな自己を、何とか保とうとしながら。

私は、私だ。では、その私とは何だ?響なのか。それとも――

響「お前は、誰だ……?」

鏡の中の私が、薄く微笑んだ。

響「ヒトサンマルマル。今日のランチは……ハイ、これ。ピロシキだ」

司令官「おっ、助かるよ響。よし、じゃあ午前の業務はここまでだな」

響「お茶を煎れよう。ロシアンティーで良いかな?」

司令官「任せるよ。……んー、うまい!」

響「司令官。美味しいと言ってくれるのは嬉しいんだけれど……勝手に食べ始めるのは感心しないな」

響「まぁ、いつもの事と言ってしまえばそれまでなんだけど」

司令官「ごめんごめん。響のピロシキは美味しいからついつい」モグモグ

響「全く、手を止めるつもりはないんだね……」ハァ

響「どうぞ、司令官のはこっちだよ。ジャム入りだ」

司令官「ありがとう。……良い香りだね、今日のは?」

響「薔薇のジャムさ。金剛さんから貰ったんだ」

司令官「へぇ、確かに金剛ならロシアンティーとかもたしなみそうだしな」

響「もっとも、金剛さんも司令官と同じで紅茶に入れてしまうみたいだけれどね」パクッ

響「ん……」コクン

司令官「どうも、先にジャムだけ口に入れる食感が慣れなくてな……。覚えてるだろ?」

響「ああ、最初にロシアンティーを振る舞ったときだね。気を遣って美味しいと言ってくれたけれど、表情が酷いことになっていたよ」クスクス

響「けれどほら、今なら飲めるかもしれないじゃないか?あの時とは味も違うしね」

司令官「……、……」パクッ

司令官「……」ズズッ

司令官「……人の本質ってのはそうそう変わらないよ」

響「みたいだね」クスクス

司令官「さて、そろそろ……」

卯月「卯月でぇーっす!」扉バァーン

卯月「しれーかん、響ちゃん!午後から秘書艦を交代させて頂きまぁす!びしぃ♪」

司令官「おーおー。今日もうーちゃんは元気だねぇ」ナデナデ

卯月「えへへー、今日も司令官はと~っても素敵だぴょん?」

司令官「どうせ、嘘なんだろう?」

卯月「あれぇ、ばれちゃってるぴょん?」

司令官「全く……この、オオカミ少年めっ!」コチョコチョ

卯月「うーちゃんはウサギ少女だぴょ~ん!ぷっぷくぷぅ~!」バタバタ

響「相変わらず、賑やかなんだから……」

ジリリリリリリリリ

響「ん……はい、こちらブルネイ第八鎮守府、秘書艦響です」

響「はい……はい、少々お待ち下さいませ」

響「司令官。入電だよ、大本営からだ」

司令官「ひぃ!あっは、う、卯月タンマ!電話、電話でないとだからっ!」ゲラゲラ

卯月「むー、仕方ないぴょん」

司令官「ふぅ、ふー……助かった。あ、響、ありがとうな。後は卯月に任せて、自由にしてくれ」

響「ハラショー。じゃあ卯月、頼んだよ」

卯月「りょーかいっ!司令官の電話が終わったらぁ、うーちゃんにくすぐり攻撃を仕掛けたおろかさを再び味わわせるぴょん!」

響「ふふ、ほどほどにね」

卯月「ぴょん♪」

響(午後は特に決めた用事もないし……どうしようかな)テクテク

??「あら、響ちゃん?」

響「大鯨さん。こんにちは」

龍鳳「はい、こんにちは。今は大鯨じゃなくて、龍鳳ですけどね」クスッ

響「!すまない、そうだったね。うっかりしていた」

龍鳳「いえいえ、まだ改造されてから日も浅いですから。それに、改造されて名前が変わる艦も珍しいですからね」

響「……それも、そうだね。……龍鳳さんは、今から買い物にでも行くのかい?」

龍鳳「ああ、このバッグですか?実は潜水艦の子達と、軽空母の皆さん合同でお鍋をすることになって……買い出し係なんです」

響「一人で平気?良ければ、手伝うよ」

龍鳳「ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ?実はもう既に、イクちゃんと瑞鳳さんが向かっているんです」

響「そうか。三人もいるなら、確かに大丈夫そうだね」

龍鳳「もしよろしければ、響ちゃんも参加しますか?ヒトナナマルマルから、軽空母寮で行うんです」

響「ん……でも、潜水艦と軽空母の懇親会だろう?水入らずの方が良いだろうし、遠慮しておくよ」

龍鳳「そうですか……わかりました。また今度の機会に、是非やりましょうね」

響「スパスィーバ。それじゃあ、気をつけてね」テクテク

龍鳳「はいっ、行ってきます」

龍鳳(……)

龍鳳(名前が変わる艦といえば……そう言えば響ちゃん、もう練度も97なのに、どうして……)

響「……」テクテク

工廠

響(工廠か……)

響(最近はめっきり開発も建造も、行う機会が減ってしまったな)

響(装備もある程度整って、艦娘もそのほとんどが着任して。まぁ、当たり前と言えば当たり前なのかもしれない)

響(大本営から贈られた着任リスト……もとい図鑑も、だいぶ埋まっているし)

響(相変わらず、大和も武蔵もいないけど)

響(……どことなく、妖精さんたちも暇そうにしている)

響「……ん?あれは……」


電「」オロオロ

響「電。こんなところで、どうしたんだい?」

電「ふぁっ!?え、あ……響ちゃん……?」

響(目が赤い……頬に涙が伝った後も残っている……)

響「……なにか、あったんだね?」

電「っ……」

響(珍しいな……下唇を噛んで、目を逸らして……。電が、こんな表情を見せるときは――)

響「ほら、言ってごらん?大丈夫……大丈夫だからね」ナデナデ

電「ひび……きちゃん……ぐすっ、うぅ……」ポロポロ

響「……」ナデナデ

響「特Ⅲ型バッヂが、ない?」

電「気付いたら、無くなっていて……どこかで、落としちゃったみたいで……」

電「第六駆逐隊の、おそろいの……っ、みんなの、仲良しの証なのにっ……それを、電は、電はっ、なくじて……っ」グスグス

響(ほら、やっぱり……悪いことをした訳じゃない。後ろめたさなんて感じる必要ないのに)

響「分かったよ。私も、探すのを手伝おう」

響「暁にも、雷にも、司令官にも……ナイショにしておくからね」シーッ

電「響ちゃん……」

響(特Ⅲ型バッヂ……第六駆逐隊の証、か)

響(電が、泣いてしまうのも無理はない)

駆逐寮 暁型部屋

響「ここにもないか……」 

電「工廠、甘味所、この部屋……今日は出撃もしていないし、電が午前中に訪れた場所はあとは執務室位なのです……」

響「執務室か。今は、司令官と卯月がいるからね……。そこは最悪最後にして、他を当たってみる?」

電「でも、他に心当たりは……」

響「いつから、無いことに気付いたの?」

電「えっと、マルマルサンマルくらいなのです。装備の点検をしている最中に気付いて……」

響「じゃあ、午前中はあったんだね?」

電「……、そう言えば、ちゃんと意識していなかったのです。朝起きて、いつものように着替えて、その時は……うぅん」

響「……電。もしかしたら、場所が分かったかもしれない」

電「!本当ですか!?」

響「ああ。一先ず、行ってみよう」

入渠施設 脱衣所

電「お風呂……」

響「昨晩、お風呂に入ったとき。もしかしたら、ここで取れてしまったのかもしれない」

響「私はこっちの方から探してみるから、電は向こうの方から探してみて?」

電「は、はいなのです!」パタパタ

響「さて……やりますか」

響(しかし……特Ⅲ型バッヂ、か……)ゴソゴソ

響(私もあれをなくしてしまったら、相当に焦るだろうな)

響(あれは、第六駆逐隊のつながりを表す物)

響(そして、私にとって、あれは)

響(司令官の、信頼の証なんだから――)

――――――――――――――――
――――――――
――――

司令官『やっと到着だな、我らが鎮守府に』

暁『はぁ……やっとお風呂に入れるのね、長かったぁ』

瑞鳳『どうせならこの船に入渠施設を付けられればいいのにって、つくづく感じるわ』

司令官『まぁこれはあくまで、僕が君たちの後を追って近場で指示を出すためってのと、
    みんなを回収できるようにって作って貰った船だからね。あんまり色々設備を増やして
    機動性が無くなっては本末転倒だし』

瑞鳳『分かってるわよ、本来なら無くて当然の物だものね』

響『私達が制圧した後の海域を進んでくるとはいえ、危険がない訳じゃない。
  そんな中をこうして回収に来てくれる事には、いつも感謝しているよ司令官。スパスィーバ』

司令官『どう致しまして。さて、入渠が必要な暁、雷、瑞鳳、多摩はドックに向かうように』

雷『はーい!』
多摩『にゃー』

司令官『電は執務室へ……あと、響も執務室へ来てくれ』

響『私もかい?了解』

執務室

響『司令官、なんだい?』

司令官『おう。響も知っての通り、今回の出撃で君の練度が70に達した。これが何を意味するか分かるかい?』

電『♪』ニコニコ

響『練度70……。もしかして、大規模改装、とかかな……?』

司令官『ご名答!響は、ついに改二になれる練度に達したわけだ』

電『響ちゃん、おめでとうなのです!』

響『改二……改二、か。なんだろう、電や暁の方が練度は高いのに、私に改二の機会が訪れるなんて、その』

響『なんだかちょっと、むずかゆいな』テレッ

司令官(困ったように眉を下げながらもはにかむこの天使の表情よ)

響『けれど、そうか……私も、改二になる時が来たのか……』ポソッ

電(あれ、響ちゃん……今一瞬、何だか寂しそうな……)

司令官『響は改二になると、名前も変わって姿も変わるんだよな』パラパラ

電『響ちゃん改め、ヴェルちゃんなのです!』

響『ほぉ、二人ともよく知っているね。確かに私は、響からヴェールヌイになる』

響(そう、ヴェールヌイになってしまうんだ)

イキノコッテシマッタガユエニ

響『ヴェールヌイは、信頼できるという意味なんだ』

響(改造は嬉しいはずなのに、喜ぶべき事なのに)

ナヲカエタフシチョウハソノハネヲモガレ

響『だから司令官。電。』

響(胸が、)

イコクノチデウカンデイル

響『これからももっと、私を信頼してくれ』

響(胸が、苦しい――)

ヴェールヌイハヒトリボッチ

司令官『ふむ……そうだな。これまでも、これからもずっと、響のことは頼りにしているよ』

響『ああ』ズキズキ

司令官『だけど、その、あー……何というか、うーん』

響『?』

司令官『怒らないで聞いて欲しいんだけどさ。いや寧ろ怒ってくれても良いけれど。ちょっと、これは本当に僕のワガママなんだけれど』

司令官『響をね、改造したくないな、と思っているんだ』

電『えっ!?』

響『……、は……』パチクリ

司令官『いや、ね?ほら、僕ってずっと君達第六駆逐隊を運用してるじゃないか。だからその、なんて言うのかな。
    第六駆逐隊は第六駆逐隊であって欲しいと言うか、四人お揃いなのが微笑ましいというか……』

司令官『いやなんかホント、ごめんっ!』

響『……』

司令官『……怒ってる……よね……?』

響『……ふ』

響『あは……あははっ!ふふふふ!』

司令官『ひ、響』

司令官(あの、響が声を大にして、お腹を抱えて)

電(涙まで流して、笑っているのです!)

響『ふふっ、はぁ……失礼、ついつい』クスクス

司令官『いや、こちらこそ失礼なことを……』オソルオソル

響『司令官』

司令官『ひゃいっ!』ビクッ

響『……司令官が望むなら、私は構わないよ。いや、寧ろ……』チラッ

電『?』

響『皆と同じ服を着て。第六駆逐隊でずっとお揃いって言うのは、悪くない。とても素敵なことだと思う』

響『だから、私はこのままで』

響『特Ⅲ型駆逐艦、響のままでいようと思う』

電『いいんですか?響ちゃん……』

響『もちろんだよ、電。……この、特Ⅲ型バッヂも、無くしたくないしね。暁と雷と……電、私達の絆の証だから』

電『響ちゃん……えへへっ』ニコニコ

司令官(天使達のおかげでとっても福眼です!)

司令官『響。信頼しているよ。ヴェールヌイと名を変えなくても、君は大切な、この鎮守府の艦娘だ』

司令官『駆逐艦響を、僕は。信頼しているからね』

響『……、……スパスィーバ』ニコ

――――
――――――――
――――――――――――――――

響(このバッヂがあるから、私達は……私は――)

響「ん?……と、」

響「これは……」ゴソッ

響(――ふふ、良かった)

響「電、見つかったよ。カゴの中にあった、ほら」

電「本当ですか!わぁ!……良かった、良かったのです……!」ギュー

電「響ちゃん、本当に、本当に、ありがとう!」ニコッ

響(ангел……)

響「もう、なくさないようにね」

電「うんっ!しっかり付けておくのです」ゴソゴソ

響(私も、なくさないようにしないとね。この証を)カサッ

ヒトハチマルマル 軽空母寮

龍鳳「なるほど……そんな経緯があったんですか」

瑞鳳「実際その場に立ち会った訳じゃないから、あくまでも伝聞だけど……」

伊19「あの子達のことはイクもず~っと見てきたけれど、なんだかんだ言って四人で一体みたいな部分があるのね」

伊19「響もきっと、改造されなくてホッとした思いはあるだろうし」

龍鳳「そうなんですね……」

呂500「みんなーっ!おなべ、出来ましたって!」

伊19「……」ジーッ

呂500「ろーちゃんの顔に、何か付いてるの?」

伊19「……ろーちゃんは可愛いなー、ってね」イヒヒ

呂500「ほ、ほわぁ!イク、いきなりはひきょうー!」ワタワタ

翔鳳「ほら、これがしゃぶ餅よ。こうやって、しゃぶ、しゃぶ、しゃぶ……」

呂500「おー……おおーっ!」

呂500「でっち、もち!おもちー!」ビローン

伊58「分かったからでっちって呼ぶなでち!ああっ!?伸びたお餅があちこちにくっついてるし!」

伊58「ろーちゃんは全く、仕方ないんだから!」フキフキ

呂500「えへへー!」キラキラ

伊8「けれどろーちゃん、ここに来たときに比べて本当に変わったよね」

伊168「改造して、姿も性格も180度変わっちゃったって言っても過言じゃないわ」

伊168「まぁ、良いことだとは思うけど」

飛鷹(改造の影響と言うより、ここでの生活に馴染んだからって言うのが主な気もするけれど……)

隼鷹「ひーよーぉー!飲んでるかぁ!」ヒック

飛鷹「……あなたは改二になっても本当に変わらないわね」ハァ

龍鳳「けれど、響ちゃんは……ずっと、響ちゃんのままなのでしょうか」

伊8「?どういう意味?」

龍鳳「きっといずれ、第六駆逐隊のみんなに改二が実装されるときが来るでしょうし……そうなった時に、みんな改造を受けるのか、みんな改造を受けないのか、それとも……」

龍驤「なるほどなぁ……。けど、うちが思うに少なくとも電は改造されるんやない?」

伊168「あの提督だし、それは分かるかも」

翔鳳「むしろ、改二が実装されれば暁ちゃんも雷ちゃんも、すぐにでも改造されそうですよね」

龍鳳「やっぱり、そうですよね……響ちゃんだけが……」

全員「……」


鳳翔「龍鳳ちゃん。あなたの気持ちも、分かります」

鳳翔「けれどね。この先どうなるかなんて、まだ決まっていないでしょう?」

龍鳳「えっ……?」

鳳翔「どうなるか分からないけれど……あの子達はきっと、どう転んでも大丈夫ですよ。それに、提督がちゃんと見てくれています」

龍驤「せやせや。仲間の内で姿が変わろうが、一人だけ改のままだろうが、仲良しこよしなら関係なんてないで!事実、ここにも良い例がいくつかおるやないか?」

呂500「ふぇ?」モグモグ
まるゆ「え、え?」
飛鷹「……私も?」

鳳翔「ろーちゃんは、日本の文化に馴染んで、どう?嬉しい?」

呂500「はい!お陰様で友達もいっぱい出来たし、この姿でビデオレターを送ったらドイツにいるみんなもろーちゃんが元気にしてるって喜んでくれました、はい!」

呂500「でっちとか、マル=ユーとかとかおもしろい友達もいて……ろーちゃん、ここへこれて良かったなーって!」ニパー

伊58「だから……」

呂500「でっち大好きーっ♪」ギュー

伊58「……はぁ、もう、いいでち……」ナデナデ

まるゆ「」オロオロ

伊8「まるゆも、当初に比べてだいぶ馴染んだよね」

まるゆ「はっ、はい!あの、その……」

まるゆ「まるゆは皆さんとちょっと違いますし、陸軍うまれですし……けれど皆さん、そんなこと関係ないって、まるゆと仲良くしてくれて……」

まるゆ「まだちょっと艦娘さんは怖いけれど……それでも、まるゆは皆さんに感謝、しています」ゴニョゴニョ

伊19「あー!もう、まるゆは食べちゃいたい位可愛いのねっ!」ギュウ

まるゆ「ひっ、ひゃあぁ……」ビクビク

龍驤「飛鷹も、妹に改二が来てグレるかなーっと思ったけど、仲良くやっとるみたいやしね」

飛鷹「なんで私がグレなきゃいけないのよ。……でもまぁ確かに、羨ましいって気持ちはあったけれどね」

飛鷹「だからって、それで自慢を語るような妹でもなければ劣等感を感じる私じゃない。例え、この先私がずっと改のままだとしても……」

飛鷹「なにより、それくらいで壊れる仲じゃないもの」

鳳翔「さすがですね、飛鷹ちゃん」

飛鷹「まぁね――」

準鷹「おおーっ?飛鷹ぉ、もしかしてアタシのが胸あるんじゃなーいぃ?なんたって改二だしぃ……あひゃひゃ」ムニャムニャ

飛鷹「……。ごめんなさい、前言撤回良いかしら?」

龍驤「あははー」

龍鳳「……そっか、そうですよね。変わっても、変わらなくても、同じでも、違っても……」

鳳翔「龍鳳ちゃんも、改造の時。やっぱり、悩んだんじゃないかしら?」

龍鳳「はい……空母の皆さんとうまくやっていけるのか、そして……潜水艦の子達と、ともすれば縁が切れてしまうんじゃないかって……」

龍鳳「けれどそれは、杞憂でした。改造されて、名前も、姿も、艦種も変わって……けれどこうして今、みんなで仲良くお鍋をつついている」

龍鳳「あこがれの先輩方の名前も頂けて、私は今、本当に幸せです」ニコ

龍驤「そうやろそうやろ……って、んん?名前を貰った?龍鳳なんて艦娘、他にいたっけ?」

龍鳳「龍驤さんと、鳳翔さん……。一航戦として空母の先駆けとして、みんなを引っ張って来られたお二人は、私のあこがれです!」

龍驤「あ……あは、あははーそうきたかー。な、なんや照れるな、鳳翔?」

鳳翔「ふふっ、そうね、龍驤」

龍鳳(――思えば。姿形も、性格もしゃべり方も、使用している装備も異なって。方や、改二になっても、お互い何の気がねも感じさせないこのお二人こそ、一番。仲良しのお手本、なのかもしれませんね)

龍鳳「私も……いつまでもみんなと仲良しでいたいな……」ポソッ

伊19「……、……」チラッ

潜水艦’s「」コクコク

伊19「名前が変わっても艦種が変わっても。龍鳳がイク達のお母さん的存在なのには変わりないのね!」ギューッ

龍鳳「あ……イクちゃん……」ジワッ

伊19「ねっ、みんな?」

潜水艦’s「おかーさーん!!」ガバァ

龍鳳「わ、わあぁ!」

龍驤「全く、しょうがない子達やなぁ……ん?」

瑞鳳飛鷹翔鳳「……」ジッ

龍驤「はぁ……」スッ

龍驤「ええんやで?」ニコッ

瑞鳳飛鷹翔鳳「おかあさぁん!」ギュウーッ

鳳翔「あらあら、困った子達ね。よしよし」ナデナデ

龍驤「…………あれぇー?」

フタマルマルマル 駆逐寮 広間

電「うぅん……」ジッ

響「……、……」

電「ここは……こーいこい、なのです!」

響「そうか、分かったよ。じゃあ私の番だね。……いや」

響「私の、勝ちだね」パシッ

電「はわっ!お月様が!」

響「これで雨四光……8文の倍で16文だ」

電「はわわ……電の負けなのです……花札、難しい……」

電「でもでもっ!楽しいのです!響ちゃん、もう一回なのです!」

響「望むところだよ。じゃあ――」

ピンポンパンポーン

響「放送?なんだろう」

卯月『暁ちゃーん、司令官が呼んでるぴょーん!』

司令官『こら卯月!放送はちゃんとしろ!』

卯月『ぷっぷくぷー!えー、駆逐艦暁ちゃん。至急、執務室まで来るように!ぴょんっ』

卯月『というか第六駆逐隊全員集合ぴょ~ん!』

ピンポンパンポーン

響「卯月は相変わらずだね」

電「なのです。それにしても、暁ちゃんに何かあったのでしょうか」

響「私達にも関わる事みたいだけれど……行ってみようか」

執務室前

暁「な、なんだろう……何か悪いこと、しちゃったのかな……」ドキドキ

暁(ふえぇ、一人で入るの緊張するよぅ……)

雷「暁?」

暁「あ、い、雷」

暁(助かった!)

雷「放送で暁が呼ばれたから、びっくりしちゃったわ」

暁「暁だって、びっくりしたんだから。熊野さんとお話していた最中だったのに」

雷「何か心当たりとか、あるの?」

暁「うーん……」

暁(なんか思い返してみたら色々出てくる気がする……)

暁(で、でもみんなも呼ばれているんだし……怒られることとか、ない、よね?)

暁「あうぅ……」

電「暁ちゃん、雷ちゃん!」

雷「あ、電!響も!これで全員そろったわね」

響「で、暁はどうして呼び出されたんだい?」

暁「これだ!って思いつく物はないんだけど……」

雷「実際に司令官に聞くしかないわね」

響「よし、じゃあ入ろうか」ギィ

暁「ちょ、ちょっと、心の準備g」

暁「って響、もう開けてるしーっ!」フエェ

電「失礼します、なのです!」

卯月「いらっしゃいませぇ~!ご注文は卯月ですか?ぴょんっ♪」ニコニコ

司令官「こーら卯月、ふざけないの」

卯月「えへへ~♪」

雷「うーちゃん、やけに上機嫌ね」

卯月「上機嫌なのは司令官もいっしょだぴょん」

雷「そうなの?司令官」

司令官「まぁ、否定はしないけどね」

暁(良かった……怒られる訳じゃなさそう)ホッ

響「それで司令官、暁と私達に何の用だい?」

司令官「そう、それだよ!それなんだよ暁!」肩ガシッ

暁「きゃっ!し、司令官……」

暁(顔が、顔が近いの~っ!//////)カアァ

司令官「良く聞いてくれ。さっきな、大本営から発表があったんだ!」

司令官「この度、新たに駆逐艦暁の更なる改装の実装に成功したって!」

電「!それって……!」

司令官「そう!待ち望んでいた、暁の改二だ!暁、改二になれるんだよっ!」ギューッ

響(暁に、改二……)

暁「ししし司令官っ!く、苦しい、苦しいからっ!//////」ポカポカ

司令官「おっとと、ごめんごめん。いやぁ、テンション上がっちゃってな!はっはっは」

雷「暁の改二でこれなら、電に改二が来たら司令官はどうなっちゃうのよ」

司令官「恐らく、爆発四散するな!」

電「はわっ!?し、司令官さん!爆発しちゃダメなのです!」アワアワ

響「……、……」

暁「暁の、改二……改二かぁ……えへへへへへへ」ポケー

電「暁ちゃん、夢心地なのです」

雷「ねーっ」

暁「で、でっ!司令官、暁はいつ改二になれるのかしら!」ワクワク

司令官「今、大本営が暁改二のための改造案内を全鎮守府へ送る手配を立てているらしい」

司令官「見立てでは、一週間程度かかるとか」

暁「一週間も!?うぅ、一週間待つのかぁ……」ソワソワ

司令官「届いたらすぐに改造してあげるから、そんなそわそわするなよ」クスクス

暁「なっ!そ、そわそわなんかしてないし!暁はレディだから、一週間くらい余裕で待てるんだから!」!カスンプ

響(一週間……一週間後、暁は改二になる。いや)

響(改造案内が届き次第、すぐにでも)

響(暁は、改二に――)ズキッ

響(おかしいな……暁が、改二になるなんて、とても嬉しいことなのに)

響(私の胸は、あの時みたいに……)

卯月「おめでたぴょん!あーっ、うーちゃんも早く改二になりたいぴょ~ん!」

雷「私も私も!もっとも~っと司令官に頼って貰いたいし!」

司令官「まぁそう焦るな。大本営の方で解析が進めば順次、改二も実装されるはずだし」

司令官「それに僕だって、みんなの改二をずっと楽しみにしているんだよ?」チラッ

電「!」

卯月「とぉ言いつつ~、すーぐ視線は電ちゃんに向くんだからぁ。司令官は相変わらずぴょん」

雷「むぅ!電、どっちが先に改二になれるか、勝負よ!」

電「ふえっ!?はわ、はわわわ……」

響(……そう、か)

響(みんな、司令官に改二の時を楽しみにされているんだ)

響(みんな、その時が来れば、改二に、なれるんだ)

響(……みんな?私、は?)

響(私は、いつまで響のままなのだろうか。いや、いつまでも響のままなのだろうか)

響(司令官はもう、私の改二は頭にないのだろうか)

響(皆が改二になってゆく中で、私はずっと、このまま)

響(私だけずっと、このまま……私だけ?)

響(私だけ――私だけが……)

ヒトリダケ

響 チラッ

雷「でも、早く来てくれないと改二より先に練度がMAXになっちゃうわ!」

卯月「逆に考えるぴょん。練度は心配ないんだからいいさ、と!」

響(練度……そうだ。私もとうの昔に必要練度は足りている)

響(改二になる為に不足している物なんて、ないんだ)

響(そうだよ、私が、改造して欲しいとさえ言えばそれでいい)

響(そこに、何の障害も無いじゃないか)

響(私は響じゃない。私は、ヴェールヌイに、)

響(皆と同じ、改二に、)

響「しれっ――」





暁「改造されたら、このバッヂはどこに付くのかなっ♪」

響(っ……!)ドクン

響(……ああ)

響(私がヴェールヌイになると言うことは……第六駆逐隊で無くなると言うことだ)

響(なぜそんなことを、忘れていたのだろう)

響(私がヴェールヌイとなることを司令官は望まない)

響(私は改二にはなれない)

響(改造された瞬間に、第六駆逐隊のつながりが)

響(司令官の信頼の証が)

響(この、バッヂが――)

響(――このバッヂが?)

響(このバッヂが私を縛り付けている?)

響(このバッヂがあるから私は改二になれない?)

響(このバッヂがあるから、私達は……私は――)

翌日 ヒトフタマルマル 執務室

暁「もーっ!もうすぐごはんの時間なのに、また招集をかけられるなんて」プクー

司令官「ごめんごめん、任務の確認をするだけだから、そう長くは時間を取らないよ」

暁「もう、仕方ないわね!暁はレディだから、ちゃんと付き合ってあげるわ。ねー、響?」

響「……」

暁「響?」

響「あ、ああ。そうだね。司令官、作戦命令を」

電「……?」

司令官「よし。今回大本営から発令された任務は、準水雷戦隊を用いた沖ノ島沖の攻略だ。今ここに集まって貰った、電、暁、響、雷、多摩、筑摩の六名で水上挺身部隊を結成し、沖ノ島沖への突入を行う」

司令官「道中、敵本隊戦共に過酷を極めるだろうが……僕は、君達なら大丈夫だと信じているよ」

雷「司令官に頼られてるんだから、頑張らないとね!!」

筑摩「姉さんも応援してくれるかしら……」

響(……)

響(信じている、か)

響(駆逐艦響を信頼していると、そう言ってくれた司令官)

響(あの時の言葉を覚えてくれているからこそ私は、未だこの姿のままなのか)

響(私は、司令官に信頼されているのだろうか)

響(……司令官が信頼してくれるなら、私は響のままでいい)

響(司令官が信頼してくれるから、私は戦える)

響(そうだ、戦うんだ。みんなと一諸に、今回の任務も成功させて)

響(みんなと、一諸に)

司令官「――で、以上のような動きを基盤としてくれ。決行は明日、マルハチマルマル」

司令官「また、本作戦においては索敵値が非常に重要となる。深部にいる本隊が、どうやら霧の深い位置に拠点を構えているらしい」

司令官「そこで、索敵を踏まえた上でみんなの装備についてだが。電は、五連装酸素魚雷――」

響(いつも通りの装備なら、私の役割は対空射撃だ。後で連装高角砲と高射装置の調整を――)

司令官「最後、響には索敵支援を主だって行って貰う。元々の艤装に取り付けられた銃器を除く主砲、副砲を外し、33号対水上電探を3機積むように」

響(――え?)

響「し、司令官?」

司令官「響、頼んだぞ。砲雷撃戦にはあまり参加せず、無理はしないようにな」ナデ

響「っ……」

響(司令官、どうして、どうして私なんだ)

響(どうして、私だけなんだ)

響(どうして――)

沖ノ島沖

雷「照明弾、ってー!」

暁「探照灯照射準備よし!突撃するんだから!」

響「み、みんな、待っ……」

リ級「!」ジャキッ

響「重巡リ級!」

リ級「シズメ……!」ドォン

響(くっ、こんな装備じゃ捌けない……!)

響「っ、あああぁぁ!!」

司令官『戦況はどうだ?』ザザッ

電「なんとか戦闘海域は切り抜けたのです。でも……」

多摩「響が大破したにゃ」

司令官『そうか……』

響「司令官……すまない……」

司令官『……気にするな、響。元から期待なんてしていないよ』

響「!しれい、かん……?」

司令官『電探しか積んでいない駆逐艦など、ただの置物も同然だ。戦力としての信頼なんか、無いも同然だからな』

響「あ、あ、」

司令官『よし。全艦進撃せよ!本隊を見つけさえすれば、あとは響に価値なんてないからな!』

響「っは!あああ、う、う……っ!」






響「うわあああああああああぁぁぁぁっぁぁぁ!!!!!」ガバッ

響「っはー……!はー……。……?」

雷「んゅ……ひびきぃ?ろうしたの……」フアァ

響「いや……その、何でもない……」

雷「そぅ……?ん……なら良いけど……ね……おやすみぃ……」Zzz

響「あ、ああ……おやすみ」

響「……、夢か……」

響(夢……いやな夢、だったな……)

――信頼なんか、無いも同然だからな――

響「っ……」ギュゥ

響(汗が、ひどい。……少し風を浴びてこよう……)スッ

電「……、……」

響「ふぅ……」

響(潮のにおい……風は心地よいけれど、これはお風呂に入り直さないといけないかな)

響(綺麗な満月だ。晴れていて良かったと、心から思う。星もあんなに輝いて――)

響(星か……司令官に見せて貰った、ヴェールヌイの改造図書では、帽子に特Ⅲ型バッヂの代わりに錨と星のバッヂが付いていたっけ)

響(あそこに特Ⅲ型バッヂが付いていたら、司令官は私をヴェールヌイにしてくれたんだろうか)

響(特Ⅲ型バッヂ……)カチャッ

響(……こんなものに、私の運命は左右されるのか)

響(こんなものに、私の“信頼”は込められているのか)

響(こんなものに――)ギュッ

電「響ちゃん」

響「!……電か。すまない、さっきので起こしてしまったかな」

電「ううん……大丈夫なのです。……星を、見ていたのですか?」

響「ああ……少し悪い夢を見たせいで、目がさえてしまってね」

響「こうして……なんとなく星空を眺めているんだよ。ほら」

電「……わぁ、とっても、綺麗なのです!」

響(……月明かりに照らされて、電の左手薬指に嵌められた指輪が輝いている)

響(司令官が送ったあの指輪には、強い絆と……信頼が込められているのだろう)

響(電はずっと司令官のそばにいる。司令官はずっと電を見ている)

響(私も、ずっと二人を見てきたから。それくらいは分かるよ)

響(電……君は司令官に誰よりも期待されて、誰よりも――)

電「あっ!流れ星!……、……」

響(無邪気にはしゃぐ妹の姿は、とっても愛おしいのに)

響「電……何をお願いしたんだい?」

電「……明日の作戦がうまくいって。みんなで、無事に帰ってこれますように、って」

電「みんなで帰って、間宮さんでアイスが食べたいなって。……ちょっと贅沢なお願いをしちゃったのです。えへへ」

響(その純粋な姿が――恨めしい)

響「……きっと、大丈夫さ。だって、電がいるんだから」

電「えっ……?あ、」

電「は、はわわ!照れるのです……」

電「でも……電だけじゃないのです。みんながいるから、響ちゃんがいるから。明日は絶対、大丈夫なのです!」

響「……」

響(電……)ギリッ

電「……響ちゃん?」

響「私なんか……いてもいなくても変わらないよ」

電「そんなこと、ないのです。響ちゃんがいないと――」

響(それ以上は、もう……)

響「私がいないと、敵本隊は見つけることができない。そう言いたいんだろう」

電「え……」

響「私にはその価値しかない、少なくとも明日の作戦では」

響「心配しなくていいよ、私はちゃんとやるさ。やってやる」

響「だから、砲雷撃戦は、任せたよ」ナデ

電「あ……。……」

響「……寝ようか。明日も、早い――」クルッ

電「ひ、響ちゃん!」

響「……」

電「響ちゃん……どうしたのですか……?いつもの、響ちゃんらしくないのです……」

響(電……頼むから、もう止めてくれ――)

響「私らしさって、なんだい?私は、いつもの私だよ」

電「ううん……違うのです。だって、響ちゃん……昼からずっと、ずっと悲しい顔をしているのです……」

響「っ……」

電「響ちゃんの悲しい顔は、見たくないのです!司令官さんだって、心配して……!」

響(ああ――)

響(もう、ダメだ)

響「っふ……ふふふ」

電「響ちゃん……?」

響「司令官が、私なんかを心配するわけないじゃないか。司令官は、私のことなんか見ていないよ」

電「そんな……!そんなこと!」

響「ああ……そんなこと、ないかもしれないね。けれど、その表情を司令官は私には見せてくれないんだ。いや……電にはみせるんだ、って言った方が良いかな?」

響(どす黒い感情が渦巻く。まるで私が、私じゃないみたいに、)

響「電は、司令官のお気に入りだもんね?私と違って」

響(そう、吐き捨てるように)

電「ひ、びきちゃ……?」ジワッ

響(見開いた瞳にどんどん涙がたまってゆく様子が、私の胸を締め付ける)

響(けれどもう、止めることはできない。決壊したダムから、水が流れ出るように)

響「電は、いいよ。誰よりも司令官に見てもらって、誰よりも司令官に信頼されて」

響「装備だって、そう。司令官は電のために改修資材を使い切ったりなんかしてさ」

響「ふふっ、私なんか明日は主砲すらのせてもらえないんだよ?っはは、信頼の名が聞いてあきれるよね」クスクス

電「う、うぅ……そんな、そんなっ」グスッ

響「きっと、誰よりも……暁に改二が来ることよりも、司令官は電の改二を望むんだろう」

響「司令官は私の改二なんか頭にない……望まれていないんだ、私は」

電「違う……違うのです……っ」フルフル

響「……電」パチッ

電(特Ⅲ型バッヂ……)

響「これがあるから第六駆逐隊はつながっている……けれど」

響「これがなければ……司令官は私をヴェールヌイにしてくれたんじゃないかって……そんなことを考えるんだ」

響「ヴェールヌイになることにね、少し寂しい気持ちはあったんだ。みんなとは違う私になってしまうことに。わたしだけが、独りになってしまうことが」

響「けれどね。結局、これがあるから、司令官の期待は、信頼は、みんなに向けられて。いずれは私だけが、取り残されてしまう」

響「どちらにせよ、同じ“独り”なら……」

響「私は、信頼(ヴ)の(ェ)名(ー)を(ル)冠する(ヌ)者(イ)になりたかった」スッ

電「!響ちゃん、ダメッ――」

響(血相を変えて手を伸ばす、電の目の前で)

響(私は、握りしめたこのバッヂを)

響(夜の海へと、放り投げた)

電「あ……ああっ!そ、んな……うぅ……」

響(沈んでいく……第六駆逐隊の絆が、つながりが)

響(司令官の、信頼が――)

響(ふふ……強い後悔と自責の念に、胸がどうにかなってしまいそうだよ)ギュ

響(このまま……電は、泣き叫ぶだろうか?それとも、罵倒し責め立てるだろうか?)

響(いずれにせよ……私を突き放してくれれば、この胸の痛みも少しは――)

電「っ……」ギュウ

響「な……」

電「響、ちゃんは……!電の、大切なお姉ちゃん、で……っ!みんな、みんなでいつも一緒で、仲良しでっ……!」グスグス

響「……」ズキッ

電「司令官さんだって……!いつも、みんなを……響ちゃんを、ちゃんとっ!見ているのでずっ!」ポロポロ

響「う……!」

響「っ……!っ!!」バシィ

電「きゃっ!!」

響「電に……電には分からないさ……」

響「私のこの醜い気持ちなんか!電には、分からないさ!!」ダッ

電「あっ……響ちゃん!」

響(くそ……くそっ!どうして、どうしてそんなことを言うんだ!)

響(どうして……突き飛ばされてもまっすぐ私を見てくるんだ……)

翌日
マルキュウマルマル 沖ノ島沖中部海域

雷「ってー!」ドォン

多摩「ふぅ……これでこの一帯の安全はひとまず確保したにゃ」

司令官『みんな、よくやったな。損傷もないみたいで何よりだ、引き続き深部へ向けて進んでくれ。僕もこのまま後を追うよ』

筑摩「了解です」

暁「……ねぇ、雷」

雷「うん?」

暁「なんだか朝から電と響の口数が少ないんだけど……何か知ってる?」

雷「うーん……私も分からないのよね。ただ一つ言えることは」

暁「言えることは?」

雷「とっても気まずいわ……」

暁「……うん」

響「……」

電「……」チラ

響(……こんな装備でも、駆逐艦くらいなら沈められるか……)

響(そうだ、戦えないわけじゃない。戦力として期待されていなくても、出来る限り敵を沈めるんだ)

響(沈めて、それで、司令官に……)

響(司令官、に?……この期に及んで私は、まだ……)

――き、……びき……!

司令官『響!』

響「!」ッハ

司令官『響、どうした?呼びかけに応じないなんて……』

響「いや、大丈夫だよ。少し考え事をしていたんだ。出撃中にすまない」

司令官『大丈夫なら、いいんだが……。お前が上の空なんて、珍しいからな』

司令官『戦闘中はちゃんと集中するようにね?特に、攻撃手段が少ないから仲間としっかり連携を取るように。大丈夫かい?』

響「ああ、大丈夫だよ」

響「――私は独りでも」ボソッ

筑摩「日が沈んできましたね……夜偵を飛ばします」ブゥン

暁「夜戦は十八番だけど……敵を見つけていない状態だと、少しこわ……くはないけど、緊張しちゃうわ」ピカーッ

響「……、……水上電探に感あり。11時の方向に敵影見ゆ」

雷「11時ね!よーし、照明弾、ってー!」パアァ

電「見えた……!梯形陣展開、突撃するのです!」

多摩「にゃあ!!」

暁「軽巡、駆逐……げっ!重巡リ級もいるわ!」

響「リ級……」ゾクッ

響(っ……昨日のはただの夢……そう、夢なんだ!私は!)

電「魚雷装填、命中させちゃいます!」ドォン

筑摩「さすがね電ちゃん!」ドッ

雷「このままなら行けるわ!一気に……!?」ドォン

雷「っあ!どこからっ!?」小破

暁「そ、そんな!いつの間にか回り込まれて!」

響「挟撃か……くっ!」

多摩「こっちは何とか捌けるにゃ!……!響、危にゃい!!」

響「えっ――」

リ級「」ジャキッ

響(そんな、いつの間に目の前に)

リ級「シズメ……ッ」

響(砲身が、こちらを睨む)

響(ああ、このまま、あの夢のように)

電「響ちゃぁん!!」ダッ

響(なっ、電……どうして――)

ドオォ……ンッ

響「ぐ、ぅ……っ」

電「う、あ……」

暁「電!響!!」

筑摩「この……っ!」ドォン

リ級「グ、アァ……」

雷「敵部隊鎮圧!でも……」

電「ごめん、なさい響ちゃん……間に合わなくて……庇いきれなくて……っ」中破

響「いなづ、ま……どうして、どうして……電は、旗艦なのに……」

響「痛、ぅ……」大破

司令官『響、電!どうした!?状況報告を!』

多摩「……提督、敵艦隊の撃滅には成功したにゃ。ただ、旗艦電が中破、響が大破したにゃ……」

司令官『そうか……中破と、大破か……』

響「」ビクッ

――……気にするな、響。元から期待なんてしていないよ――

――電探しか積んでいない駆逐艦など、ただの置物も同然だ。戦力としての信頼なんか、無いも同然だからな――

――よし。全艦進撃せよ!本隊を見つけさえすれば、あとは響に価値なんてないからな!――


響「い……や、いや、だ」

響「聞きたくない……聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない!」プツン

響「私は、まだ……まだ!」ダッ

電「響ちゃん!?っ……!」ズキッ

司令官『ど、どうした!何があった!?』

雷「し、司令官!大変、大変よ!」


司令官『響が、大破のまま飛び出しただって!?』

雷「今、必死に探索しているけど……」

筑摩「霧があまりにも深く、私たち全員の索敵能力を合わせても見つけられないんです」

司令官『く……無線にも応答しない、戦闘の衝撃で通信機器が故障したか……?』

司令官『くそっ……みんな、この霧の中くれぐれも離れ離れになるんじゃないぞ!』

暁「本当に、困った妹なんだから……っ!」

電「響ちゃん……」

響「っはー……はー……」

響(全身が、痛い……思えばこんな状態で水上を走るなんて、初めての経験だ)

響(私は、何をしているのだろうか……あんな夢を信じて通信を切って、飛び出して)

響「!水上電探に、感あり……」

響(ふふっ、逃げ場もないじゃないか……。いや、いいんだ、これで……)

響(あそこで、撤退したとしても……湧き出るようなこの思いと共に過ごすのはごめんだ)

響(もちろん、万が一……夢のように司令官に吐き捨てられるのも……耐えられない)

響(だったら、せめて――)

戦艦タ級flagship「キタカ……ニクキカンムス……」

響「お前を倒せれば……司令官の信頼を、取り戻せるかもしれない」

響「いや……やるさ!ypaaaaaaaaa!!」

タ級「オロカダナ……ヒトリデ、コノバマデクルナド!」ドッ

響「っ……当たらないさ、そんな攻撃!」

ル級「クチクカンヒトリニ、ナニガデキル!」ドォン

響「できるんだよ、それが!」

響(そうだ……こんな装備でも、こんな状態でも……夜戦の要領で肉薄すれば、戦艦だろうが沈められる!)

響(全員を相手にする必要なんてないんだ!タ級、あいつさえ倒せれば!)

ル級「コイツ、チョコマカト……!」

タ級「クッ……ネラッテイルナ……ワタシヲ!」

響「ypaaaa!!」

ル級「ナッ!ヌケラレタ!?」

ル級「コ、コイツ!ワレワレノジンケイノナカニ……!」

響(普通じゃ考えられない、バカなことをしてるな……私も)

響(けれど、意表をつけた!タ級は目の前だ!)

響「行ける……行けるっ!」ガチャッ

タ級「モ、モウメノマエニ!」

響「終わりだよ……!」

タ級「コイツ……!」



タ級「バカダナァ?」ニタァ

響「!?あ、足が、」

ニ級「」キィキィ

響(駆逐、ニ級……!足にかみついて!)

タ級「」ガチャ

響(まさかこいつ、ニ級ごと私を……っ!)

響「ぐ、は、離せ……離れろっ!」

タ級「ムダダ」ドオォン!

響「がはっ!!あ、ぁ……」

タ級「シズメ。ヒトリボッチノクチクカン」

響(あ――)

響(うみの、なか)

響(ひかるすいめんが、みえる)

響(つめたい、つめたいみずにつつまれて)

響(――そうか。私、沈むんだ)

響(暁……雷……電……)

響(司令官……)

響(おかしい、な。私は、独りになりたくないだけだったのに。みんなと、一緒にいたかったのに)

響(独りで、沈むんだ)

響(誰にも、看取られず……誰にも、呼ばれず)

響(独りで――)

響(私は響でありたかった。けれど、私はヴェールヌイになりたかった)

響(二兎を追って……見事にどちらも、逃してしまったんだな)

響(結局……私は、誰なのだろうか)

響(いや……もう、誰だって構わないさ。けれども、せめて)

響(せめて最期に、あなたに信頼されている私を想像させて――)

響「私の、最期の名は……ヴェールヌイだ……」

響(ダスヴィダーニャ……司令官――)


――最期の名前がヴェールヌイなら――





司令官『ここで沈むのは、間違ってるだろ響ぃ!!!』

響「!!」

ザバァ!

響「ぐは……っ!げほっ!ごほ!」

司令官「っはー!はぁ!よし、筑摩!引き上げてくれ!」

筑摩「はい、了解です!」ガララララ

響「あ、なっ、し……」

響「しれい、かん……どうして……」

司令官「その質問は後だ!筑摩、助かった!」

筑摩「ええ!では私は船尾のほうへ!」

司令官「頼んだぞ!」

電『司令官さん!無事ですか!?』

司令官「ああっ!響もろとも無事だ!」

電『良かった……!良かったのです!』

暁『まったくもう、本当に無茶するんだから!』

電『みんな、司令官さんと響ちゃんが乗った船を中心に輪形陣を展開!』

雷『りょーかいっ!死守するわ!』

司令官「……、響……無事でよかった、本当に……」ギュウ

響「あ……司令官……どうして、こんな戦闘海域の真ん中に、来たんだ……」

司令官「お前を回収するために、決まっているだろ?この船にゃ戦闘用の装備は積んでないが、索敵兵装なら積んである。……さがすの、苦労したんだぞ?このバカ……」

響「……、司令官こそ、バカだよ……こんな危険地帯に……自ら的になりに来るようなものだ……。それも、私を回収しに何て――」

司令官「見殺しになんて、出来るわけがないだろう?響は僕の大切な、艦娘なんだから……」ナデ

響「バカだよ……本当に、……大バカだ」ツゥ

戦闘終了  船上

雷「な、なんとか、敵艦隊の撃退に成功したわ……」

筑摩「みんな、ぼろぼろですけどね……」

電「でも、誰ひとりかけることがなくてよかったのです」

響「みんな……すまない、私のせいで、こんな……」

暁「本当よっ!心配、したんだからね!響がもし、いなくなっちゃったらって……」ジワッ

暁「ううっ、安心したら、今になって涙が……」グスグス

響「すまない……」

雷「響……」ギュッ

響「雷……」

雷「……」ポロポロ

響「……」ギュウゥ

鎮守府船着き場

司令官「やっと帰ってきたな……みんな、帰ったらすぐに入渠だ」

司令官「多摩、筑摩は高速修復材を使用。四人は、それぞれドック入りだ」

多摩「ふにゃー……疲れたにゃあ」

筑摩「なんだか、長旅でしたね」クス

司令官「みんな、本当にお疲れ様。入渠後は各々羽を伸ばしてくれ」

司令官「ああ、それと……響は入渠後、執務室へ来てくれ」

響「……ああ、分かったよ司令官」

電「……」

入渠施設

雷「それじゃあ、私も先に出るから」

電「わかったのです!お風呂から出たら、お部屋に向かいますね」

雷「ええ!響も、司令官の用事がすんだら部屋で一緒にデザート食べましょ!」

響「ハラショー」

雷「それじゃあね!」

響「……、……」

響(あと少し……電は1時間とちょっとか)

電「……」

響「……」

響電「あの」

響「あ、すまない。電、なんだい?」

電「はわわっ!い、電は大丈夫なのです!響ちゃんから、どうぞ……?」

響「……。まず、今回は本当に、申し訳ないことをしたね……みんなに大きな迷惑をかけて、司令官を危険にさらした」

電「それは、もう、大丈夫なのです。響ちゃん、船の上であんなにも謝ったんだから……」

響「謝っても謝りきれないよ。私は、艦娘として失格だ」

電「響ちゃん……」

響「それと……電には、あの夜ひどいことを言ってしまった。目の前で、バッヂも捨てて……」

電「……」

響「軽蔑してくれて構わない。あんなに、みんなで大切にしていたバッヂを私は……捨てたんだ」

響「艦娘としてだけじゃない……私は、第六駆逐隊として、失格だ」

電「……違うよ、響ちゃん」

電「バッヂの有無なんて関係ない。だって響ちゃんは確かに第六駆逐隊の一員で、私のお姉ちゃんで」

電「響ちゃんは、響ちゃんなのです!」ニコ

響「電……」

響「それは、私がヴェールヌイになったとしても……。……いや、私はヴェールヌイにはなれないか」

電「……響ちゃんが、望めば。きっと、司令官さんは響ちゃんを改造してくれるのです」

電「ううん、むしろ司令官さんは、響ちゃんを改造したくてたまらないはずなのです。それこそ、電なんかよりも」

響「え――?……はは、電、慰めにしては……」

電「電は、悪い子なのです。電は響ちゃんのこと、羨ましくて……ちょっぴり、嫉妬して」

電「だって、司令官さんは着任した時から……ううん、着任する前から、ずっと」

――――――――――――――――
――――――――
――――

司令官『なぁ電、聞きたいことがあるんだが』

電『はい、なんですか?司令官さん』

司令官『まずはこれを見てくれ』

電『これは……?大本営から送られてきた図鑑ですか?あれ、でも全部埋まってる……』

司令官『着任前に友人からもらった、艦娘の一覧リストだ。で、電に見てもらいたいのはこの子』

電『えぇと……?何て読むのでしょう……べっ、ぷ?』

司令官『これでヴェールヌイって読むらしい。電は、この子のこと、知らない?』

電『うーん……。でも、面影は響ちゃんっぽいような……』

司令官『響?』

電『はい、電と同じ、第六駆逐隊の一人なのです。暁ちゃんの次にお姉ちゃんなのです!』

司令官『ほうほう、響響……この子か。ああ!確かに似てる!』

電『そういえば、詳しくは分からないのですけど、響ちゃん、昔は確かどこかの国に引き取られて名前が変わったような』

司令官『それビンゴだろ!よーし響だな!これはなんとしても響を早いとこ我が鎮守府に迎え入れないと!』

電『???』

司令官『いやぁ、実はね。配属前にこの一覧を見せられてこの子に一目ぼれしたというか、何というか……ともかく!ヴェールヌイに、響に会うのが楽しみだ!』

電『?電も、響ちゃんに早く会いたいのです!』

司令官『よーし!工廠に行くぞぉ!』

電『なのです!』

――――
―――――――――
――――――――――――――――

電「それから、なかなか響ちゃんに会えなくて……司令官さんったら、少ない資材を全部つぎ込んでまで建造して」クスクス

響「司令官が、そんな……」

電「響ちゃんが練度70になったあの日も……司令官は、これで改造できるんだって。すごく喜んでいたのです」

響「でも、司令官は」

電「……あの時、響ちゃん、なんだかさみしそうな顔をしていたのです。きっと司令官は、それで響ちゃんの気持ちを察したんじゃないでしょうか」

響「……そん、な……司令官は、ずっと……」

電「そう。ずっと、響ちゃんを、見ていたのですよ?」

響「!」

電「響ちゃん。もう、入渠時間も終わっているのです」

電「司令官さんが、待っているのです」ニコ

響「!……、……電」

響「ありがとう」ザバ

電「なのです!」

電「……」

電「電は……悪い子なのです、司令官……」ブクブク

響「はぁ……はぁ……」

響「司令官、来たよ」トントン

司令官「おー、待ってたよ。入って」

響「失礼するよ」

司令官「しっかり治ったみたいだね、良かった良かった」

響「その……」

司令官「おっと、謝罪ならいらないぞ?もう十分聞いたからね」

司令官「それに。誰も責めちゃいないさ」

響「……」

司令官「お茶でもどうだい?淹れるよ」

響「それなら私が」

司令官「いいから。響は座っていればいい」

響「……、うん……」

響「……」

司令官「……」

響「……」

響「……、……司令官……」

響「私は今回、本当に馬鹿なことをしたと思っている……」

響「索敵要員としての責務を放棄し、独断行動のあげく……敵本隊の元へ司令官を、来させてしまった……」ジワ

響「こんなんじゃ……私……っ、司令官からの、信頼なんて……得られない、ね」ツゥ

司令官「……響。僕は、駆逐艦響を信じている。そして、これからも頼っていくつもりだ」

響「けれどっ……私は……!」

司令官「響!」ギュウ

響「あ……」

司令官「今回のことは……僕も、思慮が足りなかった。ずっと響に、辛い思いをさせていたのに……響の悲しい顔を見ていたのに、僕はそれを聞いてあげることが出来なかった……」

司令官「僕はただ、僕の一方的な信頼を君に押しつけていただけだったんだ」

響「司令官……」

司令官「だからね、響――」


司令官「――僕を、信頼して欲しい」

響「!」

司令官「響を信じる、僕を。頼ってくれ……ずっと、君を見ているから……頼られる司令官に、なるから……」ギュウゥ

響「司令……官……、司令官……、しれい゛かん゛……っ!」ボロボロ



司令官「落ち着いたか?」

響「……」コクン

司令官「じゃあ、これを飲んでもう一呼吸置くか」

響「ロシアンティー……」

司令官「ごめんな、うっかりしてて両方にジャムを入れちゃったよ」タハハ

響「構わないよ。ジャムが入っていようがいまいが、どちらも同じ、ロシアンティーだ。……たまにはジャム入りも、良いかもしれない」ズズッ

司令官「……」

響「うん……おいしいよ、司令官。実にハラショーだ」ニコ

司令官「……良かった、そう言ってもらえて」ズッ

響「司令官……私は、ヴェールヌイになりたい」

響「もっと、もっと強くなりたいんだ。みんなを守れるように、」

響「司令官の信頼に、もっと応えられるように――」

司令官「そうか……。よし、分かった。暁の改二に合わせて、響。君も改造しよう」

司令官「響の改二、ヴェールヌイ。すごく楽しみだよ」ニコッ

響「……本当に?」

司令官「もちろん」

響「爆発四散するくらい?」

司令官「……響は僕に爆発して欲しいのかい?」

響「それが司令官の喜びを表してるなら……爆発、して欲しいかな」クスッ

司令官「よっしゃー!僕は爆発する、爆発するぞーっ!」

響「楽しみにしてる」クスクス

司令官「楽しみにしてるのは僕の方だけどな!!」

響「……そっか」

響(知っているよ、司令官。司令官が、待ち望んでくれていることを)

響(自分でこんなこと言うのは、少し恥ずかしいけれどね……。でも)スッ

司令官「お……?」

響「――スパスィーバ」

響(そして。ヤー・ルブリュー・ティビヤー、司令官――)

一週間後 工廠

雷「まだかなっ、まだかなっ!」ワクワク

電「あっ!暁ちゃんが出てきたのです!」

雷「本当だ!」タタタッ

暁「ふぅ……やっと改造が終わったわ!」0

雷「きゃーっ!本当に改二だわ!すごいすごい!」ピョンピョン

暁「ちょっと!はしゃぎ過ぎよ雷。一人前のレディはこんな時でも、冷静なんだから」ドヤアァ

電「いいなぁ……」

ヴェル「電」

電「はわっ!?あ、響ちゃん?響ちゃんも改造が終わったのですね!」

ヴェル「うん、さっきね。なんかちょっと、不思議な感じだよ」

電「ふふっ。おめでとうなのです!」

ヴェル「スパスィーバ。暁達は、……向こう側だね」

電「あっ、ちょっとまって欲しいのです。響ちゃんに、今のうちに渡す物が……」ゴソゴソ

ヴェル「なにか……な……っ!い、電……これ……」

電「えへへ……あの夜、イクちゃんに頼んで、拾って貰ったのです」

電「やっぱり、そのままになんか、できなくて……」

ヴェル「電……。……イクにも、御礼を言わないとね」

電「なのです!」スッ

ヴェル「……ふふっ、衣服は替わったけれど、これが残ったのは怪我の功名なのかな……」

ヴェル「今度はもう、離さないよ。絶対に」パチッ

電「えへへっ。ずっと、お揃いなのです」ニコニコ

ヴェル「ああっ」

雷「すごーい!響も変わってる!」

暁「……なんだか、白くなったわね」

ヴェル「そう?」

暁「ほら、鏡!まだ自分の姿、見てないんじゃないの?」

ヴェル「鏡……」





ヴェル(見詰めてみる。相手もまた、こちらを見詰め返してくる)

ヴェル(白銀の髪、幼い身体、水兵を彷彿とさせる服に帽子、そして……特Ⅲ型の証であるバッヂ)

ヴェル(普段はあまり見慣れないその姿も、確実に私そのものなのだ)




ヴェル「ふふ…‥っ」

暁「どうしたのよ?」

ヴェル「いや……確かに、真っ白だなって」クスクス

暁「???」

雷「それにしても響の新しい名前、なんて読むのかしら……べー、べーぷ?べー……」ブツブツ

ヴェル「……さて、すまないみんな。ちょっと私は司令室へ行かなきゃならないんだ」

暁「へっ?何かあったっけ?」

ヴェル「いや。特には。ただ――」

ヴェル「私のこの姿を、誰よりも楽しみに待っている人が居るから、ね」クルッスタスタ

暁「ふぇ?」キョトン

電「」ニコニコ

ヴェル「ああ、それと雷。私のことは今迄通り、響と呼んでほしいな」

雷「えっいいの?」

ヴェル「もちろん。その方が呼びやすいだろうし、それに――」







響「私の本当の名は響。ダスヴィダーニャ」





終わりん。投下しながらだいぶ駆け足展開だったなと気づく。
やっぱ見直さないとだめね……。
HTML依頼出してきま。




さて次は雷だ

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