少女「雨宿りですか?」(160)

No.1【雨】

男(あちゃー、降ってきたなぁ。傘持ってきてないのに。ってか雨宿りに使えそうなとこ全然ねぇな、どうなってんだここ)

男(ん……?廃墟……?雨宿りにはなるかぁ)


男「おじゃましまーす……つってもこんなボロボロのビル、誰もいね

少女「おや、珍しいですね?」

男「おわっ誰だ」

少女「誰だとは失礼な、こっちの台詞ですよ」

男「いやここ廃墟だろ」

少女「それがバレては生きては帰せませんね」

男「一目瞭然だわそんなんで消してたら人類全滅するわ」

No.2【雨宿り】

少女「雨宿りですか?」

男「ん、あぁ。たまたまこっちに引っ越してきた友達の家まで遊びに行ってたんだが駅まで歩いてる最中に降りだしやがった」

少女「それは災難です」

男「変な女に絡まれるしな」

少女「私の巣に飛び込んできたのはあなたですよ」

男「お前厨二病的発言多すぎだろ」

少女「私の性格が知られたとなっては生きては帰せませんね」

男「隠す気のない秘密が多すぎる!」

No.3【年齢】

男「すごく若く見えるが、君は学生かい?」

少女「JKですよJK。崇めてください」

男「JKにもなって廃墟で一人、何してんだよ…………」

少女「JKだからこそ、ですよ。童心は忘れないで生きていきたいのです」

男「どや顔のところ悪いけど全く良いこと言ってるようには思えんからな」

少女「むむぅ、いじわるですね。そういうあなたは……」

男「大学生、お互い夏休みで暇な身分だな」

少女「もっとおっさんだと思ってました」

男「ストレートだなオイ」

No.4【自己紹介】

少女「あなたは……

男「男だよ」

少女「おや、初対面なのにえらくオープンですね」

男「まぁ、雨宿りも長引きそうだしな。暇なんだよ」

少女「本当はかわいいJKと会話できて舞い上がってるくせにぃ」

男「…………君の名前は?」

少女「さっきまでお前呼びだったのに君、ですか。進展の予感ですね」

男「ツッコむときは男友達への癖でお前って言っちまうんだよ、早く名前吐け」

少女「ゲボォ」

男「ゲボォな、わかった」

少女「ツッコミなしですか!?少女です!私、少女です!」

No.5【話題】

男「今日はいい天気ですね」

少女「雨ですよ?雨ですよね?話題さっそく尽きたがためのテンプレートですよねそれ?」

男「しりとりする?」

少女「それ最早最終兵器ですよね?話題無さすぎですよね?」

男「しゃーねぇなぁ。好きな食べ物とかある?」

少女「しゃーねぇなって割りにはろくな質問じゃないですね、まぁ好きな食べ物くらいありますよ!」

男「そうか」

少女「……」

男「…………?」

少女「掘り下げてくださいよ!!!なんで好きな食べ物の存在だけ聞いて終わるんですか!!!」

男「なんとなく?」

少女「コミュ障ですか!」

No.6【理由】

男「君も雨宿り?」

少女「んー。まぁそんなとこです」

男「ダウト」

少女「ひぃ、何故でしょう」

男「少女は全く濡れてないし、あの雨から濡れずにここまで待避できるとも思えない。地元の人?」

少女「……そーですよー。ここ、秘密基地なんです」

男「俺に知られて秘密じゃなくなっちゃったな」

少女「二人だけの秘密ですよ?」

男「へーいへい」

少女「今ちょっと言葉の響きにどきっとしたでしょう?」

男「してねーよ」

No.7【秘密基地保有系女子】

男「そうかそうか、地元の人か。友達にはあやしい女子高生には近寄るなって言っとくよ」

少女「美少女JKの間違いでは?」

男「秘密基地を保有してる美少女とかどこに需要があるんだよ…………」

少女「男さんとかですかね」

男「俺が惚れてるかのような発言はやめろ」

少女「まだ惚れてなかったんですか。乗り遅れてますよ」

男「高校生にもなって秘密基地とかのたまい出す方が遅れてるだろ!」

No.8【】

少女「あ、そうだ」

男「ん?」

少女「言い忘れていました。ようこそ!我が秘密基地へ!」

男「どうでもいいけど君、自分のものかのように語ってるけど多分不法侵入だよこれ?」

少女「お互い様です」

男「まぁ、そりゃそうか」

少女「改めまして、ようこそ!」

男「へいへい、おじゃましまーす」

>>8
タイトル入れ忘れちゃいました。訂正です。

No.8【招待】

訂正ついでですがこのSSではNo.100くらいまでを目標に友達の家へ遊びに行った帰りの男と地元に住む少女が気ままにゆったり雑談を重ねていきます。
基本的に思いついたり気が向いたら繋げていきますのでゆったりペースになると思います。
何か取り上げていただきたい話題等がありましたら詰め込むかもしれません。
初心者なので拙いところもあるかと思いますがよろしくお願いいたします。

No.9【夏休み】

男「夏休みなのに一人でこんなとこで遊んでたのか?」

少女「ええ、まぁここ、構造的にとても風通しが良いですからね。涼しいんですよ」

男「いや、一人である方を問題としたいんだが」

少女「友達がいない訳じゃないんですけど、一人になりたいときもあるのです」

男「失恋でもしたか?」

少女「…………ハンッ」

男「今なぜ鼻で笑った!?」

少女「ケッ……短絡的なことしか考えられねぇ男だぜ」

男「キャラが崩壊してるぞ、戻ってこい」

No.10【緑雨】

男「夏に雨って珍しいなぁ」

少女「結構強い雨ですが台風とかですかね?」

男「いや、そんなニュースとかは聞いてないが」

少女「天気予報は?」

男「見てない」

少女「どうやったら天気予報を無視して台風情報を知れるんですか…………」

男「夏に雨が降るとは思わんからな」

少女「女心と秋の空とは言いますが、夏の空も大概みたいですね」

男「ふむ」

少女「あ、私心は夏の空ですよ?いつも晴れ晴れとしてますよ?一途極まりないですよ?」

男「夏の雨の日に言われると説得力ゼロだな」

No.11【約束】

少女「そういえば男さん」

男「ん?」

少女「割りとびしょびしょですよね」

男「まぁな、傘持たずに少し雨に当てられたし」

少女「実はこの秘密基地、奥の部屋が私の主な利用スペースでしてね、タオルがあるんですよ」

男「もっと早く言え……と言いたいが結構びしょびしょだしタオルを借りるのは悪い気がするぞ?借りていいのか?」

少女「ええ、そのままだと風邪を引きますから」

男「あぁー……少し肌寒いからな、お言葉に甘えて、借りることにするよ」

少女「洗って返しにきてくださいね」

男「それ、俺が洗って返すよーって言うとこじゃねぇの?」

少女「返しに……またここに来てくださいね」

男「……ん、あぁ」

少女「ふふっ、約束ですよ」

No.12【変態】

少女「これが男女逆なら透けブラにドキドキ展開なんですけどねー」カツカツ

男「どこのラブコメだよ。おっさんで悪かったな」カツカツ

少女「いえいえ、謙遜なさらずとも男さんの胸板も素敵ですよ」カツカツ

男「なんか嬉しくねぇ」カツカツ

少女「あっタオルがある部屋に私の下着もありますよ?つけます?透けブラしちゃいます?」カツカツ

男「捕まるわ!!!!!」カツカツ

少女「なんで私が通報するとわかったんですか!?」カツカツ

男「なんで通報するつもりだった!?…………てか足跡めっちゃ響くなここ」カツカツ

少女「雨音も響いて素敵でしょう?」カツカツ

No.13【女の子の部屋】

少女「着きました。この部屋です……っと。鍵はかかんないんですけど扉開けるのにコツがいるんですよねぇ。まぁそこが素敵なんですけど」ギィ

男「うわぁー。めっちゃ廃墟。……でもベッドとか机とかちゃんとあんだな」

少女「めっちゃ廃墟なのは廃墟だからです。ライフライン通ってませんしね。ベッド等は元は保健室的な部屋だったようで。あぁ、シーツなんかは新しく買ってきたものでちゃんと定期的にお家に持って帰って洗ってますから寝転んで問題ないですよ。」

男「めちゃくちゃ秘密基地エンジョイしてんな」

少女「居心地も悪くないでしょう?さっきまでここで勉強してたんです」

男「勉強?」

少女「夏休みの宿題が山積みですからね」

男「あー。俺も家にレポートとか積んだままだわ」

少女「やーいだめにんげーん」

男「まだ夏も半ばだしいーんだよ」

No.14【感性】

少女「あ、男さん、これタオルです」ポイッ

男「おー、さんきゅ…………何この柄」

少女「暗黒龍ブラック・デス・ドラゴンを纏った暗黒騎士ダークナイト・ゼロの真の姿です」

男(こいつに厨二病の気があるの忘れてたぁぁああ!!)

少女「その、戦闘における尻尾の扱い方がとても素敵でして……」デレデレ

男(え、何これ俺バッグにビニール持ってなくて濡れたタオルとか直せないんだけどこれ生身で持って帰るの?これ持って電車乗るの俺?)

少女「アニメ版だとですね、声優さんも私の好きな人でして……余計惚れてしまいました」デレデレ

男(めちゃくちゃ嬉々として語られてんだけど。めっちゃ楽しそうなんだけど。これ返しづらすぎるだろ。てかそんな好きなキャラのタオルを他人に貸すなよ、オイ。オイ。)

少女「あの……男さん?お気に召しませんでした?」

男(ええい、ままよ!!!)

男「なにこれめっちゃかっけぇな!!!!暗黒騎士ダークナイト・ゼロ!!!! タオルサンキュ!!!!」フキフキフキフキ

少女「気に入って貰えて嬉しいです」テレテレ

No.15【腕】

少女「男さんは普段部活とかしてるんですか?」

男「ん?なんで?」

少女「いやほら、さっき胸板褒めたじゃないですか。何かスポーツでもやってるのかなって」

男「高校時代は野球やってたけど大学入ってからは特になんもやってねぇなぁ。一応気が向いたら筋トレはしてる」

少女「わぁ、男の子ですね。腕とか触ってみていいですか??」

男「なんか恥ずかしいからやだ」

少女「えー。何でしたら私の腕も触っていいですよ?」

男「どういう需要だよそれ……」

No.16【部活】

少女「うわ腕超細い、JKだ!みたいな需要がありますよ!」

男「あー、まぁ細いよな。少女はなんか部活とかやってねぇの?」

少女「中学時代はバレー部でしたけど今は吹奏楽部です!」

男「ん、部活やってんだ。夏休みは部活ねぇの?」

少女「廃墟があるような田舎ですからねー。吹奏楽部なのに人があんまりいないのでそんなに本格的じゃないんです」

男「なるほどなぁ……何の楽器やってんの?」

少女「フルートです。肺活量がかなり必要で縄跳びなんかで鍛えたりしてるのでなんだか中高で運動部から文化部に変わった気があまりしません」

男「上手いの?」

少女「同じ学年では一番ですよ!」

男「ふーん、それじゃ今度演奏聞かせてよ」

少女「演奏、ですか?」キョトン

男「ほら、腕触っていいからさ。その代わりに。約束ね」

少女「……約束です!触っちゃいます!」

男(なーんか断んのって罪悪感あんだよなぁ)

No.17【筋肉】

少女「わぁ、堅いですね!テンション上がりますね!」

男「別段俺が堅いって訳でもないと思うぞ。男ならたぶん皆こんなもん」

少女「男の人ってすごいですね!」

男「まぁ少女は細いしな。自分の腕とのギャップもあるんじゃないか?」

少女「むむ、確かにですね。ところでオリーブオイル塗っていいですか?」

男「ダメです。てかなんで秘密基地にオリーブオイル置いてんだよ」

少女「ドゥン……ドゥン……」

少女「ライザップじゃねぇんだよ」

No.18【記録】

少女「カメラ、お好きなんですか?」

男「ん?」

少女「いえ、鞄の中からチラッと見えまして」

男「ん、あー。いや。これ友達の。実家は俺の地元だからさ。届けといてって言われたの」

少女「ふむ、そうですか」

男「少女はカメラとか、好きなの?」

少女「んー、カメラよりは絵を描く方が好きですかね。美術部に友達がいるので部活がない日とか遊びに行くついでに画材を借りたりしてますよ」

男「んへぇ、何描くの?」

少女「とりとめのない、残しておきたいものとか、ですかねぇ。記憶として色褪せちゃいそうなものをたまに気が向くと描いていたりします。ベタなものだと学校の景色とか」

男「あぁ、俺も似たようなこと考えてた時期があったなあ。特に学生時代とかノスタルジーの塊のような気がしてさ。何か残しておかないとって焦るんだけど、何も思いつかなかったなぁ」

No.19【記憶】

男「でも思い出の記録というならカメラの方がそれこそ如実でいいんじゃないか?」

少女「景色としてならそちらの方が正しいのでしょうが、私は見えてるものを記録しておきたくて。絵の方がしっくりくるんです。塗るときの色なんかにそのときの気分が反映されていたり」

男「色に気分が乗るの?よくわかんないな。落ち込んでるときの絵が寒色になったり暗めになったりすんの?」

少女「いえ、なんというかやけくそになって色彩の全く合なさそうな色で光の当たりかたとかを表現したりします」

男「わっかんねぇ…………」

少女「大抵変になりますけど、たまに上手く表現できたりすると達成感があっていいですよ」

男「下手続きならむしろストレス溜まんねぇか?」

少女「そのときはキャンバスを思いっきり叩き破ります」

男「絵描きとしてどうなんだそれ!」

少女「フフフ!見誤らないでください!私の本業はフルート奏者です!」

男「謎の敗北感!」

No.20【居場所】

少女「……なんだか初対面なのによく話が弾みますね」

男「俺はコミュ力があるからな」

少女「私もですね」

男「違いない」ハハッ

少女「私いつも一人になりたくなってここに来るんですけど、たまにはここもこういう場所になるのも悪くないかもしれませんね」

男「そうか?俺はいつもを知らんからな」

少女「毎日通っていただいて構いませんよ?」

男「あー……そりゃあ無理だなぁ」

少女「む?何故です?」

男「ここのドア、開けるのにコツがいるんだろ?俺じゃ壊しちまう」

少女「ああ、ふふ。そんなことですか。今度教えますよ。約束です」

男「約束か……。まぁいつか頼むよ」

No.21【雨音】

少女「雨は嫌いですか?」

男「好きではないな。濡れるし。部活やってたときなんてたまに雨で休みになるからなぁ」

少女「あぁ、運動部の人にとっては敵かもしれませんね」クスッ

男「運動部以外のやつでも好きなやつってのも珍しいんじゃないか?通学で濡れるのはみんな一緒だしな」

少女「そうでしょうか。私は嫌いじゃないですよ」

男「……そういえばここ、よく音が響いたな。雨音もそれなりに響いてる」

ザァァァアアアア…………

少女「えぇ、そこが好きなんです」

男「……まぁ雨音は落ち着くかもな。嫌いじゃないよ」

No.22【】

男「そういえば雨って楽器にも天敵じゃないか?」

少女「ええ、そうですけど吹奏楽部の楽器って大体学校のものでなんか思い入れとかないんですよねー。曇ってるときとか基本的に外で音を出す練習は避けますし」

男「あー。持って帰んないから特に困ることはないのか」

少女「発表会があるときなんかは屋根のないところを通って楽器を体育館に運ばないといけないのでそれなりに雨に敵意を覚えますけどね」

男「あー。ドラムとか数人で持ち運んでるの見たことあるな。大変そうだよな」

少女「でもまぁ、雨音だけじゃなく雨のにおいもそれなりに好きなので、やっぱり雨は嫌いにはなれません」

男「俺、雨のにおいってなんとなくでしかわかんねぇんだよなぁ。こう、ぱっとしないっていうか」

少女「人生十割損してますねそれは」

男「人生の損得全部かっさらわれんの!?」

>>27
また抜けちゃいました、

No.22【損得勘定】

です。
更新ペース落ちそうです。気長にお待ちください。

No.23【祭り】

少女「そういえばこの町、もうそろそろ夏祭りの季節なんですよね」

男「浴衣の季節かぁ」

少女「浴衣、お好きなんですか?」

男「なんか青春っぽいじゃん?」

少女「浴衣の女の子と祭りに行ったこと、あるんですか?」

男「昔はあるよ、二人きりじゃないけどね」

少女「二人きりじゃないならそれはノーカンですね」

男「ノーカンですか」

少女「ノーカンですね」

男「手厳しい」

少女「浴衣、買っておきますね」

男「やはりそうなりますか」

少女「なりますね。約束ひとつ、追加です」

No.24【人混み】

男「この町の祭りはそこそこ大きいらしいな」

少女「あー。確かに盛大ですねぇ。無駄にアニメみたいな立地してる神社がありますからそこの参道沿いにずらりと夜店が並びます。夏だけじゃなくお正月もですけどね」

男「おれは来たことはないけど話はたまに聞いた気がするよ」

少女「まぁ地元に住んでる私でも毎年行ってるわけじゃないですしねぇ」

男「へぇ、そうなのか。祭り、好きじゃねぇの?」

少女「屋台の食べ物とかは好きなんですけど、如何せん盛大すぎて人混みがすごいんですよ。人混みが苦手というわけでもないですが少しあれは辟易しちゃいますね」

男「マジで?さっきの約束取り消していい?」

少女「ダメです」

No.25【花火】

少女「私、祭りそのものはちょっと苦手なんですけど花火は好きなんです。祭りの日の最後に打ち上げ花火を上げるんですが、それは毎年見てますね」

男「花火かぁ。地元の祭りはショボくて花火もちょっとしたのを打ち上げて終わるんだが、ここの祭りの花火はどうなんだ?」

少女「それなりに盛大だと思いますよ、まぁ有名な祭りですから。参道の川の向こうから打ち上げるので祭り会場からはちょっと遠目になるのですが、川沿いの広い範囲で打ち上げるので全貌が見えていい感じです」

男「花火を見るためってのを含めると祭り自体には毎年行ってるのか?」

少女「あぁ、いえ。参道の階段を上って、神社の前のところから見ています。それなりに高いとこからの景色は花火がなくとも綺麗ですし、花火も綺麗に見えますよ。何より神社の階段がそれなりに高いからでしょうか。そんなに人がいないのがグッドです」

男「綺麗に見えるのに人が少ないのか?」

少女「ええ、そうですね。何故か毎年私一人で眺めてる気がします」

男「……友達いないのか?」

少女「失礼な!このスポットも友達に教えてもらったんですよ!……随分と前に引っ越しましたけど」

No.26【花言葉】

少女「花火の花言葉、知ってますか?」

男「そもそもそんなのがあるのか?」

少女「約束、です」

男「ほほう、なんだか運命を感じるな」

少女「嘘ですけどね。ほんとはそんなのないです」

男「ちょっと感動した俺の感情をどうしてくれる」

少女「まぁまぁ、花火の花言葉は約束。それでいいじゃないですか。二人だけの花言葉です。どうせ花言葉なんて花言葉を知っている人にしか通じないんですから、私たち二人にしか通じない花言葉があってもいいでしょう?」

男「……無理矢理すぎないか?」

少女「ないものを作っていくのが文明の発展というものですよ、男さん」

No.27【屋台】

少女「ところで男さん!祭りの屋台は何が好きですか?」

男「たこ焼き」

少女「…………うちの祭りでたこ焼きの屋台ありましたっけね」

男「マジで!?たこ焼きないん!?ありえへんやろ!」

少女「関西弁はやめてやで」

男「関西弁レベル足りてへんで」

少女「割りとお互い様です」

男「マジでたこ焼きねぇの?」

少女「そういう食べ物だといつも焼きそば食べてるのでたこ焼きは……うーん。あったようななかったような。まぁ多分あるんじゃないでしょうか?」

男「めっちゃふわふわしてんなー」

少女「あ、駅のお店のたこ焼きはカリカリですよ」

男「そういう話ではない」

No.28【黒猫】

\ニャー/

男「うおあっ」

少女「……男さん、びびりすぎですよ」

男「いや、いきなり猫の声が響いたから」

少女「あぁ、ここ、野良猫がよく来るんですよ。ドアを開けておけばこっちにくるかもしれませんね」ギィッ

男「猫好きなの?」

少女「まぁ、人並みです」

男「ふーん」

少女「ここによく来る黒猫がいるので餌は用意してるんですけどね」

男「受け入れ準備万全すぎるじゃねぇか。めっちゃ好きだろ」

猫「ニャー」

男「あ、来た」

少女「こんにちは、ダークネスナイトキャット・シャノワール三世さん」

男「名前がなげぇよ」

No.29【猫好き】

少女「おや、シャノさん結構濡れてますね。風邪を引いてしまいます。タオルを出しましょう」

男「名前略すのかよ」

猫「ニャー」スリスリ

少女「……私、シャノさんに嫌われているわけでもないのですが、スリスリなんてされたことないんですが。男さん何か餌付けでもしたんですか?」

男「何もしてねぇよ!あと餌付けしてるやつに言われたくねぇよ!」

少女「ジェラシー感じちゃいますね、まぁ男さん懐かれちゃったようなのでよかったら拭いてあげてください」タオルポイッ

男「へいへい」タオルキャッチ

少女「おや、やけに素直に引き受けてくれますね」

男「まぁ人並みには猫、嫌いじゃないからな」

少女「お互い素直では無いようで。私もシャノさんの缶詰の用意をしておきます」

No.30【雑食】

猫「ニャーッ」バリバリガツガツムシャムシャ

少女「……猫缶って美味しいんですかね」

男「まぁガツガツ食ってるしうまいんじゃねぇの…………?」

少女「あ、いえ、人間にとってです」

男「知らねぇよ……あ、でも昆虫ゼリーはうまかったぞ?」

少女「食べたんですか!?」

男「まぁ昔の話だけどな。普通に甘いゼリーだった」

少女「昆虫より猫の方がなんとなく食料に関しては共通点ありそうですし猫缶も案外美味しく食べられるのかもしれませんね」

男「俺的には昆虫ゼリーより猫缶の方が食べるのに抵抗あるけどな」

No.31【非日常】

ザァァアアアアア

少女「……」ナデナデ

猫「ゴロゴロゴロ」

男「……なんだか不思議だな」

少女「何がです?」ナデナデ

男「全然知らない廃墟で全然知らない女の子と二人きり、非日常のど真ん中だなぁって」

少女「二人きりじゃありませんよ、シャノさんがいます」

男「あぁ、そうだった。……雨はまだ止みそうにないな」

少女「もう夕方ですね。早く止んでほしいものですが」

男「そうか?」

少女「……もう少し雨宿りというのも悪くないかもしれませんね」

No.32【幸運】

男「その猫はよくここに来るのか?」

少女「シャノさんです。まぁたまにって感じですかね。今日見れた男さんはラッキーですよ」

男「ほほぅ、今日は何かいいことがあるかな」

少女「雨が長引くかもしれませんね」

男「そいつはラッキーだな」

少女「終電なくなるかもですね」

男「そこまで行くとアンラッキーだ」

少女「私の家に泊まってもいいですよ?今夜家に両親いませんし」

男「マジで?泊まりに行くわ。ベッドは俺が使うから少女はソファーで寝てくれ」

少女「……最低ですね。ノットマジでよかったです」

男「冗談だからその冷たい視線はやめてくれ」

No.33【探検】

男「ここは何の廃墟なんだ?」

少女「……さぁ、何かしらの会社とかじゃないですか?」

男「ここは……保健室っぽいし意外と学校かもしれん」

少女「まぁこの上の階に続く階段はあるんですけど、廃墟の奥ってなんだか心霊的な怖さがあって今まで上がったことがないんですよねぇ。この階層はここと……あと靴箱か荷物入れかよくわからないロッカーの置いてある空間くらいしかろくにありませんし」

男「ロッカーは入り口辺りにあったな。そういや。あとさっき通ってきたときに渡り廊下が見えたまだ建物はあっちに続いてるんだよな?」

少女「ええ、そうですね。同じ建物みたいです。……ただし渡り廊下の向こう側の扉は内側から鍵が閉められているらしく、開きませんでした」

男「なるほど、上を通って行くしかないのか」

少女「むむ。探検でもするおつもりですか?」

男「この建物が何なのか、突き止めてみないか?」

少女「……まぁ、気にはなりますもんね。いいです。付き合います」

猫「ニャー」

男「こいつも着いてくるってよ」

少女「男さんよりは頼もしいですね」

男「ねーよ」

ひぇー。「見えたまだ」っての続けちゃいました。「見えたが、まだ」です。
気づいていないだけでまだ誤字脱字あるかもしれません。ご容赦ください_(��3」∠)_

No.34【廃墟二階にて】

男「渡り廊下の向こうはわからんがこっちはとりあえずそんなに大きい建物でもねぇしこっちから適当に散策していくかぁ」

少女「まぁざっと見た感じ部屋数はは割りとありそうですけどね」

男「二階には下にあったぽっかり空いた空間……ピロティか?あれのとこにも部屋あんだな」

少女「まぁとりあえず手短に手前の部屋から見ていきましょうか」

男「そもそも鍵とかかかってねぇのうぉあっ」ガラッガシャンッ

少女「めっちゃ普通にドア開いてるじゃないですか」

男「まさかここまで抵抗ないとは思ってもなかったぜ。こけるとこだったぜあぶねぇ」

少女「いや思いっきりこけてましたよね」

No.35【ハイスペック】

男「この部屋は……」

少女「人体実験に使われていたようですね……うっ。臭いで吐きそうです」

男「ただの長机の並べてある部屋だろ」

少女「ちぇっ。乗っかってくれてもいいじゃないですか」

男「じゃあここは猫の解体実験じょ「ニャー」ガブッ

男「いてぇわ!!!なにこいつ!?人語理解してんの!?」

少女「シャノさんですからね」フフン

猫「ニャー」フフン

男「シャノさんも心なしかどや顔してる!ほんとに理解してるっぽい!すげぇ!でもうぜぇ!」

No.36【ロマン】

男「ホワイトボードもあるしなんとなく研修室?っていうのか?まぁ会議とかそんなんの部屋っぽいな」

少女「つまるところ学校じゃなくて会社っぽいってことですね」

男「まぁ建物の形からなんとなくわかってたけどちょっと残念だな」

少女「あっ、ちょっとわかります。会社ってより学校の方が廃墟として少しわくわくしますよね」

男「学校ってのは怪談とかがつきものだしそういうロマンがあるのかもな」

少女「まぁ、信じてなんかいませんけd「ニャー「きゃっ」

男「……ちょっとびびってない?」

少女「……びびってませんっ」ムスッ

No.37【ラブコメ】

少女「とりあえず奥の部屋も見てみましょうよ」

男「そうだなぁ。同じような部屋ばっかならちょっとテンション下がるが」

少女「まぁまず入れる部屋ばかりと決まったわけではないですしね。案外さっきの部屋が特別で閉まってるドアばかりかもしれませ」ガチャ

男「…………どうした?」

少女「……」ガチャ……ガチャガチャッガチャ……

男「まさか……」

少女「開きませんね!!!!」ガチャチャチャチャチャチャ

男「言ったそばからこれかよ……ちょっと貸し」ガチャンッ

バタッ

少女「あいたっ」

男「うぉあっ開い……た?」

少女「なんですかこの体勢、偶然倒れこんで女の子の上に覆い被さるとかあなた恋愛漫画の主人公か何かですか」

男「…………あいたと開いたをかけてみたんだけど」

少女「聞いてません」

No.38【応接室にて】

男「ここは……?」

少女「応接室、らしいですよ」パッパッ

男「ん、扉の横にちゃんと部屋の名前が書いてあるプレートがあったのか」

少女「えぇ、しかし埃をかなり被っているので少し拭わないと文字が読めませんけどね。先ほどの研修室なんかも埃を被っていて気がつかなかっただけでプレートはあったのかもしれませんね」

男「まぁ応接間もテーブルと椅子は並べてあるからなんとなく察しはついただろうがな」

少女「おやおやぁ、男さん?応接間""も""とか言っちゃってますけどこれでさっきの部屋が全く違う部屋だったらどうします?」

男「わざわざ見に行かなくてよろしい」

少女「ちぇーっ」

No.39【超闇能力】

男「しかしまぁプレートがあるってのがわかったのは大きな進歩だな」

少女「……そうですかね?」

男「名前だけ見て面白そうな部屋だけ入ればいい!!!」

少女「なるほど!」

男「賢いだろ?」

少女「でも男さん、ここまで出てきた部屋が医務室と研修室と応接室ですよ?面白そうなオーラに関して言えばほぼゼロどころかマイナスですよこれ。期待値ほぼゼロじゃありませんか?」

男「いやいや、こう。ロボット開発室とかあるかもしんないじゃん」

少女「流石にそれは会社に設置するには子供っぽいですよ男さん。やっぱりかっこよく""超闇能力-ダークネスアビリティ-研究室""なんてものがあるんじゃないですかね?」

男「ねぇよ」

No.40【夢への扉】

~数分後~

男「……面白そうな部屋、見事にねぇな」ゴシゴシ

少女「やっぱり世の中こんなもんなんですかねぇ」パッパッ

猫「……」テクテク

男「シャノさんもなんかもう疲れましたオーラ出てんぞ」

少女「たぶん次の部屋が超闇能力研究室ですからねシャノさん。なんか火が吹けたりできるようになりますからね」

男「それはできてもやんな」

少女「はいは……男さん……ありました……」

男「何が……?」

少女「ここ、ロボット研究室です………….
!」

男「…………!!!!」ガダガタガタガタガタガタガタ

少女「…………」

男「…………」

「「開かねぇぇぇぇぇええええ!!!!」」

No.41【強行手段】

男「……ドア、壊すか?」

少女「いやいやいや、流石にそれは……」

「でも気にならねぇ?ロボットだよ?男のロマンだよ?」

少女「私、女ですし……それにあれですよ、ロボットといってもこう、大学のロボット工学のような真面目な感じのやつですよ多分」

男「汚れそうであまりやりたくはなかったがちょっと窓の埃を拭って中を見てみるか。タオルある?」

少女「あー。下ですね」

男「…………そぉい」パリィン

少女「男さん!?何石投げてんですか!?」

男「この窓は元から割れていたのだよ少女くん。こういうこともあるさ。廃墟だもの」

少女「男さん!?え!?男さん!?!?」

No.42【国家レベルの秘密基地】

男「中を見てみるぞ」

少女「ここまでやってしまっては仕方ありませんね。付き合います。気にならないと言ったら嘘になりますからね」

男「……」ソーッ

少女「……」ゴクリ

男「おい、あれ」

少女「えぇ……見えます……」

猫「ニャー」

「「ガン◯ムだ(ですね)…………」」

男「なぁ、2m大の◯ンダムを保有する会社ってなんだと思う?」

少女「謎すぎますね……」

????「ギャォォオオオウウウウ!!!!!」

男「!?!?!?何!?何の鳴き声!?俺こんなん聴いたことないよ!?」

少女「……実はたまにあのー、向こうの建物の方から変な鳴き声が聞こえるんですよねこの建物」

男「何それ!?お前よくそんな怪しげな建物に秘密基地建てる気になったな!!!!」

No.43【医務室にて】

男「…………」

少女「…………」

猫「……」ウトウト

ザァァァァアアアア…………

男「雨、止まねぇな」

少女「……そうですね」

男「上のことは忘れような」

少女「……そうですね」

男「俺達は何も見ていない。聞いていない」

少女「何も見てません。聞いてま「ギャォォオオオウウウウ!!!!」

男「…………今まであの声なんだと思ってたの?」

少女「なるべく聞かないようにしてました」

男「何の声か知りたい……?」

少女「知ったら何かが終わる気がします」

No.44【ふたりぼっち】

ザァァァアアアア…………

少女「私ね、友達少ないんです」

男「そうか」

少女「学校行事とか……いえ、普段の学生生活もそうかもしれません。周りの人たちはいつだって。ときには授業中にだってどんちゃん騒ぎで楽しそうにしていますが、私はどこか冷静にそれを見てしまっていて。距離感を感じてしまうんです」

男「……そうか」

少女「私と同じような人は同じようなことを言いながら自分の感性は他の人とは違うのだろうな、と言っていました。でも私それは違うと思うんです。いえ、違うと知っているのです」

男「……知ってる?」

少女「えぇ、多分みんなやっていいことや悪いことなんてわかりきっているけれど、そんなモラルより楽しさ、その一瞬一瞬を飾り付けることに一生懸命に生きているんだと思うんです。でもそれってきっとひとつの正しい行為です。正論じゃなくたって正しさというものはいつだって誰かを味方します。」

男「まぁモラルの観点から見たら冷めて見てる側の方が他人に迷惑をかけるわけでもないだろうし正しさはあるだろうけど簡単な話じゃないよなぁ」

少女「……男さんは私の話を否定しないんですね。この話だって十分正論からは逸脱していますよ」

男「九理に反していようと一理あればそれは十分芯の通った考えだと思うよ、俺は」

少女「なるほど、九理に反して一理の通った素敵な考えです」

男「それはどうも」

No.45【雰囲気】

少女「わかりきっている、といえば私はそんなばか騒ぎも人生を楽しくするスパイスである、なんてことわかりきっているのでその、どんちゃん騒ぎがあんまり嫌いってわけでもないんですよね。どちらかというと混ざれない私自身が嫌いなわけで」

男「まぁ、人にはそれぞれ過ごしやすい雰囲気の向き不向きがあるんじゃないか?俺はこうやってぼんやりここで過ごしてる雰囲気ってのは過ごしやすくて好きだぜ?」

少女「……まぁ、そうですね。どんちゃん騒ぎは""嫌いじゃありません""が、今のこの雰囲気は""好き""かもしれません」

男「少女は偉いよ、どんちゃん騒ぎを冷めた目で見ながらも見下してる訳でもなくちゃんと違いとして受け入れてる」

少女「物事に明確な優劣なんてそうそうありませんよ、大抵は錯覚でそこにあるのは違いでしかありません」

男「いやはや、考えに芯が通ってるなぁ」

少女「故に友達が少ないのかもしれません。こんな話に付き合ってくれる人というのも珍しいものです」

男「俺も変人なのかもしれないな」

少女「なのかも、じゃなく変人ですね」

男「まぁ君ほどじゃないよ」

少女「悔しいですが違いないですね」

No.46【適材適所】

男「でも俺、そういうどんちゃん騒ぎもいいもんだとは思ってるけど混ざりたいとはあんまり思わないな」

少女「はて、楽しそうですし混ざれるに越したことはないのではないでしょうか……?」

男「難しく考えすぎなんだよ、俺は大所帯のど真ん中で騒いでるよりこうやってふたりでのんびりしてる方が性に合ってる。じゃあふたりぼっちを謳歌すりゃいいじゃん?」

少女「……まぁ、そうですね。適材適所というものなのかもしれません」

男「いちいち堅っくるしいな。どんちゃん騒ぎも疲れるから一長一短だろ。そんなもんでいいんだよ」

少女「まぁ、そうですね。とりあえず私は私なりに楽しんでみようと思います」

男「ちなみにどんちゃん騒ぎがしたいというなら向こうの棟に突入するという選択肢があるぞ」

少女「まだ死にたくないです」

No.47【甘味】

少女「男さん、甘いものって食べます?」

男「昆虫ゼリーは結構好きな味だったぞ」

少女「唐突に結構前の話を持ってきましたね……まぁポッ○ーがあるのでいかがかな、と思いまして」

男 「○ッキーは昆虫ゼリーより好きだな」

少女「昆虫ゼリーの方が好きな人はあまりいないと思います」

男「そういやシャノさんどこいった?」

少女「今昆虫ゼリーからシャノさん連想しました?昆虫ゼリーは昆虫の食べ物であって猫の食べ物でもないですからね?……ベッドの下に潜り込んでませんか?よくそこにいるんです」

男「……おぉ、いたいた。寝てるな」

少女「おや、では少し声のトーンを下げることにしましょうか」

男「耳元で囁いてくれてもいいんだぜ」

少女「男さんは黙ってていいですよ」

男「すみませんでした」

No.48【百物語】

少女「百物語って知ってますか男さん」

男「あのー、なんか怖い話を百個したら何かが起こるってやつ?」

少女「そうですそうです!その百物語は怖い話ですが、こうやって他愛ない話も百個続けたら何かが起こると思いませんか?」

男「怖い話はお化けを引き寄せるってのはよく言うが楽しい話や雑談が何かを引き寄せるだなんて聞いたこともないぞ?」

少女「そんなの、ないなら私達が造ればいいんですよ。いかなる伝承だって最初は冗談から生まれるものです」

男「夢があるのかないのかよくわからん発言だな」

少女「さぁさぁ男さん、もっともっと話を紡いでいきましょう。もしかすると、雨も止むかもしれません」

男(そういえばこいつに厨二病の気があるのちょっと忘れてたなぁ)

No.49【話題の尺度】

少女「とはいえ、今までにどれくらいの話題を消化したのかなんてぜんっぜんわかんないんですけどね!」

男「もう既に百物語、破綻してないか?」

少女「男さん、こういうのは自己満足ですよ」

男「それ言っちゃっていいのか」

少女「まぁ既に百個くらい越えてんじゃないかくらい話してるような気はしますけどね」

男「話題百個を意識して話したことなんてないから全くわからん」

少女「まぁ適当に話してたら百個くらいすぐ行きますよ」

男「超アバウト」

No.50【ポッキーゲーム】

少女「あ、そういえば○ッキーですよポ○キー。一袋食べます?」ホイッ

男「一袋くれるのか。ありがたく貰うわ。さんきゅ」スッ

少女「いえいえ。ぐぇっへへへ一袋ぶんポッキーゲームに付き合ってもらおうか、とか言い出さない限りは全然構いませんよ」

男「その発想力に脱帽だわ」

少女「ところでポッキ○ってビーム○ーベルっぽいですよね」

男「脈絡がねぇ」

少女「照れ隠しです」

男「よりにもよって選ばれた話題が○ームサーベルってのは可愛くないな…………うめぇ」パキッ

ポッキーに伏せ字が当てられてポッキーゲームに伏せ字がないこのパラドックス(己にツッコんでいくスタイル)

さて、目標の半分です。100までって思ったより辛いですね。

思いつきで書いており全く先の予定がないのでお題があればそれこそ四コマ的に使わせていただきますので何かあればお気軽にご提案くださると嬉しいです。

最近忙しくて更新もおぼつきませんがごゆっくりお付き合いください。

No.51【ビームサー○ル】

男「てか少女、女の子なのにビームサーベ○とか知ってるんだな」

少女「……えぇ、まぁ。有名なものですし結構浸透してる言葉ではあるのではないですか?」

男「そんなもんかねぇ?まぁ俺も""私の心、アンロック!""くらいは知ってるしあながち男女の間にそういうサブカル的なものの知識差なんてないのかもしれんな」

少女「えらく懐かしいものを持ち出してきましたね……しかしまぁそんなものですよ。知識なんて誰か一人が知っていたらふとした拍子に周りの人間も連鎖的に知ったりするものです。ある種、感染症のようなものなのかもしれませんね」

男「○ンダムよりは新しいだろ……少女のビ○ムサーベルの知識も誰かの影響か?」

少女「言われてみるとそうかもしれません。クラスに股間のビームサーベルが云々とのたまう人がいますし」

男「若さゆえの過ちだな……」

No.52【雨足】

ザァァァアアアアアアアアッッッッ

少女「なんかまた雨強くなりましたね」

男「止む気配は一向にねぇなぁ」

少女「こんなに降っていたらプールとかすぐいっぱいになっちゃいそうですね」

男「プールは言い過ぎだと思うがそこら辺に桶とか置いといたらすげぇ溜まりそうだよな」

少女「桶、どこかで見た気がしますよ。置いてみます?」

男「溜めたところで使い道がないだろ……」

少女「ほら、かけ合うとか」

男「雨宿りの意味が無に帰すわ」

No.53【謎の建物】

少女「実はですね」

男「おうどうした」

少女「上には○ンダムなんかがありましたがこの部屋も片付ける前は結構色々なものが散らばってたんですよ」

男「……へぇ」

少女「流石に居心地が悪いので渡り廊下の横にあるピロティに全部運んでつんであるんですけどね」

男「へぇ、廊下の横にピロティなんかがあるのか」

少女「最初は特に何もありませんでしたけどね。謎空間です」

男「ちなみに何を運び込んだんだ?」

少女「エクスカリバー的な剣とかやたら重量感のある銃器的なものとかですかね」

男「ほんとに何の建物なんだここ」

No.54【伝説の剣】

男「しっかしそんだけ色々あると子供が入り込んだりしたら遊んだりして危なさそうだな」

少女「あぁ、一度みかけたことがありますよ。なんだか怖くて注意できずに見守ってただけでしたが」

男「見守ってただけってコミュ障かよ」

少女「案の定エクスカリバーで遊び始めてましたね」

男「模造……刀?なのか……?危なくねぇ?」

少女「えぇ、そうですね。少年が剣を鞘から抜いたとたん勢いよく輝きだし、地面に突き刺さりました。その後に少年はすごい表情をして帰っていきましたね」

男「おい、ちょっとまて。ということはそのエクスカリバーは」

少女「その後私が頑張って抜こうとしましたがびくともせず、依然ピロティに突き刺さってますね」

男「廃墟のピロティとか全世界において一番ロマンのない場所に刺さってる伝説の剣だな……」

No.55【廊下にて】

テクテクテクテク……

男「……こうなりますよねー」

少女「男さん、これを」スッ

男「サングラス…………?」

少女「これがないと目がヤられます」

男「そんなに!?はんぱなく輝いてんの!?!?」

少女「渡り廊下への扉の窓にテープを張ってあるのに気がつきませんでしたか?」

男「……全く気づいてないな」

少女「証明で廃墟の電気が使われていると思われるのを危惧したときに渡り廊下の窓をすべて遮光カーテンで覆いました。幸い遮光カーテンは落ちてたものの中にありましたからね。しかし扉に関してはカーテンが足りなかったのでテープで覆っているのです」

男「雨で暗いだけだと思ってたわ」

No.56【明るい世界】

少女「開けますよ……」ギィッ

男「扉を開けた瞬間から光が漏れだしている。かっけぇ。てかまぶしっ。サングラスしてるよね?俺?」

少女「……進みましょう」

男「眩しすぎてピロティまでの道筋が全く見えねぇ」

少女「ここです」

男「お、おう、うっすらと棒みたいなものがあるような気はするな……」

少女「約40000ルーメンの明るさを放っています」ピピピピピピ

男「何そのマシン!?ルーメンって何!?」

少女「これは照度計で、ルーメンは明るさの単位です。500ルーメンが電球などの明るさだと考えてください。照度計は医務室に転がっていました」

男「なんでも転がってんな…………」

No.57【説明役】

少女「あの剣、抜かずにあのまま照明として利用した方が人類のためになると思いませんか?無電力でこの照度ですよ。永久機関ですよ」

男「人類の夢のエネルギーを目の当たりにしているとなると胸がアツくなるな」

少女「ちなみに約40000ルーメンという照度ですが、屋外でのプロジェクションマッピングに使われるプロジェクターの最大の照度がこれくらいらしいです。ディズニーのワンス・アポン・ア・タイムのシンデレラ城へのプロジェクションマッピングのプロジェクターが20000ルーメン程度だとネットで見ました。よくわかりませんが数字だと二倍の照度ですよこれ」

男「めっちゃマニアック」

No.58【勇者】

男「この輝きならまぁそりゃ子供も逃げ出すわ……というか裸眼で見たらそりゃ表情もおそろしいものになるわ……」

少女「そんなに強いものでもないとはいえサングラスありでもそこそこ眩しいですしここまで強い光を浴びているとなんとなく体に悪そうですよね」

男「とりあえず伝説の剣なんだし抜いてみていいか?」

少女「えぇ、どうぞ。どうせ抜けませんけど」

男「いやいや、意外と俺が勇者の末裔かもしれん」ガシッ

ズボッ

「…………」

男「抜けた」

少女「暗くなりましたね。目が暗闇に慣れてなくてちょっと見えません。もう一回刺してもらってもいいですか?」

男「おう」

ズボッ
ピカァァァァァアアアアアア

少女「また光るんですね……」

男「めっちゃアバウトだな」

No.59【退室】

…………ガチャンッ

少女「とりあえず剣は抜いてきましたが」

男「まぁ光りすぎててむしろ不便だったもんな」

少女「さらば永久機関ですね」

男「もう一回地面にぶっさしてソーラーパネルで囲うとすごいことになるんじゃないか?」

少女「溜まった電気を売ることでガッポガポですね」

男「伝説の剣にまたひとつ伝説が追加されてしまうな」

少女「そして私はその電気商人として伝説のJKになるのです」

男「何もすごくないけどな」

No.60【飴景色】

少女「子供の頃のよくある話ですが、もしも空から飴――キャンディが降ったらどれほど幸せなことであろう、と考えたことはありませんか?」

男「まぁ、一種の言葉遊びだな」

少女「そんな高尚なものでもありませんよ、ただの妄想です。でも本当に降ったら楽しそうだなぁってときどき今も思いますよ」

男「んー。飴が降ったら痛そうだが」

少女「でも街に色とりどりの飴玉が降り積もって染め上げるというのは中々に壮観だとは思いませんか?」

男「そう言われてみると確かに雪景色の百倍は見応えがあるかもな。人生に一度くらいは見てみたいかもしれん」

少女「ふふ、いつか空からキャンディをばらまいてくださいね」

男「宝くじでも当たったらな」

No.62【行方不明】

少女「そういえばなんですが男さん」

男「どうした」

少女「渡り廊下から帰ってきてからシャノさんがいません」

男「おぉう?……ほんとだ。ベッドの下で寝てたのにな。起きてどっか行ったのか?」

少女「ゆ、ゆ、誘拐かも」ガタガタ

男「……いやいやぁ。流石にそれはないだろう。誘拐犯も得しねぇし」

少女「は、薄情な!シャノさんが思う存分もふもふされたらどうするんですか……!」

男「良い飼い主になってくれるんじゃないかな」

No.63【危険地帯の秘密基地】

少女「……まぁシャノさんはいつもひょっこり現れたりひょっこり消えたりするんでいつものことなんですけどね」

男「ちょっと寂しそうだな」

少女「まぁ、ちょっとだけです」

男「俺もひょっこり帰るかもな」

少女「雨が止むまでは返しませんよ?」

男「三日三晩降り注いでたらどうするんだ?」

少女「ここでサバイバルですね……」

男「ここある意味何あるかわかんなさすぎて寝泊まりするのジャングルより嫌じゃない???」

少女「ハンッ精々止むことを願うんですね」

男「いや止まなかったら君も三日三晩サバイバルすることになる流れだよねこれ?」

やたら話しまくってるけど作中時間では3時間ぐらいしか経ってないのかな…?

>>95
何も考えずに適当に100を目標にした俺がバカでした。
時間経過は適当です。夕方が更けていって現在日が落ちるか否かくらい。……とはいえ雨なので夕焼けとかとは無縁な空です。
夏だから日が落ちるまでって長いですよね(白目)

No.64【夕方】

少女「いやぁそろそろ夕方かどうか怪しい時間ですよ男さん」

男「親御さん心配しないか?」

少女「フリーダムなガールなので大丈夫です。両親も心配していたら身が保たないと確信したに違いないです」

男「フリーダムさは痛感してるわ」

少女「そのスーパーフリーダムガールに会話で着いていけている点、男さんも中々にスーパーですよ」

男「嫌すぎるな。平々凡々でありたい」

少女「伝説の剣を抜ける平々凡々な人間ですか……」

男「アレ、いまのとこ輝いてるくらいしか伝説らしいことしてないからな。少女の力が足りないだけで成人男性の力で抜けるだけって可能性もあるからな」

No.65【四次元建物】

男「少女はいつもこんな時間までここにいるのか?」

少女「うーん。まちまちですよ。まぁこの時間にはもう帰ってることの方が多いかもしれません。ここ、電気ありませんし」

男「渡り廊下を拠点にしてはどうだ」

少女「明るさが極端すぎるでしょう……まぁここにほら、電灯があるんです。電池式のものですが」

男「おぉ、ランタン式か。普通に住み込めそうだな」

少女「電池は流石に持ってきましたが、ランタンはここにあったものですよ」

男「なんか他のアイテムが個性的すぎてランタンがしょぼく思えるな」

少女「この建物探せばほぼなんでも落ちてますからね」

No.66【行事】

少女「男さんは好きな行事とか、時節柄のイベントとか、そういうもの、ありますか?」

男「あー……クリスマスとかそんなん?」

少女「えぇ。そんな感じです」

男「んー。大体は好きだけどな。しかし、なんとなーくクリスマスやバレンタインに比べて夏は恋愛恋愛してるイベントが少ないような気はする」

少女「日付が決まってなくともどこも何かしらお祭りはやっていますしねぇ。それが保管しているのかもしれません」

男「夏は海やら祭りやら、イベントの少なさを補うかのようにいろんなところがお祭り騒ぎだしな」

少女「気恥ずかしくて混ざってわいわいはできませんけどね」

男「あぁ、そんなこと言ってたなぁ」

No.67【思い入れ】

男「少女は何か好きな行事とか、あるのか?」

少女「うーん。そうですねぇ。七夕ですかねぇ」

男「む、意外だな。こういうの全部毛嫌いしてるのかと思ってた」

少女「苦手なだけで嫌いではないんですよ、きっと行事が好きな人も行事そのものじゃなく行事に込められた思い出なんかが好きだったりするんじゃないでしょうか」

男「ふむ。俺はクリスマスや七夕の雰囲気なんかも好きだけどな。少女は七夕に何か思い入れでもあるのか?」

少女「まぁ、そうですね」

男「ほほぅほぅほぅ!」

少女「聞きますオーラ全開ですね!」

No.68【思い出】

少女「昔、私がぴっちぴちの女子中学生だった頃です。七夕祭り……ほら、二つ隣の駅の近くで少し大きな祭りがあるじゃないですか」

男「あぁ……笹がやたらでっかいやつな。昔学校の中庭にあのレベルの笹ぶっ立てたやつがいて笑ったわ」

少女「……こほん。まぁぴっちぴちな私はその祭りに言ってたんですよ。浴衣で」

男「行事嫌いの少女さんにしては珍しいな」

少女「誘われたら断りづらいですからね」

男「男の匂いがするぜ」

少女「女子だけでしたよ。まぁ、祭りはそこそこに切り上げて帰ることになったのですが、駅前で解散でして。解散した後、なんとなくそのまま家に帰るのも寂しくてまた祭り会場に足を運んだんです」

男「そこで下駄の鼻緒が切れたと」

少女「……よくわかりましたね?」

男「お約束だからな」

少女「そんなもんですか……」

No.69【メモ】

少女「で、まぁ途方にくれてですね。ベンチに座っていたら一人の男性が声をかけてくれたんです」

少女「……その男性は""海の帰りに皆で寄って解散したとこなんだけどちょっと一人で回りたくてさ""と言って私の横に座りました」

少女「私がきょとんとしていると""俺のだから合わないだろうけどないよりマシだろうから使ってくれ""とビーチサンダルを差し出してくれたんです」

少女「ビーチサンダルより、私と同じような理由でその場にいるのがなんとなく面白くって。ちょっとお話してました」

少女「途中、その人の手帳を借りてお絵描きもしてました。うまいと褒めてくれたのがちょっと気恥ずかしかったです。自分の作品って身内以外に褒められるのが一番嬉しいんですよね。今思えば私が絵を描くのがここまで好きになったのはその七夕がきっかけかもしれません。……まぁ元々気が向くと何かしら描いていたので好きではありましたが」

少女「……っと。話しすぎてしまいましたね。実はその手帳、その人に返し忘れてしまって未だに私が持ってるんですよね。手帳の最後のページに電話番号が書かれたメモが挟まれていたのでかけようかけようとは思っていたのですが電話が苦手で、かけられず今まで引きずってしまっています」

男「……もう電話はかけねぇの?」

少女「流石に電話番号もそろそろ変わってるんじゃないですかねぇ。というかその人のものかもわかりませんし」

男「もったいないなぁ。かけてみればいいのに。手帳はここにあんの?」

少女「もったいないって面白がってるだけでしょう……。手帳は家ですよ。残念でしたね」

No.70【バレンタイン】

男「青春だなぁ」

少女「男さんはそういうちょっとした行事エピソードとかないんですか?」

男「うーん……そうだな……中学んとき一月の末くらいに地元の神社に好きな子からバレンタインチョコ貰えますようにって赤い糸巻きつけた五円玉をお賽銭箱に入れて願ってたらほんとにチョコ貰えた、とかかな?」

少女「女々しいことしてますね……」

男「青春っぽくていいだろ?」

少女「でも義理だったんでしょう?」

男「あぁ……」

No.71【蝉】

男「ふと思ったんだが蝉ってなんで鳴いてるんだろうな」

少女「自己顕示欲の塊なんじゃないですか」

男「蝉、闇だな!」

少女「冗談は置いておくとして……オスの蝉がメスの蝉に自分の位置を知らせるために鳴いてるらしいですよ」

男「つまりヤらせろって叫んでるようなものか」

少女「蝉の闇が深まりますね」

No.72【まじない】

少女「傘って進化しませんよねぇ」

男「……まぁそういうのもいいんじゃないか?」

少女「はて、何故でしょう」

男「傘が進化したら相合い傘できなくなるしさ」

少女「なるほど。電車のきっぷなんかも四桁の数字のとこの両端が同じ数字なら両思い、なんてのもありますがあれもカードの普及で消えちゃいそうですよね」

男「ちなみにあの両思いっての、電車の数詞の両とかけてるんだぜ。知ってたか?」

少女「挟まれた数字は両思いのパーセンテージなんですよ?知ってました?」

男「まぁ俺のは今思いついただけだが」

少女「男さんのきっぷは毎回x00xになればいいのに」

男「呪いだよね。もう呪いだよねそれ」

少女「相合い傘をする相手のいない人生お疲れ様です」

No.73【女子力】

男「そういえば少女は傘、持ってるのか?」

少女「持ってますよ!安心と信頼のビニール傘です!」

男「女子力がないな……」

少女「傘に女子力を求める方が間違ってると思います」

男「まぁそれもそうかもな。じゃあ傘じゃなくてもどっか女子力のあるとこあんの?」

少女「料理……できますよ……」

男「得意料理は?」

少女「く、クレープですかね」

男「絶対食べる方の趣味で答えただろ」

少女「食の好みに女子力が溢れているということでどうでしょう」

男「厨二病属性のマイナスが大きすぎてちょっと相殺しきれそうにないな」

No.74【ラブレター】

少女「ラブレターってなんだか長々と書き連ねているイメージがあるのですが、実際あそこまでぐだぐだと書いてあるものなのでしょうか」

男「唐突だな」

少女「唐突に疑問に思いましたからね」

男「まぁ書くやつは書くんじゃねぇの?そんだけ想いが溢れてるんだろう」

少女「でも冷静に考えると長文とか読んでくれるとは限らないわけですし、回りくどいので簡潔に""好きです。付き合ってください。""だけでいいと思うんですよね。一万字書こうが伝えたいことなんてきっと全てのラブレターに共通してそれだけですよ」

男「いっそ""好き""の二文字で事足りそうでもあるな」

少女「その場合は""だから?""って返される可能性があります」

男「それはもう普通に書いていても脈ないんじゃないか?」

少女「長文を書いても読まれず終わる、短すぎても""で?""で終わる。辛辣な世の中です」

男「流石に後者はそんなにいないんじゃないか……?そしてなんで脈なし前提なんだ」

No.75【諸行無常】

男「そもそもラブレターってアリなのか?やっぱ告白とかって直接受けたいもんじゃねぇの?」

少女「好きな人からなら直接言われる方が嬉しいものですが断るときは直接来られる方がなんだか罪悪感が深まっちゃいますよ」

男「なるほどな。じゃあラブレターで呼び出すとかはアリなの?」

少女「別にいいんじゃないですか?ラブレターと言えども最近は紙媒体ではなく電子媒体でしょうが」

男「靴箱を開いたらラブレターなんてのもいつか古典になっていくのかもなぁ」

少女「既に片足を突っ込んでいるような気もしますけどね。そもそも学校によっては靴箱に鍵があったりするのでバレンタインチョコも靴箱に入れられない可能性もありますよね」

男「高校時代に女子に義理チョコくれって言ったら食べ物を靴箱に突っ込むの嫌だって言われたわ」

少女「暗に拒否されているだけでは?」

男「義理チョコすら拒否される人生って悲しすぎないか?」

No.76【不器用な嘘と不器用な本音】

ザァァァアアア……

少女「雨はまだ、止みませんね」

男「そうだな。さっきよりは弱まったようには見えるが」

少女「んー。そうですか?特に代わりはないように見えますが」

男「……はは、そうだな。変わんないかも」

少女「……男さんは優しいですね」

男「別に、俺もまだ帰りたくないだけだよ」

少女「嘘というものは悪にされがちですが、私は嫌いじゃないですよ。かの王権神授説だって数百年続いた嘘の魔法です。その実ないはずの正当性を嘘で補っただけにすぎません。それに比べたら一夜限りの嘘くらい、何の罪もないですよ」

男「そんなに重いものでもないけどな」

少女「言ってしまえば物語や教訓……花火に限らずとも花言葉だって全て嘘と紙一重ですからね。嘘つきは泥棒の始まりといいますが、その言葉だって少しの嘘を孕んでいるわけで……」

男「あぁ、なるほど」

少女「はて?どうかしましたか?」

男「ん。いや、やけに舌が回るなと思ったら照れ隠しかと思ってさ」

少女「…………どうでしょうね」

No.77【日没】

少女「そろそろ日も落ちた頃ですかね」ランタンポチー

男「雨でよくわからんが最初に比べるとちょっと暗くなった気はするな」

少女「これだけ雨が降っていたら当分は空の神様側が干ばつに悩まされそうですね」

男「織姫と彦星は天の川が蒸発して喜びそうだな」

少女「そうなると短冊に掲げた願い事もいつでも叶っちゃいそうですね」

男 「短冊のシステムってあのカップルの会える会えないに何か関係あるのか?」

少女「さぁ……ちなみにこの建物の中庭に笹、生えてますけど何か短冊飾っちゃいます?」

男「本当になんでもあんなここ」

少女「隣にヤシの木とかサボテンも生えてましたからね」

男「それは気候的に同時に生えてるのは正常なのか……?なんか生態系無視してないか……?」

No.78【ハロウィン】

少女「このランタンを見ていて思い出しましたが、そういえばこんなのもここにはあるんですよ」ガサゴソ

…………

少女「見てください!!」ピカー

男「じ、ジャックオランタンか」

少女「ハロウィンもこれでばっちりですね!どうせコスプレなんかもどっかに落ちてるんですよ!ええ!」

男「もうなんでも落ちてる前提からしてこの建物自体が一年中ハロウィン的なびっくり空間だろ」

少女「違いないですね」ピカッピカッ

男「ジャックオランタン点滅させんのやめろ、眩しい」

少女「ハロウィンは結構好きなのでこれを見つけたときはテンション上がりましたよ」ピカッピカッ

男「やめろって……でも日本じゃあんまりハロウィンって鋭意的じゃないだろう?」

少女「そうですねぇ。私個人としては全国各地の地域復興を願う方々には是非とも地元でハロウィンパーティーを盛んにして、名物として欲しいです。それこそ七夕なんて宮城の仙台や神奈川の平塚が盛んだと聞きますし。似たような感じで時節的なものを生かして復興していただきたいですね」

男「んー。まぁでも七夕と違ってコスプレってちょっと勇気がいるような気がするしな。参加者は募りにくいのかも」

少女「なんだか少しばかり寂しい話です」

No.79【幸福論】

少女「私、ときどきすっごく疑問に思うんです」

男「……何をだ?」

少女「人間ってすっごくちっぽけなことで気分が浮いたり、沈んだり。大変だなぁって。しかもそれらはどれだけ浮かれようが凹もうが時間を経るとちっぽけになっていきます。それってなんだか寂しいなぁって」

男「まぁ時間は一番の特効薬っていうもんなぁ。ただ、時間がかき消すのは毒だけじゃなく飴もなのが辛辣なのかもしれない」

少女「楽しい時間は薬じゃなくて飴ですか」

男「薬を好む人は少ないけど飴を好む人はありふれてるだろう?」

少女「言い得て妙です」

男「まぁ、一番はそんなことごちゃごちゃ考えてないでなんとなーく楽しんだりなんとなーく悲しんだりしつつ時間に消し去られていくことなんだろうけどな。重く考えると大抵のことはネガティブになるというのが俺の持論だ」

少女「七夕、ハロウィン、夏祭り……何よりクリスマスですかね。そういう一年中に散りばめられたトリガーで世界中の人が幸せになれたらきっと素敵なことなのでしょうね」

男「……あぁ、そうだな」

No.80【未来】

少女「男さんは将来の夢とか、ありますか?」

男「ん、んー。ないかな?漠然と生きてる」

少女「なるほど、だからですね」

男「何がだ?」

少女「私達、今日いっぱいお話してますけど未来志向のお話を一切した気がしません!」

男「まぁ、真剣に考えなきゃなんだろうけど逃げちまっててぼんやりしてるからなぁ」

少女「私も将来の夢とかゼロですからね!こんな二人だから未来のことなんて語れるはずもありませんね!へへ!」

男「なんでちょっと誇らしげなんだ」

No.81【事務机】

少女「男さん、男さん」

男「なんだ?」

少女「この部屋、事務机があるじゃないですか」

男「なんか三つくらいあるな」

少女「実はですね。窓の横にあるやつは私が使っているので中身も整理してあるのですが、残りの二つ並んでる机は共に一切中身の詮索等していないのです」

男「……いいんじゃねぇの?」

少女「確かに今まではよかったんです。よかったんですよ。普通の建物だと思っていましたから。でも今日真剣に調べてみてどうでしょう。びっくりすぎる建物ではありませんか。この安住の地に未確認空間を置いておくのはあまりにリスキーではありませんか?」

男「あの伝説の剣を見ていたにも関わらず普通の建物だと思っていたのか。その頭の方がリスキーだわ」

少女「ということで男さん、探索しましょう。これが脱出ゲームなら調べ残しは命取りです。物語が進みません」

男「これ、リスクを俺に被せようとしてるだけだよね?」

No.82【用意は万全】

男「んー。じゃあ左側から調べるぞ?」

少女「えぇ、どうぞ」カチャッ

男「何その防弾シールドみたいなの。ここになかったよね」

少女「ベッドも5つくらいあるでしょう。一番奥のベッドの下にこれを忍び込ませていたのですよ!」フフン

男「いやいやいやいや。何その万全の守備。俺に死ねと!?この机がいきなり爆発しても俺だけ死ねと申すの!?」

少女「大丈夫です!ただの事務机ですよ!爆発なんてするわけないじゃないですか!」ガチャンッ

男「思いっきり盾を構えて言われても説得力ねぇよ!」

No.83【手前の引き出し】

ガシャッ(ヒラク)

…………

男「…………」

少女「…………」

…………

男「ただのドライバーかー」ガシャッ(シメル)

少女「いやいやいやいや、確かに普通ですけど。普通ですけど。医務室の机の引き出しにドライバーひとつはおかしいでしょう!!」

男「えー……触ってみる?」

少女「嫌です」ガシャッ

男「おもむろに盾を構えるのやめない?」

No.84【部屋の役割も謎に帰す】

ガシャッガシャッガシャッ

男「とりあえずひとつめの机に入ってたものを全部出してみたぞ」

少女「ドライバー、のこぎり、ネジ、木の板、トンカチ……それにファイル数点ですか」

「「日曜大工か」」

男「なんでよりにもよってこの部屋で日曜大工の設備整えてんだよもっと場所があるだろ」

少女「ファイルは流石に医務関係かと思ったのですが……見てください」

「「家具の設計図かよ」」

男「まぁ……なんか日曜大工係とかそんなんの机なんだろうなこれ……」

少女「医務室に……日曜大工係……」

No.85【医務室】

男「何ここ、具合悪い人の横で日曜大工してたの?」

少女「そもそもここが医務室かすら怪しくなってきましたね」

男「そういえばこの部屋にはプレートあったか?」

少女「いえ。確認してませんね」

男「ちょっと見てくる……」

少女「私も行きます」

『社長室』

男「もうなんかわっけわかんねぇなこれ」

少女「いや、待ってください……これ……プレートの上にシールが張られているだけです……」ペラッ

『理科室』

男「余計わけわかんねぇわ」

No.86【順当】

少女「右の机は何係のものだと思います?」

男「最早何かの係りが割り振られている前提なんだな」

少女「とりあえずさっきと同じく手前の引き出しから開けてみますか」

男「もう盾は構えないのな」ガチャッ

…………

少女「こけしですね」

男「なぁこれ何係の机だと思う?」

少女「…………患者をあやすため?」

男「年齢対象が謎過ぎるだろ」

少女「そもそも理科室ですからねここ」

男「それなんだが俺は社長室の前に医務室ってシールが貼られていたに一票を投じたい」

少女「最早この空間はなんでもありですから筋を通すだけ無駄ですよ」

No.87【こけし保存の法則無視】

少女「こちらはこけしが80個ほどでしたね」

男「机より明らかに出てきたこけしの方がでかくないか」

少女 「気のせいです」

男「あの剣ほどじゃないが謎に光ってるやつあるぞ」

少女「気のせいです」

男「ランタンいらねぇなこれ」ポチッ

少女「省エネですね」

男「まぁ……とりあえずこの部屋の安全は確保されたんじゃないか……?」

少女「こけしが爆発する可能性もなきにしもあらずですがね」

男「最早それがあり得る気がしてしまうことから感覚の麻痺を感じるな」

少女「とりあえず……こけしは部屋の外に出しましょう……」

男「おう。慎重にな」

No.88【雨足と共に】

コトッ

少女「これで最後ですかね」

男「無駄に綺麗に並べたなぁ」

少女「なんとなく怖いですからね」

男「ふむ。わざわざこのピロティまで持ってこなくてもいい気はするが」

少女「渡り廊下ってなんとなく爆破しても建物崩れなさそうじゃないですか?」

男「全国の渡り廊下に失礼だなそれは。というか外も暗くなったな。もう夜だ」

少女「そろそろ雨足も弱まってきましたね」

男「……いいのか?」

少女「何がです?」

男「ふむ。いや。なんでもない」

No.89【約束の束】

少女「しっかし色々話しましたねぇ」

男「そうだな」

少女「花火、約束ですよ?」

男「わかってるよ」

少女「タオル、返してくださいね?」

男「わかってるよ。その代わりフルート聴かせろよ?」

少女「むむ。わかってますよぅ」

男「ここのドアを開けるコツも教えてくれよ?」

少女「今日みたいにほぼ半開きにさせておくと楽ですよ」

男「それは反則じゃないか……?あっ、あと七夕のときの。連絡先にちゃんとお礼言ったら教えてくれな」

少女「むむ。さりげなく約束追加ですね」

男「はは。なんか本当にいっぱい話したな」

少女「百物語なんてほんとめじゃないくらい話した気がします」

男「確かに。一生ぶんくらい話したな」

No.90【傘ひとつ】

少女「しかし帰るにしては少し ばかり微妙な雨模様ですね」

男「うーむ。そういえばこの建物さ、傘はねぇの?」

少女「……そうですね。私の持ってきたビニール傘くらいじゃないですか」

男「はは、そっか。それを借りるのは悪いな」

少女「……そうですね。私の家は駅の方向の駅よりもう少し先ですし」

男「むむぅ。濡れて帰るかなぁ。まぁもう少しだけ様子を見ることにするよ」

少女「ふむ。了解です」

男「少女は帰んないの?」

少女「ここにいる限りはご一緒しますよ。廃墟におひとりは怖いでしょう?」

男「ん。ありがと」

少女「いえいえ、です」

No.91【懸念】

少女「結構な時間雨が降り続いてるわけですけどこれ、どこか水没してたりしてないですかね。ちゃんと帰れますかね」

男「泳いで帰らないとなぁ」

少女「そこまでの水没だと電車も動いてませんよ!?正気ですか!?」

男「いや流石にそこまでではないだろう……ほら、中庭とか普通だし」

女性「中庭は地面が芝生で水を吸い込みますからね……アスファルトになると……どうなることやら……」

男「泳ごう!!!」

少女「私泳げません!!!」

男「見捨てよう!!!」

少女「男さん!?!?」

No.

ミスっちゃいました☆~(ゝ。∂)
またもやミスついでになりますが、ここまで読んでくださってる方はありがとうございます。
目標を適当に100として始めたこのお話ももう九割方が終わり、そろそろ終わりに向かいます。最後までお楽しみいただけると幸いです。
あと俺も美少女を廃屋に連れ込みたいです。むしろ連れ込まれたいです。

No.92【数少ない友達】

男「というか少女、泳げないのか?」

少女「泳げませんね」

男「ちっとも?」

少女「ちっともです!」エッヘン

男「なんでちょっと誇らしげなんだ……。体育の授業とかどうしてたんだ?」

少女「ちゃんと出てましたよ!私だけビート板の使用を許可されてました!」エッヘン

男「ちゃんと出てて泳げないのか……ビート板とか俺もう数年見た気がしないぞ……」

少女「ビート板、不思議ですよね。すっごく浮くんですよね。泳ぐ練習のときは持って使うんですけど自由時間なんかは無理矢理沈めて上に乗って遊んだりしてます。ビート板は友達です」

男「なんでだろう。そこはかとなく悲しい」

少女「でもビート板さん最近反抗期っぽいんですよね。私が上に乗るとひっくり返してくるんです」

男「自然の摂理だよ」

No.93【帰り支度】

男「さーてと。荷物まとめるかぁ」

少女「むむ。そうですね。私も適当にまとめないと」

男「何か持ってきてるの?」

少女 「えぇ、タオルや傘なんかはここに常に置いてますけどポッキーなんかは持ってきたやつですよ。鞄はいつも持ち歩いているので。あとはそうですね。レーザーポインターとか眼帯とかですかね」

男「そういえば君……そんな嗜好だったね……」

少女「?何かありました?」

男「いや……素敵だと思う……」

少女「まぁ、とりあえず荷物まとめたら一旦入り口の方に行きましょうか」

男「んー。そうだな」

No.94【答え合わせ】

男「……さて、荷物はまとめ終わったな」

少女「えっ、あー。私もう少しかかりそうなので男さん先に行って待っててもらっていいですか?」

男「ん?ここで待ってるぞ?」

少女「先に行って道が水没していないか確認しといてください」

男「ふむ。確かにあの通りはアスファルトだしな。わかったよ」

少女「ランタンいりますか?」

男「いや。大丈夫。スマホのライト使う。少女が使いな」

少女「そうですか。ではお言葉に甘えます」

男「……んじゃ、早めになー」

少女「はーい!」

ガチャンッ

…………

少女「……さて」ペラッ

No.95【約束の果て】

プルルルルルル……

ピロリロリロリン♪ピロリロリロリン♪

『もしもし』

少女「……ふふっ。この建物、音がよく響くんですよ」

『着信音、聞こえちゃったか』

少女「えぇ。はっきり」

『むむぅ。しかし嘘つきだなぁ。手帳はここにはないって言ってたのに』

少女「おや。私だって気づいてたんですか?」

『最初はわからなかったよ。あの日の話を聞くまではわからなかった』

少女「それならお話してよかったです。それにしても初対面のような気がしないと思っていたら私達、ほんとに初対面じゃなかったんですね」

『二度目だって気もしないけどな』

少女「違いないです。もしかしたら私達、さらにあの七夕より前にも会っていたのかもしれませんね」

『だとしたら運命の赤い糸どころじゃないな』

No.96【二度目まして】

少女「しかしどうして手帳に電話番号を書いたメモなんか挟んでたんですか?」

『……当時は好きな人がいてな?何かの表紙に電話番号を渡せたらなぁって思ってたんだよ』

少女「好きな子に連絡先を渡すためにわざわざ番号書いた紙を用意してたんですか……?」

『今思えば用意の良さから引かれるところだったな』

少女「結局その子には連絡先は渡せたんですか?」

『友達がその子に許可とって教えてくれた。思ってたより随分あっさりしてた』

少女「まぁそんなもんですよね……連絡先なんて……」

男『「まぁその子にはフラれんだけどね」』

少女「うわぁっ!!……いつのまにそこにいたんですか」

男「ついさっき」ポチッ

ツーツーツー……

少女「えっと……二度目まして?」

男「あはは、今更な挨拶だな。二度目まして」

No.97【忘れ物】

少女「えっと……その節はどうもありがとうございました……」

男「ははっ。なんというか、堅いな」

少女「ずっと言おう言おうと思ってたことですからね」

男「別にそう気にしなくていいんだぜ。俺も思ってたより祭りを一人で回るのって暇だったんだからさ。良い暇潰しだったよ」

少女「その言葉、三年前にも聞きました」

男「そうだっけ?よく覚えてるなぁ」

少女「男さんはもうほとんど覚えてないんですか?」

男「ん?、んー。綺麗な青い浴衣だったのは覚えてるよ。あとあのときの絵でたこ焼き描いてくれたの、手帳を破って俺に見せてくれてたでしょ?そのページだけは鞄のなかにあってさ。部屋のコルクボードに貼ってある」

少女「そ、そうですか……なんだか照れ臭いことばかり覚えてますね……」

男「そうか?」

No.98【人ふたり】

サァァァアアア

少女「そういえば男さんカメラをお持ちでしたよね」

男「ん?おう。そうだな。友達の」

少女「濡れて帰る、とおっしゃっていましたがカメラを濡らすのはあまりよくないですね」

男「あー。俺は詳しくないんだけど確かにあんまりよろしくは無さそうだなぁ」

少女「駅までにはなりますがどうでしょう、一緒にこの傘に入りませんか?」トントン

男「へ?ありがたいが……狭くないか?大丈夫?」

少女「大丈夫です。それほど大きな傘ではないので肩は濡れてしまうかもしまいませんが、カメラの方が濡らさないようにしなきゃですよ」

男「ふぅーむ、そうだな。じゃあ言葉に甘えるわ」

少女「ふふっ。それでは駅までご一緒しますね」

No.99【青春の此方】

ポツポツポツ

少女「私、ビニール傘に雨が当たる音って好きです。」

男「なんか落ち着くよな」

少女「というかこれ相合傘ですね。男さん。青春っぽいですよ。青春」

男「言うと思ったよ……青春を追い求めてるのか?」

少女「そりゃあ華の女子高生ですからね。青春はいつだって日常に見出だしたいです。しかし思えば今日お話ししたことも、今日のシチュエーション全ても。全部全部青春っぽいですね!」

男「お、おう。そうだな?青春の相手が俺みたいなのでいいのか?他にいないのか?友達とか好きな人とか」

少女「青春は人がお互いに与えあうものですからね。時間の共有に付き合っていただける方がそこにいるだけで十分です。よくアニメや漫画では絡められがちですが実質的には恋情や友情なんてのは二の次だと思いますよ」

男「ふむ……友達がいないと青春は生まれないってのはわかるかなぁ」

少女「端的に言ってしまえば友情や恋情なんてのは青春に必要な条件などではなく、青春の生み出した結果であるわけです」

男「あぁ。それはわかりやすいな」

少女「さて、私達もこの短い間に何かを積み上げられたでしょうか?」

男「…………さて、どうだろう?」

No.100【相合傘】

少女「さて、駅ですね」

男「着いちゃったな」

…………

少女「えっ……と。あのっ。また電話かけますね」

男「お、おう。そうだな。今度は三年後とかにならないようにな」

少女「なりませんよ!」

男「ははっ、まぁあまりにかかってこなかったら俺からかけるよ」

少女「むぅー。大丈夫ですよもぅー」

男「……さて、もう行こうかな。電車も来るし。また会おうぜ。次は祭りに行く計画でも立てようか。タオル帰しに来るからさ」

少女「はい。それでは……お待ちしてます」

男「なんだかテンション低いね?」

少女「こういうお別れの瞬間って苦手なんですよ、ちょっと寂しくて」

男「はは、わかるな。まぁまた会えるよ。じゃあまたね」

少女「……そうですね。では、さようなら。……いえ、またね、です」

No.XXX【相合傘】

『あー。明日タオル帰しに行くわ』

『もぅ!電話、遅いですよ!あれからもう一週間ですよ!』

『そっちからかけるつってたじゃん』

『電話、苦手なんですよ!気恥ずかしくて!』

『えっ……えー。あっ。そうだ。前に聞こうとおもってたんだよ。ひとつ、いい?』

『はて、なんですか?』

『あの日さ、傘がひとつしかないって言ってたけどあれ、嘘でしょ』



『…………さて、どうでしょう?』

はい、No.100のタイトルミスりました。
No.100【雨宿りの果て】
です。

何も考えず、見切り発車で始めたSSもゆっくりと進んでいたようで、とりあえずこれにて完結となります。おつかれさまでした。

後日談はお祭り当日とかしてもいいかなぁとは思うのですが、このSSはあくまで雨宿りがテーマなのでその場合はまた別のSSという形で書いていきたいなぁ、と思います。そのときも同じ四コマ的SSになると思うので、お見かけしたら是非お読みください。

No.100まで通して読んでいないので全体のボリュームは正確に掴めませんが、ほぼ二ヶ月書いていた身としてはかなりのボリュームになってしまった気がします。
後輩「もう七夕の季節ですか」先輩「まだ一ヶ月ある」
というSSに次いで二作目のSSでした。
未だ不馴れな点も多々あるかと思います。
そんな中、ここまでお読み頂けた方々、本当にありがとうございます。

またいつかどこかでお会いしましょう。
あなたにも素敵な夏が訪れますように。

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